(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】CNP療法
(51)【国際特許分類】
A61K 38/22 20060101AFI20241219BHJP
A61P 19/08 20060101ALI20241219BHJP
C07K 14/58 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
A61K38/22
A61P19/08
C07K14/58 ZNA
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024534246
(86)(22)【出願日】2022-12-07
(85)【翻訳文提出日】2024-07-05
(86)【国際出願番号】 US2022081094
(87)【国際公開番号】W WO2023108005
(87)【国際公開日】2023-06-15
(32)【優先日】2021-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506136483
【氏名又は名称】バイオマリン ファーマシューティカル インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ジェハ, ジョージ
(72)【発明者】
【氏名】バウアー, クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】コバルビアス, セルジオ
(72)【発明者】
【氏名】シャンハビ, デヴァンシ
(72)【発明者】
【氏名】ツェン, ユー-シャン
(72)【発明者】
【氏名】デイ, ジョナサン
(72)【発明者】
【氏名】フィシェレバ, エレナ
【テーマコード(参考)】
4C084
4H045
【Fターム(参考)】
4C084AA02
4C084BA01
4C084BA08
4C084BA18
4C084BA19
4C084BA20
4C084BA23
4C084DB02
4C084MA16
4C084MA22
4C084MA23
4C084MA28
4C084MA31
4C084MA35
4C084MA37
4C084MA43
4C084MA52
4C084MA56
4C084MA57
4C084MA59
4C084MA60
4C084MA63
4C084MA66
4C084NA14
4C084ZA96
4C084ZC51
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA19
4H045DA32
4H045EA20
(57)【要約】
本開示は、一般に、骨格異形成症、低身長又は骨関連障害を治療するためにC型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)療法を受けている患者における有効性の尺度に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨関連障害、骨格異形成症又は低身長を有し、C型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)療法を受けている対象を治療する方法であって、
i)前記対象にCNP療法を施すことと、
ii)前記対象から試料を得ることと、
iii)(ii)で前記対象から採取された試料におけるNTproCNP及び/又はコラーゲンXのN末端断片(CXM)のレベルを測定することと、
iv)CNPの用量を変更又は変化させて、NTproCNPレベルを集団の平均NTproCNPの+/-2SDS以内にすることと、を含む、方法。
【請求項2】
CNP療法の用量レベル又は頻度が、前記NTproCNPのレベルが増加する場合に増加するか、又はCNP療法の用量レベルが、前記NTproCNPのレベルが減少する場合に減少する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
骨関連障害、骨格異形成症又は低身長を有し、C型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)療法を受けている対象を治療する方法であって、
i)前記対象にCNP療法を施すことと、
ii)前記対象から試料を得ることと、
iii)(ii)で前記対象から採取された試料におけるコラーゲンXのN末端断片(CXM)のレベルを測定することと、
iv)コラーゲンXのレベルが減少する場合、CNP療法の用量レベル又は頻度を増加させることと、を含む、方法。
【請求項4】
前記CNP療法用量を増加させることが、前記対象における平均成長速度(AGV)を増加させる、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記対象における前記平均成長速度(AGV)が、6ヶ月にわたって、1年にわたって、又は2年にわたって、又はそれ以上増加する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
CNP療法用量を増加させることが、投与頻度を増加させること及び/又は投与量を増加させることを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
CNP療法用量レベルの増加及びNTproCNPレベルの減少が、対象における年間成長速度(AGV)の改善と相関する、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
CNP療法用量レベルの増加及びNTproCNPレベルの減少が、前記対象における成長板活動の持続時間を延ばす、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記NTproCNPのレベルが、その集団の平均NTproCNPの+/-2SDSの間に維持される、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記CNP療法は、前記NTproCNP SDSが前記平均を下回る場合、ゼロNTproCNP SDSに向かって用量設定される、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記ゼロNTproCNP SDSが、最適な効果サイズを予測する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記試料が、血液、尿、血漿、唾液、又は組織である、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記対象が、軟骨無形成症、骨関節症、低リン酸血症性くる病、軟骨低形成症、低身長、小人症、骨軟骨異形成症、致死性異形成症、骨形成不全症、軟骨無発生症、点状軟骨異形成症(chondrodysplasia punctata)、同型接合性軟骨無形成症、屈曲肢異形成症、先天性致死低ホスファターゼ症、周産期致死型骨形成不全症、短肋骨多指症候群、肢根型点状軟骨異形成症、Jansen型骨幹端異形成症、先天性脊椎骨端異形成症(spondyloepiphyseal dysplasia congenita)、成長不全性骨形成症(atelosteogenesis)、捻曲性異形成症、先天性短大腿骨、Langer型中間肢(mesomelic)異形成症、Nievergelt型中間肢異形成症、Robinow症候群、Reinhardt症候群、先端異骨症(acrodysostosis)、末梢異骨症(peripheral dysostosis)、Kniest異形成症、線維性軟骨発生症(fibrochondrogenesis)、Roberts症候群、肢端四肢中部短縮性異形成症、小肢症、Morquio症候群、Kniest症候群、複合有機栄養性(metatrophic)異形成症、脊椎骨端骨幹端(spondyloepimetaphyseal)異形成症、NPR2変異、SHOX変異(Turner症候群/Leri Weill)、PTPN11変異(Noonan症候群)、IGF1R変異に関連する障害からなる群から選択される骨関連障害、骨格異形成症又は低身長に罹患している、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記CNPが、
PGQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(Pro-Gly-CNP37)(配列番号1)、
GQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(Gly-CNP-37)(配列番号2)、
GDLRVDTKSRAAWARLLQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(Gly-CNP53)(配列番号3)、
PDLRVDTKSRAAWARLLQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(Pro-CNP53)(配列番号4)、
MDLRVDTKSRAAWARLLQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(Met-CNP53)(配列番号5)、
DLRVDTKSRAAWARLLQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSNSGLGC[CNP-53(M48N)](配列番号6)、
LRVDTKSRAAWARLLQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-52)(配列番号7)、
RVDTKSRAAWARLLQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-51)(配列番号8)、
VDTKSRAAWARLLQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-50)(配列番号9)、
DTKSRAAWARLLQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-49)(配列番号10)、
TKSRAAWARLLQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-48)(配列番号11)、
KSRAAWARLLQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-47)(配列番号12)、
SRAAWARLLQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-46)(配列番号13)、
RAAWARLLQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-45)(配列番号14)、
AAWARLLQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-44)(配列番号15)、
AWARLLQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-43)(配列番号16)、
WARLLQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-42)(配列番号17)、
ARLLQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-41)(配列番号18)、
RLLQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-40)(配列番号19)、
LLQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-39)(配列番号20)、
LQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-38)(配列番号21)、
QEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-37)(配列番号22)、
EHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-36)(配列番号23)、
HPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-35)(配列番号24)、
PNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-34)(配列番号25)、
NARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-33)(配列番号26)、
ARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-32)(配列番号27)、RKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-31)(配列番号28)、
KYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-30)(配列番号29)、
YKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-29)(配列番号30)、
KGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-28)(配列番号31)、
GANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-27)(配列番号32)、
ANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-26)(配列番号33)、
NKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-25)(配列番号34)、
KKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-24)(配列番号35)、
KGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-23)(配列番号36)、
LSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-21)(配列番号37)、
SKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-20)(配列番号38)、
KGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-19)(配列番号39)、
GCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-18)(配列番号40)、
QEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSNSGLGC[CNP-37(M32N)](配列番号41)、
PQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(Pro-CNP-37)(配列番号42)、
MQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(Met-CNP-37)(配列番号43)、
GQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSNSGLGC[Gly-CNP-37(M32N)](配列番号44)、
MGQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(Met-Gly-CNP-37)(配列番号45)、
PGQEHPQARRYRGAQRRGLSRGCFGLKLDRIGSMSGLGC(配列番号46)、
PGQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(配列番号47)、
PGQEHPNARRYRGANRRGLSRGCFGLKLDRIGSMSGLGC(配列番号48)、
及び
PGQEHPQARKYKGAQKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(配列番号49)からなる群から選択されるCNPバリアントである、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記CNPバリアントが、PGQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(Pro-Gly-CNP37)(配列番号1)、
GQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(Gly-CNP-37)(配列番号2)、又は
LQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-38)(配列番号21)である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
NTproCNP又はCXMのレベルが、血漿試料中で測定される、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記対象が、7.5μg/kg~30μg/kgのCNP療法を受けている、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記CNPの用量が、30μg/kgに増加される、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記NTproCNP及び/又はCXMが、投与の少なくとも4時間後に測定される、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記NTproCNP及び/又はCXMのレベルが、CNP療法の開始の少なくとも6ヶ月後に測定される、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
試料中の前記NTproCNPのレベルが、CNP療法の開始前に取られたベースライン測定値と比較される、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
CNP療法の用量又は頻度が、NTproCNPの減少が、前記対象におけるAGVの増加を示す場合に増加される、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
試料中の前記CXMのレベルが、CNP療法の開始前に取られたベースライン測定値と比較される、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記CXMの増加が、骨成長の増加を示し、前記CNPの投与の頻度又はレベルが、AGVを増強するCXMの増加がある場合に増加される、請求項1~5、12~20、又は23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記対象が、成長板が開いた小児対象であり、1日当たり15又は30μg/kgの用量を受けた、請求項1~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
対象におけるCNP療法の開始を選択する方法であって、
i)ベースラインNTproCNPレベルを確立するために、複数の時点で前記対象内のNTproCNPを測定することと、
ii)前記NTproCNPレベルがゼロ、ゼロ未満、又はゼロを超えるSDSを示すかどうかを決定することと、
iii)前記対象がNTproCNPレベル+/-2SDSを有する場合、CNP療法による治療を開始することと、を含む、方法。
【請求項27】
軟骨無形成症を有する対象におけるCNP療法の開始を選択する方法であって、
i)ベースラインNTproCNPレベルを確立するために、複数の時点で前記対象内のNTproCNPを測定することと、
ii)前記NTproCNPレベルがゼロ又はゼロを超えるSDSを示すかどうかを決定することと、
iii)前記対象がゼロを超えるSDSのNTproCNPレベルを有する場合、CNP療法による治療を開始することと、を含む、方法。
【請求項28】
NTproCNPが、ベースラインNTproCNPレベルを確立するために2週間、1ヶ月、3ヶ月、及び6ヶ月で測定される、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
NTproCNPが、ラジオイムノアッセイによって測定される、請求項1~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
骨関連障害、骨格異形成症又は低身長を有する対象を治療する方法であって、
[i)対象が、骨関連障害、骨格異形成症又は低身長に関連する遺伝子の機能喪失(LoF)又は機能獲得(GoF)バリアントを有するかどうかを特定することと、
ii)前記対象の身長についての多遺伝子リスクスコア(PRS)を計算することと、
iii)前記対象が、LoFバリアントを有し、PRSが下位20%にあるかどうかを決定することと、
iv)前記対象がLoFバリアントを有し、PRSが下位20%にある場合、前記対象をCNPバリアントで治療することと、を含む、方法。
【請求項31】
前記骨関連障害、骨格異形成症又は低身長に関連する遺伝子が、NPR2、SHOX、PTPN11、COL2A1、COL11A1、COL9A2、COL10)、アグリカン(ACAN)、インディアンヘッジホッグ(IHH)、NPPC、FGFR3、IGF1R、DTL、及び妊娠関連血漿タンパク質A2(PAPPA2)、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記骨関連障害、骨格異形成症又は低身長に関連する遺伝子が、NPR2である、請求項30又は31に記載の方法。
【請求項33】
骨関連障害、骨格異形成症又は低身長を有する生後6ヶ月以下の対象における顔面容積、顔面洞容積、及び大後頭孔面積を増加させるための方法であって、少なくとも30μg/kgの用量でCNPバリアントを投与することを含む、方法。
【請求項34】
骨関連障害、骨格異形成症又は低身長を有する生後6ヶ月以下の対象における乳児突然死、睡眠呼吸障害、及び大後頭孔の神経外科的減圧の発生率を低下させる方法であって、少なくとも30μg/kgの用量でCNPバリアントを投与することを含む、方法。
【請求項35】
顔面容積、顔面洞容積、及び大後頭孔面積の前記増加が、磁気共鳴イメージング(MRI)によって測定される、請求項33又は34に記載の方法。
【請求項36】
顔面容積、顔面洞容積、及び大後頭孔面積の変化が、ベースラインレベル、健康な対照対象又は未処置の対照対象と比較される、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記CNPバリアントが皮下投与される、請求項33~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
CNPバリアントが、毎日、毎週、2週間ごと、毎月、又はそれ以下で投与される、請求項33~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記CNPバリアントが、30μg/kgの用量で3ヶ月、6ヶ月、1年間又はそれ以上投与される、請求項33~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記CNPバリアントの用量が、前記対象が約2歳であるときに15μg/kgまで減少される、請求項33~39のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2021年12月7日に出願された、米国仮特許出願第63/286,829号及び2022年10月21日に出願された米国仮特許出願第63/380,509号の優先権利益を主張する。
【0002】
配列表の参照
本出願は、2022年11月30日に作成され、55,905バイトのサイズを有する56861_Seqlisting.xmlと題されたファイルに電子的に提出された配列表を含み、参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
本開示は、一般に、骨格異形成症を治療するためのc型ナトリウム利尿(CNP)療法、及び治療における有効性の尺度に関する。
【背景技術】
【0004】
C型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)は、多数の組織にわたって広く発現するパラクリン増殖因子であり(Prickett et al.,Peptides2020;132:170363)、軟骨内骨成長の調節、微小循環における血流及び圧力、抗炎症作用、配偶子成熟及び神経新生及び結合性を含む多様な機能を有する(Kuhn M.,Physiol Rev 2016;96:751-804)。ヒトにおけるこれらの因子の中で最も明確に定義されているのは、成長板の拡張を促進する骨格の成長におけるホルモンの重要な役割である。
【0005】
実験動物における研究は、生理学的な軟骨内骨成長を決定するのは、成長板組織内のその特異的受容体NPR2を介して作用するCNPの局所産生であることを示す(Nakao et al.,Sci Rep 2015;5:10554)。小児の成長におけるCNPの動的役割の研究は、CNPの迅速なクリアランス及び血漿中の非常に低い濃度のために困難である。しかしながら、組織中の合成産物(proCNP)の不活性部分、すなわちアミノ末端proCNP(NTproCNP)は、クリアランス又は急速な分解を受けない。血漿中のそのレベルは、小児及び実験動物の両方における成長全体にわたる線形成長速度の変動を反映する(Espiner et al.,Horm Res Paediatr 2018;90:345-357)。特に、CNP経路活性に影響を及ぼす骨格成長の遺伝的障害を有する対象において、細胞内CNP経路活性が低下する場合、血漿NTproCNP濃度が上昇し(Olney et al.,J Clin Endocrinol Metab 2015;100:E355-359、Wang et al.,Hum Mutat 2015;36:474-481)、細胞内活性が増強される場合に減少する(Hannema et al.,J Clin Endocrin Metab 2013;98:E1988-1998、Boudin et al.,Am J Hum Genet 2018;103:288-295、Miura et al.PloS one 2012;7:e42180)。軟骨無形成症では、FGFR3経路活性(軟骨内骨成長に対して阻害的)とCNPシグナル伝達(骨成長を刺激する)との間の正常な相互拮抗作用(Ozasa et al.,Bone 2005 36:1056-1064)は、FGR3の機能変異の増加によって無効にされ(Yasoda et al.Nature Medicine 2004 10:80-86)、細胞内CNP活性を低下させ、血漿中のCNP生成物の濃度の適度の上昇に関連する(Olney et al.,J Clin Endocrinol Metab 2015 100:E355-359)。
活動的な長骨成長の期間中のCNPのフィードバック調節の動態又は意義については、何も知られていない。更に、そのようなフィードバックが、骨格組織の細胞間成長応答に直接的であるか、又は時間依存性であるかは不明である。(間接的なフィードバック)。直接フィードバックは、CNP産生に対する細胞自身の生成物の作用から生じるが、間接フィードバックは、ペプチドを分泌する細胞以外の細胞によって媒介されるより長いループを伴う。しかし、げっ歯類の子におけるこれらの重要な問題に対処する最近の報告では、高濃度で3日間連続的に投与された外因性CNPは、CNP遺伝子発現を阻害したが、成長板を含有する組織でのみ阻害した(Ueda et al.,PLoS One 2020,15:e0240023)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Prickett et al.,Peptides2020;132:170363
【非特許文献2】Kuhn M.,Physiol Rev 2016;96:751-804
【非特許文献3】Nakao et al.,Sci Rep 2015;5:10554
【非特許文献4】Espiner et al.,Horm Res Paediatr 2018;90:345-357
【非特許文献5】Olney et al.,J Clin Endocrinol Metab 2015;100:E355-359
【非特許文献6】Wang et al.,Hum Mutat 2015;36:474-481
【非特許文献7】Hannema et al.,J Clin Endocrin Metab 2013;98:E1988-1998
【非特許文献8】Boudin et al.,Am J Hum Genet 2018;103:288-295
【非特許文献9】Miura et al.PloS one 2012;7:e42180
【非特許文献10】Ozasa et al.,Bone 2005 36:1056-1064
【非特許文献11】Yasoda et al.Nature Medicine 2004 10:80-86
【非特許文献12】Ueda et al.,PLoS One 2020,15:e0240023
【発明の概要】
【0007】
本開示は、5年間の毎日の治療中に軟骨無形成症(Ach)を有する小児における内因性CNP産生に対する外因性CNPアナログ(例えば、ボソリチド(vosoritide))の影響に関するリアルタイムの観察に関する。CNP治療に応答する内因性CNPレベルの分析は、投与される外因性CNPの用量及び対象の成長の状態に応じて変化する。本開示は、NTproCNPのレベル(内因性CNPレベルを示す)及びコラーゲンXのN末端断片(CXM)が、軟骨無形成症などの低身長又は骨格異形成症を有する小児における内因性CNP療法の成長速度及び有効性のマーカーとして有用であることを示す。幼児における有効性の更なる尺度としては、経時的な頭蓋骨及び脳形態の分析が挙げられる。
【0008】
本明細書で提供されるのは、骨関連障害、骨格異形成症又は低身長を有し、C型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)療法を受けている対象を治療する方法であって、i)対象にCNP療法を施すことと、ii)対象から試料を得ることと、iii)(ii)で対象から採取された試料におけるNTproCNP及び/又はコラーゲンXのN末端断片(CXM)のレベルを測定することと、iv)CNPの用量を変更又は変更させて、NTproCNPレベルを集団の平均NTproCNPの+/-2SDS以内にすることと、を含む方法である。
【0009】
様々な実施形態において、CNP療法用量レベル又は頻度は、NTproCNPのレベルが増加する場合に増加するか、又はCNP療法用量レベルは、NTproCNPのレベルが減少する場合に減少する。
【0010】
また、骨関連障害、骨格異形成症又は低身長を有し、C型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)療法を受けている対象を治療する方法であって、i)対象にCNP療法を施すことと、ii)対象から試料を得ることと、iii)(ii)で対象から採取された試料におけるコラーゲンXのN末端断片(CXM)のレベルを測定することと、iv)コラーゲンXのレベルが減少する場合、CNP療法の用量レベル又は頻度を増加させることと、を含む方法も提供される。
【0011】
様々な実施形態において、CNP療法用量を増加させることは、対象における平均成長速度(AGV)を増加させる。様々な実施形態において、対象における平均成長速度(AGV)は、6ヶ月にわたって、1年にわたって、又は2年にわたって、又はそれ以上にわたって増加する。
【0012】
様々な実施形態において、CNP療法用量を増加させることは、投与頻度を増加させること又は投与量を増加させることを含む。
【0013】
様々な実施形態において、CNP療法用量レベルの増加及びNTproCNPレベルの減少は、対象における年間成長速度(AGV)の改善と相関する。
【0014】
様々な実施形態において、CNP療法用量レベルの増加及びNTproCNPレベルの減少は、対象における成長板活動の持続時間を延ばす。
【0015】
様々な実施形態において、NTproCNPのレベルは、集団分析に基づいて、平均NTproCNPレベルの2標準偏差の間に維持される。様々な実施形態において、NTproCNPのレベルは、その集団の平均NTproCNPの+/-2SDSの間に維持される。様々な実施形態において、NTproCNPは、対象がグループ化される集団の平均NTproCNPレベルの±0.5、±1.0、±1.5又は±2.0標準偏差(SDS)である。
【0016】
様々な実施形態において、CNP療法は、NTproCNP SDSが平均を下回る場合、ゼロNTproCNP SDSに向かって用量設定される。様々な実施形態において、CNP療法は、NTproCNP SDSがゼロになるまで用量設定される。様々な実施形態において、CNP療法は、治療される集団について+0.5、+1.0、+1.5又は+2.0NTproCNP SDSが達成されるまで用量設定される。様々な実施形態において、ゼロNTproCNP SDSは、最適な効果サイズを予測する。最適サイズ効果は、集団規範に基づいた対象の予想される平均正常成長率の尺度である。
【0017】
様々な実施形態において、試料は、血液、尿、血漿、唾液、又は組織である。
【0018】
様々な実施形態において、対象は、骨関連障害、骨格異形成症又は低身長に罹患している。様々な実施形態において、骨関連障害、骨格異形成症又は低身長は、軟骨無形成症、骨関節症、低リン酸血症性くる病、軟骨低形成症、低身長、小人症、骨軟骨異形成症、致死性異形成症、骨形成不全症、軟骨無発生症、点状軟骨異形成症(chondrodysplasia punctata)、同型接合性軟骨無形成症、屈曲肢異形成症、先天性致死低ホスファターゼ症、周産期致死型骨形成不全症、短肋骨多指症候群、肢根型点状軟骨異形成症、Jansen型骨幹端異形成症、先天性脊椎骨端異形成症(spondyloepiphyseal dysplasia congenita)、成長不全性骨形成症(atelosteogenesis)、捻曲性異形成症、先天性短大腿骨、Langer型中間肢(mesomelic)異形成症、Nievergelt型中間肢異形成症、Robinow症候群、Reinhardt症候群、先端異骨症(acrodysostosis)、末梢異骨症(peripheral dysostosis)、Kniest異形成症、線維性軟骨発生症(fibrochondrogenesis)、Roberts症候群、肢端四肢中部短縮性異形成症、小肢症、Morquio症候群、Kniest症候群、複合有機栄養性(metatrophic)異形成症、脊椎骨端骨幹端(spondyloepimetaphyseal)異形成症、NPR2変異、SHOX変異(Turner症候群/Leri Weill)、PTPN11変異(Noonan症候群)、IGF1R変異に関連する障害からなる群から選択される。
【0019】
骨関連障害、骨格異形成症又は低身長を有する対象を治療するためのCNP療法は、そのCNPバリアント、コンジュゲート、塩又はプロドラッグの投与を含むことが企図される。
【0020】
様々な実施形態において、CNPバリアントは、特発性低身長及び他の骨格異形成症を治療するための成長ホルモンの補助剤又は代替物として有用である。
【0021】
様々な実施形態において、骨関連障害、骨格異形成症又は低身長障害は、NPR2変異、SHOX変異(Turner症候群/Leri Weill)、又はPTPN11変異(Noonan症候群)に起因する。
【0022】
様々な実施形態において、骨関連障害、骨格異形成症又は低身長障害は、NPR2変異、SHOX変異(Turner症候群/Leri Weill)、PTPN11変異(Noonan症候群)、又はインスリン成長因子1受容体(IGF1R)に起因する。
【0023】
様々な実施形態において、CNPバリアントは、家族性低身長、優性遺伝性低身長としても知られる優性家族性低身長、又は特発性低身長を含む、成長板障害及び低身長を治療するのに有用である。様々な実施形態において、低身長又は成長板障害は、コラーゲン(COL2A1、COL11A1、COL9A2、COL10)、アグリカン(ACAN)、インディアンヘッジホッグ(IHH)、PTPN11、NPR2、NPPC、又はFGFR3の変異の結果である。
【0024】
様々な実施形態において、骨格異形成症又は低身長に関連する遺伝子は、NPR2、SHOX、PTPN11、COL2A1、COL11A1、COL9A2、COL10)、アグリカン(ACAN)、インディアンヘッジホッグ(IHH)、NPPC、FGFR3、IGF1R、DTL、及び妊娠関連血漿タンパク質A2(PAPPA2)、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0025】
様々な実施形態において、成長板障害又は低身長は、RAS病に関連する遺伝子の1つ以上の変異に関連している。
【0026】
様々な実施形態において、骨関連障害、骨格異形成症又は低身長障害は、RAS病に起因する。様々な実施形態において、RAS病は、Noonan症候群、Costello症候群、心臓顔面皮膚症候群、神経線維腫症1型、又はLEOPARD症候群である。一実施形態において、RAS病は、遺伝性歯肉線維腫症1型である。
【0027】
様々な実施形態において、CNPバリアントは、-1.0、-1.5、-2.0、-2.5、又は-3.0未満の身長SDSを有し、SDS-1.0、-1.5、-2.0、又は-2.5未満の身長SDSを有する少なくとも一方の親を有する低身長の対象を治療するのに有用であり、任意選択で、もう一方の親の身長が通常の範囲内にある。様々な実施形態において、CNPバリアントは、-2.0~-3.0の身長SDSを有する低身長の対象を治療するのに有用である。様々な実施形態において、CNPバリアントは、-2.0~-2.5の身長SDSを有する低身長の対象を治療するのに有用である。様々な実施形態において、低身長は、コラーゲン(COL2A1、COL11A1、COL9A2、COL10)、アグリカン(ACAN)、インディアンヘッジホッグ(IHH)、PTPN11、NPR2、NPPC、FGFR3、又はインスリン増殖因子1受容体(IGF1R)、又はそれらの組み合わせなどの低身長に関連する遺伝子の1つ以上の変異に関連する。様々な実施形態において、骨格異形成症又は低身長に関連する遺伝子は、NPR2、SHOX、PTPN11、COL2A1、COL11A1、COL9A2、COL10)、アグリカン(ACAN)、インディアンヘッジホッグ(IHH)、NPPC、FGFR3、IGF1R、DTL、及び妊娠関連血漿タンパク質A2(PAPPA2)、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される。様々な実施形態において、成長板障害又は低身長は、RAS病に関連する遺伝子の1つ以上の変異に関連している。
【0028】
様々な実施形態において、低身長は、多遺伝子リスクスコア(PRS)によって決定されるような複数の遺伝子の変異の結果である。様々な実施形態において、対象は、NPR2に変異を有し、PRSが低い。様々な実施形態において、対象は、FGFR3に変異を有し、PRSが低い。様々な実施形態において、対象は、NPR2に変異を有し、PRSが低い。様々な実施形態において、対象は、IGF1Rに変異を有し、PRSが低い。様々な実施形態において、対象は、NPPCに変異を有し、PRSが低い。様々な実施形態において、対象は、SHOXに変異を有し、PRSが低い。様々な実施形態において、対象は、FGFR3、IGF1R、NPPC、NPR2及びSHOXのうちの1つ以上に1つ以上の変異を有し、PRSが低い。様々な実施形態において、PRSは、1又は2である。様々な実施形態において、PRSは、1である。様々な実施形態において、PRSは、2である。
【0029】
様々な実施形態において、CNPは、PGQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(Pro-Gly-CNP37)(配列番号1)、GQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(Gly-CNP-37)(配列番号2)、
GDLRVDTKSRAAWARLLQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(Gly-CNP53)(配列番号3)、
PDLRVDTKSRAAWARLLQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(Pro-CNP53)(配列番号4)、
MDLRVDTKSRAAWARLLQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(Met-CNP53)(配列番号5)、
DLRVDTKSRAAWARLLQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSNSGLGC[CNP-53(M48N)](配列番号6)、
LRVDTKSRAAWARLLQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-52)(配列番号7)、
RVDTKSRAAWARLLQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-51)(配列番号8)、
VDTKSRAAWARLLQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-50)(配列番号9)、
DTKSRAAWARLLQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-49)(配列番号10)、
TKSRAAWARLLQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-48)(配列番号11)、
KSRAAWARLLQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-47)(配列番号12)、
SRAAWARLLQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-46)(配列番号13)、
RAAWARLLQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-45)(配列番号14)、
AAWARLLQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-44)(配列番号15)、
AWARLLQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-43)(配列番号16)、
WARLLQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-42)(配列番号17)、
ARLLQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-41)(配列番号18)、
RLLQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-40)(配列番号19)、
LLQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-39)(配列番号20)、
LQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-38)(配列番号21)、
QEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-37)(配列番号22)、
EHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-36)(配列番号23)、
HPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-35)(配列番号24)、
PNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-34)(配列番号25)、
NARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-33)(配列番号26)、
ARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-32)(配列番号27)、
RKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-31)(配列番号28)、
KYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-30)(配列番号29)、
YKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-29)(配列番号30)、
KGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-28)(配列番号31)、
GANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-27)(配列番号32)、
ANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-26)(配列番号33)、
NKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-25)(配列番号34)、
KKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-24)(配列番号35)、
KGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-23)(配列番号36)、
LSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-21)(配列番号37)、
SKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-20)(配列番号38)、
KGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-19)(配列番号39)、
GCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-18)(配列番号40)、
QEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSNSGLGC[CNP-37(M32N)](配列番号41)、
PQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(Pro-CNP-37)(配列番号42)、
MQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(Met-CNP-37)(配列番号43)、
GQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSNSGLGC[Gly-CNP-37(M32N)](配列番号44)、
MGQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(Met-Gly-CNP-37)(配列番号45)、
PGQEHPQARRYRGAQRRGLSRGCFGLKLDRIGSMSGLGC(配列番号46)、
PGQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(配列番号47)、
PGQEHPNARRYRGANRRGLSRGCFGLKLDRIGSMSGLGC(配列番号48)、及び
PGQEHPQARKYKGAQKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(配列番号)からなる群から選択されるCNPバリアントである。
【0030】
様々な実施形態において、バリアントペプチドは、アセチル基を更に含む。様々な実施形態において、アセチル基は、ペプチドのN末端上にある。様々な実施形態において、ペプチドは、C末端にOH又はNH2基を更に含む。
【0031】
様々な実施形態において、CNPバリアント組成物は、持続放出性組成物である。様々な実施形態において、組成物は、徐放性組成物である。様々な実施形態において、徐放性又は持続放出性組成物は、CNPバリアントプロドラッグを含む。
【0032】
様々な実施形態において、バリアントペプチドは、コンジュゲート部分を含む。様々な実施形態において、コンジュゲート部分は、CNP環状ドメインの残基上、又はCNP環状ドメイン以外の部位にある。様々な実施形態において、コンジュゲート部分は、リジン残基上にある。様々な実施形態において、コンジュゲート部分は、1つ以上の酸部分を含む。様々な実施形態において、酸部分は、疎水性酸である。
【0033】
様々な実施形態において、コンジュゲート部分は、親水性スペーサーに連結された1つ以上の酸部分を含む。様々な実施形態において、親水性スペーサーは、任意のアミノ酸である。様々な実施形態において、親水性スペーサーは、ガンマグルタミン酸(γGlu)である。様々な実施形態において、親水性スペーサーは、OEG(8-アミノ-3,6-ジオキサオクタン酸)である。様々な実施形態において、親水性スペーサーは、ガンマグルタミン酸(γGlu)又はOEG(8-アミノ-3,6-ジオキサオクタン酸)である。様々な実施形態において、親水性スペーサーは、1つ又は2つ以上のOEG(8-アミノ-3,6-ジオキサオクタン酸)に連結されたガンマグルタミン酸(γGlu)である。様々な実施形態において、酸部分は、脂肪酸である。例示的な脂肪酸には、短鎖、中鎖、若しくは長鎖脂肪酸、又はジカルボン酸脂肪酸が含まれる。様々な実施形態において、脂肪酸は飽和又は不飽和である。C-6、C-8、C-10、C-12、C-14、C-16、C-18、又はC-20脂肪酸を含むがこれらに限定されない、C-6~C-20脂肪酸、飽和又は不飽和が企図される。様々な実施形態において、脂肪酸は、デカン酸、ドデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、又はそれらの二酸である。
【0034】
様々な実施形態において、酸部分及び親水性スペーサーは、構造AEEA-AEEA-γGlu-C18DAを有する。
【0035】
様々な実施形態において、バリアントは、1つ以上のリンカー基を含む。様々な実施形態において、リンカーは、CNP環状ドメインの残基上、又はCNP環状ドメイン以外の部位にある。様々な実施形態において、リンカーは、リジン残基上にある。
【0036】
様々な実施形態において、リンカーは、加水分解可能なリンカーである。
【0037】
様々な実施形態において、コンジュゲート部分は、合成ポリマー基を含む。様々な実施形態において、バリアントは、加水分解可能なリンカーを介してバリアントに結合された合成ポリマー基を含む。様々な実施形態において、合成ポリマー基は、親水性ポリマー部分を含む。様々な実施形態において、親水性ポリマー部分は、ポリエチレングリコール(PEG)を含む。様々な実施形態において、親水性ポリマー部分は、6~20原子鎖長を有するポリエチレングリコール(PEG)を含む。
【0038】
様々な実施形態において、CNPバリアントは、PGQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(Pro-Gly-CNP37)(配列番号1)、
GQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(Gly-CNP-37)(配列番号2)、又は
LQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-38)(配列番号21)である。
【0039】
様々な実施形態において、バリアントは、以下の構造を有する:PGQEHPQARRYRGAQRRGLSRGCFGLK(AEEA-AEEA-γGlu-C18DA)LDRIGSMSGLGC(配列番号46)、又はAc-PGQEHPQARRYRGAQRRGLSRGCFGLK(AEEA-AEEA-γGlu-C18DA)LDRIGSMSGLGC-OH(配列番号46)を含む。
【0040】
様々な実施形態において、バリアントは、
Ac-PGQEHPQARRYRGAQRRGLSRGCFGLKLDRIGSMSGLGC-OH(配列番号46)、
Ac-PGQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC-NH2(配列番号47)、
Ac-PGQEHPNARRYRGANRRGLSRGCFGLKLDRIGSMSGLGC-OH(配列番号48)、
Ac-PGQEHPNARRYRGANRRGLSRGCFGLKLDRIGSMSGLGC-NH2(配列番号48)、
Ac-PGQEHPQARRYRGAQRRGLSRGCFGLKLDRIGSMSGLGC-NH2(配列番号46)、
Ac-PGQEHPQARKYKGAQKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC-NH2(配列番号49)、及び
Ac-PGQEHPQARKYKGAQKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC-OH(配列番号49)からなる群から選択される。
【0041】
CNPバリアントは、本明細書に記載のCNPバリアントのコンジュゲート、塩又はプロドラッグを含むことが更に企図される。
【0042】
様々な実施形態において、NTproCNP又はCXMのレベルは、例えば、CNPバリアントの投与前及び投与後に、血漿試料中で測定される。
【0043】
様々な実施形態において、対象は、7.5μg/kg~30μg/kgのCNP療法を受けている。様々な実施形態において、対象は、15μg/kg又は30μg/kgのCNP療法を受けている。様々な実施形態において、用量は、30μg/kg又は60μg/kgまで増加されてもよい。
【0044】
様々な実施形態において、NTproCNP及び/又はCXMは、投与の少なくとも4時間後に測定される。様々な実施形態において、NTproCNP及び/又はCXMのレベルは、CNP療法の開始の少なくとも3ヶ月又は6ヶ月後に測定される。様々な実施形態において、NTproCNP及び/又はCXMのレベルは、CNP療法開始後少なくとも3ヶ月ごと、6ヶ月ごと、又は1年ごとに測定される。様々な実施形態において、NTproCNP及び/又はCXMのレベルは、CNP療法の開始後、少なくとも3ヶ月、6ヶ月、1年、2年、3年、4年、5年、又は成長板の思春期/閉鎖までの期間にわたって測定される。
【0045】
様々な実施形態において、試料中のNTproCNPのレベルは、CNP療法の開始前に取られたベースライン測定値と比較される。様々な実施形態において、試料中のNTproCNPのレベルを、正常対照患者における平均レベルと比較する。
【0046】
様々な実施形態において、CNP治療の用量又は頻度は、NTproCNPの減少が対象におけるAGVの増加を示すときに増加する。
【0047】
様々な実施形態において、試料中のCXMのレベルは、CNP療法の開始前に取られたベースライン測定値と比較される。様々な実施形態において、試料中のCXMのレベルを、正常対照患者における平均レベルと比較する。
【0048】
様々な実施形態において、CXMの増加は、骨成長の増加を示し、CNPの投与の頻度又はレベルは、AGVを増強するCXMの増加がある場合に増加される。
【0049】
様々な実施形態において、対象は、成長板が開いた小児対象であり、1日当たり15又は30μg/kgの用量を受けた。様々な実施形態において、対象は、青年期初期であり、1日当たり30μg/kg又は1日当たり60μg/kgまで用量増加を受けた。様々な実施形態において、対象は幼児であり、1日当たり30μg/kgに用量増加を受けた。
【0050】
本開示はまた、i)ベースラインNTproCNPレベルを確立するために、複数の時点で対象のNTproCNPを測定することと、ii)NTproCNPレベルが平均NTproCNPレベルの±2以内のSDSを示すかどうかを決定することと、iii)対象が平均NTproCNP SDSを下回るNTproCNPレベルを有するときに、CNP療法による治療を開始することと、を含む、対象におけるCNP療法の開始を選択する方法を提供する。様々な実施形態において、対象は、約-2.5、-2.0、-1.5、-1.0、又は-0.5のNTproCNP SDSを有する。様々な実施形態において、CNP療法は、CNP療法の投与レベル及び/又は頻度の調節後に、対象のNTproCNP SDSが約-0.4、-0.3、-0.2、-0.1、0、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、.5、.16、1.7、1.8、1.9、又は2.0になるように調整される。
【0051】
特定の実施形態において、本開示は、軟骨無形成症を有する対象におけるCNP療法の開始を選択する方法であって、i)ベースラインNTproCNPレベルを確立するために、複数の時点で対象におけるNTproCNPを測定することと、ii)NTproCNPレベルがゼロ、ゼロ未満、又はゼロを超えるSDSを示すかどうかを決定することと、iii)対象がSDSゼロを超えるNTproCNPレベルを有する場合に、CNP療法による治療を開始することと、を含む、方法を企図する。
【0052】
様々な実施形態において、NTproCNPは、ベースラインNTproCNPレベルを確立するために、CNP療法の2週間、1ヶ月、3ヶ月、及び6ヶ月前に測定される。様々な実施形態において、NTproCNPは、ラジオイムノアッセイによって測定される。
【0053】
また、骨関連障害、骨格異形成症又は低身長を有する対象を治療する方法であって、
i)対象が、低身長に関連する遺伝子の機能喪失(LoF)又は機能獲得(GoF)バリアントを有するかどうかを特定することと、
ii)対象の多遺伝子リスクスコア(PRS)を計算することと、
iii)対象が、LoFバリアントを有し、PRSが下位20%にあるかどうかを決定することと、
iv)対象がLoFバリアントを有し、PRSが下位20%にある場合、CNPバリアントで対象を治療することと、を含む方法が提供される。
【0054】
様々な実施形態において、対象は、PRSが下位20%、19%、18%、17.5%、17%、16.5%、16%、15.5%、15%、14.5%、14%、13.5%、13%、12.5%、12%、11%、10%、9%、8%、7.5%、7%、6%、5%、4%、3%、2.5%、2%、又は1%にある。様々な実施形態において、工程iii)及びiv)は、対象がLoFバリアントを有し、PRSが下位12.5%にある場合、CNPバリアントを有する対象である。
【0055】
様々な実施形態において、骨格異形成症又は低身長に関連する遺伝子は、NPR2、SHOX、PTPN11、COL2A1、COL11A1、COL9A2、COL10)、アグリカン(ACAN)、インディアンヘッジホッグ(IHH)、NPPC、FGFR3、IGF1R、DTL、及び妊娠関連血漿タンパク質A2(PAPPA2)、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0056】
骨関連障害、骨格異形成症又は低身長を有する対象を治療する方法も企図され、
i)対象がNPR2機能喪失(LoF)又は機能獲得(GoF)バリアントを有するかどうかを識別することと、
ii)対象の多遺伝子リスクスコア(PRS)を計算することと、
iii)対象が、NPR2 LoFバリアントを有し、PRSが下位20%にあるかどうかを決定することと、
iv)対象がNPR2 LoFバリアントを有し、PRSが下位20%にある場合、CNPバリアントで対象を治療することと、を含む方法が提供される。
【0057】
様々な実施形態において、対象は、PRSが下位20%、19%、18%、17.5%、17%、16.5%、16%、15.5%、15%、14.5%、14%、13.5%、13%、12.5%、12%、11%、10%、9%、8%、7.5%、7%、6%、5%、4%、3%、2.5%、2%、又は1%にある。様々な実施形態において、工程iii)及びiv)は、対象がLoFバリアントを有し、PRSが下位12.5%にある場合、CNPバリアントを有する対象である。
【0058】
様々な実施形態において、LoF又はGoFバリアントは、生物学的活性アッセイによって決定される。様々な実施形態において、例えば、AlphaForm 3Dマッピング又は他のタンパク質マッピングツールを使用して、生物学的活性及びタンパク質の予測される3D構造へのマッピングに基づいて、LoF又はGoFバリアントを予測し得る。
【0059】
様々な実施形態において、PRSは、身長のゲノムワイド関連解析(GWAS)によって計算される。PRSは、ゲノムにわたって合計されるそれぞれの小さな効果の多くの共通の変異効果からなる集計遺伝子スコアである(Choi et al.Nat Protoc,2020)。身長PRSを計算するために、ゲノムワイド関連解析(GWAS)関連統計を取得して、身長との関連の変動ごとの強度を示す。次に、これらの効果サイズを、独立した試料、ここでは臨床集団に、各身長関連対立遺伝子(0、1、又は2)の数をGWAS効果サイズで重み付けし、各臨床試料についてゲノムにわたってこの重み付けされた数を合計することによって適用する。PRSは、PRSが低い個体が平均よりも少ない数の身長増加遺伝子バリアントを保有し、PRSが高い個体が平均よりも多い数の身長増加バリアントを保有するように解釈することができる。
【0060】
別の態様において、少なくとも30μg/kgの用量でCNPバリアント、そのコンジュゲート、塩又はプロドラッグを投与することを含む、骨関連障害、骨格異形成症又は低身長を有する生後6ヶ月以下の対象における顔面容積、顔面洞容積、及び大後頭孔面積を増加させる方法が本明細書に提供される。また、少なくとも30μg/kgの用量でCNPバリアント、そのコンジュゲート、塩又はプロドラッグを投与することを含む、骨関連障害、骨格異形成症又は低身長を有する生後6ヶ月以下の対象における乳児突然死、睡眠呼吸障害、及び大後頭孔の神経外科的減圧の必要性の発生率を低下させる方法も提供される。
【0061】
様々な実施形態において、顔面容積、顔面洞容積、及び大後頭孔面積の増加は、磁気共鳴イメージング(MRI)によって測定される。様々な実施形態において、顔面容積、顔面洞容積、及び大後頭孔面積の変化は、ベースラインレベル、健康な対照対象、又は未治療の対照対象と比較される。
【0062】
様々な実施形態において、CNPバリアントは、皮下投与される。様々な実施形態において、CNPバリアントは、毎日、毎週、2週間ごと、毎月、又はそれ以下で投与される。様々な実施形態において、CNPバリアントは、30μg/kgの用量で3ヶ月、6ヶ月、1年以上にわたって投与される。様々な実施形態において、CNPバリアントの用量は、対象が約2歳であるとき、15μg/kgに減少される。
【0063】
本明細書に記載される、各特徴若しくは実施形態、又は組み合わせは、本発明の態様のいずれかの非限定的で例示的な例であり、したがって本明細書に記載される任意の他の特徴若しくは実施形態、又は組み合わせと組み合わせ可能であることが意図されることが理解される。例えば、特徴が、「一実施形態」、「いくつかの実施形態」、「特定の実施形態」、「更なる実施形態」、「特定の例示的な実施形態」、及び/又は「別の実施形態」などの言葉で記載される場合、これらの種類の実施形態の各々は、あらゆる可能な組み合わせを列挙する必要なく、本明細書に記載される、いずれかの他の特徴、又は特徴の組み合わせと組み合わされることが意図される特徴の非限定的な例である。
【0064】
このような特徴又は特徴の組み合わせは、本発明の態様のいずれにも適用される。範囲内に収まっている値の例が開示される場合、これらの例はいずれも、ある範囲に関する可能な終点として企図されており、このような終点と終点とのありとあらゆる数値が企図されており、上限終点及び下限終点のありとあらゆる組み合わせが想定されている。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【
図1】試験全体のコホート別の年間成長速度(AGV)(
図1A)、血漿NTproCNP濃度(
図1B)、及びNTproCNP SDS(年齢及び性別で調整)(
図1C)。値は、平均±SEである。コホート1(6人の対象、スクリーニング時の年齢範囲6~10歳)は、最長10ヶ月(約300日目まで)にわたって2.5μg/kg/日、続いて約2ヶ月(約360日目まで)にわたって7.5μg/kg/日、その後、試験完了まで15μg/kg/日を受けた。コホート2(6人の対象、年齢範囲5~10歳)は、最初の6~8ヶ月間(180~240日)、7.5μg/kg/日を受け、その後、15μg/kg/日に漸増させた。コホート3(8人の対象、年齢範囲6~11歳)及びコホート4(8人の対象、年齢範囲5~8歳)は、試験全体を通してそれぞれ15μg/kg/日及び30μg/kg/日を受けた。
【
図2】コホートごとのNTproCNP濃度の経時変化。各コホート内の個体を描写する。文字Pは、個体がタナー2度(Tanner stage2)に達したと決定された訪問の時間を示す。コホート1(
図2A)(6人の対象、スクリーニング時の年齢範囲6~10歳)は、最長10ヶ月(約300日目まで)にわたって2.5μg/kg/日、続いて約2ヶ月(約360日目まで)にわたって7.5μg/kg/日、その後、試験完了まで15μg/kg/日を受けた。コホート2(
図2B)(6人の対象、年齢範囲5~10歳)は、最初の6~8ヶ月間(180~240日)、7.5μg/kg/日を受け、その後、15μg/kg/日に漸増させた。コホート3(
図2C)(8人の対象、年齢範囲6~11歳)及びコホート4(
図2D)(8人の対象、年齢範囲5~8歳)は、試験全体を通してそれぞれ15μg/kg/日及び30μg/kg/日を受けた。
【
図3】治療の3~4年目の3人のコホート4対象における骨代謝回転マーカー(bALP、PINP)及び血漿NTproCNPのベースライン(スクリーニング)からの倍数変化。各パネルは、単一の対象における同時分析物濃度を示す。
【
図4】183日目の注射の4時間後の血漿NTproCNP濃度の変化(デルタ)と、同日の注射の前のNTproCNP SDSとの間の関係。
【
図5A】第2相試験111~202の経時的な成長速度及びバイオマーカーの結果。年間成長速度(AGV)(
図5A)、血清コラーゲンXバイオマーカー(CXM)(
図5B)、及び血清骨特異的アルカリホスファターゼ(BSAP)(
図5C)を、2.5、7.5、15、又は30ug/kg/日のボソリチドを受ける対象(コホート1、2、3、及び4)で測定した。処置の6ヶ月後、コホート1及び2を15ug/kg/日に用量漸増させた。ベースラインからのAGV又はバイオマーカーの変化を、y軸に示し、ボソリチドの処置の日数を、x軸に示す。線は、各コホートの平均値を表し、エラーバーは、平均値の標準誤差を表す。
【
図6A】自然史研究111~901及び第3相試験111~301の経時的な成長速度及びバイオマーカーの結果。年間成長速度(AGV)(
図6A)、血清コラーゲンXバイオマーカー(CXM)(
図6B)、及び血清骨特異的アルカリホスファターゼ(BSAP)(
図6C)を、研究111-901において未処置の対象で、及び試験1110301において、15ug/kg/日のボソリチド又はプラセボのいずれかを受ける同じ対象で測定した。AGV又は血清バイオマーカー濃度をy軸に示し、試験111-301(ボソリチド又はプラセボの処置)の開始からの月数をx軸に示す。線は、各群の平均値を表し、エラーバーは、平均値の標準誤差を表す。
【
図7】コンジュゲート部分を含むCNPバリアントタンパク質の例を示す。
【
図8A】cGMP(分子デバイス)を測定するために使用される競合ベースのELISAアッセイであるキャッチポイントアッセイを示す。
【
図8B】様々なNPR2 LoF及びGoFバリアントの正規化されたcGMP値を示す。
【
図9A】
図9A)タンパク質の予測結果に基づいたバリアント活性レベルの内訳。
図9B)複合注釈依存枯渇(CADD)スコアに基づくミスセンスバリアントの予測結果の内訳。
図9C)NPR2変異体の測定された機能活性と、それらを運ぶ個体の身長に対する平均的な影響の比較。X軸は、野生型NPR2に対する対数ベース2の活性レベル(0=wt、-1=1/2wt、-2=1/4wtなど)を示す。Y軸は、成人の身長に対するバリアントの推定効果サイズを示す。1単位のベータは、1標準偏差に相当する(男性では約2.5インチ、女性では約2.2インチ)。
【
図10A】遺伝学に基づいて特発性低身長(ISS)を予測すること。
図10Aは、身長のみの多遺伝子スコアに基づくISSの確率を示す。第1のパネルは、NPR2機能喪失バリアントの文脈において、多遺伝子スコアの予測力がどのように変化するかを示す。
図10Bは、NPR2機能喪失バリアントの存在と組み合わせた多遺伝子リスクスコアによるISSの予測を示す。
【
図11A】
図11A.NPR2タンパク質の3Dモデル、AFモデル、示される低信頼領域(黄色及び赤色)。
図11B.Hannema et al(J Clin Endocrinol Metab.98:E1988-98,2013)に記載されているようなNPR2(二量体)の様々なドメインの描写。
図11C.リガンド結合ドメインに位置するバリアントのリストを、3Dモデル上にマッピングした。
図11D.全てのバリアント(LoF=赤色、GoF=緑色)及びそれらのNPR2機能への潜在的な影響の要約。
【
図12A】(
図12A)顔容積、(
図12B)洞容積、及び(
図12C)大後頭孔面積における変化を示す、ベースライン及び52週目の磁気共鳴イメージング。磁気共鳴イメージングにおける顔容積(上パネル)、洞容積(中パネル)、及び大後頭孔面積(下パネル)の変化。図は、頭蓋骨の形態に対するボソリチドの効果を評価するMRI結果のベースラインから52週目までの変化を示している。箱ひげ図は、25パーセンタイル及び75パーセンタイル(箱エッジ)、中央値(正中線)、平均値(白抜きの四角形記号)、並びに2.5及び97.5パーセンタイル(ひげ)を表示する。ドットは外れ値を表す。
【発明を実施するための形態】
【0066】
本出願は、骨成長のバイオマーカーが、骨格異形成症を有する対象におけるCNP療法の骨成長及び年間成長速度の改善を評価するのに有用であるという発見に関する。バイオマーカーを使用して、用量有効性を決定し、NTproCNP及びCXMなどのバイオマーカーのレベルに基づいて、CNPの投与タイミング及び/又は頻度を修正することができる。有効性の更なる尺度が提供され、これには、経時的な幼児の頭蓋骨及び脳形態の分析が含まれる。
【0067】
定義
明細書及び添付の特許請求の範囲で使用されるように、不定冠詞「a」及び「an」並びに定冠詞「the」は、文脈が明確に別段の指示をしない限り、複数形及び単数形の指示対象を含む。
【0068】
「約」又は「およそ」という用語は、当業者によって決定される特定の値についての許容可能な誤差範囲内を意味し、これは、その値がどのように測定又は決定されるかに一部依存する。特定の実施形態において、「約」又は「およそ」という用語は、1、2、3、又は4標準偏差以内を意味する。特定の実施形態において、「約」又は「およそ」という用語は、指定された値又は範囲の30%、25%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、又は0.05%以内を意味する。「約」又は「およそ」という用語が、一連の2つ以上の数値の最初の数値の前にあるときはいつでも、「約」又は「およそ」という用語は、その一連の数値の各々に適用されることが理解される。
【0069】
「C型ナトリウム利尿ペプチド」又は「CNP」という用語は、C末端に17アミノ酸のループ構造を有する小さな一本鎖ペプチド(CNP前駆体タンパク質、NPPCについてのGenBank登録番号NP_077720)、及びそのバリアントを指す。17-merのCNPループ構造は、CNP17、CNP環、又はCNP環状ドメインとも呼ばれる。CNPは、活性53アミノ酸ペプチド(CNP-53)及び成熟22アミノ酸ペプチド(CNP-22)、並びに2つのペプチド間の長さが異なるペプチドを含む。
【0070】
様々な実施形態において、「CNPバリアントペプチド」は、同じ数のアミノ酸残基に対して野生型NPPCと少なくとも約40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、又は95%相同である。CNPバリアントペプチドは、NPPCポリペプチドの約1~約53、又は1~39、又は1~38、又は1~37、又は1~35、又は1~34、又は1~31、又は1~27、又は1~22、又は10~35、又は約15~約37残基を含み得ることが更に企図される。一実施形態において、CNPバリアントは、NPPCポリペプチドに由来する1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、又は53アミノ酸配列を含む。CNPバリアントはまた、本明細書に記載のCNPバリアントのコンジュゲート、塩又はプロドラッグを含む。「CNP療法」は、本明細書に記載されるような骨関連障害、骨格異形成症又は低身長を有する対象を治療するためのCNPバリアントの投与を指す。
【0071】
「コンジュゲート部分」という用語は、バリアントペプチドにコンジュゲートされる部分を指す。コンジュゲート部分は、脂質、脂肪酸、親水性スペーサー、合成ポリマー、リンカー、又は任意選択で、それらの組み合わせを含む。
【0072】
「有効量」という用語は、対象の健康状態、病状、若しくは疾患に関して、又は診断目的のために所望の結果を生み出すのに十分な投薬量を指す。望ましい結果は、投薬量のレシピエントにおける主観的又は客観的な改善を含み得る。「治療有効量」は、健康に対して意図される有益な効果を生み出すのに有効な薬剤の量を指す。個々の場合における適切な「有効な」量は、日常的な実験を使用して当業者によって決定され得る。特定の患者の特定の用量レベル及び投薬頻度は変化する可能性があり、使用される特定の化合物の活性、その化合物の生物学的利用能、代謝安定性、排泄率及び作用の長さ、化合物の投与の様式及び時間、患者の年齢、体重、一般的な健康状態、性別、及び食事、並びに特定の状態の重大度を含む様々な因子に依存することが理解されよう。
【0073】
「実質的に純粋な」又は「単離された」とは、対象種が、存在する主要な種である(すなわち、モルベースで、組成物中の任意の他の個々の高分子種よりも豊富である)ことを意味し、実質的に精製された画分は、対象種が、存在する全ての高分子種の少なくとも約50%(モルベース)を含む。一実施形態において、実質的に純粋な組成物は、目的の種が、モル又は重量ベースで組成物中に存在する高分子種の少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%以上を含むことを意味する。組成物が本質的に単一の高分子種からなる場合、対象種は、本質的な均質性まで精製される(従来の検出方法によって組成物中の汚染種を検出することができない)。この定義の目的では、溶媒種、小分子(<500ダルトン)、安定剤(例えば、BSA)、及び元素イオン種は、高分子種とはみなされない。一実施形態において、本開示の化合物は、実質的に純粋であるか、又は単離されている。別の実施形態において、本開示の化合物は、それらの産生に使用される高分子出発材料に関して実質的に純粋であるか、又は単離されている。更に別の実施形態において、本開示の薬学的組成物は、1つ以上の薬学的に許容される賦形剤、担体、又は希釈剤、及び任意選択で別の生物学的に活性な薬剤と混合された、実質的に純粋な、又は単離されたCNPバリアントを含む。
【0074】
「治療」とは、予防的処置又は治療的処置又は診断的処置を指す。特定の実施形態において、「治療」は、治療的、予防的又は診断的目的のための対象への化合物又は組成物の投与を指す。
【0075】
「予防的」治療は、病状を発症するリスクを減少させる目的で、疾患の徴候を示さないか、又は疾患の初期徴候のみを示す対象に施される治療である。本開示の化合物又は組成物は、病状を発症する可能性を低減するため、又は病状が発症した場合はその重症度を最小限に抑えるための予防的処置として与えられ得る。
【0076】
「治療的」治療は、それらの徴候又は症状を軽減又は排除する目的で、病状の徴候又は症状を示す対象に施される治療である。徴候又は症状は、生化学的、細胞的、組織学的、機能的又は物理的、主観的又は客観的である可能性がある。本開示の化合物はまた、治療的処置として又は診断のために与えられ得る。
【0077】
「診断」とは、病的状態の存在、程度、及び/又は性質を同定することを意味する。診断方法は、その特異性及び選択性において異なる。特定の診断方法は状態の確定診断を提供しない場合があるが、方法が診断に役立つ肯定的な兆候を提供する場合はそれで十分である。
【0078】
「骨又は軟骨関連バイオマーカー」又は「骨又は軟骨関連マーカー」は、成長因子、酵素、タンパク質、又は他の検出可能な生物学的物質若しくは部分を指し、そのレベルは、例えば、軟骨代謝回転、軟骨形成、軟骨成長、骨吸収、骨形成、骨成長、又はそれらの組み合わせに関連して増加又は減少する。そのようなバイオマーカーは、本明細書に記載されるCNPバリアントの投与前、投与中、及び/又は投与後に測定され得る。例示的な骨又は軟骨関連バイオマーカーには、CNP、cGMP、II型コラーゲンのプロペプチド及びその断片、II型コラーゲン及びその断片、I型コラーゲンのプロペプチド及びその断片、I型コラーゲン及びその断片、オステオカルシン、増殖細胞核抗原(PCNA)、アグリカンコンドロイチンサルフェート、コラーゲンX、コラーゲンXのN末端断片(CXM)並びにアルカリホスファターゼが挙げられるが、これらに限定されない。軟骨及び骨関連バイオマーカーは、組織、血液、血清、血漿、脳脊髄液、滑液、及び尿を含むがこれらに限定されない、任意の適切な生物学的試料において測定することができる。
【0079】
「薬学的組成物」又は「製剤」は、ヒト及び哺乳動物を含む対象動物における薬学的使用に好適な組成物を指す。薬学的組成物は、治療有効量のCNPバリアント、任意に別の生物学的に活性な薬剤、及び任意に薬学的に許容される賦形剤、担体、又は希釈剤を含む。一実施形態において、薬学的組成物は、有効成分、担体を構成する不活性成分、並びに任意の2つ以上の成分、又は1つ以上の成分の解離、又は1つ以上の成分の他のタイプの反応又は相互作用からの組み合わせ、錯体形成、又は凝集から直接的又は間接的に生じる任意の産物を含む組成物を包含する。したがって、本開示の薬学的組成物は、本開示の化合物と薬学的に許容される賦形剤、担体又は希釈剤とを混合することによって作製された任意の組成物を包含する。
【0080】
「薬学的に許容される担体」とは、リン酸緩衝生理食塩水溶液、デキストロースの5%水溶液、及びエマルジョン(例えば、油/水又は水/油エマルジョン)などの標準的な薬学的担体、緩衝液などのいずれかを指す。賦形剤の非限定的な例には、アジュバント、結合剤、充填剤、希釈剤、崩壊剤、乳化剤、湿潤剤、潤滑剤、流動促進剤、甘味剤、香味剤、及び着色剤が含まれる。好適な薬学的担体、賦形剤及び希釈剤は、Remington’s Pharmaceutical Sciences,19th Ed.(Mack Publishing Co.,Easton,1995)に記載されている。好ましい薬学的担体は、活性薬剤の意図された投与様式に依存する。典型的な投与様式には、経腸(例えば、経口)又は非経口(例えば、皮下、筋肉内、静脈内又は腹腔内注射、又は局所、経皮、若しくは経粘膜投与)が含まれる。
【0081】
「薬学的に許容される塩」は、金属塩(例えば、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムなど)及びアンモニア又は有機アミンの塩を含むがこれらに限定されない、薬学的用途の化合物に配合することができる塩である。
【0082】
「薬学的に許容される」又は「薬理学的に許容される」とは、生物学的又は他の方法で望ましくない材料を意味し、すなわち、材料は、いかなる望ましくない生物学的効果を引き起こすことなく、あるいはそれが含まれている、又は個体の身体の上若しくは中に存在する任意の成分を含む組成物の成分のうちのいずれかと有害な様式で相互作用することなく、個体に投与され得る。
【0083】
「生理学的状態」とは、動物(例えば、ヒト)の体内の状態を指す。生理学的状態には、体温、及び生理学的イオン強度、pH、及び酵素の水性環境が含まれるが、これらに限定されない。生理学的状態はまた、特定の対象の身体の状態を含み、これは、大多数の対象に存在する「通常の」状態とは異なり、例えば、およそ37℃の通常の人体温度とは異なるか、又はおよそ7.4の通常のヒトの血液pHとは異なる。
【0084】
「生理学的pH」又は「生理学的範囲のpH」とは、およそ7.0~8.0(両端の値を含む)の範囲、より典型的にはおよそ7.2~7.6(両端の値を含む)の範囲のpHを意味する。
【0085】
本明細書で使用される場合、「対象」という用語は、哺乳動物及び非哺乳動物を包含する。哺乳動物の例には、哺乳動物クラスの任意のメンバーが含まれるが、これらに限定されない:ヒト、チンパンジーなどの非ヒト霊長類、及び他の類人猿及びサル種、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ブタなどの家畜、ウサギ、イヌ、及びネコなどの飼育動物、ラット、マウス、及びモルモットなどの齧歯動物を含む実験動物。非哺乳動物の例には、鳥、魚などが含まれるが、これらに限定されない。この用語は、特定の年齢又は性別を示すものではない。様々な実施形態において、対象は、ヒトである。様々な実施形態において、対象は、小児又は青年である。様々な実施形態において、対象は、乳児である。様々な実施形態において、対象は、3歳を超える、2歳を超える、1歳を超える、又は6ヶ月を超える。
【0086】
C型ナトリウム利尿ペプチド
C型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)(Biochem.Biophys.Res.Commun.,168:863-870(1990)(CNP前駆体タンパク質、NPPCについてのGenBank登録番号NP_077720)(J.Hypertens.,10:907-912(1992))は、17アミノ酸のループ構造(Levin et al.,N.Engl.J.Med.,339:863-870(1998))を有するペプチド(ANP、BNP、CNP)のファミリーにおける小さな一本鎖ペプチドであり、複数の生物学的プロセスにおいて重要な役割を有する。CNPはナトリウム利尿ペプチド受容体-B(NPR-B、GC-B)と相互作用して、環状グアノシン一リン酸(cGMP)の生成を刺激する(J.Hypertens.,10:1111-1114(1992))。CNPは、中枢神経系、生殖管、骨、血管内皮など、より広く発現している(Gardner et al.,Hypertension,49:419-426(2007))。
【0087】
ヒトでは、CNPは、最初にナトリウム利尿ペプチド前駆体C(NPPC)遺伝子から一本鎖126アミ(Sudoh et al.,Biochem.Biophys.Res.Commun.,168:863-870(1990))。シグナルペプチドの除去は、プロCNPをもたらし、エンドプロテアーゼであるフーリンによる更なる切断は、活性な53アミノ酸ペプチド(CNP-53)を生成し、これは未知の酵素によって再度分泌及び切断され、成熟した22アミノ酸ペプチド(CNP-22)を産生する(Wu,J.Biol.Chem.278:25847-852(2003))。CNP-53とCNP-22とはそれらの分布が異なり、CNP-53は組織で優勢であるが、CNP-22は主に血漿及び脳脊髄液に見られる(J.Alfonzo,Recept.Signal.Transduct.Res.,26:269-297(2006))。CNP-53及びCNP-22はどちらもNPR-Bと同様に結合する。
【0088】
cGMP生成によって媒介される下流シグナル伝達は、軟骨内骨化を含む多種多様な生物学的プロセスに影響を及ぼす。例えば、マウスモデルにおけるCNP又はNPR-Bのいずれかのノックアウトは、より短い長骨及び椎骨を伴う矮小化された表現型を有する動物をもたらす。適切なCNPシグナル伝達をブロックするヒトNPR-Bの変異が同定されており、小人症を引き起こす(Olney,et al.,J.Clin.Endocrinol.Metab.91(4):1229-1232(2006)、Bartels,et al.,Am. J.Hum.27-34(2004))。対照的に、高レベルのCNPを産生するように操作されたマウスは、細長い長骨及び椎骨を示す。
【0089】
天然CNP遺伝子及びポリペプチドは、以前に記載されている。米国特許第5,352,770号は、ヒトCNPと同一の配列のブタ脳から単離及び精製されたCNP-22、並びに心血管適応症の治療におけるその使用を開示する。米国特許第6,034,231号は、pre-proCNP(126アミノ酸)のヒト遺伝子及びポリペプチド、並びにヒトCNP-53遺伝子及びポリペプチドを開示する。成熟CNPは、22-アミノ酸ペプチド(CNP-22)である。特定のCNPバリアントは、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第8,198,242号に開示されている。
【0090】
様々な実施形態において、本開示のCNPは、ヒトCNP-17(hCNP-17)からヒトCNP-53(hCNP-53)までにわたり、hCNP-53及びそのバリアントに由来する野生型アミノ酸配列を有する短縮型CNPを含む。このような短縮型CNPペプチドには次のものが含まれる:
PGQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(Pro-Gly-CNP37)(配列番号1)、
GQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(Gly-CNP-37)(配列番号2)、
GDLRVDTKSRAAWARLLQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(Gly-CNP53)(配列番号3)、
PDLRVDTKSRAAWARLLQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(Pro-CNP53)(配列番号4)、
MDLRVDTKSRAAWARLLQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(Met-CNP53)(配列番号5)、
DLRVDTKSRAAWARLLQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSNSGLGC[CNP-53(M48N)](配列番号6)、
LRVDTKSRAAWARLLQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-52)(配列番号7)、
RVDTKSRAAWARLLQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-51)(配列番号8)、
VDTKSRAAWARLLQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-50)(配列番号9)、
DTKSRAAWARLLQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-49)(配列番号10)、
TKSRAAWARLLQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-48)(配列番号11)、
KSRAAWARLLQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-47)(配列番号12)、
SRAAWARLLQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-46)(配列番号13)、
RAAWARLLQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-45)(配列番号14)、
AAWARLLQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-44)(配列番号15)、
AWARLLQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-43)(配列番号16)、
WARLLQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-42)(配列番号17)、
ARLLQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-41)(配列番号18)、
RLLQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-40)(配列番号19)、
LLQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-39)(配列番号20)、
LQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-38)(配列番号21)、
QEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-37)(配列番号22)、
EHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-36)(配列番号23)、
HPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-35)(配列番号24)、
PNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-34)(配列番号25)、
NARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-33)(配列番号26)、
ARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-32)(配列番号27)、
RKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-31)(配列番号28)、
KYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-30)(配列番号29)、
YKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-29)(配列番号30)、
KGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-28)(配列番号31)、
GANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-27)(配列番号32)、
ANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-26)(配列番号33)、
NKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-25)(配列番号34)、
KKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-24)(配列番号35)、
KGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-23)(配列番号36)、
LSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-21)(配列番号37)、
SKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-20)(配列番号38)、
KGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-19)(配列番号39)、
GCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-18)(配列番号40)、
QEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSNSGLGC[CNP-37(M32N)](配列番号41)、
PQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(Pro-CNP-37)(配列番号42)、
MQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(Met-CNP-37)(配列番号43)、
GQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSNSGLGC[Gly-CNP-37(M32N)](配列番号44)、
MGQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(Met-Gly-CNP-37)(配列番号45)、
PGQEHPQARRYRGAQRRGLSRGCFGLKLDRIGSMSGLGC(配列番号46)、
PGQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(配列番号47)、
PGQEHPNARRYRGANRRGLSRGCFGLKLDRIGSMSGLGC(配列番号48)、
及び
PGQEHPQARKYKGAQKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(配列番号)。
【0091】
様々な実施形態において、CNPバリアントペプチドは、改変されたCNP-37又はCNP-38ペプチドであり、任意選択で、フーリン切断部位に変異/置換を有し、かつ/又はN末端にグリシン若しくはプロリン-グリシンを含む。例示的なCNP-37バリアントは、これらに限定されないが、
QEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSNSGLGC[CNP-37(M32N);配列番号41]、
MQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(Met-CNP-37;配列番号43)、
PQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(Pro-CNP-37;配列番号42)、
GQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSNSGLGC[Gly-CNP-37(M32N);配列番号44]、
PGQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(Pro-Gly-CNP-37;配列番号1)、
MGQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(Met-Gly-CNP-37;配列番号45)、
GQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(Gly-CNP-37: 配列番号2)
【化1】
【0092】
様々な実施形態において、本開示のCNPバリアントは、PGQEHPQARRYRGAQRRGLSRGCFGLKLDRIGSMSGLGC(配列番号46)、
PGQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(配列番号47)、
PGQEHPNARRYRGANRRGLSRGCFGLKLDRIGSMSGLGC(配列番号48)、又は
PGQEHPQARKYKGAQKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(配列番号)。
【0093】
バリアントペプチドは、アセチル基を更に含み得る。様々な実施形態において、アセチル基は、ペプチドのN末端上にある。様々な実施形態において、ペプチドは、C末端にOH又はNH2基を更に含む。
【0094】
バリアントペプチドは、コンジュゲート部分を含み得る。様々な実施形態において、コンジュゲート部分は、CNP環状ドメインの残基上、又はCNP環状ドメイン以外の部位にある。様々な実施形態において、コンジュゲート部分は、リジン残基上にある。様々な実施形態において、コンジュゲート部分は、1つ以上の酸部分を含む。様々な実施形態において、酸部分は、疎水性酸である。
【0095】
様々な実施形態において、バリアントは、以下の構造を有する:PGQEHPQARRYRGAQRRGLSRGCFGLK(AEEA-AEEA-γGlu-C18DA)LDRIGSMSGLGC(配列番号46)、又はAc-PGQEHPQARRYRGAQRRGLSRGCFGLK(AEEA-AEEA-γGlu-C18DA)LDRIGSMSGLGC-OH(配列番号46)を含む。
【0096】
様々な実施形態において、バリアントは、
Ac-PGQEHPQARRYRGAQRRGLSRGCFGLKLDRIGSMSGLGC-OH(配列番号46)、
Ac-PGQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC-NH2(配列番号47)、
Ac-PGQEHPNARRYRGANRRGLSRGCFGLKLDRIGSMSGLGC-OH(配列番号48)、
Ac-PGQEHPNARRYRGANRRGLSRGCFGLKLDRIGSMSGLGC-NH2(配列番号48)、
Ac-PGQEHPQARRYRGAQRRGLSRGCFGLKLDRIGSMSGLGC-NH2(配列番号46)、
Ac-PGQEHPQARKYKGAQKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC-NH2(配列番号49)、及び
Ac-PGQEHPQARKYKGAQKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC-OH(配列番号49)からなる群から選択される。
【0097】
様々な実施形態において、CNPバリアントは、Ac-PGQEHPQARRYRGAQRRGLSRGCFGLK(AEEA-AEEA-γGlu-C18DA)LDRIGSMSGLGC-OH(配列番号46)である。様々な実施形態において、CNPバリアントは、Ac-PGQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLK(AEEA-AEEA-γGlu-C18DA)LDRIGSMSGLGC-OH(配列番号47)である。様々な実施形態において、CNPバリアントは、PGQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLK(AEEA-AEEA-γGlu-C18DA)LDRIGSMSGLGC-OH(配列番号47)である。
【0098】
CNPバリアントは、増加した安定性又は半減期をもたらす部分、例えば、コンジュゲート部分とコンジュゲートされるか、又は複合体化されることが更に企図される。様々な実施形態において、コンジュゲート部分は、非共有結合を介して複合体化されるか、又は共有結合によって付着される。部分は、静電相互作用を介してペプチドと非共有結合的に付着され得る。代替的に、部分は、1つ以上のリンカー部分を介してペプチドに共有結合的に会合され得る。リンカーは、切断可能及び切断不可能なリンカーであり得る。切断可能なリンカーは、酵素、求核/塩基性試薬、還元剤、光照射、求電子/酸性試薬、有機金属及び金属試薬、又は酸化試薬を介して切断され得る。リンカーはまた、自壊牲リンカーであり得る。例示的なリンカーには、N-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオール)プロピオネート(SPDP)、イミノチオラン(IT)、イミドエステルの二官能性誘導体(ジメチルアジピミデートHCLなど)、活性エステル(ジスクシンイミジルスベレートなど)、アルデヒド(グルタルアルデヒドなど)、ビス-アジド化合物(ビス(p-アジドベンゾイル)ヘキサンジアミンなど)、ビス-ジアゾニウム誘導体(ビス-(p-ジアゾニウムベンゾイル)-エチレンジアミンなど)、ジイソシアネート(トリエン2,6-ジイソシアネートなど)、及びビス-活性フッ素化合物(1,5-ジフルオロ-2,4-ジニトロベンゼンなど)、ベータアラニン、4-アミノ酪酸(GABA)、2-アミノエトキシ酸(AEA)、アミノエトキシ-2-エトキシ酢酸(AEEA)、5アミノ吉草酸(AVA)、6-アミノカプロン酸(Abx)、ビシナルジオール切断可能リンカー、トリメチルロックラクトン化、p-アルコキシフェニルカルバメート、ビシン、ペプトイド、又はビシン型リンカー、及び本明細書に記載される電子リンカーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0099】
リンカーが、CNP環状ドメイン内、又はCNP環状ドメイン以外の部位でCNPバリアントの残基に付着されることが企図される。様々な実施形態において、リンカーは、リジン残基に付着される。様々な実施形態において、リンカーは、CNP環状ドメインにおけるリジン残基に付着される。
【0100】
様々な実施形態において、CNPバリアントは、リンカーを介してコンジュゲート部分に付着される。様々な実施形態において、リンカーは、コンジュゲート部分の親水性スペーサーを介してコンジュゲート部分に付着される。
【0101】
様々な実施形態において、リンカーは、加水分解性リンカーである。
【0102】
様々な実施形態において、リンカーは、ペプトイド又は電子リンカーである。様々な実施形態において、リンカーは、ペプトイドリンカーである。様々な実施形態において、リンカーは、電子リンカーである。様々な実施形態において、リンカーは、SO
2部分を含む。例示的なリンカーを
図7に示す。
図7のリンカーはR基の置換によって修飾されることが更に企図される。例えば、ビシンタイプのリンカーには、以下に示される構造が含まれる:
【化2】
【0103】
様々な実施形態において、ペプチドにコンジュゲートされた部分は、ポリエチレングリコール、リンカー、脂質部分若しくは脂肪酸、又はそれらの組み合わせなどの合成ポリマーである。様々な実施形態において、CNPバリアントは、脂肪酸、アミノ酸、スペーサー、及びリンカーとコンジュゲートされる。様々な実施形態において、CNPバリアントは、脂肪酸、アミノ酸、ポリエチレングリコールスペーサー、又はポリエチレングリコール誘導体スペーサー、及びリンカーとコンジュゲートされる。様々な実施形態において、CNPバリアントは、脂肪酸、アミノ酸、スペーサー、及びリンカーとコンジュゲートされ、スペーサーは、置換C-6~C-20アルキル鎖若しくは任意のアミノ酸、又は両方の組み合わせを含み、アルキル鎖の炭素原子は、O、NH、N(C-1~C-6アルキル)、又はカルボニル基のうちの1つ以上によって置き換えることができる。
【0104】
様々な実施形態において、CNPバリアントは、脂肪酸とコンジュゲートされる。脂質技術は、CNPバリアントの血清半減期を増加させ、より少ない頻度の注射及び/又は改善された経口送達を可能にすると仮定される。様々な実施形態において、脂肪酸は、短鎖、中鎖、長鎖脂肪酸、又はジカルボン酸脂肪酸である。様々な実施形態において、脂肪酸は飽和又は不飽和である。様々な実施形態において、脂肪酸は、C-6~C-20脂肪酸である。様々な実施形態において、脂肪酸は、C-6、C-8、C-10、C-12、C-14、C-16、C-18又はC-20脂肪酸である。様々な実施形態において、脂肪酸は、デカン酸、ドデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、又はそれらの二酸である。様々な実施形態において、脂肪酸は、リジン残基にコンジュゲートされる。
【0105】
様々な実施形態において、本明細書に記載されるCNPバリアントは、本明細書に記載されるようなコンジュゲート部分を含むことが企図される。コンジュゲート部分は、CNP環状ドメインの残基上、又はCNP環状ドメイン以外の部位にあることが企図される。様々な実施形態において、コンジュゲート部分は、リジン残基上にある。様々な実施形態において、コンジュゲート部分は、1つ以上の酸部分を含む。様々な実施形態において、酸部分は、脂肪酸である。例示的なCNPバリアント及びペプチドコンジュゲートは、国際特許出願第PCT/US2020/051100号及びUSSN第17/642,150号に記載されており、これらは、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。CNPの変異体、コンジュゲート、及び塩は、参照により本明細書に組み込まれる、USSN第17/634,034号に開示されている。
【0106】
様々な実施形態において、コンジュゲート部分は、親水性スペーサーに連結された酸部分を含む。様々な実施形態において、親水性スペーサーは、置換C-6~C-20アルキル鎖若しくは任意のアミノ酸、又は両方の組み合わせであり、アルキル鎖の炭素原子は、O、NH、N(C-1~C-6アルキル)、又はカルボニル基のうちの1つ以上によって置き換えることができる。様々な実施形態において、親水性スペーサーは、任意のアミノ酸である。様々な実施形態において、親水性スペーサーは、ガンマグルタミン酸(γGlu)である。様々な実施形態において、親水性スペーサーは、置換C-6~C-20アルキル鎖である。様々な実施形態において、親水性スペーサーは、置換C-6、C-8、C-10、C-12、C-14、C-16、C-18、又はC-20アルキル鎖である。様々な実施形態において、親水性スペーサーは、置換C-9~C-18アルキル鎖である。様々な実施形態において、親水性スペーサーは、置換C-18アルキル鎖である。様々な実施形態において、親水性スペーサーは、置換C-9アルキル鎖である。様々な実施形態において、親水性スペーサーは、1つ以上のOEG(8-アミノ-3,6-ジオキサオクタン酸)基である。様々な実施形態において、親水性スペーサーは、1つ又は2つのOEG(8-アミノ-3,6-ジオキサオクタン酸)基である。様々な実施形態において、親水性スペーサーは、OEG(8-アミノ-3,6-ジオキサオクタン酸)である。様々な実施形態において、親水性スペーサーは、OEG(8-アミノ-3,6-ジオキサオクタン酸)又はγGluである。様々な実施形態において、親水性スペーサーは、1つ以上のOEG(8-アミノ-3,6-ジオキサオクタン酸)基に連結されたガンマグルタミン酸(γGlu)である。様々な実施形態において、親水性スペーサーは、1つ又は2つのOEG(8-アミノ-3,6-ジオキサオクタン酸)基(diEG)に連結されたガンマグルタミン酸(γGlu)である。様々な実施形態において、酸部分及び親水性スペーサーは、構造AEEA-AEEA-γGlu-C18DAを有する。
【0107】
様々な実施形態において、本開示は、親水性又は水溶性ポリマー(例えば、炭素原子を、ポリエチレングリコール(PEG)又はポリエチレンオキシド(PEO)などの、1つ以上の酸素原子で置き換えることができる、酸素化アルキル鎖)を含むCNPバリアントの使用を企図する。様々な実施形態において、水溶性ポリマーは、タイプ(例えば、ホモポリマー又はコポリマー;ランダム、交互、又はブロックコポリマー;線状又は分岐;単分散又は多分散)、連結(例えば、アミド、イミン、アミナール、アルキレン、又はエステル結合などの、例えば、加水分解可能又は安定な連結)、コンジュゲーション部位(例えば、N末端、内部、及び/又はC末端)、及び長さ(例えば、約0.2、0.4、又は0.6kDa~約2、5、10、25、50、又は100kDa)が変動し得る。親水性又は水溶性ポリマーは、当該技術分野で知られるように、N-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)ベース若しくはアルデヒドベースの化学又は他の化学によってCNPバリアントにコンジュゲートすることができる。様々な実施形態において、負に帯電したPEG-CNPバリアントは、カルボキシル化、硫酸化、及びリン酸化化合物の使用を含むがこれらに限定されない、腎クリアランスの低減のために設計することができる(Caliceti,Adv.Drug Deliv.Rev.,55:1261-77(2003);Perlman,J.Clin.Endo.Metab.,88:3227-35(2003)、Pitkin,Antimicrob.Ag.Chemo.,29:440-444(1986)、Vehaskari,Kidney Int’l,22:127-135(1982))。一実施形態において、PEG(又はPEO)部分は、カルボキシル基、硫酸塩基、及び/又はリン酸塩基を含有する。
【0108】
別の実施形態において、本明細書に記載のCNPバリアントのN末端、C末端、及び/又は内部部位にコンジュゲートされた親水性ポリマー(例えば、PEG又はPEO)部分は、生理学的条件下で正に帯電した1つ以上の官能基を含有する。そのような部分は、とりわけ、軟骨組織へのそのようなコンジュゲートされたCNPバリアントの分布を改善するように設計される。一実施形態において、PEG部分は、1つ以上の一級、二級、若しくは三級アミノ基、四級アンモニウム基、及び/又は他のアミン含有(例えば、尿素)基を含有する。
【0109】
CNPバリアントを使用する方法
軟骨無形成症は、線維芽細胞成長因子受容体3(FGFR-3)の遺伝子の常染色体優性変異の結果であり、軟骨形成の異常を引き起こす。FGFR-3は通常、軟骨細胞の成長、したがって骨の成長に対して負の調節効果を持っている。軟骨無形成症では、変異型のFGFR-3が構成的に活性であり、これにより骨が著しく短縮される。ヒトでは、FGFR-3の変異を活性化することが遺伝性小人症の主な原因である。FGFR-3を活性化したマウスは、骨格異形成症の最も一般的な形態である軟骨無形成症のモデルとして機能し、CNPの過剰発現はこれらの動物を小人症から救済する。したがって、CNPの機能的バリアントは、様々な骨格異形成症の治療のための潜在的な治療法である。
【0110】
軟骨細胞のマトリックス産生、増殖、及び分化を刺激し、長骨成長を増加させることによって、本開示のCNPバリアントは、骨格異形成症又は低身長などの、骨関連障害に罹患している、ヒトを含む、哺乳動物を治療するのに有用である。CNP応答性骨関連障害の骨格異形成症又は低身長障害の非限定的な例は、軟骨無形成症、軟骨低形成症、低身長、小人症、骨軟骨異形成症、致死性異形成症、先天性骨形成不全症、軟骨無発生症、先天性軟骨異形成症、同型接合性軟骨無形成症、先天性軟骨発育不全、屈曲肢異形成症、先天性致死低ホスファターゼ症、致死型先天性骨形成不全症、短肋骨多指症候群、軟骨低形成症、肢根型先天性軟骨異形成症、Jansen型骨幹端異形成症、先天性脊椎骨端異形成症、成長不全性骨形成症、捻曲性異形成症、先天性短大腿骨、Langer型中間肢異形成症、Nievergelt型中間肢異形成症、Robinow症候群、Reinhardt症候群、先端異骨症、末梢異骨症、Kniest異形成症、線維性軟骨発生症、Roberts症候群、肢端四肢中部短縮性異形成症、小肢症、Morquio症候群、Kniest症候群、複合有機栄養性異形成症、脊椎骨端骨幹端異形成症、NPR2変異、SHOX変異(Turner症候群/Leri Weill)、PTPN11変異(Noonan症候群)、及びIGF1R変異に関連する障害が挙げられる。
【0111】
この方法で企図される追加の低身長及び成長板障害には、コラーゲン(COL2A1、COL11A1、COL9A2、COL10)、アグリカン(ACAN)、インディアンヘッジホッグ(IHH)、PTPN11、NPR2、NPPC、FGFR3、又はIGF1Rの変異に関連する障害が挙げられる。
【0112】
更に、CNPバリアントは、特発性低身長及び他の骨格異形成症を治療するための成長ホルモンの補助剤又は代替物として有用である。
【0113】
成長板障害には、低身長又は異常な骨成長をもたらす障害が含まれ、コラーゲン(COL2A1、COL11A1、COL9A2、COL10)、アグリカン(ACAN)、インドヘッジホッグ(IHH)、PTPN11、NPR2、NPPC、FGFR3、又はIGF1Rなど、骨成長に関与する遺伝子の遺伝子変異の結果である可能性がある。様々な実施形態において、成長板障害又は低身長は、RAS病に関連する遺伝子の1つ以上の変異に関連している。様々な実施形態において、成長板障害を有する対象は、成長板遺伝子の変異についてヘテロ接合性である。様々な実施形態において、変異は、機能喪失変異である。様々な実施形態において、変異は、機能獲得変異である。成長板障害には、家族性低身長、優性遺伝性低身長としても知られている優性家族性低身長、又は特発性低身長が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、Plachy et al.,J Clin Endocrinol Metab 104:4273-4281,2019を参照されたい。
【0114】
ACANの変異は、家族性離断性骨軟骨炎及び低身長、最終的には関節の骨の端からの軟骨と時には骨の剥離によって引き起こされる骨損傷(又は病変)の領域を特徴とする変形性関節症を引き起こす可能性がある。成長中の骨の無秩序な軟骨ネットワークはそれらの成長を損ない、低身長につながることが示唆されている。ACAN及び低身長に関連する変異は、Val2303Metを含む。Stattin et al.,Am J Hum Genet 86(2):126-37,2010を参照されたい。低身長をもたらすACANの変異を有する患者は、投与がCNPとFGFR3との既知の相互作用によってこれらの患者の身長を増加させることができる可能性があるため、CNPによる治療から利益を得ると企図される。
【0115】
受容体NPR2を含むナトリウム利尿ペプチドシステムは、軟骨内骨成長の調節に関与していることが示されている(Vasques et al.,Horm Res Pediat 82:222-229,2014)。研究によると、NPR2のホモ接合又は複合ヘテロ接合の機能喪失型変異は、非常に低身長の骨格異形成症であるMaroteaux型遠位中間肢異形成症(AMDM)を引き起こすことが示されている(Vasquez et al.,2014、上記)。低身長の原因としてヘテロ接合性の機能喪失(ドミナントネガティブなど)NPR2変異を示唆する報告があるが、機能獲得型NPR2ヘテロ接合性変異は高身長の原因であることがわかっている(Vasquez et al.,2014、上記)。cGMP生成を刺激するためのCNPのNPR2との相互作用を考慮すると、cGMPレベルを増加させることは、これらの状態において望ましく、これらの疾患及び状態からの合併症の管理において治療上の利益を有するであろう。
【0116】
NPR2のヘテロ接合変異は、特発性低身長及び他の形態の低身長をもたらすと考えられている。NPR2遺伝子の変異は、参照により本明細書に組み込まれる、Amano et al.,J Clin Endocrinol Metab 99:E713-718,2014、Hisado-Oliva et al.,J Clin Endocrinol Metab 100:E1133-1142,2015及びVasques et al.,J Clin Endocrinol Metab 98:E1636-1644,2013に記載されている。本明細書に記載のCNPバリアントで治療される低身長を有する対象は、-1.0、-1.5、-2.0、-2.5、又は-3.0未満の身長SDSを有し、少なくとも一方の親が-1.0、-1.5、-2.0、又は-2.5未満の身長SDSを有し、任意選択で、もう一方の親の身長が通常の範囲内にある。様々な実施形態において、CNPバリアントは、-2.0~-3.0の身長SDSを有する低身長の対象を治療するのに有用である。様々な実施形態において、CNPバリアントは、-2.0~-2.5の身長SDSを有する低身長の対象を治療するのに有用である。しかし、NPR2のde novo変異は、身長SDSが-1.5、-2.0、-2.5、又は-3.0未満であると定義されるように低身長になる可能性があるため、どちらの親も低身長を有しないNPR2の有害な変異のヘテロ接合性キャリアの治療も考えられる。更に企図されるのは、身長を改善し、かつ/又は骨成長を増強するために、他の成長板遺伝子の有害な変異についてヘテロ接合である個体をCNPで治療することである。
【0117】
NPR2の例示的な変異は、参照により本明細書に組み込まれる、国際特許公開第WO2021/055497号に開示されている。
【0118】
骨格成長におけるNPPCの役割は、文書で十分に立証されている(Hisado-Oliva et al.,Genetics Medicine 20:91-97,2018)。NPPCノックアウトマウスは、手足の短縮及び軟骨内骨化など、重度の不均衡な形態の小人症を示した(Hisado-Oliva et al.,2018、上記)。ヒトゲノム全体の研究では、NPPCと身長との関係が示されている(Hisado-Oliva et al.,2018、上記)。CNPハプロ不全は、ヒトの低身長の原因であると考えられているが、最近の研究では、低身長及び小手症を有する家族のヘテロ接合変異が同定された(Hisado-Oliva et al.,2018、上記)。これらの研究では、ヘテロ接合状態で測定した場合、cGMP産生の有意な低減が観察された(Hisado-Oliva et al.,2018、上記)。NPPCの変異には、Gly119Cysの変化を引き起こす355G>Tミスセンス変異、及びArg117Glyの変化を引き起こす349C>Gミスセンス変異が含まれる。CGMP産生を救済するCNPバリアントは、ヘテロ接合性の機能喪失型NPPC変異を有する患者の障害の管理に治療上の利益をもたらす可能性がある。
【0119】
レリーワイル軟骨骨異形成症(LWD)は、前腕及び下肢の短縮、手首の異常なずれ(手首のマーデルング変形)、並びに関連する低身長を特徴とするまれな遺伝性疾患である。LWDは、性染色体の偽常染色体領域1(PAR1)にある低身長ホメオボックス含有(SHOX)遺伝子又はその調節要素のヘテロ接合変異によって引き起こされる。(希少疾患データベース及びCarmona et al.,Hum Mol Genet 20:1547-1559,2011を参照)。ランガー型中間肢骨異形成症は、SHOX変異が2つある場合に発生し、ホモ接合又は複合ヘテロ接合変異のいずれかの各染色体上の変異に起因し得る。SHOX変異のサブセットは、特発性低身長を引き起こす。ターナー症候群は、SHOX遺伝子を含む可能性のあるX染色体の欠失が原因で発生する。SHOXは、FGFR3転写の調節に関与し、骨成長の制御に寄与することが確認されている(Marchini et al.,Endocr Rev.37:417-448,2016)。SHOXの欠損はFGFR3シグナル伝達の増加につながり、SHOXがCNP/NPR2とも直接相互作用することを裏付ける証拠がいくつかある(Marchini、上記)。SHOXとFGFR3及び骨成長との関連を考えると、ホモ接合性又はヘテロ接合性のSHOX変異を有する対象は、本明細書に記載のCNPバリアントによる治療から利益を得ると企図される。
【0120】
RAS病は、Ras/マイトジェン活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)経路の遺伝子の変異によって引き起こされるまれな遺伝的状態の群である。RAS病は、RAS/MAPK経路を介したシグナル伝達の増加を特徴とする一群の障害である。この経路は、RAF/MEK/ERK経路の下流の活性化につながる。低身長は、特定のRAS病の特徴である。例えば、CNPシグナル伝達はRAFを阻害し、MEK及びERKの活性化を低下させる。
【0121】
本明細書では、RAS病の治療が企図されている。低身長に関連するRAS病には、Noonan症候群、Costello症候群、心臓顔面皮膚症候群、神経線維腫症1型、及びLEOPARD症候群が含まれる。遺伝性歯肉線維腫症1型も、本明細書で企図されているRAS病である。RAS病患者(Noonan症候群、Costello症候群、心臓顔面皮膚症候群、神経線維腫症1型、LEOPARD症候群、遺伝性歯肉線維腫症1型を含む)には、以下の遺伝子:BRAF、CBL、HRAS、KRAS、LZTR1、MAP2K1、MAP2K2、MRAS、NF1、NRAS、PPP1CB、PTPN11、RAF1、RRAS、RIT1、SHOC2、SOS1、又はSOS2のうちの1つ以上にヘテロ接合型バリアントを有する患者が含まれる(Tajan et al.Endocr.Rev.2018;39(5):676-700)。
【0122】
CFCは、K-Ras、B-Raf、Mek1、Mek2など、Ras/MAPKシグナル伝達経路のいくつかの遺伝子の変異によって引き起こされる。コステロ症候群は、顔面皮膚骨格(FCS)症候群とも呼ばれ、H-Ras遺伝子の変異を活性化することによって引き起こされる。遺伝性歯肉線維腫症I型(HGF)は、低分子量GTPアーゼのRasサブファミリーに作用するグアニンヌクレオチド交換因子(SOS)をコードするSOS1遺伝子(Son of Sevenlessホモログ1)の優性変異によって引き起こされる。神経線維腫症I型(NF1)は、Ras/MAPKシグナル伝達経路の負の調節因子をコードするニューロフィブロミン1遺伝子の変異によって引き起こされる。ヌーナン症候群(NS)は、SHP2をコードするPTPN11、SOS1、K-Ras、Raf-1など、いくつかの遺伝子の1つに変異が生じることで引き起こされる。
【0123】
CNPは、RAS病モデルにおいて効果的な療法であることが実証されている。Onoらは、II型コラーゲン産生細胞においてNf1を欠損したマウスを生成した(Ono et al.,Hum.Mol.Genet.2013;22(15):3048-62)。これらのマウスは、構成的なERK1/2活性化を示し、軟骨細胞の増殖及び成熟を減少させた。これらのマウスにCNPを毎日注射すると、ERKリン酸化が減少し、低身長が矯正された。Braf変異(p.Q241R)を使用した心臓・顔・皮膚症候群のマウスモデル(Inoue et al.Hum.Mol.Genet.2019、28(1):74-83)は、野生型と比較して、体長の減少と成長板幅の減少を示し、増殖及び肥大型ゾーンが小さく、CNP投与によりこれらの動物の体長が増加した。
【0124】
複数の遺伝子の変異は、低身長、心臓の欠陥、出血の問題、及び骨格奇形を特徴とするNoonan症候群を引き起こす可能性がある。PTPN11遺伝子の変異は、Noonan症候群の全症例の約半分を引き起こす。SOS1遺伝子の変異は更に10~15%を引き起こし、RAF1及びRIT1遺伝子は各々、症例の約5%を占める。他の遺伝子の変異は各々、少数の症例を説明する。この障害を有する人々の15~20パーセントのNoonan症候群の原因は不明である。
【0125】
PTPN11、SOS1、RAF1、及びRIT1遺伝子は全て、細胞分裂及び成長(増殖)、分化、並びに細胞移動に必要なRAS/MAPK細胞シグナル伝達経路で重要なタンパク質をコードする。Noonan症候群に関連する遺伝子の変異の多くは、結果として生じるタンパク質をオン(活性)にし、この長期の活性化は、通常のRAS/MAPKシグナル伝達を変化させ、細胞の成長及び分裂の調節を妨害し、Noonan症候群の特徴をもたらす。例えば、Chen et al.,Proc Natl Acad Sci U S A.111(31):11473-8,2014、Romano et al.,Pediatrics.126(4):746-59,2010、及びMilosavljevic et al.,Am J Med Genet 170(7):1874-80,2016を参照されたい。MAPK経路を活性化する変異を有する対象は、骨成長及び低身長を改善するために、本明細書に記載されるようなCNPバリアントによる治療から利益を得ると考えられる。MAPK経路を活性化する変異を有する対象は、NPR2受容体がその表面に発現される全身の他の細胞における過剰活性MAPK経路に関連する他の併存疾患を改善するために、本明細書に記載のCNPバリアントによる治療から利益を得るであろうことも企図される。
【0126】
非受容体タンパク質チロシンホスファターゼSHP-2をコードするPTPN11遺伝子の変異は、ヌーナン症候群などの低身長を特徴とする障害を引き起こす(Musente et al.,Eur J Hum Genet 11:201-206(2003)。Musente(上記)は、低身長につながるPTPN11遺伝子の多数の変異を同定している。機能変異の獲得は、SHP2を介した過剰活性なシグナル伝達を引き起こし、成長ホルモン誘発性のIGF-1放出を阻害し、それによって骨成長の低下に寄与する(Rocca Serra-Nedelec,PNAS 109:4257-4262,2012)。を有する対象は、ホモ接合性又はヘテロ接合性のPTPN11変異を有する対象は、骨成長及び低身長を改善するために、本明細書に記載されるようなCNPバリアントによる治療から利益を得ると考えられる。
【0127】
軟骨内骨化の調節に関連するインディアンヘッジホッグ(IHH)遺伝子の変異は、低身長症候群にも関連している(Vasques et al., J Clin Endocrinol Metab.103:604-614,2018)。同定された多くのIHH変異は、優性遺伝パターンで低身長で分離する。IHHと骨の成長及び骨化との関連を考えると、ホモ接合性又はヘテロ接合性のIHH変異を有する対象は、本明細書に記載のCNPバリアントによる治療から利益を得ると企図される。
【0128】
N540K及びK650Nを含むFGFR3の変異は、低身長及び軟骨低形成症を引き起こす。
【0129】
インスリン様成長因子1受容体(IGF1R)は、固有のキナーゼ活性を有するヘテロ四量体(α2β2)膜貫通型糖タンパク質である。IGF1Rは、出生前及び出生後の成長に役割を果たすことが示されている。IGF1Rのヘテロ接合変異は、在胎不当過小児(SGA)及び家族性低身長の個体で同定されている(Kawashima et al.,Endocrine J.59:179-185,2012)。低身長に関連するIGF1Rの変異には、R108Q/K115N、R59T、R709Q、G1050K、R481Q、V599E、及びG1125A(Kawashima、上記)が含まれる。
【0130】
身長は非常に遺伝性の高い形質であり、数百又は数千の遺伝子の複合効果によって影響を受ける可能性がある(Wood et al,2014, Nature Genetics,46:1173-1189)。個体の低身長は、単一の遺伝子が主要な原因ではなく、これらの遺伝子の複合効果の結果であり得る。-1.0、-1.5、-2.0、-2.5、又は-3.0未満の身長SDSによって定義される低身長のそのような個体は、正常動物の長さを増加させるCNPの能力を考えると、CNPバリアントで有益に治療できると企図され、例えば、骨の成長及び骨の長さを向上させる。
【0131】
様々な実施形態において、CNPバリアントは、-1.0、-1.5、-2.0、-2.5、又は-3.0未満の身長SDSを有し、SDS-1.0、-1.5、-2.0、又は-2.5未満の身長SDSを有する少なくとも一方の親を有する低身長の対象を治療するのに有用であり、任意選択で、もう一方の親の身長が通常の範囲内にある。様々な実施形態において、CNPバリアントは、-2.0~-3.0の身長SDSを有する低身長の対象を治療するのに有用である。様々な実施形態において、CNPバリアントは、-2.0~-2.5の身長SDSを有する低身長の対象を治療するのに有用である。様々な実施形態において、低身長は、コラーゲン(COL2A1、COL11A1、COL9A2、COL10)、アグリカン(ACAN)、インディアンヘッジホッグ(IHH)、PTPN11、NPR2、NPPC、FGFR3、又はインスリン増殖因子1受容体(IGF1R)、DTL、PAPPA2、又はそれらの組み合わせなどの低身長に関連する遺伝子の1つ以上の変異に関連する。
【0132】
様々な実施形態において、成長板障害又は低身長は、RAS病に関連する遺伝子の1つ以上の変異に関連している。
【0133】
様々な実施形態において、低身長は、多遺伝子リスクスコア(PRS)によって決定されるような複数の遺伝子の変異の結果である。多遺伝子リスクスコア(PRS)は、WO2021/055497に記載される英国バイオバンクプロジェクトからの試料を含まない身長に関する公開された最大のゲノムワイド関連研究(GWAS)メタ分析を使用して身長について計算される。コホートは、5つのPRS五分位数に分割され得る(PRS1が最低の身長、PRS5が最高の身長である)。様々な実施形態において、対象は、NPR2に変異を有し、PRSが低い。様々な実施形態において、対象は、FGFR3に変異を有し、PRSが低い。様々な実施形態において、対象は、NPR2に変異を有し、PRSが低い。様々な実施形態において、対象は、IGF1Rに変異を有し、PRSが低い。様々な実施形態において、対象は、NPPCに変異を有し、PRSが低い。様々な実施形態において、対象は、SHOXに変異を有し、PRSが低い。様々な実施形態において、対象は、FGFR3、IGF1R、NPPC、NPR2及びSHOXのうちの1つ以上に1つ以上の変異を有し、PRSが低い。様々な実施形態において、PRSは、1又は2である。様々な実施形態において、PRSは、1である。様々な実施形態において、PRSは、2である。
【0134】
加えて、CNPバリアントは、くる病、低リン血症性くる病(X連鎖低リン血症性くる病(ビタミンD耐性くる病とも呼ばれる)及び常染色体優性低リン血症性くる病を含む)、及び骨軟化症(腫瘍誘発性骨軟化症(発がん性骨軟化症又は発がん性低リン血症性骨軟化症とも呼ばれる)を含む)などの他の骨関連状態及び障害の治療に有用である。
【0135】
本明細書では、骨関連障害、骨格異形成症又は低身長を有する対象を治療する方法であって、
i)対象が、低身長に関連する遺伝子の機能喪失(LoF)又は機能獲得(GoF)バリアントを有するかどうかを特定することと、
ii)対象の多遺伝子リスクスコア(PRS)を計算することと、
iii)対象が、LoFバリアントを有し、PRSが下位20%にあるかどうかを決定することと、
iv)対象がLoFバリアントを有し、PRSが下位20%にある場合、CNPバリアントで対象を治療することと、を含む方法が開示される。
【0136】
様々な実施形態において、対象は、PRSが下位20%、19%、18%、17.5%、17%、16.5%、16%、15.5%、15%、14.5%、14%、13.5%、13%、12.5%、12%、11%、10%、9%、8%、7.5%、7%、6%、5%、4%、3%、2.5%、2%、又は1%にある。様々な実施形態において、工程iii)及びiv)は、対象がLoFバリアントを有し、PRSが下位12.5%にある場合、CNPバリアントを有する対象である。
【0137】
骨格異形成症又は低身長に関連する例示的な遺伝子としては、NPR2、SHOX、PTPN11、COL2A1、COL11A1、COL9A2、COL10)、アグリカン(ACAN)、インディアンヘッジホッグ(IHH)、NPPC、FGFR3、IGF1R、DTL、及び妊娠関連血漿タンパク質A2(PAPPA2)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0138】
低身長に関連する遺伝子中のLoF又はGoFバリアントの存在は、生物学的活性アッセイによって決定される。様々な実施形態において、LoF又はGoFバリアントは、例えば、AlphaForm 3Dマッピング又は他のタンパク質マッピングツールを使用して、遺伝子によってコードされるタンパク質の予測される3D構造及び活性ドメインへのマッピングに基づいて予測されてもよい。
【0139】
例示的な方法において、PRSは、身長のゲノムワイド関連解析(GWAS)によって計算される。
【0140】
特定の実施形態において、本開示のCNPバリアント並びに組成物及びそれを含む製剤は、骨格異形成症の1つ以上の症状又は生理学的結果を改善するのに有用であり、改善は、絶対成長の増加、成長速度の増加、定性的コンピュータ断層撮影(QCT)骨塩密度の増加、成長板形態の改善、長骨成長の増加、脊椎形態の改善、肘関節可動域の改善、及び/又は睡眠時無呼吸の減少であり得る。これに関して、「改善された」、「改善」、「増加」、「減少」という用語、及びそれらの文法上の同等物は全て、病状の症状又は生理学的結果に関連して使用される場合に、本発明のCNPバリアント(又はそれを含む組成物又は製剤)での治療前の疾患の同じ症状又は生理学的結果と比較した(すなわち、「ベースライン」と比較した)、本発明のCNPバリアント(又はそれを含む組成物又は製剤)での治療後の疾患の症状又は生理学的結果の状態を指す相対的な用語であることに留意されたい。上記のように、「ベースライン」状態は、治療前の対象の状態の測定(その後、治療後の同じ対象の状態と比較することができる)、又は同じ若しくは類似の特徴(例えば、年齢、性別及び/又は病状若しくは進行)を共有する同じ苦痛に苦しんでいる対象の集団におけるその状態の測定のいずれかによって決定することができる。
【0141】
構成的に活性な線維芽細胞成長因子受容体3(FGFR-3)を発現する細胞を、本明細書に記載のCNPバリアント又は組成物と接触させることを含む、構成的に活性な変異体FGFR-3によって誘導される細胞増殖停止を克服する方法も提供される。
【0142】
更に別の実施形態において、本開示は、インビトロ又はインビボで、同じ濃度のwtCNP22(例えば、1uM)で産生されたcGMPレベルの少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、100%、110%、120%、130%、140%、又は150%の産生を刺激するCNPバリアントを提供する。なお更なる実施形態において、本開示のCNPバリアントは、インビトロ又はインビボで、同じ濃度のwtCNP22(例えば、1uM)で産生されたcGMPレベルの少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、100%、110%、120%、130%、140%、又は150%の産生を刺激する。
【0143】
本開示はまた、本明細書に記載されるようなCNPによる治療の調節が、対象のベースラインからの25%~50%の変化の範囲内で成長を増強又は増加させることを企図する。一実施形態において、成長速度の増強又は増加は、対象におけるベースラインからの少なくとも約25%、より好ましくは少なくとも約40%の変化の年間成長速度の増加である。
【0144】
本明細書に記載のそのコンジュゲート、塩又はプロドラッグを含むCNPバリアントのいずれかがこの方法において有用であると企図される。
【0145】
様々な実施形態において、CNPバリアントは、PGQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(Pro-Gly-CNP-37)(配列番号1)である。様々な実施形態において、ペプチドは、アセチル基を更に含む。様々な実施形態において、アセチル基は、ペプチドのN末端上にある。様々な実施形態において、ペプチドは、C末端にOH又はNH2基を更に含む。様々な実施形態において、バリアントは、本明細書に記載される1つ以上のリンカー基を含む。様々な実施形態において、リンカーは、例えば、本明細書に記載されるような加水分解性リンカーである。
【0146】
様々な実施形態において、CNPバリアントは、PGQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(配列番号47)、PGQEHPQARRYRGAQRRGLSRGCFGLKLDRIGSMSGLGC(配列番号46)、
PGQEHPNARRYRGANRRGLSRGCFGLKLDRIGSMSGLGC(配列番号48)、
PGQEHPQARKYKGAQKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(配列番号49)、
QEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSNSGLGC[CNP-37(M32N);配列番号41]、
MQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(Met-CNP-37;配列番号43)、
PQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(Pro-CNP-37;配列番号42)、
GQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSNSGLGC[Gly-CNP-37(M32N);配列番号44]、
MGQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(Met-Gly-CNP-37;配列番号45)、
GQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(Gly-CNP-37:配列番号2)
GQEHPNARKYKGANPKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(配列番号50)、
GQEHPNARKYKGANQKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(配列番号51)、
GQEHPNARKYKGANQQGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(配列番号52)、
GQEHPNARKYKGANKPGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(配列番号53)、及び
LQEHPNARKYKGANKKGLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(CNP-38)(配列番号21)からなる群から選択され、CNPバリアントは、コンジュゲート部分を含む。様々な実施形態において、コンジュゲート部分は、合成ポリマー基を含む。
【0147】
様々な実施形態において、バリアントは、加水分解可能なリンカーを介してバリアントに結合された合成ポリマー基を含む。様々な実施形態において、合成ポリマー基は、親水性ポリマー部分を含む。様々な実施形態において、親水性ポリマー部分は、ポリエチレングリコール(PEG)を含む。様々な実施形態において、親水性ポリマー部分は、6~20原子鎖長を有するポリエチレングリコール(PEG)を含む。様々な実施形態において、コンジュゲート部分は、本明細書に記載される親水性スペーサーに連結された1つ以上の酸部分を含む。
【0148】
様々な実施形態において、コンジュゲート部分は、親水性スペーサーに連結された1つ以上の酸部分を含む。様々な実施形態において、親水性スペーサーは、任意のアミノ酸である。様々な実施形態において、親水性スペーサーは、ガンマグルタミン酸(γGlu)である。様々な実施形態において、親水性スペーサーは、OEG(8-アミノ-3,6-ジオキサオクタン酸)である。様々な実施形態において、親水性スペーサーは、ガンマグルタミン酸(γGlu)又はOEG(8-アミノ-3,6-ジオキサオクタン酸)である。様々な実施形態において、親水性スペーサーは、1つ又は2つ以上のOEG(8-アミノ-3,6-ジオキサオクタン酸)に連結されたガンマグルタミン酸(γGlu)である。様々な実施形態において、酸部分は、脂肪酸である。例示的な脂肪酸には、短鎖、中鎖、若しくは長鎖脂肪酸、又はジカルボン酸脂肪酸が含まれる。様々な実施形態において、脂肪酸は飽和又は不飽和である。C-6、C-8、C-10、C-12、C-14、C-16、C-18、又はC-20脂肪酸を含むがこれらに限定されない、C-6~C-20脂肪酸、飽和又は不飽和が企図される。様々な実施形態において、脂肪酸は、デカン酸、ドデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、又はそれらの二酸である。
【0149】
様々な実施形態において、バリアントは、1つ以上のリンカー基を含む。様々な実施形態において、リンカーは、CNP環状ドメインの残基上、又はCNP環状ドメイン以外の部位にある。様々な実施形態において、リンカーは、リジン残基上にある。
【0150】
治療の有効性は、様々なパラメータによって測定される。様々な実施形態において、有効性は、ベースライン期間から介入期間への年間成長速度の変化として評価される。有効性はまた、CDC成長曲線を使用して測定される場合、ベースラインから治療終了までの身長SDSの変化として評価され、成長速度SDSは、小児期の骨密度研究に基づくであろう(Kelly et al.,J.Clin.Endocrinol.Metab.2014;99(6):2104-2112)。
【0151】
有効性は、頭蓋骨及び脳の形態の分析を使用して、例えば、磁気共鳴イメージング(MRI)を使用して測定することもできる。出生時に、軟骨無形成症の小児は、欠陥のある軟骨内骨化のために、頭蓋底及び大後頭孔の境界の異常を有し、その結果、大後頭孔の狭窄及びそれを通過する重要な神経及び血管構造の圧縮をもたらす。大後頭孔狭窄は、軟骨無形成症を伴う5歳未満の小児で観察される突然死のリスク増加の主な根本原因として関与している(Pauli et al.,J Pediatr 1984;104:342-8、Hashmi et al.,Am J Med Genet A 2018;176:2359-64)。頭蓋骨及び脳形態分析には、CNPバリアントで治療された患者、例えば、生後6ヶ月未満の若年患者における顔面容積、洞容積、及び大後頭孔面積の改善の測定が含まれる。
【0152】
少なくとも30μg/kgの用量でCNPバリアント、そのコンジュゲート、塩又はプロドラッグを投与することを含む、骨関連障害、骨格異形成症又は低身長を有する生後6ヶ月以下の対象における顔面容積、顔面洞容積、及び大後頭孔面積を増加させる方法が本明細書に提供される。また、少なくとも30μg/kgの用量でCNPバリアント、そのコンジュゲート、塩又はプロドラッグを投与することを含む、骨関連障害、骨格異形成症又は低身長を有する生後6ヶ月以下の対象における乳児突然死、睡眠呼吸障害、及び大後頭孔の神経外科的減圧の必要性の発生率を低下させる方法も提供される。様々な実施形態において、CNPバリアントは、30μg/kgの用量で3ヶ月、6ヶ月、1年以上にわたって投与される。様々な実施形態において、CNPバリアントの用量は、対象が約2歳であるとき、15μg/kgに減少される。
【0153】
顔面容積、顔面洞容積、及び大後頭孔面積の変化は、磁気共鳴イメージング(MRI)によって測定され、ベースラインレベル、健康な対照対象、又は未処置の対照対象と比較することができる。
【0154】
QoLISSY、青少年の低身長調査(Quality of Life in Short Stature Youth)は、指示どおりに評価される(Quality of Life in Short Stature Youth-The QoLISSY Questionnaire User’s Manual.Lengerich:Pabst Science Publishers;2013)。
【0155】
バイオマーカー
バイオマーカーは、特定の疾患状態又は治療レジメンに関連してレベルが増加又は減少する検出可能な生物学的物質又は部分を指す。本開示では、バイオマーカーは、本明細書に記載されるCNPバリアントの投与前、投与中、及び/又は投与後に測定され得る。例示的な骨又は軟骨関連バイオマーカーには、NTproCNP、コラーゲンXのN末端断片(CXM)、CNP、cGMP、II型コラーゲンのプロペプチド及びその断片、II型コラーゲン及びその断片、I型コラーゲンのプロペプチド及びその断片、I型コラーゲン及びその断片、オステオカルシン、増殖細胞核抗原(PCNA)、アグリカンコンドロイチンサルフェート、コラーゲンX、並びにアルカリホスファターゼが挙げられるが、これらに限定されない。軟骨及び骨関連バイオマーカーは、組織、血液、血清、血漿、脳脊髄液、滑液、及び尿を含むがこれらに限定されない、任意の適切な生物学的試料において測定することができる。いくつかの実施形態において、バイオマーカーは、有効性/薬力学的インビボ試験を受けている動物からの、及び/又はエクスビボ試験の馴化培地からの血液、血漿、又は血清において測定される。
【0156】
NTproCNPは、CNPと等モル比で細胞から放出されるCNPのアミノ末端プロペプチド(NTproCNP)である。CNPの生物学的に活性な形態は、このペプチドの迅速なクリアランス速度のために、低濃度の血漿中に見出される。NTproCNPは同じメカニズムを介して除去されておらず、20~50倍高い濃度で循環中に見られる(Olney et al.,Clin Endocrinol (Oxf).2012,77:416-422)。
【0157】
骨成長に対する本明細書に記載のCNP療法の効果の評価は、NTproCNPレベルと関連して測定されると企図される。例えば、NTproCNPレベルは、試料中で測定され、CNPの用量は、NTproCNPレベルを集団の平均NTproCNPの±2SDS以内にするように変更又は変化させる。異なる集団のNTproCNP平均レベルは、参照により本明細書に組み込まれる以下の出版物で研究されている:Olneyet al.(2015).C-type natriuretic peptide plasma levels are elevated in subjects with achondroplasia,hypochondroplasia,and thanatophoric dysplasia.J Clin Endocrinol Metab,100(2),E355-359、Prickett et al.,(2013).Impact of age, phenotype and cardio-renal function on plasma C-type and B-type natriuretic peptide forms in an adult population.Clin Endocrinol(Oxf),78(5),783-789、Espiner et al.(2018).Plasma C-Type Natriuretic Peptide:Emerging Applications in Disorders of Skeletal Growth.Horm Res Paediatr,90(6),345-357、Olney et al.(2012).Amino-terminal propeptide of C-type natriuretic peptide(NTproCNP) predicts height velocity in healthy children.Clin Endocrinol(Oxf),77(3),416-422、Olney et al.,(2007).Amino-terminal propeptide of C-type natriuretic peptide and linear growth in children:effects of puberty,testosterone,and growth hormone.J Clin Endocrinol Metab,92(11),4294-4298、並びに Olney et al.(2016).Dynamic response of C-type natriuretic peptide and its aminoterminal propeptide (NTproCNP) to growth hormone treatment in children with short stature.Clin Endocrinol (Oxf),85(4),561-568。
【0158】
例えば、Olney 2016は、特発性低身長を有する6~10歳の小児が、-1.0~0.7の範囲で-0.6の平均ベースラインNTproSDSを有することができることを示している。Olney 2012は、成長段階における健康な小児/青年におけるNTproCNPレベルを報告した。NTproCNP SDSは、異なる年齢集団の平均NTproCNPレベルに基づいて計算することができ、したがって、この平均から+/-2SDSを計算することもできる。軟骨無形成症又は軟骨低形成症を有する対象のNTproCNPレベルは、Olney 2015に記載されており、約3~8歳の小児は、0.4~1.8の範囲の、1.4のNTproSDS平均を有する一方で、軟骨低形成症を有する対象(6.6~11歳)は、1.8~2.3の範囲の、1.9の平均NTproCNP SDSを有することを示している。NTproSDSレベルを決定するための方法は、本明細書及び上記の出版物に記載されている。
【0159】
X型コラーゲンバイオマーカー(CXM)は、X型コラーゲンのインタクトな三量体非コラーゲン1(NC1)ドメインを含む、X型コラーゲンの分解断片である。CXMは、活動的な成長板によって放出され、対象の年齢とともに試料中で減少する。CXMレベルは、小児の成長速度と相関している(Coghlan et al.,Sci Transl Med 2017,9(419):eaan4669)。
【0160】
骨特異的アルカリホスファターゼ(BSAP又はBAP)は、成長板及び石灰化した骨中の骨芽細胞及び破骨細胞によって生成される骨成長バイオマーカーである。BSAPの変化は、成長板の活動、骨成長、及び/又は骨リモデリング活動を反映し得る。
【0161】
I型プロコラーゲンのN末端プロペプチド(PINP)は、I型コラーゲンの産生中に放出される潜在的な薬力学的骨成長バイオマーカーである。PINPの変化は、成長板活動、骨成長、及び/又は骨リモデリングの変化を反映し得る。
【0162】
II型コラーゲンの架橋C-テロペプチド(CTXII)は、II型コラーゲンの分解中に放出される潜在的な薬力学的骨成長バイオマーカーである。CTXIIの変化は、成長板活動、骨成長、骨リモデリング、及び/又は関節軟骨リモデリングの変化を反映し得る。
【0163】
製剤
本開示は、本明細書に記載のCNPバリアント、並びに1つ以上の薬学的に許容される賦形剤、担体、及び/又は希釈剤を含む、放出調節組成物を含む薬学的組成物を提供する。特定の実施形態において、組成物は、1つ以上の他の生物学的に活性な薬剤(例えば、プロテアーゼの阻害剤、受容体チロシンキナーゼ、及び/又はクリアランス受容体NPR-C)を更に含む。
【0164】
本開示は、本明細書に記載されるようなコンジュゲート部分を含む放出調節組成物を提供する。放出調節組成物には、投与後の遅延(遅延放出投薬量)又は長期間(延長放出投薬量)で薬物を送達するものが含まれる。本明細書で提供されるCNPペプチドコンジュゲートの様々な実施形態には、持続放出性、徐放性又は制御放出性、及び遅延放出性などの放出調節組成物が含まれる。「持続放出性組成物」という用語は、投与後長期間にわたって有効成分/薬物を利用可能にする様式で配合された組成物を指す(米国薬局方)。持続放出投薬量には、徐放性(SR)又は制御放出性(CR)の形態が含まれる。徐放性は持続的期間にわたって薬物放出を維持するが、必ずしも一定の速度である必要はなく、一方CRはほぼ一定の速度で持続的期間にわたって薬物放出を維持する(Pharmaceutics:Drug Delivery and Targeting,Yvonne Perrie,Thomas Rades,Pharmaceutical Press,2009)。遅延放出性組成物又は製品は、最初の投与後の一定期間、原薬の放出を遅らせるように改変される。
【0165】
様々な実施形態において、放出調節組成物は、持続放出性組成物である。様々な実施形態において、放出調節組成物は、徐放性組成物である。様々な実施形態において、徐放性又は持続放出性組成物は、CNPプロドラッグを含む。
【0166】
様々な実施形態において、組成物は、賦形剤、希釈剤、又は担体を含む。様々な実施形態において、持続放出性組成物は、賦形剤、希釈剤又は担体を含む。様々な実施形態において、賦形剤、希釈剤又は担体は、薬学的に許容される賦形剤、希釈剤又は担体である。
【0167】
賦形剤、担体、及び希釈剤の非限定的な例には、ビヒクル、液体、緩衝液、等張剤、添加剤、安定剤、防腐剤、可溶化剤、界面活性剤、乳化剤、湿潤剤、補助剤などが含まれる。組成物は、液体(例えば、水、エタノール)を含むことができる。様々な緩衝液内容物の希釈剤(例えば、トリス-HCl、リン酸塩、酢酸塩緩衝液、クエン酸塩緩衝液)、pH及びイオン強度、洗剤及び可溶化剤(例えば、ポリソルベート20、ポリソルベート80)、抗酸化剤(例えば、メチオニン、アスコルビン酸、メタ重亜硫酸ナトリウム)、防腐剤(例えば、チメロサール、ベンジルアルコール、m-クレゾール)、及び増量物質(例えば、乳糖、マンニトール、ショ糖)を含むことができる。薬学的組成物の製剤における賦形剤、希釈剤、及び担体の使用は、当該技術分野で知られており、例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th Edition,pages 1435-1712,Mack Publishing Co.(Easton,Pennsylvania(1990))を参照されたい。
【0168】
例えば、担体には、希釈剤、ビヒクル及びアジュバント、並びにインプラント担体、並びに活性成分と反応しない不活性で非毒性の固体又は液体充填剤及びカプセル化材料が含まれるが、これらに限定されない。担体の非限定的な例には、リン酸緩衝生理食塩水、生理食塩水、水、及びエマルジョン(例えば、油/水エマルジョン)が含まれる。担体は、例えば、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコールなど)、植物油、及びそれらの混合物を含む溶媒又は分散媒体であり得る。
【0169】
いくつかの実施形態において、組成物は液体製剤である。特定の実施形態において、製剤は、約0.1mg/ml~約20mg/ml、又は約0.5mg/ml~約20mg/ml、又は約1mg/ml~約20mg/ml、又は約0.1mg/ml~約10mg/ml、又は約0.5mg/ml~約10mg/ml、又は約0.5~5mg/ml、又は約0.5~約3mg/ml、又は約1mg/ml~約10mg/mlの濃度範囲のCNPバリアントを含む。様々な実施形態において、CNPバリアントは、0.8mg/ml~2mg/mlの濃度である。様々な実施形態において、CNPバリアントは、0.8mg/mlの濃度である。様々な実施形態において、CNPバリアントは、2.0mg/mlの濃度である。様々な実施形態において、CNPバリアントは、凍結乾燥粉末から再構成される。
【0170】
更なる実施形態において、組成物は、CNP含有溶液又は懸濁液のpHを所望の範囲内に維持するための緩衝液又は緩衝剤を含む。緩衝液の非限定的な例には、リン酸緩衝生理食塩水、トリス緩衝生理食塩水、及びハンクス緩衝生理食塩水が含まれる。緩衝剤には、限定なしに、酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、及びクエン酸ナトリウムが含まれる。緩衝剤の混合物も使用することができる。特定の実施形態において、緩衝剤は、酢酸/酢酸塩又はクエン酸/クエン酸塩である。組成物に好適な緩衝剤の量は、使用される特定の緩衝液及び溶液又は懸濁液の所望のpHに部分的に依存する。いくつかの実施形態において、緩衝剤は、約10mM±5mMの濃度を有する。特定の実施形態において、組成物のpHは、約pH3~約pH9、若しくは約pH3~約pH7.5、若しくは約pH3.5~約pH7、若しくは約pH3.5~約pH6.5、若しくは約pH4~約pH6、若しくは約pH4~約pH5であるか、又は約pH5.0±1.0である。様々な実施形態において、pHは、約5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9又は6.0である。様々な実施形態において、pHは5.5である。
【0171】
他の実施形態において、組成物は、溶液又は懸濁液を等張性にし、投与により適合性にする等張性調節剤を含有する。等張剤の非限定的な例には、NaCl、デキストロース、グルコース、グリセリン、ソルビトール、キシリトール、及びエタノールが含まれる。特定の実施形態において、等張剤はNaClである。特定の実施形態において、NaClは、約160±20mM、又は約140mM±20mM、又は約120±20mM、又は約100mM±20mM、又は約80mM±20mM、又は約60mM±20mMの濃度である。
【0172】
更に他の実施形態において、組成物は、防腐剤を含む。防腐剤には、m-クレゾール及びベンジルアルコールが含まれるが、これらに限定されない。特定の実施形態において、防腐剤は、約0.4%±0.2%、又は約1%±0.5%、又は約1.5%±0.5%、又は約2.0%±0.5%の濃度である。
【0173】
更に他の実施形態において、組成物は、(例えば、ガラス又はプラスチックへのCNPバリアントの吸着を軽減するために)吸着防止剤を含有する。吸着防止剤には、ベンジルアルコール、ポリソルベート20、及びポリソルベート80が挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態において、吸着防止剤は、約0.001%~約0.5%、又は約0.01%~約0.5%、又は約0.1%~約1%、又は約0.5%~約1%、又は約0.5%~約1.5%、又は約0.5%~約2%、又は約1%~約2%の濃度である。
【0174】
追加の実施形態において、組成物は、安定剤を含む。安定剤の非限定的な例には、グリセリン、グリセロール、チオグリセロール、メチオニン、及びアスコルビン酸並びにそれらの塩が含まれる。いくつかの実施形態において、安定剤がチオグリセロール又はアスコルビン酸又はそれらの塩である場合、安定剤は、約0.1%~約1%の濃度である。他の実施形態において、安定剤がメチオニンである場合、安定剤は、約0.01%~約0.5%、又は約0.01%~約0.2%の濃度である。更に他の実施形態において、安定剤がグリセリンである場合、安定剤は、約5%~約100%(ニート)の濃度である。
【0175】
更なる実施形態において、組成物は、抗酸化剤を含有する。例示的な抗酸化剤には、メチオニン及びアスコルビン酸が含まれるが、これらに限定されない。特定の実施形態において、抗酸化剤対CNPのモル比は、約0.1:1~約15:1、又は約1:1~約15:1、又は約0.5:1~約10:1、又は約1:1~約10:1又は約3:1~約10:1である。
【0176】
無機酸塩(例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、硫酸塩)、有機酸の塩(例えば、酢酸塩、プロピオン酸塩、マロン酸塩、安息香酸塩、メシル酸塩、トシル酸塩)、及びアミンの塩(例えば、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジエタノールアミン)を含むがこれらに限定されない、薬学的に許容される塩を組成物に使用することができる。薬学的に許容される塩の完全な考察は、Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th Edition,Mack Publishing Company,(Easton,Pennsylvania(1990))にある。
【0177】
薬学的組成物は、錠剤、カプセル、顆粒、粉末、溶液、懸濁液、乳濁液、軟膏、及び経皮パッチなどの様々な形態で投与することができる。組成物の剤形は、組成物の所望の投与様式に合わせて調整することができる。経口投与の場合、組成物は、例えば、錠剤又はカプセル(ソフトゲルカプセルを含む)の形態をとることができ、又は、例えば、水溶液又は非水溶液、懸濁液又はシロップであり得る。経口投与用の錠剤及びカプセルは、マンニトール、ラクトース、グルコース、スクロース、デンプン、コーンスターチ、サッカリンナトリウム、タルク、セルロース、炭酸マグネシウム、及び潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、フマル酸ステアリルナトリウム)などの1つ以上の通常使用される賦形剤、希釈剤、及び担体を使用することができる。必要に応じて、香味料、着色料、及び/又は甘味料を固体及び液体製剤に加えることができる。経口製剤の他の任意の成分には、防腐剤、懸濁剤、及び増粘剤が含まれるが、これらに限定されない。経口製剤は、胃の酸性環境からCNPバリアントを保護するために腸溶コーティングを施すこともできる。固体及び液体剤形を調製する方法は、この分野の当業者に知られているか、又は明らかであろう(例えば、上記で参照されたRemington’s Pharmaceutical Sciencesを参照されたい)。
【0178】
非経口投与用の製剤は、例えば、液体溶液又は懸濁液として、注射前の液体媒体への可溶化又は懸濁液に好適な固体形態として、又はエマルジョンとして調製することができる。例えば、無菌の注射可能な溶液及び懸濁液は、好適な希釈剤、担体、溶媒(例えば、緩衝水溶液、リンゲル液、等張塩化ナトリウム溶液)、分散剤、湿潤剤、乳化剤、懸濁剤などを使用して当技術分野で知られる技術に従って製剤できる。更に、無菌不揮発油、脂肪酸エステル、ポリオール、及び/又は他の不活性成分を使用することができる。更なる例として、非経口投与用の製剤には、抗酸化剤、緩衝液、静菌薬、及び製剤を意図されたレシピエントの血液と等張にする溶質を含むことができる水性無菌注射可能溶液、及び水性及び非水性の無菌懸濁液が含まれこれには、懸濁剤及び増粘剤を含めることができる。
【0179】
例示的なCNP製剤は、米国特許第9,907,834号及び同第10,646,550号に記載されている。約4~約6の範囲のpHを有するCNP製剤の使用が企図される。
【0180】
CNPバリアントを含む組成物はまた、凍結乾燥製剤であり得る。特定の実施形態において、凍結乾燥製剤は、緩衝剤及び増量剤、並びに任意選択で抗酸化剤を含む。例示的な緩衝液には、酢酸塩緩衝液及びクエン酸塩緩衝液が含まれるが、これらに限定されない。例示的な充填剤としては、マンニトール、スクロース、デキストラン、ラクトース、トレハロース、及びポビドン(PVP K24)が挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態において、マンニトールは、約3%~約10%、又は約4%~約8%、又は約4%~約6%の量である。特定の実施形態において、スクロースは、約6%~約20%、又は約6%~約15%、又は約8%~約12%の量である。例示的な抗酸化剤には、メチオニン及びアスコルビン酸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0181】
様々な実施形態において、製剤は、クエン酸、クエン酸ナトリウム、トレハロース、マンニトール、メチオニン、ポリソルベート80、及び任意選択で注射用無菌水(WFI)を含む。
【0182】
本開示はまた、例えば、ボトル、バイアル、アンプル、チューブ、カートリッジ、及び/又は液体(例えば、無菌注射可能)製剤又は固体(例えば、凍結乾燥)製剤を含むシリンジを含むキットを提供する。キットはまた、注射用に又は濃縮物をより低い濃度に希釈するためのシリンジ内に凍結乾燥製剤を再構築することを含むが、これに限定されない、固形(例えば、凍結乾燥)製剤を投与用の溶液又は懸濁液(例えば、注射による)に再構成するための薬学的に許容されるビヒクル又は担体(例えば、溶媒、溶液及び/又は緩衝液)を含むことができる。更に、即時注射溶液及び懸濁液は、例えば、CNP含有組成物を含む無菌粉末、顆粒、又は錠剤から調製することができる。キットには、エアロゾル又は注射ディスペンシングデバイス、ペンインジェクター、自動インジェクター、無針インジェクター、シリンジ、及び/又は針などのディスペンシングデバイスも含まれる。
【0183】
非限定的な例として、キットは、シングルチャンバー又はデュアルチャンバーを有するシリンジを含むことができる。シングルチャンバーシリンジの場合、シングルチャンバーは、注射の準備ができている液体CNP製剤、又は注射のための溶液若しくは懸濁液へと再構築することができる比較的少量の好適な溶媒系(例えば、グリセリン)中の固体(例えば、凍結乾燥)CNP製剤若しくはCNPバリアントの液体製剤を含有することができる。デュアルチャンバーシリンジの場合、注射のために、一方のチャンバーは薬学的に許容されるビヒクル又は担体(例えば、溶媒系、溶液、又は緩衝液)を含有することができ、他方のチャンバーは、第1のチャンバーからのビヒクル又は担体を使用して、溶液又は懸濁液に再構成することができる比較的少量の好適な溶媒系(例えば、グリセリン)中の固体(例えば、凍結乾燥)CNP製剤又はCNPバリアントの液体製剤を含有することができる。
【0184】
更なる例として、キットは、1つ以上のペンインジェクター又は自動インジェクターデバイス、及びデュアルチャンバーカートリッジを含むことができる。カートリッジの一方のチャンバーは、注射のために、一方のチャンバーは薬学的に許容されるビヒクル又は担体(例えば、溶媒系、溶液、又は緩衝液)を含有することができ、他方のチャンバーは、第1のチャンバーからのビヒクル又は担体を使用して、溶液又は懸濁液に再構成することができる比較的少量の好適な溶媒系(例えば、グリセリン)中の固体(例えば、凍結乾燥)CNP製剤又はCNPバリアントの液体製剤を含有することができる。カートリッジは、所望の期間(例えば、1日、2日、3日、1週間、2週間、3週間、4週間など)にわたって投薬するのに十分な量のCNPバリアントを含むことができる。ペンインジェクター又は自動インジェクターは、カートリッジから所望の量のCNP製剤を投与するように調整できる。
【0185】
加えて、CNPバリアントを含む医薬組成物は、1週間、2週間、3週間、1ヶ月、2ヶ月、又は3ヶ月などの所望の期間にわたって比較的一定のレベルの投薬量を維持するための持続放出性、制御放出、又は徐放性の系として製剤化することができる。持続放出性、制御放出、及び徐放性製剤は、例えば、生分解性高分子系{これは、例えば、親水性ポリマー[例えば、ポリラクチド、ポリグリコリド、ポリ(ラクチド-グリコリド)]を含むことができる}を使用して調製することができ、当技術分野で知られているように、例えば、マイクロ粒子、マイクロスフェア又はリポソームの形態をとることができる。
【0186】
投与及び投薬
本明細書で使用される場合、活性薬剤(例えば、CNPバリアント)の「治療有効量」という用語は、患者に治療上の利益を提供する量を指す。量は、個体ごとに変動し得、患者の全体的な身体状態を含む、多くの因子に依存し得る。CNPバリアントの治療有効量は、公的に入手可能な材料及び手順を使用して、当業者によって容易に確認することができる。例えば、治療に使用されるCNPバリアントの量は、軟骨変性の逆転又は軟骨成長の増加の許容される速度を与えるべきである。
【0187】
特定の個体についての投薬頻度は、治療されている障害並びに療法に対する個体の状態及び応答を含む、様々な因子に応じて変動し得る。特定の実施形態において、CNPバリアントを含有する薬学的組成物は、対象に、1日当たり約1回、2日当たり1回、3日当たり1回、又は1週間当たり1回、1週間当たり2回、1週間当たり3回、2週間ごとに1回、又は1ヶ月に1回投与される。
【0188】
本明細書に記載のCNPバリアント組成物は、骨関連障害及び低身長障害(例えば、軟骨無形成症、軟骨低形成症などを含む骨格異形成症)を治療、改善、又は予防するために、治療有効用量でそれを必要とする患者に投与することができる。本明細書で使用することが企図されるCNPバリアントは、変形性関節症及び変形性関節症関連症状を有する他の状態を治療、改善又は予防するために、治療有効用量で患者に投与することができる。CNPバリアントの安全性及び治療効力は、細胞培養物又は実験動物における標準的な薬理学的手順によって、例えば、LD50(集団の50%に対して致死的な用量)及びED50(集団の50%における治療有効用量)を決定することによって決定することができる。毒性効果と治療効果との用量比は、治療指数であり、それは、比LD50/ED50として表すことができる。通常、大きな治療指数を示す活性薬剤が好ましい。
【0189】
特定の実施形態において、本明細書に記載のCNPバリアント組成物は、約3、4、5、6、7、8、9、若しくは10nmol/kg~約300nmol/kg、又は約20nmol/kg~約200nmol/kgの範囲の用量で投与される。いくつかの実施形態において、CNP組成物は、約3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、125、130、140、150、160、170、175、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、350、400、450、500、750、1000、1250、1500、1750、若しくは2000nmol/kgの用量、又は治療医師によって適切とみなされる他の用量で投与される。他の実施形態において、CNPバリアント組成物は、約3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、若しくは1000μg/kg、又は約0.5、0.8、1.0、1.25、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、若しくは10mg/kgの用量、又は治療医師によって適切とみなされる他の用量で投与される。本明細書に記載されるCNP又はCNPバリアントの用量は、限定なしに、毎日、1週間当たり2回又は3回、毎週、2週間ごと、3週間ごと、毎月などを含む、本明細書に記載される投薬頻度/投与の頻度に従って投与することができる。様々な実施形態において、CNP又はCNPバリアントは、毎日皮下投与される。様々な実施形態において、CNP又はCNPバリアントは、毎週皮下投与される。様々な実施形態において、CNPバリアントは、2.5μg/kg/日~60μg/kg/日、10μg/kg/日~45μg/kg/日、又は15μg/kg/日~30μg/kg/日の用量で投与される。様々な実施形態において、CNPバリアントは、15μg/kg/日の用量で投与される。様々な実施形態において、CNPバリアントは、30μg/kg/日の用量で投与される。
【0190】
特定の対象についてのCNPバリアントの投薬/投与の頻度は、治療されている障害並びに療法に対する対象の状態及び応答を含む、様々な因子に応じて変動し得る。CNPバリアントは、投薬当たり単一用量で又は複数用量で投与することができる。特定の実施形態において、CNPバリアント組成物は、単回用量で又は複数回用量で、1日1回、1週間に1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、6週間に1回、2ヶ月に1回、3ヶ月に1回、若しくは6ヶ月に1回、又は治療医師によって適切とみなされるように投与される。様々な実施形態において、CNPバリアントは、3ヶ月、6ヶ月、12ヶ月以上にわたって投与される。
【0191】
いくつかの実施形態において、CNPバリアント組成物は、成長の期間(例えば、軟骨形成)、続いて回復期間(例えば、骨形成)を可能にするように投与される。例えば、CNP組成物は、皮下、又は別の様式によって、毎日又は1週間当たり複数回、一定の期間にわたって投与され、治療なしの期間が続き、次いでサイクルが繰り返される。いくつかの実施形態において、治療の初期期間(例えば、毎日又は1週間当たり複数回のCNPバリアント組成物の投与)は、3日間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、又は12週間である。関連する実施形態において、無治療の期間は、3日、1週間、2週間、3週間又は4週間続く。特定の実施形態において、CNPバリアント組成物の投薬レジメンは、3日にわたって毎日、続いて3日休止、又は1週間にわたって毎日若しくは1週間当たり複数回、続いて3日若しくは1週間休止、又は2週間にわたって毎日若しくは1週間当たり複数回、続いて1週間若しくは2週間休止、又は3週間にわたって毎日若しくは1週当たり複数回、続いて1、2、若しくは3週間休止、又は4、5、6、7、8、9、10、11、若しくは12週間にわたって毎日若しくは1週間当たり複数回、続いて1、2、3、若しくは4週間休止である。
【0192】
CNPバリアント、又はそれらを含む薬学的組成物は、例えば、皮下、関節内、静脈内、動脈内、腹腔内、筋肉内、皮内、又は髄腔内注射などの、様々な方法で対象に投与することができる。一実施形態において、CNPバリアントは、単一の皮下注射、関節内注射、静脈内注射、動脈内注射、腹腔内注射、筋肉内注射、皮内注射、又はくも膜下腔内注射によって投与される。
【0193】
CNPバリアントは、作用の標的部位(例えば、異常又は変性関節又は軟骨領域)でのデポーの移植によって投与することができる。代替的に、CNPバリアントは、舌の下(例えば、舌下錠)で舌下、又は肺への吸入(例えば、吸入器若しくはエアロゾルスプレー)によって、鼻腔への送達(例えば、鼻腔内スプレー)によって、眼への送達(例えば、点眼剤)によって、又は経皮送達(例えば、皮膚上のパッチによる)によって投与することができる。CNPバリアントはまた、マイクロスフェア、マイクロカプセル、リポソーム(非帯電又は帯電(例えば、カチオン性))、ポリマー微粒子(例えば、ポリアミド、ポリラクチド、ポリグリコリド、ポリ(ラクチド-グリコリド))、マイクロエマルジョンなどの形態で経口投与され得る。
【0194】
更なる投与の方法は、浸透圧ポンプ(例えば、Alzetポンプ)又はミニポンプ(例えば、Alzetミニ浸透圧ポンプ)によるものであり、これは、所定の期間にかけてのCNPバリアント又は薬学的組成物の制御された、連続及び/又は徐放送達を可能にする。浸透圧ポンプ又はミニポンプは、皮下、又は標的部位付近(例えば、四肢の長骨、骨端など)に埋め込むことができる。
【0195】
CNPバリアント又はその組成物は、他の様式によって投与することもできることが、当業者には明らかであろう。CNPバリアント又はその組成物の最も効果的な投与様式の決定は、当業者の技術内である。
【0196】
CNPバリアントは、例えば、経口(頬及び舌下を含む)、直腸、鼻、局所、肺、膣又は非経口(筋肉内、動脈内、髄腔内、皮下、関節内及び静脈内を含む)投与に好適な医薬製剤として、又は吸入若しくは吸入による投与に好適な形態で投与することができる。意図された投与様式に応じて、薬学的製剤は、錠剤、坐剤、ピル、カプセル、粉末、液体、懸濁液、エマルジョン、クリーム、軟膏、ローションなどの固体、半固体又は液体剤形の形態であり得る。製剤は、正確な投薬量の単回投与に適した単位剤形で提供することができる。製剤は、有効量のCNPバリアント、並びに1つ以上の薬学的に許容される賦形剤、担体、及び/又は希釈剤、並びに任意選択で1つ以上の他の生物学的に活性な薬剤を含む。
【0197】
本開示の更なる態様及び詳細は、限定的ではなく例示的であることが意図される以下の実施例から明白であろう。
【実施例】
【0198】
実施例1-NTproCNPの測定
1)用量及び持続時間に応じたボソリチドの毎日の投与が、成長速度の増加の段階で内因性CNP分泌を阻害するかどうか(間接フィードバック)、及び2)内因性CNPが4時間前に投与されたボソリチドの影響を受けないかどうか(直接フィードバック)を研究した。
【0199】
簡単に言えば、35人の子供(5~14歳)が、この用量設定及び後続試験の9つの治験施設の4つの連続コホートに登録された。例えば、Savarirayan,et al.N Engl J Med 2019,381:25-35を参照されたい。血漿NTproCNPの測定は、これらの対象(5~11歳の範囲、12人の男子、16人の女子)のうちの28人でのみ利用可能であったため、ここに提示される全てのデータは、このサブグループにのみ適用される。ベースラインでのスクリーニング後、4つの別々のコホート(性別によってバランスがとれているが、用量及び用量漸増のタイミングによって区別される)が、最大5.5年間毎日ボソリチドの皮下注射を受けた。コホート1(6人の対象、スクリーニング時の年齢範囲6~10歳)は、最長10ヶ月にわたって2.5μg/kg/日、続いて約2ヶ月にわたって7.5μg/kg/日、その後、試験完了まで15μg/kg/日を受けた。コホート2(6人の対象、年齢範囲5~10歳)は、最初の6~8ヶ月間、7.5μg/kg/日を受け、その後、15μg/kg/日に漸増させた。コホート3(8人の対象、年齢範囲6~11歳)及びコホート4(8人の対象、年齢範囲5~8歳)は、試験全体を通してそれぞれ15μg/kg/日及び30μg/kg/日を受けた。NTproCNPサンプリングの完了時に、それぞれの年齢(平均)は、コホート1で13.2歳、コホート2で13.7歳、コホート3で13.6歳、コホート4で11.4歳であった。思春期発達の徴候は、コホート2の3人の対象、コホート3の1人の対象、及びコホート4の2人の対象を除く全ての処置の2年後に観察された。
【0200】
年間成長速度(AGV)及び/又は思春期の変化との相関の可能性を評価するために、試験全体を通して連続(注射前)サンプリングを行った。EDTA抗凝固血漿をスクリーニング(ベースライン)、次いで5年間の12の異なる時点で採取した。内因性CNPと成長加速の初期段階との間のリンクを予測し(Olney et al.,Clin Endocrinol(Oxf)2016,85:561-568)、サンプリングを、治療の最初の2ヶ月間、全てのコホートでより頻繁に行った。測定は、コホート1の85日目にも、コホート2の3人の対象でも行われたが、他のコホートでは行われなかったため、AGVの連続変化の分析には含まれない。サンプリングは、1年後にそれほど頻繁には行われなかった(1年目、2年目、及び5.5年目の最終サンプリングまで半年ごとに)。
【0201】
血漿NTproCNPに対するボソリチドの可能な急性効果を調べるために、試料を、研究の最初の2年間にわたって9回の別々の機会に、全ての対象において注射の4時間後に採取した。コホート1及び2の対象において、試料は、第1の注射後4時間及び8時間の両方で採取した。他の全ての試料は、毎朝の注射の4時間後に採取した。
【0202】
全ての血漿NTproCNP測定は、クライストチャーチ研究所アッセイによって、正常な小児について、それらの以前に決定された年齢及び性別調整された正常範囲(標準偏差スコア、SDS)を使用して二重に実施した(Olney et al.Clin Endocrinol(Oxf)2012、77:416-422)。NTproCNPアッセイにおいて、CNP(1-37pro gly)の検出可能な交差反応性はなかった。このアッセイは、1.5pmol/lの検出限界を有し、18pmol/lで、それぞれ、アッセイ変動係数内及び変動係数間で、6%及び7%の検出限界を有する。6人の健康な青少年の以前の研究(未公開)では、900時間及び1500時間の間の日中の変動又は食物摂取の影響の証拠はなく(平均変動係数6.4%)、連日に短い間隔で採取された試料の有意な変動はなかった。年齢及び性別の両方が正常な小児におけるNTproCNPの血漿中濃度に影響を与えるため(Prickett,et al.Pediatr Res 2005 58:334-340)、全ての測定されたNTproCNPの濃度は、以前に2ヶ月から20歳までの正常な健康な小児258人から決定された参照範囲からのデータを使用してSDSに変換された(Olney et al.Clin Endocrinol(Oxf)2012;77:416-422)。血漿NTproCNPのSDSは、未処置のAchに対して利用可能ではないため、未処置のAchにおける高さ速度のテンポ及び思春期タイミングは、正常な非Ach小児のものとは異なるように思われるため、上記のアプローチは、異なる年齢及び性別の小児から抽出されたこれらの試料において使用するための最適な比較因子であるとみなされた(Merker et al.Am J Med Genet A 2018;176:1723-1734)。
【0203】
ベースラインNTproCNPは、軟骨無形成症の被験者の一般集団と比較して上昇している。スクリーニング時の血漿NTproCNPのベースライン値は、AGV SDSによって示されるように、この年齢層の一般集団小児と比較して、有意に低いAGV(平均3.9±0.3cm/y)にもかかわらず上昇した(平均SDS0.66±0.17、P<0.001)(Kelly et al.J Clin Endocrinol Metab 2014,99:2104-2112)。スクリーニング時の年齢、血漿NTproCNP、AGV及びAGV SDSに関連する4つのコホートの関連するベースラインデータを、6ヶ月の治療後のAGVの増加とともに表1に示す。NTproCNP SDSはコホート1で低く、年齢はコホート4で低かった。高用量のボソリチド(それぞれ15μg/kg/日及び30μg/kg/日)を受けたコホート3及び4は、6ヶ月時点で評価されたAGVにおいて有意かつ同様の増加を示した(両方についてP<0.05)。
【表1】
【0204】
成長速度の突然の変化は、NTproCNPの抑制に関連している。ボソリチドの成長促進作用に関連するNTproCNP及びSDSの動的変化を各コホートについて
図1に示す。コホート当たりの個体による変化を
図2に示す。最初の3ヶ月にわたるコホート3及び4におけるAGVの鋭い屈折は、1ヵ月時点でのNTproCNP SDSの有意な低下と関連していた(P=0.04及び0.004、それぞれコホート3及び4)。AGVが安定したこれらの2つの群の処置の最初の1年の後の時点で、平均NTproCNP SDSは、より変動が大きかったが、ベースラインよりも低い傾向であった(
図1)。コホート1及び2において、用量が1年後に15μg/kg/日に漸増した場合、AGVの増加はNTproCNPの低下と関連していた(
図1)が、用量漸増の過程の早期に頻繁なサンプリングの欠如は、時間変化のより詳細な分析を妨げる。
【0205】
NTproCNPの異常な増加。
図1の検査は、コホート4のものを除いて、変化しないNTproCNPに関連する2~4年目の比較的変化しないAGVを示している。コホート2及び3(両方とも15μg/kgの用量を受けている)において、NTproCNP SDSは、全ての時点でスクリーニング時よりも低かったことを意味した。コホート1及び4では、いくつかの異常及び原因不明の上昇が観察されたが、これらは全てAGVの変化と関連付けられなかった。30μg/kg/日(コホート4)で3~4年の処置後、8人の小児のうちの3人において、血漿レベルの顕著な増加が観察された(
図2)。これらの小児におけるSDSの増加(それぞれ、3.1、6.7;1.4、3.0;及び0.3、1.9-プレ及びピーク)は、少なくとも1年間持続し、BALP又はPINPのいずれかの変化と一貫して関連付けられなかった(
図3)。2人の対象において、Tannerステージ2の思春期発達が記録されたが、NTproCNP(138pmol/L、SDS6.7)が最も高い対象において、最後の測定から6か月後に乳房出芽が記録されるまで思春期が発達しなかった。他の対象では、血漿NTproCNPの時折のスパイクが観察され、そのうちのいくつかは思春期の病期分類と一致していた(
図2)。対照的に、6.5歳の1人の女児(コホート1)において、2.5μg/kgの用量を開始してから約6ヵ月後に血漿レベルが突然上昇した(
図2)。SDS(スクリーニング時0.16)は6ヵ月時点で2.6に上昇し、残りの4.5年間上昇したが、10.5歳時点で正常な思春期進行の影響を受けなかった。BALP、PINP、又はAGVとの一貫した関連は明らかではなかった。
【0206】
外因性CNP効果下での持続的な成長は、NTproCNPの持続的な抑制と関連付けられた。血漿NTproCNPに対する経時的な年齢又は治療期間の影響を評価するために、1年目のSDSと試験の完了時のSDSを比較した。コホート1~3は全て1年後に15μg/kg/日の用量を受けていたため、値を組み合わせた。表2に示されるように、比較的変化しないAGVの期間中、NTproCNP SDSの有意な低下が経時的に観察された(F=14、p=0.002、)(
図3)。
【表2】
【0207】
外因性CNPアナログへの急性曝露は、NTproCNPの産生を阻害する。ボソリチドの最初の注射の影響は、コホート1及び2においてのみ研究された。コホート1では、注射の4時間後のNTproCNPの変化は、2.5μg/kg/日の後に観察されなかったが、その後の10か月の治療で行われた6つの研究のいずれにおいても観察されなかった。コホート2では、最初の7.5μg/kの用量から有意な低下(注射前43.3±3.5、注射後35±2.7pmol/L、P=0.013、n=8)が生じ、注射後8時間で注射前のレベル(44.3±4.7pmol/L)に戻った。これらの同じ被験者では、AGVが変化していない時点で、治療開始1ヵ月後に有意な抑制が観察された(P=0.02)(表1)。全ての対象にわたって、ペアリングされた試料からの結果は、ボソリチド処置の最初の24ヶ月間に最大8つの異なる時点で利用可能であった。投与量に応じて反応に差はなかったため(F=0.8、P=0.5)、任意の所与の時点の結果を統計分析のために組み合わせた。
【表3】
【0208】
表3に示すように、グループ化されたデータを分析した場合、治療の最初の6ヶ月以内(すなわち29日目、43日目及び127日目)に4時間で有意な変化は見られなかった。しかしながら、その後の各時点で、183日目(P=0.003、n=30)、12ヶ月目(P=0.006、n=22)、及び24ヶ月目(P=0.015、n=17)に、血漿NTproCNPの有意な低下が観察された(表3を参照されたい)。注射時の同時NTproCNP SDSとの関連性を調べたところ、4時間時点での減少の有意性にかかわらず、スクリーニング時(r=-0.71、P<0.001)、29日目(r=-0.45、P=0.012)、127日目(r=-0.42、P=0.02)、183日目(r=-0.59、P<0.001、
図4を参照)、及び24ヶ月時(r=-0.36、P=0.10)に、血漿NTproCNP(デルタ)の下落と注射前の血漿NTproCNP SDSとの関連性が確認された。より高い試験前SDSは、4時間での血漿NTproCNPの低下と強く関連する。これらの結果を合わせると、骨格成長が加速する場合、最初の6ヶ月間に観察されないCNP産生に対する外因性CNPの直接的な阻害効果を支持する。
【0209】
更に、データは、ベースラインでNTproCNP SDSが有意に増加することを示唆している。第二に、ボソリチドの成長促進用量によるAGVの初期加速中の血漿NTproCNPの有意な低下は、間接的である可能性が高いフィードバック調節の証拠を提供する。第三に、注射の直前の血漿NTproCNP SDSに比例して、ボソリチド注射の4時間後の血漿NTproCNPの減少は、直接的なフィードバック効果と一致している。より高い用量を受けたいくつかの被験者における青年期初期におけるNTproCNPの顕著な増加のこれら及び他の所見は、より詳細な研究を必要とする重要な新しい観察である。
【0210】
げっ歯類の子犬、成長中の子羊、及び子供からの研究は、血漿中のCNP生成物(CNP及びNTproCNP)の循環レベルが主に成長板又は密接に関連する組織から供給されるという見解を支持する(Espiner 2018、上記)。したがって、投与されたCNP1-37Pro Gly(CNPと強く交差反応するが、NTproCNPアッセイとは交差反応しない)の内因性proCNP産生への可能性のある影響の測定は、年齢及び性別(SDS)のために調整されたNTproCNPの血漿濃度を使用してのみ実行可能である。以前に報告されたように(Olney et al.,J Clin Endocrinol Metab 100:E355-359,(2015)では、Achを有する健康な小児のレベルは、治療前に有意に増加し、研究の最終段階までそのままであることが確認された。特に、2~3ヶ月以内にAGVが急激に増加した用量(コホート3及び4において15及び30μg/kg/日)において、NTproCNP SDSは、X型コラーゲンの分解産物である血清コラーゲンXマーカーの増加の最初の徴候と一致して、有意に低下した。これらの変化は、この時点でAGVに影響を及ぼさなかった低用量(2.5μg/kg/日及び7.5μg/kg/日)を受けた対象において観察されなかった。CNPのこれらの動的変化を、ヒト成長ホルモン(HGH)の1日用量を開始する同様の年齢の短い非Ach小児に見られるものと比較することは有益である(Olney,et al.Clin Endocrinol(Oxf)85:561-568,2016)。その設定では、コホート3及び4における15~30μg/kg/日のボソリチド処置中の29日目のNTproCNPの同時低下(約6pmol/L、範囲3~11pmol/L、デルタ-12%)とは対照的に、AGVにおける同様の屈折は、NTproCNPの増加(21日目の平均11pmol/L、デルタ22%)と関連していた。CNP産物の成長板濃度は、外因性CNPによってではなく、成長ホルモンによって明らかに増加するため、異なる応答は驚くべきことではない。これらの動態応答は、推定時間(約20~22日)に関連し得る(Sansone et al.,J Pediatr Orthop 29:61-67、2009)は、増殖する成長板のそれぞれの領域を横断し、一次海綿体に移入するために動員された軟骨細胞のためのものである。しかし、HGH治療の最初の年のベースラインを上回るNTproCNPの持続的な上昇(Olney、2016、上記)とは異なり、ボソリチド治療中の濃度の初期の顕著な低下は、持続性が低く、HGH活性のはるかに長い持続時間(最大12時間)と比較して、ボソリチドの半減期(28分)がはるかに短いことを反映している可能性がある(Olney,2016、上記)。
【0211】
総合すると、現在の知見は、成長板活性の加速によって生成される因子(又は骨様組織)が、局所的なNPPC発現又は細胞外液へのproCNPの分泌を低下させるという間接的なフィードバック機構と一致しており、4週齢のげっ歯類の子で観察された外因性CNPからの間接的な陰性フィードバックと整合している10しかし、その研究では、3日間のCNP53の高用量連続静脈内注入は、腰椎NPPCの発現を有意に低下させながら、雄ラット(n=6)の血漿NTproCNPを低下させず、雌(n=6)のわずかな低下と関連していた。CNP53へのこの短時間の曝露における成長板活性の骨格の指標は報告されていないため、この設定における血漿NTproCNPの減少との軟骨内骨成長の加速の関連性の可能性はまだ研究されていない。特に外因性CNP療法を開始してから最初の3ヶ月以内に、より大きな被験者グループ及びより適切なタイミングのサンプリングポイントの更なる研究は、小児の骨成長の変化に関連するこれらの動的変化の理解を促進することが期待でき、臨床応用を提供し得る。例えば、1ヶ月でのNTproCNPの低下、又はAchでのNTproCNP SDSゼロを標的とすることは、最適な効果サイズ、成長板活性に対する効果の持続時間、及び注射の用量及び頻度の選択を予測するために使用することができる。最適な効果サイズは、集団規範に基づいて予想される平均正常成長率の尺度を指す。
【0212】
驚くべきことに、治療の最初の2年間にわたって異なる時間に行われた複数の研究では、急性フィードバックの強力な証拠が明らかにされたが、外因性治療の6ヶ月後にのみ明らかにされた。この時間的制約は、試験された子供の多くで観察された初期の成長の急増に関連している可能性がある。コホート3及び4の患者は、この期間に注射後24時間に採取されたAGV低減血漿NTproCNPで初期の急激な屈折を示した。これにより、注射投与から4時間でのいかなる減少も制限される可能性がある。いずれの群も、1ヶ月前に試験しなかったが、15μg又は30μgの用量のいずれからの抑制効果も、29日目、43日目、127日目、又は183日目(AVGが加速していたとき)には見られなかったが、後の時点で明らかに観察された。最初の6ヵ月間のAGVは、コホート1又はコホート2のいずれにおいても有意な影響を受けなかった。前者では、最初の用量は、1日目の生体活性(尿cGMP)に影響を与えるには不十分であった(Savarirayan,et al.,N Engl J Med 381:25-35 2019)、又は2時間以内に血漿CNP39を一貫して増加させ(Yasoda,2004、上記)、AGVには影響しなかった。したがって、実施された8つの試験のいずれにおいても、4時間での抑制の欠如は驚くべきことではない。一方、7.5μg/kg/日(コホート2)後、1日目に尿cGMP及びピークCNP39の有意な増加が観察され、4時間時点でNTproCNPの有意な抑制が観察された-29日目にもこのコホートで観察された。残念ながら、これら2つのコホートにおける用量漸増の期間中、サンプリング頻度は、AGVの加速がNTproCNPに及ぼす影響、又はこれが4時間での応答に及ぼす可能性のある影響を評価するには不十分であった。体重、思春期、用量、及びバイオアベイラビリティの増加(コホート3及び4でははるかに大きい)(Savarirayan、上記)、及び研究された少数の被験者などの他の要因を考慮する必要がありますが、結果は、間接フィードバックシステムと直接フィードバックシステムとの間の相互作用が、最初の6ヶ月間の4時間でのボソリチドの影響の減少を説明する可能性があることを示唆している。全ての群を組み合わせると、183日目、365日目及び730日目の投与後4時間時点でのNTproCNPの非常に有意な低下が見出された(表3)。特に、NTproCNP SDSに従って全ての治験にわたって応答を評価すると、急性転倒(効果サイズ)が投薬時のSDSに強く依存していることが示される。この所見は、機能受容体(NPR2)を介して細胞内CNP活性を回復させることによって、CNP産生が、一般的な耐性レベルに比例して減少することを示唆する。考えられることに、クリアランス受容体NPR3の発現を増加させ、CNPを減少させ、NTproCNP(NPR3における機能喪失のアンチテーゼ)を増加させる(Boudin et al.,Am J Hum Genet 103:288-295,2018)が観察された所見を説明できる。しかしながら、CNP及びNTproCNPの両方は、Achを有する未処置の小児で同様に増加し(Olney、上記)、NTproCNP/CNPの比率は正常であるため、NPR3の上方調節は起こりそうにない。注目すべきことに、野生型のげっ歯類の子犬(上田、上記)では直接的なフィードバックは見られず、(性依存ではない)抑制の所見が、循環しているCNP産物が正常よりも上昇しているAchに特異的である可能性が高まっている。最健康な正常な成人男性で行われた臨床(安全性)試験(BMN111-101)では、ベースラインからの血漿NTproCNPの有意な変化は、2.5~15μg/kg/日の範囲の投与後4時間で観察されなかった。これは、直接的な抑制が未成熟の骨格を特徴付けることを示唆しているが、Achに限定されているかどうかは、例えば遺伝子障害のない子供など、SDSがゼロに近いAchと同様に、更なる試験が必要であることを示唆している。これらの知見にもかかわらず、有意な抑制に関連する非常に高い濃度(>350pmol/Lのピーク)、及び病態生理学(2~8pmol/L)で見られるレベルを考慮すると、観察された直接的なフィードバックがインビボでのCNP調節に寄与する可能性は低い(Olney et al.,J Clin Endocrinol Metab 100:E355-359,2015)。
【0213】
実施例2-CXM及び他のバイオマーカーの測定
ボソリチドは、B型ナトリウム利尿ペプチド受容体を介して成長板軟骨細胞に作用して、増加した軟骨内骨成長を刺激し、治療された対象における増加した成長速度につながる。臨床試験では、対象の血液及び尿試料を分析して、コラーゲンIIの架橋C末端テロペプチド(CTxII)、骨特異的アルカリホスファターゼ(BSAP)、コラーゲンIのN末端プロペプチド(PINP)、及びコラーゲンXのN末端断片(CXM)を含む推定される骨成長バイオマーカーを監視した。ボソリチドを受けた対象における観察された成長速度の変化に関連して、経時的なバイオマーカーの変化を分析した。
【0214】
X型コラーゲンバイオマーカー(CXM;Coghlan 2017)は、活動性成長板によって放出されるX型コラーゲンの分解断片である。相対的定量的バイオマーカーECLAを開発し、CXMを測定するためにBioMarinで検証した。96ウェルのMeso Scale Discovery(MSD)ストレプトアビジンプレートを、Tween(登録商標)-20(ThermoFisher Scientific、Waltham,MA,USA)を有するStartingBlock PBSでブロックした。ブロッキング緩衝液をデカンティングした後、ビオチン化抗ヒトコラーゲンNC1ドメインキャプチャSOMAmerをプレート上でインキュベートした。標準ストック(アッセイ希釈剤[AD]中の組換えヒトX型コラーゲンNC1ドメイン)をAD中で段階的に希釈し、一方、血清品質管理試料(QC)及び血清試験試料をAD中で1:100に希釈した。アッセイプレートを洗浄した後、希釈したキャリブレータ及び試料をプレート上でインキュベートした。第2の洗浄後、ルテニウム標識マウスモノクローナル抗X型コラーゲンNC1ドメインIgG検出抗体をプレート上でインキュベートした。次いで、プレートを洗浄し、界面活性剤を含むMSD Read Buffer Tを添加し、プレートをMSD Quickplex機器で読み取った。各ウェルからの生のシグナルは、各試料中のX型コラーゲン濃度に比例した。各未知の試料中のX型コラーゲンの濃度は、標準キャリブレータ曲線を使用して生のアッセイシグナルを補間することによって決定した。Watson LIMSによって実施された標準回帰は、1/Y2の重み係数を有する4パラメータロジスティック(4-PL)Marquardtモデルを使用した。検出のアッセイ限界は、ヒト血清中で914pg/mLのCXMであった。
【0215】
ヒト血清中の骨特異的アルカリホスファターゼを測定するための酵素免疫測定法は、ICON Labs(Farmingdale,NY,USA;検証N08-024VR-1,4)で検証された。アッセイは、モノクローナル抗BAP抗体コーティングウェルを使用して、試料中のBAPを捕捉した。捕捉されたBAPの酵素活性は、p-ニトロフェニルリン酸基質を用いて検出された。生のアッセイシグナルは、SpectraMax分光光度計(Molecular Devices、San Jose,CA,USA)を使用して読み取った。各試料中のBAPの濃度は、線形曲線適合を有する標準キャリブレータ曲線を使用して補間により決定された。定量のアッセイ限界は、ニートで2U/Lであった。
【0216】
UniQ PINP RIAアッセイキット(Orion Diagnostica,Espoo,Finland)に基づく定量的競合フォーマットのラジオイムノアッセイ(RIA)方法を、ICON Labs(Farmingdale,NY,USA;検証N06-016VR)で検証した。試料中の既知量の125I標識PINP及び未知量の未標識PINPは、ポリクローナルウサギ抗PINP IgG抗体上の限られた数の高親和性結合部位と競合した。固体カオリン粒子上にコーティングされた二次抗ウサギIgG抗体を使用して、抗体結合PINPをマトリックス構成成分から分離した。結合した125I-PINPの放射能を、WIZARD自動ガンマカウンター(Perkin Elmer、Waltham,MA,USA)を使用して測定した。各チューブの放射能量は、各試料中のPINPの濃度に反比例した。各試料中のPINPの濃度は、標準キャリブレータ曲線及び線形回帰曲線適合を使用して補間により決定された。定量下限は、ニートなヒト血清中で5μg/PINPであった。
【0217】
ImmunoDiagnostic Systems(East Boldon,UK)のCartiLaps ELISAキットを使用した、ヒト尿中のCTXIIの測定のための定量的競合フォーマットELISAを、ICON Labsで検証して、試験111-202/205を支持した(検証N06-114VR)。アッセイは、マウスモノクローナル抗CTXII抗体のII型コラーゲンの尿断片又はストレプトアビジンでコーティングされたマイクロタイタープレートの表面に結合したビオチン化合成ペプチドへの競合結合に基づいていた。最初に、ビオチン化された合成ペプチドを、マイクロタイタープレートのストレプトアビジンコーティングされたウェルの表面に結合させた。洗浄後、標識されていないCTXIIを含有する標準試料、対照試料、及び尿試料を、ウェルにピペットで移し、続いて、マウスモノクローナル抗CTXII IgGの溶液を添加した。ウェルを洗浄し、ペルオキシダセコンジュゲートウサギ抗マウスIgGの溶液をウェルに添加した。第2の洗浄工程後、テトラメチルベンジジン(TMB)発色基質を全てのウェルに添加した。黄色の発色を硫酸で停止させ、450nmでの吸光度をSpectraMax Plus分光光度計(Molecular Devices、San Jose,CA,USA)で読み取った。各ウェル中の生シグナルは、各試料中のCTXIIの濃度と逆相関していた。各試料中のCTXIIの濃度は、標準キャリブレータ曲線及び線形曲線適合を使用した補間により決定された。定量の下限は、ニートな尿で0.60ng/mL CTXIIであった。
【0218】
試験111~202において、5~15歳の軟骨無形成症を有する小児対象に、最初の6ヶ月間、2.5μg/kg/日、7.5μg/kg/日、15μg/kg/kg/日、又は30μg/kg/kg/日(それぞれ、コホート1、2、3、及び4)でボソリチドを投与した。6ヶ月後、15μg/kg/日又は30μg/kg/日でボソリチドを受けた対象において、年間成長速度(AGV)の有意な増加が観察されたが、2.5μg/kg/日又は7.5μg/kg/日を投与された対象に関しては観察されなかった(
図5)。6ヶ月後、コホート1及び2の対象の投与濃度が15μg/kg/日に増加され、AGVの増加をもたらした。
【0219】
111ー202で分析されたバイオマーカーは全て可変であったが、CXMは用量依存的な増加を示し、BSAPは全ての用量レベルで治療中に時間の経過とともにわずかに増加し、CTxII又はP1NPについて明らかな傾向又は用量依存的な応答はなかった。これらの結果に基づいて、BSAP及びCXMは、プラセボ対照の第III相ボソリチド臨床試験111-301及び治療前の自然経過試験111-901に組み込まれた。
【0220】
試験111-301に入る前に、5~15歳の軟骨無形成症を有する小児対象を、試験111-901において、治療開始前の少なくとも6ヶ月から最大15ヶ月間、治療なしでモニタリングした。AGV、CXM、及びBSAPは、自然経過試験111-901中及びプラセボ対照二重盲検第3相試験111-301中に測定した。AGVは、処置開始前、及びプラセボを受けた対象において比較的安定していた。対照的に、ボソリチドを受けた対象では、AGVが3ヶ月間劇的に増加した(
図6)。同様に、CXMレベルは、試験111-301の処置対象で劇的に増加したが、プラセボを受けた対象では増加しなかった。血清BSAPレベルは、処置された対象で増加したが、プラセボを受けた対象でも増加の程度は少ない。
【0221】
データは、CXMがCTxII、PINP、及びBSAPよりも軟骨内骨成長の変化を監視するために優れていることを示唆している。第3相試験からのデータは、ボソリチド処置されたがプラセボ処置されなかった対象におけるAGVの増加と関連した血清CXMレベルの増加を明確に示した。ボソリチド処置対象では、プラセボ処置対象で観察されたものよりも、BSAPのいくらかの増加があったように見えたが、この増加は、CXMで観察されたものと比較して比較的小さいものであった。試験データは、血清CXMがAGVの変化に関連する有用な成長板バイオマーカーであることを示した。
【0222】
実施例3-低身長の遺伝的原因に関連するNPR2バリアントの高スループット特性評価
NPR2バリアントの高スループット特性評価は、当業者が新規バリアントをより良く予測することを可能にし、より一般的に発生するバリアントについては、適格な患者の診断及び臨床試験登録を改善することができる。本明細書の方法は、低身長遺伝子バリアントの良性対病原性分類を予測するものであり、NPR2バリアント活性は全身長を予測するものであると仮定される。軟骨無形成症は、平均から<2SDの身長として定義される。
【0223】
本明細書に記載されるのは、260を超えるNPR2バリアントの活性を評価するためのインビトロアッセイ(cGMP)である。NPR2タンパク質変化バリアントは、UK Biobank研究で同定され、Estrada et al.(Nat Commun.2021 12(1):2224)に記載されている。NPR2発現構築物をHEK293細胞にトランスフェクトし、3日後、cGMPレベルを測定する前に、無血清DMEM中の0.4nMのIBMX及び20nMのCNPで細胞を処理した。cGMPキャッチポイントELISA競合アッセイ(Molecular Devices)を使用して、製造業者の推奨に従ってcGMPを測定した。RedLucをトランスフェクション対照として使用した(
図8A)。
図8Bは、様々なLoF及びGoFバリアントの正規化されたcGMP値を示す。
【0224】
図9Aは、タンパク質の予測結果に基づいたバリアント活性レベルの内訳を示す。タンパク質切断バリアント(ストップゲイン及びフレームシフト)は、活性レベルがゼロに近い一方で、同義変異は、活性レベルが野生型に近い。ミスセンス及びフレーム内削除は、幅広い活性レベルに及ぶ。
図9Bは、複合注釈依存枯渇(CADD)スコア(Kircher et al.A general framework for estimating the relative pathogenicity of human genetic variants.Nat Genet.2014,46(3):310-5)に基づくミスセンスバリアントの予測される結果の内訳を示しており、これは、進化的保存及び60を超える他の注釈を組み込んでいる。
図9Cは、NPR2変異体の測定された機能活性と、それらを運ぶ個体の身長に対する平均的な影響の比較である。これらの結果は、NPR2バリアント活性データが、高さ効果サイズを予測することを示す。
【0225】
多遺伝子リスクスコア(PRS)は、表現型データとともに使用して、患者集団を識別することができる。特発性低身長(ISS)は、遺伝学に基づいて予測することができる。
図10Aは、身長のみの多遺伝子スコアに基づくISSの確率を示す。多遺伝子スコアは、身長への影響が小さい何千もの一般的なバリアントの複合効果を要約している。これらのスコアは、成人のヒトの身長における集団変動の43%を捕捉するが、分布の極端な端で予測する能力は限られている。
図10Bは、NPR2機能喪失バリアントに関して、多遺伝子スコアの予測力がどのように変化するかを示す。NPR2 LoFバリアントを有糸、多遺伝子スコアが下位12.5%の個人は、成人としてISSの可能性がほぼ100%である。800人に約1人が、特徴付けられ、低い活性レベルを確認されたNPR2バリアントを有するため、6,600人に少なくとも1人が、遺伝学だけに基づいて特発性の低身長を有すると予測され得る。同様の手順は、身長に大きな影響を与える他の遺伝子(ACAN、SHOX、DTL、PAPPAなど)に適用され得る。
【0226】
選択したバリアントを3D構造にマッピングすると、混乱の潜在的なメカニズムが明らかになる。約160のNPR2遺伝子変異形を、前述のcGMP定量化「キャッチポイント」アッセイを使用して最近表現型的に特徴付けた(Estrada et al.、上記)。高信頼性機能喪失(LoF)及び機能獲得(GoF)バリアントの3Dモデリングは、特定のアミノ酸がどのように変化し、バリアントがNPR2の活性を調節している可能性があるかについての機械的洞察を提供し得る。目標は、約35の高確信度(LoF及びGoF)NPR2バリアントをNPR2内の既知の機能ドメインにマッピングし(2Dマッピング)、次いでこれらのバリアントをアルファフォールド3D構造にマッピングする(3Dマッピング)ことであった。
【0227】
NPR2アルファフォールド構造は、最近のアルファフォールド公開から得た(Jumper et al.,Nature 596:583-589(2021))。表現型的に特徴付けられる「高信頼度」バリアントのリストを生成した(表4)。表現型は、標準曲線を使用してcGMPのレベルを決定することによって計算される。この値は、RedLuciferase(トランスフェクション対照)に正規化される。この値は、WTを1に設定することによって更に正規化される。平均値は、各々4回の反復を伴う少なくとも3回の反復実験から計算される。
【表4-1】
【表4-2】
【0228】
バリアントを、異なるタンパク質ドメイン(ECD(細胞外ドメイン):リガンド(CNP)結合、KHD(キナーゼホモロジードメイン)(ATP、GC機能上の負の調節因子に結合する)、又はGCD(グアニリルシクラーゼドメイン:cGMPを生成する)への局在に基づいて分離した。これらのバリアントをアルファフォールド3D構造上にマッピングし(
図11A)、いくつかのバリアントがNPR2活性を変化させ得る可能性のあるメカニズムに関する結論を提供した(
図11C~11D)。例えば、多くのGoF変異は、KHD領域にあるように見える。
【0229】
本明細書のデータは、下位12.5%におけるNPR LoFバリアント及び多遺伝子リスクスコア(PRS)の存在が、成人の特発性低身長を正確に予測することができることを示唆する。本発明の高信頼度LoF及びGoFバリアントの3Dモデリングは、NPR2活性のこれらのバリアント特異的効果に関する機械的洞察を提供する。
【0230】
実施例4-CNP療法の有効性の尺度としての頭蓋及び脳形態
CNP療法の有効性に関する追加のマーカーとしては、顔面容積、洞容積、及び大後頭孔面積などの頭蓋骨及び脳形態の増加が挙げられる。
【0231】
小児におけるCNP療法の進行中の第II相試験において、3~6ヶ月齢の患者群(コホート3)に、毎日30μg/kgの用量でCNP(BMN111)を皮下投与し、年間成長量、身長の変化、及び頭蓋骨形態の変化を測定した。PCT出願第PCT/US22/73605号も参照されたい。
【0232】
薬物動態学的研究は、1kg当たり30μgのボソリチドを投与されたコホート2及び3の参加者が、1kg当たり15μgのボソリチドを投与されたコホート1の参加者よりも高い平均曝露を有したことを示した。
【表5】
【0233】
磁気共鳴イメージング(MRI)を使用して、大後頭孔、脳室及び脳実質の寸法を含む、脳及び頭蓋骨形態に対するボソリチドの可能な治療効果を確認した。また、臨床的に有意な皮質髄質又は脊髄損傷の存在を示す除外基準(スクリーニング期間中に得られた脳のMRIに基づく頸髄狭窄の証拠、又は病変若しくは解剖学的異常の存在に基づく)に基づいて、試験に入る各患者が適格であることを確認するためにも使用された。スキャンパラメータは、全ての臨床部位にわたって標準化され、以下の表6に詳細を示す。
【表6】
【0234】
T1強調及びT2強調MRI試験(1.2mmのスライス厚で、頭蓋骨の頂点からC2まで)を、ベースライン時(スクリーニング期間-30日目~1日目)、及び52週間の処置後(+/-7日目)、又は早期終了来院時に、標準化された取得技術を使用して、試験対象に対して麻酔下で実施して、経時的及び部位間の一貫性を確保した。
【0235】
最年少のコホート(コホート3、3~6ヶ月の小児)では、ボソリチドで処置された参加者は、MRIによって評価されたように、52週で、顔面容積、顔面洞容積、及び大後頭孔面積においてより大きな増加を示した。
【0236】
コホート3(3~6ヶ月)の参加者で観察されたMRIの変化は、顔面中央の発育不全及び大後頭孔の狭窄につながる異常な頭蓋顔面及び頭蓋底軟骨内骨化が、(この研究の1人の参加者で観察された)睡眠呼吸障害及び脳幹圧迫を引き起こすことによって(Hoover-Fongら)、5歳未満の軟骨無形成症の小児で報告された突然死の過剰発生の主な要因として考えられているため、注目に値する(Hecht et al.,Am J Med Genet 1985;20:355-60;Hoover-Fong et al.,Bone 2021;146:115872)。ボソリチドが軟骨無形成症のマウスモデルにおける頭蓋顔面骨格及び大後頭孔の異常を改善し(Lorget et al.,Am J Hum Genet 2012;91:1108-14)、軟骨無形成症を有する小児における軟骨内骨化を加速する(Savarirayan et al.,The Lancet 2020;396:684-92、Savarirayan et al.,N Engl J Med 2019;381:25-35)ことを考慮すると、これらのMRIの変化は、頭蓋顔面及び大後頭孔の成長に対するボソリチドの直接的な影響を反映していることはもっともらしい。これらの観察されたMRIの変化が、乳児の突然死の発生率、睡眠呼吸障害、及びこれらの乳児の大後頭孔の神経外科的減圧の必要性の低下の結果につながるかどうかは、長期追跡調査中に評価されるであろう(試験208、臨床試験登録データベース(ClinicalTrials.gov)番号、NCT03989947)。
【0237】
頭蓋骨/脳形態の変化は、若年患者における有効性のより良い尺度であり得、なぜなら、この群の年間成長速度に対するボソリチドの治療効果は、5歳以上の小児ほど高くなかったからである。この矛盾の説明には、軟骨無形成症の非常に幼い子供の成長速度の変動が大きく、急速に低下していること、及びこれらの乳児の体長を一貫して正確に測定することにおける実際的な課題が含まれる。コホート3からの最年少参加者で観察された成長速度に対する処置効果は、これを反映し、測定値は、広い変動性及び大きな信頼区間を示した。
【0238】
大後頭孔の外科的減圧を必要とする危険性のある軟骨無形成症を有する1歳未満の乳児における現在の標準的なケア対CNPバリアント(例えば、ボソリチド)治療を比較する別の進行中の試験もまた、この問題に直接対処する(ClinicalTrials.gov番号、NCT04554940)(Savarirayan et al.,Sci Prog 2021;104:368504211003782)。これらのMRI変化は、コホート3の参加者でのみ観察され、特に横断面での大後頭孔の成長は、生後6ヶ月後には無視できるという事実と一致した(Hecht et al.,Am J Med Genet 1989;32:528-35)。
【0239】
3~60ヶ月齢の小児における1日1回のボソリチドの皮下投与は、概して軽度であると思われ、身長Zスコアの増加をもたらす全体的な有害事象プロファイルと関連していた。3~6ヶ月齢の小児における処置は、顔面及び洞容積の増加、並びに大後頭孔の面積の増加をもたらした。
【0240】
本明細書に記載される本開示の全ての実施形態は、本明細書に記載される他の実施形態のうちのいずれか1つ以上と任意選択で組み合わされ得ることが理解される。本明細書で引用される全ての特許文献及び全ての非特許文献は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0241】
したがって、本発明は、開示された特定の実施形態に限定されず、添付の特許請求の範囲、上記の説明、及び/又は添付の図面によって定義される本発明の趣旨及び範囲内にある全ての変更を網羅することを意図していることが理解される。したがって、特許請求の範囲に見られるそのような制限のみが、本発明に課せられるべきである。
【配列表】
【国際調査報告】