(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】バッテリーパック、バッテリーモジュール及びこれを含む自動車
(51)【国際特許分類】
H01M 50/291 20210101AFI20241219BHJP
H01M 50/211 20210101ALI20241219BHJP
H01M 50/35 20210101ALI20241219BHJP
H01M 50/204 20210101ALI20241219BHJP
H01M 50/289 20210101ALI20241219BHJP
H01M 50/383 20210101ALI20241219BHJP
H01M 50/249 20210101ALI20241219BHJP
【FI】
H01M50/291
H01M50/211
H01M50/35 101
H01M50/204 401H
H01M50/289 101
H01M50/204 401F
H01M50/383
H01M50/249
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024534756
(86)(22)【出願日】2023-07-13
(85)【翻訳文提出日】2024-06-11
(86)【国際出願番号】 KR2023010046
(87)【国際公開番号】W WO2024048985
(87)【国際公開日】2024-03-07
(31)【優先権主張番号】10-2022-0110387
(32)【優先日】2022-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2023-0029360
(32)【優先日】2023-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ジン-ヨン・パク
(72)【発明者】
【氏名】ウ-ヨン・クォン
(72)【発明者】
【氏名】スン-ジュン・キム
(72)【発明者】
【氏名】イン-ス・キム
(72)【発明者】
【氏名】ソン-ジュ・シン
(72)【発明者】
【氏名】ミュン-ウ・イ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン-モ・カン
(72)【発明者】
【氏名】キョン-ウ・キム
(72)【発明者】
【氏名】ドゥク-ヒ・ムン
(72)【発明者】
【氏名】テ-キョン・イ
(72)【発明者】
【氏名】セ-ユン・チュン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン-ハ・ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ホ-ジュネ・チ
(72)【発明者】
【氏名】ジ-ス・ファン
【テーマコード(参考)】
5H012
5H040
【Fターム(参考)】
5H012AA03
5H012CC03
5H012CC09
5H040AA01
5H040AA03
5H040AA28
5H040AA33
5H040AA37
5H040AS07
5H040AT04
5H040AT06
5H040AY05
5H040AY10
5H040CC28
5H040JJ02
5H040JJ03
5H040NN03
(57)【要約】
本発明は、熱的事象が生じたときに優れた安全性を確保可能なバッテリーパック等を開示する。本発明の一側面によるバッテリーパックは、複数のパウチ型バッテリーセルと、内部空間に前記パウチ型バッテリーセルを収容するパックケースと、少なくとも部分的に離隔した2つの単位カバーを備えて、前記パックケースの内部空間において前記複数のパウチ型バッテリーセルのうちの少なくとも一部のパウチ型バッテリーセルを少なくとも部分的に包み込むように設けられており、前記2つの単位カバーの間の離隔空間にベントガスが排出可能なように構成されたセルカバーと、を含み得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のパウチ型バッテリーセルと、
内部空間に前記パウチ型バッテリーセルを収容するパックケースと、
少なくとも部分的に離隔した2つの単位カバーを備えて、前記パックケースの内部空間において前記複数のパウチ型バッテリーセルのうちの少なくとも一部のパウチ型バッテリーセルを少なくとも部分的に包み込むように設けられており、前記2つの単位カバーの間の離隔空間にベントガスが排出可能なように構成されたセルカバーと、
を含む、バッテリーパック。
【請求項2】
前記セルカバーは、前記複数のパウチ型バッテリーセルを立てられた状態で支持するように構成されている、請求項1に記載のバッテリーパック。
【請求項3】
前記セルカバーは、前記包み込まれたパウチ型バッテリーセルの少なくとも一側が前記パックケースに向かって露出されるように前記パウチ型バッテリーセルを部分的に包み込む、請求項1に記載のバッテリーパック。
【請求項4】
前記パウチ型バッテリーセルは、電極組立体が収容された収容部及び前記収容部の周りに設けられたエッジ部を備え、
前記セルカバーは、前記包み込まれたパウチ型バッテリーセルの収容部の両側とエッジ部の一部とを包み込むように構成されている、請求項1に記載のバッテリーパック。
【請求項5】
前記セルカバーは、前記包み込まれたパウチ型バッテリーセルの前記収容部の両側面と上部側のエッジ部とを覆うように設けられている、請求項4に記載のバッテリーパック。
【請求項6】
前記2つの単位カバーは、前記包み込まれたパウチ型バッテリーセルの左側の表面と一側の縁部とを包み込むように構成された第1のカバー、及び前記包み込まれたパウチ型バッテリーセルの右側の表面と他側の縁部とを包み込むように構成された第2のカバーである、請求項1に記載のバッテリーパック。
【請求項7】
前記第1のカバーは、前記パウチ型バッテリーセルの上部側のエッジ部の上部を包み込むように構成された第1の上側カバー部と、前記第1の上側カバー部の一方の端から下方に延びており、前記包み込まれたパウチ型バッテリーセルの一方の側の収容部の外側を包み込む第1の側面カバー部と、を含み、
前記第2のカバーは、前記パウチ型バッテリーセルの上部側のエッジ部の上部を包み込むように構成された第2の上側カバー部と、前記第2の上側カバー部の一方の端から下方に延びており、前記包み込まれたパウチ型バッテリーセルの他方の側の収容部の外側を包み込む第2の側面カバー部と、を含み、
前記第2の上側カバー部が前記パウチ型バッテリーセルの上部側のエッジ部の向きにおいて前記第1の上側カバー部から離隔している、請求項6に記載のバッテリーパック。
【請求項8】
前記第1の側面カバー部と前記パウチ型バッテリーセルとが接着されており、かつ、前記第2の側面カバー部と前記パウチ型バッテリーセルとが接着されている、請求項7に記載のバッテリーパック。
【請求項9】
前記第1の側面カバー部に比べて前記第2の側面カバー部の上下方向の長さの方がさらに長い、請求項7に記載のバッテリーパック。
【請求項10】
前記第1の上側カバー部と前記第2の側面カバー部との間を介してベントガスが前記第1の上側カバー部と前記第2の上側カバー部との間の離隔空間として定義されるベントチャンネルに移動し、前記第2の上側カバー部と前記第1の側面カバー部との間を介して排出される、請求項7に記載のバッテリーパック。
【請求項11】
前記第1の上側カバー部及び前記第2の上側カバー部に曲げ部を備えて前記ベントチャンネルが曲設されている、請求項10に記載のバッテリーパック。
【請求項12】
前記2つの単位カバーは、一方の端部が相互に向かって折り曲げられた形状に形成されている、請求項1に記載のバッテリーパック。
【請求項13】
前記2つの単位カバーは、折り曲げられた端部同士が少なくとも部分的に離隔した状態で互いに上下方向に積み重ねられて前記ベントガスが排出可能なように構成されている、請求項12に記載のバッテリーパック。
【請求項14】
前記2つの単位カバーのそれぞれは、1枚のプレートが折り曲げられた形状に形成されてなる、請求項12に記載のバッテリーパック。
【請求項15】
前記セルカバーは、前記2つの単位カバーの間の前記離隔空間にメッシュ構造を備える、請求項1に記載のバッテリーパック。
【請求項16】
前記セルカバーは、前記2つの単位カバーの間の前記離隔空間に排出されるガスの移動経路が増加するように前記2つの単位カバーに曲げ部を形成している、請求項1に記載のバッテリーパック。
【請求項17】
前記パックケースの内部空間に収容されており、前記パウチ型バッテリーセルの充放電を制御するように構成された制御モジュールをさらに含む、請求項1に記載のバッテリーパック。
【請求項18】
請求項1から17のいずれか一項に記載のバッテリーパックを含む、自動車。
【請求項19】
パックケースの内部空間に1つ以上収容されるバッテリーモジュールであって、
複数のパウチ型バッテリーセルと、
内部空間に前記パウチ型バッテリーセルを収容するモジュールケースと、
少なくとも部分的に離隔した2つの単位カバーを備えて、前記モジュールケースの内部空間において前記複数のパウチ型バッテリーセルのうちの少なくとも一部のパウチ型バッテリーセルを少なくとも部分的に包み込むように設けられており、前記2つの単位カバーの間の離隔空間にベントガスが排出可能なように構成されたセルカバーと、
を含む、バッテリーモジュール。
【請求項20】
請求項19に記載のバッテリーモジュールを含む、自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリーパック、バッテリーモジュール及びこれを含む自動車に関し、より詳細には、熱的事象(thermal event)に対する安全性等に優れたバッテリーパック、バッテリーモジュール及びこれを含む自動車に関する。
【0002】
本出願は、2022年8月31日付け出願の韓国特許出願第10-2022-0110387号及び2023年3月6日付け出願の韓国特許出願第10-2023-0029360号に基づく優先権を主張し、当該出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
各種のモバイル機器と電気自動車、エネルギー貯蔵システム(ESS)などに対する技術の開発と需要の増加には目を見張るものがあり、これに伴い、エネルギー源としての二次電池への関心とニーズが急激に伸びている。従来、二次電池としてニッケルカドミウム電池またはニッケル水素イオン電池が多用されていたが、最近には、ニッケル系のバッテリーに比べてメモリ効果が殆ど起きないため充電及び放電が自在であり、自己放電率が非常に低くエネルギー密度が高いリチウム二次電池が多用されている。
【0004】
このようなリチウム二次電池は、主として、リチウム系酸化物と炭素材をそれぞれ正極活物質及び負極活物質として用いる。リチウム二次電池は、このような正極活物質と負極活物質がそれぞれ塗布された正極板と負極板とがセパレーターを挟んで配置された電極組立体と、電極組立体を電解液と一緒に封入する外装材、例えば、電池ケースと、を備える。
【0005】
一般に、二次電池は、外装材の形状によって、電極組立体が金属缶に内蔵されている缶型二次電池と、電極組立体がアルミニウムラミネートシートのパウチに内蔵されているパウチ型二次電池と、に分類され得る。
【0006】
最近には、電気自動車やエネルギー貯蔵システム(Energy Starge System;ESS)などの中大型装置に駆動用やエネルギー貯蔵用としてバッテリーパックが広く用いられている。従来のバッテリーパックは、パックケースの内部に1つ以上のバッテリーモジュールとバッテリーパックの充放電を制御する制御ユニット、例えば、バッテリー管理システム(BMS:Battery Management System)を含む。ここで、バッテリーモジュールは、モジュールケースの内部に複数のバッテリーセルを含む形態に構成される。すなわち、従来のバッテリーパックの場合、複数のバッテリーセル(二次電池)がモジュールケースの内部に収容されてそれぞれのバッテリーモジュールを構成し、このようなバッテリーモジュールが1つ以上パックケースの内部に収容されてバッテリーパックを構成する。
【0007】
特に、パウチ型電池の場合、軽量であり、積層時にデッドスペース(dead space)が小さいといったように、色々な側面からみて長所を有しているものの、外部の衝撃に弱く、組立性にやや劣っているという問題がある。したがって、まず、複数のバッテリーセルをモジュール化した後、パックケースの内部に収容される形態にバッテリーパックが製造されるのが普通である。
【0008】
しかしながら、従来のバッテリーパックの場合、モジュール化などによってエネルギー密度と組立性、冷却性などの側面からみて不利になる可能性がある。具体的には、複数のバッテリーセルをモジュールケースの内部に収容してモジュール化する過程において、モジュールケース又は積層用のフレーム(frame)など色々な構成要素によってバッテリーパックの体積が余計に増えたりバッテリーセルが占める空間が狭まったりする虞がある。まず、複数のバッテリーセルをモジュール化してバッテリーモジュールを構成した後、バッテリーモジュールをパックケースに収容する過程を経ることを余儀なくされるが故に、バッテリーパックの製造工程が複雑になるという問題がある。パックケースの内部にモジュールケースが収容され、モジュールケースの内部にバッテリーセルが収容されるが故に、モジュールケースの内部に収容されたバッテリーセルの熱を、モジュールケースを経てパックケースの外部に排出する場合、冷却効率が低下し、冷却構造も複雑になる虞がある。
【0009】
近頃、電気自動車等に適用されるバッテリーパックへのニーズが伸びている。このようなバッテリーパックは、複数のセルを備えていて安全性がさらに厳しく管理されなければならない。いずれか1つのバッテリーモジュール内において一部のセルに熱暴走(thermal runaway)や、発火、爆発などが起こる場合、生成された高熱のガス、火炎、又は高温の内部物質が噴射されて他の隣接バッテリーモジュールに伝播(propagation)されることにより、2次熱暴走、2次火災や爆発などが起こる場合があるため、複数のバッテリーモジュール内のセルに次から次へと連鎖的に熱暴走、発火、又は爆発が引き起こされてしまう虞がある。したがって、熱暴走のような熱的事象(thermal event)が生じたとき、バッテリーモジュールの間の火炎の燃え移りや燃え広がりを抑制もしくは遅延可能な手段が非常に必要であるのが現状である。ところが、従来のバッテリーパックやバッテリーモジュールの場合、熱的事象に脆弱である。特に、バッテリーモジュールやバッテリーパックの内部において熱的事象が生じた場合、熱暴走が起こってしまう結果、火炎が起き、激しい場合には爆発が起こる可能性もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、本発明は、前述したような問題を解決するために案出されたものであって、本発明が解決しようとする技術的課題は、エネルギー密度、組立性及び/又は冷却性などに優れたバッテリーパック、バッテリーモジュール及びこれを含む自動車を提供することである。
【0011】
本発明が解決しようとする他の技術的課題は、熱的事象が生じたときに優れた安全性を確保することのできるバッテリーパック、バッテリーモジュール及びこれを含む自動車を提供することである。
【0012】
但し、本発明が解決しようとする技術的課題は、上述した課題に何ら制限されるものではなく、言及されていない他の課題は、下記に記載されている発明の説明から当業者にとって明らかに理解できる筈である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一側面によるバッテリーパックは、複数のパウチ型バッテリーセルと、内部空間に前記パウチ型バッテリーセルを収容するパックケースと、少なくとも部分的に離隔した2つの単位カバーを備えて、前記パックケースの内部空間において前記複数のパウチ型バッテリーセルのうちの少なくとも一部のパウチ型バッテリーセルを少なくとも部分的に包み込むように設けられており、前記2つの単位カバーの間の離隔空間にベントガス(venting gas)が排出可能なように構成されたセルカバーと、を含み得る。
【0014】
ここで、前記セルカバーは、前記複数のパウチ型バッテリーセルを立てられた状態で支持するように構成され得る。
【0015】
また、前記セルカバーは、前記包み込まれたパウチ型バッテリーセルの少なくとも一側が前記パックケースに向かって露出されるように前記パウチ型バッテリーセルを部分的に包み込む形状に形成され得る。
【0016】
さらに、前記パウチ型バッテリーセルは、電極組立体が収容された収容部及び前記収容部の周りに設けられたエッジ部を備え、前記セルカバーは、前記包み込まれたパウチ型バッテリーセルの収容部の両側とエッジ部の一部とを包み込むように構成され得る。
【0017】
さらにまた、前記セルカバーは、前記包み込まれたパウチ型バッテリーセルの前記収容部の両側面と上部側のエッジ部とを覆うように設けられ得る。
【0018】
ここで、前記2つの単位カバーは、前記包み込まれたパウチ型バッテリーセルの左側の表面と一側の縁部とを包み込むように構成された第1のカバー、及び前記包み込まれたパウチ型バッテリーセルの右側の表面と他側の縁部とを包み込むように構成された第2のカバーであり得る。
【0019】
前記第1のカバーは、前記パウチ型バッテリーセルの上部側のエッジ部の上部を包み込むように構成された第1の上側カバー部と、前記第1の上側カバー部の一方の端から下方に延びており、前記包み込まれたパウチ型バッテリーセルの一方の側の収容部の外側を包み込む第1の側面カバー部と、を含み、前記第2のカバーは、前記パウチ型バッテリーセルの上部側のエッジ部の上部を包み込むように構成された第2の上側カバー部と、前記第2の上側カバー部の一方の端から下方に延びており、前記包み込まれたパウチ型バッテリーセルの他方の側の収容部の外側を包み込む第2の側面カバー部と、を含み、前記第2の上側カバー部が前記パウチ型バッテリーセルの上部側のエッジ部の向きにおいて前記第1の上側カバー部から離隔していることもある。
【0020】
さらにまた、前記第1の側面カバー部と前記パウチ型バッテリーセルとが接着されており、かつ、前記第2の側面カバー部と前記パウチ型バッテリーセルとが接着されていることもある。
【0021】
さらにまた、前記第1の側面カバー部に比べて前記第2の側面カバー部の上下方向の長さの方がさらに長くてもよい。
【0022】
さらにまた、前記第1の上側カバー部と前記第2の側面カバー部との間を介してベントガスが前記第1の上側カバー部と前記第2の上側カバー部との間の離隔空間として定義されるベントチャンネル(venting channel)に移動し、前記第2の上側カバー部と前記第1の側面カバー部との間を介して排出され得る。
【0023】
さらにまた、前記第1の上側カバー部及び前記第2の上側カバー部に曲げ部(bending part)を備えて前記ベントチャンネルが曲設され得る。
【0024】
さらにまた、前記2つの単位カバーは、一方の端部が相互に向かって折り曲げられた形状に形成され得る。
【0025】
さらにまた、前記2つの単位カバーは、折り曲げられた端部同士が少なくとも部分的に離隔した状態で互いに上下方向に積み重ねられて前記ベントガスが排出可能なように構成され得る。
【0026】
前記2つの単位カバーのそれぞれは、1枚のプレート(plate)が折り曲げられた形状に形成されてなり得る。
【0027】
また、前記セルカバーは、前記2つの単位カバーの間の前記離隔空間にメッシュ(mesh)構造を備え得る。
【0028】
さらに、前記セルカバーは、前記2つの単位カバーの間の前記離隔空間に排出されるガスの移動経路が増加するように前記2つの単位カバーに曲げ部を形成したものであり得る。
【0029】
また、本発明によるバッテリーパックは、前記パックケースの内部空間に収容されており、前記パウチ型バッテリーセルの充放電を制御するように構成された制御モジュールをさらに含み得る。
【0030】
さらに、本発明の他の側面によるバッテリーモジュールは、パックケースの内部空間に1つ以上収容されるバッテリーモジュールであって、複数のパウチ型バッテリーセルと、内部空間に前記パウチ型バッテリーセルを収容するモジュールケースと、少なくとも部分的に離隔した2つの単位カバーを備えて、前記モジュールケースの内部空間において前記複数のパウチ型バッテリーセルのうちの少なくとも一部のパウチ型バッテリーセルを少なくとも部分的に包み込むように設けられており、前記2つの単位カバーの間の離隔空間にベントガスが排出可能なように構成されたセルカバーと、を含み得る。
【0031】
さらにまた、本発明のさらに他の側面による自動車は、本発明によるバッテリーパック又はバッテリーモジュールを含み得る。
【発明の効果】
【0032】
本発明の一側面によれば、セルトゥーパック(CTP:Cell To Pack)コンセプトであって、モジュールケースなどが省略されて、冷却性能とエネルギー密度などが向上することができる。
【0033】
本発明の一側面によれば、プラスチックカートリッジなどの積層用のフレームや別途のモジュールケースなどの構成要素なしでも、複数のパウチ型バッテリーセルをパックケースの内部に安定的に収容することができる。
【0034】
特に、本発明の一実施構成によれば、複数のパウチ型バッテリーセルを上下方向に立てられた状態で水平方向に並ぶように積層する構成を容易に実現することができる。
【0035】
本発明の一側面によれば、バッテリーパックのエネルギー密度が向上することができる。さらに、本発明の一実施形態によれば、バッテリーセルをモジュール化することなくパックケースに直接的に収容するので、バッテリーモジュールのモジュールケースなどが不要になるバッテリーパックを製造することができる。したがって、このようなモジュールケースが占める空間を減らして、パックケースの内部にさらに多くのバッテリーセルを配置することが可能になる。そのため、バッテリーパックのエネルギー密度がさらに向上する効果が奏される。パウチ型バッテリーセルをバッテリーパックのパックケースに直接的に組み付けることにより、バッテリーパックの空間活用率を極大化させ、エネルギー容量を格段に向上させることができる。
【0036】
さらに、本発明の一側面によれば、軟性材質のケースを有するパウチ型バッテリーセルを手軽にかつ強固な形態にして、パックケースやモジュールケースの内部において直接的に積層される構成をより容易に実現することができる。したがって、バッテリーパックやバッテリーモジュールの組立性と機械的な安定性などが向上することができる。
【0037】
また、本発明の一側面によれば、バッテリーパックの冷却効率がより向上することができる。特に、本発明の一実施構成の場合、各パウチ型バッテリーセルの一部がパックケースに直接的に露出しているため、各パウチ型バッテリーセルの熱を、パックケースを介して外部に有効に放出することができる。
【0038】
さらに、本発明の一側面によれば、特定のバッテリーセルにおいて熱暴走が生じたとき、熱的事象に有効に対応することができる。特に、本発明の場合、火炎が生じる3要素(燃料、酸素、発火源)のうち、発火源に相当する熱の蓄積や排出を遮断ないし適宜に制御することができる。さらに、本発明の場合、熱の蓄積の遮断及び火炎の排出を防ぐために、ベントガスの排出の制御とディレクショナルベント(directional venting)、及びスパーク(spark)の遮断などを実現することができる。
【0039】
また、本発明の一側面によれば、熱的事象が生じたときであっても、内部短絡や構造崩壊などを有効に防ぐことができる。
【0040】
本発明によれば、熱暴走、火災、爆発などに対する安全性、すなわち、熱的安全性を高めたバッテリーパックとバッテリーモジュールが提供される。複数のバッテリーセルを含むバッテリーモジュール、及び複数のバッテリーモジュールを含むバッテリーパックにおいて一部のバッテリーセルやバッテリーモジュールが発熱したときに、周りのバッテリーセルやバッテリーモジュールへの伝播を安定的に遮断することができる。
【0041】
また、本発明の一側面によれば、バッテリーパックの安全性が向上することができる。特に、本発明の一実施形態によれば、各バッテリーセルから排出されたガス等を円滑に外部に排出することができる。さらに、本発明の一実施形態によれば、バッテリーセルから排出されたガスや火炎などの排出方向を制御することができる。したがって、隣接するバッテリーセル間の熱暴走の伝播を効果的に防止することができる。
【0042】
本明細書に添付される次の図面は、本発明の望ましい実施形態を例示するものであり、発明の内容とともに本発明の技術的な思想をさらに理解させる役割のためのものであるため、本発明は図面に記載された事項だけに限定されて解釈されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1】本発明の一実施形態によるバッテリーパックの一部の構成要素を分解して示す概略斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態によるバッテリーパックの内部に収容されるパウチ型バッテリーセルとセルカバーの構成を概略的に示す分解斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態によるバッテリーパックの内部に収容されるパウチ型バッテリーセルとセルカバーとの結合構成を概略的に示す斜視図である。
【
図5】本発明の他の実施形態によるバッテリーパックの内部に収容されるパウチ型バッテリーセルとセルカバーとの結合構成を概略的に示す断面図である。
【
図6】本発明のさらに他の実施形態によるバッテリーパックの内部に収容されるパウチ型バッテリーセルとセルカバーとの結合構成を概略的に示す断面図である。
【
図7】本発明のさらに他の実施形態によるバッテリーパックの一部の断面の構成を概略的に示す図である。
【
図8】本発明のさらに他の実施形態によるバッテリーパックの一部の断面の構成を概略的に示す図である。
【
図9】本発明の一実施形態によるバッテリーモジュールの構成を概略的に示す図である。
【
図10】本発明の一実施形態による自動車の構成を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、添付された図面を参照して本発明の望ましい実施形態を詳しく説明する。本明細書及び特許請求の範囲に使われた用語や単語は通常的や辞書的な意味に限定して解釈されるものではなく、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応ずる意味及び概念で解釈されるものである。したがって、本明細書に記載された実施形態及び図面に示された構成は、本発明の最も好ましい一実施形態に過ぎず、本発明の技術的な思想のすべてを表すものではないため、本出願の時点においてこれらに代替できる多様な均等物及び変形例があり得ることを理解されたい。
【0045】
図中、各構成要素またはその構成要素をなす特定の部分の大きさは、説明のしやすさ及び明確性のためにやや誇張して表現されたり、省略されたり、概略的に示されたりしている。したがって、各構成要素の大きさは、実際の大きさを全的に反映するものではない。関連する公知の機能もしくは構成についての具体的な説明が本発明の要旨を余計に曖昧にする虞があると認められる場合にはその詳細な説明を省略する。
【0046】
図1は、本発明の一実施形態によるバッテリーパックの一部の構成要素を分解して示す概略斜視図である。
図2は、本発明の一実施形態によるバッテリーパックの内部に収容されるパウチ型バッテリーセルとセルカバーの構成を概略的に示す分解斜視図である。
図3は、本発明の一実施形態によるバッテリーパックの内部に収容されるパウチ型バッテリーセルとセルカバーとの結合構成を概略的に示す斜視図である。
図4は、
図3のY-Z断面図である。
【0047】
図1~
図4を参照すると、本発明の一実施形態によるバッテリーパック10は、複数のパウチ型バッテリーセル100と、パックケース300と、セルカバー200とを含む。
【0048】
パウチ型バッテリーセル100は、パウチ型二次電池であって、電極組立体、電解質及びパウチ外装材を含み得る。このようなパウチ型バッテリーセル100は、バッテリーパック10に複数含まれ得る。そして、このような複数のパウチ型バッテリーセル100は、少なくとも一方向に積層され得る。例えば、
図1~
図4に示すように、複数のパウチ型バッテリーセル100は、水平方向、例えば、左右方向(図中のY軸方向)に積層配置され得る。さらに、複数のパウチ型バッテリーセル100は、
図1に示すように、前後方向(図中のX軸方向)に配置されることもある。さらに、複数のパウチ型バッテリーセル100は、水平方向に配置されるが、左右方向及び水平方向に複数の列をなす形状に配置され得る。例えば、
図1に示すように、複数のパウチ型バッテリーセル100は、左右方向に配置されたセル列が前後方向に2つ配備された形状に積層され得る。
【0049】
本発明によるバッテリーパックは、本発明の出願時点における公知の多種多様な形態のパウチ型バッテリーセル100が採用可能であり、したがって、このようなパウチ型バッテリーセル100の構成などについては詳細な説明を省略する。
【0050】
パックケース300は、内部に空き空間(空いたスペース)が形成されて、複数のパウチ型バッテリーセル100を収容し得る。例えば、パックケース300は、
図1に示すように、上ケース310と下ケース320とを備え得る。より具体例を挙げると、下ケース320は、上端が開かれたボックス状に形成されて内部空間に複数のバッテリーセルを収容し得る。そして、上ケース310は、下ケース320の上端の開放部をカバーする蓋状に形成され得る。このとき、上ケース310は、下端が開かれたボックス状に形成されることもある。また、このようなパックケース300の内部空間には、複数のパウチ型バッテリーセル100とともにセルカバー200も収容され得る。パックケース300は、プラスチック又は金属材質を備え得る。その他にも、パックケース300は、本発明の出願時点における公知の多種多様なバッテリーパックの外装材の材質を採用することができる。
【0051】
セルカバー200は、パックケース300の内部空間において、パウチ型バッテリーセル100を包み込むように構成され得る。すなわち、セルカバー200は、バッテリーパック10に含まれる複数のパウチ型バッテリーセル100のうちの少なくとも一部のパウチ型バッテリーセル100を包み込むように構成され得る。さらに、セルカバー200は、パウチ型バッテリーセル100を少なくとも部分的に包み込むように設けられ得る。
【0052】
セルカバー200は、1つ又はそれ以上のパウチ型バッテリーセル100を包み込むように構成され得る。一例を挙げると、
図1~
図4の実施構成においては、1つのセルカバー200が2つのパウチ型バッテリーセル100を包み込む形状に示されている。セルカバー200は、2つ又はそれ以上のパウチ型バッテリーセル100を一緒に包み込むように構成されることもある。
【0053】
図5は、本発明の他の実施形態によるバッテリーパックの内部に収容されるパウチ型バッテリーセルとセルカバーとの結合構成を概略的に示す断面図である。
図5中には、1つのセルカバー200が1つのパウチ型バッテリーセル100を包み込む形状に示されている。このように、1つのセルカバー200は、1つのパウチ型バッテリーセル100のみを包み込むように構成されることもある。この場合、複数のパウチ型バッテリーセル100のうちのそれぞれのパウチ型バッテリーセル100ごとにセルカバー200が個別的に結合されるといえる。
【0054】
セルカバー200は、バッテリーセル100の外側の表面に少なくとも部分的に接着され得る。例えば、セルカバー200は、パウチ型バッテリーセル100の収容部に内側の表面が接着され得る。接着のための部材は、熱伝導性のものであり得る。このような接着を通じて、セルカバー200は、バッテリーセル100に強固に結合され、バッテリーセル100から発せられる熱をバッテリーセル100の外部に排出するのに役立つ。
【0055】
セルカバー200は、バッテリーパックに1つ又は複数含まれ得る。複数のセルカバー200を含む場合、複数のセルカバー200同士は、互いに離隔し得る。例えば、複数のセルカバー200同士は、X軸方向に離隔し得る。離隔した空間を介してセルカバー200同士の間の直接的な熱の伝達を遮断することができる。また、離隔した空間を介してバッテリーパック10を構成するのに必要な別途の部材を嵌入することができる。あるいは、複数のセルカバー200の間の少なくとも一部には、断熱パッドや火炎抑制パッドなどが介在し得る。このような断熱パッドや火炎抑制パッドは、いずれか1つのセルユニット内において生じ得る熱や火炎が他のセルユニット側に伝播されて他のバッテリーセル100に影響を及ぼしてしまうことを防ぐことができる。火炎抑制パッドは、塩化ビニール樹脂などの耐熱性樹脂、シリコンやセラミックなどの素材、もしくは耐熱性樹脂とセラミックもしくはガラスフィラーとの錯体、又は絶縁被覆を施した金属板などから形成され得るが、これらは単なる例示的なものに過ぎず、難燃素材であればよい。少なくともパウチ型バッテリーセル100が熱暴走となる温度(例えば、150℃~200℃)までは、分解、溶解、着火しない材料から構成されることが好ましい。
【0056】
また、バッテリーパック10に複数のセルカバー200が積層されて含まれる場合、セルカバー200の間には、接着部材が介在し得る。例えば、2つのセルカバー200が互いに対面し合うことになる部分には、接着部材が介在して、これらを接着固定することができる。このような接着構成を通じて複数のセルカバー200同士の接続構成をより一層強固にすることができる。
【0057】
特に、セルカバー200は、バッテリーパックに含まれる複数のパウチ型バッテリーセル100をグループ化させてユニット化させるように構成され得る。この場合、1つのセルカバー200は、1つのセルユニットを構成するといえる。そして、1つのセルユニットには、1つ又は複数のパウチ型バッテリーセル100が含まれ得る。例えば、
図2には、「U1」で示されたように、1つのセルユニットが示されており、
図1には、複数のセルユニットが示されているといえる。このように、バッテリーパック10には、複数のセルユニットが含まれ得、この場合、セルカバー200は、バッテリーパックに複数含まれるといえる。一例を挙げると、セルカバー200が1つのパウチ型バッテリーセル100を包み込む形状に形成された場合、バッテリーパックには、パウチ型バッテリーセル100の数と同数のセルカバー200が含まれ得る。他の例を挙げると、セルカバー200が2つ以上のパウチ型バッテリーセル100を包み込む形状に形成された場合、バッテリーパックには、パウチ型バッテリーセル100の数よりも少ない数のセルカバー200が含まれ得る。一方、セルカバー200により包み込まれるそれぞれのセルグループは、セルユニットという呼び名の他にも、セルバンク(bank)単位と書き表わされることもある。セルユニット又はセルバンク内のパウチ型バッテリーセル100は、バスバーなどを介した直接及び/又は並列の電気的な接続構成を含み得る。
【0058】
セルカバー200は、複数のパウチ型バッテリーセル100を立てられた状態で支持するように構成され得る。それぞれのパウチ型バッテリーセル100は、
図2に示すように、2つの広い表面を有し、広い表面の辺縁の部分には、パウチ外装材のシール部や折り畳まれた部分が存在し得る。したがって、パウチ型バッテリーセル100は、一般に、狭い表面を下にして上下方向に立てられた形状に積層し難い。しかしながら、本発明によるバッテリーパックにおいて、セルカバー200は、1つ又はそれ以上のパウチ型バッテリーセル100を包み込みながら、包み込まれたパウチ型バッテリーセル100の立てられた状態、すなわち、起立状態を支持するように構成され得る。
【0059】
特に、セルカバー200は、複数のパウチ型バッテリーセル100が上下方向に立てられた状態で水平方向に積層できるように構成され得る。例えば、
図1及び
図3に示す実施構成のように、複数のセルカバー200は、水平方向に相互に積層され、それぞれのセルカバー200は、1つ又はそれ以上のパウチ型バッテリーセル100を包み込む形状に形成され得る。この場合、セルカバー200により、複数のパウチ型バッテリーセル100がそれぞれ立てられた状態で水平方向に並ぶように積層された構成が安定的に維持され得る。
【0060】
特に、セルカバー200は、パックケース300の内部空間において、自立可能に構成され得る。すなわち、セルカバー200は、パックケース300やパウチ型バッテリーセル100など、バッテリーパックに配備される他の構成要素の助けを借りずに、自ら起立状態を保持するように構成され得る。
【0061】
セルカバー200は、包み込まれたパウチ型バッテリーセルの少なくとも一側が外部に露出されるようにパウチ型バッテリーセルを部分的に包み込む形状に形成され得る。すなわち、セルカバー200は、パウチ型バッテリーセル100を全体的に完全に包み込むことなく、一部分のみを包み込む形状に形成され得る。特に、セルカバー200は、パウチ型バッテリーセル100の少なくとも一側がパックケース300に向かって露出されるように構成され得る。このような観点から、セルカバー200は、セルスリーブ(cell sleeve)などの用語として称され得る。
【0062】
例えば、
図2~
図4の実施構成を参照すると、セルカバー200は、2つのパウチ型バッテリーセル100を包み込む形状に形成されるが、包み込まれたパウチ型バッテリーセル100、すなわち、内部空間に収容されたバッテリーセル100の下部は、セルカバー200により包み込まれないこともある。したがって、バッテリーセル100の下部は、パックケース300に向かって露出されて、パックケース300に直接的に対面することができる。特に、
図1の実施構成を参照すると、バッテリーセル100の下部は、下ケース320の底面に向かって露出されることができる。
【0063】
本発明において、パウチ型バッテリーセル100とセルカバー200は、パックケース300に直接的に載置され得る。さらに、パウチ型バッテリーセル100とセルカバー200は、その下端がパックケース300の底面の上面に載置され得る。例えば、セルカバー200は、
図1の実施形態において、下ケース320の底面に直接的に載置され得る。このとき、セルカバー200の一部、例えば、
図2中に「C1」で示されたセルカバー200の下端部が下ケース320の底面に直接的に接触して載置され得る。そして、セルカバー200は、このようにして下端部が載置された場合、載置状態が安定的に保持されるように構成され得る。このとき、セルカバー200は、スチール(steel)といったように、剛性に優れた金属材質、特に、ステンレススチール(SUS)から構成される場合、自立状態がより一層安定的に保持され得る。したがって、この場合、パウチ型バッテリーセル100の起立状態がより一層しっかりと支持されることが可能になる。
【0064】
そして、セルカバー200は、内部に収容されたバッテリーセルを支持するように構成され得る。特に、セルカバー200は、内部に収容されたバッテリーセルの立てられた状態を安定的に支持するように構成され得る。セルカバー200は、このように、バッテリーセルを包み込む構造を通じて、パックケース300の内部において複数のパウチ型バッテリーセル100の積層状態を支持するように構成され得る。例えば、複数のパウチ型バッテリーセル100は、
図1~
図4に示すように、水平方向(図中のY軸方向)に積層され得る。このとき、セルカバー200は、このように、水平方向に積層された複数のパウチ型バッテリーセル100の積層状態が安定的に保持されるように構成され得る。
【0065】
本発明のこのような側面によれば、モジュールケースなしに、複数のパウチ型バッテリーセル100がパックケース300の内部に直接的に載置されて収容されることが可能になる。特に、パウチ型バッテリーセル100の場合、外装材が軟質の材料から作製されて外部の衝撃に弱く、しかも、硬度も低いといえる。したがって、モジュールケースに収容せず、パウチ型バッテリーセル100それ自体でもパックケース300の内部に収容することが決して容易ではない。しかしながら、本発明の場合、複数のパウチ型バッテリーセル100は、セルカバー200により少なくとも一部分が包み込まれた状態でセルカバー200と結合されて、パックケース300の内部に直接的に収容され、その積層状態が安定的に保持されることが可能になる。
【0066】
さらに、本発明の場合、パウチ型バッテリーセル100を用いたCTP(Cell To Pack)タイプのバッテリーパックがより一層効率よく実現されることが可能になる。すなわち、本発明の場合、別途のモジュールケースの内部にパウチ型バッテリーセル100を収容し、このようなモジュールケースをパックケース300の内部に収容するわけではなく、パウチ型バッテリーセル100を直接的にパックケース300の内部に収容する形態にバッテリーパック10が設けられ得る。このとき、パウチ型バッテリーセル100の少なくとも一側が、セルカバー200の外部に露出されて、パックケース300と直接的に対面するように配置され得る。
【0067】
したがって、本発明のこのような側面によれば、バッテリーパック10にモジュールケースや積層用のフレーム、セルの積層状態を保持するためのボルトなどの締結部材などがさらに配備される必要がない。したがって、モジュールケースや積層用のフレームなど他の構成要素が占める空間やそれによる公差の確保のための空間が除去されることが可能になる。そのため、除去された空間に見合う分だけバッテリーセルがさらに空間を占めることができるので、バッテリーパックのエネルギー密度がより向上することができる。
【0068】
また、本発明のこのような側面によれば、モジュールケースや積層用のフレーム、ボルトなどが配備されないことから、バッテリーパックの体積や重量が減少し、製造工程が簡素化されることが可能になる。
【0069】
本発明によれば、バッテリーパック10の組立性が向上することができる。特に、本発明の一実施形態によれば、モジュールケースにパウチ型バッテリーセルを収容してバッテリーモジュールを設ける工程、このようにして設けられたバッテリーモジュールを1つ以上パックケースに収容する工程などが行われなくても済む。したがって、製造工程が簡素化され、製造時間が短縮されることが可能になる。
【0070】
また、本発明のこのような側面によれば、パウチ型バッテリーセル100の取り扱いをより一層行い易くなる。例えば、複数のパウチ型バッテリーセル100をパックケースの内部に収容する場合、治具などによりパウチ型バッテリーセル100を把持し得る。このとき、治具は、パウチ型バッテリーセル100を直接的に把持することなく、パウチ型バッテリーセル100を包み込んでいるセルカバー200を把持し得る。したがって、治具によるパウチ型バッテリーセル100の損傷や破損が防がれることが可能になる。
【0071】
また、本発明のこのような側面によれば、バッテリーセル100にセルカバー200が結合されて、モジュールケースなしでもバッテリーセル100を有効に保護することができる。
【0072】
本発明のこのような実施構成によれば、バッテリーパックの冷却性能がより一層有効に確保されることが可能になる。特に、上記の実施構成によれば、セルカバー200の開かれた端部(開放端)を介してパウチ型バッテリーセル100とパックケース300とが直接的に対面して接触されることができる。すなわち、セルカバー200の開放端(open end)と隣接するように(adjacent)配置されたパウチ型バッテリーセル100の一方の側面は、パックケース300と直接的に向かい合ったり接触されたりすることができる。したがって、それぞれのパウチ型バッテリーセル100から放出された熱がパックケース300に直接的に伝えられて、冷却性能が向上することができる。また、この場合、パウチ型バッテリーセル100とパックケース300との間に別途の冷却構造が配備されなくても済むので、効率よい冷却性能が実現されることが可能になる。そして、この場合、パウチ型バッテリーセル100の間に空気などの冷媒が流れ込むための空間が設けられないこともある。
【0073】
また、この場合、セルカバー200の少なくとも一側が開かれることにより、バッテリーパックの軽量化に有利になる可能性がある。例えば、セルカバー200がスチールなどの材質からなる場合、セルカバー200の下端部が開かれた形状に形成されれば、下プレートに見合う分だけセルカバー200の重量を減らすことができる。さらに、
図1に示すように、バッテリーパック10には、多くのセルカバー200が含まれ得、すべてのセルカバー200に対して下プレートが存在せずに開かれた形状に形成されれば、バッテリーパック10の重量は格段に減少することができる。
【0074】
また、本発明の一側面によれば、特定の方向の長さが長尺状に形成されたロングセル(long cell)の構成がより一層容易に設けられることが可能になる。
【0075】
例えば、従来の角型セルの場合、特定の方向の長さを長尺状に形成してしまうと、電極組立体を角型ケースに嵌入する工程が行われ難くなる虞がある。特に、このような電極組立体の嵌入過程において電極組立体がダメージを受けてしまうという問題などが生じることが懸念される。しかしながら、本発明の一実施構成によれば、パウチ型バッテリーセル100とセルカバー200に対して一方向に長さを長くすることは、パウチ外装材の成形や電極組立体の製造、セルカバー200の製造段階において手軽に実現可能である。そして、このように、一方向に長尺状に製造された形状のロングセルをセルカバー200の開かれた側面(例えば、下端部)を介して嵌入する工程は手軽に行われる。したがって、本発明のこのような側面によれば、ロングセルを用いてバッテリーパック10を製造するときにも、優れた組立性と工程性、生産性などを確保することができる。
【0076】
それぞれのパウチ型バッテリーセル100は、
図2に示すように、「R」で示された収容部及び「E1」~「E4」で示されたエッジ部を備え得る。ここで、収容部Rは、正極板と負極板とがセパレーターが介在した状態で相互に積層された形態で形成された電極組立体が収容された部分であり得る。また、このような収容部Rには、電解液が収容され得る。そして、エッジ部E1~E4は、このような収容部Rの周りを取り囲む形状に配置され得る。
【0077】
特に、エッジ部は、パウチ型バッテリーセルのケースであるパウチ外装材がシールされたシール部であり得る。例えば、
図2の実施構成において、エッジ部は4つ設けられており、収容部Rを基準として、それぞれ上部側の辺縁部、下部側の辺縁部、前方側の辺縁部及び後方側の辺縁部に位置するといえる。このとき、4つのエッジ部E1~E4は、いずれもシール部であり得る。あるいは、4つのエッジ部E1~E4のうちの一部は、シール部ではなく、折り畳まれた形状に形成され得る。例えば、
図2の実施構成において、上部側のエッジ部E1、前方側のエッジ部E3及び後方側のエッジ部E4は、いずれもシール部であるが、下部側のエッジ部E2は、パウチ外装材が折り畳まれた部分であり得る。例えば、上部側のエッジ部E1は、パウチ型バッテリーセル100のシール部であって2回折り畳まれた、いわゆる両面折り(DSF:Double Side Folding)された部分であり得、下部側のエッジ部E2は、パウチ型バッテリーセル100の未シール部であり得る。
【0078】
ここで、4つのエッジ部E1~E4がいずれもシールされたバッテリーセルに対しては4面シールセル、3つのエッジ部E1、E3、E4がシールされたバッテリーセルに対しては3面シールセルと称し得る。このような構成において、セルカバー200は、4面シールセルや3面シールセルであり得るパウチ型バッテリーセル100の収容部Rの両側とエッジ部E1~E4の一部を包み込むように構成され得る。例えば、
図5に示すように、1つのセルカバー200が1つのパウチ型バッテリーセル100を包み込む形状に形成された場合、セルカバー200は、同じパウチ型バッテリーセル100の収容部Rの両側の表面(例えば、同じ収容部Rの左側の表面と右側の表面)、及び当該バッテリーセル100のエッジ部の一部を外側から包み込むように構成され得る。他の例を挙げると、1つのセルカバー200が複数のパウチ型バッテリーセル100、例えば、左右方向に配置された複数のバッテリーセルを包み込む形状に形成された場合、最外側のバッテリーセルの収容部の外側の表面と、全体のバッテリーセルの一側のエッジ部を包み込む形状に形成され得る。より具体例を挙げると、
図2~
図4に示すように、1つのセルカバー200が左右方向に積層された2つのパウチ型バッテリーセル100を包み込む形状に形成され得る。このとき、セルカバー200は、左側のバッテリーセルの左側の表面、2つのバッテリーセルの一側のエッジ部、そして、右側のバッテリーセルの右側の表面を包み込む形状に形成され得る。
【0079】
このような実施構成によれば、1つのセルカバー200をもって、1つ以上のパウチ型バッテリーセル100を支持及び保護する構成を容易に実現することができる。また、上記の実施構成によれば、セルカバー200を介して、1つ又はそれ以上のパウチ型バッテリーセル100を取り扱う工程が手軽にかつ安全に行われることが可能になる。さらに、上記の実施構成によれば、1つのセルカバー200が、内部に収容されたパウチ型バッテリーセル100に対して2つの収容部Rの表面に対面することが可能になる。したがって、収容部Rとセルカバー200との間において冷却性能がさらに向上することができる。特に、この場合、収容部Rの広い表面を介して面での冷却が実現されて、冷却効率が良好になる。
【0080】
特に、セルカバー200は、内部に収容されたパウチ型バッテリーセル100の複数のエッジ部のうち、電極リードが配備されていないエッジ部を包み込む形状に形成され得る。例えば、
図2に示す実施構成を参照すると、パウチ型バッテリーセル100は、2つの電極リード110、すなわち、正極リードと負極リードを備え得る。このとき、2つの電極リードは、前方側のエッジ部E3と後方側のエッジ部E4にそれぞれ位置し得る。このとき、セルカバーは、このような前方側のエッジ部E3と後方側のエッジ部E4を除いた残りの2つのエッジ部E1、E2のうちのどちらか一方を包み込む形状に形成され得る。
【0081】
さらに、セルカバー200は、内部に収容されて包み込まれた1つ以上のパウチ型バッテリーセル100に対して、収容部Rの両側面と上部側のエッジ部E1とを覆う形状に設けられ得る。例えば、
図5に示すように、セルカバー200は、1つのパウチ型バッテリーセル100に対して、収容部Rの左側の表面と右側の表面、そして上部側のエッジ部E1をいずれも取り囲む形状に形成され得る。他の例を挙げると、
図2~
図4でのように、セルカバー200が左右方向に積層された2つのパウチ型バッテリーセル100を包み込む形状に形成された場合、セルカバー200は、左側のバッテリーセルの収容部の左側の表面、2つのバッテリーセルの上部側のエッジ部E1、そして、右側のバッテリーセルの収容部の右側の表面を包み込む形状に形成され得る。
【0082】
本発明のこのような実施構成によれば、1つのセルカバー200をもって、1つ又はそれ以上のバッテリーセルを支持しかつ保護する構成を容易に実現することができる。特に、上記の実施形態によれば、下部側のエッジ部E2は、セルカバー200の開放端と隣接するように位置して、セルカバー200により包み込まれずにパックケース300を向かい合い、パックケース300と直接的に対面して接触されることができる。したがって、セルカバー200により包み込まれたパウチ型バッテリーセル100の熱が下部のパックケース300側に迅速かつ円滑に排出されることが可能になる。したがって、バッテリーパック10の冷却性能がより一層有効に確保されることが可能になる。
【0083】
特に、このような構成は、パックケース300の下部において冷却が主として行われる場合により一層有効に採用されることが可能である。例えば、電気自動車に装着されるバッテリーパックの場合、車体の下部に装着されるので、パックケース300の下部において主として冷却が行われることが可能である。このとき、上記の実施形態のように、各バッテリーセル100の下部側のエッジ部E2がパックケース300に対面して接触される場合、各バッテリーセル100からパックケース300側へと熱が迅速に伝えられて、冷却性能がより向上することができる。
【0084】
パウチ型バッテリーセル100において、シール部としての上部側のエッジ部E1は、未シール部である下部側のエッジ部E2よりも相対的に高温のガスや火炎の排出にさらに弱くなる可能性がある。ところが、上記の実施形態によれば、シール部である上部側のエッジ部E1がセルカバー200を向かい合うように配置されてディレクショナルベントにより一層有利になる可能性がある。
【0085】
セルカバー200は、剛性の確保のために、多種多様な材質から構成され得る。特に、セルカバー200は、金属材質から構成され得る。このような金属材質の場合、パウチ型バッテリーセル100の積層状態をより一層安定的に保持し、外部の衝撃からパウチ型バッテリーセル100をより一層安全に保護することができる。特に、セルカバー200は、スチール材質、さらに、SUS材質を備え得る。例えば、セルカバー200は、全体的にSUS材質からなり得る。SUS材質のセルカバー200は、概ね2mmの厚さを有し得る。
【0086】
このように、セルカバー200がスチール材質からなる場合、機械的な強度ないし剛性に優れているので、パウチ型バッテリーセル100の積層状態をより一層安定的に支持することができる。また、この場合、外部の衝撃、例えば、針状体などからパウチ型バッテリーセル100の損傷や破損をより一層有効に防ぐことができる。のみならず、この場合、パウチ型バッテリーセル100の取り扱いがさらに行われ易くなる。
【0087】
また、前記実施形態のように、セルカバー200がスチール材質からなる場合、高い溶融点によってバッテリーセル100から火炎が発生したときに全体的な構造が安定的に保持されることが可能になる。特に、スチール材質の場合、アルミニウム材質に比べて融点が高いので、バッテリーセル100から噴出された火炎にも溶融されず、その形状が安定的に保持されることが可能になる。したがって、バッテリーセル100の間の火炎の伝播防止ないし遅延の効果、ベント制御の効果などが良好に確保されることが可能になる。
【0088】
ここで、セルカバー200は、単位カバーであって、
図2~
図5に示すように、第1のカバー210及び第2のカバー220を備え得る。また、セルカバー200は、2つの単位カバー210、220の間の離隔空間Sにベントガスが排出可能なように構成され得る。例えば、
図4と
図5を参照すると、セルカバー200は、2つの単位カバー210、220の間に形成された離隔空間Sを介して、矢印で示されたように、ベントガスが排出されるようにし得る。
【0089】
パウチ型バッテリーセル100は、軽量であり、電解液の漏液(Leakage)の可能性が低く、形状に融通性を有することができて、より一層小さい体積及び質量をもって同じ容量の二次電池を実現することができるという長所がある一方、過熱になる場合に爆発のリスクがあるため、安全性を確保することが重要な課題の1つである。パウチ型バッテリーセル100の過熱は、色々な原因によって起こるが、そのうちの1つとして、パウチ型バッテリーセル100を介して限界以上の過電流(overcharge)が流れる場合が挙げられる。過電流が流れると、パウチ型バッテリーセル100がジュール熱により発熱をするため、パウチ型バッテリーセル100の内部の温度が急激に上昇する。温度の急激な上昇は、電解液の分解反応を引き起こしてガスが生じる虞がある。これによるパウチ外装材の内部の圧力の増加によって一種の膨れ上がり現象であるスウェリング(Swelling)現象が生じて二次電池が爆発するなど深刻な問題が生じる虞がある。このような過電流のみならず、高温への曝露、外部からの衝撃などによりパウチ型バッテリーセル100の内部においてガスが生じる場合、ガスを有効に排出して二次電池の安全性を確保する必要がある。二次電池の内部において生じたガスを外部に排出することをベントと称する。本発明の実施形態によるバッテリーパック10に含まれるセルカバー200は、2つの単位カバー210、220の間の離隔空間Sにベントガスが排出可能なように構成されていて、二次電池の安全性を確保することが可能になる。
【0090】
第1のカバー210は、包み込まれたパウチ型バッテリーセル100の左側の表面と一側の縁部とを包み込むように構成され得る。そして、第2のカバー220は、包み込まれたパウチ型バッテリーセル100の右側の表面と他側の縁部とを包み込むように構成され得る。ここで、第1のカバー210と第2のカバー220は、それぞれL字の形状に形成されて、本発明のこのような実施形態によるセルカバー200は、2つのL字状の単位カバー210、220が互いに結合された形状に形成されるといえる。
【0091】
特に、第1のカバー210と第2のカバー220は、パウチ型バッテリーセル100の上側の縁部を包み込むように構成され得る。
【0092】
一方、
図1及び
図2の実施形態においては、第1のカバー210と第2のカバー220の上側の縁部が互いに離隔している形状のみが開示されているが、このような離隔空間Sには、2つの単位カバー210、220の間の離隔空間Sを支持する支持部が配備され得る。また、このような2つの単位カバー210、220は、互いに溶接、接着、嵌合、掛合など多種多様な締結方式により締結固定され得る。
【0093】
また、2つの単位カバー210、220は、一方の端部が相互に向かって折り曲げられた形状に形成され得る。例えば、
図2~
図5に示すように、第1のカバー210の上側の端部は、右側の向きに折り曲げられ、第2のカバー220の上側の端部は、左側の向きに折り曲げられ得る。ここで、第1のカバー210の上側の端部と第2のカバー220の上側の端部とは、少なくとも部分的に離隔した状態で互いに上下方向に積み重ねられた形状を呈し得る。
【0094】
2つの単位カバー210、220のそれぞれは、1枚のプレートが折り曲げられた形状に形成されてなり得る。例えば、2つの単位カバー210、220のそれぞれは、1枚の板材に対して一方の端部を約90°曲げることにより、1つ以上のパウチ型バッテリーセル100を包み込む形状に形成され得る。
【0095】
セルカバー200は、少なくとも一部のパウチ型バッテリーセル100の両側面と上部側の縁部とを包み込むように構成され得る。例えば、2つの単位カバー210、220から構成されたセルカバー200は、
図2~
図5に示すように、内部に収容されたパウチ型バッテリーセル100の左右の両側面を包み込む2つの側面カバー部及び上部側の縁部を包み込む上側カバー部を備えるといえる。このとき、上側カバー部は、少なくとも部分的に二重に形成されているといえる。この場合、前方側から眺めたセルカバー200の断面の形状は、概ね「n」字状に類似しているといえる。したがって、この場合、セルカバー200は、「nフィン(n-fin)」と称されることもある。また、前方側から眺めた第1のカバー210と第2のカバー220の各断面の形状は、概ね「L」字状に類似しているといえる。したがって、この場合、第1のカバー210と第2のカバー220は、「Lフィン(L-fin)と称されることもある。そして、セルカバー200は、2つのLフィンから形成されたnフィンであるといえる。
【0096】
より具体的には、第1のカバー210は、パウチ型バッテリーセル100の上部側のエッジ部E1の上部を包み込むように構成された第1の上側カバー部212と、第1の上側カバー部212の一方の端から下方に延びており、包み込まれたパウチ型バッテリーセル100の一方の側の収容部の外側を包み込む第1の側面カバー部214と、を含む。第2のカバー220は、パウチ型バッテリーセル100の上部側のエッジ部E1の上部を包み込むように構成された第2の上側カバー部222、及び第2の上側カバー部222の一方の端から下方に延びており、包み込まれたパウチ型バッテリーセル100の他方の側の収容部の外側を包み込む第2の側面カバー部224を含む。第1の上側カバー部212と第2の上側カバー部222とは、上下方向に離隔している。本実施形態において、第1の上側カバー部212から第2の上側カバー部222がパウチ型バッテリーセル100の上部側のエッジ部E1の向きに離隔している。
【0097】
ここで、第1の上側カバー部212と第2の上側カバー部222は、内部に収容されたパウチ型バッテリーセル100の上部側のエッジ部E1の上部を包み込むように構成され得る。特に、セルカバー200において2つの側面カバー部214、224の間に位置する部分とこれに対面するパウチ型バッテリーセル100の側面とは、互いに所定の距離だけ離隔し得る。そして、このような離隔空間は、中空の形状に形成され得る。本発明のこのような実施構成によれば、パウチ型バッテリーセル100の側部(エッジ部)とセルカバー200との間に形成された空き空間によって、ベントガスなどが移動する経路が提供されることが可能になる。例えば、セルカバー200の内部に収容されたバッテリーセル100において熱暴走などによってベントガスが生じる場合、生じたベントガスは、第1の上側カバー部212と隣接する上部側のエッジ部E1と第1の上側カバー部212及び第1の側面カバー部214との間の空き空間を介して前後方向(X軸方向)に移動することができる。したがって、ベントガスをセルカバー200の外部に排出するための構成要素、例えば、後述するような貫通孔や切り欠き部などの構成要素がセルカバー200又は他の構成要素のいかなる部分に位置しても、当該排出関係の構成要素が位置する部分にベントガスが円滑にかつ迅速に移動することができる。そのため、セルカバー200の内圧が増大されることを防ぎ、ベントガスの排出方向の誘導などといったように、効率よいベントの制御を行うことが可能になる。
【0098】
一方、第1の上側カバー部212は、パウチ型バッテリーセル100の上部側のエッジ部E1に接触される形状に形成されることもある。
【0099】
また、第1の上側カバー部212は、平面の形状に形成され得る。この場合、第1の上側カバー部212は、断面が水平方向の直線状に形成されて、パウチ型バッテリーセル100の上部側のエッジ部E1を外側から直線状に包み込み得る。
【0100】
第1の側面カバー部214は、第1の上側カバー部212の一方の端から下方に延びる形状に形成され得る。例えば、第1の側面カバー部214は、第1の上側カバー部212の左側の端部から下部の向き(図中の-Z軸方向)に長尺状に延びた形状に形成され得る。さらに、第1の側面カバー部214は、平面の形状に形成され得る。このとき、第1の側面カバー部214は、第1の上側カバー部212から曲げられた形状に形成され得る。
【0101】
そして、第1の側面カバー部214は、内部に収容されたパウチ型バッテリーセル100の一方の側の収容部の外側を包み込むように構成され得る。例えば、セルカバー200に1つのパウチ型バッテリーセル100が収容された場合、第1の側面カバー部214は、収容されたパウチ型バッテリーセル100の収容部の左側の表面を左側から包み込むように構成され得る。ここで、第1の側面カバー部214は、収容部の外側の表面に直接的に接触され得る。
【0102】
第2の側面カバー部224は、第1の側面カバー部214から水平方向に離隔するように位置し得る。そして、第2の側面カバー部224は、第2の上側カバー部222の一方の端から下方に延びる形状に形成され得る。例えば、第2の側面カバー部224は、第2の上側カバー部222の右側の端部から下方に長尺状に延びた形状に形成され得る。さらに、第2の側面カバー部224もまた、第1の側面カバー部214と同様に、平面の形状に形成され得る。このとき、第2の側面カバー部224と第1の側面カバー部214とは、水平方向に離隔した状態で互いに平行に配置されているといえる。そして、第2の側面カバー部224は、第2の上側カバー部222から曲げられた形状に形成され得る。
【0103】
第1の側面カバー部214と第1の上側カバー部212は、1枚のプレートからなり得る。第2の側面カバー部224と第2の上側カバー部222もまた、1枚のプレートからなり得る。この場合、2つの単位カバー210、220のそれぞれは、複数の構成要素が一体形に作製されているといえる。ここで、それぞれの構成要素は、折り曲げ部を介して区分けされ得る。特に、1枚のプレートにおいて折り曲げ部は、1つ形成され得る。そして、このような1つの折り曲げ部を基準として、第1の側面カバー部214と第1の上側カバー部212とが区分けされ、第2の側面カバー部224と第2の上側カバー部222とが区分けされ得る。このように、セルカバー200を形成するために1枚のプレートに折り曲げ部を形成する構成は、プレス(press)又はロールフォーミング(roll forming)などの様々な方式により実現され得る。
【0104】
本発明のこのような実施構成によれば、セルカバー200の製造がより一層簡単になる。したがって、バッテリーパックの製造コストや時間が減少することができる。また、このような実施構成によれば、セルカバー200の機械的な強度や剛性がさらに高く確保されることが可能になる。のみならず、この場合、セルカバー200を介した熱伝導性能がより一層向上して、冷却性能がさらに改善されることが可能になる。
【0105】
また、第2の側面カバー部224は、内部に収容されたパウチ型バッテリーセル100の他方の側の収容部の外側を包み込むように構成され得る。例えば、セルカバー200に1つのパウチ型バッテリーセル100が収容された場合、第2の側面カバー部224は、収容されたパウチ型バッテリーセル100の収容部の右側の表面を右側から包み込むように構成され得る。ここで、第2の側面カバー部224は、収容部の外側の表面に直接的に接触され得る。
【0106】
上記の実施構成において、第1及び第2の上側カバー部212、222、第1及び第2の側面カバー部214、224により内部空間が限定され得る。そして、セルカバー200は、このようにして限定された内部空間に1つ又はそれ以上のバッテリーセルを収容し得る。
【0107】
2つの単位カバー210、220は、折り曲げられた端部同士が互いに少なくとも部分的に離隔してベントガスが排出可能なように構成され得る。例えば、
図4及び
図5の実施構成を参照すると、2つの単位カバー210、220の上側の折り曲げ部が互いに上下方向に離隔して離隔空間Sを形成し得る。そして、このような離隔空間Sを介してベントガスが排出され得る。
【0108】
第1の側面カバー部214に比べて第2の側面カバー部224の上下方向の長さの方がさらに長くなり得る。
図4中に、第1の側面カバー部214の長さをL1で示し、第2の側面カバー部224の長さをL2で示している。この場合、L2>L1であり得る。
【0109】
第1の側面カバー部214と第2の側面カバー部224の下端部C1は、パックケース300の底面に接触され得る。第1の側面カバー部214と第2の側面カバー部224の下端部C1の高さが同じであれば、第2の側面カバー部224の長さL2を第1の側面カバー部214の長さL1よりもさらに長くするだけでも、第1の側面カバー部214と接続された第1の上側カバー部212及び第2の側面カバー部224と接続された第2の上側カバー部222の間の離隔という構成を成し遂げることができる。
【0110】
第1の上側カバー部212と第2の側面カバー部224との間を介してベントガスが第1の上側カバー部212と第2の上側カバー部222との間の離隔空間Sとして定義されるベントチャンネルに移動し、第2の上側カバー部222と第1の側面カバー部214との間を介して排出され得る。すなわち、2つのLフィンからnフィンを形成するが、Lフィンの間の上部の隙間の間にベントチャンネルを形成したことに相当する。このようなベントチャンネルを介してベントガスを排出し得る。
【0111】
本発明のこのような実施構成によれば、2つの単位カバー210、220の間の離隔空間Sに火炎などの排出方向を誘導することができる。例えば、上記の実施構成によれば、セルカバー200の上端からY軸方向に火炎などが排出されるようにすることができる。排出されたガスや火炎が上部側の(Z軸方向)へと向かうことを有効に防いで目的とする方向(Y軸方向)へのディレクショナルベントが行われることが可能になる。
【0112】
二次電池の内部において生じたガスを単一の方向ではなく、複数の方向に排出する場合、ベントガスを外部に手軽に排出することができず、ベントガスを排出する時間が長引いて二次電池の安全性が大幅に低下する可能性がある。本発明によれば、2つの単位カバー210、220を介してベントガスを単一の方向に排出することができる。上記の実施構成によれば、熱暴走などの状況下でパウチ型バッテリーセル100から高温のガスや火炎などが排出される場合、排出されたガスや火炎が上部側へと向かわないようにすることができる。特に、電気自動車などといったように、バッテリーパック10の上部側に搭乗者が位置する場合、上記の実施構成によれば、ガスや火炎などが搭乗者側に向かうことを抑えたり遅らせたりすることができる。
【0113】
このように、本発明によれば、火炎又はガスが予め設定された方向に誘導されて排出されることが可能になる。この場合、たとえいずれか1つのバッテリーセル100において熱暴走が生じるとしても、そのバッテリーセル100において生じた火炎又はガスは、セルカバー200を介して予め設定された方向にのみ排出されることが可能になる。予め設定される方向が他のセルカバー200へと向かわないような方向であれば、熱暴走が生じたバッテリーセル100と隣接するように配置された他のバッテリーセル100に火炎又はガスが伝播されないことが可能になる。すなわち、たとえいずれか1つのバッテリーセル100において熱暴走が生じるとしても、他のバッテリーセル100に対しては、その熱暴走の影響が最小限に抑えられる。
【0114】
第1の側面カバー部214とパウチ型バッテリーセル100とは、かつ、第2の側面カバー部224とパウチ型バッテリーセル100とは、接着されていることもある。第1の側面カバー部214とパウチ型バッテリーセル100とが、かつ、第2の側面カバー部224とパウチ型バッテリーセル100とが直接的に接着されてもよいが、
図6に示すように、絶縁部材270をさらに含む状態で間接的に接着されていることが好ましい。
【0115】
図6は、本発明のさらに他の実施形態によるバッテリーパックの内部に収容されるパウチ型バッテリーセルとセルカバーとの結合構成を概略的に示す断面図である。
【0116】
図6を参照すると、セルカバー200は、絶縁部材270をさらに含み得る。絶縁部材270は、電気的な絶縁性材質から構成されてパウチ型バッテリーセル100が収容されるセルカバー200の内側の表面に配備され得る。特に、絶縁部材270は、少なくとも片側面に接着層を備えて、セルカバー200の内側の表面に接着され得る。また、絶縁部材270は、両側面に接着層を備えて、セルカバー200の内側の表面に接着されるだけではなく、パウチ型バッテリーセル100と接着されることもある。のみならず、絶縁部材270は、耐熱性を有する材質から構成され得る。例えば、絶縁部材270は、耐熱性を有するセラミックシートの表面に接着剤が塗布された耐熱性テープの形状に形成され得る。絶縁部材270は、ポリイミド(PI:polyimide)材質のフィルムであり得る。絶縁部材270の厚さは、概ね0.5mmであり得る。また、絶縁部材270は、セルカバー200の内側の表面及び外側の表面、すなわち、両側に位置することもある。
【0117】
一方、本発明によるバッテリーパックにおいて、互いに異なる構成要素同士の間の熱伝達性能を高めるために、熱伝導材料(TIM:Thermal Interface Material)が介在し得る。例えば、バッテリーセル100とセルカバー200との間、セルカバー200とパックケース300との間、及び/又はバッテリーセル100とパックケース300との間にTIMが充填され得る。この場合、バッテリーパックの冷却性能がさらに向上することができる。TIMは、部材間の接触熱抵抗の減少のためのものである。冷却が重要視されるバッテリーパックにおいては、このように、接触熱抵抗を極力抑えられる材料を用いて全体のシステムの熱性能を改善する必要がある。TIMとしては、放熱グリース(thermally conductive grease)、放熱シート、放熱パッド、熱伝導性接着剤、PCM(相変化物質)など種々のものが採用可能である。具体例を挙げると、TIMは、放熱シリコン系接着剤(thermally conductive silicone-based bond)、放熱シリコンパッド(thermally conductive silicone pad)及び放熱アクリル接着剤(thermally conductive acrylic bond)のうちのいずれか1つであり得る。放熱シリコン系接着剤、放熱アクリル接着剤は、1液型又は2液型として市販されており、塗布又は注入の方法により互いに異なる構成要素の間に適用可能である。放熱シリコンパッドは、両面テープなどの基材フィルムとその上下部の離型紙を含むものであるため、離型紙を引き剥がした後の接着方式により互いに異なる構成要素の間に適用可能である。放熱シリコン系接着剤、放熱シリコンパッド、放熱アクリル接着剤は、通常の接着剤に比べて、熱伝導率が高いので、互いに異なる構成要素の間において熱伝達量及び熱伝達速度などをさらに高めることができる。したがって、本発明のこのような実施形態によれば、パウチ型バッテリーセル100の熱排出性能をさらに向上させて、バッテリーパック10の冷却性能がより一層改善されるようにすることができる。
【0118】
図1に戻ると、パウチ型バッテリーセル100とセルカバー200を備えるセルユニットは、複数積層された形状にパックケース300の内部に収容され得る。ここでは、複数のセルユニットが積層された形状を呈する一つの単位をセルユニットブロックと呼ぶことにする。例えば、複数のセルユニットは、
図1でのように、下ケース320の内部空間において、水平方向に並ぶように積層されるように配置され得る。このとき、複数のセルユニットは、セルカバー200の各表面同士が互いに対面し合うように積層され得る。特に、各セルカバー200は、第1の側面カバー部214と第2の側面カバー部224とが互いに対面し合う形状に左右方向に積層配置され得る。また、各セルユニットは、前後方向にも積層され得る。この場合、各セルユニットから前後の向きに突出した電極リード110が互いに向かい合う形状に複数のセルユニットが積層され得る。本発明の上記の実施構成によれば、バッテリーモジュールのモジュールケースなどを除去して空間効率をさらに向上させることができる。
【0119】
また、図示の例でのように、複数のパウチ型バッテリーセル100を並べるに際して、左右方向に配置された1つのセルユニットブロックがまた、前後方向に2つ配備された形状に積層される場合のように、複数のセルユニットブロックが行と列をなして並べられる場合に、1つのセルユニットブロックによるベントガスの排出方向と他のセルユニットブロックによるベントガスの排出方向とは、互いに異なり得る。例えば、いずれか1つのセルユニットブロックによるベントガスの排出方向は、他のセルユニットブロックへと向かわないつつ、パックケース300へと向かう方向となるように構成し得る。図示の例において、左側の前端及び左側の後端のセルユニットブロックCUB1、CUB2のベントガスの排出方向は、
図1及び
図3に示すように、Y軸方向である。右側の前端及び右側の後端のセルユニットブロックCUB3、CUB4のベントガスの排出方向は、-Y軸方向となるように、
図1及び
図3でのような配列の構成を反転させることも可能である。
【0120】
本発明によれば、特定のバッテリーセルにおいて熱暴走が生じたとき、熱的事象に有効に対応することができる。特に、本発明の場合、火炎が生じる3要素(燃料、酸素、発火源)のうち、発火源に相当する熱の蓄積や排出を遮断ないし適宜に制御することができる。さらに、本発明の場合、熱の蓄積の遮断及び火炎の排出を防ぐために、セルカバー200を介したベントガスの排出の制御とディレクショナルベントを実現することができる。また、本発明の一側面によれば、熱的事象が生じたときにも、内部の短絡や構造崩壊を防ぐことができる。
【0121】
また、本発明によるバッテリーパックは、パックケース300の内部空間に収容された制御モジュール400をさらに含み得る。このような制御モジュール400は、バッテリー管理システム(BMS)を含み得る。制御モジュール400は、パックケース300の内部空間に装着され、パウチ型バッテリーセル100の充放電動作やデータの送受信動作などを全般的に制御するように構成され得る。制御モジュール400は、モジュール単位ではなく、パック単位で配設され得る。より具体的には、制御モジュール400は、パック電圧及びパック電流を用いてパウチ型バッテリーセル100の充放電状態、電力状態及び性能状態などを制御するように設けられ得る。制御モジュール400は、バッテリーパック10内のバッテリーセル100の状態を推定し、推定した状態情報を用いてバッテリーパック10を管理する。例えば、バッテリーパック10の充電状態(SOC:State Of Charge)、健康状態(SOH:State Of Health)、最大の入出力電力の許容量、出力電圧などバッテリーパック10の状態情報を推定しかつ管理する。そして、このような状態情報を用いてバッテリーパック10の充電又は放電を制御し、さらにバッテリーパック10の取り替え時期をも推定可能である。
【0122】
また、本発明によるバッテリーパック10は、
図1に示すように、バッテリー遮断ユニットをさらに含み得る。バッテリー遮断ユニット500(BDU:Battery Disconnect Unit)は、バッテリーパック10の電力容量と機能を管理するためにバッテリーセルの電気的な接続を制御するように構成され得る。このために、バッテリー遮断ユニット500は、パワーリレーと電流センサー、ヒューズなどを含み得る。バッテリー遮断ユニット500もまた、モジュール単位ではなく、パック単位で配設される構成要素であって、本発明の出願時点における公知の様々な遮断ユニットを採用することができる。
【0123】
この他にも、本発明によるバッテリーパック10は、本発明の出願時点における公知の様々なバッテリーパックの構成要素をさらに含み得る。例えば、本発明の一実施形態によるバッテリーパック10の場合、オペレーターが手作業でサービスプラグを抜き取って電源を遮断可能なマニュアルサービスディスコネクター(MSD:Manual Service Disconnector)をさらに含み得る。また、複数のセルユニットブロック同士を繋ぎ合わせるためのフレキシブルバスバーやケーブルをさらに含むこともある。
【0124】
図7は、本発明のさらに他の実施形態によるバッテリーパックの一部の断面の構成を概略的に示す図である。
【0125】
セルカバー200は、2つの単位カバー210、220の間の離隔空間Sにメッシュ構造Mを備え得る。例えば、
図7の実施構成を参照すると、第1のカバー210の第1の上側カバー部212と第2のカバー220の第2の上側カバー部222との間の離隔空間Sに、Mで示されたようなメッシュ構造が位置し得る。そして、ベントガスが第1のカバー210の第1の上側カバー部212と第2のカバー220の第2の上側カバー部222との間の離隔空間Sを介して外部に排出されるとき、このようなメッシュ構造Mを通過するようにセルカバー200が形成され得る。このとき、メッシュ構造Mは、ベントガスに含まれるスパークや活物質粒子などが捕集可能な構造、例えば、このような捕集可能な孔径、及び一定のレベル以上の温度に耐える材質などから構成され得る。
【0126】
パウチ型バッテリーセル100の一部に火災や爆発が起きた場合、高温の電極組立体の破片、火炎及び高温のガスが排出されて他の隣接パウチ型バッテリーセル100に影響を与えることがないように、このようなメッシュ構造Mを含むことが好ましい。メッシュ構造Mは、バッテリーセル100の発火の際に生じるガス及び火炎の噴出機能は保持しながらも、爆発が起きたバッテリーセル100から高温の活物質が吐き出されても隣接バッテリーセル100に移動することを抑えることができる。これにより、ベントガスは排出するが、スパークなど発火源の排出は抑えられる。したがって、本発明は、熱暴走や、火災や爆発などが他のバッテリーセル100に伝播されるといったような連鎖発火を防ぐことができて、安全性を大幅に向上させることができる。
【0127】
メッシュ構造Mは、金属網又は金属板の上に多数本の孔を設けたものであり得る。孔は、打ち抜きやエッチングにより金属板を一部切り欠いたり切り抜いたりして形成し得る。金属網は、多数本の金属線を織り合わせていわゆる鉄網状に形成したものである。好適な例を挙げると、メッシュ構造Mは、2メッシュ以上の金属網を1重以上、好ましくは、多重に形成したものである。メッシュとは、網の目(mesh)の大きさをもって等級を付ける方法であって、長さ1インチ当たりの網目(マス目)の数で示す。すなわち、メッシュとは、ふるいの孔や粒子の粒径を示す単位のことをいい、1インチの四角形の中に入る網目の数であるといえる。例えば、200メッシュといえば、直径2/1000インチずつの鉄線を3/1000インチずつ間隔を隔てて張ったものであって、長さ1インチにつき200メッシュがあることを示す。したがって、NメッシュはN/25.4mmであり、例えば、2メッシュ以上の金属網を用いるとしたとき、1本の孔の孔径は12.7x12.7mm2以下となる。消炎のみを考慮すれば、メッシュ間隔が小さければ小さいほど好ましいが、間隔が狭すぎると、塵埃などの異物により閉塞される場合が多いため、適度な数にする。
【0128】
メッシュ構造Mは、不燃材であることを特徴とする。このような材質は、火に燃えにくいものであれば、いかなるものであっても構わない。具体的には、銅、アルミニウム、鋳鉄、モネル(Ni+Cu)、SUS及びスチールのうちのいずれか1つの材質が使用可能であるが、これらに何ら限定されるものではない。なお、メッシュ構造Mの材質としては、火炎を阻止する消炎能のみならず、爆発圧力に耐える機械的な特性を有する材質を選定することが好ましい。
メッシュ構造Mは、それ自体で純粋に用いられ得るか、あるいは、高分子樹脂層と積層されて用いられ得るが、これに何ら限定されるものではない。前記高分子樹脂層としては、ポリビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレン、ポリビニリデンフルオライド-トリクロロエチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリビニールピロリドン、ポリビニールアセテート、ポリエチレン-ビニールアセテート共重合体、ポリエチレンオキサイド、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、シアノエチルプルラン、シアノエチルポリビニールアルコール、シアノエチルセルロース、シアノエチルスクロース、プルラン、カルボキシルメチルセルロース、アクリロニトリル-スチレン-ブタジエン共重合体、ポリイミド及びこれらの混合物よりなる群から選択されたいずれか1種が使用可能であるが、これらに何ら限定されるものではない。
【0129】
このようなメッシュ構造Mは、火炎を通過させながら、細かく割るのみならず、火炎のエネルギーを吸収する吸熱反応を引き起こして温度の落ち込み及び消炎の効果をもたらす。より具体的には、メッシュ構造Mは小さい孔を有するため、ガスや蒸気などの気体は通過可能であるが、火炎は通過し難い。また、メッシュ構造Mは、二次電池の内部の可燃性の気体と空気との混合物に点火されたとき、燃焼される気体混合物から発せられる熱を吸収して発散させることにより、反対側にある気体が自然発火温度に上がらないように燃焼温度を下げる。これは、加熱された高い熱を有する気体がメッシュ構造Mを通過しながらメッシュ構造Mを構成している材質に熱を奪われるからである。メッシュ構造Mは、数多くの孔を含む金属材質からなるため、非常に広い断面積を有する吸熱板となる。
【0130】
したがって、火炎がメッシュ構造Mを通過しながら、それ以上火炎が保持できないほどの熱量を奪われて爆発が鎮静されることもできる。
【0131】
メッシュ構造Mは、薄肉の板状のものであるので、セルカバー200内の離隔空間Sに適切に配置可能であり、セルユニットのサイズの増加を抑えることができる。また、メッシュ構造Mは、多数本の孔を有しているので、重量の増加も抑えることができる。このように、本発明によれば、バッテリーパック10のサイズや重量の増加を抑えながら、二次電池から火炎が噴出されるという事態が生じた場合であっても、外部への火炎の噴出を防いで、安全性を向上させる。本発明のこのような実施構成によれば、ベントガスに含まれるスパークや火炎、高温の活物質粒子などの外部への排出を抑えることができる。したがって、火災抑制性能がさらに向上することができる。このように、本発明によれば、スパークの遮断などを実現することができる。軽量化のために、パックケース300をアルミニウムから構成した場合、仮にスパークが飛び散ってパックケース300に直接的に衝突するのであれば、パックケース300を溶かして構造崩壊が生じる虞がある。本発明の実施形態によれば、スパークが飛び散ってパックケース300側に直接的に衝突することを防ぐことができるので、このような構造崩壊を防ぐことができる。
【0132】
図8は、本発明のさらに他の実施形態によるバッテリーパックの一部の断面の構成を概略的に示す図である。
【0133】
図8を参照すると、セルカバー200は、2つの単位カバー210、220の間の離隔空間Sに排出されるガスが折り曲げられるように構成され得る。例えば、
図8に示すように、セルカバー200は、2つの単位カバー210、220の間の離隔空間Sに排出されるガスの移動経路が増加するように2つの単位カバー210、220に曲げ部Bを形成したものであり得る。曲げ部Bは、第1の上側カバー部212と第2の上側カバー部222に形成されることにより、叙上のベントチャンネルが曲設されるようにし得る。また、曲げ部Bは、凹凸や波うち状の模様又はうねり部分が形成されるように構成され得る。そして、このような構成により、各単位カバー210、220の間の離隔空間Sに排出されるベントガスは、排出過程において2回以上折り曲げられた形状を呈することができる。
【0134】
また、
図8の場合、2つの単位カバー210、220に形成された凹凸などは、上下方向のガス経路を増加させるために、ベントガスが上下方向に折り曲げられるように移動するように構成されているが、凹凸などは、水平方向にベントガスが折り曲げられるように移動するように構成されることもある。
【0135】
また、
図8の場合、2つの単位カバー210、220に形成された凹凸などは、互いに共形の(コンフォーマル、conformal)形状を呈するようにしているが、凹凸は、2つの単位カバー210、220のうちのどちらか一方のみに形成される場合も採用可能である。
【0136】
このような実施構成によれば、直進性の強い火炎やスパークなどの排出を抑制ないし遅延させ、ベントガスがさらに長くなった移動経路に沿って排出される間にベントガスの温度を下げるのにも寄与することができる。
【0137】
一方、バッテリーパックには、1つ以上のバッテリーモジュールが収容され得る。このとき、叙上の色々な実施形態の欄において説明された構成要素、特に、バッテリーセルとセルカバーに関する内容は、バッテリーモジュールに適用可能である。
【0138】
図9は、本発明の一実施形態によるバッテリーモジュールの構成を概略的に示す図である。
【0139】
図9を参照すると、バッテリーモジュール20は、
図1に示されているようなパックケース300の内部空間に1つ以上収容されるバッテリーモジュールであり得る。バッテリーモジュール20は、以上において説明したような複数のパウチ型バッテリーセル100を含み得る。
【0140】
バッテリーモジュール20は、内部空間にパウチ型バッテリーセル100を収容するモジュールケースを含み得る。モジュールケースは、本体フレームMC1とエンドプレートMC2を備え得る。本体フレームMC1は、上部、下部、左側及び右側が閉じられ、前方及び後方が開かれた形状に形成され得る。このとき、上部、下部、左側及び右側は、それぞれプレートの形状に形成され得、このような4枚のプレートは、互いに一体化された管の形状に製造され得る。そして、このような形状の本体フレームMC1に対して、モノフレーム(monoframe)と称し得る。エンドプレートMC2は、本体フレームMC1の開放部に結合されるように構成され得る。
【0141】
他の例を挙げると、モジュールケースは、U-フレームとトッププレートとエンドプレートとを備える場合もある。左側のプレートと右側のプレートは、ベースプレートと一体化された形状に形成されて前記U-フレームをなし得る。前記U-フレームの上部に前記トッププレートが結合され、前記エンドプレートは、前記U-フレームの前端と後端の開放部にそれぞれ結合され得る。
【0142】
バッテリーモジュール20は、以上において説明したように、少なくとも部分的に離隔した2つの単位カバー210、220を備えて、モジュールケースの内部空間において複数のパウチ型バッテリーセル100のうちの少なくとも一部のパウチ型バッテリーセル100を少なくとも部分的に包み込むように設けられ、2つの単位カバー210、220の間の離隔空間Sにベントガスが排出可能なように構成されたセルカバー200を含み得る。ここで、複数のパウチ型バッテリーセル100及びセルカバー200の場合、上述したバッテリーパックに関する説明が同一又は類似に適用可能である。その他に、バッテリーモジュール20は、複数のパウチ型バッテリーセル100を電気的に接続するためのバスバー、複数のパウチ型バッテリーセル100の電圧と温度のセンシングのためのセンシングワイヤーなどを備えて構成され得る。
【0143】
本発明の一実施形態によるバッテリーパック10又はバッテリーモジュール20は、様々なデバイスに適用可能である。このようなデバイスの代表例としては、電動バイク、電気自動車、ハイブリッド自動車などが挙げられるが、本発明はこれらに何ら制限されるものではない。バッテリーパック10は、電気自動車用のバッテリーパックとして好適に活用可能である。なお、エネルギー貯蔵システム(ESS)のエネルギー源として使用可能である。
【0144】
図10は、本発明の一実施形態による自動車の構成を概略的に示す図である。
【0145】
図10を参照すると、本発明の一実施形態による自動車Vは、前述した本発明の一実施形態によるバッテリーパック10を含み得る。ここで、自動車Vは、例えば、電気自動車やハイブリッド自動車などといったように、電気を駆動源として使用する所定の自動車を含み得る。また、自動車Vは、本発明によるバッテリーパック10の他に、自動車に含まれる他の様々な構成要素、例えば、車体やモーターなどをさらに含み得る。
【0146】
バッテリーパック10は、自動車V内の所定の位置に配設され得る。バッテリーパック10は、電気自動車のモーターに駆動力を与えて自動車Vを駆動する電気エネルギー源として使用可能である。この場合、バッテリーパック10は、100V以上の高い公称電圧を有する。
【0147】
バッテリーパック10は、モーター及び/又は内燃機関の駆動に応じて、インバーターにより充電されたり放電されたりし得る。バッテリーパック10は、ブレーキ(brake)と結合された回生充電装置により充電され得る。バッテリーパック10は、インバーターを介して自動車Vのモーターに電気的に接続され得る。
【0148】
一方、本明細書においては、上、下、左、右、前、後などの方向指示語が用いられたが、これらの用語は説明のしやすさのために用いられたものに過ぎず、対象となる物事の位置や観測者の位置などに応じて異なってくる可能性があるということは本発明の当業者にとって自明である。
【0149】
以上、本発明を限定された実施形態と図面によって説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者によって本発明の技術思想と特許請求の範囲の均等範囲内で様々な修正及び変形が可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0150】
10 バッテリーパック
20 バッテリーモジュール
100 パウチ型バッテリーセル
200 セルカバー
210 第1のカバー
212 第1の上側カバー部
214 第1の側面カバー部
220 第2のカバー
222 第2の上側カバー部
224 第2の側面カバー部
270 絶縁部材
300 パックケース
M メッシュ構造
B 曲げ部
V 自動車
【国際調査報告】