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特表2024-546813反応容器ユニット、液体を選択的に除去し、反応容器ユニットの反応容器から/に標的物質を含む液体を導入する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】反応容器ユニット、液体を選択的に除去し、反応容器ユニットの反応容器から/に標的物質を含む液体を導入する方法
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/00 20060101AFI20241219BHJP
   C12Q 1/02 20060101ALI20241219BHJP
   G01N 35/02 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
C12M1/00 Z
C12Q1/02
G01N35/02 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024535183
(86)(22)【出願日】2022-12-13
(85)【翻訳文提出日】2024-08-01
(86)【国際出願番号】 EP2022085722
(87)【国際公開番号】W WO2023110944
(87)【国際公開日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】102021006144.6
(32)【優先日】2021-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524221259
【氏名又は名称】ブルーキャット ソリューションズ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【弁理士】
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】フェイスト フランク
(72)【発明者】
【氏名】マン ヴォルフガング
(72)【発明者】
【氏名】マン コンスタンティン
【テーマコード(参考)】
2G058
4B029
4B063
【Fターム(参考)】
2G058CC02
2G058CC17
4B029AA09
4B029BB01
4B029BB11
4B029CC01
4B029CC02
4B029DG06
4B029DG08
4B029GA02
4B029GA08
4B029GB10
4B029HA05
4B063QA20
4B063QQ08
4B063QS13
4B063QS39
(57)【要約】
本出願は、液体(40)を受容するための受容チャンバ(2)を有する少なくとも1つの反応容器(1)を有する反応容器ユニット(20)を開示し、受容チャンバ(2)は、保持領域を有し、保持領域は、液体と保持領域との間の接着力及び液体内の凝集によって、保持領域が周囲領域に対して液体(40)と比較して増大した保持効果を及ぼす表面テクスチャ及び/又は形状を有し、それにより、液体(40)が遠心分離によって受容チャンバ(2)から除去されるとき、所定の少量の液体が保持領域に、又はその中に保持される。さらに、遠心分離によって反応容器ユニット(20)の反応容器(1)から液体(40)を選択的に除去する方法を開示する。さらに、標的物質(41)を含有する液体(40)を反応容器ユニット(20)の反応容器(1)に導入するための方法を開示する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体(40)を受容するための受容チャンバ(2)を有する少なくとも1つの反応容器(1)を有する反応容器ユニット(20)であって、前記受容チャンバ(2)は、保持領域を有し、前記保持領域は、前記液体と前記保持領域との間の接着力及び前記液体内の凝集によって、前記保持領域が周囲領域と比較して前記液体(40)に対して増大した保持効果を及ぼす表面テクスチャ及び/又は形状を有し、それにより、前記液体(40)が遠心分離によって前記受容チャンバ(2)から除去されるとき、所定の少量の液体が前記保持領域に又はその中に保持される、反応容器ユニット(20)。
【請求項2】
前記受容チャンバ(2)は、1つ以上の円周側壁(4)及び底壁(5)によって境界が定められ、前記保持領域は、前記受容チャンバ(2)の前記底壁(5)の中又はその上に形成されることを特徴とする、請求項1に記載の反応容器ユニット(20)。
【請求項3】
前記保持領域は、前記受容チャンバ(2)に開口する1つの、好ましくは単一の毛細管空洞(3)を有し、前記毛細管空洞(3)の前記壁(8)は、前記液体(40)が毛細管作用によって前記毛細管空洞(3)内に保持されるように、非常に近接して離間されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の反応容器ユニット(20)。
【請求項4】
前記毛細管空洞(3)は、流体ジェットを導入することによって前記毛細管空洞(3)の内容物を前記毛細管空洞から完全に除去することができるように、分割壁を本質的に含まないことを特徴とする、請求項3に記載の反応容器ユニット(20)。
【請求項5】
前記毛細管空洞(3)は、長方形、円形又は楕円形の断面を有し、前記毛細管空洞(3)の対向する側壁(8、18)又は壁セクション(19)の間の壁距離(d)は、前記毛細管空洞(3)の前記対向する側壁(8、18)又は壁セクション(19)の間の毛細管作用によって液体(40)を保持するように寸法決めされ、前記壁距離(d)は、好ましくは、最大で2.0mm又は最大で1.8mm又は最大で1.6mm又は最大で1.4mm又は最大で1.2mm又は最大で1.0mm又は最大で0.8mmであり、前記壁距離(d)は、好ましくは、前記受容チャンバ(2)の側壁(4)間の壁距離の最大で30%又は最大で25%又は最大で20%又は最大で15%又は最大で10%又は最大で5%であることを特徴とする、請求項3又は4に記載の反応容器ユニット(20)。
【請求項6】
前記毛細管空洞(3)は、前記毛細管空洞(3)の対向する側壁(8、18)又は壁セクション(19)の間の壁距離(d)の少なくとも0.5倍又は少なくとも1倍又は少なくとも1.5倍又は少なくとも2倍である深さを有することを特徴とする、請求項3~5のいずれか一項に記載の反応容器ユニット(20)。
【請求項7】
前記毛細管空洞(3)の側壁(8、18)は、垂直から最大で5°又は最大で3°又は最大で2°又は最大で1°又は最大で0.5°の偏差で垂直又は実質的に垂直に形成されることを特徴とする、請求項3~6のいずれか一項に記載の反応容器ユニット(20)。
【請求項8】
前記受容チャンバ(2)の底壁(5)は、前記毛細管空洞(3)の開口部(7)に向かって円錐状に傾斜するか、又はU字形であって、前記底壁(5)の傾斜角(γ)は、少なくとも5°又は少なくとも15°又は少なくとも25°又は少なくとも35°又は少なくとも45°、及び/又は最大で75°又は最大で65°又は最大で55°又は最大で45°であることを特徴とする、請求項3~7のいずれか一項に記載の反応容器ユニット(20)。
【請求項9】
前記受容チャンバ(2)の側壁(4)は、垂直から少なくとも2°又は少なくとも3°又は少なくとも5°又は少なくとも10°の偏差で開口部(6)に向かって広がるように形成されることを特徴とする、請求項3~7のいずれか一項に記載の反応容器ユニット(20)。
【請求項10】
前記毛細管空洞(3)は、壁距離(d)が毛細管効果を及ぼすように寸法決めされた2つの対向する側壁(18)と、前記側壁間に延在する底壁(12;13)とを有し、
前記底壁(12)は、連続的に湾曲しているか、又はさらに、前記側壁(18)の間に延在し、前記底壁(13)から前記毛細管空洞(3)の縁部まである角度で、特に平坦な角度で、又は凹状の曲率で立ち上がる2つの端壁(14)が設けられることを特徴とする、請求項3~9のいずれか一項に記載の反応容器ユニット(20)。
【請求項11】
前記毛細管空洞(3)の前記壁(8)は、前記毛細管空洞(3)の前記開口部(7)に向かって親水性又は親油性効果を減少させる幅広部及び/又はコーティングを有し、前記開口部(7)における開口角度は、好ましくは、10°以下又は5°以下又は2°以下又は1°以下又は0.5°以下であることを特徴とする、請求項3~10のいずれか一項に記載の反応容器ユニット(20)。
【請求項12】
前記反応容器ユニット(20)は、複数の反応容器(1)を備え、前記毛細管空洞(3)は、前記反応容器(1)が配置される平面上の垂線に対して、線、特に、前記反応容器ユニット(20)又は反応容器(1)の配置を2つの半体に分割する中心線の中心から離れるように次第に角度が付けられていることを特徴とする、請求項3~11のいずれか一項に記載の反応容器ユニット(20)。
【請求項13】
前記保持領域は、前記液体(40)への付着効果を高める表面構造と、分子の凝集が前記液体内の前記凝集により形成される大きさとを有し、所定量の前記液体が前記保持領域に、又はその中に保持されることを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載の反応容器ユニット(20)。
【請求項14】
前記保持領域は。親水性又は親油性コーティングを有することを特徴とする、請求項1~13のいずれか一項に記載の反応容器ユニット(20)。
【請求項15】
前記受容チャンバ(2)は、前記保持領域の周囲領域、特に前記保持領域に相補的な領域に疎水性又は疎油性にコーティングされることを特徴とする、請求項1~14のいずれか一項に記載の反応容器ユニット(20)。
【請求項16】
前記反応容器ユニット(20)は、複数の前記反応容器(1)が所定のグリッド状に配置されたマイクロタイタープレートであること、又はマイクロタイタープレートを備えることを特徴とする、請求項1~15のいずれか一項に記載の反応容器ユニット(20)。
【請求項17】
全ての反応容器(1)は、前記マイクロタイタープレートの上側に口部(6)を有することを特徴とする、請求項16に記載の反応容器ユニット(20)。
【請求項18】
前記反応容器ユニット(20)は、複数の反応容器(1)を有し、少なくとも2つの反応容器(1)の前記保持領域の前記保持効果が異なり、好ましくは、前記保持効果は、前記反応容器ユニット(20)又は前記反応容器(1)の配置を2つの半体に分割する線、特に中心線から増加するようにされ、その結果、前記反応容器ユニット(20)が、前記中心線と平行であり、半径が前記反応容器(1)の配置される平面に対して直角に前記中心線を通って延在する軸を中心に回転するとき、前記保持領域の保持力は、前記反応容器(1)にわたって一定又はほぼ一定に留まることを特徴とする、請求項1~17のいずれか一項に記載の反応容器ユニット(20)。
【請求項19】
少なくとも1つの反応容器(1)の1つの前記受容チャンバ(2)の1つの開口部又は複数の前記受容チャンバ(2)の複数の前記開口部の反対側に配置され、1つの前記受容チャンバ(2)又は複数の前記受容チャンバ(2)から漏出又は排出された液体(40)を捕捉するように設計された収集装置が設けられることを特徴とする、請求項1~18のいずれか一項に記載の反応容器ユニット(20)。
【請求項20】
前記収集装置は、好ましくはマイクロタイタープレートの様式で、1つ以上のコンパートメントを有し、前記収集装置の1つの前記コンパートメントの1つの開口部又は複数のコンパートメントの複数の開口部は、少なくとも1つの反応容器(1)の1つの前記受容チャンバ(2)の1つの前記開口部又は複数の前記受容チャンバ(2)の複数の前記開口部に面し、前記収集装置の前記コンパートメントの数は、前記反応容器(1)の数に等しいか、それより多いか、又はそれより少ないことを特徴とする、請求項19に記載の反応容器ユニット(20)。
【請求項21】
反応容器ユニット(20)の反応容器(1)から液体(40)を選択的に除去する方法であって、前記液体(40)は、請求項1~20のいずれか一項に記載の反応容器ユニット(20)の中にあり、前記方法は、
前記受容チャンバ(2)の前記開口部が遠心分離軸(33)から半径方向に離れる方向を向く状態で、前記保持領域の前記保持効果がちょうど克服される限界速度未満の速度で、前記反応容器ユニット(20)を遠心分離して、その結果、前記保持領域の中又は前記保持領域に位置する前記液体(40)の部分体積がそこに残り、前記受容チャンバ(2)の中に位置する残りの前記液体(40)が除去されるステップを含む、方法。
【請求項22】
残りの前記液体(40)を、特に請求項19又は20で形成される収集装置に収集する、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
標的物質(41)を含む液体(40)を反応容器ユニット(20)の反応容器(1)に導入する方法であって、
・前記液体(40)を収容するために請求項1~20のいずれか一項に記載の反応容器ユニット(20)を使用するステップと、
・案内システムによって前記標的材料(41)を前記保持領域に案内するステップであって、前記案内システムは、
・遠心分離装置(30)と、前記保持領域が前記受容チャンバ(2)の残りの部分に対して遠心分離軸(33)に対して半径方向外側又は実質的に外側にある前記反応容器ユニット(20)の配置と、
・磁気補助材料(43)又は前記標的材料(41)の磁気特性と、前記磁気補助材料(43)又は前記標的材料(41)の前記磁気特性と相互作用するように配置された磁気装置(44)と、又は
・静電的に帯電した補助材料(43)又は前記標的材料(41)の静電特性、及び静電的に帯電した前記補助材料(43)又は前記標的材料(41)の前記静電特性と相互作用するように配置された電極装置と、を備える、ステップと
を含む、方法。
【請求項24】
前記保持領域が前記受容チャンバ(2)の残りの部分に対して遠心分離軸(33)に対して半径方向内側又は実質的に内側になる状態で、前記保持領域の前記保持効果がちょうど克服される限界速度未満の速度で、前記反応容器ユニット(20)を遠心分離して、その結果、前記保持領域の中に又は前記保持領域まで通過し、前記標的物質(41)を含む前記液体(40)の部分体積がそこに残り、前記受容チャンバ(2)の中に位置する残りの前記液体(40)が除去されるステップ
をさらに含むことを特徴とする、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
残りの前記液体(40)を、特に請求項19又は20で形成される収集装置に収集する、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
反応容器ユニット(20)の反応容器(1)の中で、細胞、細胞クラスター、細胞凝集体又は生物等、液体(40)中に分散又は懸濁された標的物質(41)を精製するための方法であって、前記液体(40)は、請求項1~20のいずれか一項に記載の反応容器ユニット(20)の中に位置し、前記方法は、
・特に、前記反応容器ユニット(20)の配置を用いて遠心分離することによって、前記標的物質(41)を前記保持領域に収集して、その結果、前記保持領域が前記受容チャンバ(2)の残りの部分に対して遠心分離軸(33)に対して半径方向外側又は実質的に外側に位置するようにするステップと、
・前記保持領域の保持効果がちょうど克服される限界速度未満の速度で、前記受容チャンバ(2)の前記開口部が遠心分離軸(33)から半径方向に離れるように向くように前記反応容器ユニット(20)を遠心分離することによって、前記受容チャンバ(2)から前記液体(40)を除去し、その結果、前記保持領域の中又は前記保持領域に位置する前記液体(40)の部分体積がそこに残り、前記受容チャンバ(2)内に位置する残りの前記液体(40)が除去されるステップと、
・さらなる液体(40)を、特に分配又はピペッティングによって前記受容チャンバ(2)に導入するステップと、
・前記受容チャンバ(2)の中で、前記標的物質(41)を他の液体(40)と混合するステップと、
を含む、方法。
【請求項27】
前記混合するステップは、
・所定時間放置するステップと、
・前記反応容器ユニット(2)をシェークするステップと、
・前記標的物質(41)を前記保持領域から洗い落とすか又は洗い流すように、分配又はピペッティングによって、前記さらなる液体(40)を前記受容チャンバ(2)に導入するステップと、
・前記標的物質(41)を前記保持領域からピペッティングで取り出し、前記保持領域の外側に導入された前記さらなる液体(40)にピペッティングして戻すステップと、
のうちの少なくとも1つを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記受容チャンバ(2)は、200~400μl程度の容積であり、前記保持領域は、前記受容チャンバ(2)の前記底部の毛細管空洞(3)であり、約5μlの容積を有し、前記標的物質の収集は、少なくとも2g又は少なくとも5g又は少なくとも10g又は少なくとも20g及び/又は最大1000g又は最大500g又は最大200g又は最大100g又は最大50g又は最大40g又は最大30g又は最大20gで、少なくとも1秒又は少なくとも2秒又は少なくとも5秒又は少なくとも10秒又は少なくとも10秒又は少なくとも30秒又は少なくとも60秒又は少なくとも90秒又は少なくとも2分又は少なくとも5分及び/又は60分以下又は30分以下又は20分以下又は15分以下又は10分以下又は5分以下又は2分以下又は1分以下又は30秒以下又は20秒以下又は10秒以下又は5秒以下又は2秒以下の時間にわたって、遠心分離することによって行われる、請求項26又は27に記載の方法。
【請求項29】
残りの前記液体(40)を、特に請求項19又は20で形成される収集装置に収集する、請求項26~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
反応容器(1)内に配置された細胞、細胞クラスター、細胞凝集体又は生物等の液体(40)中に分散又は懸濁された標的物質(41)に対する試験を実施するための方法であって、前記液体は、請求項1~15のいずれか一項に記載の反応容器ユニット(20)の中に位置し、前記方法は、
・請求項26~29のいずれか一項に記載の方法に従って前記標的物質(41)を精製するステップと、
・前記反応容器(1)の中の前記液体(40)の前記標的物質(41)をその中に分散又は懸濁された状態で、所定量の前記液体を抜き出すステップと、
・前記所定量に含まれる前記標的物質(41)をフローサイトメトリー装置等の試験装置に供給するステップと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの反応容器を備えた反応容器ユニット、反応容器ユニットの反応容器から液体を選択的に除去する方法、及び反応容器ユニットの反応容器に標的物質を含む液体を導入する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
反応容器が空になると、少量が残留又は保持されることは、実験室作業における周知の現象である。ピペッティング装置及びピペッティングロボットでは、いわゆる残留体積の問題が頻繁に生じる。残留体積を正確に決定することがしばしば望まれている。例えば、マイクロタイタープレート中に細胞が存在し、より最近では、細胞複合体としてオルガノイド又はスフェロイドも存在する場合、残留体積の現象は、培養培地を変更するときに、特定の課題を提起する。これらの場合、細胞構造は、通常、反応容器内に留まるべきであるが、上清は、例えば、除去され、新鮮な培地と交換される。
【0003】
フローサイトメトリー等のシリーズ試験の場合、栄養液中に存在又は蓄積した代謝産物、色素、マーカー等が試験を妨げないように、栄養液中に懸濁した細胞を試験前に精製する必要がある。フローサイトメトリーでは、懸濁液形式の蛍光標識分子は、細胞がレーザビームを通過し、定性的/定量的データが光散乱及び励起バンドの検出から得られる流体システムによるマルチパラメトリック分析に供される。さらなる情報は、例えば、非特許文献1に見出すことができる。精製の目的では、細胞を、例えば300gにわたって、例えば5分間の遠心分離をすることで、ペレット化するのが通常である。ペレット化は、細胞に対する高いストレス因子を表す。これにより、遺伝子発現の変化等の望ましくない反応又は活性化が引き起こされ、その後の測定に悪影響を及ぼしたり、誤った結果をもたらしたりする可能性がある。
【0004】
特許文献1は、プレートの底部に位置するオルガノイドのための機械的障壁として働くマイクロタイタープレート中の中間部分の構造を開示する。これにより、オルガノイドを除去する、すなわちオルガノイドを吸引する危険性なしに、ピペットを使用して培養培地を除去することが可能になる。
【0005】
特許文献2は、表面張力、毛細管作用又は壁の適切な処理、コーティング又はテクスチャリングにより流体を保持することができる円筒形ウェルを有する両面マイクロタイタープレートを説明している。
【0006】
特許文献3は、天然障壁として役立ち得るマイクロタイタープレート中の懸濁容器を示す。
【0007】
特許文献4は、遠心分離中に外側に向いた反応容器がその液体を放出し、それに応じて反応容器が空になるマイクロタイタープレートを開示している。
【0008】
特許文献5及び特許文献6は、反応容器ユニットを洗浄するための遠心分離装置を開示している。これらの遠心分離装置では、反応容器は、その開口部が回転軸から離れる方向を向くように配置され、その結果、反応容器に含まれる液体は、遠心分離中に捨てられる。残留物を残すことなく液体を反応容器から除去することができ、高度の純度を達成できることが示されている。このようにして精製された反応容器は、単一分子、特にDNA又はRNA鎖が許容できない汚染を示し得る生物学的反応に再利用することができる。遠心分離による反応容器からの液体の遠心分離は、以下では、「遠心分離による洗浄」とも呼ばれ、そのような洗浄プロセスは、洗浄溶液の添加の有無にかかわらず実施することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】欧州特許出願公開3633022号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2008/0003670号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2011/0278304号明細書
【特許文献4】米国特許第8,602,958号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2021/138485号明細書
【特許文献6】米国特許第11,117,142号明細書
【特許文献7】国際公開第2017/125598号
【特許文献8】独国特許出願公開第102021124023号明細書
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Fortis Life Sciences, “Flow Cytometry Protocols for Extracellular & Intracellular Targets”https://www.fortislife.com/products/documents/flow-cytometry-protocols-for-extracellular-intracellular-targets/appnote002
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の1つの課題は、反応容器に含まれる2つの体積の確実な分離を可能にし、また、反応容器が遠心分離によって洗浄されるときに、規定された残留体積が反応容器内に残ることを可能にする、少なくとも1つの反応容器を有する反応容器ユニットを作製することである。
【0012】
本発明のさらなる目的は、規定体積の流体が遠心分離による洗浄中に反応容器内に残るという意味で選択的である、反応容器ユニットの反応容器から液体を除去するための方法を提供することである。
【0013】
本発明のさらなる目的は、反応容器ユニットの反応容器内に標的物質を含む液体を導入するための方法であって、反応容器ユニットが遠心分離によって洗浄されるときに、少なくとも標的物質を含む規定体積の流体が反応容器内に残ることを可能にする方法を提供することである。
【0014】
本発明のさらなる課題は、液体中に分散又は懸濁された標的物質、特に細胞、細胞クラスター、細胞凝集体又は生物を精製する方法を提供することであり、効率的で、安価で、迅速なものとし、その中で標的物質は、穏やかに処理され、特に細胞又は生物は、活性化されない。
【0015】
本発明のさらなる課題は、液体中に分散又は懸濁された標的物質、特に細胞、細胞クラスター、細胞凝集体又は生物に対する試験を行うための方法を提供することであり、標的物質は穏やかに処理され、効率的で、安価で、迅速なものとし、その中で標的物質は、穏やかに処理され、特に細胞、細胞クラスター、細胞凝集体又は生物は、活性化されない。
【0016】
本発明の課題の1つ以上は、少なくとも部分的な態様において、独立請求項の特徴によって解決される。好ましい実施形態及び有利なさらなる実施形態は、従属請求項に示されている。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の一態様は、液体を受容するための受容チャンバを有する少なくとも1つの反応容器を有する反応容器ユニットに関する。本発明によれば、受容チャンバは、保持領域を有し、保持領域は、液体と保持領域との間の接着力及び液体内の凝集によって、保持領域が周囲領域と比較して液体に対して増大した保持効果を及ぼす表面テクスチャ及び/又は形状を有し、それにより、液体が遠心分離によって受容チャンバから除去されるとき、所定量が、特に、受容チャンバと比較して少量の液体が保持領域に又はその中に保持される。
【0018】
本発明の目的のために、反応容器は、実験室環境で使用することができ、化学反応又は生物学的若しくは微生物学的プロセスが起こるか、又は行われ得る容器であると理解される。反応容器ユニットは、単一の反応容器を含んでも、あるいは固定配置でいくつかの反応容器を組み合わせてもよい。液体は、任意の非気体状流体であり得、これは、またゼラチン状又はゲル様流体を含むこともできる。特に、受容チャンバに比べて少量である。保持領域は、液体と保持領域との間の接着力及び液体内の凝集により、周囲領域に比較して液体に対して増大した保持効果を及ぼすような表面テクスチャ及び/又は形状を有するため、保持領域は、周囲領域に比較して液体に対して増大した保持効果を及ぼし、その結果、液体が受容チャンバから除去されるときに所定の少量の液体を保持領域に又はその中に保持することができ、反応容器が空にされるときに、規定された残留体積を正確に保持領域に又はその中に保持することもできる。液体及び保持領域は、保持効果に関するシステム、すなわち、液体の特性(例えば、密度、表面張力、極性又は非極性)及び保持領域の特性(例えば、形状、粗さ、化学的性質、液体との臨界角である)が、接着剤の形成及び凝集力において相互作用して保持効果を形成することに関するシステムと見なすことができる。これは、保持領域が、使用される流体及び所望の用途に特異的に適合され得ることを意味する。保持領域及び液体の特定のシステムについて、保持領域から離れる方向に作用する加速度の限界値を決定することができるので、本発明は、遠心分離装置の速度を、限界値を安全に下回る値に設定することによって保持領域の中に又はそこに残留体積を保持しながら反応容器を空にするための遠心分離装置と共に使用するのに特に適している。しかしながら、本発明は、受容チャンバ内の液体を除去するための他の手動、機械的又は部分的に機械的な方法にも適しており、例えば、ピペッティング装置によって、又は単純に反応容器ユニットを手で又は傾斜装置内で反転させることによる方法も適している。システムに応じて、重力加速度を、受容チャンバを空にするのに充分なものとしても、あるいは限界値を下回る定義された加速度を生成するための表面に対する制御された遮断又は衝撃によって、受容チャンバを空にするのを支援してもよい。
【0019】
実施形態では、受容チャンバは、円周側壁及び底壁によって境界付けられてもよく、保持領域は、受容チャンバの底壁の中又は上に形成されてもよい。側壁は、円形又は卵形又は楕円形、若しくは他の方法で湾曲した断面を有する単一の側壁、あるいは鋭い若しくは丸みを帯びた縁部を有する多角形、例えば、正方形又は長方形又はダイヤモンド形又は六角形の断面を形成するいくつかの側壁を有することができ、丸みを帯びた縁部は、受容チャンバの空化を容易にすることができる。底壁は、側壁に対して鋭利な又は丸みを帯びた縁部を有する平坦又は円錐形又はU字形とすることができ、丸みを帯びた縁部は、受容チャンバを空にすることをより容易にすることができる。
【0020】
実施形態では、保持領域は、受容チャンバの中に開口する毛細管空洞を有してもよく、毛細管空洞の壁は、毛細管作用によって液体が毛細管空洞の中に保持されるように、非常に近接して離間される。毛細管空洞では、液体と毛細管空洞との間に大きい表面積が存在し、これは、界面張力によって、対応する高い接着力が生じる。表面張力による液体内の凝集は、また受容チャンバの残りが空になったときに液体分子が運び去られないように、液体分子を一緒にしっかりと保持する。したがって、毛細管効果は、特異的な接着力及び凝集力から生じる。特に、液体が放出されるとき、毛細管空洞の上方の受容チャンバ内の液体の体積は、毛細管空洞内の液体の体積から分離し、雰囲気は、受容チャンバに流入し、したがって、界面は、毛細管空洞の開口部に形成され、この界面における表面張力は、保持効果に顕著に寄与する。毛細管空洞の開口部から離れて作用する加速度の限界値は、その限界値未満で、毛細管効果が支配的であり、毛細管空洞及び液体の特定のシステムに対して決定することができるので、本発明は、遠心分離装置の速度を、限界値を安全に下回る値に設定することによって、毛細管空洞内の残留体積を維持しながら、反応容器を空にするための遠心分離装置の使用に特によく適している。毛細管空洞は、受容チャンバの底部又は側壁の凹部として形成することができる。毛細管空洞の開口部は、底壁の中心に、又は中心から外れて、受容チャンバの底壁に対して鋭利な又は丸みを帯びた縁部を有して形成してもよく、鋭利な縁部は、毛細管作用による毛細管空洞内の液体の保持を容易にすることができる。代替実施形態では、毛細管空洞は、また受容チャンバの側壁の中に開口することができ、これによって、受容チャンバを空にするとき、より高い速度が可能になる。しかしながら、液体体積の取り扱いは、毛細管空洞が受容チャンバの底壁内に開口する場合、より容易であり得る。
【0021】
好ましくは、単一の毛細管空洞のみが存在し、これは、ピペッティング又はリンスのためのアクセスを単純化し、また、液体中の特定量の標的物質が、特定の毛細管体積に確実に割り当てられ得ることを確実にする。しかしながら、他の用途では、いくつかの毛細管空洞も存在することができ、毛細管空洞は、その中に収集された細胞等の標的物質を除去するために、個々にリンスすることができる。
【0022】
さらに、流体ジェットを導入することによって毛細管空洞の内容物を毛細管空洞から完全に除去又はリンスで落とすことができるように、毛細管空洞が実質的に隔壁を有さないことが好ましい。隔壁又は他の突出構造は側方障壁であり、これらは、デッドゾーンを形成することができ、その中に、毛細管空洞をリンスで流し出すときに、標的物質が残ることができるる。そのようなデッドゾーンは、毛細管空洞を空にするときの障害であり、したがって、回避されるべきである。しかしながら、リンスのプロセスを支援するために、円錐状又はピラミッド状の中心隆起部を、毛細管空洞の底部に形成することができ、これは、流体ジェットのためのジェット分割器又はジェット偏向器として作用することもできるが、側方障壁を形成しない。
【0023】
実施形態では、毛細管空洞は、長方形、円形、又は楕円形の断面を有してもよい。毛細管空洞の壁の対向する側壁又は壁セクションの間の壁距離は、毛細管空洞の壁の対向する側壁又は壁セクションの間の毛細管作用によって液体を保持するように寸法決めされてもよい。液体及び壁の性質に応じて、壁距離(d)は、例えば、最大で2.0mm又は最大で1.8mm又は最大で1.6mm又は最大で1.4mm又は最大で1.2mm又は最大で1.0mm又は最大で0.8mmであり得る。さらに、壁距離は、例えば、少なくとも0.1mm又は0.3mm又は0.5mm又は0.8mmであり得る。壁距離は、壁距離が受容チャンバの側壁間の壁距離の最大で30%、又は最大で25%、又は最大で20%、又は最大で15%、又は最大で10%、又は最大で5%である場合に、受容チャンバの側壁間の距離に対する毛細管効果を最適化するように有利に寸法決定することができる。
【0024】
毛細管効果に関して、毛細管空洞は、毛細管空洞の対向する側壁又は壁セクションの間の壁距離の少なくとも0.5倍又は少なくとも1倍又は少なくとも1.5倍又は少なくとも2倍である深さを有することも有利である。
【0025】
効果的な毛細管効果を形成するために、毛細管空洞の側壁は、垂直から最大で5°又は最大で3°又は最大で2°又は最大で1°又は最大で0.5°の偏差で垂直又は実質的に垂直であることが有利である。
【0026】
実施形態では、受容チャンバの底壁は、毛細管空洞の開口部に向かって円錐状に傾斜することも、あるいはU字形にすることもできる。その結果、受容チャンバの底壁は、毛細管空洞に進入する標的物質のための導入漏斗を形成することができる。これは、特に遠心分離中に遠心力に対して垂直に作用する障害物を回避し、細胞等の標的材料は、底壁に沿って毛細管空洞内に摺動することができる。そのような形状は、また、受容チャンバから液体を除去し、毛細管空洞内の体積を引き裂くことをより容易にする。導入漏斗が急になるほど、この好ましい効果はより顕著になる。これは、他の効果と調和しなければならない。底壁が急勾配であるほど、その表面積は大きくなる。これによって、また、細胞、細胞クラスター、細胞凝集体又は生物等の標的物質が反応容器に付着する可能性が高くなる。また、勾配が増加するにつれて、反応体積として利用可能な受容チャンバの体積が減少する。用途に応じて、理想的な傾斜角は、これらの効果の間で決定されなければならず、これは、液体又は標的物質の粘度、底壁の表面特性、標的物質の付着電位等のパラメータに依存し得る。例えば、底壁の傾斜角は、少なくとも5°又は少なくとも15°又は少なくとも25°又は少なくとも35°又は少なくとも45°、及び/又は最大で75°又は最大で65°又は最大で55°又は最大で45°であり得る。傾斜角は、毛細管空洞の開口部の平面に対して測定される。保持領域が毛細管空洞でない場合、傾斜角は、保持領域が形成される壁領域の接平面に対して測定される。
【0027】
受容チャンバに対する毛細管空洞の毛細管効果を増加させるために、受容チャンバの側壁はまた、垂直から少なくとも2°又は少なくとも3°又は少なくとも5°又は少なくとも10°の偏差を伴って、開口部に向かって広がるように設計されることができる。
【0028】
実施形態では、毛細管空洞は、間の距離が毛細管効果を及ぼすように寸法決めされた2つの対向する側壁と、側壁間に延在する底壁とを有することができ、底壁は、連続的に湾曲しているか、又は側壁の間に延在する2つの端壁も設けられ、端壁は、底壁から毛細管空洞の縁部まである角度で、特に平坦な角度で、又は凹状の曲率で立ち上がる。そのような設計によって、底壁又は傾斜端壁のうちの1つに沿った液体又は圧縮空気のジェットによって、毛細管作用によって毛細管空洞内に保持される流体体積を容易に洗い流すことが可能になる。
【0029】
実施形態では、毛細管空洞の壁は、毛細管空洞の開口部に向かって広がることができる。遠心力と保持力との間の力のバランスは、壁間の距離及び壁間の広がりの角度に依存するので、広がりによって、遠心分離中に遠心力を介して空洞から除去される体積を制御することが可能になる。拡張部は、円錐形/楔形状/漏斗形状にすることができ、特に垂直断面において真っ直ぐ又は湾曲していることができる。毛細管空洞の壁が、毛細管空洞の開口部に向かって減少する親水性又は親油性効果を伴うコーティングを有する場合、同様の効果が達成され得る。この場合、遠心力と保持力との間の力のバランスは、壁距離及び親水性/親油性効果に依存し、したがって、遠心分離中に遠心力を介して空洞から除去される体積を制御することも可能である。開口部の開口角は、好ましくは、10°以下、5°以下、2°以下、1°以下、0.5°以下である。親水性/親油性効果を広げること及び減少させることの2つの変種を組み合わせて使用することもできる。
【0030】
実施形態では、反応容器ユニットは、複数の反応容器を備えてもよく、毛細管空洞は、反応容器が配置される平面上の垂線に対して、線、特に、反応容器ユニット又は反応容器の配置を2つの半体に分割する中心線の中心から離れるように次第に角度が付けられてもよい。互いに平行に配置された毛細管空洞を有する反応容器ユニットが遠心分離機内で遠心分離される場合、回転軸からの半径に対する角度が大きくなるため、遠心力は、中心線からプレートの縁部に向かって空洞の側壁にもますます作用する。これによって、排出効果が低減される。これは、上述のように空洞の位置合わせを調整することによって補償することができる。
【0031】
実施形態では、保持領域は、液体に対する接着効果を増加させる表面構造と、液体内の凝集に起因して分子の凝集が形成されるようなサイズとを有することができ、その結果、所定量の液体が保持領域又はその中に保持されるようになる。原則として、そのような保持領域は、また平坦な表面上に形成することができ、すなわち、毛細管空洞から独立しているが、毛細管空洞と組み合わせることもできる。保持領域全体を覆う液滴が凝集(表面張力)により保持領域上に形成されるので、規定量の液体が保持されるため、保持領域は、大きすぎてはならない。保持領域が大きすぎると、凝集により保持領域を越えて広がる液滴が大きすぎて重くなるので、凝集力及び接着力によって保持できない。この結果、保持領域の一部のみが、体積が規定されていない1つ以上の小さな液滴で保持される。このことは、回避されるべきである。そのような表面構造を有する保持領域は、トラフのように形作ることもできる。トラフがより顕著であるほど、接着と液滴の重量との間の比がより良好で、液滴が保持されるようになる。
【0032】
水溶液の実施形態では、保持領域は、保持効果を改善するために親水性コーティングを有してもよい。さらなる実施形態では、受容チャンバは、受容チャンバを空にするのを促進するように疎水性コーティングを有してもよい。両方の手段の組み合わせは、特に効果的であり得、それによって、受容チャンバの疎水性コーティングは、保持領域の親水性コーティングに相補的であり得る。油性及び油性溶液等の非極性溶液を取り扱うために、毛細管空洞は、親油性コーティングを有してもよく、及び/又は受容チャンバは、親油性コーティングを有してもよく、これは相補的であってもよい。保持領域は、また、周囲領域と比較した表面の化学的性質(親水性/疎水性、親油性/疎油性、粗い/滑らかな等)によってのみ、形状又は毛細管現象とは無関係に定義され得る。これによって、例えば、プレートの平坦な基部上の二次元スポットによって同じ効果を達成すること、すなわち、後続の反応のために規定体積を保持することが可能になる。
【0033】
本発明の意味内の反応容器の一例は、特にマイクロタイタープレート(MTP)の形態でしばしば組み合わされる微小容器である。マイクロタイタープレートの個々の反応容器は、ウェルとも呼ばれ、これは、通常、行及び列の所定のグリッドに配置され、数のずれを特定し、したがって可能な充填体積を決定する。細胞は、細胞ベースのアッセイに関連して、そのようなマイクロタイタープレートにおいて個々に又は細胞クラスターで増殖される。最初に記載したように、反応容器中の細胞構造は、例えば、マイクロタイタープレートを洗浄するとき、通常、損傷を受けないままであるべきであるが、上清は除去され、例えば、新鮮な培地と交換される。これは、本発明による保持領域が各ウェルの底部に形成されるマイクロタイタープレートを提供することによって、本発明による反応容器ユニットで特に良好に達成することができる。
【0034】
これは、全ての反応容器がマイクロタイタープレートの上部に開口部を有する場合、特に有利である。これにより、受容チャンバを充填し、空にすることが容易になる。
【0035】
反応容器ユニットは、有利には、ポリスチレン(PS)、ポリプロピレン(PP)、ポリオレフィンカーボネート(POC)、シクロオレフィンコポリマー(COC)又はポリ塩化ビニル(PVC)等のプラスチックで作製することができる。これは、空洞又は毛細管の光学分析を可能にする特性と組み合わせて、射出成形、射出ブロー成形、熱成形等の既知の製造プロセスを使用して、特に単純で寸法的に正確な製造を可能にする。しかしながら、他の材料、特にガラスも可能である。感光性ガラス又はガラスセラミックの使用は、例えば、ピコタイタープレートの製造のために知られている。
【0036】
実施形態では、反応容器ユニットは、複数の反応容器を含んでもよく、少なくとも2つの反応容器の保持領域の保持効果は、異なってもよい。差異は、好ましくは、保持効果が、線、特に、反応容器ユニット又は反応容器の配置を2つの半体に分割する中心線から増加するようなものであってもよく、その結果、保持領域の保持力は、反応容器ユニットが、中心線と平行であり、中心線を通る半径が反応容器の配置される平面に対して垂直である軸を中心に回転するとき、反応容器にわたって一定又はほぼ一定に留まる。反応容器ユニット(例えば、マイクロタイタープレート)が遠心分離機内で遠心分離されるとき、回転軸からの距離が増加するため、遠心力は、中心線からプレートの縁に向かって増加する。これは、保持領域の保持効果を調整することによって補償することができる。例えば、毛細管空洞の壁間隔は、プレートの縁に向かって狭くなり得、及び/又は毛細管空洞は、中心に向かって次第に角度付けられ得、及び/又はコーティングの親水性/親油性効果は、増加し得る。この特別な設計とは別に、可変保持効果は、また、異なる分離容積又は特別な試験装置にとって有利であり得る。例えば、単一のプレートにおいて時系列を実現するために、反応容器のいくつかのみについて体積が保持領域から除去される実験的配置を考えることができる。
【0037】
同様に、濃縮系列は、受容チャンバ内の残留体積を除去しながら、保持領域内に規定体積の標的液体を繰り返し保持し、次いで、標的液体が希釈液体と混合した後に、規定体積の希釈液体を受容チャンバ内に添加(分配)し、受容チャンバを空にすることによって実現することができる。次いで、この時点で規定体積の希釈された標的液体は、保持領域に残る。例えば、保持領域が受容チャンバと比較して1%の容積を有する場合、分配は、第一のステップにおいて、最初に1:100の保持領域における標的液体の希釈をもたらす。受容チャンバを空にして、保持領域内に規定体積の現在希釈されている標的液体を保持している場合、プロセスを繰り返した後、1:100×1:100(=10)の希釈が達成される。例えば、手順がマイクロタイタープレートにおいてライン毎に異なって適用される場合、これは、1:10、1:10、1:10等の濃度系列をもたらす。この方法は、ピペッティングチップ又は他の消耗品を使用せずに、しかし、単に受容チャンバを繰り返し排気することによって、濃度系列がマイクロタイタープレートに表示される場合に、特に有利である。希釈は、また、規定体積、特に保持領域によって非常に正確に設定することができ、したがって、液体を分配するときの分配精度に、より低い要件を課すことができる。
【0038】
混合の実際的な実現のために、広範な変形が考えられる。例えば、分配プロセスは、分配中に標的液体が希釈液と直接混合するように、例えば、分配を希釈液による保持領域のリンスと組み合わせることによって実行することができる。あるいは、保持領域内の標的液体は、2つの液体が受容チャンバ内で混合されるように遠心分離によって希釈液体とともに受容チャンバ内に運ばれ得、次いで、必要に応じて、保持領域を確実に希釈された標的液体で再び充填するために逆向きで遠心分離され得る。逆の場合、すなわち、希釈液が遠心分離によって保持領域に押し込まれる場合も考えられる。これらの混合の考慮事項は、保持領域が空洞、特に毛細管空洞である場合に、特に重要である。保持面積が単独で又は主として壁面の構造又は性質によって決定される場合に、混合は、特に容易であり、その理由は、混合が、シェーク若しくは撹拌又はガスの導入によって、又はさらには分配プロセスのみによって実現できるからである。
【0039】
実施形態では、少なくとも1つの反応容器の1つの受容チャンバの1つの開口部又は複数の受容チャンバの複数の開口部の反対側に配置され、1つの受容チャンバ又は複数の受容チャンバから漏出又は排出された液体を捕捉するように設計された収集装置が提供され得る。収集装置は、好ましくはマイクロタイタープレートの形態の1つ以上のコンパートメントを有してもよく、1つの収集装置のコンパートメントの1つの開口部又は複数のコンパートメントの複数の開口部は、少なくとも1つの反応容器の1つの受容チャンバの1つの開口部又は複数の受容チャンバの複数の開口部に面する。収集装置のコンパートメントの数は、反応容器の数に等しくても、それより多くても、あるいははそれより少なくてもよい。例えば、第二のプレートを収集装置として第一のプレート(反応容器ユニット)に取り付け、上清を第二のプレートから収集することができる。収集された流体は、再使用することができ、これは、しばしば高価な使用される流体の使用コストを大幅に節約することができる。収集装置は、反応容器ユニット自体のようにコンパートメント化することができる。したがって、例えば、反応容器ユニットが96又は384又は別の数の反応容器を有するマイクロタイタープレートを有する場合、収集装置はまた、96又は384又は他の数のコンパートメントを有するマイクロタイタープレートとして設することができる。収集装置は、また、提供される反応容器よりも多い又は少ないコンパートメントを有することができる。例えば、収集装置は、単純な皿として設計することもできる。次いで、上清を合わせ、それらのアリコートを、例えばNGS(次世代配列決定)によって分析することができる。収集プレートは、また、反応容器ユニットの反応容器の数から上方又は下方にずれたいくつかのコンパートメントを有することができる。
【0040】
本発明の別の態様は、反応容器ユニットの反応容器から液体を選択的に除去する方法である。液体は、上述のような反応容器ユニット内に収容され、方法は、
・受容チャンバの開口部が遠心分離軸から半径方向に離れる方向を向く状態で、保持領域の保持効果がちょうど克服される限界速度未満の速度で、反応容器ユニットを遠心分離して、その結果、保持領域の中又は保持領域に位置する液体の部分体積がそこに残り、受容チャンバの中に位置する残りの液体が除去されるステップを含む。
【0041】
この目的のために、反応容器ユニットは、例えば、遠心分離装置において、全ての反応容器ユニットの開口部が遠心分離軸から離れる方向を向く位置に配置され得る。次いで、保持領域内又はその上、例えば毛細管空洞内の液体がそこに残っている間に、受容チャンバ内の液体を遠心分離するのに適した時間-速度プロファイルで遠心分離装置を制御することができる。このプロセスは、細胞の配列等の標的物質を保持しながら、栄養素又は反応液の反応容器を空にすること、及び任意の体積の液体を分離することの両方に適している。この方法によって、また、遠心分離中に磁気ビーズ等と混合された物質を反応容器の底部に保持することができる磁気装置等の遠心分離装置内で特別な装置を使用しないことができる。これは原則として可能であるが、そのような磁気装置は、当然反応容器ユニットと共に回転しなければならないので、遠心分離装置に対する構造的変更及び遠心分離装置内の追加の質量の移動を伴うより高いレベルの技術的設備を必要とする。
【0042】
実施形態では、残りの液体を、特に上述のように、収集装置に収集することを提供してもよい。これによって、除去された残りの体積を他の目的のために使用することが可能になり、これは、コストを削減し、リソースを節約するのに役立つことができる。
【0043】
本発明の別の態様は、標的物質を含む液体を反応容器ユニットの反応容器に導入する方法であって、この方法は、
・液体を収容するために上記に記載の反応容器ユニットを使用するステップと、
・案内システム(Leitsystem)によって標的材料を保持領域に案内するステップであって、案内システムは、
・遠心分離装置と、保持領域が受容チャンバの残りの部分に対して遠心分離軸に対して半径方向外側又は実質的に外側にある反応容器ユニットの配置と、
・磁気補助材料又は標的材料の磁気特性と、磁気補助材料又は標的材料の磁気特性と相互作用するように配置された磁気装置と、又は
・静電的に帯電した補助材料又は標的材料の静電特性、及び静電的に帯電した補助材料又は静電特性と相互作用するように配置された電極装置と、を備える、ステップと
を含む。
【0044】
標的物質は、溶液の成分であり、溶液の大部分から特異的に分離される化学物質及び生物学的物質を含む任意の物質であり得る。特に、標的物質は、反応容器内で反応が開始又は観察される物質である。本発明の文脈において、案内システムは、標的物質を所望の方向に、特に保持領域に向かって、例えば毛細管空洞内に移動させるように設計されたシステムである。案内システムは、標的物質システムを形成するために標的物質自体及び/又は標的物質が埋め込まれたマトリックスに、又はその中に含まれる補助物質に反応することができる。
【0045】
遠心分離は、液体より高い密度を有する標的物質又は標的物質系に特に適している。保持領域が毛細管空洞である場合、プロセスは、毛細管空洞の開口部が遠心分離軸に対して半径方向を向くように実施することができる。これは、毛細管空洞の開口部に向かって作用する遠心加速度が、液体を毛細管空洞の開口部に向かって確実に案内し、液体を毛細管空洞の中に押し込むことを意味する。
【0046】
磁気補助材料は、例えば、磁気ビーズであり得る。静電的に帯電した補助材料は、任意の電荷担体であり得る。DNA分子等の特定の標的物質は、それらが電極装置に誘引され得るように荷電され得る。電極装置は、反応容器ユニット内、個々の反応容器内、又は外部に設けることができる。
【0047】
上述のプロセスによる受容チャンバ内の液体のその後の除去は、次いで、標的物質又は標的物質系を残りの液体から確実に分離することもできる。特に、これは、保持領域の保持効果がちょうど克服される限界速度未満の速度で、受容チャンバの残りの部分に対して遠心分離軸に対して半径方向内側又は本質的に内側に位置する保持領域を有する反応容器ユニットを遠心分離することによって達成することができ、それにより、保持領域の中に又は保持領域まで通過し、標的物質を含む液体の一部の体積がそこに残り、受容チャンバ内に位置する残りの液体が除去される。
【0048】
ここでもまた、残りの液体を、特に上述したように、収集装置に収集することができる。これにより、例えば、高価な試薬のアリコートを保持領域に、例えば毛細管空洞に入れることができ、受容チャンバを遠心分離によって空にすることができ、試薬の残りを収集し、さらなるアリコートに使用することができる。この目的のために、キャッチャプレート等の収集装置は、遠心分離の前に反応容器の受容チャンバの開口部の反対側に「上下逆さま」に位置決めされる。
【0049】
本発明の別の態様は、反応容器ユニットの反応容器中の細胞、細胞クラスター、細胞凝集体又は生物等、液体中に分散した標的物質を精製する方法であって、液体は、上記の反応容器ユニット内にあり、この方法は、
・特に、反応容器ユニットの配置を用いて遠心分離することによって、標的物質を保持領域に収集して、その結果、保持領域が受容チャンバの残りの部分に対して遠心分離軸に対して半径方向外側又は実質的に外側に位置するようにするステップと、
・保持領域の保持効果がちょうど克服される限界速度未満の速度で、受容チャンバの開口部が遠心分離軸から半径方向に離れるように向くように反応容器ユニットを遠心分離することによって、受容チャンバから液体を除去し、その結果、保持領域の中又は保持領域に位置する液体の部分体積がそこに残り、受容チャンバ内に位置する残りの液体が除去されるステップと、
・さらなる液体を、特に分配又はピペッティングによって受容チャンバに導入するステップと、
・受容チャンバの中で、標的物質を他の液体と混合するステップと、
を含む。
【0050】
このような精製プロセスを用いると、毛細管空洞内に標的材料を収集し、液体を交換することによって、干渉成分の充分な精製を達成することができるので、関連する汚染を伴うペレット化を回避することができる。
【0051】
本態様の方法では、混合するステップは、
・所定時間放置するステップと、
・反応容器ユニットをシェークするステップと、
・標的物質を保持領域から洗い落とすか又は洗い流すように、分配又はピペッティングによって、さらなる液体を受容チャンバに導入するステップと、
・標的物質を保持領域からピペッティングで取り出し、保持領域の外側に導入されたさらなる液体にピペッティングして戻すステップと、
のうちの少なくとも1つを含んでもよい。
【0052】
本方法の例示的な実施形態では、受容チャンバは、200~400μl程度の容積を有してもよく、保持領域は、受容チャンバの底部の毛細管空洞であり、約5μlの容積を有し、標的物質の収集は、少なくとも2g又は少なくとも5g又は少なくとも10g又は少なくとも20g及び/又は最大1000g又は最大500g又は最大200g又は最大100g又は最大50g又は最大40g又は最大30g又は最大20gで、少なくとも1秒又は少なくとも2秒又は少なくとも5秒又は少なくとも10秒又は少なくとも10秒又は少なくとも30秒又は少なくとも60秒又は少なくとも90秒又は少なくとも2分又は少なくとも5分及び/又は60分以下又は30分以下又は20分以下又は15分以下又は10分以下又は5分以下又は2分以下又は1分以下又は30秒以下又は20秒以下又は10秒以下又は5秒以下又は2秒以下の時間にわたって、遠心分離することによって行われる。最大持続時間が最小持続時間未満である不可能な時間範囲は除外されることが理解される。例えば、遠心加速度(例えば、1000g)を非常に高くするが、わずかな暴露時間(例えば、1秒)を非常に短くしたハイスループット用途で作業することも考えられる。これにより、毛細管空洞内の標的物質を非常に迅速に信頼性高く収集又は濃縮することができる。標的物質の凝集又は他の障害を回避するために、暴露時間に関して、非常に厳しい制限を遵守する必要がある。逆に、非常に敏感な細胞を用いる用途では、遠心分離は、遠心加速度を非常に低く、例えば2gにするが、長い時間(例えば1時間)を非常に長くすることができる。暴露時間の限界は、ここではより広く定義することができる。原則として、暴露時間と遠心加速度との積は、72,000gs又は20,000gs、特に1000gsを超えてはならない。
【0053】
96マイクロタイタープレート形式の反応容器ユニットでは、受容領域の体積は、約200~400μlが典型的である。負荷は、約300gでペレット化する場合よりも1桁以上低い可能性があり、これは、細胞又は生物に対するストレスを有意に減少させることが分かる。受容チャンバのより小さい作業体積を有する反応容器ユニットでは(例えば、384フォーマット、1536フォーマット)、毛細管空洞の寸法は、それに応じて変化してもよく、g力は、より大きくてもよい。受容チャンバのより大きい作業体積を有する反応容器ユニットでは(例えば、48フォーマット)、毛細管空洞の寸法は、それに応じて変化してもよく、g力は、より小さくてもよい。
【0054】
このプロセスでは、除去された液体を、また、上述のように収集装置に収集することができる。
【0055】
本発明の別の態様は、反応容器ユニットの反応容器中の細胞、細胞クラスター、細胞凝集体又は生物等、液体中に分散した標的物質に対する試験を行うための方法である。液体は、上述のように反応容器ユニット内に配置される。この方法は、
・上述の方法に従って標的物質を精製するステップと、
・標的物質が分散又は懸濁している反応容器内の所定量の液体を抜き出すステップと、
・所定量に含まれる標的物質をフローサイトメトリー装置等の試験装置に供給するステップと、
を含む。
【発明の効果】
【0056】
この方法によって、上述の精製プロセスの利点を有する試験を実施することが可能になる。細胞又は生物は、保護されているので、反応しないか、又はわずかしか反応しないため、測定に対するプロセス自体の影響を有意に低減し、測定をはるかに信頼性が高く再現性のあるものにする。当然、液体中に分散又は懸濁された標的物質に対する全ての他の試験方法において、標的物質は不純物、又は望ましくない付随物質若しくは補助物質を含有し得るので、この新規な方法から利益を得ることができる。
【0057】
本発明の好適な実施の形態について、以下に添付図面を参照しながら、詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0058】
図1】本発明の一実施形態による反応容器ユニットの反応容器の側断面図である。
図2】本発明の一実施形態による反応容器ユニットの反応容器の側断面図である。
図3】本発明の一実施形態による反応容器ユニットの反応容器の上面図である。
図4】本発明の一実施形態による反応容器ユニットの反応容器の上面図である。
図5】本発明の一実施形態による反応容器ユニットの反応容器の上面図である。
図6A】線VI-VIに沿って切断した側面図における図5の反応容器を示す。
図6B】線VI-VIに沿って切断された側面図における、修正されたバージョンでの図5の反応容器を示す。
図7】本発明の一実施形態による反応容器ユニットの反応容器の上面図である。
図8】本発明の一実施形態によるマイクロタイタープレートの形態の反応容器ユニットの上面図である。
図9】本発明の実施形態によるプロセスを示すために、図8の2つの反応容器ユニットを有する遠心分離装置を部分断面側面図で示す。
図10】本発明の一実施形態による方法を示すために、反応容器ユニット内の図1による充填された反応容器及び磁気装置を部分断面側面図で示す。
図11】本発明の一実施形態による反応容器ユニットの反応容器の側断面図である。
図12】本発明の一実施形態による反応容器ユニットの反応容器の側断面図である。
図13A】本発明の一実施形態による方法を示すために、充填された反応容器を側断面図で示す。
図13B】本発明の一実施形態による方法を示すために、充填された反応容器を側断面図で示す。
図13C】本発明の一実施形態による方法を示すために、充填された反応容器を側断面図で示す。
図14】本発明の一実施形態による反応容器ユニットの反応容器の側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0059】
全てのグラフィック表現は、概略的に理解されるべきである。サイズ比は、明確化のために歪められることもある。別段の指示がない限り、方向及び位置の指定は、本発明の目的の通例の使用を指す。別段の指示がない限り、「水平」という表示は、反応容器ユニット20の反応容器1が充填又は空にされるべき開口部6の平面を指し、「垂直」という表示は、水平に対して直角の方向を指す。
【0060】
反応容器ユニット20は、少なくとも1つの反応容器1を有する(図1図7図10)。単独で使用される場合、反応容器1は、本発明の意味の範囲内で反応容器ユニットとしても理解することができる。反応容器1は、液体を受容するための受容チャンバ2と、受容チャンバ2内に開口する毛細管空洞3とを有する。受容チャンバ2は、周側壁4と底壁5とを有する。側壁4の上縁は、受容チャンバ2の開口部6を形成することができる。毛細管空洞3は、底壁5の開口部7を介して受容チャンバ2内に開口している。毛細管空洞3は、開口部7から延在する壁8を有し、これらの壁は、毛細管空洞3内の液体が毛細管作用によって毛細管空洞3内に保持されるように近接して離間される。
【0061】
毛細管効果は、狭い血管内で生じ、液体の表面張力と、液体と血管表面との間の界面張力との間の力のバランスとして理解することができる。原則として、液体が壁の材料を濡らす場合、液体は、毛細管作用によって狭い壁の間で上昇して凹面を形成し、液体が壁の材料を濡らさない場合、下降して凸面を形成することができる。表面張力及び接触角に加えて、毛細管効果は、液体の密度、容器の半径又は壁の距離、及び重力加速度にも依存する。例えば、円筒形容器内の液体のカラムの上昇高さhは、以下の式:
【数1】
によって記述される。式中、σは表面張力であり、θは接触角であり、ρは液体の密度であり、gは重力加速度であり、rは容器の半径である。
【0062】
毛細管空洞3は受容チャンバ2内に開口し、毛細管空洞3の壁8は、毛細管作用によって毛細管空洞3内に液体が保持されるように、近接して離間しているので、受容チャンバ2を確実に空にしながら、反応容器1が空になったときに、正確に規定された残留体積を毛細管空洞3内に保持することができる。空にすることは、例えば、以下により詳細に記載されるような遠心分離によって、又は吸引/ピペッティング等の他の手段によって行うことができる。
【0063】
受容チャンバ2の底壁5は、平坦にすることができる(図1)。受容チャンバ2を空にすることも、毛細管空洞3内に収集することも容易にするために、底壁5は、また、毛細管空洞3の開口部7に向かって円錐状に傾斜してもよく(図2図13A~13C、図14)、又は毛細管空洞3に向かってある種の漏斗を形成するようにU字形(詳細には図示せず)であってもよい。毛細管空洞3の開口部7の平面に対する底壁5の傾斜角γ(この平面は、垂直Vに垂直であり、したがって水平平面である)は、用途に適合されなければならず、有利には、5°~75°とすることができる。受容チャンバ2の底壁5と側壁4との間の縁部9は、鋭利にすることも、丸みを帯びることもでき、丸みを帯びた縁部は、受容チャンバ2を容易に空にすることができる。図示される実施形態の例では、受容チャンバ2の側壁4は、正方形の断面を形成し(図3図4図5図7)、したがって、特に、いくつかの側壁16を有し、それらの壁は、縁部17で合流し、全体的に閉じた側壁4を形成する(図3参照)。しかしながら、このことは、本発明を限定するものではない。変形例では、受容チャンバ2の断面は、また、任意の所望の様式で、長方形又は略多角形、例えば、ダイヤモンド形状又は六角形、あるいは円形、卵形、楕円形、又は湾曲であることができる。個々の側壁16の間の縁部17は、鋭利にすることも、丸みを帯びることもでき、丸みを帯びた縁部17は、受容チャンバ2を容易に空にすることができる。
【0064】
毛細管空洞3は、断面を円形(図3)にすることも、正方形(図4)にすることも、楕円形(図7)にすることもでき、あるいは任意の他の好適な断面形状を有することもできる。毛細管空洞3の開口部7は、図1図8に示す実施形態の場合のように、底壁5の中心に配置することができる。変形例では、毛細管空洞3の開口部7はまた、受容チャンバ2の底壁5の中心から外れて配置することもできる。
【0065】
毛細管空洞3の壁8と受容チャンバ2の底壁5との間の縁部10(図1図2参照)は、鋭利にすることも、丸みを帯びることもできる。この場合、鋭利な縁部10は、毛細管作用による毛細管空洞3内の液体の保持を容易にすることができる。
【0066】
毛細管効果は、毛細管空洞3の壁8の対向する側壁18又は壁セクション19の間の壁距離によって決定され、液体の表面特性及び表面張力も、また毛細管効果にかなりの影響を及ぼす。したがって、毛細管空洞3の対向する側壁18又は壁セクション19の間の壁距離は、毛細管空洞3の対向する側壁18又は壁セクション19の間の毛細管作用によって液体が保持されるように寸法決めされる。液体及び毛細管空洞3の壁8の性質に応じて、壁距離は、例えば、およそ0.1mm~2.0mmであり得る。適切な上限及び下限は上記されており、具体的に選択された上限は、予想される又は所望の毛細管効果によって決定され、具体的に選択された下限は、用途によって決定される。毛細管空洞3の壁距離と受容チャンバ2自体の壁距離との比も用途にとって決定的である。毛細管空洞3が受容チャンバに対して広すぎる場合、毛細管効果の技術的に使用可能な差を実現することは困難であり得る。したがって、毛細管空洞3の毛細管効果は、原則として考えられる受容チャンバ2内の毛細管効果に関連して常に理解されなければならないが、かなり小さい。受容チャンバ2の毛細管効果は、また受容チャンバ2の側壁4を垂直線V(図14)に対して開口角度βだけ開口部6に向かって広げることによってさらに低減することができる。開口角度βは、毛細管効果を著しく低減するために、例えば0.5°~5°にすることができる。
【0067】
一実施形態の例では、毛細管空洞3は、間の距離が毛細管効果を及ぼすように寸法決めされた2つの対向する側壁18と、側壁18間に延在する底壁12とから形成され、底壁12は湾曲しており、縁部11において受容チャンバ2の底壁5の開口部7で終わる(図5図6A)。断面において、底壁は、滑らかな連続弧を形成する(図6A)。
【0068】
したがって、この実施形態の例における毛細管空洞3は、特に開口部7において細長い断面形状を有する。時として、最初に受容チャンバ2を空にし、次いで、毛細管空洞3内に残っている残留体積も除去することが望ましい場合がある。この実施形態の例では、これは、湾曲した底壁12に沿った液体又は圧縮空気の噴流を使用する毛細管作用によって毛細管空洞3内に保持される流体体積を洗い流すことによって特に容易である。変形実施形態の例では、毛細管空洞3は、間の距離が毛細管効果を及ぼすように寸法決めされた2つの対向する側壁18と、側壁18間に延在する平坦な底壁13と、縁部15において平坦な底壁13から斜めに延在し、側壁18間に延在する2つの端壁14とを有することができ、ここで、傾斜端壁14は、受容チャンバ2の底壁5の開口部7において縁部11で終端する(図5図6B)。毛細管空洞3の排出を容易にする効果は、湾曲した底壁12を有する変形例に対応し、この効果は、端壁14がより平坦な角度を有するほど顕著である。
【0069】
反応容器1を遠心分離によって空にする場合、回転方向に対する毛細管空洞3の向きは、残留体積が毛細管空洞3内に保持されるか、又は遠心分離によって排出されるかを決定する。毛細管空洞3の側壁18が回転方向に対して直角に整列している場合、残留体積は毛細管空洞3内に保持される。毛細管空洞3の側壁18が回転方向に整列している場合、残留体積が毛細管空洞3から排出される。したがって、反応容器ユニットは、好ましくは、毛細管空洞の側壁18が遠心分離中の回転方向に対して横方向に整列するように設計される。
【0070】
変形例では、毛細管空洞は、また、底部又は側壁から突出する、受容チャンバ内の任意の場所に位置する構造によって形成されることができる。そのような毛細管空洞は、例えば、直径の小さいリング構造によって、あるいは毛細管間隙を形成する平行な壁によって実現することができる。
【0071】
これは、例えば、放出システム、すなわち、受容チャンバ内の液体中への標的物質の時間遅延放出のためのシステムを有利に形成するために使用することができる。毛細管空洞は、前述のように充填され、次いで、受容チャンバは、別の液体で充填される。液体と直ちに混合する代わりに、標的物質は、例えば拡散によって、液体中にゆっくりと通過することができる。1つの適用は、例えば、細胞培養物に対する薬物の長期効果に関する一連の試験である。毛細管空洞内の標的物質は、細胞と相互作用し、例えば、細胞増殖に対するその効果が試験されている薬物又は試薬である。細胞培養物を含む栄養溶液が受容チャンバを満たす。細胞は、接着性であってもよく、すなわち、受容チャンバの表面に接着してもよい。あるいは、細胞は、第二の毛細管空洞内に保持することもできる。実験中、試薬を細胞と接触させるべきである。毛細管の設計に応じて、この放出システムは、直ちに又はより長い期間にわたって試薬を放出することができる。放出システム及び試薬の放出は、遠心力を加えることによって制御することができる。この目的のために、試薬を伴う毛細管空洞が、側壁内の2つの垂直リブ等の頂部で(半径方向外側で)開放されることが有利である。細胞が第二の毛細管空洞内に保持される場合、保持効果が試薬による毛細管空洞内よりも大きいと有利である。遠心分離中に受容チャンバから栄養液が漏出するのを防止するために、少なくともこの間、受容チャンバをしっかりと閉鎖する蓋を設けることができる。
【0072】
水性液体を取り扱う際の毛細管効果を改善するために、毛細管空洞3は、親水性コーティングを有することができる。受容チャンバ2を容易に空にするために、受容チャンバは、疎水性コーティングを有することができる。これは、例えば、PTFEを使用することによって、又は概して、水の存在下で約90°以上の接触角を有する物質を使用することによって達成することができる。
【0073】
図11は、毛細管空洞3の壁8が開口部7に向かって広がっている反応容器1の変形例を示す。言い換えれば、壁8は、開口部7の領域に距離d2を有し、距離d2は、底壁13の領域における距離d1よりも大きい。遠心力と保持力との間の力のバランスは、壁間の距離及び壁間の広がりの角度に依存するので、拡幅すると、遠心分離中に遠心力を介して毛細管空洞3から除去される体積を制御することが可能になる。好ましくは、毛細管空洞は、底壁13から開口部7まで徐々に又はほぼ均等に拡張するように設計され、その結果、毛細管空洞3の水平断面積は、開口部7の方向に向かって次第に大きくなる。このため、毛細管空洞が異なる遠心力を使用して、様々な程度まで空にすることが可能になる。
【0074】
同様の効果は、毛細管空洞の壁が、毛細管空洞の開口部に向かって親水性又は親油性効果が減少するコーティングを有する場合、達成され得る。上記変形例の変形例では、壁8は、拡張を実現するために湾曲させることができる(図12)。壁8の曲率半径rは、壁8の途中で一定にすることも、可変にすることもできる。
【0075】
毛細管空洞3は、保持領域の一例であり、その形状及び/又は表面特性が、液体と保持領域との間の接着力及び液体内の凝集によって、保持領域が周囲領域と比較して液体に対して増加した保持効果を及ぼし、したがって、液体が受容チャンバから除去されるときに、所定の少量の液体を保持することができる。また、例えば、異なる親水性/疎水性又は親油性/疎油性の形成によって、異なるコーティング、粗面化、平滑化等によって、底壁又は側壁の周囲領域と比較して、液体との接着効果を高めることによってのみ、受容チャンバの底壁又は側壁に、そのような保持領域を形成することも考えられる。例えば、画定されたサイズの液滴が形成され、これが領域に付着し、いくつかの部分液滴に分解することなく、できるだけコンパクトなままであるように、所望の残留体積に従ってそのような領域のサイズを設計することが有利である。
【0076】
1つの受容チャンバ内に、いくつかの保持領域を設けることも考えられる。保持領域は、同じタイプ又は異なるタイプのいくつかの部分的容積を収容するために、例えば、異なるタイプの部分的容積又は標的物質を収容又は保持するために、同じ設計とすることができる。例えば、以下ができる。
【0077】
本発明の一実施形態は、複数の個々の反応容器1を含むフレーム21を有するマイクロタイタープレートの形態の反応容器ユニット20である(図8)。マイクロタイタープレート20の個々の反応容器1は、ウェルとも呼ばれ、通常、行及び列の所定の規則的なグリッドに配置される。グリッドは、反応容器1の互い違いの数を指定し、したがって、可能な充填体積も決定する。細胞は、細胞ベースのアッセイに関連して、そのようなマイクロタイタープレートにおいて、個々に又は細胞クラスターで培養される。最初に記載したように、細胞構造は、通常、マイクロタイタープレートが洗浄されるとき、反応容器内に留まるべきであるが、例えば、上清は除去され、新鮮な培地と交換される。これは、毛細管空洞が各ウェルの底に形成されるマイクロタイタープレートを提供することによって、本発明による反応容器ユニットで、特に良好に達成することができる。
【0078】
マイクロタイタープレートは、様々なサイズ及び設計で入手可能である。ベース領域は、通常、L=27.76mm×W=85.48mm×H=14.35mmの生体分子スクリーニング協会(Society for Biomolecular Screening:SBS)によって推奨されるANSI規格に対応し、高さは、変化し得る。共通のサイズを以下の表:
【表1】
に示す。
【0079】
マイクロタイタープレートの名称は、ウェルの数に依存する。例えば、24ウェルを有するマイクロタイタープレートは、24ウェルマイクロタイタープレートと呼ばれ、384ウェルを有するマイクロタイタープレートは、384ウェルマイクロタイタープレートと呼ばれる等である。ウェルは、F底部(平坦底部)、C底部(最小限に丸みを帯びた縁部を有する平坦底部)、V底部(テーパ状底部)及びU底部(U字形ウェル)等の異なる底部形状を有することができる。ウェルは、円形、卵形、楕円形、正方形、ダイヤモンド形、六角形等の異なる断面形状を有することができ、多角形の形状も丸い縁部を有することができる。
【0080】
図示の実施形態の例では、反応容器ユニット20は、96ウェルマイクロタイタープレートであり、幅Bの方向に8行が配置され、幅Bの方向に12列が配置されている。反応容器1の間隔xは、長さ方向と幅方向で同じであるが、本発明は、これに限定されるものではない。図示の実施形態の例では、反応容器1及びそれらの受容チャンバ2は、それぞれ円形断面であり、受容チャンバ2の底壁に埋め込まれた毛細管空洞3も円形断面である。しかしながら、本発明は、これに限定されるものではない。図を簡単にするために、反応容器ユニット20は、部分的にのみ完全にマークされ、亀裂線を越える輪郭は、破線のみであり、反応容器1は、それらの中心によってのみ示される。
【0081】
マイクロタイタープレートを洗浄するための公知の遠心分離機は、遠心分離機の回転軸がそれぞれのマイクロタイタープレートの長手方向と平行になるように設計される。したがって、上述の細長い毛細管空洞も、またマイクロタイタープレートの長手方向に平行に整列されることが好都合である。
【0082】
細胞を、細胞ベースのアッセイに関連してマイクロタイタープレート中で増殖させる。細胞は、表面に結合し(接着性になり)、遅かれ早かれ培地を交換する必要があるが、その理由は、そうしなければ、培養培地が細胞に悪影響を与えたり、細胞を使用できなくしたりするからである。マイクロタイタープレートの遠心分離に基づく洗浄を可能にする発明の方法には、例えば、特許文献5及び特許文献6に記載されているものが存在する。近年、細胞アセンブリは、試験目的のために製薬産業において、ますます使用されている。これらの細胞アセンブリは、スフェロイド又はオルガノイド、すなわち、クラスター(最大で数百個)の細胞である。これらの細胞アセンブリは、またマイクロタイタープレート中で増殖され、その滑らかな表面は、しばしば、細胞の接着を妨げる。これは、スフェロイド及びオルガノイドが溶液中で自由に浮遊することを意味する。培地交換を行うために、細胞を失わずに、培地を交換できるように細胞クラスターを固定することが望ましい。様々なマトリックスをこの目的に使用することができ、これらをプレートに注ぎ入れて、細胞を捕捉し、増殖させることができるようにする。一例は、マトリックスGrowDex(www.Growdex.com)である。ウェルの3分の1をマトリックスで満たし、3分の2を培養培地で満たす。マトリックスは、ほぼゲルのような特性を有し、プレートに粘着するが、あまり強固ではない。遠心分離に基づく洗浄では、細胞(マトリックスを含む)を洗い流すことなく、プレートから培地を洗い流すことだけが望まれている。しかしながら、特定の遠心加速度を上回ると、ゲルも、プレートから放出されることになる。
【0083】
本発明は、遠心分離機を用いて洗浄されるマイクロタイタープレートの形態のそのような反応容器ユニット20に、非常によく適用可能である。毛細管空洞3及び液体の所与のシステムにおいて、毛細管空洞3の開口部7から離れる方向に作用する加速度について限界値を決定することができ、それを下回ると、毛細管効果が支配的になる。マイクロタイタープレートを、毛細管空洞3内の残留体積を保持しながら反応容器ユニット20として空にする場合、遠心分離機の速度は、限界値を安全に下回る値に設定することができる。反応容器31の毛細管空洞3は、反応容器1をピペッティング装置等の他の手段によって空にする場合、等しく有利な効果を有する。
【0084】
プロトタイプでは、コーティングされていないポリカーボネートマイクロタイタープレートを有する水溶液の制限速度が、典型的には数百rpm、好ましくは1000rpm以下、特に800rpm又は500rpm又は300rpm以下の範囲であることが示された。
【0085】
マイクロタイタープレートも、他のタイプの反応容器ユニット又は反応容器も、有利には、プラスチックで作製することができ、射出成形等の周知の製造プロセスを使用して製造することができる。特に、マイクロタイタープレートの形態の反応容器ユニット20は、全ての反応容器3と一体的に形成することができる。しかしながら、本発明は、材料の選択にもワンピース設計にも限定されない。
【0086】
遠心分離機30を使用して反応容器ユニット20の反応容器1から液体を選択的に除去する方法は、本発明の別の実施形態である(図9)。
【0087】
遠心分離機30は、本発明の理解に不可欠な部分のみが示されている。遠心分離機30は、シャフト32に回転固定されたフレーム状のロータ31を有する。シャフト32は、遠心分離軸33を中心に角速度ω又は対応する回転速度nで回転するためにモータ(詳細には図示せず)によって回転するように設定することができ、これは制御ユニット(詳細には図示せず)によって制御及び調節することができ、ロータ31も回転する。カバー34は、円筒管の形態であってもよく、詳細には示されていないハウジングの一部であってもよいが、フレーム31を取り囲む。反応容器ユニット20を受容するためのキャリア35は、ロータ31の受容セクションに、配置されている。特に、キャリア35は、マイクロタイタープレートの形態の反応容器ユニット20と共に、ローディングユニット(詳細には図示せず)によってロータ31の端面からその受容セクションに押し込むことができ、受容セクションは、レールの様式でキャリア35を受容し、外側から半径方向にクランプの様式で反応容器ユニット20を保持することができる。
【0088】
この方法を適用するには、まず、上述したように、反応容器ユニット20の反応容器1に液体を入れる。次いで、反応容器ユニット20は、キャリア35上に置かれ、遠心分離機30内に装填され、反応容器1の受容チャンバ2の開口部6は、遠心分離軸33から離れて面する(図9の上部(A))。最後に、ロータ31は、反応容器ユニット1と共に回転するように設定され、速度nは、毛細管空洞3のキャピラリー効果がちょうど克服される限界速度よりも小さくなるように制御される。このようにして、毛細管空洞3内の液体がその中に残留し、受容チャンバ2内の残留液体が遠心分離される、すなわち除去されることを確実にすることが可能である。この目的のために、遠心分離機30は、適切な時間-速度プロファイルで制御することができる。遠心分離された液体は、カバー34の内部に集められて、排出することができる。それは、また、キャッチャプレート又は他の収集装置に捕捉され得、これは、遠心分離された液体を再利用することができるように、遠心分離の前に、その開口部の少なくとも1つとともに反応容器ユニット20上に配置される。洗浄された反応容器ユニット20を伴うキャリア35は、取り外すことができ、毛細管空洞3内に保持される残留体積を伴う反応容器ユニット20は、再使用されることができる。例えば、マトリックス中の細胞配列等の標的物質が毛細管空洞3内に受容され、使用済みの栄養液が上述の方法によって受容チャンバ2から除去された場合、受容チャンバ2を新しい栄養液で満たし、細胞をさらに増殖させることができる。
【0089】
当然、このプロセスは、任意の体積の液体を分離するのにも適している。
【0090】
標的物質41を含有する液体40を反応容器ユニット20の反応容器1に導入する方法は、本発明の別の実施形態であり、遠心分離装置30(図9)を用いて実施することもできる。
【0091】
本方法を実施するために、まず反応容器ユニット20を用いて、反応容器1の1つに液体40を標的物質41と共に保持する(図10)。標的物質41は、マトリックス42に埋め込まれていても、埋め込まれていなくてもよい。補助物質43は、マトリックス42に埋め込むこともできるが、その必要はない。次いで、反応容器ユニット20は、トラフ35上に置かれ、遠心分離機30内に装填され、反応容器1の毛細管空洞3の開口部7は、遠心分離軸33に対して半径方向に向いている(図9の下部(B))。次いで、反応容器ユニット1を有するロータ31が回転し、そこで、遠心加速度aが受容チャンバ2の底壁5の方向に作用し、これが、標的物質41を、場合によってはマトリックス42及び任意の補助物質43とともに、液体40の残りから分離し、それを反応容器1の毛細管空洞3に押し込む。この場合、遠心分離装置30の速度nを第二の限界速度よりも大きくなるように制御することができ、この速度で、毛細管空洞3内に存在する空気又は液体の体積から生じ得る抵抗を毛細管空洞3から確実に押し出すことができる。この目的のために、遠心分離装置30を、適切な時間-速度プロファイルで制御することができる。次いで、反応容器ユニット20を有するトラフ35を除去することができ、毛細管空洞3内に保持されている標的物質41を有する反応容器ユニット20を引き続き使用することができる。例えば、マトリックス42中の細胞配列等の標的物質41が毛細管空洞3内に収容され、残りの液体40が栄養液である場合、反応容器1又は反応容器ユニット20を使用して細胞を引き付けることができる。反応容器1が完全に空になるまで、栄養液を、上記の方法を使用して必要に応じて常に除去して、新しい栄養液と交換することができ、標的物質41は、毛細管空洞3内に確実に残る。
【0092】
毛細管空洞3の開口部7が遠心分離軸33に対して半径方向を向くように、反応容器ユニット1を配置することで、遠心分離機30は、本発明の意味の範囲内で、標的物質を所望の方向に移動させるように設計された案内システムを形成する。
【0093】
標的物質41を含有する液体40を反応容器ユニット20の反応容器1に導入するためのさらなる方法は、本発明の前述の実施形態の変形例であり、この方法は、使用される案内システムにおいて異なる。この変形例は、案内システムとして、磁性である補助材料43と、プロセスを実行するために磁気補助材料43と相互作用するように配置される磁気装置44とを使用する(図10)。
【0094】
再び、標的物質41を含む液体40を反応容器ユニット20の反応容器1内に充填し、その中に受容することができる標的物質41は、例えば、スフェロイド又はオルガノイド等の細胞構造であり得るが、本発明は、これに限定されない。補助材料43は、例えば、磁気ビーズを備えてもよい。磁気装置44は、フェライトコア46及び巻線47を備える電磁石45と、電流源48とを備えてもよい。本方法を実施するために、電磁石45は、反応容器1の毛細管空洞3の真下に配置されてもよい。実際には、磁気装置44は、静止していることもでき、反応容器1は、磁気装置44に対して位置決めすることができ、その結果、反応容器1の毛細管空洞3は、電磁石45の真上に位置するようになるようにる。特に、反応容器1がマイクロタイタープレート等の反応容器ユニット20の一部である場合、磁気装置は、マイクロタイタープレートのグリッドウェル内に正確に配置される複数の電磁石45を有してもよい。電源48がオンに切り替えられると、フェライトコア46は分極され、磁気補助材料43に磁気吸引力を及ぼすことができる。こうして、磁気補助材料43は、毛細管空洞3内に押し込まれ、標的材料41と共にマトリックス42を引っ張る。1つ以上の電磁石の代わりに、1つ以上の永久磁石を使用することもできる。
【0095】
磁気補助材料43の代わりに、標的材料41又はマトリックス42自体の磁気特性も、磁気装置44と相互作用するために利用することができる。例えば、標的材料41は、フェライト材料又は生体磁気的に活性な細胞を含むことができる。生体磁気現象は、しばしば非常に弱いので、必要な相互作用を達成するために、それに応じて磁気装置44を設計する必要がある場合がある。
【0096】
標的物質を含む液体を反応容器ユニット20の反応容器1に導入するための方法のさらなる変形例は、ここでも、使用される案内システムにおいて異なる。この変形例は、案内システムとして、静電的に帯電された補助材料43と、方法を実行するために補助材料43と相互作用するように配置された電極装置49とを使用する(図10)。
【0097】
再び、標的物質41を有する液体40を反応容器ユニット20の反応容器1に充填し、その中に受容することができる。標的物質41は、例えば、スフェロイドやオルガノイド等の細胞構造であってもよいが、本発明は、これに限定されない。補助材料43は、例えば、イオン化粒子を含んでもよい。電極装置49は、反応容器1の毛細管空洞3の下に延在する電極50と、電流源(詳細には図示せず)とを備えてもよい。電極50は、反応容器1の底部又は反応容器ユニット20の底部に組み込まれてもよく、あるいは外部に提供されてもよく、後者の場合、電極50は、プロセスを実行するために反応容器1の毛細管空洞3の下に配置されなければならない。電源が投入されると、電極50は、帯電した補助材料43に吸引力を作用させる。これによって、それは毛細管空洞3に押し込み、標的材料41と共にマトリックス42を引っ張る。
【0098】
電極は、毛細管空洞3の領域において平坦な拡張部を有することができるが、毛細管空洞3から離れた領域において、電極が薄くなり、静電引力が毛細管空洞3の下に集中する。特に、反応容器1がマイクロタイタープレート等の反応容器ユニット20の一部である場合、電極50は、グリッド状の設計を有することができ、グリッドノードは、マイクロタイタープレートのウェルのグリッド内に正確に配置され、上述の平面拡張部を有し得る。
【0099】
静電的に帯電した補助材料43の代わりに、電極装置49と相互作用するために、標的材料41又はマトリックス42自体の静電特性を利用することもできる。例えば、標的材料41は、帯電した細胞又は分子を有することができる。そのような電荷はしばしば非常に弱いので、電極装置49の対応する設計は、必要な相互作用を達成するために必要であり得る。
【0100】
全ての変更を有するこの実施形態では、標的物質の導入が成功した後、上清、すなわち、毛細管空洞内に受容されなかった残留体積は、分離又は選択的除去のための上記の方法を使用して、受容チャンバ2から除去することができる。ここでもまた、例えば、高価な反応物質を再利用すること、又はそれらを他の場所で利用することができるように、収集装置を、有利に、残留体積を収集するために使用することができる。
【0101】
基本的な選択的除去プロセスには、他の用途も考えられる。
【0102】
例えば、遠心分離中に異なるg力が作用する場合(半径方向の外側にある反応容器がより強く加速されるので、これは特に半径が小さい場合に当てはまる)、反応容器ユニットの反応容器を異なるように空にすること、又は反応容器ユニットの反応容器に標的物質を異なるように導入することが可能である。g力の勾配に沿った一連の滴定を想像することも可能である。
【0103】
逆に、力が異なる接着又は毛細管作用によって生じる反応容器ユニットが考えられ、これによって、(異なる半径による)遠心加速度における物理的に存在する勾配が、保持領域の適切な形成によって正確に均衡され、保持された部分体積が、この勾配にもかかわらず、遠心分離後のあらゆる場所で同じサイズを有するようになる。
【0104】
本発明の原理は、また、試料への標的物質の制御された時間遅延放出のためのシステム、いわゆる放出システムを形成するために使用することもできる。変形例では、毛細管空間はまた、底部又は側壁から突出し、毛細管間隙を形成する、受容チャンバ内のどこかに位置する構造によって形成されることができる。これは、以下を行うために使用することができる。プレートのどこかに位置する毛細管は、本明細書に記載されるように充填される。試薬は、細胞と相互作用することが意図される物質で、例えば、細胞増殖に対するその効果が試験される。細胞実験において、試薬は、通常、受容チャンバ内の細胞と接触させられる。細胞は、接着性であってもよく、すなわち、受容チャンバの表面に接着してもよい。毛細管の設計に応じて、この放出システムは、直ちに又はより長い期間にわたって試薬を放出することができる。放出システム及び試薬の放出は、遠心力を加えることによって制御することができる。
【0105】
本発明の特に有利な用途は、標的物質41を形成する細胞を精製する方法である。標的物質41は、また、細胞クラスター、細胞凝集体又は生物等、特に有機/生物学的物質を等しく含むことができるが、以下では、例として、細胞のみを言及する。細胞は、液体40中に懸濁して反応容器ユニットの反応容器1内に位置する。反応容器1は、毛細管空洞3内に開口する漏斗形状の底壁5を有する。具体例において、反応容器ユニットは、例えば96マイクロタイタープレート形式で設計することができる。反応容器1は、200μlの作業容積を有する受容チャンバ2と、5μlの容積を有する毛細管空洞3とを有することができる。細胞は、最初は反応容器ユニット1の受容チャンバ2内にほぼ均一に分布しており、毛細管空洞は、また、その分布が残りの受容チャンバ2内の分布に本質的に対応する細胞を含有してもよい。
【0106】
所定の間隔で、又は懸濁液中の細胞の試験を行うためには、反応容器1から細胞を除去することなく、液体40を新鮮な液体40又は他の液体40と交換する必要がある。この交換は、精製と呼ばれる。
【0107】
本方法では、第一のステップにおいて、反応容器ユニットは、毛細管空洞3が遠心分離軸33から離れる方を向くように、遠心分離機に取り出され(図9の配置(B)を参照)、角速度ω1で遠心分離軸33の周りを回転する。これにより、懸濁液に加速度aが作用し、漏斗形状の底壁5の傾斜によって支持された毛細管空洞3内に細胞が集まる(図13A)。この例では、加速度aが10~30gであり、遠心分離に2~4分を要するように、角速度ω1が設定されている。このステップの終了時には、毛細管空洞3の上方の受容チャンバ2内に残された細胞は、全くないか、又はほとんどない。
【0108】
第二のステップにおいて、反応容器ユニットは、毛細管空洞3が遠心分離軸33に面するように、同じ又は別の遠心分離機に取り出され(図9の配置(A)を参照)、角速度ω2で遠心分離軸33の周りを回転する。角速度ω2は、液体40が加速度aの影響下で反応容器1の受容チャンバ2から放出される一方で、依然として懸濁しているが非常に高い濃度の毛細管空洞3内の細胞が毛細管力Kによって毛細管空洞3内に保持されるように設定される。受容チャンバ2内の液体40は、毛細管空洞3内の細胞を含む液体40から分離し、大気130は、毛細管空洞3の上方の空間に流入し、その結果、毛細管空洞3の開口部7にまたがる相境界131が形成され、その表面張力がキャピラリー効果に寄与する(図13B)。このステップの終了時には、毛細管空洞3の上方の受容チャンバ2は、液体40を完全に空にされ、細胞は、毛細管空洞内に濃縮される。空にするプロセスは、この例では、約30秒を要する可能性がある。
【0109】
第三のステップにおいて、反応容器1の受容チャンバ2は、液体40で再充填される。本実施形態では、これは、分配装置によって行われる。液体40は、分配ノズル132内に受容チャンバ2内に分配される。液体流133は、分配ノズル132の出口で速度vを有する。本方法では、分配ノズル133は、細胞(41)が毛細管空洞3から洗い流されるか又はリンスで落とされ、受容チャンバ2全体に液体40中に分布されるように、毛細管空洞3に向かって方向付けられる(図13C)。速度は、細胞が毛細管空洞3から洗い流されるが、液体40が反応容器1から脱落することなく、細胞が常に液体40中に懸濁したままであるような速度である。図示のように示されているが、分配ノズル132が受容チャンバ2内に突出する必要はない。むしろ、分配ノズル132は、また、受容チャンバ2の開口部6の上方で終わることができる。このステップの終了時には、細胞は、再び、受容チャンバ2内の液体40中にほぼ均等に分布する。本実施例では、充填プロセスは、約15秒を要し得る(好ましくは、この例における全ての96個の反応容器1について、これらは、特に行毎に充填される)。
【0110】
このプロセスを用いて、精製中の細胞へのストレスは、ペレット化等の従来のプロセスと比較して、有意に低減することができる。第二のステップで空にする間に起こり得る細胞の損失は、最小限(10%未満)に保つことができ、必要に応じて充填前、充填後、又は充填中に、交換することができる。
【0111】
分配装置を遠心分離機に取り付けてもよく、反応容器ユニットを遠心分離機の装填及び取外し装置によって移動させてもよく、遠心分離機の回転空間に対して、及び分配装置に対して、反応容器ユニットの正確かつ効率的な位置付けが可能になる。反応容器ユニットは、プロセス全体の間、遠心分離機の上又は中に留まることができる。反応容器ユニットを遠心分離機のロータ内に位置決めするため、又は反応容器ユニットを遠心分離機のロータから取り外すための剛性変位ロッドを備えた装填及び脱装填装置を有する遠心分離機であって、変位ロッドが、アンローディング位置で移動するようにリニアモータによって変位可能に配置されている遠心分離機で、ロータチャンバ内の排出位置ではロータを通って延び、ローディング位置では少なくとも1回転の間にロータによって占有されるロータチャンバの領域から引き出されることは、特許文献7で説明されており、この点に関して、その開示の全文が参照される。このような装填及び脱装填を備えた遠心分離機であって、分配ユニットも遠心分離機の外壁に取り付けられており、この分配ユニットによって、試薬液体を排出位置でその下方に位置する反応容器ユニットに供給することができる遠心分離機は、今後公開される特許文献8で説明されており、この点に関して、その開示の全文が参照される。
【0112】
毛細管空洞3内の細胞の収集は、遠心分離以外の手段によって、例えば、前述のように、磁気的、静電的な手段によって、達成されてもよいことが理解されるであろう。液体40の除去は、ピペッティング等の遠心分離以外の手段によって行われてもよい。再充填は、また、代替的にピペッティングによって実施することもできる。
【0113】
上記の精製プロセスは、細胞を懸濁液中で試験する試験手順に関連して有利に使用することができる。精製された状態の懸濁液の部分体積は、この目的のために除去され、試験装置に供給される。試験による細胞の喪失は、任意選択で置き換えることができる。
【0114】
毛細管空洞3は、洗浄中に標的物質が望ましくないままであるデッドゾーンを形成し得る、分配ジェット、リンスジェット等による遮光を避けるために、壁を本質的に含まない。しかしながら、リンス又はピペッティングを容易にするために、中央に、例えばピラミッド形又は円錐形の先端141を有する隆起140を毛細管空洞3の底部に設けることができる(図14)。隆起140の周囲の毛細管空洞3の基部の残りの部分は、可能な限り層流を可能にするために、可能な限り縁部が少ないように設計することができる。
【0115】
本発明は、以下のように簡潔に要約することができる。本出願は、液体(40)を受容するための受容チャンバ(2)を有する少なくとも1つの反応容器(1)を有する反応容器ユニット(20)を開示し、受容チャンバ(2)は、保持領域を有し、保持領域は、液体と保持領域との間の接着力及び液体内の凝集によって、保持領域が周囲領域と比較して液体(40)に対して増大した保持効果を及ぼす表面テクスチャ及び/又は形状を有し、それにより、液体(40)が遠心分離によって受容チャンバ(2)から除去されるとき、所定の少量の液体が保持領域に、又はその中に保持される。さらに、遠心分離によって反応容器ユニット(20)の反応容器(1)から液体(40)を選択的に除去する方法が開示される。さらに、標的物質(41)を含有する液体(40)を反応容器ユニット(20)の反応容器(1)に導入するための方法が開示され、標的物質(41)は、遠心分離又は磁気若しくは静電相互作用によって案内システムによって保持領域に案内される。本出願は、さらに、細胞、細胞クラスター、細胞凝集体又は生物等、液体(40)中に分散又は懸濁された標的物質(41)を精製するための方法、及び本発明による反応容器ユニット(20)を使用して液体(40)中に分散又は懸濁された標的物質(41)に対して試験を実施するための方法を開示する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B
図13C
図14
【国際調査報告】