(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】シート形態の感熱記録材料
(51)【国際特許分類】
B41M 5/36 20060101AFI20241219BHJP
【FI】
B41M5/36 500
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024535417
(86)(22)【出願日】2022-12-13
(85)【翻訳文提出日】2024-08-09
(86)【国際出願番号】 EP2022085729
(87)【国際公開番号】W WO2023110951
(87)【国際公開日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】102021133333.4
(32)【優先日】2021-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522327876
【氏名又は名称】コーラー イノベーション アンド テクノロジー ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110002321
【氏名又は名称】弁理士法人永井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ストーリング,ティモ
(72)【発明者】
【氏名】ツィーリンガー,ケルスティン
【テーマコード(参考)】
2H111
【Fターム(参考)】
2H111HA07
2H111HA18
2H111HA24
2H111HA32
(57)【要約】
本発明は、シート形態の支持材、シート形態の支持材の1つの面上のカラー層;およびカラー層が少なくとも部分的に覆われるようなカラー層上の感熱層;および感熱層上の保護層を含み、感熱層が、局部的に熱が加えられることにより半透明になるようになっており、結果として下にあるカラー層が目に見えるようになり、保護層が5重量%未満の顔料を含有する、感熱記録材料に関する。本発明はまた、レシートロール、接着剤ラベル(ロール)、チケット(ロール)として、または機械プリンターもしくはペン用のプリンター用紙としての使用にも関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート形態の支持材、
前記シート形態の支持材の1つの面上のカラー層、および
前記カラー層が少なくとも部分的に覆われるような前記カラー層上の感熱層、
前記感熱層上の保護層
を含み、
前記感熱層が、局部的な熱が加えられたとき半透明になり、その結果下にある前記カラー層が目に見えるようになるよう設計されており、
前記保護層が5重量%未満の顔料を含有することを特徴とする、感熱記録材料。
【請求項2】
前記カラー層が少なくとも1種の顔料および/または染料、および好ましくはバインダーを含むことを特徴とする、請求項1に記載の感熱記録材料。
【請求項3】
前記感熱層が-55℃~130℃のガラス転移温度、250℃未満の融解温度および/または0.1~2.5μmの範囲の平均粒径を有する少なくとも1つの散乱粒子、より特定的にはポリマー粒子を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の感熱記録材料。
【請求項4】
前記感熱層が40~200℃の範囲の融解温度および/または40~200℃の範囲のガラス転移温度を有する少なくとも1つの感熱性材料、好ましくは脂肪酸および/または脂肪酸アミドを含むことを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の感熱記録材料。
【請求項5】
前記シート形態の支持材と前記カラー層の間に絶縁層があり、前記絶縁層が好ましくは50秒より大きい、好ましくは100秒より大きいBekk平滑度を有することを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の感熱記録材料。
【請求項6】
前記カラー層がカラー層および絶縁層の両方であり、絶縁層でもある前記カラー層が好ましくは50秒より大きい、好ましくは100秒より大きいBekk平滑度を有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の感熱記録材料。
【請求項7】
前記絶縁層、またはカラー層および絶縁層の両方である前記カラー層が、少なくとも1種の断熱材、好ましくは焼成カオリン、および/または、特に、好ましくは40℃~80℃のガラス転移温度、および/または0.1~2.5μmの平均粒径を有するスチレン-アクリレートコポリマーを含む中空球顔料を含むことを特徴とする、請求項5または6に記載の感熱記録材料。
【請求項8】
前記絶縁層、またはカラー層および絶縁層の両方である前記カラー層が、散乱粒子、特に、好ましくはスチレン/アクリレートコポリマーを含むポリマー粒子、および少なくとも1種の無機顔料、特に焼成カオリンの混合物を含むことを特徴とする、請求項5または6に記載の感熱記録材料。
【請求項9】
デンプンを含む層が直接前記シート形態の支持材の少なくとも1つの面上、好ましくは直接前記シート形態の支持材の両面上にあり、前記デンプンを含む層が好ましくは20秒より大きい、特に好ましくは50秒より大きいBekk平滑度を有することを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の感熱記録材料。
【請求項10】
前記保護層が少なくとも350秒、好ましくは500秒、好ましくは少なくとも750秒、特に好ましくは少なくとも1000秒のBekk平滑度を有し、前記Bekk平滑度はDIN 53107(2016)に従って決定されることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の感熱記録材料。
【請求項11】
前記感熱記録材料が本明細書中で定義された動的色密度を決定する方法に従って少なくとも1.35光学密度単位の動的色密度を有することを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の感熱記録材料。
【請求項12】
前記保護層が、
- バインダー、特にポリビニルアルコール、特に好ましくはけん化度が88%より大きいポリビニルアルコール、
- 潤滑剤/剥離剤、特にワックスもしくは脂肪、脂肪酸もしくは脂肪酸の塩、またはシリコーンをベースとするもの、
- 架橋剤、特にホウ素フリーの架橋剤、および/または
- レオロジー添加剤
から選択される成分の少なくとも1つを含むことを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の感熱記録材料。
【請求項13】
前記保護層が0.01~3.5g/m
2の範囲、好ましくは0.05超~2.5g/m
2の範囲、特に好ましくは0.1~1.5g/m
2の範囲の坪量を有することを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の感熱記録材料。
【請求項14】
接着剤層が、前記シート形態の支持材の前記カラー層が位置してない面上にあることを特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載の感熱記録材料。
【請求項15】
前記接着剤層が少なくとも1種の感圧接着剤を含むことを特徴とする、請求項14に記載の感熱記録材料。
【請求項16】
前記保護層が感圧接着剤に対して付着防止効果を有することを特徴とする、請求項1から15のいずれか一項に記載の感熱記録材料。
【請求項17】
シリコーン処理された剥離層が前記保護層上にあり、前記シリコーン処理された剥離層が好ましくは400秒より大きい、特に好ましくは800秒より大きいBekk平滑度を有することを特徴とする、請求項1から16のいずれか一項に記載の感熱記録材料。
【請求項18】
前記シリコーン処理された剥離層が少なくとも1種のシロキサンを含むことを特徴とする、請求項17に記載の感熱記録材料。
【請求項19】
前記感熱記録材料が2~14%の残留水分含量を有することを特徴とする、請求項1から18のいずれか一項に記載の感熱記録材料。
【請求項20】
前記感熱記録材料が35~60%の表面白色度を有することを特徴とする、請求項1から19のいずれか一項に記載の感熱記録材料。
【請求項21】
前記感熱層が局部的な熱の適用に起因して半透明になった位置と感熱層が局部的な熱の適用に起因して半透明にならなかった位置とのコントラストが40~80%であることを特徴とする、請求項1から20のいずれか一項に記載の感熱記録材料。
【請求項22】
前記保護層が不可避の微量物質を除いて顔料を含有しないことを特徴とする、請求項1から21のいずれか一項に記載の感熱記録材料。
【請求項23】
請求項1から22のいずれか一項に記載の感熱記録材料の、レシートロール、接着剤ラベル(ロール)、チケット(ロール)として、または機械プリンターもしくはペン用のプリンター用紙としての使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は感熱記録材料およびそのレシートロール、接着剤ラベル(ロール)、チケット(ロール)または機械プリンターもしくはペン用のプリンター用紙としての使用に関する。
【背景技術】
【0002】
感熱記録材料は原理上公知であり、特に直接感熱印刷用の2つの異なるタイプの感熱記録材料は以下のように根本的な区別をすることができる:
【0003】
タイプ1:印刷像がカラー層内で、例えば発色剤(例えばロイコ染料)と顕色剤(例えばビスフェノールAまたはフェノールフリーの代替物)の局部的な熱誘発された化学反応により生成する感熱記録材料。通常、カラー層は、さらに、発色剤と顕色剤の呈色反応が可能になるように熱の影響下で融解する感熱性の溶剤(例えば長鎖脂肪族アルコール、アミド、エステルまたはカルボン酸)を含有する。その上、カラー層は感熱性の増感剤を含有し得る。
【0004】
タイプ2:印刷像が、例えば直接感熱プリンターにより局在化された熱が加わることによって半透明になることによって下にあるカラー層が目に見えるようになる感熱性の最上層により生じる感熱記録材料。この科学技術は先行技術で異なって記載または解釈されており、かかる感熱記録材料は直接感熱印刷用に最適化された最上層の部分的に異なる組成、多孔性および材料を使用することにより得られ、以下でより詳細に説明される。
【0005】
原則として、以下が当てはまる:
【0006】
1.最上層は下にあるカラー層をできる限り十分に覆うべきである。これは、本質的に、光散乱(散乱粒子)および光吸収により達成される。
【0007】
2.最上層は、人間の目および/または機械(スキャナー)により判読可能な印刷像を生成するために下にあるカラー層に対してできる限り高いコントラスト(例えば白/黒または青/黄)を有するべきである。
【0008】
3.最上層は、特に慣用の直接感熱プリンターによって局在化された熱が加えられたとき半透明になるように可能な限り熱感受性であるべきである。可能であれば、慣用の直接感熱プリンターでタイプ1およびタイプ2の記録材料を使用することが可能であるべきであり、またプリンター設定、特にプリントヘッド温度およびプリンタースピードが同等であるべきである。
【0009】
本発明は上記したタイプ2の感熱記録材料に関する。
【0010】
GB997289は支持材、カラー層、および感熱性カバー層を含む直接感熱印刷用の記録材料を初めて記載しており、この感熱性カバー層は直接感熱プリンターによる局部的な熱作用によって半透明になり、その結果として下にあるカラー層が目に見えるようになり、印刷像が生成する。
【0011】
US6043193は、支持体と、これに付けられた、親水性バインダーに分散した中空の球状ビーズを含む不透明な記録層とを含む感熱記録材料を記載しており、ビーズは0.2μm~1.5μmの平均直径および40%~90%のキャビティー容積を有する。
【0012】
US6133342は着色剤および不透明なポリマー材料を含む感熱記録材料を記載しており、その不透明度は本質的に不可逆的に変化し、熱に曝露されたとき着色剤がより良く見えるようになる。
【0013】
WO2015/119964A1は、押出加工された外層、押出加工された内側顔料層、および外層と内側顔料層の間に挟まれた押出加工された像再生層を含む印刷用の配向した多層フィルムを開示しており、像再生層は複数のキャビティーが分散している、崩壊可能層構造を有するキャビティー層を含み、この複数のキャビティーは多層を配向させることにより形成されており、押出加工された像再生層および崩壊可能層構造は下にある顔料層を覆うように本質的に不透明で壊れていない状態にある。
【0014】
US2010/245524Aは、不透明なポリマーを有する感熱性基材を含む感熱記録材料を記載しており、熱および圧力の適用に対して感受性であり、所定の温度に加熱され、所定の圧力がかけられたとき、不透明なポリマーが透明になり、基材に関して配置された色材は、所定の熱および圧力の適用前は不透明なポリマーにより覆われており、その後目に見えるようになる。
【0015】
US2011/172094Aは以下を含む記録材料を開示している:
a)着色剤が含侵した表面を有するかまたは顔料もしくは染料を含有するコーティングで被覆された支持体、および、その上に配置された、
b)コア-シェル構造を含み、乾燥しているとき可視光を散乱するために中空であるポリマー粒子を含む層、前記粒子はTgが40℃~130℃である内側の第1のポリマーシェルおよびTgが-55℃~50℃である外側の第2のポリマーシェルを有し、外側ポリマーシェルのTgは内側ポリマーシェルより低い。
【0016】
US2011/251060Aは着色剤および可撓性担体基材からなる感熱記録材料を記載しており、感熱記録材料はさらに感熱層からなり、感熱層はバインダー、複数の有機中空球顔料およびサーマル溶剤からなり、感熱層は着色剤上に配置されている。感熱層はバリヤー層および保護層を備えていることができる。
【0017】
WO2012/145456A1は慣用の直接感熱印刷に最適化された感熱記録材料を記載しており、これは:
a)少なくとも1つの着色した表面を含有するシート様構造の形態の支持体、およびその上に配置された、
b)コア-シェル構造を有するポリマー粒子を含む層であって、前記粒子は40℃~130℃の計算されたTgを有する外側の第1のポリマーシェルを有し、前記粒子は乾燥しているとき少なくとも1つのキャビティー、およびポリマー粒子の重量に対して1重量%~90重量%の、45℃~200℃の融点を有する不透明度低減剤を含み、着色した表面はその上に分散した次の層の表面よりも明らかに目立つのに十分な色密度を有し、不透明度低減剤は芳香族シュウ酸エステル、芳香族エチレングリコールエーテル、1,2-ジフェニルオキシエタン、ジベンジルオキサレート、テレフタル酸ジベンジル、ベンジルビフェニル、ベンジル-2-ナフチルエーテル、ジフェニルスルホン、m-テルフェニル、安息香酸p-ベンジルオキシベンジル、安息香酸シクロヘキサンジメタノール、p-トルエンスルホンアミド、o-トルエンスルホンアミド、2,6-ジイソプロピルナフタレン、4,4-ジイソプロピルビフェニル、エルカ酸アミド、ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミドまたはエチレンビス-ステアリン酸アミドである、層
を含む。
【0018】
WO2013/152287A1はベータ核形成したプロピレンベースの不透明なポリマーを含む第1の層および暗色顔料を含む第2の層を含む2層の一軸延伸フィルムを有する感熱記録材料を記載している。
【0019】
US2015/049152Aは着色した固体支持基材上に配置された感熱層を含む感熱記録材料を記載しており、この感熱層は各々中心、表面、その中心においてその表面での屈折率と異なる屈折率、および連続した屈折率勾配を有する単相の散乱ポリマー粒子を含み、感熱層はさらに、熱変形可能な粒子およびバインダーを含む。
【0020】
EP2993054A1は、少なくとも第1の層および少なくとも部分的に第1の層を覆う第2の層を有し、第1の層が少なくとも第2の層に面する面に集中着色を有し、第2の層が局部的に制限された熱処理により融解して活字面を形成することができる中空体顔料を有し、第2の層が中空体顔料に加えて1つまたは複数の脂肪酸および1つまたは複数の感熱性増感剤も含有することを特徴とするウェブ様の感熱記録材料を記載している。
【0021】
EP1778499A1に開示されている記録材料の場合、根本的に第2の層の着色のタイプのみがEP2993055A1と異なり、光の可視範囲で目に見えるようになる代わりにUV放射線に曝露されたときに活字面が目に見えるようになり、保護層はより良好な印刷適性ならびに改良された環境抵抗、特に可塑剤、油、グリース、および水分、例えば噴霧水に対する耐性に寄与することができる。
【0022】
EP2993055A1は、少なくとも第1の層および少なくとも部分的に第1の層を覆う第2の層を有し、第1の層が少なくとも第2の層に面する面に集中着色を有し、第2の層が局部的に制限された熱処理により融解して活字面を形成することができる中空体顔料を有し、記録材料が少なくとも部分的に第2の層を覆う少なくとも1つの保護層を有することを特徴とするウェブ様の感熱記録材料を記載している。
【0023】
印刷像を生成する2つの異なる方法の物理的なプロセスは、以下の表現に従って区別される:
1.印刷像は直接感熱プリンターによる局部的な熱作用によって感熱性の最上層を半透明にすることにより生成し、この最上層は可融性の中空体顔料を含む。
2.印刷像は直接感熱プリンターによる局部的な熱作用によって感熱性の最上層を半透明にすることにより生成し、この最上層は軟化可能または溶解可能な中空体顔料を含む。
【0024】
この明細書に従って、次の重要な数字をもつ許容できる灰色の記録材料を得ることができる:UV成分ありまたはなしの白色度56%または52%、光学密度(印刷されてない)0.33ODU、光学密度(印刷された)1.22ODUおよびコントラスト0.89ODU(サーマルヘッド300dpi、16mJ/mm2)
【0025】
関連の分割出願EP3517309A1は特に、活字面を形成するように操作することができる中空体顔料、ならびに少なくとも1種の脂肪酸、すなわちステアリン酸および/またはパルミチン酸またはステアリン酸アミド、および/またはメチルステアリン酸アミドを含む被覆層の特徴を記述している。
【0026】
US2017/337851Aは:
リリースライナーベースストック層、
任意選択の接着剤層、
ラベルベースストック層、
ラベルベースストック層上に配置された断熱層、
断熱層上に配置された、少なくとも1つの色を含むインク層、
印刷されたインク層上に配置された被覆層、および
最上層上に配置されたトップコート層
を含む記録材料であって、
被覆層が、この被覆層を第1の状態で不透明であり、第2の状態で透明であるようにさせる光散乱粒子を含有するアクリルベースの組成物を含み、熱および圧力の少なくとも1つがプリントヘッドからかけられ、最上層を第1の状態から第2の状態へ遷移させることによりインク層の少なくとも1つの色が被覆層を通して目に見えるようになる、記録材料を開示している。
【0027】
WO2019/183471A1には、基材を含む記録媒体が開示されており、この基材は、ある融点を有し第1の固体光散乱層を含む第1の散乱粒子に関与し、第1の光散乱層は複数の第2の固体散乱粒子に可能な限り近接し、第2の固体散乱粒子は第2の固体散乱粒子の第1の融点より低い融点を有し、第1の光散乱層は多孔性であり、第2の散乱粒子は固体の融解の際に記載されており、第1の固体散乱粒子は記録媒体間の空間を満たすように配置されている。
【0028】
WO2019/219391A1は少なくとも1つの面が黒色または着色された担体基材および担体基材の少なくとも1つの黒色または着色面上の熱応答性の層を含む感熱記録材料を記載しており、熱応答性の層は少なくとも1つのセルロースエステルのナノ粒子を含む。
【0029】
WO2021/055719A1は不透明材料の層、不透明材料の層の第1の面上に配置された色材を含む感熱または感圧性の記録材料を記載しており、不透明材料の層は色材を覆っており、不透明な状態の不透明材料は複数の不規則および/または一様でない形状の不透明なポリマー粒子を含んでいてそれらの間にキャビティーを画定し、異なる形状および/または異なる大きさを有し、さらに不透明材料は十分な温度および/または圧力の適用の際に不透明な状態から透明な状態に変化して不透明材料の下の色材を曝露するように構成されている。
【0030】
WO2021/062230A1には、基材、基材により支持され、第1の融点を有する第1の散乱粒子を含有する第1の光散乱層、および第1の光散乱層に近接した複数の第2の散乱粒子を含む記録媒体が開示されており、第2の散乱粒子は第1の融点より低い第2の融点を有し、第1の光散乱層は多孔性であり、第2の散乱粒子は融解した際に第1の散乱粒子間の空間を満たすように配置され、第1の散乱粒子は穴の開いた粒子を含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0031】
これら公知の感熱記録材料はすべて、特にその機能性、持続可能性、および経済的生産に関して改良を必要としている。特に、圧力、摩擦、水分、液体、および湿気のような外的影響に対する感熱記録材料の保護を維持するかまたはさらに増大するのが望ましい。さらに、感熱記録材料の機能性、特性および経済的製造可能性は、特に感熱プリンターの感熱プリントヘッドに対する感熱記録材料の感受性、水摩耗抵抗および堆積挙動に関して、感熱プリンターの長期の作動(10km超の処理量)に負の影響を及ぼし得る堆積を可能な限り少なく、またはゼロにしつつ、維持または改良するべきである。
【0032】
本発明はこのニーズに対処する。
【課題を解決するための手段】
【0033】
驚くべきことに、これらの問題は、請求項1に記載の感熱記録材料、すなわち、シート形態の支持材、シート形態の支持材の1つの面上のカラー層、および、熱の局部的な適用により半透明になって下にあるカラー層が目に見えるようになるよう設計されている感熱層であって、カラー層が少なくとも部分的に覆われるようなカラー層上の感熱層、感熱層上の保護層を含み、保護層が5重量%未満の顔料を含有することを特徴とする感熱記録材料によって解決された。
【0034】
かかる感熱記録材料は、特にその機能性、その環境特性(持続可能性)、および/またはその経済的生産(簡単で費用効率が高い)の点でかなり改良されている。さらに、かかる感熱記録材料は圧力、摩擦、水分、液体、および湿気のような外的影響から感熱記録材料を保護する点で有利な特性を有する。加えて、かかる感熱記録材料は感熱プリンターの感熱プリントヘッドに対する感受性、水湿潤摩耗耐性および堆積挙動に関して改良されている。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本主題の総合的な理解を提供するために、以下で多くの具体的な詳細も考察する。しかしながら、当業者には明白なように、この主題はこれらの具体的な詳細がなくても実施し再現することもできる。
【0036】
1つの実施形態のすべての特徴は、異なる実施形態の特徴が矛盾しなければ別の実施形態の特徴と組み合わせることができる。
【0037】
また、用語「第1」、「第2」、等が本明細書中で様々な要素を記載するために使用され得るが、これらの要素がこれらの用語により制限されることは意図されていないことも理解される。これらの用語は単に1つの要素を別のものと区別するために使用されている。例えば、第1の物または第1のステップは第2の物または第2のステップということができ、また同様に、第2の物または第2のステップは第1の物または第1のステップということができよう。第1の物または第1のステップおよび第2の物または第2のステップは両方とも物またはステップであるが、同一の物または同一のステップと考えるべきではない。
【0038】
本開示の記載で使用される専門用語は一定の実施形態を記載することのみを意図しており、本主題を限定すると解するべきではない。本明細書および特許請求の範囲で使用されるとき、単数形態「1つ(a)」、「1つ(an)」は、文脈が明らかに他を指示しない限り複数形態も含むと理解されるべきである。これは逆にも当てはまり、すなわち、複数形態は単数形態も含む。また本明細書で使用される用語「および/または」は1つまたは複数の関連するリストアップされた要素のすべての可能な組合せを意味し、含むとも理解される。さらに、用語「含む(include)」、「含む(including)」、「含む(comprise)」、および/または「含む(comprising)」は、本明細書および特許請求の範囲で使用されるとき、規定された特徴、ステップ、操作、要素、および/または成分の存在を規定するが、1つまたは複数の他の特徴、ステップ、操作、要素、成分、および/またはそれらの群の存在または付加を排除しないと理解されたい。
【0039】
本明細書および特許請求の範囲において、用語「含む(include)」、「含む(comprise)」、および/または「含む(comprising)」は「からなる(consisting of)」も意味し得、すなわち、1つもしくは複数の他の特徴、ステップ、操作、要素、成分および/または群の存在または付加が排除される。
【0040】
したがって、本明細書および特許請求の範囲において、用語「含む(including)」は「排他的に」も意味することができる。
【0041】
この明細書において、述べられているBekk平滑度はDIN 53107(2016)に従って決定される。
【0042】
本発明は、シート形態の支持材、シート形態の支持材の1つの面上のカラー層、および、熱の局部的な適用により半透明になって下にあるカラー層が目に見えるようになるよう設計されている感熱層であって、カラー層が少なくとも部分的に覆われるようなカラー層上の感熱層、感熱層上の保護層を含み、保護層が5重量%未満の顔料を含有することを特徴とする感熱記録材料に関する。
【0043】
滑らかなシート形態の支持材を提供し、この平滑度を個々のコーティングにわたって維持するのが有利である。より滑らかな基材が下から上に作り上げられればそれだけ、最終の平滑度、したがって最終製品の感度はより良好になる。
【0044】
好ましくは、支持材はカラー層が付着された面で30秒より大きい、特に好ましくは50秒より大きいBekk平滑度を有する。
【0045】
カラー層は好ましくは感熱層が付着された面で50秒より大きい、特に好ましくは100秒より大きい、最も特に好ましくは150秒より大きいBekk平滑度を有する。
【0046】
感熱層は好ましくはカラー層が位置してない面で100秒より大きい、特に好ましくは250秒より大きいBekk平滑度を有する。
【0047】
好ましくは、支持材はカラー層が付着された面で20~400秒、特に好ましくは30~300秒、最も特に好ましくは50~200秒のBekk平滑度を有する。最も好ましくは、Bekk平滑度は50~150秒である。
【0048】
カラー層は好ましくは感熱層が付着された面で50~400秒、特に好ましくは100~250秒、最も特に好ましくは150~250秒のBekk平滑度を有する。
【0049】
感熱層は好ましくはカラー層が位置してない面で100~1000秒、特に好ましくは250~800秒のBekk平滑度を有する。
【0050】
シート形態の支持材に付着された各層がその上面で、すなわちシート形態の支持材に面してない面で下のそれぞれの層と少なくとも同じ大きさであるかまたはそれより大きいBekk平滑度を有するのが好ましい。
【0051】
好ましくは、シート形態の支持材に付着された各層がその上面で、すなわちシート形態の支持材に面してない面で、下のそれぞれの層と比較して少なくとも5%(増加率)のBekk平滑度を有する。
【0052】
好ましくは、ウェブ様担体材料に付着された各層はその上面で、すなわちウェブ様担体材料に面してない面で、下のそれぞれの層と比較して少なくとも5秒(絶対的増加)のBekk平滑度を有する。
【0053】
シート形態の支持材は原則として限定されない。好ましい実施形態では、シート形態の支持材は紙、合成紙、および/またはプラスチックフィルムを含む。支持材は好ましくは30~100g/m2、特に40~80g/m2の坪量を有する。
【0054】
本発明による感熱記録材料のシート形態の支持材はカラー層を付着することにより達成される少なくとも1つのカラー層、すなわち、少なくとも1つの黒色または着色した面を含む。用語「着色した面」はその面が白色または黒色以外の色を有することを意味する。言い換えると、感熱記録材料は白色でないように着色した少なくとも1つの面を含む。さらに、少なくとも1つの黒色または着色した面が黒色と組み合わせていくつかの異なる色も有する実施形態が可能である。
【0055】
シート形態の支持材の1つの面上の少なくとも1つのカラー層は好ましくは、カラー層が少なくとも1種の顔料および/または染料、および好ましくはバインダーを含むことを特徴とする。
【0056】
顔料および/または染料は様々な有機および無機の顔料、染料、および/またはカーボンブラックを含む。これらは単独でまたは任意の混合物で使用することができる。
【0057】
顔料、染料および/またはカーボンブラックは好ましくはカラー層の総固形分に対して2~50重量%、特に好ましくは10~35重量%の量でカラー層に含まれる。
【0058】
カーボンブラックは一般に、品質および用途に応じて80%~99.5%の炭素からなる黒色の粉末状固体であり、例えば炭化水素の不完全燃焼および/または熱分解によって得ることができると理解される。
【0059】
バインダーとして、水溶性デンプン、デンプン誘導体、デンプンベースのEcosphere型バイオラテックス、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、カゼイン、部分的または完全にけん化されたポリビニルアルコール、化学変性ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコールコポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム、スチレン無水マレイン酸コポリマー、エチレン無水マレイン酸コポリマー、スチレンブタジエンコポリマー、アクリルアミド(メタ)アクリレートコポリマー、アクリルアミド-アクリレート-メタクリレートターポリマー、ポリアクリレート、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、アクリレートブタジエンコポリマー、ポリ酢酸ビニル、および/またはアクリロニトリルブタジエンコポリマーが好ましく使用される。これらは単独でまたは任意の混合物で使用することができる。
【0060】
バインダーは好ましくはカラー層の総固形分に対して2~40、特に好ましくは10~30の量でカラー層に含まれる。
【0061】
カラー層は好ましくは1~10g/m2、特に3~8g/m2の坪量を有する。
【0062】
カラー層は好ましくは1~10μm、特に2~8μmの厚さを有する。
【0063】
別の好ましい実施形態では、感熱記録材料は感熱層が-55~130℃、好ましくは40~80℃のガラス転移温度を有する少なくとも1種の散乱粒子、特にポリマー粒子を含むことを特徴とする。
【0064】
別の好ましい実施形態では、感熱記録材料は感熱層がコア/シェル構造を有する少なくとも1つの散乱粒子、より特定的にはポリマー粒子を含むことを特徴とし、散乱粒子、より特定的にはポリマー粒子は(i)ガラス転移温度が40℃~80℃の外側シェルを有する散乱粒子、より特定的にはポリマー粒子ならびに(ii)ガラス転移温度が40℃~130℃の内側シェルおよびガラス転移温度が-55℃~50℃の外側シェルを有し、外側シェルのガラス転移温度が好ましくは内側シェルのものより低い、散乱粒子、より特定的にはポリマー粒子からなる群から選択される。
【0065】
別の好ましい実施形態では、感熱記録材料は感熱層が250℃未満、好ましくは0℃~250℃の融解温度を有する少なくとも1つの散乱粒子、より特定的にはポリマー粒子を含むことを特徴とする。
【0066】
別の好ましい実施形態では、感熱記録材料は感熱層が0.1~2.5μm、好ましくは0.2~0.8μmの範囲の平均粒径の少なくとも1つの散乱粒子、より特定的にはポリマー粒子を含むことを特徴とする。
【0067】
別の好ましい実施形態では、感熱記録材料は感熱層が-55~130℃、好ましくは40~80℃のガラス転移温度を有し、0.1~2.5μm、好ましくは0.2~0.8μmの範囲の平均粒径を有する少なくとも1つの散乱粒子、より特定的にはポリマー粒子を含むことを特徴とする。
【0068】
別の好ましい実施形態では、感熱記録材料は感熱層がコア/シェル構造を有する少なくとも1つの散乱粒子、より特定的にはポリマー粒子を含むことを特徴とし、散乱粒子、より特定的にはポリマー粒子は、(i)ガラス転移温度が40℃~80℃の外側シェルを有する散乱粒子、より特定的にはポリマー粒子ならびに(ii)ガラス転移温度が40℃~130℃の内側シェルおよびガラス転移温度が-55℃~50℃の外側シェルを有し、外側シェルのガラス転移温度が好ましくは内側シェルのものより低く、また0.1~2.5μm、好ましくは0.2~0.8μmの範囲の平均粒径を有する、散乱粒子、より特定的にはポリマー粒子からなる群から選択される。
【0069】
別の好ましい実施形態では、感熱記録材料は感熱層が250℃未満、好ましくは0℃~250℃の融解温度を有し、0.1~2.5μm、好ましくは0.2~0.8μmの範囲の平均粒径を有する少なくとも1つの散乱粒子、より特定的にはポリマー粒子を含むことを特徴とする。
【0070】
250℃未満のガラス転移温度または融解温度が有利であることが判明している。250℃の温度を超えると、温度-時間ウィンドウがプリンター仕様外であるので直接感熱印刷は可能でない。
【0071】
0.1~2.5μmの範囲の平均粒径が有利である。それは、この大きさの粒子が可視光を散乱し、したがってカラー層をできるだけ覆うからである。
【0072】
平均粒径はBeckman Coulter機器(レーザー回折、Fraunhofer法)を使用して決定することができる。
【0073】
散乱粒子、特にポリマー粒子は好ましくは結晶質、半結晶質および/または非晶質である。
【0074】
上で述べたガラス転移温度は半結晶質または非晶質の散乱粒子、特にポリマー粒子に関する。融解温度はそれぞれ、結晶質の散乱粒子、特にポリマー粒子、または散乱粒子、特にポリマー粒子の結晶質部分に関する。
【0075】
散乱粒子、好ましくはポリマー粒子の一次性質は光の可視範囲における光散乱である。二次性質は熱感度である。
【0076】
ポリマー粒子は好ましくは熱可塑性ポリマーを含む。
【0077】
ポリマー粒子は好ましくはアクリロニトリル、スチレン、ブタジエン、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸エチル、ジビニルベンゼン、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸シクロヘキシル、2-メチルスチレン、3-メチルスチレン、4-メチルスチレン、アルファ-メチルスチレン、ベータ-メチルスチレン、アクリルアミド、メタクリルアミド、メタクリロニトリル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、メトキシスチレン、N-アクリリルグリシンアミド、および/またはN-メタクリリルグリシンアミド、および/またはこれらの誘導体を含む群から選択される1種または複数のモノマーの重合から選択されるポリマーを含む。
【0078】
別の実施形態では、ポリマー粒子は複数のエチレン性不飽和モノマーを使用して重合し得る。非イオン性のモノエチレン性不飽和モノマーの例はスチレン、ビニルトルエン、エチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸の様々な(C1-C20)アルキルまたは(C3~C20)アルケニルエステル、例えばアクリル酸メチル(MA)、メタクリル酸メチル(MMA)、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸オレイル、(メタ)アクリル酸パルミチルおよび(メタ)アクリル酸ステアリルを含む。典型的には、アクリル酸エステル、例えばMMA、EA、BA、およびスチレンがポリマー粒子のシェルの重合および形成のための好ましいモノマーである。米国特許出願2003-0176535A1に記載されているように二官能性のビニルモノマー、例えばジビニルベンゼン、メタクリル酸アリル、エチレングリコールジメタクリレート、1,3-ブタンジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレートなども共重合して架橋した外側シェルを形成することができる。
【0079】
別の実施形態では、ポリマー粒子は好ましくは(メタ)アクリロニトリルコポリマー、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、アクリル酸スチレン、スチレン(メタ)アクリレートコポリマー、ポリアクリロニトリル、ポリアクリル酸エステルまたはこれらの少なくとも2種の混合物も含む。
【0080】
ポリマー粒子の強度および耐久性はポリマー鎖の架橋により影響を受ける可能性がある。
【0081】
散乱粒子、特にポリマー粒子は閉鎖ポリマー粒子、開放ポリマー粒子および/または中実体粒子の形態であることができ、その各々が規則的または不規則な形状であることができる。
【0082】
閉鎖中空体粒子の例は中空球状のポリマー粒子、またはコア/シェル構造のポリマー粒子を含む。
【0083】
中空球状のポリマー粒子またはコア/シェル構造のポリマー粒子の例はRopaque HP-1055、Ropaque OP-96およびRopaque TH-1000である。
【0084】
特に、ポリマー粒子の例はいわゆる「カップ形状の」ポリマー粒子を含み得る。シェルに関して、これらの粒子は閉鎖ポリマー粒子、特に閉鎖した中空球状のポリマー粒子と同じ材料を有する。気体、通常空気の内側コアが有機、通常熱可塑性の成分のシェルにより完全に内包されている古典的な中空体顔料と対照的に、「カップ形状の」ポリマー粒子は閉鎖したシェルをもたないで、単に可能な最大限まで閉鎖されたボウルまたはカップの形態で内側のコアを取り囲むだけである。
【0085】
開放ポリマー粒子のさらなる例は、WO2021/062230A1に記載されているケージ様のポリマー粒子を含み得る。
【0086】
中実体粒子の例はポリエチレン、ポリスチレンおよびセルロースエステルを含み得る。
【0087】
上述の散乱粒子、特にポリマー粒子は規則的または不規則形状であることができる。
【0088】
代替的な実施形態では、ポリマー粒子は球状の中実体粒子、好ましくは両方とも好ましくは小滴の形態の不規則形状、および/または球状の中空体粒子である。これらは好ましくはポリスチレン、例えばTrinseo LLC.のPlastic Pigment 756A、およびTrinseo LLC.のPlastic Pigment 772HS、ポリエチレン、例えば三井化学株式会社のChemipearl 10 W401、球状中空体粒子(HSP)/球状中空体顔料、例えばThe Dow Chemical Co.のRopaque TH-500EF、変性ポリスチレン粒子、例えばBASF Corp.のJoncryl 633、1,2-ジフェノキシエタン(DPE)、エチレングリコールm-トリルエーテル(EGTE)および/またはジフェニルスルホン(DPS)を含む。これらは単独でまたは任意の混合物で使用することができる。これらのポリマー粒子は好ましくは0.2μm、0.3μm、0.4μm、0.45μm、0.75μmまたは1.0μmの平均粒径を有する。
【0089】
散乱粒子、特にポリマー粒子は好ましくは感熱層の固形分に対して20重量%~60重量%、好ましくは30重量%~50重量%の量で感熱層中に存在する。
【0090】
好ましくは、感熱層は、40~200℃、好ましくは80~140℃の範囲の融解温度、および/または40~200℃、好ましくは80~140℃の範囲のガラス転移温度を有する少なくとも1つの感熱性材料を含む。
【0091】
好ましくは、感熱層は、0.2~4.0μm、好ましくは0.5~2.0μmの平均粒径を有する少なくとも1つの感熱性材料を含む。
【0092】
さらに、感熱性材料は好ましくは、例えば光を吸収および/または散乱することにより感熱層の不透明度(被覆力)に寄与する。感熱性材料は直接感熱プリンターのサーマルプリントヘッドからの局在化された熱に曝露されたとき局部的に速やかに融解し、結果としてポリマー粒子の局部的な「軟化」、したがって不透明度の局部的な低下(不透明度低下)を引き起こし、その結果最上層が半透明になり、下にあるカラー層が目に見えるようになると仮定される。
【0093】
感熱性材料は増感剤またはサーマル溶剤と呼ぶこともできる。
【0094】
好ましくは、感熱性材料はステアリン酸、ベヘン酸またはパルミチン酸のような1つまたは複数の脂肪酸、ステアラミド、ベヘナミドまたはパルミタミドのような1つまたは複数の脂肪酸アミド、N,N’-エチレンビス(ステアリン酸アミド)またはN,N’-エチレンビス(オレイン酸アミド)のようなエチレン-ビス-脂肪酸アミド、N-(ヒドロキシメチル)ステアラミド、N-ヒドロキシメチルパルミタミド、ヒドロキシエチルステアラミドのような1つまたは複数の脂肪酸アルカノールアミド、より特定的にはヒドロキシメチル化脂肪酸アミド、ポリエチレンワックス、カンデリラワックス、カルナウバワックス、またはモンタンワックスのような1つまたは複数のワックス、ジメチルテレフタレート、テレフタル酸ジベンジル、4-ベンジルオキシ安息香酸ベンジル、ジ-(4-メチルベンジル)オキサレート、ジ-(4-クロロベンジル)オキサレートまたはジ-(4-ベンジル)オキサレートのような1つまたは複数のカルボン酸エステル、4-アセチルビフェニルのようなケトン、1,2-ジフェノキシエタン、1,2-ジ-(3-メチルフェノキシ)エタン、2-ベンジルオキシナフタレン、1,2-ビス(フェノキシメチル)ベンゼン、または1,4-ジエトキシナフタレンのような1つまたは複数の芳香族エーテル、ジフェニルスルホンのような1つまたは複数の芳香族スルホン、および/または2-、3-、4-トルエンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド、またはN-ベンジル-4-トルエンスルホンアミドのような芳香族スルホンアミド、または4-ベンジルビフェニルのような1つまたは複数の芳香族炭化水素、または上記化合物の組合せを含む。これらは単独でまたは任意の混合物で使用することができる。
【0095】
ステアラミドは有利な費用-性能比を有するので好ましい。
【0096】
感熱性材料は好ましくは感熱層の総固形分に対して約10~約80重量%の量、特に好ましくは約25~約60重量%の量で感熱層に有する。
【0097】
場合により、潤滑剤または剥離剤が感熱層内に有するすることができる。
【0098】
これらの作用剤は好ましくは例えばステアリン酸亜鉛もしくはステアリン酸カルシウムのような脂肪酸金属塩、またはさらにはベヘン酸塩、例えばステアリン酸アミドおよびベヘン酸アミドのような脂肪酸アミドの形態の合成ワックス、例えばステアリン酸メチロールアミドのような脂肪酸アルカノールアミド、異なる融点のパラフィンワックス、異なる分子量のエステルワックス、エチレンワックス、異なる硬度のプロピレンワックスならびに/または例えばカルナウバワックスもしくはモンタンワックスのような天然ワックスである。これらは単独でまたは任意の混合物として使用することができる。
【0099】
ステアリン酸亜鉛が有利な費用-性能比を有するので好ましい。
【0100】
潤滑剤または剥離剤は好ましくは感熱層の総固形分に対して約1~約10重量%の量、特に好ましくは約3~約6重量%の量で感熱層に有する。
【0101】
別の好ましい実施形態では、少なくとも1つのバインダー(結合剤)が感熱層に有する。これらは好ましくは水溶性デンプン、デンプン誘導体、デンプンベースのEcosphere型バイオラテックス、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、カゼイン、部分的もしくは完全にけん化されたポリビニルアルコール、化学変性ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコールコポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム、スチレン無水マレイン酸コポリマー、エチレン無水マレイン酸コポリマー、スチレンブタジエンコポリマー、アクリルアミド(メタ)アクリレートコポリマー、アクリルアミド-アクリレート-メタクリレートターポリマー、ポリアクリレート、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、アクリレートブタジエンコポリマー、ポリ酢酸ビニル、および/またはアクリロニトリルブタジエンコポリマーが好ましく使用される。これらは単独でまたは任意の混合物で使用することができる。
【0102】
部分的にけん化されたポリビニルアルコール、好ましくはけん化度が85~99%、特に約88%のものは、有利な費用-性能比を有するので特に好ましい。
【0103】
バインダーは好ましくは感熱層の総固形分に対して1~30重量%、好ましくは5~20重量%の量で感熱層にある。
【0104】
感熱記録材料の特定の用途に関連する性能特性を達成するために、バインダーは好ましくは架橋形態で感熱層にあり、バインダーの架橋の最適な程度は架橋剤(crosslinking agent)(架橋剤(crosslinker))の存在下におけるコーティングプロセスの乾燥ステップで達成される。
【0105】
架橋剤は多価のアルデヒド、例えばグリオキサール、ジアルデヒドデンプン、グルタルアルデヒドであり得、場合によりホウ素塩(ホウ砂)との混合物であり得、グリオキシル酸の塩またはエステル、炭酸ジルコニウムアンモニウムをベースとする架橋剤、ポリアミドアミン-エピクロロヒドリン樹脂(PAE樹脂)、アジピン酸ジヒドラジド(AHD)、ホウ酸またはその塩、ポリアミン、エポキシ樹脂、ホルムアルデヒドオリゴマー、環状尿素、メチロール尿素、メラミンホルムアルデヒドオリゴマー等であり得る。これらは単独で、または任意の混合物として使用することができる。
【0106】
炭酸ジルコニウムアンモニウムおよびポリアミドアミン-エピクロロヒドリン樹脂(PAE樹脂)は食品適合性の理由から特に好ましい。
【0107】
特別に変性されたポリビニルアルコールまたはアクリレートのような自己架橋性バインダーは既にバインダーポリマー内に組み込まれている反応性の架橋可能な基のおかげでいかなる架橋剤もなしに架橋することができる。
【0108】
架橋剤は好ましくはカラー層の総固形分に対して約0.01~約25.0重量%の量、特に好ましくは約0.05~約15.0重量%の量で有する。
【0109】
別の好ましい実施形態では、感熱層は顔料を含有する。これらの顔料はカラー層内の顔料と同じでも異なってもよい。これらの顔料を使用する利点の1つは感熱印刷過程でそれらの表面に生成した融解化学品を固定することができることである。顔料はまた感熱層の表面白色度および不透明度ならびに慣用の印刷用インクによるその印刷適性を調節するのに使用することもできる。
【0110】
特に適切な顔料は合成および天然の両方の起源の無機顔料、好ましくは粘土、沈降または天然炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、シリカ、沈降およびヒュームドシリカ(例えばAerodisp型)、珪藻土、炭酸マグネシウム、タルク、カオリン、酸化チタン、ベントナイトであるが、スチレン/アクリルコポリマー壁をもつ中空体顔料または尿素/ホルムアルデヒド縮合ポリマーのような有機顔料でもある。これらは単独で、または任意の混合物で使用することができる。
【0111】
炭酸カルシウム、水酸化アルミニウムおよびヒュームドシリカが好ましい。それは、これらが、感熱記録材料の市販の印刷用インクによるその後の印刷適性に関して感熱記録材料の特に有利な適用性を可能にするからである。
【0112】
顔料は好ましくは感熱層の総固形分に対して約2~約50重量%の量、特に好ましくは約5~約20重量%の量で感熱層にある。
【0113】
感熱層はまたカーボンブラック成分および/または染料/カラー顔料も含有し得る。
【0114】
本発明による感熱記録材料の表面白色度を調節するために、蛍光増白剤を感熱カラー形成層に組み込むことができる。これらは好ましくはスチルベンである。
【0115】
感熱層はまた無機油吸収性白色顔料も含有し得る。
【0116】
これら無機油吸収性白色顔料の例は天然または焼成カオリン、シリカ、ベントナイト、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、特にベーマイト、およびこれらの混合物を含む。
【0117】
無機油吸収性白色顔料は好ましくは感熱層の総固形分に対して約2~約50重量%の量、特に好ましくは約5~約20重量%の量で感熱層にある。
【0118】
ある特定のコーティング特性を改善するために、個々の場合に例えば増粘剤および/または界面活性剤のような追加の成分、特にレオロジー添加剤を本発明による感熱記録材料の成分に加えるのが好ましい。
【0119】
追加の成分は好ましくは当業者に公知の通常の量で有する。
【0120】
感熱層は好ましくは1~8g/m2、特に2~6g/m2の坪量を有する。
【0121】
感熱層は好ましくは1~10μm、特に2~8μmの厚さを有する。
【0122】
別の好ましい実施形態では、感熱記録材料は好ましくは絶縁層がシート形態の支持材とカラー層との間にあることを特徴とする。
【0123】
代替的な実施形態では、感熱記録材料は好ましくはカラー層がカラー層と絶縁層の両方であることを特徴とする。
【0124】
カラー層と絶縁層との両方である絶縁層、またはカラー層は感熱記録材料を通る熱伝導の低下を引き起こす。これにより、直接感熱プリンターを使用した局在化された熱が加わることがより効率的になり、より高いサーマルプリンタースピードが可能になる。最上層はかかる熱の量に起因してより速やかに半透明になり、したがって感度が改良される。
【0125】
これは、より少ない染料が必要とされ、結果として物質循環、特に古紙サイクルにおける改良されたリサイクル可能性(より容易な脱インク性、染料および支持材成分の分離)が得られることを意味する。
【0126】
カラー層と絶縁層との両方である絶縁層またはカラー層は好ましくは50秒より大きい、特に好ましくは100秒より大きい、最も特に好ましくは100~250秒のBekk平滑度を有する。
【0127】
カラー層と絶縁層との両方である絶縁層またはカラー層は好ましくは断熱材を含む。
【0128】
好ましくは、絶縁層または絶縁層でもあるカラー層をもつ感熱記録材料は、絶縁層または絶縁層でもあるカラー層を含まない感熱記録材料より低い熱伝導率を有する。
【0129】
断熱材は好ましくはカオリン、特に好ましくは焼成カオリンおよびこれらの混合物を含む。
【0130】
断熱材はまた中空球顔料、特にスチレン-アクリレートコポリマーを含む中空球顔料を含み得る。
【0131】
これらの中空球顔料は好ましくは40~80℃のガラス転移温度および/または0.1~2.5μmの平均粒径を有する。
【0132】
断熱材は好ましくは絶縁層の総固形分に対して約20~約80重量%の量、特に好ましくは約40~約60重量%の量で絶縁層にある。
【0133】
カラー層と絶縁層との両方であるカラー層において、断熱材は、好ましくはカラー層と絶縁層との両方であるカラー層の総固形分に対して約30~約70重量%の量、特に好ましくは約40~約60重量%の量ある。
【0134】
別の実施形態では、感熱記録材料は、絶縁層、またはカラー層と絶縁層の両方であるカラー層が、散乱粒子、特に好ましくはスチレン-アクリレートコポリマーを含むポリマー粒子、および少なくとも1種の無機顔料、特に焼成カオリンの混合物を含むことを特徴とする。
【0135】
散乱粒子/ポリマー粒子(例えば、スチレン-アクリレートコポリマー)および無機顔料(例えば、焼成カオリン)の任意の混合物を絶縁/カラー層に使用すると、カラー層上の感熱層の高度の定着に起因して、感熱記録材料の改良されたバーコード可読性に関して特別な利点が提供されることが示された。
【0136】
散乱粒子/ポリマー粒子および無機顔料の混合比はオーブン乾燥状態(ods)における量[重量%]に基づいて好ましくは8:1~1:8の範囲、特に好ましくは4:1~1:4の範囲である。
【0137】
用語「散乱粒子」は上の定義と類似に理解されたい。
【0138】
感熱記録材料の特定の用途に関連する性能特性を達成するために、バインダーは好ましくは架橋形態で絶縁層および/またはカラー層内にあり、バインダーの架橋の最適な程度は架橋剤(crosslinking agent)(架橋剤(crosslinker))の存在下でのコーティングプロセスの乾燥ステップで達成される。
【0139】
架橋剤は多価のアルデヒド、例えばグリオキサール、ジアルデヒドデンプン、グルタルアルデヒドであり得、場合によりホウ素塩(ホウ砂)との混合物であり得、またグリオキシル酸の塩またはエステル、炭酸ジルコニウムアンモニウムをベースとする架橋剤、ポリアミドアミン-エピクロロヒドリン樹脂(PAE樹脂)、アジピン酸ジヒドラジド(AHD)、ホウ酸またはその塩、ポリアミン、エポキシ樹脂、ホルムアルデヒドオリゴマー、環状尿素、メチロール尿素、メラミンホルムアルデヒドオリゴマー等であり得る。これらは単独でまたは任意の混合物で使用することができる。
【0140】
炭酸ジルコニウムアンモニウムおよびポリアミドアミンエピクロロヒドリン樹脂(PAE樹脂)は特に食品適合性の理由から好ましい。
【0141】
特別に変性されたポリビニルアルコールまたはアクリレートのような自己架橋性バインダーはバインダーポリマー内に既に組み込まれている反応性の架橋可能な基のおかげでいかなる架橋剤もなしに架橋することができる。
【0142】
架橋剤はそれぞれ、絶縁層またはカラー層の総固形分に対して約0.01~約25.0重量%の量、特に好ましくは約0.05~約15.0重量%の量、有する。
【0143】
絶縁層は好ましくは1~5g/m2、特に2~4g/m2の坪量を有する。
【0144】
絶縁層は好ましくは1~10μm、特に2~8μmの厚さを有する。
【0145】
カラー層と絶縁層との両方であるカラー層は好ましくは1~10g/m2、特に3~8g/m2の坪量を有する。
【0146】
カラー層と絶縁層との両方であるカラー層は好ましくは1~12μm、特に4~8μmの厚さを有する。
【0147】
別の好ましい実施形態では、感熱記録材料は好ましくはデンプン(デンプンプレコート)および/またはその変性物(変性デンプン)を含む層が直接シート形態の支持材の少なくとも1つの面上、好ましくは直接シート形態の支持材の両面上にあることを特徴とする。
【0148】
デンプンプレコートは好ましくは0.1~3、特に好ましくは0.2~1.5g/m2の量で付着される。
【0149】
シート形態の支持材のカラー層がある面上のデンプンプレコートはシート形態の支持材をシールし、したがってカラー層の接着を改良し、カラー層のシート形態の支持材内への侵入を低減または防止するという利点を有する。
【0150】
シート形態の支持材のカラー層がない面上のデンプンプレコートはカラー層のシート形態の支持材を通しての侵入を低減または防止することができるという利点を有する。
【0151】
デンプンを含む層は好ましくは20秒より大きい、より好ましくは50秒より大きい、最も好ましくは50~200秒のBekk平滑度を有する。
【0152】
本発明によると、感熱記録材料は好ましくは保護層が感熱層上にあることを特徴とする。
【0153】
この保護層は感熱層のカラー層から離れて面する面上にある。
【0154】
保護層は好ましくは少なくとも350秒、好ましくは500秒、より好ましくは少なくとも750秒、特に好ましくは少なくとも1000秒のBekk平滑度を有する。
【0155】
保護層は好ましくは少なくとも350秒、好ましくは少なくとも750秒、特に好ましくは少なくとも1000秒のBekk平滑度を有し、ここでBekk平滑度はDIN 53107(2016)に従って決定され、その結果感熱性記録材料は本明細書に定義されている動的色密度を決定する方法(動的感度の決定)に従って少なくとも1.35、好ましくは1.38~2%光学密度単位(OD 1(12.79mJ/mm2)に対応する)の動的色密度(動的感度)を有する。
【0156】
この理論に縛られることはないが、本発明者は、Bekk平滑度の増大が動的色密度(動的感度)の増大を引き起こすことに気が付いた。
【0157】
好ましくは、保護層のBekk平滑度は2000秒より高くない、好ましくは1600秒より高くない。
【0158】
保護層は少なくとも1種の顔料を含有し得る。
【0159】
別の実施形態では、保護層は顔料を含有しない。
【0160】
少なくとも1種の顔料が保護層にある場合、この少なくとも1種の顔料は保護層の固形分に対して5重量%未満(0より多く5重量%より少ない)の量で保護層にある。
【0161】
好ましい実施形態では、保護層は少なくとも1種の顔料を4重量%未満(0より多く4重量%より少ない)または3重量%未満(0より多く3重量%より少ない)または2重量%未満(0より多く2重量%より少ない)または1重量%未満(0より多く1重量%より少ない)または0.5重量%未満(0より多く0.5重量%より少ない)または0.2重量%未満(0より多く0.2重量%より少ない)または0.1重量%未満(0より多く0.1重量%より少ない)または0.01重量%未満(0より多く0.01重量%より少ない)の量で含有するかまたは不可避の不純物もしくは不可避の微量物質を除いて顔料を含有しないか、または顔料を全く含有しない。これらの量は保護層の固形分を参照している。
【0162】
顔料の不可避の不純物または不可避の微量物質は、例えば生産工程に起因して、顔料(顔料を含有するコーティング色)が生産プラントにおいて処理されたかまたはされている場合、例えば前もって付着された顔料を含有する層(絶縁層、カラー層、または感熱層の顔料)を付着させるとき、結果として保護層内に落ち着く可能性がある。
【0163】
この理論に縛られることはないが、本発明者は、保護層内に少ない顔料が含有されるとそれだけ高いBekk平滑度を設定することができ、その結果感熱記録材料の感度に有利であることに気が付いた。驚くべきことに、保護層内の顔料の割合は低減することができ、一定の要件に対する保護効果は損なわれないことが示された。また、結果として相対的印刷コントラストを増大および/または改良することさえできるということが示された。
【0164】
少なくとも1種の顔料は好ましくは有機および/または無機顔料から選択される。
【0165】
適切な無機顔料は合成および天然の両方の起源の無機顔料、好ましくは粘土、沈降または天然炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、シリカ、沈降およびヒュームドシリカ(例えばAerodisp型)、珪藻土、炭酸マグネシウム、タルク、カオリン、酸化チタン、ベントナイトを含むが、有機顔料、例えばスチレン/アクリレートコポリマー壁をもつ中空体顔料または尿素/ホルムアルデヒド縮合ポリマーも含む。これらは単独で、または任意の混合物で使用することができる。
【0166】
適切な有機顔料はスチレン/アクリレートコポリマー壁をもつ中空体顔料または尿素/ホルムアルデヒド縮合ポリマーを含む。これらは単独で、または任意の混合物で使用することができる。
【0167】
保護層はさらに好ましくは、保護層が
- 結合剤、
- 潤滑剤/剥離剤、特にワックスもしくは脂肪、脂肪酸もしくは脂肪酸の塩、またはシリコーンをベースとするもの、
- 架橋剤、特にホウ素フリーの架橋剤、および/または
- レオロジー添加剤
から選択される成分の少なくとも1種を含むことを特徴とする。
【0168】
好ましくは、保護層は少なくとも1種のバインダーを含む。
【0169】
適切なバインダーには水溶性デンプン、デンプン誘導体、デンプンベースのEcoSphere型バイオラテックス、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、部分的もしくは完全にけん化されたポリビニルアルコール、化学変性ポリビニルアルコール、例えばアセトアセチル-、ジアセトン-、カルボキシ-、シラノール変性ポリビニルアルコール、またはスチレン無水マレイン酸コポリマー、スチレンブタジエンコポリマー、アクリルアミド(メタ)アクリレートコポリマー、アクリルアミドアクリレートメタクリレートターポリマー、ポリアクリレート、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、アクリレートブタジエンコポリマー、ポリ酢酸ビニル、および/またはアクリロニトリルブタジエンコポリマーがある。これらは単独でまたは任意の混合物で使用することができる。
【0170】
特に好ましくは、バインダーはポリビニルアルコール、最も好ましくはけん化程度が88%より大きいポリビニルアルコールを含む。
【0171】
バインダーは好ましくは保護層の総固形分に対して約40~約90重量%の量、特に好ましくは約50~約80重量%の量で保護層にある。
【0172】
感熱記録材料の特定の用途に関連する性能特性を達成するために、バインダーは好ましくは架橋形態で保護層内にあり、バインダーの架橋の最適な程度は架橋剤(crosslinking agent)(架橋剤(crosslinker))の存在下におけるコーティングプロセスの乾燥ステップで達成される。
【0173】
架橋剤は多価のアルデヒド、例えばグリオキサール、ジアルデヒドデンプン、グルタルアルデヒドであり得、場合によりホウ素塩(ホウ砂)との混合物であり得、またグリオキシル酸の塩またはエステル、炭酸ジルコニウムアンモニウムをベースとする架橋剤、ポリアミドアミン-エピクロロヒドリン樹脂(PAE樹脂)、アジピン酸ジヒドラジド(AHD)、ホウ酸またはその塩、ポリアミン、エポキシ樹脂、ホルムアルデヒドオリゴマー、環状尿素、メチロール尿素、メラミンホルムアルデヒドオリゴマー等であり得る。これらは単独で、または任意の混合物で使用することができる。
【0174】
ホウ素フリーの架橋剤が好ましい。
【0175】
炭酸ジルコニウムアンモニウムおよびポリアミドアミンエピクロロヒドリン樹脂(PAE樹脂)は食品適合性の理由から特に好ましい。
【0176】
特別に変性されたポリビニルアルコールまたはアクリレートのような自己架橋性バインダーは既にバインダーポリマー内に組み込まれている反応性の架橋可能な基のおかげでいかなる架橋剤もなしに架橋することができる。
【0177】
架橋剤は好ましくはカラー層の総固形分に対して約0.01~約25.0の量、特に好ましくは約0.05~約15.0%の量を有する。
【0178】
架橋剤は好ましくは保護層の総固形分に対して約0.01~約25.0の量、特に好ましくは約0.05~約15.0の量を有する。
【0179】
好ましくは、保護層は少なくとも1つの潤滑剤または少なくとも1つの剥離剤も含む。
【0180】
これらの作用剤は好ましくは例えばステアリン酸亜鉛もしくはステアリン酸カルシウムのような脂肪酸金属塩、またはさらにはベヘン酸塩、例えば、例えばステアリン酸アミドおよびベヘン酸アミドのような脂肪酸アミドの形態の合成ワックス、例えばステアリン酸メチロールアミドのような脂肪酸アルカノールアミド、いろいろな融点のパラフィンワックス、いろいろな分子量のエステルワックス、エチレンワックス、いろいろな硬度のプロピレンワックスおよび/または、例えばカルナウバワックス、モンタンワックス、もしくはソイワックスのような天然ワックスである。
【0181】
ワックスまたは脂肪、脂肪酸または脂肪酸の塩をベースとする潤滑剤が好ましい。
【0182】
潤滑剤は好ましくは保護層の総固形分に対して約1~約30重量%の量、特に好ましくは約2~約20重量%の量を有する。
【0183】
好ましくは、保護層は少なくとも1種の剥離剤を含む。
【0184】
このためにはシリコーンをベースとする剥離剤が好ましく、これは例えばUS2006/0063013A1から公知であり、その開示はここで完全に組み込まれる。
【0185】
剥離剤は好ましくは保護層の総固形分に対して約1~約30重量%の量、特に好ましくは約2~約20重量%の量を有する。
【0186】
好ましくは、保護層は少なくともレオロジー添加剤を含む。
【0187】
好ましいレオロジー添加剤は増粘剤および界面活性剤である。
【0188】
好ましくは、保護層は少なくとも1種の潤滑剤/剥離剤、少なくとも1種のバインダーおよび少なくとも1種の架橋剤を含む。
【0189】
本発明による感熱記録材料の表面白色度を調節するために、蛍光増白剤、好ましくはスチルベンを保護層内に組み込むことができる。
【0190】
好ましくは、保護層は0.01~3.5g/m2の範囲、好ましくは0.05超~2.5g/m2の範囲、特に好ましくは0.1~1.5g/m2の範囲の坪量を有する。
【0191】
驚くべきことに、保護層の坪量を低減することができ、一定の要件に対する保護効果は損なわれないことが示された。同時に、相対的印刷コントラストを増大および/または改良することさえできる。
【0192】
保護層は好ましくは0.3~6.0μm、特に0.5~2.0μmの厚さを有する。
【0193】
好ましくは、保護層は、特に感熱記録材料の裏面の接着剤層と比較して「付着防止効果」を有する。
【0194】
好ましくは、保護層は、特に感熱記録材料の裏面の感圧接着剤に対して「付着防止効果」を有する。
【0195】
これは、感熱記録材料をライナーレスまたは支持のない感熱記録材料として使用することができるという利点を有する。
【0196】
特に、これはまた、感熱記録材料が支持体を必要とすることなく自身に巻き付けることができ(「ライナーレス」または「支持のない」)、自身に巻き付けられた感熱記録材料が再び伸ばされた後、その感熱記録材料がその紙および付着特性の低下を示さないという利点も有する。
【0197】
さらにこれは、製造コストをさらに低減することができ、ロール当たりより多くのランニングメートルを実現することができ、ライナーの廃棄のための処分費用が必要なく、特定の装填空間容量当たりより多くのラベルを輸送することができるという利点を有する。
【0198】
別の好ましい実施形態では、感熱記録材料は好ましくは接着剤層がシート形態の支持材のカラー層が位置しない面上に有することを特徴とする。
【0199】
デンプンプレコートは、これを有する場合、ウェブ様裏打ち材料と接着剤層との間に位置する。
【0200】
接着剤層は好ましくは少なくとも1つの接着剤、好ましくは熱活性化接着剤、特に感圧接着剤を含む。
【0201】
接着剤、好ましくは熱活性化接着剤、特に感圧接着剤がゴムベースのおよび/またはアクリレートベースの接着剤であるのが特に好ましい。
【0202】
好ましくは、保護層はゴムベースの、および/またはアクリレートベースの接着剤に対して「付着防止効果」を有する。
【0203】
接着剤層は好ましくは1~40g/m2、特に12~25g/m2の坪量を有する。
【0204】
別の好ましい実施形態では、感熱記録材料は好ましくはシリコーン処理された剥離層が感熱層上にあることを特徴とする。
【0205】
用語「シリコーン処理された剥離層」および「シリコーン処理された層」は「シリコーンの層で覆う」という意味で同意語として理解されたい。好ましくは、これらの層は不可避の痕跡または(例えばシリコン化用液体のUV硬化用の)添加剤を除いてシリコーンからなるかまたは少なくとも90重量%、好ましくは少なくとも95重量%、特に好ましくは少なくとも99重量%、最も好ましくはシリコーンのみを含む。
【0206】
シリコーン処理された剥離層は好ましくは400秒より大きい、特に好ましくは800秒より大きい、最も好ましくは800~2000秒のBekk平滑度を有する。
【0207】
保護層、特に上に規定したような保護層が感熱層上にある場合、シリコーン処理された剥離層は好ましくはこの保護層上に位置する。
【0208】
別の好ましい実施形態では、感熱記録材料は好ましくは拡散層がシリコーン処理された層と下にある層、好ましくは感熱層との間に形成されていることを特徴とする。この拡散層は好ましくはシリコーン処理された剥離層の少なくとも一部分の下層の上部領域中への拡散により形成され、好ましくは5~50重量%、特に好ましくは6~45重量%、特に7~40重量%のシリコーン処理された剥離層が下にある層の上部領域中に拡散する。かかる拡散層は例えばEP3221153A1に記載されている。
【0209】
シリコーン処理された剥離層は、好ましくは上記した接着剤層もある場合に、ある。
【0210】
感熱層上のシリコーン処理された剥離層およびシート形態の支持材のカラー層が位置しない面上の接着剤層の存在は、感熱記録材料をライナーレス感熱記録材料として使用することができるという利点を有する。
【0211】
特に、これは、感熱記録材料が支持体を必要とすることなく自身に巻き付けることができ(「ライナーレス」)、自身に巻き付けられた感熱記録材料が再び伸ばされた後、その感熱記録材料がその特性の顕著な低下を示さないという利点を有する。
【0212】
さらにこれは、製造コストをさらに低減することができ、ロール当たりより多くのランニングメートルを実現することができ、ライナーの廃棄のための処分費用が必要なく、特定の装填空間容量当たりより多くのラベルを輸送することができるという利点を有する。
【0213】
シリコーン処理された剥離層がある場合、少なくとも1つの小板状顔料がシリコーン処理された剥離層の直下にある層中に含まれるのが好ましい。
【0214】
少なくとも1つの小板状顔料は好ましくはカオリン、Al(OH)3および/またはタルクからなる群から選択される。カオリンの使用が特に好ましい。コーティングカオリンの使用が特に好ましい。かかる製品は例えば商標名Kaolin ASP 109(BASF、ドイツ)で入手可能である。
【0215】
これらの小板状顔料、特にカオリンの使用は、感熱層またはシリコーン処理された剥離層の直下にある層を極めて容易にシリコーン処理することができるという主たる利点を有する。
【0216】
小板顔料は直径対厚さの比が約7~40:1、好ましくは約15~30:1である顔料であると理解される。
【0217】
小板状顔料の粒径は好ましくは粒子の少なくとも約70%、好ましくは少なくとも約85%が約<2μmの粒径を有するように調節される(セディグラフ)。水溶液中の小板状顔料のpH値は好ましくは6~8である。
【0218】
少なくとも1つの小板状顔料は感熱カラー形成層中またはシリコーン処理された剥離層の直下にある層中に、好ましくはそれぞれの層の総固形分に対して約5~約60重量%の量、特に好ましくは約15~約55重量%の量、含まれる。
【0219】
保護層がシリコーン処理された剥離層の直下にあるならば、小板状顔料は保護層に含まれる顔料について上に記載した量で含まれる。
【0220】
別の好ましい実施形態では、感熱記録材料は好ましくはシリコーン処理された剥離層が少なくとも1つのシロキサン、好ましくはポリ(オルガノ)シロキサン、特にアクリルポリ(オルガノ)シロキサンを含むことを特徴とする。
【0221】
別の実施形態では、シリコーン処理された剥離層は少なくとも2種のシロキサンの混合物を含む。少なくとも2種のアクリルポリ(オルガノ)シロキサンの混合物が好ましい。
【0222】
特に好ましいシロキサンの例は商標名TEGO(登録商標)RC902およびTEGO(登録商標)RC711(Evonik、ドイツ)で入手可能なシロキサンである。
【0223】
別の実施形態では、感熱記録材料は好ましくはシリコーン処理された剥離層が、好ましくは少なくとも1つのシリコーンアクリレートの縮合により形成された少なくとも1つのポリシリコーンアクリレートを含むことを特徴とする。
【0224】
好ましい実施形態では、シリコーン処理された剥離層は熱硬化した剥離層である。この剥離層の形成はPt触媒の存在下で行なわれる。
【0225】
シリコーン処理された剥離層は好ましくは無水である。またシリコーン処理された剥離層がいかなるPt触媒を含有しないことも好ましい。
【0226】
シリコーン処理された剥離層は好ましくは開始剤、特に好ましくは光開始剤を含有する。これはシリコーンのラジカル硬化に使用される。
【0227】
TEGO(登録商標)光開始剤A18(Evonik、ドイツ)が特に好ましい。
【0228】
シリコーン処理された剥離層は好ましくは艶消し剤および/または接着添加剤のようなさらなる添加剤を含有することができる。
【0229】
シリコーン処理された剥離層は好ましくは0.3~5.0g/m2、より特定的には1.0~3.0g/m2の坪量を有する。
【0230】
シリコーン処理された剥離層は好ましくは0.3~6.0μm、より特定的には0.5~2.0μmの厚さを有する。
【0231】
別の好ましい実施形態では、感熱記録材料は好ましくは感熱記録材料が2~14%、好ましくは2~12%、最も好ましくは3~10%の残留水分含量を有することを特徴とする。3~8%の残留水分含量が最も好ましい。
【0232】
残留水分は実施例に関連して記載するようにして決定することができる。
【0233】
感熱層の不透明度は散乱粒子、特にポリマー粒子自身ばかりでなく、散乱粒子、特にポリマー粒子間に閉じ込められた空気(開放気孔率)によっても生じると仮定される。これらの「細孔」内への水分の侵入は空気に取って代わり、不透明度を低減する。この結果、好ましくないより灰色の材料が生じ得る。
【0234】
別の好ましい実施形態では、感熱記録材は好ましくは感熱記録材料が35~60%、より特定的には45~50%の表面白色度を有することを特徴とする。
【0235】
規定された範囲の残留水分含量は、印刷後、より良好な視認性のような有利な用途特性をもつ高い相対的印刷コントラストがあるという利点を有する。
【0236】
表面白色度(紙の白色度)はElrepho 3000分光光度計を使用してISO 2470-2(2008)に従って決定することができる。
【0237】
別の好ましい実施形態では、感熱記録材料は好ましくは感熱層が局在化された熱が加わることに起因して半透明になった位置と感熱層が局在化された熱が加わることに起因して半透明にならなかった位置とのコントラストが40~80%、特に50~70%であることを特徴とする。
【0238】
このコントラストはバックグラウンドと活字面との間の光学密度の差をとることにより計算することができる。光学密度(OD)は、例えば密度計を使用して測定される。
【0239】
別の好ましい実施形態では、感熱記録材料は好ましくは感熱プリンター耐久性試験(10km)で少なくとも「グレード2」の堆積挙動を有することを特徴とする。市販の感熱プリンター(モデル:Zebra ZD420)で10kmの試験運転後、感熱プリントヘッドへの堆積の目視検査を行なった。評価は以下の格付けシステムに基づいた:グレード0=堆積なし、グレード1=多少の堆積、グレード2=中程度の堆積、グレード3=激しい堆積。上市可能な感熱記録材料は堆積を示さない(グレード0)。
【0240】
別の好ましい実施形態では、感熱記録材料は好ましくは5~10(吸光度値、試験終了後の光度測定に基づく)、好ましくは5未満の水湿潤摩耗耐性を有することを特徴とする。
【0241】
感熱記録材料の水湿潤摩耗耐性は好ましくはAdams Co.の湿潤摩擦試験機(タイプNSE-1lR)およびHach-Lange Co.の光度計(DR3900)を用いて評価される。このために、感熱記録材料の印刷されてない一片(210×24mm)の裏面に両面接着テープを設け、湿潤摩擦試験機のガイドローラーに接着させる。30mLの蒸留水をいわゆるサンプルトレイに入れた後、湿潤摩擦試験機のスイッチを入れる。ガイドローラーをドライブローラー上に下げる。50秒後、ガイドローラーをドライブローラーから持ち上げる。ドライブローラーを10mLの蒸留水で濯ぐ。濯ぎ水をサンプルトレイに集める。その後、水の濁度を光度計により吸光度として決定する。次の評価スケールを用いて、減衰値に基づく湿潤摩耗耐性を評価する:<5は非常に良好に相当し、5~10は良好に相当し、10~20は並に相当する。
【0242】
別の好ましい実施形態では、感熱記録材料は好ましくは画像濃度(光学密度、OD)が少なくとも1.35、好ましくは1.38~2%(12.79mJ/mm2のエネルギーレベルで測定される)の動的色密度(動的感度)を有することを特徴とする。動的色密度(動的感度)の決定は好ましくは実施例で規定されるようにして行なう。
【0243】
上記層はすべて単層または多層であることができる。
【0244】
本発明による感熱記録材料は公知の製造方法により得ることができる。
【0245】
本発明はまた上記した感熱記録材料のための製造方法にも関する。
【0246】
本発明による感熱記録材料は個々の層の出発材料を含む(水性)懸濁液をシート形態の支持材に引き続いて塗布する方法により得るのが好ましく、その(水性)適用懸濁液は8~50重量%、好ましくは10~40重量%の固形分を有し、カーテンコーティングプロセスにより少なくとも200m/分、特に少なくとも900m/分のコーティングシステムの作動速度で塗布される。
【0247】
この方法は、経済的観点から、またシート形態の支持材への均一な塗布のため、特に有利である。
【0248】
固形分がおおよそ8重量%の値を下回ると、穏やかな乾燥により短時間で大量の水を除去しなければならず、コーティング速度に対して有害な影響を有するので、経済的効率が悪化する。他方、60重量%の値を上回ると、その唯一の影響は、この場合も機械は極めて速やかに作動しなければならないので、コーティングプロセスおよび塗布されたフィルムの乾燥中、コーティング色カーテンの安定性を確保するための技術的努力が増大することである。
【0249】
カーテンコーティングプロセスにおいて、コーティング分散体の自由落下するカーテンが形成される。薄いフィルム(カーテン)の形態のコーティング分散体がコーティング分散体を基材に塗布するために自由落下により基材上に「注がれる」。DE 10 196 052 T1は、いくつかのコーティング分散体フィルムからなるカーテンを基材に塗布することにより多層の記録層が実現される、情報記録材料の生産におけるカーテンコーティングプロセスの使用を開示している。
【0250】
本発明による方法の、「ダブルカーテン」を使用する実施形態も考えられ得る。これは、2つの連続したコートがすぐに引き続いて塗布されることを意味する。ここで、塗布はすぐに引き続いて行なわれるので、第1の塗布された層は次の層が塗布される前にまだ乾燥していない。したがって2つの層は好ましくは「ウェットオンウェット」で塗布される。
【0251】
カーテンコーティングプロセスに関するすべての定義は同様にダブルカーテンコーティングプロセスに当てはまる。
【0252】
ダブルカーテンコーティングプロセスを用いた「ウェットオンウェット」塗布の利点は、2つの層がより強い結合を有し、より特定的には中間の接着促進剤の必要がないことである。
【0253】
本発明による方法の好ましい実施形態では、水性の脱気した塗布懸濁液は約100~約1000mPasの粘度を有する(Brookfield、100rpm、20℃)。値が約100mPasを下回るかまたは約1000mPasを上回ると、コーティングユニットでのコーティングマスの不十分な走行性を導く。特に好ましくは、水性の脱気した塗布懸濁液の粘度は約200~約500mPasである。ダブルカーテンにおける連続したコーティングマスの粘度は下から上へ減少するべきである。誤って調節されたコーティングの場合、「湿潤不良」の発生と共にカーテンに接する点でヒーリングの可能性が増大する。
【0254】
好ましい実施形態では、水性塗布懸濁液の表面張力はプロセスを最適化するために約25~約70mN/m、好ましくは約35~約60mN/m(以下に記載するように気泡圧力張力学(ASTM D 3825-90)に対する規格に従って測定)に調節することができる。コーティングプロセス全体にわたるより良好な調節は、コーティング色の動的表面張力を決定し、適当な界面活性剤を選択することにより調節し、界面活性剤の所要量を決定することにより達成することができる。
【0255】
動的表面張力は気泡圧力張力計を使用して測定される。毛細管を介して液体中に形成された気泡の最大の内圧が測定される。Young-Laplace式によると、球状気泡の内圧p(Laplace圧力)は曲率の半径rおよび表面張力σに依存する:
【0256】
【0257】
気泡が毛細管の先端で液体中に創り出されると、曲率は最初増大し、次に再び減少し、圧力最大になる。最大の曲率、したがって最大の圧力は曲率の半径が毛細管半径に相当するときに起こる。
【0258】
袋の圧力測定に対する圧力特性、圧力最大の位置:
【0259】
毛細管の半径は公知の表面張力の液体、通常水で行なわれる基準の測定を使用して決定される。半径が知れたら、表面張力は最大圧力pmaxから計算することができる。毛細管は液体中に浸漬されるので、浸漬深さおよび液体の密度から生じる静水圧p0は測定された圧力から差し引かなければならない(これは最新の機器では自動的に行なわれる)。この結果気泡圧力プロセスに対する次式が得られる:
【0260】
【0261】
測定された値は一定の表面寿命、気泡形成の始まりから圧力最大の発生までの時間における表面張力に対応する。気泡が生成する速度を変化させることにより、表面寿命に対する表面張力の依存性を知ることができ、結果として表面張力が時間に対してプロットされた曲線が得られる。
【0262】
この依存性は界面活性剤の使用に対して重要な役割を果たす。その理由は、界面活性剤の時には低い拡散および吸着速度に起因して多くのプロセスで界面張力の平衡値は到達もされないからである。
【0263】
個々の層はオンラインまたは別々のオフラインコーティングプロセスで形成することができる。
【0264】
特に、上に詳細に記載した層が確実に上に述べたBekk平滑化を示すように、以下の方法ステップが行なわれるのが好ましい。
【0265】
シート形態の支持材は好ましくは第1のシリンダーで平滑化される。このプロセス技術により生成するこの片面または両面の高い平滑度は既にシート形態の支持材に利点を付与する。下流のカレンダーによる、好ましくは第1のコーターの前の追加のカレンダー掛けは平滑度をさらに改良することができ、および/または良好なプロファイルを確実にすることができる。
【0266】
上に規定したようなデンプンコーティングが付着されるならば、これは好ましくはカラー層がブレードコーターを使用して付着される前にフィルムプレスを使用して行なわれる。
【0267】
裏面のデンプンは特に、コーティング色がブレードコーターに浸透するのを防ぐために有利である。
【0268】
またカラー層を直接フィルムプレスで付着させることも可能であろう。しかしながら、ブレードコーターと比較して平滑度に関して不利であろう。ブレードコーターの使用は最終製品の重要な動的色密度(動的感度)に対する良好な基本的平滑度を材料に与える。最終平滑度と動的感度との間にはある相関がある。
【0269】
また、カラー層をフィルムプレスで、またさらにはカーテンコーターで付着することも考えられよう。その場合平滑度の利点は失われるが、これは特にフィルムプレスを使用するとき、カレンダーで補うことができよう。しかしながら、これは中空球が使用されない場合にのみ適している。これらはフィルムプレスによって壊されるからである。
【0270】
存在する場合絶縁層は同様にして付着される。
【0271】
シリコーン処理された層も存在する場合同様にして付着される。
【0272】
同じことが保護層に当てはまる。あるいは、保護層もまた印刷されることもできる。化学線を使用して硬化することができる保護コーティングは加工処理および技術特性に関して特に適している。用語「化学線」はUVまたは電離放射線、例えば電子ビームを意味する。
【0273】
感熱層の付着は好ましくは上に記載したようにカーテンコーティングによって行なわれる。
【0274】
シート形態の支持材、特に紙が1つの面で被覆されるならば、生じるカールは平らにされるべきである
【0275】
これは好ましくはLASモイスチャライザー(LAS Liquid Applicator System)で行なわれる。この目的で、水のフィルムがより少なく被覆された面に付けられ、その後乾燥される。このようにして、いわゆる平らな位置が回復する。水フィルムを付けると、表面は少し劣化する。
【0276】
表面を保護する好ましい変形はスチーム式加湿器であろう。水の代わりにスチームが吹き付けられる。これにより表面は損傷されない。これは最高の表面品質が達成されなければならない用途に極めて適している。
【0277】
別の選択肢は水の霧が適用されるスプレー加湿器であろう。
【0278】
上述の層はすべて単層または多層であることができる。
【0279】
本発明はさらに上記した方法により得ることができる感熱記録材料に関する。
【0280】
本発明はまた、上記した感熱記録材料の、レシートロール、接着剤ラベル(ロール)、チケット(ロール)として、または機械プリンターもしくは筆記用ペンのためのプリンター用紙としての使用にも関する。これらは特に機能面および/または裏面(色付き、着色、黒色/灰色)を有し得、前もって印刷され得る。前記ロールは好ましくは典型的な幅および長さで入手可能である。
【0281】
以下の図は本発明に従う例示的な感熱記録材料に対する様々な層構造を概略的に示す。個々の層の組成は各層に対して上で規定した通り理解されたい。本明細書に記載されている本発明による感熱記録材料の利点は以下に記載する好ましい実施形態に特に当てはまる。
【0282】
これらの図はまた本発明の特に好ましい実施形態も記載する。
【図面の簡単な説明】
【0283】
【
図1】シート形態の支持材、そこに付着されたカラー層、およびカラー層上の感熱層を有し、保護層が感熱層に付着されている、感熱記録材料の図である。
【0284】
【
図2】シート形態の支持材、そこに付着された絶縁層でもあるカラー層、およびカラー層上の感熱層を有し、保護層が感熱層に付着されている、感熱記録材料の図である。
【0285】
【
図3】シート形態の支持材、そこに付着された絶縁層、そこに付着されたカラー層、およびカラー層上の感熱層を有し、保護層が感熱層に付着されている、感熱記録材料の図である。
【0286】
【
図4】両面にデンプンプレコートを有するシート形態の支持材、そこに付着されたカラー層、およびカラー層上の感熱層を有し、保護層が感熱層に付着されている、感熱記録材料の図である。
【0287】
【
図5】両面にデンプンプレコートを有するシート形態の支持材、そこに付着された絶縁層でもあるカラー層、およびカラー層上の感熱層を有し、保護層が感熱層に付着されている、感熱記録材料の図である。
【0288】
【
図6】両面にデンプンプレコートを有するシート形態の支持材、そこに付着された絶縁層、そこに付着されたカラー層、およびカラー層上の感熱層を有し、保護層が感熱層に付着されている、感熱記録材料の図である。
【0289】
【
図7】シート形態の支持材、そこに付着されたカラー層、およびカラー層上の感熱層を有し、保護層が感熱層に付着されており、シリコーン処理された層が保護層に付着されている、感熱記録材料の図である。
【0290】
【
図8】シート形態の支持材、そこに付着された絶縁層でもあるカラー層、およびカラー層上の感熱層を有し、保護層が感熱層に付着されており、シリコーン処理された層が保護層に付着されている、感熱記録材料の図である。
【0291】
【
図9】シート形態の支持材、そこに付着された絶縁層、そこに付着されたカラー層、およびカラー層上の感熱層を有し、保護層が感熱層に付着されており、シリコーン処理された層が保護層に付着されている、感熱記録材料の図である。
【0292】
【
図10】両面にデンプンプレコートを有するシート形態の支持材、そこに付着されたカラー層、およびカラー層上の感熱層を有し、保護層が感熱層に付着されており、シリコーン処理された層が保護層に付着されている、感熱記録材料の図である。
【0293】
【
図11】両面にデンプンプレコートを有するシート形態の支持材、そこに付着された絶縁層でもあるカラー層、およびカラー層上の感熱層を有し、保護層が感熱層に付着されており、シリコーン処理された層が保護層に付着されている、感熱記録材料の図である。
【0294】
【
図12】両面にデンプンプレコートを有するシート形態の支持材、そこに付着された絶縁層、そこに付着されたカラー層、およびカラー層上の感熱層を有し、保護層が感熱層に付着されており、シリコーン処理された層が保護層に付着されている、感熱記録材料の図である。
【0295】
【
図13】シート形態の支持材、シート形態の支持材の下面の接着剤層、および他方の面に付着されたカラー層、ならびにカラー層上の感熱層を有し、保護層が感熱層に付着されている、感熱記録材料の図である。
【0296】
【
図14】シート形態の支持材、シート形態の支持材の下面の接着剤層、および他方の面に付着された絶縁層でもあるカラー層、ならびにカラー層上の感熱層を有し、保護層が感熱層に付着されている、感熱記録材料の図である。
【0297】
【
図15】シート形態の支持材、シート形態の支持材の下面の接着剤層、および他方の面に付着された絶縁層、そこに付着されたカラー層、ならびにカラー層上の感熱層を有し、保護層が感熱層に付着されている、感熱記録材料の図である。
【0298】
【
図16】両面にデンプンプレコートを有するシート形態の支持材、シート形態の支持材の下面の接着剤層、および他方の面に付着されたカラー層、ならびにカラー層上の感熱層を有し、保護層が感熱層に付着されている、感熱記録材料の図である。
【0299】
【
図17】両面にデンプンプレコートを有するシート形態の支持材、シート形態の支持材の下面の接着剤層、および他方の面に付着された絶縁層でもあるカラー層、ならびにカラー層上の感熱層を有し、保護層が感熱層に付着されている、感熱記録材料の図である。
【0300】
【
図18】両面にデンプンプレコートを有するシート形態の支持材、シート形態の支持材の下面の接着剤層および他方の面に付着された絶縁層、そこに付着されたカラー層、ならびにカラー層上の感熱層を有し、保護層が感熱層に付着されている、感熱記録材料の図である。
【0301】
【
図19】シート形態の支持材、シート形態の支持材の下面の接着剤層、および他方の面に付着されたカラー層、ならびにカラー層上の感熱層を有し、保護層が感熱層に付着されており、シリコーン処理された層が保護層に付着されている、感熱記録材料の図である。
【0302】
【
図20】シート形態の支持材、シート形態の支持材の下面の接着剤層、および他方の面に付着された絶縁層でもあるカラー層、ならびにカラー層上の感熱層を有し、保護層が感熱層に付着されており、シリコーン処理された層が保護層に付着されている、感熱記録材料の図である。
【0303】
【
図21】シート形態の支持材、シート形態の支持材の下面の接着剤層および他方の面に付着された絶縁層、そこに付着されたカラー層、ならびにカラー層上の感熱層を有し、保護層が感熱層に付着されており、シリコーン処理された層が保護層に付着されている、感熱記録材料の図である。
【0304】
【
図22】両面にデンプンプレコートを有するシート形態の支持材、シート形態の支持材の下面の接着剤層、および他方の面に付着されたカラー層、ならびにカラー層上の感熱層を有し、保護層が感熱層に付着されており、シリコーン処理された層が保護層に付着されている、感熱記録材料の図である。
【0305】
【
図23】両面にデンプンプレコートを有するシート形態の支持材、シート形態の支持材の下面の接着剤層、および他方の面に付着された絶縁層でもあるカラー層、ならびにカラー層上の感熱層を有し、保護層が感熱層に付着されており、シリコーン処理された層が保護層に付着されている、感熱記録材料の図である。
【0306】
【
図24】両面にデンプンプレコートを有するシート形態の支持材、シート形態の支持材の下面の接着剤層、および他方の面に付着された絶縁層、そこに付着されたカラー層、ならびにカラー層上の感熱層を有し、保護層が感熱層に付着されており、シリコーン処理された層が保護層に付着されている、感熱記録材料の図である。
【実施例】
【0307】
以下、いくつかの非限定実施例を参照して本発明をより詳細に説明する:
【0308】
本発明による感熱記録材料を表1~6および8~13ならびに表7の比較例による組成で調製した。
【0309】
すべての実施例で、硬材および軟材パルプで作製された41または58g/m2の特定の坪量の紙基材を支持材として使用する。
【0310】
すべての示した坪量はそれぞれの乾燥した層に関する。
【0311】
それぞれのコーティング配合物の乾燥含量(DW)は水を加えることにより次のように調節する:絶縁層(30%)、カラー層(26%)、感熱層(20%)および保護層(10%)。
【0312】
原材料は次の乾燥含量で分散体または溶液として使用する:Ropaque HP-1055(21%)、スチレンブタジエンラテックス(48%)、カーボンブラック(45%)、Ropaque OP-96(30%)、メタホウ酸ナトリウム四水和物(2%)、ステアリン酸アミドワックス(22%)、酸化ケイ素(28%)、ステアリン酸亜鉛(35%)、ポリビニルアルコール(高粘度)(10%)、焼成カオリン(45%)、沈降炭酸カルシウム(58%)、炭酸ジルコニウムアンモニウム(9%)、ポリアミドアミンエピクロロヒドリン(10%)、ポリビニルアルコール(低粘度)(7%)、およびカオリン(75%)。
【0313】
量[重量%]はオーブン乾燥状態(ods)に関する。
【0314】
例示的な実施形態1および8では、絶縁層を、800m/分の速度でフィルムプレスを用いて抄紙機で紙基材に適用する。カラー層および感熱層を、引き続いてシングルカーテンコーターにより、および/または同時にダブルカーテンコーターにより、900m/分の速度で、絶縁層を備えた紙基材に塗工機で適用する。保護層を、カーテンコーターを用いて900m/分の速度で感熱層に塗工機で適用する。各々の適用後、それぞれのコート紙担体の乾燥プロセスを慣用の方法で本発明による感熱記録材料の特性、例えば感熱層の表面白色度または紙白色度に負の影響を及ぼすことなく行なう。
【0315】
実施形態2、3、9、および10では、カラー層および感熱層を、引き続いてシングルカーテンコーターにより、および/または同時にダブルカーテンコーターにより、900m/分の速度で紙基材に塗工機で塗工する。保護層を、塗工機でカーテンコーターを用いて900m/分の速度で感熱層に塗工する。各々の塗工後、それぞれのコート紙担体の乾燥プロセスを、慣用の方法で本発明による感熱記録材料の特性、例えば感熱層の表面白色度または紙白色度に負の影響を及ぼすことなく行なう。
【0316】
例示的な実施形態4、6、11、および13および比較例7では、デンプンプレコート(0.5g/m2)を抄紙機でフィルムプレスを用いて800m/分の速度で紙基材の表裏に塗工する。カラー層を、ブレードコーターを使用して600m/分の速度で、塗工機でデンプンを被覆した紙基材に塗工する。カラー層をもつデンプンを被覆した紙基材に、感熱層および保護層を、シングルカーテンコーターおよび/または同時にダブルカーテンコーターを使用して、900m/分の速度で、塗工機で引き続いて塗工する。各々の塗工後、それぞれのコート紙担体の乾燥プロセスを、慣用の方法で本発明による感熱記録材料の特性、例えば感熱層の表面白色度または紙白色度に負の影響を及ぼすことなく行なう。
【0317】
例示的な実施形態5および12では、カラー層および感熱層を、引き続いてシングルカーテンコーターにより、および/または同時にダブルカーテンコーターにより、900m/分の速度で紙基材に塗工機で塗工する。保護層を、塗工機でカーテンコーターを用いて900m/分の速度で感熱層に塗工する。各々の塗工後、それぞれのコート紙担体の乾燥プロセスを慣用の方法で本発明による感熱記録材料の特性、例えば感熱層の表面白色度または紙白色度に負の影響を及ぼすことなく行なう。
【0318】
実験室規模で、ロッドブレードを用いて水性塗布懸濁液を紙基材に引き続いて塗布して感熱記録材料のカラー層、感熱層、および保護層を形成した。各々の塗工後、乾燥は熱風乾燥機(40cmの距離)を用いて90~110℃の温度範囲で1~3分行なった。
【0319】
【0320】
【0321】
【0322】
【0323】
【0324】
【0325】
さらなる実施形態1*~6*では、実施例1~6の保護層を低い含量の無機顔料(5重量%未満)を有する次の保護層により各々交換した:
【0326】
【0327】
【0328】
絶縁/カラー層内に散乱粒子/ポリマー粒子(例えば、スチレン-アクリレートコポリマー)および無機顔料(例えば、焼成カオリン)の任意の混合物を使用すると、カラー層上の感熱層の定着の高い程度に起因して感熱記録材料の改良されたバーコード可読性に関して特別な利点が提供されることが示された。
【0329】
散乱粒子/ポリマー粒子および無機顔料の混合比はオーブン乾燥状態(ods)における量[重量%]に基づいて好ましくは8:1~1:8の範囲、特に好ましくは4:1~1:4の範囲である。
【0330】
これらの実施形態を、以下の実施例(実施例8~13)を用いて、その範囲を限定することなく、より詳細に説明する。
【0331】
【0332】
【0333】
【0334】
【0335】
【0336】
【0337】
さらなる実施形態8*~13*では、実施例8~13の保護層を低含量の無機顔料(5重量%未満)を有する以下の保護層により各々交換した:
【0338】
【0339】
上記感熱記録材料を以下に記載するようにして分析した。
1)動的色密度(動的感度):
a)感熱記録材料(6cm幅の紙片)を、GeBE PrinterLab GPT-10000テストプリンター(GeBE Elektronik und Feinwerktechnik GmbH、ドイツ)を用い、305dpiのKyocera印字バーにより、24Vの印加電圧および0.8msの最大パルス幅で、10エネルギーグラデーションの市松模様で感熱方式で印刷した。画像濃度(光学密度、OD)をX-RiteのSpectroEye濃度計により12.79mJ/mm2のエネルギーレベルで測定した。12.79mJ/mm2のエネルギーレベルのOD値のみを記録した。最大の光学密度はこのエネルギーレベルで達するからである(=OD1)。
【0340】
OD値の測定不確実性は≦2%と推定される。
【0341】
b)感熱記録材料(6cm幅の紙片)を、GeBE PrinterLab GPT-10000テストプリンター(GeBE Elektronik und Feinwerktechnik GmbH、ドイツ)を用い、305dpiのKyocera印字バーにより24Vの印加電圧および0.8msの最大パルス幅、予備試験(a)参照)で決定されたパルス幅で、エネルギーグラデーションなしの市松模様で感熱方式で印刷した。ここでパルス幅は1.20±0.05の光学密度が達成されるように選択される。印刷パターンの1つの正方形の領域80×80ドットに相当する。印刷されたおよび印刷されてない領域の画像濃度(光学密度、OD)をX-RiteのSpectroEye濃度計で測定した。ここでOD値の測定不確実性は≦2%と推定される。(式2)に従って計算された%値のばらつきは±2パーセンテージポイントである。
【0342】
2)相対的印刷コントラスト:
相対的コントラストは、感熱方式で印刷された領域または機械的に処理された領域(摩擦感度試験)の光学密度(ODs)および印刷されてない領域の光学密度(ODw)の値を用いて式(1)に従って計算した(s=黒色領域、w=白色の領域):
【0343】
【0344】
3)印刷像の耐性試験
a)人工劣化の条件下での印刷像の耐性:
(1a)の方法に従って動的に記録した感熱記録紙の1つのサンプルを、次の条件:i)50℃(乾燥劣化)、ii)40℃、85%相対湿度(湿潤劣化)、iii)蛍光灯の人工光下、照度16000ルクス(光劣化)で7日間保存した。試験期間の終了時、画像濃度を、12.79mJ/mm2の電流エネルギーで測定し、式(式2)に従って人工劣化前の対応する画像濃度値と関連付けた。
【0345】
【0346】
b)可塑剤に対する耐性(Omniフィルム):
可塑剤を含有する包装用フィルム(20~25%のアジピン酸ジオクチルを含むPVCフィルム)を(1b)の方法に従って印刷された感熱記録材料の2つの紙片と接触させ、しわおよび空気の巻き込みを避けながらロールに巻き付け、16時間保存した。1つの紙片は室温(20~22℃)で、2つ目は40℃で保存した。フィルムを取り出した後、印刷されたおよび印刷されてない領域の画像濃度(OD)を測定し、式(式2)に従って可塑剤曝露前の対応する画像濃度値に対する相対的印刷コントラストを決定するのに使用した。
【0347】
c)感圧接着剤に対する耐性:
感熱記録材料の2つの紙片に(1b)の方法を用いて印刷した。透明なTesa粘着テープ(tesafilm(登録商標)crystal clear、#57315)およびTesa包装用テープ(#04204)の別の一片を、しわおよび空気の巻き込みを避けながら各紙片に付着させた。室温(20~22℃)に保存した後、印刷されたおよび印刷されてない領域のそれぞれの接着テープを通した画像濃度(OD)を7日後に測定し、式(式2)に従って新たに付着させたテープ付きのサンプルの対応する画像濃度値に対して相対的印刷コントラストを決定するのに使用した。
【0348】
d)疎水性/親水性作用剤に対する耐性:
一滴/指先大のヒマワリ油(Nestle-Thomy 100%純粋なヒマワリ油)、ラード(LARU GmbH豚脂)、ハンドクリーム(ラノリンハンドクリーム)、汗(DIN EN ISO 105-E04に従って生成)、ミルク(3.5%脂肪)、エタノール(40%水中)および水(水道水)を各々、(1b)の方法に従って印刷した感熱記録材料のそれぞれの紙片の印刷されたおよび印刷されてない領域に付けた。30分の曝露時間の後、作用剤を標準的なキッチンペーパーと軽く接触させて除き、紙を室温(20~22℃)で保存した。特定の保存期間(表9参照)の後、印刷されたおよび印刷されてない領域の画像濃度(OD)を測定し、式(式2)に従って前記作用剤への曝露前の対応する画像濃度値に対する相対的印刷コントラストを決定するのに使用した。
【0349】
感熱記録材料の評価の結果を以下に要約する。
【0350】
【0351】
【0352】
印刷された/印刷されてない本発明による感熱記録材料の保存可能期間:
一片の感熱記録材料に(1b)の方法に従って印刷し、測定し(OD、保存前の画像濃度)、印刷されてない一片の感熱記録材料と共に4週間2枚のガラス板の間で60℃、圧力1350N/m2、相対湿度50%および光の不在下で保存した。
【0353】
保存および室温への空調後、印刷されてない一片に(1b)に従って印刷し(=残存書き込み性能)、印刷されたおよび印刷されてない領域を測定し、相対的印刷コントラストを式(式2)に従って印刷された一片の保存前の対応する画像濃度値に対して決定した。印刷された一片の印刷されたおよび印刷されてない領域も測定し(=残存画像安定性)、式(式2)に従って保存前の対応する画像濃度値に対する相対的印刷コントラストを決定するのに使用する。
【0354】
感熱記録材料を粘着ラベルとして装備する。
A4シートの裏面に接着剤の層を設ける。
a)接着剤分散体を、前面側に感熱層(感熱記録材料)を支持するA4紙の裏面側にブレードで塗布し、熱風乾燥機を用いて最高70℃で乾燥する。さらなる加工処理中接着剤層を保護するために、シリコーン処理された剥離紙を空気の巻き込みおよびしわを避けながら接着剤層に積層する。
【0355】
b)2枚の剥離紙の間の薄い接着剤の層からなる「接着剤-ライナーサンドイッチ」があれば、その2枚のライナー紙の一方を取り除いた後、空気の巻き込みおよびしわを避けながら接着剤層(粘着面)をA4感熱紙の裏面側に積層する。
【0356】
ラベルの生産において、接着剤層を最初に設け、次いで接着剤層を支持する反対側の面に感熱性の記録層を設けるかは関係ない。
【0357】
粘着ラベルを作成するために、再剥離可能なアクリレートベースの接着剤(R5000N、Avery Fasson)を市販の接着剤として使用した。
【0358】
粘着ラベルに変換した感熱記録材料を以下のようにして試験/評価した(表10)。
【0359】
感熱性ラベルの接着剤移動試験
一片の感熱記録材料に(1b)方法に従って印刷し測定し(OD、保存前の画像濃度)、印刷されてない一片の感熱記録材料と共に2枚のガラス板の間で60℃、圧力1350N/m2、相対湿度50%および光の不在下で4週間保存した。
【0360】
保存および室温への空調後、印刷されてない一片に(1b)に従って印刷し(=残存書き込み性能)、印刷されたおよび印刷されてない領域を測定し、相対的印刷コントラストを式(式2)に従って保存前の印刷された一片の対応する画像濃度値に対して決定した。印刷された一片の印刷されたおよび印刷されてない領域も測定し(=残存画像安定性)、式(式2)に従って保存前の対応する画像濃度値に対する相対的印刷コントラストを決定するのに使用する。
【0361】
【0362】
平滑度の測定はDIN 53107(2016)に従って行った。
【0363】
厚さの測定はDIN-EN ISO 534(2011)に従って行った。
【0364】
感熱記録材料の堆積挙動を試験するために、市販の感熱プリンター(モデル:Zebra ZD420)を使用した。10kmの試験運転後、感熱プリントヘッドの堆積の目視検査を行なった。評価は以下の格付けシステムに基づいた:グレード0=堆積なし、グレード1=多少の堆積、グレード2=中程度の堆積、グレード3=激しい堆積。上市可能な感熱記録材料は堆積を示さない(グレード0)。
【0365】
【0366】
残留水分(紙の湿気)を決定する前に、感熱記録材料を室温および相対湿度30%で1週間保存した。
【0367】
残留水分(紙の湿気)はPrecisa XM60湿度分析計によりアルミトレイ(70mm)を用いて室温および相対湿度30%で決定した。「標準」を加熱速度として選択し、最高温度を120℃に設定した。アルミトレイを秤量した後、0.5~0.7gの対応する紙サンプルの紙サンプルを載せた。この目的のために、サンプルを成形し、加熱素子に触れることなくアルミトレイに入れられるように切断した。自動スタートモードでは、サンプル室を閉じた後残留水分の決定が自動的にスタートし、終了後残留水分値を読み取ることができた。
【0368】
【0369】
【0370】
感熱記録材料の水湿潤摩耗耐性はAdams Co.の湿潤摩擦試験機(タイプNSE-1lR)およびHach-Lange Co.の光度計(DR3900)を用いて評価した。感熱記録材料の印刷されてない一片(210×24mm)の裏面に両面接着テープを付け、湿潤摩擦試験機のガイドローラーに接着した。30mLの蒸留水をいわゆるサンプルトレイに加えた後湿潤摩擦試験機のスイッチを入れた。ガイドローラーをドライブローラー上に下げた。50秒後、ガイドローラーをドライブローラーから持ち上げた。ドライブローラーを10mLの蒸留水で濯いだ。濯ぎ水をサンプルトレイに集めた。その後、水の濁度を光度計により吸光度として決定した。次の評価スケールを用いて、減衰値に基づいて湿潤摩耗耐性を評価した:<5は非常に良好に相当し、5~10は良好に相当し、10~20は並に相当する。
【国際調査報告】