IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トタルエナジーズ・ワンテックの特許一覧

特表2024-546794ジエステルの調製方法及び得られたジエステル
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】ジエステルの調製方法及び得られたジエステル
(51)【国際特許分類】
   C07C 67/08 20060101AFI20241219BHJP
   C07C 69/003 20060101ALI20241219BHJP
   C07C 29/147 20060101ALI20241219BHJP
   C07C 31/20 20060101ALI20241219BHJP
   C10M 105/38 20060101ALI20241219BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20241219BHJP
   C07C 69/58 20060101ALN20241219BHJP
   C07C 69/28 20060101ALN20241219BHJP
   C10N 40/25 20060101ALN20241219BHJP
【FI】
C07C67/08
C07C69/003 B
C07C69/003 C
C07C29/147
C07C31/20 Z
C10M105/38 ZAB
A61K8/37
C07C69/58
C07C69/28
C10N40:25
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024534685
(86)(22)【出願日】2022-12-15
(85)【翻訳文提出日】2024-08-07
(86)【国際出願番号】 EP2022086078
(87)【国際公開番号】W WO2023111143
(87)【国際公開日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】2113737
(32)【優先日】2021-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522178393
【氏名又は名称】トタルエナジーズ・ワンテック
【氏名又は名称原語表記】TOTALENERGIES ONETECH
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クロゼ,デルフィン
(72)【発明者】
【氏名】リモージュ,アリス
【テーマコード(参考)】
4C083
4H006
4H104
【Fターム(参考)】
4C083AC391
4C083AC392
4C083BB11
4C083CC01
4C083FF01
4H006AA01
4H006AA02
4H006AA03
4H006AB12
4H006AB20
4H006AB60
4H006AC41
4H006AC48
4H006AD15
4H006BA52
4H006BA66
4H006BB11
4H006BB25
4H006BE22
4H006BN10
4H006FE11
4H006FG29
4H006KA06
4H006KC12
4H006KC14
4H104BA07A
4H104BB41A
4H104CB14A
4H104DA02A
4H104PA41
(57)【要約】
本発明は、少なくとも1種のジエステルを調製するための方法に関し、当該方法は、
a)アルコール官能基と、少なくとも1個のヒドロキシカルボン酸の酸官能基、又はヒドロキシカルボン酸とアルコールの少なくとも1個のエステルのエステル官能基とを変換する反応を行い、少なくとも1種のジオールを得ることであって、当該ヒドロキシカルボン酸が11~25個の炭素原子を有する、ことと、
b)2~24個の炭素原子を有する少なくとも1種の飽和又は不飽和酸でジオールをエステル化反応させ、少なくとも1種のジエステルを形成する、ことと、を含む。
本発明はまた、潤滑剤組成物中の基油としての、又は化粧品若しくは医薬組成物中の皮膚軟化剤としての、ジエステルの使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種のジエステルを調製するための方法であって、
a)少なくとも1種のヒドロキシカルボン酸の酸官能基、又はヒドロキシカルボン酸とアルコールとの少なくとも1種のエステルのエステル官能基をアルコール官能基に変換する反応を行い、少なくとも1種のジオールを得るステップであって、前記ヒドロキシカルボン酸が11~25個の炭素原子を有する、ステップと、
b)2~24個の炭素原子を有する少なくとも1種の飽和酸又は不飽和酸を介して前記ジオールをエステル化反応させ、少なくとも1種のジエステルを形成する、ステップと、を含み、
前記ジエステルが、式(4):
【化4】
を満たし、
式中、
及びRの炭素原子の合計数が、9~23個であるという条件で、
が、1~22個の炭素原子を有する直鎖若しくは分岐アルキル基、又は2~22個の炭素原子を有する直鎖若しくは分岐アルケニル基であり、
が、4~22個の炭素原子を有する二価直鎖又は分岐アルキル又はアルケニル基であり、
及びRが、それぞれ独立して、1~19個の炭素原子を有する一価直鎖若しくは分岐アルキル基、又は1~18個の炭素原子を有する一価直鎖若しくは分岐アルケニル基である、方法。
【請求項2】
ステップa)後及びステップb)前に、ステップa)後に得られたジオール組成物のジオール含有量を増加させるため、ステップa)後に得られた前記ジオール組成物を精製するステップa-bis)を更に含み、前記精製ステップa-bis)が、好ましくは前記ジオールの少なくとも1回の結晶化ステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップa)前に、次のステップa)で使用されるヒドロキシカルボン酸又はヒドロキシカルボン酸エステルの前記組成物中のヒドロキシカルボン酸又はヒドロキシカルボン酸エステルの前記含有量を増加させるため、前記ヒドロキシカルボン酸の組成物又は前記ヒドロキシカルボキシ酸エステルの組成物を予備精製するステップを更に含み、前記予備精製ステップが、好ましくは、前記ヒドロキシカルボン酸又は前記ヒドロキシカルボン酸エステルの少なくとも1回の結晶化ステップを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記ヒドロキシカルボン酸が、式(1)
【化1】
を満たし、
かつ/又は前記飽和酸若しくは前記不飽和酸が、式(2):
【化2】
を満たし、
式中、
及びRの炭素原子の合計数が、9~23個の炭素原子、好ましくは9~20個の炭素原子、より好ましくは10~18個の炭素原子の範囲であるという条件で、
が、1~22個の炭素原子、好ましくは3~18個の炭素原子、より好ましくは5~12個の炭素原子を有する直鎖又は分岐アルキル又はアルケニル基であり、
が、4~22個の炭素原子、好ましくは8~18個の炭素原子を有する二価直鎖又は分岐アルキル又はアルケニル基であり、
が、1~19個の炭素原子を有する一価直鎖又は分岐アルキル基であり、好ましくは2~17個の炭素原子を有する直鎖又は分岐アルキルであり、有利には4~12個の炭素原子を有する直鎖アルキルである、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記ジオールが、式(3):
【化3】
を満たし、前記ジエステルが、
【化4】
を満たし、
式中、
及びRの炭素原子の合計数が、9~20個の炭素原子、より好ましくは10~18個の炭素原子の範囲であるという条件で、
が、3~18個の炭素原子、より好ましくは5~12個の炭素原子を有するアルキル又はアルケニル基であり、
が、8~18個の炭素原子を有する二価アルキル又はアルケニル基であり、
及びRが、それぞれ独立して、2~17個の炭素原子を有する一価直鎖又は分岐アルキル又はアルケニル基であり、有利には、2~12個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニルである、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
飽和酸又は不飽和酸の混合物が、ステップb)で使用され、好ましくは飽和酸の混合物が使用される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
式(4)
【化4】
の少なくとも1種のジエステルを含むジエステルの組成物であって、
式中、
及びRの炭素原子の合計数が、9~23個の炭素原子、好ましくは9~20個の炭素原子、より好ましくは10~18個の炭素原子の範囲であるという条件で、
が、1~22個の炭素原子を有する直鎖若しくは分岐アルキル基、又は2~22個の炭素原子を有する直鎖若しくは分岐アルケニル基であり、好ましくは3~18個の炭素原子、より好ましくは5~12個の炭素原子を有するアルキル又はアルケニル基であり、
が、4~22個の炭素原子、より好ましくは8~18個の炭素原子を有する二価直鎖又は分岐アルキル又はアルケニル基であり、
及びRが、それぞれ独立して、1~19個の炭素原子を有する一価直鎖若しくは分岐アルキル基、又は1~18個の炭素原子を有する一価直鎖若しくは分岐アルケニル基であり、好ましくは2~17個の炭素原子を有する直鎖又は分岐アルキル又はアルケニルであり、有利には2~12個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニルであり、
前記ジエステルの組成物が、ジエステルの前記組成物の総重量に対して、少なくとも70重量%の、R基及びR基によってのみ互いに異なる式(4)のジエステルを含む、ジエステルの組成物。
【請求項8】
請求項1~6のいずれか一項に記載の方法を用いて得られる、請求項7に記載のジエステルの組成物。
【請求項9】
前記組成物の総重量に対して、式(4)を満たす少なくとも70重量%の単一ジエステルを含み、好ましくは式(4)を満たす少なくとも80重量%の単一ジエステル、好ましくは式(4)を満たす少なくとも90重量%の単一ジエステルを含む、請求項7又は8に記載の組成物。
【請求項10】
及びRが、それぞれ独立して、1~19個の炭素原子を有する一価直鎖若しくは分岐アルキル基、又は12~17個の炭素原子を有する一価直鎖若しくは分岐アルケニル基である、請求項7~9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
潤滑剤組成物中の基油としての、又は化粧品若しくは医薬組成物中の皮膚軟化剤としての、請求項7~9のいずれか一項に記載のジエステルの組成物の使用。
【請求項12】
請求項7~9のいずれか一項に記載のジエステルの組成物と、
(i)前記ジエステルとは異なる少なくとも1種の基油、及び/又は
(ii)前記ジエステルとは異なる少なくとも1種の添加剤と、を含む、潤滑剤組成物。
【請求項13】
前記ジエステルの組成物が、式(4)(式中、R及びRが、それぞれ独立して、1~19個の炭素原子を有する一価直鎖又は分岐アルキル基であり、好ましくは、2~17個の炭素原子を有する直鎖又は分岐アルキルであり、有利には、2~12個の炭素原子を有する直鎖アルキルである)の少なくとも1種のジエステルを含む、請求項12に記載の潤滑剤組成物。
【請求項14】
(i)請求項7~9のいずれか一項に記載のジエステルの組成物と、(ii)少なくとも1種の油脂及び/又は(iii)少なくとも1種の化粧品添加剤と、を含む、化粧品組成物又は医薬組成物。
【請求項15】
前記ジエステルの組成物が、式(4)(式中、R及びRが、それぞれ独立して、1~18個の炭素原子、好ましくは2~17個の炭素原子、より好ましくは12~17個の炭素原子を有する一価直鎖又は分岐アルケニル基である)の少なくとも1種のジエステルを含む、請求項14に記載の化粧品組成物又は医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広く入手しやすい原料から出発し、実施が容易である方法を用いてジエステルを調製する方法に関する。
【0002】
本発明はまた、本発明の方法で得ることが可能であるジエステル、及び潤滑剤組成物中の基油としてのその使用に関する。本発明のジエステル組成物はまた、化粧品組成物又は医薬組成物で使用されることができる。本発明はまた、化粧品組成物又は医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
潤滑剤組成物は、潤滑剤とも呼ばれ、可動部品表面間の摩擦を低下させるために広く使用されており、それによって摩耗を低減し、こうした部品の表面変質を防止する。潤滑剤は、典型的には基油と1種以上の機能性添加剤を含む。
【0004】
使用中に潤滑剤組成物が高い応力(すなわち、高い圧力)を受けると、炭化水素から構成される基油を有するこれらの潤滑剤組成物が劣化する傾向があり、部品への損傷を引き起こす。
【0005】
潤滑剤製造業者は、エンジンの清浄度を維持し、かつ排気放出物を削減しながらも、燃費の観点から増加している要件を満たすためにその配合を常に改善しなければならない。これらの要件によって、製造業者は潤滑剤の配合能力を調査し、かつ/又は性能要件を満たすことが可能である新規基油を研究しなければならない。
【0006】
エンジンオイル、トランスミッションフルード、ギアオイル、工業用潤滑油、金属加工油などの潤滑剤の製造については、出発生成物は、典型的には、製油所によって作成された潤滑剤グレードの石油起源の油、又は好適な重合石油化学流体である。添加剤は、潤滑力、耐摩耗性及び耐腐食性の増加、熱及び/又は酸化に対する潤滑剤の耐性などの特性並びに性能を改善するため、こうした基油に添加される。したがって、酸化防止剤、腐食防止剤、分散剤、消泡剤、金属不活性化剤などの様々な添加剤、及び潤滑剤配合物に使用可能であるその他の添加剤は、従来の有効量で添加され得る。
【0007】
環境に対する懸念及び規制は、企業経営者が石油(化石)源の供給源に代わる代替品の発見を余儀無くされていることを意味している。植物又は動物起源の油は、基油については興味深い供給源であることが示されている。特に、こうした植物又は動物起源の油は、従来のプロセスを介して酸又はエステルに変換されることが可能である。
【0008】
基油のAPI分類では、エステルはグループVの基油として参照されている。合成エステルは、オイルベースとして、及び潤滑剤添加剤としての両方で使用されることができる。コスト的には安価であるが環境にとって安全性が低い鉱油と比較すると、合成エステルは特に、粘度/温度挙動が厳しい要件を満たさなければならない場合に基油として使用されてきた。環境受容性及び生分解性の更に一段重要な問題によって、潤滑剤用途における原料としての鉱油に代わる代替品を見つけたいという要求が高まっている。
【0009】
化粧品、皮膚科学、更に医薬品市場はみな、製品の配合用に生物起源の成分を探し求めている。近年、バイオソースの活性物質、乳化剤及び植物油が大幅に発展し、これらは今や市場で幅広く利用可能であるものの、100%生物系起源の皮膚軟化剤は依然として少数に留まっている。
【0010】
化粧品で現在使用される皮膚軟化剤は、石油化学産業由来のイソパラフィン(主にイソドデカン及びイソヘキサデカン)、ホワイトオイル、シリコーン油、又はエステル系油(合成又は天然)のいずれかである。イソパラフィン、ホワイトオイル及びシリコーン油は、これらが非常に安定し、かつ無臭であることから広く流通しているが、これらは再生可能供給源に由来するものではない。シクロメチコンなどの揮発性シリコーンは、皮膚にとって無害である皮膚軟化剤及び溶媒であると長い間考えられてきた(非特許文献1)ものの、近年、環境、ひいてはヒトの健康におけるこれらの潜在的な有害作用(特にオクタメチルシクロテトラシロキサンに関する場合)に関するいくつかの懸念が表明されている。
【0011】
環境に対する懸念及び規制によって、企業経営者は、石油(化石)起源の供給源に代わる代替品を見出すに至った。それによって、植物又は動物起源の油が基油又は皮膚軟化剤については興味深い供給源であることが示された。特に、こうした植物又は動物起源の油は、従来のプロセスを用いて酸又はエステルに変換されることが可能である。次いでこれらの酸は、例えば、脂肪酸又はメチルエステルによる1つ以上の水素化ステップを用いてトリグリセリド油から不飽和アルコールに変換されることができる。
【0012】
特許文献1は、エポキシド中間体を介して得られたジエステル系潤滑剤組成物を開示している。特許文献2は、エステル官能基が1つ以上のメチレン基で分離されているジオールジエステルを開示している。これらのジオールジエステルは、食品において油脂の代用品として使用されている。
【0013】
特許文献3は、エポキシド中間体を介して得られたジエステル系潤滑剤組成物を開示している。この文献で記載されているジエステルは、低い粘度指数を示す。
【0014】
特許文献4は、炭素-炭素二重結合のエポキシ化、続いて2箇所それぞれでのエポキシドの開環によって得られる少なくとも2つのエステルの異性体の混合物を含む潤滑剤組成物を開示している。この文献で記載されているジエステル組成物は、その中心構造(2つのエステル官能基間の構造)が異なっているジエステルの混合物を含む。
【0015】
本発明は、高い転化率を有し、特にジエステルを対象として強い選択性を有するジエステル組成物の提供について述べる。加えて、このジエステル組成物は、植物又は動物起源の原料から得ることが可能であり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】米国特許出願公開第2010/120642号明細書
【特許文献2】米国特許第5,008,126号明細書
【特許文献3】国際公開第2008100822号明細書
【特許文献4】国際公開第2011005604号明細書
【非特許文献】
【0017】
【非特許文献1】International Journal of Toxicology,Vol.10,N゜l,pp.9-19,1991
【発明の概要】
【0018】
本発明は、少なくとも1種のジエステルを調製する方法に関し、当該方法は、
a)アルコール官能基と、少なくとも1個のヒドロキシカルボン酸の酸官能基、又はヒドロキシカルボン酸とアルコールの少なくとも1個のエステルのエステル官能基とを変換する反応を行い、少なくとも1種のジオールを得ることであって、当該ヒドロキシカルボ
ン酸が11~25個の炭素原子を有する、ことと、
b)2~24個の炭素原子を有する少なくとも1種の飽和又は不飽和酸を介してジオールをエステル化反応させ、少なくとも1種のジエステルを形成する、ことと、を含む。
【0019】
一実施形態では、本発明の方法は、ステップa)後及びステップb)前に、ステップa)後に得られたジオール組成物のジオール含有量を増加させるため、ステップa)後に得られたジオールの組成物を精製するステップa-bis)もまた含み、当該精製ステップa-bis)は好ましくは、少なくとも1回のジオールの結晶化ステップを含む。
【0020】
一実施形態では、本発明の方法は、ステップa)前に、次のステップa)で使用されるヒドロキシカルボン酸又はヒドロキシカルボン酸エステルの組成物中のヒドロキシカルボン酸又はヒドロキシカルボン酸エステルの含有量を増加させるため、ヒドロキシカルボン酸又はヒドロキシカルボキシ酸エステルの組成物を予備精製するステップであって、当該予備精製ステップは好ましくは、ヒドロキシカルボン酸又はヒドロキシカルボン酸エステルの少なくとも1回の結晶化ステップを含む。
【0021】
好ましくは、ヒドロキシカルボン酸は、式(1)
【化1】
を満たし、かつ/又は飽和若しくは不飽和酸は、式(2)
【化2】
を満たし、
式中、
及びRの炭素原子の合計数が、9~23個の炭素原子、好ましくは9~20個の炭素原子、より好ましくは10~18個の炭素原子の範囲であるという条件で、
は、1~22個の炭素原子、好ましくは3~18個の炭素原子、より好ましくは5~12個の炭素原子を有する直鎖又は分岐アルキル又はアルケニル基であり、
は、1~22個の炭素原子、好ましくは4~22個の炭素原子、より好ましくは8~18個の炭素原子を有する二価直鎖又は分岐アルキル又はアルケニル基である。
【0022】
は、1~19個の炭素原子を有する一価直鎖又は分岐アルキル基であり、好ましくは2~17個の炭素原子を有する直鎖又は分岐アルキル、有利には4~12個の炭素原子を有する直鎖アルキルである。
【0023】
好ましくは、ジオールは、式(3)
【化3】
を満たし、ジエステルは、式(4)
【化4】
を満たし、
式中、
及びRの炭素原子の合計数が、9~23個の炭素原子、好ましくは9~20個の炭素原子、より好ましくは10~18個の炭素原子の範囲であるという条件で、
は、1~22個の炭素原子を有する直鎖若しくは分岐アルキル基、又は2~22個の炭素原子を有する直鎖若しくは分岐アルケニル基であり、好ましくは3~18個の炭素原子、より好ましくは5~12個の炭素原子を有するアルキル又はアルケニル基であり、
は、1~22個の炭素原子を有する二価直鎖若しくは分岐アルキル基、又は2~22個の炭素原子を有する直鎖若しくは分岐アルケニル基であり、好ましくは4~22個の炭素原子、より好ましくは8~18個の炭素原子を有するアルキル又はアルケニル基であり、
及びRは、それぞれ独立して、1~19個の炭素原子を有する一価直鎖若しくは分岐アルキル基、又は1~18個の炭素原子を有する一価直鎖若しくは分岐アルケニル基であり、好ましくは2~17個の炭素原子を有する直鎖又は分岐アルキル又はアルケニルであり、有利には2~12個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニルである。
【0024】
本発明はまた、式(4)
【化4】
の少なくとも1種のジエステルを含むジエステルの組成物に関し、
式中、
及びRの炭素原子の合計数が、9~23個の炭素原子、好ましくは9~20個の炭素原子、より好ましくは10~18個の炭素原子の範囲であるという条件で、
は、1~22個の炭素原子を有する直鎖若しくは分岐アルキル基、又は2~22個の炭素原子を有する直鎖若しくは分岐アルケニル基であり、好ましくは3~18個の炭素原子、より好ましくは5~12個の炭素原子を有するアルキル又はアルケニル基であり、
は、1~22個の炭素原子を有する直鎖若しくは分岐アルキル基、又は2~22個の炭素原子を有する二価直鎖若しくは分岐アルケニル基であり、好ましくは4~22個の炭素原子、より好ましくは8~18個の炭素原子を有するアルキル又はアルケニル基であり、
及びRは、それぞれ独立して、1~19個の炭素原子を有する一価直鎖若しくは分岐アルキル基、又は1~19個の炭素原子を有する一価直鎖若しくは分岐アルケニル基、又は1~18個の炭素原子を有する一価直鎖若しくは分岐アルケニル基であり、好ましくは2~17個の炭素原子を有する直鎖又は分岐アルキル又はアルケニルであり、有利には2~12個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニルであり、
当該ジエステルの組成物は、ジエステルの組成物の総重量に対して、少なくとも70重量%のR3基及びR4基によってのみ互いに異なる式(4)のジエステルを含む。
一実施形態では、本発明のジエステルの組成物は、本発明の方法によって得ることが可能である。
【0025】
一実施形態では、R及びRは、それぞれ独立して、1~19個の炭素原子を有する一価直鎖若しくは分岐アルキル基、又は12~17個の炭素原子を有する一価直鎖若しくは分岐アルケニル基である。
【0026】
好ましくは、本発明のジエステルの組成物は、組成物の総重量に対して、式(4)を満たす少なくとも70重量%の単一ジエステルを含み、好ましくは式(4)を満たす少なくとも80重量%の単一ジエステル、好ましくは式(4)を満たす少なくとも90重量%の単一ジエステルを含む。
【0027】
本発明はまた、潤滑剤組成物中の基油としての、又は化粧品組成物若しくは医薬組成物中の皮膚軟化剤としての、本発明のジエステルの組成物の使用に関する。
【0028】
最後に、本発明は、本発明のジエステルの組成物と、
(i)ジエステルとは異なる少なくとも1種の基油、及び/又は
(ii)ジエステルとは異なる少なくとも1種の添加剤と、を含む潤滑剤組成物に関する。
【0029】
好ましくは、R及びRは、それぞれ独立して、1~19個の炭素原子を有する一価直鎖又は分岐アルキル基であり、好ましくは2~17個の炭素原子を有する直鎖又は分岐アルキル、有利には2~12個の炭素原子を有する直鎖アルキルである。
【0030】
本発明はまた、(i)本発明のジエステルの組成物と、(ii)少なくとも1種の油脂及び/又は(iii)少なくとも1種の化粧品添加剤と、を含む、化粧品組成物又は医薬組成物に関する。好ましくは、ジエステルの組成物は、式(4)の少なくとも1種のジエステルを含み、式中、R及びRは、それぞれ独立して、1~18個の炭素原子、好ましくは2~17個の炭素原子、より好ましくは12~17個の炭素原子を有する一価直鎖又は分岐アルケニル基である。
【0031】
本発明の方法を用いた場合、位置異性体を形成することなく、特定のジエステルの形成にとって良好な選択性を得ることが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
方法は、利用可能な原料からの実施が容易である。
【0033】
本発明の方法によって、特にエポキシ官能基の開環によって得られたジエステルと比較して、粘度指数が改善したジエステル組成物を得ることが可能となる。
【0034】
本発明は、ジエステルの組成物を調製する方法に関し、当該方法は、
a)少なくとも1個のヒドロキシカルボン酸の酸官能基、又はヒドロキシカルボン酸とアルコールの少なくとも1個のエステルのエステル官能基をアルコール官能基に変換する反応を行い、少なくとも1種のジオールを得ることであって、当該ヒドロキシカルボン酸が11~25個の炭素原子を有する、ことと、
b)2~24個の炭素原子を有する少なくとも1種の酸を介してジオールをエステル化反応させ、少なくとも1種のジエステルを形成する、ことと、を含む。
【0035】
一実施形態では、本発明の方法は、ステップa)前に、ヒドロキシカルボン酸又はヒドロキシカルボン酸エステルの組成物中のヒドロキシカルボン酸又はヒドロキシカルボン酸
エステルの含有量を増加させるために、ヒドロキシカルボン酸又はヒドロキシカルボン酸エステルの組成物を精製する予備ステップを含む。次いで、ヒドロキシカルボン酸又はヒドロキシカルボン酸エステルの精製組成物が得られる。本実施形態では、本発明の方法のステップa)(還元反応)は、予備ステップで精製されたヒドロキシカルボン酸又はヒドロキシカルボン酸エステルの組成物から出発して実施される。
【0036】
好ましくは、この予備精製ステップは、結晶化によって実施される。
【0037】
ヒドロキシカルボン酸又はヒドロキシカルボン酸エステルの組成物は、飽和若しくは不飽和酸(ヒドロキシ官能基なし)又は飽和若しくは不飽和エステル(ヒドロキシ官能基なし)などの不純物を含み得る。予備精製によって、これらの不純物を取り除き、ヒドロキシカルボン酸又はヒドロキシカルボン酸エステルの含有量を増加させることが可能になる。
【0038】
好ましくは、ヒドロキシカルボン酸又はヒドロキシカルボン酸エステルの精製組成物は、ヒドロキシカルボン酸又はヒドロキシカルボン酸エステルの精製組成物の総重量に対して、ヒドロキシカルボン酸の組成物又はヒドロキシカルボン酸エステルの組成物の総重量に対し、少なくとも90重量%のヒドロキシカルボン酸又はヒドロキシカルボン酸エステル、好ましくは、少なくとも95重量%のヒドロキシカルボン酸又はヒドロキシカルボン酸エステル、より好ましくは、少なくとも98重量%のヒドロキシカルボン酸又はヒドロキシカルボン酸エステルを含む。
【0039】
典型的には、ヒドロキシカルボン酸又はヒドロキシカルボン酸エステルの精製組成物は、ヒドロキシカルボン酸又はヒドロキシカルボン酸エステルの組成物の総重量に対して、最大10重量%の不純物、好ましくは、最大5重量%の不純物を含み、当該不純物は、例えば飽和若しくは不飽和酸(ヒドロキシ官能基なし)及び/又は飽和若しくは不飽和エステル(ヒドロキシ官能基なし)を含む。
【0040】
一実施形態では、本発明の方法は、ステップa)後及びステップb)前に、ステップa)後に得られたジオール組成物のジオール含有量を増加させるため、ステップa)後に得られたジオールの組成物を精製するステップa-bis)を含む。その実施が必要である場合、このステップa-bis)は、方法が予備精製ステップを含まないときに実施されることが好ましい。
【0041】
ヒドロキシカルボン酸又はヒドロキシカルボン酸エステルの組成物は、飽和若しくは不飽和酸(ヒドロキシ官能基なし)又は飽和若しくは不飽和エステル(ヒドロキシ官能基なし)などの不純物を含み得る。本発明の方法の還元ステップa)は、これらの不純物からモノアルコールを形成し得る。この中間体精製によって、初期不純物と、これらの不純物の反応副生成物(例えば、モノアルコール)の除去が可能となる。
【0042】
好ましい一実施形態では、この精製ステップa-bis)は、結晶化によって実施される。
【0043】
好ましくは、ジオールの精製組成物は、精製ジオール組成物の総重量に対して、少なくとも90重量%のジオール、好ましくは少なくとも95重量%のジオール、より好ましくは少なくとも98重量%のジオールを含む。
【0044】
一実施形態では、精製ステップが実施されるときには、本発明の方法は、精製ステップが結晶化ステップである場合、結晶化溶媒を除去するための1つ以上の処理ステップを含
む。処理ステップは、例えば濾過ステップ及び乾燥ステップを含み得る。処理ステップは
、例えば濾過ステップ及び乾燥ステップを含み得る。
【0045】
本発明の方法は、任意選択で洗浄ステップ及び/又は更なる精製ステップを含み得る。本発明の方法は、本発明の方法の出発試薬である酸及び/又はヒドロキシカルボン酸を分離するための1つ以上の操作を含み得ることに留意されたい。例えば、これらの操作はストリッピング操作又は蒸留操作であり得る。
【0046】
本発明の方法はまた、本発明の方法から生じる生成物から均一触媒を分離するための1回以上の洗浄操作、又は本発明の方法から生じる生成物から不均一触媒を分離するための1回以上の濾過ステップを含み得る。
【0047】
予備として、以下の説明及び特許請求の範囲における「~と~の間」、「~から~まで」といった表現は、列挙した限界を含むものであると解釈されるべきであることに留意されたい。
【0048】
ヒドロキシカルボン酸の組成物C1
【0049】
本発明の方法は、試薬として、少なくとも1種のヒドロキシカルボン酸又はヒドロキシカルボン酸とアルコールとの少なくとも1種のエステルを使用する。
【0050】
本発明の意味では、ヒドロキシカルボン酸は、少なくとも1種のカルボン酸官能基(-COOH)及び少なくとも1種のヒドロキシ官能基(-OH)を含む。好ましくは、ヒドロキシカルボン酸は、単一のカルボン酸官能基及び単一のヒドロキシ官能基を含む。
【0051】
ヒドロキシカルボン酸は、飽和又は不飽和であり得る。好ましくは、ヒドロキシカルボン酸は、カルボン酸官能基及びヒドロキシ官能基以外の官能基を典型的には含まない飽和酸である。
【0052】
これが不飽和である場合、ヒドロキシカルボン酸は一価不飽和であることが好ましい。
【0053】
好ましい一実施形態では、ヒドロキシカルボン酸は、直鎖又は分岐アルキル鎖であり、好ましくは直鎖アルキル鎖を含む。
【0054】
本発明で使用可能であるヒドロキシカルボン酸は、11~25個の炭素原子、好ましくは12~24個の炭素原子、より好ましくは14~20個の炭素原子を有する。
【0055】
好ましい一実施形態では、本発明で使用されるヒドロキシカルボン酸は、第二級炭素原子が有する少なくとも1種のヒドロキシ官能基を含む(いわゆる第二級アルコール型の化合物)。
【0056】
一実施形態では、本発明で使用されるヒドロキシカルボン酸は、第一級炭素原子が有する少なくとも1種のカルボン酸官能基を含む。
【0057】
好ましくは、ヒドロキシカルボン酸は、式(1)
【化1】
を満たし、
式中、
及びRの炭素原子の合計数が、9~23個の炭素原子、好ましくは9~20個の炭素原子、より好ましくは10~18個の炭素原子の範囲であるという条件で、
は、1~22個の炭素原子、好ましくは3~18個の炭素原子、より好ましくは5~12個の炭素原子を有する直鎖又は分岐アルキル又はアルケニル基であり、
は、1~22個の炭素原子、好ましくは4~22個の炭素原子、より好ましくは8~18個の炭素原子を有する二価直鎖又は分岐アルキル又はアルケニル基である。
【0058】
好ましくは、式(1)では、ヒドロキシカルボン酸が不飽和である場合、R及びRのうちの1つの基のみが一価不飽和であり、もう一方の基は飽和されている。
【0059】
好ましくは、式(1)では、
及びRの炭素原子の合計数が、9~20個の炭素原子、より好ましくは10~18個の炭素原子の範囲であるという条件で、
-Rは、1~22個の炭素原子、好ましくは3~18個の炭素原子、より好ましくは5~12個の炭素原子を有する直鎖又は分岐アルキル基又はアルケニル基であり、
-Rは、1~22個の炭素原子、好ましくは4~22個の炭素原子、より好ましくは8~18個の炭素原子を有する二価直鎖又は分岐アルキル基又はアルケニル基である。
【0060】
好ましくは、式(1)では、
及びRの炭素原子の合計数が、9~20個の炭素原子、より好ましくは10~18個の炭素原子の範囲であるという条件で、
-Rは、3~18個の炭素原子、好ましくは5~12個の炭素原子を有する直鎖アルキル基であり、
-Rは、4~22個の炭素原子、好ましくは8~18個の炭素原子を有する二価直鎖アルキレン基である。
【0061】
一実施形態では、少なくとも1種のジオールを得るための変換反応は、試薬としてヒドロキシカルボン酸(本発明で定義されるもの)とアルコールとのエステルを使用して実施される。同一の1ステップでの還元によって、エステル官能基をアルコール官能基に還元することが可能となる。
【0062】
本発明の意味では、「ヒドロキシカルボン酸から誘導されたエステル」といった表現、又は「ヒドロキシカルボン酸エステル」といった表現、又は「ヒドロキシカルボン酸とアルコールとのエステル」といった表現は、ヒドロキシカルボン酸とアルコールとの反応によって得られたエステルを示す。
【0063】
ヒドロキシカルボン酸とアルコールとのエステルが基とするヒドロキシカルボン酸は、上記特徴又は選択性のうちの1つ以上を有することが好ましい。
【0064】
ヒドロキシカルボン酸エステルに使用されるアルコールは、好ましくは1~18個の炭素原子、好ましくは1~16個の炭素原子、好ましくは1~12個の炭素原子を有する飽和モノアルコールであることが好ましい。
【0065】
好ましくは、本発明で使用されるヒドロキシカルボン酸は、12-ヒドロキシステアリン酸である。エステル形態が本発明の方法で使用される場合、特定の一実施形態でのエステルは、12-ヒドロキシステアリン酸(hydroxysearic acid)のメチルエステル又はエチルエステルであり得る。
【0066】
一実施形態では、ヒドロキシカルボン酸は不飽和であり、リシノール酸である。
【0067】
一実施形態では、還元ステップa)前に、方法は、ヒドロキシカルボン酸の組成物C1又はそのエステルの予備精製ステップを更に含む。当該予備精製ステップは、ジオールの結晶化を含むことが好ましい。
【0068】
結晶化ステップは、1回以上の結晶化ステップにて溶媒又は溶媒の混合物を用いて実施され得る。溶媒は、ヘプタン、トルエン、アセトン、メタノール、エタノール、酢酸エチル、これらの混合物から選択され得る。結晶化溶媒の体積(mL)とジオールの重量(g)との比率は、1~50、好ましくは2~30の範囲であることが好ましい。
【0069】
本発明の方法は、ステップa)の前及び任意の予備精製ステップ前に、ヒドロキシカルボン酸の組成物C1又はそのエステルを提供するステップを含み得る。
【0070】
典型的には、本発明の還元反応(酸又はエステル官能基のアルコール官能基への変換)は、組成物C1の総重量に対して、少なくとも50重量%のヒドロキシカルボン酸又はそのエステル、好ましくは少なくとも70重量%、より好ましくは少なくとも75重量%、更に少なくとも80%のヒドロキシカルボン酸又はそのエステルを含む組成物C1の存在下で実施される。
【0071】
一実施形態では、本発明で使用される組成物C1は、組成物C1の総重量に対して、少なくとも50重量%の12-ヒドロキシステアリン酸又は12-ヒドロキシステアリン酸のメチルエステル若しくはエチルエステル、好ましくは少なくとも70重量%、より好ましくは少なくとも80重量%の12-ヒドロキシステアリン酸又は12-ヒドロキシステアリン酸のメチルエステル若しくはエチルエステルを含む。
【0072】
好ましくは、本発明で使用される組成物C1は、組成物C1の総重量に対して、少なくとも50重量%の12-ヒドロキシステアリン酸、好ましくは少なくとも70重量%、より好ましくは少なくとも80重量%の12-ヒドロキシステアリン酸を含む。
【0073】
方法が、組成物C1の予備精製ステップを含む場合、方法の還元ステップa)は、ヒドロキシカルボン酸又はヒドロキシカルボン酸エステルの精製組成物C1´の総重量に対して、少なくとも90重量%のヒドロキシカルボン酸又はヒドロキシカルボン酸エステル、好ましくは少なくとも95重量%のヒドロキシカルボン酸又はヒドロキシカルボン酸エステル、より好ましくは少なくとも98重量%のヒドロキシカルボン酸又はヒドロキシカルボン酸エステルを含む組成物C1´の存在下で実施されることが好ましい。
【0074】
好ましくは、本発明で使用可能である組成物C1´は、組成物C1´の総重量に対して、少なくとも90重量%の12-ヒドロキシステアリン酸、好ましくは95重量%、より好ましくは少なくとも98重量%の12-ヒドロキシステアリン酸を含む。
【0075】
組成物C1又はC1´は、市販され得る。
【0076】
飽和又は不飽和酸の組成物C2
【0077】
エステル化ステップb)の本発明の方法は、ジオールのアルコール官能基で反応する試薬として、2~20個の炭素原子を有する少なくとも1種の酸、好ましくは2~18個の炭素原子を有する酸を含む。
【0078】
好ましくは、当該少なくとも1種の酸は、一酸である。酸は、直鎖又は分岐の飽和又は不飽和酸であり得る。
一実施形態では、当該少なくとも1種の飽和酸は、式(2):
【化2】
を満たし、
式中、Rは、1~19個の炭素原子を有する一価直鎖若しくは分岐アルキル基、又は1~18個の炭素原子を有する一価直鎖若しくは分岐アルケニル基であり、好ましくは2~17個の炭素原子を有する直鎖又は分岐アルキル又はアルケニルであり、有利には2~12個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニルである。
【0079】
好ましくは、Rがアルケニルである場合、当該アルケニルは、一価不飽和である。
【0080】
一実施形態では、酸は飽和脂肪酸であり、2~12個の炭素原子を有する。この鎖長を用いて、この方法で得られたジエステル組成物の低温挙動性を更に最適化することが可能である。これは、潤滑剤用途で特に好ましい。
【0081】
別の実施形態では、酸は不飽和酸であり、8~18個の炭素原子を有する。不飽和酸は、化粧品用途を意図しているジエステルで特に好ましいものであり得る。
【0082】
一実施形態では、本発明で使用される酸は、酢酸、プロパン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸及びこれらの混合物のうちの1つ以上の酸から選択され、これらの酸は、直鎖又は分岐鎖であり得る。
【0083】
エステル化の際には、本発明の方法は、単一酸又はいくつかの酸の混合物を使用することができる。好ましくは、本発明の方法は、単一酸を使用する。
【0084】
典型的には、エステル化ステップのための本発明の方法は、飽和酸(すなわち、少なくとも90重量%の飽和酸を有する飽和酸組成物由来)のみ、又は不飽和酸(すなわち、少なくとも85重量%の不飽和酸を有する不飽和酸組成物由来)のみのいずれかを使用する。
【0085】
エステル化の際には、少なくとも2種の異なる酸の混合物の使用を想定することもまた可能である。その割合は、ジエステル組成物にとって望ましい特性の官能基として調整することができる。
【0086】
(ジオールの2つのアルコール官能基上での)2つのエステル化反応は、同時に、又は順次実施することができる。少なくとも2種の異なる酸が使用されるときには、ジオールのうちの最も反応性の高いアルコール官能基上で最初に反応する飽和酸又は不飽和酸を選択するため、操作条件を調整することが可能である。したがって、飽和酸又は不飽和酸は、望ましいジエステルの官能基として同時に、又は順次添加されることができる。
【0087】
本発明の方法によって、特に選択され、かつ特定の構造を有するジエステルを得ることが可能となることから、これは選択的である。
【0088】
一実施形態では、エステル化反応は、組成物C2の総重量に対して、少なくとも90重量%の飽和酸、好ましくは少なくとも95重量%、更に少なくとも98重量%の飽和酸を
典型的には含む、飽和酸の組成物C2を用いて実施される。
【0089】
別の実施形態では、エステル化反応は、組成物C2の総重量に対して、少なくとも85重量%の不飽和酸、好ましくは少なくとも90重量%、更に少なくとも95重量%の不飽和酸を典型的には含む不飽和酸の組成物C2を用いて実施される。
【0090】
組成物C2は市販されることができ、天然又は合成起源のものであり得、好ましくは天然起源のものであり得る。
【0091】
本発明の方法の実施
【0092】
本発明の方法は、
-酸又はエステル官能基をアルコール官能基に還元する反応と、
-エステル化反応との、2つの化学反応を使用する。
【0093】
本発明の方法で使用される2つの化学反応は、典型的には1種以上の触媒の存在下で実施される。それにもかかわらず、触媒なしでジオールエステル化ステップb)を実施することが可能である。
【0094】
還元反応
【0095】
典型的には、ヒドロキシカルボン酸の酸官能基、又はヒドロキシカルボン酸エステルのエステル官能基は、還元反応を介してアルコール官能基に変換される。還元反応は、水素化ステップを用いて、又はヒドロキシカルボン酸若しくはそのエステルを還元剤と接触させることによって実施され得る。酸又はエステル官能基をアルコール官能基に還元する方法が、当業者に知られている。
【0096】
還元剤は、メタルハイドライドの中から選択され、好ましくは、水素化リチウム又は水素化ナトリウムから選択され得る。例えば、還元剤は、水素化リチウムアルミニウム及び水素化ホウ素ナトリウムの中から選択される。
【0097】
典型的には、ヒドロキシカルボン酸又はそのエステルと還元剤とを接触させるときには、混合物の温度は、-10℃~+15℃、好ましくは-5℃~+10℃の範囲である。
【0098】
ヒドロキシカルボン酸の酸官能基又はヒドロキシカルボン酸から誘導されたエステルのエステル官能基の還元ステップは、当業者に知られている条件下で実行され得る。
【0099】
水素化ステップは、以下の条件下:
-100~450℃、好ましくは200~400℃、より好ましくは250~380℃の範囲の温度、及び/又は
-30~300バール、好ましくは50~250バール、より好ましくは150~230バールの範囲の圧力で実施され得る。
【0100】
酸又はエステル官能基をアルコールに還元することを可能にする水素化触媒の非限定的な一例は、亜クロム酸銅である。
【0101】
非限定的な一実施形態では、水素化は、水素及び亜クロム酸銅の存在下、温度350℃、圧力200バールで実施される。
【0102】
一実施形態では、還元ステップ後に形成されたジオールは、式(3):
【化3】
を満たし、
式中、
及びRの炭素原子の合計数が、9~23個の炭素原子、好ましくは9~20個の炭素原子、より好ましくは10~18個の炭素原子の範囲であるという条件で、
は、1~22個の炭素原子を有する直鎖若しくは分岐アルキル基、又は2~22個の炭素原子を有する直鎖若しくは分岐アルケニル基であり、好ましくは、3~18個の炭素原子、より好ましくは5~12個の炭素原子を有するアルキル又はアルケニル基であり、
は、1~22個の炭素原子を有する二価直鎖若しくは分岐アルキル基、又は2~22個の炭素原子を有する直鎖若しくは分岐アルケニル基であり、好ましくは、4~22個の炭素原子、より好ましくは8~18個の炭素原子を有するアルキル又はアルケニル基である。
【0103】
ヒドロキシカルボン酸又はそのエステルが不飽和である場合、還元ステップa)が、ヒドロキシカルボン酸又はそのエステルの炭素-炭素二重結合を還元しないように反応条件を選択することが可能である。例えば、亜クロム酸銅に関して述べることができる。
【0104】
一実施形態では、還元反応は、以下のスキーム:
【化5】
(式中、R及びRは、それぞれ式(1)及び式(3)にて定義される通りである)を用いて、式(3)のジオールを得るため、式(1)のヒドロキシカルボン酸を使用する。
【0105】
ヒドロキシカルボン酸の還元ステップでは、副生成物が形成される場合がある。これらの副生成物の中でも、ヒドロキシカルボン酸の組成物C1中に含有され得る酸不純物の酸官能基を還元することによって得ることが可能であるモノアルコールが挙げられる。例えば、12-ヒドロキシステアリン酸に加えて、12-ヒドロキシステアリン酸の組成物はパルミチン酸及び/又はステアリン酸を含み得る。
【0106】
一実施形態では、還元ステップa)後及びエステル化ステップb)前に、方法は、ステップa)後に得られたジオールの組成物を精製するためのステップa-bis)を更に含む。当該精製ステップa-bis)は、ジオールの結晶化を含むことが好ましい。
【0107】
結晶化ステップは、1回以上の結晶化ステップにて溶媒又は溶媒の混合物を用いて実施され得る。溶媒は、ヘプタン、トルエン、アセトン、メタノール、エタノール、酢酸エチル、これらの混合物から選択され得る。結晶化溶媒の体積(mL)とジオールの質量(g)との比率は、1~50、好ましくは2~30の範囲であることが好ましい。
【0108】
結晶化後、実施される場合には、方法は、例えばヘプタンといった溶媒でジオールを洗
浄するステップa-ter)を更に含み得る。
【0109】
洗浄ステップによって、モノアルコールの残留含有量を還元することが可能である。
【0110】
エステル化反応
【0111】
エステル化反応は、均一触媒、不均一触媒及び/又は酵素触媒を用いて実施され得る。触媒なしにエステル化反応を実施することも可能である。例えば、触媒は、酵素担持型触媒であり得る。
【0112】
エステル化反応は、アルコールのエステル化については当業者に周知である任意の方法を使用して実施され得る。
【0113】
エステル化用の触媒は、例えばスズ、チタン酸塩又は三フッ化ホウ素型といったルイス酸系触媒の中から選択され得る。
【0114】
例として、触媒は、パラトルエンスルホン酸(paratoluene sulfonic acid、p-TSA)、メタンスルホン酸(methanesulfonic acid、MSA)、硫酸、三フッ化ホウ素エーテラート(BF3.EtO)、四塩化スズ(FASCAT 4400)、二塩化スズ(FASCAT 2004)、二塩化ジブチルスズ(FASCAT 4210)、酸化モノブチルスズ(FASCAT 4100、TIB KAT 256)、酸化ジブチルスズ(FASCAT 4201、TIB KAT
248)、酸化ジオクチルスズ(FASCAT 8201、TIB KAT 232)、トリスモノブチルスズ(2-エチルヘキサノエート)(FASCAT 4102)、シュウ酸第一スズ(FASCAT 2001、TIB KAT 160)、二酢酸ジブチルスズ(FASCAT 4200、TIB KAT 233)、二酢酸ジオクチルスズ(TIB KAT 223)及びジカルボン酸ジオクチルスズ(TIB KAT 318)であり得る。
【0115】
一実施形態では、本発明の方法のエステル化ステップb)は、50~200℃の範囲の温度で実施される。
一実施形態では、エステル化反応は、以下のスキーム:
【化6】
(式中、形成されたジエステル中のR基が同一又は異なり得るという条件では、R、R及びRは、それぞれ式(1)及び(2)と同じ定義を有する)に従って、式(3)のジオール及び式(2)の1つ以上の飽和酸を使用する。
【0116】
特に、異なる2種の飽和酸が使用される場合、形成されたジエステル中のR基は、同一又は異なり得る。
【0117】
一実施形態では、触媒の存在下での飽和酸とジオールとの反応は、以下の条件:
-飽和酸に対するジオールのモル比が、1:2~1:10、好ましくは1:2~1:8、より好ましくは1:2~1:6の範囲であること、
-脂肪酸を用いたエステル化反応用の触媒は、反応媒体の総重量に対して0.01~3.0重量%、好ましくは0.02~2.5重量%の範囲の割合で使用されること、のうちの1つ以上の下で実施される。
【0118】
米国特許出願公開第2015/0094246号明細書に記載されるような不飽和化合物を用いるエストリド又はジエステルの製造方法とは対照的に、本発明の方法は、不飽和化合物の炭素-炭素二重結合上での、飽和脂肪酸の付加位置の官能基としての位置異性体の混合物をもたらさない。先行技術では、飽和脂肪酸は、不飽和化合物の炭素-炭素二重結合の炭素原子のうちのいずれかにて反応することができ、これによって2つの位置異性体がもたらされる。加えて、不飽和化合物の一部は、酸付加の反応条件下にて異性化されることができる。このことは、炭素-炭素二重結合が、不飽和化合物のいくつかの位置を変化させ得ることを意味している。更には、反応条件下では、この二重結合はアルキル鎖に沿って移動することができ、官能基化の位置によって異なる多数の異性体と予想されるラクトン形成とがもたらされる。
【0119】
これらの先行技術方法とは異なり、本発明の方法による飽和脂肪酸の付加反応がヒドロキシカルボン酸のヒドロキシ官能基によって固定される位置のみで選択的に起こる限りは、位置異性体を含まないジエステル組成物がもたらされる。
【0120】
方法後に得ることが可能であるジエステルは、式(4):
【化4】
によって表すことができ、
式中:
及びRの炭素原子の合計数が、9~23個の炭素原子、好ましくは9~20個の炭素原子、より好ましくは10~18個の炭素原子の範囲であるという条件で、
は、1~22個の炭素原子、好ましくは3~18個の炭素原子、より好ましくは5~12個の炭素原子を有する直鎖又は分岐アルキル又はアルケニル基であり、
は、1~22個の炭素原子、好ましくは4~22個の炭素原子、より好ましくは8~18個の炭素原子を有する二価直鎖又は分岐アルキル又はアルケニル基であり、
及びRは、それぞれ独立して、1~19個の炭素原子を有する一価直鎖若しくは分岐アルキル基、又は1~18個の炭素原子を有する一価直鎖若しくは分岐アルケニル基であり、好ましくは、2~17個の炭素原子を有する直鎖又は分岐アルキル又はアルケニルであり、有利には、2~12個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニルである。
【0121】
一実施形態では、本発明の方法によって、式(4)のジエステルの調製が可能となり、R及びRは、それぞれ独立して、1~19個の炭素原子を有する一価直鎖若しくは分岐アルキル基、又は12~17個の炭素原子を有する一価直鎖若しくは分岐アルケニル基である。
【0122】
「方法によって生じる組成物」では、試薬、反応の生成物及び副生成物が考慮される。触媒は、方法によって生じる組成物を示すときには考慮されない。したがって一般には、触媒は、方法によって生じるジエステル組成物を得るために反応媒体から分離されなければならない。
【0123】
方法は、連続して、半連続で、又はバッチ式で実施されることができる。
【0124】
反応の進行は、当業者に知られている方法に従い、水素炎イオン化検出器を備えた気相クロマトグラフィー(gas phase chromatography with flame-ionization detection、GC-FID)によって、高速液体クロマトグラフィー(high performance liquid chromatography、HPLC)又は赤外線によって監視され得る。
【0125】
方法によって生じるジエステル組成物は、有利には、ASTM D445規格に従って測定した場合、100℃で1~50mm/s、好ましくは2~25mm/s、有利には3~10mm/sの範囲の動粘度を有する。
【0126】
ジエステル組成物が、ジエステル組成物の総重量に対して、0.1~30重量%の未反応試薬、又は任意選択ではその場で形成された中間試薬(ジオールのモノエステル又はモノアルコール)を含み、好ましくは0.2~10重量%、より好ましくは0.5~5重量%を含むことに留意されたい。
【0127】
本発明の方法は、ジエステル形成反応後、飽和脂肪酸、ヒドロキシカルボン酸及び/又はヒドロキシカルボン酸エステル型の未反応試薬がジエステルの組成物から取り除かれる分離ステップを任意選択で更に含み得る。本発明の意味では、ジエステルは試薬ではない。
【0128】
一実施形態では、少なくとも1種のジエステルを調製する方法は、
a)アルコール官能基と、少なくとも1個のヒドロキシカルボン酸の酸官能基、又はヒドロキシカルボン酸とアルコールの少なくとも1個のエステルのエステル官能基とを変換反応させ、少なくとも1種のジオールを得ることであって、当該ヒドロキシカルボン酸が11~25個の炭素原子を有する、ステップと、
b)2~24個の炭素原子を有する少なくとも1種の飽和又は不飽和酸によってジオールをエステル化反応させ、少なくとも1種のジエステルを形成する、ステップと、からなる。
【0129】
一実施形態では、少なくとも1種のジエステルを調製する方法は、
a)アルコール官能基と、少なくとも1個のヒドロキシカルボン酸の酸官能基、又はヒドロキシカルボン酸とアルコールの少なくとも1個のエステルのエステル官能基とを変換反応させ、少なくとも1種のジオールを得ることであって、当該ヒドロキシカルボン酸が11~25個の炭素原子を有する、ステップと、
a-bis)ステップa)後に得られたジオール組成物中のジオールの含有量を増加させるためのジオールの組成物の精製ステップであって、当該精製ステップa-bis)が、少なくとも1回のジオールの結晶化ステップと、好ましくは続いて1回以上の洗浄ステップと、を好ましくは含む、ステップと、
b)2~24個の炭素原子を有する少なくとも1種の飽和又は不飽和酸によってジオールをエステル化反応させ、少なくとも1種のジエステルを形成する、ステップと、からなる。
【0130】
一実施形態では、少なくとも1種のジエステルを調製する方法は、
0)ヒドロキシカルボン酸又はヒドロキシカルボン酸エステルの組成物中のヒドロキシカルボン酸又はヒドロキシカルボン酸エステルの含有量を増加させるためにヒドロキシカルボン酸又はヒドロキシカルボン酸エステルの組成物を精製する予備ステップであって、当該予備精製ステップが、ヒドロキシカルボン酸又はそのエステルの少なくとも1回の結
晶化ステップと、好ましくは続いて1回以上の洗浄ステップと、を好ましくは含む、ステップと、
a)少なくとも1種のジオールを得るため、ステップ0)で精製された組成物の、少なくとも1個のヒドロキシカルボン酸の酸官能基、又はヒドロキシカルボン酸とアルコールの少なくとも1個のエステルのエステル官能基をアルコール官能基に変換する反応であって、当該ヒドロキシカルボン酸は、11~25個の炭素原子を有する、ステップと、
b)2~24個の炭素原子を有する少なくとも1種の飽和又は不飽和酸によってジオールをエステル化する反応であって、少なくとも1種のジエステルを形成する、ステップと、からなる。
【0131】
ジエステル
【0132】
本発明の更なる主題は、式(4)自体のジエステルの組成物、及び本発明の方法を用いた得ることが可能であるジエステルの組成物である。
【0133】
本発明のジエステルの組成物は、式(4):
【化4】
であって、
式中、
及びRの炭素原子の合計数が、9~23個の炭素原子、好ましくは9~20個の炭素原子、より好ましくは10~18個の炭素原子の範囲であるという条件で、
は、1~22個の炭素原子、好ましくは3~18個の炭素原子、より好ましくは5~12個の炭素原子を有する直鎖又は分岐アルキル又はアルケニル基であり、
は、1~22個の炭素原子、好ましくは4~22個の炭素原子、より好ましくは8~18個の炭素原子を有する二価直鎖又は分岐アルキル又はアルケニル基であり、
及びRは、それぞれ独立して、1~19個の炭素原子を有する一価直鎖若しくは分岐アルキル基、又は1~18個の炭素原子を有する一価直鎖若しくは分岐アルケニル基であり、好ましくは、2~17個の炭素原子を有する直鎖又は分岐アルキル又はアルケニルであり、有利には、2~12個の炭素原子を有する直鎖アルキル又はアルケニルである、式(4)を満たす少なくとも1種のジエステルを含む。
【0134】
「ジエステルの組成物の総重量に対して、R基及びR基のみが互いに異なるのみである少なくとも70重量%の式(4)のジエステルを含む、ジエステルの当該組成物」といった表現は、「ジエステルの組成物の総重量に対して、R基が同じであり、R基が同じであり、RがRとは異なり得ることが理解されている、式(4)のジエステルの少なくとも70重量%を含む、当該ジエステルの組成物」といった表現と同義である。これらの2つの表現は、少なくとも70重量%のジエステルは、R及びRのみが変化することができ、R及びRは(ジエステルの少なくとも70重量%については)一定のままである同一の式(4)を満たすこと、を意味している。
【0135】
言い換えれば、本発明のジエステルの組成物は、鎖RCHR-の分岐RCOO-(又はRCOO-)が、(炭素-炭素二重結合上の酸付加反応にはあることだが)当該鎖上の異なる位置に配置されることができる位置異性体を、含まないか、又は実質的にこれを含まない。
【0136】
式(4)のジエステル組成物の一実施形態では、ジエステルが不飽和である場合、ジエステルは一価不飽和又は多価不飽和であり得、不飽和は場合によっては、R1、R2、R3及びR4のうちの1つ以上に存在する。
【0137】
好ましくは、これらが不飽和である場合、R及びR基は一価不飽和である。
【0138】
好ましくは、式(4)では、R及びRのうちの1つの基のみが一価不飽和であり、もう一方の基は飽和されている。
【0139】
好ましい一実施形態では、本発明のジエステルの組成物は、Rが同一であり、Rが同一であり、RがRと異なり得ることが理解されている、少なくとも75重量%、好ましくは80重量%、より好ましくは少なくとも85重量%の式(4)のジエステルを含む。
【0140】
好ましい一実施形態では、
-Rは、5~8個の炭素原子を有する直鎖アルキル、好ましくは6個の炭素原子の直鎖アルキルであり、かつ/又は
-Rは、8~12個の炭素原子を有する直鎖アルキル、好ましくは10個の炭素原子を直鎖アルキルである。
【0141】
本発明のジエステル組成物は、有利には、ASTM D445規格に従って測定した場合、100℃で1~50mm/s、好ましくは2~25mm/s、有利には3~10mm/sの範囲の動粘度を有する。
【0142】
一実施形態では、ジエステルの組成物は、ジエステルの組成物の総重量に対して、70~99.8重量%、好ましくは75~99重量%、より好ましくは80~98重量%の式(4)のジエステルを含む。
【0143】
特定の一実施形態では、本発明のジエステルの組成物は、ジエステルの組成物の総重量に対して、70~99.8重量%、好ましくは75~99重量%、より好ましくは80~98重量%の式(7)のジエステルを含み、式(7)を満たすジエステルは、
【化7】
であり、
式中:
及びRは、それぞれ独立して、1~19個の炭素原子を有する一価直鎖若しくは分岐アルキル基、又は1~18個の炭素原子を有する一価直鎖若しくは分岐アルケニル基であり、好ましくは、2~17個の炭素原子を有する直鎖又は分岐アルキルであり、有利には、2~12個の炭素原子を有する直鎖又は分岐アルキルである。
【0144】
一実施形態では、本発明のジエステルの組成物は、少なくとも式(4)の少なくとも1種のジエステル、例えば、式(7)の少なくとも1種のジエステルを含み、R及びR
は、それぞれ独立して、1~19個の炭素原子を有する一価直鎖若しくは分岐アルキル基、又は12~17個の炭素原子を有する一価直鎖若しくは分岐アルケニル基である。
【0145】
本発明のジエステルの組成物は、本発明の方法によって得られることが好ましい。特に、本発明のジエステルの組成物は、炭素-炭素二重結合上で飽和酸の付加反応を受ける不飽和アルコールなどの不飽和化合物を用いないことから、典型的には位置異性体を含まない。
【0146】
使用
【0147】
本発明の方法については、単一のジエステルに強い選択性を有するジエステル組成物を得ることが可能である。本発明のジエステルの組成物はしたがって、潤滑剤組成物の基油として使用され得る。
【0148】
ジエステル組成物は、単一の基油として潤滑剤組成物中で使用され得るが、有利には、別の基油と組み合わせて使用され得る。「別の基油」は、ジエステルとは異なる基油であると理解されたい。
【0149】
本発明のジエステル組成物を含む潤滑剤組成物は、車両の様々な部分、特に車両エンジン若しくはエミッションの様々な部分、又は船舶用エンジン、若しくは例えば公共事業向けの産業船舶用エンジンの様々な部分を潤滑するために使用され得る。
【0150】
得ることが可能であるジエステル組成物は、単独で、又は別の脂肪と組み合わせて化粧品組成物又は医薬組成物中の皮膚軟化剤としても使用され得る。「別の脂肪」は、本発明のジエステルとは異なる脂肪であると理解されたい。
【0151】
本発明のジエステル組成物を含む化粧品組成物又は医薬組成物は、典型的には皮膚、爪、唇、毛髪及び頭皮への局所適用に使用され得る。
【0152】
本発明の更なる主題は、スキンケア製品(セラム、クリーム、バームなど)としての、衛生製品としての、日焼け止め/日焼け後ケア製品としての、メイクアップ製品としての、メイクアップ除去製品としての、芳香製品としての、制汗製品としての、本発明のジエステル組成物の(非治療的)化粧品使用又は医薬使用である。
【0153】
本発明の更なる主題は、皮膚、爪、唇、毛髪又は頭皮に本発明のジエステル組成物を適用する少なくとも1種のステップを含む、皮膚、爪、唇、毛髪又は頭皮の(非治療的)化粧品又は医薬処置方法である。
【0154】
最後に、本発明はまた、皮膚、爪、唇、毛髪又は頭皮に本発明のジエステル組成物を適用し、好ましくは塗布することによって適用する少なくとも1種のステップを含む、化粧品処置方法を網羅する。
【0155】
潤滑剤組成物
【0156】
本発明の更なる主題は、本発明のジエステルの組成物と、少なくとも1種の添加剤及び/又は少なくとも1種のその他の基油と、を含む潤滑剤組成物である。
【0157】
好ましくは、潤滑剤組成物で使用されるジエステルの組成物は、ジエステルの組成物に関連して上記特徴のうちの1つ以上を有する。特定の一実施形態では、潤滑剤組成物で使用される本発明のジエステルの組成物は、少なくとも1種の飽和ジエステルを含む。
【0158】
特定の一実施形態では、本発明の潤滑剤組成物で使用されるジエステルの組成物は、式(4)を満たし、式中、R及びRは、それぞれ独立して、1~19個の炭素原子を有する一価直鎖又は分岐アルキル基であり、好ましくは、2~17個の炭素原子を有する直鎖又は分岐アルキルであり、有利には、2~12個の炭素原子を有する直鎖アルキルである。
【0159】
こうしたその他の基油は、鉱油、合成若しくは天然油、動物油若しくは植物油、又はこれらの混合物など、潤滑油の分野で従来使用される基油の中から選択され得る。
【0160】
本発明の潤滑剤組成物のその他の基油は、特に、API分類(又はATIEL分類中のこれらの同等物)によって定義されるクラスのグループI~Vに属する鉱物若しくは合成起源の油、又はこれらの混合物であり得、以下の表1に示される。
【表1】
【0161】
その他の鉱物基油としては、原油を常圧及び減圧蒸留し、溶剤抽出、脱歴、溶剤脱ろう、水素化処理、水素添加分解、水素異性化及び水素化仕上げなどの精製操作によって得られたすべてのタイプの基油が挙げられる。
【0162】
場合によってはバイオソースである合成油と鉱油との混合物もまた使用され得る。
【0163】
本発明の潤滑剤組成物のその他の基油はまた、2~8個の炭素原子、特に2~4個の炭素原子を有するアルキレンオキシドの重合又は共重合によって得られた、カルボン酸とアルコールとのいくつかのエステル、ポリアルファオレフィン(polyalphaolefin、PAO)及びポリアルキレングリコール(polyalkylene glycol、PAG)などの合成油の中から選択されることができる。
【0164】
その他の基油として使用されるPAOは、例えば、4~32個の炭素原子を有するモノマー、例えばオクテン又はデセンから得られる。PAOの重量平均分子量は、極めて広範に変化し得る。好ましくは、PAOの重量平均分子量は、600Da未満である。PAOの重量平均分子量は、100~600Da、150~600Da、又は200~600Daの範囲であり得る。有利には、低粘度用途については、PAO2とPAO4との間で、PAO2又はPAO4間で選択される。
【0165】
有利には、本発明の潤滑剤組成物のその他の基油は、ポリアルファオレフィン(PAO)、ポリアルキレングリコール(PAG)及びカルボン酸とアルコールとのエステルの中から選択される。
【0166】
代替的な一実施形態では、本発明の潤滑剤組成物のその他の基油は、グループII又はグループIIIの基油の中から選択され得る。
【0167】
当業者は、潤滑剤組成物で使用される基油の含有量を調整することが可能である。
【0168】
一実施形態では、本発明の潤滑剤組成物は、
本発明の潤滑剤組成物の総重量に対して、
-5~95重量%、好ましくは10~70重量%、有利には15~50重量%の本発明のジエステルの組成物と、
-5~95重量%、好ましくは30~90重量%、有利には50~85重量%の1種以上のその他の基油と、を含む。
【0169】
一実施形態では、潤滑剤組成物の添加剤は、摩擦調整剤、洗浄剤、耐摩耗添加剤、極圧添加剤、分散剤、酸化防止剤、流動点硬化剤、消泡剤、金属不動態化剤及びこれらの混合物の中から選択される。これらの添加剤は、機械部品の潤滑分野では当業者に周知である。
【0170】
これらの添加剤は、当業者に周知であるように、単独で、並びに/又はACEA(European Automobile Manufacturers´ Association、欧州自動車工業会)及び/若しくはAPI(American Petroleum Institute、米国石油協会)によって定義された性能要件を満たしている、既に市販されている車両エンジン潤滑剤配合物といった混合物の形態で添加され得る。
【0171】
本発明の潤滑剤組成物は、少なくとも1種の摩擦調整添加剤を含み得る。摩擦調整剤は、金属元素に寄与する化合物及び無灰化合物の中から選択され得る。金属寄与化合物の中でも、酸素、窒素、硫黄又はリン原子を含む、場合によっては炭化水素化合物である配位子を有するMo、Sb、Sn、Fe、Cu、Znといった遷移金属の錯体に関して述べることができる。無灰摩擦調整剤は、脂肪酸とポリオールとのモノエステル、アルコキシル化アミン、アルコキシル化脂肪アミン、脂肪エポキシド、ホウ酸脂肪エポキシド、脂肪アミン又は脂肪酸グリセロールエステルの中から選択され得る一般には有機起源のものである。本発明では、脂肪化合物は、10~24個の炭素原子を有する、少なくとも1種の炭化水素基を含む。
【0172】
本発明の潤滑剤組成物は、潤滑剤組成物の総重量に対して、0.01~2重量%又は0.01~5重量%、好ましくは0.1~1.5重量%又は0.1~2重量%の摩擦調整添加剤を含み得る。
【0173】
本発明で使用される潤滑剤組成物は、少なくとも1種の酸化防止添加剤を含み得る。
【0174】
酸化防止添加剤によって、一般には使用中の組成物の変質を遅延させることが可能となる。こうした変質は、堆積物の形成、スラッジの存在、又は組成物の粘度上昇として特に解釈される。
【0175】
酸化防止添加剤は、主にラジカル阻害剤又はヒドロペルオキシド分解剤として作用する
。日常的に使用される酸化防止添加剤の中でも、フェノール型の酸化防止添加剤、アミン型の酸化防止添加剤、硫黄-リン酸酸化防止添加剤に関して述べることができる。例えば、硫黄及びリンを含むものといった、これらの酸化防止添加剤のいくつかは灰を生成し得る。フェノール系酸化防止添加剤は、無灰であり得るか、中性又は塩基性金属塩の形態であり得る。酸化防止添加剤は、立体障害フェノール、立体障害フェノールエステル及びチオエーテル架橋を含む立体障害フェノール、ジフェニルアミン、少なくとも1種のC-C12アルキル基で置換されたジフェニルアミン、N,N´-ジアルキル-アリール-ジアミン及びこれらの混合物の中から特に選択され得る。
【0176】
好ましくは、本発明では、立体障害フェノールは、アルコール官能基を有する炭素原子のうちの少なくとも1つの隣位炭素が、少なくとも1つのC-C10アルキル基、好ましくはC-Cアルキル基、好ましくはCアルキル基、好ましくはtert-ブチル基で置換されているフェノール基を含む化合物の中から選択される。
【0177】
アミン化合物は、任意選択でフェノール系酸化防止添加剤と組み合わせて使用され得る別の種類の酸化防止添加剤である。アミン化合物の例は、例えば式NQ1Q2Q3(式中、Q1は、脂肪族基又は芳香族基であり、任意選択で置換され、Q2は、任意選択で置換された芳香族基であり、Q3は水素原子、アルキル基、アリール基である)、又は式Q4S(O)ZQ5(式中、Q4はアルキレン基又はアルケニレン基であり、Q5はアルキル基、アルケニル基又はアリール基であり、zは0、1又は2である)を有する芳香族アミンといった芳香族アミンである。
硫化アルキルフェノール、又はそのアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属塩は、酸化防止添加剤としても使用され得る。
【0178】
別のクラスの酸化防止添加剤としては、例えば銅チオ又はジチオ-ホスフェート、銅とカルボン酸の塩、ジチオカルバメート、スルホネート、フェネート、銅アセチルアセトネートといった、銅含有化合物が挙げられる銅(I)及び(II)の塩、コハク酸の塩又は無水物もまた使用され得る。
【0179】
本発明の潤滑剤組成物は、当業者に知られているすべての種類の酸化防止添加剤を含有し得る。
【0180】
有利には、本発明の潤滑剤組成物は、少なくとも1種の無灰酸化防止添加剤を含む。
【0181】
本発明の潤滑剤組成物は、組成物の総重量に対して、0.5~2重量%の少なくとも1種の酸化防止添加剤を含み得る。
【0182】
本発明の潤滑剤組成物はまた、少なくとも1種の洗浄添加剤を含み得る。
【0183】
洗浄添加剤によって、一般には二次酸化及び燃焼生成物を溶解することで、金属部品表面に堆積物が形成するのを減少させることが可能となる。
【0184】
本発明の潤滑剤組成物で使用可能である洗浄添加剤は、一般には当業者に知られている。洗浄添加剤は、長い親油性炭化水素鎖と親水性頭部とを含むアニオン性化合物であり得る。関連するカチオンは、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の金属カチオンであり得る。
【0185】
洗浄添加剤は、好ましくは、カルボン酸のアルカリ金属又はアルカリ土類金属塩、スルホン酸塩、サリチル酸塩、ナフチル酸塩及びフェノール塩の中から選択される。アルカリ金属及びアルカリ土類金属は、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム又はバリウムが好
ましい。
【0186】
これらの金属塩は、一般には、化学量論量、それ以外の場合には過剰量の金属を含み、それにゆえに化学量論量よりも多い量で金属を含む。この場合、これらは過塩基性洗浄剤であり、洗浄添加剤に過塩基性を付与する過剰な金属は、一般には例えば、炭酸塩、水酸化物、シュウ酸塩、酢酸塩、グルタミン酸塩といった油不溶性金属塩の形態であり、好ましくは炭酸塩である。
【0187】
本発明の潤滑剤組成物は、組成物の総重量に対して、例えば2~4重量%の洗浄添加剤を含み得る。
【0188】
加えて、本発明の潤滑剤組成物は、本発明で定義されたスクシンイミド型の化合物とは異なる少なくとも1種の分散剤を含み得る。
【0189】
分散剤は、マンニッヒ塩基、例えばポリイソブチレンスクシンイミド型のスクシンイミドの中から選択され得る。
【0190】
本発明で使用される潤滑剤組成物は、組成物の総重量に対して、本発明で定義されたスクシンイミド型の化合物とは異なり、例えば0.2~10重量%の分散剤を含み得る。
【0191】
本発明の潤滑剤組成物はまた、少なくとも1種の耐摩耗剤及び/又は極圧剤を含み得る。
【0192】
多種多様な耐摩耗添加剤が存在する。好ましくは、本発明の潤滑剤組成物については、耐摩耗添加剤は、有機リン酸の中から選択される。これらは、灰を形成することなく、熱安定性があるという利点を有する。例えば、金属アルキルチオリン酸塩、特に亜鉛アルキルチオリン酸塩、より具体的には亜鉛ジアルキルジチオリン酸塩又はZnDTPといった硫黄-リン添加剤に関して述べることができる。好ましい化合物は、式Zn((SP(S)(OQ6)(OQ7))2を有するが、式中、Q6及びQ7は、同一又は異なっており、それぞれ独立してアルキル基、好ましくは1~18個の炭素原子を有するアルキル基である。
【0193】
アミンリン酸塩はまた、本発明の組成物で使用可能である耐摩耗剤及び極圧添加剤でもある。ただし、これらの添加剤によってもたらされたリンは、これらの添加剤が灰を生成することから、自動車車両の触媒系にとって毒として作用し得る。これらの作用は、ポリスルフィド、例えば特に硫黄-含有オレフィンなどのリンをもたらすことのない添加剤とアミンリン酸塩とを部分的に置換することで最小化され得る。
【0194】
本発明の潤滑剤組成物は、組成物の総重量に対して、0.01~15重量%、好ましくは0.1~10重量%、より好ましくは1~5重量%の耐摩耗剤を含み得る。
【0195】
本発明の潤滑剤組成物はまた、少なくとも1種の消泡剤を含み得る。
【0196】
消泡剤は、ポリアクリレート、ポリシロキサン又はこれらのハイブリッドの中から選択され得る。
【0197】
本発明の潤滑剤組成物は、組成物の総重量に対して、0.01~2重量%、又は0.01~5重量%、好ましくは0.1~1.5重量%又は0.1~2重量%の消泡剤を含み得る。
【0198】
本発明に好適な潤滑剤組成物はまた、少なくとも1種の流動点硬化剤(pour point depressant、PPD)を含み得る。
【0199】
パラフィン結晶の形成を遅延させることで、流動点硬化剤は、一般には組成物のコールドスタート挙動を改善させる。流動点硬化剤の例としては、アルキルポリメタクリレート、ポリアクリレート、ポリアリールアミド、ポリアルキルフェノール、ポリアルキルナフタレン、アルキル化ポリスチレンに関して述べることができる。
【0200】
本発明の潤滑剤組成物は、
本発明の潤滑剤組成物の総重量に対して、
-5~94.9重量%、好ましくは10~70重量%、有利には15~50重量%の本発明のジエステルの組成物と、
-5~94.9重量%、好ましくは30~90重量%、有利には50~85重量%の1種以上のその他の基油と、
-0.1~15重量%、好ましくは0.5~10重量%、有利には1~5重量%の摩擦調整剤、粘度指数調整剤、洗浄剤、分散剤、耐摩耗剤及び/又は極圧添加剤、酸化防止剤、流動点硬化剤、消泡剤並びにこれらの混合物の中から選択される1種以上の添加物を含み得る。
【0201】
本発明の潤滑剤組成物は、
本発明の潤滑剤組成物の総重量に対して、
-式(4)(式中、R及びRは、それぞれ独立して、1~19個の炭素原子を有する一価直鎖若しくは分岐アルキル基であり、好ましくは2~17個の炭素原子を有する直鎖若しくは分岐アルキル基であり、有利には2~12個の炭素原子を有する直鎖アルキルである)の少なくとも1種のジエステルを含む、5~94.9重量%、好ましくは10~70重量%、有利には15~50重量%の本発明のジエステルの組成物と、
-5~94.9重量%、好ましくは30~90重量%、有利には50~85重量%の1種以上のその他の基油と、
-0.1~15重量%、好ましくは0.5~10重量%、有利には1~5重量%の摩擦調整剤、粘度指数調整剤、洗浄剤、分散剤、耐摩耗剤及び/又は極圧添加剤、酸化防止剤、流動点硬化剤、消泡剤並びにこれらの混合物の中から選択される1種以上の添加物を含み得る。
【0202】
本発明の潤滑剤組成物は、潤滑剤組成物の成分を混合することで得られ得る。本発明はまた、
-上記方法に従ってジエステルの組成物を調製するステップと、
-少なくとも1種のその他の基油及び/又は少なくとも1種の添加剤と、ジエステルの組成物とを混合するステップと、を含む潤滑剤組成物を調製する方法に関する。
【0203】
好ましくは、本発明の潤滑剤組成物を調製する方法は、混合ステップ前に、ジエステルの組成物の調製ステップで形成された生成物を分離するための中間ステップを含まない。好ましくは、本発明の潤滑剤組成物を調製する方法は、水素化ステップ、特にジエステルの組成物の調製ステップから生じるジエステルの組成物の水素化を含まない。
【0204】
潤滑剤組成物を調製する方法で使用されるその他の基油及び添加剤は、本発明の潤滑剤組成物に関連して前述した特徴のうちの1つ以上を有し得る。
【0205】
この調製方法を用いて得られた潤滑剤組成物は、本発明の潤滑剤組成物について前述した特徴のうちの1つ以上を有し得る。
化粧品組成物又は医薬組成物
【0206】
本発明の更なる主題は、(i)本発明のジエステルの組成物と、(ii)少なくとも1種の油脂及び/又は(iii)少なくとも1種の化粧品添加剤と、を含む、化粧品組成物又は医薬組成物である。
【0207】
好ましくは、化粧品組成物又は医薬組成物で使用されるジエステルの組成物は、ジエステルの組成物についての上記特徴のうちの1つ以上を有する。特定の一実施形態では、化粧品組成物又は医薬組成物で使用される本発明のジエステルの組成物は、少なくとも1種の不飽和ジエステルを含む。
【0208】
特定の一実施形態では、化粧品組成物又は医薬組成物で使用されるジエステルの組成物は、式(4)の少なくとも1種のジエステルを含み、式中、R及びRは、それぞれ独立して、1~18個の炭素原子、好ましくは2~17個の炭素原子、より好ましくは12~17個の炭素原子を有する一価直鎖又は分岐アルケニル基である。
【0209】
油脂は、生物起源又は石油化学起源の炭化水素油、植物油、植物性バター、エーテル及び脂肪アルコール、油性エステル(本発明のジエステルとは異なる)、アルカン及びシリコーン油の中から選択され得る。
【0210】
炭化水素油は、石油化学プロセス由来の油脂である。例えば、鉱油、イソパラフィン、ワックス、パラフィン、ポリイソブテン又はポリデセンに関して述べることができる。
【0211】
植物油の例は、特に小麦胚芽、ヒマワリ種子、ブドウ種子、ゴマ、トウモロコシ、アンズ、ヒマ、シア、アボカド、オリーブ、大豆油;スイートアーモンド、パーム、セイヨウアブラナ種子、ヘーゼルナッツ、マカダミア、ホホバ、アルファルファ、ポピー、パンプキン、ゴマ、ヒョウタンの実、セイヨウアブラナ種子、ブラックカラント、イブニングプリムローズ、アワ、オオムギ、キヌア、ライムギ、ベニバナ、ククイノキ、トケイソウ、ローズヒップ又はツバキ油である。植物性バターは、植物油と同一の特性を有する油脂である。これらの違いは、周囲温度ではバターは固形であるという事実にある。したがって油と異なり、バターが抽出される原料(パルプ、種子又は穀粒)は、粉砕後に加熱して油脂を抽出する。植物油と同様に、バターは精製され、良好な保存、臭いの中和、色及び粘稠性の改善が確実なものとなる。酸化防止剤及び栄養分が高いため、植物性バターの化粧品特性によって皮膚の弾力性が改善し、過酷な外的条件に対して保護を行い表皮上に保護膜を残し、こうすることで脱水を低下し、皮膚の天然のハイドロリピッド膜を再生することで修復し、痛みなどを鎮静化する。植物性バターの例は、特にシアバター、ココアバター、マンゴーバター、ショアバター又はオリーブバターである。
【0212】
エーテル及び脂肪アルコールは、特に膜形成、柔軟化性、水和、滑らかさ及び保護特性といった注目に値する特性を有する長鎖ワックス状脂肪物質である。水和油及び乳化剤として作用する。脂肪アルコール又はエーテルの例は、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ミリスチルアルコール、ラウリルアルコール、ベヘニルアルコール、セテアリルアルコール、ジカプリルエーテル、ステアリルエーテル又はオクチルドデカノール(それらのINCI名で特定される)である。
【0213】
油性エステル又はエステル化油(本発明のジエステルとは異なる)は、脂肪酸(ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸などのより長い鎖酸)とアルコール(脂肪アルコール又はグリセロールなどのポリオール)との間の反応の生成物である。これらの油は、イソプロピルパルミテートの場合にはあることだが、石油化学プロセスに由来する物質を含有し得る。油性エステルの例は、カプリル酸カプリン酸トリグリセリド、カプリル酸カプリン酸ヤシアルキル、エルカ酸オレイル、リノール酸オレイル、オレイン酸デシル又はミリ
スチン酸PPG-3ベンジルエーテル(それらのINCI名で特定される)である。
【0214】
シリコーン油又はポリシロキサンは、少なくとも1つのケイ素原子、特に少なくとも1つのSi-O基を含む油を意味する。シリコーン油としては、特にフェニルプロピルジメチルシロキシシリケート、ジメチコン又はシクロペンタシロキサン(それらのINCI名で特定される)に関して述べることができる。
【0215】
脂肪及びジエステルの組成物とは異なる添加剤は、検討中の分野、特に化粧品、皮膚科学又は医薬分野で通常使用される任意のアジュバント、又は添加剤の中から選択され得る。明白なことには、当業者は、本発明に適合する皮膚軟化剤組成物に本質的に付される有利な特性が、想定される添加によって低下、又は実質的に低下することのないように、注意を払って本発明の組成物への任意の添加剤を選択する。含まれることが可能である従来の添加剤(これらの添加剤の水溶性又は脂溶性に応じて)の中では、アニオン性(ラウレス硫酸ナトリウム、アルキルリン酸ナトリウム、トリデセス硫酸ナトリウム)、両性(アルキルベタイン、ココアンホジ酢酸ジナトリウム)又はHLBが10よりも高い非イオン性(POE/PPG/POE、アルキルポリグルコシド、ポリグリセリル-3ヒドロキシラウリルエーテル)であり得る発泡性界面活性剤;保存剤;金属イオン封鎖剤(EDTA);酸化防止剤;芳香剤;可溶性着色剤、顔料及びパールなどの着色材料;艶消し充填剤、テンサー、美白剤又はピーリング剤;皮膚の化粧品特性を改善する効果を有する、親水性又は親油性化粧品活性物質;電解質;親水性又は親油性のアニオン性、非イオン性、カチオン性又は両性ポリマー;増粘剤、ゲル化剤又は分散剤;カフェインなどの減量薬;蛍光増白剤;抗脂漏薬並びにこれらの混合物に関して特に述べることができる。これらの様々な化粧品添加剤の量は、検討中の分野で従来使用されるものであり、例えば化粧品組成物の全含有量は、組成物の総重量に対して、0.01~20重量%の範囲である。
【0216】
本発明の化粧品、皮膚科学、医薬組成物が皮膚科学又は医薬組成物である場合、当該組成物は、1種以上の治療有効成分を含み得る。本発明の皮膚科学又は医薬組成物で使用可能である有効成分としては、例えば、日焼け止め、ビタミンA(レチノール)、ビタミンE(トコフェロール)、ビタミンC(アスコルビン酸)、ビタミンB5(パンテノール)、ビタミンB3(ナイアシンアミド)、これらのビタミンの誘導体(特にエステル)及びこれらの混合物などの水溶性又は脂溶性ビタミン;消毒薬;2,4,4´-トリクロロ-2´-ヒドロキシジフェニルエーテル(又はトリクロサン)、3,4,4´-トリクロロカルバニリド(又はトリクロカルバン)などの抗菌薬;過酸化ベンゾイル、ナイアシン(vit.PP)などの抗微生物薬;並びにこれらの混合物に関して述べることができる。
【0217】
こうした化粧品組成物又は医薬組成物は、生理学的に許容される媒体、すなわち何らかの害のある有害事象を有さず、特にユーザにとって許容することができない赤み、ヒリヒリとした感覚、突っ張り又は針で刺したような痛みを生み出すことのない媒体を含む。
【0218】
一実施形態では、化粧品、皮膚科学又は医薬組成物は、化粧品組成物又は医薬組成物の総重量に対して、0.5~80重量%、好ましくは1~50重量%、有利には5~30重量%の範囲である本発明のジエステルの組成物の含有量を有する。
【0219】
本発明の一実施形態では、化粧品組成物又は医薬組成物の総重量に対して、化粧品組成物又は医薬組成物は、
-0.5~80重量%、好ましくは1~50重量%、有利には5~30重量%の本発明のジエステルの組成物と、
-0~90重量%、好ましくは5~80重量%、有利には10~70重量%、好ましくは20~60重量%、有利には30~50重量%の油脂、0~20重量%の添加剤と、
-0~20重量%の治療有効成分と、を含む。
【0220】
ただし、これは組成物が少なくとも1種の添加剤又は少なくとも1種の油脂を含むという条件である。
本発明の一実施形態では、化粧品組成物又は医薬組成物の総重量に対して、化粧品組成物又は医薬組成物は、
組成物が少なくとも1種の添加剤又は少なくとも1種の油脂を含むという条件で、
-0.5~80重量%、好ましくは1~50重量%、有利には5~30重量%の本発明のジエステルの組成物と、
-0~90重量%、好ましくは5~80重量%、有利には10~70重量%、好ましくは20~60重量%、有利には30~50重量%の生物起源又は石油化学起源の炭化水素油、植物油、植物性バター、エーテル及び脂肪アルコール、油性エステル(ジエステルとは異なる)、アルカン及びシリコーン油の中から選択される油脂と、
-HLBが10よりも高いアニオン性、両性又は非イオン性発泡性界面活性剤;保存剤;金属イオン封鎖剤;酸化防止剤;芳香剤;着色材料;艶消し充填剤、テンサー、美白剤又はピーリング剤;皮膚の化粧品特性を改善する効果を有する、親水性又は親油性化粧品活性物質;電解質;親水性又は親油性のアニオン性、非イオン性、カチオン性又は両性ポリマー、増粘剤、ゲル化剤又は分散剤、減量薬;蛍光増白剤;抗脂漏薬並びにこれらの混合物の中から選択される0~20重量%の添加剤と、
-任意選択で、0~20重量%の治療有効成分と、を含む。
【0221】
したがって、本発明の化粧品組成物又は医薬組成物は、無水組成物、油中水型エマルション(w/o)、水中油型エマルション(o/w)若しくは多重エマルション(特に、w/o/w若しくはo/w/o)などのエマルション、ナノエマルション又は分散剤であり得る。
【0222】
本発明の化粧品組成物又は医薬組成物は、様々な軟らかさのクリーム又は気化可能なエマルションの形態であり得る。例えば、これは、メイクアップ組成物又は皮膚若しくは唇の洗浄剤、日焼け後ケア組成物、皮膚マッサージ組成物、バームシャワーゲル組成物、制汗組成物、マスク組成物、修復バーム組成物、顔と手両用のスクラブ及び/若しくは剥離組成物(剥離粒子を含有するとき)、メイクアップ組成物、剃毛組成物、剃毛後バーム組成物、芳香組成物、ワイプ用組成物又は気化可能組成物を形成することができる。
【0223】
本発明の化粧品組成物又は医薬組成物はまた、少なくとも1種の日焼け止めを含むときには日焼け止め組成物を形成することも可能である。
【0224】
本発明の化粧品組成物又は医薬組成物は、化粧品効果を単独で付与するときには化粧品組成物である。典型的には、本発明の化粧品組成物は、治療有効成分を含まない。
【0225】
対照的に、本発明の化粧品組成物又は医薬組成物は、治療効果を付与するときには皮膚科学又は医薬組成物である。典型的には、本発明の皮膚科学又は医薬組成物は、例えば、日焼け止め、消毒薬、2,4,4´-トリクロロ-2´-ヒドロキシジフェニルエーテル(又はトリクロサン)、3,4,4´-トリクロロカルバニリド(又はトリクロカルバン)などの抗菌薬;過酸化ベンゾイル、ナイアシン(vit.PP)などの抗微生物薬;並びにこれらの混合物の中から選択される少なくとも1種の治療有効成分を含む。
【実施例
【0226】
本明細書の残り部分では、本発明の例示のために実施例が与えられるが、これらの範囲の限定を意図したものでは決してない。
実施例1:ジエステルを調製する方法
【0227】
ステップa):1,12-オクタデカンジオールへの12-ヒドロキシステアリン酸(12-HSA)の還元
(乾燥THF250mL)中12-HSA60gの溶液を調製する。
【0228】
三つ口フラスコに、市販の水素化リチウムアルミニウム(LAH)溶液を入れ、続けてV(乾燥THF250mL)を入れる。
【0229】
混合物を-5℃に冷却する。
【0230】
30分をかけ、+10℃を超えないように、滴下漏斗を介して12-HSA溶液を滴下する。
【0231】
反応媒体の設定が存在する。200mLのTHFを添加し、出発生成物が完全に変換されるまで、周囲温度で一晩、媒体を撹拌状態に置いた。
【0232】
薄層クロマトグラフィー(SiO2/アルミニウム;ヘプタン70/AcOEt30/PMA)を使用し、反応の終了を示す。
【0233】
処理:媒体を+10℃に冷却する。飲料水250mL(3.3vol.)を滴加することで加水分解を行う。30%硫酸180mL(3vol.)を添加することで混合物をpH=2に酸性化する。デカントし、2つの相に分離した後、MTBE3×150mLを用いて水相を抽出する。有機相を一緒にまとめ、飲料水250mL、飽和NaHCO3溶液250mL及びブライン250mLを用いてこれを洗浄する。有機相を、45℃のロータリーエバポレータで濃縮乾固させる。
【0234】
白色固体の形態で、1,12-オクタデカンジオールを得る。
ステップa-bis):1,12-オクタデカンジオールの結晶化
【0235】
粗1,12-オクタデカンジオールは、ヘプタン30~200mLの懸濁液中でジオール5~20gを還流することで再結晶化される。混合物は濁った状態のままであり、ヘプタンを10mLずつ徐々に添加し、各添加の間、10分間にわたって還流した状態とした。混合物を周囲温度で2時間、ゆっくりと撹拌した状態とした。ジオールは、約50~55℃で結晶化し始める。
【0236】
N゜4焼結フィルタプレート上にて濾過することで、沈殿物を単離する。
【0237】
白色固体を得て、窒素蒸発によって2時間乾燥させる。
【0238】
結晶化によって、少なくとも80%、更には少なくとも90%の純度の1,12-オクタデカンジオールを得ることが可能となる。
ステップa-ter):洗浄
【0239】
ステップa-bis)後に得られた固体は、その大部分が1,12-オクタデカンジオールから構成されているが、これを温度制御フィルタに通して濾過し、得られたケーキを、冷ヘプタン6体積で1回洗浄する。
【0240】
このプロトコルを用いることで、0.1重量%未満の脂肪アルコールの残留含有量を得ることが可能となる。
ステップb):1,12-オクタデカンジオールのジエステルへのエステル化
【0241】
任意選択で、ステップa-bis)に記載の通り精製された1,12-オクタデカンジオールジオールを、ジオール/飽和酸の重量比が1:4である状態で、トルエン中触媒(PTSA)の存在下で酪酸によりエステル化する。
実施例2:ジエステルの特性
【0242】
精製(ステップa-bisでの結晶化、続いてステップa-terでの洗浄)なし、又は精製ありのいずれかで得られたジエステルを、その生理学的特性について試験した。結果を表2に示すが、これは、本発明の方法を用いて得られたジエステルが、潤滑剤用途に好適となる特性を有することを示している。
【0243】
【表2】
【0244】
実施例3:その他のジエステルの調製及び評価
実施例1と同一の方法を用いてジエステルを調製し、結晶化ステップa-bis)を実施した。ステップb)では、酪酸を別の酸:
-例3A=酢酸/2-エチルヘキサン酸(モル比=1:3);
-例3B=オレイン酸、で置き換えた。
【0245】
ジエステルの物理化学的特性を測定し、表3に示す。
【0246】
【表3】
【0247】
表3の結果は、本発明のジエステルが良好な物理化学的特性を示しており、特に良好な粘度指数によって、化粧品の潤滑剤基油として、又は化粧品の皮膚軟化剤としてのその使用が可能となることを示している。長鎖不飽和酸(例えば、11個超の炭素原子)から調製された例3Bのジエステルは、化粧品組成物の皮膚軟化剤として特に提供され得る。
【国際調査報告】