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特表2024-546849エアロゾル供給システムおよびその中で使用するための物品
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】エアロゾル供給システムおよびその中で使用するための物品
(51)【国際特許分類】
A24F 40/57 20200101AFI20241219BHJP
A24F 40/20 20200101ALI20241219BHJP
A24F 40/42 20200101ALI20241219BHJP
【ＦＩ】
A24F40/57
A24F40/20
A24F40/42
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024535405
(86)(22)【出願日】2022-12-19
(85)【翻訳文提出日】2024-08-08
(86)【国際出願番号】 GB2022053292
(87)【国際公開番号】W WO2023118832
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】2118541.8
(32)【優先日】2021-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Ｎｉｃｏｖｅｎｔｕｒｅｓ Ｔｒａｄｉｎｇ Ｌｉｍｉｔｅｄ
【住所又は居所原語表記】Ｇｌｏｂｅ Ｈｏｕｓｅ， １ Ｗａｔｅｒ Ｓｔｒｅｅｔ，ＷＣ２Ｒ ３ＬＡ Ｌｏｎｄｏｎ，Ｕｎｉｔｅｄ Ｋｉｎｇｄｏｍ
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ディミック， バリー
【テーマコード（参考）】
4B162
【Ｆターム（参考）】
4B162AA03
4B162AA22
4B162AB12
4B162AB22
4B162AC13
4B162AD20
4B162AD23
(57)【要約】
本発明は、物品を加熱するように構成されたエアロゾル供給システムに関し、物品は、第１のエアロゾル生成材料を備える第１の領域と、第２のエアロゾル生成材料を備える第２の領域と、を備える。本発明はまた、エアロゾル供給システムのための物品であって、物品が、第１のエアロゾル生成材料と、第２のエアロゾル生成材料と、を備える、物品に関する。本発明はまた、システムおよび物品の使用に関する。
【選択図】 図１
【選択図】 図１
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル供給デバイスと、物品と、を備えるエアロゾル供給システムであって、前記物品が、第１のエアロゾル生成材料を備える第１の領域と、第２のエアロゾル生成材料を備える第２の領域と、を備え、
前記第２のエアロゾル生成材料が、前記第１のエアロゾル生成材料よりも高い密度を有し、
前記デバイスが、前記第１の領域を第１のピーク温度まで加熱しかつ前記第２の領域を第２のピーク温度まで加熱するように構成された加熱システムを備え、前記第２の領域が、前記第１の領域が前記第１のピーク温度に達するよりも後に前記第２のピーク温度に達する、
エアロゾル供給システム。
【請求項2】
前記第２のエアロゾル生成材料の前記密度が、前記第１のエアロゾル生成材料の前記密度よりも少なくとも約２５％高い、請求項１に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項3】
前記第１のエアロゾル生成材料が、約０．１ｇ／ｃｍ３～約１ｇ／ｃｍ３の密度を有する、請求項１または２に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項4】
前記第２のエアロゾル生成材料が、約０．４ｇ／ｃｍ３～約２ｇ／ｃｍ３の密度を有する、請求項１～３のいずれか一項に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項5】
前記第２の領域の前記第２のピーク温度への前記加熱が、前記第１の領域の前記第１のピーク温度への前記加熱よりも後に行われる、請求項１～４のいずれか一項に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項6】
前記第２の領域が、前記第１の領域よりも長時間にわたって加熱される、請求項１～５のいずれか一項に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項7】
前記第１の領域の前記加熱のタイミングと前記第２の領域の前記加熱のタイミングが重複しない、請求項１～６のいずれか一項に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項8】
前記第１のピーク温度が、約１５０℃～約３５０℃である、請求項１～７のいずれか一項に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項9】
前記第１の領域が、約１０秒～約３００秒の期間、前記第１のピーク温度まで加熱される、請求項１～８のいずれか一項に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項10】
前記第２のピーク温度が、約１５０℃～約３５０℃である、請求項１～９のいずれか一項に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項11】
前記第２の領域が、約１０秒～約３００秒の期間、前記第２のピーク温度まで加熱される、請求項１～１０のいずれか一項に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項12】
前記第２のピーク温度が、前記第１のピーク温度よりも約１０～約１００℃高い、請求項１～１１のいずれか一項に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項13】
前記物品の前記加熱が、吸入可能媒体内への揮発性化合物の比較的一定の放出を提供する、請求項１～１２のいずれか一項に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項14】
前記第２の領域が、前記第１の領域が前記第１のピーク温度まで加熱された後に、前記第２のピーク温度まで加熱される、請求項１～１３のいずれか一項に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項15】
前記第２の領域が、前記第１の領域の前記加熱が停止した後に、前記第２のピーク温度まで加熱される、請求項１～１４のいずれか一項に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項16】
前記第２のエアロゾル生成材料が、押出成形されたタバコを含む、請求項１～１５のいずれか一項に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項17】
前記第２のエアロゾル生成材料が、ビーズを含む、請求項１～１６のいずれか一項に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項18】
前記第１のエアロゾル生成材料が、葉肉タバコ材料および再構成タバコ材料からなる群から選択された１つ以上のタバコ材料を含む、請求項１～１７のいずれか一項に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項19】
前記第１および第２のエアロゾル生成材料のうちの少なくとも一方が、葉肉タバコ材料および再構成タバコ材料の組合せを含む、請求項１～１８のいずれか一項に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項20】
前記葉肉タバコ材料と前記再構成タバコ材料が、重量で１：４～４：１の比で前記エアロゾル生成材料中に存在する、請求項１９に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項21】
前記第１のエアロゾル生成材料と前記第２のエアロゾル生成材料が、同じレベルの揮発性化合物を有する、請求項１～２０のいずれか一項に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項22】
前記揮発性化合物が、ニコチンである、請求項２１に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項23】
前記第１のエアロゾル生成材料からの揮発性化合物の放出と前記第２のエアロゾル生成材料からの揮発性化合物の放出が、前記材料が所与の温度に達したときに同じ速度である、請求項１～２２のいずれか一項に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項24】
前記第２の領域が、前記第１の領域の下流にあるように構成されている、請求項１～２３のいずれか一項に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項25】
前記第１のエアロゾル生成材料と前記第２のエアロゾル生成材料が、別個の領域にある、請求項１～２４のいずれか一項に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項26】
前記第１のエアロゾル生成材料と前記第２のエアロゾル生成材料が、重量で１：１０～１０：１の比で前記物品中に存在する、請求項１～２５のいずれか一項に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項27】
エアロゾル供給システムのための物品であって、前記物品が、第１のエアロゾル生成材料と、第２のエアロゾル生成材料と、を備え、前記第２のエアロゾル生成材料が、離散粒子の形態または粒子の凝集された塊の形態であり、
前記第２のエアロゾル生成材料が、前記第２のエアロゾル生成材料よりも高い密度を有する、
物品。
【請求項28】
前記第２のエアロゾル生成材料が、エアロゾル生成材料のビーズまたはペレットを含む、請求項２７に記載の物品。
【請求項29】
前記第２のエアロゾル生成材料が、エアロゾル生成材料の圧縮された、押出成形された、または成形された塊である、請求項２７または２８に記載の物品。
【請求項30】
請求項１～２６のいずれか一項に記載のエアロゾル供給システムで使用するための、請求項２７～２９のいずれか一項に記載の物品。
【請求項31】
前記第１のエアロゾル生成材料と前記第２のエアロゾル生成材料が、同じニコチン含有量を有する、請求項２７～３０のいずれか一項に記載の物品。
【請求項32】
前記第１のエアロゾル生成材料と前記第２のエアロゾル生成材料が、所与の温度まで加熱されると同じ速度でニコチンを放出する、請求項２７～３１のいずれか一項に記載の物品。
【請求項33】
前記第１のエアロゾル生成材料が、離散粒子の形態または粒子の凝集された塊の形態である、請求項２７～３２のいずれか一項に記載の物品。
【請求項34】
前記第１のエアロゾル生成材料が、エアロゾル生成材料のビーズもしくはペレットを含むか、またはエアロゾル生成材料の圧縮された、押出成形された、もしくは成形された塊である、請求項３３に記載の物品。
【請求項35】
前記物品が、前記第１のエアロゾル生成材料を備える第１の領域と、前記第２のエアロゾル生成材料を備える第２の領域と、を備える、請求項２７～３４のいずれか一項に記載の物品。
【請求項36】
前記第２の領域が、前記第１の領域の下流にあるように構成されている、請求項３５に記載の物品。
【請求項37】
複数回のパフをもたらす使用期間にわたって前記システムによって発生したエアロゾル中の揮発性成分の一貫した送達を提供するための、請求項１～２６のいずれか一項に記載のエアロゾル供給システムの使用。
【請求項38】
複数回のパフをもたらす使用期間にわたって前記物品を加熱することによって発生したエアロゾル中の揮発性成分の一貫した送達を提供するための、請求項２７～３６のいずれか一項に記載の物品の使用。
【請求項39】
請求項１～２６のいずれか一項に記載のシステムまたは請求項２７～３６のいずれか一項に記載の物品を使用してエアロゾルを生成する方法であって、前記方法が、前記第１の領域を第１のピーク温度まで加熱するステップと、前記第２の領域を第２のピーク温度まで加熱するステップと、を含み、前記第２の領域が、前記第１の領域が前記第１のピーク温度に達するよりも後に前記第２のピーク温度に達する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を加熱するように構成されたエアロゾル供給システムに関し、物品は、第１のエアロゾル生成材料を備える第１の領域と、第２のエアロゾル生成材料を備える第２の領域と、を備える。本発明はまた、エアロゾル供給システムのための物品であって、物品が、第１のエアロゾル生成材料と、第２のエアロゾル生成材料と、を備える、物品に関する。本発明はまた、システムおよび物品の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
シガレットおよび葉巻などの物品は、使用中にタバコを燃焼させてタバコの煙を発生させる。燃やすことなく化合物を放出する製品を作り出すことによってこれらの物品の代替物を提供するための試みがなされてきた。このような製品の例は、エアロゾル生成材料を燃焼ではなく加熱することによって化合物を放出する、タバコ加熱製品またはタバコ加熱装置としても知られるいわゆる「非燃焼加熱式」製品である。
【0003】
エアロゾル生成材料は、例えば、タバコもしくは他の非タバコ製品、またはニコチンを含有する場合もしない場合もあるブレンドされた混合物などの組合せであり得る。
【0004】
いくつかの既知のタバコ加熱デバイスは、２つ以上のヒータを含み、各ヒータは、使用中にエアロゾル生成材料の異なる部分を加熱するように構成されている。その場合、これにより、使用寿命にわたるエアロゾル形成の長寿化が実現されるように、エアロゾル生成材料の異なる部分を異なる時間に加熱することが可能になる。
【発明の概要】
【0005】
本発明の第１の態様によれば、エアロゾル供給デバイスと、物品と、を備えるエアロゾル供給システムであって、物品が、第１のエアロゾル生成材料を備える第１の領域と、第２のエアロゾル生成材料を備える第２の領域と、を備え、第２のエアロゾル生成材料が、第１のエアロゾル生成材料よりも高い密度を有し、デバイスが、第１の領域を第１のピーク温度まで加熱しかつ第２の領域を第２のピーク温度まで加熱するように構成された加熱システムを備え、第２の領域が、第１の領域が第１のピーク温度に達するよりも後に第２のピーク温度に達する、エアロゾル供給システムが提供される。
【0006】
いくつかの実施形態では、第２のエアロゾル生成材料の密度は、第１のエアロゾル生成材料の密度よりも少なくとも約２５％高い。
【0007】
いくつかの実施形態では、第１のエアロゾル生成材料は、約０．１ｇ／ｃｍ３～約１ｇ／ｃｍ３の密度を有する。
【0008】
いくつかの実施形態では、第２のエアロゾル生成材料は、約０．４ｇ／ｃｍ３～約２ｇ／ｃｍ３の密度を有する。
【0009】
いくつかの実施形態では、第２の領域の第２のピーク温度への加熱は、第１の領域の第１のピーク温度への加熱よりも後に行われる。
【0010】
いくつかの実施形態では、第２の領域は、第１の領域よりも長時間にわたって加熱される。
【0011】
いくつかの実施形態では、第１の領域の加熱のタイミングと第２の領域の加熱のタイミングが重複しない。
【0012】
いくつかの実施形態では、第１のピーク温度は、約１５０℃～約３５０℃である。
【0013】
いくつかの実施形態では、第１の領域は、約１０秒～約３００秒の期間、第１のピーク温度まで加熱される。
【0014】
いくつかの実施形態では、第２のピーク温度は、約１５０℃～約３５０℃である。
【0015】
いくつかの実施形態では、第２の領域は、約１０秒～約３００秒の期間、第２のピーク温度まで加熱される。
【0016】
いくつかの実施形態では、第２のピーク温度は、第１のピーク温度よりも約１０～約１００℃高い。
【0017】
いくつかの実施形態では、物品の加熱は、吸入可能媒体内への揮発性化合物の比較的一定の放出を提供する。
【0018】
いくつかの実施形態では、第２の領域は、第１の領域が第１のピーク温度まで加熱された後に、第２のピーク温度まで加熱される。
【0019】
いくつかの実施形態では、第２の領域は、第１の領域の加熱が停止した後に、第２のピーク温度まで加熱される。
【0020】
いくつかの実施形態では、第２のエアロゾル生成材料は、押出成形されたタバコを含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、第２のエアロゾル生成材料は、ビーズを含む。
【0022】
いくつかの実施形態では、第１のエアロゾル生成材料は、葉肉（lamina）タバコ材料および再構成（reconstituted）タバコ材料からなる群から選択された１つ以上のタバコ材料を含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、第１および第２のエアロゾル生成材料のうちの少なくとも一方は、葉肉タバコ材料および再構成タバコ材料の組合せを含む。いくつかの実施形態では、葉肉タバコ材料と再構成タバコ材料は、重量で１：４～４：１の比でエアロゾル生成材料中に存在する。
【0024】
いくつかの実施形態では、第１のエアロゾル生成材料と第２のエアロゾル生成材料は、同じレベルの揮発性化合物を有する。いくつかの実施形態では、揮発性化合物は、ニコチンである。
【0025】
いくつかの実施形態では、第１のエアロゾル生成材料からの揮発性化合物の放出と第２のエアロゾル生成材料からの揮発性化合物の放出は、材料が所与の温度に達したときに同じ速度である。
【0026】
いくつかの実施形態では、第２の領域は、第１の領域の下流にあるように構成されている。
【0027】
いくつかの実施形態では、第１のエアロゾル生成材料と第２のエアロゾル生成材料は、別個の領域にある。
【0028】
いくつかの実施形態では、第１のエアロゾル生成材料と第２のエアロゾル生成材料は、重量で１：１０～１０：１の比で物品中に存在する。
【0029】
本発明の第２の態様によれば、エアロゾル供給システムのための物品であって、物品が、第１のエアロゾル生成材料と、第２のエアロゾル生成材料と、を備え、第２のエアロゾル生成材料が、離散粒子の形態または粒子の凝集された塊の形態であり、第２のエアロゾル生成材料が、第２のエアロゾル生成材料よりも高い密度を有する、物品が提供される。
【0030】
いくつかの実施形態では、第２のエアロゾル生成材料は、エアロゾル生成材料のビーズまたはペレットを含む。
【0031】
いくつかの実施形態では、第２のエアロゾル生成材料は、エアロゾル生成材料の圧縮された、押出成形された、または成形された塊である。
【0032】
いくつかの実施形態では、物品は、第１の態様によるエアロゾル供給システムで使用するためのものである。
【0033】
いくつかの実施形態では、第１のエアロゾル生成材料と第２のエアロゾル生成材料は、同じニコチン含有量を有する。
【0034】
いくつかの実施形態では、第１のエアロゾル生成材料と第２のエアロゾル生成材料は、所与の温度まで加熱されると同じ速度でニコチンを放出する。
【0035】
いくつかの実施形態では、第１のエアロゾル生成材料は、離散粒子の形態または粒子の凝集された塊の形態である。いくつかの実施形態では、第１のエアロゾル生成材料は、エアロゾル生成材料のビーズもしくはペレットを含むか、またはエアロゾル生成材料の圧縮された、押出成形された、もしくは成形された塊である。
【0036】
いくつかの実施形態では、物品は、第１のエアロゾル生成材料を備える第１の領域と、第２のエアロゾル生成材料を備える第２の領域と、を備える。いくつかの実施形態では、第２の領域は、第１の領域の下流にあるように構成されている。
【0037】
本発明の第３の態様によれば、複数回のパフをもたらす使用期間にわたってシステムによって発生したエアロゾル中の揮発性成分の一貫した送達を提供するための、第１の態様によるエアロゾル供給システムの使用が提供される。
【0038】
本発明の第４の態様によれば、複数回のパフをもたらす使用期間にわたって物品を加熱することによって発生したエアロゾル中の揮発性成分の一貫した送達を提供するための、第２の態様による物品の使用が提供される。
【0039】
本発明の第５の態様によれば、第１の態様によるシステムまたは第２の態様による物品を使用してエアロゾルを生成する方法であって、方法が、第１の領域を第１のピーク温度まで加熱することと、第２の領域を第２のピーク温度まで加熱することと、を含み、第２の領域が、第１の領域が第１のピーク温度に達するよりも後に第２のピーク温度に達する、方法が提供される。
【0040】
次に、添付の図面を参照して、本発明の実施形態を単に例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】加熱時に異なるエアロゾル生成材料サンプルによって放出されたニコチンのパフ当たりのパーセンテージを示すグラフである。
【図2】加熱時に異なるエアロゾル生成材料サンプルによって放出されたグリセロールのパフ当たりのパーセンテージを示すグラフである。
【図3】異なる密度を有するエアロゾル生成材料の２つの領域の第１の構成を有するロッドの長手方向断面図である。
【図4】異なる密度を有するエアロゾル生成材料の２つの領域の代替的な構成を有するロッドの長手方向断面図である。
【図5a】異なる密度を有するエアロゾル生成材料の２つの領域のさらに別の構成を有するロッドの長手方向断面図である。
【図6】エアロゾル生成材料の２つの領域および口端部セクションを備える、エアロゾル供給システムで使用するための物品の長手方向断面図である。
【図7】エアロゾル生成材料の２つの領域と、冷却セクションとしてのスペーサセクションおよび口端部セクションを備える口端部アセンブリと、を備える、エアロゾル供給システムで使用するための物品の長手方向断面図である。
【図8】エアロゾル生成材料の２つの領域と、冷却セクションとしてのスペーサセクションおよび管状口端部セクションを備える口端部アセンブリと、を備える、エアロゾル供給システムで使用するための物品の長手方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本発明は、一般に、物品を加熱するように構成されたエアロゾル供給システムに関し、物品は、第１のエアロゾル生成材料を備える第１の領域と、第２のエアロゾル生成材料を備える第２の領域と、を備え、第２のエアロゾル生成材料は、第１のエアロゾル生成材料よりも高い密度を有する。
【0043】
第１および第２のヒータを使用して第１および第２のタバコ材料を別々に加熱することは知られているが、第２の材料が第１の材料よりも高い密度を有することは示唆されていない。このより高い密度は、第２のエアロゾル生成材料は加熱するのにより長い時間がかかることとなることを意味する。これにより、第１および第２のエアロゾル生成材料からの揮発性物質の放出のタイミングが制御されて、所望の送達プロファイルを提供することが可能になる。例えば、いくつかの実施形態では、少なくとも１つの揮発性物質の送達は、物品の使用期間にわたってパフごとに比較的一貫し得る。揮発性成分は、例えば、ニコチンおよび／または１つ以上の香味成分であり得る。
【0044】
本発明のシステムでは、エアロゾル供給デバイスは、第１の領域を第１のピーク温度まで加熱しかつ第２の領域を第２のピーク温度まで加熱するように構成された加熱システムを備える。第２のエアロゾル生成材料の密度がより高い結果として、第２の領域および／またはその中の第２のエアロゾル生成材料は、第１の領域および／またはその中の第１のエアロゾル生成材料が第１のピーク温度に達するよりも後に第２のピーク温度に達する。いくつかの実施形態では、これは、システムの使用セッション全体を通して、ニコチンなどの揮発性成分のより一貫した放出を促進する。
【0045】
本開示によれば、エアロゾル供給システムは、ユーザへの少なくとも１つの物質の送達を容易にするために、エアロゾル供給システムの構成エアロゾル生成材料（またはその成分）が燃やされないかまたは燃焼されないシステムである。具体的には、エアロゾル供給システムは、非燃焼加熱式システムとしても知られるエアロゾル生成材料加熱システムである。エアロゾル生成材料加熱システムは、エアロゾル生成材料を加熱するように構成された加熱システムを備えるエアロゾル供給デバイスを備える。
【0046】
いくつかの実施形態では、システムは動力式エアロゾル供給システムである。
【0047】
いくつかの実施形態では、エアロゾル供給システムは、１つまたは複数のエアロゾル生成材料が加熱され得るエアロゾル生成材料の組合せを使用してエアロゾルを生成するハイブリッドシステムである。エアロゾル生成材料の各々は、例えば、固体、液体、またはゲルの形態であり得、ニコチンを含有する場合もしない場合もある。いくつかの実施形態では、ハイブリッドシステムは、液体またはゲルエアロゾル生成材料および固体エアロゾル生成材料を備える。固体エアロゾル生成材料は、例えば、タバコまたは非タバコ製品を含み得る。
【0048】
典型的には、エアロゾル供給システムは、エアロゾル供給デバイスと、エアロゾル供給デバイスとともに使用するための消耗品または物品と、を備え得る。
【0049】
いくつかの実施形態では、本開示は、エアロゾル生成材料を備えかつエアロゾル供給デバイスとともに使用されるように構成された、物品（本明細書では消耗品とも呼ばれる）に関する。
【0050】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される物品は、第１のエアロゾル生成材料を備える第１の領域と、第２のエアロゾル生成材料を備える第２の領域と、を備える。物品は、いくつかの実施形態では、第３、第４、または第５の領域などのさらなる領域および／またはさらなるエアロゾル生成材料を備え得る。
【0051】
物品の第１のエアロゾル生成材料と第２のエアロゾル生成材料は、異なる密度を有する。そうでなければ、物品中のエアロゾル生成材料は、同じであっても異なってもよい。
【0052】
第１のエアロゾル生成材料よりも高い密度を有する第２のエアロゾル生成材料を備える領域を設けると、異なる密度は、同じ加熱にさらされたときに第２のエアロゾル生成材料を第１のエアロゾル生成材料よりもゆっくりと加熱させ、第２のエアロゾル生成材料の揮発性化合物（例えばニコチン）を第１のエアロゾル生成材料よりも遅い速度で放出することとなることが見出された。したがって、異なる密度を有するエアロゾル生成材料を、任意選択的に異なる時間および／または異なる温度でこれらの材料を別々に加熱することと組み合わせることにより、物品の消費期間にわたって揮発性化合物（複数可）のより調節された放出を提供することが可能になり、例えば、揮発性化合物（複数可）のより一貫した持続性の放出を提供することが可能になる。あるいは、使用によるより大きな初期影響をユーザに提供するために、物品の消費の開始頃に揮発性物質のより迅速なまたはより大きな放出を有することが望ましい場合がある。エアロゾル生成および揮発性化合物放出を制御する能力は、物品を比較的小さくすることができる一方で、消費期間にわたって揮発性化合物（複数可）の特定の所望の放出を依然として達成することができるため、特に有利であり得る。
【0053】
いくつかの実施形態では、第２のエアロゾル生成材料は、第１のエアロゾル生成材料の密度よりも少なくとも約２５％高い密度を有し、任意選択的に、第１のエアロゾル生成材料の密度よりも少なくとも約３０％、３５％、４０％、４５％、５０％、５５％、６０％、６５％、７０％、または７５％高い密度を有する。第２のエアロゾル生成材料は、第１のエアロゾル生成材料の密度よりも約２００％以下高く、任意選択的に、第１のエアロゾル生成材料の密度よりも約１５０％、１２５％、１００％、または７５％以下高い密度を有し得る。いくつかの実施形態では、第２のエアロゾル生成材料は、第１のエアロゾル生成材料の密度よりも約２５％～約７５％高い密度を有する。
【0054】
いくつかの実施形態では、第１のエアロゾル生成材料は、少なくとも約０．１ｇ／ｃｍ３、任意選択的に少なくとも約０．２、０．３、０．４、０．５、０．６、０．７、０．８、または０．９ｇ／ｃｍ３の密度を有する。第１のエアロゾル生成材料は、約１ｇ／ｃｍ３以下、任意選択的に約０．９、０．８、０．７、０．６、０．５、０．４、０．３、または０．２ｇ／ｃｍ３以下の密度を有し得る。いくつかの実施形態では、第１のエアロゾル生成材料の密度は、約０．１～０．９ｇ／ｃｍ３である。
【0055】
いくつかの実施形態では、第２のエアロゾル生成材料は、少なくとも約０．４ｇ／ｃｍ３、任意選択的に少なくとも約０．５、０．６、０．７、０．８、０．９、１、１．１、１．２、１．３、１．４、１．５、１．６、１．７、１．８、１．９、または２ｇ／ｃｍ３の密度を有する。第２のエアロゾル生成材料は、約２ｇ／ｃｍ３以下、および任意選択的に約１．９、１．８、１．７、１．６、１．５、１．４、１．３、１．２、１．１、１、０．９、０．８、０．７、０．６、または０．５ｇ／ｃｍ３以下の密度を有し得る。いくつかの実施形態では、第１のエアロゾル生成材料の密度は、約０．４～１．９９ｇ／ｃｍ３である。
【0056】
エアロゾル生成材料
エアロゾル生成材料は、例えば、任意の他の方法で加熱された、照射された、またはエネルギーが与えられたときにエアロゾルを生成することができる材料である。エアロゾル生成材料は、例えば、活性物質および／または香味料を含有する場合もしない場合もある固体、液体、またはゲルの形態であり得る。いくつかの実施形態では、エアロゾル生成材料は「非晶質固体」を含み得、これは代替的に「モノリシック固体」（すなわち、非繊維状）と呼ばれ得る。いくつかの実施形態では、非晶質固体は乾燥ゲルであり得る。非晶質固体は、非晶質固体中に液体などの何らかの流体を保持し得る固体材料である。いくつかの実施形態では、エアロゾル生成材料は、例えば、約５０ｗｔ％、６０ｗｔ％、または７０ｗｔ％の非晶質固体から、約９０ｗｔ％、９５ｗｔ％、または１００ｗｔ％の非晶質固体までを含み得る。
エアロゾル生成材料は、例えば、任意の他の方法で加熱された、照射された、またはエネルギーが与えられたときにエアロゾルを生成することができる材料である。エアロゾル生成材料は、例えば、活性物質および／または香味料を含有する場合もしない場合もある固体、液体、またはゲルの形態であり得る。いくつかの実施形態では、エアロゾル生成材料は「非晶質固体」を含み得、これは代替的に「モノリシック固体」（すなわち、非繊維状）と呼ばれ得る。いくつかの実施形態では、非晶質固体は乾燥ゲルであり得る。非晶質固体は、非晶質固体中に液体などの何らかの流体を保持し得る固体材料である。いくつかの実施形態では、エアロゾル生成材料は、例えば、約５０ｗｔ％、６０ｗｔ％、または７０ｗｔ％の非晶質固体から、約９０ｗｔ％、９５ｗｔ％、または１００ｗｔ％の非晶質固体までを含み得る。
【0057】
エアロゾル生成材料は、１つ以上の活性物質および／または香味、１つ以上のエアロゾル形成剤材料、ならびに任意選択的に１つ以上の他の機能性材料を含み得る。
【0058】
エアロゾル形成剤材料は、エアロゾルを形成することができる１つ以上の構成成分を含み得る。いくつかの実施形態では、エアロゾル形成剤材料は、グリセリン、グリセロール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、１，３－ブチレングリコール、エリスリトール、メソエリスリトール、バニリン酸エチル、ラウリン酸エチル、スベリン酸ジエチル、クエン酸トリエチル、トリアセチン、ジアセチン混合物、安息香酸ベンジル、フェニル酢酸ベンジル、トリブチリン、酢酸ラウリル、ラウリン酸、ミリスチン酸、および炭酸プロピレンのうちの１つ以上を含み得る。
【0059】
１つ以上の他の機能性材料は、ｐＨ調整剤、着色剤、保存剤、結合剤、充填剤、安定剤、および／または酸化防止剤のうちの１つ以上を含み得る。
【0060】
本明細書で使用される活性物質は、生理学的応答を達成または増強することを意図した材料である生理学的活性材料であり得る。活性物質は、例えば、栄養補助食品、向知性薬、および向精神薬から選択され得る。活性物質は、天然に存在してもよく、または合成により得られてもよい。活性物質は、例えば、ニコチン、カフェイン、タウリン、テイン、Ｂ６もしくはＢ１２もしくはＣなどのビタミン、メラトニン、カンナビノイド、またはそれらの構成成分、誘導体、もしくは組合せを含み得る。活性物質は、タバコ、大麻、または別の植物性物質の１つ以上の構成成分、誘導体、または抽出物を含み得る。
【0061】
いくつかの実施形態では、活性物質は、ニコチンを含む。いくつかの実施形態では、活性物質は、カフェイン、メラトニン、またはビタミンＢ１２を含む。
【0062】
本明細書で述べるように、活性物質は、１つ以上の植物性物質、またはその構成成分、誘導体、もしくは抽出物を含むか、またはそれらに由来し得る。本明細書で使用される場合、「植物性物質」という用語は、限定するものではないが、抽出物、葉、樹皮、繊維、茎、根、種子、花、果実、花粉、外皮、または殻などを含む植物に由来する任意の材料を含む。あるいは、材料は、植物性物質中に天然に存在する活性化合物を合成して得たものを含んでもよい。材料は、液体、ガス、固体、粉末、細粉、破砕された粒子、顆粒、ペレット、細片、ストリップ、またはシートなどの形態であり得る。例示的な植物性物質は、タバコ、ユーカリ、スターアニス、麻、ココア、大麻、フェンネル、レモングラス、ペパーミント、スペアミント、ルイボス、カモミール、亜麻、ショウガ、イチョウ、ハシバミ、ハイビスカス、月桂樹、甘草（リコリス）、抹茶、マテ、オレンジの皮、パパイヤ、バラ、セージ、緑茶もしくは紅茶などの茶、タイム、チョウジ、シナモン、コーヒー、アニシード（アニス）、バジル、ローリエ、カルダモン、コリアンダー、クミン、ナツメグ、オレガノ、パプリカ、ローズマリー、サフラン、ラベンダー、レモンの皮、ミント、ビャクシン、ニワトコの花、バニラ、ウィンターグリーン、シソ、クルクマ、ウコン、サンダルウッド、シラントロ、ベルガモット、オレンジの花、ギンバイカ、カシス、バレリアン、ピメント、メース、ダミアン、マジョラム、オリーブ、レモンバーム、レモンバジル、チャイブ、カルヴィ、バーベナ、タラゴン、ゼラニウム、クワ、チョウセンニンジン、テアニン、テアクリン、マカ、アシュワガンダ、ダミアナ、ガラナ、クロロフィル、バオバブ、またはそれらの任意の組合せである。ミントは、以下のミント品種である、ヨウシュハッカ、ハッカｃ．ｖ．、エジプシャンミント、セイヨウハッカ、オーデコロンミント、キャンディーミント、カーリーミント、ケンタッキーカーネルミント、ホースミント、パイナップルミント、ペニーロイヤルミント、ミドリハッカ、およびアップルミントから選択され得る。
【0063】
いくつかの実施形態では、活性物質は１つ以上の植物性物質またはその構成成分、誘導体、もしくは抽出物を含むか、またはそれらに由来し、植物性物質はタバコである。
【0064】
いくつかの実施形態では、活性物質は１つ以上の植物性物質またはその構成成分、誘導体、もしくは抽出物を含むか、またはそれらに由来し、植物性物質はユーカリ、スターアニス、ココア、および麻から選択される。
【0065】
いくつかの実施形態では、活性物質は１つ以上の植物性物質またはその構成成分、誘導体、もしくは抽出物を含むか、またはそれらに由来し、植物性物質はルイボスおよびフェンネルから選択される。
【0066】
いくつかの実施形態では、エアロゾル生成材料によって送達される物質は、香味を含む。
【0067】
本明細書で使用される場合、「香味」および「香味料」という用語は、地域の規制が認可している場合に、成人消費者向けの製品に所望の味、香り、または他の体性感覚を作り出すために使用され得る材料を指す。それらは、天然に存在する香味材料、植物性物質、植物性物質の抽出物、合成により得られた材料、またはそれらの組合せ（例えば、タバコ、大麻、甘草（リコリス）、アジサイ、オイゲノール、ホオノキの葉、カモミール、フェヌグリーク、チョウジ、カエデ、抹茶、メントール、ニホンハッカ、アニシード（アニス）、シナモン、ターメリック、インディアンスパイス、アジアンスパイス、ハーブ、ウィンターグリーン、サクランボ、ベリー、レッドベリー、クランベリー、モモ、リンゴ、オレンジ、マンゴー、クレメンタイン、レモン、ライム、トロピカルフルーツ、パパイヤ、ルバーブ、ブドウ、ドリアン、ドラゴンフルーツ、キュウリ、ブルーベリー、クワ、柑橘類、ドランブイ、バーボン、スコッチ、ウイスキー、ジン、テキーラ、ラム、スペアミント、ペパーミント、ラベンダー、アロエベラ、カルダモン、セロリ、カスカリラ、ナツメグ、サンダルウッド、ベルガモット、ゼラニウム、カート、ナスベイ、キンマ、シーシャ、マツ、ハニーエッセンス、バラ油、バニラ、レモン油、オレンジ油、オレンジの花、サクラの花、カシア、キャラウェイ、コニャック、ジャスミン、イランイラン、セージ、フェンネル、ワサビ、ピーマン、ショウガ、コリアンダー、コーヒー、麻、ハッカ属のいずれかの種からのハッカ油、ユーカリ、スターアニス、ココア、レモングラス、ルイボス、亜麻、イチョウ、ハシバミ、ハイビスカス、月桂樹、マテ、オレンジの皮、バラ、緑茶もしくは紅茶などの茶、タイム、ビャクシン、ニワトコの花、バジル、ローリエ、クミン、オレガノ、パプリカ、ローズマリー、サフラン、レモンの皮、ミント、シソ、クルクマ、シラントロ、ギンバイカ、カシス、カノコソウ、ピメント、メース、ダミアン、マジョラム、オリーブ、レモンバーム、レモンバジル、チャイブ、カルヴィ、バーベナ、タラゴン、リモネン、チモール、カンフェン）、香味増強剤、苦味受容体部位遮断薬、感覚受容体部位活性化剤もしくは刺激剤、糖および／もしくは代替糖（例えば、スクラロース、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、サッカリン、シクラメート、ラクトース、スクロース、グルコース、フルクトース、ソルビトール、もしくはマンニトール）、ならびに木炭、クロロフィル、ミネラル、植物性物質、もしくは呼気清涼化剤などの他の添加剤を含み得る。それらは、模倣、合成、もしくは天然原材料、またはそれらのブレンドであり得る。それらは、任意の好適な形態の、例えば、油などの液体、粉末などの固体、またはガスであり得る。
【0068】
いくつかの実施形態では、香味は、メントール、スペアミント、および／またはペパーミントを含む。いくつかの実施形態では、香味は、キュウリ、ブルーベリー、柑橘類、および／またはレッドベリーの香味成分を含む。いくつかの実施形態では、香味は、オイゲノールを含む。いくつかの実施形態では、香味は、タバコから抽出された香味成分を含む。いくつかの実施形態では、香味は、大麻から抽出された香味成分を含む。
【0069】
いくつかの実施形態では、香味は、感覚惹起剤を含み得、感覚惹起剤は、香りまたは味覚神経に加えて、またはその代わりに、第５脳神経（三叉神経）の刺激によって通常化学的に誘発され、知覚される体性感覚を達成することが意図されており、これらは、加熱、冷却、ヒリヒリ感、麻痺効果をもたらす薬剤を含み得る。好適な熱効果剤は、バニリルエチルエーテルであり得るが、これに限定されず、好適な冷却剤は、ユーカリプトール、ＷＳ－３であり得るが、これに限定されない。
【0070】
いくつかの実施形態では、第１のエアロゾル生成材料と第２のエアロゾル生成材料は、同じ成分を含む。したがって、加熱すると、それらは、潜在的に同じ含有量の活性物質および／または香味などを有する非常に類似したエアロゾルを放出する。それらの異なる密度により、加熱中に異なる速度および／または異なる時間で２つの材料からエアロゾルを生成することが可能になる。
【0071】
他の実施形態では、第１および第２のエアロゾル生成材料は、異なる成分を含む。したがって、加熱すると、それらは、潜在的に活性物質および／または香味などが異なる構成を有する異なるエアロゾルを放出することとなる。それらの異なる密度により、加熱中に異なる速度および／または異なる時間で２つの材料から異なるエアロゾルを生成することが可能になり、潜在的に使用期間にわたって変化するエアロゾルを提供する。
【0072】
いくつかの実施形態では、第１のエアロゾル生成材料および第２のエアロゾル生成材料は各々、タバコを含む。タバコは、ニコチン、香り、および香味を含む、揮発性成分を含有することとなる。タバコは、タバコ葉、葉肉、茎、柄、葉脈、切れ端、および小片、またはそれらのうちの２つ以上の混合物を含む、任意の種類のタバコおよびタバコ植物の任意の部分であり得る。好適なタバコ材料には、以下の種類である、バージニアもしくは黄色種タバコ、バーレー種タバコ、オリエンタル種タバコ、またはタバコ材料のブレンドが含まれ、任意選択的に本明細書に列挙されたものが含まれる。タバコは、ドライアイス膨張タバコ（ＤＩＥＴ）など、膨張されてもよく、または任意の他の手段によって処理されてもよい。いくつかの実施形態では、タバコ材料は、再構成タバコ材料であり得る。タバコは、前処理されても処理されなくてもよく、例えば、固体茎（ＳＳ）、細断乾燥茎（ＳＤＳ）、蒸気処理された茎（ＳＴＳ）、またはそれらの任意の組合せであり得る。タバコ材料は、発酵、硬化、未硬化、炙り、または他の方法で前処理されてもよい。
【0073】
第１のエアロゾル生成材料と第２のエアロゾル生成材料は、異なるタバコを含み得る。あるいは、タバコは同じであり得るが、第２のエアロゾル生成材料が第１のエアロゾル生成材料よりも高い密度を有するように、異なる形態で設けられ得る。
【0074】
いくつかの実施形態では、第１のエアロゾル生成材料は、第２のエアロゾル生成材料に対して少なくとも１つのさらなる異なる特性を有する。異なる特性は、第１および第２のエアロゾル生成材料を作製する材料の形態、サイズ、、含水量、（重量による）量、１つもしくは複数の材料、または割合のうちの１つ以上であり得る（各々が２つ以上の材料から製造される場合のエアロゾル生成材料のレシピを含む）。いくつかの実施形態では、第１および第２のエアロゾル生成材料は、第１および第２のエアロゾル生成材料の異なる密度以外の異なる特性を有さない。
【0075】
いくつかの実施形態では、第１のエアロゾル生成材料は、切断断片の形態の１つ以上のタバコを含む。このタバコ材料は、葉肉タバコ材料または再構成タバコ材料であり得る。いくつかの実施形態では、第１のエアロゾル生成材料は、葉肉タバコおよび再構成タバコの両方を含むブレンドである。例えば、葉肉タバコと再構成タバコとの比は、約１：４～約４：１であり得る。
【0076】
第２のエアロゾル生成材料は、第１のエアロゾル生成材料よりも高い密度を有する。いくつかの実施形態では、このより高密度の第２のエアロゾル生成材料は、粒子を含むか、またはビーズもしくは１つ以上のシートの形態であり得る。各ビーズまたはシートは、凝集されたより小さな粒子から形成されてもよい。
【0077】
本明細書で使用される場合、「ビーズ」という用語は、所望の形状に形作られた、成形された、圧縮された、または他の方法で作られたビーズ、ペレット、または他の個別の小さなユニットを含むことを意味する。ビーズは、滑らかで規則的な外形（例えば、球、円柱、卵形など）を有してもよく、かつ／または不規則な外形を有してもよい。
【0078】
いくつかの実施形態では、ビーズは、少なくとも約０．５ｍｍ、任意選択的に少なくとも約１、１．５、２．２．５、または３ｍｍの直径（例えば、ふるい分けによって測定された場合）を有する。ビーズは、約５ｍｍ以下、任意選択的に約４．５、４、３．５、３、２．５、２、または１．５ｍｍ以下の直径（例えば、ふるい分けによって測定された場合）を有し得る。いくつかの実施形態では、各ビーズの直径は、約０．５ｍｍ～約３ｍｍ、または約１ｍｍ～約２ｍｍの範囲であり得る。ビーズのサイズは、番号または体積平均サイズなどのビーズの平均サイズを指す場合がある。
【0079】
凝集
いくつかの実施形態では、エアロゾル生成材料の所望の密度は、材料の配合および／または材料が処理される方法（複数可）によって達成または制御される。凝集、特にいくらかの圧縮力の適用による凝集を伴うプロセスは、材料の密度を増加させる傾向を持つこととなる。
いくつかの実施形態では、エアロゾル生成材料の所望の密度は、材料の配合および／または材料が処理される方法（複数可）によって達成または制御される。凝集、特にいくらかの圧縮力の適用による凝集を伴うプロセスは、材料の密度を増加させる傾向を持つこととなる。
【0080】
したがって、いくつかの実施形態では、エアロゾル生成材料は、凝集された材料の粒子を含む。
【0081】
シート材料の場合、シートは、結合され、任意選択的に圧縮されて所望の寸法および密度を有するシートを形成する材料の粒子から形成され得る。
【0082】
いくつかの実施形態では、ビーズまたはペレットは、いわゆるマルマリジングプロセスを使用して形成することができる。
【0083】
いくつかの実施形態では、凝集はペレット化によるものである。ペレット化は、材料の微粒子を、任意選択的に賦形剤とともに、ペレットと呼ばれる自由流動性ユニットに変換する凝集プロセスである。選択された機器およびプロセスの種類に応じて、ペレット形成および成長はいくつかの方法で起こり得る。これらのペレットは、撹拌によって形成されてもよく、粒子が適切な量の液体の存在下で圧延および転動されると、凝集体が形成される。球形成形は、ペレットを製作するためのパン、ディスク、ドラム、またはミキサなどの装置の使用を伴い得る。圧縮ペレット化は、圧力凝集の一形態であり、ここでは粒子は、任意選択的に配合助剤を用いて機械的力によって一緒にされる。圧縮力は、形成されたペレットが出発材料と比較して増加した密度を有することを意味する。
【0084】
いくつかの実施形態では、凝集は押出成形によるものである。いくつかの実施形態では、ペレット化によって形成されたペレットが押出成形されて、より高密度の押出物が形成され得る。
【0085】
押出成形される粒子は、より高密度のエアロゾル生成材料を製作するように選択されたサイズを有し得、これは、材料内の熱伝達および揮発性成分の放出に影響を及ぼすこととなる。
【0086】
押出成形は、組成物（前駆体組成物とも呼ばれる）をダイを通して供給して押出成形製品を製作することを伴う。このプロセスは、せん断力と組み合わせて組成物に圧力を加える。
【0087】
押出成形は、主要な種類の押出機であるスクリュー、ふるいおよびバスケット、ロール、ラム、ならびにピンバレル押出機のうちの１つを使用して実行され得る。単軸または二軸押出機が使用され得る。押出成形によってタバコビーズを形成することは、この加工が組成物の圧縮、混合、コンディショニング、均質化、および成形を組み合わせるという利点を有する。
【0088】
いくつかの実施形態では、押出成形中、タバコ粒子などの粒子を含む自由流動性組成物は、高圧および高温にさらされ、成形ノズルまたはダイなどのオリフィスを通されて押出物を形成する。いくつかの実施形態では、押出物は棒状の形態を有し、所望の長さのセグメントに切断され得る。
【0089】
いくつかの実施形態では、組成物は、押出機内で約４０℃～約１５０℃、または約８０℃～約１３０℃、または約６０℃～約９５℃の温度にさらされる。二重押出成形を用いるものを含むいくつかの実施形態では、前駆体組成物は、押出機内で約７０℃～約９５℃の温度にさらされる。単一押出成形を用いるものを含むいくつかの実施形態では、前駆体組成物は、押出機内で約６０℃～約８０℃の温度にさらされる。
【0090】
組成物は、使用されるダイまたはノズルの設計に応じて、約２ｂａｒ～約１００ｂａｒ、または約５ｂａｒ～約６０ｂａｒの範囲の圧力（ダイまたはノズルの直前）にさらされ得る。圧力が高いほど、押出物の密度が高くなりやすい。したがって、押出成形プロセスは、所望の密度を有する押出成形されたエアロゾル生成材料を提供するように調整され得る。
【0091】
タバコ粒子が押出成形されるいくつかの実施形態では、押出物の密度が比較的高く、押出物の中のタバコ粒子の表面が比較的開いているため、押出物から形成されたタバコビーズは良好な熱伝達および質量移動を呈し、これは、香味およびニコチンなどのタバコ構成成分の放出にプラスの影響を与える。
【0092】
いくつかの実施形態では、押出成形は、一般に乾燥したプロセスであってもよく、組成物は、乾燥したまたは実質的に乾燥したエアロゾル生成粒子を含む。組成物は、任意選択的に、例えば、基剤、希釈剤、固体エアロゾル形成剤、固体香味改質剤などを含む他の粒状材料を含み得る。
【0093】
いくつかの実施形態では、液体が、押出成形プロセスの前または押出成形プロセス中に組成物に加えられ得る。例えば、水は、例えば、組成物の成分の溶解もしくは可溶化を支援するため、または結合もしくは凝集を助けるための加工助剤として加えられ得る。代替的または追加的に、湿潤剤を組成物に加えてもよい。
【0094】
いくつかの実施形態では、液体は、グリセロールまたは本明細書で論じられた他のものなどのエアロゾル形成剤材料であり得る。このようにして組成物に液体を加えたとき、液体は表面上に適用されるだけではなく、押出機の圧力と高いせん断力による激しい混合とが組み合わせられた結果として、押出物に液体が含浸されることになる。液体がエアロゾル形成剤材料である場合、これにより、結果として得られるビーズ中のエアロゾル形成剤材料の利用可能率が高くなり、揮発性成分の蒸発が増進され得る。
【0095】
いくつかの実施形態では、押出成形されたビーズに組み込まれたエアロゾル形成剤材料の量は、最大約３０重量％、さらには最大約４０重量％であり得る。通常、そのような大量のエアロゾル形成剤材料は、組成物を取り扱いにくくする可能性がある。しかしながら、押出成形により粒子にエアロゾル形成剤材料が含浸されている場合には、この問題はあまり発生しない。ビーズが揮発性成分を放出することに加えてエアロゾルを生成することになっている場合には、少なくとも約１０重量％または少なくとも約２０重量％などの量のエアロゾル形成剤材料を含むことが望ましい場合がある。ビーズの主な機能がビーズによって運ばれる揮発性構成成分を既存のエアロゾルまたは空気流中に放出することである場合、最大約５重量％などのより少量のエアロゾル形成剤材料で十分であり得る。
【0096】
いくつかの実施形態では、凝集体は、結合剤または結合添加剤を含まない。例えば、押出成形されたビーズは、押出成形されたビーズの構造的完全性を維持するために結合剤を必要としない場合がある。他の実施形態では、凝集体は、結合剤または結合添加剤を含む。結合添加剤は、粒子が互いにおよび組成物中の他の成分に接着するのを助けることによって凝集構造の形成を支援するように選択され得る。好適な結合添加剤には、例えば、ゼラチン、デンプン、多糖類、ペクチン、アルジネート、木材パルプ、セルロース、およびカルボキシメチルセルロースなどのセルロース誘導体などの熱可逆性ゲル化剤が含まれる。
【0097】
いくつかの実施形態では、押出成形による加工は、第２のエアロゾル生成材料の所望のより高い密度を提供するのに十分である。しかしながら、他の実施形態では、押出物は、エアロゾル生成材料の密度を増加させるためにさらに処理され得る。
【0098】
例えば、いくつかの実施形態では、押出成形されたエアロゾル生成材料は球形化を受ける。球形化では、押出成形された円筒形状の粒子は均一な長さに分割され、塑性変形により徐々に球形に変形される。押出物が最初に均一な長さに分割された場合、均一な直径を有する球が球形化ステップによって製作されることとなる。
【0099】
本明細書で論じられた実施形態のうちの１つの具体例によれば、第２のエアロゾル生成材料のサンプルは、以下のように製作された。
【0100】
結合剤を有するおよび有さない３つのサンプル配合物が表１に示されており、量は、湿潤重量基準（ＷＷＢ）のパーセントとして示されている。
【0101】
【表1】
タバコを過熱しないように注意しながら、タバコを粉砕して微粉を製作した。粉砕されたタバコ粒子をふるい分けして、所望のサイズ、例えば２５０μｍ未満、１００μｍ未満、または６０μｍ未満の粒径を有するものを選択した。
【0102】
次に、配合物のすべての乾燥（非液体）成分を組み合わせ、ミキサ内で混合またはブレンドした。この特定の例では、混合物を７５ＲＰＭの速度で１分間混合した。これは、乾燥成分が混合物内に均質的に分布することを確実にするためであった。
【0103】
次に、半分のグリセロールおよび半分の水を乾燥混合物に加え、混合した。具体的には、混合物を７５ＲＰＭでさらに１分間混合した。次いで、残りのグリセロールおよび水を加え、再び７５ＲＰＭで１分間混合した。次いで、均質な混合物が達成されることを確実にするために、混合物が塊体に圧搾され得るぼそぼそした稠度を有するまで混合を続けた。この特定の例では、追加の混合は３分間続いた。
【0104】
次いで、Ｃａｌｅｖａ Ｍｕｌｔｉｌａｂを用いて混合物を押出成形した。押出機を約１５００ｒｐｍで動作させて、スパゲティに似た長さの押出物を製作した。
【0105】
押出物を、押出機から出てくるときに様々な長さの切片に分割した。次いで、これらの切片を球形化した。球状ビーズが形成されるまで球形化を実行した。この場合、押出物を最初に２，５００ＲＰＭで１分間動作するＣａｌｅｖａ Ｍｕｌｔｉｌａｂにおいて球形化し、次いでビーズを欠陥がないかチェックした。次いで、球形化をさらに１～２分間続けた。この球形化ステップにおいて、押出成形されたタバコを個々の切片に分割し、高密度の球状ビーズを形成した。
【0106】
最終ステップでは、球形化されたビーズを６５℃のオーブン内で３０分間乾燥させた。各乾燥期間の後、ビーズを秤量し、所望の水分重量減少が達成されたときに乾燥を終了させた。一般に、そのような乾燥には約１時間かかることとなる。
【0107】
いくつかの実施形態では、第１のエアロゾル生成材料は、離散粒子の形態または粒子の凝集された塊の形態である。これらの粒子は、粒径などの様々な特性を第２のエアロゾル生成材料と共有し得るが、第２のエアロゾル生成材料よりも低い密度を有することとなる。上述のように、エアロゾル生成材料の密度を調整するには、材料の粒子、ビーズ、またはペレットへの配合および／または加工など、様々な方法がある。
【0108】
いくつかの実施形態では、第１のエアロゾル生成材料は、６０％の再構成タバコおよび４０％の葉肉タバコの組合せを含み、この材料の密度は約０．１～約０．９ｇ／ｃｍ３の範囲にある。第２のエアロゾル生成材料は、約３０～約９０％のタバコを含み、約０．４～約１．９９ｇ／ｃｍ３の範囲の密度を有する。第２のエアロゾル生成材料に含まれるエアロゾル形成材料の量は、約８～約１５％であり得る。第２のエアロゾル生成材料は、約０．５～約３ｍｍの粒径を有するほぼ球状のビーズを含み得る。いくつかの実施形態では、物品中のエアロゾル生成材料は、約５０重量％の第１のエアロゾル生成材料および約５０重量％の第２のエアロゾル生成材料を含む。したがって、例えば、２６０ｍｇのエアロゾル生成材料を備える物品は、１３０ｍｇの第１のエアロゾル生成材料および１３０ｍｇの第２のエアロゾル生成材料を含み得る。
【0109】
いくつかの実施形態では、エアロゾル生成材料がタバコを含む場合、タバコは、エアロゾル生成材料の約１０重量％～約９０重量％の量で存在する。
【0110】
いくつかの実施形態では、タバコは、エアロゾル生成材料の重量に基づいて、少なくとも約１０％、１１％、１２％、１３％、１４％、１５％、１６％、１７％、１８％、１９％、２０％、２１％、２２％、２３％、２４％、２５％、２６％、２７％、２８％、２９％、３０％、３１％、３２％、３３％、３４％、または少なくとも約３５％のタバコの量で存在し得る。
【0111】
いくつかの実施形態では、タバコは、エアロゾル生成材料の重量に基づいて、約９０％、８９％、８８％、８７％、８６％、８５％、８４％、８３％、８２％、８１％、８０％、７５％、７０％、６５％、６０％、５５％、５０％、４５％以下、または約４０％以下のタバコの量で存在し得る。
【0112】
本明細書に記載のタバコは、ニコチンを含有し得る。いくつかの実施形態では、ニコチン含有量はタバコの０．５～２重量％であり、例えば、タバコの０．５～１．７５重量％、タバコの０．８～１．２重量％、またはタバコの約０．８～約１．７５重量％であり得る。いくつかの実施形態では、ニコチン含有量は、タバコの０．８～１重量％であり得る。
【0113】
いくつかの実施形態では、第１のエアロゾル生成材料と第２のエアロゾル生成材料は、同じニコチン含有量を有する。
【0114】
いくつかの実施形態では、第１および第２のエアロゾル生成材料は、１つ以上の揮発性成分を含む。いくつかの実施形態では、第１のエアロゾル生成材料と第２のエアロゾル生成材料は、同じ揮発性成分含有量を有する。
【0115】
揮発性成分の放出
エアロゾル生成材料は、加熱されるか、照射されるか、またはエネルギーが与えられてエアロゾルを生成する。エアロゾルは、エアロゾル生成材料の異なる構成成分から放出された異なる成分を含むこととなる。例えば、エアロゾル形成剤材料は、加熱時にエアロゾルを形成することとなる。さらに、エアロゾルは、加熱時に放出された活性物質および香味などの揮発性成分も含むこととなる。エアロゾル生成材料がタバコ材料を含む場合、加熱すると、ニコチンおよび香味および香りを含む揮発性タバコ成分は放出されることとなり、エアロゾル形成剤材料から形成されたエアロゾル中に含まれることとなる。
エアロゾル生成材料は、加熱されるか、照射されるか、またはエネルギーが与えられてエアロゾルを生成する。エアロゾルは、エアロゾル生成材料の異なる構成成分から放出された異なる成分を含むこととなる。例えば、エアロゾル形成剤材料は、加熱時にエアロゾルを形成することとなる。さらに、エアロゾルは、加熱時に放出された活性物質および香味などの揮発性成分も含むこととなる。エアロゾル生成材料がタバコ材料を含む場合、加熱すると、ニコチンおよび香味および香りを含む揮発性タバコ成分は放出されることとなり、エアロゾル形成剤材料から形成されたエアロゾル中に含まれることとなる。
【0116】
揮発性成分の放出は、一般に温度依存性であるため、エアロゾル生成材料およびエアロゾル生成材料中の成分がある特定の閾値温度に達したときに発生することとなる。熱は、一般に、エアロゾル生成材料の異なる部分または領域が特定の時間に異なる温度になり得るように、材料を通じて拡散または伝達されることとなる。エアロゾル生成材料を通じた熱の拡散または伝達は、材料の密度を含む様々な要因に依存する。
【0117】
本発明の１つの目的は、所望の送達プロファイルを提供するように制御されるべき第１および第２のエアロゾル生成材料からの揮発性物質の放出の時間調整を可能にするために、異なる密度の第１および第２のエアロゾル生成材料の２つの領域を提供することである。具体的には、目的は、送達システムの使用の初期段階中に揮発性成分を放出することとなる第１のエアロゾル生成材料と、一方で使用の後期段階中に揮発性成分を放出する第２のエアロゾル生成材料とを組み合わせることである。これらの段階の適切な調和により、送達システムは、使用期間にわたってパフごとに比較的一貫して少なくとも１つの揮発性物質を送達することが可能になる。
【0118】
本発明者らは、エアロゾル生成材料が使用期間中に目標温度まで加熱される際に、エアロゾル生成材料の密度がニコチンおよびグリセロールを含む揮発性成分の放出に影響を及ぼすことを実証した。これは、図１および図２のグラフに示されている。
【0119】
サンプル１および２は、葉肉タバコおよび再構成タバコを含むブレンドを含む、より低い密度のエアロゾル生成材料である。サンプル３および４は、葉肉タバコおよび再構成タバコのより低い密度のブレンド、ならびに葉肉タバコおよび再構成タバコを含むブレンドから形成されたビーズの形態のより高い密度のエアロゾル生成材料の両方を含む。より高い密度のビーズを形成するために使用され得る方法は、以下の実施例に記載されている。
【0120】
サンプル１および２は、加熱開始からのこれらの揮発性成分のパフ当たりの放出の急速な増加を示し、これは３回目のパフでピークに達する。３回目のパフでは、サンプル１および２の両方が、９回のパフにわたって送達された総ニコチンの３０％超を放出し、他のパフのいずれよりも著しく多く放出した。グリセロール送達はまた、これらのサンプルについてこの時点でピークに達する。３回目のパフの後、揮発性成分の放出は急速に低下し、４回目のパフの後のパフ当たりの放出レベルは極めて低い。したがって、この低密度エアロゾル生成材料を含めることは、最初の数回のパフにわたって良好な放出プロファイルを提供するという利益を有するが、使用の後期段階では不十分なエアロゾルをもたらす。
【0121】
対照的に、サンプル３および４からの揮発性成分の放出は、加熱開始からはよりゆっくりではあるが、加熱期間にわたり、やはりより一貫している。放出の速度は３回目または４回目のパフでピークに達するように急速に増加するが、ニコチンおよびグリセロールのピークレベルまたは放出の速度は、サンプル１および２のより低い密度のエアロゾル生成材料のみで見られるものよりも低い。その上、揮発性成分の放出は、ほぼすぐに非常に低いレベルに低下するのではなく、ピーク後により長くにわたって（すなわち、より多くの数のパフにわたって）妥当なレベルに維持されている。
【0122】
したがって、異なる密度を有する２つ以上のエアロゾル生成材料の組合せは、後のパフ、特に使用セッションにおけるパフ５～９回目の揮発性成分のレベルを改善する。
【0123】
グラフには示されていないが、この効果は、より低い密度のエアロゾル生成材料をより低い密度のエアロゾル生成材料のピーク温度まで加熱した後に、より高い密度のエアロゾル生成材料をより高い密度のエアロゾル生成材料のピーク温度まで別々に加熱した場合、さらに改善される。異なるエアロゾル生成材料の加熱をずらすことによって、エアロゾル供給システムは、システムの使用期間全体を通して一貫して高レベルの揮発性成分を送達することができ、９回以上のパフを提供する使用セッションよりもはるかに改善された送達の一貫性が達成される。この改善された送達は、より大量のエアロゾル生成材料を使用する必要なく達成される。
【0124】
消耗品
消耗品は、エアロゾル生成材料を備えるかまたはそれからなる物品であり、その一部またはすべては、ユーザによる使用中に消費されることが意図されている。消耗品は、エアロゾル生成材料貯蔵エリア、エアロゾル生成材料移送構成要素、エアロゾル生成エリア、ハウジング、包装材、マウスピース、フィルタ、および／またはエアロゾル改質剤などの１つ以上の他の構成要素を備え得る。消耗品はまた、使用中に熱を発してエアロゾル生成材料にエアロゾルを生成させるヒータなどのエアロゾル生成器を備え得る。ヒータは、例えば、可燃性材料、電気伝導によって加熱可能な材料、またはサセプタを備え得る。
消耗品は、エアロゾル生成材料を備えるかまたはそれからなる物品であり、その一部またはすべては、ユーザによる使用中に消費されることが意図されている。消耗品は、エアロゾル生成材料貯蔵エリア、エアロゾル生成材料移送構成要素、エアロゾル生成エリア、ハウジング、包装材、マウスピース、フィルタ、および／またはエアロゾル改質剤などの１つ以上の他の構成要素を備え得る。消耗品はまた、使用中に熱を発してエアロゾル生成材料にエアロゾルを生成させるヒータなどのエアロゾル生成器を備え得る。ヒータは、例えば、可燃性材料、電気伝導によって加熱可能な材料、またはサセプタを備え得る。
【0125】
いくつかの実施形態では、消耗品または物品は、円柱などのロッド形状を有する。場合によっては、エアロゾル生成材料を備える第１、第２、および任意の他の領域は、円筒形であり得、ロッドに沿って同軸に配置され得る。
【0126】
そのような配置は、エアロゾル生成ロッドの長手方向断面図である図３に示されている。ロッドは、第１のエアロゾル生成材料３を備える第１の領域１と、第２のエアロゾル生成材料を備える第２の領域２と、を含む。この実施形態では、領域は、エアロゾル生成材料の円筒形プラグに当接している。
【0127】
代替的な構成が、ロッドの長手方向断面図でもある図４に示されている。ここでは、エアロゾル生成材料３、４の第１および第２の領域１、２は、それらが重なるように配置されている。
【0128】
【0129】
図１から図３に示すロッドは、エアロゾル供給システムで使用するための物品または消耗品に含まれ得る。ある実施形態では、そのようなロッドは、エアロゾル生成材料を保護し、かつ／またはロッド内でエアロゾル生成材料の異なる領域を一緒に保つのに役立ち得る包装紙などの包装材で任意選択的に囲まれた物品である。
【0130】
図６は、エアロゾル生成材料３、４の２つの領域１、２と、追加の口端部セクション５と、を備える、エアロゾル供給システムで使用するための物品１１の長手方向断面図である。口端部セクション５は、例えば、トウまたはシート材料などのフィルタ材料のプラグであり得、酢酸セルロース、紙、または他の既知の材料を任意選択的に含む。
【0131】
図７は、エアロゾル生成材料３、４の２つの領域１、２と、口端部アセンブリと、を備える、エアロゾル供給システムで使用するための物品１１の長手方向断面図である。口端部アセンブリは、一連の隣接するセクション、すなわちスペーサセクション６、冷却セクション７、および口端部セクション５を備える。物品のセクションは、示された順序だけでなく、任意の順序で存在してもよい。スペーサセクションは管状であり、壁７および中央ルーメン８を有する。管状スペーサの壁７は、酢酸セルロース、ポリラクチド、または紙などの材料を含み得る。冷却セクション６は、エアロゾル生成材料３、４が加熱されることにより生成された蒸気またはエアロゾルの冷却を支援する形状および／または材料を有する任意のセクションであり得る。口端部セクション５は、再び、トウまたはシート材料などのフィルタ材料のプラグであり得、酢酸セルロース、紙、または他の既知の材料を任意選択的に含む。
【0132】
【0133】
図示の実施形態は、単一のロッドの形態の２つの領域を示している。しかしながら、領域は、デバイス内に挿入され、ヒータによってそれぞれのピーク温度まで加熱される別個のプラグまたはカートリッジなど、別個に設けられ得る。
【0134】
図示の実施形態はまた、互いに当接する第１および第２の領域を示している。他の実施形態では、これらの領域間に間隙またはさらなるセクションが存在してもよい。これは、一方の領域の加熱が他方の領域の意図しない加熱につながるのを防ぐためであり得る。したがって、エアロゾル生成材料の領域間に何らかの形態の断熱材が設けられてもよい。
【0135】
いくつかの実施形態では、第１の領域と第２の領域は各々、同じ寸法を有し得る。他の実施形態では、第１および第２の領域は、異なる寸法を有し得る。いくつかの実施形態では、円筒形領域は、少なくとも約５ｍｍ、約５．５ｍｍ、約６ｍｍ、約６．５ｍｍ、約７ｍｍ、または少なくとも約７ｍｍ～約９ｍｍ以下、約８．５ｍｍ、または約８ｍｍ以下の断面直径を有し得る。
【0136】
いくつかの実施形態では、物品は、各々が少なくとも約１５ｍｍ、約１６ｍｍ、約１７ｍｍ、または約１８ｍｍであり、かつ約２７ｍｍ、約２６ｍｍ、約２５ｍｍ、または約２４ｍｍ以下の長さを有する２つのセクションを備える。ある実施形態では、第１および第２の領域は各々、約１７～約２４ｍｍの長さを有する。
【0137】
場合によっては、ロッドは、各々が約１５～２０ｍｍ、好適には約１８ｍｍの長さを有する２つのセクションを備え得る。場合によっては、ロッドは、各々が約２２～２７ｍｍ、好適には約２４ｍｍの長さを有する２つのセクションを備え得る。
【0138】
他の場合には、エアロゾル生成材料のセクションは、一緒に円柱などのロッドを形成するように配置された角柱状セクションの形態であり得る。例えば、２つのセクションがある場合、それらは半円筒状で、それぞれの平面が面し接触して配置されてもよい。
【0139】
消耗品または物品は、エアロゾル供給デバイスと、物品と、を備えるエアロゾル供給アセンブリで使用するためのものである。
【0140】
いくつかの実施形態では、エアロゾル供給デバイスは、動力源およびコントローラを備え得る。動力源は、例えば、電源または発熱動力源であり得る。いくつかの実施形態では、発熱動力源は、発熱動力源に近接するエアロゾル生成材料または熱伝達材料に熱の形態で動力を分配するようにエネルギーが与えられ得る炭素基材を備える。
【0141】
いくつかの実施形態では、エアロゾル供給システムは、物品を受容するためのエリア、エアロゾル生成器、エアロゾル生成エリア、ハウジング、マウスピース、フィルタ、および／またはエアロゾル改質剤を含み得る。
【0142】
いくつかの実施形態では、アセンブリは、異なるエアロゾル生成材料を備える物品の領域の各々に異なる熱プロファイルを提供するように構成されている。これにより、吸入されるエアロゾルの香味プロファイルをチューニングすることが可能になる。場合によっては、アセンブリは、エアロゾル組成物が使用期間にわたって変化するエアロゾルを供給するように構成され得る。他の場合には、アセンブリは、エアロゾル組成物が使用期間にわたって実質的に均一であるエアロゾルを供給するように構成され得る。
【0143】
いくつかの実施形態では、アセンブリは、エアロゾル生成材料の少なくとも一部分が加熱期間の少なくとも５０％にわたって少なくとも１８０℃または２００℃の温度にさらされるように構成され得る。いくつかの例では、エアロゾル生成材料は、国際公開第２０１８／０１９８５５号に記載されているような熱プロファイルにさらされ得、その内容はその全体が本明細書に組み込まれる。
【0144】
いくつかの実施形態では、エアロゾル生成材料の少なくとも２つの領域を別々に加熱するように構成されたアセンブリが設けられている。セクションの温度プロファイルが異なるように第１および第２の領域の温度を経時的に制御することによって、使用中のエアロゾルのパフプロファイルを制御することが可能である。エアロゾル生成材料の２つの領域に供給される熱は、異なる時間または速度で供給され得、このように加熱をずらすことにより、迅速なエアロゾルの発生および使用の長寿化の両方が可能になり得る。
【0145】
アセンブリデバイスは、第１のエアロゾル生成材料を備える第１の領域を第１のピーク温度まで加熱しかつ第２のエアロゾル生成材料を備える第２の領域を第２のピーク温度まで加熱するように構成された加熱システムを備え、第２の領域は、第１の領域が第１のピーク温度に達した後に第２のピーク温度に達する。
【0146】
いくつかの実施形態では、第２の領域の第２のピーク温度への加熱は、第１の領域の第１のピーク温度への加熱よりも後に行われる。
【0147】
いくつかの実施形態では、加熱システムは、使用の開始時に第１のエアロゾル生成材料を備える物品の第１の領域が直ちに第１のピーク温度まで加熱され、物品のこの領域が第１の期間、第１のピーク温度に維持されるように構成され得る。
【0148】
いくつかの実施形態では、加熱システムは、使用の開始時に第２のエアロゾル生成材料を備える物品の第２の領域が直ちに第２のピーク温度まで加熱され、物品のこの領域が第２の期間、第２のピーク温度に維持されるように構成され得る。
【0149】
他の実施形態では、第２の領域の加熱は、第１の領域の加熱よりも後に開始する。例えば、第２の領域の加熱は、第１の領域の加熱が終了した後にのみ開始し得る。いくつかの実施形態では、第１および第２の領域の加熱間に重複はない。
【0150】
いくつかの実施形態では、第１のピーク温度は、少なくとも約１５０、１６０、１７０、１８０、１９０、２００、２１０、２２０、２３０、２４０、または約２５０℃である。いくつかの実施形態では、第１のピーク温度は、約３５０、３４０、３３０、３２０、３１０、３００、２９０、２８０、２７０、２６０、または約２５０℃以下である。
【0151】
いくつかの実施形態では、第２のピーク温度は、少なくとも約１５０、１６０、１７０、１８０、１９０、２００、２１０、２２０、２３０、２４０、または約２５０℃である。いくつかの実施形態では、第２のピーク温度は、約３５０、３４０、３３０、３２０、３１０、３００、２９０、２８０、２７０、２６０、または約２５０℃以下である。
【0152】
いくつかの実施形態では、第２のピーク温度は、第１のピーク温度よりも高い。いくつかの実施形態では、第２のピーク温度は、第１のピーク温度よりも約１０～約１００℃高いか、または第１のピーク温度よりも約１０～５０℃、約１０～４０℃、約１０～３０℃、もしくは約１０～２０℃高い。
【0153】
ある領域のピーク温度は、その領域が加熱される最高温度として定義され得る。いくつかの実施形態では、領域の温度は、領域内のエアロゾル生成材料の温度として測定される。これは、熱電対を使用して、領域の加熱ゾーン内の温度として測定され得る。代替的な実施形態では、領域の温度は、領域を加熱するために使用されるヒータの温度であると考えられる。
【0154】
いくつかの実施形態では、第１の領域は、約１０秒～約３００秒の期間、第１のピーク温度まで加熱され、第１のピーク温度に維持される。いくつかの実施形態では、第１の領域は、少なくとも約１０秒、２０、３０、４０、５０、６０、７０、８０、９０、１００、１１０、１２０、１３０、１４０、１５０、１６０、１７０、１８０、１９０、２００、２１０、２２０、２３０、２４０、２５０、２６０、２７０、２８０、または２９０秒の期間加熱される。いくつかの実施形態では、第１の領域は、約３００秒、２９０、２８０、２７０、２６０、２５０、２４０、２３０、２２０、２１０、２００、１９０、１８０、１７０、１６０、１５０、１４０、１３０、１２０、１１０、１００、９０、８０、７０、６０、５０、４０、または３０秒以下の期間加熱される。いくつかの実施形態では、第１の領域は、約３０～約１２０秒の期間、第１のピーク温度に維持される。
【0155】
いくつかの実施形態では、第２の領域は、約１０秒～約３００秒の期間、第２のピーク温度まで加熱され、第２のピーク温度に維持される。いくつかの実施形態では、第２の領域は、少なくとも約１０秒、２０、３０、４０、５０、６０、７０、８０、９０、１００、１１０、１２０、１３０、１４０、１５０、１６０、１７０、１８０、１９０、２００、２１０、２２０、２３０、２４０、２５０、２６０、２７０、２８０、または２９０秒の期間加熱される。いくつかの実施形態では、第２の領域は、約３００秒、２９０、２８０、２７０、２６０、２５０、２４０、２３０、２２０、２１０、２００、１９０、１８０、１７０、１６０、１５０、１４０、１３０、１２０、１１０、１００、９０、８０、７０、６０、５０、４０、または３０秒以下の期間加熱される。いくつかの実施形態では、第２の領域は、約４５～約２４０秒の期間、第２のピーク温度に維持される。
【0156】
いくつかの実施形態では、第２の領域は、第１の領域が第１のピーク温度に達してから約１０～２４０秒後に第２のピーク温度に達する。いくつかの実施形態では、第２の領域は、第１の領域が第１のピーク温度に達してから約３０～約１２０秒後に第２のピーク温度まで加熱される。いくつかの実施形態では、第２の領域は、第１の領域が第１のピーク温度に達してから少なくとも約３０、３５、４０、４５、５０、５５、６０、６５、７０、７５、８０、８５、９０、９５、１００、１０５、１１０、１１５、または１２０秒後に第２のピーク温度まで加熱される。いくつかの実施形態では、第２の領域は、第１の領域が第１のピーク温度に達してから約１２０、１１５、１１０、１０５、１００、９５、９０、８５、８０、７５、７０、６５、６０、５５、５０、４５、４０、３５、または３０秒以内に第２のピーク温度まで加熱される。
【0157】
いくつかの実施形態では、物品の２つ以上の領域の加熱は、エアロゾル供給システムの使用期間にわたって吸入可能媒体内への揮発性化合物の比較的一定の放出を提供するように調和されている。いくつかの実施形態では、使用期間は、最大約３００秒または最大約２５０秒であり得る。いくつかの実施形態では、揮発性物質の放出期間は、最大約３００秒または最大約２５０秒であり得る。
【0158】
エアロゾル生成材料からの揮発性物質の放出は、加熱の初期段階中に急速であり得、材料がピーク温度に達すると、揮発性物質のかなりの割合が放出されていることが知られている。これは、揮発性物質の放出が急増し、その後、エアロゾル生成材料から揮発性成分が事実上枯渇するため、放出の急速な低下をもたらす。本発明の物品およびシステムでは、エアロゾル生成材料の２つの領域が提供され、連続的に加熱されて、第１のエアロゾル生成材料からの揮発性物質の放出が低下するにつれて第２のエアロゾル生成材料が揮発性物質を放出することを可能にする。
【0159】
加熱の時間的調和に加えて、物品およびシステムは、第１のエアロゾル生成材料よりも高い密度を有する第２のエアロゾル生成材料を使用することによって、揮発性物質の放出の制御のさらなる対策を提供する。より高い密度は、第２のエアロゾル生成材料の加熱に影響を及ぼす。熱は、より高密度の材料を通じてよりゆっくりと伝達され、よりゆっくりとした、かつより安定した加熱プロファイル、および揮発性成分のよりゆっくりとした、かつより安定した放出をもたらす。
【0160】
いくつかの既知のアセンブリでは、２つ以上のヒータが使用されており、これらのヒータは、エアロゾル生成材料の異なる部分を加熱するように配置されており、エアロゾル生成材料の一部が最初は加熱されず、それによって、製品の使用寿命の後半で消費されるためにそれらの部分の揮発性物質が保存されることが意図されている。しかしながら、そのようなアセンブリにおける異なる加熱ゾーン間の熱のブリーディングは、直接加熱がまだ開始されていないゾーンにおける揮発性物質の枯渇を引き起こす。これは、消費期間の早期にそのような揮発性物質の送達を増加させ、後の消費に利用可能なそのような揮発性物質のレベルを低下させる。したがって、そのような揮発性成分の送達は、一般にパフごとに減少する。しかしながら、そのような熱のブリーディングの影響は、第１のエアロゾル生成材料よりも高い密度を有する第２のエアロゾル生成材料を含むことによって低減され得る。より高密度の材料は、加熱がよりゆっくりとしており、熱は、より高密度の材料を通り、あまり拡散しない。
【0161】
いくつかの実施形態では、加熱システムは、物品の第１の領域を加熱するように構成された１つ以上の別個のヒータと、物品の第２の領域を加熱するように構成された１つ以上のヒータと、を備える。これらのヒータは、加熱システムのコントローラによって制御される。
【0162】
ヒータは、領域をそれぞれのピーク温度まで加熱するように構成されている。それらはまた、領域をピーク温度に維持するように構成され得る。代替的または追加的に、ヒータはまた、ピーク温度に達する前および／またはピーク温度に達した後に領域をより低い温度に維持するように構成され得る。
【0163】
いくつかの実施形態では、第１および／または第２のエアロゾル生成材料は、タバコを含む。例えば、第１および／または第２のエアロゾル生成材料は、約８０～約３５０ｍｇのタバコを含み得る。いくつかの特定の実施形態では、物品または消耗品中のエアロゾル生成材料は、２６０ｍｇの重量を有し、例えば葉肉タバコおよび再構成タバコのブレンドを含む１３０ｍｇの第１のエアロゾル生成材料と、例えばより高い密度のタバコビーズを含む１３０ｍｇの第２のエアロゾル生成材料との組合せを含む。
【0164】
いくつかの実施形態では、エアロゾル生成材料を備える領域の各々は、等量のタバコを含有する。代替的な実施形態では、領域は、異なる量のタバコを包有し得る。タバコの総量が約８０～約３５０ｍｇである場合、、エアロゾル生成材料の一方の領域は、約２０～約３３０ｍｇ、または約５０～約３００ｍｇ、または約４０～約１２５ｍｇのタバコを備え、エアロゾル生成材料の他方の領域は、約２０～約３３０ｍｇ、または約３０～約３００ｍｇ、または約４０～約１２５ｍｇのタバコを備える。
【0165】
いくつかの特定の実施形態では、エアロゾル生成材料は、ロッド形状を有し、エアロゾル生成材料のロッドに沿って同軸に配置された２つの円筒形セクションから形成されている。いくつかの例では、円筒形セクションは各々、約２０～約３３０ｍｇ、または約５０～約３００ｍｇ、または約４０～約１２５ｍｇのタバコを備え、約１５～約２０ｍｍ、または約１８ｍｍの長さを有する。いくつかの他の例では、円筒形セクションは各々、約１００～約２５０ｍｇ、または約１１５～約２３５ｍｇのタバコを備え、約２２～約２７ｍｍ、または約２４ｍｍの長さを有する。
【0166】
いくつかの実施形態では、エアロゾル生成物品は、エアロゾル生成材料、ならびにさらに冷却要素および／またはフィルタを備え得る。冷却要素は、存在する場合、気体またはエアロゾル成分を冷却するように作用または機能し得る。場合によっては、冷却要素は、気体成分が凝縮してエアロゾルを形成するように、気体成分を冷却するように作用し得る。また、冷却要素は、装置の非常に高温の部分をユーザから離すように作用し得る。フィルタは、存在する場合、酢酸セルロースプラグなどの、当技術分野で知られている任意の好適なフィルタを含み得る。
【0167】
エアロゾル生成物品は、紙などの包装材料によって囲まれ得る。エアロゾル生成物品は、通気アパーチャをさらに備え得る。これらは、物品の側壁内に設けられ得る。場合によっては、通気アパーチャは、フィルタおよび／または冷却要素内に設けられ得る。これらのアパーチャにより、使用中に冷気を物品内に引き込むことが可能になり得、冷気は、加熱された揮発した成分と混合し、それによってエアロゾルを冷却することができる。
【0168】
通気により、使用中に物品が加熱されたときに、物品からの目に見える加熱された揮発した成分の生成が増進される。加熱された揮発した成分は、加熱された揮発した成分の過飽和が生じるように、加熱された揮発した成分を冷却するプロセスによって可視化される。次いで、加熱された揮発した成分は、核生成としても知られる液滴形成を受け、最終的に、加熱された揮発した成分のエアロゾル粒子のサイズは、加熱された揮発した成分のさらなる凝縮および加熱された揮発した成分から新たに形成された液滴の凝固によって増加する。
【0169】
場合によっては、加熱された揮発した成分および冷気の合計に対する冷気の比は、通気率として知られており、少なくとも１５％である。１５％の通気率により、加熱された揮発した成分を上述の方法によって可視化することが可能になる。加熱された揮発した成分の視認性は、ユーザが揮発した成分が生成されたことを識別することを可能にし、喫煙体験の感覚体験を追加する。
【0170】
別の例では、加熱された揮発した成分のさらなる冷却を提供するために、通気率は５０％～８５％である。場合によっては、通気率は、少なくとも６０％または６５％であり得る。
【0171】
本明細書で使用される場合、エアロゾル改質剤は、典型的にはエアロゾル生成エリアの下流に位置する物質であり、例えばエアロゾルの味、香味、酸性度、または別の特性を変化させることによって、生成されたエアロゾルを改質するように構成されている。エアロゾル改質剤は、エアロゾル改質剤を選択的に放出するように動作可能なエアロゾル改質剤放出構成要素内に提供され得る。
【0172】
エアロゾル改質剤は、例えば、添加剤または吸着剤であり得る。エアロゾル改質剤は、例えば、香味料、着色剤、水、および炭素吸着剤のうち１つ以上を含み得る。エアロゾル改質剤は、例えば、固体、液体、またはゲルであり得る。エアロゾル改質剤は、粉末、糸、または顆粒の形態であり得る。エアロゾル改質剤は、濾過材料を含まなくてもよい。
【0173】
エアロゾル生成器は、エアロゾル生成材料からエアロゾルを生成させるように構成された装置である。いくつかの実施形態では、エアロゾル生成器は、エアロゾル生成材料から１つ以上の揮発性物質を放出してエアロゾルを形成するように、エアロゾル生成材料を熱エネルギーに供するように構成されたヒータである。
【0174】
本明細書に記載の様々な実施形態は、特許請求される特徴の理解および教示を支援するためにのみ提示されている。これらの実施形態は、実施形態の代表的なサンプルとしてのみ提供されており、網羅的および／または排他的ではない。本明細書に記載の利点、実施形態、例、機能、特徴、構造、および／または他の態様は、特許請求の範囲によって定義された本発明の範囲に対する制限または特許請求の範囲の均等物に対する制限とみなされるべきではなく、特許請求される発明の範囲から逸脱することなく他の実施形態が利用され得、修正が行われ得ることを理解されたい。本発明の様々な実施形態は、本明細書に具体的に記載されたもの以外の、開示された要素、構成要素、特徴、部分、ステップ、手段などの適切な組合せを好適に含み得るか、それからなり得るか、または本質的にそれからなり得る。加えて、本開示は、現在特許請求されていないが、将来特許請求され得る他の発明を含み得る。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5a】
【図5b】
【図6】
【図7】
【図8】
【手続補正書】
【提出日】2024-08-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル供給デバイスと、物品と、を備えるエアロゾル供給システムであって、前記物品が、第１のエアロゾル生成材料を備える第１の領域と、第２のエアロゾル生成材料を備える第２の領域と、を備え、
前記第２のエアロゾル生成材料が、前記第１のエアロゾル生成材料よりも高い密度を有し、
前記デバイスが、前記第１の領域を第１のピーク温度まで加熱しかつ前記第２の領域を第２のピーク温度まで加熱するように構成された加熱システムを備え、前記第２の領域が、前記第１の領域が前記第１のピーク温度に達するよりも後に前記第２のピーク温度に達する、
エアロゾル供給システム。
【請求項2】
前記第２のエアロゾル生成材料の前記密度が、前記第１のエアロゾル生成材料の前記密度よりも少なくとも約２５％高い、請求項１に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項3】
前記第１のエアロゾル生成材料が、約０．１ｇ／ｃｍ３～約１ｇ／ｃｍ３の密度を有する、請求項１に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項4】
前記第２のエアロゾル生成材料が、約０．４ｇ／ｃｍ３～約２ｇ／ｃｍ３の密度を有する、請求項１に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項5】
前記第２の領域の前記第２のピーク温度への前記加熱が、前記第１の領域の前記第１のピーク温度への前記加熱よりも後に行われる、請求項１に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項6】
前記第２の領域が、前記第１の領域よりも長時間にわたって加熱される、請求項１に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項7】
前記第１の領域の前記加熱のタイミングと前記第２の領域の前記加熱のタイミングが重複しない、請求項１に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項8】
前記第１のピーク温度が、約１５０℃～約３５０℃である、請求項１に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項9】
前記第１の領域が、約１０秒～約３００秒の期間、前記第１のピーク温度まで加熱される、請求項１に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項10】
前記第２のピーク温度が、約１５０℃～約３５０℃である、請求項１に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項11】
前記第２の領域が、約１０秒～約３００秒の期間、前記第２のピーク温度まで加熱される、請求項１に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項12】
前記第２のピーク温度が、前記第１のピーク温度よりも約１０～約１００℃高い、請求項１に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項13】
前記物品の前記加熱が、吸入可能媒体内への揮発性化合物の比較的一定の放出を提供する、請求項１に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項14】
前記第２の領域が、前記第１の領域が前記第１のピーク温度まで加熱された後に、前記第２のピーク温度まで加熱される、請求項１に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項15】
前記第２の領域が、前記第１の領域の前記加熱が停止した後に、前記第２のピーク温度まで加熱される、請求項１に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項16】
前記第２のエアロゾル生成材料が、押出成形されたタバコを含む、請求項１に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項17】
前記第２のエアロゾル生成材料が、ビーズを含む、請求項１に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項18】
前記第１のエアロゾル生成材料が、葉肉タバコ材料および再構成タバコ材料からなる群から選択された１つ以上のタバコ材料を含む、請求項１に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項19】
前記第１および第２のエアロゾル生成材料のうちの少なくとも一方が、葉肉タバコ材料および再構成タバコ材料の組合せを含む、請求項１に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項20】
前記葉肉タバコ材料と前記再構成タバコ材料が、重量で１：４～４：１の比で前記エアロゾル生成材料中に存在する、請求項１９に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項21】
前記第１のエアロゾル生成材料と前記第２のエアロゾル生成材料が、同じレベルの揮発性化合物を有する、請求項１に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項22】
前記揮発性化合物が、ニコチンである、請求項２１に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項23】
前記第１のエアロゾル生成材料からの揮発性化合物の放出と前記第２のエアロゾル生成材料からの揮発性化合物の放出が、前記材料が所与の温度に達したときに同じ速度である、請求項１に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項24】
前記第２の領域が、前記第１の領域の下流にあるように構成されている、請求項１に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項25】
前記第１のエアロゾル生成材料と前記第２のエアロゾル生成材料が、別個の領域にある、請求項１に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項26】
前記第１のエアロゾル生成材料と前記第２のエアロゾル生成材料が、重量で１：１０～１０：１の比で前記物品中に存在する、請求項１に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項27】
エアロゾル供給システムのための物品であって、前記物品が、第１のエアロゾル生成材料と、第２のエアロゾル生成材料と、を備え、前記第２のエアロゾル生成材料が、離散粒子の形態または粒子の凝集された塊の形態であり、
前記第２のエアロゾル生成材料が、前記第２のエアロゾル生成材料よりも高い密度を有する、
物品。
【請求項28】
前記第２のエアロゾル生成材料が、エアロゾル生成材料のビーズまたはペレットを含む、請求項２７に記載の物品。
【請求項29】
前記第２のエアロゾル生成材料が、エアロゾル生成材料の圧縮された、押出成形された、または成形された塊である、請求項２７に記載の物品。
【請求項30】
エアロゾル供給デバイスと、物品と、を備えるエアロゾル供給システムで使用するための、請求項２７に記載の物品であって、
前記物品が、第１のエアロゾル生成材料を備える第１の領域と、第２のエアロゾル生成材料を備える第２の領域と、を備え、
前記第２のエアロゾル生成材料が、前記第１のエアロゾル生成材料よりも高い密度を有し、
前記デバイスが、前記第１の領域を第１のピーク温度まで加熱しかつ前記第２の領域を第２のピーク温度まで加熱するように構成された加熱システムを備え、前記第２の領域が、前記第１の領域が前記第１のピーク温度に達するよりも後に前記第２のピーク温度に達する、物品。
【請求項31】
前記第１のエアロゾル生成材料と前記第２のエアロゾル生成材料が、同じニコチン含有量を有する、請求項２７に記載の物品。
【請求項32】
前記第１のエアロゾル生成材料と前記第２のエアロゾル生成材料が、所与の温度まで加熱されると同じ速度でニコチンを放出する、請求項２７に記載の物品。
【請求項33】
前記第１のエアロゾル生成材料が、離散粒子の形態または粒子の凝集された塊の形態である、請求項２７に記載の物品。
【請求項34】
前記第１のエアロゾル生成材料が、エアロゾル生成材料のビーズもしくはペレットを含むか、またはエアロゾル生成材料の圧縮された、押出成形された、もしくは成形された塊である、請求項３３に記載の物品。
【請求項35】
前記物品が、前記第１のエアロゾル生成材料を備える第１の領域と、前記第２のエアロゾル生成材料を備える第２の領域と、を備える、請求項２７に記載の物品。
【請求項36】
前記第２の領域が、前記第１の領域の下流にあるように構成されている、請求項３５に記載の物品。
【請求項37】
複数回のパフをもたらす使用期間にわたって前記システムによって発生したエアロゾル中の揮発性成分の一貫した送達を提供するための、請求項１～２６のいずれか一項に記載のエアロゾル供給システムの使用。
【請求項38】
複数回のパフをもたらす使用期間にわたって前記物品を加熱することによって発生したエアロゾル中の揮発性成分の一貫した送達を提供するための、請求項２７～３６のいずれか一項に記載の物品の使用。
【請求項39】
請求項１～２６のいずれか一項に記載のシステムまたは請求項２７～３６のいずれか一項に記載の物品を使用してエアロゾルを生成する方法であって、前記方法が、前記第１の領域を第１のピーク温度まで加熱するステップと、前記第２の領域を第２のピーク温度まで加熱するステップと、を含み、前記第２の領域が、前記第１の領域が前記第１のピーク温度に達するよりも後に前記第２のピーク温度に達する、方法。
【国際調査報告】