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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】癌を治療するための組成物及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 38/16 20060101AFI20241219BHJP
   A61K 47/18 20170101ALI20241219BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20241219BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20241219BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20241219BHJP
   A61P 5/38 20060101ALI20241219BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20241219BHJP
   A61P 13/10 20060101ALI20241219BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20241219BHJP
   A61P 15/00 20060101ALI20241219BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20241219BHJP
   A61P 25/02 20060101ALI20241219BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20241219BHJP
   A61P 3/00 20060101ALI20241219BHJP
   A61P 5/00 20060101ALI20241219BHJP
   A61P 7/00 20060101ALI20241219BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20241219BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20241219BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20241219BHJP
   A61P 1/02 20060101ALI20241219BHJP
   A61P 19/08 20060101ALI20241219BHJP
   A61P 1/18 20060101ALI20241219BHJP
   A61P 5/18 20060101ALI20241219BHJP
   A61P 5/10 20060101ALI20241219BHJP
   A61P 13/08 20060101ALI20241219BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20241219BHJP
   A61P 13/00 20060101ALI20241219BHJP
   A61P 5/14 20060101ALI20241219BHJP
   A61K 9/19 20060101ALI20241219BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20241219BHJP
   C07K 14/195 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
A61K38/16
A61K47/18
A61K47/02
A61K9/08
A61P35/00
A61P5/38
A61P1/16
A61P13/10
A61P25/00
A61P15/00
A61P17/00
A61P25/02
A61P1/00
A61P3/00
A61P5/00
A61P7/00
A61P11/00
A61P35/02
A61P43/00 101
A61P1/02
A61P19/08
A61P1/18
A61P5/18
A61P5/10
A61P13/08
A61P13/12
A61P13/00
A61P5/14
A61P43/00 121
A61K9/19
A61K45/00
C07K14/195 ZNA
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024534021
(86)(22)【出願日】2022-11-30
(85)【翻訳文提出日】2024-08-06
(86)【国際出願番号】 US2022080670
(87)【国際公開番号】W WO2023107842
(87)【国際公開日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】63/286,236
(32)【優先日】2021-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510144959
【氏名又は名称】ラトガース,ザ ステート ユニバーシティ オブ ニュー ジャージー
(74)【代理人】
【識別番号】110002675
【氏名又は名称】弁理士法人ドライト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カクラニー,スコット シー.
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA11
4C076AA12
4C076AA29
4C076AA94
4C076BB13
4C076BB16
4C076BB21
4C076CC27
4C076DD23
4C076DD50
4C076FF31
4C076FF36
4C076FF61
4C076GG06
4C076GG43
4C076GG47
4C084AA01
4C084AA02
4C084AA03
4C084BA01
4C084BA02
4C084BA22
4C084BA23
4C084BA31
4C084CA04
4C084MA02
4C084MA17
4C084MA44
4C084MA56
4C084MA63
4C084MA66
4C084NA05
4C084NA07
4C084NA12
4C084NA14
4C084ZA021
4C084ZA201
4C084ZA311
4C084ZA511
4C084ZA591
4C084ZA661
4C084ZA671
4C084ZA751
4C084ZA811
4C084ZA891
4C084ZA961
4C084ZB261
4C084ZB271
4C084ZC03
4C084ZC041
4C084ZC061
4C084ZC211
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA09
4H045CA11
4H045DA83
4H045EA20
4H045GA45
(57)【要約】
本開示は、アグリゲイティバクター・アクチノミセテムコミタンスから単離されたロイコトキシン(LtxA)ポリペプチドの新規な組成物が、凍結乾燥、保存、再構成及び/又は更なる保存の過程を経ても、又は加速された条件下でも、長期間にわたって安定性及び生物学的活性を維持でき、そして、LtxAポリペプチドの特定の範囲の投与量及び投与計画により、それを必要とする患者の癌を治療する際に、効き目が高く、毒性が低いという予期せぬ発見に少なくとも部分的に基づくものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アグリゲイティバクター・アクチノミセテムコミタンスから単離された、約0.1mg/ml~約0.5mg/mlのロイコトキシン(LtxA)ポリペプチドと、
約5mM~約50mMのトリスと、
約100mM~約300mMのNaClと、
約0.05mM~約0.5mMのCaClと、を含み、
pHが約7.0~約8.0であるように配合される、癌治療用の液体組成物。
【請求項2】
約0.3mg/mlのLtxAポリペプチドを含む、請求項1に記載の液体組成物。
【請求項3】
約20mMのトリスと、約250mMのNaClと、約0.2mMのCaClと、を含む、先行する請求項のいずれか一項に記載の液体組成物。
【請求項4】
pHが約7.5であるように配合される、先行する請求項のいずれか一項に記載の液体組成物。
【請求項5】
4℃で少なくとも24時間にわたって安定性を保つように配合される、先行する請求項のいずれか一項に記載の液体組成物。
【請求項6】
前記LtxAポリペプチドは、アグリゲイティバクター・アクチノミセテムコミタンスのNJ4500株から単離される、先行する請求項のいずれか一項に記載の液体組成物。
【請求項7】
前記LtxAポリペプチドは、配列番号1と少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、又は配列番号1のアミノ酸配列を含む、先行する請求項のいずれか一項に記載の液体組成物。
【請求項8】
約0.2mg~約2mgのLtxAポリペプチドと、
約2mg~約8mgのトリスと、
約10mg~約50mgのNaClと、
約0.01mg~約0.5mgのCaClと、を含み、
再構成時にpHが約7.0~8.0であるように配合される、先行する請求項のいずれか一項に記載の液体組成物から調製された凍結乾燥組成物。
【請求項9】
約0.6mgのLtxAポリペプチドと、
約4.85mgのトリスと、
約29.2mgのNaClと、
約0.04mgのCaClと、を含む、請求項8に記載の凍結乾燥組成物。
【請求項10】
再構成後にpHが約7.5であるように配合される、請求項8又は9に記載の凍結乾燥組成物。
【請求項11】
滅菌水又は緩衝生理食塩水中で再構成される、請求項8~10のいずれか一項に記載の凍結乾燥組成物。
【請求項12】
約0.3mg/mlのLtxAポリペプチドを含む液体組成物として再構成される、請求項8~11のいずれか一項に記載の凍結乾燥組成物。
【請求項13】
-20±5℃で最高24カ月間保存された後も安定性を保つように配合される、請求項8~12のいずれか一項に記載の凍結乾燥組成物。
【請求項14】
-20℃未満の温度で保存され、再構成され、そして、-20℃未満の温度で最高7日間保存された後も安定性を保つように配合される、請求項8~13のいずれか一項に記載の凍結乾燥組成物。
【請求項15】
-20℃未満の温度で保存され、再構成され、そして、約4℃で最高24時間保存された後も安定性を保つように配合される、請求項8~14のいずれか一項に記載の凍結乾燥組成物。
【請求項16】
請求項1~7のいずれか一項に記載の液体組成物、又は請求項8~15のいずれか一項に記載の凍結乾燥組成物を含む、キット。
【請求項17】
治療有効量の請求項1~7のいずれか一項に記載の液体組成物を被験者に投与することを含み、前記液体組成物の治療有効量は、被験者の体重に基づいて、約1μg/kg~約1200μg/kgである、被験者の癌の治療方法。
【請求項18】
前記液体組成物の治療有効量は、被験者の体重に基づいて、約1.4μg/kgである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記液体組成物の治療有効量は、被験者の体重に基づいて、約1020μg/kgである、請求項17又は18に記載の方法。
【請求項20】
前記液体組成物を、被験者の静脈内、皮下、又は腹腔内に非経口的に投与する、請求項17~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記液体組成物を、静脈内注射により被験者に非経口的に投与する、請求項17~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記液体組成物を、静脈内注射により、1~10時間にわたって被験者に投与する、請求項17~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記液体組成物を、静脈内注射により、3~4時間にわたって被験者に非経口的に投与する、請求項17~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記液体組成物を、静脈内注射により、1~2時間にわたって投与する、請求項17~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
被験者に投与される前記液体組成物は、放出調節剤形、徐放(デポー)剤形、制御放出剤形、持続放出剤形、遅延放出剤形、長期放出剤形及び/又は延長放出剤形から選択される剤形として製剤化される、請求項17~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記癌は、副腎腫瘍、胆管癌、膀胱癌、脳腫瘍、乳癌、上皮性悪性腫瘍、中枢又は末梢神経系組織癌、子宮頸癌、結腸癌、内分泌又は神経内分泌癌、造血癌、食道癌、線維腫、消化管癌、神経膠腫、頭頸部癌、リー・フラウメニ腫瘍、肝臓癌、肺癌、白血病、リンパ腫、黒色腫、髄膜腫、多発性神経内分泌I型及びII型腫瘍、上咽頭癌、口腔癌、口腔咽頭癌、骨肉腫、卵巣癌、膵臓癌、膵島細胞癌、副甲状腺癌、褐色細胞腫、下垂体部腫瘍、前立腺癌、直腸癌、腎臓癌、呼吸器癌、非上皮性悪性腫瘍、皮膚癌、胃癌、睾丸癌、甲状腺癌、気管癌、泌尿生殖器癌及び子宮癌から選択される、請求項17~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記癌は、白血病又はその任意のサブタイプである、請求項17~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記癌は、リンパ腫又はその任意のサブタイプである、請求項17~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
被験者に第2剤又は治療法を投与することをさらに含む、請求項17~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記第2剤は、抗腫瘍剤又は抗癌剤を含む、請求項17~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記第2剤又は治療法を、前記組成物の前又は後に投与する、請求項17~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記第2剤又は治療法を、前記組成物と同時投与する、請求項17~31のいずれか一項に記載の方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、米国特許法第119条(e)の定めにより、2021年12月6日に出願された米国仮特許出願第63/286,236号の優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、ロイコトキシンを含む医薬組成物及び生物学的組成物、並びにそれらを用いた癌の治療方法に関する。
【背景技術】
【0003】
毎年、6万500人以上が、血液学的悪性腫瘍(白血病、リンパ腫、骨髄腫)が原因で死亡し、米国だけでも、毎年、11万以上の新しい症例が診断される。リンパ腫は、一般に、ホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫(NHL)に分類され、T細胞(NKナチュラルキラー細胞)リンパ腫又はB細胞リンパ腫であってもよく、例えば、マントル細胞リンパ腫(MCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、バーキットリンパ腫などであってもよいが、これらに限定されない。現在、これらの血液癌の治療は、癌細胞だけでなく、身体のほぼ全ての細胞の細胞分裂過程を標的とした合成化合物を使用することを含む。その結果、壊滅的な副作用がよくありがちである。さらに、かなりの割合の患者は、最終的に多くの医薬品に対して耐性を示すため、治療がほとんど無効になり、再発性の病気、抵抗性の病気及び/又は難治性の病気を有する患者が多くなる。例えば、MCLは、死に至る不治の病気であり、新しい治療方法を使用しても、平均全生存率は、およそ3~4年である。FLに対して、緩慢性NHLが最も一般的であり、合意治療プロトコールが存在せず、該病気が不治であると考えられる。およそ30~40%のDLBCLの患者は、依然として該癌が原因で死亡する。これらの死亡の多くは、病気の再発時の癌細胞の治療抵抗性に起因する。したがって、B細胞リンパ腫を標的とする新薬に対するニーズが強い。しかしながら、現在使用されている医薬品は、細胞に対して毒性があり、高度に特異的ではない。血液学的悪性腫瘍及び癌を治療するための新種の治療薬は、一般に、主に癌細胞のタイプに特異性を示す医薬品を含む。標的治療薬の例として、Bリンパ球に対するモノクローナル抗体であるリツキシマブ、骨髄単球系細胞に対する抗腫瘍性抗生物質結合抗体であるマイロターグ(Mylotarg)などが挙げられる。
【0004】
最近、米国FDAは、実験治療薬の医学研究及び臨床開発の組み合わせを促進し、抗がん剤レジメンの臨床転帰、効き目、安全性プロフィールを改善するために、イニシアチブドラフトガイダンスを発行した。従来の標準的な化学療法剤は、癌細胞に特異的ではなく、細胞毒性が高く、副作用が深刻である。
【0005】
したがって、癌細胞を標的とし、毒性が少なく、癌の治療に有効である、新しい抗がん剤及び治療法を開発する必要がある。
【発明の概要】
【0006】
本開示は、上記課題を複数の面で解決するためになされたものである。一態様において、本開示は、癌治療用の液体組成物を提供する。前記液体組成物は、アグリゲイティバクター(アクチノバチルス)・アクチノミセテムコミタンスから単離された、約0.1mg/ml~約0.5mg/mlのロイコトキシン(LtxA)ポリペプチド(又はタンパク質)と、約5mM~約50mMのトリスと、約100mM~約300mMのNaClと、約0.05mM~約0.5mMのCaClと、を含み、pHが約7.0~約8.0であるように配合される。
【0007】
いくつかの実施形態では、前記液体組成物は、約0.3mg/mlのLtxAポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、前記液体組成物は、約20mMのトリスと、約250mMのNaClと、約0.2mMのCaClと、を含む。いくつかの実施形態では、前記液体組成物は、pHが約7.5であるように配合される。
【0008】
いくつかの実施形態では、前記液体組成物は、4℃で少なくとも24時間にわたって安定性を保つように配合される。
【0009】
いくつかの実施形態では、前記LtxAポリペプチドは、アグリゲイティバクター・アクチノミセテムコミタンスのNJ4500株から単離される。いくつかの実施形態では、前記LtxAポリペプチドは、配列番号1と少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、又は配列番号1のアミノ酸配列を含む。
【0010】
別の態様において、本開示は、先行する請求項のいずれか一項に記載の液体組成物から調製された凍結乾燥組成物を提供し、該凍結乾燥組成物は、約0.2mg~約2mgのLtxAポリペプチドと、約2mg~約8mgのトリスと、約10mg~約50mgのNaClと、約0.01mg~約0.5mgのCaClと、を含み、再構成時にpHが約7.0~8.0であるように配合される。
【0011】
いくつかの実施形態では、前記凍結乾燥組成物は、約0.6mgのLtxAポリペプチドと、約4.85mgのトリスと、約29.2mgのNaClと、約0.04mgのCaClと、を含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、前記凍結乾燥組成物は、再構成後にpHが約7.5であるように配合される。いくつかの実施形態では、前記凍結乾燥組成物は、滅菌水又は緩衝生理食塩水中で再構成される。いくつかの実施形態では、前記凍結乾燥組成物は、約0.3mg/mlのLtxAポリペプチドを含む液体組成物として再構成される。
【0013】
いくつかの実施形態では、前記凍結乾燥組成物は、-20±5℃で最高24カ月間保存された後も安定性を保つように配合される。いくつかの実施形態では、前記凍結乾燥組成物は、-20℃未満の温度で保存され、再構成され、そして、-20℃未満の温度で最高7日間保存された後も安定性を保つように配合される。いくつかの実施形態では、前記凍結乾燥組成物は、-20℃未満の温度で保存され、再構成され、そして、約4℃で最高24時間保存された後も安定性を保つように配合される。
【0014】
別の態様において、本開示は、本明細書に記載の液体組成物又は凍結乾燥組成物を含む、キットを提供する。
【0015】
また別の態様において、本開示は、被験者の癌の治療方法を提供する。前記方法は、治療有効量の本明細書に記載の液体組成物を被験者に投与することを含み、前記液体組成物の治療有効量は、被験者の体重に基づいて、約1μg/kg~約1200μg/kgであるか、又は前記液体組成物の質量(例えば、μg)と体表面積(例えば、平方メートル=M)との比(例えば、μg/M)に基づいて計算する。
【0016】
いくつかの実施形態では、前記液体組成物の治療有効量は、被験者の体重に基づいて、約1.4μg/kgである。いくつかの実施形態では、前記液体組成物の治療有効量は、被験者の体重に基づいて、約1020μg/kgであるか、又は前記液体組成物の質量(例えば、μg)と体表面積(例えば、平方メートル=M)との比(例えば、μg/M)に基づいて計算する。
【0017】
いくつかの実施形態では、被験者に投与される前記液体組成物は、放出調節剤形、徐放(デポー)剤形、制御放出剤形、持続放出剤形、遅延放出剤形、長期放出剤形及び/又は延長放出剤形から選択される剤形として配合される。
【0018】
いくつかの実施形態では、前記液体組成物を、静脈内注射により、1~10時間にわたって非経口的に投与する。いくつかの実施形態では、前記液体組成物を、静脈内注射により、3~4時間にわたって投与する。いくつかの実施形態では、前記液体組成物を、静脈内注射により、1~2時間にわたって投与する。
【0019】
いくつかの実施形態では、前記液体組成物を、放出調節剤形(modified release)、徐放(デポー)剤形(sustained release(depot))、制御放出剤形(controlled release)、持続放出剤形(timed release)、遅延放出剤形(delayed release)、長期放出剤形(prolonged release)及び/又は延長放出剤形(extended release)で被験者に非経口的に投与する。
【0020】
いくつかの実施形態では、前記癌は、任意のLFA-1-発現腫瘍であり得る。いくつかの実施形態では、前記癌は、副腎腫瘍、胆管癌、膀胱癌、脳腫瘍、乳癌、上皮性悪性腫瘍、中枢又は末梢神経系組織癌、子宮頸癌、結腸癌、内分泌又は神経内分泌癌、造血癌、食道癌、線維腫、消化管癌、神経膠腫、頭頸部癌、リー・フラウメニ腫瘍、肝臓癌、肺癌、白血病、リンパ腫、黒色腫、髄膜腫、多発性神経内分泌I型及びII型腫瘍、上咽頭癌、口腔癌、口腔咽頭癌、骨肉腫、卵巣癌、膵臓癌、膵島細胞癌、副甲状腺癌、褐色細胞腫、下垂体部腫瘍、前立腺癌、直腸癌、腎臓癌、呼吸器癌、非上皮性悪性腫瘍、皮膚癌、胃癌、睾丸癌、甲状腺癌、気管癌、泌尿生殖器癌及び子宮癌から選択される。
【0021】
いくつかの実施形態では、前記癌は、白血病及びその任意のサブタイプである。いくつかの実施形態では、前記癌は、リンパ腫又はその任意のサブタイプである。
【0022】
いくつかの実施形態では、リンパ腫は、ホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫から選択され、未分化大細胞リンパ腫、血管免疫芽球性リンパ腫、芽球性NK細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、バーキット様リンパ腫(小型非開裂細胞性リンパ腫)、慢性リンパ球性白血病/小リンパ球性リンパ腫、皮膚T細胞性リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、腸症型T細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、肝脾ガンマ・デルタT細胞リンパ腫、リンパ芽球性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、辺縁帯リンパ腫、鼻T細胞リンパ腫、小児リンパ腫、末梢T細胞リンパ腫、原発性中枢神経系リンパ腫、形質転換リンパ腫、治療関連T細胞リンパ腫及びヴァルデンストレームマクログロブリン血症を含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、前記方法は、被験者に第2剤又は治療法を投与することをさらに含む。いくつかの実施形態では、前記第2剤は、抗腫瘍剤又は抗癌剤を含む。いくつかの実施形態では、前記第2剤又は治療法を、前記組成物の前又は後に順次投与する。いくつかの実施形態では、前記第2剤又は治療法を、前記組成物と同時投与する。
【0024】
上記概要は、本開示の全ての態様を規定することを意図せず、追加の態様は、他のセクション、例えば以下の詳細な説明で記載される。文書全体は統合された開示として関連することが意図され、本明細書で記載される特徴の全ての組み合わせが、例えその特徴の組み合わせがこの文書の同じ文章、段落、又はセクションにおいて一緒に見られなくても、企図されることが理解されるべきである。本発明の他の特徴及び利点は、下記詳細な説明から明らかになるであろう。しかしながら、詳細な説明及び具体的な例は、本開示の具体的な実施形態を示すが、当業者にはこの詳細な説明から本開示の精神及び範囲内の様々な変更及び修正が明らかになることから、例示的なものに過ぎない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】GMPロット599-0818-003の定性ウエスタンブロットの結果を示す。
図2】GMPロット599-0718-002の定性ウエスタンブロットの結果を示す。
図3】低用量濃度サンプルのウエスタンブロットの結果を示す。
図4】低用量濃度サンプルの生物学的活性の評価結果を示す。
図5】高用量濃度サンプルのウエスタンブロットの結果を示す。
図6】高用量濃度サンプルの生物学的活性の評価結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本開示は、アグリゲイティバクター・アクチノミセテムコミタンスから単離されたロイコトキシン(LtxA)ポリペプチドの新規な組成物が、凍結乾燥、保存、再構成及び/又は更なる保存の過程を経ても、又は加速された条件下でも、長期間にわたって安定性及び生物学的活性を維持でき、そして、LtxAポリペプチドの特定の範囲の投与量及び投与計画により、それを必要とする患者の癌を治療する際に、効き目が高く、毒性が低いという予期せぬ発見に少なくとも部分的に基づくものである。
【0027】
LtxAポリペプチドの組成物
一態様において、本開示は、様々な癌の治療用の液体組成物を提供する。上記液体組成物は、アグリゲイティバクター・アクチノミセテムコミタンスから単離された、約0.1mg/ml~約0.5mg/mlのロイコトキシン(LtxA)ポリペプチド(又はタンパク質)又はその変異体/フラグメントと、約5mM~約50mMのトリスと、約100mM~約300mMのNaClと、約0.05mM~約0.5mMのCaClと、を含み、pHが約7.0~約8.0であるように配合される。
【0028】
いくつかの実施形態では、上記液体組成物は、約0.3mg/mlのLtxAポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、上記液体組成物は、約20mMのトリスと、約250mMのNaClと、約0.2mMのCaClと、を含む。いくつかの実施形態では、上記液体組成物は、pHが約7.5であるように配合される。いくつかの実施形態では、上記液体組成物は、4℃で少なくとも24時間にわたって安定性を保つように配合される。
【0029】
いくつかの実施形態では、上記LtxAポリペプチドは、アグリゲイティバクター・アクチノミセテムコミタンスのNJ4500株から単離される。いくつかの実施形態では、上記LtxAポリペプチドは、配列番号1と少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、又は配列番号1のアミノ酸配列を含む。
【0030】
別の態様において、本開示は、先行する請求項のいずれか一項に記載の液体組成物から調製された凍結乾燥組成物を提供し、該凍結乾燥組成物は、約0.2mg~約2mgのLtxAポリペプチドと、約2mg~約8mgのトリスと、約10mg~約50mgのNaClと、約0.01mg~約0.5mgのCaClと、を含み、再構成時にpHが約7.0~8.0であるように配合される。
【0031】
いくつかの実施形態では、上記凍結乾燥組成物は、約0.6mgのLtxAポリペプチドと、約4.85mgのトリスと、約29.2mgのNaClと、約0.04mgのCaClと、を含む。いくつかの実施形態では、上記凍結乾燥組成物は、再構成後にpHが約7.5であるように配合される。
【0032】
いくつかの実施形態では、上記凍結乾燥組成物は、滅菌水又は緩衝生理食塩水中で再構成される。いくつかの実施形態では、上記凍結乾燥組成物は、約0.3mg/mlのLtxAポリペプチドを含む液体組成物として再構成される。
【0033】
いくつかの実施形態では、上記凍結乾燥組成物は、-20±5℃で最高24カ月間保存された後も安定性を保つように配合される。いくつかの実施形態では、上記凍結乾燥組成物は、-20℃未満の温度で保存され、再構成され、そして、-20℃未満の温度で最高7日間保存された後も安定性を保つように配合される。いくつかの実施形態では、上記凍結乾燥組成物は、-20℃未満の温度で保存され、再構成され、そして、約4℃で最高24時間保存された後も安定性を保つように配合される。
【0034】
表1 代表的配列
【表1】
アグリゲイティバクター・アクチノミセテムコミタンスは、ヒトの口腔に存在するグラム陰性病原菌である。アグリゲイティバクター・アクチノミセテムコミタンスは、歯肉及び歯周靱帯の急速進行性破壊性の病気である限局型侵襲性歯周炎(LAP)の原因菌である。その多くの毒性因子のうち、アグリゲイティバクター・アクチノミセテムコミタンスは、RTX(repeats in toXin)ロイコトキシンを産生する。アグリゲイティバクター・アクチノミセテムコミタンスロイコトキシンは、ヒト及び旧世界霊長類の白血球を特異的に死滅させるおよそ115kDaタンパク質である。ロイコトキシン(LtxA)は、大腸菌α-ヘモリシン(HlyA)及び百日咳菌アデニル酸シクラーゼ(CyaA)を含むRTXファミリーの一員である。ロイコトキシンは、細菌が歯肉溝多形核白血球(PMN)及び単球を破壊することを助けて、局所免疫防御を抑制することにより、アグリゲイティバクター・アクチノミセテムコミタンスの病因において重要な役割を果たす。
【0035】
LtxAは、白血球機能抗原(LFA-1)を白血球(WBC)に結合させ、アポトーシス又はネクローシスによる細胞死を誘導する。LtxAは、白血病及びリンパ腫などの血液学的悪性腫瘍の特徴である活性化LFA-1が高いWBCを選択的に標的とすることを見出した。多くの場合、LtxAは、同一分子内で毒性があり、高度に特異的であるため、天然の免疫毒素を表す。人為的操作分子に対する天然型LtxAの利点は、安定性が高く、特異性が高く、毒性が低く、副作用が最小となるということである。
【0036】
LtxAは、リンパ腫などの様々な種類の血液学的悪性腫瘍から生じる白血球を、同定し、標的とし、死滅させることができるため、これらの病気を検出し治療するための理想的な薬剤である。例えば、患者からの血液は、LtxA-FITC染色を用いて分析することができる。かなりの割合の活性化WBCの発見は、患者がLtxA治療を受けるべきであることを示す。ロイコトキシン治療の有効性は、最初に病気を診断するLtxA-FITC試薬を使用することにより監視することができる。患者が治療に積極的に反応する場合、活性化表面LFA-1がアップレギュレーションされたWBCの数が減少することが見られるべきである。さらに、LtxAは、高度特異性及び標的性を有するため、副作用が少ないと予想される。LtxAは、多くの白血病及びリンパ腫細胞株を死滅させることができ、前臨床研究は、LtxAが血液学的悪性腫瘍の治療に有効な標的治療法であることを示している。非ヒト霊長類において、単一のLtxA治療が12時間後に白血球数を激減させたこと(迅速な活性発現)が発見された。重要なことには、マウスに高用量で投与されると非毒性であることを発見した。
【0037】
多くのLtxA調製物を使用することができるが、好ましくは、高純度のLtxAを使用する。例として、アグリゲイティバクター・アクチノミセテムコミタンスから精製されたLtxAポリペプチド(配列番号1)と、配列番号1の配列を有するものと実質的に同じ生物学的活性を持つ他の変異体とが挙げられる。アグリゲイティバクター・アクチノミセテムコミタンスが培養上清中に活性LtxAを分泌することが発見され(Kachlany,S.C.ら、2000、Infect Immun68:6094-100)、その効率的な精製方法は、Kachlany、S.C.ら、2002、Protein Expr Purif25:465-71において記載された。したがって、この方法は、単離又は精製されたLtxAポリペプチドを調製するために用いることができる。
【0038】
一実施例では、毒素の精製手順は、(a)単一コロニーのアグリゲイティバクター・アクチノミセテムコミタンスを新鮮な培養液に植菌し、培養物を増殖させる工程と、(b)増殖した培養物を新鮮な培養液に添加し、ガラスビーズを添加して培養する工程と、(c)培養した培養物を遠心分離し、沈殿物及び上清を生成する工程と、(d)膜を通して上清を濾過して濾過上清を得る工程と、(e)(NHSOと濾過上清を共に混合して混合物を得る工程と、(f)混合物を遠心分離して混合沈殿物を生成する工程と、(g)混合沈殿物をバッファーに再懸濁してタンパク質の再懸濁液を生成する工程と、(h)タンパク質の再懸濁液をカラムに通す工程と、(i)カラムから溶出したタンパク質を収集する工程と、を含む。また、PCT/US2006/45258(国際公開第2007/062150号)及び米国特許出願公開第20090075883(米国出願番号12/154,843)を参照されたい。これらの2つの文献は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0039】
本開示では、様々な細菌のLtxA又はその変異体を使用することができる。例えば、LtxAの形態は、(アグリゲイティバクター・アクチノミセテムコミタンスのJP2株から単離された)JP2形態及び(アグリゲイティバクター・アクチノミセテムコミタンスのNJ4500株から単離された)NJ4500形態を含む。アグリゲイティバクター・アクチノミセテムコミタンスのNJ4500株は、2011年3月2日に、受入番号PTA-11721として、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC)、ブールバード大学、マナッサス、Va.20110-2209、米国に寄託された。
【0040】
用語「ポリペプチド」、「オリゴペプチド」、「ペプチド」及び「タンパク質」は、本明細書において、任意の長さのアミノ酸のポリマーを指すために、交換可能に使用される。ポリマーは、線状であっても分岐状であってもよく、修飾アミノ酸を含んでいてもよく、非アミノ酸で中断されてもよい。上記用語はまた、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化、PEG化、又は標識成分とのコンジュゲーションのようないずれかの他の操作によって修飾されたアミノ酸ポリマーを含む。本明細書で使用される場合、用語「アミノ酸」は、グリシン及びD若しくはL光学異性体を含む、天然及び/又は非天然のアミノ酸又は合成アミノ酸、アミノ酸類似体及びペプチド模倣物を含む。
【0041】
「単離されたポリペプチド」とは、天然では結合している他のタンパク質、脂質、及び核酸から分離しているポリペプチドを指す。ポリペプチドは、精製された調製物の乾燥重量で少なくとも10%(すなわち、10%~100%の任意の割合、例えば、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%及び99%)を構成する。純度は、任意の適切な標準的方法、例えば、カラムクロマトグラフィー、ポリアクリルアミドゲル電気泳動、又はHPLC分析により測定することができる。本発明の単離されたポリペプチドは、天然源から精製し、組換えDNA技術又は化学的方法により製造することができる。LtxAの機能的等価物とは、LtxAポリペプチドのポリペプチド誘導体、例えば、1以上の点突然変異、挿入、欠失、切断、融合タンパク質、又はそれらの組み合わせを有するタンパク質を指す。それは、LtxAポリペプチドの活性、すなわち、体内の他の細胞又は器官にほとんど又はまったく毒作用を有さない一方、表面で活性化した形態のLFA-1を発現する白血球を標的とし、死滅させる能力を実質的に維持する。単離されたポリペプチドは、配列番号1又は配列番号1の機能的フラグメントを含むことができる。一般に、機能的等価物は、配列番号1と少なくとも75%(例えば、75%~100%の任意の値、例えば、70%、80%、85%、90%、95%及び99%)の同一性を有する。
【0042】
天然起源のLtxA、遺伝子操作されたLtxA、及び化学的に合成されたLtxAのすべては、本明細書に開示した発明を実施するために用いることができる。組換えDNA技術により得られたLtxAは、天然起源のLtxA(配列番号1)又はその機能的等価物と同じアミノ酸配列を有してもよい。用語「LtxA」はまた、化学的に修飾されたLtxAを含む。化学的に修飾されたLtxAの例として、糖鎖が構造変化、付加又は欠失を受けたLtxA、及びポリエチレングリコールのような化合物が結合したLtxAが挙げられる。当技術分野の周知の標準的方法で精製され検出された時点で、LtxAは、医薬組成物及び/又は生物学的組成物に加えることができる。
【0043】
本明細書に記載されるように、LtxAポリペプチドは、天然起源のポリペプチド又は組換えポリペプチドとして得ることができる。組換えポリペプチドを調製するために、それ(例えば、配列番号2)をコードする核酸は、融合パートナー、例えばグルタチオン-s-トランスフェラーゼ(GST)、6×Hisエピトープタグ、又はM13 Gene3タンパク質をコードする他の核酸と結合することができる。結果として得られた融合核酸は、適切な宿主細胞において、当技術分野の周知の方法で単離することができる融合タンパク質を発現する。単離された融合タンパク質は、融合パートナーを除去し、本開示の組換えポリペプチドを得るために、例えば、酵素消化により、さらに処理することができる。
【0044】
上述したように、LtxAタンパク質又はポリペプチドの変異体も、本開示の範囲内に含まれる。本明細書で使用される場合、用語「変異体」とは、第2分子(「親」分子とも呼ばれる)に関連する第1分子を指す。変異分子は、親分子に由来し得るか、それから単離され得るか、それに基づき得るか、又はそれと相同であり得る。本明細書で使用される場合、タンパク質の「機能的変異体」は、タンパク質の少なくとも一部の活性を維持するタンパク質の変異体を指す。機能的変異体は、多形体などを含む突然変異体(挿入、欠失又は置換突然変異体であり得る)を含んでもよい。また、機能的変異体には、このようなタンパク質と、別の、通常は無関係の核酸、タンパク質、ポリペプチド、ペプチドとの融合産物が含まれる。機能的変異体は、天然起源のものであってもよく、人造のものであってもよい。
【0045】
本明細書に使用される場合、ペプチド又はポリペプチド「フラグメント」とは、全長未満のペプチド、ポリペプチド、オリゴペプチド、又はタンパク質を指す。例えば、ペプチド、オリゴペプチド又はポリペプチドフラグメントは、長さが少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも10個、少なくとも20個、少なくとも30個、少なくとも40個のアミノ酸であってもよく、単一の単位長さであってもよい。例えば、フラグメントは、長さが6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個又はそれ以上のアミノ酸であってもよい。ペプチドフラグメントの大きさには、上限はない。しかしながら、いくつかの実施形態では、ペプチドフラグメントは、長さが約500個未満のアミノ酸、約400個未満のアミノ酸、約300個未満のアミノ酸又は約250個未満のアミノ酸であってもよい。
【0046】
本明細書で記載されるLtxAポリペプチドのアミノ酸組成物は、ポリペプチドのWBCを標的とし死滅させる能力を破壊することなく変化し得る。例えば、1つ以上の保存的アミノ酸置換を含み得る。「保存的アミノ酸置換」は、アミノ酸残基が類似の側鎖を有する別のアミノ酸残基で置換されたものである。類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、技術的に定義されている。これらのファミリーは、塩基性側鎖(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、β-分岐側鎖(例えば、スレオニン、バリン、イソロイシン)及び芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を有するアミノ酸を含む。したがって、配列番号1における予測された非本質的なアミノ酸残基は、好ましくは、同じ側鎖ファミリーからの他のアミノ酸残基で置換される。また、飽和突然変異誘発のように、配列番号1の全て又は部分で変異をランダムに導入することができ、結果として得られた突然変異体は、皮膚疾患を改善し、以下の実施例で記載される活性を維持する突然変異体を同定する能力に関するスクリーニングを行うことができる。
【0047】
本明細書で使用される場合、2つのアミノ酸配列間の相同性パーセントは、2つの配列間の同一性パーセントに相当する。2つの配列間の同一性パーセントは、2つの配列の最適なアライメントのために導入されるべきギャップの数及び各ギャップの長さを考慮して、それらの配列によって共有される同一の位置の数の関数(即ち、%同一性=同一の位置の数/位置の総数×100)である。2つの配列の配列比較及び同一性パーセントの決定は、以下の非限定的な実施例で説明されるように、数学的アルゴリズムを用いて達成することができる。
【0048】
2つのアミノ酸配列間の同一性パーセントは、ALIGNプログラムの中に組み込まれている、E.Meyers and W.Miller,Comput.Appl.Biosci 4,11-17(1988))のアルゴリズムを用いて、PAM120ウエイト残基表、12のギャップレングスペナルティ、及び4のギャップペナルティを用いて決定することができる。さらに、2つのアミノ酸配列間の同一性パーセントは、GCPソフトウェアパッケージ(www.gcg.comから入手できる)のGAPプログラムの中に組み込まれている、Needleman and Wunsch(J.Mol. Biol.48:444-453(1970))アルゴリズムを用い、Blossum62行列又はPAM250行列のいずれかを用いて、16、14、12、10、8、6若しくは4のギャップ重み、又は1、2、3、4、5若しくは6のレングス重みを用いて決定することができる。
【0049】
ポリペプチドに関して用いられる場合、用語「ホモログ」又は「相同」とは、2つのポリペプチド間の配列同一性が高いこと、又は3次元構造間の類似性が高いこと、又は活性部位と作用機序との類似性が高いことを指す。いくつかの実施形態では、ホモログは、参照配列と、60%以上の配列同一性を有し、より好ましくは、75%以上の配列同一性を有し、さらに好ましくは、90%以上の配列同一性を有する。ポリペプチドに適用される場合、用語「実質同一性」は、2つのペプチド配列がプログラムGAP又はBESTFITによりデフォルトギャップ重みを用いて最適に整列したときに、少なくとも75%の配列同一性を共有することを意味する。
【0050】
開示されたLtxAポリペプチドと有意な同一性を有する変異体、突然変異体及びホモログも、本開示の範囲内に含まれる。例えば、このような変異体及びホモログは、本明細書で記載されるLtxAポリペプチドの配列と少なくとも約70%、約71%、約72%、約73%、約74%、約75%、約76%、約77%、約78%、約79%、約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、又は約99%の配列同一性を有する。
【0051】
いくつかの実施形態では、検出可能タグは、LtxAポリペプチド又はその変異体のN末端及び/又はC末端に接合又は結合することができる。検出可能タグとアフィニティータグとは、1以上のアミノ酸により分離されてもよい。いくつかの実施形態では、検出可能タグは、切断可能成分を介して変異体に接合又は結合することができる。本発明の文脈では、用語「切断可能成分」とは、化学剤又はプロテアーゼなどの酵素手段によって切断されやすいペプチド配列を指す。プロテアーゼは、配列特異的(例えば、トロンビン)であってもよく、限定された配列特異性を有してもよい(例えば、トリプシン)。また、切断可能成分I及びIIは、検出用タグ又はポリペプチドのアミノ酸配列、特に、最後のアミノ酸がK又はRである検出用タグ又はポリペプチドのアミノ酸配列に含まれてもよい。
【0052】
本明細書で使用される場合、用語「接合」又は「コンジュゲーション」又は「結合」とは、1つのエンティティを形成するために2以上のエンティティを連結することを指す。複合体は、ペプチド-小分子複合体及びペプチド-タンパク質/ペプチド複合体の両方を含む。
【0053】
用語「融合ポリペプチド」又は「融合タンパク質」又は「融合オリゴペプチド」は、2つ以上のポリペプチド配列を結合することにより生成されたタンパク質を意味する。本発明に含まれる融合ポリペプチドは、第1ポリペプチドをコードする核酸配列と、第2ポリペプチドをコードする核酸配列とを結合させて単一のオープンリーディングフレームを形成するキメラ遺伝子構築物の翻訳産物を含む。換言すれば、「融合ポリペプチド」又は「融合タンパク質」は、ペプチド結合により又はいくつかのペプチドを介して結合した2以上のタンパク質の組換えタンパク質である。融合タンパク質はまた、2つのドメインの間にペプチドリンカーを含んでもよい。
【0054】
用語「リンカー」とは、2つ以上のエンティティを結合させるために用いられる任意の手段、エンティティ又は部分を指す。リンカーは、共有結合リンカーであってもよく、非共有結合リンカーであってもよい。共有結合リンカーの例として、共有結合、又は、結合されるタンパク質又はドメインの1つ以上に共有結合されたリンカー部位が挙げられる。また、リンカーは、非共有結合リンカーであってもよく、例えば、白金原子などの金属中心を介した有機金属結合である。共有結合のために、炭酸誘導体を含むアミド基、エーテル、有機エステル及び無機エステルを含むエステル、アミノ、ウレタン、尿素などの様々な官能基が使用され得る。結合を提供するために、ドメインは、カップリングのための部位を提供するため、酸化、水酸化、置換、還元などにより修飾され得る。接合方法は、当業者によく知られており、本発明の使用に含まれる。リンカー部位は、化学的リンカー部位、又はペプチドリンカー部位(リンカー配列)を含むが、これらに限定されない。
【0055】
いくつかの実施形態では、リンカーは、ペプチドリンカーであってもよく、非ペプチドリンカーであってもよい。ペプチドリンカーの例として、[S(G)n]m又は[S(G)n]mS(nが1~20の整数であり、mが1~10の整数である)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0056】
本明細書で使用される場合、用語「安定性」とは、タンパク質の安定性及び/又は生物学的活性(例えば、ポリペプチドのWBCを標的とし死滅させる能力)を指す。いくつかの実施形態では、本明細書で使用される場合、用語「安定性」とは、分子が例えば標的分子と結合したり、WBCを標的化したり殺したりするなど、その正常な機能活性のうちの少なくとも1つを維持するように、特定の条件(例えば、保存条件)下で折りたたまれた状態を維持する能力を指す。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、保存、凍結乾燥、又は冷凍/再冷凍の際に変性、凝集、オリゴマー形成が発生した場合、安定性が低下することがある。タンパク質安定性及びタンパク質不安定性の測定は、タンパク質完全性と同じ又は異なる態様として見ることができる。タンパク質は、熱、紫外線又は電離放射線、溶液中の場合には周囲の浸透圧モル濃度及びpHの変化、小さな孔寸法での濾過、紫外線放射、γ線照射によるような電離放射線、化学的又は熱脱水、或いはタンパク質構造の破壊を引き起こす可能性のある他の任意の作用又は力によって引き起こされる変性に対して感受性があるか、又は「不安定」である。分子の安定性は、標準方法を用いて決定することができる。例えば、分子の安定性は、標準方法を用いて、分子の半分がアンフォールディングされるセルシウス度(℃)での温度である、熱融解(「TM」)温度を測定することによって決定され得る。典型的には、TMが高いほど、分子はより安定している。熱に加えて、化学環境もまた、タンパク質が特有の三次元構造を維持する能力を変化させる。いくつかの実施形態では、タンパク質安定性は、ウエスタンブロット、質量分析(MS)、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、イムノアッセイ(例えば、ELISA)又はATPベース細胞生存率アッセイにより特徴づけられる。
【0057】
任意の適切な試薬は、組成物のpHの調整に用いられてもよい。pHの調整に用いられる典型的な試薬は、NaOH、NHOH、塩酸、酢酸、硫酸、EDTA、トリス緩衝液などのうちの1つ以上であってもよい。一実施例では、サンプルのpHは、水酸化ナトリウムなどの塩基又は塩酸などの酸を用いて調整される。本発明の医薬組成物は、適切な担体、賦形剤、及び適切な移行、送達、耐性などを提供する他の試薬と配合することができる。多くの適切な製剤は、全ての薬剤師に公知のRemington’s Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Company、Easton、Pa.処方集に見出すことができる。これらの製剤は、例えば、粉末、ペースト、軟膏、ゼリー、ワックス、オイル、脂質、小胞(例えば、LIPOFECTIN)含有脂質(カチオン性又はアニオン性)、DNA複合体、無水吸収ペースト、水中油エマルジョン、油中水エマルジョン、エマルジョンカルボワックス(様な分子量のポリエチレングリコール)、半固形ゲル、カルボワックスを含有する半固形混合物を含む。また、Powellら、PDA、(1998)、J Pharm Sci Technol、52:238~311頁も参照されたい。
【0058】
本明細書で使用される場合、用語「組成物」又は「医薬組成物」とは、本開示において有用な少なくとも1つの成分と、担体、安定剤、希釈剤、分散剤、懸濁化剤、増粘剤及び/又は賦形剤などの他の成分との混合物を指す。医薬組成物は、本発明の1つ以上の成分の生体への投与を促進する。
【0059】
医薬組成物は、一般的に、実質的に精製されたLtxAと、被験者への投与に適した形態の薬学的に許容される担体と、を含む。薬学的に許容される担体は、投与される特定の組成物によって、組成物を投与する特定の方法によって部分的に決定される。医薬組成物は、一般的に、無菌、実質的に等張、アメリカ食品医薬品局の全ての医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準(GMP)の規制に完全に準拠して製剤化される。
【0060】
用語「薬学的に許容される」、「生理学的に許容される」は、それらが組成物、担体、希釈剤及び試薬を意味する場合に交換可能に使用され、組成物の投与を禁止し得る程度の望ましくない生理学的作用をもたらすことなく、物質を被験者に投与可能であることを表す。例えば、「薬学的に許容される賦形剤」は、一般的に安全、非毒性であり、望ましい、医薬組成物の調製に有用な賦形剤を含み、獣医学的な用途に加えヒト用の医薬品用途に許容される賦形剤を含む。このような賦形剤は、固体、液体、半固体であってもよく、エアロゾル組成物の場合にはガス状であってもよい。このような担体又は希釈剤の例として、水、生理食塩水、リンガー溶液、デキストロース溶液、及び5%ヒト血清アルブミンが挙げられるが、これらに限定されない。このような薬学的活性物質の媒体及び化合物の使用は、当技術分野において周知である。従来のいずれかの媒体又は化合物は、LtxAと混合できなければ、組成物への使用が考えられる。また、追加の活性化合物は、組成物に組み込まれてもよい。
【0061】
医薬組成物は、その意図された投与経路に適合するように製剤化される。非経口、皮内、又は皮下への適用に使用される溶液又は懸濁液は、注射用水、生理食塩溶液、固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール又は他の合成溶媒などの無菌の希釈剤と、ベンジルアルコール又はメチルパラベンなどの抗菌化合物と、アスコルビン酸又は亜硫酸水素ナトリウムなどの酸化防止剤と、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)などのキレート化合物と、酢酸、クエン酸又はリン酸など緩衝液と、塩化ナトリウム又はデキストロースなどの等張性調整用化合物と、を含んでもよい。pHは、塩酸又は水酸化ナトリウムなどの酸又は塩基を用いて調整することができる。非経口調製物は、ガラス製又はプラスチック製のアンプル、使い捨て注射器又は反復投与バイアルに封入することができる。
【0062】
注射使用に適切な医薬組成物は、無菌水溶液(水溶性の場合)又は分散液、及び無菌注射用溶液及び分散液の即席調合のための無菌粉末を含む。静脈内投与の場合、適切な担体は、生理食塩水、静菌水、Cremophor EL(商標)(BASF、Parsippany、N.J.)又はリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を含む。いずれの場合も、組成物は、無菌でなければならず、かつシリンジで容易に注射できる程度まで流動性があるべきである。組成物は、製造及び保存の条件下で安定でなければならず、かつ細菌及び真菌などの微生物の汚染作用から保護されなければならない。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、及び液状ポリエチレングリコールなど)を含む溶媒又は分散媒体、並びにそれらの適切な混合物であってもよい。適切な流動性は、例えば、レシチンなどの被覆を使用して、分散液の場合には要求される粒子径を維持して、及び界面活性剤を使用して維持することができる。微生物作用の防止は、様々な抗菌及び抗真菌性化合物、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなどを用いて達成できる。多くの場合、組成物中に、糖類と、マンニトール、ソルビトールなどの多価アルコールと、塩化ナトリウムとなど、等張化合物を含めることが好ましい。注射可能組成物の長期吸収は、組成物中に吸収を遅延させる化合物、例えばモノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンを含めることによって達成できる。
【0063】
無菌の注射可能溶液は、必要に応じて、上記に列挙した成分の1つ又は組み合わせと一緒に、適切な溶媒中の必要量のLtxAを組み込むことにより調製することができる。一般的に、分散液は、塩基性分散媒体を含む無菌ビヒクル及び以上に列挙したものから所要の他の成分中にLtxAを組み込んで調製される。無菌の注射可能溶液の調製用の無菌粉末の場合、その調製方法は、あらかじめ滅菌ろ過したその溶液から、活性成分と任意の追加の所望の成分を含む粉末を生成する真空乾燥及び凍結乾燥である。LtxAは、デポー注射又はインプラント製剤の形態で投与することができ、活性成分の持続放出又は脈動放出を可能にするように製剤化され得る。
【0064】
本開示は、本明細書に記載の液体組成物又は凍結乾燥組成物を含み、例えば、患者の腫瘍の増殖を治療又は抑制するためのキットも、本開示の範囲内に含まれる。いくつかの実施形態では、キットはまた、組成物を含有する容器を含み、任意に、情報資料を含む。情報資料は、本明細書に記載の方法及び/又は治療的有用性のための薬剤の使用に関連する説明資料、指導資料、マーケティング資料又は他の資料であってもよい。一実施形態では、本明細書で記載されるように、キットはまた、他の治療薬を含む。例えば、キットは、組成物を含有する第1容器と、他の治療薬を含有する第2容器とを含む。
【0065】
キットの情報資料は、その形態が限定されない。いくつかの実施形態では、情報資料は、組成物の調製、濃度、有効期限、バッチ又は製造地情報などに関する情報を含んでもよい。一実施形態では、情報資料は、組成物を投与する方法、例えば、該組成物を必要とする被験者を治療するために、適切な用量、剤形又は投与形態(例えば、本明細書に記載の用量、剤形又は投与形態)で投与する方法に関する。一実施形態では、指導資料は、組成物又は他の治療薬を投与する投与計画、投与量、及び/又は経路を提供する。情報は、印刷されたテキスト、コンピュータ可読資料、映像記録若しくは音声記録、又は実質的な資料へのリンク若しくはアドレスを含む情報を含む様々な形式で提供することができる。
【0066】
キットは、1つ以上の組成物用容器を含んでもよい。いくつかの実施形態では、キットは、組成物及び情報資料のために、別個の容器、仕切り又は区画を含む。例えば、組成物を瓶又はバイアルに入れ、情報資料をプラスチックスリーブ又はパケットに入れることができる。他の実施形態では、キットの別個の要素を分割されていない単一容器に入れる。例えば、組成物を、情報資料がラベルの形で貼り付けてある瓶又はバイアルに入れる。いくつかの実施形態では、キットは、複数(例えば、1パックの)の個々の容器を含み、各容器が薬剤の1つ以上の単位剤形(例えば、本明細書に記載の剤形)を含む。
【0067】
キットは、任意に、組成物の投与に適切な装置、又は他の適切な送達装置を含む。装置は、一方又は両方の薬剤が予め充填されてもよく、充填に適切であれば空でもよい。このようなキットは、任意に、キットに含まれる抗体をヒトなどの動物に注射することができる注射器を含んでもよい。
【0068】
癌の治療方法
また別の態様において、本開示は、腫瘍の増殖を治療し、遅延させるか又は抑制する方法を含む。いくつかの実施形態では、本開示は、腫瘍増殖抑制、癌退縮、及び/又は癌アポトーシスの誘導を促進する方法を含む。いくつかの実施形態では、本開示は、腫瘍細胞量を減少させるか、又は腫瘍量を減少させる方法を含む。いくつかの実施形態では、本開示は、腫瘍の再発、抵抗、ぶり返し及び/又は難治を防止する方法を含む。
【0069】
一態様において、本開示は、被験者の癌の治療方法を提供する。上記方法は、治療有効量の本明細書に記載の液体組成物を被験者に投与することを含み、上記液体組成物の治療有効量は、被験者の体重に基づいて、約1μg/kg~約1200μg/kg(例えば、1.4、2、4、6、8、10、20、40、60、80、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1100、1200μg/kg)である。
【0070】
いくつかの実施形態では、上記液体組成物の治療有効量は、被験者の体重に基づいて、約1.4μg/kgである。いくつかの実施形態では、上記液体組成物の治療有効量は、被験者の体重に基づいて、約1020μg/kgである。
【0071】
本発明の医薬組成物の用量は、年齢、体重、皮膚表面積、一般的健康状態、性別、規定食、投与時間、投与方法、クリアランス率、及び/又は、その時点で患者が治療を受けている病気のレベルに応じて決定されるか、又は他の要因を考慮して決定される。本発明の化合物の1日量は、患者の状態及び体重、化合物の種類、投与経路などによって異なり、例えば、皮下投与、静脈内投与、筋肉内投与、経皮投与、経眼投与、経肺気管支又は経鼻投与により、0.001~100mg/患者/日、非経口的に投与される。入手可能な化合物の多様性及び様々な投与経路の有効性の違いを考えると、必要用量が変化することが予想される。当技術分野でよく理解されるように、これらの用量レベルにおける変化を、最適化のために、標準的な経験的ルーチンを使用して調整することができる。適切な送達ビヒクル(例えば、高分子微粒子又は埋め込み型装置)に化合物を封入することにより、送達効率を向上させることができる。
【0072】
経口投与剤形は、カプセル、錠剤、乳剤、水性懸濁液、分散液及び液剤を含んでもよい。錠剤の場合、通常用いられる担体は、ラクトース及びコーンスターチを含むが、これらに限定されない。また、ステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤も通常添加されるが、これに限定されない。カプセル形態で経口投与される場合、有用な希釈剤は、ラクトース及び乾燥コーンスターチを含むが、これらに限定されない。水性懸濁液又は乳剤を経口投与する場合、活性成分は、乳化剤又は懸濁化剤と組み合わせた油性相に懸濁又は溶解することができる。必要に応じて、特定の甘味剤、香味剤、着色剤などを添加することができる。いくつかの実施形態では、単回投与又は分割投与で経口投与される経口用量範囲は、約1.0~約100mg/kg体重であり、約1.0~約50mg/kg体重、約1.0~約25mg/kg体重、約1.0~約10mg/kg体重を含む(平均体重がおよそ70kgであると仮定し、平均体重より大きいか又は小さい人に対して、それに応じて値を調整する)。経口投与の場合、組成物は、治療中の被験者に対する用量の対症調整のために、例えば、約50~約1000mgの活性成分、特に約75mg、約100mg、約200mg、約400mg、約500mg、約600mg、約750mg、又は約1000mgの活性成分を含有する錠剤の形態で提供される。
【0073】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、癌の性質に応じて、連続投与又は間欠投与を含み得る様々な方法で被験者に投与される。医薬組成物は、経口投与、静脈内投与、動脈内投与、筋肉内投与、結腸内投与、頭蓋内投与、くも膜下投与、脳室内投与、尿道内投与、膣内投与、皮下投与、眼内投与、鼻腔内投与及びそれらの任意の組み合わせからなる群から独立して選択された経路により投与されてもよい。それに応じて、薬学的に有効な組成物は、薬学的に許容される添加剤、担体又は賦形剤を含んでもよい。このような医薬組成物は、固体又は液体での経口投与用、注射用又は直腸投与用に当技術分野の周知の標準的方法に従って特別に製剤化された非毒性の薬学的に許容される1つ以上の担体と一緒に製剤化される活性成分を含んでもよい。
【0074】
用語「非経口」投与とは、静脈内、筋肉内、腹腔内、嚢内、足根内、皮下、関節内注射及び点滴静注を含む投与方法を指す。注射可能混合物は、当技術分野で周知であり、薬学的に許容される無菌の水溶液又は非水溶液、分散液、懸濁液又は乳剤、並びに使用直前に無菌の注射可能溶液又は分散液に再構成するための無菌粉末を含む。適切な水性及び非水性の担体、希釈剤、溶媒又はビヒクルの例として、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、植物油(例えば、オリーブ油)、注射可能有機エステル(例えば、オレイン酸エチル)及びそれらの適切な混合物が挙げられる。
【0075】
いくつかの実施形態では、上記液体組成物を、被験者の静脈内、皮下、又は腹腔内に投与する。
【0076】
いくつかの実施形態では、上記液体組成物を、静脈内注射により投与する。いくつかの実施形態では、上記液体組成物を、静脈内注射により、1~10時間(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10時間)にわたって投与する。いくつかの実施形態では、上記液体組成物を、静脈内注射により、3~4時間(+/-15分)にわたって投与する。いくつかの実施形態では、上記液体組成物を、静脈内注射により、1~2時間(+/-15分)にわたって投与する。
【0077】
いくつかの実施形態では、上記液体組成物を、徐放剤形、制御放出剤形、遅延放出剤形で被験者に投与する。
【0078】
リポソーム、微粒子、マイクロカプセル、変異ウイルスを発現可能な組換え細胞での封入、受容体を介した飲食作用などの様々な送達系が知られており、本開示の医薬組成物の投与に使用することができる(例えば、Wuら、1987、J.Biol.Chem.262:4429-4432を参照されたい)。投与方法は、膀胱内投与、皮内投与、筋肉内投与、腫瘍内投与、腹腔内投与、静脈内投与、皮下投与、鼻腔内投与、硬膜外投与、及び経口経路を含むが、これらに限定されない。組成物は、任意の便利な経路で投与されてもよく、例えば、点滴静注又はボーラス注入、上皮又は皮膚粘膜(例えば、口腔粘膜、直腸粘膜、腸粘膜など)からの吸収により投与されてもよく、他の生物学的に活性な薬剤と一緒に投与されてもよい。
【0079】
本明細書で使用される場合、用語「被験者」は、用語「患者」と交換可能に使用されてもよい。表現「それを必要とする被験者」は、癌の1つ以上の症状又は兆候を示し、及び/又は癌と診断されたヒト又は非ヒト哺乳動物を意味する。いくつかの実施形態では、ヒトの被験者は、原発腫瘍又は転移性腫瘍と診断され、及び/又は、1つ以上の症状又は兆候を示し、1つ以上の症状又は兆候は、リンパ節腫大、腹部膨張、胸痛/胸部圧迫感、原因不明の体重減少、発熱、寝汗、持続性疲労、食欲不振、脾臓腫大、掻痒などを含むが、これらに限定されない。上記表現は、中毒性副作用を有する化学療法を1回以上受けた患者を含む。いくつかの実施形態では、表現「必要な被験者」は、治療されたが、その後に再発又は転移した癌患者を含む。例えば、腫瘍退縮につながる1つ以上の抗癌剤を用いた治療を受けたが、その後、1つ以上の抗癌剤に対して耐性を有する癌(例えば、化学療法抵抗性癌)が再発した患者を、本開示の方法で治療する。
【0080】
本明細書で使用される場合、用語「治療」、「治療する」などは、少なくとも1つの症状又は兆候の重症度を緩和又は低減すること、一時的又は永続的に症状の原因を排除すること、腫瘍の増殖を遅延又は抑制すること、腫瘍細胞量又は腫瘍量を減少させること、腫瘍退縮を促進すること、腫瘍の縮小、壊死及び/又は消失を引き起こすこと、腫瘍再発を防止すること、転移を予防又は抑制すること、転移性腫瘍増殖を抑制すること、放射線又は手術の必要性を排除すること、及び/又は被験者の生存期間を延長することを意味する。
【0081】
用語「有効量」、「有効用量」又は「有効薬量」は、所望の効果を得るか又は少なくとも部分的に得るのに十分な量であると定義される。医薬品又は治療薬の「治療有効量」又は「治療有効薬量」は、単独で又は別の治療薬と組み合わせて使用される場合、病気症状の重症度の低下、病気無症状期間の発生頻度及び持続時間の増加から明らかな疾患の退行、又は病気の罹患による機能障害又は身体障害の予防を促進する医薬品の任意の量である。医薬品の「予防的有効量」又は「予防的有効薬量」は、病気の発症又は病気の再発の危険がある被験者に単独で又は別の治療薬と組み合わせて投与される場合、病気の発症又は再発を抑制する医薬品の量である。治療薬又は予防薬が病気退行を促進するか又は病気の発症又は再発を抑制する能力は、当業者に公知の様々な方法を使用して評価することができ、そのような評価は、臨床試験中にヒト被験者において行われ、ヒトでの薬効を予測する動物モデル系において行われるか、又はインビトロアッセイにおいて薬剤の活性をアッセイすることによって行われる。
【0082】
多くの実施形態において、用語「腫瘍」、「病変」、「腫瘍病変」、「癌」、「悪性腫瘍」は、交換可能に使用され、1つ以上の癌性増殖を意味する。いくつかの実施形態では、上記癌は、任意のLFA-1-発現腫瘍であり得る。いくつかの実施形態では、上記癌は、副腎腫瘍、胆管癌、膀胱癌、脳腫瘍、乳癌、上皮性悪性腫瘍、中枢又は末梢神経系組織癌、子宮頸癌、結腸癌、内分泌又は神経内分泌癌、造血癌、食道癌、線維腫、消化管癌、神経膠腫、頭頸部癌、リー・フラウメニ腫瘍、肝臓癌、肺癌、白血病、リンパ腫、黒色腫、髄膜腫、多発性神経内分泌I型及びII型腫瘍、上咽頭癌、口腔癌、口腔咽頭癌、骨肉腫、卵巣癌、膵臓癌、膵島細胞癌、副甲状腺癌、褐色細胞腫、下垂体部腫瘍、前立腺癌、直腸癌、腎臓癌、呼吸器癌、非上皮性悪性腫瘍、皮膚癌、胃癌、睾丸癌、甲状腺癌、気管癌、泌尿生殖器癌及び子宮癌から選択される。
【0083】
いくつかの実施形態では、上記癌は、白血病及びそのサブタイプである。例えば、白血病は、リンパ球由来又は骨髄性由来の急性白血病又は慢性白血病であってもよく、例えば、急性リンパ性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、若年性骨髄単球性白血病(JMML)、ヘアリー細胞白血病(HCL)、急性前骨髄球性白血病(AMLのサブタイプ)、大型顆粒リンパ球白血病又は成人型T細胞慢性白血病を含むが、これらに限定されない。一実施形態では、患者は、未分化AML(M0)、骨髄芽球性白血病(M1:最小限の細胞成熟を有する/有さない)、骨髄芽球性白血病(M2:細胞成熟を有する)、前骨髄球性白血病(M3又はM3変異型[M3V])、骨髄単球性白血病(M4又は好酸球増加症を有するM4変異型[M4E])、単球性白血病(M5)、赤白血病(M6)又は巨核芽球性白血病(M7)などの急性骨髄性白血病を患う。
【0084】
リンパ腫は、活性化LFA-1を発現するリンパ腫細胞を含み、ロイコトキシンは、リンパ腫細胞上の活性化LFA-1と結合し、アポトーシス又はネクローシスによりリンパ腫細胞を破壊することにより、リンパ腫を治療し得る。いくつかの実施形態では、リンパ腫は、ホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫から選択され、未分化大細胞リンパ腫、血管免疫芽球性リンパ腫、芽球性NK細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、バーキット様リンパ腫(小型非開裂細胞性リンパ腫)、慢性リンパ球性白血病/小リンパ球性リンパ腫、皮膚T細胞性リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、腸症型T細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、肝脾ガンマ・デルタT細胞リンパ腫、リンパ芽球性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、辺縁帯リンパ腫、鼻T細胞リンパ腫、小児リンパ腫、末梢T細胞リンパ腫、原発性中枢神経系リンパ腫、形質転換リンパ腫、治療関連T細胞リンパ腫及びヴァルデンストレームマクログロブリン血症を含む。
【0085】
いくつかの実施形態では、本開示の方法は、被験者に第2剤又は治療法を投与することをさらに含む。抗腫瘍療法は、化学療法、放射線、手術などの従来の抗腫瘍療法、又は本明細書に記載の他の療法を含むが、これらに限定されない。上記第2剤又は治療法は、抗腫瘍効果を向上させるため、1つ以上の治療法の毒性を低減するため、及び/又は1つ以上の治療法の投与量を低減するために投与されてもよい。
【0086】
いくつかの実施形態では、上記第2剤は、化学療法薬を含んでもよい。化学療法薬の非限定的な例として、イダルビシン、シタラビン、エトポシド、ダウノルビシン、ミトキサントロン及びメルファランが挙げられる。白血病及びリンパ腫を治療する他の一般的な化学療法剤は、クロラムブシル、フルダラビンリン酸エステル、シタラビン及び塩酸ダウノルビシンを含む。これらの医薬品は、ヒトに対して毒性が高く、体内の多くの異なる組織及び器官系に影響を与えるという共通の性質を有する。骨髄抑制、深刻な神経学的副作用、不妊、肺疾患、胃腸影響は、これらの医薬品に生じるいくつかの副作用である。これらの医薬品の多くは、全ての分裂細胞が進行する過程であるDNA合成を抑制して作用する。これらの非特異的な薬剤は、体内のほとんどの細胞を標的とする。任意の適切な医薬品は、LtxAと併せて使用されてもよく、医薬品とロイコトキシンとの組み合わせは、患者において有効な効果を達成するために必要な薬剤の用量を低減することを目的とする。
【0087】
いくつかの実施形態では、第2剤又は治療法は、放射線、手術、癌ワクチン、イミキモド、抗ウイルス薬(例えば、シドフォビル)、光線力学的療法、任意の免疫チェックポイント分子、CTLA4、PD-1/PD-L1経路阻害剤(例えば、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体)、リンパ球活性化遺伝子3(LAG3)阻害剤(例えば、抗LAG3抗体)、グルココルチコイド誘導腫瘍壊死因子受容体(GITR)作動薬(例えば、抗GITR抗体)、T細胞免疫グロブリン及びムチン含有3(TIM3)阻害剤、B及びTリンパ球アテニュエータ(BTLA)阻害剤、Ig及びITIMドメインを有するT細胞免疫受容体(TIGIT)阻害剤、CD38阻害剤、CD47阻害剤、インドールアミン-2,3-ジオキシゲナーゼ(IDO)阻害剤、CD28活性剤、血管内皮増殖因子(VEGF)拮抗薬(例えば、アフリベルセプトなどの「VEGF-Trap」、又は抗VEGF抗体若しくはその抗原結合性フラグメント(例えば、ベバシズマブ又はラニビズマブ)、又はVEGF受容体の小分子キナーゼ阻害剤(例えば、スニチニブリンゴ、ソラフェニブトシル又はパゾパニブ))、アンジオポイエチン2(Ang2)阻害剤、形質転換増殖因子ベータ(TGFβ)阻害剤、上皮成長因子受容体(EGFR)阻害剤、腫瘍特異性抗原(例えば、CA9、CA125、メラノーマ関連抗原3(MAGE3)、癌胎児性抗原(CEA)、ビメンチン、腫瘍M2-PK、前立腺特異抗原(PSA)、ムチン1、MART-1及びCA19-9)に対する抗体、カルメット・ゲラン菌(BCG)治療法、ワクチン(例えば、カルメット・ゲラン菌(BCG))、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、第2腫瘍溶解性ウイルス、細胞毒素、化学療法剤(例えば、ペメトレキセド、ダカルバジン、テモゾロマイド、シクロホスファミド、ドセタキセル、ドキソルビシン、ダウノルビシン、シスプラチン、カルボプラチン、ゲムシタビン塩酸塩、メトトレキサート、ミトキサントロン、オキサリプラチン、パクリタキセル、トポテカン、イリノテカン、ビノレルビン酒石酸塩及びビンクリスチン)、IL-6R阻害剤、IL-4R阻害剤、IL-10阻害剤、IL-2、IL-7、IL-12及びIL-21などのサイトカイン、抗体薬物複合体、コルチコステロイドなどの抗炎症薬、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)、凍結療法、抗HPV療法、レーザー療法、HPV細胞の電気外科的切除、及びそれらの組み合わせのうちの1つ以上を含んでもよい。
【0088】
いくつかの実施形態では、上記方法は、抗癌剤などの第2剤を投与することをさらに含む。本明細書で使用される場合、抗癌剤は、癌の治療に有用な任意の薬剤を意味し、細胞毒素、代謝拮抗剤などの薬剤、アルキル化剤、アントラサイクリン、抗生物質、抗有糸分裂薬、プロカルバジン、ヒドロキシウレア、アスパラギナーゼ、コルチコステロイド剤、ミトタン(O,P’-(DDD))、生物製剤(例えば、抗体、インターフェロンなど)及び放射性医薬品を含むが、これらに限定されない。本明細書で使用される場合、「細胞毒素又は細胞毒性薬」はまた、化学療法剤を指し、細胞に有害な任意の薬剤を意味する。例として、タクソール(パクリタキセル)、テモゾロマイド、サイトカラシンB、グラミシジンD、エチジウムブロマイド、エメチン、シスプラチン、マイトマイシン、エトポシド、テニポシド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ジヒドロキシアントラセンジオン、ミトキサントロン、ミトラマイシン、アクチノマイシンD、1-ジヒドロテストステロン、グルココルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール、ピューロマイシン、及びそれらの類似体又はホモログが挙げられる。
【0089】
いくつかの実施形態では、上記第2剤又は治療法を、上記組成物の前又は後に投与する。いくつかの実施形態では、前記第2剤又は治療法を、前記組成物と同時投与する。
【0090】
本明細書で使用される場合、用語「と組み合わせ」は、LtxAポリペプチドと第2剤(例えば、治療薬)又は治療法との順次投与又は同時投与を含む。例えば、第2剤又は治療法の「前」に投与される場合、1つ以上の用量のLtxAポリペプチドを投与する前に、約12週間、約11週間、約10週間、約9週間、約8週間、約7週間、約6週間、約5週間、約4週間、約3週間、約2週間、約150時間、約150時間、約100時間、約72時間、約60時間、約48時間、約36時間、約24時間、約12時間、約10時間、約8時間、約6時間、約4時間、約2時間、約1時間、約30分、約15分又は約10分以上の前に1つ以上の用量のLtxAポリペプチドを投与してもよい。
【0091】
第2剤又は治療法の「後」に投与される場合、IL-15ポリペプチドを投与した後、約12週間、約11週間、約10週間、約9週間、約8週間、約7週間、約6週間、約5週間、約4週間、約3週間、約2週間、約150時間、約150時間、約100時間、約72時間、約60時間、約48時間、約36時間、約24時間、約12時間、約10時間、約8時間、約6時間、約4時間、約2時間、約1時間、約30分、約15分又は約10分の後にLtxAポリペプチドを投与してもよい。
【0092】
第2剤又は治療法と「同時投与される」ことは、第2剤又は治療法の投与から10分以内(その前、その後、又はそれと同時)に別の剤形でLtxAポリペプチドを被験者に投与すること、又は、LtxAポリペプチドと第2剤又は治療法との両方を含む単一の併用投与製剤として被験者に投与することを意味する。
【0093】
いくつかの実施形態では、治療は、腫瘍増殖の遅延、腫瘍細胞数の減少、腫瘍退縮、予防又は腫瘍再発の遅延、生存率の上昇、部分反応、及び完全縮小から選択された1つ以上の治療効果を生み出す。いくつかの実施形態では、未治療の患者の腫瘍増殖に比べて、患者の腫瘍増殖は、少なくとも10日遅延される。いくつかの実施形態では、未治療の患者に比べて、腫瘍増殖は、少なくとも20%(例えば、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%、少なくとも200%、少なくとも300%)抑制される。
【0094】
LtxAポリペプチドを含む医薬組成物は、例えば、標準的な針及び注射器により腫瘍内、膀胱内、皮下、腹腔内又は静脈内に送達することができる。また、皮下送達に関して、ペン送達装置は、本開示の医薬組成物を送達するのに容易に適用されている。このようなペン送達装置は、再利用可能又は使い捨て可能であり得る。再利用可能なペン送達装置は、一般的に、医薬組成物を含有する交換可能なカートリッジを利用する。いったん、カートリッジ内の医薬組成物が全て投与され、カートリッジが空になると、この空のカートリッジは、容易に廃棄することができ、医薬組成物を含有する新しいカートリッジと容易に交換することができる。次に、ペン送達装置は、再利用することができる。使い捨てペン送達装置において、交換可能なカートリッジはない。むしろ、使い捨てペン送達装置は、この装置内の貯蔵器の中に保持された医薬組成物が事前に充填されている。いったん、貯蔵器が医薬組成物に関して空になると、装置全体が廃棄される。
【0095】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、制御放出系で送達することができる。一実施形態では、ポンプが使用されてもよい。別の実施形態では、ポリマー材料が使用されてもよい(例えば、Medical Applications of Controlled Release、Langer and Wise(eds.)、1974、CRC Pres.、Boca Raton,Fla.を参照されたい)。また別の実施形態では、制御放出系を組成物の標的の近傍に配置することができ、それによって全身用量のほんの一部のみが必要となる。(例えば、Goodson、1984、in Medical Applications of Controlled Release、supra、vol.2、pp.115-138を参照されたい)。他の制御放出系は、Langer、1990、Science249:1527-1533による総説で論じられている。
【0096】
注射可能調製物には、静脈内注射、皮下注射、皮内注射及び筋肉内注射、点滴注入などのための剤形を含んでもよい。これらの注射可能調製物は、周知の方法で調製され得る。例えば、注射可能調製物は、例えば、注射用に従来どおり使用される無菌の水性媒体又は油性媒体に上記抗体又はその塩を溶解、懸濁又は乳化させることにより調製され得る。注射用水性媒体として、例えば、生理食塩水、グルコース含有等張液、及び他の補助剤などが挙げられ、これらは、アルコール(例えば、エタノール)、多価アルコール(例えば、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール)、非イオン性界面活性剤[例えば、ポリソルベート80、HCO-50(水素化ヒマシ油のポリオキシエチレン(50モル)付加物)]などの適切な可溶化剤と組み合わせて使用されてもよい。油性媒体として、例えば、ゴマ油、ダイズ油などが使用され、安息香酸ベンジル、ベンジルアルコールなどの可溶化剤と組み合わせて使用されてもよい。このように調製された注射剤は、好ましくは、適切なアンプルに充填される。
【0097】
有利なことに、上述した経口用又は非経口用の医薬組成物は、活性成分の用量に適合するのに適した単位用量の剤形に調製される。このような単位用量の剤形は、例えば、錠剤、ピル、カプセル、注射剤(アンプル)、坐薬などを含む。
【0098】
追加定義
本開示に係る組成物及び方法の詳細な説明の理解を助けるために、本開示の様々な態様を明らかに開示するいくつかの表現定義は、提供される。特に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。
【0099】
本明細書で使用される場合、用語「組換え」とは、本開示のLtxAポリペプチドがDNAスプライシング及びトランスジェニック発現などを含む組換えDNA技術として公知の技術又は方法で生成、発現、単離又は取得されることを指す。上記用語とは、抗体が非ヒト哺乳動物(遺伝子組換え非ヒト哺乳動物、例えば、遺伝子組換えマウスを含む)又は細胞(例えば、CHO細胞)の発現系で発現すること、又は組換え完全ヒト抗体ライブラリーから単離されることを指す。
【0100】
「核酸」又は「ポリヌクレオチド」とは、DNA分子(例えば、cDNA又はゲノムDNAであるが、これらに限定されない)、又はRNA分子(例えば、mRNAであるが、これに限定されない)を指し、DNA又はRNA類似体を含む。DNA又はRNA類似体は、ヌクレオチド類似体から合成することができる。DNA又はRNA分子は、修飾塩基、修飾骨格、RNAのデオキシリボヌクレオチドなどの天然に存在しない部分を含んでいてもよい。核酸分子は、一本鎖であってもよく、二本鎖であってもよい。
【0101】
用語「実質同一性」又は「実質的に同一」は、核酸又はそのフラグメントに関する場合、適切なヌクレオチド挿入又は欠失を用いて別の核酸(又はその相補鎖)と最適に整列されたとき、後述するFASTA、BLAST又はGAPなどの任意の周知のアルゴリズムで測定するように、ヌクレオチド塩基の少なくとも90%、より好ましくは、少なくとも95%、96%、97%、98%又は99%においてヌクレオチド配列同一性を有することを示す。参照核酸分子と実質同一性を有する核酸分子は、場合によっては、参照核酸分子によってコードされるポリペプチドと同一又は実質的に類似するアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードしてもよい。
【0102】
本明細書で使用される場合、用語「病気」は、一般的に同義であることを意図しており、いずれも正常な機能を妨げるヒト又は動物体若しくはその一部の異常状態(例えば、炎症性疾患)を反映する用語「障害」及び「疾患」(身体疾患)と交換可能に使用され、典型的には、特徴的な兆候又は症状を呈し、ヒト又は動物に生存又は生活の質を低下させる。
【0103】
本明細書では、用語「低下し」、「減少し」、「減少」、「低下」、「抑制」は、いずれも一般的に、統計的に有意な量の減少を意味する。しかしながら、疑われないように、「減少し」、「減少」又は「低下」又は「抑制」は、基準レベルに比べて、約少なくとも10%低下し、例えば、約少なくとも20%、約少なくとも30%、約少なくとも40%、約少なくとも50%、約少なくとも60%、約少なくとも70%、約少なくとも80%、約少なくとも90%、又は100%まで減少し(例えば、基準サンプルに比べて消失する)、或いは、基準レベルに比べて10~100%の間の任意の値だけ減少することを意味する。
【0104】
本明細書で使用される場合、用語「薬剤」は、化合物、化合物の混合物、生体高分子(例えば、核酸、抗体、タンパク質、又はその一部、例えばペプチド)、又は細菌、植物、真菌又は動物(特に哺乳動物)細胞若しくは組織などの生体物質から作られる抽出物を意味する。このような薬剤の活性により、薬剤が、被験者において局所的に又は全身的に作用する生物学的、生理学的又は薬理学的な1つ(又は複数)の活性物質である治療薬として適切であり得る。
【0105】
本明細書で使用される場合、用語「治療薬」、「治療可能薬剤」又は「治療薬剤」は、交換可能に使用され、被験者に投与される時にいくつかの有益な効果を与える分子又は化合物を指す。有益な効果は、診断上の判定の可能性と、病気、症状、障害又は病態の改善と、病気、症状、障害又は病態の発症の軽減又は予防と、一般的に、病気、症状、障害又は病態の中和と、を含む。
【0106】
用語「治療効果」は、当技術分野において承認され、薬理学的活性物質により引き起こされる動物、特に哺乳動物、より特にヒトにおける局所的又は全身的な効果を指す。
【0107】
用量は、体重との関連で表現されることが多い。したがって、[g、mg又は他の単位]/kg(又はg、mgなど)として表される用量は、「体重」という用語が明記されていなくても、通常、kg(又はg、mgなど)体重当たりの[g、mg又は他の単位]を指す。
【0108】
本明細書で使用される場合、用語「薬学的に許容される」とは、生物学的活性又は組成物の性質を阻害せず、比較的毒性のない材料、例えば、担体又は希釈剤などを指し、該材料は、望ましくない生物学的効果を生じさせることなく、又は含まれる組成物のいずれかの成分と有害な方式で相互作用することなく、個体に投与することができる。
【0109】
本明細書で使用される場合、用語「薬学的に許容される担体」は、本開示の化合物を、目的とする機能を発揮するように被験者内に保持するか又は被験者に輸送するのに関与する、液体又は固体の充填剤、希釈剤、賦形剤、溶媒又は封入材料などの、薬学的に許容される塩、薬学的に許容される材料、組成物又は担体を含む。典型的には、このような化合物は、ある器官又は身体の部分から別の器官又は身体の部分に、運ばれるか又は輸送される。各塩又は担体は、製剤の他の成分と適合性があり、かつ被験者にとって有害ではないという意味で「許容される」ものでなければならない。薬学的に許容される担体として機能する材料のいくつかの例として、ラクトース、グルコース及びサッカロースなどの糖類と、コーンスターチ及びジャガイモデンプンなどのデンプンと、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース及び酢酸セルロースなどのセルロース及びその誘導体と、トラガント粉末と、麦芽と、ゼラチンと、タルクと、ココアバター及び坐剤用ワックスなどの賦形剤と、落花生油、綿実油、サフラワー油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油及びダイズ油などの油と、プロピレングリコールなどのグリコールと、グリセリン、ソルビトール、マンニトール及びポリエチレングリコールなどのポリオールと、オレイン酸エチル、ラウリン酸エチルなどのエステルと、寒天と、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムなどの緩衝剤と、アルギン酸と、パイロジェンフリー水と、等張食塩水と、
リンガー溶液と、エチルアルコールと、リン酸緩衝液と、希釈剤と、造粒剤と、潤滑剤と、バインダーと、崩壊剤と、湿潤剤と、乳化剤と、着色剤と、離型剤と、コーティング剤と、甘味剤と、香味剤と、賦香剤と、防腐剤と、酸化防止剤と、可塑剤と、ゲル化剤と、増粘剤と、硬膜剤と、硬化剤と、保湿剤と、担体と、安定剤と、医薬配合物に使用される他の無毒性の適合性物質と、それらの組み合わせとが挙げられる。本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される担体」はまた、本開示の1つ以上の成分と適合性があり、被験者が生理学的に許容する、いかなるコーティング剤、抗菌剤、抗真菌薬及び吸収遅延剤などを含む。また、追加の活性化合物は、組成物に組み込まれてもよい。
【0110】
本明細書で使用される場合、文脈から明らかではない限り、「併用」療法とは、2つ以上の治療薬を協調的に投与することを含むことを意味し、同時投与を含むが、これに限定されない。具体的には、併用療法は、一方の治療薬の投与が他方の治療薬の投与の上で何らかの方法で調節されることを条件として、共投与(例えば、共製剤の投与又は個別の治療用組成物の同時投与)と、連続投与又は順次投与との両方を含む。例えば、一方の治療薬は、異なる治療薬を投与して所定時間作用させた後に投与されてもよい。Kohrtら(2011)Blood 117:2423を参照されたい。
【0111】
本明細書で使用される場合、「投与」とは、治療薬を含む組成物を、当業者に周知の様々な方法及び送達系を用いて、被験者の身体に導入することを指す。本明細書に記載の抗体の投与経路の例として、静脈内、腹腔内、筋肉内、皮下、腫瘍内、膀胱内、脊髄、又は注射若しくは注入による他の非経口的投与経路が挙げられる。本明細書で使用される場合、語句「非経口投与」は、腸内投与及び局所投与以外の、通常注射による投与形態を意味し、静脈内、腹腔内、筋肉内、動脈内、鞘内、リンパ管内、病巣内、関節包内、眼窩内、心臓内、皮内、気管内、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、髄腔内、硬膜外、胸骨下注入又は点滴、インビボのエレクトロポレーションを含むが、これらに限定されない。また、本明細書に記載の抗体は、局所、表皮、粘膜などの非経口的経路を介して、例えば、鼻腔内、経口で、経膣的に、直腸に、を舌下で又は局所的に投与することができる。投与はまた、例えば、1回、複数回、及び/又は1つ以上の長時間にわたって行うことができる。
【0112】
本明細書で使用される場合、用語「共投与」又は「共投与され」とは、少なくとも2つの剤又は治療法を被験者に投与することを指す。いくつかの実施形態では、2つ以上の薬剤/治療法の同時投与は、同時である。他の実施形態では、第1剤/治療法は、第2剤/治療法の前に投与される。当業者であれば、配合、及び/又は使用する様々な薬剤/治療法の投与経路は、変化してもよいことを理解されたい。
【0113】
本明細書で使用される場合、用語「インビトロ」とは、多細胞生物内ではなく、試験管又は反応槽、細胞培養などの人工環境で発生する事象を指す。
【0114】
本明細書で使用される場合、用語「インビボ」とは、非ヒト動物などの多細胞生物内で発生する事象を指す。
【0115】
本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈上明らかに別段の指示がない限り、複数のものを含む。
【0116】
本明細書で使用される場合、用語「含み(including)」、「含む(comprising)」、「含有(containing)」、「有する(having)」及びそれらの変形は、特に明示しない限り、以下に列挙される事項及びそれらの均等物並びに更なる事項を包含することを意味する。
【0117】
本明細書で使用される場合、語句「一実施形態」、「様々な実施形態」、「いくつかの実施形態」などは、繰り返して使用される。このような語句は、必ずしも同一の実施形態を指すものではないが、文脈上明らかに別段の指示がない限り、同一の実施形態を指してもよい。
【0118】
本明細書で使用される場合、用語「及び/又は」又は「/」は、いずれかの事項、いずれかの事項の組み合わせ、又はこの事項に関連付けられる全ての事項を意味する。
【0119】
本明細書で使用される場合、単語「実質的」は、「完全に」を排除するものではなく、例えば、Yが「実質的に使われていない」組成物は、Yが完全に使われていないものであってもよい。必要に応じて、単語「実質的」は、本開示の定義から省略されてもよい。
【0120】
本明細書で使用される場合、用語「各」は、事項の集合に関して使用される場合、その集合中の個々の事項を識別するためのものであるが、必ずしもその集合中の全ての事項を意味するものではない。例外は、明示的な開示又は文脈上明らかに別段の指示がない場合に起こり得る。
【0121】
本明細書で使用される場合、用語「およそ」又は「約」は、注目する1つ以上の値に使用される場合、上述した基準値と類似する値を指す。いくつかの実施形態では、用語「およそ」又は「約」とは、別に記載がない限り又は特に文脈から明らかでない限り、記述される参照値のいずれかの方向(より多い又はより少ない)で25%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%以下内に収まる値の範囲を指す(そのような数字が最大可能値の100%を超える場合を除く)。別段の指示がない限り、本明細書において、用語「約」は、各成分、組成物又は実施形態の機能に関して同等である記載された範囲に近接する値、例えば、重量パーセントを含むことを意図する。
【0122】
本明細書に開示されているように、いくつかの範囲の値が提供される。文脈が明確に別段の指示をしない限り、下限の単位の10分の1までの各介在値もまた、その範囲の上限と下限との間で具体的に開示されることを理解されたい。記載された値又は記載された範囲内の介在値と、その記載された範囲内の他の記載された値又は介在値との間の各より小さい範囲は、本開示に含まれる。これらのより小さい範囲の上限及び下限は、独立して、範囲内に含まれるか、又は除外され得、より小さい範囲に含まれる下限と上限のいずれか、又は両方が本開示内に含まれるか、又はいずれも本開示内に含まれず、記載された範囲内の具体的に除外された制限を対象とする。記載された範囲は、制限のうちの1つ又は両方を含み、これらの制限のいずれか又は両方を除外する範囲もまた本開示に含まれる。
【0123】
本明細書に提供される全ての例、又は例示的な言語(例えば、「など」)の使用は、本発明をより明らかにするためのものに過ぎず、別段に特許請求の範囲に記載されていない限り、本開示の範囲に限定を課すものではない。本明細書における言語は、特許請求の範囲に記載されていないいずれの要素も本開示の実施に必須であるとして指示すると解釈されるべきではない。
【0124】
本明細書で説明される全ての方法は、本明細書に別段の指示がない限り、又は文脈によって明確に否定されていない限り、任意の適切な順序で実行される。提供される方法のいずれかに関して、方法の工程は、同時に又は連続して発生し得る。方法の工程が連続して発生する場合、特に明記されていない限り、工程はいずれかの順序で発生し得る。方法が工程の組み合わせを含む場合、本明細書に別段の記載がない限り、工程のありとあらゆる組み合わ又はサブコンビネーションは、本開示の範囲内に含まれる。
【0125】
本明細書中に記載されている各公開、特許出願、特許及び他の参照文献は、本開示と矛盾しない範囲で、その全てが参照により援用されている。本明細書に開示される公開は、単に、本開示の出願日より前のそれらの開示について提供される。本開示が、事前開示により、そのような出版物に先行する資格がないことを承認するものと解釈されるべきでない。さらに、提供された公開の日付は、実際の公開日とは異なる場合があり、独立して確認される必要がある場合がある。
【0126】
本明細書に説明された実施例及び実施形態は、例示的なものに過ぎず、当業者であれば、実施例及び実施形態に基づいて様々な修正又は変更を行うことができ、これらの修正又は変更は、本開示の主旨及び範囲及び特許請求の範囲に含まれることを理解されたい。
【0127】
実施例
[実施例1]
組成物
この製剤の組成物、例えば、Leukotheraは、(a)活性薬剤成分としての、細菌から単離されたロイコトキシンタンパク質と、(b)緩衝液としてのトロメタミン(トリス)と、(c)活性化のための塩化ナトリウム(NaCl)安定剤及び塩化カルシウム(CaCl)安定剤と、を含む。
【0128】
この組成物は、社内開発方法に従って、臨床使用/点滴静注時に滅菌水中で再構成される場合にロイコトキシンの終末濃度が0.30mg/mLとなる目的に基づいて重量が計算される。注射用Leukotheraは、白色の無菌凍結乾燥粉末である。透明なガラス製バイアルに充填され、静脈内注射時に2mLの滅菌水を用いて再構成される。再構成後、粉体が全て溶解するまでバイアルを緩やかに旋回させる。そして、各用量に応じて適切な体積だけIVバッグに添加してゆっくり点滴静注/注射する。注射用Leukothera中のロイコトキシンの濃度は、0.30mg/mL(300μg/mL)である。
【0129】
注射用Leukotheraは、医薬品成分であるロイコトキシンの凍結乾燥粉末である。20mMのトロメタミン(トリス)、250mMの塩化ナトリウム(NaCl)及び0.2mMの塩化カルシウム(CaCl)からなる緩衝液中で、pHが7.5で、ロイコトキシンをバルク溶液に調製する。なお、調製は、医薬品成分の製造の一環として発生し、製剤の製造時に追加の調製工程は発生しない。注射用Leukotheraは、使用時に滅菌水中で再構成される場合にロイコトキシンの終末濃度が0.30mg/mLとなるように製造される。目的充填量は、1バイアル当たり0.6mgのロイコトキシンである。注射用Leukotheraの組成物を表2に示す。
【0130】
表2 注射用Leukotheraの組成物
【表2】
表3 注射用Leukotheraである製剤の仕様書
【表3】
【0131】
タンパク質同一性は、定性ウエスタンブロットにより評価することができる。タンパク質サンプルは、ドデシル硫酸ナトリウム-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)ゲル上で電気泳動により分離される。SDS-PAGE電気泳動後に、タンパク質は、ニトロセルロース膜に転写される。ニトロセルロース膜は、LtxAタンパク質に対して生成された一次モノクローナル抗体によってプローブされる。複合化された二次抗体プローブは、一次モノクローナル抗体と結合して、タンパク質を検出し、ChemDoc MPシステム及びImage Labソフトウェアを用いて測定される。定性ウエスタンブロットは、非特異タンパク質(ウシ血清アルブミン[BSA])上のウエスタンブロットが特異タンパク質の分子量に非特異的相互作用が生じるか否かを判定する能力により、特異性を示すのに適格である。設定された合格基準は、120キロボルト(kDa)の主要なサンプルバンドの観察を必要とし、参照基準の移動パターンに適合し、タンパク質の同一性が確保されていることを確認することである。GMPロット599-0818-003及びエンジニアリングロット599-0718-002のウエスタンブロット分析からのデータをそれぞれ図1及び図2に示す。
【0132】
製剤
本開示に開示される医薬品組成物は、非経口製剤である。製剤は、注射、非経口投与経路のために配合され、透明なガラス製バイアルに充填される点滴静注溶液用の白色の無菌凍結乾燥粉末である。各バイアルは、0.6mgの凍結乾燥粉末を含有する。最終剤形は、静脈内注射用溶液である。最終剤形を得るために、0.6mgの凍結乾燥粉末を2mLの滅菌水を用いて終末濃度が0.3mg/mLとなるように再構成する。透明なガラス製バイアルに充填され、静脈内注射の臨床使用時に2mLの滅菌水を用いて再構成される。再構成後、粉体が全て溶解するまでバイアルを緩やかに旋回させる。そして、各用量に応じて適切な体積だけIVバッグに添加してゆっくり点滴静注/注射する。この製剤(注射用Leukothera)中のAPIの点滴静注濃度は、0.30mg/mL(300μg/mL)である。
【0133】
保存及び安定性
凍結乾燥粉末を含有するバイアルを、-20℃未満の温度で(標準冷凍庫)で冷凍保存しなければならない。滅菌水を用いて再構成された後、該製剤は、4℃(標準冷蔵)で最高24時間保存することができ、24時間を超えると、廃棄しなければならない。研究現場の全ての治験薬を、しっかりと鍵が掛かって、アクセスが制限されて保存しなければならない。出荷時及び研究現場での保存時に、温度を制御しなければならない。
【0134】
表4 安定性研究概要
【表4】
DSロットA599-LtxA-20-004が353μg/mLの濃度を有し、製剤製造時にさらに希釈されないため、ロット093I0720は、0.7mg/バイアルに配合された。
【0135】
長期保存条件下での安定性
-20±5℃の長期保存条件下で、データは、一次ロット(072I0918及び081I1018)に対して最大12カ月利用可能である。支持的安定性ロットの安定性データは、最大19カ月利用可能である。全てのロットは、-20±5℃以下で12カ月保存される時の全ての仕様を満たし、これは、該製剤がこの保存条件下で安定することを証明する。
【0136】
-20±5℃で保存される場合、ロット093I0720からのデータは、段階1の仕様を用いるため、製剤(pH、タンパク質含有量)、生物学的活性(効能)及び純度(CE-SDS、RP-HPLC及びcIEF)に関する品質特性の動向を示さない。
【0137】
臨床使用中の安定性
臨床使用の極端な潜在的状態を模するために、注射用Leukotheraを以下の臨床関連条件下で再構成した後に、その安定性(ATPベース細胞生存率アッセイによる活性評価)を研究した。
【0138】
冷蔵:-20℃以下の温度で凍結乾燥サンプルを取り出し、再構成した後、4℃で最高24時間保存する。
【0139】
結論:12カ月以内冷凍したサンプルは、4℃で最高24時間保存することができる。
【0140】
再冷凍:-20℃以下の温度で凍結乾燥サンプルを取り出し、再構成した後、-20℃以下の温度で最高7日間保存する。
【0141】
結論:-20℃以下の温度で12カ月以内冷凍した凍結乾燥サンプルは、再構成し、(-20℃以下の温度で)最高7日間再凍結することができる。
【0142】
結果は、これらの結果は、臨床使用設定において、冷蔵又は再冷凍が注射用Leukotheraの製品品質に大きな影響を与えないことを裏付ける。
【0143】
保存可能期間
臨床材料の18カ月間の保存可能期間の決定を裏付ける一次安定性バッチは、-20±5℃で12カ月間の全ての仕様を満たすロット072I0918(エンジニアリングロット)及びロット081I1018(GMPロット)の注射用Leukotheraの開発研究からの利用可能な安定性データの適切な拡張に基づくものである。19カ月間保存後に分析された、ロット003D0318の注射用Leukotheraからのデータは、18カ月間の保存可能期間を裏付ける。
【0144】
臨床材料の注射用Leukotheraの推奨保存条件は、18カ月間の保存可能期間で-20℃以下で保存することである。
【0145】
容器栓システム
注射用Leukotheraの一次容器栓は、5mLの透明なガラス製バイアルと20mmのフルロテック栓である。バイアルは、フリップオフTrueEdgeシールにより密封される。
【0146】
表5 注射用Leukotheraの一次容器栓
【表5】
【0147】
[実施例2]
製造及びプロセス開発
この部分は、アイオワ大学が製造管理及び品質管理の基準(GMP)のためにロット081I1018で実施したように、注射用Leukotheraの製造プロセスを説明する。利用可能なプロセス制御を示す製造フローチャートを以下に示す。
【0148】
注射用Leukotheraの製造プロセスフローチャート
【0149】
解凍
Leukotheraバルク薬剤溶液(BDS)の容器を冷凍保存庫(-60℃~-90℃)から取り出し、解凍するために冷蔵保存庫(2℃~8℃)に直立して配置した。解凍時間は、およそ3~4日許容される。解凍した溶液を冷蔵庫から取り出して配合場所に移送する。
【0150】
プール
Leukotheraバルク溶液の各容器をゆっくりと回転/旋回させた後、撹拌棒を用いて9Lの無菌のガラス製カルボイに慎重に注入した。溶液をマグネット撹拌機で均一(最低5分間)になるまで穏やかに混合する。
【0151】
除菌
標準操作手順書によってクリーンルームが使用に適切であると要求されると、容器、閉塞具、機器(標準ハルHY-PRO凍結乾燥機)がクリーンルーム内に輸送される。ルーム内の生き残れない微粒子は、粒子センサーを介して監視される。
【0152】
クリーンルームに対して、その圧力差も監視され、水が入室よりも少なくとも0.05インチ高いことが確認される。そして、プールされたLeukotheraバルク溶液を含有する9Lのガラス製カルボイをクリーンルームに移送して濾過する。クリーンルーム内の生微生物叢を監視する。そして、プールされたLeukotheraバルク溶液を、無菌の細孔径0.22ミクロンのミリパック200フィルターを用いて無菌の9Lのガラス製カルボイに除菌する。充填プロセスの開始まで、カルボイは、無菌栓で覆われたままである。濾過終了時に、標準操作手順書に従ってフィルターの完全性を検査する。
【0153】
水バブルポイントは、50PSIに達するべきである。70/30 IPA/WFIを用いて予め、その後に水を用いてフィルターの初期洗浄を完了し、洗い流す回数及びバブルポイント結果を記録する。充填動作を開始する前に十分なバブルポイントを得る必要がある。フィルターのバブルポイントが故障すると、新たなフィルターを用いて濾過を繰り返す必要がある。
【0154】
充填動作を開始する前に十分なバブルポイントを得る必要がある。
【0155】
バイアル充填
無菌Flexicon FP50充填機を用いて、各無菌の5mLのバイアルに、およそ2.04グラム(g)の濾過したLeukotheraバルク溶液を充填する。標準操作手順書に従って、各バイアルを凍結乾燥深さに栓をする。全てのバイアルについて工程内充填重量チェックを行う。2.04g+/-0.20gの指定重量範囲まで充填されないバイアルは、不合格である。
【0156】
凍結乾燥
バイアルが充填されると、バイアルの各トレーは、凍結乾燥機に配置される。凍結乾燥機は、室温で積み込まれる。ハルHY-PRO凍結乾燥機は、所定のサイクルに応じて、Leukotheraバルク溶液が充填されたバイアルを凍結乾燥するのに使用される。
表6 注射用Leukotheraの凍結乾燥サイクル
【表6】
凍結乾燥製品を含有するバイアルを25℃で保持して保存する。
【0157】
栓をし、密封する
凍結乾燥サイクルが終了した後、チャンバー及びバイアルを窒素、NF雰囲気でパージする。そして、バイアルに栓をする。キャップ閉めステーション(クリンパー)のバイアル高さを検証する。チャンバーからバイアルを取り出し、各バイアルに無菌シールを装着する。標準操作手順書(SOP)に従って、シールを圧着する。密封された注射用Leukotheraのバイアルを2~8℃で保存する。
【0158】
注射用Leukotheraバイアルは、合格品質水準(AQL)について100%手動外観検査を受け、その後に、アイオワ大学によりSOPに従って、容器栓システムにおける粒子状物質及び欠陥の抜き取り検査を行う。
【0159】
ラベル付け、包装及び保存
注射用Leukotheraのバイアルを、認可済みバイアルのラベルでラベル付けする。ラベル付けされたバイアルを大量包装し、出荷まで-70℃で保存する。
【0160】
表7 治験薬の説明
【表7】
【0161】
生物学的特徴
活性薬剤成分(API)は、医薬品成分であるロイコトキシンである。ロイコトキシンは、リジン残基K561及びK686が脂肪酸アシル基により翻訳後修飾される。これらのアシル化は、白血球を発現するLFA-1に対するロイコトキシン活性に必要である。ロイコトキシンは、システイン残基又はグリコシル化モチーフを含有しない。
【0162】
[実施例3]
薬量学及び投与方法
目標臨床用量
製剤の凍結乾燥物を、バイアル中で、2mLの滅菌水を用いて濃度が0.3mg/mLとなるように再構成する。再構成された製剤溶液をIVバッグで0.9%生理食塩水で希釈し、最高4時間かけて注入し、低用量の場合、70kgの被験者に対して、1.4μg/kgであり、或いは、98μg、濃度0.25μg/mL、容量400mLである。高用量の場合、70kgの被験者に対して、1020μg/kgであり、或いは、71.4mg、濃度0.18mg/mL、容量400mLである。
【0163】
低用量濃度の場合の全てのサンプルのタンパク質濃度の結果は、総タンパク質含有量に対するBCAアッセイの定量下限(0.20μg/mL)以下であり、これは、低用量濃度のサンプルが該レベルで0.25μg/mLであることを反映する。図3に示すように、ウエスタンブロットを用いてタンパク質が回収されたことを示した。ウエスタンブロットをスキャンして純度測定を行わないが、T=0及び対照サンプルに比べて、IVバッグに保持されたバンド数の経時変化は、視覚的にない。低用量濃度での生物活性の結果は、図4に示すように、予想される製剤放出範囲(50~150%)内のレベルで細胞死に影響を与える活性タンパク質含有量が回収されたことを証明する。類似する結果は、図5及び図6に示すように、最大用量の場合に見られた。また、試験サンプル、T=0及び対照サンプルの間でウエスタンブロットに見られるバンドの種類に変化がなく、これは、4時間の保持時間にわたって純度の低下がないことを示す。
【0164】
表8 輸液バッグ適合性研究用投与パラメータ
【表8】
表9 IVバッグ適合性研究中の低用量濃度Leukothera(0.25μg/mL)の分析テストの結果
【表9】
LOQ-定量下限(20μg/mL)
表10 IVバッグ適合性研究中の高用量濃度Leukothera(0.18mg/mL)の分析テストの結果
【表10】
【0165】
段階1研究のヒトの低用量は、10%最大有効濃度(EC10)に基づいて選択され、急性単球性白血病患者由来のヒト単球細胞株であるTHP-1細胞を用いたインビトロモデルから計算される。病変WBCは、健康なWBCに比べて、注射用Leukotheraの標的であるLFA-1の発現が高い。したがって、急性単球性白血病患者由来のTHP-1細胞を用いたインビトロモデルからのEC10推定値は、注射用Leukotheraによって治療されている患者中のEC10を最も代表する。インビトロモデルから計算されたEC10は、20ng/mLであった。血液量がおよそ5Lの70kgのヒトでは、1.4μg/kgの用量により注射用Leukotheraの濃度がEC10に近いと予測される。したがって、1.4μg/kg/週は、提案されるヒトの開始用量であり、毎週投与する目的で、最初は3~4時間かけて単一のIV用量として投与され、必要に応じて、IV点滴静注の持続時間を自由に変更する。1.4μg/kgの提案される開始用量の追加サポートは、ICH S9及び抗癌剤の初期臨床試験における開始用量を推定する標準的アプローチ、体表面積(BSA)正規化基準の齧歯動物のSTD10の1/10又は非齧歯動物のHNSTDの1/6にある。
【0166】
注射用Leukotheraは、生物学的であるが、計算してヒトの適切な開始用量の選択に役立つ。4週間の研究中の雄ラットのSTD10は、500~750μg/kgであったが、雌ラットのSTD10は、100μg/kgであった。無毒性量である最も保存的な用量の500μg/kgを使用すると、ヒトの開始用量は、以下のように推定される:ラットの無毒性量=500μg/kg÷1000μg=0.5mg/kg、BSA正規化ヒト等価用量=0.5mg/kg÷6.2=0.08mg/kg×1000=81μg/kg、ヒトの開始用量(BSA正規化):81μg/kg÷10(安全率)=8.1μg/kg。4週間のイヌ研究中の、無毒性量である300μg/kgのHNSTDに基づいて、ヒトの開始用量は、以下のように推定される:イヌの無毒性量=300μg/kg÷1000μg=0.3mg/kg、BSA正規化ヒト等価用量=0.3mg/kg÷1.8=0.167mg/kg×1000=167μg/kg、ヒトの開始用量(BSA正規化):167μg/kg÷6(安全率)=27.8μg/kg。したがって、最も保存的なBSA正規化基準の開始用量は、8.1μg/kgである。提案される開始用量が1.4μg/kgである場合、BSA正規化基準の推奨される開始用量よりも5倍以上低い。
【0167】
ラットが最も感受性の高い非臨床種であり、提案されるヒトの開始用量は、STD10範囲の下端(500μg/kg)の体表面積(BSA)正規化のヒト用量よりも57倍低く、ラットの死亡率に関連づけられたヒト等価用量(HED)(750mg/kg)よりも86倍低い。イヌのHNSTDは、試験された最大用量レベル(300μg/kg)であり、或いは、BSA正規化基準の提案される開始用量よりも119倍高い。様々なサイトカインの一過性上昇は、患者に融解関連のサイトカイン放出の可能性があるため、患者を適切に監視し、かつ必要に応じて治療を行うべきであることを示す。
【0168】
また、リンパ腫を有するイヌにおける獣医臨床研究が進められており、該研究では、8匹のイヌに、週1回、注射用Leukotheraを静脈内投与し、200μg/kgの用量レベルで30分間にわたって用量を徐々に増加させた。いずれのイヌも、注射用Leukotheraの点滴静注中及び点滴静注後に何ら有害反応を示さなかった。BSA正規化基準で、この用量範囲は、ヒトにおいて2.8~111μg/kgに等価であり、提案されるヒト開始用量の1.4μg/kgよりも2~79倍高い。
【0169】
調製及び投与手順
各サイトには、治験薬の詳細な再構成及び調製物の使用説明書を含む調剤マニュアルが提供される。該治験薬を2mLの滅菌水を用いて再構成し、用量濃度を0.3mg/mLとする。上記溶液を輸液バッグ及びポンプに移し、選択された用量を得るために、生理食塩水で調整する。再構成された治験薬の最大保留時間は、4℃(標準冷蔵)での24時間であり、24時間を超えると、廃棄しなければならない。治験薬をゆっくりとした静脈内注射により投与する。患者に任意用量の治験薬を1回目に点滴静注する場合、3~4時間(+/-15分)にわたって点滴静注するべきである。患者が有害反応を示さない場合、以前の耐性用量レベルで後続の点滴静注を1~2時間(+/-15分)にわたって行う。いずれの点滴静注においても、点滴静注時間は、1時間以上である必要がある。
【0170】
本開示は、本明細書で記載された特定の実施形態に限定されることを意図しない。実際に、本明細書で説明されたものに加えて、本発明の様々な修正は、当業者にとって上記説明及び添付図面から明らかになる。そのような修正は、添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【配列表】
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【国際調査報告】