(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】光学フィルム、バックライト及びディスプレイシステム
(51)【国際特許分類】
G02B 5/28 20060101AFI20241219BHJP
G02B 5/30 20060101ALI20241219BHJP
G02B 5/26 20060101ALI20241219BHJP
G02B 5/20 20060101ALI20241219BHJP
G02B 5/08 20060101ALI20241219BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20241219BHJP
F21V 3/00 20150101ALI20241219BHJP
F21V 3/12 20180101ALI20241219BHJP
F21V 3/10 20180101ALI20241219BHJP
F21V 9/08 20180101ALI20241219BHJP
F21V 9/20 20180101ALI20241219BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20241219BHJP
B32B 7/023 20190101ALI20241219BHJP
F21Y 105/10 20160101ALN20241219BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20241219BHJP
F21Y 115/15 20160101ALN20241219BHJP
【FI】
G02B5/28
G02B5/30
G02B5/26
G02B5/20
G02B5/08 A
G02B5/08 Z
G09F9/00 336E
F21V3/00 530
F21V3/12
F21V3/10 310
F21V9/08 100
F21V9/08 300
F21V9/20
F21S2/00 481
B32B7/023
F21Y105:10
F21Y115:10
F21Y115:15
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024535222
(86)(22)【出願日】2022-12-02
(85)【翻訳文提出日】2024-06-12
(86)【国際出願番号】 IB2022061722
(87)【国際公開番号】W WO2023111761
(87)【国際公開日】2023-06-22
(32)【優先日】2021-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100130339
【氏名又は名称】藤井 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】ブノワ,ジル ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ザオ,リン
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン,マシュー ビー.
【テーマコード(参考)】
2H042
2H148
2H149
3K244
4F100
5G435
【Fターム(参考)】
2H042DA08
2H042DA11
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(57)【要約】
光学フィルムが、複数のポリマー第2層上に配置された複数の第1層を含む。第1層のうちの少なくとも30%の各々が、少なくとも30重量%の無機材料を含む。実質的に垂直な入射光に対して、青色波長範囲が約420nmから約480nmまで延び、緑色波長範囲が約490nmから約560nmまで延び、赤色波長範囲が約590nmから約670nmまで延び、光学フィルム及び複数の第2層はそれぞれの平均光反射率として、青色波長範囲におけるRof(b)及びR2(b)、緑色波長範囲におけるRof(g)及びR2(g)、並びに赤色波長範囲におけるRof(r)及びR2(r)を有し、0≦Rof(b)-R2(b)≦25%であり、Rof(g)-R2(g)>30%であり、Rof(r)及びR2(r)の各々が約60%よりも大きく、|Rof(r)-R2(r)|が約20%未満である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
合計でN2個の複数のポリマー第2層上に配置され、長さ及び幅が前記複数のポリマー第2層と実質的に同一の広がりを有する、合計でN1個の複数の第1層を含み、2<N1<50、N2-N1>10である、多層光学フィルムであって、前記第1層及び前記第2層の各々は、約500nm未満の平均厚さを有し、前記第1層のうちの少なくとも30%の各々は、少なくとも30重量%の無機材料を含み、実質的に垂直な入射光に対して、青色波長範囲が約420nmから約480nmまで延び、緑色波長範囲が約490nmから約560nmまで延び、赤色波長範囲が約590nmから約670nmまで延び、前記光学フィルム及び前記複数のポリマー第2層はそれぞれの平均光反射率として、前記青色波長範囲おけるRof(b)及びR2(b)、前記緑色波長範囲おけるRof(g)及びR2(g)、並びに前記赤色波長範囲におけるRof(r)及びR2(r)を有し、
0≦Rof(b)-R2(b)≦25%であり、
Rof(g)-R2(g)>30%であり、
Rof(r)及びR2(r)の各々が約60%よりも大きく、Rof(r)とR2(r)との差の大きさが約20%未満である、多層光学フィルム。
【請求項2】
前記第1層のうちの少なくとも40%の各々が、少なくとも60重量%の無機材料を含む、請求項1に記載の多層光学フィルム。
【請求項3】
0≦Rof(b)-R2(b)≦20%であり、
Rof(g)-R2(g)>50%であり、
Rof(r)及びR2(r)の各々が約80%よりも大きく、Rof(r)とR2(r)との差の大きさが約5%未満である、請求項1又は2に記載の多層光学フィルム。
【請求項4】
光学積層体であって、
対応する青色波長において少なくとも1つの青色ピークを含む青色発光スペクトル、対応する緑色波長において少なくとも1つの緑色ピークを含む緑色発光スペクトル、及び対応する赤色波長において少なくとも1つの赤色ピークを含む赤色発光スペクトル、を含む1つ以上の光変換フィルムと、
前記1つ以上の光変換フィルム上に配置され、長さ及び幅が前記1つ以上の光変換フィルムと実質的に同一の広がりを有する光学フィルムであって、合計で少なくとも3個の複数の無機第1層と、合計で少なくとも20個の複数のポリマー第2層とを含み、前記無機第1層及び前記ポリマー第2層の各々が約500nm未満の平均厚さを有し、実質的に非偏光の実質的に垂直な入射光に対して、前記光学フィルムは、前記青色波長において約60%超の光透過率を有し、前記緑色波長及び前記赤色波長の各々において約70%超の光反射率を有する、光学フィルムと、を含む、光学積層体。
【請求項5】
前記光学フィルムの前記光透過率は前記青色波長において約70%超であり、前記光学フィルムの前記光反射率は前記緑色波長及び前記赤色波長の各々において約80%超である、請求項4に記載の光学積層体。
【請求項6】
合計で約600個未満の複数の層を含む光学フィルムであって、前記複数の層は、合計で少なくとも20個の複数のポリマー第2層上に配置された合計で3個の複数の第1層を含み、前記第1層のうちの少なくとも30%の各々が少なくとも30重量%の無機材料を含み、前記第1層及び前記ポリマー第2層の各々が約500nm未満の平均厚さを有し、実質的に非偏光の実質的に垂直な入射光に対して、
前記ポリマー第2層の光反射率対波長は、第1の反射帯域であって、少なくとも100nm幅であり、約590nmから約670nmまで延びる赤色波長範囲内の少なくとも1つの波長を含むが、約490nmから約560nmまで延びる緑色波長範囲内の波長を含まない、第1の半値全幅FWHM1、を含む第1の反射帯域を含み、前記光学フィルムが、第2の反射帯域であって、FWHM1よりも少なくとも20nm大きく、前記緑色波長範囲内の少なくとも1つの波長を含む、第2の半値全幅FWHM2、を含む第2の反射帯域を有するように、前記複数の第1層が前記FWHM1を拡張し、前記光学フィルム及び前記複数の第2層は、前記赤色波長範囲内にそれぞれの平均光反射率Rof(r)及びR2(r)を有し、Rof(r)とR2(r)との差の大きさが約3%未満である、光学フィルム。
【請求項7】
Rof(r)及びR2(r)は各々が85%超である、請求項6に記載の光学フィルム。
【請求項8】
合計で少なくとも20個の複数の交互のポリマー第2層及びポリマー第3層上に配置された、合計で3~50個の複数の第1層を含む光学フィルムであって、前記第1層のうちの少なくとも30%の各々が少なくとも30重量%の無機材料を含み、前記ポリマー第2層の各々が少なくとも80重量%のポリエチレンテレフタレートを有し、前記第1層、前記第2層、及び前記第3層の各々が約500nm未満の平均厚さを有し、実質的に非偏光の実質的に垂直な入射光に対して、
前記光学フィルム、前記複数の第1層、並びに前記複数の交互のポリマー第2層及びポリマー第3層の光反射率が、それぞれの小さい方の波長とそれぞれの大きい方の波長との間に延びるそれぞれの第1、第2及び第3の半値全幅を含むそれぞれの第1、第2及び第3の反射帯域を含み、前記第1、第2及び第3の半値全幅の各々が少なくとも50nmの幅を有し、
前記第1の半値全幅及び前記第3の半値全幅の前記小さい方の波長間の差の大きさが、約20nm未満であり、
前記第3の半値全幅の前記小さい方の波長は、前記第2の半値全幅の前記小さい方の波長よりも少なくとも20nm小さく、
前記第1の半値全幅の前記大きい方の波長は、前記第2の半値全幅の前記大きい方の波長よりも少なくとも5nm大きい、光学フィルム。
【請求項9】
画像を表示するように構成されたディスプレイパネルに照明を提供するためのバックライトであって、
2次元的に配置され、互いに間隔を開け、放出波長を有する光を放出するように構成された、複数の発光素子と、
前記発光素子上に配置され、対応するそれぞれの第1、第2及び第3のピーク波長におけるそれぞれの第1、第2及び第3のピークと、対応する重なり合わない第1、第2及び第3の半値全幅(FWHM)とを含む第1、第2及び第3の発光スペクトルを含む、1つ以上の光変換フィルムであって、前記第2のFWHMは前記第1のFWHMと前記第3のFWHMとの間に配置され、前記1つ以上の光変換フィルムは、前記発光素子からの放出された前記光を受光し、受光した前記放出された光の少なくとも一部を前記それぞれの第2のFWHM及び第3のFWHM内に配置されたそれぞれの第2の波長及び第3の波長を有する第2の光及び第3の光に変換するように構成された、1つ以上の光変換フィルムと、
前記発光素子と前記1つ以上の光変換フィルムとの間に配置され、合計で50個未満の複数の無機第1層と合計で少なくとも20個の複数のポリマー第2層とを含む、光学フィルムであって、前記無機第1層及び前記ポリマー第2層の各々が約500nm未満の平均厚さを有し、実質的に非偏光の実質的に垂直な入射光に対して、前記光学フィルムは、前記放出波長において約60%超の光透過率を有し、前記第2の波長及び前記第3の波長の各々において約70%超の光反射率を有する、光学フィルムと、を含む、バックライト。
【請求項10】
前記1つ以上の光変換フィルムは、前記受光した放出された光の少なくとも一部を、前記第1のFWHM内に配置された第1の波長を有する第1の光に変換するように更に構成されている、請求項9に記載のバックライト。
【請求項11】
前記第1のFWHM、前記第2のFWHM、及び前記第3のFWHMは少なくとも10nm離れている、請求項9に記載のバックライト。
【請求項12】
前記光学フィルムの反対側の前記1つ以上の光変換フィルム上に配置され、第1の長手方向に沿って延びる複数の第1のプリズムを備える、第1のプリズムフィルムを更に備える、請求項9に記載のバックライト。
【請求項13】
前記光学フィルムの反対側の前記第1のプリズムフィルム上に配置され、前記第1の長手方向とは異なる第2の長手方向に沿って延びる複数の第2のプリズムを備える、第2のプリズムフィルムを更に備える、請求項12に記載のバックライト。
【請求項14】
反射偏光子を更に備え、前記1つ以上の光変換フィルムは前記反射偏光子と前記光学フィルムとの間に配置され、前記反射偏光子は合計で少なくとも10個の複数のポリマー第3層を含み、前記ポリマー第3層の各々が約500nm未満の平均厚さを有し、実質的に垂直な入射光に対して、前記複数のポリマー第3層は、面内第1偏光状態を有する前記入射光の約60%超を反射させ、面内直交第2偏光状態を有する前記入射光の約60%超を透過させる、請求項9に記載のバックライト。
【請求項15】
請求項9~14のいずれか一項に記載のバックライト上に配置され、少なくとも前記第2の光及び前記第3の光を受光して画像を形成するように構成されたディスプレイパネルを備える、ディスプレイシステム。
【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【0001】
いくつかの態様では、本明細書は、合計でN2個の複数のポリマー第2層上に配置され、長さ及び幅が複数のポリマー第2層と実質的に同一の広がりを有する、合計でN1個の複数の第1層を含み、2<N1<50、N2-N1>10である、多層光学フィルムを提供する。第1層及び第2層の各々は、約500nm未満の平均厚さを有し得る。第1層のうちの少なくとも30%の各々は、少なくとも30重量%の無機材料を含み、実質的に垂直な入射光に対して、青色波長範囲が約420nmから約480nmまで延び、緑色波長範囲が約490nmから約560nmまで延び、赤色波長範囲が約590nmから約670nmまで延び、光学フィルム及び複数のポリマー第2層はそれぞれの平均光反射率として、青色波長範囲おけるRof(b)及びR2(b)、緑色波長範囲おけるRof(g)及びR2(g)、並びに赤色波長範囲におけるRof(r)及びR2(r)を有する。いくつかの実施形態では、0≦Rof(b)-R2(b)≦25%であり、Rof(g)-R2(g)>30%であり、Rof(r)及びR2(r)の各々が約60%よりも大きく、Rof(r)とR2(r)との差の大きさが約20%未満である。
【0002】
いくつかの態様では、本明細書は、対応する青色波長において少なくとも1つの青色ピークを含む青色発光スペクトル、対応する緑色波長において少なくとも1つの緑色ピークを含む緑色発光スペクトル、及び対応する赤色波長において少なくとも1つの赤色ピークを含む赤色発光スペクトル、を有する1つ以上の光変換フィルムを含む光学積層体を提供する。光学積層体は、1つ以上の光変換フィルム上に配置され、長さ及び幅が1つ以上の光変換フィルムと実質的に同一の広がりを有する、光学フィルムを含む。光学フィルムは、合計で少なくとも3個の複数の無機第1層と、合計で少なくとも20個の複数のポリマー第2層とを含み、無機第1層及びポリマー第2層の各々が約500nm未満の平均厚さを有し、実質的に非偏光の実質的に垂直な入射光に対して、光学フィルムは、青色波長において約60%超の光透過率を有し、緑色波長及び赤色波長の各々において約70%超の光反射率を有する。
【0003】
いくつかの態様では、本明細書は、合計で約600個未満の複数の層を含む光学フィルムであって、複数の層は、合計で少なくとも20個の複数のポリマー第2層上に配置された合計で3~50個の複数の第1層を含み、第1層のうちの少なくとも30%の各々は少なくとも30重量%の無機材料を含み、第1層及びポリマー第2層の各々は約500nm未満の平均厚さを有し、実質的に非偏光の実質的に垂直な入射光に対して、ポリマー第2層の光反射率対波長が、第1の反射帯域であって、少なくとも100nm幅であり、約590nmから約670nmまで延びる赤色波長範囲内の少なくとも1つの波長を含むが、約490nmから約560nmまで延びる緑色波長範囲内の波長を含まない、第1の半値全幅FWHM1、を含む第1の反射帯域を有する、光学フィルムを提供する。複数の第1層は、光学フィルムが、第2の反射帯域であって、FWHM1よりも少なくとも20nm大きく、緑色波長範囲内の少なくとも1つの波長を含む、第2の半値全幅FWHM2、を有する第2の反射帯域を有するように、FWHM1を拡張する。光学フィルム及び複数の第2層は、赤色波長範囲にそれぞれの平均光反射率Rof(r)及びR2(r)を有し、Rof(r)とR2(r)との差の大きさは約3%未満であり得る。
【0004】
いくつかの態様では、本明細書は、合計で少なくとも20個の複数の交互のポリマー第2層及びポリマー第3層上に配置された、合計で3~50個の複数の第1層を含む光学フィルムを提供する。第1層のうちの少なくとも30%の各々が少なくとも30重量%の無機材料を含み、ポリマー第2層の各々が少なくとも80重量%のポリエチレンテレフタレートを有することができる。第1層、第2層、及び第3層の各々は約500nm未満の平均厚さを有し、実質的に非偏光の実質的に垂直な入射光に対して、光学フィルム、複数の第1層、並びに複数の交互のポリマー第2層及びポリマー第3層の光反射率が、それぞれの小さい方の波長とそれぞれの大きい方の波長との間に延びるそれぞれの第1、第2及び第3の半値全幅を含むそれぞれの第1、第2及び第3の反射帯域を有する。第1、第2及び第3の半値全幅の各々は、少なくとも50nm幅であり得る。第1の半値全幅及び第3の半値全幅の小さい方の波長間の差の大きさが、約20nm未満であり得る。第3の半値全幅の小さい方の波長は、第2の半値全幅の小さい方の波長よりも少なくとも20nm小さくすることができる。第1の半値全幅の大きい方の波長は、第2の半値全幅の大きい方の波長よりも少なくとも5nm大きくすることができる。
【0005】
いくつかの態様では、本明細書は、画像を表示するように構成されたディスプレイパネルに照明を提供するためのバックライトを提供する。バックライトは、2次元的に配置され、互いに間隔を開け、放出波長を有する光を放出するように構成された、複数の発光素子と、発光素子上に配置され、対応するそれぞれの第1、第2及び第3のピーク波長におけるそれぞれの第1、第2及び第3のピークと、対応する重なり合わない第1、第2及び第3の半値全幅(FWHM)とを含む第1、第2及び第3の発光スペクトルを有する、1つ以上の光変換フィルムであって、第2のFWHMは、第1のFWHMと第3のFWHMとの間に配置される、1つ以上の光変換フィルムと、を含む。1つ以上の光変換フィルムは、発光素子からの放出された光を受光し、受光した放出された光の少なくとも一部をそれぞれの第2のFWHM及び第3のFWHM内に配置されたそれぞれの第2の波長及び第3の波長を有する第2の光及び第3の光に変換するように構成される。バックライトは、発光素子と1つ以上の光変換フィルムとの間に配置され、合計で50個未満の複数の無機第1層と合計で少なくとも20個の複数のポリマー第2層とを含む、光学フィルムを含む。無機第1層及びポリマー第2層の各々は約500nm未満の平均厚さを有することができ、実質的に非偏光の実質的に垂直な入射光に対して、光学フィルムは、放出波長において約60%超の光透過率を有し、第2の波長及び第3の波長の各々において約70%超の光反射率を有する。
【0006】
これら及び他の態様は、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。しかしながら、いかなる場合も、この簡潔な概要は、特許請求の範囲の主題を限定するものと解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1A】いくつかの実施形態による、多層光学フィルムの概略断面図である。
【
図1B】いくつかの実施形態による、多層光学フィルムの概略断面図である。
【
図2】いくつかの実施形態による、複数の層についての及び光学フィルムについての反射率対波長のプロットである。
【
図3】いくつかの実施形態による、
図2の光学フィルムの反射率及び1つ以上の光変換フィルムの放出強度の、波長に対するプロットである。
【
図4】いくつかの実施形態による、1つ以上の光変換フィルム上に配置された光学フィルム200を含む光学積層体を含むバックライトを含むディスプレイシステムの概略的な分解断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の説明では、本明細書の一部を構成し、様々な実施形態が実例として示される、添付図面が参照される。図面は、必ずしも正確な比率の縮尺ではない。本開示の範囲又は趣旨から逸脱することなく、他の実施形態が想到され、実施され得る点を理解されたい。したがって、以下の発明を実施するための形態は、限定的な意味では解釈されない。
【0009】
有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイに対する競合力のある手法として、液晶ディスプレイ(LCD)用のミニ/マイクロ発光ダイオード(LED)の2次元(2D)配置を使用するバックライトを使用することができる。そのような2Dバックライトは、2Dゾーニングと呼ばれる手法に従って低輝度エリア内のLEDを減光することにより、従来のLCDディスプレイと比較して著しく高い動的コントラスト比が可能になる。加えて、(例えば、蛍光体及び/又は量子ドットを含有する)光変換フィルム(複数可)を使用するダウンコンバージョンを使用して、LCDディスプレイの色域を増加させることができる。青色光を実質的に透過させ、実質的に緑色光及び赤色光を軸上で反射させる光学フィルムを使用して、光変換フィルム(複数可)により放出された緑色光及び赤色光を再利用することにより、そのようなバックライトにおけるシステム効率及び均一性を改善することができる。
【0010】
多層光学フィルムは、所望の波長範囲において光反射率を実現するために、交互の高屈折率光学層及び低屈折率光学層を含むことができる。ポリエチレンナフタレート(PEN)は、多層光学フィルムにおいて高屈折率光学層として一般に使用されるが、これは、そのようなフィルムにおいて低屈折率光学層として一般に使用されるポリメチルメタクリレート(PMMA)に対して高い屈折率コントラストを有することに起因する。しかしながら、PENは、特に青色光照明下で、光劣化及び減光を被る可能性があり、これはダウンコンバート2Dバックライトなどの用途においてその寿命を制限する。ダウンコンバート2Dバックライトにおける光学フィルムの寿命を改善するため、高屈折率光学層としてポリエチレンテレフタレート(PET)を使用することができる。しかしながら、PETは、低屈折率光学層に対する屈折率コントラストがより小さく、これが緑色波長及び赤色波長に対する反射率の低下(例えば、約2~3%の低下)をもたらし、これがデバイス効率及び輝度の低下をもたらす可能性がある。PET系多層光学フィルムの代替は、所望の反射を提供するための複数の無機層を含む反射体であるが、このような反射体は、機械的制約に起因して、層の厚さ及び層数、並びに/又は大面積が制限される。しかしながら、(例えば、PET系)ポリマー多層反射体上に配置された少なくともいくつかの無機層を含む反射体を提供することにより、無機反射体の制限なしに、PET系多層光学フィルムと比較して、緑色波長及び赤色波長に対して改善された反射率を提供できることが見出された。例えば、PET系フィルムは主に赤色波長及び近赤外波長を反射させることができ、少なくともいくつかの無機層を含む反射体は主に緑色波長を反射させることができ、その結果、光学フィルム全体は、緑色波長範囲及び赤色波長範囲の全体にわたって反射させることができる。いくつかの実施形態によれば、本明細書に記載される光学フィルムは、青色波長範囲における光学フィルムの透過率が、例えばPEN系多層光学フィルムと比較して低下している場合(例えば、青色波長範囲における反射率が10パーセント超であり得る)であっても、高いデバイス効率及び軸上輝度を提供できることが見出された。加えて、フィルムは無機層を含むので、フィルムは、いくつかの実施形態によれば、例えば、蛍光体及び量子ドットコーティングを経時的な消光から保護するための水及び酸素バリアを提供できる。
【0011】
図1Aは、いくつかの実施形態による、多層光学フィルム200の概略断面図である。
図1Bは、いくつかの他の実施形態による、多層光学フィルム200の概略断面図である。いくつかの実施形態では、光学フィルム200は、合計でN2個の複数20のポリマー第2層21、22上に配置され、長さ及び幅が複数のポリマー第2層と実質的に同一の広がりを有する、合計でN1個の複数10の第1層11、12を含み、2<N1<50、N2-N1>10、20、40、又は60である。第1層11、12は、例えば、合計で少なくとも3、4、6、8、10、12、15、又は20個であり得る。ポリマー第2層21、22は、例えば、合計で少なくとも20、30、50、75、100、150、又は200個であり得る。ポリマー第2層21、22は、例えば、合計で約600、550、500、又は450個未満であり得る。第1層及び第2層の各々は、約500、400、300、250、又は200nm未満の平均厚さを有することができる。第1層及び第2層の各々は、例えば、約3、5、10、20、40、又は50nm超の平均厚さを有することができる。例えば、いくつかの実施形態では、第1層のうちの少なくともいくつかは無機層であり、各無機層は約3又は5nm超の厚さを有し、各ポリマー層は約40又は50nm超の厚さを有する。いくつかの実施形態では、第1層のうちの少なくとも30%、又は40%、又は50%、又は60%、又は70%、又は80%、又は90%、又は100%の各々が、少なくとも30重量%、又は40重量%、又は50重量%、又は60重量%、又は70重量%、又は80重量%、又は90重量%、又は95重量%の無機材料を含む。例えば、第1層のうちの少なくとも30%の各々が少なくとも30重量%の無機材料を含むことができ、又は第1層のうちの少なくとも40%の各々が少なくとも60重量%の無機材料を含むことができ、又は第1層の各々が少なくとも80重量%の無機材料を含むことができる。いくつかの実施形態では、第1層のうちの約半分が無機層であり、約半分又は第1層はポリマー層である。他の実施形態では、第1層の各々が無機層である。ポリマー層は、一般に、主として(例えば、約60、70、80、90、又は95重量パーセントを超える)有機ポリマーから構成される層を指す。無機層は、一般に、主として(例えば、約60、70、80、90、又は95重量パーセントを超える)無機材料から構成される層を指す。
【0012】
複数10の第1層11、12は、
図1Aに概略的に示すように、複数20の第2層21、22の同じ側に配置することができる。代わりに、
図1Bに概略的に示すように、複数10の第1層11、12の第1の部分10’を、複数20の第2層21、22の第1の側に配置することができ、複数10の第1層11、12の異なる第2の部分10’’を、第1の側とは反対側の、複数20の第2層21、22の第2の側に配置することができる。複数10の第1層11、12の異なる部分10’、10’’を複数20の第2層21、22の反対側に使用することにより、隣接フィルムに対する光学フィルムの摩擦係数を変えることができ、これは、他のフィルムに接触しているディスプレイシステムにおいて光学フィルムが使用される場合に有益であり得る。
【0013】
複数20の第2層21、22は、例えば、米国特許第5,882,774号(Jonzaら)、同第6,783,349号(Neavinら)、同第6,949,212号(Merrillら)、同第6,967,778号(Wheatleyら)、及び同第9,162,406号(Neavinら)において一般的に記載されているような共押出及び共延伸により形成することができる。次いで、複数10の第1層11、12を、例えば蒸着によって複数10の第1層11、12の片側又は両側に形成することができる。好適な堆積方法は、例えば、米国特許第5,440,446号(Shawら)、第5,877,895号(Shawら)、第6,010,751号(Shawら)、第6,413,645号(Graffetら)、第7,018,713号(Padiyathら)、第9,997,657号(Weigelら)、及び第10,636,920号(Spagnolaら)に記載されている。代わりに、複数10の第1層11、12を別個の基板上に形成することができ、これはその後に複数10の第1層11、12にラミネートされる(laminated)。光学フィルム200は任意選択で、複数20の第1層21、22と共押出しされ得るスキン又は保護境界層131、132、及び/又は複数10の第1層11、12の外側表面上に配置され得る保護層140などの、他の層を含むことができる。
【0014】
いくつかの実施形態では、光学フィルム200は、合計で約600、550、500、又は450個未満の複数の層(11、12、21、22)を含む。複数の層は、例えば、合計で少なくとも10、20、50、又は100個であり得る。複数の層は、合計で少なくとも20、30、50、75、100、150、又は200個の複数20のポリマー第2層21、22上に配置された合計で3~50、45、40、35、30、25、又は20(境界値を含む)個の複数10の第1層11、12を含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、複数10の第1層11、12は合計で3~50個であり、複数20のポリマー第2層21、22は合計で少なくとも20個である;又は複数10の第1層11、12は合計で3~45個であり、複数20のポリマー第2層21、22は合計で少なくとも50個である;又は複数10の第1層11、12は合計で3~40個であり、複数20のポリマー第2層21、22は合計で少なくとも75個である。いくつかの実施形態では、第1層11、12のうちの少なくとも30%(又は本明細書の他の箇所に記載される範囲内)の各々が、少なくとも30重量%(又は本明細書の他の箇所に記載される範囲内)の無機材料を含む。第1層及びポリマー第2層の各々は、約500nm未満の平均厚さを有する(又は平均厚さは、本明細書の他の箇所に記載される範囲内にあり得る)。
【0015】
いくつかの実施形態では、複数20のポリマー層21、22は、複数の交互のポリマー層21(第2層とも呼ばれる)及び22(第3層とも呼ばれる)を含む。ポリマー層21は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)層であってもよく、ポリマー層22は、コポリエステル、ポリメチルメタクリレート(PMMA)層、又はPMMAとポリフッ化ビニリデン(PVDF)などの他のポリマーとのブレンドであってもよい。いくつかの実施形態では、層11、12、21、22の各々が、約20、15、10、5、4、3、2、又は1重量パーセント未満のナフタレート基を含む。ポリマー層21は複屈折性であってもよく、ポリマー層22は実質的に光学的等方性であってもよい。複屈折層は、約400nm~約700nmの波長範囲内の第1の波長(例えば、532nm、550nm、又は633nm)において、例えば、約0.05、0.08、0.1、0.12、又は0.15超の最大複屈折率(例えば、x方向及びz方向の屈折率差の絶対値)を有することができる。実質的に等方性の層は、第1の波長において、例えば、約0.025、0.02、0.015、0.01、又は0.005未満の最大複屈折率を有することができる。複屈折層は、少なくとも第1の波長に対して、実質的に等方性の層の屈折率よりも、例えば、少なくとも約0.05、0.08、0.1、0.12、又は0.15大きい、少なくとも1つの方向に沿った屈折率を有することができる。同じ方向に沿った異なる層間での又は同じ層内の異なる方向間での屈折率の最大差は、第1の波長において、例えば、最大約0.5、0.4、又は0.3であり得る。いくつかの実施形態では、複数10の第1層11、12は、交互のポリマー層(例えば、11)及び無機層(例えば、12)を含む。ポリマー層は、アクリレート(例えば、PMMA)層であってもよく、無機層は、無機酸化物(例えば、Si2O2、TiO2、又はNb2O5)層又は金属(例えば、Ag)層であってもよい。第1層11、12は、実質的に光学的等方性であってもよい。他の有用な材料が、例えば、米国特許第5,882,774号(Jonzaら)、第6,783,349号(Neavinら)、第6,949,212号(Merrillら)、第6,967,778号(Wheatleyら)、第9,162,406号(Neavinら)、第5,440,446号(Shawら)、第5,877,895号(Shawら)、第6,010,751号(Shawら)、第6,413,645号(Graffetら)、第7,018.713号(Padiyathら)、第9.997.657号(Weigelら)、及び第10,636,920号(Spagnolaら)に記載されている。
【0016】
いくつかの実施形態では、光学フィルム200は、合計で少なくとも20個(又は本明細書の他の箇所に記載の範囲内)の複数の交互のポリマー第2層(21)及びポリマー第3層(22)上に配置された合計で3~50個(又は本明細書の他の箇所に記載の範囲内)の複数10の第1層11、12を含み、第1層のうちの少なくとも30%(又は本明細書の他の箇所に記載の範囲内)の各々が、少なくとも30重量%(又は本明細書の他の箇所に記載の範囲内)の無機材料を含む。いくつかの実施形態では、ポリマー第2層21の各々は、少なくとも80重量%のポリエチレンテレフタレート(PET)を含む。第1層、第2層及び第3層の各々は、約500nm未満(又は本明細書の他の箇所に記載される範囲内)の平均厚さを有し得る。
【0017】
図2は、いくつかの実施形態による、複数10の層11、12についての、複数20の層21、22についての、及び光学フィルム200についての、反射率対波長のプロットである。複数10の第1層11、12の光反射率36対波長は反射帯域36’を含み、複数20のポリマー第2層21、22の光反射率34対波長は反射帯域34’を含み、光学フィルム200の光反射率35対波長は反射帯域35’を含む。様々な波長範囲に対する、複数10の層11、12についての、複数20の層21、22についての、及び
図2の光学フィルム200についての、実質的に非偏光の実質的に垂直な入射光30の平均反射率(分率として表され、例えば、0.994は99.4%に等しい)を以下の表に示す。
【0018】
【0019】
いくつかの実施形態では、光学フィルム200は、実質的に垂直な入射光30に対して、青色波長範囲31が約420nmから約480nmまで延び、緑色波長範囲32が約490nmから約560nmまで延び、赤色波長範囲33が約590nmから約670nmまで延び、光学フィルム200及び複数20のポリマー第2層21、22はそれぞれの平均光反射率として、青色波長範囲おけるRof(b)及びR2(b)、緑色波長範囲おけるRof(g)及びR2(g)、並びに赤色波長範囲におけるRof(r)及びR2(r)を有するものである。いくつかの実施形態では、0≦Rof(b)-R2(b)≦25、20、又は15%である。いくつかのそのような実施形態、又は他の実施形態では、2、3、5、7、又は9%≦Rof(b)-R2(b)である。いくつかのそのような実施形態では、又は他の実施形態では、Rof(g)-R2(g)>30、35、40、45、50、55、又は60%である。いくつかのそのような実施形態では、又は他の実施形態では、Rof(r)及びR2(r)の各々が約60、65、70、75、80、85、90、又は95%よりも大きく、Rof(r)とR2(r)との差の大きさは、約20、15、10、5、4、3、2、又は1%未満である。例えば、いくつかの実施形態では、Rof(r)及びR2(r)の各々が約60%よりも大きく、Rof(r)とR2(r)との差の大きさ(すなわち、|Rof(r)-R2(r)|)が約20%未満であり、又はRof(r)及びR2(r)の各々が約65%よりも大きく、Rof(r)とR2(r)との差の大きさが約15%未満であり、又はRof(r)及びR2(r)の各々が約70%よりも大きく、Rof(r)とR2(r)との差の大きさが約10%未満であり、又はRof(r)及びR2(r)の各々が約75%よりも大きく、Rof(r)とR2(r)との差の大きさが約5%未満であり、又はRof(r)及びR2(r)の各々が約80%よりも大きく、Rof(r)とR2(r)との差の大きさが約4%未満であり、又はRof(r)及びR2(r)の各々が約85%よりも大きく、Rof(r)とR2(r)との差の大きさが約3%未満であり、又はRof(r)及びR2(r)の各々が約90%よりも大きく、Rof(r)とR2(r)との差の大きさが約2%未満であり、又はRof(r)及びR2(r)の各々が約95%よりも大きく、Rof(r)とR2(r)との差の大きさが約1%未満である。いくつかの実施形態では、0≦Rof(b)-R2(b)≦20%、Rof(g)-R2(g)>50%であり、Rof(r)及びR2(r)の各々が約80%よりも大きく、Rof(r)とR2(r)との差の大きさが約5%未満である、又は0≦Rof(b)-R2(b)≦15%、Rof(g)-R2(g)>60%であり、Rof(r)及びR2(r)の各々が約90%よりも大きく、Rof(r)とR2(r)との差の大きさが約3%未満である。いくつかの実施形態では、Rof(b)は約10~30%又は約15~25%の範囲にある。
【0020】
いくつかの実施形態では、光学フィルム200は、実質的に非偏光(例えば、30、20、10、又は5%未満の偏光度)の実質的に垂直に入射する(例えば、垂直から30、20、10、又は5度以内に入射する)光30に対して、ポリマー第2層21、22の光反射率34対波長が、第1の反射帯域34’であって、少なくとも100nm幅であり、約590nmから約670nmまで延びる赤色波長範囲33内の少なくとも1つの波長34bを含むが、約490nmから約560nmまで延びる緑色波長範囲32内の波長を含まない、第1の半値全幅FWHM1 34a、を有する第1の反射帯域34’を含み、光学フィルム200が、第2の反射帯域35’であって、FWHM1よりも少なくとも20nm大きく、緑色波長範囲内の少なくとも1つの波長35bを含む、第2の半値全幅FWHM2 35a、を含む第2の反射帯域35’を有するように、複数の第1層11、12がFWHM1を拡張するものである。いくつかの実施形態では、FWHM1 34aは少なくとも100、125、150、175、200、225、250、275、又は300nmである。いくつかのそのような実施形態では、又は他の実施形態では、FWHM2 35aは、FWHM1 34aよりも少なくとも20、30、40、50、60、70、80、90、又は100nm大きい。FWHM2 35aは、例えば、FWHM1 34aよりも最大で約250、200、又は150nm大きくすることができる。いくつかの実施形態では、光学フィルム200及び複数の第2層21、22は、赤色波長範囲にそれぞれの平均光反射率Rof(r)及びR2(r)を有し、Rof(r)とR2(r)との差の大きさは約3、2.5、1、1.5、又は1%未満である。Rof(r)及びR2(r)は、本明細書の他の箇所に記載される範囲のいずれかであり得る。例えば、いくつかの実施形態では、Rof(r)及びR2(r)は各々が約85%超である。
【0021】
いくつかの実施形態では、光学フィルム200は、実質的に非偏光の実質的に垂直な入射光30に対して、光学フィルム(35)、複数の第1層(36)、並びに複数の交互のポリマー第2層及びポリマー第3層(34)の光反射率が、それぞれの小さい方の波長(35L、34L、36L)とそれぞれの大きい方の波長(35R、34R、36R)との間に延びる、それぞれの第1の半値全幅(35a)、第2の半値全幅(34a)、及び第3の半値全幅(36a)を含む、それぞれの第1、第2及び第3の反射帯域35’、36’及び34’を有し、第1の半値全幅、第2の半値全幅、及び第3の半値全幅の各々が、少なくとも50、75、100、125、150、175、又は200nm幅であるものである。いくつかの実施形態では、第1の半値全幅及び第3の半値全幅の小さい方の波長(35L、36L)間の差の大きさが、約20、15、10、又は5nm未満である。いくつかのそのような実施形態では、又は他の実施形態では、第3の半値全幅36aの小さい方の波長36Lは、第2の半値全幅34aの小さい方の波長34Lよりも少なくとも20、30、40、又は50nm小さい。いくつかのそのような実施形態では、又は他の実施形態では、第1の半値全幅35aの大きい方の波長35Rは、第2の半値全幅34aの大きい方の波長34Rよりも少なくとも5、10、15、20、25、30、35、又は40nm大きい。第3の半値全幅36aの小さい方の波長36Lは、第2の半値全幅34aの小さい方の波長34Lよりも、例えば、最大で約200、150、又は100nm小さくすることができる。第1の半値全幅35aの大きい方の波長35Rは、第2の半値全幅34aの大きい方の波長34Rよりも、例えば、最大で約150、100、又は75nm大きくすることができる。
【0022】
図3は、いくつかの実施形態による、光学フィルム200の反射率及び1つ以上の光変換フィルムの放出強度の、波長に対するプロットである。
図4は、いくつかの実施形態による、1つ以上の光変換フィルム40上に配置された光学フィルム200を含む光学積層体300を含むバックライト400を含むディスプレイシステム500の概略的な分解断面図である。図示する実施形態では、1つ以上の光変換フィルム40は、光変換フィルム40a、40b、及び40cを含む。光変換フィルム40a、40b、40cは、例えば、量子ドット又はリンを含んでもよい。好適な光変換フィルムは当該技術分野において既知であり、3M Company(St.Paul,MN)から入手可能なQuantum Dot Enhancement Film(QDEF)が挙げられる。バックライト400は、画像91を表示するように構成されたディスプレイパネル90に照明(例えば、光52、53、54)を提供するためのものである。光学フィルム200は、青色光(例えば、波長43bを有し得る光51、54’)を実質的に透過させてもよく、1つ以上の光変換フィルム40によって光学フィルム200に向けて放出された(例えば、光52’’、53’’)緑色光及び赤色光(例えば、それぞれの波長43g及び43bを有し得る光52’、53’)を実質的に反射させてもよい。
【0023】
いくつかの実施形態では、光学積層体300は、対応する青色波長43bにおいて少なくとも1つの青色ピーク42bを含む青色発光スペクトル41b、対応する緑色波長43gにおいて少なくとも1つの緑色ピーク42gを含む緑色発光スペクトル41g、及び対応する赤色波長43rにおいて少なくとも1つの赤色ピーク42rを含む赤色発光スペクトル41rを有する1つ以上の光変換フィルム40、40aを含む。光学積層体は、1つ以上の光変換フィルム40上に配置され、長さ及び幅が1つ以上の光変換フィルム40と実質的に同一の広がりを有する、光学フィルム200を含むことができる。いくつかの実施形態では、光学フィルム200は、合計で少なくとも3個(又は本明細書の他の箇所に記載の範囲内)の複数の無機第1層(例えば、層11、又は層12、又は層11及び層12)と、合計で少なくとも20個(又は本明細書の他の箇所に記載の範囲内)の複数のポリマー第2層21、22とを含む。いくつかの実施形態では、無機第1層及びポリマー第2層の各々は、約500nm未満(又は本明細書の他の箇所に記載される範囲内)の平均厚さを有し、実質的に非偏光の実質的に垂直な入射光30に対して、光学フィルム200は、青色波長において約60%超の光透過率Tbを有し、緑色波長及び赤色波長の各々において約70%超の光反射率Rg、Rrを有する。いくつかのそのような実施形態では、又は他の実施形態では、光透過率Tbは、青色波長43bにおいて約60、65、70、75、80、又は85%超である。いくつかのそのような実施形態では、又は他の実施形態では、光反射率Rg、Rrは、緑色波長43g及び赤色波長43rの各々において約70、75、80、85、90、又は95%超である。例えば、いくつかの実施形態では、光学フィルム200の光透過率Tbは青色波長43bにおいて約70%超であり、光学フィルムの光反射率Rg、Rbは緑色波長43g及び赤色波長43rの各々において約80%超である;又は光学フィルム200の光透過率Tbは青色波長43bにおいて約75%超であり、光学フィルムの光反射率Rg、Rbは緑色波長43g及び赤色波長43rの各々において約85%超である;又は光学フィルム200の光透過率Tbは青色波長43bにおいて約80%超であり、光学フィルムの光反射率Rg、Rbは緑色波長43g及び赤色波長43rの各々において約95%超である。
【0024】
いくつかの実施形態では、バックライト400は、画像91を表示するように構成されたディスプレイパネル90に照明を提供するためのものである。いくつかの実施形態では、バックライト400は、2次元的に(例えば、xy平面内に)配置され、互いに間隔を開け、放出波長(例えば、45bなどの青色波長、又は紫外線波長)を有する光51を放出するように構成された、複数の発光素子50と、1つ以上の光変換フィルム40であって、発光素子上に配置され、対応するそれぞれの第1(43b)、第2(43g)及び第3(43r)のピーク波長におけるそれぞれの第1(42b)、第2(42g)及び第3(42r)のピークと、対応する重なり合わない第1(44b)、第2(44g)及び第3(44r)の半値全幅(FWHM)とを含む第1(41b)、第2(41g)及び第3(41r)の発光スペクトルを有し、第2のFWHMが第1のFWHMと第3のFWHMとの間に配置される、1つ以上の光変換フィルム40と、を含む。1つ以上の光変換フィルムは、発光素子からの放出された光51を受光し、受光した放出された光の少なくとも一部を、それぞれの第2及び第3のFWHM内に配置されたそれぞれの第2(45g)及び第3(45r)の波長を有する第2(52)及び第3(53)の光に変換するように構成される。いくつかの実施形態では、1つ以上の光変換フィルムは、受光した放出された光の少なくとも一部を、第1のFWHM内に配置された波長である第1の波長45bを有する第1の光54に変換するように更に構成される。いくつかの実施形態では、第1、第2及び第3のFWHMは、少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80、90、又は100nm離れている。第1、第2及び第3のFWHMは各々が、例えば約400nm~約700nmの範囲内に配置されてもよい。バックライト400は、発光素子50と1つ以上の光変換フィルム40との間に配置され、合計で50、45、40、35、30、25、20、15、又は10個未満(又は本明細書の他の箇所に記載される範囲内)の複数の無機第1層(11及び/又は12)と、合計で少なくとも20個(又は本明細書の他の箇所に記載される範囲)の複数のポリマー第2層(21、22)とを含む、光学フィルム200を含む。無機層は、合計で少なくとも3、4、6、8、10、12、15、又は20個であってもよい。無機第1層及びポリマー第2層の各々は、約500nm未満(又は本明細書の他の箇所に記載される範囲内)の平均厚さを有することができ、実質的に非偏光の実質的に垂直な入射光30に対して、光学フィルム200は、放出波長において約60%超の光透過率を有し、第2及び第3の波長の各々において約70、75、80、85、90、又は95%超の光反射率を有する。光学フィルム200は、放出波長において約65、70、75、80、又は85%超の光透過率を有することができる。
【0025】
いくつかの実施形態では、バックライト400は、光学フィルム200とは反対側の1つ以上の光変換フィルム40上に配置され、第1の長手方向(y方向)に沿って延びる複数の第1のプリズム61を含む、第1のプリズムフィルム60を更に含む。いくつかの実施形態では、バックライト400は、光学フィルム200とは反対側の第1のプリズムフィルム60上に配置され、第1の長手方向とは異なる第2の長手方向(x方向)に沿って延びる複数の第2のプリズム63を含む、第2のプリズムフィルム62を更に含む。第1及び第2の長手方向は、例えば、実質的に直交することができる。好適なプリズムフィルムは、当該技術分野において既知であり、例えば、米国特許第5,932,626号(Fongら)、同第6,280,063号(Fongら)、同第7,622,164号(Jonesら)、及び同第9,423,553号(Saito)に記載されている。
【0026】
いくつかの実施形態では、バックライト400は、光学フィルム200と発光素子50との間に配置され、放出された光51を受光して散乱させるように構成された、光拡散体70を更に含む。好適な拡散体は当該技術分野において既知であり、例えば、バルク拡散体(例えば、マトリックス中に分散されたビーズを有する)、及び表面拡散体(例えば、光を散乱させるように構成された高精細表面を有する)を含む。
【0027】
いくつかの実施形態では、バックライトは、反射偏光子80を更に含み、反射偏光子80と光学フィルム200との間に1つ以上の光変換フィルム40が配置される。反射偏光子80は、多層光学フィルムとすることができ、一般に層21、22に対応することができる。いくつかの実施形態では、反射偏光子は、合計で少なくとも10、20、50、75、100、150、200、250、300、又は400個の複数のポリマー第3層(例えば、層21、22に対応する)を含み、ポリマー第3層の各々が、約500、400、350、250、又は200nm未満の平均厚さを有し、実質的に垂直な入射光30に対して、複数のポリマー第3層は、面内第1偏光状態を有する(例えば、x軸に沿って偏光された)入射光の約60%超を反射させ、面内直交第2偏光状態を有する(例えば、y軸に沿って偏光された)入射光の約60%超を透過させる。いくつかの実施形態では、複数のポリマー第3層は、面内第1偏光状態を有する入射光の約70%超、又は80%超、又は90%超を反射させる。いくつかのそのような実施形態では、又は他の実施形態では、複数のポリマー第3層は、面内第2偏光状態を有する入射光の約70%超、又は80%超、又は90%超を透過させる。好適な反射偏光子は、例えば、米国特許第5,882,774号(Jonzaら)、同第6,783,349号(Neavinら)、同第6,949,212号(Merrillら)、同第6,967,778号(Wheatleyら)、及び同第9,162,406号(Neavinら)に記載されており、例えば、3M CompanyからDBEF及びAPFの商品名で入手可能なものを含む。
【0028】
いくつかの実施形態では、ディスプレイシステム500は、バックライト400上に配置され、少なくとも第2の光52及び第3の光53を受光し、画像91を形成するように構成された、ディスプレイパネル90を含む。ディスプレイパネル90はまた、典型的には第1の光54も受光する。ディスプレイパネル90は、例えば、液晶表示(LCD)パネルとすることができる。ディスプレイシステム500は、高い動的コントラスト比を提供するため、2Dゾーニングを利用するように構成されてもよい。
【0029】
以下の表は、様々な光学的にモデル化されたフィルムについて、525nm~825nmの波長範囲内の垂直に入射する非偏光の光に対する平均反射率(Ravg)を提供する。複数10の層11、12及び複数20の層21、22について高屈折率光学(HIO)層及び低屈折率光学(LIO)層の材料が示されている。複数20の層21、22は424層を含み、複数10の層11、12における層数は表に示されている。様々な層の材料の既知の屈折率を光学モデリングで使用した。フィルム番号3~6のアクリレートは、550nmにおいて約1.529の屈折率を有するものとしてモデル化した。フィルム番号3、4及び7~10は、複数20の層21、22の片側に配置された、複数10の層11、12の全ての層を含んでいた。フィルム番号11は、複数20の層21、22の各側に複数10の層11、12のうちの10層を含んでいた。フィルム番号12で使用したPVDF30は、PMMA中の30重量パーセントのPVDFのブレンドであった。PVDFを使用して、PMMA層の屈折率を低下させることができる。しかしながら、場合によっては、光学フィルムがPVDFなどのフッ素化ポリマーを含まないことが好ましい場合がある。
【0030】
【0031】
「約(about)」などの用語は、これらが本明細書に使用及び記載されている文脈において、当業者によって理解されよう。特徴部のサイズ、量(amount)、及び物理的特性を表す量(quantity)に適用される「約」の使用が、本明細書に使用及び記載されている文脈において、当業者にとって別途明らかではない場合、「約」とは、特定の値の10パーセント以内を意味すると理解されよう。特定の値の約として与えられる量は、正確に特定の値であり得る。例えば、それが本明細書で使用及び記載されている文脈において当業者にとって別途明らかではない場合には、約1の値を有する量とは、その量が0.9~1.1の値を有すること、及び、その値が1である場合もあることを意味する。
【0032】
「実質的に(substantially)」などの用語は、これらが本記載に使用及び記載されている文脈において、当業者によって理解されよう。特性又は特徴に関して「実質的に」の使用が、それが本記載で使用され説明される文脈において当業者に明らかでない場合、及びその特性又は特徴の反対によって何が意味されるかが当業者に明らかである場合、用語「実質的に」は、その特性又は特徴が、その特性又は特徴の反対が示されるよりも大きい程度に示されることを意味すると理解される。
【0033】
層又は要素は、各層又は要素の長さ及び幅の50%超が、他の各層又は要素の長さ及び幅の約50%超と同一の広がりを有する場合、長さ及び幅において互いに実質的に同一の広がりを有するものとして説明され得る。いくつかの実施形態では、長さ及び幅において互いに実質的に同一の広がりをもつとして説明される層又は要素では、各層又は要素の少なくとも約60%又は少なくとも約70%又は少なくとも約80%又は少なくとも約90%が、長さ及び幅において、他の各層又は要素の長さ及び幅の少なくとも約60%又は少なくとも約70%又は少なくとも約80%又は少なくとも約90%と同一の広がりを有する。
【0034】
上記において参照された参照文献、特許、又は特許出願の全ては、それらの全体が参照により本明細書に一貫して組み込まれている。組み込まれた参照文献の一部と本出願との間に不一致又は矛盾がある場合、前述の記載における情報が優先するものとする。
【0035】
図面中の要素の説明は、別段の指示がない限り、他の図面中の対応する要素に等しく適用されるものと理解されたい。特定の実施形態が本明細書において図示及び説明されているが、図示及び記載されている特定の実施形態は、本開示の範囲を逸脱することなく、様々な代替的実装態様及び/又は等価の実装態様によって置き換えられ得ることが、当業者には理解されよう。本出願は、本明細書で論じられた特定の実施形態のあらゆる適応例、又は変形例、又は組み合わせを包含することが意図されている。したがって、本開示は、特許請求の範囲及びその均等物によってのみ限定されることが意図されている。
【国際調査報告】