(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】伸縮式の押圧要素を備える、加工対象の構造体に対して少なくとも1つのタスクを実行する装置
(51)【国際特許分類】
B25J 15/00 20060101AFI20241219BHJP
【FI】
B25J15/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024534596
(86)(22)【出願日】2022-12-06
(85)【翻訳文提出日】2024-08-09
(86)【国際出願番号】 EP2022084660
(87)【国際公開番号】W WO2023104829
(87)【国際公開日】2023-06-15
(32)【優先日】2021-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522479290
【氏名又は名称】セティ-テック
【氏名又は名称原語表記】SETI-TEC
(71)【出願人】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【氏名又は名称】田中 祐
(72)【発明者】
【氏名】ペレイラ・サント,セバスティアン
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS05
3C707AS06
3C707AS12
3C707DS05
3C707FS01
3C707FT02
3C707FT13
3C707HS27
3C707KS31
3C707KS34
3C707KS36
3C707KT01
3C707KT05
3C707KV11
3C707LT12
(57)【要約】
本発明は、加工対象の構造体に対して少なくとも1つのタスクを実行する装置であって、フレーム2と、加工対象の構造体に対して空間内の少なくとも一部で上記装置を移動させることが可能なモータ駆動式のハンドリング手段にフレーム2を取り付ける手段3と、上記装置を上記構造体に対して位置決め又は固定あるいはそれらの両方を行う手段5と、上記少なくとも1つのタスクを実行するために同じ軸に沿って回転及び/又は並進できるスピンドル7と、スピンドル7と同軸であり、上記装置が締結手段3によって上記構造体に固定されたときに、上記構造体の表面に対して圧迫力を加えることが可能な押さえ要素6とを備えてなり、押さえ要素6は、玉継ぎ手630によって接続された第1の要素61及び第2の要素62を備え、第2の要素62は、上記表面に接触することが可能な自由端620を備え、第1の要素61は、上記表面に対して押し付けられたときに第2の要素62が上記表面に対して直角に向けられるように、スピンドル7の軸に沿って並進移動できるものである、装置に関する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工対象の構造体に対して少なくとも1つのタスクを実行する装置であって、
フレームと、
前記フレームを、加工対象の前記構造体に対して空間内の少なくとも一部で前記装置を移動させることが可能なモータ駆動式のハンドリング手段に締結する手段と、
前記フレームを加工対象の前記構造体に位置決め又は固定あるいはそれらの両方を行う手段と、
前記少なくとも1つのタスクを実行するために、同じ軸に沿って回転駆動又は並進駆動され得るスピンドルと、
前記スピンドルと同じ軸であり、前記装置が前記締結手段によって前記構造体に固定されたときに、加工対象の前記構造体の表面に対して圧迫力を加えることが可能な押さえ要素と
を備えてなり、
前記押さえ要素は、玉継ぎ手によって接続された第1の要素及び第2の要素を備え、前記第2の要素は、前記表面に接触することが可能な自由端を備え、前記第1の要素は、前記表面に対して押し付けられたときに前記第2の要素が前記表面に対して直交して向けられるように、前記スピンドルの前記軸に沿って並進移動可能である、装置。
【請求項2】
前記第1の要素を並進駆動する手段を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記並進駆動する手段は、ねじナットシステムを含む、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記ねじナットシステムは、前記第1の要素の周囲に設けられたねじ部分と、相補的な形状の回転可能に移動可能なねじ切りリングとを備え、前記並進駆動する手段は、前記回転可能に固定された第1の要素に対して前記リングを回転駆動する手段を備え、前記リングは、前記軸に沿って前記フレームに対して並進的に固定される、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記回転駆動する手段は、ピニオンのカスケードによって前記リングに接続されたモータを含む、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記表面に対して前記第2の要素によって生成される前記スピンドルの前記軸に沿った推力を表す少なくとも1つの情報を測定する手段を備える、請求項1~5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記推力が、
前記第2の要素の前記自由端が前記表面に接触した瞬間の推力値に対応する接触値と、
加工対象の前記構造体の押圧値と
に到達したことを検出する手段を備える、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記スピンドルの前記軸に対する前記第2の要素の傾斜を表す少なくとも1つの情報を測定する手段を備える、請求項1~7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記傾斜を表す少なくとも1つの情報を測定する前記手段は、前記フレームによって担持され、前記第2の要素の周りに均等に分配された距離センサを含み、前記センサは、前記フレームに対する前記第2の要素の径方向の移動を測定することが可能である、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記第1の要素及び前記第2の要素は管状である、請求項1~9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
基準フレームが前記フレームに関連付けられ、前記装置は、前記スピンドルの前記軸に沿った前記フレームの前記基準フレームに対する前記第1の要素の並進移動を測定する手段を備える、請求項1~10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記フレームの前記基準フレームに対する前記第1の要素の前記並進移動を測定する前記手段は、前記モータのロータの回転角を測定するセンサを含む、請求項7~10のいずれか一項と組み合わせた、又は組み合わせていない、請求項6及び11に記載の装置。
【請求項13】
前記スピンドルの前記軸に平行な方向に沿う、加工対象の前記構造体の前記装置に向けられた表面と、前記フレームに関連付けられた前記基準フレーム内の前記フレームの基準面との間の距離を決定する手段を備え、前記決定する手段は、前記第2の要素の前記自由端が前記表面に接触した瞬間の推力値に対応する接触値に前記推力が達したことを検出する手段が検出した瞬間に前記角度センサによって提供される前記角度の値を考慮することによって、前記装置が前記固定する手段によって加工対象の前記構造体に固定されたときの前記距離を決定する、請求項7~11のいずれか一項と組み合わせた、又は組み合わせていない、請求項6及び12に記載の装置。
【請求項14】
押圧力の下において加工対象の前記構造体の変形を測定する手段を備え、該変形は、前記推力の値が接触値から押圧値に移行することを検出する手段が検出したいくつかの瞬間の間の前記第1の要素の前記並進移動に対応する、請求項7~13のいずれか一項と組み合わせた、又は組み合わせていない、請求項6に記載の装置。
【請求項15】
前記装置は、マルチタスクタイプであり、
少なくとも2つの機能モジュールであって、前記機能モジュールのそれぞれは、所与のタスクの実行を可能にすることができる少なくとも1つの可動部材を備える、少なくとも2つの機能モジュールと、
同じ軸に沿って回転可能又は並進移動可能あるいはそれらの両方であり、前記可動部材と個別に協働して、前記可動部材に回転運動又は並進運動あるいはそれらの両方を与え、前記可動部材が前記所与のタスクを実行することを可能にすることができる単一の駆動スピンドルと
を備える、請求項1~14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記機能モジュールは、少なくとも、
穿孔モジュールと、
シーラントでコーティングされたリベットを設置するモジュールと、
仮締結具を設置するモジュールと
を含む群に属する、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
玉継ぎ手によって接続された第1の要素及び第2の要素を備える押さえ要素を備える、請求項1~16のいずれか一項に記載の装置によって、加工対象の前記構造体に対して少なくとも1つのタスクを実行する方法であって、前記表面に対して押し付けられたときに前記第2の要素が前記表面に対して直交して向けられるように、前記第1の要素を前記スピンドルの前記軸に沿って並進移動させるステップを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1.発明の分野
本発明の分野は、特に航空産業のための、加工対象の構造体に対して様々なタスクを実行するために産業において実装される装置の設計及び製造の分野である。
【背景技術】
【0002】
2.先行技術
加工対象の構造体に対して、様々なタスク又は作業を実行するために、多くの装置が一般に実装される。例えば、それは、穿孔、フライス加工、仮締結具の設置、シーラントによるリベットのコーティング、そして構造体に穿孔された穴へのリベットの設置、又は任意の他の作業である。
【0003】
例えば、航空機等の複雑な構造体に対してタスクを実行することを可能にするために、可動装置が開発されてきた。
【0004】
これらの装置は、特に、加工対象の構造体に対して操縦及び移動されるロボットアームの端部に配置されたツールを備えるタイプの装置を含み、この装置は、タスクを実行することによる力をツールに吸収させ、ロボットアームにかかる負荷を軽減するために、加工対象の構造体にツールを固定することを可能にする、例えば吸引カップ等の固定手段を備える。
【0005】
例えば、このタイプの装置は、穿孔装置を搭載して、穿孔作業を実行することができる。
【0006】
マルチタスクな装置として知られるいくつかの装置は、それぞれが特定のタスクを実行することに特化したいくつかの機能モジュールを搭載しうる。
【0007】
そのような装置は、モータ及び制御手段を介して同じ軸に沿って回転駆動及び/又は並進駆動され得る単一の出力スピンドルを備えうる。
【0008】
この単一のスピンドルは、特化したタスクを実行することを可能にするように、様々な搭載モジュールと交互に協働させることができる。
【0009】
本出願人によって出願された特許出願である特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5には、いくつかのマルチタスク装置が記載されている。
【0010】
航空学の分野においては、シートのスタックを含む加工対象の構造体に穴を開け、その後、その穴にリベットを挿入することによって接合しなければならないことが一般的である。この場合、穿孔装置は、押さえ要素を備えていることが多い。概して切削ツールを担持する出力スピンドルの軸に沿って延在するそのような押さえ要素は、穴を開ける前の加工対象の構造体に対して押圧されるように、この軸に沿って並進移動可能である。押さえ要素を実装することにより、穿孔中にはシートを一緒に押圧したままとし、穿孔中に切片(chip)がシート間にはさまることを防止する。
【0011】
押さえ要素は、玉継ぎ手(ball-joint)によって装置に固定することができ、玉継ぎ手の軸はスピンドルの軸と同じである。
【0012】
そのような玉継ぎ手アセンブリは、スピンドルの軸に対する押さえ要素の軸の傾斜を測定することによって、スピンドルの軸が加工対象の構造体の表面に対して実際に直交していることを確実にすることができるという利点を有することができ、これは、押さえ要素が加工対象の構造体の表面に当接し、スピンドルの軸に対する押さえ要素の軸の傾斜がゼロである場合である。
【0013】
また、全体のサイズ及びコストの理由から、マルチタスク装置を移動させるために小型のロボットアームを実装することが一般的に望ましい。これを行うために、吸引カップ等の固定手段を使用して、装置を加工対象の構造体に固定し、その結果、タスクを実行することによる力を、ロボットアームではなく加工対象の構造体に吸収させるようにする。
【0014】
このロボットアームは、押さえ要素を使用するときに、加工対象の構造体に対して押さえ要素を当接させることを可能にする。押さえ要素が実装される場合にロボットアームのサイズを低減するために、押さえ要素をスピンドルの軸に沿って並進移動可能に取り付け、特定の駆動手段を実装することが有用であり得る。そのような取付けは、加工対象の構造体に対して押さえ要素によって加えられる押圧力の測定を可能にすることもできる。
【0015】
加工対象の構造体に対するスピンドルの正常性を確認し、加工対象の構造体に対する押さえ要素の押圧力を測定することに加えて、例えば、
-押さえ要素が表面に接触した瞬間のエンドエフェクタと表面との間の初期距離
-押さえ要素の力が表面に加えられた瞬間の表面の移動の深さ
等の他のパラメータを知ることが有用であり得る。
【0016】
しかしながら、今日まで、これらの機能の全てを簡単、効率的かつコンパクトな方法で実行することができる押さえ要素を備えたマルチタスクな装置は存在していない。
【0017】
したがって、この点に関してマルチタスク装置を改善する必要がある。
【0018】
このようにして、押さえ要素の使用を改善することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】国際出願第PCT/EP2020/069158号
【特許文献2】国際出願第PCT/EP2020/069159号
【特許文献3】国際出願第PCT/EP2020/069160号
【特許文献4】国際出願第PCT/EP2020/069161号
【特許文献5】国際出願第PCT/EP2020/069162号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
3.本発明の目的
本発明の1つの目的は、とりわけ、これらの様々な問題のうちの少なくともいくつかに対する効果的な解決策を提供することである。
【0021】
特に、少なくとも1つの実施形態によれば、本発明の1つの目的は、押さえ要素が設けられたマルチタスク装置を改善する技法を提供することである。
【0022】
とりわけ、少なくとも1つの実施形態によれば、本発明の1つの目的は、提供され得る機能性に関して汎用性のある押さえ要素が設けられたマルチタスク装置を提供することである。
【0023】
本発明の別の目的は、少なくとも1つの実施形態によれば、加工対象の構造体の表面に対するスピンドルの直交性を確認できるようにすることである。
【0024】
本発明の別の目的は、少なくとも1つの実施形態によれば、押さえ要素が押し付けられる表面に対して押さえ要素によって及ぼされる圧力を制御できるようにするような技法を提供することである。
【0025】
本発明の別の目的は、少なくとも1つの実施形態によれば、押さえ要素が構造体の表面に接触した瞬間に、マルチタスク装置とこの表面との間の初期距離を評価できるようにすることである。
【0026】
本発明の別の目的は、少なくとも1つの実施形態によれば、押さえ要素の力が表面に加えられたときに、表面の移動の深さを評価できるようにすることである。
【0027】
本発明の別の目的は、少なくとも1つの実施形態によれば、信頼性が高く、堅牢で、コンパクトな技法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0028】
4.発明の開示
このために、本発明は、加工対象の構造体に対して少なくとも1つのタスクを実行する装置であって、
フレームと、
上記フレームを、加工対象の構造体に対して空間内の少なくとも一部で上記装置を移動させることが可能なモータ駆動式のハンドリング手段に締結する手段と、
上記装置を、加工対象の上記構造体に位置決め又は固定あるいはそれらの両方を行う手段と、
上記少なくとも1つのタスクを実行するために、同じ軸に沿って回転駆動及び/又は並進駆動され得るスピンドルと、
上記スピンドルと同軸であり、上記装置が上記締結手段によって上記構造体に固定されたときに、加工対象の上記構造体の表面に対して圧迫力を加えることが可能な押さえ要素と
を備えてなり、
上記押さえ要素は、玉継ぎ手によって接続された第1の要素及び第2の要素を備え、上記第2の要素は、上記表面に接触することが可能な自由端を備え、上記第1の要素は、上記表面に対して押し付けられたときに第2の要素が上記表面に対して直交して向けられるように、上記スピンドルの軸に沿って並進移動可能である、装置を提供する。
【0029】
したがって、本発明のかかる態様によれば、本発明は、端部に玉継ぎ手を有する伸縮式の押さえ要素を実装することに基づいている。
【0030】
伸縮式の押さえ要素と玉継ぎ手とを組み合わせて実装することにより、とりわけ、
-加工対象の構造体の表面に対するスピンドルの軸の正常性を確認すること
-押さえ要素によって加工対象の構造体に対して加えられる力を評価すること
-押さえ要素が表面に接触した瞬間のエンドエフェクタと表面との間の初期距離を評価すること
-押さえ要素の力が表面に加えられたときの表面の移動の深さを評価すること
等の多数の機能を実行する汎用性のある装置を提供することが更に可能となる。
【0031】
したがって、本発明を実装することにより、コンパクトで汎用性のある押さえ要素が設けられたマルチタスク装置が提供される。
【0032】
1つの可能な特徴によれば、本発明による装置は、上記第1の要素を並進駆動する手段を備える。
【0033】
少なくとも1つのタスクを実行する方法を実行するために本発明による装置が実装されるとき、これらの手段は、上記第1の要素を並進駆動するステップが実施されることを可能にすることができる。
【0034】
1つの可能な特徴によれば、上記並進駆動する手段は、ねじナットシステムを含む。
【0035】
1つの可能な特徴によれば、上記ねじナットシステムは、上記第1の要素の周囲に設けられたねじ部分と、相補的な形状の回転可能に移動可能なねじ切りリングとを備え、上記並進駆動する手段は、回転可能に固定された上記第1の要素に対して上記リングを回転駆動する手段を備え、上記リングは、上記軸に沿ってフレームに対して並進的に固定される。
【0036】
したがって、本発明による方法は、回転可能に固定された上記第1の要素に対して上記リングを回転駆動するステップを含むことができ、上記リングは、上記軸に沿ってフレームに対して並進的に固定される。
【0037】
1つの可能な特徴によれば、上記回転駆動する手段は、ピニオンのカスケードによって上記リングに接続されたモータを含む。
【0038】
1つの可能な特徴によれば、本発明による装置は、上記表面に対して上記第2の要素によって生成される上記スピンドルの軸に沿った推力を表す少なくとも1つの情報を測定する手段を備える。
【0039】
したがって、本発明による方法は、上記表面に対して上記第2の要素によって生成される上記スピンドルの軸に沿った推力を表す少なくとも1つの情報を測定するステップを含むことができる。
【0040】
1つの可能な特徴によれば、本発明による装置は、上記推力が、
第2の要素の自由端が上記表面に接触した瞬間の推力値に対応する接触値と、
加工対象の上記構造体の押圧値と
に到達したことを検出する手段を備える。
【0041】
したがって、本発明による方法は、上記推力が、
第2の要素の自由端が上記表面に接触した瞬間の推力値に対応する接触値と、
加工対象の上記構造体の押圧値と
に到達したことを検出するステップを含むことができる。
【0042】
1つの可能な特徴によれば、本発明による装置は、上記スピンドルの軸に対する上記第2の要素の傾斜を表す少なくとも1つの情報を測定する手段を備える。
【0043】
したがって、本発明による方法は、上記スピンドルの軸に対する上記第2の要素の傾斜を表す少なくとも1つの情報を測定するステップを含むことができる。
【0044】
1つの可能な特性によれば、傾斜を表す少なくとも1つの情報を測定する上記手段は、上記フレームによって担持され、上記第2の要素の周りに均等に分配された、例えば誘導式又はレーザ式等の距離センサを含み、上記センサは、フレームに対する上記第2の要素の径方向の移動を測定することが可能である。
【0045】
したがって、本発明による方法は、フレームに対する上記第2の要素のセンサの平面内における径方向の移動を測定するステップを含むことができる。
【0046】
1つの可能な特性によれば、上記第1の要素及び上記第2の要素は管状である。
【0047】
1つの可能な特性によれば、基準フレームが上記フレームに関連付けられ、上記装置は、上記スピンドルの軸に沿った上記フレームの基準フレームに対する上記第1の要素の並進移動を測定する手段を備える。
【0048】
したがって、本発明による方法は、上記スピンドルの軸に沿った上記フレームの基準フレームに対する上記第1の要素の並進移動を測定するステップを含むことができる。
【0049】
1つの可能な特徴によれば、上記フレームの上記基準フレームに対する上記第1の要素の並進移動を測定する上記手段は、上記モータのロータ(rotor:回転子)の回転角を測定するセンサを含む。
【0050】
したがって、本発明による方法は、上記モータのロータの回転角を測定するステップを含むことができる。
【0051】
1つの可能な特徴によれば、本発明による装置は、上記スピンドルの軸に平行な方向に沿う、加工対象の上記構造体の上記装置に向けられた表面と、上記フレームに関連付けられた上記基準フレーム内の上記フレームの基準面との間の距離を決定する手段を備え、上記決定する手段は、第2の要素の自由端が上記表面に接触した瞬間の推力値に対応する上記接触値に上記推力が達したことを上記検出する手段が検出した瞬間に上記角度センサによって提供される角度の値を考慮することによって、上記装置が上記固定する手段によって加工対象の上記構造体に固定されたときの上記距離を決定する。
【0052】
したがって、本発明による方法は、上記スピンドルの軸に平行な方向に沿う、加工対象の上記構造体の上記装置に向けられた表面と、上記フレームに関連付けられた上記基準フレーム内の上記フレームの基準面との間の距離を決定するステップを含むことができ、上記決定するステップは、第2の要素の自由端が上記表面に接触した瞬間の推力値に対応する上記接触値に上記推力が達した瞬間の角度の値を考慮することによって、上記装置が上記固定する手段によって加工対象の上記構造体に固定されるときの上記距離を決定することにある。
【0053】
1つの可能な代替形態によれば、本発明による装置は、上記押圧力の下において加工対象の上記構造体の変形を測定する手段を備え、上記変形は、上記推力の値が上記接触値から上記押圧値に移行することを上記検出する手段が検出したいくつかの瞬間の間の第1の要素の並進移動に対応する。
【0054】
したがって、本発明による方法は、上記押圧力の下において加工対象の上記構造体の変形を測定するステップを含むことができ、上記変形は、上記推力の値が上記接触値から上記押圧値に変化したいくつかの瞬間の間の第1の要素の並進移動に対応する。
【0055】
1つの可能な代替形態によれば、本発明による装置は、
少なくとも2つの機能モジュールであって、上記機能モジュールのそれぞれは、所与のタスクの実行を可能にすることができる少なくとも1つの可動部材を備える、少なくとも2つの機能モジュールと、
同じ軸に沿って回転可能又は並進移動可能あるいはそれらの両方であり、上記可動部材と個別に協働して、可動部材に回転運動又は並進運動あるいはそれらの両方を与え、可動部材が所与のタスクを実行することを可能にすることができる単一の駆動スピンドルと
を備えてなる。
【0056】
1つの可能な特徴によれば、上記機能モジュールは、少なくとも、
穿孔モジュールと、
シーラントでコーティングされたリベットを設置するモジュールと、
仮締結具を設置するモジュールと
を含む群に属する。
【0057】
本発明はまた、玉継ぎ手によって接続された第1の要素及び第2の要素を備える押さえ要素を備える上記の装置によって、加工対象の構造体に対して少なくとも1つのタスクを実行する方法であって、上記表面に対して押し付けられたときに第2の要素が上記表面に対して直交して向けられるように、上記第1の要素を上記スピンドルの軸に沿って並進移動させるステップを含む、方法も含む。
【0058】
5.図面の説明
本発明の更なる特徴及び利点は、単なる例証的かつ非限定的な例として与えられる特定の実施形態についての以下の説明、及び添付の図面を読むことにより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【
図1】本発明によるマルチタスクな装置の一例の斜視図である。
【
図2】
図1の装置のスピンドルの軸を通る平面に沿った部分断面図である。
【
図3】押さえ要素を中心とした
図1の詳細図である。
【
図4】スピンドルの軸に直交する平面における
図3の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0060】
6.特定の実施形態の説明
6.1.構造
(ハンドリング手段に締結する手段)
本発明によるマルチタスク装置の一例を、
図1~
図4に関連して説明する。
【0061】
これらの図に示されているように、そのようなマルチタスク装置1は、フレーム2を備える。
【0062】
このフレーム2は、加工対象の構造体(図示せず)に対して少なくとも部分的に移動することができるように固定されることが意図されているモータ駆動式のハンドリング装置(図示せず)に締結する手段3を備えている。
【0063】
これらのモータ駆動式のハンドリング手段は、とりわけ、
-ロボットアームと、
-例えば特許文献である仏国特許第2809034号に記載されている原理による歩行ロボットと、
-例えば特許文献である国際公開第200349899号公報に記載されている原理によるデジタルグリッドと
を含む群に属する。
【0064】
そのような締結手段3は、それら自体が既知であるので、説明はしない。例えば、それらは、プレート及びボルトタイプのシステム、カラータイプの迅速な固定手段、クランプ又はカムシステム等を含みうる。
【0065】
モータ駆動式のハンドリング手段は、装置が表面に近いが表面から離れている少なくとも1つの接近位置と、例えば固定手段が実装されている場合に表面に固定されることを目的として、装置が表面に対して実装されるドッキング位置との間で、加工対象の構造体の表面に対して少なくとも部分的に(とりわけ、コントローラが固定されているときに)マルチタスク装置を空間内で移動させることが可能である。それらはまた、作業を実行するために使用されていないときに、マルチタスク装置を格納位置に配置することができる。
【0066】
(単一の出力スピンドル)
装置は、単一の軸に沿って回転可能及び/又は並進移動可能な単一の駆動スピンドル7を備える。
【0067】
装置は、スピンドルにその長手方向軸に沿った回転運動及び/又は並進運動を与えることを可能にする、モータ及びトランスミッション手段MTも備える。これらのモータ及びトランスミッション手段は、それ自体既知であり、ここではより詳細には説明しない。
【0068】
(コントローラ)
装置は、慣例的に、装置を制御するとともに装置に給電する制御及び給電エレクトロニクスを備える、コントローラ4を備える。
【0069】
このコントローラ4は、好ましくは、フレーム2から離れたキャビネットに収容され、現場の固定位置に格納される。
【0070】
そうであっても、コントローラ4又はその構成要素のうちの少なくともいくつかは、フレーム2上に担持され得る。
【0071】
(加工対象の構造体に固定する手段(任意選択))
装置は、任意選択であるが好ましくは、加工対象の構造体に固定する手段5を備えることができる。
【0072】
これらの固定手段は異なるタイプのものとすることができる。
【0073】
例えば、固定手段は、フレーム2に固定され、例えば真空ポンプ等の真空手段に接続することが可能な吸引カップ51を備えており、加工対象の構造体の表面への固定を改善することができる。これらの吸引カップをグループで組み立てて、吸引パッドを形成することができる。
【0074】
加工対象の構造体に固定する手段が実装されていない場合、ハンドリング装置は、加工対象の構造体に対してフレームを位置決めする手段だけでなく、加工対象の構造体に対してフレームを所定の位置に固定する手段も構成することができる。
【0075】
(機能モジュール)
装置は、複数の機能モジュールMFを搭載し得る。
【0076】
これらの機能モジュールMFのそれぞれは、例えば、穿孔及び/又はフライス加工作業、リベットを設置する作業、仮締結具(例えば、ステープル)を設置する作業、又は締結要素(リベット又はねじ)にシーラントのビードを塗布する(又はコーティングする)作業等の特定のタスクを実行することを可能にする。ねじ止め等の他の機能も企図される。
【0077】
機能モジュールは、例えば、少なくとも、
-穿孔及び/又はフライス加工モジュールと、
-シーラントでコーティングされているか否かにかかわらず、リベットを設置するモジュールと、
-仮締結具を設置するモジュールと
を含む群に属する。
【0078】
航空産業において使用される仮締結具は、少なくとも2つの壁を、これらの壁の最終的な組立てに必要な製造作業、例えば、座ぐり、又はねじ若しくはリベットの設置等を実行する目的で一緒にクランプすることを可能にする機械的な部材である。
【0079】
その名の通り、これらの仮締結具は、ねじ又はリベットが壁を組み立てるというそれらの機能を実行すると取り外される。
【0080】
仮締結具は、壁の最初の相対的な位置決めの後に壁の穴に配置される。
【0081】
仮締結具は、壁のうちの1つの一方の側へのアクセスのみを必要とする。
【0082】
そのような機能モジュールは、とりわけ、本出願人によって出願された特許文献である特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5に記載されている。
【0083】
装置は、タスクを実行するために様々な搭載モジュールをスピンドル7と位置合わせする手段12を備える。そのような手段は、例えば、カルーセル、カートリッジベルト等を含みうる。
【0084】
(押さえ要素)
装置は、スピンドル7の移動軸に沿ってフレーム2に対して並進移動可能に取り付けられ、スピンドル7の延長上にある管状の押さえ要素6を備える。したがって、押さえ要素はスピンドルと同軸である。押さえ要素6が管状である限り、スピンドルは、押さえ要素の内側で並進することができる。
【0085】
そのような押さえ要素6は、例えば、穿孔作業中に使用されて、穿孔対象の構造体に圧迫力を及ぼし、とりわけ、スタックのプレート間の接触を確実にし、穿孔中にこれらのプレート間に切片が入り込むこと及び/又はバリが形成されることを回避することができる。
【0086】
押さえ要素6は、スピンドルの軸に沿って玉継ぎ手(ball-and-socket joint)630によって接続された第1の要素61及び第2の要素62を備える。
【0087】
第2の要素62は、加工対象の構造体の表面に接触することが可能な自由端620を備える。
【0088】
第1の要素61は、第2の要素62が表面に対して押し付けられたときに表面に対して直交して向けられるように、スピンドルの軸に沿って並進移動可能である。
【0089】
押さえ要素は、中間要素63を備える。中間要素63は、それがしっかりと固定されるフレーム2に向けられた端部631を備える。中間要素63は、第2の管状要素62の自由端620に向けられた対向端632を備える。第1の要素61は、スピンドルの軸に沿って中間要素の内側に並進摺動可能に取り付けられ、一方、この軸に沿って回転可能に静止している。したがって、中間要素63は、第1の要素61を並進的に誘導する手段である。
【0090】
押さえ要素はリング64を備える。このリングはねじ切りされる。リングは、一対の玉軸受65によって中間要素に接続されることによって、回転可能に移動可能であるが、スピンドルの軸に沿って並進的に静止するように取り付けられる。
【0091】
第1の管状要素61は、リングのねじ切りされた部分と協働する、その周囲に設けられたねじ部分を備える。これらのねじ切りされた部分及びねじ部分は、ねじナットシステム(screw-nut system)を構成する。
【0092】
装置は、リングを回転駆動する手段を備える。これらの回転駆動する手段は、モータ8を含み、そのロータは、スパーピニオン82のカスケードによってリング64に接続されたシャフト81を備え、リングは、その周囲にピニオンを担持する。リングを回転駆動するために、他のモータ及びトランスミッションのタイプ、例えばベルトトランスミッションを実装することができる。
【0093】
ねじナットシステム、ピニオンのカスケード、及びモータは、第1の管状要素61を並進駆動する手段を構成する。
【0094】
モータ8は、ステータ(stator:固定子)に対するロータの回転角を測定することが可能な角度センサ83を備える。
【0095】
(押さえ要素によって加えられる推力の測定)
1つの実施形態において、装置は、押さえ要素6の第2の要素62によって加工対象の構造体の表面上に生成される、スピンドルの軸に沿った推力を表す少なくとも1つの情報を測定する手段を備える。
【0096】
この実施形態においては、これらの測定手段は、第1の要素61上に配設された歪みゲージを含む推力センサ9を含む。代替的に、他のタイプの推力センサを実装してもよい。
【0097】
装置は、
-第2の要素の自由端が加工対象の構造体の表面に接触した瞬間の推力値に対応する接触値と、
-加工対象の構造体の押圧値と
に達する推力を検出する手段10を更に備える。
【0098】
接触推力値は、ゼロから非ゼロ値に変化するときに記録される推力値である。
【0099】
押圧推力値は、推力を加えるのに望ましい所定の値である。
【0100】
このデータの可能な使用については、後でより詳細に説明する。
【0101】
(押さえ要素によって付与される推力の影響下での加工対象の構造体の変形の決定)
1つの実施形態において、装置は、上記押圧力の下での加工対象の構造体の変形を測定する手段11を備える。
【0102】
これらの測定手段によって測定される変形は、推力の値が接触値から押圧値に移行することを検出する手段が検出したいくつかの瞬間の間の第1の要素61の並進移動に対応する。
【0103】
(押さえ要素の傾斜の測定)
1つの実施形態において、装置は、スピンドルの軸に対する第2の要素62の傾斜を表す少なくとも1つの情報を測定する手段12を備える。
【0104】
この実施形態において、傾斜を表す少なくとも1つの情報を測定する手段は、誘導センサ120を含む。代替的に、それらはレーザセンサ等であってもよい。
【0105】
これらの誘導センサは、フレームによって担持され、第2の要素62の周りに均等に分配され、第1の要素61に対する第2の要素62の径方向の移動を測定することができる。これらのセンサの数は3つであることが好ましい。この径方向の移動は、第1の押さえ要素61の旋回中心CPから値Lだけ離れたセンサの正中面(median plane)PMにおいて測定される。径方向の移動は、必ずしもセンサのうちの1つの平面内とは限らず、したがって、センサのうちの2つによって供給される信号から計算され、場合によっては第3のセンサからの信号と相関される。上記信号を使用することにより、センサの正中面に位置する押さえ要素のセクションの偏心度と、正中面における上記セクションの移動の向きとが分かる。
【0106】
したがって、傾斜の値及び傾斜が生じる平面の向きを知ることが可能である。傾斜の計算は、現行技術において知られている幾何学的規則に基づいており、ここでは詳細に説明しない。
【0107】
押さえ要素の傾斜を測定するこれらの手段を実装することにより、押さえ要素がスピンドルに対して同軸であるか又は傾斜しているかを判定することが可能となる。
【0108】
傾斜の最大値は予め規定されており、実際の傾斜がこの値よりも小さい場合、傾斜が単に記録され、穿孔が継続される。実際の傾斜が所定の値よりも大きい場合、加工対象の表面に対するエンドエフェクタの位置決めが補正される。
【0109】
実際の傾斜がゼロである場合、スピンドルは、加工対象の構造体の表面に対して直交する。
【0110】
(押さえ要素の出力距離の測定)
1つの実施形態においては、基準フレームがフレームに関連付けられ、その3つの軸のうちの1つは、スピンドルの軸に平行であり、原点は、スピンドルの軸と、スピンドルの軸に垂直なエンドエフェクタのフレームの基準面との間の交点に位置することができる。
【0111】
この場合、装置は、スピンドルの軸に沿ったフレームの基準フレームに対する押さえ要素6の第1の要素61の並進移動を測定する手段13を備える。
【0112】
この実施形態において、フレームの基準フレームに対する第1の要素の並進移動を測定するこれらの手段は、リング64を回転駆動し、したがって押さえ要素6を並進駆動するように実装されたモータのロータの回転角を測定するセンサを含む。
【0113】
したがって、モータの角度センサによって供給される角度値を使用して、以下の式に従って、押さえ要素の第2の要素62の自由端と基準フレームの原点との間の距離を計算することができる。
距離表面/原点=測定された角度×定数1+定数2
【0114】
定数1及び定数2は、上述のねじナットシステムのピッチ、モータとリングとの間の伝達比、角度ゼロに対応するモータの角度センサの角度位置等を含む、エンドエフェクタの幾何学的特性から決定される。
【0115】
(加工対象の構造体の表面と装置との間の距離の決定)
1つの実施形態において、装置は、スピンドルの軸に平行な方向において、加工対象の構造体の装置に向けられた表面と上記フレームに関連付けられた基準フレーム内のフレームの基準面との間の距離を決定する手段14を有する。
【0116】
この場合、押さえ要素の出力距離を測定する前述の基準フレームを使用して、加工対象の構造体の表面と装置との間の距離を決定することができる。
【0117】
これらの決定する手段は、装置が固定手段によって加工対象の構造体に固定されたときに、この距離を決定することができる。このために、決定する手段は、第2の要素の自由端が加工対象の構造体の表面に接触した瞬間の推力値に対応する接触値に推力が達したことを検出する手段が検出した瞬間に角度センサ83によって提供される角度の値を考慮して、以下の式に従ってこの距離を決定する。
距離表面/フレーム=測定された角度×定数3+定数4
【0118】
定数3及び定数4は、上述のねじナットシステムのピッチや、モータとリングとの間の伝達比や、角度のゼロに対応するモータ角度センサの角度位置等を含む、エンドエフェクタの幾何学的特性から決定される。
【0119】
6.2.動作
加工対象の構造体に対してタスクを実行するために、ハンドリング手段は、タスクを実行しなければならない構造体上の位置にマルチタスク装置を移動させるように、最初に実装される。
【0120】
この最初の手法は、ハンドリング手段の制御手段が、加工対象の構造体の幾何学的形状を知っており、したがって、穴を形成しなければならない位置上にエンドエフェクタを位置決めすることができるということに基づいている。
【0121】
この最初の手法の終わりに、マルチタスク装置は、形成される穴の軸とスピンドルの軸が実質的に同軸であるような位置にあり、上記装置は、処理対象の構造体の表面から或る特定の距離に留まる。
【0122】
しかしながら、ハンドリング手段及び構造体の様々な不正確さによる、タスクが実行されなければならない位置(複数の場合もある)を識別するために、加工対象の構造体上に予め設けられるか又は配設される位置合わせ要素を使用することによって、構造体に対するエンドエフェクタの位置を改善しなければならない。
【0123】
例えば、スピンドルと同軸に取り付けられ、構造体の表面にパターンを投影するレーザに連結されたカメラ等の、表面に対するスピンドルの軸の直交性を制御する手段が、スピンドルの軸が表面に対して直交しているか否かを確認するために実装される。そうでない場合、装置の向きは、表面に対するスピンドルの軸の傾斜を補正するように、ハンドリング手段によって変更される。
【0124】
位置合わせ要素に対するスピンドルの軸のずれも、カメラを使用することによって決定することができ、それに応じて、マルチタスク装置を表面に対して平行に移動させることによって補正される。
【0125】
初期位置合わせ要素が既設の穴である場合、ハンドリング手段は、まず、エンドエフェクタのスピンドルをこの穴の中心に合わせ、そして、マルチタスク装置をこの穴に対して相対的に移動させ、形成すべき穴の位置まで移動させるが、これらの穴の相対的な位置決めは、ハンドリング手段の制御手段には既知である。
【0126】
装置の位置及びスピンドルの直交性が正しくなると、装置は、ハンドリング手段によって、表面に対して垂直な方向に、その接近位置からそのドッキング位置まで移動される。
【0127】
固定手段、例えば吸引カップは、必要に応じて作動し、加工対象の構造体にフレームを固定する。
【0128】
固定後、加工対象の構造体の表面に対して押圧するために、加工対象の構造体の表面に向かって押さえ要素を移動される。このために、モータ8を作動させてリング64を回転駆動する。リング64の回転の影響を受けて、押さえ要素の第1の要素61は、スピンドルの軸に沿って、加工対象の構造体の表面に向かって並進する。第2の要素62の自由端620は、玉継ぎ手効果(a ball-joint effect)によって、第2の要素62の端部620が加工対象の構造体の表面への付勢を誘発するように、徐々に表面に接触する。
【0129】
押さえ要素6を展開中に、押さえ要素の並進移動を測定する手段は、モータの回転角を測定する。
【0130】
推力測定手段は、押さえ要素によって表面に及ぼされる推力の値が接触値に達した瞬間を検出するまで、推力を測定する。
【0131】
そして、スピンドルの軸に平行な方向における、加工対象の構造体の装置に向けられた表面とフレームの基準面との間の距離を決定する手段は、第2の要素の自由端が表面に接触した瞬間の推力値に対応する接触値に推力が達したことを上記検出する手段が検出した瞬間に角度センサによって提供される角度の値を考慮して、この距離を決定する。
【0132】
押さえ要素の展開の距離及び/又は加工対象の構造体の表面とフレームの基準面との間の距離を知ることにより、装置が表面に対して正確に位置決めされていることを確認することができる。展開が、表面に対する装置の理論的な相対位置に対して小さすぎるか又は大きすぎる場合、これは、装置が実際には不正確に位置決めされており、固定手段が作動停止した後に装置の位置を補正しなければならないことを意味し得る。この場合、コントローラは、必要な位置補正を行うように装置を制御する。
【0133】
押さえ要素は、加工対象の構造体の表面に対して加えられる所望の圧力に対応する所定の押圧値に推力が達したことを推力測定手段が検出するまで、展開され続ける。
【0134】
傾斜測定手段は、スピンドルの軸に対する押さえ要素の傾斜を決定する。
【0135】
代替的に、スピンドルの軸に対する押さえ要素の軸の傾斜が測定され、そして、
-傾斜が第1の所定値よりも小さい場合、穿孔が実行され、欠陥(すなわち、傾斜)の値が記録され、
-傾斜が第2の所定値よりも大きい場合、装置を位置決めするプロセスが繰り返される。
【0136】
加工対象の構造体の変形を測定する手段は、推力が押圧値に達したときに、押さえ要素によって加えられる圧力の影響下で加工対象の構造体に生じる変形を決定する。この変形は、推力の値が接触値から押圧値に移行することを検出する手段が検出したいくつかの瞬間の間の第1の要素61の並進移動に対応する。この変形を基準値と比較して、加工対象の構造体に与えられる変形が好適であることを確実にすることができる。
【0137】
実行される所望の作業に対応するモジュールを、スピンドルの軸に配置し、それに合わせる。
【0138】
そして、スピンドルを移動させて、所望の作業、例えば、穿孔及び/又はフライス加工や、コーティングされた又はコーティングされていないリベットの設置や、仮締結具の設置等を行う。
【0139】
作業が完了すると、スピンドルは、機能モジュールから係合解除され、機能モジュールは、もはやスピンドルの軸内に存在しないように移動される。
【0140】
そして、他のタスク(例えば、穴にリベットを配置すること)を、加工対象の構造体上の同じ位置で、又は別の場所で実行することができる。
【国際調査報告】