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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】燃料油の再生法
(51)【国際特許分類】
   B01D 17/04 20060101AFI20241219BHJP
   B01D 17/00 20060101ALI20241219BHJP
   B01D 17/05 20060101ALI20241219BHJP
   C10L 1/32 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
B01D17/04
B01D17/00 502
B01D17/05 501H
C10L1/32 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024535255
(86)(22)【出願日】2022-12-13
(85)【翻訳文提出日】2024-07-31
(86)【国際出願番号】 EP2022085716
(87)【国際公開番号】W WO2023110938
(87)【国際公開日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】2118030.2
(32)【優先日】2021-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521395768
【氏名又は名称】サルノクス グループ ピーエルシー
【氏名又は名称原語表記】SULNOX GROUP PLC
(74)【代理人】
【識別番号】100104499
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 達人
(74)【代理人】
【識別番号】100101203
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100129838
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 典輝
(72)【発明者】
【氏名】レッドマン,ジェイムズ
(72)【発明者】
【氏名】クラーク,ダン
【テーマコード(参考)】
4H013
【Fターム(参考)】
4H013DC00
(57)【要約】
水中燃料油型エマルジョンからの燃料油の回収に使用するために、少なくとも1つのC~C18脂肪酸ジエタノールアミド、少なくとも1つのC12~C24脂肪酸、少なくとも1つのC~C18アルコールエトキシレートを含む解乳化剤を提供する。さらに、前記解乳化剤を用いて、水中燃料油型エマルジョンから燃料油を回収する方法を提供する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工程(i)少なくとも0.01重量%の解乳化剤を水中油型エマルジョンに添加し;
工程(ii)解乳化剤を2~50Ws/gの超音波処理を用いて油中に分散させ;
工程(iii)油相と水相を分離させる;
ことにより、水中油型エマルジョンから油を回収する方法であって、
前記解乳化剤は、
a.少なくとも1つのC~C18脂肪酸ジエタノールアミド;
b.少なくとも1つのC12~C24脂肪酸;
c.少なくとも1つのC~C18アルコールエトキシレート;及び任意に、
d.少なくとも1つのソルビタンエステル;
を含む、油回収方法。
【請求項2】
前記油は燃料油である、請求項1に記載の油回収方法。
【請求項3】
0.05~4.0重量%の解乳化剤を前記水中油型エマルジョンに添加する、請求項1又は2に記載の油回収方法。
【請求項4】
前記解乳化剤はオレイン酸を含む、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の油回収方法。
【請求項5】
前記解乳化剤は、
a.50~90重量%の少なくとも1つのC~C18脂肪酸ジエタノールアミド;
b.2~10重量%の少なくとも1つのC12~C24脂肪酸;
c.5~20重量%の少なくとも1つのC~C18アルコールエトキシレート;及び任意に、
d.10~40重量%の少なくとも1つのソルビタンエステル;
を含む、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の油回収方法。
【請求項6】
超音波処理を2~15Ws/gで行う、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の油回収方法。
【請求項7】
さらに工程(i1)油中水型エマルジョンの容量よりも大きいか又は同じ容量の水を添加することにより、当該油中水型エマルジョンを水中油型エマルジョンに転化させる、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の油回収方法。
【請求項8】
前記解乳化剤を、少なくとも1つのC12~C24脂肪酸及び/又はアルキレングリコールモノアルキルエーテルと共に添加する、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の油回収方法。
【請求項9】
添加される少なくとも1つのC12~C24脂肪酸及び/又はアルキレングリコールモノアルキルエーテルに対する、解乳化剤の割合が、解乳化剤1部:脂肪酸又はアルキレングリコールモノアルキルエーテル5~10部である、請求項8に記載の油回収方法。
【請求項10】
解乳化剤と少なくとも1つのC12~C24脂肪酸及び/又はアルキレングリコールモノアルキルエーテルの合計量が、0.25~20.0重量%である、請求項8又は9に記載の油回収方法。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか一項に記載の油回収方法に従って水中油型エマルジョンから水を除去する装置であって、
(a)入口を有する分離手段;
(b)任意に、解乳化剤を導入する手段;
(c)前記分離手段と流体移送可能に連通している超音波処理器
を有する、水除去装置。
【請求項12】
(a)入口と出口を有し、前記出口は清澄タンクの底部近傍に配置されている当該清澄タンク;
(b)任意に、解乳化剤を導入する手段;
(c)前記清澄タンクと流体移送可能に連通している超音波処理器;
を有し、
前記超音波処理器は、清澄タンクと共に、閉鎖周回路を形成している、請求項11に記載の水除去装置。
【請求項13】
請求項1乃至11のいずれか一項に記載の油回収方法に従って水中油型エマルジョンから水を除去する装置であって、
(a)入口と出口と、任意に、解乳化剤を導入する手段を有する保持タンク;
(b)前記保持タンクと流体移送可能に連通している超音波処理器;
(c)分離器;
を有する、水除去装置。
【請求項14】
前記分離器は、前記超音波処理器と流体移送可能に連通している清澄タンクであり、
当該清澄タンクは、入口と出口を有し、前記出口は当該清澄タンクの底部近傍に配置されている、請求項13に記載の水除去装置。
【請求項15】
工程(i)少なくとも0.01重量%の解乳化剤を水中油型エマルジョン廃棄物に添加し;
工程(ii)解乳化剤を2~50Ws/gの超音波処理を用いて油中に分散させ;
工程(iii)油相と水相を分離させる;
ことにより、水中油型エマルジョン廃棄物から油を回収する方法であって、
前記解乳化剤は、C12~C24カルボン酸又はスルホン酸、又は、C~C18脂肪酸ジエタノールアミドを含む、油回収方法。
【請求項16】
前記解乳化剤は、
a.少なくとも1つのC~C18脂肪酸ジエタノールアミド;
b.少なくとも1つのC12~C24脂肪酸;
c.少なくとも1つのC~C18アルコールエトキシレート;及び任意に、
d.少なくとも1つのソルビタンエステル;
を含む、請求項15に記載の油回収方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乳化油廃棄物、特に重油、を水から分離する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、水中油型エマルジョンからの油の分離を改善するための新規な方法に関する。当該方法は、船舶から得られた重油と水との乳化廃棄物のような、燃料油と水とのエマルジョンを分離するために用いることができる。このエマルジョン廃棄物は、ビルジ水及びカーゴタンク洗浄などから生じるものであり、一般に“シップスロップ”(ship slops)として知られている。
【0003】
65℃に加熱されたときに、これらのシップスロップは、およそ12~24時間かけて分離し、およそ20%の水が分離した相となって得られる。
しかし、シップスロップは90%に達するような多量の水を、わずか10%の重油(HFO)と共に含有している。温度調節だけで分離させた水の収量がわずか20%では、まだ大部分の水が油と共に乳化したまま取り残されている。油と共にエマルジョンとなって取り残されている水の量が多いほど、再生油の価値は低くなる。
【0004】
従来、油中水型エマルジョンの分離を向上させるために、化学的解乳化、重力又は遠心分離、膜分離、ろ過、及び静電的解乳化のような多数の方法がある。
海水と使い尽くした油の混合物であるマーポル油(Marpol oil)廃棄物からの水の除去率を増加させるために、複数の化学乳化剤が、Yau et alによって個別に使用された(“Evaluation of different demulsifiers for Mapol oil waste recovery”(2017) Journal of water processing engineering 17;40-49)。Hajivand & Yaziriは、水溶性乳化剤と油溶性乳化剤との組み合わせ使用が、原油エマルジョン中の水の分離を促進することを記述している(“Optimization of demulsifier formation for separation of water from crude oil emulsions”(2015) Brazilian Journal of Chemical engineering 32(1);107-118)。
【0005】
商業的に利用可能な現在の分離技術では、船舶、そして典型的には港で荷積みされていない船舶で発生する極めて大容量のシップスロップを処理するために、大規模な設備を必要不可欠とする。水から炭化水素を高レベルで分離することができ、かつ、大規模な工業用設備を必要としない方法を提供することは、有利なことである。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、解乳化剤の添加と超音波を用いる処理の後に生じるエマルジョンから水性(水)相及び油相への分離を示す。解乳化剤は、(a)オレイン酸;(b)ドデシルベンゼンスルホン酸、及び(c)実施例1の解乳化剤組成物である。
図2-1】図2は、解乳化剤の添加と超音波を用いる処理の後に生じるエマルジョンから水性(水)相及び油相への分離を示す。解乳化剤は、(a)実施例1の解乳化剤組成物;(b)1重量部の実施例1の解乳化剤組成物と、4重量部のオレイン酸の組み合わせである。
図2-2】(c)1重量部の実施例1の解乳化剤組成物と、4重量部のブチルオキシトールの組み合わせである。
図3図3は、処理装置を示す。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、このような分離を改善し、水を95%まで回収するための解乳化剤の使用に関する。シップスロップのような油エマルジョンからの水の回収割合が高いということは、回収された油の水含有量が低いことを意味しており、したがって、再生されるときにより高い価値を持つことを意味する。
本発明の方法は、タンクの澱(おり)、マーポル水、ビルジ水及びシップスロップのような様々な過程から発生した廃棄物から、油を回収するために用いることができる。
【0008】
本発明の目的のために、「油」に関する言及は、燃料油、及び、チェーンオイル、油圧オイル及びエンジンオイルのような工業オイルを包含する。好ましくは用語「油」は、原油又はビチューメンを包含しない。
本発明の目的のために、「燃料油」に関する言及は、石油ディーゼル、低硫黄ディーゼル、バイオディーゼル及びそれらの組み合わせ、及び、重油(HFO)を包含することを意図している。
本発明の目的のために、「石油ディーゼル」に関する言及は、原油の蒸留中に生産するディーゼルに関連する。
本発明の目的のために、「重油」に関する言及は、原油の蒸留中に産出する油であり、かつ、15℃での密度が900kg/m以上であるもの
に関連している。
本発明の目的のために、「重油」に関する言及は、バンカーC燃料油、船舶用重油(intermediate fuel oil)、及び低硫黄船舶用燃料油を包含する。
本発明の目的のために、「低硫黄ディーゼル」に関する言及は、硫黄が500ppm未満、好ましくは50ppm未満、最も好ましくは10ppm未満であるディーゼルに関連する。低硫黄ディーゼルは、石油ディーゼルから硫黄を除去することにより、又は、合成ディーゼルの形成により、又は、バイオディーゼルの形成により生産することができる。
本発明の目的のために、「バイオディーゼル」に関する言及は、植物油又は動物脂肪をアルコール、典型的にはメタノール又はエタノールを用いてエステル交換することによって得られた脂肪酸メチルエステルに関連する。
本発明の目的のために、「バイオ成分」に関する言及は、バイオディーゼル、及び、ヤシ油、ナタネ油及びココナツ油のような天然油に関連する。
【0009】
本発明の第一の観点においては、
(i)少なくとも0.01重量%の解乳化剤を水中油型エマルジョンに添加し;
(ii)解乳化剤を2~50Ws/gの超音波処理を用いて油中に分散させ;
(iii)油相と水相を分離させる;
ことにより、水中油型エマルジョンから油を回収する方法が提供され、
当該油回収方法において、前記解乳化剤は、
a.少なくとも1つのC~C18脂肪酸ジエタノールアミド;
b.少なくとも1つのC12~C24脂肪酸;及び、
c.少なくとも1つのC~C18アルコールエトキシレート;
を含む。
【0010】
好ましくは、前記水中油型エマルジョンは、水中油型エマルジョン廃棄物である。そのようなエマルジョンは、タンクの澱(おり)、マーポル水、ビルジ水及びシップスロップを包含する。これらのエマルジョン廃棄物は、油だらけの積荷の残渣を除去するためにカーゴタンクを洗浄することによって、又は、バラストタンクを空にすることによって、生成し得る。
好ましくは、前記油は燃料油である。
好ましくは、前記油回収方法は、ディーゼル、低硫黄ディーゼル、バイオディーゼル又は重油の水中エマルジョンを分離するために用いられる。
前記水中油型エマルジョンは、少なくとも50%v/vの水、好ましくは少なくとも60%v/vの水、少なくとも70%v/vの水、少なくとも80%v/vの水、好ましくは上限が90%v/vの水を含む。
【0011】
前記油回収方法は、まず最初に油中水型エマルジョンを水中油型エマルジョンに転化させることによって、油中水型エマルジョン廃棄物から水を分離するために用いることができる。そして当該方法は、さらに下記工程を有していてもよい:
(i1)一定量の水を添加して、少なくとも50%v/vの水を含む水中油型エマルジョンを形成する。
【0012】
実際のところは、油中水型エマルジョンの水含有量を迅速に確定することが難しい。したがって、水中油型エマルジョンを生産するための簡単な方法は、エマルジョンの量と同じ容量か、又は、それよりも大きい容量の水を添加することにより、大過剰の水となることを保証することである。好適な実施態様においては、下記工程が備えられている:
(i1)油中水型エマルジョンの容量よりも大きいか又は同じ容量の水を添加する。
水の添加に起因して、エマルジョンの性質が水中油型エマルジョンへ変化する。水は、解乳化剤よりも先に、又は、解乳化剤と同時に添加することができる。好ましくは、解乳化剤が添加される前に、水がエマルジョンに添加され、混合されて、水中油型エマルジョンが形成する。
【0013】
好ましくは、水中油型エマルジョンの量に基づいて0.01から5.0wt%量の解乳化剤が用いられる。より好ましくは、水中油型エマルジョンの量に基づいて0.05から4.0wt%量、水中油型エマルジョンの量に基づいて0.1から3.5wt%量、水中油型エマルジョンの量に基づいて0.2~3.0wt%量、水中油型エマルジョンの量に基づいて0.3から2.5wt%量、又は、水中油型エマルジョンの量に基づいて0.5から2.0wt%量の解乳化剤が用いられる。
解乳化剤は、少なくとも0.01wt%、少なくとも0.05wt%、少なくとも0.075wt%、少なくとも0.1wt%、少なくとも0.2wt%、少なくとも0.25wt%、少なくとも0.5wt%、少なくとも0.75wt%、少なくとも1.0wt%、少なくとも1.25wt%、少なくとも1.5wt%、少なくとも1.75wt%、少なくとも2.0wt%、少なくとも2.25wt%、少なくとも2.5wt%、少なくとも2.75wt%、少なくとも3.0wt%、少なくとも3.5wt%、少なくとも4.0wt%、又は、少なくとも5.0wt%の量を用いてもよい。
【0014】
本発明において好適に用いられる解乳化剤は、C12~C24カルボン酸を含んでいてもよい。C12~C24カルボン酸は、脂肪族又は芳香族、飽和又は不飽和であってもよい。好適なカルボン酸は、脂肪酸を包含しており、それらは飽和又は不飽和であってもよい。
好ましくは、本発明において好適に用いられる解乳化剤は、少なくとも1つのC12~C24脂肪酸を含む。好適な脂肪酸は、オレイン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、及びリノール酸を包含する。好ましくは、解乳化剤はオレイン酸を含む。
好ましくは、解乳化剤は、少なくとも1つのC~C18脂肪酸ジエタノールアミドを含む。脂肪酸ジエタノールアミドは、炭素数が8から18の脂肪酸の混合物から形成されることが好ましい。脂肪酸ジエタノールアミドは、自然由来の原料から誘導されることが特に好ましい。好適な自然由来の原料は、ココナツ油及びヤシ油を包含する。例えば、ココナツ油は、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、及びリノール酸を包含する酸類の混合物である。
【0015】
特に好ましい実施態様において、解乳化剤は下記成分を含む:
a.少なくとも1つのC~C18脂肪酸ジエタノールアミド;
b.少なくとも1つのC12~C24脂肪酸;及び
c.少なくとも1つのC~C18アルコールエトキシレート;
d.任意に、少なくとも1つのソルビタンエステル。
好ましくは、解乳化剤は、本質的に上記成分(a)、(b)、(c)からなり、任意的に、さらに上記成分(d)からなる。もし、水中油型エマルジョンがバイオ燃料を含む場合、解乳化剤は、上記成分(a)、(b)、(c)及び(d)を含むか、又は、本質的に上記成分(a)、(b)、(c)及び(d)からなることが好ましい。
本発明において、「本質的に・・・からなる」(consists essentially of)とは、組成物に含有される他の成分が、2重量%未満であること、好ましくは1重量%未満であることを意味する。
さらに、現在入手可能な旧来の低硫黄型重油では、環境法制(IMO 2020)に適合するために硫黄の量を削減したことにより、重油の潤滑性が低下して機械的な問題をもたらしていたことと比較すると、上記の解乳化剤組成物を用いることにより、潤滑性能上の利益が得られるため重油の品質が向上する。
【0016】
解乳化剤に用いられる成分の特徴の一つは、HLBである。HLB値は、計算するか、又は、実験的に決定するかのいずれかが可能である。標準的な計算方法には、Griffinの方法(Journal of the Society of Cosmetic Chemists 5(1654):259)、又は、Daviesの方法(Gas/Liquid and Liquid/Liquid interface:Proceedings of the International Congress of the Surface Activity(1657))が含まれる。しかし、HLB値は実験的に得られることが好ましい。通常、材料の供給者は、自らの製品について実験的に得られたHLB値を提供する。当業者は、例えば、一連のエマルジョンを、乳化剤及びHLB値が既知の油と共に使用する比較試験を用いる方法など、HLB値を決定するための好適な方法を認識している。一般に、3.5~6の範囲のHLBは、油中水型エマルジョンに一般的に使用される。8~18の範囲のHLBは、水中油型エマルジョンに使用される。
【0017】
ココナッツ油ジエタノールアミドは、典型的にはHLBの範囲が13~14である。ジエタノールアミドがこの範囲のHLBを有することは必須ではないが、ジエタノールアミドのHLBは11~16、好ましくは13~14の範囲であることが好ましい。
炭素原子が8個未満又は18個を超える脂肪酸に基づく脂肪酸ジエタノールアミドは、混合物中に任意的に存在することができるが、存在しないことが好ましい。
脂肪酸ジエタノールアミドは、解乳化剤の40~90重量%の量で存在することが好ましい。脂肪酸ジエタノールアミドは、50~90重量%の量で存在することがより好ましく、60~85重量%の量で存在することがより好ましい。
【0018】
少なくとも1つのC12~C24脂肪酸は、好ましくは飽和又は一不飽和であり、一不飽和脂肪酸がさらに好ましい。脂肪酸は、好ましくは、C14~C20一不飽和脂肪酸である。特に好適な脂肪酸は、オレイン酸である。
オレイン酸のHLBは約1である。HLBが低いということは、親油性が高いことを意味し、したがって、この親油性の材料は通常、解乳化剤として使用されない。脂肪酸は、HLBが低いことが好ましく、好ましくは3.5未満、より好ましくは2未満である。
脂肪酸は、好ましくは解乳化剤の1~15重量%、より好ましくは2~10重量%、最も好ましくは4~7重量%の量で存在する。
【0019】
~C18アルコールエトキシレートは、好ましくは、少なくとも1つのアルコール、より好ましくは少なくとも1つのモノオールから生成される。エトキシレートは、好ましくは2~8個のエトキシ基を有する。好ましいエトキシレートは、ノニルフェノールエトキシレート及びC~C12エトキシレートを包含する。好適なエトキシレートは商業的に入手可能である。好適なエトキシレートは、AkzoNobelから市販されている狭い範囲のエトキシル化アルコールであるBerol 260及びEthylan 1005を包含する。
ノニルフェノールエトキシレートが有するHLB値の範囲は、存在するエチレンオキシド基の数に依存する。好ましいノニルフェノールエトキシレートは、4~8個のエチレンオキシド基を有しており、これは約9~12のHLBを有する。特に好ましいノニルフェノールエトキシレートは、6個のエチレンオキシド基、及び、約11のHLBを有する。
Berol 260のHLB値は10.5であり、4個のエチレンオキシド基を有する狭い範囲のC~C11アルコールである。Ethylan 1005のHLB値は11.6であり、3.5個のエチレンオキシド基を有する狭い範囲のC10アルコールである。
アルコールエトキシレートは、9~12、好ましくは10~12の範囲のHLB値を有することが好ましい。
アルコールエトキシレートは、解乳化剤の5~30重量%の量で存在することが好ましい。アルコールエトキシレートは、5~20重量%の量で存在することがより好ましく、8~12重量%の量で存在することがより好ましい。
【0020】
ソルビタンエステルは、ソルビタンと1つ以上のカルボン酸との反応生成物である。好ましくは、カルボン酸は、8~22個の炭素原子を有する。好ましくは、カルボン酸は、8~22個の炭素原子を有しており、これは、トリグリセリド中の天然に由来する脂肪酸に見られる炭素鎖の長さである。特に好ましくは、16~22個の炭素原子を有するカルボン酸であり、さらにより好ましくは18個の炭素原子を有するカルボン酸である。脂肪酸は、直鎖及び分枝状のどちらにすることもできる。
飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸のどちらも好適である。しかし、不飽和脂肪酸が好ましい。
本発明での使用に好適なソルビタンエステルは、以下のものを包含する。
【0021】
【表1】
【0022】
好適なソルビタンエステルのHLBは、6.0未満である。好ましいソルビタンエステルは、3~5のHLBを有するものである。特に好ましいのは、ソルビタンモノオレエートである。
【0023】
特に好ましい解乳化剤は、下記成分を含んでいてもよい:
a.50~90重量%の少なくとも1つのC~C18脂肪酸ジエタノールアミド;
b.2~10重量%の少なくとも1つのC12~C24脂肪酸;
c.5~20重量%の少なくとも1つのC~C18アルコールエトキシレート;及び任意に、
d.10~40重量%の少なくとも1つのソルビタンエステル。
好ましい成分aから成分dは、上記したとおりである。
【0024】
好ましい実施態様において、解乳化剤は、80~90重量%の成分a、4~8重量%の成分b、及び、5~15重量%の成分cを含むか、又は、本質的に上記した量の成分a、b及びcからなる。
さらに好ましい実施態様において、解乳化剤は、55~65重量%の成分a、4~8重量%の成分b、5~15重量%の成分c、及び、20~30重量%の成分dを含むか、又は、本質的に上記した量の成分a、b、c及びdからなる。
本発明の解乳化剤は、水中油型エマルジョンからの油の回収を有利に向上させる。これらの解乳化剤は、天然由来の材料を用いて製造することができるものであり、したがって、製造時に有害となる成分を典型的には含有していないため、環境に対して有益である。
【0025】
解乳化剤は、少なくとも1つのC12~C24脂肪酸又はアルキレングリコールモノアルキルエーテルと一緒に、エマルジョンに添加することができる。好ましくは、1部の解乳化剤を、5~10部の脂肪酸又はアルキレングリコールモノアルキルエーテルと共に添加する。
【0026】
少なくとも1つのC12~C24脂肪酸は、好ましくは飽和又は一不飽和であり、一不飽和脂肪酸がさらに好ましい。脂肪酸は、好ましくは、C14~C20一不飽和脂肪酸である。解乳化剤を希釈するために用いられる少なくとも1つのC12~C24脂肪酸は、解乳化剤中に存在している少なくとも1つのC12~C24脂肪酸と同じものであってもよく、異なるものであってもよい。特に好適な脂肪酸は、オレイン酸である。
エマルジョンに添加される解乳化剤と脂肪酸との併用組成物は、下記成分を含んでいてもよい:
a.10~20重量%の少なくとも1つのC~C18脂肪酸ジエタノールアミド;
b.75~85重量%の少なくとも1つのC12~C24脂肪酸;
c.0.5~5重量%の少なくとも1つのC~C18アルコールエトキシレート;及び任意に、
d.2~8重量%の少なくとも1つのソルビタンエステル。
【0027】
好ましくは、前記併用組成物は、本質的に上記成分(a)、(b)、(c)からなり、任意的に、さらに上記成分(d)からなる。好ましい成分(a)から成分(d)は、上記したとおりである。
【0028】
他の選択肢として、エマルジョンに添加される解乳化剤とアルキレングリコールモノアルキルエーテルとの併用組成物は、下記成分を含んでいてもよい:
a.10~18重量%の少なくとも1つのC~C18脂肪酸ジエタノールアミド;
b.0.4~2.0重量%の少なくとも1つのC12~C24脂肪酸;
c.0.5~5重量%の少なくとも1つのC~C18アルコールエトキシレート;
d.67.0~89.1重量%の少なくとも1つのアルキレングリコールモノアルキルエーテル;及び任意に、
e.2~8重量%の少なくとも1つのソルビタンエステル。
【0029】
好ましくは、希釈された解乳化剤は、本質的に上記成分(a)、(b)、(c)、(d)からなり、任意的に、さらに上記成分(e)からなる。
好ましい成分(a)から成分(c)及び(e)は、上記したとおりである。
アルキレングリコールモノアルキルエーテルは、好ましくはエチレングリコールモノアルキルエーテルであり、より好ましくは、炭素原子が1から6個のアルキル基を有するエチレングリコールモノアルキルエーテルである。より好ましくは、当該エーテルは、2-ブトキシエタノール(ブチルオキシトール)であることが好ましい。
アルキレングリコールモノアルキルエーテルは、好ましくは67.0~89.1重量%、より好ましくは68.5~83.5重量%、さらに、より好ましくは70~80重量%の量で使用される。
【0030】
好ましくは、本発明は、水中油型エマルジョンから油を回収するために下記手順を有する方法を提供する。
(i)0.01~4.0重量%の解乳化剤を水中油型エマルジョンに添加する。ここで、前記解乳化剤は下記成分を含むものである:
a.少なくとも1つのC~C18脂肪酸ジエタノールアミド;
b.少なくとも1つのC12~C24脂肪酸;及び
c.少なくとも1つのC~C18アルコールエトキシレート;及び任意に、
d.少なくとも1つのソルビタンエステル。
(ii)解乳化剤を2~50Ws/gの超音波処理を用いて油中に分散させる。
【0031】
他の観点において、本発明は、水中油型エマルジョン廃棄物から油を回収するために下記手順を有する方法を提供する:
(i)少なくとも0.01重量%の解乳化剤を当該水中油型エマルジョン廃棄物に添加する。
(ii)解乳化剤を2~50Ws/gの超音波処理を用いて油中に分散させる。
(iii)油相と水相を分離させる;
ここで解乳化剤は、C12~C24カルボン酸又はスルホン酸、又は、C~C18脂肪酸ジエタノールアミドを含む。
【0032】
この観点において好適に用いられる解乳化剤は、C12~C24カルボン酸又はスルホン酸、又は、それらの混合物を含む。C12~C24カルボン又はスルホン酸は、脂肪族又は芳香族、飽和又は不飽和であってもよい。好適なカルボン酸は、脂肪酸を包含しており、それらは上述したとおり飽和又は不飽和であってもよい。
本明細書において用いられる「スルホン酸」とは、式 R-S(=O)-OH を有する。ここで、RはC12~C24基である。Rは、アルキル基又はアリール基、又は、それらの組み合わせであり、例えば、アルキルアリール基である。
「アルキル」は、1個から24個の炭素原子を含む分岐、直鎖又は環状の飽和炭化水素基である。アルキルは、好ましくは6~20個の炭素原子、より好ましくは12~18個の炭素原子を含む。
「アリール」基は、5~18個の環構成原子からなる芳香族の単環式又は二環式環状構造である。アリールの具体例は、フェニル、ビフェニル及びナフチルを包含する。
好適なスルホン酸は、ドデシルベンゼンスルホン酸及びデシルベンゼンスルホン酸を包含する。好ましくは、解乳化剤はドデシルベンゼンスルホン酸を含む。
【0033】
解乳化剤は、オレイン酸又はスルホン酸(好ましくはドデシルベンゼンスルホン酸)を含むか、又は、本質的にオレイン酸又はスルホン酸(好ましくはドデシルベンゼンスルホン酸)からなる。この観点において、解乳化剤は、少なくとも80重量%、好ましくは少なくとも85重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、少なくとも97重量%、又は少なくとも99重量%のオレイン酸又はスルホン酸を含む。
【0034】
好ましくは、解乳化剤は、第一の観点の油回収方法に用いられるものとして記述したものと同様である。
好ましくは、解乳化剤はオレイン酸を含む。
好ましくは、解乳化剤は下記成分を含む:
a.少なくとも1つのC~C18脂肪酸ジエタノールアミド;
b.少なくとも1つのC12~C24脂肪酸;及び
c.少なくとも1つのC~C18アルコールエトキシレート;
d.任意に、少なくとも1つのソルビタンエステル。
好ましくは、解乳化剤は、本質的に上記成分(a)、(b)、(c)からなり、任意的に、さらに上記成分(d)からなる。
好ましくは、脂肪酸ジエタノールアミドは、ココナツ油ジエタノールアミドに由来する。
好ましくは、アルコールエトキシレートは、ノニルフェノールエトキシレートである。
【0035】
解乳化剤の添加によってエマルジョンが破壊され、水相と油相が分離する。分離方法の効率は、存在している解乳化剤の量、エマルジョンと解乳化剤を混合する程度、及び、エマルジョンの温度に依存する。
超音波パワーは、液体、粉体/液体の混合物及びスラリーに高い剪断と激しいストレスを与えるために、有効かつエネルギー効率が良い手段である。これは、高剪断ミキサー、高圧ホモジナイザー及びその他の大型混合形式に対抗する強力な代替え手段となる。超音波処理は、微細分散体を作製する目的で混合物を攪拌するために用いられる。
超音波処理を用いてエマルジョンを攪拌することによる利益の一つは、エマルジョンを破壊して油と水に分離する速度である。数時間というよりも、数分のうちにエマルジョンを破壊することができる。エマルジョンから回収される水の量も、増加する。
【0036】
超音波の適用は、用語「Ws/g」を用いて記述される。それは、超音波処理される材料のグラム(g)又は容量(mL)で表される量あたり、1秒(s)ごとに適用される電力(W)である。方法ごとにmLあたりで最適な比エネルギー(Ws)を有しており、それは方法ごとに異なっている。もしも小さすぎる比エネルギーを用いる場合には、その方法が不完全となる。しかし、もしも比エネルギーが大きすぎる場合には、時間とエネルギーの浪費となり、かつ、設備を損傷させる可能性がある。
最適なWs/gは、分離される水と油の比率に依存するが、2~50Ws/gの間、好ましくは5~30Ws/gの間であると決定された。これよりも高い比エネルギー、例えば250Ws/gに到達するような高い比エネルギーを用いることはできるが、上述した通り、低いエネルギーレベルを用いても同じ時間内で分離を達成できるから、時間とエネルギーを浪費することになってしまう。好ましくは、Ws/gは7~20Ws/gの範囲であり、より好ましくは8~17Ws/gの範囲であり、さらにより好ましくは10~15Ws/gの範囲である。
【0037】
他の選択肢として、要求される比エネルギーは、容量(mL)あたり、1秒(s)ごとに適用される電力(W)として測定することができる。特に、水中油型エマルジョンの比重が変動し得るので、これで計算が簡単になるかもしれない。本発明の方法によって分離される水中油型エマルジョンの比重は、典型的には0.8~0.98g/mLである。したがって、1Ws/gは、0.8~0.98Ws/gと等価である。重油の比重は約1.0である。
最適なWs/mlは、分離される水と油の比率に依存するが、2~62.5Ws/mlの間、好ましくは5.1~37.5Ws/mlの間であると決定された。これよりも高い比エネルギー、例えば255Ws/mlに到達するような高い比エネルギーを用いることはできるが、上述した通り、低いエネルギーレベルを用いても同じ時間内で分離を達成できるから、時間とエネルギーを浪費することになってしまう。好ましくは、Ws/mlは7.1~25Ws/mlの範囲であり、より好ましくは8.1~21.25Ws/mlの範囲であり、さらにより好ましくは10.2~18.75Ws/mlの範囲である。
【0038】
電力総量の増加は、所定の容量を超音波処理する所要時間の短縮を、しばしば意味する。逆に、材料容量の増加、つまりスケールアップすることは、最適なWs/gを維持するために、総時間又は付加電力の増加が必要になることを意味する。
エマルジョンを破壊するために必要な比エネルギーは、存在する解乳化剤の濃度にも依存する可能性がある。もし少量の解乳化剤が用いられる場合には、高い比エネルギーが必要とされる。もし、より多量の解乳化剤が用いられる場合には、必要な比エネルギーは小さくなる。好ましくは、解乳化剤は、水中油型エマルジョンの量に基づいて少なくとも0.2重量%となる量で存在し、比エネルギーは、少なくとも10Ws/g又は10.2Ws/mlである。より好ましくは、解乳化剤は、水中油型エマルジョンの量に基づいて少なくとも0.25重量%となる量で存在し、比エネルギーは少なくとも7.5Ws/g又は7.65Ws/ml;又は、解乳化剤は、水中油型エマルジョンの量に基づいて少なくとも0.5重量%となる量で存在し、比エネルギーは少なくとも5.0Ws/g又は5.10Ws/mlである。
【0039】
解乳化プロセスは、典型的には25~80℃、好ましくは55~70℃、より好ましくは約65℃で行う。
解乳化プロセスは、典型的にはpH4~7、好ましくはpH5.5で行う。
【0040】
エマルジョンが破壊されたら、水と油を通常の手法で分離させることができる。通常の手法には、例えば遠心分離又は重力分離が包含される。例えば、エマルジョンに重力をかけて清澄化させることができ、水/水性相を抜き出すことができる。抜き出した水に、必要に応じてpH調節、ろ過、及び膜分離のような追加処理を行って、油分をさらに少なくすることができる。理想的には、水中の油量が15ppm以下まで下がると「汚染水」とは見做されなくなり、安全かつ合法に船外又は海中に排出することができる。
典型的には、破壊されたエマルジョンは重力をかけて分離する。解乳化剤と水中油型エマルジョンを混合した後、直ちに分離が開始する。水相と油相の分離を完了させるために必要な時間は、用いる解乳化剤の濃度、付加される比エネルギー、及び温度に依存して変動しうる。好ましくは、24時間後又はそれより短い時間で分離が完了する。好ましくは、24時間後に相分離させることができる。好ましくは、12時間後、6時間後、5時間後、4時間後、2時間後、又は、1時間後に相分離させることができる。しかし、大規模の貯蔵施設がある場合のように状況によっては、24時間を超える長い分離時間を用いてもよい。
分離された油中の水分量は、好ましくは10%v/v未満、より好ましくは5%v/v未満、2.5%v/v未満、最も好ましくは1%v/v未満である。
【0041】
他の観点において、本発明は、水中油型エマルジョンから水を除去するための、下記(a)、(b)及び(c)
(a)入口を有する分離手段;
(b)任意に、解乳化剤を導入する手段;及び
(c)前記分離手段と流体移送可能に連通している超音波処理器
を有する装置を提供する。
前記分離手段は、水中油型エマルジョンが解乳化剤の添加により破壊されるときに、当該エマルジョンの水相と油相を分離するための装置である。分離手段は、遠心分離機又は清澄タンクであってもよい。
解乳化剤は水中油型エマルジョンに添加されて、その混合物が超音波処理器を通過することで、確実に混合し終わる。超音波処理の後に混合物が分離手段に移動して、水相と油相の分離が完了する。
【0042】
好ましい実施態様において、前記装置は下記(a)、(b)及び(c)
(a)入口と、清澄タンクの底部に配置されている第1出口を有する、当該清澄タンク;
(b)任意に、解乳化剤を導入する手段;
(c)前記分離手段と流体移送可能に連通している超音波処理器;
を有しており、前記超音波処理器は、清澄タンクと共に、閉鎖周回路を形成している。
【0043】
前記解乳化剤は、上述した解乳化剤であることが好ましい。
前記入口は弁で制御されており、水中油型エマルジョンをタンク内に入れることができる。入口は、タンクの頂上に近接する位置に配置することが好ましい。
第1出口はタンクの底部に配置されており、タンクの内容物を抜き出すことができる。第1出口は、分離タンクの底部に配置されていてもよいし、又は、底部近傍のタンク側壁を貫通して存在していてもよい。エマルジョンが破壊され、油と水が分離したら、分離した相を抜き出すことが可能になる。水相と油相の両方が、同じ出口から抜き出されてもよい。他の選択肢として、第2出口を設けてもよく、水相を一方の出口を通じて除去し、油相をもう一方の出口を通じて除去する。各出口は弁で制御される。
【0044】
清澄タンクは、超音波処理器と流体移送可能に連通しており、当該超音波処理器は、清澄化器と共に閉鎖周回路を形成している。水中油型エマルジョン廃棄物を解乳化剤と一緒にして超音波処理器を通過させることで、解乳化剤とエマルジョンを混合する。エマルジョン/解乳化剤が超音波処理されたら、混合物が清澄タンクに戻される。清澄タンクの内容物は、ポンプで超音波処理器に移送されてもよいし、清澄タンクに戻されてもよい。清澄タンクの内容物は、超音波処理器を1回又はそれ以上通過させてもよい。これは、解乳化剤とエマルジョンの充分な混合を保証するためであり、そうすることで相分離が開始して1時間以内に清澄化させることができる。超音波処理器を通過させる回数は、流速及び超音波処理器の電力を含む幾つかの要因に依存するであろう。清澄タンクの内容物は、効率よい分離をするために充分な比エネルギーに露出させる必要がある。上述したとおり、これは典型的には2~50Ws/g又は2~62.5Ws/mlである。清澄タンクの内容物を清澄化させる前に、当該内容物は、超音波処理器を好ましくは1~5回の範囲内で、より好ましくは1~3回ほど通過する。
【0045】
解乳化剤は、清澄タンクに入る前に水中油型エマルジョンに添加されてもよい。他の選択肢として、解乳化剤は、清澄タンク内の水中油型エマルジョンに添加されてもよい。清澄タンクが、解乳化剤を添加するために弁で制御された別の入口を有していてもよいし、又は、解乳化剤が、水中油型エマルジョンと同じ入口を通じて添加されてもよい。さらに他の選択肢として、解乳化剤は、水中油型エマルジョンが清澄タンクから超音波処理器へ向かって通過するときに、当該水中油型エマルジョンに添加されてもよい。清澄タンクと超音波処理器の間の接続部分は、解乳化剤を水中油型エマルジョンに供給できるように弁で制御された入口を有していてもよい。好ましくは、解乳化剤は、エマルジョンが超音波処理器に入るとき又はその直前、又は、もしエマルジョンを超音波処理器に移送するために用いられるポンプが存在する場合には、当該ポンプに入るとき又はその直前に添加される。
【0046】
好適な超音波処理器は、バイオディーゼル製造におけるエステル交換反応を補助するために設計されているようなもののような、工業用の超音波振動子、例えばHieslscher Ultasound GmbHによって製造されるものを包含する。これらは、ソノトロード(sonotrode)及びカスカトロード(cascatrode)を包含する。1つ以上の超音波処理器を用いることができる。処理量を増加させるために連続的に配列した複合装置を用いることができる。他の選択肢として、同じ時間内で同じ量を処理することを要求される処理に対応するために、単一のより大きな装置を用いることができる。
【0047】
他の観点において、本発明は、水中油型エマルジョン廃棄物から水を除去するための、下記(a)、(b)及び(c)
(a)入口と出口を有し、さらに、解乳化剤を導入する手段を任意に有していてもよい、保持タンク;
(b)前記保持タンクと流体移送可能に連通している超音波処理器;
(c)分離手段;
を有する装置を提供する。
前記分離手段は、水中油型エマルジョンが解乳化剤の添加により破壊されるときに、当該エマルジョンの水相と油相を分離するための装置である。分離手段は、遠心分離機又は清澄タンクであってもよい。
【0048】
好ましい実施態様において、上記装置は下記(a)、(b)及び(c)
(a)入口と出口を有し、さらに、解乳化剤を導入する手段を任意に有していてもよい、保持タンク;
(b)前記保持タンクと流体移送可能に連通している超音波処理器;
(c)前記超音波処理器と流体移送可能に連通している清澄タンク、
を有し、前記清澄タンクは、入口と当該清澄タンクの底部に配置されている出口を有している。
破壊すべきエマルジョン、例えばシップスロップは、保持タンク(1)に貯蔵することができる。もしエマルジョンが油中水型エマルジョンである場合には、少なくともエマルジョンと同じ容量の水を添加することによって、当該油中水型エマルジョンを水中油型エマルジョンに転化させることができる。エマルジョンは、超音波処理器(4)のフローセルに移送される。流速は、ポンプ(2)及び/又は弁(3)で制御することができる。
【0049】
解乳化剤は、エマルジョンに添加される。解乳化剤は、保持タンク(1)内のエマルジョンに添加することができる。保持タンク(1)は、解乳化剤を添加するために弁で制御された別の入口を有していてもよい。解乳化剤は、エマルジョンと同じ入口を通じて添加されてもよい。さらに他の選択肢として、解乳化剤は、水中油型エマルジョンが保持タンクから超音波処理器(4)へ向かって通過するときに、当該水中油型エマルジョンに添加されてもよい。保持タンクと超音波処理器の間の接続部分は、解乳化剤を水中油型エマルジョンに供給できるように弁で制御された入口を有していてもよい。好ましくは、解乳化剤は、エマルジョンが超音波処理器に入るとき又はその直前、又は、もしエマルジョンを超音波処理器に移送するポンプが存在する場合には、当該ポンプに入るとき又はその直前に添加される。
水中油型エマルジョンを解乳化剤と一緒にして超音波処理器を通過させることで、解乳化剤とエマルジョンを混合する。エマルジョン/解乳化剤が超音波処理されたら、1回通過に設定されている場合においては混合物が清澄タンク(7)に移送され、水相と油相が分離される。清澄タンクに向けた流動は、弁(5)で制御することができる。
【0050】
混合されたエマルジョン/解乳化剤は、清澄タンク内で清澄化処理される前に、1周回又はより多い周回分の超音波処理が行われる。混合されたエマルジョン/解乳化剤は、さらに多い周回分の超音波処理を行う前に、再循環、又は、保持タンク(1)への戻し移送、又は、超音波処理器のフローセル(4)への直接移送を、任意に行ってもよい。保持タンク(1)に向けた流動は、弁(6)で制御することができる。任意の流動経路は、図3中に破線で示されている。
エマルジョン/解乳化剤が超音波処理によって十分に混合されたら、混合物は清澄タンクに移送され、清澄化処理される。
【0051】
他の選択肢として、混合されたエマルジョン/解乳化剤は、清澄タンクに移送されてから清澄化処理される前に、さらに多い周回分の超音波処理を行うために超音波処理器に戻されてもよい。
清澄タンクの好ましい特徴は、上述したとおりである。
解乳化剤の好ましい特徴は、上述したとおりである。
【0052】
本発明の他の観点において、本発明は、水中油型エマルジョン廃棄物から油を回収するための解乳化剤の使用が提供される。当該解乳化剤は、下記成分を含む。
a.少なくとも1つのC~C18脂肪酸ジエタノールアミド;
b.少なくとも1つのC12~C24脂肪酸;及び
a.少なくとも1つのC~C18アルコールエトキシレート;及び任意に、
c.少なくとも1つのソルビタンエステル
ここで解乳化剤は、エマルジョンの量に基づいて少なくとも0.01重量%の量で用いられる。
解乳化剤の好ましい特徴は、上述したとおりである。
【0053】
本発明の他の観点においては、水中油型エマルジョンを含む組成物が提供される:
ここで当該エマルジョンは、少なくとも50重量%の水、及び、少なくとも0.01重量%の解乳化剤を含み、当該解乳化剤は下記成分を含む:
a.少なくとも1つのC~C18脂肪酸ジエタノールアミド;
b.少なくとも1つのC12~C24脂肪酸;
c.少なくとも1つのC~C18アルコールエトキシレート;及び任意に、
d.少なくとも1つのソルビタンエステル。
好ましい成分(a)から(d)は、上述したとおりである。
【0054】
他の観点においては、水中油型エマルジョン廃棄物を含む組成物が提供される:
ここで当該エマルジョンは、少なくとも50重量%の水、及び、少なくとも0.01重量%の解乳化剤を含む。
当該解乳化剤は、オレイン酸又はスルホン酸を含むか、又は、本質的にオレイン酸又はスルホン酸からなる。
【0055】
以下の図を参照して、本発明をさらに説明する。
図1は、解乳化剤の添加と超音波を用いる処理の後に生じるエマルジョンから水性(水)相及び油相への分離を示す。解乳化剤は、(a)オレイン酸;(b)ドデシルベンゼンスルホン酸、及び(c)実施例1の解乳化剤組成物である。
図2は、解乳化剤の添加と超音波を用いる処理の後に生じるエマルジョンから水性(水)相及び油相への分離を示す。解乳化剤は、(a)実施例1の解乳化剤組成物;(b)1重量部の実施例1の解乳化剤組成物と、4重量部のオレイン酸の組み合わせ、及び(c)1重量部の実施例1の解乳化剤組成物と、4重量部のブチルオキシトールの組み合わせである。
図3は、処理装置を示す。
以下の実施例を参照しながら、本発明をさらに説明する。
【実施例
【0056】
実施例
解乳化剤組成物を調製した。当該解乳化剤組成物は、下記成分を含有する。
85%v/v ココナツ油脂肪酸ジエタノールアミド(SABO(登録商標))
5%v/v オレイン酸(NuVest)
10%v/v ノニルフェノール ポリエトキシレート
【0057】
<エマルジョン>
シップスロップは、油廃棄物の処理業者から取得したものであった。大型船舶からシップスロップを収集するために、使用済みタンカーから試料を採取した。
【0058】
<試験>
ボトル試験の改変法を用いて試験を行った。同じ容量の破壊すべきエマルジョンを一連のチューブに入れ、各チューブに解乳化剤を添加した。解乳化剤を試料に添加し、22mmソノトロード(UP400St Hielscher Ultrasound Technology 400W,24kHz)を用いて、最大振幅、150Wとし、65℃で超音波処理を行った。
層の分離は、水/エマルジョン界面の位置によって監視され、分離した水の容量が記録された。
【0059】
[実施例1]
2%v/v解乳化剤組成物を、500mlのシップスロップ(500g)に添加し、超音波で100秒間の処理を行った。これによって、約30Ws/gを付加した。それからチューブの内容物が清澄化処理された。
第1表に結果を示す。
【0060】
【表2】
【0061】
<結果>
清澄化後、総高さが150mmであるところ、水相は80mmと測定された。従って、元試料は約54%の水を含有していた。
油中の水分が決定され、0%であることが確認された。
【0062】
[実施例2]
組成物を試験し、エマルジョンを破壊するために必要な解乳化剤の量を測定した。
100mlのシップスロップの重量を図り、第2表に示した量の解乳化剤組成物と混合した。その質量は100gであった。エマルジョン/解乳化剤の混合物に、22mmソノトロードを用いて、最大振幅、150Wとし、65℃で、150秒間の超音波処理を行った。これによって、約225Ws/gを付加した。
層の分離は、水/エマルジョン界面の位置によって監視され、分離した水の容量が記録された。
第2表に結果を示す。
【0063】
【表3】
【0064】
清澄化後、全ての試料において総高さが34mmであるところ、水相は18mmと測定された。油中の水分が決定され、0%であることが確認された。よって、18/34mmの水であるという測定値は、エマルジョンが完全分離したことを意味する。この結果は、0.25%v/v程度の解乳化剤組成物は、エマルジョンを不安定化して完全に分離するために充分であることを示している。
【0065】
[実施例3]
エマルジョンを破壊するために必要とされる超音波の量を調査した。
0.25%v/v解乳化剤組成物を、100mlのシップスロップ(100g)に添加し、22mmソノトロードを用いて、最大振幅、150Wとし、65℃で超音波処理を行った。超音波処理の長さは、第3表に示した通りに変更した。チューブの内容物は、24時間かけて清澄化処理された。
層の分離は、水/エマルジョン界面の位置によって監視され、分離した水の容量が記録された(mm水/総高さmm)。
第3表に結果を示す。
【0066】
【表4】
【0067】
清澄化後、水相の測定値は、5秒未満の時間内で変化した。無理なく24時間以内に完全分離させるためには、エマルジョン/解乳化剤の混合物は、例示された電力設定を用いて少なくとも5秒間かけて超音波処理することにより、7.5Ws/g以上の暴露を行うことが必要であった。試料の完全分離は、より長い設定時間後に観察された。
【0068】
[実施例4]
100mlのシップスロップの重量を図り、第4表に示した量の解乳化剤組成物と混合した。未処理シップスロップの質量は100gであった。エマルジョン/解乳化剤の混合物に、22mmソノトロードを用いて、最大振幅、150Wとし、第4表に示す温度で、第4表に示す時間をかけて超音波処理を行った。
層の分離は、水/エマルジョン界面の位置によって監視され、分離した水の24時間後の量が記録された(mm水/総高さmm)。
第4表に結果を示す。
【0069】
【表5】
【0070】
解乳化剤又は超音波のいずれでも処理されていない試料は、均一な黒色で分離していない外観を有していた。残りの他のサンプルには、水相に対して泥状外観の部分があった。泥状外観の部分と18mm以上の水相は、汚染と油が存在していることを示している。従って、分離は完全ではない。しかし、試料をより長い時間をかけて清澄化させた場合には、完全な分離が起きた。
試験結果は、存在する解乳化剤の量を減少させるか又は温度を低下させることによって、分離の効率が低下することを示している。
【0071】
[実施例5]
100mlのシップスロップの重量を図り、0.25%v/v解乳化剤組成物、オレイン酸又はドデシルベンゼンスルホン酸と混合した。未処理シップスロップの質量は100gであった。エマルジョン/解乳化剤の混合物に、5秒間かけて、22mmソノトロードを用いて、最大振幅、150Wとし、65℃で超音波処理を行った。これによって、約7.5Ws/gを付加した。それから試料は清澄化処理された。
図1に示すように、24時間後に全ての試料は分離し、水相と油相になった。得られた水相の高さは同じであり、3つの解乳化剤の全てが効果の点で同等であることを示していた。
この方法によって、分離するのに必要とされる所要時間を短縮しながら、より高いレベルの水を回収できるようになると期待される。当業者は、特定量の組成物及び水を精製することができる。
【0072】
[実施例6]
1部の解乳化剤組成物を、4重量部のオレイン酸又はブチルオキシトールと混合した。
100mlのシップスロップの重量を図り、0.25%v/v解乳化剤組成物と混合するか、又は、オレイン酸又はブチルオキシトールを第5表に示すように追加的に含有する解乳化剤組成物と混合した。未処理シップスロップの質量は100gであった。エマルジョン/解乳化剤の混合物に、5秒間かけて、22mmソノトロードを用いて、最大振幅、150Wとし、65℃で超音波処理を行った。これによって、約7.5Ws/gを付加した。それから試料は清澄化処理された。
図2に示すように、1時間後に、解乳化剤組成物又はオレイン酸を加えた解乳化剤組成物と混合した試料は、明瞭に分かれた相を形成した。24時間後に全ての試料は分離して水相と油相になった。得られた水相の高さは同じであり、3つの解乳化剤の全てが効果の点で同等であることを示していた。
【0073】
【表6】
【0074】
[実施例7] 試験的工場
大容量の水中油型エマルジョンを処理する試験的工場を建設した。
収集タンク(収容能力35~50L)を、超音波振動子(UIP1000hdT(1000W,20kHz),Hielscher Ultrasonicsから供給)のフローセルに接続した。フローセルの出口は、戻し循環路を形成するように収集タンクに接続されたか、又は、分離清澄タンクに接続されt。1つ以上の弁が接続配管内に設置され、流体の流動を制御した。容積式ポンプは、流体を収集タンクからフローセルへ移送するために用いられた。典型的には、超音波振動子は、エマルジョンを処理するために必要とされる振幅及び電力に依存して、0.5~4.0リットル/分の付近で処理を行うことができる。
まず初めに、収集タンクに1回分のシップスロップを充填した。0.25%v/v解乳化剤組成物を、収集タンク内の約5Lのシップスロップに添加した。それから、エマルジョン/解乳化剤の混合物は、ポンプで超音波振動子のフローセルに移送され、清澄タンクに移送される前に、7.5Ws/gで超音波処理された。24時間後、シップスロップは水相と油相に分離した。試験結果は、上述した実施例で処理されたものと同様だった。
【0075】
本明細書では、別段の明記のない限り、単語「又は」は、条件の1つだけが満たされることを必要とする演算子「排他的論理和」とは対照的に、指定された条件のいずれか又は両方が満たされる場合に真の値を返す演算子の意味で使用される。単語「含む(comprising)」は、「からなる(consisting of)」という意味ではなく、「含む(including)」という意味で使用される。上記で承認されている全ての以前の教示は、参照により本明細書に組み込まれる。本明細書においてなされた以前に公開された文書のいかなる承認も、その教示がオーストラリアまたは他の場所で本書の日付で共通の一般的な知識であったことを認めるものとも表明するものとも見なされるべきではない。
図1
図2-1】
図2-2】
図3
【手続補正書】
【提出日】2023-12-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工程(i)少なくとも0.01重量%の解乳化剤を水中油型エマルジョンに添加し;
工程(ii)解乳化剤を2~50Ws/gの超音波処理を用いて油中に分散させ;
工程(iii)油相と水相を分離させる;
ことにより、水中油型エマルジョンから油を回収する方法であって、
前記解乳化剤は、
a.少なくとも1つのC~C18脂肪酸ジエタノールアミド;
b.少なくとも1つのC12~C24脂肪酸;
c.少なくとも1つのC~C18アルコールエトキシレート;及び任意に、
d.少なくとも1つのソルビタンエステル;
を含む、油回収方法。
【請求項2】
前記油は燃料油である、請求項1に記載の油回収方法。
【請求項3】
0.05~4.0重量%の解乳化剤を前記水中油型エマルジョンに添加する、請求項1又は2に記載の油回収方法。
【請求項4】
前記解乳化剤はオレイン酸を含む、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の油回収方法。
【請求項5】
前記解乳化剤は、
a.50~90重量%の少なくとも1つのC~C18脂肪酸ジエタノールアミド;
b.2~10重量%の少なくとも1つのC12~C24脂肪酸;
c.5~20重量%の少なくとも1つのC~C18アルコールエトキシレート;及び任意に、
d.10~40重量%の少なくとも1つのソルビタンエステル;
を含む、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の油回収方法。
【請求項6】
超音波処理を2~15Ws/gで行う、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の油回収方法。
【請求項7】
さらに工程(i1)前記工程(i)より前又は当該工程(i)と同時に、油中水型エマルジョンの容量よりも大きいか又は同じ容量の水を添加することにより、当該油中水型エマルジョンを水中油型エマルジョンに転化させる、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の油回収方法。
【請求項8】
前記解乳化剤を、少なくとも1つの更なる12~C24脂肪酸及び/又はアルキレングリコールモノアルキルエーテルと共に添加する、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の油回収方法。
【請求項9】
添加される少なくとも1つの更なる12~C24脂肪酸及び/又はアルキレングリコールモノアルキルエーテルに対する、解乳化剤の割合が、解乳化剤1部:更なる脂肪酸又はアルキレングリコールモノアルキルエーテル5~10部である、請求項8に記載の油回収方法。
【請求項10】
解乳化剤と少なくとも1つのC12~C24脂肪酸及び/又はアルキレングリコールモノアルキルエーテルの合計量が、0.25~20.0重量%である、請求項8又は9に記載の油回収方法。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか一項に記載の油回収方法に従って水中油型エマルジョンから水を除去する装置であって、
(a)入口を有し、下記成分を含む解乳化剤を内部に包含している分離手段;
a.少なくとも1つのC ~C 18 脂肪酸ジエタノールアミド;
b.少なくとも1つのC 12 ~C 24 脂肪酸;
c.少なくとも1つのC ~C 18 アルコールエトキシレート;及び任意に、
d.少なくとも1つのソルビタンエステル;
(b)任意に、前記解乳化剤を導入する手段;
(c)前記分離手段と流体移送可能に連通している超音波処理器;
を有する、水除去装置。
【請求項12】
(a)入口と出口を有し、前記出口は清澄タンクの底部近傍に配置されている当該清澄タンク;
(b)解乳化剤を導入する手段;
(c)前記清澄タンクと流体移送可能に連通している超音波処理器;
を有し、
前記超音波処理器は、清澄タンクと共に、閉鎖周回路を形成している、請求項11に記載の水除去装置。
【請求項13】
請求項1乃至10のいずれか一項に記載の油回収方法に従って水中油型エマルジョンから水を除去する装置であって、
(a)入口と出口と、任意に、解乳化剤を導入する手段を有し、水中油型エマルジョンを内部に包含している保持タンク;
(b)前記保持タンクと流体移送可能に連通している超音波処理器;
(c)下記成分を含む解乳化剤を内部に包含している分離器;
a.少なくとも1つのC ~C 18 脂肪酸ジエタノールアミド;
b.少なくとも1つのC 12 ~C 24 脂肪酸;
c.少なくとも1つのC ~C 18 アルコールエトキシレート;及び任意に、
d.少なくとも1つのソルビタンエステル;
を有する、水除去装置。
【請求項14】
前記分離器は、前記超音波処理器と流体移送可能に連通している清澄タンクであり、
当該清澄タンクは、入口と出口を有し、前記出口は当該清澄タンクの底部近傍に配置されている、請求項13に記載の水除去装置。
【国際調査報告】