(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】プロジェクタ
(51)【国際特許分類】
G03B 21/00 20060101AFI20241219BHJP
【FI】
G03B21/00 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024534216
(86)(22)【出願日】2022-11-24
(85)【翻訳文提出日】2024-08-02
(86)【国際出願番号】 GB2022052972
(87)【国際公開番号】W WO2023105189
(87)【国際公開日】2023-06-15
(32)【優先日】2021-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524215100
【氏名又は名称】アラファト,カリル
【氏名又は名称原語表記】ARAFAT, Khalil
(71)【出願人】
【識別番号】524215111
【氏名又は名称】ゼレンコヴァイト,クリスティーナ
【氏名又は名称原語表記】ZELENKOVAITE, Kristina
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】弁理士法人武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アラファト,カリル
(72)【発明者】
【氏名】ゼレンコヴァイト,クリスティーナ
【テーマコード(参考)】
2K203
【Fターム(参考)】
2K203FA74
2K203FA82
2K203KA42
2K203KA50
2K203KA52
2K203KA83
2K203KA85
2K203KA87
2K203MA30
(57)【要約】
【解決手段】本発明に係るプロジェクタ(2)は、ビジュアルコンテンツまたはオーディオビジュアルコンテンツを配信するための出力ユニット(4)と、少なくとも1つの動きセンサ(24)または音声センサ(22)と、出力ユニット(4)および少なくとも1つのセンサ(22、24)と通信するコントローラ(20)とを備える。コントローラ(20)は、少なくとも1つのセンサ(22、24)からの信号に基づいて、出力ユニット(4)の出力レベルを調整するように構成される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビジュアルコンテンツまたはオーディオビジュアルコンテンツを配信するための出力ユニットと、
少なくとも1つの動きセンサまたは音声センサと、
前記出力ユニットおよび前記少なくとも1つのセンサと通信し、前記少なくとも1つのセンサからの信号に基づいて、前記出力ユニットの出力レベルを調整するように構成されるコントローラと、
を備えることを特徴とするプロジェクタ。
【請求項2】
前記コントローラは、前記信号に基づいて前記出力レベルを下げるように構成される、
ことを特徴とする請求項1に記載のプロジェクタ。
【請求項3】
前記コントローラは、前記信号に基づいて前記出力レベルを上げるように構成される、
ことを特徴とする請求項1または2に記載のプロジェクタ。
【請求項4】
前記コントローラは、さらに、前記信号に応答して、前記出力ユニットが配信する前記コンテンツを変更すると共に、前記出力レベルを調整するように構成される、
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のプロジェクタ。
【請求項5】
前記コントローラは、前記少なくとも1つのセンサからの、異なる状況を示す異なる信号を、異なるカテゴリに分類し、前記異なる信号に割り当てられた前記カテゴリにしたがって、異なる信号に反応するように構成される、
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載のプロジェクタ。
【請求項6】
前記コントローラは、信号を、人が眠っていることを示すものとして分類するように構成される、
ことを特徴とする請求項5に記載のプロジェクタ。
【請求項7】
前記コントローラは、信号を、人が目覚めていることを示すものとして分類するように構成される、
ことを特徴とする請求項5または6に記載のプロジェクタ。
【請求項8】
前記コントローラは、信号を、人が苦痛を感じていることを示すものとして分類するように構成される、
ことを特徴とする請求項5~7のいずれか一項に記載のプロジェクタ。
【請求項9】
前記コントローラは、信号を、前記プロジェクタが妨害されていることを示すものとして分類するように構成される、
ことを特徴とする請求項5~8のいずれか一項に記載のプロジェクタ。
【請求項10】
前記コントローラは、信号を、誤報として分類するように構成される、
ことを特徴とする請求項5~9のいずれか一項に記載のプロジェクタ。
【請求項11】
前記コントローラは、さらに、内部タイマにしたがって、前記出力ユニットの前記出力レベルを徐々に下げるように構成される、
ことを特徴とする請求項1~10のいずれか一項に記載のプロジェクタ。
【請求項12】
ビジュアルコンテンツまたはオーディオビジュアルコンテンツを配信するための出力ユニットと、
前記出力ユニットと通信するコントローラと、
を備え、
前記コントローラは、内部タイマにしたがって、前記出力ユニットの出力レベルを徐々に下げるように構成される、
ことを特徴とするプロジェクタ。
【請求項13】
前記出力レベルは、前記出力ユニットの光出力の輝度からなる、
ことを特徴とする請求項1~12のいずれか一項に記載のプロジェクタ。
【請求項14】
前記出力レベルは、前記出力ユニットの音声出力の音量からなる、
ことを特徴とする請求項1~13のいずれか一項に記載のプロジェクタ。
【請求項15】
請求項13に従属し、請求項11または12を組み込んだときに、前記コントローラは、輝度と音量の両方を、実質的にゼロになるまで徐々に下げるように構成され、輝度と音量は、異なる時点で実質的にゼロに達する、
ことを特徴とする請求項14に記載のプロジェクタ。
【請求項16】
前記プロジェクタは、ユーザからの1回の入力に応答して、電源オフの状態から、エンターテインメントコンテンツが出力される再生状態に移行するように構成される、
ことを特徴とする請求項1~15のいずれか一項に記載のプロジェクタ。
【請求項17】
前記プロジェクタは、使用中に、近くにいる人から健康データを収集するように構成される、
ことを特徴とする請求項1~16のいずれか一項に記載のプロジェクタ。
【請求項18】
前記プロジェクタは、さらに無線通信送信機を備える、
ことを特徴とする請求項1~17のいずれか一項に記載のプロジェクタ。
【請求項19】
前記プロジェクタは、さらにカメラを備える、
ことを特徴とする請求項1~18のいずれか一項に記載のプロジェクタ。
【請求項20】
前記プロジェクタは、
前記出力ユニットに電力を供給するように構成された内蔵バッテリと、
内蔵再生メモリと、
をさらに備え、
前記内蔵再生メモリは、前記出力ユニットが出力する再生コンテンツを記憶するように構成される、
ことを特徴とする請求項1~19のいずれか一項に記載のプロジェクタ。
【請求項21】
前記プロジェクタは、載置される面と係合する接触面を画定する基部をさらに備え、
前記出力ユニットは、前記接触面に対して30~60度の角度で光を照射するように構成される、
ことを特徴とする請求項1~20のいずれか一項に記載のプロジェクタ。
【請求項22】
前記コントローラは、音声ファイルを、効果音ファイル、画像ファイル、および/またはビデオファイルのセットと同期させ、効果音、画像、および/またはアニメーションを伴うオーディオブックを再生するように構成される、
ことを特徴とする請求項1~21のいずれか一項に記載のプロジェクタ。
【請求項23】
前記コントローラは、音声合成ユニットと通信するように構成され、
前記音声合成ユニットは、発話された単語の人工的なレンダリングを生成するように構成される、
ことを特徴とする請求項22に記載のプロジェクタ。
【請求項24】
光出力を生成するか、または、音および光の出力を生成するように構成されたプロジェクタであって、
1つまたは複数のセンサからのフィードバックに応答して、音および/または光の出力量を自動的に変更し、
内部クロックによって決定される期間にわたって、前記音および/または光の出力量を自動的に徐々に減らすように構成される、
ことを特徴とするプロジェクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクタに関する。特に、子どもの寝かしつけに使用可能なタイプのプロジェクタに関するが、本発明はこれに限定されない。
【背景技術】
【0002】
現在、乳児や幼児を寝かしつけることを目的とする製品は市場に多く出回っている。そのような製品により、子どもが寝つくまで付き添う保護者にかかる負担が軽減される。寝かしつけを目的とした製品とは、音楽を再生する自動モービルやソフトトイ、定型化された夜空などの静止画像を投影するプロジェクタ、場合によっては、子どもにとってより魅力的なものになるよう、画像を移動させたり回転させたりするプロジェクタ、などである。このような製品の問題の1つとして、子どもを引き込む程度が限られていることが挙げられる。例えば、音楽を再生するテディベアまたは星の投影画像が、(目新しさが薄れた後でも)子どもを落ち着かせることができるのは、子どもがその製品に感情的な愛着を抱いている場合に限られてしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
例えば、コンピュータに接続可能なビデオプロジェクタなどを使用することもできる。ビデオプロジェクタであれば、特定のコンテンツの表示に限定されないため、より魅力的なものとなり得る。しかしながら、そのようなプロジェクタは、一般に、テレビ受像機やコンピュータのモニタなどの代わりとして、成人またはより年長の子どもによる使用が意図されているため、出力される光のレベル(および/または音量)が、子どもの寝かしつけに用いるには高すぎる。また、プロジェクタに近づいた子どもが、集光された高輝度の光を直接見てしまうリスクや、プロジェクタに他の人が当たるなどして光が子どもに照らされてしまうリスクなどがあり、一般的には、子どもが監督されていない部屋での使用には適していない。このように使用することで、子どもの目に苦痛や損傷を与えてしまうこともある。
【0004】
本発明の目的は、上述した欠点の1つを軽減または除去すること、または、改良された、もしくは代替的なプロジェクタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る第1の態様によれば、ビジュアルコンテンツまたはオーディオビジュアルコンテンツを配信するための出力ユニットと、少なくとも1つの動きセンサまたは音声センサと、出力ユニットおよび少なくとも1つのセンサと通信し、少なくとも1つのセンサからの信号に基づいて、出力ユニットの出力レベルを調整するように構成されるコントローラと、を備えるプロジェクタが提供される。
【0006】
動きセンサまたは音声センサからの信号に基づいて出力ユニットの出力レベルを調整するコントローラを備える構成では、プロジェクタは、周囲の状況において認識される変化に適応することができる。例えば、プロジェクタの近くにいる子どもが眠っていると考えられる場合には、輝度や音量を自動的に下げ、子どもが目覚めたと考えられる場合には、輝度や音量を上げる。
【0007】
本発明に係るプロジェクタは、子どもを落ち着かせるためのプロジェクタ、または夜間の寝かしつけに用いられるプロジェクタであってもよい。
【0008】
コントローラは、ジャイロスコープを備えた動きセンサと通信可能であってもよい。代替的または追加的に、コントローラは、加速度計を備えた動きセンサと通信してもよい。コントローラがジャイロスコープおよび加速度計の両方を備える動きセンサと通信する実施形態では、動きセンサはIMUであってもよい。
【0009】
コントローラは、信号に基づいて出力レベルを下げるように構成されてもよい。
【0010】
例えば、コントローラは、信号に基づいて出力レベルを実質的にゼロに減らすように構成されてもよい。
【0011】
信号は、低下した、または低下している人の活動レベルを示すものであってもよい。
【0012】
信号に基づいて出力レベルを下げるように構成されたコントローラの利点の1つは、信号に基づいて適切と判断された場合(例えば、上述したように、近くで子どもが眠っていることを示す場合)、プロジェクタが邪魔にならなくなる点である。
【0013】
代替的または追加的に、信号に基づいて出力レベルを下げるように構成されたコントローラでは、プロジェクタの出力によって子どもが苦痛を感じたり、さらには、怪我を負ってしまったりするリスクを低減することができる。例えば、子供がプロジェクタに近づいたり妨害したりしたこと、または、第三者がプロジェクタに当たったことにより望ましくない方向に光を向けたことを信号が示す場合に、コントローラは、出力レベルを下げることができる。
【0014】
コントローラは、信号に基づいて出力レベルを上げるように構成されてもよい。
【0015】
例えば、コントローラは、信号に基づいて、出力レベルを、実質的にゼロ(例えば、プロジェクタが待機状態にある状態)から上げるように構成されてもよい。
【0016】
信号は、増加した、または増加している人の活動レベルを示すものであってもよい。
【0017】
信号に基づいて出力レベルを上げるように構成されたコントローラの利点の1つは、信号に基づいて適切と判断された場合(例えば、近くにいる子どもが目を覚まし、プロジェクタの再生を望んでいる場合、または、プロジェクタに近づいたり妨害したりする行動を止めたことを示す場合)、プロジェクタを「目覚めさせる」ことができる点である。
【0018】
プロジェクタは、例えば、第1レベルで出力を開始し、コントローラは、センサからの信号に応答して、その出力をより低い第2レベルに下げ、その後、センサからの別の信号に応答して、その出力を再び第1レベルに上げるように構成されてもよい。
【0019】
コントローラは、さらに、信号に応答して、出力ユニットが配信するコンテンツを変更すると共に、出力レベルを調整するように構成されてもよい。
【0020】
配信されるコンテンツと共に、配信のレベルを変更できるように構成されたコントローラを備える構成では、プロジェクタの、周囲の環境の認識に応じて動作を調整する能力を、さらに向上させることができる。
【0021】
コンテンツの変更として、コンテンツの性質に対する変更などが考えられる。例えば、プロジェクタを、(例えば、投影されるアニメーションの輝度を調整するだけでなく)あるアニメーションから他のアニメーションへ切り替えるように構成してもよい。また、例えば、プロジェクタを、第1速度で動くアニメーションから、同じアニメーションにおいて第2速度に速度を上げたもの、または速度を下げたものへ切り替えるように構成してもよい。
【0022】
また、コンテンツの変更として、コンテンツが表示される期間に対する変更などが考えられる。例えば、プロジェクタを、第1期間(例えば、20分)の間、アニメーションまたはビデオクリップを繰り返し再生してから再生を停止するように構成してもよく、また、信号に応答して、より短い期間(例えば、5分)またはより長い期間(例えば、30分)の間、アニメーションやビデオクリップを再生するように構成してもよい。
【0023】
また、コンテンツの変更として、出力ユニットによって提供される出力のタイプに対する変更などが考えられる。例えば、プロジェクタは、最初に光(例えば、ビデオやアニメーション)と音の両方を出力するが、信号に応答して、出力を光のみ、または音のみに、または、その逆に変更するように構成してもよい。また、例えば、コントローラを、信号に応答して、出力ユニットの出力を光のみから音のみに、または、その逆に切り替えるように構成してもよい。
【0024】
コントローラは、少なくとも1つのセンサからの、異なる状況を示す異なる信号を、異なるカテゴリに分類し、異なる信号に割り当てられたカテゴリにしたがって、異なる信号に反応するように構成されてもよい。
【0025】
これにより、すべての信号が単一の状況を示すものとして扱うようにコントローラを構成した場合と比較して、プロジェクタは、認識した状況に合わせてより効果的に調整を行うことができる。
【0026】
一方で、全ての信号について同様に反応するように構成し本発明を利用してもよい。このような構成は、プロジェクタを簡素化できる点(したがって、コスト面)で有利である。代替的または追加的に、コントローラが安全上の理由(例えば、光出力による目の損傷を避けるために)で出力レベルを調整する場合には、コントローラは、「転ばぬ先の杖」となるように、すべての信号が、子どもがプロジェクタに近づいていること、プロジェクタを妨害していることを示すものとして反応する構成が有益であり得る。
【0027】
コントローラは、信号を、人が眠っていることを示すものとして分類するように構成されてもよい。
【0028】
コントローラは、人が眠っていることを示すものとして分類された信号に応答して、出力ユニットの出力レベルを下げるように構成されてもよい。
【0029】
人(例えば、子ども)が眠っていることを示す信号は、例えば、いびきの音や、人がじっと横になっていることに起因する振動の減少などが考えられる。
【0030】
人が眠っているときを識別することができる構成では、プロジェクタは、出力により人を不注意に目覚めさせてしまう可能性を減らすための措置(例えば、出力レベルを下げる、および/または、コンテンツを刺激の少ないものに変更する)をとることができる。
【0031】
コントローラは、信号を、人が目覚めていることを示すものとして分類するように構成されてもよい。
【0032】
コントローラは、人が目覚めていることを示すものとして分類された信号に応答して、出力ユニットの出力レベルを上げるように構成されてもよい。
【0033】
人(例えば、子ども)が目覚めていることを示す信号は、例えば、咳やくしゃみの音やその振動、呼吸数の変化を示す音、および/または、動きレベルの増加による振動などが考えられる。
【0034】
子どもが目覚めているときを識別することができる構成では、プロジェクタは、子どもにより効果的に働きかけるための措置(例えば、出力レベルを上げる、および/または、コンテンツを変更する)をとることができるため、子どもの寝かしつけに保護者が介入する必要性を減らすことができる。
【0035】
コントローラは、信号を、人が苦痛を感じていることを示すものとして分類するように構成されてもよい。
【0036】
コントローラは、人が苦痛を感じていることを示すものとして分類された信号に応答して、出力ユニットの出力レベルを下げるように構成されてもよい。
【0037】
人(例えば、子ども)が苦痛を感じていることを示す信号は、例えば、激しい泣き声、止まらない咳、子ども用ベッドから出ようとする行動、および/または、(年長の子どもの場合)保護者を呼ぶ声、についての音や振動などが考えられる。
【0038】
子どもが苦痛を感じているときを識別することができる構成では、プロジェクタは、子供の苦痛を保護者が把握することを妨げる出力を減らすための措置(例えば、出力レベルを下げる、出力を完全に停止する)をとることができる。
【0039】
コントローラは、信号を、プロジェクタが妨害されていることを示すものとして分類するように構成されてもよい。
【0040】
コントローラは、プロジェクタが妨害されていることを示すものとして分類された信号に応答して、出力ユニットの出力レベルを下げるように構成されてもよい。
【0041】
プロジェクタが妨害されていることを示す信号は、例えば、何か(または誰か)がプロジェクタに衝突したときの音または振動、または動きセンサによって検出されるプロジェクタの向きの変化などが考えられる。
【0042】
プロジェクタが妨害されたときを識別することができる構成では、プロジェクタは、プロジェクタから出力された光が誤って人の目を照射してしまうリスクを減らすことができる。
【0043】
コントローラは、信号を、誤報として分類するように構成されてもよい。
【0044】
コントローラは、誤報として分類された信号に応答して、出力ユニットの出力レベルを変更しないように構成されてもよい。
【0045】
そのような「誤報」信号は、例えば、足音やドアの開閉音(保護者が子どもの様子を見に部屋に入ってきたことを示す場合があり、よって、プロジェクタの動作に変化がないことを保証する)およびその振動、ペットが吠える声、車のヘッドライトの光などの、通常の家庭生活を示す他の信号など、が考えられる。
【0046】
信号を誤報に分類することで、コントローラが出力レベルを誤って調整するリスクを減らすことができる(例えば、トラックが近くを通過していること示す信号を受信したコントローラが、それを子どもが目覚めていることを示すものとして解釈すると、出力レベルを上げてしまい、子どの睡眠を妨害してしまうリスクが増す)。
【0047】
コントローラは、さらに、内部タイマにしたがって、出力ユニット(出力デバイス)の出力レベルを徐々に下げるように構成されてもよい。
【0048】
出力レベルを徐々に下げることで、人が眠りに落ちるにつれて、プロジェクタの出力を「フェードアウト」させることができる。これにより、出力レベルが低下していることが人に認識されにくくなり、入眠プロセスが妨げられない。対照的に、出力レベルを急激に下げると、眠りに落ちる途中の人や眠りが浅い段階にある人はこれに潜在意識に気づいてしまい、覚醒状態に戻されてしまう可能性がある。
【0049】
出力レベルの段階的な低減は、信号(例えば、人が眠っていることを示す信号)に応答してコントローラによって促されてもよいし、動きセンサまたは音声センサからの信号に応答してコントローラによって行われる調整に対する別個の機能であってもよい。
【0050】
本発明に係る第2の態様によれば、ビジュアルコンテンツまたはオーディオビジュアルコンテンツを配信するための出力ユニットと、出力ユニットと通信するコントローラと、を備え、コントローラは、内部タイマにしたがって、出力ユニットの出力レベルを徐々に下げるように構成されるプロジェクタが提供される。
【0051】
上述したように、出力レベルを徐々に下げる構成では、プロジェクタは、人が眠りに落ちるにつれてその出力を「フェードアウト」させることができるため、プロジェクタが人を起こしてしまうリスクを減らすことができる。
【0052】
出力レベルは、出力ユニットの光出力の輝度であってもよい。
【0053】
出力レベルは、出力ユニットの音声出力の音量であってもよい。
【0054】
コントローラは、輝度と音量の両方を、実質的にゼロになるまで徐々に下げるように構成されてもよく、輝度と音量は、異なる時点で実質的にゼロに達してもよい。
【0055】
コントローラは、輝度が音量よりも先に実質的にゼロになるように、輝度および音量を下げるように構成されてもよい。または、コントローラは、音量が輝度よりも先に実質的にゼロになるように、輝度および音量を下げるように構成されてもよい。
【0056】
輝度と音量を異なるタイミングで実質的にゼロにする構成では、光と音の両方のレベルを同じ時点で停止させる構成と比べて、コントローラは、プロジェクタが子どもに与える影響の全体的な減少を、さらに緩やかにすることができる。例えば、睡眠の初期段階にある子どもが、プロジェクタからの音が止まったことに気づき、目を開けてビデオやアニメーションを見ることで、自分が一人ではないと安心して、眠りに戻ることができるかもしれない。逆に、プロジェクタの輝度を徐々に落とすことで、子どもが目を閉じ、プロジェクタからの音に安心しながら眠りにつくことも考えられる。
【0057】
プロジェクタは、ユーザからの1回の入力に応答して、電源オフの状態から、エンターテインメントコンテンツが出力される再生状態に移行するように構成されてもよい。
【0058】
これにより、保護者がプロジェクタを容易に起動することができるため、(再生が開始されるまで、保護者がメニューなどをスクロールしなければならない場合に起こりうる)起動までの間に子どもが落ち着つかなくなるリスクを減らすことができる。
【0059】
ユーザからの1回の入力は、例えば、ボタンを押すこと、ボタンを長押しすること、または、ボタンをダブルクリックすることなどが考えられる。
【0060】
ユーザからの1回の入力は、2つのボタンに適用される入力であってもよい。例えば、1回の入力は、2つのボタンを同時に押すこと、2つのボタンを同時に長押しすること、または、1つのボタンを押しながらもう一方のボタンを押すこと、であってもよい。
【0061】
2つのボタンを使用することで、例えば、保護者がプロジェクタを動かしているときに、誤ってプロジェクタを再生状態にしてしまうリスクを減らすことができる。
【0062】
1回の入力が2つのボタンに適用される入力である場合、プロジェクタは、再生状態にある間にボタン(またはボタンのうちの1つ)がもう一度押されると、異なるエンターテインメントコンテンツのオプションを循環させるように構成されてもよい。
【0063】
これにより、プロジェクタに出力させたいコンテンツを保護者が簡単に変更できるため、プロジェクタの設定に起因する全体的な遅延や混乱を減らすことができる。
【0064】
プロジェクタは、使用中に、近くにいる人から健康データを収集するように構成されてもよい。
【0065】
プロジェクタが収集する健康データは、例えば、人の睡眠スケジュール、および/または、人の睡眠パターンに関するデータなどが考えられる。代替的または追加的に、例えば、人がくしゃみ、および/または咳をする頻度に関するデータを収集してもよい。このようなデータは、音声センサ、および/または動きセンサからの、または、別のセンサからのフィードバックによって判定してもよい。
【0066】
プロジェクタがデータを収集する構成では、親はスマートウォッチのような別個の機器を必要とせずに、子どもの健康状態を確認する(例えば、子どもがベッドにいることを確認する、および/または、子どもがベッドにいる間に十分な睡眠をとれているかを確認する)ことができる。
【0067】
プロジェクタは、プロジェクタが収集したデータを保存するように構成されたデータメモリを備えてもよい。これにより、プロジェクタが収集する際に、データをリアルタイムで送信する必要がなくなる。
【0068】
プロジェクタは、さらに無線通信送信機を備えてもよい。
【0069】
例えば、プロジェクタは、Bluetooth(登録商標)またはWiFi通信チップを備えてもよい。これにより、プロジェクタをベビーモニタとして機能させることができる。プロジェクタは、例えば、その音声センサが検出した全ての音を送信して、携帯電話などの受信デバイスによって再生できるように構成してもよい。別の方法としては、プロジェクタ(たとえば、プロジェクタのコントローラ)は、音声センサが検出した音をフィルタリングして、プロジェクタ自体が発する1つまたは複数の音(たとえば、プロジェクタが出力するコンテンツの可聴部分、および/または、プロジェクタの冷却ファンのノイズ)をフィルタリングするように構成してもよい。代替的または追加的に、プロジェクタは、1つまたは複数の特定のカテゴリ(子どもが目覚めていることを示すものとして分類されるものなど)の音のみを送信することができる。さらなる例として、プロジェクタは音を送信せず、代わりに、より一般的なデータ、例えば、動きセンサ、および/または音声センサからの信号が、近くにいる子どもが眠っている、目覚めていて落ち着いている、苦痛を感じている、を示唆しているかについての概要を知らせるトラフィックライト・インジケーターなどを送信してもよい。
【0070】
プロジェクタは、さらにカメラを備えてもよい。
【0071】
例えば、カメラと無線送信機を組み合わせて、プロジェクタが、写真対応またはビデオ対応のベビーモニタとして機能するように構成してもよい。代替的または追加的に、カメラからの情報を、動きセンサや音声センサからの1つまたは複数の信号と組み合わせて、コントローラが、出力レベルを調整するかどうかを判断するために使用してもよい。
【0072】
プロジェクタは、出力ユニットに電力を供給するように構成された内蔵バッテリと、内蔵再生メモリと、をさらに備え、再生メモリは、出力ユニットが出力する再生コンテンツを記憶するように構成されてもよい。
【0073】
このように構成することで、プロジェクタを電源に接続することなく、また、再生用の音声/ビデオファイルが記憶された別個の記憶装置と通信することなく機能させることができるため、プロジェクタをより広範囲で使用することができる。
【0074】
プロジェクタは、載置される面と係合する接触面を画定する基部をさらに備え、出力ユニットは、接触面に対して20~70度、例えば30~60度、または40~50度の間の角度で光を照射するように構成されてもよい。
【0075】
基部は、接触面に対応する平面であってもよい。代替的に、基部は、脚部など突起の集合を有してもよく、その先端が接触面を画定する。
【0076】
コントローラは、音声ファイルを、効果音ファイル、画像ファイル、および/またはビデオファイルのセットと同期させ、効果音、画像、および/またはアニメーションを伴うオーディオブックを再生するように構成されてもよい。
【0077】
したがって、プロジェクタは、親からの入力を必要とすることなく、子どもに「本を読み聞かせ」ることができる。
【0078】
コントローラは、音声合成ユニットと通信するように構成され、音声合成ユニットは、発話された単語の人工的なレンダリングを生成するように構成されてもよい。
【0079】
例えば、音声合成ユニットは、音声IDメモリから音声IDを取得し、音声IDにしたがいベースファイルを修正して音声ファイルを合成するように構成されてもよく、音声ファイルは、発話された単語の人工的なレンダリングの形態をとる。
【0080】
発話された単語の人工的なレンダリングの生成の一例として、Descript,Inc.の「Lyrebird」部門が提供するAIソフトウェア「Overdub」がある。参加者が短い発話のサンプルを記録すると、それに基づき、ソフトウェアが音声IDモデルを作成する。このモデルをテキスト・音声合成ソフトと組み合わせて使用することで、所望のテキストを参加者の音声の「クローン」で読み上げることができる。詳細については、www.descript.com/overdub を参照されたい。
【0081】
このように、プロジェクタは、子どもが認識できる声(例えば、子どもの保護者の声)に似た声で、子どもに「本を読み聞かせる」ことができる。
【0082】
音声合成ユニットは、プロジェクタ内に設けられてもよいし、または、プロジェクタの外部に設けられてもよい(例えば、有線または無線接続を介してプロジェクタのコントローラと通信可能な携帯電話に設けられてもよい)。同様に、音声IDはプロジェクタのメモリ内に記憶されてもよいし、または、外部に記憶されてもよく、ベースファイルは、プロジェクタのメモリ内に記憶されてもよいし、または、外部に記憶されてもよい。
【0083】
本発明に係る第3の態様によれば、光出力を生成するか、または、音および光出力を生成するように構成されたプロジェクタであって、1つまたは複数のセンサからのフィードバックに応答して、音および/または光の出力量を自動的に変更し、内部クロックによって決定される期間にわたって、音および/または光の出力量を自動的に徐々に減らすように構成されるプロジェクタが提供される。
【0084】
プロジェクタは、スタンドアロンユニットであってもよい。代替的に、より大型の多機能機器の一部とすることもできる。本発明の第4の態様では、本発明の第1の態様または第2の態様によるプロジェクタを備える携帯電話が提供される。このような携帯電話では、上述の機能を、一般に携帯電話によって提供される機能と組み合わせて提供することができるため、2つの別個の装置を必要としない。
【0085】
なお、本明細書における子どもについての言及は限定を意図するものではない。プロジェクタは、あらゆる年齢の人々によって使用されてもよく、あるいは、あらゆる年齢の人々のために設計されてもよいことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【
図1】本発明の実施形態に係るプロジェクタの概略図である。
【
図2】
図1に示すプロジェクタの使用時における側面図であり、子ども用ベッドの上に画像を投影している様子を示す。
【
図3】
図1および
図2に示すプロジェクタの側面図であり、携帯電話の音声合成ユニットと通信している様子を示す。
【発明を実施するための形態】
【0087】
本発明の実施形態の一例を、添付の概略図を参照して説明する。
【0088】
図1は、本発明の一実施形態に係るプロジェクタ2の概略図である。プロジェクタ2には出力ユニット4が設けられ、出力ユニット4は、静止画または動画を投影するための光源および集束レンズ(図示せず)を備える投影部6と、音声を出力するためのスピーカ部8と、を備える。さらに、プロジェクタ2には、プロジェクタ2に電力を供給するように構成された内蔵バッテリ10と、プロジェクタによって再生されるコンテンツを記憶する内蔵コンテンツメモリ12と、後述するように、プロジェクタ2によって収集されるデータを記憶する内蔵データメモリ14とが設けられる。
【0089】
プロジェクタ2の機能はコントローラ20によって管理され、コントローラ20には、出力ユニット4、バッテリ10、コンテンツメモリ12、データメモリ14が接続される。プロジェクタの使用中、コントローラ20は、バッテリ10から電力の供給を受け、プロジェクタから出力される特定のコンテンツに対応するデータファイルをメモリ12から取り出し、出力ユニット4に対して電力およびデータの両方を供給する。投影部6はメモリ12から取り出したファイルにしたがって光を出力し、および/または、スピーカ部8は音声を出力する。これにより、音声効果を伴うビデオアニメーションなどの所望のコンテンツが生成される。
【0090】
また、コントローラ20には、マイクロフォンの形態の音声センサ22と、ジャイロスコープおよび加速度計を有するIMUの形態の動きセンサ24と、タイマユニット26が接続される。コントローラ20は、音声センサ22、動きセンサ24、および/またはタイマユニット26からの信号にしたがって、出力ユニット4の出力レベル、すなわち、投影部6によって生成される光の明るさ、および/または、スピーカ部8によって生成される音量を変化させることができる。この機能については、以下でより詳細に説明する。
【0091】
また、プロジェクタ2には、カメラ30と、WiFi通信チップ32(「無線通信送信機」の一例)と、USBポート34と、電源ボタン36と、安全ボタン38と、ファン40とが設けられ、それぞれがコントローラ20に接続されている。コントローラは、WiFi通信チップ32を介して無線で、または、USBポートを介して有線で、ラップトップコンピュータや携帯電話などの(例えば、プロジェクタ2が登録された連携アプリケーションまたはウェブサイトに対応する)外部デバイスと通信可能に接続されている。このように通信接続されることで、例えば、ユーザプリファレンスオプションの設定、次の動作で再生するコンテンツの選択、および/または、コンテンツメモリ12への新しいコンテンツのアップロードといった、プロジェクタ2の制御が可能になる。また、プロジェクタ2のファームウェアのアップデートをインストールも可能になる。さらに、以下で説明するように、プロジェクタ2が収集したデータ、例えば、データメモリ14に記憶されたデータに、外部デバイスがアクセスすることができるようになる。
【0092】
図2はプロジェクタ2の使用状態を示し、ここで、プロジェクタ2は、子ども用ベッド50内にいる乳児を寝かしつけるためのコンテンツを出力している。出力されているコンテンツは、スピーカ部8を介して再生される子守唄の形態をとっており、この子守唄は、投影部6によって子ども用ベッド50の上方の天井に投影された、柵を飛び越えるヒツジの漫画のビデオと連動している。
【0093】
図2に示すプロジェクタ2の外側ケース52には、床やテーブルに載置するための接触面を画定する平面状の基部54と、ファン40によってケース52内に空気を吸い込んでプロジェクタ(特に投影部6)を冷却するための通気孔56と、が設けられる。また、
図2には、投影部6の外側レンズ58およびフォーカス用ノブ60が示されている。さらに、
図2には、ここでは星形に設けられた電源ボタン36が示されている。プロジェクタ2における、
図2で示している側とは反対側の対応する位置には、ケース52から冷却空気を排出するための通気孔と同様に、安全ボタン38が設けられている。
【0094】
本実施形態で注目すべきは、投影部6が、基部54によって画定される接触面に対して約45度(すなわち、この場合、基部の平面に対して約45度)で光を照射するように構成されている点である。この構成により、基部54が水平面上に配置されると、光は、水平に対して約45度の角度で照射される。この点は、光を基部と平行(すなわち、前方方向に)に照射する構成や、基部に対して垂直(すなわち、真上の方向に)に照射する構成で設けられる多くのプロジェクタとは対照的である。このような中間角度で光を放射することによって、子ども用ベッド50の片側の面にプロジェクタ2を配置し、子ども用ベッド50の上方の天井に投影することができるようになる。対照的に、光を基部54に対して大きすぎる角度で照射して、子ども用ベッド50の上方の天井に投射する場合、プロジェクタを、子ども用ベッド50にかなり近づけて配置しなければならないため、子ども用ベッド50にいる子どもがプロジェクタを覗き込んでしまい、高強度の光が子どもの目を照らしてしまうおそれがある。逆に、光を基部に対して小さすぎる角度で照射して、子ども用ベッド50の上方の天井に投射する場合、プロジェクタを子ども用ベッド50から遠ざけて配置しなければならないため、一般的な広さの部屋での使用には実用的とはいえない。
【0095】
また、このような中間角度で光を照射するプロジェクタ2では、台形補正のプロセスを簡略化することができるため、手動による調整が必要とされないように事前設定してもよい。対照的に、光を真上または真正面に投射するプロジェクタでは、子ども用ベッドの上方に投射できるように設置しなければならないだけでなく、大幅な台形補正が必要となる(そのようなプロジェクタは、一般的に、光が投影される方向に対して垂直な面に光を投影するように設定されるため)。
【0096】
プロジェクタ2は、電源オフの状態から(単なる選択メニューなどの形態のコンテンツではなく)エンターテインメントコンテンツが出力されている再生状態に移行するように、有利かつ容易に起動するように設計されている。この実施形態では、プロジェクタ2は、ユーザ(例えば、保護者)からの1回のアクションに応答して、電源オフの状態から再生状態に移行する。保護者が安全ボタン38および電源ボタン36を2秒間押し続けると、プロジェクタ2の電源が入る。電源が入ると、プロジェクタ2は、デフォルトのコンテンツ(この場合、上述した羊のアニメーションを伴う子守唄)の再生を開始する。プロジェクタ2の電源が入っている状態では、電源ボタン36を押すだけで、利用可能なコンテンツのオプションを循環させて、出力中のコンテンツを変更することができる。この場合、電源ボタン36を最初に押すことで、アニメーション化された夜空シーンを伴う第2の子守唄の形態のコンテンツが選択され、さらに電源ボタン36を押すことで、ゆっくりと移り変わる抽象的な色彩パターンを伴う鳥のさえずりの形態のコンテンツが選択され、またさらに電源ボタンを押すことで、万華鏡のような色彩形状の表示を伴うクラシック音楽の形態のコンテンツが選択される。電源ボタン36を続けて押すことで、上述したオプションが連続ループで繰り返し循環する。
【0097】
上述したように、コントローラ20は、音声センサ22およびカメラ30に接続されている。コントローラは、音声センサ22およびカメラ30から受信した信号をWiFi通信チップに転送し、WiFi通信チップは、受信した信号を携帯電話などのペアリングされたデバイスに送信する。したがって、プロジェクタ2を、ベビーモニタとして、特に本実施形態では、ビデオ対応ベビーモニタとして機能させることができる。ベビーモニタの機能により、保護者は、カメラ30で子どもを見守り、音声センサ22で子どもが発する音を聞くことができる。本実施形態では、コントローラ20は、積分信号フィルタを備える。積分信号フィルタにより、音声センサ22からの信号がWiFi通信チップ32に送信される前に、この信号から、プロジェクタ2が出力しているコンテンツの一部と判断されるノイズを除去することができる。こうすることで、保護者には、子どもが発する音は聞こえるが、プロジェクタ2が出力しているコンテンツは聞こえないようになる。したがって、保護者にとって、コンテンツが邪魔になる、または、子どもが発する音が聞こえないといったリスクを避けることができる。
【0098】
また、上述したように、コントローラ20は、タイマユニット26に接続されている。コントローラ20は、タイマにしたがい、出力ユニット4の出力レベルを徐々に下げる。特に、本実施形態では、上述したようにプロジェクタ2の電源が入ると、タイマユニット26は、20分間の計測を開始する。20分の間(後述するように中断されない限り)にわたり、コントローラは、投影部6からの光出力およびスピーカ部8からの出力音量を徐々に下げていき、ゼロ(すなわち、完全な暗闇および完全な無音)にする。光および音量は、(絶対的な出力ではなく、ユーザの認識の観点から)直線的な経路を辿って漸進的に減少するが、このとき、コントローラ20は、スピーカ部8からの出力音量の減少よりも、投影部6からの出力輝度の減少が速くなるようにする。したがって、光の出力が18分後にゼロになるのに対し、音の出力は20分後にゼロになる。
【0099】
20分が経過した後、プロジェクタ2では、投影部6もスピーカ部8も動作していない待機状態に入るが、コントローラにはバッテリ10から電力が供給され、音声センサ22、動きセンサ24、カメラ30から信号の受信は継続している。したがって、プロジェクタ2は、ビデオ対応ベビーモニタとして引き続き動作し、上述のように、これらの信号に基づいて出力ユニット4の出力レベルを変化させることができるようになっている。
【0100】
本実施形態によるプロジェクタ2のコントローラ20は、受信した信号の性質に応じて、出力ユニット4の出力レベルを様々な方法で調整することができる。特に、コントローラ20は、音声センサ22、動きセンサ24、カメラ30から受信する信号を、(a)人(すなわち、子ども用ベッド50内の子ども)が眠っていることを示すもの、(b)人が目覚めていることを示すもの、(c)人が苦痛を感じていることを示すもの、(d)プロジェクタ2が妨害されていることを示すもの、(e)誤報である、に分類する。
【0101】
本実施形態によるプロジェクタ2のコントローラ20は、子どもが目覚めていることを示すものとして分類された、音声センサ22、動きセンサ24、および/またはカメラ30からの信号を受信すると、出力ユニット4の出力レベル(すなわち、輝度および音量)の両方を調整する。このような信号としては、音声センサ22による咳やくしゃみの音の感知、および/または、カメラ30による子どもが座ったり立ち上がったりしたことの検出、などが考えられる。コントローラ20は、信号に応答して再生を再開し、投影部6およびスピーカ部8の出力レベルを上げる。
【0102】
この場合、コントローラ20は、子どもを再び眠りにつかせるように再生を再開する(すなわち、出力レベルをゼロから上方に調整する)が、本実施形態では、プロジェクタ2が最初に起動されたときと同じ輝度または音量では再生を再開しない。プロジェクタ2が最初に起動されたときに再生されたコンテンツの輝度および音量は、第1輝度および第1音量で出力されたが、一方、子どもが目覚めていることを示す信号を受信した後に、コントローラ20が再生を再開するコンテンツの輝度および音量は、第2輝度および第2音量で出力される。具体的には、例えば、第2音量は第1音量の75%であり、第2輝度は、第1輝度の50%である。このようにして、プロジェクタ2は、再生を再開して子どもを再び寝かしつけるようにするが、出力レベルを下げることで、プロジェクタ2が出力するコンテンツによって、子どもが再び寝かしつけられるのではなくむしろより高い覚醒状態に刺激されるリスクを減らすようにする。
【0103】
さらに、この場合、コントローラは、出力レベルと同様に、出力されるコンテンツを変更する。具体的には、前回は出力レベルを徐々に低下させながら、20分間コンテンツをループ再生していたが、子どもが目覚めていることを示す信号をコントローラが受信して再起動した後は、再び出力レベルを徐々に低下させながら、10分間コンテンツをループ再生する。
【0104】
また、コントローラ20は、音声センサ22、動きセンサ24、および/またはカメラ30からの、子どもが眠っていることを示す信号に基づいて、両方の出力レベルを調整する。このような信号としては、例えば、音声センサ22がいびきと認識されるノイズを検出すること、または、所定の期間にわたりカメラが子どもの最小限の動きに注目することが考えられる。信号を受信すると、コントローラ20は、投影部6の輝度とスピーカ部8の音量の両方を、ゼロまで下方に調整する。具体的には、コントローラ20は、例えば、(例えば、タイマユニット26によって計時される)1分間にわたって、これらの出力を徐々に調整する。したがって、コンテンツにより子どもを起こしてしまうリスクを減らすことができる。出力レベルがゼロに達した後、プロジェクタ2はスタンバイモードに入る。
【0105】
また、コントローラ20は、子どもが苦痛を感じていることを示す信号に応答して、両方の出力レベルを調整する。このような信号としては、親の干渉を必要としない子どもの泣き声が通常のレベルを超えるトーンおよび/または大きさであることを音声センサ22が検出すること、または、子どもが自分の脚を執拗に蹴り続けることによって生じる振動を動きセンサ24が検出すること、などが考えられる。このような信号を受信すると、コントローラ20は、両方の出力レベルを瞬時にゼロに下げる。こうすることで、保護者が直接、またはプロジェクタ2のベビーモニタ機能により、子どもが苦痛を感じていることを見たり聞いたりする(または、実際に、再生が突然停止したことに気づく)可能性が高くなる。
【0106】
さらに、コントローラ20は、プロジェクタ2が妨害されていること、例えば、親によって倒された、または、子供によって抱え上げられたなど、を示すものとして分類された信号を受信した場合、輝度および音量の両方を調整する。このような信号としては、動きセンサ24によって検出される衝撃、または、向きの変化などが考えられる。これに応答して、コントローラ20は、両方の出力レベルを瞬時にゼロに下げる。こうすることで、投影部6からの光出力により子どもの目が眩んだり、傷ついたりするリスクを回避することができる。また、音量(直接、またはプロジェクタのベビーモニタ機能により聞くことができる)を突然低下させることで、プロジェクタ2が妨害されたことを保護者に対して警告することができる。
【0107】
この特定の実施形態では、子どもが眠っていることを示す信号に応答して、コントローラ20が出力レベルを調整した後、プロジェクタ2はスタンバイモードに入る(ベビーモニタとして機能し続け、子どもが再度目覚めたことを示す信号をコントローラ20が受信した場合に再度アクティブになる)。しかしながら、子どもが苦痛を感じていることを示す信号、または、プロジェクタが妨害されたことを示す信号に応答して、コントローラ20が出力レベルを調整した場合は、プロジェクタ2は安全モードに入り、音声センサ22、動きセンサ24、カメラ30からその後コントローラ20が受信する他の信号にかかわらず、再生を再開しない(ただし、ベビーモニタとしては機能する)。プロジェクタ2を安全モードから再起動するには、プロジェクタ2の電源を切り、再度入れる必要がある。こうすることで、子どもがまだ苦痛を感じている、または、プロジェクタ2が正しく設置されていないにも関わらず、子どもが眠っていることを示す信号と誤って分類されることにより、プロジェクタ2が再起動してしまうリスクを減らすことができる。
【0108】
上述したように、コントローラ20は、信号を誤報として分類する。このような信号には、動きセンサ24が、外を通過するトラックや、子どもの様子を見るために部屋を横切る大人から生じる振動を検出すること、音声センサ22が、隣接する部屋の会話音を検出すること、または、カメラ30が、動いているペットを検出することなどが考えられる。この実施形態では、コントローラ20は、誤報と分類された信号に応答して出力レベルを調整することはない。実際、コントローラ20は、誤報信号に応答していかなる変更も行わない。
【0109】
また、プロジェクタ2は、子どもに関する健康データを収集することもできる。より具体的には、子どもが眠っていると考えられる時間を記録し、その情報をデータメモリ14に記憶するように設定することができる。その後、保護者が、例えば、USBポート34やWiFi通信チップ32を介してその情報にアクセスすると、子どもが寝つくのに通常どれくらいの時間がかかるか、夜間にどれくらいの頻度で目覚めるかなどの情報を知ることができる。
【0110】
上述したコンテンツに加えて、プロジェクタ2は、子どもに「本を読み聞かせる」こともできる。コントローラ20は、読みあげられている本の音声ファイルと、画像ファイル、ビデオファイル、および/または効果音ファイルなどの別個のファイルセットを取得し、それらを組み合わせる。こうすることで、読み出されている本のオーディオファイルと、音声ファイルに記述されているイベントと同期している1つまたは複数の音声エフェクト、イラスト、またはアニメーション化されたイラストとが組み合わされて出力される。例えば、音声ファイルがピーターパンの物語であれば、コントローラ20は、その再生と、本の中の主要なシーンのイラストのセットと、妖精の粉を振りかける様子や剣がぶつかり合う様子などを表す効果音とを、同期させてもよい。
【0111】
図3に示すように、本実施形態では、コントローラ20は、WiFi通信チップ32を介して(または代替的に、USBポート34を介して)、携帯電話72内に構成された音声合成ユニット70と通信することができる。また、携帯電話72は、音声IDメモリ74と、ベースファイルメモリ76とを有する。携帯電話72は音声IDを記憶し、この音声IDは、特定の話者、例えば、子どもの保護者、および/または有名人のナレータの声のサンプルを使用して生成される。音声合成ユニットは、音声IDメモリ74から該当する音声IDを取得し、ベースファイルメモリ76から、「読み聞かせる」物語の単語を含む該当するベースファイルを取得し、ベースファイルを修正して、それらの単語が該当する人物の声の人工コピーによって読まれた音声ファイルを生成する。生成された音声ファイルは、プロジェクタ2のコントローラ20に提供され、上述したような画像、ビデオ、および/または音声効果と組み合わせて出力される。例えば、音声合成ユニットは、ベースファイルメモリ76からピーターパンの物語を取得し、子どもの母親の音声IDを取得し、ベースファイルを修正して、母親がピーターパンの物語を「読み聞かせる」音声ファイルを人工的にレンダリングする。こうして生成した音声ファイルはコントローラ20に送信され、音声効果およびイラストと同期される。
【0112】
特定の実施形態を参照しながら本発明を説明および図示したが、本発明は、本明細書に具体的に示されていない多くの異なる変形例にも適していることが、当業者には理解されるであろう。一例として、本発明の別の実施形態では、音声合成ユニットおよび/または音声IDメモリおよび/またはベースファイルメモリが、プロジェクタ自体に備えられていてもよい。代替的または追加的に、プロジェクタは、上記実施形態に示すようなスタンドアロンユニットではなく、携帯電話内に含まれるサブアセンブリであってもよい。また、上記実施形態では、タイマユニットがコントローラとは別個であるものとして説明されたが、タイマがコントローラと一体化して設けられてもよい。
【0113】
別の例として、本発明の他の実施形態では、プロジェクタの出力レベルの漸減を、上述したものとは異なる形態としてもよい。一例として、コントローラは、15分間にわたって出力レベルを徐々に下げてもよく、出力レベルは、最初の5分間は一定のままであるが、その後、残りの10分間にわたって指数関数的に下げるようにしてもよい。
【0114】
前述の説明において、既知の、明白な、または予測可能な等価物を有する整数または要素が言及されている場合、そのような等価物は、個々に記載されているかのように本明細書に組み込まれる。本発明の範囲を定めるためには特許請求の範囲が参照されるべきであるが、特許請求の範囲は、そのような均等物を包含するように解釈されるべきである。また、好ましい、有利な、便利な、などとして記載される本発明の整数または特徴は任意のものであり、独立請求項の範囲を限定しないことを理解されたい。さらに、そのような任意の整数または特徴は、本発明のいくつかの実施形態では有益である一方で、他の実施形態では望ましくないこともあり、したがって、他の実施形態では存在しない場合があることを理解されたい。
【手続補正書】
【提出日】2024-08-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビジュアルコンテンツまたはオーディオビジュアルコンテンツを配信するための出力ユニットと、
少なくとも1つの動きセンサまたは音声センサと、
前記出力ユニットおよび前記少なくとも1つのセンサと通信し、前記少なくとも1つのセンサからの信号に基づいて、前記出力ユニットの出力レベルを調整するように構成されるコントローラと、
を備える
プロジェクタであって、
前記コントローラは、音声合成ユニットと通信するように構成され、
前記音声合成ユニットは、発話された単語の人工的なレンダリングを生成するように構成され、
前記音声合成ユニットは、前記プロジェクタに内蔵されるか、前記プロジェクタとは離れた場所に設けられる、
ことを特徴とするプロジェクタ。
【請求項2】
前記コントローラは、前記信号に基づいて前記出力レベルを下げるように構成される、
ことを特徴とする請求項1に記載のプロジェクタ。
【請求項3】
前記コントローラは、前記信号に基づいて前記出力レベルを上げるように構成される、
ことを特徴とする請求項1または2に記載のプロジェクタ。
【請求項4】
前記コントローラは、さらに、前記信号に応答して、前記出力ユニットが配信する前記コンテンツを変更すると共に、前記出力レベルを調整するように構成される、
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のプロジェクタ。
【請求項5】
前記コントローラは、前記少なくとも1つのセンサからの、異なる状況を示す異なる信号を、異なるカテゴリに分類し、前記異なる信号に割り当てられた前記カテゴリにしたがって、異なる信号に反応するように構成される、
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載のプロジェクタ。
【請求項6】
前記コントローラは、信号を、人が眠っていることを示すものとして分類するように構成される、
ことを特徴とする請求項5に記載のプロジェクタ。
【請求項7】
前記コントローラは、信号を、人が目覚めていることを示すものとして分類するように構成される、
ことを特徴とする請求項5または6に記載のプロジェクタ。
【請求項8】
前記コントローラは、信号を、人が苦痛を感じていることを示すものとして分類するように構成される、
ことを特徴とする請求項5~7のいずれか一項に記載のプロジェクタ。
【請求項9】
前記コントローラは、信号を、前記プロジェクタが妨害されていることを示すものとして分類するように構成される、
ことを特徴とする請求項5~8のいずれか一項に記載のプロジェクタ。
【請求項10】
前記コントローラは、信号を、誤報として分類するように構成される、
ことを特徴とする請求項5~9のいずれか一項に記載のプロジェクタ。
【請求項11】
前記コントローラは、さらに、内部タイマにしたがって、前記出力ユニットの前記出力レベルを徐々に下げるように構成される、
ことを特徴とする請求項1~10のいずれか一項に記載のプロジェクタ。
【請求項12】
ビジュアルコンテンツまたはオーディオビジュアルコンテンツを配信するための出力ユニットと、
前記出力ユニットと通信するコントローラと、
を備え、
前記コントローラは、内部タイマにしたがって、前記出力ユニットの出力レベルを徐々に下げるように構成される、
ことを特徴とするプロジェクタ。
【請求項13】
前記出力レベルは、前記出力ユニットの光出力の輝度からなる、
ことを特徴とする請求項1~12のいずれか一項に記載のプロジェクタ。
【請求項14】
前記出力レベルは、前記出力ユニットの音声出力の音量からなる、
ことを特徴とする請求項1~13のいずれか一項に記載のプロジェクタ。
【請求項15】
請求項13に従属し、請求項11または12を組み込んだときに、前記コントローラは、輝度と音量の両方を、実質的にゼロになるまで徐々に下げるように構成され、輝度と音量は、異なる時点で実質的にゼロに達する、
ことを特徴とする請求項14に記載のプロジェクタ。
【請求項16】
前記プロジェクタは、ユーザからの1回の入力に応答して、電源オフの状態から、エンターテインメントコンテンツが出力される再生状態に移行するように構成される、
ことを特徴とする請求項1~15のいずれか一項に記載のプロジェクタ。
【請求項17】
前記プロジェクタは、使用中に、近くにいる人から健康データを収集するように構成される、
ことを特徴とする請求項1~16のいずれか一項に記載のプロジェクタ。
【請求項18】
前記プロジェクタは、さらに無線通信送信機を備える、
ことを特徴とする請求項1~17のいずれか一項に記載のプロジェクタ。
【請求項19】
前記プロジェクタは、さらにカメラを備える、
ことを特徴とする請求項1~18のいずれか一項に記載のプロジェクタ。
【請求項20】
前記プロジェクタは、
前記出力ユニットに電力を供給するように構成された内蔵バッテリと、
内蔵再生メモリと、
をさらに備え、
前記内蔵再生メモリは、前記出力ユニットが出力する再生コンテンツを記憶するように構成される、
ことを特徴とする請求項1~19のいずれか一項に記載のプロジェクタ。
【請求項21】
前記プロジェクタは、載置される面と係合する接触面を画定する基部をさらに備え、
前記出力ユニットは、前記接触面に対して30~60度の角度で光を照射するように構成される、
ことを特徴とする請求項1~20のいずれか一項に記載のプロジェクタ。
【請求項22】
前記コントローラは、音声ファイルを、効果音ファイル、画像ファイル、および/またはビデオファイルのセットと同期させ、効果音、画像、および/またはアニメーションを伴うオーディオブックを再生するように構成される、
ことを特徴とする請求項1~21のいずれか一項に記載のプロジェクタ。
【請求項23】
請求項1~22のいずれか一項に記載のプロジェクタを備えた携帯電話。
【国際調査報告】