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特表2024-546713研磨パッドの表面状態をオンラインで検出する方法及び検出システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】研磨パッドの表面状態をオンラインで検出する方法及び検出システム
(51)【国際特許分類】
   B24B 37/005 20120101AFI20241219BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20241219BHJP
   B24B 37/26 20120101ALI20241219BHJP
   B24B 49/12 20060101ALI20241219BHJP
   B24B 47/25 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
B24B37/005 Z
H01L21/304 622R
H01L21/304 621D
B24B37/26
B24B49/12
B24B47/25
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024534189
(86)(22)【出願日】2023-01-09
(85)【翻訳文提出日】2024-06-05
(86)【国際出願番号】 CN2023071164
(87)【国際公開番号】W WO2023138421
(87)【国際公開日】2023-07-27
(31)【優先権主張番号】202210077397.9
(32)【優先日】2022-01-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520128152
【氏名又は名称】杭州▲衆▼硅▲電▼子科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】楊 哲
(72)【発明者】
【氏名】周 遠鵬
(72)【発明者】
【氏名】蔡 寧遠
【テーマコード(参考)】
3C034
3C158
5F057
【Fターム(参考)】
3C034AA07
3C034BB93
3C034CA09
3C034CA22
3C034CB13
3C034CB14
3C034DD10
3C158AA07
3C158AA15
3C158AB04
3C158AC02
3C158AC04
3C158BA07
3C158BB02
3C158BB09
3C158BC01
3C158BC02
3C158BC03
3C158CB01
3C158CB03
3C158DA12
3C158DA17
3C158EA11
3C158EB01
3C158EB05
5F057AA20
5F057DA03
5F057EB08
5F057EB30
5F057GB02
5F057GB12
(57)【要約】
本発明は、研磨パッドの表面状態をオンラインで検出する方法を開示し、光学センサを研磨パッドの上方で移動させ、光学センサと研磨パッドの表面との距離情報を取得するステップと、測定された距離情報に基づいて、研磨パッドの表面上の液体の分布状態を区分し、異なる修正計算式を使用して、研磨パッドの表面上の溝の深さの値を計算して取得するステップと、研磨パッドの表面上の修正後の溝の深さの値を予め設定された閾値と比較して、研磨パッドの溝の深さ状態を判断し、研磨パッドの交換が必要であるか否かを確定するステップと、を含む。本発明は、研磨パッドの表面状態のオンライン検出システムを更に開示する。本発明は、光学センサに依存して研磨パッドの表面状態をオンラインで非接触測定することにより、接触検出による研磨パッドの表面への損傷の可能性を防止し、オンライン測定により、研磨パッドの表面状態のモニタリングを適時に行い、研磨パッドの表面状態への検出を正確且つ効率的に実現することができ、検出の適時性がより強く、測定は精密である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
研磨パッドの表面状態をオンラインで検出する方法であって、光学センサを前記研磨パッドの上方で移動させ、前記光学センサと前記研磨パッドの表面との距離情報を取得するステップと、測定された前記距離情報に基づいて、前記研磨パッドの表面上の液体の分布状態を区分し、異なる修正計算式を使用して、前記研磨パッドの表面上の溝の深さの値を計算して取得するステップと、前記研磨パッドの表面上の修正後の溝の深さの値を予め設定された閾値と比較して、前記研磨パッドの溝の深さ状態を判断し、前記研磨パッドの交換が必要であるか否かを確定するステップと、を含むことを特徴とする研磨パッドの表面状態をオンラインで検出する方法。
【請求項2】
前記溝の深さ状態の判断は、深さの値が予め設定された閾値より小さい溝の数が、設定された数に達したか否かを判断する、或いは、所定範囲の溝の深さの平均値が予め設定された閾値より小さいか否かを判断する、ことを特徴とする請求項1に記載の研磨パッドの表面状態をオンラインで検出する方法。
【請求項3】
前記光学センサの移動過程において、前記光学センサと前記研磨パッドの表面との間の距離を第1の情報として取得する、及び/又は、前記光学センサの移動過程において、前記光学センサと前記研磨パッド上の液体表面との間の距離を第2の情報として取得する、及び/又は、前記光学センサの移動過程において、前記光学センサと前記溝の底面との間の距離を第3の情報として取得する、及び/又は、前記光学センサの移動過程において、前記光学センサと前記溝内の液体表面との間の距離を第4の情報として取得する、ことを特徴とする請求項1に記載の研磨パッドの表面状態をオンラインで検出する方法。
【請求項4】
前記研磨パッドの表面上の液体の分布状態は、前記溝内に液体があり、且つ液体が前記溝から溢れた後に前記研磨パッドの表面を覆う第1の状態、前記溝内に液体があり、且つ液体が前記溝を満たしていない第2の状態、前記溝内に液体がない第3の状態、という3つのうちの1つ、又は2つ及びそれ以上の組合せを含むことを特徴とする請求項3に記載の研磨パッドの表面状態をオンラインで検出する方法。
【請求項5】
前記光学センサは、検出して取得した前記距離情報により前記研磨パッドの表面上の液体の分布状態を区別し、前記第1の状態では、前記第1の情報、前記第2の情報、前記第3の情報、及び前記第4の情報を検出して取得し、前記第2の状態では、前記第1の情報、前記第3の情報、及び前記第4の情報を検出して取得し、前記第3の状態では、前記第1の情報及び前記第3の情報を検出して取得することを特徴とする請求項4に記載の研磨パッドの表面状態をオンラインで検出する方法。
【請求項6】
前記第1の状態では、修正された溝の深さ=元の溝の深さ×液体屈折率であり、前記第2の状態では、修正された溝の深さ=元の溝の深さ+(前記光学センサから前記研磨パッドの溝の底面までの距離-前記光学センサから前記研磨パッド上の液体表面までの距離)×(液体屈折率-1)であり、前記第3の状態では、修正された溝の深さ=元の溝の深さである、ことを特徴とする請求項5に記載の研磨パッドの表面状態をオンラインで検出する方法。
【請求項7】
前記ステップを繰り返して前記溝の深さの状態を検出し、前記溝の深さの状態が設定状態に達した場合、前記研磨パッドの交換を促すリマインダーを発行する、ことを特徴とする請求項1に記載の研磨パッドの表面状態をオンラインで検出する方法。
【請求項8】
前記光学センサは、前記研磨パッドと平行且つ上方で、前記研磨パッドの半径方向に沿って移動し、且つ、移動範囲は、前記研磨パッドの端部から前記研磨パッドの中心部までである、ことを特徴とする請求項1に記載の研磨パッドの表面状態をオンラインで検出する方法。
【請求項9】
研磨パッドの表面状態をオンラインで検出するシステムであって、少なくとも光学ユニット、センサプローブ、及び制御ユニットを含む光学センサと、前記光学センサに接続され、前記制御ユニットが取得した距離情報を分析し、そして異なる修正計算式に対応して、前記研磨パッドの表面上の溝の深さの値を計算して取得する処理ユニットと、前記光学センサを前記研磨パッドの上方で駆動するための可動支持構造と、を含み、前記光学ユニットは、前記研磨パッドの表面に向けて光ビームを放射するために用いられ、前記センサプローブは、前記光学ユニットから放射された光ビームを集束させて前記研磨パッドに照射し、そして反射光を受光して前記光学ユニットに伝達するために用いられ、前記制御ユニットは、前記センサプローブと前記研磨パッドの表面の各箇所との間の距離を取得するために用いられる、ことを特徴とする研磨パッドの表面状態をオンラインで検出するシステム。
【請求項10】
前記修正計算式は、前記研磨パッドの表面上の液体の異なる分布状態に対するものであり、前記分布状態は、前記溝内に液体があり、且つ液体が前記溝から溢れた後に前記研磨パッドの表面を覆う第1の状態と、前記溝内に液体があり、且つ液体が前記溝を満たしていない第2の状態と、前記溝内に液体がない第3の状態と、を含む、ことを特徴とする請求項9に記載の研磨パッドの表面状態をオンラインで検出するシステム。
【請求項11】
前記光学センサは、スペクトル共焦点技術を採用する、ことを特徴とする請求項9に記載の研磨パッドの表面状態をオンラインで検出するシステム。
【請求項12】
前記可動支持構造は、前記光学センサを駆動して前記研磨パッドと平行な方向に沿って移動させ、移動範囲は、前記研磨パッドの端部から前記研磨パッドの中心部までであり、前記可動支持構造の高さが調節可能である、ことを特徴とする請求項9に記載の研磨パッドの表面状態をオンラインで検出するシステム。
【請求項13】
前記可動支持構造は、研磨ヘッド、又は研磨アーム、又は研磨液ディスペンサーアーム、又はトリミングヘッド、又はトリミングアーム、又は独立支持構造である、ことを特徴とする請求項9に記載の研磨パッドの表面状態をオンラインで検出するシステム。
【請求項14】
前記センサプローブの外カバーに透明保護層が設けられ、前記センサプローブ又は前記透明保護層を洗浄するための洗浄ユニットを更に含む、ことを特徴とする請求項9に記載の研磨パッドの表面状態をオンラインで検出するシステム。
【請求項15】
所定範囲の前記溝の深さの平均値が設定値よりも小さいか、又は前記溝の深さの値が予め設定された閾値よりも小さい溝の数が設定数に達した場合、警告を発する警告ユニットを更に含む、ことを特徴とする請求項9に記載の研磨パッドの表面状態をオンラインで検出するシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体集積回路チップの製造装置の分野に属し、特に研磨パッドの表面状態をオンラインで検出する方法及び検出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在の半導体集積回路チップの製造プロセスにおいて、化学機械研磨(CMP)は重要なプロセスステップのうちの1つである。化学機械研磨プロセスでは、研磨パッドと研磨液を用いてウェハを研削し、機械と化学の組み合わせにより、ウェハ表面の形状の平坦化を実現する。研磨パッドは、機械的に研削するため、一定の粗さを有する表面に依存しており、研磨パッド上には溝パターンがあり、研磨液は溝パターンに沿ってウェハと接触し、化学的エッチングを行う。
【0003】
平坦化プロセスが進むにつれて、研磨パッドの表面は、研磨により摩耗し続け、研磨パッドの厚さは次第に薄くなり、研磨パッドの表面の溝パターンは次第に浅くなる。浅い溝は保持できる研磨液が減少して研磨速度の低下をもたらし、磨耗した溝により研磨パッドの表面粗さが不十分となり、プロセスの歩留まりが低下し、且つウェハのスリップを引き起こしやすい。したがって、研磨パッドの表面状態を検出することが非常に必要である。
【0004】
現在、研磨パッドの表面状態に対する判断には、主に以下のいくつかの方法がある。
1:研磨パッドの使用時間又は研磨ウェハ数から判断する方法。この方法は、対応する時間と数量を設定した後、設定値に達したことを自動的にリマインダーすることができる。しかし、当該方法は、完全に経験に依存して判断され、異なるプロセスフロー、パラメータ、ウェハのタイプ、および研磨パッド自体の差異は、何れも実際の状態と経験的状態との不一致を引き起こし、判断の誤りにつながる。
【0005】
2:手動オンライン、又はシャットダウンメンテナンスの時における目視検出、若しくはツールによる検出を採用する方法。手動による目視検出の方法は、多大な人的資源を消費する必要があり、且つ定量的ではなく定性的な検出に過ぎず、誤差が大きく、判断の精度が不十分である。シャットダウンメンテナンスは時間と資源の浪費をもたらし、且つメンテナンス時間の間隔が長い場合、判断が遅れやすくなる。
【0006】
3:研磨パッドの厚さから間接的に判断する方法。この方法では、研磨パッドに接触するドレッサなどの構造物の位置を測定して研磨パッドの厚さ情報を取得する方法や、また、研磨パッドの透過率を測定して研磨パッドの厚さ情報を取得するなどの方法を採用する。しかし、当該方法で取得される研磨パッド状態の情報は比較的単一であり、研磨パッドの局部的な厚さ情報のみであり、実際の溝の深さ情報を取得することができない。研磨パッドの全体的な摩耗とは関係のない要因による溝に対する影響、及び研磨パッドの溝自体の深さの誤差などによって、何れも当該方法の判断に誤りが生じやすくなる。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、従来技術の課題を解決するために、研磨パッドの表面状態をオンラインでリアルタイムに検出し、溝の深さ、研磨パッドの厚さ、表面液体状態などの情報を取得し、化学機械研磨プロセスの効率と歩留まりを向上させることができる研磨パッドの表面状態のオンライン検出方法及び検出システムを提供する。
【0008】
その技術的課題を解決するために本発明が採用した技術的解決手段は、研磨パッドの表面状態をオンラインで検出する方法であり、以下のステップを含む。
光学センサから研磨パッドの表面までの距離情報を取得するために、光学センサを研磨パッドの上方で移動させる。
【0009】
測定された距離情報に基づいて、研磨パッドの表面液体の分布状態を区別し、異なる修正計算式を使用して、研磨パッドの表面の溝の深さの値を計算して取得する。
【0010】
研磨パッドの表面の修正後の溝の深さの値を予め設定した閾値と比較して、研磨パッドの溝の深さの状態を判断し、研磨パッドの交換が必要であるか否かを確定する。
【0011】
更に、溝の深さ状態の判断とは、深さの値が予め設定された閾値より小さい溝の数が、設定された数に達したか否かを判断することであり、或いは、所定範囲の溝の深さ平均値が予め設定された閾値より小さいか否かを判断することである。
【0012】
更に、上記光学センサの移動過程において、光学センサから研磨パッドの表面までの距離を第1の情報として取得する。
【0013】
及び/又は、上記光学センサの移動過程において、光学センサから研磨パッド上の液体表面までの距離を第2の情報として取得する。
【0014】
及び/又は、上記光学センサの移動過程において、光学センサ溝の底面までの距離を第3の情報として取得する。
【0015】
及び/又は、上記光学センサの移動過程において、光学センサから前記溝内の液体表面までの距離を第4の情報として取得する。
【0016】
更に、上記研磨パッドの表面上の液体の分布状態は、以下の3つの状態のうちの1つ又は2つ、及びそれ以上の組み合わせを含む。
溝内に液体があり、且つ液体が溝から溢れた後に研磨パッドの表面を覆う第1の状態、
溝内に液体があり、且つ液体が溝を満たしていない第2の状態、
溝内に液体がない第3の状態。
【0017】
更に、上記光学センサは、検出して取得した距離情報により、上記研磨パッドの表面上の液体の分布状態を区別する。
【0018】
第1の状態では、第1の情報、第2の情報、第3の情報、及び第4の情報を検出する。
【0019】
第2の状態では、第1の情報、第3の情報、及び第4の情報を検出する。
【0020】
第3の状態では、第1の情報及び第3の情報を検出する。
【0021】
更に、第1の状態では、修正された溝の深さ=元の溝の深さ×液体屈折率である。
【0022】
第2の状態では、修正された溝の深さ=元の溝の深さ+(光学センサから研磨パッドの溝の底面までの距離-光学センサから研磨パッド上の液体表面までの距離)×(液体屈折率-1)である。
【0023】
第3の状態では、修正された溝の深さ=元の溝の深さである。
【0024】
更に、上記のステップを繰り返して溝の深さの状態を検出し、上記溝の深さの状態が設定状態に達した場合、研磨パッドの交換を促すリマインダーを発行する。
【0025】
更に、上記光学センサは、上記研磨パッドと平行且つ上方で、研磨パッドの半径方向に沿って移動し、且つ上記移動範囲は、研磨パッドの端部から研磨パッドの中心部までである。
【0026】
本発明は、研磨パッドの表面状態をオンラインで検出するシステムを更に提供し、以下を含む。
少なくとも光学ユニット、センサプローブ、及び制御ユニットを含む光学センサ、
上記光学ユニットは、研磨パッドの表面に向けて光ビームを放射するために用いられる。
【0027】
上記センサプローブは、光学ユニットから放射された光ビームを集束させて研磨パッドに照射し、そして反射光を受光して光学ユニットに伝送するために用いられる。
【0028】
上記制御ユニットは、センサプローブと研磨パッドの表面の各箇所との間の距離を取得するために用いられる。
【0029】
処理ユニットは、光学センサに接続され、制御ユニットが取得した距離情報を分析し、そして異なる修正計算式に対応して、研磨パッドの表面の溝の深さの値を計算して取得するために用いられる。
【0030】
可動支持構造は、光学センサを駆動して研磨パッドの上方に移動させるために用いられる。
【0031】
更に、上記修正計算式は、研磨パッドの表面の液体の異なる分布状態に対するものであり、上記分布状態は、以下を含む。
溝内に液体があり、且つ液体が溝から溢れた後に研磨パッドの表面を覆う第1の状態、
溝内に液体があり、且つ液体が溝を満たしていない第2の状態、
溝内に液体がない第3の状態。
【0032】
更に、上記光学センサは、スペクトル共焦点技術を採用する。
【0033】
更に、上記可動支持構造は光学センサを駆動して研磨パッドと平行な方向に沿って移動させ、移動範囲は、研磨パッドの端部から研磨パッドの中心部までであり、上記可動支持構造の高さは調整可能である。
【0034】
更に、上記可動支持構造は、研磨ヘッド、又は研磨アーム、又は研磨液ディスペンサーアーム、又はトリミングヘッド、又はトリミングアーム、又は独立支持構造である。
【0035】
更に、上記センサプローブの外カバーに透明保護層が設けられ、センサプローブ又は透明保護層を洗浄するための洗浄ユニットを更に含む。
【0036】
更に、警告ユニットを含み、所定範囲の溝の深さの平均値が設定値よりも小さいか、又は深さの値が予め設定された閾値よりも小さい溝の数が設定数に達した場合、警告を発する。
【0037】
本発明の有利な効果は以下のとおりである。1)提案する研磨パッドの表面状態をオンラインで検出するシステム及び検出方法は、光学センサに依存して研磨パッドの表面状態をオンラインで非接触測定し、光学的非接触方法は接触検出による研磨パッドの表面への損傷の可能性を防止し、オンライン測定により、研磨パッドの表面状態のモニタリングを適時に行い、効率が低い人工検出及び正確度が低い、経験に基づく時間検出に比べ、当該検出システムは研磨パッドの表面状態の検出を正確且つ効率的に実現することができる。2)研磨パッドと溝の底部との間の距離の測定に基づいて、溝の深さの定量的で正確な値を取得し、且つ光学センサは、可動支持構造により、研磨パッド全体を移動することができ、研磨パッド上の全ての溝の深さを正確に測定することができ、局所的な研磨パッドの厚さの検出と比較して、本発明は、全体的且つ局所的な研磨パッドの表面状態の正確な測定を実現することができる。3)本発明の距離検出方法は、液体表面の距離を測定し、研磨パッド上に液体表面が存在するか否かを判断し、研磨パッドの溝の深さを検出すると同時に、研磨パッドの表面の液体状態を検出し、研磨パッドの表面の液量の多少を判断し、そして検出された研磨パッドの溝の深さを、研磨パッドの表面の液体状態に基づいて修正することができる。4)研磨パッドの表面の異なる領域の表面の液体の分布状態に基づき、距離情報に合わせて、異なる領域の溝の深さの値を取得することができ、取得された深さの値はより正確であり、判断はより正確である。5)可動支持構造は光学センサをリアルタイムで移動させて研磨パッドを検出することができ、検出の適時性がより強く、研磨パッドの交換がよりタイムリーになる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】本発明の研磨システムの概略斜視図である。
図2】本発明の研磨パッドの表面状態をオンラインで検出するシステムと化学機械研磨装置のマッチング構造概略図である。
図3】本発明の研磨パッドの表面状態をオンラインで検出するシステムの構造概略図である。
図4】液面が研磨パッドの表面を覆っている時の研磨パッドの表面特徴及びその検出概略図である。
図5】液面が研磨パッドの表面を覆っている状態を示す概略図である。
図6】液面が溝内のみにある状態を示す概略図である。
図7】研磨パッドの表面に液体がない状態の概略図である。
図8】本発明の研磨パッドの表面状態をオンラインで検出する方法のステップブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
当業者が本発明の方法をより良く理解するために、以下、本発明の実施形態における図面と合わせて、発明の実施形態における技術的解決手段を明確且つ完全に説明する。明らかに、説明される実施形態は、本発明の実施形態の一部に過ぎず、全ての実施形態ではない。本発明における実施形態に基づいて、当業者が創造的な労力を要することなく得られた全ての他の実施形態は、何れも本発明の請求範囲に属するべきである。
【0040】
研磨パッドの表面状態をオンラインで検出するシステムであって、図3に示すように、光学センサ1と、処理ユニット3と、可動支持構造4と、警告ユニットと、を含む。
【0041】
図1図2に示すように、研磨パッド2は、研磨テーブル20の表面に取り付けられて研磨テーブル20に伴って回転し、研磨テーブル20の上方に、研磨ヘッド41、研磨アーム42、研磨液ディスペンサーアーム43、トリミングヘッド44、及びトリミングアーム45が取り付けられる。研磨ヘッド41は、ウェハを固定して研磨パッド2に十分に接触させ、研磨テーブル20に対して移動及び回転させる。研磨アーム42は研磨ヘッド41を固定する。研磨液ディスペンサーアーム43は、研磨パッド2の表面に研磨液を供給する。トリミングヘッド44が研磨パッド2と接触し、研磨パッド2の表面をトリミングする。研磨アーム42は研磨ヘッド41を固定する。図1は、そのうちの1つの研磨形式のみを示しているが、当然、他の実施形態では、従来の別の研磨形式であってもよい。
【0042】
光学センサ1は、研磨パッド2の表面特徴からのその目標距離をオンラインで検出するために用いられ、少なくとも光学ユニット11、センサプローブ12、及び制御ユニット13を含む。本実施形態において、光学センサ1は、スペクトル共焦点技術を採用する。
【0043】
上記光学ユニット11は研磨パッド2の表面に光ビームを放射するために用いられる。
【0044】
上記センサプローブ12は、光学ユニット11から放射された光ビームを集束させて研磨パッド2に照射し、且つ反射光を受光して光学ユニット11に伝達するために用いられる。センサプローブ12は、光学センサ1に一体的に設けられるだけでなく、光学センサ1から独立して存在することもできる。
【0045】
研磨テーブル20の上方に、センサプローブ12を洗浄して、液体の結晶化の可能性を防止するために用いられる洗浄ユニットが取り付けられ、センサプローブ12の保護作用を良好にするために、センサプローブ12の外側を覆うように透明保護層が設けられ、液体の汚染や腐食の可能性を防止し、それにより、洗浄ユニットが透明保護層を洗浄するようになっている。
【0046】
制御ユニット13は、センサプローブ12と研磨パッド2の表面の各箇所との間の距離を取得するために用いられる。
【0047】
処理ユニット3は、光学センサ2に接続され、制御ユニット13により取得された距離情報を分析し、そして異なる修正計算式に対応して、研磨パッド2の表面の溝21の深さの値を計算して取得する。
【0048】
上記の修正計算式は、研磨パッド2の表面の液体の異なる分布状態に対するものであり、分布状態は、下記3つの状態を含む。溝21内に液体があり、且つ液体が溝21から溢れた後に研磨パッド2の表面を覆う状態、即ち、研磨パッド2の研磨面と溝21上方の液体表面とが何れも存在する第1の状態であり、図5に示す。溝21内に液体があり、液体が溝21を満たしていない状態、即ち、溝21の上方に液体表面が存在し、研磨パッド2の研磨面の上方に液体表面が存在しない第2の状態であり、図6に示す。溝21内に液体がなく、研磨パッド2の研磨面上方及び溝21上方液体表面が何れも存在しない第3の状態であり、図7に示す。
【0049】
可動支持構造4は、光学センサ1を駆動して研磨パッド2の上方に移動させるために用いられ、即ち、光学センサ1は、可動支持構造4に追従して移動し、且つ研磨パッド2に平行な方向に沿って移動させ、移動範囲は、研磨パッド2の端部から研磨パッド2の中心部までである。
【0050】
光学センサ1は、センサプローブ12から研磨パッド2の表面までの距離を測定し、当該距離に応じて、可動支持構造体4が、そこに固定されたセンサプローブ12を駆動して研磨パッド2に対して垂直に移動させ、センサプローブ12から研磨パッド2の表面までの距離を光学センサ1の最適な作動距離になるように調整され、最適な作動距離においては、センサプローブ12から放射される光ビームの焦点は最小であり、より狭い溝に入って測定することができる。そのため、可動支持構造4は、高さ調整可能な構造として設計され、且つ高さ調整時には研磨パッド2の表面に対して垂直方向に上下に移動させる。
【0051】
可動支持構造体4は、研磨ヘッド41、又は研磨アーム42、又は研磨液ディスペンサーアーム43、又はトリミングヘッド44、又はトリミングアーム45、又は独立支持構造であってもよく、特に限定されない。
【0052】
警告ユニットは、所定範囲の溝21の深さの平均値が設定値よりも小さいか、又は、深さの値が予め設定された閾値よりも小さい溝21の数が設定数に達した場合、ユーザに研磨パッド2の交換を促す警告を発する。
【0053】
研磨パッドの表面状態をオンラインで検出するシステムを使用する際は、センサプローブ12は、光学センサ1の検出範囲内にある研磨パッド2から一定の距離離れて取り付けられ、光学センサ1の光学ユニット11は、光ビームを放射し、センサプローブ12を通過し、光ビームは微小点に集束されて研磨パッド2に照射され、研磨パッド2の表面特徴からの反射を経て、各特徴の反射光ビームは、センサプローブ12によって受光され、光学ユニット11に再び伝達され、反射光ビームの波長、強度、スポット位置などの情報を検出する。制御ユニット13は、光学ユニット11を制御して光ビームの放射、受光、検出を行い、そして検出して取得した情報によって、センサプローブ12から研磨パッド2上の各種液面分布領域までの距離情報を取得し、光学センサ1の距離測定機能を完成させる。処理ユニット3は、光学センサ1から測定された距離情報を受信し、研磨パッド2の表面状態の後続の分析に使用される。
【0054】
可動支持構造4は、これに固定されたセンサプローブ12を駆動し、研磨パッド2に平行に所定の移動経路に応じて移動させ、移動経路上の対応する研磨パッド2の部分的又は全体的な各領域の表面特徴距離情報を測定し、センサプローブ12から研磨パッド2上の液体表面までの距離、センサプローブ12から研磨パッド2までの距離、及びセンサプローブ12から研磨パッド2の溝21の底面までの距離を含む。可動支持構造体4の移動経路は、研磨パッド2の端部から中心部までの全範囲を含み、これに固定された光学センサ1は、研磨パッド2全体の各箇所の特徴距離情報を測定することができる。
【0055】
図8に示すように、研磨パッドの表面状態をオンラインで検出する方法は、以下のステップを含む:
光学センサ1を研磨パッド2の上方、具体的には研磨パッド2の平行上方に、研磨パッド2の半径方向に沿って移動させ、且つ移動範囲は研磨パッド2の端部から研磨パッド2の中心部までであり、研磨パッド2の表面の状態情報、及び光学センサ1と研磨パッド2の表面との距離情報を取得する。
【0056】
研磨パッド2の表面液体の分布状態に基づいて、測定された距離情報と組み合わせて、異なる修正計算式を使用することに対応して、研磨パッド2の表面の溝21の深さの値を計算して取得する。
【0057】
研磨パッド2の表面の溝21の修正後の深さの値を予め設定した閾値と比較して、研磨パッド2の溝21の深さの状態を判断し、それにより、研磨パッド2の交換が必要であるか否かを確定する。
【0058】
最初の判断結果が交換不要である場合、上記ステップを繰り返して溝21の深さ状態を検出する。溝21の深さ状態が設定状態に達した場合、警告ユニットにより研磨パッド2の交換を促すリマインダーを発行する。
【0059】
上記研磨パッド2上の溝21の深さ状態の判断は、深さの値が予め設定された閾値より小さい溝21の数が設定された数に達したか否かを判断することであり、或いは、所定範囲の溝21の深さ平均値が予め設定された閾値より小さいか否かを判断することである。当該所定範囲は研磨パッド2上の任意の大きさの領域であってもよい。
【0060】
具体的には、光学センサ1を、研磨パッド2の上方に移動させ、第1の情報、第2の情報、第3の情報、及び第4の情報を含む研磨パッド2の表面の状態情報を取得する。
【0061】
図4に示すように、そのうちの第1の情報は、光学センサ1から研磨パッド2の表面までの距離である。
【0062】
第2の情報は、光学センサ1から研磨パッド2上の液体表面までの距離である。
【0063】
言い換えると、光学センサ1は、センサプローブ12が研磨パッド2の上方に位置する場合、研磨パッド2上の液体表面の有無を判断し、そしてセンサプローブ12から研磨パッド2上の液体表面までの距離を測定する。同時に、光学センサ1は、研磨パッド2が存在するか否かを判断し、そしてセンサプローブ12から研磨パッド2までの距離を測定する。
【0064】
第3の情報は、光学センサ1から溝21の底面までの距離である。
【0065】
第4の情報は、光学センサ1から溝21の液体表面までの距離である。
【0066】
言い換えると、光学センサ1は、センサプローブ12が研磨パッド2の溝21の上方に位置する場合、研磨パッド2上の液体表面の有無を判断し、そしてセンサプローブ12から研磨パッド2上の液体表面までの距離を測定する。同時に、光学センサ1は、研磨パッド2の溝21の底面の有無を判断し、そしてセンサプローブ12から溝21の底面までの距離を測定する。
【0067】
溝21の深さ計算式は、溝の深さ=センサプローブから研磨パッドの溝底面までの距離-センサプローブから研磨パッドの表面(ここでは研磨パッドの研磨面)までの距離である。
【0068】
研磨パッド2の表面には研磨液が蓄積され、且つ異なる領域によって蓄積された研磨液の蓄積量が異なるため、上記研磨パッド2の表面の状態情報は、一般的に、以下の3つのうちの1つ又は2つ、及びそれ以上の組み合わせを含む。光学センサ1は、検出して取得した距離情報により、研磨パッド2の表面上の液体の分布状態を区別する。
【0069】
第1の状態は、図5に示すように、溝21内に液体があり、且つ液体が溝21から溢れた後に研磨パッド2の表面を覆うことである。第1の状態において、光学センサ1は、第1の情報、第2の情報、第3の情報、及び第4の情報を検出して取得され、対応する修正式は、修正後の溝の深さ=元の溝の深さ×液体屈折率である。
【0070】
第2の状態は、図6に示すように、溝21内に液体があり、液体が溝21を満たしていないことである。第2の状態において、光学センサ1は、第1の情報、第3の情報、及び第4の情報を検出して取得され、対応する修正式は、修正後の溝の深さ=元の溝の深さh1+(光学センサから研磨パッドの溝の底面までの距離h2-光学センサから研磨パッド上の液体表面までの距離h3)×(液体屈折率-1)である。
【0071】
第3の状態は、図7に示すように、溝21内に液体がないことである。第3の状態において、光学センサ1は、第1の情報及び第3の情報を検出して取得され、対応する修正式は、修正後の溝の深さ=元の溝の深さである。
【0072】
上記の具体的な実施形態は、本発明を解釈して説明するためのものであり、本発明を制限するものではない。本発明の精神や特許請求の範囲により請求される範囲内で、本発明に対して行われる任意の修正や変更は、何れも本発明の請求範囲に含まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】