(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】抽出飲料を調製するための機械および方法
(51)【国際特許分類】
A47J 31/44 20060101AFI20241219BHJP
A47J 31/057 20060101ALI20241219BHJP
B65D 85/804 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
A47J31/44 510
A47J31/057
B65D85/804 100
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024534001
(86)(22)【出願日】2022-11-15
(85)【翻訳文提出日】2024-06-20
(86)【国際出願番号】 EP2022081914
(87)【国際公開番号】W WO2023104445
(87)【国際公開日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】102021132207.3
(32)【優先日】2021-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517010507
【氏名又は名称】メリッタ シングル ポーションズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Melitta Single Portions GmbH & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Marienstrasse 88, D-32425 Minden, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ヤン パーンケ
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー ツム ブルッフ
【テーマコード(参考)】
4B104
【Fターム(参考)】
4B104AA02
4B104AA12
4B104CA01
4B104DA11
4B104EA06
4B104EA09
4B104EA30
(57)【要約】
抽出飲料を調製するための機械(1)には、熱湯を生成するための装置が含まれており、この装置には、熱湯を放出するための給水部(2)と、抽出材料(7)を有するポーションパッケージ(6)用の、給水部(2)の下に配置されたホルダ(4)と、制御部と、この制御部に接続され、光学センサを備えた識別ユニットを有する機械と、を備えており、抽出過程を、光学センサ(10)による色変化の検出に依存して制御可能である。本発明はさらに、抽出過程の制御にこのような色変化を使用する、抽出飲料を調製する方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱湯を生成するための装置を備えた、抽出飲料を調製するための機械(1)であって、熱湯を放出するための給水部(2)と、抽出材料(7)を有するポーションパッケージ(6)用の、前記給水部(2)の下に配置されたホルダ(4)と、制御部と、前記制御部に接続され、光学センサを備えた識別ユニットと、を有する機械(1)において、
抽出過程を、前記光学センサ(10)による色変化の検出に依存して制御可能であることを特徴とする、機械(1)。
【請求項2】
前記ポーションパッケージ(6)は、水溶性材料から成る被覆層(9)を有しており、前記光学センサ(10)を介して、前記抽出過程中の色変化を検出可能であることを特徴とする、請求項1記載の機械。
【請求項3】
前記光学センサ(10)は前記給水部(2)に固定されていることを特徴とする、請求項1または2記載の機械。
【請求項4】
前記ポーションパッケージ内の被覆層(9)がミルクパウダーを有することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の機械。
【請求項5】
前記ポーションパッケージ内の被覆層(9)が砂糖を含むことを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の機械。
【請求項6】
前記給水部(2)は駆動部を介して移動可能であり、前記被覆層(9)を有する前記抽出材料(7)の表面は、前記給水部(2)の前記移動の際に熱湯で濡らすことができることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の機械。
【請求項7】
前記識別ユニットは、少なくとも1つの別のセンサを有することを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の機械。
【請求項8】
前記別のセンサは近接センサとして構成されており、該近接センサを介して、前記ポーションパッケージ(6)の第1形状と、前記第1形状から変化した前記ポーションパッケージ(6)の第2形状とを非接触で検出可能であることを特徴とする、請求項7記載の機械。
【請求項9】
抽出飲料を調製する方法であって、次のステップ、すなわち、
-抽出飲料を調製するための機械(1)のホルダ(4)に、抽出材料(7)を有するポーションパッケージ(6)をはめ込むステップと、
-抽出飲料を調製するために、前記ポーションパッケージ内の前記抽出材料(7)に、給水部(2)を介して熱湯を注ぎ込むステップと、
を含む方法において、
光学センサ(10)による色変化の検出に依存して、抽出過程を制御することを特徴とする、方法。
【請求項10】
前記ポーションパッケージ(6)は、水溶性材料から成る被覆層(9)を有しており、光学センサ(10)を介して、前記抽出過程中の前記被覆層(9)における色変化を検出可能であることを特徴とする、請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記ポーションパッケージ(6)には、ミルクパウダーおよび/または砂糖を含む水溶性材料から成る被覆層(9)が含まれており、前記光学センサ(10)を介して、抽出済みのポーションパッケージ(6)を検出可能であり、これにより、制御部を介して、前記給水部(2)における熱湯の放出を阻止することができることを特徴とする、請求項9または10記載の方法。
【請求項12】
2つの層を混ぜることにより、前記ポーションパッケージ(6)の被覆層(9)における前記色変化が生成されることを特徴とする、請求項9から11までのいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
前記ポーションパッケージ(6)の被覆層(9)における前記色変化がサーモクロマチックカバーによって生成されることを特徴とする、請求項9から12までのいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
前記ポーションパッケージ(6)の被覆層(9)における前記色変化が成分の透明化によって生成されることを特徴とする、請求項9から13までのいずれか1項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱湯を生成するための装置を備えた、抽出飲料を調製するための機械であって、熱湯を放出するための給水部と、抽出材料を有するポーションパッケージのための、給水部の下に配置されたホルダと、制御部と、この制御部に接続され、光学センサを備えた識別ユニットと、を有する、抽出飲料を調製するための機械に関し、ならびに、抽出飲料を調製する方法であって、以下のステップ、すなわち、抽出飲料を調製するための機械のホルダに、抽出材料を有するポーションパッケージをはめ込むステップと、ポーションパッケージを開放するステップと、抽出飲料を調製するために、ポーションパッケージ内の抽出材料に、給水部を介して熱湯を注ぎ込むステップと、を含む、抽出飲料を調製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
国際公開第2019/141871号は、フィルタ材料から成る容器から構成され、内部に抽出材料が配置されたポーションパッケージを開示している。このポーションパッケージは、抽出飲料を調製するための機械において自動で開放可能であり、次いでポーションパッケージ内の抽出材料に熱湯を供給することができる。このようなポーションパッケージについて知られているのは、識別ユニットを設け、これにより、例えば、飲料調製の際に抽出量または抽出温度または別のパラメータを設定できるようにするために、特定のタイプのポーションパッケージを識別することである。このようなポーションパッケージを用いて抽出飲料を調製する際に不都合なのは、調製の際に、個々のステップの経過が不十分にしか検出されないことである。例えば、開放が不完全である場合、熱湯で抽出材料が完全に濡らされることなく、熱湯が流れ込んでしまうことがある。さらに、識別時のエラーによって望まれないプログラム経過が生じてしまう可能性があり、このことにより、例えば、熱湯が定まらずに排出されることで、負傷の危険性が高まってしまう可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、本発明の課題は、抽出飲料を作製する際の抽出過程をより正確に監視できるようにする抽出飲料を調製するための機械および方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題は、請求項1の特徴を有する機械と、請求項9の特徴を有する方法とによって解決される。
【0005】
本発明による機械では、識別ユニットに光学センサが含まれており、抽出過程を、光学センサによる色変化の検出に依存して制御可能である。これにより、あらかじめ定めた色変化の、センサによる検出に依存して抽出過程を制御可能であるため、抽出過程の適時の監視が可能になる。例えば、抽出された抽出材料の表面があらかじめ定めた色を有している、既に抽出済みのポーションパッケージがセンサによって検出される際に、給水部を介する熱湯の流入が阻止される場合、信頼性を高めることもできる。したがって、既に抽出済みのポーションパッケージに熱湯が供給されるのを阻止するために、光学式の識別が利用可能である。
【0006】
好適には、ポーションパッケージは、水溶性材料から成る被覆層を有しており、光学センサを介して抽出過程中の色変化を検出可能である。これにより、被覆層の少なくとも部分的な溶解による色変化を検出することができるようになるため、より正確に抽出過程を監視することができる。このため、既に抽出済みのポーションパッケージと、未抽出のポーションパッケージとの間の、より正確な区別が可能になり、またポーションパッケージが抽出過程のどの段階にあるのかについての識別が可能になる。
【0007】
良好な位置決めのために、光学センサは、少なくとも抽出過程中にポーションパッケージの上方に配置される給水部に固定されていてよい。この際、光学センサには光源、例えばLEDが含まれていてよく、したがって、ポーションパッケージの上面が照明される際に光が反射される。被覆層がまだ存在している場合には、被覆層によって光が反射されるのに対し、被覆層が溶解した後には、抽出材料によって光が反射され、このことは色変化として識別することができる。
【0008】
被覆層には好適には、黒っぽい抽出材料、特にコーヒー粉末から大きく際立っている、ミルクパウダー、特に白色のミルクパウダーが含まれている。代替的または付加的に、被覆層には、同様に明るい色を有しかつ黒っぽい抽出材料とは視覚的に異なる砂糖が含まれていてよい。抽出材料は、コーヒー粉末ではなく茶葉であってもよい。
【0009】
有利には、給水部は、駆動装置を介して移動可能であり、被覆層を備えた抽出材料の表面は、給水部を移動する際に熱湯で濡らすことができる。これにより、抽出材料の表面の比較的大きな領域が、給水部からの熱湯と直接に接触することができ、このことにより、抽出過程の開始時の被覆層の溶解が容易になる。この際、表面の可能な限りすべての領域を熱湯で濡らすために、表面の上で、プログラム制御で給水部を移動させることができる。
【0010】
別の実施形態では、識別ユニットには少なくとも1つの別のセンサ、特に近接センサが含まれている。この近接センサを介して、ポーションパッケージの第1形状と、第1形状から変化した、ポーションパッケージの第2形状とを非接触で検出可能である。これにより、ポーションパッケージの異なる形状を監視することができる。この際に、ポーションパッケージの第1形状と第2形状とは異なる状態に対応していてよく、例えば、第1形状は、ポーションパッケージの閉鎖状態に対応していてよいのに対し、第2形状は、例えば枢動による状態の変化によって閉鎖要素が移動した開放状態に対応する。このような近接センサは、ポーションパッケージの外部の成形を非接触で検出することができる。このためには、容量式センサが適している。代替的には、別の近接センサ、例えば光バリアまたは超音波センサ等も使用可能である。選択的には、ポーションパッケージにおける色変化および形状変化を検出するために、上記の光学センサと共にただ1つのセンサだけが使用されてもよい。
【0011】
本発明による方法ではまず、抽出飲料を調製するための機械のホルダに、抽出材料および被覆層を備えたポーションパッケージをはめ込み、ポーションパッケージは既に開放されているか、またはこのステップにおいて開放され、次いで、抽出飲料を調製するために、給水部を介して、ポーションパッケージ内の抽出材料に熱湯が注ぎ込まれる。ここで、ポーションパッケージは、水溶性材料から成る被覆層を有しており、識別ユニットの光学センサを介して、抽出過程中の色変化を検出可能である。これにより、抽出過程をより正確に監視することができ、特に、ポーションパッケージ内の抽出材料が既に抽出過程を経ているか否かを求めることができる。
【0012】
好適には、光学センサを介して、既に使用済みのポーションパッケージが給水部の下に配置されているか否かを検出することができるので、この場合に制御部を介して、熱湯の放出を遮断することができる。
【0013】
ポーションパッケージの被覆層における色変化は、2つの層を混ぜることにより、特に熱湯を加えた後に生成可能である。代替的または付加的には、ポーションパッケージの被覆層における色変化は、サーモクロマチックカバーによって生成可能である。さらに、成分の透明化により、ポーションパッケージの被覆層における色変化を生成することができる。
【0014】
以下では、添付の図面を参照し、一実施例に基づいて本発明を詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】抽出飲料を調製するための、本発明による機械の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
抽出飲料を調製するための機械1には、例えばタンクから成る、水を圧送しかつ加熱する装置に、または水道管に接続された、熱湯用の給水部2が含まれている。この機械には制御部が含まれており、この制御部を用いて、給水部2における熱湯の放出を、また選択的には熱湯の温度も制御することができる。
【0017】
給水部2には排出部3が設けられており、この排出部3は、ポーションパッケージ6を収容するためのホルダ4の上に配置されている。ホルダ4には流出開口部5が含まれており、この流出開口部5により、別の容器、例えばコーヒー缶またはカップに抽出飲料を放出することができる。
【0018】
ポーションパッケージ6には、内部に抽出材料7、特にコーヒー粉末または茶葉が配置された、フィルタ材料から成る包みが含まれている。抽出材料7の上面には、被覆層9が配置されている。
【0019】
ポーションパッケージには上面に、ポーションパッケージ6の閉鎖位置と開放位置との間で枢動によって状態を変えることができる複数の閉鎖要素8が含まれている。ポーションパッケージ6は、独国特許出願公開第102018101337号明細書に開示されているように構成されてよく、ここではこの明細書を参照する。選択的には、ポーションパッケージ6は、既に上に向かって開いた位置でホルダに挿入されていてもよい。
【0020】
給水部2には光学センサ10が固定されており、光学センサ10を介して、ポーションパッケージ6の上面における色変化を検出することができる。光学センサは好ましくは光源を有しており、この光源を用いてポーションパッケージ6の上面に光が放射されるが、このことは線11によって略示した通りである。次いで、光学センサを介して反射光を検出することができる。光学センサ10には選択的に、光学認識を視覚化するために表示部12、例えばカラーLEDまたは別の表示手段が設けられていてよい。
【0021】
ポーションパッケージ6は、未抽出状態では、水溶性材料から成る被覆層9を上面に有している。この被覆層9には、例えば、その下にある抽出材料7、特にコーヒー粉末とは異なる色を有するミルクパウダーおよび/または砂糖が含まれていてよい。これにより、ポーションパッケージ6の未抽出状態を簡単に検出することができる。
【0022】
抽出過程中、給水部2および排出部3を介して被覆層9に熱湯が供給され、この結果、水溶性材料が溶解し、抽出材料7の上面から除去される。これにより、抽出過程の後、抽出材料7の上面は、少なくとも部分的に、好ましくは大部分において被覆層9が取り除かれ、これは色変化として光学センサ10を介して検出される。次の抽出過程を開始する前に、既に抽出済みのポーションパッケージ6をホルダ4から取り出すことを忘れてしまった場合には、制御部を介して、排出部3における熱湯の放出を遮断することができる。
【0023】
好適には、給水部2は可動に配置されているので、点状だけではなくストライプ状に熱湯でポーションパッケージの表面を濡らすことができる。この際には、上面を可能な限り全面的に熱湯で濡らすために、特定のパターンで、特に水平方向に、プログラム制御で給水部2を移動させることができる。抽出過程の後、選択的にはポーションパッケージの上方で給水部2を取り外すことが可能であるので、ポーションパッケージ6をホルダ4からより簡単に取り出し、新しいポーションパッケージ6をはめ込むことができる。さらに、光学センサを一緒に移動させることにより、複数の測定点も可能となり、これによって信頼性が向上する。
【符号の説明】
【0024】
1 機械
2 給水部
3 排出部
4 ホルダ
5 流出開口部
6 ポーションパッケージ
7 抽出材料
8 閉鎖要素
9 被覆層
10 センサ
11 線
12 表示部
【国際調査報告】