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特表2024-546853補体D因子阻害剤及びその中間体の合成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】補体D因子阻害剤及びその中間体の合成方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 209/02 20060101AFI20241219BHJP
   C07D 401/14 20060101ALI20241219BHJP
   A61K 31/506 20060101ALI20241219BHJP
   C07D 487/04 20060101ALI20241219BHJP
   C07D 207/20 20060101ALI20241219BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20241219BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20241219BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
C07D209/02
C07D401/14
A61K31/506
C07D487/04 142
C07D207/20
A61P43/00 105
A61P37/02
A61K31/519
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024535420
(86)(22)【出願日】2022-12-13
(85)【翻訳文提出日】2024-06-13
(86)【国際出願番号】 US2022052695
(87)【国際公開番号】W WO2023114200
(87)【国際公開日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】63/289,368
(32)【優先日】2021-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503102674
【氏名又は名称】アレクシオン ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ハシモト, アキヒロ
(72)【発明者】
【氏名】パードケー, アビナッシュ
(72)【発明者】
【氏名】ライ ユー, サンカッパ
(72)【発明者】
【氏名】チャンドラン, プラブー
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA04
4C086BC42
4C086CB05
4C086GA07
4C086GA08
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZB01
4C086ZB07
(57)【要約】
本開示は、補体D因子阻害剤及びその中間体の合成方法を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(VIII)の化合物の調製方法であって:
【化86】
式中、Pは、HまたはN-保護基であり、Pは、Hまたはヒドロキシル保護基であり、前記方法が、式(VII)の化合物:
【化87】
を提供することを含み、式中、Pが、HまたはN-保護基であり、Pが、Hまたはヒドロキシル保護基であり、前記方法がまた、
前記式(VII)の化合物から前記式(VIII)の化合物を形成することを含み、前記式(VII)の化合物を形成することが、前記式(II)の化合物をSimmons-Smith反応条件下で反応させることを含む、前記調製方法。
【請求項2】
前記式(VII)の化合物をSimmons-Smith反応条件下で反応させることが、前記式(VII)の化合物をジエチル亜鉛及びクロロヨードメタンと反応させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記式(VII)の化合物を提供することが、
式(VI)の化合物:
【化88】
を提供することを含み、式中、PがN-保護基であり、Pがヒドロキシル保護基であり、前記方法がまた、
前記式(VI)の化合物を脱水反応に供することを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記脱水反応が、前記式(VI)の化合物を、2,6-ルチジンの存在下で無水トリフルオロ酢酸と反応させることを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記式(VI)の化合物を提供することが、
式(V)の化合物:
【化89】
を提供することを含み、式中、PがN-保護基であり、Pがヒドロキシル保護基であり、前記方法がまた、
前記式(V)の化合物を還元剤と反応させることを含む、請求項3及び4に記載の方法。
【請求項6】
前記還元剤が超水素化物である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記式(V)の化合物を提供することが、
式(IV)の化合物:
【化90】
を提供することを含み、式中、Pが、HまたはN-保護基であり、Pが、Hまたはヒドロキシル保護基であり、前記方法がまた、
前記式(IV)の化合物を、水素化触媒の存在下で水素化分解反応に供することを含む、請求項5または6に記載の方法。
【請求項8】
前記水素化触媒が、パラジウム炭素である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記式(IV)の化合物を提供することが、
式(III)の化合物:
【化91】
を提供することを含み、式中、PがN-保護基であり、Pがヒドロキシル保護基であり、前記方法がまた、
前記式(III)の化合物をBredereck試薬と反応させることを含む、請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
前記式(III)の化合物を提供することが、
式(IIA)の化合物:
【化92】
を提供することを含み、式中、Pがヒドロキシル保護基であり、前記方法がまた、
前記式(IIA)の化合物をN-保護試薬と反応させることを含むか、または
式(IIB)の化合物:
【化93】
を提供することを含み、式中、PがN-保護基であり、前記方法がまた、
前記式(IIB)の化合物をヒドロキシル保護試薬と反応させることを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記式(III)の化合物を提供することが、前記式(IIA)の化合物を提供し、それをN-保護試薬と反応させることを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記式(IIA)の化合物を提供することが、(S)-5-(ヒドロキシメチル)ピロリジン-2-オンをヒドロキシル保護試薬と反応させることを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記式(III)の化合物を提供することが、前記式(IIB)の化合物を提供し、それをヒドロキシル保護試薬と反応させることを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記式(IIB)の化合物を提供することが、(S)-5-(ヒドロキシメチル)ピロリジン-2-オンをN-保護試薬と反応させることを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
式(VIII)のPがヒドロキシル保護基である、請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記方法がさらに、前記式(VIII)の化合物をヒドロキシル保護基除去剤と反応させて、式(IX)の化合物:
【化94】
を形成することを含み、式中、Pが、HまたはN-保護基である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
式(IX)のPがN-保護基である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記方法が、前記式(IX)の化合物から式(I)の化合物を形成することをさらに含み、前記式(I)の化合物が、構造:
【化95】
であり、式中、Pが、HまたはN-保護基であり、
前記式(I)の化合物を形成することが、前記式(IX)の化合物を酸化させることを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記式(IX)の化合物を酸化することが、(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-イル)オキシル、次亜塩素酸ナトリウム、及び亜塩素酸ナトリウムの存在下で行われる、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記式(I)の化合物を有機アミンと反応させて、前記式(I)の化合物の有機アンモニウム塩を形成し、
前記式(I)の化合物の有機アンモニウム塩を酸と反応させて、前記式(I)の化合物を形成することをさらに含む、請求項18または19に記載の方法。
【請求項21】
前記有機アミンがベンジルアミンであり、前記有機アンモニウム塩が、ベンジルアンモニウム塩である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
式(I)中のPがN-保護基であり、前記方法がさらに、前記式(I)の化合物を、式(X)の化合物:
【化96】
またはその塩とカップリングすることであって、式中、
が、Hまたは任意に置換されたC-Cアルキルであり、
及びRの各々が、独立して、Hまたはメチルであり、
mが、0、1、または2であり、
Bが、任意に置換されたC-Cアルキル、任意に置換されたC-Cアルケニル、任意に置換されたC-C10カルボシクリル、任意に置換されたC-C14アリール、または任意に置換された5~10員ヘテロシクリルである、前記カップリングを行って、
式(XI)の化合物:
【化97】
を形成することを含み、式中、
がN-保護基であり、全ての他の可変要素が、式(X)について定義されるとおりであり、前記方法がまた、
前記式(XI)の化合物をN-保護基除去剤と反応させて、式(XII)の化合物:
【化98】
またはその塩を形成することを含み、式中、全ての可変要素が、式(XI)について定義されるとおりである、請求項18~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記式(XII)の化合物またはその塩を、式(XIII)の化合物:
【化99】
またはその塩とカップリングすることであって、式中、
が、H、ハロ、OH、NH、シアノ、任意に置換されたC-Cアルキル、任意に置換されたC-Cアルケニル、任意に置換された3~8員ヘテロシクリル、-C(O)NR’であり、R及びR の各々が、独立して、H、任意に置換されたC-Cアルキル、任意に置換されたC-Cアルケニル、任意に置換されたC-Cアルキニル、もしくは任意に置換されたC-Cシクロアルキル、-C(O)R、-OC(O)R、または-C(O)ORであり、
がそれぞれ、H、任意に置換されたC-Cアルキル、任意に置換されたC-Cアルコキシ、及び任意に置換されたC-Cカルボシクリルから選択され、
及びRの各々が、独立して、Hまたは任意に置換されたC-Cアルキルであり、
が、NまたはCRであり、Rが、H、ハロ、任意に置換されたC-Cアルキル、または任意に置換されたC-Cアルコキシであり、
及びXの各々が、独立して、NまたはCRであり、各Rが、独立して、H、ハロ、シアノ、任意に置換されたC-Cアルキル、任意に置換されたC-Cアルコキシ、任意に置換されたC-Cカルボシクリル、及び任意に置換された5~8員ヘテロアリールから選択され、ならびに
及びXの各々が、独立して、N、CR、及びCRから選択され、Rが、H、ハロ、シアノ、任意に置換されたC-Cアルキル、任意に置換されたC-Cアルコキシ、及び-C(O)ORから選択され、
式中、Rが、Hまたは任意に置換されたC-Cアルキルであり、Rが、任意に置換されたC-C10アリール、N、O、及びSから選択される1、2、もしくは3個のヘテロ原子を有する任意に置換された5~10員ヘテロアリール、N、O、及びSから選択される1~4個のヘテロ原子を有する任意に置換された4~10員の飽和もしくは不飽和の非芳香族ヘテロシクリルから選択され、X及びXのうちの少なくとも1つがCRである、前記カップリングを行って、
式(XIV)の化合物:
【化100】
またはその薬学的に許容される塩を形成することをさらに含み、式中、R、R、R、m、及びBが、式(XII)について定義されるとおりであり、全ての他の可変要素が、式(XIII)について定義されるとおりである、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
が、tert-ブトキシカルボニルである、請求項22または23に記載の方法。
【請求項25】
前記N-保護基除去剤が塩化水素であり、前記式(XI)の化合物を前記N-保護基除去剤と反応させることが、前記式(XII)の化合物の塩酸塩を形成する、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記式(XII)の化合物の前記塩酸塩を、1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウム3-オキシドヘキサフルオロリン酸及びN,N-ジイソプロピルエチルアミンの存在下で、ジメチルホルムアミド中の前記式(XIII)の化合物とカップリングする、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記N-保護基除去剤が臭化水素酸であり、前記式(XI)の化合物を前記N-保護基除去剤と反応させることが、前記式(XII)の化合物の臭化水素酸塩を形成する、請求項22または23に記載の方法。
【請求項28】
前記式(XII)の化合物の臭化水素酸塩を、無水プロパンホスホン酸及びN,N-ジイソプロピルエチルアミンの存在下で、アセトニトリル中の式(XIII)の化合物とカップリングする、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記N-保護基除去剤がトリフルオロ酢酸であり、前記式(XI)の化合物を前記N-保護基除去剤と反応させることが、前記式(XII)の化合物のトリフルオロ酢酸塩を形成する、請求項22または23に記載の方法。
【請求項30】
前記式(I)の化合物のトリフルオロ酢酸塩を、N,N-ジイソプロピルエチルアミン及び1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウム3-オキシドヘキサフルオロリン酸または2-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルアミニウムテトラフルオロボレートの存在下で、ジメチルホルムアミド中の前記式(XIII)の化合物とカップリングする、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
がHである、請求項22~30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
がCHである、請求項22~30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
mが1である、請求項22~32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
mが2である、請求項22~32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
mが0である、請求項22~32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
及びRの各々がHである、請求項22~35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
がHであり、RがCHである、請求項22~35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
及びRの各々がCHである、請求項22~35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
Bが、任意に置換された5~10員ヘテロアリールである、請求項22~38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
Bが、任意に置換された6員のヘテロアリールである、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
Bが、任意に置換されたピリジル、任意に置換されたピリダジニル、任意に置換されたピリミジニル、または任意に置換されたピラジニルである、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
Bが、任意に置換されたピリジルである、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
Bが、
【化101】
【化102】
【化103】
である、請求項40~42のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
Bが
【化104】
である、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
Bが
【化105】
である、請求項43に記載の方法。
【請求項46】
Bが、任意に置換されたピラジニルである、請求項41に記載の方法。
【請求項47】
Bが、
【化106】
である、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
Bが、任意に置換されたピリミジニルである、請求項41に記載の方法。
【請求項49】
Bが、
【化107】
である、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
Bが、任意に置換されたピリダジニルである、請求項41に記載の方法。
【請求項51】
Bが
【化108】
である、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
Bが、任意に置換された5員のヘテロアリールである、請求項39に記載の方法。
【請求項53】
Bが、
【化109】
である、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
Bが、9員または10員の二環式ヘテロアリールである、請求項39に記載の方法。
【請求項55】
Bが、
【化110】
である、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
Bが、任意に置換されたC-C14アリールである、請求項22~38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項57】
Bが、任意に置換されたフェニルである、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
Bが、
【化111】
である、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
Bが、任意に置換された5~9員不飽和ヘテロシクリルである、請求項22~38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項60】
Bが、
【化112】
である、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
Bが、任意に置換されたC-C10シクロアルキルである、請求項22~38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項62】
Bが、
【化113】
である、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
Bが、任意に置換されたC-Cアルケニルである、請求項22~38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項64】
Bが、
【化114】
である、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
Bが、任意に置換されたC-Cアルキルである、請求項22~38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項66】
Bが、
【化115】
である、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
がNである、請求項23~66のいずれか1項に記載の方法。
【請求項68】
がCRである、請求項23~66のいずれか1項に記載の方法。
【請求項69】
がC(CH)である、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
がCHである、請求項68に記載の方法。
【請求項71】
がCRである、請求項23~70のいずれか1項に記載の方法。
【請求項72】
が、Hまたは任意に置換されたC-Cアルキルである、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
がCHである、請求項71または72に記載の方法。
【請求項74】
がC(CH)である、請求項71または72に記載の方法。
【請求項75】
がCRである、請求項23~74のいずれか1項に記載の方法。
【請求項76】
がCHである、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
がCRである、請求項23~76のいずれか1項に記載の方法。
【請求項78】
がNである、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
がCHである、請求項77に記載の方法。
【請求項80】
がCRである、請求項23~76のいずれか1項に記載の方法。
【請求項81】
がNである、請求項80に記載の方法。
【請求項82】
がCHである、請求項80に記載の方法。
【請求項83】
が、N、O、及びSから選択される1、2、または3個のヘテロ原子を有する任意に置換された5~10員ヘテロアリールである、請求項23~82のいずれか1項に記載の方法。
【請求項84】
が、N、O、及びSから選択される1、2、または3個のヘテロ原子を有する6員のヘテロアリールである、請求項83に記載の方法。
【請求項85】
が、任意に置換されたピリミジニルである、請求項84に記載の方法。
【請求項86】
が、
【化116】
【化117】
である、請求項85に記載の方法。
【請求項87】

【化118】
である、請求項86に記載の方法。
【請求項88】
が、
【化119】
である、請求項84に記載の方法。
【請求項89】
が、N、O、及びSから選択される1、2、または3個のヘテロ原子を含む任意に置換された8~10員二環式ヘテロアリールである、請求項83に記載の方法。
【請求項90】
が、任意に置換されたピラゾロ[1,5-a]ピリミジニル、任意に置換された[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジニル、任意に置換されたチアゾロ[5,4-b]ピリジニル、任意に置換されたイミダゾ[1,2-a]ピリミジニル、任意に置換された3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジニル、任意に置換された1H-チエノ[3,2-c]ピラゾリル、任意に置換されたイミダゾ[1,2-b]ピリダジニル、任意に置換されたキナゾリニル、任意に置換されたキノリニル、及び任意に置換された1H-ベンゾ[d]イミダゾリルである、請求項89に記載の方法。
【請求項91】
が、
【化120】
である、請求項90に記載の方法。
【請求項92】
が、
【化121】
である、請求項91に記載の方法。
【請求項93】
が、任意に置換されたC-C14アリールである、請求項23~82のいずれか1項に記載の方法。
【請求項94】
が、任意に置換されたフェニルである、請求項93に記載の方法。
【請求項95】
が、
【化122】
である、請求項94に記載の方法。
【請求項96】
が、N、O、またはSから選択される1~4個のヘテロ原子を含む任意に置換された6~9員の不飽和ヘテロシクリルである、請求項23~82のいずれか1項に記載の方法。
【請求項97】
前記Rが、その中に含まれる炭素環原子を介して結合している炭素原子に結合している、請求項96に記載の方法。
【請求項98】
が、
【化123】
である、請求項97に記載の方法。
【請求項99】
が、
【化124】
である、請求項96に記載の方法。
【請求項100】
が、N、O、及びSから選択される1、2、または3個のヘテロ原子を含む任意に置換された5員ヘテロアリールである、請求項83に記載の方法。
【請求項101】
が、
【化125】
である、請求項100に記載の方法。
【請求項102】
が-C(O)Rである、請求項23~101のいずれか1項に記載の方法。
【請求項103】
が、
【化126】
である、請求項102に記載の方法。
【請求項104】

【化127】
である、請求項103に記載の方法。
【請求項105】
が-C(O)NR である、請求項23~101のいずれか1項に記載の方法。
【請求項106】
が、
【化128】
である、請求項105に記載の方法。
【請求項107】

【化129】
である、請求項106に記載の方法。
【請求項108】
が-C(O)ORである、請求項23~101のいずれか1項に記載の方法。
【請求項109】
が、-C(O)OCHまたは-C(O)OHである、請求項108に記載の方法。
【請求項110】
が、任意に置換されたC-Cアルキルである、請求項23~101のいずれか1項に記載の方法。
【請求項111】
が、
【化130】
である、請求項110に記載の方法。
【請求項112】

【化131】
である、請求項23~101のいずれか1項に記載の方法。
【請求項113】
がシアノである、請求項23~101のいずれか1項に記載の方法。
【請求項114】
がハロである、請求項23~101のいずれか1項に記載の方法。
【請求項115】
がHである、請求項23~114のいずれか1項に記載の方法。
【請求項116】
がHである、請求項23~115のいずれか1項に記載の方法。
【請求項117】
前記式(XIV)の化合物が、
【化132】
またはその薬学的に許容される塩である、請求項23~30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項118】
前記式(XIV)の化合物が、
【化133】
またはその薬学的に許容される塩である、請求項23~30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項119】
前記式(XIV)の化合物が、
【化134】
またはその薬学的に許容される塩である、請求項23~30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項120】
前記式(XIV)の化合物が、
【化135】
またはその薬学的に許容される塩である、請求項23~30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項121】
前記式(XIV)の化合物が、
【化136】
またはその薬学的に許容される塩である、請求項23~30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項122】
前記式(XIV)の化合物が、
【化137】
またはその薬学的に許容される塩である、請求項23~30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項123】
前記式(XIV)の化合物が、
【化138】
またはその薬学的に許容される塩である、請求項23~30のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
補体系は、自然免疫系の一部であり、これは、宿主の生涯にわたる変化には適応しないが、適応免疫系によって動員され、使用される。例えば、補体系は、抗体及び食細胞が病原体を除去する能力を支援または補完する。この精巧な調節経路により、宿主細胞を破壊から保護する一方で、病原体への迅速な反応が可能になる。30種以上のタンパク質及びタンパク質断片が、補体系を構成する。これらのタンパク質は、オプソニン作用(抗原の貪食を増強)、走化性(マクロファージ及び好中球の誘引)、細胞溶解(外来細胞の膜の破裂)、及び凝集(病原体のクラスター化及び相互結合)を介して作用する。
【0002】
補体系は、3つの経路、古典経路、副経路及びレクチン経路を有する。補体D因子は、補体カスケードの副経路の活性化において早期でかつ中心的な役割を果たす。補体副経路の活性化は、C3タンパク質内のチオエステル結合の自発的加水分解によって開始され、C3(HO)を生成し、これがB因子と結合してC3(HO)B複合体を形成する。補体D因子は、C3(HO)B複合体内のB因子を切断して、Ba及びBbを形成するように作用する。BbフラグメントはC3(HO)と結合したままで、副経路C3コンバターゼC3(HO)Bbを形成する。さらに、C3コンバターゼのいずれかによって生成されるC3bもB因子と結合してC3bBを形成し、これをD因子が切断して後期副経路C3コンバターゼC3bBbを生成する。副経路C3コンバターゼのこの後者の形態は、定義された3つ全ての補体経路内で重要な下流増幅を提供し得、最終的に、C5からC5a及びC5bへの切断を含む補体カスケード経路内へのさらなる因子の動員及び集合につながり得る。C5bは、C6、C7、C8、及びC9因子の膜侵襲複合体への集合において作用し、これが細胞を溶解することによって病原性細胞を破壊し得る。
【0003】
補体の機能不全または過剰な活性化は、特定の自己免疫疾患、炎症性疾患、及び神経変性疾患、ならびに虚血再灌流障害、及びがんに関連している。例えば、補体カスケードの副経路の活性化は、C3a及びC5aの生成に寄与しており、これらは両方とも強力なアナフィラトキシンであり、多くの炎症性疾患にも関与している。したがって、いくつかの例では、補体副経路を含む補体経路の応答を低下させることが望ましい。補体経路によって媒介される障害のいくつかの例として、加齢性黄斑変性症(AMD)、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)、多発性硬化症、及び関節リウマチが挙げられる。
【0004】
さらなる補体媒介性障害として、C3腎症(C3G)に分類される障害が挙げられる。C3Gは、デンスデポジット病(DDD)及びC3糸球体腎炎(C3GN)からなる、最近定義された病型であり、これには慢性腎疾患の集団が包含され、そこで、補体副経路及び補体終末経路の活性の上昇により、補体C3のみからなり、免疫グロブリン(Ig)を含まない、糸球体沈着が引き起こされる。
【0005】
免疫複合体膜性増殖性糸球体腎炎(IC-MPGN)は、C3Gと多くの臨床的、病理学的、遺伝的及び実験的特徴を共有する腎疾患であり、したがってC3Gの姉妹疾患とみなすことができる。IC-MPGN患者の大多数の中で、腎疾患を続発する、基礎疾患または基礎障害(最も一般的には、感染症、自己免疫疾患、または単クローン性免疫グロブリン血症)が特定されている。特発性IC-MPGN患者は、C3Gで観察されるものと同様の低いC3レベル及び正常なC4レベル、ならびに異常な副経路活性に関連する同じ遺伝的または後天的因子の多くを有し得る。現時点での仮説は、IC-MPGNの大半が古典的経路の過剰な活性に起因することを示唆しているものの、C3が低くC4が正常な患者は、副経路の活性が有意に過剰である可能性が高い。C3が低くC4が正常なIC-MPGN患者は、副経路を阻害することにより、恩恵を受ける可能性がある。
【0006】
補体カスケードに関連している他の障害として、非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)、溶血性尿毒症症候群(HUS)、腹部大動脈瘤、血液透析合併症、溶血性貧血、または血液透析、視神経脊髄炎(NMO)、重症筋無力症(MG)、脂肪肝、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、肝炎、肝硬変、肝不全、皮膚筋炎、及び筋萎縮性側索硬化症が挙げられる。
【0007】
D因子は、補体副経路におけるその初期の必須の役割、ならびに補体古典経路及び補体レクチン経路内のシグナル増幅におけるその潜在的な役割のために、補体カスケードの阻害または調節の魅力的な標的である。D因子の阻害は、経路を効果的に遮断し、膜侵襲複合体の形成を減弱させる。
【0008】
この目的のために、多くの低分子D因子阻害剤が開発され、潜在的な治療的用途が調査されている。これらのD因子阻害化合物を調製する方法の実施例は、PCT特許公開WO2015/130838、WO2017/035353、WO2017/035409、WO2018/160891、及びWO2018/160892に記載されている。
小分子D因子阻害剤及びその中間体の新規合成方法が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第2015/130838号
【特許文献2】国際公開第2017/035353号
【特許文献3】国際公開第2017/035409号
【特許文献4】国際公開第2018/160891号
【特許文献5】国際公開第2018/160892号
【発明の概要】
【0010】
本開示は一般に、補体因子D及びその中間体によって媒介される障害の治療に有用な化合物を調製するための改善された方法に関する。
【0011】
特に、本開示は、式(VIII)の化合物:
【化1】
の調製方法を提供し、式中、Pは、HまたはN-保護基であり、Pは、Hまたはヒドロキシル保護基である。本方法は、式(VII)の化合物:
【化2】
を提供し(式中、Pは、HまたはN-保護基であり、Pは、Hまたはヒドロキシル保護基(例えば、ベンゾイルなどのエステルヒドロキシル保護基)である)、式(VII)の化合物から式(VIII)の化合物を形成することを含み、前記式(VII)の化合物の形成は、前記式(II)の化合物をSimmons-Smith反応条件下で反応させることを含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、前記式(VII)の化合物をSimmons-Smith反応条件下で反応させることは、式(VII)の化合物をジエチル亜鉛及びクロロヨードメタンと反応させることを含む。反応は通常、有機溶媒、例えばトルエンまたは塩化メチレン中で実施する。
【0013】
いくつかの実施形態では、前記式(VII)の化合物を提供することは、式(VI)の化合物:
【化3】
を提供し(式中、PはN-保護基であり、Pはヒドロキシル保護基(例えば、ベンゾイルなどのエステルヒドロキシル保護基)である)、式(VI)の化合物を脱水反応に供することを含む。脱水反応は、2,6-ルチデンの存在下で、式(VI)の化合物を無水トリフルオロ酢酸と反応させることを含み得る。
【0014】
いくつかの実施形態では、前記式(VI)の化合物を提供することは、式(V)の化合物:
【化4】
を提供し(式中、PはN-保護基であり、Pはヒドロキシル保護基(例えば、ベンゾイルなどのエステルヒドロキシル保護基)である)、式(V)の化合物を還元剤、例えば、スーパーヒドリドと反応させることを含む。
【0015】
いくつかの実施形態では、前記式(V)の化合物を提供することは、式(IV)の化合物:
【化5】
を提供し(式中、Pは、HまたはN-保護基であり、Pは、Hまたはヒドロキシル保護基(例えば、ベンゾイルなどのエステルヒドロキシル保護基)である)、式(IV)の化合物を、水素化触媒、例えばパラジウム炭素(Pd/C)の存在下で水素化分解反応に供することを含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、前記式(IV)の化合物を提供することは、式(III)の化合物:
【化6】
を提供し(式中、PはN-保護基であり、Pはヒドロキシル保護基(例えば、ベンゾイルなどのエステルヒドロキシル保護基)である)、式(III)の化合物をBredereck試薬と反応させることを含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、前記式(III)の化合物を提供することは、式(IIA)の化合物:
【化7】
を提供し(式中、Pは、ヒドロキシル保護基である)、式(IIA)の化合物をN-保護試薬と反応させることを含む。いくつかの実施形態では、前記式(IIA)の化合物を提供することは、(S)-5-(ヒドロキシメチル)ピロリジン-2-オンをヒドロキシル保護試薬と反応させることを含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、前記式(III)の化合物を提供することは、式(IIB)の化合物:
【化8】
を提供し(式中、Pは、N-保護基である)、式(IIB)の化合物をヒドロキシル保護試薬と反応させることを含む。いくつかの実施形態では、前記式(IIB)の化合物を提供することは、(S)-5-(ヒドロキシメチル)ピロリジン-2-オンをN-保護試薬と反応させることを含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、式(VIII)中のPは、ヒドロキシル保護基、例えば、ベンゾイルなどのエステルヒドロキシル保護基であり、本方法はさらに、式(VIII)の化合物を、ヒドロキシル保護基除去剤と反応させて、式(IX)の化合物:
【化9】
を得ることを含み、式中、Pは、HまたはN-保護基である。
【0020】
いくつかの実施形態では、式(IX)中のPはN-保護基であり、本方法はさらに、式(IX)の化合物から式(I)の化合物を形成することを含み得、式(I)の化合物は、以下の構造であり:
【化10】
(式中、Pは、HまたはN-保護基である)、前記式(I)の化合物を形成することは、式(IX)の化合物を、例えば、(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-イル)オキシル、次亜塩素酸ナトリウム、及び亜塩素酸ナトリウムの存在下で酸化することを含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、本方法はさらに、式(I)の化合物を有機アミンと反応させて式(I)の化合物の有機アンモニウム塩を形成し、式(I)の化合物の有機アンモニウム塩を酸と反応させて式(I)の化合物を形成することを含む。いくつかの実施形態では、有機アミンは、ベンジルアミンであり、有機アンモニウム塩は、ベンジルアンモニウム塩である。
【0022】
いくつかの実施形態では、式(I)中のPは、N-保護基であり、本方法はさらに、式(I)の化合物を式(X)の化合物:
【化11】
またはその塩とカップリングさせて(式中、Rは、Hまたは任意に置換されたC-Cアルキルであり、R及びRの各々は、独立してHまたはメチルであり、mは、0、1、または2であり、Bは、任意に置換されたC-Cアルキル、任意に置換されたC-Cアルケニル、任意に置換されたC-C10カルボシクリル、任意に置換されたC-C14アリール、または任意に置換された5~10員ヘテロシクリルである)、式(XI)の化合物:
【化12】
を形成し(式中、Pは、N-保護基であり、他の可変要素はすべて、式(X)について定義したとおりである)、式(XI)の化合物をN-保護基除去剤と反応させて、式(XII)の化合物:
【化13】
またはその塩(式中、すべての可変要素は、式(XI)について定義されるとおりである)を形成することを含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、本方法はさらに、式(XII)の化合物またはその塩を、式(XIII)の化合物:
【化14】
またはその塩とカップリングして(式中、Rは、H、ハロ、OH、NH、シアノ、任意に置換されたC-Cアルキル、任意に置換されたC-Cアルケニル、任意に置換された3~8員ヘテロシクリル、-C(O)NR’であり、R及びR の各々は、独立して、H、任意に置換されたC-Cアルキル、任意に置換されたC-Cアルケニル、任意に置換されたC-Cアルキニル、または任意に置換されたC-Cシクロアルキル、-C(O)R、-OC(O)R、または-C(O)ORであり、式中、Rはそれぞれ、H、任意に置換されたC-Cアルキル、任意に置換されたC-Cアルコキシ、及び任意に置換されたC-Cカルボシクリルから選択され、R及びRの各々は、独立して、H、または任意に置換されたC-Cアルキルであり、Xは、NまたはCRであり、Rは、H、ハロ、任意に置換されたC-Cアルキル、または任意に置換されたC-Cアルコキシであり、X及びXの各々は、独立して、NまたはCRであり、各Rは、独立して、H、ハロ、シアノ、任意に置換されたC-Cアルキル、任意に置換されたC-Cアルコキシ、任意に置換されたC-Cカルボシクリル、及び任意に置換された5~8員ヘテロアリールから選択され、X及びXの各々は、独立して、N、CR、及びCRから選択され、Rは、H、ハロ、シアノ、任意に置換されたC-Cアルキル、任意に置換されたC-Cアルコキシ、及び-C(O)ORから選択され、式中、Rは、H、または任意に置換されたC-Cアルキルであり、Rは、任意に置換されたC-C10アリール、N、O、及びSから選択される1、2、または3個のヘテロ原子を含む任意に置換された5~10員ヘテロアリール、ならびにN、O、及びSから選択される1~4個のヘテロ原子を含む任意に置換された4~10員の飽和または不飽和の非芳香族ヘテロ環式基から選択され、X及びXの少なくとも1つはCRである)、式(XIV)の化合物:
【化15】
またはその薬学的に許容される塩を形成することを含み、式中、R、R、R、m、及びBは、式(XII)について定義されるとおりであり、全ての他の可変要素は、式(XIII)について定義されるとおりである。
【0024】
いくつかの実施形態では、式(I)及び式(XI)の各々におけるPはtertブトキシカルボニルである。
【0025】
いくつかの実施形態では、式(I)及び式(XI)の各々におけるPはtert-ブトキシカルボニルであり、N-保護基除去剤は塩化水素であってもよく、前記式(XI)の化合物をN-保護基除去剤と反応させることにより、式(XII)の化合物の塩酸塩を形成する。いくつかの実施形態では、次いで、式(II)の化合物の塩酸塩を、1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウム3-オキシドヘキサフルオロリン酸及びN,N-ジイソプロピルエチルアミンの存在下で、ジメチルホルムアミド中の式(XIII)の化合物とカップリングする。
【0026】
いくつかの実施形態では、式(I)及び式(XI)の各々におけるPはtert-ブトキシカルボニルであり、N-保護基除去剤は臭化水素であり、前記式(XI)の化合物をN-保護基除去剤と反応させることにより、式(XII)の化合物の臭化水素酸塩を形成する。いくつかの実施形態では、次いで、式(XII)の化合物の臭化水素酸塩を、無水プロパンホスホン酸及びN,N-ジイソプロピルエチルアミンの存在下で、アセトニトリル中の式(XIII)の化合物とカップリングする。
【0027】
いくつかの実施形態では、式(I)及び式(XI)の各々におけるPはtert-ブトキシカルボニルであり、N-保護基除去剤はトリフルオロ酢酸であり、前記式(XI)の化合物をN-保護基除去剤と反応させることにより、式(XII)の化合物のトリフルオロ酢酸塩を形成する。いくつかの実施形態では、次いで、式(I)の化合物のトリフルオロ酢酸塩を、N,N-ジイソプロピルエチルアミン及び1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウム3-オキシドヘキサフルオロリン酸または2-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルアミニウムテトラフルオロボレートの存在下で、ジメチルホルムアミド中の式(XIII)の化合物とカップリングする。
【0028】
いくつかの実施形態では、RはHである。
【0029】
いくつかの実施形態では、RはCHである。
【0030】
いくつかの実施形態では、mは1である。
【0031】
いくつかの実施形態では、mは2である。
【0032】
いくつかの実施形態では、mは0である。
【0033】
いくつかの実施形態では、R及びRの各々がHである。
【0034】
いくつかの実施形態では、RはHであり、RはCHである。
【0035】
いくつかの実施形態では、R及びRの各々がCHである。
【0036】
いくつかの実施形態では、Bは、任意に置換された5~10員ヘテロアリールである。
【0037】
いくつかの実施形態では、Bは、任意に置換された6員のヘテロアリール、例えば、任意に置換されたピリジル、任意に置換されたピリダジニル、任意に置換されたピリミジニル、または任意に置換されたピラジニルである。
【0038】
いくつかの実施形態では、Bは、任意に置換されたピリジル、例えば、
【化16】
【化17】
【化18】
好ましくは
【化19】
である。
【0039】
いくつかの実施形態では、Bは、任意に置換されたピラジニル、例えば、
【化20】
である。
【0040】
いくつかの実施形態では、Bは、任意に置換されたピリミジニル、例えば、
【化21】
である。
【0041】
いくつかの実施形態では、Bは、任意に置換されたピリダジニル、例えば、
【化22】
である。
【0042】
いくつかの実施形態では、Bは、任意に置換された5員ヘテロアリール、例えば、
【化23】
である。
【0043】
いくつかの実施形態では、Bは、二環式9員または10員の二環式ヘテロアリール、例えば、
【化24】
である。
【0044】
いくつかの実施形態では、Bは、任意に置換されたC-C14アリール、例えば、
【化25】
などの任意に置換されたフェニルである。
【0045】
いくつかの実施形態では、Bは、任意に置換された5~9員の不飽和ヘテロシクリル、例えば、
【化26】
である。
【0046】
いくつかの実施形態では、Bは、任意に置換されたC-C10シクロアルキル、例えば、
【化27】
である。
【0047】
いくつかの実施形態では、Bは、任意に置換されたC-Cアルケニル、例えば、
【化28】
である。
【0048】
いくつかの実施形態では、Bは、任意に置換されたC-Cアルキル、例えば、
【化29】
である。
【0049】
いくつかの実施形態では、XはNである。
【0050】
いくつかの実施形態では、Xは、CR、例えば、C(CH)またはCHである。
【0051】
いくつかの実施形態では、Xは、CR、例えば、CHまたはC(C-Cアルキル)(例えば、メチル)である。
【0052】
いくつかの実施形態では、Xは、CR、例えばCHである。
【0053】
いくつかの実施形態では、Xは、CRであり、Xは、例えば、NまたはCHであってよい。
【0054】
いくつかの実施形態では、Xは、CRであり、Xは、例えば、NまたはCHであってよい。
【0055】
いくつかの実施形態では、Rは、N、O、及びSから選択される1、2、または3個のヘテロ原子を含む任意に置換された5~10員ヘテロアリールである。
【0056】
いくつかの実施形態では、Rは、N、O、及びSから選択される1、2、または3個のヘテロ原子を含む6員ヘテロアリールである。
【0057】
いくつかの実施形態では、Rは、任意に置換されたピリミジニル、例えば、
【化30】
【化31】
であり、好ましくは
【化32】
である。
【0058】
いくつかの実施形態では、Rは:
【化33】
である。
【0059】
いくつかの実施形態では、Rは、N、O、及びSから選択される1、2、または3個のヘテロ原子を含む任意に置換された8~10員の二環式ヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、Rは、任意に置換されたピラゾロ[1,5-a]ピリミジニル、任意に置換された[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジニル、任意に置換されたチアゾロ[5,4-b]ピリジニル、任意に置換されたイミダゾ[1,2-a]ピリミジニル、任意に置換された3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジニル、1H-チエノ[3,2-c]ピラゾリル、イミダゾ[1,2-b]ピリダジニル、任意に置換されたキナゾリニル、任意に置換されたキノリニル、及び1H-ベンゾ[d]イミダゾリル、例えば、
【化34】
であり、
好ましくは
【化35】
である。
【0060】
いくつかの実施形態では、Rは、任意に置換されたC-C14アリール、例えば、
【化36】
などの任意に置換されたフェニルである。
【0061】
いくつかの実施形態では、Rは、N、O、またはSから選択される1~4個のヘテロ原子を有する任意に置換された6~9員の不飽和ヘテロシクリルである。例えば、Rは、その中に含まれる炭素環原子を介して結合している炭素原子に結合したヘテロシクリル、例えば、
【化37】
であり得る。他の例では、Rは、その中に含まれる窒素原子を介して結合している炭素原子に結合したヘテロシクリル、例えば、
【化38】
であり得る。
【0062】
いくつかの実施形態では、Rは、N、O、及びSから選択される1、2、または3個のヘテロ原子を含む任意に置換された5員ヘテロアリール、例えば、
【化39】
である。
【0063】
いくつかの実施形態では、Rは、-C(O)R、例えば、
【化40】
であり、好ましくは
【化41】
である。
【0064】
いくつかの実施形態では、Rは、-C(O)NR 、例えば、
【化42】
であり、好ましくは
【化43】
である。
【0065】
いくつかの実施形態では、Rは、-C(O)OR、例えば、-C(O)OCHまたは-C(O)OHである。
【0066】
いくつかの実施形態では、Rは、任意に置換されたC-Cアルキル、例えば、
【化44】
である。
【0067】
いくつかの実施形態では、R
【化45】
である。
【0068】
いくつかの実施形態では、Rはシアノである。
【0069】
いくつかの実施形態では、Rはハロである。
【0070】
いくつかの実施形態では、RはHである。
【0071】
いくつかの実施形態では、RはHである。
【0072】
いくつかの実施形態では、式(XIV)の化合物は:
【化46】
またはその薬学的に許容される塩である。
【0073】
いくつかの実施形態では、式(XIV)の化合物は:
【化47】
またはその薬学的に許容される塩である。
【0074】
いくつかの実施形態では、式(XIV)の化合物は:
【化48】
またはその薬学的に許容される塩である。
【0075】
いくつかの実施形態では、式(XIV)の化合物は:
【化49】
またはその薬学的に許容される塩である。
【0076】
いくつかの実施形態では、式(XIV)の化合物は:
【化50】
またはその薬学的に許容される塩である。
【0077】
いくつかの実施形態では、式(XIV)の化合物は:
【化51】
またはその薬学的に許容される塩である。
【0078】
いくつかの実施形態では、式(XIV)の化合物は:
【化52】
またはその薬学的に許容される塩である。
【0079】
定義
本発明の理解を容易にするために、いくつかの用語を以下に定義する。本明細書で定義される用語は、本発明に関連する分野の当業者によって一般的に理解される意味を有する。「a」、「an」、及び「the」などの用語は、単数形の実体のみを指すことを意図していないが、説明のために特定の例が使用され得る一般的なクラスを含む。本明細書における用語は、本発明の特定の実施形態を説明するために使用されるが、それらの使用法は、特許請求の範囲に概説されているものを除き、本発明を限定するものではない。
【0080】
本明細書で使用される場合、用語「約」とは、記載されている値の上下10%以内の値を指す。
【0081】
本明細書で使用される場合、値の範囲内で提供される任意の値は、上限及び下限の両方、ならびに上限及び下限内に含まれる任意の値を含む。
【0082】
本明細書で使用される場合、用語「薬学的に許容される塩」は、妥当な医学的判断の正常な範囲内で、過度の毒性、刺激性、アレルギー応答などを起こさずに、ヒト及び動物の組織と接触させて使用するのに適するとともに、合理的なベネフィット/リスク比に見合うと説明される化合物の塩を表す。薬学的に許容される塩は、当技術分野で周知である。例えば、薬学的に許容される塩は、Berge et al.,J.Pharmaceutical Sciences 66:1-19,1977及びHandbook of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection,and Use,(Eds.P.H.Stahl and C.G.Wermuth),Wiley-VCH,2008に記載されている。これらの塩は、無機酸または有機酸を含む酸付加塩であってもよい。塩は、本明細書に記載の化合物の最終的な単離及び精製中にin situで調製するか、または遊離塩基基を適切な酸と反応させることによって別途調製することができる。適切な塩の調製方法は、当技術分野で十分に確立されている。代表的な酸付加塩としては、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、臭化物、酪酸塩、樟脳酸塩、カンファースルホン酸塩、塩化物、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、へプトン酸塩、ヘキサン酸塩、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩などが挙げられる。
【0083】
本明細書で使用される場合、用語「アシル」とは、-CORの構造を有する一価のラジカルを指し、式中、Rは、アルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアリールアルキルである。アシルは、各R基について定義したように任意に置換され得る。
【0084】
本明細書で使用される場合、用語「アルキル」とは、非置換の場合にC及びHのみを含む分岐鎖または直鎖の一価の飽和脂肪族ラジカルを指す。アルキル基の一価には、アルキル基上の任意選択の置換基は含まれない。例えば、アルキル基が化合物に結合している場合、アルキル基の一価は、化合物へのその結合を指し、そのアルキル基に存在し得る任意の追加の置換基を含まない。いくつかの実施形態では、アルキル基は、例えば、1~12、1~10、1~8、1~6、1~4、または1~2個の炭素原子を含有し得る(例えば、C-C12、C-C10、C-C、C-C、C-C、またはC-C)。例としては、メチル、エチル、イソブチル、sec-ブチル、及びtert-ブチルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0085】
用語「アルキレン」は、本明細書で使用される場合、アルキル基の炭素原子から水素原子を除去することによって得られる二価ラジカルを指す。アルキレン基の二価には、アルキレン基上の任意選択の置換基は含まれない。
【0086】
本明細書で使用される場合、用語「アルケニル」とは、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含有し、炭素-炭素三重結合を含有せず、非置換の場合にはC及びHのみを含む、分岐状または直鎖状の一価の不飽和脂肪族ラジカルを指す。アルケニル基の一価には、アルケニル基上の任意選択の置換基は含まれない。例えば、アルケニル基が化合物に結合している場合、アルケニル基の一価は、化合物へのその結合を指し、そのアルケニル基に存在し得る任意の追加の置換基を含まない。いくつかの実施形態では、アルケニル基は、例えば、2~12、2~10、2~8、2~6、または2~4個の炭素原子を含有し得る(例えば、C-C12、C-C10、C-C、C-C、またはC-C)。例としては、エテニル、1-プロペニル、2-プロペニル、1-メチルエテニル、1-ブテニル、2-ブテニル、3-ブテニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0087】
本明細書で使用される場合、用語「アルケニルオキシ」とは、構造-O-アルケニルを有する一価のラジカルを指し、その場合、「アルケニル」は本明細書で定義されるとおりである。例としては、エテニルオキシ、プロペニルオキシなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0088】
本明細書で使用される場合、用語「アルコキシ」とは、構造-O-アルキルを有する一価のラジカルを指し、その場合、「アルキル」は本明細書で定義されるとおりである。例としては、メトキシ、エトキシ、及びn-ブトキシ、i-ブトキシ、t-ブトキシなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0089】
本明細書で使用される場合、用語「アルコキシアルキル」とは、構造-R’OR”を有する一価のラジカルを指し、式中、R’はアルキレンであり、R”はアルキルである。アルコキシアルキルは、各R’基及びR”基について定義したのと同じ方法で任意に置換され得る。
【0090】
本明細書で使用される場合、用語「アルキニル」とは、少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を含有し、非置換の場合にはC及びHのみを含む、分岐状または直鎖状の一価の不飽和脂肪族ラジカルを指す。アルキニル基の一価には、アルキニル基上の任意選択の置換基は含まれない。例えば、アルキニル基が化合物に結合している場合、アルキニル基の一価は、化合物へのその結合を指し、そのアルキニル基に存在し得る任意の追加の置換基を含まない。いくつかの実施形態では、アルキニル基は、例えば、2~12、2~10、2~8、2~6、または2~4個の炭素原子を含有し得る(例えば、C-C12、C-C10、C-C、C-C、またはC-C)。例としては、エチニル、1-プロピニル、及び3-ブチニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0091】
本明細書で使用される場合、用語「アルキルチオアルキル」とは、構造-R’SR”を有する一価のラジカルを指し、式中、R’はアルキレンであり、R”はアルキルである。アルキルチオアルキルは、各R’基及びR”基について定義したのと同じ方法で任意に置換され得る。
【0092】
本明細書で使用される場合、用語「アリール」とは、環系全体の電子分布に関して芳香族の特徴を有する、一価、単環式または縮合環二環式または多環式系、例えば、フェニル、ナフチル、またはフェナントリルを指す。アリール基は、例えば6~16個の炭素を有し得る(例えば、C-C16アリール、C-C14アリール、C-C13アリール、またはC-C10アリール)。
【0093】
本明細書で使用される場合、用語「アリールアルコキシ」とは、構造-OR’R”を有する一価のラジカルを指し、式中、R’はアルキレンであり、R”はアリールである。アリールアルコキシは、各R’基及びR”基について定義したのと同じ方法で任意に置換され得る。
【0094】
本明細書で使用される場合、用語「アリールアルコキシアルキル」とは、構造-R’OR’R”を有する一価のラジカルを指し、式中、各R’はアルキレンであり、R”はアリールである。アリールアルコキシアルキルは、各R’基及びR”基について定義したのと同じ方法で任意に置換され得る。
【0095】
本明細書で使用される場合、用語「アリールアルキル」とは、構造-R’R”を有する一価のラジカルを指し、式中、R’はアルキレンであり、R”はアリールである。アリールアルキルは、各R’基及びR”基について定義したのと同じ方法で任意に置換され得る。
【0096】
用語「アリーレン」は、本明細書で使用される場合、アリール基の炭素原子から水素原子を除去することによって得られる二価ラジカルを指す。アリーレン基の二価には、アリーレン基上の任意選択の置換基は含まれない。
【0097】
本明細書で使用される場合、用語「カルバメート」は、構造式-OC(O)NRを有する一価のラジカルを表し、各Rは独立して、H、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアリール、または任意に置換されたアリールアルキルである。
【0098】
本明細書で使用される場合、用語「カルボシクリル」とは、非置換の場合にC及びHのみを含む一価の飽和または不飽和の非芳香族環状基を表す。カルボシクリル(例えば、シクロアルキルまたはシクロアルケニル)は、例えば、3~14個の炭素を有し得る(例えば、C-C、C-C、C-C、C-C10、C-C11、C-C12、C-C14カルボシクリル)。用語「カルボシクリル」にはまた、二環式及び多環式(例えば、三環式及び四環式)の縮合環構造も含まれる。
【0099】
用語「カルボシクリレン」は、本明細書で使用される場合、カルボシクリル基の炭素原子から水素原子を除去することによって得られる二価ラジカルを指す。カルボシクリレン基の二価には、カルボシクリレン基上の任意選択の置換基は含まれない。
【0100】
本明細書で使用される場合、用語「カルボシクリルオキシ」とは、-O-カルボシクリル、例えば、-O-シクロアルキルまたは-O-シクロアルケニルラジカルの構造を有する一価のラジカルを指す。-O-カルボシクリル、-O-シクロアルキル、及び-O-シクロアルケニルに含まれる用語「カルボシクリル」、「シクロアルキル」、及び「シクロアルケニル」は、本明細書で定義されるとおりである。
【0101】
本明細書で使用される用語「カーボネート」とは、構造-OC(O)OR(式中、Rは、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアリール、または任意に置換されたアリールアルキルである)を有する一価ラジカルを指す。
【0102】
本明細書で使用される場合、用語「シクロアルキル」とは、飽和カルボシクリルを指す。シクロアルキルの例として、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、及びシクロヘプチルが挙げられるが、これらに限定されない。用語「シクロアルキル」はまた、1つ以上の炭素が単環式環の2つの隣接しないメンバーを架橋する架橋多環式構造を有する環式基、例えばビシクロ[2.2.1]ヘプチル及びアダマンチルも含む。用語「シクロアルキル」はまた、二環式、三環式、及び四環式縮合環構造、例えば、デカリン及びスピロ環式化合物を含む。
【0103】
本明細書で使用される場合、用語「シアノ」は、構造-CNを有する一価ラジカルを指す。
【0104】
本明細書で使用される場合、用語「シクロアルケニル」とは、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含み、炭素-炭素三重結合を含まず、非置換の場合にはC及びHのみを含み、完全には芳香族ではない一価の不飽和カルボシクリル基を表す。シクロアルケニルは、例えば、4~14個の炭素を有し得る(例えば、C-C、C-C、C-C、C-C10、C-C11、C-C12、C-C13、またはC-C14シクロアルケニル)。例示的なシクロアルケニル基としては、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、及びシクロヘプテニルが挙げられるが、これらに限定されない。用語「シクロアルケニル」はまた、1つ以上の炭素が単環式環の2つの隣接しないメンバーを架橋する架橋多環式構造を有する環式基、例えばビシクロ[2.2.2]オクタ-2-エンも含む。用語「シクロアルケニル」はまた、縮合環二環式及び1つ以上の二重結合を含む多環式系、例えばフルオレンも含む。
【0105】
本明細書で使用される場合、用語「エステル」とは、-OCORの構造を有する一価のラジカルを指し、式中、Rは、アルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアリールアルキルである。エステルは、各R基について定義したように任意に置換され得る。
【0106】
本明細書で使用される場合、用語「エーテル」とは、構造-ORを有する一価のラジカルを指し、式中、Rは、アルキル、アルケニル、アリールアルキル、シリル、または2-テトラヒドロピラニルである。エーテルは、各R基について定義したように任意に置換され得る。
【0107】
本明細書で使用される場合、用語「ハロ」とは、フッ素(フルオロ)、塩素(クロロ)、臭素(ブロモ)、またはヨウ素(ヨード)ラジカルを指す。
【0108】
本明細書で使用される場合、用語「ヘテロアリールアルキル」は、構造-R’R”の一価ラジカルを表し、式中、R’はアルキレンであり、R”はヘテロアリールである。ヘテロアリールアルキルは、各R’基及びR”基について定義したのと同じ方法で任意に置換され得る。
【0109】
本明細書で使用される場合、用語「ヘテロシクリル」は、1つ以上の炭素原子及び少なくとも1つのヘテロ原子、例えば、N、O、及びSから選択される1~4個のヘテロ原子(例えば、1~4、1~3、1もしくは2、1、2、3、または4個のヘテロ原子)を表す。ヘテロシクリル基には、非芳香族系と芳香族系の両方が含まれる。芳香族ヘテロシクリル基は、「ヘテロアリール」基と呼ばれる。いくつかの実施形態では、ヘテロシクリル基は、3~8員環系、3~6員環系、4~6員環系、4~10員環系、6~10員環系、6~12員環系、5員環、もしくは6員環、または前述の範囲内に含まれる数の環原子を有する環もしくは環系である。例示的な5員のヘテロシクリル基は、0~2個の二重結合を有し得、例示的な6員のヘテロシクリル基は、0~3個の二重結合を有し得る。例示的な5員の基としては、例えば、任意に置換されたピロール、任意に置換されたピラゾール、任意に置換されたイソオキサゾール、任意に置換されたピロリジン、任意に置換されたイミダゾール、任意に置換されたチアゾール、任意に置換されたチオフェン、任意に置換されたチオラン、任意に置換されたフラン、任意に置換されたテトラヒドロフラン、任意に置換されたジアゾール、任意に置換されたトリアゾール、任意に置換されたテトラゾール、任意に置換されたオキサゾール、任意に置換された1,3,4-オキサジアゾール、任意に置換された1,3,4-チアジアゾール、任意に置換された1,2,3,4-オキサトリアゾール、及び任意に置換された1,2,3,4-チアトリアゾールが挙げられる。例示的な6員ヘテロシクリル基としては、任意に置換されたピリジン、任意に置換されたピペリジン、任意に置換されたピペラジン、任意に置換されたピリミジン、任意に置換されたピラジン、任意に置換されたピリダジン、任意に置換されたトリアジン、任意に置換された2H-ピラン、任意に置換された4H-ピラン、及び任意に置換されたテトラヒドロピランが挙げられるが、これらに限定されない。例示的な7員のヘテロシクリル基としては、任意に置換されたアゼピン、任意に置換された1,4-ジアゼピン、任意に置換されたチエピン、及び任意に置換された1,4-チアゼピンが挙げられるが、これらに限定されない。例示的な8~10員の二環式基としては、任意に置換されたピラゾロ[1,5-a]ピリミジニル、任意に置換された[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジニル、任意に置換されたチアゾロ[5,4-b]ピリジニル、任意に置換されたイミダゾ[1,2-a]ピリミジニル、任意に置換された3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジニル、任意に置換された1H-チエノ[3,2-c]ピラゾリル、任意に置換されたイミダゾ[1,2-b]ピリダジニル、任意に置換されたキナゾリニル、任意に置換されたキノリニル、及び任意に置換された1H-ベンゾ[d]イミダゾリルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0110】
本明細書で使用される場合、用語「ヒドロキシル保護基」とは、それに結合している酸素原子を反応または結合から保護することができる任意の基を指す。ヒドロキシル保護基は、保護されていないヒドロキシル基を含む分子をヒドロキシル保護試薬と反応させることによって導入される。ヒドロキシル保護基は、当技術分野で公知であり、例えば、Wuts,Greene’s Protective Groups in Organic Synthesis,Wiley-Interscience,4th Edition,2006に記載されている。例示的な保護基(それらが結合している酸素原子とともに)は、エステル、カーボネート、カルバメート、スルホネート、及びエーテルからなる群から独立して選択される。例示的なエステルヒドロキシル保護基では、アシル基のRは、C-C12アルキル(例えば、C-C、C-C、C-C、C-C、C-C12、及びC-Cアルキル)、C-C12アルケニル(例えば、C-C、C-C、C-C、C-C12、及びC-Cアルケニル)、炭素環式C-C20アリール(例えば、C-C15、C-C10、C-C20、及びC-C15アリール)、単環式C-Cヘテロアリール(例えば、C-C及びC-Cヘテロアリール)、C-C19ヘテロアリール(例えば、C-C10ヘテロアリール)、(C-C15)アリール(C-C)アルキル、(C-C19)ヘテロアリール(C-C)アルキル、または(C-C)ヘテロアリール(C-C)アルキルである。エステルにおいて使用するためのアシル基の具体例としては、ホルミル、ベンゾイルホルミル、アセチル(例えば、非置換またはクロロアセチル、トリフルオロアセチル、メトキシアセチル、トリフェニルメトキシアセチル、及びp-クロロフェノキシアセチル)、3-フェニルプロピオニル、4-オキソペンタノイル、4,4-(エチレンジチオ)ペンタノイル、ピバロイル(Piv)、ビニルピバロイル、クロトノイル、4-メトキシ-クロトノイル、ナフトイル(例えば、1-または2-ナフトイル)、及びベンゾイル(例えば、非置換または置換、例えば、p-メトキシベンゾイル、フタロイル(例えば、トリエチルアミン及びカリウムなどの塩を含む)、p-ブロモベンゾイル、及び2,4,6-トリメチルベンゾイル)が挙げられる。本明細書で定義される場合、エステル基中に存在する任意のヘテロアリール基は、O、N、及びSから独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する。例示的なカーボネートヒドロキシル保護基では、Rは、C-C12アルキル(例えば、C-C、C-C、C-C、C-C、C-C12、及びC-Cアルキル)、C-C12アルケニル(例えば、C-C、C-C、C-C、C-C12、及びC-Cアルケニル)、炭素環式C-C20アリール(例えば、C-C15、C-C10、C-C20、及びC-C15アリール)、単環式C-Cヘテロアリール(例えば、C-C及びC-Cヘテロアリール)、C-C19ヘテロアリール(例えば、C-C10ヘテロアリール)、(C-C15)アリール(C-C)アルキル、(C-C19)ヘテロアリール(C-C)アルキル、または(C-C)ヘテロアリール(C-C)アルキルである。具体例としては、メチル、9-フルオレニルメチル、エチル、2,2,2-トリクロロエチル、2-(トリメチルシリル)エチル、2-(フェニルスルホニル)エチル、ビニル、アリル、t-ブチル、p-ニトロベンジル、及びベンジルカーボネートが挙げられる。本明細書で定義される場合、カーボネート基中に存在する任意のヘテロアリール基は、O、N、及びSから独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する。例示的なカルバメートヒドロキシル保護基では、各Rは、独立して、H、C-C12アルキル(例えば、C-C、C-C、C-C、C-C、C-C12、及びC-Cアルキル)、C-C12アルケニル(例えば、C-C、C-C、C-C、C-C12、及びC-Cアルケニル)、炭素環式C-C20アリール(例えば、C-C15、C-C10、C-C20、及びC-C15アリール)、単環式C-Cヘテロアリール(例えば、C-C及びC-Cヘテロアリール)、C-C19ヘテロアリール(例えば、C-C10ヘテロアリール)、(C-C15)アリール(C-C)アルキル、(C-C19)ヘテロアリール(C-C)アルキル、または(C-C)ヘテロアリール(C-C)アルキルである。具体例としては、N-フェニル及びN-メチル-N-(o-ニトロフェニル)カルバメートが挙げられる。本明細書で定義されるように、カルバメート基に存在する任意のヘテロアリール基は、O、N、及びSから独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する。例示的なエーテルヒドロキシル保護基としては、C-C12アルキル(例えば、C-C、C-C、C-C、C-C、C-C12、及びC-Cアルキル)、C2-12アルケニル(例えば、C-C、C-C、C-C、C-C12、及びC-Cアルケニル)、(C-C15)アリール(C-C)アルキル、(C-C19)ヘテロアリール(C-C)アルキル、(C-C)ヘテロアリール(C-C)アルキル、(C-C)アルコキシ(C-C)アルキル、(C-C)アルキルチオ(C-C)アルキル、(C-C10)アリール(C-C)アルコキシ(C-C)アルキル、及びシリル(例えば、トリ(C-Cアルキル)シリル、トリ(C-C10アリールまたはC-Cヘテロアリール)シリル、ジ(C-C10アリールまたはC-Cヘテロアリール)(C-Cアルキル)シリル、及び(C-C10アリールまたはC-Cヘテロアリール)ジ(C-Cアルキル)シリル)が挙げられる。アルキルエーテルの具体例としては、メチル及びt-ブチルが挙げられ、アルケニルエーテルの例としては、アリルが挙げられる。エーテルヒドロキシル保護基を使用して、カルボキシル基を保護することができる(例えば、C1-12アルキル(例えば、C1-8、C1-6、C1-4、C2-7、C3-12、及びC3-6アルキル)、(C6-15)アリール(C1-6)アルキル、(C1-6)アルコキシ(C1-6)アルキル、(C1-6)アルキルチオ(C1-6)アルキル、または(C6-10)アリール(C1-6)アルコキシ(C1-6)アルキルを用いて)。エーテルヒドロキシル保護基として使用され得るアルコキシアルキル及びアルキルチオアルキルの例としては、メトキシメチル、メチルチオメチル、(2-メトキシエトキシ)メチル、及びβ-(トリメチルシリル)エトキシメチルが挙げられる。エーテルヒドロキシル保護基として使用され得るアリールアルキル基の例としては、ベンジル、p-メトキシベンジル(MPM)、3,4-ジメトキシベンジル、トリフェニルメチル(トリチル)、o-ニトロベンジル、p-ニトロベンジル、p-ハロベンジル、2,6-ジクロロベンジル、p-シアノベンジル、ナフチルメチル、ならびに2-及び4-ピコリルエーテルが挙げられる。シリルエーテルの具体例としては、トリメチルシリル(TMS)、トリエチルシリル(TES)、t-ブチルジメチルシリル(TBS)、t-ブチルジフェニルシリル(TBDPS)、トリイソプロピルシリル(TIPS)、及びトリフェニルシリル(TPS)エーテルが挙げられる。アリールアルキルオキシアルキルエーテルの例は、ベンジルオキシメチルエーテルである。本明細書で定義される場合、エーテル基中に存在する任意のヘテロアリール基は、O、N、及びSから独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する。アルキル基、例えば、メチル、エチル、イソプロピル、n-プロピル、t-ブチル、n-ブチル基、及びsec-ブチル基、ならびにアルケニル基、例えば、ビニル基及びアリルもまた、オキソ基、アリールスルホニル基、ハロゲン基、及びトリアルキルシリル基で置換され得る。保護基は、当技術分野で公知の方法を使用して導入し、除去することができる。
【0111】
本明細書で使用される場合、用語「N-保護基」とは、化学合成中に1つ以上の望ましくない反応(例えば、酸化反応、または特定の求核性及び求電子性置換)に関与することから分子内の窒素原子を保護する基を指す。N-保護基は、窒素原子を含む分子をN-保護試薬と反応させることによって導入される。一般的に使用されるN-保護基及び対応するN-保護試薬は、Wuts,Greene’s Protective Groups in Organic Synthesis,Wiley-Interscience,4th Edition,2006に開示されている。例示的なN-保護基としては、アシル(例えば、ホルミル、アセチル、トリフルオロアセチル、プロピオニル、ピバロイル、t-ブチルアセチル、2-クロロアセチル、2-ブロモアセチル、トリフルオロアセチル、トリクロロアセチル、フタリル、o-ニトロフェノキシアセチル、α-クロロブチリル、ベンゾイル、4-クロロベンゾイル、4-ブロモベンゾイル)、スルホニル含有基(例えば、ベンゼンスルホニル、p-トルエンスルホニル、o-ニトロベンゼンスルホニル、及びp-ニトロベンゼンスルホニル)、カルバミン酸形成基(例えば、ベンジルオキシカルボニル、p-クロロベンジルオキシカルボニル、p-メトキシベンジルオキシカルボニル、p-ニトロベンジルオキシカルボニル、2-ニトロベンジルオキシカルボニル、p-ブロモベンジルオキシカルボニル、3,4-ジメトキシベンジルオキシカルボニル、3,5-ジメトキシベンジルオキシカルボニル、2,4-ジメトキシベンジルオキシカルボニル、4-メトキシベンジルオキシカルボニル、2-ニトロ-4,5-ジメトキシベンジルオキシカルボニル、3,4,5-トリメトキシベンジルオキシカルボニル、1-(p-ビフェニルイル)-1-メチルエトキシカルボニル、α,α-ジメチル3,5-ジメトキシベンジルオキシカルボニル、ベンズヒドリルオキシカルボニル、t-ブチルオキシカルボニル、ジイソプロピルメトキシカルボニル、イソプロピルオキシカルボニル、エトキシカルボニル、メトキシカルボニル、アリルオキシカルボニル、2,2,2,-トリクロロエトキシカルボニル、フェノキシカルボニル、4-ニトロフェノキシカルボニル、フルオレニル-9-メトキシカルボニル、シクロペンチルオキシカルボニル、アダマンチルオキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニル、及びフェニルチオカルボニル)、アリールアルキル(例えば、トリフェニルメチル)、シリル基(例えば、トリメチルシリル)、ならびにイミン形成基(例えば、ジフェニルメチレン)が挙げられる。好ましいN-保護基は、セチル、ベンゾイル、フェニルスルホニル、p-トルエンスルホニル、p-ニトロベンゼンスルホニル、o-ニトロベンゼンスルホニル、t-ブチルオキシカルボニル(Boc)、及びベンジルオキシカルボニル(Cbz)である。
【0112】
本明細書で使用される場合、用語「オキソ」とは、構造=Oで表される二価の酸素原子を指す。
【0113】
本明細書で使用される場合、用語「シリル」とは、-SiRの基を指し、式中、各Rは独立して、アルキル、アルケニル、アリール、またはアリールアルキルである。シリル基の例としては、トリ(C-Cアルキル)シリル、トリ(C-C10アリールまたはC-Cヘテロアリール)シリル、ジ(C10アリールまたはC-Cヘテロアリール)(C-Cアルキル)シリル、及び(C-C10アリールまたはC-Cヘテロアリール)ジ(C-Cアルキル)シリルが挙げられる。シリル基が2つ以上のアルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロアリール基、またはアリールアルキル基を含む場合、これらの基は独立して選択されることが理解されよう。本明細書で定義される場合、シリル基中に存在する任意のヘテロアリール基は、O、N、及びSから独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する。シリルは、各R基について定義したのと同じ方法で任意に置換され得る。
【0114】
本明細書で定義される場合、用語「スルホニル」とは、-S(O)Rの基を指し、式中、Rは、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたアリールアルキル、またはシリルである。例示的なスルホニル基では、Rは、C-C12アルキル(例えば、C-C、C-C、C-C、C-C、C-C12、またはC-Cアルキル)、C-C12アルケニル(例えば、C-C、C-C、C-C、C-C12、またはC-Cアルケニル)、炭素環式C-C20アリール(例えば、C-C15、C-C10、C-C20、またはC-C15アリール)、単環式C-Cヘテロアリール(例えば、C-C及びC-Cヘテロアリール)、C-C19ヘテロアリール(例えば、C-C10ヘテロアリール)、(C-C15)アリール(C-C)アルキル、(C-C19)ヘテロアリール(C-C)アルキル、または(C-C)ヘテロアリール(C-C)アルキルである。本明細書で定義される場合、スルホネート基に存在する任意のヘテロアリール基は、O、N、及びSから独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する。
【0115】
本明細書で使用される場合、用語「チオアルキル」とは、構造-S-アルキルを有する一価のラジカルを指し、その場合、「アルキル」は本明細書で定義されるとおりである。
【0116】
本明細書で使用される場合、語句「任意に置換されたX」とは、「X(式中、Xは任意に置換されている)」(例えば、「アルキル(前記アルキルは任意に置換されている)」)と同等であることが意図される。特徴「X」(例えばアルキル)自体が任意選択であることを意味することは意図されない。本明細書で使用される場合、用語「任意に置換された」とは、0、1、またはそれ以上の置換基(例えば、0~10、0~9、0~8、0~7、0~6、0~5、0~4、0~3、0~2、0、または1、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個の置換基)を有することを指す。
【0117】
アルキル、アルキレン、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、及びヘテロシクリル基は、カルボシクリル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、ハロ、OH、シアノ、アルコキシ、アルケニルオキシ、チオアルキル、NO、N、NRR(式中、R及びRの各々は、独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、もしくはヘテロシクリルである)、SOR(式中、Rは、H、アルキル、もしくはアリールである)、SONRR(式中、R及びRの各々は、独立して、H、アルキル、もしくはアリールである)、またはNRSOR(式中、R及びRの各々は、独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、もしくはヘテロシクリルである)のうちの1つ以上で置換されてもよい。アリール基、カルボシクリル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、ヘテロアリール基、及びヘテロシクリル基はまた、アルキル、アルケニル、またはアルキニルで置換されていてもよい。アルキル基、アルコキシ基、カルボシクリル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、及び不飽和ヘテロシクリル基もまた、オキソで置換されていてもよい。いくつかの実施形態では、置換基を、本明細書に記載されるようにさらに置換する。例えば、Cアリール基、すなわち、フェニルを、アルキル基で置換してもよく、これをヘテロシクリル基でさらに置換してもよい。
【発明を実施するための形態】
【0118】
本発明は、小分子補体D因子阻害剤及びその中間体の合成方法を提供する。補体D因子阻害剤は、式(XIV)の化合物:
【化53】
またはその薬学的に許容される塩であり、可変要素R~R、X~X、m、及びBは、本明細書で定義されるとおりである。式(XIV)の例示的な化合物は、例えば、米国特許第10,011,612号、第10,287,301号、及び第10,822,352号、ならびに米国特許公開第2020/0071301A1号に記載されており、同文献の内容の全体が参照により本明細書に援用される。
【0119】
この方法は、式(VIII)の化合物:
【化54】
を調製することを含み、式中、Pは、HまたはN-保護基であり、Pは、Hまたはヒドロキシル保護基(例えば、ベンゾイルなどのエステルヒドロキシル保護基)である。このプロセスは、式(VII)の化合物:
【化55】
を提供し(式中、Pは、HまたはN-保護基であり、Pは、Hまたはヒドロキシル保護基(例えば、ベンゾイルなどのエステルヒドロキシル保護基)である)、Simmons-Smith反応条件下で行うシクロプロパン化反応を介して、式(VII)の化合物から式(VIII)の化合物を形成することを含む。Simmons-Smith反応は、アルケンと反応してシクロプロパンを形成する有機亜鉛カルベノイド(例えば、Zn/Cuとジヨードメタンとの反応から形成されるヨードメチル亜鉛ヨウ化物)の形成を伴う。Simmons-Smith反応の周知の変形例としては、Zn/Cuをジエチル亜鉛と置き換えたFurukawa改良法、ジエチル亜鉛をフェニルジアゾメタンなどのアリールジアゾ化合物と置き換えたCharette改良法、及び、非亜鉛剤、例えば、Sm/Hg及びi-BuAlを含む他の修飾が挙げられる。いくつかの実施形態では、式(VII)の化合物をジエチル亜鉛及びクロロヨードメタンと反応させて、式(VIII)の化合物を形成する。
【0120】
本明細書で開示される方法の実施形態(例えば、Pがベンゾイルである)は、予想外に、(VIII)の化合物に高い立体選択性(約95:5)を提供し、これは、例えば、式(XIV)の化合物の多ステップ合成における後続の反応に引き継がれる。
【0121】
式(XIV)の化合物を調製するための以前に報告された手順では、式(I)の化合物を使用する必要があり、この化合物は、本開示より前に、米国公開第2011/0274648A1号で報告された手順を使用して一般的に調製されていたが、この手順によって、式(I)の化合物とそのジアステレオマーとの約1:3のジアステレオマー混合物が得られる。他の公開された手順では、シリル保護基を使用し(Bioorg.Med.Chem.,21(2013)5725-5737)、本明細書に開示される反応と比較して、得られた混合物の精製が困難である。別の公開された手順は、リチウムジイソプロピル-アミド及びヨウ化メチルに依存してメチル基を挿入し(式III~Vを参照されたい)、その結果、メチル化化合物(モノメチル化及びジメチル化の両方)と未反応の出発物質との混合物が得られ、追加のクロマトグラフィー分離が必要となる。
【0122】
高い立体選択性を有する(VIII)の化合物の合成における中間体を調製する能力は、式(XIV)の化合物を調製するための全体的なプロセスの全体的な収率を大幅に向上させる。
【0123】
式(VII)の化合物
いくつかの実施形態では、式(VII)の化合物:
【化56】
(式中、P及びPは、上記で定義されたとおりである)を、式(VI)の化合物:
【化57】
(式中、PはN-保護基であり、Pはヒドロキシル保護基(例えば、ベンゾイルなどのエステルヒドロキシル保護基)である)を、脱水反応(脱離反応)に供することによって調製する。脱水反応は、通常、高温下(硫酸、リン酸、またはトリフルオロ酢酸(例えば、トリフルオロ酢酸無水物の加水分解から形成される)などの強酸の存在下)で行われる。脱水はまた、触媒としての塩化p-トルエンスルホニル(TsCl)の存在下、塩化メチレンを還流させて行ってもよい。そのような反応は、当技術分野で周知である。いくつかの実施形態では、式(VI)の化合物を無水トリフルオロ酢酸と(例えば、2,6-ルチジンの存在下で)反応させることによって、式(VII)の化合物を調製する。
【0124】
式(VI)の化合物
いくつかの実施形態では、式(VI)の化合物:
【化58】
(式中、P及びPは、上記で定義されたとおりである)を、式(V)の化合物:
【化59】
(式中、PはN-保護基であり、Pはヒドロキシル保護基(例えば、ベンゾイルなどのエステルヒドロキシル保護基)である)を還元することによって調製する。トリエチルホウ化水素(「超水素化物」)リチウム及び水素化ホウ素ナトリウムを含むがこれらに限定されない還元剤を使用して、式(V)の化合物を還元してもよい。いくつかの実施形態では、式(V)の化合物をトリエチル水素化ホウ素リチウムで還元する。
【0125】
式(V)の化合物
いくつかの実施形態では、式(V)の化合物:
【化60】
(式中、P及びPは、上記で定義されたとおりである)を、式(IV)の化合物:
【化61】
(式中、Pは、HまたはN-保護基であり、Pは、Hまたはヒドロキシル保護基(例えば、ベンゾイルなどのエステルヒドロキシル保護基)である)を水素化触媒の存在下で水素化分解反応に供することによって調製する。好適な水素化触媒としては、パラジウム炭素、酸化白金(IV)、水酸化パラジウム(II)、ラネーニッケル、及び白金金属が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、水素化分解反応を、パラジウム炭素の存在下で行う。
【0126】
式(IIA)、(IIB)、(III)、及び(IV)の化合物
いくつかの実施形態では、式(IV)の化合物:
【化62】
(式中、P及びPは、上記で定義されたとおりである)を、式(III)の化合物:
【化63】
(式中、PはN-保護基であり、Pはヒドロキシル保護基(例えば、ベンゾイルなどのエステルヒドロキシル保護基)である)を、Bredereck試薬(tert-ブトキシビス(ジメチルアミノ)メタン;例えば、Rosso,Synlett.2006;5:0809-0810を参照のこと)と反応させることによって調製する。次に、式(III)の化合物を、(S)-5-(ヒドロキシメチル)ピロリジン-2-オン(市販)から、そのヒドロキシル基及びピロリジン窒素をヒドロキシル保護試薬及びN-保護試薬でそれぞれ保護することによって、調製してもよい。ヒドロキシル基及びピロリジンは、どちらの順序で保護してもよい。すなわち、ヒドロキシル基を最初に保護して、式(IIA)の化合物:
【化64】
(式中、Pはヒドロキシル保護基(例えば、ベンゾイルなどのエステルヒドロキシル保護基)である)を提供するか、またはピロリジン窒素を最初に保護して、化合物(IIB):
【化65】
(式中、Pは、HまたはN-保護基である)を提供してもよい。続いて未保護のピロリジン窒素またはヒドロキシル基を保護して、式(III)の化合物を提供してもよい。いくつかの実施形態では、N-保護試薬は(Boc)Oであり、PはBocである。いくつかの実施形態では、ヒドロキシル保護試薬は塩化ベンゾイルであり、Pはベンゾイルである。
【0127】
式(IX)及び(I)の化合物
いくつかの実施形態では、式(VIII)の化合物:
【化66】
(式中、P及びPは上記で定義されたとおりである)を、ヒドロキシル保護基除去剤と反応させて、式(IX)の化合物:
【化67】
を得ることを含み、式中、Pは、HまたはN-保護基である。式(IX)の化合物をさらに、式(I)の化合物:
【化68】
(式中、Pは、HまたはN-保護基である)へ、第一級アルコールをカルボン酸に酸化することによって変換してもよい。第一級アルコールをカルボン酸に酸化させる方法は当技術分野で周知である。いくつかの実施形態では、式(IX)の化合物を、(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-イル)オキシル、次亜塩素酸ナトリウム、及び亜塩素酸ナトリウムの存在下で酸化する。また、Jones酸化条件下(すなわち、硫酸水溶液に溶解した三酸化クロムの存在下)で、または過マンガン酸カリウム(KMnO)、クロロクロム酸ピリジニウム(PCC)、過ルテニウム酸テトラプロピルアンモニウム(TPAP)、または三酸化クロム/過ヨウ素酸(CrO-HIO)を用いて、式(IX)の化合物を酸化してもよい。
【0128】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物を、最初に、それを有機アミンと反応させて、式(I)の化合物の有機アンモニウム塩を形成し(例えば、THFまたはトルエンなどの有機溶媒中で)、次いで式(I)の化合物の有機アンモニウム塩を酸と反応させて、式(I)の化合物を再形成する。好適な有機アミンとしては、α-メチルベンジルアミンなどのベンジルアミン及びキラルアミンが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、有機アミンはベンジルアミンであり、これは、式(I)の化合物のベンジルアンモニウム塩を形成する。
【0129】
式(XI)及び(XII)の化合物
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物:
【化69】
(式中、Pは、N-保護基である)を、式(X)の化合物:
【化70】
またはその塩とカップリングさせて(式中、Rは、Hまたは任意に置換されたC-Cアルキルであり、R及びRの各々は、独立してHまたはメチルであり、mは、0、1、または2であり、Bは、任意に置換されたC-Cアルキル、任意に置換されたC-Cアルケニル、任意に置換されたC-C10カルボシクリル、任意に置換されたC-C14アリール、または任意に置換された5~10員ヘテロシクリルである)、アミド化反応において式(XI)の化合物:
【化71】
(式中、PはN-保護基であり、全ての他の可変要素は、式(X)について定義されるとおりである)を形成する。あるいは、PがHである式(I)の化合物を、式(X)の化合物またはその塩とカップリングする前に、最初にN-保護試薬と反応させてもよい。その後、N-保護基除去剤を用いて式(XI)の化合物中のPを除去することにより、式(XII)の化合物:
【化72】
またはその塩(式中、すべての可変要素は、式(XI)について定義されるとおりである)を提供する。
【0130】
いくつかの実施形態では、N-保護試薬は、ジ-tert-ブチルジカーボネート(BocO)であり、塩基(例えば、4-ジメチルアミノピリジン)の存在下で、有機溶媒(例えば、アセトニトリル)中で反応を実施し、N-保護基は、tert-ブチルカーボネート(Boc)である。N-保護基がBocであるいくつかの実施形態では、脱保護反応は、式(XI)の化合物を有機溶媒中の酸で処理することを含む。いくつかの実施形態では、酸は塩化水素(ジオキサン中の4N HCl)であり、例えば、ジオキサン中で反応を実施する。いくつかの実施形態では、酸は臭化水素(例えば、酢酸中の33%HBr溶液)であり、例えば、酢酸エチル中で反応を実施する。いくつかの実施形態では、酸はトリフルオロ酢酸であり、例えば、ジクロロメタン中で反応を実施する。N-保護基の導入及び除去に必要な他の好適なN-保護試薬及び反応条件は、当技術分野で周知である(例えば、Wuts,Greene’s Protective Groups in Organic Synthesis,Wiley-Interscience,4th Edition,2006を参照のこと)。
【0131】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物及び式(X)の化合物またはその塩を、有機溶媒中、塩基及びカップリング試薬の存在下でカップリングする。いくつかの実施形態では、有機溶媒はジメチルホルムアミドである。いくつかの実施形態では、塩基はジイソプロピルエチルアミンである。いくつかの実施形態では、カップリング試薬は、(1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウム3-オキシドヘキサフルオロホスフェート(HATU)である。
【0132】
式(XI)及び(XII)の化合物は、例えば、米国特許第10,011,612号、第10,287,301号、及び第10,822,352号、ならびに米国特許公開第2020/0071301A1号に記載の方法に従って調製することができ、同文献の内容の全体が参照により本明細書に援用される。
【0133】
式(XIV)の化合物
いくつかの実施形態では、式(XII)の化合物:
【化73】
またはその塩を、式(XIII)の化合物:
【化74】
(式中、可変要素R、R、R、X、X、X、X、及びXは、本明細書で定義されるとおりである)とカップリングさせて、式(XIV)の化合物:
【化75】
(XIV)、
またはその薬学的に許容される塩を形成し、式中、すべての可変要素は、式(XII)及び(XIII)で定義されるとおりである。いくつかの実施形態では、式(XII)の化合物の塩酸塩、及びジメチルホルムアミド中の式(XIII)の化合物を用いて、1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウム3-オキシドヘキサフルオロリン酸及びN,N-ジイソプロピルエチルアミンの存在下で、反応を実施する。いくつかの実施形態では、式(XII)の化合物の臭化水素酸塩、及びアセトニトリル中の式(XIII)の化合物を用いて、無水プロパンホスホン酸及びN,N-ジイソプロピルエチルアミンの存在下で、反応を実施する。いくつかの実施形態では、式(XII)の化合物のトリフルオロ酢酸塩を、ジメチルホルムアミド中の式(XIII)の化合物とともに用いて、N,N-ジイソプロピルエチルアミン及び1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウム3-オキシドヘキサフルオロリン酸または2-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルアミニウムテトラフルオロボレートの存在下で、反応を実施する。いくつかの実施形態では、(XIII)の化合物及び式(XII)の化合物の塩(例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、またはトリフルオロ酢酸塩)を用いて、反応を実施する。
【0134】
式(XII)、(XIII)、及び(XIV)の例示的な化合物及びその合成手順は、例えば、米国特許第10,011,612号、第10,287,301号、及び第10,822,352号、ならびに米国特許公開第2020/0071301A1号に記載されており、同文献の内容の全体が参照により本明細書に援用される。
【実施例
【0135】
本明細書に記載される実施例は、本開示を説明する役割を果たし、本開示は、所与の実施例に限定されない。
【0136】
実施例1:(1R,3S,5R)-2-(tert-ブトキシカルボニル)-5-メチル-2-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-カルボン酸の合成
【化76】
ステップ1:(S)-(5-オキソピロリジン-2-イル)メチルベンゾエートの合成
【化77】
窒素雰囲気下、25±5℃にてCHCl(1232kg)を反応器に添加し、続いて(S)-5-(ヒドロキシメチル)-2-ピロリジノン(154kg)を添加した。次いで、反応混合物の温度を0±5℃に冷却し、4-(ジメチルアミノ)ピリジン(16.94kg)を添加した。トリエチルアミン(158.62kg)を反応混合物にゆっくりと添加し、その間、反応混合物を0±5℃に維持した。続いて、塩化ベンゾイル(190.96kg)を反応混合物にゆっくりと添加し、窒素雰囲気下、0±5℃で添加し、同じ温度で3時間撹拌した。次に、5%NaHCO水溶液(約46Kg)を添加し、反応混合物を25±5℃まで加温し、撹拌した。有機層を分離し、10%NaCl水溶液(770kg)で洗浄し、真空下で40℃未満に濃縮し、その後、n-ヘプタン(209kg)を反応器に添加した。次いで、有機層を濃縮し、25±5℃まで冷却した。次いで、ヘプタン溶液(546.7kg)中の10%酢酸エチルを反応混合物に加え、そこから(S)-(5-オキソピロリジン-2-イル)メチルベンゾエートを溶液から沈殿させ、次のステップで直接使用した。
【0137】
ステップ2:(S)-2-((ベンゾイルオキシ)メチル)-5-オキソピロリジン-1-カルボン酸tert-ブチルの合成
【化78】
(S)-(5-オキソピロリジン-2-イル)メチル安息香酸塩を濾過によって回収し、CHCl(1001kg)中に溶解させ、得られた溶液に4-(ジメチルアミノ)ピリジン(72.38kg)を25±5℃にて添加した。ジ-tert-ブチルジカーボネート(495.88kg)を添加容器に投入し、窒素雰囲気下、25±5℃にて反応混合物中に添加した。反応混合物を25±5℃で1時間撹拌し、その後、水(1540kg)を添加し、反応混合物をさらに10分間撹拌した。有機層を分離し、5%HCl(1725kg)及びNaCl水溶液(770kg)で洗浄し、真空下40℃未満で濃縮した。続いてN-ヘプタン(209kg)を反応器に添加し、混合物を次いで減圧下で濃縮し、25±5℃まで冷却した。次いで、ヘプタン中の10%酢酸エチル(546.7kg)をその混合物に加えた。そのようにして形成された沈殿物を濾過により回収し、乾燥させて、標題化合物を取得し(390kg、ステップ1から91.3%)、これをLC-MSにより特徴決定し、参照試料と比較した。
【0138】
ステップ3:(S,E)-5-((ベンゾイルオキシ)メチル)-3-((ジメチルアミノ)メチレン)-2-オキソピロリジン-1-カルボン酸tert-ブチルの合成
【化79】
1,2-ジメトキシエタン(234kg)を窒素雰囲気下で反応器に投入し、続いてそこに(S)-2-((ベンゾイルオキシ)メチル)-5-オキソピロリジン-1-カルボン酸tert-ブチル(180kg)を添加した。反応混合物を25±5℃で10分以上撹拌し、tert-ブチル-ビス(ジメチルアミノ)メタン(147.6kg)を添加した。反応温度を75±5℃まで上昇させ、(S)-2-((ベンゾイルオキシ)メチル)-5-オキソピロリジン-1-カルボン酸tert-ブチルが、勾配溶出を用いた逆相HPLCによる判定で完全消費されるまで維持した。次いで、反応温度を25±5℃まで冷却し、酢酸エチル(810kg)及び水(900kg)を添加した。反応混合物を10分間撹拌し、その後、有機層を分離し、溶媒を除去した。ヘプタン(1476Kg)をゆっくりと添加し、混合物を60分間撹拌し、その間に(S,E)-5-((ベンゾイルオキシ)メチル)-3-((ジメチルアミノ)メチレン)-2-オキソピロリジン-1-カルボン酸tert-ブチルを沈殿物として得た。沈殿物を濾過によって回収し、真空下で乾燥させ、精製することなく次のステップで使用した。
【0139】
ステップ4:(5S)-5-((ベンゾイルオキシ)メチル)-3-メチル-2-オキソピロリジン-1-カルボン酸tert-ブチルの合成
【化80】
乾燥(S,E)-5-((ベンゾイルオキシ)メチル)-3-((ジメチルアミノ)メチレン)-2-オキソピロリジン-1-カルボン酸tert-ブチル、イソプロピルアルコール(IPA;150L)、及びパラジウム炭素(10%~50%湿量基準、18kg)を水添器に加えた。次いで、H(4~5atm)を水添器に導入し、反応混合物を60±5℃に加熱し、20時間撹拌した。反応混合物を、セライトを使用して濾過し、溶媒を約30~40℃で加熱しながら減圧下で除去した。得られた残渣に、ヘプタン中の20%酢酸エチル(1750kg)、セライト(36kg)、及びシリカゲル(54kg)を添加し、混合物を25±5℃で60分間撹拌した。反応混合物を濾過し、溶媒を減圧下で除去した。残渣をトルエン(313kg)に再溶解し、10分間攪拌して、(5S)-5-((ベンゾイルオキシ)メチル)-3-メチル-2-オキソピロリジン-1-カルボン酸tert-ブチルのトルエン溶液を取得し、これを次のステップで直接使用した。
【0140】
ステップ5:(5S)-5-((ベンゾイルオキシ)メチル)-2-ヒドロキシ-3-メチルピロリジン-1-カルボン酸tert-ブチルの合成
【化81】
トルエン(1131kg)を反応器に投入し、続いて前のステップで得られた(5S)-5-((ベンゾイルオキシ)メチル)-3-メチル-2-オキソピロリジン-1-カルボン酸tert-ブチル(130Kg)のトルエン溶液を投入した。次いで、溶液を-65±5℃まで冷却し、トリエチル水素化ホウ素リチウム(THF中20%、超水素化物)(225.5Kg)を反応器にゆっくりと添加し、その後、反応混合物を同じ温度で1.5時間撹拌した。次いで、トルエン(452.4kg)中の酢酸(28.6kg)を、-65±5℃で反応混合物にゆっくりと添加し、混合物を-10±5℃に温めた。次いで、約4%の次亜塩素酸ナトリウム溶液(1079kg)を添加し、反応混合物を-5±5℃で15分間撹拌した。続いて有機層を分離した。約4%の次亜塩素酸ナトリウム溶液(1079kg)を有機層に加え、次いで、反応混合物を-5±5℃で15分間撹拌した。分離、約4%次亜塩素酸ナトリウム溶液の添加、及び撹拌をもう一度繰り返し、その後、有機層を再び分離した。有機層を、水(1300kg)、続いて10%塩化ナトリウム水溶液(715kg)で洗浄し、次いで、40℃未満で、溶液中の表題化合物のおよそ10%w/vまで濃縮し、反応塊を0±5℃まで冷却した。
【0141】
ステップ6:(S)-2-((ベンゾイルオキシ)メチル)-4-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-ピロール-1-カルボン酸tert-ブチルの合成
【化82】
前のステップから得られた反応塊を含む反応器に、0±5℃にて2,6-ルチジン(91kg)を投入した。次いで、無水トリフルオロ酢酸(89.7kg)を、0±5℃で反応器にゆっくりと投入した。反応温度を50±5℃まで上昇させ、(5S)-5-((ベンゾイルオキシ)メチル)-2-ヒドロキシ-3-メチルピロリジン-1-カルボン酸tert-ブチルが、LC-MSによる確認で完全消費されるまで同じ温度で維持した。反応混合物を、10%NaHCO水溶液(650kg)、0%クエン酸水溶液(1430kg)、及び5%塩化ナトリウム水溶液(617.5kg)で洗浄し、その後、濃縮された有機層を濃縮して、化合物を粗製形態で取得し、これを次のステップで直接使用した。
【0142】
ステップ7:(1R,3S,5R)-3-((ベンゾイルオキシ)メチル)-5-メチル-2-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-2-カルボン酸tert-ブチルの合成
【化83】
トルエン(2232kg)を25±5℃で反応器に投入し、そこに(S)-2-((ベンゾイルオキシ)メチル)-4-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-ピロール-1-カルボン酸tert-ブチル(124kg)を加えた。反応混合物を-25±5℃まで冷却し、その後、トルエン中の1.5Mジエチル亜鉛(595.5kg)を窒素雰囲気下でゆっくりと添加し、続いてクロロヨードメタン(405.48kg)を徐々に添加した。反応物を-2±5℃に温め、12時間撹拌し、その後、同じ温度を維持しながら、10%NaHCO水溶液(1116kg)を添加した。次いで、反応混合物を25±5℃に温め、セライト(37.2kg)を反応器に投入した。25±5℃で10分間撹拌した後、混合物をセライト床に通して濾過し、層を分離した。有機層を5%塩化ナトリウム水溶液(1240kg)で洗浄し、次いで溶媒を減圧下で加熱しながら除去して、粗製(1R,3S,5R)-3-((ベンゾイルオキシ)メチル)-5-メチル-2-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-2-カルボン酸tert-ブチル(勾配溶出による逆相HPLCによる判定で95:5)を取得し、これを次のステップで直接使用した。
【0143】
ステップ8:(1R,3S,5R)-3-(ヒドロキシメチル)-5-メチル-2-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-2-カルボン酸tert-ブチルの合成
【化84】
粗製の(1R,3S,5R)-3-((ベンゾイルオキシ)メチル)-5-メチル-2-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-2-カルボン酸tert-ブチルをMeOH(979.6kg)に溶解させ、溶液を0±5℃まで冷却した。次いで、25%ナトリウムメトキシド溶液(73.1kg)を、0±5℃で反応混合物にゆっくりと添加し、混合物を2時間撹拌した。その後、水(1240kg)をゆっくりと加え、その反応混合物を25±5℃で8時間撹拌した。次いで、酢酸エチル(8.89w/w)を反応混合物中に投入し、層を分離した。有機層を5%塩化ナトリウム水溶液(620kg)で洗浄し、真空下45℃未満で濃縮して、粗製(1R,3S,5R)-3-(ヒドロキシメチル)-5-メチル-2-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-2-カルボン酸tert-ブチルを取得し、これを次のステップで直接使用した。
【0144】
ステップ9:(1R,3S,5R)-2-(tert-ブトキシカルボニル)-5-メチル-2-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-カルボン酸の合成
【化85】
アセトニトリル(169.3kg)及び粗製(1R,3S,5R)-3-(ヒドロキシメチル)-5-メチル-2-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-2-カルボン酸tert-ブチル(42.96kg)を反応器に投入し、25±5℃で5~10分間攪拌し、その後、一塩基性リン酸ナトリウム溶液(232.0kgの水中で107.4kg)、TEMPO(3.01kg)、亜塩素酸ナトリウム溶液(30.1kgの水中で12.89kg)を添加した。反応混合物を35℃未満で8時間攪拌した。次いで、亜硫酸ナトリウム溶液(859.2kgの水中で171.84kg)を、20±5℃にてゆっくりと添加した。反応混合物を10分間攪拌した後、この混合物がpH9~10に達するまでNaOH水溶液を加え、その混合物をメチルtert-ブチルエーテル(MTBE;159.0kg)で抽出し、有機層を廃棄した。水層を2MのHCl水溶液でpH2~3に調整し、酢酸エチル(382.3kg)で抽出し、このようにして得た有機層を5%塩化ナトリウム水溶液(451.1kg)で洗浄し、単離し、真空下、55℃未満で濃縮した。次いで、THF(176.1kg)及びTHF中の2Mのベンジルアミン(77.3kgのTHF中の21.48kgベンジルアミン)を15±5℃で添加し、次いで、反応混合物を30℃未満で12時間撹拌し、次いで、0℃±5℃まで冷却し、その間、(1R,3S,5R)-2-(tert-ブトキシカルボニル)-5-メチル-2-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-カルボン酸のベンジルアンモニウム塩が溶液から沈殿し、これを濾過によって回収した。濾過後の固体に、HCl水溶液(859kgの水中で98.8kg)及びCHCl(257.8Kg)を加え、その後、有機層を5%塩化ナトリウム水溶液(451.1kg)で洗浄し、真空下、45℃未満にて濃縮した。得られた残渣にヘプタンを加え、その後、固体が形成された。固体を濾過により回収し、真空下、35℃未満にて乾燥させて、表題化合物18.32kg(40.2%)を得た。H NMR (400 MHz, DMSO-d) d 12.42 (s, 1H), 3.85 (t, 1H), 3.06 (m, 1H), 2.40 (m, 1H), 1.85 (m, 1H), 1.36 (m, 9H), 1.17 (s, 3H), 0.63 (m, 2H)。HPLC:保持時間19.039;純度95%。キラルHPLC:保持時間8.964分;純度99.7%。
【0145】
勾配プログラム及びDAD/VWD検出手法による逆相HPLCを、Atlantis T3(150×4.6mm,3μm)を装着したDAD/VWD(または均等物)を備えたAgilent1200/1260 HPLCシリーズシステムを使用して、カラム温度40℃にて以下の条件下で実施した:
【表1】
UV検出は210nmで実施した。
【0146】
CHIRALPAK(登録商標)IG-3,250×4.6mm,3μmカラムを使用して、カラム温度40℃でキラルHPLCを実施した。70%のトリフルオロ酢酸(0.1%)水溶液と30%アセトニトリルを混合することによってイソクラティック移動相を形成し、0.8mL/分の流速で30分間適用した。UV検出を210nmで実施した。試料を1mg/mlでメタノールに溶解させた。注入量は5μLとした。
【0147】
他の実施形態
記載される本開示の組成物及び方法の様々な修正及び変形は、本開示の範囲及び主旨から逸脱することなく当業者には明白である。本開示を特定の実施形態に関連して記載してきたが、特許請求の範囲に記載されるような本開示は、そのような特定の実施形態に過度に限定されるべきではないことを理解されたい。実際に、当業者に明らかである開示される方法を実施するための記載の手法の様々な修正は、本開示の範囲内であると意図される。
【0148】
他の実施形態は、特許請求の範囲に記載されている。
【国際調査報告】