(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】センサ装置及びセンサ装置の動作方法
(51)【国際特許分類】
H04N 25/47 20230101AFI20241219BHJP
H04N 25/707 20230101ALI20241219BHJP
H04N 25/70 20230101ALI20241219BHJP
【FI】
H04N25/47
H04N25/707
H04N25/70
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024535393
(86)(22)【出願日】2022-11-28
(85)【翻訳文提出日】2024-08-05
(86)【国際出願番号】 EP2022083487
(87)【国際公開番号】W WO2023117315
(87)【国際公開日】2023-06-29
(32)【優先日】2021-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バーナー ラファエル
(72)【発明者】
【氏名】ブランドリ クリスチャン ピーター
(72)【発明者】
【氏名】モハジェラニ モディ
【テーマコード(参考)】
5C024
【Fターム(参考)】
5C024GX03
5C024GY31
5C024HX29
5C024HX50
5C024HX51
5C024HX55
5C024JX09
5C024JX46
(57)【要約】
センサ装置(1010)は、複数のセンサ部(1011a)であって、各々が、センサ部(1011a)に与える影響の強度を検出し、それぞれの所定の閾値よりも大きい影響の強度の正又は負の変化をイベントとして検出することが可能である複数のセンサ部と、少なくとも1つの所定の期間に、複数のセンサ部(1011a)によって検出されたイベントの一部を読み出すためにランダムに選択するように構成されたフィルタ部(1012)と、検出されたイベントの、及び/又はフィルタ部(1012)の読み出し選択動作の履歴データを記憶するように構成されたメモリ部(1013)と、少なくとも1つの所定の期間の各々について、フィルタ部(1012)からイベントの選択された一部を受信して出力するように構成された出力インタフェース(1014)とを含む。ここで、フィルタ部(1012)は、履歴データに基づいて、一連の少なくとも1つの所定の期間について、ランダム選択を繰り返し実行するように構成される、
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のセンサ部(1011a)であって、各々が、前記センサ部(1011a)に与える影響の強度を検出し、それぞれの所定の閾値よりも大きい前記影響の強度の正又は負の変化をイベントとして検出することが可能である複数のセンサ部と、
少なくとも1つの所定の期間に、前記複数のセンサ部(1011a)によって検出されたイベントの一部を読み出すためにランダムに選択するように構成されたフィルタ部(1012)と、
検出されたイベントの、及び/又は前記フィルタ部(1012)の読み出し選択動作の履歴データを記憶するように構成されたメモリ部(1013)と、
前記少なくとも1つの所定の期間の各々について、前記フィルタ部(1012)から前記イベントの選択された一部を受信して出力するように構成された出力インタフェース(1014)と
を含み、前記フィルタ部(1012)は、前記履歴データに基づいて、一連の前記少なくとも1つの所定の期間について、前記ランダム選択を繰り返し実行するように構成される、センサ装置(1010)。
【請求項2】
前記複数のセンサ部(1011a)、前記フィルタ部(1012)、前記メモリ部(1013)、及び前記出力インタフェース(1014)は全て、単一のセンサチップ(1015)の一部である、請求項1に記載のセンサ装置(1010)。
【請求項3】
各所定の期間に、前記メモリ部(1013)は、前記履歴データとして、この所定の期間に検出された前記イベント及び前記イベントの数を記憶するように構成され、
前記フィルタ部(1012)は、記憶されたイベントの数とイベント選択閾値とを比較し、前記記憶されたイベントの数が、前記イベント選択閾値よりも大きいときは、前記メモリ部(1013)に記憶された前記イベントに対してランダム選択を実行し、前記記憶されたイベントの数が、前記イベント選択閾値よりも小さいときは、前記メモリ部(1013)に記憶されたイベントに対して前記ランダム選択を実行しないように構成される、請求項1に記載のセンサ装置(1010)。
【請求項4】
前記フィルタ部(1012)は、前記記憶されたイベントのうち1つのイベントを、前記出力インタフェース(1014)に転送する確率を、前記イベント選択閾値と前記記憶されたイベントの数との比として設定するように構成される、請求項3に記載のセンサ装置(1010)。
【請求項5】
前記フィルタ部(1012)は、前記メモリ部(1013)に記憶された複数のイベントのランダム選択を並行して実行するように構成される、請求項4に記載のセンサ装置(1010)。
【請求項6】
前記フィルタ部(1012)は、前記同じ記憶されたイベントを2回選択することなく、前記出力インタフェース(1014)に転送するために保存されたイベントをランダムに選択し、前記転送されたイベントの数をカウントし、前記転送されたイベントの数が、前記イベント選択閾値に達したときに、前記記憶されたイベントの転送を停止することによって、ランダム選択を実行するように構成される、請求項3に記載のセンサ装置(1010)。
【請求項7】
前記メモリ部(1013)は、同時にN個のイベントを記憶するための少なくとも1つのメモリ空間を有し、
各所定の期間において、前記フィルタ部(1012)は、N個のイベントが記憶されるまで、新たに検出された各イベントを、前記メモリ空間に記憶し、その後、新たに検出されたイベントによって前記メモリ空間に記憶されたイベントを上書きするか否かをランダムに決定するように構成される、請求項1に記載のセンサ装置(1010)。
【請求項8】
前記メモリ空間に記憶されたイベントを上書きするか否かをランダムに決定するために、前記フィルタ部(1012)は、前記検出されたイベントの数をカウントし、前記カウントされた数を履歴データとして前記メモリ部(1013)に記憶し、新たに検出されたイベント毎に、1と検出されたイベントの瞬時数との間の乱数を発生し、前記乱数が数Nより大きい場合は、前記新たに検出されたイベントを破棄し、前記乱数がNより小さいか等しい場合、前記乱数に対応する位置に、前記メモリ空間に記憶されたイベントを上書きするように構成される、請求項7に記載のセンサ装置(1010)。
【請求項9】
前記メモリ部(1013)は、前記所定の期間中に検出されたイベントの数を前記履歴データとして記憶するように構成され、
前記フィルタ部(1012)は、現在の所定の期間中のイベントを、以前の所定の期間の検出されたイベントの数に依存する確率でランダムに選択するように構成される、請求項1に記載のセンサ装置(1010)。
【請求項10】
前記センサ部(1011a)は、センサ部のグループに分割され、各々が、好ましくは、同数のセンサ部(1011a)を含み、
前記フィルタ部(1012)は、前記センサ部(1011a)のグループ毎に、前記検出されたイベントのランダム選択を個別に実行するように構成される、請求項1に記載のセンサ装置。
【請求項11】
前記メモリ部(1013)は、前記履歴データとして、前記所定の期間中に検出されたイベントの総数、及び前記センサ部(1011a)の各グループ内で検出されたイベントの数を記憶するように構成され、
前記フィルタ部(1012)は、前記イベントの総数、及び以前の所定の期間において前記特定のグループに対してカウントされたイベントの数に基づいて、現在の所定の期間において1つの特定のグループ内で検出されたイベントをランダムに選択する確率を決定するように構成される、請求項10に記載のセンサ装置(1010)。
【請求項12】
前記フィルタ部(1012)は、前記センサ部(1011a)の各グループに、それぞれのグループから読み出されるイベントの所望の数を割り当て、前記割り当てられた所望の数に基づく確率でランダム選択を実行するように構成される、請求項10に記載のセンサ装置。
【請求項13】
前記フィルタ部(1012)は、1つの所定の期間中に検出されたイベントの全て又はサブセットをイベントベクトルにグループ化し、前記イベントベクトルと、ランダムに分布した1sの数とそれ以外の0sを含むランダムベクトルとの間でビットワイズ論理演算を実行することによって、ランダム選択を実行するように構成される、請求項1に記載のセンサ装置(1010)。
【請求項14】
前記センサ装置(1010)は、固体撮像装置であり、
前記センサ部(1011a)は、画素アレイに配置された撮像画素であり、各撮像画素は、前記撮像画素(1011a)に入射する光の強度を感知することができ、それぞれの所定の閾値よりも大きい光強度の正又は負の変化をイベントとして検出することができる、請求項1に記載のセンサ装置(1010)。
【請求項15】
請求項1に記載のセンサ装置(1010)を動作する方法であって、
複数のセンサ部(1011a)によりイベントを検出し、
少なくとも1つの所定の期間に、前記複数のセンサ部(1011a)により検出された前記イベントの一部を読み出すためにランダムに選択し、
検出されたイベントの、及び/又は読み出し選択動作の履歴データを記憶し、
前記少なくとも1つの所定の期間の各々について、前記イベントの選択された一部を出力することを含み、前記ランダム選択は、前記履歴データに基づいて、一連の少なくとも1つの所定の期間について繰り返し実行される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、イベント検出が可能なセンサ装置及びその動作方法に関する。特に、本開示は、ダイナミックビジョンセンサ(DVS)のような、光強度の変化に反応するイベント検出センサの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータビジョンは、機械やコンピュータが、デジタル画像やビデオから高レベルの理解を得る方法を扱うものである。一般的に、コンピュータビジョンの方法は、イメージセンサを通して得られた生の画像データから、機械やコンピュータが他のタスクに使用するタイプの情報を抽出することを目的としている。
【0003】
機械制御、プロセス監視又はサーベイランスタスク等の多くの用途は、撮像されたシーン内の物体の動きの評価に基づいている。複数の画素が、画素のアレイに配列された従来のイメージセンサは、一連の静止画像(フレーム)を送達する。一連のフレームから動く物体を検出するには、通常、精巧で高価な画像処理方法が必要とされる。
【0004】
DVSのようなイベント検出センサは、撮像されたシーンにおける位置の変化に関する情報のみを送達することによって、動き検出の問題に取り組むものである。フレーム内で大量の画像情報を転送するイメージセンサとは異なり、変化しない画素に関する情報の転送は省略される可能性があり、その結果、一種の画素内データ圧縮が行われる。画素内データ圧縮により、データの冗長性がなくなり、高い時間分解能、低遅延、低消費電力、高いダイナミックレンジ、動体ブレの少なさが実現される。このため、DVSは、特に、太陽電池やバッテリー駆動の圧縮センシングや、イメージセンサを含むシステムの動きを推定する必要があり、バッテリー容量が限られているため処理能力が制限されるモバイルマシンビジョン用途に適している。原理的には、DVSのアーキテクチャは、高いダイナミックレンジと優れた低照度性能を可能にする。
【0005】
しかしながら、DVSのような視覚イベント検出センサだけでなく、例えば、聴覚センサ、触覚センサ、化学センサ等のような他のタイプのイベントベースのセンサも、非常に大量のイベントデータが発生する可能性がある。その結果、スループットが大きくなり、キューイングや処理の遅延が発生し、消費電力も増加する。実際、データ量が多い場合、すなわち、イベント量が多い場合、データ出力は疎になり、イベントベースのセンサの肯定的な特性を打ち消すことになる。
【0006】
従って、イベントベースのセンサ、特に、DVSのようなイベント検出に適合したフォトレセプタモジュールやイメージセンサの高い時間分解能を利用し、さらに推し進めることが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
イベント検出は、上述の利点を提供するが、これらの利点は、大量のイベントに対しては減少する恐れがある。例えば、大量のイベントは、消費電力を増加させる可能性がある。さらに、大量のイベントによって生成される出力データの大きなピークは、レイテンシを導入し、システムのリアルタイム挙動を悪化させる。本開示は、従来のイベント検出センサ装置のこのような欠点を緩和する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的のために、複数のセンサ部であって、各々が、センサ部に与える影響の強度を検出し、それぞれの所定の閾値よりも大きい影響の強度の正又は負の変化をイベントとして検出することが可能である複数のセンサ部と、少なくとも1つの所定の期間に、複数のセンサ部によって検出されたイベントの一部を読み出すためにランダムに選択するように構成されたフィルタ部と、検出されたイベントの、及び/又はフィルタ部の読み出し選択動作の履歴データを記憶するように構成されたメモリ部と、少なくとも1つの所定の期間の各々について、フィルタ部からイベントの選択された一部を受信して出力するように構成された出力インタフェースとを含むセンサ装置が提供される。ここで、フィルタ部は、履歴データに基づいて、一連の少なくとも1つの所定の期間について、ランダム選択を繰り返し実行するように構成される。
【0009】
さらに、上記のようなセンサ装置を動作する方法が提供され、複数のセンサ部によりイベントを検出し、少なくとも1つの所定の期間に、複数のセンサ部により検出されたイベントの一部を読み出すためにランダムに選択し、検出されたイベントの、及び/又は読み出し選択動作の履歴データを記憶し、少なくとも1つの所定の期間の各々について、イベントの選択された一部を出力することを含む。ここで、ランダム選択は、履歴データに基づいて、一連の少なくとも1つの所定の期間について繰り返し実行される。
【0010】
大量に発生する疎なイベントデータは、その疎性と利点を失う。これを軽減するために、上述したイベントデータの追加フィルタリングが導入され、重要な特徴を保持しながらデータをさらに削減する。特に、ランダム選択が情報を表現する効率的な方法であることが示されている。ランダムに選択されたサンプルは、出力後も正しく解釈できる重要な詳細を捉えることができる。従って、本開示のセンサ装置及び方法は、限られた処理速度でもリアルタイム動作を保証するために、大量のイベントの状況に効果的に対処することができる。従って、イベントベースのセンサの利点、特に、その高い時間分解能は、大量のイベントが発生する複雑な状況にも使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】イベント検出用センサ装置の簡略ブロック図である。
【
図2】イベント検出用センサ装置を動作する方法の概略プロセスフローである。
【
図3】イベント検出用の他のセンサ装置の簡略化したブロック図である。
【
図4】イベント検出用センサ装置を動作する他の方法の概略的なプロセスフローである。
【
図5】イベント検出用の他のセンサ装置の簡略化されたブロック図である。
【
図6】イベント検出用のセンサ装置を動作する他の方法の概略的なプロセスフローである。
【
図7】イベント検出用の他のセンサ装置の簡略化したブロック図である。
【
図8】イベント検出用のセンサ装置を動作する他の方法の概略プロセスフローである。
【
図9】イベント検出用の他のセンサ装置の簡略化したブロック図である。
【
図10】イベント検出用のセンサ装置を動作する他の方法の概略的なプロセスフローである。
【
図11】イベント検出用のセンサ装置を動作する他の方法の概略プロセスフローである。
【
図12】イベント検出用のセンサ装置を動作する他の方法の概略的なプロセスフローである。
【
図13A】画素アレイを含む固体撮像装置のイベント検出回路の簡略化されたブロック図である。
【
図13C】
図13Aの固体撮像装置の撮像信号読み出し回路の簡略化されたブロック図である。
【
図14】本開示の一実施形態による積層構造を有する固体撮像装置の簡略化した斜視図である。
【
図15】本開示による技術が適用され得る多層固体撮像装置の構成例を簡略化して示す図である。
【
図16】車両制御システムの概略構成の一例を示すブロック図である。
【
図17】
図16の車両制御システムの車外情報検出部と撮像部の設置位置の一例を説明するための補助図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、多数のイベントが検出された場合でも、低レイテンシと低消費電力を維持できるイベント検出用センサ装置1010の簡略化したブロック図である。
【0013】
センサ装置1010は、各々が、センサ部1011aに対する影響の強度を検出することができ、それぞれの所定の閾値よりも大きい影響の強度の正又は負の変化をイベントとして検出することができる複数のセンサ部1011aを含む。このようなセンサ部1011aの主な例は、測定された光強度の変化をイベントとして検出するダイナミックビジョンセンサ(DVS)の画素である。しかしながら、原理的には、音、温度、圧力等の任意の影響の強度を検出することができる任意のセンサを、イベントを検出することができるセンサ部1011aを構成するように設計することができる。
【0014】
センサ装置1010は、読み出し回路1011bをさらに含み、読み出し回路1011bは、好ましくは、イベントを検出したセンサ部1011aのアドレス又は他の識別子を登録して転送することによって、検出されたイベントを読み出すように構成される。さらに、読み出し回路は、イベントの極性、すなわち、強度の変化が正であったか負であったかを登録して転送してもよく、かつ測定された強度を出力してもよい。読み出し回路1011bは、追加の回路であってもよいし、各センサ部1011aの一部として形成されていてもよい。
【0015】
少なくとも1つの所定の期間中に、センサ部1011a(又はそのサブセット)によって検出されたイベントは、センサ装置1010のメモリ部1013に記憶され、その後、センサ装置1010のフィルタ部1012に転送される。フィルタ部1012は、この所定の期間に検出されたイベントの一部を読み出すために、ランダムに選択するように構成される。つまり、所定の期間中に登録された全てのイベントの読み出しが許可されるわけではなく、その一部がランダムにドロップされる。イベントをランダムにドロップすることで、イベントの情報内容を過度に劣化させることなく、イベント量の削減を達成できることが示されている。これは、大量のイベントについては、イベントの特定の空間的又は時間的順序に偏ることなく、ランダムな選択によってイベントの数が間引かれるという事実に依拠している。このように、イベントの一般的なパターンは基本的に変わらないが、より少ないイベントによって形成されることになる。これにより、後の処理段階でのレイテンシと消費電力が削減される。
【0016】
ランダム選択を安全に適用するために、所定の期間中に十分な量のイベントが検出されたか否かを決定できるようにするために、メモリ部1013は、検出されたイベントの、及び/又はフィルタ部1012の読み出し選択動作の履歴データを記憶する。これらの履歴データに基づいて、フィルタ部1012は、ランダム選択を、好ましくは、一連の少なくとも1つの所定の期間について繰り返し実行する。履歴データは、例えば、現在又は以前の所定の期間間隔でカウントされたイベントの数を参照してもよく、このようにして、現在検出されたイベントの数が、イベントの平均数又は処理可能なイベントの数よりも大きいかどうかを推定することができる。また、履歴データは、フィルタ部1012によって読み出しが許可されたイベントの数、又は、読み出しイベントがどのセンサ部1011aから検出されたか、すなわち、読み出しイベントがセンサ部1011aにわたってどのように分布されたかを参照してもよい。このように、履歴データに基づいてランダム選択を行うことにより、必要な場合にのみランダム選択が実行されることが保証され、イベントが十分に少ない数の状況での情報内容の劣化が防止される。
【0017】
読み出しのために選択されたイベントは、フィルタ部1012からセンサ装置1010の出力インタフェース1014に転送され、センサ装置1010は、少なくとも1つの所定の期間の各々について、この選択されたイベントの一部を受信して出力する。出力されたイベントは、一般的なイベントベースのセンサで知られているように処理することができる。
【0018】
図1に示されるように、複数のセンサ部1011a(読み出し回路1011bを含む)、フィルタ部1012、メモリ部1013、及び出力インタフェース1014は全て、単一のセンサチップ1015の一部であってもよい。このセンサチップ1015は、例えば、一般的に知られているイベント検出用のチップに置き換えることができるが、センサチップ1015によって出力されるイベントの数が、低レイテンシで、かつ、過度の電力消費を伴わずに処理できるレベルにとどまるという利点を提供する。このように、一般的に知られているチップの代わりにセンサチップ1015をセンサ装置1010で使用することは、レイテンシと消費電力の削減につながる。その結果、電池寿命の延長や小型電池の使用が可能になる。さらに、レイテンシが削減されるため、センサ装置1010は、スマートフォンやヘッドマウントディスプレイの用途や自律走行車内のように、大量の刺激がある環境でのリアルタイム用途にも適している。
【0019】
センサ装置1010の動作原理を、
図2の概略フロー図に示す。S10で、複数のセンサ部1011aにより、イベントが検出される。S20で、少なくとも1つの所定の期間内に、複数のセンサ部1011aで検出されたイベントの一部が、読み出し用にランダムに選択される。S30で、検出されたイベントの、及び/又は読み出し選択動作の履歴データが記憶され、この履歴データに基づいて、一連の少なくとも1つの所定の期間について、ランダム選択が繰り返し実行される。S40で、イベントの選択された部分が、少なくとも1つの所定の期間の各々について出力される。
【0020】
図3に、メモリ部1013とフィルタ部1012の基本的な内部構造の一例を概略ブロック図で示す。メモリ部1013は、本例では、バッファ部1013a、イベントカウントレジスタ1013b、及び閾値レジスタ1013cを含む。バッファ部1013において、読み出し回路1011bによって出力されたフィルタリングされていないイベントが、そこから読み出すためのイベントをランダムに選択する前に、中間的に記憶される。イベントの記憶は、好ましくは、イベントを検出したセンサ部1011aのアドレス又は他の識別子を、任意で、イベントの極性及び/又は測定された強度と共に記憶することによって行われる。イベントカウントレジスタ1013bにおいて、バッファリングされたイベントの数、すなわち、検出されたイベントの数がカウントされ、カウントされた値は、イベントカウントレジスタ1013bに検索のために記憶される。このイベントカウントが、本例における履歴データを構成する。閾値レジスタ1013cには、読み出しを希望するイベントの数が、イベント選択閾値として記憶される。
【0021】
フィルタ部1012は、本例では、計算部1012a、乱数発生器1012b、及びイベントドロップ部1012cを含む。各所定の期間間隔後、計算部1012aは、イベントカウントレジスタ1013bからカウント値を検索し、いくつのイベントが検出され、バッファ部1013aにバッファリングされたかを学習する。さらに、計算部1012aは、閾値レジスタ1013cからイベント選択閾値を検索する。カウント値とイベント選択閾値に基づいて、乱数発生器1012bが制御され、一連の乱数をイベントドロップ部1012cに提供し、そこで、各乱数は、バッファ部1013aに記憶されたイベントの1つを参照する。発生した乱数に基づいて、イベントドロップ部1012cは、対応するイベントをドロップすべきか、又は出力インタフェース1014に転送すべきかを決定する。このようにして、所定の期間中に検出された各イベントは、ランダムな選択プロセスにかけられる。選択される確率は、イベントカウント値のような履歴データと、イベント選択閾値のような所定の条件を介して乱数発生器を調整することにより制御することができる。
【0022】
この特定の例を、
図4及び
図5に関して説明する。
図4はランダム選択の概略プロセスフローを示し、
図5はセンサ装置1010の対応する構成の概略ブロック図を示す。
【0023】
図4に示すように、S101で、バッファ部1013aをリセットし、イベントカウント値をゼロに設定することにより、プロセスが初期化される。S102で、イベントが検出され、イベントカウント値が1増加する。S103で、検出されたイベントが、バッファ部1013aに記憶される。S104で、所定の期間内の全てのイベントが処理されていない場合、例えば、所定の期間がまだ終了していない場合、プロセスはS102に戻る。所定の期間が終了すると、S105において、到達したイベントカウント値がイベント選択閾値より大きいか否かを計算部1012aで比較し、プロセスを継続する。そうでない場合には、ランダム選択は不要となり、S106で、全てのイベントがバッファ部1013aから読み出され、出力インタフェース1014に送信される。
【0024】
イベントカウント値が閾値より大きい場合、S107からS111で、ランダム選択が行われる。すなわち、センサ装置1010において、メモリ部1013は、各所定の期間中、イベントと、この所定の期間中に検出されたイベントの数とを履歴データとして記憶する。フィルタ部1012は、記憶されたイベントの数とイベント選択閾値とを比較し、記憶されたイベントの数がイベント選択閾値よりも大きいときは、メモリ部1013に記憶されたイベントに対してランダム選択を行い、記憶されたイベントの数がイベント選択閾値よりも小さいときは、メモリ部1013に記憶されたイベントに対してランダム選択を行わないように構成される。このように、検出されたイベントの数が十分に大きい場合にのみ、ランダム選択が実行されることが保証される。
【0025】
S107で、フィルタ部1012の計算部1012aは、記憶されたイベントのうち1つのイベントを出力インタフェース1014に転送する確率を、イベント選択閾値と記憶されたイベントの数との比として設定する。S108で、イベントドロップ部1012cは、バッファ部1013aから1つのイベントを読み出す。S109で、乱数発生器1012bは、S107で設定された確率で「1」を発生し、それ以外の場合は「0」を発生する。S109で、乱数発生器1012bが「1」を発生した場合、そのイベントは出力インタフェース1014に転送される。そうでない場合、イベントはドロップされる。S111で、バッファ部1013aからの全てのイベントが処理されたかどうかがチェックされる。そうでない場合、プロセスはS108に戻り、バッファ部1012aから次のイベントを選択する。所定の期間内にバッファリングされた全てのイベントが処理された場合、S112で、バッファ部1012a及びイベントカウント値はリセットされ、S101で、次の所定の期間内の処理が開始される。
【0026】
図5からわかるように、このプロセスは、例えば、計算部1012a及びイベントドロップ部1012cによって正の出力が生成された場合、バッファ部1013aのエントリを転送するマルチプレクサ1012dが追加されれば、
図3の構成によって実行することができる。
【0027】
このように、ランダム選択によって大量のイベントを削減することで、レイテンシを削減することができる。メモリ部1013に記憶された複数のイベントを並列にランダム選択することで、さらなるレイテンシの削減を図ることができる。このため、1つの所定の期間の読み出しサイクルをより早く終了させるために、バッファ部1013aに記憶されたイベントに対して並列に動作する複数の乱数発生器1012b及びイベントドロップ部1012cを設けることができる。
【0028】
本例では、所定の期間間隔毎に選択され出力インタフェース114に転送されるイベントの数は、イベント選択閾値を中心に確率的に変動する。これは、さらなる処理ステップでイベント選択閾値を超えないようにしなければならない場合、不利になる可能性がある。以下では、この問題を軽減するセンサ装置1010の構成について、
図6及び
図7を参照して説明する。
【0029】
図6及び
図7は、フィルタ部1012が、出力インタフェース1014に転送する記憶されたイベントを、同じ記憶されたイベントを2回選択することなくランダムに選択し、転送されたイベントの数をカウントし、転送されたイベントの数がイベント選択閾値に達したら、記憶されたイベントの転送を停止することで、ランダム選択を実行するセンサ装置1010の例示的な構成を示す。このように、ランダムな選択が行われるが、出力されるイベントの数は、イベント選択閾値と最大で等しくなる。
【0030】
これは、
図6の概略的なプロセスフローに示されるように達成することができる。ここで、ステップS201からS206は、
図4について上述したステップS101からS106と同等である。従って、ここでも、1つの所定の期間中に検出されたイベントがバッファリングされ、カウントされる。イベントカウント値がイベント選択閾値より小さい場合、ランダム選択の必要なく、バッファリングされた全てのイベントを出力インタフェース1014に転送することができる。
【0031】
S205で、検出されたイベントの数がイベント選択閾値よりも大きいことが判明した場合、S207で、出力インタフェースに転送されたイベントの数をカウントするためのカウンタがゼロに設定される。S208で、乱数発生器1012bは、1とイベントカウント値との間の数をランダムに発生させるが、リセット前に同じ数値を2回出力することはない。S209で、乱数発生器1012bによって発生した数が、バッファ部1013aにおける対応するイベントのアドレスへのポインタとして使用される。これは、バッファ部の対応するアドレス空間にはイベントカウント値に等しい数のイベントが記憶されており、乱数発生した数値がイベントカウント数に最大に相当するため、可能である。S210で、乱数に対応するイベントが読み出され、出力インタフェース1014に転送される。同時に、転送されたイベントの数についてのカウンタが1増加する。S211で、このカウンタがイベント選択閾値より小さいかどうかがチェックされる。そうであれば、プロセスはステップS208に戻る。そうでなければ、読み出されるイベントの最大許容数に達している。その後、S212で乱数発生器1012bがリセットされ、プロセスはステップS201で次の所定の期間に継続する。
【0032】
ここでも、
図7からわかるように、このプロセスは、
図3又は
図5に示したセンサ装置1010の構成によって実行することができる。ここで、マルチプレクサ1012dは、計算部1012aがイベント選択閾値を超えたことを信号で通知し、イベントドロップ部1012cが既に読み出されたイベントの数もイベント選択閾値を超えなかったことを信号で通知したときに、バッファ部1013aからバッファリングされたイベントを出力インタフェースに転送する。
【0033】
上述の例では、1つの所定の期間中に検出された全てのイベントをバッファ部1013aに記憶する必要があり、これは、多数のイベントを扱うためには、バッファ部1013aが十分に大きくなければならないことを意味する。しかしながら、
図8及び
図9に関して以下に説明するように、この制約なしにイベントのランダム選択を実行することもできる。
【0034】
図8及び
図9の構成によれば、メモリ部1013は、同時にN個のイベントを記憶するための少なくとも1つのメモリ空間1013dを有する。フィルタ部1012は、所定の期間毎に、N個のイベントが記憶されるまで、新たに検出された各イベントをメモリ空間1013dに記憶し、その後、新たに検出されたイベントによってメモリ空間1013dに記憶されたイベントを上書きするか否かをランダムに決定する。従って、メモリ空間1013dの最大エントリ数は、検出されたイベントの数に関係なく、Nに等しい。これにより、一方では、メモリ部1013のメモリ空間1013dを所定のサイズに制限できることが保証される。さらに、N個のイベントのみがメモリ空間1013dへの記憶と出力のために選択されるため、出力インタフェースに転送されるイベントの数をN個に制限されることが保証される。従って、Nは、この構成におけるイベント選択閾値として機能する。
【0035】
図8は、このランダム選択方法の例示的な概略プロセスフローを示す。ステップS301からS3303は、
図4のステップS101からS103又は
図6のステップS201からS203に対応する。ここで、検出されたイベントがカウントされ、イベント選択閾値をまだ超えていないかチェックされる。もし超えていなければ、S304で、イベントは、イベント選択閾値に等しいサイズNを有するメモリ空間1013dに記憶される。S305で、
図4のステップS104について上述したように、現在の所定の期間内の全てのイベントが処理されたかどうかがチェックされる。
【0036】
イベント検出閾値を超えた場合、これはメモリ空間1013dが記憶されたイベントで完全に満たされたことを意味する。次に、S306で、乱数発生器1012bは、1と現在のイベントカウント値との間の整数をランダムに発生する。S307で、このようにして発生した乱数がイベント選択閾値より大きいか否か、すなわちNより大きいか否かがチェックされる。大きくない場合には、発生した乱数がメモリ空間1013dの対応する記憶位置へのポインタとして使用され、そこに記憶されているイベントが新たに検出されたイベントで上書きされる。乱数が数Nより大きい場合、そのイベントは破棄される。このように、本構成では、メモリ空間1013dにイベントを記憶するか否かをランダムに決定することにより、ランダム選択が行われる。
【0037】
この決定がなされた後、プロセスはステップS305に戻り、現在の所定の期間間隔で全てのイベントが処理されるまで継続する。現在の所定の期間間隔で全てのイベントを処理した後、全てのイベントは、ランダムイベント選択のない一般的なイベントセンサの場合と同様に、メモリ空間1013dから出力インタフェース1014に転送される。
【0038】
このように、メモリ空間に記憶されたイベントを上書きするか否かをランダムに決定するために、フィルタ部1012は、検出されたイベントの数をカウントし、カウントされた数を履歴データとしてメモリ部1013に記憶し、新たに検出されたイベント毎に、1と検出されたイベントの瞬時数との間の乱数を発生し、乱数が数Nよりも大きい場合、新たに検出されたイベントを破棄し、乱数がNよりも小さいか等しい場合、メモリ空間に記憶されたイベントを乱数に対応する位置に上書きするように構成される。
【0039】
上記プロセスに適合するセンサ装置1010の可能な構成を
図9に示す。この場合、イベントドロップ部1012cを省略してメモリ空間1013dに置き換えることができる。バッファ部1013aは、前述した構成よりも小さいサイズに設計することができる。例えば、バッファ部1013aとして、メモリ空間1013dに転送するか否かの決定が進行中のイベントのイベントデータを記憶するのに十分な、数エントリのみのFIFOバッファを用いることができる。この転送は、乱数発生器1012bからの乱数が、イベントカウントレジスタ1013bによって提供されるイベントカウント値と比較して十分に小さい場合にのみ可能となる。さらに、ランダム選択は、計算部1012aが、イベントカウント値がイベント選択閾値より大きいことを信号で通知した場合にのみ実行される。これらの条件は、
図9では、バッファ部1013aからメモリ空間1013dへのイベントデータの転送をシンボリックに制御するマルチプレクサ1012dの入力信号としてシンボリックに示されている。
【0040】
このように、ランダム選択において大きなメモリを回避することができるため、レイテンシをさらに削減することができる。さらに、乱数発生器によって各々供給される複数のメモリ空間を使用することによって、複数のイベントを並行して処理することができるので、レイテンシをさらに削減することができる。
【0041】
必要なメモリ量及び処理のレイテンシのさらなる削減は、以前の所定の期間間隔のイベントレートに基づいてイベントをドロップする確率を計算することによって達成することができる。これについては、
図10を参照して後述する。
【0042】
センサ装置1010のこの構成では、メモリ部1013は、所定の期間に検出されたイベントの数を履歴データとして記憶し、フィルタ部1012は、現在の所定の期間のイベントを、以前の所定の期間の検出されたイベントの数に依存する確率でランダムに選択する。
【0043】
図10に示すように、S401でイベントカウント値はゼロに設定され、S402でこのイベントカウント値は新たに検出されたイベント毎に増加する。ただし、これまでの構成とは対照的に、イベントのバッファリングは行われない。S403で、乱数発生器1012bが、以前の所定の期間間隔のイベントの処理中に設定された確率Pで、「1」又は「0」のいずれかをランダムに発生させる。「1」が返された場合、S404で、現在のイベントはバッファリングされることなく出力インタフェース1014に直接転送される。「0」が返された場合、イベントはドロップされる。
【0044】
そして、S405で、所定の期間中に検出された全てのイベントが検出されたかどうかをチェックする。これは、現在の所定の期間が終了したか否かをチェックすることと同等である。このチェックが否である限り、S402からS404を、新たに検出されたイベント各々について繰り返す。現在の所定の期間のイベントが全て処理されると、この次の所定の期間のイベントを処理するために、プロセスがS401に戻る前に、S406で、次の所定の期間の確率Pが設定される。
【0045】
Pの値は、例えば、イベント選択閾値、1つ又は複数の以前の所定の期間間隔のイベントカウント値、及び/又は1つ又は複数の以前の所定の期間間隔の間に使用された確率Pに依存することがある。例えば、Pは、イベント選択閾値と以前の所定の期間間隔のイベントカウント値との間の比に等しい場合がある:P(T)=閾値/EvtCnt(T-1)。これは、例えば、前に使用された確率を反映するタームによって修正されるかもしれない:P(T)=aP(T-1)+b閾値/EvtCnt(T-1)(式中、aとbは(調整可能又は固定)パラメータである)。ただし、原理的には、イベント選択閾値と以前の所定の期間のイベントカウント値に基づく任意の関数を使用して、確率Pを決定することができる。
【0046】
これまでの構成では、所定の期間中に全てのセンサ部1011aによって検出された全てのイベントを一度に処理できるという前提であった。しかしながら、チップ上のスペースの制限等によるメモリの制約がある場合、これは不可能かもしれない。この場合、センサ部1011aをブロック又はグループに分割し、イベントのランダム選択をブロック/グループ単位で実行することができる。これについては
図11を参照して後述する。
【0047】
この構成では、センサ部1011aは、好ましくは、同数のセンサ部1011aを各々含むセンサ部のグループに分割され、フィルタ部1012は、センサ部1011aの各グループについて、検出されたイベントのランダム選択を個別に行う。例えば、センサ部1011aが撮像画素によって構成される場合、各グループは、1つ又は複数の画素列によって、又はn×nの撮像画素のブロックによって形成され得る。メモリは、センサ部グループの1つで検出されたイベントに対してのみ用意すればよいので、全てのセンサ部1011aを一度に処理するアプローチと比較して、メモリのサイズを小さくすることができる。
【0048】
メモリ部1013は、所定の期間内に検出されたイベントの総数だけでなく、センサ部1011aの各グループ内で検出されたイベントの数も履歴データとして記憶してもよい。このように、イベントの総数がカウントされると共に、各グループ内のイベントの数がカウントされる。次に、フィルタ部1012は、イベントの総数と、以前の所定の期間において特定のグループに対してカウントされたイベントの数とに基づいて、現在の所定の期間において1つの特定のグループにおいて検出されたイベントをランダムに選択する確率を決定してもよい。このように、ランダム選択は、イベントの総数と、それぞれのセンサ部グループにおけるイベントの数とに基づいて、センサ部グループの各々に適合させることができる。これにより、一時的に多くのイベントを発生させるセンサ部グループ1011aのクラスターでのイベントを間引くことができる一方、他のセンサ部グループ1011aは発生させるイベントが少ないため、ランダム選択の対象としない。これにより、選択プロセスの自由度が向上する。
【0049】
フィルタ部1012は、センサ部1011aの各グループに、それぞれのグループから読み出されるイベントの所望の数を割り当て、割り当てられた所望の数に基づく確率でランダム選択を行ってもよい。従って、センサ部1011aのグループ毎に、読み出すべきイベントをほぼ所定数確保することができる。このため、読み出しイベントの予想される数に合わせて回路を特別に設計することができるので、回路のレイアウトが簡素化される。
【0050】
上記は、例えば
図11に示すように実施することができる。ここで、S501で、現在処理中のセンサ部グループについて、グループイベントカウント値をゼロに設定することにより、プロセスが初期化される。S502で、センサ部グループでイベントが検出されると、グループイベントカウント値が1増加する。また、S502で、全センサ部1011aで検出された全イベントの数を示すグローバルイベントカウント値が増加する。S503で、検出されたイベントをバッファ部1013aに記憶する。ここで、メモリ部1013は、異なるグループで発生したイベントを連続して記憶するために、1つのバッファ部1013aを使用してよい。つまり、バッファ部1013aは、1つのセンサ部グループからのイベントを処理するのに十分な大きさでなければならない。このようにして、メモリ空間を節約することができる。
【0051】
S504で、現在のセンサ部グループで検出された全てのイベントがバッファされたかどうかがチェックされる。そうでない場合、プロセスはS502に戻る。もしそうであれば、S505で、グループイベントカウント値が、現在処理中のセンサ部グループに割り当てられたイベントのベースバジェットより小さいかどうかがチェックされる。グループイベントカウント値がベースバジェットより小さいか等しい場合、S506で、バッファリングされたイベントがインタフェース部1014に転送され、S515でプロセスが継続される。
【0052】
現在処理中のグループにおいて、ベースバジェットを超えるイベントが検出された場合、S507で、現在処理中のグループについて、以前の所定の期間に決定されたイベントアクティビティがメモリ部1013から検索される。イベントアクティビティは、基本的には、センサ部グループのイベント検出の履歴に基づいて、いくつのイベントが発生すると予想されたかを示す。これは、以前の所定の期間にセンサ部グループで検出されたイベントの数と等しいかもしれない。また、検出されたイベントの数の最小値と、イベント出力の全バジェットが1つのセンサ部グループに費やされないことを保証する上限値とが等しくなる場合もある。
【0053】
S508で、動的イベント選択閾値が計算され、それは、イベントアクティビティ、基本バジェット、及びイベントアクティビティと同じ方法で定義されるが、全てのセンサ部1011aについて、合計イベントアクティビティに依存する可能性がある。例えば、動的イベント選択閾値EvtBgtは、以下の方法で、ベースバジェットBaseBgt、イベントアクティビティBlkActivity、及び合計イベントアクティビティH1stActivityに依存する可能性がある。EvtBgt=BaseBgt+C BlkActivity/H1stActivity。Cは定数である。このように、各所定の期間について、新しいイベント選択閾値がセンサ部グループの各々に割り当てられ、これは一定の基本バジェットと、グローバルイベントアクティビティに対するローカルイベントアクティビティの加重比の合計である。
【0054】
S509で、現在処理中のセンサ部グループのグループカウント値に対する動的イベント選択閾値の比が、イベントのランダム選択の確率として設定される。S510で、バッファ部1013aからのイベントの読み出しが開始される。S511で、乱数発生器1012bは、S509で決定された確率で、読み出されたイベントに対して「1」を発生させ、そうでなければ「0」を発生させる。「0」が発生した場合、そのイベントはドロップされる。「1」が発生した場合、イベントはS512で出力インタフェース1014に転送される。S513で、現在処理中のセンサ部グループにおいて、現在の所定の期間内に検出された全てのイベントがバッファ部1013aから読み出されたかどうかがチェックされる。
【0055】
そうでない場合、プロセスはS510に戻る。そうであれば、S514で、イベントアクティビティがグループイベントカウント値に設定される。ここで、グループイベントカウント値が所定の上限を超える場合、イベントアクティビティもS514で上限に設定されてもよい。S515で、次の所定の期間におけるセンサ部グループの処理のために、イベントアクティビティが記憶される。S516で、全てのセンサ部グループが処理されたかどうかがチェックされる。そうでない場合、プロセスはS501に戻り、次のセンサ部グループの処理を開始する。現在の所定の期間について全てのセンサ部グループが処理された場合、S517で、グローバルイベントカウント値が合計イベントアクティビティとして設定される。S518で、グローバルイベントカウント値はゼロにリセットされ、処理は次の所定の期間のプロセスのためにS501に戻る。
【0056】
図4、
図10及び
図11に関して上述した構成において、乱数発生器1012bは、「1」又は「0」をランダムに発生させ、「1」が発生した場合に、対応するイベントを選択して出力する。つまり、イベント選択がシリアルに行われる。後述するような並列処理を行うことで、さらなるレイテンシの削減を図ることができる。
【0057】
特に、フィルタ部1012は、1つの所定の期間中に検出されたイベント(例えば、128個のセンサ部1011aのイベント)の全て又はサブセットをイベントベクトルにグループ化し、イベントベクトルと、ランダムに分布された1sの数及びそれ以外の0を含むランダムベクトルとの間でビットワイズの論理演算を実行することによって、ランダム選択を実行してもよい。このように、1sと0をシリアルに発生するのではなく、選択のためにイベントを検索する際に、1つの処理ステップでイベント選択を実行できるランダムベクトルを発生させる。例えば、ビットワイズの論理演算として、論理AND演算を使用することができる。この場合、AND演算されたイベントベクトルには「1」のイベントだけが残り、他のエントリはゼロになる。従って、AND演算の後、イベントベクトルの残りのエントリを出力インタフェース1014に転送することができる。また、1つの所定の期間又は1つのセンサ部グループのイベントを複数のイベントベクトルにグループ化し、これらのイベントベクトルの各々に対してランダムベクトルを発生することも可能であることに留意すべきである。さらに、AND演算の上述の動作を実装するために、異なるビットワイズの論理演算を使用できることに留意すべきである。例えば、入力を反転させ、論理NOR演算を使用することができる。さらに、ランダムベクトルの入力だけを反転させて、XOR演算を使用することもできる。このように、単一演算における複数のイベントをフィルタリングすることができるビットワイズの論理演算を用いることができる。
【0058】
ランダムベクトルには、
図4、
図10、
図11の構成のイベント選択確率とイベントベクトル全体のサイズを掛け合わせて得られる1sの数が含まれる。さらに、イベントベクトルを所定のベクトルサイズに正規化することが可能であり、これは、イベントベクトルが、検出されたイベントの数に関係なく、全ての所定の期間において一定のサイズを有することを意味する。ランダムベクトルの1sの数は、ベクトルサイズにイベントベクトルのエントリ数に対するイベントバジェットを掛けたものに等しくなる。ここで、イベントバジェットは特定の構成に依存する。
図4及び
図10の構成ではイベント選択閾値となり、
図11の構成では動的イベント選択閾値となる。このようにして決定された1sの数は、ランダムベクトル中に均等に分布していてもよいし、ランダムに分布していてもよい。
【0059】
図12は、この方法の概略的なプロセスフローである。S601で、イベントベクトル、例えば、イベントが記憶されるバッファ部1013内のアドレスへのポインタとして使用できる位置に「1」を含むことによって、例えば、バッファ部1013a内にバッファリングされたイベントに対応するエントリを有するベクトルが記憶される。S602で、イベントベクトルの非ゼロエントリの数、例えば、イベントベクトル内の1sの数が計算される。S603で、この数が適用可能な(動的な)イベント選択閾値より大きいかどうかがチェックされる。そうでない場合、S604で、1sだけを含むベクトルが発生する。もしそうであれば、S605で、ランダムベクトル中の1sの割合が計算され、該当する(動的な)イベント選択閾値とイベントベクトルのエントリ数の比となる。
【0060】
S606で、イベントベクトルのサイズを有するベクトルのエントリの計算された割合を、好ましくは均等に分布された方法で、1sで埋めることによって、ランダムベクトルが発生する。任意で、S607で、ランダムベクトルのエントリをランダムにシャッフルしてもよい。S608で、計算されたランダムベクトルがイベントベクトルとANDされ、残りのエントリ(又はそれらが指すイベント)が出力インタフェース1014に転送される。
【0061】
このようにして、レイテンシの削減を確実にする高度に並列化された方法でランダム選択を行うことができる。
【0062】
上述のようなセンサ装置1010の特定の有用な例は、センサ装置1010が固体撮像装置100であり、センサ部1011が画素アレイ110に配列された撮像画素111であり、各々が、それぞれの所定の閾値よりも大きい、撮像画素111に入射する光の強度の正又は負の変化をイベントとして検出することが可能である場合、すなわち、センサ装置がDVS、EVS等である場合に、実現することができる。イベント検出に関する限り、このような固体撮像装置100の原理的な機能については、以下で説明する。さらに、このような固体撮像装置100の有用な応用例を説明する。
【0063】
図13Aは、イベントベースの変化検出を採用するこのような固体撮像装置100のブロック図である。固体撮像装置100は、1つ又は複数の撮像画素111を有する画素アレイ110を含み、各画素111は光電変換素子PDを含む。画素アレイ110は、全ての画素の光電変換素子PDが直線又は蛇行した線に沿って配列された一次元画素アレイであってもよい(ラインセンサ)。特に、画素アレイ110は、画素111の光電変換素子PDが直線又は蛇行した行に沿って配列され、直線又は蛇行した線に沿って配列された2次元アレイであってもよい。
【0064】
図示された実施形態は、画素111の2次元アレイを示し、画素111は、直線状の行に沿って配置され、行と直交する直線状の列に沿って配置される。各画素111は、入射光を、入射光強度を表す撮像信号と、光強度の変化、例えば、少なくとも上限閾値量による増加及び/又は少なくとも下限閾値量による減少を示すイベント信号とに変換する。必要に応じて、強度及びイベント検出に関する各画素111の機能を分割し、同じ立体角を観測する異なる画素がそれぞれの機能を実行することができる。これらの異なる画素はサブ画素であってもよく、回路の一部を共有するように実装することができる。また、異なる画素は、異なるイメージセンサの一部であってもよい。本開示では、撮像信号及びイベント信号を生成することができる画素について言及する場合は常に、上述のようにこれらの機能を個別に実行する画素の組み合わせも含むものと理解すべきである。
【0065】
コントローラ120は、画素アレイ110内のプロセスのフロー制御を実行する。例えば、コントローラ120は、画素アレイ110内の個々の画素111に閾値を決定して供給する閾値生成回路130を制御してよい。読み出し回路140は、個々の画素111をアドレス指定するための制御信号を供給し、イベントを示すそのような画素111の位置に関する情報を出力する。固体撮像装置100は、イベントベースの変化検出を採用しているので、読み出し回路140は、時間単位当たり可変量のデータを出力してもよい。読み出し回路140は、読み出し回路1011bに相当する。
【0066】
図13Bは、イベント検出能力に関する限り、
図13Aの撮像画素111の詳細を例示的に示す。当然のことながら、イベントの検出を可能にする他の任意の実装を採用することができる。各画素111は、フォトレセプタモジュールPRを含み、画素バックエンド300に割り当てられ、各完全な画素バックエンド300は、1つの単一のフォトレセプタモジュールPRに割り当てられてもよい。あるいは、画素バックエンド300又はその一部は、2つ以上のフォトレセプタモジュールPRに割り当てられてもよく、画素バックエンド300の共有部分は、割り当てられたフォトレセプタモジュールPRに多重化されたやり方で順次接続されてもよい。
【0067】
フォトレセプタモジュールPRは、光電変換素子PD、例えば、フォトダイオード又は他のタイプのフォトセンサを含む。光電変換素子PDは、光電変換素子PDを介して、射突光9を光電流Iphotoに変換し、光電流Iphotoの量は、射突光9の光強度の関数である。
【0068】
フォトレセプタ回路PRCは、光電流Iphotoをフォトレセプタ信号Vprに変換する。フォトレセプタ信号Vprの電圧は、光電流Iphotoの関数である。
【0069】
メモリキャパシタ310は、電荷を蓄積し、過去のフォトレセプタ信号Vprに量が依存するメモリ電圧を保持する。特に、メモリキャパシタ310は、メモリキャパシタ310の第1の電極がフォトレセプタ信号Vpr、ひいては光電変換素子PDによって受光された光に応答する電荷を担持するように、フォトレセプタ信号Vprを受光する。メモリキャパシタC1の第2の電極は、コンパレータ回路340のコンパレータノード(反転入力)に接続されている。従って、コンパレータノードの電圧Vdiffは、フォトレセプタ信号Vprの変化に応じて変化する。
【0070】
コンパレータ回路340は、現在のフォトレセプタ信号Vprと過去のフォトレセプタ信号との差を閾値と比較する。コンパレータ回路340は、各画素バックエンド300に設けることもできるし、画素のサブセット(例えば、列)間で共有することもできる。一例によれば、各画素111は、コンパレータ回路340を含む画素バックエンド300を含み、コンパレータ回路340は、撮像画素111と一体であり、各撮像画素111は、専用のコンパレータ回路340を有する。
【0071】
メモリ素子350は、コントローラ120からのサンプル信号に応答してコンパレータ出力を記憶する。メモリ素子350は、サンプリング回路(例えば、スイッチ及び寄生又は明示キャパシタ)及び/又はラッチ又はフリップフロップ等のデジタルメモリ回路)を含んでいてもよい。一実施形態において、メモリ素子350はサンプリング回路であってもよい。メモリ素子350は、1つ、2つ又はそれ以上の2進ビットを記憶するように構成されてよい。
【0072】
リセット回路380の出力信号は、コンパレータ回路340の反転入力を所定の電位に設定してよい。リセット回路380の出力信号は、メモリ素子350の内容に応答して、及び/又はコントローラ120から受信されたグローバルリセット信号に応答して制御されてよい。
【0073】
固体撮像装置100は次のように動作する。入射放射線9の光強度の変化は、フォトレセプタ信号Vprの変化に変換される。コントローラ120によって指定された時間に、コンパレータ回路340は、反転入力(コンパレータノード)におけるVdiffを、その非反転入力に印加された閾値Vbと比較する。同時に、コントローラ120は、コンパレータ出力信号Vcompを記憶するためにメモリ素子350を動作させる。メモリ素子350は、
図13Aに示す画素回路111か、読み出し回路140のいずれかに配置してよい。
【0074】
記憶されたコンパレータ出力信号の状態が光強度の変化を示し、かつグローバルリセット信号GlobalReset(コントローラ120によって制御される)がアクティブである場合、条件付きリセット回路380は、Vdiffを既知のレベルにリセットするリセット出力信号を出力する。
【0075】
記憶素子350は、画素111によって検出された光強度が閾値以上変化したことを示す情報を含んでよい。
【0076】
固体撮像装置120は、光強度変化が検出された画素111のアドレス(ここで、画素111のアドレスは、その行番号及び列番号に対応する)を出力し得る。所定の画素で検出された光強度変化はイベントと呼ばれる。より具体的には、「イベント」という用語は、画素の光強度の関数を表し、かつそれであるフォトレセプタ信号が、閾値生成回路130を介してコントローラによって適用される閾値より大きいか等しい量だけ変化したことを意味する。イベントを送信するために、光強度変化が正であったか負であったかを示すデータと共に、対応する画素111のアドレスが送信される。光強度変化が正であったか負であったかを示すデータは、1つの単一ビットを含み得る。
【0077】
時間における現在のインスタンスと以前のインスタンスとの間の光強度の変化を検出するために、各画素111は、時間における以前のインスタンスでの光強度の表現を記憶する。
【0078】
より具体的には、各画素111は、当該画素111において最後に登録されたイベントの時のフォトレセプタ信号と、この画素111における現在のフォトレセプタ信号との差を表す電圧Vdiffを記憶する。
【0079】
イベントを検出するために、コンパレータノードにおけるVdiffは、まず、光強度の増加(ON-イベント)を検出するために第1の閾値と比較してよく、コンパレータ出力は、(明示的又は寄生)キャパシタ上にサンプリングされるか、又はフリップフロップに記憶される。次に、コンパレータノードのVdiffが第2の閾値と比較され、光強度の減少(OFF-イベント)を検出し、コンパレータ出力が(明示的又は寄生)キャパシタにサンプリングされるか、又はフリップフロップに記憶される。
【0080】
グローバルリセット信号が全ての画素111に送られ、各画素111において、このグローバルリセット信号が、サンプリングされたコンパレータ出力と論理ANDされ、イベントが検出された画素のみがリセットされる。その後、サンプリングされたコンパレータ出力電圧が読み出され、対応する画素アドレスがデータ受信装置に送られる。
【0081】
図13Cは、アクティブ画素センサAPSの形態で強度撮像信号の読み出しに使用されるイメージセンサアセンブリ10を含む固体撮像装置100の構成例を示す。ここで、
図13Cは、純粋に例示的なものである。撮像信号の読み出しは、他の公知の方法で実施することもできる。上述したように、イメージセンサアセンブリ10は、同じ画素111を使用してもよいし、又はこれらの画素111をそれぞれ同じ立体角を観察する追加の画素で補足してもよい。以下の説明では、同じ画素アレイ110を使用する例示的な場合を選択する。
【0082】
イメージセンサアセンブリ10は、画素アレイ110、アドレスデコーダ12、画素タイミング駆動部13、ADC(アナログ/デジタル変換器)14、及びセンサコントローラ15を含む。
【0083】
画素アレイ110は、行と列にマトリクス状に配置された複数の画素回路11Pを含む。各画素回路11Pは、受光素子と、受光素子によって出力される信号を制御するためのFET(電界効果トランジスタ)とを含む。
【0084】
アドレスデコーダ12及び画素タイミング駆動部13は、画素アレイ110に配置された各画素回路11Pの駆動を制御する。すなわち、アドレスデコーダ12は、センサコントローラ15から供給されるアドレスやラッチ信号等に応じて、駆動すべき画素回路11Pを指定するための制御信号等を画素タイミング駆動部13に供給する。画素タイミング駆動部13は、センサコントローラ15から供給される駆動タイミング信号及びアドレスデコーダ12から供給される制御信号に従って、画素回路11PのFETを駆動する。画素回路11Pの電気信号(画素出力信号、撮像信号)は、垂直信号線VSLを介してADC14に供給され、各ADC14は、垂直信号線VSLの1つに接続され、各垂直信号線VSLは、画素アレイ部11の1列の全ての画素回路11Pに接続されている。各ADC14は、画素アレイ部11の列から順次出力される画素出力信号に対してアナログ/デジタル変換を行い、デジタル画素データDPXSを信号処理部に出力する。この目的のために、各ADC14は、コンパレータ23、デジタルアナログ変換器(DAC)22及びカウンタ24を含む。
【0085】
センサコントローラ15は、イメージセンサアセンブリ10を制御する。すなわち、例えば、センサコントローラ15は、アドレス及びラッチ信号をアドレスデコーダ12に供給し、駆動タイミング信号を画素タイミング駆動部13に供給する。さらに、センサコントローラ15は、ADC14を制御するための制御信号を供給してもよい。
【0086】
画素回路11Pは、受光素子として光電変換素子PDを含む。光電変換素子PDは、例えば、フォトダイオードを含むか、又はフォトダイオードで構成されてもよい。1つの光電変換素子PDに関して、画素回路11Pは、能動素子として機能する4つのFET、すなわち、転送トランジスタTG、リセットトランジスタRST、増幅トランジスタAMP、及び選択トランジスタSELを有していてよい。光電変換素子PDは、入射光を電荷(ここでは、電子)に光電変換する。光電変換素子PDで発生する電荷量は、入射光量に対応する。
【0087】
転送トランジスタTGは、光電変換素子PDとフローティングディフュージョン領域FDとの間に接続されている。転送トランジスタTGは、光電変換素子PDからフローティングディフュージョン領域FDへ電荷を転送するための転送素子として機能する。フローティングディフュージョン領域FDは、一時的な局所電荷記憶として機能する。転送トランジスタTGのゲート(転送ゲート)には、転送制御線を介して制御信号となる転送信号が供給される。
【0088】
このように、転送トランジスタTGは、光電変換素子PDによって光電変換された電子をフローティングディフュージョンFDに転送し得る。
【0089】
リセットトランジスタRSTは、フローティングディフュージョンFDと正電源電圧VDDが供給される電源ラインとの間に接続される。リセットトランジスタRSTのゲートには、リセット制御線を介して制御信号としてのリセット信号が供給される。
【0090】
このように、リセット素子として機能するリセットトランジスタRSTは、フローティングディフュージョンFDの電位を電源ラインの電位にリセットする。
【0091】
フローティングディフュージョンFDは、増幅素子として機能する増幅トランジスタAMPのゲートに接続されている。すなわち、フローティングディフュージョンFDは、増幅素子として機能する増幅トランジスタAMPの入力ノードとして機能する。
【0092】
増幅トランジスタAMPと選択トランジスタSELは、電源ラインVDDと垂直信号線VSLとの間に直列に接続されている。
【0093】
このように、増幅トランジスタAMPは、選択トランジスタSELを介して信号線VSLに接続され、ADC14の一部として図示される定電流源21を有するソースフォロア回路を構成する。
【0094】
そして、アドレス信号に対応する制御信号として機能する選択信号が、選択制御線を介して選択トランジスタSELのゲートに供給され、選択トランジスタSELがオンになる。
【0095】
選択トランジスタSELがオンになると、増幅トランジスタAMPは、フローティングディフュージョンFDの電位を増幅し、フローティングディフュージョンFDの電位に応じた電圧を信号線VSLに出力する。信号線VSLは、画素回路11Pからの画素出力信号をADC14に転送する。
【0096】
転送トランジスタTG、リセットトランジスタRST、及び選択トランジスタSELのそれぞれのゲートは、例えば、行単位で接続されているので、これらの動作は、1行の各画素回路11Pに対して同時に実行される。さらに、単一の画素又は画素グループを選択的に読み出すことも可能である。
【0097】
ADC14は、DAC22、垂直信号線VSLに接続された定電流源21、コンパレータ23、及びカウンタ24を含んでいてもよい。
【0098】
画素回路11Pの垂直信号線VSL、定電流源21及び増幅トランジスタAMPは、ソースフォロア回路に結合される。
【0099】
DAC22は、基準信号を生成して出力する。一定間隔、例えば、1ずつ増加するデジタル信号のデジタルアナログ変換を実行することによって、DAC22は、基準電圧ランプを含む基準信号を生成し得る。電圧ランプ内では、基準信号は時間単位毎に着実に増加する。増加は線形であっても線形でなくてもよい。
【0100】
コンパレータ23は、2つの入力端子を有する。DAC22から出力された基準信号は、第1のキャパシタC1を介してコンパレータ23の第1の入力端子に供給される。垂直信号線VSLを介して送信される画素出力信号は、第2のキャパシタC2を介してコンパレータ23の第2の入力端子に供給される。
【0101】
コンパレータ23は、2つの入力端子に供給される画素出力信号と基準信号とを互いに比較し、比較結果を表すコンパレータ出力信号を出力する。すなわち、コンパレータ23は、画素出力信号と基準信号との大小関係を表すコンパレータ出力信号を出力する。例えば、コンパレータ出力信号は、画素出力信号が基準信号よりも高い場合にハイレベルとなり、そうでない場合にローレベルとなり、逆もまた同様である。コンパレータ出力信号VCOはカウンタ24に供給される。
【0102】
カウンタ24は、所定のクロックに同期してカウント値をカウントする。すなわち、カウンタ24は、DAC22が基準信号を減少し始めると、P相又はD相の開始からカウント値のカウントを開始し、画素出力信号と基準信号との大小関係が変化して、コンパレータ出力信号が反転するまでカウント値をカウントする。コンパレータ出力信号が反転すると、カウンタ24はカウント値のカウントを停止し、そのときのカウント値を画素出力信号のAD変換結果(デジタル画素データDPXS)として出力する。
【0103】
図14は、上述した機能が実装され得る、マトリクス状にアレイ形式で配列された複数の画素を有する固体撮像素子23020の積層構造の一例を示す斜視図である。各画素は、少なくとも1つの光電変換素子を含む。
【0104】
固体撮像装置23020は、第1のチップ(上部チップ)910と第2のチップ(下部チップ)920の積層構造を有する。
【0105】
積層された第1及び第2のチップ910、920は、第1のチップ910に形成されたTC(S)Vs(Through Contact(Silicon)Vias)を介して互いに電気的に接続されてもよい。
【0106】
固体撮像素子23020は、第1チップ910と第2チップ920がウェハレベルで接着され、ダイシングによって切り出されるようなやり方で、積層構造を有するように形成されてもよい。
【0107】
上下2つのチップの積層構造において、第1チップ910は、各画素の少なくとも1つのアナログ成分、例えば、アレイ形式で配置された光電変換素子を含むアナログチップ(センサチップ)であってもよい。例えば、第1チップ910は、光電変換素子のみを含んでいてもよい。
【0108】
あるいは、第1のチップ910は、各フォトレセプタモジュールのさらなる素子を含んでいてもよい。例えば、第1のチップ910は、光電変換素子に加えて、フォトレセプタモジュールのnチャネルMOSFETの少なくとも一部又は全部を含むことができる。あるいは、第1のチップ910は、フォトレセプタモジュールの各素子を含んでいてもよい。
【0109】
第1のチップ910は、画素バックエンド300の一部を含んでいてもよい。例えば、第1のチップ910は、メモリキャパシタ、又はメモリキャパシタに加えて、サンプル/ホールド回路及び/又はメモリキャパシタとイベント検出コンパレータ回路との間に電気的に接続されたバッファ回路を含んでいてもよい。あるいは、第1のチップ910は、完全な画素バックエンドを含んでいてもよい。
図13のAを参照すると、第1のチップ910は、読み出し回路140、閾値生成回路130及び/又はコントローラ120の少なくとも一部又は制御部全体を含んでいてもよい。
【0110】
第2のチップ920は、固体撮像装置23020に対する第1のチップ910上の回路を補完する素子を含む、主に、論理チップ(デジタルチップ)であってもよい。第2のチップ920は、アナログ回路、例えば、第1のチップ910からTCVを介して転送されたアナログ信号を量子化する回路を含んでいてもよい。
【0111】
第2のチップ920は、1つ又は複数のボンディングパッドBPDを有していてもよく、第1のチップ910は、第2のチップ920へのワイヤボンディングに使用するための開口部OPNを有していてもよい。
【0112】
2つのチップ910、920の積層構造を有する固体撮像素子23020は、以下の特徴的な構成を有し得る。
【0113】
第1のチップ910と第2のチップ920との間の電気的接続は、例えば、TCVを介して行われる。TCVは、チップ端部又はパッド領域と回路領域との間に配置してよい。制御信号の送信や電力供給のためのTCVは、例えば、固体撮像素子23020の4隅に主に集中させてよく、これにより、第1のチップ910の信号配線面積を削減することができる。
【0114】
典型的には、第1のチップ910はp型基板を含み、pチャネルMOSFETの形成は、典型的には、pチャネルMOSFETのp型ソース領域及びドレイン領域を互いに分離し、さらにp型領域から分離するnドープウェルの形成を示唆する。従って、pチャネルMOSFETの形成を回避することにより、第1チップ910の製造プロセスを簡略化し得る。
【0115】
図15は、固体撮像装置23010、23020の概略構成例を示す。
【0116】
図15のパートAに図示した単層固体撮像素子23010は、単一ダイ(半導体基板)23011を含む。単一ダイ23011上に実装及び/又は形成されているのは、画素領域23012(光電変換素子)、制御回路23013(読み出し回路、閾値生成回路、コントローラ、制御部)、及び論理回路23014(画素バックエンド)である。画素領域23012には、画素がアレイ形式で配置されている。制御回路23013は、画素の駆動制御を含む各種制御を実行する。論理回路23014は、信号処理を実行する。
【0117】
図15のパートB及びCは、積層構造の多層固体撮像装置の概略構成例を示している。
図15のパートB及びCに示されているように、2つのダイ(チップ)、すなわち、センサダイ23021(第1のチップ)と論理ダイ23024(第2のチップ)が、固体撮像素子23020内にスタックされている。これらのダイは電気的に接続され、1つの半導体チップを形成する。
【0118】
図15のパートBを参照すると、画素領域23012及び制御回路23013は、センサダイ23021上に形成又は実装され、論理回路23014は、論理ダイ23024上に形成又は実装される。論理回路23014は、画素バックエンドの少なくとも一部を含んでいてよい。画素領域23012は、少なくとも光電変換素子を含む。
【0119】
図15のパートCを参照すると、画素領域23012は、センサダイ23021上に形成又は実装され、制御回路23013及び論理回路23014は、論理ダイ23024上に形成又は実装される。
【0120】
他の例(図示せず)によれば、画素領域23012及び論理回路23014、又は画素領域23012及び論理回路23014の一部をセンサダイ23021上に形成又は実装し、制御回路23013を論理ダイ23024上に形成又は実装してもよい。
【0121】
複数のフォトレセプタモジュールPRを有する固体撮像装置内では、全てのフォトレセプタモジュールPRが同じモードで動作してもよい。あるいは、フォトレセプタモジュールPRの第1のサブセットは、低SNR及び高時間分解能を有するモードで動作してもよく、フォトレセプタモジュールの第2の相補的なサブセットは、高SNR及び低時間分解能を有するモードで動作してもよい。また、制御信号は、照明条件の関数ではなく、例えば、ユーザ設定の関数であってもよい。
【0122】
<移動体への適用例>
本開示による技術は、例えば、自動車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、オートバイ、自転車、パーソナルモビリティ、飛行機、ドローン、船舶、ロボット等、あらゆるタイプの移動体に搭載される装置として実現されてよい。
【0123】
図16は、本開示の実施形態による技術を適用可能な移動体制御システムの一例としての車両制御システムの概略構成の一例を示すブロック図である。
【0124】
車両制御システム12000は、通信ネットワーク12001を介して互いに接続された複数の電子制御部を含む。
図16に図示された例では、車両制御システム12000は、走行システム制御部12010と、車体システム制御部12020と、車外情報検出部12030と、車内情報検出部12040と、統合制御部12050とを含む。また、統合制御部12050の機能構成として、マイクロコンピュータ12051、音/画像出力部12052、車載ネットワークインタフェース(I/F)12053が図示されている。
【0125】
走行システム制御部12010は、各種プログラムに従って車両の走行システムに関連する装置の動作を制御する。例えば、走行システム制御部12010は、内燃機関や走行用モータ等の車両の駆動力を発生する駆動力発生装置、車輪に駆動力を伝達する駆動力伝達機構、車両の操舵角を調整する操舵機構、車両の制動力を発生する制動装置等の制御装置として機能する。
【0126】
車体システム制御部12020は、各種プログラムに従って、車体に設けられた各種装置の動作を制御する。例えば、車体システム制御部12020は、キーレスエントリシステム、スマートキーシステム、パワーウィンドウ装置、又は、ヘッドランプ、バックアップランプ、ブレーキランプ、ターンシグナル、フォグランプ等の各種ランプ類の制御装置として機能する。この場合、ボディシステム制御部12020には、キーに代えて携帯端末から送信される電波や、各種スイッチの信号を入力することができる。車体システム制御部12020は、これらの入力された電波や信号を受信し、車両のドアロック装置、パワーウィンドウ装置、ランプ類等を制御する。
【0127】
車外情報検出部12030は、車両制御装置12000を含む車外の情報を検出する。例えば、車外情報検出部12030は、撮像部12031と接続されている。車外情報検出部12030は、撮像部12031に車外の画像を撮像させ、撮像された画像を受信する。車外情報検出部12030は、受信した画像に基づいて、人、車両、障害物、標識、路面の文字等の物体を検出する処理や、その距離を検出する処理を行ってよい。
【0128】
撮像部12031は、本開示によるイベント検出モジュール及びフォトレセプタモジュールを有する固体撮像センサであってもよいし、それを含んでもよい。撮像部12031は、電気信号を、イベントを検出した画素を識別する位置情報として出力してよい。撮像部12031が受光する光は、可視光であってもよいし、赤外線等の不可視光であってもよい。
【0129】
車内情報検出部12040は、車内の情報を検出するものであり、本開示によるイベント検出モジュール及びフォトレセプタモジュールを備えた固体撮像センサであってもよいし、それを含んでいてもよい。車内情報検出部12040は、例えば、運転者の状態を検出する運転者状態検出部12041と接続されている。運転者状態検出部12041は、例えば、運転者に焦点を合わせたカメラを含む。車内情報検出部12040は、運転者状態検出部12041から入力される検出情報に基づいて、運転者の疲労度や運転者の集中度を算出したり、運転者の居眠りの有無を判定してよい。
【0130】
マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出部12030又は車内情報検出部12040により取得された車内又は車外の情報に基づいて、駆動力発生装置、操舵機構、又は制動装置の制御目標値を算出し、走行システム制御部12010に制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両の衝突回避や衝撃緩和、追従距離に基づく追従走行、車速維持走行、車両の衝突警報、車両の車線逸脱警報等を含む先進運転支援システム(ADAS)の機能を実現することを目的とした協調制御を行うことができる。
【0131】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出部12030又は車内情報検出部12040により取得された車外又は車内の情報に基づいて、駆動力発生装置、操舵機構、制動装置等を制御することにより、運転者の動作等に依存することなく車両を自律的に走行させる自動運転を目的とした協調制御を行うことができる。
【0132】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出部12030が取得した車外情報に基づいて、車体システム制御部12020に制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出部12030によって検出された先行車や対向車の位置に応じて、例えば、ヘッドランプをハイビームからロービームに切り替えるように制御することで、眩しさを防止することを目的とした協調制御を行うことができる。
【0133】
音/画像出力部12052は、音又は画像の少なくとも一方の出力信号を、車両の乗員又は車外に視覚的又は聴覚的に情報を通知可能な出力装置に送信する。
図16の例では、出力装置として、オーディオスピーカ12061、表示部12062、及びインストルメントパネル12063が例示されている。表示部12062は、例えば、車載ディスプレイ又はヘッドアップディスプレイの少なくとも1つを含んでいてよい。
【0134】
図17は、撮像部12031の設置位置の一例を示す図であり、撮像部12031は、撮像部12101、12102、12103、12104、12105を含んでいてよい。
【0135】
撮像部12101、12102、12103、12104、12105は、例えば、車両12100のフロントノーズ、サイドミラー、リヤバンパー、バックドアに設けられた位置や、車室内のフロントガラスの上部に設けられた位置に配置される。フロントノーズに設けられた撮像部12101と、車室内のウィンドシールド上部に設けられた撮像部12105とは、主に、車両12100の前方の画像を取得する。サイドミラーに設けられた撮像部12102、12103は、主に、車両12100の側面の画像を取得する。リヤバンパー又はバックドアに設けられた撮像部12104は、主に、車両12100の後方の画像を取得する。車室内のフロントガラス上部に設けられた撮像部12105は、主に、先行車両、歩行者、障害物、信号、交通標識、車線等を検出するために用いられる。
【0136】
ちなみに、
図17は、撮像部12101から12104の撮像範囲の一例を示す図である。撮像範囲12111は、フロントノーズに設けられた撮像部12101の撮像範囲を表す。撮像範囲12112、12113は、それぞれサイドミラーに設けられた撮像部12102、12103の撮像範囲を表す。撮像範囲12114は、リヤバンパー又はバックドアに設けられた撮像部12104の撮像範囲を表す。撮像部12101から12104によって撮像された画像データを重ね合わせることによって、例えば、上方から見た車両12100の鳥瞰画像が得られる。
【0137】
撮像部12101から12104の少なくとも1つは、距離情報を取得する機能を有していてもよい。例えば、撮像部12101から12104の少なくとも1つは、複数の撮像素子で構成されるステレオカメラであってもよいし、位相差検出用の画素を有する撮像素子であってもよい。
【0138】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101から12104から得られる距離情報に基づいて、撮像範囲12111から12114内の各立体物までの距離と、距離の時間的変化(車両12100に対する相対速度)とを求めることができ、これにより、先行車両として、特に、車両12100の走行経路上に存在し、車両12100と実質的に同一方向に所定速度(例えば、時速0kmに等しいかそれ以上)で走行する最も近い立体物を抽出する。さらに、マイクロコンピュータ12051は、先行車両の前方に維持すべき追従距離を予め設定し、自動ブレーキ制御(追従停止制御を含む)、自動加速制御(追従発進制御を含む)等を行うことができる。これにより、運転者等の動作に依存することなく、車両を自律走行させる自動運転を目的とした協調制御を行うことができる。
【0139】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101から12104から得られる距離情報に基づいて、三次元物体に関する三次元物体データを、二輪車、普通車、大型車、歩行者、電柱、その他の三次元物体の三次元物体データに分類し、分類された三次元物体データを抽出し、抽出された三次元物体データを障害物の自動回避に用いることができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両12100の周囲の障害物を、車両12100の運転者が目視で認識できる障害物と、車両12100の運転者が目視で認識することが困難な障害物とに識別する。そして、マイクロコンピュータ12051は、各障害物との衝突の危険性を示す衝突危険度を判定する。マイクロコンピュータ12051は、衝突リスクが設定値と等しいかそれ以上であり、衝突の可能性がある場合には、音声スピーカ12061又は表示部12062を介して運転者に警告を出力し、走行システム制御部12010を介して強制減速又は回避操舵を行う。これにより、マイクロコンピュータ12051は、衝突回避のための運転を支援することができる。
【0140】
撮像部12101から12104の少なくとも1つは、赤外線を検出する赤外線カメラであってもよい。マイクロコンピュータ12051は、例えば、撮像部12101から12104の撮像画像に歩行者が写っているか否かを判定することにより、歩行者を認識することができる。このような歩行者の認識は、例えば、赤外線カメラとしての撮像部12101から12104の撮像画像中の特徴点を抽出する手順と、物体の輪郭を表す一連の特徴点に対してパターンマッチング処理を行うことにより歩行者であるか否かを判定する手順とにより行われる。マイクロコンピュータ12051が、撮像部12101から12104の撮像画像に歩行者が写っていると判定し、これにより歩行者を認識すると、音/画像出力部12052は、認識した歩行者に重畳するように強調用の四角形の輪郭線を表示するように表示部12062を制御する。また、音/画像出力部12052は、歩行者を表すアイコン等が所望の位置に表示されるように表示部12062を制御してもよい。
【0141】
以上、本開示による技術が適用可能な車両制御システムの例について説明した。イベントトリガ型の画像情報を取得するためのフォトレセプタモジュールを適用することで、通信ネットワークを介して送信される画像データを削減することができ、運転支援に悪影響を与えることなく消費電力を削減し得る。
【0142】
さらに、本技術の実施形態は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加えることができる。
【0143】
本開示による固体撮像装置は、可視光、赤外光、紫外光、X線等の放射線を分析及び/又は処理するために使用される任意の装置であってよい。例えば、固体撮像装置は、交通分野、家電分野、医療ヘルスケア分野、セキュリティ分野、美容分野、スポーツ分野、農業分野、画像再生分野等の任意の電子装置であってよい。
【0144】
具体的には、画像再生分野では、固体撮像装置は、デジタルカメラ、スマートフォン、カメラ機能を有する携帯電話端末等、鑑賞に供する画像をキャプチャする装置としてよい。また、交通の分野では、例えば、自動停止や運転者の状態認識等の安全運転のために、車両の前方、後方、周辺、車内等をキャプチャする車載センサや、走行車両や道路を監視する監視カメラ、車間距離等を測定する測距センサ等に固体撮像素子を組み込んでもよい。
【0145】
家電製品の分野では、固体撮像装置は、テレビ受信機、冷蔵庫、エアコン等の家電製品に設けられ、ユーザのジェスチャをキャプチャし、ジェスチャに従って装置動作を実行する装置に使用できる任意のタイプのセンサに統合されてもよい。従って、固体撮像装置は、テレビ受像機、冷蔵庫、エアコン等の家電製品、及び/又は、家電製品を制御する装置に組み込まれてもよい。さらに、医療及びヘルスケアの分野では、固体撮像装置は、内視鏡や赤外光を受光して血管造影を行う装置等、医療及びヘルスケアで使用するために提供される任意のタイプのセンサ、例えば、固体撮像装置に組み込まれてもよい。
【0146】
また、セキュリティの分野では、固体撮像装置は、防犯用の監視カメラや人物認証用のカメラ等、セキュリティに使用される装置に組み込むことができる。さらに、美容の分野では、固体撮像装置は、肌をキャプチャする肌測定器やプローブをキャプチャする顕微鏡等、美容に使用される装置に組み込むことができる。また、スポーツの分野では、固体撮像装置は、アクションカメラやスポーツ用ウェアラブルカメラ等、スポーツに用いられる装置に組み込むことができる。さらに、農業の分野では、固体撮像装置は、畑や作物の状態を監視するためのカメラ等、農業で使用するために提供される装置に使用することができる。
【0147】
なお、本技術は以下に述べるように構成することもできる。
(1)複数のセンサ部であって、各々が、センサ部に与える影響の強度を検出し、それぞれの所定の閾値よりも大きい影響の強度の正又は負の変化をイベントとして検出することが可能である複数のセンサ部と、
少なくとも1つの所定の期間に、複数のセンサ部によって検出されたイベントの一部を読み出すためにランダムに選択するように構成されたフィルタ部と、
検出されたイベントの、及び/又はフィルタ部の読み出し選択動作の履歴データを記憶するように構成されたメモリ部と、
少なくとも1つの所定の期間の各々について、フィルタ部からイベントの選択された一部を受信して出力するように構成された出力インタフェースと
を含み、フィルタ部は、履歴データに基づいて、一連の少なくとも1つの所定の期間について、ランダム選択を繰り返し実行するように構成される、センサ装置。
(2)複数のセンサ部、フィルタ部、メモリ部、及び出力インタフェースは全て、単一のセンサチップの一部である、(1)に記載のセンサ装置。
(3)各所定の期間に、メモリ部は、履歴データとして、この所定の期間に検出されたイベント及びイベントの数を記憶するように構成され、
フィルタ部は、記憶されたイベントの数とイベント選択閾値とを比較し、記憶されたイベントの数が、イベント選択閾値よりも大きいときは、メモリ部に記憶されたイベントに対してランダム選択を実行し、記憶されたイベントの数が、イベント選択閾値よりも小さいときは、メモリ部に記憶されたイベントに対してランダム選択を実行しないように構成される、(1)又は(2)に記載のセンサ装置。
(4)フィルタ部は、記憶されたイベントのうち1つのイベントを、出力インタフェースに転送する確率を、イベント選択閾値と記憶されたイベントの数との比として設定するように構成される、(3)に記載のセンサ装置。
(5)フィルタ部は、メモリ部に記憶された複数のイベントのランダム選択を並行して実行するように構成される、(4)に記載のセンサ装置。
(6)フィルタ部は、同じ記憶されたイベントを2回選択することなく、出力インタフェースに転送するために保存されたイベントをランダムに選択し、転送されたイベントの数をカウントし、転送されたイベントの数が、イベント選択閾値に達したときに、記憶されたイベントの転送を停止することによって、ランダム選択を実行するように構成される、(3)に記載のセンサ装置。
(7)メモリ部は、同時にN個のイベントを記憶するための少なくとも1つのメモリ空間を有し、
各所定の期間において、フィルタ部は、N個のイベントが記憶されるまで、新たに検出された各イベントを、メモリ空間に記憶し、その後、新たに検出されたイベントによってメモリ空間に記憶されたイベントを上書きするか否かをランダムに決定するように構成される、(1)又は(2)に記載のセンサ装置。
(8)メモリ空間に記憶されたイベントを上書きするか否かをランダムに決定するために、フィルタ部は、検出されたイベントの数をカウントし、カウントされた数を履歴データとしてメモリ部に記憶し、新たに検出されたイベント毎に、1と検出されたイベントの瞬時数との間の乱数を発生し、乱数が数Nより大きい場合は、新たに検出されたイベントを破棄し、乱数がNより小さいか等しい場合、乱数に対応する位置に、メモリ空間に記憶されたイベントを上書きするように構成される、(7)に記載のセンサ装置。
(9)メモリ部は、所定の期間中に検出されたイベントの数を履歴データとして記憶するように構成され、
フィルタ部は、現在の所定の期間中のイベントを、以前の所定の期間の検出されたイベントの数に依存する確率でランダムに選択するように構成される、(1)又は(2)に記載のセンサ装置。
(10)センサ部は、センサ部のグループに分割され、各々が、好ましくは、同数のセンサ部を含み、
フィルタ部は、センサ部のグループ毎に、検出されたイベントのランダム選択を個別に実行するように構成される、(1)に記載のセンサ装置。
(11)メモリ部は、履歴データとして、所定の期間中に検出されたイベントの総数、及びセンサ部の各グループ内で検出されたイベントの数を記憶するように構成され、
フィルタ部は、イベントの総数、及び以前の所定の期間において特定のグループに対してカウントされたイベントの数に基づいて、現在の所定の期間において1つの特定のグループ内で検出されたイベントをランダムに選択する確率を決定するように構成される、(10)に記載のセンサ装置。
(12)フィルタ部は、センサ部の各グループに、それぞれのグループから読み出されるイベントの所望の数を割り当て、割り当てられた所望の数に基づく確率でランダム選択を実行するように構成される、(10)又は(11)に記載のセンサ装置。
(13)フィルタ部は、1つの所定の期間中に検出されたイベントの全て又はサブセットをイベントベクトルにグループ化し、イベントベクトルと、ランダムに分布した1sの数とそれ以外の0sを含むランダムベクトルとの間でビットワイズ論理演算を実行することによって、ランダム選択を実行するように構成される、(1)から(12)のいずれか1つに記載のセンサ装置。
(14)センサ装置は、固体撮像装置であり、
センサ部は、画素アレイに配置された撮像画素であり、各撮像画素は、撮像画素に入射する光の強度を感知することができ、それぞれの所定の閾値よりも大きい光強度の正又は負の変化をイベントとして検出することができる、(1)から(13)のいずれか1つに記載のセンサ装置。
(15)(1)から(14)のいずれか1項に記載のセンサ装置を動作する方法であって、
複数のセンサ部によりイベントを検出し、
少なくとも1つの所定の期間に、複数のセンサ部により検出されたイベントの一部を読み出すためにランダムに選択し、
検出されたイベントの、及び/又は読み出し選択動作の履歴データを記憶し、
少なくとも1つの所定の期間の各々について、イベントの選択された一部を出力することを含み、ランダム選択は、履歴データに基づいて、一連の少なくとも1つの所定の期間について繰り返し実行される、方法。
【国際調査報告】