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特表2024-546692バッテリー診断装置、バッテリー診断方法及びバッテリー診断システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】バッテリー診断装置、バッテリー診断方法及びバッテリー診断システム
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/392 20190101AFI20241219BHJP
   G01R 31/382 20190101ALI20241219BHJP
   G01R 31/385 20190101ALI20241219BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20241219BHJP
   H02J 7/10 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
G01R31/392
G01R31/382
G01R31/385
H02J7/00 Y
H02J7/10 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024534048
(86)(22)【出願日】2023-06-09
(85)【翻訳文提出日】2024-06-06
(86)【国際出願番号】 KR2023007956
(87)【国際公開番号】W WO2023249298
(87)【国際公開日】2023-12-28
(31)【優先権主張番号】10-2022-0075198
(32)【優先日】2022-06-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2023-0072881
(32)【優先日】2023-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジェオン、ヒー-セオク
(72)【発明者】
【氏名】バエ、ユーン-ジュン
【テーマコード(参考)】
2G216
5G503
【Fターム(参考)】
2G216BA01
2G216BA21
2G216CA01
2G216CB24
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503CA03
5G503CA14
5G503EA05
5G503EA08
(57)【要約】
バッテリー診断装置、バッテリー診断方法及びバッテリー診断システムが提供される。本発明による前記バッテリー診断装置は、BOL(寿命初期)の状態にあるバッテリーに対して定電流(CC)-定電圧(CV)充電プロトコルに従って基準回数だけ行われた充電サイクルごとの前記バッテリーの端子電圧及び充電電流の経時的な変化履歴を示すバッテリー情報を取得するデータ取得部、及び前記バッテリー情報に基づいて、前記基準回数だけ行われた充電サイクルごとの初期CC容量比を算出する制御部を含む。前記制御部は、前記充電サイクルごとの初期CC容量比に基づいて、代表の初期CC容量比を決定し、前記代表の初期CC容量比を所定の代表の基準CC容量比と比較して、前記バッテリーに加速劣化の兆候があるか否かを診断するように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
BOL(寿命初期)の状態にあるバッテリーに対して定電流(CC:Constant Current)-定電圧(CV:Constant Voltage)充電プロトコルに従って基準回数だけ行われた充電サイクルごとの前記バッテリーの端子電圧及び充電電流の経時的な変化履歴を示すバッテリー情報を取得するように構成されるデータ取得部と、
前記バッテリー情報に基づいて、前記基準回数だけ行われた充電サイクルごとの初期定電流(CC)容量比を算出するように構成される制御部と、
を含み、
特定の充電サイクルにおける前記初期定電流(CC)容量比は、前記特定の充電サイクルにおける前記バッテリーの総充電容量に対する定電流(CC)充電容量の比率を示し、前記定電流(CC)充電容量は、前記定電流(CC)-定電圧(CV)充電プロトコルに従った定電流(CC)充電期間における充電容量を示し、
前記制御部は、
前記充電サイクルごとの初期定電流(CC)容量比に基づいて、代表の初期定電流(CC)容量比を決定し、
前記代表の初期定電流(CC)容量比を所定の代表の基準定電流(CC)容量比と比較して、前記バッテリーに加速劣化の兆候があるか否かを診断するように構成される、バッテリー診断装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記代表の初期定電流(CC)容量比が所定の代表の基準定電流(CC)容量比よりもさらに大きい場合、前記バッテリーに加速劣化の兆候があると診断するように構成される、請求項1に記載のバッテリー診断装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記バッテリーに加速劣化の兆候があると診断されたことに応答して、前記定電流(CC)-定電圧(CV)充電プロトコルのカットオフ電圧を調整するように構成されるが、
前記カットオフ電圧は、定電流(CC)充電ステージから定電圧(CV)充電ステージへの切り換え事象の基準となる電圧である、請求項1に記載のバッテリー診断装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記バッテリーに加速劣化の兆候があると診断されたことに応答して、前記代表の初期定電流(CC)容量比と前記代表の基準定電流(CC)容量比との差を示す容量比偏差を算出し、
前記容量比偏差に基づいて、前記カットオフ電圧を調整するように構成される、請求項3に記載のバッテリー診断装置。
【請求項5】
前記制御部は、
充電状態(SOC:State Of Charge)と閉回路電圧(CCV:Closed Circuit Voltage)との対応関係を示す所定の基準充電状態(SOC)プロファイルに記録された基準カットオフ電圧にマッピングされた基準充電状態(SOC)及び前記容量比偏差に基づいて、ターゲット充電状態(SOC)を決定し、
前記基準充電状態(SOC)プロファイルにおいて前記ターゲット充電状態(SOC)にマッピングされた閉回路電圧(CCV)と同様に前記カットオフ電圧を調整するように構成される、請求項4に記載のバッテリー診断装置。
【請求項6】
前記基準充電状態(SOC)から前記容量比偏差を差し引いて、前記ターゲット充電状態(SOC)を決定するように構成される、請求項5に記載のバッテリー診断装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記基準回数が2以上である場合、前記基準回数と同数の前記初期定電流(CC)容量比の平均値又は中間値と同様に前記代表の初期定電流(CC)容量比を算出するように構成される、請求項1に記載のバッテリー診断装置。
【請求項8】
前記制御部は、各充電サイクルに対して、
前記定電流(CC)-定電圧(CV)充電プロトコルに従った定電流(CC)充電期間の間の充電電流の電流値を積算して、前記定電流(CC)充電容量を決定し、
前記定電流(CC)-定電圧(CV)充電プロトコルに従った定電圧(CV)充電期間の間の充電電流の電流値を積算して、定電圧(CV)充電容量を決定し、
前記定電流(CC)充電容量と前記定電圧(CV)充電容量とを合算して、前記総充電容量を決定するように構成される、請求項1に記載のバッテリー診断装置。
【請求項9】
前記制御部は、
前記バッテリーに加速劣化の兆候があると診断されたことに応答して、前記代表の初期定電流(CC)容量比と前記代表の基準定電流(CC)容量比との差を示す容量比偏差を算出し、
複数の容量比偏差に一対一に関連付けられたものとして予め与えられた複数の電圧調整スケジューリングカーブ-各電圧調整スケジューリングカーブは、サイクルカウントに応じた電圧調整値の変化を定義する-のうちから前記算出された容量比偏差に関連付けられたいずれか1つの電圧調整スケジューリングカーブを選択し、
前記選択された電圧調整スケジューリングカーブを用いて、今後前記充電サイクルのサイクルカウントの増加時ごとに前記定電流(CC)-定電圧(CV)充電プロトコルのカットオフ電圧を決定するように構成されるが、
前記カットオフ電圧は、定電流(CC)充電ステージから定電圧(CV)充電ステージへの切り換え事象の基準となる電圧である、請求項1に記載のバッテリー診断装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載のバッテリー診断装置を含む、バッテリー診断システム。
【請求項11】
BOL(寿命初期)の状態にあるバッテリーに対して定電流(CC:Constant Current)-定電圧(CV:Constant Voltage)充電プロトコルに従って基準回数だけ行われた充電サイクルごとの前記バッテリーの端子電圧及び充電電流の経時的な変化履歴を示すバッテリー情報を取得するステップと、
前記バッテリー情報に基づいて、前記基準回数だけ行われた充電サイクルごとの初期定電流(CC)容量比を算出するステップであって、特定の充電サイクルにおける前記初期定電流(CC)容量比は、前記特定の充電サイクルにおける前記バッテリーの総充電容量に対する定電流(CC)充電容量の比率を示し、前記定電流(CC)充電容量は、前記定電流(CC)-定電圧(CV)充電プロトコルに従った定電流(CC)充電期間における充電容量を示すものであるステップと、
前記充電サイクルごとの初期定電流(CC)容量比に基づいて、代表の初期定電流(CC)容量比を決定するステップと、
前記代表の初期定電流(CC)容量比を所定の代表の基準定電流(CC)容量比と比較して、前記バッテリーに加速劣化の兆候があるか否かを診断するステップと、
を含む、バッテリー診断方法。
【請求項12】
前記バッテリーに加速劣化の兆候があるか否かを診断するステップは、
前記代表の初期定電流(CC)容量比が所定の代表の基準定電流(CC)容量比よりもさらに大きい場合、前記バッテリーに加速劣化の兆候があると診断する、請求項11に記載のバッテリー診断方法。
【請求項13】
前記バッテリーに加速劣化の兆候があると診断されたことに応答して、前記定電流(CC)-定電圧(CV)充電プロトコルのカットオフ電圧を調整するステップをさらに含み、
前記カットオフ電圧は、定電流(CC)充電ステージから定電圧(CV)充電ステージへの切り換え事象の基準となる電圧である、請求項11に記載のバッテリー診断方法。
【請求項14】
前記定電流(CC)-定電圧(CV)充電プロトコルのカットオフ電圧を調整するステップは、
前記バッテリーに加速劣化の兆候があると診断されたことに応答して、前記代表の初期定電流(CC)容量比と前記代表の基準定電流(CC)容量比との差を示す容量比偏差を算出するステップと、
前記容量比偏差に基づいて、前記カットオフ電圧を調整するステップと、
を含む、請求項13に記載のバッテリー診断方法。
【請求項15】
前記容量比偏差に基づいて、前記カットオフ電圧を調整するステップは、
充電状態(SOC:State Of Charge)と閉回路電圧(CCV:Closed Circuit Voltage)との対応関係を示す所定の基準充電状態(SOC)プロファイルに記録された基準カットオフ電圧にマッピングされた基準充電状態(SOC)及び前記容量比偏差に基づいて、ターゲット充電状態(SOC)を決定するステップと、
前記基準充電状態(SOC)プロファイルにおいて前記ターゲット充電状態(SOC)にマッピングされた閉回路電圧(CCV)と同様に前記カットオフ電圧を調整するステップと、
を含む、請求項14に記載のバッテリー診断方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリー診断装置及び方法に関し、より詳細には、バッテリーの非正常的な劣化を早期に診断するための技術に関する。
【0002】
本出願は、2022年06月20付け出願の韓国特許出願第10-2022-0075198号及び2023年06月07付け出願の韓国特許出願第10-2023-0072881号に基づく優先権を主張し、当該出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
近年、ノートパソコン、ビデオカメラ、携帯電話などのような携帯型電子製品の需要が急激に伸び、電気自動車、エネルギー貯蔵用蓄電池、ロボット、衛星などの開発が本格化するにつれて、繰り返して充放電可能な高性能二次電池に対する研究が活発に行われている。
【0004】
現在、商用化されているバッテリーとしてはニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池、リチウムバッテリーなどが挙げられるが、中でも、リチウムバッテリーは、ニッケル系のバッテリーに比べてメモリ効果が殆ど起きないため充放電が自在であり、自己放電率が非常に低くエネルギー密度が高いという長所で脚光を浴びている。
【0005】
一般に、このようなバッテリーは、その使用につれて劣化が進むが故に、劣化したバッテリーの充電状態(SOC:State Of Charge)及び健康状態(SOH:State Of Health)等を正確に推定したり、劣化したバッテリーの寿命を増加させたりするための制御のためには、バッテリーの状態を正確に判断することが必要である。
【0006】
特に、有効にバッテリーの寿命を増大させるためには、バッテリーの加速劣化を予防する制御が求められる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記のような問題を解決するために案出されたものであって、バッテリーに対する定電流(CC)-定電圧(CV)充電プロトコルを用いた充電サイクルを進めて取得された充電容量情報(CC充電容量及びCC充電容量を示す情報)に基づいて、バッテリーが今後非正常的に急激に劣化するか否かを早期に診断することのできるバッテリー診断装置、バッテリー診断方法及びバッテリー診断システムを提供することを目的とする。
【0008】
また、本発明は、バッテリーが非正常的に急激に劣化する兆候が捕捉される場合、バッテリーの加速劣化を緩和するためにCC充電ステージからCV充電ステージへの切り換えの基準となるカットオフ電圧を調整することのできるバッテリー診断装置、バッテリー診断方法及びバッテリー診断システムを提供することを目的とする。
【0009】
本発明の他の目的及び長所は、下記の説明によって理解でき、本発明の実施形態によってより明らかに分かるであろう。また、本発明の目的及び長所は、特許請求の範囲に示される手段及びその組合せによって実現できることが容易に分かるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一側面によるバッテリー診断装置は、BOL(寿命初期)の状態にあるバッテリーに対してCC(Constant Current)-CV(Constant Voltage)充電プロトコルに従って基準回数だけ行われた充電サイクルごとの前記バッテリーの端子電圧及び充電電流の経時的な変化履歴を示すバッテリー情報を取得するように構成されるデータ取得部と、前記バッテリー情報に基づいて、前記基準回数だけ行われた充電サイクルごとの初期CC容量比を算出するように構成される制御部と、を含む。特定の充電サイクルにおける前記初期CC容量比は、前記特定の充電サイクルにおける前記バッテリーの総充電容量に対するCC充電容量の比率を示し、前記CC充電容量は、前記CC-CV充電プロトコルに従ったCC充電期間における充電容量を示す。前記制御部は、前記充電サイクルごとの初期CC容量比に基づいて、代表の初期CC容量比を決定し、前記代表の初期CC容量比を所定の代表の基準CC容量比と比較して、前記バッテリーに加速劣化の兆候があるか否かを診断するように構成される。
【0011】
前記制御部は、前記代表の初期CC容量比が所定の代表の基準CC容量比よりもさらに大きい場合、前記バッテリーに加速劣化の兆候があると診断するように構成され得る。
【0012】
前記制御部は、前記バッテリーに加速劣化の兆候があると診断されたことに応答して、前記CC-CV充電プロトコルのカットオフ電圧を調整するように構成され得る。前記カットオフ電圧は、CC充電ステージからCV充電ステージへの切り換え事象の基準となる電圧である。
【0013】
前記制御部は、前記バッテリーに加速劣化の兆候があると診断されたことに応答して、前記代表の初期CC容量比と前記代表の基準CC容量比との差を示す容量比偏差を算出するように構成され得る。前記制御部は、前記容量比偏差に基づいて、前記カットオフ電圧を調整するように構成され得る。
【0014】
前記制御部は、SOC(State Of Charge)と閉回路電圧(CCV:Closed Circuit Voltage)との対応関係を示す所定の基準SOCプロファイルに記録された基準カットオフ電圧にマッピングされた基準SOC及び前記容量比偏差に基づいて、ターゲットSOCを決定するように構成され得る。前記制御部は、前記基準SOCプロファイルにおいて前記ターゲットSOCにマッピングされたCCVと同様に前記カットオフ電圧を調整するように構成され得る。
【0015】
前記基準SOCから前記容量比偏差を差し引いて、前記ターゲットSOCを決定するように構成され得る。
【0016】
前記制御部は、前記基準回数が2以上である場合、前記基準回数と同数の前記初期CC容量比の平均値又は中間値と同様に前記代表の初期CC容量比を算出するように構成され得る。
【0017】
各充電サイクルに対して、前記制御部は、前記CC-CV充電プロトコルに従ったCC充電期間の間の充電電流の電流値を積算して、前記CC充電容量を決定し、前記CC-CV充電プロトコルに従ったCV充電期間の間の充電電流の電流値を積算して、CV充電容量を決定し、前記CC充電容量と前記CV充電容量とを合算して、前記総充電容量を決定するように構成され得る。
【0018】
前記制御部は、前記バッテリーに加速劣化の兆候があると診断されたことに応答して、前記代表の初期CC容量比と前記代表の基準CC容量比との差を示す容量比偏差を算出するように構成され得る。前記制御部は、複数の容量比偏差に一対一に関連付けられたものとして予め与えられた複数の電圧調整スケジューリングカーブのうちから前記算出された容量比偏差に関連付けられたいずれか1つの電圧調整スケジューリングカーブを選択するように構成され得る。電圧調整スケジューリングカーブは、サイクルカウントに応じた電圧調整値の変化を定義する。前記制御部は、前記選択された電圧調整スケジューリングカーブを用いて、今後前記充電サイクルのサイクルカウントの増加時ごとに前記CC-CV充電プロトコルのカットオフ電圧を決定するように構成され得る。前記カットオフ電圧は、CC充電ステージからCV充電ステージへの切り換え事象の基準となる電圧であり得る。
【0019】
本発明の他の側面によるバッテリー診断システムは、前記バッテリー診断装置を含む。
【0020】
本発明のさらに他の側面によるバッテリー診断方法は、BOLの状態にあるバッテリーに対して定電流(CC:Constant Current)-定電圧(CV:Constant Voltage)充電プロトコルに従って基準回数だけ行われた充電サイクルごとの前記バッテリーの端子電圧及び充電電流の経時的な変化履歴を示すバッテリー情報を取得するステップと、前記バッテリー情報に基づいて、前記基準回数だけ行われた充電サイクルごとの初期CC容量比を算出するステップであって、特定の充電サイクルにおける前記初期CC容量比は、前記特定の充電サイクルにおける前記バッテリーの総充電容量に対するCC充電容量の比率を示し、前記CC充電容量は、前記CC-CV充電プロトコルに従ったCC充電期間における充電容量を示すものであるステップと、前記充電サイクルごとの初期CC容量比に基づいて、代表の初期CC容量比を決定するステップと、前記代表の初期CC容量比を所定の代表の基準CC容量比と比較して、前記バッテリーに加速劣化の兆候があるか否かを診断するステップと、を含む。
【0021】
前記バッテリーに加速劣化の兆候があるか否かを診断するステップにおいては、前記代表の初期CC容量比が所定の代表の基準CC容量比よりもさらに大きい場合、前記バッテリーに加速劣化の兆候があると診断し得る。
【0022】
前記バッテリー診断方法は、前記バッテリーに加速劣化の兆候があると診断されたことに応答して、前記CC-CV充電プロトコルのカットオフ電圧を調整するステップをさらに含み得る。前記カットオフ電圧は、CC充電ステージからCV充電ステージへの切り換え事象の基準となる電圧であり得る。
【0023】
前記CC-CV充電プロトコルのカットオフ電圧を調整するステップは、前記バッテリーに加速劣化の兆候があると診断されたことに応答して、前記代表の初期CC容量比と前記代表の基準CC容量比との差を示す容量比偏差を算出するステップと、前記容量比偏差に基づいて、前記カットオフ電圧を調整するステップと、を含み得る。
【0024】
前記容量比偏差に基づいて、前記カットオフ電圧を調整するステップは、充電状態(SOC:State Of Charge)と閉回路電圧(CCV:Closed Circuit Voltage)との対応関係を示す所定の基準SOCプロファイルに記録された基準カットオフ電圧にマッピングされた基準SOC及び前記容量比偏差に基づいて、ターゲットSOCを決定するステップと、前記基準SOCプロファイルにおいて前記ターゲットSOCにマッピングされたCCVと同様に前記カットオフ電圧を調整するステップと、を含み得る。
【発明の効果】
【0025】
本発明の実施形態のうちの少なくとも1つによれば、バッテリーに対するCC-CV充電プロトコルを用いた充電サイクルを進めて取得された充電容量情報(CC充電容量及びCC充電容量を示す情報)に基づいて、バッテリーが今後非正常的に急激に劣化するか否かを早期に診断することが可能になるという長所がある。
【0026】
また、本発明の実施形態のうちの少なくとも1つによれば、バッテリーが非正常的に急激に劣化する兆候が捕捉される場合、CC充電ステージからCV充電ステージへの切り換えの基準となるカットオフ電圧を調整することにより、バッテリーの加速劣化を緩和することができるという長所がある。
【0027】
本発明の効果は、上記の効果に限らず、言及されていない他の効果は特許請求の範囲の記載から当業者にとって明確に理解できるものであろう。
【0028】
本明細書に添付される次の図面は、本発明の望ましい実施形態を例示するものであり、発明の内容とともに本発明の技術的な思想をさらに理解させる役割のためのものであるため、本発明は図面に記載された事項だけに限定されて解釈されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の一実施形態によるバッテリー診断装置を概略的に示す図である。
図2】本発明の様々な実施形態において参照される、加速劣化の欠陥がない正常バッテリーと加速劣化の欠陥がある非正常バッテリーとの容量保持率の変化の推移を比較する上で参照される図である。
図3】本発明の様々な実施形態により参照される、充電サイクルのサイクルカウントに対するバッテリーのCC容量比の変化を示すプロファイルを例示的に示す図である。
図4図3に目印が付けられた関心領域の拡大図である。
図5】本発明の様々な実施形態において用いられる基準SOCプロファイルを示す図である。
図6図5に示す基準SOCプロファイルの一部分に対する拡大図である。
図7】本発明の様々な実施形態において参照される、基準容量比プロファイルを取得するプロセスを説明する上で参照される図である。
図8】本発明の一実施形態によるバッテリー診断装置を含む上位装備の例示的な構成を概略的に示す図である。
図9】本発明の他の実施形態によるバッテリー診断方法を概略的に示す手順図である。
図10】本発明のさらに他の実施形態によるバッテリー診断方法を概略的に示す手順図である。
図11】本発明のさらに他の実施形態によるバッテリー診断方法を概略的に示す手順図である。
図12図11のバッテリー診断方法を説明する上で参照される図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本明細書及び特許請求の範囲に使われた用語や単語は通常的や辞書的な意味に限定して解釈されるものではなく、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応ずる意味及び概念で解釈されるものである。
【0031】
したがって、本明細書に記載された実施形態及び図面に示された構成は、本発明の最も好ましい一実施形態に過ぎず、本発明の技術的な思想のすべてを表すものではないため、本出願の時点においてこれらに代替できる多様な均等物及び変形例があり得ることを理解されたい。
【0032】
また、本発明を実施するに当たって、関連する公知の構成又は機能についての具体的な説明が本発明の要旨を曖昧にする虞があると認められる場合、その詳細な説明を省略する。
【0033】
「第1の」、「第2の」などの序数を含む用語は、様々な構成要素のうちのいずれか一つをその他の要素と区別するために使われたものであり、これら用語によって構成要素が限定されることはない。
【0034】
明細書の全体において、ある部分がある構成要素を「含む」というとき、これは、特に言及しない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。
【0035】
また、明細書に記載の「制御部」のような用語は、少なくとも一つの機能や動作を処理する単位を意味し、ハードウェア、ソフトウェア、またはハードウェアとソフトウェアとの組合せで具現され得る。
【0036】
因みに、明細書の全体において、ある部分が他の部分と「接続(連結)」されているというとき、これは「直接的に接続(連結)」されている場合だけでなく、その中間に他の素子を挟んで「間接的に接続(連結)」されている場合も含む。
【0037】
以下では、添付図面に基づいて本発明の好適な実施形態について詳しく説明する。
【0038】
図1は、本発明の一実施形態によるバッテリー診断装置100を概略的に示す図である。
【0039】
図1を参照すると、バッテリー診断装置100は、データ取得部110及び制御部120を含み得る。バッテリー診断装置100は、記憶部130をさらに含み得る。
【0040】
データ取得部110は、CC-CV充電プロトコルを用いたバッテリーの充電過程において測定されたバッテリーの端子電圧及び充電電流を含むバッテリー情報を取得し得る。バッテリーの端子電圧とは、バッテリーの両端(正極端子と負極端子)にまたがった電圧のことをいう。
【0041】
ここで、CC-CV充電プロトコルとは、定電流(CC:Constant Current)充電ステージと定電圧(CV:Constant Voltage)充電ステージをこの順に進める充電手続きを意味し、単に「充電サイクル」と称することもある。
【0042】
CC充電ステージの開始時刻から終了時刻までの期間を「CC充電期間」と称することがある。CV充電ステージの開始時刻から終了時刻までの期間を「CV充電期間」と称することがある。CC充電ステージの終了時刻は、CV充電ステージの開始時刻と一致し得る。
【0043】
データ取得部110は、診断の対象として提供されたバッテリー(以下、「診断対象のバッテリー」と称することがある)に対する電圧Vと容量Qを含むバッテリー情報を取得するように構成され得る。
【0044】
ここで、診断対象のバッテリーは、負極端子と正極端子を備え、物理的に分離可能な1つの独立したセルを意味する。一例を挙げると、リチウムイオンセル又はリチウムポリマーセルの1つがバッテリーとしてみなされ得る。また、バッテリーは、複数のセルが直列に及び/又は並列に接続されたセル群を指し得る。
【0045】
実施形態により、データ取得部110は、一対の電圧センシングライン(図8の符号SL1、SL2を参照されたい)を介してバッテリーの正極及び負極に接続された測定部(図8の符号200を参照されたい)から、測定部200により測定されたバッテリー情報(端子電圧の電圧値)を取得し得る。
【0046】
また、測定部200は、電流センシングラインSL3を介してバッテリーの電流を測定する電流センサー(図8の符号Aを参照されたい)と接続され得、データ取得部110は、測定部200を介して電流センサーAにより測定された充電電流の電流値を取得し得る。
【0047】
実施形態により、データ取得部110は、外部と通信可能なように構成され得る。データ取得部110は、通信を用いて外部からバッテリー情報を受信し得る。
【0048】
制御部120とデータ取得部110とは、互いに通信可能なように有線及び/又は無線により接続され得る。そして、制御部120は、有線ライン及び/又は無線通信網を介して、データ取得部110からバッテリー情報を受信し得る。
【0049】
制御部120は、診断の対象となるバッテリーがBOL(Beginning Of Life)の状態にあるとき、データ取得部110から取得されたバッテリー情報に基づいて、バッテリーの初期CC容量比を算出し得る。BOLの状態は、バッテリーの製造時点又は出庫時点のように、充放電に伴う劣化がないか、あるいは、充放電に伴う劣化が非常に微々たる状態を指し得る。
【0050】
初期CC容量比は、BOLの状態にあるバッテリーに対して後述された充電サイクルを所定の基準回数だけ繰り返し進めたときに取得される充電サイクルごとのCC充電期間の間の充電容量に基づく。
【0051】
初期CC容量比を算出するために繰り返し進められるように設定される充電サイクルの回数である基準回数は、1回以上に予め設定され得る。例えば、基準回数は、5回に設定され得る。
【0052】
仮に、基準回数が1回である場合、BOLの状態のバッテリーに対する最初の充電サイクルを進めて算出されるCC容量比が代表の初期CC容量比として設定され得る。
【0053】
仮に、基準回数が2回以上の自然数であるnであるとしたとき、BOLの状態のバッテリーに対して基準回数だけ行われた第1から第nの充電サイクルに一対一に関連付けられた第1から第nの初期CC容量比が算出され得る。第1から第nの初期CC容量比の代表値は、「代表の初期CC容量比」と称され得る。
【0054】
BOLの状態のバッテリー(すなわち、診断対象のバッテリー)に対する充電サイクルのサイクルカウントが基準回数に達するまでの期間を「診断観測期間」と称し得る。サイクルカウントは、充電サイクルの進行順序を示す。例えば、現在のサイクルカウントがxであることは、バッテリーがBOLの状態にあったときから充電サイクルが合計でx回行われたことを意味する。
【0055】
一実施形態において、充電サイクルは、バッテリーの端子電圧が予め設定された充電電圧区間の下限(充電開始電圧)以下である時点からバッテリーに対するCC充電ステージを進めた後、バッテリーの端子電圧が充電電圧区間の上限(充電終了電圧)に達したときにCV充電ステージに切り換え、バッテリーの充電電流が基準電流(例えば、0.005A)まで減少する場合に充電を中断する充電過程を意味することがある。充電サイクルの進行中には、バッテリーの温度や外気の温度を一定に保持することが好ましい。
【0056】
充電サイクルは、放電サイクルとともに充放電サイクルに含まれ得る。放電サイクルは、充電サイクルが完了した後、所定の時間の間にバッテリーを安定化させていて、予め設定された放電電圧区間の上限(放電開始電圧)から下限(放電終了電圧)までバッテリーを放電し、放電を中断することを意味することがある。放電サイクルにおける放電電流の大きさは、充電サイクルにおける充電電流の大きさ以下に予め設定され得る。充電サイクルと同様に、放電サイクルにおいても、バッテリーの温度や外気の温度を一定に保持することが好ましい。
【0057】
充電電圧区間と放電電圧区間とは、互いに同一であっても、異なっていてもよい。しかしながら、複数の充放電サイクルを進めるに際して、充電サイクルの相互間の充電電圧区間は、互いに同一であり、放電サイクルの相互間の放電電圧区間もまた互いに同一であることが好ましい。
【0058】
他の実施形態において、放電サイクルは、予め設定された放電電圧区間の上限から放電を開始し、放電電流を積算して電流積算量が予め設定された放電容量に達したときに放電を中断することを意味する。複数の充放電サイクルを進めるに際して、充電サイクルの相互間の充電電圧区間は、互いに同一であり、放電サイクルの相互間の放電容量が互いに同一であることが好ましい。
【0059】
制御部120は、データ取得部110から取得されたバッテリー情報に含まれている電流値(充電電流の測定値)を用いて、充電サイクルごとのCC充電容量、CV充電容量及び/又は充充電容量を算出し得る。
【0060】
制御部120は、基準回数で行われた充電サイクルごとに、総充電容量とCC充電容量とを比較して初期CC容量比を算出し得る。
【0061】
ここで、BOLの状態のバッテリーに対する充電サイクルが複数回進められる場合、複数回進められた充電サイクルにおける複数の初期CC容量比の代表値が代表の初期CC容量比として設定され得るということは前述された通りである。例えば、代表の初期CC容量比は、複数の初期CC容量比の平均値又は中間値であり得る。すなわち、複数の初期CC容量比を加工して算出され得る値のうち、複数の初期CC容量比を代表可能な値であれば、代表の初期CC容量比として制限なしに適用可能である。
【0062】
制御部120は、代表の初期CC容量比と代表の基準CC容量比とを比較した後、比較の結果に基づいて、バッテリーに対するカットオフ電圧を設定(調整)するように構成され得る。ここで、カットオフ電圧とは、CC-CV充電プロトコルにおいてCC充電ステージを終了する時点(すなわち、CC充電ステージからCV充電ステージへと切り換えられる時点)の電圧を意味することがある。カットオフ電圧は、前述された充電サイクルの充電終了電圧未満に設定される。
【0063】
制御部120は、カットオフ電圧を設定した後に、CC-CV充電プロトコルを用いた充電過程を進めるとき、バッテリーの端子電圧がカットオフ電圧に達するまでCC充電ステージを進め、バッテリーの電圧がカットオフ電圧に達すると、CV充電ステージを開始し得る。すなわち、制御部120は、代表の初期CC容量比と代表の基準CC容量比とを比較した結果に基づいてカットオフ電圧を設定することにより、バッテリーの診断後のCC-CV充電プロトコルを用いた充電過程を制御することができる。
【0064】
制御部120によるカットオフ電圧の調整動作は、代表の初期CC容量比と代表の基準CC容量比との比較の結果を考慮して、バッテリーの寿命を長期化させるためのものである。
【0065】
バッテリーの端子電圧が高くなるにつれて、バッテリーの正極の電位もまた上昇し、バッテリーの正極は、その電位が高ければ高いほど早く劣化するという特性がある。したがって、代表の初期CC容量比と代表の基準CC容量比との比較の結果に基づいてカットオフ電圧が減少すれば、CC充電期間においてバッテリーの正極が高電位に曝露される時間が短くなる。したがって、カットオフ電圧が固定されている充電方式に比べて、高電圧範囲におけるバッテリーの使用が制限され、その結果、バッテリーの劣化が防止又は緩和されることが可能になる。
【0066】
すなわち、本発明の一実施形態よれば、所定の充電サイクルの間の初期CC容量比と予め設定された基準CC容量比との差によりバッテリーのカットオフ電圧を設定することにより、バッテリーの寿命が増大されることが可能になるという長所がある。
【0067】
一方、バッテリー診断装置100に設けられた制御部120は、ハードウェア的に、デジタルシグナルプロセッサー(DSP:digital signal processors)、デジタル信号処理装置(DSPD:digital signal processing devices)、プログラマブルロジックデバイス(PLD:programmable logic devices)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA:field programmable gate arrays)、マイクロプロセッサー(microprocessors)、およびその他の機能遂行のための電気ユニットのうちの少なくとも1つを含むように実現され得、これにより、本発明において遂行される様々な制御ロジックを実行することが可能である。また、前記制御ロジックがソフトウェアにより実現されるとき、前記制御部120は、プログラムモジュールの集合により実現され得る。このとき、プログラムモジュールは、記憶部130に記憶され、制御部120により実行され得る。記憶部130は、制御部120の内部又は外部に存在し得、周知の様々な手段により制御部120と接続され得る。
【0068】
記憶部130は、バッテリー診断装置100の各構成要素が動作及び機能を遂行するのに必要なデータやプログラム又は動作及び機能が遂行される過程において生成されるデータなどを記憶し得る。記憶部130は、データを書き込み、消去、更新及び読み出しを行い得ると知られている公知の情報記憶手段であれば、その種類に特に制限がない。一例を挙げると、記憶部130は、フラッシュメモリタイプ(flash memory type)、ハードディスクタイプ(hard disk type)、ソリッドステートディスタイプ(SSDタイプ:Solid State Disk type)、シリコンディスクドライブタイプ(SDDタイプ:Silicon Disk Drive type)、マルチメディアカードマイクロタイプ(multimedia card micro type)、ランダムアクセスメモリ(RAM:random access memory)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM:static random access memory)、リードオンリーメモリ(ROM:read-only memory)、電気的に消去可能なプログラム可能な読み取り専用メモリ(EEPROM:electrically erasable programmable read-only memory)、およびプログラム可能な読み取り専用メモリ(PROM:programmable read-only memory)のうちの少なくとも一つのタイプのコンピューターにて読み取り可能な記憶媒体を含み得る。また、記憶部130は、制御部120により実行可能なプロセスが定義されたプログラムコードを記憶し得る。
【0069】
例えば、記憶部130は、サイクルカウントに対する基準CC容量比及び初期CC容量比の変化を示す容量比プロファイルを記憶し得る。データ取得部110は、記憶部130にアクセスして容量比プロファイルを取得した後、取得した容量比プロファイルに基づいて診断対象のバッテリーのためのカットオフ電圧を設定し得る。他の例を挙げると、データ取得部110は、外部から容量比プロファイルを直接的に受信することもある。
【0070】
まず、図2に基づいて、加速劣化を引き起こす欠陥の有無に応じたバッテリーの容量保持率(Capacity Retention)の変化について説明する。
【0071】
図2は、本発明の様々な実施形態において参照される、加速劣化の欠陥がない正常バッテリーと加速劣化の欠陥がある非正常バッテリーとの容量保持率の変化の推移を比較する上で参照される図である。
【0072】
容量保持率とは、設計容量に対する緩衝容量の比率を意味することがある。設計容量とは、BOLの状態で最大限に充電可能であると予め定められた容量を意味することがある。緩衝容量とは、BOLの状態から使用によって劣化した状態での最大限に充電可能な容量を意味することがある。すなわち、充電サイクルごとの緩衝容量は、CC-CV充電プロトコルに従ったCC充電期間における充電容量とCV充電期間における充電容量との和と同じであり得る。
【0073】
一例を挙げると、CC-CV充電プロトコルを用いた充電過程を用いて診断対象のバッテリーがSOC0%から100%まで充電された場合、制御部120は、CC充電期間における充電容量とCV充電期間における充電容量との合計と同様に診断対象のバッテリーの緩衝容量を決定し得る。したがって、設計容量は固定値であるのに対し、緩衝容量は可変値である。
【0074】
図2の実施形態において、診断対象のバッテリーの容量保持率は、制御部120がデータ取得部110から取得したバッテリー情報を用いて生成してもよいし、あるいは、データ取得部110が通信を用いて取得してもよい。
【0075】
図2を参照すると、カーブ210は、正常バッテリー(基準バッテリー)のサイクルカウントと容量保持率との関係を例示し、カーブ220は、非正常バッテリー(診断対象のバッテリーであり得る)のサイクルカウントと容量保持率との関係を例示する。
【0076】
サイクルカウントが増加するにつれて、非正常バッテリーの容量保持率が急激に減少しながら、両カーブ210、220間の容量保持率の差が次第に広がるということが分かる。
【0077】
但し、サイクルカウントが約30回に達するまでは、正常バッテリーの容量保持率と非正常バッテリーの容量保持率との間には非常に小さい差のみが出るため、容量保持率の変化からバッテリーの非正常的な劣化を早期に診断することは好適ではないということが図2から認められる。
【0078】
容量保持率が急激に減少するということは、緩衝容量が急激に減る加速劣化が起こるということを意味することがある。したがって、非正常バッテリーの方が正常バッテリーよりも劣化がさらに加速されることを意味し得る。
【0079】
以下では、制御部120が診断対象のバッテリーのカットオフ電圧を設定する実施形態について具体的に説明する。
【0080】
制御部120は、サイクルカウントが所定の値に達するまでの期間以内に決定された診断対象のバッテリーのCC容量比が基準容量比プロファイルに応じたCC容量比よりもさらに高ければ、前記診断対象のバッテリーに対するカットオフ電圧を減少させ得る。
【0081】
図3は、本発明の様々な実施形態により参照される、充電サイクルのサイクルカウントに対するバッテリーのCC容量比の変化を示すプロファイルを例示的に示す図である。
【0082】
図2と結び付けて図3を参照すると、図3のグラフにおいて、X軸はサイクルカウントを示し、Y軸はCC容量比を示している。両容量比プロファイルC、Dは、それぞれ診断対象のバッテリーと基準バッテリーのサイクルカウントに対するCC容量比の変化を例示している。基準バッテリーは、診断対象のバッテリーと同一の仕様を有するように製造された正常のバッテリーを称することがある。
【0083】
基準容量比プロファイルDは、サイクルカウントが1から200までの期間の間に、200回の充電サイクルを繰り返し進めたときの基準バッテリーのCC容量比の経時的な変化を示す。基準容量比プロファイルDのサイクルカウントごとのCC容量比は、図2の容量保持率カーブ210のサイクルカウントごとの緩衝容量をCC充電容量で除算した値である。
【0084】
診断容量比プロファイルCは、300回の充電サイクルを繰り返し進めたときの診断対象のバッテリーのCC容量比の経時的な変化を示す。診断容量比プロファイルCは、診断対象のバッテリーが製造時の欠陥や製造完了後の使用環境によって加速劣化の潜在性を有すると想定したものである。診断容量比プロファイルCのサイクルカウントごとのCC容量比は、図2の容量保持率カーブ220のサイクルカウントごとの緩衝容量をCC充電容量で除算した値である。
【0085】
本発明の発明者は、診断対象のバッテリーの加速劣化の潜在性が高ければ高いほど、サイクルカウントが小さい期間の間には、基準バッテリーに比べて診断対象のバッテリーのCC容量比がさらに大きく、この後、サイクルカウントが増加するにつれて、CC容量比が速やかに低下することを複数回の実験と検証過程を通じて認めることに至った。
【0086】
図3を参照すると、充電サイクルのサイクルカウントが基準回数に達するまでの診断観測期間の間に、診断容量比プロファイルCに応じた診断対象のバッテリーのCC容量比は、基準容量比プロファイルDに応じた基準バッテリーのCC容量比よりもさらに高いことを確認することができる。すなわち、診断対象のバッテリーの初期CC容量比が高いということは、診断対象のバッテリーの加速劣化の潜在性が高いということを意味することがある。
【0087】
図4は、図3に一点鎖線にて示す関心領域の拡大図である。
【0088】
図4を参照すると、関心領域310は、サイクルカウントが1から基準回数である5まで増加する診断観測期間の間の基準バッテリー及び診断対象のバッテリーのそれぞれのCC容量比の変化を示している。
【0089】
制御部120は、診断観測期間において診断対象のバッテリーの代表のCC容量比(「代表の初期CC容量比」と称することがある、符号CRを参照されたい)と基準バッテリーの代表のCC容量比(「代表の基準CC容量比」と称することがある、符号CRを参照されたい)とを比較して、比較の結果に基づいて、カットオフ電圧を設定し得る。
【0090】
制御部120は、診断観測期間における診断対象のバッテリーの代表の初期CC容量比CRと代表の基準CC容量比CRとの差である容量比偏差を算出し得る。
【0091】
例えば、代表の初期CC容量比は、95.56%であり、代表の基準CC容量比は、95.37%であるとしたとき、制御部120は、95.56%-95.37%=0.19%を容量比偏差として算出し得る。
【0092】
容量比偏差の算出が完了すれば、制御部120は、容量比偏差に基づいてカットオフ電圧を設定し得る。バッテリーの充電終了電圧は、容量比偏差に基づいて調整されたカットオフ電圧により制限され得る。制御部120が容量比偏差に基づいてバッテリーのカットオフ電圧を調整する具体的な実施形態については後述する。
【0093】
本発明の一実施形態によれば、診断観測期間の間の基準バッテリーに比べての診断対象のバッテリーのCC容量比の大きさ及び/又は変化の推移から診断対象のバッテリーの加速劣化の兆候を早期に捕捉することができ、加速劣化の兆候に合わせて診断対象のバッテリーの加速劣化を未然に防ぐための制御動作を実施することができる。
【0094】
以下では、制御部120がカットオフ電圧を設定する一実施形態について詳しく説明する。
【0095】
実施形態により、制御部120は、バッテリーに対して予め設定された基準カットオフ電圧よりも前記容量比偏差に対応する電圧に見合う分だけさらに低くなるようにカットオフ電圧を設定し得る。
【0096】
実施形態により、制御部120は、記憶部130に記憶された基準SOCプロファイル(図5参照)を用いてカットオフ電圧を設定し得る。図5に基づいて詳しく説明する。
【0097】
図5は、本発明の様々な実施形態において用いられる基準SOCプロファイルを示す図であり、図6は、図5に示す基準SOCプロファイルの一部分に対する拡大図である。
【0098】
図5を参照すると、基準SOCプロファイル500は、BOLの状態にある基準バッテリーに対する充電サイクルを進めたときのSOCと閉回路電圧(CCV:Closed Circuit Voltage)との対応関係を示すものであって、予め作成されて記憶部130に記憶されていることもある。
【0099】
制御部120は、基準カットオフ電圧に対応する基準SOCと容量比偏差に基づくターゲットSOCを決定し得る。
【0100】
基準SOCプロファイル500について述べると、SOCが0%から増加することにつれて、これに伴いCCVも上昇していて、SOCがSOCに達した時点から100%になるまでCCVは一定に保持されている。すなわち、基準SOCプロファイル500において、SOCは、CC充電ステージからCV充電ステージへの切り換え時のSOCである基準SOCを示し、Vは、SOCにおけるCCVとして記録された基準カットオフ電圧を示す。
【0101】
制御部120は、基準カットオフ電圧Vに対応する基準SOC(SOC)及び容量比偏差に基づいて、ターゲットSOC(SOC)を設定し得る。例えば、図5の実施形態において、制御部120は、基準SOC(SOC)から容量比偏差を差し引いた値であるSOCをターゲットSOCとして設定し得る。
【0102】
制御部120は、ターゲットSOC(SOC)に対応するCCVであるVと同じくなるように、カットオフ電圧を調整し得る。すなわち、診断対象のバッテリーのカットオフ電圧は、診断観測期間の間には、基準カットオフ電圧である電圧Vと同様に設定され、診断の完了後には、基準カットオフ電圧よりもさらに低い電圧Vに変更され得る。
【0103】
診断対象のバッテリーに対するカットオフ電圧が電圧Vから電圧Vへと下げられれば、カットオフ電圧が電圧Vと一定している場合に比べてCC充電期間の間の診断対象のバッテリーの正極が高電位に曝露される時間が短縮されるので、今後診断対象のバッテリーが急激に劣化することを未然に防ぐことができる。
【0104】
以下では、制御部120がカットオフ電圧を設定する他の実施形態について説明する。
【0105】
実施形態により、制御部120は、代表の初期CC容量比と代表の基準CC容量比との差である容量比偏差に対応するCCV偏差を用いてカットオフ電圧を設定し得る。図6を用いて詳しく説明する。
【0106】
図6においては、容量比偏差(図5のSOCとSOCとの差と同じである)が0.19%であり、カットオフ電圧の調整量(図5のVとVとの差と同じである)は3mVであることを例示している。
【0107】
実施形態により、制御部120は、代表の初期CC容量比が代表の基準CC容量比よりも容量比偏差に見合う分だけさらに大きい場合、基準SOC(SOC)から容量比偏差に見合う分だけ減少したターゲットSOC(SOC)を設定し、基準SOCプロファイル500からターゲットSOC(SOC)に関連付けられた電圧Vを探索してカットオフ電圧を設定し得る。
【0108】
代表の初期CC容量比が代表の基準CC容量比よりもさらに大きいということは、容量比偏差の大きさに見合う分だけ診断対象のバッテリーの加速劣化の兆候が高いということを意味する。
【0109】
本発明の一実施形態によれば、制御部120が診断対象のバッテリーの容量比偏差に見合うようにカットオフ電圧を設定することにより、診断対象のバッテリーの加速劣化の潜在性のレベルに合わせて今後の劣化加速のリスクを緩和することができる。併せて、カットオフ電圧が余計に低く設定されないようにすることで、診断対象のバッテリーの放電可能容量の減少を最小限に抑えることができる。
【0110】
以下では、図7に基づいて、前述された基準プロファイル(図3の符号Dを参照されたい)を取得するプロセスについて説明する。
【0111】
図7は、本発明の様々な実施形態において参照される、基準容量比プロファイルを取得するプロセスを説明する上で参照される図である。
【0112】
図7のグラフにおいて、それぞれのデータポイントpは、前記基準回数よりもさらに多い回数で基準バッテリーに対する充電サイクルを繰り返し行いながら取得される充電サイクルごとの基準バッテリーのCC容量比を示す。
【0113】
基準バッテリーに対する充電サイクルの進行回数が200回である場合、データポイントpの数も200個であり、データポイントの集合は、「CC容量比の時系列」と称し得る。
【0114】
制御部120は、少なくとも1つのカーブフィッティングのアルゴリズム(例えば、最小二乗法(Least Square Method)、多項式(polynomials))をCC容量比の時系列に適用して、基準容量比プロファイルDを生成し得る。
【0115】
一方、本明細書中において、特定の充電サイクルのCC容量比は、総充電容量に対するCC充電容量の比率を示す。総充電容量は、CC充電容量(CC充電期間の間の充電容量)及びCV充電容量(CV充電期間の間の充電容量)の合計と同様である。したがって、診断対象のバッテリーの加速劣化の兆候が捕捉されたか否かとは無関係に、総充電容量はCC充電容量よりもさらに大きい。
【0116】
CC充電容量は、CC充電ステージの進行中に充電電流を周期的に測定し、測定された充電電流の電流値を積算して決定され得る。同様に、CV充電容量は、CV充電ステージの進行中に充電電流を周期的に測定し、測定された充電電流の電流値を積算して決定され得る。
【0117】
データ取得部110は、電流センサー(図8の符号Aを参照されたい)により検出された充電電流の電流値を取得し得る。制御部120は、予め設定されたCC充電電圧区間において進められた所定の充電サイクルの回数を進めながら取得されたバッテリー情報に含まれている電流値を積算してCC充電容量を決定し得る。
【0118】
例えば、データ取得部110は、診断対象のバッテリーに対するCC充電ステージが進められる間に電流センサーにより測定された電流値を経時的に積算して、CC充電期間における電流積算量と同様にバッテリーのCC充電容量を決定し得る。
【0119】
他の例を挙げると、データ取得部110は、診断対象のバッテリーに対するCV充電ステージが進められる間に電流センサーにより測定された電流値を経時的に積算して、CV充電期間における電流積算量と同様にバッテリーのCV充電容量を決定し得る。
【0120】
これに関し、CC充電期間においては、予め定められた大きさの充電電流により診断対象のバッテリーが充電されていく。これに対し、CV充電期間においては、カットオフ電圧が充電電圧として診断対象のバッテリーに一定に印加されながら、充電電流の大きさは、減少していく。
【0121】
したがって、制御部120は、CV充電期間における電流測定周期をCC充電期間における電流測定周期よりもさらに短く設定し得る。一例を挙げると、CC充電期間においては、第1のサンプリングレート(例えば、10回/秒)にて充電電流が測定され、CV充電期間においては、第1のサンプリングレートよりもさらに大きい第2のサンプリングレート(例えば、60回/秒)にて充電電流が測定され得る。また、CC充電期間においては、第3のサンプリングレート(例えば、60回/秒)にてバッテリーの端子電圧が測定され、CV充電期間においては、第3のサンプリングレートよりもさらに小さい第4のサンプリングレート(例えば、10回/秒)にてバッテリーの端子電圧が測定され得る。
【0122】
制御部120は、CC充電期間又はCV充電期間における電流積算量に基づいて、診断対象のバッテリーのSOCを推定し得る。ここで、電流積算量からバッテリーSOCを推定する方式は周知及び公知の技術事項であるため、その詳細な説明を省略する。
【0123】
前述したように、制御部120は、診断観測期間の間の充電サイクルごとの初期CC容量比に基づいて代表の初期CC容量比を算出し、代表の初期CC容量比を用いて診断対象のバッテリーの加速劣化状態を早期に診断することができる。
【0124】
図8は、本発明の一実施形態によるバッテリー診断装置100を含む上位装備の例示的な構成を概略的に示す図である。
【0125】
図8を参照すると、符号1は、バッテリーパック又はバッテリー診断システムなどの上位装備を指す。以下では、説明のしやすさのために、符号1が指すものはバッテリー診断システムであることを想定している。
【0126】
本発明によるバッテリー診断装置100は、バッテリー診断システム1に設けられ得る。すなわち、本発明によるバッテリー診断システム1は、バッテリー管理システム(BMS)10と、充放電部300と、バッテリーBとを含み得る。
【0127】
本発明によるBMS10は、上述したバッテリー診断装置100及び測定部200を含み得る。このような構成において、バッテリー診断装置100の各構成要素のうちの少なくとも一部は、従来のBMSに含まれている構成要素の機能を補完したり追加したりすることにより実現され得る。例えば、バッテリー診断装置100のデータ取得部110と、制御部120と記憶部130とは、BMSの構成要素として実現され得る。
【0128】
バッテリーBは、図1図7に基づいて以上において説明された診断対象のバッテリーであり得る。また、バッテリーパック1は、電装品(リレー、ヒューズなど)及びケースなどをさらに含み得る。
【0129】
測定部200は、電圧センシングラインSL1と、電圧センシングラインSL2及び電流センシングラインSL3と接続され得る。
【0130】
具体的には、電圧センシングラインSL1は、バッテリーBの正極端子と測定部200に接続され得る。また、電圧センシングラインSL2は、バッテリーBの負極端子と測定部200に接続され得る。測定部200は、電圧センシングラインSL1と電圧センシングラインSL2との間に印加される電圧をバッテリーBの端子電圧として測定し得る。
【0131】
また、測定部200は、第3のセンシングラインSL3と接続された電流センサーAを介してバッテリーBの充電電流及び/又は放電電流を測定し得る。例えば、電流センサーAは、シャント抵抗又は電流計を含み得る。
【0132】
充放電部300は、制御部120からの指令に応答して、バッテリーBを充電及び/又は放電するように構成され得る。すなわち、充放電部300は、充電機能のみを有していてもよいし、あるいは、充電機能と放電機能を両方とも有していてもよい。充放電部300によりバッテリーの充電及び/又は放電が行われる過程において、測定部200は、バッテリーBの電圧及び電流を測定し得る。
【0133】
測定部200により測定されたバッテリーの電圧及び電流は、バッテリー診断装置100に送信され得る。具体的には、データ取得部110は、測定部200からバッテリーの端子電圧及び電流のそれぞれの測定値を受信し得る。例えば、データ取得部110は、電流センサーAにより測定されたバッテリーBに流れる充電電流の電流値を測定部200を介して取得し得る。
【0134】
以下、図9図11に基づいて、充電サイクルごとの充電容量情報を活用したバッテリー診断方法の実施形態について詳しく説明する。図9図11によるバッテリー診断方法は、バッテリーBがBOLの状態にあるときに実施されるものであって、それぞれのステップは、バッテリー診断装置100により行われ得る。以下では、叙上の内容と重複する内容についての繰り返し説明は省略する。
【0135】
図9は、本発明の他の実施形態によるバッテリー診断方法を概略的に示す手順図である。
【0136】
図9によるバッテリー診断方法は、バッテリー情報取得ステップ(S910)と、代表の初期CC容量比の算出ステップ(S920)と、代表の初期CC容量比と代表の基準CC容量比との比較ステップ(S930)と、カットオフ電圧設定ステップ(S940)とを含み得る。
【0137】
図9と結び付けて図1図8を参照すると、ステップ(S910)において、制御部120は、データ取得部110を用いて、CC-CV充電プロトコルに従って基準回数だけ行われた充電サイクルごとのバッテリーBの端子電圧及び充電電流の経時的な変化履歴を示すバッテリー情報を取得する。基準回数は、1以上である。
【0138】
例えば、データ取得部110は、バッテリーBの正極及び負極に接続された電圧センシングラインSL1、SL2を介して測定された端子電圧の電圧値と、電流センシングラインSL3を介して測定された充電電流の電流値とを含むバッテリー情報を取得し得る。
【0139】
ステップ(S920)において、制御部120は、ステップ(S910)において取得されたバッテリー情報に基づいて、バッテリーBの代表の初期CC容量比を算出する。
【0140】
代表の初期CC容量比を算出するために進めるべき充電サイクルの回数である基準回数は、予め設定され得る。
【0141】
一例を挙げると、基準回数が1である場合、代表の初期CC容量比は、BOLの状態であるバッテリーBに対する最初の充電サイクルの総充電容量に対するCC充電容量の比率と同様に設定され得る。
【0142】
他の例を挙げると、基準回数がn(2以上の自然数)である場合、BOLの状態であるバッテリーBに対する充電サイクルをn回実施し、n回の充電サイクルに対するn個の初期CC容量比が算出され得る。この場合、代表の初期CC容量比は、n個の初期CC容量比の代表値と同様に算出され得る。
【0143】
ステップ(S930)において、制御部120は、ステップ(S920)において算出された代表の初期CC容量比と所定の代表の基準CC容量比とを比較して、代表の初期CC容量比が代表の基準CC容量比よりもさらに大きいか否かを判定する。代案として、制御部120は、代表の初期CC容量比が代表の基準CC容量比よりも許容誤差以上さらに大きいか否かを判定し得る。許容誤差は、電流値に存在する測定誤差に伴う誤診断を防ぐために予め定められた値であり得る。
【0144】
ステップ(S930)の値が「YES」である場合、ステップ(S940)に移行する。ステップ(S930)の値が「NO」である場合、図9による方法は終了され得る。
【0145】
ステップ(S940)において、制御部120は、バッテリーBに加速劣化の兆候があると診断する。
【0146】
ステップ(S950)において、制御部120は、代表の初期CC容量比と代表の基準CC容量比との差である容量比偏差に基づいて、CC-CV充電プロトコルのカットオフ電圧を調整する。
【0147】
具体的には、制御部120は、容量比偏差に基づいてターゲットSOC(SOC)を決定し、基準SOCプロファイル500からターゲットSOC(SOC)にマッピングされた電圧Vと同様にバッテリーBのカットオフ電圧を設定し得る。
【0148】
ステップ(S940)において調整されたカットオフ電圧は、図9による方法の終了後に、CC-CV充電プロトコルを用いたバッテリーBの充電過程が進められるときにCC充電ステージからCV充電ステージへの切り換え事象の基準となる電圧として活用される。すなわち、制御部120は、今後CC充電ステージの進行中にバッテリーBの端子電圧が調整されたカットオフ電圧Vに達したことに応答して、CC充電の終了とCV充電ステージの開始を充放電部300にリクエストし得る。
【0149】
図10は、本発明のさらに他の実施形態によるバッテリー診断方法を概略的に示す手順図である。
【0150】
図10と結び付けて図1図8を参照すると、ステップ(S1010)において、制御部120は、データ取得部110を用いて、CC-CV充電プロトコルに従って基準回数だけ行われた第1から第nの充電サイクルのそれぞれのバッテリーBの端子電圧及び充電電流の経時的な変化履歴を示すバッテリー情報を取得する。nは、基準回数を示し、ステップ(S1010)における基準回数nは、2以上であるという点で、図9による実施形態とは相違点がある。
【0151】
ステップ(S1020)において、制御部120は、ステップ(S1010)において取得されたバッテリー情報に基づいて、バッテリーBの第1から第nの初期CC容量比を決定する。例えば、iは、n以下の自然数であるとしたとき、第iの初期CC容量比は、i番目に進められた充電サイクル(すなわち、サイクルカウント=i)の総充電容量に対するCC充電容量の比率である。
【0152】
ステップ(S1030)において、制御部120は、ステップ(S1020)において算出された第1から第nの初期CC容量比を第1から第nの基準CC容量比と比較して、第1から第nの初期CC容量比のうち、第1から第nの基準CC容量比よりもさらに大きいものの数が基準値以上であるか否かを判定する。
【0153】
iは、n以下の自然数であるとしたとき、第iの基準CC容量比は、図3に示す基準容量比プロファイルDにおいてサイクルカウント=iにマッピングされたCC容量比である。ここで、各初期CC容量比は、それと同一のサイクルカウントにマッピングされた1つの基準CC容量比と比較される。すなわち、i=1~nに対して、第iの初期CC容量比が第iの基準CC容量比よりもさらに大きいか否かが判定され得る。基準値は、基準回数以下に予め定められることもある。
【0154】
一例を挙げると、図3においては、サイクルカウントが100以下である範囲において診断容量比プロファイルCが基準容量比プロファイルDよりもさらに上側に位置する。したがって、基準値は、基準回数と同一であり、ステップ(S1030)の値は、「YES」となる。
【0155】
ステップ(S1030)の値が「YES」である場合、ステップ(S1040)に移行する。ステップ(S1030)の値が「NO」である場合、図10による方法は終了され得る。
【0156】
ステップ(S1040)において、制御部120は、バッテリーBに加速劣化の兆候があると診断する。
【0157】
ステップ(S1050)において、制御部120は、第1から第nの初期CC容量比の代表値である代表の初期CC容量比と代表の基準CC容量比の代表値との差である容量比偏差に基づいて、CC-CV充電プロトコルのカットオフ電圧を調整する。代表の基準CC容量比は、第1から第nの基準CC容量比の代表値であり得る。
【0158】
図11は、本発明のさらに他の実施形態によるバッテリー診断方法を概略的に示す手順図であり、図12は、図11のバッテリー診断方法を説明する上で参照される図である。
【0159】
図11と結び付けて図1図8を参照すると、ステップ(S1110)において、制御部120は、データ取得部110を用いて、CC-CV充電プロトコルに従って基準回数だけ行われた充電サイクルごとのバッテリーBの端子電圧及び充電電流の経時的な変化履歴を示すバッテリー情報を取得する。ステップ(S1110)は、図9のステップ(S910)と実質的に同様である。
【0160】
ステップ(S1120)において、制御部120は、ステップ(S1110)において取得されたバッテリー情報に基づいて、バッテリーBの代表の初期CC容量比を算出する。ステップ(S1120)は、図9のステップ(S920)と実質的に同様である。
【0161】
ステップ(S1130)において、制御部120は、ステップ(S1120)において算出された代表の初期CC容量比が代表の基準CC容量比よりもさらに大きいか否かを判定する。ステップ(S1130)は、図9のステップ(S930)と実質的に同様である。
【0162】
ステップ(S1130)の値が「YES」である場合、ステップ(S1140)に移行する。ステップ(S1130)の値が「NO」である場合、図11による方法は終了され得る。
【0163】
ステップ(S1140)において、制御部120は、バッテリーBに加速劣化の兆候があると診断する。ステップ(S1140)は、図9のステップ(S940)と実質的に同様である。
【0164】
ステップ(S1150)において、制御部120は、初期CC容量比と所定の基準CC容量比との差である容量比偏差に基づいて、サイクルカウントが前記基準回数よりもさらに大きい充電サイクルを進めるときに用いられるCC-CV充電プロトコルのカットオフ電圧を調整するための電圧調整スケジューリングカーブを取得する。
【0165】
記憶部130には、予め定められた複数の容量比偏差に一対一に関連付けられた複数の電圧調整スケジューリングカーブが記憶されていることもある。各電圧調整スケジューリングカーブは、n+1以上のサイクルカウントに応じた電圧調整値の変化を定義しており、ルックアップテーブル(データマップ)や関数の形態で記憶部130に記録されていることもある。
【0166】
図12を参照すると、容量比偏差が特定の値Wであるときの、サイクルカウントと電圧調整値との例示的な関係を電圧調整スケジューリングカーブ1200として示すグラフを確認することができる。基準回数は、nであるため、図12のグラフは、n+1以上の範囲に対するサイクルカウントについて示している。
【0167】
サイクルカウントがn+1からしきい値カウントmに達するまでは、電圧調整値がサイクルカウントと正の相関関係を有し得る。サイクルカウントがしきい値カウントmに達してからは、電圧調整値は、所定の上限値Vに保持され得る。上限値Vは、カットオフ電圧が過剰に減少することにより、CV充電期間の長引き及びバッテリーBの放電可能容量の低下を防ぐための用途に予め設定された値であり得る。
【0168】
制御部120は、記憶部130から、ステップ(S1140)において算出された容量比偏差に関連付けられたいずれか1つの電圧調整スケジューリングカーブを選択し、選択された電圧調整スケジューリングカーブを用いて、n+1以上の範囲においてサイクルカウントが増加する度にCC-CV充電プロトコルのカットオフ電圧を設定(アップデート)し得る。
【0169】
仮に、ステップ(S1150)において容量比偏差がWとして決定された場合、制御部120は、記憶部130から複数の容量比偏差のうちのWに関連付けられた電圧調整スケジューリングカーブ1200を取得した後、サイクルカウントがn+1以上である充電サイクルにおける電圧調整値を電圧調整スケジューリングカーブ1200から決定し得る。
【0170】
一例を挙げると、サイクルカウントがkである場合、制御部120は、基準カットオフ電圧(図5の符号Vを参照されたい)から電圧調整値Vkを差し引いた電圧(V-V)と同様にカットオフ電圧を設定し得る。これにより、サイクルカウントがkである充電サイクルが進められる場合、CC充電ステージからCV充電ステージへの切り換え事象は、バッテリーの端子電圧が電圧(V-V)に達するときに起こることができる。
【0171】
すなわち、図11によるバッテリー診断方法は、CC-CV充電プロトコルのカットオフ電圧が今後の充電サイクルのサイクルカウントに合わせて変更されるという点で、図9及び図10によるバッテリー診断方法とは相違点がある。
【0172】
図9図11によるバッテリー診断方法は、バッテリーBの加速劣化の可能性を早期に見出し、カットオフ電圧を変更することによりバッテリーBの加速劣化を防ぐことができるという長所がある。
【0173】
以上説明した本発明の実施形態は、装置および方法によってのみ実現されるものではなく、本発明の実施形態の構成に対応する機能を実現するプログラム又はそのプログラムが記録された記録媒体を介して実現されてもよい。このような実現は、上述した実施形態の記載から本発明が属する技術分野の専門家であれば容易に実現できるものである。
【0174】
以上、本発明を限定された実施形態と図面によって説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者によって本発明の技術思想と特許請求の範囲の均等範囲内で様々な修正及び変形が可能であることは言うまでもない。
【0175】
また、以上で説明した本発明は、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者により、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の置換、変形及び変更が可能であるため、上述した実施形態及び添付の図面によって限定されるのではなく、様々な変形のため各実施形態の全部又は一部が選択的に組み合わせられて構成され得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2024-06-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
BOL(寿命初期)の状態にあるバッテリーに対して定電流(CC:Constant Current)-定電圧(CV:Constant Voltage)充電プロトコルに従って基準回数だけ行われた充電サイクルごとの前記バッテリーの端子電圧及び充電電流の経時的な変化履歴を示すバッテリー情報を取得するように構成されるデータ取得部と、
前記バッテリー情報に基づいて、前記基準回数だけ行われた充電サイクルごとの初期定電流(CC)容量比を算出するように構成される制御部と、
を含み、
特定の充電サイクルにおける前記初期定電流(CC)容量比は、前記特定の充電サイクルにおける前記バッテリーの総充電容量に対する定電流(CC)充電容量の比率を示し、前記定電流(CC)充電容量は、前記定電流(CC)-定電圧(CV)充電プロトコルに従った定電流(CC)充電期間における充電容量を示し、
前記制御部は、
前記充電サイクルごとの初期定電流(CC)容量比に基づいて、代表の初期定電流(CC)容量比を決定し、
前記代表の初期定電流(CC)容量比を所定の代表の基準定電流(CC)容量比と比較して、前記バッテリーに加速劣化の兆候があるか否かを診断するように構成される、バッテリー診断装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記代表の初期定電流(CC)容量比が所定の代表の基準定電流(CC)容量比よりもさらに大きい場合、前記バッテリーに加速劣化の兆候があると診断するように構成される、請求項1に記載のバッテリー診断装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記バッテリーに加速劣化の兆候があると診断されたことに応答して、前記定電流(CC)-定電圧(CV)充電プロトコルのカットオフ電圧を調整するように構成されるが、
前記カットオフ電圧は、定電流(CC)充電ステージから定電圧(CV)充電ステージへの切り換え事象の基準となる電圧である、請求項1に記載のバッテリー診断装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記バッテリーに加速劣化の兆候があると診断されたことに応答して、前記代表の初期定電流(CC)容量比と前記代表の基準定電流(CC)容量比との差を示す容量比偏差を算出し、
前記容量比偏差に基づいて、前記カットオフ電圧を調整するように構成される、請求項3に記載のバッテリー診断装置。
【請求項5】
前記制御部は、
充電状態(SOC:State Of Charge)と閉回路電圧(CCV:Closed Circuit Voltage)との対応関係を示す所定の基準充電状態(SOC)プロファイルに記録された基準カットオフ電圧にマッピングされた基準充電状態(SOC)及び前記容量比偏差に基づいて、ターゲット充電状態(SOC)を決定し、
前記基準充電状態(SOC)プロファイルにおいて前記ターゲット充電状態(SOC)にマッピングされた閉回路電圧(CCV)と同様に前記カットオフ電圧を調整するように構成される、請求項4に記載のバッテリー診断装置。
【請求項6】
前記基準充電状態(SOC)から前記容量比偏差を差し引いて、前記ターゲット充電状態(SOC)を決定するように構成される、請求項5に記載のバッテリー診断装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記基準回数が2以上である場合、前記基準回数と同数の前記初期定電流(CC)容量比の平均値又は中間値と同様に前記代表の初期定電流(CC)容量比を算出するように構成される、請求項1に記載のバッテリー診断装置。
【請求項8】
前記制御部は、各充電サイクルに対して、
前記定電流(CC)-定電圧(CV)充電プロトコルに従った定電流(CC)充電期間の間の充電電流の電流値を積算して、前記定電流(CC)充電容量を決定し、
前記定電流(CC)-定電圧(CV)充電プロトコルに従った定電圧(CV)充電期間の間の充電電流の電流値を積算して、定電圧(CV)充電容量を決定し、
前記定電流(CC)充電容量と前記定電圧(CV)充電容量とを合算して、前記総充電容量を決定するように構成される、請求項1に記載のバッテリー診断装置。
【請求項9】
前記制御部は、
前記バッテリーに加速劣化の兆候があると診断されたことに応答して、前記代表の初期定電流(CC)容量比と前記代表の基準定電流(CC)容量比との差を示す容量比偏差を算出し、
複数の容量比偏差に一対一に関連付けられたものとして予め与えられた複数の電圧調整スケジューリングカーブ-各電圧調整スケジューリングカーブは、サイクルカウントに応じた電圧調整値の変化を定義する-のうちから前記算出された容量比偏差に関連付けられたいずれか1つの電圧調整スケジューリングカーブを選択し、
前記選択された電圧調整スケジューリングカーブを用いて、今後前記充電サイクルのサイクルカウントの増加時ごとに前記定電流(CC)-定電圧(CV)充電プロトコルのカットオフ電圧を決定するように構成されるが、
前記カットオフ電圧は、定電流(CC)充電ステージから定電圧(CV)充電ステージへの切り換え事象の基準となる電圧である、請求項1に記載のバッテリー診断装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載のバッテリー診断装置を含む、バッテリー診断システム。
【請求項11】
BOL(寿命初期)の状態にあるバッテリーに対して定電流(CC:Constant Current)-定電圧(CV:Constant Voltage)充電プロトコルに従って基準回数だけ行われた充電サイクルごとの前記バッテリーの端子電圧及び充電電流の経時的な変化履歴を示すバッテリー情報を取得するステップと、
前記バッテリー情報に基づいて、前記基準回数だけ行われた充電サイクルごとの初期定電流(CC)容量比を算出するステップであって、特定の充電サイクルにおける前記初期定電流(CC)容量比は、前記特定の充電サイクルにおける前記バッテリーの総充電容量に対する定電流(CC)充電容量の比率を示し、前記定電流(CC)充電容量は、前記定電流(CC)-定電圧(CV)充電プロトコルに従った定電流(CC)充電期間における充電容量を示すものであるステップと、
前記充電サイクルごとの初期定電流(CC)容量比に基づいて、代表の初期定電流(CC)容量比を決定するステップと、
前記代表の初期定電流(CC)容量比を所定の代表の基準定電流(CC)容量比と比較して、前記バッテリーに加速劣化の兆候があるか否かを診断するステップと、
を含む、バッテリー診断方法。
【請求項12】
前記バッテリーに加速劣化の兆候があるか否かを診断するステップは、
前記代表の初期定電流(CC)容量比が所定の代表の基準定電流(CC)容量比よりもさらに大きい場合、前記バッテリーに加速劣化の兆候があると診断する、請求項11に記載のバッテリー診断方法。
【請求項13】
前記バッテリーに加速劣化の兆候があると診断されたことに応答して、前記定電流(CC)-定電圧(CV)充電プロトコルのカットオフ電圧を調整するステップをさらに含み、
前記カットオフ電圧は、定電流(CC)充電ステージから定電圧(CV)充電ステージへの切り換え事象の基準となる電圧である、請求項11に記載のバッテリー診断方法。
【請求項14】
前記定電流(CC)-定電圧(CV)充電プロトコルのカットオフ電圧を調整するステップは、
前記バッテリーに加速劣化の兆候があると診断されたことに応答して、前記代表の初期定電流(CC)容量比と前記代表の基準定電流(CC)容量比との差を示す容量比偏差を算出するステップと、
前記容量比偏差に基づいて、前記カットオフ電圧を調整するステップと、
を含む、請求項13に記載のバッテリー診断方法。
【請求項15】
前記容量比偏差に基づいて、前記カットオフ電圧を調整するステップは、
充電状態(SOC:State Of Charge)と閉回路電圧(CCV:Closed Circuit Voltage)との対応関係を示す所定の基準充電状態(SOC)プロファイルに記録された基準カットオフ電圧にマッピングされた基準充電状態(SOC)及び前記容量比偏差に基づいて、ターゲット充電状態(SOC)を決定するステップと、
前記基準充電状態(SOC)プロファイルにおいて前記ターゲット充電状態(SOC)にマッピングされた閉回路電圧(CCV)と同様に前記カットオフ電圧を調整するステップと、
を含む、請求項14に記載のバッテリー診断方法。
【請求項16】
前記基準充電状態(SOC)から前記容量比偏差を差し引いて、前記ターゲット充電状態(SOC)を決定する、請求項15に記載のバッテリー診断方法。
【請求項17】
前記代表の初期定電流(CC)容量比を決定するステップは、
前記基準回数が2以上である場合、前記基準回数と同数の前記初期定電流(CC)容量比の平均値又は中間値と同様に前記代表の初期定電流(CC)容量比を算出する、請求項11に記載のバッテリー診断方法。
【請求項18】
前記バッテリー情報に基づいて、前記基準回数だけ行われた充電サイクルごとの初期定電流(CC)容量比を算出するステップは、
各充電サイクルに対して、
前記定電流(CC)-定電圧(CV)充電プロトコルに従った定電流(CC)充電期間の間の充電電流の電流値を積算して、前記定電流(CC)充電容量を決定し、
前記定電流(CC)-定電圧(CV)充電プロトコルに従った定電圧(CV)充電期間の間の充電電流の電流値を積算して、定電圧(CV)充電容量を決定し、
前記定電流(CC)充電容量と前記定電圧(CV)充電容量とを合算して、前記総充電容量を決定する、請求項11に記載のバッテリー診断方法。
【請求項19】
前記バッテリーに加速劣化の兆候があると診断されたことに応答して、
前記代表の初期定電流(CC)容量比と前記代表の基準定電流(CC)容量比との差を示す容量比偏差を算出し、
複数の容量比偏差に一対一に関連付けられたものとして予め与えられた複数の電圧調整スケジューリングカーブ-各電圧調整スケジューリングカーブは、サイクルカウントに応じた電圧調整値の変化を定義する-のうちから前記算出された容量比偏差に関連付けられたいずれか1つの電圧調整スケジューリングカーブを選択し、
前記選択された電圧調整スケジューリングカーブを用いて、今後前記充電サイクルのサイクルカウントの増加時ごとに前記定電流(CC)-定電圧(CV)充電プロトコルのカットオフ電圧を決定するステップをさらに含み、
前記カットオフ電圧は、定電流(CC)充電ステージから定電圧(CV)充電ステージへの切り換え事象の基準となる電圧である、請求項11に記載のバッテリー診断方法。
【国際調査報告】