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特表2024-546681多重遺伝子特異的PCRを使用する遺伝性変異を検出するための方法
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  • 特表-多重遺伝子特異的PCRを使用する遺伝性変異を検出するための方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】多重遺伝子特異的PCRを使用する遺伝性変異を検出するための方法
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/6869 20180101AFI20241219BHJP
   C12Q 1/6883 20180101ALI20241219BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20241219BHJP
   C12Q 1/686 20180101ALN20241219BHJP
【FI】
C12Q1/6869 Z ZNA
C12Q1/6883 Z
G01N33/53 M
C12Q1/686 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024533983
(86)(22)【出願日】2022-12-06
(85)【翻訳文提出日】2024-07-25
(86)【国際出願番号】 US2022052044
(87)【国際公開番号】W WO2023107512
(87)【国際公開日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】63/286,906
(32)【優先日】2021-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519059753
【氏名又は名称】クエスト ダイアグノスティクス インベストメンツ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ローゼンタール,スン ヒー
【テーマコード(参考)】
4B063
【Fターム(参考)】
4B063QA13
4B063QA17
4B063QA19
4B063QQ03
4B063QQ42
4B063QR08
4B063QR32
4B063QR62
4B063QS24
(57)【要約】
本開示は、多重遺伝子特異的PCRを使用して、遺伝性変異(例えば、アシュケナージ系ユダヤ人キャリア変異、ベータサラセミア変異、又はアルファサラセミア変異)を検出するための方法を提供する。本方法を実践する際に使用するためのキットも提供される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの遺伝性遺伝的変異についてのキャリアであることが疑われる対象における遺伝的障害のための1つ以上のバリアントを検出するための方法であって、
前記対象から得られた生体試料からDNAを抽出することと、
前記生体試料を第1の複数のプライマー対と接触させることによって、第1の複数のアンプリコンを生成することであって、少なくとも1つのアンプリコンが、複数の遺伝子の各々に対応し、前記複数の遺伝子が、HEXA、SMPD1、MCOLN1、GBA、FANCC、IKBKAP、ASPA、BLM、BCKDHB、G6PC、ABCC8、DLD、NEB、PCDH15、CLRN1、TMEM216、及びFKTNを含む、生成することと、
前記生体試料を第2の複数のプライマー対と接触させることによって、第2の複数のアンプリコンを生成することであって、少なくとも1つのアンプリコンが、GBA及びHBBの各々に対応し、前記第2の複数のプライマー対が、配列番号81及び82、並びに配列番号83及び84を含む、生成することと、
前記生体試料を、第3の複数のプライマー対、ホットスタートTaq DNAポリメラーゼ、及びTaqエクステンダーPCR添加剤と接触させることによって、第3の複数のアンプリコンを生成することであって、少なくとも1つのアンプリコンが、HBA1及びHBA2の各々に対応する、生成することと、
ポリメラーゼ連鎖反応を介して、前記第1、第2、及び第3の複数のアンプリコンの末端にバーコード配列を組み込むことと、
高スループット大規模並列シーケンシングを使用して、前記第1、第2、及び第3の複数のアンプリコンのうちの少なくとも1つにおける1つ以上のバリアントを検出することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記第1の複数のプライマー対が、欠失が存在する場合にのみ、標的領域を増幅するように設計された少なくとも1つのギャッププライマー対を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2の複数のプライマー対のGBAプライマーが、GBA遺伝子を特異的に増幅し、任意のGBA疑似遺伝子を増幅しない、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第3の複数のプライマー対が、欠失が存在する場合にのみ、標的領域を増幅するように設計された少なくとも1つのギャッププライマー対を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記HEXA遺伝子の変動が、テイ-サックス病を引き起こし、
前記SMPD1遺伝子の変動が、ニーマンピック病を引き起こし、
前記MCOLN1遺伝子の変動が、IV型ムコリピドーシスを引き起こし、
前記GBA遺伝子の変動が、ゴーシェ病を引き起こし、
前記PANCC遺伝子の変動が、ファンコーニ貧血を引き起こし、
前記IKBKAP遺伝子の変動が、家族性自律神経障害を引き起こし、
前記ASPA遺伝子の変動が、カナバン病を引き起こし、
前記BLM遺伝子の変動が、ブルーム症候群を引き起こし、
前記BCKDHB遺伝子の変動が、メープル血清尿症を引き起こし、
前記G6PC遺伝子の変動が、グリコーゲン貯蔵疾患Iを引き起こし、
前記ABCC8遺伝子の変動が、家族性高インスリン症を引き起こし、
前記DLD遺伝子の変動が、ジヒドロリポアミドデヒドロゲナーゼ欠損症(DLD)又はリポアミドデヒドロゲナーゼ欠損症(E3)を引き起こし、
前記NEB遺伝子の変動が、ネマリンミオパシーを引き起こし、
前記PCDH15遺伝子の変動が、アッシャー症候群、IF型を引き起こし、
前記CLRN1遺伝子の変動が、アッシャー症候群、IIIA型を引き起こし、
前記TMEM216遺伝子の変動が、ジュベール症候群2を引き起こし、
前記FKTN遺伝子の変動が、ウォーカー-ワールブルク症候群を引き起こす、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記HEXA遺伝子の変動が、R178H(B1バリアント)、R247W、R249W、G269S、IVS9+1G>A、1278_TATC、IVS12+1G>C、又は7.6-kb Del、Ex1を含み、
前記SMPD1遺伝子の変動が、L302P、fsP330、R496L(R498L)、又はdeltaR608を含み、
前記MCOLN1遺伝子の変動が、IVS3-2A>G又は6.4kb_delを含み、
前記GBA遺伝子の変動が、IVS2+1G>A、84G>GG、N370S、del_55bp、V394L、D409H、L444P、又はR496Hを含み、
前記PANCC遺伝子の変動が、IVS4+4A>T又は322delGを含み、
前記IKBKAP遺伝子の変動が、R696P又はIVS20+6T>Cを含み、
前記ASPA遺伝子の変動が、IVS2-2A>G、Y231X、E285A、又はA305Eを含み、
前記BLM遺伝子の変動が、2281del6/ins7を含み、
前記BCKDHB遺伝子の変動が、R183P、G278S、又はE372Xを含み、
前記G6PC遺伝子の変動が、R83C又はQ347Xを含み、
前記ABCC8遺伝子の変動が、IVS32-9G>A又はF1387delを含み、
前記DLD遺伝子の変動が、Y35*又はG229Cを含み、
前記NEB遺伝子の変動が、R2478_D2512del35を含み、
前記PCDH15遺伝子の変動が、R245を含み、
前記CLRN1遺伝子の変動が、N48Kを含み、
前記TMEM216遺伝子の変動が、R73Lを含み、
前記FKTN遺伝子の変動が、F390fsを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記HBB遺伝子におけるベータサラセミア遺伝子の変動が、c.*111A>G、c.*110T>C、c.*96T>C、Hb D-Los Angeles(c.364G>C)、Hb O-Arab(c.364G>A)、c.321_322insG、c.316-2A>C、c.316-2A>G、c.316-3C>A、c.316-106C>G、c.316-125A>G、c.316-146T>G、c.316-197C>T、c.315+1G>A、c.287_288insA、c.251delG、c.230delC、c.216_217insA、c.203_204delTG、c.143_144insA、c.146_147insATCT、c.135delC、c.130G>T、c.126_129delCTTT、c.124_127delTTCT、c.118C>T、c.114G>A、c.112delT、c.93-1G>C、c.93-1G>A、c.93-21G>A、c.92+6T>C、c.92+5G>A、c.92+5G>C、c.92+5G>T、c.92+2T>A、c.92+2T>C、c.92+1G>A、c.92+1G>T、Hb Monroe(c.92G>C)、c.92G>A、c.84_85insC、c.79G>T、HB E(c.79G>A)、c.75T>A、c.59A>G、c.52A>T(LYS17*)、c.51delC、c.48G>A、c.47G>A(Trp15)、c.46delT、c.36delT、c.33C>A、c.27_28insG、c.25_26delAA、c.20delA、HB S(c.20A>T)、HB C(c.19G>A)、c.17_18delCT、c.2T>C、c.2T>G、c.1A>G、c.-78A>C、c.-78A>G、c.-79A>G、c.-80T>A、c.-81A>G、c.-136C>G、c.-137C>A、c.-137C>G、c.-137C>T、c.-138C>T、c.-138C>A、c.-140C>T、又はc.-151C>Tを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記HBA1及びHBA2遺伝子におけるアルファサラセミア変動が、バリアント3.7、バリアント4.2、バリアントSEA、バリアントTHAI、バリアント20.5、バリアントMED、若しくはバリアントFIL、又は前記HBA2遺伝子HBA2 c.427T>Cにおける単一ヌクレオチドバリアントから選択される大きな欠失を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の複数のプライマー対が、表4から選択される少なくとも2つのプライマー対に対して、少なくとも85%の同一性を有する少なくとも2つのプライマー対を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の複数のプライマー対が、表4に示される全てのプライマー対を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第2の複数のプライマー対が、配列番号73及び74、配列番号75及び76、配列番号77及び78、配列番号79及び80、配列番号85及び86、配列番号87及び88、又は配列番号89及び90から選択される少なくとも2つのプライマー対に対して、少なくとも85%の同一性を有する少なくとも2つのプライマー対を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記第2の複数のプライマー対が、表5に示される全てのプライマー対を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記第3の複数のプライマー対が、表6から選択される少なくとも2つのプライマー対に対して、少なくとも85%の同一性を有する少なくとも2つのプライマー対を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の複数のプライマー対が、表6に示される全てのプライマー対を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
次世代シーケンシングが、合成によるシーケンシング又はライゲーションによるシーケンシングを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記対象が、アシュケナージ系ユダヤ人の子孫の者であるか、又はベータサラセミア若しくはアルファサラセミアの家族歴を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記生体試料が、全血、血清、血漿、羊水、又は絨毛膜絨毛である、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記障害が、常染色体障害又はX連鎖劣性障害である、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記対象が、テイ-サックス病、ニーマンピック病、IV型ムコリピドーシス、ゴーシェ病、ファンコーニ貧血、家族性自律神経障害、カナバン病、ブルーム症候群、メープル血清尿症、グリコーゲン貯蔵疾患I、家族性高インスリン症、ジヒドロリポアミドデヒドロゲナーゼ欠損症(DLD)、リポアミドデヒドロゲナーゼ欠損症(E3)、ネマリンミオパシー、アッシャー症候群IF型、アッシャー症候群、IIIA型、ジュベール症候群2、ウォーカー-ワールブルク症候群、ベータサラセミア、又はアルファサラセミアから選択される少なくとも1つの疾患についてのキャリアであることが疑われる、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
キットであって、
(i)複数の遺伝子の各々の増幅領域に指向された第1の複数のプライマー対であって、前記複数の遺伝子が、HEXA、SMPD1、MCOLN1、GBA、FANCC、IKBKAP、ASPA、BLM、BCKDHB、G6PC、ABCC8、DLD、NEB、PCDH15、CLRN1、TMEM216、及びFKTNを含む、第1の複数のプライマー対と、
(ii)GBA及びHBB遺伝子の増幅領域に指向された第2の複数のプライマー対であって、配列番号81及び82、並びに配列番号83及び84を含む、第2の複数のプライマー対と、
(iii)HBA1及びHBA2遺伝子の各々におけるアルファサラセミア遺伝子の変動の増幅領域に指向された第3の複数のプライマー対と、
使用説明書と、を含む、キット。
【請求項21】
前記第1の複数のプライマー対が、欠失が存在する場合にのみ、標的領域を増幅するように設計された少なくとも1つのギャッププライマー対を含む、請求項20に記載のキット。
【請求項22】
前記第2の複数のプライマー対のGBAプライマーが、GBA遺伝子を特異的に増幅し、任意のGBA疑似遺伝子を増幅しない、請求項20に記載のキット。
【請求項23】
前記第3の複数のプライマー対が、欠失が存在する場合にのみ、標的領域を増幅するように設計された少なくとも1つのギャッププライマー対を含む、請求項20に記載のキット。
【請求項24】
前記HEXA遺伝子の変動が、テイ-サックス病を引き起こし、
前記SMPD1遺伝子の変動が、ニーマンピック病を引き起こし、
前記MCOLN1遺伝子の変動が、IV型ムコリピドーシスを引き起こし、
前記GBA遺伝子の変動が、ゴーシェ病を引き起こし、
前記PANCC遺伝子の変動が、ファンコーニ貧血を引き起こし、
前記IKBKAP遺伝子の変動が、家族性自律神経障害を引き起こし、
前記ASPA遺伝子の変動が、カナバン病を引き起こし、
前記BLM遺伝子の変動が、ブルーム症候群を引き起こし、
前記BCKDHB遺伝子の変動が、メープル血清尿症を引き起こし、
前記G6PC遺伝子の変動が、グリコーゲン貯蔵疾患Iを引き起こし、
前記ABCC8遺伝子の変動が、家族性高インスリン症を引き起こし、
前記DLD遺伝子の変動が、ジヒドロリポアミドデヒドロゲナーゼ欠損症(DLD)又はリポアミドデヒドロゲナーゼ欠損症(E3)を引き起こし、
前記NEB遺伝子の変動が、ネマリンミオパシーを引き起こし、
前記PCDH15遺伝子の変動が、アッシャー症候群、IF型を引き起こし、
前記CLRN1遺伝子の変動が、アッシャー症候群、IIIA型を引き起こし、
前記TMEM216遺伝子の変動が、ジュベール症候群2を引き起こし、
前記FKTN遺伝子の変動が、ウォーカー-ワールブルク症候群を引き起こす、請求項20に記載のキット。
【請求項25】
前記HEXA遺伝子の変動が、R178H(B1バリアント)、R247W、R249W、G269S、IVS9+1G>A、1278_TATC、IVS12+1G>C、又は7.6-kb Del、Ex1を含み、
前記SMPD1遺伝子の変動が、L302P、fsP330、R496L(R498L)、又はdeltaR608を含み、
前記MCOLN1遺伝子の変動が、IVS3-2A>G又は6.4kb_delを含み、
前記GBA遺伝子の変動が、IVS2+1G>A、84G>GG、N370S、del_55bp、V394L、D409H、L444P、又はR496Hを含み、
前記PANCC遺伝子の変動が、IVS4+4A>T又は322delGを含み、
前記IKBKAP遺伝子の変動が、R696P又はIVS20+6T>Cを含み、
前記ASPA遺伝子の変動が、IVS2-2A>G、Y231X、E285A、又はA305Eを含み、
前記BLM遺伝子の変動が、2281del6/ins7を含み、
前記BCKDHB遺伝子の変動が、R183P、G278S、又はE372Xを含み、
前記G6PC遺伝子の変動が、R83C又はQ347Xを含み、
前記ABCC8遺伝子の変動が、IVS32-9G>A又はF1387delを含み、
前記DLD遺伝子の変動が、Y35*又はG229Cを含み、
前記NEB遺伝子の変動が、R2478_D2512del35を含み、
前記PCDH15遺伝子の変動が、R245を含み、
前記CLRN1遺伝子の変動が、N48Kを含み、
前記TMEM216遺伝子の変動が、R73Lを含み、
前記FKTN遺伝子の変動が、F390fsを含む、請求項20に記載のキット。
【請求項26】
前記HBB遺伝子におけるベータサラセミア遺伝子の変動が、c.*111A>G、c.*110T>C、c.*96T>C、Hb D-Los Angeles(c.364G>C)、Hb O-Arab(c.364G>A)、c.321_322insG、c.316-2A>C、c.316-2A>G、c.316-3C>A、c.316-106C>G、c.316-125A>G、c.316-146T>G、c.316-197C>T、c.315+1G>A、c.287_288insA、c.251delG、c.230delC、c.216_217insA、c.203_204delTG、c.143_144insA、c.146_147insATCT、c.135delC、c.130G>T、c.126_129delCTTT、c.124_127delTTCT、c.118C>T、c.114G>A、c.112delT、c.93-1G>C、c.93-1G>A、c.93-21G>A、c.92+6T>C、c.92+5G>A、c.92+5G>C、c.92+5G>T、c.92+2T>A、c.92+2T>C、c.92+1G>A、c.92+1G>T、Hb Monroe(c.92G>C)、c.92G>A、c.84_85insC、c.79G>T、HB E(c.79G>A)、c.75T>A、c.59A>G、c.52A>T(LYS17*)、c.51delC、c.48G>A、c.47G>A(Trp15)、c.46delT、c.36delT、c.33C>A、c.27_28insG、c.25_26delAA、c.20delA、HB S(c.20A>T)、HB C(c.19G>A)、c.17_18delCT、c.2T>C、c.2T>G、c.1A>G、c.-78A>C、c.-78A>G、c.-79A>G、c.-80T>A、c.-81A>G、c.-136C>G、c.-137C>A、c.-137C>G、c.-137C>T、c.-138C>T、c.-138C>A、c.-140C>T、又はc.-151C>Tを含む、請求項20に記載のキット。
【請求項27】
前記HBA1及びHBA2遺伝子における前記アルファサラセミア変動が、バリアント3.7、バリアント4.2、バリアントSEA、バリアントTHAI、バリアント20.5、バリアントMED、若しくはバリアントFIL、又は前記HBA2遺伝子HBA2 c.427T>Cにおける単一ヌクレオチドバリアントから選択される大きな欠失を含む、請求項20に記載のキット。
【請求項28】
前記第1の複数のプライマー対が、表4から選択される少なくとも2つのプライマー対に対して、少なくとも85%の同一性を有する少なくとも2つのプライマー対を含む、請求項20に記載のキット。
【請求項29】
前記第1の複数のプライマー対が、表4に示される全てのプライマー対を含む、請求項28に記載のキット。
【請求項30】
前記第2の複数のプライマー対が、配列番号73及び74、配列番号75及び76、配列番号77及び78、配列番号79及び80、配列番号85及び86、配列番号87及び88、又は配列番号89及び90から選択される少なくとも2つのプライマー対に対して、少なくとも85%の同一性を有する少なくとも2つのプライマー対を含む、請求項20に記載のキット。
【請求項31】
前記第1の複数のプライマー対が、表5に示される全てのプライマー対を含む、請求項30に記載のキット。
【請求項32】
前記第3の複数のプライマー対が、表6から選択される少なくとも2つのプライマー対に対して、少なくとも85%の同一性を有する少なくとも2つのプライマー対を含む、請求項20に記載のキット。
【請求項33】
前記第1の複数のプライマー対が、表6に示される全てのプライマー対を含む、請求項32に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年12月7日に出願された米国仮出願第63/286906号の米国特許法第119条(e)に基づく利益を主張し、その全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、多重遺伝子特異的PCRを使用して、遺伝性変異(例えば、アシュケナージ系ユダヤ人キャリア変異、ベータサラセミア変異、又はアルファサラセミア変異)を検出するための方法を提供する。本方法を実践する際に使用するためのキットも提供される。
【背景技術】
【0003】
本開示の背景の以下の説明は、単に読者が本開示を理解するのを助けるために提供され、本開示に対する先行技術を説明又は構成することは認められない。
【0004】
サラセミアは、それぞれ染色体16及び染色体11上のα-及びβ-グロビン遺伝子クラスターにおける変異に起因する遺伝性常染色体劣性疾患である。これは、ヘモグロビンのグロビン鎖の非存在又は低減された合成によって特徴付けられ、α-及びβ-サラセミアの2つの主なタイプを含む。サラセミアは、メジャーな先天性欠損の上位5種類のうちの1つであると報告されている。サラセミアメジャーは、社会に多大な負担をかけており、影響を受けた集団の生活の質に深刻な影響を与えている。サラセミアの高い有病率は、中国南部、東南アジア、インド、中東、アフリカ、及び地中海地域で観察されている。
【0005】
主に中央ヨーロッパ及び東ヨーロッパに住んでいたアシュケナージ系ユダヤ人集団は、宗教的及び文化的慣習、並びに血縁関係によってその隣人から切り離された遺伝的隔離を維持していた。アシュケナージ系ユダヤ人集団のこの隔離についての主な証拠は、常染色体劣性疾患の高い有病率、並びに乳がん及び卵巣がん等の一般的な疾患、又は炎症性腸疾患若しくはパーキンソン病に関連するバリアントへのリスクを付与する対立遺伝子の比較的高い頻度を含む、遺伝的特徴の存在である。
【0006】
対象が、単一の生体試料において、遺伝性遺伝的疾患(アシュケナージ系ユダヤ人集団において頻繁に見られる疾患、ベータサラセミア及びアルファサラセミアを含む)についてのキャリアであるかどうかを迅速に検出することができる、より堅牢かつ感度の高い方法が実質的に必要である。
【発明の概要】
【0007】
本開示は、遺伝性遺伝的バリアント(アシュケナージ系ユダヤ人パネル変動、ベータサラセミア変動、及びアルファサラセミア変動等)の同時特定のための方法を提供する。本開示はまた、対象からの生体試料中のアシュケナージ系ユダヤ人パネル変動、ベータサラセミア変動、及びアルファサラセミア変動を特定するための方法を提供する。最後に、本開示は、本明細書に記載される方法を実施するためのキットを提供する。
【0008】
いくつかの実施形態では、本方法は、対象から得られた生体試料からDNAを抽出することと、生体試料を第1の複数のプライマー対と接触させることによって、第1の複数のアンプリコンを生成することであって、少なくとも1つのアンプリコンが、複数の遺伝子の各々に対応し、当該複数の遺伝子が、HEXA、SMPD1、MCOLN1、GBA、FANCC、IKBKAP、ASPA、BLM、BCKDHB、G6PC、ABCC8、DLD、NEB、PCDH15、CLRN1、TMEM216、及びFKTNを含む、生成することと、生体試料を第2の複数のプライマー対と接触させることによって、第2の複数のアンプリコンを生成することであって、少なくとも1つのアンプリコンが、GBA及びHBBの各々に対応し、第2の複数のプライマー対が、配列番号81及び82、並びに配列番号83及び84を含む、生成することと、生体試料を、第3の複数のプライマー対、ホットスタートTaq DNAポリメラーゼ、及びTaqエクステンダーPCR添加剤と接触させることによって、第3の複数のアンプリコンを生成することであって、少なくとも1つのアンプリコンが、HBA1及びHBA2の各々に対応する、生成することと、ポリメラーゼ連鎖反応を介して、第1、第2、及び第3の複数のアンプリコンの末端にバーコード配列を組み込むことと、高スループット大規模並列シーケンシングを使用して、第1、第2、及び第3の複数のアンプリコンのうちの少なくとも1つにおける1つ以上のバリアントを検出することと、を含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、アシュケナージ系ユダヤ人パネル変動は、アシュケナージ系ユダヤ人集団において一般的に観察されるが、アシュケナージ系ユダヤ人集団以外でもまた、低頻度ではあるが生じ得る、遺伝子の変動(例えば、単一ヌクレオチド変動(SNV)、欠失、挿入、又は反転)を含む。いくつかの実施形態では、アシュケナージ系ユダヤ人パネル変動は、テイ-サックス病、ニーマンピック病、IV型ムコリピドーシス、ゴーシェ病、ファンコーニ貧血、家族性自律神経障害、カナバン病、ブルーム症候群、メープル血清尿症、グリコーゲン貯蔵疾患I、家族性高インスリン症、ジヒドロリポアミドデヒドロゲナーゼ欠損症(DLD)、リポアミドデヒドロゲナーゼ欠損症(E3)、ネマリンミオパシー、アッシャー症候群IF型、アッシャー症候群、IIIA型、ジュベール症候群2、又はウォーカー-ワールブルク症候群を引き起こす可能性がある遺伝的変動を含む。いくつかの実施形態では、アシュケナージ系ユダヤ人パネル変動は、表1に列挙される遺伝的変動を含む。いくつかの実施形態では、ベータサラセミア変動は、表2に列挙される遺伝的変動を含む。いくつかの実施形態では、ベータサラセミア変動は、表3に列挙される遺伝的変動を含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、第1の複数のプライマー対は、欠失が存在する場合にのみ、標的領域を増幅するように設計された少なくとも1つのギャッププライマー対を含む。いくつかの実施形態では、第2の複数のプライマー対のGBAプライマーは、GBA遺伝子を特異的に増幅し、任意のGBA疑似遺伝子を増幅しない。いくつかの実施形態では、第3の複数のプライマー対は、欠失が存在する場合にのみ、標的領域を増幅するように設計された少なくとも1つのギャッププライマー対を含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、HEXA遺伝子の変動は、テイ-サックス病を引き起こし、SMPD1遺伝子の変動は、ニーマンピック病を引き起こし、MCOLN1遺伝子の変動は、IV型ムコリピドーシスを引き起こし、GBA遺伝子の変動は、ゴーシェ病を引き起こし、PANCC遺伝子の変動は、ファンコーニ貧血を引き起こし、IKBKAP遺伝子の変動は、家族性自律神経障害を引き起こし、ASPA遺伝子の変動は、カナバン病を引き起こし、BLM遺伝子の変動は、ブルーム症候群を引き起こし、BCKDHB遺伝子の変動は、メープル血清尿症を引き起こし、G6PC遺伝子の変動は、グリコーゲン貯蔵疾患Iを引き起こし、ABCC8遺伝子の変動は、家族性高インスリン症を引き起こし、DLD遺伝子の変動は、ジヒドロリポアミドデヒドロゲナーゼ欠損症(DLD)又はリポアミドデヒドロゲナーゼ欠損症(E3)を引き起こし、NEB遺伝子の変動は、ネマリンミオパシーを引き起こし、PCDH15遺伝子の変動は、アッシャー症候群、IF型を引き起こし、CLRN1遺伝子の変動は、アッシャー症候群、IIIA型を引き起こし、TMEM216遺伝子の変動は、ジュベール症候群2を引き起こし、FKTN遺伝子の変動は、ウォーカー-ワールブルク症候群を引き起こす。
【0012】
いくつかの実施形態では、アシュケナージ系ユダヤ人パネル遺伝子の変動は、表1に列挙される1つ以上の遺伝子の変動を含む。いくつかの実施形態では、HEXA遺伝子の変動は、R178H(B1バリアント)、R247W、R249W、G269S、IVS9+1G>A、1278_TATC、IVS12+1G>C、又は7.6-kb Del、Ex1のうちの1つ以上を含み、SMPD1遺伝子の変動は、L302P、fsP330、R496L(R498L)、又はdeltaR608のうちの1つ以上を含み、MCOLN1遺伝子の変動は、IVS3-2A>G又は6.4kb_delのうちの1つ以上を含み、GBA遺伝子の変動は、IVS2+1G>A、84G>GG、N370S、del_55bp、V394L、D409H、L444P、又はR496Hのうちの1つ以上を含み、PANCC遺伝子の変動は、IVS4+4A>T又は322delGのうちの1つ以上を含み、IKBKAP遺伝子の変動は、R696P又はIVS20+6T>Cのうちの1つ以上を含み、ASPA遺伝子の変動は、IVS2-2A>G、Y231X、E285A、又はA305Eのうちの1つ以上を含み、BLM遺伝子の変動は、2281del6/ins7のうちの1つ以上を含み、BCKDHB遺伝子の変動は、R183P、G278S、又はE372Xのうちの1つ以上を含み、G6PC遺伝子の変動は、R83C又はQ347Xのうちの1つ以上を含み、ABCC8遺伝子の変動は、IVS32-9G>A又はF1387delを含み、DLD遺伝子の変動は、Y35*又はG229Cのうちの1つ以上を含み、NEB遺伝子の変動は、R2478_D2512del35を含み、PCDH15遺伝子の変動は、R245のうちの1つ以上を含み、CLRN1遺伝子の変動は、N48Kを含み、TMEM216遺伝子の変動は、R73Lを含み、FKTN遺伝子の変動は、F390fsを含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、HBB遺伝子におけるベータサラセミア遺伝子の変動は、表2に列挙される1つ以上の遺伝子の変動を含む。いくつかの実施形態では、遺伝子の変動は、c.*111A>G、c.*110T>C、c.*96T>C、Hb D-Los Angeles(c.364G>C)、Hb O-Arab(c.364G>A)、c.321_322insG、c.316-2A>C、c.316-2A>G、c.316-3C>A、c.316-106C>G、c.316-125A>G、c.316-146T>G、c.316-197C>T、c.315+1G>A、c.287_288insA、c.251delG、c.230delC、c.216_217insA、c.203_204delTG、c.143_144insA、c.146_147insATCT、c.135delC、c.130G>T、c.126_129delCTTT、c.124_127delTTCT、c.118C>T、c.114G>A、c.112delT、c.93-1G>C、c.93-1G>A、c.93-21G>A、c.92+6T>C、c.92+5G>A、c.92+5G>C、c.92+5G>T、c.92+2T>A、c.92+2T>C、c.92+1G>A、c.92+1G>T、Hb Monroe(c.92G>C)、c.92G>A、c.84_85insC、c.79G>T、HB E(c.79G>A)、c.75T>A、c.59A>G、c.52A>T(LYS17*)、c.51delC、c.48G>A、c.47G>A(Trp15)、c.46delT、c.36delT、c.33C>A、c.27_28insG、c.25_26delAA、c.20delA、HB S(c.20A>T)、HB C(c.19G>A)、c.17_18delCT、c.2T>C、c.2T>G、c.1A>G、c.-78A>C、c.-78A>G、c.-79A>G、c.-80T>A、c.-81A>G、c.-136C>G、c.-137C>A、c.-137C>G、c.-137C>T、c.-138C>T、c.-138C>A、c.-140C>T、又はc.-151C>Tを含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、HBA1及びHBA2遺伝子におけるアルファサラセミア変動は、表3に列挙される1つ以上の変動を含む。いくつかの実施形態では、HBA1及びHBA2遺伝子におけるアルファサラセミア変動は、バリアント3.7、バリアント4.2、バリアントSEA、バリアントTHAI、バリアント20.5、バリアントMED、若しくはバリアントFIL、又はHBA2遺伝子HBA2 c.427T>Cにおける単一ヌクレオチドバリアントから選択される大きな欠失を含む。
【0015】
いくつかの実施形態では、第1の複数のプライマー対は、表4から選択される少なくとも2個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも8個、若しくは少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも25個、少なくとも30個、少なくとも35個、又は全てのプライマー対に対して、少なくとも85%、少なくとも88%、少なくとも90%、少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも99%、又はそれ以上の同一性を有する少なくとも2個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも8個、又は少なくとも10個のプライマー対を含む。いくつかの実施形態では、第1の複数のプライマー対は、表4に示される全てのプライマー対を含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、第2の複数のプライマー対は、表5から選択される少なくとも2個、少なくとも4個、又は少なくとも5個のプライマー対に対して、少なくとも85%、少なくとも88%、少なくとも90%、少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも99%、又はそれ以上の同一性を有する少なくとも2個、少なくとも4個、又は少なくとも5個のプライマー対を含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、第3の複数のプライマー対は、表6から選択される少なくとも2個、少なくとも3個、又は少なくとも4個のプライマー対に対して、少なくとも85%の同一性を有する少なくとも2個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも8個、又は少なくとも10個のプライマー対を含む。いくつかの実施形態では、第1の複数のプライマー対は、表6に示される全てのプライマー対を含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、次世代シーケンシングは、合成によるシーケンシング(例えば、パイロシーケンシング)を含む。いくつかの実施形態では、次世代シーケンシングは、ライゲーションによるシーケンシングを含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、対象は、テイ-サックス病、ニーマンピック病、IV型ムコリピドーシス、ゴーシェ病、ファンコーニ貧血、家族性自律神経障害、カナバン病、ブルーム症候群、メープル血清尿症、グリコーゲン貯蔵疾患I、家族性高インスリン症、ジヒドロリポアミドデヒドロゲナーゼ欠損症(DLD)、リポアミドデヒドロゲナーゼ欠損症(E3)、ネマリンミオパシー、アッシャー症候群IF型、アッシャー症候群、IIIA型、ジュベール症候群2、ウォーカー-ワールブルク症候群、ベータサラセミア、又はアルファサラセミアから選択される少なくとも1つの疾患についてのキャリアであることが疑われる。
【0020】
いくつかの実施形態では、対象は、アシュケナージ系ユダヤ人の子孫の者であるか、又はベータサラセミア若しくはアルファサラセミアの家族歴を有する。
【0021】
いくつかの実施形態では、生体試料は、全血、血清、血漿、羊水、又は絨毛膜絨毛から選択される。
【0022】
いくつかの実施形態では、遺伝的障害は、常染色体障害又はX連鎖劣性障害である。
【0023】
別の態様では、本開示は、本明細書に記載の増幅を実施するためのプライマー又はプローブであり得るオリゴヌクレオチドを含むキットを提供する。
【0024】
本開示はまた、対象からの生体試料中のアシュケナージ系ユダヤ人パネル変動、ベータサラセミア変動、又はアルファサラセミア変動の存在を検出するためのキットを提供する。
【0025】
本技術のキットは、少なくとも、(i)複数の遺伝子の各々の増幅領域に指向された第1の複数のプライマー対であって、当該複数の遺伝子が、HEXA、SMPD1、MCOLN1、GBA、FANCC、IKBKAP、ASPA、BLM、BCKDHB、G6PC、ABCC8、DLD、NEB、PCDH15、CLRN1、TMEM216、及びFKTNを含む、第1の複数のプライマー対と、(ii)GBA及びHBB遺伝子の増幅領域に指向された第2の複数のプライマー対であって、配列番号81及び82、並びに配列番号83及び84を含む、第2の複数のプライマー対と、(iii)HBA1及びHBA2遺伝子の各々におけるアルファサラセミア遺伝子の変動の増幅領域に指向された第3の複数のプライマー対と、使用説明書と、を含む。
【0026】
いくつかの実施形態では、第1の複数のプライマー対は、欠失が存在する場合にのみ、標的領域を増幅するように設計された少なくとも1つのギャッププライマー対を含む。
【0027】
いくつかの実施形態では、第2の複数のプライマー対のGBAプライマーは、GBA遺伝子を特異的に増幅し、任意のGBA疑似遺伝子を増幅しない。
【0028】
いくつかの実施形態では、第3の複数のプライマー対は、欠失が存在する場合にのみ、標的領域を増幅するように設計された少なくとも1つのギャッププライマー対を含む。
【0029】
いくつかの実施形態では、HEXA遺伝子の変動は、テイ-サックス病を引き起こし、SMPD1遺伝子の変動は、ニーマンピック病を引き起こし、MCOLN1遺伝子の変動は、IV型ムコリピドーシスを引き起こし、GBA遺伝子の変動は、ゴーシェ病を引き起こし、PANCC遺伝子の変動は、ファンコーニ貧血を引き起こし、IKBKAP遺伝子の変動は、家族性自律神経障害を引き起こし、ASPA遺伝子の変動は、カナバン病を引き起こし、BLM遺伝子の変動は、ブルーム症候群を引き起こし、BCKDHB遺伝子の変動は、メープル血清尿症を引き起こし、G6PC遺伝子の変動は、グリコーゲン貯蔵疾患Iを引き起こし、ABCC8遺伝子の変動は、家族性高インスリン症を引き起こし、DLD遺伝子の変動は、ジヒドロリポアミドデヒドロゲナーゼ欠損症(DLD)又はリポアミドデヒドロゲナーゼ欠損症(E3)を引き起こし、NEB遺伝子の変動は、ネマリンミオパシーを引き起こし、PCDH15遺伝子の変動は、アッシャー症候群、IF型を引き起こし、CLRN1遺伝子の変動は、アッシャー症候群、IIIA型を引き起こし、TMEM216遺伝子の変動は、ジュベール症候群2を引き起こし、FKTN遺伝子の変動は、ウォーカー-ワールブルク症候群を引き起こす。
【0030】
いくつかの実施形態では、アシュケナージ系ユダヤ人パネル遺伝子の変動は、表1に列挙される1つ以上の遺伝子の変動を含む。いくつかの実施形態では、HEXA遺伝子の変動は、R178H(B1バリアント)、R247W、R249W、G269S、IVS9+1G>A、1278_TATC、IVS12+1G>C、又は7.6-kb Del、Ex1のうちの1つ以上を含み、SMPD1遺伝子の変動は、L302P、fsP330、R496L(R498L)、又はdeltaR608のうちの1つ以上を含み、MCOLN1遺伝子の変動は、IVS3-2A>G又は6.4kb_delのうちの1つ以上を含み、GBA遺伝子の変動は、IVS2+1G>A、84G>GG、N370S、del_55bp、V394L、D409H、L444P、又はR496Hのうちの1つ以上を含み、PANCC遺伝子の変動は、IVS4+4A>T又は322delGのうちの1つ以上を含み、IKBKAP遺伝子の変動は、R696P又はIVS20+6T>Cのうちの1つ以上を含み、ASPA遺伝子の変動は、IVS2-2A>G、Y231X、E285A、又はA305Eのうちの1つ以上を含み、BLM遺伝子の変動は、2281del6/ins7のうちの1つ以上を含み、BCKDHB遺伝子の変動は、R183P、G278S、又はE372Xのうちの1つ以上を含み、G6PC遺伝子の変動は、R83C又はQ347Xのうちの1つ以上を含み、ABCC8遺伝子の変動は、IVS32-9G>A又はF1387delを含み、DLD遺伝子の変動は、Y35*又はG229Cのうちの1つ以上を含み、NEB遺伝子の変動は、R2478_D2512del35を含み、PCDH15遺伝子の変動は、R245のうちの1つ以上を含み、CLRN1遺伝子の変動は、N48Kを含み、TMEM216遺伝子の変動は、R73Lを含み、FKTN遺伝子の変動は、F390fsを含む。
【0031】
いくつかの実施形態では、HBB遺伝子におけるベータサラセミア遺伝子の変動は、表2に列挙される1つ以上の遺伝子の変動を含む。いくつかの実施形態では、遺伝子の変動は、c.*111A>G、c.*110T>C、c.*96T>C、Hb D-Los Angeles(c.364G>C)、Hb O-Arab(c.364G>A)、c.321_322insG、c.316-2A>C、c.316-2A>G、c.316-3C>A、c.316-106C>G、c.316-125A>G、c.316-146T>G、c.316-197C>T、c.315+1G>A、c.287_288insA、c.251delG、c.230delC、c.216_217insA、c.203_204delTG、c.143_144insA、c.146_147insATCT、c.135delC、c.130G>T、c.126_129delCTTT、c.124_127delTTCT、c.118C>T、c.114G>A、c.112delT、c.93-1G>C、c.93-1G>A、c.93-21G>A、c.92+6T>C、c.92+5G>A、c.92+5G>C、c.92+5G>T、c.92+2T>A、c.92+2T>C、c.92+1G>A、c.92+1G>T、Hb Monroe(c.92G>C)、c.92G>A、c.84_85insC、c.79G>T、HB E(c.79G>A)、c.75T>A、c.59A>G、c.52A>T(LYS17*)、c.51delC、c.48G>A、c.47G>A(Trp15)、c.46delT、c.36delT、c.33C>A、c.27_28insG、c.25_26delAA、c.20delA、HB S(c.20A>T)、HB C(c.19G>A)、c.17_18delCT、c.2T>C、c.2T>G、c.1A>G、c.-78A>C、c.-78A>G、c.-79A>G、c.-80T>A、c.-81A>G、c.-136C>G、c.-137C>A、c.-137C>G、c.-137C>T、c.-138C>T、c.-138C>A、c.-140C>T、又はc.-151C>Tを含む。
【0032】
いくつかの実施形態では、HBA1及びHBA2遺伝子におけるアルファサラセミア変動は、表3に列挙される1つ以上の遺伝子の変動を含む。いくつかの実施形態では、HBA1及びHBA2遺伝子におけるアルファサラセミア変動は、バリアント3.7、バリアント4.2、バリアントSEA、バリアントTHAI、バリアント20.5、バリアントMED、若しくはバリアントFIL、又はHBA2遺伝子HBA2 c.427T>Cにおける単一ヌクレオチドバリアントから選択される大きな欠失を含む。
【0033】
いくつかの実施形態では、第1の複数のプライマー対は、表4から選択される少なくとも2個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも8個、少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも25個、少なくとも30個、少なくとも35個、又は全てのプライマー対に対して、少なくとも85%、少なくとも88%、少なくとも90%、少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも99%、又はそれ以上の同一性を有する少なくとも2個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも8個、又は少なくとも10個のプライマー対を含む。いくつかの実施形態では、第1の複数のプライマー対は、表4に示される全てのプライマー対を含む。
【0034】
いくつかの実施形態では、第2の複数のプライマー対は、表5から選択される少なくとも2個、少なくとも4個、又は少なくとも5個のプライマー対に対して、少なくとも85%、少なくとも88%、少なくとも90%、少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも99%、又はそれ以上の同一性を有する少なくとも2個、少なくとも4個、又は少なくとも5個のプライマー対を含む。いくつかの実施形態では、第1の複数のプライマー対は、表5に示される全てのプライマー対を含む。
【0035】
いくつかの実施形態では、第3の複数のプライマー対は、表6から選択される少なくとも2個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも8個、又は少なくとも10個のプライマー対に対して、少なくとも85%の同一性を有する少なくとも2個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも8個、又は少なくとも10個のプライマー対を含む。いくつかの実施形態では、第1の複数のプライマー対は、表6に示される全てのプライマー対を含む。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】シーケンシングライブラリ調製ワークフローを示す。
図2】シーケンスデータ分析ワークフローを示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本開示は、複数の常染色体障害及びX連鎖劣性障害についてのバリアントのホットスポット分子検出を同時に提供し、祖先又は地理的起源にかかわらず個体の試験を可能にする方法(「拡張キャリアスクリーニング」)を提供する。本キャリアスクリーニングは、情報に基づいた繁殖の意思決定を容易にするために、影響を受けた子供を持つリスクが高いカップルを容易にかつ素早く特定する。
【0038】
本明細書に開示されるキャリアスクリーニングパネルは、以下を含む19個の疾患に関連する20個の遺伝子を含む。アルファサラセミア、ベータサラセミア(鎌状赤血球貧血を含む)、ブルーム症候群、カナバン病、ジヒドロリポアミドデヒドロゲナーゼ欠損症、家族性自律神経障害、家族性高インスリン症、ファンコーニ貧血C型、ゴーシェ病、グリコーゲン貯蔵疾患IA型、ジュベール症候群2、メープルシロップ尿疾患、ムコリピドーシスIV、ネマリンミオパシー、ニーマン-ピック病A型、テイ-サックス病、アッシャー症候群IF型、アッシャー症候群III型、及びウォーカー-ワールブルク症候群。
【0039】
本キャリアスクリーニングパネルは、19個の障害の前述のキャリアスクリーニングパネル(20個の遺伝子)に加えて、3個の追加の疾患、嚢胞性線維症(CFTR)、脆弱X症候群(FMR1)、及び脊髄性筋萎縮症(SMN1及びSMN2)を含むことによって、24個の遺伝子を含む。
【0040】
開示されるキャリアスクリーニングは、複数の常染色体障害及びX連鎖劣性障害についてのバリアントのホットスポット分子検出を同時に提供し、祖先又は地理的起源にかかわらず個体の試験を可能にする。キャリアスクリーニングは、情報に基づいた繁殖の意思決定を容易にするために、影響を受けた子供を持つリスクが高いカップルを特定することを目的としている。
【0041】
定義
別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本技術が属する当業者に一般に理解される意味と同じ意味を有する。
【0042】
本明細書で使用される場合、別途明記されない限り、単数形の「a」、「an」、及び「the」は、複数の言及を含む。したがって、例えば、「オリゴヌクレオチド」への言及は、複数のオリゴヌクレオチド分子を含み、「核酸」への言及は、1つ以上の核酸への言及である。特許請求の範囲は、あらゆる任意選択的な要素を除外するように起草され得ることに更に留意されたい。したがって、この記述は、特許請求の範囲の要素の記載に関連する「単に」、「のみ」等の排他的な用語の使用、又は「否定的」な限定の使用の先行詞としての役割を果たすことが意図される。
【0043】
本明細書で使用される場合、数値に関して「約」という用語は、別途明記されない限り、又は別途文脈から明らかでない限り、数値のいずれかの方向(それより大きいか又はそれ未満)で1%~10%の範囲内に入る数値を含むと一般的に解釈される。
【0044】
「アダプタ」という用語は、別の分子への付着を容易にするために、核酸配列の末端にライゲーションするために使用することができる、短い、化学的に合成された核酸配列を指す。アダプタは、一本鎖又は二本鎖であり得る。アダプタは、PCR増幅又はシーケンシングに有用な短い(典型的には50個の塩基対未満)配列を組み込むことができる。
【0045】
本明細書で使用される場合、核酸配列に対して「増幅する」又は「増幅」という用語は、試料中の核酸配列の集団の提示を増加させる方法を指す。増幅反応においてインビトロで生成された特定の標的核酸配列のコピーは、「アンプリコン」又は「増幅産物」と呼ばれる。増幅は、指数関数的又は線形であり得る。標的核酸は、DNA(例えば、ゲノムDNA及びcDNA等)又はRNAであり得る。以下に記載される例示的な方法は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を使用する増幅に関するが、例えば、等温法、ローリングサークル法等の多数の他の方法が、当業者に周知である。当業者であれば、これらの他の方法が、PCR方法の代わりに使用され得るか、又はPCR方法と一緒に使用され得るかのいずれかであることを理解するであろう。例えば、Saiki,“Amplification of Genomic DNA”in PCR Protocols,Innis et al.,Eds.,Academic Press,San Diego,CA 1990,pp 13-20、Wharam,et al.,Nucleic Acids Res.29(11):E54-E54(2001)を参照されたい。
【0046】
本明細書で使用される「増幅混合物」は、核酸増幅反応で使用される試薬の混合物であるが、プライマー又は試料を含有しない。増幅混合物は、緩衝液、dNTP、及びDNAポリメラーゼを含む。増幅混合物は、MgCl、KCl、非イオン性及びイオン性洗剤(カチオン性洗剤を含む)のうちの少なくとも1つを更に含み得る。
【0047】
「増幅マスターミックス」は、増幅混合物及び1つ以上の標的核酸を増幅するためのプライマーを含むが、増幅される試料を含有しない。
【0048】
本明細書で使用される場合、「選択的に増幅する」という語句は、選択された配列のみが増幅される増幅反応(例えば、PCR反応)を指す。「遺伝子特異的増幅」という語句は、選択された遺伝子又は遺伝子の一部のみ(例えば、既知の/事前に選択されたバリアントが生じる場合)が増幅される増幅反応(例えば、PCR反応)を指す。
【0049】
ポリヌクレオチド(すなわち、オリゴヌクレオチド又は標的核酸等のヌクレオチドの配列)に関して本明細書で使用される「相補体」、「相補的」、又は「相補性」という用語は、ワトソン/クリック塩基対合ルールを指す。本明細書で使用される核酸配列の相補体は、一方の配列の5’末端が他方の3’末端と対合するように核酸配列とアラインメントした場合に、「逆平行会合」にあるオリゴヌクレオチドを指す。例えば、配列「5’-A-G-T-3’」は、配列「3’-T-C-A-5’」に相補的である。天然に存在する核酸中に一般的に見出されないある特定の塩基は、本明細書に記載される核酸中に含まれ得る。これらには、例えば、イノシン、7-デアザグアニン、ロックド核酸(LNA)、及びペプチド核酸(PNA)が含まれる。相補性は完璧である必要はなく、安定した二重鎖は、ミスマッチ塩基対、変性、又はマッチしない塩基を含有し得る。核酸技術の当業者であれば、例えば、オリゴヌクレオチドの長さ、塩基組成物及びオリゴヌクレオチドの配列、イオン強度、並びにミスマッチ塩基対の発生率を含むいくつかの変数を考慮して、経験的に二重鎖安定性を決定することができる。相補体配列は、DNA配列又はその相補体配列に相補的なRNA配列でもあり得、cDNAでもあり得る。
【0050】
本明細書で使用される「実質的に相補的な」という用語は、2つの配列がストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイゼーションすることを意味する。当業者は、実質的に相補的な配列がそれらの全長に沿ってハイブリダイゼーションする必要はないことを理解するであろう。特に、実質的に相補的な配列は、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で標的配列にハイブリダイゼーションする塩基の連続配列に3’又は5’で配置された、標的配列にハイブリダイゼーションしない塩基の連続配列を含み得る。
【0051】
本明細書で使用される場合、「検出する」という用語は、試料中の標的核酸の存在を決定することを指す。検出は、100%の感度及び/又は100%の特異性を提供する方法を必要としない。
【0052】
本明細書で使用される場合、「直接増幅」という用語は、標的核酸が事前の精製、抽出、又は濃縮なしで試料から増幅される核酸増幅反応を指す。
【0053】
「シーケンシング」という用語は、本明細書で使用される場合、ポリヌクレオチドの少なくとも10個の連続したヌクレオチドのアイデンティティ(例えば、少なくとも20個、少なくとも50個、少なくとも100個、若しくは少なくとも200個、又はそれ以上の連続したヌクレオチドのアイデンティティ)が得られる方法を指す。
【0054】
「次世代シーケンシング」という用語は、Illumina、Life Technologies、及びRoche等(例えば、Illuminaの可逆的ターミネーター法、Rocheのパイロシーケンシング法(454)、Life Technologiesのライゲーションによるシーケンシング(SOLiDプラットフォーム)、又はPacific Biosciencesの蛍光ベースの切断法)によって現在用いられている、いわゆる、並列化された合成によるシーケンシング又はライゲンシングによるシーケンシングプラットフォームを指す。次世代シーケンシング法はまた、ナノポアシーケンシング法、又はLife Technologiesによって商業化されたIon Torrent技術等の電子検出ベースの方法を含み得る。そのような方法の例は、以下の参考文献:Margulies et al(Nature 2005 437:376-80)、Ronaghi et al(Analytical Biochemistry 1996 242:84-9)、Shendure(Science 2005 309:1728)、Imelfort et al(Brief Bioinform.2009 10:609-18)、Fox et al(Methods Mol Biol.2009;553:79-108)、Appleby et al(Methods Mol Biol.2009;513:19-39)English(PLoS One.2012 7:e47768)、及びMorozova(Genomics.2008 92:255-64)に記載されており、これらは、ステップの各々についての全ての出発産物、試薬、及び最終産物を含む、方法の一般的な説明及び方法の特定のステップのために参照により組み込まれる。次世代シーケンシングは、少なくとも10,000、少なくとも50,000、少なくとも100,000、少なくとも500,000、少なくとも1M 少なくとも10M 少なくとも100M、又は少なくとも1Bの配列リードをもたらし得る。多くの場合、リードは、対合末端リードである。
【0055】
いくつかの実施形態では、本開示の次世代シーケンシングは、以下の次世代シーケンシングシステムを含む。
【0056】
Ion Torrent(商標)(Life Technologies、Carlsbad,CA)アンプリコンシーケンシングシステムは、DNA複製における未修飾ヌクレオチドの組み込み中に水素イオンの放出によって引き起こされるpH変化を検出するフローベースのアプローチを採用する。このシステムとともに使用するために、シーケンシングライブラリは、最初に、シーケンシングアダプタに隣接するDNA断片を生成することによって産生される。いくつかの実施形態では、これらの断片は、エマルションPCRによって粒子上でクローン的に増幅することができる。次いで、増幅したテンプレートを有する粒子は、シリコン半導体シーケンシングチップ中に入れられる。複製中、チップに次々と1つのヌクレオチドが注がれ、チップの特定のマイクロウェル中でヌクレオチドがDNA分子を補完すると、それが組み込まれることになる。ポリメラーゼによってヌクレオチドがDNA分子中に組み込まれる場合に、プロトンが自然に放出され、結果としてpHの検出可能な局所的変化が生じる。次いで、溶液のpHが、そのウェル中で変化し、イオンセンサによって検出される。テンプレート配列中にホモポリマーの反復が存在する場合、単一のサイクルで複数のヌクレオチドが組み込まれることになる。これが、対応する数の放出された水素及び比例的により高い電子シグナルにつながる。
【0057】
454TM GS FLX(商標)シーケンシングシステム(Roche、Germany)は、大規模な並列パイロシーケンシングシステムで光ベースの検出方法論を採用する。
【0058】
パイロシーケンシングは、DNA重合を使用し、一度に1つのヌクレオチド種を添加し、付着したピロリン酸の放出によって放出された光を通して所与の位置に付加されたヌクレオチドの数を検出及び定量する。454(商標)システムとともに使用するために、アダプタがライゲーションしたDNA断片を、油中水エマルション中の小さなDNA捕捉ビーズに固定し、PCR(エマルションPCR)によって増幅する。各々のDNAが結合したビーズをピコタイタープレート上のウェルに入れ、シーケンシング試薬をプレートのウェルにわたり送達する。シーケンシング実行中に、4つのDNAヌクレオチドを、ピコタイタープレートデバイスにわたり固定した順序で逐次的に添加する。ヌクレオチドのフロー中、ビーズの各々に結合したDNAの数百万のコピーが並行してシーケンシングされる。テンプレート鎖に相補的なヌクレオチドがウェルに添加されると、ヌクレオチドは既存のDNA鎖上に組み込まれ、光シグナルを生成し、これが機器中のCCDカメラによって記録される。
【0059】
可逆的染料ターミネーターに基づくシーケンシング技術:DNA分子を最初にスライド上のプライマーに付着させ、局所クローンコロニーが形成されるように増幅する。4つのタイプの可逆的ターミネーター塩基(RT塩基)を添加し、組み込まれなかったヌクレオチドを洗い流す。パイロシーケンシングとは異なり、DNAは、一度に1つのヌクレオチドのみ伸長することができる。カメラは、蛍光標識ヌクレオチドの画像を撮り、次いで、末端3’ブロッカーとともに染料がDNAから化学的に除去されて、次のサイクルが可能になる。
【0060】
Helicosの単一分子シーケンシングは、フローセル表面に付着している、ポリAテールアダプタを添加したDNA断片を使用する。各サイクルで、DNAポリメラーゼ及び単一種の蛍光標識ヌクレオチドを添加し、表面に固定化されたプライマー-テンプレート二重鎖のテンプレート依存性の伸長をもたらす。リードは、Helioscopeシーケンサによって実施される。完全なアレイをタイリングする画像の取得後、蛍光標識の化学的切断及び放出により、その後の伸長及び画像化のサイクルが可能になる。
【0061】
合成によるシーケンシング(SBS)は、「オールドスタイルの」染料ターミネーション電気泳動シーケンシングのように、塩基配列を決定するためにDNAポリメラーゼによるヌクレオチドの組み込みに依存する。固定されたアダプタを有するDNAライブラリを一本鎖に変性させ、フローセルにグラフト化し、続いてブリッジ増幅して、ガラスチップ上にスポットの高密度アレイを形成する。可逆的ターミネーター法は、染料ターミネーターの可逆的バージョンを使用し、一度に1つのヌクレオチドを添加し、ブロッキング基の繰り返し除去によって各位置で蛍光を検出して、別のヌクレオチドの重合を可能にする。ヌクレオチド組み込みのシグナルは、全てが使用されている、蛍光標識ヌクレオチド、リン酸により駆動する光反応、及び水素イオン感知とともに変動し得る。SBSプラットフォームの例には、Illumina GA及びHiSeq 2000が含まれる。MiSeq(登録商標)パーソナルシーケンシングシステム(Illumina,Inc.)もまた、可逆的ターミネーター化学を用いる合成によるシーケンシングを採用する。
【0062】
合成法によるシーケンシングとは対照的に、ライゲーション法によるシーケンシングは、DNAリガーゼを使用して標的配列を決定する。このシーケンシング法は、テンプレートDNA鎖上の局所相補性を介する隣接するオリゴヌクレオチドの酵素ライゲーションに依存する。この技術は、シーケンシングした位置に従って標識された、固定長の全ての可能なオリゴヌクレオチドのパーティションを採用する。オリゴヌクレオチドをアニーリングしてライゲーションし、配列をマッチさせるためのDNAリガーゼによる優先的なライゲーションは、その位置で、ジヌクレオチドによってコードされた色空間シグナルをもたらす(オリゴに沿った既知の位置における既知のヌクレオチドに対応する蛍光標識プローブの放出を通じて)。この方法は、主としてLife TechnologiesのSOLiD(商標)シーケンサによって使用される。シーケンシングの前に、DNAをエマルションPCRによって増幅する。得られたビーズは、各々同じDNA分子のコピーのみを含有し、固体平面基材上に堆積される。
【0063】
SMRT(商標)シーケンシングは、合成によるシーケンシングアプローチに基づく。DNAは、ゼロモード導波路(ZMW)で合成され、ZMWは、ウェルの底部に配置された捕捉ツールを備える、小さいウェル様のコンテナである。シーケンシングは、未修飾ポリメラーゼ(ZMW底部に付着した)、及び溶液中を自由に流動する蛍光標識ヌクレオチドの使用により実施される。ウェルは、ウェルの底部で発生する蛍光のみが検出されるように構築される。蛍光標識は、DNA鎖へのその組み込み時にヌクレオチドから取り外されて、未修飾DNA鎖が残る。
【0064】
本明細書で使用される「バーコード配列」又は「分子バーコード」という用語は、(a)反応におけるポリヌクレオチドの供給源を特定及び/若しくは追跡するために、並びに/又は(b)初期の分子がシーケンシングされる回数を計数するために(例えば、試料中の実質的に全ての分子が異なる配列でタグ付けされ、次いで試料が増幅される場合)使用されるヌクレオチドの独自の配列を指す。バーコード配列は、オリゴヌクレオチドの5’末端、3’末端、若しくは中央、又は5’末端及び3’末端の両方にあり得る。バーコード配列は、サイズ及び組成物が広範にわたって変動し得る。以下の参考文献は、特定の実施形態に適切なバーコード配列のセットを選択するためのガイダンスを提供する。Brenner、米国特許第5,635,400号、Brenner et al,Proc.Natl.Acad.Sci.,97:1665-1670(2000)、Shoemaker et al,Nature Genetics,14:450-456(1996)、Morris et al、欧州特許公開第0799897A1号、Wallace、米国特許第5,981,179号等。いくつかの実施形態では、バーコード配列は、4~36ヌクレオチド、又は6~30ヌクレオチド、又は8~20ヌクレオチドの範囲の長さを有し得る。
【0065】
本明細書で使用される場合、「抽出」という用語は、試料中に存在する他の(非核酸)材料から核酸を除去するために取られる任意のアクションを指す。抽出という用語は、機械的若しくは化学的溶解、洗剤若しくはプロテアーゼの添加、又はタンパク質等の非核酸の沈殿及び除去を含む。
【0066】
本明細書で使用される「ハイブリダイゼーションする」という用語は、2つの実質的に相補的な核酸鎖(少なくとも14~25ヌクレオチドの伸長にわたって少なくとも約65%相補的、少なくとも約75%、又は少なくとも約90%相補的)を、適切にストリンジェントな条件下で互いにアニーリングし、相補的な塩基対間の水素結合の形成を通じて二重鎖又はヘテロ二重鎖を形成するプロセスを指す。ハイブリダイゼーションは、典型的かつ好ましくは、プローブ長の核酸分子、好ましくは15~100ヌクレオチド長、より好ましくは18~50ヌクレオチド長で実行される。核酸ハイブリダイゼーション技術は、当該技術分野で周知である。例えば、Sambrook,et al.,1989,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Second Edition,Cold Spring Harbor Press,Plainview,N.Yを参照されたい。ハイブリダイゼーション及びハイブリダイゼーションの強度(すなわち、核酸間の会合の強度)は、核酸間の相補性の程度、関与する条件のストリンジェンシー、及び形成されたハイブリッドの熱融点(T)等の要因に影響される。当業者は、少なくとも所望のレベルの相補性を有する配列が安定してハイブリダイゼーションするであろう一方で、より低い相補性を有する配列がハイブリダイゼーションしないであろうように、ハイブリダイゼーション条件のストリンジェンシーを推定及び調整する方法を理解している。ハイブリダイゼーション条件及びパラメータの例については、例えば、Sambrook,et al.,1989,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Second Edition,Cold Spring Harbor Press,Plainview,N.Y.、Ausubel,F.M.et al.1994,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley&Sons,Secaucus,N.Jを参照されたい。いくつかの実施形態では、特異的ハイブリダイゼーションは、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で生じる。標的核酸に特異的であるオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチド(例えば、プローブ又はプライマー)は、好適な条件下で標的核酸に「ハイブリダイゼーションする」であろう。
【0067】
核酸増幅反応の文脈における「ホットスタート」は、温度がプライマー又はプライマーの必要なハイブリダイゼーション特異性を提供するのに十分に上昇するまで、少なくとも1つの重要な試薬が反応混合物から留保される(又は、反応混合物中に存在する場合、試薬は不活性のままである)プロトコルを指す。「ホットスタート酵素」は、ホットスタートプロトコルで「留保」又は不活性試薬として作用することができる酵素、典型的には核酸ポリメラーゼである。例えば、いくつかのホットスタート酵素は、酵素を化学的に修飾することによって得ることができる。ホットスタート酵素の例には、AZ05-Goldポリメラーゼ、KAPA HiFi、及びAmpliTaq Gold(登録商標)が含まれる。
【0068】
本明細書で使用される場合、「Taqエクステンダー」は、ミスマッチの一時停止を低減させることによって、PCRの各サイクル中のTaq DNAポリメラーゼ伸長反応の効率を増加させ、より大きなパーセンテージの完了した伸長反応をもたらすPCR添加剤である。いくつかの実施形態では、Taqエクステンダーは、Agilent又はStrategeneからのTaq Extender(商標)を含む。
【0069】
本明細書で使用される場合、「個体」、「患者」、又は「対象」という用語は、個々の生物、脊椎動物、哺乳動物、又はヒトであり得る。好ましい実施形態では、個体、患者、又は対象は、ヒトである。
【0070】
疑似遺伝子は、本明細書では、野生型、機能的、タンパク質をコードしない核酸配列として定義される。「疑似遺伝子」という用語は、タンパク質を全くコードしない核酸配列を包含する。追加的に、「疑似遺伝子」という用語は、それらが、同じ種類の野生型タンパク質と比較して著しく機能が損なわれた、又は失われたタンパク質又はタンパク質の一部をコードするように、修飾、例えば、挿入又は欠失を含む遺伝子対立遺伝子を包含する。そのような対立遺伝子は、例えば、少なくとも1つのヌクレオチドの挿入及び/又は欠失によって引き起こされたか、又は未熟停止コドンによって引き起こされたフレームシフトの結果として、切断されたタンパク質をコードする。
【0071】
本明細書で使用される場合、「多重PCR」という用語は、同じ反応容器内での2つ以上のPCR産物又はアンプリコンの同時生成を指す。各PCR産物は、異なるプライマー対を使用してプライミングされる。多重反応は、異なる検出可能な部分で標識されている各産物についての特異的プローブを更に含み得る。
【0072】
本明細書で使用される場合、「オリゴヌクレオチド」は、定義された間隔において同一のモノマー単位で主に構成された骨格上の核酸塩基の配列を有する分子を指す。塩基は、オリゴヌクレオチドの塩基に相補的である塩基の配列を有する核酸と結合することができるように、骨格上に配置される。最も一般的なオリゴヌクレオチドは、糖リン酸単位の骨格を有する。区別は、2’位にヒドロキシル基を有しないオリゴデオキシリボヌクレオチドと、2’位にヒドロキシル基を有するオリゴリボヌクレオチドとの間で行われ得る。オリゴヌクレオチドはまた、ヒドロキシル基の水素が有機基、例えば、アリル基で置き換えられている誘導体を含み得る。プライマー又はプローブとして機能するオリゴヌクレオチドは、一般に、少なくとも約10~15ヌクレオチド長、又は最大約70、100、110、150、若しくは200ヌクレオチド長であり、より好ましくは、少なくとも約15~25ヌクレオチド長である。特定の標的核酸を特異的に増幅又は特異的に検出するためのプライマー又はプローブとして使用されるオリゴヌクレオチドは、一般に、標的核酸に特異的にハイブリダイゼーションすることができる。
【0073】
本明細書で使用される「陽性対照核酸」又は「内部陽性増幅対照」は、ある特定の量又はレベルで試料中に存在することが既知の核酸である。いくつかの実施形態では、陽性対照核酸は、試料中に天然に存在せず、開示される方法において、反応試料混合物をリアルタイムポリメラーゼ連鎖反応に供する前に試料に添加される。
【0074】
本明細書で使用される場合、「プライマー」という用語は、標的核酸鎖に相補的であるプライマー伸長産物の合成が誘導される条件下、すなわち、適切な緩衝液(「緩衝液」は、pH、イオン強度、補因子等を含む)中、及び好適な温度での異なるヌクレオチド三リン酸及びポリメラーゼの存在下で配置された場合、核酸配列合成の開始点として作用することができるオリゴヌクレオチドを指す。プライマーのヌクレオチドのうちの1つ以上は、例えば、メチル基、ビオチン、若しくはジゴキシゲニン部分、蛍光タグの添加によって、又は放射性ヌクレオチドを使用することによって修飾することができる。プライマー配列は、テンプレートの正確な配列を反映する必要はない。例えば、非相補的ヌクレオチド断片は、プライマーの5’末端に付着され得、プライマー配列の残りは、鎖に実質的に相補的である。本明細書で使用されるプライマーという用語は、ペプチド核酸プライマー、ロックド核酸プライマー、ホスホロチオエート修飾プライマー、標識プライマー等を含む、合成され得る全ての形態のプライマーを含む。本明細書で使用される「フォワードプライマー」という用語は、二本鎖DNA(dsDNA)のアンチセンス鎖にアニーリングするプライマーを意味する。「リバースプライマー」は、dsDNAのセンス鎖にアニーリングする。
【0075】
プライマーは、典型的には、少なくとも10、15、18、若しくは30ヌクレオチド長、又は最大約100、110、125、若しくは200ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態では、プライマーは、好ましくは、約15~約60ヌクレオチド長であり、最も好ましくは、約25~約40ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態では、プライマーは、15~35ヌクレオチド長である。最適なハイブリダイゼーション又はポリメラーゼ連鎖反応増幅についての標準的な長さはない。特定のプライマー用途に最適な長さは、H.Erlich,PCR Technology,Principles and Application for DNA Amplification,(1989)に記載されている様式で容易に決定され得る。
【0076】
「プライマー伸長反応」は、オリゴヌクレオチドプライマーが標的核酸にハイブリダイゼーションし、標的核酸の相補的コピーが、個々の相補的ヌクレオチドのポリメラーゼ依存性3’付加によって産生される合成反応を指す。いくつかの実施形態では、プライマー伸長反応は、PCRである。
【0077】
本明細書で使用される場合、「プライマー対」という語句は、目的の核酸の所定の領域を増幅するために一緒に使用することができるフォワード及びリバースプライマー対(すなわち、左及び右のプライマー対)を指す。
【0078】
本明細書で使用される場合、「ギャッププライマー対」という語句は、欠失が存在する場合にのみ、産物を産生するように設計されたプライマー対を指す。いくつかの実施形態では、ギャッププライマー対を使用して特異的に検出された大きな欠失には、HEXAにおける7.6Kbの欠失、MCOLN1における6.4Kbの欠失、2.5Kbが含まれる。NEBにおける欠失、並びに以下のアルファサラセミアバリアント:3.7、4.2、SEA、THAI、20.5、MED、及びFIL。いくつかの実施形態では、10個の大きな欠失のうちのいずれかの検出は、ギャップPCRアンプリコンの存在に基づき、呼び出される特定のバリアントに基づいていない
【0079】
本明細書で使用される「プローブ」は、ハイブリダイゼーションを介して標的核酸と相互作用する核酸を指す。プローブは、標的核酸配列に完全に相補的であっても、部分的に相補的であってもよい。相補性のレベルは、一般的に、プローブの機能に基づく多くの要因に依存するであろう。プローブは、当該技術分野で周知のいくつかの方法のうちのいずれかで、標識されるか、標識されないか、又は修飾されることができる。プローブは、標的核酸に特異的にハイブリダイゼーションし得る。プローブは、DNA、RNA、又はRNA/DNAハイブリッドであり得る。プローブは、オリゴヌクレオチド、人工染色体、断片化人工染色体、ゲノム核酸、断片化ゲノム核酸、RNA、組換え核酸、断片化組換え核酸、ペプチド核酸(PNA)、ロックド核酸、環状複素環のオリゴマー、又は核酸のコンジュゲートであり得る。プローブは、修飾核酸塩基、修飾糖部分、及び修飾ヌクレオチド間連結を含み得る。プローブは、メチル化標的核酸の存在又は非存在を検出するために使用され得る。プローブは、典型的には、少なくとも約10、15、20、25、30、35、40、50、60、75、100ヌクレオチド、又はそれ以上の長さである。
【0080】
本明細書で使用される「プローブ要素」は、(a)プライマー核酸配列に接続されているか、又はプライマー核酸配列に隣接して配置されているという点でプライマーと会合しており、かつ(b)ストリンジェントな条件下で検出される標的核酸配列に特異的にハイブリダイゼーションするヌクレオチドの伸長を指す。
【0081】
本明細書で使用される「反応試料混合物」は、増幅マスターミックス及び試料を含有する混合物を指す。
【0082】
本明細書で使用される場合、「試料」という用語は、患者又は単離された微生物から得られた臨床試料を指す。好ましい実施形態では、試料は、対象から収集された組織、体液、又は微生物等の生体源(すなわち、「生体試料」)から得られる。試料源には、粘液、痰(処理済み又は未処理)、気管支肺胞洗浄液(BAL)、気管支洗浄液(BW)、血液、体液、脳脊髄液(CSF)、尿、血漿、血清、又は組織(例えば、生検材料)が含まれるが、これらに限定されない。好ましい試料源には、鼻咽頭及び/又は喉のスワブ又は鼻洗浄液が含まれる。
【0083】
本技術の方法に関して本明細書で使用される「感度」という用語は、配列の不均一な集団における事前に選択された配列バリアントを検出する方法の能力の尺度である。事前に選択された配列バリアントが試料中の配列の少なくともF%として存在する試料を考慮し、方法が、事前に選択されたC%の信頼性、時間のS%で事前に選択された配列を検出することができる場合、その方法は、F%のバリアントに対してS%の感度を有する。一例として、事前に選択されたバリアント配列が試料中の配列の少なくとも5%として存在する試料を考慮し、方法が、事前に選択された99%の信頼性、10回のうち9回(F=5%、C=99%、S=90%)で事前に選択された配列を検出することができる場合、その方法は、5%のバリアントに対して90%の感度を有する。例示的な感度には、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、及び99%が含まれる。
【0084】
オリゴヌクレオチドプライマーに関して本明細書で使用される「特異的」という用語は、プライマーのヌクレオチド配列が、オリゴヌクレオチド及び核酸がアラインメントされる場合に増幅される核酸の一部と少なくとも12塩基の配列同一性を有することを意味する。核酸に特異的であるオリゴヌクレオチドプライマーは、ストリンジェントなハイブリダイゼーション又は洗浄条件下で、目的の標的にハイブリダイゼーションすることができ、目的ではない核酸に実質的にハイブリダイゼーションしないものである。より高いレベルの配列同一性は、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも85~95%、少なくとも98%、少なくとも99%、又はそれ以上の配列同一性を含む。配列同一性は、当該技術分野で周知のアルゴリズムを用いるデフォルト設定を有する市販のコンピュータプログラムを使用して決定することができる。本明細書で使用される場合、「高い配列同一性」を有する配列は、アラインメントされたヌクレオチド位置の少なくとも約少なくとも約75%で、少なくとも約80%で、少なくとも約85%で、少なくとも約90%で、少なくとも約95%で、少なくとも約99%で、又はそれ以上で同一のヌクレオチドを有する。
【0085】
本明細書で使用される「特異性」は、真に存在する事前に選択された配列バリアント(遺伝子の変動)をシーケンシングアーチファクト又は他の密接に関連する配列から区別する方法の能力の尺度である。これは、偽陽性検出を回避する能力である。偽陽性検出は、試料調製中に目的の配列に導入されたエラー、シーケンシングエラー、又は疑似遺伝子若しくは遺伝子ファミリーのメンバーのような密接に関連する配列の不注意なシーケンシングから生じ得る。XTrue配列が真にバリアントであり、XNot trueが真にバリアントではないNTotal配列の試料セットに適用されたとき、方法が、真にバリアントではないものの少なくともX%をバリアントではないとして選択する場合、その方法は、X%の特異性を有する。例えば、500個の配列が真にバリアントであり、500個が真にバリアントではない1,000個の配列の試料セットに適用されたとき、方法が、500個の真にバリアント配列ではないものの90%をバリアントではないとして選択する場合、その方法は、90%の特異性を有する。例示的な特異性には、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、及び99%が含まれる。
【0086】
本明細書で使用される「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」という用語は、以下:50%のホルムアミド、5×SSC、50mMのNaHPO4、pH6.8、0.5%のSDS、0.1mg/mLの超音波処理したサケ精子DNA、及び5×Denhartの溶液中での、42℃で一晩のハイブリダイゼーション;2×SSC、0.1%のSDSを用いる、45℃での洗浄;並びに0.2×SSC、0.1%のSDSを用いる、45℃での洗浄と少なくとも同程度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件を指す。別の例では、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、20個の連続ヌクレオチドの伸長にわたって3つ以上の塩基が異なる2つの核酸のハイブリダイゼーションを許容しないはずである。
【0087】
本明細書で使用される「標的核酸」又は「標的配列」という用語は、分析される試料中で検出及び/又は定量される目的の核酸配列を指す。標的核酸は、染色体のセグメント、遺伝子間配列を有する若しくは有しない完全な遺伝子、遺伝子間配列を有する若しくは有しない遺伝子のセグメント若しくは部分、又はプローブ若しくはプライマーが設計される核酸の配列から構成され得る。標的核酸は、野生型配列(複数可)、変異、欠失、挿入若しくは重複、タンデム反復エレメント、目的の遺伝子、目的の遺伝子の領域、又はそれらの任意の上流若しくは下流の領域を含み得る。標的核酸は、特定の遺伝子の代替配列又は対立遺伝子を表し得る。標的核酸は、ゲノムDNA、cDNA、又はRNAに由来し得る。
【0088】
遺伝子バリアント(変動)を検出するための方法
本開示の態様は、少なくとも1つの遺伝性遺伝的変異についてのキャリアであることが疑われる、対象における遺伝的障害のための1つ以上のバリアントを検出するための方法であって、対象から得られた生体試料からDNAを抽出することと、生体試料を第1の複数のプライマー対と接触させることによって、第1の複数のアンプリコンを生成することであって、少なくとも1つのアンプリコンが、複数の遺伝子の各々に対応し、当該複数の遺伝子が、HEXA、SMPD1、MCOLN1、GBA、FANCC、IKBKAP、ASPA、BLM、BCKDHB、G6PC、ABCC8、DLD、NEB、PCDH15、CLRN1、TMEM216、及びFKTNを含む、生成することと、生体試料を第2の複数のプライマー対と接触させることによって、第2の複数のアンプリコンを生成することであって、少なくとも1つのアンプリコンが、GBA及びHBBの各々に対応し、第2の複数のプライマー対が、配列番号81及び82、並びに配列番号83及び84を含む、生成することと、生体試料を、第3の複数のプライマー対、ホットスタートTaq DNAポリメラーゼ、及びTaqエクステンダーPCR添加剤と接触させることによって、第3の複数のアンプリコンを生成することであって、少なくとも1つのアンプリコンが、HBA1及びHBA2の各々に対応する、生成することと、ポリメラーゼ連鎖反応を介して、第1、第2、及び第3の複数のアンプリコンの末端にバーコード配列を組み込むことと、高スループット大規模並列シーケンシングを使用して、第1、第2、及び第3の複数のアンプリコンのうちの少なくとも1つにおける1つ以上のバリアントを検出することと、を含む、方法を対象とする。
【0089】
いくつかの実施形態では、アシュケナージ系ユダヤ人パネル変動は、アシュケナージ系ユダヤ人集団において一般的に観察されるが、アシュケナージ系ユダヤ人集団以外でもまた、低頻度ではあるが生じ得る、遺伝子の変動(例えば、単一ヌクレオチド変動(SNV)、欠失、挿入、又は反転)を含む。いくつかの実施形態では、アシュケナージ系ユダヤ人パネル変動は、テイ-サックス病、ニーマンピック病、IV型ムコリピドーシス、ゴーシェ病、ファンコーニ貧血、家族性自律神経障害、カナバン病、ブルーム症候群、メープル血清尿症、グリコーゲン貯蔵疾患I、家族性高インスリン症、ジヒドロリポアミドデヒドロゲナーゼ欠損症(DLD)、リポアミドデヒドロゲナーゼ欠損症(E3)、ネマリンミオパシー、アッシャー症候群IF型、アッシャー症候群、IIIA型、ジュベール症候群2、又はウォーカー-ワールブルク症候群を引き起こす可能性がある遺伝的変動を含む。いくつかの実施形態では、アシュケナージ系ユダヤ人パネル変動は、表1に列挙される遺伝的変動を含む。いくつかの実施形態では、ベータサラセミア変動は、表2に列挙される遺伝的変動を含む。いくつかの実施形態では、アルファサラセミア変動は、表3に列挙される遺伝的変動を含む。
【0090】
いくつかの実施形態では、第1の複数のプライマー対は、欠失が存在する場合にのみ、標的領域を増幅するように設計された少なくとも1つのギャッププライマー対を含む。いくつかの実施形態では、第2の複数のプライマー対のGBAプライマーは、GBA遺伝子を特異的に増幅し、任意のGBA疑似遺伝子を増幅しない。いくつかの実施形態では、第3の複数のプライマー対は、欠失が存在する場合にのみ、標的領域を増幅するように設計された少なくとも1つのギャッププライマー対を含む。
【0091】
いくつかの実施形態では、HEXA遺伝子の変動は、テイ-サックス病を引き起こし、SMPD1遺伝子の変動は、ニーマンピック病を引き起こし、MCOLN1遺伝子の変動は、IV型ムコリピドーシスを引き起こし、GBA遺伝子の変動は、ゴーシェ病を引き起こし、PANCC遺伝子の変動は、ファンコーニ貧血を引き起こし、IKBKAP遺伝子の変動は、家族性自律神経障害を引き起こし、ASPA遺伝子の変動は、カナバン病を引き起こし、BLM遺伝子の変動は、ブルーム症候群を引き起こし、BCKDHB遺伝子の変動は、メープル血清尿症を引き起こし、G6PC遺伝子の変動は、グリコーゲン貯蔵疾患Iを引き起こし、ABCC8遺伝子の変動は、家族性高インスリン症を引き起こし、DLD遺伝子の変動は、ジヒドロリポアミドデヒドロゲナーゼ欠損症(DLD)又はリポアミドデヒドロゲナーゼ欠損症(E3)を引き起こし、NEB遺伝子の変動は、ネマリンミオパシーを引き起こし、PCDH15遺伝子の変動は、アッシャー症候群、IF型を引き起こし、CLRN1遺伝子の変動は、アッシャー症候群、IIIA型を引き起こし、TMEM216遺伝子の変動は、ジュベール症候群2を引き起こし、FKTN遺伝子の変動は、ウォーカー-ワールブルク症候群を引き起こす。
【0092】
いくつかの実施形態では、アシュケナージ系ユダヤ人パネル遺伝子の変動は、表1に列挙される1つ以上の遺伝子の変動を含む。いくつかの実施形態では、HEXA遺伝子の変動は、R178H(B1バリアント)、R247W、R249W、G269S、IVS9+1G>A、1278_TATC、IVS12+1G>C、又は7.6-kb Del、Ex1のうちの1つ以上を含み、SMPD1遺伝子の変動は、L302P、fsP330、R496L(R498L)、又はdeltaR608のうちの1つ以上を含み、MCOLN1遺伝子の変動は、IVS3-2A>G又は6.4kb_delのうちの1つ以上を含み、GBA遺伝子の変動は、IVS2+1G>A、84G>GG、N370S、del_55bp、V394L、D409H、L444P、又はR496Hのうちの1つ以上を含み、PANCC遺伝子の変動は、IVS4+4A>T又は322delGのうちの1つ以上を含み、IKBKAP遺伝子の変動は、R696P又はIVS20+6T>Cのうちの1つ以上を含み、ASPA遺伝子の変動は、IVS2-2A>G、Y231X、E285A、又はA305Eのうちの1つ以上を含み、BLM遺伝子の変動は、2281del6/ins7のうちの1つ以上を含み、BCKDHB遺伝子の変動は、R183P、G278S、又はE372Xのうちの1つ以上を含み、G6PC遺伝子の変動は、R83C又はQ347Xのうちの1つ以上を含み、ABCC8遺伝子の変動は、IVS32-9G>A又はF1387delを含み、DLD遺伝子の変動は、Y35*又はG229Cのうちの1つ以上を含み、NEB遺伝子の変動は、R2478_D2512del35を含み、PCDH15遺伝子の変動は、R245のうちの1つ以上を含み、CLRN1遺伝子の変動は、N48Kを含み、TMEM216遺伝子の変動は、R73Lを含み、FKTN遺伝子の変動は、F390fsを含む。
【0093】
いくつかの実施形態では、HBB遺伝子におけるベータサラセミア遺伝子の変動は、表2に列挙される1つ以上の遺伝子の変動を含む。いくつかの実施形態では、遺伝子の変動は、c.*111A>G、c.*110T>C、c.*96T>C、Hb D-Los Angeles(c.364G>C)、Hb O-Arab(c.364G>A)、c.321_322insG、c.316-2A>C、c.316-2A>G、c.316-3C>A、c.316-106C>G、c.316-125A>G、c.316-146T>G、c.316-197C>T、c.315+1G>A、c.287_288insA、c.251delG、c.230delC、c.216_217insA、c.203_204delTG、c.143_144insA、c.146_147insATCT、c.135delC、c.130G>T、c.126_129delCTTT、c.124_127delTTCT、c.118C>T、c.114G>A、c.112delT、c.93-1G>C、c.93-1G>A、c.93-21G>A、c.92+6T>C、c.92+5G>A、c.92+5G>C、c.92+5G>T、c.92+2T>A、c.92+2T>C、c.92+1G>A、c.92+1G>T、Hb Monroe(c.92G>C)、c.92G>A、c.84_85insC、c.79G>T、HB E(c.79G>A)、c.75T>A、c.59A>G、c.52A>T(LYS17*)、c.51delC、c.48G>A、c.47G>A(Trp15)、c.46delT、c.36delT、c.33C>A、c.27_28insG、c.25_26delAA、c.20delA、HB S(c.20A>T)、HB C(c.19G>A)、c.17_18delCT、c.2T>C、c.2T>G、c.1A>G、c.-78A>C、c.-78A>G、c.-79A>G、c.-80T>A、c.-81A>G、c.-136C>G、c.-137C>A、c.-137C>G、c.-137C>T、c.-138C>T、c.-138C>A、c.-140C>T、又はc.-151C>Tを含む。
【0094】
いくつかの実施形態では、HBA1及びHBA2遺伝子におけるアルファサラセミア変動は、表3に列挙される1つ以上の変動を含む。いくつかの実施形態では、HBA1及びHBA2遺伝子におけるアルファサラセミア変動は、バリアント3.7、バリアント4.2、バリアントSEA、バリアントTHAI、バリアント20.5、バリアントMED、若しくはバリアントFIL、又はHBA2遺伝子HBA2 c.427T>Cにおける単一ヌクレオチドバリアントから選択される大きな欠失を含む。
【0095】
いくつかの実施形態では、第1の複数のプライマー対は、表4から選択される少なくとも2個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも8個、若しくは少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも25個、少なくとも30個、少なくとも35個、又は全てのプライマー対に対して、少なくとも85%、少なくとも88%、少なくとも90%、少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも99%、又はそれ以上の同一性を有する少なくとも2個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも8個、又は少なくとも10個のプライマー対を含む。いくつかの実施形態では、第1の複数のプライマー対は、表4に示される全てのプライマー対を含む。
【0096】
いくつかの実施形態では、第1の複数のプライマー対は、表4の対1(配列番号1~2)、対2(配列番号3~4)、対3(配列番号5~6)、対4(配列番号7~8)、対5(配列番号9~10)、対6(配列番号11~12)、対7(配列番号13~14)、対8(配列番号15~16)、対9(配列番号17~18)、対10(配列番号19~20)、対11(配列番号21~22)、対12(配列番号23~24)、対13(配列番号25~26)、対14(配列番号27~28)、対15(配列番号29~30)、対16(配列番号31~32)、対17(配列番号33~34)、対18(配列番号35~36)、対19(配列番号37~38)、対20(配列番号39~40)、対21(配列番号41~42)、対22(配列番号43~44)、対23(配列番号45~46)、対24(配列番号47~48)、対25(配列番号49~50)、対26(配列番号51~52)、対27(配列番号53~54)、対28(配列番号55~56)、対29(配列番号57~58)、対30(配列番号59~60)、対31(配列番号61~62)、対32(配列番号63~64)、対33(配列番号65~66)、対34(配列番号67~68)、対35(配列番号69~70)、対36(配列番号71~72)、対37(配列番号73~74)、対37(配列番号75~76)、対38(配列番号77~78)、及び対40(配列番号79~80)からなる群から選択される少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも25個、少なくとも30個、又は全ての対に対して、少なくとも85%、少なくとも88%、少なくとも90%、少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも99%、又はそれ以上の同一性を有する少なくとも2個のプライマー対を含む。
【0097】
いくつかの実施形態では、第2の複数のプライマー対は、表5から選択される少なくとも2個、少なくとも4個、又は少なくとも5個のプライマー対に対して、少なくとも85%、少なくとも88%、少なくとも90%、少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも99%、又はそれ以上の同一性を有する少なくとも2個、少なくとも4個、又は少なくとも5個のプライマー対を含む。いくつかの実施形態では、第1の複数のプライマー対は、表5に示される全てのプライマー対を含む。
【0098】
いくつかの実施形態では、第2の複数のプライマー対は、配列番号73及び74、配列番号75及び76、配列番号77及び78、配列番号79及び80、配列番号85及び86、配列番号87及び88、又は配列番号89及び90から選択される少なくとも2個、少なくとも4個、又は少なくとも5個のプライマーのプライマー対に対して、少なくとも85%、少なくとも88%、少なくとも90%、少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも99%、又はそれ以上の同一性を有する少なくとも2個のプライマー対を含む。
【0099】
いくつかの実施形態では、第2の複数のプライマー対は、表6の対1(配列番号81~82)、対2(配列番号83~84)、対3(配列番号85~86)、対4(配列番号87~88)、及び対5(配列番号89~90)からなる群から選択される少なくとも2個の対に対して、少なくとも85%、少なくとも88%、少なくとも90%、少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも99%、又はそれ以上の同一性を有する少なくとも2個のプライマー対を含む。
【0100】
いくつかの実施形態では、第3の複数のプライマー対は、表6から選択される少なくとも2個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも8個、又は少なくとも10個のプライマー対に対して、少なくとも85%の同一性を有する少なくとも2個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも8個、又は少なくとも10個のプライマー対を含む。いくつかの実施形態では、第1の複数のプライマー対は、表6に示される全てのプライマー対を含む。
【0101】
いくつかの実施形態では、第3の複数のプライマー対は、表6の対1(配列番号91~92)、対2(配列番号93~94)、対3(配列番号95~96)、対4(配列番号97~98)、対5(配列番号99~100)、対6(配列番号101~102)、対7(配列番号103~104)、及び対8(配列番号105~106)からなる群から選択される少なくとも2個の対に対して、少なくとも85%、少なくとも88%、少なくとも90%、少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも99%、又はそれ以上の同一性を有する少なくとも2個のプライマー対を含む。
【0102】
いくつかの実施形態では、次世代シーケンシングは、合成によるシーケンシング(例えば、パイロシーケンシング)を含む。いくつかの実施形態では、次世代シーケンシングは、ライゲーションによるシーケンシングを含む。
【0103】
いくつかの実施形態では、次世代シーケンシング(別名「高スループット、大規模並列シーケンシング」)は、可逆的染料ターミネーターを用いる、合成によるシーケンシングを採用する。他の実施形態では、シーケンシングは、ライゲーションによるシーケンシングを介して実施される。更に他の実施形態では、シーケンシングは、単一分子シーケンシングである。次世代シーケンシング技術の例には、パイロシーケンシング、可逆的染料ターミネーターシーケンシング、SOLiDシーケンシング、イオン半導体シーケンシング、及びHelioscope単一分子シーケンシングが含まれるが、これらに限定されない。
【0104】
いくつかの実施形態では、本技術で特徴とされる方法は、多重、多遺伝子アッセイフォーマット、例えば、多数の遺伝子における多数の多様な遺伝子変化からの複数のシグナルを組み込むアッセイにおいて使用される。
【0105】
いくつかの実施形態では、対象は、アシュケナージ系ユダヤ人の子孫の者であるか、又はベータサラセミア若しくはアルファサラセミアの家族歴を有する。
【0106】
いくつかの実施形態では、生体試料は、全血、血清、血漿、羊水、又は絨毛膜絨毛から選択される。
【0107】
いくつかの実施形態では、遺伝的障害は、常染色体障害又はX連鎖劣性障害である。
【0108】
単一アッセイにおける遺伝性変異(例えば、アシュケナージ系ユダヤ人パネル変動、ベータサラセミア変動、又はアルファサラセミア変動)を検出するための方法
上記のような生体試料及び次世代シーケンシングを調製する際に、本開示は、生体試料から増幅された標的核酸配列中に存在する遺伝性変異(例えば、アシュケナージ系ユダヤ人パネル変動、ベータサラセミア変動、又はアルファサラセミア変動)の存在を検出するための方法を更に提供する。
【0109】
いくつかの実施形態では、本方法は、対象が、次世代シーケンシング結果に基づいて、アシュケナージ系ユダヤ人パネル変動、ベータサラセミア変動、又はアルファサラセミア変動のうちの少なくとも1つについてのキャリアであるかどうかを決定することを更に含む。いくつかの実施形態では、決定することは、シーケンシングリードを逆多重化することと、シーケンシングリードをカスタムヒト参照ゲノムにマッピングすることであって、参照コンソーシアムヒトゲノムビルド37(GRCh37)chr1:155184031-155185327、chr1:155188031-155188964、chr16:223705-224240、及びchr16:227257-227413内の疑似遺伝子配列が、ヌクレオチドTで置き換えられている、マッピングすることと、30を超えるリードマッピングを必要とするPhred Qualityスコアを使用して、マッピングされたリードをフィルタリングすることと、フィルタリングされたリード内のバリアントを検出することと、対象が、アシュケナージ系ユダヤ人パネル変動、ベータサラセミア変動、又はアルファサラセミア変動についてのキャリアであるかどうかを決定することと、によって達成される。
【0110】
いくつかの実施形態では、対象は、テイ-サックス病、ニーマンピック病、IV型ムコリピドーシス、ゴーシェ病、ファンコーニ貧血、家族性自律神経障害、カナバン病、ブルーム症候群、メープル血清尿症、グリコーゲン貯蔵疾患I、家族性高インスリン症、ジヒドロリポアミドデヒドロゲナーゼ欠損症(DLD)、リポアミドデヒドロゲナーゼ欠損症(E3)、ネマリンミオパシー、アッシャー症候群IF型、アッシャー症候群、IIIA型、ジュベール症候群2、ウォーカー-ワールブルク症候群、ベータサラセミア、又はアルファサラセミアから選択される少なくとも1つの疾患についてのキャリアであることが疑われる。
【0111】
キット
本開示はまた、対象からの生体試料中のアシュケナージ系ユダヤ人パネル変動、ベータサラセミア変動、又はアルファサラセミア変動の存在を検出するためのキットを提供する。
【0112】
本技術のキットは、少なくとも、(i)複数の遺伝子の各々の増幅領域に指向された第1の複数のプライマー対であって、当該複数の遺伝子が、ヘキソサミニダーゼサブユニットアルファ(HEXA)、スフィンゴミエリンホスホジエステラーゼ1(SMPD1)、ムコリピンTRPカチオンチャネル1(MCOLN1)、グルコシルセラミダーゼベータ(GBA)、FA相補群C(FANCC)、B細胞におけるカッパ軽ポリペプチド遺伝子エンハンサーの阻害剤、キナーゼ複合体関連タンパク質(IKBKAP)、アスパルトアシラーゼ(ASPA)、ブルーム症候群RecQ様ヘリカーゼ(BLM)、分岐鎖ケト酸デヒドロゲナーゼE1サブユニットベータ(BCKDHB)、グルコース-6-ホスファターゼ触媒サブユニット(G6PC)、ATP結合カセットサブファミリーCメンバー8(ABCC8)、ジヒドロリポアミドデヒドロゲナーゼ(DLD)、ネブリン(NEB)、プロトカドヘリン関連15(PCDH15)、クラリン1(CLRN1)、膜貫通タンパク質216(TMEM216)、及びフクチン(FKTN)を含む、第1の複数のプライマー対と、(ii)グルコシルセラミダーゼベータ(GBA)及びヘモグロビンサブユニットベータ(HBB)遺伝子の増幅領域に指向された第2の複数のプライマー対であって、配列番号81及び82、並びに配列番号83及び84を含む、第2の複数のプライマー対と、(iii)ヘモグロビンサブユニットアルファ1(HBA1)及びヘモグロビンサブユニットアルファ1(HBA2)遺伝子の各々におけるアルファサラセミア遺伝子の変動の増幅領域に指向された第3の複数のプライマー対と、使用説明書と、を含む。
【0113】
いくつかの実施形態では、第1の複数のプライマー対は、欠失が存在する場合にのみ、標的領域を増幅するように設計された少なくとも1つのギャッププライマー対を含む。
【0114】
いくつかの実施形態では、第2の複数のプライマー対のGBAプライマーは、GBA遺伝子を特異的に増幅し、任意のGBA疑似遺伝子を増幅しない。
【0115】
いくつかの実施形態では、第3の複数のプライマー対は、欠失が存在する場合にのみ、標的領域を増幅するように設計された少なくとも1つのギャッププライマー対を含む。
【0116】
いくつかの実施形態では、HEXA遺伝子の変動は、テイ-サックス病を引き起こし、SMPD1遺伝子の変動は、ニーマンピック病を引き起こし、MCOLN1遺伝子の変動は、IV型ムコリピドーシスを引き起こし、GBA遺伝子の変動は、ゴーシェ病を引き起こし、PANCC遺伝子の変動は、ファンコーニ貧血を引き起こし、IKBKAP遺伝子の変動は、家族性自律神経障害を引き起こし、ASPA遺伝子の変動は、カナバン病を引き起こし、BLM遺伝子の変動は、ブルーム症候群を引き起こし、BCKDHB遺伝子の変動は、メープル血清尿症を引き起こし、G6PC遺伝子の変動は、グリコーゲン貯蔵疾患Iを引き起こし、ABCC8遺伝子の変動は、家族性高インスリン症を引き起こし、DLD遺伝子の変動は、ジヒドロリポアミドデヒドロゲナーゼ欠損症(DLD)又はリポアミドデヒドロゲナーゼ欠損症(E3)を引き起こし、NEB遺伝子の変動は、ネマリンミオパシーを引き起こし、PCDH15遺伝子の変動は、アッシャー症候群、IF型を引き起こし、CLRN1遺伝子の変動は、アッシャー症候群、IIIA型を引き起こし、TMEM216遺伝子の変動は、ジュベール症候群2を引き起こし、FKTN遺伝子の変動は、ウォーカー-ワールブルク症候群を引き起こす。
【0117】
いくつかの実施形態では、アシュケナージ系ユダヤ人パネル遺伝子の変動は、表1に列挙される1つ以上の遺伝子の変動を含む。いくつかの実施形態では、HEXA遺伝子の変動は、R178H(B1バリアント)、R247W、R249W、G269S、IVS9+1G>A、1278_TATC、IVS12+1G>C、又は7.6-kb Del、Ex1のうちの1つ以上を含み、SMPD1遺伝子の変動は、L302P、fsP330、R496L(R498L)、又はdeltaR608のうちの1つ以上を含み、MCOLN1遺伝子の変動は、IVS3-2A>G又は6.4kb_delのうちの1つ以上を含み、GBA遺伝子の変動は、IVS2+1G>A、84G>GG、N370S、del_55bp、V394L、D409H、L444P、又はR496Hのうちの1つ以上を含み、PANCC遺伝子の変動は、IVS4+4A>T又は322delGのうちの1つ以上を含み、IKBKAP遺伝子の変動は、R696P又はIVS20+6T>Cのうちの1つ以上を含み、ASPA遺伝子の変動は、IVS2-2A>G、Y231X、E285A、又はA305Eのうちの1つ以上を含み、BLM遺伝子の変動は、2281del6/ins7のうちの1つ以上を含み、BCKDHB遺伝子の変動は、R183P、G278S、又はE372Xのうちの1つ以上を含み、G6PC遺伝子の変動は、R83C又はQ347Xのうちの1つ以上を含み、ABCC8遺伝子の変動は、IVS32-9G>A又はF1387delを含み、DLD遺伝子の変動は、Y35*又はG229Cのうちの1つ以上を含み、NEB遺伝子の変動は、R2478_D2512del35を含み、PCDH15遺伝子の変動は、R245のうちの1つ以上を含み、CLRN1遺伝子の変動は、N48Kを含み、TMEM216遺伝子の変動は、R73Lを含み、FKTN遺伝子の変動は、F390fsを含む。
【0118】
いくつかの実施形態では、HBB遺伝子におけるベータサラセミア遺伝子の変動は、表2に列挙される1つ以上の遺伝子の変動を含む。いくつかの実施形態では、遺伝子の変動は、c.*111A>G、c.*110T>C、c.*96T>C、Hb D-Los Angeles(c.364G>C)、Hb O-Arab(c.364G>A)、c.321_322insG、c.316-2A>C、c.316-2A>G、c.316-3C>A、c.316-106C>G、c.316-125A>G、c.316-146T>G、c.316-197C>T、c.315+1G>A、c.287_288insA、c.251delG、c.230delC、c.216_217insA、c.203_204delTG、c.143_144insA、c.146_147insATCT、c.135delC、c.130G>T、c.126_129delCTTT、c.124_127delTTCT、c.118C>T、c.114G>A、c.112delT、c.93-1G>C、c.93-1G>A、c.93-21G>A、c.92+6T>C、c.92+5G>A、c.92+5G>C、c.92+5G>T、c.92+2T>A、c.92+2T>C、c.92+1G>A、c.92+1G>T、Hb Monroe(c.92G>C)、c.92G>A、c.84_85insC、c.79G>T、HB E(c.79G>A)、c.75T>A、c.59A>G、c.52A>T(LYS17*)、c.51delC、c.48G>A、c.47G>A(Trp15)、c.46delT、c.36delT、c.33C>A、c.27_28insG、c.25_26delAA、c.20delA、HB S(c.20A>T)、HB C(c.19G>A)、c.17_18delCT、c.2T>C、c.2T>G、c.1A>G、c.-78A>C、c.-78A>G、c.-79A>G、c.-80T>A、c.-81A>G、c.-136C>G、c.-137C>A、c.-137C>G、c.-137C>T、c.-138C>T、c.-138C>A、c.-140C>T、又はc.-151C>Tを含む。
【0119】
いくつかの実施形態では、HBA1及びHBA2遺伝子におけるアルファサラセミア変動は、表3に列挙される1つ以上の遺伝子の変動を含む。いくつかの実施形態では、HBA1及びHBA2遺伝子におけるアルファサラセミア変動は、バリアント3.7、バリアント4.2、バリアントSEA、バリアントTHAI、バリアント20.5、バリアントMED、若しくはバリアントFIL、又はHBA2遺伝子HBA2 c.427T>Cにおける単一ヌクレオチドバリアントから選択される大きな欠失を含む。
【0120】
いくつかの実施形態では、第1の複数のプライマー対は、表4から選択される少なくとも2個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも8個、少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも25個、少なくとも30個、少なくとも35個、又は全てのプライマー対に対して、少なくとも85%、少なくとも88%、少なくとも90%、少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも99%、又はそれ以上の同一性を有する少なくとも2個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも8個、又は少なくとも10個のプライマー対を含む。いくつかの実施形態では、第1の複数のプライマー対は、表4に示される全てのプライマー対を含む。
【0121】
いくつかの実施形態では、第1の複数のプライマー対は、表4の対1(配列番号1~2)、対2(配列番号3~4)、対3(配列番号5~6)、対4(配列番号7~8)、対5(配列番号9~10)、対6(配列番号11~12)、対7(配列番号13~14)、対8(配列番号15~16)、対9(配列番号17~18)、対10(配列番号19~20)、対11(配列番号21~22)、対12(配列番号23~24)、対13(配列番号25~26)、対14(配列番号27~28)、対15(配列番号29~30)、対16(配列番号31~32)、対17(配列番号33~34)、対18(配列番号35~36)、対19(配列番号37~38)、対20(配列番号39~40)、対21(配列番号41~42)、対22(配列番号43~44)、対23(配列番号45~46)、対24(配列番号47~48)、対25(配列番号49~50)、対26(配列番号51~52)、対27(配列番号53~54)、対28(配列番号55~56)、対29(配列番号57~58)、対30(配列番号59~60)、対31(配列番号61~62)、対32(配列番号63~64)、対33(配列番号65~66)、対34(配列番号67~68)、対35(配列番号69~70)、対36(配列番号71~72)、対37(配列番号73~74)、対37(配列番号75~76)、対38(配列番号77~78)、及び対40(配列番号79~80)からなる群から選択される少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも25個、少なくとも30個、又は全ての対に対して、少なくとも85%、少なくとも88%、少なくとも90%、少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも99%、又はそれ以上の同一性を有する少なくとも2個のプライマー対を含む。
【0122】
いくつかの実施形態では、第2の複数のプライマー対は、表5から選択される少なくとも2個、少なくとも4個、又は少なくとも5個のプライマー対に対して、少なくとも85%、少なくとも88%、少なくとも90%、少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも99%、又はそれ以上の同一性を有する少なくとも2個、少なくとも4個、又は少なくとも5個のプライマー対を含む。いくつかの実施形態では、第1の複数のプライマー対は、表5に示される全てのプライマー対を含む。
【0123】
いくつかの実施形態では、第2の複数のプライマー対は、配列番号73及び74、配列番号75及び76、配列番号77及び78、配列番号79及び80、配列番号85及び86、配列番号87及び88、又は配列番号89及び90から選択される少なくとも2個、少なくとも4個、又は少なくとも5個のプライマーのプライマー対に対して、少なくとも85%、少なくとも88%、少なくとも90%、少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも99%、又はそれ以上の同一性を有する少なくとも2個のプライマー対を含む。
【0124】
いくつかの実施形態では、第2の複数のプライマー対は、表6の対1(配列番号81~82)、対2(配列番号83~84)、対3(配列番号85~86)、対4(配列番号87~88)、及び対5(配列番号89~90)からなる群から選択される少なくとも2個の対に対して、少なくとも85%、少なくとも88%、少なくとも90%、少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも99%、又はそれ以上の同一性を有する少なくとも2個のプライマー対を含む。
【0125】
いくつかの実施形態では、第3の複数のプライマー対は、表6から選択される少なくとも2個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも8個、又は少なくとも10個のプライマー対に対して、少なくとも85%の同一性を有する少なくとも2個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも8個、又は少なくとも10個のプライマー対を含む。いくつかの実施形態では、第1の複数のプライマー対は、表6に示される全てのプライマー対を含む。
【0126】
いくつかの実施形態では、第3の複数のプライマー対は、表6の対1(配列番号91~92)、対2(配列番号93~94)、対3(配列番号95~96)、対4(配列番号97~98)、対5(配列番号99~100)、対6(配列番号101~102)、対7(配列番号103~104)、及び対8(配列番号105~106)からなる群から選択される少なくとも2個の対に対して、少なくとも85%、少なくとも88%、少なくとも90%、少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも99%、又はそれ以上の同一性を有する少なくとも2個のプライマー対を含む。
【0127】
いくつかの実施形態では、本開示のキットは、本明細書に開示される遺伝性遺伝的変異の特定のセットに対応する標的核酸配列における増幅及び/又は変化の検出等のアッセイ又は反応を実施するのに必要な、緩衝液、ポリメラーゼ活性を有する酵素、ポリメラーゼ活性を有し、5’→3’エクソヌクレアーゼ活性又は5’→3’及び3’―≫5’エクソヌクレアーゼ活性の両方を欠く酵素、酵素補因子、例えば、マグネシウム又はマンガン、塩、鎖伸長ヌクレオチド、例えば、デオキシヌクレオシド三リン酸(dNTP)、修飾dNTP、ヌクレアーゼ耐性dNTP、又は標識dNTPを更に含む。
【0128】
いくつかの実施形態では、本開示のキットは、実験実行中にアッセイの完全性を確保するために、陽性対照核酸配列及び陰性対照核酸配列を更に含む。キットはまた、使用説明書、自動分析のためのソフトウェア、コンテナ、パッケージ、例えば、商業販売等を意図したパッケージングを含み得る。
【0129】
本技術のキットはまた、本明細書に開示されるNGS技術のいずれかを実施するために他の必要な試薬を含むことができる。例えば、キットは、アダプタ配列、バーコード配列、反応チューブ、リガーゼ、リガーゼ緩衝液、洗浄緩衝液及び/又は試薬、ハイブリダイゼーション緩衝液及び/又は試薬、標識化緩衝液及び/又は試薬、並びに検出手段のうちの1つ以上を更に含み得る。緩衝液及び/又は試薬は、通常、キットが意図される特定の増幅/検出技術のために最適化される。手順の異なるステップを実施するためのこれらの緩衝液及び試薬を使用するためのプロトコルもまた、キットに含まれ得る。
【0130】
いくつかの実施形態では、本開示のキットは、表7の対1~4又は表8の対1~9から選択される複数のバーコード化プライマーを更に含む。
【0131】
キットは、洗浄緩衝液及び/又は試薬、ハイブリダイゼーション緩衝液及び/又は試薬、標識化緩衝液及び/又は試薬、並びに検出手段のうちの1つ以上を更に含み得る。緩衝液及び/又は試薬は、通常、キットが意図される特定の増幅/検出技術のために最適化される。手順の異なるステップを実施するためのこれらの緩衝液及び試薬を使用するためのプロトコルもまた、キットに含まれ得る。
【0132】
キットは、追加的に、アッセイにおいてオリゴヌクレオチドを使用するためのアッセイ定義スキャンカード及び/又は印刷された若しくは電子的な説明書等の説明書を含み得る。いくつかの実施形態では、キットは、増幅反応混合物又は増幅マスターミックスを含む。キットに含まれる試薬は、バイアル等の1つ以上のコンテナに含まれ得る。
【0133】
DNA内部対照の増幅及び検出に特異的なプライマー、プローブ、及び/又はプライマープローブは、潜在的なPCR阻害を監視するための標的プライマー対として増幅マスターミックスに含まれ得る。標的及び内部対照の増幅及び検出に必要な試薬は、オールインワン増幅マスターミックスとして製剤化され得、これは、キット内の単一反応アリコートとして提供され得る。
【実施例
【0134】
実施例1:シーケンシングライブラリの調製及び生のシーケンシングデータの生成
標的領域を増幅するために、各検体に対して3つの多重遺伝子特異的PCR反応(GSP)を設定した(図1)。各多重PCR反応は、このアッセイで検出される変動を含有するゲノムDNAの様々な領域を増幅する、プライマー対のプール(表4~6を参照されたい)からなる(目的の遺伝子の変動については表1~3を参照されたい)。合計で、GSP反応から55個のアンプリコンが生成された。PCR後、各患者についてのGSP産物を水で2500倍に希釈した。希釈した産物を、バーコード配列(BC)、並びにIllumina MiSeq上でのシーケンシングに必要なP5及びP7アダプタ(表7)を添加するプライマーで増幅した。バーコード化試料をプールし、Ampure XPビーズで精製し、定量した。最終産物を単一のライブラリにプールし、MiSeq上でのシーケンシングに供した。シーケンシングデータを、自社開発のパイプラインによって分析した。
【0135】
遺伝子特異的PCR(GSP)
標的領域を増幅するために、各検体に対して3つの多重遺伝子特異的PCR反応(GSP-A、-B、及び-C)を設定した。反応GSP-Aは、17個の遺伝子の標的領域を増幅するために、3個のギャップPCRプライマー対を含む41個のプライマー対を含有する。ギャップPCRプライマー対は、欠失が存在する場合にのみ産物を産生するように設計した。遺伝子特異的プライマー対は、Illuminaシーケンシングプライマー結合部位、フォワードリード用のR1SP、並びにリバース及びバーコードリード用のR2SPを含有するように設計した。
【0136】
反応GSP-Bは、GBA遺伝子のための2個のプライマー対及びHBB遺伝子のための3個のプライマー対を含有する。GBAプライマーは、GBA疑似遺伝子の共増幅を防止しながら、GBA遺伝子標的領域を特異的に増幅するように設計した。反応GSP-Cは、8つのアルファサラセミア共通変動及び1つの増幅対照の検出のための16個のプライマーを含有する。ギャップPCRは、7つのアルファサラセミア共通変動に対して用いられたため、産物は、欠失が存在する場合にのみ存在する。合計で、GSP反応から55個のアンプリコンが生成された。
【0137】
バーコード化PCR(BCP)
全ての検体を同時に単一のライブラリに組み合わせることを容易にするために、各個々の検体には、96個の独自のバーコード配列のうちの1つが添加された。遺伝子特異的PCRの後、各患者についての3つのGSP反応を水で2500倍に希釈し、3つのバーコード化PCR反応(BCP-A、-B、及び-C)に供した。バーコード化PCRの間に、R1SP及びR2SP配列をプライミング部位として使用して、バーコード配列、並びにIllumina Miseqシーケンサ上でのシーケンシングに必要であるP5及びP7アダプタを添加した。
【0138】
バーコード化PCR反応B(GSP-B-表5を参照されたい)は、5個のプライマー対を含有し、反応C(GSP-C-表6)は、R1SP及びR2SP融合ネステッドプライマーのうちの16個のプライマーを含有して、それぞれ、4つのGBA特異的ネステッドPCR産物及び8つのアルファサラセミアネステッドPCR産物を生成する。
【0139】
合計で、BCP反応から57個のアンプリコンが生成された。
【0140】
検体プール及びAmpureクリーンアップ
バーコード化試料を3つの別々のチューブにプールして、プールA、プールB、及びプールCを作製し、Ampure XPビーズで精製し、続いてQubit定量した。最終産物を、単一のライブラリに組み合わせ、MiSeq上でのシーケンシングに供した。
【0141】
シーケンシング
組み合わせたライブラリを、0.2NのNaOHでシーケンシングする前に変性させた。Illuminaシーケンシング化学は、合成によるシーケンシングに基づく。一本鎖ライブラリをMiseqシーケンシングカートリッジにロードした。要約すると、MiSeqワークフローは以下のとおりである:機器は、フローセルを通してライブラリをフラッシュすることによって開始し、そこでは、ライブラリ上のアダプタに相補的であるアンチセンスP5及びP7オリゴヌクレオチドにハイブリダイゼーションする。増幅が単一のDNA分子から同一の産物の十分に分離されたクラスターを生成するように、ライブラリを希釈する(クローン増幅)。これは、等温ブリッジ増幅によって達成される。クラスター生成後、クラスターを一本鎖にし、合成によるシーケンシングを開始する。蛍光体標識ヌクレオチド三リン酸をフローセルに適用する。ヌクレオチドは、単一ヌクレオチドのみが各ラウンドの合成に組み込まれるように、3’ブロックされる。次いで、蛍光体をレーザによって励起し、発光スペクトルをMiseqによって記録する。更なる合成を阻害していたヌクレオチドブロッカーは、次のヌクレオチド三リン酸の添加を可能にするように切断される。このようにして、断片がシーケンシングされる。
【0142】
実施例2:シーケンシングデータ分析
アラインメント、フィルタリング、及びバリアント呼び出し
データ分析パイプラインワークフローを図2に示す。MiSeq分析ソフトウェアを使用して、多重化されていないFASTQファイルを生成した。次いで、FASTQファイル中の生の配列リードを、Burrows-Wheeler Aligner(BWA)を使用してカスタム参照ゲノムにアラインメントした。カスタム参照ゲノムは、chr1:155184031-155185327、chr1:155188031-155188964、chr16:223705-224240、及びchr16:227257-227413内の高度に相同の疑似遺伝子配列が、GBAの正確なアラインメント及びアルファサラセミア4.2欠失バリアントの検出のために、ヌクレオチドTで置き換えられているという点で、ゲノム参照コンソーシアムヒトゲノムビルド37(GRCh37)とは異なる。次いで、リードをソートし、SAMtoolsを使用してインデックスを作成し、続いてPicard Toolsを使用してリードグループを配置した。ゲノム分析ツールキット(GATK)を使用して、標的内で局所再アラインメント及びベース品質スコア再較正を実施した。マッピングされたリードを、下流分析の前に、30を超えるリードマッピングを必要とするPhred Qualityスコア(99.9%超の精度)を使用して更にフィルタリングした。ROI(関心領域)毎についての適用範囲の平均及び最小深度を計算し、GATK Unified及びHaploid Genotyper呼び出し元を使用してバリアント呼び出しを実施した。単一のバリアントファイル(*.vcf)は、両方のバリアント呼び出し元からのバリアントファイルをマージすることによって作成した。適用範囲及びバリアント深度レポートを作成し、シーケンシングデータベース(seqDB)にロードした。Alamutバッチは、検出されたバリアントについての高レベル注釈を取得するために使用した。バリアント検出のための品質管理規則には、以下が含まれた。1)標的位置(複数可)で最低40リードを達成しなければならず、2)バリアントは20%以上の頻度で検出される。3)大きな欠失の検出は、最低100リードによるギャップPCRアンプリコンの存在に基づいており、呼び出される特定のバリアントに基づいていなかった。
【0143】
実施例3:検出されたバリアント
【表1-1】
【表1-2】
【表2-1】
【表2-2】
【表3】
【0144】
実施例4:プライマー及び他の材料
【表4-1】
【表4-2】
【表4-3】
【表4-4】
【表5】
【表6】
【表7】
【表8】
【表9-1】
【表9-2】
【表10】
【表11】
【表12】
【表13】
【表14】
【0145】
分析測定範囲(AMR)
陰性(野生型):試験したバリアントのいずれも検出されない。ヘテロ接合:20%以上~96%未満の頻度を有するバリアントが陽性である。複合ヘテロ接合:20%以上~96%未満の頻度を有する遺伝子内で、各対立遺伝子上に1つずつの2つの変動が陽性である。ホモ接合:頻度96%以上を有する両方の対立遺伝子上で同じバリアントが陽性である。
【表15-1】
【表15-2】
【0146】
実施例5:結果
開示されるアッセイの臨床感度及び特異性を測定し、それぞれ100%及び100%であった。アッセイはまた、検証実行中に100%のアッセイ間及びアッセイ内精度を示した。
【0147】
等価物
本技術は、本出願に記載される特定の実施形態に関して限定されるものではなく、これは本技術の個々の態様の単一の例示として意図される。当業者に明白であろうように、本技術の多くの修飾及び変形は、その趣旨及び範囲から逸脱することなく行うことができる。本明細書に列挙されるものに加えて、本技術の範囲内の機能的に等価な方法及び装置は、前述の説明から当業者には明白であろう。そのような修飾及び変形は、本技術の範囲内に入ることが意図される。本技術は、特定の方法、試薬、化合物組成物、又は生物学的システムに限定されず、これは、もちろん、変動し得ることが理解されるべきである。本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的とし、限定することが意図されないことも理解されるべきである。
【0148】
「含む(comprising)」、「含む(including)」、「含有する(containing)」等の用語は、広くかつ限定なしに読解されたい。追加的に、本明細書で用いられている用語及び表現は、限定ではなく、説明の用語として使用されており、そのような用語及び表現の使用において、示され、説明された特徴又はその一部のいずれかの等価物を除外する意図はないが、特許請求される開示の範囲内で様々な修正が可能であると認識される。
【0149】
加えて、本開示の特徴又は態様がマーカッシュ群の観点から記載される場合、当業者は、本開示が、それによってマーカッシュ群のいずれかの個々のメンバー又はメンバーのサブグループの観点からも記載されることを認識するであろう。
【0150】
当業者によって理解されるであろうように、いずれか又は全ての目的のために、特に書面による説明を提供するという観点から、本明細書に開示される全ての範囲はまた、いずれか及び全ての可能な部分範囲並びにそれらの部分範囲の組み合わせを包含する。任意の列挙された範囲は、同じ範囲が少なくとも等しい半分、3分の1、4分の1、5分の1、10分の1等に分解されることを十分に説明し、可能にするものとして容易に認識することができる。非限定的な例として、本明細書で論じられる各範囲は、下位3分の1、中位3分の1、及び上位3分の1等に容易に分解することができる。また、当業者によって理解されるであろうように、例えば、「最大」、「少なくとも」、「より大きい」、「より小さい」等の全ての言語は、列挙された数を含み、上記で論じられるように部分範囲にその後分解することができる範囲を指す。最後に、当業者によって理解されるであろうように、範囲は、各個々のメンバーを含む。よって、例えば、1~3個の細胞を有する群は、1、2、又は3個の細胞を有する群を指す。同様に、1~5個の細胞を有する群は、1、2、3、4、又は5個の細胞を有する群を指し、同じように続く。
【0151】
本明細書で言及又は引用される全ての特許、特許出願、仮出願、及び刊行物は、それらが本明細書の明示的な教示と矛盾しない限り、全ての図及び表を含む、それらの全体が参照により組み込まれる。
図1
図2
【配列表】
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