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特表2024-546785ポータブル/ハンドヘルド機器に対する電力を制限する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】ポータブル/ハンドヘルド機器に対する電力を制限する方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20241219BHJP
   A61B 1/045 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
A61B1/00 523
A61B1/045
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024534620
(86)(22)【出願日】2022-12-07
(85)【翻訳文提出日】2024-08-13
(86)【国際出願番号】 US2022081120
(87)【国際公開番号】W WO2023108027
(87)【国際公開日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】63/287,702
(32)【優先日】2021-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596130705
【氏名又は名称】キヤノン ユーエスエイ,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CANON U.S.A.,INC
(74)【代理人】
【識別番号】100090273
【弁理士】
【氏名又は名称】國分 孝悦
(72)【発明者】
【氏名】山田 大輔
【テーマコード(参考)】
4C161
【Fターム(参考)】
4C161BB08
4C161JJ11
4C161NN01
4C161PP09
(57)【要約】
中空コアを有し、小腔を通して低侵襲で標的に到達する高度な操縦性を実現可能な多関節医用機器。本医用機器は、手動操作及びロボット操作が可能である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者インターフェイスと、
前記患者インターフェイスと通信するコンソールであって、前記患者インターフェイスに電力を供給する電源モジュールと、イメージングエンジンと、ディスプレイとを有するコンソールと、
を備える医用イメージングシステムであって、
前記患者インターフェイスは、
回転モーター及び/又は並進モーターのうちの少なくとも1つと、
前記回転モーター及び/又は前記並進モーターを動作させるための少なくとも1つのドライバと、
を有し、
前記電源モジュールには第1の電力閾値が設定され、前記第1の電力閾値は、60秒未満の間15ワット以上の電力に制限される、
システム。
【請求項2】
前記患者インターフェイスユニットと通信するカテーテルを更に備える、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記患者インターフェイスは、光ファイバー回転継手を更に有する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記電源モジュールには、前記第1の電力閾値よりも大きい第2の電力閾値が設定され、
特定の時間にわたって前記第2の電力閾値を超えると、前記電源モジュールが制限される、
請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記特定の時間は1分よりも長い、
請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
患者インターフェイスと、
前記患者インターフェイスと通信するコンソールであって、前記患者インターフェイスに電力を供給する電源モジュールと、イメージングエンジンと、ディスプレイとを有するコンソールと、
を備える医用イメージング装置であって、
前記患者インターフェイスは、
回転モーター及び/又は並進モーターのうちの少なくとも1つと、
前記回転モーター及び/又は前記並進モーターを動作させるための少なくとも1つのドライバと、
を有し、
前記電源モジュールには、第1の電力閾値が設定される、
装置。
【請求項7】
前記第1の電力閾値は、16ワット未満の電力に制限される、
請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記イメージングエンジンに電力を供給する時間が1分を超えた後に、前記第1の電力閾値が利用される、
請求項6に記載の装置。
【請求項9】
前記患者インターフェイスユニットと通信するカテーテルを更に備える、
請求項6に記載の装置。
【請求項10】
前記患者インターフェイスは、光ファイバー回転継手を更に有する、
請求項6に記載の装置。
【請求項11】
前記電源モジュールには、前記第1の電力閾値よりも大きい第2の電力閾値が設定され、
特定の時間にわたって前記第2の電力閾値を超えると、前記電源モジュールが制限される、
請求項6に記載の装置。
【請求項12】
前記特定の時間は1分よりも長い、請求項11に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連特許出願への相互参照
本願は、2021年12月9日に米国特許商標庁に提出された米国仮特許出願第63/287702号から優先権を主張し、その開示は、参照によりその全体が本明細書に援用される。
【0002】
本開示は、概して、医療用途の装置及び方法に関する。より詳細には、本開示は、医用機器の連続使用を可能にしながら、患者インターフェイスユニット(“PIU”)及び機器によって生じる損害のリスクを低下させるために、医用機器に対する電力を制限するための医用機器及び方法を対象とする。
【背景技術】
【0003】
典型的なカテーテル/内視鏡ベースのイメージングシステムでは、内視鏡から得られる情報のイメージングは、カテーテルとシステムコンソールの間に接続された患者インターフェイスユニット(PIU)を利用することによって達成される。PIUは、光ファイバー回転継手と、回転モーターと、並進モーターと、2つのモーター各々のドライバーとから成る。
【0004】
血管や食道、鼻腔等の様々な内腔の断面画像を得るために、光学プローブは、回転モーターによって光ファイバー回転継手(FORJ)とともに回転する。光学プローブが回転している間、光学プローブは、回転中に同時に並進モーターによって長手方向に並進するので、ヘリカルスキャンパターンの画像が得られる。この並進は、最も一般的には、内腔を通してプローブの先端を引き戻すことによって行われるので、「プルバック」と呼ばれる。
【0005】
PIUは、対象者の近くに置かれるので、安全性に関する様々な基準を遵守する必要がある。そのような要件のひとつは、対象者、医師、スタッフ及び環境に対する損害のリスクを最小限に抑えるために、単一故障状態で引火性安全要件に従うことである。
【0006】
そのような規格のひとつがIEC60601-1であり、この規格は医用電気機器を取り扱うものであり、第1部は、基礎安全及び基本性能に関する一般要求事項に関するものである。この規格は、医用機器の輸入のベンチマークとして、世界各国で採用されている。当該規格は、関連性が非常に高く、最大限に活用する価値がある。
【0007】
より具体的には、IEC60601-1規格には以下の記載がある。「…単一故障状態は、次の部分及び部品には適用しない。-電源回路の構造によって、単一故障状態での電力消費が15W未満又はエネルギー消費が900ジュール未満に制限されている。適合性は、供給回路から15Wを1分間引き出すことによって確認する。1分後に供給回路が15Wを供給できない場合は、その供給回路は、電力消費を15W未満に制限しているとみなす。関連する設計の文書も確認する。」(注:900ジュールは、60秒間の15Wの曲線下面積である)。
【0008】
ほとんどのイメージングシステムには、スタンバイモードとイメージングモードがある。スタンバイモードでは、システムはスタンバイ状態にあり、エンドユーザーのインタラクションを待っているので、PIUのモーターは作動しない。スタンバイモードでは、PIUの電力消費量は15W又は900Jに満たない。一方、イメージングモードでは、システムは画像を表示及び/又は記録しており、PIUのモーターは動作している。よって、PIUの電力消費量は、イメージングモード中は15W及び/又は900Jを上回る。ただし、イメージングモードは60秒未満に制限されるので、現在の最新技術では、所定の電流制限を超えた場合にヒューズ等の電流閾値リミッターを使用したり、トリップメーターで電流をモニタリングしたりして、PIUへの電力供給回路を制限する。しかしながら、現在の最新技術には、イメージングモードの進行中に供給電力が中断されることにより、標的腔のプルバック画像が不完全になってしまうという欠点がある。
【0009】
IEC60601-1規格を遵守しながら電力効率を最適化し、プルバック全体にわたって標本の完全な像を得るために、本発明が開発された。
【発明の概要】
【0010】
よって、業界におけるこのような典型的なニーズに対処するために、本開示は、医用イメージング機器、並びに、本機器を使用するための関連する方法及びシステムを提供する。本医用イメージングシステムは以下を備える:患者インターフェイス;患者インターフェイスユニットと通信するコンソールであって、患者インターフェイスに電力を供給する電源モジュールと、イメージングエンジンと、ディスプレイとを有するコンソール。患者インターフェイスは、回転モーター及び/又は並進モーターのうちの少なくとも1つと、回転モーター及び/又は並進モーターを動作させるための少なくとも1つのドライバーとを有する。電源モジュールには第1の電力閾値が設定され、第1の電力閾値は、60秒未満の間で15ワット以上の電力に制限される。
【0011】
様々な実施形態では、本システムは、患者インターフェイスユニットと通信するカテーテルを更に備えてよい。
【0012】
更に追加の実施形態では、本システム内の患者インターフェイスは、光ファイバー回転継手を更に有する。
【0013】
また、電源モジュールには、第1の電力閾値よりも大きい第2の電力閾値が設定され得ることが企図される。特定の時間にわたって第2の電力閾値を超えると、電源モジュールが制限される。更に、特定の時間は、1分よりも長いものとして定義されてよい。
【0014】
本開示のこれら及び他の目的、特徴及び利点は、本開示の例示の実施形態の以下の詳細な説明を添付の図面及び提供された段落と併せて読むと、明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本発明の更なる目的、特徴及び利点は、本発明の例示の実施形態を示す添付の図と併せて解釈すると、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【0016】
図1図1は、本装置、本方法又は本システムの1つ以上の実施形態に係るOCT蛍光システムを図示する。
図2図2は、本装置、本方法又は本システムの1つ以上の実施形態に係る、OCT蛍光システムの概略シグナルフローを提供する。
図3図3は、本装置、本方法又は本システムの1つ以上の実施形態に係る、電力供給モジュールのブロック図を図示する。
図4図4は、本装置、本方法又は本システムの1つ以上の実施形態に係る、電力供給モジュールの概略図を提供する。
図5図5も、本装置、本方法又は本システムの1つ以上の実施形態に係る、図4に関連する電力供給モジュールの概略図を提供する。
図6図6は、本装置、本方法又は本システムの1つ以上の実施形態に係る患者インターフェイスユニットを示す。
図7図7は、本装置、本方法又は本システムの1つ以上の実施形態に係る、カテーテルの側面切欠き図である。
【0017】
図全体を通して、別段の記載がない限り、同じ参照番号及び文字は、例示される実施形態の同様の特徴、要素、コンポーネント又は部分を示すために使用される。加えて、「’」という指定を含む参照数字(例えば12’や24’)は、同じ性質及び/又は種類の2次要素及び/又は参照を意味する。更に、これから図を参照して本開示を詳細に説明するが、それは、例示の実施形態に関連してなされる。添付の段落によって定義される本開示の真の範囲及び主旨から逸脱することなく、説明される実施形態に対して変更及び修正を行うことができることが意図される。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、例示の実施形態を説明する。以下の説明及び図面は、本開示を例示するものであり、本開示を限定するものとして解釈されるものではない。
【0019】
説明に言及する際、開示する例を完全に理解できるようするために、具体的な詳細が記載される。他の例では、本開示を不必要に長くしないように、周知の方法、手順、コンポーネント及び材料は、詳細には説明されない。
【0020】
当然のことながら、要素又は部品が他の要素又は部品に関して「~上に」、「~に対して」、「~に接続される」、或いは「~に結合される」と言及される場合、それは、当該他の要素又は部品に対して直接的に上にあってよく、対してよく、接続されてよく、或いは結合されてよく、又は、介在する要素又は部品が存在してもよい。対照的に、ある要素が別の要素又は部品に関して「直上にある」、「直接接続される」又は「直接結合される」と言及されるとき、介在する要素又は部品は存在しない。使用される場合、「及び/又は」という語句は、そのように提供される場合、関連する列挙された項目のうちの1つ以上のありとあらゆる組合わせを含む。
【0021】
様々な図に示されるようなある要素又は特徴と別の要素又は特徴との関係を説明するための記述及び/又は説明を簡易にするために、本明細書では、「下」、「真下」、「下方」、「低い」、「上方」、「上」、「近位」、「遠位」等の空間的な相対語が使用される場合がある。ただし、当然のことながら、空間的な相対語は、図に示されている向きに加えて、使用中又は動作中の機器の様々な向きを包含することが意図される。例えば、他の要素又は特徴の「下方」又は「真下」にあると記述されている要素は、図中の機器が裏返されると、当該他の要素又は特徴の「上方」に向けられることになる。よって、「下方」等の相対的な空間用語は、上と下の両方の向きを包含することができる。機器は、他の方法で方向付けられてもよく(90度回転又は他の方向に)、本明細書で使用される空間的な相対的記述子は、それに応じて解釈されるべきである。
【0022】
本明細書では、様々な要素、コンポーネント、領域、部品及び/又は部分を説明するために、第1、第2、第3等の用語が使用される場合がある。当然のことながら、これらの要素、コンポーネント、領域、部品及び/又は部分はこれらの用語によって限定されるべきではない。これらの用語は、ある要素、コンポーネント、領域、部品又は部分を別の領域、部品又は部分から区別するためにのみ使用されている。よって、後述する第1の要素、コンポーネント、領域、部品又はセクションは、本明細書の開示から逸脱することなく、第2の要素、コンポーネント、領域、部品又はセクションと呼ばれる場合がある。
【0023】
本明細書にて使用される用語は、特定の実施形態を説明する目的のものにすぎず、限定することを意図するものではない。本明細書にて使用される場合、単数形は、文脈上明確に別段の指示がない限り、複数形も含むことを意図している。更に、当然のことながら、「含む」という用語は、本明細書にて使用される場合、記載の特徴、整数、ステップ、動作、要素及び/又はコンポーネントの存在を指定するが、明示的に記載されていない1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、コンポーネント及び/又はそれらのグループの存在又は追加を排除するものではない。「位置」又は「位置決め」という用語は、空間的な位置と角度的な向きの両方を含むものとして理解されるべきである。
【0024】
図1は、例示のOCT蛍光マルチモダリティイメージングシステム10を図示し、当該システムは、モニター28を含むコンソール12と、PIU14と、カテーテル16とを備える。
【0025】
コンソール12は、移動カート18上に構築されてよく、OCTイメージングエンジン20、蛍光イメージングエンジン22、ホストコンピューター24及び電力供給モジュール26を収容する。
【0026】
OCTイメージングエンジン20は、波長約1.3umのOCT光源28を含み、光源から供給され、スプリッター30によって参照アーム32とサンプルアーム34に分割される。参照アーム32からの分割光は参照ビームとなり、参照アーム32の参照ミラー36に反射される。一方、サンプルアーム34によって供給されるサンプルビームは、サンプルアーム34のPIU14及びカテーテル16を通ってサンプルから反射及び/又は散乱される。PIU14とカテーテル16のファイバーは、DCF(ダブルクラッドファイバー)で作られている。DCFのコアを通ってOCT光がサンプル38を照明し、サンプル38からの散乱光が集光され、PIUを介してOCT干渉計40のサーキュレーターへ送り返され、コンバイナー42にて参照ビームと結合されて、干渉縞が生成される。
【0027】
干渉計の出力は、フォトダイオードやマルチアレイカメラ等のOCT検出器44を用いて検出される。次に、信号がコンピューター46へ転送され、信号処理が実行されてOCT画像が生成される。干渉縞は、サンプルアームの経路長が参照アームの経路長と光源のコヒーレンス長の範囲内で一致する場合にのみ、生成される。
【0028】
蛍光イメージングエンジン22は、波長がおよそ0.635umであるレーザー48を含み、該レーザーは、蛍光源から生じ、PIU14及びカテーテル16を通ってサンプル38まで送達される。患者インターフェイスユニット(本明細書で説明されるPIU)は、励起光がOCTと共通のDCFに結合するように、自由空間ビームコンバイナーを含む。
【0029】
蛍光イメージングエンジン22のレーザー48は、カテーテル16内の光学プローブの遠位端からサンプル38を照明する。サンプル38は、0.65~0.90umの広帯域波長以内の自家蛍光を発する。自家蛍光とラマンは、PIU14を介して光電子増倍管(PMT)等の蛍光検出器50へ送られる。次に、蛍光検出器50のアナログ電気信号が、データ収集ボード(DAQ2)52によって収集される。
【0030】
図3は、PIUケーブルを通して2種類の電圧電力(ロジック電力、モーター電力)をPIU14に供給する電力供給モジュール26を詳細に示す。2種類の電圧電力とは、それぞれ、論理回路用のロジック電圧出力と、モーター駆動用のモーター電圧出力である。モーター電圧出力62に対して電流モニター60が配置され、電圧×電流で計算される供給電力をモニタリングする。
【0031】
モーター電圧出力の電流モニター60は、電流が所定の閾値66を上回った場合に、タイマー64を開始する。電流が閾値を下回ると、タイマーはリセットされる(68)。タイマー68が所定の時間70に達すると、モーター電圧は、図3に示されるように、電力スイッチ74を用いて遮断される(72)。
【0032】
図4は、前述した電力供給モジュールの実装を示す。ここで、ハイサイド電流モニターはINA302A集積回路(“IC”)を中心に設計され、0.1オーム抵抗器を通した電圧降下を介してモーター電圧電流をモニタリングし、電圧降下をグランドレベルに変換する。INA302Aには、2つの電流制限がある。Limit-1はオンボードタイマーを使用し、Limit-2は時間遅延なしでトリップする。制限とタイマーは、次のように設定される:
-Limit-1はAlert-1信号を生成し、これはタイミング調整されラッチされる。この時間は、37秒に設定される。
-Limit-2は、Alert-2信号を生成し、INA302Aによってラッチされる。
【0033】
28Vの電流が0.5A(15W)を超えると、28Vのモーター電圧出力の電流モニターがタイマーを開始する。電流が0.5Aを下回ると、タイマーはリセットされる。タイマーが37秒に達すると、28Vコンバーターはオフになり、ラッチオフされる。タイマーは、供給されるエネルギーを制限する。37秒間の28V×0.5A(14W)は518ジュールであり、これは900Jの制限を下回る。最大電力15Wでテストすると、出力は60秒よりも前にタイムアウトする。過電流状態はラッチされ、リセットするにはシステムの電源をオフにする必要がある。
【0034】
図6を参照すると、PIU14は、コンソール12とカテーテル16の間のインターフェイスである。PIU14は、カテーテルの静止アウターシース内でカテーテル16の光学プローブを回転させて直線的に並進させる手段を提供する。コンソール12とPIU14は、PIUケーブル76(電力を収容する)と、通信ケーブルと、光ファイバー78とによって接続される。PIU14は、回転モーター74と、並進モーター80と、光ファイバー回転継手84と、モーター制御基板82とを有する。モーターは、イメージング中及び記録中に制御基板によって作動する。モーター74、80と制御基板82の電力は、コンソール12の電力供給モジュール26によって、PIUケーブル76を通して供給される。
【0035】
カテーテル16は、図7で確認することができ、シース86と、コイル88と、プロテクター90と、光学プローブ92とを有する。カテーテル16は、図6に示されるPIU14に接続される。光学プローブ92は、光ファイバーコネクター78、光学遠位レンズを有する。光ファイバーコネクター78はPIU14と係合するように使用され、光ファイバーは光を遠位レンズに送達する。遠位レンズは、光ビームを集束してサンプル38に光を照射するとともに、サンプル38からの反射光を効率良く集光する。
【0036】
コイル88は、PIU14の回転モーター74により、カテーテル16の近位端から遠位端へトルクを送達する。カテーテル16の遠位端には、光ビームが外側に偏向されるように、ミラーがある。血管等の中空器官の内表面の全方向観察を可能にするために、光学プローブ92の遠位先端も回転するように、コイル88が光学プローブ92に固定される。光学プローブ92は、近位端にファイバーコネクターを有し、遠位端にダブルクラッドファイバー及びレンズを有する。ファイバーコネクターは、PIU14と接続される。
【0037】
このセクションでは、測定ワークフローを詳述する。イメージングシステム10の電源が入れられ、アプリケーションソフトウェアが起動されると、イメージングシステム10はアイドル状態となり、カテーテル16の接続まで待機する。アイドル状態の間、PIU14のモーター74、80は作動しないので、電力供給モジュール26のモーター電圧出力のモニタリングされている電流は、所定の閾値電流66を超えることはない。
【0038】
ユーザーがカテーテル16をPIU16に接続すると、システム10は、回転モーター74が回転していない間にモーター駆動リニアステージ80を並進させることにより、自動的にカテーテル16を光学的かつ機械的に係合させる。係合プロセスにかかる時間が37秒を超えることはない。回転モーター74が静止状態にあるので、モーター電圧出力の電流が所定の閾値66を超えることはない。モーター電圧が所定の閾値66を超えたとしても、係合プロセス時間は所定の時間70よりも短いので、電力供給モジュール26の過電流チップのタイマー64はリセットされることになる(68)。
【0039】
カテーテル16が係合すると、システム10はスタンバイモードになる。このモードでは、回転モーター74と並進モーター80は両方とも静止しており、電力供給モジュール26のモーター電圧出力の電流は所定の閾値66に満たない。
【0040】
ライブビュー画像(リアルタイム画像)状態では、カテーテル16は直線運動をせずに回転しており、並進モーター80は、ユーザーの応答後に作動され得る。回転74モーターが静止状態にあるので、この状態においてモーター電圧出力の電流が所定の閾値66を超えることはない。
【0041】
最後に、プルバックイメージング状態にて、カテーテル16が腔の画像を記録する。このイメージングモードでは、回転モーター74と並進モーター80が両方とも作動するので、モーター電圧出力の電流は、所定の閾値66を超えることになる。ただし、プルバックイメージング時間が所定時間の37秒よりも短いので、電力供給モジュール26の過電流チップのタイマー64はリセットされることになる(68)。
【0042】
本明細書で使用される時間(T)、電圧(V)、電流(I)の関係は、以下のように表される:V*I*T<900J、式中、Vは電源からの供給電圧である。
【0043】
この関係を念頭に置くと、時間が60秒以下になる場合、第1の閾値電流制限は、A*900/V/60=15*A/V以下であり(式中、Aは0.5~1.0である)、第2の閾値電流制限は、900/V/60=15/V以下である。
【0044】
時間が30~60秒である場合、第1の閾値電流制限はA*900/V/T以下であり(式中、Aは0.5~1.0である)、第2の閾値電流制限は900/V/T以下である。よって、IECによって設定されたパラメーターを満たす。
【0045】
要約すると、システム10(より具体的にはPIU14)は、所定の電力と時間の中で電力供給モジュール26のモーター電圧の電流を制限することによって、引火性のリスクを最低限に抑えることができる。本発明により、システム10は、システムパフォーマンスを妨げることなく、2種類の電力(電流、電圧)と時間閾値を使用して、IEC60601-1の引火性要件を満たすことができる。
【0046】
本開示は、例示の実施形態を参照して説明されたが、当然のことながら、本開示は、本明細書に提供されたサンプルの例示実施形態に限定されない。以下の特許請求の範囲は、そのような変更並びに均等の構造及び機能を全て包含するように、最も広い解釈が与えられるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2024-09-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者インターフェイスユニットと、
前記患者インターフェイスユニットと通信するコンソールであって、前記患者インターフェイスユニットに電力を供給する電力供給モジュールと、イメージングエンジンと、ディスプレイとを有するコンソールと、
を備える医用イメージングシステムであって、
前記患者インターフェイスユニットは、
回転モーター及び/又は並進モーターのうちの少なくとも1つと、
前記回転モーター及び/又は前記並進モーターを動作させるための少なくとも1つのドライバーと、
を有し、
前記電力供給モジュールには第1の電力閾値が設定され、前記第1の電力閾値は、60秒未満の間15ワット以上の電力に制限される、
システム。
【請求項2】
前記患者インターフェイスユニットと通信するカテーテルを更に備える、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記患者インターフェイスユニットは、光ファイバー回転継手を更に有する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記電力供給モジュールには、前記第1の電力閾値よりも大きい第2の電力閾値が設定され、
特定の時間にわたって前記第2の電力閾値を超えると、前記電力供給モジュールが制限される、
請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記特定の時間は1分よりも長い、
請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
患者インターフェイスユニットと、
前記患者インターフェイスユニットと通信するコンソールであって、前記患者インターフェイスユニットに電力を供給する電力供給モジュールと、イメージングエンジンと、ディスプレイとを有するコンソールと、
を備える医用イメージング装置であって、
前記患者インターフェイスユニットは、
回転モーター及び/又は並進モーターのうちの少なくとも1つと、
前記回転モーター及び/又は前記並進モーターを動作させるための少なくとも1つのドライバーと、
を有し、
前記電力供給モジュールには、第1の電力閾値が設定される、
装置。
【請求項7】
前記第1の電力閾値は、16ワット未満の電力に制限される、
請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記イメージングエンジンに電力を供給する時間が1分を超えた後に、前記第1の電力閾値が利用される、
請求項6に記載の装置。
【請求項9】
前記患者インターフェイスユニットと通信するカテーテルを更に備える、
請求項6に記載の装置。
【請求項10】
前記患者インターフェイスユニットは、光ファイバー回転継手を更に有する、
請求項6に記載の装置。
【請求項11】
前記電力供給モジュールには、前記第1の電力閾値よりも大きい第2の電力閾値が設定され、
特定の時間にわたって前記第2の電力閾値を超えると、前記電力供給モジュールが制限される、
請求項6に記載の装置。
【請求項12】
前記特定の時間は1分よりも長い、請求項11に記載の装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連特許出願への相互参照
本願は、2021年12月9日に米国特許商標庁に提出された米国仮特許出願第63/287702号から優先権を主張し、その開示は、参照によりその全体が本明細書に援用される。
【0002】
本開示は、概して、医療用途の装置及び方法に関する。より詳細には、本開示は、医用機器の連続使用を可能にしながら、患者インターフェイスユニット(“PIU”)及び機器によって生じる損害のリスクを低下させるために、医用機器に対する電力を制限するための医用機器及び方法を対象とする。
【背景技術】
【0003】
典型的なカテーテル/内視鏡ベースのイメージングシステムでは、内視鏡から得られる情報のイメージングは、カテーテルとシステムコンソールの間に接続された患者インターフェイスユニット(PIU)を利用することによって達成される。PIUは、光ファイバー回転継手と、回転モーターと、並進モーターと、2つのモーター各々のドライバーとから成る。
【0004】
血管や食道、鼻腔等の様々な内腔の断面画像を得るために、光学プローブは、回転モーターによって光ファイバー回転継手(FORJ)とともに回転する。光学プローブが回転している間、光学プローブは、回転中に同時に並進モーターによって長手方向に並進するので、ヘリカルスキャンパターンの画像が得られる。この並進は、最も一般的には、内腔を通してプローブの先端を引き戻すことによって行われるので、「プルバック」と呼ばれる。
【0005】
PIUは、対象者の近くに置かれるので、安全性に関する様々な基準を遵守する必要がある。そのような要件のひとつは、対象者、医師、スタッフ及び環境に対する損害のリスクを最小限に抑えるために、単一故障状態で引火性安全要件に従うことである。
【0006】
そのような規格のひとつがIEC60601-1であり、この規格は医用電気機器を取り扱うものであり、第1部は、基礎安全及び基本性能に関する一般要求事項に関するものである。この規格は、医用機器の輸入のベンチマークとして、世界各国で採用されている。当該規格は、関連性が非常に高く、最大限に活用する価値がある。
【0007】
より具体的には、IEC60601-1規格には以下の記載がある。「…単一故障状態は、次の部分及び部品には適用しない。-電源回路の構造によって、単一故障状態での電力消費が15W未満又はエネルギー消費が900ジュール未満に制限されている。適合性は、供給回路から15Wを1分間引き出すことによって確認する。1分後に供給回路が15Wを供給できない場合は、その供給回路は、電力消費を15W未満に制限しているとみなす。関連する設計の文書も確認する。」(注:900ジュールは、60秒間の15Wの曲線下面積である)。
【0008】
ほとんどのイメージングシステムには、スタンバイモードとイメージングモードがある。スタンバイモードでは、システムはスタンバイ状態にあり、エンドユーザーのインタラクションを待っているので、PIUのモーターは作動しない。スタンバイモードでは、PIUの電力消費量は15W又は900Jに満たない。一方、イメージングモードでは、システムは画像を表示及び/又は記録しており、PIUのモーターは動作している。よって、PIUの電力消費量は、イメージングモード中は15W及び/又は900Jを上回る。ただし、イメージングモードは60秒未満に制限されるので、現在の最新技術では、所定の電流制限を超えた場合にヒューズ等の電流閾値リミッターを使用したり、トリップメーターで電流をモニタリングしたりして、PIUへの電力供給回路を制限する。しかしながら、現在の最新技術には、イメージングモードの進行中に供給電力が中断されることにより、標的腔のプルバック画像が不完全になってしまうという欠点がある。
【0009】
IEC60601-1規格を遵守しながら電力効率を最適化し、プルバック全体にわたって標本の完全な像を得るために、本発明が開発された。
【発明の概要】
【0010】
よって、業界におけるこのような典型的なニーズに対処するために、本開示は、医用イメージング機器、並びに、本機器を使用するための関連する方法及びシステムを提供する。本医用イメージングシステムは以下を備える:患者インターフェイスユニット;患者インターフェイスユニットと通信するコンソールであって、患者インターフェイスユニットに電力を供給する電力供給モジュールと、イメージングエンジンと、ディスプレイとを有するコンソール。患者インターフェイスユニットは、回転モーター及び/又は並進モーターのうちの少なくとも1つと、回転モーター及び/又は並進モーターを動作させるための少なくとも1つのドライバーとを有する。電力供給モジュールには第1の電力閾値が設定され、第1の電力閾値は、60秒未満の間で15ワット以上の電力に制限される。
【0011】
様々な実施形態では、本システムは、患者インターフェイスユニットと通信するカテーテルを更に備えてよい。
【0012】
更に追加の実施形態では、本システム内の患者インターフェイスユニットは、光ファイバー回転継手を更に有する。
【0013】
また、電力供給モジュールには、第1の電力閾値よりも大きい第2の電力閾値が設定され得ることが企図される。特定の時間にわたって第2の電力閾値を超えると、電力供給モジュールが制限される。更に、特定の時間は、1分よりも長いものとして定義されてよい。
【0014】
本開示のこれら及び他の目的、特徴及び利点は、本開示の例示の実施形態の以下の詳細な説明を添付の図面及び提供された段落と併せて読むと、明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本発明の更なる目的、特徴及び利点は、本発明の例示の実施形態を示す添付の図と併せて解釈すると、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【0016】
図1図1は、本装置、本方法又は本システムの1つ以上の実施形態に係るOCT蛍光システムを図示する。
図2図2は、本装置、本方法又は本システムの1つ以上の実施形態に係る、OCT蛍光システムの概略シグナルフローを提供する。
図3図3は、本装置、本方法又は本システムの1つ以上の実施形態に係る、電力供給モジュールのブロック図を図示する。
図4図4は、本装置、本方法又は本システムの1つ以上の実施形態に係る、電力供給モジュールの概略図を提供する。
図5図5も、本装置、本方法又は本システムの1つ以上の実施形態に係る、図4に関連する電力供給モジュールの概略図を提供する。
図6図6は、本装置、本方法又は本システムの1つ以上の実施形態に係る患者インターフェイスユニットを示す。
図7図7は、本装置、本方法又は本システムの1つ以上の実施形態に係る、カテーテルの側面切欠き図である。
【0017】
図全体を通して、別段の記載がない限り、同じ参照番号及び文字は、例示される実施形態の同様の特徴、要素、コンポーネント又は部分を示すために使用される。加えて、「'」という指定を含む参照数字(例えば12'や24')は、同じ性質及び/又は種類の2次要素及び/又は参照を意味する。更に、これから図を参照して本開示を詳細に説明するが、それは、例示の実施形態に関連してなされる。添付の段落によって定義される本開示の真の範囲及び主旨から逸脱することなく、説明される実施形態に対して変更及び修正を行うことができることが意図される。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、例示の実施形態を説明する。以下の説明及び図面は、本開示を例示するものであり、本開示を限定するものとして解釈されるものではない。
【0019】
説明に言及する際、開示する例を完全に理解できるようするために、具体的な詳細が記載される。他の例では、本開示を不必要に長くしないように、周知の方法、手順、コンポーネント及び材料は、詳細には説明されない。
【0020】
当然のことながら、要素又は部品が他の要素又は部品に関して「~上に」、「~に対して」、「~に接続される」、或いは「~に結合される」と言及される場合、それは、当該他の要素又は部品に対して直接的に上にあってよく、対してよく、接続されてよく、或いは結合されてよく、又は、介在する要素又は部品が存在してもよい。対照的に、ある要素が別の要素又は部品に関して「直上にある」、「直接接続される」又は「直接結合される」と言及されるとき、介在する要素又は部品は存在しない。使用される場合、「及び/又は」という語句は、そのように提供される場合、関連する列挙された項目のうちの1つ以上のありとあらゆる組合わせを含む。
【0021】
様々な図に示されるようなある要素又は特徴と別の要素又は特徴との関係を説明するための記述及び/又は説明を簡易にするために、本明細書では、「下」、「真下」、「下方」、「低い」、「上方」、「上」、「近位」、「遠位」等の空間的な相対語が使用される場合がある。ただし、当然のことながら、空間的な相対語は、図に示されている向きに加えて、使用中又は動作中の機器の様々な向きを包含することが意図される。例えば、他の要素又は特徴の「下方」又は「真下」にあると記述されている要素は、図中の機器が裏返されると、当該他の要素又は特徴の「上方」に向けられることになる。よって、「下方」等の相対的な空間用語は、上と下の両方の向きを包含することができる。機器は、他の方法で方向付けられてもよく(90度回転又は他の方向に)、本明細書で使用される空間的な相対的記述子は、それに応じて解釈されるべきである。
【0022】
本明細書では、様々な要素、コンポーネント、領域、部品及び/又は部分を説明するために、第1、第2、第3等の用語が使用される場合がある。当然のことながら、これらの要素、コンポーネント、領域、部品及び/又は部分はこれらの用語によって限定されるべきではない。これらの用語は、ある要素、コンポーネント、領域、部品又は部分を別の領域、部品又は部分から区別するためにのみ使用されている。よって、後述する第1の要素、コンポーネント、領域、部品又はセクションは、本明細書の開示から逸脱することなく、第2の要素、コンポーネント、領域、部品又はセクションと呼ばれる場合がある。
【0023】
本明細書にて使用される用語は、特定の実施形態を説明する目的のものにすぎず、限定することを意図するものではない。本明細書にて使用される場合、単数形は、文脈上明確に別段の指示がない限り、複数形も含むことを意図している。更に、当然のことながら、「含む」という用語は、本明細書にて使用される場合、記載の特徴、整数、ステップ、動作、要素及び/又はコンポーネントの存在を指定するが、明示的に記載されていない1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、コンポーネント及び/又はそれらのグループの存在又は追加を排除するものではない。「位置」又は「位置決め」という用語は、空間的な位置と角度的な向きの両方を含むものとして理解されるべきである。
【0024】
図1は、例示のOCT蛍光マルチモダリティイメージングシステム10を図示し、当該システムは、モニター28を含むコンソール12と、PIU14と、カテーテル16とを備える。
【0025】
コンソール12は、移動カート18上に構築されてよく、OCTイメージングエンジン20、蛍光イメージングエンジン22、ホストコンピューター24及び電力供給モジュール26を収容する。
【0026】
OCTイメージングエンジン20は、波長約1.3umのOCT光源28を含み、光源から供給され、スプリッター30によって参照アーム32とサンプルアーム34に分割される。参照アーム32からの分割光は参照ビームとなり、参照アーム32の参照ミラー36に反射される。一方、サンプルアーム34によって供給されるサンプルビームは、サンプルアーム34のPIU14及びカテーテル16を通ってサンプルから反射及び/又は散乱される。PIU14とカテーテル16のファイバーは、DCF(ダブルクラッドファイバー)で作られている。DCFのコアを通ってOCT光がサンプル38を照明し、サンプル38からの散乱光が集光され、PIUを介してOCT干渉計40のサーキュレーターへ送り返され、コンバイナー42にて参照ビームと結合されて、干渉縞が生成される。
【0027】
干渉計の出力は、フォトダイオードやマルチアレイカメラ等のOCT検出器44を用いて検出される。次に、信号がコンピューター46へ転送され、信号処理が実行されてOCT画像が生成される。干渉縞は、サンプルアームの経路長が参照アームの経路長と光源のコヒーレンス長の範囲内で一致する場合にのみ、生成される。
【0028】
蛍光イメージングエンジン22は、波長がおよそ0.635umであるレーザー48を含み、該レーザーは、蛍光源から生じ、PIU14及びカテーテル16を通ってサンプル38まで送達される。患者インターフェイスユニット(本明細書で説明されるPIU)は、励起光がOCTと共通のDCFに結合するように、自由空間ビームコンバイナーを含む。
【0029】
蛍光イメージングエンジン22のレーザー48は、カテーテル16内の光学プローブの遠位端からサンプル38を照明する。サンプル38は、0.65~0.90umの広帯域波長以内の自家蛍光を発する。自家蛍光とラマンは、PIU14を介して光電子増倍管(PMT)等の蛍光検出器50へ送られる。次に、蛍光検出器50のアナログ電気信号が、データ収集ボード(DAQ2)52によって収集される。
【0030】
図3は、PIUケーブルを通して2種類の電圧電力(ロジック電力、モーター電力)をPIU14に供給する電力供給モジュール26を詳細に示す。2種類の電圧電力とは、それぞれ、論理回路用のロジック電圧出力と、モーター駆動用のモーター電圧出力である。モーター電圧出力62に対して電流モニター60が配置され、電圧×電流で計算される供給電力をモニタリングする。
【0031】
モーター電圧出力の電流モニター60は、電流が所定の閾値66を上回った場合に、タイマー64を開始する。電流が閾値を下回ると、タイマーはリセットされる(68)。タイマー68が所定の時間70に達すると、モーター電圧は、図3に示されるように、電力スイッチ74を用いて遮断される(72)。
【0032】
図4は、前述した電力供給モジュールの実装を示す。ここで、ハイサイド電流モニターはINA302A集積回路(“IC”)を中心に設計され、0.1オーム抵抗器を通した電圧降下を介してモーター電圧電流をモニタリングし、電圧降下をグランドレベルに変換する。INA302Aには、2つの電流制限がある。Limit-1はオンボードタイマーを使用し、Limit-2は時間遅延なしでトリップする。制限とタイマーは、次のように設定される:
-Limit-1はAlert-1信号を生成し、これはタイミング調整されラッチされる。この時間は、37秒に設定される。
-Limit-2は、Alert-2信号を生成し、INA302Aによってラッチされる。
【0033】
28Vの電流が0.5A(15W)を超えると、28Vのモーター電圧出力の電流モニターがタイマーを開始する。電流が0.5Aを下回ると、タイマーはリセットされる。タイマーが37秒に達すると、28Vコンバーターはオフになり、ラッチオフされる。タイマーは、供給されるエネルギーを制限する。37秒間の28V×0.5A(14W)は518ジュールであり、これは900Jの制限を下回る。最大電力15Wでテストすると、出力は60秒よりも前にタイムアウトする。過電流状態はラッチされ、リセットするにはシステムの電源をオフにする必要がある。
【0034】
図6を参照すると、PIU14は、コンソール12とカテーテル16の間のインターフェイスである。PIU14は、カテーテルの静止アウターシース内でカテーテル16の光学プローブを回転させて直線的に並進させる手段を提供する。コンソール12とPIU14は、PIUケーブル76(電力を収容する)と、通信ケーブルと、光ファイバー78とによって接続される。PIU14は、回転モーター74と、並進モーター80と、光ファイバー回転継手84と、モーター制御基板82とを有する。モーターは、イメージング中及び記録中に制御基板によって作動する。モーター74、80と制御基板82の電力は、コンソール12の電力供給モジュール26によって、PIUケーブル76を通して供給される。
【0035】
カテーテル16は、図7で確認することができ、シース86と、コイル88と、プロテクター90と、光学プローブ92とを有する。カテーテル16は、図6に示されるPIU14に接続される。光学プローブ92は、光ファイバーコネクター78、光学遠位レンズを有する。光ファイバーコネクター78はPIU14と係合するように使用され、光ファイバーは光を遠位レンズに送達する。遠位レンズは、光ビームを集束してサンプル38に光を照射するとともに、サンプル38からの反射光を効率良く集光する。
【0036】
コイル88は、PIU14の回転モーター74により、カテーテル16の近位端から遠位端へトルクを送達する。カテーテル16の遠位端には、光ビームが外側に偏向されるように、ミラーがある。血管等の中空器官の内表面の全方向観察を可能にするために、光学プローブ92の遠位先端も回転するように、コイル88が光学プローブ92に固定される。光学プローブ92は、近位端にファイバーコネクターを有し、遠位端にダブルクラッドファイバー及びレンズを有する。ファイバーコネクターは、PIU14と接続される。
【0037】
このセクションでは、測定ワークフローを詳述する。イメージングシステム10の電源が入れられ、アプリケーションソフトウェアが起動されると、イメージングシステム10はアイドル状態となり、カテーテル16の接続まで待機する。アイドル状態の間、PIU14のモーター74、80は作動しないので、電力供給モジュール26のモーター電圧出力のモニタリングされている電流は、所定の閾値電流66を超えることはない。
【0038】
ユーザーがカテーテル16をPIU16に接続すると、システム10は、回転モーター74が回転していない間にモーター駆動リニアステージ80を並進させることにより、自動的にカテーテル16を光学的かつ機械的に係合させる。係合プロセスにかかる時間が37秒を超えることはない。回転モーター74が静止状態にあるので、モーター電圧出力の電流が所定の閾値66を超えることはない。モーター電圧が所定の閾値66を超えたとしても、係合プロセス時間は所定の時間70よりも短いので、電力供給モジュール26の過電流チップのタイマー64はリセットされることになる(68)。
【0039】
カテーテル16が係合すると、システム10はスタンバイモードになる。このモードでは、回転モーター74と並進モーター80は両方とも静止しており、電力供給モジュール26のモーター電圧出力の電流は所定の閾値66に満たない。
【0040】
ライブビュー画像(リアルタイム画像)状態では、カテーテル16は直線運動をせずに回転しており、並進モーター80は、ユーザーの応答後に作動され得る。並進モーター80が静止状態にあるので、この状態においてモーター電圧出力の電流が所定の閾値66を超えることはない。
【0041】
最後に、プルバックイメージング状態にて、カテーテル16が腔の画像を記録する。このイメージングモードでは、回転モーター74と並進モーター80が両方とも作動するので、モーター電圧出力の電流は、所定の閾値66を超えることになる。ただし、プルバックイメージング時間が所定時間の37秒よりも短いので、電力供給モジュール26の過電流チップのタイマー64はリセットされることになる(68)。
【0042】
本明細書で使用される時間(T)、電圧(V)、電流(I)の関係は、以下のように表される:V*I*T<900J、式中、Vは電源からの供給電圧である。
【0043】
この関係を念頭に置くと、時間が60秒以下になる場合、第1の閾値電流制限は、A*900/V/60=15*A/V以下であり(式中、Aは0.5~1.0である)、第2の閾値電流制限は、900/V/60=15/V以下である。
【0044】
時間が30~60秒である場合、第1の閾値電流制限はA*900/V/T以下であり(式中、Aは0.5~1.0である)、第2の閾値電流制限は900/V/T以下である。よって、IECによって設定されたパラメーターを満たす。
【0045】
要約すると、システム10(より具体的にはPIU14)は、所定の電力と時間の中で電力供給モジュール26のモーター電圧の電流を制限することによって、引火性のリスクを最低限に抑えることができる。本発明により、システム10は、システムパフォーマンスを妨げることなく、2種類の電力(電流、電圧)と時間閾値を使用して、IEC60601-1の引火性要件を満たすことができる。
【0046】
本開示は、例示の実施形態を参照して説明されたが、当然のことながら、本開示は、本明細書に提供されたサンプルの例示実施形態に限定されない。以下の特許請求の範囲は、そのような変更並びに均等の構造及び機能を全て包含するように、最も広い解釈が与えられるべきである。
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図1
【補正方法】変更
【補正の内容】
図1
【国際調査報告】