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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】アミラーゼを含むホームケア組成物
(51)【国際特許分類】
   C12N 9/28 20060101AFI20241219BHJP
   C12N 9/56 20060101ALI20241219BHJP
   C11D 3/386 20060101ALI20241219BHJP
   C12N 15/10 20060101ALN20241219BHJP
   C12N 15/57 20060101ALN20241219BHJP
   C12N 15/56 20060101ALN20241219BHJP
   C12N 1/21 20060101ALN20241219BHJP
   C11D 10/02 20060101ALN20241219BHJP
【FI】
C12N9/28
C12N9/56
C11D3/386
C12N15/10 200Z
C12N15/57 ZNA
C12N15/56
C12N1/21
C11D10/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024534179
(86)(22)【出願日】2022-12-14
(85)【翻訳文提出日】2024-06-07
(86)【国際出願番号】 US2022081481
(87)【国際公開番号】W WO2023114792
(87)【国際公開日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】63/290,099
(32)【優先日】2021-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100209495
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 さおり
(72)【発明者】
【氏名】ベル-ルージーヴィチ、カタルジナ・ドロタ
(72)【発明者】
【氏名】ジャクソン、ミシェル
(72)【発明者】
【氏名】モラレス・ガルシア、アナ・エル
(72)【発明者】
【氏名】ブハティ、マナシ
(72)【発明者】
【氏名】チャン、アマンダ
(72)【発明者】
【氏名】チャン、ホン・キット
(72)【発明者】
【氏名】ラッシラ、ジョナサン
(72)【発明者】
【氏名】リーフラング、クリス
(72)【発明者】
【氏名】レイマー、サンドラ・ダブリュー
(72)【発明者】
【氏名】トラン、パトリシア
【テーマコード(参考)】
4B065
4H003
【Fターム(参考)】
4B065AA15X
4B065AA15Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA01
4B065CA32
4B065CA57
4H003DA19
4H003EC01
4H003EC02
4H003EC03
4H003EE01
(57)【要約】
本発明は、界面活性剤及びアミラーゼを含むホームケア組成物に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
界面活性剤及びアミラーゼを含むホームケア組成物であって、前記アミラーゼは、親α-アミラーゼの組換え非天然変異体であり、前記変異体α-アミラーゼは、配列番号5と少なくとも80%の同一性を有し、配列番号5に関して51位及び/又は125位にアミノ酸置換を有する、ホームケア組成物。
【請求項2】
前記アミラーゼが、配列番号5に関してアミノ酸置換T51V及びS125Rを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記アミラーゼが、配列番号5に関して172位、227位及び/又は231位にアミノ酸置換を含む、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記アミラーゼが、配列番号5に関してアミノ酸置換N172Q、N227R及び/又はF231Lを含む、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記アミラーゼが、アミノ酸置換:
配列番号5に関して
(a)T51V+S125R+F231L;
(b)T51V+S125R+N172Q+N227R;又は
(c)N29Q+T51V+S125R+N227R+S253L+G272E+K319R+S418A、
を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
アミノ酸置換X39E、X99R、X126A、X127E及びX128Gを有するBacillus gibsonii由来の変異体スブチリシンプロテアーゼを更に含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記組成物は自動食器洗浄組成物である、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物が漂白系を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物が、1,4,7-トリメチル-1,4,7-トリアザシクロノナン(Me-TACN)、1,2、4,7-テトラメチル-1,4,7-トリアザシクロノナン(Me/Me-TACN)及びこれらの混合物から成る群から選択されるマンガン漂白触媒を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記組成物が、アシルトランスフェラーゼ、アミラーゼ、α-アミラーゼ、β-アミラーゼ、α-ガラクトシダーゼ、アラビナーゼ、アラビノシダーゼ、アリールエステラーゼ、β-ガラクトシダーゼ、β-グルカナーゼ、カラギナーゼ、カタラーゼ、セルラーゼ、コンドロイチナーゼ、クチナーゼ、ジスペルシン(dispersin)、エンドグルカナーゼ、エンド-β-マンナナーゼ、エキソ-β-マンナナーゼ、エステラーゼ、エキソ-マンナナーゼ、ガラクタナーゼ、グルコアミラーゼ、ヘミセルラーゼ、ヘキソサミニダーゼ、ヒアルロニダーゼ、ケラチナーゼ、ラッカーゼ、ラクターゼ、リグニナーゼ、リパーゼ、脂肪分解酵素、リポキシゲナーゼ、リゾチーム、マンナナーゼ、メタロプロテアーゼ、ヌクレアーゼ、オキシダーゼ、オキシドレダクターゼ、ペクチン酸リアーゼ、ペクチンアセチルエステラーゼ、ペクチナーゼ、ペントサナーゼ(pentosanases)、ペルヒドロラーゼ、ペルオキシダーゼ、PETases、フェノールオキシダーゼ、ホスファターゼ、ホスホリパーゼ、フィターゼ、ポリエステラーゼ、ポリガラクツロナーゼ、追加のプロテアーゼ、プルラナーゼ、レダクターゼ、ラムノガラクツロナーゼ(rhamnogalacturonases)、タンナーゼ、トランスグルタミナーゼ、キシランアセチルエステラーゼ、キシラナーゼ、及びキシロシダーゼ;並びにそれらの組合せから選択される1以上の他の酵素を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記1以上の酵素がプロテアーゼを含み、前記プロテアーゼが、S039E、S099R、S126A、D127E、及びF128Gから成る群から選択される3個、4個、又は5個のアミノ酸置換を含むスブチリシン変異体であり、N74D、T114L、M122L、N198A、N198G、M211E、M211Q、N212Q、及びN242Dから成る群から選択される1以上の追加の置換を更に含み、前記変異体が、配列番号6のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有する、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記1以上の酵素がプロテアーゼを含み、前記プロテアーゼが
(i)S039E、N74D、S099R、M211E、N242Dから成る群から選択される2以上のアミノ酸置換;及び
(ii)T114L、M122L、S126A、F128G、N198A、N198G、M211Q、N212Qから成る群から選択される1以上の追加の置換を含むスブチリシン変異体であり、
前記変異体は、配列番号6又は7のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有する、請求項10に記載の組成物。
【請求項13】
前記1以上の酵素がプロテアーゼを含み、前記プロテアーゼが、
(a)配列番号6の配列に対して少なくとも80%の配列同一性を有し、A37T、S39E、I43V、A47V、P54T、T56Y、I80V、N85S、E87D、S99R、T114Q、M122L、S126A、D127E、F128G、N198A、M211Q、N212Q及びN242Dから選択される3以上の置換を含むプロテアーゼであって、ナンバリングは配列番号6による、プロテアーゼ;
(b)配列番号8の配列に対して少なくとも80%の配列同一性を有し、Q12L、I21V、I43V、M122L、D127P、N154S、T156A、G160S、N177V、M211N、M211S、M211L、P212D、P212H、A222S、V228I及びT247Nから選択される1以上の置換を含むプロテアーゼであって、ナンバリングは配列番号8による、プロテアーゼ;及び
(c)配列番号9の配列に対して少なくとも80%の配列同一性を有し、S9R、A15T、G59E、V66A、H118N、A188P、V199I、Q200E、N212D、Q239R、N255Dから選択される3以上の置換を含むプロテアーゼであって、ナンバリングは配列番号9におる、プロテアーゼ、から成る群から選択される、請求項10に記載の組成物
【請求項14】
洗浄を必要とする表面又は物品を、有効量の請求項1~13のいずれか一項に記載の組成物と接触させる工程を含み、任意に、前記表面又は物品を前記変異体又は酵素組成物と接触させた後に前記表面又は物品をすすぐ工程を更に含む、洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホームケア組成物の分野に属する。特に、本発明は、自動食器洗浄洗剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
デンプンは、アミロース(15~30%w/w)及びアミロペクチン(70~85%w/w)の混合物から成る。アミロースは、約60000~約800000の分子量(MW)を有するα-1,4-結合グルコース単位の直鎖から成る。アミロペクチンは、24~30グルコース単位ごとにα-1,6-分枝点を含有する分岐ポリマーであり、そのMWは、1億もの高さであってもよい。
【0003】
α-アミラーゼは、内部のα-1,4-グルコシド結合をランダムに切断することによって、デンプン、グリコーゲン、及び関連する多糖類を加水分解する。α-アミラーゼ、特にバチルス(Bacilli)由来のα-アミラーゼは、デンプン液化及び糖化、紙及びパルプ産業におけるデンプンの改質、醸造、ベーキング、食品産業用のシロップの製造、発酵プロセス用の供給原料の製造、並びに消化性を増加させるための動物飼料を含む、様々な異なる目的のために使用されてきた。これらの酵素はまた、食器洗浄中にデンプン質の汚れ(soils)及び汚れ(stains)を除去するために使用することができる。
【0004】
α-アミラーゼによるデンプンの加水分解によって生成される生成物は、隣接するグルコース分子の数に関して変化する。ほとんどの市販のα-アミラーゼは、グルコース(G1)からマルトヘプタオース(G7)までの一連の生成物を生成する。完全に明確ではない理由から、かなりの量のマルトペンタオース及びマルトヘキサオースを生成するα-アミラーゼは、洗剤洗浄組成物への組み込みを含む特定の商業的用途に特に有用であると思われる。多くの刊行物には、マルトペンタオース/マルトヘキサオース生成α-アミラーゼなどにおける変異が記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
それにも関わらず、より強固でより良好に機能する遺伝子操作されたα-アミラーゼ分子に対する必要性が存在し続けている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、界面活性剤及びアミラーゼを含むホームケア組成物であって、アミラーゼが親α-アミラーゼの組換え非天然変異体であり、変異α-アミラーゼは配列番号5と少なくとも80%の同一性、好ましくは少なくとも85%の同一性、好ましくは少なくとも86%の同一性、好ましくは少なくとも87%の同一性、好ましくは少なくとも88%の同一性、好ましくは少なくとも89%の同一性、好ましくは少なくとも90%の同一性、好ましくは少なくとも95%の同一性、好ましくは少なくとも96%の同一性、好ましくは少なくとも97%、好ましくは少なくとも98%の同一性、好ましくは少なくとも99%の同一性を有し、配列番号5に関して51位及び/又は125位にアミノ酸置換を有する、ホームケア組成物に関する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1-1】4個のα-アミラーゼのアラインメントを示す図である。
図1-2】4個のα-アミラーゼのアラインメントを示す図である。
図2】α-アミラーゼAA2560におけるアミノ酸51及び125の位置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
ホームケア組成物
本発明は、ホームケア組成物を包含する。
【0009】
ホームケア組成物とは典型的には、消費者用及び施設用組成物を意味し、食器洗浄、及び硬質表面洗浄組成物、他の洗浄剤、及び無生物表面のケア及び洗浄のための洗浄システム全て、並びにエアケア組成物が含まれるがこれらに限定されない。
【0010】
組成物は、ホームケア組成物である。ホームケア組成物とは典型的には、消費者用及び施設用組成物を意味し、食器洗浄、及び硬質表面洗浄組成物、他の洗浄剤、及び無生物表面のケア及び洗浄のための洗浄システム全て、並びに家庭のケア及びメンテナンス用に特に設計された他の組成物が含まれるが、これらに限定されない。
【0011】
特に、組成物は、自動食器洗浄組成物である。組成物は、アミラーゼを含む。
【0012】
組成物は典型的には、洗浄組成物である。洗浄組成物及び洗浄配合物には、任意の物体、物品、及び/又は表面を洗浄、漂白、消毒、及び/又は滅菌するのに適した任意の組成物が含まれる。このような組成物及び配合物としては、例えば、洗浄又は洗剤組成物(例えば、液体、錠剤、ゲル、バー、顆粒、及び/又は固体洗浄又は洗剤組成物;ガラス、木材、セラミック及び金属の調理台及び窓用などの硬質表面洗浄組成物及び配合物;カーペットクリーナー;オーブンクリーナー;手洗い(hand)又は手動(manual)食器洗浄組成物を含む食器洗浄組成物(例えば、「手洗い」又は「手動」食器洗浄洗剤)及び自動食器洗浄組成物(例えば、「自動食器洗浄洗剤」))を含む液体及び/又は固体組成物が挙げられるが、これらに限定されない。単一用量単位形態もまた、本発明での用途が見出され、これには、丸剤、錠剤、ゲルキャップ、又は予め測定された粉末若しくは液体などの他の単一用量単位が挙げられるが、これらに限定されない。
【0013】
洗浄組成物又は洗浄配合物には、本明細書で使用される場合、別段の記載がない限り、顆粒状又は粉末状の汎用洗浄剤又は強力洗浄剤、特に洗浄洗剤;液体、顆粒、ゲル、固体、錠剤、ペースト、又は単位剤形の汎用洗浄剤、特にいわゆる強力液体(HDL)洗剤又は強力乾燥(HDD)洗剤タイプ;高発泡タイプのものを含む、手洗い用又は手動食器洗浄剤;家庭用及び施設用の様々な錠剤、粉末、固体、顆粒、液体、ゲル、及びすすぎ助剤タイプを含む、手洗い若しくは手動食器洗浄、自動食器洗浄、又は食卓用皿類(dishware)若しくは食卓用食器(tableware)洗浄剤;抗菌手洗いタイプ、クリーニングバー、洗口剤、義歯洗浄剤、カーシャンプー又はカーペットシャンプー、浴室用洗剤を含む、液体の洗浄及び除菌剤;ヒト及び他の動物用のヘアシャンプー及び/又はヘアリンス;シャワージェル及びフォームバス、並びに金属洗浄剤;並びに、漂白用補助剤及び「しみ抜きスティック」又は前処理タイプ等の洗浄補助剤が含まれる。いくつかの実施形態では、顆粒組成物は「コンパクト」形態であり;いくつかの実施形態では、液体組成物は「濃縮」形態である。
【0014】
「洗剤組成物」又は「洗剤配合物」という用語は、汚れた(soiled)又は汚い(dirty)対象を洗浄するために洗浄媒体中で使用することを意図する組成物に関連して使用される。いくつかの実施形態では、本開示の洗剤は、本明細書に記載の1以上のアミラーゼ、加えて、1以上の界面活性剤、トランスフェラーゼ、加水分解酵素、オキシドレダクターゼ、ビルダー(例えば、ビルダー塩)、漂白剤、漂白活性化剤、青味剤、蛍光染料、ケーキング阻害剤、マスキング剤、酵素安定剤、カルシウム、酵素活性化剤、抗酸化剤、及び/又は可溶化剤を含む。いくつかの例では、ビルダー塩は、ケイ酸塩とリン酸塩との混合物であり、好ましくは、リン酸塩(例えば、トリポリリン酸ナトリウム)よりもケイ酸塩(例えば、メタケイ酸ナトリウム)が多い。いくつかの実施形態は、いかなるリン酸塩(例えば、リン酸塩又はリン酸塩ビルダー)も含有しない洗浄組成物又は洗剤組成物に関する。
【0015】
「補助材料」という用語は、本明細書に記載のアミラーゼ、又はその組換えポリペプチド若しくは活性断片以外の、洗浄組成物に含まれる任意の液体、固体、又は気体材料を指す。いくつかの実施形態では、本開示の洗浄組成物は、1以上の洗浄補助材料を含む。各洗浄補助材料は典型的には、洗浄組成物の特定のタイプ及び形態(例えば、液体、顆粒、粉末、バー、ペースト、スプレー、錠剤、ゲル、フォーム、又は他の組成物)に応じて選択される。好ましくは、各洗浄補助材料は、組成物に使用されるアミラーゼ酵素と適合性である。
【0016】
「ホウ素を実質的に含まない組成物」又は「ホウ素を実質的に含まない洗剤」という語句はそれぞれ、おそらく他の組成物又は洗剤成分由来の、微量のホウ素、例えば、約1000ppm未満(1mg/kg又はリットル=1ppm)、約100ppm未満、約50ppm未満、約10ppm未満、又は約5ppm未満、又は約1ppm未満のホウ素を含有する組成物又は洗剤を指す。
【0017】
「漂白」という用語は、材料の増白(すなわち、白化)及び/又は洗浄をもたらすのに十分な長さの時間及び/又は適切なpH及び/又は温度条件下での材料又は表面の処理を指す。漂白に適した化学物質の例としては、例えば、ClO、H、過酸、NOなどが挙げられるが、これらに限定されない。漂白剤には、ペルヒドロラーゼ及びアリールエステラーゼなどの酵素漂白剤も含まれる。別の実施形態は、本明細書に記載の1以上のアミラーゼ及び、例えば国際公開第2005/056782号、国際公開第2007/106293号、国際公開第2008/063400号、国際公開第2008/106214号及び国際公開第2008/106215号に記載されている1以上のペルヒドロラーゼを含む組成物に関する。
【0018】
プロテアーゼ(例えば、本明細書に記載の1以上のアミラーゼ、又はその組換えポリペプチド若しくは活性断片)の「洗浄性能」という用語は、本明細書に記載の1以上のアミラーゼを組成物に添加していない洗剤と比較して、洗剤に追加の洗浄性能を提供する、本明細書に記載の1以上のアミラーゼの洗浄への寄与を指す。洗浄性能を適切な洗浄条件下で比較する。いくつかの試験系では、洗剤組成物、泡濃度、水硬度、洗浄機構、時間、pH、及び/又は温度などの他の関連因子は、特定の市場セグメント(例えば、手洗い又は手動食器洗浄、自動食器洗浄、食卓用皿類洗浄、食卓用食器洗浄など)における家庭用途に典型的な条件(複数可)を模倣するように制御することができる。
【0019】
「関連する洗浄条件」という語句は、手洗い食器洗浄、自動食器洗浄洗剤市場セグメントにおいて家庭で実際に使用される条件、特に、洗浄温度、時間、洗浄機、泡濃度、洗剤の種類、及び水硬度を示すために本明細書で使用される。
【0020】
「食器洗浄」という用語は、家庭用及び工業用食器洗浄の両方を指し、自動食器洗浄(例えば、食器洗浄機における)及び手動食器洗浄(例えば、手洗い)の両方に関する。
【0021】
「消毒する」という用語は、表面からの汚染物質の除去、並びに物品の表面上の微生物の阻害又は死滅を指す。
【0022】
本明細書の洗浄組成物の「コンパクト」形態という用語は、密度によって、及び組成に関しては、無機充填剤塩の量によって最もよく反映される。無機充填剤塩は、粉末形態の洗剤組成物の従来の成分である。従来の洗剤組成物において、充填剤塩は、かなりの量で、典型的には全組成物の約17~約35重量%で存在する。対照的に、コンパクト組成物では、充填剤塩は、全組成物の約15%を超えない量で存在する。いくつかの実施形態では、充填剤塩は、組成物の約10重量%、又はより好ましくは約5重量%を超えない量で存在する。いくつかの実施形態では、無機充填剤塩は、硫酸塩及び塩化物のアルカリ及びアルカリ土類金属塩から選択される。いくつかの実施形態では、充填剤塩は硫酸ナトリウムである。
【0023】
アミラーゼ
典型的には、本発明の組成物及び方法は、変異体マルトペンタオース/マルトヘキサオース形成アミラーゼポリペプチド、及びその使用方法に関する。本発明の組成物及び方法の態様及び実施形態を、以下の別々に番号付けされた段落に要約する。
【0024】
親α-アミラーゼの組換え非天然変異体であって、変異体α-アミラーゼが、配列番号5と少なくとも80%の同一性、好ましくは少なくとも85%の同一性、好ましくは少なくとも86%の同一性、好ましくは少なくとも87%の同一性、好ましくは少なくとも88%の同一性、好ましくは少なくとも89%の同一性、好ましくは少なくとも90%の同一性、好ましくは少なくとも95%の同一性、好ましくは少なくとも96%の同一性、好ましくは少なくとも97%の同一性、好ましくは少なくとも98%の同一性、又は好ましくは少なくとも99%の同一性を有し、配列番号5に関して51位及び/又は125位にアミノ酸置換を有する、変異体が提供される。
【0025】
変異体α-アミラーゼは、配列番号5に関して51位及び125位にアミノ酸置換を有してもよい。
【0026】
変異体α-アミラーゼは、配列番号5に関してアミノ酸置換T51V及び/又はS125Rを有してもよい。
【0027】
変異体α-アミラーゼは、配列番号5に関してアミノ酸置換T51V及びS125Rを有してもよい。
【0028】
変異体α-アミラーゼは、配列番号5に関して172、227及び/又は231位に1以上、又は2以上のアミノ酸置換を更に含んでもよい。
【0029】
変異体α-アミラーゼは、配列番号5に関して172、227及び231位にアミノ酸置換を更に含んでもよい。
【0030】
変異体α-アミラーゼは、配列番号5に関して、アミノ酸置換N172Q、N227R及び/又はF231Lのうちの1以上、又は2以上を更に含んでもよい。
【0031】
変異体α-アミラーゼは、配列番号5に関してアミノ酸置換N172Q、N227R及びF231Lを更に含んでもよい。
【0032】
変異体α-アミラーゼは、配列番号5に関して、アミノ酸置換
(a)T51V+S125R+F231L;
(b)T51V+S125R+N172Q+N227R;又は
(c)N29Q+T51V+S125R+N227R+S253L+G272E+K319R+S418A、
を有してもよい。
【0033】
変異体マルトペンタオース/マルトヘキサオース形成アミラーゼ酵素に関する組成物及び方法を記載する。変異体は、添付の実施例に詳述される様々な実験アプローチによって発見された。変異体アミラーゼ酵素の例示的な用途は、食器洗浄及び他の用途におけるデンプン質の汚れの洗浄、デンプンの液化及び糖化、動物飼料における消化性の改善、並びにベーキング及び醸造のためである。組成物及び方法のこれら及び他の態様を、以下に詳述する。
【0034】
「α-アミラーゼ」又は「デンプン分解酵素」又は一般にアミラーゼという用語は、とりわけ、デンプンの分解を触媒することができる酵素を指す。α-アミラーゼは、デンプン中のα-D-(1→4)0-グリコシド結合を切断するヒドロラーゼである。一般に、α-アミラーゼ(EC 3.2.1.1;α-D-(1→4)-グルカングルカノヒドロラーゼ)は、デンプン分子内のα-D-(1→4)O-グリコシド結合をランダムに切断して、3以上の(1-4)-α-結合D-グルコース単位を含有する多糖を生成するエンド作用酵素として定義される。対照的に、エキソ作用デンプン分解酵素、例えばβ-アミラーゼ(EC 3.2.1.2;α-D-(1→4)-グルカンマルトヒドロラーゼ)及びマルトース産生α-アミラーゼ(EC 3.2.1.133)のようないくつかの生成物特異的α-アミラーゼは、基質の非還元末端から多糖分子を切断する。β-アミラーゼ、α-グルコシダーゼ(EC 3.2.1.20;α-D-グルコシドグルコヒドロラーゼ)、グルコアミラーゼ(EC 3.2.1.3;α-D-(1→4)-グルカングルコヒドロラーゼ)、並びにマルトテトラオシダーゼ(EC 3.2.1.60)及びマルトヘキサオシダーゼ(EC 3.2.1.98)などの生成物特異的アミラーゼは、特定長のマルトオリゴ糖又は特定のマルトオリゴ糖の濃縮シロップを生成することができる。いくつかの細菌性α-アミラーゼは主に、デンプン及び関連するα-1,4-グルカンからマルトテトラオース(G4)、マルトペンタオース(G5)又はマルトヘキサオース(G6)を生成し、一方大部分のα-アミラーゼは更に、それらを最終生成物としてグルコース及び/又はマルトースに変換する。バチルス種DSM12649(すなわち、STAINZYME(商標)の親)由来のAA560アミラーゼ及びバチルス属707アミラーゼ(マルトヘキサオース形成α-アミラーゼ(EC 3.2.1.98)とも呼ばれる)などのG6アミラーゼは、技術的にはエキソ作用するが、α-アミラーゼと比較して類似の構造を有し、場合によっては同じ有益な変異のいくつかに応答するようである。
【0035】
本明細書における「酵素単位」とは、アッセイの特定条件下で時間当たりに形成される生成物の量を指す。例えば、「グルコアミラーゼ活性単位」(GAU)は、60℃、pH4.2で可溶性デンプン基質(4%DS)から1時間あたり1gのグルコースを生成する酵素の量として定義される。「可溶性デンプン単位」(SSU)は、pH4.5、50℃で可溶性デンプン基質(4%DS)から1分当たり1mgのグルコースを生成する酵素の量である。DSとは「乾燥固体」を指す。
【0036】
用語「デンプン」とは、式(C10を有し、式中Xは任意の整数であることができる、アミロース及びアミロペクチンから構成される、植物の複合多糖炭水化物から構成される任意の材料を指す。この用語は、穀物(grains)、穀類(cereal)、草、塊茎及び根などの植物性材料、より具体的には、コムギ、オオムギ、トウモロコシ、ライムギ、イネ、モロコシ、ぬか、キャッサバ、キビ、ミロ、ジャガイモ、サツマイモ、及びタピオカから得られる材料を含む。「デンプン」という用語には、顆粒デンプンが含まれる。「顆粒デンプン」という用語は、生のすなわち未調理のデンプン、例えばゼラチン化されていないデンプンを指す。
【0037】
本明細書で使用される場合、「液化」又は「液化する」という用語は、デンプンをより粘性が低く、より短鎖のデキストリンに変換するプロセスを意味する。
【0038】
ポリペプチドに関する「野生型」、「親」、又は「参照」という用語は、1以上のアミノ酸位置に人工的な置換、挿入、又は欠失を含まない天然に存在するポリペプチドを指す。同様に、ポリヌクレオチドに関する「野生型」、「親」、又は「参照」という用語は、人工ヌクレオシド変化を含まない天然に存在するポリヌクレオチドを指す。しかしながら、野生型、親、又は参照ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、天然に存在するポリヌクレオチドに限定されず、野生型、親、又は参照ポリペプチドをコードする任意のポリヌクレオチドを包含することに留意されたい。
【0039】
野生型ポリペプチドへの言及は、ポリペプチドの成熟形態を含むと理解される。「成熟」ポリペプチド又はその変異体は、シグナル配列が存在しないもの、例えば、ポリペプチドの発現中又は発現後にポリペプチドの未成熟形態から切断されるものである。
【0040】
ポリペプチドに関する「変異体」という用語は、アミノ酸の1以上の天然又は人工の置換、挿入、又は欠失を含むという点で、特定の野生型、親、又は参照ポリペプチドとは異なるポリペプチドを指す。同様に、ポリヌクレオチドに関する「変異体」という用語は、特定の野生型、親、又は参照ポリヌクレオチドとヌクレオチド配列が異なるポリヌクレオチドを指す。野生型、親又は参照ポリペプチド又はポリヌクレオチドの同一性は、文脈から明らかだろう。
【0041】
本発明のα-アミラーゼの場合、「活性」とは、本明細書に記載されるように測定することができるα-アミラーゼ活性を指す。
【0042】
「性能上の利益」という用語は、分子の望ましい特性の改善を指す。例示的な機能上の利点としては、デンプン基質の加水分解の増加、穀物、穀類又は他のデンプン基質の液化性能の増加、洗浄機能の増加、熱安定性の増加、洗剤安定性の増加、貯蔵安定性の増加、溶解性の増加、pHプロファイルの変化、カルシウム依存性の減少、比活性度の増加、基質特異性の変更、基質結合の変更、pH依存性活性の変更、pH依存性安定性の変更、酸化安定性の増加、及び発現の増加が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの場合では、性能上の利点は比較的低い温度で実現される。いくつかの場合では、性能上の利点は比較的高い温度で実現される。
【0043】
「プロテアーゼ」及び「プロテイナーゼ」という用語は、タンパク質を形成するペプチド又はポリペプチド鎖中のアミノ酸を互いに連結するペプチド結合の加水分解を指す「タンパク質分解」又は「タンパク質切断」を行う能力を有する酵素タンパク質を指す。タンパク質消化酵素としてのプロテアーゼのこの活性は、「タンパク質分解活性」と呼ばれる。
【0044】
「セリンプロテアーゼ」という用語は、タンパク質中のペプチド結合を切断する酵素を指し、この酵素ではセリンは酵素活性部位で求核性アミノ酸として働く。セリンプロテアーゼは、その構造に基づいて:キモトリプシン様(トリプシン様)又はスブチリシン様の2つの広いカテゴリーに分類される。食器洗浄用洗剤に最も一般的に使用されているのは、セリンプロテアーゼ、特にスブチリシンである。
【0045】
「コンビナトリアル変異体」は、2以上の突然変異、例えば2、3、4、5、6、7、8、9、10、又はそれ以上の置換、欠失、及び/又は挿入を含む変異体である。
【0046】
「組換え」という用語は、対象の細胞、核酸、タンパク質又はベクターに関して使用される場合、対象が天然の状態から改変されていることを示す。したがって、例えば、組換え細胞は、ネイティブ(非組換え)形態の細胞内に見られない遺伝子を発現するか、又は天然に見られるのとは異なるレベルで、又は異なる条件下でネイティブ遺伝子を発現する。組換え核酸は、1つ以上のヌクレオチドによってネイティブ配列とは異なり、及び/又は異種配列に、例えば、発現ベクター中の異種プロモータに操作可能に連結されている。組換えタンパク質は、1以上のアミノ酸によって天然配列とは異なり得、及び/又は異種配列と融合し得る。アミラーゼをコードする核酸を含むベクターは、組換えベクターである。
【0047】
「回収された」、「単離された」、及び「分離された」という用語は、天然に見られるように本来関連している少なくとも1つの他の材料又は成分から除去された化合物、タンパク質(ポリペプチド)、細胞、核酸、アミノ酸、又は他の特定の材料若しくは成分を指す。その「単離された」ポリペプチドとしては、異種宿主細胞において発現された分泌ポリペプチドを含む培養液が挙げられるが、これに限定されない。
【0048】
「精製された」という用語は、比較的純粋な状態、例えば少なくとも約90%純粋、少なくとも約95%純粋、少なくとも約98%純粋、又は更に少なくとも約99%純粋である物質(例えば、単離されたポリペプチド又はポリヌクレオチド)を指す。
【0049】
「濃縮された」という用語は、約50%純粋、少なくとも約60%純粋、少なくとも約70%純粋、又は更に少なくとも約70%純粋である材料(例えば、単離されたポリペプチド又はポリヌクレオチド)を指す。
【0050】
酵素に関する「熱安定性の(thermostable)」及び「熱安定性(thermostability)」という用語は、酵素が高温に曝露した後に活性を保持する能力を指す。アミラーゼ酵素などの酵素の熱安定性は、その間に規定の条件下で酵素活性の半分が失われる分数、時間数、又は日数で与えられる半減期(t1/2)によって測定される。半減期は、高温に曝露(exposure)(すなわち、それによる曝露)した後の残留α-アミラーゼ活性を測定することによって計算してもよい。
【0051】
酵素に関して「pH範囲」とは、酵素が触媒活性を示すpH値の範囲を指す。
【0052】
酵素に関する「pH安定性の」及び「pH安定性」という用語は、酵素が、所定の期間(例えば、15分、30分、1時間)広範囲のpH値にわたって活性を保持する能力に関する。
【0053】
「アミノ酸配列」という用語は、「ポリペプチド」、「タンパク質」、及び「ペプチド」という用語と同義であり、互換的に使用される。そのようなアミノ酸配列が活性を示す場合、アミノ酸配列は「酵素」と呼ばれてもよい。アミノ酸残基の従来の1文字又は3文字コードを使用し、アミノ酸配列は、標準的なアミノ-カルボキシ末端配向で示される(すなわち、N→C)。
【0054】
「核酸」という用語は、ポリペプチドをコードすることができるDNA、RNA、ヘテロ二本鎖、及び合成分子を包含する。核酸は、一本鎖又は二本鎖であってもよく、化学修飾を含んでもよい。「核酸」及び「ポリヌクレオチド」という用語は互換的に使用される。遺伝暗号は縮重しているので、特定のアミノ酸をコードするために2以上のコドンを使用してもよく、本発明の組成物及び方法は、特定のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を包含する。別段の定めがない限り、核酸配列は、5’から3’への配向で示される。
【0055】
「合成」分子は、生物によってではなく、インビトロ化学合成又は酵素合成によって生成される。
【0056】
核酸配列を細胞に挿入する文脈における「導入された」という用語は、当技術分野で知られるように、「トランスフェクション」、「形質転換」又は「形質導入」を意味する。
【0057】
「宿主株」又は「宿主細胞」は、目的のポリペプチド(例えば、アミラーゼ)をコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクター、ファージ、ウイルス、又は他のDNA構築物が導入された生物である。例示的な宿主株は、目的のポリペプチドを発現することができ、及び/又は糖類を発酵させることができる微生物細胞(例えば、細菌、糸状菌、及び酵母)である。「宿主細胞」という用語は、細胞から作製されたプロトプラストを含む。
【0058】
ポリヌクレオチド又はタンパク質に関する「異種」という用語は、宿主細胞に天然には存在しないポリヌクレオチド又はタンパク質を指す。
【0059】
ポリヌクレオチド又はタンパク質に関する「内因性」という用語は、宿主細胞に天然に存在するポリヌクレオチド又はタンパク質を指す。
【0060】
「発現」という用語は、核酸配列に基づいてポリペプチドを生成するプロセスを指す。このプロセスには、転写及び翻訳の両方が含まれる。
【0061】
「シグナル配列」は、細胞外へのタンパク質の分泌を促進する、タンパク質のN末端部分に結合したアミノ酸の配列である。細胞外タンパク質の成熟形態は、分泌プロセス中に切断されるシグナル配列を欠く。
【0062】
「生物学的に活性な」とは、特定の生物学的活性、例えば酵素活性を有する配列を指す。
【0063】
「比活性」という用語は、特定の条件下で単位時間当たりに酵素又は酵素調製物によって生成物に変換されることができる基質のモル数を指す。比活性は一般に、単位(U)/mgタンパク質として表される。
【0064】
本明細書で使用される場合、「水硬度」は、水中に存在する鉱物(例えば、カルシウム及びマグネシウム)の尺度である。
【0065】
「アミラーゼを含む培養細胞材料」又は類似の用語は、成分としてアミラーゼを含む細胞溶解物又は上清(培地を含む)を指す。細胞材料は、アミラーゼを産生するために培養物中で増殖させた異種宿主由来であってもよい。
【0066】
「パーセント配列同一性」とは、デフォルトパラメータを有するCLUSTAL Wアルゴリズムなどのソフトウェアプログラムを使用して整列させた場合に、特定の配列が、指定された参照配列中のアミノ酸残基と同一のものを少なくとも特定の割合で有することを意味する。Thompson et al.(1994)Nucleic Acids Res.22:4673-4680を参照する。CLUSTAL Wアルゴリズムのデフォルトパラメータは以下の通りである。
【0067】
【表1】
【0068】
欠失は、参照配列と比較して同一でない残基としてカウントされる。
【0069】
「乾燥固形分」(ds)という用語は、乾燥重量パーセント基準でのスラリーの全固形分を指す。「スラリー」という用語は、不溶性固体を含有する水性混合物を指す。
【0070】
「同時糖化発酵(SSF)」という語句は、エタノール産生微生物などの微生物、及びアミラーゼなどの少なくとも1つの酵素が同じプロセス工程中に存在する、生化学物質の製造プロセスを指す。SSFは、デンプン基質(顆粒状、液化、又は可溶化)のグルコースを含む糖類への同時加水分解、及び同じ反応容器内での糖類のアルコール又は他の生化学物質若しくは生体材料への発酵を含む。
【0071】
「エタノール産生微生物」は、糖又はオリゴ糖をエタノールに変換する能力を有する微生物を指す。
【0072】
「発酵飲料」という用語は、微生物発酵、例えば細菌及び/又は真菌発酵などの発酵プロセスを含む方法によって製造される任意の飲料を指す。
【0073】
「麦芽」という用語は、大麦麦芽又は小麦麦芽などの任意の麦芽穀物を指す。
【0074】
「マッシュ」という用語は、例えば破砕大麦麦芽、破砕大麦、及び/又は他の補助剤又はそれらの組合せを含み、後に水と混合されて麦汁及び使用済み穀物に分離される、製粉用の穀物などの任意のデンプン及び/又は糖含有植物性材料の水性スラリーを指す。
【0075】
「麦汁」という用語は、マッシュ中に製粉用の穀物を抽出した後に流出する未発酵液体を指す。
【0076】
「約」という用語は、参照値の±15%を指す。
【0077】
2.マルトペンタオース/マルトヘキサオース形成α-アミラーゼ変異体
自動食器洗浄(ADW)用途において高度の性能を示すマルトペンタオース/マルトヘキサオース形成α-アミラーゼのコンビナトリアル変異体を記載する。変異体は、本明細書ではAA2560と呼ばれ、国際公開第2018/184004号でBspAmy24(配列番号1)と以前に同定されているバチルス種由来のα-アミラーゼに最も密接に関連している。AA2560α-アミラーゼの成熟アミノ酸配列を、配列番号1として以下に示す。
HHNGTNGTMM QYFEWHLPND GQHWNRLRND AANLKNLGIT AVWIPPAWKG TSQNDVGYGA YDLYDLGEFN QKGTIRTKYG TRSQLQSAIA SLQNNGIQVY GDVVMNHKGG ADGTEWVQAV EVNPSNRNQE VTGEYTIEAW TKFDFPGRGN THSSFKWRWY HFDGTDWDQS RQLNNRIYKF RGTGKAWDWE VDTENGNYDY LMYADVDMDH PEVINELRRW GVWYTNTLNL DGFRIDAVKH IKYSFTRDWL NHVRSTTGKN NMFAVAEFWK NDLGAIENYL HKTNWNHSVF DVPLHYNLYN ASKSGGNYDM RQILNGTVVS KHPIHAVTFV DNHDSQPAEA LESFVEAWFK PLAYALILTR EQGYPSVFYG DYYGIPTHGV AAMKGKIDPI LEARQKYAYG TQHDYLDHHN IIGWTREGNS AHPNSGLATI MSDGPGGSKW MYVGRHKAGQ VWRDITGNRT GTVTINADGW GNFSVNGGSV SIWVNK
【0078】
密接に関連するマルトペンタオース/マルトヘキサオース形成α-アミラーゼは、本明細書で「AA707」と呼ばれるBacillus種707由来のものである。AA707α-の成熟アミノ酸配列を、配列番号2として以下に示す。
HHNGTNGTMM QYFEWYLPND GNHWNRLNSD ASNLKSKGIT AVWIPPAWKG ASQNDVGYGA YDLYDLGEFN QKGTVRTKYG TRSQLQAAVT SLKNNGIQVY GDVVMNHKGG ADATEMVRAV EVNPNNRNQE VTGEYTIEAW TRFDFPGRGN THSSFKWRWY HFDGVDWDQS RRLNNRIYKF RGHGKAWDWE VDTENGNYDY LMYADIDMDH PEVVNELRNW GVWYTNTLGL DGFRIDAVKH IKYSFTRDWI NHVRSATGKN MFAVAEFWKN DLGAIENYLQ KTNWNHSVFD VPLHYNLYNA SKSGGNYDMR NIFNGTVVQR HPSHAVTFVD NHDSQPEEAL ESFVEEWFKP LAYALTLTRE QGYPSVFYGD YYGIPTHGVP AMRSKIDPIL EARQKYAYGK QNDYLDHHNI IGWTREGNTA HPNSGLATIM SDGAGGSKWM FVGRNKAGQV WSDITGNRTG TVTINADGWG NFSVNGGSVS IWVNK
【0079】
別の密接に関連するマルトペンタオース/マルトヘキサオース形成α-アミラーゼは、Bacillussp.由来のものであり、AA560と称される。AA560の成熟アミノ酸配列を、配列番号3として以下に示す。
HHNGTNGTMM QYFEWYLPND GNHWNRLRSD ASNLKDKGIS AVWIPPAWKG ASQNDVGYGA YDLYDLGEFN QKGTIRTKYG TRNQLQAAVN ALKSNGIQVY GDVVMNHKGG ADATEMVRAV EVNPNNRNQE VSGEYTIEAW TKFDFPGRGN THSNFKWRWY HFDGVDWDQS RKLNNRIYKF RGDGKGWDWE VDTENGNYDY LMYADIDMDH PEVVNELRNW GVWYTNTLGL DGFRIDAVKH IKYSFTRDWI NHVRSATGKN MFAVAEFWKN DLGAIENYLN KTNWNHSVFD VPLHYNLYNA SKSGGNYDMR QIFNGTVVQR HPMHAVTFVD NHDSQPEEAL ESFVEEWFKP LAYALTLTRE QGYPSVFYGD YYGIPTHGVP AMKSKIDPIL EARQKYAYGR QNDYLDHHNI IGWTREGNTA HPNSGLATIM SDGAGGNKWM FVGRNKAGQV WTDITGNRAG TVTINADGWG NFSVNGGSVS IWVNK
【0080】
アミノ酸配列同一性に基づいて、別の想定されるマルトペンタオース/マルトヘキサオース形成α-アミラーゼは、別のBacillus sp.由来のものであり、本明細書においてAAI10と称される。AAI10α-アミラーゼの成熟アミノ酸配列を、配列番号4として以下に示す。
HHDGTNGTIM QYFEWNVPND GQHWNRLHNN AQNLKNAGIT AIWIPPAWKG TSQNDVGYGA YDLYDLGEFN QKGTVRTKYG TKAELERAIR SLKANGIQVY GDVVMNHKGG ADFTERVQAV EVNPQNRNQE VSGTYQIEAW TGFNFPGRGN QHSSFKWRWY HFDGTDWDQS RQLANRIYKF RGDGKAWDWE VDTENGNYDY LMYADVDMDH PEVINELNRW GVWYANTLNL DGFRLDAVKH IKFSFMRDWL GHVRGQTGKN LFAVAEYWKN DLGALENYLS KTNWTMSAFD VPLHYNLYQA SNSSGNYDMR NLLNGTLVQR HPSHAVTFVD NHDTQPGEAL ESFVQGWFKP LAYATILTRE QGYPQVFYGD YYGIPSDGVP SYRQQIDPLL KARQQYAYGR QHDYFDHWDV IGWTREGNAS HPNSGLATIM SDGPGGSKWM YVGRQKAGEV WHDMTGNRSG TVTINQDGWG HFFVNGGSVS VWVKR
【0081】
これら4種のα-アミラーゼのアラインメントを図1に示す。アミノ酸配列同一性を表1に要約する。AA707、AA560、及びAAI10は全て、AA2560に対して80%超のアミノ酸を有する。
【0082】
【表2】
【0083】
優れた洗浄性能を示した国際公開第2021/080948号に記載されているAA2560α-アミラーゼの変異体を、配列番号5として以下に示す。
HHNGTNGTMM QYFEWHLPND GQHWNRLRND AANLKNLGIN AVWIPPAWKG TSQNDVGYGA YDLYDLGEFN QKGTIRTKYG TRSQLQSAIA RLQNNGIQVF GDVVMNHKGG ADGTERVQAV EVNPSNRNQE VTGEYTIEAW TKFDFPGRGN THSSFKWRWY HFDGTDWDQS RNLNNRIYKF TGKAWDWEVD TENGNYDYLM YADVDMDHPE VINELRRWGV WYTNTLNLDG FRIDAVKHIK YQFTRDWLNH VRSTTGKNNM FAVAEFWKND LGAIENYLSK TNWNHSVFDV PLHYNLYNAS KSGGNYDMRQ ILNGTVVSKH PIHAVTFVDN HDSQPAEALE SFVEAWFKPL AYALILTREQ GYPSVFYGDY YGIPTHGVAA MKGKIDPILE ARQKYAYGTQ HDYLDHHNII GWTREGNSAH PNSGLATIMS DGPGGSKWMY VGRHKAGQVW RDITGNRTGT VTINADGWGN FSVNGGSVSI WVNK
【0084】
変異体は、番号付け用に野生型AA2560α-アミラーゼ(配列番号1)を使用して、AA2560α-アミラーゼに関して変異T40N、S91R、Y100F、W116R、Q172N、ΔR181、ΔG182、S244Q及びH281Sを有する。
【0085】
前述の変異体AA2560α-アミラーゼを出発点として使用して、更に改善された洗浄性能を示す更なる変異体AA2560α-アミラーゼを設計した。新しい変異体のほとんどは、2つの変異、T51V及びS125Rを含む。これらの位置に変異があると、分子のデンプン結合溝内のヒドロキシル基が喪失する。酵素の構造モデルでは、T51及びS125のヒドロキシル基は、溶媒に露出され、デンプン結合溝内の水素結合に利用可能である(図1)。
【0086】
理論に限定されるものではないが、本発明者らは、T51V及びS125R変異の組合せが一緒になって、もしあればデンプン結合溝内の水素結合のために露出されるだろうヒドロキシル基を除去することによって、活性部位におけるデンプンの非生産的結合様式を低減するのに役立ってもよいと提案する。これらのヒドロキシル基が喪失すると、触媒作用のための求核剤及び一般的な酸/塩基側鎖に関して分子の最適な配置と適合しない立体配座でのデンプンの結合を防止してもよい。この理論に基づいて、これらの位置のヒドロキシル基を除去する他の置換は、同様の洗浄上の利点を提供する可能性があり、したがって、置換はより一般的に、T51X及びS125Xとして記載することができ、XはS又はTではない。
【0087】
本発明の変異体の別の特徴は、91位の変異及び/又はα-アミラーゼTIMバレル構造の底部(底)における少なくとも1つの変異に続く。バレル底部残基は、ゼロより大きい溶媒アクセス可能表面積を有し、活性部位とは反対側のバレルの側面で、及び各鎖のN末端を含有する側面で、コアβバレル構造内にあるか、又はそれに隣接している。関連残基は、配列番号1の番号を参照して、6、7、40、96、98、100、229、230、231、262、263、285、286、287、288、322、323、324、325、362、363、及び364位にある。全ての場合では、残基は、TIMバレル構造の底に沿って並び、この残基は、α-アミラーゼ及び他の多くの酵素の主要な構造的特徴を表す。残基91における例示的な変異は、極性残基から電荷残基、具体的にはアルギニンなどの正電荷残基への置換であり(すなわち、X91R)、AA2560の場合は特定の置換S91Rである。
【0088】
変異体は、配列番号1の番号を参照して、表面露出残基167、169、171、172、及び176を含むループ内の変異を更に特徴とし得る。変異体は、116位及び281位における変異を更に特徴とし得、これは溶解性に影響を与えると考えられる。
【0089】
変異体は、配列番号1の番号を参照して、190位及び/又は244位における安定化変異を更に特徴とし得る。そのような変異は、十分に分類されており、洗浄に使用される現在市販のα-アミラーゼに含まれる。これらの残基における例示的な変異は、置換X190P及びX244A、E、又はQ、具体的にはE190P、S244A、S244E、及びS244Qである。275位及び279位の変異もまた、190位の変異と組み合わせて対象となる。
【0090】
変異体は、配列番号1の番号を参照して、1位、7位、118位、195位、202位、206位、321位、245位、及び459位の変異を更に特徴とし得、これらは、現在の市販のα-アミラーゼに含まれるか、又はそのような用途に提案されている。
【0091】
変異体は、番号付けに配列番号1を使用して、R181、G182、T183、及びG184に対応するカルシウム結合ループに隣接するXG/Sモチーフにおいて欠失を更に含む。いくつかの実施形態では、変異α-アミラーゼは、R181及びG182、又はT183及びG184に対応するアミノ酸残基の隣接するペアワイズ欠失を含む。R181及びG182に対応するアミノ酸残基における欠失は、「ΔRG」と称され得、183位の残基に対応するアミノ酸残基(通常はT、D、又はH)及びG184の欠失は、必要に応じて「ΔTG」、「ΔDG」、「ΔHG」などと称され得る。両方のペアワイズ欠失は、α-アミラーゼにおいて同じ効果を生じさせるように思われる。
【0092】
変異体は、(i)例えば、B.lichenifomis(すなわち、BLA及びLAT)、B.stearothermophilus(すなわち、BSG)、及びB.amyloliquifaciens(すなわち、P00692、BACAM、及びBAA)由来の周知であるBacillus α-アミラーゼのうちのいずれか、若しくはそのハイブリッド、(ii)炭水化物活性酵素データベース(CAZy)ファミリー13α-アミラーゼとして分類される任意のα-アミラーゼ、又は(iii)記述用語、「Termamyl様」と従来から呼ばれている任意のアミラーゼと同様の折り畳み及び/又は60%以上のアミノ酸配列同一性を有する他のα-アミラーゼに使用するための、前述の変異を更に含んでもよい。例示的なα-アミラーゼには、Bacillus種SG-1、Bacillus種707由来のもの、並びにA7-7、SP722、DSM9014、及びKSM AP1378と呼ばれるα-アミラーゼが挙げられるが、これらに限定されない。同様に、マルトペンタオース/マルトヘキサオース生成α-アミラーゼとして記載されているか否かに関わらず、本明細書に記載の変異の組合せのいずれも、これらのα-アミラーゼにおいて性能上の利点をもたらしてもよい。
【0093】
具体的に企図されるコンビナトリアル変異体を、配列番号5に関して、番号付けのために配列番号5を使用して以下に列挙する。配列番号5の変異体は既に欠失ΔR181及びΔG182を有しており、したがって、183の後の各位置の数は2つ減少していることに留意されたい。
【0094】
α-アミラーゼが上記に列挙された変異を自然に有する場合(すなわち、野生型α-アミラーゼが、変異として特定された残基を既に含んでいる場合)、その特定の変異が、その分子には適用されないことが理解されるであろう。しかしながら、他に記載された変異は、その位置での天然に存在する残基と組み合わせて作用してもよい。
【0095】
本変異体α-アミラーゼはまた、アミノ酸配列における1又は複数のアミノ酸の置換、欠失、又は付加、例えば、10未満、9未満、8未満、7未満、6未満、5未満、4未満、3未満、又は更には2未満の置換、欠失、又は付加を含み得る。そのような変異体は、それらが由来したα-アミラーゼと同様の活性を有すると予想される。本変異体α-アミラーゼはまた、それらのN又はC末端に1つ又はいくつかの残基の小さな欠失及び/又は伸長を含み得る。そのようなわずかな変化は、本明細書に記載の発明概念を損なう可能性が低い。
【0096】
本アミラーゼは、「前駆体」、「未成熟」、又は「完全長」(その場合、それらは、シグナル配列を含む)、又は「成熟」(その場合、それらはシグナル配列を欠いている)であり得る。ポリペプチドの成熟形態は、一般に最も有用である。特に明記しない限り、本明細書で使用されるアミノ酸残基の番号付けは、それぞれのアミラーゼポリペプチドの成熟形態を指す。
【0097】
いくつかの実施形態では、変異体α-アミラーゼは、配列番号1、2、3、4又は5、好ましくは配列番号5と、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は更に少なくとも99%であるが、100%未満のアミノ酸配列同一性を有する。
【0098】
2.5.変異体アミラーゼポリペプチドをコードするヌクレオチド
別の態様では、変異体α-アミラーゼポリペプチドをコードする核酸を提供する。核酸は、特定のアミラーゼポリペプチド、又は特定のα-アミラーゼと特定の程度のアミノ酸配列同一性を有するα-アミラーゼをコードしてもよい。
【0099】
いくつかの実施形態では、核酸は、配列番号1、2、3、又は4又は5と、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は更に少なくとも99%であるが、100%未満のアミノ酸配列同一性を有するα-アミラーゼをコードする。遺伝暗号の縮重のために、複数の核酸が同じポリペプチドをコードしてもよいことが理解される。
【0100】
いくつかの実施形態では、核酸は、配列番号1、2、3、4、又は5と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は更に少なくとも99%であるが、100%未満のアミノ酸配列同一性を有するα-アミラーゼをコードする(又はコードする核酸に相補的な)核酸に、ストリンジェントな又は非常にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする。
【0101】
3.変異体α-アミラーゼの製造
本発明の変異体α-アミラーゼは、当該技術分野で周知の方法を使用して、例えば分泌又は細胞内発現によって宿主細胞中で生成されることができる。発酵、分離、及び濃縮技術は当技術分野において周知であり、従来の方法を使用して、濃縮された変異体-α-アミラーゼ-ポリペプチド含有溶液を調製することができる。
【0102】
生産規模の回収のために、変異体α-アミラーゼポリペプチドは、ポリマーによる凝集を介して細胞を除去することによって、一般的に上述されたように濃縮又は部分的に精製することができる。あるいは、酵素は、精密濾過によって濃縮又は精製し、その後利用可能な膜及び装置を使用する限外濾過によって濃縮することができる。しかしながら、いくつかの用途では、酵素を濃縮又は精製する必要はなく、ブロス培養物全体を溶解し、更に処理することなく使用することができる。次いで、酵素を例えば顆粒に加工することができる。
【0103】
自動食器洗浄組成物
自動食器洗浄組成物は、任意の物理的形態とすることができる。当該組成物は、ルース粉末であっても、ゲルであっても、単位用量形態で提示されてもよい。好ましくは、当該組成物は単位用量形態であり、単位用量形態としては、圧縮錠剤及び水溶性パックが挙げられる。本発明の自動食器洗浄組成物は好ましくは、単位用量形態で提示され、固体、液体及びゲル形態を含む任意の物理的形態とすることができる。本発明の組成物は、多区画型パックの形態、より具体的には、異なる物理的形態の組成物を有する区画、例えば固体形態の組成物を含む区画と液体形態の組成物を含む別の区画とを含む多区画型パックでの提供に非常によく適している。組成物は、好ましくは、ポリビニルアルコールなどの水溶性フィルムに封入される。厚さ100μm未満、好ましくは20~90μmのポリビニルアルコールフィルムに包まれた単位用量形態の組成物がとりわけ好ましい。本発明の洗剤組成物は、約8~約25グラム、好ましくは約10~約20グラムの重量を有する。この重量範囲は、食器洗浄機のディスペンサに余裕をもって収まる。この範囲は洗剤としては少ない量に相当するものであるが、洗剤は本明細書で上記に述べたような効果の全てを提供するように配合されている。
【0104】
組成物は、好ましくは、無リン酸塩である。本明細書において「無リン酸塩」とは、組成物が、組成物の1重量%未満、好ましくは0.1重量%未満のリン酸塩を含むものとして理解される。
【0105】
錯化剤系
本発明の目的のために、「錯化剤」とは、カルシウム、マグネシウム、鉛、銅、亜鉛、カドミウム、水銀、マンガン、鉄、アルミニウム、及び他のカチオン性多価イオンのような多価イオンと結合して水溶性の錯体を形成することが可能な化合物のことである。錯化剤は、Ca2+に対する対数安定性定数([logK])が少なくとも3である。安定性定数、logKは、温度25℃でイオン強度0.1の溶液中で測定される。
【0106】
本発明の組成物は、好ましくは、錯化剤系の組成物の10重量%~50重量%を含む。錯化剤系は、メチルグリシン二酢酸(MGDA)、クエン酸、グルタミン酸-N,N-二酢酸(GLDA)、イミノジコハク酸(IDS)、カルボキシメチルイヌリン、L-アスパラギン酸N,N-二酢酸四ナトリウム塩(ASDA)及びこれらの混合物からなる群から選択される1つ以上の錯化剤を含む。好ましくは、錯化剤系は、少なくとも10重量%のMGDAの組成物を含む。錯化系は、クエン酸、(GLDA)、(IDS)、カルボキシメチルイヌリン、L-アスパラギン酸N,N-二酢酸四ナトリウム塩(ASDA)及びこれらの混合物からなる群から選択される錯化剤を更に含み得る。好ましくは、錯化剤系は、組成物の少なくとも10重量%のMGDA及び少なくとも10重量%のクエン酸の組成物を含む。本発明の目的のために、用語「酸」は、錯化剤を指すとき、酸及びその塩を含む。
【0107】
好ましい実施形態では、組成物は、MGDAの組成物、より好ましくはMGDAの三ナトリウム塩の少なくとも15重量%、より好ましくは20重量%~40重量%を含む。この高レベルのMGDAを含む組成物は、硬水でも、長時間及び/又は高温サイクルでも良好に機能する。
【0108】
本発明の錯化剤系は、クエン酸を更に含むことができる。
【0109】
分散剤ポリマー
分散剤ポリマーは、組成物の約0.1~約20重量%、好ましくは0.2~約15重量%、より好ましくは0.3~重量%の任意の好適な量で使用され得る。
【0110】
分散剤ポリマーは、自動食器洗浄プロセスにおいてカルシウム又は炭酸カルシウムを懸濁させることができる。
【0111】
分散剤ポリマーは、25℃で、30~250mgのCa/gの分散剤ポリマー、好ましくは35~200mgのCa/gの分散剤ポリマー、より好ましくは40~150mgのCa/gの分散剤ポリマーの範囲内で、カルシウム結合能を有する。ポリマーが本発明の意味において分散剤ポリマーであるかどうかを判定するために、以下の指示に従い、以下のカルシウム結合能の判定を行う。
【0112】
カルシウム結合能試験方法
本明細書で言及されるカルシウム結合能は、Meettler Toledo SevenMulti(商標)ベンチトップメータ及びPerfectION(商標)櫛形Ca組み合わせ電極などのpH/イオンメータを用いて、滴定によって決定される。結合能を測定するために、ビーカー又はターゴトメータポットに適した加熱撹拌装置を25℃に設定し、メータ付イオン電極を製造元の指示に従って較正する。電極較正の標準濃度は試験濃度をブラケティングし、25℃で測定しなければならない。脱イオン水1Lに3.67gのCaCl-2HOを添加することにより、1000mg/gのCaの原液を調製し、次いで希釈を行ってそれぞれ100mg/g、10mg/g、及び1mg/g濃度のカルシウムを含む、それぞれ100mLの3つの作用液を調製する。100mg Ca/gの作用液を、25℃で実施される滴定中の初期濃度として使用する。各作用液のイオン強度は、2.5g/LのNaClをそれぞれ添加することによって調節する。100mg Ca/gの作用液100mLを加熱し、25℃に達するまで撹拌する。カルシウムイオン濃度の初期測定は、イオン電極を使用して溶液が25℃に達したときに行う。次いで、試験ポリマーをカルシウム作用液に徐々に加え(0.01g/L間隔で)、各増分の添加後に5分間攪拌した後に測定する。滴定は、溶液が1mg/gのカルシウムに達したら停止する。残りの2つのカルシウム濃度の作用液を用いて、滴定手順を繰り返す。試験ポリマーの結合能は、添加された試験ポリマーのグラム/Lに対する、測定されたカルシウム濃度の直線勾配として計算される。
【0113】
分散剤ポリマーは、好ましくは、6を超えるpHを有する水溶液中に溶解した場合に、負の正味電荷を有する。
【0114】
分散剤ポリマーは、より低いpHで負電荷を増加させ、硬水中でのその分散特性を改善するために、スルホン化カルボン酸エステル又はアミドもまた有し得る。好ましい分散剤ポリマーは、スルホン化/カルボキシル化ポリマー、すなわち、スルホン化モノマー及びカルボキシル化モノマーの両方を含むポリマーである。
【0115】
好ましくは、分散剤ポリマーは、ポリカルボン酸のスルホン化誘導体であり、2、3、4又はそれ以上の異なるモノマー単位を含むことができる。好ましいコポリマーは、次のものを含む。
【0116】
カルボン酸モノマーに由来する少なくとも1つの構造単位は一般式(III)を有し:
【0117】
【化1】
式中、R~Rは、水素、メチル、2~12個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖飽和アルキル基、2~12個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖のモノ又はポリ不飽和アルケニル基、-NH2若しくは-OH、又は-COOH、又はCOORで置換された前述のアルキル又はアルケニル基から独立して選択され、式中、Rは、水素、アルカリ金属又は2~12個の炭素を有する直鎖若しくは分枝鎖の飽和若しくは不飽和のアルキル若しくはアルケニル基であり、
好ましいカルボン酸モノマーは、アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、2-フェニルアクリル酸、桂皮酸、クロトン酸、フマル酸、メタクリル酸、2-エチルアクリル酸、メチレンマロン酸、又はソルビン酸のうちの1つ以上を含む。アクリル及びメタクリル酸がより好ましい。
【0118】
任意に、少なくとも1つの非イオン性モノマーに由来する1つ以上の構造単位は一般式(IV)を有し:
【0119】
【化2】
式中、R~Rは、水素、メチル、フェニル又は1~6個の炭素原子を含むヒドロキシアルキル基から独立して選択され、環状構造の一部であることができ、Xは、-CH-、-COO-、-CONH-又は-CONR-から選択される、任意に存在するスペーサ基であり、Rは、直鎖若しくは分枝鎖の、1~22個の炭素原子を有する飽和アルキル基又は6~22個の炭素原子を有する不飽和の好ましくは芳香族の基から選択される。
【0120】
好ましい非イオン性モノマーは、ブテン、イソブテン、ペンテン、2-メチルペント-1-エン、3-メチルペント-1-エン、2,4,4-トリメチルペント-1-エン、2,4,4-トリメチルペント-2-エン、シクロペンテン、メチルシクロペンテン、2-メチル-3-メチル-シクロペンテン、ヘキセン、2,3-ジメチルヘキサ-1-エン、2,4-ジメチルヘキサ-1-エン、2,5-ジメチルヘキサ-1-エン、3,5-ジメチルヘキサ-1-エン、4,4-ジメチルヘキサ-1-エン、シクロヘキセン、メチルシクロヘキセン、シクロヘプテン、10個以上の炭素原子を有する、デカ-1-エン、ドデカ-1-エン、ヘキサデカ-1-エン、オクタデカ-1-エン及びドコサ-1-エンなどのα-オレフィンのうちの1つ以上を含み、好ましい芳香族モノマーは、スチレン、α-メチルスチレン、3-メチルスチレン、4-ドデシルスチレン、2-エチル-4-ベジルスチレン(bezylstyrene)、4-シクロヘキシルスチレン、4-プロピルスチロール、1-ビニルナフタレン、2-ビニルナフタレンであり、好ましいカルボン酸エステルモノマーは、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート及びベヘニル(メタ)アクリレートであり、好ましいアミドは、N-メチルアクリルアミド、N-エチルアクリルアミド、N-t-ブチルアクリルアミド、N-2-エチルヘキシルアクリルアミド、N-オクチルアクリルアミド、N-ラウリルアクリルアミド、N-ステアリルアクリルアミド、N-ベヘニルアクリルアミドである。
【0121】
並びに少なくとも1つのスルホン酸モノマーから誘導される少なくとも1つの構造単位は一般式(V)及び(VI)を有し:
【0122】
【化3】
式中、Rは、少なくとも1つのsp2結合を含む基であり、Aは、O、N、P、S、アミド又はエステル結合であり、Bは、単環式又は多環式芳香族基又は脂肪族基であり、各tは、独立して0又は1であり、M+は、カチオンである。一態様では、Rは、C2~C6アルケンである。別の態様では、R7は、エテン、ブテン又はプロペンである。
【0123】
好ましいスルホン化モノマーは、1-アクリルアミド-1-プロパンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-プロパンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸、2-メタクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸、3-メタクリルアミド-2-ヒドロキシ-プロパンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、アリルオキシベンゼンスルホン酸、メタリルオキシベンゼンスルホン酸、2-ヒドロキシ-3-(2-プロペニルオキシ)プロパンスルホン酸、2-メチル-2-プロペン-1-スルホン酸、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、3-スルホプロピル、3-スルホ-プロピルメタクリレート、スルホメタクリルアミド、スルホメチルメタクリルアミド、及び上述の酸又はこれらの水溶性塩の混合物のうちの1つ以上を含む。
【0124】
好ましくは、ポリマーは、以下の濃度のモノマー、すなわち、ポリマーの約40~約90重量%、好ましくは約60~約90重量%の1種以上のカルボン酸モノマー、ポリマーの約5~約50重量%、好ましくは約10~約40重量%の1種以上のスルホン酸モノマー、及び任意にポリマーの約1重量%~約30重量%、好ましくは約2~約20重量%の1種以上の非イオン性モノマーを含む。とりわけ好ましいポリマーは、ポリマーの約70重量%~約80重量%の少なくとも1種のカルボン酸モノマー及びポリマーの約20重量%~約30重量%の少なくとも1種のスルホン酸モノマーを含む。
【0125】
ポリマー中、カルボン酸基又はスルホン酸基の全て又はいくつかが中和形態で存在していてよく、すなわちいくつか又は全ての酸性基中のカルボン酸基及び/又はスルホン酸基の酸性水素原子が、金属イオン、好ましくはアルカリ金属イオン、具体的にはナトリウムイオンと置き換えられ得る。
【0126】
カルボン酸は、好ましくは(メタ)アクリル酸である。スルホン酸モノマーは、好ましくは2-アクリルアミド-2-プロパンスルホン酸(AMPS)である。
【0127】
好ましい市販のポリマーとしては、Alco Chemicalによって供給されるAlcosperse 240、Aquatreat AR540、及びAquatreat MPS、Rohm & Haasによって供給されるAcumer 3100、Acumer 2000、Acusol 587G及びAcusol 588G、BF Goodrichによって供給されるGoodrich K-798、K-775及びK-797、並びにISP technologies Inc.によって供給されるACP1042が挙げられる。特に好ましいポリマーは、Rohm & Haasによって供給されるAcusol 587G及びAcusol 588Gである。
【0128】
適切な分散剤ポリマーには、低分子量のアニオン性カルボン酸ポリマーが含まれる。それらは、約200,000g/モル以下、又は約75,000g/モル以下、又は約50,000g/モル以下、又は約3,000~約50,000g/モル、好ましくは約5,000~約45,000g/モルの重量平均分子量を有するホモポリマー又はコポリマーであり得る。分散剤ポリマーは、1,000~20,000、特に2,000~10,000、及び特に好ましくは3,000~5,000の平均分子量を有するポリアクリレートの低分子量ホモポリマーであってもよい。
【0129】
分散剤ポリマーは、70,000未満の分子量を有する、アクリル酸とメタクリル酸のコポリマー、アクリル酸及び/又はメタクリル酸とマレイン酸のコポリマー並びにアクリル酸及び/又はメタクリル酸とフマル酸のコポリマーであってもよい。それらの分子量は、2,000~80,000、より好ましくは20,000~50,000、具体的には30,000~40,000g/モルの範囲であり、(メタ)アクリレートとマレエート又はフマレートセグメントとの比は30:1~1:2である。
【0130】
分散剤ポリマーは、3,000~100,000、あるいは4,000~20,000の分子量を有するアクリルアミドとアクリレートとのコポリマーであってもよく、分散剤ポリマーの50重量%未満、あるいは20重量%未満のアクリルアミド含有量も使用され得る。あるいは、そのような分散剤ポリマーは、4,000~20,000の分子量、及びポリマーの0重量%~15%のアクリルアミド含有量を有してもよい。
【0131】
本明細書で好適な分散剤ポリマーには、イタコン酸ホモポリマー及びコポリマーも含まれる。
【0132】
あるいは、分散剤ポリマーは、アルコキシル化ポリアルキレンイミン、アルコキシル化ポリカルボキシレート、ポリエチレングリコール、スチレンコポリマー、セルロースサルフェートエステル、カルボキシル化多糖、両親媒性グラフトコポリマー及びこれらの混合物からなる群から選択され得る。
【0133】
漂白剤系
本発明の組成物は、好ましくは、高濃度の漂白剤、好ましくは過炭酸塩を、漂白活性化剤又は漂白触媒又はその両方と組み合わせて含む、漂白系を含む。好ましくは、漂白活性化剤はTAEDであり、漂白触媒はマンガン漂白触媒である。
【0134】
漂白剤
本発明の組成物は、好ましくは、組成物の約10~約20重量%、より好ましくは約12~約18重量%の漂白剤、好ましくは過炭酸塩を含む。
【0135】
無機及び有機漂白剤が、本明細書での使用に好適である。無機漂白剤には、過ホウ酸塩、過炭酸塩、過リン酸塩、過硫酸塩及び過ケイ酸塩などの過水和塩が挙げられる。無機過水和塩は、通常、アルカリ金属塩である。無機過水和塩は、追加の保護なしの結晶性固体として含まれ得る。代替的に、塩はコーティングされていてもよい。好適なコーティングには、硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム及びこれらの混合物が挙げられる。当該コーティングは、表面に塗布される混合物として塗布されるか、又は順次積層して塗布され得る。
【0136】
アルカリ金属過炭酸塩、特に過炭酸ナトリウムは、本明細書における使用に好ましい漂白剤である。過炭酸塩は、最も好ましくは、製品内安定性を提供するコーティングされた形態で製品に組み込まれる。
【0137】
過酸化モノ過硫酸カリウムは、本明細書で有用な別の無機過水和塩である。
【0138】
典型的な有機漂白剤は、有機ペルオキシ酸、とりわけドデカンジペルオキシ酸、テトラデカンジペルオキシ酸、及びヘキサデカンジペルオキシ酸である。モノ及びジペルアゼライン酸、モノ及びジペルブラシル酸も、本明細書において好適である。ジアシル及びテトラアシル過酸化物、例えば過酸化ジベンゾイル及び過酸化ジラウロイルは、本発明の関連において使用可能な他の有機過酸化物である。
【0139】
更なる典型的な有機漂白剤としては、ペルオキシ酸が挙げられ、具体例は、アルキルペルオキシ酸及びアリールペルオキシ酸である。好ましい代表例は、(a)ペルオキシ安息香酸及びその環置換の誘導体、例えばアルキルペルオキシ安息香酸の他、ペルオキシ-α-ナフトエ酸及びモノペルフタル酸マグネシウム、(b)脂肪族又は置換脂肪族ペルオキシ酸、例えばペルオキシラウリン酸、ペルオキシステアリン酸、ε-フタルイミドペルオキシカプロン酸[フタロイミノペルオキシヘキサン酸(PAP)]、o-カルボキシベンズアミドペルオキシカプロン酸、N-ノネニルアミドペルアジピン酸及びN-ノネニルアミドペルスクシネート、並びに(c)脂肪族及び芳香脂肪族ペルオキシジカルボン酸、例えば1,12-ジペルオキシカルボン酸、1,9-ジペルオキシアゼライン酸、ジペルオキシセバシン酸、ジペルオキシブラシル酸、ジペルオキシフタル酸、2-デシルジペルオキシブタン-1,4-二酸、N,N-テレフタロイルジ(6-アミノペルカプロン酸)である。
【0140】
漂白活性化剤
漂白活性化剤は、典型的には、60℃以下の温度での洗浄の過程で漂白作用を強化する有機過酸前駆体である。本明細書での使用に好適な漂白活性化剤には、過加水分解条件下で、好ましくは1~12個の炭素原子、特に2~10個の炭素原子を有する脂肪族ペルオキソカルボン酸(peroxoycarboxylic acid)、及び/又は任意に置換された過安息香酸を与える化合物が含まれる。好適な物質は、炭素原子の数が指定されているO-アシル基及び/若しくはN-アシル基並びに/又は任意に置換されたベンゾイル基を有する。ポリアシル化アルキレンジアミン、具体的にはテトラアセチルエチレンジアミン(tetraacetylethylenediamine、TAED)、アシル化トリアジン誘導体、具体的には1,5-ジアセチル-2,4-ジオキソヘキサヒドロ-1,3,5-トリアジン(1,5-diacetyl-2,4-dioxohexahydro-1,3,5-triazine、DADHT)、アシル化グリコールウリル、具体的にはテトラアセチルグリコールウリル(tetraacetylglycoluril、TAGU)、N-アシルイミド、具体的にはN-ノナノイルスクシンイミド(N-nonanoylsuccinimide、NOSI)、アシル化フェノールスルホネート、具体的にはn-ノナノイル-又はイソノナノイルオキシベンゼンスルホネート(n-又はイソ-NOBS)、デカノイルオキシ安息香酸(decanoyloxybenzoic acid、DOBA)、無水カルボン酸、具体的には無水フタル酸、アシル化多価アルコール、具体的にはトリアセチン、二酢酸エチレングリコール及び2,5-ジアセトキシ-2,5-ジヒドロフラン、並びにクエン酸トリエチルアセチル(triethylacetyl citrate、TEAC)も好まれる。存在する場合、本発明の組成物は、組成物の0.01~5重量%、好ましくは0.2~2重量%の漂白活性化剤、好ましくはTAEDを含む。
【0141】
漂白触媒
本明細書の組成物は、好ましくは、漂白触媒、好ましくは金属含有漂白触媒を含有する。より好ましくは、金属含有漂白触媒は、遷移金属含有漂白触媒、とりわけマンガン又はコバルト含有漂白触媒である。
【0142】
本明細書での使用に好ましい漂白触媒としては、マンガントリアザシクロノナン及び関連する錯体;Co、Cu、Mn及びFeビスピリジルアミン並びに関連する錯体;並びにペンタミン酢酸コバルト(III)及び関連する錯体が挙げられる。本明細書での使用に特に好ましい漂白触媒は、1,4,7-トリメチル-1,4,7-トリアザシクロノナン(Me-TACN)及び1,2,4,7-テトラメチル-1,4,7-トリアザシクロノナン(Me/Me-TACN)である。本明細書での使用に特に好ましい組成物は、1,4,7-トリメチル-1,4,7-トリアザシクロノナン(Me-TACN)及び/又は1,2,4,7-テトラメチル-1,4,7-トリアザシクロノナン(Me/Me-TACN)である。
【0143】
好ましくは、本発明の組成物は、組成物の0.001~0.5重量%、より好ましくは0.002~0.1重量%、より好ましくは0.005~0.075重量%の漂白触媒を含む。好ましくは、漂白触媒は、マンガン漂白触媒である。
【0144】
無機ビルダー
本発明の組成物は、好ましくは、無機ビルダーを含む。好適な無機ビルダーは、炭酸塩、ケイ酸塩及びこれらの混合物からなる群から選択される。炭酸ナトリウムが、本明細書における使用にとりわけ好ましい。好ましくは、本発明の組成物は、組成物の5~60重量%、より好ましくは10~50重量%、特に15~45重量%の炭酸ナトリウムを含む。
【0145】
界面活性剤
本明細書での使用に好適な界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤が挙げられ、好ましくは、組成物は、いかなる他の界面活性剤も含まない。従来的には、非イオン性界面活性剤は、表面修飾目的、具体的には膜形成及び斑点形成を回避し、光沢を改善するためのシート化を目的として、自動食器洗浄において使用されてきた。非イオン性界面活性剤は、汚れの再堆積の防止にも寄与することができることが判明している。
【0146】
好ましくは、本発明の組成物は、非イオン性界面活性剤又は非イオン性界面活性剤系を含み、より好ましくは、非イオン性界面活性剤又は非イオン性界面活性剤系は、蒸留水中、濃度1%で測定した場合に40~70℃、好ましくは45~65℃の転相温度を有する。「非イオン性界面活性剤系」とは、本明細書において、2つ以上の非イオン性界面活性剤の混合物を意味する。非イオン性界面活性剤系が、本明細書での使用に好ましい。これらは、単一の非イオン性界面活性剤よりも、製品中で、改善された洗浄及び仕上がり特性並びに良好な安定性を有すると考えられる。
【0147】
転相温度とは、それよりも低い温度では界面活性剤又はその混合物が油膨張ミセルとして水性相中に優先的に分配され、それよりも高い温度では水膨張逆ミセルとして油性相中に優先的に分配される温度である。転相温度は、混濁が生じる温度を識別することによって視覚的に判断することができる。
【0148】
非イオン性界面活性剤又は系の転相温度は、以下のように判断することができる。蒸留水中、溶液の1重量%の対応する界面活性剤又は混合物を含有する溶液を調製する。溶液を軽く撹拌した後、転相温度を分析して、プロセスが化学平衡で生じることを確実にする。転相温度は、75mm密封ガラス試験管中に溶液を浸漬することによって熱安定性の浴槽内で測定する。漏れがないことを確実にするために、転相温度の測定の前後に試験管を秤量しておく。温度が事前予測した転相温度より数度下に達するまで、温度を1℃/分未満の速度で徐々に増加させる。転相温度は、濁りの最初の兆候があった時点で視覚的に判断される。
【0149】
好適な非イオン性界面活性剤としては、i)6~20個の炭素原子を有するモノヒドロキシアルカノール又はアルキルフェノール(alkyphenol)と、アルコール又はアルキルフェノール1モル当たり、好ましくは少なくとも12モル、特に好ましくは少なくとも16モル、更により好ましくは少なくとも20モルのエチレンオキシドとの反応によって調製される、エトキシル化非イオン性界面活性剤、ii)6~20個の炭素原子及び少なくとも1つのエトキシ基及びプロポキシ基を有するアルコールアルコキシル化界面活性剤、が挙げられる。界面活性剤i)とii)との混合物が、本明細書での使用に好ましい。
【0150】
他の好適な非イオン性界面活性剤は、次式で表されるエポキシキャップ化ポリ(オキシアルキル化)アルコールであり、
R1O[CH2CH(CH3)O]x[CH2CH2O]y[CH2CH(OH)R2] (I)
式中、R1は、4~18個の炭素原子を有する直鎖状又は分岐状の脂肪族炭化水素基であり、R2は、2~26個の炭素原子を有する直鎖状又は分岐状の脂肪族炭化水素基であり、xは、0.5~1.5、より好ましくは約1の平均値を有する整数であり、yは、少なくとも15、より好ましくは少なくとも20の値を有する整数である。
【0151】
好ましくは、式Iの界面活性剤は、末端エポキシド単位[CH2CH(OH)R2]中に少なくとも約10個の炭素原子を有する。本発明によれば、式Iの好適な界面活性剤は、例えば、Olin Corporationによる1994年10月13日に公開された国際公開第94/22800号に記載の、Olin CorporationのPOLY-TERGENT(登録商標)SLF-18B非イオン性界面活性剤である。
【0152】
酵素
プロテアーゼ
本発明の組成物は、本発明のアミラーゼに加えてプロテアーゼを含むことができる。2以上の酵素の混合物は、より広い温度、サイクル持続時間及び/又は基質範囲にわたって洗浄の増強に貢献することができ、特に再付着防止剤及び/又はスルホン化ポリマーとともに使用される場合、優れた光沢効果を提供することができる。
【0153】
適切なプロテアーゼは、アミノ酸置換X39E、X99R、X126A、X127E及びX128Gを有するBacillus gibsonii由来の変異体スブチリシンプロテアーゼである。
【0154】
別の好適なプロテアーゼは、S039E、S099R、S126A、D127E、及びF128Gから成る群から選択される3、4、又は5個のアミノ酸置換を含むスブチリシン変異体であり、N74D、T114L、M122L、N198A、N198G、M211E、M211Q、N212Q、及びN242Dから成る群から選択される1以上の追加の置換を更に含み、変異体は、配列番号6のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有する。
【0155】
別の適切なプロテアーゼは、
(i)S039E、N74D、S099R、M211E、N242Dから成る群から選択される2以上のアミノ酸置換;及び
(ii)T114L、M122L、S126A、F128G、N198A、N198G、M211Q、N212Qから成る群から選択される1以上の追加の置換を含むスブチリシン変異体であり、
変異体は、配列番号6又は7のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有する。
【0156】
本発明のアミラーゼと組み合わせて使用するのに適したプロテアーゼとしては、メタロプロテアーゼ、及び中性又はスブチリシン(EC3.4.21.62)などのアルカリ性微生物セリンプロテアーゼを含むセリンプロテアーゼが挙げられる。好適なプロテアーゼとしては、動物、植物又は微生物起源のものが挙げられる。一態様では、このような好適なプロテアーゼは、微生物起源のものであってもよい。好適なプロテアーゼとしては、前述の好適なプロテアーゼの化学的又は遺伝的に修飾された変異体が挙げられる。一態様では、好適なプロテアーゼは、アルカリ性微生物プロテアーゼ又は/及びトリプシン型プロテアーゼなどのセリンプロテアーゼであってよい。好適な中性又はアルカリ性プロテアーゼの例としては、以下が挙げられる。
(a)スブチリシン(EC3.4.21.62)、特に国際公開第2004067737号、同第2015091989号、同第2015091990号、同第2015024739号、同第2015143360号、米国特許第6,312,936(B1)号、同第5,679,630号、同第4,760,025号、国際公開第03/055974号、同第03/054185号、同第03/054184号、同第2017/215925号、独国特許公開第102006022216(A1)号、国際公開第2015089447、同第2015089441号、同第2016066756号、同第2016066757号、同第2016069557号、同第2016069563号、同第2016069569号、同第2016174234号、同第2017/089093号、同第2020/156419号、同第2016/183509号に記載されている、バチルス属(Bacillus)の種、B.レンタス(B. lentus)、B.アルカロフィラス(B. alkalophilus)、B.サブチリス(B. subtilis)、B.アミロリケファシエンス(B. amyloliquefaciens)、B.プミルス(B. pumilus)、B.ギブソニイ(B. gibsonii)、及びB.アキバイ(B. akibaii)などのバチルス属由来のもの。具体的には、変異S9R、A15T、V66A、A188P、V199I、N212D、Q239R、N255D、X9E、X200L、X256E、X9R、X19L、X60D(サビナーゼ付番システム);独国特許公開第102006022224(A1)号、国際公開第2020/221578号、同第2020/221579号、同第2020/221580号に記載されているものなどB.プミルス(B. pumilus)に由来する、9、130、133、144、224、252、271から選択される位置のうちの少なくとも1以上にアミノ酸置換を含む変異体(BPN’付番システム)を含む、スブチリシン。
(b)国際公開第89/06270号に記載されているフサリウム属プロテアーゼ、並びに国際公開第05/052161号及び国際公開第05/052146号に記載されているセルロモナス属に由来するキモトリプシンプロテアーゼを含むトリプシン(例えば、ブタ又はウシ起源)などのトリプシン型又はキモトリプシン型プロテアーゼ。
(c)メタロプロテアーゼ、特に国際公開第07/044993(A2)号に記載されているバチルス・アミロリケファシエンス由来のもの、国際公開第2014194032号、同第2014194054号及び同第2014194117号に記載されているバチルス、ブレビバチルス、サーモアクチノミセス、ゲオバチルス、パエニバチルス、リシニバチルス又はストレプトミセス種由来のもの、国際公開第2015193488号に記載されているクリベラ・アルミノサ由来のもの、並びに国際公開第2016075078号に記載されているストレプトミセス及びリソバクター由来のもの。
(d)国際公開第92/17577号(Novozymes A/S)に記載されているバチルス種TY145、NCIMB 40339由来のサブチラーゼに対して少なくとも90%の同一性を有するプロテアーゼ、国際公開第2015024739号及び同第2016066757号に記載されているこのバチルス種TY145サブチラーゼの変異体を含むプロテアーゼ。
【0157】
本発明の組成物に特に好ましい追加のプロテアーゼは、親プロテアーゼの変異体であり、親プロテアーゼは、配列番号7と少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも98%、更により好ましくは少なくとも99%、特に100%の同一性を示し、変異体は、配列番号7に対する以下の位置のうちの1以上、又は2以上又は3以上の置換を含む。
S3V、S9R、A13V、A15T、G20、L21F、I35V、N60D、V66A、N74D、S85N/R、S97SE、S97AD、S97D/G、S99G/M/D/E、S101A、V102E/I、G116V/R、S126F/L、P127Q、S128A、S154D、G157S、Y161A、R164S、A188P、V199I、Q200C/E/I/K/T/V/W/L、Y203W、N212D、M216S/F、A222V、Q239R/F、T249R、N255D及びL256E/N/Q/D
【0158】
好ましいプロテアーゼには、以下の変異:
S9R+A13V+A15T+l35V+N60D+Q239F、又は
S9R+A15T+G20+L21F+N60D+Q239N、又は
S9R+A15T+V66A+S97G+A222V+Q239R+N255D、又は
S9R+A15T+V66A+N74D+Q239R、又は
S9R+A15T+V66A+N212D+Q239R、又は
S99SE、又は
S99AD、又は
N74D+S85R+G116R+S126L+P127Q+S128A、又は
N74D+S85R+G116R+S126L+P127Q+S128A+S182D+V238R又は
G116V+S126L+P127Q+S128A又は
S99M+G116V+S126L+P127Q+S128A、を含む、配列番号2に対して少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%の同一性を有するものが含まれる。
【0159】
他の適切なプロテアーゼは、
(a)配列番号6の配列と少なくとも80%の配列同一性を有し、A37T、S39E、I43V、A47V、P54T、T56Y、I80V、N85S、E87D、S99R、T114Q、M122L、S126A、D127E、F128G、N198A、M211Q、N212Q及びN242Dから選択される3以上の置換を含むプロテアーゼであって、番号付けは配列番号6による、プロテアーゼ;
(b)配列番号8の配列と少なくとも80%の配列同一性を有し、Q12L、I21V、I43V、M122L、D127P、N154S、T156A、G160S、N177V、M211N、M211S、M211L、P212D、P212H、A222S、V228I及びT247Nから選択される1以上の置換を含むプロテアーゼであって、番号付けは配列番号8による、プロテアーゼ;及び
(c)配列番号9の配列と少なくとも80%の配列同一性を有し、S9R、A15T、G59E、V66A、H118N、A188P、V199I、Q200E、N212D、Q239R、N255Dから選択される3以上の置換を含むプロテアーゼであって、付番は配列番号9に従う、プロテアーゼから成る群から選択される。
【0160】
好適な市販の追加のプロテアーゼ酵素には、Alcalase(登録商標)、Savinase(登録商標)、Primase(登録商標)、Durazym(登録商標)、Polarzyme(登録商標)、Kannase(登録商標)、Liquanase(登録商標)、Liquanase Ultra(登録商標)、Savinase Ultra(登録商標)、Liquanase(登録商標)Evity(登録商標)、Savinase(登録商標)Evity(登録商標)、Ovozyme(登録商標)、Neutrase(登録商標)、Everlase(登録商標)、Coronase(登録商標)、Blaze(登録商標)、Blaze Ultra(登録商標)、Blaze(登録商標)Evity(登録商標)、Blaze(登録商標)Exceed,Blaze(登録商標)Pro、Esperase(登録商標)、Progress(登録商標)Uno、Progress(登録商標)Excel、Progress(登録商標)Key、Ronozyme(登録商標)、Vinzon(登録商標)、及びHet Ultra(登録商標)の商品名でNovozymes A/S(Denmark)により販売されているもの;
商品名Maxatase(登録商標)、Maxacal(登録商標)、Maxapem(登録商標)、Properase(登録商標)、Purafect(登録商標)、Purafect Prime(登録商標)、Purafect Ox(登録商標)、FN3(登録商標)、FN4(登録商標)、Excellase(登録商標)、Ultimase(登録商標)及びPurafect OXP(登録商標)としてDupontによって販売されているもの;商品名Opticlean(登録商標)及びOptimase(登録商標)としてSolvay Enzymesによって販売されているもの;並びにHenkel/Kemiraから入手可能なもの、すなわち、BLAP(配列は米国特許第5,352,604号の図29に示され、S99D+S101R+S103A+V104I+G159Sの変異を有する、本明細書において以降BLAPと称する)、BLAP R(S3T+V4I+V199M+V205I+L217Dを有するBLAP)、BLAP X(S3T+V4I+V205Iを有するBLAP)及びBLAP F49(S3T+V4I+A194P+V199M+V205I+L217Dを有するBLAP);及び任意に、少なくとも1つの更なる変異101E/D、S156D、L262を含むことができ;Kao製のKAP(変異A230V+S256G+S259Nを有するバチルス・アルカリフィルス(Bacillus alkalophilus)スブチリシン及びBASF製のLavergy(登録商標)、Lavergy(登録商標)Pro、Lavergy(登録商標)C Brightが挙げられる。
【0161】
本発明の変異型プロテアーゼと組み合わせて本明細書での使用に特に好ましいのは、Properase(登録商標)、Blaze(登録商標)、Ultimase(登録商標)、Everlase、Savinase(登録商標)、Savinase Evity(登録商標)、Savinase Ultra(登録商標)、Excellase(登録商標)、Ovozyme(登録商標)、Coronase(登録商標)、Blaze Ultra(登録商標)、Blaze Evity(登録商標)及びBlaze Pro(登録商標)、BLAP及びBLAP変異体から成る群から選択される市販のプロテアーゼである。
【0162】
本発明の製品中のプロテアーゼの好ましい濃度としては、組成物1g当たり約0.05~約10、より好ましくは約0.5~約7、特に約1~約6mgの活性プロテアーゼが挙げられる。
【0163】
他のアミラーゼ
好ましくは、本発明の組成物は、アミラーゼを含んでもよい。好適なアルファ-アミラーゼとしては、細菌又は真菌起源のものが挙げられる。化学的又は遺伝的に修飾された変異体(バリアント)が含まれる。好ましいアルカリ性α-アミラーゼは、バチルスの菌種、例えば、バチルス・リケニフォルミス、バチルス・アミロリケファシエンス、バチルス・ステロサーモフィラス、バチルス・ズブチリス又は他のバチルス種、例えば、バチルス種NCBI12289、NCBI12512、NCBI12513、DSM9375(米国特許第7,153,818号)、DSM12368、DSMZ番号12649、KSM AP1378(国際公開第97/00324号)、KSM K36又はKSM K38(欧州特許第1,022,334号)に由来する。好ましいアミラーゼとしては、以下が挙げられる。
【0164】
他のアミラーゼとしては、以下が挙げられる:
(a)国際公開第96/23873号、同第00/60060号、同第06/002643号、及び同第2017/192657号に記載の変異体、とりわけ国際公開第06/002643号において配列番号12に列挙されているAA560酵素に対して以下の位置に1以上の置換を有する変異体:
26、30、33、82、37、106、118、128、133、149、150、160、178、182、186、193、202、214、231、246、256、257、258、269、270、272、283、295、296、298、299、303、304、305、311、314、315、318、319、339、345、361、378、383、419、421、437、441、444、445、446、447、450、461、471、482、484位に1以上の置換を有し、好ましくは、D183及びG184の欠失も含むバリアント。
(b)国際公開第06/002643号の配列番号4、バチルス属SP722由来の野生型酵素と少なくとも90%の同一性を示す変異体、特に183及び184位に欠失を有する変異体並びに参照によって本明細書に組み込まれる国際公開第2000/60060号、同第2011/100410号及び同第2013/003659号に記載されている変異体。
(c)バチルス種707(米国特許第6,093,562号の配列番号7)由来の野生型酵素と少なくとも95%の同一性を示す変異体、特に以下の突然変異:M202、M208、S255、R172及び/又はM261のうちの1つ以上を含むもの。好ましくは、当該アミラーゼは、M202L、M202V、M202S、M202T、M202I、M202Q、M202W、S255N及び/又はR172Qのうちの1つ以上を含む。M202L又はM202T変異を含むものが、特に好ましい。
(d)国際公開第09/149130号に記載されているバリアント、好ましくは同第09/149130号の配列番号1又は配列番号2、ゲオバチルス・ステロファーモフィラス(Geobacillus Stearophermophilus)由来の野生型酵素又はその切断版と少なくとも90%の同一性を示すもの。
(e)国際公開第2016091688号の配列番号1と少なくとも89%の同一性を示す変異体、特にH183+G184位での欠失並びに405、421、422及び/又は428位に1つ以上の突然変異を含むもの。
(f)パエニバチルス・カードラノリティカスYK9由来の「PcuAmyl α-アミラーゼ」(国際公開第2014099523号の配列番号3)と少なくとも60%のアミノ酸配列同一性を示す変異体。
(g)サイトファーガ種由来の「CspAmy2アミラーゼ」(国際公開第2014164777号の配列番号1)と少なくとも60%のアミノ酸配列同一性を示す変異体。
(h)バチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)由来のAmyE(国際公開第2009149271号の配列番号1)と少なくとも85%の同一性を示すバリアント。
(i)受託番号AB051102を有するバチルス種KSM-K38由来の野生型アミラーゼと少なくとも90%の同一性を示す変異体。
(j)バチルス種由来のAAI10の成熟アミノ酸配列(国際公開第2016180748号の配列番号7)と少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、好ましくは少なくとも98%の同一性を示す変異体。
(k)アリシクロバチルス種アミラーゼの成熟アミノ酸配列(国際公開第2016180748号の配列番号8)と少なくとも80%の同一性を示す変異体。
【0165】
好ましくは、アミラーゼは、遺伝子操作を受けた酵素であり、漂白酸化を起こしやすいアミノ酸のうちの1つ以上が、より酸化しにくいアミノ酸で置換されている。具体的には、メチオニン残基は、任意の他のアミノ酸で置換されることが好ましい。具体的には、最も酸化しやすいメチオニンが置換されることが好ましい。好ましくは、国際公開第06/002643号の配列番号12として列挙されているAA560酵素において202に相当する位置のメチオニンが置換される。好ましくは、この位置のメチオニンは、スレオニン又はロイシン、好ましくはロイシンで置換される。
【0166】
好適な市販のα-アミラーゼとしては、DURAMYL(登録商標)、LIQUEZYME(登録商標)、TERMAMYL(登録商標)、TERMAMYL ULTRA(登録商標)、NATALASE(登録商標)、SUPRAMYL(登録商標)、STAINZYME(登録商標)、STAINZYME PLUS(登録商標)、FUNGAMYL(登録商標)、ATLANTIC(登録商標)、INTENSA(登録商標)及びBAN(登録商標)(Novozymes A/S(Bagsvaerd,Denmark))、KEMZYM(登録商標)AT 9000(Biozym Biotech Trading GmbH Wehlistrasse 27b A-1200 Wien Austria)、RAPIDASE(登録商標)、PURASTAR(登録商標)、ENZYSIZE(登録商標)、OPTISIZE HT PLUS(登録商標)、POWERASE(登録商標)、PREFERENZ S(登録商標)シリーズ(PREFERENZ S1000(登録商標)及びPREFERENZ S2000(登録商標)を含む)並びにPURASTAR OXAM(登録商標)(DuPont.,Palo Alto,California)並びにKAM(登録商標)(Kao,14-10 Nihonbashi Kayabacho,1-chome,Chuo-ku Tokyo 103-8210,Japan)が挙げられる。一態様では、好適なアミラーゼとしては、ATLANTIC(登録商標)、STAINZYME(登録商標)、POWERASE(登録商標)、INTENSA(登録商標)及びSTAINZYME PLUS(登録商標)並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0167】
好ましくは、本発明の組成物は、組成物1g当たり少なくとも0.01mg、好ましくは約0.05~約10、より好ましくは約0.1~約6、特に約0.2~約5mgの活性アミラーゼを含む。
【0168】
好ましくは、本発明の組成物のプロテアーゼ及び/又はアミラーゼは、粒状体の形態であり、この粒状体は、粒状体の29重量%超の硫酸ナトリウムを含み、並びに/又は硫酸ナトリウム及び活性酵素(プロテアーゼ及び/若しくはアミラーゼ)は、3:1~100:1、又は好ましくは4:1~30:1、又はより好ましくは5:1~20:1の重量比である。
【0169】
プロテアーゼ安定化剤
ペプチドアルデヒドは、以前に記載されているように(国際公開第199813458号、同第2011036153号、米国特許出願公開第20140228274号)、洗剤配合物中のプロテアーゼ安定化剤として使用してもよい。ペプチドアルデヒド安定化剤の例は、ペプチドアルデヒド、ケトン、又はハロメチルケトンであり、例えば、ウレイド、カルバメート、若しくはウレア部分で「N-キャップ」されていてもよく、又は例えば、カルボニル、ウレイド、オキサミド(oxiamide)、チオウレイド、ジチオオキサミド、又はチオオキサミド部分で「二重にN-キャップ」されていてもよい(欧州特許第2358857(B1)号)。これらの阻害剤対プロテアーゼのモル比は、0.1:1~100:1、例えば、0.5:1~50:1、1:1~25:1又は2:1~10:1であってもよい。プロテアーゼ安定化剤の他の例は、ベンゾフェノン又は安息香酸アニリド誘導体であり、これらはカルボキシル基を含有してもよい(米国特許第7,968,508(B2)号)。これらの安定化剤対プロテアーゼのモル比は好ましくは、1:1~1000:1、特に1:1~500:1、特に好ましくは1:1~100:1、最も特に好ましくは1:1~20:1の範囲である。
【0170】
結晶成長阻害剤
結晶成長阻害剤は、炭酸カルシウム結晶に結合して、アラゴナイト及び方解石などの種の更なる成長を防止することができる材料である。
【0171】
効果的な結晶成長抑制剤の例には、ホスホン酸塩、ポリホスホン酸塩、イヌリン誘導体、ポリイタコン酸ホモポリマー及び環状ポリカルボキシレートが挙げられる。
【0172】
好適な結晶成長抑制剤は、HEDP(1-ヒドロキシエチリデン1,1-ジホスホン酸)、カルボキシメチルイヌリン(CMI)、トリカルバリル酸及び環状カルボキシレートを含む群から選択されてもよい。本発明の目的のため、用語カルボキシレートは、アニオン形態及びプロトン化したカルボン酸形態の両方を包含する。
【0173】
環状カルボキシレートは、少なくとも2つ、好ましくは3つ又は好ましくは少なくとも4つのカルボキシレート基を含み、環状構造は、単環若しくは二環アルカン又は複素環のいずれかに基づく。好適な環状構造には、シクロプロパン、シクロブタン、シクロヘキサン若しくはシクロペンタン若しくはシクロヘプタン、ビシクロ-ヘプタン若しくはビシクロ-オクタン、及び/又はテトラヒドロフランが挙げられる。好ましい結晶成長抑制剤の1つは、シクロペンタンテトラカルボキシレートである。
【0174】
少なくとも75%、好ましくは100%のカルボキシレート基を素環の三次元構造の同じ側か又は「シス」位に有する環状カルボキシレートは、本明細書での使用に好ましい。
【0175】
素環の同じ側にある2つのカルボキシレート基は、直接隣接しているか、又は「オルト」位にあることが好ましい。
【0176】
好ましい結晶成長抑制剤には、HEDP、トリカルバリル酸、テトラヒドロフランテトラカルボン酸(THFTCA)及びシクロペンタンテトラカルボン酸(CPTCA)が挙げられる。THFTCAは、好ましくは2c,3t,4t,5c配置であり、CPTCAは、シス,シス,シス,シス配置である。本明細書での使用に特に好ましい結晶成長抑制剤は、HEDPである。
【0177】
部分的に脱炭酸したポリイタコン酸ホモポリマーもまた、本明細書での使用に好ましく、好ましくは脱炭酸のレベルは50モル%~90モル%の範囲である。本明細書での使用に特に好ましいポリマーは、Itaconixにより供給されるItaconix TSI(登録商標)である。
【0178】
結晶成長抑制剤は、好ましくは、組成物の約0.01~約10重量%、特に約0.02~約5重量%、特に0.05~3重量%の量で存在する。
【0179】
金属ケア剤
金属ケア剤は、アルミニウム、ステンレス鋼、並びに銀及び銅などの非鉄金属を含む金属の曇り、腐食又は酸化を防止又は低減することができる。好ましくは、本発明の組成物は、製品の0.1~5重量%、より好ましくは0.2~4重量%、とりわけ0.3~3重量%の金属ケア剤を含み、好ましくは、金属ケア剤はベンゾトリアゾール(BTA)である。
【0180】
ガラスケア剤
ガラスケア剤は、食器洗浄プロセス中にガラス製品の外観を保護する。好ましくは、本発明の組成物は、組成物の0.1~5重量%、より好ましくは0.2~4重量%、特に0.3~3重量%の金属ケア剤を含み、好ましくは、ガラスケア剤は亜鉛含有材料、特に水亜鉛土である。他の好適なガラスケア剤は、ポリエチレンイミン(PEI)である。特に好ましいPEIは、BASFにより供給されるLupasol(登録商標)FGである。
【0181】
pH
本発明の自動食器洗浄組成物は、好ましくは、20℃の蒸留水中1重量/体積%の水溶液中で測定した場合に、約9~約12、より好ましくは約10~約11.5未満、とりわけ約10.5~約11.5のpHを有する。
【0182】
予備アルカリ度
本発明の自動食器洗浄組成物は、好ましくは、20℃において100グラムの製品を含むNaOH中で測定した場合に、pH9.5で、約10~約20、より好ましくは約12~約18の予備アルカリ度を有する。
【0183】
洗浄条件
本明細書に記載の1以上のアミラーゼが曝露されてもよい様々な洗剤配合物、洗浄水量、洗浄水温、及び洗浄時間の長さを含む様々な洗浄条件が存在する。低濃度洗剤系は、約800ppm未満の洗剤成分を含有する洗浄水を対象とする。中濃度洗剤系は、約800ppm~約2000ppmの洗剤成分を含有する洗浄を対象とする。高濃度洗剤系は、約2000ppmを超える洗剤成分を含有する洗浄水を対象とする。いくつかの実施形態では、本発明の「冷水洗浄」は、約10℃~約40℃、約20℃~約30℃、又は約15℃~約25℃、並びに約15℃~約35℃又は10℃~40℃の範囲内の他の全ての組合せの温度での洗浄に適した「冷水洗剤」を利用する。
【0184】
地理が異なると、水の硬度も異なる。硬度は、水中のカルシウム(Ca2+)及びマグネシウム(Mg2+)の量の尺度である。水硬度は通常、Ca2+/Mg2+を混合した1ガロン当たりのグレイン(gpg)で表される。米国のほとんどの水は硬いが、硬度は様々である。中程度に硬い(60~120ppm)から硬い(121~181ppm)水は、60~181ppm(ppmを17.1で割ることによってppmを1U.S.ガロン当たりのグレインに変換することができる)の硬度鉱物を有する。
【0185】
【表3】
【0186】
本発明の実施形態
以下は本発明の実施形態である:
1.界面活性剤及びアミラーゼを含むホームケア組成物であって、アミラーゼは、親α-アミラーゼの組換え非天然変異体であり、変異体α-アミラーゼは、配列番号5と少なくとも80%の同一性、好ましくは少なくとも85%の同一性、好ましくは少なくとも86%の同一性、好ましくは少なくとも87%の同一性、好ましくは少なくとも88%の同一性、好ましくは少なくとも89%の同一性、好ましくは少なくとも90%の同一性、好ましくは少なくとも95%の同一性、好ましくは少なくとも96%の同一性、好ましくは少なくとも97%の同一性、好ましくは少なくとも98%の同一性、又は好ましくは少なくとも99%の同一性を有し、配列番号5に関して51位及び/又は125位にアミノ酸置換を有する、ホームケア組成物。
2.アミラーゼが、配列番号5に関してアミノ酸置換T51V及び/又はS125Rを含む、実施形態1に記載の組成物。
3.アミラーゼが、配列番号5に関して172位、227位及び/又は231位にアミノ酸置換を含む、実施形態1又は2に記載の組成物。
4.アミラーゼが、配列番号5に関してアミノ酸置換N172Q、N227R及び/又はF231Lを含む、実施形態3に記載の組成物。
5.アミラーゼが、配列番号5に関してアミノ酸置換:
(a)T51V+S125R+F231L;
(b)T51V+S125R+N172Q+N227R;又は
(c)N29Q+T51V+S125R+N227R+S253L+G272E+K319R+S418A、
を有してもよい。
6.アミノ酸置換X39E、X99R、X126A、X127E及びX128Gを有するバチルス・ギブソニイ(Bacillus gibsonii)由来の変異体スブチリシンプロテアーゼを更に含む、実施形態1~5のいずれか一項に記載の組成物。
7.組成物は自動食器洗浄組成物である、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
8.組成物が漂白系を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
9.組成物が、1,4,7-トリメチル-1,4,7-トリアザシクロノナン(Me-TACN)、1,2,4,7-テトラメチル-1,4,7-トリアザシクロノナン(Me/Me-TACN)及びこれらの混合物から成る群から選択されるマンガン漂白触媒を含む、実施形態1~8のいずれか一項に記載の組成物。
10.組成物が、アシルトランスフェラーゼ、アミラーゼ、α-アミラーゼ、β-アミラーゼ、α-ガラクトシダーゼ、アラビナーゼ、アラビノシダーゼ、アリールエステラーゼ、β-ガラクトシダーゼ、β-グルカナーゼ、カラギナーゼ、カタラーゼ、セルラーゼ、コンドロイチナーゼ、クチナーゼ、ジスペルシン(dispersin)、エンドグルカナーゼ、エンド-β-マンナナーゼ、エキソ-β-マンナナーゼ、エステラーゼ、エキソ-マンナナーゼ、ガラクタナーゼ、グルコアミラーゼ、ヘミセルラーゼ、ヘキソサミニダーゼ、ヒアルロニダーゼ、ケラチナーゼ、ラッカーゼ、ラクターゼ、リグニナーゼ、リパーゼ、脂肪分解酵素、リポキシゲナーゼ、リゾチーム、マンナナーゼ、メタロプロテアーゼ、ヌクレアーゼ、オキシダーゼ、オキシドレダクターゼ、ペクチン酸リアーゼ、ペクチンアセチルエステラーゼ、ペクチナーゼ、ペントサナーゼ(pentosanases)、ペルヒドロラーゼ、ペルオキシダーゼ、PETases、フェノールオキシダーゼ、ホスファターゼ、ホスホリパーゼ、フィターゼ、ポリエステラーゼ、ポリガラクツロナーゼ、追加のプロテアーゼ、プルラナーゼ、レダクターゼ、ラムノガラクツロナーゼ(rhamnogalacturonases)、タンナーゼ、トランスグルタミナーゼ、キシランアセチルエステラーゼ、キシラナーゼ、及びキシロシダーゼ;並びにそれらの組合せから選択される1以上の他の酵素を含む、実施形態1~9のいずれか一項に記載の組成物。
11.1以上の酵素がプロテアーゼを含み、プロテアーゼが、S039E、S099R、S126A、D127E、及びF128Gから成る群から選択される3個、4個、又は5個のアミノ酸置換を含むスブチリシン変異体であり、N74D、T114L、M122L、N198A、N198G、M211E、M211Q、N212Q、及びN242Dから成る群から選択される1以上の追加の置換を更に含み、変異体が配列番号6のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有する、実施形態10に記載の組成物。
12.1以上の酵素がプロテアーゼを含み、プロテアーゼが、
(i)S039E、N74D、S099R、M211E、N242Dから成る群から選択される2以上のアミノ酸置換;及び
(ii)T114L、M122L、S126A、F128G、N198A、N198G、M211Q、N212Qから成る群から選択される1以上の追加の置換を含むスブチリシン変異体であり、
変異体は、配列番号6又は7のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有する。
13.1以上の酵素がプロテアーゼを含み、プロテアーゼが、
(a)配列番号6の配列と少なくとも80%の配列同一性を有し、A37T、S39E、I43V、A47V、P54T、T56Y、I80V、N85S、E87D、S99R、T114Q、M122L、S126A、D127E、F128G、N198A、M211Q、N212Q及びN242Dから選択される3以上の置換を含むプロテアーゼであって、番号付けは配列番号6による、プロテアーゼ;
(b)配列番号8の配列と少なくとも80%の配列同一性を有し、Q12L、I21V、I43V、M122L、D127P、N154S、T156A、G160S、N177V、M211N、M211S、M211L、P212D、P212H、A222S、V228I及びT247Nから選択される1以上の置換を含むプロテアーゼであって、番号付けは配列番号8による、プロテアーゼ;及び
(c)配列番号9の配列と少なくとも80%の配列同一性を有し、S9R、A15T、G59E、V66A、H118N、A188P、V199I、Q200E、N212D、Q239R、N255Dから選択される3以上の置換を含むプロテアーゼであって、付番は配列番号9に従う、プロテアーゼから成る群から選択される、実施形態10に記載の組成物。
14.洗浄を必要とする表面又は物品を、有効量の実施形態1~13のいずれか一項に記載の組成物と接触させる工程を含み、任意に、表面又は物品を変異体又は酵素組成物と接触させた後に、表面又は物品をすすぐ工程を更に含む、洗浄方法。
【実施例
【0187】
実施例1.AA2560α-アミラーゼ変異体
タンパク質発現、精製、及び定量:
国際公開第2021/080948号に記載されているAA2560α-アミラーゼの変異体(本明細書では配列番号5)に基づくAA2560α-アミラーゼコンビナトリアル変異体を合成遺伝子として作製し、標準的な手順を用いて適切なバチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)細胞に導入した。全ての変異を、DNA配列決定によって確認した。細胞を、B.licheniformis宿主におけるタンパク質発現及び分泌に好適な培地中で72時間増殖させた。分泌タンパク質を遠心分離によって採取した。フェニルセファロース6高速流量樹脂(GE Healthcare)を用いた疎水性相互作用クロマトグラフィーの使用によって、精製を達成した。精製されたタンパク質を、pH8の緩衝剤、塩化カルシウム、及びプロピレングリコールとしてHEPESを含有する標準的な配合物緩衝液中で安定化させた。タンパク質濃度を、アミノ酸分析、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、及び280nmでの吸光度の混合によって決定した。
【0188】
酵素性能アッセイ:
α-アミラーゼの活性を、洗剤バックグラウンド中で白色メラミンタイルから染色されたデンプンの染みを除去することによって決定した。Center for Testmaterials(カタログ番号DM277)から購入した、混合コーン/米着色デンプンのタイル及び食品着色剤を含む混合コーン/米デンプンのタイルを使用して、α-アミラーゼの洗浄活性を決定した。タイルを、水性緩衝液中の作用範囲に希釈したアミラーゼ溶液を含有する96ウェルプレートに固定し、WFKB洗剤の予備作製洗剤溶液(WFK Testgewebe GmbH,Bruggen,Deutschland)に添加し、その結果、総体積は300μLになった。次いで、着色されたデンプンの染みを有する事前に画像化されたメラミンタイルを96ウェルプレートの上部に固定し、その結果、アセンブリの撹拌は、デンプンの染みの表面上への酵素含有洗剤の飛散をもたらした。洗浄反応を250rpmで振とうしながら50℃で15分間行った。洗浄反応後、メラミンタイルを水で短時間すすぎ、乾燥させ、再び画像化した。α-アミラーゼの活性を、洗浄前及び洗浄後の画像のRGB(色)値の差として計算する。洗浄後の画像が白ければ白いほど、酵素活性が良好である。性能指数(PI)を以下のように計算する。
【0189】
【数1】
【0190】
ΔRG変異体に対するコンビナトリアル変異体の性能指数:
配列番号5の変異体に対する性能指数に関する変異体の洗浄性能を表3に列挙する。
【0191】
【表4】
【0192】
表3の全ての変異体は、配列番号5の変異体よりも良好に機能する。
【0193】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、特に指示がない限り、そのような寸法は各々、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲の両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」と開示された寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
図1-1】
図1-2】
図2
【配列表】
2024546712000001.xml
【手続補正書】
【提出日】2024-06-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
界面活性剤及びアミラーゼを含むホームケア組成物であって、前記アミラーゼは、親α-アミラーゼの組換え非天然変異体であり、前記変異体α-アミラーゼは、配列番号5と少なくとも80%の同一性を有し、配列番号5に関して51位及び/又は125位にアミノ酸置換を有する、ホームケア組成物。
【請求項2】
前記アミラーゼが、配列番号5に関してアミノ酸置換T51V及びS125Rを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記アミラーゼが、配列番号5に関して172位、227位及び/又は231位にアミノ酸置換を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記アミラーゼが、配列番号5に関してアミノ酸置換N172Q、N227R及び/又はF231Lを含む、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記アミラーゼが、アミノ酸置換:
配列番号5に関して
(a)T51V+S125R+F231L;
(b)T51V+S125R+N172Q+N227R;又は
(c)N29Q+T51V+S125R+N227R+S253L+G272E+K319R+S418A、
を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
アミノ酸置換X39E、X99R、X126A、X127E及びX128Gを有するBacillus gibsonii由来の変異体スブチリシンプロテアーゼを更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記組成物は自動食器洗浄組成物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物が漂白系を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物が、1,4,7-トリメチル-1,4,7-トリアザシクロノナン(Me-TACN)、1,2、4,7-テトラメチル-1,4,7-トリアザシクロノナン(Me/Me-TACN)及びこれらの混合物から成る群から選択されるマンガン漂白触媒を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記組成物が、アシルトランスフェラーゼ、アミラーゼ、α-アミラーゼ、β-アミラーゼ、α-ガラクトシダーゼ、アラビナーゼ、アラビノシダーゼ、アリールエステラーゼ、β-ガラクトシダーゼ、β-グルカナーゼ、カラギナーゼ、カタラーゼ、セルラーゼ、コンドロイチナーゼ、クチナーゼ、ジスペルシン(dispersin)、エンドグルカナーゼ、エンド-β-マンナナーゼ、エキソ-β-マンナナーゼ、エステラーゼ、エキソ-マンナナーゼ、ガラクタナーゼ、グルコアミラーゼ、ヘミセルラーゼ、ヘキソサミニダーゼ、ヒアルロニダーゼ、ケラチナーゼ、ラッカーゼ、ラクターゼ、リグニナーゼ、リパーゼ、脂肪分解酵素、リポキシゲナーゼ、リゾチーム、マンナナーゼ、メタロプロテアーゼ、ヌクレアーゼ、オキシダーゼ、オキシドレダクターゼ、ペクチン酸リアーゼ、ペクチンアセチルエステラーゼ、ペクチナーゼ、ペントサナーゼ(pentosanases)、ペルヒドロラーゼ、ペルオキシダーゼ、PETases、フェノールオキシダーゼ、ホスファターゼ、ホスホリパーゼ、フィターゼ、ポリエステラーゼ、ポリガラクツロナーゼ、追加のプロテアーゼ、プルラナーゼ、レダクターゼ、ラムノガラクツロナーゼ(rhamnogalacturonases)、タンナーゼ、トランスグルタミナーゼ、キシランアセチルエステラーゼ、キシラナーゼ、及びキシロシダーゼ;並びにそれらの組合せから選択される1以上の他の酵素を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記1以上の酵素がプロテアーゼを含み、前記プロテアーゼが、S039E、S099R、S126A、D127E、及びF128Gから成る群から選択される3個、4個、又は5個のアミノ酸置換を含むスブチリシン変異体であり、N74D、T114L、M122L、N198A、N198G、M211E、M211Q、N212Q、及びN242Dから成る群から選択される1以上の追加の置換を更に含み、前記変異体が、配列番号6のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有する、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記1以上の酵素がプロテアーゼを含み、前記プロテアーゼが
(i)S039E、N74D、S099R、M211E、N242Dから成る群から選択される2以上のアミノ酸置換;及び
(ii)T114L、M122L、S126A、F128G、N198A、N198G、M211Q、N212Qから成る群から選択される1以上の追加の置換を含むスブチリシン変異体であり、
前記変異体は、配列番号6又は7のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有する、請求項10に記載の組成物。
【請求項13】
前記1以上の酵素がプロテアーゼを含み、前記プロテアーゼが、
(a)配列番号6の配列に対して少なくとも80%の配列同一性を有し、A37T、S39E、I43V、A47V、P54T、T56Y、I80V、N85S、E87D、S99R、T114Q、M122L、S126A、D127E、F128G、N198A、M211Q、N212Q及びN242Dから選択される3以上の置換を含むプロテアーゼであって、ナンバリングは配列番号6による、プロテアーゼ;
(b)配列番号8の配列に対して少なくとも80%の配列同一性を有し、Q12L、I21V、I43V、M122L、D127P、N154S、T156A、G160S、N177V、M211N、M211S、M211L、P212D、P212H、A222S、V228I及びT247Nから選択される1以上の置換を含むプロテアーゼであって、ナンバリングは配列番号8による、プロテアーゼ;及び
(c)配列番号9の配列に対して少なくとも80%の配列同一性を有し、S9R、A15T、G59E、V66A、H118N、A188P、V199I、Q200E、N212D、Q239R、N255Dから選択される3以上の置換を含むプロテアーゼであって、ナンバリングは配列番号9におる、プロテアーゼ、から成る群から選択される、請求項10に記載の組成物
【請求項14】
洗浄を必要とする表面又は物品を、有効量の請求項1~13のいずれか一項に記載の組成物と接触させる工程を含み、任意に、前記表面又は物品を前記変異体又は酵素組成物と接触させた後に前記表面又は物品をすすぐ工程を更に含む、洗浄方法。
【国際調査報告】