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特表2024-546784炭化水素ストリームを低沸点供給材料にアップグレーディングするシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】炭化水素ストリームを低沸点供給材料にアップグレーディングするシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   C10G 69/02 20060101AFI20241219BHJP
   C10G 1/10 20060101ALI20241219BHJP
   C08J 11/10 20060101ALI20241219BHJP
   C10G 9/36 20060101ALN20241219BHJP
   C10G 11/00 20060101ALN20241219BHJP
   C10G 35/04 20060101ALN20241219BHJP
   C10G 47/00 20060101ALN20241219BHJP
   C10G 9/34 20060101ALN20241219BHJP
【FI】
C10G69/02
C10G1/10
C08J11/10 ZAB
C10G9/36
C10G11/00
C10G35/04
C10G47/00
C10G9/34
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024534614
(86)(22)【出願日】2022-12-15
(85)【翻訳文提出日】2024-06-10
(86)【国際出願番号】 US2022081613
(87)【国際公開番号】W WO2023114881
(87)【国際公開日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】63/265,430
(32)【優先日】2021-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】308027031
【氏名又は名称】サビック グローバル テクノロジーズ ベスローテン フエンノートシャップ
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 七重
(72)【発明者】
【氏名】ゴータム パンカジ
(72)【発明者】
【氏名】ナラヤナスワミー ラヴィチャンダー
(72)【発明者】
【氏名】スタニスラウス アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ベルファデル ハテム
【テーマコード(参考)】
4F401
4H129
【Fターム(参考)】
4F401AA27
4F401BA02
4F401BA03
4F401BA04
4F401BA06
4F401CA67
4F401CA70
4F401CB01
4F401CB14
4F401EA77
4H129AA01
4H129AA03
4H129BA04
4H129BB03
4H129BB04
4H129BC01
4H129CA01
4H129CA22
4H129FA01
4H129GA03
4H129KC03X
4H129KC13X
4H129KD15X
4H129KD16X
4H129KD22X
4H129KD24X
4H129NA45
(57)【要約】
炭化水素ストリームを低沸点炭化水素供給材料にアップグレーディングするためのシステム及び方法が開示されている。上記システムは、代替の原料を含有する炭化水素ストリームを輸送する供給機器を有する。上記炭化水素ストリームは、低沸点炭化水素供給材料、触媒を豊富に含有する重質の炭化水素ストリーム、及びコークスを製造する第1のクラッキングユニット内で部分的にクラッキングされる。スラリーセトラーは、触媒を豊富に含有する重質の炭化水素ストリーム及びコークスを受け取り、触媒を豊富に含有する重質の炭化水素ストリームから触媒を分離することにより触媒を豊富に含有するストリーム及び重質の炭化水素ストリームを画定する。コーキング容器は、重質の炭化水素ストリーム及びコークスを受け取り、コークスから重質の炭化水素を分離することにより重質の炭化水素ストリームを画定する。最終的に、第1のクラッキングユニットから低沸点供給材料を受け取り、オレフィン及び芳香族化合物を製造する第2のクラッキングユニット。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭化水素ストリームを低沸点炭化水素供給材料にアップグレーディングして高い変換率でオレフィン及び芳香族化合物を製造する一方で、コークスの生成による圧力降下を防止する方法であって、
代替の原料を含有する炭化水素ストリームをプレヒーターに導入する工程であって、プレヒーターは、炭化水素ストリームを加熱することにより予熱された炭化水素ストリームを画定するように構成されている工程と、
予熱された炭化水素ストリームを第1の反応器に供給する工程と、
第1の反応器を第1の圧力及び温度で操作して予熱された炭化水素ストリームから低沸点炭化水素供給材料、重質の炭化水素ストリーム、及びコークスを製造する工程と、
重質の炭化水素ストリーム、及びコークスをコークス容器に輸送する工程と、
コークス容器内のコークスを重質の炭化水素ストリームから分離して第2の反応器の動作中のコークスの実質的な生成を防止する工程と、
第1の反応器からの低沸点炭化水素供給材料及び重質の炭化水素ストリームを第2の反応器に輸送する工程と、
第2の反応器を操作して低沸点炭化水素供給材料及び重質の炭化水素ストリームからオレフィン及び芳香族化合物を製造する工程と
を含む、方法。
【請求項2】
第1の反応器からの重質の炭化水素ストリームが特定量の触媒を含有し、
方法が、重質の炭化水素ストリーム及びコークスをコークス容器に輸送する前に、
触媒を豊富に含有する重質の炭化水素ストリーム及びコークスをスラリーセトラーに輸送する工程と、
スラリーセトラー内で、触媒を豊富に含有する重質の炭化水素ストリームを、触媒を豊富に含有するストリームとコークスを含有する重質の炭化水素ストリームとに分離する工程とをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
予熱された炭化水素ストリームを第1の反応器に供給する前に、フラッシュドラム内で、予熱された炭化水素ストリームをフラッシュさせることにより(1)沸点が200℃以下である揮発性の炭化水素、及び(2)沸点が200℃以上である、残りの予熱された炭化水素ストリームを生成する工程と、
残りの予熱された炭化水素ストリームを第1の反応器に供給する工程であって、第1の反応器を、残りの予熱された炭化水素ストリームから低沸点炭化水素供給材料、触媒を豊富に含有する重質の炭化水素ストリーム、及びコークスを製造するために操作する工程と、
揮発性の炭化水素を第2の反応器に供給する工程であって、第2の反応器を、揮発性の炭化水素からオレフィン及び芳香族化合物を製造するためにさらに操作する工程とをさらに含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
プレヒーターが、コーキング容器及び第1の反応器の温度よりも高い温度に加熱される、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
第1の反応器が、熱クラッキング又は接触クラッキングのうちの1種又は複数種を経由して炭化水素ストリームを少なくとも部分的にクラッキングし、クラッキング中に、第1の反応器が90分未満の滞留時間で約250℃~約700℃の間の温度で、及び第1の反応器内の第1の圧力が100barg以下で操作され、温度、滞留時間、及び第1の圧力が、コークスの生成を補助する、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
第1の反応器が、連続撹拌反応器、気泡塔反応器、又は管状反応器のうちの1種である、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
第1の反応器が分散した触媒又は溶解した触媒のうちの1種又は複数種を含み、
溶解した触媒が、ニッケル(Ni)、モリブデン(Mo)、コバルト(Co)の有機金属化合物又は水素添加反応活性を有するその他のナフテン酸金属塩若しくはオクタン酸金属塩のうちの1種又は複数種を含み、
分散した触媒が、アルミナ若しくはゼオライトに担持されたアルカリ金属の水酸化物若しくはアルカリ金属の酸化物、Ni-Mo酸化物若しくはNi-Mo硫化物、Co-Mo酸化物若しくはCo-Mo硫化物、W-Mo酸化物若しくはW-Mo硫化物、又は、水素化処理及び/若しくは水素転移活性を有する複数の組み合わせのうちの1種又は複数種を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
プレヒーターに炭化水素ストリームを導入する前に、溶解した触媒、水素若しくは水素含有ガスのうちの1種又は複数種を炭化水素ストリームに投入する工程をさらに含む、
請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
炭化水素系プラスチックストリーム又は炭化水素系ワックスストリームのうちの1種又は複数種を解重合ユニットに導入する工程と、
解重合ユニットを経由して、代替の原料を生成する工程と、
プレヒーターに炭化水素ストリームを導入する前に、代替の原料を原油に投入して炭化水素ストリームを画定する工程とをさらに含み、代替の原料の量が、炭化水素ストリームの合計質量の約0.1%~約5%である、
請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
原油を低沸点炭化水素供給材料にアップグレーディングするシステムであって、
代替の原料を含有する炭化水素ストリームを輸送する供給機器と、
供給機器から炭化水素ストリームを受け取る第1のクラッキングユニットであって、第1の圧力で、熱クラッキング又は接触クラッキングのうちの1種又は複数種を経由して炭化水素ストリームを部分的にクラッキングして低沸点炭化水素供給材料、触媒を豊富に含有する重質の炭化水素ストリーム、及びコークスを製造するように動作可能である第1のクラッキングユニットと、
第1のクラッキングユニットから触媒を豊富に含有する重質の炭化水素ストリーム、及びコークスを受け取るスラリーセトラーであって、触媒を豊富に含有する重質の炭化水素ストリーム及びコークスから触媒を分離することにより、触媒を豊富に含有するストリーム、重質の炭化水素ストリーム、及びコークスを画定するように動作可能であり、触媒を豊富に含有するストリームが、再利用又は再生成を目的としてスラリーセトラーから輸送されるスラリーセトラーと、
スラリーセトラーから重質の炭化水素ストリーム、及びコークスを受け取るコークスセトラーであって、炭化水素を重質の炭化水素ストリーム中のコークスから分離することにより、粒状のコークス及び別の炭化水素ストリームを画定するように動作可能であるコークスセトラーと、
第1のクラッキングユニットから低沸点供給材料を受け取る第2のクラッキングユニットであって、オレフィン及び芳香族化合物を製造するように動作可能である第2のクラッキングユニットと
を含む、システム。
【請求項11】
予熱された炭化水素ストリームを受け取るフラッシュドラムであって、沸点が200℃以下である揮発性の炭化水素ストリームを製造するように動作可能であるフラッシュドラムをさらに含み、
揮発性の炭化水素ストリームが第2のクラッキングユニットに輸送され、
残りの予熱された炭化水素ストリームが第1のクラッキングユニットに輸送され、
残りの予熱された炭化水素ストリームの沸点が200℃以上であるか、又は揮発性の炭化水素ストリームの沸点よりも高い、
請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
第2のクラッキングユニットが、流動接触クラッキングユニット、スチームクラッカーユニット、又は接触ナフサ改質ユニットのうちの1種又は複数種を含み、
第2のクラッキングユニットがコークスセトラーから別の炭化水素ストリームを追加で受け取り、
第1のクラッキングユニットが、(1)別の炭化水素ストリームをコークスセトラーから受け取り、(2)さらに別の炭化水素ストリームが消滅するように操作可能である、
請求項10又は11に記載のシステム。
【請求項13】
炭化水素系プラスチックストリーム又は炭化水素系ワックスストリームのうちの1種又は複数種から代替の原料を生成する解重合ユニットをさらに有する、請求項10~12のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項14】
製造装置に輸送する前に別の炭化水素ストリームを受け取るガード床であって、別の炭化水素ストリームから微量の金属を除去するように動作可能であるガード床をさらに有する、請求項10~13のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項15】
第1の接触ユニットが、分散した触媒又は溶解した触媒のうちの1種又は複数種を用いるものであり、
溶解した触媒が、ニッケル(Ni)、モリブデン(Mo)、コバルト(Co)の有機金属化合物又は水素添加反応活性を有するその他のナフテン酸金属塩若しくはオクタン酸金属塩のうちの1種又は複数種を含み、
分散した触媒が、アルミナ若しくはゼオライトに担持されたアルカリ金属の水酸化物若しくはアルカリ金属の酸化物、Ni-Mo酸化物若しくはNi-Mo硫化物、Co-Mo酸化物若しくはCo-Mo硫化物、W-Mo酸化物若しくはW-Mo硫化物、又は、水素化処理及び/若しくは水素転移活性を有する複数の組み合わせのうちの1種又は複数種を含み、
第1の接触ユニットが、塩化物及び1種又は複数種のその他のハロゲン化物を捕捉する添加剤を含み、
添加剤が、アルカリ金属、アルカリ土類金属、又は遷移金属の酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩、水酸化物のうちの1種又は複数種を含有する、
請求項10~14のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項16】
第1の接触ユニットが、酸触媒を用いて炭化水素ストリームをクラッキングする、請求項10~15のいずれか1項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
本出願は、2021年12月15日に出願された米国仮出願第63/265,430号の利益及び優先権を主張するものであり、その内容は、その全体において本明細書に参照により組み込まれる。
【0002】
本開示の実施形態は、全体として、炭化水素ストリームをアップグレーディングするシステム及び方法に関する。より具体的には、本開示は、炭化水素ストリームを低沸点供給材料にアップグレーディングするシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
原油は、変換が難しく、変換中にコークス化する傾向にある樹脂及びアスファルテンを含有しうるが、それは固定床水素化処理反応器の閉塞を招く。上記の変換の困難性と、生成したコークスは、有効な製造時間の損失につながり、潜在的な非稼働時間問題に対処するための予備の固定床ユニットを準備することとなる。上記の問題を軽減するための1つの解決策は、原油を溶剤脱歴処理に付して脱歴油を製造することである。その後、脱歴油は、下流の水素化処理ユニットに供給することができる。しかし、溶剤脱歴ユニットは、通常、全ての既存の設備で使用されておらず、新規のユニットとして取り付けられることにより、既存の設備の設備投資を実質的に追加又は増加させる。
さらに、原油の変換は既存の工業プロセスであり、1種又は複数種の水素化クラッカー、例えば、高圧で動作する高圧反応器を採用する。しかし、そのような高圧反応器の使用はコストを要するか、又は資本集約的である。しかも、高圧反応器内での変換率は最大で95~97%であり、そのような変換は、沸点が350℃を超える材料を大量に含む生成物を生成する。350℃超の沸点を有する上記の材料は、スチームクラッカーに移送される前に、沸点を下げるためにさらに変換されることにより追加のコストを招く。現在、原油は大気圧塔に供給され、大気圧塔で生成した大気圧残留物は真空塔に供給される。真空塔からのストリームは、ストリームを、単一又は複数の水素化クラッキングユニット内の下流生成物として使用するための供給材にアップグレーディングする水素化クラッキングユニット又は水素化クラッカーに供給される。
【0004】
さらに、廃プラスチックは、熱分解を経由して高付加価値化学物質(例えば、オレフィン、芳香族炭化水素、等)に変換されうる。しかし、プラスチックの熱分解は、沸点の範囲が広範な生成物ストリームを産出しうる。従来は(通常の熱分解プロセス条件下では)、熱分解油(熱分解油(pyoil))ストリームも含む一部の熱分解生成物ストリームは液相で存在するが、その他は気相で存在する。液相の熱分解生成物ストリームは、通常さらにクラッキングされるか、高付加価値化学物質の収率を増加させるために処理されるが、気相の高付加価値化学物質は、高付加価値化学物質、又は高付加価値化学物質を作製するための原料としての回収を目的として分離ユニットへと流れる。
従来の過酷度の低いプラスチックの熱分解からの熱分解油は通常、約20~40質量%のオレフィン及び約10質量%の芳香族化合物を含有する。したがって、高付加価値化学物質を製造するために、熱分解油はスチームクラッカー内に供給される前に飽和されなければならないが、流動接触クラッカーユニット(FCCユニット)に供給するための熱分解油を飽和させる必要はない。実際には、クラッキングの観点で、オレフィンを含有する材料をFCCユニットに供給することがより有利である。スチームクラッカー供給ストリームは通常、1質量%未満のオレフィンを含有する。高付加価値化学物質(HVC)、例えばC2―C4オレフィン、ベンゼン、トルエン、キシレン(BTX)及びエチルベンゼン(EB)は、低濃度の芳香族化合物(スチーム又は接触)クラッカー供給材から比較的高収率で製造されるため、供給材中の芳香族化合物は可能な限り低いレベルに維持されようとする。したがって、通常、大量の水素が水素添加反応に用いられることにより、高付加価値化学物質を製造するための生産コストが高くなる。よって、水素の消費量の低い高付加価値化学物質を生成する下流のポテンシャルに基づき、製造された熱分解生成物中の供給材中のプラスチックの水素含有量の温存が望まれている。
【0005】
さらに工業的に実施されているプロセスでは、プラスチッククラッキングの総カーボン効率は比較的低く、下流の高付加価値化学物質を製造するユニットの供給材としての液体生成物の収率は約70%である。現在、プラスチックを加工する方法は、通常、スケールが限定されたモジュール装置(高い資本コストに繋がる)を用いるものであるが、熱伝導が不十分であり、プラスチックの熱分解中の滞留時間が長く、より多くの芳香族化合物及びガス生成物の生成、上記分子からの水素の損失によるコークス生成量の増加、及びコークス等の一部の原料の損失につながる。より具体的には、軽質オレフィン、BTX、及びEBの製造プロセスを、スチームクラッカー又はFCC変換プロセス等の大容量プロセスにおいて工業的かつ経済的に実施可能とするためには、固体プラスチックから液体原料(上記ユニットの場合)への変換プロセスが、スケーラブルでかつ連続的でなければならず、これはまた、低い資本コストを有利にもたらす。プラスチックの熱容量が比較的低いため、コークスの生成を抑えるためには、熱分解工程において効率的な熱伝導及び滞留時間が短いことが好ましく、水素を豊富に含有する液体生成物の高生産性につながる。さらに、コークス及びガスの生成量が下がるため、これらの生成物のカーボン損失量は低く、プラスチック変換プロセスから液体生成物を作製するカーボン効率プロセスが高いことを意味する。
【0006】
全体として、高付加価値化学物質を製造するためのプラスチックを加工するシステム及び方法が存在する一方で、少なくとも従来のシステム及び方法の前述の欠点の観点から、本分野の改良の必要性は依然残る。また、原油を加工する固定床ユニット内の圧力降下問題の代替となる解決策の必要性も存在する。さらに、FCC供給材及びスチームクラッカー供給材を製造するためのプロセスのコストが低い/設備投資強度が低いことも望ましい。
【0007】
したがって、出願人は、炭化水素ストリームを低沸点供給材料にアップグレーディングするシステム及び方法の必要性を認識している。本開示は、そのようなシステム及び方法の実施形態を対象とする。
【発明の概要】
【0008】
炭化水素ストリームを低沸点供給材料にアップグレーディングするシステム及び方法に関連する上述の問題の解決策が記載されている。上記解決策は、炭化水素ストリームを低沸点供給材料にアップグレーディングするシステム及び方法に存在する。上記方法は、代替の原料(例えば、解重合された混合プラスチック廃棄物及び/又はプラスチック溶融クラッキング生成物若しくはプラスチック)を含有する炭化水素ストリーム及び水素を第1の反応器に導入する工程を含む。上記方法は、第1の圧力で第1の反応器を操作して低沸点炭化水素供給材料、触媒を豊富に含有する重質の炭化水素ストリーム、及びコークスを製造する工程と、第1の圧力よりも低い2番目の圧力で2番目の反応器を操作してオレフィン及び芳香族化合物を製造する工程とをさらに含むことにより、上記方法の工業的な実施可能性を確実とする。第1の反応器に炭化水素ストリームを導入する前に、ストリームは予熱及び/又はフラッシュ及び/又はコークス化されてもよい。スラリーセトラーの追加は、第1の反応器がスラリー反応器である場合、第1の反応器の下流では、2番目の反応器内でのコークスの沈着物の生成を防止でき、2番目の反応器内での圧力降下を防止できる。さらに、上記スラリーセトラーは、第1の反応器で使用した触媒の再利用及びリサイクルを可能としうることで、コスト及び使用した材料(例えば、触媒)を節約する。上記のシステム及び方法は、低コスト及び/又は、少なくとも複数の、既に存在する装置を使用しうる。最終的に、各反応器は低圧で、例えば、第1の反応器内では100barg未満、及び2番目の反応器内では40barg未満、及び/又は本明細書に記載されたその他の圧力範囲で動作しうるため、より高い変換率、より低いコストをもたらし、及び/又は圧力降下を抑える。
【0009】
本開示の実施形態は、炭化水素ストリームを低沸点炭化水素供給材料にアップグレーディングして高い変換率でオレフィン及び芳香族化合物を製造する一方で、コークスの生成による圧力降下を防止する方法を含む。上記方法は、代替の原料を含有する炭化水素ストリームをプレヒーターに導入する工程を含んでいてもよい。上記プレヒーターは、炭化水素ストリームを加熱することにより予熱された炭化水素ストリームを画定(define)するように構成されていてもよい。上記方法は、予熱された炭化水素ストリームを水素と共に第1の反応器内に供給する工程を含んでいてもよい。上記方法は、第1の反応器を第1の圧力及び温度で操作して予熱された炭化水素ストリームから低沸点炭化水素供給材料、重質の炭化水素ストリーム、及びコークスを製造する工程を含んでいてもよい。上記方法は、重質の炭化水素ストリーム及びコークスをコークス容器に輸送する工程を含んでいてもよい。上記方法は、2番目の反応器の動作中のコークスの生成及び/又はコークスの沈着に起因する実質的な閉塞(例えば、圧力降下)を防止するために、コーキング容器内のコークスを重質の炭化水素ストリームから分離して重質の炭化水素ストリームを画定する工程を含んでいてもよい。上記方法は、第1の反応器からの低沸点炭化水素供給材料及びコークスの少ない重質の炭化水素ストリームを2番目の反応器に輸送する工程を含んでいてもよい。上記方法は、最終的に、2番目の反応器を操作して低沸点炭化水素供給材料及び重質の炭化水素ストリームからオレフィン及び芳香族化合物を製造する工程を含んでいてもよい。
【0010】
別の実施形態では、第1の反応器からの重質の炭化水素ストリームは、特定量の触媒を含有していてもよい。そのような実施形態では、上記方法は、重質の炭化水素ストリーム及びコークスをコークス容器に輸送する前に、触媒を豊富に含有する重質の炭化水素ストリーム及びコークスをスラリーセトラーに輸送する工程を含んでいてもよい。上記方法はまた、スラリーセトラー内で、触媒を豊富に含有する重質の炭化水素ストリームを、触媒を豊富に含有するストリームとコークスを含有する重質の炭化水素ストリームとに分離する工程を含んでいてもよい。
【0011】
別の実施形態では、上記方法は、予熱された炭化水素ストリームを第1の反応器に供給する前に、フラッシュドラム内で、予熱された炭化水素ストリームをフラッシュさせることにより(1)沸点が200℃以下である揮発性の炭化水素、及び(2)残りの予熱された炭化水素ストリームを生成する工程を含んでいてもよい。上記方法は、水素と共に残りの予熱された炭化水素ストリームを第1の反応器に供給する工程を含んでいてもよい。第1の反応器は、残りの予熱された炭化水素ストリームから低沸点炭化水素供給材料、触媒を豊富に含有する重質の炭化水素ストリーム、及びコークスを製造するために操作してもよい。上記方法は、低沸点炭化水素供給材料及び/又は重質の炭化水素ストリーム(例えば、触媒を分離した後)を2番目の反応器に供給する工程を含んでいてもよい。2番目の反応器は、揮発性の炭化水素からオレフィン及び芳香族化合物を製造するためにさらに操作してもよい。ある実施形態では、1つ又は複数の追加の2番目の反応器は、2番目の反応器と同時に操作してもよい。2番目の反応器(例えば、「最初の」第2の反応器)は、フラッシュドラムからの揮発性の炭化水素と低沸点炭化水素供給材料とを受け入れ、又は受け取るものであってもよく、一方で、1つ又は複数の追加の第2の反応器(例えば、「2番目の」第2の反応器)のうちの1つが重質の炭化水素ストリーム(例えば、触媒を分離した後)を受け入れるものであってもよい。例として、第2の反応器(例えば、「最初の」第2の反応器)はスチームクラッカー又はFCCユニットであってもよく、1つ又は複数の追加の第2の反応器(例えば、「2番目の」第2の反応器)のうちの1つはFCCユニットであってもよい。
【0012】
別の実施形態では、プレヒーターは、予熱された炭化水素ストリームのコーキング温度よりも高い温度に加熱され、水素と共にコーキング容器に、その後第1の反応器に搬送される。第1の反応器は、熱クラッキング及び/又は接触クラッキングのうちの1種又は複数種を経由してコーキング容器から炭化水素ストリームを少なくとも部分的にクラッキングすることができる。さらに、熱クラッキング及び/又は接触クラッキングの間に、第1の反応器は、90分未満の滞留時間で約250℃~約700℃の間の温度で、及び/又は第1の反応器の第1の圧力が100barg以下で操作されうる。ある実施形態では、プレヒーター及びコーキング容器の温度、滞留時間、及び第1の圧力は、コークスの生成を補助しうる。そのような実施形態は、第1の反応器に入る前に、コークス等のコーキング成分を除去することにより第1の反応器内のコーキングを最小限に抑えうる。さらに、第1の反応器は固定床、スラリー反応器、又は沸騰床反応器であってもよい。
【0013】
ある実施形態では、第1の反応器は、連続撹拌反応器、気泡塔反応器、又は管状反応器のうちの1種である。第1の反応器は、溶解した触媒、分散した触媒若しくは固定床触媒又はこれらのあらゆる組み合わせを用いる。溶解した触媒は、ニッケル(Ni)、モリブデン(Mo)、コバルト(Co)の有機金属化合物又は水素添加反応活性若しくは水素添加反応性を有するその他のナフテン酸金属塩若しくはオクタン酸金属塩であってもよい。分散した触媒又は固定床触媒は、アルミナ若しくはゼオライトに担持されたアルカリ金属の水酸化物若しくはアルカリ金属の酸化物、Ni-Mo酸化物若しくはNi-Mo硫化物、Co-Mo酸化物若しくはCo-Mo硫化物、W-Mo酸化物若しくはW-Mo硫化物、又は、水素化処理及び/若しくは水素転移活性、例えば、水素化クラッキング、水素化処理、水素添加反応及び/若しくはその他の反応等の水素転移活性を有する複数の組み合わせであってもよい。使用されるゼオライトとしては、ZSM-5、X型ゼオライト、Y型ゼオライト、USY-ゼオライト、モルデナイト、フォージャサイト、ナノ結晶性ゼオライト、MCMメソポーラス材料、SBA-15、シリコアルミノリン酸塩、リン酸ガリウム、リン酸チタン、モルキュラーシーブ、使用済みのFCC触媒、Mg、Ni、Co若しくはその他の遷移金属又はそれらの複数の組み合わせを用いた金属が担持されたZSM-5触媒、金属が担持された使用済みのFCC触媒、金属が担持されたアルミノケイ酸塩を挙げることができる。ある実施形態では、上記方法は、第1の反応器を操作する前に、分散した触媒及び溶解した触媒のうちの1種又は複数種を第1の反応器に導入する工程をさらに含んでいてもよい。上記方法はまた、プレヒーターに炭化水素ストリームを導入する前に、溶解した触媒又は水素若しくは水素含有ガスのうちの1種又は複数種を炭化水素ストリームに投入する工程を含んでいてもよい。上記方法は、炭化水素系プラスチックストリーム又は炭化水素系ワックスストリームのうちの1種又は複数種を解重合ユニットに導入する工程をさらに含んでいてもよい。上記方法は、解重合ユニットを経由して、代替の原料を生成する工程を含んでいてもよい。最終的に、上記方法は、プレヒーターに炭化水素ストリームを導入する前に、代替の原料を原油に投入して炭化水素ストリームを画定する工程を含んでいてもよい。代替の原料の量は、炭化水素ストリームの合計質量の約0.1%~約5%であってもよい。
【0014】
本開示の実施形態は、原油を低沸点炭化水素供給材料にアップグレーディングするシステムを含む。上記システムは、供給機器を有していてもよい。上記供給機器は、代替の原料を含有する炭化水素ストリームを輸送するものであってもよい。上記システムは、供給機器から炭化水素ストリームを受け取る第1のクラッキングユニットを含んでいてもよい。第1のクラッキングユニットは、第1の圧力で、熱クラッキング又は接触クラッキングのうちの1種又は複数種を経由して炭化水素ストリームを部分的にクラッキングして低沸点炭化水素供給材料、触媒を豊富に含有する重質の炭化水素ストリーム、及びコークスを製造するように動作可能であるものであってもよい。上記システムは、第1のクラッキングユニットから触媒を豊富に含有する重質の炭化水素ストリーム、及びコークスを受け取るスラリーセトラーを有していてもよい。上記スラリーセトラーは、触媒を豊富に含有する重質の炭化水素ストリーム及びコークスから触媒を分離することにより、触媒を豊富に含有するストリーム、重質の炭化水素ストリーム、及びコークスを画定するように動作可能であるものであってもよい。上記触媒を豊富に含有するストリームは、再利用又は再生成を目的としてスラリーセトラーから輸送されうる。上記システムは、スラリーセトラーから重質の炭化水素ストリーム、及びコークスを受け取るコークスセトラーを有していてもよい。上記コークスセトラーは、炭化水素を重質の炭化水素ストリーム中のコークスから分離することにより、粒状のコークス及び別の炭化水素ストリームを画定するように動作可能であるものであってもよい。上記システムは、第1のクラッキングユニットから低沸点供給材料を受け取る第2のクラッキングユニットを有していてもよい。第2のクラッキングユニットは、オレフィン及び芳香族化合物を製造するように動作可能であるものであってもよい。
【0015】
別の実施形態では、上記システムは、予熱された炭化水素ストリームを受け取るフラッシュドラムを有していてもよい。上記フラッシュドラムは、沸点が200℃以下である揮発性の炭化水素ストリームを製造するように動作可能であってもよい。上記揮発性の炭化水素ストリームは、第2のクラッキングユニットに輸送されうる。残りの予熱された炭化水素ストリームは、第1のクラッキングユニットに輸送されうる。
【0016】
ある実施形態では、上記システムは、予熱された炭化水素ストリームを受け取るコーキング容器を有していてもよい。上記コーキング容器は、予熱された炭化水素ストリーム中のコークスが減少するように動作可能であるものであってもよい。ある実施形態では、第2のクラッキングユニットは、別の炭化水素ストリームをコークスセトラーから追加で受け取るものであってもよい。第2のクラッキングユニットは、流動接触クラッキングユニット、スチームクラッカーユニット、又は接触ナフサ改質ユニットのうちの1種又は複数種を含むものであってもよい。第2のクラッキングユニットは、接触ナフサ改質ユニットであってもよい。第1のクラッキングユニットは、(1)別の炭化水素ストリームをコークスセトラーから受け取ることができ、(2)別の炭化水素ストリームが消滅するように操作可能であるものであってもよい。
【0017】
別の実施形態では、上記システムは、炭化水素系プラスチックストリーム又は炭化水素系ワックスストリームのうちの1種又は複数種から代替の原料を生成する解重合ユニットを有していてもよい。上記システムは、製造装置に輸送する前に別の炭化水素ストリームを受け取るガード床を有していてもよい。上記ガード床は、別の炭化水素ストリームから微量の金属を除去するように動作可能であるものであってもよい。
【0018】
別の実施形態では、第1の接触ユニットは、溶解した触媒、分散した触媒、固定床触媒、又はそれらの複数の組み合わせを用いるものであってもよい。溶解した触媒は、ニッケル(Ni)、モリブデン(Mo)、コバルト(Co)の有機金属化合物又は水素添加反応活性若しくは水素添加反応性を有するその他のナフテン酸金属塩若しくはオクタン酸金属塩であってもよい。分散した触媒は、アルミナ若しくはゼオライトに担持されたアルカリ金属の水酸化物若しくはアルカリ金属の酸化物、Ni-Mo酸化物若しくはNi-Mo硫化物、Co-Mo酸化物若しくはCo-Mo硫化物、W-Mo酸化物若しくはW-Mo硫化物、又は、水素化処理及び/若しくは水素転移活性、例えば、水素化クラッキング、水素化処理、水素添加反応及び/若しくはその他の反応等の水素転移活性を有する複数の組み合わせであってもよい。使用されるゼオライトとしては、ZSM-5、X型ゼオライト、Y型ゼオライト、USY-ゼオライト、モルデナイト、フォージャサイト、ナノ結晶性ゼオライト、MCMメソポーラス材料、SBA-15、シリコアルミノリン酸塩、リン酸ガリウム、リン酸チタン、モルキュラーシーブ、使用済みのFCC触媒、Mg、Ni、Co若しくはその他の遷移金属又はそれらの複数の組み合わせを用いた金属が担持されたZSM-5触媒、金属が担持された使用済みのFCC触媒、金属が担持されたアルミノケイ酸塩、塩化物を捕捉して直鎖状の炭化水素の生産性を高めるように構成された触媒を挙げることができる。第1の接触ユニットは、塩化物及び1種又は複数種のその他のハロゲン化物を捕捉する添加剤を含むものであってもよい。上記添加剤は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、又は遷移金属の酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩、水酸化物のうちの1種又は複数種を含有するものであってもよい。
【0019】
ある実施形態では、第1の接触ユニットは、酸触媒を用いて炭化水素ストリームをクラッキングするものであってもよい。
以下は、本明細書の全体を通して用いられる各種用語及び語句の定義を含む。
用語「約(about)」又は「おおよそ(approximately)」は当業者の1人により理解されるとおり、~の近傍と定義される。1つの非限定的な実施形態では、上記用語は10%以内、好ましくは、5%以内、より好ましくは、1%以内、そして最も好ましくは、0.5%以内であると定義される。
用語「質量%」、「体積%」又は「mol%」は、それぞれ、成分を含有する材料の合計質量、合計の体積、又は合計のモル数に基づく上記成分の質量、体積、又はモルパーセンテージを指す。非限定的な例では、100モルの材料中の10モルの成分は、10mol%の成分である。
【0020】
用語「実質的に」及びそのバリエーションは、10%以内、5%以内、1%以内、又は0.5%以内の範囲を含むと定義される。
用語「阻害する(inhibiting)」又は「減らす(reducing)」又は「防止する(preventing)」又は「回避する(avoiding)」又はこれらの用語のあらゆるバリエーションは、特許請求の範囲及び/又は本明細書中で用いられる場合、所望の結果を達成するためのあらゆる測定可能な低減又は完全な阻害を含む。
用語「効果的な(effective)」は、本明細書及び/又は特許請求の範囲中で用いられる用語でもあるが、所望の、期待される、又は意図する結果を達成するのに十分であることを意味する。
単語「a」又は「an」の使用は、特許請求の範囲又は本明細書中の用語「含む(comprising)」、「含む(including)」、「含む(containing)」又は「有する(having)」と共に用いられる場合、「1つ(1種)の(one)」を意味しうるが、「1つ又は複数(1種又は複数種)の」、「少なくとも1つ(少なくとも1種)の」及び「1つ又は1を超える複数(1種又は1を超える複数種)の」も意味する。
【0021】
単語「含む(comprising)」(及び「comprising」のあらゆる形、例えば「comprise」及び「comprises」)、「having」(及び「having」のあらゆる形、例えば「have」及び「has」)、「including」(及び「including」のあらゆる形、例えば「includes」及び「include」)又は「containing」(及び「containing」のあらゆる形、例えば「contains」及び「contain」)は包括的又はオープンエンド(open-ended)であり、付加的な、記載されていない要素又は方法ステップを排除しない。
本開示のプロセスは、本明細書の全体を通して開示されている特定の原材料、成分、組成物等「を含み(comprise)」うる、「から実質的になり(consist essentially of)」うる、又は「からなり(consist of)」うる。
【0022】
用語「主に(primarily)」は、本明細書及び/又は特許請求の範囲中で用いられる用語でもあるが、50質量%、50mol%、及び50体積%のいずれかよりも大きいことを意味する。例えば、「主に(primarily)」は、50.1質量%~100質量%並びにそれらの間の全ての値及び範囲、50.1mol%~100mol%並びにそれらの間の全ての値及び範囲、又は50.1体積%~100体積%並びにそれらの間の全ての値及び範囲を含みうる。
【0023】
本開示のその他の目的、特徴及び利点は、以下の図面、発明を実施するための形態及び実施例から明らかになるであろう。しかし、図面、発明を実施するための形態、及び実施例は、本開示の具体的な実施形態を示すものであるが、例示のためにのみ与えられるものであり、限定を意味するものではないことを理解されたい。さらに、本開示の精神及び範囲内での変更及び修正が、この発明を実施するための形態から当業者に明らかになることが企図される。さらなる実施形態では、特定の実施形態からの特徴を別の実施形態からの特徴と組み合わせることができる。例えば、1つの実施形態からの特徴を別の実施形態のいずれかからの特徴と組み合わせてもよい。さらなる実施形態では、本明細書に記載される特定の実施形態に追加の特徴を追加してもよい。
【0024】
より完全な理解のために、ここで、添付の図面と併せて以下の説明を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本開示の実施形態による炭化水素ストリームを低沸点供給材料にアップグレーディングするシステムの概略図である。
図2A-2E】本開示の実施形態による炭化水素ストリームを低沸点供給材料にアップグレーディングするシステムの概略図である。
図3】本開示の実施形態による炭化水素ストリームを低沸点供給材料にアップグレーディングする別のシステムの別の概略図である。
図4】本開示の実施形態による炭化水素ストリームを低沸点供給材料にアップグレーディングする別のシステムの別のさらなる概略図である。
図5A-5B】本開示の実施形態によるプラスチックを加工する方法の概略フローチャートである。
図6】本開示の実施形態による炭化水素ストリームを低沸点供給材料にアップグレーディングするプロセスを制御するコントローラーである。
図7】実施例で得られた生成物のストリーム中の成分の沸点の結果である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
既述のとおり、原油は、変換が困難であり、変換中に固定床水素化処理反応器の閉塞につながるコークス化する傾向にある樹脂及びアスファルテンを含有しうる。現在、上記の変換のための別の方法及びシステムはコストを要し、既述のとおり、コークスを生成する傾向にあり、コストの追加及び非稼働時間につながりうる。本明細書に記載されたシステム及び方法は、これらの問題に対する解決策を提示する。したがって、原油又は代替の原料を含有する炭化水素ストリームを変換するシステム及び方法が記載されている。本明細書で用いられているとおり、「代替の原料」は、炭化水素系ワックスストリーム、解重合された混合プラスチック廃棄物、部分的に解重合された混合プラスチック廃棄物、プラスチック溶融物、プラスチック溶融クラッキング生成物、プラスチック、プラスチック熱分解油、オリゴマー、及び/又は合成原油を含みうる。その他の代替の原料も用いることができる。上記原油は、解重合された混合プラスチック廃棄物、又は溶融クラッキングされた混合プラスチック廃棄物と混合されたものであってもよい。上記混合プラスチック廃棄物は、それらの変換を延長するためにアスファルテンを溶液中に保持する芳香族化合物源(例えば、混合プラスチック廃棄物がPET及びPSのような約10%~約20%の芳香族化合物を含有するポリマーである場合等)である。ポリマー中の芳香族化合物の含有量の少ない混合プラスチック廃棄物はまた、アスファルテンの析出(crash out)を補助しうるパラフィン系代替供給材であってもよい。本明細書に記載された実施形態では、アスファルテンは加工することができ、本明細書に記載された操作(例えば、スラリー反応器、コーキング容器、及び/又は固定床反応器内)を補助しうる。上記の解決策は、溶解した触媒及び/又は水素が投入された代替の原料を含有しうる炭化水素ストリームを加工する方法を前提とする。上記の混合物は、特定の温度に加熱、例えば、予熱することができる。
【0027】
第1の反応器は、使用済み触媒を含有する重質の炭化水素ストリーム及び低沸点炭化水素供給材料が製造されるような温度かつ常圧未満で操作することができる。下流の第2の反応器でのコーキングに関連する問題を減らすために、第1の反応器(例えば、連続撹拌反応器、気泡塔反応器、ジェットループ型反応器、管状反応器、又は固定床反応器)は、コークスを追加で製造するために操作することができる。言い換えると、第1の反応器は、コークスを炭化水素ストリームから意図的に製造するように構成することができる。さらにコーキングに関連する問題及び高圧変換に関連するその他の問題を減らすために、重質の炭化水素ストリームからの触媒の分離を目的として、使用済み触媒を含有する重質の炭化水素ストリーム、及びコークスがスラリーセトラーに輸送される。上記スラリーセトラーは、第1の反応器がスラリー反応器である場合、或いはスラリーを用いるか、又は製造する場合に使用することができる。上記触媒はその後、再生成又はリサイクルのために再利用又は輸送されうる。残りの炭化水素ストリームは、コーキング容器(例えば、コークスセトラー、コークス化装置、コークス除去器、及び/又はその他の機器、装置、若しくはコークスを供給ストリームから生成又は除去することが可能な構成要素のうちの1種又は複数種)に輸送して重質の炭化水素ストリームに含有されるコークスを除去するか、又は減らすことができる。上記のコークスの除去又は低減は、(例えば、第1の反応器及び/又は本明細書に記載された操作のいずれかにおけるコークスの意図的な生成に基づく)コークスの実質的な減少のため、第2の反応器が常圧未満でかつ適切な温度で動作することを可能とする。例えば、第2の反応器(例えば、水素化処理装置、流動接触クラッカー(FCC)、スチームクラッカー(SC)、及び/又は固定床反応器)は、さらなる加工のため、コークスの減少した炭化水素ストリームを受け入れることができる。既述のとおり、上記原料は、混合プラスチック廃棄物(例えば、解重合された混合プラスチック廃棄物又は部分的に解重合された混合プラスチック廃棄物)を含みうることにより、さらにコストを下げる。一部の例では、炭化水素ストリームは、炭化水素ストリームの合計質量又は含有量に対して約0.1%~約5%の解重合された混合プラスチック廃棄物又は部分的に解重合された混合プラスチック廃棄物を含有するものであってもよい。本開示のこれら及びその他の非限定的な態様は、下記セクションにおいてさらに詳細に説明されている。
【0028】
A.炭化水素ストリームをアップグレーディングするシステム
本開示の実施形態では、炭化水素ストリームをアップグレーディングするシステムは、供給機器、第1の反応器、スラリーセトラー、コーキング容器、及び第2の反応器を有していてもよい。さらに、別個に、又はそれらの複数の組み合わせでは、その他の機器及び/又はユニットも含めることができる。図1図4を参照すると、各概略図は、炭化水素ストリームを低沸点炭化水素供給材料にアップグレーディングするために用いられるシステム100、システム200A、システム200B、システム200C、システム300、及びシステム400について示している。
【0029】
図1を参照すると、システム100は、一部の実施形態では代替の供給ストリーム120及び/又は水素122を含有する供給ストリーム102を第1の反応器106に供給する、又は輸送するように構成された供給機器104を有する。供給機器104は、各種材料と/若しくは流体とを組み合わせるように、及び/又は各種材料と/若しくは流体を加工するように構成されていてもよい。供給機器104は例えば、プラスチック、例えば混合プラスチック廃棄物を解重合するか、又は部分的に解重合し、平均分子量がプラスチックの成分の平均分子量よりも20~50倍少ない炭化水素系ワックスを生成するように構成されていてもよい。別の実施形態では、プラスチックの解重合又は部分解重合は、機器、構成要素、装置、又は供給機器104の上流のシステム(例えば、図2A図2C及び図4で図示したとおり)で発生しうる。さらなるその他の実施形態では、供給機器104は、解重合されたプラスチック若しくは部分的に解重合されたプラスチック、その他の代替の原料、原油、添加剤、触媒、又はそれらの複数の組み合わせを、第1の反応器106に輸送する前に、混合又は組み合わせることができる。上記プラスチックは、1種若しくは複数種のポリオレフィン、1種若しくは複数種のポリスチレン、1種若しくは複数種のポリエステル、1種若しくは複数種のポリ塩化ビニル、1種若しくは複数種のポリアミド、又はそれらの複数の組み合わせを含みうる。実施形態では、その他の流体及び/又は液体は、供給機器104内に供給され、第1の反応器106に輸送される。流体及び/又は液体は、各種原油、合成原油、バイオ油若しくは再生可能油、リサイクルされたストリーム、代替の供給材、又はそれらの複数の組み合わせを含みうる。ある実施形態では、解重合されたプラスチック又は部分的に解重合されたプラスチックの量は、供給機器104からアウトプットされた炭化水素ストリームの合計質量又は含有量の約0.1%~約5%を含みうる。
【0030】
ある実施形態では、溶解した触媒、分散した触媒若しくは固定床触媒、溶解した触媒、分散した触媒若しくは固定床触媒、水素、又はそれらの複数の組み合わせは、供給機器104内に供給し、供給機器104内に入るその他の流体と混合又は組み合わせることができ、又は第1の反応器106に入る前に炭化水素ストリーム中に投入することができる。溶解した触媒、分散した触媒若しくは固定床触媒、溶解した触媒、分散した触媒若しくは固定床触媒、水素、又はそれらの組み合わせは、困難なクラッキング、困難な水素添加反応及び効率的な水素転移を補助する。そのような例は、変換が難しく、そうでなければ変換しない可能性のある流体の変換を補助する。溶解した触媒は、ニッケル(Ni)、モリブデン(Mo)、コバルト(Co)の有機金属化合物又は水素添加反応活性若しくは水素添加反応性を有するその他のナフテン酸金属塩若しくはオクタン酸金属塩であってもよい。分散した触媒は、アルミナ若しくはゼオライトに担持されたアルカリ金属の水酸化物若しくはアルカリ金属の酸化物、Ni-Mo酸化物若しくはNi-Mo硫化物、Co-Mo酸化物若しくはCo-Mo硫化物、W-Mo酸化物若しくはW-Mo硫化物、又は、水素化処理及び/若しくは水素転移活性、例えば、水素化クラッキング、水素化処理、水素添加反応及び/若しくはその他の反応等の水素転移活性を有する複数の組み合わせであってもよい。使用されるゼオライトとしては、ZSM-5、X型ゼオライト、Y型ゼオライト、USY-ゼオライト、モルデナイト、フォージャサイト、ナノ結晶性ゼオライト、MCMメソポーラス材料、SBA-15、シリコアルミノリン酸塩、リン酸ガリウム、リン酸チタン、モルキュラーシーブ、使用済みのFCC触媒、金属が担持されたZSM-5触媒、金属が担持されたFCC触媒、又はそれらの複数の組み合わせを挙げることができる。本開示の実施形態では、溶解した触媒、分散した触媒若しくは固定床触媒、溶解した触媒、分散した触媒若しくは固定床触媒、又はその他の使用されるあらゆる添加剤若しくは触媒は、塩化物を捕捉し、分岐状の炭化水素に対する直鎖状の炭化水素の生成量を高めるように構成されたものであってもよい。金属が担持されたアルミノケイ酸塩は、塩化物の捕捉、並びに分岐状の炭化水素に対する直鎖状の炭化水素の生産性を高めるように補助する。ナフテン酸又はオクタン酸は、解重合条件下で、供給ストリーム102中に存在する塩化水素(HCL)等のあらゆる塩化物を捕捉しうるそれぞれの金属酸化物に分解する。さらに、上記の触媒の例は、当業者により理解されうるとおり、15%Mgを担持するZSM-5市販のFCC添加剤、8%ニッケルと共に15%Mgを担持するZSM-5市販のFCC添加剤、精製ユニットからの使用済みのFCC触媒と追加された15%Mgを担持するZSM-5市販のFCC添加剤との組み合わせ、及びその他の組み合わせであってもよい。
【0031】
ある実施形態では、仮に供給機器104が解重合ユニットを有する場合、供給機器104は押出機、オーガー、スクリューフィーダー、供給チャンバーのピストン、ニーダー反応器、ブロック型マニホールド及び供給型マニホールド、撹拌槽反応器、又はそれらの組み合わせを有していてもよい。上記の供給機器104は連続供給機器であってもよい。さらなる実施形態は、図2A図2C及び図4と関連付けて以下に説明されている。
【0032】
ある実施形態では、供給機器104は、プレヒーターを有していてもよい。プレヒーターは、供給機器104とは別の機器又はシステムであってもよい。上記プレヒーターは、供給機器104の上流又は下流に位置していてもよい。上記プレヒーターは、供給ストリーム102を特定の温度、又は特定された温度に加熱するものであってもよい。
供給機器104は、既述のとおり、供給ストリーム102を第1の反応器106に供給するものであってもよい。第1の反応器106は、連続撹拌反応器、気泡塔反応器、ジェットループ型反応器、又は管状反応器であってもよい。図2B図2C及び図3の特定の場合について、第1の反応器はまた、固定床反応器であってもよい。動作中、第1の反応器106は、水素化クラッキング又は部分水素化クラッキング操作を実施するものであってもよい。上記の操作は、125barg以下、100barg以下、75barg以下、約125barg~約40barg、約100barg~約40barg、約75barg~約40barg、又はそれらの複数の組み合わせの圧力を含むものであってもよい。さらに、第1の反応器106は、第1の反応器106の動作中の温度が約200℃~約700℃、約250℃~約700℃、約300℃~約700℃、約400℃~約700℃、約200℃~約600℃、約300℃~約600℃、約400℃~約600℃、又は約280℃~約500℃であってもよい。上記のような、従来のプロセス操作よりも低い圧力、及び、従来のプロセス操作よりも高い温度は、著しく高い変換率及び低コスト性をもたらす。別の実施形態では、第1の反応器106は、コークスを意図的に生成するように構成されたものであってもよい。
【0033】
別の実施形態では、第1の反応器106は、接触クラッキングユニット又は接触水素化クラッキングユニットであってもよい。上記のユニットは、接触水素化クラッキング操作を利用するものであってもよい。上記の操作は、供給ストリーム102(例えば、代替の原料を含有する原油)中の飽和物を増加させて、フリーのコークス粒子に加え、供給ストリーム102からアスファルテンを析出させるものであってもよい。上記コークス粒子及び/又はアスファルテンは、本明細書に記載のとおり、さらなる加工の前に(例えば、第2の反応器114)、供給ストリームから濾別されてもよい。
【0034】
第1の反応器106の操作は、予熱された炭化水素から、低沸点炭化水素供給材料、触媒を豊富に含有する重質の炭化水素ストリーム、及び/若しくはコークス又はコークス粒状物を製造しうる。低沸点炭化水素供給材料は、第2の反応器114に輸送されうる。上記触媒を豊富に含有する重質の炭化水素ストリームは、スラリーセトラー108に輸送されうる。ある実施形態では、触媒を豊富に含有する重質の炭化水素ストリームに加えて、上記コークスは、スラリーセトラー108に輸送されうる。別の実施形態では、上記コークスは、システム100から輸送されうる。ある実施形態では、システム100は、スラリーセトラー108を有していなくてもよい。そのような実施形態では、第1の反応器106は、固定床反応器であってもよく、コークスは、第1の反応器106に入る前に供給ストリームから除去されてもよい。
【0035】
スラリーセトラー108は、触媒を豊富に含有する重質の炭化水素ストリームから触媒を分離するものであってもよい。スラリーセトラー108は、特定の時間間隔中に上記の分離を実施するものであってもよい。例えば、スラリーセトラー108の滞留時間又はホールドアップ時間(例えば、触媒を豊富に含有する重質の炭化水素ストリームがスラリーセトラー108内に滞留する、又は存在する時間量)は、15分以下、約3~約15分、約4~約15分、約5~約15分、約10~約15分、約3~約10分、約4~約10分、約5~約10、約3~約5分、又は約4~約5分であってもよい。スラリーセトラー108は、三相システムであってもよい。そのような実施形態では、水蒸気が第1の反応器106内で用いられる場合、触媒はリサイクルされうる一方で、水層はコークス及び/又は析出したアスファルテンと共に、コーキング容器112に輸送されうる。コークス及び/又は析出したアスファルテンを含有する水は底部ストリームとしてコーキング容器112から流れ出ることができる一方で、炭化水素は、頂上部のストリームとしてコーキング容器112から流れ出ることができる。
【0036】
触媒を豊富に含有する重質の炭化水素ストリームは、無機材料、触媒、及び/又はコークスを含有するものであってもよい。上記の例では、上記触媒は素早く沈降する傾向が高いものであってもよい一方で、無機材料及び/又はコークスは触媒を豊富に含有する重質の炭化水素ストリーム中で良好に分散してゆっくり沈降するものであってもよい。スラリーセトラー108は、触媒を豊富に含有する重質の炭化水素ストリームから触媒を分離するために、触媒を豊富に含有する重質の炭化水素ストリームからのスラリー、並びに、コークス及び/又はその他の無機材料に加えて、残りの重質の炭化水素ストリームのほとんどを含有する、無機材料及び/又はコークスを豊富に含有する副次ストリームとして、触媒を豊富に含有する底部ストリームを引き抜くことにより、無機材料及び/又はコークスと触媒との間の沈降速度の差を用いるものであってもよい。ある実施形態では、上記触媒を豊富に含有する重質の炭化水素ストリームは、特定量の分散した触媒及び/又は溶解した触媒を含有するものであってもよい。触媒を豊富に含有する重質の炭化水素ストリーム中の触媒の量は、触媒を豊富に含有する重質の炭化水素ストリームの合計質量又はその量の約1%~約5%、約1%~約10%、約1%~約15%、約5%~約10%、約5%~約15%、又は約15%であってもよい。
【0037】
スラリーセトラー108内で沈降した触媒は、第1の反応器106内に戻してリサイクルする、並びに/又は、再生成及び/若しくは110を再利用/パージするために送達することができる。スラリーセトラー108からの無機材料及び/又はコークスを豊富に含有する重質の炭化水素ストリームは、無機材料及び/又はコークスを豊富に含有する重質の炭化水素ストリームからのヘテロ原子及びコークスを拒否するためにコーキング容器112又はコーキングユニットに供給されてもよい。任意で、スラリーセトラー108からの上記無機材料及び/又はコークスを豊富に含有するストリームは、無機材料/コークスを豊富に含有する蒸留底部が廃棄されるか燃料として燃焼されうる蒸留ユニットに供給されてもよい。
【0038】
その後、コーキング容器112から回収された炭化水素は、下流の装置においてさらに使用するための、アップグレーディングされた供給材、例えば、低沸点炭化水素供給材料118を生成するために、上記ストリームを第1の反応器106からの低沸点炭化水素供給材料と組み合わせることができるように第2の反応器114内に導入されてもよい。ある実施形態では、低沸点炭化水素供給材料118の沸点は、350℃以下であってもよい。ある実施形態では、80%の低沸点炭化水素供給材料118の沸点は150℃以下であってもよい。
【0039】
第2の反応器114は、水素化処理ユニット又は部分水素化クラッキングユニットであってもよい。そのような実施形態では、第2の反応器114は、約300℃~約500℃又は約400℃~約430℃の温度で操作してもよい。第2の反応器114は、2時間以下又は1時間以下の滞留時間で操作してもよい。第2の反応器114は、10%以下又は5%以下の触媒充填量で操作してもよい。最終的に、第2の反応器114は、100barg以下の圧力で、部分水素化クラッキングユニットへの供給材の水素対炭化水素の比を400対3000で操作してもよい。第2の反応器114内で採用される触媒は、上記の触媒と同じものを1種又は複数種含むものであってもよい。第2の反応器114は、水素化処理ユニット、水蒸気クラッキングユニット、FCCユニット又はそれらの組み合わせを有するものであってもよく、又は、それらであってもよい。別の実施形態では、第2の反応器114は、スチームクラッカーユニットであってもよい。そのような実施形態では、上記スチームクラッカーは、約750℃~約900℃で操作してもよい。さらに別の実施形態では、第2の反応器114は、FCCユニットであってもよい。そのような実施形態では、第2の反応器114は、400℃~750℃で操作してもよい。
【0040】
本開示の実施形態では、供給機器104は、脱揮押出機を有していてもよい。上記脱揮押出機は、ガスの取り出し用パイプラインであって、その長さに沿って配置されたヒーター制御能を備えるものを有していてもよい。本開示の実施形態では、上記の取り出し用パイプラインは、押出機本体からガス生成物を凝縮するように構成された1つ又は複数の凝縮器と流体連結されたものであってもよい。実施形態におけるガス生成物の凝縮されていない部分は、スクラビングされるか、上記ガスがC1―C4炭化水素を含有しうるため反応器ユニット内のクラッカー原料として用いるか、又は、例えば、プロセスユニット炉内で燃料として燃焼させてもよい。本開示の実施形態では、上記脱揮押出機は、左巻きのスクリューエレメント、右巻きのスクリューエレメント、ニュートラルスクリューエレメント、ニーディングスクリューエレメント、搬送スクリューエレメント、又はそれらの組み合わせを含むスクリューエレメントを含むスクリューを備える。
【0041】
本開示の実施形態によれば、供給機器104の出口は、代替の原料、例えば、炭化水素系ワックスストリームを含有する炭化水素供給ストリームが供給機器104から第1の反応器106に流れるように第1の反応器106の入口と流体連結されている。実施形態では、クラッキングユニット(例えば、図2A図2Cの解重合ユニット204等)は、低沸点炭化水素供給材料118及び触媒を豊富に含有する重質の炭化水素ストリームを製造するために用いられる、供給ストリーム102に追加される炭化水素系ワックスストリーム又はその他の解重合された混合プラスチック廃棄物若しくは部分的に解重合された混合プラスチック廃棄物(MPW)の成分をクラッキングするように構成される。既述のとおり、第2の反応器114は、固定床反応器、流動床反応器、ロータリーキルン、又は当業者により理解されうるその他の種類の反応器を有するものであってもよい。固定床反応器は、固体触媒を含むものであってもよい。固定床反応器に導入する前にコークスが意図的に生成し、炭化水素ストリームから除去されうるため、上記固定床反応器は、非稼働時間の実質的な減少(例えば、コーキング又は固定床反応器で生成したコークスの清掃/除去のため)及び/又は温度の変動を示しうる。流動床反応器は、上記固体触媒を含みうる。本開示の実施形態では、第1の反応器106は、蒸留塔及び/又は気体-液体分離器若しくは気体/液体-液体分離器と流体連結されている1つ又は複数の連続撹拌槽反応器を有する。実施形態では、そして既述のとおり、第1の反応器106は、1つ又は複数の管状反応器を有していてもよい。実施形態では、第1の反応器106及び供給機器104は、温度が制御されたダクトを経由して連結している。本開示の実施形態では、供給ストリーム102は、水蒸気クラッキングユニット及び/又は接触クラッキングユニットの原料として好適である。
【0042】
図2A図2Eを参照すると、システム200A~システム200Eは、解重合ユニット204を有していてもよい。解重合ユニット204は、混合プラスチック廃棄物(MPW)202を受け入れるものであってもよい。解重合ユニット204は、MPW202を解重合又は部分的に解重合しうる。得られる生成物は、供給機器104に移送してもよい。ある実施形態では、解重合ユニット204は、押出機、オーガー、スクリューフィーダー、ニーダー、撹拌槽反応器、ロータリーキルン、供給チャンバーのピストン、ブロック型マニホールド及び供給型マニホールド、又はそれらの組み合わせを有していてもよい。解重合ユニット204は、連続性の供給機器であってもよい。さらに、解重合ユニット204は、自動のバルビングシステムを備えるものであってもよい。上記自動のバルビングシステムは、連続的な供給を模倣するタイマーベースのパルスモードで動作するガス加圧吐出のために構成されたものであってもよい。
【0043】
システム200A~システム200Eは、さらにプレヒーター206を有するものであってもよい。プレヒーター206は、既述のとおり、供給ストリーム102を、特定の、又は特定された温度に加熱することができる。プレヒーター206は、当業者により理解されうるとおり、加熱されたダクト若しくは温度が制御されたダクト、又はその他の加熱機器であってもよい。システム200A及びシステム200Eは、さらにフラッシュドラム208を有していてもよい。上記フラッシュドラム208は、予熱された供給ストリームを短時間で高温に加熱又はフラッシュすることができる。上記の温度は、供給ストリームを、沸点が200℃未満である揮発性の炭化水素と、残りの予熱された炭化水素ストリームとに分離させうる。沸点が200℃未満である揮発性の炭化水素は、第2の反応器114に直接的に輸送されうる一方で、残りの予熱された炭化水素ストリームは、第1の反応器106に輸送されうる。上記の動作は、フラッシュドラム208内で起きるよりも、プレヒーター206、供給機器104、又はシステム200A~システム200Eのその他の特定の箇所で起きうる。
【0044】
システム200B~システム200Eはまた、コークス粒状物116を供給ストリーム102から除去するためのコーキング容器210を有するものであってもよい。上記の例では、プレヒーター206は、供給ストリーム102をコーキング容器210及び/又は第1の反応器106の温度よりも高い温度に加熱することができる。コークスの減少した供給ストリームが第1の反応器106に輸送されるため、コークス粒状物を供給ストリーム102から除去した後、追加の水素及び溶解した触媒をコークスの減少した供給ストリーム中に投入することができる。そのような実施形態では、第1の反応器106は、除去のためにコーキング容器112に輸送されるコークスを生成するように構成されていてもよく、したがって、さらにコークスの減少した供給ストリームからのコークスの量を減少させる。ある実施形態では、第1の反応器106は、図2Dに描画されているように、スラリー反応器212であってもよい。スラリー反応器212は、触媒を豊富に含有する重質の炭化水素及びコークスをスラリーセトラー108に輸送しうる。別の実施形態では、第1の反応器106は、固定床反応器214であってもよい。上記の例では、特定量のコークスは、固定床反応器214に輸送される前にストリームから除去されうる。上記コークスは、コーキング容器210内でストリームを選択された温度に加熱することにより生成した後、ストリームから除去することができる。コークスの生成は、プレヒーター206内で予熱することにより補助されうる。このように、固定床反応器214は、コークスの生成量が通常よりも少なくなるように、又は、一部の実施形態では、コークスが生成しないように動作しうる。
【0045】
図3を参照すると、システム300は、水素304が投入された供給ストリーム302を受け取るための第1の反応器306を有しうる。第1の反応器306は、供給ストリーム302を部分的にクラッキングしうる。得られるアウトプット物は、軽質の炭化水素ストリーム及び重質の炭化水素ストリームを含有しうる。上記軽質の炭化水素ストリームは、第2の反応器に直接的に輸送されうる。上記重質の炭化水素ストリームは、コークス除去器308に輸送されうる。コークス除去器308は、コークス又はコークス粒状物を重質の炭化水素ストリームから除去しうる。コークス又はコークス粒状物及び重質の炭化水素ストリームから除去されたその他の重質分の量は、重質の炭化水素ストリーム全体の質量又は含有量の約6%~約7%に等しくありうる。コークス又はコークス粒状物及びその他の重質分を除去した後、残りの重質の炭化水素ストリームは、芳香族化合物及びオレフィンにさらに加工するために第2の反応器316に輸送されうる。
【0046】
別の実施形態では、第1の反応器306(例えば、連続撹拌反応器、気泡塔反応器、ジェットループ型反応器、又は管状反応器)は、供給ストリーム302中でコークスを生成するように構成されていてもよい。さらなる実施形態では、第1の反応器306は、相当量のコークスを供給ストリーム302から生成しうる。その後、コークスは、コークス除去器308又は別の下流のコークスポート(coke port)を経由して除去されうる。そのような実施形態では、第2の反応器316は、水素化処理装置、流動接触クラッカー(FCC)、スチームクラッカー(SC)、及び/又は固定床反応器であってもよい。仮に、例えば、固定床反応器がコークスを含有する供給ストリーム、又は供給ストリームから除去されたコークスを含有しない供給ストリームを加工する場合、固定型反応器のメンテナンス時間枠及び/又は温度制御問題(例えば、動作温度はオーバータイム(overtime)を増加させうる)は短くなりうる。本明細書に記載された実施形態では、供給ストリーム302中のコークスが意図的に生成し、第2の反応器316に輸送される前に除去されるため、第2の反応器316内でのコークス又は相当量のコークスの生成を防止することができる。さらに、第2の反応器316のメンテナンス時間枠を長くすることができ、及び/又は動作温度の一貫性を上げることができる。しかも、コークスの除去は、第2の反応器316内のコークスの生成により引き起こされる、あらゆる圧力降下を減らすことができる。
【0047】
図4を参照すると、システム400は、流入する炭化水素ストリームを加熱する予熱炉又は熱交換器412を有していてもよい。上記炭化水素ストリームは、原油/大気圧残留物(AR)/真空残留物(VR)408、解重合されたMPW又は部分的に解重合されたMPW402、溶解した触媒及び/若しくは水素410、又はそれらの複数の組み合わせを含有していてもよい。解重合されたMPW又は部分的に解重合されたMPW402は、溶融クラッキングユニット404を経由して製造されうる。MPW402が溶融クラッキングユニット404を通過した後、得られる生成物は、無機物を除去するための高温濾過406を通過しうる。
【0048】
得られる炭化水素ストリームは、予熱炉又は熱交換器412内で、槽/気泡塔クラッキングユニット416の動作温度よりも高い温度に加熱されうる。予熱した後、固体プラスチック414は予熱された炭化水素ストリームに加えてもよい。得られる炭化水素ストリームは、クラッキング又は部分クラッキングのために槽/気泡塔クラッキングユニット416に輸送されうる。分散した触媒418は、任意で槽/気泡塔クラッキングユニット416に加えられうる。
【0049】
槽/気泡塔クラッキングユニット416は、水素化処理ユニット及び/又はFCCユニット/SCユニット438に直接的に移送されうる軽質分434を製造しうる。槽/気泡塔クラッキングユニット416はまた、触媒を豊富に含有する重質の炭化水素ストリーム及び一定量又は相当量のコークスを製造することができ、それはスラリーセトラー420に移送されうる。スラリーセトラー420は、触媒を豊富に含有する重質の炭化水素ストリームから上記触媒を分離することにより、リサイクル422のための触媒を豊富に含有するストリームを生成しうる。少なくとも一部の触媒が426で再利用するために輸送されうる。残りの触媒は、424で再生成するために輸送されうる。
【0050】
残りの重質の炭化水素ストリーム、及びコークスは、スラリーセトラー420からコークスセトラー430に移送されうる。上記コークスセトラー430は、重質の炭化水素ストリームから粒状のコークス432を分離しうる。残りのコークスが減少した重質の炭化水素ストリーム、例えば、重質分436は、水素化処理ユニット及び/又はFCCユニット/SCユニット438に輸送されうる。水素化処理ユニット及び/又はFCCユニット/SCユニット438は、高付加価値化学物質442並びに/又はオレフィン及び芳香族化合物を製造するために操作されるものであってもよい。あらゆる芳香族化合物を含有する変換されていないストリーム440は、さらなる加工のために槽/気泡塔クラッキングユニット416に戻るように輸送されうる。ある実施形態では、芳香族化合物を含有する変換されていないストリーム及び/又はその他の重質のストリーム(例えば、芳香族化合物を含有する変換されていないストリーム440)は、消滅まで加工されうる(例えば、予熱された供給ストリームに戻るように連続的に供給される)。
【0051】
別の実施形態では、本明細書に記載されたシステム100、システム200A~システム200C、システム30、及び400のいずれかは、反応器の上流及び/又は下流のどちらかに据え付けられた1つ又は複数のガード床を有するものであってもよい。上記ガード床は、金属及び/又は非金属成分を炭化水素ストリーム又は供給ストリームから除去するように構成されていてもよい。上記1つ又は複数のガード床は、吸着剤として高い表面積を有するアルミナを含有していてもよい。上記ガード床のアルミナの表面積は、50m2/g~400m2/g並びにそれらの間の全ての範囲及び値であってもよい。
B.炭化水素ストリームをアップグレーディングする方法
図5A及び図5Bは、ある実施形態による、炭化水素ストリームを低沸点炭化水素供給材料にアップグレーディングするフロー図を図示している。上記方法は、図1のシステム100を参照しながら詳述されている。その他のシステム、例えばシステム200A、システム200B、システム200C、システム300、及び/又はシステム400は、方法500と関連させて使用される。操作が記載されている順番は、限定として解釈されることを意図しておらず、あらゆる数の記載されたブロックは、方法を実施するためにいかなる順序及び/又は並列で組み合わせることができる。
【0052】
ブロック502では、供給ストリーム102は、プレヒーターに導入されてもよい。供給ストリーム102は、供給ストリーム102を予熱することが可能な別の構成要素又は機器に移送されてもよい。ある例では、供給ストリーム102は、原油及び代替の原料を含有しうる。上記代替の原料は、解重合されたMPW又は部分的に解重合されたMPWを含有していてもよい。その他の添加剤又は触媒は、プレヒーターに導入する前に、又は導入した後に、供給ストリーム102に添加してもよい。
ブロック504では、プレヒーターは、350℃以上の温度及び/若しくは第1の反応器106並びに/又は第2の反応器114の動作温度よりも高い温度に供給ストリームを加熱するものであってもよい。上記プレヒーターは、炉又はその他の熱交換器であってもよい。上記プレヒーターは、1つ又は複数の炉及び/又は熱交換器であってもよい。
【0053】
ブロック506では、予熱された供給ストリームは、第1の反応器106に供給又は輸送されうる。上記予熱された供給ストリームは、連続ストリームとして第1の反応器106に供給又は輸送されうる。
ブロック508では、第1の反応器106は、触媒を豊富に含有する重質の炭化水素、コークス、及び低沸点炭化水素供給材料を製造するために操作されるものであってもよい。第1の反応器106の操作は、接触クラッキング操作又は部分クラッキング操作であってもよい。第1の反応器106は、約200℃~約700℃の間の温度で操作されるものであってもよい。さらに、第1の反応器106は、100barg以下で操作されるものであってもよい。最終的に、第1の反応器106の滞留時間は、約1時間未満であってもよい。
【0054】
ブロック510では、第1の反応器106の操作の後、触媒を豊富に含有する重質の炭化水素及びコークスは、スラリーセトラー108に輸送されうる。ブロック512では、スラリーセトラー108は、触媒を豊富に含有する重質の炭化水素を、触媒を豊富に含有するストリームとコークスを含有する重質の炭化水素ストリームとに分離しうる。上記の操作のための滞留時間は、1~15分の間であってもよい。上記触媒を豊富に含有するストリームは、触媒を豊富に含有するストリーム中の触媒を再生成させるために、第1の反応器106及び/又は別の機器、構成要素、又はシステムに戻るように輸送されうる。
【0055】
ブロック514では、重質の炭化水素ストリーム、及びコークスは、スラリーセトラー108からコーキング容器112に移送されうる。ブロック516では、コーキング容器112は、重質の炭化水素ストリームからコークス又はコークス粒状物を分離しうる。コーキング容器112はさらに、コークスの少ない重質の炭化水素ストリーム又はコークスの減少した重質の炭化水素ストリームを生成しうる。ブロック518では、上記コークスの少ない重質の炭化水素ストリーム又はコークスの減少した重質の炭化水素ストリームは、第2の反応器114に輸送されうる。
ブロック520では、低沸点炭化水素供給材料は、第2の反応器114に輸送されうる。言い換えると、第1の反応器106を操作した後、低沸点炭化水素供給材料が生成しうる。上記低沸点炭化水素供給材料は、第1の反応器106から第2の反応器114に移送されうる。
【0056】
ブロック522では、第2の反応器114は、オレフィン及び芳香族化合物を製造するために操作されるものであってもよい。第2の反応器114の操作は、接触クラッキング又は部分クラッキング操作であってもよい。第2の反応器114は、約200℃~約700℃の間の温度で操作されるものであってもよい。さらに、第2の反応器106は、40barg以下で操作されるものであってもよい。最終的に、第2の反応器106の滞留時間は、約1時間未満であってもよい。
【0057】
ブロック524では、第2の反応器114の操作は、オレフィン及び芳香族化合物を製造しうる。アウトプットされたオレフィン及び芳香族化合物は、加工のためにさらに下流に輸送されうる。ブロック526では、変換されていないストリームを含有するあらゆる芳香族化合物は、第1の反応器106に戻るように輸送されうる。
本明細書に記載されたシステム及びプロセスはまた、示されてはいないがケミカルプロセッシングの当業者に公知である各種装置を含むことができる。例えば、複数のコントローラー、パイピング、コンピューター、バルブ、ポンプ、ヒーター、熱電対、圧力インジケーター、ミキサー、及び熱交換器等は示されていないことがある。
【0058】
C.炭化水素ストリームをアップグレーディングするコントローラー
図6は、本開示のある実施形態による炭化水素ストリームをアップグレーディングするシステムを管理するための制御システムを図示する簡略図である。本明細書に記載された制御システムはコントローラー602、1つ若しくは複数のコントローラー、PLC、SCADAシステム、コンピューティングデバイス、及び/又はアップグレーディングプロセスを管理するその他の構成要素であってもよい。命令は、方法500について記載された工程に対応しうる。コントローラー602は、メモリー606内に保存された命令を実行するための1つ又は複数のプロセッサー(例えば、プロセッサー604)を有していてもよい。ある例では、メモリー606は、機械判読が可能な記録媒体であってもよい。本明細書で用いられているとおり、「機械判読が可能な記録媒体」は、情報、例えば実行命令、及びデータ等を保有し、又は保存する、あらゆる電子保存装置、磁気保存装置、光学保存装置、又はその他の物理的な保存装置であってもよい。例えば、本明細書に記載されたあらゆる機械判読が可能な記録媒体は、ランダムアクセスメモリー(RAM)、揮発性メモリー、不揮発性メモリー、フラッシュメモリー、ストレージドライブ(例えば、ハードドライブ)、ソリッドステートドライブ、及びあらゆるタイプのストレージディスク等、又はそれらの組み合わせのいずれかであってもよい。既述のとおり、メモリー606は、プロセッサー604により実行可能な命令を保存するか、又は保有することができる。本明細書で用いられているとおり、「プロセッサー」は、例えば1つのプロセッサー、又は、単一のデバイスに含まれる、若しくは複数のコンピューティングデバイスにわたって分布している複数のプロセッサーを含みうる。プロセッサー604は、命令を取り出し実行するための中央処理ユニット(CPU)、半導体ベースのマイクロプロセッサー、画像処理ユニット(GPU)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、リアルタイムプロセッサー(RTP)、機械判読が可能な記録媒体、又はそれらの組み合わせに保存された命令を取り出し実行するのに好適なその他の電子回路のうちの少なくとも1種であってもよい。
【0059】
上記命令は、炭化水素ストリームのアップグレーディングを管理する命令608を有するものであってもよい。上記の例では、上記操作に関連する各種詳細がユーザーインターフェース610に入力されるものであってもよく、又は、メモリー606でプリセット若しくはプリセットとして保存されるものであってもよい。上記の詳細は、原油の種類、MPWの種類、原油の量、原油と混合するための解重合されたMPW若しくは部分的に解重合されたMPWの量、操作中に加えるための分散した触媒及び/若しくは溶解した触媒の量、それぞれの上記の触媒が加えられるべき時間、水素の量及び上記の水素の量を上記操作に加える時間、第1の反応器612に戻るように輸送するための触媒の量、第1の反応器612の動作温度、616の動作温度、スラリーセトラー616の滞留時間、コーキング容器618の滞留時間、プレヒーター620の動作温度、並びに/又は操作に関連するその他のあらゆる詳細を含みうる。例えば、方法500に記載されたとおりの操作又はプロセスが開始すると、コントローラー602は適切な温度、滞留時間、及び使用量を確実としうる。例えば、特定された、又は特定量の原油及び解重合されたMPWは、特定の操作のために混合されうる。各種センサー及びその他のデータを用いるコントローラー602は、適切な量が混合されることを確実としうる。さらに、上記の混合物は接触クラッキングのための特定の滞留時間、動作圧力、及び動作温度を必要としうる。このように、コントローラー602は、第1の反応器612が上記のパラメーターで動作することを確実としうる。
【0060】
コントローラー602は、本明細書に記載されたシステムの全体に配置された各種センサー又は計器類に基づく上記のパラメーターを決定し、又は測定しうる。例えば、コントローラー602は、第1の反応器612、第2の反応器614、スラリーセトラー616、コーキング容器618、及び/又はプレヒーター620に位置する温度センサー、圧力センサー、流量計、及び/又はその他の特性(例えば、組成物、密度、等)を測定するためのその他のセンサーと連結し、それらからデータを受け取ることができる。
【0061】
本開示の開示内容の一部として、以下に特定の実施例を示す。実施例は例示のみを目的とするものであり、本開示を限定することを意図するものではない。当業者であれば、本質的に同じ結果を得るために変更又は修正されうるパラメーターを容易に認識するであろう。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図3
図4
図5A
図5B
図6
【国際調査報告】