(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】N-1トリアゾール置換イミダゾキノリン、その共役体、及び方法
(51)【国際特許分類】
C07D 471/04 20060101AFI20241219BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20241219BHJP
A61P 31/12 20060101ALI20241219BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20241219BHJP
A61P 37/08 20060101ALI20241219BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20241219BHJP
A61P 11/06 20060101ALI20241219BHJP
A61P 11/02 20060101ALI20241219BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20241219BHJP
A61P 31/10 20060101ALI20241219BHJP
A61P 33/00 20060101ALI20241219BHJP
A61P 17/02 20060101ALI20241219BHJP
A61P 33/06 20060101ALI20241219BHJP
A61P 33/02 20060101ALI20241219BHJP
A61K 31/4745 20060101ALI20241219BHJP
A61K 47/68 20170101ALI20241219BHJP
A61K 47/55 20170101ALI20241219BHJP
A61K 47/62 20170101ALI20241219BHJP
A61K 38/47 20060101ALI20241219BHJP
A61K 39/00 20060101ALI20241219BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20241219BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20241219BHJP
C07K 16/28 20060101ALN20241219BHJP
C12N 9/36 20060101ALN20241219BHJP
C07K 14/705 20060101ALN20241219BHJP
【FI】
C07D471/04 105C
C07D471/04 CSP
A61P35/00
A61P31/12
A61P35/02
A61P37/08
A61P17/00
A61P11/06
A61P11/02
A61P31/04
A61P31/10
A61P33/00
A61P17/02
A61P33/06
A61P33/02
A61K31/4745
A61K47/68
A61K47/55
A61K47/62
A61K38/47
A61K39/00 H
A61K39/395 D
A61K39/395 N
A61P37/02
C07K16/28
C12N9/36
C07K14/705
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024535210
(86)(22)【出願日】2022-11-21
(85)【翻訳文提出日】2024-07-17
(86)【国際出願番号】 IB2022061230
(87)【国際公開番号】W WO2023111726
(87)【国際公開日】2023-06-22
(32)【優先日】2021-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524062087
【氏名又は名称】ソルベンタム インテレクチュアル プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【氏名又は名称】高橋 正俊
(74)【代理人】
【識別番号】100202418
【氏名又は名称】河原 肇
(72)【発明者】
【氏名】ジョージ ダブリュ.グリースグレーバー
(72)【発明者】
【氏名】アーロン エム.マルセラ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C085
4C086
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA95
4C076CC03
4C076CC07
4C076CC15
4C076CC18
4C076CC27
4C076CC31
4C076CC34
4C076CC35
4C076CC41
4C076EE59
4C084AA02
4C084AA07
4C084BA32
4C084BA42
4C084BA44
4C084CA59
4C084DA41
4C084DC22
4C084NA05
4C084NA13
4C084ZB071
4C084ZB351
4C085AA02
4C085AA13
4C085AA14
4C085BA01
4C085CC22
4C085CC23
4C085CC31
4C085DD51
4C085EE01
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086CB05
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA13
4C086NA14
4C086ZA59
4C086ZB07
4C086ZB26
4C086ZB27
4C086ZB33
4C086ZB35
4C086ZB37
4C086ZB38
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA51
4H045CA40
4H045DA50
4H045DA76
4H045DA86
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
1位にトリアゾール環置換基を有する1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-4-アミン化合物、その塩、その共役体、化合物及び共役体を含有する薬学的組成物、並びに化合物及び共役体の製造方法が開示される。ヒト及び動物におけるサイトカイン生合成を誘導するための免疫応答修飾物質として、かつウイルス性疾患及び腫瘍性疾患を含む疾患の治療において、化合物及び共役体を使用する方法も記載される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(II)の化合物又はその塩であって、
【化1】
式中、
nは、0又は1の整数であり、
Rは、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキル、アルコキシ、及び
-C(O)-O-アルキルからなる群から選択され、
R1は、-(C1-C3)アルキレン-O-(C1-C3)アルキルであり、
R2は、-(C2-C18)アルケニレン基であり、任意選択的に、1つ以上のカテナリ非過酸化-O-原子を含み、
R3は、アルキル、アリール、及びアラルキルからなる群から選択され、
前記アルキル又は前記アラルキルのアルキル部分が、任意選択的に、1つ以上のカテナリ非過酸化-O-原子を含み、
前記アルキル又は前記アラルキルのアルキル部分が、任意選択的に、アミン(-NH
2)、カルボキシル(-C(O)OH)、ヒドロキシル(-OH)、及びチオール(-SH)からなる群から選択される官能基で置換され、
前記アリール又は前記アラルキルのアリール部分が、任意選択的に、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキル、アルコキシ、又はそれらの組み合わせで置換される、式(II)の化合物又はその塩。
【請求項2】
式(II-A)である、請求項1に記載の化合物:
【化2】
【請求項3】
nが、0である、請求項1又は2に記載の化合物又は塩。
【請求項4】
R1が、-CH
2OCH
3又は-CH
2OCH
2CH
3である、請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物又は塩。
【請求項5】
R3が、-(C1~C10)アルキル、-(C6~C20)アリール、及び-(C6~C20)アル-(C1~C10)アルキルからなる群から選択され、式中、
前記アルキル又は前記アラルキルのアルキル部分が、任意選択的に、1つ以上のカテナリ非過酸化-O-原子を含み、
前記アルキル又は前記アラルキルのアルキル部分が、任意選択的に、アミン、カルボキシル、ヒドロキシル、及びチオールからなる群から選択される官能基で置換され、
前記アリール又は前記アラルキルのアリール部分が、任意選択的に、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキル、アルコキシ、又はそれらの組み合わせで置換される、請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物又は塩。
【請求項6】
式(III)の化合物又はその塩であって、
【化3】
式中、
nは、0又は1の整数であり、
Rは、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキル、アルコキシ、及び
-C(O)-O-アルキルからなる群から選択され、
R1は、-(C1-C3)アルキレン-O-(C1-C3)アルキルであり、
R2は、-(C2-C18)アルケニレン基であり、任意選択的に、1つ以上のカテナリ非過酸化-O-原子を含み、
R4は、
【化4】
からなる群から選択されるトリアゾール環であり、
式中、「
*」は、R2への共有結合による結合を示し、「
**」は、L1への共有結合による結合を示し、
L1は、アルキレン基であり、任意選択的に、1つ以上のカテナリ非過酸化-O-原子、アミン基、エステル基、アミド基、ジスルフィド基、カルボニル基、カーボネート基、カルバメート基、又はそれらの組み合わせを含み、
mは、0又は1の整数であり、
Qは、ポリマー部分又は第2の活性部分に結合するための官能基である、式(III)の化合物又はその塩。
【請求項7】
式(III-A)である、請求項6に記載の化合物:
【化5】
【請求項8】
nが、0であり、mが、1である、請求項6又は7に記載の化合物又は塩。
【請求項9】
R1が、-CH
2OCH
3又は-CH
2OCH
2CH
3である、請求項6~8のいずれか一項に記載の化合物又は塩。
【請求項10】
R2が、-CH
2CH
2-、-CH
2CH
2-O-CH
2-、又は-(CH
2CH
2-O)
x-CH
2-であり、式中、xは、1~8の整数である、請求項6~9のいずれか一項に記載の化合物又は塩。
【請求項11】
Qが、アミン(-NH
2)、アミノオキシ(-O-NH
2)、カルボン酸(-C(O)OH)、アシルヒドラジド(-C(O)-NHNH
2)、ヒドロキシル(-OH)、アルデヒド(-C(O)H)、N-ヒドロキシスクシンイミドエステル
【化6】
マレイミド
【化7】
及びペンタフルオロフェニルエステル
【化8】
からなる群から選択される、請求項6~10のいずれか一項に記載の化合物又は塩。
【請求項12】
式(IV)のIRM含有共役体又はその塩であって、
【化9】
式中、
nは、0又は1の整数であり、
Rは、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキル、アルコキシ、及び
-C(O)-O-アルキルからなる群から選択され、
R1は、-(C1-C3)アルキレン-O-(C1-C3)アルキルであり、
R2は、-(C2-C18)アルケニレン基であり、任意選択的に、1つ以上のカテナリ非過酸化-O-原子を含み、
R4は、
【化10】
からなる群から選択されるトリアゾール環であり、
式中、「
*」は、R2への共有結合による結合を示し、「
**」は、L2への共有結合による結合を示し、
L2は、架橋基であり、
mは、0又は1の整数であり、
Zは、ポリマー部分又は第2の活性部分であり、
前記共役体の-(L2)
m-Z部分は、L2の有無にかかわらず、任意選択的に、不安定な結合を含む、式(IV)のIRM含有共役体又はその塩。
【請求項13】
式(IV-A)である、請求項12に記載のIRM含有共役体:
【化11】
【請求項14】
nが、0であり、mが、1である、請求項12又は13に記載のIRM含有共役体。
【請求項15】
R1が、-CH
2OCH
3又は-CH
2OCH
2CH
3である、請求項12~14のいずれか一項に記載のIRM含有共役体。
【請求項16】
Zが、第2の活性部分である、請求項12~15のいずれか一項に記載のIRM含有共役体。
【請求項17】
前記第2の活性部分が、抗原又は抗体である、請求項12~16のいずれか一項に記載のIRM含有共役体。
【請求項18】
前記第2の活性部分が、免疫チェックポイント阻害剤である、請求項12~17のいずれか一項に記載のIRM含有共役体。
【請求項19】
請求項1~11のいずれか一項に記載の化合物又は塩と、薬学的に許容される担体と、を含む、薬学的組成物。
【請求項20】
請求項12~18のいずれか一項に記載のIRM含有共役体又はその塩と、薬学的に許容される担体と、を含む、薬学的組成物。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
いくつかの薬物化合物は、免疫系の特定の重要な側面を刺激することによって、並びに特定の他の側面を抑制することによって作用する。これらの化合物は、免疫応答修飾物質(immune response modifier、IRM)と称されることもある。IRM化合物は、Toll様受容体(Toll-like receptor、TLR)として知られる基本的な免疫系機構を介して作用して、選択されたサイトカイン生合成、共刺激分子の誘導、及び抗原提示能力の増加を誘導し得る。いくつかのIRM化合物は、ウイルス性疾患、腫瘍性疾患、及びTH2媒介性疾患を治療するのに有用である。いくつかのIRM化合物は、ワクチンアジュバントとして有用である。
【0002】
以下の二環式及び三環式環系に基づいたIRM化合物が、報告されている:1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-4-アミン;1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-4-アミン;1H-イミダゾ[4,5-c][1,5]ナフチリジン-4-アミン;チアゾロ[4,5-c]キノロン-4-アミン及びオキサゾロ[4,5-c]キノロン-4-アミン;6,7,8,9-1H-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-4-アミン;2H-ピラゾロ[3,4-c]キノロン-4-アミン;並びにN-1及び2-置換1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-4-アミン。IRM化合物とポリマー材料又は他の活性化合物との共役は既知である。免疫系を効果的に調節することができる新しいIRM化合物及びIRM化合物との新しい共役体が必要とされている。
【発明の概要】
【0003】
ヒト及び動物においてサイトカイン生合成を誘導するのに有用であり得る新規化合物、並びにその共役体、化合物及び共役体を作製する方法、並びに化合物及び共役体を使用する方法が開示される。本開示は、式(I~III)のIRM化合物(又はその塩)、式(IV)のIRM含有共役体(又はその塩)、及び式(I~IV)のエナンチオマー(又はその塩)を提供する。
【0004】
特定の実施形態では、本開示は、以下の式(I)の化合物(又はその塩)を提供し、
【0005】
【化1】
式中、nは、0又は1の整数であり、Rは、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキル、アルコキシ、及び-C(O)-O-アルキルからなる群から選択され、R1は、-(C1-C3)アルキレン-O-(C1-C3)アルキルであり、R2は、-(C2-C18)アルケニレン基であり、任意選択的に、1つ以上のカテナリ(catenary)非過酸化-O-原子を含む。
【0006】
特定の実施形態では、本開示は、以下の式(II)の化合物(又はその塩)を提供し、
【0007】
【化2】
式中、nは、0又は1の整数であり、Rは、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキル、アルコキシ、及び-C(O)-O-アルキルからなる群から選択され、R1は、-(C1-C3)アルキレン-O-(C1-C3)アルキルであり、R2は、-(C2-C18)アルケニレン基であり、任意選択的に、1つ以上のカテナリ非過酸化-O-原子を含み、R3は、アルキル、アリール、及びアラルキルからなる群から選択され、アルキル又はアラルキルのアルキル部分が、任意選択的に、1つ以上のカテナリ非過酸化-O-原子を含み、アルキル又はアラルキルのアルキル部分が、任意選択的に、アミン(-NH
2)、カルボキシル(-C(O)OH)、ヒドロキシル(-OH)、及びチオール(-SH)からなる群から選択される官能基で置換され、アリール又はアラルキルのアリール部分が、任意選択的に、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキル、アルコキシ、又はそれらの組み合わせで置換される。
【0008】
特定の実施形態では、本開示は、以下の式(III)の化合物(又はその塩)を提供し、
【0009】
【化3】
式中、nは、0又は1の整数であり、Rは、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキル、アルコキシ、及び-C(O)-O-アルキルからなる群から選択され、R1は、-(C1-C3)アルキレン-O-(C1-C3)アルキルであり、R2は、-(C2-C18)アルケニレン基であり、任意選択的に、1つ以上のカテナリ非過酸化-O-原子を含み、R4は、
【0010】
【化4】
からなる群から選択されるトリアゾール環であり、
式中、「
*」は、R2に結合した共有結合を示し、「
**」は、L1に結合した共有結合を示し、L1は、アルキレン基であり、任意選択的に、1つ以上のカテナリ非過酸化-O-原子、アミン基(-NH-)、エステル基、アミド基(-NH-C(O)-)、ジスルフィド基(-S-S-)、カルボニル基(-C(O)-)、カーボネート基(-O-C(O)-O-)、カルバメート基(-O-C(O)-NH-)、又はそれらの組み合わせを含み、mは、0又は1の整数であり、Qは、ポリマー部分又は第2の活性部分に結合するための官能基である。
【0011】
化合物及びこれらの化合物の塩(例えば、薬学的に許容される塩)は、ヒト又は動物に投与された場合、サイトカイン生合成を誘導する(例えば、少なくとも1つのサイトカインの合成を誘導する)能力、及びその他の免疫応答を調節する能力のために、免疫応答修飾物質として使用することができる。したがって、これらの化合物は、そのような免疫応答の変化に応答するウイルス性疾患及び腫瘍などの様々な状態の治療において使用され得る。
【0012】
化合物はまた、ポリマー材料又は第2の活性物質との共役体において使用され得る。そのような共役体には、式(IV)のIRM含有共役体(又はその塩)が含まれ、
【0013】
【化5】
式中、nは、0又は1の整数であり、Rは、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキル、アルコキシ、及び-C(O)-O-アルキルからなる群から選択され、R1は、-(C1-C3)アルキレン-O-(C1-C3)アルキルであり、R2は、-(C2-C18)アルケニレン基であり、任意選択的に、1つ以上のカテナリ非過酸化-O-原子を含み、R4は、
【0014】
【化6】
からなる群から選択されるトリアゾール環であり、
式中、「
*」は、R2に結合した共有結合を示し、「
**」は、L2に結合した共有結合を示し、L2は、架橋基であり、mは、0又は1の整数であり、Zは、ポリマー部分(moiety)又は第2の活性部分であり、共役体の-(L2)
m-Z部分(portion)は、L2の有無にかかわらず、任意選択的に、不安定な結合を含む。
【0015】
有効量の式(I)、(II)若しくは(III)の化合物(又はその薬学的に許容される塩を含むその塩)、あるいは式(IV)のIRM含有共役体(又はその薬学的に許容される塩を含むその塩)、あるいはそれらの組み合わせを含む薬学的組成物(すなわち、製剤)が開示される。そのような製剤をヒト又は動物に投与することによって、ヒト又は動物におけるサイトカイン生合成を誘導する方法、ヒト又は動物におけるウイルス性疾患を治療する方法、及びヒト又は動物における腫瘍性疾患を治療する方法も開示される。
【0016】
「アルキル」という用語は、アルカンのラジカルである一価の基を指し、直鎖、分岐、環状、及び二環式アルキル基、並びにそれらの組み合わせを含む。別段の指示がない限り、アルキル基は、典型的には、1~30個の炭素原子を含有する。いくつかの実施形態では、アルキル基は、1~20個の炭素原子、1~10個の炭素原子、1~9個の炭素原子、1~8個の炭素原子、1~7個の炭素原子、1~6個の炭素原子、1~5個の炭素原子、1~4個の炭素原子、1~3個の炭素原子、又は1~2個の炭素原子を含有する。「アルキル」基の例としては、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、イソブチル、t-ブチル、イソプロピル、n-オクチル、n-ヘプチル、エチルヘキシル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、アダマンチル、ノルボルニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0017】
「アルキレン」という用語は、アルカンのラジカルである二価の基を指し、直鎖、分岐鎖、環状、二環式、又はそれらの組み合わせである基を含む。別段の指示がない限り、アルキレン基は、典型的には、1~100個の炭素原子を有する。いくつかの実施形態では、アルキレン基は、1~60個の炭素原子、1~50個の炭素原子、1~40個の炭素原子、1~30個の炭素原子、1~20個の炭素原子、1~18個の炭素原子、1~16個の炭素原子、1~14個の炭素原子、1~12個の炭素原子、1~10個の炭素原子、1~8個の炭素原子、1~6個の炭素原子、1~4個の炭素原子、又は1~3個の炭素原子を有する。いくつかの実施形態では、アルキレン基は、2~60個の炭素原子、2~50個の炭素原子、2~40個の炭素原子、2~30個の炭素原子、2~20個の炭素原子、2~18個の炭素原子、2~16個の炭素原子、2~14個の炭素原子、2~12個の炭素原子、2~10個の炭素原子、2~8個の炭素原子、2~6個の炭素原子、2~4個の炭素原子、又は2~3個の炭素原子を有する。「アルキレン」基の例としては、-CH2-、-CH2CH2-、-CH2CH2CH2-、-CH2CH2CH2CH2-、-CH2CH2CH2CH2CH2-、-CH2CH2CH(CH2CH3)CH2CH2-、及び-CH2CH2CH(CH(CH3)2)CH2CH2-が挙げられる。
【0018】
「アルケニレン」という用語は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する二価の炭化水素基を指し、直鎖、分岐鎖、環状、二環式、又はそれらの組み合わせである基を含む。別段の指示がない限り、アルケニレン基は、典型的には2~60個の炭素原子を有する。いくつかの実施形態では、アルケニレン基は、2~50個の炭素原子、2~40個の炭素原子、2~30個の炭素原子、2~20個の炭素原子、2~18個の炭素原子、2~14個の炭素原子、2~12個の炭素原子、2~10個、2~8個の炭素原子、2~6個の炭素原子、又は2~4個の炭素原子を有する。「アルケニレン」基の例としては、-CH2CH2CH=CHCH2-、-CH2CH2CH2CHC=CHCH2CH2-、-CH2CH2CH2CH2CH=CHCH2CH2-、-CH2CH(CH3)CH2CH=CHCH2CH2-、-CH2CH(CH3)CH2CH=CHCH2CH(CH2CH2CH3)CH2CH2-、及び-CH2CH2CH2CH=CHCH2CH2CH2CH=CHCH2CH2-が挙げられる。
【0019】
例えば、1つ以上のカテナリ非過酸化-O-原子を任意選択的に含む炭素原子を有する、アルキル、アルキレン、又はアルケニレン基は、基が、-O-のいずれかの側に炭素原子を有することを意味する。例としては、-CH2CH2-O-CH2CH3、-CH2-CH2-O-CH2-CH2-O-CH2CH3、-CH2CH2-O-CH2CH2-、-CH2-CH2-O-CH2-CH2-O-CH2CH2-、-CH2CH2-O-CH2=CH2-、-CH2-CH2CH2-O-CH2CH=CHCH2CH2-O-CH2CH2-などが挙げられる。
【0020】
「アルコキシ」という用語は、アルキル基に直接結合したオキシ基を有する一価の基を指す。
【0021】
「アリール」という用語は、芳香族であり、任意選択的に、炭素環式である一価の基を指す。アリールは、少なくとも1つの芳香環を有する。任意の追加の環は、不飽和、部分飽和、飽和、又は芳香族であり得る。任意選択的に、芳香環は、芳香環に縮合した1つ以上の追加の炭素環式環を有することができる。別段の指示がない限り、アリール基は、典型的には、6~30個の炭素原子を含有する。いくつかの実施形態では、アリール基は、6~20個、6~18個、6~16個、6~12個、又は6~10個の炭素原子を含有する。アリール基の例としては、フェニル、ナフチル、ビフェニル、フェナントリル、及びアントラシルが挙げられる。
【0022】
「アラルキル」という用語は、(例えば、ベンジル基におけるような)アリール基で置換されたアルキル基である一価の基を指す。別段の指示がない限り、両方の基について、アルキル部分は、多くの場合、1~10個の炭素原子、1~8個の炭素原子、1~6個の炭素原子、1~4個の炭素原子、又は1~3個の炭素原子を有し、アリール部分は、多くの場合、6~20個の炭素原子、6~18個の炭素原子、6~16個の炭素原子、6~14個の炭素原子、6~12個の炭素原子、又は6~10個の炭素原子を有する。
【0023】
「ar」という用語は、アレーン(例えば、フェニレン(-C6H4-))のラジカルである二価の基を指す。
【0024】
「(Cx-Cy)アルキル」、「(Cx-Cy)アルコキシ」、及び「(Cx-Cy)アルキレン」という用語は、X~Y個の炭素原子を有する直鎖基、分枝鎖基、環状基、及びそれらの組み合わせを含む。例えば、「(C1-C5)アルキル」は、1個の炭素、2個の炭素、3個の炭素、4個の炭素、及び5個の炭素のアルキル基を含む。「(C1-C5)アルキル」のいくつかの例としては、メチル、エチル、nプロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、異性体ペンチル、シクロプロピル、シクロペンチル、及び-CH2-シクロプロピルが挙げられる。
【0025】
「IRM含有共役体」及びその変形は、式(I)のIRM化合物に由来する少なくとも1つの免疫応答修飾物質(IRM)部分と、少なくとも1つのポリマー部分(例えば、PEG部分)又は第2の活性部分と、を含む、任意の共役体(すなわち、複合体)を指す。
【0026】
「部分(moiety)」及びその変形は、例えば、特定の生物学的若しくは化学的機能(例えば、免疫調節及び/若しくは標的特異性)、又は物理的特性(例えば、サイズ、親水性、若しくは疎水性)などの特定の特徴を示す化学化合物又はポリマーの一部分(portion)を指す。
【0027】
「架橋基」は、IRM化合物の官能基と反応して第1の結合を形成し、ポリマー又は第2の活性化合物の反応性官能基(例えば、ヒドロキシル(-OH)、アミノ(-NH2)、カルボン酸、カルボン酸エステル、活性化カルボン酸エステル、アミド(-NHC(O))、アルデヒド(-CH(O))、又はチオール(-SH)基を含むが、これらに限定されない)と反応して第2の結合を形成する、ヘテロ二官能性架橋化合物から誘導される。ヘテロ二官能性架橋化合物(すなわち、ヘテロ二官能性架橋剤)は、2つの異なる反応基と、様々な長さ及び組成の有機架橋と、を含む。より具体的には、「架橋基」は、IRM化合物のアジド基と反応してトリアゾールを形成し、ポリマー又は第2の活性化合物の反応性基(例えば、ヒドロキシル(-OH)、アミノ(-NH2)、カルボン酸、カルボン酸エステル、活性化カルボン酸エステル、アミド(-NHC(O))、アルデヒド(-CH(O))、又はチオール(-SH)基を含むが、これらに限定されない)と反応して第2の結合を形成する、ヘテロ二官能性架橋化合物から誘導される。
【0028】
「不安定な結合」とは、IRM部分とポリマー部分又は第2の活性部分との間の連結が破壊され、それによって、式(II)又は式(III)の遊離した活性のIRM化合物(免疫細胞と接触して免疫応答を誘導することができる)が放出されるように、インビボで容易に切断される結合を指す。
【0029】
本明細書で使用される場合、「L1」の説明に使用される「エステル基」という用語は、エステル基のカルボニル部分(-C(O)-)がエステル基の酸素部分(-O-)よりもトリアゾール環の近くに結合している配向、並びにエステル基の酸素部分(-O-)がエステル基のカルボニル部分(-C(O)-)よりもトリアゾール環の近くに結合している配向を含む。
【0030】
本明細書で使用される場合、「L1」の説明に使用される「アミド基(-NH-C(O)-)」とは、アミド基の窒素部分(-NH-)がアミド基のカルボニル部分(-(C(O)-)よりもトリアゾール環の近くに結合している配向、並びにアミド基のカルボニル部分(-C(O)-)がアミド基の窒素部分(-NH-)よりもトリアゾール環の近くに結合している配向を含む。
【0031】
本明細書で使用される場合、「L1」の説明に使用される「カルバメート基(-O-C(O)-NH-)」という用語は、カルバメート基の酸素部分(-O-)がカルバメート基の窒素部分(-NH-)よりもトリアゾール環の近くに結合している配向、並びにカルバメート基の窒素部分(-NH-)がカルバメート基の酸素部分(-O-)よりもトリアゾール環の近くに結合している配向を含む。
【0032】
「抗原」という用語は、液性免疫応答に対してある程度免疫特異的である様式で抗体によって結合され得る任意の物質を指す。本明細書で使用される「抗原」はまた、細胞媒介性免疫応答のために抗原提示細胞によって結合され得る任意の物質を指す。本明細書に記載される抗原は、例えば、以下のうちのいずれか1つ以上を含む抗原活性を誘発し得る:B細胞による抗原に特異的な抗体の産生、免疫細胞の成熟、免疫細胞によるサイトカイン産生、及び抗原を提示する抗原提示細胞の生成。本開示を実施するのに有用な抗原には、アジュバント(例えば、本開示の化合物又は共役体など)の不在下で非常に弱い活性を有し、かつ/又は治療的利益を有しないものが含まれる。例示的な抗原としては、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、糖タンパク質、脂質、糖脂質、多糖、炭水化物、ポリヌクレオチド、プリオン、オリゴヌクレオチド(例えば、CpG)、DNA、RNA、ウイルス、細菌、真菌、寄生虫、毒素、又はトキソイドが挙げられる。
【0033】
化合物又は共役体の「塩」は、Berge,Stephen M.,「Pharmaceutical Salts,」Journal of Pharmaceutical Sciences,1977,66,pages 1-19に記載されているものなどの薬学的に許容される塩を含む。例えば、塩は、遊離塩基化合物(すなわち、塩形態ではないもの)を、例えば、塩酸、硫酸、臭化水素酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、リンゴ酸、マレイン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、パラ-トルエンスルホン酸、サリチル酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、パモ酸、キシナホ酸、シュウ酸などの無機酸又は有機酸と反応させることによって調製することができる。
【0034】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される担体」は、治療有効量又は予防有効量の本開示の化合物、塩、又は共役体のうちの1つ以上を、選択された投与経路によって対象に送達することができ、対象によって一般に忍容され、許容される毒性プロファイル(好ましくは、投与用量での毒性が最小限から皆無)を有する担体を含む。いくつかの好適な薬学的に許容される担体は、Remington’s Pharmaceutical Sciences,18thEdition(1990),Mack Publishing Co.に記載されており、当業者によって容易に選択され得る。典型的な薬学的に許容される塩としては、塩酸塩及び二塩酸塩が挙げられる。
【0035】
「有効量」(「治療有効量」及び「予防有効量」を含む)は、サイトカイン誘導、免疫調節、抗腫瘍活性、及び/又は抗ウイルス活性などの治療効果又は予防効果を誘導するのに十分な化合物、塩、又は共役体の量として定義される。疾患又は状態、所望のサイトカインプロファイル、及び/又は許容されるレベルの副作用に応じて、有効量は変動し得る。例えば、少量の非常に活性な化合物若しくは塩、又は大量の低活性の化合物若しくは塩を使用して、望ましくない副作用を回避することができる。
【0036】
「治療する」及び「治療」並びにそれらの変形は、状態に関連する症状又は徴候を任意の程度まで低減する、進行を制限する、寛解させる、予防する、又は解消することを指す。「改善する」及び「改善すること」とは、特定の疾患又は状態の症状又は臨床的特徴の程度、重症度、頻度、及び/又は可能性の任意の低減を指す。
【0037】
本明細書において、「含む」という用語及びその変形は、これらの用語が明細書及び特許請求の範囲に現れる場合、限定的な意味を有するものではない。そのような用語は、記載されたステップ若しくは要素又はステップ若しくは要素の群を含むことを意味するが、任意の他のステップ若しくは要素又はステップ若しくは要素の群を除外することを意味しないことが理解されるであろう。「からなる」とは、「からなる」という語句に続くものを含み、かつそれに限定されることを意味する。したがって、「からなる」という句は、列挙された要素が必要又は必須であり、他の要素が存在しなくてもよいことを示す。「から本質的になる」とは、この句の後に列挙された任意の要素を含み、列挙された要素の本開示で特定された活性又は作用に干渉又は寄与しない他の要素に限定されることを意味する。したがって、「から本質的になる」という句は、列挙された要素が必要又は必須であるが、他の要素は、任意選択的であり、それらが列挙された要素の活性又は作用に実質的に影響を及ぼすかどうかに応じて、存在するか又は存在しない可能性があることを示す。本明細書においてオープンエンド言語(例えば、「含む」及びその派生語)で列挙される要素又は要素の組み合わせのいずれも、クローズドエンド言語(例えば、「からなる」及びその派生語)並びに部分的クローズドエンド言語(例えば、「から本質的になる」及びその派生語)で更に列挙されるものとみなされる。
【0038】
「好ましい」及び「好ましくは」という語は、特定の状況下で特定の利益をもたらし得る本開示の実施形態を指す。しかしながら、同じ状況又は他の状況下では、他の請求項も好ましい場合がある。更に、1つ以上の好ましい特許請求の範囲の記載は、他の特許請求の範囲が有用でないことを意味するものではなく、本開示の範囲から他の特許請求の範囲を除外することを意図するものでもない。
【0039】
本出願において、「a」、「an」、及び「the」などの用語は、単数の実体のみを指すことを意図するものではなく、例示のために特定の例が使用され得る一般的なクラスを含む。「a」、「an」、及び「the」という用語は、「少なくとも1つ」という用語と互換的に使用される。リストが続く「のうちの少なくとも1つ」及び「のうちの少なくとも1つを含む」という句は、リスト内の項目のうちのいずれか1つ、及びリスト内の2つ以上の項目の任意の組み合わせを指す。
【0040】
本明細書で使用される場合、「又は」という用語は、一般に、内容が明確に別段の指示をしない限り、「及び/又は」を含むその通常の意味で使用される。
【0041】
「及び/又は」という用語は、列挙された要素の1つ若しくは全て、又は列挙された要素の任意の2つ以上の組み合わせを意味する。
【0042】
また、本明細書において、全ての数は、「約」という用語によって、特定の実施形態では、好ましくは、「正確に」という用語によって修飾されるものと想定される。測定された量に関連して本明細書で使用される場合、「約」という用語は、測定を行い、測定の目的及び使用される測定装置の精度に見合ったレベルの注意を払う当業者によって予想されるであろう、測定された量の変動を指す。本明細書において、「最大」の数(例えば、最大50)は、その数(例えば、50)を含む。
【0043】
また、本明細書において、端点による数値範囲の列挙は、その範囲内に包含される全ての数、並びに端点を含む(例えば、1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5などを含む)。
【0044】
本明細書で使用される場合、「周囲温度」又は「室温」という用語は、20℃~25℃又は22℃~25℃の温度を指す。
【0045】
「範囲内(in the range)」又は「範囲内(within a range)」という用語(及び同様の記述)は、記載された範囲の端点を含む。
【0046】
本明細書に開示される代替要素又は実施形態の群化は、限定として解釈されるべきではない。各群のメンバーは、個別に、又は群の他のメンバー若しくはその中に見出される他の要素との任意の組み合わせで、言及及び特許請求され得る。群の1つ以上のメンバーは、利便性及び/又は特許性の理由で、群に含まれ得るか、又は群から削除され得ることが予想される。任意のそのような包含又は削除が生じる場合、本明細書は、本明細書において、修正された群を含み、したがって、添付の特許請求の範囲において使用される全てのマーカッシュ群の書面による説明を満たすとみなされる。
【0047】
群が本明細書に記載の式中に2回以上存在する場合、各基は、具体的に記載されているか否かにかかわらず、「独立して」選択される。例えば、式中に複数のR基が存在する場合、各R基は、独立して選択される。例えば、式中の整数を指定するために複数のyが式中で使用される場合、各yは、独立して、記載された整数値範囲から選択される。
【0048】
本明細書全体を通して、「一実施形態」、「ある実施形態」、「特定の実施形態」、又は「いくつかの実施形態」などへの言及は、実施形態に関連して説明される特定の特徴、構成、組成、又は特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体を通して様々な箇所でそのような語句が出現しても、必ずしも本発明の同じ実施形態を参照しているわけではない。更に、特定の特徴、構成、組成、又は特性は、1つ以上の実施形態では、任意の好適な様式で組み合わされ得る。
【0049】
本開示の上記の概要は、本発明の開示された各実施形態又は全ての実装形態を説明することを意図していない。以下の説明は、例示的な実施形態をより具体的に例示する。本出願全体のいくつかの箇所において、実施例のリストを通してガイダンスが提供され、それらの実施例は、様々な組み合わせで使用され得る。各例において、列挙されたリストは代表的な群としてのみ機能し、排他的なリストとして解釈されるべきではない。したがって、本開示の範囲は、本明細書で説明される特定の例示的な構造に限定されるべきではなく、むしろ、少なくとも、特許請求の範囲の文言によって説明される構造、及びそれらの構造の均等物に及ぶ。本明細書において代替として明確に列挙されている要素のうちのいずれかは、必要に応じて任意の組み合わせで、特許請求の範囲に明示的に含まれてもよく、又は特許請求の範囲から除外されてもよい。本明細書では様々な理論及び可能な機構について説明してきたが、いかなる場合でも、そのような議論が特許請求可能な主題を限定する役割を果たすべきではない。
【発明を実施するための形態】
【0050】
IRM化合物
本開示は、以下の式(I)の化合物(又はその塩)を提供する。
【0051】
【0052】
式(I)の特定の実施形態では、nは、0又は1の整数である。式(I)の特定の実施形態では、nは、0である。
【0053】
式(I)の特定の実施形態では、Rは、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキル、アルコキシ、及び-C(O)-O-アルキルからなる群から選択される。式(I)の特定の実施形態では、Rは、ハロゲン、ヒドロキシル、-(C1-C7)アルキル、-(C1-C7)アルコキシ、及び-C(O)-O-(C1-C5)アルキルからなる群から選択される。式(I)の特定の実施形態では、Rは、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキル、及びアルコキシからなる群から選択される。式(I)の特定の実施形態では、Rは、ヒドロキシル、F、及びClからなる群から選択される。式(I)の特定の実施形態では、Rは、F及びClからなる群から選択される。
【0054】
式(I)の特定の実施形態では、R1は、-(C1-C3)アルキレン-O-(C1-C3)アルキルである。式(I)の特定の実施形態では、R1は、-CH2OCH3又は-CH2OCH2CH3である。式(I)の特定の実施形態では、R1は、-CH2OCH2CH3である。
【0055】
式(I)の特定の実施形態では、R2は、-(C2-C18)アルキレン基であり、任意選択的に、1つ以上のカテナリ非過酸化-O-原子を含む。式(I)の特定の実施形態では、R2は、-(C2-C12)アルキレン基であり、任意選択的に、1つ以上のカテナリ非過酸化-O-原子を含む。式(I)の特定の実施形態では、R2は、-(C2-C10)アルキレン基であり、任意選択的に、1つ以上のカテナリ非過酸化-O-原子を含む。式(I)の特定の実施形態では、R2は、-(C2-C8)アルキレン基であり、任意選択的に、1つ以上のカテナリ非過酸化-O-原子を含む。式(I)の特定の実施形態では、R2は、-(C2-C6)アルキレン基であり、任意選択的に、1つ以上のカテナリ非過酸化-O-原子を含む。式(I)の特定の実施形態では、R2は、-(C2-C3)アルキレン基であり、任意選択的に、1個のカテナリ-O-原子を含む。式(I)の特定の実施形態では、R2は、-CH2CH2-、-CH2CH2-O-CH2-、又は-(CH2CH2-O)x-CH2-であり、式中、xは、1~8の整数である。式(I)の特定の実施形態では、R2は、-CH2CH2-である。
【0056】
式(I)(又はその塩)の特定の実施形態では、化合物は、式(I-A)(又はその塩)の以下のエナンチオマーであり、
【0057】
【化8】
式中、n、R、R1、及びR2は、式(I)について記載されているとおりである。
【0058】
本開示は、以下の式(II)の化合物(又はその塩)を提供する。
【0059】
【0060】
式(II)の開示において、n、R、R1、及びR2は、式(I)について本明細書に記載されているとおりである。
【0061】
式(II)の特定の実施形態では、nは、0又は1の整数である。Rは、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキル、アルコキシ、及び-C(O)-O-アルキルからなる群から選択され、R1は、-(C1-C3)アルキレン-O-(C1-C3)アルキルであり、R2は、-(C2-C18)アルケニレン基であり、任意選択的に、1つ以上のカテナリ非過酸化-O-原子を含み、R3は、アルキル、アリール、及びアラルキルからなる群から選択され、アルキル又はアラルキルのアルキル部分が、任意選択的に、1つ以上のカテナリ非過酸化-O-原子を含み、アルキル又はアラルキルのアルキル部分が、任意選択的に、アミン(-NH2)、カルボキシル(-C(O)OH)、ヒドロキシル(-OH)、及びチオール(-SH)からなる群から選択される官能基で置換され、アリール又はアラルキルのアリール部分が、任意選択的に、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキル、アルコキシ、又はそれらの組み合わせで置換される。
【0062】
式(II)の特定の実施形態では、R3は、-(C1~C10)アルキル、-(C6~C20)アリール、及び-(C6~C20)アル-(C1~C10)アルキルからなる群から選択され、式中、アルキル又はアラルキルのアルキル部分は、任意選択的に、1つ以上のカテナリ非過酸化-O-原子を含み、アルキル又はアラルキルのアルキル部分は、任意選択的に、アミン、カルボキシル、ヒドロキシル、及びチオールからなる群から選択される官能基で置換され、アリール又はアラルキルのアリール部分は、任意選択的に、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキル、アルコキシ、又はそれらの組み合わせで置換される。
【0063】
式(II)の特定の実施形態では、R3は、-(C1-C8)アルキル、-(C6-C18)アリール、及び-(C6-C18)アル-(C1-C8)アルキルからなる群から選択され、式中、アルキル又はアラルキルのアルキル部分は、任意選択的に、1つ以上のカテナリ非過酸化-O-原子を含み、アルキル又はアラルキルのアルキル部分は、任意選択的に、アミン、カルボキシル、ヒドロキシル、及びチオールからなる群から選択される官能基で置換され、アリール又はアラルキルのアリール部分は、任意選択的に、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキル、アルコキシ、又はそれらの組み合わせで置換される。
【0064】
式(II)の特定の実施形態では、R3は、-(C1-C6)アルキル、-(C6-C16)アリール、及び-(C6-C16)アル-(C1-C6)アルキルからなる群から選択され、式中、アルキル又はアラルキルのアルキル部分は、任意選択的に、1つ以上のカテナリ非過酸化-O-原子を含み、アルキル又はアラルキルのアルキル部分は、任意選択的に、アミン、カルボキシル、ヒドロキシル、及びチオールからなる群から選択される官能基で置換され、アリール又はアラルキルのアリール部分は、任意選択的に、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキル、アルコキシ、又はそれらの組み合わせで置換される。
【0065】
式(II)の特定の実施形態では、R3は、-(C1-C3)アルキル、-(C6-C12)アリール、及び-(C6-C12)アル-(C1-C3)アルキルからなる群から選択され、式中、アルキル又はアラルキルのアルキル部分は、任意選択的に、1つ以上のカテナリ非過酸化-O-原子を含む。アルキル又はアラルキルのアルキル部分は、任意選択的に、アミン、カルボキシル、ヒドロキシル、及びチオールからなる群から選択される官能基で置換され、アリール又はアラルキルのアリール部分は、任意選択的に、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキル、アルコキシ、又はそれらの組み合わせで置換される。
【0066】
式(II)の特定の実施形態では、R3は、
【0067】
【化10】
であり、
式中、アルキル部分は、任意選択的に、1つ以上のカテナリ非過酸化-O-原子を含み、アルキル部分は、任意選択的に、アミン、カルボキシル、ヒドロキシル、及びチオールからなる群から選択される官能基で置換され、アリール部分は、任意選択的に、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキル、アルコキシ、又はそれらの組み合わせで置換される。
【0068】
式(II)の特定の実施形態では、R3は、フェニル基又はベンジル基である。
【0069】
式(II)(又はその塩)の特定の実施形態では、化合物は、式(II-A)(又はその塩)のエナンチオマーであり、
【0070】
【化11】
式中、n、R、R1、R2、及びR3は、式(II)について記載されているとおりである。
【0071】
本開示は、以下の式(III)の化合物(又はその塩)を提供する。
【0072】
【0073】
式(III)の開示において、n、R、R1、及びR2は、式(I)について本明細書に記載されているとおりであり、R4は、
【0074】
【化13】
からなる群から選択されるトリアゾール環であり、
式中、「
*」は、R2に結合した共有結合を示し、「
**」は、L1に結合した共有結合を示す。
【0075】
式(III)の特定の実施形態では、L1は、アルキレン基であり、任意選択的に、1つ以上のカテナリ非過酸化-O-原子、アミン基(-NH-)、エステル基、アミド基(-NH-C(O)-)、ジスルフィド基(-S-S-)、カルボニル基(-C(O)-)、カーボネート基(-O-C(O)-O-)、カルバメート基(-O-C(O)-NH-)、又はそれらの組み合わせを含む。
【0076】
式(III)の特定の実施形態では、mは、0又は1の整数である。
【0077】
式(III)の特定の実施形態では、mは、1である。
【0078】
式(III)の特定の実施形態では、L1は、-(C1~C100)アルキレン基であり、任意選択的に、1つ以上のカテナリ非過酸化-O-原子、アミン基、エステル基、アミド基、ジスルフィド基、カルボニル基、カーボネート基、カルバメート基、又はそれらの組み合わせを含む。式(III)の特定の実施形態では、L1は、-CH2-CH2-O-部分、-C(O)O-部分、-C(O)-部分、-OC(O)O-部分、-NH-C(O)-部分、-S-S-部分、又はそれらの組み合わせを含む、-(C1~C100)アルキレン基である。
【0079】
式(III)の特定の実施形態では、L1は、-(CH2)y-;-(CH2CH2O)y-CH2-;-(CH2CH2O)y-CH2CH2-;-CH2CH2-S-S-CH2CH2-;
-(CH2CH2O)y-CH2CH2-NH-C(O)-CH2CH2-;-(CH2CH2O)y-CH2(CH2)y-NH-C(O)-CH2CH2-;
-(CH2CH2O)y-CH2(CH2)y-NH-C(O)-CH2(CH2)y-;
-(CH2)y-(CH2CH2O)y-CH2CH2-NH-C(O)-CH2CH2-;
-(CH2)y-(CH2CH2O)y-CH2(CH2)y-NH-C(O)-CH2CH2-;
-(CH2)y-(CH2CH2O)y-CH2(CH2)y-NH-C(O)-CH2(CH2)y-;
-(CH2)y-O-(CH2)y-;-(CH2)y-(OCH2CH2)y-O(CH2)y-;
-(CH2)y-(OCH2CH2)y-;-CH2(CH2)y-S-S-CH2(CH2)y-;-CH2OCH2(CH2)y-S-S-CH2(CH2)y-;
-(CH2CH2O)y-CH2CH2-S-S-CH2(CH2)y-;-(CH2CH2O)y-CH2CH2-S-S-CH2(CH2)y-;
-(CH2CH2O)y-CH2(CH2)y-S-S-CH2(CH2)y-;-(CH2)y-(CH2CH2O)y-CH2CH2-S-S-CH2(CH2)y-;
-(CH2)y-(CH2CH2O)y-CH2(CH2)y-S-S-CH2(CH2)y-からなる群から選択され、式中、各yは、独立して、1~36の整数として選択される。
【0080】
式(III)の特定の実施形態では、L1は、-(CH2)y-;-(CH2CH2O)y-CH2-;-(CH2CH2O)y-CH2CH2-;-CH2CH2-S-S-CH2CH2-;及び
-(CH2CH2O)y-CH2CH2-NH-C(O)-CH2CH2-からなる群から選択され、式中、各yは、独立して、1~36の整数として選択される。
【0081】
式(III)の特定の実施形態では、L1は、-CH2OCH2-;-CH2OCH2CH2-;-CH2CH2OCH2CH2-;-(CH2)y-;-CH2(OCH2CH2)y-OCH2-;
-CH2(OCH2CH2)y-OCH2CH2-;-CH2CH2-S-S-CH2CH2-;及び-CH2OCH2CH2-S-S-CH2CH2-からなる群から選択され、式中、各yは、独立して、1~36の整数として選択される。
【0082】
式(III)の特定の実施形態では、L1は、-(CH2)y-O-(CH2)y-;-(CH2)y-;-(CH2)y-(OCH2CH2)y-O(CH2)y-;-(CH2)y-(OCH2CH2)y-;
-CH2(CH2)y-S-S-CH2(CH2)y-;及び-CH2OCH2(CH2)y-S-S-CH2(CH2)y-からなる群から選択され、式中、各yは、独立して、1~36の整数として選択される。
【0083】
式(III)の特定の実施形態では、L1は、-C(O)CH2CH2-;-C(O)CH2CH2C(O)NHCH2CH2(OCH2CH2)y-;-C(O)CH2CH2NHC(O)CH2CH2-;及び-C(O)CH2CH2O(CH2CH2O)yCH2CH2NHC(O)CH2CH2-からなる群から選択され、式中、各yは、独立して、1~36の整数として選択される。
【0084】
式(III)の特定の実施形態では、L1は、-C(O)(CH2)y-;-C(O)CH2(CH2)y-;-C(O)CH2(CH2)yC(O)NHCH2CH2(OCH2CH2)y-;
-C(O)CH2(CH2)yNHC(O)CH2(CH2)y-;及び
-C(O)CH2CH2O(CH2CH2O)yCH2(CH2)yNHC(O)CH2(CH2)y-からなる群から選択され、式中、各yは、独立して、1~36の整数として選択される。
【0085】
式(III)の特定の実施形態では、L1は、-C(O)CH2CH2(OCH2CH2)y-;及び-C(O)NHCH2CH2CH2CH2-からなる群から選択され、式中、yは、1~36の整数である。
【0086】
式(III)の特定の実施形態では、L1は、-C(O)CH2(CH2)y(OCH2CH2)y-;-C(O)CH2(CH2)y(OCH2CH2)yO(CH2)y-;-C(O)NHCH2(CH2)y-;
-C(O)NHCH2(CH2)y(OCH2CH2)y-;及び-C(O)NHCH2(CH2)y(OCH2CH2)yO(CH2)y-からなる群から選択され、式中、各yは、独立して、1~36の整数として選択される。
【0087】
式(III)の特定の実施形態では、各yは、独立して、1~20又は2~20の整数として選択される。式(III)の特定の実施形態では、各yは、独立して、1~15又は2~15の整数として選択される。式(III)の特定の実施形態では、各yは、独立して、1~12又は2~12の整数として選択される。式(III)の特定の実施形態では、各yは、独立して、1~10又は2~10の整数として選択される。式(III)の特定の実施形態では、各yは、独立して、1~8又は2~8の整数として選択される。
【0088】
式(III)の特定の実施形態では、Qは、ポリマー部分又は第2の活性部分に結合するための官能基である。式(III)の特定の実施形態では、Qは、活性化カルボン酸エステル又は活性化炭酸エステル、アミン(-NH2)、アミノオキシ(-O-NH2)、カルボン酸(-C(O)OH)、アシルヒドラジド(-C(O)-NHNH2)、ヒドロキシル(-OH)、アルデヒド(-C(O)H)、又はマレイミド
【0089】
【0090】
この文脈では、「活性化された」とは、カルボン酸又は炭酸が、求核攻撃を特に受けやすくするように修飾されていることを意味する。活性化カルボン酸エステルに関して、カルボン酸エステルのアルコール構成成分上の有機部分は、多くの場合、電子求引性であり、その結果、エステルのカルボニル炭素は、向上した求電子特性を有する。一実施形態では、活性化カルボン酸エステルは、求核性アミン化合物と反応して、カルボン酸アミドを形成しやすいカルボン酸エステルである。
【0091】
式(III)の特定の実施形態では、Qは、アミン(-NH2)、アミノオキシ(-O-NH2)、カルボン酸(-C(O)OH)、アシルヒドラジド(-C(O)-NHNH2)、ヒドロキシル(-OH)、アルデヒド(-C(O)H)、
N-ヒドロキシスクシンイミドエステル
【0092】
【0093】
【0094】
【0095】
【0096】
式(III)の特定の実施形態では、式(III)の-トリアゾール環-(L1)m-Qパートは、式(I)又は(I-A)の化合物を、アルキニル部分、アルキニル部分に共有結合した様々な長さ及び組成の有機架橋、及び有機架橋に共有結合した官能基Qを含むヘテロ二官能性架橋化合物(すなわち、一般式アルキニル部分-有機架橋-Qを有するヘテロ二官能性架橋化合物)と反応させることによって生じる環化付加反応から誘導される。式(I)又は(I-A)のアジド部分は、ヘテロ二官能性架橋化合物のアルキニル部分と反応してトリアゾール環を形成する。アルキニル部分(moiety)は、有機架橋部分(portion)に直接結合していてもよいか、又は有機架橋に結合している環若しくは環系のパートであってもよい。特定の実施形態では、ヘテロ二官能性架橋化合物中の官能基Qは、活性化カルボン酸エステル若しくは活性化炭酸エステル、アミン(-NH2)、アミノオキシ(-O-NH2)、カルボン酸(-C(O)OH)、アシルヒドラジド(-C(O)-NHNH2)、ヒドロキシル(-OH)、アルデヒド(-C(O)H)、又はマレイミドである。特定の実施形態では、ヘテロ二官能性架橋化合物中の官能基Qは、N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、ペンタフルオロフェニルエステル、カルボン酸、アミン、アミノオキシ、ヒドラジド、マレイミド、ヒドロキシル、又はアルデヒドである。
【0097】
特定の実施形態では、式(III)の化合物又は塩は、式(I)又は(I-A)の化合物と、以下からなる群から選択されるヘテロ二官能性架橋化合物:
【0098】
【化19】
2-O-プロパルギル-2-ヒドロキシ酢酸NHS(N-ヒドロキシスクシンイミド)エステル;
【0099】
【化20】
3-O-プロパルギル-3-ヒドロキシプロピオン酸-NHSエステル;
【0100】
【化21】
プロパルギル-PEG
y-2-ヒドロキシ酢酸-NHSエステル;
【0101】
【化22】
プロパルギル-PEG
y-3-ヒドロキシプロピオン酸-NHSエステル;
【0102】
【化23】
2-O-プロパルギル-2-ヒドロキシ酢酸ペンタフルオロフェニル(PFP)エステル;
【0103】
【化24】
プロパルギル-PEG
y-2-ヒドロキシ酢酸ペンタフルオロフェニルエステル;
【0104】
【化25】
2-O-プロパルギル-2-ヒドロキシ酢酸;
【0105】
【化26】
プロパルギル-PEG
y-2-ヒドロキシ酢酸;
【0106】
【化27】
3-O-プロパルギル-3-ヒドロキシプロピオン酸;
【0107】
【化28】
プロパルギル-PEG
y-3-ヒドロキシプロピオン酸;
【0108】
【0109】
【化30】
プロパルギル-PEG
y-オキシアミン;
【0110】
【化31】
プロパルギル-PEG
y-3-ヒドロキシプロピオン酸ヒドラジド;
【0111】
【化32】
プロパルギル-PEG
y-3-ヒドロキシエチルマレイミド;
【0112】
【0113】
【化34】
プロパルギル-PEG
y-2-ヒドロキシアセトアルデヒド;
【0114】
【化35】
プロパルギル-OCH
2CH
2-SS-プロピオン酸-NHSエステル;
【0115】
【化36】
プロパルギル-OCH
2CH
2-SS-プロピオン酸ペンタフルオロフェニルエステル;
【0116】
【化37】
プロパルギル-OCH
2CH
2-SS-プロピオン酸;
【0117】
【化38】
プロパルギル-OCH
2CH
2-SS-エタノール;
【0118】
【化39】
プロパルギル-OCH
2CH
2-SS-エチルアミン;
【0119】
【0120】
【化41】
プロパルギル-PEG
y-3-ヒドロキシプロピオン酸ヒドラジド;
【0121】
【化42】
プロパルギル-PEG
y-2-ヒドロキシアセトアルデヒド;
【0122】
【化43】
エンド-BCN-p-ニトロフェニルカーボネート;
【0123】
【化44】
エンド-BCN-PEG
y-3-ヒドロキシプロピオン酸-NHSエステル;
【0124】
【化45】
エンド-BCN-PEG
y-3-ヒドロキシプロピオン酸ペンタフルオロフェニルエステル;
【0125】
【0126】
【化47】
エンド-BCN-PEG
y-3-ヒドロキシプロピオン酸;
【0127】
【化48】
エンド-BCN-PEG
y-アルコール;
【0128】
【0129】
【0130】
【0131】
【化52】
DBCO-コハク酸-NHCH
2CH
2-PEG
y-3-ヒドロキシプロピオン酸-NHSエステル;
【0132】
【化53】
DBCO-コハク酸-NHCH
2CH
2-PEG
y-3-ヒドロキシプロピオン酸ペンタフルオロフェニルエステル;
【0133】
【化54】
DBCO-コハク酸-NHCH
2CH
2-PEG
y-3-ヒドロキシプロピオン酸;
【0134】
【化55】
DBCO-コハク酸-NHCH
2CH
2-PEG
y-アミン;
【0135】
【化56】
DBCO-コハク酸-NHCH
2CH
2-PEG
y-アルコール;
【0136】
【0137】
【化58】
DBCO-NHCOCH
2CH
2-PEG
y-3-ヒドロキシプロピオン酸-NHSエステル;
【0138】
【化59】
DBCO-NHCOCH
2CH
2-PEG
y-3-ヒドロキシプロピオン酸;
【0139】
【化60】
DBCO-NHCOCH
2CH
2-PEG
y-アミン;
【0140】
【化61】
DBCO-NHCOCH
2CH
2-PEG
y-アルコール;
【0141】
【0142】
【0143】
【化64】
DBCO-NHCOCH
2CH
2-PEG
y-アルコールとの反応から調製され得、
式中、yは、1~36の整数である。
【0144】
特定の実施形態では、式(III)の化合物又は塩は、式(I)又は(I-A)の化合物と、以下からなる群から選択されるヘテロ二官能性架橋化合物との反応から調製され得る:
【0145】
【化65】
プロパルギル-PEG
y-2-ヒドロキシ酢酸-NHSエステル(y=3又は4);
【0146】
【化66】
プロパルギル-PEG
y-3-ヒドロキシプロピオン酸-NHSエステル(y=2、3、4、5、6、又は7);
【0147】
【化67】
プロパルギル-PEG
y-2-ヒドロキシ酢酸(y=3又は4);
【0148】
【化68】
プロパルギル-PEG
y-3-ヒドロキシプロピオン酸(y=1、2、3、4、5、6、7、9、12、又は13);
【0149】
【化69】
プロパルギル-PEG
y-アミン(y=2、3、4、5、6、8、9、10、12、又は14);
【0150】
【化70】
プロパルギル-PEG
y-オキシアミン(y=1、3、又は4);
【0151】
【化71】
プロパルギル-PEG
y-3-ヒドロキシエチルマレイミド(y=3);
【0152】
【化72】
プロパルギル-PEG
y-アルコール(y=1、2、3、4、5、6、7、8、9、12、13、又は17);
【0153】
【化73】
アルキン酸(y=10、12、又は14);
【0154】
【化74】
エンド-BCN-PEG
y-3-ヒドロキシプロピオン酸-NHSエステル(y=1、2、3、7、又は11);
【0155】
【化75】
エンド-BCN-PEG
y-3-ヒドロキシプロピオン酸ペンタフルオロフェニルエステル(y=1又は3);
【0156】
【化76】
エンド-BCN-PEG
y-3-ヒドロキシプロピオン酸(y=1、2、3、7、又は11);
【0157】
【化77】
エンド-BCN-PEG
y-アルコール(y=2);
【0158】
【化78】
エンド-BCN-PEG
y-アミン(y=4);
【0159】
【化79】
DBCO-コハク酸-NHCH
2CH
2-PEG
y-3-ヒドロキシプロピオン酸-NHSエステル(y=0、3、4、又は11);
【0160】
【化80】
DBCO-コハク酸-NHCH
2CH
2-PEG
y-3-ヒドロキシプロピオン酸ペンタフルオロフェニルエステル(y=1、3、又は7);
【0161】
【化81】
DBCO-コハク酸-NHCH
2CH
2-PEG
y-3-ヒドロキシプロピオン酸(y=0、1、3、4、7、又は11);
【0162】
【化82】
DBCO-コハク酸-NHCH
2CH
2-PEG
y-アミン(y=1、2、4、6、9、又は23);
【0163】
【化83】
DBCO-コハク酸-NHCH
2CH
2-PEG
y-アルコール(y=0、3、又は7);
【0164】
【化84】
DBCO-NHCOCH
2CH
2-PEG
y-3-ヒドロキシプロピオン酸-NHSエステル(y=3、4、又は12);
【0165】
【化85】
DBCO-NHCOCH
2CH
2-PEG
y-3-ヒドロキシプロピオン酸(y=3、4、又は12);
【0166】
【化86】
DBCO-NHCOCH
2CH
2-PEG
y-アミン(y=4);及び
【0167】
【化87】
DBCO-PEG
y-マレイミド(y=3)。
【0168】
式(III)(又はその塩)の特定の実施形態では、化合物は、式(III-A)(又はその塩)のエナンチオマーであり、
【0169】
【化88】
式中、n、m、R、R1、R2、R4、L1、及びQは、式(III)について記載されているとおりである。
【0170】
本開示は、以下の式(III-B)及び(III-C)の化合物(又はその塩)を提供する。
【0171】
【0172】
式(III-B)及び式(III-C)の開示において、n、m、R、R1、R2、L1、及びQは、式(III)について本明細書に記載されているとおりである。式(III-C)は、式(III-B)(又はその塩)のエナンチオマーである。
【0173】
式(III-B)及び式(III-C)の特定の実施形態では、L1は、-CH2OCH2-;-CH2OCH2CH2-;-CH2CH2OCH2CH2-;-(CH2)y-;
-CH2(OCH2CH2)y-OCH2-;-CH2(OCH2CH2)y-OCH2CH2-;-CH2CH2-S-S-CH2CH2-;及び
-CH2OCH2CH2-S-S-CH2CH2-からなる群から選択され、式中、各yは、独立して、1~36の整数として選択される。
【0174】
式(III-B)及び式(III-C)の特定の実施形態では、L1は、-(CH2)y-O-(CH2)y-;-(CH2)y-;-(CH2)y-(OCH2CH2)y-O(CH2)y-;
-(CH2)y(OCH2CH2)y-;-CH2(CH2)y-S-S-CH2(CH2)y-;及び-CH2OCH2(CH2)y-S-S-CH2(CH2)y-からなる群から選択され、
式中、各yは、独立して、1~36の整数として選択される。
【0175】
本開示は、以下の式(III-D)及び(III-E)の化合物(又はその塩)を提供する。
【0176】
【0177】
式(III-D)及び式(III-E)の開示において、n、m、R、R1、R2、L1及びQは、式(III)について本明細書に記載されているとおりである。式(III-E)は、式(III-D)(又はその塩)のエナンチオマーである。
【0178】
式(III-D)及び式(III-E)の特定の実施形態では、L1は、-C(O)CH2CH2-;-C(O)CH2CH2C(O)NHCH2CH2(OCH2CH2)y-;
-C(O)CH2CH2NHC(O)CH2CH2-;及び-C(O)CH2CH2O(CH2CH2O)yCH2CH2NHC(O)CH2CH2-からなる群から選択され、
式中、各yは、独立して、1~36の整数として選択される。
【0179】
式(III-D)及び式(III-E)の特定の実施形態では、L1は、-C(O)(CH2)y-;-C(O)CH2(CH2)y-;
-C(O)CH2(CH2)yC(O)NHCH2CH2(OCH2CH2)y-;-C(O)CH2(CH2)yNHC(O)CH2(CH2)y-;及び
-C(O)CH2CH2O(CH2CH2O)yCH2(CH2)yNHC(O)CH2(CH2)y-からなる群から選択され、式中、各yは、独立して、1~36の整数として選択される。
【0180】
本開示は、以下の式(III-F)及び(III-G)の化合物(又はその塩)を提供する。
【0181】
【0182】
式(III-F)及び式(III-G)の開示において、n、m、R、R1、R2、L1及びQは、式(III)について本明細書に記載されているとおりである。式(III-G)は、式III-F(又はその塩)のエナンチオマーである。
【0183】
式(III-F)及び式(III-G)の特定の実施形態では、L1は、-C(O)CH2CH2(OCH2CH2)y-;及び-C(O)NHCH2CH2CH2CH2-からなる群から選択され、式中、yは、1~36の整数である。
【0184】
式(III-F)及び式(III-G)の特定の実施形態では、L1は、-C(O)CH2(CH2)y(OCH2CH2)y-;
-C(O)CH2(CH2)y(OCH2CH2)yO(CH2)y-;-C(O)NHCH2(CH2)y-;-C(O)NHCH2(CH2)y(OCH2CH2)y-;及び-C(O)NHCH2(CH2)y(OCH2CH2)yO(CH2)y-からなる群から選択され、式中、各yは、独立して、1~36の整数として選択される。
【0185】
IRM化合物の調製
本開示の化合物は、特に本明細書に含まれる説明に照らして、化学分野で周知のものと類似のプロセスを含む合成経路によって合成することができる。
【0186】
本開示の化合物は、例えば、反応スキームI、II、III、IV、V、及びVIに従って調製することができ、式中、R、R1、R2、R3、L1、Q、m、及びnは、上記のとおりである。反応スキームIのステップ(1)において、式(V)の(S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-3-(4-tert-ブトキシフェニル)プロパン酸(チロシンのジ保護バージョン)を、クロロギ酸イソブチル及びN-メチルモルホリンと反応させ、続いて、ステップ(2)において、水素化ホウ素ナトリウムと反応させて、式(VI)のアルコールを得ることができる。ステップ(3)における式(VI)のアルコールの、例えば、硫酸ジアルキル又はハロゲン化アルキルなどのアルキル化剤によるアルキル化により、式(VII)のアルキルエーテルが得られる。反応スキームIのステップ(4)において、エタノール中の濃塩酸を使用して、加熱しながら、式(VII)の化合物から保護基を除去して、式(VIII)の化合物を得ることができる。式(VII)及び(VIII)において、「C1-3アルキル」は、-CH3、-CH2CH3、-CH2CH2CH3、及び-CH(CH3)2を含む。
【0187】
反応スキームI
【0188】
【化92】
反応スキームIIにおいて、式(IX)の4-クロロ-3-ニトロキノリンをステップ(5)で式(VIII)の化合物と反応させて、式(X)の3-ニトロキノリン-4-アミンを得る。反応は、トリエチルアミンなどの三級アミンの存在下で、ジクロロメタンなどの好適な溶媒中の式(IX)の溶液に式(VIII)のアミンを添加することによって行うことができる。式(IX)の4-クロロ-3-ニトロキノリン化合物及び置換類似体は、既知の化合物である(例えば、米国特許第3,700,674号(Diehl et al.)、同第5,389,640号(Gerster et al.)、同第6,110,929号(Gerster et al.)、同第7,923,560号(Wightmanら)、及びそれらに引用されている参考文献を参照されたい)。多くの場合、式(IX)の置換類似体(例えば、n=1であり、Rがハロゲン、アルコキシ、又はベンジルオキシ基である)は、市販の置換アニリンから出発して調製することができる。
【0189】
反応スキームIIのステップ(6)において、式(X)のニトロ基をアミノ基に還元することができる。還元は、水素、触媒量のパラジウム又は白金担持炭素、及びメタノール、アセトニトリル、トルエン、又はそれらの組み合わせなどの溶媒を使用して耐圧瓶中で行うことができる。反応は、Parr装置を用いて行うことができる。あるいは、所望の還元は、二相ジクロロメタン-水溶媒系中で亜ジチオン酸ナトリウム及び触媒ジオクチルビオロゲンを使用して達成することができる。
【0190】
反応スキームIIのステップ(7)において、式(XI)の3,4-ジアミンをオルトギ酸トリエチルと反応させて、式(XII)の1H-イミダゾ[4,5-c]キノリンを得ることができる。反応は、酢酸プロピル又はトルエンなどの不活性溶媒中で行うことができる。任意選択的に、ピリジン塩酸塩などの触媒を含めてもよい。
【0191】
反応スキームIIのステップ(8)において、式(XII)のイミダゾキノリンのフェノキシ基は、従来の合成方法を使用して、式(XIII)のエーテルに変換することができる。例えば、式(XII)の化合物を、式LG-R2-O-PGの好適なアルキル化剤及び塩基(例えば、炭酸セシウム)と、不活性溶媒(例えば、N,N-ジメチルホルムアミド)中で反応させることができ、式中、LGは、脱離基であり、PGは、アルコール保護基であり、R2は、上で定義したとおりである。好適な脱離基としては、臭化物、ヨウ化物、メタンスルホニルオキシ及びp-トルエンスルホニルオキシが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、式(XII)の化合物を(2-ブロモエトキシ)(tert-ブチル)ジメチルシランでアルキル化して、式(XIII)の化合物を得ることができ、式中、R2が、-CH2-CH2-であり、PGが、tert-ブチルジメチルシリルである。
【0192】
反応スキームIIのステップ(9)において、式(XIII)の化合物上の保護基(PG)を、従来の方法を使用して除去して、式(XIV)の化合物を得ることができる。例えば、PGがtert-ブチルジメチルシリルである場合、テトラヒドロフランなどの溶媒中でフッ化テトラブチルアンモニウムなどのフッ化物源と反応させると、式(XIV)の脱保護アルコールが得られる。
【0193】
反応スキームIIのステップ(10)において、式(XIV)のアルコールは、スルホニルクロリドで処理することによってスルホン酸エステルに変換して、式(XV)の化合物を得ることができ、式中、Raは、アルキル、アリール、又はアラルキルである。好適なスルホニル化剤には、アルキルクロリド又はアリールスルホニルクロリド、例えば、ベンゼンスルホニルクロリド、メタンスルホニルクロリド、又はパラ-トルエンスルホニルクロリドが含まれる。反応は、トリエチルアミンなどの三級アミンの存在下で、ジクロロメタンなどの好適な溶媒中で行うことができる。
【0194】
反応スキームIIのステップ(11)において、式(XV)の化合物上のスルホン酸エステルをアジドで置換して、式(XVI)の化合物を得ることができる。反応は、N,N-ジメチルホルムアミドなどの溶媒中で、アジ化リチウム又はアジ化ナトリウムなどのアジド塩を使用して行うことができる。
【0195】
あるいは、式(XII)のイミダゾキノリンのフェノキシ基は、不活性溶媒(例えば、N,N-ジメチルホルムアミド)中で、式LG-R2-N3の好適なアルキル化剤及び塩基(例えば、炭酸セシウム)と反応させることによって、式(XVI)のエーテルに直接変換され得る。LGは、脱離基であり、R2は、上で定義したとおりである。好適な脱離基としては、臭化物、ヨウ化物、メタンスルホニルオキシ及びp-トルエンスルホニルオキシが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、式(XII)の化合物を、メタンスルホン酸2-(2-アジドエトキシ)エチルでアルキル化して、式(XVI)の化合物を得ることができ(式中、R2は、-CH2CH2OCH2CH2-である)、式(XII)の化合物を、1-アジド-2-(2-(2-ブロモエトキシ)エトキシ)エタンでアルキル化して、式(XVI)の化合物を得ることができ(式中、R2は、-CH2CH2OCH2CH2OCH2CH2-である)、式(XII)の化合物を、4-メチルベンゼンスルホン酸2-(2-(2-(2-アジドエトキシ)エトキシ)エトキシ)エチルでアルキル化して、式(XVI)の化合物を得ることができる(式中、R2は、CH2CH2OCH2CH2OCH2CH2OCH2CH2-である)。式LG-R2-N3のアルキル化剤は、市販されている(BroadPharm、San Diego,CA)。
【0196】
反応スキームIIのステップ(12)において、N-オキシドを形成することができる従来の酸化剤を使用して、式(XVI)の1H-イミダゾ[4,5-c]キノリンを酸化して、1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-5N-オキシドを得ることができる。好ましくは、クロロホルム又はジクロロメタンなどの好適な溶媒中の式(XVI)の化合物の溶液を、周囲温度で3-クロロ過安息香酸と反応させる。
【0197】
反応スキームIIのステップ(13)において、N-オキシド化合物をアミノ化して、式(XVII)の1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-4-アミンを得ることができる。ステップ(13)は、ジクロロメタン又はクロロホルムなどの不活性溶媒中で、N-オキシド化合物をスルホニル化剤及びアミノ化剤と反応させることを含む。好適なスルホニル化剤には、アルキルクロリド又はアリールスルホニルクロリド、例えば、ベンゼンスルホニルクロリド、メタンスルホニルクロリド、又はパラ-トルエンスルホニルクロリドが含まれる。水酸化アンモニウムは、好適なアミノ化剤である。式(XVII)は、式(I)の実施形態である。
【0198】
反応スキームII
【0199】
【化93】
反応スキームIIIにおいて、式(XVII)のアジド基を式(XVIII)のアルキンと反応させて、式(XIX)のトリアゾールを形成することができる。反応は、アスコルビン酸ナトリウムなどの還元剤の存在下で、臭化第一銅などの銅(I)塩によって、又は硫酸銅などの銅(II)塩によって触媒され得る。反応は、水溶液中で、又は反応混合物の均一性を高めるためにジメチルスルホキシド若しくはN,N-ジメチルホルムアミドなどの共溶媒を用いて行うことができる。例えば、式(XVII)の化合物をフェニルアセチレンと反応させて、式(XIX)の化合物を得ることができ、式中、R
3は、-Phである。他の好適なアルキンは、市販されているか、又は従来の合成方法を使用して調製され得る。式(XIX)は、式(II)の実施形態である。
【0200】
反応スキームIII
【0201】
【化94】
反応スキームIVにおいて、式(XVII)のアジド基を式(XX)のアルキンと反応させて、式(XXI)のトリアゾール環を形成することができる。反応は、アスコルビン酸ナトリウムなどの還元剤の存在下で、臭化第一銅などの銅(I)塩によって、又は硫酸銅などの銅(II)塩によって触媒され得る。反応は、水溶液中で、又は反応混合物の均一性を高めるためにジメチルスルホキシド若しくはN,N-ジメチルホルムアミドなどの共溶媒を用いて行うことができる。例として、式(XVII)の化合物を、3-O-プロパルギル3-ヒドロキシプロピオン酸N-スクシンイミジルエステルと反応させて、式(XXI)の化合物を得ることができ(式中、L1は、-CH
2OCH
2CH
2-であり、Qは、-C(O)O-スクシンイミジルである)、式(XVII)の化合物を、2-(2-(2-(プロパ-2-イン-1-イルオキシ)エトキシ)エトキシ)エタン-1-アミンと反応させて、式(XXI)の化合物を得ることができ(L1は、-CH
2OCH
2CH
2OCH
2CH
2OCH
2CH
2-であり、Qは、-NH
2である)、式(XVII)の化合物を、O-(2-(プロパ-2-イン-1-イルオキシ)エチル)ヒドロキシルアミンと反応させて、式(XXI)の化合物を得ることができる(式中、L1は、-CH
2OCH
2CH
2-であり、Qは、-O-NH
2である)。式(XXI)は、式(III-B)の実施形態である。
【0202】
反応スキームIV
【0203】
【化95】
反応スキームVにおいて、式(XVII)のアジド基を式(XXII)のジベンゾシクロオクチン(DBCO)と反応させて、式(XXIII)のトリアゾール環を形成することができる。反応は、水溶液中で、又は反応混合物の均一性を高めるためにジメチルスルホキシド若しくはN,N-ジメチルホルムアミドなどの共溶媒を用いて行うことができる。例として、式(XVII)の化合物を、DBCO-NHS(BroadPharm、San Diego,CA,カタログ番号BP-22231)と反応させて、式(XXIII)の化合物を得ることができ(式中、L1は、-C(O)CH
2CH
2-であり、Qは、-C(O)O-スクシンイミジルである)、式(XVII)の化合物を、DBCO-PEG1-NHSエステル(BroadPharm,カタログ番号BP-24018)と反応させて、式(XXIII)の化合物を得ることができ(式中、L1は、-C(O)CH
2CH
2C(O)NHCH
2CH
2OCH
2CH
2-であり、Qは、-C(O)O-スクシンイミジルである)、式(XVII)の化合物を、DBCO-アミン(BroadPharm、カタログ番号BP-22066)と反応させて、式(XXIII)の化合物を得ることができる(式中、L1は、-C(O)CH
2CH
2-であり、Qは、-NH
2である)。式(XXIII)は、式(III-D)の実施形態である。
【0204】
反応スキームV
【0205】
【化96】
反応スキームVIにおいて、式(XVII)のアジド基を、式(XXIV)のビシクロ[6.1.0]ノニン(BCN)と反応させて、式(XXV)のトリアゾール環を形成することができる。反応は、水溶液中で、又は反応混合物の均一性を高めるためにジメチルスルホキシド若しくはN,N-ジメチルホルムアミドなどの共溶媒を用いて行うことができる。例として、式(XVII)の化合物を、エンド-BCN-PEG2-NHSエステル(BroadPharm、San Diego,CA,カタログ番号BP-24081)と反応させて、式(XXV)の化合物を得ることができ(式中、L1は、-OC(O)NHCH
2CH
2OCH
2CH
2OCH
2CH
2-であり、Qは、-C(O)O-スクシンイミジルである)、式(XVII)の化合物を、エンド-BCN-PEG4-アミン(BroadPharm、カタログ番号BP-24459)と反応させて、式(XXV)の化合物を得ることができ(例えば、L1は、-OC(O)NHCH
2CH
2OCH
2CH
2OCH
2CH
2OCH
2CH
2OCH
2CH
2-であり、Qは、-NH
2である)、式(XVII)の化合物を、エンド-BCN-PEG2-PFPエステル(BroadPharm,カタログ番号BP-21541,PFP=ペンタフルオロフェニル)と反応させて、式(XXV)の化合物を得ることができ(式中、L1は、-OC(O)NHCH
2CH
2OCH
2CH
2OCH
2CH
2-であり、Qは、-C(O)O-ペンタフルオロフェニルである)。式(XXV)は、式(III-F)の実施形態である。
【0206】
反応スキームVI
【0207】
【化97】
いくつかの実施形態では、式(XXI)、(XXIII)、及び(XXV)の化合物は、式(IV)のIRM含有共役体の前駆体、具体的には、式(IV-A)、(IV-C)、(IV-E)、及び(IV-G)のIRM含有共役体の前駆体である。化合物における官能基「Q」は、ポリマー又は第2の活性化合物上の相補的な反応性官能基と反応して、得られる式(IV)のIRM含有共役体において共有連結結合(covalent linking bond)を形成することができる。式(IV)における共有連結結合(すなわち、式(IV)におけるL2とZとの間の結合)は、エーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合、アミド結合、イミン結合、オキシム結合、ヒドラゾン結合、又はN-アシルヒドラゾン結合であり得る。
【0208】
本開示の化合物は、反応スキームI、II、III、IV、V、及びVIに従って調製することができ、式(V)の出発化合物は、(S)-3-アミノ-4-(4-ヒドロキシフェニル)ブタン酸及び(S)-4-アミノ-5-(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン酸の同様にジ保護バージョンで置換される。本開示の化合物は、式(V)の化合物のラセミバージョン、3-アミノ-4-(4-ヒドロキシフェニル)ブタン酸及び4-アミノ-5-(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン酸から出発して調製することもできる。
【0209】
本開示の化合物の調製において、中間体化合物の他の官能基を反応させながら、特定の官能基を保護することが必要であり得ることが当業者によって理解される。そのような保護の必要性は、特定の官能基の性質及び特定の反応ステップの条件に依存して変化するであろう。官能基を保護及び脱保護するための反応の概説は、P.G.M.Wuts,Greene’s Protective Groups in Organic Synthesis,John Wiley & Sons,20 New York,USA,2014に見出され得る。
【0210】
分離及び精製の従来の方法及び技術を使用して、本開示の組成物において使用されるIRM化合物を単離することができる。そのような技術としては、例えば、全てのタイプのクロマトグラフィ(高速液体クロマトグラフィ(high performance liquid chromatography、HPLC)、シリカゲルなどの一般的な吸着剤を使用するカラムクロマトグラフィ、及び薄層クロマトグラフィ)、再結晶、及び示差(すなわち、液体-液体)抽出技術が挙げられ得る。
【0211】
本開示の化合物又はその塩のエナンチオマー過剰率は、キラル固定相(chiral stationary phase、CSP)を有するカラムを用いるガスクロマトグラフィ又はHPLCなどの標準的な分析アッセイを使用して決定することができる。CSPを有する好適なカラムは、Chiral Technologies,Inc.(Westchester,PA)から入手可能である。
【0212】
エナンチオマー過剰率(ee%)は、式1に従って計算される。
【0213】
【0214】
エナンチオマー過剰率(ee%)は、キラルHPLCクロマトグラムから、式2に従って主エナンチオマーシグナル及び副エナンチオマーシグナルのピーク面積を比較することによって計算することができる。
【0215】
【0216】
IRM含有共役体
本開示は、以下の式(IV)(又はその塩)のIRM含有共役体(又はその塩)を提供する。
【0217】
【0218】
式(IV)の開示において、n、m、R、R1、R2、及びR4は、式(III)について本明細書に記載されているとおりである。
【0219】
式(IV)の特定の実施形態では、L2は、架橋基である。
【0220】
式(IV)の特定の実施形態では、Zは、ポリマー部分又は第2の活性部分である。
【0221】
式(IV)の特定の実施形態では、第2の活性部分は、抗原又はモノクローナル抗体である。
【0222】
式(IV)の特定の実施形態では、L2の有無にかかわらず、共役体の-(L2)m-Z部分は、任意選択的に、不安定な結合を含む。
【0223】
式(IV)(又はその塩)の特定の実施形態では、化合物は、式(IV-A)(又はその塩)のエナンチオマーであり、
【0224】
【化99】
式中、n、m、R、R1、R2、R4、L2、及びZは、式(IV)について記載されているとおりである。
【0225】
特定の実施形態では、IRM含有共役体は、式(IV)又は式(IV-A)(又はその塩)のものであり、式中、nは、0又は1の整数であり、Rは、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキル、アルコキシ、及び-C(O)-O-アルキルからなる群から選択され、R1は、-(C1-C3)アルキレン-O-(C1-C3)アルキルであり、R2は、-(C2-C18)アルケニレン基であり、任意選択的に、1つ以上のカテナリ非過酸化-O-原子を含み、L2は、架橋基であり、mは、0又は1の整数であり、Zは、ポリマー部分(moiety)又は第2の活性部分(moiety)であり、共役体の-(L2)m-Z部分(portion)は、L2の有無にかかわらず、任意選択的に、不安定な結合を含む。
【0226】
特定の実施形態では、IRM含有共役体は、式(IV)又は式(IV-A)(又はその塩)のものであり、式中、nは、0又は1の整数であり、Rは、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキル、アルコキシ、及び-C(O)-O-アルキルからなる群から選択され、R1は、-(C1-C3)アルキレン-O-(C1-C3)アルキルであり、R2は、-(C2-C18)アルケニレン基であり、任意選択的に、1つ以上のカテナリ非過酸化-O-原子を含み、L2は、架橋基であり、架橋基は、アルキレン基を含み、任意選択的に、1つ以上のカテナリ非過酸化-O-原子、エステル基、アミド基、アミン基、ジスルフィド基、カルボニル基(-C(O)-)、カーボネート基、カルバメート基、又はそれらの組み合わせを含み、mは、0又は1の整数であり、Zは、ポリマー部分(moiety)又は第2の活性部分(moiety)であり、共役体の-(L2)m-Z部分(portion)は、L2の有無にかかわらず、任意選択的に、不安定な結合を含む。
【0227】
式(IV)及び式(IV-A)の特定の実施形態では、架橋基は、アルキレン基を含み、任意選択的に、1つ以上のカテナリ非過酸化-O-原子を含む。式(IV)及び式(IV-A)の特定の実施形態では、架橋基は、アルキレン基を含み、任意選択的に、1つ以上のカテナリ非過酸化-O-原子、ジスルフィド基、又はそれらの組み合わせを含む。式(IV)及び式(IV-A)の特定の実施形態では、架橋基は、アルキレン基を含み、任意選択的に、1つ以上のカテナリ非過酸化-O-原子、アミン基、又はそれらの組み合わせを含む。式(IV)及び式(IV-A)の特定の実施形態では、架橋基は、アルキレン基を含み、任意選択的に、1つ以上のカテナリ非過酸化-O-原子、カルボニル基(-C(O)-)、又はそれらの組み合わせを含む。式(IV)及び式(IV-A)の特定の実施形態では、架橋基は、アルキレン基を含み、任意選択的に、1つ以上のカテナリ非過酸化-O-原子、アミド基、又はそれらの組み合わせを含む。
【0228】
本開示は、以下の式(IV-B)及び(IV-C)のIRM含有共役体(又はその塩)を提供する。
【0229】
【0230】
式(IV-B)及び式(IV-C)の開示において、n、m、R、R1、R2、L2、及びZは、式(IV)について本明細書に記載されているとおりである。式(IV-C)は、式(IV-B)(又はその塩)のエナンチオマーである。
【0231】
式(IV-B)及び式(IV-C)の特定の実施形態では、Zは、ポリマー部分又は第2の活性部分であり、L2は、架橋基である。
【0232】
式(IV-B)及び式(IV-C)の特定の実施形態では、架橋基は、-CH2OCH2C(O)-;-CH2OCH2CH2C(O)-;
-CH2CH2OCH2CH2C(O)-;-(CH2)yC(O)-;-CH2(OCH2CH2)y-OCH2C(O)-;-CH2(OCH2CH2)y-OCH2CH2C(O)-;-CH2CH2-S-S-CH2CH2C(O)-;-CH2OCH2CH2-S-S-CH2CH2C(O)-;
-CH2CH2-S-S-CH2CH2NH-;-CH2OCH2CH2-S-S-CH2CH2NH-;-CH2CH2-S-S-CH2CH2O-;
-CH2OCH2CH2-S-S-CH2CH2O-;-CH2(OCH2CH2)yO-;-CH2(OCH2CH2)yNH-;-(CH2)yO-;及び
-(CH2)yNH-からなる群から選択され、式中、各yは、独立して、1~36の整数として選択される。
【0233】
式(IV-B)及び式(IV-C)の特定の実施形態では、架橋基は、-(CH2)y-O-(CH2)yC(O)-;-(CH2)yC(O)-;
-(CH2)y-(OCH2CH2)y-O(CH2)yC(O)-;-(CH2)y-(OCH2CH2)yC(O)-;
-CH2(CH2)y-S-S-CH2(CH2)yC(O)-;-CH2OCH2(CH2)y-S-S-CH2(CH2)yC(O)-;
-CH2(CH2)y-S-S-CH2(CH2)yO-;-CH2OCH2(CH2)y-S-S-CH2(CH2)yO-;
-CH2(CH2)y-S-S-CH2(CH2)yNH-;-CH2OCH2(CH2)y-S-S-CH2(CH2)yNH-;
-(CH2)y-(OCH2CH2)yO-;及び-(CH2)y-(OCH2CH2)yNH-からなる群から選択され、式中、各yは、独立して、1~36の整数として選択される。
【0234】
本開示は、以下の式(IV-D)及び(IV-E)のIRM含有共役体(又はその塩)を提供する。
【0235】
【0236】
式(IV-D)及び式(IV-E)の開示において、n、m、R、R1、R2、L2、及びZは、式(IV)について本明細書に記載されているとおりである。式(IV-E)は、式(IV-D)(又はその塩)のエナンチオマーである。
【0237】
式(IV-D)及び式(IV-E)の特定の実施形態では、Zは、ポリマー部分又は第2の活性部分であり、L2は、架橋基である。
【0238】
式(IV-D)及び式(IV-E)の特定の実施形態では、架橋基は、C(O)CH2CH2C(O)-;
-C(O)CH2CH2C(O)NHCH2CH2(OCH2CH2)yC(O)-;-C(O)CH2CH2NHC(O)CH2CH2C(O)-;
-C(O)CH2CH2NHC(O)CH2CH2(OCH2CH2)yC(O)-;
-C(O)CH2CH2O(CH2CH2O)yCH2CH2NHC(O)CH2CH2C(O)-;
-C(O)CH2CH2C(O)NHCH2CH2(OCH2CH2)yO-;
-C(O)CH2CH2C(O)NHCH2CH2(OCH2CH2)yNH-;
-C(O)CH2CH2NHC(O)CH2CH2(OCH2CH2)yO-;及び
-C(O)CH2CH2NHC(O)CH2CH2(OCH2CH2)yNH-からなる群から選択され、式中、各yは、独立して、1~36の整数として選択される。
【0239】
式(IV-D)及び式(IV-E)の特定の実施形態では、架橋基は、-C(O)(CH2)yC(O)-;C(O)CH2(CH2)yC(O)-;
-C(O)CH2(CH2)yC(O)NHCH2CH2(OCH2CH2)yC(O)-;-C(O)CH2(CH2)yNHC(O)CH2(CH2)yC(O)-;
及び-C(O)CH2CH2O(CH2CH2O)yCH2(CH2)yNHC(O)CH2(CH2)yC(O)-からなる群から選択され、式中、各yは、独立して、1~36の整数として選択される。
【0240】
式(IV-D)及び式(IV-E)の特定の実施形態では、架橋基は、-C(O)(CH2)yO-;-C(O)CH2(CH2)yO-;
-C(O)CH2(CH2)yC(O)NHCH2CH2(OCH2CH2)yO-;
-C(O)CH2(CH2)yNHC(O)CH2CH2(OCH2CH2)yO-;-C(O)CH2(CH2)yNHC(O)CH2(CH2)yO-;及び
-C(O)CH2CH2O(CH2CH2O)yCH2(CH2)yNHC(O)CH2(CH2)yO-からなる群から選択され、式中、各yは、独立して、1~36の整数として選択される。
【0241】
式(IV-D)及び式(IV-E)の特定の実施形態では、架橋基は、-C(O)(CH2)yNH-;-C(O)CH2(CH2)yNH-;
-C(O)CH2(CH2)yC(O)NHCH2CH2(OCH2CH2)yNH-;
-C(O)CH2(CH2)yNHC(O)CH2CH2(OCH2CH2)yNH-;-C(O)CH2(CH2)yNHC(O)CH2(CH2)yNH-;及び
-C(O)CH2CH2O(CH2CH2O)yCH2(CH2)yNHC(O)CH2(CH2)yNH-からなる群から選択され、式中、各yは、独立して、1~36の整数として選択される。
【0242】
本開示は、以下の式(IV-F)及び(IV-G)のIRM含有共役体(又はその塩)を提供する。
【0243】
【0244】
式(IV-F)及び式(IV-G)の開示において、n、m、R、R1、R2、L2、及びZは、式(IV)について本明細書に記載されているとおりである。式(IV-G)は、式(IV-F)のエナンチオマー(又はその塩)である。
【0245】
式(IV-F)及び式(IV-G)の特定の実施形態では、Zは、ポリマー部分又は第2の活性部分であり、L2は、架橋基である。
【0246】
式(IV-F)及び式(IV-G)の特定の実施形態では、架橋基は、-C(O)CH2CH2(OCH2CH2)yC(O)-;
-C(O)CH2CH2(OCH2CH2)yO-;-C(O)CH2CH2(OCH2CH2)yNH-;
-C(O)NHCH2CH2(OCH2CH2)yC(O)-;-C(O)NHCH2CH2(OCH2CH2)yO-;
-C(O)NHCH2CH2(OCH2CH2)yNH-;-C(O)CH2CH2CH2CH2C(O)-;及び
-C(O)NHCH2CH2CH2CH2C(O)-からなる群から選択され、式中、各yは、独立して、1~36の整数として選択される。
【0247】
式(IV-F)及び式(IV-G)の特定の実施形態では、架橋基は、-C(O)CH2(CH2)yC(O)-;-C(O)CH2(CH2)yO-;
-C(O)CH2(CH2)yNH-;-C(O)CH2(CH2)y(OCH2CH2)yC(O)-;-C(O)CH2(CH2)y(OCH2CH2)yO-;
-C(O)CH2(CH2)y(OCH2CH2)yNH-;-C(O)CH2(CH2)y(OCH2CH2)yO(CH2)yC(O)-;
-C(O)CH2(CH2)y(OCH2CH2)yO(CH2)yO-;-C(O)CH2(CH2)y(OCH2CH2)yO(CH2)yNH-;
-C(O)NHCH2(CH2)yC(O)-;-C(O)NHCH2(CH2)yO-;-C(O)NHCH2(CH2)yNH-;
-C(O)NHCH2(CH2)y(OCH2CH2)yC(O)-;-C(O)NHCH2(CH2)y(OCH2CH2)yO-;
-C(O)NHCH2(CH2)y(OCH2CH2)yNH-;-C(O)NHCH2(CH2)y(OCH2CH2)yO(CH2)yC(O)-;
-C(O)NHCH2(CH2)y(OCH2CH2)yO(CH2)yO-;及び-C(O)NHCH2(CH2)y(OCH2CH2)yO(CH2)yNH-からなる群から選択され、
式中、各yは、独立して、1~36の整数として選択される。
【0248】
式(IV-B)、(IV-C)、(IV-D)、(IV-E)、(IV-F)、及び(IV-G)の特定の実施形態では、各yは、独立して、1~20又は2~20の整数として選択される。式(IV-B)、(IV-C)、(IV-D)、(IV-E)、(IV-F)、及び(IV-G)の特定の実施形態では、各yは、独立して、1~15又は2~15の整数として選択される。式(IV-B)、(IV-C)、(IV-D)、(IV-E)、(IV-F)、及び(IV-G)の特定の実施形態では、各yは、独立して、1~12又は2~12の整数として選択される。式(IV-B)、(IV-C)、(IV-D)、(IV-E)、(IV-F)、及び(IV-G)の特定の実施形態では、各yは、独立して、1~10又は2~10の整数として選択される。式(IV-B)、(IV-C)、(IV-D)、(IV-E)、(IV-F)、及び(IV-G)の特定の実施形態では、各yは、独立して、1~8又は2~8の整数として選択される。
【0249】
IRM含有共役体の架橋基
m=1の場合に存在するIRM含有共役体の「L2」は、ヘテロ二官能性架橋化合物から誘導される架橋基である。ヘテロ二官能性架橋化合物(すなわち、ヘテロ二官能性架橋剤)は、いずれかの末端に2つの異なる反応性基、並びに様々な長さ及び組成の有機架橋を含む。
【0250】
より具体的には、「架橋基」は、IRM化合物のアジド基(-N3)と反応してトリアゾールを形成し、ポリマー又は第2の活性化合物の反応性官能基(例えば、ヒドロキシル(-OH)、アミノ(-NH2)、アミド(-NHC(O))、カルボン酸、カルボン酸エステル(-OC(O))、アルデヒド(-CH(O))、又はチオール(-SH)基)と反応して第2の結合を形成する、ヘテロ二官能性架橋化合物から誘導される。
【0251】
いくつかの実施形態では、ヘテロ二官能性架橋化合物は、アルキン基(好ましくは末端アルキン基)及び第2の官能基を有する。アルキンを式(I)のアジド基と反応させて、式(III)の構造を得る。第2の官能基(「Q」)は、ポリマー又は第2の活性化合物上の反応性官能基と反応して、式(IV)の構造を与えることができるように選択される。式(IV)のIRM含有共役体のZ基を形成する構成成分上にしばしば見られる有用な官能基には、限定されないが、(-NH2);ヒドロキシル(-OH)、チオール(-SH);アルデヒド(-CHO)、カルボン酸、及びカルボン酸エステルが含まれ、これらは、それぞれアミン反応性基;ヒドロキシル反応性基、チオール反応性基;アルデヒド反応性基、カルボン酸反応性基、及びカルボン酸エステル反応性基を含有する架橋剤で誘導体化することができる。カルボン酸及びカルボン酸エステル反応性基の例としては、アミン及びヒドロキシルが挙げられる。アミン反応性基の例としては、アルデヒド、カルボン酸、及びカルボン酸エステルが挙げられる。チオール反応性基の例としては、マレイミドが挙げられる。アルデヒド反応性基の例としては、アミン、アミノオキシ基、及びアシルヒドラジドが挙げられる。有用なアルキン含有ヘテロ二官能性架橋剤の例としては、BroadPharm Company(San Diego,CA)から入手可能な材料が挙げられる。いくつかの実施形態では、第2の活性化合物は、抗原、抗体(例えば、モノクローナル抗体)、又は標的化化合物(又は抗原、抗体(例えば、モノクローナル抗体)、若しくは標的化化合物に由来する化合物)であり得る。
【0252】
式(IV)、(IV-A)、(IV-B)、(IV-C)、(IV-D)、(IV-E)、(IV-F)、及び(IV-G)のIRM含有共役体のいくつかの実施形態では、L2及びZ(ポリマー部分又は第2の活性部分)は、エーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合、アミド結合、イミン結合、オキシム結合、ヒドラゾン結合、又はN-アシルヒドラゾン結合によって共有結合している。
【0253】
いくつかの実施形態では、式(III)の化合物(式(III-A)、(III-B)、(III-C)、(III-D)、(III-E)、(III-F)、及び(III-G)の化合物を含む)は、式(IV)のIRM含有共役体(式(IV-A)、(IV-B)、(IV-C)、(IV-D)、(IE-E)、(IV-F)、及び(IV-G)の共役体を含む)の前駆体である。式(III)の化合物中の官能基「Q」は、ポリマー又は第2の活性化合物上の相補的な反応性官能基と反応して、得られるIRM含有共役体中に共有連結結合(すなわち、IRM含有共役体中のL2をZに連結する結合)を形成することができる。
【0254】
いくつかの実施形態では、式(IV)のIRM含有共役体(式(IV-A)、(IV-B)、(IV-C)、(IV-D)、(IE-E)、(IV-F)、及び(IV-G)の共役体を含む)は、式(III)の化合物(式(III-A)、(III-B)、(III-C)、(III-D)、(III-E)、(III-F)、及び(III-G)の化合物を含む)をポリマー又は第2の活性化合物と反応させることによって調製される。式(III)の化合物中の官能基「Q」は、ポリマー又は第2の活性化合物上の官能基と反応して、得られるIRM含有共役体中に共有連結結合(すなわち、IRM含有共役体中のL2をZに連結する結合)を形成することができる。式(IV)中の共有連結結合は、エーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合、アミド結合、イミン結合、オキシム結合、ヒドラゾン結合、又はN-アシルヒドラゾン結合であり得る。
【0255】
本開示は、式(IV)のIRM含有共役体(式(IV-A)、(IV-B)、(IV-C)、(IV-D)、(IE-E)、(IV-F)、又は(IV-G)の共役体を含む)又はその塩を作製する方法を提供し、本方法は、式(III)の化合物(式(III-A)、(III-B)、(III-C)、(III-D)、(III-E)、(III-F)、又は(III-G)の化合物を含む)又はその塩をポリマー又は第2の活性化合物と反応させて、共有結合を形成することを含み、式(III)の化合物中の官能基Qが、ポリマー又は第2の活性化合物上の官能基と反応して、共有結合を形成する。
【0256】
本開示は、式(IV)のIRM含有共役体(式(IV-A)、(IV-B)、(IV-C)、(IV-D)、(IE-E)、(IV-F)、又は(IV-G)の共役体を含む)又はその塩を作製する方法を提供し、本方法は、官能基Qを有する式(III)の化合物(式(III-A)、(III-B)、(III-C)、(III-D)、(III-E)、(III-F)、又は(III-G)の化合物を含む)又はその塩を、官能基を有するポリマー又は第2の活性化合物と反応させ、官能基Qをポリマー又は第2の活性化合物の官能基と反応させることによって、共有結合を形成することを含む。
【0257】
本開示は、式(IV)のIRM含有共役体(式(IV-A)、(IV-B)、(IV-C)、(IV-D)、(IE-E)、(IV-F)、又は(IV-G)の共役体を含む)又はその塩を作製する方法を提供し、本方法は、官能基Qを有する式(III)の化合物(式(III-A)、(III-B)、(III-C)、(III-D)、(III-E)、(III-F)、又は(III-G)の化合物を含む)又はその塩を、官能基を有する第2の活性化合物と反応させ、官能基Qを第2の活性化合物の官能基と反応させることによって、共有結合を形成することを含む。
【0258】
式(IV)のIRM含有共役体を作製する方法のいくつかの実施形態では、共有結合は、エーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合、アミド結合、イミン結合、オキシム結合、ヒドラゾン結合、又はN-アシルヒドラゾン結合である。
【0259】
式(IV)のIRM含有共役体を作製する方法のいくつかの実施形態では、第2の活性化合物は、抗原又は抗体である。
【0260】
本開示は、式(IV)のIRM含有共役体(式(IV-A)、(IV-B)、(IV-C)、(IV-D)、(IE-E)、(IV-F)、又は(IV-G)の共役体を含む)又はその塩を提供し、これは、式(III)の化合物(式(III-A)、(III-B)、(III-C)、(III-D)、(III-E)、(III-F)、又は(III-G)の化合物を含む)又はその塩をポリマー又は第2の活性化合物と反応させて、共有結合を形成させ、式(III)の化合物中の官能基Qをポリマー又は第2の活性化合物上の官能基と反応させることによって、共有結合を形成することによって調製される。
【0261】
本開示は、式(IV)のIRM含有共役体(式(IV-A)、(IV-B)、(IV-C)、(IV-D)、(IE-E)、(IV-F)、又は(IV-G)の共役体を含む)又はその塩を提供し、これは、式(III)の化合物(式(III-A)、(III-B)、(III-C)、(III-D)、(III-E)、(III-F)、又は(III-G)の化合物を含む)又はその塩をポリマー又は第2の活性化合物と反応させ、式(III)の化合物中の官能基Qをポリマー又は第2の活性化合物上の官能基と反応させることによって、共有結合を形成することによって調製され、共有結合が、エーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合、アミド結合、イミン結合、オキシム結合、ヒドラゾン結合、又はN-アシルヒドラゾン結合である。
【0262】
本開示は、式(IV)のIRM含有共役体(式(IV-A)、(IV-B)、(IV-C)、(IV-D)、(IE-E)、(IV-F)、又は(IV-G)の共役体を含む)又はその塩を提供し、これは、第1の官能基Qを有する式(III)の化合物(式(III-A)、(III-B)、(III-C)、(III-D)、(III-E)、(III-F)、又は(III-G)の化合物を含む)又はその塩を、第2の官能基を有するポリマー又は第2の活性化合物と反応させ、第1の官能基Qをポリマー又は第2の活性化合物の第2の官能基と反応させることによって、共有結合を形成することによって調製される。
【0263】
本開示は、式(IV)のIRM含有共役体(式(IV-A)、(IV-B)、(IV-C)、(IV-D)、(IE-E)、(IV-F)、又は(IV-G)の共役体を含む)又はその塩を提供し、これは、第1の官能基Qを有する式(III)の化合物(式(III-A)、(III-B)、(III-C)、(III-D)、(III-E)、(III-F)、又は(III-G)の化合物を含む)又はその塩を、第2の官能基を有するポリマー又は第2の活性化合物と反応させ、第1の官能基Qをポリマー又は第2の活性化合物の第2の官能基と反応させることによって、共有結合を形成することによって調製され、共有結合が、エーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合、アミド結合、イミン結合、オキシム結合、ヒドラゾン結合、又はN-アシルヒドラゾン結合である。
【0264】
本開示は、式(IV)のIRM含有共役体(式(IV-A)、(IV-B)、(IV-C)、(IV-D)、(IE-E)、(IV-F)、又は(IV-G)の共役体を含む)又はその塩を提供し、これは、第1の官能基Qを有する式(III)の化合物(式(III-A)、(III-B)、(III-C)、(III-D)、(III-E)、(III-F)、又は(III-G)の化合物を含む)又はその塩を、第2の官能基を有する第2の活性化合物と反応させ、第1の官能基Qを第2の活性化合物の第2の官能基と反応させることによって、共有結合を形成することによって調製される。
【0265】
本開示は、式(IV)のIRM含有共役体(式(IV-A)、(IV-B)、(IV-C)、(IV-D)、(IE-E)、(IV-F)、又は(IV-G)の共役体を含む)又はその塩を提供し、これは、第1の官能基Qを有する式(III)の化合物(式(III-A)、(III-B)、(III-C)、(III-D)、(III-E)、(III-F)、又は(III-G)の化合物を含む)又はその塩を、第2の官能基を有する第2の活性化合物と反応させて、共有結合を形成し、第1の官能基Qを第2の活性化合物の第2の官能基と反応させることによって、共有結合を形成することによって調製され、共有結合が、エーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合、アミド結合、イミン結合、オキシム結合、ヒドラゾン結合、又はN-アシルヒドラゾン結合である。
【0266】
IRM含有共役体中の任意選択的な不安定な結合
式(IV)、(IV-A)、(IV-B)、(IV-C)、(IV-D)、(IV-E)、(IV-F)、及び(IV-G)のIRM含有共役体の特定の実施形態では、共役体の-(L2)m-Z部分は、L2の有無にかかわらず、任意選択的に、不安定な結合を含み得る。「不安定な結合」とは、IRM部分とポリマー部分又は第2の活性部分との間の連結が破壊され、それによって、式(II)又は式(III)の遊離した活性のIRM化合物(免疫細胞と接触して免疫応答を誘導することができる)、並びに、特定の実施形態では、第2の活性が放出されるように、インビボで容易に切断される結合を指す。
【0267】
不安定な結合は、インビボで容易に切断され、IRM部分の免疫調節活性の実質的な低下を引き起こすIRM部分上の位置で第2の活性部分又はポリマー部分をIRM部分に連結する任意の共有結合であり得る。不安定な結合がインタクトである場合(すなわち、IRM部分が第2の活性部分又はポリマー部分に連結されている場合)、IRM部分は、実質的に低下した免疫調節活性を有し得る。しかしながら、不安定な結合が切断されると、遊離した活性のIRM部分が放出され、免疫応答を誘導することができる。
【0268】
いくつかの場合では、免疫調節活性の低下は、主に、置換の同一性及び性質(例えば、サイズ及び/又は立体的性質)に起因し得る。これらの事例では、置換は、例えば、受容体に結合し、免疫応答をもたらす細胞シグナル伝達カスケードを開始するIRM部分(moiety)の一部分(portion)を覆うことによって、IRM部分(moiety)の免疫調節活性を低下させる可能性がある。
【0269】
好適な不安定な結合の例としては、アミド結合、カルバメート結合、アミジン結合、エステル結合、ジスルフィド結合、又は文献に記載されているものなどの自壊性スペーサーの有無に関わらず使用されるペプチド単位のアミド結合が挙げられるが、これらに限定されない(Toki,B.E.et al.,J.Org.Chem.,2002,67,1866-1872;Jeffrey,S.C.et al.,J.Med.Chem.,2005,48,1344-1358;Sun,M.M.C.et al.,Bioconjugate Chem.2005,16,1282-1290)、Tsuchikama,K.and An,Z.Protein Cell 2018,9,33-46、並びに国際公開第2005/082023号(Genentech,Inc.)。
【0270】
いくつかの実施形態では、不安定な結合は、アミド結合、カルバメート結合、アミジン結合、エステル結合、及びジスルフィド結合からなる群から選択される。他の実施形態では、不安定な結合は、アミド結合、カルバメート結合、及びアミジン結合からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、不安定な結合は、アミド結合である。
【0271】
不安定な結合は、インビボで容易に切断される。切断は、様々な機構、例えば、化学的(例えば、生理学的pHでの加水分解若しくは特定の腫瘍内で見出されるより低いpH環境での加水分解)又は酵素的(例えば、エステラーゼとの反応)な生体内変換によって起こり得る。
【0272】
例えば、腫瘍の治療に使用するために設計された共役体は、腫瘍特異的標的化部分と、全身環境よりも腫瘍環境において切断される可能性がより高いか、より速く切断されるか、又はより効率的に切断されるために選択された不安定な結合と、を含み得る。腫瘍の微小環境は、多くの場合、低酸素分圧、低細胞外pH、及び低グルコース濃度を有することを特徴とする。これらの微小環境条件(例えば、低pH)のうちの1つ以上を利用し得る不安定な結合は、腫瘍を治療するために設計された共役体における使用に特に十分に好適な不安定な結合を形成し得る。
【0273】
IRM含有共役体のポリマー部分
式(IV)、(IV-A)、(IV-B)、(IV-C)、(IV-D)、(IV-E)、(IV-F)、及び(IV-G)のIRM含有共役体の特定の実施形態では、Zは、ポリマー部分である(すなわち、IRM含有共役体が、IRM-ポリマー共役体である)。ポリマー部分は、多種多様なポリマーから誘導することができる。
【0274】
好適なポリマーは、バイオポリマー又は天然に存在するモノマー及びそれらの組み合わせに基づき得る。天然バイオポリマーは、ヌクレオチド(例えば、アデノシン、チミジン)から構成される一本鎖又は二本鎖のRNA又はDNAを含み得る。天然バイオポリマーは、アミノ酸から構成されるペプチドであり得る。この具体例は、ポリ(リジン)である。バイオポリマーは多糖類であってもよく、これには、グリコーゲン、セルロース、及びデキストランが含まれ得るが、これらに限定されない。更なる例としては、アルギナート及びキトサンを含む、天然に存在する多糖類が挙げられる。好適なポリマーはまた、天然に存在する低分子(例えば、乳酸又はグリコール酸)から構成され得るか、又はこの2つのコポリマー(すなわち、PLGA)であり得る。好適な予め形成された粒子はまた、製剤(例えば、安定化エマルジョン、リポソーム、及びポリマーソーム)に基づいてもよく、又は粒子の表面での共役若しくはイオン交換に好適な粒子を形成する無機塩(アルミニウムベースの塩を含み得る)であってもよい。
【0275】
特定の実施形態では、ポリマーは、ポリエチレングリコール(polyethylene glycol、PEG)、グリコーゲン、セルロース、デキストラン、アルギナート、キトサン、ポリラクチド、及びそれらの組み合わせから選択される。特定の実施形態では、ポリマーは、PEGである。
【0276】
PEGの以下の説明は、IRM含有共役体のポリマー部分を形成する他のポリマーに適用される。
【0277】
PEG部分は、任意の好適なPEGポリマーであり得るか、又はそれに由来し得る。いくつかの場合では、得られるIRM-PEG共役体は、少なくとも16キロダルトン(kDa)の分子量を有する。いくつかの実施形態では、得られるIRM-PEG共役体は、少なくとも20kDaの分子量を有し得る。他の実施形態では、IRM-PEG共役体は、少なくとも30kDaの分子量を有する。
【0278】
多くの実施形態では、IRM-PEG共役体は、500キロダルトン(kDa)以下の分子量を有する。いくつかの実施形態では、IRM-PEG共役体は、200kDa以下の分子量を有する。特定の実施形態では、IRM-PEG共役体は、100kDa以下、多くの場合、50kDa以下の分子量を有する。
【0279】
様々な可能なPEGポリマー、及びPEGポリマーをIRM化合物に結合させるための方法は、例えば、国際特許公開第2005/110013(3M)号に記載されている。
【0280】
いくつかのPEGポリマーは、IRM部分が結合され得る複数の部位を含み得る。したがって、IRM-PEG共役体は、複数のIRM部分を含み得る。そのような場合では、複数のIRM部分は、同種(すなわち、同じIRM化合物に由来する)であってもよく、又は異種(すなわち、異なるIRM化合物に由来する)であってもよい。
【0281】
IRM-PEG共役体は、IRMの全体的な全身活性を低下させながら、活性又は潜在的に活性なIRM化合物を局所組織領域及び/又は組織型に提供することができる。いくつかの場合では、IRM-PEG共役体は、固形腫瘍などの組織(例えば、特定の組織型又は局所組織領域)への優先的な沈着を可能にするサイズ及び化学的性質のものであってもよい。これは、例えば、IRM-PEG共役体に対する組織の血管透過性の増加及び腫瘍組織のリンパドレナージの減少の結果として起こり得る。
【0282】
1つ以上のIRM部分は、共有結合又は非共有結合のいずれかを介してPEG部分に結合され得る。巨大分子部分へのIRM部分の非共有結合は、例えば、親和性結合(例えば、アビジン-ビオチン)を含む。
【0283】
IRM部分をPEG部分に共有結合させるための代表的な方法には、免疫応答修飾物質中の反応性基(ヒドロキシル、アミノ、アミド、又はチオール基など)とPEG中の他の反応性基(同様の性質の)との間に結合を形成するように反応するヘテロ二官能性架橋化合物などの化学架橋剤が含まれる。この結合は、例えば、ペプチド結合、ジスルフィド結合、チオエステル結合、アミド結合、チオエーテル結合などであり得る。IRM化合物はまた、反応性基を含むIRMを反応性基を含むポリマーと直接反応させることによって、PEGに共有結合させることもできる。IRM部分をPEG部分に結合するための方法は、例えば、国際特許公開第2005/110013(3M)号に詳細に記載されている。
【0284】
IRM部分とPEG部分とをカップリングするために使用される特定の方法にかかわらず、結合は、例えば、加水分解又は酵素活性によって切断されて、遊離IRM化合物を生じ得る。
【0285】
IRM-PEG共役体がIRMプロドラッグを提供する実施形態では、IRM部分とPEG部分との間の連結の切断は、ある程度制御され得る。例えば、この結合は、特定の生体微小環境において加水分解されるように設計され得る。腫瘍の細胞外環境は、正常組織の細胞外環境よりも酸性であることが知られている。したがって、IRM-PEG共役体は、IRM部分とPEG部分との間の結合が正常組織の細胞外pH(7.4~7.5)ではインタクトのままであるが、固形腫瘍の細胞外pH(7.2未満)では加水分解されるプロドラッグとして設計され得る。したがって、IRM-PEG共役体及び抗腫瘍抗原を含む薬学的組成物は、固形腫瘍の近傍に投与され得る。IRM-PEG共役体及び抗原は、腫瘍環境に浸潤することができ(例えば、熱応答性ゲル担体からの拡散によって)、そこでIRM-PEG共役体が切断されて、遊離IRMを生じる。これは、抗腫瘍抗原と遊離IRMとの共局在化をもたらし、これは、腫瘍の近傍の免疫細胞に共送達され、それによって、抗原特異的、したがって、腫瘍特異的な免疫応答を生成することができる。
【0286】
他の実施形態では、IRM部分とPEG部分との間の結合は、共役体が免疫細胞(例えば、樹状細胞などの抗原提示細胞)のエンドソームに到達しない限り及び到達するまで連結が切断されないように設計され得る。
【0287】
PEG部分のサイズ及び構造は、IRM部分とPEG部分との間の結合が切断される速度論に影響を及ぼし得る。例えば、PEG部分は、ポリアームPEGを含み得る。PEGアームの数及びサイズは、IRM-PEG結合の酵素的切断の速度論に影響を及ぼし得、それによって、遊離IRMを放出する。別の例として、IRM部分とPEG部分との間の結合の性質は、結合が加水分解によって切断される速度に影響を及ぼし得る。アミド結合は、カルバメート結合よりも容易に加水分解される傾向がある。
【0288】
IRM含有共役体の第2の活性部分
式(IV)、(IV-A)、(IV-B)、(IV-C)、(IV-D)、(IV-E)、(IV-F)、及び(IV-G)の特定の実施形態では、Zは、第2の活性部分(second active moiety、SAM)である(すなわち、IRM含有共役体はIRM-SAM共役体である)。第2の活性部分は、多種多様な第2の活性化合物から誘導することができる。
【0289】
第2の活性部分は、生物学的活性を有する第2のIRM部分以外の任意の部分であり得る。例えば、第2の活性部分は、抗原又は標的化部分を含み得る。第2の活性部分は、ワクチン抗原であり得る。第2の活性部分は、感染性疾患抗原又は腫瘍抗原であり得る。
【0290】
第2の活性部分は、モノクローナル抗体であり得る。第2の活性部分は、免疫療法抗体であり得る。例えば、第2の活性部分は、抗腫瘍抗体であり得る。免疫療法抗体は、免疫チェックポイントタンパク質を遮断し得る。免疫チェックポイントタンパク質は、CTLA-4、PD-1、又はPD-L1タンパク質であり得る。
【0291】
第2の活性部分は、免疫チェックポイントタンパク質阻害剤であり得る。第2の活性部分は、抗CTLA-4抗体、抗PD-1抗体、又は抗PD-L1抗体であり得る。第2の活性部分は、抗HER2抗体であり得る。
【0292】
抗原及び活性IRM部分を含む共役体は、例えば、米国特許出願公開第2004/091491号(Kedl et al.)に記載されている。これらの共役体は、抗原提示細胞へのIRM化合物及び抗原の同時送達を促進することによって、抗原に対する免疫応答を高めることができる。
【0293】
本開示のいくつかの実施形態は、抗原及びIRM部分を含む共役体を含み、IRM部分は、不安定な結合が切断されて活性なIRM部分が放出されるまで不活性である。そのような共役体は、投与された共役体が、免疫応答を誘導する前に標的組織に到達することを可能にするのに有用であり得る。これは、より高度に局在化した抗原特異的免疫応答を誘導することによって治療的利益を提供し得る。IRM部分は、抗原特異的免疫療法が必要とされる標的組織に共役体が到達するまで不活性に保たれてもよく、それによって、共役体がその標的組織に到達することができる前に活性なIRM部分によって誘導され得る抗原に対する全身性免疫応答を低減し、更には防止する。
【0294】
特定の実施形態では、第2の活性部分は、標的化部分(すなわち、特定の組織若しくは細胞集団への共役体の送達を標的化するか、又は選択的保持を引き起こすように作用する部分)であり得る。標的化部分の特定の性質は、ある程度、意図される標的の同一性及び性質によって決定され得る。例えば、好適な標的化部分(moiety)は、腫瘍、標的細胞、標的組織、又は標的器官の抗原性部分(portion)に対して指向された抗体におけるように、標的への指向された結合を能動的に提供することができる。能動的な標的化はまた、受容体-リガンド親和性を利用することによって達成され得る。他の場合では、標的化部分は、標的における共役体の受動的な保持を提供し得る。受動的保持は、標的対非標的環境の疎水性/親水性、血管多孔性などの差異を利用することによって達成され得る。
【0295】
標的化部分は、共役体の標的化送達を提供し得る任意の材料であり得る。いくつかの実施形態では、標的化部分は、免疫特異的標的化を提供することができ、すなわち、標的抗原への組成物の免疫特異的結合を促進するのに十分な免疫グロブリン(すなわち、抗体)の部分であり得る。しかしながら、本開示の態様は、例えば、ホルモン(天然又は合成)、脂質などの受容体リガンドなどの非免疫グロブリン標的化材料を使用して実施されてもよい。
【0296】
いくつかの場合では、標的化部分(moiety)は、抗体であり得るか、又は抗体に由来し得る(すなわち、少なくとも十分な抗体の免疫特異的部分(portion)、例えば、ある程度の免疫特異性を提供するのに十分な軽鎖)。しかしながら、他の場合では、標的化部分(moiety)は、例えば、標的細胞集団によってある程度特異的に発現される受容体に結合するリガンドなどの腫瘍特異的マーカーの少なくとも一部分(portion)を認識する薬剤であってもよく、又はそれに由来してもよい。そのような場合、受容体は腫瘍特異的マーカーとみなすことができる。
【0297】
腫瘍の治療に使用するために設計された共役体は、腫瘍特異的標的化部分と、全身環境よりも腫瘍環境において切断される可能性がより高いか、より速く切断されるか、又はより効率的に切断されるために選択された不安定な結合と、を含み得る。腫瘍の微小環境は、多くの場合、低酸素分圧、低細胞外pH、及び低グルコース濃度を有することを特徴とする。これらの微小環境条件(例えば、低pH)のうちの1つ以上を利用し得る不安定な結合は、腫瘍を治療するために設計された共役体における使用に特に十分に好適な不安定な結合を形成し得る。
【0298】
黄体形成ホルモン放出ホルモン(Leuteinizing hormone releasing hormone、LHRH)受容体は、乳がん、前立腺がん、子宮内膜がん、卵巣がん、及び黒色腫細胞上で有意に上昇する。したがって、LHRH受容体のリガンドを、共役体における標的化部分として使用して、腫瘍部位へのIRM部分の腫瘍特異的標的化送達を提供することができる。上述したヒトのがんについての動物モデルでは、LHRH指向治療剤は、罹患組織に選択的に到達する。IRMをLHRH受容体のリガンド(例えば、LHRH又は合成類似体)にカップリングすることにより、これらのがんの腫瘍細胞へのIRMの標的化送達を提供し得、それによって、IRMを腫瘍部位に濃縮し、治療指数を、IRM化合物単独で観察されるものよりも増加させる。好適なLHRH受容体リガンドとしては、LHRHデカペプチド、アゴニスト活性若しくはアンタゴニスト活性を有する類似体、又は低分子受容体リガンドが挙げられ得る。
【0299】
LHRH受容体は、正常な器官組織と比較して、多くの腫瘍細胞(例えば、乳房、前立腺、黒色腫)上で過剰発現されることが既知である。したがって、単一のIRM-LHRH受容体リガンド共役体は、複数のタイプのがんを治療するために有用であり得る。
【0300】
葉酸受容体リガンドはまた、IRM部分の腫瘍特異的標的化送達を提供する標的化部分として有用であり得る。葉酸受容体の発現は、多くの腫瘍細胞の表面上で増加する。再び、葉酸受容体リガンドのIRM部分への結合は、腫瘍部位でのIRMの選択的蓄積をもたらし、IRM部分の全身アベイラビリティを低下させ、IRM部分の治療指数を増加させることができる。好適な葉酸受容体リガンドには、葉酸、アゴニスト若しくはアンタゴニスト活性を有する類似体、又は小分子受容体リガンドが含まれる。
【0301】
いくつかの代替的な実施形態では、IRM部分は、樹状細胞の標的化部分に共役され得る。標的化部分は、DC特異的マーカーを認識する抗体(例えば、抗DC抗体)又は非抗体リガンドであり得る。
【0302】
好適なDC特異的マーカーとしては、例えば、共刺激マーカー、例えば、TNFRスーパーファミリーの任意のメンバー(例えば、CD40)、CD70、CD80、CD86、B7-CD、B7.1、B7.2などが含まれ得る。共刺激マーカーを認識する標的化部分を含む共役体は、単一の化学物質で2つのDC活性化刺激(すなわち、IRM部分及び共刺激)を送達するために使用される。
【0303】
本明細書で使用される場合、抗DC抗体とは、樹状細胞抗原を認識する抗体を指す。好適な樹状細胞の標的化部分は、樹状細胞によって定性的又は定量的に差次的に発現される任意の抗原に結合し得る。好適な樹状細胞の標的化部分は、例えば、DEC205、BDCA-1、BDCA-2、BDCA-3、BDCA-4、DC-SIGN、L-SIGN、HLR-DR、CD11c、CD13、CD14、CD21、CD33、CD35、CD123、C型レクチン、インテグリン(例えば、α4、α6、α1β1)、及び/又はToll様受容体(TLR)のうちのいずれか1つのような抗原に結合し得る。
【0304】
標的化部分がDC特異的マーカー又は抗原を認識したかどうかにかかわらず、IRM部分を標的化部分に共役させることは、全身送達経路を介して投与された場合であっても、IRM部分の全身アベイラビリティを制限することができる。更に、共役体、したがって、IRM部分は、樹状細胞の近傍に濃縮され、それによって、樹状細胞をより効果的に成熟及び活性化することができる。腫瘍の部位で(又は腫瘍塊の内部でさえ)活性化された樹状細胞は、腫瘍細胞の表面上に存在する腫瘍抗原を利用して、腫瘍に対する免疫応答を開始することができる可能性がある。この方法は、腫瘍特異的抗体を必要とせずに、一般化された抗腫瘍療法を提供することができる。
【0305】
他の代替的な実施形態では、IRM部分は、抗マクロファージ標的化部分に共役され得る。マクロファージは、多くの場合、腫瘍細胞の近傍に局在化している。したがって、再び、IRM部分の全身アベイラビリティが制限され得、IRM部分が、標的細胞(すなわち、マクロファージ)の近傍に濃縮され、それによって、マクロファージがより効率的に活性化され得る。活性化したマクロファージは、抗腫瘍活性を有することが知られている。したがって、この方法は、腫瘍特異的抗体を必要とすることなく、一般化された腫瘍療法を提供することができる。
【0306】
他の代替的な実施形態では、IRM部分は、例えば、CD8+細胞傷害性T細胞、NK細胞、又はNKT細胞などの腫瘍細胞を直接殺傷し得る細胞型上の表面抗原を認識する標的特異的部分に共役され得る。ここでも、共役体が全身投与される場合であっても、IRM部分は、腫瘍殺傷細胞の近傍に濃縮され、それによって、(a)腫瘍殺傷細胞をより効果的に活性化し、かつ/又は(b)IRM部分の全身アベイラビリティを制限することができる。腫瘍の部位で(又は腫瘍塊の内部でさえ)活性化された腫瘍殺傷細胞は、腫瘍細胞の表面上に存在する腫瘍抗原を利用して、腫瘍に対する免疫応答を開始することができる可能性がある。この方法は、腫瘍特異的抗体を必要とせずに、一般化された腫瘍療法を提供することができる。
【0307】
他の代替的な実施形態では、IRM部分は、例えば、内皮標的を認識する標的化部分に共役され得る。正常な毛細血管床と比較して、腫瘍塊の内皮環境に大きな違いが存在する。例えば、特定の内皮表面タンパク質、接着分子(例えば、インテグリン)、細胞外マトリックスタンパク質、増殖因子受容体などが発現される同一性及び程度に違いが存在する。これらの差異を利用して、IRM部分の腫瘍関連内皮への送達を標的化することができる。そのような差異を特異的に標的化するいくつかの試薬は、抗血管新生療法として有用であることが実証されている。そのような薬剤を標的化部分としてIRM部分に共役させることは、2つの有効な抗腫瘍療法:免疫療法と抗血管新生療法とを組み合わせることができる。
【0308】
好適な抗血管新生試薬としては、例えば、抗CD105抗体(CD105は、腫瘍内皮で過剰発現される)、抗ED-B抗体(ED-Bは、腫瘍塊で見出されるフィブロネクチンアイソフォームである)、腫瘍に関連する内皮インテグリンによって認識されるペプチド、及びその受容体が腫瘍内皮上で上方調節される増殖因子(例えば、血管内皮増殖因子)が挙げられる。
【0309】
この方法における抗血管新生試薬の使用は、抗血管新生と免疫療法との組み合わせの可能性を提供し得る。更に、一般に内皮は腫瘍塊よりも変異原性の低い組織であるので、腫瘍自体とは対照的に、腫瘍内皮へのIRMの標的化送達は、より効果的な長期治療を提供し得る。したがって、内皮に対する治療は、薬物耐性を引き起こす可能性がはるかに低い可能性がある。また、内皮に対する治療は、腫瘍特異的試薬を必要とすることなく、実質的に任意の血管形成された腫瘍(例えば、乳がん、前立腺がん、肺がん)に対して効果的であり得る。
【0310】
いくつかの実施形態では、標的化部分(moiety)は、免疫グロブリン又は少なくとも免疫グロブリンの機能的部分(portion)を含み得る。免疫グロブリンはタンパク質であるので、改変された免疫グロブリンを標的化部分として使用するのに不適切にすることなく、特定の免疫グロブリンに改変を行うことができることが理解される。例えば、免疫グロブリンのアミノ酸配列の1つ以上の部分(portion)が欠失若しくは置換され得るか、又は更なるアミノ酸が免疫グロブリンに付加され得、この免疫グロブリンが、標的化部分(moiety)としての使用に好適であるために十分な免疫特異的な特徴を依然として保持することができる。好適な抗体の例は、例えば、米国特許出願公開第2006/0142202号(Alkan et al.)に記載されている。
【0311】
薬学的組成物及び生物学的活性
本開示の薬学的組成物も企図される。本開示の薬学的組成物は、治療有効量の本開示の(本明細書に記載の)化合物又は塩又は共役体(すなわち、共役体)を、薬学的に許容される担体と組み合わせて含有する。
【0312】
式(I)、(I-A)、(II)、(II-A)、(III)、若しくは(III-A)の化合物、又は式(IV)若しくは(IV-A)のIRM含有共役体、その塩、又はそれらの組み合わせは、対象(ヒト又は動物)への投与に好適な任意の薬学的組成物で提供されてもよく、任意の好適な形態(例えば、溶液、懸濁液、エマルジョン、又は混合物の任意の形態)の薬学的組成物中に存在してもよい。薬学的組成物は、任意の薬学的に許容される担体(例えば、賦形剤又はビヒクル)とともに製剤化され得る。いくつかの実施形態では、薬学的に許容される担体は、水(例えば、リン酸緩衝生理食塩水又はクエン酸緩衝生理食塩水)を含む。いくつかの実施形態では、薬学的担体は、油(例えば、トウモロコシ油、ゴマ油、綿実油、ダイズ油、又はベニバナ油)を含む。薬学的組成物は、懸濁剤、界面活性剤、分散剤、及び保存剤(例えば、抗酸化剤)を含む1つ以上の添加剤を更に含み得る。
【0313】
薬学的組成物のいくつかの実施形態では、式(I)、(I-A)、(II)、(II-A)、(III)、若しくは(III-A)の化合物、又は式(IV)若しくは(IV-A)のIRM含有共役体、その塩、又はこれらの組み合わせを、均一に分散された製剤に組み込むことができる。薬学的組成物のいくつかの実施形態では、式(I)、(I-A)、(II)、(II-A)、(III)、若しくは(III-A)の化合物、又は式(IV)若しくは(IV-A)のIRM含有共役体、その塩、又はそれらの組み合わせを、乳化製剤に組み込むことができる。薬学的組成物のいくつかの実施形態では、式(I)、(I-A)、(II)、(II-A)、(III)、若しくは(III-A)の化合物、又は式(IV)若しくは(IV-A)のIRM含有共役体、その塩、又はそれらの組み合わせを、水中油製剤に組み込むことができる。水中油製剤は、油構成成分、水性構成成分、及び1つ以上の界面活性剤を含むことができる(例えば、ダイズ油、TWEEN(登録商標)80、SPAN 85、及びリン酸緩衝生理食塩水を含む製剤)。薬学的組成物のいくつかの実施形態では、式(I)、(I-A)、(II)、(II-A)、(III)、若しくは(III-A)の化合物、又は式(IV)若しくは(IV-A)のIRM含有共役体、その塩、又はそれらの組み合わせを、リポソーム製剤に組み込むことができる。
【0314】
いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、抗原に対する免疫応答を生じさせるのに有効な量の抗原を更に含み得る。いくつかの実施形態では、抗原は、ワクチンである。
【0315】
薬学的組成物は、任意の好適な様式(非経口又は非非経口)で投与することができる。いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、皮内、皮下、筋肉内、又は静脈内注射によって投与することができる。
【0316】
本開示の薬学的組成物中で使用される化合物、塩、又はIRM含有共役体の正確な量は、化合物、塩、又はIRM含有共役体の物理的及び化学的性質、担体の性質、並びに意図される投薬レジメンなどの当業者に既知の要因に応じて変化する。
【0317】
いくつかの実施形態では、薬学的組成物中の式(I)、(I-A)、(II)、(II-A)、(III)、若しくは(III-A)の化合物、又は式(IV)若しくは(IV-A)のIRM含有共役体、その塩、又はそれらの組み合わせの濃度は、少なくとも0.0005mg/mL、少なくとも0.001mg/mL、又は少なくとも0.05mg/mLであり得る。いくつかの実施形態では、薬学的組成物中の式(I)、(I-A)、(II)、(II-A)、(III)、若しくは(III-A)の化合物、又は式(IV)若しくは(IV-A)のIRM含有共役体、その塩、又はそれらの組み合わせの濃度は、最大2.4mg/mL、最大0.06mg/mL、最大0.01mg/mL、又は最大0.005mg/mLであり得る。
【0318】
いくつかの実施形態では、本開示の組成物は、少なくとも100ナノグラム/キログラム(ng/kg)又は少なくとも10マイクログラム/キログラム(μg/kg)の用量の化合物、塩、又は共役体を対象に提供するのに十分な活性成分又はプロドラッグを含有するであろう。いくつかの実施形態では、本開示の組成物は、1キログラム当たり最大50ミリグラム(mg/kg)又は最大5mg/kgの化合物、塩、又は共役体の用量を対象に提供するのに十分な活性成分又はプロドラッグを含有するであろう。
【0319】
いくつかの実施形態では、本開示の組成物は、対象の体表面積(m2)が対象の体重:m2=(体重kg0.425×身長cm0.725)×0.007184を使用して計算されるDubois法に従って計算される、例えば、0.01mg/m2~5.0mg/m2の用量を提供するのに十分な活性成分又はプロドラッグを含有するが、いくつかの実施形態では、この方法は、この範囲外の用量の化合物、塩、又は共役体を投与することによって行われ得る。これらの実施形態のいくつかでは、本方法は、0.1mg/m2~2.0mg/m2の用量、例えば、0.4mg/m2~1.2mg/m2の用量を対象に提供するのに十分な化合物、塩、又は共役体を投与することを含む。
【0320】
式(I-A)、(II-A)、(III-A)、(III-C)、(III-E)、又は(III-G)の化合物を含む薬学的組成物のいずれかの実施形態では、式(I-A)、(II-A)、(III-A)、(III-C)、(III-E)、又は(III-G)の化合物は、それぞれ、少なくとも80%のエナンチオマー過剰率、少なくとも90%のエナンチオマー過剰率、少なくとも95%のエナンチオマー過剰率、少なくとも96%のエナンチオマー過剰率、少なくとも96%のエナンチオマー過剰率、少なくとも97%のエナンチオマー過剰率、少なくとも98%のエナンチオマー過剰率、少なくとも99%のエナンチオマー過剰率、少なくとも99.5%のエナンチオマー過剰率、又は少なくとも99.8%のエナンチオマー過剰率で組成物中に存在する。
【0321】
式(I-A)、(II-A)、(III-A)、(III-C)、(III-E)、又は(III-G)の化合物を含む薬学的組成物のいずれかの実施形態では、化合物とは反対のエナンチオマーは、10%未満、5%未満、2.5%未満、2%未満、1.5%未満、1%未満、0.5%未満、0.25%未満、又は0.1%未満で組成物中に存在する。
【0322】
様々な剤形を使用して、本開示の化合物、塩、又は共役体をヒト又は動物に投与することができる。使用することができる剤形としては、例えば、錠剤、ロゼンジ、カプセル、非経口製剤、クリーム、軟膏、局所ゲル、エアロゾル製剤、液体製剤(例えば、水性製剤)、経皮パッチなどが挙げられる。これらの剤形は、従来の方法を使用して、従来の薬学的に許容される担体及び添加剤を用いて調製され得、これには、一般に、活性成分を担体と会合させるステップが含まれる。好ましい剤形は、水性製剤中に溶解された本開示の化合物、塩、又は共役体のうちの1つ以上を有する。
【0323】
本明細書に開示される化合物、塩、又は共役体は、実施例の記載に従って行われる実験において、特定のサイトカインの産生を誘導する。これらの結果は、化合物、塩、又は共役体が、いくつかの異なる方法で免疫応答を増強するのに有用であり、それらが様々な障害の治療において有用であることを示す。
【0324】
本明細書に記載の化合物、塩、又は共役体は、治療レジメンにおいて単一の治療剤として投与され得るか、又は本明細書に記載の化合物、塩、又は共役体は、抗ウイルス剤、抗生物質、タンパク質、ペプチド、オリゴヌクレオチド、抗体などを含む他の活性剤と組み合わせて投与され得る。
【0325】
本明細書に記載の化合物、塩、又は共役体は、サイトカイン(例えば、IFN-α、IFN-γ、TNF-α、IP-10)の産生を誘導する。これらの結果は、本開示の化合物、塩、又は共役体が、いくつかの異なる方法で免疫応答を活性化するのに有用であり、それらが様々な障害の治療において有用であることを示す。したがって、本開示の化合物、塩、又は共役体は、サイトカイン生合成及び産生のアゴニスト、特に、IFN-α、IFN-γ、TNF-α、及びIP-10サイトカイン生合成及び産生のアゴニストである。
【0326】
本開示の化合物、塩、又は共役体がサイトカイン産生を誘導する1つの方法は、免疫系におけるToll様受容体(TLR)、特にTLR-7及び/又はTLR-8の活性化によるものであると考えられるが、他の機構も関与している可能性がある。サイトカイン誘導のための免疫系経路(すなわち、機構)において、本開示の化合物、塩、又は共役体は、主に、TLR-7及び/又はTLR-8のアゴニストとして作用すると考えられるが、他の経路又は活性も関与している可能性がある。
【0327】
本明細書に記載の化合物、塩、又は共役体の投与は、細胞におけるインターフェロン-α(interferon-alpha、IFN-α)、インターフェロン-γ(interferon-gamma、IFN-γ)、腫瘍壊死因子-α(tumor necrosis factor-alpha、TNF-α)、及びIP-10の産生を誘導することができる。本開示の化合物、塩、又は共役体によって生合成が誘導され得るサイトカインとしては、IFN-α、IFN-γ、TNF-α、IP-10、及び様々な他のサイトカインが挙げられる。他の効果の中でも、これらのサイトカインは、ウイルス産生及び腫瘍細胞増殖を阻害することができ、化合物又は塩をウイルス性疾患及び腫瘍性疾患の治療に有用なものにする。したがって、本開示は、有効量の本開示の化合物、塩、又は共役体をヒト又は動物に投与することによって、ヒト又は動物におけるサイトカイン生合成を誘導する方法を提供する。サイトカイン産生の誘導のために化合物、塩、又は共役体が投与されるヒト又は動物は、以下に記載される1つ以上の疾患、障害、又は状態(例えば、ウイルス性疾患又は腫瘍性疾患)を有し得、化合物、塩、又は共役体の投与は、治療的処置を提供し得る。あるいは、化合物、塩、又は共役体は、ヒト又は動物が疾患に罹患する前にヒト又は動物に投与され得、その結果、化合物、塩、又は共役体の投与は、予防的処置を提供し得る。本開示の化合物、塩、又は共役体を投与することによって恩恵を受け得る動物としては、非ヒト霊長類、齧歯類、イヌ、ネコ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、家禽、及びウシが挙げられるが、これらに限定されない。
【0328】
サイトカインの産生を誘導する能力に加えて、本明細書に記載の化合物、塩、又は共役体は、自然免疫応答の他の側面に影響を及ぼし得る。例えば、ナチュラルキラー細胞の活性が刺激され得る(サイトカイン誘導に起因し得る効果)。化合物、塩、又は共役体はまた、マクロファージを活性化し得、これは次に、一酸化窒素の分泌及び更なるサイトカインの産生を刺激する。更に、化合物、塩又は共役体は、Bリンパ球の増殖及び分化を引き起こし得る。
【0329】
本明細書で特定される化合物、塩、共役体、又は組成物が治療として使用され得る状態としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:
ウイルス疾患、例えば、アデノウイルス、ヘルペスウイルス(例えば、HSV-I、HSV-II、CMV、又はVZV)、ポックスウイルス(例えば、痘瘡若しくはワクシニアなどのオルソポックスウイルス、又は伝染性軟属腫)、ピコナウイルス(例えば、ライノウイルス又はエンテロウイルス)、オルトミクソウイルス(例えば、インフルエンザウイルス、トリインフルエンザ)、パラミクソウイルス(例えば、パラインフルエンザウイルス、ムンプスウイルス、麻疹ウイルス、及び呼吸器合胞体ウイルス(respiratory syncytial virus、RSV)、コロナウイルス(例えば、SARS及びSARS-CoV-2)、パポーバウイルス(例えば、パピローマウイルス、例えば、性器疣贅、尋常性疣贅、又は足底疣贅を引き起こすものなど)、ヘパドナウイルス(例えば、B型肝炎ウイルス)、フラビウイルス(例えば、C型肝炎ウイルス又はデングウイルス)、又はレトロウイルス(例えば、HIVなどのレンチウイルス)、エボラウイルスによる感染から引き起こされる疾患;
腫瘍性疾患、例えば、膀胱がん、子宮頸部異形成、子宮頸部がん、日光角化症、基底細胞がん、皮膚T細胞リンパ腫、菌状息肉症、セザリー症候群、HPV関連頭頸部がん(例えば、HPV陽性中咽頭扁平上皮がん)、カポジ肉腫、黒色腫、扁平上皮がん、腎細胞がん、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ球性白血病、多発性骨髄腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、B細胞リンパ腫、ヘアリー細胞白血病、食道がん、及び他のがん;
アトピー性皮膚炎又は湿疹などのTH2媒介性アトピー性疾患、好酸球増加症、喘息、アレルギー、アレルギー性鼻炎、及びオーメン症候群。
【0330】
創傷修復に関連する疾患、例えば、ケロイド形成の阻害及び他のタイプの瘢痕化(例えば、慢性創傷を含む創傷治癒の増強);並びにマラリア、リーシュマニア症、クリプトスポリジウム症、トキソプラズマ症、及びトリパノソーマ感染を含むがこれらに限定されない寄生虫病。
【0331】
本明細書に記載のIRM含有共役体は、ウイルス性疾患、腫瘍性疾患、細菌性疾患、真菌性疾患、及び寄生虫症などの疾患に対するワクチンとして使用され得る。本明細書に記載のIRM含有共役体を含有する薬学的組成物は、ウイルス性疾患、腫瘍性疾患、細菌性疾患、真菌性疾患、及び寄生虫症などの疾患に対するワクチンとして使用され得る。
【0332】
本明細書に記載の化合物、塩、共役体、又は薬学的組成物は、例えば、腫瘍抗原(例えば、MAGE-3、NY-ESO-1);生ウイルス、細菌、又は寄生虫免疫原;不活化ウイルス、原生動物、真菌、又は細菌免疫原;トキソイド;毒素;多糖類;タンパク質;糖タンパク質;ペプチド;細胞ワクチン;DNAワクチン;mRNAワクチン;自己ワクチン;組換えタンパク質などの、液性及び/又は細胞媒介性免疫応答のいずれかを増加させる任意の物質と併せて使用するためのワクチンアジュバントとして使用され得る。
【0333】
一実施形態では、本明細書に記載の化合物、塩、共役体、又は薬学的組成物は、DNAワクチン又はmRNAワクチンと併せて使用するためのワクチンアジュバントとして使用され得る。
【0334】
ワクチンアジュバントとして本明細書で特定される化合物、塩、共役体、又は組成物の使用から恩恵を受けることができるワクチンの例としては、BCGワクチン、コレラワクチン、ペストワクチン、腸チフスワクチン、A型肝炎ワクチン、B型肝炎ワクチン、C型肝炎ワクチン、A型インフルエンザワクチン、B型インフルエンザワクチン、マラリアワクチン、パラインフルエンザワクチン、小児マヒワクチン、狂犬病ウイルスワクチン、麻疹ウイルスワクチン、ムンプスワクチン、風疹ワクチン、黄熱病ワクチン、テタヌスワクチン、ジフテリアワクチン、ヘモフィルスインフルエンザbワクチン、結核ワクチン、髄膜炎菌及び肺炎球菌ワクチン、アデノウイルスワクチン、コロナウイルスワクチン(例えば、SARS及びSARS-CoV-2ワクチン)、HIVワクチン、水疱ワクチン、サイトメガロウイルスワクチン、デングワクチン、ネコ白血病ワクチン、家禽ペストワクチン、HSV-1ワクチン及びHSV-2ワクチン、ブタコレラワクチン、日本脳炎ワクチン、呼吸器合胞体ウイルスワクチン、ロタウイルスワクチン、乳頭腫ウイルスワクチン、黄熱病ワクチン、エボラウイルスワクチンが挙げられる。
【0335】
本明細書で特定される化合物、塩、共役体、又は薬学的組成物は、大腸がん、頭頸部がん、乳がん、肺がん、及び黒色腫に関連する腫瘍抗原と併せて使用される場合、ワクチンアジュバントとして特に有用であり得る。
【0336】
本明細書で特定される化合物、塩、共役体、又は薬学的組成物は、免疫機能が損なわれている個体において特に有用であり得る。例えば、化合物、塩、共役体、又は組成物は、例えば、移植患者、がん患者、及びHIV患者における細胞媒介性免疫の抑制後に生じる日和見感染及び腫瘍を治療するために使用され得る。
【0337】
治療有効量の化合物、塩、共役体、又は組成物をヒト又は動物に投与することによって、それを必要とする(疾患を有する)ヒト又は動物における上記の疾患又は疾患のタイプ、例えば、ウイルス性疾患又は腫瘍性疾患のうちの1つ以上を治療することができる。
【0338】
一実施形態では、本明細書に記載のIRM含有共役体は、コロナウイルスワクチン、呼吸器合胞体ウイルスワクチン、パピローマウイルスワクチン、A型インフルエンザワクチン、B型インフルエンザワクチン、又は肺炎球菌ワクチンとして使用され得る。一実施形態では、本明細書に記載のIRM含有共役体は、大腸がんワクチン、頭頸部がんワクチン、乳がんワクチン、肺がんワクチン、及び黒色腫ワクチンとして使用され得る。
【0339】
ヒト又は動物はまた、有効量の本明細書に記載の化合物、塩、共役体、又は組成物をワクチンアジュバントとして投与することによってワクチン接種され得る。一実施形態では、ヒト又は動物にワクチン接種する方法は、有効量の本明細書に記載の化合物、塩、共役体、又は組成物を、ワクチンアジュバントとしてヒト又は動物に投与することを含む。ワクチンアジュバントは、各々を同じ組成物中に含むことによって、1つ以上の液性免疫応答及び細胞性免疫応答を増加させる材料と同時投与され得る。あるいは、ワクチンアジュバント並びに液性免疫応答及び/又は細胞性免疫応答のいずれかを増加させる材料は、別々の組成物中に存在し得る。
【0340】
本明細書で特定される化合物、塩、共役体、又は組成物は、獣医学的用途における予防用又は治療用のワクチンアジュバントとしてのものであり得る。本明細書で特定される化合物、塩、共役体又は組成物は、例えば、ブタ、ウマ、ウシ、ヒツジ、イヌ、ネコ、家禽(例えば、ニワトリ又はシチメンチョウ)などに投与され得る。
【0341】
本明細書で特定される化合物、塩、共役体、又は組成物は、膀胱がん、子宮頸部異形成、日光角化症、基底細胞腫、性器疣贅、ヘルペスウイルス感染、又は皮膚T細胞性リンパ腫を治療するために有効量がヒト又は動物体に投与される場合に特に有用であり得る。これらの状態では、本開示の化合物、塩、又は組成物の投与は、好ましくは局所的である(すなわち、腫瘍、病変、疣贅、又は感染組織などの表面に直接適用される)。
【0342】
一実施形態では、有効量の本明細書に記載の化合物、塩、共役体、又は組成物(例えば、水性組成物)は、膀胱内注入(例えば、カテーテルを使用する投与)によって、膀胱の少なくとも1つの腫瘍を有するヒト又は動物の膀胱に投与される。
【0343】
サイトカイン生合成を誘導するのに有効な量の化合物、塩、又は共役体は、典型的には、1つ以上の細胞型(例えば、単球、マクロファージ、樹状細胞、及びB細胞)に、1つ以上のサイトカイン(例えば、IFN-α、IFN-γ、TNF-α、及びIP-10)のバックグラウンドレベルよりも増加した(誘導された)量を産生させる。正確な用量は、当該技術分野で既知の要因に従って変化するが、典型的には、100ng/kg~50mg/kg、又は10μg/kg~5mg/kgの用量であろう。他の実施形態では、この量は、例えば、0.01mg/m2~5.0mg/m2であり得るが(上記のDubois法に従って計算)、他の実施形態では、サイトカイン生合成の誘導は、この範囲外の用量の化合物又は塩を投与することによって行われ得る。これらの実施形態のいくつかでは、本方法は、0.1mg/m2~2.0mg/m2の用量、例えば、0.4mg/m2~1.2mg/m2の用量を対象に提供するのに十分な化合物、塩、共役体、又は組成物を投与することを含む。
【0344】
ヒト又は動物におけるウイルス感染を治療する方法、及びヒト又は動物における腫瘍性疾患を治療する方法は、有効量の本明細書に記載の化合物、塩、又は共役体をヒト又は動物に投与することを含み得る。
【0345】
ウイルス感染を治療又は阻害するための有効量は、未処置のヒト又は動物と比較して、ウイルス感染の徴候(例えば、ウイルス病変、ウイルス負荷、ウイルス産生速度、及び死亡率)のうちの1つ以上の減少を引き起こすであろう量であり得る。そのような治療に有効である正確な量は、当該技術分野で既知の要因に従って変化するであろうが、通常、100ng/kg~50mg/kg又は10μg/kg~5mg/kgの用量である。
【0346】
腫瘍性状態を治療するのに有効な化合物、塩、又は共役体の量は、腫瘍サイズ又は腫瘍巣の数の減少を引き起こす量であり得る。正確な量は、当該技術分野で既知の要因に従って変化するであろうが、典型的には、100ng/kg~50mg/kg又は10μg/kg~5mg/kgである。他の実施形態では、この量は、典型的には、例えば、0.01mg/m2~5.0mg/m2であるが(上記のDubois法に従って計算)、いくつかの実施形態では、サイトカイン生合成の誘導は、この範囲外の用量の化合物、塩、又は共役体を投与することによって行われ得る。これらの実施形態のいくつかでは、本方法は、0.1mg/m2~2.0mg/m2の用量、例えば、0.4mg/m2~1.2mg/m2の用量を対象に提供するのに十分な化合物、塩、共役体、又は組成物を投与することを含む。
【0347】
例示的な実施形態
実施形態1は、式(I)の化合物又はその塩であり、
【0348】
【化103】
式中、nは、0又は1の整数であり、Rは、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキル、アルコキシ、及び-C(O)-O-アルキルからなる群から選択され、R1は、-(C1-C3)アルキレン-O-(C1-C3)アルキルであり、R2は、-(C2-C18)アルキレン基であり、任意選択的に、1つ以上のカテナリ非過酸化-O-原子を含む。
【0349】
実施形態2は、式(I-A)の化合物又はその塩であり、
【0350】
【化104】
式中、nは、0又は1の整数であり、Rは、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキル、アルコキシ、及び-C(O)-O-アルキルからなる群から選択され、R1は、-(C1-C3)アルキレン-O-(C1-C3)アルキルであり、R2は、-(C2-C18)アルケニレン基であり、任意選択的に、1つ以上のカテナリ非過酸化-O-原子を含む。
【0351】
実施形態3は、式(II)の化合物又はその塩であり、
【0352】
【化105】
式中、nは、0又は1の整数であり、Rは、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキル、アルコキシ、及び-C(O)-O-アルキルからなる群から選択され、R1は、-(C1-C3)アルキレン-O-(C1-C3)アルキルであり、R2は、-(C2-C18)アルケニレン基であり、任意選択的に、1つ以上のカテナリ非過酸化-O-原子を含み、R3は、アルキル、アリール、及びアラルキルからなる群から選択され、アルキル又はアラルキルのアルキル部分が、任意選択的に、1つ以上のカテナリ非過酸化-O-原子を含み、アルキル又はアラルキルのアルキル部分が、任意選択的に、アミン(-NH
2)、カルボキシル(-C(O)OH)、ヒドロキシル(-OH)、及びチオール(-SH)からなる群から選択される官能基で置換され、アリール又はアラルキルのアリール部分が、任意選択的に、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキル、アルコキシ、又はそれらの組み合わせで置換される。
【0353】
実施形態4は、式(II-A)の化合物又はその塩であり、
【0354】
【化106】
式中、nは、0又は1の整数であり、Rは、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキル、アルコキシ、及び-C(O)-O-アルキルからなる群から選択され、R1は、-(C1-C3)アルキレン-O-(C1-C3)アルキルであり、R2は、-(C2-C18)アルケニレン基であり、任意選択的に、1つ以上のカテナリ非過酸化-O-原子を含み、R3は、アルキル、アリール、及びアラルキルからなる群から選択され、アルキル又はアラルキルのアルキル部分が、任意選択的に、1つ以上のカテナリ非過酸化-O-原子を含み、アルキル又はアラルキルのアルキル部分が、任意選択的に、アミン(-NH
2)、カルボキシル(-C(O)OH)、ヒドロキシル(-OH)、及びチオール(-SH)からなる群から選択される官能基で置換され、アリール又はアラルキルのアリール部分が、任意選択的に、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキル、アルコキシ、又はそれらの組み合わせで置換される。
【0355】
実施形態5は、式(III-B)、式(III-D)、及び式(III-F)からなる群から選択される化合物又はその塩であり、
【0356】
【化107】
式中、nは、0又は1の整数であり、Rは、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキル、アルコキシ、及び-C(O)-O-アルキルからなる群から選択され、R1は、-(C1-C3)アルキレン-O-(C1-C3)アルキルであり、R2は、-(C2-C18)アルケニレン基であり、任意選択的に、1つ以上のカテナリ非過酸化-O-原子を含み、L1は、アルキレン基であり、任意選択的に、1つ以上のカテナリ非過酸化-O-原子、アミン基、エステル基、アミド基、ジスルフィド基、カルボニル基、カーボネート基、カルバメート基、又はそれらの組み合わせを含み、mは、0又は1の整数であり、Qは、ポリマー部分又は第2の活性部分に結合するための官能基である。
【0357】
実施形態6は、式(III-C)、式(III-F)、及び式(III-G)からなる群から選択される化合物又はその塩であり、
【0358】
【化108】
式中、nは、0又は1の整数であり、Rは、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキル、アルコキシ、及び-C(O)-O-アルキルからなる群から選択され、R1は、-(C1-C3)アルキレン-O-(C1-C3)アルキルであり、R2は、-(C2-C18)アルケニレン基であり、任意選択的に、1つ以上のカテナリ非過酸化-O-原子を含み、L1は、アルキレン基であり、任意選択的に、1つ以上のカテナリ非過酸化-O-原子、アミン基、エステル基、アミド基、ジスルフィド基、カルボニル基、カーボネート基、カルバメート基、又はそれらの組み合わせを含み、mは、0又は1の整数であり、Qは、ポリマー部分又は第2の活性部分に結合するための官能基である。
【0359】
実施形態7は、mが、0である、実施形態5~6のいずれか一項に記載の化合物又は塩である。
【0360】
実施形態8は、mが、1である、実施形態5~6のいずれか一項に記載の化合物又は塩である。
【0361】
実施形態9は、Qが、活性化カルボン酸エステル、活性化炭酸エステル、アミン、アミノオキシ基、カルボン酸、ヒドロキシル、アルデヒド、又はマレイミドである、実施形態5~8のいずれか一項に記載の化合物又は塩である。
【0362】
実施形態10は、Qが、アミン、アミノオキシ基、カルボン酸、アシルヒドラジド、ヒドロキシル、アルデヒド、N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、炭酸N-ヒドロキシスクシンイミド、マレイミド、又はペンタフルオロフェニルエステルである、実施形態5~8のいずれか一項に記載の化合物又は塩である。
【0363】
実施形態11は、Qが、-NH2、-ONH2、-C(O)OH、-C(O)NHNH2、-OH、又は-C(O)Hである、実施形態5~8のいずれか一項に記載の化合物又は塩である。
【0364】
実施形態12は、L1が、-(CH2)y-O-(CH2)y-;-(CH2)y-;
-(CH2)y(OCH2CH2)y-O(CH2)y-;-(CH2)y-(OCH2CH2)y-;-CH2(CH2)y-S-S-CH2(CH2)y-;及び
-CH2OCH2(CH2)y-S-S-CH2(CH2)y-からなる群から選択され、式中、各yが、独立して、1~36の整数として選択される、実施形態5~11のいずれか一項に記載の化合物又は塩である。
【0365】
実施形態13は、L1が、-C(O)(CH2)y-;-C(O)CH2(CH2)y-;
-C(O)CH2(CH2)yC(O)NHCH2CH2(OCH2CH2)y-;-C(O)CH2(CH2)yNHC(O)CH2(CH2)y-;及び
-C(O)CH2CH2O(CH2CH2O)yCH2(CH2)yNHC(O)CH2(CH2)y-からなる群から選択され、式中、各yが、独立して、1~36の整数として選択される、実施形態5~11のいずれか一項に記載の化合物又は塩である。
【0366】
実施形態14は、L1が、-C(O)CH2(CH2)y(OCH2CH2)y-;
-C(O)CH2(CH2)y(OCH2CH2)yO(CH2)y-;-C(O)NHCH2(CH2)y-;-C(O)NHCH2(CH2)y(OCH2CH2)y-;
及び-C(O)NHCH2(CH2)y(OCH2CH2)yO(CH2)y-からなる群から選択され、式中、各yが、独立して、1~36の整数として選択される、実施形態5~11のいずれか一項に記載の化合物又は塩である。
【0367】
実施形態15は、各yが、独立して、1~20、1~12、又は1~8の整数として選択される、実施形態12~14のいずれか一項に記載の化合物又は塩である。
【0368】
実施形態16は、各yが、独立して、2~20、2~12、又は2~8の整数として選択される、実施形態12~14のいずれか一項に記載の化合物又は塩である。
【0369】
実施形態17は、式(IV-B)、式(IV-D)、及び式(IV-F)からなる群から選択されるIRM含有共役体又はその塩であり、
【0370】
【化109】
式中、nは、0又は1の整数であり、Rは、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキル、アルコキシ、及び-C(O)-O-アルキルからなる群から選択され、R1は、-(C1-C3)アルキレン-O-(C1-C3)アルキルであり、R2は、-(C2-C18)アルケニレン基であり、任意選択的に、1つ以上のカテナリ非過酸化-O-原子を含み、L2は、架橋基であり、mは、0又は1の整数であり、Zは、ポリマー部分(moiety)又は第2の活性部分(moiety)であり、共役体の-(L2)
m-Z部分(portion)は、L2の有無にかかわらず、任意選択的に、不安定な結合を含む。
【0371】
実施形態18は、式(IV-C)、式(IV-E)、及び式(IV-G)からなる群から選択されるIRM含有共役体又はその塩であり、
【0372】
【化110】
式中、nは、0又は1の整数であり、Rは、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキル、アルコキシ、及び-C(O)-O-アルキルからなる群から選択され、R1は、-(C1-C3)アルキレン-O-(C1-C3)アルキルであり、R2は、-(C2-C18)アルケニレン基であり、任意選択的に、1つ以上のカテナリ非過酸化-O-原子を含み、L2は、架橋基であり、mは、0又は1の整数であり、Zは、ポリマー部分(moiety)又は第2の活性部分(moiety)であり、共役体の-(L2)
m-Z部分(portion)は、L2の有無にかかわらず、任意選択的に、不安定な結合を含む。
【0373】
実施形態19は、架橋基及びZが、エーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合、アミド結合、イミン結合、オキシム結合、ヒドラゾン結合、又はN-アシルヒドラゾン結合によって共有結合している、実施形態17~18のいずれか一項に記載の共役体又は塩である。
【0374】
実施形態20は、mが、0である、実施形態17~19のいずれか一項に記載の共役体又は塩である。
【0375】
実施形態21は、mが、1である、実施形態17~19のいずれか一項に記載の化合物又は塩である。
【0376】
実施形態22は、Zが、第2の活性部分である、実施形態17~21のいずれか一項に記載の共役体又は塩である。
【0377】
実施形態23は、第2の活性部分が、モノクローナル抗体である、実施形態22に記載の共役体又は塩である。
【0378】
実施形態24は、第2の活性部分が、抗CTLA-4抗体、抗PD-1抗体、又は抗PD-L1抗体である、実施形態23に記載の共役体又は塩である。
【0379】
実施形態25は、第2の活性部分が、抗HER2抗体である、実施形態23に記載の共役体又は塩である。
【0380】
実施形態26は、第2の活性部分が、免疫療法抗体である、実施形態23に記載の共役体又は塩である。
【0381】
実施形態27は、第2の活性部分が、抗原である、実施形態22に記載の共役体又は塩である。
【0382】
実施形態28は、第2の活性部分が、腫瘍抗原である、実施形態27に記載の共役体又は塩である。
【0383】
実施形態29は、第2の活性部分が、大腸がん、頭頸部がん、乳がん、肺がん、又は黒色腫に関連する腫瘍抗原である、実施形態27に記載の共役体又は塩である。
【0384】
実施形態30は、架橋基が、-(CH2)y-O-(CH2)yC(O)-;
-(CH2)yC(O)-;-(CH2)y-(OCH2CH2)y-O(CH2)yC(O)-;-(CH2)y-(OCH2CH2)yC(O)-;
-CH2(CH2)y-S-S-CH2(CH2)yC(O)-;-CH2OCH2(CH2)y-S-S-CH2(CH2)yC(O)-;
-CH2(CH2)y-S-S-CH2(CH2)yO-;-CH2OCH2(CH2)y-S-S-CH2(CH2)yO-;
-CH2(CH2)y-S-S-CH2(CH2)yNH-;-CH2OCH2(CH2)y-S-S-CH2(CH2)yNH-;-(CH2)y-(OCH2CH2)yO-;
及び-(CH2)y-(OCH2CH2)yNH-からなる群から選択され、式中、各yが、独立して、1~36の整数として選択される、実施形態17~29のいずれか一項に記載の共役体又は塩である。
【0385】
実施形態31は、架橋基が、-C(O)CH2CH2(OCH2CH2)yC(O)-;
-C(O)CH2CH2(OCH2CH2)yO-;-C(O)CH2CH2(OCH2CH2)yNH-;
-C(O)NHCH2CH2(OCH2CH2)yC(O)-;-C(O)NHCH2CH2(OCH2CH2)yO-;
-C(O)NHCH2CH2(OCH2CH2)yNH-;-C(O)CH2CH2CH2CH2C(O)-;及び
-C(O)NHCH2CH2CH2CH2C(O)-からなる群から選択され、式中、各yが、独立して、1~36の整数として選択される、実施形態17~29のいずれか一項に記載の共役体又は塩である。
【0386】
実施形態32は、架橋基が、-C(O)CH2(CH2)yC(O)-;
-C(O)CH2(CH2)yO-;-C(O)CH2(CH2)yNH-;-C(O)CH2(CH2)y(OCH2CH2)yC(O)-;
-C(O)CH2(CH2)y(OCH2CH2)yO-;-C(O)CH2(CH2)y(OCH2CH2)yNH-;
-C(O)CH2(CH2)y(OCH2CH2)yO(CH2)yC(O)-;-C(O)CH2(CH2)y(OCH2CH2)yO(CH2)yO-;
-C(O)CH2(CH2)y(OCH2CH2)yO(CH2)yNH-;-C(O)NHCH2(CH2)yC(O)-;-C(O)NHCH2(CH2)yO-;
-C(O)NHCH2(CH2)yNH-;-C(O)NHCH2(CH2)y(OCH2CH2)yC(O)-;
-C(O)NHCH2(CH2)y(OCH2CH2)yO-;-C(O)NHCH2(CH2)y(OCH2CH2)yNH-;
-C(O)NHCH2(CH2)y(OCH2CH2)yO(CH2)yC(O)-;-C(O)NHCH2(CH2)y(OCH2CH2)yO(CH2)yO-;及び
-C(O)NHCH2(CH2)y(OCH2CH2)yO(CH2)yNH-からなる群から選択され、式中、各yが、独立して、1~36の整数として選択される、実施形態17~29のいずれか一項に記載の共役体又は塩である。
【0387】
実施形態33は、架橋基が、-C(O)(CH2)yO-;
-C(O)CH2(CH2)yO-;-C(O)CH2(CH2)yC(O)NHCH2CH2(OCH2CH2)yO-;
-C(O)CH2(CH2)yNHC(O)CH2CH2(OCH2CH2)yO-;-C(O)CH2(CH2)yNHC(O)CH2(CH2)yO-;及び
-C(O)CH2CH2O(CH2CH2O)yCH2(CH2)yNHC(O)CH2(CH2)yO-からなる群から選択され、式中、各yが、独立して、1~36の整数として選択される、実施形態17~29のいずれか一項に記載の共役体又は塩である。
【0388】
実施形態34は、架橋基が、-C(O)(CH2)yNH-;
-C(O)CH2(CH2)yNH-;-C(O)CH2(CH2)yC(O)NHCH2CH2(OCH2CH2)yNH-;
-C(O)CH2(CH2)yNHC(O)CH2CH2(OCH2CH2)yNH-;-C(O)CH2(CH2)yNHC(O)CH2(CH2)yNH-;及び
-C(O)CH2CH2O(CH2CH2O)yCH2(CH2)yNHC(O)CH2(CH2)yNH-からなる群から選択され、式中、yは、1~36の整数である、実施形態17~29のいずれか一項に記載の共役体又は塩である。
【0389】
実施形態35は、各yが、独立して、1~20、1~12、1~8、2~20、2~12、又は2~8の整数として選択される、実施形態30~34のいずれか一項に記載の共役体又は塩である。
【0390】
実施形態36は、Rが、ハロゲン、ヒドロキシル、-(C1-C7)アルキル、-(C1-C7)アルコキシ、及び-C(O)-O-(C1-C5)アルキルからなる群から選択される、実施形態1~35のいずれか一項に記載の化合物、共役体、又は塩である。
【0391】
実施形態37は、Rが、ヒドロキシル、F、及びClからなる群から選択される、実施形態1~36のいずれか一項に記載の化合物、共役体、又は塩である。
【0392】
実施形態38は、nが、0である、実施形態1~37のいずれか一項に記載の化合物、共役体、又は塩である。
【0393】
実施形態39は、R1が、-CH2OCH3又は-CH2OCH2CH3である、実施形態1~38のいずれか一項に記載の化合物、共役体、又は塩である。
【0394】
実施形態40は、R2が、-(C2-C12)アルキレン基であり、任意選択的に、1つ以上のカテナリ非過酸化-O-原子を含む、実施形態1~39のいずれか一項に記載の化合物、共役体、又は塩である。
【0395】
実施形態41は、R2が、-(C2-C10)アルキレン基であり、任意選択的に、1つ以上のカテナリ非過酸化-O-原子を含む、実施形態1~40のいずれか一項に記載の化合物、共役体、又は塩である。
【0396】
実施形態42は、R2が、-(C2-C8)アルキレン基であり、任意選択的に、1つ以上のカテナリ非過酸化-O-原子を含む、実施形態1~41のいずれか一項に記載の化合物、共役体、又は塩である。
【0397】
実施形態43は、R2が、-(C2-C6)アルキレン基であり、任意選択的に、1つ以上のカテナリ非過酸化-O-原子を含む、実施形態1~42のいずれか一項に記載の化合物、共役体、又は塩である。
【0398】
実施形態44は、R2が、-(C2-C3)アルキレン基であり、任意選択的に、1つ以上のカテナリ非過酸化-O-原子を含む、実施形態1~43のいずれか一項に記載の化合物、共役体、又は塩である。
【0399】
実施形態45は、R2が、-CH2CH2-、-CH2CH2-O-CH2-、又は-(CH2CH2-O)x-CH2-であり、式中、xは、1~8の整数である、実施形態1~39のいずれか一項に記載の化合物、共役体、又は塩である。
【0400】
実施形態46は、実施形態17~45のいずれか一項に記載のIRM含有共役体又は塩を作製する方法であり、本方法は、実施形態5~16のいずれか一項に記載の化合物又は塩を、官能基を有するポリマー又は第2の活性化合物と反応させ、化合物の官能基Qをポリマー又は第2の活性化合物の官能基と反応させることによって、共有結合を形成することを含む。
【0401】
実施形態47は、共有結合が、エーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合、アミド結合、イミン結合、オキシム結合、ヒドラゾン結合、又はN-アシルヒドラゾン結合である、実施形態46に記載の方法である。
【0402】
実施形態48は、実施形態46又は実施形態47に記載の方法に従って調製されたIRM含有共役体である。
【0403】
実施形態49は、実施形態1~16又は36~45のいずれか一項に記載の化合物又は塩と、薬学的に許容される担体と、を含む、薬学的組成物である。
【0404】
実施形態50は、実施形態17~45及び実施形態48のいずれか一項に記載のIRM含有共役体又は塩と、薬学的に許容される担体と、を含む、薬学的組成物である。
【0405】
実施形態51は、薬学的組成物が、ワクチンである、実施形態49又は50に記載の薬学的組成物である。
【0406】
実施形態52は、有効量の実施形態1~45及び実施形態48のいずれか一項に記載の化合物、共役体、又は塩を、ヒト又は動物に投与することを含む、ヒト又は動物におけるサイトカイン生合成を誘導する方法である。
【0407】
実施形態53は、有効量の実施形態1~45及び実施形態48のいずれか一項に記載の化合物、共役体、又は塩を、ヒト又は動物に投与することを含む、ヒト又は動物におけるIFN-アルファの生合成を誘導する方法である。
【0408】
実施形態54は、有効量の実施形態1~45及び実施形態48のいずれか一項に記載の化合物、共役体、又は塩を、ヒト又は動物に投与することを含む、ヒト又は動物におけるIFN-ガンマの生合成を誘導する方法である。
【0409】
実施形態55は、有効量の実施形態1~45及び実施形態48のいずれか一項に記載の化合物、共役体、又は塩を、ヒト又は動物に投与することを含む、ヒト又は動物におけるTNF-アルファの生合成を誘導する方法である。
【0410】
実施形態56は、ヒト又は動物においてサイトカイン生合成を誘導する方法であって、有効量の実施形態49~51のいずれか一項に記載の薬学的組成物を、ヒト又は動物に投与することを含む、方法である。
【0411】
実施形態57は、ヒト又は動物においてIFN-アルファの生合成を誘導する方法であって、有効量の実施形態49~51のいずれか一項に記載の薬学的組成物を、ヒト又は動物に投与することを含む、方法である。
【0412】
実施形態58は、ヒト又は動物においてIFN-ガンマの生合成を誘導する方法であって、有効量の実施形態49~51のいずれか一項に記載の薬学的組成物を、ヒト又は動物に投与することを含む、方法である。
【0413】
実施形態59は、ヒト又は動物においてTNF-アルファの生合成を誘導する方法であって、有効量の実施形態49~51のいずれか一項に記載の薬学的組成物を、ヒト又は動物に投与することを含む、方法である。
【0414】
実施形態60は、有効量の実施形態1~45及び実施形態48のいずれか一項に記載の化合物、共役体、又は塩を、ヒト又は動物に投与することによって、ヒト又は動物におけるウイルス性疾患又は腫瘍性疾患を治療する方法である。
【0415】
実施形態61は、有効量の実施形態49~51のいずれか一項に記載の薬学的組成物を、ヒト又は動物に投与することによって、ヒト又は動物におけるウイルス性疾患又は腫瘍性疾患を治療する方法である。
【0416】
実施形態62は、実施形態1~45及び実施形態48のいずれか一項に記載の化合物、共役体、又は塩であって、ヒト又は動物に化合物、共役体、又は塩を投与することによって、ヒト又は動物におけるウイルス性疾患又は腫瘍性疾患の治療に使用するための、化合物、共役体、又は塩である。
【0417】
実施形態63は、実施形態49~51のいずれか一項に記載の薬学的組成物であって、ヒト又は動物に薬学的組成物を投与することによって、ヒト又は動物におけるウイルス性疾患又は腫瘍性疾患の治療に使用するための、薬学的組成物である。
【実施例】
【0418】
本開示の目的及び利点は、本明細書に提供される実施例によって更に例示される。これらの実施例において列挙される特定の材料及びその量、並びに他の条件及び詳細は、単に例示的なものであり、限定することを意図するものではない。当業者は、本開示の全体を注意深く検討した後、実施例に具体的に記載されているものに加えて材料及び条件を使用することができるであろう。
【0419】
化合物のカラムクロマトグラフィ精製は、ISOLARA HPFCシステム(Biotage,Inc、Charlottesville,VAから入手可能な自動高性能フラッシュクロマトグラフィ精製装置)を使用して行った。各精製に使用した溶離液は、実施例に記載されている。
【0420】
プロトン核磁気共鳴(1H NMR)分析は、BRUKER A500 NMR分光計(Bruker Corporation、Billerica,MA)を使用して行った。
【0421】
炭酸セシウム(Cs2CO3)、アジ化ナトリウム、11-ブロモ-1-ウンデカノール、及びベンゼンスルホニルクロリドは、Sigma-Aldrich Company、St.Louis,MOから入手した。
【0422】
メタンスルホニルクロリド、フッ化テトラブチルアンモニウム(THF中1.0 M)、2,6-ルチジン(2,6-ジメチルピリジン)、ペンタメチルジエチレントリアミン(pentamethyldiethylenetriamine、PMDTA)、硫酸銅五水和物、無水マレイン酸、カリウムtert-ブトキシド、トリエチレングリコール、プロパルギルブロミド、4-(ジメチルアミン)ピリジン(dimethylamine pyridine、DMAP)、トリフェニルホスフィン、ジメチルスルホキシド(dimethyl sulfoxide、DMSO)、エチレンジアミン四酢酸(ethylenediaminetetraacetic acid、EDTA)、リゾチーム、及びアスコルビン酸ナトリウムは、Alfa Aesar Company(Haverhill,MA)から入手した。
【0423】
(2-ブロモエトキシ)(tert-ブチル)ジメチルシラン、フェニルアセチレン、tert-ブチルジメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート、臭化銅(I)、トリエチルアミン、三フッ化ホウ素エーテレート、ジアゾ酢酸エチル(CH2Cl2中83%溶液)、N,N,N’,N’-テトラメチル-O-(N-スクシンイミジル)ウロニウムテトラフルオロホウ酸(TSTU)、及び3-クロロ過安息香酸(約70%MCPBA、これはBraun,G.Org.Synth.,Collective Volume 1932,1,431に従って、ヨウ素滴定で決定された)は、Oakwood Products Incorporated(Estill,SC)から入手した。
【0424】
実施例1
(S)-1-(1-(4-(2-アジドエトキシ)フェニル)-3-エトキシプロパン-2-イル)-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-4-アミン
【0425】
【0426】
パートA
20mLの無水N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)に溶解した(S)-4-(3-エトキシ-2-(1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル)プロピル)フェノール(米国特許出願公開第2020/0385379号に記載されている調製)(1.20g、3.46mmol)の撹拌溶液に、Cs2CO3(1.69g、5.19mmol)、続いて(2-ブロモエトキシ)(tert-ブチル)ジメチルシラン(0.90mL、4.15mmol)を添加した。反応混合物を、窒素雰囲気下で65℃に加熱した。4時間後、反応混合物を、50mLの酢酸エチル及び25mLの水で希釈した。層を分離し、有機部分を、水(3×25mL)及びブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、濃縮した。カラムクロマトグラフィ(SiO2、1%~7.5%メタノール/クロロホルム)により精製して、1.62gの(S)-1-(1-(4-(2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)エトキシ)フェニル)-3-エトキシプロパン-2-イル)-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリンを橙色シロップとして得た。
【0427】
パートB
30mLのテトラヒドロフラン(trtrahydrofuran、THF)に溶解した(S)-1-(1-(4-(2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)エトキシ)フェニル)-3-エトキシプロパン-2-イル)-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン(1.62g、3.20mmol)の撹拌溶液に、0.32mLのフッ化テトラブチルアンモニウム溶液(THF中1M)を添加した。2時間後、反応混合物を、50mLの酢酸エチル及び25mLの水で希釈した。層を分離し、有機部分を、水及びブライン(2×25mL)で連続的に順次洗浄した。有機層を、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、濃縮した。カラムクロマトグラフィ(SiO2、5%~7.5%MeOH/クロロホルム)により精製して、1.08gの(S)-2-(4-(3-エトキシ-2-(1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル)プロピル)フェノキシ)エタン-1-オールを橙色泡状物として得た。
【0428】
パートC
10mLのジクロロメタンに溶解した(S)-2-(4-(3-エトキシ-2-(1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル)プロピル)フェノキシ)エタン-1-オール(1.07g、2.74mmol)の撹拌溶液に、トリエチルアミン(572マイクロリットル、4.11mmol)及びメタンスルホニルクロリド(255マイクロリットル、3.28mmol)を添加した。2時間後、反応物を、飽和NaHCO3水溶液の添加によりクエンチした。層を分離し、有機部分を、水及びブラインで順次洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、濃縮して、1.12gの(S)-2-(4-(3-エトキシ-2-(1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル)プロピル)フェノキシ)エチルメタンスルホネートを琥珀色シロップとして得た。
【0429】
パートD
6mLのN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)に溶解した(S)-2-(4-(3-エトキシ-2-(1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル)プロピル)フェノキシ)エチルメタンスルホネート(1.12g、2.39mmol)の溶液に、アジ化ナトリウム(315mg、4.85mmol)を添加し、撹拌混合物を、60℃で一晩加熱した。次いで、反応混合物を、減圧下で濃縮し、得られたシロップを、50mLの酢酸エチルと25mLの水との間で分配した。層を分離し、有機部分を、水(2×25mL)及びブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、濃縮して、0.95gの(S)-1-(1-(4-(2-アジドエトキシ)フェニル)-3-エトキシプロパン-2-イル)-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリンを琥珀色シロップとして得た。
【0430】
パートE
25mLのジクロロメタンに溶解した(S)-1-(1-(4-(2-アジドエトキシ)フェニル)-3-エトキシプロパン-2-イル)-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン(0.95g、2.28mmol)の溶液を、617mgの3-クロロ過安息香酸(MCPBA、70%)と合わせ、90分間撹拌した。反応混合物を、-10℃に冷却し、続いて、6mLの濃NH4OH溶液を添加した。混合物を、急速に撹拌し、ベンゼンスルホニルクロリド(0.35mL、2.74mmol)を添加した。次いで、反応混合物を、45分間にわたって周囲温度に温めた。反応物を、20mLの水の添加によりクエンチし、混合物を、15分間撹拌した。次いで、層を分離し、有機部分を、水、5%Na2CO3水溶液、水及びブラインで順次洗浄した。有機部分を、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。カラムクロマトグラフィ(SiO2、NH4OHで飽和した4%メタノール/クロロホルム)により精製して、0.73gの褐色シロップを得た。このシロップを、0.5mLの濃塩酸を含有する15mLのエタノールに溶解した。混合物を、減圧下で濃縮し、次いで、エタノールから濃縮し、最後に、アセトニトリルから濃縮して、淡褐色固体を得た。固体を、5mLの熱アセトニトリルに溶解し、冷却すると淡褐色固体が形成された。固体を濾過により単離し、冷アセトニトリルですすぎ、真空下で一晩乾燥させて、325mgの(S)-1-(1-(4-(2-アジドエトキシ)フェニル)-3-エトキシプロパン-2-イル)-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-4-アミン塩酸塩を淡褐色結晶として得た。1H NMR(500MHz,メタノール-d4)δppm 8.59-8.69(m,1H)8.33(d,J=8.3Hz,1H)7.69-7.79(m,2H)7.57(t,J=7.4Hz,1H)7.04(d,J=8.6Hz,2H)6.69(d,J=8.7Hz,2H)5.66(br dd,J=9.0,5.0Hz,1H)4.07(d,J=5.0Hz,2H)3.96-4.03(m,2H)3.57(quind,J=7.1,7.1,7.1,7.1,2.4Hz,2H)3.45-3.49(m,2H)3.43(d,J=5.4Hz,1H)1.13(t,J=7.0Hz,3H)。
【0431】
実施例2
(S)-1-(1-エトキシ-3-(4-(2-(4-フェニル-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)エトキシ)フェニル)プロパン-2-イル)-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-4-アミン
【0432】
【0433】
実施例1パートEからの濾液を濃縮し、残渣を、20mLのジクロロメタン及び10mLのNa2CO3の5%水溶液の混合液中で激しく撹拌した。有機層を分離し、水及びブラインで順次洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。カラムクロマトグラフィ(SiO2、3~10%の2-プロパノール/クロロホルム)により精製して、250mgの(S)-1-(1-(4-(2-アジドエトキシ)フェニル)-3-エトキシプロパン-2-イル)-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-4-アミン遊離塩基を淡褐色粉末として得た。
【0434】
3mLのジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解した(S)-1-(1-(4-(2-アジドエトキシ)フェニル)-3-エトキシプロパン-2-イル)-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-4-アミン(250mg、0.58mmol)及びフェニルアセチレン(76マイクロリットル、0.70mmol)の撹拌溶液に、窒素雰囲気下で、3mLの脱イオン水に溶解した硫酸銅五水和物(29mg)及びアスコルビン酸ナトリウム(46mg)の溶液を添加した。更に3mLのDMSOを添加し、混合物を60℃に一晩加熱した。反応混合物を、周囲温度に冷却し、20mLの水及び40mLのジクロロメタンで希釈した。層を分離し、水性部分を更に20mLのジクロロメタンで抽出した。合わせた有機部分を水(2×)及びブラインで順次洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。カラムクロマトグラフィ(SiO2、NH4OHで飽和した5%メタノール/クロロホルム)により精製して、琥珀色固体を得た。固体を、0.5mLの濃塩酸を含有する10mLのエタノールに溶解した。混合物を、減圧下で濃縮し、次いで、エタノール(2×)から濃縮し、最後に、アセトニトリルから濃縮して、淡褐色固体を得た。固体をアセトニトリルから結晶化させ、濾過によって単離し、冷アセトニトリルですすぎ、真空下で一晩乾燥させて、(S)-1-(1-エトキシ-3-(4-(2-(4-フェニル-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)エトキシ)フェニル)プロパン-2-イル)-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-4-アミン塩酸塩75mgをオフホワイト結晶として得た。1H NMR(500MHz,メタノール-d4)δppm 8.57-8.64(m,1H)8.36(s,1H)8.28(d,J=8.3Hz,1H)7.76-7.83(m,2H)7.65-7.71(m,1H)7.61(t,J=7.6Hz,1H)7.49(t,J=7.6Hz,1H)7.41-7.47(m,2H)7.32-7.39(m,1H)7.02(d,J=8.6Hz,2H)6.67-6.72(m,2H)5.61(br dd,J=8.7,5.1Hz,1H)4.77(t,J=5.1Hz,2H)4.24-4.36(m,2H)4.00(d,J=5.1Hz,2H)3.48-3.58(m,2H)3.38-3.44(m,1H)3.25-3.32(m,1H)1.11(t,J=7.0Hz,3H)。
【0435】
実施例3
(S)-1-(1-(4-((11-アジドウンデシル)オキシ)フェニル)-3-エトキシプロパン-2-イル)-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-4-アミン
【0436】
【0437】
パートA
50mLのジクロロメタンに溶解した11-ブロモウンデカノール(2.51g、10.0mmol)の溶液を、窒素雰囲気下で0℃に冷却した。2,6-ルチジン(2.32mL、20.0mmol)及びトリフルオロメタンスルホン酸tert-ブチルジメチルシリル(1.81mL、10.0mmol)を添加し、混合物を一晩撹拌した。反応混合物を、飽和NaHCO3水溶液の添加によってクエンチし、層を分離した。有機部分を、1N塩酸溶液、水(2×)及びブラインで順次洗浄した。有機部分を、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、濃縮して、淡橙色油状物を得た。油状物を、シリカゲルの小プラグに通し、5%酢酸エチル/ヘキサンで溶出し、溶出液を濃縮して、((11-ブロモウンデシル)オキシ)(tert-ブチル)ジメチルシランを無色油状物として得た。
【0438】
パートB
20mLの無水DMFに溶解した(S)-4-(3-エトキシ-2-(1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル)プロピル)フェノール(802mg、2.31mmol)の撹拌溶液に、Cs2CO3(1.13g、3.46mmol)を添加し、続いて、((11-ブロモウンデシル)オキシ)(tert-ブチル)ジメチルシラン(1.01g、2.77mmol)を添加した。反応混合物を、窒素雰囲気下で65℃に加熱した。20時間後、反応混合物を、減圧下で濃縮し、得られた残留物を、酢酸エチル50mLと水25mLとの間で分配した。層を分離し、有機部分を、水(2×25mL)及びブラインで順次洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、濃縮した。カラムクロマトグラフィ(SiO2、酢酸エチル~10%メタノール/酢酸エチル)により精製して、1.20gの(S)-1-(1-(4-((11-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)ウンデシル)オキシ)フェニル)-3-エトキシプロパン-2-イル)-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリンを橙色シロップとして得た。
【0439】
パートC
30mLのTHFに溶解した(S)-1-(1-(4-((11-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)ウンデシル)オキシ)フェニル)-3-エトキシプロパン-2-イル)-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン(1.20g、1.90mmol)の撹拌溶液に、0.28mLのフッ化テトラブチルアンモニウム溶液(THF中1M)を添加した。一晩撹拌した後、反応混合物を減圧下で濃縮した。得られた残渣を、50mLの酢酸エチルと25mLの水との間で分配した。層を分離し、有機部分を、水(2×25mL)、次いで、ブライン(2×25mL)で順次洗浄した。有機層を、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、濃縮した。カラムクロマトグラフィ(SiO2、10%メタノール/酢酸エチル)により精製して、882mgの(S)-11-(4-(3-エトキシ-2-(1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル)プロピル)フェノキシ)ウンデカン-1-オールを琥珀色シロップとして得た。
【0440】
パートD
10mLのジクロロメタンに溶解した(S)-11-(4-(3-エトキシ-2-(1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル)プロピル)フェノキシ)ウンデカン-1-オール(882mg、1.70mmol)の撹拌溶液に、トリエチルアミン(355マイクロリットル、2.55mmol)及びメタンスルホニルクロリド(159マイクロリットル、2.04mmol)を添加した。2時間後、反応物を、飽和NaHCO3水溶液の添加によりクエンチした。層を分離し、有機部分を、水及びブラインで順次洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、濃縮して、981mgの(S)-11-(4-(3-エトキシ-2-(1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル)プロピル)フェノキシ)ウンデシルメタンスルホネートを琥珀色シロップとして得た。
【0441】
パートE
5mLのDMFに溶解した(S)-11-(4-(3-エトキシ-2-(1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル)プロピル)フェノキシ)ウンデシルメタンスルホネート(981mg、1.65mmol)の溶液に、アジ化ナトリウム(214mg、3.29mmol)を添加し、撹拌混合物を、60℃で一晩加熱した。次いで、反応混合物を、減圧下で濃縮し、得られたシロップを、50mLの酢酸エチルと25mLの水との間で分配した。層を分離し、有機部分を、水(2×25mL)及びブラインで順次洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、濃縮して、836mgの(S)-1-(1-(4-((11-アジドウンデシル)オキシ)フェニル)-3-エトキシプロパン-2-イル)-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリンを金色シロップとして得た。
【0442】
パートF
15mLのジクロロメタンに溶解した(S)-1-(1-(4-((11-アジドウンデシル)オキシ)フェニル)-3-エトキシプロパン-2-イル)-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン(836mg、1.54mmol)の溶液を、416mgのMCPBA(70%)と合わせ、90分間撹拌した。反応混合物を、-10℃に冷却し、続いて、6mLの濃NH4OH溶液を添加した。混合物を、急速に撹拌し、ベンゼンスルホニルクロリド(236マイクロリットル、1.85mmol)を添加した。次いで、反応混合物を、45分間にわたって周囲温度に温めた。反応物を、20mLの水の添加によりクエンチし、混合物を、15分間撹拌した。次いで、層を分離し、有機部分を、水、5%Na2CO3水溶液、水及びブラインで順次洗浄した。有機部分を、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。カラムクロマトグラフィ(SiO2、1~7.5%メタノール/クロロホルム)により精製して、褐色シロップを得た。シロップを再びカラムクロマトグラフィ(SiO2、NH4OHで飽和した3.3%メタノール/クロロホルム)で精製、525mgの琥珀色シロップを得た。琥珀色シロップを、0.2mLの濃塩酸を含有する10mLのエタノールに溶解した。混合物を、減圧下で濃縮し、次いで、エタノールから濃縮し、最後に、アセトニトリルから濃縮して、淡褐色固体を得た。固体を、5mLの熱アセトニトリルに溶解し、冷却すると淡褐色固体が形成された。固体を濾過により単離し、冷アセトニトリルですすぎ、真空下で一晩乾燥させて、269mgの(S)-1-(1-(4-((11-アジドウンデシル)オキシ)フェニル)-3-エトキシプロパン-2-イル)-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-4-アミン塩酸塩を淡褐色結晶として得た。1H NMR(500MHz,メタノール-d4)δppm 8.62(m,1H)8.36(d,J=8.3Hz,1H)7.69-7.79(m,2H)7.56(t,J=7.6Hz,1H)7.03(d,J=8.4Hz,2H)6.66(d,J=8.6Hz,2H)5.65(m,1H)4.03(d,J=5.0Hz,2H)3.80(t,J=6.4Hz,2H)3.55(m,2H)3.42(dd,J=5.8,14.3Hz,1H)3.31(m,1H)3.28(t,J=6.9Hz,2H)1.67(m,2H)1.59(m,2H)1.23-1.45(m,14H)1.13(t,J=7.0Hz,3H)。
【0443】
実施例4
(S)-1-(1-エトキシ-3-(4-((11-(4-フェニル-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)ウンデシル)オキシ)フェニル)プロパン-2-イル)-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-4-アミン
【0444】
【0445】
3mLのDMFに溶解した(S)-1-(1-(4-((11-アジドウンデシル)オキシ)フェニル)-3-エトキシプロパン-2-イル)-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-4-アミン塩酸塩(80mg、0.135mmol)及びフェニルアセチレン(22マイクロリットル、0.20mmol)の撹拌溶液を、窒素流で脱気した。臭化銅(I)(5mg)及びPMDTA(50マイクロリットル)を添加し、反応物を、窒素雰囲気下で一晩撹拌した。次いで、反応混合物を濃縮し、残渣を、20mLのジクロロメタンと10mLの0.1N EDTA(エチレンジアミン四酢酸)溶液との間で分配した。層を分離し、ジクロロメタン層を、水(2×)及びブラインで順次洗浄し、Na2SO4で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。カラムクロマトグラフィ(SiO2、NH4OHで飽和した4%メタノール/クロロホルム)により精製して、琥珀色固体を得た。固体を、0.1mLの濃塩酸を含有する5mLのエタノールに溶解した。混合物を、減圧下で濃縮し、次いで、エタノール(2×)から濃縮し、最後に、アセトニトリルから濃縮して、淡褐色固体を得た。固体を、アセトニトリルから結晶化させ、濾過により単離し、冷アセトニトリルですすぎ、真空下で一晩乾燥させて、24mgの(S)-1-(1-エトキシ-3-(4-((11-(4-フェニル-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)ウンデシル)オキシ)フェニル)プロパン-2-イル)-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-4-アミン塩酸塩をオフホワイト固体として得た。1H NMR(500MHz,メタノール-d4)δppm 8.62(s,1H)8.35(d,J=8.3Hz,1H)8.34(s,1H)7.77-7.83(m,2H)7.67-7.76(m,2H)7.56(m,1H)7.39-7.46(m,2H)7.32(m,1H)7.02(d,J=8.6Hz,2H)6.65(d,J=8.7Hz,2H)5.65(m,1H)4.46(t,J=7.0Hz,2H)4.03(d,J=5.0Hz,2H)3.78(t,J=6.4Hz,2H)3.50-3.61(m,2H)3.42(dd,J=5.7,14.3Hz,1H)3.32(dd,J=9.2,14.3Hz,1H)1.97(m,2H)1.63(m,2H)1.24-1.43(m,14H)1.13(t,J=7.0Hz,3H)。
【0446】
ヒト細胞におけるサイトカイン誘導
静脈穿刺によって、健康なヒトドナーから全血を得て、EDTAを含有するバキュテイナーチューブ又はシリンジに採取した。ヒト末梢血単核細胞(peripheral blood mononuclear cell、PBMC)を、密度勾配遠心分離によって全血から精製した。Histopaque 1077(15mL、Sigma-Aldrich)を、6×50mLの滅菌ポリプロピレンコニカルチューブに移した。Histopaqueに、ハンクス平衡塩類溶液(Hank’s Balanced Salts Solution、HBSS)(Gibco,Life Technologies、Grand Island,NY)で1:2に希釈した15~25mLの血液を重層した。次いで、チューブを、1370rpmで30分間、20℃で、ブレーキなしで遠心分離した(400×g、GH 3.8Aロータ)。
【0447】
PBMCを含む界面(バフィコート)を回収し、新しい滅菌50mLコニカルポリプロピレン遠心管に入れた。PBMCを、等量のHBSS(界面から約20mL及び約20mLのHBSS)と混合し、次いで、1090rpm、10分間、20℃、ブレーキ付きで遠心分離した(270×g、GH 3.8Aロータ)。遠心分離を完了した後、細胞を、2~3mLのACK赤血球溶解緩衝液(塩化アンモニウムカリウム溶液、Gibco,Life Technologies)に再懸濁し、20℃で2~5分間インキュベートした。次に、HBSS(40mL)を細胞に添加し、試料を、20℃で10分間、270×gで遠心分離した。上清をデカントし、細胞ペレットを、5mLのAIM V培地(Gibco,Life Technologies)に再懸濁した。BD Falcon 70ミクロンナイロン細胞ストレーナー(BD Biosciences、San Jose,CA)を通して細胞溶液を濾過することによって、細胞凝集体及びデブリを除去した。
【0448】
生存細胞の数を、Moxi Z機器(ORFLO Technologies、Ketchum,ID)で計数することによって、又は血球計を使用することによって決定した。血球計で細胞生存率を決定するために、細胞を、0.4%トリパンブルー及びHBSS中で1/10に希釈した(具体的には、50マイクロリットルのトリパンブルー+40マイクロリットルのHBSS+10マイクロリットルの細胞溶液を微量遠心管に添加し、混合した)。次いで、10マイクロリットルの希釈細胞を血球計に適用し、生存PBMCの数を顕微鏡によって決定した。
【0449】
次いで、PBMC試料を、96ウェルプレートに、0.1mLのAIM-V培地中、8×105細胞/ウェルの濃度で再懸濁した。各化合物を、DMSOに可溶化して、3mMストック溶液を作製した。次いで、ストック溶液を、AIM-V培地で更に希釈して、段階希釈液を調製した。次いで、希釈した化合物(100マイクロリットル)を、PBMCに移して、30、10、3.3、1.1、0.37、0.12、0.04、0.01マイクロモル濃度の最終化合物濃度を有する試験セットを作製した。プレートはまた、陽性対照及び陰性対照の両方を有した。陰性対照ウェルには、実施例化合物を含まないAIM-V培地のみが含まれた。陽性対照ウェルには、30、10、3.3、1.1、0.37、0.12、0.04、0.01マイクロモルの濃度に段階希釈したイミキモドの対照セットが含まれた。対照セットで使用した濃度は、試験セットで使用した濃度と一致するように選択した。次いで、プレートを、37℃/5%CO2で21~24時間培養した。96ウェルプレートを2100rpm、23℃で10分間遠心分離することによって、無細胞上清を回収した。次いで、およそ160マイクロリットルの上清を、NUNC96ウェルプレートに保存し、圧縮キャップで覆い、サイトカイン分析を行うまで-80℃で保存した。
【0450】
サイトカインレベル(ヒトIFN-αマルチサブタイプ、ヒトIFN-γ、及びヒトTNF-α)を、製造業者の説明書に従ってElla Simple Plex ELISA(ProteinSimple、San Jose,CA)によってピコグラム/mLで測定した。
【0451】
データを分析して、アッセイにおいて特定のサイトカインの誘導が観察された各化合物の最小有効濃度(minimum effective concentration、MEC)を決定した。具体的には、各化合物の最小有効濃度(マイクロモル)を、陰性対照ウェルで観察されたものよりも少なくとも2倍大きいレベル(ピコグラム/mL)で測定されたサイトカイン応答を誘導した化合物の最低濃度として決定した。表1に、その結果を示す。記号「≦0.01」は、アッセイにおいて評価された化合物の最低濃度でサイトカイン誘導が観察されたことを示す。
【0452】
【0453】
TLR活性化及び特異性
HEK-BLUE-hTLR7又はhTLR8レポーター細胞は、InvivoGen(San Diego,CA)から入手した。製造業者の説明書に従って、これらのレポーター細胞を、誘導性分泌型胚性アルカリホスファターゼ(secreted embryonic alkaline phosphatase、SEAP)レポーター遺伝子及びヒトTLR7又はTLR8遺伝子のいずれかによるHEK293細胞の同時トランスフェクションによって調製した。SEAPレポーター遺伝子を、5つのNF-κB及びAP-1結合部位に融合されたIFN-β最小プロモーターの制御下に配置した。TLRリガンドの存在下では、NF-κB及びAP-1の活性化が起こり、対応するSEAPレベルの増加をもたらす。
【0454】
誘導性SEAPレポーターを発現するが、TLR7もTLR8も発現しない親HEK293細胞(ヌル)をInvivoGenから入手し、アッセイにおける陰性対照として使用した。
【0455】
アッセイにおいて、HEK細胞を、1%ペニシリン/ストレプトマイシン及び10%熱不活性化Gibcoウシ胎児血清(ThermoFisher Scientific)を補充したダルベッコ改変イーグル培地(ThermoFisher Scientific Incorporated、Waltham,MA)を含有する増殖培地で、標準的な細胞培養技術を使用して増殖させ、維持した。各化合物を、DMSOに可溶化して、3mMストック溶液を作製した。次いで、ストック溶液を、増殖培地で更に希釈して、段階希釈液を調製した。各試験化合物を、30、10、3.3、1.1、0.37、0.12、0.04、及び0.01マイクロモル濃度の濃度で、ウェル当たり5×104細胞及び200マイクロリットルの増殖培地を有する96ウェルフォーマットを使用して試験した。
【0456】
各化合物について、hTLR7、hTLR8、及びそれらのそれぞれのヌル対照HEK細胞をスクリーニングした。増殖培地に段階希釈したDMSOは、ビヒクル対照として機能した。SEAPレポーターを含む細胞培養上清を、細胞培養インキュベーター(37℃及び5%CO2)での16~20時間のインキュベーション期間後に回収し、直ちに分析するか、又は-80℃で保存した。SEAPレベルを、製造業者の説明書に従って比色酵素アッセイ(QUANTI-BLUE(InvivoGen)を使用して測定した。
【0457】
データを分析して、アッセイにおいて活性化が観察された各化合物の最小有効濃度(MEC)を決定した。具体的には、各化合物の最小有効濃度(マイクロモル濃度)を、ビヒクル対照ウェルで観察されたものよりも少なくとも2倍大きいSEAP発現応答を生成した化合物の最低濃度として決定した。表2に、その結果を示す。記号「≦0.01」は、アッセイにおいて評価された化合物の最低濃度でTLR活性化が観察されたことを示す。
【0458】
【0459】
実施例5
(S)-1-(1-(4-(2-(4-((2-(2-(2-アミノエトキシ)エトキシ)エトキシ)メチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)エトキシ)フェニル)-3-エトキシプロパン-2-イル)-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-4-アミン
【0460】
【0461】
パートA
500mLの丸底フラスコに、カリウムtert-ブトキシド(3.29g、28.4mmol)及び100mLの無水テトラヒドロフラン(THF)を充填した。フラスコを、窒素雰囲気下に置き、氷浴で0℃に冷却した。トリエチレングリコール(8.45g、56.3mmol)をシリンジを介して添加し、混合物を30分間撹拌した。次いで、プロパルギルブロミド(3.12mL、28.0mmol)を添加し、混合物を一晩撹拌した。次いで、反応混合物を濾過し、濾液を濃縮して琥珀色シロップを得た。カラムクロマトグラフィ(シリカゲル、50~70%酢酸エチル/ヘキサン)により、4.09gの2-(2-(2-(プロパ-2-イン-1-イルオキシ)エトキシ)エトキシ)エタン-1-オールを淡黄色油状物として得た。
【0462】
パートB
250mLの丸底フラスコに、2-(2-(2-(プロパ-2-イン-1-イルオキシ)エトキシ)エトキシ)エタン-1-オール(2.00g、10.6mmol)及び25mLのCH2Cl2を充填した。フラスコを、窒素雰囲気下に置き、氷浴で0℃に冷却した。トリエチルアミン(3.55mL、25.5mmol)及びDMAP(64mg、0.53mmol)を、撹拌反応混合物に添加し、続いて、メタンスルホニルクロリド(1.00mL、12.9mmol)を滴加した。反応混合物を、一晩、周囲温度に温めた。次いで、反応混合物を、飽和NaHCO3溶液の添加によりクエンチし、50mLのCH2Cl2で希釈した。混合物を、分液漏斗に移し、層を分離した。有機部分を、5%NaH2PO4溶液及びブラインで順次洗浄した。次いで、有機部分を、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、濃縮して、2.15gの2-(2-(2-(プロパ-2-イン-1-イルオキシ)エトキシ)エトキシ)エチルメタンスルホネートを淡褐色油状物として得た。
【0463】
パートC
250mL丸底フラスコに、2-(2-(2-(プロパ-2-イン-1-イルオキシ)エトキシ)エトキシ)エチルメタンスルホネート(2.15g、8.08mmol)を充填し、5mLの無水DMFに溶解した。アジ化ナトリウム(630mg、9.70mmol)を添加し、撹拌混合物を、窒素雰囲気下で50℃に加熱した。一晩撹拌した後、混合物を、減圧下で濃縮した。得られたシロップを、75mLの酢酸エチルと25mLの水との間で分配した。混合物を、分液漏斗に移し、層を分離した。水層を、更に10mLの酢酸エチルで抽出した。合わせた有機部分を、10mLの水で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、濃縮して金色シロップを得た。カラムクロマトグラフィ(シリカゲル、33%酢酸エチル/ヘキサン)により、1.32gの3-(2-(2-(2-アジドエトキシ)エトキシ)エトキシ)プロパ-1-インを無色油状物として得た。
【0464】
パートD
20mLのTHFに溶解した3-(2-(2-(2-アジドエトキシ)エトキシ)エトキシ))プロパ-1-イン(1.32g、6.20mmol)及びトリフェニルホスフィンの混合物を、15分間撹拌した。次いで、水(0.3mL)を添加し、反応混合物を、一晩、50℃に加熱した。次いで、反応混合物を、減圧下で濃縮した。カラムクロマトグラフィ(シリカゲル、濃NH4OHで飽和した10%MeOH/CHCl3)により、1.08gの2-(2-(2-(プロパ-2-イン-1-イルオキシ)エトキシ)エトキシ)エタン-1-アミンを無色油状物として得た。
【0465】
パートE
100mL丸底フラスコに、2-(2-(2-(プロパ-2-イン-1-イルオキシ)エトキシ)エトキシ)エタン-1-アミン(114mg、0.609mmol)及び3mLのDMFを充填した。フラスコを窒素でパージし、続いて、(S)-1-(1-(4-(2-アジドエトキシ)フェニル)-3-エトキシプロパン-2-イル)-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-4-アミン塩酸塩(100mg、0.214mmol)及び臭化銅(I)(10mg、0.07mmol)を添加した。次いで、PMDTA(75マイクロリットル、0.360mmol)を添加し、反応混合物を一晩撹拌した。次いで、反応混合物を、減圧下で濃縮し、得られた青色シロップを、20mLのCH2Cl2と10mLの水との間で分配した。層を分離し、水層を、更に10mLのCH2Cl2で抽出した。合わせた有機層を、減圧下で濃縮して、淡青色シロップを得た。カラムクロマトグラフィ(シリカゲル、濃NH4OHで飽和した10%MeOH/CHCl3)により、無色シロップを得、次いで、これを、10mLのCH2Cl2に溶解し、3部の水で洗浄した。有機部分を、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、濃縮して、78mgの(S)-1-(1-(4-(2-(4-((2-(2-(2-アミノエトキシ)エトキシ)エトキシ)メチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)エトキシ)フェニル)-3-エトキシプロパン-2-イル)-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-4-アミンを淡褐色シロップとして得た。1H NMR(500MHz,クロロホルム-d)δppm 8.05(s,1H)8.02(dJ=8.2Hz,1H)7.83(dJ=8.3Hz,1H)7.75(s,1H)7.52(tJ=7.6Hz,1H)7.31(tJ=7.6Hz,1H)7.04(dJ=8.3Hz,2H)6.76(dJ=8.3Hz,2H)5.52(br s,2H)5.32(m,1H)4.72(tJ=5.0Hz,2H)4.70(s,2H)4.30(tJ=5.0Hz,2H)3.82(dJ=3.5Hz,2H)3.58-3.74(m,8H)3.48-3.56(m,4H)3.46(ddJ=8.0,14.0Hz 1H)3.28(ddJ=5.9,14.0Hz,1H)2.87(br s,2H)1.22(tJ=7.0Hz,3H)。
【0466】
実施例6
(S)-1-2-(2-(2-((1-(2-(4-(2-(4-アミノ-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル)-3-エトキシプロピル)フェノキシ)エチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メトキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)-1H-ピロール-2,5-ジオン
【0467】
【0468】
パートA
2-(2-(2-(プロパ-2-イン-1-イルオキシ)エトキシ)エトキシ)エタン-1-アミン(532mg、2.84mmol)及び無水マレイン酸(279mg、2.84mmol)の混合物を、1mLの無水DMFに溶解し、窒素雰囲気下で一晩撹拌した。酢酸ナトリウム(50mg、0.28mmol)及び無水酢酸(0.47mL、4.97mmol)を添加し、混合物を、60分間100℃に加熱した。次いで、反応物を減圧下で濃縮して、暗色油状物を得た。暗色油状物を、25mLのCH2Cl2と20mLの飽和NaHCO3溶液との間で分配した。層を分離し、水性部分を、更に25mL部のCH2Cl2で2回抽出した。合わせた有機部分を、10mLの水、続いて、10mLのブラインで洗浄した。有機部分を、Na2SO4で脱水し、濾過し、減圧下で濃縮して、油状物を得た。カラムクロマトグラフィシリカゲル(3.3%MeOH/CHCl3)による精製により、530mgの1-(2-(2-(2-(プロパ-2-イン-1-イルオキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)-1H-ピロール-2,5-ジオンを無色シロップとして得た。
【0469】
パートB
100mL丸底フラスコに、1-(2-(2-(2-(プロパ-2-イン-1-イルオキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)-1H-ピロール-2,5-ジオン(72mg、0.207mmol)及び3mLのDMFを充填した。フラスコを窒素でパージし、続いて、(S)-1-(1-(4-(2-アジドエトキシ)フェニル)-3-エトキシプロパン-2-イル)-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-4-アミン塩酸塩(100mg、0.214mmol)及び臭化銅(I)(10mg、0.07mmol)を添加した。次いで、PMDTA(75マイクロリットル、0.360mmol)を添加し、反応混合物を一晩撹拌した。次いで、反応混合物を、減圧下で濃縮し、得られた青色シロップを、30mLのCH2Cl2と10mLの水との間で分配した。層を分離し、水層を、更に10mLのCH2Cl2で抽出した。合わせた有機部分を、10mLの水、続いて、10mLのブラインで洗浄した。有機部分を、Na2SO4で脱水し、濾過し、減圧下で濃縮して、油状物を得た。カラムクロマトグラフィ(シリカゲル、5%MeOH/CHCl3)による精製により、115mgの(S)-1-(2-(2-(2-((1-(2-(4-(2-(4-アミノ-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル)-3-エトキシプロピル)フェノキシ)エチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メトキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)-1H-ピロール-2,5-ジオンを琥珀色シロップとして得た。1H NMR(500MHz,クロロホルム-dδppm 8.06(s,1H)8.02(dJ=8.2Hz,1H)7.84(dJ=8.3Hz,1H)7.76(s,1H)7.52(tJ=7.6Hz,1H)7.33(tJ=7.5Hz,1H)7.04(dJ=8.3Hz,2H)6.77(dJ=8.4Hz,2H)6.67(s,2H)5.68(br s,2H)5.31(m,1H)4.72(tJ=5.0Hz,2H)4.69(s,2H)4.30(tJ=5.0Hz,2H)3.82(dJ=3.3Hz,2H)3.65-3.73(m,4H)3.56-3.65(m,8H)3.48-3.55(m,2H)3.45(ddJ=8.1,14.0Hz 1H)3.28(ddJ=5.8,13.9Hz,1H)1.22(tJ=7.0Hz,3H)。
【0470】
実施例7
(S)-1-(1-(2-(4-(2-(4-アミノ-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル)-3-エトキシプロピル)フェノキシ)エチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)-2,5,8,11-テトラオキサトリデカン-13-酸
【0471】
【0472】
パートA
20mLのCH2Cl2に溶解した2-(2-(2-(プロパ-2-イン-1-イルオキシ)エトキシ)エトキシ)エタン-1-オール(1.09g、5.79mmol)の溶液を0℃に冷却し、窒素雰囲気下で撹拌した。ジアゾ酢酸エチル(CH2Cl2中83%溶液、0.80g、5.79mmol)を添加し、続いて、三フッ化ホウ素エーテレート(28マイクロリットル、0.23mmol)を添加した。反応混合物を、90分かけて周囲温度に到達させた。次いで、反応物を、水の添加によりクエンチし、更に20mLのCH2Cl2で希釈した。層を分離し、有機部分をブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、濃縮して、黄色油状物を得た。カラムクロマトグラフィ(シリカゲル、25~67%酢酸エチル/ヘキサン)による精製により、470mgのエチル3,6,9,12-テトラオキサペンタデカ-14-イノエートを無色油状物として得た。
【0473】
パートB
5mLのTHFに溶解したエチル3,6,9,12-テトラオキサペンタデカ-14-イノエート(470mg、1.72mmol)の溶液に、5.0mLの1N NaOH溶液を添加した。60分間撹拌した後、5.0mLの1.0N HCl溶液を添加し、混合物を、減圧下で濃縮し、次いで、トルエンから濃縮乾固した。得られた残渣を、10mLのCH2Cl2とともに撹拌し、濾過した。濾液を濃縮して、371mgの3,6,9,12-テトラオキサペンタデカ-14-イン酸を無色油状物として得た。
【0474】
パートC
100mL丸底フラスコに、3,6,9,12-テトラオキサペンタデカ-14-イン酸(371mg、1.51mmol)及び10mLのDMFを充填した。フラスコを窒素でパージし、続いて、(S)-1-(1-(4-(2-アジドエトキシ)フェニル)-3-エトキシプロパン-2-イル)-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-4-アミン塩酸塩(361mg、0.84mmol)及び臭化銅(I)(20mg、0.14mmol)を添加した。次いで、PMDTA(0.35mL、1.68mmol)を添加し、反応混合物を2時間撹拌した。次いで、反応混合物を、減圧下で濃縮し、得られた褐色油状物を、50mLのCH2Cl2と15mLの0.1M EDTA溶液との間で分配した。層を分離し、有機層を廃棄した。水層を、2mLの1N HCl溶液で酸性化し、50mLのCH2Cl2で抽出した。有機層を、ブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、シロップを得た。カラムクロマトグラフィ(シリカゲル、10~50%MeOH/CHCl3による精製により、284mgの(S)-1-(1-(2-(4-(2-(4-アミノ-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル)-3-エトキシプロピル)フェノキシ)エチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)-2,5,8,11-テトラオキサトリデカン-13-酸を琥珀色泡状物として得た。1H NMR(500MHz,クロロホルム-d)δppm 8.20(m,1H)7.88(d,J=8.4Hz,1H)7.86(d,J=8.2Hz,1H)7.80(s,1H)7.46(t,J=7.7Hz,1H)7.28(m,1H)6.86(d,J=8.1Hz,2H)6.63(d,J=8.5Hz,2H)5.29(br s,1H)4.70(s,2H)4.66(m,2H)4.20(t,J=5.1Hz,2H)4.07(s,2H)3.92(d,J=3.9Hz,2H)3.62-3.79(m,12H)3.55(q,J=7.0Hz,2H)3.37(dd,J=14.2,6.0Hz,1H)3.24(dd,J=14.1,8.2Hz,1H)1.21(t,J=7.0Hz,3H)。
【0475】
実施例8.IRM含有共役体の調製
2mM EDTAを含有する0.1Mリン酸緩衝生理食塩水(PBS)溶液を調製し、1N NaOHの添加により、pHを7.4に調整した。50mgのリゾチーム(Alfa Aesar Companyから入手)を3mLのPBS溶液に溶解し、続いて、2mLのDMSOを添加することによって、10mg/mLのリゾチーム溶液を調製した。溶液を、30分間穏やかに混合した。リゾチーム溶液の1.00mL試料を、1.5mLエッペンドルフチューブに添加した。
(S)-1-(2-(2-(2-((1-(2-(4-(2-(4-アミノ-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル)-3-エトキシプロピル)フェノキシ)エチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メトキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)-1H-ピロール-2,5-ジオン(20mg、実施例6で調製)を、200マイクロリットルのDMSOに溶解し、溶液の100マイクロリットルのアリコートを、リゾチーム溶液を含むエッペンドルフチューブに添加した。混合物を、ロータリーミキサーを使用して、一晩穏やかに混合した。次いで、Thermo Scientific Slide-A-Lyzer透析装置(50mL、ThermoFisher Scientificから入手)を使用して透析し、ロータリーミキサーで5時間、PBS緩衝溶液(45mL)と混合することによって、混合物を精製した。PBS緩衝溶液を除去し、45mLの新鮮な緩衝溶液で置き換えた。透析装置をロータリーミキサーに戻し、混合を一晩続けた。溶液を透析装置から取り出し、MALDI-TOF MS及び高分解能LC-MSを使用して分析した。結果は、全リゾチームタンパク質の約50%画分に共役された少なくとも1つのIRMの存在を示した。
【0476】
実施例9.IRM含有共役体の調製
1つのドラムバイアルに、
(S)-1-(1-(2-(4-(2-(4-アミノ-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル)-3-エトキシプロピル)フェノキシ)エチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)-2,5,8,11-テトラオキサトリデカン-13-酸(38mg、実施例7で調製)及びN,N,N′,N′-テトラメチル-O-(N-スクシンイミジル)テトラフルオロホウ酸ウロニウム(TSTU)(15mg)を充填した。混合物を、500マイクロリットルの無水DMSOに溶解し、5分間撹拌した。100マイクロリットルの試料を、1.00mLのリゾチーム溶液(実施例8に記載されるように調製)を含む1.5mLエッペンドルフチューブに添加した。混合物を、ロータリーミキサーを使用して、一晩穏やかに混合した。次いで、混合物を、実施例8に記載した手順に従って、透析により精製した。溶液を透析装置から取り出し、MALDI-TOF MS及び高分解能LC-MSの両方により分析した。結果は、全リゾチームタンパク質の約50%画分に共役された少なくとも1つのIRMの存在を示した。
【0477】
IRM含有共役体を分析するためのマトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析(Matrix Assisted Laser Desorption Ionization Time of Flight Mass Spectrometry、MALDI-TOF MS)法
IRM含有共役体試料(10%メタノールで1:20に希釈)及びBrukerタンパク質標準I及びII(Bruker Company、Billerica,MA)の較正ミックスを、ステンレス鋼MALDI標的上にスポットした。乾燥したスポットを、Bruker Ultraflextreme MALDI-TOF/TOF質量分析計(Bruker Company)を陽イオンモードで使用して分析した。線形検出を、5~50kDaの方法設定、0.63及び1.25GS/sの収集速度、並びに490nsのパルスイオン抽出で利用した。試料のイオン化効率に応じて、レーザー出力及びレーザーショット数を調整した。データを、40~60m/zに平滑化した。分析直前にBrukerタンパク質標準を用いて装置を較正した。
【0478】
IRM含有共役体を分析するための液体クロマトグラフィ-質量分析(LC-MS)方法
ThermoFisher ULTIMATE 3000 RSLCnano HPLC機器及びThermoFisher Scientific Orbitrap FUSION LUMOS TRIBRID質量分析計(ThermoFisher Scientific)を使用して、高分解能LC-MSデータを収集した。液体クロマトグラフィ(Liquid chromatography、LC)は、0.35mL/分で操作される分析用三元ポンプを使用して行った。緩衝液Aは、水中の0.1%ギ酸であり、緩衝液Bは、アセトニトリル中の0.1%ギ酸であった。溶出のための勾配プロトコルは、以下のように順次行った:10%緩衝液Bで2分間保持、85%緩衝液Bへの10分間の勾配、100%緩衝液Bへの2分間の勾配、100%緩衝液Bで2分間保持、10%緩衝液Bで4分間の平衡化。LCカラムは、40℃に維持されたAdvanceBio RP-mAb SB-C8、2.1×100 mm、3.5マイクロメートル(Agilent Technologies、Santa Clara,CA)であった。質量分析計を、データ収集前にインタクトプロテインモードに調整した。データは、10のデフォルト荷電状態及びRunStart Easy-IC質量較正を用いてインタクトプロテインモードで収集した。
【0479】
本明細書で引用された特許、特許文献、出版物の完全な開示は、あたかも各々が個別に組み込まれているかのように、その全体が参照により組み込まれる。本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく、本発明に対する様々な修正及び変更が当業者には明らかとなるであろう。本発明は、本明細書に記載される例示的な実施形態及び実施例によって不当に限定されることを意図するものではなく、そのような実施例及び実施形態は例としてのみ提示されており、本発明の範囲は本明細書で以下のように規定される特許請求の範囲によってのみ限定されることが意図されていることが理解されるべきである。
【国際調査報告】