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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】迅速交換カテーテル
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/01 20060101AFI20241219BHJP
【FI】
A61M25/01 500
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024534302
(86)(22)【出願日】2022-12-02
(85)【翻訳文提出日】2024-07-16
(86)【国際出願番号】 US2022051599
(87)【国際公開番号】W WO2023107334
(87)【国際公開日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】63/286,169
(32)【優先日】2021-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524216277
【氏名又は名称】ラジアル 1,インク.
【氏名又は名称原語表記】RADIAL1, INC.
【住所又は居所原語表記】1510 Jefferson Street Teaneck, NJ 07666 (US)
(74)【代理人】
【識別番号】110002158
【氏名又は名称】弁理士法人上野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウォルツマン,ダニエル,エズラ
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA05
4C267AA28
4C267AA41
4C267BB08
4C267BB19
4C267CC08
4C267FF01
4C267GG02
4C267HH08
4C267HH20
(57)【要約】
近位開口部、遠位開口部、カテーテルを貫通する内腔、および側面開口部を介してガイド装置を挿入できる寸法および構成の迅速交換ポートを形成する側面開口部を有するカテーテルです。カテーテルには、側面開口部からの漏れを減らすための閉位置と開位置との間で移動可能なシールが含まれ、シールはガイド装置によって開位置に移動可能であります。カテーテルには、独立して偏向可能なゾーンが1つ以上ある場合があります。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
近位開口部、遠位開口部、カテーテルを貫通する内腔、および側方開口部からガイド装置を挿入できる寸法および構成の急速交換ポートを形成する側方開口部とシールとを備えたカテーテル。シールは、側方開口部からの漏れを減らすために閉じた位置と開いた位置との間で移動可能であり、シールはガイド装置によって開いた位置に移動可能であります。
【請求項2】
請求項1に記載のカテーテルであって、案内装置はガイドワイヤであります。
【請求項3】
請求項1に記載のカテーテルは、拡張器と組み合わせられ、拡張器はカテーテルの内腔内に配置され、側部開口部に隣接したガイド面を有し、ガイド面はガイド装置をカテーテルの側部開口部に向かって誘導します。
【請求項4】
請求項3に記載のカテーテルであって、ガイド面は、長手方向軸から側方開口部に向かって傾斜した傾斜面を備えます。
【請求項5】
請求項1に記載のカテーテルであって、シールには、側面開口部を有し、カテーテルの第1の部分とカテーテルの第2の部分とを接続するチューブと、チューブ上に配置された弾性材料とが含まれ、ガイド装置は弾性材料に押し付けられて弾性材料を移動させ、カテーテルの側面開口部を通ってガイド装置が排出される隙間を提供します。
【請求項6】
請求項1に記載のカテーテルであって、カテーテルは近位本体部と遠位本体部とを備え、近位本体部は接続チューブによって遠位本体部に接続され、シールはその接続チューブ内に形成されます。
【請求項7】
請求項6に記載のカテーテルであって、接続チューブの開口部上に配置された弾性材料をさらに備え、弾性材料の一部は、ガイド装置によって側方開口部に向かって移動可能であり、これにより、ガイド装置が内腔から出る隙間が形成されます。
【請求項8】
請求項1に記載のカテーテルであって、シールはカテーテルの内腔内に配置されたチューブ内に形成され、チューブは壁に埋め込まれたコイルを有します。
【請求項9】
請求項1に記載のカテーテルであって、ガイド装置はカテーテルの内腔内に配置された拡張器を通って延びるように構成されています。
【請求項10】
請求項1に記載のカテーテルであって、シールは、開口部の上に移動可能に配置され、ガイド装置によって移動可能であり、ガイド装置が側面開口部を通って出られるようにするフラップを含みます。
【請求項11】
請求項10に記載のカテーテルであって、カテーテル上に配置されたバンドと、フラップをバンドに取り付ける取り付け要素とをさらに備え、ガイド装置は、フラップを側方開口部から外側に押し離して、内腔および側方開口部からの出口用の隙間を形成し、バンド部分と、バンド部分に接続されたフラップとを有するチューブが側方開口部内に配置されます。
【請求項12】
請求項1に記載のカテーテルであって、カテーテルは、さらに内側ポリマーライナーを備え、ライナーは、ガイド装置によって移動可能であり、ガイド装置が側面開口部を通って出る隙間を形成します。
【請求項13】
請求項1に記載のカテーテルであって、カテーテルは、第1ワイヤの軸方向移動によって偏向可能な遠位偏向ゾーンを有します。
【請求項14】
請求項13に記載のカテーテルであって、カテーテルは、遠位ゾーンの近位側に配置され、第2のワイヤによって偏向可能な近位偏向ゾーンを有します。
【請求項15】
請求項13に記載のカテーテルであって、第1ワイヤはカテーテルの長手方向軸からオフセットされており、プルリングに取り付けられており、第1ワイヤを引くと、遠位偏向ゾーンが最初に第1ワイヤの方向に偏向します。
【請求項16】
請求項13に記載のカテーテルであって、第1ワイヤはカテーテルの長手方向軸からオフセットされたプッシュワイヤであり、第1ワイヤを押すと、遠位偏向ゾーンが最初は第1ワイヤと反対側に偏向します。
【請求項17】
請求項14に記載のカテーテルであって、遠位プルリングおよび近位プルリングをさらに備え、第1ワイヤは遠位プルリングに取り付けられ、第2ワイヤは近位プルリングに取り付けられ、近位偏向ゾーンおよび遠位偏向ゾーンは独立して偏向可能であります。
【請求項18】
請求項15に記載のカテーテルであって、プルリングと第1ワイヤは実質的にカテーテルの壁内にあります。
【請求項19】
以下のものを含むシステム:
a)近位開口部、遠位開口部、カテーテルを貫通する内腔、および側部開口部からガイド装置を挿入できる寸法および構成の急速交換ポートを形成する側部開口部を有するカテーテル、および
b)拡張器。拡張器はカテーテルの内腔内に配置され、側部開口部に隣接したガイド面を有し、ガイド面はガイド装置をカテーテルの側部開口部に向かって誘導します。
【請求項20】
請求項19に記載のシステムであって、ガイド面は、縦軸から側方開口部に向かって傾斜した傾斜面を備えます。
【請求項21】
請求項19に記載のシステムであって、ガイド装置はガイドワイヤであります。
【請求項22】
請求項19に記載のシステムであって、カテーテルは、独立して偏向可能な第1および第2の分離ゾーンを有します。
【請求項23】
請求項22に記載のシステムであって、第1および第2の分離ゾーンはそれぞれプルリングと、プルリングに接続されたプルワイヤとを有します。
【請求項24】
カテーテルを標的部位に挿入する方法であって、以下のステップを含みます:
a)第1の長さを有する第1のワイヤを患者の体内に挿入します;
b)拡張器が配置されたカテーテルの遠位端を第1のワイヤの近位端に挿入します。
c)第1のワイヤの近位端がカテーテルの側孔から出るまで、カテーテルと拡張器を第1のワイヤ上で前進させます。側孔にはカバーがあます;
d)第1のワイヤを拡張器から近位に引き出すことによって取り外します。
e)カテーテルと拡張器の近位端を通して第2のワイヤを挿入し、第2のワイヤをカテーテルの遠位端から前進させます。第2のワイヤは、第1のワイヤの第1の長さよりも長い第2の長さを有します;および
f)カテーテルを2本目のワイヤに沿って標的部位まで進めます。
【請求項25】
請求項24に記載の方法であって、拡張器はランプを含み、ワイヤの近位端はランプを介して側孔から導かれ、ランプはカテーテルの側孔に隣接して配置されます。
【請求項26】
請求項24に記載の方法であって、カバーは、側部開口部からの漏れを低減するためのシールを形成し、第1ワイヤは、カバーに対して押し付けられ、カバーを移動させて側部穴から外側に延びます。
【請求項27】
請求項26に記載の方法であって、カバーは、漏れを低減するための閉位置と開位置との間で移動可能なフラップを備え、フラップは、カテーテルの内腔から外側に延びる第1のワイヤによって開位置に移動可能であります。
【請求項28】
請求項24に記載の方法であって、拡張器および第2のワイヤを除去することをさらに含みます。
【請求項29】
請求項24に記載の方法であって、ステップ(a)の前に、針の先端を血管に挿入するステップと、第1ワイヤの遠位端を血管内に前進させるステップと、第1ワイヤの遠位端を患者の体内の血管内に維持したまま針を取り外すステップとをさらに含みます。
【請求項30】
請求項24に記載の方法であって、カテーテルの遠位領域を偏向させるステップをさらに含みます。
【請求項31】
カテーテルを標的部位に挿入する方法であって、以下のステップを含みます:
a)第1の長さを有する第1のワイヤを患者の体内に挿入します;
b)拡張器が配置されたカテーテルの遠位端を第1のワイヤの近位端に挿入します。
c)第1のワイヤの近位端がカテーテルの側孔から出るまで、カテーテルと拡張器を第1のワイヤ上で前進させます。側孔にはカバーがあます;
d)第1のワイヤを拡張器から近位に引き出すことによって取り外します。
e)拡張器を取り外します。
f)第2のワイヤを第2の内側カテーテル内にカテーテルの近位端を通して挿入し、第2のワイヤをカテーテルの遠位端から前進させます。第2のワイヤは、第1のワイヤの第1の長さよりも長い第2の長さを有します;および
g)カテーテルを第2ワイヤおよび第2カテーテルを介して目標部位まで前進させます。
【請求項32】
請求項31に記載の方法であって、拡張器はランプを含み、ワイヤの近位端はランプを介して側孔から導かれ、ランプはカテーテルの側孔に隣接して配置されます。
【請求項33】
請求項31に記載の方法であって、カバーは、側部開口部からの漏れを低減するためのシールを形成し、第1ワイヤは、カバーに対して押し付けられ、カバーを移動させて側部穴から外側に延びます。
【請求項34】
請求項31に記載の方法であって、カバーは、漏れを低減するための閉位置と開位置との間で移動可能なフラップを備え、フラップは、カテーテルの内腔から外側に延びる第1のワイヤによって開位置に移動可能であります。
【請求項35】
請求項31に記載の方法であって、第2のワイヤおよび第2のカテーテルを除去することをさらに含みます。
【請求項36】
請求項31に記載の方法であって、ステップ(a)の前に、針の先端を血管内に挿入するステップ、第1ワイヤの遠位端を血管内に前進させるステップ、およびワイヤの遠位端を患者の体内の血管内に維持したまま針を取り外すステップをさらに含みます。
【請求項37】
請求項31に記載の方法であって、第1の偏向可能ゾーンを偏向させるステップをさらに含みます。
【請求項38】
請求項37に記載の方法であって、第2の偏向ゾーンを偏向させるステップをさらに含み、第1および第2の偏向ゾーンは独立して偏向可能であります。
【請求項39】
請求項38に記載の方法であって、偏向ゾーンは、プルリングと、プルリングに接続されたプルワイヤとによって偏向可能であります。
【請求項40】
請求項39に記載の方法であって、プルリングおよびプルワイヤがカテーテルの壁内にあります。
【請求項41】
請求項40に記載の方法であって、プルリングはギャップを形成するためにC字型であります。
【請求項42】
経皮橈骨動脈アクセスを得る方法2つの独立したステアリングゾーンを有するカテーテルであって、以下のものを含む方法:
a)針を患者の皮膚を通して橈骨動脈に経皮的に進め、針の先端が橈骨動脈の内腔内にあるようにします。
b)ワイヤを針を通して橈骨動脈に進めて、ワイヤの遠位端がより近位の橈骨動脈内にあり、ワイヤの近位端が患者の外側かつ針の近位端の外側にあるようにします;
c)針を抜きます;
d)遠位テーパと内腔を有する拡張器を、拡張器の遠位端の中央に位置し、約1cmから約40cmの距離にわたって実質的に真っ直ぐに伸び、その後、ランプを介して側孔に向け、拡張器の遠位端が橈骨動脈にあり、ワイヤの近位端が側孔から突き出るまでワイヤ上で進め、側孔と近位ワイヤは両方とも患者の体外に残ります。
e)ワイヤを取り外します;
f)少なくとも2つの独立した操縦ゾーンを有するカテーテルを拡張器上で前進させ、それによってカテーテルの遠位端を橈骨動脈内に配置すること;および
g)拡張器を取り外します。
【請求項43】
請求項42に記載の方法であって、患者の皮膚を通して針を経皮的に進めるステップは、針を引き戻す前に、針を橈骨動脈の両壁を通して進めます。
【請求項44】
請求項42に記載の方法であって、患者の皮膚を通して針を経皮的に前進させるステップは、超音波下で針を前進させることを含みます。
【請求項45】
請求項42に記載の方法であって、患者の皮膚を通して針を経皮的に前進させるステップは、放射線学的誘導下で針を前進させることを含みます。
【請求項46】
請求項42に記載の方法であって、臨床的に重大な動脈痙攣の発生率を低減するために血管拡張薬を注入するステップをさらに含む方法。
【請求項47】
経皮右橈骨動脈アクセスを介して左鎖骨下動脈から生じる左椎骨動脈にカテーテルを挿入する方法であって、以下のステップを含みます:
a)経皮アクセス技術を利用して、少なくとも2つの独立したステアリングゾーンを有するプライマリカテーテルをカテーテルの遠位端近くに配置し、少なくとも2つの独立したステアリングゾーンには、長さが30mmから150mmに及ぶ近位ステアリングゾーンと、カテーテルの最遠位端から少なくとも20mm離れた位置に配置された近位ステアリングゾーンの遠位端とが含まれ、近位ステアリングゾーンは、回転直径が30mmから100mmで最大230度偏向するように構成され、カテーテルは、右橈骨動脈の上に横たわる患者の皮膚を通して経皮的に挿入され、カテーテルの遠位端は右橈骨動脈内にあります。
b)プライマリカテーテルの遠位端を右橈骨動脈、右上腕動脈、右腋窩動脈、右鎖骨下動脈および無名動脈を通して患者の大動脈弓まで前進させます;
c)カテーテルの近位操縦ゾーンの中間点に近い細長い部材を引き抜きます;
d)近位操縦ゾーンを140~230度に偏向させ、プライマリカテーテルの遠位端を近位左鎖骨下動脈まで操縦します;および
e)細長い部材の遠位端を左鎖骨下動脈まで前進させ、続いて左椎骨動脈まで前進させます。
【請求項48】
請求項47に記載の方法であって、カテーテルは蛍光透視ガイド下で挿入されます。
【請求項49】
請求項47に記載の方法であって、主カテーテルがワイヤ上で前進されます。
【請求項50】
請求項47に記載の方法であって、主カテーテルが第2のカテーテル上を前進されます。
【請求項51】
請求項47に記載の方法であって、細長い部材は内側ワイヤを含みます。
【請求項52】
請求項47に記載の方法であって、細長い部材は内側の二次カテーテルを含みます。
【請求項53】
請求項47に記載の方法であって、細長い部材は近位操縦ゾーンの近位で完全に引き抜かれます。
【請求項54】
請求項47に記載の方法であって、細長い部材は一次カテーテルから完全に引き抜かれます。
【請求項55】
請求項47に記載の方法であって、細長い部材はワイヤ上で前進されます。
【請求項56】
経皮右橈骨動脈アクセスを介して大動脈弓から生じる左総頸動脈から生じる左内頸動脈にカテーテルを挿入する方法であって、以下のステップを含む方法:
a)経皮的アクセス技術を利用して、少なくとも2つの独立したステアリングゾーンを備えたカテーテルをカテーテルの遠位端近くに配置し、少なくとも2つのステアリングゾーンには遠位ステアリングゾーンと近位ステアリングゾーンが含まれ、遠位ステアリングゾーンの長さは20mmから90mmに及び、遠位ステアリングゾーンの遠位端はカテーテルの最遠位端から0mmから20mmの距離に配置され、遠位ステアリングゾーンは15mmから60mmの回転直径で最大270度に偏向するように構成され、カテーテルは右橈骨動脈の上にある皮膚を通して経皮的に挿入され、カテーテルの遠位端は右橈骨動脈内にあります。
b)カテーテルの遠位端を細長い部材上で前進させ、右橈骨動脈、右上腕動脈、右腋窩動脈、右鎖骨下動脈、および無名動脈を通り、患者の大動脈弓に挿入します。
c)細長い部材を近位操縦ゾーンの中間点の近位で引き抜きます;
d)遠位操縦ゾーンを140~200度に偏向させ、三次カテーテルの遠位端を近位左総頸動脈に操縦します;
e)細長い部材の遠位端を左総頸動脈に進め、続いて左内頸動脈に進めます。
【請求項57】
請求項56に記載の方法であって、カテーテルは蛍光透視ガイド下で挿入さます。
【請求項58】
請求項56に記載の方法であって、主カテーテルがワイヤ上で前進されます。
【請求項59】
請求項56に記載の方法であって、主カテーテルが第2のカテーテル上を前進されます。
【請求項60】
請求項56に記載の方法であって、細長い部材は内側ワイヤを含みます。
【請求項61】
請求項56に記載の方法であって、細長い部材は内側の二次カテーテルを含みます。
【請求項62】
請求項56に記載の方法であって、細長い部材は近位操縦ゾーンの近位で完全に引き抜かれます。
【請求項63】
請求項56に記載の方法であって、細長い部材は一次カテーテルから完全に引き抜かれます。
【請求項64】
請求項56に記載の方法であって、細長い部材はワイヤ上で前進されます。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[背景]
この出願は、2021年12月6日に提出された仮出願63/286,169に対する優先権を主張し、その全内容は参照により本明細書に組み込まれます。
【0002】
[技術分野]
この出願は、一般的には血管内装置に関し、より具体的には、迅速交換カテーテルおよびその使用方法に関します。
【背景技術】
【0003】
[関連技術の背景]
低侵襲治療の利点はよく知られており、外傷の軽減、入院期間の短縮、患者の回復の迅速化、コストの削減などが含まれます。低侵襲血管内手術では、治療部位へのアクセスは通常、大腿動脈、上腕動脈、橈骨動脈などによる遠隔アクセスによって行われ、カテーテルはガイドワイヤに沿って標的部位まで誘導されます。通常、ガイドワイヤはカテーテルの開口部から挿入され、カテーテルは全長にわたってガイドワイヤ上に通されます。代替方法としては、迅速交換カテーテルを使用します。このような迅速交換カテーテルでは、ガイドワイヤの遠位開口部がカテーテルの遠位端に近いため、カテーテルの一部のみがガイドワイヤに通されます。これは、冠動脈や頸動脈のステント留置などの血管内カテーテル治療でますます普及しています。
【0004】
患者の血管へのアクセスは、さまざまな医療、診断、および/または治療の目的で必要です。さまざまなバリエーションが存在しますが、基本的な手法では、長く曲がりくねった経路を経由したアクセスが必要になることがよくあります。例えば、頭蓋顔面血管造影検査や心臓カテーテル検査は、多くの場合、経大腿経路で実施されます。しかし、最近では、心臓カテーテル法のための経橈骨アプローチが開発され、より一般的になってきました。医療目的における経橈骨動脈とは、通常は経皮的に橈骨動脈をアクセス部位として通過、経由、または使用することを意味します。より具体的には、経橈骨動脈アクセスは、医療カテーテル挿入処置、治療処置、およびその他の処置を実行するために使用されます。最近では、経橈骨アクセスは頭蓋顔面および末梢手術にも使用されるようになっています。安全性と有効性を最適化するために、このような用途向けにカスタマイズされた新しいカテーテルと装置が必要です。
【0005】
医療介入のための経橈骨動脈アクセスは、抗凝固療法や抗血小板療法を積極的に使用しても、経大腿動脈手術と比較して外傷や失血が大幅に減少することが示されています。多くの場合、このような処置中、患者には高用量の血液凝固阻止剤や血小板阻害薬が投与されます。いくつかの研究では、経橈骨血管アクセスでは経大腿血管アクセスよりもアクセス部位の重大合併症発生率が低いことが実証されています。患者の回復時間も短くなります。しかし、現在のカテーテル技術では、特定の患者において、対側頸動脈、椎骨循環、および同側頸動脈循環への経橈骨アクセスが複雑になる可能性があります。また、バイパス手術を受けた患者の心臓手術で重要となることが多い対側内胸動脈に選択的にアクセスすることも困難であり、また経橈骨経路を介して他の多くの血管に選択的にアクセスすることも困難であります。
【0006】
血管形成術、アテローム切除術、血管内動脈瘤修復術、血栓除去術、低侵襲心臓手術など、血管内技術の数と種類が増加するにつれて、標的血管部位へのアクセスを改善する必要性が生じています。
【0007】
カテーテルは、大動脈弓のすべての「大血管」へのアクセスを可能にすると同時に、追加のワイヤとカテーテルをすべての「選択的脳血管造影血管(両側内頸動脈、両側椎骨動脈、両側外頸動脈)」、さらには介入のために脳、頭頸部まで進めることができる内腔を提供する必要があります。
【0008】
橈骨動脈へのアクセスは、当該技術分野で既知であり、典型的には、短いベベル21ゲージ針と、典型的には0.018~0.021ガイドワイヤを使用して実現されます。この小型の針システムにより、より優れた制御が可能になり、脈動する血流をすぐに確認できます。橈骨動脈カテーテル挿入時には、大腿動脈カテーテル挿入時に従来使用されていた針よりも小さい針を使用することが推奨されており、これによりアクセスの困難さが軽減される可能性があります。
【0009】
橈骨動脈アクセス専用に設計されたカテーテルがさまざまなベンダーから市販されています。これらの心臓用カテーテルには、一次曲線と二次曲線という共通の特徴があります。ラジアル専用カテーテルを使用すると、1本のカテーテルを時計回りと反時計回りに回転させることにより、右冠動脈と左冠動脈の両方の血管造影が可能になります。カテーテル交換をなくすことで、総処置時間と透視時間が短縮され、橈骨動脈けいれんの発生率も低下します。
【0010】
橈骨アクセスアプローチを使用する場合、橈骨動脈に重度のけいれんが起こることがよくあります。このようなけいれんを軽減するためには、通常、ベラパミル、ニトログリセリン、ヘパリンの混合物から成り、必要に応じて注射液で希釈される「ラジアルカクテル」を注射することが望ましい。このようなカクテルは、けいれんを軽減するだけでなく、血栓症を軽減および/または予防することができます。
【0011】
しかし、全長のカテーテルを外側シースなしで使用し、橈骨動脈を超えたワイヤーの上に配置した場合、カテーテルの開口部がすでに橈骨動脈を超えているため、橈骨カクテルを注入することはできません。100cmのシースイントロデューサーを使用する場合、その全長にわたって導入すると、これも橈骨動脈を越えて配置されます。より短い長さを導入する場合でも、カテーテルの全長よりも長いワイヤを使用する必要があります。これにより複雑さが増し、1人の操作者で簡単に扱える短いワイヤよりも使い勝手が悪くなります。
【0012】
現在、通常は最初に短いガイドワイヤー(40~50cm)が挿入され、短いシース(多くの場合10~11cm)が橈骨動脈に配置されます。次に、橈骨カクテルが投与されます。次に放射状カクテルを投与します。ただし、より大きな直径の長いシースが、より大きな短いラジアルシースと同等の直径であることが望まれる場合、短いラジアルシースの配置は余分な手順となり、時間とコストが追加され、患者の負傷のリスクが増大する可能性があります。あるいは、血管にアクセスするために、例えば約140cm~150cmの長いガイドワイヤを使用することもできます。ガイドワイヤーを針で挿入し、その後針を抜き、拡張器付きのカテーテルをガイドワイヤーに沿って目的の部位まで挿入します。次に、拡張器とワイヤを取り外し、カテーテルを所定の位置に残します。長いガイドワイヤは使いにくく、扱いにくく、挿入に2人の臨床医が必要になる場合もあるため、長いガイドワイヤを使用することには欠点があります。さらに、カテーテルの遠位端を最初に橈骨動脈に配置しないと、必要な「橈骨カクテル」を送達する機会が失われ、望ましくない血管痙攣が発生する可能性があります。
【0013】
長いガイドワイヤの欠点を回避するシステムと方法を提供することが有利です。
【0014】
ラピッドエクスチェンジルーメンがシース/カテーテルのメインルーメンと共有されている場合、ラピッドエクスチェンジカテーテルのサイドホール(ポート)から液体が漏れる可能性があります。サイドポートからの液体の漏れを防ぐことが有利です。急速交換ルーメンがシース/カテーテルの主ルーメンから独立している場合、シース/カテーテルの主ルーメンの所定の内径に対して、より大きな外径のカテーテルが必要となり、特に大腿動脈よりも直径が著しく小さい橈骨動脈を介した安全なアクセスの限られた範囲内で、多くの用途においてシース/カテーテルの有用性が制限されます。このような流体の漏れに対処するシステムおよび方法を提供することが有利です。
【0015】
本出願の発明者による、大多数の患者においていずれかの頸動脈への安全な経皮アクセスを可能にするラジアルアクセスカテーテルは、例えば、米国出願シリアル番号16/013,707、2018年6月20日出願(特許番号10,258,371)、16/575,302、2019年9月18日出願(公開番号2020/0009351)、16/600,096、2019年10月11日出願(公開番号2020/0060723)、16/602,469、2019年10月11日出願(公開番号2020-0078554)、および2021年7月16日に出願された17/423,502(公開番号2022-0118219)。これらの各出願の全内容は、本明細書に参照により組み込まれています。そこに開示されているカテーテルは、アクセス部位の合併症も軽減することができます。
【0016】
シース/カテーテルが経皮的に、多くの場合ワイヤを介して血管に導入される場合、カテーテルは、カテーテルの内腔内に配置された拡張器と組み合わせて提供されます。拡張器はカテーテルよりも長く、遠位端でカテーテルを超えて伸び、多くの場合近位端でも伸びます。拡張器はカテーテルよりも硬く、血管への潜在的な損傷を制限しながら、皮膚を通して血管にカテーテルを導入するのに役立ちます。
【0017】
現在、血管への最初のアクセスを得るために、通常は導入シースが使用されます。ただし、導入シースは、挿入されるカテーテルよりも大きな直径を持つ必要があります。さらに、追加のより高価なコンポーネントが必要になります。さらに、経橈骨使用向けに設計された現在のカテーテルは、通常、固定形状であるため、特に片方の腕から体の反対側の血管に移動する場合、曲がりくねった解剖学的構造を介したアクセスが制限される可能性があります。イントロデューサシースのこれらの欠陥に対処することは有利です。
【0018】
また、動脈へのアクセスを容易にするために、このようなラジアルアクセスカテーテルに偏向可能/操縦可能な遠位部を備えることも有利であります。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明は、従来技術の問題点および欠陥を克服するものであります。
【0020】
本発明の一態様では、近位開口部、遠位開口部、カテーテルを貫通する内腔、および側方開口部(側孔)を備え、側方開口部を通してガイド装置を挿入できる寸法および構成の迅速交換ポートを形成するカテーテルが提供されます。カテーテルの側面開口部には、側面開口部からの漏れを減らすための閉じた位置と開いた位置との間で移動可能なシールが選択で含まれており、このシールはガイド装置によって開いた位置に移動可能です。側孔は遠位端孔から20cm以内にあることが望ましいが、別の距離も考慮されます。いくつかの実施形態では、側面開口部はカテーテルの遠位開口部から約3センチメートル~約15センチメートルの間隔で配置されるが、他の寸法も考慮されます。
【0021】
いくつかの実施形態では、誘導装置はガイドワイヤであります。
【0022】
いくつかの実施形態では、シールには、側面開口部を有し、カテーテルの第1の部分とカテーテルの第2の部分とを接続するチューブが含まれ、弾性材料がチューブ上に配置され、ガイド装置は弾性材料に押し付けられて弾性材料を移動させ、カテーテルの側面開口部から出る隙間を提供します。
【0023】
いくつかの実施形態では、シールには、カテーテルの側面開口部上に移動可能に配置され、側面開口部を通ってガイド装置から出るためにガイド装置によって移動可能なフラップが含まれます。いくつかの実施形態では、バンドがカテーテル上に配置され、取り付け要素がフラップをバンドに取り付け、ガイド装置はフラップを側面開口部から外側に押し離して、側面開口部を通って内腔から出る隙間を作成します。
【0024】
いくつかの実施形態では、チューブはバンド部分を有し、フラップがバンド部分に接続され、チューブは側面開口部内に配置されます。
【0025】
いくつかの実施形態では、カテーテルには、ガイド装置によって移動可能で、側面開口部からガイド装置が排出される隙間を形成する内側ポリマーライナーが含まれます。
【0026】
いくつかの実施形態では、シールは血液やその他の液体に対して実質的に不浸透性であります。他の実施形態では、シールは半浸透性であります。他の実施形態では、シールはある圧力以上でのみ半浸透性であります。好ましい実施形態では、典型的な圧力での注入中に漏れは10%未満であります。
【0027】
いくつかの実施形態では、カテーテルは近位本体部分と遠位本体部分とを備え、近位本体部分は接続チューブによって遠位本体部分に接続され、シールはその接続チューブ内に形成されます。いくつかの実施形態では、近位本体部分は編組チューブを備え、遠位本体部分はコイルを含みます。いくつかの実施形態では、弾性材料が接続チューブの開口部上に配置され、弾性材料の一部はガイド装置によって移動可能であり、ガイド装置が内腔から出る隙間を形成します。
【0028】
いくつかの実施形態では、シールはカテーテルの内腔内に配置されたチューブ内に形成され、チューブの壁にコイルが埋め込まれています。
【0029】
いくつかの実施形態では、ガイド装置はカテーテルの内腔内に配置された拡張器を通って延びます。拡張器はカテーテル内腔内に延び、カテーテルの近位端の近位、カテーテルの遠位端の遠位、またはカテーテルの遠位端の遠位とカテーテルの近位端の近位の両方に延びることができます。
【0030】
いくつかの実施形態では、カテーテルは遠位偏向ゾーンを有します。このゾーンはプルリングとプルワイヤによって偏向可能であります。あるいは、プッシュワイヤによって偏向可能であります。独立した近位偏向ゾーンも提供され、プルリングとプルワイヤ、またはプッシュワイヤによって偏向可能であります。リングとワイヤは、カテーテルの壁内に実質的に配置することができます。ワイヤは、カテーテルの縦軸からオフセットすることができます。
【0031】
本発明は、別の態様に従って、カテーテルのルーメン内に配置され、遠位端穴と、遠位端穴から遠位方向に延びる少なくとも遠位セグメント内のルーメンとを有する、本明細書に開示されるカテーテルと組み合わせた本明細書に開示されるカテーテルも提供します。内腔は、少なくとも拡張器の側孔まで延びます。ガイド面はカテーテルの側部開口部に隣接しており、ガイド面はガイド装置を側部開口部に向けてガイドします。いくつかの実施形態では、ガイド面は、長手方向軸から側部開口部に向かって傾斜した傾斜面を含みます。拡張器はカテーテルよりも硬く、血管への潜在的な損傷を制限しながらカテーテルを皮膚を通して血管に導入するのに役立つことが好ましいです。
【0032】
拡張器が傾斜部を含む実施形態では、ガイド装置(例えばワイヤ)の近位端は傾斜部を介して側部穴から導かれ、傾斜部はカテーテルの側部穴に隣接して配置されます。いくつかの実施形態では、カバーはそこからの漏れを減らすためのシールを提供し、ガイド装置はシールに押し付けられてシールを移動させ、側部穴を通って外側に延びます。
【0033】
いくつかの実施形態では、拡張器の内腔は傾斜部の近くまで延びています。他の実施形態では、傾斜部の近くまで内腔がないか、またはより小さい内腔があり、拡張器はカテーテルの近位端を超えて近位に延びているが、その近位セグメントに沿って内側内腔はありません。
【0034】
いくつかの代替実施形態では、本明細書に開示されるカテーテルにはシールが含まれません。
【0035】
本発明は、いくつかの実施形態では、患者の体内に入る遠位端に少なくとも1つの端穴があり、近位端に患者の体外に残り、治療医がアクセスできる少なくとも1つの端穴がある操縦可能なカテーテルも提供します。
【0036】
好ましい実施形態では、単一の遠位端穴と単一の近位端穴があります。近位端穴にはハブが取り付けられていてもよく、ハブには、他のコンポーネントを固定できるルアーロックが選択で備わっています。あるいは、ハブにはダイアフラムまたは他のコンポーネントがある場合もあります。
【0037】
操縦可能なカテーテルには、カテーテルの遠位25cm内に少なくとも1つのアクティブ操縦(操縦可能)ゾーンがあり、カテーテルの近位端近くに各操縦ゾーンを独立して制御する少なくとも1つの独立したコントローラがあります。コントローラは患者の体外に留まります。好ましい実施形態では、カテーテルの遠位25cmに沿って2つの独立したステアリング(偏向)ゾーンがあり、装置の近位端近くに2つの対応するコントローラがあり、各ステアリングゾーンに1つずつあります。一部の実施形態では、各ステアリングゾーンは、カテーテルの壁内に実質的に配置された少なくとも1本のワイヤによって制御(調整)されます。一部の実施形態では、1つのステアリングゾーンは1本のワイヤによって制御され、別のステアリングゾーンは少なくとも2本のワイヤによって制御されます。1つ以上の形状記憶合金またはポリマーを使用して、ステアリングゾーンを制御することもできます。
【0038】
本発明は、いくつかの実施形態において、少なくとも1つの円周マーカーリングを含み、これは任意に選択して放射線不透過性である場合もあります。いくつかの実施形態では、操縦可能なワイヤの遠位端がマーカーリングに取り付けられる/挿入される場合があります。一部のマーカーリングは完全に円周状になる場合があります。一部のマーカーリングには少なくとも1つのギャップがある場合があります。隙間があれば、その部位のカテーテルの壁の厚さを最小限に抑えながら、ワイヤーがマーカーリングを通過できるようになります。
【0039】
コントローラはホイールまたはレバーにすることができますが、他のコントローラ機構も想定されています。コントローラは、ワイヤに直接接続することも、ワイヤに接続されたギアを制御することも、あるいは信号を介してワイヤまたは形状記憶ポリマーを間接的に制御することもできます。各ステアリングゾーンの長さは約1cm~約10cmであることが好ましいが、他の長さも考えられます。
【0040】
いくつかの実施形態では、ワイヤが短くなるか引っ張られると、カテーテルは遠位挿入/接続部位でワイヤに向かって曲がり、ワイヤが長くなるか押されると、カテーテルはワイヤの遠位挿入/接続部位でワイヤから離れて曲がります。あるいは、ワイヤが長くなるか押されると、カテーテルは遠位挿入/接続部位でワイヤに向かって曲がり、短くなるか押されると、ワイヤから離れて曲がります。いくつかの実施形態では、ワイヤは中立位置を持ち、中立位置から押されると一方向に曲がり、中立位置から引かれると反対方向に曲がります。カテーテルに沿った剛性と柔軟性が異なる領域は、ステアリングゾーンとその機能の定義にさらに貢献します。単一のワイヤを使用して単一のステアリングゾーンを操縦する実施形態では、コントローラは、そのワイヤをその近位端の近くで効果的に引っ張ったり押したりします。カテーテルの両側にある2本の反対のワイヤが各ステアリングゾーンを制御する実施形態では、各コントローラは、そのゾーンを制御するもう一方のワイヤを押しながら、同時に一方のワイヤを引っ張ることができます。コントローラの反対方向への動きは、カテーテルを反対方向に偏向させます。一部の実施形態は、複数の独立したステアリングゾーンを有し、各ゾーンは異なるワイヤ配置によって独立して制御され得ます。
【0041】
放射線不透過性マーカーは、各ステアリングゾーンの遠位端、各ステアリングゾーンの近位端、および/またはカテーテルの遠位端の近くに、任意で提供され得ます。追加の放射線不透過性マーカーも提供され得ます。
【0042】
本発明は、本明細書に開示されるカテーテルおよび装置を使用して、ほとんどの患者において、片側経皮腕アクセスを介して、任意で橈骨動脈アクセス部位を介して、例えば両側椎骨動脈、両側内頸動脈、および両側椎骨動脈に選択的にアクセスする方法を含みます。任意で、針を使用して血管に経皮アクセスし、針を通してワイヤを右橈骨動脈などの血管に通し、その後、針を取り外してワイヤを所定の位置に残します。あるいは、二重壁穿刺法でより一般的に使用されているように、導入カテーテルを針の上に通して、その後針を取り外すこともできます。次に、ワイヤをイントロデューサカテーテルを通して血管内に進め、次にイントロデューサカテーテルを取り外して、ワイヤを血管内に残すことができます。どちらのシナリオでも、拡張器を内蔵した操縦可能なカテーテルをワイヤ上を橈骨動脈内に進めることができます。
【0043】
好ましい実施形態では、カテーテルは遠位端から約3cmから約15cmの位置に側孔を有し、必要に応じてその上に再密封シールがあり、拡張器にはカテーテル側孔と一列に並んだ傾斜部と側孔があります。使用中、ワイヤと拡張器が取り外され、1つ以上の血管拡張薬と1つ以上の血液希釈剤を含む「橈骨カクテル」がカテーテルの近位孔から少なくとも大部分は橈骨動脈に注入されます。次に、必要に応じて別のカテーテルとワイヤ上を、蛍光透視ガイド下でカテーテルを進めることができます。必要に応じて、カテーテルの1つ以上の操縦ゾーンの近位で内側カテーテルとワイヤを部分的にまたは完全に引き抜くことができ、操縦ゾーンを所望の形状に操縦して、カテーテルを所望の血管に導くことができます。
【0044】
1つの方法(技術)では、カテーテルを右橈骨動脈から大動脈弓に進め、その遠位端を下行大動脈に進めることができます。次に、カテーテルを操縦して移動させ、鎖骨下動脈の起始部にかみ合わせます。次に、内側カテーテルを、必要に応じてワイヤを介して椎骨動脈に選択的に進めることができます。カテーテルをさらに進める必要がある場合は、操縦用のコントローラを中立位置または別の必要な位置に配置し、カテーテルを内側カテーテルおよび/またはワイヤを介してさらに遠位に進めることができます。
【0045】
別の方法(技術)では、右橈骨動脈を介して導入されたカテーテルを大動脈弓に進めることができます。次に、カテーテルを操縦して移動させ、左総頸動脈の起始部にかみ合わせます。次に、内側カテーテルを、任意にワイヤを介して左内頸動脈または左外頸動脈に選択的に進めることができます。カテーテルをさらに進める必要がある場合は、操縦用のコントローラを中立位置または別の必要な位置に配置し、カテーテルを内側カテーテルおよび/またはワイヤを介してさらに遠位に進めることができます。
【0046】
別の方法(技術)では、右橈骨動脈を介して導入されたカテーテルを大動脈弓または腕頭動脈に進めることができます。次に、カテーテルを操縦して移動させ、牛の起源を持つ左総頸動脈の起源と係合させることができます。次に、内側カテーテルを、任意にワイヤを介して左内頸動脈または左外頸動脈に選択的に進めることができます。カテーテルをさらに進める必要がある場合は、操縦用のコントローラを中立位置または別の必要な位置に配置し、カテーテルを内側カテーテルおよび/またはワイヤを介してさらに遠位に進めることができます。
【0047】
別の方法(技術)では、右橈骨動脈を介して導入されたカテーテルを大動脈弓または腕頭動脈に進めることができます。次に、カテーテルを操作して移動させ、腕頭動脈から右総頸動脈の起始部に接触させることができます。次に、内側カテーテルを、選択でワイヤーを介して、右内頸動脈または右外頸動脈に選択的に進めることができます。カテーテルをさらに前進させる必要がある場合、操縦用コントローラを中立位置または別の所望の位置に配置し、カテーテルを内カテーテルおよび/または選択のワイヤを介してさらに遠位に前進させることもできます。
【0048】
別の方法(技術)では、右橈骨動脈を介して導入されたカテーテルを右鎖骨下動脈に前進させることができます。次に、内カテーテルを、選択でワイヤを介して右内頸動脈または右椎骨動脈に選択的に前進させることができます。カテーテルをさらに進める必要がある場合は、操縦用のコントローラを中立位置または別の必要な位置に配置し、カテーテルを内側カテーテルおよび/またはワイヤを介してさらに遠位に進めることができます。あるいは、カテーテルの遠位端を鎖骨下動脈から直接右椎骨動脈に直接操縦できる場合もあります。
【0049】
同様の技術を反対方向に使用して、左橈骨動脈アクセス部位から前脳血管にアクセスすることもできます。前脳動脈が選択されると、血管造影を行うことができます。必要に応じて、介入のために追加の装置を挿入することもできます。頭部のより遠位の超選択的アクセス、脳または他の循環のより遠位の血管系も得られ、介入を行うことができます。
【0050】
本発明の別の態様によれば、標的部位にカテーテルを挿入する方法が提供され、この方法は、以下のステップを含みます。
a)経皮アクセスを介して患者の血管に第1の長さを有する第1のワイヤを挿入します。
b)拡張器が配置されたカテーテルの遠位端を第1のワイヤの近位端に挿入します。
c)第1のワイヤの近位端が拡張器によってカテーテルの側孔から導かれるまで、カテーテルと拡張器を第1のワイヤ上で前進させます。
d)第1のワイヤを拡張器から近位に引き出すことによって取り外します。
e)カテーテルと拡張器の近位端に第2のワイヤを挿入し、カテーテルの遠位端から第2のワイヤを前進させます。第2のワイヤは、カテーテルの長さよりも長い第2の長さを有します。そして
f)カテーテルを2本目のワイヤに沿って標的部位まで進めます。
【0051】
いくつかの実施形態では、拡張器は、第1ワイヤをカテーテルの側孔に向けるための側方誘導ランプを有します。側方ランプは、カテーテルの側孔と位置合わせすることができます。いくつかの実施形態では、側孔は、例えばシールによって覆われています。この方法は、さらに、拡張器を取り外すステップを含むことができます。この方法は、「ラジアルカクテル」を注入するステップを含むことができます。いくつかの実施形態では、血管は橈骨動脈であります。
【0052】
本発明の別の態様によれば、標的部位にカテーテルを挿入する方法が提供され、この方法は、以下のステップを含みます。
a)経皮アクセスを介して橈骨動脈に第1の長さを有する第1ワイヤを患者の体内に挿入します。
b)第1ワイヤの近位端に、側孔を有するカテーテルの遠位端と、側孔に向けられた側方誘導ランプが配置された拡張器を挿入します。
c)第1ワイヤの近位端が拡張器によってカテーテルの側孔から誘導されるまで、カテーテルと拡張器を第1ワイヤ上で前進させます。
d)第1のワイヤを拡張器から近位に引き出すことによって取り外します。
e)拡張器を取り外します。
f)カテーテルの近位端を通る第2ワイヤを介して第2内部カテーテルを挿入し、第2ワイヤおよび第2カテーテルの遠位セグメントをカテーテルの遠位端から前進させます。第2ワイヤは、第1ワイヤの第1長さよりも長い第2長さを有し、カテーテルの長さよりも長く、第2カテーテルはカテーテルの長さよりも長い長さを有します。
g)カテーテルを第2ワイヤおよび第2カテーテルを介して目標部位まで前進させます。
【0053】
この方法は、「ラジアルカクテル」を注入するステップを含むことができます。いくつかの実施形態では、側孔は覆われ、例えばシールされます。
【0054】
本明細書に記載の方法では、挿入されるカテーテルは少なくとも1つのステアリングゾーンを持つことができます。少なくとも1つのステアリングゾーンは、少なくとも2つのアクティブステアリングゾーンを含むことができ、カテーテルはさらに、少なくとも2つの独立したコントローラを備え、各コントローラは、カテーテルの近位端付近の独立したステアリングゾーンをターゲットサイトまで操作します。一部の実施形態では、操縦可能なカテーテルを使用するこれらの方法は、以下の1つ以上のステップを含むことができます。
a)カテーテルとワイヤを目的のステアリングゾーン付近で引き抜きます。
b)コントローラを調整して、カテーテルを目的の形状と位置に操縦します。および/または
c)カテーテルの近位端付近の少なくとも1つのコントローラを操作することにより、カテーテルを目的の形状と位置にアクティブに操縦します。
【0055】
ここに記載されている方法では、操舵可能または非操舵可能なカテーテルを利用する場合、方法は以下のいずれかのステップを含むことができます:
a)前記第2のカテーテルを第2のワイヤ上でより遠位のターゲットサイトまで前進させます。ターゲットサイトは、選択で前脳血管または脳血管であります。
b)第2の内側カテーテルと第2のワイヤをさらに遠位に前進させます。
c)カテーテルをさらに前進させます。
d)第2カテーテルおよび/または第2ワイヤを除去します。および/または
e)カテーテルを通して追加の装置(カテーテル、ワイヤ、介入装置などを含みます)を、より遠位の標的部位まで進めます。より遠位の標的部位の例には、前脳血管または脳血管が含まれます。
【0056】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるさまざまなシステムおよび方法の拡張器にはランプが含まれ、ワイヤの近位端はランプを介して側孔から導かれ、ランプはカテーテルの側孔に隣接して配置されます。いくつかの実施形態では、カバーは、そこからの漏れを減らすためのシールを提供し、第1ワイヤはシールに押し付けられ、シールが側孔を通って外側に伸びるように移動します。いくつかの実施形態では、シールは、漏れを減らすための閉じた位置と開いた位置との間で移動可能なフラップを含み、フラップは、カテーテルの内腔から外側に伸びる第1ワイヤによって開いた位置に移動可能であります。
【0057】
本明細書に開示される方法は、拡張器を除去するステップと、第2ワイヤおよび/または第2カテーテルを除去するステップをさらに含むことができます。本明細書に開示された方法は、針を経皮的に動脈に挿入し、次いでワイヤを所定の位置に残したまま針を除去する最初のステップを含み得ります。
【0058】
他の利点の中でも、本発明の迅速な交換により、迅速な交換ワイヤが通過するための別のルーメンの必要性が実質的になくなり、カテーテルの主ルーメンの直径が最大化されます。これには多くの利点があります。例えば、流速は半径の4乗(ポアズイユの法則)に反比例するため、これらの迅速交換カテーテルの流速は大幅に増加します。これにより、吸引カテーテルの吸引率も向上します。
【0059】
本発明の方法および装置は、さまざまな手順で使用できます。例えば、頸動脈アクセスに使用すると、解剖学的に困難な状況での経皮頸動脈アクセスの容易さが向上し、これらの経皮アプローチのリスクが軽減されます。経大腿経路による右頸動脈アクセスに最適化された本発明のカテーテルは、通常、左頸動脈アクセスに最適化された対応するカテーテルよりも、大動脈の小弓に載るセグメントが長くなります。本発明の実施形態には、経大腿および腕アクセス弓支点カテーテルが含まれます。カテーテルは、必要に応じて、それぞれの屈曲部のアクティブな操縦性を備えていてもよく、これはカテーテルの壁にあるワイヤによって提供され、軸方向に間隔を置いた一連の屈曲ゾーンを提供します。このようなアーチ支点カテーテルの例は、米国特許第10,258,371号および出願中の米国特許出願番号17/279,210、2021年3月24日出願(公開番号2021/0307892)および米国特許出願番号17/423,502、2021年7月16日出願(公開番号2022/0118219)に記載されており、その全内容は参照により本明細書に組み込まれます。
【0060】
本発明の別の態様によれば、2つの独立した操縦ゾーンを有するカテーテルの経皮橈骨動脈アクセスを得る方法が提供される:
a.針の先端が橈骨動脈の内腔内に入るように、橈骨動脈の上にある患者の皮膚を通して針を橈骨動脈まで経皮的に進める工程;
b.ワイヤを針を通して橈骨動脈に進めて、ワイヤの遠位端がより近位の橈骨動脈内にあり、ワイヤの近位端が患者の外側かつ針の近位端の外側にあるようにします;
c.針を抜きます;
d.遠位テーパーとルーメンを有する拡張器を前進させ、ルーメンは拡張器の遠位端の中央に位置し、約1cmから約40cmの距離にわたってほぼ直線的に進み、その後、ルーメンはランプを介してワイヤ上の側孔に向けられ、拡張器の遠位端が橈骨動脈内に入り、ワイヤの近位端が側孔から突出し、側孔と近位ワイヤの両方が患者の体外に残るまで前進させます;
e.ワイヤを取り外します;
f.拡張器上で少なくとも2つの独立したステアリングゾーンを有するカテーテルを前進させ、それによってカテーテルの遠位端を橈骨動脈内に配置させます(図38を参照);および
g.拡張器を取り外します。
【0061】
いくつかの実施形態では、患者の皮膚を通して針を経皮的に進めるステップは、針を引き戻す前に、針を橈骨動脈の両方の壁を通して進めます。いくつかの実施形態では、患者の皮膚を通して針を経皮的に前進させるステップは、超音波下で針を前進させることを含みます。いくつかの実施形態では、患者の皮膚を通して針を経皮的に前進させるステップは、放射線誘導下で針を前進させることを含みます。いくつかの実施形態では、この方法は、臨床的に重大な動脈血管痙攣の発生率を低減するために血管拡張薬を注入するステップを含みます。
【0062】
本発明の別の態様によれば、経皮的右橈骨動脈アクセスを介して左鎖骨下動脈から生じる左椎骨動脈にカテーテルを挿入する方法が提供され、この方法は、
a)経皮的アクセス技術を利用して、少なくとも2つの独立したステアリングゾーンを有するプライマリカテーテルをカテーテルの遠位端の近くに配置し、少なくとも2つの独立したステアリングゾーンには、長さが約30mmから約150mmに及ぶ近位ステアリングゾーンと、カテーテルの最遠位端から少なくとも約20mm離れた位置に配置された近位ステアリングゾーンの遠位端が含まれ、近位ステアリングゾーンは、約30mmから約100mmの回転直径で最大約230度まで偏向するように構成され、カテーテルは、遠位端が右橈骨動脈内にあるように、右橈骨動脈の上に横たわる患者の皮膚を通して経皮的に挿入されます。
b)プライマリカテーテルの遠位端を右橈骨動脈、右上腕動脈、右腋窩動脈、右鎖骨下動脈および鎖骨下動脈を通して患者の大動脈弓まで進めます(例えば、図39を参照)。
c)カテーテルの近位操縦ゾーンの中間点より近位のプライマリカテーテル内に配置された細長い部材を引き抜きます;
d)近位操縦ゾーンを約140度から約230度の間で偏向させ、プライマリカテーテルの遠位端を近位左鎖骨下動脈に操縦します;
e)細長い部材の遠位端を左鎖骨下動脈に前進させ、続いて左椎骨動脈に前進させます(例えば、図38を参照)。
【0063】
いくつかの実施形態では、カテーテルは蛍光透視ガイド下で挿入されます。いくつかの実施形態では、主カテーテルはワイヤ上で前進されます。いくつかの実施形態では、主カテーテルは第2のカテーテル上で前進されます。いくつかの実施形態では、細長い部材は内側ワイヤを含むことができ、他の実施形態では、細長い部材は内側二次カテーテルを含むことができます。
【0064】
いくつかの実施形態では、細長い部材は近位ステアリングゾーンの近位側に完全に引き抜かれます。いくつかの実施形態では、細長い部材は主カテーテルから完全に引き抜かれます。
【0065】
いくつかの実施形態では、細長い部材はワイヤ上で前進されます。
【0066】
本発明の別の態様によれば、大動脈弓から生じる左総頸動脈から生じる左内頸動脈に経皮右橈骨動脈アクセスを介してカテーテルを挿入する方法が提供され、この方法は、以下のステップを含みます:
a.経皮アクセス技術を利用して、少なくとも2つの独立したステアリングゾーンを有する三次カテーテルをカテーテルの遠位端近くに配置し、少なくとも2つのステアリングゾーンには遠位ステアリングゾーンと近位ステアリングゾーンが含まれ、遠位ステアリングゾーンの長さは約20mm~約90mmであり、遠位ステアリングゾーンの遠位端はカテーテルの最遠位端から0~約20mm離れた位置に配置され、遠位ステアリングゾーンは、回転直径が約15mm~約60mmで最大約270度偏向するように構成され、カテーテルは右橈骨動脈の上にある皮膚を通して経皮的に挿入され、遠位端は右橈骨動脈内にあります。
b.第三カテーテルの遠位端を細長い部材上で右橈骨動脈、右上腕動脈、右腋窩動脈、右鎖骨下動脈および無名動脈を通って患者の大動脈弓まで前進させます(例えば、図40を参照)。
c.細長い部材を近位操縦ゾーンの中間点の近位で引き抜きます。
d.遠位操縦ゾーンを約140度から約200度の間で偏向させ、第三カテーテルの遠位端を近位左総頸動脈まで操縦します(例えば、図40を参照)。
e.細長い部材の遠位端を左総頸動脈まで前進させ、続いて左内頸動脈まで前進させます。
【0067】
いくつかの実施形態では、カテーテルは蛍光透視ガイド下で挿入されます。いくつかの実施形態では、主カテーテルはワイヤ上で前進されます。いくつかの実施形態では、主カテーテルは第2のカテーテル上で前進されます。いくつかの実施形態では、細長い部材は内側ワイヤを含むことができ、他の実施形態では、細長い部材は内側二次カテーテルを含むことができます。
【0068】
いくつかの実施形態では、細長い部材は近位ステアリングゾーンの近位側に完全に引き抜かれます。いくつかの実施形態では、細長い部材は主カテーテルから完全に引き抜かれます。
【0069】
いくつかの実施形態では細長い部材はワイヤ上で前進されます。
【0070】
本明細書に記載の装置は、一部の実施形態では、片側経皮橈骨動脈または他の腕血管アクセスを介して、大脳前部および大脳血管系の病変にアクセスし、画像化し、治療するのに特に有用であるように設計されています。それにもかかわらず、本明細書に記載の装置および方法は、腕の血管および/または他の場所からのアクセスを介して、体の他の部分での処置も容易にし、また、他のアクセス部位を介して、脳前部および脳血管へのアクセス、画像化および治療も容易にすることができます。
【0071】
本明細書に記載の装置は、他のアクセス部位を介してだけでなく、経静脈的に行われる処置にも使用することができます。
【図面の簡単な説明】
【0072】
本発明の好ましい実施形態は、図面を参照して以下の通り説明されます。
図1A図1Aは、本発明の方法の一実施形態に従って短いワイヤを用いた放射状アクセスを示す平面図でありま。
図1B図1Bは、本発明の方法の別の実施形態に従って短いワイヤを用いた大腿骨へのアクセスを示す平面図であります。
図2A図2Aは、図1Aのラジアルアクセス法に従って、短いワイヤの近位端に挿入されたカテーテルと拡張器を示す平面図であります。
図2B図2Bは、図1Bの大腿部アクセス法に従って、短いワイヤの近位端に挿入されたカテーテルと拡張器を示す平面図であります。
図3図3は、図2Aのカテーテルおよび拡張器を示す断面図であります。短いワイヤの近位端に挿入されます。
図4A図4Aは、図3と同様の断面図であります。カテーテルの側孔(迅速交換ポート)から短いワイヤが伸びている様子を示します。
図4B図4Bは、図4Aと同様の断面図です。短いワイヤが拡張器とカテーテルから引き抜かれているところを示しています。
図5図5は、図4と同様の断面図であります。カテーテルから完全に取り外された短いワイヤを示しています。
図6図6は、図5と同様の断面図であります。拡張器の内腔を通して挿入されたガイドワイヤを示します。
図7図7は、図6と同様の断面図であります。カテーテルと拡張器がガイドワイヤ上を前進し、拡張器がガイドワイヤの遠位端を超えて伸びているところを示しています。
図8図8は、図7と同様の断面図であります。拡張器とカテーテルからガイドワイヤが取り外された状態を示しています。
図9図9は、図8と同様の断面図であります。カテーテルから拡張器を取り外した状態を示します。
図10A図10Aは、図9と同様の断面図であります。カテーテルの内腔を通して挿入された装置を示します。
図10B図10Bは、図10Aと同様の断面図です。装置内を延びるワイヤを示しています。
図10C図10Cは、図10Aと同様の断面図であります。カテーテルの操縦を可能にするためにワイヤと装置が部分的に引き出された状態を示しています。
図11図11は、2つのセグメントを連結するチューブを有する本発明のカテーテルの一実施形態の側面斜視図であります。
図12図12は、図11のカテーテルの側面図であります。弾性材料で覆われたサイドポート(穴)と、サイドホールを通って延びる短いワイヤを示します。
図13図13は、内部チューブを有する本発明のカテーテルの代替実施形態の側面斜視図であります。
図14図14は、図13のカテーテルの断面図であります。カテーテルのサイドポート(穴)を通って伸びる短いワイヤを示します。
図15図15は、サイドポート用の機械的シールを備えた本発明のカテーテルの代替実施形態の側面斜視図であります。
図16図16は、図15のカテーテルの側面図であります。カテーテルのサイドポートを通って伸びる短いワイヤを示します。
図17図17は、サイドポートを密閉するためのフラップを備えた本発明のカテーテルの代替実施形態の側面斜視図であります。
図18図18は、図17のカテーテルの側面図であります。カテーテルのサイドポートを通って伸びる短いワイヤを示します。
図19図19は、カテーテルの内側ライナーにサイドポートを密閉するためのフラップが形成された本発明のカテーテルの代替実施形態の側面斜視図であります。
図20図20は、図19のカテーテルの側面透視図であります。カテーテルのサイドポートを通って伸びる短いワイヤを示します。
図21図21は、リングに取り付けられたフラップを有する本発明のカテーテルの代替実施形態の側面透視図であります。
図22図22は、図21のカテーテルの側面透視図であります。カテーテルのサイドポートを通って伸びる短いワイヤを示します。
図23図23は、近位ルアーロック、近位ステアリングゾーンを制御する近位ホイールを備えたハンドル、および遠位ステアリングゾーンを制御する遠位ホイールを備えた本発明のカテーテルの一実施形態の側面図であります。
図24図24は、本発明のカテーテルの遠位および近位偏向(ステアリング)ゾーンを有する側面図であります。
図25図25は、図24のカテーテルの偏向を示す側面図であります。
図26図26は、図24のカテーテルの横断面図であります。
図27図27は、本発明のカテーテルの代替実施形態の横断面図であります。
図28図28は、本発明のカテーテルの代替実施形態の横断面図であります。
図29図29は、本発明のカテーテルの代替実施形態の横断面図であります。
図30図30は、本発明の一実施形態に従ってカテーテルの壁内に配置されたプルリング(プルワイヤは図示せず)を示す横断面図であります。
図31図31は、本発明のプルリングの別の実施形態を示す横断面図であります。
図32図32は、本発明のカテーテルの実施形態の遠位領域の側面透視図であり、近位プルリングを示しています。
図33図33は、図32のカテーテルの横断面図であります。
図34図34は、図33のA-A線に沿った断面図であります。
図35図35は、本発明の拡張器の代替実施形態の側面図であります。
図36図36は、本発明の拡張器の代替実施形態の側面図であります。
図37図37は、本発明の拡張器の代替実施形態の側面図であります。
図38図38は、本発明の操縦可能なカテーテルを拡張器を介して橈骨動脈に挿入する様子を示します。
図39図39は、本発明の操縦可能なカテーテルを左椎骨動脈に挿入する様子を示します。
図40図40は、本発明の操縦可能なカテーテルを左内頸動脈に挿入する様子を示します。
【発明を実施するための形態】
【0073】
ここで、同様の参照番号が同様の構造、要素、および特徴を示す図面を参照して、現在開示されているシステム、装置、および方法のさまざまな実施形態について説明します。
【0074】
ここで使用されている用語「近位」は、カテーテル、拡張器、器具などのユーザーに近い領域または部分を示し、「遠位」は、ユーザーから遠い領域または部分を示すことに留意されたいです。
【0075】
図1~12は、本発明の迅速交換シールの使用方法を示す。図13~22は、本発明の迅速交換シールのさまざまな実施形態を示します。図23~34は、本発明の操縦可能(偏向可能)カテーテルのさまざまな実施形態を示します。
【0076】
本発明は、いくつかの実施形態において、カテーテルの壁の側部開口部として形成された迅速交換ポートを提供し、流体の流出を防ぐ、または少なくとも流出を減らすためのシールを備えます。シールは、ポートを通って延びるワイヤによって移動することができます。側面開口部は、典型的にはカテーテルの遠位端穴から約10cmから約20cm以内にあるが、他の場所にあることも可能であります。
【0077】
本発明は、いくつかの実施形態において、a)急速交換ポートを備えたカテーテルと、b)急速交換ポートを通してワイヤをカテーテルの外に向け直すワイヤ誘導構造を備えた拡張器とを含むシステムも提供します。急速交換ポートは、拡張器がワイヤ上を前進するとワイヤによって邪魔にならないように、すなわち開いた位置に移動されるシールを含むことが好ましいです。ワイヤがない場合、ポートからの漏れを減らすためにシールは閉じた位置にあることが好ましいです。
【0078】
図示の実施形態において、ワイヤ誘導構造は拡張器内に内部ランプを含みます拡張器は急速交換カテーテル内に配置され、ランプは急速交換ポートと一列に並び、拡張器(外側に同心円状に配置されたカテーテルを含む)が短いワイヤ上を前進すると、短いワイヤはランプによって拡張器の外に向け直され、シールをわずかにずらしてシールを通り抜け、カテーテルのポートから出ることができます。これについては、以下でさらに詳しく説明します。本発明の利点の1つは、特定の場合、血管系への最初のアクセスを得るために別のイントロデューサシースを使用する必要がないことです。これは、使用方法に関する以下の詳細な説明で理解できます。
【0079】
他の利点の中でも、本発明の迅速交換カテーテルは、迅速交換ワイヤが通過するための別のルーメンの必要性を実質的に排除し、それによってカテーテルの主要ルーメンの直径を最大化します。これには多くの利点があります。例えば、流速は半径の4乗(ポアズイユの法則)に反比例するため、これらの迅速交換カテーテルの流速は大幅に増加します。これにより、吸引カテーテルの吸引率も向上します。
【0080】
本発明の迅速交換ポートは、柔軟なカテーテルに提供できます。これはまた、操縦可能なカテーテル上に提供することもでき、その場合、カテーテルは、様々な角度で曲げることができる複数の受動的または能動的曲げ部を備えたカテーテルを開示する、2021年3月24日に出願された係属中の米国特許出願第17/279,210号、(公開番号2021/0307892)およびカテーテルの壁に組み込むことができる複数のセグメントおよび複数のプルワイヤを含むカテーテルを開示する、2021年3月24日に出願された米国特許出願第17/210,778号、(公開番号2021/0236257)に開示されている操縦可能ゾーンなどの、長手方向軸に沿った複数の操縦可能ゾーンを有します。米国特許出願第17/210,778号に開示されたカテーテルには、複数の非アクティブ(受動)セグメントと、接続点で複数のプルワイヤに接続され、カテーテルの縦軸に沿って間隔をあけて配置された曲げ部を定義する複数のアクティブ(操縦可能、偏向可能、関節可動)セグメントとが含まれる。非アクティブセグメントとアクティブセグメントは、カテーテルが非アクティブセグメントとアクティブセグメントの間で交互になるように、交互に配置されます。各アクティブセグメントは、対応する(単一の)プルワイヤに接続されており、プルワイヤの数はアクティブセグメントの数に対応しています。各プルワイヤに軸方向(引っ張り)力を加えると、対応するアクティブセグメントが偏向(関節運動)し、カテーテルが(一般的に)直線構成を含む第1(初期、通常)構成と、カテーテルが非直線構成を含む第2(後続、偏向)構成との間でカテーテルを再構成(アクティブに操縦)します。曲げは、実質的に約0度から約270度の範囲内にあります。高速交換ポートを備えたカテーテルは、プッシュワイヤを含むこともでき、プッシュワイヤでは(引っ張るのではなく)偏向が起こり、ニュートラル位置では、押すか引っ張るかによって反対方向に偏向が起こります。迅速交換ポートを備えたカテーテルには、2021年3月26日に出願された米国特許出願第17/214,021号(公開番号2021/0259860)に係属中のように、カテーテルを回転させるための回転ワイヤも含まれる場合があります。
【0081】
米国特許出願第17/279,210号、第17/210,778号、および第17/214,021号の全内容は参照により本明細書に組み込まれており、操縦可能/曲げ領域、プルワイヤ、接続ポイントなどは、本明細書に開示されたカテーテルに完全に適用可能であります。
【0082】
本発明の迅速交換ポートは、本明細書に開示されている操縦可能(偏向可能)カテーテルと共に使用することもできます。
【0083】
図23は、本発明の操縦可能カテーテルの実施形態を示します。カテーテル200には、近位端にハンドル201が取り付けられています。近位ホイール202は近位操縦可能セグメント(近位操縦ゾーン)を制御し、遠位ホイール203は別個の(独立した)遠位操縦セグメント(遠位操縦ゾーン)を制御します。カテーテルは、ケーシング204内に少なくとも1つのギアと、カテーテル200の壁内に実質的に延び、独立したギアによって制御される近位アタッチメントから延びる各操縦ゾーン用の少なくとも1つのワイヤとを含み、各独立したギアは独立したホイール(例えば、ホイール202またはホイール203)によって制御されます。したがって、各ワイヤはギアに作動的に接続されており、それぞれのホイールがギアを所望の方向に回転させて特定のワイヤを引っ張ったり押したりすることでワイヤを短くしたり長くしたりすることで、操縦可能なセグメントの操縦を制御します。カテーテル200は、近位端にルアーロック205を備えることもできます。カテーテル200は、少なくとも1つの迅速交換側穴(図示せず)を備えていてもよく、この穴は、本明細書に開示されているように、シールポートを介して部分的にまたは完全に再密封可能であってもよいです。
【0084】
図24は、2つの独立した操縦ゾーンを備えた本発明のカテーテルの代替実施形態を示しています。遠位偏向(操縦)ゾーンZ1は、最遠位端222と最近位端224を有し、ゾーンZ1の近位にある近位偏向(操縦)ゾーンZ2は、最近位端228と最遠位端226(遠位ゾーンZ1の近位端224にある)を有します。各ゾーンZ1、Z2は、ホイール、レバー、またはその他の機構によって独立して偏向/操縦可能であります。カテーテル220の遠位端は、参照番号230で示されます。
【0085】
偏向ゾーンZ1、Z2は、さまざまな長さを有することができます。一例では、遠位偏向ゾーンZ1は約20mmから約90mmまでの長さ、より具体的には約50mmの長さを有し、近位偏向ゾーンZ2は約30mmから約150mmまでの長さ、より具体的には約75mm(最も遠位のプルリングの位置から75mm)の長さを有することができます。好ましい実施形態では、近位偏向ゾーンZ2は遠位偏向ゾーンZ1よりも長く、そのため近位回転直径は遠位回転直径よりも大きいです。
【0086】
近位偏向ゾーンZ2は、カテーテル220の最遠位端230から約5mmから約95mm離れたところで終わるのが好ましく、最遠位端230から少なくとも20mm離れたところで終わるのがより好ましいます。遠位ゾーンZ1は、カテーテル220の最遠位端230から少なくとも20mm離れたところで終わるのが好ましく、あるいは最遠位の先端で終わることもできます。
【0087】
上記の寸法は例として提供されており、遠位ゾーンおよび近位ゾーンの他の寸法、およびカテーテルの遠位端からの他の距離も考慮される点に留意されたいです 一部の実施形態では、近位ゾーンZ2は遠位偏向ゾーンZ1と部分的に重なり合うことができるが、好ましい実施形態では重なり合わないことに留意されたいです。
【0088】
図25は、遠位ゾーンが2つの反対方向、たとえば図24の方向から上または下に偏向できる実施形態を示しています。示されている偏向半径は、近位偏向で約55mm、遠位偏向で約35mmを示しています。理解できるように、近位偏向ゾーンは第1の方向、たとえば右方向に偏向し、遠位偏向ゾーンは遠位方向に偏向して、図25の構成を形成します。理解できるように、これは、他の構成も考慮されるため、2つの偏向ゾーンで実現できる偏向カテーテル構成の一例を提供します。図 25では、近位偏向は約180度ですが、好ましい実施形態では、近位偏向は最大230度にすることができます。遠位偏向は最大270度にすることができます。他の偏向度も考慮されます。
【0089】
一部の実施形態では、2つのゾーンのステアリング方向は、実質的に反対方向です。他の好ましい実施形態では、2つのゾーンにおける操縦方向は同じ方向、例えば、実質的に+/-40度であり、2つの偏向ゾーンのプルワイヤ(またはプッシュワイヤ)は、近位偏向ゾーンの遠位端から近位方向にかけてカテーテルの長さの大部分の壁内で実質的に並んでいます。図25に示す「拡張機能」の実施形態では、遠位偏向ゾーンは、近位偏向ゾーンの主な偏向方向と実質的に反対の方向にも偏向できるため、「拡張機能」カテーテルの遠位偏向ゾーンは、互いに実質的に反対の2つの異なる方向に偏向できます。好ましい実施形態では、これは、カテーテルの壁に配置され、遠位偏向ゾーンの「プライマリ」ワイヤの反対側に位置する「プライマリ」ワイヤ(断面が180度であることが好ましいが、+/-40度でもよい)に加えて、別のワイヤ(プルワイヤまたはプッシュワイヤの形態をとることができる「セカンダリワイヤ」)によって実現されます。
【0090】
好ましい実施形態では、すべてのワイヤは、「偏向ゾーン」の遠位端に取り付けられ、ワイヤを引っ張るハンドルに「引っ張り機構」を備えることによって偏向を実現します。偏向ゾーンの近位端は、偏向ゾーンと、偏向ゾーンの近位にあるカテーテルの隣接領域との間の壁構成(剛性など)の変化によって決まります。
【0091】
好ましい実施形態では、各ワイヤを引っ張って偏向させます。ワイヤを引っ張ると、ワイヤが引っ張られる(または短くなる)と、最初はワイヤの方向に偏向します。ただし、代替実施形態では、各ワイヤを押して反対の偏向、つまり最初はワイヤと反対の方向に偏向させることもできます。このような実施形態では、ハンドルにはワイヤを押すための機構があります。
【0092】
好ましい実施形態では、反対の牽引ワイヤも提供され、必要に応じて遠位偏向ゾーンを反対方向に偏向させます。
【0093】
さまざまな寸法の引っ張りワイヤを利用できます。一例として、一実施形態では、プルワイヤは、約0.002インチ×約0.004インチ(インチ)または約0.002インチ×約0.006インチ(インチ)の寸法の楕円形構成を有し、ワイヤは、図26に示すように、カテーテルの壁に埋め込まれ、外径(外壁)は約0.1114インチ、内壁径は約0.0940インチで、約0.0840インチのルーメンを形成します。寸法は例として提供されており、他のワイヤおよびカテーテルの壁/ルーメンの寸法も考慮されることに注意してください。
【0094】
図27~29は、本発明のステアリング機構のさまざまな実施形態の横断面図を示しています。図27では、ハンドルと近位プルリングの間のカテーテルのセグメントを通る横断面図に、カテーテルの壁252内に実質的に配置され、実質的に並んでいる2本のプルワイヤ254、256が示されており、これらは独立して動作し、2つの異なる偏向ゾーンを実質的に同様の初期偏向方向に偏向させます。ワイヤの1本(たとえばワイヤ254)は、遠位ゾーンを偏向させるために遠位リングに接続するために、もう1本のワイヤ256よりも長く伸びます。ワイヤ256は近位プルリングに接続されます。また、反対側のカテーテルの壁にほぼ配置された単一のワイヤ258も提供され、これは遠位プルリングに挿入され、引っ張られると、ワイヤ254(およびワイヤ256)の初期偏向方向とほぼ反対の方向に遠位偏向ゾーンを偏向させます。したがって、この実施形態では、遠位偏向ゾーンは、反対に配置された2本のワイヤにより双方向であり、近位偏向ゾーンは、単一のワイヤにより一方向です。ハンドルと近位プルリングの間の横断面を示す図28の実施形態では、2本のプルワイヤ264、266がカテーテルの壁262にほぼ並んで配置され、2つの異なる偏向ゾーンをほぼ同様の初期偏向方向に偏向させるように独立して機能します。図29の実施形態では、近位プルリングと遠位プルリングとの間の横断面を示しており、ワイヤ274、276は両方ともカテーテルの壁272の反対側にほぼ配置され、遠位プルリングに挿入され、遠位プルリングに取り付けられています。各ワイヤ274、276が引っ張られると、遠位偏向ゾーンに偏向が生じ、それぞれのワイヤは、初期偏向時に互いにほぼ反対方向に偏向します。
【0095】
ワイヤは、例えば図32~34に示すように、プルリングに取り付けることができます。カテーテル280には、近位プルリング284に取り付けられたプルワイヤ286があります。プルワイヤは、外側に取り付けることも、リングに挿入して取り付けることもできます。シャフトには、外側のPebax(または他の材料)ジャケット281、編組282、および内側のライナー288が含まれます。図示のように、プルワイヤ286はカテーテルの縦軸からオフセットされており、プルリング284を越えて遠位方向に延びることができます。各偏向ゾーンには、偏向ゾーンの遠位端に独立したプルリングが別個に備わっています。プルワイヤはプルリングに取り付けられて偏向をもたらします。
【0096】
プルリングは、図30のカテーテル295のプルリング296のようにカテーテルの壁に埋め込まれます。(プルワイヤは図30には示されていません)。プルリングは、図30に示すように、円形などの閉じた形状にすることも、図31のカテーテル298のプルリング297のように隙間がある開いた形状にすることもできます。(プルワイヤは図31には示されていません)。開いた形状は、図31のC字型やU字型など、さまざまな形状のプルリングを提供することができます。ギャップのあるプルリングを使用すると、遠位偏向リングに取り付けられた反対側のワイヤが、リングの内側または外側ではなく、ギャップを介して近位リングを横断することができ、それによって近位プルリングのこのセグメントの壁厚を最小限に抑えることができ、カテーテルの所定の外径に対して内径を最大化することができます。つまり、カテーテルの壁の全体の厚さを制限しながら、ワイヤをカテーテルの壁から出させることができます。
【0097】
カテーテルは、図23の例に示すように、カテーテルの近位部分を囲む単一のハンドルを「インライン」で備えることができ、カテーテルの近位端はハンドルの近位で終わります。別の実施形態では、ハンドルは側面の「分岐」にあります(つまり、カテーテルの近位端の近くで「Y」の一部を形成します)。
【0098】
各偏向ゾーンには、独自の独立したステアリング機構があるのが望ましいです。この機構は、「ホイールのような」装置、レバー、またはステアリングワイヤを制御するための他の機構にすることができます。
【0099】
いくつかの実施形態では、ハンドルには螺旋状の溝および/または滑車またはその他の機構があり、これにより、より長い距離のワイヤが所定の長さのハンドルを横切ることができるため、より短いハンドルでより長い長さのワイヤを引っ張ることができます。
【0100】
いくつかの実施形態では、ワイヤは、ステアリング機構が作動するとワイヤを前方または後方に動かすハンドル内のねじ付きギアに直接的または間接的に取り付けられます。
【0101】
いくつかの実施形態では、ステアリング機構は、所定の偏向位置で所定の位置に「ロック」することができます。ロックは、移動機構の張力、ねじ付きギアの位置、ラチェットなどの自動機構を介して自動的に行うことができます。あるいは、ロックには、ユーザーが開始するアクティブなロックが必要になる場合もあります。
【0102】
上で説明したように、プルワイヤの代わりにプッシュワイヤを使用して偏向を行うことができます。他の実施形態では、ワイヤは、一方向に偏向するために押され、反対方向に偏向するために引かれる中立位置を持つことができます。さらに、ワイヤの代わりにロッドまたはその他の細長い部材を使用することができます。
【0103】
本明細書で開示される操縦可能なカテーテルは、例えばカテーテルの遠位端から約30cm以内、好ましくは約5cmから約15cmの間に遠位側孔を含むことができます。側孔は、以下に詳細に開示されるように、ワイヤを通過させるが、実質的に流体を透過しない「自動シール」カバーまたはその他のタイプのシール機能を有することができます(一部の実施形態では、わずかな漏れ率が許容されます)。本明細書で開示される操縦可能なカテーテルは、本明細書で開示される拡張器とともに使用することができます。
【0104】
好ましい実施形態では、本発明の迅速交換ポートは、任意で自己シールであり、通常位置では漏れを減らすか完全に防止するために閉じられているが、代替実施形態では、選択的に、例えば手動または他の手段で、開閉することができます。シールされたポートは、シールが存在しない場合、流体が側ポートから出るのを実質的に防止するため、流体の注入を有利に容易にします。また、カテーテルの内腔を通って前進する際に器具がサイドポートを通過する可能性が低くなるため、カテーテルを介した器具の挿入も容易になります。
【0105】
挿入方法の詳細に移る前に、まず、ラピッドエクスチェンジシールのさまざまな実施形態について説明します。カテーテル内には、例えば図4Aに示されているように、内部拡張器が備えられていることに注意してください。前述のように、内部拡張器には、ワイヤをラピッドエクスチェンジポートとシールの方向に向けるワイヤ誘導構造、例えばランプがあります。このワイヤの傾斜については、挿入方法と併せて以下でさらに詳しく説明しますが、本発明のさまざまなシール構造の説明の冒頭で、短いワイヤの近位端が傾斜に接触し、その後、縦軸からサイドポートに向かって押し出され、シールが邪魔にならないように押し出されて、たとえば図4Aに示すように、サイドポートから出ることができることを理解する必要があります。
【0106】
ここで、様々なシール構造、まず図11および12の実施形態に目を向けると、カテーテル100は、近位端112、遠位端114、および高速交換領域116を有します。図示の実施形態では、近位端112は編組113で構成され、遠位端114はコイル115で構成されます。コイル115は、遠位領域に柔軟性を与えて曲がりくねった血管系を通り抜けやすくし、編組は剛性を高めて血管系への挿入/前進を助けます。コイルは可変ピッチを持つことができ、操縦性のために様々な曲げゾーンを提供することができます。高速交換領域116には、側壁に細長い側部開口部または側部ポート122を備えたチューブ118が含まれます。「側部ポート」、「側部開口部」、および「側部穴」という用語は、本明細書で開示される様々なカテーテルの側壁の開口部を示すために、本明細書では互換的に使用されることに留意されたいです。
【0107】
チューブ118は、編組113とコイル115を接続し、チューブ118の近位端118aは編組112の外径上に配置され、チューブ118の遠位端118bは、図示のようにコイル115の外径上に配置されます。弾性スリーブ124は、チューブ118上に配置され、側面開口部122を覆ってシールを形成します。短いワイヤ130は、ワイヤ130がカテーテル100の縦軸から外側に向けられ、内部拡張器のガイド面(ここでは方向転換面または偏向面とも呼ばれる)、たとえば内部ランプによって開口部122から出るときに、弾性スリーブ124の一部を押しのけてポート122から出る。詳細は以下で説明します。このような動きにより、シールが閉じた位置から開き、短いワイヤ130が外に出るようになります。
【0108】
図13および14に示されるように、代替バージョンによると、カテーテル140は、カテーテルの内腔内に短いチューブ144を有します。チューブ144は、迅速交換側ポートを提供するカテーテル140の側壁の切り欠き(開口部)148に隣接して配置されます。チューブ144は、壁内に埋め込まれたコイルを有することができます。チューブ144は、カテーテル140の側部ポートと位置合わせされた側部開口部を有します。チューブ144は、シールを形成するために開口部上に配置された弾性膜146を含むことができます。図14に示すように、短いワイヤ130は、チューブ144の膜146を邪魔にならないように動かしてシールを閉位置から開くときに、開口部148から(拡張器の方向転換面により)伸びます。チューブをカテーテルの内径内に配置することにより、カテーテル140の外径は増加しません。代替実施形態のチューブは、図12のチューブ118のようなコネクタを形成することができ、カテーテルの2つの部分を接続します。
【0109】
本発明の代替実施形態では、カテーテルの急速交換ポート上に、密閉位置とより開いた位置との間で移動可能な機械式フラップが設けられます。機械式フラップの一例は、図15および図16のカテーテル150に示されており、バルブ(シール)152には、外側スリーブ156に接続するためのコネクタ154が設けられています。図示されるように、コネクタは、一端が弁(シール)152から近位方向に延在し、他端がスリーブ156の壁159の開口部158を通って延在する細いロッドの形態とすることができます。短いワイヤ130は図16に示され、フラップ152を邪魔にならないように動かす、すなわちフラップを開いた位置に移動させると、バルブ152を越えてカテーテル150の急速交換ポートから出ます。短いワイヤ130は、本明細書で説明した方法でカテーテル内に配置された拡張器の方向転換構造を介して急速交換ポートから導かれます。スリーブ156は、スリーブでの直径の増加を避けるために、選択で近位および遠位カテーテルセグメントに溶接またはインライン接続することができます。
【0110】
カテーテル150は、本明細書で開示されている他のカテーテルと同様に、操縦可能/曲げ可能であり、ワイヤ、ロッドなどの細長い操縦部材を受け入れるために縦方向に延びるルーメン153a、153bを含むことができます。ルーメン153a、153bはカテーテル150の長さに沿って延び、図示のようにスリーブ156を貫通することができます。あるいは、カテーテル150内に管腔を形成して、操縦部材をカテーテルの壁内に埋め込むか、またはカテーテル150の壁に実質的に埋め込んで、例えば図27の実施形態のように形成された管腔内に配置しないようにすることもできます。
【0111】
機械式フラップの代替実施形態が、図17と18の実施形態に示されています。機械式フラップ部162は、カテーテル160の迅速交換ポートを覆います。一部の実施形態では、製造時に、フラップ部をカテーテル160の側面開口部(ポート)に圧入することができます。フラップ部162は、スリーブ部(チューブ部)166と一体に形成され、スリーブ部166は、一体型接続部164を介してフラップ162に結合されます。チューブ部166は、ニチノールまたは他の材料で形成できます。カテーテル160の近位端にコイル168を設けることができます。ルーメン163a、163bはカテーテルに沿って延びており、ステアリングロッドやワイヤなどを収容します。あるいは、ステアリング機構は、例えば図27のように別個のルーメンを使用せずにカテーテル壁内に配置または実質的に配置することができます。つまり、ルーメン163a、163bはカテーテル150の長さに沿って伸び、カテーテルの壁に形成されて、ステアリング部材がカテーテル160の壁に埋め込まれるか、または実質的に埋め込まれるようにすることができます。図18では、短いワイヤ130がバルブ(シール)162を越えて伸び、バルブを押してバルブを開く様子が示されています。この短いワイヤ130は、本明細書で説明する方法でカテーテル160のルーメン内に配置された拡張器の方向転換構造(たとえば、ランプ)に係合します。
【0112】
本明細書で説明する実施形態のコネクタ部分は、一部の実施形態では、コネクタでの直径の増加を回避するために、近位および遠位カテーテルセグメントにインラインで溶接または接続することができます。
【0113】
図19~20に示す実施形態では、カテーテル170は、フラップとして機能するPTFEなどの材料で作られた内側ライナーを有します。図示のように、内側ライナー172はシールを提供し、カテーテル170の壁に形成されたサイドポートに隣接してカテーテル170内に配置されます。ライナー172は、短いワイヤ130によって開位置に移動可能であり、短いワイヤ130は隙間176から出ることができます。ライナー172またはライナー内、ライナー内またはライナー上に配置された別の材料のスリット174は、ワイヤ130の代替出口を提供することができます。
【0114】
図20中のワイヤ130は、内側ライナー172の遠位部から出ているように示されているが、ワイヤ130は、図4、11~18、21~22の実施形態でワイヤが出るのと同様に、ライナー172の近位領域にあるサイドポートの近位部から出ることができることを理解されたいです。または他の地域で終了します。図4、11~18および21~22の実施形態では、以下のことが理解されるべきであります。短いワイヤは、図20の実施形態のように、シールの遠位端から出ることもできます。または他の領域から出ます。短いワイヤ130が出るシール領域は、内部拡張器のランプがワイヤをシールおよびサイドポートに向けるため、カテーテルのサイドポートと内部拡張器のランプの位置合わせによって決まります。
【0115】
代替実施形態では、ライナーはPTFEで作られ、ステントのような構造はライナーの上または下、またはライナー内、側部開口部の近位、側部開口部の遠位、および/または側部開口部の領域に配置され得ります。ステントはシャフトの剛性プロファイルを変更することができます。曲げ半径を制御するために、可変ピッチ編組または複数の編組をライナーの上、ライナーの下、および/またはライナーの壁に埋め込むことができます。
【0116】
FIGであることを評価すべきです。図11~22はシールの例を示しているが、カテーテルポート用の他のタイプのシールおよび構成、例えばラピッドエクスチェンジポートも利用できます。
【0117】
代替実施形態では、カテーテルに取り付けることができるシールが提供されます。カテーテルは、側壁に穴を開けるか、または他の方法で形成することができ、機械的シールは、FIGのフラップ182の形態のミニバルブを有します。21は、側孔192の上に配置されたカテーテルに取り付けることができます。図21に示すように、フラップ182はコネクタ184によってリング186に接続されています。好ましい実施形態では、リングはカテーテル表面の残りの部分と同一平面にあります。リング186は、製造時にカテーテル190の周囲に配置され、軸方向にスライドしてフラップ182が側孔192を覆うようにすることができます。なお、穴はカテーテルの外部の工具によって形成することも、あるいは、内側から穴を開ける工具、レーザー、またはその他の手段によって形成することもでき、このような穴は従来のカテーテルに形成できます。いくつかの実施形態では、リング186は、画像化のための放射線不透過性マーカーバンドを形成することができます。カテーテルの直径に合わせてスウェージ加工したり、他の方法で取り付けたりすることができます。
【0118】
本発明の様々なシールは、流体のいかなる流出も防止するために完全にシールすることも、流体の大幅な流出を防止するために実質的にシールすることもできます。部分的なシールも想定されます。このような液体には、例えば、造影剤、治療薬、薬剤、生理食塩水、および/またはその他の所望の液体が含まれます。
【0119】
上で開示したさまざまな操縦可能なメカニズムは、図11~22の密閉された高速交換ポートで利用できることに注意してください。また、図11~22の密閉可能な高速交換ポートはステアリング機能なしでも使用できます。本明細書に開示される様々な操縦可能なカテーテルは、密閉可能な迅速交換ポートを有することができ、あるいはそのような密閉可能な迅速交換ポートなしで利用することもできます。
【0120】
次に、使用方法について、図1~10を参照して説明します。本発明のシステム(装置および拡張器)の挿入について説明します。本明細書に記載のカテーテルはいずれも本明細書に記載の方法で利用できることが理解されるべきであります。図1~10は、コンポーネントの相互作用を示す例として、サイドポートを覆う弾性膜の形状のシールを示しています。したがって、以下の使用方法およびその代替方法の説明は、上で説明した、または図面に示されたカテーテルの実施形態のいずれにも完全に適用可能であることを理解されたいです。
【0121】
本発明のカテーテルおよび拡張器は、体内の様々なアクセスポートを通して挿入することができます。図1Aは、橈骨動脈に短いワイヤ130を挿入して橈骨アクセスを行う例を示しています。図2Aは、図1Aの短いワイヤ130にカテーテルと拡張器を挿入する様子を示しています;図1Bは、大腿部アクセスのための大腿動脈を介した代替挿入方法を例として示しています。図2Bは、図1Bの短いワイヤ130を介してカテーテルと拡張器を挿入する様子を示しています。どちらの挿入方法でも、または体の他のアクセスポート(領域)を介した挿入でも、カテーテルと拡張器は図3~10に示されている方法で使用されます。
【0122】
短いワイヤ130が体内に挿入された後、近位部が皮膚Sから突出します。カテーテル200は、拡張器210が同心円状に配置された状態で(カテーテルの内腔内に)、短いワイヤ130の露出した近位端に挿入され、ワイヤ130が拡張器210の内腔212を通って突出するにつれて、ワイヤ130上を血管V内に前進します(図3)。拡張器210の傾斜部214がカテーテル200のサイドポート202と一直線になっていることに注意します(図4A)。拡張器210はカテーテル200の遠位端205を越えて伸びているため、少なくとも先端213は遠位端205より遠位にあります。先端213は図示のように円錐状に拡張することが好ましいが、他の構成も考えられます。
【0123】
拡張器210およびカテーテル200が一定の距離前進すると、ワイヤ130の近位部が拡張器212の傾斜214に接触します。この傾斜214は、前述のように、カテーテル200の高速交換ポート(開口部)203と一直線に並んでおり、これは、この一直線に並んだ位置で拡張器210およびカテーテル200を係合または連結することによって、またはインジケータまたは位置合わせマーカーによって達成することができます。ポート203にはシール204があり、これは本明細書で説明したシールのいずれかの形態にすることができます。説明の便宜上、シールはポートを覆う弾性膜の形態であります。拡張器210およびカテーテル200が短いワイヤ130上をさらに進むと、ワイヤの近位端がランプ214に接触し、ランプ214は、図4Aに示すように、ワイヤ130を縦軸から外側に向けます。好ましい実施形態では、ランプは皮膚Sの外側にとどまるため、ワイヤ130は図に示すように皮膚の外側に出てきます。このランプ214により、ワイヤ130の近位端がシール204に接触してシール204を邪魔にならないように移動させ(シールを開く)、ワイヤ130はシール204を通り過ぎてカテーテル200の開口部203から出ます(図4Aを参照)。ワイヤ130は、ギャップ260を通ってシールの近位端から出ますが、シールの遠位端から出たり、シールの他の領域(たとえば、側面領域)から出たりすることもできます。
【0124】
次に、短いワイヤ130をルーメン212から近位方向に引き抜くことによって除去し(図4B)、カテーテル200と拡張器210をそのまま残します(図5)。次に、より長いガイドワイヤ132をカテーテル200と拡張器210の近位端に挿入し(拡張器が貫通ルーメンを持つ実施形態の場合)、拡張器210のルーメン212内で遠位方向に進め、カテーテル200の遠位端205を越えることが望ましいです。次に、カテーテル200と拡張器210を長いワイヤ132に沿って遠位方向に進め(図6)、目標部位に到達します。次に、ガイドワイヤ132を引き抜き(図7)、拡張器210から完全に取り外します(図8)。別の実施形態では、短いワイヤ130を取り外した後に拡張器210を取り外し、長いガイドワイヤ132を拡張器210のルーメン212ではなくカテーテル200のルーメン206に挿入します。いくつかの実施形態では、拡張器はランプの近位に内腔を持たず、内腔は遠位開口部からランプ部分までしか延びていないことに留意されたいです。このような実施形態では、拡張器は長いガイドワイヤを挿入する前に取り外されます。したがって、図4A、4B、および6は、拡張器に貫通内腔がないように内腔が中断されたバージョンの拡張器を示しています。図6~8は、貫通内腔を備えた拡張器を示しています。長いワイヤの通過(図4Aの拡張器の場合は拡張器を取り外した後、または図6の場合は拡張器を任意に取り外した後)を除いて、使用方法は同じであります。
【0125】
図9に示すように、拡張器210はカテーテル200の内腔206から取り外されます。図10Aに示すように、カテーテル200の内腔206を通して器具134を挿入することができます。器具には、カテーテル、カテーテルと、カテーテルをさらに進めるためのワイヤ、ワイヤ、治療装置、組織除去装置、注入装置、ステント送達装置、バルーンカテーテルなど、あらゆる血管内装置を含めることができます。複数の器具を交換し、カテーテル200を通して、同軸および/または別々に挿入することができます。
【0126】
短いワイヤ130の長さは約10cmから約60cmの範囲であるのに対し、ワイヤ132の長さは約70cmから約300cmの範囲であります。各ワイヤについて、これらの範囲外の長さも考慮されます。
【0127】
前述のように、一部の実施形態では、拡張器の内腔は側孔を超えて延長されない。つまり、内腔は側孔で終了し、ワイヤは端孔から通過できません。例えば、図35の拡張器310には、側孔314から遠位開口部(端孔)316まで伸びるワイヤ用のルーメン312が主に備わっています。側孔314はカテーテルの急速交換ポートと一直線に並ぶことができ、一部の実施形態では、孔314は、上述のカテーテル急速交換ポートのシールと同様に密閉されるか、実質的に自己密閉することができます。拡張器には、遠位テーパー319の前にカテーテル311を超えて伸びる非テーパーセグメント317があります。図36では、拡張器330には、カテーテルの先端を超えて伸びるテーパーセクション332があります。拡張器はカテーテルの両端から伸びており、拡張器とカテーテルの遠位端の外側の間には滑らかな移行があります。
【0128】
図36の実施形態では、拡張器320には、主に側孔324から遠位開口部326まで延びるワイヤ用のルーメン322があります。ルーメンは、領域325でランプおよび側孔の近位側に延びていますが、ワイヤがルーメンに通過できないように寸法が決められています。たとえば、領域326で直径が小さくなったり、部分的に閉塞したりしてワイヤの通過をブロックしますが、一部の実施形態では流体が通過できるようにします。ルーメンは、図5に示すように、代わりに中断することもできます。内腔の直径が小さいと、直径が大きいワイヤは内腔内に進入できず、遠位拡張器の遠位内腔から側孔の外に押し出されます。
【0129】
拡張器に近位内腔(側孔および傾斜部より近位)(例えば内腔322)が設けられる場合、カテーテルの側孔は任意で自己密閉または実質的に密閉することができ、拡張器の近位端孔から拡張器を通り遠位端孔から流体/薬剤を注入することができ、側孔からの漏れは最小限(あったとしても)です。
【0130】
拡張器の側孔の目的の1つは、より短いワイヤを使用して動脈(例えば橈骨動脈)にアクセスできるようにすることです。アクセス針を経皮的に血管内に進めます。針を通してワイヤを進めます(任意で、刃/ナイフで針に接する小さな切開を行います)。針を抜き取り、ワイヤーはそのまま残します。拡張器(拡張器の上にカテーテルを装着)をワイヤー上を通し、カテーテル内に進めます。次にワイヤーを抜き取ります。これにより、拡張器(選択でカテーテルを使用)を橈骨動脈などのアクセス動脈に挿入できます。
【0131】
拡張器の側孔は、遠位端から約2cmから約30cmの間とすることができるが、他の距離も考えられる。拡張器の側孔は、前述のように、任意で「自己密閉」であります。拡張器の側孔は、患者への最初の挿入時にカテーテル端孔の遠位に配置することができます。
【0132】
ほとんどの場合、カテーテルの遠位端孔がまだ橈骨動脈内にあるときに、拡張器はワイヤとともに取り外され、その後、橈骨カクテルを注入することができます。その後、カテーテル/シースの追加の長さ、例えば操縦可能なカテーテルは、任意で、内側カテーテル内の内側ワイヤを備えた別の内側カテーテル上(例えば、カテーテル134およびワイヤ135上)に、外側カテーテル(例えば、図10Cのカテーテル200)が臨床医が操縦したい場所になるまでさらに進めることができます。内側カテーテルおよびワイヤは、操縦が最適に機能できるように、完全に取り外すか、少なくとも操縦ゾーンの近位に引き抜くことが好ましい。遠位セクション201を操縦できるようにするためのこのような引き抜きが図10Cに示されています。引き抜きの程度は、偏向を妨げないように、少なくともステアリングゾーンの近位の位置までとすることが好ましいです。
【0133】
本明細書に開示されるカテーテルは、ステアリング可能であり、鈍角、鋭角、または直角に曲げるための曲げゾーンを備えることができます。カテーテルまたはその一部は、形状記憶金属またはポリマーで作ることができます。形状記憶ポリマーには、例えば、メタクリレート、ポリウレタン、ポリスチレンとポリウレタンの混合物、およびPVCが含まれます。形状記憶金属には、例としてニッケルチタン(すなわち、ニチノール)などの形状記憶合金(Shape memory alloys- SMA)が含まれます。
【0134】
好ましい経大腿カテーテルの実施形態では、潜在的な合併症およびリスクを軽減するために、装置のサポートに血管支点を任意に使用することができます。
【0135】
本明細書に記載されるカテーテルおよびワイヤは、テーパー状または非テーパー状の遠位端を有することができます。それらは、円形またはその他の形状の内周および/または外周構成、例えば断面が楕円形であってもよいです。
【0136】
好ましい実施形態の拡張器は、遠位テーパセグメントの前にカテーテルを超えて延びる非テーパセグメントを有します。これは、例えば、図6に示されており、拡張器210は非テーパセグメント210aとテーパセグメント210bを有します。
【0137】
ワイヤおよびカテーテルのさまざまなアプローチ/アクセスは、右大腿動脈アクセスおよび/または左大腿動脈、橈骨動脈、上腕動脈、または腋窩動脈アクセス、静脈、およびその他の経皮アクセスポートであり得ります。装置は、非経皮経路を介しても使用され得ります。
【0138】
本明細書に開示されるカテーテルは、例として、いくつかの実施形態で、頸動脈ステントによる総頸動脈(Common carotid artery-CCA)の開腹手術による切開の必要性をなくすために使用され得る。この切開手術では、経皮技術と、追加のサポートのために解剖学的支点を使用する頸動脈アクセス装置が採用されます。
【0139】
本発明のカテーテルおよび拡張器のさまざまな使用方法は、本出願の前述の概要セクションに記載されており、さまざまな実施形態の方法ステップ、および方法のさまざまな代替方法や追加方法が列挙されています。簡潔にするため、これらの説明はこの詳細な説明セクションでは繰り返しません。図39および図40は方法の例を示しており、図38は橈骨動脈への挿入を示し、図39は左椎骨動脈への挿入を示し、図40は左内頸動脈への挿入を示しています。カテーテルの偏向角度を図に示します。
【0140】
なお、近位偏向ゾーンと遠位偏向ゾーンは、ここでは近位ステアリングゾーンと遠位ステアリングゾーンとも呼ばれます。
【0141】
本発明は、その特定の実施形態を参照して説明されているが、当業者であれば、本発明の真の精神および範囲から逸脱することなく、さまざまな変更を行ったり、同等のものを代用したりできることが理解されるはずであります。さらに、本発明の客観的な精神および範囲に特定の状況、材料、物質の組成、プロセス、プロセスステップまたはステップを採用するために、多くの変更を加えることができます。このような変更はすべて、本明細書に添付された特許請求の範囲内であることが意図されています。
【0142】
値の範囲が提供される場合、その範囲の上限と下限の間の各中間値は、本発明に含まれることが理解されます。
【0143】
対象となる発明の装置および方法は、非限定的な例を構成する好ましい実施形態について説明されましたが、当業者は、添付の請求項によって定義される本発明の精神および範囲を逸脱することなく、それらに変更や修正を加えることができることを容易に理解するでしょう。
【0144】
さらに、当業者は、ある実施形態に関連して示されるまたは説明される要素や特徴を、別の実施形態のものと組み合わせても、本発明の範囲から逸脱しないことを理解するでしょう。
【0145】
本開示全体を通じて、「およそ」、「約」、「一般的に」、「実質的に」などの用語は、関連する数値範囲または概念の変動を許容するものと理解されるべきであります。たとえば、「およそ」、「約」、「一般的に」などの用語の使用は、25%程度の変動を包含するか、製造公差および/または設計の偏差を許容するものと理解されるべきであります。
【0146】
本明細書では、「第1」、「第2」、「第3」などの用語がさまざまな操作、要素、コンポーネント、領域、および/またはセクションを説明するために使用される場合がありますが、これらの操作、要素、コンポーネント、領域、および/またはセクションは、これらの用語が1つの操作、要素、コンポーネント、領域、またはセクションを別の操作、要素、コンポーネント、領域、またはセクションと区別するために使用されるという点で、これらの用語の使用によって制限されるべきではありません。したがって、明示的に別段の記載がない限り、第1の操作、要素、コンポーネント、領域、またはセクションは、本開示の範囲から逸脱することなく、第2の操作、要素、コンポーネント、領域、またはセクションと呼ばれる可能性があります。
【0147】
すべての請求項は、さらなる開示として明細書に組み込まれ、本開示の実施形態を表します。また、「A、B、およびCのうちの少なくとも1つ」および「Aおよび/またはBおよび/またはC」という語句は、それぞれ、Aのみ、Bのみ、Cのみ、またはA、B、およびCの任意の組み合わせを含むと解釈する必要があります。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39
図40
【手続補正書】
【提出日】2024-11-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
近位開口部、遠位開口部、カテーテルを貫通する内腔、および側方開口部からガイド装置を挿入できる寸法および構成の急速交換ポートを形成する側方開口部とシールとを備えたカテーテル。シールは、側方開口部からの漏れを減らすために閉じた位置と開いた位置との間で移動可能であり、シールはガイド装置によって開いた位置に移動可能であります。
【請求項2】
請求項1に記載のカテーテルであって、案内装置はガイドワイヤであります。
【請求項3】
請求項1に記載のカテーテルは、拡張器と組み合わせられ、拡張器はカテーテルの内腔内に配置され、側部開口部に隣接したガイド面を有し、ガイド面はガイド装置をカテーテルの側部開口部に向かって誘導します。
【請求項4】
請求項3に記載のカテーテルであって、ガイド面は、長手方向軸から側方開口部に向かって傾斜した傾斜面を備えます。
【請求項5】
請求項1に記載のカテーテルであって、シールには、側面開口部を有し、カテーテルの第1の部分とカテーテルの第2の部分とを接続するチューブと、チューブ上に配置された弾性材料とが含まれ、ガイド装置は弾性材料に押し付けられて弾性材料を移動させ、カテーテルの側面開口部を通ってガイド装置が排出される隙間を提供します。
【請求項6】
請求項1に記載のカテーテルであって、カテーテルは近位本体部と遠位本体部とを備え、近位本体部は接続チューブによって遠位本体部に接続され、シールはその接続チューブ内に形成されます。
【請求項7】
請求項6に記載のカテーテルであって、接続チューブの開口部上に配置された弾性材料をさらに備え、弾性材料の一部は、ガイド装置によって側方開口部に向かって移動可能であり、これにより、ガイド装置が内腔から出る隙間が形成されます。
【請求項8】
請求項1に記載のカテーテルであって、シールはカテーテルの内腔内に配置されたチューブ内に形成され、チューブは壁に埋め込まれたコイルを有します。
【請求項9】
請求項1に記載のカテーテルであって、ガイド装置はカテーテルの内腔内に配置された拡張器を通って延びるように構成されています。
【請求項10】
請求項1に記載のカテーテルであって、シールは、開口部の上に移動可能に配置され、ガイド装置によって移動可能であり、ガイド装置が側面開口部を通って出られるようにするフラップを含みます。
【請求項11】
請求項10に記載のカテーテルであって、カテーテル上に配置されたバンドと、フラップをバンドに取り付ける取り付け要素とをさらに備え、ガイド装置は、フラップを側方開口部から外側に押し離して、内腔および側方開口部からの出口用の隙間を形成し、バンド部分と、バンド部分に接続されたフラップとを有するチューブが側方開口部内に配置されます。
【請求項12】
請求項1に記載のカテーテルであって、カテーテルは、さらに内側ポリマーライナーを備え、ライナーは、ガイド装置によって移動可能であり、ガイド装置が側面開口部を通って出る隙間を形成します。
【請求項13】
請求項1に記載のカテーテルであって、カテーテルは、第1ワイヤの軸方向移動によって偏向可能な遠位偏向ゾーンを有します。
【請求項14】
請求項13に記載のカテーテルであって、カテーテルは、遠位ゾーンの近位側に配置され、第2のワイヤによって偏向可能な近位偏向ゾーンを有します。
【請求項15】
請求項13に記載のカテーテルであって、第1ワイヤはカテーテルの長手方向軸からオフセットされており、プルリングに取り付けられており、第1ワイヤを引くと、遠位偏向ゾーンが最初に第1ワイヤの方向に偏向します。
【請求項16】
請求項13に記載のカテーテルであって、第1ワイヤはカテーテルの長手方向軸からオフセットされたプッシュワイヤであり、第1ワイヤを押すと、遠位偏向ゾーンが最初は第1ワイヤと反対側に偏向します。
【請求項17】
請求項14に記載のカテーテルであって、遠位プルリングおよび近位プルリングをさらに備え、第1ワイヤは遠位プルリングに取り付けられ、第2ワイヤは近位プルリングに取り付けられ、近位偏向ゾーンおよび遠位偏向ゾーンは独立して偏向可能であります。
【請求項18】
請求項15に記載のカテーテルであって、プルリングと第1ワイヤは実質的にカテーテルの壁内にあります。
【請求項19】
以下のものを含むシステム:
a)近位開口部、遠位開口部、カテーテルを貫通する内腔、および側部開口部からガイド装置を挿入できる寸法および構成の急速交換ポートを形成する側部開口部を有するカテーテル、および
b)拡張器。拡張器はカテーテルの内腔内に配置され、側部開口部に隣接したガイド面を有し、ガイド面はガイド装置をカテーテルの側部開口部に向かって誘導します。
【請求項20】
請求項19に記載のシステムであって、ガイド面は、縦軸から側方開口部に向かって傾斜した傾斜面を備えます。
【請求項21】
請求項19に記載のシステムであって、ガイド装置はガイドワイヤであります。
【請求項22】
請求項19に記載のシステムであって、カテーテルは、独立して偏向可能な第1および第2の分離ゾーンを有します。
【請求項23】
請求項22に記載のシステムであって、第1および第2の分離ゾーンはそれぞれプルリングと、プルリングに接続されたプルワイヤとを有します。
【国際調査報告】