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▶ フレゼニウス メディカル ケア ドイッチェランド ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】中空繊維膜フィルタ
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/18 20060101AFI20241219BHJP
   B01D 63/02 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
A61M1/18 517
B01D63/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024534388
(86)(22)【出願日】2022-12-16
(85)【翻訳文提出日】2024-06-07
(86)【国際出願番号】 EP2022086315
(87)【国際公開番号】W WO2023111251
(87)【国際公開日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】102021214636.8
(32)【優先日】2021-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】597075904
【氏名又は名称】フレゼニウス メディカル ケア ドイッチェランド ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100162824
【弁理士】
【氏名又は名称】石崎 亮
(72)【発明者】
【氏名】アメス ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】ハンゼル ディートマー
【テーマコード(参考)】
4C077
4D006
【Fターム(参考)】
4C077AA05
4C077BB01
4C077CC04
4C077KK30
4D006GA13
4D006HA02
4D006JA07A
4D006JA07C
4D006JA13A
4D006JA22A
4D006JA25A
4D006JA27A
4D006JB05
4D006JB06
4D006MC22
4D006MC23
4D006MC24
4D006MC37
4D006MC48
4D006MC49
4D006PA01
4D006PB09
4D006PB42
4D006PB43
4D006PC44
(57)【要約】
本発明は、複数の中空繊維膜と少なくとも2つの支持リングとを含む中空繊維膜フィルタに関連し、中空繊維膜の各々は、中空繊維膜フィルタの端部領域内で支持リングによって囲まれ、かつ成形化合物内で成形され、支持リングの各々は、上縁に位置付けられて支持リングの周囲側壁の外側を超えて突出する周囲突起を有し、周囲突起は、中空繊維膜フィルタの円筒形ハウジングの第1及び第2の端部領域の閉鎖縁部上に静止している。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側(102)と、外側(103)と、ハウジング内部(104)と、第1の終端縁部(106)を有する第1の末端部分(105)と、第2の終端縁部を有する第2の末端部分と、を有し、且つ中心軸(A)に沿って長手方向に延びる円筒形ハウジング(101)と、
前記円筒形ハウジングの前記第1の末端部分に配置された少なくとも第1の流体ポート(107)、及び、前記円筒形ハウジングの前記第2の末端部分に配置された任意的な第2の流体ポートと、
前記円筒形ハウジング(101)に配置され、且つ前記円筒形ハウジング(101)の前記第1の末端部分(105)及び前記第2の末端部分内のそれぞれの埋め込みマス(109)に密封的に埋め込まれた複数の中空繊維膜(108)であって、前記中空繊維膜の内腔が第1の流れ空間を形成し、且つ前記中空繊維膜を取り囲む前記ハウジング内部(104)が第2の流れ空間を形成するように、前記中空繊維膜の端部(110)が開口している、前記複数の中空繊維膜(108)と、
内側と外側を有する第1及び第2の末端キャップ(111)であって、前記末端キャップが、前記中空繊維膜フィルタの前記第1の流れ空間と流体連通するそれぞれの流入又は流出チャンバ(114)を形成するように前記円筒形ハウジング(101)の前記第1(105)及び前記第2の末端部分にそれぞれ面側が接続され、それぞれの前記第1及び第2の末端キャップ(111)又は前記円筒形ハウジングが、前記第1の流入又は流出チャンバ(114)に/から流体を供給する又は排出するためのそれぞれの第3及び第4の流体アクセスポート(115)を有する、前記第1及び第2の末端キャップ(111)と、
それぞれの埋め込み化合物(109)とそれぞれの前記末端キャップ(111)の内側(112)との間に各々が密封的に配置され、それぞれの前記流入及び流出チャンバ(114)を横方向に密封する少なくとも第1(116)及び第2の密封リングと、
外側(119)と内側(120)を有する周方向側壁(118)と、上縁(121)と、下縁(122)とを含む少なくとも第1及び第2の支持リング(117)であって、それぞれの支持リング(117)の前記外側(119)がそれぞれの末端部分(105)内で前記円筒形ハウジング(102)の前記内側に面するように、前記支持リングが前記円筒形ハウジングの前記第1及び第2の末端部分(105)の各々に配置される、前記少なくとも第1及び第2の支持リング(117)と、
を含む中空繊維膜フィルタであって、
それぞれの前記支持リング(117)は、前記上縁(121)に配置され、且つそれぞれの支持リング(117)の前記周方向側壁(118)の前記外側(119)を超えて突出する周方向突起(123)を有し、前記周方向突起(123)は、前記円筒形ハウジング(101)の前記第1及び第2の末端部分(105)のそれぞれの前記終端縁部(106)上に載っており、それぞれの前記埋め込みマス(109)は、少なくとも部分的に、それぞれの支持リング(117)の前記周方向突起(123)と前記密封リングとの間で縁部区域(124)に液密方式で配置される、
中空繊維膜フィルタ。
【請求項2】
前記埋め込みマス(109)は、その縁部区域(123)において、前記支持リング(117)の前記突起(123)上に載って且つ前記埋め込み化合物(109)と前記密封リング(116)の間に配置されたフランジ(125)の形状を有する、請求項1に記載の中空繊維膜フィルタ。
【請求項3】
半径方向に密封する密封リングが、それぞれの支持リング(117)の前記周方向側壁(118)の前記外側(119)と、それぞれの末端部分(105)内の前記円筒形ハウジングの前記内側(102)との間に配置される、請求項1又は請求項2に記載の中空繊維膜フィルタ。
【請求項4】
それぞれの末端部分(105)内の前記円筒形ハウジング(101)の前記内側(102)に面する前記周方向側壁(118)の前記外側(119)上の前記支持リング(117)は、前記半径方向に密封する密封リングが少なくとも部分的にその中に陥凹している周方向溝(126)を有する、請求項3に記載の中空繊維膜フィルタ。
【請求項5】
軸線方向に密封する密封リング(127)が、それぞれの支持リング(117)の前記突起(123)と、それぞれの末端部分(105)のそれぞれの前記終端縁部(126)との間に配置される、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の中空繊維膜フィルタ。
【請求項6】
前記支持リング(117)は、それぞれの末端部分(105)の前記終端縁部(126)に面する前記突起(123)の側に、前記軸線方向に密封する密封リング(127)が少なくとも部分的にその中に陥凹する周方向溝(128)を有する、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の中空繊維膜フィルタ。
【請求項7】
前記支持リング(117)は、その周方向側壁(118)から前記外側(119)上の前記突起(123)への移行部に周方向アンダーカット(129)を有する、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の中空繊維膜フィルタ。
【請求項8】
前記支持リングのそれぞれの前記内側(120)上の前記支持リング(117)の前記周方向側壁(118)は、前記上縁(121)から前記下縁(122)に向けて少なくともセクション毎に円錐の形状にされる、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の中空繊維膜フィルタ。
【請求項9】
前記内側(120)上の前記支持リングの前記周方向側壁(118)は、少なくともゾーンI及びIIを有し、ゾーンI及び/又はIIが円錐形に成形され、又は、少なくともゾーンI又はIIが円筒形に成形され、且つゾーンII又はIが円錐形に成形される、請求項8に記載の中空繊維膜フィルタ。
【請求項10】
少なくとも1つの円錐形に成形されたゾーンI又はIIは、前記中心軸(A)の方向に対して3から15度の円錐角を有する、請求項9に記載の中空繊維膜フィルタ。
【請求項11】
前記周方向側壁(118)の前記内側(119)上に存在する前記支持リング(117)の少なくとも前記縁部(121a、122a、130)は、丸みを帯びている、請求項9又は請求項10のいずれか1項に記載の中空繊維膜フィルタ。
【請求項12】
請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の中空繊維膜フィルタを製造する方法であって、
内側(102)と、外側(103)と、ハウジング内部(104)と、第1の終端縁部(106)を有する第1の末端部分(105)と、第2の終端縁部を有する第2の末端部分と、を有し、且つ中心軸(A)に沿って長手方向に延びる円筒形ハウジング(101)を与える段階と、
2つの支持リング(117)を与える段階であって、前記2つの支持リング(117)が、外側(119)と内側(120)を含む周方向側壁(118)と、上縁(121)及び下縁(122)と、それぞれの支持リング(117)の前記上縁(121)に位置付けられ、且つ、それぞれの支持リング(117)の前記周方向側壁(118)の前記外側(119)を超えて突出する突起(123)と、を各々が有する、前記2つの支持リング(117)を与える段階と、
前記支持リング(117)が前記円筒形ハウジングの前記第1及び第2の末端部分(105)の各々に配置され、且つ、それぞれの支持リング(117)の前記外側(119)がそれぞれの末端部分(105)内の前記円筒形ハウジングの前記内側(102)に面し、尚且つ、それぞれの前記支持リング(117)が、前記周方向突起(123)が前記円筒形ハウジング(101)の前記第1及び第2の末端部分(105)のそれぞれの前記終端縁部(106)上の前記上縁(121)に配置された状態で静止するように、前記支持リング(117)を前記円筒形ハウジング(101)のそれぞれの前記末端部分(105)の各々に挿入する段階と、
複数の中空繊維膜から構成される中空繊維膜束を、前記円筒形ハウジング(101)の中に且つそれぞれの前記支持リングの中に挿入する段階と、
それぞれの前記支持リング(117)を有する前記中空繊維膜の端部を、埋め込みマス(109)を有する埋め込みゾーンに埋め込む段階と、
密封リング(116)を末端キャップ(111)の内側(112)と前記埋め込みマス(109)の縁部区域(124)との間に挿入しながら、前記末端キャップ(111)を前記円筒形ハウジング(101)のそれぞれの前記末端部分(105)上に装着する段階と、
を含む方法。
【請求項13】
外面(119)と、内面(120)と、上(121)及び下(122)縁とを有する周方向側壁(118)と、中空繊維膜フィルタの構成のために前記上縁(121)に配置され且つ前記周方向側壁(118)の前記外面(119)を突出する周方向突起(123)と、を含む支持リング(117)の使用。
【請求項14】
前記支持リングは、前記周方向側壁(118)の前記外側(119)上に又は前記突起(123)上に、周方向溝(126、128)を有する、請求項13に記載の支持リング(117)の使用。
【請求項15】
前記支持リング(117)は、前記上縁(121)から前記下縁(122)に向う方向に、少なくともセクション毎に円錐の形状に、前記周方向側壁(118)の前記内側(120)上に形成される、請求項13又は請求項14に記載の支持リング(117)の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、中空繊維膜フィルタ、特に、体外血液処理のための中空繊維膜フィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
中空繊維膜フィルタの生成では、予め紡糸する及び束ねる工程で生成された中空繊維膜の束が、中空繊維膜フィルタのハウジングの中に挿入される。ハウジングのタイプとして、ほぼ例外なく、円筒形ハウジングが使用される。中空繊維膜の端部は、埋め込みマス(potting mass)、通常はポリウレタンで中空繊維膜フィルタの末端部分に埋め込まれ、かつそれによってハウジングに固定される。これらの埋め込みマスの端部領域は、中空繊維膜の開口端を露出させるためにフライス削りされる又は切り取られる。その後、末端キャップが円筒形ハウジングの端部区域上に置かれる。すなわち、中空繊維膜フィルタに2つの流れ空間が形成される。それぞれ末端キャップの各々の上に1つの液体ポート及び円筒形ハウジング上に2つの液体ポートを用いて、繊維内部は、第1の液体、例えば、患者の血液で貫流させることができ、中空繊維膜を取り囲む内部空間は、第2の液体、例えば、透析液で貫流させることができる。そのような中空繊維膜フィルタを体外血液処理又はバイオ医薬工程に使用するために、そのような中空繊維膜フィルタを殺菌状態で供給することが必要である。
【0003】
広く使用されている殺菌工程は、蒸気殺菌工程である。製造後に、中空繊維膜フィルタ全体は、液体接続部を通じて複数段階で殺菌水蒸気で貫流される。殺菌蒸気は、100℃よりも高い温度及び大気過圧で中空繊維膜フィルタに導入される。中空繊維膜フィルタの製造に使用される異なる材料に起因して、中空繊維膜フィルタの個々の構成要素は、異なる速度で膨張する。ポリエチレン、ポリプロピレン、PET又はPBTのようなポリエステル、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン又はポリカーボネートから構成されるプラスチックは、中空繊維膜フィルタのハウジングに一般的に使用される。埋め込み材料には通常ポリウレタンが使用される。ポリスルホン及びポリビニルピロリドンのポリマーは、中空繊維膜の材料として主として使用される。その結果、蒸気殺菌工程中に中空繊維膜フィルタ内に有意な材料歪みが生じる可能性がある。
【0004】
従って、中空繊維膜フィルタの蒸気殺菌後に埋め込みマス内の亀裂が頻繁に観察される。これらの亀裂は、ハウジング、埋め込みマス、及び中空繊維膜の異なる膨張挙動に起因する。これらの欠陥中空繊維膜フィルタは、産業中空繊維膜製造工程の品質管理手順で検出されて廃棄される。そのような欠陥中空繊維膜フィルタは望ましくない。その一方で、そのような欠陥生産は、より高い生産コストをもたらす。更に、中空繊維膜フィルタの産業生産での工程流れも阻害され、これは、生産遅延及び従って同じくより高い生産コストに至る。
【0005】
WO 01/60502 A1は、中空繊維膜が基本的に1つの支持リングだけの中に埋め込まれる中空繊維膜フィルタを説明している。支持リングは、一端に数個のラグ、バー、及びショルダーを有する。中空繊維膜束は、埋め込みマスを通じて単に支持リングに接続されるが、中空繊維膜フィルタのハウジングには接続されない。支持リングがハウジングに結合することを防ぐために、埋め込みマスは、支持リングの内側でなくてはならない。WO 01/60502 A1に示す中空繊維膜フィルタの設計からは、この最後に言及した要件は、工程技術の観点から要求が厳しく、従って、中空繊維膜フィルタの大量生産にそれぞれ実施することは困難であると推察することができ、これは、この工程段階がエラーを起こしやすい場合があることを意味する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】WO 01/60502 A1
【特許文献2】EP 2 024 067 A1
【特許文献3】EP 3 423 173 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、従って、従来技術の膜フィルタと比較して蒸気殺菌工程で発生する材料膨張及び材料歪みに抵抗するが、その生産が比較的簡単でもある中空繊維膜フィルタを提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の目的は、請求項1の特徴を有する中空繊維膜フィルタによって解決される。請求項2から11は、好ましい実施形態を表している。
【0009】
更に、本発明の目的は、請求項12に記載の製造工程によって解決される。
【0010】
更に、本発明の目的は、請求項13から15に記載の支持リングを使用することによって解決される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】中空繊維膜フィルタの末端部分のセクションの断面図である。
図2】支持リングが配置された中空繊維膜フィルタの円筒形ハウジングの末端部分の図である。
図3a】支持リングの側面図である。
図3b】周方向側壁の円錐形内面を備えた支持リングの寸法の入った断面図である。
図3c】溝を備えた支持リングの突起の寸法の入った断面図である。
図4a】周方向側壁の内側に円錐形ゾーンI及び円筒形ゾーンIIを備えた支持リングの寸法の入った側面図である。
図4b】周方向側壁の内側に存在する支持リングの縁部が丸みを帯びている周方向側壁の内側に円錐形ゾーンI及び円筒形ゾーンIIを有する支持リングの寸法の入った断面図である。
図5a】周方向側壁の先細内側とその周方向側壁から支持リングの外側の突起への移行部でのアンダーカットとを備えた支持リングの寸法の入った断面図である。
図5b】溝とアンダーカットとを備えた支持リングの突起の寸法の入った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図3aから図5bの寸法記入データは、単位ミリメートルを参照している。
【0013】
以下では、図1から図5bを参照して本発明を説明する。第1の態様では、本発明は、内側102、外側103、ハウジング内部104、第1の終端縁部106を有する第1の末端部分105、及び第2の終端縁部を有する第2の末端部分を有する中心軸Aに沿って長手方向に延びる円筒形ハウジング101と、円筒形ハウジングの第1の末端部分に配置された少なくとも第1の流体ポート107と、任意的に円筒形ハウジングの第2の末端部分に配置された第2の流体ポートと、円筒形ハウジング101内に配置され、円筒形ハウジング101の第1の末端部分105及び第2の末端部分の各々の埋め込みマス109内に密封可能に埋め込まれた複数の中空繊維膜108であって、中空繊維膜の内腔が第1の流れ空間を形成し、中空繊維膜を取り囲むハウジング内部104が第2の流れ空間を形成するように中空繊維膜108の端部110が開口している上記複数の中空繊維膜108と、内側と外側とを有する第1及び第2の末端キャップ111であって、中空繊維膜フィルタの第1の流れ空間と流体連通するそれぞれの流入チャンバ又は流出チャンバ114を形成するように円筒形ハウジング101の第1の末端部分105及び第2の末端部分にそれぞれ側面接続されている上記末端キャップ111と、それぞれの第1及び第2の末端キャップ111又は円筒形ハウジングが、第1の流入チャンバ又は流出チャンバ114に流体を供給するための又は第1の流入チャンバ又は流出チャンバ114から流体を排出するための各々の第3及び第4の流体アクセスポート115を有し、各々がそれぞれの埋め込みマス109とそれぞれの末端キャップ111の内側112の間に密封可能に配置され、それぞれの流入チャンバ114及び流出チャンバ114を横方向に密封する少なくとも第1の密封リング116及び第2の密封リングと、外側119及び内側120、上縁121及び下縁122を有する周方向側壁118を含む少なくとも第1及び第2の支持リング117であって、支持リングが、それぞれの支持リング117の外側119がそれぞれの末端部分105での円筒形ハウジング102の内側に面するように、円筒形ハウジングの第1及び第2の末端部分105の各々に配置される上記支持リング117とを含み、それぞれの支持リング117が、上縁121に配置され、それぞれの支持リング117の周方向側壁118の外側119を超えて突出する周方向突起123を有し、周方向突起123が、円筒形ハウジング101の第1及び第2の末端部分105の各々の終端縁部106を支えており、それぞれの埋め込みマス109が、少なくとも部分的に、それぞれの支持リング117の周方向突起123と密封リングの間の縁部区域124で液密方式で配置される中空繊維膜フィルタに関する。
【0014】
この実施形態の特徴は、図1及び図2に示されている。この関連では、図1.及び図2は、中空繊維膜フィルタの2つの末端部分のうちの1つの断面のみを示している。図2は、支持リングが配置された円筒形ハウジングの2つの末端部分の一方のみを概略図に示している。
【0015】
上述のタイプの中空繊維膜フィルタでは、支持リングが円筒形ハウジングの終端縁部と埋め込みマスの間に介在しているので、蒸気殺菌中に円筒形ハウジングの膨張は、埋め込みマスに直接に影響を与えない。それにより、蒸気殺菌中に熱膨張による埋め込みマスの材料応力の伝達が最小にされる。特に、これは埋め込みマスが円筒形ハウジングの部品を成型しないという事実にも起因する。中空繊維膜の端部は、それぞれの支持リング内の埋め込みマスの中に埋め込まれるだけである。支持リング自体は、円筒形ハウジングに確実に設置されるのではなく、末端キャップ、密封リング、及び埋め込みマスを通じて円筒形ハウジングの終端縁部の上に押圧されるだけである。更に、上述のような中空繊維膜フィルタは、中空繊維膜フィルタの製造での埋め込みを従来から実績のある方法、例えば、EP 2 024 067 A1に説明されているような工程に従って実行することができ、支持リング内の中空繊維膜を埋め込むために更に別の埋め込み工程の段階を開発する必要がないという利点を有する。これは、支持リングの構造上の設計に起因する。支持リングの突起は、埋め込みが支持リングの突起を通じて円筒形ハウジングに接触することを阻止する程度まで円筒形ハウジングの終端縁部を覆っている。
【0016】
一実施形態では、中空繊維膜フィルタは、透析装置として構成することができる。本出願の関連の範囲内で、「透析装置」という用語は、体外血液処理に使用される血液フィルタデバイスを表すのに使用される。これらは、例えば、透析フィルタ、血液フィルタ、又は血漿分離フィルタとすることができる。他の用途では、本発明による中空繊維膜フィルタは、水処理のためのフィルタとして使用することもできる。
【0017】
本出願の関連での「円筒形ハウジングの末端部分」という用語は、ハウジングの端部から円筒形ハウジングの中心に向けて延びる円筒形ハウジング上の部分を意味する。「末端部分」という用語は、円筒形ハウジング上の部分であって、円筒形ハウジングの長手方向の範囲に対して相対的に見た小さい部分のみを採用する部分であることを示している。特に、これらの末端部分の各々は、円筒形ハウジングの全長の5分の1未満又は8分の1未満又は10分の1未満又は15分の1未満を採用する。
【0018】
円筒形ハウジングの末端部分の一部に埋め込みゾーンが存在する。本出願の関連では、「埋め込みゾーン」という用語は、中空繊維膜フィルタの中空繊維膜が埋め込みマスに埋め込まれた部分を指す。中空繊維膜は、支持リングに固定されるような方法で埋め込みマスに埋め込まれる。埋め込みマスは、支持リングで密封される。特に、埋め込みゾーンは、支持リングの幅の4分の3未満又は3分の2未満又は半分未満を採用することを意図している。
【0019】
面側の埋め込みゾーンに隣接して、円筒形ハウジングの端部の末端キャップは、流入チャンバ又は流出チャンバを形成する。本出願の関連では、「流入チャンバ又は流出チャンバ」という用語は、流体が中空繊維膜フィルタの第1の流れ空間に入る前か又は中空繊維膜フィルタの第1の流れ空間から出た後に入ることができる中空繊維膜フィルタ内の体積領域を指す。第1の流入チャンバ及び流出チャンバは、密封リングを通じて埋め込みゾーン及び/又は円筒形ハウジングの端面の端部に密封可能に接続する。第1の流入チャンバ又は流出チャンバの各々は、流体を第1の流入チャンバ又は流出チャンバに導入するか又は第1の流入チャンバ又は流出チャンバから排出するための第1の流体ポートを含む。従って、第1の入口チャンバ又は出口チャンバは、中空繊維膜の内腔によって形成された中空繊維膜フィルタの第1の流れ空間と流体連通する。本出願の関連では、「管腔」又は「内腔」は、中空繊維膜のキャビティを意味すると理解される。
【0020】
「密封リング」という用語は、周方向又はリング状に配置された液密シールを意味すると理解される。上述の中空繊維膜フィルタにより、密封リングは、末端キャップの内部と埋め込みマスの間に配置される。適切に設計された密封リングは、Oリングとして設計することができ、例えば、シリコーンゴムのようなエラストマー材料から構成される。
【0021】
本出願の関連では、「支持リング」という用語は、基本的に周方向側壁を含むスリーブ状の構成要素を意味すると理解される。支持リングは、中空繊維膜及び埋め込みマスを保持するのに適している。支持リングは、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン又はポリカーボネートのようなプラスチック材料から有利に作られる。ポリプロピレンが好ましい。支持リングは、上縁と下縁を有する。上縁は、それぞれの末端キャップの方向での閉鎖縁部であると理解される。下縁は、中空繊維膜フィルタの中間部分に向けて支持リングの閉鎖縁部であると理解される。支持リングの上縁には、支持リングの周方向側壁を支持リングの外側に突出するように構成された周方向突起がある。突起は、フランジ状であり、円筒形ハウジングの中心軸に対して直角とすることができる。しかし、そこから逸脱している突起が、円筒形ハウジングの末端部分での支持リングのより良い中心化を可能にする傾斜角度を採用し、更に、支持リングが円筒形ハウジングの末端部分での低移動嵌合を採用することを可能にすることも好ましい。フランジ状突起は、円筒形ハウジングの中心軸に対して90から70°の角度で支持リングの周方向側壁に隣接することができる。
【0022】
第1の態様の更に別の実施形態は、埋め込みマス109が、その端部区域123で支持リング117の突起123に支えられ、埋め込みマス109と密封リング116の間に配置されたフランジ125の形状を有することを特徴とする。この実施形態の個々の特徴は、図1に示されている。この実施形態では、中空繊維膜の端部が埋め込まれた埋め込みマスの層厚全体は、支持リングの突起と密封リングの間に位置付けられるわけではない。この実施形態により、埋め込みマスの一部を節約することができる。更に、この実施形態は、発生するあらゆる材料歪みをより実質的に補償することができるように、支持リング内での埋め込みマスの嵌合をより柔軟にすることができる。
【0023】
第1の態様の更に別の実施形態は、それぞれの半径方向に密封する密封リングが、それぞれの末端部分105でそれぞれの支持リング117の外面119と周方向側壁118及び円筒形ハウジングの内面102との間に配置されることを特徴とする。図2では、周方向溝126が示されており、この溝は、半径方向に密封する密封リングを受け入れることを意図しており、円筒形ハウジングに対して密封方式で作用する。一態様では、半径方向に密封する密封リングは、支持リング117と末端部分105の円筒形ハウジング101の内面102との間のハウジング内部104から第2の流れ空間の間の漏れを防止する。更に、半径方向に密封する密封リングは、支持リングを円筒形ハウジングの末端部分にある程度柔軟に装着することも可能にするので、蒸気殺菌中に更に別の材料歪みを最小にすることができる。半径方向に密封する密封リングは、エラストマー樹脂材料、例えば、シリコーンゴムで作ることができる。
【0024】
第1の態様の別の実施形態は、支持リング117が、それぞれの末端部分105で円筒形ハウジング101の内側102に面する周方向側壁118の外側119に半径方向に密封する密封リングが少なくとも部分的に陥凹する周方向溝126を有することを特徴とする。この実施形態は、半径方向に密封リングなしで示された図2に部分的に示されている。この溝により、密封リングは、円筒形ハウジング101の内側102と支持リング117の周方向側壁118の外側119との間の適切な位置に保持される。
【0025】
第1の態様の更に別の実施形態は、軸線方向に密封する密封リング127が、それぞれの支持リング117の突起123と、それぞれの末端部分105の各々の終端縁部106との間に配置されることを特徴とする。この実施形態は、図1に示されている。軸線方向に密封する密封リング127は、適切な位置にある時に、支持リング117の外面119と末端部分105の円筒形ハウジング101の内面102との間に改善された密封作用をもたらす。これに加えて、軸線方向に密封する密封リング127は、円筒形ハウジングの末端部分105の座部での支持リング117の敷設性も改善し、蒸気殺菌の条件下で円筒形ハウジング101の末端部分105での支持リング117の低可動性を可能にする。一実施形態では、軸線方向に密封する密封リングは、上述の半径方向に密封する支持リングと組み合わせて支持リング117上に配置することができる。
【0026】
第1の態様の別の実施形態では、支持リング117は、それぞれの末端部分105の終端縁部126に面する突起123の側に半径方向に密封リング127が少なくとも部分的に陥凹する周方向溝128を有する。溝128は、図3b及び3cに示されている。この溝は、半径方向に密封する密封リングを適切な位置に保持し、この実施形態による中空繊維膜フィルタを製造する場合に特に有利である。
【0027】
第1の態様の更に別の実施形態は、支持リング117が、その周方向側壁118から外側119の突起123への移行部に周方向アンダーカット129を有することを特徴とする。この実施形態は、図5a及び図5bに示されている。支持リング117の周方向側壁118から外側119の突起123への移行部は、内縁を形成する。本出願の関連では、「アンダーカット」という用語は、支持リングの回転対称の内縁での「逃げ」を意味すると理解される。図5a及び図5bにより、支持リングの周方向側壁118の肉厚は、アンダーカットによって著しく減少する。従って、突起123は、支持リングの周方向側壁に対して小さい範囲で撓むことができる。そのような方法で蒸気殺菌中に発生する可能性があると見込まれる材料の歪みは、改善方式で補償することができる。
【0028】
第1の態様の別の実施形態は、支持リング117が、中空繊維膜フィルタの長手方向Aの方向に中空繊維膜108の全長の2から10%、好ましくは2から9%、より好ましくは3から8%、より好ましくは4から7%の高さを有することを特徴とする。支持リング117の例示的実施形態の高さは、図3aの寸法の入った図に示されている。本発明の内容に関する限り、支持リングの高さは、支持リングの上縁121から下縁122までの距離であると理解される。体外血液処理に使用される市販の中空繊維膜フィルタでは、中空繊維膜の長さは、約235mmである。支持リングの高さは、以前に言及した範囲内とすることができ、中空繊維膜の数に応じて変化させることができる。埋め込みマスの高さに応じて、支持リングの高さも、中空繊維膜フィルタ内の中空繊維膜束を横方向に支持することを提供する。特に、支持リング内の埋め込みマスの高さは、支持リングの高さの1/4、好ましくは1/3、及び半分未満であることが定められる。
【0029】
第1の態様の更に別の実施形態は、支持リングの各々の内側120の支持リング117の周方向側壁118が、上縁121から下縁122に向けて少なくともセクション毎に円錐形をしていることを特徴とする。支持リング117の内面120の円錐形状は、図1図2図3a、図3b、図4a、図4b、及び図5aに示されている。この円錐形状により、中空繊維膜束の閉じ込めを改善し、支持リング117の中空繊維膜の端部の埋め込みを可能にする。
【0030】
ある一定の実施形態では、内側120の支持リングの周方向側壁118は、少なくともゾーンI及びIIを有し、そのうちのゾーンI及び/又はIIは、円錐形状であり、又は少なくともゾーンI又はIIは、円筒形状であり、ゾーンII又はIは、円錐形状である。そのような支持リングの一実施形態が図4bに示されている。図4bにより、支持リング117は、周方向側壁118の内側120に周方向側壁118の上縁121に隣接するゾーンIと支持リングの下縁122に隣接するゾーンIIとを有する。ゾーンI領域では、周方向側壁118の内面120は、円錐形状を有し、ゾーンII領域では、周方向側壁の内面120は、円筒形状を有する。一般的実施形態では、周方向側壁118の外面119は、従って、突起123まで全高にわたって円筒形状である。
【0031】
上述の実施形態の別の詳細では、少なくとも1つの円錐形状のゾーンI又はII、又は中心軸Aの方向に対する周方向側壁118の内面119の円錐形状全体は、3から15度、好ましくは4から12度、より好ましくは5から11度、より好ましくは6から10度の円錐角を有する。そのような実施形態は、図示の図3b、図4b、図5aに示されている。
【0032】
上述の実施形態の別の詳細では、周方向側壁118の内側119に存在する支持リング117の少なくとも縁部121a、122a、130が丸みを帯びている。対応する実施形態は、図示の図4bに示されている。縁部の丸みは、支持リングの周方向側壁118の内側119に接触する場合がある中空繊維膜の損傷を防止する。
【0033】
第2の態様では、本発明は、第1の態様の一実施形態の特徴による中空繊維膜フィルタの製造に関連し、製造は、内側102、外側103、ハウジング内部104、第1の終端縁部106を有する第1の末端部分105、及び第2の終端縁部を有する第2の末端部分を有する中心軸Aに沿って長手方向に延びる円筒形ハウジング101を与える段階と、各々が外側119及び内側120、上縁121及び下縁122を備えた周方向側壁118、及びそれぞれの支持リング117の上縁121に配置されてそれぞれの支持リング117の周方向側壁118の外側119を超えて突出する突起123を有する2つの支持リング117を提供し、支持リング117が、円筒形ハウジングの第1及び第2の末端部分105の各々に配置されるように、円筒形ハウジング101の各々の末端部分105に支持リング117を挿入する段階と、それぞれの支持リング117の外側119が、それぞれの末端部分105での円筒形ハウジングの内側102に面し、それぞれの支持リング117が、円筒形ハウジング101の第1及び第2の末端部分105の各々の閉鎖縁部106の上縁121に配置された周方向突起123に載るように、円筒形ハウジング101の各々の末端部分105の各々に支持リング117を挿入する段階と、複数の中空繊維膜を含む中空繊維膜束を円筒形ハウジング101及びそれぞれの支持リングに挿入し、中空繊維膜の端部をそれぞれの支持リング117と共に埋め込みゾーンで埋め込みマス109で埋め込み、中空繊維膜の端部を露出させ、末端キャップ111を円筒形ハウジング101の各々の末端部分105に装着させる一方で、末端キャップ111の内側112と埋め込みマス109の端部区域124との間に密封リング116を挿入する段階とを含む。
【0034】
この関連では、「埋め込みマスの縁部区域」は、支持リングに隣接するが、中空繊維膜が埋め込まれていない埋め込みマスの周方向環状部品を意味すると理解される。
【0035】
中空繊維膜の端部を露出させるには、例えば、面側の埋め込みマスの一部をフライスで削り取るか又は切断するなどの公知の方法によって達成することができる。
【0036】
本明細書に記載の方法に従って蒸気殺菌の工程中に中空繊維膜フィルタ内の材料応力を低減するように設計された中空繊維膜フィルタが製造される。この工程はまた、中空繊維膜フィルタを製造するための既存の工程を大幅に変更する必要がないという利点を有する。基本的に、この製造工程では、埋め込み中に、埋め込みマスは、埋め込みマス内の中空繊維膜が円筒形ハウジングから切り離されて留まることができるように、円筒形ハウジングと実質的に接触しない。埋め込み工程の段階では、例えば、EP 2 024 067 A1に説明されている方法を使用することができる。この方法により、中空繊維膜が支持リングの埋め込みゾーンに埋め込まれるように、埋め込みキャップが、中空繊維膜フィルタの末端部分に挿入され、液体埋め込みマスが、中空繊維膜フィルタの末端部分に導入される。支持リングの突起が円筒形ハウジングの終端縁部を支えているので、埋め込みマスが円筒形ハウジングに接触することは基本的に避けられる。この関連での「実質的に」とは、埋め込みマスが円筒形ハウジング及び支持リングと強固な結合を形成することができないことを意味し、すなわち、支持リングは、円筒形ハウジングの末端部分で結合されない。埋め込みマスの硬化後に、中空繊維膜は、埋め込みマス内の支持リングの内部に固定される。
【0037】
支持リングと埋め込みマスの間の接着性を高めるために、支持リングを前処理することができる。特に、支持リング117の周方向側壁118の内面120の表面は、埋め込みマスと支持リングとの接着が改善されるように、例えば、プラズマ処理又はコロナ処理で改質することができる。これらの処理工程では、処理された支持リングの面は、親水性に改質され、埋め込みマスの接着性の改善を可能にする。特に、上述の表面処理により、ヒドロキシ基又はカルボキシル基のような化学的に親水性の基が生成され、そのために埋め込みマスと表面との化学反応が可能になる。
【0038】
上述の方法は、第1の態様による実施形態による中空繊維膜フィルタを製造するのに必要な更に別の工程段階を含む場合がある。特に、更に別の手順段階では、例えば、軸線方向及び/又は半径方向に密封する密封リングは、支持リングの外側のこの目的のために設けられた位置に挿入される。
【0039】
第3の態様では、本発明は、中空繊維膜フィルタの構成に関して、外面119、内面120、上縁121、及び下縁122を有する周方向側壁118と、周方向側壁118の外面119を突出する上縁121に配置された周方向突起123とを含む支持リング117の使用に関する。好ましくは、周方向側壁118の外側119又は突起123に半径方向又は軸線方向に密封する密封リングを受け入れるための周方向溝126、128を追加で有する支持リングが使用される。より好ましくは、支持リングは、支持リングが周方向側壁118の内側120に上縁121から下縁122の方向に少なくともセクション毎に円錐形に形成された場所に使用される。
【0040】
実施例
本発明による中空繊維膜フィルタの生成
フレゼニウス・メディカル・ケア・ドイチュランド社(Fresenius Medical Care Deutschland GmbH)から市販されているHF80S型の円筒形フィルタハウジングでは、軸線方向に密封する密封リングを突起に沿って周方向に延びる溝に陥凹させた状態の図3bに示すように、円筒形ハウジングの各末端部分に支持リングが挿入される。円筒形ハウジングは、ポリカーボネート製であり、支持リングは、ポリプロピレン製である。支持リングは、図3bに示す寸法(単位mm)である。支持リングの内面は、コロナ処理によって化学的に改質される。EP 3 423 173 A1の実施例1に説明されているように製造された各々が内径200μm、肉厚40μm、波長30及び3mmの二重波形のテクスチャを有する約12300本の中空繊維膜を包むエンベロープフィルムに包まれた中空繊維膜束が、支持リングを通じて円筒形ハウジングに挿入された。中空繊維膜フィルタの更に別の生成は、公知の方法及び工程段階に従って実行された。フィルタ当たり109gのポリウレタンを埋め込みに使用し、中空繊維の有効長(埋め込み端部間の中空繊維膜の長さ)は、230mmであり、それぞれの末端部分の構造が図1に示すフィルタに相当する中空繊維膜フィルタが得られた。
【0041】
比較例
比較例のフィルタは、上述のフィルタと同じ方法で製造されたが、支持リングの設置は行わなかった。中空繊維膜は、従来の方法を使用するフィルタハウジングに直接成型された。
【0042】
熱応力試験
上述の作業例に従って製造した中空繊維膜フィルタ、及び比較例に従って製造した中空繊維膜フィルタが熱応力試験を受けた。
段階1:この目的のために、中空繊維膜フィルタは、それぞれ垂直方向に2つの接続部を通じて血液側及び透析液側の媒体供給装置に接続された。中空繊維膜フィルタは、上側から純水蒸気及び絶対圧力2.35bar、温度125℃で17分間処理される。露出時間は、純蒸気を付加することで記録される。
段階2:段階1での蒸気に露出後に、露出を超純水(HPW)に切り換えて超純水を95℃の温度に設定する。血液側と透析液側を絶対圧力3.2barで5分20秒間露出する。露出時間は、超純水を付加しながら記録される。
段階3:この段階後に、透析液側を空にし、絶対圧力2.8barの殺菌空気で満足する。血液側の水は、54℃まで冷却し、血液側の水に空気が通過するか否かを観察する。この目的のために、外径15mm、内径10mm、サンプリング長65mmの点検窓を給水機器に設置した。点検口をデジタルカメラでモニタし、気泡の数、各気泡の大きさ、全ての気泡の大きさを計算した。この手順は「バブル試験」として公知である。測定は、15秒間行った。少なくとも1.7mm2のデジタルカメラで観察した面積を有する気泡が7個、又は1.7mm2よりも大きい観察した面積の気泡が1個、又は検出した全ての気泡の観察面積の合計が34mm2を超えた場合に実験を中止した。測定は、順番に4回行い、1回でも上述の終点基準に達すれば、中空繊維膜フィルタは漏れていると評価される。
段階4:気泡試験後に、殺菌乾燥空気を温度110℃、絶対圧力1.7bar(血液側)、1.5bar(透析液側)で25分間適用する。
上述の気泡試験でいずれの漏れも認められない場合に、試験は、1サイクルと数えられる。最初から漏れている中空繊維膜フィルタは、従って、サイクル番号0になり、3サイクル目で欠陥が検出された中空繊維膜フィルタは、従って、サイクル番号2になる。
4個の中空繊維膜フィルタを実施例1に従って試験した。得られたサイクル番号は、30,30,13,30であった。30サイクル成功後に実験を終了した。
比較例の中空繊維膜フィルタ6個を試験した。決定されたサイクル数は、8,8,2,2,2,8であった。
示すように、本発明による実施形態は、本発明の特徴を持たない実施形態よりもかなり弾力性がある。
【符号の説明】
【0043】
108 中空繊維膜
109 埋め込みマス
117 支持リング
123 周方向突起
127 密封リング
図1
図2
図3a
図3b
図3c
図4a
図4b
図5a
図5b
【国際調査報告】