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特表2024-546827ポリオレフィンの機械的リサイクル方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】ポリオレフィンの機械的リサイクル方法
(51)【国際特許分類】
   B29B 17/02 20060101AFI20241219BHJP
   C08J 11/06 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
B29B17/02
C08J11/06 ZAB
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024535240
(86)(22)【出願日】2022-12-22
(85)【翻訳文提出日】2024-06-12
(86)【国際出願番号】 EP2022087449
(87)【国際公開番号】W WO2023118421
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】21216996.5
(32)【優先日】2021-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511114678
【氏名又は名称】ボレアリス エージー
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(72)【発明者】
【氏名】デニフル ペーター
(72)【発明者】
【氏名】ピエットレ キリアン
(72)【発明者】
【氏名】ゴエツロフ クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ヘットリヒ-ケラー ミカエル
(72)【発明者】
【氏名】マヒル ドリス
(72)【発明者】
【氏名】ヴィジェイ サミール
(72)【発明者】
【氏名】プリースターズ ハンス-ユルゲン
(72)【発明者】
【氏名】ランベルツ オリバー
【テーマコード(参考)】
4F401
【Fターム(参考)】
4F401AA08
4F401BA13
4F401BB09
4F401CA02
4F401CA03
4F401CA13
4F401CA25
4F401CA26
4F401CA45
4F401CA58
4F401CA79
4F401DC06
(57)【要約】
所与の順序での処理ステップの特定の組み合わせにより、同様のリサイクルポリオレフィングレードで通常見られる特性よりも優れたバランスの良い機械的特性及び光学的特性を有する高純度のリサイクルポリオレフィングレードを得るポリオレフィンの機械的リサイクル方法、及びそのポリオレフィンの機械的リサイクル方法を実行するためのポリオレフィンの機械的リサイクル装置。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所与の順序で、
前駆体混合プラスチックリサイクルストリーム(A)を提供するステップa)と、
前記前駆体混合プラスチックリサイクルストリーム(A)を篩い分けて、最長寸法が30~400mmの範囲にある物品のみを含む篩い分けられた混合プラスチックリサイクルストリーム(B)を作成するステップb)と、
篩い分けられた前記混合プラスチックリサイクルストリーム(B)を1つ以上の光学式選別機で選別して単色選別されたポリオレフィンリサイクルストリーム(C)を生成するステップc)であって、前記篩い分けられた前記混合プラスチックリサイクルストリーム(B)が少なくとも色で選別され、必要に応じてポリオレフィンの種類及び/又は物品の形態でも選別されるステップc)と、
単色選別された前記ポリオレフィンリサイクルストリーム(C)を細断して、フレーク状ポリオレフィンリサイクルストリーム(D)を形成するステップd)と、
熱エネルギーを投入せずに、前記フレーク状ポリオレフィンリサイクルストリーム(D)を第1の水性洗浄液(W1)で洗浄することにより、第1の懸濁ポリオレフィンリサイクルストリーム(E)を生成するステップe)と、
前記第1の水性洗浄液(W1)の少なくとも一部、好ましくは、実質的に前記第1の水性洗浄液(W1)の全部を前記第1の懸濁ポリオレフィンリサイクルストリーム(E)から除去して、第1の洗浄済みポリオレフィンリサイクルストリーム(F)を得るステップf)と、
前記第1の洗浄済みポリオレフィンリサイクルストリーム(F)を第2の水性洗浄液(W2)で洗浄して第2の懸濁ポリオレフィンリサイクルストリーム(G)を生成するステップg)であって、洗浄時の温度が65~95℃の範囲となるように、十分な熱エネルギーが前記第2の懸濁ポリオレフィンリサイクルストリーム(G)に導入されるステップg)と、
前記第2の水性洗浄液(W2)及び前記第2の水性洗浄液の表面に浮遊しない任意の材料を前記第2の懸濁ポリオレフィンリサイクルストリーム(G)から除去して、第2の洗浄済みポリオレフィンリサイクルストリーム(H)を得るステップh)と、
前記第2の洗浄済みポリオレフィンリサイクルストリーム(H)を乾燥させることにより、乾燥したポリオレフィンリサイクルストリーム(I)を得るステップi)と、
必要に応じて、乾燥した前記ポリオレフィンリサイクルストリーム(I)を軽質画分と重質画分のポリオレフィンリサイクルストリーム(J)に分離するステップj)と、
1つ以上の対象となるポリオレフィンを選別して前記1つ以上の対象となるポリオレフィン以外の材料を含む任意のフレークを除去する1つ以上の光学式選別機で、前記重質画分のポリオレフィンリサイクルストリーム(J)又はステップj)が存在しない場合の乾燥した前記ポリオレフィンリサイクルストリーム(I)を更に選別して、精製されたポリオレフィンリサイクルストリーム(K)を得るステップk)と、
必要に応じて、精製された前記ポリオレフィンリサイクルストリーム(K)を溶融押出し、好ましくはペレット化して、押出された、好ましくはペレット化されたリサイクルポリオレフィン生成物(L)を形成するステップl)であって、好ましくは、添加剤(Ad)が溶融状態で添加されるステップl)と、
必要に応じて、前記リサイクルポリオレフィン生成物(L)又はステップl)が存在しない場合の精製された前記ポリオレフィンリサイクルストリーム(K)を曝気して揮発性有機化合物を除去することにより、曝気されて押出された、好ましくはペレット化されたリサイクルポリオレフィン生成物(M1)又は曝気されたリサイクルポリオレフィンフレーク(M2)のいずれかである曝気されたリサイクルポリオレフィン生成物(M)を生成するステップm)と
を含み、精製された前記ポリオレフィンリサイクルストリーム(K)を最初に曝気して、曝気された前記リサイクルポリオレフィンフレーク(M2)を形成し、その後押出し、好ましくは前記添加剤(Ad)が溶融状態で添加されるようにステップl)及びm)の順序を入れ替えて、押出された、好ましくはペレット化された、曝気されたリサイクルポリオレフィン生成物(M3)を形成することができる、ポリオレフィンの機械的リサイクル方法。
【請求項2】
ステップc)の前記光学式選別機は、(電磁スペクトルの可視範囲で動作する)カメラシステム、可視反射分光法、近赤外分光分析、中赤外分光分析、高速レーザー分光分析、ラマン分光分析、及びフーリエ変換赤外(FT-IR)分光分析からなる群から選択される方法によって選別を行う、請求項1に記載のポリオレフィンの機械的リサイクル方法。
【請求項3】
ステップd)の前記細断は、選別された前記ポリオレフィンリサイクルストリーム(C)を最初に水溶液(W0)と接触させて、選別された懸濁ポリオレフィンリサイクルストリームを提供してから細断する湿式細断プロセスである、請求項1又は請求項2に記載のポリオレフィンの機械的リサイクル方法。
【請求項4】
前記第2の水性洗浄液(W2)は、アルカリ性水性洗浄液であり、好ましくは、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化リチウム、重炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム及びそれらの混合物からなる群から選択される塩基、好ましくは水酸化ナトリウム、の水溶液である、請求項1~3のいずれか一項に記載のポリオレフィンの機械的リサイクル方法。
【請求項5】
前記アルカリ性水溶液のpHは9.0~14.0の範囲であり、好ましくは12.0~14.0の範囲である、請求項4に記載のポリオレフィンの機械的リサイクル方法。
【請求項6】
前記アルカリ性水溶液中の前記塩基の量は、前記アルカリ性水溶液の合計重量に対して、0.05~10重量%の範囲、より好ましくは0.10~7.0重量%の範囲、最も好ましくは0.50~5.0重量%の範囲である、請求項4又は5に記載のポリオレフィンの機械的リサイクル方法。
【請求項7】
ステップh)で除去された前記水性洗浄液(W2)は、前記第1の水性洗浄液(W1)及び/又は、存在する場合、前記水溶液(W0)として使用するためにリサイクルされる、請求項1~6のいずれか一項に記載のポリオレフィンの機械的リサイクル方法。
【請求項8】
前記第1の水性洗浄液(W1)及び/又は、存在する場合、前記水溶液(W0)は、pHが8.0~14.0の範囲、好ましくは12.0~14.0の範囲である、請求項1~7のいずれか一項に記載のポリオレフィンの機械的リサイクル方法。
【請求項9】
前記前駆体混合プラスチックリサイクルストリーム(A)は、使用済み廃棄物、ポストインダストリアル廃棄物、又はそれらの組み合わせ、好ましくは使用済み廃棄物に由来する、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
単色選別された前記ポリオレフィンリサイクルストリーム(C)は、単色選別されたポリエチレンリサイクルストリーム又は単色選別されたポリプロピレンリサイクルストリームのいずれかである、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載のポリオレフィンの機械的リサイクル方法を実行するためのポリオレフィンの機械的リサイクル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所与の順序での処理ステップの特定の組み合わせにより、同様のリサイクルポリオレフィングレードで通常見られる特性よりも優れたバランスの良い機械的特性及び光学的特性を有する高純度のリサイクルポリオレフィングレードを得るポリオレフィンの機械的リサイクル方法、及びそのポリオレフィンの機械的リサイクル方法を実行するためのポリオレフィンの機械的リサイクル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
過去十年間、プラスチックとその現在の使用量における環境の持続可能性への注目が高まっている。これにより、ポリオレフィンの処分、回収、リサイクルに関する新しい法律が制定されてきた。更に、多くの国では、廃棄物埋立地に送られる代わりにリサイクルされるプラスチック材料の割合を増やす取り組みが行われている。
【0003】
ヨーロッパでは、プラスチック廃棄物は年間、廃棄物の約2700万トンを占めている。2016年にはこのうち、740万トンが廃棄物埋立地に処分され、1127万トンが(エネルギー生産のために)燃焼され、約850万トンがリサイクルされた。ポリプロピレン系材料は、これらの材料が包装に広く使用されているため、特に問題である。回収される廃棄物の量が、ストリームにリサイクルされて戻される廃棄物の量(わずか30%程度)に比べて膨大であることを考慮すると、プラスチック廃棄物ストリームのインテリジェントな再利用とプラスチック廃棄物の機械的リサイクルには、依然として大きな可能性がある。
【0004】
自動車産業を例に挙げる。ヨーロッパでは、EUからの廃車(ELV)指令により、車両からの材料の85%/95%はリサイクル可能又は回収可能である必要があると規定されている。現在の自動車部品のリサイクル率は、この目標を大幅に下回る。平均的に、車両は、9重量%のプラスチックで構成されるが、この9重量%のうち、3重量%のみが現在リサイクルされる。したがって、自動車産業におけるプラスチックのリサイクル目標が達成されるべきとすれば、依然として満たされるべき要求がある。本発明は、ポリオレフィンを燃焼させてエネルギーとして使用する「エネルギーリサイクル」ではなく、機械的にリサイクルされた廃棄物ストリームに特に着目したものである。しかしながら、コスト上の理由、低い機械的特性、及び低い加工特性のため、架橋ポリオレフィンを含む廃棄物ストリームは、エネルギー回収(例えば、地域暖房プラントでの焼却、又はセメント産業での発熱)に使用されることが多く、新しい製品にリサイクルされることは少ない。
【0005】
ポリオレフィン分野における主なトレンドの1つは、様々なソース由来のリサイクル材料の使用である。廃電気機器(WEE)又は廃車(ELV)に由来するような耐久財ストリームには、様々なプラスチックが含まれる。これらの材料は、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)プラスチックを回収するために処理することができる。分離は、水中での密度分離を使用して行うことができ、その後、蛍光、近赤外吸収、又はラマン蛍光に基づいて更に分離することができる。しかしながら、純粋なリサイクルポリプロピレン又は純粋なリサイクルポリエチレンを入手することは一般的に非常に困難である。一般的に、市販されているポリプロピレンのリサイクル量は、ポリプロピレン(PP)とポリエチレン(PE)の両方の混合物であり、これは、使用済み廃棄物ストリームに特に当てはまる。使用済み廃棄物源からの市販のリサイクル可能な材料には、一般的にPPとPEの混合物が含まれ、微量成分が<50重量%であることが判明している。
【0006】
リサイクルポリオレフィンの品質が良いほど、つまり純度が高いほど、材料がより高価になる。更に、リサイクルポリオレフィン材料は、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリスチレンなどの非ポリオレフィン材料、又は木材、紙、ガラス若しくはアルミニウムなどの非ポリマー物質により交差汚染されることが多い。
【0007】
また、リサイクルポリプロピレンを多く含む材料は通常、最終配合物へのリサイクルポリオレフィンの添加量が極端に少なくない限り、バージン材料よりもはるかに悪い性質を有する。例えば、そのような材料は、臭気及び味が悪く、剛性が低く、衝撃強度が低く、機械的特性(例えば脆性)が低いことが多いため、顧客の要求が満たされない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、所与の順序での処理ステップの特定の組み合わせにより、同様のリサイクルポリオレフィングレードで通常見られる特性よりも優れたバランスの良い機械的特性及び光学的特性を有する、高純度のリサイクルポリオレフィングレードが得られるという観察に基づいたものである。更に、ステップの特定の組み合わせとは、高純度のリサイクルポリオレフィングレードの品質が、原料の供給源によって大きく異なることが知られている原料の品質にあまり依存しないことを意味する。
【0009】
これによって、第1の態様では、本発明は、所与の順序で、
前駆体混合プラスチックリサイクルストリーム(A)を提供するステップa)と、
前記前駆体混合プラスチックリサイクルストリーム(A)を篩い分けて、最長寸法が30~400mmの範囲にある物品のみを含む篩い分けられた混合プラスチックリサイクルストリーム(B)を作成するステップb)と、
篩い分けられた前記混合プラスチックリサイクルストリーム(B)を1つ以上の光学式選別機で選別して単色選別されたポリオレフィンリサイクルストリーム(C)を生成するステップc)であって、前記篩い分けられた前記混合プラスチックリサイクルストリーム(B)が少なくとも色で選別され、必要に応じてポリオレフィンの種類及び/又は物品の形態でも選別されるステップc)と、
単色選別された前記ポリオレフィンリサイクルストリーム(C)のピースのサイズを縮小して、フレーク状ポリオレフィンリサイクルストリーム(D)を形成するステップd)と、
熱エネルギーを投入せずに、前記フレーク状ポリオレフィンリサイクルストリーム(D)を第1の水性洗浄液(W1)で洗浄することにより、第1の懸濁ポリオレフィンリサイクルストリーム(E)を生成するステップe)と、
前記第1の水性洗浄液(W1)の少なくとも一部、好ましくは、実質的に前記第1の水性洗浄液(W1)の全部を前記第1の懸濁ポリオレフィンリサイクルストリーム(E)から除去して、第1の洗浄済みポリオレフィンリサイクルストリーム(F)を得るステップf)と、
前記第1の洗浄済みポリオレフィンリサイクルストリーム(F)を第2の水性洗浄液(W2)で洗浄して第2の懸濁ポリオレフィンリサイクルストリーム(G)を生成するステップg)であって、洗浄時の温度が65~95℃の範囲となるように、十分な熱エネルギーが前記第2の懸濁ポリオレフィンリサイクルストリーム(G)に導入されるステップg)と、
前記第2の水性洗浄液(W2)及び前記第2の水性洗浄液の表面に浮遊しない任意の材料を前記第2の懸濁ポリオレフィンリサイクルストリーム(G)から除去して、第2の洗浄済みポリオレフィンリサイクルストリーム(H)を得るステップh)と、
前記第2の洗浄済みポリオレフィンリサイクルストリーム(H)を乾燥させることにより、乾燥したポリオレフィンリサイクルストリーム(I)を得るステップi)と、
必要に応じて、乾燥した前記ポリオレフィンリサイクルストリーム(I)を軽質画分と重質画分のポリオレフィンリサイクルストリーム(J)に分離するステップj)と、
1つ以上の対象となるポリオレフィン以外の材料を含む任意のフレークを除去することにより前記1つ以上の対象となるポリオレフィンを選別する1つ以上の光学式選別機で、前記重質画分のポリオレフィンリサイクルストリーム(J)又はステップj)が存在しない場合の乾燥した前記ポリオレフィンリサイクルストリーム(I)を更に選別して、精製されたポリオレフィンリサイクルストリーム(K)を得るステップk)と、
必要に応じて、精製された前記ポリオレフィンリサイクルストリーム(K)を溶融押出し、好ましくはペレット化して、押出された、好ましくはペレット化されたリサイクルポリオレフィン生成物(L)を形成するステップl)であって、好ましくは、添加剤(Ad)が溶融状態で添加されるステップl)と、
必要に応じて、前記リサイクルポリオレフィン生成物(L)又はステップl)が存在しない場合の精製された前記ポリオレフィンリサイクルストリーム(K)を曝気して揮発性有機化合物を除去することにより、曝気されて押出された、好ましくはペレット化されたリサイクルポリオレフィン生成物(M1)又は曝気されたリサイクルポリオレフィンフレーク(M2)のいずれかである曝気されたリサイクルポリオレフィン生成物(M)を生成するステップm)と
を含み、精製された前記ポリオレフィンリサイクルストリーム(K)を最初に曝気して、曝気された前記リサイクルポリオレフィンフレーク(M2)を形成し、その後押出し、好ましくは前記添加剤(Ad)が溶融状態で添加されるようにステップl)及びm)の順序を入れ替えて、押出された、好ましくはペレット化された、曝気されたリサイクルポリオレフィン生成物(M3)を形成することができる、ポリオレフィンの機械的リサイクル方法に関する。
【0010】
更に別の態様では、本発明は、先行の請求項のいずれか一項に記載のポリオレフィンの機械的リサイクル方法を実行するためのポリオレフィンの機械的リサイクル装置に関する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
定義
使用済み廃棄物とは、少なくとも最初の使用サイクル(又はライフサイクル)を完了した、つまり最初の目的を既に達成した物体を指すが、産業廃棄物とは、通常、消費者に届かない製造スクラップを指す。
【0012】
リサイクルストリームには、リサイクル対象の物品と、リサイクル対象の物品の破片(フレークなど)の両方が含まれる場合がある。本発明の文脈では、リサイクルストリームの内容物は、物品全体、その破片、又はそのフレークであるか否かに関わらず、ピースと呼ばれる。ある実施形態では、ピースは、フレークであってもよいが、他の実施形態では、ピースは、後の段階でフレークに変換され得るより大きな物体であってもよい。
【0013】
本発明の文脈では、混合プラスチックリサイクルストリームは、例えば、単一のポリオレフィングレードの製造廃棄物又は単一のポリオレフィン含有物品がストリーム内に存在する唯一のピースであり得るあるポストインダストリアル廃棄物リサイクルストリームの場合のように、ポリオレフィンが存在し、ストリームが単一のポリオレフィン生成物のみを含むものではない、リサイクルに適した任意のストリームであってもよい。一般的に言えば、全てのポリオレフィン含有使用済み廃棄物リサイクルストリームは、多くのポリオレフィン含有ポストインダストリアル廃棄物リサイクルストリームと同様に、混合プラスチックリサイクルストリームになる。
【0014】
本明細書で使用する「物品の形態」という用語は、ポリオレフィンリサイクルストリーム中に存在する物品の形状及び形態を指す。このような物品は、とりわけ、可撓性物品とみなされるフィルム、バッグ、及びパウチの形態で存在してもよく、とりわけ、剛性物品とみなされる食品容器、スキンケア製品容器、ペットボトルなどの成形品の形態で存在してもよい。Tomra Autosort、RTT Steinert Unisort、Redwave Pellencなどの市販の光学式選別機は、空気力学的特性(つまり、通常、ガスのストリームがそのストリームに印加され、剛性物品である物品は、可撓性物品とは異なる弧を描いて落下する)を利用して、いわゆる剛性物品といわゆる可撓性物品を分離し、そのような物品を含むストリームをいわゆる剛性ストリームと可撓性ストリームに変換することができる。
【0015】
本発明によれば、ポリオレフィン含有物品を少なくともその色によって選別する選別方法の結果として、単色選別されたポリオレフィンストリーム(C)が中間生成物として得られる。当業者であれば、任意の所与の混合色リサイクルストリーム中のかなりの量のポリオレフィン含有物品が透明、即ち無色であることが認識されるであろう。本発明の目的のために、任意の透明な、即ち無色のポリオレフィン含有物品は、別個の色分類とみなされ、その結果、「色」が無色(即ち透明)である単色選別されたポリオレフィンストリーム(C)が得られる。いくつかの実施形態では、この無色のポリオレフィンリサイクルストリームは、方法の後続のステップを経て、無色のリサイクル生成物が得られ、又は、他の実施形態では、無色ポリオレフィンリサイクルストリームは、非無色の単色リサイクルストリーム(例えば、白色ポリオレフィンリサイクルストリーム)と混合され、混合されたストリームは、非無色の単色リサイクルストリームとみなされる(即ち、無色ストリームと白色ストリームとの混合物は、その後、白色ストリームとみなされる)。理論に拘束されることを望まないが、非無色ポリオレフィンリサイクルストリームへの無色ポリオレフィンの添加は、リサイクル生成物の最終色に顕著な影響を与えないと考えられる。
【0016】
本発明によれば、単色選別されたリサイクルストリームが後の処理ステップd)~m)にさらされることが重要である。本発明の文脈では、「単色」という用語は、実質的に同じ色を意味すると解釈されるべきであり、即ち、様々な色合いの赤色のピースを含むポリオレフィンストリームは、単色ストリームとして分類されるが、赤色のピースと黄色のピースを含むポリオレフィンストリームは、単色ストリームとして分類されない。単色を選択する精度は、色による選別に使用される技術に依存するため、利用可能な技術によって制限される。人の目への色の印象は、波長によって厳密に定義することができないため、単一の波長の光でも異なる波長の組み合わせでも同じ色が得られる場合があることを考えると、CIELABカラースケールでの定義は、最も適切な記述子となる。特に好ましくは、同じ色は、ΔE<50、好ましくはΔE<40、より好ましくはΔE<30、最も好ましくはを意味する。ΔEは次の式で定義される。
【数1】
式中、
(L -L )は、サンプルと所定の色との明度の差を表し、
(a -a )は、サンプルと所定の色との赤み又は灰色度の差を表し、
(b -b )は、サンプルと所定の色との青み及び黄色度の差を表す。
【0017】
更に、当業者であれば、以下で論じるタイプの自動選別機を含む最先端の選別方法では、完璧な選別が行われず、これは、「ストリームが単一の色のみを含む」又は「ストリームが単一のポリオレフィン種類のみを含む」などの任意の文言が広く解釈されることを意味し、このように記載されたストリームは、実質的に記載された色又はポリオレフィン種類のみを含むが、選別ステップの技術的な制限により、100%純粋ではないことが認識されるであろう。
【0018】
ただし、当業者であれば、光学式選別機、即ち、以下で論じるタイプの自動選別機による選別は、物品が簡単な目視検査によって分離され、それらの主要な色に対応する色部分に割り当てられるいわゆる「粗選別」よりもかなり正確な選別をもたらすことが認識されるであろう。このような「粗選別」の結果は、本発明の意味の範囲内では単色ポリオレフィンストリームを構成しないであろう。
【0019】
当業者であれば、14.0より大きく且つ0.0より低いpH値が理論的には可能であるが、従来のpHプローブを使用してそのようなpH値を測定することが非常に難しいことが認識されるであろう。そこで、本発明の文脈では、14.0より大きい有効pHを有する水溶液は、14.0のpHを有するものとみなされ、0.0より低い有効pHを有する水溶液は、0.0のpHを有するものとみなされる。
【0020】
本発明の文脈では、「洗い流し」という用語は、ポリオレフィンの表面から異物又は残液を除去するために使用される溶媒、通常は水の添加を示すために使用される。これは、ポリオレフィンの表面から付着した異物を除去し、ポリオレフィンから揮発性有機化合物を抽出する可能性があるために、通常はより長い時間と撹拌を必要とする「洗浄」ステップとは対照的に、非常に短い時間、つまり5分未満、多くの場合1分未満で実現することができる。
【0021】
本明細書及び請求項において「含む」という用語が使用される場合、それは、主要又は副次的な機能的重要性を持つ他の指定されない要素を排除するものではない。本発明の目的のために、「からなる」という用語は、「を含む」という用語の好ましい実施形態であると考えられる。以下、群が少なくとも一定数の要素を含むように定義される場合、これは、好ましくはこれらの要素のみからなる群を開示するとも理解される。
【0022】
単数形を指すときに不定冠詞又は定冠詞、例えば、「a」、「an」、又は「the」が使用される場合、特に断らない限り、その名詞の複数形も含まれる。
【0023】
本発明は、所与の順序で、
前駆体混合プラスチックリサイクルストリーム(A)を提供するステップa)と、
前駆体混合プラスチックリサイクルストリーム(A)を篩い分けて、最長寸法が30~400mmの範囲にある物品のみを含む篩い分けられた混合プラスチックリサイクルストリーム(B)を作成するステップb)と、
篩い分けられた混合プラスチックリサイクルストリーム(B)を1つ以上の光学式選別機で選別して単色選別されたポリオレフィンリサイクルストリーム(C)を生成するステップc)であって、篩い分けられた混合プラスチックリサイクルストリーム(B)が少なくとも色で選別され、必要に応じてポリオレフィンの種類及び/又は物品の形態でも選別されるステップc)と、
単色選別されたポリオレフィンリサイクルストリーム(C)のピースのサイズを縮小して、フレーク状ポリオレフィンリサイクルストリーム(D)を形成するステップd)と、
熱エネルギーを投入せずに、フレーク状ポリオレフィンリサイクルストリーム(D)を第1の水性洗浄液(W1)で洗浄することにより、第1の懸濁ポリオレフィンリサイクルストリーム(E)を生成するステップe)と、
第1の水性洗浄液(W1)の少なくとも一部、好ましくは、実質的に第1の水性洗浄液(W1)の全部を第1の懸濁ポリオレフィンリサイクルストリーム(E)から除去して、第1の洗浄済みポリオレフィンリサイクルストリーム(F)を得るステップf)と、
第1の洗浄済みポリオレフィンリサイクルストリーム(F)を第2の水性洗浄液(W2)で洗浄して第2の懸濁ポリオレフィンリサイクルストリーム(G)を生成するステップg)であって、洗浄時の温度が65~95℃の範囲となるように、十分な熱エネルギーが第2の懸濁ポリオレフィンリサイクルストリーム(G)に導入されるステップg)と、
第2の水性洗浄液(W2)及び第2の水性洗浄液の表面に浮遊しない任意の材料を第2の懸濁ポリオレフィンリサイクルストリーム(G)から除去して、第2の洗浄済みポリオレフィンリサイクルストリーム(H)を得るステップh)と、
第2の洗浄済みポリオレフィンリサイクルストリーム(H)を乾燥させることにより、乾燥したポリオレフィンリサイクルストリーム(I)を得るステップi)と、
必要に応じて、乾燥したポリオレフィンリサイクルストリーム(I)を軽質画分と重質画分のポリオレフィンリサイクルストリーム(J)に分離するステップj)と、
1つ以上の対象となるポリオレフィン以外の材料を含む任意のフレークを除去することにより1つ以上の対象となるポリオレフィンを選別する1つ以上の光学式選別機で、重質画分のポリオレフィンリサイクルストリーム(J)又はステップj)が存在しない場合の乾燥したポリオレフィンリサイクルストリーム(I)を更に選別して、精製されたポリオレフィンリサイクルストリーム(K)を得るステップk)と、
必要に応じて、精製されたポリオレフィンリサイクルストリーム(K)を溶融押出し、好ましくはペレット化して、押出された、好ましくはペレット化されたリサイクルポリオレフィン生成物(L)を形成するステップl)であって、好ましくは、添加剤(Ad)が溶融状態で添加されるステップl)と、
必要に応じて、リサイクルポリオレフィン生成物(L)又はステップl)が存在しない場合の精製されたポリオレフィンリサイクルストリーム(K)を曝気(通気)して揮発性有機化合物を除去することにより、曝気されて押出された、好ましくはペレット化されたリサイクルポリオレフィン生成物(M1)又は曝気されたリサイクルポリオレフィンフレーク(M2)のいずれかである曝気されたリサイクルポリオレフィン生成物(M)を生成するステップm)と
を含み、精製されたポリオレフィンリサイクルストリーム(K)を最初に曝気して、曝気されたリサイクルポリオレフィンフレーク(M2)を形成し、その後押出し、好ましくは添加剤(Ad)が溶融状態で添加されるようにステップl)及びm)の順序を入れ替えて、押出された、好ましくはペレット化された、曝気されたリサイクルポリオレフィン生成物(M3)を形成することができる、ポリオレフィンの機械的リサイクル方法に関する。
【0024】
或いは、ポリオレフィンの機械的リサイクル方法は、所与の順序で、
前駆体混合プラスチックリサイクルストリーム(A)を提供するステップa)と、
前駆体混合プラスチックリサイクルストリーム(A)を篩い分けて、最長寸法が30~400mmの範囲にある物品のみを含む篩い分けられた混合プラスチックリサイクルストリーム(B)を作成するステップb)と、
篩い分けられた混合プラスチックリサイクルストリーム(B)を1つ以上の光学式選別機で選別して単色選別されたポリオレフィンリサイクルストリーム(C)を生成するステップc)であって、篩い分けられた混合プラスチックリサイクルストリーム(B)が少なくとも色で選別され、必要に応じてポリオレフィンの種類及び/又は物品の形態でも選別されるステップc)と、
単色選別されたポリオレフィンリサイクルストリーム(C)のピースのサイズを縮小して、フレーク状ポリオレフィンリサイクルストリーム(D)を形成するステップd)と、
熱エネルギーを投入せずに、フレーク状ポリオレフィンリサイクルストリーム(D)を第1の水性洗浄液(W1)で洗浄することにより、第1の懸濁ポリオレフィンリサイクルストリーム(E)を生成するステップe)と、
第1の水性洗浄液(W1)を第1の懸濁ポリオレフィンリサイクルストリーム(E)から除去して、第1の洗浄済みポリオレフィンリサイクルストリーム(F)を得るステップf)と、
第1の洗浄済みポリオレフィンリサイクルストリーム(F)を第2の水性洗浄液(W2)で洗浄して第2の懸濁ポリオレフィンリサイクルストリーム(G)を生成するステップg)であって、洗浄時の温度が65~95℃の範囲に上昇するように、十分な熱エネルギーがシステムに投入されるステップg)と、
第2の水性洗浄液(W2)及び第2の水性洗浄液の表面に浮遊しない任意の材料を第2の懸濁ポリオレフィンリサイクルストリーム(G)から除去して、第2の洗浄済みポリオレフィンリサイクルストリーム(H)を得るステップh)と、
第2の洗浄済みポリオレフィンリサイクルストリーム(H)を乾燥させることにより、乾燥したポリオレフィンリサイクルストリーム(I)を得るステップi)と、
必要に応じて、乾燥したポリオレフィンリサイクルストリーム(I)を軽質画分と重質画分のポリオレフィンリサイクルストリーム(J)に分離するステップj)と、
対象となるポリオレフィン以外の材料を含む任意のフレークを除去する1つ以上の光学式選別機で重質画分のポリオレフィンリサイクルストリーム(J)又はステップj)が存在しない場合の乾燥したポリオレフィンリサイクルストリーム(I)を更に選別して、精製されたポリオレフィンリサイクルストリーム(K)を得るステップk)と、
必要に応じて、精製されたポリオレフィンリサイクルストリーム(K)を溶融押出し、好ましくはペレット化して、押出された、好ましくはペレット化されたリサイクルポリオレフィン生成物(L)を形成するステップl)であって、好ましくは、添加剤(Ad)が溶融状態で添加されるステップl)と、
必要に応じて、リサイクルポリオレフィン生成物(L)又はステップl)が存在しない場合の精製されたポリオレフィンリサイクルストリーム(K)を曝気して揮発性有機化合物を除去することにより、曝気されて押出された、好ましくはペレット化されたリサイクルポリオレフィン生成物(M1)又は曝気されたリサイクルポリオレフィンフレーク(M2)のいずれかである曝気されたリサイクルポリオレフィン生成物(M)を生成するステップm)と
を含み、精製されたポリオレフィンリサイクルストリーム(K)を最初に曝気して、曝気されたリサイクルポリオレフィンフレーク(M2)を形成し、その後押出し、好ましくは添加剤(Ad)が溶融状態で添加されるようにステップl)及びm)の順序を入れ替えて、押出された、好ましくはペレット化された、曝気されたリサイクルポリオレフィン生成物(M3)を形成することができる。
【0025】
一実施形態では、ステップi)以降は、所与の順序で、
第2の洗浄済みポリオレフィンリサイクルストリーム(H)を乾燥させることにより、乾燥したポリオレフィンリサイクルストリーム(I)を得るステップi)と、
1つ以上の対象となるポリオレフィン以外の材料を含む任意のフレークを除去することにより1つ以上の対象となるポリオレフィンを選別する1つ以上の光学式選別機で、乾燥したポリオレフィンリサイクルストリーム(I)を更に選別して、精製されたポリオレフィンリサイクルストリーム(K)を得るステップk)と
を含む。
【0026】
別の実施形態では、ステップi)以降は、所与の順序で、
第2の洗浄済みポリオレフィンリサイクルストリーム(H)を乾燥させることにより、乾燥したポリオレフィンリサイクルストリーム(I)を得るステップi)と、
乾燥したポリオレフィンリサイクルストリーム(I)を軽質画分と重質画分のポリオレフィンリサイクルストリーム(J)に分離するステップj)と、
1つ以上の対象となるポリオレフィン以外の材料を含む任意のフレークを除去することにより1つ以上の対象となるポリオレフィンを選別する1つ以上の光学式選別機で、重質画分のポリオレフィンリサイクルストリーム(J)を更に選別して、精製されたポリオレフィンリサイクルストリーム(K)を得るステップk)と
を含む。
【0027】
更に別の実施形態では、ステップi)以降は、所与の順序で、
第2の洗浄済みポリオレフィンリサイクルストリーム(H)を乾燥させることにより、乾燥したポリオレフィンリサイクルストリーム(I)を得るステップj)と、
1つ以上の対象となるポリオレフィン以外の材料を含む任意のフレークを除去することにより1つ以上の対象となるポリオレフィンを選別する1つ以上の光学式選別機で、乾燥したポリオレフィンリサイクルストリーム(I)を更に選別して、精製されたポリオレフィンリサイクルストリーム(K)を得るステップk)と、
精製されたポリオレフィンリサイクルストリーム(K)を溶融押出し、好ましくはペレット化して、押出された、好ましくはペレット化されたリサイクルポリオレフィン生成物(L)を形成するステップl)であって、好ましくは、添加剤(Ad)が溶融状態で添加されるステップl)と
を含む。
【0028】
更に別の実施形態では、ステップi)以降は、所与の順序で、
第2の洗浄済みポリオレフィンリサイクルストリーム(H)を乾燥させることにより、乾燥したポリオレフィンリサイクルストリーム(I)を得るステップi)と、
乾燥したポリオレフィンリサイクルストリーム(I)を軽質画分と重質画分のポリオレフィンリサイクルストリーム(J)に分離するステップj)と、
1つ以上の対象となるポリオレフィン以外の材料を含む任意のフレークを除去することにより1つ以上の対象となるポリオレフィンを選別する1つ以上の光学式選別機で、重質画分のポリオレフィンリサイクルストリーム(J)を更に選別して、精製されたポリオレフィンリサイクルストリーム(K)を得るステップk)と、
精製されたポリオレフィンリサイクルストリーム(K)を溶融押出し、好ましくはペレット化して、押出された、好ましくはペレット化されたリサイクルポリオレフィン生成物(L)を形成するステップl)であって、好ましくは、添加剤(Ad)が溶融状態で添加されるステップl)と
を含む。
【0029】
更に別の実施形態では、ステップi)以降は、所与の順序で、
第2の洗浄済みポリオレフィンリサイクルストリーム(H)を乾燥させることにより、乾燥したポリオレフィンリサイクルストリーム(I)を得るステップi)と、
1つ以上の対象となるポリオレフィン以外の材料を含む任意のフレークを除去することにより1つ以上の対象となるポリオレフィンを選別する1つ以上の光学式選別機で、乾燥したポリオレフィンリサイクルストリーム(I)を更に選別して、精製されたポリオレフィンリサイクルストリーム(K)を得るステップk)と、
精製されたポリオレフィンリサイクルストリーム(K)を曝気して揮発性有機化合物を除去することにより、曝気されたリサイクルポリオレフィンフレーク(M2)を生成するステップm)と
を含む。
【0030】
別の実施形態では、ステップi)以降は、所与の順序で、
第2の洗浄済みポリオレフィンリサイクルストリーム(H)を乾燥させることにより、乾燥したポリオレフィンリサイクルストリーム(I)を得るステップi)と、
乾燥したポリオレフィンリサイクルストリーム(I)を軽質画分と重質画分のポリオレフィンリサイクルストリーム(J)に分離するステップj)と、
1つ以上の対象となるポリオレフィン以外の材料を含む任意のフレークを除去することにより1つ以上の対象となるポリオレフィンを選別する1つ以上の光学式選別機で、重質画分のポリオレフィンリサイクルストリーム(J)を更に選別して、精製されたポリオレフィンリサイクルストリーム(K)を得るステップk)と、
精製されたポリオレフィンリサイクルストリーム(K)を曝気して揮発性有機化合物を除去することにより、曝気されたリサイクルポリオレフィンフレーク(M2)を生成するステップm)と
を含む。
【0031】
更に別の実施形態では、ステップi)以降は、所与の順序で、
第2の洗浄済みポリオレフィンリサイクルストリーム(H)を乾燥させることにより、乾燥したポリオレフィンリサイクルストリーム(I)を得るステップi)と、
1つ以上の対象となるポリオレフィン以外の材料を含む任意のフレークを除去することにより1つ以上の対象となるポリオレフィンを選別する1つ以上の光学式選別機で、乾燥したポリオレフィンリサイクルストリーム(I)を更に選別して、精製されたポリオレフィンリサイクルストリーム(K)を得るステップk)と、
精製されたポリオレフィンリサイクルストリーム(K)を溶融押出し、好ましくはペレット化して、押出された、好ましくはペレット化されたリサイクルポリオレフィン生成物(L)を形成するステップl)であって、好ましくは、添加剤(Ad)が溶融状態で添加されるステップl)と、
リサイクルポリオレフィン生成物(L)を曝気して揮発性有機化合物を除去することにより、曝気されて押出された、好ましくはペレット化されたリサイクルポリオレフィン生成物(M1)を生成するステップm)と
を含む。
【0032】
更に別の実施形態では、ステップi)以降は、所与の順序で、
第2の洗浄済みポリオレフィンリサイクルストリーム(H)を乾燥させることにより、乾燥したポリオレフィンリサイクルストリーム(I)を得るステップi)と、
乾燥したポリオレフィンリサイクルストリーム(I)を軽質画分と重質画分のポリオレフィンリサイクルストリーム(J)に分離するステップj)と、
1つ以上の対象となるポリオレフィン以外の材料を含む任意のフレークを除去することにより1つ以上の対象となるポリオレフィンを選別する1つ以上の光学式選別機で、重質画分のポリオレフィンリサイクルストリーム(J)を更に選別して、精製されたポリオレフィンリサイクルストリーム(K)を得るステップk)と、
精製されたポリオレフィンリサイクルストリーム(K)を溶融押出し、好ましくはペレット化して、押出された、好ましくはペレット化されたリサイクルポリオレフィン生成物(L)を形成するステップl)であって、好ましくは、添加剤(Ad)が溶融状態で添加されるステップl)と、
リサイクルポリオレフィン生成物(L)を曝気して揮発性有機化合物を除去することにより、曝気されて押出された、好ましくはペレット化されたリサイクルポリオレフィン生成物(M1)を生成するステップm)と
を含む。
【0033】
更に別の実施形態では、ステップi)以降は、所与の順序で、
第2の洗浄済みポリオレフィンリサイクルストリーム(H)を乾燥させることにより、乾燥したポリオレフィンリサイクルストリーム(I)を得るステップi)と、
1つ以上の対象となるポリオレフィン以外の材料を含む任意のフレークを除去することにより1つ以上の対象となるポリオレフィンを選別する1つ以上の光学式選別機で、乾燥したポリオレフィンリサイクルストリーム(I)を更に選別して、精製されたポリオレフィンリサイクルストリーム(K)を得るステップk)と、
精製されたポリオレフィンリサイクルストリーム(K)を曝気して揮発性有機化合物を除去することにより、曝気されたリサイクルポリオレフィンフレーク(M2)を生成するステップm)と、
曝気されたリサイクルポリオレフィンフレーク(M2)を溶融押出し、好ましくはペレット化して、押出された、好ましくはペレット化された、曝気されたリサイクルポリオレフィン生成物(M3)を形成するステップl)であって、好ましくは、添加剤(Ad)が溶融状態で添加されるステップl)と
を含む。
【0034】
最後の実施形態では、ステップi)以降は、所与の順序で、
第2の洗浄済みポリオレフィンリサイクルストリーム(H)を乾燥させることにより、乾燥したポリオレフィンリサイクルストリーム(I)を得るステップi)と、
乾燥したポリオレフィンリサイクルストリーム(I)を軽質画分と重質画分のポリオレフィンリサイクルストリーム(J)に分離するステップj)と、
1つ以上の対象となるポリオレフィン以外の材料を含む任意のフレークを除去することにより1つ以上の対象となるポリオレフィンを選別する1つ以上の光学式選別機で、重質画分のポリオレフィンリサイクルストリーム(J)を更に選別して、精製されたポリオレフィンリサイクルストリーム(K)を得るステップk)と、
精製されたポリオレフィンリサイクルストリーム(K)を曝気して揮発性有機化合物を除去することにより、曝気されたリサイクルポリオレフィンフレーク(M2)を生成するステップm)と、
曝気されたリサイクルポリオレフィンフレーク(M2)を溶融押出し、好ましくはペレット化して、押出された、好ましくはペレット化された、曝気されたリサイクルポリオレフィン生成物(M3)を形成するステップl)であって、好ましくは、添加剤(Ad)が溶融状態で添加されるステップl)と
を含む。
【0035】
理論に拘束されることを望まないが、ステップl)の前にステップm)を行うことは、向上したポリオレフィンフレークの表面積対体積比が、より多くの揮発性有機化合物を除去することができることを意味するため有利であるが、ステップm)の前にステップl)を行うことは、押出により、ポリオレフィン又は汚染物質(例えばPVC又はPET)の分解を経て新しい揮発性有機化合物が生成され、又はフレークの表面に近接しない揮発性有機化合物を押出された生成物の表面に移動させて臭気を増す可能性があるため有利であると考えられる。どの実施形態が好ましいかは、方法ごとに異なるため、それに応じて最適化する必要がある。
【0036】
ステップa)は、前駆体混合プラスチックリサイクルストリーム(A)の提供に関わる。
【0037】
この前駆体混合プラスチックリサイクルストリーム(A)は、使用済み廃棄物、ポストインダストリアル廃棄物、又はそれらの組み合わせに由来する可能性がある。
【0038】
好ましくは、前駆体混合プラスチックリサイクルストリーム(A)は、使用済み廃棄物に由来する。
【0039】
当業者が認識できるように、このような前駆体混合プラスチックリサイクルストリームの提供は、ポストコンシューマ源(例えば、路傍のリサイクルビン)又はポストインダストリアル源からの好適なポリオレフィン含有材料の収集を含む場合があり、或いは、事前に収集された混合プラスチックリサイクルストリームは、任意の数のリサイクル商社から購入することもできる。
【0040】
前駆体混合プラスチックリサイクルストリーム(A)の形態は重要ではないが、前駆体混合プラスチックリサイクルストリーム(A)中に存在する物品が、ステップb)~m)で互いにくっつかないように求められる。市販の混合プラスチックリサイクルストリームが得られる一般的な形態は、ベール(bale)の形態である。前駆体混合プラスチックリサイクルストリーム(A)がベールの形態で提供される場合、前駆体混合プラスチックリサイクルストリーム(A)がステップb)の篩い分けを受ける前にベールを解体する必要がある。ベールの梱包に使用される方法に応じて、ベールを縛るために使用される任意のワイヤーを取り外したり(ベールのワイヤーの取り外し)、及び/又はプラスチック袋若しくは包装材料などの容器からベールを空っぽにしたり(バッグ/ベールの開封)する必要がある場合もある。
【0041】
更に、ポリオレフィンの機械的リサイクル方法の中間生成物(即ち、中間リサイクルストリーム)(単色選別されたポリオレフィンリサイクルストリーム(C)など)を保管する必要がある場合もあり、その場合、この中間生成物をベールに形成することができる。このようにして形成された任意のベールは、中間生成物が方法の次のステップを経る前に、好ましくは上記に挙げた適切な方法の1つを使用して、解体する必要がある。
【0042】
当業者であれば、本ポリオレフィンの機械的リサイクル方法の必須の各ステップを所与の順序で行うだけでなく、中間生成物をベール又はその他の形態で一定期間除去し、保管された中間生成物を、除去された位置でポリオレフィンの機械的リサイクル方法に再導入することを伴うこれらの方法が本発明の範囲内に含まれることが理解されるであろう。
【0043】
ステップb)は、前駆体混合プラスチックリサイクルストリーム(A)を篩い分けて、最長寸法が30~400mmの範囲にある物品のみを含む篩い分けられた混合プラスチックリサイクルストリーム(B)を作成するステップに関わる。
【0044】
当業者であれば、ステップb)の篩い分けを実現できる複数の方法を認識しており、したがって、この篩い分けステップは特に限定されない。ただし、好ましくは、ステップb)の篩い分けは、篩径が30mmの篩と篩径が400mmの篩を使用して、前駆体混合リサイクルストリームを3つのストリーム、つまり最長寸法が30mm未満の小型物品ストリーム、最長寸法が400mmより大きい特大物品ストリーム、及び篩い分けられた混合プラスチックリサイクルストリーム(B)に分割することによって実現される。小型ストリームと特大ストリームは、廃棄されてもよく、他のポリオレフィンの機械的リサイクル方法で使用するために移されてもよい。
【0045】
ステップc)は、篩い分けられた混合プラスチックリサイクルストリーム(B)を1つ以上の光学式選別機で選別することにより単色選別されたポリオレフィンリサイクルストリーム(C)を生成するステップであって、篩い分けられた混合プラスチックリサイクルストリーム(B)が少なくとも色で選別され、必要に応じてポリオレフィンの種類及び/又は物品の形態でも選別されるステップに関わる。
【0046】
単色選別されたポリオレフィンリサイクルストリーム(C)から分離された物品は、廃棄されてもよく、又は別の単色選別されたポリオレフィンリサイクルストリームを対象とするステップc)の更なる反復に移されてもよい。
【0047】
本発明の方法では、ステップd)以降に入るリサイクルストリームが単色選別されたポリオレフィンリサイクルストリーム(C)であることが必須である。
【0048】
最も広い意味では、ステップc)の選別を実現するために、任意の光学式選別機を使用することができる。本発明の文脈では、「光学式選別機」という用語は、任意の形態の電磁放射(可視又は不可視)を使用して、篩い分けられた混合プラスチックリサイクルストリーム(B)のピースを区別する選別ユニットを指す。
【0049】
好ましくは、ステップc)の光学式選別機は、(電磁スペクトルの可視範囲で動作する)カメラシステム、可視反射分光法、近赤外分光分析、中赤外分光分析、高速レーザー分光分析、ラマン分光分析、及びフーリエ変換赤外(FT-IR)分光分析からなる群から選択される方法によって選別を行う。
【0050】
色によってリサイクルストリームを選別するのに適した方法には、(電磁スペクトルの可視範囲で動作する)カメラシステムと可視反射分光法が含まれる。
【0051】
ポリオレフィンの種類によってリサイクルストリームを選別するのに適した方法には、近赤外分光分析、中赤外分光分析、高速レーザー分光分析、ラマン分光分析、及びフーリエ変換赤外(FT-IR)分光分析が含まれる。特に好ましいのは近赤外分光分析である。
【0052】
物品の種類によってリサイクルストリームを選別するのに適した方法には、(電磁スペクトルの可視範囲で動作する)カメラシステムが含まれる。
【0053】
好ましくは、ステップc)の選別は、色及びポリオレフィンの種類によって行われ、これは単色選別されたポリオレフィンリサイクルストリーム(C)が単色であり、全ての物品には単一のポリオレフィンが含まれることを意味する。
【0054】
いくつかの実施形態では、単一のセンサータイプ(例えば、近赤外線センサー又は電磁スペクトルの可視範囲で動作するカメラシステム)を使用して、複数の特性(例えば、色及びポリオレフィンの種類、又は色及び物品の形態)を区別することができる。更に、多くの近赤外線センサーユニットは、可視反射率ユニットを含むか、又は電磁スペクトルの近赤外線領域及び可視領域の両方を測定するように構成されてもよく、これは、単一のセンサーユニットが複数の検出方法を使用する可能性があることを意味する。
【0055】
ステップc)の選別を実現するために、複数の検出方法及び/又は複数のセンサーを使用することができる。
【0056】
更に好ましくは、ステップc)の選別は、色、ポリオレフィンの種類、及び物品の形態によって行われ、これは、単色選別されたポリオレフィンリサイクルストリーム(C)が単色であり、全ての物品には単一のポリオレフィンが含まれ、ストリームには剛性物品又は可撓性物品のみが含まれることを意味する。
【0057】
本発明の方法は、ポリオレフィン混合リサイクルストリームから任意の所望のポリオレフィンを単離するのに適しているが、ポリエチレン又はポリプロピレンの単離が特に望ましい。何故なら、これらは任意のポリオレフィン混合リサイクルストリームの主要なポリオレフィン成分である可能性が高く、単離されたポリエチレン又は単離されたポリプロピレンは、純粋なリサイクルポリオレフィンストリームに供給されるか、又は押出されてペレット化されて所望のポリオレフィン、即ちポリエチレン又はポリプロピレンのペレットを得ることができるからである。
【0058】
特に好ましくは、単色選別されたポリオレフィンリサイクルストリーム(C)は、単色選別されたポリエチレンリサイクルストリーム又は単色選別されたポリプロピレンリサイクルストリームのいずれかである。
【0059】
ステップc)の選別は、簡単な二元判断に基づいてどのピースを選択すべきか拒否すべきかを評価するように光学センサーがプログラムされる簡単な選別アルゴリズムを通じて実現することができる。或いは、より複雑なAIベースのシステムを使用して、特に物品の形態によって選別する場合に、より正確な選別を実現することもできる。
【0060】
理論に拘束されることを望まないが、本発明者らは、ステップc)における単色選別されたポリオレフィンリサイクルストリームの提供が、改善された特性を有するリサイクル生成物を得るために不可欠であると考えている。予想されるように、リサイクル生成物が単色であるだけでなく、処理ステップd)~m)のいずれかの前に重要な選別ステップc)が存在することにより、より純粋なリサイクル生成物を得ることが可能になる。例えば、ステップc)における色による選別では、白色のポリオレフィンピースのみが選択されてもよく、無色のピースを含む他の色は全てこの段階で除去される。透明なピースは、PET製のペットボトルから作られることが多い。そこで、組み合わせられた透明なピースは、他の色、例えば白色のピースよりも高いPET含有量を有することが予想される。PETは、例えば、ステップg)の高温洗浄中に分解しやすく、有機小分子の中でもとりわけアセトアルデヒドを生成する。このような有機小分子は、結果としてリサイクル生成物の臭気に悪影響を及ぼす。この段階で色選別によりPETの含有量を減らすことにより、この問題を減少させることができる。
【0061】
更に、異なる国又は地域では、異なるパッケージは、異なる典型的な色を有する場合があることにより、例えば、グリーンなピースにはある非ポリオレフィン又は非所望のポリオレフィンが含まれる可能性が高くなる。ステップc)の色選別の利点は、前駆体混合プラスチックリサイクルストリームがどの国又は地域から供給されるかに応じて異なる。
【0062】
非ポリオレフィン及び非所望のポリオレフィンフレークはステップk)で除去され得るが、任意の選別方法には効率が限られており、これは、そのような方法に投入されるフレークの純度が高ければ高いほど、そのような方法による生成物の純度が高くなることを意味する。従来技術における方法で純粋な生成物を得ることが難しいことを考慮すると、リサイクル生成物の純度の一見小さな改善ではあっても、商業的には非常に価値のあるものになる可能性がある。
【0063】
更に、洗浄ステップe)及びg)の後にそのようなフレークを除去しても、ステップd)~j)の間のフレーク間の交差汚染の問題が回避されない。
【0064】
更に、ステップd)~m)の機械的リサイクルステップの前に選別ステップc)が存在することは、本発明に係るポリオレフィンの機械的リサイクル方法により、原料の品質に関係なく、オペレータが高品質のリサイクル生成物を得ることができることを意味する。原料の品質は、ポリオレフィン含有量及び異物汚染に関して大きく異なる可能性があり、原料の供給源(即ち、前駆体混合プラスチックリサイクルストリーム(A)の供給源)に大きく依存することがよく知られている。
【0065】
ステップd)は、単色選別されたポリオレフィンリサイクルストリーム(C)のピースのサイズを縮小して、フレーク状ポリオレフィンリサイクルストリーム(D)を形成するステップに関わる。
【0066】
ステップd)のサイズ縮小は、当業者に知られている任意の方法によって実行されてもよい。1つの適切な方法は、単色選別されたポリオレフィンリサイクルストリーム(C)を粉砕するステップを含む。別の方法は、単色選別されたポリオレフィンリサイクルストリーム(C)を細断するステップを含む。特に好ましくは、ステップd)のサイズ縮小は細断ステップである。
【0067】
ステップd)の細断は、湿式細断プロセスであってもよく、乾式細断プロセスであってもよい。好ましくは、ステップd)の細断は、選別されたポリオレフィンリサイクルストリーム(C)を最初に水溶液(W0)と接触させて、選別された懸濁ポリオレフィンリサイクルストリームを提供してから細断する湿式細断プロセスである。
【0068】
言い換えれば、ステップd)の細断は好ましくは、選別されたポリオレフィンリサイクルストリーム(C)を最初に水溶液(W0)と接触させ、得られた懸濁液を細断する湿式細断プロセスである。
【0069】
水溶液(W0)の選択は特に限定されないが、水溶液(W0)のpHは、好ましくは8.0~14.0の範囲、より好ましくは10.0~14.0の範囲、最も好ましくは12.0~14.0の範囲である。
【0070】
更に好ましくは、水溶液(W0)は、ステップh)で除去されたリサイクル水性洗浄液の少なくとも一部である。
【0071】
言い換えれば、水溶液(W0)は、好ましくは、ステップh)で先に使用されたリサイクル水性洗浄液である。
【0072】
ステップd)の細断が湿式細断プロセスである場合、そこから得られたフレーク状ポリオレフィンリサイクルストリーム(D)は、好ましくは、ステップe)が始まる前に機械的に乾燥される。機械的乾燥の適切な形式には、いずれも固体から液体を分離できる遠心乾燥及び脱水プレス(フィルター又はスクリュープレス)が含まれる。
【0073】
ステップh)で使用される水性洗浄液のリサイクルにより、方法の経済性が向上し、方法全体で使用するために1つの水性洗浄液を用意する必要があるだけである。更に、ステップh)で使用される水性洗浄液は、その性質上、アルカリ性溶液であり、ステップd)又はステップe)のいずれかにおける異物の除去を助ける。得られる洗浄済みポリオレフィンストリームが可能な限りきれいになるように、最後の洗浄ステップで最もきれいな洗浄液(即ち、異物が最も少ない洗浄液)を使用することが重要である。最後に、単一の水性洗浄液を複数回使用することで、廃棄物ストリームの処理が簡素化され、異なる化学物質を含む複数の異なる廃棄物ストリームの処理の必要性が回避される。
【0074】
ステップe)は、熱エネルギーを投入せずに、フレーク状ポリオレフィンリサイクルストリーム(D)を第1の水性洗浄液(W1)で洗浄することにより、第1の懸濁ポリオレフィンリサイクルストリーム(E)を生成するステップに関わる。
【0075】
当業者であれば、当技術分野で既知の洗浄ステップは、高温洗浄を実現するために加熱してもよく、或いは低温洗浄を実現するために周囲条件で実施されてもよいことが認識されるであろう。本方法では、ステップe)がこのような低温洗浄に相当する。
【0076】
当業者であれば、第1の水性洗浄液(W1)の選択に応じて、第1の水性洗浄液(W1)が、例えば前の高温洗浄で使用されることにより周囲条件よりも高温になる可能性があるため、ステップd)における温度が周囲条件と実際に一致する場合と一致しない場合があることも認識されるであろう。第1の水性洗浄液(W1)の温度が周囲条件よりも高い場合でも、高温洗浄に通常必要とされる温度よりもかなり低くなることが予想される。ステップe)の定義にとって重要なのは、ステップe)の洗浄中に第1の水性洗浄液(W1)の温度を上げるために更なる熱エネルギーが消費されないことである。
【0077】
ただし、ステップe)における第1の水性洗浄液(W1)の温度は、好ましくは70℃未満、より好ましくは65℃未満、最も好ましくは60℃未満である。
【0078】
第1の水性洗浄液(W1)の選択は、特に限定されないが、第1の水性洗浄液(W1)のpHは、好ましくは8.0~14.0の範囲、より好ましくは10.0~14.0の範囲、最も好ましくは12.0~14.0の範囲である。
【0079】
第1の水性洗浄液(W1)は、第1の水性洗浄液(W1)の合計重量に対して、0.1重量%~1.0重量%の範囲の量の洗剤を含んでもよい。
【0080】
洗剤は、市販の洗剤混合物であってもよく、当業者に知られている任意の方法で構成されてもよい。好適な洗剤としては、CHTから市販されるTUBIWASH SKP、TUBIWASH GFN、TUBIWASH EYE、及びTUBIWASH TOP、KIC KRONESから市販されるKRONES colclean AD 1004、KRONES colclean AD 1002、及びKRONES colclean AD 1008、並びにECOLAB Ltdから市販されるP3-stabilon WT、P3 stabilon ALなどが挙げられる。
【0081】
更に好ましくは、第1の水性洗浄液(W1)は、ステップh)で除去された、リサイクル水性洗浄液の少なくとも一部である。
【0082】
言い換えれば、第1の水性洗浄液(W1)は、好ましくは、ステップh)で先に使用された、リサイクル水性洗浄液である。
【0083】
ステップh)からのリサイクル水性洗浄液を第1の水性洗浄液として再利用することの利点は、水溶液(W0)に関して上述した利点と同様である。
【0084】
ステップe)の洗浄は、本明細書で定義される洗い流しステップとは対照的な洗浄ステップであるため、通常は5分間以上、例えば5分間~4時間続く。
【0085】
ステップe)の洗浄は、好ましくは5分間~2時間、より好ましくは5分間~1時間、最も好ましくは5分間~30分間続く。
【0086】
更に好ましくは、ステップg)における第1の水性洗浄液(W1)とフレーク状ポリオレフィンリサイクルストリーム(D)との組み合わせは、機械的混合、超音波処理、機械的粉砕、又はポンプアラウンドループ(pump around loop)により撹拌され、好ましくは、ステップg)における第1の水性洗浄液(W1)とフレーク状ポリオレフィンリサイクルストリーム(D)との組み合わせは、超音波処理により撹拌される。この撹拌により、リサイクルストリーム内のフレークが新鮮な洗浄溶液に曝されるため、フレークのすぐ近くに汚染物質が堆積することによってプロセスが妨げられないようになる。
【0087】
当業者であれば、上記で提供した複数の個別の方法を組み合わせることによって、例えば機械的混合と超音波処理との組み合わせによって撹拌を改善することができることが認識されるであろう。
【0088】
ステップf)は、第1の水性洗浄液(W1)の少なくとも一部、好ましくは、実質的に第1の水性洗浄液(W1)の全部を第1の懸濁ポリオレフィンリサイクルストリーム(E)から除去して、第1の洗浄済みポリオレフィンリサイクルストリーム(F)を得るステップに関わる。
【0089】
言い換えれば、ステップf)は、第1の水性洗浄液(W1)を第1の懸濁ポリオレフィンリサイクルストリーム(E)から除去して、第1の洗浄済みポリオレフィンリサイクルストリーム(F)を得るステップに関わる。
【0090】
当業者であれば、第1の懸濁ポリオレフィンリサイクルストリーム(E)中に懸濁又は溶解している少量の異物は、第1の水性洗浄液(W1)で除去されるが、ステップf)は、例えば、いわゆる浮沈分離の使用による異物の標的除去を含まず、この場合、(密度が1.00g/cm未満のポリオレフィンが浮くと予想されることを考慮すると)溶液の表面に浮遊しない全ての異物は溶液で除去されることが理解されるであろう。
【0091】
第1の水性洗浄液(W1)の少なくとも一部を除去した後、第1の洗浄済みポリオレフィンリサイクルストリーム(F)を必要に応じて水で洗い流して、第1の洗浄済みポリオレフィンリサイクルストリームのフレークの表面に残っている第1の水性洗浄液(W1)の痕跡を除去してもよい。
【0092】
洗い流しの有無に関わらず、第1の洗浄済みポリオレフィンリサイクルストリーム(F)をステップg)の前に乾燥させてもよいが、第1の洗浄済みポリオレフィンリサイクルストリーム(F)をステップg)の前に乾燥させないことが好ましく、というのは、この乾燥は、エネルギー効率及びステップ効率の観点から方法効率が低下することに寄与し、本発明の効果には顕著に寄与しないからである。
【0093】
ステップg)は、第1の洗浄済みポリオレフィンリサイクルストリーム(F)を第2の水性洗浄液(W2)で洗浄して第2の懸濁ポリオレフィンリサイクルストリーム(G)を生成するステップであって、洗浄時の温度が65~95℃の範囲となるように、十分な熱エネルギーが第2の懸濁ポリオレフィンリサイクルストリーム(G)に導入されるステップに関わる。
【0094】
言い換えれば、ステップg)は、第1の洗浄済みポリオレフィンリサイクルストリーム(F)を第2の水性洗浄液(W2)で洗浄して第2の懸濁ポリオレフィンリサイクルストリーム(G)を生成するステップであって、洗浄時の温度が65~95℃の範囲に上昇するように、十分な熱エネルギーがシステムに投入されるステップに関わる。
【0095】
前述したように、当業者であれば、当技術分野で既知の洗浄ステップは、高温洗浄を実現するために加熱してもよく、或いは低温洗浄を実現するために周囲条件で実施されてもよいことが認識されるであろう。ステップg)の洗浄は、ステップe)の洗浄とは対照的に、高温洗浄であり、洗浄時の温度が65~95℃となるように熱エネルギーが導入される。
【0096】
ステップg)の温度は、65~95℃の範囲であり、より好ましくは70~95℃の範囲、最も好ましくは75~95℃の範囲である。
【0097】
好ましくは、第2の水性洗浄液(W2)は、アルカリ性水性洗浄液である。
【0098】
好ましくは、アルカリ性水性洗浄液のpHは、9.0~14.0の範囲であり、より好ましくは11.0~14.0の範囲、最も好ましくは12.0~14.0の範囲である。
【0099】
好ましくは、アルカリ性水性洗浄液は、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化リチウム、重炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム及びそれらの混合物からなる群から選択される塩基の水溶液である。最も好ましくは、第2の水性洗浄液(W2)は、水酸化ナトリウムの水溶液である。
【0100】
アルカリ性水溶液中の塩基の量は、アルカリ性水溶液の合計重量に対して、好ましくは0.05~10重量%の範囲、より好ましくは0.10~7重量%の範囲、最も好ましくは0.50~5重量%の範囲である。
【0101】
特に好ましい一実施形態では、第2の水性洗浄液(W2)は、第2の水性洗浄液(W2)の合計重量に対して、0.50~5.0重量%の範囲の水酸化ナトリウム濃度を有する水酸化ナトリウム溶液である。
【0102】
第2の水性洗浄液(W2)は、第2の水性洗浄液(W2)の合計重量に対して、0.1重量%~1.0重量%の範囲の量の洗剤を含んでもよい。
【0103】
洗剤は、市販の洗剤混合物であってもよく、当業者に知られている任意の方法で構成されてもよい。好適な洗剤としては、CHTから市販されるTUBIWASH SKP、TUBIWASH GFN、TUBIWASH EYE、及びTUBIWASH TOP、KIC KRONESから市販されるKRONES colclean AD 1004、KRONES colclean AD 1002、及びKRONES colclean AD 1008、並びにECOLAB Ltdから市販されるP3-stabilon WT、P3 stabilon ALなどが挙げられる。
【0104】
ステップg)の洗浄は、本明細書で定義される洗い流しステップとは対照的な洗浄ステップであるため、通常は5分間以上、例えば5分間~4時間続く。
【0105】
ステップg)の洗浄は、好ましくは5分間~2時間、より好ましくは5分間~1時間、最も好ましくは10分間~45分間続く。
【0106】
更に好ましくは、ステップg)における第2の水性洗浄液(W2)と第1の洗浄済みポリオレフィンリサイクルストリーム(F)との組み合わせは、機械的混合、超音波処理、機械的粉砕、又はポンプアラウンドループにより撹拌され、好ましくは、ステップg)における第2の水性洗浄液(W2)と第1の洗浄済みポリオレフィンリサイクルストリーム(F)との組み合わせは、超音波処理により撹拌される。この撹拌により、リサイクルストリーム内のフレークが新鮮な洗浄溶液に曝されるため、フレークのすぐ近くに汚染物質が堆積することによってプロセスが妨げられないようになる。
【0107】
当業者であれば、上記で提供した複数の個別の方法を組み合わせることによって、例えば機械的混合と超音波処理との組み合わせによって撹拌を改善することができることが認識されるであろう。
【0108】
ステップh)は、第2の水性洗浄液(W2)及び第2の水性洗浄液の表面に浮遊しない任意の材料を第2の懸濁ポリオレフィンリサイクルストリーム(G)から除去して、第2の洗浄済みポリオレフィンリサイクルストリーム(H)を得るステップに関わる。
【0109】
洗浄液中に浮遊又は溶解している異物がごく少量しか除去されないステップf)とは対照的に、ステップh)にはいわゆる浮沈分離が含まれ、これにより、洗浄液の表面に浮遊しないあらゆる物質が除去される。当業者であれば、これは1.00g/cmを超える密度を有する任意の異物を除去する効果があることが理解されるであろう。
【0110】
理論に拘束されることを望まないが、ステップg)の高温洗浄の直後に浮沈分離ステップを含むことは、可能な限り多くの異物を除去するのに非常に有益であると考えられる。方法の後続きのステップ、例えば曝気(ステップm)又は乾燥(ステップi)などにより、ポリオレフィンフレークから除去された異物がポリオレフィンフレークに再付着する可能性がある。これにより、例えばラベル材料が任意のポリオレフィンフレークに付着するため、後続きのステップ、例えばステップj)の分離又はステップk)の選別などにおいてこれらのポリオレフィンフレークが除去される場合、最終的なリサイクル生成物が汚染されたり、収率が低下したりする可能性がある。そこで、このステップはステップg)の直後に実行することが重要である。
【0111】
特に好ましくは、ステップh)で除去された水性洗浄液は、前述したように、第1の水性洗浄液(W1)及び、存在する場合、水溶液(W0)として使用するためにリサイクルされる。
【0112】
ステップh)で除去された水性洗浄液が上述したようにリサイクルされる場合、好ましくは、浮沈分離で除去された異物は、第1の水性洗浄液(W1)及び/又は水溶液(W0)として使用される前に濾別される。
【0113】
第2の水性洗浄液(W2)を除去した後、第2の洗浄済みポリオレフィンリサイクルストリーム(H)を必要に応じて水で洗い流して、第2の洗浄済みポリオレフィンリサイクルストリームのフレークの表面に残っている第2の水性洗浄液(W2)の痕跡を除去してもよい。
【0114】
ステップi)は、第2の洗浄済みポリオレフィンリサイクルストリーム(H)を乾燥させることにより、乾燥したポリオレフィンリサイクルストリーム(I)を得るステップに関わる。
【0115】
ステップi)の乾燥は、熱乾燥によって、又は機械的乾燥と熱乾燥の組み合わせによって実現することができる。機械的乾燥の適切な形式には、いずれも固体から液体を分離できる遠心乾燥及び脱水プレス(フィルター又はスクリュープレス)が含まれる。
【0116】
ステップj)は、存在する場合、乾燥したポリオレフィンリサイクルストリーム(I)を軽質画分と重質画分のポリオレフィンリサイクルストリーム(J)に分離するステップに関わる。
【0117】
軽質画分には通常、ラベルとその他の非ポリオレフィン材料が含まれるが、ポリオレフィンフレークは、重質画分のポリオレフィンリサイクルストリーム(J)に選別される。
【0118】
ステップj)の分離は、当技術分野で知られている任意の公知の乾燥状態密度分離技術によって実行することができる。好適な技術には、気流式分級、風力篩、ジグザグカスケード又は空気分離が含まれる。
【0119】
当業者には理解されるように、そのような方法による軽質画分と重質画分への分離は、フレークの密度による影響を受けるだけでなく、より重要にはフレークの空気力学的特性による影響を受ける(典型的には、表面積と重量の比率による影響を受ける)。そこで、平らなラベルは、より嵩高いポリオレフィンフレークから分離される。「軽質画分」及び「重質画分」という用語は、当技術分野で一般的に使用され、密度による分類を厳密に指すものではない。本発明におけるこれらの用語の意味は、当技術分野で一般的に理解される用語と一致する。
【0120】
ステップj)とステップk)の間に、最長寸法が2mm未満の任意のピース(いわゆる細片)を除去する追加のステップが存在する場合がある。当業者に知られている任意の方法、例えばスクリーン又は篩を使用する方法を利用してもよい。
【0121】
ステップk)は、1つ以上の対象となるポリオレフィン以外の材料を含む任意のフレークを除去することにより1つ以上の対象となるポリオレフィンを選別する1つ以上の光学式選別機で、重質画分のポリオレフィンリサイクルストリーム(J)又はステップj)が存在しない場合の乾燥したポリオレフィンリサイクルストリーム(I)を更に選別して、精製されたポリオレフィンリサイクルストリーム(K)を得るステップに関わる。
【0122】
ステップk)では、少なくとも第1の光学式選別機を使用して、1つ以上の対象となるポリオレフィン以外の材料を含むフレークを除去する。この光学式選別機の選択基準は、1つ以上の対象となるポリオレフィン以外の任意の材料が所与のフレーク中に存在する場合、このフレークがストリームから分離され、精製されたポリオレフィンリサイクルストリームが得られることである。
【0123】
1つ以上の光学式選別機が2つ以上の対象となるポリオレフィンを選別する場合、結果として精製されたポリオレフィンリサイクルストリーム(K)は、精製された混合ポリオレフィンリサイクルストリームであってもよいが、好ましくは、これらの対象となるポリオレフィンは、それぞれが単一の対象となるポリオレフィンのみを含む個別の精製されたポリオレフィンリサイクルストリーム(K)に分離される。
【0124】
同じ選別基準を有する複数の光学式選別機が直列に配置されて、精製されたポリオレフィンリサイクルストリーム(K)の純度を向上させてもよい。代替的又は追加的に、複数の光学式選別機が直列に配置されて、異なる基準、例えば色及び/又は物品の形態に応じて選別してもよいが、好ましくは、ステップk)の1つ以上の光学式選別機のそれぞれは、上述したようにポリオレフィンの種類によって選別する。
【0125】
重質画分のポリオレフィンリサイクルストリーム(J)、又はステップj)が存在しない場合の乾燥したポリオレフィンリサイクルストリーム(I)から1つ以上の光学式選別機で除去された任意の材料は、廃棄されてもよく、或いは、直接的に、又は光学式選別機で更に選別して1つ以上の対象となるポリオレフィンを含む廃棄フレークを抽出した後、機械的リサイクル方法の前のステップに返されてもよい。
【0126】
ステップl)は、存在する場合、精製されたポリオレフィンリサイクルストリーム(K)を溶融押出し、好ましくはペレット化して、押出された、好ましくはペレット化されたリサイクルポリオレフィン生成物(L)を形成するステップであって、好ましくは、添加剤(Ad)が溶融状態で添加されるステップに関わる。
【0127】
ステップl)におけるリサイクルポリオレフィン生成物(L)の押出は、好ましくは押出機、より好ましくは二軸押出機を使用して行われる。
【0128】
特に、従来の配合又は混合装置、例えばバンバリーミキサー、2ロールゴムミル、バスコニーダー又は二軸押出機を使用することが好ましい。より好ましくは、混合は、同方向回転二軸押出機内で完成される。押出機から回収されたリサイクルポリオレフィン生成物(L)は通常ペレットの形態であるが、機械的リサイクル方法にステップm)が存在しない場合、リサイクルポリオレフィン生成物(L)は、パイプなどの押出成形品の形態であってもよい。好ましくは、リサイクルポリオレフィン生成物(L)は、ペレットの形態である。
【0129】
ステップl)で添加される任意の添加剤(Ad)は、当技術分野で知られている添加剤から選択され、好ましくは酸化防止剤、安定剤、充填剤、着色剤、造核剤、帯電防止剤、及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0130】
このような添加剤は、一般に市販されており、例えばHans Zweifel著「Plastic Additives Handbook」、第5版、871~873ページ、2001年に記載されている。
【0131】
ステップm)は、存在する場合、リサイクルポリオレフィン生成物(L)又はステップl)が存在しない場合の精製されたポリオレフィンリサイクルストリーム(K)を曝気して揮発性有機化合物を除去することにより、曝気されて押出された、好ましくはペレット化されたリサイクルポリオレフィン生成物(M1)又は曝気されたリサイクルポリオレフィンフレーク(M2)のいずれかである曝気されたリサイクルポリオレフィン生成物(M)を生成するステップに関わる。
【0132】
ステップm)の曝気は、とりわけ、空気、不活性ガス、又は蒸気の使用によって実現されてもよい。
【0133】
好ましくは、ステップm)の曝気は、リサイクルポリオレフィン生成物(L)、又はステップl)が存在しない場合の精製されたポリオレフィンリサイクルストリーム(K)を、少なくとも60体積%のNガスであるガスと接触させることによって実現される。
【0134】
ステップm)における曝気が行われる温度は、リサイクルポリオレフィン生成物(L)又は精製されたポリオレフィンリサイクルストリーム(K)に存在するポリオレフィンの属性に応じて選択されてもよい。
【0135】
一般的なポリオレフィンの好適な範囲は次のとおりである。
HDPEの場合、好ましくは50~130℃の範囲、より好ましくは90~122℃の範囲、最も好ましくは100~115℃の範囲である。
LDPEの場合、好ましくは50~155℃の範囲、より好ましくは75~105℃の範囲である。
ポリプロピレンの場合、好ましくは50~155℃の範囲、より好ましくは100~150℃の範囲である。
【0136】
ステップm)における曝気を、例えば500mbar未満、より好ましくは200mbar未満、最も好ましくは100mbar未満の減圧で行うことも有益である可能性がある。
【0137】
ステップm)における曝気により、曝気されたリサイクルポリオレフィン生成物(M)中の揮発性有機化合物の含有量が最小限に抑えられ、同様のリサイクルポリオレフィン混合物に通常伴う不快な臭気が回避される。これらの揮発性有機化合物は、通常、消費者が初めて使用する際に、例えば食品、スキンケア製品、その他のトイレタリー製品との接触などによるポリオレフィンの汚染からのものであり、又は単に処理ステップでポリオレフィンが揮発性オリゴマー鎖に分解したことによるものである。
【0138】
装置
別の態様では、本発明は、上述したようなポリオレフィンの機械的リサイクル方法を実行するためのポリオレフィンの機械的リサイクル装置に関する。
【0139】
上述のポリオレフィンの機械的リサイクル方法の全ての好ましい実施形態及び代替手段は、必要な変更を加えた上で本発明のポリオレフィンの機械的リサイクル装置に適用される。
【手続補正書】
【提出日】2024-06-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所与の順序で、
前駆体混合プラスチックリサイクルストリーム(A)を提供するステップa)と、
前記前駆体混合プラスチックリサイクルストリーム(A)を篩い分けて、最長寸法が30~400mmの範囲にある物品のみを含む篩い分けられた混合プラスチックリサイクルストリーム(B)を作成するステップb)と、
篩い分けられた前記混合プラスチックリサイクルストリーム(B)を1つ以上の光学式選別機で選別して単色選別されたポリオレフィンリサイクルストリーム(C)を生成するステップc)であって、前記篩い分けられた前記混合プラスチックリサイクルストリーム(B)が少なくとも色で選別され、必要に応じてポリオレフィンの種類及び/又は物品の形態でも選別されるステップc)と、
単色選別された前記ポリオレフィンリサイクルストリーム(C)を細断して、フレーク状ポリオレフィンリサイクルストリーム(D)を形成するステップd)と、
熱エネルギーを投入せずに、前記フレーク状ポリオレフィンリサイクルストリーム(D)を第1の水性洗浄液(W1)で洗浄することにより、第1の懸濁ポリオレフィンリサイクルストリーム(E)を生成するステップe)と、
前記第1の水性洗浄液(W1)の少なくとも一部、好ましくは、実質的に前記第1の水性洗浄液(W1)の全部を前記第1の懸濁ポリオレフィンリサイクルストリーム(E)から除去して、第1の洗浄済みポリオレフィンリサイクルストリーム(F)を得るステップf)と、
前記第1の洗浄済みポリオレフィンリサイクルストリーム(F)を第2の水性洗浄液(W2)で洗浄して第2の懸濁ポリオレフィンリサイクルストリーム(G)を生成するステップg)であって、洗浄時の温度が65~95℃の範囲となるように、十分な熱エネルギーが前記第2の懸濁ポリオレフィンリサイクルストリーム(G)に導入されるステップg)と、
前記第2の水性洗浄液(W2)及び前記第2の水性洗浄液の表面に浮遊しない任意の材料を前記第2の懸濁ポリオレフィンリサイクルストリーム(G)から除去して、第2の洗浄済みポリオレフィンリサイクルストリーム(H)を得るステップh)と、
前記第2の洗浄済みポリオレフィンリサイクルストリーム(H)を乾燥させることにより、乾燥したポリオレフィンリサイクルストリーム(I)を得るステップi)と、
必要に応じて、乾燥した前記ポリオレフィンリサイクルストリーム(I)を軽質画分と重質画分のポリオレフィンリサイクルストリーム(J)に分離するステップj)と、
1つ以上の対象となるポリオレフィンを選別して前記1つ以上の対象となるポリオレフィン以外の材料を含む任意のフレークを除去する1つ以上の光学式選別機で、前記重質画分のポリオレフィンリサイクルストリーム(J)又はステップj)が存在しない場合の乾燥した前記ポリオレフィンリサイクルストリーム(I)を更に選別して、精製されたポリオレフィンリサイクルストリーム(K)を得るステップk)と、
必要に応じて、精製された前記ポリオレフィンリサイクルストリーム(K)を溶融押出し、好ましくはペレット化して、押出された、好ましくはペレット化されたリサイクルポリオレフィン生成物(L)を形成するステップl)であって、好ましくは、添加剤(Ad)が溶融状態で添加されるステップl)と、
必要に応じて、前記リサイクルポリオレフィン生成物(L)又はステップl)が存在しない場合の精製された前記ポリオレフィンリサイクルストリーム(K)を曝気して揮発性有機化合物を除去することにより、曝気されて押出された、好ましくはペレット化されたリサイクルポリオレフィン生成物(M1)又は曝気されたリサイクルポリオレフィンフレーク(M2)のいずれかである曝気されたリサイクルポリオレフィン生成物(M)を生成するステップm)と
を含み、精製された前記ポリオレフィンリサイクルストリーム(K)を最初に曝気して、曝気された前記リサイクルポリオレフィンフレーク(M2)を形成し、その後押出し、好ましくは前記添加剤(Ad)が溶融状態で添加されるようにステップl)及びm)の順序を入れ替えて、押出された、好ましくはペレット化された、曝気されたリサイクルポリオレフィン生成物(M3)を形成することができる、ポリオレフィンの機械的リサイクル方法。
【請求項2】
ステップc)の前記光学式選別機は、(電磁スペクトルの可視範囲で動作する)カメラシステム、可視反射分光法、近赤外分光分析、中赤外分光分析、高速レーザー分光分析、ラマン分光分析、及びフーリエ変換赤外(FT-IR)分光分析からなる群から選択される方法によって選別を行う、請求項1に記載のポリオレフィンの機械的リサイクル方法。
【請求項3】
ステップd)の前記細断は、選別された前記ポリオレフィンリサイクルストリーム(C)を最初に水溶液(W0)と接触させて、選別された懸濁ポリオレフィンリサイクルストリームを提供してから細断する湿式細断プロセスである、請求項1に記載のポリオレフィンの機械的リサイクル方法。
【請求項4】
前記第2の水性洗浄液(W2)は、アルカリ性水性洗浄液であり、好ましくは、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化リチウム、重炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム及びそれらの混合物からなる群から選択される塩基、好ましくは水酸化ナトリウム、の水溶液である、請求項1に記載のポリオレフィンの機械的リサイクル方法。
【請求項5】
前記アルカリ性水溶液のpHは9.0~14.0の範囲であり、好ましくは12.0~14.0の範囲である、請求項4に記載のポリオレフィンの機械的リサイクル方法。
【請求項6】
前記アルカリ性水溶液中の前記塩基の量は、前記アルカリ性水溶液の合計重量に対して、0.05~10重量%の範囲、より好ましくは0.10~7.0重量%の範囲、最も好ましくは0.50~5.0重量%の範囲である、請求項4に記載のポリオレフィンの機械的リサイクル方法。
【請求項7】
ステップh)で除去された前記水性洗浄液(W2)は、前記第1の水性洗浄液(W1)及び/又は、存在する場合、前記水溶液(W0)として使用するためにリサイクルされる、請求項1に記載のポリオレフィンの機械的リサイクル方法。
【請求項8】
前記第1の水性洗浄液(W1)及び/又は、存在する場合、前記水溶液(W0)は、pHが8.0~14.0の範囲、好ましくは12.0~14.0の範囲である、請求項1に記載のポリオレフィンの機械的リサイクル方法。
【請求項9】
前記前駆体混合プラスチックリサイクルストリーム(A)は、使用済み廃棄物、ポストインダストリアル廃棄物、又はそれらの組み合わせ、好ましくは使用済み廃棄物に由来する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
単色選別された前記ポリオレフィンリサイクルストリーム(C)は、単色選別されたポリエチレンリサイクルストリーム又は単色選別されたポリプロピレンリサイクルストリームのいずれかである、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
請求項1に記載のポリオレフィンの機械的リサイクル方法を実行するためのポリオレフィンの機械的リサイクル装置。
【国際調査報告】