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特表2024-546676金属材料を溶融するための電気アーク炉、及び当該電気アーク炉を備えた製鋼プラント
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  • 特表-金属材料を溶融するための電気アーク炉、及び当該電気アーク炉を備えた製鋼プラント 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】金属材料を溶融するための電気アーク炉、及び当該電気アーク炉を備えた製鋼プラント
(51)【国際特許分類】
   F27B 3/08 20060101AFI20241219BHJP
   F27B 3/16 20060101ALI20241219BHJP
   C21C 5/52 20060101ALI20241219BHJP
   C21C 7/00 20060101ALI20241219BHJP
   F27B 3/18 20060101ALN20241219BHJP
【FI】
F27B3/08
F27B3/16
C21C5/52
C21C7/00 F
C21C7/00 P
F27B3/18
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024533963
(86)(22)【出願日】2022-12-06
(85)【翻訳文提出日】2024-08-05
(86)【国際出願番号】 IT2022050315
(87)【国際公開番号】W WO2023105541
(87)【国際公開日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】102021000030824
(32)【優先日】2021-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512288949
【氏名又は名称】ダニエリ アンド チ.オフィチーネ メカーニク エッセピア
【氏名又は名称原語表記】DANIELI&C.OFFICINE MECCANICHE SPA
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】アンソルディ マルコ
(72)【発明者】
【氏名】パトリツィオ ダミアーノ
(72)【発明者】
【氏名】テルリッシャー ステファーノ
(72)【発明者】
【氏名】マルコニ ジャンフランコ
【テーマコード(参考)】
4K013
4K014
4K045
【Fターム(参考)】
4K013CD02
4K013CF12
4K013CF14
4K014CB01
4K014CB02
4K014CC04
4K014CC05
4K014CC09
4K014CD02
4K014CD13
4K014CD15
4K014CD16
4K045AA04
4K045BA02
4K045RA02
4K045RA09
4K045RB02
4K045RC01
(57)【要約】
金属チャージ(M)を溶融するために使用可能な電気アーク炉(10)であって、上部開口(21)と、側方スラグ排出口(22)と、側方投入口(43)とが形成された少なくとも1つの周壁(20)を有する容器(11)を備えた電気アーク炉(10)。選択的に開けることができるルーフ(15)を容器(11)の上部開口(21)に被せることができ、ルーフ(15)は、クリアランスを形成するように金属チャージ(M)を溶融するための電極(32)を挿入可能な1つ又は複数の貫通孔(31)が形成された中央部(30)を備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属チャージ(M)を溶融するために使用可能な電気アーク炉(10)であって、
溶融チャンバ(16)を有する容器(11)と、複数の主開口(21,22,43)と、の両方を備えており、
前記複数の主開口(21,22,43)は少なくとも、上部開口(21)と、溶融した前記金属チャージ(M)の表面に形成されたスラグを除去するための側方排出口(22)と、前記金属チャージ(M)を前記溶融チャンバ(16)に投入するための側方投入口(23)と、を含むと共に、前記上部開口(21)に被せられて当該上部開口(21)を選択的に閉止可能なカバー(15)と、を含み、
前記カバー(15)には1つ又は複数の第1の副開口(31)が設けられており、
前記第1の副開口(31)にはそれぞれ、前記金属チャージ(M)を溶融するための電極(32)がクリアランスを形成するように挿入可能であり、
前記電気アーク炉(10)はさらにシーリング手段(26,29,37,55)を備えており、
少なくとも前記金属チャージ(M)を溶融するプロセス中に、外部環境から前記溶融チャンバ(16)内への空気の不所望又は無制御の侵入を阻止し、又は可能な限り抑制するように、前記主開口(21,22,43)のうち少なくとも1つに少なくとも1つの前記シーリング手段(26,29,37,55)が関連付けられている
ことを特徴とする電気アーク炉(10)。
【請求項2】
前記シーリング手段(26,29,55)は好適には、少なくとも2つの前記主開口(21,22,43)、さらに好適には全ての前記主開口(21,22,43)に関連付けられており、
前記シーリング手段は少なくとも、第1のシーリング部材(29)と第2のシーリング部材(26)と第3のシーリング部材(55)とを含む、
請求項1記載の電気アーク炉(10)。
【請求項3】
前記容器(11)は、上部に前記上部開口(21)が形成された少なくとも1つの周壁(20)を備えており、
前記周壁(20)と前記カバー(15)との間に前記第1のシーリング部材(29)が挟まれており、前記カバー(15)の閉止を気密にするように構成されている、
請求項2記載の電気アーク炉(10)。
【請求項4】
前記周壁(20)の上面(27)に前記第1のシーリング部材(29)の少なくとも一部が配置されており、
前記第1のシーリング部材(29)は、少なくとも前記カバー(15)の重量の作用下で気密封止を保証できる1つ又は複数のシーリング要素を含む、
請求項3記載の電気アーク炉(10)。
【請求項5】
前記側方排出口(22)に関連付けられた閉止部材(25)をさらに備えており、
少なくとも前記閉止部材(25)が下降位置にあるときに前記側方排出口(22)を気密隔絶するように、前記閉止部材(25)に前記第2のシーリング部材(26)が関連付けられている、
請求項2記載の電気アーク炉(10)。
【請求項6】
前記カバー(15)は中央部(30)を有し、前記中央部(30)に前記1つ又は複数の第1の副開口(31)が形成されており、
前記1つ又は複数の第1の副開口(31)は前記溶融チャンバ(16)と流体連通しており、
前記中央部(30)に上部パネル(36)が設けられ、当該上部パネル(36)に、前記電極(32)を通すと共に前記外部環境と流体連通するための1つ又は複数の第2の副開口(39)が、鉛直方向において前記1つ又は複数の第1の副開口(31)と整列するように設けられており、
前記シーリング手段は、前記上部パネル(36)と前記中央部(30)との間に形成された少なくとも1つの空洞スペース(37)を含み、
前記空洞スペース(37)は、前記1つ又は複数の第1の副開口(31)及び前記1つ又は複数の第2の副開口(39)の両方と流体連通する、
請求項1から5までのいずれか1項記載の電気アーク炉(10)。
【請求項7】
前記空洞スペース(37)は、前記溶融チャンバ(16)からの処理ヒュームと前記外部環境からの空気との両方を含む混合雰囲気が形成される中間スペースを、前記外部環境と前記溶融チャンバ(16)との間に形成するように設けられており、前記溶融チャンバ(16)からの処理ヒュームと前記外部環境からの空気との両方が前記1つ又は複数の第1の副開口(31)と前記1つ又は複数の第2の副開口(39)とを介して前記空洞スペース(37)に流入可能である、
請求項6記載の電気アーク炉(10)。
【請求項8】
前記空洞スペース(37)には吸引手段(41)が関連付けられて設けられており、
前記吸引手段(41)は前記混合雰囲気の吸引を行うことにより、前記外部環境の大気圧(P.ATM)及び前記溶融チャンバ(16)内の動作圧力(P.EAF)より低い空洞スペース圧力(P.ELT)が前記空洞スペース(37)内に生じるように前記空洞スペース(37)において減圧を形成するように構成されている、
請求項6又は7記載の電気アーク炉(10)。
【請求項9】
前記投入口(43)の封止を形成するため、前記投入口(43)に前記第3のシーリング部材(55)が関連付けられている、
請求項2記載の電気アーク炉(10)。
【請求項10】
前記カバー(15)はさらに、追加の貫通口(73)も備えており、
前記追加の貫通口(73)には、上方から直接還元鉄又はホットブリケットアイアンを投入するように構成された投入手段(70)が接続可能であり、
前記投入手段(70)は、好適には封止性に前記追加の貫通口(73)に挿入可能な投入ダクト(72)と、前記投入ダクトに接続されると共に好適には加圧されるホッパ(71)と、の両方を備えている、
請求項1から9までのいずれか1項記載の電気アーク炉(10)。
【請求項11】
前記カバー(15)はさらに吸引口(33)を備えており、
前記吸引口(33)には、前記溶融チャンバ(16)から前記処理ヒュームを吸引するように構成された吸引手段(35)が接続可能であり、
前記吸引口(33)は、前記第1の副開口(31)を挟んで前記追加の貫通口(73)とは実質的に反対側に配置されている、
請求項10記載の電気アーク炉(10)。
【請求項12】
請求項1から11までのいずれか1項記載の金属チャージ(M)を溶融するための電気アーク炉(10)と、
前記金属チャージ(M)を連続投入するための投入装置(50)と、
を備えた製鋼プラント(100)であって、
前記投入装置(50)に対して少なくとも部分的に予熱トンネルが関連付けられており、
前記投入装置(50)は送り台(51)を備えており、
前記送り台(51)には、選択的に前記投入口(43)に少なくとも部分的に挿入可能な端部(52)が設けられており、
前記第3のシーリング部材は封止装置(55)であり、
前記封止装置(55)は前記送り台(51)に接続可能であり、
前記封止装置(55)は、前記端部(52)が前記側方投入口(43)に挿入されたときに前記送り台(51)と前記電気アーク炉(10)との間に存在する可能性のあるスペースを選択的に封止するように構成されており、
前記シーリング手段(26,29,37)及び前記封止装置(55)は、前記外部環境から前記電気アーク炉(10)内への空気の不所望又は無制御の侵入を阻止し、又は可能な限り抑制するように設けられている
ことを特徴とする製鋼プラント(100)。
【請求項13】
前記封止装置(55)は、使用時に前記送り台(51)を包囲するスリーブ(56)を備えており、
前記スリーブ(56)は前記電気アーク炉(10)側に前面(53)を有し、前記前面(53)は前記電気アーク炉(10)に関連付け可能であり、
前記前面(53)には、前記投入口(43)に対応して前記電気アーク炉(10)の周壁(20)と接触する追加のシーリング部材(57)が設けられている、
請求項12記載の製鋼プラント(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属材料を溶融するための処理において使用可能な電気アーク炉と、当該電気アーク炉を備えた製鋼プラントと、に関するものであり、当該処理は好適には実質的に連続的なチャージで行われるが、これに限定されない。
【背景技術】
【0002】
交流(AC)又は直流(DC)で電力供給がなされる少なくとも1つの電気アーク溶融炉を備えた金属材料溶融用の製鋼プラントが公知となっている。かかる炉は通常、下部分あるいは炉床と、上部が開口している上部分と、を有する実質的に円筒状の容器を備えており、当該上部分は全体として一体で溶融チャンバを画定し、炉はまた、容器を閉止するカバーあるいはルーフも備えている。
【0003】
炉床は通常、耐火性材料を金属フレームに配したものから作製されており、この内側で金属チャージ、例えば鉄くず、海綿鉄あるいは直接還元鉄(DRI)、鉄ペレットあるいはホットブリケットアイアン(HBI)その他鉄材料が溶融され、金属チャージは炉床の体積に適した体積を有する。1つの金属チャージの重量は数トン程度である。
【0004】
容器の開口した上部分は、通常は円筒状の周壁を含むか又はこれから成り、この周壁は、処理の最初の工程中に溶融するスクラップ塊の体積が大きい場合にこのスクラップ塊を収容可能なものである。また、周壁の目的は、鋼の浴槽(bath of steel)を覆うスラグの層を収容することであり、非耐火性の上部分を熱応力から保護するために適した側方パネルを備えており、この側方パネルは水冷却される。
【0005】
周壁には少なくとも1つの排出口が形成されており、これは「スラグ排出口」との用語によっても知られており、溶融処理によって生じたスラグはこのスラグ排出口を介して選択的に取り出すことができる。スラグは、浴槽から取り出された不所望の元素を含み、専門家用語ではこれらをまとめて「スラグ」と称する。スラグ排出口は、例えばゲートバルブ等のドアを用いて選択的に閉止することができ、かかるドアは設けられていない場合もあり、あるいは、溶融処理中にスラグ排出口が完全には開かない場合には、スラグ排出口は少なくとも部分的に、注入ランスや温度測定プローブを導入できる状態や試料を取り出せる状態に維持され、また、添加物やスラグ除去剤を添加できる状態に維持されることも可能である。いずれの場合においても、従来技術ではスラグ排出ドアは鋼の浴槽の高さより上方に位置しているので、水密とはされていない。
【0006】
また、公知の電気アーク炉は「ルーフ」と称される上部のカバーを備えており、このカバーは選択的に開けることができるタイプのものであり、当該カバーには、「アーチ」とも称される耐火性材料製の中央部が設けられており、この中央部は幾つかの開口又は貫通孔を有し、交流電源の場合、これらの開口又は貫通孔は通常は3つ設けられ、「セル」との用語でも知られている。これらの貫通孔によって、クリアランスを設けるように、対応するグラファイト電極を挿入して溶融チャンバに入れることができ、このグラファイト電極は、電力供給を受けたときに電気アークの発生を決定するように構成されており、これにより金属チャージの溶融を行うことができる。
【0007】
ルーフにはさらに少なくとも1つの開口が形成されており、この開口は「第4の孔」との用語でも知られており、この開口には、処理ヒュームを吸引するためのパイプ又はダクトが挿入され、処理ヒュームはその後、「一次」と称されるヒューム吸引処理プラントへ運ばれる。
【0008】
金属チャージは、適切なチャージバケットによって装入若しくは投入し、炉の上部開口を介して金属チャージを離すことによって入れることができ、又は連続装入システムによって、周壁に形成された側方開口を介して装入若しくは投入することができる。
【0009】
金属チャージがチャージバケットによって投入されて、各溶融処理を行うために適した量に達した場合、そのバケットから金属チャージを降ろすためにルーフを2,3回開けなければならず、これにより大量のヒュームが放出され、これがもし大気中に放出されると、特にスクラップが汚染されており、又はオイルを多く含んでおり、又は湿気を含む場合、ヒュームは非常に高い汚染力を有し得る。大気中の汚染物質は粉末状態で、特に重い金属酸化物で存在したりするが、それだけではなく、CO、NOx、VOC、ダイオキシン、及びフランを含めたガス化合物の状態でも存在する。実際、バケットの荷降ろし中に、炉のルーフの第4の孔から直接エミッションを捕捉する一次ヒューム処理プラントの吸引ダクトによってヒュームが吸引されずに、実際に溶融チャンバの外部に放出され、このように放出された後でしか、電気アーク炉の上方に配されたフードによって上記のヒュームを捕捉することができず、このフードは一般に、当該炉自体が配置された格納庫の天井に配置されるものであり、フードはヒュームを吸引して、「二次」と称される他の処理プラントへ運ぶ。さらに、金属材料を載せたバケットから金属材料を溶融チャンバ内に降ろした際には、特殊なラジアルガスバーナを作動してチャージの溶融を助けることにより、電極を金属チャージに迅速に入れられるようにして溶融時間を短縮する。しかしこのようにすると、ガスバーナの使用によって、より多くの汚染物質が発生する。
【0010】
バーナは実際には、メタンを使用することが一般的であり、メタンが燃焼するとCO及びCOを発生すると共に、もちろん熱エネルギーも発生する。
【0011】
連続装入システムを用いて投入を行う場合、金属チャージは上記とは異なり投入コンベアを用いて投入され、この投入コンベアは、一般に炉の周壁に形成される開口に選択的に取り出し可能に挿入されるように構成されている。さらに、投入コンベアの少なくとも一部は予熱トンネルに関連付けられており、炉内で生じた処理ヒュームはこの予熱トンネルを介して吸引されることにより、処理ヒュームの熱を利用して、溶融しようとする投入材料を予熱し、これにより溶融処理の時間及び消費量を削減及び/又は最適化することができる。
【0012】
溶融の際には、浴槽に含まれる例えばシリコン、クロム、モリブデン、ニッケル、リン等の不所望の元素を酸化させるために、適切なランスを用いて酸素が導入され、形成される酸化物及び非金属化合物は液体の浴槽より低密度であるから、表面に泳動してスラグに取り込まれる。さらに、酸素の注入は浴槽の脱炭処理を実施するためにも必要であり、その動作によって炭素含有率を約0.08%程度の目標値にすることができる。脱炭反応は液体浴の精製プロセスに伴って生じるものであるが、浴槽中に含まれる炭素の一部に注入された酸素が結合すると、COを生じることが避けられない。しかし、酸素の注入は金属浴中に含まれる鉄の酸化も引き起こし、その後、炉の歩留まりに悪影響を及ぼさないようにするためには、粉末の形態の炭素を注入することによって鉄の脱酸素処理を再度行う必要がある。この粉末状の炭素の注入は、溶融チャンバ内又はその上方にある複数のインジェクタによって行われる。酸化鉄と炭素とが反応することによって分子が金属鉄の状態に戻るが、それと同時に大量のCOも発生し、このCOは酸素の利用可能状態如何に依存して燃焼してCOに減炭し、さらなる熱を放出して処理ヒュームを生成する。
【0013】
酸素の注入と炭素との間の不安定なバランスにより、各溶融サイクルにおいて生成されるCOが非常に大量となり、ひいては生成されるCOも非常に大量となり得る。
【0014】
炉内で燃焼しなかった残留COは一次ヒューム処理プラントによって、第4の孔又は連続装入及び/若しくは予熱システムを介して吸引され、そのダクトが公知のように減圧下で働く。また、特に我々が見てきたような一次ヒューム処理プラントによって、バケット装入法を用いて、如何なる残留ヒュームも捕捉される。
【0015】
バケットを用いて装入する場合、炉の第4の孔に挿入される吸引パイプの入口と一次ヒューム処理プラントのダクトとの間において空きスペース又はギャップが維持され、これによりダクト内に大量の空気を吸引することができる。これは、残留COをCOに減炭すると共にヒュームを希釈及び冷却するための残留COの後燃焼ステップに必要なものである。この冷却により、COの後燃焼の後にヒューム吸引ダクト内の熱的手段によるNOxの形成が防止され、又は少なくとも減少する。
【0016】
連続装入の場合、ヒュームは上記とは異なり予熱トンネルに導入され、このトンネル内で空気又は酸素を注入することによりCOの後燃焼が行われる。
【0017】
処理ヒュームが周囲の環境に漏出するのを防止するため、一次ヒューム抽出及び処理プラントのファンが炉内を減圧下に維持するが、炉の全ての開口に起因して、ルーフを閉止している場合でも溶融チャンバ内に大量の空気(いわゆる「不適正な空気」)が侵入するという欠点が存在する。実際、空気は上記の開口内に存在する通り道ギャップを通って侵入し、この開口は従来技術では気密封止されない。
【0018】
よって、炉を減圧下に維持するためには、プロセスガスのみを除去するために必要な流量より格段に高いガス流量を取り除くように吸引プラントのファンを稼働させる。こうすると、炭素粉末の注入の効率が低下する。というのも、炭素のかなりの割合が浴槽に到達することなく吸引流に吸引されるからである。この損失を補償して上記の要請を満たすためには炉に余分な炭素を導入する必要があり、スラグに堆積した余剰分(自由炭素)がそこに存在する酸素と反応して、より多くのCOを生成する。
【0019】
さらに、上記の開口を通過して侵入する不適正な空気は窒素(N)を含んでおり、酸素と、約1500℃~約850℃の高温の存在下で、例えば電極等に対応して、汚染化合物であるNOxが形成される。
【0020】
先行技術文献の中でも特に、英国特許出願公開第2076858号明細書には、直接燃焼鋼変換器又は場合によっては電気炉の冶金処理が記載されている。本先行技術文献では、鋼変換器は酸素燃料又は空気燃料バーナを備えているが、炉内に入っている金属チャージを溶融するための電極を一切しないように構成されている。その上、本先行技術文献は炉内の酸化の問題について対応していない。
【0021】
米国特許第4027095号明細書にはステンレス鋼の製造用の気密電気アーク炉が記載されており、この電気アーク炉は、ルーフと炉の本体との間に設けられた真空シーリング手段と、ルーフと電極との間に設けられた冷却される伸縮式のシーリング手段と、炉の燃焼チャンバに関連付けられた放出口と、を備えており、この放出口には、電気アーク炉の内部圧力を低減するための真空ポンプが接続される。
【0022】
欧州特許出願公開第0515249号明細書に、電気アーク炉の電極と、炉のルーフに形成された対応する開口と、の間に部分的な封止を形成するための閉止装置が記載されている。閉止装置は特に、開口に摺動するように設置される環状の閉止要素を備えており、この閉止装置には、電極が挿入される軸方向の空洞が形成されている。
【0023】
本願出願人の国際公開第2005/052196号に、金属チャージを予熱、変換及び溶融する電気アーク炉を備えたプラントが記載されており、液体浴の温度を所定値に調整すべく、炉内に存在する金属チャージの量を検出するため、炉の重量を少なくとも周期的に計測する。
【0024】
よって、従来技術の欠点の少なくとも1つを解消できる電気アーク炉を完成させるとの要請が存在する。
【0025】
これを実現するためには、金属チャージの溶融工程の間ずっと電気アーク炉内部への空気の不所望又は無制御の侵入を阻止し、又は如何なる場合においても大幅に抑えるという技術的問題を解決する必要がある。
【0026】
本発明の一目的は特に、少なくとも溶融ステップ中に電気アーク炉内部への空気の不所望又は無制御の侵入を阻止し又は大幅に抑えることが可能な、金属材料を溶融するための完全に封止された電気アーク炉を完成させることである。
【0027】
本発明の他の一目的は、大量のCO、CO、NOxを含むヒュームの発生を減少させることができる、金属材料を溶融するための電気アーク炉を完成させる又は提供することである。
【0028】
本発明の他の一目的は、伝統的なプラントと比較してCOの直接エミッションを50%以上削減することができる公知の形式の電気アーク炉を完成させ、又は新規の電気アーク炉を創出することである。
【0029】
本発明の他の一目的は、炉内での化学エネルギーの使用を抑えることができ、特に炭素及び酸素の注入を抑えることができる、金属材料を溶融するための電気アーク炉を完成又は創出することである。
【0030】
本願出願人は、従来技術の欠点を解消して上記及び他の目的及び利点を達成すべく、本発明を着想、試験及び具現化した。
【発明の概要】
【0031】
本発明は独立請求項に記載され、その特徴が記載されている。従属請求項に本発明の他の特徴又は本発明の主な思想の変形形態が記載されている。
【0032】
上記目的に鑑みて、上記にて開示した技術的問題を新規かつ独自の態様で解決しつつ、従来技術と比較して格別な利点を奏するため、本発明の金属チャージを溶融するために使用可能な電気アーク炉は、溶融チャンバを有する容器と、複数の主開口と、の両方を備えており、前記複数の主開口は少なくとも、上部開口と、溶融した前記金属チャージの表面に形成されたスラグを除去するための側方排出口と、前記金属チャージを前記溶融チャンバに連続投入するための側方投入口と、を含むと共に、前記上部開口に被せられて当該上部開口を選択的に閉止可能なカバーと、を含み、前記カバーには1つ又は複数の第1の副開口が設けられており、前記第1の副開口にはそれぞれ、前記金属チャージを溶融するための電極がクリアランスを形成するように挿入可能である。
【0033】
本発明の一側面では、前記電気アーク炉はさらにシーリング手段を備えており、前記金属チャージを溶融するプロセス中に、外部環境からの空気の不所望又は無制御の侵入を阻止し、又は可能な限り抑制するように、前記主開口のうち少なくとも1つに少なくとも1つの前記シーリング手段が関連付けられている。
【0034】
本発明の他の一側面では、前記シーリング手段は好適には、少なくとも2つの前記主開口、さらに好適には全ての前記主開口に関連付けられている。
【0035】
前記シーリング手段は前記各主開口ごとにそれぞれ、少なくとも第1のシーリング部材と第2のシーリング部材と第3のシーリング部材とを含む。
【0036】
このように電気アーク炉を封止することにより、少なくとも、外部環境の空気から独立した比較的低酸素濃度の雰囲気を電気アーク炉内に形成することができ、これによりCO、CO及びNOの形成を有意に防止し及び/又は抑えられるという利点が奏される。
【0037】
本発明の一側面では、前記容器は、上部に前記上部開口が形成された少なくとも1つの周壁を備えており、前記周壁と前記カバーとの間に前記第1のシーリング部材が挟まれており、前記カバーの閉止を気密にするように構成されている。
【0038】
本発明の一側面では、前記周壁の上面に前記第1のシーリング部材の少なくとも一部が配置されており、前記第1のシーリング部材は、少なくとも前記カバーの重量の作用下で気密封止を保証できる1つ又は複数のシーリング要素を含む。
【0039】
前記電気アーク炉が前記側方排出口に関連付けられた閉止部材をさらに備え、連続装入が導入される場合、前記側方排出口を気密隔離するように、前記閉止部材に前記第2のシーリング部材が関連付けられている。
【0040】
本発明の一側面では、前記カバーは中央部を有し、前記中央部に前記1つ又は複数の第1の副開口が形成されており、前記1つ又は複数の第1の副開口は前記溶融チャンバと流体連通している。前記カバーの前記中央部に上部パネルが設けられ、当該上部パネルに、前記電極を通すと共に前記外部環境と流体連通するための1つ又は複数の第2の副開口が、鉛直方向において前記1つ又は複数の第1の副開口と整列するように設けられている。さらに、前記シーリング手段は、前記上部パネルと前記中央部との間に形成された少なくとも1つの空洞スペースを含み、前記空洞スペースは、前記1つ又は複数の第1の副開口及び前記1つ又は複数の第2の副開口の両方と流体連通する。
【0041】
本発明の一側面では、前記空洞スペースは、前記溶融チャンバからの内部の処理ヒュームと前記外部環境からの空気との両方を含む混合雰囲気が形成される中間スペースを、前記外部環境と前記溶融チャンバとの間に形成するように設けられており、前記溶融チャンバからの処理ヒュームと前記外部環境からの空気との両方が、前記カバーに形成された前記1つ又は複数の第1の副開口と前記1つ又は複数の第2の副開口とを介して前記空洞スペースに流入可能である。
【0042】
本発明の一側面では、前記空洞スペースには吸引手段が関連付けられて設けられており、前記吸引手段は前記混合雰囲気の吸引を行うことにより、前記外部環境の大気圧(P.ATM)及び前記溶融チャンバ内の動作圧力(P.EAF)より低い空洞スペース圧力(P.ELT)が前記空洞スペース内に生じるように前記空洞スペースにおいて減圧を形成するように構成されている。
【0043】
金属チャージの投入は、自律的な投入装置を介して連続実施することができ、この投入装置は厳密な意味では電気アーク炉を構成するものではないが、電気アーク炉に関連付け可能なものであり、例えば、投入装置は連続装入及び/又は予熱投入システムである。
【0044】
本発明の一側面では、前記カバーはさらに、追加の貫通口も備えており、前記追加の貫通口には、上方から直接還元鉄(DRI)又はホットブリケットアイアン(HBI)を投入するように構成された投入手段が接続可能である。前記投入手段は、好適には封止性に前記追加の貫通口に挿入可能な投入ダクトと、前記投入ダクトに接続されると共に好適には加圧されるホッパと、の両方を備えることができる。
【0045】
本発明の一側面では、前記カバーはさらに吸引口を備えており、前記吸引口には、前記溶融チャンバから前記処理ヒュームを吸引するように構成された一次吸引手段が接続可能である。さらに、前記吸引口は、前記第1の副開口を挟んで前記追加の貫通口とは実質的に反対側に配置されている。
【0046】
本発明の一側面では製鋼プラントは、金属チャージを溶融するための上記の電気アーク炉と、前記電気アーク炉に前記金属チャージを投入するための投入装置と、備えており、前記投入装置に対して少なくとも部分的に予熱トンネルが関連付けられており、前記投入装置は送り台(slide)を備えており、前記送り台には、選択的に前記投入口に少なくとも部分的に挿入可能な端部が設けられている。特に、前記第3のシーリング部材は封止装置であり、前記封止装置は前記送り台に接続可能であると共に、前記端部が前記側方投入口に挿入されたときに前記送り台と前記電気アーク炉との間に存在する可能性のあるスペースを選択的に封止するように構成されており、前記シーリング手段及び前記封止装置は、前記外部環境から前記電気アーク炉内への空気の不所望又は無制御の侵入を阻止し、又は可能な限り抑制するように設けられている。
【0047】
本発明の他の一側面では、前記封止装置は、使用時に前記送り台を包囲するスリーブを備えており、前記スリーブは前記電気アーク炉側に前面を有し、前記前面は前記電気アーク炉に関連付け可能であり、前記前面には、前記投入口に対応して前記電気アーク炉の周壁と接触する追加のシーリング部材が設けられている。
【0048】
本発明の上記及び他の側面、特徴及び利点は、添付の図面を参照した非限定例としての一部の実施形態の以下の説明から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1】本発明の電気アーク炉の中間ゾーンにおける概略的な正面断面図である。
図2図1の線 II-II に沿った断面図である。
図3図2の線 III-IIIに沿った断面の拡大図である。
図4図1を拡大した細部図である。
図5図1の電気アーク炉内部に向かって金属チャージを投入するための装置の閉止部材の動作シーケンスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
ここで明確にすべき点として、保護範囲は特許請求の範囲によって特定されるものであるから、本願明細書における文言及び用語用法並びに添付図面の各図の記載内容の役割は、本発明の例示及び説明を行いやすくすることのみであり、その機能は、本発明自体の非限定的な例を提供することである。
【0051】
理解しやすくするため、可能な限りにおいて、図面中の同一の共通要素を特定するために同一の符号を使用している。ある実施形態の要素や特性は、別段の説明を要することなく他の実施形態に適宜組み合わせることができ又は組み込むことができると解される。
【0052】
図1を参照すると、上記の通り金属チャージMを溶融するために本発明の電気アーク炉10を使用することができ、当該電気アーク炉10は例えば製鋼プラント100に設置され、基本的には公知の種類のものであり、一部の革新的な点を除いて詳細には説明しない。この一部の革新的な点については下記にて説明する。
【0053】
電気アーク炉10は、実質的に円筒状の平面形状を有する上部分13と、実質的に楕円状の平面形状を有する下部分あるいは炉床12と、を有する容器11を備えている。上部分13を閉止するために、選択的に開放可能な形式のカバーあるいはルーフ15が配されている。
【0054】
容器11の内部には全体的に、後続の溶融のために金属チャージMを入れる溶融チャンバ16が形成されており、この溶融チャンバ16内で、溶融処理に由来する処理ヒュームとも称されるヒュームが形成される。
【0055】
炉床12は、1,600℃を超える高温に耐えられる耐火性材料から作製された凹状の底部を有し、この炉床12の内側で金属チャージMの溶融処理が行われる。炉床12は従来技術と同様、通常は偏心タップ孔18(図2)が設けられており、溶融した鋼はこの偏心タップ孔18を介して取り出すことができる。偏心タップ孔18は、当業者にはEBT(Eccentric Bottom Tap-hole)との用語で知られている。溶融作業中、偏心タップ孔18は自明の種類の可動式の閉止部材19(スライドゲート)によって気密閉止された状態に維持される。
【0056】
他方、上部分13は、公知の種類の不図示の実質的に円筒状の周壁20(図1及び図2)を備えるか又はこれから成り、周壁20は、ルーフ15によって選択的に閉止可能な上部開口21を有すると共に、水冷されるパネルを備えており、溶融チャンバ16の上部分を熱応力から保護するために適したものである。
【0057】
周壁20には側方排出口あるいはスラグ排出口22(図1図2及び図3)も形成されており、このスラグ排出口22を介して、液体浴Bの上層に形成されたスラグを公知のように抽出し又は取り出すことができる。
【0058】
スラグ排出口22はシャッタあるいはスラグ排出ドア25に動作可能に関連付けられており、場合によっては公知の態様で冷却される。例えば、一般性を何ら限定することなく、スラグ排出ゲート25は本願出願人の欧州特許出願公開第3715758号明細書に記載された形式のものとすることができる。
【0059】
本発明の一側面では、スラグ排出ドア25における周壁20側の表面に機械的なシーリング部材26(図1及び図3)が設けられており、スラグ排出ドア25の閉止時には上記のシーリング部材26によってスラグ排出口22の気密封止が形成される。
【0060】
とりわけスラグ排出ドア25は、金属チャージMを溶融するプロセス中に、溶融チャンバ16内への外部の空気の不所望又は無制御の侵入を阻止するように気密封止されると共に、スラグ排出作業の間のみ、溶融チャンバ16内への空気の侵入を阻止し、又は少なくとも可能な限り抑制するように、排出流路24に向かうスラグの排出層流を形成するためにぎりぎり十分な程度に開放されるように構成されている。図1及び図3のスラグ排出ドア25は開放位置又は上昇位置にあるのが示されているのに対し、図2では分かりやすくするため、スラグ排出ドア25が閉止位置又は下降位置にあるのが示されている。
【0061】
場合によっては、スラグ排出ドア25に公知の形式の不図示のロボットアーム、例えば人間型ロボット等を動作可能に関連付けることができ、このロボットアームの端部には、スラグ除去を行った後にスラグ排出口22の表面に残留する如何なるスラグも洗浄及び/又は除去するための装置、例えば欧州特許出願公開第3715758号明細書に記載の装置等が装着される。
【0062】
本発明の好適な一実施形態では、周壁20又はルーフ15に通されて設置されるサンプリングプローブを用いて浴温度をサンプリングすることができ、このサンプリングプローブは、電気機械的、空気圧その他の作動システムによって液体浴Bに出し入れすることができる。上記のサンプリングプローブは如何なる場合にも、電気アーク炉10内部の雰囲気を外部の雰囲気から隔絶した状態に維持し、空気の不所望の侵入を防止するように設置される。
【0063】
本発明の一側面では、周壁20の上面27とルーフ15の対応する下部分との間、好適には上面27に、機械式のシーリング部材29(図1及び図3)が配置され、このシーリング部材29は例えばシーリングリング若しくはラビリンスシステムを含み、又はこれから成り、シーリング部材29は、ルーフ15がチャージの溶融中に閉止位置にあるときに周壁20の上部開口21から溶融チャンバ16への外部空気の不所望又は無制御の侵入を阻止するように、ルーフ15の閉止を気密にする構成となっている。有利には、ルーフ15は1回の溶融工程より長い期間にわたって、例えば数百回の連続した鋳造プロセスにわたって閉止状態に維持することができる。というのも、金属チャージC、特にスクラップの投入は側方チャージ投入装置50によって行われ、及び/又は、ホッパシステム若しくはホッパ71を用いたルーフ15からのDRI/HBIの導入、好適には加圧下での導入によって行われるからである。さらに、ルーフ15を開ける必要があり得るイベントの1つは、炉床12の損耗した耐火材の修復であり、この修復は、約400~800回鋳造を行うごとに行われることがあり、これは、電気アーク炉10を動作させる条件に関連する。よって、この全期間を通じて電気アーク炉10は閉止されてシーリングされた状態に維持され、これにより不適切な空気の侵入が劇的に抑えられる。
【0064】
覆いルーフ15は中央部30又はアーチを備えており、これは好適には耐火性材料により作製されており、中央部30には1つ又は複数の第1の副開口あるいは円形貫通孔31が形成されており、この貫通孔31は小孔とも称され、各貫通孔31にはそれぞれ、実質的に円柱状の電極32を、クリアランスを形成するように挿入することができる。とりわけ、各円形貫通孔31の内表面と、各対応する電極32の円柱面との間に、ある程度の周囲クリアランスあるいはギャップLが形成されており、これは例えば約50mmとすることができる。電極32は溶融チャンバ16に軸方向に挿入されることにより、電気アークの点弧によって金属チャージMの溶融を行うことができる。
【0065】
ここで提示している例では、電気アーク炉10は交流(AC)給電型であり、図1,2及び4に示されているように3つの電極32を備えている。しかし本発明は、通常は1つ又は2つの電極のみを用いる直流(DC)給電型の炉に、上記のコンセプトを適用可能とすることを除外するものではない。
【0066】
上部から上部開口21を介して金属チャージMの挿入を行うように構成された本発明の実施形態では、ルーフ15に「第4の孔」としても知られている吸引口33(図1中破線で示す)を形成することができ、この吸引口33には、溶融チャンバ16内に存在する処理ヒュームを吸引するように構成された公知の形式の吸引パイプ35(図1中破線で示す)である吸引手段を接続することができ、この吸引パイプ35によって吸引された処理ヒュームはその後、一次ヒューム処理プラントに向かって運ばれる。一次ヒューム処理プラントは公知の形式とすることができ、図面中示されていない。特に、吸引パイプ35の働きによって、溶融チャンバ16のうち液体浴Bの上方の部分を、電気アーク炉10の周囲の外部環境の大気圧P.ATMより低い動作圧力P.EAFにすることができる。
【0067】
本発明の他の一側面では、ルーフ15の中央部30の上方であって電極32が設けられたゾーンに対応して上部パネル36が配置されており、この上部パネル36は、その内側において中央部30の外表面側に空洞スペース37を画定する形状となっている。
【0068】
上部パネル36には貫通口39(図1及び図4)が形成されており、この貫通口39はここでは第2の副開口として形成され、クリアランスを形成するように電極32を通すことができるものである。貫通口39は鉛直方向において円形貫通孔31と整列しており、円形貫通孔31と同径であるから、その内側に同じギャップ「L」も有する。上部パネル36には、吸引ダクト41が挿入される追加の開口40も形成されており、この吸引ダクト41はヒューム処理プラント(一次又は二次)に接続されており、公知の形式のものであって図面に示されていない。
【0069】
空洞スペース37は、容器11の溶融チャンバ16を上部分と中央ゾーンとにおいて、すなわち電極32が挿入される箇所において流体的に隔離することにより、円形貫通孔31を介した溶融チャンバ16内への外部空気の不所望又は無制御の侵入を阻止する機能を有する。実際、空洞スペース37は、各円形貫通孔31内に存在するギャップ「L」を介して当該空洞スペース37に侵入した内部の処理ヒュームと、各貫通口39内に存在するギャップ「L」を介して当該空洞スペース37に侵入した外部環境の空気と、の両方から成る混合雰囲気又は中間雰囲気が形成される中間スペースを、外部環境と溶融チャンバ16との間に形成するように設けられている。
【0070】
空洞スペース37に関連付けられた吸引ダクト41は、上記の混合雰囲気を吸引してヒューム処理プラントに向けて運ぶように構成されている。特に、吸引ダクト41の働きによって空洞スペース37内に、大気圧P.ATMに対する減圧が形成される。
【0071】
よって、有利には空洞スペース37内に混合雰囲気が形成されて維持され、これが溶融チャンバ16を外部の空気から隔絶し、大気圧P.ATMより低くかつ溶融チャンバ16内の動作圧力P.EAFより低い空洞スペース圧力P.ELTを有することとなり、すなわちP.ELT<P.EAF<P.ATMとなる。このようにして、吸引ダクト41を介した空洞スペース37内のガスの流出が促進される。好適な動作のためには、空洞スペース圧力P.ELTと動作圧力P.EAFとの間の差を少なくとも15mmHOとすることが推奨されることに留意されたい。
【0072】
本発明の一実施形態では、周壁20に側方投入口あるいは装入口43も形成されており、この装入口43を介して、金属チャージMの実質的に連続的な装入自体を行うように金属チャージMを導入することができる。
【0073】
本発明の可能な一実施形態では、製鋼プラント100(図1)は、電気アーク炉10の側方開口あるいは装入口43と協働する投入装置50も備えており、この投入装置50は金属チャージMを実質的に連続して投入するように構成されている。
【0074】
本発明の可能な一実施形態では、投入装置50の少なくとも一部に、炉内で生成された処理ヒュームを吸引可能な不図示の予熱トンネルが関連付けられており、この予熱トンネルは公知の形式のものである。
【0075】
投入装置50(図1,2,5A及び5B)は、図面中に示されていない公知の形式の主投入コンベアを備えている。この主コンベアの最後の区間は補助コンベア(以下「接続コンベア」という)により構成され、この接続コンベアは、軸方向にスライドする筒状部材あるいは送り台(slide)51に関連付けられており、これは当業者に「接続カー」との用語で知られており、この送り台51は、選択的に装入口43に挿入されて溶融チャンバ16内で金属チャージMを放出する端部52を有する。
【0076】
送り台51は摺動軸Xに沿って、端部52が完全に装入口43の外部に位置し、ひいては完全に電気アーク炉10の外部に位置する不図示の後退位置と、端部52が装入口43に挿入されて送り台51の前面53が周壁20から数cmの距離Dに位置する装入位置(図5A及び図5B)と、の間で移動可能であることにより、スラグ除去及び/又はタッピングを行うために電気アーク炉10の傾斜動作を行えるように容器11から離隔することができる。
【0077】
本発明の一側面では、装入口43の封止を形成するため、有利には装入口43に第3のシーリング部材が、有利には封止装置55が関連付けられている。
【0078】
封止装置55は送り台51すなわち投入装置50に接続することができる。とりわけ封止装置55は、送り台51がその装入位置にあるときに作業要求に応じて選択的に装入口43を気密閉止することにより、溶融チャンバ16内への外部空気の不所望又は無制御の侵入を阻止し、投入装置50の荷降ろし平面に対して電気アーク炉10が僅かに傾斜するいわゆるスラグ除去工程及び/又はタッピング工程中並びに溶融工程中の両方において封止を適応的に維持することができるように構成されている。
【0079】
さらに、封止装置55は送り台51を基準として軸方向に摺動軸Xに沿って、すなわち電気アーク炉10の容器11を基準として径方向に可動とすることができる。
【0080】
ここで提示する例では、封止装置55は、使用時に送り台51を包囲するスリーブ56を備えており、スリーブ56の前部分に環型のシーリング部材57が電気アーク炉10の周壁20に対向するように設けられている。
【0081】
封止装置55は複数の可動スライダ59に取り付けられており、これらの可動スライダ59は水平面上において摺動軸Xを挟んでそれぞれ反対側に配置されており、図中に示されていない公知の形式のアクチュエータによって駆動されることにより摺動軸Xに対して平行に摺動する。
【0082】
ここで示す本発明の実施形態では、可動スライダ59は公知のように、それぞれ対応する支持部61によって送り台51の各対応するガイド60に結合されている。不図示の他の実施形態では、可動スライダ59は送り台51から独立している。
【0083】
上記の封止装置55を使用する利点の一つは、送り台51と容器11の溶融チャンバ16とを封止性に隔絶することにより、例えば一次ヒューム取出及び処理プラントによって、予熱トンネルを介して行われる処理ヒュームの吸引処理も最適化できることである。
【0084】
実際、公知のプラントにおいて通常行われているように、金属チャージMが容器11内に導入される前に当該金属チャージMを予熱するため、上記の処理ヒュームは金属チャージMの流れに対して逆方向の流れで投入装置50の予熱トンネル内に吸引される。このヒュームの吸引は、予熱トンネル内の圧力値を溶融チャンバ16内の動作圧力P.EAFより低く維持することにより行われる。好適にはこの値は、ヒュームを吸引するファンのゾーン近傍を最大減圧の位置として、ヒューム吸引ダクトに沿った方向に漸減していく。
【0085】
一方で、溶融チャンバ内の酸素を含有する空気が無くなって浴の酸化が低減すると、他方で、一次ヒュームプラントの吸引力を抑えて炉から当該ヒュームが逃げるのを防止することができる。ただしこれは、一次ヒュームプラントがやるべきことがほぼ処理ヒュームの吸引のみであり、大量の不適切な空気を吸引しなくても良くなることを条件とする。
【0086】
実際、空気の侵入を阻止し又は少なくとも大幅に抑える本発明の電気アーク炉10からのヒュームの吸引によって、内部のヒュームの流量が有意に低減し、1/5~1/7に低減することもあり得る。
【0087】
吸引力を抑えることにより、ヒュームと共に吸引される炭素粉末の量が抑えられ、これにより、浴の脱炭処理と、液体浴から例えばシリコン、クロム、モリブデン、ニッケル、リン等の不所望の元素の除去と、の両方において用いられる酸素の作用の後に酸化された鉄の脱酸素処理を行うために溶融チャンバ16内に過剰量の炭素を注入する必要性も抑えられる。
【0088】
従って、スラグに含まれる酸化鉄の脱酸素処理を行うために炉内に注入される炭素の量を低減することにより、自由炭素と酸素との反応により生じるCOの量が結果として低減する。
【0089】
さらに、溶融チャンバ内への不適切な空気の侵入が無くなることにより、自由炭素と反応してCOを形成し得る酸素の量が結果として抑えられる。
【0090】
特に、連続装入を用いることによりバーナの使用を大幅に抑えることができる。実際、バーナはチャージへの電極の侵入を助けるために主に最初の溶融工程において使用されるが、これは、連続投入されるがボリュームの点で封じ込まれるスクラップを溶融工程によって徐々に同化できることを条件に、バーナが不要になる。
【0091】
これにより、上記のようにCOひいてはCOを生成する炭化水素の必要な燃焼が抑えられる。
【0092】
さらに、メタンバーナは通常、過剰な酸素を使用するので、バーナの使用がより抑えられることにより、溶融チャンバ内に未燃焼で残存する過剰な酸素の供給が低減する。
【0093】
酸化鉄の脱酸素処理のための炭素の供給が低減すると共に、不適切な空気及びバーナに由来する酸素の流量が低減することにより、溶融処理中にさらなるCOの形成が抑えられる。
【0094】
溶融チャンバ内で上記の反応の結果として形成されるCOを取り出せる態様は2つ存在する:
1)好適には、一次ヒュームプラントが連続装入システムの予熱トンネルを介してヒュームを運び、COを燃焼することにより金属チャージの予熱の便宜のために熱エネルギーを放出する態様、
2)製鋼工程の燃料として例えば上記の電気炉のバーナ又はローリングミルの再加熱炉又は発電用のタービン等において追加使用するためにヒュームからCOを抽出及び濾過するための専用のシステムを用いる態様。
実際、電気アーク炉10において生成されたCOを燃料として使用することにより、天然ガス(メタン)その他の燃料の追加購入が回避され、その結果として燃焼により生じる追加のCOの形成が回避される。
【0095】
最初の場合、処理ヒュームと混合されたCOは、投入される金属チャージとは逆方向の流れで運ばれる。ある程度の区間の後、上記のCOの後燃焼を完了するために予熱トンネル内に(好適には、金属チャージを過剰に冷却しない場所で)空気が注入される。電気アーク炉10内への空気の侵入が無くなり又は大幅に抑えられて電気アーク炉10内への酸素の侵入が無くなり又は大幅に抑えられ、また、鉄の脱酸素処理に使用される炭素も無くなり又は大幅に抑えられるので、生成されるCOの総量が従来技術より少なくなり、これにより、COの後燃焼のために必要とされる空気の量が低減し、これにより生じるCOやNO形成のリスクも比例的に低減する。従来技術より煙道流量が少なくなるので、これを850℃以下に冷却することや処理をすることもより容易になる。
【0096】
ヒュームの冷却効果を増大するためには、蒸気を供給可能な不図示のインジェクタを予熱トンネルに配置することができ、このインジェクタはヒュームの希釈と冷却とタスクを兼ね備えたものであり、これによりヒュームの反応性が低くなる。
【0097】
その配置は後燃焼ゾーンの下流であるのが特に有利であり、また、NOの形成の防止を助ける。
【0098】
また本発明の他の一利点は、電気アーク炉10が圧力を複数の異なる圧力範囲に分割することであり、これにより、炉に存在する全ての開口により、ヒューム吸引処理を行うと炉内の圧力が外部環境の圧力と同等になってヒュームの吸引を非常に高い減圧値で行わなければならない従来技術の電気アーク炉とは異なるものとなることである。
【0099】
特に、溶融したヒュームが外部空気と混合するおそれなく予熱目的で適切に使用するために当該溶融したヒュームの吸引の効果を最大限にするためには、以下の関係式を満たす必要がある:
P.ELT<PECS<P.EAF<P.ATM
同式中、P.ELTはセルの空洞スペース/ルーフの電極ゾーン内で作用する圧力であり、P.ECSは金属チャージ投入装置50の送り台51(接続カー)のゾーン内で作用する圧力であり、P.EAFは溶融金属及びスラグのボリュームの上方の雰囲気の圧力であり、P.ATMは周辺圧力である。
【0100】
あくまで一例として、上掲の4つの圧力の最適なレベルは以下の通りである:
-P.ELT:約-35~-25mmHO、
-P.ECS:最低-20mmHO、
-P.EAF:約-10~-1mmHO、
-P.ATM:約1.033×10mmHO。
【0101】
本発明の他の実施形態では、製鋼プラント100は上記の投入装置50に代えて又はこれと共に、他の投入装置を備えることもできる。例えば、直接還元鉄(DRI)又はホットブリケットアイアン(HBI)を使用することができ、HBIの投入は、図1中破線で概略的に示されているように、炉のルーフを介して追加の投入装置70を用いて行うことができる。追加の投入装置70はホッパ71を備え、又はホッパ71から成ることができ、このホッパ71は好適には不活性ガスによって加圧され、ホッパ71には公知の形式の投入ダクト又はパイプ72が設けられており、このパイプ72は、ルーフ15に形成された「第5の孔」としても知られている追加の貫通口73に封止性に挿入することができ、追加の貫通口73は、吸引口33とは実質的に反対側に形成されている。このようにして、投入を上方から行うことができ、DRI又はHBIの投入を溶融チャンバ16の中央ゾーンで行うことができる。さらに、上記の追加の貫通口73は、溶融チャンバ16に向かって自由落下するDRI又はHBIの一部及び/又は破片を吸引パイプ35が吸引しないようにするため、好適には吸引パイプ35からある程度の距離に配置される。
【0102】
有利には、ホッパ71内の圧力は大気圧P.ATMより高く、かかる構成により、DRI又はHBIが溶融チャンバ16に導入されたときに溶融チャンバ16内に存在する燃焼ヒュームが外部に逃げることがなくなる。
【0103】
さらに、電気アーク炉10が追加の投入装置70のみによって投入される場合には、上記の圧力に関する関係式はP.ELT<P.EAF<P.ATMに簡単化される。というのも、空洞スペース圧力P.ELTが溶融チャンバ16の動作圧力P.EAF及び大気圧P.ATMの両方より低くなるからである。
【0104】
上記にて説明した電気アーク炉10については、特許請求の範囲に特定された本発明の分野及び範囲から逸脱することなく、各部分の改良及び/又は追加を行うことが可能であることが明らかである。
【0105】
例えば本発明の他の実施形態では、送り台51の端部53を挿入できる装入口43は、ルーフ15の側面に形成することができる。
【0106】
また、一部の具体例を参照して本発明を説明したが、当業者であれば確実に、特許請求の範囲に記載の特徴を有する電気アーク炉及び/又は製鋼プラントの他の多くの均等形態を達成できるので、かかる均等形態は全て、特許請求の範囲に記載の保護範囲に属することも明らかである。
【0107】
添付の特許請求の範囲において括弧書きの符号の目的は読みやすくすることのみであり、請求項により定まる保護範囲について限定するものとみなすべきものではない。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
【手続補正書】
【提出日】2024-08-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属チャージ(M)を溶融するために使用可能な電気アーク炉(10)であって、
溶融チャンバ(16)を有する容器(11)と、複数の主開口(21,22,43)と、の両方を備えており、
前記複数の主開口(21,22,43)は少なくとも、上部開口(21)と、溶融した前記金属チャージ(M)の表面に形成されたスラグを除去するための側方排出口(22)と、前記金属チャージ(M)を前記溶融チャンバ(16)に投入するための側方投入口(23)と、を含むと共に、前記上部開口(21)に被せられて当該上部開口(21)を選択的に閉止可能なカバー(15)と、を含み、
前記カバー(15)には1つ又は複数の第1の副開口(31)が設けられており、
前記第1の副開口(31)にはそれぞれ、前記金属チャージ(M)を溶融するための電極(32)がクリアランスを形成するように挿入可能であり、
前記電気アーク炉(10)はさらにシーリング手段(26,29,37,55)を備えており、
少なくとも前記金属チャージ(M)を溶融するプロセス中に、外部環境から前記溶融チャンバ(16)内への空気の不所望又は無制御の侵入を阻止し、又は可能な限り抑制するように、前記主開口(21,22,43)のうち少なくとも1つに少なくとも1つの前記シーリング手段(26,29,37,55)が関連付けられている
ことを特徴とする電気アーク炉(10)。
【請求項2】
前記シーリング手段(26,29,55)は好適には、少なくとも2つの前記主開口(21,22,43)、さらに好適には全ての前記主開口(21,22,43)に関連付けられており、
前記シーリング手段は少なくとも、第1のシーリング部材(29)と第2のシーリング部材(26)と第3のシーリング部材(55)とを含む、
請求項1記載の電気アーク炉(10)。
【請求項3】
前記容器(11)は、上部に前記上部開口(21)が形成された少なくとも1つの周壁(20)を備えており、
前記周壁(20)と前記カバー(15)との間に前記第1のシーリング部材(29)が挟まれており、前記カバー(15)の閉止を気密にするように構成されている、
請求項2記載の電気アーク炉(10)。
【請求項4】
前記周壁(20)の上面(27)に前記第1のシーリング部材(29)の少なくとも一部が配置されており、
前記第1のシーリング部材(29)は、少なくとも前記カバー(15)の重量の作用下で気密封止を保証できる1つ又は複数のシーリング要素を含む、
請求項3記載の電気アーク炉(10)。
【請求項5】
前記側方排出口(22)に関連付けられた閉止部材(25)をさらに備えており、
少なくとも前記閉止部材(25)が下降位置にあるときに前記側方排出口(22)を気密隔絶するように、前記閉止部材(25)に前記第2のシーリング部材(26)が関連付けられている、
請求項2記載の電気アーク炉(10)。
【請求項6】
前記カバー(15)は中央部(30)を有し、前記中央部(30)に前記1つ又は複数の第1の副開口(31)が形成されており、
前記1つ又は複数の第1の副開口(31)は前記溶融チャンバ(16)と流体連通しており、
前記中央部(30)に上部パネル(36)が設けられ、当該上部パネル(36)に、前記電極(32)を通すと共に前記外部環境と流体連通するための1つ又は複数の第2の副開口(39)が、鉛直方向において前記1つ又は複数の第1の副開口(31)と整列するように設けられており、
前記シーリング手段は、前記上部パネル(36)と前記中央部(30)との間に形成された少なくとも1つの空洞スペース(37)を含み、
前記空洞スペース(37)は、前記1つ又は複数の第1の副開口(31)及び前記1つ又は複数の第2の副開口(39)の両方と流体連通する、
請求項1から5までのいずれか1項記載の電気アーク炉(10)。
【請求項7】
前記空洞スペース(37)は、前記溶融チャンバ(16)からの処理ヒュームと前記外部環境からの空気との両方を含む混合雰囲気が形成される中間スペースを、前記外部環境と前記溶融チャンバ(16)との間に形成するように設けられており、前記溶融チャンバ(16)からの処理ヒュームと前記外部環境からの空気との両方が前記1つ又は複数の第1の副開口(31)と前記1つ又は複数の第2の副開口(39)とを介して前記空洞スペース(37)に流入可能である、
請求項6記載の電気アーク炉(10)。
【請求項8】
前記空洞スペース(37)には吸引手段(41)が関連付けられて設けられており、
前記吸引手段(41)は前記混合雰囲気の吸引を行うことにより、前記外部環境の大気圧(P.ATM)及び前記溶融チャンバ(16)内の動作圧力(P.EAF)より低い空洞スペース圧力(P.ELT)が前記空洞スペース(37)内に生じるように前記空洞スペース(37)において減圧を形成するように構成されている、
請求項記載の電気アーク炉(10)。
【請求項9】
前記投入口(43)の封止を形成するため、前記投入口(43)に前記第3のシーリング部材(55)が関連付けられている、
請求項2記載の電気アーク炉(10)。
【請求項10】
前記カバー(15)はさらに、追加の貫通口(73)も備えており、
前記追加の貫通口(73)には、上方から直接還元鉄又はホットブリケットアイアンを投入するように構成された投入手段(70)が接続可能であり、
前記投入手段(70)は、好適には封止性に前記追加の貫通口(73)に挿入可能な投入ダクト(72)と、前記投入ダクトに接続されると共に好適には加圧されるホッパ(71)と、の両方を備えている、
請求項1からまでのいずれか1項記載の電気アーク炉(10)。
【請求項11】
前記カバー(15)はさらに吸引口(33)を備えており、
前記吸引口(33)には、前記溶融チャンバ(16)から前記処理ヒュームを吸引するように構成された吸引手段(35)が接続可能であり、
前記吸引口(33)は、前記第1の副開口(31)を挟んで前記追加の貫通口(73)とは実質的に反対側に配置されている、
請求項10記載の電気アーク炉(10)。
【請求項12】
請求項1からまでのいずれか1項記載の金属チャージ(M)を溶融するための電気アーク炉(10)と、
前記金属チャージ(M)を連続投入するための投入装置(50)と、
を備えた製鋼プラント(100)であって、
前記投入装置(50)に対して少なくとも部分的に予熱トンネルが関連付けられており、
前記投入装置(50)は送り台(51)を備えており、
前記送り台(51)には、選択的に前記投入口(43)に少なくとも部分的に挿入可能な端部(52)が設けられており、
前記第3のシーリング部材は封止装置(55)であり、
前記封止装置(55)は前記送り台(51)に接続可能であり、
前記封止装置(55)は、前記端部(52)が前記側方投入口(43)に挿入されたときに前記送り台(51)と前記電気アーク炉(10)との間に存在する可能性のあるスペースを選択的に封止するように構成されており、
前記シーリング手段(26,29,37)及び前記封止装置(55)は、前記外部環境から前記電気アーク炉(10)内への空気の不所望又は無制御の侵入を阻止し、又は可能な限り抑制するように設けられている
ことを特徴とする製鋼プラント(100)。
【請求項13】
前記封止装置(55)は、使用時に前記送り台(51)を包囲するスリーブ(56)を備えており、
前記スリーブ(56)は前記電気アーク炉(10)側に前面(53)を有し、前記前面(53)は前記電気アーク炉(10)に関連付け可能であり、
前記前面(53)には、前記投入口(43)に対応して前記電気アーク炉(10)の周壁(20)と接触する追加のシーリング部材(57)が設けられている、
請求項12記載の製鋼プラント(100)。
【国際調査報告】