(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】胸部X線システム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 6/00 20240101AFI20241219BHJP
【FI】
A61B6/00 520M
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024534065
(86)(22)【出願日】2022-12-15
(85)【翻訳文提出日】2024-06-06
(86)【国際出願番号】 EP2022086112
(87)【国際公開番号】W WO2023117674
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2021/139929
(32)【優先日】2021-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(32)【優先日】2021-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(74)【代理人】
【識別番号】100145654
【氏名又は名称】矢ヶ部 喜行
(72)【発明者】
【氏名】シュウ ユンタオ
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA01
4C093CA18
4C093DA03
4C093DA04
4C093EC02
4C093EC33
4C093EE16
4C093FA53
(57)【要約】
胸部X線システムは、撮像される患者のビデオをキャプチャするためのカメラと、X線撮像ヘッド及びX線検出器とを備える。カメラ、X線撮像ヘッド及びX線検出器を並進させることができる。患者の頭部が最初に識別され、頭部の顎が識別される。次いで、顎は、胸部X線撮像のための位置にカメラを並進させるための基準点として使用される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
胸部X線システムであって、
撮像される患者のビデオを捕捉するためのカメラと、
X線撮像ヘッド及びX線検出器と、
前記カメラと前記X線撮像ヘッド及びX線検出器とを並進させるための支持システムと、
コントローラと、
出力システムと
を有し、
前記コントローラは、
前記患者の頭部が前記ビデオ内で捕捉されたと識別される位置に前記カメラを並進させ、
前記頭部の顎を識別させ、
前記カメラ、X線ヘッド及びX線検出器を胸部X線撮像のための位置に並進させるための基準点として前記顎を使用させる
ように適応される、胸部X線システム。
【請求項2】
前記コントローラは、前記顎を含む前記頭部の複数の特徴を識別し、
前記識別された特徴から、前記頭部の所望の方向に対してヨー角、ピッチ角、及びロール角を有する前記頭部の方向を決定し、
前記所望の方向に達するように、前記頭部の方向に対する必要な変化を決定し、
前記顎を基準点として使用する前に、前記頭部の方向に対する必要な変化を支援する命令を前記患者に提供するように前記出力システムを制御する
ように適合される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記所望の方向は、前記カメラのビューイング方向に垂直なフランクフルト面を有する、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記頭部の前記特徴は、鼻先、顎、左目の左角及び右目の右角、並びに随意に口の左角及び口の右角を有する、請求項1乃至3の何れか一項に記載のシステム。
【請求項5】
ヨー角がヨー閾値を超える場合、前記命令は、前記頭部を左又は右に回転させる命令を有し、及び/又は
ピッチ角がピッチ閾値を超える場合、前記命令は、前記頭部を上又は下に傾斜させる命令を有し、及び/又は
前記ロール角がロール閾値を超える場合、前記命令は、前記頭部を左又は右に傾斜させる命令を有する、
請求項1乃至4の何れか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記コントローラは、前記カメラを胸部X線撮像のための位置に並進させた後、
前記患者の身体位置を識別し、
胸部X線に対する所望の身体位置への必要な変更を支援する命令を前記患者に提供するように前記出力システムを制御する
ようにさらに適合される、請求項1乃至5の何れか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記コントローラは、身体位置を識別するために、
肩の間の背骨の位置、
右肩、
左肩、
右肘、
左肘、
右手首、
左手首、
中脊椎位置、及び
基部脊椎位置
のうちのいくつか又は全てを有する身体特徴を識別するように適合される、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記コントローラは、身体位置を識別するために、
背骨軸の周りの肩の傾斜角、
左右の腕の上昇、
右又は左肘の屈曲、及び
腰の周りの身体の屈曲、ならびに
望ましくない身体形状を改善するための命令を前記患者に提供すること
を有する一つ又はそれより多くの身体形状を決定するように適合される、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記カメラは可視光カメラである、請求項1乃至8の何れか一項に記載のシステム。
【請求項10】
胸部X線のために患者を準備させるコンピュータ実装方法であって、
カメラ、X線ヘッド及びX線検出器を、前記カメラによって生成されたビデオストリーム内で前記患者の頭部が捕捉されたと識別される位置に並進させるステップと、
前記頭部の顎を識別するステップと、
前記顎を基準点として使用して、前記カメラ、X線ヘッド及びX線検出器を並進させるか、又は前記カメラ、X線ヘッド及びX線検出器を、前記基準点を使用して胸部X線撮像のための位置に並進させる命令を提供するステップと
を有する、コンピュータ実装方法。
【請求項11】
前記顎を含む頭部の複数の特徴の識別するステップと、
前記識別された特徴から、前記頭部の所望の方向に対してヨー角、ピッチ角、及びロール角を有する前記頭部の方向を決定するステップと、
前記所望の方向に達するように前記頭部の方向に対する必要な変化を決定するステップと、
前記顎を基準点として使用する前に、前記頭部の方向に対する必要な変化を支援する命令を前記患者に提供するように前記出力システムを制御するステップと
を有する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記ヨー角がヨー閾値を超える場合、前記頭部を左又は右に回転させる命令を提供するステップ、及び/又は
前記ピッチ角がピッチ閾値を超える場合、前記頭部を上又は下に傾斜させる命令を提供するステップ、及び/又は
前記ロール角がロール閾値を超える場合、前記頭部を左又は右に傾斜させる命令を提供するステップ
を有する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記カメラを胸部X線撮像のための位置に並進させた後、
前記患者の身体位置を識別するステップと、
胸部X線に対する所望の身体位置への必要な変更を支援する命令を前記患者に提供するように前記出力システムを制御するステップと
を有する、請求項10乃至12の何れか一項に記載の方法、
【請求項14】
請求項1乃至9の何れか一項に記載のシステムのコントローラ上で前記プログラムが実行されるとき、請求項10乃至13の何れか一項に記載の方法を実施するように適合されるコンピュータプログラムコード手段を有する、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、胸部X線を実施するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの異なる画像診断技術がある。これらの中で、X線イメージング技術は、臨床診断医用イメージングのために広く使用されている。例えば、X線医用画像によって検査することができる異なる器官に対して、多くの異なる臨床用途がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
多くの病院及び他の医療機関は、必要な位置誘導装置を欠いているので、基本的な画像化プロシージャさえ実行するための設備を有していない。画像が正しい位置制御なしで得られる場合、画像は医療診断画像には適しておらず、患者は不正確な位置制御のために第2又は第3の投与量のX線放射線を受けなければならない。高放射線量は、もちろん、患者の健康上の理由から望ましくない。
【0004】
ヒューマンエラー及び外部要因を含む、診断目的に適していない、取得される画像の様々な原因が存在する。人為的ミスは例えば、未経験の医師からの結果であり、外部要因は、X線撮像中の患者による動きを含み得る。画像が意図しない位置で撮像された場合、患者を再配置することができ、X線画像を再撮像することができる。
【0005】
X線画像品質を改善し、臨床診断効率を高め、臨床ワークフローを最適化するために、医師がX線撮像の前に正しい患者位置を得ることを支援することが好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、請求項によって規定される。
【0007】
本発明の一態様による実施例によれば、
胸部X線システムであって、
撮像される患者のビデオを捕捉するためのカメラと、
X線撮像ヘッド及びX線検出器と、
前記カメラと前記X線撮像ヘッド及びX線検出器とを並進させるための支持システムと、
コントローラと、
出力システムと
を有し、
前記コントローラは、
前記患者の頭部が前記ビデオ内で捕捉されたと識別される位置に前記カメラを並進させ、
前記頭部の顎を識別させ、
前記カメラ、X線ヘッド及びX線検出器を胸部X線撮像のための位置に並進させるための基準点として前記顎を使用させる
ように適応される、胸部X線システム
が提供される。
【0008】
このシステムは、患者の頭部を撮像する位置と、患者の胸部を撮像する位置との間でカメラを移動させることができる。所望の胸部X線を捕捉するのに適した位置にカメラを配置するために、カメラは、まず、患者の頭部を識別するように配置される。カメラ画像内で頭部が識別されるまで、カメラが移動されるか、又は患者が移動するように勧められる。
【0009】
次いで、顎を識別することができ、これを基準点として使用する。したがって、本発明は胸部X線のためのX線源及びX線検出器の位置決めが、基準として顎を使用して選択され得るという認識に基づく。これは、顎から胸部までの距離が異なる患者間の可変の胸部高さよりも一定の距離内に固定されることがより信頼性が高いので、胸部X線のための所望のカメラ、X線管源、及び検出器を位置特定ためのより信頼性の高い方法を提供する。
【0010】
カメラは例えば、X線源及びコリメータを有するX線管頭部に取り付けられる。X線管頭部は、検出器と整列して移動する。したがって、カメラはX線ヘッド及び検出器の座標空間においてカメラの位置が分かるように、X線ヘッド及び検出器に対して位置的に固定される。
【0011】
コントローラは例えば、
前記顎を含む前記頭部の複数の特徴を識別し、
前記識別された特徴から、前記頭部の所望の方向に対してヨー角、ピッチ角、及びロール角を有する前記頭部の方向を決定し、
前記所望の方向に達するように、前記頭部の方向に対する必要な変化を決定し、
前記顎を基準点として使用する前に、前記頭部の方向に対する必要な変化を支援する命令を前記患者に提供するように前記出力システムを制御する
ように適合される。
【0012】
したがって、システムは顎位置を基準点として使用する前に、頭部が所望の位置にあることを確実にする。所望の頭部の方向は、例えば、カメラの観察方向に垂直なフランクフルト面を有する。
【0013】
頭部の特徴は例えば、鼻先、顎、左目の左角及び右目の右上コーナー任意選択的に口の左角及び口の右角を含む。
【0014】
ヨー角がヨー閾値を超える場合、命令は例えば、頭部を左又は右に回転させる命令を含む。ピッチ角がピッチ閾値を超える場合、命令は例えば、ヘッドを上下に傾斜させる命令を含む。ロール角がロール閾値を超える場合、命令は例えば、頭部を左又は右に傾ける命令を含む。
【0015】
コントローラは、好ましくは前記カメラを胸部X線撮像のための位置に並進させた後、
前記患者の身体位置を識別し、
胸部X線に対する所望の身体位置への必要な変更を支援する命令を前記患者に提供するように前記出力システムを制御する。
【0016】
このようにして、患者は、胸部X線画像に最も適した所望の位置に身体を動かすように指示されることができる。
【0017】
例えば、コントローラは身体位置を識別するために、
肩の間の背骨の位置、
右肩、
左肩、
右肘、
左肘、
右手首、
左手首、
中脊椎位置、及び
基部脊椎位置
のうちのいくつか又は全てを有する身体特徴を識別するように適合される。
【0018】
次いで、コントローラは身体位置を識別するために、
背骨軸の周りの肩の傾斜角、
左右の腕の上昇、
右又は左肘の屈曲、及び
腰の周りの身体の屈曲、ならびに
望ましくない身体形状を改善するための命令を前記患者に提供すること
を有する一つ又はそれより多くの身体形状を決定するように適合される。
【0019】
カメラは、例えば可視光カメラである。したがって、それは、捕捉された画像から表面頭部及び身体特徴を検出するために使用される。
【0020】
本発明はまた、胸部X線のために患者を調製するコンピュータ実装方法であって、
カメラ、X線ヘッド及びX線検出器を、前記カメラによって生成されたビデオストリーム内で前記患者の頭部が捕捉されたと識別される位置に並進させるステップと、
前記頭部の顎を識別するステップと、
前記顎を基準点として使用して、前記カメラ、X線ヘッド及びX線検出器を並進させるか、又は前記カメラ、X線ヘッド及びX線検出器を、前記基準点を使用して胸部X線撮像のための位置に並進させる命令を提供するステップと
を有する、コンピュータ実装方法を提供する。
【0021】
方法は、
前記顎を含む頭部の複数の特徴の識別するステップと、
前記識別された特徴から、前記頭部の所望の方向に対してヨー角、ピッチ角、及びロール角を有する前記頭部の方向を決定するステップと、
前記所望の方向に達するように前記頭部の方向に対する必要な変化を決定するステップと、
前記顎を基準点として使用する前に、前記頭部の方向に対する必要な変化を支援する命令を前記患者に提供するように前記出力システムを制御するステップと
を含むことができる。
【0022】
前記方法は、好ましくは
前記カメラを胸部X線撮像のための位置に並進させた後、
前記患者の身体位置を識別するステップと、
胸部X線に対する所望の身体位置への必要な変更を支援する命令を前記患者に提供するように前記出力システムを制御するステップと
も含む。
【0023】
本発明は、コンピュータプログラムコード手段を含むコンピュータプログラムであって、前記プログラムが上で定義されたシステムのコントローラ上で実行されるとき、上で定義された方法を実施するように適合される、コンピュータプログラムも提供する。
【0024】
本発明のこれら及び他の態様は以下に記載される実施形態から明らかであり、それらを参照して説明される。
【0025】
本発明をより良く理解し、どのように実施することができるかをより明確に示すために、ここで、単なる例として、添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】着座位置にある患者のX線胸部撮像のためのウォールスタンド検出器を有するX線システムを示す。
【
図2】頭蓋骨のX線撮像のために設定されたX線検出器を組み込んだ寝台上の患者を示す。
【
図3】胸部X線画像のために設定されたX線検出器を組み込んだ寝台上の患者を示す。
【
図5】極端に身長の異なる患者であっても、顎と肺頂上部との間の長さがほぼ一定であることを示している。
【
図6】胸部X線のために患者を準備する方法を示す。
【
図7】顎の位置を取得し、加えて、正しい頭部ポーズを可能にするための命令を提供するために、頭部の画像を処理するための方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明は、図面を参照して説明される。
【0028】
詳細な説明及び特定の例は装置、システム、及び方法の例示的な実施形態を示しているが、例示のみを目的とするものであり、本発明の範囲を限定することを意図するものではないことを理解されたい。本発明の装置、システム及び方法のこれら及び他の特徴、態様、及び利点は、以下の説明、添付の特許請求の範囲、及び添付の図面からよりよく理解されるのであろう。図は単に概略的なものであり、縮尺通りに描かれていないことを理解されたい。また、同じ又は同様の部分を示すために、図面全体を通して同じ参照番号が使用されることを理解されたい。
【0029】
本発明は、撮像される患者のビデオをキャプチャするためのカメラと、X線撮像ヘッド及びX線検出器とを備える胸部X線システムを提供する。カメラ、X線撮像ヘッド及びX線検出器を並進させることができる。患者の頭部が最初に識別され、頭部の顎が識別される。次いで、顎は、胸部X線撮像のための位置にカメラを並進させるための基準点として使用される。
【0030】
以前は、医師が医師の経験に基づいて、全ての患者について正確な患者位置を推定しなければならなかった。これは時間のかかる方法である。本発明の自動化されたアプローチは、異なる医師の経験に依存しない。特に、顔位置が検出され、特に顎を識別するために顔ランドマークに変換される。これは、2D画像から3D点に情報を投影することによって達成することができる。3D点情報を分析することによって、顎の位置と同様に頭部の姿勢を決定することができる。
【0031】
システムは患者の頭部ポーズを矯正するために、患者にガイダンスを提供することができる。
【0032】
顔認識は例えば、胸部X線システムを実施するために身体骨格認識と組み合わされる。したがって、システムは、患者頭部と患者支持体(壁立てパネル又は患者寝台であってもよい)との間の相対位置、特に顎位置を決定する。これに基づいて、システムは、患者支持体(壁立てパネル及びX線ヘッド又はテーブル)の動きをガイドして、胸部領域をX線撮像システムと正確に位置合わせすることができる。
【0033】
システムはまた、胸部X線の間の不正確な位置をさらに改善するために、患者の身体姿勢を修正するためのガイダンスを患者に提供することができる。頭部検出の使用は胸部高さをより正確に決定することを可能にし、異なる高さを有する患者を可能にする。
【0034】
動作シーケンスは、患者が壁立てに乗る(又は座る)こと、又は患者テーブル上に横たわることを含む。次いで、システムは医師が患者を胸部X線のための最も適切な位置に誘導することができるように、位置決め命令を与える。次いで、患者は、X線曝露のための正しい位置を有する。
【0035】
図1は、X線源104及びカメラ106を有するX線ヘッド102と、X線検出器108とを有するX線システム100を示す。この例におけるX線検出器は、図示されるような着座位置にある患者110のX線胸部撮像に使用されるようなウォールスタンドの一部である。X線検出器、カメラ、及びX線源は、患者に対してそれらを並進させることができる支持システム109によって担持される。以下に説明するように、カメラは、例えば飛行時間測定に基づいて、2D深度画像を生成する。
【0036】
X線ヘッド102(ソース104及びカメラ106)及びX線検出器108は矢印112によって表されるように支持システム108を移動させることによって、患者の胸部又は患者の頭部に向けることができるように、調整可能な位置(すべて互いに固定されている)を有する。
【0037】
図1はカメラ画像を処理し、ディスプレイ114などの出力装置を制御するためのコントローラ112を示す。
【0038】
X線検出器は、代わりに患者治療台の一部であってもよい。
【0039】
図2はX線検出器108を組み込んだ治療台120上の患者110を示し、X線ヘッド102が上部を覆っている。
図2は患者の頭部と位置合わせされたX線ヘッド102を示し、頭蓋骨の得られたX線画像も示す。
【0040】
図3は再び、X線検出器108を組み込んだ治療台120上の患者110を示し、X線ヘッド102が上部を覆っている。
図2は患者の胸部と位置合わせされたX線ヘッド102を示し、結果として得られる胸部X線画像も示す。
【0041】
頭部(頭蓋骨)X線の場合、頭部は、X線ヘッドに対して前後方向にある。頭部は、フランクフルト平面がX線検出器に対して直角になるように顎の位置を調整することによって配向されるべきである。
【0042】
胸部X線では、
図4に示すように、肺の上部130と横隔膜の下部140の両側に、両肋骨横隔膜角を含む、様々な特徴が見えるはずである。肺構造及び脊椎は、心臓の後ろで識別可能でなければならない。
【0043】
肺の上部を画像で見えるようにするために、患者とX線ヘッド及びX線検出器(例えば、ウォールスタンド検出器)との間の適切なアライメントが必要とされる。本発明は、基準点としての顎の位置の使用に基づく。顎と肺の頂部との間の長さは、非常に異なる身長の患者でさえほぼ一定である。
【0044】
これは、
図5に概略的に示されており、2人の異なる身長の患者が示されている。各場合において、顎と肺の頂部との間の距離Aはほぼ一定であるが、脊椎中央点までの距離B及びCは異なる。
【0045】
胸部領域を識別するために身体点を使用するとき、これらの点は例えば、3Dカメラの深度情報から取得され、典型的には、背骨中央点などの身体中心点が使用される。しかしながら、距離B及びCは、患者の異なる高さについて有意に異なる。患者の身長は、典型的には1.4乃至1.9メートルの範囲である。
【0046】
図6は、胸部X線のために患者を準備する方法を示す。
【0047】
ステップ150において、カメラ、X線ヘッド、及びX線検出器は、患者の頭部がカメラによって生成されたビデオストリーム内で捕捉されたと識別される位置に移動される。
【0048】
ステップ152において、頭部の顎が識別され、ステップ154において、顎が基準点として使用され、カメラ、X線ヘッド、及びX線検出器を、基準点を使用して胸部X線撮像のための位置に並進させる。
【0049】
図7は顎の位置を取得するが、加えて、正しい頭部ポーズを可能にするための命令を提供するために、頭部の画像を処理するための方法200を示す。
【0050】
ステップ202において、X線ヘッド及び検出器の位置は、頭部(頭蓋骨)のX線撮像を可能にするように調整される。例えば、これは、頭蓋骨検査に適した高さ位置に壁立て高さを調整することを含む。
【0051】
ステップ204において、カメラは患者のビデオストリームを取得する。
【0052】
ステップ206において、画像処理が行われる。これは、ステップ208において、単一の顔がカメラ画像において識別され得るかどうかを決定することを可能にする。
【0053】
顔が識別され得る場合、ステップ210において、訓練されたモデルが顔位置ランドマークを見つけるために使用される。これらのランドマークは上記で説明したように、顎を含む。これらのランドマークに基づいて、アルゴリズムは、訓練された顔モデルを使用して認識を実行する。
【0054】
次いで、アルゴリズムはたとえば、以下で説明する回転行列212及びオイラー角変換214を使用して、顔角を決定することができる。
【0055】
ステップ216において、頭部ポーズが正しいかどうかが判定される。正しくない場合、医師及び患者が頭部を所望の位置に再配置するのを支援するために、ユーザインターフェースによってステップ218において命令を与えることができる。
【0056】
頭部が正しい位置に来ると、顎は、ステップ220において基準位置として識別される。
【0057】
頭部ポーズに使用されるカメラ画像は例えば、3Dカメラからの2D画像である。画像前処理は例えば、画像ノイズを低減するためにメディアブラー動作を使用する。画像のサイズが導出され、画像中心点が得られる。
【0058】
顔ランドマークは、Kazemi V, Sullivan J. "One Millisecond Face Alignment with an Ensemble of Regression Trees"( Computer Vision and Pattern Recognition, IEEE, 2014:1867乃至1874)などの既知の訓練モデルで検出される。
【0059】
このモデルは例えば、顔の6つの点、すなわち、鼻先、顎、左眼左隅、右目右上コーナー、左口隅、右口隅を取得する。
【0060】
これらの6点から、頭部が検出器、例えばウォールスタンド検出器と位置合わせされるため、顔位置の判定が行われる。したがって、顔の位置は、ウォールスタンド検出器に対して決定されるべきである。この目的のために、画像の中心が顔の位置と比較され、許容値が設定される。中心偏差が(検出器の解像度、例えば65ピクセルに応じて)ある数のピクセルより大きい場合、頭部又はX線ヘッド及びX線検出器(すなわち、ウォールスタンド検出器)を再配置するための命令が提供される。
【0061】
ずれが閾値量未満になると、顔は、画像平面のほぼ中心にある。次いで、この方法は、頭部姿勢の判断を実行する。
【0062】
目的は、ワールド座標における3D点Pとして頭部の位置(U、V、W)を判断することである。カメラ座標に対するワールド座標の回転R(3×3行列)及び並進t(3×1ベクトル)が既知である場合、カメラ座標における各点Pの位置(X, Y, Z)は、
を用いて計算することができる。
【0063】
行列R及びベクトルtは、スタンド座標に基づいて得られる。
【0064】
右姿勢(R及びt)が既知である場合、画像上の3D顔面点の2D位置は、2D画像上に3D点を投影することによって予測することができる。言い換えれば、R及びtが既知である場合、画像内の点Pは、撮像されている3D点ごとに見つけることができる。
【0065】
したがって、6つの顔面点の各々は、ワールド座標における3D位置にマッピングされ得る。この目的のために、3Dカメラは、カラー2D深度画像を生成する。これらの2つの画像は、3Dカメラによって同時に生成される。
【0066】
したがって、各顔面ランドマークの3D点位置が取得される。3D点位置は顔の姿勢(方向)を推定するために、軸間の角度に変換される。
【0067】
まず、3D点を四元数系に変換する。四元数系は複素数を拡張する。(x,y,z)が軸方向の単位ベクトルである場合、θは軸回転角である。したがって、(x,y,z)の四元数は[cos(θ/2),x*sin(θ/2), y*sin(θ/2), z*sin(θ/2)]となり、(w,x,y,z)と表現できる。
【0068】
この四元数は、
によりオイラー角に変換することができる。
【0069】
回転角度(Φ、θ、φ)は、頭部のヨー、ピッチ、及びロールを表す。これらが得られた後、設定された閾値に従って頭部位置を調整するためのアドバイスを患者に提供することができる。例えば、
ヨーが25度より大きい場合、患者は左又は右から中央位置に戻るように勧められる。
ピッチが10度よりも大きい場合、患者は検出器を指し示すために頭を上に向けるか又は下に向けるように助言され、ロールが15度よりも大きい場合、患者は頭を左又は右に傾けず、頭を垂直に保たないように助言される。
【0070】
図8は、胸部X線を準備するための方法300の残りの部分を示す。
【0071】
顎の位置を使用して、カメラ、X線ヘッド、及びX線検出器は、胸部X線のための位置に移動される。
【0072】
この並進は、ステップ154で行われる(
図6のように)。顎先は例えば、スタンドウォール(壁立て)パネルの上端に合わせることができるので、この位置は、壁立て検出器に対する顔の位置に基づいている。
【0073】
壁立てパネルの画像のエッジを顎位置の位置と比較し、公差を設定する。偏差が閾値より大きい場合、アドバイスが提供され、顎点がより高い場合、ウォールスタンドをより高い位置に移動させるようにアドバイスが与えられる。顎が低い場合は、壁掛け台を低い位置に移動するようにアドバイスされる。
【0074】
代わりに、ウォールスタンドパネルの上部を、顎に対して固定されたオフセット位置、例えば、顎位置の下の固定された距離、例えば、5cmに移動させることが望ましい場合がある。
【0075】
頭部ポーズ検査と同様に、胸部X線の身体位置を改善するために、患者にさらなる命令を提供するために(任意選択的に医師を介して)、身体位置を評価することもできる。
【0076】
ステップ302において、身体が認識されるかどうかが決定される。そうでない場合、患者がカメラに近すぎることがあり、その場合、ステップ304においてアドバイス及び命令が与えられる。
【0077】
身体位置の分析のために、3Dカメラからの深度画像及び2D画像は、身体骨格認識とともに使用され得る。
【0078】
画像前処理はノイズを低減するために、メディアぼかし処理を再度使用した。
【0079】
壁立て高さが胸部X線検査に適していることが確認された後、人体姿勢も考慮される。
【0080】
例えば、身体が垂直軸の周りに傾斜している場合(例えば、患者が座っている姿勢ではなく立っている姿勢にある場合)、患者はカメラ(すなわち、X線源)に向かって立っていない。
【0081】
骨格の3D位置は、3Dカメラを通して取り込むことができるいくつかの点を使用してチェックすることができる。これらの点は、ステップ306におけるランドマーク検出によって得られる。
図9は、頭部(H)、頸部(N)、肩の高さの脊椎(Sp_S)、左肩(LS)、左肘(LE)、左腕(LW)、左手(LH)、右肩(RS)、右肘(RE)、右腕(RW)、右手(RH)、中高の脊椎(Sp_Mid)、及び基部の高さの脊椎(Sp_Base)を示す。
【0082】
これらの点に基づいて、任意の対の軸間の交角を計算することができる。各個々の軸は、2つの点によって定義される。
【0083】
【0084】
ステップ308において、身体傾斜が検出される。これは、線[NからSp_Mid]と[LSからRS]との間の角度に基づくことができる。角度が85度未満の場合、身体を傾けないようにアドバイスすることができる。
【0085】
ステップ310において、右手の持ち上げが検出される。これは、線[Sp_S―RS]と[RS―RE]との間の角度に基づくことができる。角度が65度未満の場合、右手を持ち上げないようにアドバイスを提供することができる。
【0086】
ステップ312において、左手の持ち上げが検出される。これは、線[Sp_S―LS]と[LS―LE]との間の角度に基づくことができる。角度が65度未満の場合、左手を持ち上げないようにアドバイスを提供することができる。
【0087】
ステップ314において、右肘の屈曲が検出される。これは、線[RS―RE]と[RE―RW]との間の角度に基づくことができる。角度が15度より大きい場合は、右肘を曲げないようにアドバイスすることができる。
【0088】
ステップ316において、左肘の屈曲が検出される。これは、線[LS―LE]と[LE―LW]との間の角度に基づくことができる。角度が15度より大きい場合は、左肘を曲げないようにアドバイスすることができる。
【0089】
ステップ318において、頭部の傾斜が検出される。これは、線[H―N]と[N―Sp_S]との間の角度に基づくことができる。角度が11度より大きい場合は、頭部を傾けないようにアドバイスすることができる。
【0090】
X線管頭部が胸部X線のために位置合わせされているにもかかわらず、頭部はカメラの視野内(頭部が画像の上部領域にある状態)にとどまることができる。したがって、カメラは、典型的にはX線源よりもはるかに広い視野を有する。例えば、検出器サイズは例えば、6.8度の光源からの半角aaに対応する43cm×43cmである。3Dカメラの一例は、58.4度(水平)×45.5度(垂直方向)の深度画像の視野、63.1度(水平)×49.4度(垂直方向)の2Dカラー画像の視野を有する。
【0091】
ステップ320において、腰部での曲げが検出される。これは、線[Sp_S―Sp_Mid]と[Sp_Mid―Sp_Base]との間の角度に基づくことができる。角度が11度より大きい場合、腰部で曲がらないように助言を提供することができる。
【0092】
いくつかの角度計算は4つの点、例えば、横方向の身体傾斜のための[N―Sp_Mid]及び[RS―LS]を使用し得る。
【0093】
ステップ322において体位が正しいと判定されると、ステップ324において胸部X線画像が実行される。そうでない場合、ステップ304において、患者が身体位置を調整している間、アドバイスが反復的に提供され続ける。
【0094】
開示された実施形態に対する変形は図面、開示及び添付の特許請求の範囲の研究から、請求された発明を実施する際に当業者によって理解され、実行され得る。請求項において、単語「有する(comprising)」は他の要素又はステップを除外せず、不定冠詞「a」又は「an」は複数を除外しない。
【0095】
単一のプロセッサ又は他のユニットは、特許請求の範囲に列挙されるいくつかのアイテムの機能を満たすことができる。
【0096】
特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用され得ないことを示すものではない。
【0097】
コンピュータプログラムは他のハードウェアとともに、又は他のハードウェアの一部として供給される光記憶媒体又はソリッドステート媒体などの適切な媒体上に記憶/配布され得るが、インターネット又は他の有線もしくはワイヤレス電気通信システムなどの他の形態で配布されてもよい。
【0098】
「に適合された」という用語が特許請求の範囲又は説明において使用される場合、「に適合された」という用語は、「に構成された」という用語と等価であることが意図されることに留意されたい。
【0099】
請求項におけるいかなる参照符号も、範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【国際調査報告】