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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】引き戸用の懸吊アセンブリ
(51)【国際特許分類】
   E05D 15/06 20060101AFI20241219BHJP
   E05F 15/643 20150101ALI20241219BHJP
【FI】
E05D15/06 119
E05F15/643
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024534646
(86)(22)【出願日】2022-07-11
(85)【翻訳文提出日】2024-08-07
(86)【国際出願番号】 EP2022069253
(87)【国際公開番号】W WO2023110169
(87)【国際公開日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】70713/2021
(32)【優先日】2021-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CH
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524219164
【氏名又は名称】ギルゲン ドア システムズ アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ファウティ,アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】バプスト,ヤニック
【テーマコード(参考)】
2E034
2E052
【Fターム(参考)】
2E034AA00
2E034CA01
2E034DA01
2E034EA05
2E052AA02
2E052CA06
2E052DA02
2E052DB02
2E052EA15
2E052EB01
2E052EC02
2E052KA11
2E052KA15
(57)【要約】
本発明は、引き戸(1)の戸(3)用の懸吊アセンブリ(2)であって、懸吊パーツ(4)と、懸吊パーツ(4)に取り付けることができるコンポーネントパーツ(5)とを有している懸吊アセンブリ(2)に関する。懸吊パーツ(4)は、戸(3)を吊り下げるために用いられ、これにより、戸(3)は、戸に取り付けられたキャリッジ(7)を介して懸吊パーツ(4)の走行面(44)に可動に支持される。コンポーネントパーツ(5)は、駆動モータ(61)及び/又は別のコンポーネントを保持するために用いられる。懸吊パーツ(4)は、上側支持要素(48)と下側支持要素(47)とを有しており、コンポーネントパーツ(5)は、引掛け要素(52)を有しており、引掛け要素(52)が下部を第1の支持点(S1)において下側支持要素(47)により支持され、且つ上部を第2の支持点(S2)において上側支持要素(48)により支持されるように、引掛け要素(52)を介して、コンポーネントパーツ(5)は懸吊パーツ(4)に引掛けられ、第1の支持点(S1)は、第2の支持点(S2)と、コンポーネントパーツ(5)の重心(SP)との間に、これらに対して離間されて配置されている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
引き戸(1)の少なくとも1枚の戸(3)用の懸吊アセンブリ(2)であって、
走行面(44)を有するとともに、前記戸(3)に取り付けられたキャリッジ(7)を介して前記走行面(44)に支持され且つ前記走行面(44)に沿って転動又は滑動するように変位可能な前記キャリッジ(7)と連動するように、少なくとも一枚の前記戸(3)を懸吊するために用いられる、懸吊パーツ(4)と、
前記懸吊パーツ(4)に取り付けられた又は取付け可能であるとともに、駆動モータ(61)及び/又は別のコンポーネントを保持するために用いられる、コンポーネントパーツ(4)と
を含み、
前記懸吊パーツ(4)は、少なくとも1つの下側支持要素(47)と、少なくとも1つの上側支持要素(48)とを含み、
前記コンポーネントパーツ(5)は、少なくとも1つの引掛け要素(52)を含み、前記引掛け要素(52)が下方に対して第1の支持点(S1)において前記下側支持要素(47)により支持され、且つ上方に対して第2の支持点(S2)において前記上側支持要素(48)により支持されるように、前記引掛け要素(52)を介して、前記コンポーネントパーツ(5)は前記懸吊パーツ(4)に引掛けられ、前記第1の支持点(S1)は、前記第2の支持点(S2)と、前記コンポーネントパーツ(5)に取り付けられたコンポーネントを含む前記コンポーネントパーツ(5)の重心(SP)との間に離間されて配置されていることを特徴とする、懸吊アセンブリ(2)。
【請求項2】
前記懸吊パーツ(4)及び/又は前記コンポーネントパーツ(5)は、プロファイルレールとして設計されている、請求項1に記載の懸吊アセンブリ(2)。
【請求項3】
前記上側支持要素(48)は、また好ましくは前記下側支持要素(47)も同様に、前記懸吊アセンブリ(2)が使用目的に応じて組み立てられる場合、前記走行面(44)よりも上方に配置される、請求項1又は2に記載の懸吊アセンブリ(2)。
【請求項4】
前記コンポーネントパーツ(5)は、前記戸(3)に取り付けられたカウンタプレッシャ要素、特に前記戸(3)に取り付けられたカウンタプレッシャローラ(73)と接触するように機能する、カウンタ走行面(53)を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の懸吊アセンブリ(2)。
【請求項5】
前記懸吊パーツ(4)は、前記懸吊アセンブリ(2)が使用目的に応じて組み立てられる場合、前記下側支持要素(47)でもって、前記コンポーネントパーツ(5)の方向に外側に向かって、特に前記コンポーネントパーツ(5)の方向に外側に向かって前記第1の支持点(S1)まで、前記走行面(44)ほどには延びていないか、又は前記走行面(44)とせいぜい同程度に延びている、請求項1~4のいずれか1項に記載の懸吊アセンブリ(2)。
【請求項6】
前記コンポーネントパーツ(5)を前記懸吊パーツ(4)に固定するための固定要素(55)をさらに含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の懸吊アセンブリ(2)。
【請求項7】
前記固定要素(55)は、前記懸吊パーツ(4)と前記コンポーネントパーツ(5)との間に配置されるとともに前記懸吊パーツ(4)と前記コンポーネントパーツ(5)とを互いに緊締するように設計された、少なくとも1つの緊締要素である、請求項6に記載の懸吊アセンブリ(2)。
【請求項8】
前記緊締要素は、少なくとも1つの偏心走行面を有しており、前記偏心走行面は、前記緊締要素を回転させることにより、前記懸吊パーツ(4)及び/又は前記コンポーネントパーツ(5)に徐々に押付けられることが可能である、請求項7に記載の懸吊アセンブリ(2)。
【請求項9】
前記緊締要素は、回転により、前記懸吊パーツ(4)と前記コンポーネントパーツ(5)とに同時に押付けることができる、請求項7又は8記載の懸吊アセンブリ(2)。
【請求項10】
前記緊締要素は、前記懸吊パーツ(4)のグルーブ及び/又は前記コンポーネントパーツ(5)のグルーブに保持される、グルーブブロックである、請求項7~9のいずれか1項に記載の懸吊アセンブリ(2)。
【請求項11】
前記懸吊アセンブリ(2)が使用目的に応じて組み立てられる場合、前記第2の支持点(S2)は、前記第1の支持点(S1)と同じ高さに、又は前記第1の支持点(S1)よりも下に配置されている、請求項1~10のいずれか1項に記載の懸吊アセンブリ(2)。
【請求項12】
前記懸吊アセンブリ(2)が使用目的に応じて組み立てられる場合、前記下側支持要素(47)は、前記コンポーネントパーツ(5)の方向にやや斜め上向きになるように延びている、請求項1~11のいずれか1項に記載の懸吊アセンブリ(2)。
【請求項13】
前記引掛け要素(52)及び前記上側支持要素(48)はそれぞれ、フックを形成しており、前記懸吊アセンブリ(2)が使用目的に応じて組み立てられる場合、前記フックは、前記懸吊パーツ(4)と前記コンポーネントパーツ(5)との間の結合を確実にするように互いにフック状に係合するように設計されている、請求項1~12のいずれか1項に記載の懸吊アセンブリ(2)。
【請求項14】
少なくとも1枚の戸(3)と、前記戸(3)を壁(W)に吊り下げるための、請求項1~13のいずれか1項に記載の懸吊アセンブリ(2)とを有する引き戸(1)。
【請求項15】
好ましくは請求項1~14のいずれか1項に記載のように設計されるとともに、走行面(44)を有する懸吊パーツ(4)とコンポーネントパーツ(5)とを含む、懸吊アセンブリ(2)を備えた引き戸(1)の組み立て方法であって、
-前記懸吊パーツ(4)を壁(W)に取り付けることと、
-戸(3)に取り付けられたキャリッジ(7)が前記走行面(44)に支持されるように、前記懸吊パーツ(4)に前記戸(3)を吊り下げることと
を少なくとも含み、
前記懸吊パーツ(4)は、少なくとも1つの下側支持要素(47)と、少なくとも1つの上側支持要素(48)とを含み、
前記コンポーネントパーツ(5)は、少なくとも1つの引掛け要素(52)を含み、前記戸(3)を前記懸吊パーツ(4)に吊り下げてから、前記引掛け要素(52)が下方に対して第1の支持点(S1)において前記下側支持要素(47)により支持され、且つ上方に対して第2の支持点(S2)において前記上側支持要素(48)により支持されているように、前記引掛け要素(52)を介して、前記コンポーネントパーツ(5)を前記懸吊パーツ(4)に引掛け、前記第1の支持点(S1)は、前記第2の支持点(S2)と、前記コンポーネントパーツ(5)に取り付けられたコンポーネントを含む前記コンポーネントパーツ(5)の重心(SP)との間に離間されて配置されているようにすることを特徴とする、方法。
【請求項16】
前記懸吊パーツ(4)に前記コンポーネントパーツ(5)を引掛ける前に、駆動モータ(61)及び/又は別のコンポーネントを前記コンポーネントパーツ(5)に取り付ける、請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記懸吊パーツ(4)に前記コンポーネントパーツ(5)を引掛けた後に、前記コンポーネントパーツ(5)に取り付けられた駆動モータ(16)を、力伝達要素を介して前記戸(3)に接続する、請求項15又は16記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、引き戸の少なくとも1枚の戸用の懸吊アセンブリ、この形式の懸吊アセンブリを有する引き戸、及び懸吊アセンブリを有する引き戸の組み立て方法に関する。
【背景技術】
【0002】
少なくとも1枚、しばしば2枚の変位可能な戸を有する引き戸は、長らく知られている。1枚又は複数の戸は、ほとんどの場合、通路方向に対して垂直に変位することができ、これにより、例えば建物の壁面開口を通る通路をそれぞれ解放又は閉鎖することができるようになっている。特に、1枚又は複数の戸を、開閉のために手動で変位させる必要がない代わりに、このことを駆動モータにより行う自動引き戸も知られている。いずれの場合も、引き戸の両側にプレゼンスセンサを設けることができ、これにより、引き戸に人が接近すると即座に引き戸の自動的な開放が開始されるようになっている。
【0003】
現在使用されている引き戸のほとんどにおいて、1枚又は複数の戸はいずれの場合も、例えば壁面開口の上方の壁に堅固に取り付けられるとともに、1枚又は複数の戸を吊り下げるために用いられる、プロファイルレールの形態の懸吊パーツに取り付けられている。1枚又は複数の戸の変位を可能にするために、懸吊パーツは通常、壁に沿って延びる水平な走行面を有しており、戸は、1つ又は複数のキャリッジにより当該走行面に支持されている。この場合、1つ又は複数のキャリッジは、典型的には戸の上側閉鎖縁部に取り付けられている。戸は、キャリッジに取り付けられたローラを介して、走行面に沿って開方向及び/又は閉方向に移動することができる。戸のガイドされた変位を達成するためのガイド手段が、ほとんどの場合、戸の下側閉鎖縁部に設けられている。ガイド手段は、例えば戸に取り付けられるとともに、床に設けられたガイドレール内に突出する、ガイドブロックであってよい。
【0004】
このように懸吊パーツは、1枚又は複数の引き戸と壁との間の接続部を形成している。引き戸が自動引き戸である場合、引き戸は追加的に駆動モータを有しており、典型的には駆動モータは、上側閉鎖縁部の領域において定置であるとともに、例えば、前記1つ又は複数のキャリッジを駆動するために、回転ベルトを介して1つ又は複数のキャリッジに接続されるように、配置されている。駆動モータ及び/又は別の機能コンポーネント、例えば制御ユニット等を固定するために、引き戸はほとんどの場合、1枚又は複数の戸の上方の壁又は懸吊パーツに取り付けられる、コンポーネントパーツを有している。組立て及び製造を簡単にするために、コンポーネントパーツは、従来技術では懸吊パーツに取り付けられることが多い。
【0005】
例えば1つの成形材が懸吊パーツとコンポーネントパーツとを形成している、懸吊パーツとコンポーネントパーツとの共通一体設計は、典型的には特に組立ての点で不都合である。結果として、壁面に固定される設備が、より重くなる。さらに、追加的な所要スペースを必要とするため、コンポーネントパーツは、引き戸を吊り下げることをより困難にするか、又はさもなければ引き戸を吊り下げる見込みのコンポーネントパーツのこの設計の実施形態において妥協しなければならない。さらに、懸吊パーツとコンポーネントパーツの2パーツ態様は、結果としてアセンブリをモジュール式にすることができる、という利点を有しており、このことは、例えば以前は手動で操作された引き戸に駆動モータを後付けすることを潜在的に可能にする。
【0006】
有効スペースのために、及び駆動ベルトと1つ又は複数のキャリッジとの間の簡単な接続を可能にするために、多くの引き戸におけるコンポーネントパーツは、当該コンポーネントパーツに保持された駆動モータやその他のコンポーネントが1つ又は複数のキャリッジの外側に位置するように配置及び設計されている。つまりこの場合、1つ又は複数のキャリッジは、壁と駆動モータとの間に配置されている。
【0007】
例えば、特許文献1に示された引き戸用のプロファイルサスペンションでは、ローラが第1のプロファイルの走行面に支持され、リニアモータが第2のプロファイルの領域に配置されている。第2のプロファイルは、接続要素を介して第1のプロファイルに取り付けられている。
【0008】
特許文献2は、壁に固定されるとともに別のプロファイルがねじ締結されたベースプロファイルを有するサスペンションアセンブリを開示しており、別のプロファイルは、一方では引き戸のキャリッジ用の走行面を形成するとともに他方ではリニアドライブを収容するために用いられる。
【0009】
特許文献3は、壁への接続を確立する支持プロファイルが、キャリッジのローラ用の走行面を形成する引き戸アセンブリを開示している。駆動モータを支持するコンポーネントパーツは、支持プロファイルにねじ締結されている。
【0010】
特許文献4には、引き戸アセンブリのキャリッジ及び別のコンポーネントを取り付けるための、3パーツプロファイルが開示されている。いわゆるトランサムプロファイルは、壁への接続部として機能するとともに、キャリッジのローラ用の支持面として機能する。キャリッジに取り付けられた支持ローラも同様に、トランサムプロファイルに支持されている。トランサムプロファイルには閉鎖プロファイルが留められており、当該閉鎖プロファイルも同様に、閉鎖プロファイルに取り付けられた仕上げプロファイルを有している。3プロファイルパーツは、モータ及び別のコンポーネントを収容するために用いられる内部を形成している。この場合、モータは保持板を介してトランサムプロファイルに固定されている。
【0011】
従来技術の引き戸用の懸吊アセンブリは、製造、特に組立ての点で比較的複雑である。コンポーネントパーツを駆動モータ及び別のコンポーネントと共に取り付けることには、特に戸の上方の位置のために、技術者にとって困難で手間がかかることが多い。
【0012】
戸が通過方向に枢動することを防ぐように戸を上部に対して支持するカウンタプレッシャ要素、例えばカウンタローラ等がキャリッジに設けられていると、組立てはさらに妨げられる。この場合、戸を1つ又は複数のキャリッジと共に、懸吊パーツに正確に、操作用の小さな余裕をもたせて組み込まなければならず、このことは、通常、戸の重量が重いため、技術者にとって困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】スペイン国特許出願公開第2401861号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第102007041360号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第3176354号明細書
【特許文献4】国際公開第99/40284号
【発明の概要】
【0014】
本発明の目的は、製造及び組立ての点で容易な、引き戸の少なくとも1枚の戸用の懸吊アセンブリを規定することにある。
【0015】
この目的を達成するために、請求項1記載の懸吊アセンブリを提案する。さらに、このような懸吊アセンブリを有する引き戸が、請求項14に記載されている。さらに本発明は、請求項15記載の、懸吊装置を有する引き戸の組み立て方法に関する。その他の実施形態は、従属請求項に記載されている。
【0016】
以下では、例えば上部、下部、鉛直方向、水平方向、上方、下方等の位置及び方向に関する表示は、いずれの場合も、引き戸、特に、意図した使用に応じて壁に組み立てられた懸吊アセンブリを指すものとする。この場合、懸吊アセンブリは通常、重力の方向に関して1枚又は複数の戸の上方に配置されている。
【0017】
したがって本発明は、引き戸の少なくとも1枚の戸用の懸吊アセンブリであって、
走行面を有するとともに、戸に取り付けられたキャリッジを介して走行面に支持され且つ走行面に沿って転動または滑動するように変位可能なキャリッジと連動するように、少なくとも1枚の戸を懸吊するために用いられる、懸吊パーツと、
懸吊パーツに取り付けられた又は取付け可能であるとともに、駆動モータ及び/又は別のコンポーネントを保持するために用いられる、コンポーネントパーツと
を含む、懸吊アセンブリを使用可能にする。
【0018】
懸吊パーツは、少なくとも1つの下側支持要素と、少なくとも1つの上側支持要素とを含む。コンポーネントパーツは、少なくとも1つの引掛け要素を含み、引掛け要素が下方に対して第1の支持点において下側支持要素により支持され、且つ上方に対して第2の支持点において上側支持要素により支持されるように、引掛け要素を介して、コンポーネントパーツは懸吊パーツに引掛けられ、第1の支持点は、第2の支持点と、コンポーネントパーツに取り付けられたコンポーネントを含むコンポーネントパーツの重心との間に離間されて配置されている。
【0019】
コンポーネントパーツを、上述のように懸吊パーツに引掛けることができるという点で、引き戸、特に懸吊アセンブリの組立てが大幅に簡単にされている。技術者は、最初に懸吊パーツを壁に固定し、次いで1枚又は複数の戸を前記懸吊パーツに吊り下げ、最後に好ましくはコンポーネントパーツに取り付けられたコンポーネントを含むコンポーネントパーツを懸吊パーツに引掛けることができる。下側支持要素及び上側支持要素に基づき、並びに引掛け要素が両方の支持点において支持されているという事実に基づき、引掛けを特にシンプルに行うことができるようになっており、これにより、コンポーネントパーツの位置が、使用方法に応じて懸吊パーツに直接保持されている。技術者は、コンポーネントパーツの重量を支える必要がないと同時に、例えば、プロセスにおいてコンポーネントパーツと懸吊パーツとの間にねじ締結を確立する必要もなく、その代わりに、コンポーネントパーツをシンプルに懸吊パーツに引掛ければよい。安全上の理由から、コンポーネントパーツを、最後に追加的に、固定要素により懸吊パーツに固定することもできる。
【0020】
また、技術者のために組立てもシンプルにされている。なぜならば、戸を懸吊パーツに吊り下げる際に、駆動モータが取り付けられたコンポーネントパーツ及び/又は別のコンポーネントはまだ、懸吊パーツに取り付けられていなくてよいからである。その結果、懸吊パーツに1枚又は複数の戸を吊り下げるためのスペースの制約が少なくなっている。
【0021】
懸吊パーツは、1枚又は複数の戸を壁に接続し、特に吊り下げるために用いられる。これに関連して、壁は、例えば建物の、定置のコンポーネントであると理解される。この場合、懸吊パーツが固定される壁部は、典型的には引き戸、すなわち特に1枚の又は場合により複数の戸により閉鎖又は解放される通路開口を画定している。懸吊パーツを壁に固定するために、当該懸吊パーツは、例えば穴等の対応する固定手段を有していてよい。ただし、壁に対する懸吊パーツの固定は、例えば壁に固定されたアセンブリレールを介して間接的に行われてもよい。
【0022】
走行面は、戸に取り付けられたキャリッジが、走行面に支持されるように、好ましくは上に、すなわち、重力とは反対に延びる方向に向いている。したがって、戸の重量は、走行面を介して懸吊パーツにより、少なくとも部分的に、好ましくは少なくとも50%の範囲まで、より好ましくは少なくとも75%の範囲まで、最も好ましくは少なくとも90%の範囲まで吸収される。戸の残りの重量は、例えば床を介して、特に床に設けられたガイドレールを介して吸収され得る。1つ又は複数のキャリッジ、ただし好ましくは正確に2つのキャリッジが、戸に取り付けられていてよく、当該キャリッジは、走行面に支持されている。1つ又は複数のキャリッジの最適なガイドを可能にするために、走行面は、好ましくは上向き又は下向きに湾曲している、すなわち、凸状又は凹状に設計されている。この場合、キャリッジは、それぞれ、走行面に対して相補的な形状を有する、すなわち、凹状又は凸状に設計された1つ又は複数の走行要素を有している。1つ又は複数の走行要素は、好ましくはローラである。このようにして、戸の変位を特に小さな摩擦及び騒音で行うことができる。もちろん、1つ又は複数の走行要素が滑り要素として設計されており、変位に際してキャリッジが対応して走行面上を滑動することも可能である。
【0023】
コンポーネントパーツは、特に電気的及び/又は機械的なコンポーネントを懸吊アセンブリに取り付けるために用いられる。コンポーネントは、特にパワートレイン及び/又はドア制御ユニットのコンポーネントであってよい。パワートレインのコンポーネントは、特に1枚又は複数の戸を走行面に沿って自動的に変位させるために用いられる駆動モータであってよい。代替的又は追加的に、コンポーネントパーツに取り付けられるコンポーネントは、パワートレインのコンポーネント、又はさもなければギヤボックス、駆動ホイール、及び/又は例えば駆動ベルト等の力伝達要素であってもよい。コンポーネントパーツに取り付けられる制御ユニットは、例えば主電源ユニット、コンピュータユニット、記憶ユニット、1つ又は複数のセンサ、移動検出ユニット及び/又は、無線又は有線で外部装置と通信するための伝送ユニットを含んでいてもよい。1枚又は複数のドアを作動させるために必要な任意の別の機能ユニット、又はさもなければ、例えば閉鎖状態の1枚又は複数の戸をロックするためのロック装置、又は手動での緊急解錠用のボーデンケーブル等の必要な機能ユニットも、コンポーネントパーツに取り付けられてよい。このためにコンポーネントパーツは、例えば穴、背面係合要素、アセンブリレール等の対応する取付け要素を有しているのが好ましい。
【0024】
コンポーネントパーツ自体は、内部に又は背後に収容されたコンポーネント用のカバーを形成していてよいか、又は板金カバープレートの形態のカバー要素が取り付けられるような接続構造を有していてよい。
【0025】
コンポーネントパーツは、好ましくは駆動モータ及び/又は別のコンポーネントの重量の少なくとも50%を支持するように設計されている。より好ましくは、コンポーネントパーツは駆動モータ及び/又は別のコンポーネントの重量の少なくとも75%、最も好ましくはちょうど100%を支持するように設計されてさえいる。コンポーネントパーツは、さらに好ましくは、駆動モータ及び/又は別のコンポーネントがそれぞれのコンポーネントパーツの下面に取り付けられるように設計されている。
【0026】
1つの特に好ましい実施形態では、下側支持要素及び上側支持要素はそれぞれ、懸吊パーツからコンポーネントパーツに向かって突出した突起により形成されている。この場合、好ましくはコンポーネントパーツから懸吊パーツに向かって突出した突起により形成された引掛け要素が、コンポーネントパーツを懸吊パーツに引掛けるように、下側支持要素と上側支持要素との間にシンプルに挿入できるという利点がある。
【0027】
2つの支持点を介した引掛け要素の支持動作は、第1の支持点が支点を形成し、支点を中心として、コンポーネントパーツはその引掛け要素を介して回動可能であるという点で、物理的なてことみなすことができる。コンポーネントパーツに取り付けられたコンポーネントを含むコンポーネントパーツの重量は回転力をもたらすが、この回転力は、支点の反対側で第2の支持点において上側支持要素により妨げられる。これは、コンポーネント側の重量が上側支持要素により吸収され、その結果、力の平衡が確立され、コンポーネントパーツは安定的な位置にある、ということを意味する。
【0028】
第1の支持点は、好ましくは、第2の支持点と、コンポーネントパーツの重心とから離間されて配置されている。より好ましくは、第1の支持点はそれぞれ、第2の支持点と、コンポーネントパーツの重心とから水平方向に離間されて配置されている。重心は、コンポーネントパーツに取り付けられたコンポーネントを含むコンポーネントパーツ、例えば駆動モータ及び/又は他のコンポーネントの重量分布により規定される。
【0029】
1つの特に好ましい実施形態では、懸吊パーツはプロファイルレールとして設計されている。プロファイルレールは、特に全体が一体的であるように設計され得る。懸吊パーツの材料は、好ましくは金属であり、場合によってはプラスチック材料である。金属は、例えばアルミニウムであってよい。
【0030】
コンポーネントパーツも、好ましくはプロファイルレールとして設計されている。コンポーネントパーツも、特に全体が一体的であるように設計され得る。コンポーネントパーツの材料も、やはり好ましくは金属であり、場合によってはプラスチック材料である。この場合も、金属は例えばアルミニウムであってよい。
【0031】
懸吊パーツ及び/又はコンポーネントパーツをプロファイルレールとして製造することは、特にシンプルであり、費用対効果が高い。さらに、比較的軽量のプロファイルレールを製造することができる。
【0032】
上側支持要素は、また好ましくは下側支持要素も同様に、懸吊アセンブリが使用目的に応じて組み立てられる場合、好ましくは走行面よりも上方に配置される。その結果、コンポーネントパーツを走行面よりも上方で懸吊パーツに引掛けることができる。その結果、1枚又は複数の戸のために、変位経路を走行面に沿って空けたままにしておくことができる。
【0033】
懸吊パーツに吊り下げられた戸の、通路方向に沿った枢動を防ぐために、1つ又は複数のカウンタプレッシャ要素が、有利には当該戸に取り付けられている。1つ又は複数のカウンタプレッシャ要素は、特にキャリッジに設けられていてよい。1つ又は複数のカウンタプレッシャ要素は、特にカウンタプレッシャローラであってよく、カウンタプレッシャローラは、戸が変位すると、好ましくは懸吊アセンブリに設けられたカウンタ走行面上で転動する。したがってカウンタ走行面は、戸に取り付けられたカウンタプレッシャ要素、特に戸に取り付けられたカウンタプレッシャローラと接触するように機能する。
【0034】
いくつかの実施形態では、このカウンタ走行面は、コンポーネントパーツにより形成され得る。このことは、戸を懸吊パーツに吊り下げることが大幅に簡単になる、という利点を伴う。なぜならば、このためにはキャリッジの1つ又は複数の走行要素のみを走行面に配置すればよく、カウンタ走行面に対するカウンタプレッシャ要素の正しい位置決めを追加的に同時に考慮する必要がないからである。その結果、特にやや傾斜した位置、すなわち、通路方向に沿って枢動した位置でも、戸を懸吊パーツに吊り下げることができる。戸が吊り下げられると、もし当該戸が重力によって垂直方向に位置合わせされていなければ、重力に基づいて鉛直方向に位置合わせすることができる。次いで、コンポーネントパーツが引掛けられたとき、1つ又は複数のカウンタプレッシャ要素が、カウンタ走行面に接触することが好ましい。
【0035】
ただし別の実施形態では、カウンタ走行面は、代わりに、懸吊パーツにより形成されてもよい。このことは、結果として引き戸の作動中の騒音放出量が低減され得る、という利点を有している。
【0036】
カウンタ走行面は、好ましくは第1の支持点と、コンポーネントパーツの重心との間に配置されている。この形式のカウンタ走行面の1つの配置において、コンポーネントパーツを引掛けると、カウンタ走行面は典型的には1つ又は複数のカウンタプレッシャ要素に自動的に接触することになる。結果として、組立てがさらに容易になっている。
【0037】
懸吊アセンブリが使用目的に応じて組み立てられる場合、懸吊パーツは下側支持要素でもって、コンポーネントパーツの方向に外側に向かって、走行面ほどには延びていないか、又は走行面とせいぜい同程度に延びている。
【0038】
懸吊アセンブリが使用目的に応じて組み立てられる場合、懸吊パーツが下側支持要素でもって、コンポーネントパーツの方向に外側に向かって、走行面ほどには延びていないか、又は走行面とせいぜい同程度に延びていると、戸を懸吊パーツに吊り下げることが、技術者にとって特に簡単になる。すなわち、戸を懸吊パーツに取り付けるとき、懸吊パーツの走行面上に、例えば1つ又は複数のキャリッジを配置することにより、下側支持要素が、戸及び戸に任意に取り付けられたコンポーネントの邪魔をする恐れがない、又は大幅に低い度合いでしか邪魔をする恐れがない。この場合、懸吊パーツの、コンポーネントパーツが取り付けられる方に向いた側における走行面よりも上方のスペースが、典型的には空いており、懸吊パーツへの戸の吊下げが、特にシンプルである。場合によっては、走行面のすぐ下のスペースでさえ空いている。
【0039】
この場合、懸吊アセンブリが使用目的に応じて組み立てられると、下側支持要素の最外端部がコンポーネントパーツの方向に外側に向かって延びる場合、つまり通常は、外側に向かって水平方向に、走行面が、コンポーネントパーツの方を向いたその外周面でもって延びているのと同程度に延びている場合の走行面と同程度に、懸吊パーツは下側支持要素でもって、コンポーネントパーツの方向に外側に向かって延びている。懸吊アセンブリが使用目的に応じて組み立てられた場合、第1の支持点に生じる荷重の吸収に寄与しない懸吊パーツの部分は、典型的には下側支持要素に関連しているとは見なされない。使用目的に応じて懸吊アセンブリを組み立てられる場合、懸吊パーツは下側支持要路でもって、例えば特に、コンポーネントパーツの方向に外側に向かって第1の支持点まで、走行面ほどには延びていないか、又は走行面とせいぜい同程度に延びている。
【0040】
さらに懸吊アセンブリは、好ましくはコンポーネントパーツを懸吊パーツに固定するための固定要素を含む。固定要素は、例えば外部の機械的な影響により、懸吊パーツからコンポーネントパーツが外れることを防ぐために、例えば、コンポーネントパーツを貫通して懸吊パーツに例えば螺入されるか、又は、ナットにより懸吊パーツに固定される、1つ又は複数のねじであってよい。
【0041】
ただし1つの特に好ましい実施形態では、固定要素は、懸吊パーツとコンポーネントパーツとの間に配置されるとともに懸吊パーツとコンポーネント部分とを互いに緊締するように設計された、少なくとも1つの緊締要素である。したがって、緊締要素は、特に、例えば懸吊パーツとコンポーネントパーツとの互いに向かい合う2つの面の間に緊締され得、これにより、当該パーツは緊締要素により、互いに離されるように押される。これにより、有利には、懸吊パーツとコンポーネントパーツとは同様に別の場所において、好ましくは引掛け要素の領域において押し付けられ、その結果、互いに緊締されることになり、これにより、懸吊パーツとコンポーネントパーツとの間により強い結合が生ぜしめられる。懸吊パーツとコンポーネントパーツとの間に配置される緊締要素を使用することにより、コンポーネントパーツを懸吊パーツに特にシンプルに固定することができる。
【0042】
2つのコンポーネントを緊締するために、緊締要素は、懸吊パーツ及びコンポーネントパーツの、少なくとも1つの戸に向いた側、例えば典型的には下面に配置されるのが好ましい。コンポーネントパーツが懸吊パーツに引掛けられた後、緊締要素への良好なアクセス性により、結果として緊締を特に簡単に行うことができる。
【0043】
緊締要素は、好ましくは、少なくとも1つの偏心走行面を有しており、偏心走行面は、緊締要素を回転させることにより、懸吊パーツ及び/又はコンポーネントパーツに対して徐々に押付けられることが可能である。偏心走行面は、特にシンプルであるが効率的な緊締を可能にする。緊締要素は、有利には、緊締要素を回転させることにより懸吊パーツに徐々に押付けることができる第1の偏心走行面と、緊締要素を同じ方向に回転させることによりコンポーネントパーツに徐々に押付けることができる第2の偏心走行面とを有している。
【0044】
工具を用いて緊締要素の回転を容易にするために、当該緊締要素は、例えばアレンキー構造又はトルクス(登録商標)構造等の係合構造を有していてよい。
【0045】
緊締要素は、回転により、懸吊パーツとコンポーネントパーツとに同時に押付けることができるのが好ましい。その結果、緊締が特に効率的に実施され得る。
【0046】
1つの特に好ましい実施形態では、緊締要素は、懸吊パーツのグルーブ及び/又はコンポーネントパーツのグルーブに保持されるグルーブブロックである。少なくとも1つのグルーブは、グルーブブロックを力に関して小さな労力でグルーブに挿入することができるが、挿入後、当該グルーブブロックがまだ懸吊パーツとコンポーネントパーツとを互いに緊締していない場合でも、グルーブブロックがグルーブに確実に保持されるように寸法決めされているのが好ましい。
【0047】
懸吊アセンブリが使用目的に応じて組み立てられる場合、第2の支持点が、第1の支持点と同じ高さに、又は第1の支持点よりも下に配置されていると、コンポーネントパーツは特に安定的に懸吊パーツに吊り下げられる。
【0048】
懸吊アセンブリが使用目的に応じて組み立てられる場合、下側支持要素が、コンポーネントパーツの方向にやや斜め上向きになるように延びていると、コンポーネントパーツの引掛けが、技術者にとって特に容易になる。この場合、コンポーネントパーツを引掛けるために、技術者は引掛け要素を下側支持要素の上面に沿ってスライドさせることを簡単に可能にすることができ、これにより、組立てが簡単になる。
【0049】
引掛け要素及び上側支持要素はそれぞれ、フックを形成していることが好ましく、懸吊アセンブリが使用目的に応じて組み立てられている場合、懸吊パーツとコンポーネントパーツとの間の結合を確実にするように、これら2つのフックは互いにフック状に係合するように設計されている。互いにフック状に係合した結果、例えば不本意な機械的な影響等により、コンポーネントパーツが懸吊パーツから脱落することを防ぐことができる。
【0050】
本発明はさらに、少なくとも1枚の戸と、戸を壁に吊り下げるために上述の実施形態に基づき設計された懸吊アセンブリとを有する引き戸に関する。
【0051】
本発明はさらに、特に好ましくは上述のように設計され得る懸吊アセンブリを備えた引き戸の組み立て方法に関する。懸吊アセンブリは、走行面を有する少なくとも1つの懸吊パーツとコンポーネントパーツとを含み、本方法は少なくとも以下の、
-懸吊パーツを壁に取り付けることと、
-戸に取り付けられたキャリッジが走行面に支持されるように、懸吊パーツに戸を吊り下げることと
を含む。
【0052】
懸吊パーツは、少なくとも1つの下側支持要素と、少なくとも1つの上側支持要素とを含む。コンポーネントパーツは、少なくとも1つの引掛け要素を含み、戸を懸吊パーツに吊り下げてから、引掛け要素が下方に対して第1の支持点において下側支持要素により支持され、且つ上方に対して第2の支持点において上側支持要素により支持されているように、引掛け要素を介して、コンポーネントパーツを懸吊パーツに引掛け、この場合、第1の支持点は、第2の支持点と、コンポーネントパーツの重心との間に離間されて配置されている。
【0053】
戸が懸吊パーツに吊り下げられるときには、懸吊パーツは、好ましくは既に壁に取り付けられている。
【0054】
懸吊パーツにコンポーネントパーツを引掛ける前に、駆動モータ及び/又は別のコンポーネントがコンポーネントパーツに取り付けられているのが好ましい。ただし、駆動モータ及び/又は別のコンポーネントは、場合によりコンポーネントパーツが既に懸吊パーツに引掛けられている状態でのみ、コンポーネントパーツに取り付けられてもよい。
【0055】
懸吊パーツにコンポーネントパーツを引掛けた後に、コンポーネントパーツは、好ましくは固定要素により懸吊パーツに固定され、このことは例えば2つのパーツを互いにねじ締結することにより達成され得る。
【0056】
さらに、コンポーネントパーツが懸吊パーツに引掛けられた後、コンポーネントパーツに取り付けられた駆動モータが、例えば駆動ベルト等の力伝達要素を介して戸に接続されることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0057】
以下に本発明の好ましい実施形態を、図面を参照して説明する。図面は、説明を提供する目的で用いられるだけに過ぎず、限定的に解釈されるべきではない。
図1】本発明に基づく第1の実施形態による懸吊アセンブリを有する引き戸を正面視した概略図である。
図2図5に示す、壁に取り付けられた懸吊アセンブリの懸吊パーツを単体で示す側面図である。
図3図5に示す、壁に取り付けられた懸吊アセンブリの懸吊パーツを示す側面図であって、懸吊パーツは、この懸吊パーツに引掛けられたキャリッジを有している。
図4図5に示す懸吊アセンブリのコンポーネントパーツを単体で示す側面図であって、コンポーネントパーツは、このコンポーネントパーツに取り付けられた駆動装置を有している。
図5】壁に取り付けられて使用目的に応じて組み立てられ、懸吊パーツに掛けられたキャリッジとコンポーネントパーツに取り付けられた駆動装置とを有する、本発明による第1の実施形態に基づく懸吊アセンブリを示す側面図である。
図6】壁に取り付けられて使用目的に応じて組み立てられ、懸吊パーツに掛けられたキャリッジとコンポーネントパーツに取り付けられた駆動装置とを有する、本発明による第2の実施形態に基づく懸吊アセンブリを示す側面図である。
図7】壁に取り付けられた、本発明に基づく第3の実施形態による懸吊アセンブリの懸吊パーツを示す側面図である。
図8図7に示す、壁に取り付けられ、キャリッジが掛けられた懸吊パーツを示す側面図である。
図9】駆動装置が取り付けられた、本発明による第3の実施形態に基づくコンポーネントパーツを単体で示す側面図である。
図10】壁に取り付けられて使用目的に応じて組み立てられており、懸吊パーツに掛けられたキャリッジとコンポーネントパーツに取り付けられた駆動装置とを有する、本発明に基づく第3の実施形態による懸吊アセンブリを示す側面図である。
図11図10において破線で区切られた領域を示す拡大詳細図である。
図12】壁に取り付けられ、図9に示したコンポーネントパーツが引掛けられ、これにより緊締された、図7に示した懸吊パーツを斜め下から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0058】
図1図12には、引き戸1の、本発明による様々な懸吊アセンブリ2が示されている。それぞれ異なる実施形態の同一の又は機能的に同等の要素には、以下、いずれの場合も同一の参照符号が付されている。
【0059】
図1には、2枚戸の引き戸1が示されており、引き戸1は、意図する用途に従って組み立てられており、壁Wに設けられた通路開口を閉鎖するために2枚の戸3を有しており、これらの戸3は、矢印により示された閉鎖方向に沿って変位可能である。この場合、2枚の戸3は、これらの戸3の2つの主閉鎖縁部31が互いに支持し合うまで、互いに変位可能である。引き戸1を開けるために、2枚の戸3は互いに離反するように、矢印の方向とは反対の方向に変位可能である。この場合、閉鎖方向は、ドアの通過方向に対して垂直に延在している。いずれの場合も、引き戸1の閉鎖状態で戸3を互いに密閉するための密閉手段が主閉鎖縁部31に沿って設けられていてよい。
【0060】
戸3の変位を可能にするために、戸3は、懸吊アセンブリ2によって壁Wに変位可能に吊り下げられている。懸吊アセンブリ2は、通路開口の上方で定置になるように壁Wに取り付けられている。懸吊アセンブリ2は、水平方向に延びる長手方向延在長さを有しており、懸吊アセンブリ2は、長手方向において床Bに対して平行に延びており、当該床Bは、引き戸1により閉鎖される通路開口を、下部に対して画定している。
【0061】
戸3はそれぞれ、上側閉鎖縁部32を有している。上側閉鎖縁部32にはそれぞれ、図1には示されていないが図3及び図5に見られる1つ又は複数のキャリッジ7が取り付けられており、キャリッジ7は、各戸3を懸吊アセンブリ2に吊り下げるために用いられる。戸3の下側閉鎖縁部33はそれぞれ、直接、床Bに沿って延びている。戸3のガイドされた変位を達成するために、床Bに設けられた第2のガイド手段と相互作用する、戸3をガイドするための第1のガイド手段が、好ましくは下側閉鎖縁部33に設けられている。第1のガイド手段は、例えば、床Bに設けられるとともに上に向かって開いたガイドレールに係合する、1つ又は複数のガイドブロックであってよい。ガイドレールは、好ましくは床Bに埋設されている。
【0062】
次に、例えば図1に示す引き戸1に使用され得る、本発明による懸吊アセンブリ2の好ましい第1の実施形態を、図2図5を用いて説明する。ただし図2図5に示す懸吊アセンブリ2は、他の引き戸1、例えば、1枚戸の引き戸、又は3枚以上の変位可能な戸3を備えた引き戸にも使用され得る。
【0063】
懸吊アセンブリ2を壁Wに固定するために、懸吊アセンブリは、図2では壁Wに取り付けられた状態で単体で示された、懸吊パーツ4を有している。懸吊パーツ4は、この例示的な実施形態ではプロファイルレールであり、すなわち、懸吊パーツ4は、その長手方向延在長さ全体に沿った領域及び形状に関して均一の横断面を有している。懸吊パーツ4の断面は、プロファイルレールの前端部を示す図2において容易に看取され得る。
【0064】
図2において看取され得るように、懸吊パーツ4は、横断面図において鉛直方向に延びる壁部41を有しており、壁部41を介して、懸吊パーツ4は壁Wに支持されている。壁部41には、懸吊パーツ4を壁Wに固定するために、特に当該懸吊パーツ4を壁Wに据え付けるために、例えば背面係合要素が設けられた穴又は凹部等の固定手段が形成されている。
【0065】
壁部41から戸部42は、横断面図において壁部41の下端で、壁Wから通路方向前方に向かってほぼ垂直に延びている。戸部42は、1枚又は複数の戸3を保持する、特に吊り下げる働きをする。この目的のために、戸部42は、戸3に取り付けられた1つ又は複数のキャリッジ7を支持するのに役立つ支持要素43を形成する自由端部を有している。支持要素43は、ここでは走行面44を形成するカバー45により被覆されている。走行面44には、意図した使用に応じて組み立てられた状態の1つ又は複数のキャリッジ7が支持され、キャリッジ7が懸吊パーツ4の長手方向において走行面44に沿って変位可能であるように、走行面44はここでは上向きに凸状に湾曲している。
【0066】
例示的な本実施形態におけるように、凹部、ガイドレール、ねじ孔等が、密閉手段又はセンサ等の、引き戸の様々な構成要素を懸吊パーツ4に取り付けるために、戸部42の下側に形成され得る。
【0067】
コンポーネント部46は、図2に示す横断面図において壁部41の上端部から、壁Wから通路方向前方に向かって略垂直となるように、延びている。コンポーネント部46は、やや斜め上向きに延びるとともに下側支持要素47を形成する、自由端部を有している。図2において容易に看取され得るように、下側支持要素47は、走行面44よりも水平方向外側に延びてはいない。その結果、下側支持要素47が戸及び特に戸に取り付けられたキャリッジを妨害しないで、戸を走行面44に吊り下げるためのスペースが空くことになる。コンポーネント部46は、下側支持要素47が斜め上向きに延設される始点の上方に、壁Wに対して垂直に外側に向かって延びる突起の形態の上側支持要素48を形成している。ただし、上側支持要素48は、下側支持要素47よりも大幅に短くなるように設計されている。2つの支持要素47及び48はそれぞれ、それらの自由端部にフック状の終端部を有している。下側支持要素47では、フックは上向きに延びており、上側支持要素48では、フックは下向きに延びている。コンポーネント部46は、2つの支持要素47及び48を介して、駆動モータ61及び別の機械的又は電気的コンポーネントが取り付けられたコンポーネントパーツ5(図4及び図5参照)を保持するのに役立つ。
【0068】
コンポーネント部46、壁部41及び戸部42により、懸吊パーツ4は、断面視でC字状の設計を有している。
【0069】
図3には、図2に示したものと同じ、壁Wに取り付けられた懸吊パーツ4が示されているが、ただし懸吊パーツ4にはキャリッジ7が引掛けられている。キャリッジ7は、少なくとも1つのローラ72を含み、ローラ72を介して、キャリッジ7は懸吊パーツ4の走行面44に支持されている。ローラ72は、凹状に設計された径方向外面を有しており、径方向外面は、上向きに凸状に湾曲した走行面44に対して相補的に設計されている。これにより、キャリッジ7が走行面44に沿って変位する際にガイドされるようになっている。カバー45により、ただしこれは、別の実施形態では省かれてもよいが、走行面44上でのローラ72の転動は、特に低騒音式に行われる。カバー45は、好ましくはプラスチック材料から製造されている。
【0070】
1つ又は複数のローラ72は、キャリッジ7の主支持部75に取り付けられていて、主支持部75において自由に回転可能になっており、当該主支持部75は、断面において鉛直方向に延びている。主支持部75の下端部には、戸3を固定するために用いられる接続要素71が取り付けられている。接続要素71は通常、戸3の上側閉鎖縁部32に取り付けられる。説明上の理由から、戸3は図3及び図5には示されていない。主支持部75は、有利にはその高さが調節可能であり、これにより、ローラ72と接続要素71との間の間隔を、所定の範囲内で調節することができるようになっている。
【0071】
さらに、キャリッジ7の主支持部75には、カウンタプレッシャローラ73が回転自在に取り付けられている。カウンタプレッシャローラ73は、その機能については図5を参照して後述するが、主支持部75の、ローラ72と同じ側に配置されている。ただし、前記カウンタプレッシャローラ73は、図3において容易に看取され得るように、懸吊パーツ4からややオフセットされるように配置されている。さらにカウンタプレッシャローラ73は、主支持部75においてローラ72よりもやや高くなるように配置されている。
【0072】
主支持部75の、ローラ72とカウンタプレッシャローラ73とは反対に位置する側、つまり懸吊パーツ4とは反対側において、主支持部75にクリップ74が取り付けられており、当該クリップ74は、当該主支持部75から垂直に外側に向かって延びている。使用目的に応じて組み立てられた状態において、クリップ74は、戸3の変位が自動化するために、例えば駆動モータに接続された駆動ベルト等の力伝達要素と相互作用する。
【0073】
図4には、駆動装置6が取り付けられたコンポーネントパーツ5が示されている。図4は、プロファイルレールとして設計されたコンポーネントパーツ5の一方の端部面を示す側面図である。
【0074】
コンポーネントパーツ5は、懸吊アセンブリの組立て中にコンポーネントパーツ5を懸吊パーツ4に吊り下げるために機能する接続部51を有している。接続部51は、ほぼ水平方向に沿って延びており、使用目的に応じて組み立てられた状態では、懸吊部4に向かって延びている。当該接続部51は、やや斜め下向きに懸吊パーツ4に向かって延び、引掛け要素52を形成する自由端部を有している。引掛け要素52は、外端部においてフック状の終端部を形成しており、これにより、フックはやや上向きに延びている。さらに、接続部51は、その下面に、平坦なカウンタ走行面53を形成しており、カウンタ走行面53は、キャリッジ7に取り付けられたカウンタプレッシャローラ73と接触するとともに転動させる役割を果たす。
【0075】
接続部51は、懸吊パーツ4とは反対側において、水平方向に沿って外側に延びるアセンブリ部54に移行する。アセンブリ部54の下面には、例えば穴、背面係合要素、アセンブリレール等の様々な取付け要素が形成されている。これらの取付け要素は、懸吊アセンブリ2に、最も多様なコンポーネント、例えば特に駆動装置6を取り付けるために用いられる。ただし、例えば制御要素、センサ、主電源ユニット、移動検出ユニット及び/又は、無線又は有線で外部装置と通信するための伝送ユニット等の、任意の別のコンポーネントがアセンブリ部54に取り付けられてもよい。
【0076】
図4に示す駆動装置6は、駆動モータ61と、駆動モータ61に接続されたアングルギヤボックス62とを有している。駆動ベルト(図示せず)を駆動するために用いられる駆動ホイール63が、シャフトを介してギヤボックス62に取り付けられている。使用目的に応じて組み立てられた状態で、1つ又は複数のキャリッジ7に取り付けられたクリップ74それぞれは、上側閉鎖縁部32に沿って水平方向に延びる駆動ベルトの要素に支持されており、結果として、駆動ベルトの移動時に駆動ベルトにより連行され、その結果、引き戸1がそれぞれ開閉するようになっている。駆動装置6の全てのコンポーネントは、下からコンポーネントパーツ5のアセンブリ部54に取り付けられており、例えばアセンブリ部54にねじ締結されている。
【0077】
図5には、懸吊アセンブリ2が使用目的に応じて組立てられた状態が示されている。コンポーネントパーツ5は、その引掛け要素52を介して、壁Wのドア通路開口の上方に取り付けられた懸吊パーツ4のコンポーネント部46に引掛けられている。この場合、コンポーネントパーツ5の引掛け要素52は、下側支持要素47と上側支持要素48とにより形成された中間スペース内に突出している。下側支持要素47は、その自由端部に向かってやや上向きに延びており、引掛け要素52は、その自由端部に向かってやや下向きに延びているため、図5において看取され得るように、下側支持要素47と引掛け要素52は、引掛けられた状態において互いに平行に延びている。
【0078】
さらに図5において看取され得るように、コンポーネントパーツ4は引掛けられた状態において、一方では第1の支持点S1において下側支持要素47により下方から支持されており、他方では第2の支持点S2において上側支持要素48により上方から支持されている。コンポーネントパーツ4と、駆動モータ61と、別のコンポーネント、つまり特にギヤボックス62と駆動ホイール63と、を含むユニットの重心SPは、図5に示す位置にほぼ位置し、ひいては第1の支持点S1から水平方向に外側に向かって大幅に離間されている。このようにして、第1の支持点S1は、第2の支持点S2とコンポーネントパーツ5に取り付けられたコンポーネント61,62,63を含むコンポーネントパーツ5の重心SPとの間に、水平方向に沿って離間されて配置されている。
【0079】
したがってコンポーネントパーツ5は、第1の支持点S1において下側支持要素47により下方から支持されている。重力により、コンポーネントパーツ5は、重心SPにおいて床Bに向かって引っ張られる。しかし、床Bに向かって作用するこの力は、第1の支持点S1とは反対側に位置する側で、上側支持要素48により第2の支持点S2において吸収され、その結果、コンポーネントパーツ5は全体的に安定した位置を有することになる。
【0080】
コンポーネントパーツ5の引掛け要素52が、懸吊パーツのコンポーネント部46から不本意に抜けることは、上側支持要素48及び引掛け要素52の各自由端部に形成された、互いに引掛け合う2つのフックにより防止される。ただし、コンポーネントパーツ5が懸吊パーツ4に引掛けられると、安全上の理由から、2つの部品を固定要素により互いに固定することが望ましい。このために、コンポーネントパーツ5と懸吊パーツ4とは、特に、適切な位置において互いにねじ締結され得る。
【0081】
さらに図5において看取され得るように、キャリッジ7に取り付けられたカウンタプレッシャローラ72は、コンポーネントパーツ5の引掛け状態においてカウンタ走行面53のすぐ下に配置されているか、又はカウンタ走行面53に接触することさえある。その結果、キャリッジ7に取り付けられた戸3が通路方向に沿って枢動することが防止され得る。別の実施形態ではカウンタプレッシャ滑動要素として設計され得るカウンタプレッシャローラ72は、結果として、特に、引き戸1の完全に組み立てられた状態において戸3が懸吊パーツ4から外れる恐れがある、ということも防いでいる。
【0082】
図2図5に基づき設計された懸吊アセンブリを有する引き戸1を組み立てるための方法は、図2図5の順序から導かれる。
【0083】
第1のステップでは、懸吊パーツ4を通路開口の上方の壁Wに固定する(図2)。第2のステップでは、1枚又は複数の戸3を懸吊パーツ4に吊り下げる(図3)。このために、戸3に取り付けられた1つ又は複数のキャリッジ7を、当該キャリッジ7のローラ72を介して、懸吊パーツ4の走行面44上に配置する。この場合、懸吊パーツ4にコンポーネントパーツ5はまだ取り付けられておらず、この理由から、走行面44よりも上方のスペースが空いているため、懸吊パーツ4への1枚又は複数の戸3の懸吊が、特に簡単に行われる。懸吊中に、特にカウンタプレッシャローラ73の領域のスペースを利用することもできる。次いで、次のステップとして、駆動モータ61及び別のコンポーネント62,63が好ましくは既に取り付けられたコンポーネントパーツ5(図4)を、懸吊パーツ4に引掛ける(図5)。このためには、前方に引掛け要素52を備えたコンポーネントパーツ5が、コンポーネント部46の2つの支持要素47,48の間のスペースに簡単に導入されねばならない。このために、一方では引掛け要素52、他方では上側支持要素47の設計により、引掛け要素52を、下側支持要素47上に簡単に配置し、次いで下側支持要素47に沿って斜め下に向かって戻り止めまで進めることができるようになっている。その結果、コンポーネントパーツ5は安定的な位置で懸吊パーツ4に引掛けられた状態になる。安全上の理由から、次いで1つ又は複数の固定要素55を用いてコンポーネントパーツ5を懸吊パーツ4に固定することも望ましい。最後のステップとして、次いで駆動ベルトを駆動ホイール63に取り付け、これにより、駆動ホイール63を1つ又は複数のキャリッジ7のクリップ74に接続することができる。
【0084】
コンポーネントパーツ5は、懸吊パーツ4とは反対の方向を向いた外端部に、1つ又は複数の接続構造を有していてよく、これにより、例えば板金カバープレートの形態のカバー要素を取り付けることができるようになっている。板金カバープレート又はカバープレートは、組立て方法の終了時に、すなわち、駆動ホイール63が力伝達要素を介してクリップ74に接続された後に、コンポーネントパーツ5に取り付けることができる。
【0085】
図6には、別の実施形態に基づく懸吊アセンブリが示されているが、この懸吊アセンブリも本発明に基づくものである。図6に示す実施形態は、図2図5に示した実施形態と、懸吊パーツ4のコンポーネント部46及びコンポーネントパーツ5の接続部51の設計態様においてのみ、異なっている。
【0086】
図6に示す実施形態では、懸吊パーツ4のコンポーネント部46は、壁Wから外側に向かって垂直に延在する単純なウェブにより形成されており、その自由端部に、やや上向きに突出した突起を有しており、その結果、フック状の終端部を形成している。
【0087】
接続部51の引掛け要素52は、互いに平行に延びる2つの水平ウェブにより一体で形成されており、下側ウェブは、上側ウェブよりも懸吊パーツ4に向かってやや先に延びている。上側ウェブは、その自由端部にやや下向きに突出した突起を有しており、その結果、フック状の終端部を形成している。
【0088】
コンポーネントパーツ5を引掛けるため、図6に示すように、コンポーネント部46の水平方向に突出したウェブが、接続部51の引掛け要素52の2つの平行なウェブにより画定された中間スペース内に押し込まれるように、コンポーネントパーツ5が懸吊パーツ4に引掛けられる。コンポーネント部46により形成されたウェブの自由端部は、このプロセスにおいて、コンポーネントパーツ5を第1の支持点S1において下から支持している。同時に、そこからやや離れて、コンポーネント部46は、コンポーネントパーツ5を第2の支持点S2において上から支持している。このようにして、コンポーネント部46により形成されたウェブは、ここでは、(その自由端部の領域における)下側支持要素47と、(自由端部と壁部41との間の領域における)上側支持要素48とを同時に形成している。ただし、第1の支持点S1及び第2の支持点S2の位置並びに駆動モータ61及び駆動モータ61に取り付けられた別のコンポーネントを含むコンポーネントパーツ5の重心SPの位置は、図5に示した態様の場合と同様である。
【0089】
さらに図6には、コンポーネントパーツ5と懸吊パーツ4との間のねじナット締結手段の形態の固定要素55が示されている。
【0090】
図7図12には、本発明による懸吊アセンブリ2の別の実施形態が示されている。図7において看取され得るように、ここでは下側支持要素47は、コンポーネントパーツ5の方向に外側に向かってやや先に延びているが、依然として走行面44よりも先には延びていない。下側支持要素47はその自由端部の領域に、上向きのフックを形成しており、当該フックは、コンポーネントパーツ5とは反対側に、傾斜面を有している。この傾斜面は、アンダカットを形成している。図1図5に示した実施形態と比較して、下側支持要素47は、壁部41から水平方向に外側に向かってやや大きくさらに延びている、すなわちここでは、斜め上向きの下側支持要素47の傾斜は、それほど顕著ではない。その結果、下側支持要素47はその下面に、キャリッジ7の1つ又は複数のカウンタプレッシャローラ73を転動させるために機能するカウンタ走行面49を形成している。その他の点では、この懸吊パーツ4の上部の設計は、図2に示した懸吊パーツ4の上部の設計に極めて類似している。
【0091】
戸部42及び支持要素42を有する、図7に示す懸吊パーツ4の下部もまた、図2に示した懸吊パーツ4の下部と極めて類似するように設計されている。図2に示した実施形態と比較して、支持要素43ひいては走行面44は、やや上方により高くなるように配置されている。
【0092】
図8において看取され得るキャリッジ7は、図3に示したキャリッジ7と、特に、カウンタプレッシャローラ73がここではややさらに内側に、すなわちローラ72の方にオフセットされるように配置されている点で異なっている。その結果、カウンタプレッシャローラ73は、それぞれ、上述したように、ここではコンポーネントパーツ5の代わりに懸吊パーツ4により形成されたカウンタ走行面49に接触するか、又はカウンタ走行面49で転動する。コンポーネントパーツ5ではなく懸吊パーツ4におけるカウンタプレッシャローラ73の転動動作は、結果として騒音放出量が低減され得る、という利点を有している。
【0093】
図9に示すコンポーネントパーツ5は、図1図5に示した実施形態と、接続部51の領域においてのみ、異なっている。ここでは、接続部51は、水平方向に延びる引掛け要素52を有しており、懸吊パーツ4から離反する方に向いた側において傾斜面により画定された下側支持面を有している。アンダカットを形成しているこの傾斜面は、下側支持スペースから上部に向かって鋭角に延びている。
【0094】
図10には、使用目的に応じて組み立てられた懸吊アセンブリ2で、懸吊パーツ4に引掛けられるとともに固定された、コンポーネントパーツ5が示されている。コンポーネントパーツ5は、その引掛け要素52を介して懸吊パーツ4の下側支持要素47上に載置され、支持点S1において下から懸吊パーツ4の下側支持要素47により支持されている。図11の詳細図において看取され得るように、(この場合の)引掛け要素52及び/又は下側支持要素47はそれぞれ、例えば材料肉厚部の形態の、局所的な隆起部を支持点S1の領域に有していてよく、これにより、支持点S2の位置が規定される。引掛け要素52は、その自由端部を介して、上側支持要素48を下方から押し付け、上側支持要素48は別の支持点S2において引掛け要素52を上方から押し付けている、すなわち、コンポーネントパーツ5に取り付けられたコンポーネントを含むコンポーネントパーツ5の重量の一部を吸収している。さらに図10、特に図11において看取され得るように、ここでは、下側支持要素47と引掛け要素52とは、カウンタ走行面49の上方の領域において互いにフック状に係合している、すなわち、下側支持要素47と引掛け要素52とにより形成された2つの傾斜面が、互いに関わりあっている。
【0095】
懸吊パーツ4におけるコンポーネントパーツ5の固定は、図10図12を組み合わせて見た場合に看取され得る。このために、ここでは緩いグルーブブロックにより形成された1つ又は複数の固定要素55が用いられる。この場合、固定要素55はそれぞれ、コンポーネントパーツ5の下面において、懸吊パーツ4の下側支持要素47と、コンポーネントパーツ5の鉛直方向下向きに延びる面との間に、配置されている。したがって結果として、グルーブブロックは、懸吊パーツ4とコンポーネントパーツ5との間に配置されている。グルーブブロックをコンポーネントパーツ5の下面に配置することにより、戸3と駆動装置6と別のコンポーネントとが既に懸吊アセンブリに取り付けられている場合でさえも、技術者が当該グルーブブロックを懸吊アセンブリ2に取り付け、次いで、当該グルーブブロックを作動させて固定することが特に容易になる。
【0096】
グルーブブロックとして設計された、特に図12において容易に看取され得る固定要素55は、全体的に平坦な形状を有しており、その下面にトルクス(登録商標)構造の形態の係合構造を有している。トルクス(登録商標)構造は、工具を用いてグルーブブロックを回転させるために用いられ、グルーブブロックの回転軸を規定している。トルクス(登録商標)構造の代わりに、アレンキー構造、スロット構造又は任意の別の構造が設けられていてもよい。グルーブブロックはそれぞれ、グルーブブロックの対向面に配置された2つの偏心面を有している。工具を用いてグルーブブロックが回転させられると、偏心面はそれぞれ、懸吊パーツ4又はコンポーネントパーツ5にそれぞれ徐々に押し付けられ、その結果、引掛け要素52の傾斜面が下側支持要素47の傾斜面の方に徐々に引き寄せられる(図10参照)。このようにして、コンポーネントパーツ5と懸吊パーツ4とは、グルーブブロックにより極めてシンプル且つ効率的に緊締され得、その結果、当該コンポーネントパーツ5はその位置に関して固定されることになり、特に落下しないように固定されることになる。したがって、グルーブブロックは緊締要素を形成している。グルーブブロックによる固定は、特に、構造物の表面又は壁Wが平坦ではなく、これにより、組立て中に懸吊パーツ4の(小さな)変形が生じる恐れがある場合に、特に有利であることが証明されている。ねじとは異なり、グルーブブロックはさらに、グルーブブロックをプロファイルレール4,5に沿った任意の位置で、任意の数で使用することができる、という利点を有している。
【0097】
固定要素55又はグルーブブロックがまだ完全に締結されていないときに落下することを防止するために、グルーブブロックはそれぞれ、周方向において懸吊パーツ4及びコンポーネントパーツ5の水平保持ウェブに支持されている。グルーブが対応して寸法決めされている場合、このようにして、たとえ締め付けられていなくても、グルーブブロックを懸吊アセンブリ2に比較的しっかりと保持することさえできる。
【0098】
言うまでもなく、上記発明は、本実施形態に限定されるものではなく、多数の変化形が可能である。このように、懸吊パーツ及びコンポーネントパーツは、例えば、別の横断面形状を有していてもよく、必ずしもプロファイルレールとして設計される必要さえもない。駆動装置の代わりに、引き戸の別のコンポーネントがコンポーネントパーツに取り付けられていてもよい。この場合、駆動装置6は別の支持部に、又はさもなければ例えば懸吊パーツに直接に取り付けられていてよく、又は別の場所に、例えば下側閉鎖縁部33の領域に配置されていてもよい。多数の別の変化形が可能である。
【符号の説明】
【0099】
1 引き戸
2 懸吊アセンブリ
3 戸
31 主閉鎖縁部
32 上側閉鎖縁部
33 下側閉鎖縁部
4 懸吊パーツ
41 壁部
42 戸部
43 支持要素
44 走行面
45 カバー
46 コンポーネント部
47 下側支持要素
48 上側支持要素
49 カウンタ走行面
5 コンポーネントパーツ
51 接続部
52 引掛け要素
53 カウンタ走行面
54 アセンブリ部
55 固定要素
6 駆動装置
61 駆動モータ
62 ギヤボックス
63 駆動ホイール
7 キャリッジ
71 接続要素
72 ローラ
73 カウンタプレッシャローラ
74 クリップ
75 主支持部
S1 第1の支持点
S2 第2の支持点
SP 重心
W 壁
B 床
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【国際調査報告】