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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】組み合わせ
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/133 20060101AFI20241219BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20241219BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20241219BHJP
   A61P 9/12 20060101ALI20241219BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20241219BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20241219BHJP
   A61P 11/06 20060101ALI20241219BHJP
   A61P 5/14 20060101ALI20241219BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20241219BHJP
   A61P 31/06 20060101ALI20241219BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20241219BHJP
   A61P 3/00 20060101ALI20241219BHJP
   A61K 31/69 20060101ALI20241219BHJP
   A61K 31/395 20060101ALI20241219BHJP
   A61K 31/496 20060101ALI20241219BHJP
   A61K 31/7048 20060101ALI20241219BHJP
   A61K 31/7052 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
A61K31/133
A61P43/00 105
A61P11/00
A61P9/12
A61P35/00
A61P3/10
A61P11/06
A61P5/14
A61P29/00 101
A61P31/06
A61P31/04
A61P3/00
A61P43/00 121
A61K31/69
A61K31/395
A61K31/496
A61K31/7048
A61K31/7052
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024534309
(86)(22)【出願日】2022-12-06
(85)【翻訳文提出日】2024-08-02
(86)【国際出願番号】 US2022080986
(87)【国際公開番号】W WO2023107923
(87)【国際公開日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】63/286,989
(32)【優先日】2021-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/416,059
(32)【優先日】2022-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524215580
【氏名又は名称】エーエヌ2 セラピューティックス,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】エリー,マイケル,リチャード ケビン
(72)【発明者】
【氏名】イーソム,エリク,エドワード
(72)【発明者】
【氏名】エクバーグ,ポール,ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】クラウス,ケビン,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】タルボット,ジョージ,エイチ.
【テーマコード(参考)】
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086CB25
4C086DA43
4C086EA12
4C086EA13
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(57)【要約】
とりわけ、本発明は、エペトラボロールを用いた、ヒトにおける非結核性マイコバクテリア関連疾患の治療に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトにおける非結核性マイコバクテリア感染を治療する方法であって;
エペトラボロール、またはその水和物、溶媒和物、もしくは塩と、
エタンブトールとを、ヒトに投与することを含み、
それによって、ヒトにおける非結核性マイコバクテリア感染を治療する、方法。
【請求項2】
リファマイシンもしくはその塩、またはリファマイシンもしくはその塩をヒトに投与することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記リファマイシンが、リファンピシン(リファンピン)、リファブチン、リファペンチン、またはリファキシミンである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
マクロライドまたはその塩をヒトに投与することをさらに含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記マクロライドが、クラリスロマイシンまたはアジスロマイシンである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記エペトラボロールが、エペトラボロールの塩であり、当該塩は、薬学的に許容される塩である、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記エペトラボロールが、エペトラボロールの塩酸塩である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記非結核性マイコバクテリアが、急速に増殖する、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記非結核性マイコバクテリアが、急速に増殖し、かつ、M.アブセッサス(M. abscessus)、M.アラビエンス(M. arabiense)、M.アロマティシボランス(M. aromaticivorans)、M.バクテレミクム(M. bacteremicum)、M.バラシアエ(M. barrassiae)、M.ブルゲラティ(M. bourgelatii)、M.セレリフラブム(M. celeriflavum)、M.ケロナエ(M. chelonae)、M.クロシヌム(M. crocinum)、M.フランクリニイ(M. franklinii)、M.フキエネンセ(M. fukienense)、M.ヒッポカンピ(M. hippocampi)、M.インスブリクム(M. insubricum)、M.イラニクム(M. iranicum)、M.リトラレ(M. litorale)、M.ラツェレンセ(M. llatzerense)、M.モナセンセ(M. monacense)、M.パレンス(M. pallens)、M.ルフム(M. rufum)、M.ルチルム(M. rutilum)、M.サルモニフィルム(M. salmoniphilum)、M.セディミニス(M. sediminis)、およびマイコバクテリウム セテンセ(Mycobacterium setense)からなる群から選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記非結核性マイコバクテリアが、ゆっくりと増殖する、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記非結核性マイコバクテリアが、ゆっくりと増殖し、かつ、M.アルゲリクム(M. algericum)、M.アルシエンセ(M. alsiense)、M.アロシエンセ(M. arosiense)、M.ボウチェデュロネンセ(M. bouchedurhonense)、M.エングバエキイ(M. engbaekii)、M.エウロパエウム(M. europaeum)、M.フラガエ(M. fragae)、M.ヘラクリオネンセ(M. heraklionense)、M.インディクス プラニイ(M. indicus pranii)、M.コレンセ(M. koreense)、M.クマモトネンセ(M. kumamotonense)、M.キョリネンセ(M. kyorinense)、M.レプロマトシス(M. lepromatosis)、M.リフランディイ(M. liflandii)、M.ロンゴバルダム(M. longobardum)、M.マンテニイ(M. mantenii)、M.マルセイレンセ(M. marseillense)、M.ミネソテンセ(M. minnesotense)、M.ノビオマゲンセ(M. noviomagense)、M.パラフィニクム(M. paraffinicum)、M.パラゴルドナエ(M. paragordonae)、M.パラコレンセ(M. parakoreense)、M.パラセオウレンセ(M. paraseoulense)、M.パラテラエ(M. paraterrae)、M.リヤドヘンセ(M. riyadhense)、M.セヌエンセ(M. senuense)、M.セオウレンセ(M. seoulense)、M.シェリシイ(M. sherrisii)、M.シガエンセ(M. shigaense)、M.シンジュクエンセ(M. shinjukuense)、M.シムランス(M. simulans)、M.シネンセ(M. sinense)、M.ストマテピアエ(M. stomatepiae)、M.チモネンセ(M. timonense)、M.ブルネリス(M. vulneris)、およびM.ヨンゴネンセ(M. yongonense)からなる群から選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記非結核性マイコバクテリアが、M.アブセッサス(M. abscessus)、M.アビウム複合体(M. avium complex)(MAC)、M.ケロナエ(M. chelonae)、M.フォルトゥイタム(M. fortuitum)、M.ゴルドナエ(M. gordonae)、M.カンサシ(M. kansasii)、M.ムコゲニカム(M. mucogenicum)、M.ペレグリナム(M. peregrinum)、およびM.ゼノピ(M. xenopi)からなる群から選択される、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記非結核性マイコバクテリアが、M.アブセッサス(M. abscessus)、M.アビウム複合体(M. avium complex)(MAC)、M.フォルトゥイタム複合体(M. fortuitum complex)、M.ゴルドナエ(M. gordonae)、M.カンサシ(M. kansasii)、およびM.ゼノピ(M. xenopi)からなる群から選択される、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記非結核性マイコバクテリアが、マイクロバクテリウム アビウム複合体(Mycobacterium avium complex)である、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記非結核性マイコバクテリアが、M.アビウム(M. avium)、M.イントラセルラーレ(M. intracellulare)、M.マルセイレーズ(M. marseillaise)、M.チモネンセ(M. timonense)、M.ボウチェデュロネンセ(M. bouchedurhonense)、M.コロンビエンセ(M. colombiense)、M.ブルネリス(M. vulneris)、およびM.キマエラ(M. chimaera)である、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記非結核性マイコバクテリアが、M.イントラセルラーレ(M. intracellulare)である、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記非結核性マイコバクテリアが、M.イントラセルラーレsubsp.イントラセルラーレ(M. intracellulare subsp. intracellulare)、またはM.イントラセルラーレsubsp.キマエラ(M. intracellulare subsp. chimaera)である、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記非結核性マイコバクテリアが、M.アビウム(M. avium)である、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記非結核性マイコバクテリアが、M.アビウムsubsp.アビウム(M. avium subsp. avium)、M.アビウムsubsp.ホミニッシウム(M. avium subsp. hominissium)、M.アビウムsubsp.シルバティカム(M. avium subsp. silvaticum)、またはM.アビウムsubsp.パラツベルクローシス(M. avium subsp. paratuberculosis)である、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記ヒトがさらに、嚢胞性線維症、慢性閉塞性肺疾患、または慢性血栓塞栓性肺高血圧症に罹患している、請求項1~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記ヒトがさらに、間質性肺疾患、炎症後肺線維症、気管支拡張症、腫瘍性疾患、糖尿病、気管支喘息、甲状腺機能低下症、縦隔嚢胞、または関節リウマチに罹患している、請求項1~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記間質性肺疾患が、特発性肺線維症、サルコイドーシス、またはタンパク症であり、
前記腫瘍性疾患が、骨髄線維症または肺癌である、
請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記ヒトが以前に、結核を患っていた、請求項1~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記感染が、ヒトの肺における感染である、請求項1~23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記感染が、体内の2つ以上の臓器における感染である、請求項1~23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記感染が、リンパ節における感染である、請求項1~23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記感染が、未治療である、請求項1~26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記感染が、治療抵抗性である、請求項1~27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
ヒトにおける非結核性マイコバクテリア関連疾患を治療する方法であって;
エペトラボロール、またはその水和物、溶媒和物、もしくは薬学的に許容される塩と、
エタンブトールとを、ヒトに投与することを含み、
それによって、ヒトにおける非結核性マイコバクテリア関連疾患を治療する、方法。
【請求項30】
リファブチンもしくはその塩、またはリファマイシンもしくはその塩をヒトに投与することをさらに含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
マクロライドまたはその塩をヒトに投与することをさらに含む、請求項29または30に記載の方法。
【請求項32】
前記マクロライドが、クラリスロマイシンまたはアジスロマイシンである、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記エペトラボロールが、エペトラボロールの塩であり、当該塩は、薬学的に許容される塩である、請求項29~32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
前記エペトラボロールが、エペトラボロールの塩酸塩である、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記非結核性マイコバクテリア関連疾患が、非結核性マイコバクテリア肺疾患、播種性非結核性マイコバクテリア疾患、または非結核性マイコバクテリア関連リンパ節炎である、請求項29~34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
前記非結核性マイコバクテリア関連疾患が、マイコバクテリウム アビウム複合体(Mycobacterium avium complex)(MAC)肺疾患、播種性マイコバクテリウム アビウム複合体(Mycobacterium avium complex)(MAC)疾患、およびマイコバクテリウム アビウム複合体(Mycobacterium avium complex)(MAC)関連リンパ節炎である、請求項29~34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
前記非結核性マイコバクテリア関連疾患が、結節性気管支拡張症である、請求項29~34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
前記非結核性マイコバクテリア関連疾患が、線維性集簇性である、請求項29~34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
前記非結核性マイコバクテリア関連疾患が、未治療である、請求項29~38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
前記非結核性マイコバクテリア関連疾患が、治療抵抗性である、請求項29~39のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔優先権主張〕
本出願は、2021年12月7日に出願された米国仮出願シリアル番号63/286,989、および2022年10月14日に出願された米国仮出願シリアル番号63/416,059に対する利益を主張する。これらの米国仮出願のそれぞれは、その全体が参照により本明細書に組込まれる。
【0002】
〔発明の背景〕
非結核性マイコバクテリア(NTM)感染は、ヒトで増加している。標準治療では、少なくとも3種類の抗生物質を用いて18~24ヵ月間の治療が必要である。にもかかわらず、治療結果は依然として不良である。
【0003】
NTMによる感染の新しい治療法は、当技術分野の進歩を意味する。
【0004】
〔発明の概要〕
第1の態様において、本発明は、ヒトにおける非結核性マイコバクテリア感染を治療する方法を提供し、当該方法は、
エペトラボロール、またはその水和物、溶媒和物、もしくは塩と、
エタンブトールとを、ヒトに投与することを含み、
それによって、ヒトにおける非結核性マイコバクテリア感染を治療する、
方法である。
【0005】
第2の態様において、本発明は、ヒトにおける非結核性マイコバクテリア関連疾患を治療する方法を提供し、当該方法は、
エペトラボロール、またはその水和物、溶媒和物、もしくは薬学的に許容される塩と、
エタンブトールとを、ヒトに投与することを含み、
それによって、ヒトにおける非結核性マイコバクテリア関連疾患を治療する、
方法である。
【0006】
〔発明の詳細な説明〕
(I.定義および略語)
本願をより完全に理解するために、いくつかの定義を以下に示す。このような定義は、文法的に等価なものを包含することを意味する。
【0007】
数値に関連する「約」という用語には、数値そのものと、その数値からプラスマイナス10%の値の範囲とが含まれ得る。例えば、「約10」という量には、10と、9から11の間のいかなる量とが含まれる。例えば、数値に関連する「約」という用語には、その値からプラスマイナス10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、または1%の値の範囲も含まれ得る。
【0008】
本明細書で開示される特定の実施形態は、「からなる」または「本質的にからなる」との文言を使用して、特許請求の範囲においてさらに限定され得る。特許請求の範囲において使用される場合、出願時のものであろうと補正により追加されたものであろうと、「からなる」という移行用語は、特許請求の範囲において特定されていない要素、ステップ、または成分を除外する。「本質的にからなる」という移行用語は、指定された材料またはステップ、および基本的かつ新規な特性に重大な影響を与えない材料またはステップに特許請求の範囲を限定する。特許請求の範囲に記載された本開示の実施形態は、本願明細書において本質的または明示的に記載され、有効である。
【0009】
本開示を説明する文脈で(特に、以下の特許請求の範囲の文脈で)使用される用語「a」、「an」、「the」、および同様の参照語は、本明細書において別段の指示がない限り、または文脈によって明らかに矛盾しない限り、単数形および複数形の両方をカバーするものと解釈される。
【0010】
本明細書で使用される略語は、一般に、化学の分野および生物学の分野における従来の意味を有する。
【0011】
以下の略語が使用される:AMK-アミカシン;ATCC-American Type Culture Collection;CA-MHB-陽イオン調整Mueller Hinton broth;CFU-コロニー形成単位;CLSI-臨床検査標準協会(Clinical and Laboratory Standards Institute);CLR-クラリスロマイシン;EBO-エペトラボロールの塩酸塩;EMB-エタンブトール;IC-阻害濃度;LeuRS-ロイシルtRNA合成酵素;MAC-マイコバクテリウム アビウム複合体(Mycobacterium avium complex);MIC-最小発育阻止濃度;NTM-非結核性マイコバクテリア;OADC-オレイン酸、ウシアルブミン、ブドウ糖、およびカタラーゼ;RFB-リファブチン;spp.-種;subspp.-亜種。
【0012】
本明細書で使用する「本発明のエペトラボロール」とは、エペトラボロール、これらの化合物の塩(例えば薬学的に許容される塩)、溶媒和物および水和物を指す。
【0013】
「部位」とは、分子の残りの部分に結合している分子のラジカルを指す。
【0014】
記号
【0015】
【化1】
【0016】
は、結合として利用されるか、または結合に対して垂直に表示されるかにかかわらず、表示された部位が分子の残りの部分に結合している点を示す。
【0017】
「薬学的に許容される塩」という用語は、本明細書に記載される化合物上に見出される特定の置換基に応じて、比較的無毒性の酸または塩基を用いて調製される本発明のエペトラボロールの塩を含むことを意味する。本発明のエペトラボロールが、比較的酸性の官能基を含む場合、塩基付加塩は、このような化合物の中性形態を、ニートまたは適切な不活性溶媒中で、十分な量の所望の塩基と接触させることによって得ることができる。薬学的に許容される塩基付加塩の例としては、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アンモニウム、有機アミノ(コリン、またはジエチルアミン、またはd-アルギニン、l-アルギニン、d-リジンもしくはl-リジンのようなアミノ酸)、もしくはマグネシウム塩、または類似の塩が挙げられる。本発明のエペトラボロールが比較的塩基性の官能基を含む場合、酸付加塩は、そのような化合物の中性形態を、ニートまたは適切な不活性溶媒中で、十分な量の所望の酸と接触させることによって得ることができる。薬学的に許容される酸付加塩の例としては、塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、一水素炭酸、リン酸、一水素リン酸、二水素リン酸、硫酸、一水素硫酸、ヨウ化水素酸、もしくは亜リン酸などのような無機酸から誘導される塩、ならびに酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、マレイン酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、乳酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p-トリルスルホン酸、クエン酸、酒石酸、メタンスルホン酸などのような比較的無毒性の有機酸から誘導される塩が挙げられる。また、アルギネートのようなアミノ酸の塩など、およびグルクロン酸またはガラクツノリン酸のような有機酸の塩なども挙げられる(例えば、Berge et al., "Pharmaceutical Salts", Journal of Pharmaceutical Science 66: 1-19 (1977)を参照されたい)。本発明の特定の化合物は、塩基性官能基および酸性官能基の両方を含み、これは、化合物を塩基付加塩または酸付加塩のいずれかに変換することを可能にする。
【0018】
化合物の中性形態は、好ましくは、塩を塩基または酸と接触させ、従来の方法で親化合物を単離することにより再生される。化合物の親形態は、極性溶媒への溶解性のような特定の物理的性質における種々の塩形態とは異なる。
【0019】
塩の形態に加えて、本発明は、プロドラッグの形態である化合物を提供する。本明細書に記載の化合物のプロドラッグは、生理学的条件下で容易に化学変化を起こし、本発明の化合物を提供する。さらに、プロドラッグは、生体外(ex vivo)環境において化学的方法または生化学的方法により本発明の化合物に変換することができる。
【0020】
本発明の特定の化合物は、非溶媒和形態だけではなく、水和形態を含む溶媒和形態でも存在し得る。一般に、溶媒和形態は、非溶媒和形態と同等であり、本発明の範囲に包含される。本発明の特定の化合物は、複数の結晶形態または非晶質形態で存在し得る。
【0021】
本発明の特定の化合物は、不斉炭素原子(光学中心)または二重結合を有し;ラセミ体、ジアステレオマー、幾何異性体および個々の異性体が本発明の範囲に包含される。本明細書で使用されるラセミ化合物、アンビスケールミック化合物およびスケールミック化合物、またはエナンチオマー的に純粋な化合物の図形表現は、Maehr, J. Chem. Ed. 1985, 62: 114-120に記載がある。実線のウェッジ(solid wedge)または破線のウェッジ(broken wedge)は、特に断りのない限り、立体中心の絶対配置を示すために使用される。本明細書に記載の化合物が、オレフィン性二重結合または他の幾何学的非対称性の中心であり、かつ、特に指定しない限り、化合物は、E幾何異性体およびZ幾何異性体の両方を含むことを意図している。同様に、すべての互変異性体が含まれる。
【0022】
本発明の化合物は、特定の幾何学的形態または立体異性体形態で存在し得る。本発明は、シスおよびトランス異性体、(-)エナンチオマーおよび(+)エナンチオマー、(R)エナンチオマーおよび(S)エナンチオマー、ジアステレオマー、(D)異性体、(L)異性体、それらのラセミ混合物、ならびにエナンチオマー的またはジアステレオマー的に濃縮された混合物などのそれらの他の混合物を含む、すべてのそのような化合物が本発明の範囲に含まれることを意図している。追加の不斉炭素原子は、アルキル基のような置換基中に存在し得る。すべてのそのような異性体およびそれらの混合物は、本発明に含まれることが意図されている。
【0023】
光学活性な(R)異性体および(S)異性体、ならびにd異性体およびl異性体は、キラルシントンまたはキラル試薬を用いて調製することができ、または従来の技術を用いて分解することができる。例えば、本発明の化合物の特定のエナンチオマーが所望される場合、前記エナンチオマーは不斉合成によって、またはキラル補助剤による誘導体化によって調製することができ、得られたジアステレオマー混合物を分離し、補助基を切断して純粋な所望のエナンチオマーを提供する。あるいは、分子が、アミノ基のような塩基性官能基、またはカルボキシル基のような酸性官能基を含む場合、適切な光学活性酸または光学活性塩基を用いてジアステレオマー塩を形成することができ、次いで、このようにして形成されたジアステレオマーを、当該技術分野で公知の分別結晶化またはクロマトグラフィー手段によって分解し、その後、純粋なエナンチオマーを回収することができる。さらに、エナンチオマーおよびジアステレオマーの分離は、キラルな固定相を用いたクロマトグラフィーを用いて、任意で化学的誘導体化(例えば、アミンからのカルバメート形成)と組み合わせて、頻繁に達成される。
【0024】
本発明の化合物はまた、そのような化合物を構成する原子の1つ以上に、普通ではない割合の原子同位体を含むことができる。例えば、化合物は、トリチウム(H)、ヨウ素125(125I)、または炭素14(14C)などの放射性同位体で放射性標識されていてもよい。放射性の有無にかかわらず、本発明の化合物のすべての同位体バリエーションは、本発明の範囲に包含されることが意図されている。
【0025】
「薬学的に許容される担体」または「薬学的に許容されるビヒクル」という用語は、本明細書で定義される有効量の活性剤の適切な送達を提供し、活性剤の生物学的活性の有効性を妨げず、宿主または患者に対して十分に非毒性である、任意の製剤または担体媒体を指す。代表的な担体としては、水、植物油および鉱物油の両方、クリーム基剤、ローション基剤、軟膏基剤などが含まれる。これらの基剤には、懸濁剤、増粘剤、浸透促進剤などが含まれる。これらの製剤は、化粧品および局所医薬品の技術者によく知られている。担体に関する追加情報は、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 21st Ed., Lippincott, Williams & Wilkins (2005)に記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0026】
「賦形剤」という用語は、所望の用途に有効な薬剤組成物を製剤化する際に使用される担体、希釈剤および/またはビヒクルを意味することが従来から知られている。
【0027】
「微生物感染」または「微生物による感染」という用語は、細菌または原虫を含む感染性病原体による宿主組織の感染を意味するが、これらに限定されない(例えば、Harrison's Principles of Internal Medicine, pp. 93-98 (Wilson et al., eds., 12th ed. 1991); Williams et al., J. of Medicinal Chem. 42:1481- 1485 (1999)(これらはそれぞれ参照によりその全体が本明細書中に組み込まれる))。
【0028】
本明細書で使用する「生物学的培地」は、in vitroの生物学的培地およびin vivoの生物学的培地の両方を指す。例示的なin vitroの「生物学的培地」としては、細胞培養、組織培養、ホモジネート、血漿および血液が挙げられるが、これらに限定されない。in vivoでの適用は、一般的に哺乳動物、好ましくはヒトで行われる。
【0029】
「阻害する」および「遮断する」は、酵素の部分的または完全な遮断を指すために本明細書において互換的に使用される。例示的な実施形態において、酵素は、tRNA合成酵素である。
【0030】
ホウ素は、本発明において、ある状況下では、酸素、硫黄または窒素と付加的な共有結合または二価結合を形成することができる。
【0031】
本発明の実施形態は、例えば、本発明で使用する化合物の二量体、三量体、四量体および高次ホモログ、またはそれらの反応性類似体などの種を含む、多価(poly-valent)または多価(multi-valent)の種である化合物も包含する。
【0032】
「塩の対イオン」とは、本明細書で使用される場合、正電荷を帯びたイオンを指し、ホウ素が完全に負または部分的に負に帯電している場合、本発明の化合物と会合する。塩の対イオンの例としては、H、H、アンモニウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム(コリン、またはジエチルアミン、またはd-アルギニン、l-アルギニン、d-リジン、もしくはl-リジンなどのアミノ酸など)、およびナトリウムが挙げられる。
【0033】
炭素および3個のヘテロ原子に結合したホウ素を含む化合物(このセクションで説明する3つの酸素など)は、任意で完全に負に帯電したホウ素または部分的に負に帯電したホウ素を含むことができる。この負電荷により、正電荷を帯びた対イオンがこの化合物と会合し、塩を形成する可能性がある。塩の対イオンの例としては、H、H、アンモニウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム(コリン、またはジエチルアミン、またはd-アルギニン、l-アルギニン、d-リジン、もしくはl-リジンなどのアミノ酸など)、およびナトリウムが挙げられる。化合物の塩は、これらの化合物の記述に暗黙的に含まれる。
【0034】
本明細書で使用する「治療抵抗性」の感染とは、アジスロマイシン(またはクラリスロマイシン)、リファンピシン(またはリファブチン)、およびエタンブトールによる治療を6ヶ月間行った後でも、喀痰培養物が非結核性マイコバクテリアに対して陽性のままであるヒトにおける感染症を指す。
【0035】
(II.導入)
エペトラボロールは、ある種の非結核性マイコバクテリアの感染の治療に有用であることが見出されている。さらに、エペトラボロールとエタンブトールとの組み合わせは、ある種の非結核性マイコバクテリアの感染の治療に有用であることが見出されている。
【0036】
III.化合物
エペトラボロール、またはその塩、水和物、もしくは溶媒和物
エペトラボロールは、以下の式による構造を有する。
【0037】
【化2】
【0038】
エペトラボロールは、PCT特許公開番号WO2008/157726(PCT特許出願番号PCT/US2008/07550);米国特許第7,816,344号(米国特許出願番号12/142,692);PCT特許公開番号WO2011/127143(特許出願番号PCT/US2011/031384);および米国特許第9,243,003号(米国特許出願番号13/639,594)に開示されているような方法に従って製造することができる。
【0039】
エペトラボロールは、水とともに水和物を形成し得、メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコールとともに溶媒和物を形成し得;アンモニア、メチルアミン、エチルアミンなどのアミノ化合物とともに付加物を形成し得;ギ酸、酢酸などの酸とともに付加物を形成し得;エタノールアミン、キノリン、アミノ酸などとともに錯体を形成し得る。
【0040】
例示的な実施形態において、本発明は、エペトラボロール、またはその塩、水和物、もしくは溶媒和物、またはそれらの組み合わせを提供する。例示的な実施形態において、本発明は、エペトラボロール、またはその塩、水和物、もしくは溶媒和物を提供する。例示的な実施形態において、本発明は、エペトラボロール、またはその塩を提供する。例示的な実施形態において、塩は、薬学的に許容される塩である。例示的な実施形態において、本発明は、エペトラボロールの塩酸塩を提供する。
【0041】
例示的な実施形態において、本発明は、エペトラボロール、またはその水和物を提供する。例示的な実施形態において、本発明は、エペトラボロール、またはその溶媒和物を提供する。
【0042】
NTM感染の標準治療
公表されている勧告によると、ヒトのNTM感染は、エタンブトール、リファンピンまたはリファブチン、およびマクロライド(クラリスロマイシンまたはアジスロマイシン)の組み合わせよって治療することができる。
【0043】
エタンブトール、またはその塩、水和物、もしくは溶媒和物
エタンブトールは、以下の式による構造を有する。
【0044】
【化3】
【0045】
エタンブトールは、Sanofi、Cadila、Lupin、およびDelmarなどの多くの製造業者によって商業的に生産されている。
【0046】
リファンピン、またはその塩、水和物、もしくは溶媒和物
リファンピシンとしても知られるリファンピンは、Novartis社、Otto Brandes社、Arudavis Labs社、Sichuan Long March Pharma社などの多くの製造業者によって商業的に生産されている。
【0047】
リファブチン、またはその塩、水和物もしくは溶媒和物
リファブチンは、Pfizer社、Chongqing Huapont Pharma社、Lupin社、およびGuangzhou Tosun Pharma社などの多くの製造業者によって商業的に生産されている。
【0048】
マクロライド(クラリスロマイシンまたはアジスロマイシン)
クラリスロマイシンは、Sandoz社、Century Pharmaceuticals社、Teva社、Wockhardt社、およびAlembic社などの多くの製造業者によって商業的に生産されている。
【0049】
アジスロマイシンは、Pfizer社、Sandoz社、Teva社、Alembic社、Lupin社などの多くの製造業者によって商業的に生産されている。
【0050】
エペトラボロールとエタンブトールとの相乗効果
エペトラボロールとエタンブトールとの相乗効果が発見され、これにより、NTM感染のより効果的な治療が可能になった。
【0051】
(IV.方法)
別の態様において、本発明は、ヒトにおける非結核性マイコバクテリア感染を治療する方法を提供し、該方法は:
エペトラボロール、またはその水和物、溶媒和物、もしくは塩と、
エタンブトール、またはその水和物、溶媒和物、もしくは塩とを、ヒトに投与することを含み、
それによって、ヒトにおける非結核性マイコバクテリア感染を治療する、方法である。
【0052】
例示的な実施形態において、本方法は、リファマイシン、またはその水和物、溶媒和物、もしくは塩をヒトに投与することをさらに含む。例示的な実施形態において、リファマイシンは、リファンピシン(リファンピン)、またはその水和物、溶媒和物、もしくは塩である。例示的な実施形態において、リファマイシンは、リファブチン、またはその水和物、溶媒和物、もしくは塩である。例示的な実施形態において、リファマイシンは、リファペンチン、またはその水和物、溶媒和物、もしくは塩である。例示的な実施形態において、リファマイシンは、リファキシミン、またはその水和物、溶媒和物、もしくは塩である。例示的な実施形態において、本方法は、マクロライド、またはその水和物、溶媒和物、もしくは塩をヒトに投与することをさらに含む。例示的な実施形態において、マクロライドは、クラリスロマイシン、またはその水和物、溶媒和物、もしくは塩である。例示的な実施形態において、マクロライドは、アジスロマイシン、またはその水和物、溶媒和物、もしくは塩である。例示的な実施形態において、エペトラボロールは、エペトラボロールの塩であり、塩は、薬学的に許容される塩である。例示的な実施形態において、エペトラボロールは、エペトラボロールの塩酸塩である。例示的な実施形態において、非結核性マイコバクテリアは、M.イントラセルラーレ(M. intracellulare)またはM.アビウム(M. avium)である。例示的な実施形態において、本パラグラフのいずれかの方法では、リファマイシン、またはその水和物、溶媒和物、もしくは塩のいずれも、ヒトに投与されない。例示的な実施形態において、本パラグラフのいずれかの方法では、リファブチン、またはその水和物、溶媒和物、もしくは塩のいずれも、ヒトに投与されない。例示的な実施形態において、本パラグラフのいずれかの方法では、マクロライド、またはその水和物、溶媒和物、もしくは塩のいずれも、ヒトに投与されない。例示的な実施形態において、本パラグラフのいずれかの方法では、アジスロマイシン、またはその水和物、溶媒和物、もしくは塩のいずれも、ヒトに投与されない。例示的な実施形態において、本パラグラフのいずれかの方法では、クラリスロマイシン、またはその水和物、溶媒和物、もしくは塩のいずれも、ヒトに投与されない。
【0053】
別の態様において、本発明は、ヒトにおける非結核性マイコバクテリア感染を治療する方法を提供し、該方法は:
エペトラボロール、またはその水和物、溶媒和物、もしくは塩と、
エタンブトール、またはその水和物、溶媒和物、もしくは塩と、
リファマイシン、またはその水和物、溶媒和物、もしくは塩とを、ヒトに投与することを含み、
それによって、ヒトにおける非結核性マイコバクテリア感染を治療する、方法である。例示的な実施形態において、非結核性マイコバクテリアは、M.イントラセルラーレ(M. intracellulare)またはM.アビウム(M. avium)である。
【0054】
別の態様において、本発明は、ヒトにおける非結核性マイコバクテリア感染を治療する方法を提供し、該方法は:
エペトラボロール、またはその水和物、溶媒和物、もしくは塩と、
エタンブトール、またはその水和物、溶媒和物、もしくは塩と、
リファブチン、またはその水和物、溶媒和物、もしくは塩とを、ヒトに投与することを含み、
それによって、ヒトにおける非結核性マイコバクテリア感染を治療する、方法である。例示的な実施形態において、非結核性マイコバクテリアは、M.イントラセルラーレ(M. intracellulare)またはM.アビウム(M. avium)である。
【0055】
別の態様において、本発明は、ヒトにおける非結核性マイコバクテリア感染を治療する方法を提供し、該方法は:
エペトラボロール、またはその水和物、溶媒和物、もしくは塩と、
エタンブトール、またはその水和物、溶媒和物、もしくは塩と、
マクロライド、またはその水和物、溶媒和物、もしくは塩とを、ヒトに投与することを含み、
それによって、ヒトにおける非結核性マイコバクテリア感染を治療する、方法である。例示的な実施形態において、非結核性マイコバクテリアは、M.イントラセルラーレ(M. intracellulare)またはM.アビウム(M. avium)である。
【0056】
別の態様において、本発明は、ヒトにおける非結核性マイコバクテリア感染を治療する方法を提供し、該方法は:
エペトラボロール、またはその水和物、溶媒和物、もしくは塩と、
エタンブトール、またはその水和物、溶媒和物、もしくは塩と、
クラリスロマイシン、またはその水和物、溶媒和物、もしくは塩とを、ヒトに投与することを含み、
それによって、ヒトにおける非結核性マイコバクテリア感染を治療する、方法である。例示的な実施形態において、非結核性マイコバクテリアは、M.イントラセルラーレ(M. intracellulare)またはM.アビウム(M. avium)である。
【0057】
別の態様において、本発明は、ヒトにおける非結核性マイコバクテリア感染を治療する方法を提供し、該方法は:
エペトラボロール、またはその水和物、溶媒和物、もしくは塩と、
エタンブトール、またはその水和物、溶媒和物、もしくは塩と、
アジスロマイシン、またはその水和物、溶媒和物、もしくは塩とを、ヒトに投与することを含み、
それによって、ヒトにおける非結核性マイコバクテリア感染を治療する、方法である。例示的な実施形態において、非結核性マイコバクテリアは、M.イントラセルラーレ(M. intracellulare)またはM.アビウム(M. avium)である。
【0058】
別の態様において、本発明は、ヒトにおける非結核性マイコバクテリア感染を治療する方法を提供し、該方法は:
エペトラボロール、またはその水和物、溶媒和物、もしくは塩と、
エタンブトール、またはその水和物、溶媒和物、もしくは塩と、
リファマイシン、またはその水和物、溶媒和物、もしくは塩と、
マクロライド、またはその水和物、溶媒和物、もしくは塩とを、ヒトに投与することを含み、
それによって、ヒトにおける非結核性マイコバクテリア感染を治療する、方法である。例示的な実施形態において、非結核性マイコバクテリアは、M.イントラセルラーレ(M. intracellulare)またはM.アビウム(M. avium)である。
【0059】
別の態様において、本発明は、ヒトにおける非結核性マイコバクテリア感染を治療する方法を提供し、該方法は:
エペトラボロール、またはその水和物、溶媒和物、もしくは塩と、
エタンブトール、またはその水和物、溶媒和物、もしくは塩と、
リファマイシン、またはその水和物、溶媒和物、もしくは塩と、
クラリスロマイシン、またはその水和物、溶媒和物、もしくは塩とを、ヒトに投与することを含み、
それによって、ヒトにおける非結核性マイコバクテリア感染を治療する、方法である。例示的な実施形態において、非結核性マイコバクテリアは、M.イントラセルラーレ(M. intracellulare)またはM.アビウム(M. avium)である。
【0060】
別の態様において、本発明は、ヒトにおける非結核性マイコバクテリア感染を治療する方法を提供し、該方法は:
エペトラボロール、またはその水和物、溶媒和物、もしくは塩と、
エタンブトール、またはその水和物、溶媒和物、もしくは塩と、
リファマイシン、またはその水和物、溶媒和物、もしくは塩と、
アジスロマイシン、またはその水和物、溶媒和物、もしくは塩とを、ヒトに投与することを含み、
それによって、ヒトにおける非結核性マイコバクテリア感染を治療する、方法である。例示的な実施形態において、非結核性マイコバクテリアは、M.イントラセルラーレ(M. intracellulare)またはM.アビウム(M. avium)である。
【0061】
別の態様において、本発明は、ヒトにおける非結核性マイコバクテリア感染を治療する方法を提供し、該方法は:
エペトラボロール、またはその水和物、溶媒和物、もしくは塩と、
エタンブトール、またはその水和物、溶媒和物、もしくは塩と、
リファブチン、またはその水和物、溶媒和物、もしくは塩と、
マクロライド、またはその水和物、溶媒和物、もしくは塩とを、ヒトに投与することを含み、
それによって、ヒトにおける非結核性マイコバクテリア感染を治療する、方法である。例示的な実施形態において、非結核性マイコバクテリアは、M.イントラセルラーレ(M. intracellulare)またはM.アビウム(M. avium)である。
【0062】
別の態様において、本発明は、ヒトにおける非結核性マイコバクテリア感染を治療する方法を提供し、該方法は:
エペトラボロール、またはその水和物、溶媒和物、もしくは塩と、
エタンブトール、またはその水和物、溶媒和物、もしくは塩と、
リファブチン、またはその水和物、溶媒和物、もしくは塩と、
クラリスロマイシン、またはその水和物、溶媒和物、もしくは塩とを、ヒトに投与することを含み、
それによって、ヒトにおける非結核性マイコバクテリア感染を治療する、方法である。例示的な実施形態において、非結核性マイコバクテリアは、M.イントラセルラーレ(M. intracellulare)またはM.アビウム(M. avium)である。
【0063】
別の態様において、本発明は、ヒトにおける非結核性マイコバクテリア感染を治療する方法を提供し、該方法は:
エペトラボロール、またはその水和物、溶媒和物、もしくは塩と、
エタンブトール、またはその水和物、溶媒和物、もしくは塩と、
リファブチン、またはその水和物、溶媒和物、もしくは塩と、
アジスロマイシン、またはその水和物、溶媒和物、もしくは塩とを、ヒトに投与することを含み、
それによって、ヒトにおける非結核性マイコバクテリア感染を治療する、方法である。例示的な実施形態において、非結核性マイコバクテリアは、M.イントラセルラーレ(M. intracellulare)またはM.アビウム(M. avium)である。
【0064】
例示的な実施形態において、本発明は、ヒトにおける非結核性マイコバクテリア感染を治療する方法を提供し、該方法は:
エペトラボロール、またはその水和物、溶媒和物、もしくは塩と、
リファマイシン、またはその水和物、溶媒和物、もしくは塩とを、ヒトに投与することを含み、
それによって、ヒトにおける非結核性マイコバクテリア感染を治療する、方法である。例示的な実施形態において、本発明は、ヒトにおける非結核性マイコバクテリア感染を治療する方法を提供し、該方法は:
エペトラボロール、またはその水和物、溶媒和物、もしくは塩と、
リファブチン、またはその水和物、溶媒和物、もしくは塩とを、ヒトに投与することを含み、
それによって、ヒトにおける非結核性マイコバクテリア感染を治療する、方法である。例示的な実施形態において、本発明は、ヒトにおける非結核性マイコバクテリア感染を治療する方法を提供し、該方法は:
エペトラボロール、またはその水和物、溶媒和物、もしくは塩と、
マクロライド、またはその水和物、溶媒和物、もしくは塩とを、ヒトに投与することを含み、
それによって、ヒトにおける非結核性マイコバクテリア感染を治療する、方法である。例示的な実施形態において、本発明は、ヒトにおける非結核性マイコバクテリア感染を治療する方法を提供し、該方法は:
エペトラボロール、またはその水和物、溶媒和物、もしくは塩と、
クラリスロマイシン、またはその水和物、溶媒和物、もしくは塩とを、ヒトに投与することを含み、
それによって、ヒトにおける非結核性マイコバクテリア感染を治療する、方法である。例示的な実施形態において、本発明は、ヒトにおける非結核性マイコバクテリア感染を治療する方法を提供し、該方法は:
エペトラボロール、またはその水和物、溶媒和物、もしくは塩と、
アジスロマイシン、またはその水和物、溶媒和物、もしくは塩とを、ヒトに投与することを含み、
それによって、ヒトにおける非結核性マイコバクテリア感染を治療する、方法である。例示的な実施形態において、本発明は、ヒトにおける非結核性マイコバクテリア感染を治療する方法を提供し、該方法は:
エペトラボロール、またはその水和物、溶媒和物、もしくは塩と、
リファマイシン、またはその水和物、溶媒和物、もしくは塩と、
マクロライド、またはその水和物、溶媒和物、もしくは塩とを、ヒトに投与することを含み、
それによって、ヒトにおける非結核性マイコバクテリア感染を治療する、方法である。例示的な実施形態において、本発明は、ヒトにおける非結核性マイコバクテリア感染を治療する方法を提供し、該方法は:
エペトラボロール、またはその水和物、溶媒和物、もしくは塩と、
エタンブトール、またはその水和物、溶媒和物、もしくは塩と、
リファマイシン、またはその水和物、溶媒和物、もしくは塩と、
クラリスロマイシン、またはその水和物、溶媒和物、もしくは塩とを、ヒトに投与することを含み、
それによって、ヒトにおける非結核性マイコバクテリア感染を治療する、方法である。例示的な実施形態において、本発明は、ヒトにおける非結核性マイコバクテリア感染を治療する方法を提供し、該方法は:
エペトラボロール、またはその水和物、溶媒和物、もしくは塩と、
エタンブトール、またはその水和物、溶媒和物、もしくは塩と、
リファマイシン、またはその水和物、溶媒和物、もしくは塩と、
アジスロマイシン、またはその水和物、溶媒和物、もしくは塩とを、ヒトに投与することを含み、
それによって、ヒトにおける非結核性マイコバクテリア感染を治療する、方法である。例示的な実施形態において、本発明は、ヒトにおける非結核性マイコバクテリア感染を治療する方法を提供し、該方法は:
エペトラボロール、またはその水和物、溶媒和物、もしくは塩と、
リファブチン、またはその水和物、溶媒和物、もしくは塩と、
マクロライド、またはその水和物、溶媒和物、もしくは塩とをヒトに投与することを含み、
それによって、ヒトにおける非結核性マイコバクテリア感染を治療する、方法である。例示的な実施形態において、本発明は、ヒトにおける非結核性マイコバクテリア感染を治療する方法を提供し、該方法は:
エペトラボロール、またはその水和物、溶媒和物、もしくは塩と、
クラリスロマイシン、またはその水和物、溶媒和物、もしくは塩とを、ヒトに投与することを含み、
それによって、ヒトにおける非結核性マイコバクテリア感染を治療する、方法である。例示的な実施形態において、本発明は、ヒトにおける非結核性マイコバクテリア感染を治療する方法を提供し、該方法は:
エペトラボロール、またはその水和物、溶媒和物、もしくは塩と、
アジスロマイシン、またはその水和物、溶媒和物、もしくは塩とを、ヒトに投与することを含み、
それによって、ヒトにおける非結核性マイコバクテリア感染を治療する、方法である。例示的な実施形態において、非結核性マイコバクテリアは、M.イントラセルラーレ(M. intracellulare)またはM.アビウム(M. avium)である。例示的な実施形態において、本パラグラフのいずれかの方法について、エタンブトール、またはその水和物、溶媒和物、もしくは塩は、ヒトに投与されない。
【0065】
別の態様において、本発明は、ヒトにおける非結核性マイコバクテリア感染を治療する方法を提供し、該方法は:
エペトラボロール、またはその水和物、溶媒和物、もしくは塩と、
エタンブトール、またはその水和物、溶媒和物、もしくは塩と、
マクロライド、またはその水和物、溶媒和物、もしくは塩とを、ヒトに投与することを含み、
それによって、ヒトにおける非結核性マイコバクテリア感染を治療する、方法である。例示的な実施形態において、非結核性マイコバクテリアは、M.イントラセルラーレ(M. intracellulare)またはM.アビウム(M. avium)である。
【0066】
例示的な実施形態において、非結核性マイコバクテリアは、急速に増殖する。例示的な実施形態において、非結核性マイコバクテリアは、急速に増殖し、かつ、M.アブセッサス(M. abscessus)、M.アラビエンス(M. arabiense)、M.アロマティシボランス(M. aromaticivorans)、M.バクテレミクム(M. bacteremicum)、M.バラシアエ(M. barrassiae)、M.ブルゲラティ(M. bourgelatii)、M.セレリフラブム(M. celeriflavum)、M.ケロナエ(M. chelonae)、M.クロシヌム(M. crocinum)、M.フキエネンセ(M. fukienense)、M.ヒッポカンピ(M. hippocampi)、M.インスブリクム(M. insubricum)、M.イラニクム(M. iranicum)、M.リトラレ(M. litorale)、M.ラツェレンセ(M. llatzerense)、M.モナセンセ(M. monacense)、M.パレンス(M. pallens)、M.ルフム(M. rufum)、M.ルチルム(M. rutilum)、M.サルモニフィルム(M. salmoniphilum)、M.セディミニス(M. sediminis)、もしくはマイコバクテリウム セテンセ(Mycobacterium setense)、またはそれらの組み合わせである。
【0067】
例示的な実施形態において、非結核性マイコバクテリアは、ゆっくりと増殖する。例示的な実施形態において、非結核性マイコバクテリアは、ゆっくりと増殖し、かつ、M.アルゲリクム(M. algericum)、M.アルシエンセ(M. alsiense)、M.アロシエンセ(M. arosiense)、M.ボウチェデュロネンセ(M. bouchedurhonense)、M.エングバエキイ(M. engbaekii)、M.エウロパエウム(M. europaeum)、M.フラガエ(M. fragae)、M.ヘラクリオネンセ(M. heraklionense)、M.インディクス プラニイ(M. indicus pranii)、M.コレンセ(M. koreense)、M.クマモトネンセ(M. kumamotonense)、M.キョリネンセ(M. kyorinense)、M.レプロマトシス(M. lepromatosis)、M.リフランディイ(M. liflandii)、M.ロンゴバルダム(M. longobardum)、M.マンテニイ(M. mantenii)、M.マルセイレンセ(M. marseillense)、M.ミネソテンセ(M. minnesotense)、M.ノビオマゲンセ(M. noviomagense)、M.パラフィニクム(M. paraffinicum)、M.パラゴルドナエ(M. paragordonae)、M.パラコレンセ(M. parakoreense)、M.パラセオウレンセ(M. paraseoulense)、M.パラテラエ(M. paraterrae)、M.リヤドヘンセ(M. riyadhense)、M.セヌエンセ(M. senuense)、M.セオウレンセ(M. seoulense)、M.シェリシイ(M. sherrisii)、M.シガエンセ(M. shigaense)、M.シンジュクエンセ(M. shinjukuense)、M.シムランス(M. simulans)、M.シネンセ(M. sinense)、M.ストマテピアエ(M. stomatepiae)、M.チモネンセ(M. timonense)、M.ブルネリス(M. vulneris)、もしくはM.ヨンゴネンセ(M. yongonense)、またはそれらの組み合わせである。
【0068】
例示的な実施形態において、非結核性マイコバクテリアは、M.アブセッサス(M. abscessus)、M.アビウム複合体(M. avium complex)(MAC)、M.ケロナエ(M. chelonae)、M.フォルトゥイタム(M. fortuitum)、M.ゴルドナエ(M. gordonae)、M.カンサシ(M. kansasii)、M.ムコゲニカム(M. mucogenicum)、M.ペレグリナム(M. peregrinum)、およびM.ゼノピ(M. xenopi)からなる群から選択される。例示的な実施形態において、非結核性マイコバクテリアは、M.アブセッサス(M. abscessus)、M.アビウム複合体(M. avium complex)(MAC)、M.フォルトゥイタム複合体(M. fortuitum complex)、M.ゴルドナエ(M. gordonae)、M.カンサシ(M. kansasii)、およびM.ゼノピ(M. xenopi)からなる群から選択される。
【0069】
例示的な実施形態において、非結核性マイコバクテリアは、マイコバクテリウム アビウム複合体(Mycobacterium avium complex)である。例示的な実施形態において、非結核性マイコバクテリアは、M.アビウム(M. avium)、M.イントラセルラーレ(M. intracellulare)、M.マルセイレーズ(M. marseillaise)、M.チモネンセ(M. timonense)、M.ボウチェデュロネンセ(M. bouchedurhonense)、M.コロンビエンセ(M. colombiense)、M.ブルネリス(M. vulneris)、またはM.キマエラ(M. chimaera)である。例示的な実施形態において、非結核性マイコバクテリアは、M.イントラセルラーレ(M. intracellulare)である。例示的な実施形態において、非結核性マイコバクテリアは、M.イントラセルラーレsubsp.イントラセルラーレ(M. intracellulare subsp. intracellulare)、またはM.イントラセルラーレsubsp.(M. intracellulare subsp.)である。例示的な実施形態において、非結核性マイコバクテリアは、M.アビウム(M. avium)である。
【0070】
例示的な実施形態において、ヒトはさらに、嚢胞性線維症、慢性閉塞性肺疾患、または慢性血栓塞栓性肺高血圧症に罹患している。例示的な実施形態において、ヒトはさらに、間質性肺疾患、炎症後肺線維症、気管支拡張症、腫瘍性疾患、糖尿病、気管支喘息、甲状腺機能低下症、縦隔嚢胞、または関節リウマチに罹患している。例示的な実施形態において、ヒトはさらに、間質性肺疾患に罹患しており、該間質性肺疾患は、特発性肺線維症、サルコイドーシス、またはタンパク症である。例示的な実施形態において、ヒトはさらに、腫瘍性疾患に罹患しており、該腫瘍性疾患は、骨髄線維症または肺癌である。例示的な実施形態において、ヒトは以前、結核を患っていた。
【0071】
例示的な実施形態において、感染は、ヒトの肺における感染である。例示的な実施形態において、感染は、体内の2つ以上の臓器における感染である。例示的な実施形態において、感染は、リンパ節における感染である。
【0072】
例示的な実施形態において、感染は、未治療である。例示的な実施形態において、感染は、治療抵抗性である。
【0073】
さらなる態様において、本発明は、ヒトにおける非結核性マイコバクテリア関連疾患を治療する方法を提供し、該方法は:
エペトラボロール、またはその水和物、溶媒和物、もしくは薬学的に許容される塩と、
エタンブトールとを、ヒトに投与することを含み、
それによって、ヒトにおける非結核性マイコバクテリア関連疾患を治療する、方法である。例示的な実施形態において、前記方法は、リファブチンもしくはその塩、またはリファマイシンもしくはその塩をヒトに投与することをさらに含む。例示的な実施形態において、前記方法は、マクロライドまたはその塩をヒトに投与することをさらに含む。例示的な実施形態において、マクロライドは、クラリスロマイシンまたはアジスロマイシンである。例示的な実施形態において、エペトラボロールは、エペトラボロールの塩であり、当該塩は、薬学的に許容される塩である。例示的な実施形態において、エペトラボロールは、エペトラボロールの塩酸塩である。例示的な実施形態において、非結核性マイコバクテリア関連疾患は、非結核性マイコバクテリア肺疾患、播種性非結核性マイコバクテリア疾患、または非結核性マイコバクテリア関連リンパ節炎である。例示的な実施形態において、非結核性マイコバクテリア関連疾患は、マイコバクテリウム アビウム複合体(Mycobacterium avium complex)(MAC)肺疾患、播種性マイコバクテリウム アビウム複合体(Mycobacterium avium complex)(MAC)疾患、およびマイコバクテリウム アビウム複合体(Mycobacterium avium complex)(MAC)関連リンパ節炎である。例示的な実施形態において、非結核性マイコバクテリア関連疾患は、結節性気管支拡張症である。例示的な実施形態において、非結核性マイコバクテリア関連疾患は、線維性集簇性である。
【0074】
例示的な実施形態において、非結核性マイコバクテリア関連疾患は、未治療である。例示的な実施形態において、非結核性マイコバクテリア関連疾患は、治療抵抗性である。
【0075】
例示的な実施形態において、疾患は、本発明の化合物の経口投与により治療される。例示的な実施形態において、疾患は、本発明の化合物の静脈内投与により治療される。例示的な実施形態において、疾患は、本発明の化合物の皮下投与により治療される。
【0076】
(V.医薬製剤)
別の態様において、本発明は、医薬製剤を提供し、該製剤は、a)エペトラボロール、またはその塩、水和物、もしくは溶媒和物;およびb)薬学的に許容される賦形剤を含む。
【0077】
本発明は、本明細書に記載された全ての態様および/または実施形態の組み合わせ、ならびに好適な、便利な、および好ましいグループも対象とすることを理解されたい。
【0078】
本発明は、以下の実施例によってさらに説明される。実施例は、本発明の範囲を定義すること、または限定することのいずれも意図するものではない。
【0079】
〔実施例〕
(実施例1)
最小発育阻止濃度(MIC)の決定:
推定EBO耐性変異株のMIC値は、臨床検査標準協会(Clinical and Laboratory Standards Institute)の文書M24-A3(Clinical and Laboratory Standards Institute. Susceptibility Testing of Mycobacteria, Nocardia spp., and Other Aerobic Actinomycetes. 3rd ed. CLSI standard M24. Clinical and Laboratory Standards Institute, Wayne, PA: 2018)に従って、陽イオン調整Mueller Hinton broth中で、微量液体稀釈法(BMD)によって決定した。寒天MIC値は、7H10 Middlebrook寒天および5% OADCを用い、CLSI M24-A3に基本的に記載されるように、決定した。
【0080】
EBO、クラリスロマイシン(CLR)、エタンブトール(EMB)、リファブチン、アミカシン、およびベダキリンのin vitro活性を、5つのMAC株および2つの急速に増殖するマイコバクテリア株に対して試験した。MICの結果を以下の表に示す。
【0081】
【表1】
【0082】
(実施例2)
エペトラボロールとの2剤併用
エペトラボロールの塩酸塩は、新規の作用機序(MoA)を有する小さな極性分子であり、マイコバクテリアに対する活性を含む幅広い抗菌活性を有する。マイコバクテリウム アビウム複合体(Mycobacterium avium complex)(MAC)肺疾患の現在の標準的な治療には、マクロライド、エタンブトール、およびリファマイシンが含まれる。増殖の遅い非結核性マイコバクテリア5種および増殖の速いマイコバクテリア2種を含む7種の非結核性マイコバクテリアに対する、エペトラボロール塩酸塩の、クラリスロマイシン、リファブチン、およびエタンブトールとの2剤併用における活性を評価した。また、エペトラボロールの塩酸塩の活性は、アミカシンおよびベダキリンの存在下でも評価された。結果を表2に示す。
【0083】
材料と方法
化学物質
EBOは、AN2 Therapeutics Incから入手し、ベダキリンは1Click Chemistry (Kendall Park、NJ)から購入し、クラリスロマイシンは、Carbosynth(San Diego、CA)から購入し、アミカシン、エタンブトール、およびリファブチンは、Sigma-Aldrich, (St. Louis、MO)から購入した。薬剤の凍結ストックは5mg/mlまたは2mg/mlで調製し、-20℃で凍結保存した。実験当日、ストックを解凍し、適切な濃度に希釈した。Middlebrook 7H9ブロスおよび寒天、CA-MH寒天、Middlebrook OADCはすべて、Becton-Dickinson and Company(Sparks、MD)から購入した。
【0084】

M.アビウム(M. avium)2285R(Verma et al. Microbiol (2019) 10: 693)およびM.イントラセルラーレ(M. intracellulare)DNA000111は、Diane Ordway(Colorado State University、Fort Collins、CO)から入手した。M.キマエラ(M. chimaera)20-S-05およびマクロライド/ベダキリン耐性M.イントラセルラーレ(M. intracellulare)20-S-13分離株は、Barbara Brown-Elliott(Mycobacteria/Nocardia Research Laboratory, University of Texas Health Science Center、Tyler Tx)から入手した。株M.アブセッサス(M. abscessus)ATCC 19977、M.アビウム(M. avium)ATCC 700898、およびM.ペレグリナム(M. peregrinum)ATCC 700686は、American Type Culture Collection(ATCC、Manassas、VA)から入手した。分離株のストックを調製し、-80℃で凍結させた。各分離株の新鮮な培養物(1~2週間)を、7H10寒天+5%OADCまたはCAMH寒天+5%OADCのいずれかで培養し、各実験に使用した。
【0085】
抗菌相乗試験
微生物増殖培地としてMiddlebrook 7H9+5%OADC(Dubos et al. Am Rev Tuberc (1947) 56:334-45)を使用し、チェッカーボード法を用いて相乗作用および拮抗作用を試験した。組み合わせにおける第1の抗生物質であるEBOは、x軸に沿って連続希釈し、一方、第2の抗生物質は、y軸に沿って希釈した。相乗活性または拮抗活性は、分画阻害濃度(ΣFIC)指数の合計を用いて決定した。FIC指数は、FIC A+FIC Bの合計として計算され、ここで、FIC Aは、薬剤AとBとの組み合わせにおける薬剤AのMICを薬剤A単独のMICで割った値であり、加えて薬剤AとBとの組み合わせにおける薬剤BのMICを薬剤B単独のMICで割った値である。FICが0.5以下であれば薬剤の組み合わせは相乗的であり、FICが0.5超~1であれば相加的であり、FICが1超~2であれば無関係であり、FICが2超であれば拮抗的であると考えられる(EUCAST. Clin. Microbiol. Infect. (2000) 6: 503-508)。
【0086】
【表2】
【0087】
結果および考察
MAC肺疾患の治療のための標準治療薬の主要成分(クラリスロマイシン、エタンブトール、リファブチン、ならびに他の既知の活性NTM薬剤である、アミカシンおよびベダキリン)の存在下で、EBOのin vitro活性を試験した。EBOの活性は、試験したNTM株のいずれにおいても、これらの薬剤によって拮抗されることはなかった。ほとんどの場合、特に急速に増殖する2つのNTM株、M.アブセッサス(M. abscessus)ATCC 19977およびM.ペレグリナム(M. peregrinum)ATCC 700686では、EBO活性は第2の薬剤の添加に無関係であった。唯一の例外は、エタンブトールであり、試験したMAC合計5株のうち2株で相乗作用が、さらに、2株で相加作用が認められた。興味深いことに、クラリスロマイシン耐性株であるM.イントラセルラーレ(M. intracellulare)20-S-13は、エタンブトールおよびEBOとの間で無関係を示した唯一のMAC株であり、この株のエタンブトールMICは64mg/Lと最も高かった。
【0088】
結論
菌株またはEBOのいずれの組み合わせでも拮抗作用は観察されず、ほとんどの相互作用は、特に急速に増殖する2つのNTM株、M.アブセッサス(M. abscessus)ATCC 19977およびM.ペレグリナム(M. peregrinum)ATCC 700686については、ほとんど無関係であった。唯一の例外は、エタンブトールであり、試験したMAC合計5株のうち2株で相乗作用が、さらに、2株で相加作用が認められた。興味深いことに、最も高いエタンブトールMIC値64mg/Lを示したMAC株は、無関係を示した唯一の株であった。
【0089】
(実施例3)
自発的な耐性頻度の決定:
EBOのMIC(8mg/L)の2倍、4倍および8倍におけるM.アビウム(M. avium)ATCC 700898のRFが決定され、EBOとCLR、RBT、AMKまたはEMBとの組み合わせのRFも決定された。選択されたEBO変異体のMICは、AMK、BDQ、CLR、RBT、EMB、およびクロファジミン(CFZ)に対して決定され、変異体はゲノムDNA分析によってさらに特徴づけられた。耐性コロニーは、耐性菌の選択に使用した濃度と同じ濃度の抗生物質を含む寒天プレート上でのレプリカプレートにより確認した。薬剤無添加のコントロールプレートを、接種量の決定用に調製した。RFは、耐性コロニーの総CFU/mLを接種株の総CFU/mLで割ることにより算出した。
【0090】
EBOの自発的な耐性頻度は、2~8倍の寒天MICにて選択された場合、1.58×10-7から8.48×10-9であった(表3)。EBOの耐性頻度は、標準治療(SOC)抗菌薬の耐性頻度とほぼ同じであった(表4)。しかし、EMB、CLR、RFB、またはAMKをEBOに添加すると、両薬剤に対する耐性頻度は、700倍よりも大幅に低下した(表4)。EBO耐性突然変異体のさらなる特性解析は、EBOのMIC値は128倍以上増加したが、一方、アミカシン、ベダキリン、クロファジミン、クラリスロマイシン、およびエタンブトールのMIC値は4倍超は変化しなかったことを示した(表5)。野生型MIC値から4倍超変化した唯一の試験された薬剤は、リファブチンであったが、これは単一のEBO耐性突然変異体である64-4Aを伴い、8倍変化した(表5)。しかしながら、これは単一のMIC値のときだけであり、その2連(duplicate)は、野生型と4倍しか異ならない。この菌株(M.アビウム(M. avium)ATCC 700898)では、関連リファマイシンであるリファンピンに対して8倍の相違があることが以前に報告されている(Zelinski C, KillianSC, Sulivan N, Allen S. Mycobacterium avium ssp. avium ATCC 700898 (QC) culture differences demonstrate variable MIC susceptibility results in the Sensititre(登録商標)SLOMYCO plate. ASM General Meeting 2010, San Diego CA C-153)。この8倍の差は誤差の範囲内である。試験した主要な抗マイコバクテリアの活性はEBO耐性による影響を受けなかったことから、交差耐性は生じなかったと考えられる。
【0091】
【表3】
【0092】
【表4】
【0093】
【表5】
【0094】
本明細書に記載する実施例および実施形態は、例示のみを目的とするものであり、それを考慮した様々な修正または変更が当業者に示唆され、本出願の精神および範囲、ならびに添付の特許請求の範囲に含まれるものであることを理解されたい。本明細書において引用される全ての刊行物、特許、および特許出願は、全ての目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。

【国際調査報告】