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特表2024-546749注入ラインにおける脱気を防止するための使い捨てセット及び体外血液処理装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】注入ラインにおける脱気を防止するための使い捨てセット及び体外血液処理装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/36 20060101AFI20241219BHJP
   A61M 60/109 20210101ALI20241219BHJP
   A61M 60/279 20210101ALI20241219BHJP
   A61M 60/37 20210101ALI20241219BHJP
【FI】
A61M1/36 100
A61M60/109
A61M60/279
A61M60/37
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024534407
(86)(22)【出願日】2022-12-08
(85)【翻訳文提出日】2024-08-06
(86)【国際出願番号】 EP2022085079
(87)【国際公開番号】W WO2023105009
(87)【国際公開日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】21213423.3
(32)【優先日】2021-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501473877
【氏名又は名称】ガンブロ・ルンディア・エービー
【氏名又は名称原語表記】GAMBRO LUNDIA AB
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】プーシュリン, ドミニク
【テーマコード(参考)】
4C077
【Fターム(参考)】
4C077AA05
4C077BB02
4C077CC02
4C077DD07
4C077EE01
4C077HH03
4C077HH13
4C077JJ03
4C077JJ13
4C077KK07
(57)【要約】
濾過ユニットと、血液ポンプによって係合されるように構成された血液ポンプ路を含む血液採取ラインと、血液戻りラインと、前記血液ポンプ路の上流の前記血液採取ラインに接続された第1の端部と、注入物質源に接続するための第2の端部との間に延在する注入ラインとを含む血液回路を含む体外血液処理装置のための使い捨てセットであって、前記血液ポンプ路は、前記濾過ユニットと前記注入ラインの前記第1の端部との間に介在される。前記使い捨てセットは、前記注入ラインの前記第1の端部に向かって、または前記第1の端部に配置された圧力ダンパをさらに備え、前記圧力ダンパは、前記圧力ダンパの上流の前記注入ライン内に延在するための前記アクセス陰圧を防止するか、またはその量を低減するように構成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
体外血液処理装置(1)用の使い捨てセットであって、前記使い捨てセット(100)は、
-濾過ユニット(2)と、
-血液回路(17)であって、
○前記濾過ユニット(2)に接続された第1の端部(6a)と、第2の端部(6b)との間に延在する血液採取ライン(6)と、
○前記濾過ユニット(2)に接続された第1の端部(7a)と、第2の端部(7b)との間に延在する血液戻りライン(7)と、
を備える血液回路(17)と、
前記血液回路(17)、特に前記血液採取ライン(6)は、血流を決定するように構成された前記体外血液処理装置(1)の血液ポンプ(21)によって係合されるように構成された血液ポンプ路(6p)を含み、少なくとも動作状態の間、アクセス陰圧が前記血液ポンプ路(6p)の上流で経験され、前記血液回路(17)内の前記血流は、前記血液採取ライン(6)から前記濾過ユニット(2)に向かい、前記濾過ユニット(2)から前記血液戻りライン(7)を通る方向にあり、
-流体アクセスにおいて前記血液回路(17)に接続された、特に前記血液ポンプ路(6p)の上流で、前記血液採取ライン(6)に接続された、第1の端部(51a)と、注入物質源(10)に接続するための第2の端部(51b)との間に延びる注入ライン(51)であって、前記血液ポンプ路(6p)は、前記血液戻りライン(7)の前記第2の端部(7b)、特に前記濾過ユニット(2)と、前記注入ライン(51)の前記第1の端部との間に介在される、注入ライン(51)と、を備え、
前記使い捨てセットは、前記注入ライン(51)の前記第1の端部に近接して、または前記第1の端部に配置された圧力ダンパ(40)をさらに備え、前記圧力ダンパ(40)は、前記アクセス陰圧が前記圧力ダンパ(40)の上流の前記注入ライン(51)内に延在することを防止する、またはその量を低減するように構成される、使い捨てセット。
【請求項2】
体外血液処理装置(1)用の使い捨てセットであって、前記使い捨てセット(100)は、
-濾過ユニット(2)と、
-血液回路(17)であって、
○前記濾過ユニット(2)に接続された第1の端部(6a)と、第2の端部(6b)との間に延在する血液採取ライン(6)と、
○前記濾過ユニット(2)に接続された第1の端部(7a)と、第2の端部(7b)との間に延在する血液戻りライン(7)と、
を備える血液回路(17)と、
前記血液回路(17)、特に前記血液採取ライン(6)は、血流を決定するように構成された前記体外血液処理装置(1)の血液ポンプ(21)によって係合されるように構成された血液ポンプ路(6p)を含み、少なくとも動作状態の間に、前記濾過ユニット(2)の下流で戻り陰圧が経験され、前記血液回路(17)内の前記血流は、前記血液採取ライン(6)から前記濾過ユニット(2)に向かい、前記濾過ユニット(2)から前記血液戻りライン(7)を通る方向にあり、
-流体アクセスにおいて血液回路(17)に接続された、特に前記血液ポンプ路(6p)の下流で血液戻りライン(7)に接続された、第1の端部と、注入物質源(64)に接続するための第2の端部(63)との間に延在するポスト注入ライン(69)であって、前記血液ポンプ路(6p)は、前記血液戻りライン(7)の前記第2の端部(7b)、特に前記濾過ユニット(2)と、前記ポスト注入ライン(69)の前記第1の端部との間に介在される、ポスト注入ライン(69)と、を備え、
前記使い捨てセットは、前記ポスト注入ライン(69)の前記第1の端部に近接して、または前記第1の端部に配置された圧力ダンパ(40)をさらに備え、前記圧力ダンパ(40)は、前記圧力ダンパ(40)の上流の前記ポスト注入ライン(69)内に延在する戻り陰圧を防止する、またはその量を低減するように構成される、使い捨てセット
【請求項3】
前記圧力ダンパ(40)は、弾性材料、任意選択でシリコン、シリコンベース材料、ゴム、PVC、およびラテックスのうちの1つで構成された変形可能な流路制限器(42)を備え、
前記変形可能な流路制限器(42)は、
-休止状態において、前記変形可能な流路制限器(42)は、流体の流れを防止するために略閉鎖されるか、または、1 mm未満、特に0.5mm未満、より特に0.1mm未満、より特に0.01mm未満のサイズを有する前記注入流体用のダンパ通路断面を画定する、ダンパ管腔(44)を有し、
-注入状態において、前記変形可能な流路制限器(42)の内側の管腔圧力が所定の閾値を上回る場合に、前記変形可能な流路制限器(42)の前記ダンパ管腔(44)は、前記注入流体の通過を可能にするために開くように構成される、
ように構成可能である、請求項1又は2に記載の使い捨てセット。
【請求項4】
前記ダンパ管腔(44)を開くための前記所定の閾値は、大気圧の1.02倍よりも大きく、特に大気圧の1.05倍よりも大きく、特に大気圧の1.1倍または1.2倍よりも大きく、
特に、前記ダンパ管腔(44)を開くための前記所定の閾値は、0.05バールまたは0.1バールよりも大きく、任意選択で0.2バールまたは0.3バールよりも大きい、請求項3に記載の使い捨てセット。
【請求項5】
前記変形可能な流路制限器(42)の前記ダンパ管腔(44)は、5mm~100mm、特に10mm~50mm、任意選択で10mm~30mmに含まれる長さだけ、流れ方向に延在し、
前記変形可能な流路制限器(42)は、前記休止状態において、ライン、任意選択で、直線または曲線と、点との間の断面形状を有する折り畳まれたダンパ管腔(44)を有する、請求項3又は4に記載の使い捨てセット。
【請求項6】
前記変形可能な流路制限器(42)は、管路、特に前記注入ライン(51)の管路であり、
前記変形可能な流路制限器(42)の前記管路は平坦な形状を有し、
前記管路は、略楕円形の形状および/または長方形の形状の外形を有する流体方向に直交する断面を有する、請求項3乃至5の何れか1項に記載の使い捨てセット。
【請求項7】
前記変形可能な流路制限器(42)は、前記注入ライン(51)の管路であり、
-前記変形可能な流路制限器(42)の管壁は、前記注入ラインの残りの部分の管壁の厚さに略等しい厚さを有し、特に、前記変形可能な流路制限器(42)の上流に配置された前記注入ライン(51)の上流管壁の厚さに略等しい厚さを有し、
または、
-前記変形可能な流路制限器(42)の管壁は、前記注入ラインの残りの部分の管壁の厚さよりも大きい厚さを有し、特に、前記変形可能な流路制限器(42)のすぐ上流に位置する前記注入ラインの上流管壁の厚さよりも大きい厚さを有する、請求項3乃至6の何れか1項に記載の使い捨てセット。
【請求項8】
前記変形可能な流路制限器(42)は、前記注入ラインの残りの部分と同じ材料、特にシリコン、シリコンベース材料、ラテックス、PVC、またはゴムのうちの1つから構成される、請求項3乃至7の何れか1項に記載の使い捨てセット。
【請求項9】
前記変形可能な流路制限器(42)は、単一部品として作製される、請求項3乃至8の何れか1項に記載の使い捨てセット。
【請求項10】
前記変形可能な流路制限器(42)および前記注入ライン(51)は、組み合わせて継ぎ目のない単一部品を画定する、請求項3乃至9の何れか1項に記載の使い捨てセット。
【請求項11】
少なくとも前記休止状態において、前記変形可能な流路制限器(42)の上流の前記注入ライン(51)の管路の管腔は、前記変形可能な流路制限器(42)の前記ダンパ管腔(44)に向かってサイズが徐々に縮小し、狭窄管腔セクション(43)を画定する、請求項3乃至10の何れか1項に記載の使い捨てセット。
【請求項12】
前記狭窄管腔セクション(43)は、少なくとも2mm、特に少なくとも5mm、任意選択で2mm~20mmの長さだけ、流れ方向に沿って延在し、
前記狭窄管腔セクション(43)は、曲線又は直線の経路に沿って延在する、請求項11に記載の使い捨てセット。
【請求項13】
前記圧力ダンパ(40)は、前記変形可能な流路制限器(42)上で、特に、前記変形可能な流路制限器(42)の前記管路上の推力で動作する絞り装置(90)を備え、
前記絞り装置(90)は、
-前記休止状態において前記ダンパ管腔(44)を略閉じた状態に保つための閉鎖力寄与を提供し、
-前記圧力ダンパの上流の前記注入ライン内の圧力が所定の閾値を超えたときに、前記変形可能な流路制限器(42)が前記注入状態に切り替わることを可能にする、
ように構成される、請求項10乃至19の何れか1項に記載の使い捨てセット。
【請求項14】
前記絞り装置(90)は、前記変形可能な流路制限器(42)の周囲に配置され、前記変形可能な流路制限器(42)の外面に対して圧縮作用する、請求項13に記載の使い捨てセット。
【請求項15】
前記絞り装置(90)は、前記変形可能な流路制限器(42)の前記外面に推力で作用する、弾性要素(91)、任意選択で渦巻きバネまたは板バネまたはバネ状要素などのバネ、を備え、
前記絞り装置(90)の前記弾性要素(91)は、前記休止状態で予荷重される、請求項13又は14に記載の使い捨てセット。
【請求項16】
前記弾性要素(91)の前記予荷重は、調整可能である、すなわち、オペレータによって手動で調整可能である、請求項15に記載の使い捨てセット。
【請求項17】
前記絞り装置(90)は、特に1cmよりも大きい、特に2cmよりも大きい、特に1cm~5cmの間、または1cm~3cmの間の長さに沿って、前記変形可能な流路制限器(42)の前記外面上に推力で作用する1つ以上のプレート(92)を備える、請求項13乃至16の何れか1項に記載の使い捨てセット。
【請求項18】
-前記圧力ダンパ(40)は、流路制限器(41)を備え、
○前記流路制限器(41)は、前記注入流体が通過することを可能にするように構成されたダンパ通路断面を有し、
○前記注入ライン(51)は、前記注入流体が通過することを可能にするように構成された、それぞれの流体通路断面、特に平均流体通路断面を有し、
前記ダンパ通路断面は、前記流体通路断面よりも小さく、任意選択で、前記ダンパ通路断面は、前記流体通路断面よりも少なくとも50%小さく、特に、少なくとも80%小さく、より特に、少なくとも90%小さく、
または、
-前記圧力ダンパ(40)は、前記注入ライン(51)から前記血液回路(17)へ、特に前記採取ライン(17)へ向けられた注入方向のみに流体通過を可能にするように構成され、且つ、前記流体通過が前記注入方向に許容される開放位置と、前記流体通過が両方向に阻止される閉鎖位置との間で移動するように構成された一方向弁(46)を備え、特に、前記採取ライン(6)から前記注入ライン(51)への方向の流体通過は、何れの状態でも阻止され、
前記一方向弁(46)は、前記閉鎖位置と前記開放位置との間を切り換えるために開放圧力閾値に予め設定され、その逆もまた同様であり、その結果、
○前記一方向弁(46)の上流セクションと下流セクションとの間の差圧が、前記開放圧力閾値以上である場合、前記一方向弁(46)は、前記開放位置に切り替わるか、または前記開放位置を維持するように構成され、
特に、前記差圧は、前記注入方向に従って前記一方向弁(46)の上流の高圧ゾーンと、前記一方向弁(46)の下流の低圧ゾーンとの間で画定され、特に、前記高圧は、前記低圧よりも高く、
および、
○前記差圧が前記開放圧力閾値よりも小さい場合、前記一方向弁(46)は、前記閉鎖位置に切り替わるか、または前記閉鎖位置を維持するように構成される、請求項1乃至17の何れか1項に記載の使い捨てセット。
【請求項19】
前記圧力ダンパ(40)は、前記注入ライン(51)から前記血液回路(17)へ、特に前記採取ライン(17)へ向けられた注入方向にのみ流体通過を可能にするように構成された一方向弁を備え、前記一方向弁は、前記注入方向に流体通過が許容される開放位置と、前記注入方向及び反対方向に流体通過が阻止される閉鎖位置との間を移動するように構成され、特に、前記血液回路(17)から前記注入ライン(51)への方向の流体通過が阻止され、
前記一方向弁(46)は、ダックビル弁(75)である、請求項1乃至18の何れか1項に記載の使い捨てセット。
【請求項20】
前記ダックビル弁(75)は、内部容積(76a)を画定する筐体(76)を備え、前記筐体(76)は、
-前記注入ライン(51)の上流路に接続された、または接続されるように構成された入口コネクタ(75a)と、
-前記注入ライン(51)の下流路に接続された、または接続されるように構成された出口コネクタ(75b)と、
-前記筐体(76)の前記内部容積(76a)内に配置され、前記注入流体が前記入口コネクタ(75a)から前記出口コネクタ(75b)へ流れることを可能にし、流体が前記出口コネクタ(75b)から前記入口コネクタ(75a)に逆流することを防止するように構成されたダックビル構成要素(77)と、を備え、
前記ダックビル構成要素(77)は、可撓性および/または弾性材料から構成され、任意選択で、前記材料は、シリコン、シリコンベース材料、ゴム、PVC、およびラテックスのうちの1つである、請求項19に記載の使い捨てセット。
【請求項21】
前記ダックビル弁(75)は、前記注入ライン(51)の前記第1の端部から6cm以下、任意選択で3cm以下、特に0.1cm~6cm、より特に0.2~3cmに含まれる距離で前記注入ライン(51)上に配置される、請求項19又は20に記載の使い捨てセット。
【請求項22】
前記ダックビル弁(75)の前記ダックビル構成要素(77)は、前記流体のための通路幅広セクション(77a)と通路閉鎖セクション(77b)との間に延在するテーパ形状を有し、
前記ダックビル弁(75)は、前記注入流体が前記入口コネクタ(75a)から、前記通路幅広セクション(77a)内に、次いで、前記ダックビル構成要素(77)の前記通路閉鎖セクション(77b)を通り、その後、前記ダックビル弁(75)の前記出口コネクタ(75b)を通って、順次流れることを可能にするように構成され、
前記通路幅広セクション(77a)は、特に流体密に、前記内部容積(76a)の内側の前記入口コネクタ(75a)の出口に接続される、請求項19乃至21の何れか1項に記載の使い捨てセット。
【請求項23】
前記通路閉鎖セクション(77b)は、前記筐体(76)の前記内部容積(76a)内に開口し、特に、前記通路閉鎖セクション(77b)は、前記出口コネクタ(75b)に接続されず、
前記通路閉鎖セクション(77b)は、前記ダックビル弁(75)の前記筐体(76)の前記内部容積(76a)内で片持ちされる、請求項22に記載の使い捨てセット
【請求項24】
前記通路閉鎖セクション(77b)は、変形可能スリットを備え、前記変形可能スリットは、
-前記ダックビル構成要素(77)の前記通路閉鎖セクション(77b)が、前記注入流体が前記入口コネクタ(75a)から前記出口コネクタ(75b)に向かって流れることを可能にする開放状態であって、特に、前記スリットの前記開放状態が前記一方向弁の前記開放位置を画定する、開放状態と、
-前記ダックビル構成要素(77)の前記通路閉鎖セクション(77b)が閉鎖される閉鎖状態であって、特に、流体が前記ダックビル構成要素(77)を通って流れるのを防止し、特に、前記スリットの前記閉鎖状態が前記一方向弁の前記閉鎖位置を画定する、閉鎖状態と、
の間で変形可能である、請求項22又は23に記載の使い捨てセット。
【請求項25】
前記圧力ダンパ(40)は前記一方向弁(46)を備え、前記一方向弁(46)の前記予め設定された開放圧力閾値は、ゼロmmHgよりも高い、特に160mmHgよりも高い、特に160~500mmHgの間、特に190~450mmHgの間、より特に200~400mmHgの間、より詳細には240~350mmHgの間の差圧値に対応する、請求項18乃至24の何れか1項に記載の使い捨てセット。
【請求項26】
前記一方向弁(46)の前記予め設定された開放圧力閾値は、前記体外血液処理装置(1)の標準的な作動状態中に前記流体アクセスにおいて許容される最大陰圧付近に設定され、前記流体アクセスにおいて許容される前記最大陰圧の特に+/-100mmHg以内に、より特に+/-50mmHg以内に設定される、請求項18乃至25の何れか1項に記載の使い捨てセット。
【請求項27】
前記一方向弁(46)は、前記注入ライン(51)の前記第1の端部から6cm以下、任意選択で3cm以下、特に0.1cm~6cm、より特に0.2~3cmに含まれる距離で前記注入ライン(51)上に配置される、請求項18乃至26の何れか1項に記載の使い捨てセット。
【請求項28】
前記圧力ダンパ(40)は、前記流路制限器(41)であり、
-前記ダンパ通路は、30mm~200mm、特に40mm~160mm、より特に55mm~150mmの長さだけ延在し、
-前記ダンパ通路断面は、0.3mm~0.6mm、特に0.35mm~0.55mmの直径だけ延在する、請求項18に記載の使い捨てセット。
【請求項29】
-ダンパ通路断面が0.5mmに略等しい直径を有する場合、前記ダンパ通路は、145mm ±15mmに略等しい長さだけ延在し、
-前記ダンパ通路断面が0.4mmと略等しい直径を有する場合、前記ダンパ通路は、60mm ±10mmと略等しい長さだけ延在し、
前記直径は、前記長さにわたって略一定である、請求項28に記載の使い捨てセット。
【請求項30】
前記流路制限器(41)は、可撓性管路を備え、特に可撓性管路であり、
特に、前記管路は、PVC、シリコン、または生体適合性の可撓性材料で構成される、請求項28又は29に記載の使い捨てセット。
【請求項31】
前記流路制限器(41)は、前記ダンパ通路断面を画定する隔壁を備え、
前記隔壁の前記ダンパ通路断面は、
-1mm~30mm、特に2mm~20mm、特に4mm~10mmの流路長さだけ、前記注入ライン(51)の前記流体の流れ方向に沿って、且つ、
-0.2mm~3mmの直径で半径方向に、
軸方向に延在し、
任意選択で、前記ダンパ通路断面は、前記流路長さに沿って略一定である、請求項28乃至30の何れか1項に記載の使い捨てセット。
【請求項32】
前記使い捨てセットは、
-内部容積を画定するコネクタ本体と、
-互いに流体連通するとともに前記内部容積と流体連通する血液入口および血液出口であって、前記血液入口は、前記血液採取ラインの前記第2の端部に面する前記血液採取ライン(6)に接続され、前記血液出口は、前記血液採取ライン(6)の前記血液ポンプ路(6p)に面する前記血液採取ライン(6)に接続される、血液入口および血液出口と、
-前記内部容積と流体連通し、前記注入ライン(51)の前記第1の端部に接続された注入入口と、
を含む注入コネクタ(48)を備え、
前記注入コネクタは、特に2つの入口および1つの出口を有する3方向コネクタであり、
前記圧力ダンパ(40)は、前記コネクタ本体の前記内部容積内に、任意選択で前記注入コネクタの前記注入入口内に配置され、特に前記圧力ダンパ(40)は、前記流路制限器(41)または前記一方向弁(46)を備える、請求項1乃至31の何れか1項に記載の使い捨てセット。
【請求項33】
前記注入ライン(51)は、前記注入ライン(51)の前記第1の端部と前記第2の端部との間に介在されたそれぞれの注入ポンプ路(51p)を備え、前記注入ライン(51)の前記注入ポンプ路は、少なくとも動作状態中に、前記注入流体が前記注入ライン(51)の前記第1の端部に向かい且つ前記血液採取ライン(6)に向かう方向に流れることを可能にするために前記注入ポンプ路の下流の陽圧を決定するように構成された注入蠕動ポンプによって係合されるように構成され、
前記圧力ダンパ(40)は、前記注入ポンプ路(51p)と前記血液回路(17)との間の、特に前記注入ポンプ路(51p)と前記血液採取ライン(6)との間の前記注入ライン(51)上に配置される、請求項1乃至32の何れか1項に記載の使い捨てセット。
【請求項34】
アセンブリであって、
-体外血液処理装置用の使い捨てセットであって、前記使い捨てセットは、
○濾過ユニット(2)と、
○前記濾過ユニット(2)に接続された第1の端部と、例えば患者(P)に接続するための第2の端部との間に延在する血液採取ライン(6)と、前記濾過ユニット(2)に接続された第1の端部と、例えば前記患者(P)に接続するための第2の端部との間に延在する血液採取ライン(7)と、を備える血液回路(17)と、
前記血液回路(17)、特に血液採取ライン(6)は、血流を生成するように構成されている前記体外血液処理装置の血液ポンプ(21)に係合されるように構成されたポンプ路を含み、少なくとも動作状態の間、アクセス陰圧が前記ポンプ路の上流に存在し、前記血液回路(17)内の前記血流は、前記血液採取ライン(6)から前記濾過ユニット(2)に向かい、前記濾過ユニット(2)から前記血液戻りライン(7)を通る方向であり、
○流体アクセスにおいて前記血液回路(17)に、特に前記血液ポンプ路(6p)の上流で前記血液採取ライン(6)に接続された第1の端部と、注入物質源(10)に接続するための第2の端部との間に延在する注入ライン(51)であって、前記血液ポンプ路(6p)は、前記血液戻りライン(7)の前記第2の端部(7b)、特に濾過ユニット(2)と、前記注入ライン(51)の前記第1の端部との間に介在される、注入ライン(51)と、
を備える、使い捨てセットと、
-前記注入ライン(51)の一部に係合し、その内部管腔を、閉鎖することなく、縮小するクランプ(80)であって、前記クランプは、
○前記注入ライン(51)の一部を受容するように構成され、前記注入ライン(51)の所定の管腔縮小を決定するために固定されたサイズを有するクランプシートを備える携帯型クランプ(81)、
○前記注入ライン(51)の一部を受容するように構成され、前記注入ライン(51)の前記管腔縮小を変化させるための調節器を有するクランプシートを含む可変クランプ、
のうちの少なくとも1つを備える、クランプ(80)と、を備え、
前記クランプが前記注入ライン上でアクティブではない状態において、前記注入ライン(51)は、前記注入流体が通過することを可能にするように構成された、それぞれの流体通路断面、特に平均流体通路断面を有し、
前記クランプが前記注入ライン上で係合され、且つその内部管腔を縮小するようにアクティブである状態において、前記注入ライン(51)は、前記注入流体が通過することを可能にするように構成されたダンパ通路断面を有し、
前記ダンパ通路断面は、前記流体通路断面よりも小さく、任意選択で、前記ダンパ通路断面は、前記流体通路断面よりも50%小さく、特に80%小さく、より特には少なくとも90%小さい、アセンブリ。
【請求項35】
体外血液処理装置であって、
-請求項1乃至33の何れか1項に記載の使い捨てセット、または請求項34に記載のアセンブリと、
-前記血液採取ライン(6)の前記血液ポンプ路(6p)と協働する血液ポンプと、
-前記注入ライン(51)の注入ポンプ路(51p)と協働する注入ポンプ(54)であって、前記注入ポンプ(54)は、前記注入ライン(51)の前記第2の端部と前記圧力ダンパ(40)との間に、特に前記圧力ダンパ(40)の上流且つ前記注入物質源(10)の下流に配置される、注入ポンプ(54)と、
-前記血液ポンプ(21)及び前記注入ポンプ(54)に動作可能に接続された制御ユニット(12)であって、前記制御ユニット(12)は、前記血液ポンプ(21)及び前記注入ポンプ(54)を、対応する血液流量および注入流量で制御するように構成される、制御ユニット(12)と、を備え、
任意選択で、前記制御ユニットは、処理状態を画定するように構成され、
-前記血液流量は、50ml/分~600ml/分、特に50ml/分~350ml/分、より特に100ml/分~300ml/分であり、
-前記注入流量は、200ml/h~4000ml/hであり、特に500ml/hより高く2000ml/hより低い、体外血液処理装置。
【請求項36】
前記圧力ダンパ(40)は、一方向弁(46)、任意選択で前記ダックビル弁(75)を備え、
前記制御ユニットは、
-前記注入ポンプ(54)が流体の流れを決定するためにアクティブであり、前記注入ポンプの下流に注入陽圧が存在し、前記血液ポンプが血流を決定するためにアクティブであり、アクセス陰圧が前記血液ポンプの上流に存在する、第1の状態と、
ここで、前記注入陽圧と前記アクセス陰圧との間の圧力差は、前記注入流体が前記血液採取ライン(6)に入ることを可能にするために、前記一方向弁(46)の前記予め設定された開放圧力閾値よりも高く、
-前記注入ポンプ(54)が注入流体の血液採取ライン(6)への注入を防止するために停止され、前記血液ポンプ(21)が前記血液回路内の血流を決定するためにアクティブである、第2の状態であって、前記第2の状態では、前記注入ライン(51)内の圧力と、前記アクセス陰圧との間の差が前記一方向弁(46)の前記予め設定された開放圧力閾値よりも低いので、前記一方向弁(46)は閉鎖され、特に、前記アクセス陰圧が前記注入ライン(51)内に及ぶことを防止する、第2の状態と、
を画定するように構成される、請求項1乃至35の何れか1項に記載の体外血液処理装置。
【請求項37】
前記注入ポンプ(54)は、前記一方向弁(46;75)または前記変形可能な流路制限器(42)のいずれかを開くために、所定の閾値よりも大きいヘッド圧力を生成するように構成され、
特に、前記注入ポンプ(54)は、0.05バールまたは0.1バールよりも大きい、任意選択で0.2バールまたは0.3バールよりも大きいヘッド圧力を生成するように構成される、請求項35又は36に記載の体外血液処理装置。
【請求項38】
前記注入ポンプ(54)は、閉塞ポンプまたは容積式ポンプ、特に蠕動ポンプを備える、請求項35乃至37の何れか1項に記載の体外血液処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体外血液回路に注入される輸液の脱気を防止するための使い捨てセット及び体外血液処理装置に関する。本発明は、特に、透析、血液酸素化/CO2除去処理、治療的血漿交換および/または血液灌流などの体外血液処理(治療)であって、陰圧(外圧、例えば大気圧、より低い圧力)が生じる接合点で体外血液回路に流体が注入される体外血液処理に関する。
【背景技術】
【0002】
腎臓は、水分の除去、異化物(または代謝からの老廃物、例えば尿素およびクレアチニン)の排出、血液中の電解質の濃度の調節(例えばナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、重炭酸塩、リン酸塩、塩化物)、および、特に弱酸の除去およびアンモニウム塩の生成によって得られる体内の酸/塩基平衡の調節を含む多くの機能を果たす。
【0003】
腎臓の機能を失った人では、これらの排泄および調節機構が機能しなくなるため、体内に水分と代謝による老廃物が蓄積し、代謝産物が過剰になる。腎機能障害を克服するために、従来は、患者の血液が膜の一方の側で循環される半透膜(透析器)と、健康な対象の血液中のものに近い濃度の血液の主電解質を含む透析液とを有する交換器を通る血液回路内の体外循環を伴う血液処理(治療)が行われている。患者は採取(または動脈)ラインおよび戻り(または静脈)ラインを介して体外血液回路に接続され、後者は端部にそれぞれの針を有する。
【0004】
半透膜によって区切られた透析器の2つの区画(コンパートメント)の間に圧力差が生成され、その結果、血漿流体の一部は、限外濾過によって膜を通過し、透析液を含む区画に入る。代謝からの老廃物および電解質に関して透析器で行われる血液処理は、血液と透析液との間の膜を介する分子輸送の2つのメカニズム(機構)から生じる。
【0005】
透析液は、透析器内で患者の血液と交換される電解質および緩衝液などの複数の所定の物質と純水とを混合することによって、透析器の上流で調製される。水は、(例えば、逆浸透によって)精製および脱イオン化された水道水を受け取るオンラインポートから得られ、その後、装置内でさらに濾過され、それにより、略無限の水源が、濃縮物とのその後の混合のために血液処理装置に提供される。あるいは、透析液は、急性透析治療の場合のように、透析装置に供給するために、予め調製され、それぞれのバッグに収納される。
【0006】
血液濾過または血液透析濾過処理または血液酸素化/CO2除去処理を行うように構成された処理装置は、一般に、使い捨てセットの血液回路に接続された注入ラインを備え、注入ラインは、置換液を患者の体外血液に注入するために、および/または1つ以上の特定の物質を注入して他の血液パラメータを制御するために、使用されてもよい。例えば、重炭酸塩溶液が、透析治療中に患者の血液酸塩基平衡を制御するために血液回路に注入されてもよく、重炭酸塩溶液を含むバッグは、通常、制御された注入を可能にするために血液回路に接続されるように提供される。さらに、血液凝固を回避するために、クエン酸塩などの抗凝固剤溶液を血液回路に注入することができ、制御された注入を可能にするために、通常、クエン酸塩または他の局所抗凝固剤を含むバッグが、血液回路に接続されるように提供される。
【0007】
現在、特定の物質の注入は、血液ポンプの上流で採取血液ライン上に提供される。例えば、クエン酸塩溶液は、通常、血液回路内で可能な限り速やかに局所的な抗凝固効果を達成するために、血液ポンプの上流で注入される。透析治療中、血液ポンプは、血液回路内に血流を生成し、例えば、蠕動ポンプは、ポンプの可撓性チューブを交互に絞ったり、解放したりすることによって流体を搬送し、それによって、血液を前進方向に沿って移動させる。圧力レジメンは、血液回路の内部で画定され、(通常)陰圧が血液ポンプの上流で生じ、陽圧が血液ポンプの下流で生じる。もちろん、血液ライン内の回路圧力は、流体をポンピングする血液ポンプ、回路圧力の降下、およびライン端部における圧力状態を含む(がこれらに限定されない)いくつかの要因の結果である。血液は、採取ラインを通して患者のアクセスから採取され、血液ポンプは、(通常)ポンプの下流の陽圧レジメン、すなわち、プレバレンス、および、ポンプの上流の陰圧レジメンを決定するのに寄与する血流を生成する。陰圧、すなわち、大気圧よりも低い圧力は、血液ポンプの上流の血液採取ラインへの注入点を有するプレ血液ポンプ(PBP)の注入ラインで生じることがある。そのような陰圧は、流体中に予め溶解されたガス、すなわち気泡の生成を引き起こすか、または促進し得る。PBP (プレ血液ポンプ)注入用の溶液、より具体的には(排他的ではないが)、例えば、CRRT治療中に投与される重炭酸塩を含有する溶液は、陰圧状態で注入された場合、脱気される。PBPポンプの出口からPBPアクセス接合コネクタまで、PBP注入ラインに沿った血液セットにおいて、脱気が視覚的に観察されることもある。
【0008】
PBPポンプの出口からPBP溶液注入部位までのPBP回路に沿った溶液の脱気は、単純に回路内に気泡が存在すること(例えば、漏出の疑い)および/または脱気チャンバ内に空気および/または泡が蓄積することの両方に対処して、定期的な監視および調整を要求する多くの不満の原因である。
【0009】
注目すべきは、注入流体が血液ポンプの上流で生じる低圧に曝されると、脱気と呼ばれるガス発生に非常に繋がりやすいことである。血液ポンプの下流に配置された脱気チャンバは、気泡を捕捉するために提供されてもよく、それによって、患者の健康リスクを低減し得る。いずれにせよ、脱気チャンバは、流体脱気プロセスの原因を防止するために効果的ではない。さらに、血液回路内の気泡の量が多いほど、脱気チャンバを定期的に点検するために要求される時間頻度も多くなる。脱気チャンバ内の泡の蓄積が過剰な量にあるとき、様々な障害につながり得る(回路の損失および血液を戻すことができないことを含む)。さらに、血液-空気界面での何らかの血液の活性化を想定すると、凝固リスクが増大する。
【0010】
したがって、本発明の目的は、上述の欠点の1つ以上を少なくとも部分的に解決することである。
【0011】
第1の目的は、体外血液処理装置内の血液ポンプの上流の血液ラインに注入流体が注入される際に、注入流体の脱気を低減または防止するための使い捨てセット及び装置を提供することである。
【0012】
さらなる目的は、患者の健康に対する安全性レベルを増加させ、塞栓症および/または血液凝固のリスクを低減することである。
【0013】
さらなる目的は、必要な介入を低減するために、脱気チャンバを整備する際の医療従事者の作業負荷を低減することである。
【0014】
目的は、チャンバ内の自動レベル管理の信頼性を高め、さらに、溶液の脱気に関連する現場での問題および苦情を低減することである。
【0015】
さらなる目的は、注入流体の脱気を防止し、同時に、装置の製造コストを低く保つための装置を提供することである。
【0016】
本発明により、上記目的の少なくとも1つが達成される。
【0017】
以下の説明からより明らかになるこれらの目的およびそれ以上は、以下の特許請求の範囲および/または態様のうちの1つ以上に従った使い捨てセットおよび装置によって略達成される。
【発明の概要】
【0018】
第1の態様は、体外血液処理装置(1)用の使い捨てセットであって、前記使い捨てセット(100)は、
-濾過ユニット(2)と、
-血液回路(17)であって、
○前記濾過ユニット(2)に接続された第1の端部(6a)と、第2の端部(6b)との間に延在する血液採取ライン(6)と、
○前記濾過ユニット(2)に接続された第1の端部(7a)と、第2の端部(7b)との間に延在する血液戻りライン(7)と、
を備える血液回路(17)と、
前記血液回路(17)、特に前記血液採取ライン(6)は、血流を決定するように構成された前記体外血液処理装置(1)の血液ポンプ(21)によって係合されるように構成された血液ポンプ路(6p)を含み、少なくとも動作状態の間、アクセス陰圧が前記血液ポンプ路(6p)の上流で経験され、前記血液回路(17)内の前記血流は、前記血液採取ライン(6)から前記濾過ユニット(2)に向かい、前記濾過ユニット(2)から前記血液戻りライン(7)を通る方向にあり、
-流体アクセスにおいて前記血液回路(17)に接続された、特に前記血液ポンプ路(6p)の上流で、前記血液採取ライン(6)に接続された、第1の端部(51a)と、注入物質源(10)に接続するための第2の端部(51b)との間に延びる注入ライン(51)であって、前記血液ポンプ路(6p)は、前記血液戻りライン(7)の前記第2の端部(7b)、特に前記濾過ユニット(2)と、前記注入ライン(51)の前記第1の端部との間に介在される、注入ライン(51)と、を備え、
前記使い捨てセットは、前記注入ライン(51)の前記第1の端部に近接して、または前記第1の端部に配置された圧力ダンパ(40)をさらに備え、前記圧力ダンパ(40)は、前記圧力ダンパ(40)の上流の前記注入ライン(51)内に延在する前記アクセス陰圧を防止する、またはその量を低減するように構成される、使い捨てセットに関する。
【0019】
前の態様によると、前記使い捨てセットは、流体アクセスにおいて前記血液回路(17)に、特に前記血液ポンプ路(6p)の下流の前記血液戻りライン(7)に接続された第1の端部と、注入物質源(64)に接続するための第2の端部(63)との間に延在するポスト注入ライン(69)をさらに備え、前記血液ポンプ路(6p)は、前記血液戻りライン(7)の前記第2の端部(7b)、特に前記濾過ユニット(2)と、前記ポスト注入ライン(69)の前記第1の端部との間に介在される。この場合、前記使い捨てセットは、前記ポスト注入ライン(69)の前記第1の端部に近接して配置された、または当該第1の端部に配置された追加の圧力ダンパを備えることができ、前記追加の圧力ダンパは、前記追加の圧力ダンパの上流の前記ポスト注入ライン(69)内に延在する戻り陰圧を防止するか、またはその量を低減するように構成される。
【0020】
前記血液ポンプの下流の前記追加の圧力ダンパは、前記圧力ダンパ(40)を詳述する後続の態様のいずれかに従ってもよい。
【0021】
別の独立した態様は、体外血液処理装置(1)用の使い捨てセットであって、前記使い捨てセット(100)は、
-濾過ユニット(2)と、
-血液回路(17)であって、
○前記濾過ユニット(2)に接続された第1の端部(6a)と、第2の端部(6b)との間に延在する血液採取ライン(6)と、
○前記濾過ユニット(2)に接続された第1の端部(7a)と、第2の端部(7b)との間に延在する血液戻りライン(7)と、
を備える血液回路(17)と、
前記血液回路(17)、特に前記血液採取ライン(6)は、血流を決定するように構成された前記体外血液処理装置(1)の血液ポンプ(21)によって係合されるように構成された血液ポンプ路(6p)を含み、少なくとも動作状態の間に、前記濾過ユニット(2)の下流で戻り陰圧が経験され、前記血液回路(17)内の前記血流は、前記血液採取ライン(6)から前記濾過ユニット(2)に向かい、前記濾過ユニット(2)から前記血液戻りライン(7)を通る方向にあり、
-流体アクセスにおいて血液回路(17)に接続された、特に前記血液ポンプ路(6p)の下流で血液戻りライン(7)に接続された、第1の端部と、注入物質源(64)に接続するための第2の端部(63)との間に延在するポスト注入ライン(69)であって、前記血液ポンプ路(6p)は、前記血液戻りライン(7)の前記第2の端部(7b)、特に前記濾過ユニット(2)と、前記ポスト注入ライン(69)の前記第1の端部との間に介在される、ポスト注入ライン(69)と、を備え、
前記使い捨てセットは、前記ポスト注入ライン(69)の前記第1の端部に近接して、または前記第1の端部に配置された圧力ダンパ(40)をさらに備え、前記圧力ダンパ(40)は、前記圧力ダンパ(40)の上流の前記ポスト注入ライン(69)内に延在する戻り陰圧を防止する、またはその量を低減するように構成される、使い捨てセットに関する。
【0022】
先行する態様のいずれかによる態様では、血液採取ライン(6)の前記第2の端部(6b)および前記血液戻りライン(7)の前記第2の端部(7b)は、
●患者に接続するためのものであるか、又は、
●さらなる体外血液回路(体外膜酸素化(ECMO)回路(300)など)の血液ダクト(306、307)に接続するためのものであるか/接続される。
【0023】
先行する態様のいずれかによる第2の態様では、前記圧力ダンパ(40)は、流路制限器(41)を備え、
-前記流路制限器(41)は、注入流体が通過することを可能にするように構成されたダンパ通路断面を有し、
-前記注入ライン(51)は、前記注入流体が通過することを可能にするように構成された、それぞれの流体通路断面、特に平均流体通路断面を有し、
前記ダンパ通路断面は、前記流体通路断面よりも小さく、任意選択で、前記ダンパ通路断面は、前記流体通路断面よりも少なくとも50%小さく、特に少なくとも80%小さく、より特に少なくとも90%小さい。
【0024】
前記圧力ダンパ(40)は、前記注入ライン(51)から前記血液回路(17)へ、特に前記採取ライン(17)へ向けられた注入方向のみに流体通過を可能にするように構成され、且つ、前記流体通過が前記注入方向に許容される開放位置と、前記流体通過が両方向に阻止される閉鎖位置との間で移動するように構成された一方向弁(46)を備え、特に、前記採取ライン(6)から前記注入ライン(51)への方向の流体通過は、何れの状態でも阻止される。
【0025】
第3の態様による第4の態様では、前記一方向弁(46)は、前記閉鎖位置と前記開放位置とを切り換えるために、開放圧力閾値に予め設定され、逆もまた同様である。
【0026】
第3の態様による第5の態様では、前記一方向弁(46)は、前記閉鎖位置と前記開放位置との間を切り換えるために開放圧力閾値に予め設定され、その逆もまた同様であり、その結果、
-前記一方向弁(46)の上流セクションと下流セクションとの間の差圧が、前記開放圧力閾値以上である場合、前記一方向弁(46)は、前記開放位置に切り替わるか、または前記開放位置を維持するように構成され、
特に、前記差圧は、前記注入方向に従って前記一方向弁(46)の上流の高圧ゾーンと、前記一方向弁(46)の下流の低圧ゾーンとの間で画定され、特に、前記高圧は、前記低圧よりも高く、
および、
-前記差圧が前記開放圧力閾値よりも小さい場合、前記一方向弁(46)は、前記閉鎖位置に切り替わるか、または前記閉鎖位置を維持するように構成される。
【0027】
先行する態様3~5のいずれか1つによる第6の態様では、前記圧力ダンパ(40)は前記一方向弁(46)を備え、前記一方向弁(46)の前記予め設定された開放圧力閾値は、ゼロmmHgよりも高い、特に160mmHgよりも高い、特に160~500mmHgの間、特に190~450mmHgの間、より特に200~400mmHgの間、より詳細には240~350mmHgの間の差圧値に対応する。
【0028】
2つの先行する態様による第6の2の態様では、前記一方向弁(46)の前記開放圧力閾値は、前記体外血液処理装置(1)の標準的な作動状態中に前記流体アクセスにおいて許容される最大陰圧付近に設定される。「付近」は、+/-100mmHg以内、特に+/-50mmHg以内を意図する。
【0029】
先行する態様による第6の3の態様では、前記最大許容陰圧は、大気圧と、前記体外血液処理装置(1)の標準的な作業状態中に前記注入ライン(51)の前記流体アクセスにおいて前記血液ラインに到達した最小圧力との間の差分として規定(画定)される。
【0030】
3からの先行する態様のうちのいずれか1つによる第7の態様では、前記圧力ダンパ(40)は、前記一方向弁(46)を備え、前記一方向弁(46)は、前記開放位置と前記閉鎖位置との間で移動可能な内部ダイヤフラム(46a)を備え、前記内部ダイヤフラム(46a)は、前記閉鎖位置で予荷重され、前記予荷重は、前記予め設定された開放圧力閾値を画定し、特に、前記内部ダイヤフラムは、PVC、シリコン、ゴムなどの間の材料で構成された可撓性膜である。
【0031】
3からの先行する態様のうちのいずれか1つによる第8の態様では、前記一方向弁(46)は、前記注入ライン(51)の前記第1の端部から6cm以下、任意選択で3cm以下、特に0.1cm~6cm、より特に0.2~3cmに含まれる距離で前記注入ライン(51)上に配置される。
【0032】
3からの先行する態様のうちのいずれか1つによる第9の態様では、前記使い捨てセットは、前記一方向弁(46)を収納するルアーロックコネクタ(47)を備え、特に、前記内部ダイヤフラム(46a)は、前記ルアーロックコネクタの内部流体通路内にある。
【0033】
3からの先行する態様のうちのいずれか1つによる第9の2の態様では、前記差圧が前記予め設定された開放圧力閾値を下回る場合、前記一方向弁は前記閉鎖位置にある。
【0034】
態様2による第10の態様では、流体が前記圧力ダンパ(40)を通って流れる状態において、前記圧力ダンパ(40)は、前記圧力ダンパの流体通路延長部に沿った局所的な圧力降下を決定するように構成され、
特に、前記局所的な圧力降下は、前記圧力ダンパ(40)の前記流体通路延長部の同じ長さの延長部に沿った前記注入ライン(51)によって画定される圧力降下よりも(好ましくははるかに)高い。
【0035】
態様2による第10の2の態様では、前記圧力ダンパ(40)は、前記流路制限器(41)であり、
-前記ダンパ通路は、30mm~200mm、特に40mm~160mm、より特に55mm~150mmの長さだけ延在し、
-前記ダンパ通路断面は、0.3mm~0.6mm、特に0.35mm~0.55mmの直径だけ延在する
先行する態様2および10のうちのいずれか1つによる第11の態様では、
-前記ダンパ通路断面が0.5mmに略等しい直径を有する場合、前記ダンパ通路は、145mmに、任意選択で±15mm、に略等しい長さだけ延在し、および/または、
-前記ダンパ通路断面が0.4mmに略等しい直径を有する場合、前記ダンパ通路は、60mmに、任意選択で±10mm、に略等しい長さだけ延在し、
特に、前記直径は、前記長さにわたって略一定である。
【0036】
先行する態様2および10~11のうちのいずれか1つによる第12の態様では、前記流路制限器(41)は、可撓性管路を備え、特に、前記管路は、PVC、シリコン、または生体適合性可撓性材料で構成される。
【0037】
先行する態様2および10~12のうちのいずれか1つによる第13の態様では、前記流路制限器(41)は、前記ダンパ通路断面を画定する隔壁を備え、
任意選択で、前記ダンパ通路断面は、
- 1mm~30mm、特に2mm~20mm、特に4mm~10mmのダンパ通路長さだけ、前記注入ライン(51)の前記流体の流れ方向に沿って、且つ、
- 0.2mm~3mmの直径で半径方向に、
軸方向に延在し、
任意選択で、前記ダンパ通路断面は、前記ダンパ通路長さに沿って略一定である。
【0038】
先行する態様のうちのいずれか1つによる第14の態様では、前記使い捨てセットは、
-内部容積を画定するコネクタ本体と、
-互いに流体連通するとともに前記内部容積と流体連通する血液入口および血液出口であって、前記血液入口は、前記血液採取ラインの前記第2の端部に面する前記血液採取ライン(6)に接続され、前記血液出口は、前記血液採取ライン(6)の前記血液ポンプ路(6p)に面する前記血液採取ライン(6)に接続される、血液入口および血液出口と、
-前記内部容積と流体連通し、前記注入ライン(51)の前記第1の端部に接続された注入入口と、
を含む注入コネクタ(48)を備える。
【0039】
先行する態様による第15の態様では、前記注入コネクタは、特に2つの入口および1つの出口を有する3方向コネクタである。
【0040】
先行する2つの態様のうちのいずれか1つによる第16の態様では、前記圧力ダンパ(40)は、前記コネクタ本体の前記内部容積内に、任意選択で前記注入コネクタの前記注入入口内に配置され、特に前記圧力ダンパ(40)は、前記流路制限器(41)または前記一方向弁(46)を備える。
【0041】
先行する3つの態様のうちのいずれか1つによる第16の2の態様では、前記注入コネクタは、前記注入ライン(51)および前記血液ラインに溶接または接着される。
【0042】
先行する4つの態様のうちのいずれか1つによる第16の3の態様では、前記注入コネクタは、前記注入ライン(51)および前記血液ラインに移動不可能に連結される。
【0043】
先行する態様のうちのいずれか1つによる第17の態様では、前記注入ライン(51)は、前記注入ライン(51)の前記第1の端部と前記第2の端部との間に介在されたそれぞれの注入ポンプ路(51p)を備え、前記注入ライン(51)の前記注入ポンプ路は、少なくとも動作状態中に、血流を送達するように構成された注入蠕動ポンプによって係合されるように構成され、前記注入流体が、前記注入ライン(51)の前記第1の端部に向かい且つ前記血液採取ライン(6)に向かう方向に流れることを可能にするために、前記注入ポンプ路の下流に陽圧レジメンが存在する。
【0044】
先行する態様のうちのいずれか1つによる第18の態様では、前記圧力ダンパ(40)は、前記注入ポンプ路(51p)と前記血液回路(17)との間の、特に前記注入ポンプ路(51p)と前記血液採取ライン(6)との間の前記注入ライン(51)上に配置される。
【0045】
先行する態様のうちのいずれか1つによる第19の態様では、前記注入コネクタの前記注入入口は、前記注入ライン(51)の一部である。
【0046】
先行する態様のうちのいずれか1つによる第20の態様では、前記注入コネクタは、前記注入ライン(51)および/または前記血液採取ライン(6)よりも硬い。
【0047】
先行する態様のうちのいずれか1つによる第21の態様では、前記注入ライン(51)は、前記注入コネクタに、特に連結部において、溶接又は接着される。
【0048】
先行する態様のうちのいずれか1つによる第22の態様では、前記注入ライン(51)は、連結部分において前記注入流体コネクタに接続され、内部流体通路は、前記注入ライン(51)から、前記連結部分を含む前記注入流体コネクタまで略一定であり、特に、前記連結部分は、前記内部流体通路内に不連続性を画定しない。
【0049】
先行する態様のうちのいずれか1つによる第23の態様では、前記注入ライン(51)は、前記圧力ダンパ(40)まで略一定の流体通路断面を有する内部流体通路を画定し、圧力ダンパ(40)は、前記流体通路断面内に不連続性を画定する。
【0050】
先行する態様のうちのいずれか1つによる第24の態様では、前記注入ライン(51)は、可撓性があり、特に、前記注入コネクタよりも可撓性がある。
【0051】
先行する態様のうちのいずれか1つによる第25の態様では、前記血液採取ライン(6)は、可撓性があり、特に、前記注入コネクタよりも可撓性がある。
【0052】
先行する態様のうちのいずれか1つによる第26の態様では、前記血液戻りライン(7)は、可撓性があり、特に、前記注入コネクタよりも可撓性がある。
【0053】
先行する態様のうちのいずれか1つによる第27の態様では、前記血液回路の前記血液採取ライン(6)は、3mm~20mmに含まれる流体通路断面、または、2mm~5mmの間に含まれる直径を有する。
【0054】
先行する態様のうちのいずれか1つによる第28の態様では、前記注入ライン(51)は、1mm~4(または3)mmの間に含まれる直径の間に含まれる流体通路断面を有する。
【0055】
先行する態様のうちのいずれか1つによる第29の態様では、前記圧力ダンパ(40)の前記流路制限器(41)は、0.07mm~0.28mmの間に含まれる流体通路断面、または、0.3mm~0.6mmの間に含まれる直径、より特に0.4mm~0.5mmの間に含まれる直径を有する。
【0056】
先行する態様のうちのいずれか1つによる第30の態様では、前記圧力ダンパ(40)の前記流路制限器(41)は、20mm~200mmに含まれる長さ、または55mm~150mmに含まれる長さだけ延在する。
【0057】
先行する態様のうちのいずれか1つによる第31の態様では、前記圧力ダンパ(40)の前記流路制限器(41)は、前記注入ライン(51)内の前記流体の流れの急激な(鋭い、シャープな)不連続性を画定する。
【0058】
先行する態様のうちのいずれか1つによる第32の態様では、前記流路制限器(41)または前記一方向弁(46)は、前記処理装置の動作状態中に、特に注入流体が前記注入ライン(51)内を前記血液採取ライン(6)に向かって流れるときに、前記注入流体の圧力降下を画定するように構成される。
【0059】
先行する態様のうちのいずれか1つによる第33の態様では、前記使い捨てセットは、
-前記濾過ユニット(2)の二次チャンバ(4)の出口に接続された第1の端部と、排水管または収集容器(62)に接続するための第2の端部との間に延在する流出流体ライン(13)と、
-任意選択で、前記濾過ユニット(2)の二次チャンバの入口に接続された第1の端部と、透析流体源、例えばバッグまたは透析調製ユニットに接続するための第2の端部との間に延在された透析液供給ライン(8)と、
を備える流体回路をさらに含む。
【0060】
先行する態様のうちのいずれか1つによる第34の態様では、前記透析液供給ライン(8)は、透析流体ポンプ(25)に係合されるように構成されたそれぞれの供給ポンプ路を備え、前記流出流体ライン(13)は、透析液ポンプ(26)に係合されるように構成されたそれぞれのポンプ路を備える。
【0061】
先行する態様のうちのいずれか1つによる第35態様では、前記使い捨てセットは、前記注入ライン(51)の前記第2の端部に接続された前記注入物質源(10)を備え、前記注入物質源(10)は、流体注入溶液を収納する注入バッグを含み、特に、前記注入溶液は、置換液、生理食塩水、および局所抗凝固溶液のうちの1つを含み、任意選択で、前記注入溶液は、重炭酸塩、酢酸塩、乳酸塩、クエン酸塩、および電解質うちの1つ以上の構成要素を含む。
【0062】
先行する態様のうちのいずれか1つによる第36の態様では、前記一方向弁(46)は、前記注入コネクタの上流の前記注入ライン(51)上に配置され、特に前記一方向弁(46)は、特に0.1cm~6cm、より特に0.2~3cmに含まれる前記注入コネクタからの距離で前記注入コネクタの近くに配置される。
【0063】
先行する態様のうちのいずれか1つによる第37の態様では、前記濾過ユニット(2)は、半透膜(5)によって分離された一次チャンバ(3)および二次チャンバ(4)を有する。
【0064】
先行する態様のうちのいずれか1つによる第38の態様では、前記アクセス陰圧は、前記大気圧よりも低い圧力であり、前記陽圧は、前記大気圧よりも高い圧力である。
【0065】
先行する態様のうちのいずれか1つによる第39の態様では、前記流路制限器(41)は、前記注入ライン(51)を前記血液採取ライン(6)と流体連通させる開口部を画定し、前記開口部はサイズが固定され、特に前記開口部は可変ではなく、前記体外血液処理装置の動作状態中に前記サイズを変化させない。
【0066】
先行する態様のうちのいずれか1つによる第40の態様では、前記流路制限器(41)は、前記注入ライン(51)の制限部分によって画定され、前記注入流体の前記制限部分は、クランプによって挟まれるように構成される。
【0067】
先行する態様のうちのいずれか1つによる第40の2の態様では、前記アクセス陰圧は、前記血液ライン(6、7)と前記注入ライン(51)との間の接合点における実際の血圧である。
【0068】
第41の態様は、アセンブリであって、
-体外血液処理装置用の使い捨てセットであって、前記使い捨てセットは、
○濾過ユニット(2)と、
○前記濾過ユニット(2)に接続された第1の端部と、例えば患者(P)又はさらなる血液回路に接続するための第2の端部との間に延在する血液採取ライン(6)と、前記濾過ユニット(2)に接続された第1の端部と、例えば前記患者(P)又は前記さらなる血液回路に接続するための第2の端部との間に延在する血液採取ライン(7)と、を備える血液回路(17)と、
前記血液回路(17)、特に血液採取ライン(6)は、血流を決定するように構成されている前記体外血液処理装置の血液ポンプ(21)に係合されるように構成されたポンプ路を含み、少なくとも動作状態の間、陽圧が前記血液ポンプ路(6p)の下流に存在し且つアクセス陰圧が前記ポンプ路の上流に存在し、前記血液回路内の前記血流は、前記血液採取ライン(6)から前記濾過ユニット(2)に向かい、前記濾過ユニット(2)から前記血液戻りライン(7)を通る方向であり、
○流体アクセスにおいて前記血液回路(17)に、特に前記血液ポンプ路(6p)の上流で前記血液採取ライン(6)に接続された第1の端部と、注入物質源(10)に接続するための第2の端部との間に延在する注入ライン(51)であって、前記血液ポンプ路(6p)は、前記血液戻りライン(7)の前記第2の端部(7b)、特に濾過ユニット(2)と、前記注入ライン(51)の前記第1の端部との間に介在される、注入ライン(51)と、
を備える、使い捨てセットと、
-前記注入ライン(51)の一部に係合し、その内部管腔を、閉鎖することなく、縮小するクランプ(80)であって、前記クランプは、
○前記注入ライン(51)の一部を受容するように構成され、前記注入ライン(51)の所定の管腔縮小を決定するために固定されたサイズを有するクランプシートを備える携帯型クランプ(81)、
○前記注入ライン(51)の一部を受容するように構成され、前記注入ライン(51)の前記管腔縮小を変化させるための調節器を有するクランプシートを含む可変クランプ、
のうちの少なくとも1つを備える、クランプ(80)と、を備え、
前記クランプが前記注入ライン上でアクティブではない状態において、前記注入ライン(51)は、前記注入流体が通過することを可能にするように構成された、それぞれの流体通路断面、特に平均流体通路断面を有し、
前記クランプが前記注入ライン上で係合され、且つその内部管腔を縮小するようにアクティブである状態において、前記注入ライン(51)は、前記注入流体が通過することを可能にするように構成されたダンパ通路断面を有し、
前記ダンパ通路断面は、前記流体通路断面よりも小さく、任意選択で、前記ダンパ通路断面は、前記流体通路断面よりも50%以上小さく、特に80%以上小さく、より特には90%以上小さい、アセンブリを対象とする。
【0069】
第41の2の態様は、アセンブリであって、-体外血液処理装置(1)用の使い捨てセットであって、前記使い捨てセット(100)は、
○濾過ユニット(2)と、
○血液回路(17)であって、
■濾過ユニット(2)に接続された第1の端部(6a)と第2の端部(6b)との間に延在する血液採取ライン(6)と、
■濾過ユニット(2)に接続された第1の端部(7a)と第2の端部(7b)との間に延びる血液戻りライン(7)と、
を備える血液回路(17)と、
○血液回路(17)、特に血液採取ライン(6)は、血流を決定するように構成される前記体外血液処理装置(1)の血液ポンプ(21)によって係合されるように構成された血液ポンプ路(6p)を含み、少なくとも動作状態中に、前記濾過ユニット(2)の下流で戻り陰圧が経験され、前記血液回路(17)内の前記血流は、前記血液採取ライン(6)から前記濾過ユニット(2)に向かい、前記濾過ユニット(2)から前記血液戻りライン(7)を通る方向にあり、
○流体アクセスにおいて前記血液回路(17)に、特に前記血液ポンプ路(6p)の下流の前記血液戻りライン(7)に接続された第1の端部と、注入物質源(64)に接続するための第2の端部(63)との間に延在するポスト注入ライン(69)であって、前記血液ポンプ路(6p)は、前記血液戻りライン(7)の前記第2の端部(7b)、特に前記濾過ユニット(2)と、前記ポスト注入ライン(69)の前記第1の端部との間に介在される、ポスト注入ライン(69)と、
を備える使い捨てセットと、
-前記ポスト注入ライン(69)の一部に係合し、その内部管腔を、閉鎖することなく、縮小するように構成されたクランプ(80)であって、
○前記ポスト注入ライン(69)の一部を受容するように構成され、前記ポスト注入ライン(69)の所定の管腔縮小を決定するために固定されたサイズを有する、クランプシートを備える携帯型クランプ(81)、
○前記ポスト注入ライン(69)の一部を受容するように構成され、前記ポスト注入ライン(69)の前記管腔縮小を変化させるための調節器を有するクランプシートを備える可変クランプ、
のうちの少なくとも1つを備える、クランプ(80)と、を備え、
前記クランプが前記ポスト注入ライン上でアクティブではない状態において、前記ポスト注入ライン(69)は、前記ポスト注入流体が通過することを可能にするように構成された、それぞれの流体通路断面、特に平均流体通路断面を有し、
前記クランプが前記ポスト注入ライン上で係合され、且つその前記内部管腔を縮小するようにアクティブである状態において、前記ポスト注入ライン(69)は、前記ポスト注入流体が通過することを可能にするように構成されたダンパ通路断面を有し、前記ダンパ通路断面は、前記流体通路断面よりも小さく、任意選択で、前記ダンパ通路断面は、前記流体通路断面よりも50%以上小さく、特に80%以上小さく、より特には90%以上小さい、アセンブリを対象とする。
【0070】
第42の態様は、
-先行する態様のうちのいずれか1つによる体外血液処理装置用の使い捨てセットと、
-前記注入ライン(51)および/または前記ポスト注入ライン(69)の一部に係合し、その内部管腔を、閉鎖することなく、縮小するように構成されたクランプ(80)と、
を備えるアセンブリを対象とする。
【0071】
先行する態様による第43の態様では、前記クランプは、
-前記注入ライン(51)の一部を受容するように構成され、前記注入ライン(51)の所定の管腔縮小を決定するために固定されたサイズを有する、クランプシートを備える携帯型クランプ(81)、
-前記注入ライン(51)の一部を受容するように構成され、前記注入ライン(51)の前記管腔縮小を変化させるための調節器を有するクランプシートを備える可変クランプ、
のうちの少なくとも1つを備え、
前記クランプが前記注入ライン上でアクティブではない状態において、前記注入ライン(51)は、前記注入流体が通過することを可能にするように構成された、それぞれの流体通路断面、特に平均流体通路断面を有し、
前記クランプが前記注入ライン上で係合され、且つその前記内部管腔を縮小するようにアクティブである状態において、前記注入ライン(51)は、前記注入流体が通過することを可能にするように構成されたダンパ通路断面を有し、
特に前記ダンパ通路断面は、前記流体通路断面よりも小さく、任意選択で、前記ダンパ通路断面は、前記流体通路断面よりも50%以上小さく、特に80%以上小さく、より特には90%以上小さい。
【0072】
第44の態様は、
-先行する態様のうちのいずれか1つによる前記使い捨てセット、及び、
-前記血液ポンプ(21)、
-前記血液ポンプ(21)に動作可能に接続され、前記血液ポンプ(21)の血流量を制御するように構成された制御ユニット、
を備える体外血液処理装置を対象とする。
【0073】
第45の態様は、-先行する態様1~40のいずれか1つによる前記使い捨てセット、または先行する態様41~43の前記アセンブリ、
-前記血液採取ライン(6)の前記血液ポンプ路(6p)と協働する血液ポンプ、
-前記注入ライン(51)の注入ポンプ路(51p)と協働する注入ポンプ(54)であって、前記注入ポンプ(54)は、前記注入ライン(51)の前記第2の端部と前記圧力ダンパ(40)との間、特に前記圧力ダンパ(40)の上流と前記注入物質源(10)の下流との間に配置される、注入ポンプ(54)、
-前記血液ポンプ(21)および前記注入ポンプ(54)に動作可能に接続された制御ユニット(12)であって、前記制御ユニット(12)は、前記血液ポンプ(21)および前記注入ポンプ(54)を、対応する血液流量および注入流量で制御するように構成される、制御ユニット(12)、
を備える体外血液処理装置を対象とする。
【0074】
先行する態様による第46の態様では、前記制御ユニットは、処理状態を画定するように構成され、
-前記血液流量は、50ml/分~600ml/分、特に50ml/分~350ml/分、より特に100ml/分~300ml/分であり、及び/又は、
-前記注入流量は、200ml/h~4000ml/hであり、特に500ml/hより高く2000ml/hより低い。
【0075】
先行する態様のうちのいずれか1つによる第47の態様では、前記圧力ダンパ(40)は、前記一方向弁(46)を備え、前記制御ユニットは、
-前記注入ポンプ(54)が流体の流れを決定するためにアクティブであり、前記注入ポンプの下流に注入陽圧が存在し、前記血液ポンプが血流を決定するためにアクティブであり、アクセス陰圧が前記血液ポンプの上流に存在し、陽圧が前記血液ポンプの下流に存在する、第1の状態と、
ここで、前記注入陽圧と前記アクセス陰圧との間の圧力差は、前記注入流体が前記血液採取ライン(6)に入ることを可能にするために、前記一方向弁(46)の前記予め設定された開放圧力閾値よりも高く、
-前記注入ポンプ(54)が注入流体の血液採取ライン(6)への注入を防止するために停止され、前記血液ポンプ(21)が前記血液回路内の血流を決定するためにアクティブである、第2の状態であって、前記第2の状態では、前記注入ライン(51)内の圧力と、前記アクセス陰圧との間の差が前記一方向弁(46)の前記予め設定された開放圧力閾値よりも低いので、前記一方向弁(46)は閉鎖され、特に、前記アクセス陰圧が前記注入ライン(51)内に及ぶことを防止する、第2の状態と、
を画定するように構成される。
【0076】
前記一方向弁に関して、前記システムは、前記注入ライン(具体的にはプレ血液ポンプ注入ライン)の流量に依存しない。バルブ開放圧力は、前記設計に組み込まれ、前記バルブを通る圧力降下は無視される。
【0077】
前記開放圧力は、規定/設計されたアクセス圧力動作範囲の最小アクセス圧力(の絶対値)よりも高くなるように選択される。
【0078】
例えば、最小アクセス圧力は、-250mmHgに設定されてもよく、その結果、前記一方向弁(46)は、理想的には+250mmHgを(わずかに)超える開放圧力を有し、以下を得る。
【0079】
acc_min + Popening > 0
すなわち、前記最小アクセス圧力+前記一方向弁(46)の開放圧力は、ゼロよりも高い。
【0080】
前記注入が止まると、前記一方向弁(46)は、前記注入回路圧力が前記アクセス圧力と開放圧力の合計(Paccess + Popening)の合計よりも低くなるとすぐに閉じる。前記回路コンプライアンスを考慮すると、これは、前記注入ポンプが停止した後に(非常に)短い遅延で起こる。次に、前記アクセス圧力が低下すると、注入回路圧力をPaccess + Popeningに等しく保つために、非常に少量の流体が弁を通って流れることになる。しかしながら、同時に、流体/血液は、前記血液ラインから前記注入ラインに「上向き」に流れることはない。要するに、前記注入ポンプが停止され、前記ポンプが閉塞状態にある場合、前記弁の上流の前記圧力は、前記注入ポンプの停止中に生じる最低アクセス圧力を「記録」する。前記注入ポンプが再開されると、前記注入は現在のアクセス圧力+Popeningに戻って増加する。
【0081】
もちろん、-200mmHg未満で動作する処理はほとんどなく、-50mmHgを超える(低い)陰圧では流体脱気が非常に少なくなるため、(わずかに)より低い開放圧力、例えば、+200mmHgを有する弁も受け入れられる可能性がある。
【0082】
より一般的な言い方をすれば、前記一方向弁46の前記開放圧力閾値は、前記体外血液処理装置(1)の標準的な作動状態中に流体アクセスで許容される最大陰圧付近(例えば、+/-100mmHg以内、特に、+/-50mmHg以内)に設定され得る。
【0083】
44~47の先行する態様のうちのいずれか1つによる第48の態様では、前記制御ユニットは、前記血液ポンプ(21)が50ml/分~600ml/分、特に100ml/分~350ml/分、より特に200ml/分~300ml/分に含まれる流量に設定される処理状態を画定するように構成される。
【0084】
44からの先行する態様のうちの1つによる第49の態様では、前記処理状態の間、前記血液ポンプ路(6p)の上流、特に前記血液ポンプの上流の前記血液採取ライン(6)内に前記アクセス陰圧が存在する。
【0085】
44からの先行する態様のうちのいずれか1つによる第50の態様では、前記注入ポンプは、選択的に、
-前記注入ポンプを制御して、200ml/h~4000ml/h、特に500ml/h~2000ml/hに含まれる流量で特に、注入流体を前記血液採取ライン(6)に送達するか、または、
-前記注入流体ポンプを停止して、前記注入流体の送達を停止する
ように構成される前記制御ユニットに動作可能に接続される。
【0086】
44からの先行する態様のうちのいずれか1つによる第51態様では、前記注入ポンプは、蠕動ポンプもしくはフィンガーポンプなどの容量型ポンプ、またはシリンジポンプ(シリンジに作用するプランジャー)である。
【0087】
44からの先行する態様のうちの1つによる第52の態様では、前記注入物質源(10)は、前記注入流体を収納する注入バッグであり、前記体外血液処理装置は、前記制御ユニットに動作可能に接続され且つ前記注入物質源(10)を計量するように構成されたスケールをさらに備え、前記制御ユニットは、前記注入バッグの重量を表す信号を発し、前記重量信号の関数として前記注入ポンプ(54)に命令することによって注入流量を制御するように構成される。
【0088】
先行する態様のうちのいずれか1つによる第52の態様では、前記注入ポンプ(54)は、蠕動ポンプである。
【0089】
先行する態様のうちのいずれか1つによる第53の態様では、前記血液ポンプ(21)は、蠕動ポンプである。
【0090】
先行する態様のうちのいずれか1つによる第54の態様では、前記血液ポンプ路(6p)は、前記濾過ユニット(2)と前記注入ライン(51)の前記第1の端部との間、特に前記濾過ユニット(2)の血液入口と前記注入ライン(51)の前記第1の端部との間に介在される。
【0091】
先行する態様のうちのいずれか1つによる第55の態様では、前記制御ユニットは、特に局所抗凝固を伴う限外濾過処理(UF)、特に局所抗凝固を伴う血液透析処理(HD)、血液濾過処理(HF)、血液透析濾過処理(HDF)のうちの1つを実行するように前記装置を制御するように構成される。
【0092】
先行する態様1~54のうちのいずれか1つによる第56の態様では、前記制御ユニットは、CO2除去のために構成された前記装置を制御して、CO2除去処理を実行するように構成される。
【0093】
先行する態様による第57の態様では、前記装置は、前記血液戻りライン(7)上に配置されたCO2 除去装置を備える。
【0094】
先行する態様による第58の態様では、前記CO2除去装置は、前記濾過ユニット(2)における前記血液出口と気泡捕捉器(バブルトラップ)との間に配置される。
【0095】
先行する態様のうちのいずれか1つによる第59の態様では、ECMO回路は、
-前記患者の前記血管アクセスと接続するための、前記患者から血液を受け取るように構成された血液採取ダクト(306)と、
-前記患者の前記血管アクセスと接続するための、前記患者に血液を戻すように構成された血液戻りダクト(307)と、
-前記ECMO回路(300)内の血流を促進するように構成された血液ポンプ(321)と、
-前記血液戻りダクト(307)上に配置され、前記血液に酸素を供給するように構成された酸素供給器(310)と、
を少なくとも備える。
【0096】
59からの先行する態様による第60の態様では、
-前記注入ライン(51)が前記血液採取ライン(6)上に配置される場合であって、且つ、前記血液採取ライン(6)が前記ECMO回路の前記血液ポンプ(321)の上流で前記ECMO回路(300)に接続される場合、前記圧力ダンパ(40)は、前記血液採取ライン(6)と前記注入ライン(51)との間の前記流体アクセスに位置し、
-前記注入ライン(51)が前記血液戻りライン(7)上に配置されている場合であって、且つ、前記血液戻りライン(6)が前記ECMO回路の前記血液ポンプ(321)の上流で前記ECMO回路(300)に接続される場合、前記圧力ダンパ(40)は、前記血液戻りライン(7)と前記注入ライン(51)との間の前記流体アクセスに位置する。
【0097】
59からの先行する態様のうちのいずれか1つによる第61の態様では、前記圧力ダンパは、陰圧が経験される前記ECMO回路(300)に接続された前記使い捨てセット(400)の前記戻りライン(7)上に配置される。
【0098】
59からの先行する態様のいずれか1つによる第62の態様では、前記使い捨てセット(100)の前記血液採取ライン(6)は、前記ECMO回路(300)の前記血液ポンプ(321)の上流(または任意選択で下流)で前記ECMO回路(300)に接続される。
【0099】
59からの先行する態様のうちのいずれか1つによる第63態様では、前記使い捨てセット(100)の前記血液戻りライン(7)は、前記ECMO回路(300)の前記血液ポンプ(321)の下流(または任意選択で上流)でECMO回路(300)に接続される。
【0100】
59からの先行する態様のうちのいずれか1つによる第64の態様では、前記ECMO回路の前記血液ポンプ(321)は、前記血液採取ダクト(306)から前記血液戻りダクト(307)に向かう方向に、特に前記酸素供給器(310)を通して、前記ECMO回路内の血流を促進するように構成される。
【0101】
59からの先行する態様のうちのいずれか1つによる第65の態様では、前記使い捨てセット(100)は、取り外し可能な接続システムによって前記ECMO回路(300)に接続される。
【0102】
先行する態様1~54のうちのいずれか1つによる第66の態様では、前記制御ユニットは、治療用血漿交換処理を実行するように前記装置を制御するように構成される。
【0103】
先行する態様のうちのいずれか1つによる第67の態様では、前記圧力ダンパ(40)は、前記注入ライン(51)から前記血液回路(17)へ、特に前記採取ライン(17)へ向けられた注入方向にのみ流体通過を可能にするように構成された一方向弁を備え、前記一方向弁は、前記注入方向に流体通過が許容される開放位置と、前記注入方向及び反対方向に流体通過が阻止される閉鎖位置との間を移動するように構成され、特に、前記血液回路(17)から前記注入ライン(51)への方向の流体通過が阻止され、前記一方向弁(46)は、ダックビル弁(75)である。
【0104】
先行する態様による第68の態様では、前記ダックビル弁(75)は、内部容積(76a)を画定する筐体(76)を備える。
【0105】
先行する態様による第69の態様では、前記筐体(76)は、
-前記注入ライン(51)の上流路に接続された、または接続されるように構成された入口コネクタ(75a)と、
-前記注入ライン(51)の下流路に又は前記血液回路に接続された、または接続されるように構成された出口コネクタ(75b)と、
-前記筐体(76)の前記内部容積(76a)内に配置され、前記注入流体が前記入口コネクタ(75a)から前記出口コネクタ(75b)へ流れることを可能にし、流体が前記出口コネクタ(75b)から前記入口コネクタ(75a)に逆流することを防止するように構成されたダックビル構成要素(77)と、を備える。
【0106】
先行する態様による第70の態様では、前記ダックビル構成要素(77)は、可撓性および/または弾性材料から構成され、任意選択で、前記材料は、シリコン、シリコンベース材料、ゴム、PVC、およびラテックス(又は同等の材料)のうちの1つである。
【0107】
69からの先行する態様のうちのいずれか1つによる第70の2の態様では、前記ダックビル弁(75)は、前記注入ライン(51)の前記第1の端部から6cm以下、任意選択で3cm以下、特に0.1cm~6cm、より特に0.2~3cmに含まれる距離で前記注入ライン(51)上に配置される。
【0108】
69からの先行する態様のうちのいずれか1つによる第71の態様では、前記ダックビル弁(75)の前記入口コネクタ(75a)は、前記注入物質源(10)に面する。
【0109】
69からの先行する態様のうちのいずれか1つによる第72の態様では、前記ダックビル弁(75)の前記出口コネクタ(75b)は、前記血液回路(17)に面し、特に、前記注入ライン(51)の前記第1の端部(51a)に面するか、または画定する。
【0110】
69からの先行する態様のうちのいずれか1つによる第73の態様では、前記ダックビル弁(75)の前記出口コネクタ(75b)は、前記血液回路(17)と前記ダックビル弁(75)の前記入口コネクタ(75a)との間に、特に前記注入液の流路に沿って介在される。
【0111】
69からの先行する態様のいずれか1つによる第74の態様では、前記ダックビル構成要素(77)は、前記注入液の流路に沿って前記入口コネクタ(75a)と前記出口コネクタ(75b)との間に介在される。
【0112】
69~74の先行する態様のうちのいずれか1つによる第75の態様では、前記ダックビル弁(75)の前記入口コネクタ(75a)は、前記ダックビル構成要素(77)に対して前記ダックビル弁(75)の前記出口コネクタ(75b)の反対側にある。
【0113】
69~75の先行する態様のうちのいずれか1つによる第76の態様では、前記入口コネクタ(75a)および前記出口コネクタ(75b)は、特に前記注入流体通路方向と一致する直線に沿って略整列(位置合わせ)される。
【0114】
先行する態様69~76のうちのいずれか1つによる第77の態様では、前記ダックビル弁(75)の前記ダックビル構成要素(77)は、前記流体のための通路幅広セクション(77a)と通路閉鎖セクション(77b)との間に延在するテーパ形状を有する。
【0115】
先行する態様69~77のうちのいずれか1つによる第77の2の態様では、前記ダックビル構成要素(77)は、前記チャンバ(76)の前記内部容積(76a)内に展開する側壁を有し、前記側壁の外面は、前記チャンバ(76)内に存在する前記圧力を受け、前記側壁の内面は、前記入口コネクタ(75a)に存在する前記圧力を受ける。
【0116】
先行する態様77による第78の態様では、前記ダックビル弁(75)は、前記注入流体が前記入口コネクタ(75a)から、前記通路幅広セクション(77a)内に、次いで、前記ダックビル構成要素(77)の前記通路閉鎖セクション(77b)を通り、その後、前記ダックビル弁(75)の前記出口コネクタ(75b)を通って、順次流れることを可能にするように構成される。
【0117】
先行する態様77~78のうちのいずれか1つによる第79の態様では、前記通路幅広セクション(77a)は、特に流体密に、前記内部容積(76a)の内側の前記入口コネクタ(75a)の出口に接続される。
【0118】
先行する態様77~79のうちのいずれか1つによる第80の態様では、前記通路幅広セクション(77a)は、前記通路閉鎖セクション(77b)と前記ダックビル弁(75)の前記入口コネクタ(75a)との間に介在される。
【0119】
77からの先行する態様のうちのいずれか1つによる第81の態様では、前記通路閉鎖セクション(77b)は、(前記)注入流体方向(ID)に対して前記通路幅広セクションの下流に配置される。
【0120】
77からの先行する態様のうちのいずれか1つによる第82の態様では、前記通路閉鎖セクション(77b)は、前記筐体(76)の前記内部容積(76a)内に開口し、特に、前記通路閉鎖セクション(77b)は、前記出口コネクタ(75b)に直接的に接続されない。
【0121】
77からの先行する態様のうちのいずれか1つによる第83の態様では、前記通路閉鎖セクション(77b)は、前記ダックビル弁(75)の前記筐体(76)の前記内部容積(76a)内で片持ちされる。
【0122】
77からの先行する態様のうちのいずれか1つによる第84の態様では、前記通路閉鎖セクション(77b)は、変形可能スリットを備え、前記変形可能スリットは、
-前記ダックビル構成要素(77)の前記通路閉鎖セクション(77b)が、前記注入流体が前記入口コネクタ(75a)から前記出口コネクタ(75b)に向かって流れることを可能にする開放状態であって、特に、前記スリットの前記開放状態が前記一方向弁の前記開放位置を画定する、開放状態と、
-前記ダックビル構成要素(77)の前記通路閉鎖セクション(77b)が閉鎖される閉鎖状態であって、特に、流体が前記ダックビル構成要素(77)を通って流れるのを防止し、特に、前記スリットの前記閉鎖状態が前記一方向弁の前記閉鎖位置を画定する、閉鎖状態と、
の間で変形可能である。
【0123】
77からの先行する態様のうちのいずれか1つによる第85の態様では、前記通路閉鎖セクション(77b)は、前記ダックビル構成要素(77)の上流の圧力が前記ダックビル構成要素(77)の下流の圧力よりも大きく、特に、前記ダックビル構成要素(77)の下流の前記圧力よりも少なくとも3%または少なくとも5%大きい場合に、前記閉鎖状態から前記開放状態に移動するように構成される。
【0124】
77からの先行する態様のうちのいずれか1つによる第86の態様では、前記通路閉鎖セクション(77b)は、可撓性および/または弾性材料から構成され、任意選択で、前記材料は、シリコン、シリコンベース材料、ゴム、PVC、およびラテックスのうちの1つである。
【0125】
68からの先行する態様のうちのいずれか1つによる第87の態様では、前記筐体(76)は、剛性材料、任意選択で、可塑性(プラスチック)材料から構成される。
【0126】
68からの先行する態様のうちのいずれか1つによる第88の態様では、前記筐体(76)は、少なくとも部分的に透明である。
【0127】
先行する態様のうちのいずれか1つによる第89の態様では、前記圧力ダンパ(40)は、弾性変形可能な材料、任意選択でシリコン、シリコン系材料、ゴム、PVC、およびラテックスのうちの1つ、を含み、特にそれから構成される変形可能な流路制限器(42)を備え、前記変形可能な流路制限器(42)は、
-休止状態において、前記変形可能な流路制限器(42)は、流体の流れを防止するために略閉鎖されるか、または、1mm未満、特に0.5mm未満、より特に0.1mm未満、より特に0.01mm未満のサイズを有する前記注入流体用のダンパ通路断面を画定する、ダンパ管腔(44)を有し、
特に休止状態では、前記変形可能な流路制限器(42)の前記ダンパ管腔(44)が、流体密に略閉鎖され、
-注入状態において、前記変形可能な流路制限器(42)の内側の管腔圧力が所定の閾値を上回る場合に、前記変形可能な流路制限器(42)の前記ダンパ管腔(44)は、前記注入流体の通過を可能にするために開く、
ように構成可能である。
【0128】
特に、前記変形可能な流路制限器(42)は、前記血液回路(17)に沿って生成され得る大気圧未満の圧力が、前記ダンパの上流の前記注入ラインセクションに到達するのを防止しなければならない。上述の構成では、大気圧未満の圧力は、前記ダンパ管腔(44)を閉鎖する傾向があり、それによってそのような圧力の伝達を防止する。
【0129】
先行する態様による第90の態様では、前記ダンパ管腔(44)を開くための前記所定の閾値は、大気圧の1.02倍よりも大きく、特に大気圧の1.05倍よりも大きく、特に大気圧の1.1倍または1.2倍よりも大きい。
【0130】
89~90の先行する態様のうちのいずれか1つによる第91の態様では、前記ダンパ管腔(44)を開くための前記所定の閾値は、0.05バールまたは0.1バールよりも大きく、任意選択で0.2バールまたは0.3バールよりも大きく、前記所定の閾値は、大気圧に対する相対圧力である。
【0131】
89からの先行する態様のうちのいずれか1つによる第92の態様では、前記変形可能な流路制限器(42)の前記ダンパ管腔(44)は、5mm~100mm、特に10mm~50mm、任意選択で10mm~30mmに含まれる長さだけ流れ方向に延在する。
【0132】
89からの先行する態様のうちのいずれか1つによる第93の態様では、前記変形可能な流路制限器(42)は、前記休止状態において、ライン、任意選択で、直線または曲線と、点(ドット)との間の断面形状を有する、折り畳まれた(潰れた)ダンパ管腔(44)を有する。
【0133】
89~92の先行する態様のうちのいずれか1つによる第93の2の態様では、前記変形可能な流路制限器(42)の前記ダンパ管腔(44)は、通常は閉鎖され、特に、前記変形可能な流路制限器(42)の前記ダンパ管腔(44)は、通常は前記休止状態にある。
【0134】
89~93の先行する態様のうちのいずれか1つによる第94の態様では、前記変形可能な流路制限器(42)が前記休止状態においてライン形状の折り畳まれたダンパ管腔を有する場合、前記注入状態において、前記変形可能な流路制限器(42)は、略楕円形状を有する管腔断面を有する。
【0135】
89~94の先行する態様のうちのいずれか1つによる第95の態様では、前記変形可能な流路制限器(42)が前記休止状態において点状の折り畳まれたダンパ管腔(44)を有する場合、前記注入状態おいて、前記変形可能な流路制限器(42)は、略円形の管腔断面を有する。
【0136】
これは、非常に変形可能で弾性のある材料を用いて得ることができる。
【0137】
89~95の先行する態様のうちのいずれか1つによる第96の態様では、前記変形可能な流路制限器(42)は、管路であり、任意選択で、前記注入ラインの(51)管路である。
【0138】
先行する態様による第96の2の態様では、前記変形可能な流路制限器(42)の前記管路は平坦な形状を有し、特に、前記管路は、略楕円形の形状および/または長方形の形状の外形を有する、流体方向に直交する断面を有する。
【0139】
先行する態様96および96の2のうちのいずれか1つによる第96の3の態様では、前記管路は、5mm~100mm、特に10mm~50mm、任意選択で10mm~30mmに含まれる長さだけ注入方向(ID)に沿って延在する。
【0140】
先行する態様96、96の2、および96の3のうちのいずれか1つによる第96の4の態様では、前記管路は、前記変形可能な流路制限器(42)の前記ダンパ管腔(44)を内部に画定し、前記ダンパ管腔(44)は、略一定の断面(クロスセクション)を有する。
【0141】
先行する態様89~96のうちのいずれか1つよる第97の態様では、前記変形可能な流路制限器(42)は、前記注入ライン(51)の管路であり、
-前記変形可能な流路制限器(42)の管壁は、前記注入ラインの残りの部分の管壁の厚さに略等しい厚さを有し、特に、前記変形可能な流路制限器(42)の上流に配置された前記注入ライン(51)の上流管壁の厚さに略等しい厚さを有し、特に、前記変形可能な流路制限器(42)は、少なくとも前記休止状態において、平坦な管路を画定し、任意選択で、前記変形可能な流路制限器(42)は、前記注入ラインの残りの部分と同じ材料から構成され、
または、
-前記変形可能な流路制限器(42)の管壁は、前記注入ラインの残りの部分の管壁の厚さよりも大きい厚さを有し、特に、前記変形可能な流路制限器(42)のすぐ上流に位置する前記注入ラインの上流管壁の厚さよりも大きい厚さを有し、
任意選択で、前記変形可能な流路制限器(42)は、前記注入ラインの残りの部分と同じ材料、特にシリコン、シリコンベース材料、ラテックス、またはゴムのうちの1つから構成される。
【0142】
先行する態様89~97のうちのいずれか1つによる第98の態様では、前記変形可能な流路制限器(42)は、単一部品として作製される。
【0143】
先行する態様89~98のうちのいずれか1つによる第99の態様では、前記変形可能な流路制限器(42)および前記注入ライン(51)は、継ぎ目のない単一部品として作製される。
【0144】
89~98の先行する態様のうちのいずれか1つによる第99の2の態様では、前記変形可能な流路制限器(42)および前記注入ライン(51)は、継ぎ目のない単一部品を組合せて画定する。
【0145】
先行する態様89~99のうちのいずれか1つによる第100の態様では、少なくとも前記休止状態において、前記変形可能な流路制限器(42)の上流の前記注入ライン(51)の管路の管腔は、前記変形可能な流路制限器(42)の前記ダンパ管腔(44)に向かって次第にサイズが縮小し、狭窄管腔セクション(43)を画定する。
【0146】
先行する態様による第101の態様では、前記狭窄管腔セクション(43)は、前記上流管路の前記セクションと、前記変形可能な流路制限器(42)の前記ダンパセクションとの間に、10°~45°の間に含まれる角度を画定する。
【0147】
100~101の先行する態様のうちのいずれか1つによる第102の態様では、前記狭窄管腔セクション(43)は、少なくとも2mm、特に少なくとも5mm、任意選択で2mm~20mmの長さだけ前記流れ方向に沿った長さに延在する。
【0148】
先行する態様100~102のうちのいずれか1つによる第103の態様では、前記狭窄管腔セクション(43)は、曲線または直線の経路に沿った長さに延在する。
【0149】
89~103の先行する態様のうちのいずれか1つによる第104の態様では、前記変形可能な流路制限器(42)の上流および下流の前記注入ライン(51)内の圧力が大気圧未満である場合、前記変形可能な流路制限器(42)は前記休止状態のままである。
【0150】
89~104の先行する態様のうちのいずれか1つによる第105の態様では、前記変形可能な流路制限器(42)は、前記注入ライン(51)内の圧力が大気圧よりも高い場合、前記休止状態から前記注入状態に切り替わるように構成される。
【0151】
先行する態様89~105のうちのいずれか1つによる第106の態様では、前記圧力ダンパ(40)は、前記変形可能な流路制限器(42)、特に前記変形可能な流路制限器(42)の前記管路上で推力で動作する絞り装置(90)を備える。
【0152】
先行する態様による第107の態様では、前記絞り装置(90)は、
-前記休止状態において前記ダンパ管腔(44)を略閉じた状態に保つための閉鎖力寄与を提供し、
-前記圧力ダンパの上流の前記注入ライン内の圧力が所定の閾値を超えたときに、前記変形可能な流路制限器(42)が前記注入状態に切り替わることを可能にし、前記所定の閾値は、特に少なくとも1.1気圧である。
【0153】
先行する態様106~107のいずれか1つによる第108の態様では、前記絞り装置(90)は、前記変形可能な流路制限器(42)の周りに配置され、前記変形可能な流路制限器(42)の外面に圧縮作用する。
【0154】
106からの先行する態様のうちのいずれか1つによる第109の態様では、前記絞り装置(90)は、弾性要素(91)を備え、任意選択で、前記変形可能な流路制限器(42)の前記外面に推力で作用する、渦巻きバネまたは板バネまたはバネ状要素などのバネを備える。
【0155】
先行する態様による第110の態様では、前記絞り装置(90)の前記弾性要素(91)は、前記休止状態において予荷重される。
【0156】
先行する態様による第111の態様では、前記弾性要素(91)の前記予荷重は、例えば、オペレータによって手動で調節可能である。
【0157】
先行する態様110~111のうちのいずれか1つによる第112の態様では、前記絞り装置(90)の前記弾性要素(91)は、推力を調整可能である。
【0158】
先行する態様106~112のうちのいずれか1つによる第113の態様では、前記絞り装置(90)は、前記変形可能な流路制限器(42)の前記外面に、特に1cmを超える、特に2cmを超える、特に1cm~5cmの間、または1cm~3cmの間の長さに沿って推力で作用するそれぞれ1つ以上のプレート(92)を備える。
【0159】
先行する態様のうちのいずれか1つによる第114の態様では、前記注入ポンプ(54)は、前記一方向弁(46; 75)または前記変形可能な流路制限器(42)のいずれかを開くために、所定の閾値よりも大きいヘッド圧力を生成するように構成される。
【0160】
先行する態様のうちのいずれか1つによる第115の態様では、前記注入ポンプ(54)は、前記変形可能な流路制限器(42)の上流と下流との間に、0.05バールまたは0.1バールよりも大きく、任意選択で0.2バールまたは0.3バールよりも大きい過圧を生成するように構成される。
【0161】
先行する態様のうちのいずれか1つによる第116の態様では、前記注入ポンプ(54)は、閉塞ポンプ、特に蠕動ポンプを備える。
【図面の簡単な説明】
【0162】
本発明のいくつかの実施形態およびいくつかの態様は、例示のみを目的として提供される添付の図面を参照して以下に説明される。
図1】、
図2図1および図2は、本発明による使い捨てセットを備える体外血液処理装置の可能な様々な実施形態の模式図である。
図3図3は、本発明の使い捨てセットの実施形態による一方向弁を収納する流体コネクタの断面図である。
図4】、
図5】、
図6図4図6は、本発明の使い捨てセットの様々な実施形態による流路制限器の模式図である。
図7図7は、(概略)ECMO回路に流体接続された本発明による使い捨てセットの模式図である。
図8A図8Aは、本発明によるダックビル弁の側面図である。
図8B図8Bは、流体軸Fを中心に90°回転した図8Aのダックビル弁を示す。
図8C図8Cは、図8Bのダックビル弁の断面図である。
図9図9は、休止状態における本発明による変形可能な流路制限器の、流体軸に沿った断面図である。
図9A図9Aは、図9の変形可能な流路制限器の、流体通路軸に直交する断面図であり、ライン(線)を画定するダンパ管腔は、折り畳まれている。
図9A--】図9A"は、図9の変形可能な流路制限器の代替実施形態による、流体通路軸に直交する断面図であり、点(ドット)を画定するダンパ管腔は、折り畳まれている。
図9B図9Bは、図9の変形可能な流路制限器の上流および/または下流の注入ラインの、流体通路軸に直交する断面図である。
図10図10は、注入状態における本発明による変形可能な流路制限器の、流体軸に沿った断面図である。
図10A図10Aは、図10の変形可能な流路制限器の、流体通路軸に直交する断面図であり、楕円形状を画定するダンパ管腔は開かれている。
図10A--】図10A"は、図10の変形可能な流路制限器の代替実施形態による、流体通路軸に直交する断面図であり、円形形状を画定するダンパ管腔は、開かれる。
図10B図10Bは、図10の変形可能な流路制限器の上流および/または下流で注入ラインの、流体通路軸に直交する断面図である。
図11図11は、休止状態における、本発明のさらなる実施形態による変形可能な流路制限器の、流体軸に沿った断面図である。
図11A図11Aは、図11の変形可能な流路制限器の、流体通路軸に直交する断面図であり、ライン(線)を画定するダンパ管腔は、折り畳まれている。
図11A--】図11A"は、図11の変形可能な流路制限器の代替実施形態による、流体通路軸に直交する断面図であり、点(ドット)を画定するダンパ管腔は、折り畳まれている。
図11B図11Bは、図11の変形可能な流路制限器の上流および/または下流の注入ラインの、流体通路軸に直交する断面図である。
図12図12は、注入状態における本発明による変形可能な流路制限器の、流体軸に沿った断面図である。
図12A図12Aは、図12の変形可能な流路制限器の、流体通路軸に直交する断面図であり、楕円形状を画定するダンパ管腔は、開かれている。
図12A--】図12A"は、図12の変形可能な流路制限器の代替実施形態による、流体通路軸に直交する断面図であり、円形形状を画定するダンパ管腔は、開かれている。
図12B図12Bは、図12の変形可能な流路制限器の上流および/または下流の注入ラインの、流体通路軸に直交する断面図である。
図13図13は、休止状態における本発明の別の実施形態による変形可能な流路制限器の、流体軸に沿った断面図であり、圧力ダンパは、絞り装置を備える。
図13A図13Aは、図13の変形可能な流路制限器の、流体通路軸に直交する断面図であり、ライン(線)を画定するダンパ管腔は、折り畳まれている。
図13B図13Bは、図13の変形可能な流路制限器の上流および/または下流で注入ラインの、流体通路軸に直交する断面図である。
図14図14は、注入状態における本発明による変形可能な流路制限器の、流体軸に沿った断面図であり、圧力ダンパは、絞り装置を備える。
図14A図14Aは、図14の変形可能な流路制限器の、流体通路軸に直交する断面図であり、楕円形状を画定するダンパ管腔は、開かれている。
図14B図14Bは、図14の変形可能な流路制限器の上流および/または下流の注入ラインの、流体通路軸に直交する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0163】
定義
この詳細な説明では、様々な図に示されている対応する部分が同じ参照番号で示されている。図面は非スケール表現によって本発明を例示することができ、したがって、本発明の目的に関連する図面に例示される部品および構成要素は、専ら概略表現に関連することができる。
【0164】
「上流」および「下流」という用語は、例えば体外血液処理中に、装置の通常の使用中にコネクタ内または流体ラインもしくはダクトに沿って流れるように構成された流体の進行方向または軌道を指す。装置の通常の使用中、血液ポンプは、血液採取ラインに沿って患者の血管アクセスから血液を圧送し、濾過ユニットを移動し、血液戻りラインに沿って患者に戻す。注入流体は、それぞれの流体源から血液回路に向かって血液中に注入される。透析流体(もしあれば)は、透析ラインから濾過ユニットへ、そして流出物ラインに向かって流れる。血流および透析の流れは、濾過ユニットにおいて向流となる。
【0165】
ECMO回路では、血液方向は、血液採取路から血液戻り路に向かってそれぞれの血液ポンプによって画定される。
【0166】
我々は「透析流体」を、濾過ユニット2の第2のチャンバに導入される処理流体として定義する。透析流体は、オンラインで調製されたものでもよく、または滅菌バッグに予め包装されたものでもよい。通常、CRRT装置/用途では、透析流体だけでなく、置換流体(おそらく局所抗凝固流体および/またはイオン再構築流体)も(使い捨て)バッグに収容される。
【0167】
我々は、「透析液」または「流出物」を、濾過ユニット2の第2のチャンバからの出口からの流体と定義する。透析液または流出物は、血液から除去された尿毒素を含む使用済み透析流体であり、限外濾過液を含んでもよい。
【0168】
我々は、「局所抗凝固剤」を、体外血液と混合されると、体外血液回路における血液凝固を略防止し、患者によって迅速に代謝され、したがって全身抗凝固を回避する物質として定義する。
【0169】
我々は、「脱気」という用語を、注入流体または血液などの流体中に溶解されたガスが局所的な低圧または流体の加温に起因して自由になり、それが流体の液相からのガスの分離をもたらし、その結果、流体中に気泡を生成するプロセスと定義する。
【0170】
我々は、局所的な大気圧を下回る圧力を「陰圧(負圧)」と定義する。
【0171】
我々は、局所的な大気圧を上回る圧力を「陽圧(正圧)」と定義する。
【0172】
詳細な説明
使い捨てセット100
参照番号100は、血液透析処理(HD)を行うための血液透析装置、限外濾過処理(UF)を行うための限外濾過装置、血液濾過処理(HF)を行うための血液濾過装置、または血液透析濾過処理(HDF)を行うための血液透析濾過処理などの体外血液処理装置用のための使い捨てセットを対象とする。
【0173】
あるいは、使い捨てセット100は、治療血漿交換(TPE)処理などの体外血液処理を実行するように指示されてもよい。TPE処理は、患者の血液を成分分析装置に通して血漿を濾過および除去する手順(処置)である。次いで、血漿は、ドナーからの血漿、アルブミン、または生理食塩水などの置換液によって置換される。
【0174】
あるいは、使い捨てセット100は、血液浄化のための血液灌流処理などの体外血液処理を実行することを対象にされてもよく、特に、血液灌流処理は、通常、中毒の治療の場合に、血液から毒素を除去するように構成された吸着剤粒子を含む装置、通常はカラムに患者の血液を通過させることからなる。
【0175】
あるいは、使い捨てセット100は、血液からのCO2除去処理のための体外血液処理を実行することを対象とされてもよい。CO2除去処理は、透析処理中に実行されてもよく、または血液回路介して特別に単独で実行されてもよい。
【0176】
さらに、使い捨てセット100は、血液酸素化のための装置、すなわち体外膜酸素化ECMO処理装置などのさらなる体外血液処理装置に接続されてもよい。
【0177】
上記に列挙された医療分野によれば、図1および図2に概略的に示される使い捨てセット100は、それぞれの処理装置1、例えば、流体の流れを促進するための蠕動ポンプ、ならびに回路を動作させるためのそれぞれのセンサおよびアクチュエータに関連付けられるように構成された血液および流体ラインを備える。ここでは、使い捨てセットの詳細な説明が提供される。この点に関して、単純化のために、図2の点線がポンプ(例えば、注入ポンプ54、血液ポンプ21、およびポスト注入ポンプ)も包含するとしても、ポンプは、使い捨てセット100の一部ではない。シリンジポンプ9およびバッグ10および64は、その構成に応じて、使い捨てセットの一部であってもよく、またはその一部でなくてもよい。
【0178】
使い捨てセット100は、患者から採取された血液を処理するように構成された少なくとも1つの濾過ユニット2を備える。濾過ユニット2は、血液透析処理(HD)、限外濾過処理(UF)、血液濾過処理(HF)、血液透析濾過処理(HDF)のうちの1つを行うためのフィルタであってもよい。濾過ユニット2は代替的に、吸収ユニット、または血液灌流処理の場合には吸着剤システムのための吸着剤カートリッジであってもよい。
【0179】
一実施形態では、濾過ユニット2は、半透膜5によって分離された一次チャンバ3および二次チャンバ4を有し、一次チャンバ3は、患者から採取された血液を受け取り、二次チャンバ4は、血液から除去された老廃物および流体を受け取り、流出流体ライン13に接続された出口を通してそれを排出する。処理に応じて、濾過ユニットの膜は、異なる特性および性能を有するように選択されてもよい。さらなる実施形態によれば、濾過ユニット2の二次チャンバは、出口に加えて、透析液供給ライン8から流体、すなわち透析液を受け入れるように構成された入口をさらに備える。
【0180】
使い捨てセットは、透析器2の出口に接続された流出流体ライン13を備えてもよく、流出流体ライン13は、透析液ポンプ26に係合されるように構成されたそれぞれの流出ポンプ路を備えてもよい。
【0181】
同様に、透析器が入口を備える場合、使い捨てセットは、透析器の入口に接続され、透析流体を透析器2に送達するように構成された供給ライン8を備えることができる。透析液供給ライン8はまた、体外血液処理装置の透析流体ポンプ25に係合されるように構成されたそれぞれの供給ポンプ路を備える。
【0182】
血液回路は、濾過ユニット2に接続された第1の端部6aと、患者Pに接続するための第2の端部との間に延在する血液採取ライン6をさらに備える。濾過ユニット2が一次チャンバおよび二次チャンバを備える場合、血液採取ライン6は、濾過ユニット2の一次チャンバ3の入口に接続された第1の端部6aと、患者Pに接続するための第2の端部6bとの間に延在する。血液採取ライン6は、患者Pから血液を受け取り、血液を採取方向200に沿って、血液採取ライン6の第2の端部6bから第1の端部6aまで運ぶように構成される。
【0183】
血液回路17は、前記濾過ユニット2に接続された第1の端部7aと、前記患者Pに接続するための第2の端部7bとの間に延在する血液戻りライン7をさらに備える。濾過ユニット2が一次チャンバおよび二次チャンバを備える場合、血液戻りライン7は、濾過ユニット2の一次チャンバ3の出口に接続された第1の端部7aと、患者Pに接続するための第2の端部7bとの間に延在する。血液戻りライン7は、濾過ユニット2の出口から血液を受け取り、血液戻りライン7の第1の端部から第2の端部まで画定された戻り方向に沿って血液を運ぶように構成される。
【0184】
採取ライン6および戻りライン7は、血管アクセスを通して、針、カテーテル、またはアクセスデバイスを通して、患者の血流に接続され得る。
【0185】
採取ライン6および戻りライン7は、可撓性材料、例えばPVCまたは他のプラスチックベースの生体適合性材料から作製(構成)されてもよく、血液ライン6、7はまた、オペレータがライン内を流れる血液を見ることができるように透明であってもよい。
【0186】
血液回路の血液採取ライン6は、2mm~5mmの内径(より一般的な内径は2.5mm~4.5mmに含まれる)に対応する、3mm2~20mm2の間に含まれる流体通路断面を有してもよい。
【0187】
血液採取ライン6は、血流を生成するように構成される体外血液処理装置の血液ポンプ21に係合されるように構成されたポンプ路6pを含み、血液は、血液採取ライン6から濾過ユニット2に向かう方向200に血液回路内を循環する。少なくとも装置の動作状態の間、通常、血液ポンプ路6pの下流で陽圧レジメンが経験され、血液ポンプ路6pの上流でアクセス陰圧レジメンが経験される。特に、アクセス陰圧は、大気圧よりも低い。
【0188】
一例では、血液ポンプ21は、透析器と一体化され、その動作のために磁場に動作可能に接続されたポンプロータ要素によって実装され得る。
【0189】
血液ポンプ路6pは、血液採取ライン6の第1の端部6aと第2の端部6bとの間に介在される血液採取ライン6自体の一部であってもよい。
【0190】
したがって、血液採取ライン6は、
-第1の端部6aと第2の端部6bとの間に延在する血液ポンプ路6pと、
-第1の端部6aと血液ポンプ路6pとの間に延在する第1の路と、
-血液採取ライン6の第2の端部6bと血液ポンプ路6pとの間に延在する第2の路と、
を備える。
【0191】
血液ポンプ路6pは、寸法及び/又は材料に関して、血液採取ライン6の第1及び第2の路に対して異なっていてもよい。特に、血液ポンプ路6pは、血液採取ラインの第1および/または第2の路の外寸、すなわち外径よりも大きい外寸、すなわち外径を有することができる。加えて、または代替的に、血液ポンプ路6pは、血液採取ラインの第1および/または第2の路の内寸、すなわち内径よりも大きい、血液ポンプ路6pの流体通路を画定する内寸、すなわち内径を有してもよい。血液ポンプ路6pは、第1および第2の路に対して異なる管セグメントであってもよく、血液ポンプ路6pは、使い捨てセット100の製造プロセス中に行われる接着または溶接ステップによって、第1および第2の路に係合/連結される。通常、血液採取ライン6は、わずかに大きい内側断面、例えば、6~8mmを有することができるポンプ路6pを除いた均一な断面を有する。
【0192】
血液ポンプ路6pはまた、血液採取ライン6の第1および第2の路の剛性とは異なる剛性/弾性を有してもよい。例えば、血液ポンプ路6pは、血液採取ライン6の第1および第2の路よりも可撓性または弾性であってもよい。血液ポンプ路6pは、外部血液処理装置の蠕動ポンプ21によって引き起こされる疲労応力に耐えるために、血液採取ライン6の第1および/または第2の路の材料に対して、より可撓性/弾性のある材料によって作られる。
【0193】
血液回路は、流体アクセスにおいて血液ポンプ路6pの上流の血液採取ライン6に接続された第1の端部51aと、注入物質源に接続するための第2の端部51bとの間に延在する注入ライン51をさらに備え、血液ポンプ路6pは、濾過ユニット2と注入ライン51の第1の端部51aとの間に介在される。
【0194】
血液採取ライン6および注入ライン51は、同じ材料、すなわち、PVC、シリコン、または他のプラスチックベースの材料によって作製されてもよい。血液採取ライン6および注入ライン51は、同じ幾何学的形状、例えば、一定の内径および一定の外径を有する円形断面を有してもよい。特に、血液採取ライン6および注入ライン51の両方は可撓性がある。
【0195】
注入ライン51は、0.7mm2~20mm2 の間に含まれる流体通路断面を有してもよく、または流体通路断面は、1mm~5mmの間に含まれる直径を有してもよい。
【0196】
注入ライン51に接続された、または接続されるように構成された注入物質源10は、注入バッグであってもよい。バッグは、重炭酸塩、酢酸塩、乳酸塩、クエン酸塩、置換液、生理食塩水、および局所抗凝固溶液の間の1つを含む流体注入溶液を収納することができる。特に、使い捨てセットは、注入ライン51の第2の端部51bに接続されたバッグを備えてもよい。
【0197】
注入ライン51は、注入ライン51の第1の端部51aと第2の端部51bとの間に介在するそれぞれの注入ポンプ路51pをさらに備えてもよい。注入ライン51の注入ポンプ路51pは、少なくとも注入ポンプ54の動作状態中に、注入ポンプ路51pの下流の陽圧を決定して、注入ライン51の第2の端部から第1の端部へ血液採取ライン6に向かう方向に注入流体が流れることを可能にするように構成された、注入ポンプ54、すなわち蠕動ポンプによって係合されるように構成される。注入ポンプ路51pは、血液採取ライン6の血液ポンプ路6pに従って前述したものと同じ特徴を備えてもよい。
【0198】
したがって、注入ライン51は、
-第1の端部51aと第2の端部51bとの間に延在する注入ポンプ路51pと、
-注入ライン51の第1の端部と注入ポンプ54の第1の端部との間に延在する第1の路と、
-注入ライン51の第2の端部と注入ポンプ54の第2の端部との間に延在する第2の路と、
を備え、
注入ポンプ路は、寸法および/または材料に関して、注入ライン51の第1の路および第2の路とは異なる。特に、注入ポンプ路は、注入ライン51の第1および/または第2の路の外寸、すなわち外径よりも大きい外寸、すなわち外径を有してもよい。加えて、または代替的に、注入ポンプ路は、注入ライン51の第1および/または第2の路の内寸、すなわち内径よりも大きい流体通路を画定する内寸、すなわち内径を有してもよい。注入ポンプ路51pは、第1および第2の路に対して異なる管セグメントであってもよく、注入ポンプ路は、使い捨てセット100の製造プロセス中に実行される接着または溶接ステップによって、第1および第2の路に係合/連結される。
【0199】
注入ポンプ路51pはまた、注入ライン51の第1および第2の路の剛性に関して異なる剛性/弾性を有してもよい。例えば、注入ポンプ路51pは、注入ライン51の第1および第2の路よりも可撓性/弾性があってもよい。注入流体ポンプ路は、外部血液処理装置の蠕動注入ポンプ54によって引き起こされる疲労応力に耐えるために、注入ライン51の第1および/または第2の路の材料に対して、より可撓性/弾性がある材料によって作られる。
【0200】
血液回路17は、注入ライン51が血液採取ライン6に接合されて注入ライン51内を流れる注入流体が血液採取ラインに注入されることを可能にする交差部分を備え、特に交差部分は、内部容積を画定するコネクタ本体を有する注入コネクタ48を含む。
【0201】
注入コネクタは、互いに流体連通し、コネクタの内部容積とも流体連通する血液入口48aおよび血液出口48bを備え、血液入口48aは、血液採取ライン6に接続され、血液採取ライン6の第2の端部6bに面し、一方、血液出口48bは、血液採取ライン6に接続され、血液採取ライン6の血液ポンプ路6pに面する。特に、血液は、注入コネクタ48の血液入口48aから血液出口48bまで、採取方向200に注入コネクタ内を流れる。注入コネクタ48は、コネクタ本体の内部容積と流体連通し、注入ライン51の第1の端部51aに接続された注入入口48cをさらに備える。したがって、注入入口48c、血液入口48a、および血液出口48bは、互いに流体連通し、2つの入口および1つの出口を有する3方法コネクタを画定する。
【0202】
注入コネクタ48は、プラスチック材料によって作製されてもよい。特に、注入コネクタは一般に、注入ライン51および/または血液採取ライン6よりも硬い。逆に、注入ライン51は可撓性があり、特に注入コネクタ48よりも可撓性がある。同様に、血液採取ライン6は、注入コネクタよりも可撓性がある。例えば、血液採取ライン6は、注入ライン51と同じくらい可撓性があってもよい。
【0203】
注入流体コネクタ48は、血液採取ライン6および注入ライン51と一体であってもよく、この場合、注入ライン51の第1の端部は、注入コネクタの注入入口に溶接または接着される。また、血液採取ライン6は、注入コネクタ48の血液入口および血液出口に溶接または接着される。「溶接された」という用語は、血液または注入ライン51と注入コネクタとの間の熱的または化学的溶接を指し得る。したがって、注入コネクタ48、血液採取ライン6、および注入ライン51は、分離不可能な流体ラインセットを画定することができる。特に、血液採取ライン6、注入ライン51、血液戻りライン7、および透析器2を含む使い捨てセットは、一体であってもよく、それによって、一体の使い捨てセット100を画定する。特に、血液回路を注入ライン51および濾過ユニット2に接続するための取り外し可能なコネクタは、使い捨てセットに設けられなくてもよい。
【0204】
特に、注入流体は、特定の処理および/または装置作業シーケンスの特定のステップ(例えば、患者の血液処理に対するプライミング)に応じて、例えば、置換液または生理食塩水または局所抗凝固流体であってもよい。注入流体は、緩衝液(例えば、重炭酸塩、酢酸塩または乳酸塩)、1つ以上の電解質(例えば、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、カリウムなど)、またはクエン酸塩(例えば、クエン酸三ナトリウムまたはクエン酸)などの局所抗凝固剤を含み得る。
【0205】
一実施形態によれば、注入ライン51は、流体通路内に不連続性のない連結を画定する連結部分で注入コネクタ48に接続される。言い換えれば、注入ライン51から注入コネクタまで略一定の内部流体通路は、連結部分を含み、事実上、連結部分は流体の流れの乱れを回避するために、内部流体通路内に不連続性を画定しない。
【0206】
特に、使い捨てセットの血液ラインにおける陰圧レジメンは、少なくとも血液採取ライン6の血液ポンプ路6pと、注入ライン51との交差部分との間に延在し、特に、陰圧レジメンは、少なくとも血液採取ライン6の血液ポンプ路6pと、患者との接続部における血液採取ライン6の第2の端部6bとの間に延在してもよい。
【0207】
使い捨てセット100は、注入ライン51の第1の端部に向かって配置された、または第1の端部に配置された、圧力ダンパ40をさらに備える。特に、圧力ダンパ40は、注入コネクタに、すなわち、血液採取ライン6と注入ライン51との間の交差点に、または交差点に近接する注入ライン51上に、すなわち、0.1cm~6cmの間、より特に0.2cm~3cmの間に含まれる交差点からの距離に、配置されてもよい。圧力ダンパ40は、注入ポンプ路51pと血液採取ライン6との間の注入ライン51上に配置される。
【0208】
圧力ダンパ40は、アクセス陰圧が注入流体の方向に対して圧力ダンパ40の上流で注入ライン51内に及ぶのを防止するか、またはその量を低減するように構成され、注入流体の方向は注入ライン51の第2の端部51bから第1の端部51aに向けられる。すでに述べたように、アクセス陰圧は、特に注入流体中で脱気を引き起こすことがあり、それによって気泡を発生させることがあり、これは、上記で説明したすべての理由により、血液回路内に存在する場合に問題となる。したがって、圧力ダンパ40は、血液処理装置の動作状態中に、注入ライン51内の注入流体をアクセス陰圧よりも高い圧力にすることを可能にし、それによって、注入流体の脱気を低減または防止する。
【0209】
注入ライン内の陰圧を低減または防止するタスクを達成するために、2つの異なるアプローチが提供される。第1のアプローチでは、注入ライン内の流体通路を適切に制限するものの、流体の流れを妨げることはない(すなわち、制限されているが、流体流路は、装置の作動状態に関係無く常に開いている)。第2のアプローチでは、一方向弁を超えるある圧力差が注入ラインに存在しない限り、流体の通過を防止するために、適当な一方向弁が、開放閾値と共に使用される。
【0210】
第1の実施形態によれば、圧力ダンパ40は、注入流体が通過することを可能にするように構成されたダンパ通路断面を備える流路制限器41であってもよく、ダンパ通路断面は、注入流体の流体通路断面よりも小さく、例えば、ダンパ通路断面は、流体通路断面よりも少なくとも50%小さく、特に少なくとも80%小さく、特に90%超小さくてもよい。流路制限器は、円形形状を有する流体通路断面を画定することができる。
【0211】
圧力ダンパ40の流路制限器41は、例えば、円形形状を有する隔壁を備え、注入ライン51の通路断面に対して流体通路断面を縮小する流体通路を有することができる。約1000ml/hの典型的な注入速度を考慮して十分な圧力降下を達成するために、隔壁は、60mm未満の流体通路の長さが所望される場合、0.4mm未満の直径を有する円筒形断面を有する流体通路を画定すべきである。0.5mm以下の内径を有するプラスチック要素を成形することは困難であり得るが、最終的には金属部分が使用され得る。33G (0.24mm)、32G(0.26mm)、30G(0.3mm)、27G(0.41mm)、26G(0.45mm)などの針を使用できる。必要な長さの部分を実際に得ることができる。
【0212】
流体通路は、注入ライン51の流れ方向に沿って、1mm~30mm、特に2mm~15mm、特に4mm~10mmに含まれる流体通路長さだけ軸方向に延びる。隔壁を備える実施形態によれば、圧力ダンパ40の流路制限器41は、注入ライン51内の流体の流れに対して急激な不連続性を画定し得る。
【0213】
実施形態によれば、流路制限器41のダンパ通路断面は、流体通路の長さに沿って略一定である。特に、流路制限器41は、注入ライン51を血液採取ライン6と流体連通させる開口部を画定する。開口部はサイズが固定されており、事実上、サイズは、処理中にオペレータによって変更することはできない。
【0214】
ある実施形態によれば、圧力ダンパ40の流路制限器は、注入コネクタ内に、特に注入コネクタ48の注入入口48c内に配置することができる。
【0215】
あるいは、圧力ダンパ40の流路制限器は、注入流体の流れ方向に対して、注入コネクタ48の上流の注入ライン51上に、可能な限り血液採取ライン6に近接して配置されてもよい。例えば、圧力ダンパ40は、注入ライン51の上流および下流路の間に介在するダンパコネクタであってもよく、流路制限器は、ダンパコネクタ内に配置される。このダンパコネクタは、5mm~30mm、特に10~20mmに含まれる長さだけ注入流体方向に沿って延在してもよい。この実施形態によれば、ダンパコネクタは、注入ライン51の材料よりも硬く、注入ライン51の材料とは異なる材料で作製されてもよく、例えば、ダンパコネクタは、金属で作製されてもよく、注入ライン51は、可撓性PVCまたはシリコンで作製されてもよい。
【0216】
特に、通路制限器が設けられる場合、注入ライン51は、圧力ダンパ40の通路制限器まで略一定の流体通路断面を有する内部流体通路を画定し、したがって、通路制限器は、陰圧が注入ライン51内に及ぶことを防止するように流体通路断面内に不連続性を画定する。
【0217】
実際、流路制限器41は、処理装置の動作状態中に、特に注入流体が注入ライン51内を血液採取ライン6に向かって流れるときに、注入流体の圧力降下を画定するように構成される。圧力降下は、注入ラインと、血液ポンプ路の上流の血液採取ラインとの間の差圧と見なされ、特に、圧力降下は、圧力ダンパ40のすぐ上流のセクションと、圧力ダンパ40のすぐ下流のセクションとの間の差圧として考えられる。
【0218】
図4は、流路制限器41が注入ラインの第1の端部を画定する管路を備えるさらなる実施形態を示す。管路は、注入ラインの内径よりも小さい内径を有し、前述の実施形態で説明した流路制限器よりも長い長さだけ延在する。特に、管路のダンパ通路は、30mm~200mm、特に40mm~160mm、より特に55mm~150mmに含まれる長さだけ延在し、ダンパ通路断面は、0.3mm~0.6mm、特に0.35mm~0.55mmに含まれる直径で延在する。
【0219】
より詳細には、特定の実施形態によれば、ダンパ通路断面が0.5mmに略等しい直径を有する場合、ダンパ通路は、145mmに略等しい長さ、任意選択で±15mmだけ延在し、一方、ダンパ通路断面が0.4mmに略等しい直径を有する場合、ダンパ通路は、60mmに略等しい長さ、任意選択で±10mmだけ延在する。ダンパ通路の直径は、長さにわたって略一定である。
【0220】
特に、流路制限器41を画定する管路は、注入ラインの残りの部分と同じ材料、すなわち医療グレードPVC、シリコン、または別の生体適合性材料などの可撓性材料から作製されてもよい。
【0221】
注入流体の脱気を回避するために、流路制限器41の内径は、流路制限器41の長さに依存し、逆もまた同様である。実際、注入流体の特性および注入流体のために設定された流量を考慮すると、圧力ダンパを横切る圧力降下は、ダンパ通路断面によって、および流路制限器41の長さによって画定される。特に、ダンパ通路断面は、流路制限器41の長さに比例する。別の言い方をすれば、ダンパ通路断面が小さいほど、注入ライン51内の注入流体の脱気を回避するのに十分な圧力降下を得るのに必要な流路制限器41の長さは短くなる。
【0222】
さらに別の実施形態によれば、流路制限器41は、注入ライン51をクランプし、注入ラインを変形させるように構成されたクランプ80によって画定されてもよく、その結果、内部管腔が縮小される(しかし、通常のクランプのように完全には閉鎖されない)。したがって、クランプは、注入ライン51の外面に作用し、ラインを半径方向に圧縮し、内部ダンパ通路断面を縮小する。クランプ80は、図5に概略的に示されるように、注入ライン51の一部を受容するように構成され、一定の管長に沿った注入ライン51の所定の管腔縮小を決定するために固定サイズを有するクランプシートを備える、携帯型クランプ81を備えてもよい。このタイプのクランプは、所定の管腔制限を引き起こすために、注入ラインの特定の幾何学的形状、すなわちサイズに従って設計される。この実施形態においても、管腔制限と、制限される管部分の長さとの間に関係が存在する。制限される管部分が長いほど、管腔制限は小さくなり、逆もまた同様である。
【0223】
代替的に、クランプ80は、図6に示されるように、注入ライン51の一部を受容するように構成されたクランプシートと、注入ライン51の管腔縮小を変化させるための調節器とを備える可変クランプ82を備えてもよい。
【0224】
特に、クランプ80によって画定される流路制限器41は、特に流路制限器41のダンパ通路断面およびその長さに関して、先の実施形態に従って既に説明したのと同じ幾何学的特徴によって画定される。言い換えれば、クランプは所定の長さを有し、注入流体の脱気を低減または回避するために、流路制限器41のダンパ通路断面を決定するように設計される。
【0225】
別の実施形態によれば、図3に示されるように、圧力ダンパ40は、注入ライン51から血液採取ラインに向かう注入方向に沿ってのみ流体通過を可能にするように構成された一方向弁46を備えてもよい。一方向弁46は、流体通過が注入方向に許容される開放位置と、流体通路が注入方向に、特に両方向に阻止される閉鎖位置との間で移動するように構成される。特に、一方向弁は、一方向、すなわち注入方向のみに流体を流すことができ、反対方向の流体の流れは常に防止される。
【0226】
一方向弁46は、開放位置と閉鎖位置との間を切り換えるために開放圧力閾値に予め設定され得、逆もまた同様であり、その結果、一方向弁46の上流セクションと下流セクションとの間の差圧がこの開放圧力閾値以上である場合、一方向弁46は、開放位置に切り換わるか、または開放位置を維持するように構成される。あるいは、差圧がこの開放圧力閾値よりも低い場合、一方向弁46は、閉鎖位置に切り替わるか、または閉鎖位置を維持するように構成される。特に、開放圧力は、一方向弁の直ぐ上流および直ぐ下流のセクションの差圧として画定され、別の言い方をすれば、上流および下流の圧力は、一方向弁の内部膜の周りの局所圧力である。
【0227】
特に、差圧は、一方向弁46の上流セクションにおける高圧と、一方向弁46の下流セクションにおける低圧との間に画定され、高圧は低圧よりも高い。特に、高圧は、注入方向に対して、一方向弁に対して上流の注入ライン51内の圧力であり、一方、低圧は、カテーテル/血管アクセスの近位のアクセス陰圧である。一方向弁46の予め設定された開放圧力閾値は、160~500mmHg、特に190~450mmHg、より特には200~400mmHg、より特には240~350mmHgに含まれる差圧値に対応する。これらの圧力範囲は、通常の血液流量および注入流量が使い捨てセット内で生成されるときに通常上昇する圧力レジメンに対応する。一方向弁の開放閾値は、装置の最も一般的な作動状態に構成されてもよく、上記で論じたように、装置のあらゆる作動状態に最適であってもよいことは明らかである。
【0228】
一方向弁46は、開放位置と閉鎖位置との間で移動可能な内部ダイヤフラム46aを備えてもよい。内部ダイヤフラムは、シリコン、ゴム、PVCなどの材料で作られた可撓性膜であってもよい。内部ダイヤフラムは、予め設定された開放圧力閾値を画定するために、閉鎖位置で予荷重(プリロード)される。特に、内部ダイヤフラムは、内部ダイヤフラムの中央部分が外部輪郭に対して軸方向にシフトされるように半球形状を有してもよい。内部ダイヤフラムの幾何学的特徴およびその材料は、予荷重を画定し、したがって、予め設定された開放圧力閾値を画定する。
【0229】
実施形態によれば、使い捨てセットは一方向弁46を収納するルアーロックコネクタ47を備え、内部ダイヤフラムは、ルアーロックコネクタの内部流体通路内にある。ルアーロックコネクタは、注入ライン51上に、すなわち、注入ライン51の第1の端部51aに向かって、例えば、注入ライン51の第1の端部から0.1cm~6cm、より特には0.2~3cmに含まれる距離に配置されてもよい。
【0230】
あるいは、一方向弁46は、注入コネクタ48の内部、特に注入コネクタ48の注入入口48cの内部に配置されてもよい。
【0231】
以下に、図8Aおよび8Bに示され、図8Cの断面図に示される実施形態による一方向弁を備える圧力ダンパ40について説明する。図8Bの一方向弁は、流体軸Fを中心として図8Aに対して90°回転している。一方向弁は、注入ライン51から血液回路17に向かう、例えば、採取ライン17に向かう注入方向IDにのみ流体通過を可能にするように構成される。一方向弁は、流体通過が注入方向に許容される開放位置と、流体通過が注入方向に、また反対方向にも阻止される閉鎖位置との間で、移動するように構成されてもよい。反対方向は、血液回路17から注入物質源10に向かう方向として画定される。言い換えれば、一方向弁が閉鎖位置にあるとき、圧力ダンパ40は、両方向に流体密閉を画定する。
【0232】
図8A、8B、および8Cの特定の実施形態は、上述の一方向弁として作用するダックビル弁75を対象とする。
【0233】
ダックビル弁75は、内部容積76aを画定する筐体76を備えてもよく、筐体76は、金属またはプラスチックまたはガラスなどの剛性材料から作製されてもよい。材料は、注入流体及び体外血液処理装置と適合する材料から選択することができる。筐体76は、内部容積76aの可視化を可能にするために、透明材料から作製されてもよい。
【0234】
筐体76は、2cm~10cmに含まれる長さと、1cm~5cm、特に1cm~3cmに含まれる直径とによって延在する円筒形状を有することができる。筐体76は、代替的に、多角形断面などの他の形状を有してもよい。
【0235】
筐体76は、注入ライン51の上流路に接続された、または接続されるように構成された入口コネクタ75aを備えてもよい。入口コネクタ75aは、物質源10から注入流体を受け取るように構成される。したがって、注入ライン51の上流路は、ダックビル弁75と注入物質源10との間に介在される。換言すれば、ダックビル弁75の入口コネクタ75aは、注入物質源10に面している。
【0236】
入口コネクタ75aは、好ましくは、注入ライン51の上流路、すなわち管路との係合を促進するために円筒形状を有する。入口コネクタ75aは、任意選択で、ルアーロックコネクタを備えてもよい。
【0237】
筐体76はまた、注入ライン51の下流路に接続された、または接続されるように構成された出口コネクタ75bを備えてもよい。出口コネクタ75bは、注入流体をダックビル弁75の内部容積76aから血液回路に向かう方向に流出させるように構成される。したがって、注入ライン51の下流路は、ダックビル弁75と血液回路17との間に介在される。出口コネクタ75bは、好ましくは、注入ライン51の上流路、すなわち管路との係合を促進するために円筒形状を有する。出口コネクタ75bは、任意選択で、ルアーロックコネクタを備えてもよい。
【0238】
ダックビル弁75の出口コネクタ75bは、血液回路17に面しており、特に、注入ライン51の第1の端部51aに面する。
【0239】
筐体76は、筐体76の内部容積76a内に配置され、前述の一方向弁の開放位置および閉鎖位置を選択的に画定するように構成されたダックビル構成要素77をさらに備えてもよい。より詳細には、ダックビル構成要素77は、注入流体が入口コネクタ75aから出口コネクタ75bに流れることを可能にし、流体が出口コネクタ75bから入口コネクタ75aに逆流することを防止する。
【0240】
特に、ダックビル構成要素77は、筐体76の内部容積76aの内側にあり、好ましくは、注入流体の流体経路に沿って、入口コネクタ75aと出口コネクタ75bとの間に介在する。特に、入口コネクタ75aおよび出口コネクタ75bは、注入流体通過方向と一致するライン(線)、すなわち直線に沿って略整列されてもよく、ダックビル構成要素77は、入口コネクタ75a、出口コネクタ75bおよびダックビル構成要素77が直線に沿って整列されるように、前記ラインに沿って整列されてもよい。好ましくは、ダックビル弁75の入口コネクタ75aは、ダックビル構成要素77に対してダックビル弁75の出口コネクタ75bと反対側にある。
【0241】
ダックビル構成要素77は、可撓性および/または弾性材料から作製されてもよく、この材料はシリコン、シリコンベース材料、ゴム、およびラテックスのうちの1つであってもよい。
【0242】
ダックビル弁75のダックビル構成要素77は、テーパ形状を有してもよく、テーパ部分は出口コネクタ75bに面する。テーパ形状のダックビル構成要素77は、流体の通路幅広セクション77aと通路閉鎖セクション77bとの間に延在してもよく、その結果、注入流体は、入口コネクタ75aから、通路幅広セクション77a内に、次いで、ダックビル構成要素77の通路閉鎖セクション77bを通って、その後、ダックビル弁75の出口コネクタ75bを通って、順次流れる。
【0243】
通路幅広セクション77aは、内部容積76a内の入口コネクタ75aの出口に液密に接続される。従って、通路幅広セクション77aは、通路閉鎖セクション77bとダックビル弁75の入口コネクタ75aとの間に介在する。
【0244】
通路閉鎖セクション77bは、注入方向IDに対して通路幅広セクション77aの下流に配置されている。特に、通路閉鎖部77bは、筐体76の内部容積76aに開口している。特に、通路閉鎖セクション77bは、出口コネクタ75bに接続されなくてもよく、通路閉鎖セクション77bは、実際に、ダックビル弁75の筐体76の内部容積76a内で片持ちされてもよい。
【0245】
通路閉鎖セクション77bは、開放状態と閉鎖状態との間で変形可能な変形可能スリットを備えてもよい。開放状態では、ダックビル構成要素77の通路閉鎖セクション77bは、注入流体が入口コネクタ75aから出口コネクタ75bに向かって流れることを可能にし、特に、スリットの開放状態は、前述のように一方向弁の開放位置を画定する。
【0246】
閉鎖状態では、ダックビル構成要素77の通路閉鎖セクション77bは閉鎖され、それによって、流体がダックビル構成要素77を通って流れることを防止する。特に、スリットの閉鎖状態は、前述のように一方向弁の閉鎖位置を画定する。
【0247】
通路閉鎖セクション77bは、ダックビル構成要素77の上流の圧力がダックビル構成要素77の下流の圧力よりも大きいときに、閉鎖状態から開放状態に移動するように構成される。特に、ダックビル構成要素77は、ダックビル構成要素77の上流の圧力がダックビル構成要素77の下流の圧力よりも少なくとも3%または少なくとも5%大きいときに、開くことができる。言い換えれば、ダックビル構成要素77は、注入ライン内の上流圧力が下流圧力よりも0.1バール~1バールに含まれる差圧だけ大きいときに、開くことができる。
【0248】
通路閉鎖セクション77b、特にスリットは、シリコン、シリコンベース材料、ゴム、およびラテックスのうちの1つなどの可撓性および/または弾性材料から作製されてもよい。ダックビル構成要素77は、単一の部品として形成されてもよい。
【0249】
圧力ダンパ40の代替実施形態が図9A~14Bに示されており、圧力ダンパ40は、一方向弁の代わりに、シリコン、シリコンベース材料、ゴム、PVC、およびラテックスのうちの1つなどの弾性材料から作製された変形可能な流路制限器42を備える。
【0250】
変形可能な流路制限器42は、休止状態に構成可能であり、変形可能な流路制限器42は、流体の流れを防止するために略閉じられるダンパ管腔44をする。休止状態における変形可能な流路制限器42は、図9、11および13に示されており、それぞれの断面図9A、9A"、11A、11A"、および13Aに示される。したがって、休止状態では、変形可能な流路制限器42は、流体通路への閉鎖を画定し、その結果、圧力ダンパの下流の流体は、圧力ダンパの上流の流体から流体的に分離される。特に、休止状態では、変形可能な流路制限器42のダンパ管腔44は、流体密に略閉鎖される。
【0251】
あるいは、変形可能な流路制限器42のダンパ管腔44は、1 mm2未満、特に0.5 mm2未満、より特に0.1 mm2未満、より特に0.01mm未満のサイズを有する注入流体用のダンパ通路断面を画定してもよい。この代替の実施形態では、変形可能な流路制限器42のダンパ管腔44は、前述の流体密閉閉鎖の代わりに、流体通路のための制限を画定し、それによって、流体が通過することを可能にする。
【0252】
特に、休止状態は、変形可能な流路制限器42の上流の圧力が、変形可能な流路制限器42の下流の圧力と略等しいときに画定される。さらに、休止状態は、変形流路制限器42内の圧力が大気圧と略等しい場合に画定される。これは、変形可能な流路制限器42が、例えば、注入ラインから切り離されたときに、休止状態を維持するように構成され、すなわち、ダンパ管腔44は、閉鎖されるか、または大幅に縮小される。換言すれば、外部圧力/負荷(荷重)を受けていないとき、すなわち休止状態にあるときの変形可能な流路制限器42の形状は、ダンパ管腔44が閉じているか、または大幅に縮小されており、変形可能な流路制限器42の弾性形状によって休止状態が維持される。
【0253】
特に、変形可能な流路制限器42は、その弾性特性のために注入状態から休止状態に戻るように構成される。
【0254】
図9Aおよび図9A"は、断面図において、例示的な目的のためだけに、休止状態にある変形可能な流路制限器42のダンパ管腔44の2つの異なる形状を示す。図9Aの流路制限器42のダンパ管腔44は直線形状を有し、これは、本来、製造中に流体通路を閉じるために折り畳まれた円形管腔に由来し得る。これにより、図9Aに示すように、楕円形状の外形を有する変形可能な流路制限器42が得られる。
【0255】
図9A"に示される別の実施形態によれば、休止状態のダンパ管腔44は、ドット(点)形状を有してもよい。この場合、変形可能な流路制限器42は、図9A"に示されるように、円形形状の外形を有してもよい。
【0256】
あるいは、添付図面に示されていない実施形態では、変形可能な流路制限器42のダンパ管腔44は、図9Aおよび図9A"の組合せであってもよい。例えば、変形可能な流路制限器42は、休止状態にあるときに、外側が楕円形状を有してもよく、ダンパ管腔44はドット形状を有してもよい。同様に、変形可能な流路制限器42は、外側が円形形状を有してもよく、ダンパ管腔44は、ライン形状、すなわち、直線または曲線形状を有してもよい。
【0257】
一実施形態では、注入ライン51は、図9B、10B、11B、12B、13Bおよび14Bに示されるように、圧力ダンパの上流および/または下流で、外側の円形形状を有してもよい。注入ライン51の外側の円形形状は、図9A、10Aに示される外側の楕円形状のように、変形可能な流路制限器42の外側の楕円形状と組み合わされてもよい。あるいは、注入ライン51の外側の円形形状は、図9A"、10A"、11A、11A"、12A、12A"に示される外側の円形形状のように、変形可能な流路制限器42の外側の円形形状と組み合わされてもよい。注入ライン51の外側の円形形状はまた、絞り装置90を含む図13および14に表される、後に記載される実施形態と組み合わせられてもよい。
【0258】
変形可能な流路制限器42はまた、図10、12、および14に、ならびにそれぞれの断面図10A、10A"、12A、12A"、および14Aに示されている、注入状態に構成可能である。変形可能な流路制限器42の内側の管腔圧力が所定の閾値を超えると、変形可能な流路制限器42のダンパ管腔44は、注入状態に切り替わり、ダンパ管腔44を開いて、注入流体の通過を可能にする。
【0259】
ダンパ管腔44を開くための所定の閾値は、大気圧の1.02倍より大きく、特に大気圧の1.05倍より大きく、特に大気圧の1.1又は1.2倍より大きく設定されてもよい。あるいは、ダンパ管腔44を開くための所定の閾値は、0.05バールまたは0.1バールより大きく、任意選択で0.2バールまたは0.3バールより大きく設定されてもよい。
【0260】
したがって、変形可能な流路制限器42の弾性機能により、ダンパ管腔44が内圧を受けたときに延在することを可能にし、それによって、注入状態を可能にし、次いで、内圧が所定の閾値を下回るときに、休止状態に弾性的に収縮することを可能にする。
【0261】
言い換えると、変形可能な流路制限器42は、変形可能な流路制限器42の内部の圧力によって生成される開放力が変形可能な流路制限器42の構造的弾性および外部大気圧の両方によって提供される閉鎖力上回ると、注入状態に切り替わり、それによって、内部ダンパ管腔44を開放する。
【0262】
血液ポンプによって血液回路内に陰圧、すなわち大気圧より低い圧力が生成され、したがって圧力ダンパの下流の注入ラインにも陰圧が生成されると、前記陰圧はまた、変形可能な流路制限器42を休止状態に保つことに寄与する。この場合、圧力ダンパに作用する差圧は、変形可能な流路制限器42に閉鎖力を生成し、それによって、ダンパ管腔44を閉鎖状態に保つためのさらなる力の寄与を提供する。
【0263】
変形可能な流路制限器42のダンパ管腔44は、5mm~100mm、特に10mm~50mm、任意選択で10mm~30mmに含まれる長さだけ流れ方向に延在することができる。
【0264】
変形可能な流路制限器42が、休止状態において、図9A図11A、および図13Aに示すように、線形状の折り畳まれたダンパ管腔を有する場合、注入状態では、変形可能な流路制限器42は、図10A図12A、および図14Aに示すように、略楕円形の形状を有する管腔断面を有してもよい。
【0265】
あるいは、変形可能な流路制限器42が、休止状態において、図9A"および11A"に示すように、ドット形状の折り畳まれたダンパ管腔を有する場合、注入状態では、変形可能な流路制限器42は、図10A"および12A"に示すように、略円形形状を有する管腔断面を有してもよい。
【0266】
図9A図14に示すように、変形可能な流路制限器42は、注入ライン51の管路であってもよい。特に、変形可能な流路制限器42は、単一部品として作成されてもよい。言い換えれば、変形可能な流路制限器42は、一緒に組み立てられた複数の部品を含まなくてもよく、単一の部品、すなわち、上述の特徴を有する管路として製作されてもよい。
【0267】
さらに、変形可能な流路制限器42は、注入ラインと一体であってもよく、この場合、変形可能な流路制限器42および注入ラインは、事実上、継ぎ目のない単一部品である。
【0268】
あるいは、変形可能な流路制限器42、すなわち、単一部品の変形可能な流路制限器42は、注入ラインから元々分離されてもよい。この場合、変形可能な流路制限器42は、注入ラインの上流路に接続されるように構成された第1のコネクタと、注入ラインの下流路に接続されるように構成された第2のコネクタとを備えてもよい。
【0269】
変形可能な流路制限器42の管壁は、注入ラインの残りの部分の管壁の厚さに略等しい厚さを有してもよく、特に、図9、10、13、および14に示すように、変形可能な流路制限器42の上流に配置された注入ラインの上流管壁の厚さに略等しい厚さを有してもよい。
【0270】
あるいは、変形可能な流路制限器42の管壁は、注入ラインの残りの部分の管壁の厚さよりも厚い厚さを有してもよく、特に、図11および12に示されるように、変形可能な流路制限器42のすぐ上流に配置された注入ラインの上流管壁の厚さよりも厚くてもよい。
【0271】
変形可能な流路制限器42の管壁の厚さを超えて、変形可能な流路制限器42は、シリコン、シリコンベース材料、ラテックス、PVC、またはゴムなど、注入ラインの残りの部分と同じ材料から作製されてもよい。
【0272】
さらに、変形可能な流路制限器42および注入ライン51は、継ぎ目のない単一部品として作製されてもよい。
【0273】
変形可能な流路制限器42は、好ましくはダンパ管腔44の少なくとも上流に配置され、任意選択でダンパ管腔44の下流にも配置された、狭窄管腔セクション43を備えてもよい。狭窄管腔セクション43は、ダンパ管腔44の前の注入ラインの内側管腔の縮小を画定する。特に、少なくとも休止状態において、変形可能な流路制限器42の上流の注入ライン51の管路の管腔は、狭窄管腔セクション43を画定する変形可能な流路制限器42のダンパ管腔44に向かって、サイズが徐々に縮小してもよい。管腔は、流体注入が必要とされるときに内部圧力がダンパ管腔44を開くことを可能にするために、瞬間的ではなく、狭窄管腔セクション43においてそのサイズを徐々に縮小する。注入流体は、注入ポンプ54によって加圧されてもよい。加圧された注入流体は、狭窄管腔セクション43の内面における開放力を決定し、それによってダンパ管腔44を開放することに寄与し、それによって、休止状態から注入状態への切り替えを促進する。
【0274】
狭窄管腔セクション43は、直線状の側壁を有する円錐形または円錐台形の形状を有してもよい。狭窄管腔セクション43は、上流管路のセクションと変形可能な流路制限器42のダンパセクションとの間に、10°~45°に含まれる角度を画定してもよい。
【0275】
あるいは、狭窄管腔セクション43は、曲線経路に沿って長さに延在してもよい。
【0276】
狭窄管腔セクション43は、流れ方向に沿って、少なくとも2mm、特に少なくとも5mm、任意選択で2mm~20mmの長さだけ延在してもよい。
【0277】
圧力ダンパ40は、図13および14に示されるように、変形可能な流路制限器42、特に変形可能な流路制限器42の管路に推力で動作する絞り装置90を備えてもよい。特に、絞り装置90は、変形可能な流路制限器42が、休止状態、すなわちダンパ管腔44が略閉じられているか、または大幅に縮小されているときと、注入流体が通過することを可能にするためにダンパ管腔44が開かれている注入状態との間で移動することを可能にするように構成されている。絞り装置90に連結可能な変形可能な流路制限器42は、先に説明され且つ図9図14に示された実施形態によるものであり、特に、変形可能な流路制限器42は、休止状態と注入状態とを切り替えるために弾性的に変形可能である。
【0278】
絞り装置90は、図13に示されるように、休止状態においてダンパ管腔44を略閉じた状態に保つための閉鎖力寄与を提供するように構成される。さらに、絞り装置90は、注入ライン内の圧力が所定の閾値を超えると、変形可能な流路制限器42が注入状態に切り替わることを可能にするようにも構成される。所定の閾値は、説明において既に詳述されており、特に、ダンパ管腔44を開くための所定の閾値は大気圧の1.02倍よりも大きく、特に、大気圧の1.05倍よりも大きく、特に、大気圧の1.1または1.2倍よりも大きくてもよい。あるいは、所定の閾値は、0.05バールまたは0.1バールより大きくてもよく、任意選択で0.2バールまたは0.3バールより大きくてもよい。
【0279】
絞り装置90は、変形可能な流路制限器42の周囲に配置され、変形可能な流路制限器42の外面に対して圧縮作用を及ぼす。例えば、絞り装置90は、変形可能な流路制限器42の外面に推力で作用するそれぞれのプレート/プレート(複数)92を備えてもよい。プレート92は平坦な形状を有することができる。プレート92は、流体方向に沿って、1cmを超える、特に2cmを超える長さだけ延在してもよい。特に、プレート92は、1cm~5cmの間、又は1cm~3cmの間の長さに延在してもよい。
【0280】
絞り装置90は、休止状態を維持するように構成された、弾性要素91、任意選択で、螺旋ばね、または板ばね、またはばね様要素を備えてもよい。弾性要素91は、変形可能な流路制限器42の外面に推力で作用し、変形可能な流路制限器42を押圧し、特に変形可能な流路制限器42の管路を押圧する。プレート92は、弾性要素91と変形可能な流路制限器42との間に接触して介在することができる。
【0281】
絞り装置90の弾性要素91は、休止状態において予荷重をかけられてもよく、その結果、休止状態では、絞り装置90は、変形可能な流路制限器42に閉鎖力を与えて、休止状態を維持する。任意選択で、弾性要素91の予荷重の大きさは、調整可能であってもよく、すなわち、オペレータによって手動で調整可能であってもよい。
【0282】
体外血液処理装置1
図1を参照すると、数字1は、先に説明した使い捨てセットを受容するように構成された、特に集中治療のための体外血液治療装置を全体的に指す。体外血液処理装置1は、例えば、血液透析、血液濾過、血液透析濾過、限外濾過などの処理のいずれかを行うように設計されている。
【0283】
図1による装置は、特に、持続的腎代替療法(CRRT)用に設計されている。CRRTシステムは、急性疾患状態に陥り、一時的に腎機能を完全に失った患者のために設計された非常に特異的な治療を行うように構成されている。この点において、CRRTシステムは、慢性患者ケア用に設計された体外血液処理システムとは構造的および/または操作的に異なっていてもよい。慢性患者とは対照的に、急性患者は、典型的には重度の損傷の同時発生状態に起因して、または手術からの回復中に、腎機能の完全な喪失を一時的に経験する。その結果、急性患者は極めて衰弱していることが多く、通常は定期的な透析治療を受けられる状態ではなく、それは状態をさらに悪化させ、重篤で、場合によっては生命を脅かす合併症をもたらす可能性がある。記載されるような状況下では、CRRTシステムは、特に患者の血液に関連するバイタルパラメータが理想的またはほぼ理想的な値から逸脱することなく、患者の身体にさらなるストレスを与えることなく、非常に悪い健康状態を呈する患者を個別に治療するように設計される。したがって、本文書の範囲内では、CRRTシステムは、以下の特徴のうちの1つ以上によって本質的に特徴付けられる。CRRTは、腎代替療法を含み、これは、利尿薬抵抗性または急性腎不全患者における、持続的な体液除去を促進することを最初の目的とした補助療法を意味する。したがって、CRRTシステムは、本質的に、患者から継続的に正味の流体除去を必要とする。言い換えれば、CRRTシステムは、(慢性患者ケアにおいて典型的に見られるような所望の目標重量減少を達成することを可能にするために単にパラメータを制御することとは対照的に)継続的な正味の重量減少率を生成するように構成された重量減少制御システムなどの流体平衡制御システムを必要とする。さらに、急性患者は、潜在的に重篤な結果(例えば、血液量減少性ショック、不整脈、低酸素血症、低換気など)を引き起こすことなく、短期間内(例えば、慢性治療の数時間以内)に安全に除去することができない血管外流体過剰を経験する。したがって、CRRTシステムは、体外循環する血液および(体外回路に注入されるか、または透析器を通して拡散される)処理流体の両方の必要とされる低流量が使用されることを確実にするために、システムパラメータ、特に流量に対するはるかに正確な制御を本質的に含まなければならない。さらに、CRRT処理は、継続的に(例えば、数日間または数週間、中断なしで/最小限の中断、例えば、バッグを交換するためのダウンタイムで)行われる。したがって、CRRTにおける治療設定は、特定の治療時間(急性患者は不明な時間の治療を必要とし得るので、不明であろう)に関連する設定ではなく、流量設定に基づくものである。したがって、CRRTシステムの動作は、達成されるべきいくつかの事前に定義された絶対的な重量減少に基づくことはできず、むしろ、患者における注意深く制御された流体バランスに基づくことものとなり、設定された重量減少率に基づいて、(事前には不明の)治療時間全体にわたって制御および維持されなければならない、多数の動作パラメータに対する継続的な調整を必要とする。さらに、CRRT腎代替療法は、腎機能を比較的長期間代替する治療を含み、したがって、CRRTシステムは、(血液から望ましくない物質を除去し、拡散によって血液に所望の物質を追加するための)透析器内の新鮮な透析液交換、および/または、(血液から望ましくない物質を除去し、対流によって血液に所望の物質を追加するための)限外濾過と組み合わせた新鮮な注入流体の少なくともいずれかをさらに必要とする。
【0284】
少なくとも上述の理由から、CRRTシステムは、システムが以下のことを可能にする特定の技術的特徴を示す必要がある。
【0285】
-重量減少率の設定を可能にする、
-設定された重量減量率に従って、過剰な水分を継続的に除去する、
-CRRTに適合する比較的低い流量で継続的に動作する、及び
-適切な透析を実行することによって、および/または制御された流量で継続的に供給される置換液によって、イオン平衡をバランスさせる。
【0286】
最後に、CRRT装置をできるだけ早くセットアップするために、CRRTマシンは、一体化された使い捨てセット100を使用して装備され、全てのラインおよび濾過ユニットは一緒にグループ化され、使い捨てセット内に既に適切に接続されている。さらに、全ての流体は、事前にパッケージングされたバッグ(例えば、それぞれ2、5または10リットルのバッグに入った透析流体または置換流体)または事前にパッケージングされたシリンジ(ヘパリンおよび/または濃縮カルシウム置換溶液)に含まれる。
【0287】
図1の装置1は、体外血液回路17を有し、これは、例えば、針もしくはカテーテル、または埋め込みポートもしくは他のアクセスデバイス(図示せず)を介して、患者の静脈もしくは動脈に導入された、患者Pから血液を取り込み、血液採取ライン6を介して、前記血液を、例えば、継続的に、濾過ユニット2に取り込む。
【0288】
血液は、濾過ユニット2の一次チャンバ3を通過し、血液戻りライン7を通って、処理された血液が患者に戻される。図1の例では、注入ライン51との接続は、血液採取ライン6上の血液収集ゾーンのすぐ下流に設けられている。特に、マシンは、例えば重炭酸塩、クエン酸塩またはクエン酸、置換液、生理食塩水、および局所抗凝固溶液のうちの1つを含む注入流体を含む注入物質源10を備える。注入ポンプ54、例えば蠕動ポンプを使用することによって、血液採取ライン6に直接接続して注入流体を血液に直接導入することによって、注入ライン51内の流体の流れを制御することが可能である。血液採取ライン6から濾過ユニット2に向かい、濾過ユニット2から血液戻りライン7を通って患者Pに向かう流体(血液)循環200の方向(装置の通常の使用中)を画定した後、さらに詳細には説明しないが、既知の血圧センサ48を注入ライン51のすぐ下流、すなわち注入ライン51と血液ポンプ21との間に配置することができる。この装置は、回路内の適当な血流Qbを制御および管理するための血液ポンプ21を備える。血液ポンプ21は、一般に、血液採取ライン(例えば、図1に示される)および/または血液戻りラインのいずれかに作用する蠕動ポンプである。オペレータは、ユーザインタフェース15を介して血流量Qbの設定値を入力してもよく、制御ユニット12は、治療中に、設定された血流量に基づいて血液ポンプを制御するように構成される。代替的に、血液ポンプ21は、ユーザ入力/指示を必要とせずに自動的に制御されてもよく、その場合、制御ユニット12は、予め定められた流量で、又は、(以下の説明から明らかなように)例えば、医療オペレータによって設定された他の流量および制約などの他のパラメータに基づいて計算された流量で、血液ポンプ21を制御してもよいことに留意されたい。さらに、または代替的に、血液ポンプは、圧力に基づいて制御されてもよい。血液ポンプ21が血液ポンプの上流で検出された圧力信号に基づいて制御される場合、圧力センサ48は、血液ポンプ21の上流の血流路に存在する。例えば、制御ユニット12は、圧力センサ48によって検出された圧力を、所定の範囲内に、または所定の閾値未満に維持するように、血液ポンプを駆動するように設計されてもよい。
【0289】
血液循環200の方向に続いて、装置がCO2を除去するようにも構成される場合、循環血液からCO2を除去する気体交換器46が血液回路に接続されてもよい。気体交換器46は、体外血液を受け取るために血液回路17と流体連通しており、血液からCO2を除去し、下流の地点で血液回路に血液を戻すことを可能にする。図1は、濾過ユニット2の上流に配置された気体交換器46を示すが、気体交換器は、血液戻りライン7上の濾過ユニットの下流に代替的に配置されてもよい。特に、CO2気体交換器46が、血液戻りライン7上の濾過ユニット2の下流に配置される場合、濾過ユニット内の気泡が血液凝固を引き起こす可能性があるため、血液採取ライン内の脱気の重要性が増す。上述のように、装置の通常の使用中の血液循環方向は、治療中の血液流量Qb方向も表す矢印200で図1に示されている。気体交換器46は、濾過ユニット2と直列に接続され、注入溶液は、体外血液に送達される注入点50の下流に配置される。気体交換器46は、ガス、特にCO2に対して透過性がある膜によって分離された血液チャンバと気体チャンバとを有し、気体交換器は、例えば加圧空気または酸素を受け取るために、病院内の医療用気体供給システムなどの気体源に接続され得る気体入口と、体外血液からCO2 を除去した排気ガスを排出するために気体チャンバと流体連通する気体出口とを備える。血液入口および血液出口は、体外血液回路17を気体交換器の血液チャンバと流体連通させる。治療のためにCO2 を除去が必要でなければ、気体交換器46は、透析器の一部でなくてもよいことは明らかである。
【0290】
次いで、血液回路内の正しい流れを制御するために、別の圧力センサ49が血液採取ライン6上に設けられてもよく、圧力センサ49は、血液ポンプ21と濾過ユニット2との間に介在される。
【0291】
濾過ユニット2の一次チャンバ3を通過した後、物質、分子、および流体の適切な交換が半透膜によって行われ、処理された血液は、血液戻りライン7に入り、血液中に存在する気泡の検出および除去を確実にするように設計された、一般に「気泡補足器(バブルトラップ)」として知られる空気分離器19を最初に通過する。空気分離器19から出る処理血液は、患者Pに戻される前に、気泡センサ55を通過し、患者の血液循環内に再導入されなければならない処理血液内に、前記危険な形成物が存在しないことを確認する。気泡センサ55のすぐ下流には、安全弁20(または静脈クランプ)が配置され、これは、警報が発生した場合に、患者に向かう血流を遮断してもよい。特に、気泡センサ55が血流中に空気の存在を検出した場合、マシンは安全弁20を介して患者へのいかなる影響も回避するように、血液の通過を直ちに遮断することができる。対応する安全弁27(または動脈クランプ)は、血液採取ライン上に存在し、必要に応じて体外血液回路から患者を完全に隔離するために、患者の血管アクセスを閉鎖する。安全弁20の下流では、処理された血液は、治療を受けている患者Pに戻される。図1の体外血液処理装置は、透析流体回路32を備え、それにはまた、濾過ユニット2に通じる透析供給ライン8と、濾過ユニットからの流出物(または透析液)ライン13とが少なくとも設けられる。透析液源14を画定する少なくとも1つの一次流体容器は、透析液回路32の供給ライン8を供給するように設計される(一般に、一次流体容器は、適切な透析液を含む1つ以上のバッグで構成される)。供給ライン8は、バッグからの透析液の流量Qdialを制御し、透析流体循環の方向200を画定するための、少なくとも透析流体ポンプ25(図1の実施形態では蠕動ポンプ)などの流体を搬送するためのアクチュエータを含む。透析流体ポンプ25から循環方向200の下流には、透析供給ライン8を吸入分岐57および注入分岐58に分割する分岐部56がある。特に、注入分岐58は、血液回路17の血液戻りライン7に接続される。言い換えれば、前記注入分岐58を介して、一次流体容器のコンテンツ(内容物)を使用して血液ライン17に直接的にポスト注入を得ることが可能である。逆に、吸入分岐57は、流体を直接濾過ユニット2に、特に前記ユニットの二次チャンバに運ぶ。透析流体回路32は、注入分岐58および吸入分岐57内の流体の流れの割合(パーセンテージ)を決定するためのセレクタ59をさらに備える。一般に、前記セレクタ59は、通常は分岐部56の近くに配置され、少なくとも、吸入分岐57内の流体の通過を可能にし、注入分岐58内の通過を遮断する第1の動作状態と、注入分岐58内の流体の通過を可能にし、救急分岐57内の通過を遮断する第2の動作状態との間に配置されてもよい。言い換えれば、前記セレクタ59は、いずれかの分岐における流体の通過を交互に遮断することによって、透析流体回路32上で動作する弁要素から構成されてもよい。代替的に、両方の分岐を同時に通過しなければならない液体の量を事前に確立(設定)することができる適切なセレクタが設けられてもよい。また、時間および予め確立された治療に応じて、いずれかの分岐における流体の割合(パーセンテージ)を変化させることも可能である。透析液は、吸入分岐57を通tって濾過ユニット2の二次チャンバ4に入る。特に、血流が通過する一次チャンバ3は、透析液が半透膜5を通過する二次チャンバ4から分離されており、主に対流及び拡散プロセスを介して血液から透析液に向かう危険な物質/分子及び流体の適切な通過を保証し、また、同じ原理を介して透析液から血液に向かう物質/分子の通過を保証する。次いで、透析流体は、流出物ライン13に入り、適切な流出物圧力センサ60を通過する。流体を運ぶためのアクチュエータ、例えば、流体回路32内の流出物ライン13内の流量Qeffを制御する透析液ポンプ26が提供される。また、前記ポンプは、一般に蠕動ポンプである。次いで、除去される流体は、血液検出器61を通過し、収集容器またはバッグ62内に運ばれる。
【0292】
血液回路17の血液戻りライン7に流体を供給するためのさらなる注入ライン51が設けられてもよい。特に、注入流体は、少なくとも補助容器64から採取され、流体を運ぶためのアクチュエータ(複数可)、一般に、その流量Qrep-総置換流量を制御する注入ポンプ65(例えば、蠕動ポンプ)を介して、血液回路17の血液戻りライン7に直接的に送られる。特に、注入液は、空気分離器19に直接導入されてもよい。また、推測することができるように、透析流体回路32の注入分岐58および注入ライン63は、流体を血液回路17に流入させる共通の端部長さ66を備える。前記吸入端部長さ66は、注入流体の方向に関して注入流体ポンプ65の下流に配置され、流体を空気分離器19内に直接運ぶ。さらに、図1の図を参照すると、注入ライン63は、血液回路17の血液採取ライン6に接続された少なくとも1つのプレ注入分岐67を備える。さらに詳細には、注入の方向に関して注入ポンプ65の下流には、注入ライン63をプレ注入分岐67およびポスト注入分岐69に分割する注入分岐部68がある。特に、プレ注入分岐67は、バッグ64から取り出された流体を、血液循環の方向に関して血液ポンプ21の下流および気体交換器46の下流にある血液回路17の血液採取ライン6に運ぶ。逆に、ポスト注入分岐69は、共通の端部長さ66に直接接続される。注入ライン63は、ポスト注入分岐69およびプレ注入分岐67に送られる液体流の割合(パーセンテージ)を決定するためのセレクタ70をさらに備える。分岐68の近くに配置されたセレクタ70は、プレ注入分岐67内の流体の通過を可能にし、ポスト注入分岐69内の通路を遮断する少なくとも第1の動作状態と、ポスト注入分岐69内の流体の通過を可能にし、プレ注入分岐67内の通過を遮断する少なくとも第2の動作状態との間で切り替えられてもよい。明らかに、透析流体回路32上に存在するセレクタ59の場合のように、他のセレクタ70もまた、2つの分岐の各々において通過しなければならない流体の割合(パーセンテージ)を決定して、計画された治療に従って時間的に変化させることができる。さらに、セレクタ59および他のセレクタ70は、必ずしもそうではないが、一般に、同じ性質のものである。特に、プレ注入分岐/ライン67を通る流量は、注入ポンプ65および他のセレクタ70の適切な制御によって決定されてもよい。制御ユニット12は、置換流体の流れのプレ注入比率PRE(0と1との間の値)を受け取り、プレ注入比率PREおよび総置換流量Qrepに基づいてプレ注入流量Qrep.preを決定してもよい。特にQrep.pre =PRE・Qrepである。あるいは、ポスト注入比率を対称的に使用してもよいし、注入前と注入後との間の比率も同様に使用してもよい(R=Qre.pre /Qrep.post)。
【0293】
装置は、一次(主)流体容器14及び/又は補助流体容器64及び/又は注入物質源10及び/又は収集容器62の少なくとも重量を決定するためのスケール71を備えてもよい。特に、前記スケール71は、重量センサ、例えば、それぞれのスケールA、B、C、DおよびE(例えば、マシンに関連する各流体バッグに対する少なくとも独立したセンサ)を備える。特に、前記スケールは少なくとも4つあり、それぞれが互いに独立しており、それぞれがバッグのそれぞれの重量を測定する。次に、血液回路17上で(少なくとも)アクティブであり、特に圧力値を読み取るための圧力センサ48上で、血液ポンプ21上で、気体交換器46上で、他の圧力センサ49上で、および気泡の存在を検出するための装置55上で、およびそれぞれの安全弁20、27上でアクティブである、制御ユニットまたはCPU 12が存在することが留意されるべきである。制御ユニット12はまた、透析流体回路32を制御しなければならず、特に、スケールA、B、C、D、および(場合によっては)Eによって検出されたデータ、及び、バッグ14の重量に関するデータが入力されなければならず、ポンプ25、セレクタ59、圧力センサ60、次いで透析液ポンプ26に作用し、最終的に、収集容器62の重量を決定する機能を有するスケールAによって検出されたデータを受信しなければならない。制御ユニット12はまた、注入ライン63に作用して補助容器64の重量をチェックし(スケールCによってチェックされる)、注入ポンプ54 65および他のセレクタ70の両方を制御することができる。制御ユニット12はまた、注入ライン51に作用して、スケールBを介して注入物質源10の重量を検出し、以下に詳述され説明されるように実行される処理に従って、注入ポンプ54を適切に制御する。
【0294】
しかしながら、図1の装置は、血液ポンプ21の下流にヘパリンを注入するためのシリンジポンプ9などの全身抗凝固システムを代替的に(または追加的に)備えてもよい。
【0295】
制御ユニット12はまた、メモリ及びユーザインタフェース、例えば、オペレータの入力を受け取り、装置の出力を表示するグラフィックユーザインタフェースに接続される。例えば、グラフィックユーザインタフェースは、ユーザの入力を入力するためのタッチスクリーン、ディスプレイスクリーン及び/又はハードキー、又はそれらの組み合わせを含むことができる。
【0296】
また、制御ユニット12は、血液ポンプ21に接続されており、血液ポンプ21を制御して、血液採取ライン6内の血液流量を決定するように構成される。体外血液処理の動作状態中、制御ユニットは、血液ポンプ21が50ml/分~600ml/分、特に100ml/分~350ml/分、より特に200ml/分~300ml/分の間に含まれる流量に設定される処理条件を画定するように構成される。もちろん、血液流量は、医師によって設定され、血管アクセス、患者の状態、および治療のタイプを含む様々な要因に応じて変化し得る。
【0297】
いずれの場合も、患者の治療中、血液ポンプ21によって係合される血液ポンプ路6pの上流の血液採取ライン6内でアクセス陰圧が経験される。
【0298】
一方、注入ポンプ54は、注入ポンプ54を選択的に制御して、注入ライン51内を流れるように注入流体を促進し、注入ライン6内に注入流体を送達するように構成される制御ユニット12に動作可能に接続される。制御ユニット12は、注入流体ポンプ54を制御して、注入流体の流量を典型的には200ml/h~4000ml/h、特に500ml/h~2000ml/h、より特には1000ml/hに略近く、1600ml/h未満の流量に設定するように構成されてもよい。また、この点に関して、治療のタイプ、注入流体バッグの内容物、および他の条件は、設定された注入速度を決定するが、これは通常、上述の範囲内に設定される。
【0299】
制御ユニットはまた、注入流体ポンプ54を停止させて、注入流体の送出を停止させるように構成されてもよい。
【0300】
使い捨てセットが一方向弁46を備える実施形態によれば、制御ユニットは、第1の状態および第2の状態を画定するように構成され得る。
【0301】
第1の状態では、注入流体ポンプ54は、血液採取ライン6に向かう注入流体の流れを生成するように作動し、血液ポンプ21は、使い捨てセットの血液回路内の血流を決定するように作動する。第1の状態では、一方向弁の差圧は、一方向弁46の予め設定された開放圧力閾値よりも高い。この圧力差により、一方向弁46は開放位置に切り替わるか、または開放位置を維持し、それによって、注入流体が血液採取ライン6内に送達されることを可能にする。別の言い方をすれば、注入ポンプ54は、過圧を生成し、それが血圧によって引き起こされる低圧と組み合わされて、一方向弁46の開口を決定する。
【0302】
第2の状態では、注入流体ポンプ54は、血液採取ライン6への注入流体の注入を防止するために停止され、一方、血液ポンプは作動している。第2の状態では、一方向弁46が閉鎖し、注入ライン51が血液ラインと流体連通することを防止する。アクセス陰圧は、注入ライン51内に延在することが防止され、それによって、注入流体の脱気を回避する。
【0303】
注入ポンプ54は、一方向弁46、75または変形可能な流路制限器42のいずれかを開くために、所定の閾値よりも大きいヘッド圧力を生成するように構成されてもよい。特に、注入ポンプ54は、血液回路17において注入流体の注入が要求されたときに、0.05バールまたは0.1バールよりも大きく、任意選択で0.2バールまたは0.3バールよりも大きいヘッド圧力を生成するように構成されてもよい。特に、このヘッド圧力は、大気圧に対する相対圧力として表される。したがって、相対圧力として表される0.05バールのヘッド圧力は、1.05バールの絶対圧力に略対応する。
【0304】
注入ポンプ54は、閉塞ポンプまたは容積式ポンプ、例えば蠕動ポンプを備えてもよい。
【0305】
図7は、体外血液処理、例えば透析処理用の使い捨てセット100が、体外膜酸素化ECMO回路300に接続される、これが患者に接続するように構成されている実施形態を示している。言い換えれば、ECMO回路300は、使い捨てセット100と患者の血管アクセスとの間に流体的に介在される。
【0306】
ECMO回路は、さらなる体外血流循環を示すために、非常に概略的にのみ表される。明らかに、ECMO回路は、適切に動作するために必要なすべてのラインおよび構成要素を含む。ECMO回路の詳細な実施形態についてのさらなる詳細は提供されていない。いずれにせよ、当業者は、ECMO回路の主要な特徴および関連する主要な要素/デバイスを、さらなる説明なしに知っている。特に、ECMO回路は、それ自体は本発明の一部ではなく、使い捨てセット100を患者に直接接続する代わりに、本発明の使い捨てセット100が連結されてもよい追加の回路である。実際に、血液酸素化および透析治療が適切であるとき、図7に提案されるレイアウトが、患者への複数の血液アクセスを回避するために実装され得る。
【0307】
明らかに、体外血液回路100のECMO装置への任意の適切な接続が使用され得る。血液採取ライン6および/または血液戻りライン7は、陽圧または陰圧が生じるECMO装置のそれぞれの血液ラインに接続されてもよい。以下に、可能な接続の2つの例を簡単に説明する。しかしながら、ここで関連することは、(i)体外血液回路100は患者アクセスに直接接続されなくてもよく、(ii)血液採取ライン6および血液戻りライン7のうちのいずれか1つは、陰圧レジメンを経験し得、したがって、対応する圧力ダンパは、接合点において血液中に陰圧が存在する血液回路に注入する任意の注入ラインの接合点において有用に適用され得ることである。
【0308】
図7の実施形態によれば、使い捨てセット100の血液採取ライン6は、ECMO回路の血液ポンプ321の下流でECMO回路300に接続され、使い捨てセット100の血液戻りライン7は、ECMO回路の血液ポンプ321の上流でECMO回路300に接続される。この場合、使い捨てラインの血液採取ライン6は陽圧を経験する。したがって、使い捨てセット100内の血液採取ライン6と注入ライン51との間の交差部の圧力は、注入流体の脱気を防止する。しかしながら、血液戻りライン7は、陰圧レジメンを経験し得る。この場合、ポスト注入ライン69の第1の端部に近接して又は第1の端部に配置された圧力ダンパの使用は、ポスト注入ライン自体の脱気を防止するために使用されてもよい。圧力ダンパは、陰圧が圧力ダンパの上流のポスト注入ライン69内に延在するのを防止するか、またはその量を低減するように構成される。前のセクションで既に論じた圧力ダンパの同じ実施形態を、ここで使用することができる。
【0309】
添付の図に示されていない第2のECMO実施形態では、使い捨てセット100の血液採取ライン6は、ECMO回路の血液ポンプ321の上流でECMO回路300に接続されてもよく、一方、使い捨てセット100の血液戻りライン7は、ECMO回路の血液ポンプ321の下流でECMO回路300に接続されてもよい。この場合、使い捨てセット100内の血液採取ライン6と注入ライン51との間の流体アクセス48における圧力は、負であってもよい。したがって、注入ライン51内の注入流体は、流体の脱気を引き起こす可能性がある低圧にさらされる可能性がある。したがって、本発明による使い捨てセットは、注入ライン51を有する血液ラインがECMO回路の血液ポンプ321の上流でECMO回路に接続されるとき、ECMO回路に接続されたときに、流体ライン51における流体の脱気を回避することを可能にし得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図9
図9A
図9A--】
図9B
図10
図10A
図10A--】
図10B
図11
図11A
図11A--】
図11B
図12
図12A
図12A--】
図12B
図13
図13A
図13B
図14
図14A
図14B
【手続補正書】
【提出日】2024-08-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
体外血液処理装置(1)用の使い捨てセットであって、前記使い捨てセット(100)は、
-濾過ユニット(2)と、
-血液回路(17)であって、
○前記濾過ユニット(2)に接続された第1の端部(6a)と、第2の端部(6b)との間に延在する血液採取ライン(6)と、
○前記濾過ユニット(2)に接続された第1の端部(7a)と、第2の端部(7b)との間に延在する血液戻りライン(7)と、
を備える血液回路(17)と、
記血液採取ライン(6)は、血流を決定するように構成された前記体外血液処理装置(1)の血液ポンプ(21)によって係合されるように構成された血液ポンプ路(6p)を含み、ここで、少なくとも動作状態の間、アクセス陰圧が前記血液ポンプ路(6p)の上流で経験され、前記血液回路(17)内の前記血流は、前記血液採取ライン(6)から前記濾過ユニット(2)に向かい、前記濾過ユニット(2)から前記血液戻りライン(7)を通る方向にあり、
前記血液ポンプ路(6p)の上流で、流体アクセスにおいて前記血液採取ライン(6)に接続された第1の端部(51a)と、注入物質源(10)に接続するための第2の端部(51b)との間に延在する注入ライン(51)であって、前記血液ポンプ路(6p)は、前記濾過ユニット(2)と、前記注入ライン(51)の前記第1の端部との間に介在される、注入ライン(51)と、を備え、
前記使い捨てセットは、前記注入ライン(51)の前記第1の端部に近接して、または前記第1の端部に配置された圧力ダンパ(40)をさらに備え、前記圧力ダンパ(40)は、前記アクセス陰圧が前記圧力ダンパ(40)の上流の前記注入ライン(51)内に及ぶことを阻止する、またはその量を低減するように構成される、使い捨てセット。
【請求項2】
前記圧力ダンパ(40)は、前記注入ライン(51)から前記採取ライン(17)へ向けられた注入方向のみに流体通過を可能にするように構成された一方向弁(46)を備え、前記流体通過が前記注入方向に許容される開放位置と、前記流体通過が両方向に阻止される閉鎖位置との間で移動するように構成され
前記一方向弁(46)は、前記閉鎖位置と前記開放位置との間を切り換えるために開放圧力閾値に予め設定され、その逆もまた同様であり、その結果、
○前記一方向弁(46)の上流セクションと下流セクションとの間の差圧が、前記開放圧力閾値以上である場合、前記一方向弁(46)は、前記開放位置に切り替わるか、または前記開放位置を維持するように構成され、
○前記差圧が前記開放圧力閾値よりも小さい場合、前記一方向弁(46)は、前記閉鎖位置に切り替わるか、または前記閉鎖位置を維持するように構成される、請求項1に記載の使い捨てセット。
【請求項3】
前記差圧は、前記注入方向に従って前記一方向弁(46)の上流の高圧ゾーンと、前記一方向弁(46)の下流の低圧ゾーンとの間で画定され、前記高圧は前記低圧よりも高く、前記一方向弁(46)は、何れの状態においても前記採取ライン(6)から前記注入ライン(51)への方向の流体通過を阻止する、請求項2に記載の使い捨てセット。
【請求項4】
前記一方向弁(46)は、前記開放位置と前記閉鎖位置との間で移動可能な内部ダイアフラム(46a)を備え、前記内部ダイアフラム(46a)は前記閉鎖位置において予荷重されており、前記予荷重は前記予め設定された開放圧力閾値を画定する、請求項2に記載の使い捨てセット。
【請求項5】
前記一方向弁(46)は、内部容積(76a)を画定する筐体(76)を備えるダックビル弁(75)であり、前記筐体(76)は、
-前記注入ライン(51)の上流路に接続された入口コネクタ(75a)と、
-前記注入ライン(51)の下流路に接続された出口コネクタ(75b)と、
-前記筐体(76)の前記内部容積(76a)内に配置され、前記注入流体が前記入口コネクタ(75a)から前記出口コネクタ(75b)へ流れることを可能にし、流体が前記出口コネクタ(75b)から前記入口コネクタ(75a)に逆流することを阻止するように構成されたダックビル構成要素(77)と、を備え、前記ダックビル構成要素(77)は、可撓性および/または弾性材料から構成される、請求項に記載の使い捨てセット。
【請求項6】
前記ダックビル弁(75)の前記ダックビル構成要素(77)は、前記流体のための通路幅広セクション(77a)と通路閉鎖セクション(77b)との間に延在するテーパ形状を有し、
前記ダックビル弁(75)は、前記注入流体が前記入口コネクタ(75a)から、前記通路幅広セクション(77a)内に、次いで、前記ダックビル構成要素(77)の前記通路閉鎖セクション(77b)を通り、その後、前記ダックビル弁(75)の前記出口コネクタ(75b)を通って、順次流れることを可能にするように構成され、
前記通路幅広セクション(77a)は、流体密に、前記内部容積(76a)の内側の前記入口コネクタ(75a)の出口に接続される、請求項に記載の使い捨てセット。
【請求項7】
前記通路閉鎖セクション(77b)は、前記筐体(76)の前記内部容積(76a)内に開口し、前記通路閉鎖セクション(77b)は、前記出口コネクタ(75b)に接続されず、
前記通路閉鎖セクション(77b)は、前記ダックビル弁(75)の前記筐体(76)の前記内部容積(76a)内で片持ちされる、請求項に記載の使い捨てセット。
【請求項8】
前記通路閉鎖セクション(77b)は、変形可能スリットを備え、前記変形可能スリットは、
-前記ダックビル構成要素(77)の前記通路閉鎖セクション(77b)が、前記注入流体が前記入口コネクタ(75a)から前記出口コネクタ(75b)に向かって流れることを可能にする開放状態であって、前記スリットの前記開放状態が前記一方向弁の前記開放位置を画定する、開放状態と、
-前記ダックビル構成要素(77)の前記通路閉鎖セクション(77b)が閉鎖される閉鎖状態であって、流体が前記ダックビル構成要素(77)を通って流れるのを阻止し、前記スリットの前記閉鎖状態が前記一方向弁の前記閉鎖位置を画定する、閉鎖状態と、
の間で変形可能である、請求項又はに記載の使い捨てセット。
【請求項9】
記一方向弁(46)の前記予め設定された開放圧力閾値は、160mmHgよりも高い、請求項乃至の何れか1項に記載の使い捨てセット。
【請求項10】
前記一方向弁(46)の前記予め設定された開放圧力閾値は、160~500mmHgの間、又は190~450mmHgの間、又は200~400mmHgの間、又は240~350mmHgの間に含まれる差圧値に対応する、請求項2乃至9の何れか1項に記載の使い捨てセット。
【請求項11】
前記一方向弁(46)の前記予め設定された開放圧力閾値は、前記体外血液処理装置(1)の標準的な作動状態中に前記流体アクセスにおいて許容される最大陰圧の+/-100mmHg以内に設定される、請求項乃至10の何れか1項に記載の使い捨てセット。
【請求項12】
前記一方向弁(46)は、前記注入ライン(51)の前記第1の端部から6cm以下距離で前記注入ライン(51)上に配置される、請求項乃至11の何れか1項に記載の使い捨てセット。
【請求項13】
前記圧力ダンパ(40)は、弾性材料で構成された変形可能な流路制限器(42)を備え、前記変形可能な流路制限器(42)は、
-休止状態において、前記変形可能な流路制限器(42)は、流体の流れを阻止するために略閉鎖されるか、または、1mm 未満のサイズを有する前記注入流体用のダンパ通路断面を画定する、ダンパ管腔(44)を有し、
-注入状態において、前記変形可能な流路制限器(42)の内側の管腔圧力が所定の閾値を上回る場合に、前記変形可能な流路制限器(42)の前記ダンパ管腔(44)は、前記注入流体の通過を可能にするために開くように構成される、
ように構成可能である、請求項1乃至12の何れか1項に記載の使い捨てセット。
【請求項14】
前記ダンパ管腔を開くための前記所定の閾値は、大気圧の1.02倍、又は大気圧の1.05倍、又は大気圧の1.1倍、又は大気圧の1.2倍よりも大きいか、0.05Bar又は0.1Bar又は0.2Bar又は0.3Barよりも大きい、請求項13に記載の使い捨てセット。
【請求項15】
前記変形可能な流路制限器(42)の前記ダンパ管腔(44)は、5mm~100mm、に含まれる長さだけ、流れ方向に延在し、前記変形可能な流路制限器(42)は、前記休止状態において、ラインと点との間の断面形状を有する折り畳まれたダンパ管腔(44)を有し、前記変形可能な流路制限器(42)は、前記注入ライン(51)の管路であり、前記変形可能な流路制限器(42)の前記管路は平坦な形状を有し、前記管路は、楕円形の形状の外形を有する流体方向に直交する断面を有する、請求項13又は14に記載の使い捨てセット。
【請求項16】
前記変形可能な流路制限器(42)は、前記注入ライン(51)の管路であり、
-前記変形可能な流路制限器(42)の管壁は、前記変形可能な流路制限器(42)の上流に配置された前記注入ライン(51)の上流管壁の厚さに略等しい厚さを有し、または、
-前記変形可能な流路制限器(42)の管壁は、前記変形可能な流路制限器(42)のすぐ上流に位置する前記注入ラインの上流管壁の厚さよりも大きい厚さを有する、請求項13乃至15の何れか1項に記載の使い捨てセット。
【請求項17】
少なくとも前記休止状態において、前記変形可能な流路制限器(42)の上流の前記注入ライン(51)の管路の管腔は、前記変形可能な流路制限器(42)の前記ダンパ管腔(44)に向かってサイズが徐々に縮小し、狭窄管腔セクション(43)を画定する、請求項13乃至16の何れか1項に記載の使い捨てセット。
【請求項18】
前記圧力ダンパ(40)は、前記変形可能な流路制限器(42)の管路上に推力で動作する絞り装置(90)を備え、前記絞り装置(90)は、
-前記休止状態において前記ダンパ管腔(44)を閉じた状態に保つための閉鎖力寄与を提供し、
-前記圧力ダンパの上流の前記注入ライン内の圧力が所定の閾値を超えたときに、前記変形可能な流路制限器(42)が前記注入状態に切り替わることを可能にする、
ように構成される、請求項13乃至17の何れか1項に記載の使い捨てセット。
【請求項19】
前記絞り装置(90)は、前記変形可能な流路制限器(42)の周囲に配置され、前記変形可能な流路制限器(42)の外面に対して圧縮作用する、請求項18に記載の使い捨てセット。
【請求項20】
前記絞り装置(90)は、前記変形可能な流路制限器(42)の前記外面に推力で作用する弾性要素(91)を備え、
前記絞り装置(90)の前記弾性要素(91)は、前記休止状態で予荷重される、請求項18又は19に記載の使い捨てセット。
【請求項21】
前記絞り装置(90)は、1cm~5cmの間の長さに沿って、前記変形可能な流路制限器(42)の前記外面に推力で作用する1つ以上のプレート(92)を備える、請求項18乃至20の何れか1項に記載の使い捨てセット。
【請求項22】
前記圧力ダンパ(40)は、流路制限器(41)を備え、
○前記流路制限器(41)は、前記注入流体が通過することを可能にするように構成されたダンパ通路断面を有し、
○前記注入ライン(51)は、前記注入流体が通過することを可能にするように構成された、それぞれの流体通路断面を有し、
前記ダンパ通路断面は、30mm~200mmの間に含まれる長さだけ延在し、0.3mm~0.6mmの間に含まれる直径を有し、前記流体通路断面よりも少なくとも50%小さい、請求項1乃至12の何れか1項に記載の使い捨てセット。
【請求項23】
前記ダンパ通路断面0.5mmに等しい直径を有、前記ダンパ通路は、145mm ±15mmに等しい長さだけ延在し、又は、
-前記ダンパ通路断面0.4mmと等しい直径を有、前記ダンパ通路は、60mm ±10mmと等しい長さだけ延在し、
前記直径は、前記長さにわたって一定である、請求項22に記載の使い捨てセット。
【請求項24】
前記流路制限器(41)は、前記ダンパ通路断面を画定する隔壁を備え、
前記隔壁の前記ダンパ通路断面は、
-1mm~30mmの間に含まれる流路長さだけ、前記注入ライン(51)の前記流体の流れ方向に沿って、且つ、
-0.2mm~3mmの直径で半径方向に、
軸方向に延在し、
記ダンパ通路断面は、前記流路長さに沿って一定である、請求項22又は23に記載の使い捨てセット。
【請求項25】
前記注入ライン(51)は、前記注入ライン(51)の前記第1の端部と前記第2の端部との間に介在されたそれぞれの注入ポンプ路(51p)を備え、前記注入ライン(51)の前記注入ポンプ路は、少なくとも動作状態中に、前記注入流体が前記注入ライン(51)の前記第1の端部に向かい且つ前記血液採取ライン(6)に向かう方向に流れることを可能にするために前記注入ポンプ路の下流の陽圧を決定するように構成された注入蠕動ポンプによって係合されるように構成され、
前記圧力ダンパ(40)は、前記注入ポンプ路(51p)と前記血液回路(17)との間の前記注入ライン(51)上に配置される、請求項1乃至24の何れか1項に記載の使い捨てセット。
【請求項26】
体外血液処理装置(1)用の使い捨てセットであって、前記使い捨てセット(100)は、
-濾過ユニット(2)と、
-血液回路(17)であって、
○前記濾過ユニット(2)に接続された第1の端部(6a)と、第2の端部(6b)との間に延在する血液採取ライン(6)と、
○前記濾過ユニット(2)に接続された第1の端部(7a)と、第2の端部(7b)との間に延在する血液採取ライン(7)と、を備える血液回路(17)と、
血液採取ライン(6)は、血流を決定するように構成されている前記体外血液処理装置(1)の血液ポンプ(21)に係合されるように構成された血液ポンプ路(6p)を含み、少なくとも動作状態の間、戻り陰圧が前記濾過ユニット(2)の下流で経験され、前記血液回路(17)内の前記血流は、前記血液採取ライン(6)から前記濾過ユニット(2)に向かい、前記濾過ユニット(2)から前記血液戻りライン(7)を通る方向であり、
前記血液ポンプ路(6p)の下流の流体アクセスにおいて前記血液戻りライン(7)に接続された第1の端部と、注入物質源(64)に接続するための第2の端部(63)との間に延在するポスト注入ライン(69)と、を備え、
前記使い捨てセットは、前記ポスト注入ライン(69)の前記第1の端部に近接して、または前記第1の端部に配置された圧力ダンパ(40)をさらに備え、前記圧力ダンパ(40)は、戻り陰圧が前記圧力ダンパ(40)の上流の前記ポスト注入ライン(69)内に延在することを阻止する、またはその量を低減するように構成され、前記圧力ダンパ(40)は、前記注入ライン(51)から前記戻りライン(17)へ向けられた注入方向のみに流体通過を可能にするように構成された一方向弁(46)を備え、前記流体通過が前記注入方向に許容される開放位置と、前記流体通過が両方向に阻止される閉鎖位置との間で移動するように構成され、
前記一方向弁(46)は、前記閉鎖位置と前記開放位置との間を切り換えるために開放圧力閾値に予め設定され、その逆もまた同様であり、その結果、
○前記一方向弁(46)の上流セクションと下流セクションとの間の差圧が、前記開放圧力閾値以上である場合、前記一方向弁(46)は、前記開放位置に切り替わるか、または前記開放位置を維持するように構成され、
○前記差圧が前記開放圧力閾値よりも小さい場合、前記一方向弁(46)は、前記閉鎖位置に切り替わるか、または前記閉鎖位置を維持するように構成される、使い捨てセット。
【請求項27】
前記一方向弁(46)の前記予め設定された開放圧力閾値は、160mmHgよりも高い差圧値に対応し、前記一方向弁(46)は、前記ポスト注入ライン(69)の前記第1の端部から6cm以下の距離で前記ポスト注入ライン(69)上に配置される、請求項26に記載の使い捨てセット。
【請求項28】
前記血液採取ライン(6)の前記第2の端部(6b)及び前記血液戻りラインの前記第2の端部(7b)は、体外膜酸素化(ECMO)回路(300)のさらなる体外血液回路の血液ダクト(306、307)に接続される、請求項26又は27に記載の使い捨てセット。
【請求項29】
アセンブリであって、
-体外血液処理装置用の使い捨てセットであって、前記使い捨てセットは、
○濾過ユニット(2)と、
○前記濾過ユニット(2)に接続された第1の端部と、第2の端部との間に延在する血液採取ライン(6)と、前記濾過ユニット(2)に接続された第1の端部と、第2の端部との間に延在する血液採取ライン(7)と、を備える血液回路(17)と、
前記血液回路(17)は、血流を生成するように構成されている前記体外血液処理装置の血液ポンプ(21)に係合されるように構成されたポンプ路を含み、少なくとも動作状態の間、アクセス陰圧が前記ポンプ路の上流に存在し、前記血液回路(17)内の前記血流は、前記血液採取ライン(6)から前記濾過ユニット(2)に向かい、前記濾過ユニット(2)から前記血液戻りライン(7)を通る方向であり、
○前記血液ポンプ路(6p)の上流の流体アクセスにおいて前記血液回路(17)に接続された第1の端部と、注入物質源(10)に接続するための第2の端部との間に延在する注入ライン(51)であって、前記血液ポンプ路(6p)は、前記血液戻りライン(7)の前記第2の端部(7b)と、前記注入ライン(51)の前記第1の端部との間に介在される、注入ライン(51)と、
を備える、使い捨てセットと、
-前記注入ライン(51)の一部に係合し、その内部管腔を、閉鎖することなく、縮小するクランプ(80)であって、前記クランプは、
○前記注入ライン(51)の一部を受容するように構成され、前記注入ライン(51)の所定の管腔縮小を決定するために固定されたサイズを有するクランプシートを備える携帯型クランプ(81)、
○前記注入ライン(51)の一部を受容するように構成され、前記注入ライン(51)の前記管腔縮小を変化させるための調節器を有するクランプシートを含む可変クランプ、
のうちの少なくとも1つを備える、クランプ(80)と、を備え、
前記クランプが前記注入ライン上でアクティブではない状態において、前記注入ライン(51)は、前記注入流体が通過することを可能にするように構成された、それぞれの流体通路断面を有し、
前記クランプが前記注入ライン上で係合され、且つその内部管腔を縮小するようにアクティブである状態において、前記注入ライン(51)は、前記注入流体が通過することを可能にするように構成されたダンパ通路断面を有し、
記ダンパ通路断面は、前記流体通路断面よりも50%小さ、アセンブリ。
【請求項30】
体外血液処理装置であって、
-請求項1乃至28の何れか1項に記載の使い捨てセット、または請求項29に記載のアセンブリと、
-前記血液採取ライン(6)の前記血液ポンプ路(6p)と協働する血液ポンプと、
-前記注入ライン(51)の注入ポンプ路(51p)と協働する注入ポンプ(54)であって、前記注入ポンプ(54)は、前記注入物質源(10)の下流の前記注入ライン(51)の前記第2の端部と前記圧力ダンパ(40)の上流との間に配置される、注入ポンプ(54)と、
-前記血液ポンプ(21)及び前記注入ポンプ(54)に動作可能に接続された制御ユニット(12)であって、前記制御ユニット(12)は、前記血液ポンプ(21)及び前記注入ポンプ(54)を、対応する血液流量および注入流量で制御するように構成される、制御ユニット(12)と、を備え、
記制御ユニットは、処理状態を画定するように構成され、
-前記血液流量は、50ml/分~600ml/分の間に含まれ
-前記注入流量は、200ml/h~4000ml/hの間に含まれる、体外血液処理装置。
【請求項31】
前記圧力ダンパ(40)は、一方向弁(46)を備え、
前記制御ユニットは、
-前記注入ポンプ(54)が流体の流れを決定するためにアクティブであり、前記注入ポンプの下流に注入陽圧が存在し、前記血液ポンプが血流を決定するためにアクティブであり、アクセス陰圧が前記血液ポンプの上流に存在する、第1の状態と、
ここで、前記注入陽圧と前記アクセス陰圧との間の圧力差は、前記注入流体が前記血液採取ライン(6)に入ることを可能にするために、前記一方向弁(46)の前記予め設定された開放圧力閾値よりも高く、
-前記注入ポンプ(54)が注入流体の血液採取ライン(6)への注入を阻止するために停止され、前記血液ポンプ(21)が前記血液回路内の血流を決定するためにアクティブである、第2の状態であって、前記第2の状態では、前記注入ライン(51)内の圧力と、前記アクセス陰圧との間の差が前記一方向弁(46)の前記予め設定された開放圧力閾値よりも低いので、前記一方向弁(46)は閉鎖され、前記アクセス陰圧が前記注入ライン(51)内に及ぶことを阻止する、第2の状態と、
を画定するように構成され
前記注入ポンプ(54)は、前記一方向弁(46;75)または変形可能な流路制限器(42)のいずれかを開くために、所定の閾値よりも大きいヘッド圧力を生成するように構成され、
前記注入ポンプ(54)は、0.2バールまたは0.3バールよりも大きいヘッド圧力を生成するように構成される、請求項30に記載の体外血液処理装置。
【国際調査報告】