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特表2024-546769標的複合体の調製のための親水性テトラジン機能化ペイロード
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  • 特表-標的複合体の調製のための親水性テトラジン機能化ペイロード 図1
  • 特表-標的複合体の調製のための親水性テトラジン機能化ペイロード 図2A
  • 特表-標的複合体の調製のための親水性テトラジン機能化ペイロード 図2B
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  • 特表-標的複合体の調製のための親水性テトラジン機能化ペイロード 図3B
  • 特表-標的複合体の調製のための親水性テトラジン機能化ペイロード 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】標的複合体の調製のための親水性テトラジン機能化ペイロード
(51)【国際特許分類】
   C07F 9/6524 20060101AFI20241219BHJP
   A61K 47/68 20170101ALI20241219BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20241219BHJP
   A61K 47/64 20170101ALI20241219BHJP
   A61K 47/55 20170101ALI20241219BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20241219BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20241219BHJP
   C07K 5/06 20060101ALI20241219BHJP
   C07K 5/08 20060101ALI20241219BHJP
   C07K 5/10 20060101ALI20241219BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20241219BHJP
   C12N 15/11 20060101ALI20241219BHJP
   C07F 9/6561 20060101ALI20241219BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20241219BHJP
【FI】
C07F9/6524 CSP
A61K47/68
A61K39/395 C
A61K39/395 D
A61K39/395 L
A61K39/395 M
A61K39/395 N
A61K39/395 Y
A61K47/64
A61K47/55
A61P35/00
A61K45/00
A61K39/395 E
A61K39/395 T
C07K5/06
C07K5/08
C07K5/10
C07K19/00
C12N15/11 Z
C07F9/6561 Z
C07B61/00 300
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024534520
(86)(22)【出願日】2022-12-08
(85)【翻訳文提出日】2024-08-07
(86)【国際出願番号】 EP2022084914
(87)【国際公開番号】W WO2023104941
(87)【国際公開日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】21213081.9
(32)【優先日】2021-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】301076083
【氏名又は名称】ヨーロピアン モレキュラー バイオロジー ラボラトリー
【氏名又は名称原語表記】European Molecular Biology Laboratory
(71)【出願人】
【識別番号】524082524
【氏名又は名称】ヴェラクサ バイオテック ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100124648
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 和夫
(74)【代理人】
【識別番号】100154450
【弁理士】
【氏名又は名称】吉岡 亜紀子
(72)【発明者】
【氏名】レムケ,エドワード,エー
(72)【発明者】
【氏名】シュルツ,カーステン
(72)【発明者】
【氏名】ケーラー,クリスティーヌ
(72)【発明者】
【氏名】ザウター,パウル,フェリクス
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C085
4H039
4H045
4H050
【Fターム(参考)】
4C076AA95
4C076BB01
4C076BB11
4C076BB13
4C076BB15
4C076BB16
4C076BB21
4C076BB24
4C076BB25
4C076BB29
4C076CC27
4C076CC41
4C076EE41
4C076EE59
4C076FF31
4C076FF68
4C084AA17
4C084MA05
4C084MA52
4C084MA55
4C084MA56
4C084MA58
4C084MA59
4C084MA60
4C084MA65
4C084MA66
4C084NA10
4C084NA13
4C084ZB261
4C085AA13
4C085AA14
4C085CC22
4C085CC23
4C085DD62
4C085EE01
4C085EE05
4C085GG01
4C085GG02
4C085GG03
4C085GG06
4C085GG08
4H039CA42
4H039CH40
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA11
4H045BA12
4H045BA13
4H045BA31
4H045BA32
4H045BA50
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA10
4H045GA21
4H050AA01
4H050AA02
4H050AA03
4H050AB20
4H050AC80
(57)【要約】
本発明は、機能実体(ペイロード)を標的化剤、特に抗体薬物複合体(ADC)などの生物学的標的化剤にバイオコンジュゲーションする分野に関するものであり、1つまたは複数のペイロード分子が標的化剤、例えばモノクローナル抗体にコンジュゲートされる。より具体的には、本発明は、新規な親水性テトラジン分子およびその製造に関するものであり、テトラジンは、モノクローナル抗体などの標的化剤にペイロード分子をより効率的にコンジュゲートすることを可能にする。本発明はまた、対応する機能化されたペイロード分子の製造に有用な特定のテトラジン中間体に関する。本発明はまた、それぞれの複合体、特にバイオ複合体およびその製造方法に関する。本発明はまた、本発明のそのような複合体を医療に使用すること、対応する医薬組成物、ならびに対応する診断および分析キットに関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式Iのテトラジン化合物であって、
【化102】
mは0または1であり、
nは1および2から選択される整数を表し、
oは0、または1または2から選択される整数を表し、
Aは切断可能なリンカー部分を表し、
SpおよびSpは互いに独立してスペーサー部分を表し、
Xは自壊性部分を表し、
Yはペイロード残基(カーゴ)を表し、
Zはリンおよび/または硫黄含有親水性基を表し、特に、(RO)P(O)-、(R1aO)P(O)-O-、(RO)P-O-、RS(O)-、(RO)S(O)O-、および(R4aO)S(O)-から選択され、
ここで、残基R~R、R1aおよびR4aは同一または別異であり、互いに独立してHまたは低級アルキル、特にメチルまたはエチルを表し、さらにより具体的にはHであり、
または、前記リンおよび/または硫黄含有親水性部分の塩形態である、化合物。
【請求項2】
Zは、(RO)P(O)-、(R1aO)P(O)-O-、および、(RO)P-O-の親水性基の1つから選択される化合物であって、
残基R、RおよびR1aは、同一または別異であり、互いに独立して、Hまたは低級アルキル、特にメチルまたはエチルを表し、さらにより具体的にはHを表し、
または、親水性部分を含む前記リンの塩形態である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記スペーサーSpは、存在しない、または、より具体的には、
a)6~14個の環炭素原子を有する単環式または多環式の、任意に単置換または多置換された芳香族部分、特に1,4-フェニレンであって、
前記1つ以上の任意の置換基は、互いに独立して、-Hal、-CHal、-OH、-SH、-NR’、NO、-CN、-C(=O)R’’、-C(=O)OR’’’、アルキル、アルケニル、アルキニル、およびアルコキシから選択され、
ここで、R’、R’’およびR’’’は、互いに独立して、HおよびC~Cアルキルから選択され(部分M1)、
b)一般式Xの複素環式残基であって、
【化103】
環部分X~Xのうちの1つ、2つまたは3つ、より具体的には1つまたは2つがNを表し、他が>CHを表し(部分M2)、
c)直鎖または分岐の低級アルキレン、特に-(CHn1-であって、
n1は1から4の整数であり、より具体的にはメチレンであり(部分M3)、
d)M1、M2、およびM3から選択される、少なくとも2つの同一またはより具体的には異なる部分の組み合わせであり、
および/または、
スペーサーSpは、
a)6~14個の環炭素原子を有する単環式または多環式の、任意に単置換または多置換された芳香族部分、特に1,2-フェニレン、1,3-フェニレン、または1,4-フェニレン、または式
【化104】
の単環の部分であり、
より具体的には、1,4-フェニレンであり、
前記1つまたは複数の任意の置換基は、互いに独立して、-Hal、-CHal、-OH、-SH、、-NR’、NO、-CN、-C(=O)R’’、-C(=O)OR’’’、アルキル、アルケニル、アルキニル、およびアルコキシから選択され、
R’、R’’およびR’’’は、互いに独立して、HおよびC~Cアルキルから選択され(部分M1)、
b)一般式Xの複素環式残基であって、
【化105】
ここで、環部分X~Xのうちの1つ、2つまたは3つ、より具体的には1つまたは2つはNを表し、その他は>CHを表し(部分M2)、
c)直鎖状または分岐状の低級アルキレン、特に-(CHn1-であり、ここでn1は1から4までの整数であり、より具体的にはメチレンであり(部分M3)、
d)直鎖または分岐ポリアルキレンオキシド部分、特に直鎖部分-((CHx1-O)y1-または-(O-(CHx1y1-およびその分岐類似体から選択され、
x1は互いに独立して1、2、3または4から選択される整数、特に1または2を表し、
y1は互いに独立して1から20までの整数、特に1から4を表し(部分M4)、
e)ヘテロ原子含有部分であって、
-N(R’’’’)-、
-(CHx2-N(R’’’’)-、
-N(R’’’’)-(CHx3-C(O)O-、
-N(R’’’’)-(CHx3-C(O)-、
-N(R’’’’)-(CHx4-N(R’’’’)-、
-N(R’’’’)-C(O)-(CHx4-N(R’’’’)-、
-(CHx4-C(O)O-、および、
-(CHx4-C(O)-
から選択され、
R’’’’は、互いに独立して、HおよびC~Cアルキルから選択され、
x2は1、2、3または4から選択される整数を表し、特に1または2であり、
x3は1、2、3または4から選択される整数を表し、特に1または2であり、
x4は1、2、3または4から選択される整数を表し、特に1または2であり(部分M5)、
または、
f)M1、M2、M3、M4およびM5から選択される少なくとも2つの同一またはより具体的には異なる部分の組み合わせである、
請求項1または請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
前記リンカー基Aは、酵素的または化学的に切断可能なリンカー基であり、次のa)からd)から選択されるものであり、
a)ペプチジル基、特にジ-、トリ-またはテトラ-ペプチジル基であり、
b)式-(CRn2-S-S-(CRn2-X-またはX5’-(CRn2-S-S-(CRn2-X-のジスルフィド基であり、
ここで
n2は1から4までの整数を表し、
残基RおよびRは互いに独立してHまたは低級アルキル、特にメチルから選択され、または2つの残基RおよびRがそれらが結合している炭素原子と一緒になって環状C~Cアルキル基を形成し、
部分Xは-C(O)-および-O-から選択され、
部分X5’は、-C(O)-および-(O)C-(CH)-NH-から選択され、
c)ヒドラゾン基は、>C=N-N(R)-および-N(R)-N=C<から選択され、
ここで、
はHまたは低級アルキルであり、
d)β-グルクロニダーゼ感受性切断可能リンカー基、特にβ-グルクロン酸由来トリガー残基を有する、
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の化合物。
【請求項5】
前記自壊性基Xは、以下のa)からd)から選択され、
a)式-NH-p-フェニレン-CH-O-または-O-CH-p-フェニレン-NH-または-NH-p-フェニレン-CH-N(R20-のp-アミノベンジルアルコール由来基、
b)-O-C(O)-O-、
c)-O-C(O)-NR10-(CR1213-NR11-C(O)-O-、または、
-X-C(O)-NR10-(CR1213-NR11-C(O)-X-、
ここで、zは1~6、特に1~4から選択される整数を表し、
20は、互いに独立して、Hまたは低級アルキル基を表し、
10およびR11は、互いに独立して、Hまたは低級アルキル基を表し、
12およびR13は、互いに独立して、H、メチルまたはエチル、特にHまたはメチル、特にHを表し、そして
およびXは互いに独立してO、SまたはNR10を表し、
d)以下の式のメチレンアルコキシカルバメート(MAC)型結合
-OC(O)-NR13-C(R1415)-(O)-
-OC(O)-NR13-C(R1415)-(S)-
-OC(O)-NR13-C(R1415)-(NR16)-または
-OC(O)-NR13-C(R1415)-(NR16-C(O)O)-
であり、
ここで、R13、R14、R15、およびR16は互いに独立してHまたは低級アルキル、特にC~Cアルキルを表す、
請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
前記ペイロード残基Yは、生物活性化合物、標識剤、例えば特に染料、放射性標識および蛍光体、タンパク質分解剤、特にタンパク質分解標的キメラ(PROTAC)に適用可能なペイロード、光増感剤、およびキレート剤から選択される、請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
Sp
-M1-M3-、
-M2-M3-、
-M3-M1-、
-M3-M2-
の部分の組み合わせの1つから選択され、
ここで、前記部分M1、M2、M3間の結合は、独立して、化学結合、エーテル、チオエーテル、エステル、アミド、カルバメート、ジカルバメート、カーボネート、ヒドラジンまたは尿素、およびアルキレンオキシドまたは直鎖または分岐ポリアルキレンオキシド結合から選択され、
および/または、
Spは、
-M1-M3-、
-M1-M4-、
-M2-M3-、
-M2-M4-、
-M2-M5-、
-M3-M1-、
-M3-M2-、
-M3-M4-、
-M1-M3-M4-、
-M1-M4-M3-、
-M2-M3-M4-、
-M2-M4-M3-、
-M3-M2-M4-、
-M3-M4-M2-、
-M2-M5-M4-
の部分の組み合わせの1つから選択され、
ここで、前記部分M1、M2、M3、M4、およびM5間の結合は、独立して、化学結合、エーテル、チオエーテル、エステル、アミド、カルバメート、ジカルバメート、カーボネート、ヒドラジンまたは尿素、およびアルキレンオキシドまたは直鎖または分岐ポリアルキレンオキシド結合である、請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の化合物。
【請求項8】
機能化標的化剤を、請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載のテトラジン化合物と反応させて、機能化標的化剤と式Iのテトラジン化合物との間に共有結合を形成することによって得られる複合体であり、特に、前記機能化標的化剤は、ウイルス、全細胞、ファージ、リポソーム、生体分子、および低分子量または高分子量化合物、特に抗体、抗体誘導体、抗体フラグメント、抗体(フラグメント)融合体、酵素、タンパク質、ペプチド、ペプチド模倣物、炭水化物、単糖類、多糖類、オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチド、特にDNA、RNA、PNAおよびLNA分子、アプタマー、薬物、糖タンパク質、グリカン、脂質、ポリマー、化学療法剤、受容体アゴニストおよびアンタゴニスト、サイトカイン、ホルモン、ステロイド、毒素、およびそれらの誘導体から選択される、複合体。
【請求項9】
前記機能化標的化剤は、官能基として、前記式Iの化合物の前記テトラジン部分と反応する少なくとも1つのジエノフィル部分を含む、請求項8に記載の複合体。
【請求項10】
前記機能化標的化剤は、そのアミノ酸配列内に少なくとも1つの非天然アミノ酸残基を有する少なくとも1つのポリペプチド配列を含み、前記非天然アミノ酸残基は、前記式Iの化合物の前記テトラジン部分と反応する少なくとも1つのジエノフィル部分を含む、複合体であり、特に、前記機能化生体分子は、ポリクローナルまたはモノクローナル免疫グロブリン分子、特にモノクローナル抗体またはその断片である、請求項8または請求項9に記載の複合体。
【請求項11】
式Iのテトラジン化合物と、ディールス・アルダー型環化付加反応を介して反応可能な官能基を有する機能化生体分子との双直交型バイオコンジュゲーションによって形成される、請求項8から請求項10までのいずれか1項に記載の複合体。
【請求項12】
ディールス・アルダー型環化付加反応を介して反応することができる官能基が、
(iii)次式のトランスシクロオクテニルジエノフィル基
【化106】
であり、
ここで
は、水素、ハロゲン、C-C-アルキル、(RO)P(O)O-C-C-アルキル、(RO)P(O)-C-C-アルキル、CF、CN、ヒドロキシル、C-C-アルコキシ、-O-CF、C-C-アルケノキシ、C-C-アルカノイルオキシ、C-C-アルキルアミノカルボニルオキシまたはC-C-アルキルチオ、C-C-アルキルアミノ、ジ-(C-C-アルキル)アミノ、C-C-アルケニルアミノ、C-C-アルケニル-C-C-アルキル-アミノまたはジ-(C-C-アルケニル)アミノであり、
、Rは独立して水素またはC-C-アルカノイルオキシメチルであり、または、
(iv)次式のシクロオクチニルジエノフィル基
【化107】
であって、
ここで、
は、水素、ハロゲン、C-C-アルキル、(RO)P(O)O-C-C-アルキル、(RO)P(O)-C-C-アルキル、CF、CN、ヒドロキシル、C-C-アルコキシ、-O-CF、C-C-アルケノキシ、C-C-アルカノイルオキシ、C-C-アルキルアミノカルボニルオキシまたはC-C-アルキルチオ、C-C-アルキルアミノ、ジ-(C-C-アルキル)アミノ、C-C-アルケニルアミノ、C-C-アルケニル-C-C-アルキル-アミノまたはジ-(C-C-アルケニル)アミノであり、
、Rは独立して水素またはC-C-アルカノイルオキシメチルである、請求項11に記載の複合体。
【請求項13】
水性の、任意に緩衝化された反応媒体中で、請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載のテトラジン化合物を、官能性ジエノフィル基を有する機能化生体分子と反応させ、前記分子間でディールス・アルダー型付加環化反応を行うことを含む、請求項8から請求項12までのいずれか1項に記載のバイオ複合体を調製する方法。
【請求項14】
一般式IIのテトラジン中間体であって、
【化108】
ここで、
n3は1または2から選択される整数を表し、
SpおよびSpは上記で定義したとおりであり、
結合α、βおよびγは互いに独立して、化学結合、またはエーテル、チオエーテル、エステル、アミド、カルボニル、特にケト、カルバメート、ジカルバメート、カーボネート、ヒドラジン、尿素、アルキレンオキシドまたは直鎖または分岐ポリアルキレンオキシド結合から選択され、
Zはリン含有親水性基、特に(RO)P(O)-、(R1aO)P(O)-O-、および(RO)P-O-を表し、
ここで、
、R1a、およびRは、同一または別異であり、互いに独立して、Hまたは低級アルキル、特にメチルまたはエチル、さらに特にHを表し、
Rは、Hまたは化学結合を形成できる化学基、またはエーテル、チオエーテル、エステル(スクシンイミジルエステルまたはペンタフルオロフェニルエステルのような活性エステル、アミド、カルバメート、ジカルバメート、カーボネート、ヒドラジン、尿素、アルキレンオキシドまたは直鎖または分岐ポリアルキレンオキシド結合など)を形成できる化学基を表し、より具体的には、Rはアミノ基またはカルボキシル基を表し、任意選択で、Rは化学保護基を表さず、特に切断可能な保護基を表さず、より具体的にはN-、O-、またはS-保護基を表さないという条件付きである、テトラジン中間体。
【請求項15】
一般式IIのテトラジン中間体の製造方法であって、
a)(i)一般式IIIの第1シアノ化合物
【化109】
(式中、ZおよびSpは上記で定義したとおりであり、残基Zのヒドロキシル基は任意に保護された、i.p.アルコキシの形態で提供される。)と、
(ii)一般式IVの第2シアノ化合物
【化110】
(式中、RおよびSpおよびn3は上記で定義した通りである。)とを、
(iii)ヒドラジン水和物の存在下で反応させる工程と、
b)その後酸化する工程と、
c)得られたテトラジン化合物を任意に単離する工程と、
d)残基Zのヒドロキシル基を任意に脱保護する工程とを含む、方法。
【請求項16】
医療、特に診断および/または治療に使用するためのものである、請求項8から請求項12までのいずれか1項に記載の複合体。
【請求項17】
請求項8から請求項12までのいずれか1項に記載の少なくとも1つの複合体を薬学的に許容される担体中に含む、医薬組成物。
【請求項18】
請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載のテトラジン化合物を少なくとも1つ含む、診断キットまたは分析キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗体薬物複合体(ADC)などの、1つまたは複数のペイロード分子が標的化剤、例えばモノクローナル抗体にコンジュゲートされるような、実体(ペイロード)の標的化剤、特に生物学的標的化剤への生体共役反応(バイオコンジュゲーション)の分野に関する。より具体的には、本発明は、新規な親水性テトラジン分子およびその調製に関するものであり、テトラジンは、モノクローナル抗体などの標的化剤にペイロード分子をより効率的にコンジュゲーションすることを可能にする。本発明はまた、対応する機能化されたペイロード分子の調製に有用な特定のテトラジン中間体に関する。本発明はまた、それぞれの複合体、特にバイオ複合体およびその調製方法に関する。本発明はまた、本発明のそのような複合体の医療における使用、対応する医薬組成物、ならびに対応する診断および分析キットに関する。
【背景技術】
【0002】
ADCは、大きな注目を集めている腫瘍治療薬の急成長分野であり、このことは承認されたADC薬の数や臨床試験の数の増加に反映されている。
【0003】
各ペイロードをモノクローナル抗体(mAbs)に結合するために必要なコンジュゲーションは、多くの場合、ランダム結合によって行われる。これにより、通常、現在のADC種に関する不均一性が生まれ、薬物抗体比(DAR)は、完全に未修飾のmAbsから、不利な多数の細胞毒性分子が結合したものまでさまざまである。これにより、バッチ間のばらつきの問題が生じ、凝集や、急速なクリアランス、免疫原性、肝毒性などの付随する副作用を引き起こす可能性がある。
【0004】
これらの制限を克服する解決策は、部位特異的結合法による均質なADC/放射免疫複合体(RIC)の製造である。部位特異的結合法は、DARと薬物動態特性を厳密に制御し、投与される薬剤の均一なバッチの製造を可能にする。これにより、望ましくないADC種の副作用が消去されるため、治療指数も向上する。
【0005】
すべてのADCのもう1つの重要な構成要素は、ペイロードの結合に使用されるリンカーである。
【0006】
一般的に、プロテアソーム分解後にのみカーゴを放出する非切断型リンカーと、酵素、還元または酸による切断によって親薬物を放出する切断型リンカーには違いがある。さらに、リンカーの化学は、実際に放出される活性代謝物の特性にも影響する。たとえば、親水性が増すと、膜を介した拡散速度が低下し、細胞内での保持率が高くなり、がん細胞の多剤耐性機構に対する感受性が低下する。
【0007】
本発明者は、タンパク質へのクリック反応のための歪シクロオクチン-リジン誘導体の遺伝子コード化(ティー・プラス、エス・ミルス、シー・ケーラー、シー・シュルツ、イー・エー・レムケ、ドイツ化学会誌 2011、50、3878-81)と、1,2,4,5-テトラジンとの(歪促進)逆電子要求型ディールス・アルダー環化付加(IEDDA)を行うことができるncAAの合成と遺伝子コード化(ティー・プラス、エス・ミルス、シー・ケーラー、ジェイ・ジマンスキ、アール・ミュラーら、ドイツ化学会誌 2012、51、4166-70;アイ・ニキッチ、ティー・プラス、オー・シュライト、ジェイ・ジマンスキ、ジェイ・エー・ジー・ブリッグスら、ドイツ化学会誌 2014、53、2245-9;イー・コズマ、アイ・ニキッチ、ビー・アール・ヴァルガ、アイ・ヴィ・アランブル、ジェイ・エイチ・カンら、ChemBioChem 2016, 17, 1518-24;ジーイー・ホフマン、ティー・プラス、アイ・ニキッチ、アイ・ヴィ・アランブル、シー・ケーラー他、Chem. Eur. J. 2015、21、12266-70)。このGCE技術の拡張により、昆虫細胞によって生成された非グリコシル化免疫グロブリンにこのようなncAAを部位特異的に導入し、その後このクリックケミストリーを介して修飾することが可能になった(シー・ケーラー、ピー・エフ・ザウター、エム・ウォリスジン、ジー・イー・ジローナ、ケー・ガプタら、Nat. Methods 2016、13、997-1000)。
【0008】
マオらはドイツ化学会誌(2019),58,1106で、チオール含有プロモーターによる非対称1,2,4,5-テトラジンの有機触媒的かつスケーラブルな合成について説明している。特に、エタノール溶液中の2つの異なるニトリル抽出物とヒドラジン水和物との反応に3-メルカプトプロピオン酸を触媒として適用し、続いて亜硝酸ナトリウムで酸化することにより、一連の非対称置換1,2,4,5-テトラジン誘導体が合成された。特定の化合物の1つは、位置1がメチルホスホネート基で、位置6がメチル基で置換された1,2,4,5-テトラジン誘導体であった。このホスホネート前駆体は、ホーナー・ワズワース・エモンズ反応によってさらに誘導体化され、異なるトランスアルケン部分を含む側鎖が導入された。
【0009】
米国特許出願公開第US2019247513A1号は、テトラジン化合物および前記テトラジンと逆電子要求ディールス・アルダー反応を起こすことができるジエノフィル、ならびに生体直交薬物活性化におけるそれらの使用を開示している。特に、化合物333および14.5~14.7は、蛍光ペイロードを提示すテトラジン誘導体に関するものであり、テトラジンコアから、アリールまたはペプチジルまたはアルキルベースのスペーサー、ならびにポリオキシアルキルベースの親水性基などのさまざまな化学的性質のスペーサーによって離間されている。
【0010】
国際公開公報WO2020/256544A1号は、クリック結合収率が高いことを特徴とする置換テトラジンに関する。タートラジンコアはピリジルベースのスペーサーに結合しており、スペーサー自体はグルタル基を介してペイロードR87(細胞毒性薬など)および/またはポリオキシアルキル親水性基に結合している。
【0011】
マオら(ドイツ化学会誌(2021),60,2393-2397)および国際公開公報第WO2020/239039A1号は、テトラジンコアからアルキルベースのスペーサーによって離間された親水性または化学結合を形成できる化学部分(カルボキシル、ヒドロキシルまたはリン酸ベースの基など)を含むテトラジン化合物を開示している。その点において、マオらは、化学結合を形成できる前記親水性または化学部分が蛍光基に置き換えられた化合物についても記載している。
【0012】
シャイニャン,ビー・エーら(CHEMICAL ABSTRACTS SERVICE、米国オハイオ州コロンバス、データベースアクセス番号1983:453711)は、パラ置換基としてアルキルスルホン基を有するテトラジンに関する。
【0013】
国際公開第WO2014/081301A1号は、テトラジンコアが、アリールベースのスペーサーを介して化学結合を形成できるさまざまな親水性または化学部分に連結されているテトラジンを開示している。
【0014】
オラー・サルヴィアら(ドイツ化学会誌(2018),572831-2834)は抗体薬物複合体の分野に関し、逆電子要求型ディールス・アルダー付加環化反応により、トラスツズマブをテトラジン修飾モノメチルアウリスタチンE(MMAE)に部位選択的にコンジュゲートした構造を開示している。この部位特異的コンジュゲーションに使用されるテトラジンハンドルは、テトラジンコアに結合したアリール部分からなる。
【0015】
ハンドラら(Molecules 2021,26,4640)は、プレ標的戦略におけるIEDDA反応などの生体直交型反応の使用に関する。さまざまなテトラジン代替物が適切なジエンとして開示されており、これらのジエンはアルキルおよび/またはアリールスペーサーを提示するp-置換テトラジンコアの存在を特徴とする。開示の図2は、それぞれの反応性に基づく前記テトラジン代替物の分類に関する。
【0016】
1,2,4,5-テトラジン機能化ペイロード分子を、生体直交型反応を介して、対応する機能化標的分子に、より好ましい結合を可能にする、さらに改良された1,2,4,5-テトラジン誘導体が必要である。特に、水性の任意に緩衝化された環境において、大きな立体障害なしに、歪み促進逆電子要求型ディールス・アルダー環化付加(SPIEDAC)を介して、このような生体直交型反応を進行させる、さらに改良された1,2,4,5-テトラジン誘導体が必要である。より具体的には、親水性が増大したことにより、より疎水性のペイロードの結合を可能にし、薬理学的に活性な複合体の場合には、生体内でのこのような複合体のより優れた機能プロファイルを提供する、このようなテトラジン誘導体が必要である。
【発明の概要】
【0017】
上記の問題は、テトラジンC置換基として、例えばホスホネート残基などの小さな親水性基を有する1,2,4,5-テトラジン機能化ペイロード分子を提供することによって驚くべきことに解決された。本発明により、破壊の恐れのある有機溶媒の添加や、それに伴う敏感な生物学的因子の使用を必要とせずに、水性緩衝液中のSPIEDACを介した生体直交型バイオコンジュゲーションのためのペイロードを容易に使用することが可能になる。また、凝集の防止や、形成されたバイオコンジュゲーション剤の溶解性の向上にも役立つ。サイズが比較的小さいため、PEG、グリコシドなどのより大きな可溶化ユニットと比較して立体障害がほとんどなく、最小サイズのペイロードを結合できる。たとえば、複合体内にかさばるPEGリンカーは必ずしも必要ではないため、最終的なペイロードまたはそれぞれの標的複合体のサイズを縮小できる。対応するメチルテトラジン基に基づく同様のサイズのペイロードは、同じ条件下で抗体にコンジュゲートすることはできない。また、請求された方法で親水性を高めることにより、薬物動態が改善された複合体、特にADCを提供できると同時に、テトラジンの親水性基のサイズが小さくなるため、抗体によってペイロード全体がより適切にマスクされることも観察された。より具体的には、上記の問題は、例えばアミドカップリングまたはカルバメートの形成を介してペイロード分子とのカップリングを可能にする化学部分をさらに有するホスホネート基を有するテトラジンの誘導体を提供することによって解決される。対応するテトラジン機能化ペイロード分子は、本明細書で以下に記載する一般式Iで表され、対応するテトラジン機能化中間体は、本明細書で以下に記載する一般式IIで表される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】1,2,4,5-テトラジンを含む、mAbに部位特異的に組み込まれたTCO誘導体のIEDDA。
図2】トラスツズマブA132TCO-5の精製。A:スーパーデックスS200ラン、B:S200ランの画分10-20を分析するクマシー染色SDS-PAGE。
図3】トラスツズマブA132TCO-11の精製:スーパーデックスS200ラン、B:S200ランの画分10-20を分析するクマシー染色SDS-PAGE
図4】細胞毒性アッセイ。トラスツズマブ-5(=化合物5)、トラスツズマブ-11(=化合物11)、およびトラスツズマブWTの測定値を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
A.略語
ADC=抗体薬物複合体
APC=抗体ペイロード複合体
aq.=水性の
Bps=塩基対
BCN=2-アミノ-6-(9-ビオシクロ[6.1.0]ノン-4-イニルメトキシカルボニルアミノ)ヘキサノイド酸
BOC=2-アミノ-6-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ヘキサン酸、例では「BOC」は特に(2S)-2-アミノ-6-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ヘキサン酸を指す=Boc-L-Lys-
OH=N-α-tert-ブチルオキシカルボニル-L-リジン
conc.=濃縮された
DAR=薬物抗体比
DCM=ジクロロメタン
DDQ=2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノ-1,4-ベンゾキノン
DIPEA=N,N-ジイソプロピルエチルアミン
DMF=ジメチルホルムアミド
DMSO=ジメチルスルホキシド
EDC=1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド
eq.=同等物
EtOH=エタノール
GCE=遺伝暗号の拡張
h=時間
HATU=1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウム3-オキシドヘキサフルオロホスフェート、カップリング剤
HOBt=ヒドロキシベンゾトリアゾール
IEDDA=逆電子要求型ディールス・アルダー付加環化反応
kDa=キロダルトン
min=分
MMAE=モノメチルアウリスタチンE((S)-N-((3R,4S,5S)-1-((S)-2-((1R,2R)-3-(((1S,2R)-1-ヒドロキシ-1-フェニルプロパン-2-イル)アミノ)-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソプロピル)ピロリジン-1-イル)-3-メトキシ-5-メチル-1-オキソヘプタン-4-イル)-N,3-ジメチル-2-((S)-3-メチル-2-(メチルアミノ)ブタナミド)ブタナミド)、抗腫瘍剤
MeOH=メタノール
ncAA=非標準アミノ酸
NES=核外搬出シグナル
NLS=核局在化シグナル
O-tRNA=直交型tRNA
O-RS=直交型RS
PBS=リン酸緩衝生理食塩水
PMSF=フェニルメチルスルホニルフルオリド
PNPクロロホルメート=4-ニトロフェニルクロロホルメート
POI=対象ポリペプチド
pRS=原核生物のRS
ptRNA=原核生物のtRNA
PylRS=ピロリシルtRNA合成酵素
PylRSAF=アミノ酸置換Y306AおよびY384Fを含む変異型メタノサルキナ・マゼイピロリシルtRNA合成酵素
RCF(rcf)=相対遠心力
RP-HPLC=逆相高速液体クロマトグラフィー
RS=アミノアシルtRNA合成酵素
RT=室温/周囲温度(20~25℃)
SCO=2-アミノ-6-(シクロオクト-2-イン-1-イルオキシカルボニルアミノ)ヘキサン酸
【化1】
SDS-PAGE=ソデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動
SPIEDAC=ひずみ促進逆電子要求型ディールス・アルダー付加環化反応
5-TAMRA=5-カルボキシテトラメチルローダミン
5-TAMRA-OSu=5-カルボキシテトラメチルローダミンN-スクシンイミジルエステル、蛍光体
TCO=トランスシクロオクテン
TCO-Lys=N-ε-((トランス-シクロオクト-4-エン-1-イルオキシ)カルボニル)-L-リジン
TCO-Lys=N-ε-((トランス-シクロオクト-2-エン-1-イルオキシ)カルボニル)-L-リジン
TCO-Lys=N-ε-((トランス-シクロオクト-3-エン-1-イルオキシ)カルボニル)-L-リジン
TCO-E-Lys=N6-((((R,E)-シクロオクト-4-エン-1-イル)オキシ)カルボニル)-L-リジン
【化2】
TCOA-Lys=N6-((((S,E)-シクロオクト-2-エン-1-イル)オキシ)カルボニル)-L-リジン
【化3】
TFA=トリフルオロ酢酸
THF=テトラヒドロフラン
TLC=薄層クロマトグラフィー
tRNAPyl=野生型または改変型PylRSによってピロリシンでアシル化できるtRNAであり、ncAAをPOIに部位特異的に組み込むために、セレクターコドンの逆相補となるアンチコドンを持つ。
UNAA=非天然アミノ酸、ncAAと同義
U6プロモーター=哺乳類細胞におけるU6RNA(小さな核RNA)の発現を通常制御するプロモーター
UHPLC-MS=超高速液体クロマトグラフィー/質量分析
【0020】
B.定義
【0021】
B1.一般的な定義
本明細書において別途定義されていない限り、本発明に関連して使用される科学技術用語は、当業者に一般的に理解されている意味を有するものとする。用語の意味と範囲は明確であるべきであるが、潜在的な曖昧さがある場合は、ここで提供される定義が辞書や外部の定義よりも優先される。さらに、文脈により別途要求されない限り、単数形の用語は複数形も含み、複数形の用語は単数形も含む。
【0022】
本明細書で使用される「精製された」、「実質的に精製された」および「単離された」という用語は、本発明の化合物が通常その自然状態で関連する他の異なる化合物がない状態を指し、したがって、「精製された」、「実質的に精製された」および「単離された」対象は、所定の試料の質量の少なくとも0.5%、1%、5%、10%、または20%、あるいは少なくとも50%または75%の重量を占める。一実施形態では、これらの用語は、所与の試料の質量の少なくとも95、96、97、98、99または100%を構成する本発明の化合物を指す。本明細書において、核酸またはタンパク質を指す場合の「精製された」、「実質的に精製された」および「単離された」という用語は、例えば細菌または真菌細胞のような原核生物または真核生物の環境、または哺乳類生物、特に人体内で自然に発生するものとは異なる精製状態または濃度の状態も指す。(1)他の関連する構造または化合物からの精製、または(2)当該原核生物または真核生物の環境で通常は関連しない構造または化合物との関連を含む、自然に発生するものよりも高い程度の精製または濃縮は、「単離」の意味に含まれる。本明細書に記載の核酸またはタンパク質、あるいは核酸またはタンパク質のクラスは、当業者に知られているさまざまな方法およびプロセスに従って、単離されるか、または自然界では通常関連しない構造または化合物と関連付けられてもよい。
【0023】
本明細書および添付の特許請求の範囲の説明の文脈において、「または」の使用は、特に明記しない限り、「および/または」を意味する。
【0024】
同様に、「含有」、「備える」、「備えている」、「含む」、「含める」および「含んでいる」は互換性があり、限定することを意図したものではない。
【0025】
さらに、さまざまな実施形態の説明で「含む」という用語が使用されている場合、特定の場合には、実施形態は「本質的に~からなる」または「~からなる」という用語を使用して説明できることを当業者は理解するであろう。
【0026】
「1つ以上」という用語、または類似の用語「少なくとも1つ」は、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10以上を指す。
【0027】
数値範囲の下限値と上限値が開示されている場合、その範囲内に含まれる数値とその包含範囲は、その上限値と下限値を含めて具体的に開示されている。特に、本明細書に開示されるあらゆる値の範囲は、あらゆる値、および、より広い範囲内に含まれるより狭い範囲を意味するものと理解されるべきである。
【0028】
「約」という用語は、記載された値の±25%、具体的には±15%、±10%、さらに具体的には±5%、±2%、または±1%の潜在的な変動を示す。
【0029】
「実質的に」という用語は、約80~100%、例えば85~99.9%、特に90~99.9%、より具体的には95~99.9%、または98~99.9%、とりわけ99~99.9%などの値の範囲を表する。
【0030】
「主に」とは、50%以上の範囲、例えば51~100%の範囲、特に75~99.9%の範囲、さらに具体的には85~98.5%、95~99%などの割合を指す。
【0031】
本開示が、異なる優先度の特徴、パラメータ、およびその範囲(一般的な、明示的には好まれない特徴、パラメータ、およびその範囲を含む)に言及する場合、特に明記しない限り、それぞれの優先度に関係なく、そのような特徴、パラメータ、およびその範囲の2つ以上の任意の組み合わせが、本明細書の開示に包含される。
【0032】
B2.化学的定義
ハロゲンという用語は、いずれの場合もフッ素、臭素、塩素、またはヨウ素のラジカル、特にフッ素ラジカルを表する。
【0033】
「アルキル」は、1~6個、特に1~4個または1、2または3個の炭素原子を有する直鎖または分岐アルキル基を指す。例としては、メチル、C-C-アルキル残基(メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、2-ブチル、イソブチルまたはtert-ブチルなど);n-ペンチル、1-メチルブチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、2,2-ジメチルプロピル、1-エチルプロピル、1,1-ジメチルプロピル、1,2-ジメチルプロピル;n-ヘキシル、1-メチルペンチル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、4-メチルペンチル、1,1-ジメチルブチル、1,2-ジメチルブチル、1,3-ジメチルブチル、2,2-ジメチルブチル、2,3-ジメチルブチル、3,3-ジメチルブチル、1-エチルブチル、2-エチルブチル、1,1,2-トリメチルプロピル、1,2,2-トリメチルプロピル、1-エチル-1-メチルプロピルおよび1-エチル-2-メチルプロピルなどが挙げられる。
【0034】
「低級アルキル」とは、1、2、3または4個、特に1または2個の炭素原子を有する直鎖または分岐アルキル基を指す。例としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、2-ブチル、イソブチルまたはtert-ブチルが挙げられる。
【0035】
「アルケニル」とは、2、3、4、5または6個の炭素原子を有する単一の化学炭素-炭素二重結合を含む一価不飽和炭化水素ラジカルを指し、例えば、ビニル、アリル(2-プロペン-1-イル)、1-プロペン-1-イル、2-プロペン-2-イル、メタリル(2-メチルプロプ-2-エン-1-イル)などである。
【0036】
「低級アルケニル」とは、2、3または4個の炭素原子を有する単一の化学炭素-炭素二重結合を含む一価不飽和炭化水素ラジカルを指し、例えば、ビニル、アリル(2-プロペン-1-イル)、1-プロペン-1-イル、2-プロペン-2-イル、メタリル(2-メチルプロプ-2-エン-1-イル)などである。
【0037】
「アルキニル」および「低級アルキニル」は、上記のアルケニルまたは低級アルケニル基の類似体に関連し、単一の化学炭素-炭素三重結合を含む一価不飽和炭化水素ラジカルを表す。
【0038】
「アルキレン」とは、1~6個、特に1~4個の炭素原子を有する直鎖または分岐アルキレン基を指す。例としては、メチレン、エチレン、1,2-エチレン、1,3-プロピレン、イソプロピレン、1-4-ブチレン、1-5-ペンチレン、1-6-ヘキシレン、およびそれらの分岐類似体が挙げられる。
【0039】
「低級アルキレン」とは、1~4個の炭素原子を有する直鎖または分岐アルキレン基を指す。例としては、メチレン、エチレン、1,2-エチレン、1,3-プロピレン、イソプロピレン、1-4-ブチレン、およびそれぞれの分岐類似体が挙げられる。
【0040】
「アルコキシ」は、式R-O-のラジカルを指し、ここでRは、本明細書で定義される1~6個、特に1~4個または1~3個の炭素原子を有する、上記で定義される直鎖または分岐アルキル基である。限定されない例としては、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、2-ブトキシ、イソブトキシまたはtert-ブトキシが挙げられる。
【0041】
「アルキレンオキシ」は、式-R-O-のラジカルを指し、ここでRは、本明細書で定義される1~6個、特に1~4個または1~3個の炭素原子を有する直鎖または分岐アルキレン基である。
【0042】
「低級アルキレンオキシ」は、式-R-O-のラジカルを指し、ここでRは、本明細書で定義される1~4個または1~3個の炭素原子を有する直鎖または分岐の低級アルキレン基である。例としては、メチレンオキシ、エチレンオキシ、1,2-エチレンオキシ、1,3-プロピレンオキシ、イソプロピレンオキシおよび1-4-ブチレンオキシが挙げられる。
【0043】
「ポリアルキレンオキシ」は、共有結合した、同一または異なる、特に同一の、上記で定義される少なくとも2個の炭素原子を有する低級アルキレンオキシ基、特に2~20、2~15、2~10または2~5個の同一の繰り返し単位を有するポリエチレンオキシおよびポリプロピレンオキシ基の少なくとも2個、例えば2~20、2~15、2~10または2~5個の繰り返し単位を含む部分に関する。
【0044】
「アルケノキシ」は、式R-O-のラジカルを指し、ここでRは、本明細書で定義される1~6個、特に1~4個または1~3個の炭素原子を有する直鎖または分岐アルケニル基である。
【0045】
「アルカノイルオキシ」は、式R-(CO)-O-のラジカルを指し、ここでRは、本明細書で定義される1~6個、特に1~4個または1~3個の炭素原子を有する直鎖または分岐アルキル基である。
【0046】
「アルキルアミノカルボニルオキシ」は、式R-NH-(CO)-O-のラジカルを指し、ここでRは、本明細書で定義される1~6個、特に1~4個または1~3個の炭素原子を有する直鎖または分岐アルキル基である。
【0047】
「アルキルチオ」は、式R-S-のラジカルを指し、ここでRは、本明細書で定義される1~4個、好ましくは1~3個の炭素原子を有するアルキルラジカルである。
【0048】
「アルキルアミノ」は、式R-NH-のラジカルを指し、ここでRは、本明細書で定義される1~6個、特に1~4個の炭素原子を有するアルキルラジカルである。例としては、メチルアミノ、エチルアミノ、n-プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、n-ブチルアミノ、2-ブチルアミノ、イソブチルアミノ、tert-ブチルアミノなどが挙げられる。
【0049】
「ジアルキルアミノ」は、式RR’N-のラジカルを指し、ここでRおよびR’は、互いに独立して、本明細書で定義される1~6個、特に1~4個の炭素原子を有するアルキルラジカルである。例としては、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、N-メチル-N-エチルアミノなどが挙げられる。
【0050】
「アルケニルアミノ」は、式R-NH-のラジカルを指し、ここでRは、本明細書で定義される2~6個、特に2~4個の炭素原子を有するアルケニルラジカルである。例としては、ビニルアミノ、アリルアミノ(2-プロペン-1-イルアミノ)、1-プロペン-1-イルアミノ、2-プロペン-2-イルアミノ、メタリルアミノ(2-メチルプロプ-2-エン-1-イルアミノ)などが挙げられる。
【0051】
「N-アルキル-N-アルケニルアミノ」は、式RR’N-のラジカルを指し、ここでRは、本明細書で定義される1~6個、特に1~4個の炭素原子を有するアルキルラジカルであり、R’は、本明細書で定義される2~6個、特に2~4個の炭素原子を有するアルケニルラジカルである。例としては、N-メチル-N-ビニルアミノ、N-メチル-N-アリルアミノ(N-メチル-N-2-プロペン-1-イルアミノ)、N-メチル-N-1-プロペン-1-イルアミノ、N-メチル-N-2-プロペン-2-イルアミノ、N-メチル-N-メタリルアミノ(N-メチル-N-2-メチルプロプ-2-エン-1-イルアミノ)などが挙げられる。
【0052】
「ジアルケニルアミノ」は、式RR’N-のラジカルを指し、ここでRおよびR’は、互いに独立して、本明細書で定義される2~6個、特に2~4個の炭素原子を有するアルキルラジカルである。例としては、ジビニルアミノ、ジアリルアミノ(ジ-(2-プロペン-1-イル)-アミノ)、N-ビニル-N-アリルアミノなどが挙げられる。
【0053】
「アリール」とは、特に6~14個の環炭素原子を有する一価の単環式または多環式芳香族部分、特にフェニル、フルオレニル、ナフテニルおよびフェナントレニルを指す。
【0054】
「アリーレン」とは、上記のアリール基の二価類似体、特に1,2-、1,3-および1,4-フェニレンを指す。
【0055】
「ハロゲン」はF、Cl、BrまたはIを指す。
【0056】
別途記載がない限り、「置換基」という用語は、ハロゲン、C-C-アルキル、CN、CF、ヒドロキシル、-O-CF、C-C-アルコキシ、C-C-アルカノイルオキシ、C-C-アルキルアミノカルボニルオキシおよびC-C-アルキルチオ、カルボキシおよびカルボキシ-C-C-アルキルから選択される。
【0057】
別途記載がない限り、「置換」という用語は、ラジカルが1、2、または3個、特に1個または2個の置換基で置換されていることを意味する。
【0058】
「結合」は、本発明の化合物の2つの隣接する構造モチーフの間に形成され、特に断りのない限り、化学結合であるか、またはエーテル、チオエーテル、エステル、アミド、カルバメート、ジカルバメート、カーボネート、ヒドラジン、尿素、アルキレンオキシド、または任意の可能な配向の直鎖状または分岐状のポリアルキレンオキシド結合から選択される。
【0059】
「エーテル」結合には、(-O-)タイプの基が少なくとも1つ含まれる。
【0060】
「チオエーテル」結合には、(-S-)タイプの基が少なくとも1つ含まれる。
【0061】
「アミド」結合には、-C(=O)N(R)-または-(R)N-C(=O)-タイプの基が少なくとも1つ含まれる。
【0062】
「カルバメート」結合には、-O-C(=O)-N(R)-または-N(R)-C(=O)-O-タイプの基が少なくとも1つ含まれる。
【0063】
「ジカルバメート」結合には、-N(R)-C(=O)O-R’-OC(=O)-N(R)-のタイプの基が少なくとも1つ含まれる。
【0064】
「炭酸」結合には、-C(=O)O-、-O-C(=O)-、-O-C(=O)O-、または-O-C(=O)-O-タイプの基が少なくとも1つ含まれる。
【0065】
「ヒドラジン」結合には、-NH-NH-のタイプの基が少なくとも1つ含まれる。
【0066】
「尿素」結合には、-N(R)-C(=O)-N(R)-のタイプの基が少なくとも1つ含まれる。
【0067】
「アルキレンオキシド」結合には、-((CH-O)-または-(O-(CH)-のタイプの基が少なくとも1つ含まれ、nは1、2、3または4、特に1または2である。
【0068】
「ポリアルキレンオキシド」結合は、上記で定義した同じまたは異なるアルキレンオキシド基の繰り返し単位を含み、直鎖または分岐鎖、特に直鎖であり得、例えば、-((CH-O)-または-(O-(CH-であり、n=1、2、3または4、特に1または2であり、m=2~20、2~15、2~10または2~5である。
【0069】
特定の結合の上記の化学式において、残基Rは互いに独立して、Hまたは低級アルキル、低級アルケニルまたは低級アルケニル、特にメチル、またはエチルを表すことができ、R’は低級アルキレン基または低級アルケニレン基、特にメチレンまたはエチレンを表す。
【0070】
「切断可能な基」には、特に生体内または生体外条件下で、酵素的または化学的に切断され得る任意の基が含まれる。酵素的切断は、例えばプロテアーゼの作用によって行われ得、化学的切断は、例えばS-S結合の加水分解的切断または還元的切断によって行われ得る。
【0071】
本発明における「テトラジン」基は、特に定義されない限り、分子式が-C-で示される4つの窒素原子を含む6員芳香族環からなる残基を表し、特に1,2,4,5-テトラジンまたはs-テトラジン異性体から誘導され、環炭素位置3および6を介して隣接する基に結合している。
【0072】
「テトラジン反応性基」とは、特に、いわゆる「生体直交型」または「クリック反応」を介して、本明細書で定義されるテトラジン基と化学的に反応する能力を有する化学部分である。特に、このようなテトラジン反応性基は、ジエノフィルから選択される。より具体的には、生物学的環境においてテトラジン基と反応する能力を有するジエノフィルから選択される。限定されない例としては、イソニトリル基、ノルボルネン基、ビシクロノニニル基、シクロオクテニル基、シクロオクチニル基、シクロプロペニル基、シクロブチニル基、スピロヘキセニル基およびそれらの立体異性体、アルケンまたはアリル基またはジヒドロアゼト基が挙げられる。
【0073】
「テトラジン連結」とは、逆要求型ディールス・アルダー反応におけるトランス-シクロオクテンとs-テトラジンの反応と、それに続く逆ディールス・アルダー反応によって窒素(N)を除去する反応を指す。このタイプの反応は高速で進行し、極めて低濃度での生体分子の改変を可能にする。
【0074】
本明細書に記載の化合物は、立体中心、立体軸などの1つ以上の非対称要素、例えば、非対称炭素原子を含む場合があり、そのため、化合物は異なる立体異性体の形で存在することができる。これらの化合物は、例えば、ラセミ体または光学活性体である可能性がある。すべての立体異性体、ジアステレオマー、Z型およびE型が、精製された形態および混合物の形態で含まれる。したがって、化合物が特定の名前で記載されている場合、または化合物のクラスが記載されている場合、これらすべての形式が含まれることが意図されている。
【0075】
本明細書に記載の化合物は、構成異性体または位置異性体とも呼ばれる構造異性体の複数の形態で存在する場合もある。これらは、全体的な化学式は同じでありながら、原子または原子団の順序が異なるだけの分子である。
【0076】
したがって、特に明記しない限り、本明細書に記載の各化合物、生体分子および複合体について、そのような潜在的な立体異性体または位置異性体形態、または複数の立体異性体および/または位置異性体形態の混合物は、本発明の範囲内である。
【0077】
「逆電子要求型ディールス・アルダー(IEDDA)付加環化」は、電子不足のジエンと電子過剰のジエノフィルとの間の反応であり、さまざまな種類の「生体直交型反応」の一例にすぎない。使用されるジエンは、1,2,4,5-テトラジンまたは1,2,4-トリアジンであり得る。ジエノフィルには、トランスシクロオクテン(TCO、ノルボルネン、シクロプロペン、アゼチン)などの歪環状アルケンを含むさまざまな分子が含まれる。これらのうち、テトラジンとTCOの反応は、これまでに報告された中で最も速く、生体内の適用に適している(スメークら、Current Opinion in Chemical Biology Volume 60、2021年2月、79-88ページ)。
【0078】
「生体直交型」という用語は、生体システムの内部、つまり水性環境内で、本来の生化学プロセスに干渉することなく起こり得る化学反応を指す。たとえば、「テトラジン連結反応」は生体直交型反応の一種として挙げられる。生体直交型化学は通常、2つの工程で進行する。まず、細胞基質は、例えば上記で特定した「テトラジン反応性基」の1つなどの生体直交型官能基(化学レポーターとも呼ばれる)で修飾される。細胞基質には、例えば、天然抗体や組み換え抗体などの免疫グロブリンなどが含まれる。化学レポーターは、基質の生物活性に影響を与えないように、基質の構造を劇的に変化させてはならない。第2工程では、相補的な官能基、例えば本明細書に記載のテトラジン基を含むプローブが導入され、基質と反応して標識される。
【0079】
本発明の化合物の「酸または塩基付加塩」は、特に生理学的に許容される酸または塩基との付加塩である。生理学的に許容される酸付加塩は、本発明の化合物の塩基形態を適切な有機酸または無機酸で処理することによって形成することができる。酸性プロトンを含む本発明の化合物は、適切な有機塩基および無機塩基で処理することにより、非毒性の金属またはアミン付加塩形態に変換することができる。本発明の化合物および塩には、水和物および溶媒添加形態、例えば水和物、アルコラートなども含まれる。
【0080】
「生理学的に許容される」酸または塩基は、特に、第1および第2ジエノフィルの組み込みに使用されるシステム(例えば、トランスシクロオクテニル基またはシクロオクチニル基を含むポリペプチドの調製に使用される翻訳システムなどの生物学的システム)によって許容される酸または塩基であり、例えば、生細胞に対して実質的に無毒である。
【0081】
「医薬組成物」は、本発明のADCに加えて、医薬として許容される保存料、医薬として許容される着色剤、医薬として許容される保護コロイド、医薬として許容されるpH調整剤、および医薬として許容される浸透圧調整剤からなる群から選択される1つ以上の物質を含む。このような物質は、当該技術分野で説明されている。本発明の医薬組成物のより詳細な説明は以下に記載される。
【0082】
本明細書において使用される「有効量」という用語は、疾患またはその1つ以上の症状の重症度および/または持続期間を軽減または緩和する、疾患の進行を防ぐ、疾患の退行を引き起こす、疾患に関連する1つ以上の症状の再発、発現、発症または進行を防ぐ、疾患を検出する、または別の治療法(例えば、予防薬または治療薬)の予防効果または治療効果を高めるまたは改善するのに十分な治療法の量を指す。
【0083】
B.3 生化学的定義
「ポリペプチド」とは、任意の長さのアミノ酸残基(天然または非天然、あるいはそれらの組み合わせ)のオリゴマーであり、通常は共有ペプチド結合によって結合されるが、必ずしも共有ペプチド結合によって結合されるわけではない。ポリペプチドは、天然に存在するポリペプチド、組み換え分子遺伝学的手法によって生成されたポリペプチド、細胞または翻訳システムからのポリペプチド、または無細胞合成手段によって生成されたポリペプチドなど、任意の供給源から得ることができる。ポリペプチドは、そのアミノ酸配列、例えばその構成アミノ酸残基の一次構造によって特徴付けられる。本明細書において、ポリペプチドのアミノ酸配列は、全長配列に限定されず、部分配列または完全配列であってもよい。さらに、ポリペプチドは、特定の生物学的活性を有するか有さないかによって制限されることを意図するものではない。
【0084】
ここで使用される用語「タンパク質」はポリペプチドと同義である。用語「ペプチド」は、例えば、長さが2~25個のアミノ酸である小さなポリペプチドを指すが、これに限定されない。
【0085】
特定の実施形態では、アミノ酸配列に少なくとも1つのncAAが組み込まれたタンパク質が、「標的化剤」を形成するために利用される。このような標的化剤の主な目的は、特定の「標的」との共有結合または非共有結合の形成である。標的化剤の第二の目的は、前記標的への「ペイロード分子」の標的輸送である。前記第2の目的を達成するためには、前記標的化剤は、少なくとも1つの「ペイロード分子」と(可逆的または不可逆的に)結合されなければならない。この目的のために、前記標的化剤は、前記少なくとも1つのncAAによって機能化される。前記少なくとも1つのncAAを有する機能化標的化剤は、前記ncAA残基を介したバイオコンジュゲーションによって前記少なくとも1つのペイロード分子に連結され得る。前記ncAAは、ペイロード分子と反応性があり、ペイロード分子は、対応する部分、本件の場合、標的化剤の前記ncAA残基と反応する特定のテトラジン部分を有する。このようにして得られたバイオ複合体により、ペイロード分子を目的の標的に転送することが可能になる。
【0086】
本明細書において使用される「非天然アミノ酸を組み込む」という用語は、例えば標的ポリペプチドに組み込む場合、例えば翻訳または化学合成を介して、標的ポリペプチドの一次構築中に、成長中のポリペプチド鎖に非天然アミノ酸を直接付加することを指す。
【0087】
非天然アミノ酸(「UNAA」)は、当技術分野で知られている数多くの方法のいずれかを使用して、標的ポリペプチドに直接組み込むことができる。多くの実施形態では、非天然アミノ酸を直接組み込む経路として直交型翻訳システムを使用しているが、代わりに他の直接組み込み方法(例えば、インビトロ翻訳システム、固相合成など)を使用することもできる。本明細書の典型的な実施形態では、非天然アミノ酸は好ましくは標的ポリペプチドに組み込まれ、すなわちポリペプチドの構築中に組み込まれ、翻訳後の化学誘導体化によって追加されないことが理解されるであろう。
【0088】
本明細書に記載の特定の実施形態では、非天然アミノ酸は、「直交型tRNA/アミノアシルtRNA合成酵素ペア」を使用して、高効率かつ高忠実度で標的ポリペプチドに部位特異的に組み込むことができる。
【0089】
「翻訳システム」という用語は、成長中のポリペプチド鎖(タンパク質)にアミノ酸を組み込むために必要な構成要素を指す。翻訳システムの構成要素には、例えば、リボソーム、tRNA、合成酵素、mRNAなどが含まれる。翻訳システムは、生体内翻訳システムまたはインビトロ翻訳システムである可能性がある。
【0090】
「インビトロ翻訳システム」は、無細胞翻訳システムであってもよい。無細胞翻訳システムは、mRNA翻訳に必要なタンパク質因子を、例えば細胞抽出物の形で取得し、その後この反応をインビトロで再構成することによって、所望のタンパク質を合成するシステムである。このような無細胞システムおよびタンパク質合成におけるその使用は、当該技術分野で既知である。例としては、大腸菌抽出物、小麦胚芽抽出物、またはウサギ網状赤血球溶解物が挙げられる(スピリンおよび主ワルツ、無細胞タンパク質合成、ウィリーVCHフェアラーク、ヴァインハイム、ドイツ、2008)。
【0091】
アミノアシルtRNA合成酵素(RS)は、アミノ酸またはアミノ酸類似体でtRNAをアシル化できる酵素である。便宜上、本発明の方法で使用されるRSは、非天然アミノ酸でtRNAをアシル化できる。
【0092】
本発明の方法は、「tRNA/アミノアシルtRNA合成酵素(tRNA/RS)対」を便宜的に利用する。好ましくは、本発明のプロセスで使用されるtRNA/RS対は、翻訳システムに対して直交型である。
【0093】
本明細書で使用される用語「直交」は、目的の翻訳システム(例えば、細胞)によって効率が低下して使用される分子(例えば、直交tRNA(O-tRNA)および/または直交アミノアシルtRNA合成酵素(O-RS))を指す。直交とは、直交tRNAまたは直交アミノアシルtRNA合成酵素が、目的の翻訳システムの内因性アミノアシルtRNA合成酵素または内因性tRNAとともに機能できないか、または効率が低下していること(例えば、20%未満、10%未満、5%未満、または1%未満)を指す。例えば、目的の翻訳システム内の直交tRNAは、目的の翻訳システムの任意の内因性アミノアシルtRNA合成酵素によってアシル化されるが、内因性tRNAが内因性アミノアシルtRNA合成酵素によってアシル化される場合と比較して、効率が低下したり、まったくなくなったりする。別の例では、直交アミノアシルtRNA合成酵素は、目的の翻訳システム内の任意の内因性tRNAをアシル化するが、内因性アミノアシルtRNA合成酵素による内因性tRNAのアシル化と比較して、効率が低下したり、まったくなくなったりする。
【0094】
本発明の方法で使用される直交tRNA/RSペアは、好ましくは以下の特性を有する:O-tRNAは、O-RSによって本発明の非天然アミノ酸で優先的にアシル化される。さらに、直交ペアは、目的の翻訳システムで機能し、例えば、翻訳システムは、非天然アミノ酸アシル化O-tRNAを使用して、本発明の非天然アミノ酸をポリペプチド鎖に組み込む。組み込みは、部位特異的な方法で行われ、例えば、O-tRNAは、ポリペプチドをコードするmRNA内のセレクターコドン、例えばアンバーストップコドンを認識する。
【0095】
「優先的にアシル化する」という用語は、目的の翻訳システムの内因性tRNAまたはアミノ酸と比較して、O-RSがO-tRNAを非天然アミノ酸でアシル化する効率が、例えば約50%効率、約70%効率、約75%効率、約85%効率、約90%効率、約95%効率、または約99%以上の効率であることを意味する。次に、非天然アミノ酸は、高い忠実度で、例えば、所定のセレクターコドンに対して約75%を超える効率、所定のセレクターコドンに対して約80%を超える効率、所定のセレクターコドンに対して約90%を超える効率、所定のセレクターコドンに対して約95%を超える効率、または所定のセレクターコドンに対して約99%以上の効率で、成長するポリペプチド鎖に組み込まれる。
【0096】
「セレクターコドン」という用語は、翻訳プロセスでO-tRNAによって認識され、内因性tRNAによって認識されないコドンを指す。O-tRNAアンチコドンループは、mRNA上のセレクターコドンを認識し、そのアミノ酸、例えば非天然アミノ酸をポリペプチドのこの部位に組み込む。セレクターコドンには、例えば、ナンセンスコドン、例えば停止コドン、例えばアンバー、オーカー、およびオパールコドン、4塩基以上のコドン、天然または非天然の塩基対から誘導されたコドンなどが含まれる。所定のシステムでは、セレクターコドンには天然の3塩基コドン(つまり天然トリプレット)の1つも含まれる可能性があり、この場合、内因性システムは前記天然トリプレットを使用しない。例えば、天然トリプレットを認識するtRNAが欠如しているシステム、または天然トリプレットがまれなコドンであるシステムなどである。
【0097】
「アンチコドン」は、対応するコドンの逆相補配列を有する。
【0098】
O-tRNA/O-RS対は、サプレッサーtRNAなどのO-tRNAとO-RSから構成される。
【0099】
「サプレッサーtRNA」とは、特定の翻訳システムでメッセンジャーRNA(mRNA)の読み取りを変更するtRNAである。サプレッサーtRNAは、たとえば終止コドン、4塩基コドン、またはまれなコドンを読み取ることができる。
【0100】
O-tRNAは内因性合成酵素によってアシル化されず、本明細書で説明するようにセレクターコドンをデコードすることができる。
【0101】
O-RSは、例えば拡張されたアンチコドンループを持つO-tRNAを認識し、非天然アミノ酸でO-tRNAを優先的にアシル化する。
【0102】
本発明のプロセスで使用されるtRNAおよびRSは、天然に存在するか、またはさまざまな生物由来の天然に存在するtRNAおよび/またはRSの変異によって誘導される。さまざまな実施形態では、tRNAおよびRSは少なくとも1つの生物由来である。別の実施形態では、tRNAは、第1の生物由来の天然に存在するtRNAまたは変異した天然に存在するtRNAに由来し、RSは、第2の生物由来の天然に存在するRSまたは変異した天然に存在するRSに由来する。
【0103】
適切なtRNA/RSペアは、例えばライブラリスクリーニングの結果に基づいて、変異tRNAおよびRSのライブラリから選択できる。あるいは、適切なtRNA/RSペアは、供給源種から翻訳システムにインポートされた異種tRNA/合成酵素ペアである可能性がある。翻訳システムとして使用される細胞は、前記供給源種とは異なる細胞であるのが好ましい。
【0104】
例えば、適切な直交O-tRNAは、メタノコッカスジャンナシイ、メタノバクテリウムサーモオートトロフィカム、ハロバクテリウム(ハロフェラックスボルカニイ、ハロバクテリウム種NRC-Iなど)、アーキオグロバスフルギドゥス、ピロコッカスフリオサス、ピロコッカスホリコシイ、アエウロピラムペルニクス、メタノコッカスマリパルディス、メタノピルスカンドレリ、メタノサルシナマゼイ(Mm)、ピロバキュラムアエロフィラム、ピロコッカスアビッシ、スルフォロバスソルファタリカス(Ss)、スルフォロバストコダイ、サーモプラズマアシドフィラム、サーモプラズマボルカニウムなどの古細菌、大腸菌、サーマス・サーモフィルス、枯草菌、バチルス・ステアロサーモフィルスなどの真正細菌から誘導され得、一方、直交O-RSは、例えば、メタノコッカス・ジャンナスキイ、メタノバクテリウム・サーモオートトロフィカムなどの古細菌、ハロフェラックス・ボルカニイおよびハロバクテリウム種NRC-Jなどのハロバクテリウム、アーキオグロバス・フルギドゥス、ピロコッカス・フリオサス、ピロコッカス・ホリコシイ、アエウロピラム・ペルニクス、メタノコッカス・マリパルディス、メタノピルス・カンドレリ、メタノサルシナ・マゼイ、メタノサルシナ・バケリ、メタノサルシナ・ハフニエンセ、ピロバキュラム・アエロフィラム、ピロコッカス・アビッシ、スルフォロバス・ソルファタリカス、スルフォロバス・トコダイ、サーモプラズマ・アシドフィラム、サーモプラズマ・ボルカニウムなど、または、大腸菌、サーマス・サーモフィルス、枯草菌、バチルス・ステアロサーモフィルスなどの真正細菌の生物または生物の組み合わせから得ることができる。一実施形態では、真核生物源、例えば植物、藻類、原生生物、真菌、酵母、動物、例えば哺乳類、昆虫、節足動物なども、O-tRNAおよびO-RSの供給源として使用することができる。
【0105】
tRNA/RSペアを進化させる方法は、例えば国際公開第WO02/085923号および国際公開第WO02/06075号に記載されている。
【0106】
好ましくは、RSは、本発明の非天然アミノ酸でtRNAをアシル化できるピロリシルtRNA合成酵素(pylRS)である。本発明の方法で使用されるピロリシルtRNA合成酵素は、野生型または遺伝子操作されたpylRSである。野生型pylRSの例には、野生型pylRSの例としては、メタノサルシナ・マゼイ、メタノサルシナ・バルケリ、メタノコッコイデス・バートニー、メタノサルシナ・アセチボランス、メタノサルシナ・サーモフィラ、デスルフィトバクテリウム・ハフニエンセなどの古細菌や真正細菌のpylRSなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0107】
ピロリシルtRNA合成酵素(PylRS)は、アミノアシルtRNA合成酵素(RS)である。RSは、アミノ酸またはアミノ酸類似体でtRNAをアシル化することができる酵素である。便宜上、本発明のPylRSは酵素活性であり、すなわち、特定のアミノ酸またはアミノ酸類似体、好ましくはUNAAまたはその塩でtRNA(tRNAPyl)をアシル化することができる。
【0108】
本明細書で使用される用語「古細菌ピロリシルtRNA合成酵素」(「古細菌PylRS」と略記)は、PylRSアミノ酸配列の少なくとも一部、またはPylRSアミノ酸配列全体が、古細菌由来の天然PylRSのアミノ酸配列、またはそのような天然PylRSの酵素活性断片のアミノ酸配列と、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有するPylRSを指す。
【0109】
本発明のPylRSは、変異古細菌PylRS、またはその酵素活性断片を含み得る。
【0110】
一般的に、「変異体古細菌PylRS」または「変異古細菌PylRS」は、1つ以上のアミノ酸残基の追加、置換、および/または欠失を含む点で、対応する野生型PylRSと異なる。好ましくは、これらはPylRSの安定性を改善し、PylRS基質特異性を変更し、および/またはPylRS酵素活性を強化する改変である。特に好ましい「変異体古細菌PylRS」または「変異古細菌PylRS」については、以下でより詳しく説明する。
【0111】
「核外搬出シグナル」(略して「NES」)という用語は、それを含むポリペプチド(本発明のNES含有PylRSなど)を真核細胞の核から搬出するように指示できるアミノ酸配列を指す。この搬出は主にCrm1(染色体領域維持1、カリオフェリンエクスポーチン1としても知られる)によって媒介されると考えられている。NESは当技術分野で知られている。例えば、データベースValidNES(http://validness.ym.edu.tw/)は、実験的に検証されたNES含有タンパク質の配列情報を提供する。さらに、NESbase1.0(www.cbs.dtu.dk/databased/NESbase-1.0/;ラ・クールら、NuclAcidsRes31(1),2003を参照)などのNESデータベースや、NetNES(www.cbs.dtu.dk/services/NetNES/;ラ・クールら、ラ・クールら、ProteinEngDesSel17(6):527-536,2004)、NESpredictor(NetNES、http://www.cbs.dtu.dk/;フーら、NuclAcidsRes41:D338-D343,2013;ラ・クールら、ProteinEngDesSel17(6):527-536,04))そしてNESsential(ValidNESと組み合わせたウェブインターフェイス)は一般に公開されている。疎水性ロイシンに富むNESは最も一般的で、現在までに最もよく特徴付けられたNESの基である。疎水性ロイシンに富むNESは、3つまたは4つの疎水性残基を持つ非保存的モチーフである。これらのNESの多くは、保存されたアミノ酸配列パターンLxxLxL(SEQIDNO:111)またはLxxxLxL(SEQIDNO:112)で構成されており、各Lはロイシン、イソロイシン、バリン、フェニルアラニン、およびメチオニンアミノ酸残基から独立して選択され、各xは任意のアミノ酸から独立して選択される(ラ・クールら、ProteinEngDesSel17(6):527-536、2004を参照)。
【0112】
「核局在化シグナル」(略称「NLS」、当技術分野では「核局在配列」とも呼ばれる)という用語は、それを含むポリペプチド(例えば、野生型古細菌のPylRS)を真核細胞の核に輸送するように指示できるアミノ酸配列を指す。この輸送は、NLSを含むポリペプチドがインポーチン(別名カリオフェリン)に結合して、核孔を通過する複合体を形成することによって媒介されると考えられている。NLSは当技術分野で既知である。NLSデータベースやNLS予測ツールは数多く公開されており、NLSdb(ネアら、NuclAcidsRes31(1),2003を参照)、cNLSMapper(www.nls-mapper.aib.keio.ac.jp、コスギら、ProcNatlAcadSciUSA.106(25):10171-10176,2009、コスギら、JBiolChem284(1):478-485,2009を参照)、SeqNLS(リンら、PLoSOne8(10):e76864,2013を参照)、NucPred(www.sbc.su.se/~maccallr/nucpred/、ブランマイアら、Bioinformatics23(9):1159-60,2007を参照)などがある。
【0113】
上記で定義した本発明の変異古細菌PylRSは、変異体が由来する前記天然PylRSに任意に存在するNLSを除去することによって、および/または少なくとも1つのNESを導入することによって、さらに改変することができる。天然PylRSのNLSは、例えばcNLSMapperなどの既知のNLS検出ツールを使用して識別することができる。
【0114】
古細菌のPylRSまたはその変異体からNLSを除去し、および/またはNESを導入すると、真核細胞で発現したときに、このように改変されたポリペプチドの局在を変えることができ、特に、真核細胞の核におけるポリペプチドの蓄積を回避または低減することができる。したがって、真核細胞で発現された本発明のPylRS変異体の局在は、PylRSまたはPylRS変異体と比較して変えることができ、これは、(依然として)NLSを含み、NESを欠くという点で、本発明のPylRS変異体とは異なる。
【0115】
本発明の古細菌のPylRSがNESを含むが(依然として)NLSを含む場合、NESは、NESの強度がNLSを上回り、真核細胞の核内でのPylRSの蓄積を防ぐように選択されることが好ましい。
【0116】
本発明のPylRSを得るために、野生型または変異型PylRSからNLSを除去し、および/または野生型または変異型PylRSにNESを導入しても、PylRS酵素活性は失われない。好ましくは、PylRS酵素活性は基本的に同じレベルに維持され、すなわち、本発明のPylRSは、対応する野生型または変異型PylRSの酵素活性の少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも91、92、93、94、95、96、97、98、または99%を有する。
【0117】
NESは、本発明のPylRSまたは変異PylRS内に適切に配置されており、NESが機能するようになっている。例えば、NESは、野生型または変異古細菌PylRSのC末端(例えば、最後のアミノ酸残基のC末端)またはN末端(例えば、アミノ酸残基1、N末端メチオニン、およびアミノ酸残基2の間)に結合できる。
【0118】
NESの組み込みおよび/またはNLS配列の削除によって改変された変異PylRSを開示する国際公開第WO2018/06948号の開示は、本明細書に明示的に参照され、参照により組み込まれる。
【0119】
C.特定の実施形態
以下に記載する一般式(I)を有する本発明のテトラジン化合物は、複合体、特にバイオ複合体の調製に使用される。この目的のために、式(I)の化合物は、その官能性テトラジン部分を介して、例えば生体分子、特に標的分子、例えば抗体分子などのコンジュゲーションパートナーが有する適切なテトラジン反応性第2官能基と反応する。
【0120】
前記テトラジン反応性官能基は、例えば、シクロオクチニル基またはトランスシクロオクテニル基であり得る。
【0121】
本発明は、生体内または生体外でこのようなポリペプチドを調製する方法を提供する。特に、前記テトラジン反応性官能基は、1つまたは複数のセレクターコドンを含むポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドに翻訳的に組み込むことができる。
【0122】
本発明は、以下の主な態様およびその特定の実施形態に関する。
【0123】
1.本発明の第1の態様
本発明の第1の態様は、特定のテトラジン基によって機能化されたペイロード分子に関するものであり、このペイロード分子は、機能化されたペイロード分子のテトラジン基と反応する機能的な対応基を有する第2の分子、特に生体分子とのコンジュゲーションに適合している。
【0124】
本発明の第1の実施形態によれば、以下の一般式Iのテトラジン機能化化合物が提供される。
【化4】
ここで、
mは0または1である。
nは1および2から選択される整数を表す。
oは0であるか、または1または2から選択される整数を表す。
Aは切断可能な部分を表す。
SpおよびSpは互いに独立してスペーサー部分を表す。
Xは自壊性部分を表す。
Yはペイロード残基(またはカーゴ)を表す。
Zは親水性基を表す。
【0125】
特定の実施形態によれば、mは0である。
別の特定の実施形態によれば、mは1である。
別の特定の実施形態によれば、nは1である。
別の特定の実施形態によれば、nは2である。
【0126】
別の特定の実施形態によれば、oは0である。
別の特定の実施形態によれば、oは1である。
別の特定の実施形態によれば、oは2である。
【0127】
別の特定の実施形態によれば、SpとSpは異なる。
別の特定の実施形態によれば、SpとSpは同一である。
【0128】
m、n、o、およびSpとSpのパラメータの組み合わせの具体的な例は次のとおりである。
【0129】
【表1】
【0130】
本発明の第2の実施形態によれば、第1の実施形態の化合物の一般式I中の残基Zは、以下の親水性基の1つから選択される。
【0131】
a)リンおよび/または硫黄含有親水性部分Z、特に(RO)P(O)-、(R1aO)P(O)-O-、(RO)P-O-、RS(O)-、(RO)S(O)O-、または(RaO)S(O)
ここで、
残基R~R、R1aおよびR4aは、同一または別異であり、互いに独立して、Hまたは低級アルキル、特にメチルまたはエチルを表し、
または、前記リンおよび/または硫黄含有親水性部分の塩形態、例えば生理学的に許容される塩である。
【0132】
b)直鎖または分岐鎖モノまたはポリアルキレンオキシド部分Z、特に直鎖部分-((CH-O)-R、-(O-(CH-Hおよび-(O-(CH-ORおよびそれらの分岐鎖類似体から選択され、
ここで、
残基RおよびRは互いに独立してHまたは低級アルキル、特にH、メチルまたはエチルを表し、
xは互いに独立して1、2、3または4から選択される整数、特に1または2を表し、
yは互いに独立して1から20までの整数、特に1から15、1から10または1から4までの整数、たとえば1、2、3または4を表す。
【0133】
基aに関して
特定の実施形態によれば、Zは(RO)P(O)-、(R1aO)P(O)-O-または(RO)P-O-、より具体的には(RO)P(O)-であり、
ここで、
残基R、R、およびR1aは、互いに独立して、同一または別異であり、H、メチル、またはエチルを表す。
【0134】
基bに関して
別の特定の実施形態によれば、Zは直鎖モノまたはポリアルキレンオキシド部分である。
さらに別の特定の実施形態によれば、Zは直鎖部分-((CH-O)-R、-(O-(CH-H、および-(O-(CH-ORから選択され、ここで、残基RおよびRは互いに独立してH、メチルまたはエチルを表し、
さらに別の特定の実施形態によれば、xは互いに独立して1または2から選択される整数を表す。
【0135】
パラメータZ、m、n、oおよびSpとSpのパラメータの組み合わせの特定の例は次のとおりである。
【0136】
【表2】
【0137】
ここで、RはHまたは低級アルキルである。または、
【0138】
【表3】
【0139】
または
【0140】
【表4】
【0141】
または
【0142】
【表5】
【0143】
Z、m、n、o、およびSpとSpのパラメータの組み合わせのさらなる具体的な例は次のとおりである。
【0144】
【表6】
【0145】
ここで、残基RはHまたは低級アルキル、特にH、メチルまたはエチルを表し、
xは1または2から選択される整数を表し、
yは1~20、特に1~15、1~10または1~4の整数を表し、例えば1、2、3または4である。
【0146】
Z、x、y、R、m、n、o、およびSpとSpのパラメータの組み合わせの特定の例は次のとおりである。
【0147】
【表7】
【0148】
または
【0149】
【表8】
【0150】
または
【0151】
【表9】
【0152】
または
【0153】
【表10】
【0154】
本発明の第3の実施形態によれば、前述の実施形態のいずれかの式Iの化合物のスペーサーSpは存在しないか、または、より具体的には、以下から選択される。
【0155】
a)6~14個の環炭素原子を有する単環式または多環式の、任意に単置換または多置換された芳香族部分、特に1,4-フェニレン、ここで、前記1つ以上の任意置換基は、互いに独立して、-Hal、-CHal、-OH、-SH、-NR’、-NO、-CN、-C(=O)R’’、-C(=O)OR’’’、アルキル、アルケニル、アルキニル、およびアルコキシから選択され、
ここで、
R’、R’’、およびR’’’は、互いに独立して、HおよびC~C-アルキルから選択される(部分M1)。
【0156】
b)一般式Xの複素環残基であって、
【化5】
ここで、
環部分XからXの1つ、2つまたは3つはNを表し、他の部分は>CHを表す(部分M2)。
【0157】
c)直鎖または分岐の低級アルキレン、特に-(CHn1-、ここでn1は1から4の整数であり、より具体的にはメチレン(部分M3)である。
【0158】
d)M1、M2、およびM3から選択される、少なくとも2つの同一またはより具体的には異なる部分の組み合わせである。
【0159】
部分M1に関して
特定の実施形態によれば、部分M1は、6個の炭素原子を有する単環式非置換芳香族部分、特に1,4-フェニレン、または
【化6】
【0160】
部分M2に関して
特定の実施形態によれば、部分M2は一般式Xの複素環残基を表し、ここで
環部分XからXの1つまたは2つはNを表し、他の1つは>CHを表す。
【0161】
部分M3に関して
特定の実施形態によれば、部分M3は直鎖低級アルキレン、特に-(CHn1-を表し、ここでn1は1または2の整数であり、より具体的にはメチレンである。
【0162】
本発明の第4の実施形態によれば、前述の実施形態のいずれかの化合物(I)のスペーサーSpは、次から選択される。
【0163】
a)6~14個の環炭素原子を有する単環式または多環式の任意に単置換または多置換された芳香族部分、特に1,2-フェニレン、1,3-フェニレンまたは1,4-フェニレンから選択され、ここで、前記1つ以上の任意置換基は、互いに独立して、-Hal、-CHal、-OH、-SH、、-NR’、NO、-CN、-C(=O)R’’、-C(=O)OR’’’、アルキル、アルケニル、アルキニル、およびアルコキシから選択され、
ここで
R’、R’’およびR’’’は、互いに独立して、HおよびC~Cアルキルから選択される(部分M1)。
【0164】
b)一般式Xの複素環式残基であり、
【化7】
ここで、環部分X~Xのうちの1つ、2つまたは3つはNを表し、他の1つは>CHを表す(部分M2)。
【0165】
c)直鎖または分岐鎖低級アルキレン、特に-(CHn1-であり、
ここで
n1は1から4までの整数であり、より具体的にはメチレンである(部分M3)。
【0166】
d)直鎖または分岐ポリアルキレンオキシド部分、特に直鎖部分-((CHx1-O)y1-または-(O-(CHx1y1-およびその分岐類似体から選択され、
ここで、
x1は互いに独立して、1、2、3または4から選択される整数、特に1または2を表し、および
y1は互いに独立して、1から20までの整数、特に1から4を表す(部分M4)。
【0167】
e)ヘテロ原子含有部分は、
-N(R’’’’)-、
-(CHx2-N(R’’’’)-、
-N(R’’’’)-(CHx3-C(O)O-、
-N(R’’’’)-(CHx3-C(O)-、
-N(R’’’’)-(CHx4-N(R’’’’)-、
-N(R’’’’)-C(O)-(CHx4-N(R’’’’)-、
-(CHx4-C(O)-、および
-(CHx4-C(O)-から選択され、
ここで、
R’’’’は、互いに独立して、HおよびC~Cアルキルから選択され、
x2は、1、2、3または4から選択される整数を表し、特に1または2を表し、
x3は1、2、3または4から選択される整数を表し、特に1または2を表し、および
x4は1、2、3または4から選択される整数を表し、特に1または2を表す(部分M5)。
【0168】
または、
f)M1、M2、M3およびM4から選択される少なくとも2つの同一またはより具体的には異なる部分の組み合わせであり、またはM1、M2、M3、M4およびM5から選択される少なくとも2つの同一またはより具体的には異なる部分の組み合わせである。
【0169】
部分M1に関して
特定の実施形態によれば、部分M1は、6個の炭素原子を有する単環式非置換芳香族部分であり、特に1,2-フェニレン、1,3-フェニレンまたは1,4-フェニレン、より具体的には1,4-フェニレン、または
【化8】
【0170】
部分M2に関して
特定の実施形態によれば、部分M2は一般式Xの複素環残基を表し、ここで
環部分X~Xの1つまたは2つはNを表し、他の1つは>CHを表す。
【0171】
部分M3に関して
特定の実施形態によれば、部分M3は直鎖低級アルキレン、特に-(CHn1-を表し、ここでn1は1または2の整数であり、より具体的にはメチレンである。
【0172】
部分M4に関して
特定の実施形態によれば、部分4は、直鎖ポリアルキレンオキシド部分を表し、直鎖部分-((CHx1-O)y1-または-(O-(CHx1y1-から選択され、
ここで、
x1は互いに独立して、1または2から選択される整数を表し、および
y1は互いに独立して、2から20、特に2から4の整数を表す。
【0173】
部分M5に関して
特定の実施形態によれば、部分5は-N(R’’’’)-、-N(R’’’’)-(CHx3-C(O)-または-(CHx2-N(R’’’’)-を表し、
ここで、
R’’’’は互いに独立してHおよびC-C-アルキル、より具体的にはHから選択され、
x2は1、2、3または4から選択される整数、特に1または2を表す。
【0174】
本発明の第5の実施形態によれば、前述の実施形態のいずれかの化合物(I)の前記基Aは、酵素的または化学的に切断可能なリンカー基であり、以下から選択される。
【0175】
a)ペプチジル基、特にジ、トリまたはテトラペプチジル基。
【0176】
b)式-(CRn2-S-S-(CRn2-X-またはX5’-(CRn2-S-S-(CRn2-X-のジスルフィド基。
ここで
n2は1から4の整数を表し、
残基RおよびRは、互いに独立して、Hまたは低級アルキル、特にメチルから選択され、または2つの残基RおよびRは、それらが結合している炭素原子と一緒になって環状CからCのアルキル基を形成し、および
部分Xは-C(O)-および-O-から選択され、
部分X5’は、-C(O)-および-(O)C-(CH)-NH-から選択される。
【0177】
c)ヒドラゾン基は、>C=N-N(R)-および-N(R)-N=C<から選択され、
ここで、
はHまたは低級アルキルであり、および
【0178】
d)β-グルクロニダーゼ感受性切断可能リンカー基(グルクロニドリンカー基)、特に、β-グルクロン酸由来トリガー残基を有する。
【0179】
特定の実施形態によれば、切断可能なリンカーは特徴a)によるペプチジル基である。
別の特定の実施形態によれば、切断可能なリンカーは特徴d)によるグルクロニドリンカー基である。
【0180】
本発明の第6の実施形態によれば、前述の実施形態のいずれかの化合物(I)の前記自壊性基Xは、次から選択される。
【0181】
a)p-アミノベンジルアルコール(PAB)の式で表される基
-NH-p-フェニレン-CH-O-または-O-CH-p-フェニレン-NH-または
-NH-p-フェニレン-CH-N(R20
【0182】
b)-O-C(O)-O-
【0183】
c)-O-C(O)-NR10-(CR1213-NR11-C(O)-O-または-X-C(O)-NR10-(CR1213-NR11-C(O)-X
ここで、zは1から6、特に1から4から選択される整数を表し、
20は、互いに独立して、Hまたは低級アルキル基を表し、
10およびR11は、互いに独立して、Hまたは低級アルキル基を表し、
12およびR13は、互いに独立して、H、メチルまたはエチル、特にHまたはメチル、特にHを表し、そして
およびXは互いに独立してO、SまたはNR10を表す。
【0184】
d)式メチレンアルコキシカルバメート(MAC)型結合
-OC(O)-NR13-C(R1415)-(O)-
-OC(O)-NR13-C(R1415)-(S)-
-OC(O)-NR13-C(R1415)-(NR16)-または
-OC(O)-NR13-C(R1415)-(NR16-C(O)O)-
ここで
13、R14、R15、およびR16は互いに独立してHまたは低級アルキル、特にC~Cアルキルを表す。
【0185】
特定の実施形態によれば、前記自壊性基Xは、特徴a)によるPAB誘導基である。
【0186】
本発明の第7の実施形態によれば、前述の実施形態のいずれかの化合物の前記ペイロード残基Yは、生物活性化合物、特に染料、放射性標識、タンパク質分解剤、光増感剤、およびキレート剤などの標識剤から選択される。
【0187】
本発明の第8の実施形態によれば、前述の実施形態のいずれかの化合物は、一般式Iaの化合物に対応する。
【化9】
ここで、結合α、β、γおよびδは、互いに独立して、化学結合、またはエーテル、チオエーテル、エステル、アミド、カルバメート、カルボニル(特にケト)、ジカルバメート、カーボネート、ヒドラジン、尿素、アルキレンオキシド、または直鎖状もしくは分岐状のポリアルキレンオキシド結合から選択される。
【0188】
前記ポリアルキレンオキシド結合は、直鎖部分-((CHx1-O)y1-または-(O-(CHx1y1-から選択され、
ここで
x1は互いに独立して1または2から選択される整数を表し、
y1は互いに独立して2から20、特に2から4の整数を表す。
【0189】
特定の実施形態によれば、結合α、β、γおよびδはそれぞれ化学結合である。
別の特定の実施形態によれば、結合α、β、γおよびδは化学結合である。
別の特定の実施形態によれば、結合βは化学結合である。
別の特定の実施形態によれば、結合γは化学結合である。
別の特定の実施形態によれば、結合αおよびβはそれぞれ化学結合である。
別の特定の実施形態によれば、結合α、β、およびγはそれぞれ化学結合である。
【0190】
別の特定の実施形態によれば、結合α、β、γはそれぞれ化学結合であり、δはエーテル、チオエーテル、エステル、アミド、カルバメート、カルボニル(特にケト)、ジカルバメート、カーボネート、ヒドラジン、尿素、アルキレンオキシド、または直鎖状もしくは分岐状のポリアルキレンオキシド結合である。
【0191】
別の特定の実施形態によれば、結合α、β、γはそれぞれ化学結合であり、δはエステル、アミド、カルバメート、ジカルバメート、カーボネート、アルキレンオキシド、または直鎖状もしくは分岐状のポリアルキレンオキシド結合である。
【0192】
前記ポリアルキレンオキシド結合は、直鎖部分-((CHx1-O)y1-または-(O-(CHx1y1-から選択され、
ここで
x1は互いに独立して1または2から選択される整数を表し、
y1は互いに独立して2から4までの整数を表す。
【0193】
本発明の第9の実施形態によれば、前述の実施形態のいずれかの化合物の前記スペーサーSpは、以下の部分の組み合わせのうちの1つから選択される。
-M1-M3-、-M2-M3-、-M3-M1-またはM3-M2-
ここで、
前記部分M1、M2、M3間の結合は、独立して、化学結合、エーテル、チオエーテル、エステル、アミド、カルバメート、ジカルバメート、カーボネート、ヒドラジンまたは尿素、およびアルキレンオキシドまたは直鎖または分岐ポリアルキレンオキシド結合から選択される。
【0194】
特定の実施形態では、前記部分M1、M2、M3間の結合はそれぞれ化学結合である。
【0195】
本発明の第10の実施形態によれば、前述の実施形態のいずれかの化合物の前記スペーサーSpは、以下の部分の組み合わせのうちの1つから選択される。
-M1-M3-、-M1-M4-、-M2-M3-、-M2-M5-、-M2-M4-、-M3-M1-、-M3-M2-、-M3-M4-。-M1-M3-M4-、-M1-M4-M3-、-M2-M3-M4-、-M2-M4-M3-、-M3-M2-M4-。-M3-M4-M2-または-M2-M5-M4-、
ここで、
前記部分M1、M2、M3、M4およびM5間の結合は、化学結合、エーテル、チオエーテル、エステル、アミド、カルバメート、ジカルバメート、カーボネート、ヒドラジンまたは尿素、およびアルキレンオキシドまたは直鎖または分岐ポリアルキレンオキシド結合から独立して選択される。
【0196】
特定の実施形態では、前記部分M1、M2、M3およびM4間の結合はそれぞれ化学結合である。
【0197】
SpおよびSpのモチーフMの組み合わせの特定の例を次の表に示す(該当するスペーサー部分は、式Iの化合物中に任意の配向で存在することができる)。
【0198】
【表11】
【0199】
SpおよびSpのモチーフMの組み合わせを持つ式Iの化合物の特定の例を以下の表に示す(該当するスペーサー部分は、式Iの化合物中に任意の配向で存在することができる)。
【0200】
【表12】
【0201】
ここで、RはHまたは低級アルキルであり、
または
【0202】
【表13】
【0203】
または
【0204】
【表14】
【0205】
または
【0206】
【表15】
【0207】
または
【0208】
【表16】
【0209】
ここで、
残基RはHまたは低級アルキル、特にH、メチルまたはエチルを表し、
xは1または2から選択される整数を表し、
yは1~20、特に1~15、1~10または1~4の整数を表し、例えば1、2、3、または4を表し、
または
【0210】
【表17】
【0211】
または
【0212】
【表18】
【0213】
【表19】
【0214】
または
【0215】
【表20】
【0216】
または
【0217】
【表21】
【0218】
2.本発明の第2の態様
本発明の第2の態様は、複合体、特にバイオ複合体に関する。
これらは、上記で定義した特定のテトラジン基によって機能化された、本発明の第1の態様の一般式(I)の少なくとも1つの機能化ペイロード分子の反応によって形成される。前記ペイロード分子は、機能化された標的化剤、特に、機能化されたペイロード分子のテトラジン基と双直交化学反応で反応する機能的な対応基を有する機能化された生体分子とのコンジュゲーションに適合している。
【0219】
本発明の第11の実施形態によれば、機能化標的化剤と、前述の実施形態のいずれかの式Iのテトラジン化合物とを反応させて、前記機能化標的化剤と前記式Iのテトラジン化合物との間に共有結合を形成することによって得られる複合体、より具体的にはバイオ複合体が提供される。
【0220】
本発明の第12の実施形態によれば、第11の実施形態の前記機能化標的化剤は、以下の実体の対応する機能化形態から選択される:ウイルス、全細胞、ファージ、リポソーム、生体分子および低分子量または高分子量化合物、抗体、抗体誘導体、抗体フラグメント、抗体(フラグメント)融合物、酵素、タンパク質、ペプチド、ペプチド模倣物、炭水化物、単糖類、多糖類、オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチド、特にDNA、RNA、PNAおよびLNA分子、アプタマー、薬物、糖タンパク質、グリカン、脂質、ポリマー、化学療法剤、受容体アゴニストおよびアンタゴニスト、サイトカイン、ホルモン、ステロイド、毒素、およびそれらの誘導体。その特定の実施形態では、標的化剤は、抗体、抗体誘導体、抗体フラグメント、および抗体(フラグメント)融合物から選択される。
【0221】
本発明の第13の実施形態によれば、実施形態11および12のいずれかの複合体が提供され、ここで、前記機能化標的化剤は、官能基として、前記式Iの化合物の前記テトラジン部分と反応する少なくとも1つのジエノフィル部分を含む。
【0222】
本発明の第14の実施形態によれば、実施形態11~13のいずれかの複合体が提供され、ここで、前記機能化標的化剤は、少なくとも1つのポリペプチド配列を含み、そのアミノ酸配列内に少なくとも1つの非天然アミノ酸残基を有し、その非天然アミノ酸残基は、前記式Iの化合物の前記テトラジン部分と反応する少なくとも1つのジエノフィル部分を含む。
【0223】
本発明の第15の実施形態によれば、実施形態11~14のいずれかの複合体が提供され、ここで、前記機能化生体分子は、ポリクローナルまたはモノクローナル免疫グロブリン分子、特にモノクローナル抗体またはその断片である。
【0224】
本発明の第16の実施形態によれば、実施形態11~15のいずれかの複合体が提供される。これは、式Iのテトラジン化合物と、例えばシクロオクチニルジエノフィル、トランスシクロオクテニルジエノフィル、ノルボルネニルジエノフィル、シクロプロペニルジエノフィル、シクロブテニルジエノフィル、スピロヘキセニルジエノフィル、BCNジエノフィル、アゼチンジエノフィル、またはアルケンなどの、ディールス・アルダー型環化付加反応を介して反応することができる官能基を有する機能化生体分子との双直交バイオコンジュゲーションによって形成される。
【0225】
本発明の第17の実施形態によれば、実施形態16の複合体が提供され、ここで、ディールス・アルダー型環化付加反応を介して反応することができる前記官能基は、次から選択される。
(i)次式で表されるトランスシクロオクテニルジエノフィル基
【化10】
ここで、
は水素、ハロゲン、C-C-アルキル、(RO)P(O)O-C-C-アルキル、(RO)P(O)-C-C-アルキル、CF、CN、ヒドロキシル、C-C-アルコキシ、-O-CF、C-C-アルケノキシ、C-C-アルカノイルオキシ、C-C-アルキルアミノカルボニルオキシまたはC-C-アルキルチオ、C-C-アルキルアミノ、ジ-(C-C-アルキル)アミノ、C-C-アルケニルアミノ、C-C-アルケニル-C-C-アルキル-アミノまたはジ-(C-C-アルケニル)アミノであり、
、Rは独立して水素またはC-C-アルカノイルオキシメチルであり、または
(ii)次式のシクロオクチニルジエノフィル基であり、
【化11】
ここで、
は水素、ハロゲン、C-C-アルキル、(RO)P(O)O-C-C-アルキル、(RO)P(O)-C-C-アルキル、CF、CN、ヒドロキシル、C-C-アルコキシ、-O-CF、C-C-アルケノキシ、C-C-アルカノイルオキシ、C-C-アルキルアミノカルボニルオキシまたはC-C-アルキルチオ、C-C-アルキルアミノ、ジ-(C-C-アルキル)アミノ、C-C-アルケニルアミノ、C-C-アルケニル-C-C-アルキル-アミノまたはジ-(C-C-アルケニル)アミノであり、
、Rは独立して水素またはC-C-アルカノイルオキシメチルである。
【0226】
3.本発明の第3の態様
本発明の第3の態様は、バイオ複合体を調製する方法に関する。
【0227】
本発明の第18の態様によれば、実施形態11から17のいずれかのバイオ複合体を調製する方法が提供される。前記方法は、水性の、任意に緩衝化された反応媒体中で、実施形態1から10のいずれかで定義されるテトラジン化合物と、官能性ジエノフィル基を有する機能化生体分子とを反応させ、前記分子間でディールス・アルダー型付加環化反応を行うことを含む。
【0228】
4.本発明の第4の態様
本発明の第4の態様は、例えば式Iのテトラジン化合物の製造に有用な特定のテトラジン中間体に関する。
【0229】
本発明の第19の実施形態によれば、一般式IIのテトラジン中間体が提供される。
【化12】
【0230】
ここで、
n3は1または2から選択される整数を表し、
SpおよびSpは上記で定義したとおりであり、
結合α、βおよびγは、互いに独立して、化学結合、またはエーテル、チオエーテル、エステル、アミド、カルボニル(特にケト)、カルバメート、ジカルバメート、カーボネート、ヒドラジン、尿素、アルキレンオキシドまたは直鎖もしくは分岐ポリアルキレンオキシド結合から選択され、
Zは、リン含有親水性基、特に(RO)P(O)-、(R1aO)P(O)-O-、および(RO)P-O-を表し、
ここで、R、R1a、およびRは、同一または別異であり、互いに独立して、Hまたは低級アルキル、特にメチルまたはエチルを表し、さらにより具体的にはHを表し、
Rは、Hまたは化学結合を形成できる化学基、またはエーテル、チオエーテル、エステル、例えばスクシンイミジルエステルまたはペンタフルオロフェニルエステルのような活性エステル、アミド、カルバメート、ジカルバメート、カーボネート、ヒドラジン、尿素、アルキレンオキシド、または直鎖または分岐ポリアルキレンオキシド結合を形成できる化学基を表し、任意選択で、Rは化学保護基を表さず、特に切断可能な保護基を表さず、さらに具体的にはN-、O-、またはS-保護基を表さないという条件付きである。
【0231】
より具体的には、Rはアミノ基またはカルボキシル基を表す。特定の実施形態によれば、結合α、β、およびγはそれぞれ化学結合である。
別の特定の実施形態によれば、結合αは化学結合である。
別の特定の実施形態によれば、結合βは化学結合である。
別の特定の実施形態によれば、結合γは化学結合である。
別の特定の実施形態によれば、結合αおよびβはそれぞれ化学結合である。
別の特定の実施形態によれば、結合α、β、およびγはそれぞれ化学結合である。
【0232】
別の特定の実施形態によれば、Zは(RO)P(O)-、(R1aO)P(O)-O-、および(RO)P-O-であり、
ここで、
、R1aおよびRは、同一または別異であり、互いに独立して、Hまたは低級アルキル、特にメチルまたはエチルを表し、さらにより具体的にはHを表す。
【0233】
以下に、一般式IIの化合物の特に好ましい構造を示す。前記式において、残基Rは互いに独立して、上記で定義したとおりである。
【化13】
【化14】
【化15】
【0234】
以下の表に、本発明の一般式IIの合成中間体の具体的な例を示す。
【0235】
【表22】
【表23】
【表24】
【表25】
【表26】
【表27】
【表28】
【表29】
【0236】
5.本発明の第5の態様
本発明の第5の態様は、特定のテトラジン中間体の製造方法に関する。
【0237】
本発明の第20の実施形態によれば、一般式IIのテトラジン中間体の製造方法であって、以下の工程を含む方法である。
i.ヒドラジン水和物の存在下で、一般式IIIの第一シアノ化合物を一般式IVの第2のシアノ化合物と反応させ、
【化16】
【化17】
ここで、ZおよびSpは上記で定義した通りであり、残基Zのヒドロキシル基は任意に保護された、i.p.アルコキシの形で提供され、
ここで、RおよびSpおよびn3は、上記で定義した通りであり、
ii.続いて、特に工程1で形成された1,4-ジヒドロ-s-テトラジン化合物を、例えばNaNO、PhI(OAc)、DDQ、または空気酸化から選択される酸化剤を用いて酸化し、
iii.必要に応じて得られたテトラジン化合物を単離し、
そして
iv.必要に応じて残基Zのヒドロキシル基を脱保護する。
【0238】
特定の実施形態によれば、工程i)は触媒の非存在下で実行される。
別の特定の実施形態によれば、工程i)は触媒の存在下で実行される。
本発明の別の特定の実施形態によれば、触媒は、例えばZn(OTf)などの金属含有触媒である。
別の特定の実施形態によれば、触媒は金属を含まない触媒である。
別の特定の実施形態によれば、金属を含まない触媒は有機触媒である。
別の特定の実施形態によれば、有機触媒は硫黄含有触媒である。
別の特定の実施形態によれば、硫黄含有触媒は、3-メルカプトプロピオン酸、L-システイン、グルタチオン、2-アミノエタンチオール、1,3-プロパンジチオール、チオグリコール酸およびN-アセチル-L-システインから選択され、特に3-メルカプトプロピオン酸である。
【0239】
別の特定の実施形態によれば、反応工程i)は、式(III)および(IV)の化合物に対してヒドラジン化合物のモル過剰、例えば1~20倍のモル過剰で行われる。
さらに別の特定の実施形態によれば、反応工程i)はアルコール溶媒、特にエタノール中で行われる。
さらに別の特定の実施形態によれば、式(III)および(IV)の化合物は、1:10~10:1のモル比で使用される。
別の特定の実施形態によれば、反応工程ii)は、式(III)および(IV)の化合物に対して酸化剤のモル過剰、例えば1~20倍のモル過剰で行われる。
【0240】
さらに別の特定の実施形態によれば、工程iiの酸化剤はNaNOである。
さらに別の特定の実施形態によれば、工程iiの酸化剤はPhI(OAc)である。
さらに別の特定の実施形態によれば、工程iiの酸化剤は空気である。
【0241】
6.本発明のさらなる側面
本発明のさらなる側面は、本発明の複合体、およびそれを含む医薬組成物、診断キットまたは分析キットの医療用途に関する。
【0242】
本発明の第21の実施形態によれば、医療、特に診断および/または治療に使用するための、実施形態11~17のいずれかで定義される複合体が提供される。
【0243】
本発明の第22の実施形態によれば、医薬的に許容される担体中に、実施形態11~17のいずれかで定義される少なくとも1つの複合体を含む医薬組成物が提供される。
【0244】
本発明の第23の実施形態によれば、実施形態1~10のいずれかで定義される少なくとも1つのテトラジン化合物を含む診断キットまたは分析キットが提供される。
【0245】
D.さらなる実施形態
1.親水性テトラジン中間体およびその製造
一般式IIのテトラジン中間体は、当業界でよく知られている方法と同様に製造できる。適切な方法は、本明細書で引用したさまざまな刊行物に記載されており、そのすべてが参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの方法については、ここで概説する。
【0246】
式IIのテトラジン中間体の金属触媒ワンポット合成は、ヤングらのドイツ化学会誌(2012),51,5222の開示に従って行うことができる。
【0247】
マオらはドイツ化学会誌(2019),58,1106で、チオール含有促進剤による非対称1,2,4,5-テトラジンの有機触媒的かつスケーラブルな合成について説明している。
【0248】
本発明の特定の態様によれば、一般式IIのテトラジン中間体の製造方法が提供される。
【化18】
【0249】
一般的に、前記方法は以下の工程を含む。
i)一般式IIIの第一シアノ化合物を、ヒドラジン水和物の存在下で、一般式IVの第二のシアノ化合物と反応させ、
【化19】
【化20】
ここで、ZおよびSpは上記で定義した通りであり、残基Zの任意のヒドロキシル基は、保護された、i.p.アルコキシの形で提供され、
ここで、RおよびSpおよびn3は上記で定義したとおりであり、
ii)続いて、工程i)の生成物を酸化し、
iii)必要に応じて、得られたテトラジン化合物を単離し、
iv)必要に応じて、残基Zの任意に保護されたヒドロキシル基を脱保護する。
【0250】
より具体的には、工程i)はワンポット反応で行われる。この目的のために、例えば、一般式(III)および(IV)のシアノ遊離体の溶液が提供され、これにヒドラジン化合物、特にヒドラジン水和物が補充され、必要に応じて適切な触媒の存在下で行われる。
【0251】
特定の触媒は、酸性の金属を含まない有機触媒メルカプト化合物、例えば、3-メルカプトプロピオン酸、L-システイン、グルタチオン、2-アミノエタンチオール、1,3-プロパンジチオール、チオグリコール酸、およびN-アセチル-L-システイン、特に3-メルカプトプロピオン酸、例えば3-メルカトプロピオン酸である。代替触媒は、例えばZn(OTf)などの金属含有触媒である。
【0252】
工程i)の反応は、完了するまで温度制御下で実施される。その後、結果として生じるジヒドロテトラジン中間体は酸化される。この目的のために、従来の酸化剤、特に亜硝酸ナトリウム/HClまたは硝酸が適用できる。
【0253】
必要に応じて、前記シアノ抽出物の混合物は、適切な溶媒中に提供される。使用可能な典型的な溶媒は、THFのような極性有機溶媒、および有機アルコール、特にエタノールから選択される。
【0254】
典型的には、式(III)および(IV)の化合物は、1:10から10:1、例えば1:5から5:1の範囲のモル比で提供される。より具体的には、式IIIの化合物は、1~10倍または1~5倍のモル過剰で提供される。
【0255】
典型的には、ヒドラジン化合物は、シアノ抽出物に対してモル過剰で添加され、例えば、化合物(III)または(IV)に対して1~20倍または4~15倍過剰で添加される。
【0256】
典型的には、触媒量で使用される酸触媒、より具体的には化合物(III)または(IV)に対するモル量である。
【0257】
通常、酸は少なくとも1モル、より好ましくはヒドラジン化合物に対して1モル過剰で適用される。
【0258】
反応温度は-10~+10℃の範囲で制御される。
【0259】
工程iiの酸化により、工程i)で形成されたジヒドロテトラジン中間体がそれぞれのテトラジンに変換される。通常、反応は工程i)の反応混合物中で、周囲空気の存在下で、または適切な酸化剤、例えばNaNO、p-ベンゾキノン、DDQ、またはPhI(OAc)2の添加によって行われる。酸化剤としてのPhI(OAc)2は、例えばセルヴァラーイ,アールらによってTetrahedronLett.2014;55(34):4795-4797に記載されている。
【0260】
非限定的な例として、2つの異なるリン酸テトラジンの調製を次のスキームで示す(酸化工程は明示的に示されていない)。
【化21】
スキーム1 親水性ホスホネートテトラジンの合成
【0261】
工程iiの生成物を単離するための任意の工程iiiは、従来の精製方法によって実行できる。特に、フラッシュクロマトグラフィーやHPLCなどのクロマトグラフィー法が挙げられる。
【0262】
本発明の方法は、式IIIの抽出物が適用され、残基Zが保護された、例えばエステル化されたヒドロキシル基を含むことを条件として、工程ivも含み、生成されたテトラジンを脱保護された形で使用することが意図される。エステル化されたヒドロキシル基を保護する方法は周知である。有機溶媒中のトリメチルシリルブロミドによる処理による脱保護は、限定されない例として挙げられる。
【0263】
上記の一般的なプロセスを適用することにより、メチルホスホネートテトラジンの特定の誘導体を合成することができる。これらの化合物は、例えばアミドカップリングまたはカルバメートまたはエステル結合の形成を介して、さらなる化学部分と反応することを可能にする官能基を含む。このような化学部分は、上記で特定した基から選択される。
Sp スペーサー部分(式IVの上記反応物の一部として既に導入されているSp部分に加えて任意)
A 切断可能な基
X 自壊性部分
Y ペイロード残基(カーゴ)
またはそれらの組み合わせ、例えば
-A-X-Y、-A-Y、-X-Y、-A-X-X-Y、-X-X-Y
-Sp-A-X-Y、-Sp-A-Y、-Sp-X-Y、-Sp-A-X-X-Y
【0264】
2.ペイロード分子Y
一般式Iのテトラジン化合物の構成要素として典型的に使用されるペイロード分子Yは、生物活性化合物、標識剤、およびキレート剤から選択することができる。それらの非限定的な例を以下の章に示す。
【0265】
2.1 生理活性化合物
生理活性化合物には、以下が含まれるが、これらに限定されるわけではない。
【0266】
本発明に適用可能な生理活性化合物には、小有機分子薬、ステロイド、脂質、タンパク質、アプタマー、オリゴペプチド、オリゴヌクレオチド、オリゴ糖、ペプチド、ペプトイド、アミノ酸、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチド、ヌクレオシド、DNA、RNA、毒素、グリカン、免疫グロブリンが含まれるが、これらに限定されるわけではない。
【0267】
本発明の実施において使用できる生物活性化合物の例示的なクラスには、ホルモン、細胞毒素、抗増殖剤/抗腫瘍剤、抗ウイルス剤、抗生物質、サイトカイン、抗炎症剤、降圧剤、化学増感剤、光増感剤および放射線増感剤、抗エイズ物質、抗ウイルス剤、免疫抑制剤、免疫刺激剤、酵素阻害剤、抗パーキンソン病剤、神経毒、チャネル遮断剤、細胞増殖阻害剤および抗接着分子を含む細胞外マトリックス相互作用の調節剤、DNA、RNAまたはタンパク質合成の阻害剤、ステロイド性および非ステロイド性抗炎症剤、抗血管新生因子、抗アルツハイマー剤などが含まれるが、これらに限定されない。
【0268】
いくつかの実施形態では、生理活性化合物は、低分子量から中分子量の化合物(例えば、約200~5000Da、約200~約1500Da、好ましくは約300~約1000Da)である。
【0269】
例示的な細胞毒性薬は、特に癌治療に使用されるものである。このような薬には、一般に、DNA損傷剤、代謝拮抗薬、天然物およびその類似体、ジヒドロ葉酸還元酵素阻害剤およびチミジル酸合成酵素阻害剤などの酵素阻害剤、DNA結合剤、DNAアルキル化剤、放射線増感剤、DNAインターカレーター、DNA切断剤、微小管安定化剤および不安定化剤、トポイソメラーゼ阻害剤が含まれる。例としては、白金系薬、アントラサイクリン系薬、ビンカ系薬、マイトマイシン、ブレオマイシン、細胞毒性ヌクレオシド、タキサン、レキシトロプシン、プテリジン系薬、ジイネン、ポドフィロトキシン、ドラスタチン、メイタンシノイド、分化誘導剤、およびタキソールが含まれるが、これらに限定されない。これらのクラスの特に有用なメンバーとしては、例えば、オーリスタチン、メイタンシン、メイタンシノイド、カリケアマイシン、ダクチノマイシン、デュオカルマイシン、CC1065およびその類似体、カンプトテシンおよびその類似体、SN-38およびその類似体、DXd、チューブリシンM、クリプトフィシン、ピロロベンゾジアゼピンおよびピロロベンゾジアゼピン二量体(PBD)、ピリジノベンゾジアゼピン(PDD)およびインドリノベンゾジアゼピン(IBD)(US20210206763A1参照)、メトトレキサート、メトプテリン、ジクロロメトトレキサート、5-フルオロウラシル、DNAマイナーグルーブバインダー、6-メルカプトプリン、シトシンアラビノシド、メルファラン、ロイロシン、ロイロシデイン、アクチノマイシン、アントラサイクリン(ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、ダウノルビシン)、PNU-159682(US10,288,745B2参照)およびその類似体、マイトマイシンC、マイトマイシンA、カミノマイシン、アミノプテリン、タリソマイシン、ポドフィロトキシンおよびポドフィロトキシン誘導体、例えばエトポシドまたはエトポシドリン酸、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、タキソール、タキソテール、レチノイン酸、酪酸、N8-アセチルスペルミジン、スタウロスポリン、コルヒチン、カンプトテシン、エスペラマイシン、エンジインおよびその類似体、ヘミアステリンおよびその類似体が挙げられる。
【0270】
その他の代表的な薬物クラスとしては、血管新生阻害剤、細胞周期進行阻害剤、P13K/m-TOR/AKT経路阻害剤、MAPKシグナル伝達経路阻害剤、キナーゼ阻害剤、タンパク質シャペロン阻害剤、HDAC阻害剤、PARP阻害剤、Wnt/ヘッジホッグシグナル伝達経路阻害剤、RNAポリメラーゼ阻害剤、およびタンパク質分解剤がある(https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acschembio.0c00285を参照)。
【0271】
アウリスタチンの例には、ドラスタチン10、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)、アウリスタチンF、モノメチルアウリスタチンF(MMAF)、アウリスタチンFヒドロキシプロピルアミド(AFHPA)、アウリスタチンFフェニレンジアミン(AFP)、モノメチルアウリスタチンD(MMAD)、アウリスタチンPE、アウリスタチンEB、アウリスタチンEFP、アウリスタチンTP、およびアウリスタチンAQが含まれる。適切なアウリスタチンは、米国特許出願公開第2003/0083263号、第2011/0020343号、および第2011/0070248号、国際出願公開第WO09/117531号、第WO2005/081711号、第WO04/010957号、第WO02/088172号および第WO01/24763号、および米国特許第7,498,298号、第6,884,869号、第6,323,315号、第6,239,104号、第6,124,431号、第6,034,065号、第5,780,588号、第5,767,237号、第5,665,860号、第5,663,149号、第5,635,483号、第5,599,902号、第5,554,725号、第5,530,097号、第5,521,284号、第5,504,191号、第5,410,024号、第5,138,036号、第5,076,973号、第4,986,988号、第4,978,744号、第4,879,278号、第4,879,278号、第4,816,444号および第4,486,414号であり、これらの特許の開示内容は、全体として参照により本明細書に組み込まれる。
【0272】
例示的な薬物としては、ドラスタチンおよびその類似体、例えば、ドラスタチンA(米国特許第4,486,414号)、ドラスタチンB(米国特許第4,486,414号)、ドラスタチン10(米国特許第4,486,444号、第5,410,024号、第5,504,191号、第5,521,284号、第5,530,097号、第5,599,902号、第5,635,483号、第5,663,149号、第5,665,860号、第5,780,588号、第6,034,065号、第6,323,315号)、ドラスタチン13(米国特許第4,986,988号)、ドラスタチン14(米国特許第5,138,036号)、ドラスタチン15(米国特許第4,879,278号)、ドラスタチン16(米国特許第6,239,104号)、ドラスタチン17(米国特許第6,239,104号)、およびドラスタチン18(米国特許第6,239,104号)であり、各特許は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0273】
例示的なメイタンシン、メイタンシノイド(例えばDM-1およびDM-4)、またはメイタンシノールおよびメイタンシノール類似体を含むメイタンシノイド類似体は、米国特許第4,424,219号、第4,256,746号、第4,294,757号、第4,307,016号、第4,313,946号、第4,315,929号、第4,331,598号、第4,361,650号、第4,362,663号、第4,364,866号、第4,450,254号、第4,322,348号、第4,371,533号、第5,208,020号、第5,416,064号、第5,475,092号、第5,585,499号、第5,846,545号、第6,333,410号、第6,441,163号、第6,716,821号、および第7,276,497号に記載されている。
【0274】
その他の例としては、メルタンシンおよびアンサミトシンが挙げられる。ピロロベンゾジアゼピン(PBD)には、明示的に二量体および類似体が含まれており、デニー、Exp.Opin.Ther.Patents,10(4):459-474(2000)、ハートリーら、ExpertOpinInvestigDrugs.2011,20(6):733-44、アントナウら、ChemRev.2011,111(4),2815-64に記載されているものが含まれるが、これらに限定されない。
【0275】
カリケアマイシンには、例えば、エンジイン、エスペラマイシン、および米国特許第5,714,586号および第5,739,116号に記載されているものが含まれる。
【0276】
デュオカルマイシンおよびその類似体の例としては、CC1065、デュオカルマイシンSA、デュオカルマイシンA、デュオカルマイシンB1、デュオカルマイシンB2、デュオカルマイシンC1、デュオカルマイシンC、デュオカルマイシンD、DU-86、KW-2189、アドゼレシン、ビゼレシン、カルゼレシン、セコ-アドゼレシンが挙げられる。他の例としては、例えば、米国特許第5,070,092号、第5,101,092号、第5,187,186号、第5,475,092号、第5,595,499号、第5,846,545号、第6,534,660号、第6,548,530号、第6,586,618号、第6,660,742号、第6,756,397号、第7,049,316号、第7,553,816号、第8,815,226号、2014年5月2日付け出願の米国US20150104407および2014年6月11日付け出願の米国62/010,972に記載されているものが挙げられ、それぞれの開示内容は、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0277】
例示的なビンカアルカロイドとしては、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン、およびナベルビン、ならびに米国公開第2002/0103136号および第2010/0305149号、ならびに米国特許第7,303,749号に開示されているものがあり、これらの開示内容は、全体として参照により本明細書に組み込まれる。
【0278】
例示的なエポチロン化合物としては、エポチロンA、B、C、D、E、およびF、ならびにそれらの誘導体が挙げられる。適切なエポチロン化合物およびその誘導体は、例えば、米国特許第6,956,036号、第6,989,450号、第6,121,029号、第6,117,659号、第6,096,757号、第6,043,372号、第5,969,145号、および第5,886,026号、ならびに国際公開第WO97/19086号、第WO98/08849号、第W098/22461号、第W098/25929号、第W098/38192号、第WO99/01124号、第WO99/02514号、第WO99/03848号、第WO99/07692号、第WO99/27890号、および第W099/28324号に記載されており、その開示内容は全体として参照により本明細書に組み込まれる。
【0279】
例示的なクリプトフィシン化合物は、米国特許第6,680,311号および第6,747,021号に記載されており、その開示内容は、全体として参照により本明細書に組み込まれる。
【0280】
例示的な白金化合物としては、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、イプロプラチン、オルマプラチン、テトラプラチンが挙げられる。
【0281】
例示的なDNA結合薬またはアルキル化薬としては、CC-1065およびその類似体、アントラサイクリン、カリケアマイシン、ダクチノマイシン、ミトロマイシン、ピロロベンゾジアゼピンなどが挙げられる。
【0282】
例示的な微小管安定化剤および不安定化剤としては、パクリタキセル、ドセタキセル、テセタキセル、カルバジタキセルなどのタキサン化合物、メイタンシノイド、アウリスタチンおよびその類似体、ビンカアルカロイド誘導体、エポチロン、およびクリプトフィシンが挙げられる。
【0283】
例示的なトポイソメラーゼ阻害剤には、カンプトテシンおよびカンプトテシン誘導体、カンプトテシン類似体、ならびに例えば、CPT-11、SN-38、トポテカン、9-アミノカンプトテシン、ルビテカン、ギマテカン、カレニテシン、シラテカン、ルルトテカン、エキサテカン、DXd、ジフロメトテカン、ベロテカン、ルルトテカンおよびS39625などの非天然カンプトテシンが含まれる。本発明で使用できる他のカンプトテシン化合物には、例えば、J.Med.Chem.,29:2358-2363(1986)、J.Med.Chem.,23:554(1980)、J.MedChem.,30:1774(1987)に記載されているものが含まれる。
【0284】
血管新生阻害剤には、MetAP2阻害剤、VEGF阻害剤、PIGF阻害剤、VGFR阻害剤、PDGFR阻害剤、MetAP2阻害剤が含まれるが、これらに限定されない。代表的なVGFR阻害剤およびPDGFR阻害剤には、ソラフェニブ、スニチニブ、バタラニブが含まれる。代表的なMetAP2阻害剤には、フマギロール類似体、つまりフマギリンコア構造を含む化合物が含まれる。
【0285】
例示的な細胞周期進行阻害剤としては、例えば、BMS-387032およびPD0332991などのCDK阻害剤、例えば、AZD7762などのRhoキナーゼ阻害剤、例えば、AZD1152、MLN8054およびMLN8237などのオーロラキナーゼ阻害剤、例えば、BI2536、BI6727、GSK461364、ON-01910などのPLK阻害剤、および例えば、SB743921、SB715992、MK-0731、AZD8477、AZ3146およびARRY-520などのKSP阻害剤が挙げられる。
【0286】
代表的なP13K/m-TOR/AKTシグナル伝達経路阻害剤としては、ホスホイノシチド3-キナーゼ(P13K)阻害剤、GSK-3阻害剤、ATM阻害剤、DNA-PK阻害剤、PDK-1阻害剤などがある。
【0287】
例示的なP13キナーゼは、米国特許第6,608,053号に開示されており、BEZ235、BGT226、BKM120、CAL263、デメトキシビリジン、GDC-0941、GSK615、IC87114、LY294002、パロミッド529、ペリフォシン、PF-04691502、PX-866、SAR245408、SAR245409、SF1126、ワートマンニン、XL147、およびXL765が含まれる。
【0288】
例示的なAKT阻害剤としては、AT7867が挙げられるが、これに限定されるわけではない。
【0289】
代表的なMAPKシグナル伝達経路阻害剤としては、MEK、Ras、JNK、B-Raf、p38MAPK阻害剤などがある。
【0290】
例示的なMEK阻害剤は、米国特許第7,517,944号に開示されており、GDC-0973、GSKl120212、MSC1936369B、AS703026、R05126766およびR04987655、PD0325901、AZD6244、AZD8330およびGDC-0973が含まれる。
【0291】
代表的なB-raf阻害剤としては、CDC-0879、PLX-4032、SB590885などがある。
【0292】
例示的なBp38MAPK阻害剤としては、BIRB796、LY2228820、およびSB202190が挙げられる。例示的な受容体チロシンキナーゼ阻害剤としては、AEE788(NVP-AEE788)、BIBW2992(アファチニブ)、ラパチニブ、エルロチニブ(タルセバ)、ゲフィチニブ(イレッサ)、AP24534(ポナチニブ)、ABT-869(リニファニブ)、AZD2171、CHR-258(ドビチニブ)、スニチニブ(スーテント)、ソラフェニブ(ネクサバール)、およびバタリニブが挙げられるが、これらに限定されない。
【0293】
例示的なタンパク質シャペロン阻害剤には、HSP90阻害剤が含まれる。例示的な阻害剤には、17AAG誘導体、BIIB021、BIIB028、SNX-5422、NVP-AUY-922、およびKW-2478が含まれる。
【0294】
例示的なHDAC阻害剤としては、ベリノスタット(PXD101)、CUDC-101、ドロキシノスタット、ITF2357(ギビノスタット、ガビノスタット)、JNJ-26481585、LAQ824(NVP-LAQ824、ダシノスタット)、LBH-589(パノビノスタット)、MC1568、MGCD0103(モセチノスタット)、MS-275(エンチノスタット)、PCI-24781、ピロキサミド(NSC696085)、SB939、トリコスタチンA、およびボリノスタット(SAHA)などがある。代表的なPARP阻害剤としては、イニパリブ(BSI201)、オラパリブ(AZD-2281)、ABT-888(ベリパリブ)、AG014699、CEP9722、MK4827、KU-0059436(AZD2281)、LT-673、3-アミノベンザミド、A-966492、AZD2461などがある。
【0295】
代表的なWnt/ヘッジホッグシグナル伝達経路阻害剤としては、ビスモデギブ、シクロパミン、XAV-939などがある。
【0296】
例示的なRNAポリメラーゼ阻害剤には、アマトキシンが含まれる。例示的なアマトキシンには、アルファアマニチン、ベータアマニチン、ガンマアマニチン、イータアマニチン、アマヌリン、アマヌリン酸、アマニサミド、アマノン、およびプロアマヌリンが含まれる。
【0297】
代表的なサイトカインとしては、IL-2、IL-7、IL-10、IL-12、IL-15、IL-21、TNFなどがある。
【0298】
特定の薬剤の非限定的な例としては、オーリスタチン、メイタンシノイド、PBD、トポイソメラーゼ阻害剤、アントラサイクリンなどが挙げられる。
【0299】
別の実施形態では、上記のような2つ以上の異なる薬剤の組み合わせが使用される。
【0300】
別の実施形態によれば、生物活性化合物は、特にオリゴまたはポリペプチドまたはタンパク質などの、1つ以上の天然および/または非天然、タンパク質構成および/または非タンパク質構成アミノ酸残基を含む任意の合成または天然化合物から選択され得る。
【0301】
このような化合物の特定の基には、例えば抗体、抗体誘導体、抗体フラグメント、抗体(フラグメント)融合(例えば、二重特異性および三重特異性mAbフラグメントまたは誘導体)、ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体(ヒト抗体、ヒト化抗体、マウス抗体またはキメラ抗体)などの免疫グロブリン分子が含まれる。
【0302】
本発明で使用するための抗体の典型的な非限定的な例は、生物学的に、特に薬理学的に活性な抗体分子から選択される。非限定的な例は、以下の群から選択される:トラスツズマブ、ベバシズマブ、セツキシマブ、パニツムマブ、イピリムマブ、リツキシマブ、アレムツズマブ、オファツムマブ、ゲムツズマブ、ブレンツキシマブ、イブリツモマブ、トシツモマブ、ペルツズマブ、アデカツムマブ、IGN101、INA01、ラベツズマブ、hua33、ペムツモマブ、オレゴボマブ、ミンレツモマブ(CC49)、cG250、J591、MOv-18、ファルレツズマブ(MORAb-003)、3F8、ch14,18、KW-2871、hu3S193、lgN311、IM-2C6、CDP-791、エタラシズマブ、ボロシキシマブ、ニモツズマブ、MM-121、AMG102、METMAB、SCH900105、AVE1642、IMC-A12、MK-0646、R1507、CP751871、KB004、IIIA4、マパツムマブ、HGS-ETR2、CS-1008、デノスマブ、シブロツズマブ、F19、81C6、ピナツズマブ、リファツズマブ、グレンバツムマブ、コルツキシマブ、ロルボツズマブ、インダツキシマブ、抗PSMA、MLN-0264、ABT-414、ミラツズマブ、ラムシルマブ、アバゴボマブ、アビツズマブ、アデカツムマブ、アフツズマブ、アルツモマブペンテテート、アマツキシマブ、アナツムマブ、アネツマブ、アポリズマブ、アルシツムマブ、アスクリンバキュマブ、アテゾリズマブ、バビツキシマブ、ベクツマブ、ベリムマブ、ビバツズマブ、ブロンチクツズマブ、カンツズマブ、カプロマブ、カトゥマキソマブ、シタツズマブ、シクツムマブ、クリバツズマブ、コドリツズマブ、コナツムマブ、ダセツズマブ、ダロツズマブ、ダラツムマブ、デムシズマブ、デニンツズマブ、デパツキシズマブ、デルロツキシマブ、デツモマブ、ジヌツキシマブ、ドロジツマブ、デュリゴツマブ、デュルバルマブ、デュシギツマブ、エクロメキシマブ、エドレコロマブ、エルゲムツマブ、エマクツズマブ、エナバツズマブ、エミベツズマブ、エンフォルツマブ、エノブリツズマブ、エンシツキシマブ、エプラツズマブ、エルツマキソマブ、エタラシズマブ、ファレツズマブ、フィクラツズマブ、フィギツムマブ、フランボツマブ、フツキシマブ、ガリキシマブ、ガニツマブ、イクルクマブ、イゴボマブ、イマルマブ、インガツズマブ、インドゥサツマブ、イネビリズマブ、インテツムマブ、イラツムマブ、イザツキシマブ、レクサツズマブ、リロトマブ、リンツズマブ、リリルマブ、ルカツムマブ、ルムレツズマブ、マルゲツキシマブ、マツズマブ、ミルベツキシマブ、ミツモマブ、モガムリズマブ、モクセツモマブ、ナコロマブ、ナプツモマブ、ナルナツマブ、ネシツムマブ、ネスバキュマブ、ニモツズマブ、ニボルマブ、ノフェツモマブ、オビヌツズマブ、オカラツズマブ、オファツムマブ、オララツズマブ、オナルツズマブ、オンツシズマブ、オポルツズマブ、オレゴボマブ、オトレルツズマブ、パンコマブ、パルサツズマブ、パソツキズマブ、パトリツマブ、ペンブロリズマブ、ペムツモマブ、ピディリズマブ、ピンツモマブ、ポラツズマブ、プリツムマブ、キリズマブ、ラコツマブ、ラムシルマブ、リロツムマブ、ロバツムマブ、サシツズマブ、サマリズマブ、サツモマブ、セリバンツマブ、シルツキシマブ、ソフィツズマブ、タカツズマブ、タプリツモマブ、タレクツモマブ、テナツモマブ、テプロツムマブ、テツロマブ、チシリムマブ、チガツズマブ、トシツモマブ、トベツマブ、トレメリムマブ、ツコツズマブ、ウブリツキシマブ、ウロクプルマブ、ウレルマブ、ウトミルマブ、バダスツキシマブ、バンドルツズマブ、バンチクツマブ、バヌシズマブ、バルリルマブ、ベルツズマブ、ベセンクマブ、ボロシキシマブ、ボルセツズマブ、ボツムマブ、ザルツムマブ、ザツキシマ、それらの組み合わせおよび誘導体、ならびにCAI25、CAI5-3、CAI9-9、L6、ルイスY、ルイスX、アルファフェトプロテイン、CA242、胎盤アルカリホスファターゼ、前立腺特異抗原、前立腺特異膜抗原、前立腺酸性ホスファターゼ、上皮成長因子、MAGE-1、MAGE-2、MAGE-3、MAGE-4、トランスフェリン受容体、p97、MUCI、CEA、gplOO、MARTI、IL-2受容体、CD20、CD52、CD33、CD22、ヒト絨毛性ゴナドトロピン、CD38、CD40、ムチン、P21、MPG、およびNeuがん遺伝子産物。
【0303】
2.2 標識剤
本発明に従って使用できる標識剤は、テトラジン部分の反応性に悪影響を与えない、当技術分野で知られている任意のタイプの標識を含むことができる。
【0304】
本発明の標識には、限定ではなく、染料(例えば、蛍光、発光、または燐光染料、例えば、ダンシル、クマリン、フルオレセイン、アクリジン、ローダミン、シリコンローダミン、BODIPY、またはシアニン染料)、発色団(例えば、フィトクロム、フィコビリン、ビリルビンなど)、放射性標識(例えば、トリチウム、フッ素-18、炭素-11、炭素-14、リン-32、リン-33、硫黄-33、硫黄-35、ヨウ素-123、またはヨウ素-125などの水素、フッ素、炭素、リン、硫黄、またはヨウ素の放射性形態)、MRI感受性スピン標識、アフィニティータグ(例えば、ビオチン、Hisタグ、Flagタグ、ストレップタグ、糖、脂質、ステロール、PEGリンカー、ベンジルグアニン、ベンジルシトシン、または補因子)、ポリエチレングリコール基(例:分岐PEG、直鎖PEG、異なる分子量のPEGなど)、光架橋剤(p-アジドヨードアセトアニリドなど)、NMRプローブ、X線プローブ、pHプローブ、IRプローブ、樹脂、固体支持体を含む。
【0305】
いくつかの実施形態では、例示的な染料には、スペクトルの近赤外領域で蛍光を発するNIR造影剤が含まれ得る。例示的な近赤外蛍光体には、約630~1000nm、例えば、約630~800nm、約800~900nm、約900~1000nm、約680~750nm、約750~800nm、約800~850nm、約850~900nm、約900~950nm、または約950~1000nmの発光波長(例えば、ピーク発光波長)を持つ染料およびその他の蛍光体が含まれる。発光波長(例えば、ピーク発光波長)が1000nmを超える蛍光体も、本明細書に記載の方法で使用することができる。
【0306】
いくつかの実施形態では、例示的な蛍光体としては、7-アミノ-4-メチルクマリン-3-酢酸(AMCA)、TEXAS REDTM(モレキュラー プローブ インコーポレイテッド、オレゴン州ユージーン)、5-(および-6)-カルボキシ-X-ローダミン、リサミンローダミンB、5-(および-6)-カルボキシフルオレセイン、フルオレセイン-5-イソチオシアネート(FITC)、7-ジエチルアミノクマリン-3-カルボン酸、テトラメチルローダミン-5-(および-6)-イソチオシアネート、5-(および-6)-カルボキシテトラメチルローダミン、7-ヒドロキシクマリン-3-カルボン酸、6-[フルオレセイン5-(および-6)-カルボキサミド]ヘキサン酸、N-(4,4-ジフルオロ-5,7-ジメチル-4-ボラ-3a,4aジアザ-3-インダセンプロピオン酸、エオシン-5-イソチオシアネート、エリスロシン-5-イソチオシアネート、CASCADETM ブルーアセチルアジド(モレキュラー プローブ インコーポレイテッド、オレゴン州ユージーン)およびATTO染料が含まれる。
【0307】
他の適切な蛍光体は、例えば欧州特許出願公開第EP3572468A1号に記載されている。さらなる標識剤は、177-ルテチウム、89-ジルコニウム、131-ヨウ素、68-ガリウム、99m-テクネシウム、225-アクチニウム、213-ビスマット、90-イットリウム、212-鉛、111-インジウム、64-銅、67-銅、124-ヨウ素、227-トリウムおよび188-レニウムである。
【0308】
2.3キレート剤
一般的に適用可能なキレート剤とその略称のリストを以下に示す。対応する塩も適用可能である。
【0309】
アセチルアセトン(ACAC)、エチレンジアミン(EN)、2-(2-アミノエチルアミノ)エタノール(AEEA)、ジエチレントリアミン(DIEN)、イミノジ酢酸(IDA)、トリエチレンテトラミン(TRIEN)、トリアミノトリエチルアミン、ニトリロトリ酢酸(NTA)およびその塩(Na3NTAまたはFeNTAなど)、エチレンジアミノトリ酢酸(TED)、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)およびその塩(Na2EDTAおよびCaNa2EDTAなど)、ジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA)、1,4,7,10-zテトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-テトラ酢酸(DOTA)、1,4,7-トリアザシクロノナン-1,4,7-トリ酢酸(NOTA)、シュウ酸塩(OX)、酒石酸塩(TART)、クエン酸塩(CIT)、ジメチルグリオキシム(DMG)、8-ヒドロキシキノリン、2,2’-ビピリジン(BPY)、1,10-フェナントロリン(PHEN)、ジメルカプトコハク酸(DMSA)、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン(DPPE)、サリチル酸ナトリウム、メトキシサリチル酸、ブリティッシュアンチルイス酸または2,3-ジメルカプロール(BAL)、メソ-2,3-ジメルカプトコハク酸(DMSA);微生物によって分泌されるシデロフォア、例えばストレプトマイセス属菌によって生成されるデスフェリオキサミンまたはデフェロキサミンB(別名デフェラル(ノバルティス))、ストレプトマイセスピロサスによって分泌されるトリヒドロキサム酸であるデフェロキサミン(DFO)、クルクミノイドやムギネ酸の誘導体(3-ヒドロキシムギネ酸、2’-デオキシムギネ酸など)などの植物化学物質、合成キレート剤(イブプロフェンなど)、カテコール、ヒドロキサメート、ヒドロキシピリジノンの誘導体(ヒドロキサメートデスフェラル、ヒドロキシピリジノンデフェリプロンなど)、デフェリプロン(L1または1,2-ジメチル-3-ヒドロキシピリド-4-オン)、β-β-ジメチルシステインまたは3-メルカプト-D-バリンであるD-ペニシラミン(DPAまたはD-PEN)、テトラエチレンテトラアミン(TETA)またはトリエンチンとその2つの主要代謝物であるN1-アセチルトリエチレンテトラミン(MAT)とN1,N10-ジアセチルトリエチレンテトラミン(DAT)、ヒドロキシキノリン、8-ヒドロキシキノリンのハロゲン化誘導体であるクリオキノール、および5,7-ジクロロ-2-[(ジメチルアミノ)メチル]キノリン-8-オール(PBT2)。
【0310】
2.4 光増感剤/タンパク質分解剤
限定されない例として、一般的なPROTACが挙げられるが、分解する特定の標的タンパク質と組み合わせたさまざまなE3リガーゼ結合分子が多数ある(国際公開第WO2017/201449A1号参照)。(マネイロら、ACSChem.Biol.2020,15,6,1306-1312)。
【0311】
3. ペイロード分子Yの親水性テトラジンへの結合
【0312】
3.1 切断可能な部分A
適切な切断可能な部分Aは、従来技術からよく知られている。
以下を参照できる。
バーグら、ChemSocRev2019,48(16),4361-4374;Poreba,FEBSJ2020,287(10),1936-1969およびサロモンら、MolPharmaceutics201916,(12),4817-4825;
【0313】
さらなる例として、β-グルクロン酸由来のトリガー残基を有するβ-グルクロニドリンカーが挙げられる。
その非限定的な例は以下のとおりである。
【化22】
【0314】
3.2 自壊性基X
適切な自壊性基Xは、先行技術からよく知られている。
以下を参照できる。
サンティら、JMedChem2014,57(6),2303-2314;アロウアンら、ドイツ化学会誌2015,54(26),7492-7509、コラコウスキら、ドイツ化学会誌2016,128(28),8080-8083
【0315】
4.(バイオ)複合体の形成
本発明のバイオ複合体はバイオコンジュゲーションによって提供され、適切に機能化された生体分子が式Iのテトラジン化合物と反応して、前記機能化された生体分子と前記テトラジンとの間に共有結合を形成する。前記生体分子は、式Iのテトラジン化合物の一部であるペイロード部分Yを特定の対象場所(「標的」)に標的化する「標的化剤」として作用する。このような「標的」の種類に応じて、それぞれ適切な「標的化剤」を選択できる。標的化されると、ペイロード部分を含むバイオ複合体は、標的または前記標的を含む生物学的構造にさらに作用する可能性がある。
【0316】
4.1 標的化剤とその標的
このような標的化剤の主な目的は、特定の「標的」と共有結合または非共有結合を形成することである。標的化剤の二次目的は、「ペイロード分子」を標的に輸送することである。この二次目的を達成するには、POIを少なくとも1つのペイロード分子と(可逆的または不可逆的に)結合する必要がある。この目的のために、POIは少なくとも1つのncAAを導入して機能化する必要がある。次に、少なくとも1つのncAAを担持する機能化POIは、ncAA残基を介したバイオコンジュゲーションによって少なくとも1つのペイロード分子に結合できる。このncAAはペイロード分子と反応性があり、ペイロード分子はPOIの少なくとも1つのncAA残基と反応する対応する部分を持っている。このようにして得られたバイオ複合体、つまり標的化剤は、ペイロード分子を意図した標的に輸送することを可能にする。
【0317】
例えば、「標的」は、生物、組織、または細胞内および/または表面に存在する任意の分子であり得る。このような標的は、特定の生物、組織、または細胞に対して非特異的または特異的であり得る。標的には、細胞表面標的(受容体、糖タンパク質、グリカン、炭水化物など)、構造タンパク質(アミロイドプラークなど)、豊富な細胞外標的(間質など)、細胞外マトリックス標的(成長因子、プロテアーゼなど)、細胞内標的(ゴルジ体の表面、ミトコンドリアの表面、RNA、DNA、酵素、細胞シグナル伝達経路の成分など)、および/または異物(ウイルス、細菌、真菌、酵母などの病原体またはその一部など)が含まれる。
【0318】
標的の例には、存在または発現レベルが特定の組織または細胞タイプと相関している、または発現レベルが特定の障害で上方制御または下方制御されているタンパク質などの化合物が含まれる。
【0319】
特に、そのような標的は、(内部移行型または非内部移行型の)受容体などのタンパク質である。
【0320】
標的は、人間や動物の体内、あるいは病原体や寄生虫上の適切な標的から選択できる。
【0321】
適切な標的の非限定的な例としては、細胞膜や細胞壁などの細胞成分、細胞膜受容体などの受容体、ゴルジ体やミトコンドリアなどの細胞内構造、酵素、受容体、DNA、RNA、ウイルスまたはウイルス粒子、マクロファージ、腫瘍関連マクロファージ、抗体、タンパク質、炭水化物、単糖類、多糖類、サイトカイン、ホルモン、ステロイド、ソマトスタチン受容体、モノアミンオキシダーゼ、ムスカリン受容体、心筋交感神経系、ロイコトリエン受容体、白血球、ウロキナーゼプラスミノーゲン活性化因子受容体(uPAR)、葉酸受容体、アポトーシスマーカー、(抗)血管新生マーカー、ガストリン受容体、ドーパミン作動系、セロトニン作動系、GABA作動系、アドレナリン作動系、コリン作動系、オピオイド受容体、GPIIb/IIIa受容体およびその他の血栓関連受容体、フィブリン、カルシトニン受容体、タフトシン受容体、P糖タンパク質、ニューロテンシン受容体、神経ペプチド受容体、サブスタンスP受容体、NK受容体、CCK受容体、シグマ受容体、インターロイキン受容体、単純ヘルペスウイルスチロシンキナーゼ、ヒトチロシンキナーゼ、インテグリン受容体、フィブロネクチン標的、AOC3、ALK、AXL、C242、CA-125、CCL11、CCR5、CD2、CD3、CD4、CD5、CD15、CA15-3、CD18、CD19、CA19-9、CD20、CD21、CD22、CD23、CD25、CD28、CD30、CD31、CD33、CD37、CD38、CD40、CD41、CD44v6、CD45、CD51、CD52、CD54、CD56、CD62E、CD62P、CD62L、CD70、CD72、CD74、CD79-B、CD80、CD105、CD125、CD138、CD141、CD147、CD152、CD154、CD174、CD227、CD326、CD340、VEGF/EGFおよびVEGF/EGF受容体、VEGF-A、VEGFR2、VEGFR1、TAG72、CEA、MUC1、MUC16、GPNMB、PSMA、クリプト、テネイシンC、メラノコルチン-1受容体、G250、HLA DR、ED-B、TMEFF2、EphB2、EphB4、EphA2、FAP、メソテリン、GD2、GD3、CAIX、5T4、凝集因子、CTLA-4、CXCR2、FGFRl、FGFR2、FGFR3、FGFR4、NaPi2b、NOTCHl、NOTCH2、NOTCH3、NOTCH4、ErbB2、ErbB3、EpCAM、FLT3、HGF、HER2、HER3、HMI24、ICAM、ICOS-L、IGF-1受容体、TRPV1、CFTR、gdNMB、CA9、c-KIT、c-MET、ACE、APP、アドレナリン受容体ベータ2、クローディン3、RON、RORl、PD-Ll、PD-L2、B7-H3、B7-H4、IL-2受容体、IL-4受容体、IL-13受容体、インテグリン、IFN-アルファ、IFN-ガンマ、IgE、IGF-1受容体、IL-1、IL-4、IL-5、IL-6、IL-12、IL-13、IL-22、IL-23、インターフェロン受容体、ITGB2(CD18)、LFA-1(CD11a)、L-セレクチン、P-セレクチン、E-セレクチン、ムチン、ミオスタチン、NCA-90、NGF、PDGFRアルファ、前立腺癌細胞、緑膿菌、狂犬病、RANKL、呼吸器合胞体ウイルス、Rh因子、SLAMF7、スフィンゴシン-1-リン酸、TGF-1、TGFベータ2、TGFベータ、TNFアルファ、TRAIL-R1、TRAIL-R2、CTAA16.88、ビメンチン、MMP2、MMP9、MMP14などのマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)、LDL受容体、エンドグリン、ポリシアル酸およびそれらに対応するレクチンなどを含む群が挙げられるが、これらに限定されない。フィブロネクチン標的の例としては、フィブロネクチンの選択的スプライシングを受けたエクストラドメインA(ED-A)およびエクストラドメインB(ED-B)がある。間質における標的の非限定的な例は、ヴィ・ホフマイスター、ディー・スクラマ、ジェイ・シー・ベッカー、CancerImmun.;Immunother.2008、57、1に記載されており、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0322】
より具体的には、上記標的の(特異的な)標的化を可能にするために、標的化剤は、ncAA機能化ペプチド配列を含む化合物を含むことができる。このような化合物には、抗体、抗体誘導体、抗体フラグメント、抗体(フラグメント)融合体(例えば、二重特異性および三重特異性mAbフラグメントまたは誘導体)、タンパク質、ペプチド(例えば、オクトレオチドおよび誘導体)、VIP、MSH、LHRH、走化性ペプチド、ボンベシン、エラスチン、ペプチド模倣物、受容体アゴニストおよびアンタゴニスト、サイトカイン、ホルモン、ステロイド、毒素が含まれるが、これらに限定されない。
【0323】
特定の態様によれば、標的は受容体であり、標的に特異的に結合することができる標的化剤が使用される。適切な標的化剤には、受容体に結合するそのような受容体のリガンドまたはその一部(例えば、受容体結合タンパク質リガンドの場合の受容体結合ペプチド)が含まれるが、これらに限定されない。
【0324】
タンパク質の性質を有する標的化剤の他の例としては、インスリン、トランスフェリン、フィブリノーゲン-ガンマ断片、トロンボスポンジン、クローディン、アポリポタンパク質E、アフィボディ分子(例:ABY-025)、アンキリン反復タンパク質、アンキリン様反復タンパク質、インターフェロン(例:アルファ、ベータ、ガンマインターフェロン)、インターロイキン、リンホカイン、コロニー刺激因子、およびタンパク質増殖因子(例:アルファ、ベータ腫瘍増殖因子)、血小板由来増殖因子(PDGF)、uPAR標的化タンパク質、アポリポタンパク質、LDL、アネキシンV、エンドスタチン、およびアンジオスタチンが挙げられる。
【0325】
標的化剤に使用される抗体のようなペプチド分子の例には、LHRH受容体標的ペプチド、EC-1ペプチド、RGDペプチド、HER2標的ペプチド、PSMA標的ペプチド、ソマトスタチン標的化ペプチド、ボンベシンなどがある。標的薬の他の例には、アンチカリンなどのリポカリンがある。
【0326】
特定の実施形態では、AffibodiesTMおよびマルチマーと誘導体を使用する。
【0327】
特定の一実施形態では、抗体を使用して標的化剤を形成する。IgG抗体由来の抗体または免疫グロブリンは本発明で使用するのに特に適しているが、IgG、IgA、IgM、IgD、およびIgEなどのクラスまたはサブクラスの免疫グロブリンを選択してもよい。適切には、免疫グロブリンは、IgGサブクラス(IgG1、2、3、および4)を含むがこれに限定されないクラスIgGまたは抗原上の特定のエピトープに特異的に結合できるクラスIgMである。抗体は、天然源または組み換え源から得られた完全な免疫グロブリンであり、完全な免疫グロブリンの免疫反応性部分であり得る。抗体は、例えば、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、ラクダ化単一ドメイン抗体、組み換え抗体、抗イディオタイプ抗体、多重特異性抗体、抗体フラグメント(Fv、VHH、Fab、F(ab)2、Fab’、Fab’-SH、F(ab’)2など)、単鎖可変フラグメント抗体(scFv)、タンデム/ビス-scFv、Fc、pFc’、scFv-Fc、ジスルフィドFv(dsFv)、BiTE抗体などの二重特異性抗体(bc-scFv)、トライボディなどの三重特異性抗体誘導体、ラクダ科抗体、ミニボディ、ナノボディ、表面再形成抗体、ヒト化抗体、完全ヒト抗体、単一ドメイン抗体(sdAb、NanobodyTMとも呼ばれる)、キメラ抗体、少なくとも1つのヒト定常領域を含むキメラ抗体、デュアルアフィニティ再標的タンパク質(DARTTM)などのデュアルアフィニティ抗体、およびマルチマーと誘導体、例えば、ミニボディ、ダイアボディ、トリアボディ、トリボディ、テトラボディなどを含むがこれらに限定されない二価または多価の単鎖可変フラグメント(例えば、ジscFv、トリscFv)および多価抗体など、さまざまな形で存在し得る。[TrendsinBiotechnology2015,33,2,65]、[TrendsBiotechnol.2012,30,575-582]、[Cane.Gen.Prot.201310,1-18]、[BioDrugs2014,28,331-343]を参照。これらの内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0328】
「抗体フラグメント」とは、標的に結合する免疫グロブリンの可変領域、すなわち抗原結合領域の少なくとも一部を指す。
【0329】
他の実施形態では、アフィマー、アンチカリン、アビマー、アルファボディ、アフィボディ、DARPin、およびそれらの多量体および誘導体など(ただしこれらに限定されない)の抗体模倣物を標的化剤として使用する。[TrendsinBiotechnology2015、33、2、65]を参照のこと。その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0330】
疑義を避けるために、本発明の文脈において、「抗体」という用語は、特に指定がない限り、この段落で概説されている抗体の変異体、断片、誘導体、融合体、類似体および模倣体のすべてを包含するものとする。
【0331】
好ましい実施形態では、標的化剤は、抗体および抗体誘導体、例えば抗体フラグメント、フラグメント融合体、タンパク質、ペプチド、ペプチド模倣物から誘導される薬剤から選択される。
【0332】
別の好ましい実施形態では、標的化剤は、抗体フラグメント、フラグメント融合体、タンパク質、およびFcドメインを含まない他の抗体誘導体に由来する剤から選択される。
【0333】
本発明のncAA修飾標的化剤を形成するためにさらに修飾される抗体分子の典型的な非限定的な例は、生物学的に、特に薬理学的に活性な抗体分子から選択される。非限定的な例は、以下の群から選択される:トラスツズマブ、ベバシズマブ、セツキシマブ、パニツムマブ、イピリムマブ、リツキシマブ、アレムツズマブ、オファツムマブ、ゲムツズマブ、ブレンツキシマブ、イブリツモマブ、トシツモマブ、ペルツズマブ、アデカツムマブ、IGN101、INA01、ラベツズマブ、hua33、ペムツモマブ、オレゴボマブ、ミンレツモマブ(CC49)、cG250、J591、MOv-18、ファルレツズマブ(MORAb-003)、3F8、ch14,18、KW-2871、hu3S193、lgN31 1、IM-2C6、CDP-791、エタラシズマブ、ボロシキシマブ、ニモツズマブ、MM-121、AMG102、METMAB、SCH900105、AVE1642、IMC-A12、MK-0646、R1507、CP751871、KB004、IIIA4、マパツムマブ、HGS-ETR2、CS-1008、デノスマブ、シブロツズマブ、F19、81C6、ピナツズマブ、リファスツズマブ、グレンバツムマブ、コルツキシマブ、ロルボツズマブ、インダツキシマブ、抗PSMA、MLN-0264、ABT-414、ミラツズマブ、ラムシルマブ、アバゴボマブ、アビツズマブ、アデカツムマブ、アフツズマブ、アルツモマブペンテテート、アマツキシマブ、アナツモマブ、アネツマブ、アポリズマブ、アルシツモマブ、アスクリンバキュマブ、アテゾリズマブ、バビツキシマブ、ベクツモマブ、ベリムマブ、ビバツズマブ、ブロンチクツズマブ、カンツズマブ、カプロマブ、カトゥマキソマブ、シタツズマブ、シクツムマブ、クリバツズマブ、コドリツズマブ、コナツムマブ、ダセツズマブ、ダロツズマブ、ダラツムマブ、デムシズマブ、デニンツズマブ、デパツキシズマブ、デルロツキシマブ、デツモマブ、ジヌツキシマブ、ドロジツマブ、デュリゴツマブ、デュルバルマブ、デュシギツマブ、エクロメキシマブ、エドレコロマブ、エルゲムツマブ、エマクツズマブ、エナバツズマブ、エミベツズマブ、エンフォルツマブ、エノブリツズマブ、エンシツキシマブ、エプラツズマブ、エルツマキソマブ、エタラシズマブ、ファレツズマブ、フィクラツズマブ、フィギツムマブ、フランボツマブ、フツキシマブ、ガリキシマブ、ガニツマブ、イクルクマブ、イゴボマブ、イマルマブ、イムガツズマブ、インドゥサツマブ、イネビリズマブ、インテツムマブ、イラツムマブ、イザツキシマブ、レクサツズマブ、リロトマブ、リンツズマブ、リリルマブ、ルカツムマブ、ルムレツズマブ、マルゲツキシマブ、マツズマブ、ミルベツキシマブ、ミツモマブ、モガムリズマブ、モクセツモマブ、ナコロマブ、ナプツモマブ、ナルナツマブ、ネシツムマブ、ネスバキュマブ、ニモツズマブ、ニボルマブ、ノフェツモマブ、オビヌツズマブ、オカラツズマブ、オファツムマブ、オララツマブ、オナルツズマブ、オンツシズマブ、オポルツズマブ、オレゴボマブ、オトレルツズマブ、パンコマブ、パルサツズマブ、パソツキズマブ、パトリツマブ、ペンブロリズマブ、ペムツモマブ、ピディリズマブ、ピンツモマブ、ポラツズマブ、プリツムマブ、キリズマブ、ラコツモマブ、ラムシルマブ、リロツムマブ、ロバツムマブ、サシツズマブ、サマリズマブ、サツモマブ、セリバンツマブ、シルツキシマブ、ソフツズマブ、タカツズマブ、タプリツモマブ、タレクツマブ、テナツモマブ、テプロツムマブ、テツロマブ、チシリムマブ、チガツズマブ、トシツモマブ、トベツマブ、トレメリムマブ、ツコツズマブ、ウブリツキシマブ、ウロクプルマブ、ウレルマブ、ウトミルマブ、バダスツキシマブ、バンドルツズマブ、バンチクツマブ、バヌシズマブ、バルリルマブ、ベルツズマブ、ベセンクマブ、ボロシキシマブ、ボルセツズマブ、ボツムマブ、ザルツムマブ、ザツキシマ、それらの組み合わせおよび誘導体、ならびにCAI25、CAI5-3、CAI9-9、L6、ルイスY、ルイスX、アルファフェトプロテイン、CA242、胎盤アルカリホスファターゼ、前立腺特異抗原、前立腺特異膜抗原、前立腺酸性ホスファターゼ、上皮成長因子、MAGE-1、MAGE-2、MAGE-3、MAGE-4、トランスフェリン受容体、p97、MUCI、CEA、gplOO、MARTI、IL-2受容体、CD20、CD52、CD33、CD22、ヒト絨毛性ゴナドトロピン、CD38、CD40、ムチン、P21、MPG、およびNeuがん遺伝子産物を標的とするその他のモノクローナル抗体。
【0334】
本発明のさらなる特定の実施形態によれば、標的および標的化剤は、癌、炎症、感染症、心血管疾患(例えば血栓、動脈硬化性病変)、低酸素部位(例えば脳卒中)、腫瘍、心血管障害、脳障害、アポトーシス、血管新生、臓器、およびレポーター遺伝子/酵素などの組織または疾患の特定の標的化または標的化の強化をもたらすように選択される。これは、組織、細胞、または疾患特異的発現を有する標的を選択することによって達成することができる。
【0335】
一例として、標的化剤は、特定の細胞集団の細胞表面受容体や抗原などの細胞表面分子と特異的に結合または複合化する。標的化剤が受容体と特異的に結合または複合化すると、薬剤が細胞内に侵入する。
【0336】
本明細書で使用されているように、細胞表面分子、細胞外マトリックス標的、または他の標的を「特異的に結合するか、または複合化する」、または「標的とする」標的化剤は、分子間力を介して標的と優先的に結合する。たとえば、リガンドは、解離定数(KdまたはKD)が約50nM未満、約5nM未満、または約500pM未満の標的と優先的に結合できる。
【0337】
4.3 ジエノフィル
標的化剤、特に生体分子は、通常、一般式Iのテトラジン化合物の共有結合を可能にするために機能化される必要がある。
【0338】
機能化の方法は当該技術分野でよく知られている。
【0339】
テトラジン部分と反応するのに適した様々なクラスのジエノフィルは、当該技術分野でよく知られている。一般に、単環式または多環式、特に単環式および二環式の不飽和ジエノフィルが適用可能である。
【0340】
このようなジエノフィルは、例えばシクロオクチニルジエノフィル、トランスシクロオクテニルジエノフィル、ノルボルネニルジエノフィル、シクロプロペニルジエノフィル、シクロブテニルジエノフィル、スピロヘキセニルジエノフィル、BCNジエノフィル、またはアゼチンジエノフィルなどのように、ディールス・アルダー型環化付加反応を介して反応することができる。
【0341】
これらは、例えば、次の先行技術に記載されている(その開示は参照により本明細書に組み込まれる)。
オリヴェイラ,ビー・エルら、ChemSocRev2017,46,4895;
コズマ,イー、ChemBioChem2017,18,486;
シーグル,エス・ジェイら、ChemEurJ2018,24,2426;
ラミル,シー・ピーら、JAmChemSoc2017,139,13376
リウ,ケーら、ChemComm,2017,53,10604
ヨーロピアン モレキュラー バイオロジー ラボラトリー名義の国際公開第WO2015/107064A1号
国際公開第WO2012/104422A1号
米国特許出願公開第US2013137763A1号。
【0342】
4.4 生体直交型バイオコンジュゲーション
標的化剤、特にポリペプチド部分を含み、1つ以上のUNAA残基を含む標的化剤は、本発明に従って、適切な翻訳システム、特に生体内翻訳システムを使用して調製することができる。生体内翻訳システムは、細胞、例えば原核細胞または真核細胞であり得る。細胞は、細菌細胞、例えば大腸菌、真菌細胞、例えば酵母細胞、例えばサッカロマイセス・セレビシエまたはメチロトローフ酵母、植物細胞、または動物細胞、例えば昆虫細胞または哺乳類細胞、例えばHEK細胞またはHeLa細胞であり得る。ポリペプチド発現に使用される真核細胞は、単一細胞または多細胞生物の一部であり得る。
【0343】
適用される細胞系は、調製される標的化剤のUNAA残基に対応する少なくとも1つの非天然アミノ酸またはその塩を含む(たとえば、供給される)。細胞系はさらに、
(i)本発明のPylRSおよびtRNAPylを含み、ここでPylRSはtRNAPylをUNAAまたはその塩で(好ましくは選択的に)アシル化することができる。
(ii)標的化剤をコードするポリヌクレオチドを含み、ここでUNAA残基によって占められる標的化剤の任意の位置は、tRNAPylのアンチコドンの逆相補であるコドン(たとえばセレクターコドン)によってコードされる。
【0344】
細胞系は、標的化剤をコードするポリヌクレオチド(ii)の翻訳を可能にするように培養され、それによって標的化剤が生成される。
【0345】
本発明の方法によれば、標的化剤を製造するために、工程(b)における翻訳は、細胞系を適切な条件下で、好ましくはUNAAまたはその塩の存在下(例えば、UNAAまたはその塩を含む培養培地中)で、細胞のリボソームでの翻訳を可能にするのに適切な時間培養することによって達成することができる。
標的化剤をコードするポリヌクレオチド(および任意でPylRS、tRNAPyl)に応じて、例えばアラビノース、イソプロピルβ-D-チオガラクトシド(IPTG)またはテトラサイクリンなどの転写を誘導する化合物を添加して発現を誘導することが必要となる場合がある。標的化剤をコードするmRNA(およびtRNAPylに含まれるアンチコドンの逆相補コドンである1つ以上のコドンを含む)は、リボソームに結合される。次に、それぞれのアミノアシルtRNAによって認識(結合)されるコドンによってコード化された位置で、アミノ酸とUNAAを段階的に付加することでポリペプチドが形成される。このように、UNAAは、tRNAPylに含まれるアンチコドンの逆相補であるコドンによってコード化された位置で、標的化剤に組み込まれる。
【0346】
細胞系は、本発明のPylRSをコードするポリヌクレオチド配列を含み、これにより、細胞によるPylRSの発現が可能になる。同様に、tRNAPylは、細胞に含まれるtRNAPylをコードするポリヌクレオチド配列に基づいて、細胞系によって生成される。PylRSをコードするポリヌクレオチド配列とtRNAPylをコードするポリヌクレオチド配列は、同じポリヌクレオチド上に存在しても、別のポリヌクレオチド上に存在してもよい。
【0347】
したがって、一実施形態では、本発明は、1つ以上のUNAA残基を含む標的化剤を製造する方法を提供し、この方法は、以下の工程を含む。
(a)以下をコードするポリヌクレオチド配列を含む細胞系を提供する。
- 本発明の少なくとも1つのPylRS、
- PylRSによってアシル化され得る少なくとも1つのtRNA(tRNAPyl)、および
- 少なくとも1つの標的化剤(標的化剤のUNAA残基によって占められる任意の位置は、tRNAPylのアンチコドンの逆相補であるコドンによってコードされる)、および
(b)UNAAまたはその塩の存在下で細胞系によるポリヌクレオチド配列の翻訳を可能にし、それによってPylRS、tRNAPylおよびPOIを生成する。
【0348】
本明細書に記載の1つ以上の非天然アミノ酸残基を含む標的化剤を調製するために使用される細胞系は、PylRS、tRNAPyl、および標的化剤をコードするポリヌクレオチド配列を(宿主)細胞に導入することによって調製することができる。前記ポリヌクレオチド配列は、同じポリヌクレオチド上または別のポリヌクレオチド上に位置し、当該技術分野で既知の方法(例えば、ウイルス媒介遺伝子送達、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、リポフェクションなど)によって細胞に導入することができる。
【0349】
翻訳後、本発明に従って調製された標的化剤は、任意で、当該技術分野で一般に知られている手順に従って、部分的にまたは実質的に均質になるまで回収および精製することができる。標的化剤が培養培地に分泌されない限り、回収には通常、細胞破壊が必要である。細胞破壊の方法は当該技術分野でよく知られており、物理的破壊、例えば(超音波)超音波処理、液体せん断破壊(例えば、フレンチプレスによる)、機械的方法(例えば、ブレンダーまたはグラインダーを使用する方法)、または凍結融解サイクル、ならびに脂質-脂質、タンパク質-タンパク質および/またはタンパク質-脂質相互作用を破壊する薬剤(洗剤など)を使用した化学的溶解、および物理的破壊技術と化学的溶解の組み合わせが含まれる。細胞溶解物または培養培地からポリペプチドを精製するための標準的な手順も当技術分野でよく知られており、例えば、硫酸アンモニウムまたはエタノール沈殿、酸または塩基抽出、カラムクロマトグラフィー、アフィニティーカラムクロマトグラフィー、陰イオンまたは陽イオン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、レクチンクロマトグラフィー、ゲル電気泳動などが含まれる。タンパク質の再折り畳み工程は、必要に応じて、正しく折り畳まれた成熟タンパク質を作成する際に使用することができる。高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)、アフィニティークロマトグラフィー、または他の適切な方法は、高純度が求められる最終精製工程で使用することができる。本発明のポリペプチドに対して作製された抗体は、精製試薬として、すなわちポリペプチドのアフィニティーベースの精製に使用することができる。様々な精製/タンパク質折り畳み方法が当技術分野でよく知られており、例えば、スコープス、タンパク質精製、シュプリンガー、ベルリン(1993)およびドイチャー、酵素学における方法、182巻:タンパク質精製ガイド、アカデミックプレス(1990)およびそこに引用されている参考文献を含む。
【0350】
前述のように、当業者は、合成、発現および/または精製後、ポリペプチドが、関連するポリペプチドの望ましい立体構造とは異なる立体構造を有する場合があることを認識するであろう。例えば、原核生物系によって生成されるポリペプチドは、適切な折り畳みを達成するためにカオトロピック剤にさらすことによって最適化されることが多い。例えば、大腸菌由来の溶解物からの精製中に、発現されたポリペプチドは、必要に応じて変性され、その後再生される。これは、例えば、タンパク質をグアニジンHClなどのカオトロピック剤で可溶化することによって達成される。一般に、発現されたポリペプチドを変性および還元し、その後、ポリペプチドを好ましい立体構造に再折り畳みさせることが望ましい場合がある。例えば、グアニジン、尿素、DTT、DTE、および/またはシャペロニンを、目的の翻訳産物に加えることができる。タンパク質を還元、変性、再生する方法は、当業者によく知られている。ポリペプチドは、例えば酸化グルタチオンおよびL-アルギニンを含む酸化還元緩衝液中で再折り畳みすることができる。
【0351】
このようにして調製された標的化剤は、次いで、上記一般式Iのテトラジン化合物との反応によって、それぞれのバイオ複合体に変換され得る。
【0352】
5.医薬組成物
本発明の複合体またはバイオ複合体、例えばAPC、特に本発明のADC(すなわち活性剤または成分)は、一般に、治療上および/または予防上有効な量または診断上有効な量の少なくとも1つのそのような活性成分またはその薬学的に許容される塩、および任意に少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤から構成される「医薬組成物」として提供される。
【0353】
前記医薬組成物は、経口、直腸、経粘膜、局所、眼科、耳科、または腸内投与などの適切な投与経路、筋肉内、皮下、髄内注射、ならびに髄腔内、直接脳室内、静脈内、腹腔内、鼻腔内、または眼内注射を含む非経口送達によって送達され得る。
【0354】
投与の性質または方法および剤形に応じて、前記組成物、前記少なくとも1つの追加の医薬賦形剤は異なっていてもよい。
【0355】
「賦形剤」とは、有効成分と一緒に配合される物質であり、長期安定化、少量の強力な有効成分を含む固形製剤の増量(そのため、「増量剤」、「充填剤」、または「希釈剤」と呼ばれることが多い)、または最終剤形の有効成分に治療効果を付与する(例えば、薬物の吸収を促進する、粘度を下げる、溶解性を高めるなど)など、さまざまな目的で配合される。賦形剤は、予想される保存期間にわたって変性や凝集を防ぐなどのインビトロ安定性を助けるだけでなく、粉末の流動性や非粘着性を促進するなど、有効成分の問題の取り扱いを助けるため、医薬組成物の製造プロセスにも役立つ。適切な賦形剤の選択は、投与経路や剤形だけでなく、特定の有効成分やその他の要因にも依存する。
【0356】
賦形剤は、免疫アジュバント、抗付着剤、結合剤、コーティング剤、着色剤、崩壊剤、香料、流動促進剤、潤滑剤、保存料、吸着剤、甘味料、および賦形剤の中から選択できる。
【0357】
賦形剤の非限定的な例としては、希釈剤、保存料、安定剤、乳化剤(ポリソルベートやポロキサマーなどの乳化ポリマーなど)、抗酸化剤、抗刺激剤、キレート剤、安定化塩(塩化物、硫酸塩、リン酸塩、二リン酸塩、臭化水素酸塩、硝酸塩など)、懸濁剤、抗菌剤、抗真菌剤などがある。さらに、緩衝剤(低分子量有機酸とそれぞれの塩の緩衝システムなど)、または無機緩衝物質(リン酸緩衝液など)も使用できる。さらに適切な成分は、関連する薬理学標準文献からも知られている。また、各種成分の割合は、使用される特定の成分の性質に応じて変化し、当業者には一般に知られている(Remington´sPharmaceuticalscience(「HandbookofPharmaceuticalExcipients」、第2版、(1994年)、AWadeおよびPJWeller編集、またはRemington’sPharmaceuticalSciences、MackPublishingCo.(A.RGennaro編集、1985年))。
【0358】
本明細書で使用される医薬組成物は、「投与形態」または「単位用量」の形態で提供され、本明細書で説明されるような1つ以上のAPC、特にADCを含むことができる。したがって、本明細書で使用される医薬組成物は、例えば、単位用量で混合された2つの活性剤を提供したり、活性剤が物理的に分離されている投与形態で組み合わされた2つの活性剤を提供したりすることができる。
【0359】
さらに、例えば内皮細胞特異的抗体でコーティングされたリポソームなどの標的薬物送達システムで医薬組成物を投与することもできる。
【0360】
本発明の医薬組成物は、それ自体既知の方法、例えば、従来の混合、溶解、乳化、カプセル化、封入、またはそれらの組み合わせによって製造することができる。適切な処方は、選択された投与経路に依存する。
【0361】
ここで使用される「薬学的に許容される」という語句は、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、または合理的なリスク/ベネフィット比に見合ったその他の問題や合併症を伴わずに患者の組織と接触して使用するのに適した化合物、材料、組成物、および/または投与形態を指すために使用されている。
【0362】
本発明には、活性成分の「薬学的に許容される塩形態」がすべて含まれる。薬学的に許容される塩とは、対イオンが化合物の生理学的活性または毒性に大きく寄与せず、薬理学的同等物として機能する塩である。これらの塩は、市販の試薬を使用して一般的な有機技術に従って製造することができる。アニオン塩形態には、酢酸塩、酢酸塩、ベシル酸塩、臭化物、塩化物、クエン酸塩、フマル酸塩、グルクロン酸塩、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヨウ化水素酸塩、ヨウ化物、乳酸塩、マレイン酸塩、メシル酸塩、硝酸塩、パモ酸塩、リン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、トシル酸塩、キシノホ酸塩などがある。陽イオン塩の形態としては、アンモニウム、アルミニウム、ベンザチン、ビスマス、カルシウム、コリン、ジエチルアミン、ジエタノールアミン、リチウム、マグネシウム、メグルミン、4-フェニルシクロヘキシルアミン、ピペラジン、カリウム、ナトリウム、トロメタミン、亜鉛などがある。
【0363】
「治療有効量」および/または「予防有効量」とは、ヒトまたは非ヒト患者に投与された場合に、治療および/または予防効果をもたらすのに有効な量を意味する。より具体的には、「治療有効量」とは、本明細書に開示された有効成分または2つ以上の有効成分の組み合わせの量であり、病状の進行を完全にまたは部分的に抑制するか、病状の1つ以上の症状を少なくとも部分的に緩和する。
【0364】
「診断有効量」とは、患者から病状の状態または進行に関する診断上価値のある情報を得るのに有効な量を意味する。
【0365】
治療上の利点は、病気の患者の症状の緩和、例えば、病気の患者の症状を軽減するのに有効な量である。特定の状況では、患者は治療中の疾患の症状を示さないことがある。したがって、化合物の予防的に有効な量は、疾患、障害、または状態の兆候に有意なプラス効果をもたらすのに十分な量でもあり、例えば、疾患の症状の発生頻度と重症度を大幅に軽減するのに十分な量である。
【0366】
治療上有効な量は、予防上有効な量でもある。
【0367】
本明細書において「患者」とは、ヒトまたは非ヒト、特にヒトの動物を指す。
【0368】
「投与形態」とは、本明細書に記載の1つ以上の有効成分の投与単位(「単位投与量」)のことである。
【0369】
「治療」または「処置」という用語は、次のことを指す。
(i)疾患、障害、または症状にかかりやすい可能性があるが、まだ診断されていない患者において、疾患、障害、または症状の発生を防ぐこと。
(ii)疾患、障害、または症状を阻害すること、すなわち、その進行を止めること。
(iii)疾患、障害、または症状を軽減すること、すなわち、疾患、障害、および症状の退行を引き起こすこと。特に、予防的または治療的処置、またはそれらの組み合わせが含まれる。
【0370】
投与の「頻度」は、使用する化合物と治療する感染症の種類によって異なる。1日1回の投与も可能である。有効成分を1日に数回、たとえば2回から10回、2、3、4、5、6、7、8、9、10回投与する投与方法の方が、場合によってはより効果的である。
【0371】
ただし、特定の患者に対する特定の投与量レベルおよび頻度は、使用される特定の化合物の活性、年齢、体重、一般的な健康状態、性別、食事、投与時間、投与経路、排泄速度、薬剤の組み合わせ、および治療を受けている患者の特定の疾患の重症度を含むさまざまな要因に依存することが理解される。患者は、通常、治療または予防される状態に適したアッセイを使用して、治療または予防の有効性について監視される可能性があり、これは当業者にはよく知られている。
【0372】
本発明による医薬組成物の特定の例は、溶液、懸濁液、乳剤などの液体形態の製剤であり、治療有効量の少なくとも1つのAPC、特に上記で定義されるADC成分を、任意に上記で定義される少なくとも1つのさらなる医薬的に許容される賦形剤とともに含み、任意の適切な経路で投与することができる。
【0373】
本発明による医薬組成物のさらなる例としては、粉末、錠剤、丸剤、カプセル、カシェ剤、坐剤、および分散性顆粒などの固形製剤が挙げられる。
【0374】
本明細書に開示された内容を熟考すれば当業者には直ちに明らかとなる多数の可能な変形も本発明の範囲内に含まれる。
【0375】
以下の例は説明のみを目的としており、本明細書に記載された実施形態の範囲を制限することを意図するものではない。
【実施例
【0376】
A)材料と方法
試薬は市販の供給元から購入し、精製せずに使用した。無水溶媒を含むすべての溶媒は、市販の供給元から入手した状態で使用した。空気と水に敏感な試薬と反応は、通常、アルゴン雰囲気下で取り扱われた。
【0377】
反応の進行は、Merckシリカゲルプレート60F254上のTLCまたはUHPLC-MSによって監視された。TLC検出は、254nmのUV光または過マンガン酸カリウム染色によって実行された。
【0378】
フラッシュクロマトグラフィー精製は、シリカゲル(0.060-0.200mm)、KP-Silカートリッジを使用して、BiotageIsoleraOne精製システムで実行された。
【0379】
分取HPLC精製は、Agilent1260分取ポンプ、1260分取オートサンプラー、1260フラクションコレクター、および1260多波長検出器VLで構成されるAgilentInfinity1260シリーズ装置で実施した。使用した分取カラムは、WatersX-BridgePrepC18カラム:5μm、19x150mmで、溶媒として0.1%TFAを含むHOとアセトニトリルの直線勾配で操作した。
【0380】
核磁気共鳴スペクトルは、室温でBrukerAvance(400MHz)NMRシステムで記録された。化学シフト(δ)は百万分率(ppm)で示され、結合定数(J)はヘルツ(Hz)で示され、多重度は標準的な略語を使用して報告される。
【0381】
UHPLC-MS分析は、Agilent1290クォータナリポンプ、1290サンプラー、1290サーモスタットカラムコンパートメント、および四重極LC/MS6120とInfinity1260ELSDを備えた1290ダイオードアレイ検出器VL+で構成されるAgilentInfinity1290シリーズ装置で実施された。使用した分析カラムは、AcquityUPLCBEHC18カラム:1.7μm、2.1x50mmで、溶媒として0.1%TFAを含むHOとアセトニトリルの直線勾配で操作された。
【0382】
B)化合物の合成
実施例1
ジエチル((6-(4-(アミノメチル)フェニル)-1,2,4,5-テトラジン-3-イル)メチル)ホスホネート(1)の合成
【化23】
【0383】
4-アミノメチルベンゾニトリル(169mg、1.00mmol、1.00eq)およびジエチルシアノメチルホスホネート(651μL、709mg、4.00mmol、4.00eq)のEtOH(0.5mL)溶液に、3-メルカプトプロピオン酸(87.0μL、106mg、1.00mmol、1.00eq)を、続いてヒドラジン一水和物(776μL、801mg、16.0mmol、16.0eq)を0℃で加えた。混合物を室温で一晩撹拌した。その後、HO中のNaNO(1.38g、20.0mmol、20.0eq)を加え、1MHClaqを滴下してpH約3に酸性化した。
【0384】
HPLCによる精製により、1がピンク色のオイル(300mg)として得られ、これを次の工程に直接使用した。
【0385】
実施例2
((6-(4-(アミノメチル)フェニル)-1,2,4,5-テトラジン-3-イル)メチル)ホスホン酸(2)の合成
【化24】
【0386】
1(300mg)のDMF溶液に、0℃でトリメチルシリルブロミド(530μL、614mg、4.01mmol、5.00当量)を加えた。混合物を室温で一晩撹拌した。その後、MeOHとHOで希釈し、溶媒を蒸発させた。
【0387】
HPLCによる精製により、2がピンク色の粉末(2段階で30.0mg、8%)として得られた。
【0388】
実施例3
4-(6-((ジエトキシホスホリル)メチル)-1,2,4,5-テトラジン-3-イル)安息香酸(3)の合成
【化25】
【0389】
4-シアノ安息香酸(588mg、4.00mmol、1.00eq)とジエチルシアノメチルホスホネート(2.60mL、2.84g、16.0mmol、4.00eq)のEtOH(2mL)溶液に、3-メルカプトプロピオン酸(348μL、424mg、4.00mmol、1.00eq)を加え、続いてヒドラジン一水和物(3.10mL、3.20g、64.0mmol、16.0eq)を0℃で加えた。混合物を室温で一晩撹拌した。その後、HO中のNaNO(5.52g、80.0mmol、20.0eq)を加え、1MHClaqを滴下してpH約3に酸性化した。ピンク色の沈殿物を濾過し、0.1MHClaqで洗浄した。
【0390】
フラッシュクロマトグラフィー(ジクロロメタン/MeOH 20:1)による精製により、3がピンク色の粉末(304mg、22%)として得られた。
【0391】
実施例4
2-(6-(ジメチルアミノ)-3-(ジメチルイミニオ)-3H-キサンテン-9-イル)-5-((4-(6-(ホスホノメチル)-1,2,4,5-テトラジン-3-イル)ベンジル)カルバモイル)ベンゾエート(4)の合成
【化26】
【0392】
2(5.00mg、17.8μmol、1.00eq)のDMF(0.2mL)溶液に、DIPEA(12.4μL、9.20mg、71.2μmol、4.00eq)および5-TAMRA-OSu(10.3mg、19.6μmol、1.10eq)を加え、混合物を室温で一晩撹拌した。粗反応混合物を直接HPLCで精製した。
【0393】
HPLCによる精製により、4が赤褐色粉末(4.0mg、32%)として得られた。
【0394】
実施例5
((6-(4-(((S)-1-(((S)-1-(((3R,4S,5S)-1-((S)-2-((1R,2R)-3-(((1S,2R)-1-ヒドロキシ-1-フェニルプロパン-2-イル)アミノ)-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソプロピル)ピロリジン-1-イル)-3-メトキシ-5-メチル-1-オキソヘプタン-4-イル)(メチル)アミノ)-3-メチル-1-オキソブタン-2-イル)アミノ)-3-メチル-1-オキソブタン-2-イル)(メチル)カルバモイル)フェニル)-1,2,4,5-テトラジン-3-イル)メチル)ホスホン酸(5)の合成
【化27】
【0395】
3(5.57mg、15.8μmol、1.00eq)の溶液にDIPEA(6.88μL、5.11mg、39.5μmol、2.50eq)とHATU(9.01mg、23.7μmol、1.50eq)を加え、混合物を室温で30分間撹拌した。その後、MMAE(12.5mg、17.4μmol、1.10eq)を加え、混合物を室温で一晩撹拌した。ジクロロメタンで希釈し、HOで洗浄し、有機相を乾燥させ、溶媒を減圧下で蒸発させた。
【0396】
粗生成物をDMF(0.5mL)に溶解し、0℃でトリメチルシリルブロミド(10.4μL、12.1mg、79.0μmol、5.00当量)を加えた。混合物を室温で一晩撹拌し、HPLCで直接精製した。
【0397】
HPLCによる精製により、5がピンク色の粉末(2段階で5.0mg、32%)として得られた。
【0398】
実施例6
2,5-ジオキソピロリジン-1-イル4-(6-((ジエトキシホスホリル)メチル)-1,2,4,5-テトラジン-3-イル)ベンゾエート(6)の合成
【化28】
【0399】
3(100mg、284μmol、1.00eq)のジクロロメタン(2.8mL)溶液に、N-ヒドロキシスクシンイミド(49.0mg、426μmol、1.50eq)およびEDC塩酸塩(81.6mg、426μmol、1.50eq)を加え、混合物を室温で1時間撹拌した。
【0400】
フラッシュクロマトグラフィー(ジクロロメタン/MeOH 20:1)による精製により、6がピンク色の固体(118mg、93%)として得られた。
【0401】
実施例7
(4-(6-((ジエトキシホスホリル)メチル)-1,2,4,5-テトラジン-3-イル)ベンゾイル)-L-バリル-L-アラニン(7)の合成
【化29】
【0402】
6(118mg、263μmol、1.00eq)のDMF(2.6mL)溶液に、H-Val-Ala-OH(74.1mg、394μmol、1.50eq)とNEt3(72.8μL、525μmol、2.00eq)を加え、混合物を室温で撹拌した。ジクロロメタンで希釈し、HOと1MHClaqで洗浄した。有機相を乾燥させ、溶媒を減圧下で蒸発させた。
【0403】
フラッシュクロマトグラフィー(ジクロロメタン/MeOH 20:1→10:1)による精製により、7がピンク色の固体(135mg、98%)として得られた。
【0404】
実施例8
ジエチル((6-(4-(((S)-1-(((S)-1-((4-(ヒドロキシメチル)フェニル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-3-メチル-1-オキソブタン-2-イル)カルバモイル)フェニル)-1,2,4,5-テトラジン-3-イル)メチル)ホスホネート(8)の合成
【化30】
【0405】
7(116mg、222μmol、1.00eq)のDMF(2.2mL)溶液に、p-アミノベンジルアルコール(41.0mg、333μmol、1.50eq)、HATU(127mg、333μmol、1.50eq)、およびDIPEA(96.7μL、555μmol、2.50eq)を加え、混合物を室温で撹拌した。ジクロロメタンで希釈し、HOおよび1MHClaqで洗浄した。有機相を乾燥させ、溶媒を減圧下で蒸発させた。
【0406】
フラッシュクロマトグラフィー(ジクロロメタン/MeOH 20:1→10:1)による精製により、8がピンク色の固体(131mg、94%)として得られた。
【0407】
実施例9
4-((S)-2-((S)-2-(4-(6-((ジエトキシホスホリル)メチル)-1,2,4,5-テトラジン-3-イル)ベンズアミド)-3-メチルブタナミド)プロパンアミド)ベンジル(4-ニトロフェニル)炭酸塩(9)の合成
【化31】
【0408】
8(131mg、209μmol、1.00eq)のジクロロメタン(2.1mL)溶液に、PNPクロロホルメート(63.1mg、313μmol、1.50eq)とDIPEA(54.5μL、313μmol、1.50eq)を加え、混合物を室温で撹拌した。3時間後、PNPクロロホルメート20mgを加え、混合物をさらに1時間撹拌した。ジクロロメタンで希釈し、飽和NaHCO3aqで洗浄した。有機相を乾燥させ、溶媒を減圧下で蒸発させた。
【0409】
フラッシュクロマトグラフィー(ジクロロメタン/MeOH 20:1→10:1)による精製により、9がピンク色の固体(101mg、61%)として得られた。
【0410】
実施例10
4-((S)-2-((S)-2-(4-(6-((ジエトキシホスホリル)メチル)-1,2,4,5-テトラジン-3-イル)ベンズアミド)-3-メチルブタンアミド)プロパンアミド)ベンジルの合成((S)-1-(((S)-1-(((3R,4S,5S)-1-((S)-2-((1R,2R)-3-(((1S,2R)-1-ヒドロキシ-1-フェニルプロパン-2-イル)アミノ)-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソプロピル)ピロリジン-1-イル)-3-メトキシ-5-メチル-1-オキソヘプタン-4-イル)(メチル)アミノ)-3-メチル-1-オキソブタン-2-イル)アミノ)-3-メチル-1-オキソブタン-2-イル)(メチル)カルバメート(10)
【化32】
【0411】
9(20.0mg,25.2μmol,1.00eq)およびMMAE(18.1mg,25.2μmol,1.00eq)のDMF(0.2mL)溶液に、ピリジン(0.1mL)、HOBt一水和物(0.773mg,5.05μmol,0.200eq)およびDIPEA(4.39μL,25.2μmol,1.00eq)を加え、混合物を室温で一晩撹拌した。これをジクロロメタンで希釈し、HOで洗浄した。有機相を乾燥させ、溶媒を減圧下で蒸発させた。
【0412】
粗生成物10(34.0mg、98%)を次の工程に直接使用した。
【0413】
実施例11
((6-(4-(((S)-1-(((S)-1-((4-((5S,8S,11S,12R)-11-((S)-sec-ブチル)-12-(2-((S)-2-((1R,2R)-3-(((1S,2R)-1-ヒドロキシ-1-フェニルプロパン-2-イル)アミノ)-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソプロピル)ピロリジン-1-イル)-2-オキソエチル)-5の合成、8-ジイソプロピル-4,10-ジメチル-3,6,9-トリオキソ-2,13-ジオキサ-4,7,10-トリアザテトラデシル)フェニル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-3-メチル-1-オキソブタン-2-イル)カルバモイル)フェニル)-1,2,4,5-テトラジン-3-イル)メチル)ホスホン酸(11)
【化33】
【0414】
粗10(34.0mg、24.8μmol、1.00eq)のDMF(0.5mL)溶液にトリメチルシリルブロミド(32.7μL、248μmol、10.0eq)を加え、混合物を室温で一晩撹拌した。それをMeOHおよびHOで希釈し、混合物を直接HPLCで精製した。
【0415】
HPLCによる精製により、11(2.1mg、6%)がピンク色の固体として得られた。
【0416】
実施例12
((6-(4-(((2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)オキシ)カルボニル)フェニル)-1,2,4,5-テトラジン-3-イル)メチル)ホスホン酸(12)の合成
【化34】
【0417】
6(30.8mg,68.5μmol,1.00eq)のジクロロメタン(0.7mL)溶液に、0℃でトリメチルシリルブロミド(27.1μL,206μmol,3.00eq)を加え、混合物をこの温度で3時間撹拌した。DMF(0.7mL)を加え、混合物を室温で3日間撹拌した。それをMeOHおよびHOで希釈し、溶媒を減圧下で蒸発させた。
【0418】
HPLCによる精製により、12がピンク色の粉末(17.4mg、65%)として得られた。
【0419】
実施例13
((6-(4-(((2S)-1-(((2S)-1-((4-(((((2S)-1-(((14S,32S,33R,2S,4S,10E,12E,14R)-86-クロロ-14-ヒドロキシ-85,14-ジメトキシ-33,2,7,10-テトラメチル-12,6-ジオキソ-7-アザ-1(6,4)-オキサジナナ-3(2,3)-オキシラナ-8(1,3)-ベンゼンシクロヘキシルの合成テトラデカファン-10,12-ジエン-4-イル)オキシ)-1-オキソプロパン-2-イル)(メチル)カルバモイル)オキシ)メチル)フェニル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-3-メチル-1-オキソブタン-2-イル)カルバモイル)フェニル)-1,2,4,5-テトラジン-3-イル)メチル)ホスホン酸(13)
【化35】
【0420】
H-Val-Ala-PAB-メイタンシノイド28(12.5mg,12.9μmol,1.00eq)および12(11.2mg,28.4μmol,2.20eq)のDMF(0.5mL)溶液にNEt3(16.1μL,116μmol,9.00eq)を加え、混合物を室温で一晩撹拌した。これをHClaqで希釈し、混合物を直接HPLCで精製した。
【0421】
HPLCによる精製により、13(7.8mg、48%)がピンク色の粉末として得られた。
【0422】
実施例14
5-(6-((ジエトキシホスホリル)メチル)-1,2,4,5-テトラジン-3-イル)イソフタル酸(14)の合成
【化36】
【0423】
5-シアノイソフタル酸(287mg、1.50mmol、1.00eq)およびジエチルシアノメチルホスホネート(972μL、6.00mmol、4.00eq)のEtOH(1.5mL)溶液に、3-メルカプトプロピオン酸(131μL、1.50mmol、1.00eq)を、続いてヒドラジン一水和物(1.17mL、24.0mmol、16.0eq)を0℃で加えた。混合物を室温で一晩撹拌した。その後、HO中のNaNO(2.07g、30.0mmol、20.0eq)を加え、1MHClaqを滴下してpH約1に酸性化した。ピンク色の沈殿物を濾過し、0.1MHClaqで洗浄した。
【0424】
粗生成物14(594mg)は、それ以上精製することなく、次の工程に直接使用した。
【0425】
実施例15
ビス(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)5-(6-((ジエトキシホスホリル)メチル)-1,2,4,5-テトラジン-3-イル)イソフタレート(15)の合成
【化37】
【0426】
14(594mg、1.50mmol、1.00eq)のジクロロメタン(15mL)混合物に、N-ヒドロキシスクシンイミド(691mg、6.00mmol、4.00eq)およびEDC塩酸塩(1.15g、6.00mmol、4.00eq)を加え、混合物を室温で撹拌した。
【0427】
フラッシュクロマトグラフィー(ジクロロメタン/MeOH 20:1)による精製により、15がピンク色の固体(750mg、2段階で85%)として得られた。
【0428】
実施例16
1,1’-(5-(6-((ジエトキシホスホリル)メチル)-1,2,4,5-テトラジン-3-イル)-1,3-フェニレン)ビス(1-オキソ-5,8,11,14,17,20,23,26-オクタオキサ-2-アザノナコサン-29-酸)(16)の合成
【化38】
【0429】
15(300mg、508μmol、1.00eq)のDMF(5mL)混合物に、NEt3(140μL、103mg、1.02mmol、2.00eq)および1-アミノ-3,6,9,12,15,18,21,24-オクタオキサヘプタコサン-27-酸(449mg、1.02mmol、2.00eq)を加え、混合物を室温で撹拌した。それをH2Oで希釈し、混合物を直接HPLCで精製した。
【0430】
HPLCによる精製により、16がピンク色のオイル(83mg、13%)として得られた。
【0431】
実施例17
2-(6-((ジエトキシホスホリル)メチル)-1,2,4,5-テトラジン-3-イル)酢酸(17)の合成
【化39】
【0432】
シアノ酢酸(3.40g、40.0mmol、4.00eq)およびシアノメチルホスホン酸ジエチル(1.62mL、10.0mmol、1.00eq)のEtOH(10mL)溶液に、3-メルカプトプロピオン酸(871μL、10.0mmol、1.00eq)を0℃で加え、続いてヒドラジン一水和物(7.76mL、160mmol、16.0eq)を加えた。混合物を室温で一晩撹拌した。その後、H2O中のNaNO(13.8g、200mmol、20.0eq)を加え、1MHClaqを滴下してpH約1に酸性化した。それを酢酸エチルで抽出し、有機相を乾燥させ、溶媒を減圧下で蒸発させた。
【0433】
フラッシュクロマトグラフィー(ジクロロメタン/MeOH50:1→10:1および20:1→10:1)による2回の精製により、17がピンク色の油(260mg、9%)として得られた。
【0434】
実施例18
ジエチル((6-(5-アミノピリジン-2-イル)-1,2,4,5-テトラジン-3-イル)メチル)ホスホネート(18)の合成
【化40】
【0435】
5-アミノ-2-ピリジンカルボニトリル(1.20g、10.1mmol、1.00eq)およびジエチルシアノメチルホスホネート(6.52mL、7.14g、40.3mmol、4.00eq)のEtOH(10mL)溶液に、3-メルカプトプロピオン酸(878μL、1.07g、10.1mmol、1.00eq)を、続いてヒドラジン一水和物(7.82mL、8.07g、161mmol、16.0eq)を0℃で加えた。混合物を室温で一晩撹拌した。
【0436】
溶媒はロータリーエバポレーターで除去し、残留物は逆相フラッシュクロマトグラフィーで精製した。ジヒドロテトラジン中間体を含む画分を空気中で一晩酸化した後、溶媒を蒸発させて粗生成物18を得た。
【0437】
フラッシュクロマトグラフィー(ジクロロメタン/MeOH20:1)による精製により、18が暗赤色の固体(555mg、17%)として得られた。
【0438】
実施例19
((6-(5-アミノピリジン-2-イル)-1,2,4,5-テトラジン-3-イル)メチル)ホスホン酸(19)の合成
【化41】
【0439】
18(78.0mg、241μmol、1.00eq)のジクロロメタン/DMF(2:1、3mL)溶液に、0℃でトリメチルシリルブロミド(159μL、184mg、1.20mmol、5.00eq)を加えた。混合物を室温で一晩撹拌した。その後、MeOHおよびHOで希釈し、溶媒を蒸発させた。
【0440】
HPLCによる精製により、19が赤ピンク色の粉末(36.0mg、56%)として得られた。
【0441】
実施例20-ジエチル((6-(4-(13-ヒドロキシ-2,5,8,11-テトラオキサトリデシル)フェニル)-1,2,4,5-テトラジン-3-イル)メチル)ホスホネート(20)の合成
【化42】
【0442】
4-(13-ヒドロキシ-2,5,8,11-テトラオキサトリデシル)ベンゾニトリル(980mg、3.17mmol、5.00eq)、ジエチルシアノメチルホスホネート(103μL、112mg、634μmol、1.00eq)、ヒドラジン一水和物(1.54mL、1.59g、31.7mmol、50.0eq)およびZn(OTf)(11.5mg、31.7μmol、0.0500eq)の混合物を60℃で30分間撹拌した。その後、NaNO(875mg、12.7mmol、20.0eq)の水溶液を加え、1MHClaqを滴下してpH約3に酸性化した。これをDCMで抽出し、溶媒を蒸発させた。
【0443】
フラッシュクロマトグラフィー(ジクロロメタン/MeOH40:1→10:1)による精製により、20が濃いピンク色の油状物(9.0mg、3%)として得られた。
【0444】
実施例21
((6-(4-(13-ヒドロキシ-2,5,8,11-テトラオキサトリデシル)フェニル)-1,2,4,5-テトラジン-3-イル)メチル)ホスホン酸(21)の合成
【化43】
【0445】
20(9.0mg,17.5μmol,1.00eq)のDMF(0.2mL)溶液に、0℃でトリメチルシリルブロミド(11.6μL,87.5μmol,5.00eq)を加え、混合物を室温で90分間撹拌した。反応をMeOHおよびHOで停止し、混合物を直接HPLC精製にかけた。
【0446】
HPLCによる精製により、21が濃いピンク色の油(1.7mg、21%)として得られた。
【0447】
実施例22
4-(6-(2,5,8,11,14,17,20,23,26,29,32,35,38-トリデカオキサノナトリアコンチル)-1,2,4,5-テトラジン-3-イル)安息香酸(22)の合成
【化44】
【0448】
2,5,8,11,14,17,20,23,26,29,32,35,38-トリデカオキサテトラコンタン-40-ニトリル(1.20g、2.00mmol、1.00eq)、4-シアノ安息香酸(1.18g、8.00mmol、4.00eq)のEtOH(2mL)混合物に、3-メルカプトプロピオン酸(174μL、212mg、2.00mmol、1.00eq)を加え、続いてヒドラジン一水和物(1.55mL、1.60g、32.0mmol、16.0eq)を0℃で加えた。混合物を室温で一晩撹拌した。その後、NaNO(5.52g、80.0mmol、20.0eq)の水溶液を加え、1MHClaqを滴下してpH約3に酸性化した。DCMで抽出し、溶媒を蒸発させた。
【0449】
フラッシュクロマトグラフィー(ジクロロメタン/MeOH20:1→10:1)による精製により、22がピンク色の油状物(352mg、23%)として得られた。
【0450】
実施例23
4-((S)-2-((S)-2-(4-(6-(2,5,8,11,14,17,20,23,26,29,32,35,38-トリデカオキサノナトリアコンチル)-1,2,4,5-テトラジン-3-イル)ベンズアミド)-3-メチルブタンアミド)プロパンアミド)ベンジルの合成((S)-1-(((S)-1-(((3R,4S,5S)-1-((S)-2-((1R,2R)-3-(((1S,2R)-1-ヒドロキシ-1-フェニルプロパン-2-イル)アミノ)-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソプロピル)ピロリジン-1-イル)-3-メトキシ-5-メチル-1-オキソヘプタン-4-イル)(メチル)アミノ)-3-メチル-1-オキソブタン-2-イル)アミノ)-3-メチル-1-オキソブタン-2-イル)(メチル)カルバメート(23)
【化45】
【0451】
H-Val-Ala-PAB-MMAE(27)(11.0mg、10.6μmol、1.00eq)の溶液に、22(9.86mg、12.7μmol、1.20eq)、HATU(6.05mg、15.9μmol、1.50eq)およびDIPEA(4.62μL、3.42mg、26.5μmol、2.50eq)を加え、混合物を室温で1時間撹拌した。粗反応混合物を直接HPLC精製にかけた。
【0452】
HPLCによる精製により、23がピンク色の粉末(3.9mg、20%)として得られた。
【0453】
実施例24
エチル水素((6-(4-(アミノメチル)フェニル)-1,2,4,5-テトラジン-3-イル)メチル)ホスホネート(24)の合成
【化46】
【0454】
4-アミノメチルベンゾニトリル(169mg、1.00mmol、1.00eq)とジエチルシアノメチルホスホネート(1.62mL、1.77g、10.0mmol、10.0eq)の混合物に、ヒドラジン一水和物(2.43μm、2.50g、50.0mmol、50.0eq)とZn(OTf)(18.2mg、50.0μmol、0.0500eq)を加えた。混合物を室温で一晩撹拌した。その後、HO中のNaNO(1.38g、20.0mmol、20.0eq)を加え、1MHClaqを滴下してpH約3に酸性化した。
【0455】
HPLCによる精製により、24がピンク色の粉末(26.1mg、30%)として得られた。
【0456】
実施例25
((6-(4-(アミノメチル)フェニル)-1,2,4,5-テトラジン-3-イル)メチル)ホスホン酸(25)の合成
【化47】
【0457】
24(94.0mg、272μmol、1.00eq)のDMF溶液に、0℃でトリメチルシリルブロミド(382μL、416mg、2.72mmol、10.0eq)を加えた。混合物を室温で5時間撹拌した。その後、MeOHとHOで希釈し、溶媒を蒸発させた。
【0458】
HPLCによる精製により、2がピンク色の粉末(26.1mg、30%)として得られた。
【0459】
実施例26
4-(6-(ホスホノメチル)-1,2,4,5-テトラジン-3-イル)安息香酸(26)の合成
【化48】
【0460】
4-シアノ安息香酸(649mg、4.37mmol、1.00eq)およびジエチルシアノメチルホスホネート(3.15mL、3.45g、30.0mmol、6.86eq)の溶液に、ヒドラジン一水和物(7.28mL、7.51g、150mmol、34.3eq)およびZn(OTf)(54.5mg、150μmol、0.0500eq)を加えた。混合物を室温で4時間撹拌した。その後、HO中のNaNO(5.52g、80.0mmol、20.0eq)を加え、1MHClaqを滴下してpH約3に酸性化した。ピンク色の沈殿物を濾過し、0.1MHClaqで洗浄して、3と4-(6-((エトキシ(ヒドロキシ)ホスホリル)メチル)-1,2,4,5-テトラジン-3-イル)安息香酸の粗混合物を得た。
【0461】
DMF中の粗沈殿物の溶液に、0℃でトリメチルシリルブロミド(2.64mL、3.06g、20.0mmol、5.00当量)を加えた。混合物を室温で5時間撹拌した。その後、MeOHとHOで希釈し、溶媒を蒸発させた。
【0462】
HPLCによる精製により、26がピンク色の粉末(64.5mg、5%)として得られた。
【0463】
実施例27
H-Val-Ala-PAB-MMAE(4-((S)-2-((S)-2-アミノ-3-メチルブタンアミド)プロパンアミド)ベンジル((S)-1-(((S)-1-(((3R,4S,5S)-1-((S)-2-((1R,2R)-3-(((1S,2R)-1-ヒドロキシ-1-フェニルプロパン-2-イル)アミノ)-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソプロピル)ピロリジン-1-イル)-3-メトキシ-5-メチル-1-オキソヘプタン-4-イル)(メチル)アミノ)-3-メチル-1-オキソブタン-2-イル)アミノ)-3-メチル-1-オキソブタン-2-イル)(メチル)カルバメート)(27)の合成
【化49】
【0464】
Fmoc-Val-Ala-PAB-PNP(34.1mg、50.1μmol、1.00eq)およびMMAE(36.0mg、50.1μmol、1.00eq)のDMF(0.5mL)溶液に、ピリジン(0.25mL)、HOBt(0.768mg、5.01μmol、0.100eq)およびDIPEA(8.73μL、6.48mg、50.1μmol、1.00eq)を加え、混合物を室温で8時間撹拌した。完全に変換された後、ピペリジン(0.125mL)を加え、混合物をさらに5分間撹拌し、その後直接HPLC精製にかけた。
【0465】
HPLCによる精製により、27(44.3mg、85%)が白色固体として得られた。
【0466】
実施例28
H-Val-Ala-PAB-メイタンシノイド((14S,32S,33R,2S,4S,10E,12E,14R)-86-クロロ-14-ヒドロキシ-85,14-ジメトキシ-33,2,7,10-テトラメチル-12,6-ジオキソ-7-アザ-1(6,4)-オキサジナナ-3(2,3)-オキシラナ-8(1,3)-ベンゼンシクロテトラデカファン-10,12-ジエン-4-イルN-(((4-((S)-2-((S)-2-アミノ-3-メチルブタンアミド)プロパンアミド)ベンジル)オキシ)カルボニル)-N-メチル-L-アラニネート)(28)の合成
【化50】
【0467】
Fmoc-Val-Ala-PAB-PNP(41.0mg、63.0μmol、1.00eq)およびメイタンシノイド(42.9mg、63.0μmol、1.00eq)のDMF(0.6mL)溶液に、ピリジン(0.28mL)、HOBt(0.965mg、6.30μmol、0.100eq)およびDIPEA(10.9μL、8.14mg、63.0μmol、1.00eq)を加え、混合物を室温で8時間撹拌した。完全に変換された後、ピペリジン(0.15mL)を加え、混合物をさらに5分間撹拌し、その後直接HPLC精製にかけた。
【0468】
HPLCによる精製により、28(25.8mg、42%)が白色固体として得られた。
【0469】
実施例29
ジエチル(6-シアノピリジン-3-イル)ホスホネート(29)の合成
【化51】
【0470】
ジエチルホスファイト(567μL、608mg、4.40mmol、1.10eq)、NEt3(610μL、445mg、4.40mmol、1.10eq)およびPd(PPh3)4(231mg、200μmol、0.0500eq)の混合物に、5-ブロモ-2-シアノピリジン(732mg、4.00mmol、1.00eq)およびトルエン1mLを加え、混合物を90℃で1時間撹拌した。
【0471】
フラッシュクロマトグラフィー(シクロヘキサン/酢酸エチル1:1)による精製により、29が無色油状物(650mg、68%)として得られた。
【0472】
実施例30
3-(6-(4-(ヒドロキシ(メトキシ)ホスホリル)フェニル)-1,2,4,5-テトラジン-3-イル)プロパン酸(30)の合成
【化52】
【0473】
ジメチル(4-シアノフェニル)ホスホネート(54.0mg、256μmol、1.00eq)および3-シアノプロピオン酸(87.0mg、878μmol、3.43eq)のEtOH(0.26mL)溶液に、ヒドラジン一水和物(170μL、176mg、3.51mmol、13.7eq)を加え、続いて3-メルカプトプロピオン酸(19.1μL、23.3mg、220μmol、0.859eq)を加えた。混合物を室温で一晩撹拌した。その後、亜硝酸ナトリウム(303mg、4.39mmol、20.0eq)を加え、1MHClaqを滴下して溶液を酸性化した。これを酢酸エチル(3回)で抽出し、合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で蒸発させた。
【0474】
逆相フラッシュクロマトグラフィー(HO中0-50%MeOH)による精製により、30がピンク色の固体(40.4mg、49%)として得られた。
【0475】
実施例31
3-(6-(4-ホスホノフェニル)-1,2,4,5-テトラジン-3-イル)プロパン酸(31)の合成
【化53】
【0476】
30(15.4mg、47.5μmol、1.00eq)のDMF(0.5mL)溶液に、0℃でトリメチルシリルブロミド(31.3μL、36.4mg、237μmol、5.00eq)を加えた。混合物を室温で30分間撹拌した。水を加え、混合物を直接精製した。
【0477】
逆相フラッシュクロマトグラフィー(HO中0-50%MeOH)による精製により、31がピンク色の固体(12.3mg、83%)として得られた。
【0478】
実施例32
(4-(6-(3-((2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)オキシ)-3-オキソプロピル)-1,2,4,5-テトラジン-3-イル)フェニル)ホスホン酸(32)の合成
【化54】
【0479】
31(9.50mg、30.6μmol、1.00eq)のDMF(0.3mL)溶液に、NEt3(5.09μL、3.72mg、36.8μmol、1.20eq)およびN,N,N′,N′-テトラメチル-O-(N-スクシンイミジル)ウロニウムテトラフルオロボラート(TSTU)(11.1mg、36.8μmol、1.20eq)を加えた。混合物を室温で撹拌した。1.5時間後、さらに10mgのTSTUと4μLのNEt3を加え、混合物をさらに30分間撹拌した。それを水で希釈し、混合物を直接HPLCで精製した。
【0480】
HPLCによる精製により、32がピンク色の固体(2.2mg、18%)として得られた。
【0481】
実施例33
2-(6-(ホスホノメチル)-1,2,4,5-テトラジン-3-イル)酢酸(33)の合成
【化55】
【0482】
17(30.0mg、103μmol、1.00eq)のDMF(0.5mL)溶液に、0℃でトリメチルシリルブロミド(136μL、158mg、1.03mmol、10.0eq)を加えた。混合物を室温で3.5時間撹拌した。水を加え、混合物を直接HPLCで精製した。
【0483】
HPLCによる精製により、33がピンク色の固体(2.8mg、12%)として得られた。
【0484】
実施例34
ジエチル(4-(6-(5-アミノピリミジン-2-イル)-1,2,4,5-テトラジン-3-イル)フェニル)ホスホネート(34)の合成
【化56】
【0485】
ジエチル(4-シアノフェニル)ホスホネート(398mg、256μmol、2.00eq)および2-シアノ-5-アミノピリミジン(100mg、833μmol、1.00eq)のEtOH(0.8mL)溶液に、ヒドラジン一水和物(646μL、667mg、13.3mmol、16.0eq)を加え、続いて3-メルカプトプロピオン酸(218μL、265mg、2.50mmol、3.00eq)を加えた。混合物を室温で一晩撹拌した。反応物を水で希釈し、ジクロロメタン(2回)で抽出した。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で蒸発させた。
【0486】
残渣をジクロロメタン5mLに溶解し、p-ベンゾキノン150mgを加え、混合物を5分間撹拌し、直接カラムクロマトグラフィーにかけた。
【0487】
フラッシュクロマトグラフィー(ジクロロメタン/MeOH、20:1から10:1の勾配)による精製により、34がオレンジがかった茶色の油(139mg、43%)として得られた。
【0488】
実施例35
(4-(6-(5-アミノピリミジン-2-イル)-1,2,4,5-テトラジン-3-イル)フェニル)ホスホン酸(35)の合成
【化57】
【0489】
34(22.8mg,58.9μmol,1.00eq)のDMF(0.6mL)溶液に、0℃でトリメチルシリルブロミド(155μL,180mg,1.18mmol,20.0eq)を加えた。混合物を室温で2時間撹拌した。水を加え、混合物を5分間撹拌した。形成された沈殿物を濾過し、水およびアセトンで洗浄した。
【0490】
35は赤色の固体(2.8mg、12%)として単離された。
【0491】
実施例36
ジエチル(6-(6-(5-アミノピリジン-2-イル)-1,2,4,5-テトラジン-3-イル)ピリジン-3-イル)ホスホネート(36)の合成
【化58】
【0492】
29(240mg,999μmol,1.00eq)および2-シアノ-5-アミノピリジン(476mg,4.00mmol,4.00eq)のEtOH(1mL)溶液に、ヒドラジン一水和物(775μL,800mg,13.3mmol,16.0eq)を加え、続いて3-メルカプトプロピオン酸(87.1μL,106mg,999μmol,1.00eq)を加えた。混合物を室温で一晩撹拌した。次に、形成された沈殿物を溶解するために1mLのDMFを加え、混合物を60℃で4時間撹拌した。混合物を直接逆相カラムクロマトグラフィーにより精製した。
【0493】
単離したジヒドロテトラジン化合物(9.9mg)を0.5mLDMF/MeOHに溶解し、2.7mgのp-ベンゾキノンを加えて5分間撹拌した。混合物を直接HPLCで精製した。
【0494】
HPLCによる精製により、36がオレンジ色の固体(7.3mg、2%)として得られた。
【0495】
実施例37
(6-(6-(5-アミノピリジン-2-イル)-1,2,4,5-テトラジン-3-イル)ピリジン-3-イル)ホスホン酸(37)の合成
【化59】
【0496】
36(3.8mg,9.81μmol,1.00eq)のDMF(0.1mL)溶液に、トリメチルシリルブロミド(12.9μL,15.0mg,98.1μmol,10.0eq)を0℃で加えた。混合物を室温で一晩撹拌した。その後、12μLのTMS-Brを加え、混合物を室温で5時間撹拌した。その後、20μLのTMS-Brを加え、混合物を室温で6時間撹拌した。水を加え、混合物を直接HPLCで精製した。
【0497】
HPLCによる精製により、37がオレンジ色の固体(1.8mg、55%)として得られた。
【0498】
実施例38
(6-(6-((ジエトキシホスホリル)メチル)-1,2,4,5-テトラジン-3-イル)ピリジン-3-イル)グリシン(38)の合成
【化60】
【0499】
(6-シアノピリジン-3-イル)グリシン(340mg、1.92mmol、1.00eq)およびジエチルシアノメチルホスホネート(621μL、680mg、3.84mmol、2.00eq)のEtOH(2mL)溶液に、ヒドラジン一水和物(1.49mL、1.54g、30.7mmol、16.0eq)を加え、続いて3-メルカプトプロピオン酸(502μL、611mg、5.76mmol、3.00eq)を加えた。混合物を室温で一晩撹拌した。その後、揮発性成分を減圧下で除去し、残渣を逆相カラムクロマトグラフィーで精製した。
【0500】
単離したジヒドロテトラジン化合物(320mg)を10mLのDMF/MeOHに溶解し、108mgのp-ベンゾキノンを加え、混合物を5分間撹拌した。
【0501】
混合物を直接カラムクロマトグラフィーで精製し、35mgの生成物38を得た。さらに、単離した混合画分をHPLCで精製した。
【0502】
HPLCによる精製により、38が赤色固体(130mg、18%)として得られた。
【0503】
実施例39
(6-(6-(ホスホノメチル)-1,2,4,5-テトラジン-3-イル)ピリジン-3-イル)グリシン(39)の合成
【化61】
【0504】
38(35.0mg,91.5μmol,1.00eq)のDMF(1mL)溶液に、0℃でトリメチルシリルブロミド(109μL,126mg,824μmol,9.00eq)を加えた。混合物を室温で4時間撹拌した。水を加え、混合物を30分間撹拌した。これを酢酸エチルで抽出し、水相を凍結乾燥した。得られた油状物をアセトンから沈殿させ、濾過した。
【0505】
39は赤色の固体(30.0mg、90%)として単離された。
【0506】
実施例40
Boc-Val-Cit-PAB-MMAE4-((S)-2-((S)-2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-3-メチルブタナミド)-5-ウレイドペンタナミド)ベンジル((S)-1-(((S)-1-(((3R,4S,5S)-1-((S)-2-((1R,2R)-3-(((1S,2R)-1-ヒドロキシ-1-フェニルプロパン-2-イル)アミノ)-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソプロピル)ピロリジン-1-イル)-3-メトキシ-5-メチル-1-オキソヘプタン-4-イル)(メチル)アミノ)-3-メチル-1-オキソブタン-2-イル)アミノ)-3-メチル-1-オキソブタン-2-イル)(メチル)カルバメート(40)の合成
【化62】
【0507】
Boc-Val-Cit-PAB-PNP(18.0mg、27.9μmol、1.00eq)およびMMAE(20.0mg、27.9μmol、1.00eq)のDMF(0.25mL)溶液に、ピリジン(0.125mL)、HOBt(0.428mg、2.79μmol、0.100eq)およびDIPEA(4.86μL、3.61mg、27.9μmol、1.00eq)を加え、混合物を室温で2日間撹拌した。その後、混合物を直接HPLC精製にかけた。
【0508】
HPLCによる精製により、40(25.2mg、74%)が白色固体として得られた。
【0509】
実施例41
H-Val-Cit-PAB-MMAE4-((S)-2-((S)-2-アミノ-3-メチルブタナミド)-5-ウレイドペンタナミド)ベンジル((S)-1-(((S)-1-(((3R,4S,5S)-1-((S)-2-((1R,2R)-3-(((1S,2R)-1-ヒドロキシ-1-フェニルプロパン-2-イル)アミノ)-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソプロピル)ピロリジン-1-イル)-3-メトキシ-5-メチル-1-オキソヘプタン-4-イル)(メチル)アミノ)-3-メチル-1-オキソブタン-2-イル)アミノ)-3-メチル-1-オキソブタン-2-イル)(メチル)カルバメート(41)の合成
【化63】
【0510】
40(25.2mg、20.6μmol、1.00当量)のジクロロメタン(0.8mL)溶液にトリフルオロ酢酸(0.2mL)を加え、混合物を室温で15分間撹拌した。その後、溶媒を減圧下で除去した。
【0511】
HPLCによる精製により、41(17.0mg、73%)が白色固体として得られた。
【0512】
実施例42
4-((S)-2-((S)-2-(2-((6-(6-((ジエトキシホスホリル)メチル)-1,2,4,5-テトラジン-3-イル)ピリジン-3-イル)アミノ)アセトアミド)-3-メチルブタナミド)-5-ウレイドペンタナミド)ベンジルの合成((S)-1-(((S)-1-(((3R,4S,5S)-1-((S)-2-((1R,2R)-3-(((1S,2R)-1-ヒドロキシ-1-フェニルプロパン-2-イル)アミノ)-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソプロピル)ピロリジン-1-イル)-3-メトキシ-5-メチル-1-オキソヘプタン-4-イル)(メチル)アミノ)-3-メチル-1-オキソブタン-2-イル)アミノ)-3-メチル-1-オキソブタン-2-イル)(メチル)カルバメート(42)
【化64】
【0513】
41(17.0mg,15.1μmol,1.00eq)のDMF(0.3mL)溶液に、38(5.79mg,15.1μmol,1.00eq)、EDC(3.48mg,18.2μmol,1.20eq)およびNEt3(3.15μL,2.30mg,22.7μmol,1.50eq)を加え、混合物を室温で4時間撹拌した。その後、さらに3810mg、EDC8mgおよびNEt38μLを加え、混合物をさらに4時間撹拌した。混合物を直接HPLC精製にかけた。
【0514】
HPLCによる精製により、淡赤色の固体として42(2.4mg、11%)が得られた。
【0515】
実施例43
((6-(5-((2-(((S)-1-(((S)-1-((4-((5S、8S、11S、12R)-11-((S)-sec-ブチル)-12-(2-((S)-2-((1R、2R)-3-(((1S、2R)-1-ヒドロキシ-1-フェニルプロパン-2-イル)アミノ)-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソプロピル)ピロリジン-1-イル)-2-オキソエチル)-5,8-ジイソプロピルの合成1-4,10-ジメチル-3,6,9-トリオキソ-2,13-ジオキサ-4,7,10-トリアザテトラデシル)フェニル)アミノ)-1-オキソ-5-ウレイドペンタン-2-イル)アミノ)-3-メチル-1-オキソブタン-2-イル)アミノ)-2-オキソエチル)アミノ)ピリジン-2-イル)-1,2,4,5-テトラジン-3-イル)メチル)ホスホン酸(43)
【化65】
【0516】
42(2.4mg、1.61μmol、1.00eq)のDMF(0.1mL)溶液にTMS-Br(10.6μL、12.3mg、80.7μmol、50.0eq)を加え、混合物を室温で2日間撹拌した。水を加え、混合物を酢酸エチルで抽出した。水相を凍結乾燥した。
【0517】
43は淡赤色の固体(1mg、43%)として単離された。
【0518】
実施例44
(2S,3S,4S,5R,6S)-6-(2-(3-アミノプロパンアミド)-4-((5S,8S,11S,12R)-11-((S)-sec-ブチル)-12-(2-((S)-2-((1R,2R)-3-(((1S,2R)-1-ヒドロキシ-1-フェニルプロパン-2-イル)アミノ)-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソプロピル)ピロリジン-1-イル)-2-オキソエチル)-5,8-ジイソプロピル-4,10-ジメチル-3,6,9-トリオキソ-2,13-ジオキサ-4,7,10-トリアザテトラデシル)フェノキシ)-3,4,5-トリヒドロキシテトラヒドロ-2H-ピラン-2-カルボン酸(44)の合成
【化66】
【0519】
MMAE(19.6mg,27.4μmol,1.00eq)およびβ-D-グルクロニド-PNP-カーボネート(25.0mg,27.4μmol,1.00eq)のDMF(0.5mL)溶液に、ピリジン(0.25mL)、HOBt(0.419mg,2.74μmol,0.100eq)およびDIPEA(4.77μL,27.4μmol,1.00eq)を加えた。混合物を室温で一晩撹拌した。その後、1MNaOHaq(0.274mL,274μmol,10.0eq)を加え、混合物を室温で1時間撹拌した。反応混合物を直接HPLCで精製した。
【0520】
HPLCによる精製で44(17.0mg、55%)が得られた。
【0521】
実施例45
(2S,3S,4S,5R,6S)-6-(2-(3-アミノプロパンアミド)-4-(((((1S,9S)-9-エチル-5-フルオロ-9-ヒドロキシ-4-メチル-10,13-ジオキソ-2,3,9,10,13,15-ヘキサヒドロ-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-1-イル)カルバモイル)オキシ)メチル)フェノキシ)-3,4,5-トリヒドロキシテトラヒドロ-2H-ピラン-2-カルボン酸(45)の合成
【化67】
【0522】
DMF(0.5mL)中のエキサテカンメシル酸塩(14.5mg、27.4μmol、1.00eq)およびβ-D-グルクロニド-PNP-炭酸塩(25.0mg、27.4μmol、1.00eq)の溶液に、ピリジン(0.25mL)、HOBt(0.419mg、2.74μmol、0.100eq)およびDIPEA(4.77μL、27.4μmol、1.00eq)を加えた。混合物を室温で一晩撹拌した。その後、1MNaOHaq(0.274mL、274μmol、10.0eq)を加え、混合物を室温で1時間撹拌した。反応混合物を直接HPLCで精製した。
【0523】
HPLCによる精製で45(3.0mg、13%)が得られた。
【0524】
実施例46
4-((S)-4-アミノ-2-((S)-2-((S)-2-アミノプロパンアミド)プロパンアミド)-4-オキソブタンアミド)ベンジル((S)-1-(((S)-1-(((3R,4S,5S)-1-((S)-2-((1R,2R)-3-(((1S,2R)-1-ヒドロキシ-1-フェニルプロパン-2-イル)アミノ)-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソプロピル)ピロリジン-1-イル)-3-メトキシ-5-メチル-1-オキソヘプタン-4-イル)(メチル)アミノ)-3-メチル-1-オキソブタン-2-イル)アミノ)-3-メチル-1-オキソブタン-2-イル)(メチル)カルバメート(46)の合成
【化68】
【0525】
MMAE(28.1mg,39.1μmol,1.00eq)およびFmoc-Ala-Ala-Asn-PAB-PNP(30.0mg,39.1μmol,1.00eq)のDMF(0.5mL)溶液に、ピリジン(0.25mL)、HOBt(0.598mg,3.91μmol,0.100eq)およびDIPEA(6.81μL,39.1μmol,1.00eq)を加えた。混合物を室温で一晩撹拌した。その後、1MNaOHaq(0.391mL,391μmol,10.0eq)を加え、混合物を室温で1時間撹拌した。反応混合物を直接HPLCで精製した。
【0526】
HPLCによる精製で46(16.6mg、38%)が得られた。
【0527】
実施例47
(3R,4S,7S,10S)-4-((S)-sec-ブチル)-3-(2-((S)-2-((1R,2R)-3-(((1S,2R)-1-ヒドロキシ-1-フェニルプロパン-2-イル)アミノ)-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソプロピル)ピロリジン-1-イル)-2-オキソエチル)-7,10-ジイソプロピル-5,11-ジメチル-6,9,12-トリオキソ-2-オキサ-15,16-ジチア-5,8,11-トリアザノナデカン-19-酸(47)の合成
【0528】
【化69】
【0529】
3,3’-ジチオジプロピオン酸(29.3mg、139.3μmol、2.00eq)とHATU(26.5mg、69.6μmol、1.00eq)のDMF(0.5mL)溶液にDIPEA(12.1μL、69.6μmol、1.00eq)を加え、混合物を室温で1時間撹拌した。その後、MMAE(50.0mg、69.6μmol、1.00eq)とDIPEA(12.1μL、69.6μmol、1.00eq)を加え、反応混合物を室温で一晩撹拌し、直接HPLC精製にかけた。
【0530】
HPLCによる精製で47(43.0mg、68%)が得られた。
【0531】
実施例48
tert-ブチル(2-(6-((ジエトキシホスホリル)メチル)-1,2,4,5-テトラジン-3-イル)エチル)カルバメート(48)の合成
【化70】
【0532】
tert-ブチルN-(2-シアノエチル)カルバメート(500mg、2.94mmol、1.00eq)、ジエチルシアノメチルホスホネート(950μL、5.88mmol、2.00eq)、および3-メルカプトプロピオン酸(768μL、8.813mmol、3.00eq)のEtOH/DMF(1:1、10mL)溶液をヒドラジン一水和物(2.28mL、47.0mmol、16.0eq)に加え、混合物を室温で一晩撹拌した。その後、HO中のNaNO(4.99g、58.8mmol、20.0eq)を加え、1MHClaqを滴下してpHを約3に酸性化した。形成された沈殿物を濾過し、水相を酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層はNa2SO4で乾燥し、減圧下で蒸発させた。逆相カラムクロマトグラフィーで精製して48(360mg、33%)を得た。
【0533】
実施例49
ジエチル((6-(2-アミノエチル)-1,2,4,5-テトラジン-3-イル)メチル)ホスホネート(49)の合成
【0534】
【化71】
【0535】
48(160mg、0.426mmol、1.00eq)のDCM(2ml)溶液にTFA(328μl、4.26mmol、10.0eq)を加え、混合物を室温で一晩撹拌した。溶媒を減圧下で除去した。
【0536】
蒸発により粗49(192mg)が得られ、これはその後の反応の粗生成物として使用された。
【0537】
実施例50
((6-(2-アミノエチル)-1,2,4,5-テトラジン-3-イル)メチル)ホスホン酸(50)の合成
【化72】
【0538】
粗49(100mg、257μmol、1.00当量)のDMF(5.1mL)溶液に、トリメチルシリルブロミド(170μL、1.28mmol、5.00当量)を0℃で加え、混合物を室温で一晩撹拌した。水を加え、溶媒を減圧下で蒸発させた。逆相クロマトグラフィー(HO/MeOH、0-50%、10gSfaerC18)による精製
【0539】
逆相クロマトグラフィーによる精製で50(12.5mg、22%)が得られた。
【0540】
実施例51
ジエチル((6-(5-アミノピリミジン-2-イル)-1,4-ジヒドロ-1,2,4,5-テトラジン-3-イル)メチル)ホスホネート(51)の合成
【化73】
【0541】
5-アミノ-2-ピリミジンカルボニトリル(200mg、1.67mmol、1.00eq)、ジエチルシアノメチルホスホネート(0.539mL、3.33mmol、2.00eq)、および3-メルカプトプロピオン酸(435μL、5.00mmol、3.00eq)のEtOH/DMF(1:1、5mL)溶液をヒドラジン一水和物(1.29mL、26.6mmol、16.0eq)に加え、混合物を室温で一晩撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させた。逆相カラムクロマトグラフィーで精製すると、混合画分が得られた。生成物を含む合わせた画分をフラッシュクロマトグラフィーで精製した。
【0542】
フラッシュクロマトグラフィー(DCM中のMeOH、0%から15%の勾配に従う)による精製により51(97.0mg、18%)が得られた。
【0543】
実施例52
ジエチル((6-(5-アミノピリミジン-2-イル)-1,2,4,5-テトラジン-3-イル)メチル)ホスホネート(52)の合成
【化74】
【0544】
THF/MeOH(9:1、3mL)中の51(97.0mg、296μmol、1.00eq)の溶液にp-ベンゾキノン(39.4mg、365μmol、1.23eq)を加え、混合物を室温で5分間撹拌した。それをDCMで希釈し、HOおよびNaHCO3の飽和水溶液を加えて反応を停止した。それを酢酸エチル(3回)で抽出し、合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で蒸発させた。
【0545】
フラッシュクロマトグラフィー(DCM中のMeOH、0%から30%の勾配に従う)による精製により52(33.0mg、34%)が得られた。
【0546】
実施例53
((6-(5-アミノピリミジン-2-イル)-1,2,4,5-テトラジン-3-イル)メチル)ホスホン酸(53)の合成
【化75】
【0547】
52(100mg、307μmol、1.00eq)のDMF(1mL)溶液に、0℃でトリメチルシリルブロミド(203μL、1.54mmol、5.00eq)を加え、混合物を室温で一晩撹拌した。水を加え、溶媒を減圧下で蒸発させた。逆相カラムクロマトグラフィーで精製して、53(36.0mg、44%)を得た。
【0548】
実施例54
((6-(5-((3R,4S,7S,10S)-4-((S)-sec-ブチル)-3-(2-((S)-2-((1R,2R)-3-(((1S,2R)-1-ヒドロキシ-1-フェニルプロパン-2-イル)アミノ)-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソプロピル)ピロリジン-1-イル)-2-オキソエチル)-7,10-ジイソプロピル-5,11-ジメチル-6,9,12-トリオキソ-2-オキサ-15,16-ジチア-5,8,11-トリアザノナデカン-19-アミド)ピリミジン-2-イル)-1,2,4,5-テトラジン-3-イル)メチル)ホスホン酸(54)の合成
【化76】
【0549】
47(10.0mg,13.2μmol,1.00eq)およびHATU(4.17mg,11.0μmol,1.00eq)のDMF(0.5mL)溶液にトリエチルアミン(1.5μL,11.0μmol,1.00eq)を加え、混合物を室温で1時間撹拌した。その後、53(4.60mg,13.2μmol,1.20eq)およびトリエチルアミン(1.53μL,11.0μmol,1.00eq)を加え、混合物を室温で一晩撹拌した。反応混合物を直接HPLC精製にかけた。
【0550】
HPLCによる精製で54(5.0mg、39%)が得られた。
【0551】
実施例55
2-(2-((6-(6-((ジエトキシホスホリル)メチル)-1,2,4,5-テトラジン-3-イル)ピリジン-3-イル)アミノ)-2-オキソエトキシ)酢酸(55)の合成
【化77】
【0552】
18(64.8mg、200μmol、1.00eq)およびジグリコール酸無水物(27.8mg、240μmol、1.20eq)のDMF(2mL)溶液に4-(ジメチルアミノ)ピリジン(2.44mg、20.0μmol、0.100eq)を加え、混合物を室温で一晩撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させた。
【0553】
逆相カラムクロマトグラフィーによる精製により、55(72.0mg、82%)がピンク色の油として得られた。
【0554】
実施例56
4-((6-(6-((ジエトキシホスホリル)メチル)-1,2,4,5-テトラジン-3-イル)ピリジン-3-イル)アミノ)-4-オキソブタン酸(56)の合成
【化78】
【0555】
18(60.0mg、185μmol、1.00eq)とコハク酸無水物(22.2mg、222μmol、1.20eq)のCHCl(0.4mL)溶液を60℃で一晩撹拌した。反応混合物をDCMで希釈した。ピンク色の沈殿物を濾過し、DCMで洗浄した。
【0556】
56(69.0mg、88%)がピンク色の固体として単離された。
【0557】
実施例57
tert-ブチル(2-((6-(6-((ジエトキシホスホリル)メチル)-1,2,4,5-テトラジン-3-イル)ピリジン-3-イル)アミノ)-2-オキソエチル)カルバメート(57)の合成
【化79】
【0558】
N-Boc-グリシン(486mg、2.78mmol、2.00eq)のTHF(5mL)溶液に、N-メチルモルホリン(763μL、6.94mmol、5.00eq)およびイソブチルクロロホルメート(360μL、2.78mmol、2.00eq)を0℃で加え、混合物を5分間撹拌した。次に、18(450mg、1.39mmol、1.00eq)を0℃で加え、混合物を室温で一晩撹拌した。水および酢酸エチルを加え、相を分離し、水相を酢酸エチル(2回)で抽出した。合わせた有機相を飽和NaHCO3水溶液で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、溶媒を減圧下で蒸発させた。
【0559】
逆相クロマトグラフィーによる精製で57(300mg、45%)が得られた。
【0560】
実施例58
((6-(5-(2-アミノアセトアミド)ピリジン-2-イル)-1,2,4,5-テトラジン-3-イル)メチル)ホスホン酸(58)の合成
【化80】
【0561】
57(200mg、415μmol、1.00eq)のDMF(1mL)溶液に、0℃でトリメチルシリルブロミド(274μL、2.08mmol、5.00eq)を加え、混合物を室温で一晩撹拌した。MeOHおよび水を加え、溶媒を減圧下で蒸発させた。
【0562】
逆相カラムクロマトグラフィーによる精製で58(66.0mg、49%)が得られた。
【0563】
実施例59
((6-(5-((3R,4S,7S,10S)-4-((S)-sec-ブチル)-3-(2-((S)-2-((1R,2R)-3-(((1S,2R)-1-ヒドロキシ-1-フェニルプロパン-2-イル)アミノ)-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソプロピル)ピロリジン-1-イル)-2-オキソエチル)-7,10-ジイソプロピル-5,11-ジメチル-6,9,12,19-テトラオキソ-2-オキサ-15,16-ジチア-5,8,11,20-テトラアザドコサン-22-アミド)ピリジン-2-イル)-1,2,4,5-テトラジン-3-イル)メチル)ホスホン酸(59)の合成
【化81】
【0564】
47(10.0mg,11.0μmol,1.00eq)およびHATU(4.17mg,11.0μmol,1.00eq)のDMF(0.5mL)溶液にトリエチルアミン(1.53μL,11.0μmol,1.00eq)を加え、混合物を室温で1時間撹拌した。その後、58(5.35mg,13.2μmol,1.20eq)およびトリエチルアミン(1.53μL,11.0μmol,1.00eq)を加え、混合物を室温で一晩撹拌し、直接HPLC精製にかけた。
【0565】
HPLCによる精製で59(1.7mg、13%)が得られた。
【0566】
実施例60
tert-ブチル(2-((2-(6-((ジエトキシホスホリル)メチル)-1,2,4,5-テトラジン-3-イル)ピリミジン-5-イル)アミノ)-2-オキソエチル)カルバメート(60)の合成
【化82】
【0567】
N-Boc-グリシン(255mg、1.46mmol、2.00eq)のTHF(5mL)溶液に、N-メチルモルホリン(0.401mL、3.64mmol、5.00eq)およびイソブチルクロロホルメート(0.189mL、1.46mmol、2.00eq)を0℃で加え、混合物を5分間撹拌した。次に、52(237mg、0.729mmol、1.00eq)を加え、混合物を室温で一晩撹拌した。水および酢酸エチルを加え、相を分離し、水相を酢酸エチル(2回)で抽出した。合わせた有機相を飽和NaHCO3水溶液で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、溶媒を減圧下で蒸発させた。
【0568】
逆相カラムクロマトグラフィーによる精製で60(152mg、43%)が得られた。
【0569】
実施例61
ジエチル((6-(5-(2-アミノアセトアミド)ピリミジン-2-イル)-1,2,4,5-テトラジン-3-イル)メチル)ホスホネート(61)の合成
【化83】
【0570】
60(130mg、0.269mmol、1.00eq)のDCM(2mL)溶液に、TFA(208μl、2.70mmol、10.0eq)を室温で加え、混合物を一晩撹拌した。溶媒を減圧下で除去した。
【0571】
蒸発により61(79mg、59%)が得られた。
【0572】
実施例62
((6-(5-(2-アミノアセトアミド)ピリミジン-2-イル)-1,2,4,5-テトラジン-3-イル)メチル)ホスホン酸(62)の合成
【化84】
【0573】
61(67.0mg、135μmol、1.00eq)のDMF(0.5mL)溶液に、TMS-Br(178μL、1.35mmol、10.0eq)を0℃で加え、混合物を室温で一晩撹拌した。MeOHおよび水を加え、溶媒を減圧下で蒸発させた。
【0574】
逆相カラムクロマトグラフィーによる精製により、DMFとの混合物として62(92mg)が得られた。生成物は、そのまま次の反応に使用された。
【0575】
実施例63
((6-(5-((3R,4S,7S,10S)-4-((S)-sec-ブチル)-3-(2-((S)-2-((1R,2R)-3-(((1S,2R)-1-ヒドロキシ-1-フェニルプロパン-2-イル)アミノ)-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソプロピル)ピロリジン-1-イル)-2-オキソエチル)-7,10-ジイソプロピル-5,11-ジメチル-6,9,12,19-テトラオキソ-2-オキサ-15,16-ジチア-5,8,11,20-テトラアザドコサン-22-アミド)ピリミジン-2-イル)-1,2,4,5-テトラジン-3-イル)メチル)ホスホン酸(63)の合成
【化85】
【0576】
DMF(0.5mL)中の47(10.0mg、11.0μmol、1.00eq)およびHATU(4.17mg、11.0μmol、1.00eq)の溶液にトリエチルアミン(1.53μL、11.0μmol、1.00eq)を加え、混合物を室温で1時間撹拌した。その後、62(5.37mg、13.18μmol、1.20eq)トリエチルアミン(1.53μL、11.0μmol、1.00eq)を加え、混合物を室温で一晩撹拌し、直接HPLC精製にかけた。
【0577】
HPLCによる精製で63(1.2mg、9%)が得られた。
【0578】
実施例64
(6-(6-(5-((3R,4S,7S,10S)-4-((S)-sec-ブチル)-3-(2-((S)-2-((1R,2R)-3-(((1S,2R)-1-ヒドロキシ-1-フェニルプロパン-2-イル)アミノ)-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソプロピル)ピロリジン-1-イル)-2-オキソエチル)-7,10-ジイソプロピル-5,11-ジメチル-6,9,12-トリオキソ-2-オキサ-15,16-ジチア-5,8,11-トリアザノナデカン-19-アミド)ピリジン-2-イル)-1,2,4,5-テトラジン-3-イル)ピリジン-3-イル)ホスホン酸(64)の合成
【化86】
【0579】
DMF(0.5mL)中の47(2.75mg、3.02μmol、1.00eq)およびHATU(1.15mg、3.02μmol、1.00eq)の溶液にトリエチルアミン(0.42μL、3.02μmol、1.00eq)を加え、混合物を室温で1時間撹拌した。その後、37(1.00mg、3.02μmol、1.00eq)およびトリエチルアミン(0.42μL、3.02μmol、1.00eq)を加え、混合物を室温で一晩撹拌し、直接HPLC精製にかけた。
【0580】
HPLCによる精製で64(1mg、27%)が得られた。
【0581】
実施例65
(2S,3S,4S,5R,6S)-6-(4-((5S,8S,11S,12R)-11-((S)-sec-ブチル)-12-(2-((S)-2-((1R,2R)-3-(((1S,2R)-1-ヒドロキシ-1-フェニルプロパン-2-イル)アミノ)-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソプロピル)ピロリジン-1-イル)-2-オキソエチル)-5,8-ジイソプロピルの合成ピル-4,10-ジメチル-3,6,9-トリオキソ-2,13-ジオキサ-4,7,10-トリアザテトラデシル)-2-(3-(3-(6-(4-ホスホノフェニル)-1,2,4,5-テトラジン-3-イル)プロパンアミド)プロパンアミド)フェノキシ)-3,4,5-トリヒドロキシテトラヒドロ-2H-ピラン-2-カルボン酸(65)
【化87】
【0582】
32(2.00mg、4.91μmol、1.00eq)と44(4.44mg、3.93μmol、0.800eq)のDMF(0.3mL)溶液にトリエチルアミン(0.753μL、5.40μmol、1.10eq)を加え、混合物を室温で3時間撹拌し、直接HPLC精製にかけた。
【0583】
HPLCによる精製で65(4.4mg、63%)が得られた。
【0584】
実施例66
(2S,3S,4S,5R,6S)-6-(4-((((1S,9S)-9-エチル-5-フルオロ-9-ヒドロキシ-4-メチル-10,13-ジオキソ-2,3,9,10,13,15-ヘキサヒドロ-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-1-イル)カルバモイル)オキシ)メチル)-2-(3-(4-(6-(ホスホノメチル)-1,2,4,5-テトラジン-3-イル)ベンズアミド)プロパンアミド)フェノキシ)-3,4,5-トリヒドロキシテトラヒドロ-2H-ピラン-2-カルボン酸(66)の合成
【化88】
【0585】
12(0.928mg、2.36μmol、1.00eq)と45(2.00mg、2.36μmol、1.00eq)の溶液にトリエチルアミン(0.362μL、2.60μmol、1.10eq)を加え、室温で3時間撹拌し、直接HPLC精製にかけた。
【0586】
HPLCによる精製で66(0.6mg、23%)が得られた。
【0587】
実施例67
((6-(4-(((S)-1-(((S)-1-(((S)-4-アミノ-1-((4-((5S、8S、11S、12R)-11-((S)-sec-ブチル)-12-(2-((S)-2-((1R、2R)-3-(((1S、2R)-1-ヒドロキシ-1-フェニルプロパン-2-イル)アミノ)-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソプロピル)ピロリジン-1-イル)-2-オキソエチル)-5,8の合成-ジイソプロピル-4,10-ジメチル-3,6,9-トリオキソ-2,13-ジオキサ-4,7,10-トリアザテトラデシル)フェニル)アミノ)-1,4-ジオキソブタン-2-イル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)カルバモイル)フェニル)-1,2,4,5-テトラジン-3-イル)メチル)ホスホン酸(67)
【化89】
【0588】
12(1.40mg、3.56μmol、1.00eq)と46(4.00mg、3.56μmol、1.00eq)のDMF(0.5mL)溶液にトリエチルアミン(0.545μL、3.91μmol、1.10eq)を加え、室温で3時間撹拌し、直接HPLC精製にかけた。
【0589】
HPLCによる精製で67(1.0mg、20%)が得られた。
【0590】
実施例68
3-(6-((ジエトキシホスホリル)メチル)-1,2,4,5-テトラジン-3-イル)プロパン酸(68)の合成
【化90】
【0591】
3-シアノプロピオン酸(400mg、4.04mmol、1.00eq)、シアノメチルホスホン酸ジエチル(2.61mL、16.1mmol、4.00eq)および3-メルカプトプロピオン酸(1.06mL、12.1mmol、3.00eq)のEtOH(1mL)溶液を、50℃でヒドラジン一水和物(3.13mL、64.6mmol、16.0eq)に加え、混合物をこの温度で5時間撹拌した。その後、反応混合物を0℃に冷却し、HO中のNaNO(6.86g、80.7mmol、20.0eq)を加え、1MHClaqを滴下してpH約3に酸性化した。形成された沈殿物を濾過し、水相を酢酸エチル(2回)で抽出した。合わせた有機相をNa2SO4で乾燥させ、溶媒を減圧下で蒸発させた。
【0592】
逆相カラムクロマトグラフィーによる精製で混合画分が得られた。生成物を含む画分を合わせ、溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣を水(5mL)に溶解した。形成された沈殿物を濾過し、濾液を凍結乾燥した。
【0593】
68(140mg、11%)がピンク色のオイルとして単離された。
【0594】
実施例69
2,5-ジオキソピロリジン-1-イル3-(6-((ジエトキシホスホリル)メチル)-1,2,4,5-テトラジン-3-イル)プロパノエート(69)の合成
【化91】
【0595】
68(120mg、0.394mmol、1.00eq)およびTSTU(142mg、0.473mmol、1.20eq)のDCM(0.5mL)溶液にDIPEA(82.4μL、0.473mmol、1.20eq)を加え、混合物を室温で一晩撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させた。
【0596】
逆相カラムクロマトグラフィーによる精製で69(88.0mg、56%)が得られた。
【0597】
実施例70
4-((S)-4-アミノ-2-((S)-2-((S)-2-(3-(6-((ジエトキシホスホリル)メチル)-1,2,4,5-テトラジン-3-イル)プロパンアミド)プロパンアミド)プロパンアミド)-4-オキソブタンアミド)ベンジルの合成((S)-1-(((S)-1-(((3R,4S,5S)-1-((S)-2-((1R,2R)-3-(((1S,2R)-1-ヒドロキシ-1-フェニルプロパン-2-イル)アミノ)-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソプロピル)ピロリジン-1-イル)-3-メトキシ-5-メチル-1-オキソヘプタン-4-イル)(メチル)アミノ)-3-メチル-1-オキソブタン-2-イル)アミノ)-3-メチル-1-オキソブタン-2-イル)(メチル)カルバメート(70)
【化92】
【0598】
69(1.43mg,3.56μmol,1.00eq)と46(4.00mg,3.56μmol,1.00eq)のDMF(0.3mL)溶液にトリエチルアミン(0.992μL,7.12μmol,2.00eq)を加え、混合物を室温で3時間撹拌し、直接HPLC精製にかけた。
【0599】
HPLCによる精製で70(1.8mg、36%)が得られた。
【0600】
実施例71
(2S,3S,4S,5R,6S)-6-(4-((5S,8S,11S,12R)-11-((S)-sec-ブチル)-12-(2-((S)-2-((1R,2R)-3-(((1S,2R)-1-ヒドロキシ-1-フェニルプロパン-2-イル)アミノ)-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソプロピル)ピロリジン-1-イル)-2-オキソエチル)-5,8-ジイソプロピル-4,10-ジメチル-3,6,9-トリオキソ-2,13-ジオキサ-4,7,10-トリアザテトラデシル)-2-(3-(3-(6-((ジエトキシホスホリル)メチル)-1,2,4,5-テトラジン-3-イル)プロパンアミド)プロパンアミド)フェノキシ)-3,4,5-トリヒドロキシテトラヒドロ-2H-ピラン-2-カルボン酸(71)
【化93】
【0601】
69(1.56mg、3.89μmol、1.10eq)と45(4.00mg、3.54μmol、1.00eq)のDMF(0.3mL)溶液にトリエチルアミン(0.986μL、7.08μmol、2.00eq)を加え、混合物を室温で3時間撹拌し、直接HPLC精製にかけた。
【0602】
HPLCによる精製で71(1.2mg、24%)が得られた。
【0603】
実施例72
((6-(3,5-ビス(((2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)オキシ)カルボニル)フェニル)-1,2,4,5-テトラジン-3-イル)メチル)ホスホン酸(72)の合成
【化94】
【0604】
15(135mg、229μmol、1.00eq)のDMF(2.2mL)溶液に、0℃でTMS-Br(151μL、1.14mmol、5.00eq)を加え、混合物を室温で一晩撹拌した。水とMeCNを加え、混合物を逆相カラムクロマトグラフィーで直接精製した。
【0605】
逆相カラムクロマトグラフィーによる精製により、72(11.2mg、9%)がピンク色の固体として得られた。
【0606】
実施例73
ジエチル((6-(3,5-ビス(((3R,4S,7S,10S)-4-((S)-sec-ブチル)-3-(2-((S)-2-((1R,2R)-3-(((1S,2R)-1-ヒドロキシ-1-フェニルプロパン-2-イル)アミノ)-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソプロピル)ピロリジン-1-イル)-2-オキソエチル)-7,10-ジイソプロピル-5,11-ジメチル-6,9,12-トリオキソ-2,15,18,21,24,27,30,33,36-ノナオキサ-5,8,11-トリアザオクタトリアコンタン-38-イル)カルバモイル)フェニル)-1,2,4,5-テトラジン-3-イル)メチル)ホスホネートの合成(73)
【化95】
【0607】
16(23.3mg,18.7μmol,1.00eq)とMMAE(32.3mg,45.0μmol,2.40eq)のDMF(0.2mL)溶液に、HATU(21.4mg,56.2μmol,3.00eq)とトリエチルアミン(13.0μL,93.7μmol,5.00eq)を加え、混合物を室温で2時間撹拌した。その後、水を加え、混合物を直接HPLC精製にかけた。
【0608】
HPLCによる精製により、73(22.5mg,45%)がピンク色のオイルとして得られた。
【0609】
実施例74
((6-(3,5-ビス(((3R,4S,7S,10S)-4-((S)-sec-ブチル)-3-(2-((S)-2-((1R,2R)-3-(((1S,2R)-1-ヒドロキシ-1-フェニルプロパン-2-イル)アミノ)-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソプロピル)ピロリジン-1-イル)-2-オキソエチル)-7,10-ジイソプロピル-5,11-ジメチル-6,9,12-トリオキソ-2,15,18,21,24,27,30,33,36-ノナオキサ-5,8,11-トリアザオクタトリアコンタン-38-イル)カルバモイル)フェニル)-1,2,4,5-テトラジン-3-イル)メチル)ホスホン酸(74)の合成
【化96】
【0610】
73(22.0mg,8.32μmol,1.00eq)のDMF(0.2mL)溶液に、TMS-Br(11.0μL,83.2μmol,10.0eq)を0℃で加え、混合物を室温で6時間撹拌した。その後、TMS-Br20μLを加え、混合物を一晩撹拌した。その後、TMS-Br40μLを加え、混合物を8日間撹拌した。水を加え、混合物を直接HPLCで精製した。
【0611】
HPLCによる精製により、ピンク色の粉末として74(3.5mg、16%)が得られた。
【0612】
実施例75
ジエチル((6-(3,5-ビス((2-アミノエチル)カルバモイル)フェニル)-1,2,4,5-テトラジン-3-イル)メチル)ホスホネート(75)の合成
【化97】
【0613】
1,2-ジアミノエタン(44.8μL、671μmol、6.00eq)のDMF(0.6mL)溶液に、15(66.0mg、112μmol、1.00eq)のDMF(0.6mL)溶液を加え、混合物を室温で15分間撹拌した。その後、0.5mLの1MHClaqを加え、混合物を直接HPLCで精製した。
【0614】
HPLCによる精製により、ピンク色のオイルとして75(8.0mg、15%)が得られた。
【0615】
実施例76
((6-(3,5-ビス((2-アミノエチル)カルバモイル)フェニル)-1,2,4,5-テトラジン-3-イル)メチル)ホスホン酸(76)の合成
【化98】
【0616】
75(8.00mg、16.7μmol、1.00eq)のDMF(0.2mL)溶液に、TMS-Br(44.0μL、333μmol、20.0eq)を0℃で加え、混合物を室温で2時間撹拌した。水を加え、混合物を直接HPLCで精製した。
【0617】
HPLCによる精製により、76(4.0mg、57%)がピンク色の固体として得られた。
【0618】
実施例77
3-((3-(((S)-1-(((14S,16S,32R,33S,2S,4S,10E,12E,14R)-86-クロロ-14-ヒドロキシ-85,14-ジメトキシ-33,2,7,10-テトラメチル-12,6-ジオキソ-7-アザ-1(6,4)-オキサジナナ-3(2,3)-オキシラナ-8(1,3)-ベンゼンシクロテトラデカファン-10,12-ジエン-4-イル)オキシ)-1-オキソプロパン-2-イル)(メチル)アミノ)-3-オキソプロピル)ジスルファニル)プロパン酸(77)の合成
【化99】
【0619】
3,3’-ジチオジプロピオン酸(19.4mg、92.3μmol、2.00eq)とHATU(17.5mg、46.1μmol、1.00eq)のDMF(0.5mL)溶液にDIPEA(8.04μL、46.1μmol、1.00eq)を加え、混合物を室温で1時間撹拌した。その後、メイタンシノール-Ala(30.0mg、46.1μmol、1.00eq)とDIPEA(8.04μL、46.1μmol、1.00eq)を加え、反応混合物を室温で一晩撹拌し、直接HPLC精製にかけた。
【0620】
HPLCによる精製で77(15.2mg、68%)が得られた。
【0621】
実施例78
((6-(5-(3-((3-(((S)-1-(((14S、16S、32R、33S、2S、4S、10E、12E、14R)-86-クロロ-14-ヒドロキシ-85、14-ジメトキシ-33、2、7、10-テトラメチル-12、6-ジオキソ-7-アザ-1(6、4)-オキサジナナ-3(2、3)-オキシラナ-8(1、3)-ベンゼンシクロテトラデカファン-10、12-ジエン-4-イル)オキシ)-1-オキソプロパン-2-イル)(メチル)アミノ)-3-オキソプロピル)ジスルファニル)プロパンアミド)ピリミジン-2-イル)-1、2、4、5-テトラジン-3-イル)メチル)ホスホン酸(78)の合成
【化100】
【0622】
77(8.00mg,9.50μmol,1.00eq)およびHATU(3.61mg,9.50μmol,1.00eq)のDMF(0.50mL)溶液にトリエチルアミン(1.32μL,9.50μmol,1.00eq)を加え、混合物を室温で1時間撹拌した。その後、53(3.82mg,14.25μmol,1.50eq)およびトリエチルアミン(1.32μL,9.50μmol,1.00eq)を加え、混合物を室温で3時間撹拌した。反応混合物を直接HPLC精製にかけた。
【0623】
HPLCによる精製により78(遊離77との混合物)(3.20mg(純度75%)、22%)が得られた。
【0624】
実施例79
((6-(2-(3-((3-(((S)-1-(((14S、16S、32R、33S、2S、4S、10E、12E、14R)-86-クロロ-14-ヒドロキシ-85、14-ジメトキシ-33、2、7、10-テトラメチル-12、6-ジオキソ-7-アザ-1(6、4)-オキサジナナ-3(2、3)-オキシラナ-8(1、3)-ベンゼンシクロテトラデカファン-10、12-ジエン-4-イル)オキシ)-1-オキソプロパン-2-イル)(メチル)アミノ)-3-オキソプロピル)ジスルファニル)プロパンアミド)エチル)-1、2、4、5-テトラジン-3-イル)メチル)ホスホン酸(79)の合成
【化101】
【0625】
77(7.20mg,8.55μmol,1.00eq)およびHATU(3.25mg,8.55μmol,1.00eq)のDMF(0.50mL)溶液にトリエチルアミン(1.19μL,8.55μmol,1.00eq)を加え、混合物を室温で1時間撹拌した。その後、50(3.82mg,14.25μmol,1.50eq)およびトリエチルアミン(1.19μL,8.55μmol,1.00eq)を加え、混合物を室温で3時間撹拌した。反応混合物を直接HPLC精製にかけた。
【0626】
HPLCによる精製で79(0.90mg、10%)が得られた。
【0627】
C)ADCの調製と細胞毒性アッセイ
調製例1 トラスツズマブA132TCOAの調製
トラスツズマブA132TCOAは、バキュロウイルスベースの形質導入システムを利用して昆虫細胞(Spodopterafrugiperda細胞、Sf21)で発現された。したがって、A132位にアンバー終止コドンとC末端6-Hisタグを含むトラスツズマブの重鎖遺伝子を、pACEBac-DUALプラスミド(たとえばWO2017/093254に記載されている)の第1マルチクローニングサイトにクローニングした。トラスツズマブの軽鎖遺伝子は、プラスミドの第2マルチクローニングサイトに、それ以上の改変なしでクローニングした。
【0628】
得られたプラスミド、pACEBacDUAL-トラスツズマブヘビーA132TAG-6His-ライトは、NES-PylRSAFの発現カセット(例えばWO2018/069481に記載されている)とU6(Sf21)-tRNAPyl(例えばWO2017/093254に記載されている)をBacmidのバックボーンに持つBacmidを含むDH10MultiBac-TAG細胞に形質転換された。形質転換の結果、プラスミドがBacmid-DNAに組み込まれる。Bacmid-DNAを調製した後、昆虫細胞(Sf21細胞)にBacmid-DNAをトランスフェクトした。3日後、V0ウイルスを収穫し、新鮮なSf21細胞のバッチに形質導入して、V1ウイルスを生成した。このウイルスを使用して、大規模な発現培養(リットルスケール)に形質導入した。TCOA-Lysを添加した後、発現を4日間行った。細胞はBeckmanローター(JLA8.1000)を使用して500rcfで4℃で1時間採取した。
【0629】
細胞を溶解緩衝液(4xPBS、0.2mMTCEP、1mMPMSF、5mMイミダゾール、pH8)に再懸濁し、氷上で30秒間超音波処理を3回行った。固定角ローター(JA25.50、Beckman)で27143.1RCFで4℃で1時間遠心分離した後、澄んだ溶解液をロッカー上でニッケルビーズ上で4℃で1時間インキュベートした。ニッケルビーズをポリプロピレン(PP)カラム(Qiagen、カタログ番号:34964)に集め、10nMイミダゾールを含む溶解緩衝液で洗浄した。溶解緩衝液中の500mMイミダゾールを使用して、ニッケルビーズからトラスツズマブを溶出させた。溶出画分は、緩衝液(0.02MNa2PO4、0.15MNaCl、pH7.2)で平衡化したMabSelectPrismAカラムにロードされた。緩衝液Aで洗浄工程の後、トラスツズマブは、100%緩衝液B(0.1Mクエン酸ナトリウム、pH3.2)までの勾配を使用してカラムから溶出された。溶出試料を中和するために1MTrispH10を含む画分が収集された。SDS-PAGEで画分を分析した後、トラスツズマブを含む画分をプールし、アミコンフィルターデバイス(30kDaカットオフ)を使用して濃縮した。試料は、1xPBS緩衝液で平衡化したSuperdexS200(10/30)カラムを使用してさらに精製された。画分が収集され、SDS-PAGEで分析された。対応する画分を濃縮した後、試料は細胞毒性ペイロードによる標識に使用された。
【0630】
調製例2 トラスツズマブ-TCOA-5の調製
10nmolのトラスツズマブA132TCOAを1xPBSで40nmolのホスホネート-テトラジン-MMAE(5)とともに37℃で600rpmで1時間振とうしながらインキュベートした。反応ミックスをフィルター装置(Amiconフィルター装置、30kDaカットオフ)で1xPBSで洗浄し、未反応の薬剤を除去した。ADCは、1xPBSで平衡化したSuperdexIncreaseS200カラムを使用したサイズ排除クロマトグラフィーによってさらに精製された(図2A)。収集した画分はSDS-PAGEで分析し、クマシーブルーで染色した(図2B)。ADCを含む画分をプールし、Amiconフィルター装置で濃縮した。
【0631】
調製例3 トラスツズマブ-TCOA-11の調製
10nmolトラスツズマブA132TCOAを1xPBSで40nmolホスホネート-テトラジン-Val-Ala-PAB-MMAE(11)とともに37C°で600rpmで1時間振とうしながらインキュベートした。反応ミックスをフィルター装置(Amiconフィルター装置、30kDaカットオフ)で1xPBSで洗浄し、未反応の薬剤を除去した。ADCは、1xPBSで平衡化したSuperdexIncreaseS200カラムを使用したサイズ排除クロマトグラフィーによってさらに精製された(図3A)。収集した画分はSDS-PAGEで分析し、クマシーブルーで染色した(図3B)。ADCを含む画分をプールし、Amiconフィルター装置で濃縮した。
【0632】
D)細胞毒性アッセイ
アッセイ例1 細胞毒性アッセイ
乳がん細胞株SK-BR-3の細胞を、ADC適用の2日前に黒色の96ウェルプレートに5000細胞/ウェルで播種した。さまざまなADCまたはAb(ネガティブコントロールとして)の濃度は5μMに調整した。0~100nMの範囲で連続希釈液を調製した。96ウェルプレートから培地を吸引し、ADCまたはAbの希釈液で置き換えた。ADCとして、トラスツズマブA132TCOA-5およびトラスツズマブA132TCOA-11に加え、改変のないトラスツズマブWTもテストした。5日間培養した後、プレートをインキュベーターから取り出し、室温で30分間温め、各ウェルに100μlのCellTiter-Glo(登録商標)2.0Cell(Promega)を加えた。プレートをロッカーで50rpmで2分間振とうし、室温で10分間培養した。次に、プレートリーダーを使用して発光信号を読み取った。発光信号は、時点0nM(ネガティブコントロール)での測定値に正規化された。図4のプロットは、異なる濃度(M)での2つのADCとトラスツズマブWTの正規化された発光信号を示している。
【0633】
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図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
【国際調査報告】