(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】バッテリーパック及びこれを含む自動車
(51)【国際特許分類】
H01M 50/291 20210101AFI20241219BHJP
H01M 50/211 20210101ALI20241219BHJP
H01M 50/35 20210101ALI20241219BHJP
H01M 50/293 20210101ALI20241219BHJP
H01M 50/588 20210101ALI20241219BHJP
H01M 50/591 20210101ALI20241219BHJP
H01M 50/204 20210101ALI20241219BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20241219BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20241219BHJP
H01M 50/249 20210101ALI20241219BHJP
H01M 10/647 20140101ALI20241219BHJP
H01M 10/655 20140101ALI20241219BHJP
H01M 10/6551 20140101ALI20241219BHJP
H01M 10/6556 20140101ALI20241219BHJP
H01M 10/6567 20140101ALI20241219BHJP
H01M 50/289 20210101ALI20241219BHJP
【FI】
H01M50/291
H01M50/211
H01M50/35 101
H01M50/293
H01M50/588
H01M50/591 101
H01M50/204 401H
H01M10/613
H01M10/625
H01M50/249
H01M10/647
H01M10/655
H01M10/6551
H01M10/6556
H01M10/6567
H01M50/289 101
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024534755
(86)(22)【出願日】2023-07-11
(85)【翻訳文提出日】2024-06-11
(86)【国際出願番号】 KR2023009893
(87)【国際公開番号】W WO2024019402
(87)【国際公開日】2024-01-25
(31)【優先権主張番号】10-2022-0089911
(32)【優先日】2022-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0089941
(32)【優先日】2022-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2023-0030192
(32)【優先日】2023-03-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ジン-ヨン・パク
(72)【発明者】
【氏名】ウ-ヨン・クォン
(72)【発明者】
【氏名】ミュン-ウ・イ
(72)【発明者】
【氏名】スン-ジュン・キム
(72)【発明者】
【氏名】イン-ス・キム
(72)【発明者】
【氏名】セ-ユン・チュン
(72)【発明者】
【氏名】ホ-ジュネ・チ
(72)【発明者】
【氏名】ヒュン-モ・ユン
【テーマコード(参考)】
5H012
5H031
5H040
5H043
【Fターム(参考)】
5H012AA03
5H012CC03
5H012CC09
5H031AA09
5H031KK08
5H040AA01
5H040AA18
5H040AA28
5H040AA33
5H040AS07
5H040AT04
5H040AY05
5H040AY10
5H040CC13
5H040CC28
5H040JJ02
5H040JJ03
5H040NN03
5H043AA05
5H043AA09
5H043AA13
5H043BA15
5H043BA16
5H043BA19
5H043BA20
5H043CA08
5H043GA23
5H043GA25
5H043LA21
(57)【要約】
バッテリーパック及びこれを含む自動車が開示される。本発明の一実施形態によるバッテリーパックは、複数のセルユニットを含むバッテリーアセンブリと、前記バッテリーアセンブリを内部空間に収容するパックケースと、を含み、各セルユニットが、少なくとも1つのバッテリーセルと、前記少なくとも1つのバッテリーセルの外部を少なくとも部分的に包み込むセルカバーと、を含み、前記セルカバーと前記バッテリーセルとの間にベント空間が設けられる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のセルユニットを含むバッテリーアセンブリと、
前記バッテリーアセンブリを内部空間に収容するパックケースと、
を含み、
各セルユニットは、少なくとも1つのバッテリーセルと、前記少なくとも1つのバッテリーセルの外部を少なくとも部分的に包み込むセルカバーと、を含み、
前記セルカバーと前記バッテリーセルとの間にベント空間が設けられている、バッテリーパック。
【請求項2】
前記セルカバーは、前記少なくとも1つのバッテリーセルを起立状態で支持するように構成されている、請求項1に記載のバッテリーパック。
【請求項3】
前記セルカバーは、包み込まれたバッテリーセルの少なくとも一側が前記パックケースに向かって露出する開放部を形成するように、前記バッテリーセルを部分的に包み込む、請求項1に記載のバッテリーパック。
【請求項4】
前記セルカバーは、折れ曲がった1枚のプレートで形成されている、請求項1に記載のバッテリーパック。
【請求項5】
前記セルカバーは、内側面に絶縁コーティング層を含む、請求項1に記載のバッテリーパック。
【請求項6】
前記セルカバーは、
前記少なくとも1つのバッテリーセルの一方の側面を覆う第1のカバー部と、
前記少なくとも1つのバッテリーセルの他方の側面を覆う第2のカバー部と、
前記第1のカバー部と前記第2のカバー部とを連結し、前記少なくとも1つのバッテリーセルの一側エッジ部を覆う第3のカバー部と、を含む、請求項1に記載のバッテリーパック。
【請求項7】
前記ベント空間は、前記バッテリーセルと前記第3のカバー部との間に設けられている、請求項6に記載のバッテリーパック。
【請求項8】
前記少なくとも1つのバッテリーセルは、前記第1のカバー部及び前記第2のカバー部の内側面に接着固定されている、請求項6に記載のバッテリーパック。
【請求項9】
前記第1のカバー部の端部のうち前記第3のカバー部と接続されていない端部と、前記第2のカバー部の端部のうち前記第3のカバー部と接続されていない端部とは、前記バッテリーセルの一側が前記パックケースに向かって露出する開放部を形成する、請求項6に記載のバッテリーパック。
【請求項10】
前記少なくとも1つのバッテリーセルは、前記セルカバーの第1のカバー部と第2のカバー部との間に配置されており、前記第3のカバー部との間に所定の空間が形成されるように前記第3のカバー部から離間して配置されている、請求項6に記載のバッテリーパック。
【請求項11】
前記セルカバーの第1のカバー部及び第2のカバー部の上下方向の長さは、前記少なくとも1つのバッテリーセルの上下方向の長さよりも長い、請求項6に記載のバッテリーパック。
【請求項12】
前記バッテリーパックは、前記セルユニットと熱接触して前記セルユニットを冷却するヒートシンクをさらに含む、請求項6に記載のバッテリーパック。
【請求項13】
前記セルカバーが前記ヒートシンクと接触している、請求項12に記載のバッテリーパック。
【請求項14】
前記セルカバーの両端部は、前記ヒートシンク側へ延びており、前記第1のカバー部と前記第2のカバー部との間に配置された前記少なくとも1つのバッテリーセルと、前記ヒートシンクとの間に所定の空間が形成されるように、前記少なくとも1つのバッテリーセルの端部よりも長く延びている、請求項12に記載のバッテリーパック。
【請求項15】
前記ヒートシンクは、前記セルカバーの両端部が挿入固定される固定溝を備える、請求項14に記載のバッテリーパック。
【請求項16】
前記第1のカバー部及び前記第2のカバー部は、前記開放部に隣接する端部に形成され、前記バッテリーセルに向かって内側に湾入した下側ビーディング部をさらに含む、請求項9に記載のバッテリーパック。
【請求項17】
前記下側ビーディング部は、前記セルカバーの長手方向に沿って連続して形成されている、請求項16に記載のバッテリーパック。
【請求項18】
前記第1のカバー部の下側ビーディング部と前記第2のカバー部の下側ビーディング部とは、前記セルカバーの中央に対して対称的に設けられている、請求項16に記載のバッテリーパック。
【請求項19】
前記第1のカバー部及び前記第2のカバー部は、前記第3のカバー部と前記バッテリーセルとの間に形成され、前記バッテリーセルに向かって内側に湾入した上側ビーディング部をさらに含む、請求項6に記載のバッテリーパック。
【請求項20】
前記上側ビーディング部は、前記セルカバーの長手方向に沿って連続して形成されている、請求項19に記載のバッテリーパック。
【請求項21】
前記第1のカバー部の上側ビーディング部と前記第2のカバー部の上側ビーディング部とは、前記セルカバーの中央に対して対称的に設けられている、請求項20に記載のバッテリーパック。
【請求項22】
前記第1のカバー部及び前記第2のカバー部は、前記第3のカバー部と前記バッテリーセルとの間に形成され、前記バッテリーセルに向かって内側に湾入した上側ビーディング部をさらに含む、請求項16に記載のバッテリーパック。
【請求項23】
請求項1から22のいずれか一項に記載のバッテリーパックを含む、自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリーパック及び自動車に関し、より詳細には、セルトゥーパック(CTP:Cell To Pack)方式で製造されるバッテリーパック及びこれを含む自動車に関する。本出願は、2022年7月20日付け出願の韓国特許出願第10-2022-0089911号、韓国特許出願第10-2022-0089941号及び2023年3月7日付け出願の韓国特許出願第10-2023-0030192号に基づく優先権を主張し、当該出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
一般に、二次電池とは、リチウムイオンバッテリー、リチウムポリマーバッテリー、ニッケルカドミウムバッテリー、ニッケル水素バッテリー、ニッケル亜鉛バッテリーなど、繰り返し充放電が可能なバッテリーを指す。このような二次電池の充放電の基本単位に相当するバッテリーセルの出力電圧は、約2.5V~4.2Vである。
【0003】
近年、二次電池は、電気自動車(electric vehicle)やエネルギー貯蔵システム(ESS:Energy Starge System)などのように高い出力電圧と大量の充電容量を必要とする装置に適用されるようになり、複数のバッテリーセルを直列または並列に接続してバッテリーモジュールを構成し、このように構成された多数のバッテリーモジュールを再び直列または並列に接続することで製造されるバッテリーパックが広く使用されている。
【0004】
しかしながら、韓国登録特許公報第10-2379227号、韓国公開特許公報第10-2022-0052183号などに開示されているように、従来の技術では、バッテリーセルを箱状の金属ケースに収容してバッテリーモジュールを構成し、これらのバッテリーモジュールを再びバッテリーパックケースに収容してバッテリーパックを製造しているため、バッテリーパック全体の重量及び体積が増加し、バッテリーパックのエネルギー密度が低下するという問題がある。
【0005】
また、バッテリーパックのエネルギー密度を高めるために、複数のバッテリーセルをバッテリーパックのパックケースに直接装着する従来のセルトゥーパック方式を、軟質ケースを有するパウチ型バッテリーセルに適用した場合、複数のバッテリーセルを同時に取り扱ったり積み重ねたりすることが難しく、バッテリーセルをパックケースに装着する過程でバッテリーセルが破損する危険性がある。
【0006】
近年、電気自動車用のバッテリーパックの需要が高まっている。これらのバッテリーパックには複数のバッテリーセルが搭載されており、より厳格な安全管理が求められている。ある1つのバッテリーモジュール内の一部のセルで熱暴走(thermal runaway)や、発火、爆発などが発生した場合、生成された高熱のガス、火炎、または高温の内部物質が噴射され、隣接する他のバッテリーモジュールに伝播(propagation)することにより、2次熱暴走、2次火災や爆発などが起こる場合があり、これにより複数のバッテリーモジュール内のセルが連鎖的に熱暴走、発火、または爆発する恐れがある。そのため、熱暴走などの熱的事象(thermal event)が発生した場合に、バッテリーモジュール間の火炎伝播を抑制又は遅延させる手段が非常に必要とされている。しかしながら、従来のバッテリーパックは、熱的事象に対して脆弱である可能性がある。特に、バッテリーパック内部で熱的事象が発生すると、熱暴走が発生し、火炎が発生し、ひどい場合には爆発に至ることもあり、改善が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする技術的課題は、バッテリーパックの全体重量及び体積を軽減し、バッテリーパックのエネルギー密度を高めるバッテリーパック及びこれを含む自動車を提供することである。
【0008】
また、本発明が解決しようとする他の技術的課題は、複数のバッテリーセルを含むバッテリーパックの製造過程において、バッテリーセルの取り扱い及び装着を容易にし、バッテリーセルの損傷を防止するとともに、バッテリーセル装着に必要な構造体を簡素化及び軽量化して製造コストを低減するバッテリーパック及びこれを含む自動車を提供することである。
【0009】
さらに、本発明が解決しようとするさらに他の技術的課題は、熱的事象が発生した場合に優れた安全性を確保できるバッテリーパック及びこれを含む自動車を提供することである。
【0010】
但し、本発明が解決しようとする技術的課題は、上述した課題に限定されるものではなく、言及されていないさらに他の課題は、以下に述べる発明の詳細な説明から当業者にとって明らかに理解できるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一実施形態によるバッテリーパックは、複数のセルユニットを含むバッテリーアセンブリと、前記バッテリーアセンブリを内部空間に収容するパックケースと、を含み、各セルユニットが、少なくとも1つのバッテリーセルと、前記少なくとも1つのバッテリーセルの外部を少なくとも部分的に包み込むセルカバーと、を含み、前記セルカバーと前記バッテリーセルとの間にベント空間が設けられ得る。
【0012】
一実施形態において、前記少なくとも1つのバッテリーセルは、パウチ型バッテリーセルを含み得る。
【0013】
一実施形態において、前記セルカバーは、前記少なくとも1つのバッテリーセルを起立状態で支持するように構成され得る。
【0014】
前記セルカバーは、包み込まれたバッテリーセルの少なくとも一側が前記パックケースに向かって露出する開放部を形成するように、前記バッテリーセルを部分的に包み込み得る。
【0015】
一実施形態において、前記セルカバーは、一体的に構成され得る。
【0016】
前記セルカバーは、折れ曲がった1枚のプレートで形成され得る。
【0017】
前記セルカバーは、内側面に絶縁コーティング層を含み得る。
【0018】
前記絶縁コーティング層は、シリコン樹脂、ポリアミド(Polyamide)及びゴムのいずれか1つの絶縁性材料をコーティング、塗布または付着させ得る。
【0019】
一実施形態において、前記セルカバーは、ステンレス鋼(SUS)を含む材料で構成され得る。
【0020】
さらに、本発明のバッテリーパックは、前記パックケースの内部空間に収容されており、前記バッテリーセルの充放電を制御するように構成された制御モジュールをさらに含み得る。
【0021】
一実施形態において、前記セルカバーは、前記少なくとも1つのバッテリーセルの一方の側面を覆う第1のカバー部と、前記少なくとも1つのバッテリーセルの他方の側面を覆う第2のカバー部と、前記第1のカバー部と前記第2のカバー部とを連結し、前記少なくとも1つのバッテリーセルの一側エッジ部を覆う第3のカバー部と、を含み得る。
【0022】
前記ベント空間は、前記バッテリーセルと前記第3のカバー部との間に設けられ得る。
【0023】
一実施形態において、前記少なくとも1つのバッテリーセルは、前記第1のカバー部及び前記第2のカバー部の内側面に接着固定され得る。
【0024】
前記第1のカバー部の端部のうち前記第3のカバー部と接続されていない端部と、前記第2のカバー部の端部のうち前記第3のカバー部と接続されていない端部とは、前記バッテリーセルの一側が前記パックケースに向かって露出する開放部を形成し得る。
【0025】
一実施形態において、前記少なくとも1つのバッテリーセルは、前記セルカバーの第1のカバー部と第2のカバー部との間に配置されており、前記第3のカバー部との間に所定の空間が形成されるように、前記第3のカバー部から離間して配置され得る。
【0026】
この場合、前記セルカバーの第1のカバー部及び第2のカバー部の上下方向の長さは、前記少なくとも1つのバッテリーセルの上下方向の長さよりも長いことが可能である。
【0027】
一実施形態において、前記バッテリーパックは、前記セルユニットと熱接触して前記セルユニットを冷却するヒートシンクを含み得る。
【0028】
特に、前記セルカバーが前記ヒートシンクと接触し得る。
【0029】
一実施形態において、前記セルカバーの両端部は、前記ヒートシンク側へ延びており、前記第1のカバー部と前記第2のカバー部との間に配置された前記少なくとも1つのバッテリーセルと、前記ヒートシンクとの間に所定の空間が形成されるように、前記少なくとも1つのバッテリーセルの端部よりも長く延び得る。
【0030】
一実施形態において、前記ヒートシンクは、前記セルカバーの両端部が挿入固定される固定溝を備え得る。
【0031】
本発明において、前記第1のカバー部及び前記第2のカバー部は、前記開放部に隣接する端部に形成され、前記バッテリーセルに向かって内側に湾入した下側ビーディング部をさらに含み得る。
【0032】
ここで、前記下側ビーディング部は、前記セルカバーの長手方向に沿って連続して形成され得る。
【0033】
また、前記第1のカバー部の下側ビーディング部と前記第2のカバー部の下側ビーディング部とは、前記セルカバーの中央に対して対称的に設けられ得る。
【0034】
さらに、前記第1のカバー部及び前記第2のカバー部は、前記第3のカバー部と前記バッテリーセルとの間に形成され、前記バッテリーセルに向かって内側に湾入した上側ビーディング部をさらに含み得る。
【0035】
前記上側ビーディング部は、前記セルカバーの長手方向に沿って連続して形成され得る。
【0036】
前記第1のカバー部の上側ビーディング部と前記第2のカバー部の上側ビーディング部とは、前記セルカバーの中央に対して対称的に設けられ得る。
【0037】
他の実施形態によれば、前記第1のカバー部及び前記第2のカバー部は、前記上側ビーディング部及び前記下側ビーディング部の両方を含む。
【0038】
本発明のさらに他の実施形態による自動車は、上述の実施形態のいずれか1つによる少なくとも1つのバッテリーパックを含み得る。
【発明の効果】
【0039】
本発明のバッテリーパックは、CTPのコンセプトであって、モジュールケース等を除去することで、冷却性能やエネルギー密度等を向上させることができる。
【0040】
本発明の一態様によれば、複数のバッテリーセルを、別個のモジュールケースに収容してバッテリーパックのパックケースに装着するのではなく、簡素化した構造のセルカバーによって部分的にのみ覆ってパックケースに直接装着することにより、バッテリーパック全体の重量及び体積を減らし、バッテリーパックのエネルギー密度を高めるとともに、複数のバッテリーセルをケースに直接装着して使用する過程で発生するバッテリーセルの損傷を防止し、バッテリーセルのスウェリング(swelling)の制御とガスベント経路の設計を容易にすることができる。
【0041】
また、バッテリーセルをセルカバーの内面に接着固定し、これらのバッテリーセルの上方と下方に熱交換とガスベントが可能な空間を形成することで、バッテリーセルの効率的な冷却とディレクショナルベンティング(Directional Venting)を可能にし、LFPパウチセルなどの安全性が向上したセルを適用した合、サーマルレジン(thermal resin、熱伝導性樹脂)が不要になることで製造コストを低減することができる。
【0042】
さらに、セルカバーがヒートシンクの固定溝に挿入固定されて、バッテリーセルの熱をヒートシンクに伝達する冷却フィンの役割を行うことにより、バッテリーパックの製造工程を簡素化・効率化するとともに、バッテリーセルの冷却性能をさらに向上させることができる。
【0043】
さらにまた、それぞれ少なくとも1つのバッテリーセルを含むセルユニットを、一対のサイドプレート及び一体型エンドカバーにブロック化して固定することで、バッテリーパックにおけるバッテリーセルの取り扱い及び装着を容易にするとともに、バッテリーセルの装着に必要な構造を簡素化・軽量化し、製造コストを低減することができる。
【0044】
本発明の他の態様によれば、セルカバーのビーディング部により、セルカバーとバッテリーセル間の組立工程性を向上させることができ、セルユニット間に空気層が形成されることで、セルユニット間の熱伝達率を低減することができる。
【0045】
また、バッテリーセルのスウェリング時にセルカバーのビーディング部の弾性変形によりバッテリーセルを押圧することにより、バッテリーセルのスウェリング量を最小限に抑えることができるという効果もある。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図1】本発明の一実施形態によるバッテリーパックを示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態によるバッテリーパックに含まれ得るバッテリーアセンブリを示す図である。
【
図3】
図2に示すバッテリーアセンブリの部分分解斜視図である。
【
図5】
図2に示すバッテリーアセンブリに含まれ得るセルユニットの斜視図である。
【
図6】
図5に示すセルユニットの分解斜視図である。
【
図7】
図6に示すセルユニットのセルカバーを示す斜視図である。
【
図8】
図7に示すセルカバーを適用したセルユニットの装着方式を示す図である。
【
図9】
図7に示すセルカバーを適用したセルユニットの装着方式を示す図である。
【
図10】本発明の他の実施形態によるバッテリーパックの主な構成を概略的に示す斜視図である。
【
図11】本発明の他の実施形態によるセルユニットの構成を概略的に示す斜視図である。
【
図12】本発明の他の実施形態によるセルユニットの概略的な断面図である。
【
図13】本発明の他の実施形態によるバッテリーパックの部分断面を概略的に示す図である。
【
図15】
図12に対応する図であり、
図12のセルユニットのさらに他の実施形態を示す図である。
【
図16】本発明の一実施形態による自動車を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下、本発明の技術的課題に対応する解決法を明確にするために添付図面を参照して本発明による実施形態を詳しく説明する。但し、本発明を説明するにあたり、関連する公知の技術に関する説明が本発明の要旨をかえって不明にすると判断される場合は、その説明を省略する。また、本明細書で使用される用語は、本発明における機能を考慮して定義された用語であって、設計者、製造者などの意図または慣例などによって変わり得る。したがって、後術する用語の定義は、本明細書全般に亘る内容に基づきなされるべきものであろう。
【0048】
参考までに、本明細書において、方向を指示する用語は、添付図面に示された構成要素に対する用語であり、構成要素の実際の姿勢や位置によって変更される可能性のある相対的な用語である。
【0049】
図中、各構成要素またはその構成要素をなす特定の部分の大きさは、説明のしやすさ及び明確性のためにやや誇張して表現されたり、省略されたり、概略的に示されたりしている。したがって、各構成要素の大きさは、実際の大きさを全的に反映するものではない。
【0050】
図1は、本発明の一実施形態によるバッテリーパックを示す図である。
【0051】
図1に示すように、バッテリーパック10は、少なくとも1つのバッテリーアセンブリ100と、パックケース12とを含み得る。
【0052】
バッテリーアセンブリ100は、複数のセルユニット110を含み得る。セルユニット110は、例えば、Y軸方向に沿って複数配列され得る。このようなセルユニット110を含むバッテリーアセンブリ100は、パックケース12内にX軸方向及びY軸方向に沿って複数配列され得る。
【0053】
パックケース12は、内部空間にバッテリーアセンブリ100を収容する。パックケース12は、バッテリーアセンブリ100が別途のケースなしで直接的に載置される載置構造を有し、複数のバッテリーアセンブリ100を、バッテリーアセンブリごとに別々の載置空間に収容するように構成され得る。このため、パックケース12は、その内部空間を複数の載置空間に分割するクロスビーム12a、12bを含み得る。このようなクロスビーム12a、12bは、互いに離間するように配置されたり、交差するように配置されたりして、前記複数の載置空間を形成するように構成され得る。
【0054】
パックケース12は、プラスチック又は金属材料を備え得る。その他にも、パックケース12は、本発明の出願時点における公知の多種多様なバッテリーパックの外装材の材料を採用することができる。
【0055】
図2は、本発明の一実施形態によるバッテリーパックに含まれ得るバッテリーアセンブリを示す図である。
図3は、
図2に示すバッテリーアセンブリの部分分解斜視図である。
図4は、
図2に示すP1領域の底部の拡大図である。
【0056】
図2~
図4を参照すると、バッテリーアセンブリ100は、複数のセルユニット110、一対のサイドプレート120、及び一対の一体型エンドカバー130を含み、実施形態によっては、ハンドルユニット140をさらに含み得る。
【0057】
図5は、
図2に示すバッテリーアセンブリに含まれ得るセルユニットの斜視図である。
図6は、
図5に示すセルユニットの分解斜視図である。
【0058】
図5及び
図6を参照すると、セルユニット110はそれぞれ、少なくとも1つのバッテリーセル105と、このようなバッテリーセル105の外部を少なくとも部分的に包み込むセルカバー150と、を含み得る。少なくとも1つのバッテリーセル105及びセルカバー150に加えて、セルユニット110は、バスバーフレーム170及び絶縁カバー180を含み得る。
【0059】
本発明の実施形態において、バッテリーセル105はパウチ型バッテリーセルである。バッテリーセル105は充電及び放電の基本単位であり、セルカバー150は少なくとも1つのバッテリーセル105を部分的にのみ覆って支持するものであり得る。また、セルカバー150とバッテリーセル105との間にベント空間が設けられていることを特徴とし、これについては後に詳述する。
【0060】
バッテリーセル105は、充放電の基本単位に相当するものであり、軟質の金属を含むラミネートフィルムからなるパウチ外装材の内部に電極組立体及び電解質物質を収容し、前記パウチ外装材をシールする方式で製造され得る。この場合、電極組立体は、正極電極と負極電極との間にセパレーターを介在させる方式製造され得る。また、バッテリーセル105のパウチ外装材の外部には、電極組立体と電気的に接続された電極リード107が露出するように設けられ得る。電極リード107は、正極リードと負極リードとのペアを含む。ここで、前記正極リード及び前記負極リードは、バッテリーセル105の長手方向における前後両端部に配備され得る。
【0061】
バッテリーセル105は、上側エッジ部(上縁)、下側エッジ部(下縁)、前側エッジ部(前縁)及び後側エッジ部(後縁)のような4つのエッジ部を有し得、4つのエッジ部の全てがシール部であるか、下側エッジ部(下縁)のみがパウチ外装材が折り曲げられた部分で、未シール部であり得る。例えば、上側エッジ部は、バッテリーセル105のシール部であって二回折れ曲がった、いわゆるダブルサイドフォールディング(DSF:Double Side Folding)構造の部分であり得、下側エッジ部は未シール部であり得る。
【0062】
セルカバー150には、意図されたベント方向に応じて様々な位置に設けられるベント孔160(venting hole)を備え得る。このようなベント孔160は、セルカバー150の所定部分にノッチを形成するように設けられ得る。
【0063】
セルカバー150を含むバッテリーパック10によれば、プラスチックカートリッジのような積層用フレームや別個のモジュールケースなどを必要することなく、複数のバッテリーセル105をパックケース12の内部に安定的に収容することができる。
【0064】
バスバーフレーム170は、セルカバー150によって覆われる少なくとも1つのバッテリーセル105の電極リード107を支持し、このような電極リード107を他のバッテリーセル105の電極リード107と電気的に接続するように構成され得る。この場合、バスバーフレーム170は、電極リード107と電気的に接続される端子を備え得る。
【0065】
絶縁カバー180は、電極リード107またはバスバーの短絡を防止するように構成され得る。このため、絶縁カバー180は、絶縁性を有する高分子合成樹脂で構成され得る。
【0066】
図2~
図6を併せて参照すると、このようなセルユニット110は、複数個がその幅方向(図中のY軸方向)に並べて積層されるように構成され得る。一対のサイドプレート120は、複数のセルユニット110の幅方向(積層方向)の両端にそれぞれ配置されて、複数のセルユニット110を支持するように構成され得る。このため、一対のサイドプレート120のうちの少なくとも一方のサイドプレートは、支持部122、エンドカバー結合部124及びハンドル結合部126を含み得る。
【0067】
支持部122は、複数のセルユニット110の幅方向の一方の側面又は他方の側面に接触して、複数のセルユニット110を支持するように構成され得る。この場合、支持部122は、板状構造で構成され得る。
【0068】
エンドカバー結合部124は、支持部122からそのサイド方向(図中のX軸方向)に延びて、一体型エンドカバー130のサイド方向の一方の端部と結合するように構成され得る。
【0069】
ハンドル結合部126は、支持部122から上方(図中のZ軸方向)に延びて、複数のハンドルユニット140のうちの少なくとも1つのハンドルユニット140と結合するように構成され得る。後述するが、ハンドル結合部126は、少なくとも1つのハンドルユニット140と結合及び分離可能に構成され得る。
【0070】
このような一対のサイドプレート120は、一体型エンドカバー130と共に、複数のセルユニット110をブロック化又はグループ化しつつ、複数のセルユニット110に加えられる圧力をセルユニット110全体に均等に分配し得る。また、一対のサイドプレート120は、アルミニウムを含む金属材料で構成されてもよく、インサート成形(insert molding)によりアルミニウムと高分子合成樹脂とを組み合わせた材料で構成され得る。
【0071】
一対の一体型エンドカバー130は、複数のセルユニット110の長手方向(図中のX軸方向)の両端部にそれぞれ配置されて複数のセルユニット110を支持し、複数のセルユニット110に含まれるバッテリーセル105の端子部を一体的に覆うように構成され得る。
【0072】
すなわち、一体型エンドカバー130の各々は、サイド方向における一方の端が一対のサイドプレート120のうちの一方の第1のサイドプレートに結合され、サイド方向の他方の端が一対のサイドプレート120のうちの他方の第2のサイドプレートに結合されて、複数のセルユニット110に含まれるバッテリーセル105の端子部を一体的に覆うように構成され得る。この場合、一体型エンドカバー130は、複数のセルユニット110にそれぞれ対応する位置にベント孔132aを備え得る。このような一体型エンドカバー130は、アルミニウムを含む金属材料または高分子合成樹脂で構成されてもよく、インサート成形によってアルミニウムを含む金属材料と高分子合成樹脂とを組み合わせた材料で構成され得る。
【0073】
バッテリーアセンブリ100は、このような一体型エンドカバー130が適用されることにより、セルユニット110ごとに適用され、当該セルユニット110に含まれるバッテリーセル105の端子またはバスバー部分を覆う個々のエンドカバーを省略することができ、製造工程を簡素化することができる。
【0074】
ハンドルユニット140は、バッテリーアセンブリ100を運搬する運搬者によって把持されるように構成されてもよいし、バッテリーアセンブリ100を持ち上げたり搬送したりする所定の搬送装置と接続されるように構成され得る。
【0075】
このようなハンドルユニット140は、一対のサイドプレート120に着脱可能に結合するように構成され得る。また、ハンドルユニット140は、所定の強度を有する金属材料、高分子合成樹脂、またはこれらの組み合わせで構成され得る。
【0076】
上述のバッテリーアセンブリ100は、積層されるセルユニット110の数を増やすことで拡張可能である。
【0077】
図3に詳細に示すように、バッテリーアセンブリ100の一対のサイドプレート120と一対の一体型エンドカバー130とは、相互に結合して、複数のセルユニット110をブロック化又はグループ化することができる。このために、一体型エンドカバー130は、端子カバー部132、第1の結合部134a及び第2の結合部134bを含み得る。
【0078】
端子カバー部132は、複数のセルユニット110に含まれるバッテリーセル105の端子部(電極リード部分)を一括して覆うように構成され得る。このような端子カバー部132は、各セルユニット110に対応する位置ごとにベント孔132aを備え得る。
【0079】
第1の結合部134aは、端子カバー部132から第1のサイドプレート120a側に延びて、第1のサイドプレート120aのエンドカバー結合部124と結合するように構成され得る。この場合、第1の結合部134aとエンドカバー結合部124とは、ボルトやリベットなどの締結部材によって結合され得る。
【0080】
第2の結合部134bは、端子カバー部132から第2のサイドプレート120b側に延びて、第2のサイドプレート120bのエンドカバー結合部124と結合するように構成され得る。この場合、第2の結合部134bとエンドカバー結合部124とは、ボルトやリベットなどの締結部材によって結合され得る。
【0081】
一方、ハンドルユニット140は、対応するサイドプレート120のハンドル結合部126に着脱(結合と分離)可能な様々な方法で結合され得る。
【0082】
図4に示すように、一体型エンドカバー130の第1の結合部134aは、第1のサイドプレート120aのエンドカバー結合部124と締結部材Bによって結合され得る。
【0083】
また、一体型エンドカバー130は、セルユニット支持部136を含み得る。セルユニット支持部136は、ベント孔132aを有する端子カバー部132から複数のセルユニット110の底面まで延びて、複数のセルユニット110を支持するように構成され得る。この場合、セルユニット支持部136は、複数のセルユニット110に設けられたバスバーフレーム170の下端を支持するように構成され得る。
【0084】
このように、各々が少なくとも1つのバッテリーセル105を含むセルユニット110を、一対のサイドプレート120及び一体型エンドカバー130にブロック化して固定することにより、バッテリーパック10に装着されるバッテリーセル105の取り扱い及び装着を容易にするとともに、バッテリーセル105の装着に必要な構造体を簡素化及び軽量化し、製造コストを低減することができる。
【0085】
以上説明したバッテリーパック10によれば、セルカバー150を含む一実施形態によれば、複数のバッテリーセル105を、上下方向に立てられた状態で水平方向に並んで積層する構成を容易に実現することができる。
【0086】
さらに、本発明の一実施形態によれば、バッテリーセル105をモジュール化することなくパックケース12に直接収容するので、バッテリーモジュール用のモジュールケース等が不要なバッテリーパック10を製造することができる。したがって、このようなモジュールケースが占めるスペースを減らすことにより、より多くのバッテリーセル105をパックケース12の内部に配置することができる。したがって、バッテリーパック10のエネルギー密度をさらに向上させることができるという効果がある。特に、パウチ型バッテリーセルのように、軟質ケースを有するバッテリーセル105をバッテリーパック10のパックケース12に直接組み付けることにより、バッテリーパック10の空間活用率を最大化し、かつ、エネルギー容量を大幅に向上させることができる。
【0087】
また、バッテリーセル105をセルカバー150で包み込むことにより、バッテリーセル105を容易に強固なものとすることで、パックケース12の内部で直接積層する構造を容易に実現することができる。したがって、バッテリーパック10の組立性や機械的安定性などを向上させることができる。
【0088】
図7は、
図6に示すセルユニットのセルカバーを示す斜視図である。以下では、
図5~
図7を参照して、セルユニット110及びセルカバー150についてより詳細に説明する。
【0089】
図5及び
図6を参照して説明したように、セルユニット110は、少なくとも1つのバッテリーセル105の外部を部分的に覆うセルカバー150を含み得る。
【0090】
セルカバー150は、少なくとも1つのバッテリーセル105の外部を部分的に包み込むように構成され得る。すなわち、セルカバー150は、バッテリーパック10に含まれる複数のバッテリーセル105のうちの少なくとも一つのバッテリーセル105を包み込むように構成され得る。また、セルカバー150は、バッテリーセル105を少なくとも部分的に包み込むように設けられ得る。さらに、セルカバー150は、少なくとも1つのバッテリーセル105を起立状態で支持するように構成され得る。
【0091】
例えば、
図6に示すように、セルカバー150は、3つのバッテリーセル105の外部を部分的に包みながら当該バッテリーセル105を起立状態で支持するように構成され得る。
【0092】
各バッテリーセル105は、
図6に示すように、2つの広い面を有し、バッテリーセル105がパウチ型バッテリーセルである場合、このような広い面のエッジ(縁)部分には、パウチ外装材のシール部や折れ曲がった部分が形成され得る。したがって、一般に、パウチ型バッテリーセルを、狭い面を下にして上下方向に立てられた状態で積層することは困難である。しかしながら、本発明によるバッテリーパック10では、セルカバー150は、1つ又はそれ以上のバッテリーセル105を包みながら、包み込まれたバッテリーセル105の立てられた状態、すなわち起立状態を支持するように構成され得る。
【0093】
このために、セルカバー150は、
図7に詳細に示すように、少なくとも1つのバッテリーセル105の一方の側面を覆う第1のカバー部152と、少なくとも1つのバッテリーセル105の他方の側面を覆う第2のカバー部154と、第1のカバー部152と第2のカバー部154とを連結し、少なくとも1つのバッテリーセル105の上側エッジ部を覆う第3のカバー部156と、を含み得る。この場合、ベント孔160は、セルカバー150の第3のカバー部156に設けられ得る。
【0094】
例えば、セルカバー150は、少なくとも1つのバッテリーセル105の3つの面を取り囲む「コ」字形状、「u」字形状又は「n」字形状に形成され得る。セルカバー150は、複数のバッテリーセル105が上下方向に立てられた状態で水平方向に積層できるように構成され得る。例えば、先に説明したバッテリーパック10の実施形態と同様に、複数のセルユニット110を水平方向(Y軸方向)に互いに積層し、各セルカバー150が1つ又はそれ以上のバッテリーセル105を包み込む形状に形成され得る。この場合、セルカバー150によって、複数のバッテリーセル105がそれぞれ立てられた状態で水平方向に並んで積層された構成が安定的に保持され得る。
【0095】
また、セルカバー150が少なくとも1つのバッテリーセル105の3つの面を取り囲むようにすることで、各セルユニット110について、バスバーや各ユニットの端子を、各セルカバー150で取り囲まれていない側面に配置する構成を容易に実現することができる。
【0096】
パウチ型バッテリーセルのようなバッテリーセル105は、略6面体として形成されているといえる。また、6つの面のうちの2つの面に電極リード107、すなわち、負極リード及び正極リードがそれぞれ形成され得る。そして、セルカバー150は、6面体のバッテリーセル105の6つの面のうち、電極リード107が形成された2つの面を除く残りの4つの面のうちの3つの面の少なくとも一部を包み込むように設けられる。
【0097】
本発明のこのような実施形態によれば、セルカバー150の露出した側面(電極リード107が形成された部分)に火炎等の排出方向を誘導することができる。例えば、前記実施形態によれば、電極リード107が位置するセルカバー150の前方側及び後方側が開放されているので、このような開放された方向に火炎等が排出されるようにすることができる。特に、上記のようにセルカバー150の前方及び後方が開放された形状に形成された場合、バッテリーセル105の長手方向に沿ったディレクショナルベンティング(Directional Venting)を容易に実現することができる。または、セルカバー150の下端または上端が開放された形状に形成された場合、セルカバー150の下端または上端の開放された側面(開放端)へのディレクショナルベンティングを実現することもできる。
【0098】
パウチ型バッテリーセルでは、シール部としての上側エッジ部は、未シール部としての下側エッジ部よりも高温のガスや火炎の排出に相対的に弱い可能性がある。しかしながら、前記実施形態によれば、シール部である上側エッジ部がセルカバー150に対面するように配置されており、この方がディレクショナルベンティングにさらに有利であり得る。
【0099】
図示例では、第3のカバー部156は、内部に収容されたバッテリーセル105の上側エッジ部の上部を包み込むように構成され得る。
【0100】
第1のカバー部152は、第3のカバー部156の一方の端から下方に延びる形状に形成され得る。例えば、第1のカバー部152は、第3のカバー部156の左側端部から下方に長く延びる形状に形成され得る。第1のカバー部152は、内部に収容されたバッテリーセル105の広い面を包み込むように構成され得る。
【0101】
第2のカバー部154は、第1のカバー部152から水平方向に離間して配置され得る。また、第2のカバー部154は、第3のカバー部156の他方の端から下方に延びる形状に形成され得る。例えば、第2のカバー部154は、第3のカバー部156の右側端部から下方に長く延びるように構成され得る。さらに、第2のカバー部154は、内部に収容されたバッテリーセル105の広い面を包み込むように構成され得る。前記実施形態において、第3のカバー部156、第1のカバー部152及び第2のカバー部154によって内部空間が画定され得る。そして、セルカバー150は、このように画定された内部空間に1つ又はそれ以上のバッテリーセル105を収容し得る。
【0102】
図示例において、セルカバー150は、包み込まれたバッテリーセル105の少なくとも一側、特に下側がパックケース12に向かって露出する開放部を形成するように、バッテリーセル105を部分的に包み込んでいる。このような本発明の一態様によれば、バッテリーパック10の冷却効率をより向上させることができる。特に、本発明の一実施形態の場合、各バッテリーセル105の一部がパックケース12に直接露出できるので、各バッテリーセル105の熱がパックケース12を介して外部に効果的に排出され得る。
【0103】
本発明のこのような実施形態によれば、1つのセルカバー150で1つ又はそれ以上のバッテリーセル105を支持し保護する構成を容易に実現することができる。特に、前記実施形態によれば、バッテリーセル105の下側エッジ部は、セルカバー150の開放端に隣接して位置していて、セルカバー150によって包み込まれることなく、パックケース12に対向し、パックケース12と直接対面接触し得る。したがって、セルカバー150によって包み込まれたバッテリーセル105の熱が迅速かつ円滑に下部のパックケース12側に排出され得る。したがって、バッテリーパック10の冷却性能をより効果的に確保することができる。
【0104】
特に、このような構成は、主にパックケース12の下部において冷却が行われる場合、より効果的に実施され得る。例えば、電気自動車に装着されるバッテリーパックの場合、車体の下部に装着されるので、主にパックケース12の下部において冷却が行われる得る。この場合、前記実施形態のように、各バッテリーセル105の下側エッジ部がパックケース12に対面して接触する場合、各バッテリーセル105からパックケース12側へ速やかに熱が伝達され、冷却性能がより向上することができる。
【0105】
また、前記実施形態によれば、熱暴走等の状況でバッテリーセル105から高温のガスや火炎等が排出された場合に、排出されたガスや火炎が上方に向かうことを効果的に防止することができる。特に、電気自動車等のように、バッテリーパック10の上側に乗員が位置する場合、前記実施形態によれば、ガスや火炎等が乗員側に向かうことを抑制又は遅延させることができる。
【0106】
セルカバー150は、一体的に構成され得る。この場合、セルカバー150は、板状の金属プレートを折り曲げることで構成され得る。すなわち、セルカバー150は、折れ曲がった一枚のプレートで形成されたものであり得る。
【0107】
セルカバー150は、1枚の板材に対して両端部が同じ方向に折れ曲がることにより、1つ以上のバッテリーセル105を包み込む形状に形成され得る。特に、1つのセルカバー150が、第1のカバー部152、第2のカバー部154及び第3のカバー部156を備える場合、第1のカバー部152、第2のカバー部154及び第3のカバー部156は、1枚のプレートで構成され得る。この場合、セルカバー150は、複数の構成要素を一体化したものであるといえる。
【0108】
ここで、各構成要素は折り曲げ部によって区分できる。特に、1枚のプレートに2つの折り曲げ部を形成し得る。そして、このような2つの折り曲げ部を基準にして、第1のカバー部152、第2のカバー部154及び第3のカバー部156を区分し得る。特に、1枚のプレートにおいて、中央部分に第3のカバー部156を形成し、そのような第3のカバー部156を中心として両側部を下方にベンディングやフォールディングすることにより、第1のカバー部152及び第2のカバー部154を形成し得る。このように、セルカバー150を形成するために1枚のプレートに折り曲げ部を形成する構成は、プレス成形(press forming)やロール成形(roll forming)等の様々な方法で実現することができる。
【0109】
本発明のこのような実施形態によれば、セルカバー150の製造をより簡素化することができる。また、簡素化された構造を有するセルカバー150は、パウチ外装材のような、バッテリーセル105のケースよりも高い剛性を有する金属材料で構成されてもよく、これにより、セルカバー150によって覆われた少なくとも1つのバッテリーセル105を外部からの衝撃や振動から保護することができる。のみならず、この場合、セルカバー150による熱伝導性能がより向上し、冷却性能がさらに向上することができる。
【0110】
例えば、セルカバー150は、加工が容易で耐食性の高いステンレス鋼(SUS)を含む材料で構成され得る。また、セルカバー150は、剛性確保のために、SUS以外の様々な材料で構成され得る。特に、セルカバー150は、金属材料で構成され得る。例えば、クロム(CR)系の金属材料で構成され得る。このような金属材料は、バッテリーセル105の積層状態をより安定的に保持し、バッテリーセル105を外部衝撃からより安全に保護することができる。また、例示したように、セルカバー150がSUSなどのスチール材料で構成された場合、融点が高いため、バッテリーセル105から火炎が発生した場合にも全体として安定した構造を保持することができる。特に、スチール材料は、アルミニウム材料よりも融点が高いため、バッテリーセル105から噴出される火炎によって溶融することがなく、安定した形状を保持することができる。したがって、バッテリーセル105間の火炎の伝播を防止または遅延させる効果、ベントを制御する効果等を優秀に達成することができる。
【0111】
セルカバー150は、内側面に形成された絶縁コーティング層を含み得る。前記絶縁コーティング層は、シリコン樹脂、ポリアミド(Polyamide)及びゴムのいずれか1つの絶縁性材料をコーティング、塗布又は付着させてなるものであり得る。このような本実施形態によるセルカバー150の絶縁コーティング層の構成によれば、最小限のコーティング量で絶縁コーティング効果を最大化することができる。また、絶縁コーティング層がセルカバー150の内側面に適用されているので、バッテリーセル105とセルカバー150との間の絶縁性を高めることができる。
【0112】
一方、
図5及び
図6には図示されていないが、セルユニット110は、セルカバー150をクランプ(clamping)するように構成されたクランプ部材をさらに含み得る。前記クランプ部材は、少なくとも1つのバッテリーセル105が挿入されたセルカバー150をクランプして、セルカバー150の両端部(第1のカバー部152の端部と第2のカバー部154の端部)の間が離間したり、挿入されたバッテリーセル105がセルカバー150から離脱したりすることを防止するように構成され得る。
【0113】
このようなクランプ部材は、テープで構成されてもよく、弾性を有する金属材料で構成されてもよい。特に、テープは、基材層と、基材層の表面に形成された接着層とを備え得る。
【0114】
前記クランプ部材は、セルカバー150によって包み込まれていないバッテリーセル105の外側に位置し得る。例えば、セルカバー150は、バッテリーセル105の下端部を包み込むことなく外部に露出させるように構成され得る。この場合、前記クランプ部材は、バッテリーセル105を包み込むことなく外部に露出させたセルカバー150の下端部に取り付けられ得る。
【0115】
前記クランプ部材は、1つのセルユニット110に複数含まれ得る。例えば、第1のカバー部152の端部と第2のカバー部154の端部とを結合するために、3つのクランプ部材が前後方向(図面のX軸方向)に離間して配置され得る。ここで、前後方向は、バッテリーセル105の積層方向と直交する水平方向を指すといえる。
【0116】
前記実施形態によれば、1つのセルユニット110において、セルカバー150の端部が離間することを防止することができる。したがって、パックケース12の内部におけるセルカバー150及びバッテリーセル105の収容状態を安定的に保持することができる。特に、前記実施形態によれば、セルカバー150の自立構成を安定的に保持することができる。
【0117】
一方、
図6には、1つのセルカバー150によって覆われるバッテリーセル105が3つであることが示されているが、セルカバー150によって覆われるバッテリーセル105の数は、3つよりも少ない、例えば1つ、3つよりも多い、例えば5つなど、セルカバー150のスケール(規模)に応じて様々に変化し得る。セルカバー150によって包み込まれるバッテリーセル105の数を変化させる構成が容易に実現できる。特に、本発明の一実施形態によれば、セルカバー150の幅(第3のカバー部156のY軸方向に沿った幅)を変化させることにより、セルカバー150によって収容される単位セルの数を容易に変化させることができる。したがって、この場合、1つのセルカバー150による容量や出力の変更を容易に行うことができる。
【0118】
セルカバー150をより詳細に説明すると、セルカバー150は、少なくとも1つのバッテリーセル105を覆って支持することができる。このため、セルカバー150は、第1のカバー部152、第2のカバー部154及び第3のカバー部156を含み得る。
【0119】
セルカバー150が1つのバッテリーセル105を覆う場合、第1のカバー部152は、そのバッテリーセル105の一方の側面を覆い得る。第2のカバー部154は、そのバッテリーセル105の他方の側面を覆い得る。第3のカバー部156は、第1のカバー部152と第2のカバー部154とを連結し、そのバッテリーセル105の上側エッジ部を覆い得る。
【0120】
セルカバー150が2つ以上のバッテリーセル105を覆う場合、第1のカバー部152は、2つ以上のバッテリーセル105のうち、左側の最外側のバッテリーセル105の一方の側面を覆い得る。第2のカバー部154は、2つ以上のバッテリーセル105のうち、右側の最外側のバッテリーセル105の他方の側面を覆い得る。第3のカバー部156は、第1のカバー部152と第2のカバー部154とを連結し、2つ以上のバッテリーセル105の上側エッジ部を覆い得る。
【0121】
図6に示すように、セルカバー150の第1のカバー部152及び第2のカバー部154の上下方向の長さL1は、バッテリーセル105の上下方向の長さ(L2よりも長尺であり得る。第1のカバー部152及び第2のカバー部154の面積がバッテリーセル105の面積よりも大きく設けられているので、バッテリーセル105の保護効果及び安全性を最大限に確保することができる。第1のカバー部152及び第2のカバー部154の上下方向の長さL1は、互いに同じであり得る。この場合、セルカバー150の自立構成をより容易に実現することができる。
【0122】
特に、セルカバー150は、
図7に示すように、両側面の高さがバッテリーセル105の高さよりもm1に見合う分だけ高くなるように構成されてもよく、m1+m2に見合う分だけ高くなるように構成されてもよい。
【0123】
まず、少なくとも1つのバッテリーセル105は、セルカバー150の第1のカバー部152と第2のカバー部154との間に配置されるが、第3のカバー部156との間に所定の空間が形成されるように、第3のカバー部156からm1に見合う分だけ離間して配置され得る。このような所定の空間が前述のベント空間である。すなわち、ベント空間がバッテリーセル105と第3のカバー部156との間に設けられ得る。
【0124】
パウチ型バッテリーセルは、軽量で電解液の漏れ(leakage)の可能性が少なく、形状が柔軟であるため、より小さな体積及び質量で同じ容量の二次電池を実現できるという利点がある一方で、過熱による爆発の危険性があるため、安全性の確保が大きな課題の1つとなっている。パウチ型バッテリーセルの過熱は様々な原因から発生するが、一例として、パウチ型バッテリーセルを介して限界以上の過電流(overcharge)が流れる場合が挙げられる。過電流が流れれば、パウチ型バッテリーセルがジュール熱によって発熱するため、バッテリーセルの内部温度が急激に上昇する。急激な温度上昇により電解液の分解反応が起こり、ガスが発生する可能性がある。これにより、パウチ外装材の内部圧力が上昇し、一種の膨張現象であるスウェリング現象が発生して、二次電池が爆発するなどの深刻な問題を引き起こす可能性がある。この過電流に加え、高温への暴露、外部からの衝撃などによってパウチ型バッテリーセル内部でガスが発生した場合、二次電池の安全性を確保するために効果的なガス排出を行う必要がある。二次電池内部で発生したガスを外部に排出することをベントという。本発明の一実施形態によるバッテリーパック10に含まれるセルカバー150は、バッテリーセル105と第3のカバー部156との間の離間空間にベントガスが排出可能に構成されており、二次電池の安全性を確保できるようにする。
【0125】
この場合、少なくとも1つのバッテリーセル105は、第1のカバー部152及び第2のカバー部154の内側面に接着固定され得る。接着用の部材は、熱伝導性を有し得る。このような接着により、セルカバー150はバッテリーセル105に強固に結合され、また、バッテリーセル105から発生する熱をバッテリーセル105の外部に排出するのに役立つことができる。また、バッテリーセル105と第3のカバー部156との間の離間を維持できるので、ベント空間を維持することができる。
【0126】
また、セルカバー150の第1のカバー部152及び第2のカバー部154は、それらの間に配置された少なくとも1つのバッテリーセル105よりもm2に見合う分だけ長く下方に延び得る。
【0127】
第1のカバー部152の端部のうち第3のカバー部156と接続されていない端部C1、及び、第2のカバー部154の端部のうち第3のカバー部156と接続されていない端部C1は、バッテリーセル105の下側がパックケース12に向かって露出する開放部を形成する。
【0128】
図8及び
図9には、
図7に示すセルカバー150を備えたセルユニット110の装着方式が示されている。
【0129】
図8に示すように、バッテリーパック10は、セルユニット110と熱接触してセルユニット110を冷却するヒートシンク200をさらに含み得る。ここで、ヒートシンク200とは、直接的または間接的な熱接触によって他の物体から熱を吸収及び放散する物体を意味する。このようなヒートシンク200は、
図1に示すパックケース12の底面に配置され得る。
【0130】
装着された状態で、特にセルカバー150がヒートシンク200と接触していてもよい。この場合、セルカバー150がバッテリーセル105の熱をヒートシンク200に伝達する冷却フィンの役割を果たすことにより、バッテリーパックの製造工程を簡素化及び効率化するとともに、バッテリーセル105の冷却性能をさらに向上させることができる。
【0131】
また、ヒートシンク200は、セルカバー150の両端部(第1のカバー部152の端部C1及び第2のカバー部154の端部C1)が挿入されて固定される固定溝210を備え得る。固定溝210は、セルカバー150の端部形状に対応するスリット(slit)形状を有し得る。固定溝210は、セルカバー150の端部に対応する位置及び形状でヒートシンク200の上端に形成され得る。1つの固定溝210には、セルカバー150の端部の1つ以上が嵌め込まれ得る。本発明のこのような実施形態によれば、セルカバー150とヒートシンク200との間の結合性がより向上することができる。したがって、バッテリーパック10に加わる振動や衝撃、またはバッテリーセル105のスウェリング発生時などの状況においても、セルカバー150とその内部に収容されたバッテリーセル105の積層状態を安定的に保持することができる。また、前記実施形態によれば、セルカバー150が左右方向(Y軸方向)に移動することを効果的に防止することができる。さらに、前記実施形態によれば、セルカバー150とヒートシンク200との間の嵌合構成により、セルカバー150の組み付け位置が案内され得る。したがって、この場合、バッテリーパック10の組付性をさらに向上させるこができる。
【0132】
セルカバー150の両端部は、ヒートシンク200に向かって延び得る。また、セルカバー150の両端部は、第1のカバー部152と第2のカバー部154との間に配置された少なくとも1つのバッテリーセル105とヒートシンク200との間に、ディレクショナルベンティングのための追加のベント空間DV2が形成されるように、当該バッテリーセル105の端部よりもヒートシンク200に向かって長く延び得る。
【0133】
次に、
図9に示すように、セルユニット110は、セルカバー150の両端部がヒートシンク200の固定溝210に挿入されることで固定され得る。このように、セルカバー150は、少なくとも一側端部がヒートシンク200に嵌合される形状に形成され得る。具体的には、セルカバー150の下端部は、固定溝210に嵌め込まれることにより締結固定され得る。その結果、バッテリーセル105の上方及び下方に、熱交換及びガスベントが可能なベント空間DV1、DV2がそれぞれ形成されることにより、バッテリーセル105の効率的な冷却及びディレクショナルベンティングが可能となる。
【0134】
また、複数のセルカバー150がバッテリーパック10に含まれ得る。複数のセルカバー150を含む場合、
図9に示すように、複数のセルカバー150同士は互いに離間して配置され得る。例えば、複数のセルカバー150同士は、Y軸方向に離間して配置され得る。離間空間があるので、セルカバー150同士間の直接的な熱伝達を遮断することができる。また、離間空間があるので、バッテリーパック10を構成するのに必要な別部材を挿入することができる。あるいは、複数のセルカバー150の間の空間の少なくとも一部に、断熱パッドや火炎抑制パッドなどを介在させ得る。このような断熱パッドや火炎抑制パッドは、いずれか1つのセルカバー150内で発生し得る熱や火炎が他のセルカバー150側に伝達されて他のバッテリーセル105に影響を及ぼすことを防止することができる。火炎抑制パッドは、塩化ビニル樹脂などの耐熱性樹脂、シリコンやセラミックなどの材料、または、耐熱性樹脂とセラミック又はガラスフィラーとの複合体、あるいは、絶縁被覆を施した金属板などで形成され得るが、これは例示的なものであり、難燃性材料であれば十分である。少なくともバッテリーセル105が熱暴走する温度(例えば、150℃~200℃)までは分解、溶解、着火しない材料で構成されることが望ましい。
【0135】
また、バッテリーパック10に複数のセルカバー150が積層されて含まれる場合、セルカバー150の間に接着部材を介在させ得る。例えば、2つのセルカバー150が互いに対面する部分に接着部材を介在させてそれらの間を接着固定し得る。このような接着構成により、複数のセルカバー150間のより強固な接続構成を実現することができる。
【0136】
バッテリーセル105とセルカバー150との間には、バッテリーセル105とセルカバー150との間の離間空間として形成される前述のベント空間DV1が設けられている。また、バッテリーセル105とヒートシンク200との間にも、バッテリーセル105とヒートシンク200との間の離間空間として形成される追加のベント空間(DV2が設けられている。このような本発明の一態様によれば、特定のバッテリーセルにおいて熱暴走が発生した場合に、熱的事象に効果的に対応することができる。特に、本発明によれば、火炎を発生させる3つの要素(燃料、酸素、発火源)のうち、発火源に相当する熱の蓄積や排出を遮断または適切に制御することができる。さらに、本発明によれば、熱の蓄積を遮断し、火炎の排出を防止するために、ベントガスの排出制御とディレクショナルベンティングを可能にするベント空間DV1、DV2を、単に、バッテリーセル105の高さよりも高い両側面の高さを有するセルカバー150を含む構成によって容易に実現することができる。
【0137】
バッテリーセル105の上方及び下方には、それぞれ熱交換及びガスベントが可能なベント空間DV1、DV2が形成されており、これらのベント空間DV1、DV2のガスは、セルカバー150の露出した側面に排出することができる。のみならず、ベント空間DV1、DV2は、各セルユニット110内にセルユニット110ごとに設けられる。この場合、いずれか1つのバッテリーセル105で熱暴走が発生したとしても、そのバッテリーセル105で発生した火炎やガスは、セルカバー150のベント空間DV1、DV2及びそれに連通するセルカバー150の露出した側面にのみ排出することができる。したがって、熱暴走が発生したバッテリーセル105の側面に隣接して配置された他のセルカバー150によって包み込まれた他のバッテリーセル105に火炎やガスが伝播することはない。すなわち、いずれか1つのバッテリーセル105で熱暴走が発生しても、他のバッテリーセル105への熱暴走の影響を最小限に抑えることができる。セルユニット110間の火炎やガスの伝播が確実に防止される。このように、本発明によれば、バッテリーセル105の効率的な冷却とディレクショナルベンティングが可能となる。
【0138】
一方、一般的なバッテリーパックでは、異なる構成要素間の熱伝達性能を向上させるために、サーマルレジンが使用される。サーマルレジンは、部材間の接触の熱抵抗を低減するためのものである。万が一、バッテリーセル105として、LFPパウチセルのような、より安全性を高めたセルを用いれば、本発明のバッテリーパック10は、サーマルレジンを省略できるほど効率よく冷却することができる。したがって、サーマルレジンの省略による製造コストの低減効果も期待できる。
【0139】
図10は、本発明の他の実施形態によるバッテリーパックの主な構成を概略的に示す斜視図であり、
図11は、本発明の他の実施形態によるセルユニットの構成を概略的に示す斜視図であり、
図12は、本発明の他の実施形態によるセルユニットの概略的な断面図である。なお、先の実施形態と同一の構成要素については、同一又は類似の参照符号を付し、繰り返しの説明は省略する。
【0140】
図10~
図12を参照すると、本発明の他の実施形態によるバッテリーパック10’は、複数のセルユニット110’を含むバッテリーアセンブリ100’と、パックケース12’とを含む。
【0141】
パックケース12’は、内部に空き空間洞が形成されており、複数のセルユニット110’を収容し得る。例えば、パックケース12’は、パックトレイ14とパックカバー16とを備え得る。パックトレイ14は、上端が開放された箱状に形成されており、内部空間に複数のセルユニット110’を収容し得る。また、パックカバー16は、パックトレイ14の上端開放部を覆う蓋の形状に形成され得る。この場合、パックカバー16は、下端が開放された箱状に形成され得る。
【0142】
セルユニット110’は、前述のセルユニット110と同様に、バッテリーセル105と、バッテリーセル105を部分的に包み込んで支持するセルカバー150’とを含み得る。
図11に示すように、セルカバー150’は、パックケース12’の内部空間においてバッテリーセル105を包み込むように構成され得る。
【0143】
セルカバー150’は、
図10の実施形態において、パックトレイ14の底面に直接的に載置され得る。この場合、セルカバー150’の一部、例えば、セルカバー150’の下端部がパックトレイ14の底面と直接的に接触して載置され得る。そして、セルカバー150’は、このようにして下端部が載置された場合、載置状態が安定的に保持されるように構成され得る。
【0144】
セルカバー150’は、包み込まれたバッテリーセル105の少なくとも一側が外部に露出するように、バッテリーセル105を部分的に包み込む形状に形成され得る。すなわち、セルカバー150’は、バッテリーセル105を全体として完全に包み込むのではなく、一部分のみを包み込む形状に形成され得る。特に、セルカバー150’は、バッテリーセル105の下側エッジ部がパックケース12’に向かって露出するように構成され得る。
【0145】
このような実施形態によれば、バッテリーセル105の下側エッジ部がパックトレイ14の底面に直接対面して接触できるため、バッテリーパック10’の冷却性能をより効果的に確保することができる。すなわち、各バッテリーセル105から放出された熱が直接パックケース12’に伝達される可能性があり、その結果、冷却性能が向上する。また、この場合、バッテリーセル105とパックケース12’との間に別途の冷却構造を設ける必要がないため、効率的な冷却性能を実現することができる。さらに、この場合、バッテリーセル105の間に空気などの冷媒が流入するための空間が設けられないこともある。一方、バッテリーパック10’において、互いに異なる構成要素同士間の熱伝達性能を高めるために、TIM(Thermal Interface Material)が介在し得る。例えば、バッテリーセル105とセルカバー150’との間、セルカバー150’とパックケース12’との間、及び/又はバッテリーセル105とパックケース12’との間にTIMが充填され得る。この場合、バッテリーパック10’の冷却性能がさらに向上することができる。
【0146】
TIMは、部材間の接触熱抵抗を低減するためのものである。冷却が重要視されるバッテリーパックにこいては、このように、接触熱抵抗を最小化できる材料を用いてシステム全体の熱性能を改善する必要がある。TIMとしては、放熱グリース(thermally conductive grease)、放熱シート、放熱パッド、熱伝導性接着剤、PCM(相変化物質)など種々のものが挙げられる。具体例を挙げると、TIMは、放熱シリコン系接着剤(thermally conductive silicone-based bond)、放熱シリコンパッド(thermally conductive silicone pad)及び放熱アクリル系接着剤(thermally conductive acrylic bond)のうちのいずれか1つであり得る。放熱シリコン系接着剤、放熱アクリル接着剤は、1液型又は2液型として市販されており、塗布又は注入の方法により互いに異なる構成要素の間に適用可能である。放熱シリコンパッドは、両面テープなどの基材フィルムとその上下部の離型紙を含むものであるため、離型紙を引き剥がした後の接着方式により互いに異なる構成要素の間に適用可能である。放熱シリコン系接着剤、放熱シリコンパッド、放熱アクリル接着剤は、通常の接着剤に比べて、熱伝導率が高いため、互いに異なる構成要素の間において熱伝達量及び熱伝達速度などをさらに高めることができる。したがって、本発明のこのような実施形態によれば、バッテリーセル105の熱排出性能をより向上させて、バッテリーパック10’の冷却性能をより一層改善することができる。
【0147】
一方、セルユニット110’は、バッテリーセル105をセルカバー150’に容易に収容するための手段として、セルカバー150’にビーディング部を含むことを特徴とする。
【0148】
例えば、
図12に示すように、バッテリーセル105とセルカバー150’との間に前述のベント空間DV1が設けられており、これは前述の実施形態と同様であり、セルカバー150’は、バッテリーセル105の下側エッジ部の下側部分がセルカバー150’の内部空間方向に湾曲した形状の下側ビーディング部152a、154aを備え得る。
【0149】
すなわち、セルカバー150’は、セルカバー150と同様に第1のカバー部152及び第2のカバー部154を含み、第1のカバー部152及び第2のカバー部154が、バッテリーセル105を露出させる開放部に隣接する端部に形成された下側ビーディング部152a、154aをさらに含む。下側ビーディング部152a、154aは、バッテリーセル105に向かって内側に湾入している。
【0150】
また、セルユニット110’は、バッテリーセル105の下側エッジ部がセルカバー150’の最下端よりも上方に位置するようにして、
図12に「h1」で示したように、バッテリーセル105の下側エッジ部がセルカバー150’の最下端よりも高く位置するように構成され得る。
【0151】
より具体的には、下側ビーディング部152a、154aは、第1のカバー部152及び第2のカバー部154の下端部に設けられ、
図11に示すように、セルカバー150’の長手方向に沿って連続しており、第1のカバー部152の下端の下側ビーディング部152aと、第2のカバー部154の下端の下側ビーディング部154aとは、
図12に示すセルカバー150’の中央Cに対して対称的に設けられ得る。これにより、本実施形態によるセルカバー150’は、下側ビーディング部152a、154aにおいて、第1のカバー部152と第2のカバー部154との間の距離が狭くなるように構成され得る。
【0152】
したがって、例えば、第1のカバー部152と第2のカバー部154との間の間隔が僅かに広がるように第1のカバー部152と第2のカバー部154とを互いに反対方向に引っ張った状態で、バッテリーセル105の下側エッジ部が下側ビーディング部152a、154aの上方に位置するように挿入し、第1のカバー部152と第2のカバー部154とを元の状態に戻すと、
図12のように、下側ビーディング部152a、154aによって、バッテリーセル105の下部が「h1」分だけ浮き上がった状態で支持され得る。
図12の実施形態のように、1つのセルカバー150’と3つのバッテリーセル105とで1つのセルユニット110’を形成する場合、バッテリーセル105は、互いに対面する面に接着シートが適用され得、最も外側のバッテリーセル105の一面と第1のカバー部152又は第2のカバー部154との間にも接着シートが適用され得る。この場合、最外側のバッテリーセル105は、下側ビーディング部152a、154aによって下部が支持されており、中央のバッテリーセル105は、第1のカバー部152及び第2のカバー部154によって横方向に及ぼされる圧迫力と、最外側のバッテリーセル105との接着力とによって、下方向への離脱が防止され得る。
【0153】
このような実施形態によれば、バッテリーセル105がセルカバー150の下側ビーディング部152a、154aの真上で支持されるように組み立てをガイドすることができる。したがって、セルカバー150の第3のカバー部156とバッテリーセル105の上側エッジ部との間の離間空間であるベント空間DV1が良好に維持されると同時に、バッテリーセル105の下側エッジ部がセルカバー150の最下端よりも上方に位置するようにセルユニット110’を構成するための工程がより容易に行われ得る。
【0154】
一方、
図13に示すように、本発明の他の実施形態によるバッテリーパック10’は、ヒートシンク200’を備えるように構成され得る。特に、バッテリーパック10’は、軽量化及び構成要素の簡素化のために、パックトレイ14の底板に冷却水が流れる流路が設けられたヒートシンクの形態で備え得る。
【0155】
そして、本実施形態のセルカバー150’の構成によれば、バッテリーセル105は、下側エッジ部がセルカバー150’の下側開放部を通してセルカバー150’の下方に露出してパックトレイ14の底板を向くように配置され得る。このようなバッテリーセル105の下側エッジ部とパックトレイ14の底板との間には、サーマルレジン220を備え得る。したがって、本発明の他の実施形態によるバッテリーパック10’は、各バッテリーセル105の熱を、各バッテリーセル105の下側エッジ部→サーマルレジン220→ヒートシンク200’として機能するパックトレイ14に放熱することができる。
【0156】
このような実施形態において、ヒートシンク200’は、複数のバッテリーセル105の間に介在したサーマルレジン220を有する。ヒートシンク200’の上面には、サーマルレジン220が塗布され得る。そして、このようにサーマルレジン220が塗布されたヒートシンク200’の上面には、複数のセルユニット110’、すなわち、複数のバッテリーセル105及び複数のセルカバー150’が載置され得る。
【0157】
ここで、サーマルレジン220は、熱を伝導し、かつ接着性を有する材料から構成され得る。サーマルレジン220は、バッテリーセル105で発生した熱がヒートシンク200’を介して放熱されるように、ヒートシンク200’に熱を伝達することができる。のみならず、サーマルレジン220は接着性を有するので、セルカバー150’をヒートシンク200’に構造的に結合させることができる。
【0158】
このような実施形態において、セルカバー150’が結合された複数のバッテリーセル105は、サーマルレジン220が塗布されたヒートシンク200’の上面に直接的に載置され得る。この場合、複数のセルユニット110’は、サーマルレジン220によってヒートシンク200’の上面に安定的に結合固定され得る。特に、各セルユニット110’に含まれるバッテリーセル105及びセルカバー150’は、上下方向(Z軸方向)の長さが左右方向(Y軸方向)の幅よりも長く形成され得る。したがって、バッテリーセル105及びセルカバー150’は、ヒートシンク200’の上面に立った状態、すなわち、起立状態で載置されているといえる。この場合、サーマルレジン220は、セルカバー150’の起立状態をより安定的に保持することができる。
【0159】
また、セルカバー150’の下側ビーディング部152a、154aの構成によれば、
図13に示すように、いずれか1つのセルユニット110’の下側ビーディング部(例えば、左側の最外側のバッテリーセル105の下側ビーディング部154a)と、他の1つのセルユニット110’の下側ビーディング部(例えば、中央のバッテリーセル105の下側ビーディング部152a)との間に空気層230が形成され得る。このような空気層230は、セルユニット110’間の熱伝達率を低下させるように作用し得る。したがって、セルカバー150’の下側ビーディング部152a、154aの構成は、セルユニット110’間の熱伝播を防止する上で有利な効果が得られる。
【0160】
さらに、本実施形態によるセルカバー150’は、バッテリーセル105のスウェリングを防止するのにも有利に作用し得る。パウチ型バッテリーセルなどのバッテリーセル105のスウェリング時のスウェリング圧力は、下側ビーディング部152a、154aを伸ばす(まっすぐにする)方向に作用するが、このとき、下側ビーディング部152a、154aが弾性復元力を有することになり、前記弾性復元力はスウェリングを防止する方向に作用することになる。また、セルカバー150’の下側ビーディング部152a、154aがバッテリーセル105のスウェリング時の圧力を分散又は吸収することになるので、セルカバー150’のクラックの可能性を低減し、バッテリーセル105を押圧してスウェリング量を最小限に抑えるのに有利に作用することができる。
【0161】
続いて、
図14~
図15を参照して、本発明の他の実施形態によるセルカバーの他の実施形態について説明する。
【0162】
【0163】
図14に示すように、本発明の他の実施形態によるセルユニット110’’に含まれるセルカバー150’’は、ビーディング部が上部側に設けられ得る。換言すると、本実施形態のセルカバー150’’は、第3のカバー部156と接続される第1のカバー部152の上端部及び第3のカバー部156と接続される第2のカバー部154の上端部に設けられる上側ビーディング部152b、154bを含む。
【0164】
すなわち、セルカバー150’’は、前述のセルカバー150と同様に第1のカバー部152及び第2のカバー部154を含み、第1のカバー部152及び第2のカバー部154が、第3のカバー部156とバッテリーセル105との間に形成された上側ビーディング部152b、154bをさらに含む。上側ビーディング部152b、154bは、バッテリーセル105に向かって内側に湾入している。
【0165】
上側ビーディング部152b、154bは、第1のカバー部152及び第2のカバー部154の上端部に設けられ、下側ビーディング部152a、154aと同様に、セルカバー150’’の長手方向に沿って連続していてもよい。そして、第1のカバー部152の上端の上側ビーディング部152bと、第2のカバー部154の上端の上側ビーディング部154bとは、
図14に示すセルカバー150’’の中央Cに対して対称的に設けられ得る。これにより、本実施形態によるセルカバー150’’は、上側ビーディング部152b、154bにおいて、第1のカバー部152と第2のカバー部154との間の距離が狭くなるように構成され得る。
【0166】
このような
図14の実施形態によれば、バッテリーセル105をセルカバー150’’に挿入する際に、
図14の「h2」で示したように、第3のカバー部156とバッテリーセル105の上側エッジ部との間に一定の隙間(間隔)が生じやすくなる。また、バッテリーセル105のスウェリング時にセルカバー150’’に作用する応力が、主に第3のカバー部156と第1のカバー部152及び第2のカバー部154との接続部位に集中して、当該部分が最も破損する危険性が高いが、本実施形態によれば、バッテリーセル105のスウェリング時の応力を分散、吸収することができ、セルカバー150’’の破損を効果的に阻止することができる。
【0167】
さらに他の実施形態において、
図15に示すように、本発明のさらに他の実施形態によるセルユニット110’’’に含まれるセルカバー150’’’は、ビーディング部が上部側と下部側にそれぞれ設けられ得る。すなわち、本発明のさらに他の実施形態によるセルカバー150’’’は、第3のカバー部156と接続される第1のカバー部152の上端部及び第3のカバー部156と接続される第2のカバー部154の上端部に設けられる上側ビーディング部152b、154bと、第1のカバー部152の下端部及び第2のカバー部154の下端部に設けられる下側ビーディング部152a、154aと、を含む。このような
図15の実施形態は、前述の
図12による下側ビーディング部と、
図14による上側ビーディング部との両方の利点を有する実施形態といえる。
【0168】
また、本発明の他の実施形態によるバッテリーパック10’は、パックケース12’の内部空間に収容された制御モジュール18をさらに含み得る。前述したバッテリーパック10にも、このような制御モジュールがさらに含まれることはもちろんである。このような制御モジュール18は、バッテリー管理システム(BMS)を含み得る。制御モジュール18は、パックケース12の内部空間に装着され、バッテリーセル105の充放電動作やデータの送受信動作などを統括的に制御するように構成され得る。制御モジュール18は、モジュール単位ではなく、パック単位で配設され得る。より具体的には、制御モジュール18は、パック電圧及びパック電流を用いてバッテリーセル105の充放電状態、電力状態及び性能状態などを制御するように設けられ得る。制御モジュール18は、バッテリーパック10’内のバッテリーセル105の状態を推定し、推定した状態情報を用いてバッテリーパック10’を管理する。例えば、バッテリーパック10’の充電状態(SOC:State Of Charge)、健康状態(SOH:State Of Health)、最大の入出力電力の許容量、出力電圧などバッテリーパック10’の状態情報を推定しかつ管理する。そして、このような状態情報を用いてバッテリーパック10’の充電又は放電を制御し、さらにバッテリーパック10’の取り替え時期をも推定可能である。
【0169】
バッテリーパック10’だけでなくバッテリーパック10は、バッテリー遮断ユニット19をさらに含み得る。バッテリー遮断ユニット19は、バッテリーパック10、10’の電力容量と機能を管理するためにバッテリーセル105の電気的な接続を制御するように構成され得る。このために、バッテリー遮断ユニット19は、パワーリレー、電流センサー、ヒューズなどを含み得る。バッテリー遮断ユニット19もまた、モジュール単位ではなく、パック単位で配設される構成要素であって、本発明の出願時点における公知の様々な遮断ユニットが採用され得る。
【0170】
この他にも、本発明によるバッテリーパック10、10’は、本発明の出願時点における公知の様々なバッテリーパックの構成要素をさらに含み得る。例えば、本発明の実施形態によるバッテリーパック10、10’の場合、作業者が手作業でサービスプラグを外して電源を遮断可能なマニュアルサービスディスコネクター(MSD:Manual Service Disconnector)をさらに含み得る。また、複数のバッテリーアセンブリ100、100’同士を繋ぎ合わせるためのフレキシブルバスバーやケーブルをさらに含むこともある。
【0171】
一方、本発明の様々な実施形態によるバッテリーアセンブリ100、100’は、バッテリーパックに適用できることはもとより、別個のケースを有し、バッテリーパックやエネルギー貯蔵システム(ESS)のラック(rack)に収容されるバッテリーモジュールにも適用することができる。
【0172】
図16は、本発明の一実施形態による自動車Vを示す図である。
【0173】
図16に示すように、本発明の一実施形態による自動車Vは、前述の様々な実施形態のうちのいずれか1つの実施形態による少なくとも1つのバッテリーアセンブリを含むバッテリーパック10、10’を含み得る。
【0174】
このように、自動車Vに配備されたバッテリーパック10、10’は、自動車Vの様々な動作に必要な電気エネルギーを提供することができる。ここで、自動車Vは、例えば、電気自動車やハイブリッド自動車など、電気を駆動源として使用する所定の自動車を含み得る。また、自動車Vは、本発明によるバッテリーパック10、10’に加えて、自動車に含まれる他の様々な構成要素、例えば、車体やモータなどをさらに含み得る。
【0175】
バッテリーパック10、10’は、自動車V内の所定の位置に配設され得る。バッテリーパック10、10’は、電気自動車のモータに駆動力を提供して自動車Vを駆動するための電気エネルギー源として使用することができる。この場合、バッテリーパック10、10’は、100V以上の高い公称電圧を有する。
【0176】
バッテリーパック10、10’は、モータ及び/又は内燃機関の駆動に応じて、インバータによって充電又は放電され得る。バッテリーパック10、10’は、ブレーキ(brake)と結合された回生充電装置によって充電され得る。バッテリーパック10、10’は、インバータを介して自動車Vのモータに電気的に接続され得る。
【0177】
一方、本明細書においては、上、下、左、右、前、後などの方向を表す用語が使用されているが、これらの用語は説明の便宜上のものに過ぎず、対象となる物事の位置や観測者の位置などによって変わり得ることは、本発明の当業者にとって自明である。
【0178】
これまで本発明について具体的な実施形態を参考にして説明した。しかしながら、当業者であれば、本発明の技術的な範囲において様々な変形の実施形態が実現されることが可能であるということが明らかに理解できるであろう。よって、以上において開示されている実施形態は、限定的な視点ではなく、説明的な視点から考慮されるべきである。すなわち、本発明の真の技術的な思想の範囲は、特許請求の範囲に示されており、それと均等な範囲内にあるあらゆる相違点は、本発明に含まれるものと解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0179】
10、10’ バッテリーパック
12 パックケース
100 バッテリーアセンブリ
105 バッテリーセル
107 電極リード
110、110’ セルユニット
150、150’、150’’、150’’’ セルカバー
152 第1のカバー部
154 第2のカバー部
156 第3のカバー部
152a、154a 下側ビーディング部
152b、154b 上側ビーディング部
200、200’ ヒートシンク
210 固定溝
220 サーマルレジン
230 空気層
DV1、DV2 ベント空間
V 自動車
【国際調査報告】