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特表2024-546801患者ラインフィルタを有する腹膜透析システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】患者ラインフィルタを有する腹膜透析システム
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/28 20060101AFI20241219BHJP
【FI】
A61M1/28 105
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024534706
(86)(22)【出願日】2022-11-18
(85)【翻訳文提出日】2024-06-11
(86)【国際出願番号】 US2022080157
(87)【国際公開番号】W WO2023114612
(87)【国際公開日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】63/290,855
(32)【優先日】2021-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591013229
【氏名又は名称】バクスター・インターナショナル・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BAXTER INTERNATIONAL INCORP0RATED
(71)【出願人】
【識別番号】501453189
【氏名又は名称】バクスター・ヘルスケヤー・ソシエテ・アノニム
【氏名又は名称原語表記】Baxter Healthcare S.A.
【住所又は居所原語表記】Thurgauerstr.130 CH-8152 Glattpark (Opfikon) Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ワーグナー, ステフェン
(72)【発明者】
【氏名】フリーグ, ラルフ
(72)【発明者】
【氏名】バック, ラインホルド
(72)【発明者】
【氏名】ベック, クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】ブリックル, レイナー
(72)【発明者】
【氏名】クラウゼ, ベルント
(72)【発明者】
【氏名】クノアー, トルステン
【テーマコード(参考)】
4C077
【Fターム(参考)】
4C077AA06
4C077BB01
4C077BB02
4C077CC06
4C077CC08
4C077EE03
4C077EE04
4C077FF02
4C077GG02
4C077GG14
4C077HH02
4C077HH13
4C077LL02
4C077NN15
4C077PP15
4C077PP18
(57)【要約】
腹膜透析(「PD」)システム(10)は、PD機械(20)と、PD機械(20)から延びている患者ライン(50)と、患者ライン(50)と流体連通しているフィルタセット(100)とを含み、フィルタセット(100)は、フィルタ膜(120、滅菌グレードまたは細菌減少フィルタ膜など)を含み、フィルタ膜(120)は、新鮮PD流体がフィルタ膜(120)を通して濾過済み流体区画(106f)に流入するように、位置決めされて配置され、濾過済み流体区画は、ポート(106p)への出口(106t)を含み、ポートは、使用済みPD流体チューブ(106u)と流体連通し、使用済みPD流体チューブは、フィルタ膜(120)と接触することなくフィルタ膜(120)を通り過ぎて使用済みPD流体を搬送するように位置決めされ、配置されている「。フィルタセット(100)をプライミングする方法も、開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
腹膜透析(「PD」)システム(10)であって、前記PDシステム(10)は、
PD機械(20)と、
前記PD機械(20)から延びている患者ライン(50)と、
前記患者ライン(50)と流体連通しているフィルタセット(100)と
を備え、
前記フィルタセット(100)は、フィルタ膜(120)を含み、前記フィルタ膜(120)は、新鮮PD流体が前記フィルタ膜(120)を通して濾過済み流体区画(106f)に流入するように位置決めされ、配置され、前記濾過済み流体区画(106f)は、ポート(106p)への出口(106t)を含み、前記ポート(106p)は、使用済みPD流体チューブ(106u)と流体連通し、前記使用済みPD流体チューブ(106u)は、前記フィルタ膜(120)と接触することなく前記フィルタ膜(120)を通り過ぎて使用済みPD流体を搬送するように位置決めされ、配置されている、PDシステム(10)。
【請求項2】
前記患者ライン(50)は、新鮮PD流体ルーメン(52)および使用済みPD流体ルーメン(54)を含むデュアルルーメン患者ラインであり、前記使用済みPD流体ルーメン(54)は、前記使用済みPD流体チューブ(106u)と流体連通して配置されている、請求項1に記載のPDシステム(10)。
【請求項3】
前記フィルタセット(100)は、前記新鮮PD流体ルーメン(52)との流体連通のための新鮮PD流体ポート(104f)と、前記使用済みPD流体ルーメン(54)との流体連通のための使用済みPD流体ポート(104u)とを含む、請求項2に記載のPDシステム(10)。
【請求項4】
前記使用済みPD流体チューブ(106u)は、前記使用済みPD流体ポート(104u)と流体連通している、請求項3に記載のPDシステム(10)。
【請求項5】
前記ポート(106p)は、使用済みPD流体チューブ(106u)まで延びている、先行する請求項のいずれか一項に記載のPDシステム(10)。
【請求項6】
前記出口(106t)は、少なくとも1つのヒンジ付き閉鎖フラップ106lによって解放可能に覆われている、先行する請求項のいずれか一項に記載のPDシステム(10)。
【請求項7】
前記フィルタ膜(120)を支持するために前記濾過済み流体区画(106f)内に位置している少なくとも1つのリブ(106r)を含む、先行する請求項のいずれか一項に記載のPDシステム(10)。
【請求項8】
前記フィルタ膜(120)は、フラットシートフィルタ膜であり、前記フィルタセット(100)は、前記濾過済み流体区画(106f)から前記フラットシートフィルタ膜の反対側に位置している外側区画(106o)を含む、先行する請求項のいずれか一項に記載のPDシステム(10)。
【請求項9】
前記フィルタセット(100)は、前記外側区画(106o)に新鮮PD流体を導入するように位置決めされ、配置された新鮮PD流体ポート(104f)を含む、請求項8に記載のPDシステム(10)。
【請求項10】
前記フィルタセット(100)は、前記新鮮PD流体ポート(104f)からの新鮮PD流体を前記外側区画(106o)に向かって偏向させるように位置決めされ、配置された偏向壁(106w)を含む、請求項9に記載のPDシステム(10)。
【請求項11】
前記フィルタセット(100)は、前記フィルタ膜(120)と協働して前記外側区画(106o)を形成するキャップ(106c)を含む、請求項8に記載のPDシステム(10)。
【請求項12】
前記キャップ(106c)は、少なくとも1つの通気開口(106v)と、前記少なくとも1つの通気開口(106v)をシールして覆う少なくとも1つの疎水性膜(122a,122b)とを含む、請求項11に記載のPDシステム(10)。
【請求項13】
前記フィルタセット(100)は、患者の移送セットに直接接続するように構成されているか、または、前記フィルタセット(100)は、前記患者の移送セットに接続するように構成された可撓性チューブ(108)を含む、先行する請求項のいずれか一項に記載のPDシステム(10)。
【請求項14】
前記PD機械(20)は、患者充填中、前記フィルタ膜(120)の下流の新鮮PD流体の圧力を感知するように位置決めされ、配置された圧力センサ(28b)を含む、先行する請求項のいずれか一項に記載のPDシステム(10)。
【請求項15】
前記PD機械(20)は、患者充填中、使用済みPD流体弁(26b)を閉じ、前記使用済みPD流体チューブ(106u)に沿ってではなく前記ポート(106p)に流れるように、濾過された新鮮PD流体を推し進めるように構成されている、先行する請求項のいずれか一項に記載のPDシステム(10)。
【請求項16】
前記PD機械(20)は、患者ドレイン中、新鮮PD流体弁(26a)を閉じ、前記濾過済み流体区画(106f)内へではなく前記使用済みPD流体チューブ(106u)に沿って流れるように、使用済みPD流体を推し進めるように構成されている、先行する請求項のいずれか一項に記載のPDシステム(10)。
【請求項17】
前記フィルタ膜(120)は、滅菌グレードのフィルタ膜または細菌減少フィルタ膜である、先行する請求項のいずれか一項に記載のPDシステム(10)。
【請求項18】
フィルタセット(100)であって、前記フィルタセット(100)は、
ポート(106p)と、
前記ポート(106p)への出口(106t)を含む濾過済み流体区画(106f)と、
フィルタ膜(120)であって、前記フィルタ膜(120)は、新鮮PD流体が前記フィルタ膜(120)を通して前記濾過済み流体区画(106f)に流入するように位置決めされ、配置されている、フィルタ膜(120)と、
前記ポート(106p)と流体連通している使用済みPD流体チューブ(106u)と
を備え、
前記使用済みPD流体チューブ(106u)は、前記フィルタ膜(120)と接触することなく前記フィルタ膜(120)を通り過ぎて使用済みPD流体を搬送するように位置決めされ、配置されている、フィルタセット(100)。
【請求項19】
デュアルルーメン患者ライン(50)に接続されたフィルタセット(100)をプライミングする方法であって、治療中、チューブ(108)が、前記フィルタセット(100)と患者の移送セット(58)との間に位置し、前記方法は、
前記デュアルルーメン患者ライン(50)の新鮮PD流体ルーメン(52)を通して新鮮腹膜透析(「PD」)流体を前記フィルタセット(100)に送ることと、
新鮮PD流体が前記デュアルルーメン患者ライン(50)の使用済みPD流体ルーメン(54)に向かって空気を変位させるように、前記新鮮PD流体を前記フィルタセット(100)のフィルタ膜(120)を通して押し進めることと、
患者から、前記患者の移送セット(58)を通して、前記チューブ(108)を通して、前記フィルタセット(100)の使用済みPD流体部分を通して、前記デュアルルーメン患者ライン(50)の前記使用済みPD流体ルーメン(54)の中に使用済みPD流体を引き込むことと
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権主張)
本出願は、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる2021年12月17日に出願された米国仮出願第63/290,855号の優先権および利益を主張する。
【0002】
本開示は、一般に、医療用流体治療に関し、特に、透析流体治療中の治療流体の濾過に関する。
【背景技術】
【0003】
様々な原因により、人の腎臓系が、機能しなくなり得る。腎不全は、幾つかの生理学的障害を生じる。水とミネラルとのバランスをとること、または毎日の代謝負荷を排出することは、もはや可能ではない。尿素、クレアチニン、尿酸などの代謝の毒性最終生成物は、患者の血液および組織に蓄積し得る。
【0004】
腎機能の低下、とりわけ腎不全は、透析によって治療される。透析は、正常に機能する腎臓がそうでなければ除去するであろう排泄物、毒素および過剰な水を身体から除去する。腎機能の代替のための透析治療は、治療が救命的であるので、多くの人々にとって重要である。
【0005】
腎不全療法の1つのタイプは、一般に拡散を使用して患者の血液から老廃物を除去する血液透析(「HD」)である。拡散勾配が、血液と透析物または透析流体と呼ばれる電解質溶液との間で半透性透析器を横切って生じ、拡散を引き起こす。
【0006】
血液濾過(「HF」)は、患者の血液からの毒素の対流輸送に依存する代替的な腎代替療法である。HFは、治療中に体外回路に置換流体または代替流体を加えることによって達成される。治療間に患者によって蓄積された置換流体および流体は、HF治療の過程にわたって限外濾過され、中分子および大分子を除去するために特に有益な対流輸送機構を提供する。
【0007】
血液透析濾過(「HDF」)は、対流クリアランスと拡散クリアランスとを組み合わせた治療法である。HDFは、標準的な血液透析と同様に透析器を通して流れる透析流体を使用して、拡散クリアランスを提供する。さらに、置換溶液が体外回路に直接提供され、対流クリアランスを提供する。
【0008】
ほとんどのHD、HF、およびHDF治療は、センターで行われる。家庭血液透析(「HHD」)への傾向が、HHDが毎日実施されることができ、典型的には週2回または3回行われる施設内血液透析治療より療法上の利益を与えるので、今日、存在する。研究は、より頻繁な治療が、より頻繁ではないがおそらくより長い治療を受けている患者より多くの毒素および老廃物を除去し、透析間流体過負荷を少なくすることを示している。より頻繁な治療を受けている患者は、治療前に2または3日分の毒素を蓄積している施設内の患者ほど多くのダウンサイクル(流体および毒素の変動)を経験しない。特定の地域では、最も近い透析センターは、患者の自宅から何マイルも離れている可能性があり、ドアツードアの治療時間が1日の大部分を消費することを引き起こす。患者の自宅に近い施設での治療はまた、患者の一日の大部分を消費し得る。HHDは、患者がリラックスし、仕事をし、または他の様態で生産的である間、一晩中または日中に行われ得る。
【0009】
別のタイプの腎不全療法は、腹膜透析(「PD」)であり、PDは、透析流体またはPD流体とも呼ばれる透析溶液をカテーテルを介して患者の腹膜腔に注入する。PD流体は、患者の腹膜チャンバ内の腹膜と接触する。廃棄物、毒素および過剰な水は、患者の血流から腹膜膜の毛細管を通り、拡散および浸透によりPD流体に入る(すなわち、浸透勾配が、膜を横切って生じる)。PD流体中の浸透圧剤が、浸透圧勾配を提供する。使用済みPD流体は、患者から排出され、患者から老廃物、毒素および過剰な水を除去する。このサイクルは、例えば、複数回繰り返される。
【0010】
様々なタイプの腹膜透析療法があり、それらは、連続携行式腹膜透析(「CAPD」)、自動腹膜透析(「APD」)、潮流透析および連続流腹膜透析(「CFPD」)を含む。CAPDは、手動透析治療である。ここで、患者は、埋め込まれたカテーテルをドレインに手動で接続し、使用済みPD流体が患者の腹膜腔から排出することを可能にする。次いで、患者は、患者カテーテルが新鮮PD流体のバッグと連通し、カテーテルを通して患者に新鮮PD流体を注入するように、流体連通を切り替える。患者は、カテーテルを新鮮PD流体バッグから切り離し、PD流体が患者の腹膜腔内に留まることを可能にし、排泄物、毒素および過剰な水の移送が、行われる。滞留期間の後、患者は、例えば1日4回、手動透析手順を繰り返す。手動腹膜透析は、患者からのかなりの量の時間および労力を必要とし、改善の余地を十分に残す。
【0011】
APDは、透析治療がドレイン、充填および滞留サイクルを含むという点でCAPDと同様である。しかしながら、APD機械は、通常、患者の睡眠中にサイクルを自動的に実行する。APD機械は、治療サイクルを手動で実行せねばならないこと、日中に補給物質を輸送せねばならないことから患者を解放する。APD機械は、埋め込まれたカテーテル、新鮮PD流体の供給源またはバッグ、および流体ドレインに流体接続する。APD機械は、透析流体源からカテーテルを通って患者の腹膜チャンバに新鮮PD流体を圧送する。APD機械は、PD流体がチャンバ内に滞留し、廃棄物、毒素および過剰な水の移送が行われることも可能にする。供給源は、幾つかの溶液バッグを含む複数リットルの透析流体を含み得る。
【0012】
APD機械は、患者の腹膜腔からカテーテルを介してドレインまで、使用済みPD流体を圧送する。手動プロセスと同様、透析中に幾つかのドレイン、充填および滞留サイクルが起こる。「最後の充填」は、APD治療の終了時に起こり得る。最後の充填流体は、次の治療の開始まで患者の腹膜腔内に残り得るか、または、日中のある時点で手動で空にされ得る。
【0013】
PD流体は、患者の腹膜腔に注入され、したがって薬物と見なされるので、無菌または非常に無菌に近い必要がある。袋詰めされたPD流体は、一般に、治療のために適切に滅菌されるが、オンラインで作製されたPD流体、または消毒を使用するPD機械またはサイクラーは、追加の滅菌を必要とし得る。
【0014】
したがって、患者に送られる前に新鮮PD流体に追加の滅菌を行う効果的で低コストの方法が必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0015】
本開示は、患者ラインを通して患者に新鮮PD流体を圧送し、患者ラインを介して患者から使用済みPD流体を除去するPD機械またはサイクラーを有する腹膜透析(「PD」)システムを提供する。患者ラインは、再使用可能または使い捨て可能であり得、いずれの場合もフィルタセットと共に動作し、フィルタセットと流体連通する。患者ラインが再利用可能である場合、再利用可能な患者ラインは、治療時にフィルタセットに接続される。患者ラインが使い捨てである場合、一実施形態において、フィルタセットは、使い捨ての患者ラインに併合される。いずれの構成においても、フィルタセットの遠位端は、患者の留置カテーテルと流体連通する患者の移送セットに接続し得る。
【0016】
PD機械またはサイクラーは、使い捨て構成要素を使用せずにポンプ自体を通してPD流体を圧送する耐久性のあるPD流体ポンプ、または、蠕動ポンプチューブまたは可撓性圧送チャンバなどの使い捨ての流体接触圧送構成要素を作動させるポンプアクチュエータを含む使い捨てタイプのPD流体ポンプを含み得る。PD機械またはサイクラーは、同様に、使い捨て構成要素を用いて動作することなくフロースルーおよび耐久性があるか、または、チューブセグメントまたはカセットベースの弁シートなどの使い捨ての流体接触弁構成要素を作動させる弁アクチュエータを有する使い捨てタイプの弁であり得る複数の弁も含む。
【0017】
ポンプおよび弁は、機械またはサイクラーによって提供される制御ユニットの自動制御下にある。一実施形態において、弁は、PD流体ポンプがデュアルルーメン患者ラインの新鮮PD流体ルーメンを通して新鮮PD流体を患者に圧送することを可能にするために制御ユニットが開く新鮮PD流体弁を含む。弁は、PD流体ポンプがデュアルルーメン患者ラインの使用済みPD流体ルーメンを通して患者から使用済みPD流体を圧送することを可能にするために制御ユニットが開く使用済みPD流体弁も含む。単一のPD流体ポンプが使用され得るが、専用の新鮮および使用済みPD流体ポンプが代替的に使用され得ることが理解されるべきである。単一のPD流体ポンプは、より連続的なPD流体の流れのための複数の圧送チャンバも含み得る。
【0018】
新鮮PD流体ルーメンおよび使用済みPD流体ルーメンは、再度、再使用可能または使い捨てであり得る。新鮮PD流体ルーメンおよび使用済みPD流体ルーメンが再使用可能である場合、ルーメンは、フィルタセットのルーメン側コネクタに接続するコネクタで終端し、ルーメン側コネクタは、フィルタセットの本体に対してシール(例えば、超音波シール、ヒートシール、または溶媒結合)されるか、または、フィルタセットの本体と共に成形され得る。次に、本体は、移送セット側コネクタに対してシール(例えば、超音波シール、ヒートシール、または溶媒結合)されるか、または、移送セット側コネクタと共に成形され、移送セット側コネクタは、患者の移送セットの篏合するコネクタに直接接続するか、または本体と患者の移送セットとの間に配置された短チューブの篏合するコネクタに接続する。代替的に、移送セット側コネクタは、本体から延びる短チューブの端部に配置され得る。ここで、本体は移送セット側ポートを備え(例えば、移送セット側ポートと共に成形され)、ポートへの溶接のために移送セット側ポートの中にまたは移送セット側ポートの上を覆って短チューブが延びている。本体、ルーメン側コネクタ、および移送セット側コネクタまたは移送セット側ポートは、本明細書では、フィルタハウジングと呼ばれる得る。
【0019】
ルーメン側コネクタおよび本体は、新鮮PD流体通路および使用済みPD流体通路を形成する。新鮮PD流体通路は、ルーメン側コネクタ内の新鮮PD流体ポートを通って、フィルタハウジングの本体内に配置された壁に向かって延びる。壁は、新鮮PD流体の方向を変えさせ、新鮮PD流体を壁を越えて外側区画に流入させ、外側区画は、フラットシートフィルタ膜の外側の上を覆って存在する。新鮮PD流体は、外側区画内で加圧される。加圧は、特に負の患者ドレイン圧下にある間、フラットシートフィルタ膜を通して、フラットシートフィルタ膜の内面とフラットシートフィルタ膜を支持する一連のリブを有するリブ付き壁とによって主に境界付けられる本体の濾過済み流体区画の中に新鮮PD流体を、押し進める。
【0020】
フィルタ膜は、滅菌グレードまたは細菌減少グレードの親水性膜であり得、この親水性膜は、約0.2ミクロンの孔径を有する多孔質壁で形成され得、新鮮PD流体は、さらなる濾過のために、多孔質壁を通して流れる。フラットシートフィルタ膜は、PD治療の複数の患者充填にわたって必要とされる必要な濾過を提供するようにサイズ決めされる。
【0021】
新鮮でさらに濾過されたPD流体は、一実施形態において、本体の濾過済み流体区画から、リブ付き壁に提供された出口を通して移送セット側ポートに流入し、移送セット側ポートを通して、フィルタセットの短チューブを介して、患者の移送セットを通って、患者の腹膜腔に流入する。短チューブは、移送セット側ポートの上を覆って延び、移送セット側ポートに超音波シール、ヒートシール、または溶媒結合される。移送セット側ポートは、濾過済み流体区画に隣接する一実施形態に存在する内部使用済みPD流体チューブまで延びている。使用済みPD流体チューブは、本体の主要部分と共に成形され得る。使用済みPD流体チューブは、移送セット側ポートからルーメン側コネクタによって提供される使用済みPD流体ポートまで延び、使用済みPD流体通路を集合的に形成する。使用済みPD流体ポートは、動作中、デュアルルーメン患者ラインの使用済みPD流体ルーメンとシールして流体連通する。
【0022】
使用済みPD流体チューブは、使用済みPD流体がフィルタ膜と接触せず、潜在的にフィルタ膜を目詰まりさせることなく、フィルタハウジングの本体を通して引き込まれる。使用済みPD流体チューブは、使用済みPD流体のための妨げのない直線経路をもたらし、それは、フィルタセットによる圧力損失を緩和するのにも役立つ。使用済みPD流体がリブ付き壁に提供された出口を通して本体の濾過済み流体区画内に流れることは流体的に可能であるが、負圧が、使用済みPD流体チューブ内からのみ加えられ、従って、使用済みPD流体が濾過済み流体区画内に流れる誘因は、ほとんどない。同様に、新鮮PD流体が使用済みPD流体チューブの逆方向に逆流することは流体的に可能であるが、必要とされる方向の変化は、単に移送セット側ポートを通して患者に流れるより、そのような経路をはるかに曲がりくねったものにする。さらに、使用済みPD流体チューブおよびデュアルルーメン患者チューブの使用済みPD流体ルーメンは、患者充填中、PD流体で満たされる可能性が高く、使用済みPD流体ルーメンは、PD機械またはサイクラーで閉鎖され、従って、使用済みPD流体チューブに新鮮PD流体が入る余地は、ほとんどまたは全くない。
【0023】
必要に応じて、リブ付き壁に提供された出口を少なくとも1つのヒンジ付き閉鎖フラップで覆うことが考えられる。1つ以上のヒンジは、1つ以上のリビングヒンジであり得、少なくとも1つの閉鎖フラップは、出口の1つ以上の側面に沿ってリブ付き壁と共に成形される。少なくとも1つの閉鎖フラップは、濾過されたばかりの新鮮PD流体によって加えられた陽圧の下で開き、PD流体が出口から移送セット側ポートに流れることを可能にする。少なくとも1つの閉鎖フラップを横切る使用済みPD流体の流れは、フラップを閉じ、それによって、使用済みPD流体は、リブ付き壁に提供された出口を通して濾過済み流体区画に流入することができない。新鮮PD流体からの陽圧下にないときにフラップが付勢されて閉じられるように少なくとも1つのヒンジ付き閉鎖フラップを形成することが、考えられる。少なくとも1つのヒンジ付き閉鎖フラップは、別個の弁を必要とせずに一方向弁または逆止弁の機能を提供する。
【0024】
前述のように、本体の濾過済み流体区画を部分的に形成するリブ付き壁は、一実施形態において、特に負の流体圧力下に置かれたときにフラットシートフィルタ膜を支持する一連のリブを提供される。この態様において、フィルタ膜は、所望の濾過能力を与えるために必要な大きさであり得る。リブ付き壁は、一実施形態において、使用済みPD流体チューブ、ルーメン側コネクタ、および移送セット側コネクタと共成形される。フラットシートフィルタ膜は、リブ付き壁に隣接する本体の内壁に対して超音波シール、ヒートシールまたは溶媒結合によって所定の位置でシールされる。
【0025】
フィルタハウジングの本体は、フィルタハウジングの本体の残りの部分と同じ材料から形成され得るキャップを含む。キャップは、本体の側壁の外側部分に対して超音波シール、ヒートシール、または溶媒結合され得る。舌部・溝嵌めが、シールのためにキャップを中心付けるために、キャップと側壁との間に提供され得る。キャップは、流体がフィルタ膜を通過する前に新鮮PD流入する外側区画の外側を形成する。
【0026】
キャップは、1つ以上の通気孔を伴って形成され得る。各通気孔は、キャップの内側で疎水性膜により覆われており、疎水性膜は、キャップの内面に対して少なくとも1つの通気開口の周りで超音波シール、ヒートシール、または溶媒結合され得る。1つ以上の通気孔および疎水性膜は、新鮮PD流体が親水性膜を通して濾過される前に本体の外側区画内で加圧されるにつれて空気が大気に排出されることを可能にし、それは、フィルタセットから空気を除去することに加えて膜の性能を改善し得る。一実施形態において、キャップは、1つ以上の通気孔に隣接して位置された1つ以上の保護リブを提供される。1つ以上の保護リブは、患者がPD治療中に眠っている間、1つ以上の通気孔が患者、ブランケットなどによって覆われることを防ぐのに役立つ。
【0027】
シリコンまたはポリ塩化ビニル(「PVC」)ゴムガスケットなどのガスケットが、フィルタハウジングのルーメン側コネクタの新鮮および使用済みPD流体ポートの上および/または中に嵌められ得る。患者ラインコネクタは、ルーメン側コネクタの新鮮および使用済みPD流体ポート内に延びている新鮮および使用済みポートを含み得る。ガスケットは、患者ラインコネクタとルーメン側コネクタとの嵌合新鮮PD流体ポートおよび使用済みPD流体ポート間にポートシールを提供する。
【0028】
患者の移送セットを通して除去される使用済みPD流体は、負圧下で、使用済みPD流体チューブを介してフィルタセットを通り(したがって、フィルタ膜を迂回する)、デュアルルーメン患者ラインの使用済みPD流体ルーメンを通って、機械またはサイクラーに戻る。機械またはサイクラーは、使用済みPD流体を陽圧下で圧送して排出する。サイクラーは、その内部チューブの使用済みPD流体側に沿って配置された圧力センサを含み、圧力センサは、患者ドレイン中にPD流体ポンプによって使用済みPD流体に加えられる負圧を測定する。同じ圧力センサが、患者充填中、正の圧送圧力(これは、少なくとも1つの閉鎖フラップによって遮断されない場合、フィルタセットの使用済みPD流体チューブおよび患者ラインの使用済みPD流体ルーメンを通して圧力センサに戻され得る)を測定するために使用され、それは、測定された圧力がフィルタ膜の下流(濾過後)の新鮮PD流体の圧力であるので、望ましい。したがって、測定された圧力は、フィルタ膜を横断するどのような圧力降下をも考慮に入れ、それは、PD流体が患者に送られる圧力をより正確に反映する。
【0029】
本明細書に記載の開示に照らして、決して本開示を限定するものではないが、任意の他の側面またはその一部と組み合わせられ得る本開示の第1の側面において、腹膜透析(「PD」)システムは、PD機械と、PD機械から延びている患者ラインと、患者ラインと流体連通しているフィルタセットとを含み、フィルタセットは、フィルタ膜を含み、フィルタ膜は、新鮮PD流体がフィルタ膜を通して濾過済み流体区画に流れるように、位置決めされ、配置され、濾過済み流体区画は、ポートへの出口を含み、ポートは、フィルタ膜と接触することなくフィルタ膜を通り過ぎて使用済みPD流体を搬送するように、位置決めされ配置された使用済みPD流体チューブと流体連通している。
【0030】
任意の他の側面またはその一部と組み合わせられ得る本開示の第2の側面において、患者ラインは、新鮮PD流体ルーメンおよび使用済みPD流体ルーメンを含むデュアルルーメン患者ラインであり、使用済みPD流体ルーメンは、使用済みPD流体チューブと流体連通して配置される。
【0031】
任意の他の側面またはその一部と組み合わせられ得る本開示の第3の側面において、フィルタセットは、新鮮PD流体ルーメンとの流体連通のための新鮮PD流体ポートと、使用済みPD流体ルーメンとの流体連通のための使用済みPD流体ポートとを含む。
【0032】
任意の他の側面またはその一部と組み合わせられ得る本開示の第4の側面において、使用済みPD流体チューブは、使用済みPD流体ポートと流体連通している。
【0033】
任意の他の側面またはその一部と組み合わせられ得る本開示の第5の側面において、ポートは、使用済みPD流体チューブまで延びている。
【0034】
任意の他の側面またはその一部と組み合わせられ得る本開示の第6の側面において、出口は、少なくとも1つのヒンジ付き閉鎖フラップによって解放可能に覆われる。
【0035】
任意の他の側面またはその一部と組み合わせられ得る本開示の第7の側面において、PDシステムは、フィルタ膜を支持するために濾過済み流体区画内に位置している少なくとも1つのリブを含む。
【0036】
任意の他の側面またはその一部と組み合わせられ得る本開示の第8の側面において、フィルタ膜は、フラットシートフィルタ膜であり、フィルタセットは、濾過済み流体区画からフラットシートフィルタ膜の反対側に位置している外側区画を含む。
【0037】
任意の他の側面またはその一部と組み合わせられ得る本開示の第9の側面において、フィルタセットは、新鮮PD流体を外側区画に導入するように位置決めされ、配置された新鮮PD流体ポートを含む。
【0038】
任意の他の側面またはその一部と組み合わせられ得る本開示の第10の側面において、フィルタセットは、新鮮PD流体を新鮮PD流体ポートから外側区画に向かって偏向させるように位置決めされ、配置された偏向壁を含む。
【0039】
任意の他の側面またはその一部と組み合わせられ得る本開示の第11の側面において、フィルタセットは、フィルタ膜と協働して外側区画を形成するキャップを含む。
【0040】
任意の他の側面またはその一部と組み合わせられ得る本開示の第12の側面において、キャップは、少なくとも1つの通気開口と、少なくとも1つの通気開口をシールして覆う少なくとも1つの疎水性膜とを含む。
【0041】
任意の他の側面またはその一部と組み合わせられ得る本開示の第13の側面において、フィルタセットは、患者の移送セットに直接接続するように構成されているか、または、フィルタセットは、患者の移送セットに接続するように構成された可撓性チューブを含む。
【0042】
任意の他の側面またはその一部と組み合わせられ得る本開示の第14の側面において、PD機械は、患者充填中にフィルタ膜の下流の新鮮PD流体の圧力を感知するように位置決めされ、配置された圧力センサを含む。
【0043】
任意の他の側面またはその一部と組み合わせられ得る本開示の第15の側面において、PD機械は、患者充填中、使用済みPD流体弁を閉じ、濾過された新鮮PD流体を使用済みPD流体チューブに沿ってではなくポートに流れるように推し進めるように構成される。
【0044】
任意の他の側面またはその一部と組み合わせられ得る本開示の第16の側面において、PD機械は、患者ドレイン中、新鮮PD流体弁を閉じ、使用済みPD流体を濾過済み流体区画内へではなく使用済みPD流体チューブに沿って流れるように推し進めるように構成される。
【0045】
任意の他の側面またはその一部と組み合わせられ得る本開示の第17の側面において、フィルタ膜は、滅菌グレードのフィルタ膜または細菌減少フィルタ膜である。
【0046】
任意の他の側面またはその一部と組み合わせられ得る本開示の第18の側面において、フィルタセットは、ポートと、ポートへの出口を含む濾過済み流体区画と、フィルタ膜であって、新鮮PD流体がフィルタ膜を通して濾過済み流体区画に流入するように位置決めされ、配置されている、フィルタ膜と、ポートと流体連通している使用済みPD流体チューブとを含み、使用済みPD流体チューブは、使用済みPD流体をフィルタ膜と接触させることなくフィルタ膜を通過して搬送するように位置決めされて配置される。
【0047】
任意の他の側面またはその一部と組み合わせられ得る本開示の第19の側面において、デュアルルーメン患者ラインに接続されるフィルタセットをプライミングする方法が提供され、治療中、チューブが、フィルタセットと患者の移送セットとの間に位置し、方法は、(i)新鮮な腹膜透析(「PD」)流体をデュアルルーメン患者ラインの新鮮PD流体ルーメンを通してフィルタセットに送ることと、(ii)新鮮PD流体がデュアルルーメン患者ラインの使用済みPD流体ルーメンに向かって空気を変位させるように、新鮮PD流体をフィルタセットの少なくとも1つのフィルタ膜を通して押し進めることと、患者から、患者の移送セットを通して、チューブを介して、フィルタセットの使用済みPD流体部分を通して、デュアルルーメン患者ラインの使用済みPD流体ルーメンの中に使用済みPD流体を引き込むこととを含む。
【0048】
任意の他の側面またはその一部と組み合わせられ得る本開示の第20の側面において、使用済みPD流体を引き込むことは、初期患者ドレインの一部として提供される。
【0049】
任意の他の側面またはその一部と組み合わせられ得る本開示の第21の側面において、新鮮PD流体をフィルタ膜を通して押し進めることと、患者からの使用済みPD流体を引き込むこととの間で、患者は、チューブを患者の移送セットに接続するように促される。
【0050】
任意の他の側面またはその一部と組み合わせられ得る本開示の第22の側面において、新鮮PD流体をフィルタ膜を通して押し進めることと、患者からの使用済みPD流体を引き込むこととの間で、患者は、患者の移送セットのクランプを開くように促される。
【0051】
任意の他の側面またはその一部と組み合わせられ得る本開示の第23の側面において、空気が、デュアルルーメン患者ラインの新鮮PD流体ルーメンを通して新鮮PD流体をお間、フィルタセットの少なくとも1つの通気開口を通してプライミングされる。
【0052】
任意の他の側面またはその一部と組み合わせられ得る本開示の第24の側面において、デュアルルーメン患者ラインの新鮮PD流体ルーメンを通して新鮮PD流体を送る間、新鮮PD流体弁は、開かれ、使用済みPD流体弁は、閉じられる。
【0053】
任意の他の側面またはその一部と組み合わせられ得る本開示の第25の側面において、新鮮PD流体をフィルタセットのフィルタ膜を通して押し進めている間、使用済みPD流体弁は、開いている。
【0054】
任意の他の側面またはその一部と組み合わせられ得る本開示の第26の側面において、患者からの使用済みPD流体を引き込んでいる間、使用済みPD流体弁は、開いている。
【0055】
任意の他の側面またはその一部と組み合わせられ得る本開示の第27の側面において、方法は、新鮮PD流体をフィルタ膜を通して押し進めるように圧送される量を制御するために、既知の容量ポンプストロークを蓄積することを含む。
【0056】
任意の他の側面またはその一部と組み合わせられ得る本開示の第28の側面において、方法は、(i)デュアルルーメン患者ラインの新鮮PD流体ルーメンを通してフィルタセットに新鮮PD流体を送ることから、(ii)新鮮PD流体を少なくとも1つのフィルタ膜を通して押し進めることへの移行に対する圧力上昇を感知することを含む。
【0057】
任意の他の側面またはその一部と組み合わせられ得る本開示の第29の側面において、フィルタセットの使用済みPD流体部分は、使用済みPD流体チューブを含む。
【0058】
任意の他の側面またはその一部と組み合わせられ得る本開示の第30の側面において、患者から引き込まれる使用済みPD流体は、チューブをプライミングする目的で残された以前の治療からの残留流出物である。
【0059】
任意の他の側面またはその一部と組み合わせられ得る本開示の第31の側面において、残留流出物の量は、少なくとも50mlである。
【0060】
任意の他の側面またはその一部とともに使用され得る本開示の第32の側面において、図1から図7のいずれか1つ以上に関連して説明した特徴、機能、および代替形態のいずれかは、図1から図7の他のいずれかに関連して説明した特徴、機能、および代替形態のいずれかと組み合わせられ得る。
【0061】
したがって、上記の側面および本明細書の説明に照らして、デュアルルーメン患者ラインで動作するフィルタセットを提供することが本開示の利点である。
【0062】
本開示の他の利点は、新鮮PD流体を濾過し、使用済みPD流体がフィルタ膜と接触することなく通過することを可能にするフィルタセットを提供することである。
【0063】
本開示のさらに他の利点は、新鮮PD流体がフィルタセットによってさらに濾過される前に新鮮PD流体から空気を放出するフィルタセットを提供することである。
【0064】
さらなる特徴および利点は、以下の詳細な説明および図面に記載され、それらから明らかになる。本明細書に記載の特徴および利点は、全てを含むものではなく、特に、多くのさらなる特徴および利点が、図面および説明を考慮すると当業者には明らかである。また、任意の特定の実施形態は、本明細書にリストアップされた利点の全てを有する必要はなく、個々の有利な実施形態を別々に請求することが明確に企図される。さらに、本明細書で使用される言語は、主に読みやすさおよび説明目的のために選択されており、本発明の主題の範囲を限定するものではないことに留意すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0065】
図1】本開示のフィルタセットを有する腹膜透析システムにおける一実施形態の概略図である。
【0066】
図2】患者充填中の本開示のフィルタセットのフィルタハウジングの一実施形態の断面斜視図である。
【0067】
図3】本開示のフィルタセットのフィルタハウジングの任意選択的なルーメン側コネクタの一実施形態の斜視図である。
【0068】
図4】本開示のフィルタセットにおける一実施形態の濾過済み流体区画および関連するフィルタ膜支持リブ、および使用済みPD流体チューブを強調する斜視図である。
【0069】
図5】患者ドレイン中の本開示のフィルタセットのフィルタハウジングにおける一実施形態の断面斜視図である。
【0070】
図6】本開示のフィルタセットのフィルタハウジングの使用済みPD流体チューブをシールするためのヒンジ付き閉鎖フラップを提供するための一実施形態を示す断面斜視図である。
【0071】
図7】本開示のフィルタセットのフィルタハウジングの使用済みPD流体チューブをシールするためのヒンジ付き閉鎖フラップを提供するための他の実施形態を示す断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0072】
ここで図面、特に図1を参照すると、腹膜透析(「PD」)システム10が示されている。PDシステム10は、患者ライン50を通して新鮮PD流体を患者Pに圧送し、患者ライン50を介して患者Pから使用済みPD流体を除去するPD機械またはサイクラー20を含む。患者ライン50は、再使用可能または使い捨て可能であり得、いずれの場合においても、フィルタセット100と共に動作し、フィルタセットと流体連通する。患者ライン50が再利用可能である場合、再利用可能な患者ラインは、治療時にフィルタセット100に接続される。患者ライン50が代わりに使い捨てである場合、一実施形態において、フィルタセット100は、使い捨ての患者ライン50に併合されるか、または、使い捨ての患者ライン50を伴って形成される。いずれの構成においても、フィルタセット100の遠位端は、患者の移送セット58に接続され得、移送セットは、次に、患者Pの留置カテーテルと流体連通する。
【0073】
PD機械またはサイクラー20は、使い捨て部品を使用せずにポンプ自体を通してPD流体を圧送する耐久性のあるPD流体ポンプ24を備えているハウジング22を含み得る。PD流体ポンプ24に使用し得る耐久性のあるポンプの例は、ピストンポンプ、ギヤポンプ、および遠心ポンプを含む。ピストンポンプなどの特定の耐久性のあるポンプは、本質的に正確であり、それによって、機械またはサイクラー20は、追加の体積制御構成要素を必要としない。ギヤポンプおよび遠心ポンプなどの他の耐久性のあるポンプは、正確ではないこともあり、それによって、機械またはサイクラー20は、1つ以上の流量計(図示せず)などの体積制御デバイスを提供する。
【0074】
代替的に、ポンプ24は、使い捨てタイプのPD流体ポンプであり得、それは、蠕動ポンプチューブまたは可撓性圧送チャンバなどの使い捨ての流体接触圧送構成要素を作動させるポンプアクチュエータを含む。PD流体ポンプ24に使用され得る使い捨てPD流体ポンプの例は、チューブを作動させる回転式または線形蠕動ポンプアクチュエータ、カセットシートを作動させる空気圧ポンプアクチュエータ、カセットシートを作動させる電気機械式ポンプアクチュエータ、およびチューブを作動させるプラテンポンプアクチュエータを含む。単一のPD流体ポンプ24が使用され得るが、専用の新鮮および使用済みPD流体ポンプが代替的に使用され得ることが理解されるべきである。単一のPD流体ポンプ24は、より連続的なPD流体の流れのための複数の圧送チャンバも含み得る。
【0075】
PD機械またはサイクラー20は、複数の弁26a、26b、26m、26nも含み、これらの弁は、同様に、使い捨て構成要素を用いて動作することなくフロースルーおよび耐久性があり得るか、またはチューブセグメントまたはカセットベースの弁シートなどの使い捨ての流体接触弁構成要素を作動させる弁アクチュエータを有する使い捨てタイプの弁であり得る。弁26a、26b、26m、26nに使用され得る耐久性のある弁の例は、フロースルーソレノイド弁を含む。そのような弁は、二方弁または三方弁であり得る。弁26a、26b、26m、26nに使用され得る使い捨て弁の例は、閉じた可撓性チューブを挟むソレノイドピンチ弁、カセットシートを作動させる空気圧弁アクチュエータ、およびカセットシートを作動させる電気機械式弁アクチュエータを含む。
【0076】
機械またはサイクラー20は、多くの弁26a~26nを含む可能性が高い。説明を容易にするために、機械またはサイクラー20は、PD流体ポンプ24がデュアルルーメン患者ライン50の新鮮PD流体ルーメン52を通して正圧下で新鮮PD流体を患者Pに圧送することを可能にするために開くように制御される新鮮PD流体弁26aを有するものとして示されている。弁は、PD流体ポンプ24が陰圧下でデュアルルーメン患者ライン50の使用済みPD流体ルーメン54を通して患者Pから使用済みPD流体を引き出すことを可能にするために開くように制御される使用済みPD流体弁26bも含む。弁は、新鮮PD流体が1つ以上の新鮮PD流体供給源から引き出されることを可能にするために開くように制御される1つ以上の供給弁26mも含む。弁は、使用済みPD流体がドレインライン60を介してハウスドレインまたはドレイン容器に送られることを可能にするように制御されるドレイン弁26nをさらに含む。
【0077】
図示の実施形態における機械またはサイクラー20は、圧力センサ28a、28bなどの圧力センサも含む。圧力センサ28aは、新鮮PD流体弁26aのすぐ下流に配置され、圧力センサ28bは、使用済みPD流体弁26のすぐ上流に配置される。したがって、圧力センサ28aは、新鮮PD流体弁26aが閉じている場合でも、デュアルルーメン患者ライン50の新鮮PD流体ルーメン52内の圧力を感知することができ、圧力センサ28bは、使用済みPD流体弁26bが閉じている場合でも、デュアルルーメン患者ライン50の使用済みPD流体ルーメン54内の圧力を感知し得る。さらに、圧力センサ28aは、患者充填中に本明細書で説明するフィルタ膜120の上流の新鮮PD流体の圧力を感知するために位置決めされる。圧力センサ28bは、おそらくより重要なことに、患者充填中にフィルタ膜120の下流(濾過後)の新鮮PD流体の圧力を感知するために位置決めされる。したがって、圧力センサ28bを介して測定された圧力は、フィルタ膜120の全体にわたる任意の圧力降下を考慮に入れ、それは、新鮮PD流体が患者Pに送られている圧力をより正確に反映する。
【0078】
図示の実施形態におけるポンプ24および弁26a~26nは、システム10の機械またはサイクラー20によって提供される制御ユニット40の自動制御下にあるが、圧力センサ28a、28b(および他のセンサ)は、制御ユニット40に出力する。図示の実施形態における制御ユニット40は、1つ以上のプロセッサ42と、1つ以上のメモリ44と、ビデオコントローラ46とを含む。制御ユニット40は、圧力センサ28a、28b、および機械またはサイクラー20によって提供される他のセンサ、例えば、1つ以上の温度センサ30および1つ以上の導電率センサ(図示せず)からの信号または出力を受信、記憶および処理する。制御ユニット40は、圧力センサ28a、28bのうちの1つ以上からの圧力フィードバックを使用して、PD流体ポンプ24を制御し、透析流体を所望の圧力または安全な圧力限界内(例えば、患者の腹膜腔への陽圧の0.21バール(3psig)以内および患者の腹膜腔からの負圧の-.10バール(-1.5psig)以内)で圧送し得る。
【0079】
制御ユニット40は、例えば、新鮮PD流体を所望の温度(例えば体温または37℃)に加熱するようにインラインヒータなどのヒータ32を制御するために、1つ以上の温度センサ30からの温度フィードバックを使用する。一実施形態において、ヒータ32は、PD流体ポンプ24、弁26a~26n、ヒータ32、および機械またはサイクラー20内の全ての再使用可能な流体ラインを消毒して、次の治療のために機械またはサイクラーを準備するために、新鮮PD流体などの消毒流体を加熱するためにさらに使用される。本明細書で論じる追加の濾過は、PD流体が患者Pへの送出のために安全であることを保証するために、加熱流体消毒に加えて保護層を提供する。
【0080】
制御ユニット40のビデオコントローラ46は、機械またはサイクラー20のユーザインタフェース48と接続し、ユーザインタフェース48は、タッチスクリーンおよび/または膜スイッチなどの1つ以上の電気機械ボタンで動作する表示画面を含み得る。ユーザインタフェース48は、警報、警告、および/または音声ガイダンスコマンドを出力するための1つ以上のスピーカも含み得る。ユーザインタフェース48は、図1に示すように機械またはサイクラー20と共に提供され得、および/または制御ユニット40とともに動作するリモートユーザインタフェースであり得る。制御ユニット40は、医師または臨床医のコンピュータと相互作用する医師または臨床医のサーバに治療データを送信し、医師または臨床医のサーバから処方命令を受信するために、トランシーバ(図示せず)およびネットワーク、例えばインターネットへの有線または無線接続も含み得る。
【0081】
図1および図2を参照すると、既に上で述べたように、デュアルルーメン患者ライン50の新鮮および使用済みPD流体ルーメン52および54は、再度、再使用可能または使い捨て可能であり得る。デュアルルーメン患者ライン50が再利用可能である事例では、ルーメンは、フィルタセット100のルーメン側コネクタ104に接続するコネクタ56で終端し、コネクタ56は、フィルタセットの本体106に対して(例えば、超音波溶着、熱融着、溶媒結合で)シールされるか、または、フィルタセットの本体106と共に成形される。図示の実施形態における本体106は、移送セット側コネクタ110まで延びている短い(例えば可撓性の)チューブ108に接続され、移送セット側コネクタ110は、患者の移送セット58の篏合コネクタに直接接続する。短い、例えば可撓性のチューブ108は、患者の快適さを助けるために、堅いルーメン側コネクタ104および本体106が堅い移送セット側コネクタ110から分離しされることを可能にする。移送セット側コネクタ110を含むように本体106を形成すること、または移送セット側コネクタ110を本体106に取り付けること、次いで、それらの堅い構造を患者の堅い移送セット58に接続することは、患者Pに不快につながれた組み合わされた剛性アセンブリにつながり得る。チューブ108によっても提供される空間は、本体106を移送セット側コネクタ110から分離し、それによって、堅い移送セット側コネクタのみが、患者の移送セット58に機械的に接続される。しかしながら、代替的な実施形態において、移送側コネクタ110は、本体と共に形成されるか、または、本体106に取り付けられ得る。
【0082】
包装されたフィルタセット100は、無菌性を維持するために、例えばガンマ線、蒸気またはエチレンオキシドを介してセットが滅菌された後、フィルタセット100の両端に取り外し可能なキャップ(図示せず、デュアルルーメン患者ライン50が再使用可能であると仮定する)を提供され得る。フィルタセット100を使用するために、患者またはユーザはキャップを取り外し、廃棄する。
【0083】
図2に示されるように、ルーメン側コネクタ104は、ポート、例えば、新鮮および使用済みPD流体ポート104fおよび104uを単に含み得、新鮮および使用済みPD流体ルーメン52および54は、それぞれ、シールのためにPD流体ポート104fおよび104uの上を覆って、またはそれらの中に延びている。デュアルルーメン患者ライン50が再使用可能である場合、患者ラインコネクタ56は、新鮮および使用済みPD流体ポート104fおよび104uに解放可能にクランプ締め(例えば、患者ラインコネクタ56とPD流体ポート104fおよび104uとの間で相互作用するガスケットを圧縮すること)する解放可能クランプを含み得る。デュアルルーメン患者ライン50が使い捨てである場合、新鮮および使用済みPD流体ルーメン52および54は、それぞれ、新鮮および使用済みPD流体ポート104fおよび104uに超音波シール、ヒートシール、または溶媒結合され得る。
【0084】
図3に示されるように、代替的な実施形態において、ルーメン側コネクタ104の新鮮および使用済みポート104fおよび104uは、ねじ付きシュラウド104sによって囲まれており、ねじ付きシュラウド104sは、篏合する患者ラインコネクタ56とのルアー型接続を形成し得る。ここで、患者ラインコネクタ56は、ねじ付きシュラウド104sにねじ込まれることによって、患者ラインコネクタ56にガスケット(図示せず)を圧縮させ、患者ラインコネクタ56の篏合する新鮮PD流体ポートおよび使用済みPD流体ポートを新鮮PD流体ポート104fおよび使用済みPD流体ポート104uにそれぞれシールさせるように構成される。ガスケットは、ルーメン側コネクタ104の新鮮および使用済みPD流体ポート104fおよび104uの上および/または中に嵌められ得る。患者ラインコネクタ56は、ルーメン側コネクタ104の新鮮および使用済みPD流体ポート104fおよび104uの中に延びる新鮮および使用済みポートを含み得る。一実施形態において、ガスケットは、患者ラインコネクタ56とルーメン側コネクタ104との嵌合した新鮮PD流体ポートおよび使用済みPD流体ポート間にポートシールを提供する。
【0085】
ルーメン側コネクタ104および本体106は、本明細書ではフィルタハウジング102と呼ばれる得る。フィルタハウジング102、移送セット側コネクタ110、キャップ(図示せず)、およびフィルタセット100に関連する任意の他の硬質または半硬質ポリマーは、ポリスチレン(「PS」)、ポリカーボネート(「PC」)、ポリカーボネートとアクリロニトリル-ブタジエン-スチレンとのブレンド(「PC/ABS」)、ポリ塩化ビニル(「PVC」)、ポリエチレン(「PE」)、ポリプロピレン(「PP」)、ポリエチレンテレフタレート(「PET」)のようなポリエステル、またはポリウレタン(「PU」)などの任意の1つ以上のプラスチックで作られ得る。圧縮性ガスケット112は、シリコンゴム、PVC、またはスチレン-エチレン-ブチレン-スチレン(「SEBS」)またはイソプレンなどの他の同様のエラストマー材料から形成され得る。可撓性チューブ108は、PVC、またはポリブタジエン(「PBD」)またはPPなどの非PVC材料で作られ得る。
【0086】
図2および図5は、キャップ106cが、本体を完成させるために本体106の側壁106sに超音波シール、ヒートシール、または溶媒結合されることを示す。キャップ106cを本体106の側壁106sに対してシールする前、フラットシートフィルタ膜120が、その周囲において、本体106の側壁106sの内側部分に超音波シール、ヒートシール、または溶媒結合される。フラットシートフィルタ膜120は、約0.2ミクロンの孔径を有し得る親水性材料の一実施形態で作製され、新鮮PD流体は、さらなる濾過のためにこの膜を通って流れる。フィルタ膜120は、例えば、ポリビニルピロリドンと混合されたポリスルホンまたはポリエーテルスルホンで作製され得る。フィルタ膜120は、滅菌グレードのフィルタ膜または細菌減少フィルタ膜であり得る。
【0087】
図2および図5は、キャップ106cが通気開口106vを提供される得ることをさらに示し、通気開口106vは、フィルタ膜120を通して濾過される前、空気が新鮮PD流体から排出されることを可能にする。本体106内の無菌性を維持するために、1つ以上の疎水性膜122a、122bなどは、その/それらのそれぞれの通気開口106vを取り囲んで覆うために、その/それらの周囲で、キャップ106の内面に超音波シール、ヒートシール、または溶媒結合される。疎水性膜122a、122bなどは、例えばポリテトラフルオロエチレン(「PTFE」)から作製され得る。複数組の通気開口106vおよび対応する疎水性膜122a、122bにキャップ106cが提供されているように示されているが、単一組の通気開口および対応する疎水性膜のみにキャップ106cが提供され得る。
【0088】
1つ以上の疎水性膜122a、122bなどは、親水性フィルタ膜120を通して濾過される前、新鮮PD流体がキャップ106cの下方に位置する外側区画106o内で加圧されるにつれて空気が大気に排出されることを可能にし、それは、フィルタセット100から空気を除去することに加えて、フィルタ膜120の性能を改善し得る。図2および図5の例示された実施形態において、キャップ106cには、1つ以上の通気孔または通気開口106vに隣接して配置された1つ以上の保護リブ106nが提供される。1つ以上の保護リブ106nは、患者がPD治療中に眠っている間、1つ以上の通気孔106vが患者、ブランケットなどによって覆われることを防ぐのに役立つ。
【0089】
ここで図2図4および図5を参照すると、フィルタハウジング102のルーメン側コネクタ104および本体106は、キャップ106cを除いて単一の構造として成形され得る。ルーメン側コネクタ104および本体106は、新鮮PD流体通路116および使用済みPD流体通路118を形成する。図2に示されるように、新鮮PD流体通路116は、ルーメン側コネクタ104内の新鮮PD流体ポート104fを通って、フィルタハウジング102の本体106内に位置する偏向壁106wに向かって延びている。偏向壁106wは、新鮮PD流体を方向転換させ、偏向壁106wに沿って、かつ偏向壁106wを越えて、フラットシートフィルタ膜120の外側の上を覆って存在する外側区画106oに流入させる。外側区画106oは、多孔質膜を通る均一な分配のためにフィルタ膜120の上流側にわたって新鮮PD流体を分配するようにサイズ決めされている。新鮮PD流体は、外側区画106o内で加圧される。加圧は、新鮮PD流体をフラットシートフィルタ膜120を通って本体106の濾過済み流体区画106fに押し込み、流体区画106f、は主に、リブ付き壁106iは、フラットシートフィルタ膜120の下面とリブ付き壁106iとによって境界を定められ、リブ付き壁106iは、一連のリブ106rを有し、一連のリブ106rは、特に負の患者ドレイン圧力下にある間、フラットシートフィルタ膜120を支持する。
【0090】
図2は、一実施形態において、新鮮でさらに濾過されたPD流体が、本体106の濾過済み流体区画106fから、リブ付き壁106iに提供された出口106tを通って移送セット側ポート106pに、移送セット側ポート106pを通って、フィルタセット100の短チューブ108を通って、患者の移送セット58を通って、患者Pの腹膜腔に流れることをさらに示す。移送セット側ポート106pは、以下で詳細に説明する使用済みPD流体チューブ106uから延びている。短チューブ108(図1)は、移送セット側ポート106pの上に(または代替的にその中に)延び、それは、移送セット側ポート106pに超音波シール、ヒートシール、または溶媒結合される。
【0091】
図4は、本体106のリブ付き壁106iおよび側壁106sをより詳細に示す。リブ付き壁106iおよび側壁106sは、濾過済み流体区画106fを画定する。リブ付き壁106iおよび側壁106sは、図示の実施形態において、ルーメン側コネクタ104の新鮮および使用済みPD流体ポート104f、104u、移送セット側ポート106p、一連のリブ106r、および使用済みPD流体チューブ106uと共に一体として成形される。図示の実施形態における側壁106sは、連続的なセンタリングシール用リブ106xを含むか、または画定し、リブ106xは、キャップ106cの下側周囲に沿って形成された篏合する溝106g(図2)を受け入れる。シールリブ106xの溝106gへの嵌まりは、キャップ106cが側壁106sへの超音波シール、ヒートシールまたは溶媒結合のために適切に位置することを確実にする。
【0092】
図4は、内壁106yが、側壁106sから、リブ付き壁106iが内壁106yから下に落ち込み濾過済み流体区画106fを形成する場所まで内向きに延びていることを示す。内壁106yは、同様に、材料106zの連続的な(または数珠つなぎの)リングが提供され、リングは、フラットシートフィルタ膜120の設置位置を示す。材料のリング106zは、設置フラットシートフィルタ膜120を中央に配置するのを助けることができ、および/またはフィルタ膜120の内壁106yへの超音波シール、ヒートシール、または溶媒結合を助けるための追加の材料を提供し得る。
【0093】
リブ付き壁106iによって形成された一連のリブ106rは、フラットシートフィルタ膜120を支持し、PD治療の複数の患者充填にわたって新鮮PD流体を最終的に濾過するために必要な大きさであることを可能にする。一連のリブ106rは、特に、ルーメン側コネクタ104の使用済みPD流体ポート104uを介して加えられる負の流体圧力下で、フラットシートフィルタ膜120を支持する。一連のリブ106rは、濾過済み流体区画106fから出口106tへの濾過された新鮮PD流体の流れも可能にする。
【0094】
図2および図4の組み合わせは、新鮮PD流体ポート104fを通って移動する新鮮PD流体が偏向壁106wに接触し、キャップ106cの下に位置する外側区画106oに上向きに流れる様子を示す。新鮮PD流体は、フラットシートフィルタ膜120の上を覆って分散し、次いで、フィルタ膜の多孔質壁を通して濾過流体区画106f内に加圧され、出口106tを通って出るまで一連のリブ106rに沿っておよびその周りを流れる。流出する新鮮PD流体は、移送セット側ポート106pを通って患者に流れる。
【0095】
図5は、移送セット側ポート106pが、使用済みPD流体チューブ106uまで延び、使用済みPD流体チューブ106uが、一実施形態では、濾過済み流体区画106fに隣接して存在することを示す。使用済みPD流体チューブ106uは、本体106の主要部分と共に成形され得る。図示の実施形態における使用済みPD流体チューブ106uは、移送セット側ポート106pからルーメン側コネクタ104の使用済みPD流体ポート104uまで延び、使用済みPD流体通路118を集合的に形成する。使用済みPD流体ポート104uは、前述したように、動作中、デュアルルーメン患者ライン50の使用済みPD流体ルーメン54とシール状態で流体連通する。
【0096】
使用済みPD流体チューブ106uは、使用済みPD流体がフィルタ膜120と接触せず、フィルタ膜120を潜在的に目詰まりさせることなく、フィルタハウジング102の本体106を通して引き込まれることを可能にする。
使用済みPD流体チューブ106uは、使用済みPD流体のための妨げのない直線経路を提供し、直線経路は、例えば4mmなどの2~8ミリメートル(「mm」)の内径を有し、フィルタセット100による圧力損失を緩和するのに役立つ、。
【0097】
使用済みPD流体がリブ付き壁106iに提供された出口106tを通って本体106の濾過済み流体区画106fに流れることは流体的に可能であるが、負圧は使用済みPD流体チューブ106u内からのみ加えられるので、使用済みPD流体が濾過済み流体区画106fに流れる誘因は、ほとんどない。PD機械20の制御ユニット40も、患者ドレイン中、新鮮PD流体弁26aを閉じ、使用済みPD流体を濾過済み流体区画106fの中へではなく使用済みPD流体チューブ106uに沿って流れるように促すように構成されている。同様に、患者充填中、新鮮なPD流体が使用済みPD流体チューブ106uの逆方向に逆流することは流体的に可能であるが、必要とされる方向の変化は、単に移送セット側ポート106pを通して患者Pに流れるよりそのような経路をはるかに曲がりくねったものにする。さらに、使用済みPD流体チューブ106uおよびデュアルルーメン患者チューブ50の使用済みPD流体ルーメン54は、患者充填中、新鮮および/または使用済みPD流体で満たされる可能性が高く、使用済みPD流体ルーメン54は、PD機械またはサイクラー20における使用済みPD流体弁26bを介して閉鎖され、従って、新鮮PD流体が使用済みPD流体チューブ106uに入る余地は、ほとんどまたは全くない。
【0098】
ここで図6および図7を参照すると、濾過済み流体区画106fから移送セット側ポート106pへの出口106tの異なる図が示される。ここで、必要に応じて、リブ付き壁106iに提供された出口106tを少なくとも1つのヒンジ付き閉鎖フラップ106lで覆うことが考えられる。図6において、使用済みPD流体チューブ106uの上部および出口106tに提供された2つの閉鎖フラップ106lは、長手方向ヒンジに沿ってヒンジ式で動く。図7では、使用済みPD流体チューブ106uの上部および出口106tに提供された1つ以上の閉鎖フラップ106lは、少なくとも1つの周方向ヒンジに沿ってヒンジ式で動く。ヒンジ(単数または複数)は、リビングヒンジ(単数または複数)であり得、少なくとも1つのフラップ106lは、出口106tの1つ以上の側面に沿ってリブ付き壁106iと共に成形される。患者充填中、少なくとも1つの閉鎖フラップ106lは、フィルタリングされたばかりの新鮮PD流体によって加えられた陽圧の下で開き、新鮮PD流体が出口106tから移送セット側ポート106pに流れることを可能にする。患者ドレイン中、少なくとも1つの閉鎖フラップ106lを横切る使用済みPD流体の流れは、フラップを閉じ、それによって、使用済みPD流体は、出口106tを通って流れることができない。新鮮PD流体からの正圧下にないとき、フラップが付勢されて閉じられるように少なくとも1つのヒンジ付き閉鎖フラップ106lを形成することが、考えられる。したがって、少なくとも1つのヒンジ付き閉鎖フラップ106lは、別個の弁を必要とせずに一方向弁または逆止弁の機能を提供する。
【0099】
治療のためのフィルタセット100のプライミングに関して、患者ライン50の新鮮PD流体ルーメン52およびフィルタセット100は、短チューブ108が患者の移送セット58に接続される前、新鮮PD流体でプライミングされることも、されないこともある。プライミングされる場合、ユーザインタフェース48は、患者ラインコネクタ56および/またはフィルタセット100をPD機械またはサイクラー20のハウジング22によって提供されるクリップにクリップ留めするように、患者Pに聴覚的、視覚的または聴覚的に促し得る。短チューブ108は、最初、キャップ(図示せず)に取り付けられ得、それによって、患者ラインコネクタ56またはフィルタセット100がハウジング22にクリップ留めされると、短チューブ108は、フィルタセット100から垂れ下がり、キャップを介して環境に対して閉じられている。次に、制御ユニット40は、新鮮PD流体弁26aが開らかれ、使用済みPD流体弁26bが閉じられた状態で、新鮮PD流体ルーメン52をフィルタ膜120まで新鮮PD流体でPD流体ポンプ24にプライミングさせる。ここで、空気が、通気開口106vから押し出される。
【0100】
新鮮PD流体ルーメン52が完全にプライミングされると、圧力センサ28aおよび28bは、新鮮PD流体が、使用済みPD流体弁26bが閉じられ状態で、行くべき場所がないので、圧力上昇を検知する。次に、フィルタ膜120が完全に濡らされた状態で、圧力の上昇を確かめると、制御ユニット40は、使用済みPD流体弁26bに開らかせ、PD流体ポンプ24が新鮮PD流体を親水性フィルタ膜120を通って濾過済み流体区画106fに押し込むことを可能にし、それは、内部区画を通って、使用済みPD流体チューブ106uの使用済みPD流体通路118の中に、それを通って、使用済みPD流体ルーメン54の一部に空気を押し込む。したがって、空気は、使用済みPD流体ルーメン54をシステムドレインに向かって押し上げられる。ここで、制御ユニット40は、濾過済み流体区画106f、使用済みPD流体チューブ106uの使用済みPD流体通路118、および使用済みPD流体ルーメン54の所望の部分を適切にプライミングするために必要なPD流体ポンプ24の幾つかの既知の体積ストロークを把握し、それらを作動させるようにプログラムされ得る。この時点で、フィルタセット100の本体106は、完全にプライミングされている。フィルタセット100は、フィルタセット100の本体106の上記のプライミングが実行されるためにハウジング22にクランプ留めされる必要はないが、しかしながら、そうすることは、そのようなプライミング中、デュアルルーメン患者ライン50がねじれること防ぐのに役立ち得ることが、理解されるべきである。
【0101】
次いで、PD機械またはサイクラー20のユーザインタフェース48は、ハウジング22のクリップからフィルタセット100を取り外し、短チューブ108からキャップを取り外し、短チューブ108を患者の移送セット58に接続し、患者の移送セット58のクランプを開くように、患者Pに聴覚的、視覚的または聴視覚的に促す。次に、一実施形態において、制御ユニット40は、使用済みPD流体弁26bが開らかれ、新鮮PD流体弁26aが開らかれているか閉じられている(閉じられている可能性が高い)状態で、短チューブ108をプライミングするために、患者から使用済みPD流体をPD流体ポンプ24に引き込ませ、ここで、短チューブから、使用済みPD流体チューブ106uの使用済みPD流体通路118を通して、デュアルルーメン患者ライン50の使用済みPD流体ルーメン54に、PD機械またはサイクラー20のドレインに向かって空気を引き込む。使用済みPD流体のそのような引き込みは、患者の初期ドレインの一部であり得る。したがって、患者から除去された使用済みPD流体の量は、一実施形態において、治療の初期ドレイン量の一部として制御ユニット40で(例えば、PD流体ポンプ24の既知の体積ストロークを累積することによって)カウントされる。
【0102】
代わりに、患者充填が、新鮮PD流体ルーメン52およびフィルタセット100の本体106をプライミングした後に行われるべき最初の動作である場合、制御ユニット40は、最初の患者充填を開始する前、患者から流出物を引き出して短チューブ108を完全にプライミングすることも、しないこともある。すなわち、短チューブ108内に存在する少量の空気が患者に押し戻されることを可能にすることが考えられる。しかしながら、制御ユニット40が短チューブ108をプライミングするために患者から初期量の流出物を引き出す場合、制御ユニット40は、その後の初期ドレインの一部として、患者から引き出されるどんな流出物の量もカウントし得る(例えば、PD流体ポンプ24の既知の体積ストロークを累積することによって)。
【0103】
代替的な実施形態において、フィルタセット100は、ハウジング22でクリップ留めされず、短チューブ108は、最初に、患者の移送セット58に接続される。ユーザインタフェース48は、ここで、クランプを開くように指示されるまで、患者の移送セット58のクランプが閉じられたままにするように、患者Pに聴覚的、視覚的または聴視覚的に助言する。次に、前述の手順が実行され、ここで、患者の移送セットクランプは、上記例における短チューブ108の端部のキャップの機能を実行している。患者の移送セットクランプが閉じられた状態で、制御ユニット40は、前述したように弁26aおよび26bを順序付けしながら、PD流体ポンプ24を使用して、新鮮PD流体ルーメン52、フィルタセットの本体106、および使用済みPD流体ルーメン54の一部を通して新鮮PD流体がプライミングされるようにする。
【0104】
次いで、一実施形態において、ユーザインタフェース48は、患者の移送セット58のクランプを開き、ユーザインタフェース48の確認ボタンを押すように患者Pに促す。次に、確認ボタンが押されると、制御ユニット40は、弁26aおよび26bを順序付け、使用済みPD流体を患者Pの腹膜腔から引き出し、短チューブ108および使用済みPD流体チューブ106uの使用済みPD流体通路118を患者流出物でプライミングするために、前述のようにポンプ24を作動させる。短チューブ108の流出物プライミングは、再度、初期患者ドレインの一部であり得る。
【0105】
短チューブ108をプライミングするために患者から使用済みPD流体を引き出すことは、治療開始時に患者から除去すべき使用済みPD流体があると仮定している。これは、以前の治療の最後の充填から、または真昼の交換から、治療の開始時に患者が使用済みPD流体で満たされている多くの場合に当てはまる。しかしながら、幾つかの場合、患者は、治療開始時に乾燥している。所与の時間に単一の患者に専用であり得るPD機械またはサイクラー20の制御ユニット40が、患者の治療スケジュールを把握しており、したがって、制御ユニット40が、患者がPD流体が使用されていないかまたはほとんど使用されていない乾燥状態で次の治療をいつ開始するかを把握していることが考えられる。ここで、制御ユニット40が、以前の治療の最終ドレインで患者を完全に排出しようと試みる代わりに、治療後にある残留量の流出物が患者の腹膜腔内に残ったままにすることが考えられる。残留量は、例えば、患者の留置型PDカテーテルが残留流出物にアクセスできるようにするために、必要に応じて50ミリリットル(「ml」)以上であり得る。残留量は、少なくともフィルタセット100の接合部の短チューブ108の近位端を介して任意の空気をプライミングするために十分でなければならない。
【0106】
前述のプライミング手順は、幾つかの理由で有利である。第1に、PD機械またはサイクラー20のハウジング22によって提供されるクリップに患者ラインコネクタ56を患者にクリップ留めさせるステップが、省略され得る。患者ラインコネクタ56が通気キャップと嵌められる必要性、および/またはPD機械またはサイクラー20のハウジング22が、新鮮PD流体が患者ラインコネクタ56に到達したときを検出するためのセンサを有する必要性も、排除され得る。両方の節約は、コストおよび複雑さを減らす。第2に、治療後、患者は、患者の移送セット58から移送セット側コネクタ110を切り離し、次いで、例えば患者の接触汚染による腹膜炎を防ぐのを助けるために、ヨウ素などの消毒剤を有するキャップ(図示せず)で移送セット58をシールする。次いで、キャップは、取り外され、次の治療の開始時、新しいフィルタセット100の新しい移送セット側コネクタ110と交換される。しかしながら、残留消毒剤、例えば残留ヨウ素は、残っている。本明細書に開示されるプライミング方法は、残留消毒剤を患者に送る代わりに、負圧下でデュアルルーメン患者ライン50の使用済みPD流体ルーメン54に残留消毒剤を運び去る。そうすることは、特に敏感な患者のために、健康問題を防止し得る。
【0107】
本明細書に記載の現在好ましい実施形態に対する様々な変形および変更が当業者にとって明らかであることが理解されるべきである。したがって、そのような変更および修正のいずれかまたは全てが添付の特許請求の範囲によって網羅され得ることが意図されている。例えば、デュアルルーメン患者ライン50は、代替的に、単一ルーメン患者ラインであり得、フィルタセット100は、例えば、新鮮および使用済みPD流体をセット内の所望の位置に導くためにルーメン側コネクタ104の新鮮および使用済みPD流体ポート104f、104u内に提供される逆止弁を含む。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】