(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】水素生成プラントのアルカリ電解槽ユニットを組み立て及び/又は分解するための方法
(51)【国際特許分類】
C25B 9/00 20210101AFI20241219BHJP
C25B 1/04 20210101ALI20241219BHJP
C25B 9/23 20210101ALI20241219BHJP
C25B 9/77 20210101ALI20241219BHJP
【FI】
C25B9/00 A
C25B1/04
C25B9/23
C25B9/77
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024534329
(86)(22)【出願日】2022-12-07
(85)【翻訳文提出日】2024-07-04
(86)【国際出願番号】 EP2022084722
(87)【国際公開番号】W WO2023110565
(87)【国際公開日】2023-06-22
(32)【優先日】2021-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505056845
【氏名又は名称】アーベーベー・シュバイツ・アーゲー
【氏名又は名称原語表記】ABB Schweiz AG
【住所又は居所原語表記】Bruggerstrasse 66, 5400 Baden, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】ソーバーン、ステファン
【テーマコード(参考)】
4K021
【Fターム(参考)】
4K021AA01
4K021BA02
4K021DB04
4K021DB53
4K021DC01
4K021EA02
(57)【要約】
本発明は、水素生成プラント(500)のアルカリ電解槽ユニット(101,101a,101b,401,401a,401b,401c,401d,401e)を組み立て及び/又は分解するための方法に関する。本方法は、ロボット機能を有するコントローラ(18)と複数のロボット(10,310,310a,310b)とを備える産業用ロボットシステム(300)を設けること(S101)、複数のロボットを複数の電解槽ユニットの現場(20a,20b,520,520a,520x)に輸送すること(S103)、コントローラ中に備えられた組み立て命令を実行する複数のロボットによって電解槽ユニットの現場においてアルカリ電解槽ユニットを組み立てること(S107)、及び/又は、コントローラ中に備えられた分解命令を実行する複数のロボットのうちの少なくとも1つによって電解槽ユニットの現場においてアルカリ電解槽ユニットのうちの少なくとも1つを分解すること(S109)を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素生成プラント(500)のアルカリ電解槽ユニット(101,101a,101b,401,401a,401b,401c,401d,401e)を組み立て及び/又は分解するための方法であって、前記水素生成プラントは、制御された屋内環境を有する建物(510)中に収容され、前記方法は、
-ロボット機能を有するコントローラ(18)と複数のロボット(10,310,310a,310b)とを備える産業用ロボットシステム(300)を設けること(S101)、ここで、各ロボットは、基部(14)を有するマニピュレータ(12)と、複数の軸を中心として前記基部に対して前記マニピュレータによって移動可能なツール(16)とを備え、
-複数の前記ロボットを複数の電解槽ユニットの現場(20a,20b,520,520a,520x)に輸送すること(S103)、
-少なくとも複数の電解槽電極(201a,201,203)及び複数の電解槽膜(205)を含むアルカリ電解槽ユニット構成要素(103,105,111a,111b,113,201a,201,203,205)を設ける(S105)こと、
-前記コントローラ中に備えられた組み立て命令を実行する複数の前記ロボットによって前記電解槽ユニットの現場において前記アルカリ電解槽ユニットを組み立てること(S107)、ここにおいて、組み立てることは、組み立てられたアルカリ電解槽ユニット毎に、少なくとも1つのロボットの前記ツール及びマニピュレータによって、セルスタック(107)を形成する電解槽セル(109,209)中に複数の前記電解槽電極及び複数の前記電解槽膜を配置すること(S107a)を備え、及び/又は、
前記コントローラ中に備えられた分解命令を実行する複数の前記ロボットのうちの少なくとも1つによって電解槽ユニットの現場において前記アルカリ電解槽ユニットのうちの少なくとも1つを分解すること(S109)、ここにおいて、分解することは、分解されたアルカリ電解槽ユニット毎に、少なくとも1つのロボットの前記ツール及びマニピュレータによって少なくとも1つのアルカリ電解槽ユニット構成要素(201a)を取り外すことを備え、
を備える、方法。
【請求項2】
前記アルカリ電解槽ユニット構成要素(103,105,111a,111b,113,201a,201,203,205)は、端部プレート(103,105)を更に含み、組み立てることは、組み立てられたアルカリ電解槽ユニット毎に、前記端部プレートを第1の端部プレート(103)及び第2の端部プレート(105)として配置し、前記セルスタック(107)が前記第1の端部プレートと前記第2の端部プレートとの間に配置されること(S107b)を更に備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記アルカリ電解槽ユニット構成要素(103,105,111a,111b,113,201a,201,203,205)は、接続ロッド(111a,111b)を更に含み、組み立てることは、組み立てられたアルカリ電解槽ユニット毎に、前記セルスタック(107)中の前記電解槽セル(109)を圧縮するために、前記第1の端部プレート(103)から前記第2の端部プレート(105)まで延在するように少なくとも1つの接続ロッドを配置すること(S107c)を更に備える、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記アルカリ電解槽ユニット構成要素(103,105,111a,111b,113,201a,201,203,205)は、パイピング(113)を更に含み、組み立てることは、組み立てられたアルカリ電解槽ユニット毎に、前記セルスタック(107)の前記電解槽セル(109)から生成されたガスを輸送するための前記パイピングを配置すること(S107d)を更に備える、請求項1~3のいずれか1つに記載の方法。
【請求項5】
複数の行(521,522,523,524)中に前記複数の電解槽ユニットの現場(520)を設けることを更に備え、2つの近隣する行は、行空間によって分離される、請求項1~4のいずれか1つに記載の方法。
【請求項6】
第1のロボット(310b)が、第1の行(521)と第2の行(522)との間に位置決めされ、組み立てることは、前記第1のロボットによって、前記第1の行中に第1のアルカリ電解槽ユニット(401c)を組み立て、前記第2の行中に第2のアルカリ電解槽ユニット(401b)を組み立てることを備える、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
組み立てることは、ロボット毎に、前記マニピュレータ(12)を前記アルカリ電解槽ユニット構成要素のローカル保管位置(21a)に移動させることと、前記ツール(16)を使用してアルカリ電解槽ユニット構成要素をピックアップすることと、ピックアップされた前記アルカリ電解槽ユニット構成要素を保持する前記ツールを有する前記マニピュレータを関連する前記電解槽ユニットの現場(20a)の設置位置に移動させることと、関連する前記アルカリ電解槽ユニット(101a)のために前記アルカリ電解槽ユニット構成要素を組み立てることとを備える、請求項1~6のいずれか1つに記載の方法。
【請求項8】
分解することは、ロボット毎に、前記マニピュレータ(12)を関連する前記アルカリ電解槽ユニット(101b)に移動させることと、前記ツール(16)を使用してアルカリ電解槽ユニット構成要素(201a)をピックアップすることと、ピックアップされた前記アルカリ電解槽ユニット構成要素を保持する前記ツールを有する前記マニピュレータを前記アルカリ電解槽ユニット構成要素のローカル保管位置(21a)に移動させることと、前記アルカリ電解槽ユニット構成要素の前記ローカル保管位置において前記アルカリ電解槽ユニット構成要素を解放することとを備える、請求項1~7のいずれか1つに記載の方法。
【請求項9】
前記アルカリ電解槽ユニット(101,101a,101b,401,401a,401b,401c,401d)からのいかなる漏出ガスも検出するように構成されたガスセンサ(19)を設けること(S111)を更に備える、請求項1~8のいずれか1つに記載の方法。
【請求項10】
-前記コントローラ(18)によって一次ロボット機能を有する複数の前記ロボット(10,310,310a,310b)のうちの第1のロボットを動作させること(S110a)、ここで、前記一次ロボット機能は、マニピュレータの動きの制御を含み、
-前記第1のロボット及び第2のロボットが特定のアルカリ電解槽ユニット(101,101a,101b,401,401a,401b,401c,401d)の組み立て及び/又は分解を協働して実行するための第1のマニピュレータ及び第2のマニピュレータの協働的な動き(S110)によって動作させられるように、前記コントローラによって前記一次ロボット機能を有する複数の前記ロボット(10,310,310a,310b)のうちの第2のロボットを動作させること(S110b)
を更に備える、請求項1~9のいずれか1つに記載の方法。
【請求項11】
-前記第1のマニピュレータ及び第2のマニピュレータの同期された動きによって前記第1のロボット及び第2のロボットを動作させること(S110a,S110b)
を更に備える、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
複数の前記電解槽ユニットの現場(20a,20b,520,520a,520x)に、又は複数の前記電解槽ユニットの現場(20a,20b,520,520a,520x)から前記アルカリ電解槽ユニット構成要素(103,105,111a,111b,113,201a,201,203,205)を輸送すること(S106)を更に備える、請求項1~11のいずれか1つに記載の方法。
【請求項13】
制御された前記屋内環境は、IEC/EN60079-10、IEC60079-10-1、IEC60079-10-2、又はIECExによって分類されたエリアである、請求項1~12のいずれか1つに記載の方法。
【請求項14】
制御された屋内環境を有する建物(510)を備える水素生成プラント(500)であって、前記水素生成プラントは、前記水素生成プラント(500)のアルカリ電解槽ユニット(101,101a,101b,401,401a,401b,401c,401d)を組み立て及び/又は分解するための産業用ロボットシステム(300)を更に備え、前記アルカリ電解槽ユニットは、少なくとも複数の電解槽電極(201,203)及び複数の電解槽膜(205)を含むアルカリ電解槽ユニット構成要素(103,105,111a,111b,113,201a,201,203,205)を備え、前記産業用ロボットシステムは、
-ロボット機能を有するコントローラ(18)と、
-複数のロボット(10,310,310a,310b)と、ここで、各ロボットは、基部(14)を有するマニピュレータ(12)と、複数の軸を中心として前記基部に対して前記マニピュレータによって移動可能なツール(16)とを備え、複数の前記ロボットは、複数の電解槽ユニットの現場(20a,20b,520,520a,520x)に輸送されるように構成され、
を備え、複数の前記ロボットは、前記コントローラ中に備えられた組み立て命令を実行することによって前記電解槽ユニットの現場において前記アルカリ電解槽ユニットを組み立て、そのため、組み立てられたアルカリ電解槽ユニット毎に、複数の前記電解槽電極及び複数の前記電解槽膜が、少なくとも1つのロボットの前記ツール及びマニピュレータを使用することによって、セルスタック(107)を形成する電解槽セル(109,209)中に配置されるように構成され、及び/又は、
複数の前記ロボットは、前記ツール及びマニピュレータによって、前記コントローラ中に備えられた分解命令を実行することによって前記電解槽ユニットの現場において前記アルカリ電解槽ユニットを分解し、そのため、分解されたアルカリ電解槽ユニット毎に、少なくとも1つのアルカリ電解槽ユニット構成要素(201a)が、少なくとも1つのロボットの前記ツール及びマニピュレータを使用することによって取り外されるように構成される、水素生成プラント(500)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、水素生成プラントのアルカリ電解槽ユニットを組み立て及び/又は分解するための産業用ロボットシステムに関する。本発明は、より具体的には、水素生成プラントのアルカリ電解槽ユニットを組み立て及び/又は分解するための方法、並びに産業用ロボットシステムを備える水素生成プラントに関する。
【背景技術】
【0002】
より多くの国が脱炭素戦略を追及するにつれて、エネルギー輸送体としての水素は、より重要になる可能性が最も高い。水素の使用は、直接帯電が困難な分野、例えば、鋼及びある特定の化学物質の製造、長距離輸送、船舶輸送及び航空において特に関連する。好ましくは、生成された水素は、低いカーボンフットプリントを有し、例えば、再生可能な供給源からの電気を使用して水の電解によって生成されることによって、究極的に環境に優しい。規制及び市場設計に加えて、水素生成のコストが依然として障壁である。
【0003】
電解槽、即ち、水電解槽は、電流を通すことによって水分子を水素及び酸素に分離するために使用される電気化学デバイスである。電解槽は、電気化学的プロセスが生じる電解槽セルを備える。電解槽セルは、典型的には、液体電解質中に浸漬されたか、又は固体電解質に隣接した2つの電極(アノード及びカソード)と、反応物の輸送及び生成物の除去を容易にする膜又は他の多孔質輸送層とから成る。電極において、水は、液体又は固体膜電解質を通過するイオン、典型的にはH+又はOH-と共に、酸素及び水素に分離される。両方の電極間の膜はまた、生成されたガス(水素及び酸素)を分離した状態に保ち、ガスの混合を回避する役割を担う。
【0004】
電解槽は、典型的には、セルスタック中に配置され、機械的支持を提供する2つの端部プレート間に配置された複数のそのような電解槽セルを備える。セルスタックは、電解槽セル中の2つの対向する電極間の絶縁材料であるスペーサと、シールと、更なる機械的支持のためのフレームとを更に含み得る。その上、冷却、水素の処理(例えば、純度及び圧縮のため)、電気入力の変換(例えば、変圧器及び整流器)、給水の処理(例えば、脱イオン化)、及びガス出力(例えば、酸素の)のための機器を含む複数の電解槽ユニットを電解槽システム中に配置することができる。そのような電解システムは、例えば、水素生成プラント中に備えられ得る。
【0005】
電解槽は、典型的には、電解質及び動作温度に基づいて異なる技術に分類される。例えば、アルカリ電解槽は、液体アルカリ電解質を使用し、その一方で、プロトン交換膜(PEM)電解槽は、固体ポリマ電解質を使用し、固体酸化物電解槽(SOEC)は、電解質として固体セラミック材料を使用する。
【0006】
全てのタイプの電解槽は、水素の生成のために比較的高いコストを被る。しかしながら、アルカリ電解槽は、典型的には、PEMのために通常使用される白金族金属系触媒に対してより安価な触媒に関連付けられる。その上、アルカリ電解槽は、典型的には、交換可能な電解質及びアノード触媒のより低い溶解に起因して、より高い耐久性を有する。その上、アルカリ電解槽は、典型的には、アルカリ電解質中のより低いガス拡散性に起因してより高いガス純度を達成する。
【0007】
しかしながら、電解槽に関連する課題、特に複数の電解槽ユニットを備える水素生成プラントについての課題が依然として存在する。電解槽ユニットの組み立ては時間が掛かり、典型的には、重い吊り上げ機器及び嵩張る輸送設備を必要とする。その上、他の電解槽ユニットが動作している間に、例えば、保守のために電解槽ユニットを分解することは、人員にとって危険な又は有害でさえある環境に起因して困難である。その上、電解槽ユニットは比較的嵩張るので、設置の表面積当たりの水素生成能力は比較的低い。このことから、業界では更なる改善が必要とされている。
【発明の概要】
【0008】
本発明の目的は、上記の問題のうちの少なくともいくつかを克服し、水素生成プラントのアルカリ電解槽ユニットの組み立て及び/又は分解における改善を提供することである。この目的、及び以下で明らかになるであろう他の目的は、水素生成プラントのアルカリ電解槽ユニットを組み立て及び/又は分解するための方法、並びに水素生成プラントのアルカリ電解槽ユニットを組み立て及び/又は分解するための産業用ロボットシステム、並びにそのような産業用ロボットシステムを備える水素生成プラントによって達成される。
【0009】
本発明の第1の態様によると、水素生成プラントのアルカリ電解槽ユニットを組み立て及び/又は分解するための方法であって、水素生成プラントが、制御された屋内環境を有する建物中に収容される、方法が提供される。本方法は、
-ロボット機能を有するコントローラと複数のロボットとを備える産業用ロボットシステムを設けること、ここで、各ロボットは、基部を有するマニピュレータと、複数の軸を中心として基部に対してマニピュレータによって移動可能なツールとを備え、
-複数のロボットを複数の電解槽ユニットの現場に輸送すること、
-少なくとも複数の電解槽電極及び複数の電解槽膜を含むアルカリ電解槽ユニット構成要素を設けること、
-コントローラ中に備えられた組み立て命令を実行する複数のロボットによって電解槽ユニットの現場においてアルカリ電解槽ユニットを組み立てること、ここにおいて、組み立てることは、組み立てられたアルカリ電解槽ユニット毎に、少なくとも1つのロボットのツール及びマニピュレータによって、セルスタックを形成する電解槽セル中に複数の電解槽電極及び複数の電解槽膜を配置することを備え、及び/又は、
-コントローラ中に備えられた分解命令を実行する複数のロボットのうちの少なくとも1つによって電解槽ユニットの現場においてアルカリ電解槽ユニットのうちの少なくとも1つを分解すること、ここにおいて、分解することは、分解されたアルカリ電解槽ユニット毎に、少なくとも1つのロボットのツール及びマニピュレータによって少なくとも1つのアルカリ電解槽ユニット構成要素を取り外すことを備え、
を備える。
【0010】
これにより、水素生成プラントのアルカリ電解槽ユニットを組み立て及び/又は分解する効率的な方法が提供される。このことから、水素生成プラント、又は水素生成プラントの少なくとも一部は、アルカリ電解槽ユニットのロボット支援の組み立てによって効率的に構築され得る。追加として又は代替として、保守又は解体は、アルカリ電解槽ユニットのロボット支援の分解によって効率的に達成され得る。このことから、アルカリ電解槽ユニットの手動の組み立て及び/又は分解の必要がないか、又は少なくともその必要性が低減される。これにより、人員が電解槽ユニットの現場に存在する必要性の低減が達成される。
【0011】
上記で説明したように水素生成プラントのアルカリ電解槽ユニットのロボット支援の組み立て及び/又は分解を提供することによって、水素生成プラント中で、重い吊り上げ機器及び嵩張る輸送設備を省くことができる。その上、アルカリ電解槽ユニットの組み立て及び/又は分解が水素生成プラントで(即ち、現場で)実行されるので、アルカリ電解槽ユニット構成要素を既に(現場外で)組み立てられたアルカリ電解槽ユニットの代わりに水素生成プラントに輸送することができるので、面倒な輸送を最小限に抑えることができる。このことから、水素生成プラントの構成が、簡略化される。その上、アルカリ電解槽ユニットが現場外の代わりに現場で組み立て及び/又は分解されるので、適格性評価及び試験を簡略化することができる。その上、本発明の方法によって、水素生成プラントは、同じ産業用ロボットシステムを使用して、水素生成プラントの全体の容量の所望の必要性に基づいてスケールアップ又はスケールダウンすることができ、スケーリングは、少なくともアルカリ電解槽ユニットの数に基づく。水素生成プラントのアルカリ電解槽ユニットを組み立て及び/又は分解するための方法は、水素生成プラントのアルカリ電解槽ユニットを現場で組み立て及び/又は現場で分解することと呼ばれ得る。
【0012】
典型的には、複数のロボットを複数の電解槽ユニットの現場に輸送することは、ロボットのうちの少なくとも1つを電解槽ユニットの現場のうちの少なくとも1つに輸送することによって実行される。このことから、産業用ロボットシステムの異なるロボットが、異なる電解槽ユニットの現場に輸送される。しかしながら、電解槽ユニットの現場毎に1つのロボットを有する必要はなく、代わりに、ロボットを建物中で輸送することができ、アルカリ電解槽ユニットの組み立てがロボットによって完了されると、前記ロボットを別の電解槽ユニットの現場に輸送し、別のアルカリ電解槽ユニットを組み立てることができる。
【0013】
少なくとも1つの実例的な実施形態によると、建物及び/又は産業用ロボットシステムは、複数のロボットを複数の電解槽ユニットの現場に輸送するための案内システムを備える。少なくとも1つの実例的な実施形態によると、案内システムは、建物中に収容されたレールシステムであり、複数のロボットは、レールシステム上で輸送されるように構成される。このことから、複数のロボットは、レールシステム上の複数の電解槽ユニットの現場に輸送されるように構成される。例えば、レールシステムは、例えば、異なるレール部分に分割されることによって、建物の床に一体化される。少なくとも1つの実例的な実施形態によると、案内システムは、自律移動ロボット機能によって産業用ロボットシステム中に備えられる。このことから、複数のロボットの各々は、位置決め情報によって建物の内側を移動するように構成された自律移動ロボット(AMR)である。少なくとも1つの実例的な実施形態によると、コントローラは、各ロボットについての位置決め情報を備える命令を備える。このことから、各ロボットは、アルカリ電解槽ユニットの組み立て及び/又は分解を実行するために、典型的には電解槽ユニットの現場に対応する所定の位置に(自律的に、又はレールシステム上で)移動するように命令される。
【0014】
電解槽ユニットの現場とは、アルカリ電解槽ユニットのための現場、又はアルカリ電解槽ユニットの組み立て現場であることに留意されたい。このことから、電解槽ユニットの現場という用語は、意図された電解槽ユニットの現場、即ち、アルカリ電解槽ユニットの組み立てを意図された現場を含み、実際の電解槽ユニットの現場、即ち、例えば、少なくとも部分的に分解され得る組み立てられたアルカリ電解槽ユニットを有する現場を含む。
【0015】
アルカリ電解槽ユニットのセルスタック中の電解槽セルは、典型的には、1つの電解槽膜によって分離された2つの電解槽電極(アノード及びカソード)を備えることを理解されたい。使用時には、アルカリ電解槽ユニットの組み立て後に、液体アルカリ電解質溶液が電解槽セルに提供されて(単にアルカリ電解質と呼ばれる)、水電解を達成する。アルカリ電解槽ユニットの動作中、酸素ガス(及び水)が、OHのアニオンによってアノードにおいて生成され、水素ガス(及びOHのアニオン)が、供給された電子によってカソードにおいて生成される。アルカリ電解質及び/又は水は、アルカリ電解槽ユニットに連続的に供給され得る。OHのアニオンは、電解槽膜を介してカソードからアノードに輸送される。アルカリ電解槽ユニットの各セルスタックは、典型的には、複数のそのような電解槽セルを備える。このことから、組み立ては、典型的には、組み立てられたアルカリ電解槽ユニット毎に、少なくとも1つのロボットのツール及びマニピュレータによって複数の電解槽セルをセルスタック中に配置することを備える。
【0016】
コントローラ中に備えられた組み立て命令を複数のロボットが実行すると述べるとき、複数のロボットの各々は、そのような組み立て命令に応答して可動ツール及びマニピュレータを少なくとも動作させることによって組み立て命令を実施することに留意されたい。
【0017】
少なくとも1つの実例的な実施形態によると、アルカリ電解槽ユニット中のセルスタック中の電解槽セル中の電解槽電極の表面積は、0.5~3m2である。
【0018】
少なくとも1つの実例的な実施形態によると、分解中に、少なくとも1つのロボットのツール及びマニピュレータによって少なくとも1つのアルカリ電解槽ユニット構成要素を取り外すことは、典型的には、少なくとも1つのロボットのツール及びマニピュレータによって、電解槽セルをセルスタックから取り外すこと、及び/又は電解槽電極若しくは電解槽膜を取り外すことを備える。
【0019】
少なくとも1つの実例的な実施形態によると、アルカリ電解槽ユニット構成要素は、端部プレートを更に含み、組み立てることは、組み立てられたアルカリ電解槽ユニット毎に、端部プレートを第1の端部プレート及び第2の端部プレートとして配置し、セルスタックが第1の端部プレートと第2の端部プレートとの間に配置されることを更に備える。
【0020】
これにより、セルスタック及びアルカリ電解槽ユニットのための機械的支持が提供される。端部プレートは、基部プレート、又は荷重搬送プレートと呼ばれ得る。このことから、第1及び第2の端部プレートは、関連するアルカリ電解槽ユニットのセルスタックのための主搬送構造を形成する。典型的には、第1及び第2の端部プレートは、セルスタックの任意の電解槽電極とは異なる。組み立てられたアルカリ電解槽ユニット毎に、組み立てることは、少なくとも1つのロボットのツール及びマニピュレータによって、第1のセルスタック端部又は意図された第1のセルスタック端部に第1の端部プレートを配置することと、少なくとも1つのロボットのツール及びマニピュレータによって、セルスタックを形成する電解槽セル中に複数の電解槽電極及び複数の電解槽膜を配置した後に、第2のセルスタック端部に第2の端部プレートを配置することとを備え得る。少なくとも1つの実例的な実施形態によると、アルカリ電解槽ユニット構成要素は、中間支持プレートを更に含み、組み立てることは、組み立てられたアルカリ電解槽ユニット毎に、少なくとも1つの中間支持プレートを第1の端部プレートと第2の端部プレートとの間に配置し、中間支持プレートが、第1の端部プレートと第2の端部プレートとの間に配置されたセルスタックを包含することを更に備える。
【0021】
少なくとも1つの実例的な実施形態によると、アルカリ電解槽ユニット構成要素は、接続ロッドを更に含み、組み立てることは、組み立てられたアルカリ電解槽ユニット毎に、セルスタック中の電解槽セルを圧縮するために、第1の端部プレートから第2の端部プレートまで延在するように少なくとも1つの接続ロッドを配置することを更に備える。
【0022】
これにより、セルスタック及びアルカリ電解槽ユニットのための更なる機械的支持が提供される。接続ロッドは、例えば、ナット又はねじナットによって第1及び第2の端部プレートの各々に取り付けられ得る。組み立てられたアルカリ電解槽ユニット毎に、組み立てることは、少なくとも1つのロボットのツール及びマニピュレータによって、第1の端部プレートから第2の端部プレートまで延在するように少なくとも1つの接続ロッドを配置することを備え得る。
【0023】
少なくとも1つの実例的な実施形態によると、アルカリ電解槽ユニット構成要素は、パイピングを更に含み、組み立てることは、組み立てられたアルカリ電解槽ユニット毎に、セルスタックの電解槽セルから生成されたガスを輸送するためのパイピングを配置することを更に備える。
【0024】
これにより、パイピングを配置する効率的な方法が提供される。このことから、パイピングは、各アルカリ電解槽ユニットのセルスタックと流体接触するように組み立てられ、電解槽セルから生成されたガスを輸送するように構成される。例えば、少なくとも2つのアルカリ電解槽ユニットは、生成されたガスを同じパイピングに提供するように構成され得る。パイピングは、生成された水素ガスを取り扱うための第1のパイピングシステムと、生成された酸素ガスを取り扱うための第2のパイピングシステムとを備え得、第2のパイピングシステムは、第1のパイピングシステムとは別個であり、異なる。少なくとも1つの実例的な実施形態によると、パイピングは、アルカリ電解質(又はその対応する溶液)及び/又は水を、関連するアルカリ電解槽ユニット(複数可)に、及び関連するアルカリ電解槽ユニット(複数可)から輸送するように更に構成される。このことから、パイピングは、アルカリ電解質及び/又は水を取り扱うための第3のパイピングシステムを備え得る。典型的には、アルカリ電解質及び/又は水は、セルスタック(複数可)から出て、その中に入るように再循環される。組み立てられたアルカリ電解槽ユニット毎に、組み立ては、少なくとも1つのロボットのツール及びマニピュレータによって、電解槽セルから生成されたガスを輸送するためにセルスタックから延在するようにパイピングを配置することを備え得る。パイピングは、典型的には、適切な弁及びポンプを含む。このことから、組み立てることは、そのような弁及びポンプを設置すること及び/又は動作させることを更に備え得る。
【0025】
少なくとも1つの実例的な実施形態によると、アルカリ電解槽ユニット構成要素は、電気配線を更に含み、組み立てることは、組み立てられたアルカリ電解槽ユニット毎に、アルカリ電解槽ユニットの少なくとも一部に電気又は電子を供給するための電気配線を配置することを更に備える。アルカリ電解槽ユニット構成要素は、遮断器、断路器、及び接地デバイスを更に含み得る。
【0026】
少なくとも1つの実例的な実施形態によると、本方法は、複数の行中に複数の電解槽ユニットの現場を設けることを更に備え、2つの近隣する行は、行空間によって分離される。
【0027】
これにより、アルカリ電解槽ユニット上で動作するように構成されたロボットのみが2つの近隣する行間に適合する必要があるので、行空間を最小限に保つことができる。例えば、行空間は、アルカリ電解槽ユニットの幅と同じである。少なくとも1つの実例的な実施形態によると、行空間は、アルカリ電解槽ユニットの幅の2倍よりも小さい。アルカリ電解槽ユニットの幅は、典型的には、アルカリ電解槽ユニットの中心軸に対して垂直な水平面中の距離として定義される。少なくとも1つの実例的な実施形態によると、行空間は、1m~5m、例えば、1.5m~3mである。例えば、本発明の実例的なロボットであり、250kgの処理能力を有するABBからのIRB660ロボットは、2つの近隣する行中のアルカリ電解槽ユニット上で動作することが可能となるために、約1.5mの行空間を必要とする。少なくとも1つの実例的な実施形態によると、行空間は、2つの近隣する行間で動作するロボットが、2つの近隣する行の両方中のアルカリ電解槽ユニットを動作させる(組み立て及び/又は分解する)ことができるように適合される。典型的には、これは、ロボットの位置を変更することなく実施され得る。案内システムがレールシステムである実施形態では、2つの近隣する行は、典型的には、レールシステムのレール部分によって分離される。このことから、複数のロボットは、2つの近隣する行間のレール部分に沿って移動することができ、また、2つの他の近隣する行を分離する別のレール部分に移動することができる。
【0028】
1つの実例的な実施形態によると、第1のロボットが、第1の行と第2の行との間に位置決めされ、組み立てることは、第1のロボットによって、第1の行中に第1のアルカリ電解槽ユニットを組み立て、第2の行中に第2のアルカリ電解槽ユニットを組み立てることを備える。
【0029】
即ち、第1のロボットは、第1の行中に少なくとも第1のアルカリ電解槽ユニットを組み立て、また、第2の行中に少なくとも第2のアルカリ電解槽ユニットを組み立てるように構成される。第1の行及び第2の行は、近隣する行である。即ち、ロボットは、ロボットが第1の行中の第1のアルカリ電解槽上で動作する第1の位置と、ロボットが第2の行中の第2のアルカリ電解槽上で動作する第2の位置との間で、典型的には180°だけ単純に回転することができる。
【0030】
少なくとも1つの実例的な実施形態によると、組み立てることは、ロボット毎に、マニピュレータをアルカリ電解槽ユニット構成要素のローカル保管位置に移動させることと、ツールを使用してアルカリ電解槽ユニット構成要素をピックアップすることと、ピックアップされたアルカリ電解槽ユニット構成要素を保持するツールを有するマニピュレータを関連する電解槽ユニットの現場の設置位置に移動させることと、関連するアルカリ電解槽ユニットのためにアルカリ電解槽ユニット構成要素を組み立てることとを備える。
【0031】
これにより、少なくとも1つのロボットを使用することによって、関連する電解槽ユニットの現場において特定のアルカリ電解槽ユニットを組み立てる効率的な方法が提供される。例えば、第1のアルカリ電解槽ユニットの場合、ローカル保管位置は、少なくとも第1のアルカリ電解槽ユニットのアルカリ電解槽ユニット構成要素のための第1のローカル保管位置である。
【0032】
少なくとも1つの実例的な実施形態によると、分解することは、ロボット毎に、マニピュレータを関連するアルカリ電解槽ユニットに移動させることと、ツールを使用してアルカリ電解槽ユニット構成要素をピックアップすることと、ピックアップされたアルカリ電解槽ユニット構成要素を保持するツールを有するマニピュレータをアルカリ電解槽ユニット構成要素のローカル保管位置に移動させることと、アルカリ電解槽ユニット構成要素のローカル保管位置においてアルカリ電解槽ユニット構成要素を解放することとを備える。
【0033】
これにより、少なくとも1つのロボットを使用することによって、関連する電解槽ユニットの現場において特定のアルカリ電解槽ユニットを分解する効率的な方法が提供される。分解は、例えば、特定のアルカリ電解槽ユニットに対して保守を実行するアクション中に備えられ得る。例えば、第2のアルカリ電解槽ユニットの場合、第2のアルカリ電解槽ユニットからの(取り外されたか又は分解された)アルカリ電解槽ユニット構成要素のローカル保管位置は、上記で説明した第1のローカル保管位置と同じであり得るか、又は異なり得る。
【0034】
少なくとも1つの実例的な実施形態によると、本方法は、アルカリ電解槽ユニットからのいかなる漏出ガスも検出するように構成されたガスセンサを設けることを更に備える。
【0035】
このことから、漏出ガスを検出するための効率的な手段が設けられる。ガスセンサは、典型的には、水素ガス及び/又は酸素ガスを検出するように構成される。ガスセンサは、例えば、産業用ロボットシステムの少なくとも1つのロボット中に備えられ得る。好ましくは、産業用ロボットシステムの各ロボットは、そのようなガスセンサを備える。
【0036】
少なくとも1つの実例的な実施形態によると、本方法は、
-コントローラによって一次ロボット機能を有する複数のロボットのうちの第1のロボットを動作させること、ここで、一次ロボット機能は、マニピュレータの動きの制御を含み、
-第1のロボット及び第2のロボットが特定のアルカリ電解槽ユニットの組み立て及び/又は分解を協働して実行するための第1のマニピュレータ及び第2のマニピュレータの協働的な動きによって動作させられるように、コントローラによって一次ロボット機能を有する複数のロボットのうちの第2のロボットを動作させること
を更に備える。
【0037】
これにより、少なくとも2つのロボットが、特定のアルカリ電解槽ユニットの組み立て及び/又は分解において協働し得る。これにより、産業用ロボットシステムは、マルチロボットモーションシステムを形成する。
【0038】
少なくとも1つの実例的な実施形態によると、本方法は、
-第1のマニピュレータ及び第2のマニピュレータの同期された動きによって第1のロボット及び第2のロボットを動作させること
を更に備える。
【0039】
これにより、少なくとも2つのロボットが、特定のアルカリ電解槽ユニットの組み立て及び/又は分解のために、同期された動きで協働し得る。
【0040】
産業用ロボットシステムのコントローラは、ロボットの各々のための一次コントローラを備え得ることを理解されたい。各一次コントローラは、例えば、その対応するロボットに一体化され得る。コントローラは、セルコントローラ又はシステムコントローラなどの二次コントローラを更に備え得る。好ましくは、マニピュレータの動きの制御などの少なくとも一次ロボット機能は、一次コントローラ中に含まれる。ロボットの任意の他の可能な機能、及び/又はプロセス(例えば、同期された動きによって、例えば、組み立て及び/又は分解を協働的に実行するプロセス)は、好ましくは、二次コントローラに割り振られ得る。コントローラ(複数可)(一次及び/又は二次)は、典型的には、ロボット機能を実施するためのプロセスソフトウェア及びハードウェアリソースを備える。プロセスソフトウェア及びハードウェアリソースは、例えば、コントローラ(複数可)中のコンピュータ及び論理ユニットによって具現化され得る。
【0041】
少なくとも1つの実例的な実施形態によると、本方法は、アルカリ電解槽ユニット構成要素を複数の電解槽ユニットの現場に、又は複数の電解槽ユニットの現場から輸送することを更に備える。
【0042】
これにより、アルカリ電解槽ユニット構成要素を複数の電解槽ユニットの現場に設ける効率的な方法が提供される。例えば、アルカリ電解槽ユニット構成要素は、以前に説明したように、ローカル保管位置に、及び/又はローカル保管位置から輸送される。例えば、アルカリ電解槽ユニット構成要素は、例えば、複数のロボットによってレールシステム上で輸送される。
【0043】
少なくとも1つの実例的な実施形態によると、制御された屋内環境は、IEC/EN60079-10、IEC60079-10-1、IEC60079-10-2、又はIECExによって分類されたエリアである。
【0044】
即ち、制御された屋内環境は、人員にとって危険であり得るか、又は有害でさえあり得る。典型的には、水素ガス、及びその任意の漏れのリスクが主な懸念事項である。しかしながら、高磁場を作り出す非常に高いDC電流も考慮されるべきである。例えば、制御された屋内環境は、有害エリアゾーン1又はゾーン21ATEX、IECExとして分類される。
【0045】
少なくとも1つの実例的な実施形態によると、複数のロボットは、例えば、有害エリアゾーン1又はゾーン21ATEX、IECEx中に設置するために爆発保護されたEx i/Ex p/Ex cであることによって、分類されたエリア中で動作するように分類される。
【0046】
少なくとも1つの実例的な実施形態によると、制御された屋内環境は、クリーンルームである。クリーンルームは、非常に低い濃度の空中浮遊粒子を維持する工学設計された空間である。典型的には、クリーンルームは、汚染から十分に隔離され、十分に制御され、能動的に洗浄される。クリーンルームは、例えば、周囲と比較して(例えば、クリーンルームの外側と比較して)低減されたレベルで、埃、空中浮遊生物、及び/又は気化した粒子を保持するように構成され得る。
【0047】
クリーンルームは、例えば、所定の分子尺度における1立方メートル当たりの粒子の数によって定量化される清浄度レベルを達成するように構成され得る。例えば、クリーンルームは、ISO14644-1のレベル1、レベル2、レベル3、レベル4、レベル5、レベル6、レベル7、又はレベル8に対応する清浄度レベルを有する。例えば、所定の分子尺度における1立方メートル当たりの粒子の数は、0.5μmにわたって3520000個未満の粒子、又は0.5μmにわたって352000個未満の粒子、又は0.5μmにわたって35200個未満の粒子、又は0.5μmにわたって3520個未満の粒子、又は0.5μmにわたって352個未満の粒子、又は0.5μmにわたって35個未満の粒子に対応する。
【0048】
少なくとも1つの実例的な実施形態によると、複数のロボットのうちの少なくとも1つによって電解槽ユニットの現場においてアルカリ電解槽ユニットのうちの少なくとも1つを分解することは、複数の他のアルカリ電解槽ユニットが水素生成プラント中で動作している間に実行される。このことから、例えば、保守のための分解は、水素生成プラントの動作中に実行され得る。
【0049】
少なくとも1つの実例的な実施形態によると、アルカリ電解槽ユニット構成要素のうちの少なくとも1つは、耐荷重面を備え、組み立てることは、組み立てられたアルカリ電解槽ユニットの少なくとも1つのサブ部分毎に、頂部アルカリ電解槽ユニットが底部アルカリ電解槽ユニットの垂直上方に配置され、耐荷重面によって支持されるように、底部アルカリ電解槽ユニットと頂部アルカリ電解槽ユニットとの間に耐荷重面を配置することを更に備える。
【0050】
これにより、アルカリ電解槽ユニットの設置のための表面積がより効率的に使用される。言い換えれば、アルカリ電解槽ユニットの設置に同じ量の表面積を使用することによって、水素生成プラントの容量が増加する。このことから、この実施形態によって、表面積当たりのアルカリ電解槽ユニットの容量が増加する。容量は、例えば、水素生成容量として定義され得る。
【0051】
頂部アルカリ電解槽ユニットが、底部アルカリ電解槽ユニットの垂直上方に配置され、耐荷重面によって支持されると述べるとき、頂部アルカリ電解槽ユニットは、底部アルカリ電解槽ユニットの頂部上に配置され、耐荷重面は、底部アルカリ電解槽ユニットと頂部アルカリ電解槽ユニットとの間に配置されることを理解されたい。このことから、組み立てられたアルカリ電解槽ユニットのサブ部分は、地面上に配置されたアルカリ電解槽ユニット、即ち、複数の底部アルカリ電解槽ユニットを包含し得る。各底部アルカリ電解槽ユニットは、このことから、対応する底部アルカリ電解槽ユニットの頂部上に配置された頂部アルカリ電解槽ユニットを有し得、耐荷重面は、底部アルカリ電解槽ユニットと頂部アルカリ電解槽ユニットとの間に配置される。
【0052】
本発明の第2の態様によると、水素生成プラントのアルカリ電解槽ユニットを組み立て及び/又は分解するための産業用ロボットシステムが設けられる。アルカリ電解槽ユニットは、少なくとも複数の電解槽電極及び複数の電解槽膜を含むアルカリ電解槽ユニット構成要素を備え、水素生成プラントは、制御された屋内環境を有する建物中に収容される。本産業用ロボットシステムは、
-ロボット機能を有するコントローラと、
-複数のロボットと、ここで、各ロボットは、基部を有するマニピュレータと、複数の軸を中心として基部に対してマニピュレータによって移動可能なツールとを備え、複数のロボットは、複数の電解槽ユニットの現場に輸送されるように構成され、
を備え、複数のロボットは、コントローラ中に備えられた組み立て命令を実行することによって電解槽ユニットの現場においてアルカリ電解槽ユニットを組み立て、そのため、組み立てられたアルカリ電解槽ユニット毎に、複数の電解槽電極及び複数の電解槽膜が、少なくとも1つのロボットのツール及びマニピュレータを使用することによって、セルスタックを形成する電解槽セル中に配置されるように構成され、及び/又は、
複数のロボットは、ツール及びマニピュレータによって、コントローラ中に備えられた分解命令を実行することによって電解槽ユニットの現場においてアルカリ電解槽ユニットを分解し、そのため、分解されたアルカリ電解槽ユニット毎に、少なくとも1つのアルカリ電解槽ユニット構成要素が、少なくとも1つのロボットのツール及びマニピュレータを使用することによって取り外されるように構成される。
【0053】
本発明の第2の態様の効果及び特徴は、少なくとも産業用ロボットシステムに関して、本発明の第1の態様に関連して上記で説明したものと大部分が類似している。本発明の第1の態様に関連して言及する実施形態は、本発明の第2の態様と大部分が適合し、そのうちのいくつかを以下で例証する。
【0054】
このことから、少なくとも1つの実例的な実施形態によると、複数のロボットは、例えば、有害エリアゾーン1又はゾーン21 ATEX、IECEx中に設置するために爆発保護されたEx i/Ex p/Ex cであることによって、分解されたエリア中で動作するように分類される。
【0055】
本発明の概念の第3の態様によると、水素生成プラントが提供される。水素生成プラントは、制御された屋内環境を有する建物と、本発明の第2の態様による産業用ロボットシステムとを備える。
【0056】
本発明の第3の態様の効果及び特徴は、少なくとも産業用ロボットシステムに関して、本発明の第1及び第2の態様に関連して上記で説明したものと大部分が類似している。本発明の第1及び第2の態様に関連して言及する実施形態は、本発明の第3の態様と大部分が適合し、そのうちのいくつかを以下で例証する。
【0057】
特に、少なくとも1つの実例的な実施形態によると、制御された屋内環境は、IEC/EN60079-10、IEC60079-10-1、IEC60079-10-2、又はIECExによって分類されたエリアである。即ち、制御された屋内環境は、人員にとって危険であり得るか、又は有害でさえあり得る。典型的には、水素ガス、及びその任意の漏れのリスクが主な懸念事項である。例えば、制御された屋内環境は、有害エリアゾーン1又はゾーン21ATEX、IECExとして分類される。
【0058】
特に、少なくとも1つの実例的な実施形態によると、制御された屋内環境は、クリーンルームである。このことから、水素生成プラントは、本発明の第1の態様を参照して説明したクリーンルームとしての屋内環境を提供するように構成され得る。
【0059】
本発明の第2及び第3の態様の両方に適用可能な少なくとも1つの実例的な実施形態によると、建物及び/又は産業用ロボットシステムは、複数のロボットを複数の電解槽ユニットの現場に輸送するための案内システムを備える。少なくとも1つの実例的な実施形態によると、案内システムは、建物中に収容されたレールシステムであり、複数のロボットは、レールシステム上で輸送されるように構成される。このことから、複数のロボットは、レールシステム上の複数の電解槽ユニットの現場に輸送されるように構成される。例えば、レールシステムは、例えば、異なるレール部分に分割されることによって、建物の床に一体化される。少なくとも1つの実例的な実施形態によると、案内システムは、自律移動ロボット機能によって産業用ロボットシステム中に備えられる。このことから、複数のロボットの各々は、位置決め情報によって建物の内側を移動するように構成された自律移動ロボット(AMR)である。
【0060】
例えば、単一のアルカリ電解槽ユニットは、数MWの電力需要に対応する容量を有し得、典型的には、生成されるNm3 H2(ノルマル立方メートル)当たり4~5kWhのエネルギー入力を必要とし得る。例えば、水素生成プラントは、1GWの電力需要に対応する50~150個のアルカリ電解槽ユニットを備え得る。
【0061】
本願において言及するどの標準又は資格も、本願の優先日に有効な指示に基づくべきである。本発明の更なる利点及び特徴を、以下の説明及び添付の図面において開示及び議論する。
【0062】
ここで、本発明の概念のこれらの及び他の態様を、本発明の概念の実例的な実施形態を示す添付の図面を参照して、より詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【
図1】本発明の実例的な実施形態による、使用されるアルカリ電解槽ユニットの斜視図である。
【
図2】本発明の実例的な実施形態による、アルカリ電解槽ユニット中で使用される電解槽セルの概略図である。
【
図3】本発明の少なくとも1つの実例的な実施形態による、第1及び第2のアルカリ電解槽ユニット上で動作するロボットを概略的に例示する。
【
図4】本発明の実例的な実施形態による、水素生成プラントと、そのような水素生成プラントの産業用ロボットシステムとの上面図を概略的に例示する。
【
図5】本発明の実例的な実施形態による、水素生成プラントのアルカリ電解槽ユニットを組み立て及び/又は分解するための方法のステップを説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0064】
以下の説明では、限定ではなく説明を目的として、本発明の完全な理解を提供するために、特定の構成要素、インタフェース、技法、等などの特定の詳細を記載する。しかしながら、本発明がこれらの特定の詳細から逸脱する他の実施形態において実施され得ることは、当業者には明らかであろう。他の事例では、周知のユニット、デバイス又はシステム、電解槽セル、及び方法の詳細な説明は、不必要な詳細で本発明の説明を不明瞭にしないように省略される。
【0065】
図1は、水素ガスを生成するためのアルカリ電解槽ユニット101を概略的に示す。アルカリ電解槽ユニット101は、以下で説明するアルカリ電解槽ユニットのうちのいずれか又は全てとして使用され得る。
【0066】
アルカリ電解槽ユニット101は、第1の端部プレート103と、第2の端部プレート105と、第1の端部プレート103と第2の端部プレート105との間に配置されたセルスタック107とを備える。セルスタック107は、複数の電解槽セル109から形成され、
図1には、そのうちの3つのみを概略的に示す。しかしながら、セルスタック107は、典型的には、より多くの電解槽セル、例えば、50~700個の電解槽セル、典型的には150~500個の電解槽セルを備える。典型的な電解槽セルを、
図2を参照して以下で説明する。アルカリ電解槽ユニット101は、セルスタック107中の電解槽セル109を圧縮するために、第1の端部プレート103から第2の端部プレート105まで延在するように配置された2つの接続ロッド111a、111bを更に備える。
図1の2つの接続ロッド111a、111bは、セルスタック107を通って延在しているので、部分的に破線で示している。接続ロッド111a、111bは、例えば、ナット又はねじナット(図示せず)によって第1及び第2の端部プレート103、105の各々に取り付けられ得る。
【0067】
図1のアルカリ電解槽ユニット101のセルスタック107は、セルスタック107から生成されたガスを輸送するための、並びに/又はセルスタック107に及び/若しくはセルスタックからアルカリ電解質及び/若しくは水を輸送するためのパイピング113に接続している。
【0068】
図2は、電解槽セル209を概略的に示す。
図2の電解槽セル209は、
図1のセルスタック107の複数の電解槽セル109の各々のために使用され得る。電解槽セル209は、アノード201である第1の電解槽電極201と、カソード203である第2の電解槽電極203とを備える。アノード201とカソード203は、電解槽膜205によって分離される。アノード201及びカソード203は、水電解を達成するために、以下では単にアルカリ電解質207と呼ばれる液体アルカリ電解質溶液207中で動作している。使用時には、
図2に示すように、OHのアニオンによってアノード201において酸素ガス及び水が生成され、供給された電子によってカソード203において水素ガス及びOHのアニオンが生成される。電子は、電子移動ブリッジ211によってアノード側からカソード側に移動される。OHのアニオンは、カソード203から電解槽膜205を介してアノード201に輸送される。
図1のアルカリ電解槽ユニット101のセルスタック107は、典型的には、複数のそのような電解槽セル209を備える。
【0069】
図3は、それぞれの電解槽ユニットの現場20a、20bにおいてアルカリ電解槽ユニット101a、101bを組み立て、分解するように構成されたロボット10の斜視図である。アルカリ電解槽ユニット101a、101bは、
図3に概略的にのみ例示しているが、各々は、典型的には、
図1のアルカリ電解槽ユニット101に対応する。このことから、アルカリ電解槽ユニット101a、101bの各々は、第1及び第2の端部プレートと、第1の端部プレートと第2の端部プレートとの間に配置されたセルスタックと、少なくとも1つの接続ロッドとを備える。更に、アルカリ電解槽ユニット101a、101bの各々は、典型的には、
図1を参照して説明するように、パイピングに接続している。その上、ロボット10は、アルカリ電解槽ユニット101a、101bからのいかなる漏出ガスも検出するように構成されたガスセンサ19を備え得る。
図3のロボット10は、典型的には、
図4を参照して説明する産業用ロボットシステム中で使用される。
【0070】
ロボット10は、基部14を有するマニピュレータ12と、複数の軸を中心として基部14に対してマニピュレータ12によって移動可能なツール16とを備える。ロボット10は、レールシステム30(
図4を参照してより詳細に説明する)上で電解槽ユニットの現場20a、20bに輸送されるように構成される。
図3のロボット10は、コントローラ18中に備えられた命令を実行することによって動作させられる。
図3では、コントローラ18は、ロボット10の基部14に一体化されているが、ロボット10の外部にも位置し得る。ロボット10は、例えば、ABBからのIRB660ロボット、又はその適合されたバージョンであり得る。
【0071】
より詳細には、コントローラ18は、ロボット10の少なくとも一次制御、特に、マニピュレータ12及びツール16の動きの制御、並びにこれらの活動に関連する処理を実行するように構成される。しかしながら、コントローラ18に加えて、ロボット10は、二次コントローラ(例えば、ロボットセルコントローラ及び/又はエッジ/ラインコントローラである)と呼ばれる1つ以上の更なるコントローラエンティティによって動作させられ得る。
【0072】
ロボット10は、ロボット10のツール16及びマニピュレータ12を使用することによって、複数の電解槽電極(
図2に図示)及び複数の電解槽膜(
図2に図示)がセルスタック(
図1に図示)を形成する電解槽セル中に配置されるように、コントローラ18中に備えられた組み立て命令を実行することによって、第1の電解槽ユニットの現場20aにおいて第1のアルカリ電解槽ユニット101aを組み立てるように構成される。
【0073】
ロボット10はまた、ツール16及びマニピュレータ12によって、コントローラ18中に備えられた分解命令を実行することによって、第2の電解槽ユニットの現場20bにおいて第2のアルカリ電解槽ユニット101bを分解し、そのため、少なくとも1つのアルカリ電解槽ユニット構成要素201aが、ツール16及びマニピュレータ12を使用することによって第2のアルカリ電解槽ユニット101bから取り外されるように構成される。
図3の実例的な実施形態では、ロボット10は、例えば、電解槽電極201aであるアルカリ電解槽ユニット構成要素201aを第2のアルカリ電解槽ユニット101bからローカル保管位置21aに移動させる。第2のアルカリ電解槽ユニット101bのそのような分解中に、第1のアルカリ電解槽ユニット101aは、水素ガスを生成するように動作している場合がある。
【0074】
図4は、水素生成プラント500のアルカリ電解槽ユニット401を組み立て及び/又は分解するための産業用ロボットシステム300の概略上面図である。アルカリ電解槽ユニット401の各々は、
図1のアルカリ電解槽ユニット101と同じであり得る。このことから、アルカリ電解槽ユニット401の各々は、セルスタック中に電解槽セルを形成する少なくとも複数の電解槽電極及び複数の電解槽膜を含むアルカリ電解槽ユニット構成要素、第1及び第2の端部プレートを備え、セルスタックは、第1及び第2の端部プレートと、少なくとも1つの接続ロッドとの間に配置される。更に、アルカリ電解槽ユニット401の各々は、典型的には、
図1を参照して説明したように、パイピングに接続している。
【0075】
水素生成プラント500は、制御された屋内環境を有する建物510中に収容される。アルカリ電解槽ユニット401からの漏出ガスのリスクに起因して、制御された屋内環境は、IEC/EN60079-10、IEC60079-10-1、IEC60079-10-2、又はIECExによって分類されたエリアであり得る。水素生成プラント500は、例えば、
図3のレールシステム30に対応するレールシステム530を更に備えるが、産業用ロボットシステム300のための別の案内システムが考えられる。産業用ロボットシステム300は、複数のロボット310を備え、各ロボットは、例えば、
図3のロボット10に対応する。即ち、各ロボットは、基部を有するマニピュレータと、複数の軸を中心として基部に対してマニピュレータによって移動可能なツールとを備え得る(
図4には別個に図示せず)。複数のロボット310は、ロボット310のそれぞれの基部に一体化され得るコントローラ中に備えられた命令を実行することによって動作させられる。複数のロボット310は、レールシステム530上の複数の電解槽ユニットの現場520に輸送されるように構成される。アルカリ電解槽ユニット401、複数のロボット310、電解槽ユニットの現場520のうちのいくつかは、「a」、「b」、「c」、等などの接尾辞を使用することによって別個に言及される。
【0076】
図3のロボット10の説明した構成に対応して、複数のロボット310は、コントローラ中に備えられた組み立て命令を実行することによって、電解槽ユニットの現場520においてアルカリ電解槽ユニット401を組み立てるように構成される。このことから、組み立てられたアルカリ電解槽ユニット401毎に、複数の電解槽電極及び複数の電解槽膜が、少なくとも1つのロボット310のツール及びマニピュレータを使用することによって、セルスタックを形成する電解槽セル中に配置される。その上、複数のロボット310は、ロボット310のツール及びマニピュレータによって、コントローラ中に備えられた分解命令を実行することによってアルカリ電解槽ユニット401を分解するように構成される。
【0077】
例えば、
図4に示すように、第1の電解槽ユニットの現場520aにおける第1のアルカリ電解槽ユニット401aは、例えば、保守のために、第1のロボット310aによって分解されている。このことから、分解されたアルカリ電解槽ユニット401aの場合、少なくとも1つのアルカリ電解槽ユニット構成要素402aは、第1のロボット310aの参照番号311aによって一般に示すツール及びマニピュレータを使用することによって、第1のアルカリ電解槽ユニット401aから取り外される。
図4に示すように、複数の他のアルカリ電解槽ユニット401b、401c、401d、401eは、ロボット310によって組み立てられているところであり、その一方で、別の複数のアルカリ電解槽ユニット401(別個に示さず)は、既に組み立てられている。1つの電解槽ユニットの現場520xにおいて、アルカリ電解槽ユニットはまだ組み立てられていない。このことから、これは、意図された電解槽ユニットの現場である。
【0078】
ここで、本発明を、
図5のフローチャートを参照して、部分的には、
図4の少なくとも産業用ロボットシステム300及び水素生成プラント500を更に参照して説明する。フローチャートは、
図4の水素生成プラント500のような水素生成プラントのアルカリ電解槽ユニットを組み立て及び/又は分解するための方法のステップを概略的に例示する。このことから、水素生成プラントは、制御された屋内環境を有する建物中に収容され、例えば、レールシステムなどの案内システムを備える。
【0079】
ステップS101では、ロボット機能を有するコントローラと、複数のロボットとを備える産業用ロボットシステムが設けられる。複数のロボット中の各ロボットは、基部を有するマニピュレータと、複数の軸を中心として基部に対してマニピュレータによって移動可能なツールとを備える。このことから、産業用ロボットシステムは、
図4を参照して説明した産業用ロボットシステム300と同じであり得、産業用ロボットシステム300中の各ロボットは、
図3を参照して説明したロボット10であり得る。
【0080】
ステップS103では、複数のロボットが、複数の電解槽ユニットの現場に輸送される。ロボットは、典型的には、例えば、
図4のレールシステム30、又はむしろ
図4のレールシステム530のようなレールシステムである案内システムによって輸送される。
【0081】
ステップS105では、少なくとも複数の電解槽電極及び複数の電解槽膜を含むアルカリ電解槽ユニット構成要素が設けられる。
図1のアルカリ電解槽ユニット101を参照して説明したように、アルカリ電解槽ユニット構成要素はまた、典型的には、第1及び第2の端部プレート並びに接続ロッドを含む。更に、アルカリ電解槽ユニットの各々は、典型的には、パイピングに接続しているので、アルカリ電解槽ユニット構成要素は、パイピングを更に含み得る。ステップS106では、アルカリ電解槽ユニット構成要素は、例えば、レールシステム上で、複数の電解槽ユニットの現場に又は複数の電解槽ユニットの現場から輸送される。
【0082】
ステップS107では、アルカリ電解槽ユニットは、コントローラ中に備えられた組み立て命令を実行する複数のロボットによって電解槽ユニットの現場において組み立てられる。組み立ては、組み立てられたアルカリ電解槽ユニット毎に、例えば、
図4を参照して説明したように、少なくとも1つのロボットのツール及びマニピュレータによって、セルスタックを形成する電解槽セル中に複数の電解槽電極及び複数の電解槽膜を配置することS107aを備える。
【0083】
アルカリ電解槽ユニット構成要素が、以前に説明したように端部プレートを含み得るので、ステップS107は、組み立てられたアルカリ電解槽ユニット毎に、端部プレートを第1の端部プレート及び第2の端部プレートとして配置し、セルスタックが第1の端部プレートと第2の端部プレートとの間に配置されることS107bを備え得る。
【0084】
それに応じて、アルカリ電解槽ユニット構成要素が、以前に説明したように接続ロッドを含み得るので、ステップS107は、組み立てられたアルカリ電解槽ユニット毎に、セルスタック中の電解槽セルを圧縮するために、第1の端部プレートから第2の端部プレートまで延在するように少なくとも1つの接続ロッドを配置することS107cを備え得る。
【0085】
それに応じて、アルカリ電解槽ユニット構成要素が、以前に説明したようにパイピングを含み得るので、ステップS107は、組み立てられたアルカリ電解槽ユニット毎に、セルスタックの電解槽セルから生成されたガスを輸送するためのパイピングを配置することS107dを備え得る。
【0086】
典型的には、レールシステムなどの案内システムは、複数のロボットが複数の行中の複数の電解槽ユニットの現場に輸送されるS103ように配置される。2つの近隣する行は、典型的には、レールシステムのレール部分によって分離される。このことから、複数のロボットによって電解槽ユニットの現場においてアルカリ電解槽ユニットを組み立てるステップS107は、アルカリ電解槽ユニットの対応する行を達成するために実行され得る。
図4に一時的に戻ると、これは、電解槽ユニットの現場520の第1の行521が第1のレール部分531によって電解槽ユニットの現場520の第2の行522から分離され、電解槽ユニットの現場520の第2の行522が第2のレール部分532によって電解槽ユニットの現場520の第3の行523から分離され、電解槽ユニットの現場520の第3の行523が第3のレール部分533によって電解槽ユニットの現場520の第4の行524から分離されるように示している。好ましくは、行間隔は、ロボット310、例えば、2つの近隣する行521と522との間の第1のレール部分531に位置決めされた第2のロボット310bが、レール部分531に対して同じ位置に留まりながら、両方の行521、522中のアルカリ電解槽ユニット401b、401c上で動作し得るほど十分に小さい。これにより、組み立てるステップS107は、第1の行521中にアルカリ電解槽ユニット401cを組み立てることと、少なくとも1つのロボット310bによって第2の行522中にアルカリ電解槽ユニット401bを組み立てることとを備え得る。
【0087】
ステップS107より前に、それと同時に、それに続いて、又はその代わりに実行され得るステップS109では、アルカリ電解槽ユニットのうちの少なくとも1つは、コントローラ中に備えられた分解命令を実行する複数のロボットのうちの少なくとも1つによって電解槽ユニットの現場において分解される。分解は、分解されたアルカリ電解槽ユニット毎に、例えば
図4を参照して説明したように、少なくとも1つのロボットのツール及びマニピュレータによって少なくとも1つのアルカリ電解槽ユニット構成要素を取り外すことを備える。
【0088】
組み立てるステップS107は、ロボット毎に、マニピュレータをアルカリ電解槽ユニット構成要素のローカル保管位置に移動させることと、ツールを使用してアルカリ電解槽ユニット構成要素をピックアップすることと、ピックアップされたアルカリ電解槽ユニット構成要素を保持するツールを有するマニピュレータを関連する電解槽ユニットの現場の設置位置に移動させることと、関連するアルカリ電解槽ユニットのためにアルカリ電解槽ユニット構成要素を組み立てることとを更に備え得る。
【0089】
それに応じて、分解するステップS109は、ロボット毎に、マニピュレータを関連するアルカリ電解槽ユニットに移動させることと、ツールを使用してアルカリ電解槽ユニット構成要素をピックアップすることと、ピックアップされたアルカリ電解槽ユニット構成要素を保持するツールを有するマニピュレータをアルカリ電解槽ユニット構成要素のローカル保管位置に移動させることと、アルカリ電解槽ユニット構成要素のローカル保管位置においてアルカリ電解槽ユニット構成要素を解放することとを備え得る。これは、例えば、
図3に示しており、ロボット10は、アルカリ電解槽ユニット構成要素201aをローカル保管位置21aに移動させる。
【0090】
ステップS111では、アルカリ電解槽ユニットからのいかなる漏出ガスも検出するように構成されたガスセンサが設けられる。ガスセンサは、例えば、
図3に示すように、例えば、複数のロボット上に設けられ得る。
【0091】
組み立てるステップS107及び/又は分解するステップS109中に、少なくとも2つのロボットが、特定のアルカリ電解槽ユニットの組み立てS107及び/又は分解S109を協働して実行するための協働的な動作によって動作させられ得るS110。より詳細には、ステップS107及び/又はステップS109は、コントローラによって一次ロボット機能を有する複数のロボットのうちの第1のロボットを動作させることS110aと、ここで、一次ロボット機能は、マニピュレータの動きの制御を含み、第1のロボット及び第2のロボットが特定のアルカリ電解槽ユニットの組み立て及び/又は分解を協働して実行するための第1のマニピュレータ及び第2のマニピュレータの協働的な動きによって動作させられるように、コントローラによって一次ロボット機能を有する複数のロボットのうちの第2のロボットを動作させることS110bとを備え得る。2つのロボット動作ステップS110a、S110bは、一つの実例的な実施形態によると、第1のマニピュレータ及び第2のマニピュレータの同期された動きを達成するために実行され得る。
【0092】
分解するステップS109は、複数の他のアルカリ電解槽ユニットが水素生成プラント中で動作している間に実行され得る。このことから、例えば、保守のための分解S109は、水素生成プラントの動作中に実行され得る。そのような分解するステップS109より前に、分解対象の特定のアルカリ電解槽ユニットが、分解及び/又は保守のために準備され得る。例えば、本方法は、弁の開閉、電気回路の開放、及び他のアルカリ電解槽ユニットが動作し続けることができるような方法で電気システムに必要な接地機器を適用することなどの必要なアクションを実行することを備える。
【0093】
本発明は、現在最も実用的で好ましい実施形態であると考えられるものに関連して説明したが、本発明は、開示した実施形態に限定されるべきではなく、むしろ、様々な修正形態及び等価な構成を包含することを意図されることを理解されたい。例えば、案内システムは、発明を実施するための形態において、主に、建物中に収容されたレールシステムとして説明している。しかしながら、案内システムは、例えば、以前に言及したような自律移動ロボット機能によって、建物内で複数のロボットを輸送するための別の手段を備え得る。このことから、複数のロボットの各々は、位置決め情報によって建物の内側を移動するように構成された自律移動ロボット(AMR)であり得る。追加として、開示した実施形態に対する変形形態は、図面、開示、及び添付の特許請求の範囲の検討から、特許請求された発明の概念を実施する際に当業者が理解及び達成することができる。特許請求の範囲では、「備える」という単語は、他の要素又はステップを除外せず、不定冠詞「a」又は「an」は、複数を除外しない。ある特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせを有利に使用することができないことを示さない。
【手続補正書】
【提出日】2024-07-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素生成プラント(500)のアルカリ電解槽ユニット(101,101a,101b,401,401a,401b,401c,401d,401e)を組み立
てるための方法であって、前記水素生成プラントは、制御された屋内環境を有する建物(510)中に収容され、前記方法は、
-ロボット機能を有するコントローラ(18)と複数のロボット(10,310,310a,310b)とを備える産業用ロボットシステム(300)を設けること(S101)、ここで、各ロボットは、基部(14)を有するマニピュレータ(12)と、複数の軸を中心として前記基部に対して前記マニピュレータによって移動可能なツール(16)とを備え、
-複数の前記ロボットを複数の電解槽ユニットの現場(20a,20b,520,520a,520x)に輸送すること(S103)、
ここで、前記複数の電解槽ユニットの現場(20a,20b,520,520a,520x)は、複数の行(521,522,523,524)中に設けられ、2つの近隣する行は、行空間によって分離され、そのため、第1のロボット(310b)が第1の行(521)と第2の行(522)との間に位置決めされ、
-少なくとも複数の電解槽電極(201a,201,203)及び複数の電解槽膜(205)を含むアルカリ電解槽ユニット構成要素(103,105,111a,111b,113,201a,201,203,205)を設ける(S105)こと、
-前記コントローラ中に備えられた組み立て命令を実行する複数の前記ロボットによって前記電解槽ユニットの現場において前記アルカリ電解槽ユニットを組み立てること(S107)、ここにおいて、組み立てることは、組み立てられたアルカリ電解槽ユニット毎に、少なくとも1つのロボットの前記ツール及びマニピュレータによって、セルスタック(107)を形成する電解槽セル(109,209)中に複数の前記電解槽電極及び複数の前記電解槽膜を配置すること(S107a)を備え
、組み立てることは、前記第1のロボット(310b)によって、前記第1の行中に第1のアルカリ電解槽ユニット(401c)を組み立て、前記第2の行中に第2のアルカリ電解槽ユニット(401b)を組み立てることを備え、
を備える、方法。
【請求項2】
前記第1のロボット(310b)は、前記ロボットが前記第1の行(521)中の前記第1のアルカリ電解槽上で動作する第1の位置と、前記ロボットが前記第2の行(522)中の前記第2のアルカリ電解槽上で動作する第2の位置との間で回転することができる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記アルカリ電解槽ユニット構成要素(103,105,111a,111b,113,201a,201,203,205)は、端部プレート(103,105)を更に含み、組み立てることは、組み立てられたアルカリ電解槽ユニット毎に、前記端部プレートを第1の端部プレート(103)及び第2の端部プレート(105)として配置し、前記セルスタック(107)が前記第1の端部プレートと前記第2の端部プレートとの間に配置されること(S107b)を更に備える、請求項1
又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記アルカリ電解槽ユニット構成要素(103,105,111a,111b,113,201a,201,203,205)は、接続ロッド(111a,111b)を更に含み、組み立てることは、組み立てられたアルカリ電解槽ユニット毎に、前記セルスタック(107)中の前記電解槽セル(109)を圧縮するために、前記第1の端部プレート(103)から前記第2の端部プレート(105)まで延在するように少なくとも1つの接続ロッドを配置すること(S107c)を更に備える、請求項
3に記載の方法。
【請求項5】
前記アルカリ電解槽ユニット構成要素(103,105,111a,111b,113,201a,201,203,205)は、パイピング(113)を更に含み、組み立てることは、組み立てられたアルカリ電解槽ユニット毎に、前記セルスタック(107)の前記電解槽セル(109)から生成されたガスを輸送するための前記パイピングを配置すること(S107d)を更に備える、請求項
1又は2に記載の方法。
【請求項6】
組み立てることは、ロボット毎に、前記マニピュレータ(12)を前記アルカリ電解槽ユニット構成要素のローカル保管位置(21a)に移動させることと、前記ツール(16)を使用してアルカリ電解槽ユニット構成要素をピックアップすることと、ピックアップされた前記アルカリ電解槽ユニット構成要素を保持する前記ツールを有する前記マニピュレータを関連する前記電解槽ユニットの現場(20a)の設置位置に移動させることと、関連する前記アルカリ電解槽ユニット(101a)のために前記アルカリ電解槽ユニット構成要素を組み立てることとを備える、請求項
1又は2に記載の方法。
【請求項7】
前記アルカリ電解槽ユニット(101,101a,101b,401,401a,401b,401c,401d)からのいかなる漏出ガスも検出するように構成されたガスセンサ(19)を設けること(S111)を更に備える、請求項
1又は2に記載の方法。
【請求項8】
-前記コントローラ(18)によって一次ロボット機能を有する
前記第1のロボットを動作させること(S110a)、ここで、前記一次ロボット機能は、マニピュレータの動きの制御を含み、
-前記第1のロボット及び第2のロボットが特定のアルカリ電解槽ユニット(101,101a,101b,401,401a,401b,401c,401d)の組み立てを協働して実行するための第1及び第2のマニピュレータの協働的な動き(S110)によって動作させられるように、前記コントローラによって前記一次ロボット機能を有する複数の前記ロボット(10,310,310a,310b)のうちの第2のロボットを動作させること(S110b)
を更に備える、請求項
1又は2に記載の方法。
【請求項9】
-前記第1及び第2のマニピュレータの同期された動きによって前記第1及び第2のロボットを動作させること(S110a,S110b)
を更に備える、請求項
8に記載の方法。
【請求項10】
複数の前記電解槽ユニットの現場(20a,20b,520,520a,520x)に、又は複数の前記電解槽ユニットの現場(20a,20b,520,520a,520x)から前記アルカリ電解槽ユニット構成要素(103,105,111a,111b,113,201a,201,203,205)を輸送すること(S106)を更に備える、請求項
1又は2に記載の方法。
【請求項11】
制御された前記屋内環境は、IEC/EN60079-10、IEC60079-10-1、IEC60079-10-2、又はIECExによって分類されたエリアである、請求項
1又は2に記載の方法。
【請求項12】
制御された屋内環境を有する建物(510)を備える水素生成プラント(500)であって、前記水素生成プラントは、前記水素生成プラント(500)のアルカリ電解槽ユニット(101,101a,101b,401,401a,401b,401c,401d)を組み立
てるための産業用ロボットシステム(300)を更に備え、前記アルカリ電解槽ユニットは、少なくとも複数の電解槽電極(201,203)及び複数の電解槽膜(205)を含むアルカリ電解槽ユニット構成要素(103,105,111a,111b,113,201a,201,203,205)を備え、前記産業用ロボットシステムは、
-ロボット機能を有するコントローラ(18)と、
-複数のロボット(10,310,310a,310b)と、ここで、各ロボットは、基部(14)を有するマニピュレータ(12)と、複数の軸を中心として前記基部に対して前記マニピュレータによって移動可能なツール(16)とを備え、複数の前記ロボットは、複数の電解槽ユニットの現場(20a,20b,520,520a,520x)に輸送されるように構成され、
前記複数の電解槽ユニットの現場(20a,20b,520,520a,520x)は、複数の行(521,522,523,524)中に設けられ、2つの近隣する行は、行空間によって分離され、そのため、第1のロボット(310b)が第1の行(521)と第2の行(522)との間に位置決めされ、
を備え、複数の前記ロボットは、前記コントローラ中に備えられた組み立て命令を実行することによって前記電解槽ユニットの現場において前記アルカリ電解槽ユニットを組み立て、そのため、組み立てられたアルカリ電解槽ユニット毎に、複数の前記電解槽電極及び複数の前記電解槽膜が、少なくとも1つのロボットの前記ツール及びマニピュレータを使用することによって、セルスタック(107)を形成する電解槽セル(109,209)中に配置されるように構成され、
前記第1のロボット(310b)は、前記第1の行(521)の第1のアルカリ電解槽(401c)を組み立てるように、かつ、前記第2の行(522)の第2のアルカリ電解槽(401b)を組み立てるように構成される、水素生成プラント(500)。
【請求項13】
前記第1のロボット(310b)は、前記ロボットが前記第1の行(521)中の前記第1のアルカリ電解槽上で動作する第1の位置と、前記ロボットが前記第2の行(522)中の前記第2のアルカリ電解槽上で動作する第2の位置との間で回転するように構成される、請求項12に記載の水素生成プラント(500)。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0093
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0093】
本発明は、現在最も実用的で好ましい実施形態であると考えられるものに関連して説明したが、本発明は、開示した実施形態に限定されるべきではなく、むしろ、様々な修正形態及び等価な構成を包含することを意図されることを理解されたい。例えば、案内システムは、発明を実施するための形態において、主に、建物中に収容されたレールシステムとして説明している。しかしながら、案内システムは、例えば、以前に言及したような自律移動ロボット機能によって、建物内で複数のロボットを輸送するための別の手段を備え得る。このことから、複数のロボットの各々は、位置決め情報によって建物の内側を移動するように構成された自律移動ロボット(AMR)であり得る。追加として、開示した実施形態に対する変形形態は、図面、開示、及び添付の特許請求の範囲の検討から、特許請求された発明の概念を実施する際に当業者が理解及び達成することができる。特許請求の範囲では、「備える」という単語は、他の要素又はステップを除外せず、不定冠詞「a」又は「an」は、複数を除外しない。ある特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせを有利に使用することができないことを示さない。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 水素生成プラント(500)のアルカリ電解槽ユニット(101,101a,101b,401,401a,401b,401c,401d,401e)を組み立て及び/又は分解するための方法であって、前記水素生成プラントは、制御された屋内環境を有する建物(510)中に収容され、前記方法は、
-ロボット機能を有するコントローラ(18)と複数のロボット(10,310,310a,310b)とを備える産業用ロボットシステム(300)を設けること(S101)、ここで、各ロボットは、基部(14)を有するマニピュレータ(12)と、複数の軸を中心として前記基部に対して前記マニピュレータによって移動可能なツール(16)とを備え、
-複数の前記ロボットを複数の電解槽ユニットの現場(20a,20b,520,520a,520x)に輸送すること(S103)、
-少なくとも複数の電解槽電極(201a,201,203)及び複数の電解槽膜(205)を含むアルカリ電解槽ユニット構成要素(103,105,111a,111b,113,201a,201,203,205)を設ける(S105)こと、
-前記コントローラ中に備えられた組み立て命令を実行する複数の前記ロボットによって前記電解槽ユニットの現場において前記アルカリ電解槽ユニットを組み立てること(S107)、ここにおいて、組み立てることは、組み立てられたアルカリ電解槽ユニット毎に、少なくとも1つのロボットの前記ツール又はマニピュレータによって、セルスタック(107)を形成する電解槽セル(109,209)中に複数の前記電解槽電極及び複数の前記電解槽膜を配置することを備え、及び/又は、
前記コントローラ中に備えられた分解命令を実行する複数の前記ロボットのうちの少なくとも1つによって電解槽ユニットの現場において前記アルカリ電解槽ユニットのうちの少なくとも1つを分解すること(S109)、ここにおいて、分解することは、分解されたアルカリ電解槽ユニット毎に、少なくとも1つのロボットの前記ツール及びマニピュレータによって少なくとも1つのアルカリ電解槽ユニット構成要素(201a)を取り外すことを備え、
を備える、方法。
[2] 前記アルカリ電解槽ユニット構成要素(103,105,111a,111b,113,201a,201,203,205)は、端部プレート(103,105)を更に含み、組み立てることは、組み立てられたアルカリ電解槽ユニット毎に、前記端部プレートを第1の端部プレート(103)及び第2の端部プレート(105)として配置し、前記セルスタック(107)が前記第1の端部プレートと前記第2の端部プレートとの間に配置されること(S107b)を更に備える、[1]に記載の方法。
[3] 前記アルカリ電解槽ユニット構成要素(103,105,111a,111b,113,201a,201,203,205)は、接続ロッド(111a,111b)を更に含み、組み立てることは、組み立てられたアルカリ電解槽ユニット毎に、前記セルスタック(107)中の前記電解槽セル(109)を圧縮するために、前記第1の端部プレート(103)から前記第2の端部プレート(105)まで延在するように少なくとも1つの接続ロッドを配置すること(S107c)を更に備える、[2]に記載の方法。
[4] 前記アルカリ電解槽ユニット構成要素(103,105,111a,111b,113,201a,201,203,205)は、パイピング(113)を更に含み、組み立てることは、組み立てられたアルカリ電解槽ユニット毎に、前記セルスタック(107)の前記電解槽セル(109)から生成されたガスを輸送するための前記パイピングを配置すること(S107b)を更に備える、[1]~[3]のいずれか1つに記載の方法。
[5] 複数の行(521,522,523,524)中に前記複数の電解槽ユニットの現場(520)を設けることを更に備え、2つの近隣する行は、行空間によって分離される、[1]~[4]のいずれか1つに記載の方法。
[6] 第1のロボット(310b)が、第1の行(521)と第2の行(522)との間中に位置決めされ、組み立てることは、前記第1のロボットによって、前記第1の行中に第1のアルカリ電解槽ユニット(401c)を組み立て、前記第2の行中に第2のアルカリ電解槽ユニット(401b)を組み立てることを備える、[5]に記載の方法。
[7] 組み立てることは、ロボット毎に、前記マニピュレータ(12)を前記アルカリ電解槽ユニット構成要素のローカル保管位置(21a)に移動させることと、前記ツール(16)を使用してアルカリ電解槽ユニット構成要素をピックアップすることと、ピックアップされた前記アルカリ電解槽ユニット構成要素を保持する前記ツールを有する前記マニピュレータを関連する前記電解槽ユニットの現場(20a)の設置位置に移動させることと、関連する前記アルカリ電解槽ユニット(101a)のために前記アルカリ電解槽ユニット構成要素を組み立てることとを備える、[1]~[6]のいずれか1つに記載の方法。
[8] 分解することは、ロボット毎に、前記マニピュレータ(12)を関連する前記アルカリ電解槽ユニット(101b)に移動させることと、前記ツール(16)を使用してアルカリ電解槽ユニット構成要素(201a)をピックアップすることと、ピックアップされた前記アルカリ電解槽ユニット構成要素を保持する前記ツールを有する前記マニピュレータを前記アルカリ電解槽ユニット構成要素のローカル保管位置(21a)に移動させることと、前記アルカリ電解槽ユニット構成要素の前記ローカル保管位置において前記アルカリ電解槽ユニット構成要素を解放することとを備える、[1]~[7]のいずれか1つに記載の方法。
[9] 前記アルカリ電解槽ユニット(101,101a,101b,401,401a,401b,401c,401d)からのいかなる漏出ガスも検出するように構成されたガスセンサ(19)を設けること(S111)を更に備える、[1]~[8]のいずれか1つに記載の方法。
[10] -前記コントローラ(18)によって一次ロボット機能を有する複数の前記ロボット(10,310,310a,310b)のうちの第1のロボットを動作させること(S110a)、ここで、前記一次ロボット機能は、マニピュレータの動きの制御を含み、
-前記第1のロボット及び第2のロボットが特定のアルカリ電解槽ユニット(101,101a,101b,401,401a,401b,401c,401d)の組み立て及び/又は分解を協働して実行するための第1及び第2のマニピュレータの協働的な動きによって動作させられるように、前記コントローラによって前記一次ロボット機能を有する複数の前記ロボット(10,310,310a,310b)のうちの第2のロボットを動作させること(S110b)
を更に備える、[1]~[9]のいずれか1つに記載の方法。
[11] -前記第1及び第2のマニピュレータの同期された動きによって前記第1及び第2のロボットを動作させること(S110a,S110b)
を更に備える、[10]に記載の方法。
[12] 複数の前記電解槽ユニットの現場(20a,20b,520,520a,520x)に、又は複数の前記電解槽ユニットの現場(20a,20b,520,520a,520x)から前記アルカリ電解槽ユニット構成要素(103,105,111a,111b,113,201a,201,203,205)を輸送すること(S106)を更に備える、[1]~[11]のいずれか1つに記載の方法。
[13] 制御された前記屋内環境は、IEC/EN60079-10、IEC60079-10-1、IEC60079-10-2、又はIECExによって分類されたエリアである、[1]~[12]のいずれか1つに記載の方法。
[14] 制御された屋内環境を有する建物(510)を備える水素生成プラント(500)であって、前記水素生成プラントは、前記水素生成プラント(500)のアルカリ電解槽ユニット(101,101a,101b,401,401a,401b,401c,401d)を組み立て及び/又は分解するための産業用ロボットシステム(300)を更に備え、前記アルカリ電解槽ユニットは、少なくとも複数の電解槽電極(201,203)及び複数の電解槽膜(205)を含むアルカリ電解槽ユニット構成要素(103,105,111a,111b,113,201a,201,203,205)を備え、前記産業用ロボットシステムは、
-ロボット機能を有するコントローラ(18)と、
-複数のロボット(10,310,310a,310b)と、ここで、各ロボットは、基部(14)を有するマニピュレータ(12)と、複数の軸を中心として前記基部に対して前記マニピュレータによって移動可能なツール(16)とを備え、複数の前記ロボットは、複数の電解槽ユニットの現場(20a,20b,520,520a,520x)に輸送されるように構成され、
を備え、複数の前記ロボットは、前記コントローラ中に備えられた組み立て命令を実行することによって前記電解槽ユニットの現場において前記アルカリ電解槽ユニットを組み立て、そのため、組み立てられたアルカリ電解槽ユニット毎に、複数の前記電解槽電極及び複数の前記電解槽膜が、少なくとも1つのロボットの前記ツール及びマニピュレータを使用することによって、セルスタック(107)を形成する電解槽セル(109,209)中に配置されるように構成され、及び/又は、
複数の前記ロボットは、前記ツール及びマニピュレータによって、前記コントローラ中に備えられた分解命令を実行することによって前記電解槽ユニットの現場において前記アルカリ電解槽ユニットを分解し、そのため、分解されたアルカリ電解槽ユニット毎に、少なくとも1つのアルカリ電解槽ユニット構成要素(201a)が、少なくとも1つのロボットの前記ツール及びマニピュレータを使用することによって取り外されるように構成される、水素生成プラント(500)。
【国際調査報告】