(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】A/V比を自動的に計算するためのLAP信号処理
(51)【国際特許分類】
A61B 5/0215 20060101AFI20241219BHJP
【FI】
A61B5/0215 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024534077
(86)(22)【出願日】2022-12-06
(85)【翻訳文提出日】2024-07-12
(86)【国際出願番号】 US2022052039
(87)【国際公開番号】W WO2023107508
(87)【国際公開日】2023-06-15
(32)【優先日】2021-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500218127
【氏名又は名称】エドワーズ ライフサイエンシーズ コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】Edwards Lifesciences Corporation
【住所又は居所原語表記】One Edwards Way, Irvine, CALIFORNIA 92614, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ヤロン・ケイダー
【テーマコード(参考)】
4C017
【Fターム(参考)】
4C017AA01
4C017AA02
4C017AA14
4C017AB04
4C017AC01
4C017BC14
4C017BC16
4C017BD06
4C017FF05
(57)【要約】
左心房圧を使用した心臓モニタリング及び治療のための、システム及び方法が、本明細書に記載される。多くの態様では、患者の心臓の左心房に移植可能な圧力センサは、圧力信号を記録する。左心房圧を使用して、臨床的有意性を有するA/V比を計算することができ、次に、治療を誘導し、及び/又は開ループ若しくは閉ループ自動治療システムの一部として使用することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の心臓状態を治療する方法であって、
患者の左心房に移植された心房心臓センサを使用して、左心房圧(LAP)信号を取得することと、
前記LAP信号内のA波のセット及びV波のセットを識別することと、
前記A波のセットの平均圧力振幅及び前記V波のセットの平均圧力振幅に基づいて、A/V比を計算することと、
前記A/V比に基づいて、前記患者に対する適切な治療を決定することと、
前記患者に前記適切な治療を提供することとを含む、方法。
【請求項2】
前記LAP信号における、前記A波のセット及び前記V波のセットを識別することが、前記LAP信号を分解することを含む、請求項1に記載の患者の心臓状態を治療する方法。
【請求項3】
前記LAP信号を分解することが、フーリエ変換を適用することを含む、請求項2に記載の患者の心臓状態を治療する方法。
【請求項4】
前記LAP信号を分解することが、ウェーブレット解析を適用することを含む、請求項2に記載の患者の心臓状態を治療する方法。
【請求項5】
前記分解において、0.1~0.5Hzの間の優位周波数を位置決定することによって、前記患者の呼吸数を決定することを更に含む、請求項2に記載の患者の心臓状態を治療する方法。
【請求項6】
前記分解において、0.8Hz~1.7Hzの間の優位周波数を位置決定することによって、前記患者の心拍数を決定することを更に含む、請求項2に記載の患者の心臓状態を治療する方法。
【請求項7】
前記LAP信号から呼吸数に関連する周波数成分を減算して、雑音が除去されたLAP信号を生成することを更に含む、請求項2に記載の患者の心臓状態を治療する方法。
【請求項8】
前記雑音が除去されたLAP信号を、偶数波のセット及び奇数波のセットに解析することを更に含む、請求項7に記載の患者の心臓状態を治療する方法。
【請求項9】
前記偶数波のセット及び前記奇数波のセットが、A波のセット又はV波のセットとして排他的に標識される、請求項8に記載の心臓状態を治療する方法。
【請求項10】
前記排他的標識が、A波及びV波でアノテーションされた雑音が除去されたLAP信号を含む、訓練データセットを使用して訓練された、機械学習モデルを使用して実行される、請求項9に記載の心臓状態を治療する方法。
【請求項11】
前記排他的標識が、A波における二重ピークの識別を含む、波形分析によって実行される、請求項9に記載の心臓状態を治療する方法。
【請求項12】
前記適切な治療が、前記A/V比が0.6未満に低下することに応答して、前記患者に投与される利尿剤の投与量を、40%~60%の間増加させることを含む、請求項1に記載の心臓状態を治療する方法。
【請求項13】
前記適切な治療が、A/V比の変化なしに、前記患者の平均血圧が40mmHg超増加することに応答して、前記患者に利尿剤の投与量を維持しながら、高血圧治療薬の投与量を増加させることを含む、請求項1に記載の心臓状態を治療する方法。
【請求項14】
前記適切な治療が、輸液ポンプを介して、前記患者に自動的に送達される薬剤である、請求項1に記載の心臓状態を治療する方法。
【請求項15】
患者の心臓状態を治療するためのシステムであって、
プロセッサと、
心臓モニタリングアプリケーションを含むメモリであって、前記心臓モニタリングアプリケーションが、前記プロセッサに、
心房心臓センサを使用して、記録された左心房圧(LAP)信号を取得し、
前記LAP信号内のA波のセット及びV波のセットを識別し、
前記A波のセットの平均圧力振幅及び前記V波のセットの平均圧力振幅に基づいて、A/V比を計算し、
前記A/V比に基づいて、前記患者に対する適切な治療を決定させるように、構成する、アプリケーションを含む、メモリとを備える、システム。
【請求項16】
前記LAP信号における、前記A波のセット及び前記V波のセットを識別するために、前記心臓モニタリングアプリケーションが、前記プロセッサに、前記LAP信号を分解させるように、更に構成する、請求項15に記載の患者の心臓状態を治療するためのシステム。
【請求項17】
前記分解が、フーリエ変換の適用を含む、請求項16に記載の患者の心臓状態を治療するためのシステム。
【請求項18】
前記分解が、ウェーブレット解析の適用を含む、請求項16に記載の患者の心臓状態を治療するためのシステム。
【請求項19】
前記心臓モニタリングアプリケーションが、前記プロセッサに、前記分解において、0.1~0.5Hzの間の優位周波数を位置決定することによって、前記患者の呼吸数を決定させるように、更に構成する、請求項16に記載の患者の心臓状態を治療するためのシステム。
【請求項20】
前記心臓モニタリングアプリケーションが、前記プロセッサに、前記分解において、0.8Hz~1.7Hzの間の優位周波数を位置決定することによって、前記患者の心拍数を決定させるように、更に構成する、請求項16に記載の患者の心臓状態を治療するためのシステム。
【請求項21】
前記心臓モニタリングアプリケーションが、前記プロセッサに、前記LAP信号から呼吸数に関連付けられた周波数成分を減算して、雑音が除去されたLAP信号を生成させるように、更に構成する、請求項16に記載の患者の心臓状態を治療するためのシステム。
【請求項22】
前記心臓モニタリングアプリケーションが、前記プロセッサに、前記雑音が除去されたLAP信号を、偶数波のセット及び奇数波のセットに解析させるように、更に構成する、請求項21に記載の患者の心臓状態を治療するためのシステム。
【請求項23】
前記偶数波のセット及び前記奇数波のセットが、A波のセット又はV波のセットとして排他的に標識される、請求項22に記載の心臓状態を治療するためのシステム。
【請求項24】
前記排他的標識が、A波及びV波でアノテーションされた雑音が除去されたLAP信号を含む、訓練データセットを使用して訓練された、機械学習モデルを使用して実行される、請求項23に記載の心臓状態を治療するためのシステム。
【請求項25】
前記排他的標識が、A波における二重ピークの識別を含む、波形分析によって実行される、請求項23に記載の心臓状態を治療するためのシステム。
【請求項26】
前記適切な治療が、前記A/V比が0.6未満に低下するのに応答して、前記患者に投与される利尿剤の投与量を、40%~60%の間増加させることを含み、前記心臓モニタリングアプリケーションが、前記プロセッサに、前記プロセッサに通信可能に結合された輸液ポンプを介して、利尿剤の前記投与量を送達させるように、更に構成する、請求項15に記載の心臓状態を治療するためのシステム。
【請求項27】
前記適切な治療が、A/V比の変化なしに、前記患者の平均血圧が40mmHg超増加することに応答して、前記患者に利尿剤の投与量を維持しながら、高血圧治療薬の投与量を増加させることを含み、前記心臓モニタリングアプリケーションが、前記プロセッサに、前記プロセッサに通信可能に結合された輸液ポンプを介して、利尿剤の前記投与量を送達させるように、更に構成する、請求項15に記載の心臓状態を治療するためのシステム。
【請求項28】
前記適切な治療が、前記プロセッサに通信可能に結合された輸液ポンプを介して、前記患者に自動的に送達される薬剤である、請求項15に記載の心臓状態を治療するためのシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、合衆国法典第35編第119条(e)の下で、2021年12月7日に出願された、「LAP SIGNAL PROCESSING TO AUTOMATICALLY CALCULATE A/V RATIO」と題される、米国仮特許出願第63/287,003号、2021年12月7日に出願された、「EXERTION RESPONSE DETECTION BY AN IMPLANTABLE SENSOR」と題される、米国仮特許出願第63/287,009号、2021年12月7日に出願された、「IMPROVED SIGNAL PROCESSING OF BLOOD PRESSURE FROM AN IMPLANTABLE SENSOR BY PRE-CLASSIFICATION OF PATIENTS」と題される、米国仮特許出願第63/287,016号、2021年12月17日に出願された、「SYSTEMS AND METHODS FOR HEART VALVE MONITORING AND REPLACEMENT」と題される、米国仮特許出願第63/291,253号、及び2021年12月17日に出願された、「SYSTEMS AND METHODS FOR PUMONARY CONGESTION MONITORING AND TREATMENT」と題される、米国仮特許出願第63/291,270号の、利益及び優先権を主張する。米国仮特許出願第63/287,003号、同第63/287,009号、同第63/287,016号、同第63/291,253号、及び同第63/291,270号の開示は、全ての目的のために、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、概して、患者の健康状態をモニタリングするために心臓信号を使用することに関し、より具体的には、心臓状態を予測及び治療するために、左心房圧信号を使用することに関する。
【背景技術】
【0003】
ヒトの心臓は、4つのチャンバを有する。左心房と右心房、左心室と右心室である。心房は、静脈から血液を受取り、心室は、血液を動脈に排出する。右側構造は、身体から脱酸素化された血液を受取り、それを、酸素化される肺に送る。左側構造は、肺から新たに酸素化された血液を受取り、それを身体の残りの部分に送る。心臓は同様に、僧帽(二尖)弁、三尖弁、大動脈弁、及び肺動脈弁の、4つの主要な弁を含む。人工心臓弁は、心臓機能の喪失時に天然心臓弁の機能を再現するために、心臓に埋込むことができる、救命の医療装置である。
【発明の概要】
【0004】
本発明の態様による、LAP信号処理のための、システム及び方法が例示される。一態様は、患者の心臓状態を治療する方法を含み、以下:患者の左心房に移植された心房心臓センサを使用して、左心房圧(LAP)信号を取得することと、LAP信号におけるA波のセット及びV波のセットを識別することと、A波のセットの平均圧力振幅及びV波のセットの平均圧力振幅に基づいて、A/V比を計算することと、A/V比に基づいて、患者に対する適切な治療を決定することと、適切な治療を患者に提供すること、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】
図1は、本発明の一態様による、心房移植心臓モニタリングシステムである。
【
図2】
図2は、本発明の態様による、心臓信号プロセッサのブロック図である。
【
図3A】
図3Aは、本発明の態様による、例示的なA波及びV波を示す図である。
【
図3B】
図3Bは、本発明の態様による、例示的なA波及びV波上のキーポイントを示す図である。
【
図4】
図4は、本発明の態様による、A/Vを計算するためのプロセスを示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、本発明の態様による、例示的な左心房圧(LAP)信号である。
【
図6】
図6は、本発明の態様による、典型的なLAP信号の例示的なスペクトル分析である。
【
図7A】
図7Aは、各々、本発明の態様による、大きく遅い呼吸及び浅く速い呼吸を反映するLAP信号を示す。
【
図7B】
図7Bは、各々、本発明の態様による、大きく遅い呼吸及び浅く速い呼吸を反映するLAP信号を示す。
【
図8】
図8は、本発明の一態様による、ノイズ除去されたLAP信号である。
【
図9】
図9は、本発明の態様による、解析されたLAP信号である。
【
図10】
図10は、本発明の態様による、LAP信号と心電図(EKG)信号との間の関係を示す。
【
図11】
図11は、本発明の態様による、標識された、解析されたLAP信号を示す。
【
図12A】
図12Aは、本発明の態様による、各々、ベースラインV波、及び上昇したV波を図示する。
【
図12B】
図12Bは、本発明の態様による、各々、ベースラインV波、及び上昇したV波を図示する。
【
図13A】
図13Aは、本発明の態様による、各々、心房細動における患者の、単一のA-Vサイクル、及びより長い時間スケールLAP信号を示す。
【
図13B】
図13Bは、本発明の態様による、各々、心房細動における患者の、単一のA-Vサイクル、及びより長い時間スケールLAP信号を示す。
【
図14】
図14は、本発明の態様による、異なる運動状態にわたる心臓変化を決定するための、プロセスを示すフローチャートである。
【
図15】
図15は、本発明の態様による、心拍数の変化の関数としての、LAPの変化を示す図である。
【
図16】
図16は、本発明の態様による、心拍数の変化の関数としての、呼吸数の変化を示す図である。
【
図17】
図17は、本発明の態様による、心拍数の変化の関数としての、A/V比の変化を示す図である。
【
図18】
図18は、本発明の態様による、特定の患者に対する関連性に基づいて臨床データを動的に提示する、プロセスを示すフローチャートである。
【
図19】
図19は、本発明の態様による、心不全中の、2つの主なタイプの構造変化を示す。
【
図20】
図20は、本発明の態様による、僧帽弁閉鎖不全症から生じる、拡大したV波圧を示すLAP信号を示す。
【
図21】
図21は、本発明の態様による、僧帽弁狭窄症を示す。
【
図22】
図22は、本発明の態様による、僧帽弁狭窄症から生じる、拡大したA波圧を示すLAP信号を示す。
【
図23】
図23は、本発明の態様による、僧帽弁指数を計算するための、プロセスを示すフローチャートである。
【
図24】
図24は、本発明の態様による、僧帽弁指数を計算するための、LAP信号上のキーポイントを示す図である。
【
図25】
図25は、本発明の態様による、LAP信号における最小値デルタを示す図である。
【
図26】
図26は、本発明の態様による、LAP信号における大きな最小値デルタを示す図である。
【
図27】
図27は、本発明の態様による、LAP信号における負の最小値デルタを示す図である。
【
図28】
図28は、本発明の態様による、肺うっ血リスク指数を計算するための、第一のプロセスである。
【
図29A】
図29Aは、本発明の態様による、任意のサンプルデータセット上の、第一のプロセスを図式的に示すチャートである。
【
図29B】
図29Bは、本発明の態様による、任意のサンプルデータセット上の、第一のプロセスを図式的に示すチャートである。
【
図30】
図30は、本発明の態様による、肺うっ血リスク指数を計算するための、第二のプロセスである。
【
図31A】
図31Aは、本発明の態様による、任意のサンプルデータセット上の、第二のプロセスを図式的に示すチャートである。
【
図31B】
図31Bは、本発明の態様による、任意のサンプルデータセット上の、第二のプロセスを図式的に示すチャートである。
【
図32】
図32は、本発明の態様による、肺うっ血リスク指数を計算するための、第三のプロセスである。
【
図33A】
図33Aは、本発明の態様による、任意のサンプルデータセット上の、第三のプロセスを図式的に示すチャートである。
【
図33B】
図33Bは、本発明の態様による、任意のサンプルデータセット上の、第三のプロセスを図式的に示すチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0006】
医療ケアの著しい進歩にもかかわらず、心血管疾患は、世界中で主要な死因である。根底にある問題が早期に検出された場合、患者の転帰は、有意に肯定的になり得る。心拍数及び呼吸数などの心臓指標は、診断及びモニタリングに使用される一般的な測定値である。多くの場合、患者の病態は、安静状態と運動状態との間の心機能の差の文脈において、より良く理解され得る。しかしながら、心臓機能は、患者が安静している時、例えば、診察室に座っている時、診察台に横たわっている時などに、測定されることが最も多い。モニタリング機器が患者と共に移動することができる必要があるか、又は測定能力を有する静的な運動環境が提供されなければならないため、運動状態(例えば、動き回る、速く歩く、階段を上るなど)中の、患者の測定は困難及び/又は煩雑であり得る。
【0007】
これらの指標を、1日中の任意の時点で、連続的に(又は任意でさえも)モニタリングすることは、医療従事者の即時の支援なしには困難であり得る。いくつかの現代のウェアラブルデバイス(例えば、スマートウォッチ)は生体認証測定機能を有するが、高度な精度が必要とされる状況では、信頼できない場合がある。更に、従来のウェアラブルデバイスは、本明細書で論じるように、心臓モニタリング及び治療に使用され得る、左心房圧(LAP)などの(しかし、これに限定されない)、特定の圧力測定値を記録することができない。
【0008】
これらの問題に対処するために、記録能力を有する移植可能な医療機器が、生物学的機能の、一貫した頻繁な測定を可能にする可能性がある。本発明の様々な態様による、移植可能な心房移植心臓モニタリングシステムにより、新しく、より正確な測定値(LAP測定値を含む)を取得することができるようになる。これらの新しいデータを利用するために、本明細書に記載されるシステム及び方法は、心疾患の早期検出、並びに他の疾患状態及び治療方向の両方に、臨床的関連性を有する、心臓指標を記録及び計算することができる。多くの態様では、心拍数、呼吸数、平均血圧、A/V比などの(限定されないが)導出された心臓指標は、高精度であり、運動と安静状態との間の差の正確な画像を得るために、多くの異なる運動状態にわたって、及び/又は長期間にわたって、計算することができる。異なる状態における様々な心臓指標間の比の変化は、診断及び治療の方向に使用され得る。
【0009】
多くの態様では、心房移植心臓モニタリングシステムは、LAPを測定することができる。LAPは、直接測定(例えば、経中隔左心カテーテル法を介して)が困難であり、かつ重大な関連リスクを有する、と従来から推定されている測定である。LAPは、肺毛細血管楔入圧を測定するためにバルーンフローテーション技術が使用される、スワンガンツカテーテル挿入中を含む、多くの方法で推定することができる。LAPはまた、左心室拡張末期圧を測定することによって、推定することができる。しかしながら、これらの推定値は不正確である可能性があり、精密で、個別化された医療には不十分である可能性がある。
【0010】
いくつかの態様では、移植心臓モニタリングシステムは、連続的な信号として、高いサンプリング速度で、LAPを任意で直接記録することを可能にする。しかしながら、LAPを測定するだけでは、高品質の心臓モニタリングには不十分である。本明細書で論じるように、LAP信号は、瞬間的に、患者に関する臨床的に重要な情報を、抽出するために処理することができ、医療スタッフのための治療プロトコルを決定するために、使用することができる。特に注目すべきは、本明細書に記載のA/V比は、特定の臨床的関連性を有することである。例えば、LAP信号自体は、心房細動(AF)中に有意に変化しない場合があるが、導出されたA/V比は、疾患状態の変化を示し得る。特にA/V比は、ダイナミクスが有益である場合に有用な指標となり得る。絶対的心圧値とは対照的に(又は同様に)、例えば、安静状態と運動状態との間の心臓機能の変化を測定する場合、例えば、多くの態様では、A/V比の変化を使用して、心不全(HF)、AF、高血圧、肺高血圧症、僧帽弁閉鎖不全症、僧帽弁狭窄症、大動脈弁狭窄症、心臓律動障害(例えば、超心室頻拍、心室頻拍など)を含む(が、これらに限定されない)任意の数の状態を識別し、その後治療することができる。容易に理解され得るように、この条件のリストは網羅的ではなく、A/V比が臨床的に関連する任意の数の異なる条件を、本発明の態様の特定の用途の要件に応じて、分析することができる。
【0011】
多くの異なるタイプの心血管疾患があるだけでなく、多くの異なるタイプの患者がある。各人が少なくともある程度は特異体質であるため、個別化治療計画によって、患者の転帰を有意に改善することができる。個別化治療計画を迅速に作成するために、患者は、高度に類似した患者をグループ化しようと試みる、少なくとも1つの固有のクラスに事前に分類することができ、その分類に基づいて、情報を医療従事者に迅速に提示することができる。更に、所与の患者の特定の分類に応じて、様々な心臓指標が異なって分析されてもよい。例えば、通常範囲は、異なる分類に対して異なってもよい。更なる例として、特定の測定基準は、異なる方法で計算されてもよく、A/V比は、特定の患者クラスが、定義されたA及び/又はV波を示す可能性が低い場合に、異なる方法で計算及び/又は提示されてもよい。
【0012】
LAPを使用して、本明細書に記載されるシステム及び方法を使用して、高い精度で、心拍数及び呼吸数を計算することもできる。A/V比の計算プロセスは、以下に詳細に開示される。患者情報と併せて、LAP、並びに他の心臓信号及び/又は指標を、本明細書に記載されるシステム及び方法により使用して、患者の健康をモニタリングし、個別化治療計画を立てることができる。心臓モニタリングシステムを、以下に記載する。
【0013】
心房心臓モニタリングシステム
高レベルでは、心臓モニタリングシステムは、LAP信号を生成できる移植されたセンサ、及びLAP信号から臨床的に関連する情報を抽出できる処理装置を含む。移植されたセンサを含むシステムは、主に、以下で論じるが、容易に理解され得るように、本明細書に記載のプロセスは、外部又は一時的に移植された測定装置を使用して記録された、LAP信号又はその推定値を使用して実施されてもよい。
【0014】
ここで
図1を参照すると、本発明の一態様による、心房心臓モニタリングシステムが図示される。システム100は、患者の左心房に移植された、心房心臓センサ110を含む。多くの態様では、心房心臓センサは、心臓機能を直接測定し、記録されたデータを身体の外側に送信する能力を有する、センサである。様々な態様では、心房心臓センサは、左心房内部で、LAP信号を記録することができる。多くの態様では、心房心臓センサはまた、血圧、血流速度、心拍数、流れ方向、乱流、及び/又は本発明の態様の特定の適用の要件に適切な任意の他の心臓基準を含む(が、これらに限定されない)、他の異なる心臓機能を測定することができる。経時的なこれらの指標の記録は、本明細書では「心臓信号」と呼ばれる。
【0015】
多くの態様では、心房心臓センサは、圧力波形(典型的には、約100Hz)を捕捉するのに十分な、高いサンプリング速度で、複数の心周期(典型的には、少なくとも10~20秒)を、少なくとも記録することができる。多くの態様では、心房心臓センサは、連続的に記録せず、無線電源を介して電力供給されたときにのみ記録する。このように、単一の記録セッションで記録されるデータは、典型的には、3~25回の心周期のみを記録し得る。多くの態様では、記録セッションは、所定の時間、例えば、10~60秒の間継続する。連続的な電力供給を介してより多くの心周期が記録され得るが、臨床的に関連するデータは、この小さな時間枠のみを記載するデータから抽出されてもよい。
【0016】
心房心臓センサ110は、記録された心臓信号を、トランシーバ120に送信できる。多くの態様では、トランシーバは、多数の異なる無線通信方法のいずれかを使用して、心房心臓センサから、心臓信号を取得する。様々な態様では、トランシーバは、心房心臓センサの動作を、制御及び/又は給電してもよい。例えば、トランシーバは、無線電力伝送(例えば、高周波誘導)を使用して、心房心臓センサに遠隔給電することができる。多くの態様では、心房心臓センサに給電すると、記録及び送信プロセスがトリガされる。いくつかの態様では、心房心臓センサは、後でトランシーバに送信され得る、記録されたデータを保存する、オンボードメモリを有する。多くの態様では、トランシーバは、所定の期間にわたって測定を行うように、心房心臓センサに指示することができる。様々な態様では、トランシーバは、所定の間隔で1日あたり所定の回数を自動的に記録するように、心房心臓センサに指示することができる。様々な態様では、トランシーバは、多くの異なるタイプのウェアラブル心拍数モニタリング装置のいずれかを介して、外部心拍数測定値を取得し、心拍数の上昇に応答して記録を取るように、心房心臓センサをトリガすることができる。トランシーバは、後で送信するために、心房心臓センサから受信した心臓信号データを記憶するために使用される、メモリを含んでもよい。
【0017】
トランシーバは、心房心臓センサから取得されたデータを、1つ以上の心臓信号プロセッサ130に更に送信してもよい。多くの態様では、データは、インターネットなど(これに限定されない)、ネットワークを介して送信される。しかしながら、任意の数の異なるネットワーク、無線接続、有線接続、又はそれらの任意の組合わせを使用して、データを送信することができる。様々な態様では、トランシーバは、スマートフォンとして実装される。多くの態様では、トランシーバは、スマートウォッチ、胸部装着装置、及び/又は本発明の態様の特定の用途の要件に適切な任意の他のウェアラブルなど(ただし、限定されないが)、ウェアラブルな装置である。容易に理解され得るように、多くの異なるデバイスが、適切な通信及び処理能力を有する限り、トランシーバとして使用することができる。
【0018】
心臓信号プロセッサは、心房心臓センサによって取得された測定値を処理し、臨床的に関連する指標を抽出することができる、コンピューティングデバイスである。多くの態様では、心臓信号プロセッサは、臨床的に関連する指標及び患者情報に基づいて、個別化治療計画を提供することができる。心臓信号プロセッサは、パーソナルコンピュータ(132)、サーバシステム(134)、スマートフォン(136)、及び/又は本発明の態様の特定の用途の要件に適切な十分な計算能力を有する、任意の他のコンピューティングプラットフォームなど(ただし、これらに限定されない)、任意の数の異なるコンピューティングプラットフォームを実装することができる。更に、多くの態様では、トランシーバ及び心臓信号プロセッサは、同一のハードウェアプラットフォームの一部として、実装されてもよい。
【0019】
多くの態様では、トランシーバ及び/又は心臓信号プロセッサは、心房心臓センサがいつ交換を必要とするかを、更に識別することができる。多くの態様では、受信信号の予想外の変化を使用して、交換の必要性を決定することができる。例えば、信号品質の劣化、他の測定値によって実証されない経時的な圧力読取値のシフト、及び/又は信号の任意の他の変化は、本発明の態様の特定の用途の要件に適切に使用できる。様々な態様では、心房心臓センサの予想寿命を、決定の一部として使用することができる。様々な態様では、心房心臓センサは、交換が必要であることを示す信号を送信することができる。多くの態様では、心房心臓センサは、人工心臓弁に組み込まれてもよく、次に、人工心臓弁が交換を必要とする時を示してもよい。
【0020】
容易に理解され得るように、心房心臓モニタリングシステムのための特定のアーキテクチャが
図1に示されているが、本発明の範囲又は趣旨から逸脱することなく、任意の数の異なるアーキテクチャ(例えば、トランシーバ、及び/又は心臓信号プロセッサを利用するもの)を利用することができる。心臓信号プロセッサは、以下の
図2に関して、より詳細に記載される。
【0021】
ここで
図2を参照すると、本発明の態様による、心臓信号プロセッサが例示されている。心臓信号プロセッサ200は、プロセッサ210を含む。多くの態様では、プロセッサは、本明細書に記載の心臓モニタリングプロセスを実行することができる、任意の論理処理回路である。プロセッサは、本発明の態様の特定の用途の要件に適切な、中央処理装置、グラフィック処理装置、フィールドプログラマブルゲートアレイ、特定用途向け集積回路、及び/又は任意の他の論理処理回路のいずれか(又は組合わせ及び/又は複数)を使用して、実装することができる。心臓信号プロセッサ200は、入力/出力(I/O)インターフェース220を更に含む。I/Oインターフェースは、トランシーバ及び/又は他のコンピューティングデバイスとの通信を可能にすることができる、任意の回路又は回路のグループであってもよい。様々な態様では、本発明の態様の特定の用途の要件に適切な、I/Oインターフェースを使用して、複数の異なる通信方法を実装することができる。
【0022】
心臓信号プロセッサ200は、メモリ230を更に含む。メモリ230は、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、及び/又はそれらの任意の組合わせを使用して実装されてもよい。メモリ230は、プロセッサに、本明細書に記載されるものなどの、様々な心臓モニタリングプロセスを実施するように指示することができる、心臓モニタリングアプリケーション232を含む。多くの態様では、メモリ230は、経時的に、心房心臓センサから取得された心臓信号を記述する心臓信号データ、及び心房心臓センサデータが取得された患者を記述する患者データを含んでもよい。容易に理解され得るように、心臓信号プロセッサのための特定のアーキテクチャを
図2に示すが、本発明の範囲又は精神から逸脱することなく、任意の数の異なるアーキテクチャを利用することができる。心臓モニタリングプロセスは、以下で更に詳細に記載される。
【0023】
心房心臓モニタリング及び治療プロセス
本発明の多くの態様による心房心臓モニタリング及び治療プロセスは、臨床的に実行可能なデータを生成する、心臓信号の利用を伴う。多くの用途に特に重要な心臓信号は、LAP信号であり、これは、次いで、有意な臨床的関連性を有するA/V比を生成するために、使用することができる。A/V比は、単独で、又は他の心臓信号及び/若しくは心臓指標と併せて使用して、所与の患者向けの個別化治療計画を決定することができる。例えば、多くの態様では、A/V比が0.6未満に低下する場合、利尿剤を50%増加させるべきであることを示すことができる。更なる例として、A/V比の変化なしに、平均圧力が40mmHgを超えて増加する場合、利尿薬は増加すべきではなく、代わりに高血圧薬を増加させるべきである。しかしながら、本発明の態様の特定用途の要件に適切な患者の状態に応じて、任意の数の異なる治療プロトコルを使用することができる。更に、A/V比は、患者の健康、又は薬物送達の閉ループ/開ループ制御のための、早期警告システムの一部として使用することができる。例えば、本明細書で記載される心臓指標の変化を使用して、例えば、輸液ポンプ又は他の自動送達方法を介して、適切な薬物送達を自動的にトリガすることができる。LAP及び導出されたA/V比は、インポートされる唯一の心臓信号ではないが、A/V比を計算するプロセスは、まず基礎として以下で論じる。
【0024】
A.A/V比を計算する
1回の心周期の期間にわたる左心房圧は、A波及びV波の2つの主要な特徴に分解され得る。A波は、心房の収縮(収縮前収縮期又は収縮期と呼ばれることもある)による圧力上昇を反映する。V波は、収縮期(収縮期又は心室収縮期とも呼ばれることもある)の右心室から押出された後の、血液が心房内に急増することによる圧力上昇を反映する。ここで
図3Aを参照すると、本発明の態様によるA波構成要素及びV波構成要素で標識された、単一の心周期にわたる、例示的なLAP信号が図示される。更に、5つの重要な段階をLAP信号上にマッピングすることができ、これは、
図3Bで、本発明の態様によるものと示される。上述のように、A波は、拡張期終了時の右心房収縮を示す。C波は、早期収縮中に、僧帽弁弁尖が左心房内に膨張することを示す。X降下は、中収縮における左心房弛緩を示す。V波は、収縮後期における右心房の急速な充填を再び示す。最後に、Y降下は、初期拡張期における、左心房から左心室への左室充填への急速な排出を示す。
【0025】
A/V比は、A波平均振幅とV波平均振幅との間の比である。A/V比の変化は、うっ血又は浮腫の発症に応答して、全体平均圧力の変化よりも早く、かつ顕著であるため、これは非常に敏感なパラメータである。一見、A/V比は、計算が単純に見える場合があるが、生きている人体によって導入される一定の混乱に起因して、抽出が、事実、単純ではない作業である。ここで
図4を参照すると、本発明の態様による、A/V比を計算するためのプロセスが例示されている。
【0026】
プロセス400は、LAP信号を取得すること(410)を含む。多くの態様では、LAP信号は、上述の通り、心房心臓センサから取得される。1つの心周期に対するLAP信号を、
図3A及びBに関して議論するが、多くの心周期にわたるLAP信号は、大幅により複雑である。現実世界のシナリオでは、異なるLAP段階で変化があるため、LAP信号を解釈することは必ずしも容易ではない。また、典型的には、より低い周波数帯において、LAPに寄与する、呼吸によって生成される圧力に起因する変化もあり得る。本発明の態様によるLAP信号の実例を、
図5に図示する。
【0027】
LAP信号は、スペクトル分析の一部として分解されて(420)、心臓指標を得ることができる。多くの態様では、LAP信号は、高速フーリエ変換(FFT)を使用して周波数成分に分解されてもよい。様々な態様では、LAP信号は、ウェーブレット解析を使用して分解されてもよい。分解されたLAP信号は、呼吸周波数(典型的には、0.1~0.5Hz)、心拍数周波数(典型的には、安静時0.8~1.7Hz)、及びA波/V波複合波の主要周波数(2Hz近く、心拍数のおよそ2倍)を提供する。より高い周波数での小さなピークは、典型的には、基礎呼吸及び心臓圧周波数の高調波である。本発明の態様によるLAP信号の例示的なスペクトル分析を、
図6に示す。容易に理解され得るように、呼吸数を心拍数から分離することができる他のスペクトル分析方法論を、本発明の態様の特定の用途の要件に応じて使用することができる。様々な態様では、呼吸数が心拍数から分離できない場合、患者が自身の呼吸数を止めている可能性があることを示すことができる。
【0028】
呼吸及び心拍数周波数を検出した後、呼吸周波数と心拍数周波数との間の周波数カットオフで、ローパスフィルタを適用することによって、呼吸寄与をLAP信号の心臓圧成分から減算する(430)ことができる。呼吸数及び大きさは、信号から導出されてもよく、心臓患者に重要であり得ることに留意されたい。より浅く速い呼吸は、肺うっ血及び肺浮腫などの、様々な心臓状態にとって重要な症状である息切れを示し得る。本発明の態様による、大きく遅い呼吸、及び浅く速い呼吸を示す呼吸成分を有する例示的なLAP信号を、
図7A及び7Bに各々示す。本発明の態様に従って減算された呼吸寄与を有する、例示的な雑音が除去されたLAP信号を、
図8に示す。典型的には、心拍数は、約40~90拍/分(BPM)で始まり、運動中に、最大220BPMまで上昇し得る。典型的な呼吸数は、約5~20呼吸/分(RPM)で始まり、運動中に、最大100RPMまで上昇し得る。しかしながら、容易に理解され得るように、これらの数は、典型的な集団の単なる代表であり、個体間の固有性に起因して異なり得る。
【0029】
一旦雑音が除去されると、LAP信号は、偶数波及び奇数波に解析されてもよい(440)。多くの態様では、波形は、心拍数のおよそ2倍の周波数で、離散波に解析される。多くの態様では、心拍数の2倍を中心とする短い時間枠における極小値は、分割点として選択される。しかしながら、波形を分割するために、任意の数の異なる方法論を使用することができる。例えば、機械学習モデルは、本発明の態様の特定の用途の要件に応じて、使用することができる。本発明の態様による解析されたLAP信号を、
図9に示す。
【0030】
次いで、偶数波及び奇数波を、A波又はV波として標識することができる(450)。本発明の態様による解析されたLAP信号の標識されたバージョンを、
図10に示す。A波とV波が交互であるため、全ての奇数波は1つの群に属し、全ての偶数波は別の群に属すると、仮定することができる。A波は、多くの場合、二重ピーク(A波及びC波)を有すると識別され得るが、V波は、単一のピークを有する傾向がある。X降下は、更に典型的には、Y降下よりも底部で平坦であり、Y降下はより尖っている傾向がある。多くの態様では、機械学習モデルは、訓練され、解析されたLAP信号内のA波及びV波を識別するために使用されてもよい。例えば、機械学習モデルは、それらのA波及びV波がアノテーションされたLAP信号で作製された、訓練データセットを使用して訓練されてもよい。しかしながら、本発明の態様の特定の用途の要件に応じて、単波内の二重ピークを検索すること(しかし、これに限定されない)などの、他の方法論を利用することができる。例えば、多数の態様では、各解析された波について、波の勾配グラフが、エッジとは別に2つのゼロ交差を有する場合、A波を割当てることができる。これが一つおきの波に対して当てはまる場合、標識を確認することができる。一部の患者については、A波が常に存在するわけではない場合があることに、留意することが重要である。様々な態様では、A波を自動的に検出できないことは、更なる調査及び/又は治療の推奨のために、医療従事者に対し注意喚起し得る。
【0031】
様々な態様では、解析された信号の一部分のみが、計算効率を高めるために処理される。多数の態様では、信頼性閾値に達するまで、部分のサイズを増大させることができる。次いで、波の割当ては、解析されたLAP信号全体の、偶数波及び奇数波にわたって外挿されてもよい。様々な態様では、解析された信号にわたる異なる部分を、別々に処理して、外挿における信頼を高めることができる。
【0032】
様々な態様では、解析されたLAP信号内のA波及びV波を識別する機械学習モデルは、EKGデータと共に実際の心臓病患者から収集されたデータを含む、訓練データセットを使用して訓練されてもよい。EKGデータを使用して、A波が典型的に、EKGでQRS複合体として識別された収縮期の前に発生するので、後に発生するV波を決定することができる。この関係を、本発明の態様に従って
図11に示す。EKGデータを使用して、訓練データの手動での標識を必要とせずに、十分に信頼性のある標識された解析されたLAP信号訓練データを、迅速に生成することができる。
【0033】
A波及びV波が識別されると、A波及びV波の平均圧力振幅が計算される(460)。多くの態様では、これを達成するために、全てのA波及び全てのV波の平均圧力及びピーク間圧力振幅が計算される。次いで、A/V比は、A波平均振幅とV波平均振幅との間の比として計算され得る(470)。
【0034】
上述のように、A/V波は、非常に敏感なパラメータであり、したがって、多くの場合、適切な計算が重要である。これを例示するために、本発明の態様による、ベースラインV波を有する解析されたLAP信号、及び上昇したV波を有する解析されたLAP信号を、
図12A及びBに各々示す。図示の例では、全体の平均圧力は、約12mmHgから約14mmHgまで20%のみ上昇するが、A/V比は、約1から0.4に低下し、これは60%の変化である。LAPの2mmHgの変化は、概して、臨床的に有意ではないとみなされるが、この場合、A/V比によって、V波ではカバーされない病理学的変化として特定され得る。特定のプロセスは、
図3~12Bの議論に関して上述したが、A/V比を計算する様々な他のプロセスのいずれかを、本発明の様々な態様による特定の用途の要件に適切な場合に、利用することができる。
【0035】
更なる例として、上昇したV波は、僧帽弁閉鎖不全症(MR)の表示であり得る。僧帽弁が収縮期中に漏れる場合、左心室からの血液は、高圧で左心房に戻る。次いで、左心室は、100~200mmHgの収縮期圧力を発生させ得、これは、10~20mmHgのLAPよりもはるかに大きい。次いで、MRは、LAPの上昇の主な原因として考えられ得る。MRの変化は、心臓状態の治療に、重要なモニタリング因子であり得る。例えば、経時的なMRの悪化は、心不全の治療における重要な指標である。MRは、体液貯留及び左心室前負荷の増加を含む、多くの因子によって引き起こされ得る。A/V比は、LAP平均圧力よりも、MRをモニタリングするためのより感度が高く、より特異的なパラメータとして動作することができ、したがって、心臓状態を有する患者のケア、モニタリング、及び治療に有用である。
【0036】
なお更なる実施例によって、A波に対するいくつかの病理学的変化はまた、A/V比の変化として検出され得る。特に心不全患者におけるA波の最も重要な変化は、典型的には、心房細動又は心房粗動などの、心不全に共通する不整脈によって、引き起こされる。これらの状態では、左心房は、収縮する代わりに、細動又は粗動をしている。このように、左心房は圧力を生成せず、A波は崩壊する。心周期における崩壊したA波、及び本発明の態様による崩壊したA波を示す多くのサイクルにわたるLAP信号を、
図12A及びBに各々示す。再び、分かるように、平均LAPに対する全体的な影響は最小限であり、多くの場合、上昇したV波によってマスクされるが、A/V比はゼロに近い。特に、心不全患者は、その代償として、正常洞調律から心房細動切替わり得る。平均LAPのみをモニタリングするシステムは、A/V比を介して明らかにされる、この重要な臨床指標を見逃す。
【0037】
崩壊したA波とは対照的に、高いA波(単独及びA/V比の両方)は、低組織コンプライアンス/タンポナーデ、収縮性心膜炎、及び/又は心筋症を示唆し得る。多くの態様では、LAP及び/又はA/V比に反映される圧力の急激な増加(急激な上下偏向)は、肺塞栓症の指標であり得るため、高い凝固亢進状態の患者にとって重要な指標であり得る。上記の実施例から容易に理解され得るように、A/V比は、臨床的に有意な指標である。多くの態様では、A/V比は、患者の健康をモニタリングするために経時的に計算され得る。A/V比の変化を使用して、従来ははるかに長い間気付かれていない特定の病態を明らかにし、それらの特定の問題に対する治療を方向付けることができる。そのため、A/V比は、多くのシナリオで計算する重要な指標である。しかしながら、本発明の全ての態様においてA/V比を計算する必要はなく、多くの他の指標が、本明細書に記載される心臓モニタリングシステムによって、計算及び使用され得る。例えば、多くの態様では、心房心臓モニタリングシステムは、経時的に複数のセッションで患者をモニタリングして、動的健康プロファイルを作り出すことができる。特に、患者は、心血管性能を測定するために、異なる使用状態でデータを記録するように指示され得る。運動モニタリングプロセスを、以下で更に説明する。
【0038】
B.運動モニタリング
心房心臓モニタリングシステムは、患者が移動可能である間に、測定値を記録することができる。典型的には、移植可能なセンサを介した血圧モニタリングは、患者が安静にしている間に実施され、すなわち、座るか、又は横になることを意味する。肺動脈カテーテル(限定されないが)などの移植不可能な装置からの類似の試験も、患者が試験テーブル上に横たわる状態で、実施される。結果として、得られた圧力信号は、典型的には、安静条件に限定される。患者が先に活動していたとしても、記録は、通常、安静状態の間に行われる。残念なことに、圧力に対するいくらかの変化は、患者が自身で運動しているときにのみ発生する。したがって、運動状態中の変化を測定することは、心臓病患者ケアにおいて重要である。上述のように、心臓モニタリングシステムは、運動状態中に測定値を記録することができる心房心臓センサを含むことができ、異なる運動状態で取得されたデータを処理して、臨床的に関連する情報を抽出することができる。
【0039】
ここで
図14を参照すると、本発明の態様による、運動モニタリングのためのプロセスが例示されている。プロセス1400は、患者が安静状態にある間に記録された、第一の心臓信号を取得すること(1410)を含む。多くの態様では、第一の心臓信号は、血圧信号である。様々な態様では、第一の心臓信号は、LAP信号である。心臓指標の第一のセットは、第一の心臓信号から計算される(1420)。多くの態様では、心臓指標の第一のセットは、心拍数、平均血圧、呼吸数、及びA/V比(心臓信号がLAP信号である場合)を含む。しかしながら、移植された心臓センサの配置(及び数)に応じて、異なる心臓信号及び心臓指標を、各々取得及び計算することができる。
【0040】
プロセス1400は、患者が運動状態にある間に記録された、第二の心臓信号を取得すること(1430)と、心臓指標の第二のセットを計算すること(1440)と、を更に含む。多くの態様では、心臓指標の第一のセットと心臓指標の第二のセットとの間の変化は、医療従事者によるレビューのためにプロットされてもよい(1450)。更に、心臓指標の第一及び第二のセットとの間の比を計算して(1460)、臨床的に関連する情報を導出することができる。
【0041】
例えば、多くの態様では、平均圧力変化と心拍数変化との間の比(ΔP/ΔHR)が、計算されてもよい。本発明の態様による心拍数の関数としての、平均LAPのプロットの例を、
図15に示す。更に、多くの態様では、呼吸数変化と心拍数変化との間の比(ΔRR/ΔHR)が、計算される。本発明の態様による心拍数の関数としての、呼吸数のプロットの例を、
図16に示す。様々な態様では、平均圧力変化と心拍数変化との間の比(A/V比の運動応答)が、計算される。本発明の態様による心拍数の関数としての、LAP A/V比のプロットの例を、
図17に示す。これらの指標(及び他の指標)を使用して、運動に対する患者の応答が悪化しているかを、容易に決定することができ、これは、心臓状態の悪化の明確な指標である。この知識は、治療を直ちに開始する(又はそうでなければ医学的に介入する)ために使用することができる。多くの態様では、このプロセスは、心臓の健康を継続的にチェックするために、定期的なスケジュール(又は所望に応じて)で実施されてもよい。
【0042】
LAP及び/又はA/V比は、経時的に平均圧力変動を追跡する、心不全の指標として(又はその構成要素として)使用することができる。心臓状態の追跡は、心不全、冠動脈疾患、虚血、及びその他多数を含む(がこれらに限定されない)、複数の状態に関する洞察を提供することができる。様々な態様では、運動モニタリングは、トレッドミル又は薬理学的誘導を使用して典型的に実施されるストレス試験を、補完するか、又は置換することができる。移植された心臓センサは、最小限の影響で患者の1日の任意の時点でデータを収集することができるため、追跡は、クリニックよりもより細かいレベルで起こり得る。クリニックでは、典型的には、単一の安静状態及び単一の運動状態の間に試験が実施され、その後、比較される。これらの検査の実施は、患者にとってかなりの時間を要し、医療環境に起因する(しかし、これらに限定されない)緊張状態、薬学的に誘発された運動と運動によって誘発された運動との間の不一致、及び多くの他の理由を含む、いくつかの理由から、正常な状態を正確に反映しない場合がある。
【0043】
多くの態様では、これらのデータは収集され、曲線上にプロットされる。心拍数は、運動状態の指標として使用することができ、LAP、A/V比、呼吸数などの、他の心臓指標を経時的にプロットすることができる。グラフの部分は、容易に読みやすくするために、運動状態によって色付けされてもよく、又は別の方法で注釈付けされてもよい。様々な態様では、各指標の曲線は、健康な範囲外である指標、安静状態と運動状態との間の不健康なデルタを構成する指標、又は臨床的に有用であり得る任意の他の注釈付けについての、警告で標識されてもよい。様々な態様では、曲線を使用して、心臓状態を特徴付け、及び/又は心疾患の重篤度を定量化することができる。
【0044】
上記の考察は、容易に理解され得るように、異なる運動状態にわたって心臓状態の変化に焦点を当てるが、運動状態に関係なく、経時的な測定を伴う類似のプロセスは、貴重な情報をもたらすことができる。例えば、日変化(夜と昼)は、患者の状態を追跡する際の、臨床的洞察を提供することができる。更に、経時的な心拍数の測定は、本発明の態様の特定の適用の要件に適切な、不整脈、心房細動、上室性頻拍、心室性頻拍、QT延長症候群、及び/又は任意の他の心拍数影響状態の、検出を可能にすることができる。様々な態様では、心拍数パターンは、A/Vタイミングを測定すること(が、これらに限定されない)を含み、及びLAP信号の圧力形態に基づいて、1つ以上の方法を使用して確立されてもよい。他の測定ツールが利用可能である場合、追加のデータを使用して、測定の真度を確認することができる。例えば、V波は、通常、心エコー図(ECG)T波と一致することが、予想される。
【0045】
本明細書に記載のシステム及び方法によって提供される医療情報に、詳細かつ継続的にアクセスすることで、個別化医療はますます実行可能になる。実際に、本明細書に記載されるシステム及び方法は、ケアの質を最大化するために、患者のプロファイルに基づいて、医療従事者に異なる情報を提示するために、データを利用することができる。患者分類及び個別化治療プロセスは、以下で更に考察される。
【0046】
C.個別化心臓医療
心臓病患者は、非常に不均一であり、同様の心臓信号が異なる患者において異なることを、意味することがある。全体を通して考察されるように、本明細書に記載される様々なシステム及び方法は、任意で、多種多様な心臓信号を取得し、各患者に対して増加した感受性を有する、臨床的に関連する心臓指標を生成することができる。本明細書に記載されるシステム及び方法は、患者を多数のサブカテゴリーのいずれかに分類するために使用することができ、心臓信号及び指標は、患者の全体的な分類に最も適合する文脈で、医療従事者に提示することができる。
【0047】
ここで
図18を参照すると、本発明の態様による心臓情報の個別化提示のためのプロセスが、例示されている。プロセス1800は、患者データを取得すること(1810)を含む。多くの態様では、患者データは、バックグラウンド患者データを含む。バックグラウンド患者データは、医療従事者が手動で入力することができ、及び/又は電子カルテを介して取得することができる。次いで、患者は、患者のバックグラウンド患者データに基づいてパラメータ化されて、患者プロファイルを生成(1820)することができる。患者プロファイルのパラメータには、以下が含まれ得る(が、これらに限定されない):性別、心臓状態の種類((拡張期)駆出率が保たれた心疾患-HFpEF、(収縮期)駆出率が低下した心疾患-HFrEF)、高血圧(なし、軽度、重度)、肺高血圧群(第I群-1次PH(特発性)、第II群-2次PH(LAP上昇により駆動)、第III群-活性肺疾患、その他)、不整脈(なし、発作性心房細動;持続性心房細動、その他)、僧帽弁閉鎖不全症(軽度、中程度、重度)、その他の弁の病態(閉鎖不全、狭窄)、虚血及び/若しくは虚血後瘢痕組織、ペースメーカー(はい、いいえ)、並びに/又は本発明の態様の特定の用途の要件に適切な任意の他の関連パラメータ。
【0048】
患者は、パラメータ化された患者プロファイルに基づいて、分類される(1830)。多くの態様では、パラメータ値の各固有の組合わせは、別個のクラスとして扱われ得る。多くの態様では、患者プロファイルは、入力プロファイルの分類を生成する、機械学習モデルに提供される。機械学習を使用した分類については、以下で更に詳細に説明する。各クラスの患者は、より均質に存在し、そのクラスの各患者のLAP波形は、同一の又は類似の方法で解釈され得ると、仮定することができる。次いで、1つ以上の心臓信号を取得し(1840)、心臓指標が計算される(1850)。多くの態様では、心臓信号が記録された患者の分類に応じて、心臓指標の計算方法は、患者が呈する心疾患の種類により適切であるように、異なり得る。次いで、心臓指標は、ユーザーインターフェースを介して、分類の文脈において医療従事者に表示することができる(1860)。多くの態様では、分類には、指標が提示される。様々な態様では、正常/異常の異なる範囲が、分類に基づいて、1つ以上の心臓指標について提示されてもよい。様々な態様では、分類に基づいて、臨床的に関連する可能性がより高いとして、異なる心臓指標を強調することができる。多くの態様では、心臓指標及び分類に基づいて、異なる治療方法が提案されてもよい。理解しやすいように、本発明の範囲又は精神から逸脱することなく、任意の数の異なる個別化医療アプリケーションを、実装することができる。ここで機械学習を使用した分類に移ると、いくつかの実行可能な代替案が提示される。多くの態様では、分類でアノテーションされた患者プロファイルを含む訓練データセットが生成され、教師あり機械学習モデルを訓練するために使用される。様々な態様では、分類は、各々の正常な心臓指標範囲に割当てられる。訓練された機械学習モデルへの患者プロファイルの提供は、当該患者プロファイルの分類を生成することができ、これは、次に、心臓指標を解釈するために使用されてもよい。
【0049】
多くの態様では、訓練される教師あり機械学習モデルは、ランダムフォレストモデル、又はサポートベクトルマシンである。ランダムフォレストモデルの場合、複数の決定木を生成して、最終モデル予測を生成することができる。対照的に、サポートベクトルマシンは、それらの間のマージンを最大化する異なるクラス間の境界を、最大化することができる。様々な態様では、2つ以上のモデルが使用される。2つ以上のモデルを使用して患者プロファイルを分類する場合、両方の分類が提供され得る。いくつかの態様では、決定的な分類は、モデルの出力が合意する場合にのみ提供される。相違がある場合は、医療従事者にフラグを付けることができる。更に、分類信頼値は、モデルによって生成される、分類確率を表すように提供されてもよい。信頼値が所定の閾値(例えば、75~99%の間)を下回る場合、この数は、ユーザーのリスク容認性に合わせて調整することができるが、肯定的な分類は提供されない場合がある。
【0050】
理解しやすいように、他の教師あり機械学習モデルを使用して、本発明の範囲又は趣旨から逸脱することなく、分類を生成することができる。様々な態様では、教師なし機械学習モデルは、訓練データを生成する負担を排除するために使用される。いくつかの事例では、精度は低い場合があるが、教師なし学習は、新しい洞察を明らかにする場合がある、偏りのない分類プロセスを可能にする。例えば、クラスタリングアプローチは、その中に即時患者プロファイルが導入される、凝集された患者データに対して使用されてもよい。
【0051】
多くの態様では、機械学習が分類に利用される場合、患者のLAP信号及び/又は導出された心臓指標は、分類プロセスを更に補助するために、患者プロファイルに組み込まれ、機械学習モデルに提供されてもよい。様々な態様では、次元削減は、機械学習モデルを設定する前に、波形特徴に基づいて適用されてもよい。
【0052】
分類のための機械学習の利用は、電子カルテ(EHR)システムに統合される場合に、特に有用であり得る。EHRは、患者の転帰及び診断が注釈付けされた患者プロファイルから、すでに構成されている場合がある。このようにして、EHR自体は、訓練データセットとして、又は教師なし学習の場合、患者プロファイルの凝集セットとして使用することができる。十分に人口の多いEHRでは、分類は、健康な心臓指標範囲にわたって、疾患クラスタのレベル、又は個々の疾患レベルの分類まで上昇し得る。いくつかの態様では、健康な心臓指標範囲は、その特定のクラスについて、EHR集団にわたる退院の心臓指標の範囲を観察することによって、EHRとの関連で更に導出され得る。
【0053】
D.インプラントモニタリング
全体的な心臓の健康モニタリングは、依然として重要な機能である。心房心臓センサを装着している多くの患者については、心臓の健康を維持するために、追加のインプラントが移植される(又は既に移植されている)場合がある。しかしながら、移植された心臓血管医療機器は、経時的に劣化するか、又は事故によって損傷されるか、若しくはその他障害される場合がある。LAP及び/又はA/V比を使用して、シャント及び/又は心臓弁などの、移植可能な医療機器の機能性を、測定することができる。多くの態様では、シャント又は弁の異なる側面間の圧力差を使用して、圧力プロファイルを構築することができ、これは、次に、血流を示唆する。測定は、シャント/弁の両側に移植されたセンサを使用して、又はシャント/弁の片側のセンサ及び外部測定モダリティを介して、行うことができる。いくつかの態様では、弁及び/又はシャントは、要件測定を行うことができる片側又は両側に、本明細書に記載の圧力測定が可能な心臓センサを含んでもよい。
【0054】
例えば、僧帽弁疾患は、心血管疾患の一般的な形態である。僧帽弁の異常には、僧帽弁閉鎖不全症及び僧帽弁狭窄症の2つがある。僧帽弁疾患は、多くの場合、心不全の寄与因子である。多くの態様では、僧帽弁疾患状態は、僧帽弁の劣化を反映する、僧帽弁指数(MVI)の使用を通して、モニタリングすることができる。MVIは、経時的なLAP測定値に基づいて計算され、新しいLAP測定値が取得されるにつれて更新されてもよい。MVIが予め指定されたレベルを超えると、本明細書に記載のシステム及び方法を使用して、僧帽弁介入が必要であることを警告することができる(例えば、外科的経皮弁修復)。多くの態様では、人工心臓弁は、MVIを使用してモニタリングされる。人工心臓弁が劣化し始める場合、MVIは同様に影響を受け、警報及びその後の修理又は交換を誘発するために使用され得る。
【0055】
容易に理解され得るように、主に心房に移植されるように構成されたセンサは、上記で論じられるが、循環系の他の領域における圧力を測定する、同様のセンサを作製することができ、したがって、このような圧力差は、左心房の外側で取得することができる。多くの態様では、インプラントの状態及び/又は全体的な心臓の健康をモニタリングするために、僧帽弁指数が計算される。
【0056】
僧帽弁疾患は、左心房の圧力及び流れの変化につながる可能性がある。上述のように、僧帽弁の異常には、僧帽弁閉鎖不全症及び僧帽弁狭窄症の、2つの主な僧帽弁異常がある。僧帽弁閉鎖不全症では、弁は適切に閉じず、左心房から左心室に血液が逆流し、漏れる。心室は、心房よりもはるかに高い圧力を発生するため、逆流は、心室収縮に対応するタイミングで、心房内に圧力スパイクを引き起こす。多くの態様では、LAP信号上で、これは、上昇したV波として現れる。僧帽弁閉鎖不全症は、心不全患者において一般的である。
【0057】
心臓の2つの異なる構造変化に関連する、心不全の2つの主なタイプ:駆出率低下を伴う心不全(HFrEF)、及び駆出率維持を伴う心不全(HFpEF)がある。HF患者の約65%は、HFrEF患者である。これらは、心臓の拡大及び駆出率の低下を有する。心臓が重度に拡大された場合、僧帽弁の弁尖は互いから引き離され、閉鎖することができない。HF患者の残りの35%は、HFpEF患者である。心臓心室の筋壁は、正常より厚く、線維化し、硬くなっている。僧帽弁は、典型的には、HFpEFに漏れないが、硬い心室は、心房による心室充填がより長く、心房においてより高い圧力を生成する、拡張期障害を作り出す。正常と比較した、HFrEF及びHFpEF心臓の異なる構造変化のグラフ表示を、
図19に示す。本明細書に記載のシステム及び方法は、LAP信号波形を解析して、HFrEF及びHFpEFの両方を診断し、それらの間の差を述べることができる。HFrEFでは、僧帽弁閉鎖不全症がより一般的である傾向があり、中程度の平均LAP値(5~25mmHg)であっても、高いV波(例えば、25mmHgを超えるピークV波LAP)として現れる。HFpEFでは、A波及びV波の両方が上昇する傾向があり、したがって、平均LAPはより上昇し(例えば、20mmHg超)、一方、V波も中程度に上昇する(例えば、約20mmHg上昇もする)。一例として、本発明の態様による、僧帽弁閉鎖不全症から生じる拡大したV波圧を示すLAP信号を、
図20に示す。大静脈弁狭窄はA波圧の上昇も引き起こす可能性があることに、留意することが重要である。
【0058】
僧帽弁狭窄症は、弁に病変がある場合、石灰化した場合、又はその他弁尖が厚く肥大した場合に起こり、弁尖が完全には開かなくなる。心房収縮中、僧帽弁は通常、広く開いており、血液が心室内に流れることを可能にする。狭窄した弁はわずかにのみ開き、したがって、心房内の圧力が上昇する。僧帽弁狭窄症と比較した正常な僧帽弁の図解を、
図21に示す。LAP信号では、これは上昇したA波によって反映される。本発明の態様による僧帽弁狭窄症に起因する、上昇したA波を有する例示的なLAP信号を、
図22に示す。
【0059】
僧帽弁閉鎖不全及び/又は僧帽弁狭窄症を検出及びモニタリングするために、本明細書に記載される心臓センサを使用して、LAP信号を記録することができる。複数のLAP信号を経時的に取得し、分析して、患者の僧帽弁の健康状態を決定することができる。多くの態様では、心臓指標を使用して、僧帽弁状態の重症度を定量化することができる。多くの態様では、A/V比、及びA波とV波との間の最小圧力点を使用して、僧帽弁指数(MVI)が計算される。MVIが閾値を上回ると、介入が必要であるという指標が提供され得る。多くの態様では、介入は、外科的経皮的弁修復である。いくつかの態様では、介入は、外科的経皮的弁置換である。様々な態様では、介入は、人工心臓弁の置換である。
【0060】
ここで
図23を参照すると、本発明の態様によるMVIを計算するためのプロセスが、図示されている。プロセス2300は、LAP信号を取得すること(2310)を含む。多くの態様では、複数のLAP信号が得られる。LAP信号から、A/V比が計算される(2320)。A/V比の計算中に、A波及びV波が識別される。A波及びV波ごとに、局所最大値及び最小値が識別される(2330)。多くの態様では、最小値は、A-V、及びV-A遷移で発生する。A-V波遷移における最小値は、「X陥没」と呼ばれることがある。同様に、V-A波遷移における最小値は、Y陥没と呼ばれることがある。様々な態様では、最大値は、各々の波のピークで発生する。本発明の一態様による最小値及び最大値でマークされた正常なLAP信号の例を、
図24に示す。典型的には、A-V遷移における最小値は、V-A遷移における最小値よりもわずかに高い。
【0061】
平均最大圧力及び平均最小圧力が、計算される(2340)。平均A波最大値と平均V波最大値との間の、差が計算される(2350)、ΔMax。平均A-V最小値とV-A最小値との間の、差が計算される(2360)、ΔMin。多くの態様では、ΔMinの増加は、拡張期障害を示し得る。本発明の態様による例示的な正常ΔMinを、
図25に示す。対照的に、本発明の態様による例示的な増加したΔMinを、
図26に示す。様々な態様では、逆位ΔMin(例えば、平均A-V圧力と比較して、より大きな平均V-A圧力から生じる負のΔMin)は、心臓ブロック又はQT延長症候群などの状態での、心室の収縮の遅延を示し得る。本発明の態様による例示的な負のΔMinを、
図27に示す。
【0062】
次いで、A/V比、ΔMax、及びΔMinを一緒に因子付けして、MVIを計算する(2370)。多くの態様では、MVIは、以下のように計算することができる:
【数1】
式中、C1は、健康な心臓のΔMaxであり、C2は、健康な心臓のΔMinである。典型的には、C1及びC2は、1~2の間であるが、C1及びC2値は、多くの場合、1~5の間の範囲であってもよい。多くの態様では、MVIは、外科的介入のための適切な時間を決定するために使用される。多くの態様では、MVI>1は、正常とみなされるが、MVI<1は、介入の必要性を示唆し得る。様々な態様では、MVIは、患者の安静状態中に記録されたLAP信号を使用して計算され、患者の運動状態中に記録されたLAP信号を使用して再び計算される。一部の態様では、MVI計算は、運動状態及び安静状態の両方の間に計算された、A/V比及びΔMax/ΔMin値の両方を使用することを伴う。様々な態様では、呼吸数及び呼吸圧の大きさ(上述のようにLAPから導出され得る)も、MVIと併せて使用され、患者の心肺状態をモニタリングする。肺圧の変化をモニタリングし、肺の状態を追跡及び治療するために、使用することができる。容易に理解され得るように、上記は、LAPを特に参照して論じられるが、多くの態様では、心臓センサを右心房に等しく移植することができ、右心房圧(RAP)を分析して、三尖弁異常を、検出及びモニタリングすることができる。
【0063】
E.心肺モニタリング
心不全(HF)は、患者の心臓が損なわれ、酸素に対する患者の臓器の需要を供給するのに十分な血液出力を生成できない状態である。この状態が慢性になると、心臓構造及び血行動態に永久的な変化が現れ、多くの場合、生活の質を損なう慢性症状をもたらす。最も一般的な症状は、肺うっ血であり、HFは、多くの場合、うっ血性心不全(CHF)と呼ばれる。
【0064】
肺うっ血は、肺高血圧及び肺を通る血流不良の結果である。心不全は、肺から血液を排出する心臓左心房の血圧を上昇させる。左心房圧(LAP)が上昇すると、肺内の血圧も上昇し、体液が肺内の毛細血管から肺内の空気空洞(肺胞)に逃出し、うっ血を引き起こす。重度の肺うっ血では、患者は事実上溺れた状態であり、十分な空気を肺に取り込むことができない。これは、多くの場合、治療のために入院が必要となる。
【0065】
治療には、肺うっ血を最小限に抑えるための薬剤が含まれる。薬剤には、患者の一般的な体液量を減少させるための利尿薬、及び血圧を低下させるための抗高血圧薬が含まれる。高用量は、頻繁な排尿、及び低血圧に関連する疲労を引き起こすことによって、生活の質に悪影響を与える傾向がある。したがって、医療管理の最適化は、HF患者の生活の質を維持する上で重要である。
【0066】
従来、患者は、血圧、心拍数、脈拍、体重、及び気分(例えば、エネルギーレベル、衣服のきつい感じ、腫れ、息切れ、咳など)をモニタリングすることによって、心不全をモニタリングする。これらは、多くの場合、主観的であり、患者が表現することが困難であり、医師が理解することが困難であり得る。更に、上述のように、従来のウェアラブルデバイスは、本明細書で論じたように、心肺モニタリング及び治療に使用され得る、左心房圧(LAP)などの(がこれに限定されない)、特定の圧力測定値を記録することができない。肺うっ血の悪化を予測することができ、例えば、うっ血が重度になりすぎて入院を必要とする前に薬剤投与量を増加させることによって、より積極的に治療され得る場合、患者の転帰は有意により肯定的であり得る。
【0067】
多くの実施形態において、肺うっ血リスク指数は、患者をモニタリングするために、高血圧レベル(「LAP閾値」とも呼ばれる)を超える、平均LAP信号曲線下面積として計算される。多くの態様では、少なくとも1つのLAP信号が毎日記録される。毎日、新しいLAP信号を、以前に記録された、患者に対する毎日のLAP信号と併せて分析して、データを傾向分析し、肺うっ血を発症するリスクを決定する。リスクは、肺うっ血リスク指数によって表されてもよい。更に、LAP信号のノイズ、及び/又はそれらの取得の時間的ばらつきに起因して、フィルタリング及び/又は平均化技術を、適用することができる。肺うっ血リスク指数が閾値を超えると、重度のうっ血を防止するために、患者の治療をトリガすることができる警報が提供され得る。
【0068】
うっ血は、血液から肺空洞への体液の拡散によって、引き起こされる。拡散速度は、血液から空気空洞への圧力勾配によって、制御される。LAPが上昇すると、肺血圧も上昇し、肺内の体液の蓄積がより速くなる。過剰な体液は、通常、再吸収及び呼気によって、肺からゆっくりと排出される。体液の蓄積率は、体液排出率よりも高く、体液は肺に蓄積し、重度のうっ血につながる可能性がある。したがって、経時的な血圧上昇の統合は、肺うっ血の予測因子であり得る。
【0069】
肺うっ血リスク指数は、患者の平均LAPが高血圧レベルを超える、重症度及び時間の長さの尺度である。多くの態様では、高血圧レベルは20mmHgであり、これは左心房における高圧と見なすことができる。しかし、投薬を受けている慢性HF患者は、はるかに高い圧力が持続し得、医師はより高い閾値を選択することができる。同様に、いく人かの患者は、その特定の状態に応じて、心臓に対する高圧を反映する、より低い閾値から利益を得ることができる。指数の時間窓は、典型的には、3~30日間、分析のために予め決定することができる。肺うっ血リスク指数は、1日平均LAPが閾値を上回る時間窓内の全ての事象を見つけ、時間窓内の全ての事象について、平均LAPと閾値との間の差を合計することによって、計算することができる。
【0070】
ここで
図28を参照すると、本発明の態様による肺うっ血リスク指数を計算するための第一のプロセスが、示されている。プロセス2800は、高血圧レベル及び肺うっ血警報レベルを設定(2810)することを含む。多くの態様では、高血圧レベルが20mmHgである場合、警報レベルは、30mmHgに設定される。警報レベルは、特定の患者に応じて、任意の値に設定することができる。多くの態様では、高血圧レベルは20mmHgであるが、この数は、上述の特定の患者に応じて変化してもよい。LAP信号が毎日受信され(2820)、各日で、1日当たり平均LAPが計算される(2830)。多くの態様では、LAP信号は、心房心臓センサによって記録される。LAP信号は、上で論じたように、トランシーバを介して、心臓信号プロセッサで受信されてもよい。多くの態様では、複数のLAP信号が毎日記録され、一緒に平均化される。多くの態様では、LAP信号は、類似の運動状態の間、例えば、安静中に、毎日記録される。
【0071】
特定の日の1日平均LAPが高血圧レベルよりも大きい場合、1日平均LAPと高血圧レベルとの間の差が、計算される(2840)。次いで、肺うっ血リスク指数は、移動する指数時間窓にわたる、毎日の差を合計することによって計算される(2850)。肺うっ血リスク指数が肺うっ血警報レベルを超える場合、警報がトリガされ、治療が推奨され(2860)、多くの態様では、実施される。ここで、
図29A及び29Bを参照すると、プロセス2900は、本発明の態様によるサンプルデータの任意のセット上に、グラフで示されている。
図29Aは、経時的な平均LAPを示し、及び
図29Bの新しく影になった領域は、肺うっ血リスク指数の値を示す。
【0072】
プロセス2800のようなプロセスを使用して肺うっ血リスク指数を計算することができるが、毎日の測定値は上下にジャンプし、それらに関連付けられたノイズのレベルを有し得る。誤警報を低減するために、毎日のLAP測定値は、連続した日にわたる測定値を平均化することによって、平滑化され得る。ここで
図30を参照すると、本発明の態様による平滑化を使用する、肺うっ血リスク指数を計算するための第二のプロセスが示される。
【0073】
プロセス3000は、高血圧レベル及び肺うっ血警報レベルを設定(3010)することを含む。多くの態様では、高血圧レベルは20mmHgであるが、この数は、上述の特定の患者に応じて変化し得る。様々な態様では、警報レベルは、0~200mmHgの間である。LAP信号が毎日受信され(3020)、各日の、1日平均LAPが計算される(3030)。多くの態様では、LAP信号は、心房心臓センサによって記録される。LAP信号は、上で論じたように、トランシーバを介して、心臓信号プロセッサで受信されてもよい。多くの態様では、複数のLAP信号が毎日記録され、一緒に平均化される。多くの態様では、LAP信号は、類似の運動状態の間、例えば、安静中に、毎日記録される。移動平均LAPが、更に計算される(3040)。多くの態様では、移動平均LAPは、3日の窓にわたって取られるが、2~10日の窓も使用されてもよい。
【0074】
移動平均LAPが高血圧レベルよりも大きい場合、移動平均LAPと高血圧レベルとの間の差が、計算される(3050)。次いで、肺うっ血リスク指数は、指数の時間窓にわたる差を合計することによって計算される(3060)。肺うっ血リスク指数が肺うっ血警報レベルを超える場合、警報がトリガされ、治療が推奨され(3070)、多くの態様では、実施される。ここで
図31A及び31Bを参照すると、プロセス3000は、本発明の態様によるサンプルデータの任意のセット上に、グラフで示される。
図31Aは、経時的な平均LAP、及び
図31Bの新しい影の領域は、肺うっ血リスク指数の値を示す。
【0075】
プロセス3000は、平滑化を導入し、ノイズを低減するのに役立つことができるが、LAP信号の日々の変動は、多くの場合、ノイズよりも多い原因である。変動性が高いほど、患者は安定性が低く、安定性の低い患者は肺うっ血を発症するリスクが高いが、警告はほとんどないことを示し得る。多くの場合、患者は、時には安定している可能性があり、リスクが上昇する時には安定していない可能性がある。多くの態様では、このリスクは、平滑化されたLAP信号に対するLAPの標準偏差を計算し、肺うっ血リスク指数の変動性を考慮することによって、定量化することができる。ここで
図3200を参照すると、本発明の態様による変動性を説明する、肺うっ血リスク指数を計算するための第三のプロセスが示される。
【0076】
プロセス3200は、高血圧レベル及び肺うっ血警報レベルを設定(3210)することを含む。様々な態様では、警報レベルは30mmHgであるが、毎日の変動は、毎日5~10mmHgを加える傾向がある。この変動性は、高血圧レベルを約5mmHg高く設定することによって、説明することができる。様々な態様では、高血圧レベルは20mmHgに設定され、警報レベルは、50~60mmHgの間に設定される。多くの態様では、高血圧レベルは20mmHgであるが、この数は、上述の特定の患者に応じて変化し得る。LAP信号が毎日受信され(3220)、各日で、1日当たり平均LAPが計算される(3230)。多くの態様では、LAP信号は、心房心臓センサによって記録される。LAP信号は、上で論じたように、トランシーバを介して、心臓信号プロセッサで受信されてもよい。多くの態様では、複数のLAP信号が毎日記録され、一緒に平均化される。多くの態様では、LAP信号は、類似の運動状態の間、例えば、安静中に、毎日記録される。
【0077】
移動N日間平均LAPが、更に計算される(3240)。多くの態様では、移動平均LAPは、3日の窓N=3にわたって取られるが、2~10日の窓も使用されてもよい。M日間のLAP標準偏差が、計算される(3250)。多くの態様では、M>Nである。様々な態様では、N=3、及びM=5である。多くの態様では、M=N+2である。
【0078】
N日移動平均LAP+2M日標準偏差が高血圧レベルよりも大きい場合、移動平均LAP+2M日標準偏差と高血圧レベルとの間の差が、計算される(3260)。次いで、肺うっ血リスク指数は、指数時間枠にわたる差を合計することによって計算される(3270)。肺うっ血リスク指数が肺うっ血警報レベルを超える場合、警報がトリガされ、治療が推奨され(3280)、多くの態様では、実施される。ここで
図11A及び11Bを参照すると、プロセス3200は、本発明の一態様に従って、サンプルデータの任意のセット上にグラフ表示され、式中、N=3及びM=5である。
図33Aは、経時的な平均LAPを示し、及び
図33Bの新しい影の領域は、肺うっ血リスク指数の値を示す。
【0079】
肺うっ血リスク指数を計算するための3つの異なる特定のプロセスが上記で考察されているが、容易に理解され得るように、該プロセスは、本発明の態様の特定の適用の要件に適切に応じて、特定の患者に応じて、異なる移動窓、閾値、及びその他の修正されたパラメータで修正され得る。
【0080】
実施例の追加の説明
以下に、実施例のリストが提供されており、その各々は、本明細書に開示される他の実施例のいずれかの態様を含んでもよい。更に、上述の任意の実施例の態様は、以下に提供される番号付けされた実施例のいずれかに実装され得る。
【0081】
実施例1.患者の心臓状態を治療する方法であって、
患者の左心房に移植された心房心臓センサを使用して、左心房圧(LAP)信号を取得することと、
LAP信号内のA波のセット及びV波のセットを識別することと、
A波のセットの平均圧力振幅及びV波のセットの平均圧力振幅に基づいて、A/V比を計算することと、
A/V比に基づいて、患者に対する適切な治療を決定することと、
患者に適切な治療を提供することとを含む、方法。
【0082】
実施例2.LAP信号中のA波のセット及びV波のセットを識別することが、LAP信号を分解することを含む。本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例1に記載の患者の心臓状態を治療する方法。
【0083】
実施例3.LAP信号を分解することが、フーリエ変換を適用することを含む、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例2に記載の患者の心臓状態を治療する方法。
【0084】
実施例4.LAP信号を分解することが、ウェーブレット解析を適用することを含む、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例2に記載の患者の心臓状態を治療する方法。
【0085】
実施例5.分解において、0.1~0.5Hzの間の優位周波数を位置決定することによって、患者の呼吸数を決定することを更に含む、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例2に記載の患者の心臓状態を治療する方法。
【0086】
実施例6.分解において、0.8Hz~1.7Hzの間の優位周波数を位置決定することによって、患者の心拍数を決定することを更に含む、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例2に記載の患者の心臓状態を治療する方法。
【0087】
実施例7.LAP信号から呼吸数に関連する周波数成分を減算して、雑音が除去されたLAP信号を生成することを更に含む、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例2に記載の患者の心臓状態を治療する方法。
【0088】
実施例8.雑音が除去されたLAP信号を、偶数波のセット及び奇数波のセットに解析することを更に含む、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例7に記載の患者の心臓状態を治療する方法。
【0089】
実施例9.偶数波のセット及び奇数波のセットが、A波のセット又はV波のセットとして排他的に標識される、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例8に記載の心臓状態を治療する方法。
【0090】
実施例10.排他的標識が、A波及びV波でアノテーションされた雑音が除去されたLAP信号を含む、訓練データセットを使用して訓練された、機械学習モデルを使用して実行される、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例9に記載の心臓状態を治療する方法。
【0091】
実施例11.排他的標識が、A波における二重ピークの識別を含む、波形分析によって実行される、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例9に記載の心臓状態を治療する方法。
【0092】
実施例12.適切な治療が、A/V比が0.6未満に低下することに応答して、患者に投与される利尿剤の投与量を、40%~60%の間増加させることを含む、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例1に記載の心臓状態を治療する方法。
【0093】
実施例13.適切な治療が、A/V比の変化なしに、患者の平均血圧が40mmHg超増加することに応答して、患者に利尿剤の投与量を維持しながら、高血圧治療薬の投与量を増加させることを含む、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例1に記載の心臓状態を治療する方法。
【0094】
実施例14.適切な治療が、輸液ポンプを介して、患者に自動的に送達される薬剤である、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例1に記載の心臓状態を治療する方法。
【0095】
実施例15.患者の心臓状態を治療するためのシステムであって、
プロセッサと、
メモリであって、メモリが、プロセッサに、
心房心臓センサを使用して、記録された左心房圧(LAP)信号を取得し、
LAP信号内のA波のセット及びV波のセットを識別し、
A波のセットの平均圧力振幅及びV波のセットの平均圧力振幅に基づいて、A/V比を計算し、
A/V比に基づいて、患者に対する適切な治療を決定させるように、構成する、心臓モニタリングアプリケーションを含む、メモリとを備える、システム。
【0096】
実施例16.LAP信号における、A波のセット及びV波のセットを識別するために、心臓モニタリングアプリケーションが、プロセッサに、LAP信号を分解させるように、更に構成する、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例15に記載の患者の心臓状態を治療するためのシステム。
【0097】
実施例17.分解が、フーリエ変換の適用を含む、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例16に記載の患者の心臓状態を治療するためのシステム。
【0098】
実施例18.分解が、ウェーブレット解析の適用を含む、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例16に記載の患者の心臓状態を治療するためのシステム。
【0099】
実施例19.心臓モニタリングアプリケーションが、プロセッサに、分解において、0.1~0.5Hzの間の優位周波数を位置決定することによって、患者の呼吸数を決定させるように、更に構成する、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例16に記載の患者の心臓状態を治療するためのシステム。
【0100】
実施例20.心臓モニタリングアプリケーションが、プロセッサに、分解において、0.8Hz~1.7Hzの間の優位周波数を位置決定することによって、患者の心拍数を決定させるように、更に構成する、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例16に記載の患者の心臓状態を治療するためのシステム。
【0101】
実施例21.心臓モニタリングアプリケーションが、プロセッサに、LAP信号から呼吸数に関連付けられた周波数成分を減算して、雑音が除去されたLAP信号を生成させるように、更に構成する、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例16に記載の患者の心臓状態を治療するためのシステム。
【0102】
実施例22.心臓モニタリングアプリケーションが、プロセッサに、雑音が除去されたLAP信号を、偶数波のセット及び奇数波のセットに解析させるように、更に構成する、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例21に記載の患者の心臓状態を治療するためのシステム。
【0103】
実施例23.偶数波のセット及び奇数波のセットが、A波のセット又はV波のセットとして排他的に標識される、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例22に記載の心臓状態を治療するためのシステム。
【0104】
実施例24.排他的標識が、A波及びV波でアノテーションされた雑音が除去されたLAP信号を含む、訓練データセットを使用して訓練された、機械学習モデルを使用して実行される、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例23に記載の心臓状態を治療するためのシステム。
【0105】
実施例25.排他的標識が、A波における二重ピークの識別を含む、波形分析によって実行される、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例23に記載の心臓状態を治療するためのシステム。
【0106】
実施例26.適切な治療が、A/V比が0.6未満に低下すること応答して、患者に投与される利尿剤の投与量を、40%~60%の間増加させることを含み、心臓モニタリングアプリケーションが、プロセッサに、プロセッサに通信可能に結合された輸液ポンプを介して、利尿剤の投与量を送達させるように、更に構成する、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例15に記載の心臓状態を治療するためのシステム。
【0107】
実施例27.適切な治療が、A/V比の変化なしに、患者の平均血圧が40mmHg超増加することに応答して、患者に利尿剤の投与量を維持しながら、高血圧治療薬の投与量を増加させることを含み、心臓モニタリングアプリケーションが、プロセッサに、プロセッサに通信可能に結合された輸液ポンプを介して、利尿剤の投与量を送達させるように、更に構成する、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例15に記載の心臓状態を治療するためのシステム。
【0108】
実施例28.適切な治療が、プロセッサに通信可能に結合された輸液ポンプを介して、患者に自動的に送達される薬剤である、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例15に記載の心臓状態を治療するためのシステム。
【0109】
実施例29.A/V比を計算するための心臓モニタリングシステムであって、
左心房圧(LAP)信号を記録するために、患者の左心房に移植されるように構成された心房心臓センサと、
トランシーバであって、
心房心臓センサに電力を無線で提供し、
心房心臓センサからLAP信号を受信するように構成された、トランシーバと、
プロセッサと、
心臓モニタリングアプリケーションを含むメモリであって、心臓モニタリングアプリケーションが、プロセッサに、
LAP信号内のA波のセット及びV波のセットを識別し、
A波セットの平均圧力振幅及びV波のセットの平均圧力振幅に基づいて、A/V比を計算させるように、構成する、メモリとを備える、心臓モニタリングシステム。
【0110】
実施例30.LAP信号における、A波のセット及びV波のセットを識別するために、心臓モニタリングアプリケーションが、プロセッサに、LAP信号を分解させるように、更に構成する、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例29に記載の心臓モニタリングシステム。
【0111】
実施例31.分解が、フーリエ変換の適用を含む、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例30に記載の心臓モニタリングシステム。
【0112】
実施例32.分解が、ウェーブレット解析の適用を含む、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例30に記載の心臓モニタリングシステム。
【0113】
実施例33.心臓モニタリングアプリケーションが、プロセッサに、分解において、0.1~0.5Hzの間の優位周波数を位置決定することによって、患者の呼吸数を決定させるように、更に構成する、本明細書の任意の実施例、特に実施例30に記載の心臓モニタリングシステム。
【0114】
実施例34.心臓モニタリングアプリケーションが、プロセッサに、分解において、0.8Hz~1.7Hzの間の優位周波数を位置決定することによって、患者の心拍数を決定させるように、更に構成する、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例30に記載の心臓モニタリングシステム。
【0115】
実施例35.心臓モニタリングアプリケーションが、プロセッサに、LAP信号から呼吸数に関連付けられた周波数成分を減算して、雑音が除去されたLAP信号を生成させるように、更に構成する、本明細書の記載の任意の実施例、特に実施例30に記載の心臓モニタリングシステム。
【0116】
実施例36.心臓モニタリングアプリケーションが、プロセッサに、雑音が除去されたLAP信号を、偶数波のセット及び奇数波のセットに解析させるように、更に構成する、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例35に記載の心臓モニタリングシステム。
【0117】
実施例37.偶数波のセット及び奇数波のセットが、A波のセット又はV波のセットとして排他的に標識される、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例36に記載の心臓モニタリングシステム。
【0118】
実施例38.排他的標識が、A波及びV波でアノテーションされた雑音が除去されたLAP信号を含む、訓練データセットを使用して訓練された、機械学習モデルを使用して実行される、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例37に記載の心臓モニタリングシステム。
【0119】
実施例39.排他的標識が、A波における二重ピークの識別を含む、波形分析によって実行される、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例37に記載の心臓モニタリングシステム。
【0120】
実施例40.A/V比を計算する方法であって、
患者の左心房に移植されるように構成された心房心臓センサを使用して、左心房圧(LAP)信号を取得することと、
LAP信号内のA波のセット及びV波のセットを識別することと、
A波のセットの平均圧力振幅及びV波のセットの平均圧力振幅に基づいて、A/V比を計算することとを含む、方法。
【0121】
実施例41.LAP信号における、A波のセット及びV波のセットを識別するために、心臓モニタリングアプリケーションが、プロセッサに、LAP信号を分解させるように、更に構成する、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例40の記載のA/V比を計算する方法。
【0122】
実施例42.分解が、フーリエ変換の適用を含む、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例41に記載のA/V比を計算する方法。
【0123】
実施例43.分解が、ウェーブレット解析の適用を含む、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例41に記載のA/V比を計算する方法。
【0124】
実施例44.心臓モニタリングアプリケーションが、プロセッサに、分解において、0.1~0.5Hzの間の優位周波数を位置決定することによって、患者の呼吸数を決定させるように、更に構成する、本明細書の任意の実施例、特に実施例41のA/V比を計算する方法。
【0125】
実施例45.心臓モニタリングアプリケーションが、プロセッサに、分解において、0.8Hz~1.7Hzの間の優位周波数を位置決定することによって、患者の心拍数を決定させるように、更に構成する、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例41に記載のA/V比を計算する方法。
【0126】
実施例46.心臓モニタリングアプリケーションが、プロセッサに、LAP信号から呼吸数に関連付けられた周波数成分を減算して、雑音が除去されたLAP信号を生成させるように、更に構成する、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例41に記載のA/V比を計算する方法。
【0127】
実施例47.心臓モニタリングアプリケーションが、プロセッサに、雑音が除去されたLAP信号を、偶数波のセット及び奇数波のセットに解析させるように、更に構成する、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例46に記載のA/V比を計算する方法。
【0128】
実施例48.偶数波のセット及び奇数波のセットが、A波のセット又はV波のセットとして排他的に標識される、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例47に記載のA/V比を計算する方法。
【0129】
実施例49.排他的標識が、A波及びV波でアノテーションされた雑音が除去されたLAP信号を含む、訓練データセットを使用して訓練された、機械学習モデルを使用して実施される、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例48に記載のA/V比を計算する方法。
【0130】
実施例50.排他的標識が、A波における二重ピークの識別を含む、波形分析によって実行される、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例48の記載のA/V比を計算する方法。
【0131】
実施例51.運動に対する患者の応答をモニタリングする方法であって、
患者の左心房に移植された心房心臓センサを使用して、患者の安静状態中に、第一の血圧信号を記録することと、
安静状態から運動状態への変化を検出することと、
心房心臓センサを使用して、患者の状態の変化の検出に応答して、運動状態中に、第二の血圧信号を記録することと、
心臓信号プロセッサで、第一及び第二の血圧信号を受信することと、
心臓信号プロセッサを使用して、第一の血圧信号に基づいて、第一の複数の心臓指標を計算することと、
心臓信号プロセッサを使用して、第二の血圧信号に基づいて、第二の複数の心臓指標を計算することと、
心臓信号プロセッサを使用して、第一及び第二の複数の心臓指標の間の変化に基づいて、患者の健康状態の変化を決定することと、
健康状態の変化に応答して患者を治療することとを含む、方法。
【0132】
実施例52.トランシーバが、心房心臓センサに、第一及び第二の血圧信号の記録を実行するように指示する、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例51の記載の運動に対する患者の応答をモニタリングする方法。
【0133】
実施例53.第一の血圧信号が、患者が安静状態にある間に取得される、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例51に記載の運動に対する患者の応答をモニタリングする方法。
【0134】
実施例54.第二の血圧信号が、患者が活動状態にある間に取得される、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例51の記載の運動に対する患者の応答をモニタリングする方法。
【0135】
実施例55.第一及び第二の血圧信号が、左心房圧信号である、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例51に記載の運動に対する患者の応答をモニタリングする方法。
【0136】
実施例56.第一の複数の心臓指標及び第二の複数の心臓指標が、A/V比を含む、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例51の記載の運動に対する患者の応答をモニタリングする方法。
【0137】
実施例57.第一の複数の心臓指標及び第二の複数の心臓指標が、呼吸数を含む、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例51に記載の運動に対する患者の応答をモニタリングする方法。
【0138】
実施例58.第一の複数の心臓指標及び第二の複数の心臓指標が、心拍数を含む、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例51に記載の運動に対する患者の応答をモニタリングする方法。
【0139】
実施例59.治療が、輸液ポンプを介した薬剤の自動送達である、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例51に記載の運動に対する患者の応答をモニタリングする方法。
【0140】
実施例60.心臓患者運動モニタリングシステムであって、
患者の左心房に移植されて、
患者の安静状態中の第一の血圧信号と、
患者の運動状態中の第二の血圧信号とを、記録するように構成された、心房心臓センサと、
心臓信号プロセッサであって、
第一及び第二の血圧信号を受信し、
第一の血圧信号に基づいて、第一の複数の心臓指標を計算し、
第二の血圧信号に基づいて、第二の複数の心臓指標を計算し、
第一及び第二の複数の心臓指標の間の変化に基づいて、患者の健康状態を示す警告を提供するように構成された、心臓信号プロセッサとを備える、心臓患者運動モニタリングシステム。
【0141】
実施例61.本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例60に記載の心臓患者運動モニタリングシステムであって、
心房心臓センサから第一及び第二の血圧信号を取得し、
第一及び第二の血圧信号を心臓信号プロセッサに送信するように構成された、トランシーバを更に備える、心臓患者運動モニタリングシステム。
【0142】
実施例62.トランシーバが、心房心臓センサに給電するように更に構成された、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例61に記載の心臓患者運動モニタリングシステム。
【0143】
実施例63.心房心臓センサに給電することが、心房心臓センサをトリガして、第一の心臓信号を記録する、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例60に記載の心臓患者運動モニタリングシステム。
【0144】
実施例64.輸液ポンプを更に備え、心臓信号プロセッサが、患者の健康状態に基づいて、輸液ポンプを介して、患者に薬剤を自動的に送達するように更に構成された、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例60に記載の心臓患者運動モニタリングシステム。
【0145】
実施例65.第一及び第二の血圧信号が、左心房圧信号である、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例60に記載の心臓患者運動モニタリングシステム。
【0146】
実施例66.第一の複数の心臓指標、及び第二の複数の心臓指標が、A/V比を含む、本明細書に記載の任意の実施例、特に、実施例60に記載の心臓患者運動モニタリングシステム。
【0147】
実施例67.第一の複数の心臓指標、及び第二の複数の心臓指標が、呼吸数を含む、本明細書に記載の任意の実施例、特に、実施例60に記載の心臓患者運動モニタリングシステム。
【0148】
実施例68.第一の複数の心臓指標、及び第二の複数の心臓指標が、心拍数を含む、本明細書に記載の任意の実施例、特に、実施例60に記載の心臓患者運動モニタリングシステム。
【0149】
実施例69.心臓患者運動モニタリングシステムであって、
患者の左心房に移植されて、
患者の安静状態中の第一の血圧信号と、
患者の運動状態中の第二の血圧信号とを、記録するように構成された、心房心臓センサと、
心臓信号プロセッサであって、
第一及び第二の血圧信号を受信し、
第一の血圧信号に基づいて、第一の心拍数(HR)、第一の平均血圧(P)、第一の呼吸数(RR)、及び第一のA/V比を計算し、
第二の血圧信号に基づいて、第二のHR、第二のP、第二のRR、及び第二のA/V比を計算し、
第一のPと第二のPとの間の変化と、第一のHRと第二のHRとの間の変化との間の、P/HR比を計算し、
第一のRRと第二のRRとの間の変化と、第一のHRと第二のHRとの間の変化との間の、RR/HR比を計算し、
第一のA/V比と第二のA/V比との間の変化と、第一のHRと第二のHRとの間の変化との間の、(A/V)/HR比を計算し、
P/HR比、RR/HR比、及び(A/V)/HR比の少なくとも1つが各々の閾値を超える時に、負の健康状態を示す警告を提供するように構成された、心臓信号プロセッサとを備える、心臓患者運動モニタリングシステム。
【0150】
実施例70.輸液ポンプを更に備え、心臓信号プロセッサが、負の健康状態に応答して心臓状態を治療するために、患者に薬剤を自動的に輸液するように更に構成された、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例69に記載の心臓患者運動モニタリングシステム。
【0151】
実施例71.心臓患者運動モニタリングシステムであって、
少なくとも1日の過程にわたって複数の圧力信号を記録するために、患者の左心房に移植されるように構成された、心房心臓センサと、
心臓信号プロセッサであって、
複数の圧力信号を受信し、
複数の圧力信号の各圧力信号について、心拍数(HR)及びA/V比を計算し、
A/V比がy軸上にあり、記録時間がx軸上にある、曲線をプロットし、
HRに基づいて、患者が運動状態であった時間及び患者が安静状態であった時間を特定し、
曲線に、識別された運動状態及び安静状態をアノテーションし、
曲線を表示するように構成された、心臓信号プロセッサとを含む、心臓患者運動モニタリングシステム。
【0152】
実施例72.心臓信号プロセッサが、
複数の圧力信号の各圧力信号について、平均血圧(P)を計算し、
複数の圧力信号内の連続的な圧力信号の各対について、P/HRを計算し、
P/HR比がy軸にあり、記録時間がx軸にある、追加曲線をプロットし、
追加曲線に、識別された運動状態及び安静状態をアノテーションし、
追加曲線を表示するように更に構成された、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例71に記載の心臓患者運動モニタリングシステム。
【0153】
実施例73.心臓信号プロセッサが、
複数の圧力信号内の連続的な圧力信号の各対について、(A/V)/HRを計算し、
(A/V)/HR比がy軸上にあり、記録時間がx軸上にある、追加曲線をプロットし、
追加曲線に、識別された運動状態及び安静状態をアノテーションし、
追加曲線を表示するように更に構成された、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例71に記載の心臓患者運動モニタリングシステム。
【0154】
実施例74.心臓信号プロセッサが、曲線に基づいて負の健康状態を示す警告を提供するように更に構成された、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例71に記載の心臓患者使用モニタリングシステム。
【0155】
実施例75.心臓患者運動をモニタリングする方法であって、
心臓患者の心臓の左心房に移植された心臓センサから複数の圧力信号を受信することと、
複数の圧力信号の各圧力信号について、心拍数(HR)及びA/V比を計算することと、
A/V比がy軸上にあり、記録時間がx軸上にある、曲線をプロットすることと、
HRに基づいて、患者が運動状態であった時間及び患者が安静状態であった時間を特定し、
曲線に、識別された運動状態及び安静状態をアノテーションすることと、
曲線を表示することとを含む、方法。
【0156】
実施例76.本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例75に記載の心臓患者運動をモニタリングする方法であって、
複数の圧力信号の各圧力信号について、平均血圧(P)を計算することと、
複数の圧力信号内の連続的な圧力信号の各対について、P/HRを計算することと、
P/HR比がy軸にあり、記録時間がx軸にある、追加曲線をプロットすることと、
追加曲線に、識別された運動状態及び安静状態をアノテーションすることと、
追加曲線を表示することとを更に含む、方法。
【0157】
実施例77.本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例75に記載の心臓患者の運動をモニタリングする方法であって、
複数の圧力信号における連続的な圧力信号の各対について、(A/V)/HRを計算することと、
(A/V)/HR比がy軸上にあり、記録時間がx軸上にある、追加曲線をプロットすることと、
追加曲線に、識別された運動状態及び安静状態をアノテーションすることと、
追加曲線を表示することとを更に含む、方法。
【0158】
実施例78.心臓信号プロセッサが、曲線に基づいて負の健康状態を示す警告を提供するように更に構成された、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例75に記載の心臓患者運動をモニタリングする方法。
【0159】
実施例79.医療従事者に個別化された患者ごとの健康指標を別様に提示するための方法であって、
患者の左心房に移植された心房心臓センサから、左心房血圧波形を受信することと、
患者の背景医療情報を取得することであって、患者の背景医療情報が、患者に関する複数のカテゴリーパラメータの値を含む、取得することと、
患者の背景情報に基づいて、パラメータ化された患者プロファイルを生成することと、
パラメータ化された患者プロファイルに基づいて、患者を分類することと、
平均左心房圧(LAP)、ピークLAP、心拍数、呼吸数、A/V比、及び左心房血圧波形に基づく運動応答を含む、心臓指標を計算することと、
各心臓指標が分類の正常範囲内にあるかどうかに関する指標が提供されるように、分類に基づいて心臓指標を表示することとを含む、方法。
【0160】
実施例80.パラメータ化された患者プロファイルが、
性別、
心臓の状態、
肺高血圧群、
不整脈、
僧帽弁閉鎖不全症、
虚血瘢痕組織、及び
ペースメーカー移植のための、パラメータを含む、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例79に記載の方法。
【0161】
実施例81.パラメータ化された患者プロファイルにおける、パラメータの各固有の組合わせが、分類と関連付けられる、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例79に記載の方法。
【0162】
実施例82.患者を分類するために、患者プロファイルが、分類を提供するように構成された機械学習モデルに提供される、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例79に記載の方法。
【0163】
実施例83.機械学習モデルが、教師あり機械学習モデルである、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例82に記載の方法。
【0164】
実施例84.機械学習モデルが、ランダムフォレストモデルである、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例83に記載の方法。
【0165】
実施例85.機械学習モデルが、サポートベクターマシンである、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例83に記載の方法。
【0166】
実施例86.教師あり機械学習モデルが、患者の転帰がアノテーションされた電子カルテシステムからの、患者プロファイルを含む、訓練データセットを使用して訓練された、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例83に記載の方法。
【0167】
実施例87.機械学習モデルが、教師なしクラスタリングモデルであり、教師なしクラスタリングモデルに、電子カルテシステムからの患者プロファイルが提供され、患者プロファイルが、特定のクラスタに属すると患者を分類するためのものである、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例82に記載の方法。
【0168】
実施例88.特定のクラスタに対する心臓指標の正常範囲が、退院時の特定のクラスタにおける、患者の電子カルテからの心臓指標値から導出される、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例87に記載の方法。
【0169】
実施例89.個別化された健康指標を差次的に提示するための電子カルテシステムであって、
プロセッサと、
メモリであって、メモリが、プロセッサに、
患者の左心房に移植された心房心臓センサから、左心房血圧波形を受信し、
患者の背景医療情報を取得することであって、患者の背景医療情報が、患者に関する複数のカテゴリーパラメータの値を含む、取得し、
患者の背景情報に基づいて、パラメータ化された患者プロファイルを生成し、
パラメータ化された患者プロファイルに基づいて、患者を分類し、
平均左心房圧(LAP)、ピークLAP、心拍数、呼吸数、A/V比、及び左心房血圧波形に基づく運動応答を含む、心臓指標を計算し、
各心臓指標が分類の正常範囲内にあるかどうかに関する指標が提供されるように、分類に基づいて心臓指標を表示させるように、構成する、アプリケーションを含む、メモリとを備える、電子カルテシステム。
【0170】
実施例90.パラメータ化された患者プロファイルが、
性別、
心臓の状態、
肺高血圧群、
不整脈、
僧帽弁閉鎖不全症、
虚血瘢痕組織、
ペースメーカー移植のための、パラメータを含む、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例89に記載のシステム。
【0171】
実施例91.パラメータ化された患者プロファイルにおける、パラメータの各固有の組合わせが、分類と関連付けられる、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例89に記載のシステム。
【0172】
実施例92.患者を分類するために、アプリケーションが、プロセッサに、患者プロファイルを、分類を提供するように構成された機械学習モデルに提供させるように、更に指示する、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例89に記載のシステム。
【0173】
実施例93.機械学習モデルが、教師あり機械学習モデルである、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例92に記載のシステム。
【0174】
実施例94.機械学習モデルが、ランダムフォレストモデルである、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例93に記載のシステム。
【0175】
実施例95.機械学習モデルが、サポートベクターマシンである、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例93に記載のシステム。
【0176】
実施例96.教師あり機械学習モデルが、患者の転帰がアノテーションされた電子カルテシステムからの、患者プロファイルを含む、訓練データセットを使用して訓練された、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例93に記載のシステム。
【0177】
実施例97.機械学習モデルが、教師なしクラスタリングモデルであり、教師なしクラスタリングモデルに、電子カルテシステムからの患者プロファイルが提供され、患者プロファイルが、特定のクラスタに属すると患者を分類するためのものである、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例92に記載のシステム。
【0178】
実施例98.特定のクラスタに対する心臓指標の正常範囲が、退院時の特定のクラスタにおける、患者の電子カルテからの心臓指標値から導出される、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例97に記載のシステム。
【0179】
実施例99.患者の心臓状態を治療する方法であって、
患者の左心房に移植された心房心臓センサを使用して、左心房圧(LAP)信号を取得することと、
LAP信号内のA波のセット及びV波のセットを識別することと、
A波のセットの平均圧力振幅及びV波のセットの平均圧力振幅に基づいて、A/V比を計算することと、
A波のセットの平均最大振幅を計算することと、
V波のセットの平均最大振幅を計算することと、
LAP信号内のA波のV波への遷移における変曲点の、平均最小振幅を計算することと、
LAP信号内のV波のA波への遷移における変曲点の、平均最小振幅を計算することと、
A波のセットの平均最大振幅と、V波のセットの平均最大振幅との間の、差ΔMaxを計算することと、
A波のV波への遷移における変曲点の平均最小振幅と、V波のA波への遷移における変曲点の平均最小振幅との間の、差ΔMinを計算することと、
A/V比、ΔMax、ΔMinに基づいて、僧帽弁指数(MVI)を計算することと、
閾値を超えるMVIに基づいて、患者の治療を決定することとを含む、方法。
【0180】
実施例100.治療が、人工心臓弁の移植である、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例99に記載の方法。
【0181】
実施例101.治療が、人工心臓弁の置換である、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例99に記載の方法。
【0182】
実施例102.適切な治療が、外科的経皮的弁修復である、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例99に記載の方法。
【0183】
実施例103.MVIが、
【数2】
として計算され、C1が、健康な心臓のΔMaxであり、C2が、健康な心臓のΔMinである、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例99に記載の方法。
【0184】
実施例104.C1及びC2が、1~5の間である、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例103に記載の方法。
【0185】
実施例105.閾値が、1であり、MVI>1が、治療を必要としない健康な患者を示す、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例104に記載の方法。
【0186】
実施例106.決定された治療を提供することを更に含む、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例99に記載の方法。
【0187】
実施例107.僧帽弁モニタリング及び治療システムであって、
左心房圧(LAP)信号を記録するために、患者の左心房に移植されるように構成された心房心臓センサと、
トランシーバであって、
心房心臓センサに電力を無線で提供し、
心房心臓センサからLAP信号を受信するように構成された、トランシーバと、
プロセッサと、
心臓モニタリングアプリケーションを含むメモリであって、心臓モニタリングアプリケーションが、プロセッサに、
LAP信号内のA波のセット及びV波のセットを識別し、
A波のセットの平均圧力振幅及びV波のセットの平均圧力振幅に基づいて、A/V比を計算し、
A波のセットの平均最大振幅を計算し、
V波のセットの平均最大振幅を計算し、
LAP信号内のA波のV波への遷移における変曲点の、平均最小振幅を計算し、
LAP信号内のV波のA波への遷移における変曲点の、平均最小振幅を計算し、
A波のセットの平均最大振幅と、V波のセットの平均最大振幅との間の差、ΔMaxを計算し、
A波のV波への遷移における変曲点の平均最小振幅と、V波のA波への遷移における変曲点の平均最小振幅との間の差、ΔMinを計算し、
A/V比、ΔMax、ΔMinに基づいて、僧帽弁指数(MVI)を計算し、
MVIが閾値を超えることに基づいて、患者の治療を決定させるように、構成される、メモリとを備える、僧帽弁モニタリング及び治療システム。
【0188】
実施例108.治療が、人工心臓弁の移植である、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例107に記載のシステム。
【0189】
実施例109.治療が、人工心臓弁の交換である、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例107に記載のシステム。
【0190】
実施例110.治療が、外科的経皮的弁修復である、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例107に記載のシステム。
【0191】
実施例111.MVIが、
【数3】
として計算され、C1が、健康な心臓のΔMaxであり、C2が、健康な心臓のΔMinである、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例107に記載のシステム。
【0192】
実施例112.C1及びC2が、1~5の間である、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例111に記載のシステム。
【0193】
実施例113.閾値が、1であり、MVI>1が、治療を必要としない健康な患者を示す、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例107に記載のシステム。
【0194】
実施例114.人工心臓弁であって、
左心房圧(LAP)信号を記録するように構成された、センサと、
LAP信号を外部モニタリング装置に無線で送信するように構成された送信機とを備え、
モニタリング装置が、LAP信号に基づいて、人工心臓弁が交換を必要とするかどうかを決定するように構成された、人工心臓弁。
【0195】
実施例115.人工心臓弁が交換を必要とするかどうかを決定するために、モニタリング装置が、
LAP信号内のA波のセット及びV波のセットを識別し、
A波のセットの平均圧力振幅及びV波のセットの平均圧力振幅に基づいて、A/V比を計算し、
A波のセットの平均最大振幅を計算し、
V波のセットの平均最大振幅を計算し、
LAP信号内のA波のV波への遷移における変曲点の、平均最小振幅を計算し、
LAP信号内のV波のA波への遷移における変曲点の、平均最小振幅を計算し、
A波のセットの平均最大振幅と、V波のセットの平均最大振幅との間の差、ΔMaxを計算し、
A波のV波への遷移における変曲点の平均最小振幅と、V波のA波への遷移における変曲点の平均最小振幅との間の差、ΔMinを計算し、
A/V比、ΔMax、ΔMinに基づいて、僧帽弁指数(MVI)を計算し、
MVI<1のとき、人工心臓弁が交換を必要とすると決定するように更に構成された、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例114に記載の人工心臓弁。
【0196】
実施例116.MVIが、
【数4】
として計算され、C1が、健康な心臓のΔMaxであり、C2が、健康な心臓のΔMinである、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例114に記載の人工心臓弁。
【0197】
実施例117.C1及びC2が、1~5の間である、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例115に記載の人工心臓弁。
【0198】
実施例118.患者の肺うっ血をモニタリングする方法であって、
患者の左心房に移植された心房心臓センサを使用して、複数の左心房圧(LAP)信号を取得することであって、各LAPが、複数の日で異なる日に取得される、取得することと、
所与の日に取得されたLAP信号に基づいて、複数の日の各所与の日に対する1日平均LAPを計算することと、
1日平均LAPが所与の日の高血圧レベル値よりも大きい場合に、1日平均LAPと高血圧レベルとの間の差を計算することと、
計算された差に基づいて、肺うっ血リスク指数を計算することとを含む、方法。
【0199】
実施例119.複数の日の日数が、連続している、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例118に記載の方法。
【0200】
実施例120.肺うっ血リスク指数が警報レベルよりも大きい場合に、治療を推奨することを更に含む、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例118に記載の方法。
【0201】
実施例121.高血圧レベルが、20mmHgであり、警報レベルが、30mmHgである、本明細に記載書の任意の実施例、特に実施例120に記載の方法。
【0202】
実施例122.推奨される治療が、僧帽弁置換である、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例120に記載の方法。
【0203】
実施例123.推奨される治療が、僧帽弁修復である、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例120に記載の方法。
【0204】
実施例124.患者の肺うっ血をモニタリングする方法であって、
患者の左心房に移植された心房心臓センサを使用して、複数の左心房圧(LAP)信号を取得することであって、各LAPが、複数の日で異なる日に取得される、取得することと、
所与の日に取得されたLAP信号に基づいて、複数の日の各所与の日に対する1日平均LAPを計算することと、
連続する最新の1日平均LAP値の数に基づいて、移動平均LAPを計算することと、
移動平均LAPが、所与の日の高血圧レベル値よりも大きい場合に、移動平均LAPと高血圧レベルとの間の差を計算することと、
計算された差に基づいて、肺うっ血リスク指数を計算することとを含む、方法。
【0205】
実施例125.複数の日の日数が、連続している、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例124に記載の方法。
【0206】
実施例126.肺うっ血リスク指数が警報レベルよりも大きい場合に、治療を推奨することを更に含む、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例118に記載の方法。
【0207】
実施例127.高血圧レベルが、20mmHgであり、警報レベルが、0~200mmHgの間である、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例120に記載の方法。
【0208】
実施例128.推奨される治療が、僧帽弁置換である、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例126に記載の方法。
【0209】
実施例129.推奨される治療が、僧帽弁修復である、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例126に記載の方法。
【0210】
実施例130.連続する最新の1日平均LAP値の数が、2~10の間である、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例124に記載の方法。
【0211】
実施例131.患者の肺うっ血をモニタリングする方法であって、
患者の左心房に移植された心房心臓センサを使用して、複数の左心房圧(LAP)信号を取得することであって、各LAPが、複数の日で異なる日に取得される、取得することと、
所与の日に取得されたLAP信号に基づいて、複数の日の各所与の日に対する1日平均LAPを計算することと、
連続する最新の1日平均LAP値の第一の数に基づいて、移動平均LAPを計算することと、
連続する最新の1日平均LAP値の第二の数に基づいて、LAP標準偏差を計算することと、
移動平均LAPに2つのLAP標準偏差を加えた値が所与の日の高血圧レベル値よりも大きい場合に、移動平均LAPに2つのLAP標準偏差を加えた値と、高血圧レベルとの間の差を計算することと、
計算された差に基づいて、肺うっ血リスク指数を計算することとを含む、方法。
【0212】
実施例132.複数の日の日数が、連続している、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例131に記載の方法。
【0213】
実施例133.肺うっ血リスク指数が警報レベルよりも大きい場合に、治療を推奨することを更に含む、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例131に記載の方法。
【0214】
実施例134.高血圧レベルが、20mmHgであり、警報レベルが、50~60mmHgの間である、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例133に記載の方法。
【0215】
実施例135.推奨される治療が、僧帽弁置換である、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例133に記載の方法。
【0216】
実施例136.推奨される治療が、僧帽弁修復である、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例133に記載の方法。
【0217】
実施例137.連続する最新の1日平均LAP値の第一の及び数が、2~10の間であり、第一の数が、第二の数未満である、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例131に記載の方法。
【0218】
実施例138.患者の肺うっ血をモニタリングするためのシステムであって、
複数の左心房圧(LAP)信号を記録するように、患者の左心房に移植されるように構成された、心房心臓センサであって、複数のLAP信号の各LAP信号が、複数の日で異なる日に取得される、心房心臓センサと、
トランシーバであって、
心房心臓センサに電力を無線で提供し、
心房心臓センサからLAP信号を受信するように構成された、トランシーバと、
プロセッサと、
心肺モニタリングアプリケーションを含むメモリであって、心肺モニタリングアプリケーションが、プロセッサに、
複数のLAP信号を取得し、
所与の日に取得されたLAP信号に基づいて、複数の日の各所与の日に対する1日平均LAPを計算し、
1日平均LAPが、所与の日の高血圧レベル値よりも大きい場合に、1日平均LAPと高血圧レベルとの間の差を計算し、
計算された差に基づいて、肺うっ血リスク指数を計算させるように、指示する、メモリとを備える、システム。
【0219】
実施例139.複数の日の日数が、連続している、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例138に記載のシステム。
【0220】
実施例140.心肺モニタリングアプリケーションが、プロセッサに、肺うっ血リスク指数が警報レベルよりも大きい場合に治療を推奨させるように、更に指示する、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例138に記載のシステム。
【0221】
実施例141.高血圧レベルが、20mmHgであり、警報レベルが、30mmHgである、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例140に記載のシステム。
【0222】
実施例142.推奨される治療が、僧帽弁交換である、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例140に記載のシステム。
【0223】
実施例143.推奨される治療が、僧帽弁修復である、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例140に記載のシステム。
【0224】
実施例144.患者の肺うっ血をモニタリングするためのシステムであって、
複数の左心房圧(LAP)信号を記録するために、患者の左心房に移植されるように構成された心房心臓センサであって、複数のLAP信号の各LAP信号が、複数の日で異なる日に取得される、心房心臓センサと、
トランシーバであって、
心房心臓センサに電力を無線で提供し、
心房心臓センサからLAP信号を受信するように構成された、トランシーバと、
プロセッサと、
心肺モニタリングアプリケーションを含むメモリであって、心肺モニタリングアプリケーションが、プロセッサに、
複数のLAP信号を取得し、
所与の日に取得されたLAP信号に基づいて、複数の日の各所与の日に対する1日平均LAPを計算し、
連続する最新の1日平均LAP値の数に基づいて、移動平均LAPを計算し、
移動平均LAPが、所与の日の高血圧レベル値よりも大きい場合に、移動平均LAPと高血圧レベルとの間の差を計算し、
計算された差に基づいて、肺うっ血リスク指数を計算させるように、指示する、メモリとを備える、システム。
【0225】
実施例145.複数の日の日数が、連続している、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例144に記載のシステム。
【0226】
実施例146.心肺モニタリングアプリケーションが、プロセッサに、肺うっ血リスク指数が警報レベルよりも大きい場合に治療を推奨させるように、更に指示する、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例144に記載のシステム。
【0227】
実施例147.高血圧レベルが、20mmHgであり、警報レベルが、0~200mmHgの間である、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例146に記載のシステム。
【0228】
実施例148.推奨される治療が、僧帽弁交換である、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例146に記載のシステム。
【0229】
実施例149.推奨される治療が、僧帽弁修復である、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例146に記載のシステム。
【0230】
実施例150.連続する最新の1日平均LAP値の数が、2~10の間である、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例124に記載のシステム。
【0231】
実施例151.患者の肺うっ血をモニタリングするためのシステムであって、
複数の左心房圧(LAP)信号を記録するために、患者の左心房に移植されるように構成された心房心臓センサであって、複数のLAP信号の各LAP信号が、複数の日で異なる日に取得される、心房心臓センサと、
トランシーバであって、
心房心臓センサに電力を無線で提供し、
心房心臓センサからLAP信号を受信するように構成された、トランシーバと、
プロセッサと、
心肺モニタリングアプリケーションを含むメモリであって、心肺モニタリングアプリケーションが、プロセッサに、
複数のLAP信号を取得し、
所与の日に取得されたLAP信号に基づいて、複数の日の各所与の日に対する1日平均LAPを計算し、
連続する最新の1日平均LAP値の第一の数に基づいて、移動平均LAPを計算し、
連続する最新の1日平均LAP値の第二の数に基づいて、LAP標準偏差を計算し、
移動平均LAPに2つのLAP標準偏差を加えた値が所与の日の高血圧レベル値よりも大きい場合に、移動平均LAPに2つのLAP標準偏差を加えた値と、高血圧レベルとの間の差を計算し、
計算された差に基づいて、肺うっ血リスク指数を計算させるように、指示する、メモリとを備える、システム。
【0232】
実施例152.複数の日の日数が、連続している、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例151に記載のシステム。
【0233】
実施例153.心肺モニタリングアプリケーションが、プロセッサに、肺うっ血リスク指数が警報レベルよりも大きい場合に治療を推奨させるように、更に指示する、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例151に記載のシステム。
【0234】
実施例154.高血圧レベルが、20mmHgであり、警報レベルが、50~60mmHgの間である、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例153に記載のシステム。
【0235】
実施例155.推奨される治療が、僧帽弁置換である、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例153に記載のシステム。
【0236】
実施例156.推奨される治療が、僧帽弁修復である、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例153に記載のシステム。
【0237】
実施例157.第一及び多数の連続する最新の1日平均LAP値が、2~10の間であり、第一の数が、第二の数未満である、本明細書に記載の任意の実施例、特に実施例151に記載のシステム。
【0238】
心臓の健康モニタリング及び治療のための、特定のシステム及び方法が上記で考察されているが、本発明の多くの異なる態様に従って、多くの異なるシステム及び方法を実装することができる。従って、本発明は、本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく、具体的に記述された以外の方法で実施され得ることが理解されるべきである。したがって、本発明の態様は、全ての点で例示的であり、制限的ではないとみなされるべきである。したがって、本発明の範囲は、図示した態様によってではなく、添付の特許請求の範囲及びそれらの均等物によって決定されるべきである。
【国際調査報告】