(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】超音波プローブの改良および超音波プローブに関連する改良
(51)【国際特許分類】
G01N 29/265 20060101AFI20241219BHJP
【FI】
G01N29/265
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024534125
(86)(22)【出願日】2022-12-22
(85)【翻訳文提出日】2024-08-01
(86)【国際出願番号】 GB2022053360
(87)【国際公開番号】W WO2023118879
(87)【国際公開日】2023-06-29
(32)【優先日】2021-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521241845
【氏名又は名称】キャベンディッシュ ニュークリア リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100165696
【氏名又は名称】川原 敬祐
(72)【発明者】
【氏名】ランディカ コーシャラ ワタヴァナ ヴィタネジ
(72)【発明者】
【氏名】チャールズ ノーマン マクラウド
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド イアン アーサー ラインズ
【テーマコード(参考)】
2G047
【Fターム(参考)】
2G047AA06
2G047AB07
2G047BC09
2G047GA05
2G047GA06
2G047GA10
2G047GJ13
(57)【要約】
本開示は、超音波プローブおよびその使用方法を提供し、超音波放出トランスデューサは、回転可能な構成で支持される軸方向要素に取り付けられている。耐熱シリコンゴムなどの適合要素は、プローブされる溶接場所の接触面を提供し、冷却剤が供給される空間の外側を定義する。冷却剤は、例えば350℃を超える高温の溶接場所をプローブする場合でも、トランスデューサの最適な動作条件を保証する。その結果、溶接が行われた直後により近くで使用され得るプローブが得られる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波プローブであって、
軸方向要素と、
前記軸方向要素に取り付けられた超音波放出トランスデューサと、
前記軸方向要素に対して回転可能に取り付けられた2つ以上の支持要素と、
適合要素であって、前記適合要素は、2つ以上の支持要素上に取り付けられ、少なくとも1つの方向に連続した表面を提供する、適合要素と、を備え、
前記2つ以上の支持要素および前記適合要素は、前記プローブの内部容積を少なくとも部分的に定義し、前記トランスデューサは、前記内部容積内に設けられ、
前記プローブは、前記内部容積への冷却剤入口と前記内部容積からの冷却剤出口とをさらに備える、
超音波プローブ。
【請求項2】
前記冷却剤入口の少なくとも一部は、前記プローブの回転軸に沿ってまたはそれと平行に整列されている、請求項1に記載のプローブ。
【請求項3】
前記冷却剤出口の少なくとも一部は、前記プローブの回転軸に沿ってまたはそれと平行に整列されている、請求項1または2に記載のプローブ。
【請求項4】
前記冷却剤入口および前記冷却剤出口の少なくとも一部は、互いに同軸である、請求項1から3のいずれか一項に記載のプローブ。
【請求項5】
前記冷却剤入口の少なくとも一部は、前記トランスデューサと超音波伝達ブロックとの間の界面に向けられている、請求項1から4のいずれか一項に記載のプローブ。
【請求項6】
前記冷却剤入口の端は、前記内部容積から離れる前記冷却剤出口の始端よりも前記内部容積の中央に近い位置で前記内部容積に到達する、請求項1から5のいずれか一項に記載のプローブ。
【請求項7】
超音波伝達ブロックは、前記トランスデューサと前記適合要素との間に設けられ、前記適合要素は、前記超音波伝達ブロックに対して回転可能である、請求項1から6のいずれか一項に記載のプローブ。
【請求項8】
超音波伝達ブロックは、前記トランスデューサと前記適合要素との間に延在し、流体流路は、前記超音波伝達ブロックの少なくとも一部と前記トランスデューサの対向するセクションの少なくとも一部との間に設けられている、請求項1から7のいずれか一項に記載のプローブ。
【請求項9】
前記超音波伝達ブロックの表面は、前記トランスデューサに面し、前記トランスデューサの表面は、前記超音波伝達ブロックの前記表面に面し、2つの表面の分離は、それらの表面の1つ以上の周辺部分において、それらの表面の1つ以上の中央部分よりも大きい、請求項1から8のいずれか一項に記載のプローブ。
【請求項10】
前記超音波伝達ブロックの表面は、前記トランスデューサに面し、前記表面の周囲の少なくとも一部は、1つ以上の非周囲部分よりもトランスデューサの表面から離れている、請求項1から9のいずれか一項に記載のプローブ。
【請求項11】
前記超音波伝達ブロックは、前記トランスデューサと前記適合要素との間に延在し、前記超音波伝達ブロックの少なくとも一部と前記適合要素の対向するセクションの少なくとも一部との間に流体流路が設けられている、請求項1から10のいずれか一項に記載のプローブ。
【請求項12】
前記超音波伝達ブロックの表面は、前記適合要素に面し、前記適合要素の表面は、前記超音波伝達ブロックの表面に面し、前記2つの表面の分離は、前記表面の1つ以上の周辺部分において、前記表面の1つ以上の中央部分よりも大きい、請求項1から11のいずれか一項に記載のプローブ。
【請求項13】
前記超音波伝達ブロックの表面は、前記適合要素に面しており、前記表面の周囲の少なくとも一部は、1つ以上の非周囲部分よりも前記適合要素の表面からさらに離れている、請求項1から12のいずれか一項に記載のプローブ。
【請求項14】
距離は、前記トランスデューサと前記トランスデューサに対向する前記適合要素のセクションとの間に定義され、前記距離の5%未満は、流体によって占められる、請求項1から13のいずれか一項に記載のプローブ。
【請求項15】
前記超音波伝達ブロックの1つ以上のセクションは、前記適合要素の1つ以上の対向するセクションに力を加える、請求項1から14のいずれか一項に記載のプローブ。
【請求項16】
前記力は、前記超音波伝達ブロックの1つ以上のセクションから前記適合要素の1つ以上の対向するセクションに、冷却剤によって少なくとも部分的に伝達される、請求項15に記載のプローブ。
【請求項17】
前記内部容積は、少なくとも部分的に冷却剤で満たされており、前記冷却剤は、液体である、請求項1から16のいずれか一項に記載のプローブ。
【請求項18】
前記冷却剤は、トランスデューサを取り囲んでいる、請求項17に記載のプローブ。
【請求項19】
前記冷却剤は、油である、請求項1から18のいずれか一項に記載のプローブ。
【請求項20】
基材の超音波ベースの調査を実行する方法であって、
超音波プローブであって、
軸方向要素と、
前記軸方向要素に取り付けられた超音波放出トランスデューサと、
前記軸方向要素に対して回転可能に取り付けられた2つ以上の支持要素と、
適合要素であって、前記適合要素は、2つ以上の支持要素上に取り付けられ、少なくとも1つの方向に連続した表面を提供する、適合要素と、
を備え、
前記2つ以上の支持要素および前記適合要素は、前記プローブの内部容積を少なくとも部分的に定義し、前記トランスデューサは、前記内部容積内に設けられ、
前記プローブは、前記内部容積への冷却剤の入口と前記内部容積からの冷却剤の出口とをさらに備える、
超音波プローブを提供するステップを含み、
本方法は、
前記適合要素の少なくとも一部を前記基材と接触させるステップと、
前記トランスデューサから前記基材に超音波を通過させ、前記基材からの超音波の戻りを検出するステップと、
をさらに提供し、
冷却剤は、冷却剤入口を介して内部容積内に供給され、冷却剤は、超音波の通過中に内部容積から除去される、
方法。
【請求項21】
前記適合要素のセクションによって接触される場所における前記基材は、少なくとも250℃の温度を有する、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記適合要素のセクションによって接触される場所における基材は、少なくとも300℃の温度を有する、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記プローブは、前記基材をわたって転がり、その結果前記適合要素の異なるセクションが前記基材上の異なる場所で前記基材に接触する、請求項20から22のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、非破壊超音波試験における超音波プローブにおける改良およびそれに関連する改良、それらの結合デバイス、ならびにその使用方法に関し、特に、その高温配置に関するが、それに限定されない。
【0002】
超音波試験は、さまざまな物体の非破壊試験に使用される。送信トランスデューサは、超音波を放出し、これは、物体に入り、物体およびその副次特徴と相互作用し、次いで受信トランスデューサに戻る。界面での高レベルの反射を避けるために、超音波を物体に効果的に送信することが重要である。液体カップラーは、界面での送信を改善するためにしばしば使用される。
【0003】
溶接部を試験する場合、溶接が完了した後または個々の溶接パスの後に、溶接または溶接パスが形成された直後に超音波試験を実施可能であることが望ましく、これによって、実行、試験、および溶接部または溶接パスに必要な補正にかかる時間を最小限に抑えることが可能である。ただし、水などの液体カップラーは、動作し得る物体の温度に明確な制限を有するため、そのような場合には、試験の前に対象片を材料範囲に冷却する必要がある。補正が必要な場合、またはさらなる溶接パスがある場合は、物体の温度を再び上げる必要がある。
【0004】
欧州特許第1448983号明細書は、トランスデューサのアレイが液体で満たされた空洞に超音波を放射し、結合要素を介して検査対象物に放出するホイールまたはローラープローブの例を提供する。したがって、プローブは、トランスデューサと結合要素との間にかなりの水路長を有する。液体で満たされた空洞は、密閉されているため、プローブの動作中に同じ液体が空洞内に存在する。各端には剛性環状要素が設けられ、適合結合要素は、リングの間に存在し、リング間で部分的に固定される。環状要素は、プローブの位置を制御し、結合要素を変形させるために適用される力を制御し、物体へのドライ結合を試みる。
【0005】
本開示の潜在的な目的の1つは、より高温の表面でより長時間動作できる超音波プローブを提供することである。本開示の潜在的な目的の1つは、特に高温の状況で、プローブと基材の接触を改善することである。
【0006】
本開示の第1の態様によれば、超音波プローブであって、
軸方向要素と、
軸方向要素に取り付けられた超音波放出トランスデューサと、
軸方向要素に対して回転可能に取り付けられた2つ以上の支持要素と、
適合要素であって、適合要素は、2つ以上の支持要素上に取り付けられ、少なくとも1つの方向に連続した表面を提供する、適合要素と、を備え、
2つ以上の支持要素および適合要素は、プローブの内部容積を少なくとも部分的に定義し、トランスデューサは、内部容積内に設けられ、
プローブは、内部容積への冷却剤の入口と内部容積からの冷却剤の出口とをさらに備える、
超音波プローブを提供する。
【0007】
軸方向要素は、プローブの一方の側から他方の側まで延在し得る。軸方向要素は、例えば多軸ロボットアームに取り付けるためのプローブの取り付け場所を1つ以上含み得る。軸方向要素は、その方向またはその方向に平行な適合要素の長さよりも長い軸長を有し得る。
【0008】
超音波放出トランスデューサは、フェーズドアレイであり得る。トランスデューサは、5MHzの64つの要素のフェーズドアレイであり得る。トランスデューサは、軸に対して角度を付けて取り付けられ得、例えば、基材に対して55°の角度[+/-20°]で超音波を発し得る。トランスデューサは、放出される上端ビーム[例えば、トランスデューサ表面に対して-veステアリング角度で角度付け]と下端ビーム[トランスデューサ表面に対してほぼ垂直]によって定義される扇形スキャンビームを提供し得る。
【0009】
軸方向要素は、軸上に位置する第1の取り付け場所と、同じ軸上に位置する第2の取り付け場所とを共に提供し得る。
【0010】
支持要素は、例えば剛性端構造などの1つ以上の端構造を含み得る。プローブの各端に1つ以上の端構造が設けられ得る。端構造の1つ以上またはすべては、軸から放射状に延在し得る。
【0011】
2つの離隔端構造は、それらの間に、適合要素の少なくとも一部、例えば環状部分のための取り付け場所を提供し得る。このような取り付け場所は、プローブの一方の端または両方の端に設け得る。
【0012】
適合要素は、概して円筒形のプロファイルの外側側面を提供し得る。1つ以上の端構造は、概して円筒形のプロファイルの端面を提供し得る。円筒形のプロファイルは、1つ以上の端場所と比較して、1つ以上の中間場所でより大きな半径範囲を有し得る。適合要素は、1つ以上のまたはすべての端構造よりも大きな半径範囲を有し得る。
【0013】
適合要素は、より高温に適合するシリコンゴムであり得る。適合要素の材料は、250℃を超える温度、例えば300℃を超える温度、さらには350℃を超える温度に耐えることが可能であり得る。適合要素の材料は、少なくとも5分間、例えば少なくとも10分間、あるいは少なくとも15分間、場合によっては少なくとも20分間、温度に耐えることが可能であり得る。
【0014】
適合要素は、接触前の性能と比較して、適合要素材料の音響性能および/または熱性能の少なくとも90%、場合によっては少なくとも95%、例えば少なくとも99%を保持するという点で、接触の温度および/または時間に耐えることが可能であり得る。
【0015】
適合要素は、1つ以上のゴム、例えば1つ以上の高温シリコンゴムから形成され得またはこれを含み得る。
【0016】
適合要素は、適合要素材料の音響性能と熱性能とのバランスをとる厚さを有し得る。適合要素は、2mmより大きく、例えば3mmより大きく、場合によっては2mmから10mmの間、例えば4mmから8mmの間の厚さであり得る。
【0017】
適合材料は、中程度の力を加えた状態で基材の表面に適合するのに十分な適合性を提供し得る。
【0018】
内部容積は、プローブ周囲の環境に対して液密であり得る。
【0019】
内部容積は、トランスデューサおよび/または超音波伝達ブロックおよび/またはサーミスタなどの温度センサおよび/または超音波の内部反射に有害な1つ以上のブロックを含み得る。
【0020】
使用中、内部容積は、少なくとも60%が冷却剤で満たされ得る。使用中、内部容積は、少なくとも75%が冷却剤で満たされ得る。使用中、内部容積は、90%未満が冷却剤で満たされ得る。使用中、内部容積は、80%未満が冷却剤で満たされ得る。
【0021】
特にプローブの反転を必要とする用途の場合、内部容積は、少なくとも98%充填され、好ましくは100%充填される。
【0022】
内部容積は、例えば1気圧に加圧されない場合があり得る。
【0023】
使用中、トランスデューサおよび/または超音波伝達ブロックおよび/またはサーミスタなどの温度センサおよび/または超音波の伝達および/または反射に有害な1つ以上のブロックの1つ以上またはすべてが、冷却剤で囲まれ得る。
【0024】
冷却剤入口の少なくとも一部は、プローブの回転軸に沿ってまたはプローブの回転軸と平行に整列し得る。冷却剤出口の少なくとも一部は、プローブの回転軸に沿ってまたはプローブの回転軸と平行に整列し得る。冷却剤入口の少なくとも一部と冷却剤出口は、例えば出口が入口内にあるなど、互いに同軸であり得る。
【0025】
冷却剤入口の少なくとも一部は、トランスデューサと超音波伝達ブロックとの間の界面に向けられ得る。冷却剤入口の少なくとも一部は、軸を有し、その軸の投影は界面の一部と交差し得る。
【0026】
冷却剤入口の端は、内部容積から離れる冷却剤出口の始端よりも、内部容積の中央に近い位置で内部容積に到達し得る。冷却剤入口の端は、内部容積の中央40%に位置し得る。出口の始端は、内部容積の端10%に位置し得る。
【0027】
プローブは、トランスデューサと適合要素との間に設けられた超音波伝達ブロックを含み得、適合要素は超音波伝達ブロックに対して回転可能である。
【0028】
伝達ブロックには、冷却剤伝達通路などの1つ以上の通路が設けられ得る。伝達ブロックには、冷却剤入口とプローブの内部容積との間の流体連通を提供する1つ以上の通路が設けられ得る。伝達ブロックには、プローブの内部容積と冷却剤出口との間の流体連通を可能にする1つ以上の通路が設けられ得る。1つ以上の通路は、非直線状、例えば蛇行状であり得る。
【0029】
プローブは、トランスデューサと適合要素との間に延在する超音波伝達ブロックを含み得、超音波伝達ブロックの少なくとも一部とトランスデューサの対向するセクションの少なくとも一部との間に流体流路が設けられている。流体流路は、トランスデューサに面する超音波ブロックの表面、および/または超音波伝達ブロックに面するトランスデューサの表面の少なくとも70%、例えば少なくとも80%、必要に応じて少なくとも90%、および例えば100%にわたって延在し得る。
【0030】
プローブには、超音波伝達ブロックの少なくとも一部とトランスデューサの対向するセクションの少なくとも一部との間に設けられた、場合によっては流体流路を含む、界面を含み得る。
【0031】
例えば、冷却剤用である、1つ以上のチャネルは、界面の外側または界面に隣接して設けられ得る。チャネルは、例えば界面の外側または界面に隣接して、伝達ブロックを横切って延在するように設けられ得る。チャネルは、伝達ブロックの一方の側から伝達ブロックのもう一方の側まで延在し得る。チャネルは、例えば移動方向および/または回転方向を基準として、界面の開始位置に設けられている。
【0032】
1つ以上のさらなるチャネル、例えば冷却剤用のチャネルが設けられ得る。少なくとも3つのさらなるチャネルが設けられ得る。1つ以上のさらなるチャネルは、界面の外側からまたは界面に隣接して、界面内まで延在して設けられ得る。1つ以上のさらなるチャネルは、伝達ブロックに沿って延在して、および/または界面に沿っておよび/または横切って延在して、設けられ得る。1つ以上のさらなるチャネルは、1つ以上のチャネルから、例えば1つ以上のチャネルに対して概して垂直に延在し得る。
【0033】
プローブは、トランスデューサに面する超音波伝達ブロックの表面と、超音波伝達ブロックの表面に面するトランスデューサの表面とを含み得、2つの表面の分離は、それらの表面の1つ以上の周辺部分において、それらの表面の1つ以上の中央部分よりも大きい。プローブは、トランスデューサに面する超音波伝達ブロックの表面を含み得、表面の周囲の少なくとも一部は、1つ以上の非周囲部分よりもトランスデューサの表面から遠く離れている。
【0034】
プローブは、トランスデューサと適合要素との間に延在する超音波伝達ブロックを含み得、超音波伝達ブロックの少なくとも一部と適合要素の対向するセクションの少なくとも一部との間に流体流路が設けられている。流体流路は、適合要素に面する超音波ブロックの表面、および/または超音波伝達ブロックに面する適合要素の表面の少なくとも70%、例えば少なくとも80%、必要に応じて少なくとも90%、および例えば100%にわたって延在し得る。
【0035】
プローブは、適合要素に面する超音波伝達ブロックの表面と、超音波伝達ブロックの表面に面する適合要素の表面とを含み得、2つの表面の分離は、それらの表面の1つ以上の周辺部分において、それらの表面の1つ以上の中央部分よりも大きい。プローブは、適合要素に面する超音波伝達ブロックの表面を含み得、表面の周囲の少なくとも一部は、1つ以上の非周囲部分よりも適合要素の表面から遠く離れている。
【0036】
プローブは、トランスデューサと、トランスデューサに対向する適合要素のセクションとの間に距離が画定され、その距離の5%未満が流体によって占められることを規定し得る。その距離の3%未満が流体によって占められ得る。
【0037】
プローブは、超音波伝達ブロックの1つ以上のセクションが、適合要素の1つ以上の対向するセクションに力を加えることを規定し得る。プローブは、力が、冷却剤によって、超音波伝達ブロックの1つ以上のセクションから適合要素の1つ以上の対向するセクションに少なくとも部分的に伝達することを規定し得る。
【0038】
プローブは、超音波の伝達および/または反射に有害な1つ以上のブロックを含み得る。超音波の伝達および/または反射に有害な1つ以上のブロックは、超音波伝達ブロックの1つ以上の表面に隣接してまたは接触して、例えばその軸方向の一方または両方に設けられ得る。
【0039】
本開示の第1の態様には、開示の他の態様を含み得、文書の他の場所に記載されている機能、可能性、または追加事項のいずれかを含み得る。
【0040】
本発明の第2の態様によれば、
基材の超音波ベースの調査を実行する方法であって、
超音波プローブであって、
軸方向要素と、
軸方向要素に取り付けられた超音波放出トランスデューサと、
軸方向要素に対して回転可能に取り付けられた2つ以上の支持要素と、
適合要素であって、適合要素は、2つ以上の支持要素上に取り付けられ、少なくとも1つの方向に連続した表面を提供する、適合要素と、
を備え、
2つ以上の支持要素および適合要素は、プローブの内部容積を少なくとも部分的に定義し、トランスデューサは、内部容積内に設けられ、
プローブは、内部容積への冷却剤の入口と内部容積からの冷却剤の出口とをさらに備える、
超音波プローブを提供するステップを含み、
本方法は、
適合要素の少なくとも一部を基材と接触させるステップと、
トランスデューサから基材に超音波を通過させ、基材からの超音波の戻りを検出するステップと、
をさらに提供し、
冷却剤は、冷却剤入口を介して内部容積内に供給され、冷却剤は、超音波の通過中に内部容積から除去される、
方法が提供される。
【0041】
この方法は、適合要素のセクションが接触する場所における基材の温度が少なくとも250℃になるように規定し得る。この方法は、適合要素のセクションが接触する場所における基材の温度が少なくとも300℃になるように規定し得る。
【0042】
この方法は、例えば、プローブが基材をわたって転がり、適合要素の異なるセクションが基材上の異なる場所で基材に接触することを含み得る。
【0043】
この方法は、冷却剤をプローブ内および/またはプローブ外にポンプで送り込むことを含み得る。
【0044】
この方法は、プローブの外側の冷却剤を冷却することを含み得る。この方法は、熱交換器を使用して冷却剤を冷却することを含み得る。
【0045】
この方法は、冷却剤を内部容積に複数回戻すことを含み得る。
【0046】
本開示の第2の態様には、本開示の他の態様を含み、文書の他の場所に記載されている機能、可能性、または追加事項のいずれかを含み得る。
【0047】
下記、本開示の様々な実施形態を、添付の図面を参照して、単なる例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【
図1】本開示のプローブの望ましい使用環境の透視図である。
【
図2】本開示の第1の実施形態によるプローブの透視図である。
【
図4a】
図3のプローブのB-B平面における断面側面図である。
【
図4b】
図4aと同じ視野であるがさらなる特徴を図示する図である。
【
図5a】プローブおよび伝達ブロックの透視図である。
【
図5b】
図5aのプローブおよび伝達ブロックの上面図である。
【
図5c】
図5aのプローブおよび伝達ブロックの側面図である。
【
図5d】プローブと伝達ブロックとの間の界面の上部の側面図の詳細図である。
【
図5e】
図5dと同じ場所の上面図の詳細図である。
【
図6】適合要素に面する伝達ブロックの下面の図である。
【
図7】本開示によるプローブで使用するための冷却回路の概略図である。
【
図8】本開示による能動冷却プローブと固定冷却量プローブとの比較の温度プロットである。
【発明を実施するための形態】
【0049】
超音波試験は、さまざまな試験片の非破壊試験に使用される。送信トランスデューサは、超音波を放出し、試験片に入り、試験片およびその副次特徴と相互作用して、受信トランスデューサに戻る。界面での高レベルの反射を避けるために、超音波を試験片に効果的に伝達することが重要である。界面での伝達を改善するために、液体カップラーがしばしば使用される。
【0050】
溶接部を試験する場合、溶接が完了した後、実行、試験、および溶接部に必要な補正にかかる時間を最小限に抑えるために、溶接部が形成された直後に超音波試験を実施可能であることが望ましい。ただし、水などの液体カップラーは、動作し得る試験片の温度に明確な制限があるため、そのような場合はテスト前に試験片を周囲温度またはそれに近い温度まで冷却する必要がある。
【0051】
超音波プローブが高温でも正常に動作可能であるということは、プローブを時間的にも距離的にも溶接場所の近くで使用できることを意味する。これには個々の溶接パス間も含まれる。これによって、ある場所で溶接が形成されてからその場所で溶接の問題が検出されるまでの時間遅延が短縮される。
【0052】
この改善によって、欠陥および亀裂を生成時点で検出するための検査が迅速化され、補修作業をより早く開始し得る。例えば、すべてのパスを完了したり、物体が冷却するのを待ったりすることなく、亀裂を検出し得る。物体を測定温度まで下げてから溶接温度まで戻すよりも遅延が少ないため、亀裂をより早く補正し得る。これらの手順によって、スループットが向上し、リスクが最小限に抑えられ、コストが削減される。
【0053】
検査の目的で溶接パス間で物体を冷却することは、加熱、冷却、加熱、冷却のサイクルが繰り返されると物体の微細構造に望ましくない影響を与える可能性があるため、望ましくない。
【0054】
この改良によって、より閉ループ制御と自動化が促進され、溶接部品内の欠陥および亀裂の発生を最小限に抑え得る。状態を監視し、溶接装置の制御を適応させることによって、システムは最適な状態を維持し得る。
【0055】
より高温での作業を可能にするには、対処すべき2つの主な課題がある。1つは、実際に遭遇する表面を介してプローブを試験片に音響的にうまく結合すること、もう1つは試験片の上昇した表面温度に耐えることである。
【0056】
図1は、溶接デバイス5によって溶接場所3で溶接される物体1を示す。多軸ロボット7には、遠位端11に概略的に図示されたプローブ13を有するアーム9も設けられている。プローブ13は、直前まで溶接場所であった試験場所15と接触している。
【0057】
図2は、プローブ13の実施形態の透視図である。回転軸R?Rは、プローブ13を通って延在する。軸上に第1の取り付け場所20が設けられ、共にプローブ13の反対側には第2の取り付け場所22が設けられている。第1の取り付け場所20および第2の取り付け場所22は、プローブ13が物体1の表面上を進むにつれて回転可能であるように、プローブ13をロボット7に取り付けるために提供される。
【0058】
プローブ13は、各端に剛性端構造24a、24bを備えており、これらには、それらを接続するボルト25が設けられ、概して円筒形の結合要素28用の環状マウント26が設けられている。
【0059】
第1の取り付け場所20に接続され、そこから軸方向に延在しているのがマニホールド要素30である。マニホールド要素30は、使用時に冷却剤供給導管[図示せず]に接続される冷却剤入口32と、使用時に冷却剤出口導管[図示せず]に接続される冷却剤出口34とを有する。
【0060】
図3は、
図2のプローブの断面図であり、上記の特徴の多くも示されている。
【0061】
図2のプローブの断面側面図である
図4aを参照すると、マニホールド要素30は、第1の取り付け場所20に流体接続されている。第1の流体接続は、第1の入口ボアセクション36が導管40を介してプローブ13の内部容積42につながる第2の入口ボアセクション38に接続することによって形成される。第2の流体接続は、第1の出口ボアセクション44がプローブ13の内部容積42からつながる第2の出口ボアセクション[図示せず]に接続することによって形成される。
【0062】
内部容積42は、結合要素28の対向する壁セクション46a、46bの間に延在し、また、剛性端構造24a、24bの対向する内部表面48a、48bの間にも延在する。内部容積42は、少なくともトランスデューサ52の最大垂直範囲50より上のレベルまで、冷却剤で満たされている。
【0063】
結合要素28は、下記でさらに説明するように、適合材料の一体型部品である。結合要素28には、概して直円筒形の本体部分54と、両端に内側に曲がったリム56a、56bが設けられている。リム56a、56bは各々、外部要素24aと内部要素24bとの間で圧縮され、剛性端構造24aを形成する。外部要素24aおよび対向する内部要素24bは、一連の解放可能な留め具、この場合はボルト25によって互いに接続されている。
【0064】
したがって、プローブ13が物体の表面上を転がると、結合要素28の本体部分54の異なる部分が物体に接触し、剛性端構造を形成する外部要素24aおよび内部要素24bも回転する。
【0065】
剛性端構造24a、24bは、軸方向要素64に対して自由に回転し、その延長部が第1の取り付け場所20を提供する。第1のシャフトタイプシール66と第2のシャフトタイプシール68は、回転を可能にすると同時に、軸方向要素64と剛性端構造24との間の冷却剤の漏れをシールする。
【0066】
第2の軸方向要素70は、一連の解放可能な留め具72によって軸方向要素64に接続される。第2の軸方向要素70は、トランスデューサ52、エコー防止ブロック74、および超音波伝達ブロック76の取り付け部を提供する。
【0067】
したがって、トランスデューサ52、アンチエコーブロック74、伝達ブロック76は、第2の軸方向要素70、軸方向要素64、および第1の取り付け場所20とともに、プローブ13が物体の表面上を転がるときに回転しない。したがって、トランスデューサ70および関連構成要素は、常に物体に対向する同じ感知方向に維持される。
【0068】
上記の構成の結果、プローブ13が物体の表面上を転がるときに、結合要素28の内面78と伝達ブロック76の放射状面80との間に相対的な動きが生じる。
【0069】
また、第2の軸方向要素70には、溶接場所に隣接する内面78の部分に近い場所86で内部ローラープローブ領域の温度を感知するためのサーミスタ84を搭載した取り付け要素82も取り付けられている。
【0070】
図5aから5eに示すように、プローブ13、トランスデューサ52、および伝達ブロック76の代替実施形態を提供し得る。
図5aに示すように、トランスデューサ52は、締結具92によって伝達ブロック76の傾斜した軸方向面88に取り付けられている。伝達ブロック76には、冷却剤入口93と冷却剤出口94とが設けられている。
図5cに示すように、冷却剤入口93は、蛇行した通路95に通じており、プローブ13の内部容積42と流体連通する冷却剤供給出口96に通じている。伝達ブロック76の他の側にある同様の構造は、内部容積から冷却剤を抽出し、冷却剤取り出し入口を介して第2の蛇行した通路に導き、冷却剤出口94に導く。これらの通路とこれらの通路の構成は、伝達ブロック76の冷却に役立つ。
【0071】
伝達ブロック76の軸方向面88および/またはトランスデューサ52の半径方向面90には、2つの面間の冷却剤の流れを助けるために、隙間、スロット、または溝を設け得る。
【0072】
例えば、
図5cおよび5dを参照すると、傾斜した軸方向面88は、回転軸にほぼ平行な第2の軸方向面97と交差しており、トランスデューサ52は、この交差の近くで終端する。
図5dの詳細に示すように、溝などのチャネル98が伝達ブロック76に設けられている。チャネル98によって、伝達ブロック76の軸方向面88とトランスデューサ52の半径方向面90との間のギャップ92への冷却剤のアクセスが改善される。チャネル98は、伝達ブロック76の軸方向面88にある一連のさらなる溝99と流体連通しており、ギャップ92への冷却剤の流れをさらに促進する。チャネル98および/またはさらなるチャネル99は、トランスデューサ52および/または伝達ブロック76に設け得る。
【0073】
図5bおよび
図5eの詳細図に示されているように、チャネル98は、伝達ブロック76の幅にわたって、一方の側から他方の側まで延在する。他のチャネル99は、チャネル98に沿って一定の間隔で配置され、チャネル98から離れて、傾斜した軸方向面88に沿って延在する。
【0074】
別の潜在的な詳細では、プローブ13が方向Aに移動するときの回転に関連して考慮される伝達ブロック76の前縁100および後縁102には、各々面取りが施されている。したがって、伝達ブロック76が回転中に冷却剤中を効果的に移動すると、冷却剤は、先端100の面取りによって、伝達ブロック76の半径方向面80と結合要素28の内面78との間の隙間108に向かって促進される。これによって、ラジアル面80と内面78との間に冷却剤が継続的に存在することが促進され、伝達ブロック76と結合要素28との間の界面を横切る超音波の通過に非常に有益となる。冷却剤が継続的に存在することは、ラジアル面80の冷却にも役立つ。
【0075】
回転軸R-Rとプローブされる物体1との分離は、使用時に、物体1が結合要素28を軸に向かって押し、その結果、結合要素28が物体1と伝達ブロック76との間で圧縮され、伝達ブロック76と良好に接触するような距離である。
【0076】
図5aに見られるように、別の潜在的な詳細では、伝達ブロック76の軸方向面88は、トランスデューサ52の半径方向面90よりも、軸に沿っておよび軸に垂直な方向により広い範囲を有する。伝達ブロック76とトランスデューサ52とがプローブ13の回転によって冷却剤の中を移動すると、この形状によって、冷却剤が伝達ブロック76とトランスデューサ52との接合部に入り、その間の隙間92にも入りやすくなる。導管42に沿ってデバイス内に流入する冷却剤の流れ方向によっても、隙間92の方向への流れが促進される。
【0077】
図6に示すさらに他の潜在的な詳細では、伝達ブロック76の半径方向面80に、一連の界面チャネル300が設けられている。これらは、使用時に結合要素28の内面78に面する湾曲した半径方向面80に埋め込まれている。界面チャネル300は、伝達ブロック76の全長にわたって延在し、軸と平行に延在しているが、他の範囲およびプロファイルも提供し得る。
【0078】
伝達ブロック76の軸方向面88とトランスデューサ52の半径方向面90との間の隙間92に冷却剤が継続的に存在することは、それらの間の界面を横切る超音波の通過にとって非常に有益である。
【0079】
超音波の通過に関しては、伝達ブロック76は、ポリエーテルイミドで製造されており、温度変化の繰り返しサイクルに対処するために必要な耐熱性と容量を備えている。さらに、この材料は他のコンポーネントとバランスをとるために必要な音響特性を有する。
【0080】
監視の目的で、サーミスタ84は、伝達ブロック76の超音波伝播の役割を妨げないように、伝達ブロック76の側面にオフセットされたポリエーテルイミドの別のブロック内に設けられている。同時に、サーミスタ84の位置は、コンポーネントの温度制限に近づかないようにするのに依然として効果的であり、近づいた場合には、コンポーネントの損傷を防ぐためにプローブ13を物体から取り外し得る。他の実施形態では、サーミスタ84を備えるブロックは伝達ブロック76に取り付けられ得、また、他の実施形態では、サーミスタ84は、伝達ブロック76に組み込まれ得る。
【0081】
超音波の通過に関しては、結合要素28は高温対応のシリコンゴムである。選択された材料は、350℃を超える温度に長時間耐え得る。このような材料は、5MHzで0.87dB/mmの減衰と1.12MRaylsの音響インピーダンスを有し得、他の使用されている材料との整合性が良好である。
【0082】
結合要素28の厚さに関しては、厚さを増すことによってプローブの内容物に対する断熱性が高まることと、厚さを増すことによって減衰が不利に増加することとの間でバランスが保たれる。検討中の動作条件では、このような材料の厚さは4mmから8mmが適している。
【0083】
結合要素28に選択された材料は、適度な力の適用レベルの下で物体の表面に適合するのに十分な適合性も提供する。高い力のレベルは、それを生成し、デバイスを試験片上で移動させるために必要な機器の観点から望ましくない。現実世界で遭遇する物体の表面は、高度に仕上げられておらず、滑らかでもないため、過度の損失なく超音波を伝達するための良好な接触を得るには、適合材料が必要である。
【0084】
超音波の通過に関して、エコー防止ブロック74は、超音波がプローブ内で跳ね返り、プローブにノイズまたはその他の悪影響を与えるのを防ぐという重要な役割を担っている。水素化ニトリルゴム(HNBR)は、特にそのNフィラーフォームに適した材料であることがわかった。これは、5MHzで6.4dB/mmの減衰が得られるためである。
【0085】
これらすべての機能は、実際に遭遇する表面を介してプローブと物体との音響的な結合を成功させるのに役立つ。
【0086】
物体の上昇した表面温度に耐えられるようにするために、プローブ13用の冷却回路が使用される。
【0087】
図7は、一実施形態の冷却剤回路の概略図を示す。冷却剤リザーバ100は、導管102を介してポンプ104に冷却剤をもたらし、第2の導管106を介してプローブ13に設けられた冷却剤入口32に冷却剤をもたらす。
【0088】
内部容積42内では、冷却剤は、トランスデューサ52の周囲、伝達ブロック76の周囲、それらの間の隙間、少なくとも結合要素28の下部周囲、および結合要素28と伝達ブロック76の半径方向面80との間の隙間92を含む、その内部容積の全容積内で自由に循環することが可能である。
【0089】
図7に戻ると、内部容積42から、冷却剤は冷却剤出口34を通って第3の導管108に入る。第3の導管内および/または内部容積40内の温度センサを使用して、冷却が希望どおりであることを確認し、場合によってはポンプ速度を制御して冷却を増減させ得る。第3の導管108は、再利用できるように冷却剤を冷却する熱交換器110に通じている。第4の導管112は、冷却された冷却剤を熱交換器110から取り出し、再利用できるようにリザーバ100に戻す。
【0090】
プローブ13およびその要素に能動冷却を使用すると、プローブ13を高温の物体表面で長時間使用可能になる。
【0091】
図8を参照すると、これは、プローブが高温の物体と接触している時間に対する第1の温度プロット200および第2の温度プロット202を示している。第1の温度プロット200は、本開示によるプローブ13と循環冷却剤のものである。これは、このアプローチがプローブ13の内部温度を動作限度内に維持することに成功していることを示す。能動冷却によって、トランスデューサは、目的のタイプのほとんどのトランスデューサに適用される55~60℃の最大動作温度以下に保たれる。
【0092】
第2の温度プロット202は、同様の内部コンポーネントを備えたプローブ用であるが、冷却剤の容積は固定されており、プローブの内部容積内に密封された量に制限されている。熱がプローブに伝わり、プローブ内で蓄積されるにつれて、温度は時間とともに明らかに上昇し、比較的短い時間で、温度は50℃の信頼できる動作しきい値を超える。実際には、このようなプローブは、50℃のしきい値に達する前に物体から取り外す必要があり、プローブ自体が冷却されるまで監視を行うことはできない。
【0093】
冷却剤に関していえば、空気は、能動冷却に対して不十分な熱容量および熱伝導率をもたらす。また、水も音響インピーダンスが1.5MRaylsで他の構成要素との適合性が低いため、最適とはいえない。例えば、音響インピーダンスが1.1MRaylsの水溶性オイルの形で冷却剤を提供すると、伝達ブロックの音響インピーダンス[1.1MRayls程度]との適合性が高まる。
【0094】
トランスデューサ52は、5Mhz64要素のフェーズドアレイを備え、物体に55°の超音波を発生させるように取り付けられている。0.5mmのピッチと10mmの仰角を使用し得る。角度付きビームは、横方向に離れた場所から溶接部を完全に検査できる点で便利である。多くの場合、横方向に離隔を置いた場所は、溶接が行われている場所よりも、プローブと物体との良好な接触に適している。例えば、マルチパス溶接では、溶接が完了するまで、物体への良好な接触と超音波の伝播を妨げる大きな凹みが生じる。これは、0°または低角度ベースのアプローチで問題になる。
【0095】
このタイプのトランスデューサおよび伝達ブロックの構成は、放出する上端ビーム[トランスデューサ面に対する垂直から離れた角度]および下端ビーム[トランスデューサ面に対してほぼ垂直]によって定義される扇形スキャンビームを提供するために使用され得る。
【0096】
高温性能に関してプローブに求められる性能に関して、本開示は、約300℃の物体を長期間検査することができるプローブを提供する。
【0097】
結合は、ドライであるが、界面を介して物体にまたは物体から超音波を伝播させるために必要なレベルを実現する。
【0098】
結合部品に使用されている高温ポリマーは、そのような温度の物体との長時間の接触に耐えることが可能であり、界面との間で超音波を正常に伝播させる。
【0099】
冷却剤および冷却剤で満たされた隙間は、伝達ブロックとの間で超音波を効果的に伝播させることも可能である。
【0100】
伝達ブロックは、周囲温度に近い温度にのみさらされるため、超音波伝播特性が低い耐高温材料を選択する必要がなく、伝達ブロックに最適な伝播特性が提供される。
【国際調査報告】