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特表2024-546693グリッチフリー・ブラウンアウト検出器
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】グリッチフリー・ブラウンアウト検出器
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/00 20060101AFI20241219BHJP
   H03K 5/08 20060101ALI20241219BHJP
   G06F 1/28 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
G01R31/00
H03K5/08 P
G06F1/28
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024534049
(86)(22)【出願日】2022-10-04
(85)【翻訳文提出日】2024-07-23
(86)【国際出願番号】 US2022077545
(87)【国際公開番号】W WO2023107769
(87)【国際公開日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】63/286,851
(32)【優先日】2021-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/654,482
(32)【優先日】2022-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522029730
【氏名又は名称】インフィニオン テクノロジーズ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Infineon Technologies LLC
【住所又は居所原語表記】198 Champion Court, San Jose, CA 95134, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】グレゴリー ポールズ
(72)【発明者】
【氏名】ジャヤント アショククマール
【テーマコード(参考)】
2G036
5B011
5J039
【Fターム(参考)】
2G036AA28
2G036BA37
2G036CA10
5B011DA02
5B011EA09
5B011GG02
5B011HH04
5J039DA01
5J039DB03
5J039KK10
5J039KK12
(57)【要約】
一実施形態によれば、回路には、集積回路上に配置された複数の比較器であって、監視対象電源ラインに結合された入力を有する複数の比較器と、複数の比較器の出力に結合された入力を有する投票回路と、を含む。投票回路の出力は、監視対象電源ラインに結合された電源のブラウンアウト状態を示す信号を提供するように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
集積回路上に配置された複数の比較器であって、監視対象電源ラインに結合された入力を有する複数の比較器と、
前記複数の比較器の出力に結合された入力を有する投票回路であって、前記投票回路の出力は、前記監視対象電源ラインに結合された電源のブラウンアウト状態を示す信号を提供するように構成される投票回路と、
を備える回路。
【請求項2】
前記複数の比較器のうちの第1比較器は、第1比較閾値を有し、
前記複数の比較器のうちの第2比較器は、第2比較閾値を有する、
請求項1に記載の回路。
【請求項3】
前記第1比較閾値は、前記第2比較閾値とは異なる、
請求項2に記載の回路。
【請求項4】
前記複数の比較器の前記入力は、前記監視対象電源ラインのスターポイントに接続される、
請求項1に記載の回路。
【請求項5】
前記回路は、前記監視対象電源ラインのスターポイントから延びる第1の導体を介して前記監視対象電源ラインに接続される第1回路をさらに備え、
前記複数の比較器のうちの第1比較器の入力は、前記監視対象電源ラインの前記スターポイントに接続され、
前記複数の比較器のうちの第2比較器の入力は、前記スターポイントを含まない回路経路を介して前記第1の導体に接続される、
請求項1に記載の回路。
【請求項6】
前記回路は、前記監視対象電源ラインの前記スターポイントから延びる第2の導体を介して前記監視対象電源ラインに接続される第2回路をさらに備え、
前記複数の比較器のうちの前記第2比較器の入力は、前記スターポイントを含まず、かつ、前記第1の導体を含まない回路経路を介して前記第2の導体に接続される、
請求項5に記載の回路。
【請求項7】
前記投票回路は、c素子を備える、
請求項1に記載の回路。
【請求項8】
前記投票回路は、
前記複数の比較器の第1のグループの比較器に結合された入力を有する第1のc素子と、
前記複数の比較器の第2のグループの比較器に結合された入力を有する第2のc素子と、
前記第1のc素子の出力に結合されている第1の入力と、前記第2のc素子の出力に結合されている第2の入力と、を有する第3のc素子と、
を備える、
請求項1に記載の回路。
【請求項9】
前記投票回路は、多数決ゲートを備える、
請求項1に記載の回路。
【請求項10】
前記複数の比較器のうちの少なくとも1つは、ヒステリシス回路を備える、
請求項1に記載の回路。
【請求項11】
集積回路を動作させる方法であって、前記方法は、
電源バスの第1地点における第1電圧を第1基準電圧と比較するステップと、
電源の第2地点における第2電圧を第2基準電圧と比較するステップと、
前記第1電圧が前記第1基準電圧未満であり、前記第2電圧が前記第2基準電圧未満である場合にブラウンアウト状態に遷移するステップと、
前記ブラウンアウト状態に遷移した後、前記第1電圧が前記第1基準電圧未満のままであるか、または、前記第2電圧が前記第2基準電圧未満のままである場合に、前記ブラウンアウト状態に留まるステップと、
前記第1電圧が前記第1基準電圧を超え、前記第2電圧が前記第2基準電圧を超えると、前記ブラウンアウト状態から遷移するステップと、
前記ブラウンアウト状態から遷移した後、前記第1電圧が前記第1基準電圧よりも高いままであるか、または、前記第2電圧が前記第2基準電圧よりも高いままである場合に、前記ブラウンアウト状態外に留まるステップと、
前記ブラウンアウト状態に移行すると、ブラウンアウト状態を示すステップと、
を含む方法。
【請求項12】
前記方法は、前記ブラウンアウト状態が示されたときに前記電源に接続された第1回路を遮断するステップをさらに備える、
請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記電源バスの前記第1地点と前記電源バスの前記第2地点とは、同じ地点である、
請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記電源バスは、第1回路に結合されており、
前記電源バスの前記第2地点は、前記電源バスの前記第1地点よりも前記第1回路に電気的に近い、
請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記第1および第2電圧は、変動しており、
前記第1および第2基準電圧は、プログラム可能に固定されている、
請求項11に記載の方法。
【請求項16】
メモリ回路と、
電源ノードと前記メモリ回路の電源入力との間に結合された導電性電源バスと、
前記導電性電源バスに結合されたブラウンアウト検出器と、
を備える集積回路であって、
前記ブラウンアウト検出器は、
前記導電性電源バスに結合された信号入力を有する第1比較器と、
前記導電性電源バスに結合された信号入力を有する第2比較器と、
前記第1比較器および前記第2比較器の出力に結合されている入力と、前記メモリ回路のシャットダウン入力に結合されている出力と、を有する投票回路と、
を備える集積回路。
【請求項17】
前記投票回路は、c素子を備える、
請求項16に記載の集積回路。
【請求項18】
前記集積回路は、前記電源ノードに接続されたボンドパッドをさらに備える、
請求項16に記載の集積回路。
【請求項19】
前記集積回路は、前記第1比較器の基準電圧入力に結合されている第1出力と、前記第2比較器の基準電圧入力に結合されている第2出力と、を有する基準電圧発生器をさらに備え、
前記基準電圧発生器は、前記第1出力に第1基準電圧を提供し、前記第2出力に前記第1基準電圧とは異なる第2基準電圧を提供するように構成されている、
請求項16に記載の集積回路。
【請求項20】
前記第1比較器の前記信号入力は、前記導電性電源バス上の第1地点に物理的に接続され、
前記第2比較器の前記信号入力は、前記導電性電源バス上の第2地点に物理的に接続されている、
請求項16に記載の集積回路。
【請求項21】
前記導電性電源バス上の前記第1地点は、前記導電性電源バスの前記第2地点よりも前記メモリ回路の前記電源入力に電気的に近い、
請求項20に記載の集積回路。
【請求項22】
前記メモリ回路は、シリコン-酸化物-窒化物-酸化物-シリコン(SONOS)ベースの不揮発性メモリアレイを含む、
請求項16に記載の集積回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
政府の権益
本明細書に記載の発明は、Air Force Research Laboratoryによって授与された主要契約FA9453-19-C-0011の一部として、Microelectronic Research Development Co.(Micro-RDC)によって授与された下請契約07070-SC-001の下で政府の支援を受けて行われた。米国政府は、本発明に一定の権利を有する。
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年12月7日に出願された米国仮特許出願第63/286,851号および2022年3月11日に出願された米国特許出願第17/654,482号の35 U.S.C.§119(e)の下での利益を主張し、これらの出願は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
本発明は、一般に、C素子補償が有るまたは無いブラウンアウト検出器デバイスおよびその動作方法に関する。
【背景技術】
【0004】
多くの回路およびシステムは、指定された範囲を有する電源電圧を受電するように設計されている。例えば、2つの1.5Vバッテリを使用する単純なバッテリ駆動装置は、2.5Vと3.5Vの間の電源電圧で動作するように設計し得る。しかしながら、電源電圧が最小指定電圧2.5Vを下回ると、装置内の回路はもはや予測可能なように動作せず、回路の動作が不規則になり得る。低電源電圧で起こり得る悪影響を回避するために、多くの回路やシステムには、電源を監視し、また低電源電圧状態を示す信号を提供する、回路であるブラウンアウト検出器が含まれる。したがって、回路またはシステムは、低電源電圧状態を示す信号を受信すると、自動的に遮断され得る。
【0005】
デジタルプロセッサなどのシステムは、回路スイッチング動作と誘導性電源ラインとの間の相互作用に起因してノイズの多い電源電圧を有し得る。したがって、ブラウンアウト検出器の設計における1つの課題は、電源ライン上の過渡電圧に起因する誤トリガ動作の問題に対処することである。例えば、そうでなければ十分な電源電圧を有する回路が電源上で短い過渡または電圧グリッチを受ける場合、回路を動作状態に保つことが望ましいことが多い。しかしながら、短い過渡または電圧グリッチがブラウンアウト状態としてたびたび誤って解釈された場合、システムは不必要にシャットダウンされる可能性がある。
【0006】
そのような誤トリガ動作は、低電力状態について監視されている電源をローパスフィルタリングすることによって回避し得る。しかしながら、ローパスフィルタリングは、低電圧状態の検出に遅延を引き起こす可能性があり、これにより、システムが短時間の間不規則に動作する可能性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態によれば、回路には、集積回路上に配置された複数の比較器であって、監視対象電源ラインに結合された入力を有する複数の比較器と、複数の比較器の出力に結合された入力を有する投票回路と、を含む。投票回路の出力は、監視対象電源ラインに結合された電源のブラウンアウト状態を示す信号を提供するように構成される。
【0008】
別の実施形態によれば、集積回路を動作させる方法には、電源バスの第1地点における第1電圧を第1基準電圧と比較するステップと、電源の第2地点における第2電圧を第2基準電圧と比較するステップと、第1電圧が第1基準電圧未満であり、第2電圧が第2基準電圧未満である場合にブラウンアウト状態に遷移するステップと、ブラウンアウト状態に遷移した後、第1電圧が第1基準電圧未満のままであるか、または第2電圧が第2基準電圧未満のままである場合に、ブラウンアウト状態に留まるステップと、第1電圧が第1基準電圧を超え、第2電圧が第2基準電圧を超えると、ブラウンアウト状態から遷移するステップと、ブラウンアウト状態から遷移した後、第1電圧が第1基準電圧よりも高いままであるか、または第2電圧が第2基準電圧よりも高いままである場合に、ブラウンアウト状態外に留まるステップと、ブラウンアウト状態に移行すると、ブラウンアウト状態を示すステップと、が含まれる。
【0009】
さらなる実施形態によれば、集積回路には、メモリ回路と、電源ノードとメモリ回路の電源入力との間に結合された導電性電源バスと、導電性電源バスに結合されたブラウンアウト検出器と、が含まれ、ブラウンアウト検出器が、導電性電源バスに結合された信号入力を有する第1比較器と、導電性電源バスに結合された信号入力を有する第2比較器と、第1比較器および第2比較器の出力に結合されている入力と、メモリ回路のシャットダウン入力に結合されている出力と、を有する投票回路と、を含む。
【0010】
本発明およびその利点のより完全な理解のために、ここで、添付の図面と併せて以下の説明を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】例示的なブラウンアウト検出器の概略図である。
図2】一実施形態によるブラウンアウト検出器の概略図である。
図3A】一実施形態によるブラウンアウト検出器の概略図を示す。
図3B】一実施形態の投票回路の真理表を示す。
図3C】一実施形態の投票回路のタイミング図を示す。
図3D】一実施形態の投票回路の概略図を示す。
図3E】一実施形態の投票回路のブロック図を示す。
図4A】一実施形態によるブラウンアウト検出器の概略図を示す。
図4B】一実施形態の投票回路の概略図を示す。
図5A】実施形態のブラウンアウト検出器を使用する集積回路のブロック図を示す。
図5B】実施形態のブラウンアウト検出器を使用する集積回路のブロック図を示す。
図5C】実施形態のブラウンアウト検出器を使用する集積回路のブロック図を示す。
図5D】実施形態のブラウンアウト検出器を使用する集積回路のブロック図を示す。
図5E】実施形態のブラウンアウト検出器を使用する集積回路のブロック図を示す。
図5F】実施形態のブラウンアウト検出器を使用する集積回路のブロック図を示す。
図6】実施形態のブラウンアウト検出器を使用する実施形態の集積回路メモリのブロック図を示す。
図7A】一実施形態による方法のブロック図を示す。
図7B】一実施形態による方法のブロック図を示す。
図8】一実施形態による電源監視回路を示す図である。
図9A】実施形態の電源監視システムの性能に関する波形図を示す。
図9B】実施形態の電源監視システムの性能に関する波形図を示す。
図9C】実施形態の電源監視システムの性能に関する波形図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
異なる図における対応する数字および記号は、特に指示しない限り、一般に、対応する部分を指す。図面は、好ましい実施形態の関連する態様を明確に示すために描かれており、必ずしも縮尺通りに描かれていない。特定の実施形態をより明確に説明するために、同じ構造、材料、またはプロセスステップの変形を示す文字が、図の番号の後に続く場合がある。
【0013】
現在好ましい実施形態の構成および使用法を以下に詳細に説明する。しかしながら、本発明は、多種多様な特定の状況で具体化できる多くの適用可能な発明概念を提供することを理解されたい。説明される特定の実施形態は、本発明を構成および使用するための特定の方法の単なる例示であり、本発明の範囲を限定するものではない。
【0014】
一実施形態では、電源を監視するためのブラウンアウト検出器は、複数の比較器および投票回路を使用して実装される。いくつかの実施形態では、投票回路は、比較器の大部分が低い電源電圧を示すときにブラウンアウト状態を示す。2つの比較器を含む実施形態などの他の実施形態では、投票回路は、両方の比較器が低い電源電圧を示すとき、またはブラウンアウト状態が既に存在し、比較器の少なくとも1つが低い電源電圧を示すときに、ブラウンアウト状態を示すc素子を使用して実装される。
【0015】
実施形態の利点には、大きな過渡電流が電源ノードの電圧を瞬間的に低下させるときに起こり得る、誤ブラウンアウト検出の発生を低減する能力が含まれる。いくつかの実施形態では、電源ノードをローパスフィルタリングすることなくおよび/またはヒステリシス回路を有する比較器を使用することなく、誤検出を低減することができる。このことは、有利なこととして、小型でコンパクトな回路を使用した非常に高速のブラウンアウト検出、ならびにブラウンアウト状態の誤検出を回避しながらブラウンアウト状態を迅速に検出する能力を可能にする。いくつかの実施形態では、有利なこととして、遅延起因の電源切り換えも回避される。この現象は、ブラウンアウト検出器が過渡現象に応答してブラウンアウト状態を誤って検出し、受電回路をシャットダウンするときに発生する。受電回路がシャットダウンされると、電源電圧は急速に回復し、これが再びブラウンアウト検出器によって検出され、それにより、受電回路は、ブラウンアウト検出器の遅延に依存する短い期間シャットダウンする。したがって、ブラウンアウト検出器が誤ってトリガされるときはいつでも、受電回路はシャットダウンされる。場合によっては、回路のバックアップの再開に数ミリ秒かかることがある。
【0016】
図1は、例示的なブラウンアウト検出器100を示す。図示のように、ブラウンアウト検出器100は、比較器102と、シュミットトリガ104と、ヒステリシスブロック106と、ローパスフィルタ108と、を含む。動作中、比較器102は、監視対象電源VDDの電圧を基準電圧VREFと比較する。原則として、監視対象電源VDDの電圧が電圧VREFよりも大きいとき、電源状態信号POKはハイであり、これは、監視対象電源電圧VDDが、接続された回路に確実に電力を供給するのに十分に高い電圧を有することを示す。一方、監視電源の電圧VDDが電圧VREF以下であるとき、電源状態信号POKはローであり、これは、監視対象電源電圧VDDが低すぎて、接続された回路に確実に電力を供給できないことを示す。電源状態信号POKを使用して、そのような低電力条件下で接続された回路をシャットダウンすることができる。
【0017】
ほとんどの実用的なシステムでは、電源電圧は、オンチップスイッチング動作のためにノイズが多いことがよくある。このように、ローパスフィルタリングおよびヒステリシスがブラウンアウト検出回路にしばしば追加されて、監視対象電源の電圧VDDが基準電圧VREFに非常に近いとき、比較器の出力における準安定挙動が回避される。このような準安定挙動を回避するために、ヒステリシスおよびローパスフィルタリングがブラウンアウト検出回路によく追加される。例えば、例示的なブラウンアウト検出器100は、ローパスフィルタ108を含んでおり、これは供給電圧をフィルタリングし、それによって高周波過渡現象を減衰させるように構成されている。ヒステリシスブロック106は、比較器102の閾値を比較器102の出力に依存させる比較器102の出力に基づいて比較器102への入力電圧をシフトし、それによって比較器102の出力における「チャタリング」の発生を低減する。最後に、シュミットトリガ104は、比較器102の出力にさらなるヒステリシスを印加して、出力は、監視対象電源の電圧VDDが基準電圧VREFに極めて近いとき、勾配が小さくおよび/または応答が遅くなることがある。
【0018】
ローパスフィルタ108、ヒステリシスブロック106およびシュミットトリガ104の各々は、比較器102の準安定挙動を低減するのに効果的であるが、この準安定挙動の低減は、回路の追加や応答の遅延という犠牲で実現され得る。
【0019】
図2は、本発明の一実施形態によるブラウンアウト検出器システム200を示す。ブラウンアウト検出器システム200は、ブラウンアウト検出器202と、基準電圧発生器208と、ブラウンアウト検出器202によって監視される電源からその電力を受け取る受電回路212と、を含む。
【0020】
本発明の実施形態では、ブラウンアウト検出器202は、導電性電源バス218の電源電圧VDDを監視するための、複数の比較器204から206および投票回路210を含む。2つの比較器204および206のみを明示的に示しているが、いくつかの実施形態では、ブラウンアウト検出器202は3つ以上の比較器を含むことがある。投票回路210は、比較器204から206の大多数が、ブラウンアウト状態が存在することを示すとき、ブラウンアウト状態を示すように構成される。いくつかの実施形態では、投票回路210は、比較器204から206の大多数が、電源電圧が低すぎることを示すとき、ブラウンアウト状態が存在することを示す。すなわち、各比較器204から206には、電源の状態に関する「票」が与えられる。そのような多数決機能は、図4Bに関して以下に説明する多数決ゲートを使用して実装することができる。
【0021】
偶数個の比較器を使用する実施形態などのいくつかの実施形態では、ブラウンアウト検出器202の以前の出力状態に追加の「票」が与えられる。例えば、2つの比較器204および206を有するシステムでは、投票回路は、比較器204および206の両方がブラウンアウト状態を示す場合または投票回路210が以前ブラウンアウト状態(例えば、P-OKがアサートされない)を示し、また比較器204および206の少なくとも一方がブラウンアウト状態(例えば、正端子の電圧が負端子の電圧よりも小さい)を示す場合、ブラウンアウト状態が存在することを示す。そのような実施形態では、投票回路210は、図3A図3Eに関して以下に説明するようなミュラーのc素子などの回路を使用して実装することができる。
【0022】
図示するように、電源216は、導電性電源バス218を介して回路212に電力を供給するように構成される。ブラウンアウト検出器202は、導電性電源バス218に結合され、導電性電源バス218上の電圧を監視するように構成される。動作中、導電性電源バス218の電圧が所定の電圧を上回ると、電源状態信号POKがアサートされる。
【0023】
さまざまな実施形態において、電源状態信号POKは、回路212内のシャットダウン回路214の入力に結合され、電源状態信号POKがアサートされないとき、回路212は電源ダウン状態に置かれる。いくつかの実施形態では、例えば、回路212がクロック制御されたデジタル回路である場合、シャットダウン回路214は、クロックをゲート制御することによって回路212を電源ダウン状態にすることができる。他の実施形態では、シャットダウン回路214は、回路212を導電性電源バス218から切り離すことによって回路212の電源を切ることができる。そのような切り離しは、例えば、導電性電源バス218と回路212内の内部電源バスとの間に結合されたスイッチを開くことによって達成することができる。代替的な実施形態では、電源状態信号POKは、さまざまな回路の電源状態を管理する役割を果たすコントローラなど、回路212とは分離した別の回路にルーティングしてもよく、および/または、外部ピン、状態レジスタまたはデジタルインターフェースにルーティングしてもよい。
【0024】
電源216は、導電性電源バス218に結合することができる任意の電源を表す。いくつかの実施形態では、電源216は、調整DC電源またはバッテリなどの外部DC電源であってもよい。そのような実施形態では、導電性電源バス218は、導電性電源バス218および回路212が配置されている集積回路へのボンドパッドまたは他の外部接続部に電気的に接続される。
【0025】
ブラウンアウト検出器202は、複数の比較器204および206と、投票回路210と、を含む。比較器204および206は各々、それぞれの基準電圧を導電性電源バス218の電圧VDDと比較するように構成される。例えば、比較器204は電圧VDDをノードVREF1における電圧と比較し、比較器206は電圧VDDをノードVREFNにおける電圧と比較する。説明を容易にするために2つの比較器204および206のみを示しているが、いくつかの実施形態では、ブラウンアウト検出器202は3つ以上の比較器を含むことができることを理解されたい。各比較器204および206は、当技術分野で知られている比較器回路を使用して実装してもよい。例えば、いくつかの実施形態では、比較器204および206は、BJTトランジスタのエミッタ結合対、または電流源もしくは抵抗器を介してトランジスタに電流が供給されるMOSトランジスタのソース結合対などの差動増幅器を使用して実装してもよい。いくつかの実施形態では、比較器204および206は、測定された供給電圧をより低い電圧レベルにシフトするために、正および/または負の入力端子に1つまたは複数のレベルシフタを含んでもよい。
【0026】
本発明の代替の実施形態では、比較器204および206は、図1に示すブラウンアウト検出器100などの個々のブラウンアウト検出回路に置き換えてもよい。この代替的な実施形態では、それぞれのブラウンアウト検出器は、比較器と、ローパスフィルタ108、ヒステリシスブロック106またはシュミットトリガ104の少なくとも1つと、を含んでもよい。当技術分野で公知の他のブラウンアウト検出器も使用することができる。
【0027】
いくつかの実施形態では、ノードVREF1およびVREF2における電圧は、基準電圧発生器208によって生成してもよい。ノードVREF1およびVREF2における電圧は、特定の実施形態およびその仕様に応じて同じであっても異なっていてもよい。基準電圧発生器208は、バンドギャップ電圧基準などの当技術分野で知られている電圧基準回路を使用して実装してもよい。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の比較器204および206は、同じ物理的基準電圧に結合されるが、異なる分圧比を有する正入力に結合された内部分圧器を介して異なる有効比較閾値が与えられる。したがって、いくつかの実施形態では、比較器204および206は、異なる分圧比を使用して(例えば、抵抗分圧器を使用して)、導電性電源バス218の電圧を分圧し、分圧された電圧を同じ基準電圧と比較することによって、導電性電源バス218の電圧を異なる基準電圧と効果的に比較することができる。いくつかの実施形態では、調整可能な分圧器が、分圧を実行するために使用され、また、図8に関して以下に説明するように、そのそれぞれの比較器にヒステリシスを適用するために使用される。
【0028】
図3Aは、図2に示すブラウンアウト検出器202を実装するために使用することができる、本発明の一実施形態によるブラウンアウト検出器300を示す。図示のように、ブラウンアウト検出器300は、2つの比較器204および206と、比較器204および206の出力に結合された入力を有するc素子302と、を含む。
【0029】
一実施形態では、比較器204は、監視対象電源電圧VDDを基準電圧VREFHと比較するように構成され、比較器206は、監視対象電源電圧VDDを基準電圧VREFLと比較するように構成され、ここで、VREFHはVREFLよりも高い電圧である。2つの異なる基準電圧を使用することにより、ブラウンアウト検出器300には、監視対象電源電圧VDDを検出する際に高速応答およびヒステリシスの両方を提供する能力が効果的に与えられる。さまざまな実施形態において、基準電圧VREFL、VREFHは特定の回路またはシステムの最低予想動作電圧よりも低くなるように設定してもよい。例えば、3.3Vの公称動作電圧および3.0Vの最小動作電圧を有するシステムでは、基準電圧VREFHは2.85Vに設定してもよく、基準電圧VREFLは2.80Vに設定してもよい。したがって、起動時に電源がその公称値まで上昇すると、電源電圧が少なくとも2.85Vになるまで電源状態信号POKはアサートされない。一方、ブラウンアウト状態の場合、電源電圧が少なくとも2.80Vに達するまで電源状態信号POKはディアサートされない。これは、多くの可能な実施形態例の単なる1つの特定の数値例であることを理解されたい。使用される実際の基準電圧VREFHおよびVREFLは、代替の実施形態では異なり得る。いくつかの実施形態では、基準電圧VREFHおよびVREFLに使用される値は、電源電圧VDDによって供給される回路の詳細およびより低い電圧に確実に耐えるその能力に依存し得る。
【0030】
いくつかの実施形態では、基準電圧VREFHおよびVREFLは、図1に示す例示的なブラウンアウト検出器100などの単一の比較器にヒステリシスを適用することに依存する実施形態よりも互いに近くてもよいことを理解されたい。これは、上述した検出遅延起因の切り換えを防止または緩和するために、ブラウンアウト検出器100のヒステリシスの量を増やす必要があることが多いためである(これにより、回路の利用可能なヘッドルームが対応して減少する)。したがって、いくつかの実施形態では、減少した量のヒステリシスに対応して、ヘッドルームが増加する。
【0031】
一実施形態では、c素子302(当技術分野で「Muller c素子」としても知られている)は、図3B図3Cおよび図3Eに関して説明する。図3Bは、以下の論理式を実装するc素子302の真理表を示す。
=A・B+(A+B)・Yn-1
上式において、Yはc素子302の次の出力(例えば、電源状態信号POKの次の値)であり、Yn-1はc素子302の前の出力であり、AおよびBはc素子302の論理入力(例えば、比較器204および206の論理出力)である。図3Bに示されるように、Yは、AおよびBの両方がハイのとき「1」であり、これは、監視対象電源電圧VDDがそれらそれぞれの基準電圧入力よりも大きいと比較器204および206の両方が判定したとき電源状態信号POKがアサートされることを意味する。Yは、AおよびBの両方がローのとき、「0」であり、これは、監視対象電源電圧VDDがそれらそれぞれの基準電圧入力以下であると比較器204および206の両方が判定したとき電源状態信号POKがアサートされないことを意味する。しかしながら、比較器204および206の出力が異なる状態にある(例えば、A=「1」およびB=「0」またはA=「0」およびB=「1」である)とき、例えば、比較器204および206の一方が、監視対象電源電圧VDDがそのそれぞれの基準電圧よりも大きいと判定し、また比較器204および206の他方が、監視対象電源電圧VDDがそのそれぞれの基準電圧以上であると判定したとき、電源状態信号POKの値は変化しないままである。したがって、電源状態信号POKが以前にアサートされていた場合、信号はアサートされたままである。電源状態信号POKが以前にアサートされていなかった場合、信号はアサートされないままである。
【0032】
図3Cは、図3Bの真理表と一致するc素子302のタイミング図を示す。特に、時間310および312において、信号AおよびBが同じ状態から異なる状態に遷移すると、出力Yは同じ状態のままであることが分かる。ブラウンアウト検出器の出力POKを切り換えることなく、一方の比較器の出力の切り換えを可能にするのは、c素子302のこの特性である。
【0033】
図3Dは、図3Aのc素子320を実装するために使用することができるc素子302の概略図を示す。図示のように、c素子320は、ANDゲート322および328と、ORゲート324および326と、を含む。ANDゲート322およびORゲート326の入力は入力AおよびBに結合される。ORゲート324の入力はANDゲート322および328の出力に結合され、ANDゲート328の入力はORゲート324および326の出力に結合され、それによってラッチが形成される。図3Dに示すc素子320は、c素子302を実装する多くの可能な方法のうちの1つにすぎないことを理解されたい。代替の実施形態では、当技術分野で公知の他のc素子回路を使用することができる。
【0034】
いくつかの実施形態では、c素子を使用して、3つ以上の入力を有する投票回路を実装することができる。例えば、図3Eは、3つのc素子回路332,334および336を含む4つの入力を有する投票回路330の概略図を示す。図示のように、c素子332は入力AおよびBに結合され、c素子334は入力CおよびDに結合され、c素子336はc素子332および334の出力に結合されて出力Yを生成する。そのような実施形態では、入力A、B、CおよびDは4つの異なる比較器の出力に対応する。このようにc素子をカスケード接続することは、偶数個の比較器を有するシステムに特に適している。しかしながら、実施形態は、奇数の比較器を有するシステムに適合させることができる。例えば、3つの入力A、BおよびCを有するシステムの場合、c素子334を省略することができ、第3の比較器の出力Cをc素子336に直接結合することができる。
【0035】
図4Aは、図2に示すブラウンアウト検出器202を実装するために使用することができる、本発明の一実施形態によるブラウンアウト検出器400を示す。図示のように、ブラウンアウト検出器400は、少なくとも3つの比較器204,205および206と、比較器204,205および206の出力に結合された少なくとも3つの入力を有する多数決ゲート402と、を含む。さまざまな実施形態において、多数決ゲート402は、その入力の大多数がアサートされると、電源状態信号POKをアサートするように構成される。
【0036】
一実施形態では、比較器204,205および206は、監視対象電源電圧VDDをそれぞれの基準電圧VREF1、VREF2およびVREFNと比較するように構成される。いくつかの実施形態では、これらの基準電圧は異なるように構成されるが、他の実施形態では、基準電圧VREF1、VREF2およびVREFNのうちの2つ以上が同じになるように構成してもよい。
【0037】
図4Bは、図4Aに示す多数決ゲート402を実装するために使用することができる多数決ゲート410の概略図を示す。多数決ゲート410は、ANDゲート412,414および416と、ORゲート418と、を含む。ANDゲート412への入力は入力AおよびCに結合され、ANDゲート414への入力は入力BおよびCに結合され、ANDゲート416への入力は入力AおよびBに結合される。したがって、3つの入力A、BおよびCのうちの少なくとも2つがアサートされると、出力信号Yがアサートされる。図4Bに示す多数決ゲート410の実装は、多数決ゲートを実装するための多くの可能な方法の一例にすぎないことを理解されたい。代替的な実施形態では、他の多数決ゲート構造または他の論理的に等価な回路を使用することができる。例えば、いくつかの実施形態では、ANDゲート412,414および416ならびにORゲート418はそれぞれNANDゲートに置き換えることができる。さらなる代替の実施形態では、多数決ゲート410は、3つを超える入力に対して多数機能を実行するように適合させることができる。
【0038】
上述の実施形態では、本明細書に記載のデジタル論理回路は、実施形態の論理回路のいくつかの特定の例のみを表すことを理解されたい。代替の実施形態では、他の論理的に等価な回路を使用することができる。さらに、アクティブハイ信号を使用する開示された論理回路は、当技術分野で知られているデジタル論理設計技術を使用して、入力として受け入れおよび/または出力としてアクティブロー信号を生成するように適合させることもできることを理解されたい。
【0039】
図5A図5Fは、さまざまな実施形態による、ブラウンアウト検出器を実装する集積回路のブロック図を示す。本発明の実施形態は、標準的なCMOSプロセスおよび/または、1つまたは複数の特定のタイプの不揮発性メモリ、バイポーラプロセス、またはBiCMOSプロセスに対応するように修正されたCMOSプロセス、を含むがこれらに限定されないさまざまな半導体プロセスで実装することができる。図5A図5Fに示すさまざまな構成要素は、例えばシリコン基板などの単一の半導体基板上に配置してもよい。
【0040】
図5Aは、導電性電源バス504を介して電源ピン502に結合された電源入力ノード505を有する第1回路506を含む集積回路を示す。さまざまな実施形態では、導電性電源バス504は、金属層またはポリシリコン層などの集積回路500の1つまたは複数の導電層上に実装してもよい。ブラウンアウト検出回路501は、第1回路506の電源入力ノード505に近い導電性電源バス504上の点に物理的/電気的に接続された信号入力を有する、第1比較器510と第2比較器512とを含む。第1比較器510および第2比較器512の出力は、投票回路516に結合され、投票回路は、図2図3A図3Eおよび図4A図4Bの実施形態に関して上述したように、1つまたは複数のc素子または多数決ゲートを使用して実装することができる。さまざまな実施形態では、ブラウンアウト検出回路501は、電源ピン502に近い点で、および/または、導電性電源バス504が複数の電源バスセグメントに分岐する点であるパワースターノード503(「スターポイント」とも呼ばれる)に近い点で、導電性電源バス504に接続される。一実施形態では、比較器510および512は、図2図3Aおよび図4Aに関して上述したように異なる比較閾値を有してよい。
【0041】
図示のように、電源状態信号POKは、第1回路506に結合されている。いくつかの実施形態では、第1回路506は、図2に関して上述したように、電源状態信号POKがアサートされないときにシャットダウンするように構成される。
【0042】
図5Bは、導電性電源バス504を介して電源ピン502に結合された電源入力ノード505を有する第1回路506を含む集積回路520を示す。ブラウンアウト検出器521は、導電性電源バス504のスターノード503に接続された信号入力を有する第1比較器510と、第1回路506の電源入力ノード505の近傍の導電性電源バス504に接続された信号入力を有する第2比較器512と、を含む。いくつかの実施形態では、第1比較器510に入力される信号は、第2比較器512の信号入力よりもスターノード503または電源ピン502に近い点で導電性電源バス504に接続される。したがって、第2比較器512への入力は、第1比較器510への入力が接続される電源バス504上の点よりも物理的かつ電気的に第1回路506に近い電源バス504上の点に接続される。さまざまな実施形態において、第2比較器の信号入力は、スターノードを含まない回路経路を介して導電性電源バス504に接続される。
【0043】
図5Bの実施形態は、異なる点で導電性電源バス504を監視することによって、また、電源状態信号POKをディアサートする前に比較器510および512の信号入力の電圧がそれらのそれぞれの比較閾値を下回ることを要求することによって、誤ブラウンアウト検出の発生を有利に低減することができる。さまざまな実施形態において、ブラウンアウト検出器521内の比較器510および512に関連する比較閾値は、同じであっても異なっていてもよい。動作中、第1回路506のローカル電源が、第1回路506が高速エッジレートで低インピーダンス負荷を駆動している場合に発生し得る大電流過渡現象に遭遇すると、ローカル電源の部分は、電源入力ノード505近傍の導電性電源バスの点で視認可能であり得る電源電圧の一時的な低下に遭遇し得る。しかしながら、スターノード503または電源ピン502の電圧は、スターノード503と電源入力ノード505との間の配線インダクタンスのために、同じ程度までの電圧の低下に遭遇しない可能性がある。したがって、第1回路506に局所的にのみ見られ、電源ピン502またはスターノード503に局所的に見られない電圧の低下は、ブラウンアウト検出器521にトリガをかける可能性が低い。一方、電源ピン502に外部から電源電圧が供給されると、導電性電源バス504上のすべての点で最終的に電圧低下が起こり、これにより、ブラウンアウト検出器521がブラウンアウト状態を検出する。
【0044】
図5Cは、導電性電源バス504を介して電源ピン502に結合された電源入力ノード505を有する第1回路506と、導電性電源バス504を介して電源ピン502に結合された電源入力ノード535を有する第2回路507と、を含む集積回路530を示す。ブラウンアウト検出回路531は、導電性電源バス504のスターノード503に接続されたそれらの信号入力を有する第1比較器510および第2比較器512を含む。いくつかの実施形態では、比較器510および512は、異なる比較閾値を有してもよく、および/または、図2図3Aおよび図4Aに関して上述したように、スターノード503の電圧を異なる基準電圧と比較するように構成してもよい。電源状態信号POKは、第1回路506および第2回路507の両方に結合される。いくつかの実施形態では、第1回路506および第2回路507の一方または両方は、電源状態信号POKがアサートされていないときにシャットダウンされるように構成される。
【0045】
図5Cの実施形態は、スターノード503で導電性電源バス504を監視することによって、誤ブラウンアウト検出の発生率を有利に低減することができる。動作中、第1回路506または第2回路507のローカル電源が大電流過渡現象に遭遇すると、第1回路506の電源入力ノード505および/または第2回路507の電源入力ノード535近傍の導電性電源バス504の部分は、電源電圧の一時的な低下に遭遇し得る。しかしながら、スターノード503または電源ピン502の電圧は、スターノード503と電源入力ノード505および535との間の配線インダクタンスのために、同じ程度までの電圧の低下に遭遇しない可能性がある。したがって、第1回路506または第2回路507の直近の導電性電源バス504にのみ見られ、電源ピン502またはスターノード503の近傍では見られない電圧の低下は、比較器510および512の信号入力がスターノード503の近傍の導電性電源バス504に接続されたときに、ブラウンアウト検出器521にトリガをかける可能性が低い。
【0046】
図5Dは、第1回路506の電源入力ノード505の近傍の導電性電源バス504にその信号入力が接続された第1比較器510と、第2回路507の電源入力ノード535の近傍の導電性電源バス504にその信号入力が接続された第2比較器512と、を有する、実施形態のブラウンアウト検出器541を含む集積回路540を示す。比較器510および512に関連する比較閾値は、同じであっても異なっていてもよい。
【0047】
図5Dの実施形態は、特に第1回路506が第2回路507と同時に大電流過渡現象に遭遇する可能性が低いシステムにおいて、第1回路506および第2回路507のそれぞれの電源入力ノード505および535で導電性電源バス504を監視することによって、誤ブラウンアウト検出の発生を有利に低減することができる。したがって、第2回路507が、電源ノード535において供給電圧の対応する一時的な低下を引き起こす電流過渡現象に遭遇したとしても、第1回路506の電源入力ノード505における電圧は、導電性電源バス504の配線インダクタンスのために同じ大きさの電圧低下に遭遇する可能性は低い。したがって、ブラウンアウト検出器541は、このような状況では、ブラウンアウト状態を検出する可能性が低い。
【0048】
図5Eは、ブラウンアウト検出器551を含む本発明の一実施形態による集積回路550を示す。集積回路550は、図5Dに関して上述した集積回路540と同様であるが、例外は、ブラウンアウト検出器551が、導電性電源バス504のスターノード503に結合された信号入力を有する追加の比較器514を含むことである。比較器510、512および514に関連する比較閾値は、同じであっても異なっていてもよい。図5Eの実施形態のいくつかの実施態様では、誤ブラウンアウト検出の発生は、図5Dの実施形態と比較してさらに低減し得るが、その理由は、ブラウンアウト検出器551がブラウンアウト状態を検出して電源状態信号POKをディアサートする前に、3つのすべての点503,505および535近傍の電圧が、対応する比較器514,510および512のそれぞれの基準電圧を下回る必要があるためである。
【0049】
図5Dおよび図5Eの実施形態は、2つの回路(例えば、第1回路506および第2回路507)の電源ノードに局所的に接続されたそれらのそれぞれのブラウンアウト検出器のみを示しているが、本発明のさらなる実施形態では、追加の回路を導電性電源バス504に結合することができることを理解されたい。そのような実施形態では、ブラウンアウト検出器541および551は、追加の比較器であって、これらの追加の回路の近傍で導電性電源バス504上の他の点に結合された比較器を含むことができる。
【0050】
実施形態のブラウンアウト検出回路は、外部ピンからではなくオンチップ電源回路からそれらの電力を受け取る電源バスを監視するために使用してもよい。図5Fは、オンチップ電源回路562に結合された電源入力ノード505を有する第1回路506を含む集積回路560を示す。ブラウンアウト検出器561の比較器510および512は、さまざまな点で導電性電源バス504に結合することができる。例えば、さまざまな実施形態において、比較器510および512の両方の信号入力は、第1回路506の電源入力ノード505の近傍で導電性電源バス504に結合してもよい。比較器510および512の両方への信号入力は、オンチップ電源回路562の出力付近で導電性電源バス504に結合してもよい。または、比較器510および512の一方の信号入力は、オンチップ電源回路562の出力付近で導電性電源バス504に接続して、比較器510および512の他方への信号入力は、電源入力ノード505付近で導電性電源バス504に接続してもよい。あるいは、比較器510および512への信号入力は、導電性電源バス504の他の点に接続してもよい。
【0051】
オンチップ電源回路562は、直列調整回路、スイッチング式電源およびチャージポンプ回路を含むがこれらに限定されない、当技術分野で知られているオンチップ電源回路を使用して実装してもよい。
【0052】
図6は、本発明の一実施形態による、メモリ回路620およびブラウンアウト検出器603を含む集積回路600を示す。図示のように、メモリ620は、導電性電源ライン622を介して電源ピン601に結合されたメモリアレイ604、行デコーダ602、メモリコントローラ606、センス増幅器610、列デコーダ612およびI/O論理回路614を含む。本明細書に記載の実施形態のブラウンアウト検出回路のいずれかを使用して実装し得るブラウンアウト検出器603は、導電性電源ライン622に結合された入力AおよびBと、電源状態信号POKを提供するように構成された出力と、を有する。入力AおよびBは、導電性電源ライン622上の単一の点または複数の点にそれぞれ接続してもよく、および/または、図2図3E図4A図4Bおよび図5Eの実施形態に関して上述したように、3つ以上の入力を有してもよい。
【0053】
図6は、同じ導電性電源ライン622に接続されたメモリ回路620内のすべてのブロックを示しているが、他の実施形態では、複数の電源バスおよび/または電源ピンを使用して、メモリ回路620内の特定のブロックに供給できることを理解されたい。さらなる実施形態では、メモリ回路620の1つまたは複数の部分は、図5Fに関して上述したようなオンチップ電源回路によって供給することもできる。集積回路600はまた、例えば、プロセッサおよび/またはオンチップ埋め込みメモリを有する集積回路の場合のように、メモリ回路620以外の他の回路を含んでもよい。
【0054】
メモリアレイ604は、フローティングゲートメモリセルまたはSONOSメモリセルなどの不揮発性メモリセルを含むことができるメモリセルのアレイを含む。センス増幅器610は、メモリアレイ604の列に結合され、メモリアレイ604内のメモリセルの状態を検出するように構成される。動作中、I/O論理回路614への入力に提供されるアドレスデータADDRに基づいて、行デコーダは、センス増幅器610によって読み出すべきメモリアレイ604内のメモリセルの行を選択し、列デコーダ612は、データ線DATAを介してI/O論理回路614を介して出力すべきメモリアレイの列を選択する。メモリコントローラ606は、メモリの動作を制御するメモリコントローラである。ブラウンアウト検出器603は、検出した導電性電源ライン622の電圧に基づいて、メモリコントローラ606に電源状態信号POKを提供する。さまざまな実施形態において、メモリコントローラ606は、電源状態信号POKがアサートされないときにメモリ回路620を停止するように構成される。
【0055】
図7Aおよび図7Bは、電源バスを監視する方法のブロックを示す。図7Aに示すように、方法700は、第1比較器を使用して第1地点における電源バスの電圧を第1基準電圧と比較すること(ステップ720)と、第2比較器を使用して第2地点における電源バスの電圧を第2基準電圧と比較すること(ステップ722)と、を含む。本明細書で説明される実施形態に関して説明される比較器は、第1および第2比較器を実装するために使用し得る。さまざまな実施形態において、第1および第2基準電圧および/または比較器のそれぞれの比較閾値は、同じであっても異なっていてもよい。電源バスの第1地点および第2地点は、同じであっても異なっていてもよく、例えば、図5A図5Fの実施形態に関して本明細書で説明したように、電源バスの部分に配置してもよい。いくつかの実施形態では、本方法は、1つまたは複数の追加の比較器を使用して、電源の電圧を1つまたは複数の追加の基準電圧と比較することを含んでもよい。ステップ724において、第1および第2比較器の出力に対して投票機能を実行する。図2図3A図3Eおよび図4A図4Bに関して上述したように、投票機能は、c素子または多数決ゲートの機能を実装することができる。さまざまな実施形態において、ステップ720,722および724は同時に実行してもよい。
【0056】
図7Bは、c素子ベースの投票機能を使用する実施形態の投票機能ステップ724のブロック図を示す。ステップ704は、電源状態信号POKがアサートされていないブラウンアウト状態を表し、これは、システム内の他の構成要素に対してブラウンアウト状態を示す。第1比較器または第2比較器が低電圧状態を示す限り(ステップ706)、投票機能はブラウンアウト状態のままであり、電源状態信号POKはアサートされないままである。ステップ706は、電源バスの第1地点の電圧が第1比較器によって測定される第1基準電圧よりも小さいか、または電源バスの第2地点の電圧が第2比較器によって測定される第2基準電圧よりも小さい限り、ステップ704に戻る。ステップ706の条件がもはや満たされない場合、(例えば、電源バスの第1地点における電圧が第1比較器によって測定される第1基準電圧以上であるか、または電源バスの第2地点における電圧が第2比較器によって測定される第2基準電圧以上である場合)、投票機能は、ステップ708においてブラウンアウト状態から動作電力状態に移行する。ステップ708において、電源状態信号POKがアサートされ、これは、システム内の他の構成要素に対して動作電力状態を示す。
【0057】
第1比較器と第2比較器の両方が低電圧状態を示さない限り(ステップ710)、投票機能は動作電力状態のままであり、電源状態信号POKはアサートされたままである。ステップ710は、電源バスの第1地点の電圧が第1比較器によって測定される第1基準電圧以上である限り、または電源バスの第2地点の電圧が第2比較器によって測定される第2基準電圧以上である限り、ステップ708に戻る。ステップ710の条件がもはや満たされない場合(例えば、電源バスの第1地点における電圧が第1比較器によって測定される第1基準電圧未満であり、かつ、電源バスの第2地点における電圧が第2比較器によって測定される第2基準電圧未満である場合)、投票機能はステップ704において動作電力状態からブラウンアウト状態に遷移し、電源状態信号POKがディアサートされ、これはシステム内の他の構成要素に対してブラウンアウト状態を示す。
【0058】
図8は、図2図3A図4Aおよび図5A図5Eのうちの1つまたは複数に現れる比較器204,205,206,510,512および516の代わりに使用することができる電源監視回路800を示す。図示のように、電源監視回路800は、抵抗分圧器802と、アナログマルチプレクサ804と、比較器102と、コンデンサCと、シュミットトリガ104と、ヒステリシスコントローラ806と、を含む。比較器102は、マルチプレクサ804の出力に結合されている正入力Vと、いくつかの実施形態では固定電圧であり得る基準電圧VREFに結合されている負入力と、を有する。抵抗分圧器802は、ノードV、V~V上の電圧が監視対象電源電圧VDDのさまざまな分圧比に対応するように、対応するノードV、V~Vに結合された任意の数の直列接続抵抗R、R~Rを含む。
【0059】
動作中、ヒステリシスコントローラ806およびアナログマルチプレクサ804は、比較器102の出力CMPが第1状態にあるとき、ノードV、V~Vのうちの第1ノードを選択し、比較器102の出力CMPが第2状態にあるとき、ノードV、V~Vのうちの第2ノードを選択する。1つの具体的な動作例において、ノードVにおける電圧が電圧VREF未満であるとき、比較器102の出力はローであり、ヒステリシスコントローラ806は、ノードVにおける電圧が比較器102の正入力Vに印加されるように、アナログマルチプレクサ804にノードVをノードVに結合させる。しかしながら、ノードVにおける電圧が電圧VREFよりも大きいとき、比較器102の出力はハイであり、ヒステリシスコントローラ806は、ノードVにおける電圧が比較器102の正入力Vに印加されるように、アナログマルチプレクサ804にノードVをノードVに結合させる。このような実施形態では、電源監視回路800の有効閾値は、比較器102の出力CMPが高い場合、比較器102の出力CMPが低い場合よりも高い。
【0060】
アナログマルチプレクサ804は、当技術分野で知られているアナログマルチプレクサ回路、例えば、ノードV、V~Vのうちの対応するものをノードVに選択的に結合する複数のスイッチングトランジスタを使用して実装してもよい。アナログマルチプレクサ804は、2つ以上の任意の数の入力を有することができる。ヒステリシスコントローラ806は、例えば、比較器102の出力CMPの状態を選択信号SELの対応する状態にマッピングする、1つまたは複数の論理ゲートなどの論理回路を使用して実装してもよい。
【0061】
いくつかの実施形態では、抵抗分圧器802の抵抗R~Rと共にコンデンサCを使用して、監視対象電源ノードVDDをローパスフィルタ処理することができ、シュミットトリガ104を使用して、比較器102の出力における準安定性の影響を低減することができる。いくつかの実施形態では、コンデンサCまたはシュミットトリガ104の一方または両方は、
省略してもよい。
【0062】
図9A図9Cは、実施形態の電源監視システムの性能に関する波形図を示す。図9Aは、図1に示す例示的なブラウンアウト検出器100などのブラウンアウト検出器回路のシミュレートされた性能を示す波形図を示す。トレース902は分圧電源電圧VDDを表し、トレース904は基準電圧V-REFを表し、トレース910は電源状態信号POKを表す。図示されているように、時間906において、電源電圧は、分圧電源電圧902において対応する短時間電圧過渡現象を引き起こす短時間電圧過渡現象を受ける。これにより、電源状態信号P-OK(トレース910)の対応するトグリング914が生じる。例えば、過剰な電流引き込みによって引き起こされるグリッチング912も、分圧電源電圧(トレース902)において見ることができる。
【0063】
図9Bは、図2に示す実施形態のブラウンアウト検出器システム200などのブラウンアウト検出器回路のシミュレートされた性能を示す波形図を示す。トレース932は分圧電源電圧VDDを表し、トレース934は基準電圧V-REF1を表し、トレース940は電源状態信号POKを表す。図示されるように、時間936において、電源電圧は、分圧電源電圧(トレース902)において対応する短時間電圧過渡現象を引き起こす短時間電圧過渡現象を受ける。しかしながら、図9Aに示す例示的なブラウンアウト検出器100のシミュレーションとは異なり、電源状態信号POK(トレース940)は切り換わらず、分圧電源電圧(トレース902)にグリッチは見られない。
【0064】
図9Cは、比較器204および206が図8に示す電源監視回路800の対応する具体例によってそれぞれ置き換えられる、図3Aに示す実施形態のブラウンアウト検出器300などのブラウンアウト検出器回路のシミュレートされた性能を示す波形図を示す。トレース952は監視供給電圧を表し、トレース954は電源状態信号POKを表し、トレース956は電源監視回路800の第1の具体例の出力を表し、トレース958は電源監視回路800の第2の具体例の出力を表し、トレース960は基準電圧を表し、トレース962は電源監視回路800の第1の具体例の比較器102に提供される分圧入力電圧を表し、トレース964は電源監視回路800の第2の具体例の比較器102に提供される分圧入力電圧を表す。
【0065】
図示されているように、監視供給電圧(トレース852)は、2.75Vから2.9Vまでの10mV/ステップのランプとしてシミュレートされる。電源監視回路800の第1の具体例は、2.8Vの有効比較閾値を有し、電源監視回路800の第2の具体例は、2.825Vの有効比較閾値を有する。
【0066】
t=5μsにおいて、第1比較器の分圧入力電圧(トレース862)は基準電圧860を超え、これにより、第1比較器の出力がハイになる(トレース856)。続いて、t=8μsにおいて、第2比較器の分圧入力電圧(トレース864)が基準電圧860を超え、これにより、第2比較器の出力がハイになり(トレース858)、電源状態信号POK(トレース854)がアサートされる。t=5μsにおける第1比較器の分圧入力電圧のステップサイズの増加(トレース862)および第2比較器の分圧入力電圧のステップサイズの増加(トレース864)は、ヒステリシスが電源監視回路800の第1および第2の具体例に適用された結果である。
【0067】
本発明の実施形態をここに要約する。他の実施形態も、本明細書の全体および本明細書において申請された特許請求の範囲から理解することができる。
【0068】
例1.回路であって、集積回路上に配置された複数の比較器であって、監視対象電源ラインに結合された入力を有する複数の比較器と、複数の比較器の出力に結合された入力を有する投票回路であって、投票回路の出力は、監視対象電源ラインに結合された電源のブラウンアウト状態を示す信号を提供するように構成される投票回路と、を備える回路。
【0069】
例2.例1の回路であって、複数の比較器のうちの第1比較器は、第1比較閾値を有し、複数の比較器のうちの第2比較器は、第2比較閾値を有する、回路。
【0070】
例3.例1または2のいずれか1つの回路であって、第1比較閾値が第2比較閾値と異なる、回路。
【0071】
例4.例1から3のいずれか1つの回路であって、複数の比較器の入力が、監視対象電源ラインのスターポイントに接続される、回路。
【0072】
例5.例3の回路であって、監視対象電源ラインのスターポイントから延びる第1の導体を介して監視対象電源ラインに接続される第1回路をさらに備え、複数の比較器のうちの第1比較器の入力は、監視対象電源ラインのスターポイントに接続され、複数の比較器のうちの第2比較器の入力は、スターポイントを含まない回路経路を介して第1の導体に接続される、回路。
【0073】
例6.例5の回路であって、監視対象電源ラインのスターポイントから延びる第2の導体を介して監視対象電源ラインに接続される第2回路をさらに備え、複数の比較器のうちの第2比較器の入力は、スターポイントを含まず、かつ、第1の導体を含まない回路経路を介して第2の導体に接続される、回路。
【0074】
例7.例1から6のいずれか1つの回路であって、投票回路がc素子を含む、回路。
【0075】
例8.例1から7のいずれか1つの回路であって、投票回路が、複数の比較器の第1のグループの比較器に結合された入力を有する第1のc素子と、複数の比較器の第2のグループの比較器に結合された入力を有する第2のc素子と、第1のc素子の出力に結合されている第1の入力と、第2のc素子の出力に結合されている第2の入力と、を有する第3のc素子と、を含む、回路。
【0076】
例9.例1から8のいずれか1つの回路であって、投票回路が多数決ゲートを含む、回路。
【0077】
例10.例1から9のいずれか1つの回路であって、複数の比較器のうちの少なくとも1つがヒステリシス回路を含む、回路。
【0078】
例11:集積回路を動作させる方法であって、電源バスの第1地点における第1電圧を第1基準電圧と比較するステップと、電源の第2地点における第2電圧を第2基準電圧と比較するステップと、第1電圧が第1基準電圧未満であり、第2電圧が第2基準電圧未満である場合にブラウンアウト状態に遷移するステップと、ブラウンアウト状態に遷移した後、第1電圧が第1基準電圧未満のままであるか、または第2電圧が第2基準電圧未満のままである場合に、ブラウンアウト状態に留まるステップと、第1電圧が第1基準電圧を超え、第2電圧が第2基準電圧を超えると、ブラウンアウト状態から遷移するステップと、ブラウンアウト状態から遷移した後、第1電圧が第1基準電圧よりも高いままであるか、または第2電圧が第2基準電圧よりも高いままである場合に、ブラウンアウト状態外に留まるステップと、ブラウンアウト状態に移行すると、ブラウンアウト状態を示すステップと、を含む方法。
【0079】
例12.例11の方法であって、ブラウンアウト状態が示されたときに電源に接続された第1回路を遮断するステップをさらに含む、方法。
【0080】
例13.例11または12のいずれか一例の方法であって、電源バスの第1地点と電源バスの第2地点とが同じ点である、方法。
【0081】
例14.例11または12のいずれか一例の方法であって、電源バスは、第1回路に結合されており、電源バスの第2地点は、電源バスの第1地点よりも第1回路に電気的に近い、方法。
【0082】
例15.例11から14のいずれか一例の方法であって、第1および第2電圧が変動しており、第1および第2基準電圧はプログラム可能に固定されている、方法。
【0083】
例16.集積回路であって、メモリ回路と、電源ノードとメモリ回路の電源入力との間に結合された導電性電源バスと、導電性電源バスに結合されたブラウンアウト検出器と、を備える集積回路において、ブラウンアウト検出器が、導電性電源バスに結合された信号入力を有する第1比較器と、導電性電源バスに結合された信号入力を有する第2比較器と、第1比較器および第2比較器の出力に結合されている入力と、メモリ回路のシャットダウン入力に結合されている出力と、を有する投票回路と、を備える、集積回路。
【0084】
例17.例16の集積回路であって、投票回路がc素子を含む、集積回路。
【0085】
例18.例16または17のいずれか一例の集積回路であって、電源ノードに接続されたボンドパッドをさらに含む、集積回路。
【0086】
例19.例16から18のいずれか一例の集積回路であって、第1比較器の基準電圧入力に結合されている第1出力と、第2比較器の基準電圧入力に結合されている第2出力と、を有する基準電圧発生器をさらに含み、基準電圧発生器は、第1出力に第1基準電圧を提供し、第2出力に第1基準電圧とは異なる第2基準電圧を提供するように構成されている、集積回路。
【0087】
例20.例16から19のいずれか一例の集積回路であって、第1比較器の信号入力は、導電性電源バス上の第1地点に物理的に接続され、第2比較器の信号入力は、導電性電源バス上の第2地点に物理的に接続されている、集積回路。
【0088】
例21.例16から20のいずれか一例の集積回路であって、導電性電源バス上の第1地点は、導電性電源バスの第2地点よりもメモリ回路の電源入力に電気的に近い、集積回路。
【0089】
例22.例16から21のいずれか一例の集積回路であって、メモリ回路が、シリコン-酸化物-窒化物-酸化物-シリコン(SONOS)ベースの不揮発性メモリアレイを含む、集積回路。
【0090】
例示的な実施形態を参照して本発明を説明してきたが、この説明は限定的な意味で解釈されることを意図していない。例示的な実施形態のさまざまな修正および組み合わせ、ならびに本発明の他の実施形態は、説明を参照することで当業者にとって明白となる。したがって、添付の特許請求の範囲は、かかる修正または実施形態を包含することが意図される。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図6
図7A
図7B
図8
図9A
図9B
図9C
【国際調査報告】