(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】がんの処置方法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/4545 20060101AFI20241219BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20241219BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20241219BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20241219BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20241219BHJP
A61K 9/10 20060101ALI20241219BHJP
A61K 9/107 20060101ALI20241219BHJP
A61K 9/14 20060101ALI20241219BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20241219BHJP
A61K 9/48 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
A61K31/4545
A61P35/00
A61P35/02
A61P43/00 111
A61K9/08
A61K9/10
A61K9/107
A61K9/14
A61K9/20
A61K9/48
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024535429
(86)(22)【出願日】2022-12-15
(85)【翻訳文提出日】2024-08-09
(86)【国際出願番号】 US2022081699
(87)【国際公開番号】W WO2023114933
(87)【国際公開日】2023-06-22
(32)【優先日】2021-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520099771
【氏名又は名称】カイメラ セラピューティクス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】シャルム, ステファニー
(72)【発明者】
【氏名】チェン, ダペン
(72)【発明者】
【氏名】プロクター, ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】グロウニー, ジョゼフ
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアムズ, ジュリエット
(72)【発明者】
【氏名】エナーソン, ブラッドリー
(72)【発明者】
【氏名】チュタケ, ヨゲシュ
(72)【発明者】
【氏名】メイヨー, ミシェル
(72)【発明者】
【氏名】チー, ジアンフェン
(72)【発明者】
【氏名】ホ, クリス
(72)【発明者】
【氏名】ワイス, マシュー エム.
(72)【発明者】
【氏名】ロン, ハオジン
(72)【発明者】
【氏名】マクドナルド, アリス
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA11
4C076AA17
4C076AA22
4C076AA30
4C076AA36
4C076AA53
4C076AA94
4C076BB01
4C076BB13
4C076CC27
4C086AA01
4C086AA02
4C086CB03
4C086CB05
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA17
4C086MA22
4C086MA23
4C086MA35
4C086MA37
4C086MA43
4C086MA52
4C086MA65
4C086NA12
4C086NA14
4C086ZB26
4C086ZB27
4C086ZC41
(57)【要約】
本発明は、MDM2分解剤を使用して固形がんおよび血液悪性疾患を処置する方法に関する。マウス二重微小染色体2(MDM2)がんタンパク質は、腫瘍抑制因子p53を分解する重要なE3ユビキチンリガーゼである。MDM2/p53相互作用の可逆的小分子阻害剤(SMI)は、野生型p53腫瘍においてp53を安定化しアポトーシスを誘導するために開発された。しかしながら、MDM2 SMIはp53/MDM2フィードバックループを誘導し、その結果、MDM2タンパク質レベルの上方調節およびp53経路阻害がもたらされ、したがってそれらの生物学的活性および臨床適用が劇的に制限される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固形がんまたは血液悪性疾患の処置を必要とする患者の固形がんまたは血液悪性疾患を処置する方法であって、治療有効量のMDM2分解剤または薬学的に受容可能なその塩を前記患者に投与することを含み、前記MDM2分解剤が、
(3’R,4’S,5’R)-6’’-クロロ-4’-(3-クロロ-2-フルオロフェニル)-N-((1R,4R)-4-(4-(1-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-5-イル)ピペリジン-1-カルボニル)シクロヘキシル)-2’’-オキソジスピロ[シクロヘキサン-1,2’-ピロリジン-3’,3’’-インドリン]-5’-カルボキサミド(化合物A)、
(3’R,4’S,5’R)-6’’-クロロ-4’-(2-クロロ-3-フルオロピリジン-4-イル)-N-((6S)-6-((5-(1-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-5-イル)ペンチル)カルバモイル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)-4,4-ジメチル-2’’-オキソジスピロ[シクロヘキサン-1,2’-ピロリジン-3’,3’’-インドリン]-5’-カルボキサミド(化合物B)、
(3’R,4’S,5’R)-6’’-クロロ-4’-(3-クロロ-2-フルオロフェニル)-N-((1r,4R)-4-((2-(2-(1-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-5-イル)エチル)-2,7-ジアザスピロ[3.5]ノナン-7-イル)メチル)シクロヘキシル)-1’-メチル-2’’-オキソジスピロ[シクロヘキサン-1,2’-ピロリジン-3’,3’’-インドリン]-5’-カルボキサミド(化合物C)、
(3’R,4’S,5’R)-6’’-クロロ-4’-(3-クロロ-2-フルオロフェニル)-N-(4-(4-(1-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-5-イル)ピペリジン-1-カルボニル)フェニル)-2’’-オキソジスピロ[シクロヘキサン-1,2’-ピロリジン-3’,3’’-インドリン]-5’-カルボキサミド(化合物D)、または
(3’R,4’S,5’R)-6’’-クロロ-4’-(3-クロロ-2-フルオロフェニル)-N-((1r,4R)-4-(4-((2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-1-オキソイソインドリン-4-イル)エチニル)ピペリジン-1-カルボニル)シクロヘキシル)-2’’-オキソジスピロ[シクロヘキサン-1,2’-ピロリジン-3’,3’’-インドリン]-5’-カルボキサミド(化合物E)である、方法。
【請求項2】
前記MDM2分解剤または薬学的に受容可能なその塩が、最大0.8mg/kgの用量で前記患者に投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記MDM2分解剤または薬学的に受容可能なその塩が、最大0.65mg/kgの用量で前記患者に投与される、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記MDM2分解剤または薬学的に受容可能なその塩が、最大0.5mg/kgの用量で前記患者に投与される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記MDM2分解剤または薬学的に受容可能なその塩が、約0.3mg/kg~約0.6mg/kgの用量で前記患者に投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記MDM2分解剤または薬学的に受容可能なその塩が、約0.5mg/kg~約0.8mg/kgの用量で前記患者に投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記MDM2分解剤または薬学的に受容可能なその塩が、最大50mgの用量で前記患者に投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記MDM2分解剤または薬学的に受容可能なその塩が、最大40mgの用量で前記患者に投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記MDM2分解剤または薬学的に受容可能なその塩が、最大30mgの用量で前記患者に投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記MDM2分解剤または薬学的に受容可能なその塩が、約10mg~約40mgの用量で前記患者に投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記MDM2分解剤または薬学的に受容可能なその塩が、約20mg~約50mgの用量で前記患者に投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記MDM2分解剤または薬学的に受容可能なその塩が、最大30mg/m
2の用量で前記患者に投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記MDM2分解剤または薬学的に受容可能なその塩が、最大20mg/m
2の用量で前記患者に投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記MDM2分解剤または薬学的に受容可能なその塩が、最大10mg/m
2の用量で前記患者に投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記MDM2分解剤または薬学的に受容可能なその塩が、約1mg/m
2~約10mg/m
2の用量で前記患者に投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記MDM2分解剤または薬学的に受容可能なその塩が、約5mg/m
2~約15mg/m
2の用量で前記患者に投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記MDM2分解剤または薬学的に受容可能なその塩が、前記患者に経口投与される、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記患者への前記MDM2分解剤の前記経口投与が、溶液、懸濁物、エマルション、錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、または徐放性製剤を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記MDM2分解剤または薬学的に受容可能なその塩が、前記患者に静脈内投与される、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記患者への前記MDM2分解剤の前記静脈内投与が滅菌注射用溶液を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記MDM2分解剤または薬学的に受容可能なその塩が、週に1回(QW)、前記患者に投与される、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記MDM2分解剤または薬学的に受容可能なその塩が、2週間に1回(Q2W)、前記患者に投与される、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記MDM2分解剤または薬学的に受容可能なその塩が、3週間に1回(Q3W)、前記患者に投与される、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記MDM2分解剤または薬学的に受容可能なその塩が、1またはそれを超える薬学的に受容可能な添加物または担体を含む薬学的組成物として投与される、請求項1~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記1またはそれを超える薬学的に受容可能な添加物または担体が、1またはそれを超える希釈剤、保存剤、結合剤、滑沢剤、崩壊剤、膨潤剤、充填剤または安定剤を含む、請求項24に記載の薬学的組成物。
【請求項26】
前記1またはそれを超える薬学的に受容可能な添加物または担体が、1またはそれを超える緩衝液、界面活性剤、分散剤、乳化剤または粘度調整剤を含む、請求項24に記載の薬学的組成物。
【請求項27】
前記固形がんまたは血液悪性疾患が、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、大顆粒リンパ球性白血病(LGL-L)、B細胞前リンパ球性白血病、急性骨髄性白血病(AML)、バーキットリンパ腫/白血病、原発性滲出性リンパ腫、末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、進行性B細胞びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(ABC DLBCL)、血管内大細胞型B細胞リンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症(WM)、脾臓辺縁層リンパ腫、多発性骨髄腫、形質細胞腫、ブドウ膜黒色腫、または骨髄異形成症候群(MDS)から選択される、請求項1~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記患者が少なくとも1つの以前の治療を受けたことがある、請求項1~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記患者がヒトである、請求項1~28のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年12月15日に出願された米国仮出願第63/265,474号、2022年9月15日に出願された米国仮出願第63/375,820号、および2022年11月16日に出願された米国仮出願第63/384,043号に対する優先権の利益を主張するものであり、これらの各出願の全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
発明の技術分野
本発明は、MDM2分解剤(degrader)を使用して固形がんおよび血液悪性疾患を処置する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
マウス二重微小染色体2(MDM2)がんタンパク質は、腫瘍抑制因子p53を分解する重要なE3ユビキチンリガーゼである。MDM2/p53相互作用の可逆的小分子阻害剤(SMI)は、野生型p53腫瘍においてp53を安定化しアポトーシスを誘導するために開発された。しかしながら、MDM2 SMIはp53/MDM2フィードバックループを誘導し、その結果、MDM2タンパク質レベルの上方調節およびp53経路阻害がもたらされ、したがってそれらの生物学的活性および臨床適用が劇的に制限される。MDM2に標的化されたタンパク質分解は、p53依存性MDM2タンパク質フィードバックの上方調節を抑制し、したがって、MDM2 SMIと比較して優れた応答をもたらすと予想される。
【0004】
MDM2 SMIおよび他の治療の有効性を改善し、固形がんおよび血液悪性疾患において単剤活性を提供するために、MDM2分解剤の投与およびスケジュールを開発する必要性が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
特定のMDM2分解剤は、固形がんおよび血液悪性疾患を処置するための患者における経腸および非経口(parental)投与用に適していることが見出されている。したがって、一態様では、本発明は、固形がんまたは血液悪性疾患の処置を必要とする患者の固形がんまたは血液悪性疾患を処置する方法であって、治療有効量のMDM2分解剤または薬学的に受容可能なその塩を患者に投与することを含み、MDM2分解剤が、(3’R,4’S,5’R)-6’’-クロロ-4’-(3-クロロ-2-フルオロフェニル)-N-((1R,4R)-4-(4-(1-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-5-イル)ピペリジン-1-カルボニル)シクロヘキシル)-2’’-オキソジスピロ[シクロヘキサン-1,2’-ピロリジン-3’,3’’-インドリン]-5’-カルボキサミド(化合物A)、
(3’R,4’S,5’R)-6’’-クロロ-4’-(2-クロロ-3-フルオロピリジン-4-イル)-N-((6S)-6-((5-(1-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-5-イル)ペンチル)カルバモイル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)-4,4-ジメチル-2’’-オキソジスピロ[シクロヘキサン-1,2’-ピロリジン-3’,3’’-インドリン]-5’-カルボキサミド(化合物B)、(3’R,4’S,5’R)-6’’-クロロ-4’-(3-クロロ-2-フルオロフェニル)-N-((1r,4R)-4-((2-(2-(1-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-5-イル)エチル)-2,7-ジアザスピロ[3.5]ノナン-7-イル)メチル)シクロヘキシル)-1’-メチル-2’’-オキソジスピロ[シクロヘキサン-1,2’-ピロリジン-3’,3’’-インドリン]-5’-カルボキサミド(化合物C)、
(3’R,4’S,5’R)-6’’-クロロ-4’-(3-クロロ-2-フルオロフェニル)-N-(4-(4-(1-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-5-イル)ピペリジン-1-カルボニル)フェニル)-2’’-オキソジスピロ[シクロヘキサン-1,2’-ピロリジン-3’,3’’-インドリン]-5’-カルボキサミド(化合物D)、または
(3’R,4’S,5’R)-6’’-クロロ-4’-(3-クロロ-2-フルオロフェニル)-N-((1r,4R)-4-(4-((2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-1-オキソイソインドリン-4-イル)エチニル)ピペリジン-1-カルボニル)シクロヘキシル)-2’’-オキソジスピロ[シクロヘキサン-1,2’-ピロリジン-3’,3’’-インドリン]-5’-カルボキサミド(化合物E)である、方法を提供する。
【0006】
一態様では、MDM2分解剤または薬学的に受容可能なその塩は、最大約0.5mg/kg、最大約0.65mg/kg、または最大約0.8mg/kgの用量で患者に投与される。いくつかの例では、MDM2分解剤または薬学的に受容可能なその塩は、約0.3mg/kg~約0.6mg/kgまたは約0.5mg/kg~約0.8mg/kgの用量で投与される。別の態様では、MDM2分解剤または薬学的に受容可能なその塩は、最大約35mg、最大約40mg、最大約50mgまたは最大約100mgの用量で患者に投与される。いくつかの例では、MDM2分解剤または薬学的に受容可能なその塩は、約10mg~約100mg、10mg~約40mg、または約20mg~約50mgの用量で投与される。さらなる態様では、MDM2分解剤または薬学的に受容可能なその塩は、最大5mg/m2、最大15mg/m2、または最大30mg/m2の用量で患者に投与される。いくつかの例では、MDM2分解剤または薬学的に受容可能なその塩は、約1mg/m2~約10mg/m2または約5mg/m2~約15mg/m2の用量で投与される。
【0007】
一態様では、MDM2分解剤または薬学的に受容可能なその塩は、患者に経口投与される。患者へのMDM2分解剤の経口投与は、溶液、懸濁物、エマルション、錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、または徐放性製剤中のMDM2分解剤を含むことができる。他の態様では、MDM2分解剤または薬学的に受容可能なその塩は、患者に静脈内投与される。患者へのMDM2分解剤の静脈内投与は、滅菌注射用溶液中のMDM2分解剤を含むことができる。
【0008】
一態様では、MDM2分解剤または薬学的に受容可能なその塩は、1週間に1回(QW)または2週間に1回(Q2W)または3週間に1回(Q3W)、患者に投与される。
【0009】
MDM2分解剤または薬学的に受容可能なその塩と、1またはそれを超える薬学的に受容可能な添加物または担体とを含む薬学的組成物も本明細書で提供される。いくつかの態様では、1またはそれを超える薬学的に受容可能な添加物または担体は、1またはそれを超える希釈剤、保存剤、結合剤、滑沢剤、崩壊剤、膨潤剤、充填剤または安定剤を含む。他の態様では、1またはそれを超える薬学的に受容可能な添加物または担体は、1またはそれを超える緩衝液、界面活性剤、分散剤、乳化剤または粘度調整剤を含む。
【0010】
さらなる態様では、固形がんまたは血液悪性疾患は、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、大顆粒リンパ球性白血病(LGL-L)、B細胞前リンパ球性白血病、急性骨髄性白血病(AML)、バーキットリンパ腫/白血病、原発性滲出性リンパ腫、末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、進行性B細胞びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(ABC DLBCL)、血管内大細胞型B細胞リンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫(lymphoplasmacytic lymphoma)、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症(WM)、脾臓辺縁層リンパ腫、多発性骨髄腫、形質細胞腫、ブドウ膜黒色腫、または骨髄異形成症候群(MDS)から選択される。いくつかの実施形態では、固形がんまたは血液悪性疾患を処置するためにMDM2分解剤または薬学的に受容可能なその塩を受けている患者は、少なくとも1つの事前の治療を受けている。いくつかの実施形態では、固形がんまたは血液悪性疾患は難治性である。いくつかの実施形態では、患者はヒトである。
【0011】
本開示のこれらおよび他の態様は、以下の詳細な説明を参照すると明らかになるであろう。この目的のために、特定の背景情報および手順をより詳細に説明し、それぞれその全体が参照により本明細書に組み込まれる様々な参考文献が本明細書に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、化合物Aが、DS-3032などのSMIとは異なり、0.4nmでMDM2を分解することを示す。
【0013】
【
図2】
図2は、化合物Aが、DS-3032などのSMIとは異なり、p53を強く安定化することを示す。
【0014】
【
図3】
図3は、化合物Aが、がん細胞を死滅させるために、DS-3032などのSMIよりも優れていることを示す。
【0015】
【
図4】
図4は、化合物Aへの短期間の曝露が、DS-3032などのSMIとは異なり、細胞をアポトーシスに向かわせるのに十分であることを示す。
【0016】
【
図5】
図5は、RS4;11細胞で行われたウォッシュアウト実験の概略図を示す。
【0017】
【
図6】
図6は、化合物Aの単回用量がRS4;11マウス異種移植モデル(A)において持続的な腫瘍退縮を達成すること、および1mg/kgの化合物AでのMDM2分解が、p53、p21およびPUMAの用量依存的増加をもたらすことを示す。
【0018】
【
図7A】
図7Aおよび7Bは、化合物A(1mg/kg、Q3W)が、CTG-2227 AML患者由来異種移植(PDX)モデルにおいて腫瘍退縮を達成し、CTG-2240およびCTG-2700 AML PDXモデルにおいて部分応答を達成することを示す。
【
図7B】
図7Aおよび7Bは、化合物A(1mg/kg、Q3W)が、CTG-2227 AML患者由来異種移植(PDX)モデルにおいて腫瘍退縮を達成し、CTG-2240およびCTG-2700 AML PDXモデルにおいて部分応答を達成することを示す。
【0019】
【
図8A】
図8Aおよび8Bは、MOLM-13細胞株におけるベネトクラックスおよびミドスタウリンとの化合物Aの組み合わせの利益を示す。
【
図8B】
図8Aおよび8Bは、MOLM-13細胞株におけるベネトクラックスおよびミドスタウリンとの化合物Aの組み合わせの利益を示す。
【0020】
【
図9】
図9は、AMLインビボモデルにおける標準ケアとの化合物Aの有意な組み合わせの利益を示す。
【0021】
【
図10】
図10は、化合物Aがインビトロで複数のヘム適応症にわたって活性であり、AML、T細胞リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、およびDLBCLが最も感受性が高いことを示す。
【0022】
【
図11】
図11は、化合物Aがp53
WT ABCサブタイプDLBCLにおいて高度に活性であることを示す。化合物Aは、OCI-LY10 p53
WT ABCサブタイプDLBCL異種移植モデル(A)において高度に活性であったが、TMD8 p53
MUT ABCサブタイプDLBCL異種移植モデル(B)では活性でなかった。
【発明を実施するための形態】
【0023】
特定の実施形態の詳細な説明
1.本発明の特定の実施形態の一般的な説明:
本明細書で提供されるMDM2分解剤は、MDM2タンパク質の選択的分解を媒介するためにMDM2を標的とする非常に強力なヘテロ二官能性小分子治療剤である。提供されるMDM2分解剤は、野生型p53細胞株および異種移植モデルにおいて、MDM2のSMIと比較して優れた活性を示す。例えば、急性リンパ芽球性白血病(ALL)細胞株RS4;11において、化合物Aは、可逆的SMIについて見られるように、MDM2タンパク質レベルのp53依存的上方調節を克服することができる。化合物Aの短い2時間の曝露は、p53をSMIよりも強力に安定化することができる。さらに、これらの細胞におけるウォッシュアウト実験は、パルス用量の化合物Aがp53標的遺伝子を介して媒介されるアポトーシスをもたらし得ることを示した。化合物Aによる優れたMDM2/p53経路阻害およびアポトーシスの誘導は、一連の固形腫瘍細胞株および血液学的腫瘍細胞株にわたって、SMIと比較して200倍を超えて強い細胞増殖阻害につながる。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの以前の治療を受けたことがある固形がんまたは血液悪性疾患を有する成人患者の処置が本明細書で提供される。本発明のMDM2分解剤は、本明細書中に記載される用量およびスケジュールでの経口投与および静脈内投与によって提供される。
【0024】
以下の開示では、様々な実施形態の完全な理解を提供するために、特定の詳細が記載される。しかしながら、当業者は、本明細書に記載の方法および使用がこれらの詳細なしで実施され得ることを理解するであろう。他の例では、実施形態の説明が不必要に不明瞭になるのを避けるために、周知の構造は詳細に図示または説明されていない。文脈がそうでないことを要求しない限り、明細書および以下の特許請求の範囲を通して、「含む(comprise)」という単語およびその変形、例えば「含む(comprises)」および「含む(comprising)」は、オープンで包括的な意味で、すなわち「含むが、限定されない」と解釈されるべきである。さらに、本明細書で提供される見出しは、便宜上のものにすぎず、特許請求される発明の範囲または意味を解釈するものではない。
【0025】
本明細書を通して「1つの実施形態」または「一実施形態」への言及は、実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造、または特性が少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体の様々な箇所における「1つの実施形態では」または「一実施形態では」という語句の出現は、必ずしも全てが同じ実施形態を指すとは限らない。さらに、特定の特徴、構造、または特性は、1またはそれを超える実施形態において任意の適切な方法で組み合わせることができる。また、本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」および「the」は、内容が明らかにそうでないことを指示しない限り、複数の指示対象を含む。また、「または」という用語は、内容が明らかにそうでないことを指示しない限り、「および/または」を含むその意味で一般的に使用されることに留意されたい。
【0026】
2.定義:
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、反対に指定されない限り、以下の用語および略語は以下の意味を有する。
【0027】
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、所与の値の20%以内を指す。いくつかの実施形態では、「約」という用語は、所与の値の20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、または1%以内を指す。
【0028】
本明細書で使用される場合、用語「化合物A」は、(3’R,4’S,5’R)-6’’-クロロ-4’-(3-クロロ-2-フルオロフェニル)-N-((1R,4R)-4-(4-(1-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-5-イル)ピペリジン-1-カルボニル)シクロヘキシル)-2’’-オキソジスピロ[シクロヘキサン-1,2’-ピロリジン-3’,3’’-インドリン]-5’-カルボキサミドを指し、以下の式を有する:
【化1】
いくつかの実施形態では、化合物Aまたは薬学的に受容可能なその塩は、非晶質形態である。いくつかの実施形態では、化合物Aまたは薬学的に受容可能なその塩は、結晶形態である。
【0029】
本明細書で使用される場合、用語「化合物B」は、(3’R,4’S,5’R)-6’’-クロロ-4’-(2-クロロ-3-フルオロピリジン-4-イル)-N-((6S)-6-((5-(1-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-5-イル)ペンチル)カルバモイル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)-4,4-ジメチル-2’’-オキソジスピロ[シクロヘキサン-1,2’-ピロリジン-3’,3’’-インドリン]-5’-カルボキサミドを指し、以下の式を有する:
【化2】
いくつかの実施形態では、化合物Bまたは薬学的に受容可能なその塩は、非晶質形態である。いくつかの実施形態では、化合物Bまたは薬学的に受容可能なその塩は、結晶形態である。
【0030】
本明細書で使用される場合、用語「化合物C」は、(3’R,4’S,5’R)-6’’-クロロ-4’-(3-クロロ-2-フルオロフェニル)-N-((1r,4R)-4-((2-(2-(1-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-5-イル)エチル)-2,7-ジアザスピロ[3.5]ノナン-7-イル)メチル)シクロヘキシル)-1’-メチル-2’’-オキソジスピロ[シクロヘキサン-1,2’-ピロリジン-3’,3’’-インドリン]-5’-カルボキサミドを指し、以下の式を有する:
【化3】
いくつかの実施形態では、化合物Cまたは薬学的に受容可能なその塩は、非晶質形態である。いくつかの実施形態では、化合物Cまたは薬学的に受容可能なその塩は、結晶形態である。
【0031】
本明細書で使用される場合、用語「化合物D」は、(3’R,4’S,5’R)-6’’-クロロ-4’-(3-クロロ-2-フルオロフェニル)-N-(4-(4-(1-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-5-イル)ピペリジン-1-カルボニル)フェニル)-2’’-オキソジスピロ[シクロヘキサン-1,2’-ピロリジン-3’,3’’-インドリン]-5’-カルボキサミドを指し、以下の式を有する:
【化4】
いくつかの実施形態では、化合物Dまたは薬学的に受容可能なその塩は、非晶質形態である。いくつかの実施形態では、化合物Dまたは薬学的に受容可能なその塩は、結晶形態である。
【0032】
本明細書で使用される場合、用語「化合物E」は、(3’R,4’S,5’R)-6’’-クロロ-4’-(3-クロロ-2-フルオロフェニル)-N-((1r,4R)-4-(4-((2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-1-オキソイソインドリン-4-イル)エチニル)ピペリジン-1-カルボニル)シクロヘキシル)-2’’-オキソジスピロ[シクロヘキサン-1,2’-ピロリジン-3’,3’’-インドリン]-5’-カルボキサミドを指し、以下の式を有する:
【化5】
いくつかの実施形態では、化合物Eまたは薬学的に受容可能なその塩は、非晶質形態である。いくつかの実施形態では、化合物Eまたは薬学的に受容可能なその塩は、結晶形態である。
【0033】
本明細書で使用される場合、「阻害剤」という用語は、MDM2タンパク質に測定可能な親和性で結合および/または阻害する化合物として定義される。特定の実施形態では、阻害剤は、約50μM未満、約1μM未満、約500nM未満、約100nM未満、約10nM未満、または約1nM未満のIC50および/または結合定数を有する。
【0034】
本明細書で使用される場合、「MDM2分解剤」という用語は、MDM2タンパク質を分解する薬剤を指す。様々なMDM2分解剤が以前に、例えばWO2021/188948に記載されており、その内容はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。特定の実施形態では、MDM2分解剤は、約50μM未満、約1μM未満、約500nM未満、約100nM未満、約10nM未満、または約1nM未満のDC50を有する。特定の実施形態では、MDM2分解剤は、本明細書中に開示される化合物A、B、C、DまたはEである。
【0035】
本明細書で使用される「患者」という用語は、動物、好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒトを意味する。
【0036】
本明細書で使用される場合、「mg/kg」または「mpk」という用語は、薬を摂取している被験体の体重キログラム当たりの薬(例えば、化合物A)のミリグラムを指す。
【0037】
本明細書中で使用される場合、用語「薬学的に受容可能な塩」とは、妥当な医学的判断の範囲内で、過度な毒性、刺激、およびアレルギー応答などなしで、ヒトおよび下等動物の組織と接触させて使用するために適切であり、そして合理的な利益/危険比に釣り合う、塩をいう。薬学的に受容可能な塩は、当該分野において周知である。例えば、S.M.Bergeらは、薬学的に受容可能な塩を、J.Pharmaceutical Sciences,1977,66,1-19において詳細に記載しており、これは、本明細書中に参考として援用される。本発明の化合物の薬学的に受容可能な塩としては、適切な無機酸、無機塩基、有機酸、および有機塩基から誘導される塩が挙げられる。薬学的に受容可能な非毒性の酸付加塩の例は、無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸および過塩素酸)または有機酸(例えば、酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸もしくはマロン酸)と形成されたか、あるいはイオン交換などの当該分野において使用される他の方法を使用することによって形成された、アミノ基の塩である。他の薬学的に受容可能な塩としては、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、ショウノウ酸塩、ショウノウスルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、および吉草酸塩などが挙げられる。
【0038】
適切な塩基から誘導される塩は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムおよびN+(C1-4アルキル)4塩を含む。代表的なアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩は、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどを含む。さらなる薬学的に受容可能な塩は、適切な場合、ハロゲン化物、水酸化物、カルボン酸、硫酸、リン酸、硝酸、低級アルキルスルホン酸およびアリールスルホン酸などの対イオンを使用して形成される非毒性アンモニウム、第4級アンモニウムおよびアミンカチオンを含む。
【0039】
他に記載されない限り、本明細書中に図示される構造はまた、その構造の全ての異性体(例えば、エナンチオマー、ジアステレオマー、および幾何(または配座))形態、例えば、各不斉中心についてのR配置およびS配置、ZおよびEの二重結合異性体、ならびにZおよびEの配座異性体を包含することを意味する。従って、本発明の化合物の単一の立体化学異性体、ならびにエナンチオマー、ジアステレオマー、および幾何(または配座)混合物は、本発明の範囲内である。他に記載されない限り、本発明の化合物の全ての互変異性形態は、本発明の範囲内である。さらに、他に記載されない限り、本明細書中に図示される構造はまた、1またはそれより多くの同位体が富化された原子の存在のみが異なる化合物を包含することを意味する。例えば、水素がジュウテリウムもしくはトリチウムにより置き換えられた本発明の構造、または炭素が13Cまたは14Cを富化された炭素で置き換えられた本発明を有する化合物は、本発明の範囲内である。このような化合物は、例えば、本発明に従う分析ツールとして、生物学的アッセイにおけるプローブとして、または治療剤として、有用である。
【0040】
「薬学的に受容可能な添加物または担体」という用語は、それが製剤化される化合物の薬理活性を破壊しない非毒性の添加物または担体を指す。本発明の組成物に使用され得る薬学的に受容可能な添加物または担体は、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清タンパク質、例えばヒト血清アルブミン、緩衝物質、例えばリン酸塩、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物脂肪酸、水、塩または電解質の部分グリセリド混合物、例えば硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロース系物質、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン-ポリオキシプロピレン-ブロックポリマー、ポリエチレングリコールおよび羊毛脂を含むが、これらに限定されない。
【0041】
本明細書で使用される「治療有効量」という用語は、記載された疾患、障害、もしくは状態を処置するのに十分であるか、または被験体の疾患、障害、もしくは状態、または疾患、障害、もしくは状態の根底にある1またはそれを超える機構に対して所望の記載された効果を有するのに十分なMDM2分解剤の量を指す。一定の実施形態では、化合物Aが固形がんまたは血液悪性疾患の処置のために投与される場合、治療有効量は、被験体への投与時に、被験体の固形がんまたは血液悪性疾患を処置または改善するか、または部分的から完全な腫瘍退縮をもたらす被験体における検出可能な治療効果を示す化合物Aの量を指す。
【0042】
本明細書中で使用される場合、用語「処置(treatment)」、「処置する(treat)」および「処置すること(treating)」は、本明細書中に記載されるように、疾患もしくは障害またはその1またはそれを超える症状を逆転させること、軽減すること、その発症を遅延させること、またはその進行を阻害することを示す。いくつかの実施形態では、処置は、1またはそれを超える症状が発症した後に投与され得る。他の実施形態では、処置は、症状の非存在下で投与され得る。例えば、処置は、症状の発症前に、感受性個体に投与され得る(例えば、症状の病歴を考慮しておよび/または遺伝因子もしくは他の感受性因子を考慮して)。処置はまた、症状が消散した後、例えば再発を防止または遅延させるために継続され得る。
【0043】
3.例示的な実施形態の説明:
一態様によれば、本発明は、固形がんまたは血液悪性疾患の処置を必要とする患者の固形がんまたは血液悪性疾患を処置する方法であって、治療有効量のMDM2分解剤(例えば、化合物A、B、C、DまたはE)または薬学的に受容可能なその塩を投与することを含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、本方法は、最大50mgのMDM2分解剤(例えば、化合物A、B、C、DまたはE)または薬学的に受容可能なその塩を単回用量または分割用量で投与することを含む。
【0044】
薬学的に受容可能な組成物
1つの実施形態によれば、本発明は、本発明のMDM2分解剤(例えば、化合物A、B、C、DまたはE)または薬学的に受容可能なその誘導体と、薬学的に受容可能な添加物または担体とを含む組成物を提供する。本発明の組成物中のMDM2分解剤の量は、患者においてMDM2タンパク質またはその変異体を測定可能に分解および/または阻害するのに有効であるような量である。特定の実施形態では、本発明の組成物は、そのような組成物を必要とする患者への投与のために製剤化される。いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、患者への経口投与のために製剤化される。いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、患者への静脈内投与のために製剤化される。
【0045】
最も好ましくは、この発明の薬学的に受容可能な組成物は、経口投与のために製剤化される。このような製剤は、食物と共にまたは食物を伴わずに投与されてもよい。一部の実施形態では、この発明の薬学的に受容可能な組成物は、食物を伴わずに投与される。他の実施形態では、この発明の薬学的に受容可能な組成物は、食物と共に投与される。
【0046】
単一剤形に組成物を生成するためにキャリア材料と組み合わされてもよい本発明の化合物の量は、処置される宿主、特定の投与方式に応じて変わることになる。好ましくは、提供される組成物は、1日に体重1kg当たり0.01~100mgの間の投薬量の化合物が、これらの組成物を受容する患者に投与することができるように製剤化されるべきである。
【0047】
また、任意の特定の患者のための特定の投薬量および処置レジメンは、使用される特定の化合物の活性、年齢、体重、全身の健康状態、性別、食事、投与時間、排泄速度、薬物の組み合わせ、ならびに処置する医師の判断および処置される特定の疾患の重症度を含む様々な要因に依存することも理解されるべきである。組成物中の本発明の化合物の量はまた、組成物中の特定のMDM2分解剤に依存する。
【0048】
組成物
本明細書に開示される剤形は、MDM2分解剤(例えば、化合物A、B、C、DまたはE)の薬学的に受容可能な塩を含む。いくつかの実施形態では、剤形は、経腸または非経口投与用に製剤化することができる。MDM2分解剤は、本明細書に記載の単位剤形を形成するために安全かつ有効であると考えられる1またはそれを超える薬学的に受容可能な担体と組み合わせることができ、望ましくない生物学的副作用も望ましくない相互作用も引き起こすことなく個体に投与され得る。
【0049】
これらの剤形は、溶液、懸濁物、エマルション、錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、徐放性製剤などの形態をとることができる。
【0050】
好ましい一実施形態では、剤形は、MDM2分解剤(例えば、化合物A、B、C、DまたはE)を含む溶液の形態である。剤形は、患者の状態(例えば、固形がんまたは血液悪性疾患)を改善するのに有効な期間、それを必要とする被験体に投与される。
【0051】
添加物および担体
医薬担体は、滅菌液体、例えば水および油、例えば石油、動物、植物または合成起源のもの、例えば落花生油、大豆油、鉱油、ゴマ油などであり得る。食塩溶液ならびにデキストロースおよびグリセロール水溶液も、特に注射用溶液用の液体担体として使用することができる。
【0052】
適切な薬学的添加物は、デンプン、グルコース、スクロース、ゼラチン、ラクトース、麦芽、米、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、タルク、塩化ナトリウム、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノールなどを含む。薬学的組成物はまた、湿潤剤もしくは乳化剤もしくは懸濁化剤/希釈剤、またはpH緩衝化剤、または開示された塩の放出速度を改変もしくは維持するための薬剤を含有してもよく、これらは全て本明細書にさらに開示されている。
【0053】
投与および投薬量
本明細書中に記載されるように、本明細書中に提供されるMDM2分解剤は、非経口経路および経腸経路によって投与される。いくつかの実施形態では、MDM2分解剤(例えば、化合物A、B、C、DまたはE)または薬学的に受容可能なその塩は、静脈内投与される。いくつかの実施形態では、MDM2分解剤(例えば、化合物A、B、C、DまたはE)または薬学的に受容可能なその塩は、IV注射によって投与される。いくつかの実施形態では、MDM2分解剤(例えば、化合物A、B、C、DまたはE)または薬学的に受容可能なその塩は、IV注入によって投与される。
【0054】
本明細書に記載されるように、MDM2分解剤(例えば、化合物A、B、C、DまたはE)または薬学的に受容可能なその塩は、経腸投与される。いくつかの実施形態では、MDM2分解剤(例えば、化合物A、B、C、DまたはE)または薬学的に受容可能なその塩は、非晶質形態(例えば、丸剤またはカプセル剤に押し込まれる)で投与される。いくつかの実施形態では、MDM2分解剤(例えば、化合物A、B、C、DまたはE)または薬学的に受容可能なその塩は、凍結乾燥粉末として投与される。
【0055】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、MDM2分解剤を含む薬学的組成物を患者に経口投与することを含む。いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、固体薬学的組成物である。いくつかの実施形態では、固体薬学的組成物は、粉末である。いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、凍結乾燥粉末である。いくつかの実施形態では、固体薬学的組成物は、顆粒である。いくつかの実施形態では、本発明の固体薬学的組成物は、錠剤である。いくつかの実施形態では、固体薬学的組成物は、カプセル剤である。いくつかの実施形態では、固体薬学的組成物は、丸剤である。いくつかの実施形態では、固体薬学的組成物は、懸濁物である。いくつかの実施形態では、固体薬学的組成物は、エマルションである。いくつかの実施形態では、固体薬学的組成物は、溶液である。
【0056】
いくつかの実施形態では、本明細書中に記載される方法および使用、例えば、固形がんまたは血液悪性疾患の処置を必要とする患者における固形がんまたは血液悪性疾患の処置における方法または使用などは、治療有効量のMDM2分解剤(例えば、化合物A、B、C、DまたはE)、例えば、最大100mgのMDM2分解剤を単回投薬単位または複数回投薬単位で投与すること(例えば、経口または静脈内)によって達成される。いくつかの実施形態では、方法は、約1mg、2mg、3mg、4mg、5mg、6mg、7mg、8mg、9mg、10mg、11mg、12mg、13mg、14mg、15mg、16mg、17mg、18mg、19mg、20mg、21mg、22mg、23mg、24mg、25mg、26mg、27mg、28mg、29mg、30mg、31mg、32mg、33mg、34mg、35mg、36mg、37mg、38mg、39mg、40mg、41mg、42mg、43mg、44mg、45mg、46mg、47mg、48mg、49mg、50mg、60mg、70mg、80mg、90mg、または約100mgなど、約1~約100mg/剤形の範囲の単回投薬単位または複数回投薬単位で投与すること(例えば、経口または静脈内)を含むことができる。例えば、腸溶性錠剤または液体製剤は、5mg、10mg、15mg、20mg、25mg、30mg、35mg、40mg、45mgまたは50mg/剤形のMDM2分解剤(例えば、化合物A、B、C、DまたはE)または薬学的に受容可能なその塩を含むことができる。
【0057】
いくつかの実施形態では、MDM2分解剤(例えば、化合物A、B、C、DまたはE)または薬学的に受容可能なその塩は、患者に最大5mgの用量で静脈内投与される。いくつかの実施形態では、MDM2分解剤(例えば、化合物A、B、C、DまたはE)または薬学的に受容可能なその塩は、患者に最大10mgの用量で静脈内投与される。いくつかの実施形態では、MDM2分解剤(例えば、化合物A、B、C、DまたはE)または薬学的に受容可能なその塩は、患者に最大15mgの用量で静脈内投与される。いくつかの実施形態では、MDM2分解剤(例えば、化合物A、B、C、DまたはE)または薬学的に受容可能なその塩は、患者に最大20mgの用量で静脈内投与される。いくつかの実施形態では、MDM2分解剤(例えば、化合物A、B、C、DまたはE)または薬学的に受容可能なその塩は、患者に最大25mgの用量で静脈内投与される。いくつかの実施形態では、MDM2分解剤(例えば、化合物A、B、C、DまたはE)または薬学的に受容可能なその塩は、患者に最大30mgの用量で静脈内投与される。いくつかの実施形態では、MDM2分解剤(例えば、化合物A、B、C、DまたはE)または薬学的に受容可能なその塩は、患者に最大35mgの用量で静脈内投与される。いくつかの実施形態では、MDM2分解剤(例えば、化合物A、B、C、DまたはE)または薬学的に受容可能なその塩は、患者に最大40mgの用量で静脈内投与される。いくつかの実施形態では、MDM2分解剤(例えば、化合物A、B、C、DまたはE)または薬学的に受容可能なその塩は、患者に最大45mgの用量で静脈内投与される。いくつかの実施形態では、MDM2分解剤(例えば、化合物A、B、C、DまたはE)または薬学的に受容可能なその塩は、患者に最大50mgの用量で静脈内投与される。いくつかの実施形態では、MDM2分解剤(例えば、化合物A、B、C、DまたはE)または薬学的に受容可能なその塩は、約10mg~約40mgの用量で患者に静脈内投与される。いくつかの実施形態では、MDM2分解剤(例えば、化合物A、B、C、DまたはE)または薬学的に受容可能なその塩は、約20mg~約50mg、例えば、約30mg、35mg、または40mgの用量で患者に静脈内投与される。いくつかの実施形態では、MDM2分解剤(例えば、化合物A、B、C、DまたはE)または薬学的に受容可能なその塩は、患者に約35mgの用量で静脈内投与される。
【0058】
いくつかの実施形態では、5mg~約50mgのMDM2分解剤(例えば、化合物A、B、C、DまたはE)または薬学的に受容可能なその塩、および1またはそれを超える薬学的に受容可能な添加物または担体を含む薬学的組成物が提供される。いくつかの実施形態では、25mg~約45mgのMDM2分解剤(例えば、化合物A、B、C、DまたはE)または薬学的に受容可能なその塩、および1またはそれを超える薬学的に受容可能な添加物または担体を含む薬学的組成物が提供される。
【0059】
いくつかの実施形態では、MDM2分解剤(例えば、化合物A、B、C、DまたはE)または薬学的に受容可能なその塩、またはその薬学的組成物は、静脈内投与のために最大約10mg/kgの用量でマウスに投与される。したがって、いくつかの実施形態では、MDM2分解剤(例えば、化合物A、B、C、DまたはE)または薬学的に受容可能なその塩、またはその薬学的組成物は、最大約30mg/m2の用量で患者に静脈内投与される。いくつかの実施形態では、MDM2分解剤(例えば、化合物A、B、C、DまたはE)または薬学的に受容可能なその塩、またはその薬学的組成物は、最大約25mg/m2、または最大約20mg/m2、または最大約15mg/m2の用量で患者に静脈内投与される。いくつかの実施形態では、MDM2分解剤(例えば、化合物A、B、C、DまたはE)または薬学的に受容可能なその塩、またはその薬学的組成物は、約1mg/m2~約5mg/m2、または約3mg/m2~約8mg/m2、または約5mg/m2~約10mg/m2、または約7mg/m2~約12mg/m2、または約10mg/m2~約15mg/m2、または約12mg/m2~約7mg/m2、または約15mg/m2~約20mg/m2、または約17mg/m2~約22mg/m2、または約20mg/m2~約25mg/m2、または約22mg/m2~約27mg/m2の用量で患者に静脈内投与される。いくつかの実施形態では、MDM2分解剤(例えば、化合物A、B、C、DまたはE)または薬学的に受容可能なその塩、またはその薬学的組成物は、約30mg/m2、約27mg/m2、約20mg/m2、約17mg/m2、約15mg/m2、約12mg/m2、約10mg/m2、約7mg/m2、約5mg/m2、約3mg/m2、または約1mg/m2の用量で患者に静脈内投与される。
【0060】
いくつかの実施形態では、MDM2分解剤(例えば、化合物A、B、C、DまたはE)または薬学的に受容可能なその塩、またはその薬学的組成物は、静脈内投与のために最大約10mg/kgの用量でマウスに投与される。したがって、いくつかの実施形態では、MDM2分解剤(例えば、化合物A、B、C、DまたはE)または薬学的に受容可能なその塩、またはその薬学的組成物は、最大約0.8mg/kgの用量で患者に経口投与される。いくつかの実施形態では、MDM2分解剤(例えば、化合物A、B、C、DまたはE)または薬学的に受容可能なその塩、またはその薬学的組成物は、最大約0.6mg/kg、または最大約0.3mg/kg、または最大約0.1mg/kgの用量で患者に経口投与される。いくつかの実施形態では、MDM2分解剤(例えば、化合物A、B、C、DまたはE)または薬学的に受容可能なその塩、またはその薬学的組成物は、約0.01mg/kg~約0.05mg/kg、または約0.03mg/kg~約0.08mg/kg、または約0.05mg/kg~約0.1mg/kg、または約0.07mg/kg~約0.12mg/kg、または約0.1mg/kg~約0.15mg/kg、または約0.12mg/kg~約0.17mg/kgの用量で患者に経口投与される。いくつかの実施形態では、MDM2分解剤(例えば、化合物A、B、C、DまたはE)または薬学的に受容可能なその塩、またはその薬学的組成物は、約1mg/kg、約0.8mg/kg、約0.5mg/kg、約0.3mg/kg、約0.1mg/kg、約0.08mg/kg、または約0.06mg/kgの用量で患者に経口投与される。
【0061】
投与スケジュール
本明細書中に記載される前臨床データを考慮して提供されるように、MDM2分解剤(例えば、化合物A、B、C、DまたはE)または薬学的に受容可能なその塩、またはその薬学的組成物は、最小限の副作用で所望の腫瘍退縮効果を与えるために適切な投与スケジュールで患者に投与される。いくつかの実施形態では、MDM2分解剤(例えば、化合物A、B、C、DまたはE)またはその薬学的組成物は、1、2、3、4、5、6、7、14、または21日に1回患者に投与される。いくつかの実施形態では、MDM2分解剤(例えば、化合物A、B、C、DまたはE)またはその薬学的組成物は、患者に毎日(QD)投与される。いくつかの実施形態では、MDM2分解剤(例えば、化合物A、B、C、DまたはE)またはその薬学的組成物は、患者に週2回(BW)投与される。いくつかの実施形態では、MDM2分解剤(例えば、化合物A、B、C、DまたはE)またはその薬学的組成物は、患者に毎週(QW)投与される。いくつかの実施形態では、MDM2分解剤(例えば、化合物A、B、C、DまたはE)またはその薬学的組成物は、患者に2週間ごとに(Q2W)投与される。いくつかの実施形態では、MDM2分解剤(例えば、化合物A、B、C、DまたはE)またはその薬学的組成物は、患者に3週間ごとに(Q3W)投与される。
【0062】
いくつかの実施形態では、本発明の薬学的組成物のIV注入は、約5~30分間続く。いくつかの実施形態では、本発明の薬学的組成物のIV注入は、約30~90分間続く。いくつかの実施形態では、本発明の薬学的組成物のIV注入は、約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、または90分間続く。いくつかの実施形態では、本発明の薬学的組成物のIV注入は、約2、2.5、3、3.5、または4時間続く。
【0063】
いくつかの実施形態では、本発明の薬学的組成物は、約0.1mg/m2~約30mg/m2の用量で毎週静脈内投与される。いくつかの実施形態では、本発明の薬学的組成物は、約1mg/m2~約10mg/m2の用量で毎週投与される。
【0064】
薬学的組成物の製剤化
本発明のMDM2分解剤の投与は、他の成分と組み合わせて患者の状態(例えば、固形がんまたは血液悪性疾患)を改善することができる薬物の濃度をもたらす任意の適切な手段によるものであり得る。
【0065】
組み合わせの活性成分を純粋な化学物質として投与することが可能であるが、これらを薬学的組成物として提供することが好ましく、この文脈において薬学的製剤とも呼ばれる。可能な組成物は、経口、直腸、局所(経皮、頬側および舌下を含む)、または非経口(皮下、筋肉内、静脈内および皮内を含む)投与に適したものを含む。
【0066】
より一般的には、これらの薬学的製剤は、単一のパッケージ、通常はブリスターパックで、別個の処置期間中に使用するための投与単位数または計量された単位用量を投与するための他の手段を含む「患者パック」で患者に処方される。患者パックは、従来の処方箋には通常欠けている患者パックに収容された添付文書に患者が常にアクセスできるという点で、薬剤師が患者の医薬品の供給をバルク供給から分割する従来の処方箋よりも有利である。添付文書を含めることは、医師の指示に対する患者のコンプライアンスを改善することが示されている。したがって、本発明はさらに、薬学的製剤を、本明細書で前述したように、当該製剤に適した包装材料と組み合わせて含む。そのような患者パックでは、併用処置のための製剤の意図された使用は、指示、施設、提供、適応および/または処置のために最も適切に製剤を使用するのを助ける他の手段によって推測することができる。そのような手段は、患者パックを本発明の組み合わせによる処置に使用するのに特に適し、適合させる。
【0067】
薬物は、任意の適切な担体物質中に任意の適切な量で含有され得、組成物の総重量の1~99重量%の量で存在し得る。組成物は、経口、非経口(例えば、静脈内、筋肉内)、直腸、皮膚、鼻、膣、吸入剤、皮膚(パッチ)または眼投与経路に適した剤形で提供され得る。したがって、組成物は、例えば、錠剤、カプセル剤、丸剤、散剤、顆粒剤、懸濁物、エマルション、溶液、ヒドロゲルを含むゲル、ペースト、軟膏、クリーム、硬膏、水薬、浸透圧送達デバイス、坐剤、浣腸剤、注射剤、インプラント、スプレーまたはエアロゾルの形態であり得る。
【0068】
薬学的組成物は、従来の薬学的実施に従って製剤化され得る(例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy(20th ed.),ed.A.R.Gennaro,Lippincott Williams&Wilkins,2000およびEncyclopedia of Pharmaceutical Technology,eds.J.Swarbrick and J.C.Boylan,1988-1999,Marcel Dekker,New Yorkを参照されたい)。
【0069】
本発明による薬学的組成物は、実質的に投与直後に、または投与後の任意の所定の時間もしくは期間に活性薬物を放出するように製剤化され得る。
【0070】
制御放出製剤は、(i)長期間にわたって体内に実質的に一定の濃度の薬物を生成する製剤;(ii)所定の遅延時間の後、長期間にわたって体内に実質的に一定の濃度の薬物を生成する製剤;(iii)活性薬物物質の血漿レベルの変動に関連する望ましくない副作用を同時に最小化しながら、体内の比較的一定の有効な薬物レベルを維持することによって、所定の期間にわたって薬物作用を維持する製剤;(iv)例えば、罹患した組織または器官に隣接するかまたはその中に制御放出組成物を空間的に配置することによって薬物作用を局在化させる製剤;および(v)特定の標的細胞型に薬物を送達するために担体または化学誘導体を使用することによって薬物作用を標的化する製剤を含む。
【0071】
制御放出製剤の形態での薬物の投与は、組み合わせた薬物が、(i)狭い治療指数(すなわち、有害な副作用または毒性反応をもたらす血漿濃度と治療効果をもたらす血漿濃度との差は小さく;一般に、治療指数TIは、メジアン致死量(LD50)対メジアン有効量(ED50)の比として定義される);(ii)胃腸管内の狭い吸収ウインドウ;または(iii)血漿レベルを治療レベルで維持するために1日中の頻繁な投与が必要とされるような非常に短い生物学的半減期を有する場合に特に好ましい。
【0072】
放出速度が問題の薬物の代謝速度を上回る制御放出を得るために、いくつかの戦略のいずれかを追求することができる。制御放出は、例えば、様々なタイプの制御放出組成物およびコーティングを含む様々な製剤パラメータおよび成分の適切な選択によって得ることができる。したがって、薬物は、適切な添加物と共に、投与時に制御された様式で薬物を放出する薬学的組成物に製剤化される(単一または複数単位の錠剤またはカプセル組成物、油溶液、懸濁物、エマルション、マイクロカプセル、ミクロスフェア、ナノ粒子、パッチ、およびリポソーム)。
【0073】
非経口組成物
薬学的組成物はまた、従来の非毒性の薬学的に受容可能な担体および佐剤を含有する剤形、製剤での注射、注入または埋め込み(静脈内、筋肉内、皮下など)によって、または適切な送達デバイスまたはインプラントを介して非経口的に投与され得る。そのような組成物の製剤化および調製は、薬学的製剤の当業者に周知である。
【0074】
非経口使用のための組成物は、単位剤形で(例えば、単回用量アンプルにおいて)、またはいくつかの用量を含有し、適切な保存剤が添加され得るバイアルで提供され得る(下記参照)。典型的には、そのような組成物は、注射可能な製剤、例えば、溶液または懸濁物;注射前に再構成媒体を添加して溶液または懸濁物を調製するために使用するのに適した固体形態;油中水型(w/o)エマルション、水中油型(o/w)エマルション、およびそれらのマイクロエマルションなどのエマルション、リポソーム、またはエマルソームとして調製することができる。
【0075】
組成物の成分は、例えば、活性な薬剤の量を示すアンプルまたはサシェなどの密閉容器内の乾燥凍結乾燥粉末(食塩水などの担体で使用する前に再構成することができる)または濃縮溶液として、単位剤形で別々にまたは一緒に混合することができる。組成物が注入によって投与される場合、組成物は、無菌の薬学的グレードの水または食塩水を含む注入ボトルで分注することができる。組成物が注射によって投与される場合、成分が注射前に混合され得るように、滅菌水または食塩水のアンプルを提供することができる。
【0076】
担体は、例えば、水、エタノール、1またはそれを超えるポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコール)、植物油などの油(例えば、落花生油、コーン油、ゴマ油など)、およびそれらの組み合わせを含有する溶媒または分散媒であり得る。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングの使用、分散物の場合には必要な粒径の維持、および/または界面活性剤の使用によって維持することができる。多くの場合、等張剤、例えば糖または塩化ナトリウムを含むことが好ましい。
【0077】
遊離酸もしくは遊離塩基またはその薬理学的に受容可能な塩としての活性化合物の溶液および分散物は、緩衝液、界面活性剤、分散剤、乳化剤、粘度調整剤、およびそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない1またはそれを超える薬学的に受容可能な添加物と適切に混合された水または別の溶媒もしくは分散媒中で調製することができる。
【0078】
適切な界面活性剤は、アニオン性、カチオン性、両性または非イオン性の表面活性剤であり得る。適切なアニオン性界面活性剤としては、限定されないが、カルボン酸イオン、スルホン酸イオンおよび硫酸イオンを含有するものが挙げられる。アニオン性界面活性剤の例は、長鎖アルキルスルホネートのナトリウム、カリウム、アンモニウムならびにドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルアリールスルホネート;ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、例えばドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム;ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、例えばビス-(2-エチルチオキシル)-スルホコハク酸ナトリウム;およびアルキルサルフェート、例えばラウリル硫酸ナトリウムを含む。カチオン性界面活性剤は、第4級アンモニウム化合物、例えば、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、臭化セトリモニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、ポリオキシエチレンおよびココナッツアミンを含むが、これらに限定されない。非イオン性界面活性剤の例は、エチレングリコールモノステアレート、プロピレングリコールミリステート、グリセリルモノステアレート、グリセリルステアレート、ポリグリセリル-4-オレエート、ソルビタンアシレート、スクロースアシレート、PEG-150ラウレート、PEG-400モノラウレート、ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリソルベート、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、PEG-1000セチルエーテル、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリプロピレングリコールブチルエーテル、ポロキサマー(登録商標)401、ステアロイルモノイソプロパノールアミド、およびポリオキシエチレン水素化獣脂アミドを含む。両性界面活性剤の例は、ナトリウムN-ドデシル-ベータ、-アラニン、N-ラウリルβイミノジプロピオン酸ナトリウム、ミリストアンホアセテート、ラウリルベタインおよびラウリルスルホベタインを含む。製剤は、微生物の増殖を防ぐために保存剤を含有することができる。適切な保存剤は、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、およびチメロサールを含むが、これらに限定されない。製剤はまた、活性な薬剤の分解を防ぐために酸化防止剤を含有してもよい。
【0079】
いくつかの実施形態では、非経口組成物(例えば、静脈内投与のための)は、滅菌等張水性緩衝液を含む溶液に包装される。いくつかの実施形態では、再構成時の非経口投与のために、非経口組成物をpH3~8に緩衝する。適切な緩衝液とは、リン酸緩衝液、酢酸緩衝液およびクエン酸緩衝液を含むが、これらに限定されない。
【0080】
いくつかの実施形態では、緩衝化剤は、本発明の薬学的組成物のpHを約3~8に調整する量である。いくつかの実施形態では、緩衝化剤は、MDM2分解剤(例えば、化合物A、B、C、DまたはE)またはその薬学的に受容可能なもの1mgあたり約0.1~5mgの量で加えられる。
【0081】
いくつかの実施形態では、本発明の液体薬学的組成物は、約3~8のpHである。
【0082】
水溶性ポリマーは、非経口投与用の製剤に使用されることが多い。適切な水溶性ポリマーは、ポリビニルピロリドン、デキストラン、カルボキシメチルセルロース、およびポリエチレングリコールを含むが、これらに限定されない。
【0083】
いくつかの実施形態では、非経口組成物は可溶化剤を含んでもよい。いくつかの実施形態では、可溶化剤はシクロデキストリンである。シクロデキストリンは、デンプンの断片であるアミロースについて知られているように、1位と4位との間に連結された5またはそれを超えるα-D-グルコピラノシド単位で構成される環状オリゴ糖のファミリーのメンバーを含む。いくつかの実施形態では、シクロデキストリンは、α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、および/またはγ-シクロデキストリンである。特定の実施形態では、シクロデキストリンは、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HP-β-CD)などのβ-シクロデキストリンである。いくつかの実施形態では、本発明の静脈内組成物中のβ-シクロデキストリン(例えばHPβCD)の組み込みは、MDM2分解剤(例えば、化合物A、B、C、DまたはE)の溶解を改善して、注射用の透明で均質な溶液を提供する。いくつかの実施形態では、本発明の非経口組成物(例えば、静脈内投与のための)に添加されるシクロデキストリン(例えば、HPβCD)の量は、約1%~約50%w/wまたはw/v、例えば約2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、もしくは49%w/wまたはw/vを含み得る。特定の実施形態では、シクロデキストリン(例えば、HPβCD)の量は、約20%w/wまたはw/vである。
【0084】
いくつかの実施形態では、MDM2分解剤(例えば、化合物A、B、C、DまたはE)または薬学的に受容可能なその塩は、約0.01~約0.5mg/mL、例えば約0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.11、0.12、0.13、0.14、0.15、0.16、0.17、0.18、0.19、0.20、0.21、0.22、0.23、0.24、0.25、0.26、0.27、0.28、0.29、0.30、0.31、0.32、0.33、0.34、0.35、0.36、0.37、0.38、0.39、0.40、0.41、0.42、0.43、0.44、0.45、0.46、0.47、0.48、または0.49mg/mLの量で本発明の非経口組成物(例えば、静脈内投与のための)に添加される。特定の実施形態では、MDM2分解剤(例えば、化合物A、B、C、DまたはE)または薬学的に受容可能なその塩は、最大約0.1mg/mLで非経口組成物に添加される。
【0085】
本発明の滅菌注射用溶液は、必要量の活性化合物を、必要に応じて、上に列挙した添加物の1またはそれを超えるものと共に適切な溶媒または分散媒に組み込み、続いて濾過滅菌することによって調製することができる。一般に、分散物は、種々の滅菌された活性成分を、基本分散媒および上に列挙したものからの必要な他の成分を含有する滅菌ビヒクルに組み込むことによって調製される。滅菌注射用溶液の調製のための滅菌粉末の場合、好ましい調製方法は、真空乾燥および凍結乾燥技術であり、これにより、活性成分および任意の追加の所望の成分の粉末が、以前に滅菌濾過されたその溶液から得られる。粉末は、粒子が本質的に多孔質であり、粒子の溶解を増加させることができるように調製することができる。多孔質粒子を製造する方法は、当技術分野で周知である。
【0086】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の非経口製剤は、即時放出、遅延放出、延長放出、拍動放出、およびそれらの組み合わせを含む制御放出用に製剤化することができる。
【0087】
いくつかの実施形態では、本発明は、本発明の固体薬学的組成物を水に溶解することによって調製された液体薬学的組成物を提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、本発明の固体薬学的組成物を注射可能な媒体(例えば、食塩水または5%デキストロース)に溶解することによって調製される液体薬学的組成物を提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、本発明の固体薬学的組成物を水中で再構成し、続いて食塩水または5%デキストロースで希釈することによって調製された液体薬学的組成物を提供する。いくつかの実施形態では、液体薬学的組成物を、IV投与用の食塩水または5%デキストロースIVバッグに希釈する。いくつかの実施形態では、食塩水または5%デキストロースIVバッグ中の液体薬学的組成物を、IV投与前に室温(約20~25℃)で最大約4時間保存する。いくつかの実施形態では、食塩水または5%デキストロースIVバッグ中の液体薬学的組成物を、IV投与前に冷蔵(約2~8℃)条件下で最大約20時間保存する。いくつかの実施形態では、食塩水または5%デキストロースIVバッグ中の液体薬学的組成物を、冷蔵(約2~8℃)条件下で最大約20時間貯蔵し、引き続いて室温(約20~25℃)下で最大約4時間貯蔵した後、IV投与する。
【0088】
化合物および薬学的に受容可能な組成物の使用
本明細書に記載される化合物および組成物は、一般に、MDM2タンパク質活性の分解および/または阻害に有用である。
【0089】
いくつかの実施形態では、本発明は、MDM2タンパク質の標的化されたユビキチン化および分解を調節するMDM2分解剤を提供する。提供される化合物は、MDM2タンパク質の分解剤および/または阻害剤であり、したがって、MDM2タンパク質の活性に関連する1またはそれを超える障害を処置するために有用である。したがって、特定の実施形態では、本発明は、MDM2により媒介される障害を処置するための方法であって、本発明の化合物またはその薬学的に受容可能な組成物を、それを必要とする患者に投与する工程を含む方法を提供する。
【0090】
本明細書で使用される場合、本明細書で使用される「MDM2媒介性」障害、疾患、および/または状態という用語は、MDM2タンパク質またはその変異体が役割を果たすことが知られている任意の疾患または他の有害な状態を意味する。したがって、本発明の別の実施形態は、MDM2タンパク質またはその変異体が役割を果たすことが知られている1またはそれを超える疾患を処置するかまたはその重症度を低下させることに関する。
【0091】
いくつかの実施形態では、本発明は、1またはそれを超える障害、疾患および/または状態を処置する方法を提供し、障害、疾患または状態は、がん、神経変性障害、ウイルス性疾患、自己免疫疾患、炎症性障害、遺伝性障害、ホルモン関連疾患、代謝障害、臓器移植に関連する状態、免疫不全障害、破壊性骨障害、増殖性障害、感染性疾患、細胞死に関連する状態、トロンビン誘導血小板凝集、肝疾患、T細胞活性化を伴う病理学的免疫状態、心血管障害、またはCNS障害である。
【0092】
いくつかの実施形態では、がんは、副腎がん、小葉癌、聴神経腫、末端部黒子黒色腫、先端汗腺腫、急性好酸球性白血病、急性赤血球性白血病(acute erythroid leukemia)、急性リンパ芽球性白血病、急性巨核芽球性白血病、急性単球性白血病、急性前骨髄球性白血病、腺癌、腺様嚢胞癌、腺腫、腺様歯原性腫瘍、腺扁平上皮癌、脂肪組織新生物、副腎皮質癌、成人T細胞白血病/リンパ腫、侵襲性NK細胞白血病、AIDS関連リンパ腫、肺胞横紋筋肉腫、肺胞軟部肉腫、エナメル上皮線維腫無毛芽球性線維腫、未分化大細胞リンパ腫、未分化甲状腺がん、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫、血管筋脂肪腫、血管肉腫、星細胞腫、ラブドイド腫瘍(例えば、非定型奇形様ラブドイド腫瘍)、B細胞慢性リンパ球性白血病、B細胞性前リンパ球性白血病、B細胞リンパ腫、基底細胞癌、胆管がん、胆道がん、膀胱がん、芽腫、骨がん、骨髄線維症、ブレナー腫瘍、ブラウン腫瘍、バーキットリンパ腫、乳がん、脳がん、癌腫、上皮内癌、がん肉腫、軟骨腫瘍、セメント質腫、骨髄肉腫、軟骨腫、脊索腫、絨毛癌、脈絡叢乳頭腫、腎明細胞肉腫、頭蓋咽頭腫、皮膚T細胞リンパ腫、子宮頸がん、結腸直腸がん、ドゴー病、線維形成性小円形細胞腫瘍、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、胚芽異形成神経上皮腫瘍(dysembryoplastic neuroepithelial tumor)、未分化胚細胞腫、胎生期癌、内分泌腺新生物、内胚葉洞腫瘍、腸症関連T細胞リンパ腫、食道がん、胎児内胎児、線維腫、線維肉腫、濾胞性リンパ腫、濾胞性甲状腺がん、神経節細胞腫、胃腸がん、胚細胞腫瘍、妊娠性絨毛癌、巨細胞線維芽細胞腫、骨の巨細胞腫瘍、グリア腫瘍、多形膠芽腫、神経膠腫、大脳神経膠腫症、グルカゴノーマ、性腺芽腫、顆粒膜細胞腫瘍、半陰陽性卵巣腫瘍、胆嚢がん、胃がん、毛様細胞性白血病、血管芽細胞腫、頭頸部がん、血管周囲細胞腫、血液悪性疾患、肝芽腫、肝脾性T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、浸潤性小葉癌、腸がん、腎臓がん、喉頭がん、悪性黒子、致死性正中癌(lethal midline carcinoma)、白血病、ライディッヒ細胞腫瘍、脂肪肉腫、肺がん、リンパ管腫、リンパ管肉腫、リンパ上皮腫、リンパ腫、急性リンパ球性白血病、急性骨髄性白血病、慢性リンパ球性白血病、肝臓がん、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、MALTリンパ腫、悪性線維性組織球腫、悪性末梢神経鞘腫瘍、悪性トリトン腫瘍(malignant triton tumor)、マントル細胞リンパ腫、辺縁帯B細胞リンパ腫、肥満細胞白血病、縦隔胚細胞腫瘍、乳腺髄様癌、甲状腺髄様がん、髄芽腫、黒色腫、髄膜腫、メルケル細胞がん、中皮腫、転移性尿路上皮癌、混合ミュラー腫瘍、粘液性腫瘍、多発性骨髄腫、筋組織新生物、菌状息肉腫、粘液様脂肪肉腫、粘液腫、粘液肉腫、上咽頭癌、神経鞘腫、神経芽細胞腫、神経線維腫、神経腫、結節性黒色腫、眼球がん、乏突起星細胞腫、乏突起膠腫、膨大細胞腫、視神経鞘髄膜腫、視神経腫瘍、口腔がん、骨肉腫、卵巣がん、パンコースト腫瘍、甲状腺乳頭がん、傍神経節腫、松果体芽腫、松果体細胞腫、下垂体細胞腫、下垂体腺腫、下垂体腫瘍、形質細胞腫多発胚腫(plasmacytoma polyembryoma)、前駆Tリンパ芽球性リンパ腫、原発性中枢神経系リンパ腫、原発性滲出性リンパ腫、原発性腹膜がん、前立腺がん、膵臓がん、咽頭がん、腹膜偽性粘液腫、腎細胞癌、腎髄様癌、網膜芽細胞腫、横紋筋腫、横紋筋肉腫、リヒター形質転換、直腸がん、肉腫、ユーイング肉腫、神経鞘腫症、セミノーマ、セルトリ細胞腫瘍、性索-性腺間質腫瘍、印環細胞癌、皮膚がん、メルケル細胞癌、小型青色円形細胞腫瘍(small blue round cell tumor)、小細胞癌、軟部肉腫、ソマトスタチノーマ、ばい煙性いぼ、脊髄腫瘍、脾臓辺縁層リンパ腫、扁平上皮癌、滑膜肉腫、セザリー病、小腸がん、扁平上皮癌、胃がん、T細胞リンパ腫、精巣がん、莢膜腫甲状腺がん(thecoma thyroid cancer)、移行細胞癌、咽頭がん、尿膜管がん、泌尿生殖器がん、尿路上皮癌、ブドウ膜黒色腫、子宮体がん、疣状癌、視覚路GH産生下垂体腺腫(visual pathway ghoma)、外陰がん、膣がん、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、ワルチン腫瘍、ウィルムス腫瘍から選択される。
【0093】
MDM2活性亢進は、ARF遺伝子座の増幅/過剰発現または変異性不活性化に起因して、野生型p53の機能を阻害し、多種多様ながんの発症をもたらし得る。いくつかの実施形態では、本発明の方法に従って処置することができるMDM2活性亢進はヒトがんである。いくつかの実施形態では、本発明の方法に従って処置することができるヒトがんは、固形がんまたは血液悪性疾患から選択される。いくつかの実施形態では、野生型p53がんは、中皮腫、黒色腫、DLBCL、前立腺がん、胆管癌、子宮頸がん、AML、腎細胞がん、ブドウ膜黒色腫、甲状腺がん、脂肪肉腫、HCC、または乳がんである。
【0094】
いくつかの実施形態では、固形がんは、嚢胞も液体領域も含有しなくてもよい異常な組織塊を有する固形腫瘍を含む。固形腫瘍は良性または悪性であり得る。いくつかの実施形態では、固形腫瘍の例は、肉腫、癌腫およびリンパ腫を含む。いくつかの実施形態では、固形がんは、脳、腎臓、肝臓、副腎、膀胱、乳房、胃、胃腫瘍、卵巣、結腸、直腸、前立腺、膵臓、肺、膣、子宮頸部、精巣、尿生殖路、食道、喉頭、皮膚、骨または甲状腺の癌腫、肉腫、神経膠芽細胞腫、神経芽細胞腫、結腸癌または結腸直腸腺腫などの胃腸がん、頸部および頭部の腫瘍、表皮過剰増殖、前立腺過形成、新生物、上皮性の新生物、腺腫、腺癌、ケラトアカントーマ、類表皮癌、大細胞癌、ホジキンおよび非ホジキンなどの非小細胞肺癌、乳癌、濾胞性癌、未分化癌、乳頭状癌、セミノーマ、黒色腫、IL-1に駆動される障害、MyD88に駆動される障害、またはくすぶり型の無痛性多発性骨髄腫である。いくつかの実施形態では、固形腫瘍は難治性(例えば、処置抵抗性)である。いくつかの実施形態では、血液悪性疾患は、血液、骨髄およびリンパ節に影響を及ぼすがんである。いくつかの実施形態では、血液悪性疾患は、白血病、リンパ腫、および骨髄腫、例えば急性リンパ芽球性白血病(ALL)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、大顆粒リンパ球性白血病(LGL-L)、B細胞前リンパ球性白血病、急性骨髄性白血病(AML)、バーキットリンパ腫/白血病、原発性滲出性リンパ腫、末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、進行性B細胞びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(ABC DLBCL)、血管内大細胞型B細胞リンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症(WM)、脾臓辺縁層リンパ腫、多発性骨髄腫、形質細胞腫、ブドウ膜黒色腫、または骨髄異形成症候群(MDS)を含む。いくつかの実施形態では、血液悪性疾患は難治性(例えば、処置抵抗性)である。
【0095】
いくつかの実施形態では、AMLは、(例えば、KMT2AまたはMLLの)タンパク質の変異または融合によって引き起こされる。いくつかの実施形態では、AMLは、IDH1、DNMT3A、NPM1、ASXL1、FLT3-ITD、KMT2A-MLLT3、MLL-MLLT3、またはMLL-AF9などの変異体または融合タンパク質AMLである。
【0096】
いくつかの実施形態では、本開示は、良性増殖性障害、例えば、限定されないが、良性軟部組織腫瘍、骨腫瘍、脳および脊髄の腫瘍、眼瞼および眼窩の腫瘍、肉芽腫、脂肪腫、髄膜腫、多発性内分泌新生物、鼻ポリープ、下垂体腫瘍、プロラクチノーマ、偽脳腫瘍、脂漏性角化症、胃ポリープ、甲状腺結節、膵臓の嚢胞性新生物、血管腫、声帯結節、ポリープおよび嚢胞、キャッスルマン病、慢性毛様体疾患(chronic pilonidal disease)、皮膚線維腫、皮脂嚢胞、化膿性肉芽腫、および若年性ポリポーシス症候群を処置する方法を提供する。
【0097】
いくつかの実施形態では、がんは白血病、例えば急性単球性白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ球性白血病および混合型白血病(MLL)から選択される白血病である。別の実施形態では、がんは、NUT正中線癌である。別の実施形態では、がんは多発性骨髄腫である。別の実施形態では、がんは、小細胞肺がん(SCLC)などの肺がんである。別の実施形態では、がんは神経芽細胞腫である。別の実施形態では、がんはバーキットリンパ腫である。別の実施形態では、がんは子宮頸がんである。別の実施形態では、がんは食道がんである。別の実施形態では、がんは卵巣がんである。別の実施形態では、がんは結腸直腸がんである。別の実施形態では、がんは前立腺がんである。別の実施形態では、がんは乳がんである。
【0098】
いくつかの実施形態では、本発明は、トリプルネガティブ乳がんの処置を必要とする患者においてトリプルネガティブ乳がんを処置する方法であって、本発明のMDM2分解剤(例えば、化合物A、B、C、DまたはE)または薬学的に受容可能なその塩を投与することを含む方法を提供する。
【0099】
いくつかの実施形態では、本発明は、急性リンパ芽球性白血病(ALL)を処置する方法であって、本発明のMDM2分解剤(例えば、化合物A、B、C、DまたはE)または薬学的に受容可能なその塩を投与することを含む方法を提供する。
【0100】
いくつかの実施形態では、本発明は、慢性リンパ球性白血病(CLL)を処置する方法であって、本発明のMDM2分解剤(例えば、化合物A、B、C、DまたはE)または薬学的に受容可能なその塩を投与することを含む方法を提供する。
【0101】
いくつかの実施形態では、本発明は、大顆粒リンパ球性白血病(LGL-L)を処置する方法であって、本発明のMDM2分解剤(例えば、化合物A、B、C、DまたはE)または薬学的に受容可能なその塩を投与することを含む方法を提供する。
【0102】
いくつかの実施形態では、本発明は、B細胞前リンパ球性白血病を処置する方法であって、本発明のMDM2分解剤(例えば、化合物A、B、C、DまたはE)または薬学的に受容可能なその塩を投与することを含む方法を提供する。
【0103】
いくつかの実施形態では、本発明は、急性骨髄性白血病(AML)を処置する方法であって、本発明のMDM2分解剤(例えば、化合物A、B、C、DまたはE)または薬学的に受容可能なその塩を投与することを含む方法を提供する。
【0104】
いくつかの実施形態では、本発明は、バーキットリンパ腫/白血病を処置する方法であって、本発明のMDM2分解剤(例えば、化合物A、B、C、DまたはE)または薬学的に受容可能なその塩を投与することを含む方法を提供する。
【0105】
いくつかの実施形態では、本発明は、原発性滲出性リンパ腫を処置する方法であって、本発明のMDM2分解剤(例えば、化合物A、B、C、DまたはE)または薬学的に受容可能なその塩を投与することを含む方法を提供する。
【0106】
いくつかの実施形態では、本発明は、末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)を処置する方法であって、本発明のMDM2分解剤(例えば、化合物A、B、C、DまたはE)または薬学的に受容可能なその塩を投与することを含む方法を提供する。
【0107】
いくつかの実施形態では、本発明は、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)を処置する方法であって、本発明のMDM2分解剤(例えば、化合物A、B、C、DまたはE)または薬学的に受容可能なその塩を投与することを含む方法を提供する。
【0108】
いくつかの実施形態では、本発明は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)を処置する方法であって、本発明のMDM2分解剤(例えば、化合物A、B、C、DまたはE)または薬学的に受容可能なその塩を投与することを含む方法を提供する。
【0109】
いくつかの実施形態では、本発明は、進行性B細胞びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(ABC DLBCL)を処置する方法であって、本発明のMDM2分解剤(例えば、化合物A、B、C、DまたはE)または薬学的に受容可能なその塩を投与することを含む方法を提供する。
【0110】
いくつかの実施形態では、本発明は、血管内大細胞型B細胞リンパ腫を処置する方法であって、本発明のMDM2分解剤(例えば、化合物A、B、C、DまたはE)または薬学的に受容可能なその塩を投与することを含む方法を提供する。
【0111】
いくつかの実施形態では、本発明は、リンパ形質細胞性リンパ腫を処置する方法であって、本発明のMDM2分解剤(例えば、化合物A、B、C、DまたはE)または薬学的に受容可能なその塩を投与することを含む方法を提供する。
【0112】
いくつかの実施形態では、本発明は、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症(WM)を処置する方法であって、本発明のMDM2分解剤(例えば、化合物A、B、C、DまたはE)または薬学的に受容可能なその塩を投与することを含む方法を提供する。
【0113】
いくつかの実施形態では、本発明は、脾臓辺縁層リンパ腫を処置する方法であって、本発明のMDM2分解剤(例えば、化合物A、B、C、DまたはE)または薬学的に受容可能なその塩を投与することを含む方法を提供する。
【0114】
いくつかの実施形態では、本発明は、多発性骨髄腫を処置する方法であって、本発明のMDM2分解剤(例えば、化合物A、B、C、DまたはE)または薬学的に受容可能なその塩を投与することを含む方法を提供する。
【0115】
いくつかの実施形態では、本発明は、形質細胞腫を処置する方法であって、本発明のMDM2分解剤(例えば、化合物A、B、C、DまたはE)または薬学的に受容可能なその塩を投与することを含む方法を提供する。
【0116】
いくつかの実施形態では、本発明は、骨髄異形成症候群(MDS)を処置する方法であって、本発明のMDM2分解剤(例えば、化合物A、B、C、DまたはE)または薬学的に受容可能なその塩を投与することを含む方法を提供する。
【0117】
いくつかの実施形態では、本発明は、悪性末梢神経鞘腫瘍(MPNST)の処置を必要とする患者において悪性末梢神経鞘腫瘍を処置する方法であって、本発明のMDM2分解剤(例えば、化合物A、B、C、DまたはE)または薬学的に受容可能なその塩を投与することを含む方法を提供する。
【0118】
いくつかの実施形態では、本発明は、膵臓がんの処置を必要とする患者において膵臓がんを処置する方法であって、本発明のMDM2分解剤(例えば、化合物A、B、C、DまたはE)または薬学的に受容可能なその塩を投与することを含む方法を提供する。
【0119】
いくつかの実施形態では、本発明は、原発性CNSリンパ腫の処置を必要とする患者において原発性CNSリンパ腫を処置する方法であって、本発明のMDM2分解剤(例えば、化合物A、B、C、DまたはE)または薬学的に受容可能なその塩を投与することを含む方法を提供する。
【0120】
いくつかの実施形態では、本発明は、ホジキンリンパ腫の処置を必要とする患者においてホジキンリンパ腫を処置する方法であって、本発明のMDM2分解剤(例えば、化合物A、B、C、DまたはE)または薬学的に受容可能なその塩を投与することを含む方法を提供する。
【0121】
いくつかの実施形態では、本発明は、原発性皮膚T細胞リンパ腫の処置を必要とする患者において原発性皮膚T細胞リンパ腫を処置する方法であって、本発明のMDM2分解剤(例えば、化合物A、B、C、DまたはE)または薬学的に受容可能なその塩を投与することを含む方法を提供する。
【0122】
いくつかの実施形態では、本発明は、固形および液状腫瘍の処置を必要とする患者において固形および液状腫瘍を処置する方法であって、本発明のMDM2分解剤(例えば、化合物A、B、C、DまたはE)または薬学的に受容可能なその塩を投与することを含む方法を提供する。
【0123】
いくつかの実施形態では、本発明は、MYD88変異体ワルデンストロームマクログロブリン血症の処置を必要とする患者においてMYD88変異体ワルデンストロームマクログロブリン血症を処置する方法であって、本発明のMDM2分解剤(例えば、化合物A、B、C、DまたはE)または薬学的に受容可能なその塩を投与することを含む方法を提供する。
【0124】
いくつかの実施形態では、本発明は、NSCLCの処置を必要とする患者においてNSCLCを処置する方法であって、本発明のMDM2分解剤(例えば、化合物A、B、C、DまたはE)または薬学的に受容可能なその塩を投与することを含む方法を提供する。
【0125】
いくつかの実施形態では、本発明は、ブドウ膜黒色腫の処置を必要とする患者においてブドウ膜黒色腫を処置する方法であって、本発明のMDM2分解剤(例えば、化合物A、B、C、DまたはE)または薬学的に受容可能なその塩を投与することを含む方法を提供する。
【0126】
いくつかの実施形態では、本発明は、ユーイング肉腫の処置を必要とする患者においてユーイング肉腫を処置する方法であって、本発明のMDM2分解剤(例えば、化合物A、B、C、DまたはE)または薬学的に受容可能なその塩を投与することを含む方法を提供する。
【0127】
いくつかの実施形態では、本発明は、本発明のMDM2分解剤(例えば、化合物A、B、C、DまたはE)または薬学的に受容可能なその塩を投与することを含む、難治性(例えば、処置抵抗性)腫瘍の成長を阻害する方法を提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、難治性がんを処置する方法であって、本発明のMDM2分解剤(例えば、化合物A、B、C、DまたはE)または薬学的に受容可能なその塩を投与することを含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、難治性腫瘍は、化学療法剤単独、放射線単独またはそれらの組み合わせによる処置に失敗するかまたは抵抗性である腫瘍を含む。がんは、処置の開始時に抵抗性になることがあるか、または処置中に抵抗性になることがある。難治性腫瘍は、急速な疾患進行をもたらし、通常は予後不良である。難治性腫瘍の例は、癌腫、神経膠腫、肉腫、腺癌、腺肉腫および腺腫を含む。そのような腫瘍は、あらゆる器官を含む人体の事実上全ての部分に発生する。腫瘍は、例えば、乳房、心臓、肺、小腸、結腸、脾臓、腎臓、膀胱、頭頸部、卵巣、前立腺、脳、膵臓、皮膚、骨、骨髄、血液、胸腺、子宮、精巣、子宮頸部および肝臓に存在し得る。
【0128】
いくつかの実施形態では、本発明は、1つの以前の治療を受けたことがある固形がんまたは血液悪性疾患を有する成人患者を処置するための方法を提供する。
【0129】
いくつかの実施形態では、本発明は、2つの以前の治療を受けたことがある固形がんまたは血液悪性疾患を有する成人患者を処置するための方法を提供する。
【0130】
いくつかの実施形態では、本発明は、3つの以前の治療を受けたことがある固形がんまたは血液悪性疾患を有する成人患者を処置するための方法を提供する。
【0131】
いくつかの実施形態では、本発明は、少なくとも1つの以前の治療を受けたことがある固形がんまたは血液悪性疾患を有する成人患者を処置するための方法を提供する。
【0132】
いくつかの実施形態では、本発明は、少なくとも2つの以前の治療を受けたことがある固形がんまたは血液悪性疾患を有する成人患者を処置するための方法を提供する。
【0133】
いくつかの実施形態では、本発明は、少なくとも3つの以前の治療を受けたことがある固形がんまたは血液悪性疾患を有する成人患者を処置するための方法を提供する。
【0134】
いくつかの実施形態では、本発明は、本発明のMDM2分解剤(例えば、化合物A、B、C、DまたはE)または薬学的に受容可能なその塩を投与することを含む、1またはそれを超えるタンパク質マーカー(例えば、GDF15、p53、p21およびPUMA)を、それを必要とする患者において増加させる方法を提供する。いくつかの実施形態では、1またはそれを超えるタンパク質マーカー(例えば、GDF15、p53、p21およびPUMA)を増加させる方法は、患者の固形がんまたは血液悪性疾患を処置することを含む。
【0135】
併用療法
処置される特定の固形がんまたは血液悪性疾患に応じて、その状態を処置するために通常投与される追加の治療剤を、本発明の化合物および組成物と組み合わせて投与することができる。本明細書で使用される場合、特定の固形がんまたは血液悪性疾患を処置するために通常投与される追加の治療剤は、「処置されている疾患または状態に適している」として知られている。
【0136】
ある特定の実施形態では、提供される組み合わせ、またはその組成物は、別の治療剤と組み合わせて投与される。
【0137】
いくつかの実施形態において、本発明は、開示される疾患または状態を処置する方法を提供し、この方法は、その必要場ある患者に、有効量の本明細書中に開示される化合物または薬学的に受容可能なその塩を投与する工程、および有効量の1つまたはそれより多くのさらなる治療剤、例えば、本明細書中に記載されるものを、同時にまたは逐次的に共投与する工程を包含する。いくつかの実施形態において、この方法は、1つのさらなる治療剤を共投与する工程を包含する。いくつかの実施形態において、この方法は、2つのさらなる治療剤を共投与する工程を包含する。いくつかの実施形態において、開示される化合物とさらなる治療剤(単数または複数)との組み合わせ物は、相乗的に作用する。
【0138】
本発明の組み合わせを組み合わせてもよい薬剤の例は、限定されないが、抗炎症剤、例えば、コルチコステロイド、TNF遮断薬、IL-1 RA、アザチオプリン、シクロホスファミドおよびスルファサラジン;シクロスポリン、タクロリムス、ラパマイシン、ミコフェノール酸モフェチル、インターフェロン、コルチコステロイド、シクロホスファミド(cyclophophamide)、アザチオプリン、およびスルファサラジンなどの免疫調節剤および免疫抑制剤;アセチルコリンエステラーゼ阻害剤、MAO阻害剤、インターフェロン、抗痙攣薬、イオンチャネル遮断薬、リルゾール、および抗パーキンソン剤などの神経栄養因子;β遮断薬、ACE阻害剤、利尿薬、硝酸塩、カルシウムチャネル遮断薬およびスタチンなどの心血管疾患を処置するための薬剤;コルチコステロイド、コレスチラミン、インターフェロンおよび抗ウイルス剤などの肝疾患を処置するための薬剤;血液障害を処置するための薬剤、例えば、コルチコステロイド、抗白血病剤および成長因子;薬物動態を延長または改善する薬剤、例えば、シトクロムP450阻害剤(すなわち、代謝性分解の阻害剤)およびCYP3A4阻害剤(例えば、ケトコナゾールおよびリトナビル)、ならびに免疫不全障害を処置するための薬剤、例えば、ガンマグロブリンを含む。
【0139】
ある特定の実施形態では、本発明の併用療法、またはその薬学的に受容可能な組成物は、モノクローナル抗体またはsiRNA治療薬と組み合わせて投与される。
【0140】
これらの追加の薬剤は、提供される併用療法とは別に、複数投薬レジメンの一部として投与されてもよい。あるいは、これらの薬剤は、この発明の化合物と一緒に単一組成物として混合された、単一剤形の一部であってもよい。複数投薬レジメンの一部として投与される場合、2つの活性な薬剤は、同時に、逐次的にまたは互いからある期間以内に、通常、互いから5時間以内に与えられてもよい。
【0141】
本明細書において使用する場合、「組み合わせ」、「組み合わせた」という用語、および関連する用語は、この発明による治療剤の同時または逐次的な投与を指す。例えば、本発明の組み合わせは、別の治療剤と、別々の単位剤形中で同時または逐次的に、または単一の単位剤形中で一緒に投与されてもよい。
【0142】
この発明の組成物中に存在する追加の治療剤の量は、その治療剤を唯一の活性な薬剤として含む組成物中で通常投与される量以下である。好ましくは、本開示の組成物中の追加の治療剤の量は、その薬剤を唯一の治療上活性な薬剤として含む組成物中に通常存在する量の約50%から100%の範囲である。
【0143】
1つまたはそれより多くの他の治療剤は、本発明の化合物または組成物とは別に、複数投薬レジメンの一部として投与され得る。あるいは、1つまたはそれより多くの他の治療剤は、単一の組成物中で、この発明の化合物と一緒に混合された単一の剤形の一部であり得る。複数投薬レジメンとして投与される場合、1つまたはそれより多くの他の治療剤と本発明の化合物または組成物とは、同時に、逐次的にまたは互いからある期間以内に、例えば、互いから1時間以内、2時間以内、3時間以内、4時間以内、5時間以内、6時間以内、7時間以内、8時間以内、9時間以内、10時間以内、11時間以内、12時間以内、13時間以内、14時間以内、15時間以内、16時間以内、17時間以内、18時間以内、18時間以内、20時間以内、21時間以内、22時間以内、23時間以内、または24時間以内に投与され得る。いくつかの実施形態において、1つまたはそれより多くの他の治療剤および本発明の化合物または組成物は、複数投薬レジメンとして、24時間より長時間以内離して投与される。
【0144】
1つの実施形態では、本発明は、提供されるMDM2分解剤または薬学的に受容可能なその塩と、1またはそれを超える追加の治療剤とを含む組成物を提供する。治療剤は、提供されるMDM2分解剤または薬学的に受容可能なその塩と一緒に投与され得るか、または提供されるMDM2分解剤または薬学的に受容可能なその塩の投与の前または後に投与され得る。適切な治療剤は、以下にさらに詳細に記載される。特定の実施形態では、提供されるMDM2分解剤または薬学的に受容可能なその塩は、治療剤の最大5分、10分、15分、30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、17時間または18時間前に投与され得る。他の実施形態では、提供されるMDM2分解剤または薬学的に受容可能なその塩は、治療剤の最大5分、10分、15分、30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、17時間または18時間後に投与され得る。
【0145】
いくつかの実施形態では、提供されるMDM2分解剤または薬学的に受容可能なその塩は、本明細書中に提供される用量およびスケジュールで患者に投与され、1またはそれを超える追加の治療剤は、1、2、3、4、5、6、7、14または21日ごとに1回、患者に投与される。
【0146】
いくつかの実施形態では、提供されるMDM2分解剤または薬学的に受容可能なその塩と組み合わせて投与される追加の治療剤は、BCL-2阻害剤(例えば、ベネトクラックス)またはMEK阻害剤(例えば、セルメチニブ)であり、毎日(QD)患者に投与される。いくつかの態様では、BCL-2阻害剤(例えば、ベネトクラックス)またはMEK阻害剤(例えば、セルメチニブ)は経口投与される。他の態様では、BCL-2阻害剤(例えば、ベネトクラックス)は、約5mg/kg~約20mg/kg(例えば、約7mg/kg、約8mg/kg、約9mg/kg、または約10mg/kg)の用量で投与される。他の態様では、MEK阻害剤(例えば、セルメチニブ)は、約0.01mg/kg~約5mg/kg(例えば、約0.1mg/kg、約0.5mg/kg、または約1mg/kg)の用量で投与される。
【0147】
別の実施形態では、本発明は、固形腫瘍を処置する方法であって、それを必要とする患者に、提供されるMDM2分解剤または薬学的に受容可能なその塩と、リツキシマブ(リツキサン(登録商標))、シクロホスファミド(Cytoxan(登録商標))、ドキソルビシン(ヒドロダウノルビシン(登録商標))、ビンクリスチン(オンコビン(登録商標))、プレドニゾン、ヘッジホッグシグナル伝達阻害剤、BTK阻害剤、JAK/汎JAK阻害剤、TYK2阻害剤、PI3K阻害剤、SYK阻害剤およびそれらの組み合わせから選択される1またはそれを超える追加の治療剤とを投与することを含む方法を提供する。
【0148】
別の実施形態では、本発明は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)を処置する方法であって、それを必要とする患者に、提供されるMDM2分解剤または薬学的に受容可能なその塩と、リツキシマブ(リツキサン(登録商標))、シクロホスファミド(Cytoxan(登録商標))、ドキソルビシン(ヒドロダウノルビシン(登録商標))、ビンクリスチン(オンコビン(登録商標))、プレドニゾン、ヘッジホッグシグナル伝達阻害剤、およびそれらの組み合わせから選択される1またはそれを超える追加の治療剤とを投与することを含む方法を提供する。
【0149】
いくつかの実施形態では、本発明は、リンパ腫を処置する方法であって、それを必要とする患者に、提供されるMDM2分解剤または薬学的に受容可能なその塩およびCHOP(シクロホスファミド、ヒドロダウノルビシン(登録商標)、オンコビン(登録商標)およびプレドニゾンまたはプレドニゾロン)またはR-CHOP(リツキシマブ、シクロホスファミド、ヒドロダウノルビシン(登録商標)、オンコビン(登録商標)およびプレドニゾンまたはプレドニゾロン)化学療法レジメンを投与することを含む方法を提供する。
【0150】
いくつかの実施形態において、本発明は、リンパ腫を処置する方法であって、それを必要とする患者に、提供されるMDM2分解剤または薬学的に受容可能なその塩およびリツキシマブまたはベンダムスチン化学療法レジメンを投与することを含む方法を提供する。
【0151】
いくつかの実施形態において、本発明は、リンパ腫を処置する方法であって、それを必要とする患者に、提供されるMDM2分解剤または薬学的に受容可能なその塩およびBTK阻害剤(例えば、イブルチニブ)を投与することを含む方法を提供する。
【0152】
いくつかの実施形態において、本発明は、リンパ腫を処置する方法であって、それを必要とする患者に、提供されるMDM2分解剤または薬学的に受容可能なその塩および抗CD20抗体(例えば、リツキシマブ)を投与することを含む方法を提供する。
【0153】
いくつかの実施形態において、本発明は、リンパ腫を処置する方法であって、それを必要とする患者に、提供されるMDM2分解剤または薬学的に受容可能なその塩および抗CD79B ADC(例えば、ポラツズマブ)を投与することを含む方法を提供する。
【0154】
いくつかの実施形態において、本発明は、リンパ腫を処置する方法であって、それを必要とする患者に、提供されるMDM2分解剤または薬学的に受容可能なその塩およびBCL-2阻害剤(例えば、ベネトクラックス)を投与することを含む方法を提供する。
【0155】
いくつかの実施形態において、本発明は、白血病(例えば、AML)を処置する方法であって、それを必要とする患者に、提供されるMDM2分解剤または薬学的に受容可能なその塩およびBCL-2阻害剤(例えば、ベネトクラックス)を投与することを含む方法を提供する。提供されるMDM2分解剤とBCL-2阻害剤(例えば、ベネトクラックス)との組み合わせで白血病(例えば、AML)を処置する方法のいくつかの態様では、組み合わせは相加的である。提供されるMDM2分解剤とBCL-2阻害剤(例えば、ベネトクラックス)との組み合わせで白血病(例えば、AML)を処置する方法のいくつかの態様では、組み合わせは相乗的に作用する。
【0156】
いくつかの実施形態において、本発明は、白血病(例えば、AML)を処置する方法であって、それを必要とする患者に、提供されるMDM2分解剤または薬学的に受容可能なその塩およびBCL-2阻害剤(例えば、ベネトクラックス)を投与することを含み、リンパ腫がBCL-2阻害剤(例えば、ベネトクラックス)単独による処置に抵抗性である方法を提供する。
【0157】
いくつかの実施形態において、本発明は、黒色腫(例えば、ブドウ膜黒色腫)を処置する方法であって、それを必要とする患者に、提供されるMDM2分解剤または薬学的に受容可能なその塩およびBCL-2阻害剤(例えば、ベネトクラックス)を投与することを含む方法を提供する。提供されるMDM2分解剤とBCL-2阻害剤(例えば、ベネトクラックス)との組み合わせで黒色腫(例えば、ブドウ膜黒色腫)を処置する方法のいくつかの態様では、組み合わせは相加的である。提供されるMDM2分解剤とBCL-2阻害剤(例えば、ベネトクラックス)との組み合わせで黒色腫(例えば、ブドウ膜黒色腫)を処置する方法のいくつかの態様では、組み合わせは相乗的に作用する。
【0158】
いくつかの実施形態において、本発明は、黒色腫(例えば、ブドウ膜黒色腫)を処置する方法であって、それを必要とする患者に、提供されるMDM2分解剤または薬学的に受容可能なその塩およびBCL-2阻害剤(例えば、ベネトクラックス)を投与することを含み、黒色腫がBCL-2阻害剤(例えば、ベネトクラックス)単独による処置に抵抗性である方法を提供する。
【0159】
いくつかの実施形態において、本発明は、白血病(例えば、AML)を処置する方法であって、それを必要とする患者に、提供されるMDM2分解剤または薬学的に受容可能なその塩およびFLT3阻害剤(例えば、ミドスタウリン)を投与することを含む方法を提供する。提供されるMDM2分解剤とFLT3阻害剤(例えば、ミドスタウリン)との組み合わせで白血病(例えば、AML)を処置する方法のいくつかの態様では、組み合わせは相加的である。提供されるMDM2分解剤とFLT3阻害剤(例えば、ミドスタウリン)との組み合わせで白血病(例えば、AML)を処置する方法のいくつかの態様では、組み合わせは相乗的に作用する。
【0160】
いくつかの実施形態において、本発明は、白血病(例えば、AML)を処置する方法であって、それを必要とする患者に、提供されるMDM2分解剤または薬学的に受容可能なその塩およびFLT3阻害剤(例えば、ミドスタウリン)を投与することを含み、リンパ腫がFLT3阻害剤(例えば、ミドスタウリン)単独による処置に抵抗性である方法を提供する。
【0161】
いくつかの実施形態において、本発明は、リンパ腫を処置する方法であって、それを必要とする患者に、提供されるMDM2分解剤または薬学的に受容可能なその塩およびレナリドミドまたはポマリドミドを投与することを含む方法を提供する。
【0162】
いくつかの実施形態において、本発明は、リンパ腫を処置する方法であって、それを必要とする患者に、提供されるMDM2分解剤または薬学的に受容可能なその塩およびPI3K阻害剤(例えば、ウムブラリシブ)を投与することを含む方法を提供する。
【0163】
いくつかの実施形態において、本発明は、本明細書に記載するT細胞疾患またはT細胞欠損症を処置する方法であって、それを必要とする患者に、提供されるMDM2分解剤または薬学的に受容可能なその塩およびPI3K阻害剤(例えば、ウムブラリシブ)を投与することを含む方法を提供する。
【0164】
いくつかの実施形態において、本発明は、リンパ腫を処置する方法であって、それを必要とする患者に、提供されるMDM2分解剤または薬学的に受容可能なその塩およびプロテアソーム阻害剤(例えば、ボルテゾミブ)を投与することを含む方法を提供する。
【0165】
いくつかの実施形態において、本発明は、リンパ腫を処置する方法であって、それを必要とする患者に、提供されるMDM2分解剤または薬学的に受容可能なその塩およびキメラ抗原受容体T細胞を投与することを含む方法を提供する。
【0166】
別の実施形態では、本発明は、多発性骨髄腫を処置する方法であって、それを必要とする患者に、提供されるMDM2分解剤または薬学的に受容可能なその塩と、ボルテゾミブ(Velcade(登録商標))およびデキサメタゾン(Decadron(登録商標))、ヘッジホッグシグナル伝達阻害剤、BTK阻害剤、JAK/汎JAK阻害剤、TYK2阻害剤、PI3K阻害剤、SYK阻害剤をレナリドマイド(Revlimid(登録商標))と組み合わせたものから選択される1またはそれを超える追加の治療剤とを投与することを含む方法を提供する。
【0167】
別の実施形態では、本発明は、ワルデンストロームマクログロブリン血症を処置する方法であって、それを必要とする患者に、提供されるMDM2分解剤または薬学的に受容可能なその塩と、クロラムブシル(Leukeran(登録商標))、シクロホスファミド(Cytoxan(登録商標)、Neosar(登録商標))、フルダラビン(Fludara(登録商標))、クラドリビン(Leustatin(登録商標))、リツキシマブ(Rituxan(登録商標))、ヘッジホッグシグナル伝達阻害剤、BTK阻害剤、JAK/汎JAK阻害剤、TYK2阻害剤、PI3K阻害剤、およびSYK阻害剤から選択される1またはそれを超える追加の治療剤とを投与することを含む方法を提供する。
【0168】
いくつかの実施形態において、1つまたはそれより多くの他の治療剤は、ヘッジホッグ経路のアンタゴニストである。本発明において使用され得る、承認されたヘッジホッグ経路阻害剤としては、ソニデジブ(sonidegib)(Odomzo(登録商標)、Sun Pharmaceuticals);およびビスモデギブ(vismodegib)(Erivedge(登録商標)、Genentech)が挙げられ、これらの両方は、基底細胞癌の処置のためのものである。
【0169】
いくつかの実施形態において、1つまたはそれより多くの他の治療剤は、ポリADPリボースポリメラーゼ(PARP)阻害剤である。いくつかの実施形態において、PARP阻害剤は、オラパリブ(Lynparza(登録商標)、AstraZeneca);ルカパリブ(rucaparib)(Rubraca(登録商標)、Clovis Oncology);ニラパリブ(niraparib)(Zejula(登録商標)、Tesaro);タラゾパリブ(talazoparib)(MDV3800/BMN 673/LT00673、Medivation/Pfizer/Biomarin);ベリパリブ(veliparib)(ABT-888、AbbVie);およびBGB-290(BeiGene,Inc.)から選択される。
【0170】
いくつかの実施形態において、1つまたはそれより多くの他の治療剤は、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤である。いくつかの実施形態において、HDAC阻害剤は、ボリノスタット(Zolinza(登録商標)、Merck);ロミデプシン(Istodax(登録商標)、Celgene);パノビノスタット(Farydak(登録商標)、Novartis);ベリノスタット(belinostat)(Beleodaq(登録商標)、Spectrum Pharmaceuticals);エンチノスタット(SNDX-275、Syndax Pharmaceuticals)(NCT00866333);およびチダミド(chidamide)(Epidaza(登録商標)、HBI-8000、Chipscreen Biosciences、China)から選択される。
【0171】
いくつかの実施形態において、1つまたはそれより多くの他の治療剤は、CDK4/CDK6阻害剤などのCDK阻害剤である。いくつかの実施形態において、CDK 4/6阻害剤は、パルボシクリブ(Ibrance(登録商標)、Pfizer);リボシクリブ(ribociclib)(Kisqali(登録商標)、Novartis);アベマシクリブ(Ly2835219、Eli Lilly);およびトリラシクリブ(trilaciclib)(G1T28、G1 Therapeutics)から選択される。
【0172】
いくつかの実施形態において、1つまたはそれより多くの他の治療剤は、葉酸阻害剤である。本発明において有用な承認されている葉酸阻害剤には、ペメトレキセド(Alimta(登録商標)、Eli Lilly)が含まれる。
【0173】
いくつかの実施形態において、1つまたはそれより多くの他の治療剤は、CCケモカイン受容体4(CCR4)阻害剤である。本発明において有用となり得る、現在検討中のCCR4阻害剤には、モガムリズマブ(Poteligeo(登録商標)、協和発酵キリン、日本)が含まれる。
【0174】
いくつかの実施形態において、1つまたはそれより多くの他の治療剤は、イソクエン酸デヒドロゲナーゼ(IDH)阻害剤である。本発明において使用することができる、現在検討中のIDH阻害剤には、AG120(Celgene;NCT02677922);AG221(Celgene、NCT02677922;NCT02577406);BAY1436032(Bayer、NCT02746081);IDH305(Novartis、NCT02987010)が含まれる。
【0175】
いくつかの実施形態では、本発明は、固形がんまたは血液悪性疾患の処置を必要とする患者の固形がんまたは血液悪性疾患を処置する方法であって、治療有効量のMDM2分解剤または薬学的に受容可能なその塩およびIDH阻害剤(例えば、AG120、AG221、BAY1436032、IDH305など)を投与することを含む方法を提供する。
【0176】
いくつかの実施形態において、1つまたはそれより多くの他の治療剤は、アルギナーゼ阻害剤である。本発明において使用することができる現在検討中のアルギナーゼ阻害剤には、急性骨髄性白血病および骨髄異形成症候群(NCT02732184)および固形腫瘍(NCT02561234)に関して第1相臨床試験において現在検討中のAEB1102(ペグ化組換えアルギナーゼ、Aeglea Biotherapeutics);ならびにCB-1158(Calithera Biosciences)が含まれる。
【0177】
いくつかの実施形態において、1つまたはそれより多くの他の治療剤は、グルタミナーゼ阻害剤である。本発明において使用することができる現在検討中のグルタミナーゼ阻害剤には、CB-839(Calithera Biosciences)が含まれる。
【0178】
いくつかの実施形態において、1つまたはそれより多くの他の治療剤は、腫瘍抗原に結合する抗体、すなわち、腫瘍細胞の細胞表面に発現するタンパク質である。本発明において使用することができる、腫瘍抗原に結合する、承認を受けている抗体には、リツキシマブ(Rituxan(登録商標)、Genentech/BiogenIdec);オファツムマブ(抗CD20、Arzerra(登録商標)、GlaxoSmithKline);オビヌツズマブ(抗CD20、Gazyva(登録商標)、Genentech)、イブリツモマブ(抗CD20およびイットリウム-90、Zevalin(登録商標)、Spectrum Pharmaceuticals);ダラツムマブ(抗CD38、Darzalex(登録商標)、Janssen Biotech)、ジヌツキシマブ(抗糖脂質GD2、Unituxin(登録商標)、United Therapeutics);トラスツズマブ(抗HER2、Herceptin(登録商標)、Genentech);アド-トラスツズマブエムタンシン(抗HER2、エムタンシンに融合、Kadcyla(登録商標)、Genentech);およびペルツズマブ(抗HER2、Perjeta(登録商標)、Genentech);およびブレンツキシマブベドチン(抗CD30-薬物コンジュゲート、Adcetris(登録商標)、Seattle Genetics)が含まれる。
【0179】
いくつかの実施形態において、1つまたはそれより多くの他の治療剤はトポイソメラーゼ阻害剤である。本発明において有用な承認を受けているトポイソメラーゼ阻害剤には、イリノテカン(Onivyde(登録商標)、Merrimack Pharmaceuticals);トポテカン(Hycamtin(登録商標)、GlaxoSmithKline)が含まれる。本発明において使用することができる、現在検討中のトポイソメラーゼ阻害剤には、ピクサントロン(Pixuvri(登録商標)、CTI Biopharma)が含まれる。
【0180】
いくつかの実施形態において、1つまたはそれより多くの他の治療剤は、BCL-2などの抗アポトーシスタンパク質の阻害剤である。本発明において使用することができる、承認されている抗アポトーシス剤には、ベネトクラックス(Venclexta(登録商標)、AbbVie/Genentech);およびブリナツモマブ(Blincyto(登録商標)、Amgen)が含まれる。臨床試験を受けており、本発明において使用することができる、アポトーシスタンパク質を標的とする他の治療剤には、ナビトクラックス(ABT-263、Abbott)、BCL-2阻害剤(NCT02079740)が含まれる。
【0181】
いくつかの実施形態では、本発明は、固形がんまたは血液悪性疾患の処置を必要とする患者の固形がんまたは血液悪性疾患を処置する方法であって、治療有効量のMDM2分解剤または薬学的に受容可能なその塩およびアポトーシス調節因子(例えば、BCL-2阻害剤)を投与することを含む方法を提供する。
【0182】
いくつかの実施形態において、1つまたはそれより多くの他の治療剤は、アンドロゲン受容体阻害剤である。本発明において有用な承認されているアンドロゲン受容体阻害剤には、エンザルタミド(Xtandi(登録商標)、Astellas/Medivation)が含まれる。承認を受けているアンドロゲン合成の阻害剤には、アビラテロン(Zytiga(登録商標)、Centocor/Ortho);承認を受けている性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)受容体のアンタゴニスト(デガラリクス、Firmagon(登録商標)、Ferring Pharmaceuticals)が含まれる。
【0183】
いくつかの実施形態において、1つまたはそれより多くの他の治療剤は、エストロゲンの合成または活性を妨害する、選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)である。本発明において有用な承認されているSERMには、ラロキシフェン(Evista(登録商標)、Eli Lilly)が含まれる。
【0184】
いくつかの実施形態において、1つまたはそれより多くの他の治療剤は骨吸収の阻害剤である。骨吸収を阻害する承認を受けている治療剤は、デノスマブ(Xgeva(登録商標)、Amgen)(RANKLに結合し、破骨細胞、その前駆体および破骨細胞様巨細胞の表面に見出され、骨転移を伴う固形腫瘍における骨病理を媒介する、RANKLの受容体RANKへの結合を阻害する抗体である)である。骨吸収を阻害する、他の承認を受けている治療剤には、ゾレドロン酸(Zometa(登録商標)、Novartis)などの、ビスホスホネートが含まれる。
【0185】
いくつかの実施形態において、1つまたはそれより多くの他の治療剤は、2つの主要なp53抑制タンパク質であるMDMXとMDM2との間の相互作用の阻害剤である。本発明に使用することができる、現在検討中のp53抑制タンパク質の阻害剤には、MDMXおよびMDM2に等価に結合して、これらとp53との相互作用を撹乱するステープルペプチドである、ALRN-6924(Aileron)が含まれる。ALRN-6924は、AML、進行性骨髄異形成症候群(MDS)および末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)(NCT02909972;NCT02264613)の処置に関して、臨床試験において現在評価中である。
【0186】
いくつかの実施形態において、1つまたはそれより多くの他の治療剤は、トランスフォーミング成長因子-ベータ(TGF-ベータまたはTGFβ)の阻害剤である。本発明において使用することができる、現在検討中のTGF-ベータタンパク質の阻害剤には、乳房、肺、肝細胞、結腸直腸、膵臓、前立腺および腎がん(NCT02947165)を含めた、様々ながんの処置に関して外来診療所において現在試験されている抗TGF-ベータ抗体であるNIS793(Novartis)が含まれる。いくつかの実施形態において、TGF-ベータタンパク質の阻害剤は、黒色腫(NCT00923169);腎細胞がん(NCT00356460);および非小細胞肺がん(NCT02581787)について現在検討中の、フレソリムマブ(GC1008;Sanofi-Genzyme)である。さらに、いくつかの実施形態において、さらなる治療剤は、Connolly et al.(2012)Int’l J.Biological Sciences 8:964-978に記載されているものなどの、TGF-ベータ捕捉剤である。固形腫瘍の処置に関して、現在、臨床試験中の治療用化合物の1つは、二特異性抗PD-L1/TGFβ捕捉化合物(NCT02699515)である、M7824(Merck KgaA-以前のMSB0011459X);および(NCT02517398)である。M7824は、TGFβ「捕捉剤」として機能する、ヒトTGF-ベータ受容体IIの細胞外ドメインに融合したPD-L1に対する、完全ヒトIgG1抗体からなる。
【0187】
いくつかの実施形態において、1つまたはそれより多くの他の治療剤は、グレムバツムマブベドチン-モノメチルオーリスタチンE(MMAE)(Celldex)(細胞毒性MMAEに連結している抗グリコタンパク質NMB(gpNMB)抗体(CR011))から選択される。gpNMBは、がん細胞が転移する能力に関連する複数の腫瘍タイプにより過剰発現されるタンパク質である。
【0188】
いくつかの実施形態では、1またはそれを超える他の治療剤は、抗増殖性化合物である。そのような抗増殖性化合物は、限定されないが、アロマターゼ阻害剤;抗エストロゲン剤;トポイソメラーゼI阻害剤;トポイソメラーゼII阻害剤;微小管活性化合物;アルキル化化合物;ヒストンデアセチラーゼ阻害剤;細胞分化プロセスを誘導する化合物;シクロオキシゲナーゼ阻害剤;MMP阻害剤;mTOR阻害剤;抗新生物代謝拮抗剤;プラチン化合物;タンパク質または脂質キナーゼ活性を標的化する/減少させる化合物およびさらなる抗血管新生化合物;タンパク質または脂質ホスファターゼの活性を標的化する、減少させる、または阻害する化合物;ゴナドレリンアゴニスト;抗アンドロゲン;メチオニンアミノペプチダーゼ阻害剤;マトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤;ビスホスホネート;生物学的応答修飾剤;抗増殖性抗体;ヘパラナーゼ阻害剤;Ras発がん性アイソフォームの阻害剤;テロメラーゼ阻害剤;プロテアソーム阻害剤;血液悪性疾患の処置に使用される化合物;Flt-3の活性を標的化する、減少させるまたは阻害する化合物(例えば、スニチニブ、レスタウルチニブ、タンデュチニブ、クレノラニブ、ギルテリチニブ、ミドスタウリン、キザルチニブおよびソラフェニブ、FLX925およびG-749);Conforma Therapeutics製の17-AAG(17-アリルアミノゲルダナマイシン、NSC330507)、17-DMAG(17-ジメチルアミノエチルアミノ-17-デメトキシゲルダナマイシン、NSC707545)、IPI-504、CNF1010、CNF2024、CNF1010などのHsp90阻害剤;テモゾロミド(Temodal(登録商標));GlaxoSmithKline製のSB715992もしくはSB743921、またはCombinatoRx製のペンタミジン/クロルプロマジンなどのキネシンスピンドルタンパク質阻害剤;MEK阻害剤、例えば、Array BioPharma製のARRY142886、AstraZeneca製のAZd6244、Pfizer製のPD181461およびロイコボリンを含む。
【0189】
いくつかの実施形態において、1つまたはそれより多くの他の治療剤は、細胞分裂に必須である微小管の破壊を引き起こす、タキサン化合物である。いくつかの実施形態において、タキサン化合物は、パクリタキセル(Taxol(登録商標)、Bristol-Myers Squibb)、ドセタキセル(Taxotere(登録商標)、Sanofi-Aventis;Docefrez(登録商標)、Sun Pharmaceutical)、アルブミン結合パクリタキセル(Abraxane(登録商標);Abraxis/Celgene)、カバジタキセル(Jevtana(登録商標)、Sanofi-Aventis)、およびSID530(SK Chemicals,Co.)(NCT00931008)から選択される。
【0190】
いくつかの実施形態において、1つまたはそれより多くの他の治療剤は、ヌクレオシド阻害剤、または正常なDNA合成、タンパク質合成、細胞複製を妨害するか、もしくは急速に増殖する細胞を他の方法で阻害する、治療剤である。
【0191】
いくつかの実施形態において、ヌクレオシド阻害剤は、トラベクテジン(グアニジンアルキル化剤、Yondelis(登録商標)、Janssen Oncology)、メクロレタミン(アルキル化剤、Valchlor(登録商標)、Aktelion Pharmaceuticals);ビンクリスチン(オンコビン(登録商標)、Eli Lilly;Vincasar(登録商標)、Teva Pharmaceuticals;Marqibo(登録商標)、Talon Therapeutics);テモゾロミド(アルキル化剤である5-(3-メチルトリアゼン-1-イル)-イミダゾール-4-カルボキサミド(MTIC)に対するプロドラッグ、Temodar(登録商標)、Merck);シタラビン注射剤(ara-C、代謝拮抗性シチジンアナログ、Pfizer);ロムスチン(アルキル化剤、CeeNU(登録商標)、Bristol-Myers Squibb;Gleostine(登録商標)、NextSource Biotechnology);アザシチジン(シチジンのピリミジンヌクレオシドアナログ、Vidaza(登録商標)、Celgene);オマセタキシンメペスクシネート(セファロタキシンエステル)(タンパク質合成阻害剤、Synribo(登録商標);Teva Pharmaceuticals);アスパラギナーゼErwinia chrysanthemi(アスパラギンを枯渇する酵素、Elspar(登録商標)、Lundbeck;Erwinaze(登録商標)、EUSA Pharma);エリブリンメシレート(微小管阻害剤、チューブリンをベースとする抗有糸分裂剤、Halaven(登録商標)、エーザイ);カバジタキセル(微小管阻害剤、チューブリンをベースとする抗有糸分裂剤、Jevtana(登録商標)、Sanofi-Aventis);カパセトリン(チミジル酸シンターゼ阻害剤、Xeloda(登録商標)、Genentech);ベンダムスチン(二官能性メクロレタミン誘導体、鎖間DNA架橋を形成すると考えられる、Treanda(登録商標)、Cephalon/Teva);イキサベピロン(エポチロンBの半合成アナログ、微小管阻害剤、チューブリンをベースとする抗有糸分裂剤、Ixempra(登録商標)、Bristol-Myers Squibb);ネララビン(デオキシグアノシンアナログのプロドラッグ、ヌクレオシド代謝阻害剤、Arranon(登録商標)、Novartis);クロファラビン(リボヌクレオチドレダクターゼ阻害剤のプロドラッグ、デオキシシチジンの競合阻害剤、Clolar(登録商標)、Sanofi-Aventis);ならびにトリフリジンおよびチピラシル(チミジンをベースとするヌクレオシドアナログおよびチミジンホスホリラーゼ阻害剤、Lonsurf(登録商標)、Taiho Oncology)から選択される。
【0192】
いくつかの実施形態において、本発明は、固形がんを処置する方法であって、それを必要とする患者に、提供されるMDM2分解剤または薬学的に受容可能なその塩およびアザシチジンを投与することを含む方法を提供する。
【0193】
いくつかの実施形態において、本発明は、固形がんを処置する方法であって、それを必要とする患者に、提供されるMDM2分解剤または薬学的に受容可能なその塩およびシタラビンを投与することを含む方法を提供する。
【0194】
いくつかの実施形態では、1またはそれを超える他の治療剤は、キナーゼ阻害剤またはVEGF-Rアンタゴニストである。本発明において有用な承認されたVEGF阻害剤およびキナーゼ阻害剤は、以下を含む:ベバシズマブ(Avastin(登録商標)、Genentech/Roche)抗VEGFモノクローナル抗体;ラムシルマブ(Cyramza(登録商標)、Eli Lilly)、抗VEGFR-2抗体およびziv-アフリベルセプト(VEGF Trap(Zaltrap(登録商標);Regeneron/Sanofi)としても知られる)。VEGFR阻害剤、例えばレゴラフェニブ(Stivarga(登録商標)、Bayer);バンデタニブ(Caprelsa(登録商標)、AstraZeneca);アキシチニブ(Inlyta(登録商標)、Pfizer);およびレンバチニブ(Lenvima(登録商標)、Eisai);ソラフェニブ(Nexavar(登録商標)、Bayer AGおよびOnyx)などのRaf阻害剤;ダブラフェニブ(Tafinlar(登録商標)、Novartis);およびベムラフェニブ(Zelboraf(登録商標)、Genentech/Roche);コビメタニブ(Cotellic(登録商標)、Exelexis/Genentech/Roche)、セルメチニブ(Koselugo(商標))、ビニメチニブ、トラメチニブ、ミラメチニブ(PD-325901)またはTAK-733などのMEK阻害剤;トラメチニブ(Mekinist(登録商標)、Novartis);Bcr-Ablチロシンキナーゼ阻害剤、例えばイマチニブ(Gleevec(登録商標)、Novartis);ニロチニブ(Tasigna(登録商標)、Novartis);ダサチニブ(Sprycel(登録商標)、BristolMyersSquibb);ボスチニブ(Bosulif(登録商標)、Pfizer);およびポナチニブ(Inclusig(登録商標)、Ariad Pharmaceuticals);Her2およびEGFR阻害剤、例えばゲフィチニブ(Iressa(登録商標)、AstraZeneca);エルロチニブ(Tarceeva(登録商標)、Genentech/Roche/Astellas);ラパチニブ(Tykerb(登録商標)、Novartis);アファチニブ(Gilotrif(登録商標)、Boehringer Ingelheim);オシメルチニブ(活性化EGFRを標的化、Tagrisso(登録商標)、AstraZeneca);およびブリガチニブ(Alunbrig(登録商標)、Ariad Pharmaceuticals);c-MetおよびVEGFR2阻害剤、例えばカボザニチブ(Cometriq(登録商標)、Exelexis);およびマルチキナーゼ阻害剤、例えばスニチニブ(Sutent(登録商標)、Pfizer);パゾパニブ(Votrient(登録商標)、Novartis);クリゾチニブ(Xalkori(登録商標)、Pfizer)などのALK阻害剤;セリチニブ(Zykadia(登録商標)、Novartis);およびアレクチニブ(Alecenza(登録商標)、Genentech/Roche);イブルチニブ(Imbruvica(登録商標)、Pharmacyclics/Janssen)などのブルトン型チロシンキナーゼ阻害剤;およびFlt3受容体阻害剤、例えばミドスタウリン(Rydapt(登録商標)、Novartis)。
【0195】
いくつかの実施形態において、本発明は、固形がんを処置する方法であって、それを必要とする患者に、提供されるMDM2分解剤または薬学的に受容可能なその塩およびMEK阻害剤(例えば、セルメチニブ)を投与することを含む方法を提供する。
【0196】
いくつかの実施形態では、本発明は、固形がんまたは血液悪性疾患の処置を必要とする患者の固形がんまたは血液悪性疾患を処置する方法であって、治療有効量のMDM2分解剤または薬学的に受容可能なその塩およびFlt3阻害剤(例えば、ミドスタウリン)を投与することを含む方法を提供する。
【0197】
開発中であり、本発明において使用され得る他のキナーゼ阻害剤およびVEGF-Rアンタゴニストは、チボザニブ(Aveo Pharmaecuticals);バタラニブ(Bayer/Novartis);ルシタニブ(Clovis Oncology);ドビチニブ(TKI258、Novartis);キアウアニブ(chiauanib)(Chipscreen Biosciences);CEP-11981(Cephalon);リニファニブ(Abbott Laboratories);ネラチニブ(HKI-272、Puma Biotechnology);ラドチニブ(Supect(登録商標)、IY5511、Il-Yang Pharmaceuticals、S.Korea);ルキソリチニブ(Jakafi(登録商標)、Incyte Corporation);PTC299(PTC Therapeutics);CP-547,632(Pfizer);フォレチニブ(Exelexis、GlaxoSmithKline);キザルチニブ(Daiichi Sankyo)およびモテサニブ(Amgen/Takeda)を含む。
【0198】
別の実施形態では、本発明は、疾患を処置するかまたはその重症度を低下させる方法であって、それを必要とする患者に提供されるMDM2分解剤または薬学的に受容可能なその塩およびBTK阻害剤を投与することを含み、疾患が、B細胞増殖性障害、例えば、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、慢性リンパ球性リンパ腫、慢性リンパ球性白血病、急性リンパ球性白血病、B細胞前リンパ球性白血病、リンパ形質細胞性リンパ腫/ワルデンストロームマクログロブリン血症、脾臓辺縁層リンパ腫、多発性骨髄腫(形質細胞骨髄腫としても公知)、非ホジキンリンパ腫、ホジキンリンパ腫、形質細胞腫、節外性辺縁層B細胞リンパ腫、結節性辺縁層B細胞リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、縦隔(胸腺)大細胞型B細胞リンパ腫、血管内大細胞型B細胞リンパ腫、原発性滲出性リンパ腫、バーキットリンパ腫/白血病、またはリンパ腫様肉芽腫症から選択される方法を提供する。
【0199】
別の実施形態では、本発明は、疾患を処置するかまたはその重症度を低下させる方法であって、それを必要とする患者に、提供されるMDM2分解剤または薬学的に受容可能なその塩およびPI3K阻害剤を投与することを含み、疾患が、リンパ腫(例えば、非ホジキンリンパ腫(NHL)およびホジキンリンパ腫(ホジキンまたはホジキン病とも呼ばれる)を含む)から選択される、方法を提供する。
【0200】
いくつかの実施形態では、1またはそれを超える他の治療剤は、イデラリシブ(Zydelig(登録商標)、Gilead)、アルペリシブ(BYL719、Novartis)、タセリシブ(GDC-0032、Genentech/Roche)から選択されるホスファチジルイノシトール3キナーゼ(PI3K)阻害剤;ピクチリシブ(GDC-0941、Genentech/Roche);コパンリシブ(BAY806946、Bayer);デュベリシブ(以前はIPI-145、Infinity Pharmaceuticals);PQR309(Piqur Therapeutics、スイス);およびTGR1202(以前はRP5230、TG Therapeutics)である。
【0201】
本発明の化合物は、他の抗増殖性化合物と組み合わせて有利に使用することもできる。そのような抗増殖性化合物は、限定されないが、アロマターゼ阻害剤;抗エストロゲン剤;トポイソメラーゼI阻害剤;トポイソメラーゼII阻害剤;微小管活性化合物;アルキル化化合物;ヒストンデアセチラーゼ阻害剤;細胞分化プロセスを誘導する化合物;シクロオキシゲナーゼ阻害剤;MMP阻害剤;mTOR阻害剤;抗新生物代謝拮抗剤;プラチン化合物;タンパク質または脂質キナーゼ活性を標的化する/減少させる化合物およびさらなる抗血管新生化合物;タンパク質または脂質ホスファターゼの活性を標的化する、減少させる、または阻害する化合物;ゴナドレリンアゴニスト;抗アンドロゲン;メチオニンアミノペプチダーゼ阻害剤;マトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤;ビスホスホネート;生物学的応答修飾剤;抗増殖性抗体;ヘパラナーゼ阻害剤;Ras発がん性アイソフォームの阻害剤;テロメラーゼ阻害剤;プロテアソーム阻害剤;血液悪性疾患の処置に使用される化合物;Flt-3の活性を標的化する、減少させるまたは阻害する化合物(例えば、スニチニブ、レスタウルチニブ、タンデュチニブ、クレノラニブ、ギルテリチニブ、ミドスタウリン、キザルチニブおよびソラフェニブ、FLX925およびG-749);Conforma Therapeutics製の17-AAG(17-アリルアミノゲルダナマイシン、NSC330507)、17-DMAG(17-ジメチルアミノエチルアミノ-17-デメトキシゲルダナマイシン、NSC707545)、IPI-504、CNF1010、CNF2024、CNF1010などのHsp90阻害剤;テモゾロミド(Temodal(登録商標));GlaxoSmithKline製のSB715992もしくはSB743921、またはCombinatoRx製のペンタミジン/クロルプロマジンなどのキネシンスピンドルタンパク質阻害剤;MEK阻害剤、例えば、Array BioPharma製のARRY142886、AstraZeneca製のAZD6244、Pfizer製のPD181461およびロイコボリンを含む。
【0202】
本明細書で使用される「アロマターゼ阻害剤」という用語は、エストロゲン産生、例えば基質であるアンドロステンジオンおよびテストステロンのそれぞれエストロンおよびエストラジオールへの変換を阻害する化合物に関する。この用語は、ステロイド、特にアタメスタン、エキセメスタンおよびフォルメスタン、ならびに特に非ステロイド、特にアミノグルテチミド、ログレチミド、ピリドグルテチミド、トリロスタン、テストラクトン、ケトコナゾール、ボロゾール、ファドロゾール、アナストロゾールおよびレトロゾールを含むが、これらに限定されない。エキセメスタンは、Aromasin(商標)の商品名で市販されている。フォルメスタンは、Lentaron(商標)の商品名で市販されている。ファドロゾールは、Afema(商標)の商品名で市販されている。アナストロゾールは、Arimidex(商標)の商品名で市販されている。レトロゾールは、Femara(商標)またはFemar(商標)の商品名で市販されている。アミノグルテチミドは、Orimeten(商標)の商品名で市販されている。アロマターゼ阻害剤である化学療法剤を含む本発明の組み合わせは、乳房腫瘍などのホルモン受容体陽性腫瘍の処置に特に有用である。
【0203】
いくつかの実施形態において、1つまたはそれより多くの他の治療剤はmTOR阻害剤であり、これは、細胞増殖、血管新生およびグルコース取り込みを阻害する。いくつかの実施形態において、mTOR阻害剤は、エベロリムス(Afinitor(登録商標)、Novartis);テムシロリムス(temsirolimus)(Torisel(登録商標)、Pfizer);およびシロリムス(Rapamune(登録商標)、Pfizer)である。
【0204】
いくつかの実施形態において、1つまたはそれより多くの他の治療剤はアロマターゼ阻害剤である。いくつかの実施形態において、アロマターゼ阻害剤は、エキセメスタン(Aromasin(登録商標)、Pfizer);アナスタゾール(anastazole)(Arimidex(登録商標)、AstraZeneca)およびレトロゾール(Femara(登録商標)、Novartis)から選択される。
【0205】
「抗エストロゲン」という用語は、本明細書において使用する場合、エストロゲンの効果をエストロゲン受容体レベルで拮抗する化合物に関する。この用語は、これらに限定されないが、タモキシフェン、フルベストラント、ラロキシフェンおよびラロキシフェン塩酸塩を含む。タモキシフェンは、商品名Nolvadex(商標)のもとで市販されている。ラロキシフェン塩酸塩は、商品名Evista(商標)のもとで市販されている。フルベストラントは、商品名Faslodex(商標)のもとで投与することができる。抗エストロゲンである化学療法剤を含む本発明の組み合わせは、エストロゲン受容体陽性腫瘍、例えば、乳房腫瘍の処置のために特に有用である。
【0206】
「抗アンドロゲン」という用語は、本明細書において使用する場合、アンドロゲンの生物学的効果を阻害することが可能な任意の物質に関し、これらに限定されないが、ビカルタミド(Casodex(商標))を含む。「ゴナドレリンアゴニスト」という用語は、本明細書において使用する場合、これらに限定されないが、アバレリクス、ゴセレリンおよび酢酸ゴセレリンを含む。ゴセレリンは、商品名Zoladex(商標)のもとで投与することができる。
【0207】
「トポイソメラーゼI阻害剤」という用語は、本明細書において使用する場合、これらに限定されないが、トポテカン、ギマテカン、イリノテカン、カンプトテシン(camptothecian)およびそのアナログ、9-ニトロカンプトテシンならびに高分子カンプトテシンコンジュゲートPNU-166148を含む。イリノテカンは、例えば、Camptosar(商標)の商標のもとで、例えば、市販されている形態で、投与することができる。トポテカンは、商品名Hycamptin(商標)のもとで市販されている。
【0208】
「トポイソメラーゼII阻害剤」という用語は、本明細書において使用する場合、これらに限定されないが、アントラサイクリン(例えば、ドキソルビシン(Caelyx(商標)などのリポソーム製剤を含む)、ダウノルビシン、エピルビシン、イダルビシンおよびネモルビシン、アントラキノンであるミトキサントロンおよびロソキサントロン、ならびにポドフィロトキシンであるエトポシドおよびテニポシドを含む。エトポシドは、商品名Etopophos(商標)のもとで市販されている。テニポシドは、商品名VM 26-Bristolのもとで市販されている。ドキソルビシンは、商品名Acriblastin(商標)またはAdriamycin(商標)のもとで市販されている。エピルビシンは、商品名Farmorubicin(商標)のもとで市販されている。イダルビシンは、商品名Zavedos(商標)のもとで市販されている。ミトキサントロンは、商品名Novantronのもとで市販されている。
【0209】
「微小管活性剤」という用語は、微小管安定化化合物、微小管不安定化化合物およびミクロチューブリン(microtublin)重合阻害剤に関し、これらに限定されないが、タキサン類、例えば、パクリタキセルおよびドセタキセル;ビンカアルカロイド類、例えば、ビンブラスチンまたは硫酸ビンブラスチン、ビンクリスチンまたは硫酸ビンクリスチン、およびビノレルビン;ディスコデルモリド;コルヒチン(cochicine)およびエポチロンならびにこれらの誘導体を含む。パクリタキセルは、商品名Taxol(商標)のもとで市販されている。ドセタキセルは、商品名Taxotere(商標)のもとで市販されている。硫酸ビンブラスチンは、商品名Vinblastin R.P(商標)のもとで市販されている。硫酸ビンクリスチンは、商品名Farmistin(商標)のもとで市販されている。
【0210】
「アルキル化剤」という用語は、本明細書において使用する場合、これらに限定されないが、シクロホスファミド、イホスファミド、メルファランまたはニトロソ尿素(BCNUまたはGliadel)を含む。シクロホスファミドは、商品名Cyclostin(商標)のもとで市販されている。イホスファミドは、商品名Holoxan(商標)のもとで市販されている。
【0211】
「ヒストンデアセチラーゼ阻害剤」または「HDAC阻害剤」という用語は、ヒストンデアセチラーゼを阻害し、抗増殖活性を有する化合物に関する。これには、これらに限定されないが、スベロイルアニリドヒドロキサム酸(SAHA)が挙げられる。
【0212】
「抗腫瘍性代謝拮抗物質」という用語は、これらに限定されないが、5-フルオロウラシルすなわち5-FU、カペシタビン、ゲムシタビン、DNA脱メチル化合物(例えば、5-アザシチジンおよびデシタビン)、メトトレキサートおよびエダトレキサート、ならびに葉酸アンタゴニスト(例えば、ペメトレキセド)を含む。カペシタビンは、商品名Xeloda(商標)のもとで市販されている。ゲムシタビンは、商品名Gemzar(商標)のもとで市販されている。
【0213】
「プラチン化合物」という用語は、本明細書において使用する場合、これらに限定されないが、カルボプラチン、シスプラチン、シスプラチナムおよびオキサリプラチンを含む。カルボプラチンは、例えば、Carboplat(商標)の商標のもとで、例えば、市販されている形態で投与することができる。オキサリプラチンは、例えば、Eloxatin(商標)の商標のもとで、例えば、市販されている形態で投与することができる。
【0214】
本明細書で使用される「Bcl-2阻害剤」という用語は、限定されないがABT-199、ABT-731、ABT-737、アポゴシポール、Ascentaの汎Bcl-2阻害剤、クルクミン(およびそのアナログ)、二重Bcl-2/Bcl-xL阻害剤(Infinity Pharmaceuticals/Novartis Pharmaceuticals)、Genasense(G3139)、HA14-1(およびそのアナログ;WO2008/118802,US2010/0197686を参照)、ナビトクラックス(およびそのアナログ、US7,390,799参照)、NH-1(Shenayng Pharmaceutical University)、オバトクラックス(およびそのアナログ、WO2004/106328,US2005/0014802参照)、S-001(Gloria Pharmaceuticals)、TWシリーズ化合物(ミシガン大学)、およびベネトクラックスを含む、B細胞リンパ腫2タンパク質(Bcl-2)に対する阻害活性を有する化合物を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、Bcl-2阻害剤は小分子治療薬である。いくつかの実施形態では、Bcl-2阻害剤はペプチド模倣物である。
【0215】
「プロテインキナーゼもしくは脂質キナーゼの活性を標的化する/低下させる化合物;またはプロテインホスファターゼもしくは脂質ホスファターゼの活性を標的化する/低下させる化合物;またはさらなる抗血管形成化合物」という用語は、本明細書において使用する場合、これらに限定されないが、プロテインチロシンキナーゼならびに/またはセリンおよび/もしくはトレオニンキナーゼ阻害剤、あるいは脂質キナーゼ阻害剤、例えば、a)血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)の活性を標的化する、低下させるまたは阻害する化合物(例えば、PDGFRの活性を標的化する、低下させるまたは阻害する化合物、特に、PDGF受容体を阻害する化合物、例えば、N-フェニル-2-ピリミジン-アミン誘導体、例えば、イマチニブ、SU101、SU6668およびGFB-111);b)線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)の活性を標的化する、低下させるまたは阻害する化合物;c)インスリン様増殖因子受容体I(IGF-IR)の活性を標的化する、低下させるまたは阻害する化合物(例えば、IGF-IRの活性を標的化する、低下させるまたは阻害する化合物、特に、IGF-I受容体のキナーゼ活性を阻害する化合物、またはIGF-I受容体もしくはその増殖因子の細胞外ドメインを標的化する抗体);d)Trk受容体型チロシンキナーゼファミリーの活性を標的化する、低下させるもしくは阻害する化合物、またはエフリンB4阻害剤;e)AxI受容体型チロシンキナーゼファミリーの活性を標的化する、低下させるまたは阻害する化合物;f)Ret受容体型チロシンキナーゼの活性を標的化する、低下させるまたは阻害する化合物;g)Kit/SCFR受容体型チロシンキナーゼの活性を標的化する、低下させるまたは阻害する化合物、例えば、イマチニブ;h)PDGFRファミリーの一部である、C-kit受容体型チロシンキナーゼの活性を標的化する、低下させるまたは阻害する化合物(例えば、c-Kit受容体型チロシンキナーゼファミリーの活性を標的化する、低下させるまたは阻害する化合物、特に、c-Kit受容体を阻害する化合物、例えば、イマチニブ);i)c-Ablファミリーのメンバー、それらの遺伝子融合産物(例えば、BCR-Ablキナーゼ)および変異体の活性を標的化する、低下させるまたは阻害する化合物(例えば、c-Ablファミリーメンバーおよびそれらの遺伝子融合産物の活性を標的化する、低下させるまたは阻害する化合物、例えば、N-フェニル-2-ピリミジン-アミン誘導体、例えば、イマチニブまたはニロチニブ(AMN107);PD180970;AG957;NSC 680410;PD173955(ParkeDavis製);またはダサチニブ(BMS-354825));j)セリン/トレオニンキナーゼのプロテインキナーゼC(PKC)およびRafファミリーのメンバー、MEK、SRC、JAK/汎JAK、FAK、PDK1、PKB/Akt、Ras/MAPK、PI3K、SYK、TYK2、BTKおよびTECファミリーのメンバー、ならびに/またはサイクリン依存性キナーゼファミリー(CDK)のメンバーの活性を標的化する、低下させるまたは阻害する化合物(スタウロスポリン誘導体、例えば、ミドスタウリンを含む)であり;さらなる化合物の例として、UCN-01、サフィンゴール、BAY 43-9006、ブリオスタチン1、ペリホシン;イルモホシン(llmofosine);RO 318220およびRO 320432;GO 6976;lsis 3521;LY333531/LY379196;イソキノリン(isochinoline)化合物;FTI;PD184352またはQAN697(P13K阻害剤)またはAT7519(CDK阻害剤)が挙げられる;k)プロテイン-チロシンキナーゼ阻害剤の活性を標的化する、低下させるまたは阻害する化合物であり、例えば、プロテイン-チロシンキナーゼ阻害剤の活性を標的化する、低下させるまたは阻害する化合物は、メシル酸イマチニブ(Gleevec(商標))またはチルホスチン(例えば、チルホスチンA23/RG-50810;AG 99;チルホスチンAG 213;チルホスチンAG 1748;チルホスチンAG 490;チルホスチンB44;チルホスチンB44(+)鏡像異性体;チルホスチンAG 555;AG 494;チルホスチンAG 556、AG957)およびアダホスチン(4-{[(2,5-ジヒドロキシフェニル)メチル]アミノ}-安息香酸アダマンチルエステル;NSC 680410、アダホスチン)を含む;l)受容体型チロシンキナーゼの上皮増殖因子ファミリー(ホモ二量体またはヘテロ二量体としての、EGFR1 ErbB2、ErbB3、ErbB4)およびそれらの変異体の活性を標的化する、低下させるまたは阻害する化合物であり、例えば、上皮増殖因子受容体ファミリーの活性を標的化する、低下させるまたは阻害する化合物は、特に、EGF受容体型チロシンキナーゼファミリー、例えば、EGF受容体、ErbB2、ErbB3およびErbB4のメンバーを阻害するか、またはEGFもしくはEGF関連リガンドに結合する化合物、タンパク質または抗体(例えば、CP 358774、ZD 1839、ZM 105180;トラスツズマブ(Herceptin(商標))、セツキシマブ(Erbitux(商標))、Iressa、Tarceva、OSI-774、Cl-1033、EKB-569、GW-2016、E1.1、E2.4、E2.5、E6.2、E6.4、E2.11、E6.3もしくはE7.6.3、および7H-ピロロ-[2,3-d]ピリミジン誘導体)であり;m)c-Met受容体の活性を標的化する、低下させるまたは阻害する化合物、例えば、c-Metの活性を標的化する、低下させるまたは阻害する化合物、特に、c-Met受容体のキナーゼ活性を阻害する化合物、またはc-Metの細胞外ドメインを標的化するもしくはHGFに結合する抗体、n)1種または複数のJAKファミリーメンバー(JAK1/JAK2/JAK3/TYK2および/または汎JAK)のキナーゼ活性を標的化する、低下させるまたは阻害する化合物(これらに限定されないが、PRT-062070、SB-1578、バリシチニブ、パクリチニブ、モメロチニブ、VX-509、AZD-1480、TG-101348、トファシチニブ、およびルキソリチニブを含む);o)PI3キナーゼ(PI3K)のキナーゼ活性を標的化する、低下させるまたは阻害する化合物(これらに限定されないが、ATU-027、SF-1126、DS-7423、PBI-05204、GSK-2126458、ZSTK-474、ブパルリシブ、ピクトレリシブ、PF-4691502、BYL-719、ダクトリシブ、XL-147、XL-765、およびイデラリシブを含む);ならびにq)ヘッジホッグタンパク質(Hh)またはスムーズンド受容体(SMO)経路のシグナル伝達効果を標的化する、低下させるまたは阻害する化合物(これらに限定されないが、シクロパミン、ビスモデギブ、イトラコナゾール、エリスモデギブ、およびIPI-926(サリデギブ)を含む)を含む。
【0216】
プロテインホスファターゼまたは脂質ホスファターゼの活性を標的化する、低下させるまたは阻害する化合物は、例えば、ホスファターゼ1の阻害剤、ホスファターゼ2Aの阻害剤、またはCDC25の阻害剤(例えば、オカダ酸またはその誘導体)である。
【0217】
いくつかの実施形態において、1つまたはそれより多くの他の治療剤は、血小板由来成長因子(PDGF)、または上皮成長因子(EGF)もしくはその受容体(EGFR)のアンタゴニストなどの成長因子アンタゴニストである。本発明において使用することができる承認を受けたPDGFアンタゴニストには、オララツマブ(Lartruvo(登録商標);Eli Lilly)が含まれる。本発明において使用することができる承認を受けたEGFRアンタゴニストには、セツキシマブ(Erbitux(登録商標)、Eli Lilly);ネシツムマブ(Portrazza(登録商標)、Eli Lilly)、パニツムマブ(Vectibix(登録商標)、Amgen);およびオシメルチニブ(活性化EGFRを標的とする、Tagrisso(登録商標)、AstraZeneca)が含まれる。
【0218】
「PI3K阻害剤」という用語は、本明細書において使用する場合、これらに限定されないが、ホスファチジルイノシトール-3-キナーゼファミリーの1種または複数の酵素(これらに限定されないが、PI3Kα、PI3Kγ、PI3Kδ、PI3Kβ、PI3K-C2α、PI3K-C2β、PI3K-C2γ、Vps34、p110-α、p110-β、p110-γ、p110-δ、p85-α、p85-β、p55-γ、p150、p101、およびp87を含む)に対する阻害活性を有する化合物を含む。この発明において有用なPI3K阻害剤の例として、これらに限定されないが、ATU-027、SF-1126、DS-7423、PBI-05204、GSK-2126458、ZSTK-474、ブパルリシブ、ピクトレリシブ、PF-4691502、BYL-719、ダクトリシブ、XL-147、XL-765、およびイデラリシブが挙げられる。
【0219】
「BTK阻害剤」という用語は、本明細書において使用する場合、これらに限定されないが、ブルトンチロシンキナーゼ(BTK)に対する阻害活性を有する化合物(これらに限定されないが、AVL-292およびイブルチニブを含む)を含む。
【0220】
「SYK阻害剤」という用語は、本明細書において使用する場合、これらに限定されないが、脾臓チロシンキナーゼ(SYK)に対する阻害活性を有する化合物(これらに限定されないが、PRT-062070、R-343、R-333、エキセライア(Excellair)、PRT-062607、およびフォスタマチニブを含む)を含む。
【0221】
さらなる抗血管形成化合物として、その活性について別の機序、例えば、プロテインキナーゼ阻害または脂質キナーゼ阻害に関連しない機序を有する化合物、例えば、サリドマイド(Thalomid(商標))およびTNP-470が挙げられる。
【0222】
本発明の化合物との組み合わせにおいて使用するために有用なプロテアソーム阻害剤の例として、これらに限定されないが、ボルテゾミブ、ジスルフィラム、エピガロカテキン-3-ガレート(EGCG)、サリノスポラミドA、カルフィルゾミブ、ONX-0912、CEP-18770、およびMLN9708が挙げられる。
【0223】
プロテインホスファターゼまたは脂質ホスファターゼの活性を標的化する、低下させるまたは阻害する化合物は、例えば、ホスファターゼ1の阻害剤、ホスファターゼ2Aの阻害剤、またはCDC25の阻害剤(例えば、オカダ酸またはその誘導体)である。
【0224】
細胞分化プロセスを誘発する化合物として、これらに限定されないが、レチノイン酸、α-トコフェロール、γ-トコフェロールもしくはδ-トコフェロール、またはα-トコトリエノール、γ-トコトリエノールもしくはδ-トコトリエノールが挙げられる。
【0225】
シクロオキシゲナーゼ阻害剤という用語は、本明細書において使用する場合、これらに限定されないが、Cox-2阻害剤、5-アルキル置換2-アリールアミノフェニル酢酸および誘導体、例えば、セレコキシブ(Celebrex(商標))、ロフェコキシブ(Vioxx(商標)、エトリコキシブ、バルデコキシブ、または5-アルキル-2-アリールアミノフェニル酢酸、例えば、5-メチル-2-(2’-クロロ-6’-フルオロアニリノ)フェニル酢酸、ルミラコキシブを含む。
【0226】
「mTOR阻害剤」という用語は、哺乳動物ラパマイシン標的(mTOR)を阻害する、シロリムス(Rapamune(登録商標))、エベロリムス(Certican(商標))、CCI-779およびABT578などの抗増殖活性を有する化合物に関する。
【0227】
「ヘパラナーゼ阻害剤」という用語は、本明細書において使用する場合、硫酸ヘパリン分解を標的化する、低下させるまたは阻害する化合物を指す。この用語は、これらに限定されないが、PI-88を含む。「生体応答修飾物質」という用語は、本明細書において使用する場合、リンホカインまたはインターフェロンを指す。
【0228】
「Ras発がん性アイソフォームの阻害剤」(例えば、H-Ras、K-Ras、またはN-Ras)という用語は、本明細書において使用する場合、Rasの発がん性活性を標的化する、低下させるまたは阻害する化合物;例えば、L-744832、DK8G557またはR115777(Zarnestra(商標))などの「ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤」を指す。「テロメラーゼ阻害剤」という用語は、本明細書において使用する場合、テロメラーゼの活性を標的化する、低下させるまたは阻害する化合物を指す。テロメラーゼの活性を標的化する、低下させるまたは阻害する化合物は、特に、テロメラーゼ受容体を阻害する化合物、例えば、テロメスタチンである。
【0229】
「プロテアソーム阻害剤」という用語は、本明細書において使用する場合、プロテアソームの活性を標的化する、低下させるまたは阻害する化合物を指す。プロテアソームの活性を標的化する、低下させるまたは阻害する化合物として、これらに限定されないが、ボルテゾミブ(Velcade(商標)),);カルフィルゾミブ(Kyprolis(登録商標)、Amgen);およびイキサゾミブ(Ninlaro(登録商標)、武田)、およびMLN 341が挙げられる。
【0230】
「マトリクスメタロプロテイナーゼ阻害剤」または(「MMP」阻害剤)という用語は、本明細書において使用する場合、これらに限定されないが、コラーゲンペプチド模倣物および非ペプチド模倣物阻害剤、テトラサイクリン誘導体(例えば、ヒドロキサメートペプチド模倣物阻害剤であるバチマスタットおよびその経口で生体利用可能なアナログであるマリマスタット(BB-2516)、プリノマスタット(AG3340)、メタスタット(NSC 683551)BMS-279251、BAY 12-9566、TAA211、MMI270BまたはAAJ996)を含む。
【0231】
「血液学的悪性疾患の処置において使用される化合物」という用語は、本明細書において使用する場合、これらに限定されないが、FMS様チロシンキナーゼ受容体(Flt-3R)の活性を標的化する、低下させるまたは阻害する化合物であるFMS様チロシンキナーゼ阻害剤;インターフェロン、1-β-D-アラビノフラノシルシトシン(arabinofuransylcytosine)(ara-c)およびブスルファン(bisulfan);ならびに未分化リンパ腫キナーゼを標的化する、低下させるまたは阻害する化合物であるALK阻害剤を含む。
【0232】
FMS様チロシンキナーゼ受容体(Flt-3R)の活性を標的化する、低下させるまたは阻害する化合物は、特に、Flt-3R受容体型キナーゼファミリーのメンバーを阻害する化合物、タンパク質または抗体、例えば、PKC412、ミドスタウリン、スタウロスポリン誘導体、SU11248およびMLN518である。
【0233】
「HSP90阻害剤」という用語は、本明細書において使用する場合、これらに限定されないが、HSP90の内因性ATPase活性を標的化する、低下させるまたは阻害する化合物;ユビキチンプロテオソーム経路を介してHSP90クライアントタンパク質を分解する、標的化する、低下させるまたは阻害する化合物を含む。HSP90の内因性ATPase活性を標的化する、低下させるまたは阻害する化合物は、特に、HSP90のATPase活性を阻害する化合物、タンパク質または抗体、例えば、17-アリルアミノ,17-脱メトキシゲルダナマイシン(17AAG)、ゲルダナマイシン誘導体;他のゲルダナマイシン関連化合物;ラディシコールおよびHDAC阻害剤である。
【0234】
「抗増殖性抗体」という用語は、本明細書において使用する場合、これらに限定されないが、トラスツズマブ(Herceptin(商標))、トラスツズマブ-DM1、アービタックス(erbitux)、ベバシズマブ(Avastin(商標))、リツキシマブ(Rituxan(登録商標))、PRO64553(抗CD40)および2C4抗体を含む。抗体とは、インタクトなモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、少なくとも2つのインタクトな抗体から形成された多重特異性抗体、および所望の生体活性を示す限り、抗体断片を意味する。
【0235】
EDG結合剤およびリボヌクレオチドレダクターゼ阻害剤もまた含まれる。「EDG結合剤」という用語は、本明細書において使用する場合、リンパ球再循環をモジュレートする免疫抑制薬のクラス、例えば、FTY720を指す。「リボヌクレオチドレダクターゼ阻害剤」という用語は、これらに限定されないが、フルダラビンおよび/またはシトシンアラビノシド(ara-C)、6-チオグアニン、5-フルオロウラシル、クラドリビン、6-メルカプトプリン(特に、ALLに対してara-Cと組み合わせて)および/またはペントスタチンを含むピリミジンヌクレオシドアナログまたはプリンヌクレオシドアナログを指す。リボヌクレオチドレダクターゼ阻害剤は、特に、ヒドロキシ尿素または2-ヒドロキシ-1H-イソインドール-1,3-ジオン誘導体である。
【0236】
特に、1-(4-クロロアニリノ)-4-(4-ピリジルメチル)フタラジンまたは薬学的に受容可能なその塩、1-(4-クロロアニリノ)-4-(4-ピリジルメチル)フタラジンスクシネート;Angiostatin(商標);Endostatin(商標);アントラニル酸アミド;ZD4190;ZD6474;SU5416;SU6668;ベバシズマブ;または抗VEGF抗体もしくは抗VEGF受容体抗体(例えば、rhuMAbおよびRHUFab)、VEGFアプタマー(例えば、Macugon);FLT-4阻害剤、FLT-3阻害剤、VEGFR-2 IgGI抗体、Angiozyme(RPI 4610)およびベバシズマブ(Avastin(商標))などのVEGFの化合物、タンパク質またはモノクローナル抗体もまた、含まれる。
【0237】
光ダイナミック療法とは、本明細書において使用する場合、がんを処置または予防するために、光感作化合物として公知のある特定の化学物質を使用する治療を指す。光ダイナミック療法の例として、Visudyne(商標)およびポルフィマーナトリウムなどの化合物を用いる処置が挙げられる。
【0238】
血管新生抑制ステロイドとは、本明細書において使用する場合、血管新生を遮断または阻害する化合物、例えば、アネコルタブ、トリアムシノロン、ヒドロコルチゾン、11-α-エピヒドロコルチゾール、コルテキソロン、17α-ヒドロキシプロゲステロン、コルチコステロン、デスオキシコルチコステロン、テストステロン、エストロンおよびデキサメタゾンを指す。
【0239】
他の化学療法化合物として、これらに限定されないが、植物アルカロイド、ホルモン化合物およびアンタゴニスト;生体応答修飾物質、好ましくは、リンホカインまたはインターフェロン;アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチド誘導体;shRNAまたはsiRNA;あるいは多種多様な化合物または他の作用機序もしくは未知の作用機序を有する化合物が挙げられる。
【0240】
本発明の化合物と抗炎症薬物との他の有用な組み合わせは、ケモカイン受容体、例えば、CCR-1、CCR-2、CCR-3、CCR-4、CCR-5、CCR-6、CCR-7、CCR-8、CCR-9およびCCR10、CXCR1、CXCR2、CXCR3、CXCR4、CXCR5のアンタゴニスト、特に、CCR-5アンタゴニスト、例えば、Schering-PloughのアンタゴニストSC-351125、SCH-55700およびSCH-D、ならびにTakedaのアンタゴニスト、例えば、N-[[4-[[[6,7-ジヒドロ-2-(4-メチルフェニル)-5H-ベンゾ-シクロヘプテン-8-イル]カルボニル]アミノ]フェニル]-メチル]テトラヒドロ-N,N-ジメチル-2H-ピラン-4-アミニウムクロリド(TAK-770)との組み合わせである。
【0241】
コード番号、一般名または商品名により特定される活性化合物の構造は、標準的な概説書「The Merck Index」の現行の版またはデータベース(例えば、Patents International(例えば、IMS World Publications))から得られ得る。
【0242】
本発明の化合物はまた、公知の治療プロセス、例えばホルモンまたは放射線の投与と組み合わせて使用され得る。特定の実施形態では、提供されるMDM2分解剤は、特に放射線療法に対する感度が低い腫瘍の処置のために、放射線増感剤として使用される。
【0243】
本発明の化合物は、単独で投与するか、または1種もしくは複数の他の治療化合物と組み合わせて投与することができ、可能な併用療法は、一定の組み合わせの形態、または本発明の化合物と1種もしくは複数の他の治療化合物との投与が交互であるか、または互いに独立している形態、または一定の組み合わせと1種もしくは複数の他の治療化合物との組み合わせた投与の形態をとり得る。本発明の化合物は、それ以外に、またはそれに加えて、特に、腫瘍治療のために、化学療法、放射線療法、免疫療法、光線療法、外科手術介入、またはこれらの組み合わせと組み合わせて、投与することができる。上で記載されたように、他の処置ストラテジーの文脈で、補助的な治療と同様に、長期間の治療が可能である。他の可能な処置は、腫瘍退縮後の患者の状態を維持するための治療、またはさらに、例えばリスクがある患者における化学予防治療である。
【0244】
例示的な腫瘍免疫剤
いくつかの実施形態では、1またはそれを超える他の治療剤は、腫瘍免疫剤である。本明細書で使用される場合、「腫瘍免疫剤」という用語は、被験体において免疫応答を増強する、刺激する、および/または上方調節するのに有効な薬剤を指す。いくつかの実施形態では、腫瘍免疫剤と本発明の化合物の投与は、固形がんまたは血液悪性疾患の処置において相乗効果を有する。
【0245】
腫瘍免疫剤は、例えば、低分子薬物、抗体、または生物学的もしくは低分子であり得る。生物学的腫瘍免疫剤の例としては、がんワクチン、抗体、およびサイトカインが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、抗体は、モノクローナル抗体である。いくつかの実施形態において、モノクローナル抗体は、ヒト化抗体またはヒト抗体である。
【0246】
いくつかの実施形態において、腫瘍免疫剤は、T細胞の(i)刺激(共刺激を含む)受容体のアゴニスト、または(ii)阻害(共阻害を含む)シグナルのアンタゴニストであり、これらの両方が、抗原特異的T細胞応答の増幅をもたらす。
【0247】
刺激分子および阻害分子の特定のものは、免疫グロブリンスーパーファミリー(IgSF)のメンバーである。共刺激受容体または共阻害受容体に結合する膜結合リガンドの1つの重要なファミリーは、B7ファミリーであり、これは、B7-1、B7-2、B7-H1(PD-L1)、B7-DC(PD-L2)、B7-H2(ICOS-L)、B7-H3、B7-H4、B7-H5(VISTA)、およびB7-H6を含む。共刺激受容体または共阻害受容体に結合する膜結合リガンドの別のファミリーは、コグネイトTNF受容体ファミリーメンバーに結合する分子のTNFファミリーであり、これは、CD40およびCD40L、OX-40、OX-40L、CD70、CD27L、CD30、CD30L、4-1BBL、CD137(4-1BB)、TRAIL/Apo2-L、TRAILR1/DR4、TRAILR2/DR5、TRAILR3、TRAILR4、OPG、RANK、RANKL、TWEAKR/Fn14、TWEAK、BAFFR、EDAR、XEDAR、TACI、APRIL、BCMA、LTβR、LIGHT、DcR3、HVEM、VEGI/TL1A、TRAMP/DR3、EDAR、EDA1、XEDAR、EDA2、TNFR1、リンホトキシンα/TNFβ、TNFR2、TNFα、LTβR、リンホトキシンα1β2、FAS、FASL、RELT、DR6、TROY、NGFRを含む。
【0248】
いくつかの実施形態において、腫瘍免疫剤は、T細胞活性化を阻害するサイトカイン(例えば、IL-6、IL-10、TGF-β、VEGF、および他の免疫抑制性サイトカイン)、または免疫反応を刺激するための、T細胞活性化を刺激するサイトカインである。
【0249】
いくつかの実施形態において、本発明の化合物と腫瘍免疫剤との組み合わせ物は、T細胞応答を刺激し得る。いくつかの実施形態において、腫瘍免疫剤は、(i)T細胞活性化を阻害するタンパク質のアンタゴニスト(例えば、免疫チェックポイント阻害剤)(例えば、CTLA-4、PD-1、PD-L1、PD-L2、LAG-3、TIM-3、ガレクチン9、CEACAM-1、BTLA、CD69、ガレクチン-1、TIGIT、CD113、GPR56、VISTA、2B4、CD48、GARP、PD1H、LAIR1、TIM-1、およびTIM-4);または(ii)T細胞活性化を刺激するタンパク質のアゴニスト(例えば、B7-1、B7-2、CD28、4-1BB(CD137)、4-1BBL、ICOS、ICOS-L、OX40、OX40L、GITR、GITRL、CD70、CD27、CD40、DR3およびCD28H)である。
【0250】
いくつかの実施形態において、腫瘍免疫剤は、NK細胞の阻害受容体のアンタゴニスト、またはNK細胞の活性化受容体のアゴニストである。いくつかの実施形態において、腫瘍免疫剤は、リリルマブなどの、KIRのアンタゴニストである。
【0251】
いくつかの実施形態では、腫瘍免疫剤は、RG7155(WO2011/070024、US2011/0165156、WO2011/0107553、US2012/0329997、WO2011/131407、US2013/0005949、WO2013/087699、US2014/0336363、WO2013/119716、WO2013/132044、US2014/0079706)またはFPA-008(WO2011/140249、US2011/0274683;WO2013/169264;WO2014/036357、US2014/0079699)を含むCSF-1Rアンタゴニスト抗体などのCSF-1Rアンタゴニストを含むがこれらに限定されない、マクロファージまたは単球を阻害するまたは枯渇させる薬剤である。
【0252】
いくつかの実施形態において、腫瘍免疫剤は、正の共刺激受容体を連結するアゴニスト性剤、阻害性の受容体、アンタゴニスト、および抗腫瘍T細胞の頻度を全身的に増大させる1つまたはそれより多くの薬剤を介してシグナル伝達を減衰させる遮断剤、腫瘍微小環境内の異なる免疫抑制経路に打ち勝つ(例えば、阻害受容体の関与を遮断する(例えば、PD-L1/PD-1相互作用)、Tregsを枯渇もしくは阻害する(例えば、抗CD25モノクローナル抗体(例えば、ダクリズマブ(daclizumab))を使用して、またはエキソビボ抗CD25ビーズ枯渇により)、IDOなどの代謝酵素を阻害する、あるいはT細胞のエネルギーまたは枯渇を逆転/防止する)薬剤、ならびに先天性免疫活性化および/または炎症を腫瘍部位で誘発する薬剤から選択される。
【0253】
いくつかの実施形態において、腫瘍免疫剤は、CTLA-4アンタゴニストである。いくつかの実施形態において、CTLA-4アンタゴニストは、アンタゴニスト性CTLA-4抗体である。いくつかの実施形態において、アンタゴニスト性CTLA-4抗体は、YERVOY(イピリムマブ)またはトレメリムマブ(tremelimumab)である。
【0254】
いくつかの実施形態において、腫瘍免疫剤は、PD-1アンタゴニストである。いくつかの実施形態において、PD-1アンタゴニストは、注入により投与される。いくつかの実施形態において、腫瘍免疫剤は、プログラム細胞死-1(PD-1)受容体に特異的に結合し、そしてPD-1活性を阻害する、抗体またはその抗原結合部分である。いくつかの実施形態において、PD-1アンタゴニストは、アンタゴニスト性PD-1抗体である。いくつかの実施形態において、アンタゴニスト性PD-1抗体は、OPDIVO(ニボルマブ)、KEYTRUDA(ペムブロリズマブ)、またはMEDI-0680(AMP-514;WO2012/145493)である。いくつかの実施形態において、腫瘍免疫剤は、ピディリズマブ(pidilizumab)(CT-011)であり得る。いくつかの実施形態において、腫瘍免疫剤は、IgG1のFc部分に融合したPD-L2(B7-DC)の細胞外ドメインからなる、AMP-224と呼ばれる組換えタンパク質である。
【0255】
いくつかの実施形態では、腫瘍免疫剤は、PD-L1アンタゴニストである。いくつかの実施形態では、PD-L1アンタゴニストは、アンタゴニスト性PD-L1抗体である。いくつかの実施形態では、PD-L1抗体は、MPDL3280A(RG7446;WO2010/077634、US2010/0203056)、デュルバルマブ(MEDI4736)、BMS-936559(WO2007/005874、US2009/0055944)、およびMSB0010718C(WO2013/079174、US2014/0341917)である。
【0256】
いくつかの実施形態では、腫瘍免疫剤はLAG-3アンタゴニストである。いくつかの実施形態では、LAG-3アンタゴニストは、アンタゴニスト性LAG-3抗体である。いくつかの実施形態では、LAG3抗体は、BMS-986016(WO2010/019570、US2010/0150892、WO2014/008218、US2014/0093511)、またはIMP-731もしくはIMP-321(WO2008/132601、US2010/0233183、WO2009/044273、US2011/0008331)である。
【0257】
いくつかの実施形態では、腫瘍免疫剤は、CD137(4-1BB)アゴニストである。いくつかの実施形態では、CD137(4-1BB)アゴニストは、アゴニスト性CD137抗体である。いくつかの実施形態では、CD137抗体は、ウレルマブまたはPF-05082566(WO12/32433)である。
【0258】
いくつかの実施形態では、腫瘍免疫剤は、GITRアゴニストである。いくつかの実施形態では、GITRアゴニストは、アゴニスト性GITR抗体である。いくつかの実施形態では、GITR抗体は、BMS-986153、BMS-986156、TRX-518(WO2006/105021、US2007/0098719、WO2009/009116、US2009/0136494)、またはMK-4166(WO2011/028683、US2012/0189639)である。
【0259】
いくつかの実施形態では、腫瘍免疫剤は、インドールアミン(2,3)-ジオキシゲナーゼ(IDO)アンタゴニストである。いくつかの実施形態では、IDOアンタゴニストは、エパカドスタット(INCB024360、Incyte);インドキシモド(NLG-8189、NewLink Genetics Corporation);カプマニチニブ(INC280、Novartis);GDC-0919(Genentech/Roche);PF-06840003(Pfizer);BMS:F001287(Bristol-Myers Squibb);Phy906/KD108(Phytoceutica);キヌレニンを分解する酵素(Kynase、Kyn Therapeutics);およびNLG-919(WO2009/073620、US2011/053941、WO2009/132238、US2011/136796、WO2011/056652、US2012/277217、WO2012/142237、US2014/066625)から選択される。
【0260】
いくつかの実施形態では、腫瘍免疫剤は、OX40アゴニストである。いくつかの実施形態では、OX40アゴニストは、アゴニスト性OX40抗体である。いくつかの実施形態では、OX40抗体は、MEDI-6383またはMEDI-6469である。
【0261】
いくつかの実施形態では、腫瘍免疫剤は、OX40Lアンタゴニストである。いくつかの実施形態では、OX40Lアンタゴニストは、アンタゴニスト性OX40抗体である。いくつかの実施形態では、OX40Lアンタゴニストは、RG-7888(WO2006/029879、US7,501,496)である。
【0262】
いくつかの実施形態において、腫瘍免疫剤は、CD40アゴニストである。いくつかの実施形態において、CD40アゴニストは、アゴニスト性CD40抗体である。いくつかの実施形態において、腫瘍免疫剤は、CD40アンタゴニストである。いくつかの実施形態において、CD40アンタゴニストは、アンタゴニスト性CD40抗体である。いくつかの実施形態において、CD40抗体は、ルカツムマブ(lucatumumab)またはダセツズマブ(dacetuzumab)である。
【0263】
いくつかの実施形態において、腫瘍免疫剤は、CD27アゴニストである。いくつかの実施形態において、CD27アゴニストは、アゴニスト性CD27抗体である。いくつかの実施形態において、CD27抗体は、バーリルマブ(varlilumab)である。
【0264】
いくつかの実施形態では、腫瘍免疫剤は、MGA271(B7H3に対する)(WO2011/109400、US2013/0149236)である。
【0265】
いくつかの実施形態において、腫瘍免疫剤は、アバゴボマブ(abagovomab)、アデカツムマブ(adecatumumab)、アフツズマブ(afutuzumab)、アレムツズマブ、アナツモマブマフェナトクス(anatumomab mafenatox)、アポリズマブ(apolizumab)、アテゾリマブ(atezolimab)、アベルマブ(avelumab)、ブリナツモマブ(blinatumomab)、BMS-936559、カツマキソマブ(catumaxomab)、デュルバルマブ、エパカドスタット(epacadostat)、エプラツズマブ(epratuzumab)、インドキシモド(indoximod)、イノツズマブオゾガマイシン、インテルムマブ(intelumumab)、イピリムマブ、イサツキシマブ(isatuximab)、ランブロリズマブ(lambrolizumab)、MED14736、MPDL3280A、ニボルマブ、オビヌツズマブ(obinutuzumab)、オカラツズマブ(ocaratuzumab)、オファツムマブ、オラタツマブ(olatatumab)、ペムブロリズマブ、ピディリズマブ、リツキシマブ、チシリムマブ(ticilimumab)、サマリズマブ(samalizumab)、またはトレメリムマブである。
【0266】
いくつかの実施形態において、腫瘍免疫剤は、免疫刺激薬である。例えば、PD-1およびPD-L1阻害性軸を遮断する抗体は、活性化された腫瘍反応性T細胞を開放することができ、免疫療法に感受性があるとは従来、考えられていなかった一部の腫瘍タイプを含めた、増加している数の腫瘍組織学における永続的な抗腫瘍応答を誘発することが臨床試験において示された。例えば、Okazaki,T.et al.(2013)Nat.Immunol.14,1212-1218;Zou et al.(2016)Sci.Transl.Med.8を参照されたい。抗PD-1抗体であるニボルマブ(Opdivo(登録商標)、Bristol-Myers Squibb、ONO-4538、MDX1106およびBMS-936558としても公知)は、以前の抗血管新生治療法の間またはその後に、疾患進行を経験したRCCを有する患者における、全生存を改善させる可能性を示した。
【0267】
いくつかの実施形態において、免疫調節治療剤は、腫瘍細胞のアポトーシスを特異的に誘発する。本発明において使用することができる承認を受けている免疫調節治療剤には、ポマリドミド(Pomalyst(登録商標)、Celgene);レナリドマイド(Revlimid(登録商標)、Celgene);インゲノールメブテート(Picato(登録商標)、LEO Pharma)が含まれる。
【0268】
いくつかの実施形態において、免疫調節治療剤はがんワクチンである。いくつかの実施形態において、がんワクチンは、シプリューセル-T(Provenge(登録商標)、Dendreon/Valeant Pharmaceuticals)(無症候性または最小限の症候性転移性の去勢抵抗性(ホルモン不応性)前立腺がんの処置に承認を受けている);およびタリモジンラヘルパレプベク(Imlygic(登録商標)、BioVex/Amgen、以前はT-VECとして公知であった)(黒色腫における、切除不能な皮膚、皮下および節病巣の処置に承認を受けた、遺伝子修飾した腫瘍溶解性ウイルス治療法)から選択される。いくつかの実施形態において、腫瘍免疫剤は、肝細胞がん(NCT02562755)および黒色腫(NCT00429312)に対する、GM-CSFを発現するよう操作されているチミジンキナーゼ-(TK-)欠損ワクシニアウイルスである、ペキサスチモジンデバシレプベク(PexaVec/JX-594、SillaJen/以前のJennerex Biotherapeutics)などの腫瘍溶解性ウイルス治療法;ペラレオレップ(Reolysin(登録商標)、Oncolytics Biotech)(結腸直腸がん(NCT01622543);前立腺がん(NCT01619813)、頭頚部扁平上皮細胞がん(NCT01166542)、膵臓腺がん(NCT00998322)および非小細胞肺がん(NSCLC)(NCT00861627)を含めた多数のがんにおける、RASにより活性化されていない細胞では複製しない呼吸器腸管孤立ウイルス(レオウイルス)の変異体);卵巣がん(NCT02028117)、結腸直腸がん、膀胱がん、頭頚部扁平上皮がんおよび唾液腺がん(NCT02636036)などの転移性または進行性上皮腫瘍における、エナデノツシレブ(NG-348、PsiOxus、以前はColoAd1として公知であった)(T細胞受容体CD3タンパク質に特異的な完全長CD80および抗体断片を発現するよう操作されているアデノウイルス);黒色腫(NCT03003676)、および腹膜疾患、結腸直腸がんまたは卵巣がん(NCT02963831)における、ONCOS-102(Targovax/以前のOncos)(GM-CSFを発現するよう操作されているアデノウイルス);GL-ONC1(GLV-1h68/GLV-1h153、Genelux GmbH)(がん性腹膜炎(NCT01443260);卵管がん、卵巣がん(NCT02759588)において、それぞれ、ベータ-ガラクトシダーゼ(ベータ-gal)/ベータ-グルコロニダーゼまたはベータ-gal/ヒトナトリウムヨウ素共輸送体(hNIS)を発現するよう操作されているワクシニアウイルスが検討された);あるいは膀胱がん(NCT02365818)における、CG0070(Cold Genesys)(GM-CSFを発現するよう操作されているアデノウイルス)から選択される。
【0269】
いくつかの実施形態において、腫瘍免疫剤は、JX-929(SillaJen/以前のJennerex Biotherapeutics)(プロドラッグである5-フルオロシトシンを細胞毒性薬5-フルオロウラシルに変換することが可能な、シトシンデアミナーゼを発現するよう操作されている、TKおよびワクシニア成長因子欠損ワクシニアウイルス);TG01およびTG02(Targovax/以前のOncos)(難治性RAS変異を標的とするペプチドをベースとする免疫療法剤);およびTILT-123(TILT Biotherapeutics)(Ad5/3-E2F-デルタ24-hTNFα-IRES-hIL20と表される操作されたアデノウイルス);およびVSV-GP(ViraTherapeutics)(リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(LCMV)のグリコタンパク質(GP)を発現するよう操作されており、抗原特異的CD8+T細胞応答を向上するよう設計されている抗原を発現するようさらに操作され得る、水泡性口内炎ウイルス(VSV))から選択される。
【0270】
いくつかの実施形態において、腫瘍免疫剤は、キメラ抗原受容体すなわちCARを発現するよう操作されているT細胞である。このようなキメラ抗原受容体を発現するよう操作されているT細胞は、CAR-T細胞と呼ばれる。
【0271】
結合ドメインからなるCARが構築され、このドメインは、細胞表面抗原に特異的なモノクローナル抗体から誘導される、天然リガンドである一本鎖可変断片(scFv)であって、Tリンパ球において活性化シグナルを生じることが可能な、TCRに由来するCD3-ゼータシグナル伝達ドメインなどの、T細胞受容体(TCR)の機能端部であるエンドドメインに融合している、一本鎖可変断片(scFv)から誘導され得る。抗原に結合すると、このようなCARは、エフェクター細胞における内因性シグナル伝達経路にリンクし、TCR複合体により開始されるものと類似の活性シグナルを生じる。
【0272】
例えば、いくつかの実施形態では、CAR-T細胞は、T細胞抗原受容体複合体ゼータ鎖(例えば、CD3ゼータ)の細胞内シグナル伝達ドメインに融合された抗原結合ドメイン(例えば、CD19に結合するドメイン)を有する細胞外ドメインを含むように操作されたCAR-T細胞を開示するUS8,906,682(その各々の全体が参照によって本明細書に組み込まれる)に記載されるもののうちの1つである。CARは、T細胞において発現する場合、抗原結合特異性に基づいて、抗原認識を再指示する(redirect)ことができる。CD19の場合、抗原は悪性B細胞上に発現される。200を超える臨床試験が、現在、幅広い範囲の適応症において、CAR-Tを使用して進行中である。[https://clinicaltrials.gov/ct2/results?term=chimeric+antigen+receptors&pg=1]。
【0273】
いくつかの実施形態において、免疫刺激剤は、レチノイン酸受容体関連オーファン受容体γ(RORγt)のアクチベーターである。RORγtは、CD4+(Th17)およびCD8+(Tc17)T細胞のタイプ17エフェクターサブセットの分化および維持、ならびにNK細胞などの、IL-17を発現する自然免疫細胞部分集合の分化において、重要な役割を有する転写因子である。いくつかの実施形態において、のアクチベーターは、固形腫瘍(NCT02929862)の処置に関する臨床試験において現在評価されているLYC-55716(Lycera)である。
【0274】
いくつかの実施形態において、免疫刺激剤は、toll様受容体(TLR)のアゴニストまたはアクチベーターである。TLRの好適なアクチベーターは、SD-101(Dynavax)などのTLR9のアゴニストまたはアクチベーターを含む。SD-101は、濾胞性B細胞および他のリンパ腫(NCT02254772)に関して現在、検討されている免疫刺激性CpGである。本発明において使用することができるTLR8のアゴニストまたはアクチベーターには、頭頚部の扁平上皮細胞がん(NCT02124850)および卵巣がん(NCT02431559)に関して、現在、検討中のモトリモド(VTX-2337、VentiRx Pharmaceuticals)が含まれる。
【0275】
本発明において使用され得る他の腫瘍免疫剤としては、ウレルマブ(BMS-663513、Bristol-Myers Squibb)、抗CD137モノクローナル抗体;バーリルマブ(CDX-1127、Celldex Therapeutics)、抗CD27モノクローナル抗体;BMS-986178(Bristol-Myers Squibb)、抗OX40モノクローナル抗体;リリルマブ(IPH2102/BMS-986015、Innate Pharma、Bristol-Myers Squibb)、抗KIRモノクローナル抗体;モナリズマブ(monalizumab)(IPH2201、Innate Pharma、AstraZeneca)抗NKG2Aモノクローナル抗体;アンデカリキシマブ(andecaliximab)(GS-5745、Gilead Sciences)、抗MMP9抗体;MK-4166(Merck & Co.)、抗GITRモノクローナル抗体が挙げられる。
【0276】
いくつかの実施形態において、免疫刺激剤は、エロツズマブ、ミファムルチド、toll様受容体のアゴニストまたはアクチベーター、およびRORγtのアクチベーターから選択される。
【0277】
いくつかの実施形態において、免疫刺激治療剤は、組換えヒトインターロイキン15(rhIL-15)である。rhIL-15は、診療所において、黒色腫および腎細胞がん(NCT01021059およびNCT01369888)、ならびに白血病(NCT02689453)に対する治療剤として、試験されている。いくつかの実施形態において、免疫刺激剤は、組換えヒトインターロイキン12(rhIL-12)である。いくつかの実施形態において、IL-15ベースの免疫治療剤は、ヘテロ二量体IL-15(hetIL-15、Novartis/Admune)であり、これは、可溶性IL-15結合タンパク質IL-15受容体α鎖に複合体化した、内因性IL-15の合成形態からなる融合複合体(IL15:sIL-15RA)であり、これは、黒色腫、腎細胞がん、非小細胞肺がんおよび頭頚部扁平上皮がん(NCT02452268)に関して、第1相臨床試験で試験されている。いくつかの実施形態において、組換えヒトインターロイキン12(rhIL-12)は、NM-IL-12(Neumedicines、Inc.)、NCT02544724、またはNCT02542124である。
【0278】
いくつかの実施形態では、腫瘍免疫剤は、Jerry L.Adamsら、「Big opportunities for small molecules in immuno-oncology」、Cancer Therapy 2015,Vol.14,pages 603-622に記載されているものから選択され、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、腫瘍免疫剤は、Jerry L.Adamsらの表1に記載の例から選択される。いくつかの実施形態では、腫瘍免疫剤は、Jerry L.Adamsらの表2に列挙されるものから選択される腫瘍免疫的標的を標的化する、低分子である。いくつかの実施形態では、腫瘍免疫剤は、Jerry L.Adamsらの表2に列挙されるものから選択される低分子薬剤である。
【0279】
いくつかの実施形態において、腫瘍免疫剤は、Peter L.Toogood,”Small molecule immuno-oncology therapeutic agents,”Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters 2018,Vol.28,pages 319-329に記載される低分子腫瘍免疫剤から選択され、その内容は、その全体が本明細書中に参考として援用される。いくつかの実施形態において、腫瘍免疫剤は、Peter L.Toogoodに記載される経路を標的化する薬剤である。
【0280】
いくつかの実施形態において、腫瘍免疫剤は、Sandra L.Ross et al.,”Bispecific T cell engager(BiTE(R))antibody constructs can mediate bystander tumor cell killing”,PLoS ONE 12(8):e0183390に記載されるものから選択され、その内容は、その全体が本明細書中に参考として援用される。いくつかの実施形態において、腫瘍免疫剤は、二重特異的T細胞エンゲージャー(BiTE(登録商標))抗体構築物である。いくつかの実施形態において、二重特異的T細胞エンゲージャー(BiTE(登録商標))抗体構築物は、CD19/CD3二重特異的抗体構築物である。いくつかの実施形態において、二重特異的T細胞エンゲージャー(BiTE(登録商標))抗体構築物は、EGFR/CD3二重特異的抗体構築物である。いくつかの実施形態において、二重特異的T細胞エンゲージャー(BiTE(登録商標))抗体構築物は、T細胞を活性化させる。いくつかの実施形態において、二重特異的T細胞エンゲージャー(BiTE(登録商標))抗体構築物は、T細胞を活性化させ、これは、細胞間接着分子1(ICAM-1)および巻き添え(bystander)細胞のFASの上方調節を誘導するサイトカインを放出する。いくつかの実施形態において、二重特異的T細胞エンゲージャー(BiTE(登録商標))抗体構築物は、T細胞を活性化させ、これは、巻き添え細胞溶解の誘導をもたらす。いくつかの実施形態において、巻き添え細胞は、固形腫瘍内にある。いくつかの実施形態において、溶解する巻き添え細胞は、BiTE(登録商標)により活性化されたT細胞の近隣にある。いくつかの実施形態において、巻き添え細胞は、腫瘍関連抗原(TAA)ネガティブがん細胞を含む。いくつかの実施形態において、巻き添え細胞は、EGFRネガティブがん細胞を含む。いくつかの実施形態において、腫瘍免疫剤は、PD-L1/PD1軸および/またはCTLA4を遮断する抗体である。いくつかの実施形態において、腫瘍免疫剤は、エキソビボで増殖した腫瘍浸潤T細胞である。いくつかの実施形態において、腫瘍免疫剤は、T細胞を腫瘍関連表面抗原(TAAs)と直接接続させる、二重特異的抗体構築物またはキメラ抗体受容体(CAR)である。
【0281】
例示的な免疫チェックポイント阻害剤
いくつかの実施形態において、腫瘍免疫剤は、本明細書中に記載されるような免疫チェックポイント阻害剤である。
【0282】
用語「チェックポイント阻害剤」は、本明細書で使用する場合、がん細胞が患者の免疫系を回避するのを阻止するのに有用な作用剤に関する。抗腫瘍免疫破壊の主な機序の1つは「T細胞の疲弊」として公知であり、これは、阻害性受容体の上方調節をもたらす抗原への長期曝露に起因する。これらの阻害性受容体は、無差別な免疫反応を予防するために、免疫チェックポイントとして働く。
【0283】
PD-1、および細胞毒性T-リンパ球抗原4(CTLA-4、BおよびTリンパ球アテニュエータ(BTLA;CD272)、T細胞免疫グロブリンおよびムチンドメイン-3(Tim-3)、リンパ球活性化遺伝子-3(Lag-3;CD223)などの共阻害性受容体は、チェックポイント調節因子と称されることが多い。それらは、細胞周期進行および他の細胞内シグナル伝達過程が進行するべきかを細胞外情報が指令することを可能にする、分子「ゲートキーパー」として働く。
【0284】
いくつかの実施形態において、免疫チェックポイント阻害剤はPD-1への抗体である。PD-1は、プログラム細胞死1受容体(PD-1)に結合して、この受容体が阻害性リガンドPDL-1に結合するのを阻止し、こうして、腫瘍が宿主の抗腫瘍免疫応答を抑制する能力を無効にする。
【0285】
1つの局面において、チェックポイント阻害剤は、生物学的治療剤または低分子である。別の局面において、チェックポイント阻害剤は、モノクローナル抗体、ヒト化抗体、完全ヒト抗体、融合タンパク質またはそれらの組み合わせである。さらなる局面において、チェックポイント阻害剤は、CTLA-4、PDL1、PDL2、PD1、B7-H3、B7-H4、BTLA、HVEM、TIM3、GAL9、LAG3、VISTA、KIR、2B4、CD160、CGEN-15049、CHK1、CHK2、A2aR、B-7ファミリーのリガンドまたはそれらの組み合わせから選択されるチェックポイントタンパク質を阻害する。追加的な局面において、チェックポイント阻害剤は、CTLA-4、PDL1、PDL2、PD1、B7-H3、B7-H4、BTLA、HVEM、TIM3、GAL9、LAG3、VISTA、KIR、2B4、CD160、CGEN-15049、CHK1、CHK2、A2aR、B-7ファミリーのリガンドまたはそれらの組み合わせから選択されるチェックポイントタンパク質のリガンドと相互作用する。ある局面において、チェックポイント阻害剤は、免疫刺激剤、T細胞成長因子、インターロイキン、抗体、ワクチンまたはそれらの組み合わせである。さらなる局面において、インターロイキンはIL-7またはIL-15である。特定の局面において、インターロイキンは、グリコシル化IL-7である。追加的な局面において、ワクチンは樹状細胞(DC)ワクチンである。
【0286】
チェックポイント阻害剤には、免疫系の阻害経路を統計的に有意な方法で、遮断または阻害する任意の薬剤が含まれる。このような阻害剤は、低分子阻害剤を含むことができる、あるいは免疫チェックポイント受容体に結合して遮断または阻害する抗体またはその抗原結合断片、あるいは免疫チェックポイント受容体リガンドに結合して遮断または阻害する抗体を含むことができる。遮断または阻害のために標的とされ得る例示的な免疫チェックポイント分子には、以下に限定されないが、CTLA-4、PDL1、PDL2、PD1、B7-H3、B7-H4、BTLA、HVEM、GAL9、LAG3、TIM3、VISTA、KIR、2B4(CD2ファミリーの分子に属し、NK、γδおよびメモリCD8+(αβ)T細胞のすべてに発現する)、CD160(BY55とも称される)、CGEN-15049、CHK1およびCHK2キナーゼ、A2aRおよび様々なB-7ファミリーのリガンドが含まれる。B7ファミリーのリガンドには、以下に限定されないが、B7-1、B7-2、B7-DC、B7-H1、B7-H2、B7-H3、B7-H4、B7-H5、B7-H6およびB7-H7が含まれる。チェックポイント阻害剤には、CTLA-4、PDL1、PDL2、PD1、BTLA、HVEM、TIM3、GAL9、LAG3、VISTA、KIR、2B4、CD160およびCGEN-15049のうちの1つまたは複数に結合して、その活性を遮断または阻害する、抗体もしくはその抗原結合断片、他の結合タンパク質、生物治療剤または低分子が含まれる。例示的な免疫チェックポイント阻害剤には、トレメリムマブ(CTLA-4ブロッキング抗体)(抗OX40)、PD-L1モノクローナル抗体(抗B7-H1;MEDI4736)、MK-3475(PD-1ブロッカー)、ニボルマブ(Inlyta(登録商標);アキシチニブ;抗PD1抗体)、CT-011(抗PD1抗体)、BY55モノクローナル抗体、AMP224(抗PDL1抗体)、BMS-936559(抗PDL1抗体)、MPLDL3280A(抗PDL1抗体)、MSB0010718C(抗PDL1抗体)およびイピリムマブ(抗CTLA-4チェックポイント阻害剤)が含まれる。チェックポイントタンパク質リガンドには、以下に限定されないが、PD-L1、PD-L2、B7-H3、B7-H4、CD28、CD86およびTIM-3が含まれる。
【0287】
特定の実施形態において、免疫チェックポイント阻害剤は、PD-1アンタゴニスト、PD-L1アンタゴニストおよびCTLA-4アンタゴニストから選択される。いくつかの実施形態において、チェックポイント阻害剤は、ニボルマブ(Opdivo(登録商標))、イピリムマブ(Yervoy(登録商標))およびペムブロリズマブ(Keytruda(登録商標))からなる群より選択される。いくつかの実施形態において、チェックポイント阻害剤は、ニボルマブ(抗PD-1抗体、Opdivo(登録商標)、Bristol-Myers Squibb);ペムブロリズマブ(抗PD-1抗体、Keytruda(登録商標)、Merck);イピリムマブ(抗CTLA-4抗体、Yervoy(登録商標)、Bristol-Myers Squibb);デュルバルマブ(抗PD-L1抗体、Imfinzi(登録商標)、AstraZeneca);およびアテゾリズマブ(抗PD-L1抗体、Tecentriq(登録商標)、Genentech)から選択される。
【0288】
いくつかの実施形態において、チェックポイント阻害剤は、ランブロリズマブ(MK-3475)、ニボルマブ(BMS-936558)、ピディリズマブ(CT-011)、AMP-224、MDX-1105、MEDI4736、MPDL3280A、BMS-936559、イピリムマブ、リリルマブ(lirlumab)、IPH2101、ペムブロリズマブ(Keytruda(登録商標))またはトレメリムマブからなる群より選択される。
【0289】
いくつかの実施形態において、免疫チェックポイント阻害剤は、REGN2810(Regeneron)(基底細胞癌(NCT03132636);NSCLC(NCT03088540);皮膚扁平上皮がん(NCT02760498);リンパ腫(NCT02651662);および黒色腫(NCT03002376)を有する患者において試験された抗PD-1抗体);びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫および多発性骨髄腫に関する臨床試験中の、ピジリズマブ(CureTech)(CT-011としても公知であり、PD-1に結合する抗体);非小細胞肺がん、メルケル細胞がん、中皮腫、固形腫瘍、腎がん、卵巣がん、膀胱がん、頭頚部がん、および胃がんに関する臨床試験中の、アベルマブ(Bavencio(登録商標)、Pfizer/Merck KGaA)(MSB0010718Cとしても公知であり、完全ヒトIgG1抗PD-L1抗体);または非小細胞肺がん、黒色腫、トリプルネガティブ乳がんおよび進行性、転移性固形腫瘍に関する臨床試験中の、PDR001(Novartis)(PD-1に結合する阻害性抗体)である。トレメリムマブ(CP-675,206;Astrazeneca)は、中皮腫、結腸直腸がん、腎臓がん、乳がん、肺がんおよび非小細胞肺がん、膵臓導管腺がん、膵臓がん、生殖細胞がん、頭頚部の扁平上皮細胞がん、肝細胞がん、前立腺がん、子宮内膜がん、肝臓における転移性がん、肝臓がん、大細胞型B細胞性リンパ腫、卵巣がん、子宮頚がん、転移性未分化甲状腺がん、尿路上皮がん、卵管がん、多発性骨髄腫、膀胱がん、軟組織肉腫および黒色腫を含めた、いくつかの適応症に関する臨床試験において検討された、CTLA-4に対する完全ヒトモノクローナル抗体である。AGEN-1884(Agenus)は、進行性固形腫瘍(NCT02694822)について、第1相臨床試験において現在検討中の、抗CTLA4抗体である。
【0290】
いくつかの実施形態において、チェックポイント阻害剤は、T細胞免疫グロブリンムチン含有タンパク質-3(TIM-3)の阻害剤である。本発明において使用することができるTIM-3阻害剤には、TSR-022、LY3321367およびMBG453が含まれる。TSR-022(Tesaro)は、固形腫瘍(NCT02817633)において現在、検討中の抗TIM-3抗体である。LY3321367(Eli Lilly)は、固形腫瘍(NCT03099109)において現在、検討中の抗TIM-3抗体である。MBG453(Novartis)は、進行性悪性疾患(NCT02608268)において現在、検討中の抗TIM-3抗体である。
【0291】
いくつかの実施形態において、チェックポイント阻害剤は、ある種のT細胞およびNK細胞上の免疫受容体である、IgおよびITIMドメインを有するT細胞免疫受容体、すなわちTIGITの阻害剤である。本発明において使用することができるTIGIT阻害剤には、BMS-986207(Bristol-Myers Squibb)、抗TIGITモノクローナル抗体(NCT02913313);OMP-313M32(Oncomed);および抗TIGITモノクローナル抗体(NCT03119428)が含まれる。
【0292】
いくつかの実施形態において、チェックポイント阻害剤は、リンパ球活性化遺伝子-3(LAG-3)の阻害剤である。本発明において使用することができるLAG-3阻害剤には、BMS-986016およびREGN3767およびIMP321が含まれる。抗LAG-3抗体である、BMS-986016(Bristol-Myers Squibb)は、神経膠芽腫および膠肉腫(NCT02658981)において、現在、検討されている。REGN3767(Regeneron)もまた、抗LAG-3抗体であり、悪性疾患(NCT03005782)において現在、検討中である。IMP321(Immutep S.A.)は、LAG-3-Ig融合タンパク質であり、黒色腫(NCT02676869);腺がん(NCT02614833);および転移性乳がん(NCT00349934)において検討されている。
【0293】
本発明において使用することができる他のチェックポイント阻害剤は、OX40アゴニストを含む。臨床試験において現在検討中のOX40アゴニストには、転移性腎臓がん(NCT03092856)ならびに進行性がんおよび新生物(NCT02554812;NCT05082566)における、PF-04518600/PF-8600(Pfizer)(アゴニスト性抗OX40抗体);がんの第1相臨床試験(NCT02528357)におけるGSK3174998(Merck)(アゴニスト性抗OX40抗体);進行性固形腫瘍(NCT02318394およびNCT02705482)におけるMEDI0562(Medimmune/AstraZeneca)(アゴニスト性抗OX40抗体);結腸直腸がん(NCT02559024)、乳がん(NCT01862900)、頭頚部がん(NCT02274155)および転移性前立腺がん(NCT01303705)を有する患者における、MEDI6469(アゴニスト性抗OX40抗体)(Medimmune/AstraZeneca);ならびに進行性がん(NCT02737475)におけるBMS-986178(Bristol-Myers Squibb)(アゴニスト性抗OX40抗体)が含まれる。
【0294】
本発明において使用することができる他のチェックポイント阻害剤は、CD137(4-1BBとも呼ばれる)アゴニストを含む。臨床試験において現在検討中のCD137アゴニストには、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(NCT02951156)、ならびに進行性がんおよび新生物(NCT02554812およびNCT05082566)における、ウトミルマブ(PF-05082566、Pfizer)(アゴニスト性抗CD137抗体);黒色腫および皮膚がん(NCT02652455)ならびに神経膠芽腫および膠肉腫(NCT02658981)におけるウレルマブ(BMS-663513、Bristol-Myers Squibb)(アゴニスト性抗CD137抗体)が含まれる。
【0295】
本発明において使用することができる他のチェックポイント阻害剤は、CD27アゴニストを含む。臨床試験において現在検討中のCD27アゴニストには、扁平上皮細胞頭頚部がん、卵巣がん、結腸直腸がん、腎細胞がんおよび神経膠芽腫(NCT02335918)、リンパ腫(NCT01460134)、ならびに神経膠腫および星状細胞腫(NCT02924038)におけるバルリルマブ(CDX-1127、Celldex Therapeutics)(アゴニスト性抗CD27抗体)が含まれる。
【0296】
本発明において使用することができる他のチェックポイント阻害剤は、グルココルチコイド誘発性腫瘍壊死因子受容体(GITR)アゴニストを含む。臨床試験において現在検討中のGITRアゴニストには、悪性黒色腫および他の悪性固形腫瘍(NCT01239134およびNCT02628574)におけるTRX518(Leap Therapeutics)(アゴニスト性抗GITR抗体);固形腫瘍およびリンパ腫(NCT 02740270)におけるGWN323(Novartis)(アゴニスト性抗GITR抗体);進行性がん(NCT02697591およびNCT03126110)におけるINCAGN01876(Incyte/Agenus)(アゴニスト性抗GITR抗体);固形腫瘍(NCT02132754)におけるMK-4166(Merck)(アゴニスト性抗GITR抗体)、ならびに進行性固形腫瘍(NCT02583165)におけるMEDI1873(Medimmune/AstraZeneca)(ヒトIgG1 Fcドメインを有するアゴニスト性六量体GITRリガンド分子)が含まれる。
【0297】
本発明において使用することができる他のチェックポイント阻害剤は、誘発性T細胞共刺激剤(ICOS、CD278としても公知)アゴニストを含む。臨床試験において現在検討中のICOSアゴニストには、リンパ腫(NCT02520791)におけるMEDI-570(Medimmune)(アゴニスト性抗ICOS抗体);第1相試験(NCT02723955)における、GSK3359609(Merck)(アゴニスト性抗ICOS抗体);第1相試験(NCT02904226)における、JTX-2011(Jounce Therapeutics)(アゴニスト性抗ICOS抗体)が含まれる。
【0298】
本発明において使用することができる他のチェックポイント阻害剤は、キラーIgG様受容体(KIR)阻害剤を含む。臨床試験において現在検討中のKIR阻害剤には、白血病(NCT01687387、NCT02399917、NCT02481297、NCT02599649)、多発性骨髄腫(NCT02252263)およびリンパ腫(NCT01592370)における、リリルマブ(IPH2102/BMS-986015、Innate Pharma/Bristol-Myers Squibb)(抗KIR抗体);骨髄腫(NCT01222286およびNCT01217203)における、IPH2101(1-7F9、Innate Pharma);ならびにリンパ腫(NCT02593045)における、IPH4102(Innate Pharma)(長い細胞質尾部の3つのドメイン(KIR3DL2)に結合する抗KIR抗体)が含まれる。
【0299】
本発明において使用することができる他のチェックポイント阻害剤は、CD47とシグナル調節タンパク質アルファ(SIRPa)との間の相互作用のCD47阻害剤を含む。臨床試験において現在検討中のCD47/SIRPa阻害剤には、第1相試験(NCT03013218)における、ALX-148(Alexo Therapeutics)(CD47に結合してCD47/SIRPa媒介性シグナル伝達を阻止する(SIRPa)のアンタゴニスト性変異体);第1相の臨床試験(NCT02890368およびNCT02663518)における、TTI-621(SIRPa-Fc、Trillium Therapeutics)(SIRPaのN末端CD47結合ドメインとヒトIgG1のFcドメインとを連結させることにより生成する可溶性組換え融合タンパク質は、ヒトCD47に結合して、ヒトCD47がその「私を食べないで(do not eat」)シグナルをマクロファージに送るのを阻止することにより作用する);白血病(NCT02641002)における、CC-90002(Celgene)(抗CD47抗体);ならびに結腸直腸の新生物および固形腫瘍(NCT02953782)、急性骨髄性白血病(NCT02678338)およびリンパ腫(NCT02953509)における、Hu5F9-G4(Forty Seven,Inc.)が含まれる。
【0300】
本発明において使用することができる他のチェックポイント阻害剤は、CD73阻害剤を含む。臨床試験において現在検討中のCD73阻害剤には、固形腫瘍(NCT02503774)における、MEDI9447(Medimmune)(抗CD73抗体);および固形腫瘍(NCT02754141)における、BMS-986179(Bristol-Myers Squibb)(抗CD73抗体)が含まれる。
【0301】
本発明において使用することができる他のチェックポイント阻害剤は、インターフェロン遺伝子タンパク質の刺激因子(STING、膜貫通タンパク質173またはTMEM173としても公知)のアゴニストを含む。臨床試験において現在検討中のSTINGのアゴニストには、リンパ腫(NCT03010176)における、MK-1454(Merck)(アゴニスト性合成環式ジヌクレオチド);ならびに第1相試験(NCT02675439およびNCT03172936)における、ADU-S100(MIW815、Aduro Biotech/Novartis)(アゴニスト性合成環式ジヌクレオチド)が含まれる。
【0302】
本発明において使用することができる他のチェックポイント阻害剤は、CSF1R阻害剤を含む。臨床試験において現在検討中のCSF1R阻害剤には、結腸直腸がん、膵臓がん、転移性および進行性がん(NCT02777710)ならびに黒色腫、非小細胞肺がん、扁平上皮細胞頭頚部がん、消化管間質腫瘍(GIST)および卵巣がん(NCT02452424)における、ペキシダルチニブ(PLX3397、Plexxikon)(CSF1R低分子阻害剤);ならびに膵臓がん(NCT03153410)、黒色腫(NCT03101254)および固形腫瘍(NCT02718911)における、IMC-CS4(LY3022855、Lilly)(抗CSF-1R抗体);ならびに進行性固形腫瘍(NCT02829723)における、BLZ945(4-[2((1R,2R)-2-ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)-ベンゾチアゾール-6-イルオキシル]-ピリジン-2-カルボン酸メチルアミド、Novartis)(CSF1Rの経口利用可能な阻害剤)が含まれる。
【0303】
本発明において使用することができる他のチェックポイント阻害剤は、NKG2A受容体阻害剤を含む。臨床試験において現在検討中のNKG2A受容体阻害剤には、頭頚部の新生物(NCT02643550)および慢性リンパ球性白血病(NCT02557516)における、モナリズマブ(IPH2201、Innate Pharma)(抗NKG2A抗体)が含まれる。
【0304】
いくつかの実施形態において、免疫チェックポイント阻害剤は、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、イピリムマブ、アベルマブ、デュルバルマブ、アテゾリズマブ(atezolizumab)、またはピディリズマブから選択される。
【実施例】
【0305】
例証
一般的な合成方法
以下の実施例は、本発明を例示することを意図しており、本発明に対する限定として解釈されるべきではない。温度は摂氏で与えられる。特に明記しない限り、全ての蒸発は、減圧下、好ましくは約15mmHg~100mmHg(=20~133mbar)で行った。最終生成物、中間体および出発材料の構造は、標準的な分析方法、例えば微量分析および分光特性、例えばMS、IR、NMRによって確認した。使用されている略語は、当技術分野において従来のものである。
【0306】
本発明の化合物を合成するために利用される全ての出発材料、構成要素、試薬、酸、塩基、溶媒および触媒は、市販されているか、または当業者に公知の有機合成方法(Houben-Weyl 4th Ed.1952,Methods of Organic Synthesis,Thieme,Volume 21)によって製造することができる。さらに、本発明の化合物は、以下の実施例に示すように、当業者に公知の有機合成方法によって製造することができる。
【0307】
特に明記しない限り、全ての反応は窒素またはアルゴン下で行った。
【0308】
プロトンNMR(
1H NMR)を重水素化溶媒中で行った。本明細書に開示される特定の化合物では、1またはそれを超える
1Hシフトは、残留プロテオ溶媒シグナル(residual proteo solvent signal)と重複する;これらのシグナルは、以下に提供する実験では報告されていない。
【表2】
【0309】
酸性LCMSデータについて:LCMSを、エレクトロスプレーイオン化および四重極MS検出器[MH+を与えるES+ve]を備え、Chromolith Flash RP-18e 25*2.0 mmを備え、水中0.0375体積%TFA(溶媒A)およびアセトニトリル中0.01875体積%TFA(溶媒B)で溶出するAgilent 1200シリーズLC/MSDまたはShimadzu LCMS2020で記録した。他のLCMSは、Agilent 1290質量検出器を取り付けたAgilent 6120 Infinity RRLCで記録した。使用したカラムは、BEH C18 50*2.1mm、1.7ミクロンであった。カラム流量は0.55ml/分であり、移動相は、(A)水中0.1%ギ酸中2mM酢酸アンモニウムおよび(B)アセトニトリル中0.1%ギ酸を使用する。
【0310】
塩基性LCMSデータについて:LCMSを、エレクトロスプレーイオン化および四重MS検出器[ES+veとしてMH+を与える]を備え付け、そして5mmのC18-コートシリカを充填したXbridge C18、2.1×50mmカラム、または5mmのC18-コートシリカを充填したKinetex EVO C18 2.1×30mmカラムを備え付け、水中0.05vol%のNH3・H2O(溶媒A)およびアセトニトリル(溶媒B)で溶出する、Agilent 1200 Series LC/MSDまたはShimadzu LCMS 2020で記録した。
【0311】
HPLC分析方法:HPLCをX Bridge C18 150*4.6mm、5ミクロンで行った。カラム流量は1.0ml/分であり、移動相は、(A)水中0.1%アンモニアおよび(B)アセトニトリル中0.1%アンモニアを使用する。
【0312】
分取HPLC分析方法:化合物をShimadzu LC-20APおよびUV検出器で精製した。使用したカラムはX-BRIDGE C18(250×19)mm、5μであった。カラム流量は16.0ml/分であった。使用した移動相は、(A)水中0.1%ギ酸および(B)アセトニトリルであった。使用した基本的な方法は、(A)水中5mM重炭酸アンモニウムおよび0.1% NH3、ならびに(B)アセトニトリルまたは(A)水中0.1%水酸化アンモニウムおよび(B)アセトニトリルであった。UVスペクトルを202nmおよび254nmで記録した。
【0313】
NMR方法: 1H NMRスペクトルを、Bruker Ultra Shield Advance 400MHz/5mm Probe(BBFO)で記録した。化学シフトを、パーツパーミリオンで報告する。
【0314】
以下の実施例に示されるように、ある特定の例示的実施形態では、化合物は、下記の一般手順に従って調製される。一般的方法は、本発明のある特定の化合物の合成を示すが、以下の一般的方法、および当業者に公知である他の方法が、すべての化合物ならびに本明細書に記載されるようなこれらの化合物の各々のサブクラスおよび種に適用され得ることが、理解される。
【0315】
中間体
[1-[(4-メトキシフェニル)メチル]-2,6-ジオキソ-3-ピペリジル]トリフルオロメタンスルホネート(中間体A)
【化6】
【0316】
工程1 - 5-オキソテトラヒドロフラン-2-カルボン酸
2-アミノペンタン二酸(210g、1.43mol、CAS#617-65-2)のH2O(800mL)およびHCl(12M、210mL)中の溶液に、NaNO2(147g、2.13mol)のH2O(400mL)中の溶液を-5℃で添加した。混合物を15℃で12時間撹拌した。完了したら、混合物を濃縮し、次いで、EA(500mL)に溶解し、濾過し、EA(3×100mL)で洗浄した。濾液および洗浄溶液をNa2SO4で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮して、表題化合物(200g、粗製)を黄色油状物として得た。 1H NMR (400MHz, CDCl3) δ 6.43 (s, 1H), 5.02 - 4.95 (m, 1H), 2.67 - 2.38 (m, 4H)
【0317】
工程2 - N-[(4-メトキシフェニル)メチル]-5-オキソ-テトラヒドロフラン-2-カルボキサミド
5-オキソテトラヒドロフラン-2-カルボン酸(120g、922mmol)に、SOCl2(246g、2.07mol)を0℃でゆっくり添加した。混合物を85℃で3時間撹拌し、次いで、混合物を15℃で6時間撹拌した。混合物を真空中で濃縮した。残渣をN2下、0℃で乾燥DCM(1L)に溶解した。その後、Et3N(187g、1.84mol)および4-メトキシベンジルアミン(101g、738mmol)のDCM(400mL)中の溶液を加え、次いで、混合物を15℃で3時間撹拌した。完了したら、水(600mL)を添加し、混合物をDCM(3×300mL)で抽出した。合わせた有機相を0.5M HCl(500mL)、ブライン(500mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過した。濾液を真空中で濃縮し、残渣をフラッシュシリカゲルクロマトグラフィー(PE:EA=1:1)によって精製して、表題化合物(138g、収率60%)を黄色固体として得た。 1H NMR (400MHz, CDCl3) δ 7.22 - 7.20 (d, J = 8.0, 1H), 6.89 - 6.87 (d, J = 8.0, 1H), 4.90 - 4.86 (m, 1H), 4.47 - 4.4.36 (m, 2H) 3.81 (s, 3H), 2.67 - 2.64 (m, 1H), 2.59 - 2.54 (m, 2H), 2.40 - 2.38 (m, 1H); LC-MS (ESI+) m/z 272.0 (M+Na) +.
【0318】
工程3 - 3-ヒドロキシ-1-[(4-メトキシフェニル)メチル]ピペリジン-2,6-ジオン
N-[(4-メトキシフェニル)メチル]-5-オキソ-テトラヒドロフラン-2-カルボキサミド(138g、553mmol)の無水THF(1500mL)中の溶液を-78℃に冷却した。次いで、無水THF(1000mL)の溶液中のt-BuOK(62.7g、559mmol)を、窒素雰囲気下、-78℃でゆっくり滴下により添加した。得られた反応混合物を-40℃で1時間攪拌した。完了したら、反応混合物を飽和NH4Cl溶液(100mL)でクエンチした。混合物を酢酸エチル(3×1500mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(300mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を真空中で濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(PE:EA=1:1)によって精製して、表題化合物(128g、収率92%)を白色固体として得た。 1H NMR (400MHz, CDCl3) δ 7.39 - 7.32 (m, 2H), 6.89 - 6.81 (m, 2H), 4.91 (s, 2H), 4.17 - 4.11 (m, 1H), 3.80 (s, 3H), 3.54 (s, 1H), 2.98 - 2.87 (m, 1H), 2.73 - 2.60 (m, 1H), 2.26 - 2.20 (m, 1H), 1.80 (dq, J = 4.8, 13.1 Hz, 1H).
【0319】
工程4 - [1-[(4-メトキシフェニル)メチル]-2,6-ジオキソ-3-ピペリジル]トリフルオロメタンスルホネート
3-ヒドロキシ-1-[(4-メトキシフェニル)メチル]ピペリジン-2,6-ジオン(43.0g、173mmol)およびピリジン(27.3g、345mmol)のDCM(500mL)中の溶液に、トリフルオロメチルスルホニルトリフルオロメタンスルホネート(73.0g、258mmol)を0℃で滴下により添加した。混合物をN2下で-10℃で1.5時間撹拌した。完了したら、混合物を真空中で濃縮した。残渣をシリカゲルのカラムクロマトグラフィー(PE:EA=20:1/8:1)によって精製して、表題化合物(45.0g、収率68%)を淡黄色ガム状物質として得た。 1H NMR (400MHz, CDCl3) δ 7.36 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 6.85 - 6.82 (m, 2H), 5.32 - 5.28 (m, 1H), 4.91 (s, 2H), 3.79 (s, 3H), 3.02 - 2.97 (m, 1H), 2.79 - 2.74 (m, 1H), 2.41 - 2.35 (m, 2H).
【0320】
5-ブロモ-3-メチル-1H-ベンズイミダゾール-2-オン(中間体D)
【化7】
【0321】
工程1 - 5-ブロモ-N-メチル-2-ニトロ-アニリン
4-ブロモ-2-フルオロ-1-ニトロ-ベンゼン(230g、1.05mol、CAS#321-23-3)を、メチルアミン(mehylamine)のテトラヒドロフラン中の溶液(2M、1.51L)に添加した。この混合物を15℃で10分間撹拌した。完了したら、この混合物をH2O(250mL)で希釈し、そしてEtOAc(3×300mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(300mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、そして減圧中で濃縮して、表題化合物(200g、83%の収率)を黄色固体として得た。1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ 8.22 (s, 1H), 7.98 (d, J = 9.2 Hz, 1H), 7.16 (d, J = 1.6 Hz, 1H), 6.82 (dd, J = 8.4, 1.6 Hz, 1H), 2.95 (d, J = 4.8 Hz, 3H).
【0322】
工程2 - 4-ブロモ-N2-メチル-ベンゼン-1,2-ジアミン
5-ブロモ-N-メチル-2-ニトロ-アニリン(200g、865mmol)のEtOAc(1L)およびH2O(500mL)中の混合物に、AcOH(1.00L)を添加した。この混合物を50℃まで温め、次いでFe(174g、3.11mol)をこの反応混合物に添加した。その後、この反応混合物を80℃で6時間撹拌した。完了したら、この混合物をセライトで濾過した。その濾液を減圧中で濃縮し、そしてその残渣をH2O(250mL)で希釈し、そしてEtOAc(3×300mL)で抽出した。合わせた有機層をaq.NaHCO3およびブライン(300mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、そして減圧中で濃縮した。その残渣をフラッシュシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、表題化合物(130g、75%の収率)を黒色油状物として得た。1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ 6.55 - 6.52 (m, 1H), 6.48 - 6.45(m, 1H), 6.43 - 6.42 (m, 1H), 4.89 - 4.88 (m, 1H), 4.61 (s, 2H), 2.70 (d, J = 4.0 Hz, 3H).
【0323】
工程3 - 5-ブロモ-3-メチル-1H-ベンゾイミダゾール-2-オン
4-ブロモ-N2-メチル-ベンゼン-1,2-ジアミン(110g、547mmol)のCH3CN(1.3L)中の溶液に、CDI(177g、1.09mol)を添加した。この混合物をN2下で80℃で6時間撹拌した。完了したら、この混合物を減圧下で濃縮した。この混合物をH2O(1.0L)で希釈し、そして濾過した。そのフィルターケーキを水(3×200mL)で洗浄し、そして減圧中で乾燥させて、表題化合物(106g、85%の収率)を白色固体として得た。1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ 11.00 (s, 1H), 7.33 (s, 1H), 7.13 (d, J =8.0 Hz, 1H), 6.92 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 3.27 (s, 3H).
【0324】
3-(5-ブロモ-3-メチル-2-オキソ-ベンゾイミダゾール-1-イル)ピペリジン-2,6-ジオン(3-(5-ブロモ-3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-1,3-ベンゾジアゾール-1-イル)ピペリジン-2,6-ジオン)(中間体E)
【化8】
【0325】
工程1 - 3-(5-ブロモ-3-メチル-2-オキソ-ベンゾイミダゾール-1-イル)-1-[(4-メトキシフェニル)メチル]ピペリジン-2,6-ジオン
5-ブロモ-3-メチル-1H-ベンゾイミダゾール-2-オン(4.90g、21.6mmol、中間体D)のTHF(300mL)中の溶液に、t-BuOK(3.63g、32.3mmol)を0℃で添加した。この混合物をN2下で0~10℃で1時間撹拌した。次いで、[1-[(4-メトキシフェニル)メチル]-2,6-ジオキソ-3-ピペリジル]トリフルオロメタンスルホネート(9.87g、25.9mmol、中間体A)のTHF(100mL)中の溶液をこの反応混合物に0~10℃で30分間にわたり添加した。この混合物をN2下で0~10℃で30分間撹拌した。[1-[(4-メトキシフェニル)メチル]-2,6-ジオキソ-3-ピペリジル]トリフルオロメタンスルホネート(2.47g、6.47mmol)のTHF(20mL)中のさらなる溶液をこの反応混合物に0~10℃で滴下により添加した。次いで、この混合物をN2下で0~10℃でさらに30分間撹拌した。完了したら、この反応を水(400mL)でクエンチし、そしてEA(3×200mL)で抽出した。合わせた有機層を減圧中で濃縮した。その残渣をEA(80mL)で磨砕し、そして濾過した。そのフィルターケーキを集め、そして減圧中で乾燥させて、表題化合物(6.70g、67%の収率)を薄黄色固体として得た。その濾液もまた減圧中で濃縮し、そしてその残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製して、別のバッチの表題化合物(1.80g、18%の収率)を薄黄色固体として得た。1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ 7.47 (d, J = 1.6 Hz, 1H), 7.21 -7.16 (m, 3H), 7.01 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 6.85 (d, J = 8.8 Hz, 2H),5.55 - 5.51 (m, 1H), 4.84 - 4.73 (m, 2H), 3.72 (s, 3H), 3.33 (s, 3H), 3.04 -3.00 (m, 1H), 2.83 - 2.67 (m, 2H), 2.07 - 2.05 (m, 1H).
【0326】
工程2 - 3-(5-ブロモ-3-メチル-2-オキソ-ベンゾイミダゾール-1-イル)ピペリジン-2,6-ジオン
3-(5-ブロモ-3-メチル-2-オキソ-ベンゾイミダゾール-1-イル)-1-[(4-メトキシフェニル)メチル]ピペリジン-2,6-ジオン(8.50g、18.6mmol)のトルエン(50mL)中の混合物に、メタンスルホン酸(33.8g、351mmol、25mL)室温(15℃)で添加した。この混合物を120℃で2時間撹拌した。完了したら、この反応混合物を室温まで冷却し、そして減圧中で濃縮した。その残渣を氷/水(200mL)に注ぎ、そしてEA(3×100mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(50mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、そして減圧中で濃縮した。その残渣をEA(80mL)で磨砕し、そして濾過した。その濾液ケーキを集め、そして減圧中で乾燥させて、表題化合物(4.20g、67%の収率)をオフホワイトの固体として得た。1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ 11.12 (s, 1H), 7.47 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 7.22(d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.10 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 5.40 - 5.35 (m,1H), 2.34 (s, 3H), 2.92 - 2.88 (m, 1H), 2.71 - 2.60 (m, 2H), 2.03 - 1.99 (m,1H).
【0327】
3-[3-メチル-2-オキソ-5-(4-ピペリジル)ベンズイミダゾール-1-イル]ピペリジン-2,6-ジオン(中間体F)
【化9】
【0328】
工程1-tert-ブチル4-[1-(2,6-ジオキソ-3-ピペリジル)-3-メチル-2-オキソ-ベンズイミダゾール-5-イル]ピペリジン-1-カルボキシレート 撹拌棒を装備した40mLバイアルに、DME(15mL)中の3-(5-ブロモ-3-メチル-2-オキソ-ベンズイミダゾール-1-イル)ピペリジン-2,6-ジオン(1.00g、2.96mmol、中間体E)、tert-ブチル4-ブロモピペリジン-1-カルボキシレート(1.02g、3.84mmol、CAS番号180695-79-8)、Ir[dF(CF3)ppy]2(dtbpy)(PF6)(33.18mg、29.57umol)、NiCl2.dtbbpy(5.88mg、14.7umol)、TTMSS(735mg、2.96mmol)、2,6-ジメチルピリジン(633.75mg、5.91mmol)を添加した。バイアルを密封し、窒素下に置いた。反応物を撹拌し、50W[455nm]の青色LEDランプ(3cm離れている)で照射して、冷却水を用いて反応温度を25℃で14時間維持した。完了したら、混合物を濾過し、濃縮して残渣を得た。残渣をカラムクロマトグラフィー(SiO2、DCM/酢酸エチル=1:0~1:1)によって精製して、表題化合物(1.13g、収率86%)を黄色固体として得た。1H NMR(400 MHz,DMSO-d6)δ 11.18-10.94(m,1H),7.11(s,1H),7.01(d,J=8.0 Hz,1H),6.91(dd,J=0.8,8.0 Hz,1H),5.75(s,1H),5.33(dd,J=5.6,12.8 Hz,1H),4.09(d,J=11.2 Hz,2H),3.33(s,3H),2.95-2.83(m,2H),2.76-2.57(m,4H),1.75(d,J=12.0 Hz,2H),1.55(dq,J=4.0,12.4 Hz,2H),1.42(s,9H);LC-MS(ESI+)m/z 443.2(M+H)+.
【0329】
工程2-3-[3-メチル-2-オキソ-5-(4-ピペリジル)ベンズイミダゾール-1-イル]ピペリジン-2,6-ジオン。DCM(3mL)中のtert-ブチル4-[1-(2,6-ジオキソ-3-ピペリジル)-3-メチル-2-オキソ-ベンズイミダゾール-5-イル]ピペリジン-1-カルボキシレート(150mg、338umol)の溶液に、TFA(773mg、6.78mmol)を加えた。混合物を25℃で0.5時間撹拌した。完了したら、混合物を濃縮すると、表題化合物(150mg、収率96.95%、TFA塩)が無色油状物として得られた。LC-MS(ESI+)m/z 343.1(M+H)+.
【0330】
クロロ-(3-クロロ-2-フルオロ-フェニル)-オキソ-ジスピロ[BLAH]カルボン酸(中間体G)
【化10】
【0331】
工程1 - (3E)-6-クロロ-3-[(3-クロロ-2-フルオロ-フェニル)メチレン]インドリン-2-オン
500mLの三口丸底フラスコに、6-クロロインドリン-2-オン(89.6g、535mmol、CAS番号56341-37-8)、3-クロロ-2-フルオロ-ベンズアルデヒド(84.8g、535mmol、CAS番号85070-48-0)、MeOH(1700mL)およびピペリジン(9.11g、107mmol)を投入した。混合物を65℃で5時間、次いで、25℃で12時間撹拌した。完了したら、反応混合物を濾過し、濾過ケークを減圧下で乾燥させて、表題生成物(160g、収率94%)を得た。 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ = 10.87 (s, 1H), 7.82 - 7.63 (m, 2H), 7.56 (s, 1H), 7.39 (t, J = 8.0 Hz, 1H), 7.18 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.03 - 6.77 (m, 2H).
【0332】
工程2 - クロロ-(3-クロロ-2-フルオロ-フェニル)-ジフェニル-ジスピロ[BLAH]ジオン
(3E)-6-クロロ-3-[(3-クロロ-2-フルオロ-フェニル)メチレン]インドリン-2-オン(50g、162mmol)、(5R,6S)-5,6-ジフェニルモルホリン-2-オン(49.3g、194mmol、CAS番号282735-66-4)およびシクロヘキサノン(31.8g、324mmol、33.6mL)をTHF(75mL)およびトルエン(750mL)に140℃で12時間溶解した。完了したら、反応混合物を真空中で濃縮して残渣を得た。残渣をカラムクロマトグラフィー(SiO2、石油エーテル/酢酸エチル=8/1~5/1)によって精製して、表題化合物(160g、純度97%)を得た。 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ = 10.79 (s, 1H), 7.95 ( t, J = 6.8 Hz, 1H), 7.45 - 7.37 (m, 1H), 7.33 - 7.20 (m, 4H), 7.18 - 7.09 (m, 4H), 7.07 - 6.98 (m, 2H), 6.86 - 6.75 (m, 3H), 6.66 (dd, J = 2.0, 8.4 Hz, 1H), 6.35 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 5.44 (d, J = 11.2 Hz, 1H), 4.90 (d, J = 2.8 Hz, 1H), 4.58 (d, J = 11.2 Hz, 1H), 2.39 (d, J = 12.8 Hz, 1H), 2.24 - 2.09 (m, 1H), 1.42 - 1.18 (m, 4H), 1.10 - 0.78 (m, 1H).
【0333】
工程3 - メチルクロロ-(3-クロロ-2-フルオロ-フェニル)-[(1R,2S)-2-ヒドロキシ-1,2-ジフェニル-エチル]-オキソ-ジスピロ[BLAH]カルボキシレート
MeOH(70mL)に溶解した中間体クロロ-(3-クロロ-2-フルオロ-フェニル)-ジフェニル-ジスピロ[BLAH]ジオン(9.0g、14.03mmol)の溶液にH2SO4(9.07g、92.5mmol、4.93mL)を添加し、得られた溶液を50℃に5時間加熱した。完了したら、反応混合物を0℃に冷却し、飽和重炭酸ナトリウム溶液でゆっくり中和した。水溶液を酢酸エチルで抽出し、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮して残渣を得た。残渣を逆相フラッシュ[ACN/(水中0.1% FA)、0%~90%]によって精製して、表題化合物(7.0g、純度84.2%)を得た。 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ = 7.74 - 7.68 (m, 1H), 7.57 (s, 1H), 7.51 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.41 (d, J = 7.2 Hz, 4H), 7.25 (d, J = 7.6 Hz, 6H), 7.19 - 7.11 (m, 6H), 7.10 - 6.98 (m, 4H), 6.94 - 6.88 (m, 1H), 6.65 - 6.58 (m, 1H), 5.39 - 5.27 (m, 1H), 4.89 - 4.75 (m, 1H), 4.42 - 4.29 (m, 2H), 4.04 (q, J = 6.8 Hz, 1H), 3.63 - 3.53 (m, 2H), 3.40 (s, 3H), 2.22 - 2.12 (m, 1H), 2.05 - 1.94 (m, 3H), 1.40 - 1.32 (m, 2H), 1.28 - 1.13 (m, 3H).
【0334】
工程4 - メチルクロロ-(3-クロロ-2-フルオロ-フェニル)-オキソ-ジスピロ[BLAH]カルボキシレート
得られた中間体メチルクロロ-(3-クロロ-2-フルオロ-フェニル)-[(1R,2S)-2-ヒドロキシ-1,2-ジフェニル-エチル]-オキソ-ジスピロ[BLAH]カルボキシレート(7.0g、10.3mmol)をACN(78mL)に溶解し、次いで、CAN(11.3g、20.7mmol)を添加し、引き続いてH2O(78mL)を添加した。反応物を25℃で30分間攪拌した。完了したら、混合物を冷飽和NaHCO3水溶液(50mL)に添加することによって反応混合物をクエンチした。水層を酢酸エチル(20mL×3回)で抽出した。有機層を分離し、無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して残渣を得た。残渣をカラムクロマトグラフィー(SiO2、石油エーテル/酢酸エチル=50/1~5/1)によって精製して、表題化合物(1.58g、純度31%)を得た。LC-MS (ESI+) m/z 477.2 (M+H)+.
【0335】
工程5 - クロロ-(3-クロロ-2-フルオロ-フェニル)-オキソ-ジスピロ[BLAH]カルボン酸
メチルクロロ-(3-クロロ-2-フルオロ-フェニル)-オキソ-ジスピロ[BLAH]カルボキシレート(2.00g、4.19mmol)をTHF(14mL)に溶解し、LiOH.H2O(527mg、12.5mmol)を加えた後、水(14mL)およびMeOH(2mL)を加え、反応物を25℃で15分間撹拌した。完了したら、水(20mL)を添加し、反応物を2M HClでゆっくり中和し、懸濁物を15分間撹拌した。得られた沈殿物を濾過し、水で洗浄して、表題化合物(1.50g、収率70%)を得た。 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ = 10.75 - 10.57 (m, 1H), 10.55 (s, 1H), 7.61 - 7.54 (m, 1H), 7.50 - 7.44 (m, 1H), 7.41 - 7.34 (m, 1H), 7.18 - 7.12 (m, 1H), 7.08 - 7.02 (m, 1H), 6.72 - 6.66 (m, 1H), 4.72 - 4.65 (m, 1H), 4.54 - 4.47 (m, 1H), 3.18 - 3.15 (m, 1H), 2.22 - 2.13 (m, 1H), 1.83 - 1.70 (m, 2H), 1.64 - 1.52 (m, 3H), 1.51 - 1.43 (m, 2H), 1.42 - 1.34 (m, 1H), 1.04 - 0.92 (m, 1H), 0.89 - 0.77 (m, 1H). LC-MS (ESI+) m/z 463.2 (M+H)+.
【0336】
tert-ブチルN-[4-[4-[1-(2,6-ジオキソ-3-ピペリジル)-3-メチル-2-オキソ-ベンズイミダゾール-5-イル]ピペリジン-1-カルボニル]シクロヘキシル]カルバメート(中間体B)
【化11】
【0337】
3-[3-メチル-2-オキソ-5-(4-ピペリジル)ベンズイミダゾール-1-イル]ピペリジン-2,6-ジオン(4.30g、12.5mmol)および4-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)シクロヘキサンカルボン酸(3.67g、15.0mmol、CAS番号130309-46-5)のACN(80mL)中溶液に、1-メチルイミダゾール(33.0g、401mmol)および[クロロ(ジメチルアミノ)メチレン]-ジメチル-アンモニウム;ヘキサフルオロホスフェート(10.5g、37.6mmol)を25℃で添加した。反応溶液を25℃で2分間撹拌した(反応系が透明になると反応が完了した)。完了したら、反応混合物を真空中で濃縮した。濃縮残渣を逆相フラッシュ[CAN/(水中0.1% TFA)、0%~90%]によって精製して、表題化合物(6.70g、収率84%)を白色固体として得た。LC-MS(ESI+)m/z 568.4(M+H)+.
【0338】
3-[5-[1-(4-アミノシクロヘキサンカルボニル)-4-ピペリジル]-3-メチル-2-オキソ-ベンズイミダゾール-1-イル]ピペリジン-2,6-ジオン(中間体C)
【化12】
【0339】
DCM(5mL)中のtert-ブチルN-[4-[4-[1-(2,6-ジオキソ-3-ピペリジル)-3-メチル-2-オキソ-ベンズイミダゾール-5-イル]ピペリジン-1-カルボニル]シクロヘキシル]カルバメート(5.70g、10.0mmol)の混合物に、HCl/ジオキサン(4M、58mL)をN2下、25℃で一度に添加した。混合物を25℃で30分間撹拌した。完了時。反応混合物を真空中で濃縮して、表題化合物(4.69g、粗製、HCl塩)を白色固体として得た。LC-MS(ESI+)m/z 468.3(M+H)+.
【0340】
実施例1.(3’R,4’S,5’R)-6’’-クロロ-4’-(3-クロロ-2-フルオロフェニル)-N-((1r,4R)-4-(4-(1-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-5-イル)ピペリジン-1-カルボニル)シクロヘキシル)-2’’-オキソジスピロ[シクロヘキサン-1,2’-ピロリジン-3’,3’’-インドリン]-5’-カルボキサミド(化合物A)の合成
【化13】
ACN(100mL)中の3-[5-[1-(4-アミノシクロヘキサンカルボニル)-4-ピペリジル]-3-メチル-2-オキソ-ベンズイミダゾール-1-イル]ピペリジン-2,6-ジオン(中間体C、4.24g、9.06mmol)およびクロロ-(3-クロロ-2-フルオロ-フェニル)-オキソ-ジスピロ[BLAH]カルボン酸(中間体G、3.50g、7.55mmol)の溶液に、[クロロ(ジメチルアミノ)メチレン]-ジメチル-アンモニウム;ヘキサフルオロホスフェート(6.36g、22.6mmol)および1-メチルイミダゾール(19.8g、241mmol)を25℃で加えた。反応溶液を25℃で2分間撹拌した(反応系が透明になると反応が完了した)。完了したら、反応混合物を真空中で濃縮した。濃縮残渣を逆相フラッシュ[ACN/(水中0.1% FA)、0%~90%]によって精製して、表題化合物(5.10g、収率72%)を白色固体として得た。
1H NMR(400 MHz,DMSO-d
6)δ 11.08(s,1H),10.52(s,1H),7.77(d,J=8.0 Hz,1H),7.58(t,J=6.8 Hz,1H),7.41(d,J=8.0 Hz,1H),7.32(t,J=7.2 Hz,1H),7.15-7.08(m,2H),7.06-6.98(m,2H),6.92(d,J=8.0 Hz,1H),6.67(s,1H),5.34(dd,J=5.2,12.7 Hz,1H),4.56(d,J=9.2 Hz,2H),4.37(d,J=9.2 Hz,1H),4.09(br d,J=11.6 Hz,1H),3.55-3.45(m,1H),3.36-3.33(m,3H),3.16-3.05(m,1H),2.94-2.84(m,1H),2.80(t,J=12.0 Hz,1H),2.75-2.67(m,1H),2.64(s,1H),2.60(s,1H),2.56-2.52(m,1H),2.05-1.91(m,2H),1.90-1.82(m,2H),1.81-1.70(m,5H),1.59(s,4H),1.48(d,J=13.6 Hz,4H),1.41-1.28(m,4H),1.00-0.74(m,2H).LC-MS(ESI+)m/z 912.4(M+H)
+
【0341】
化合物B、C、DおよびEは、化合物Aと同様の方法によってかまたはWO2021/188948(その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に開示されているように調製することができる。
【0342】
実施例2.インビトロおよびインビボ実験
化合物Aを、インビトロでMDM2依存性細胞株において、ならびに皮下および播種マウスAMLおよびALL異種移植モデルにおいて試験した。方法は、インビトロ細胞増殖およびアポトーシスアッセイ、遺伝子発現プロファイリング、およびインビボ薬理学的研究を含んだ。
【0343】
細胞株:
【0344】
全ての細胞株(RS4;11、MOLM-13、MV-4-11、OCI-Ly10、OCI-Ly19、Kasumi-1、92-1、Mel202、SK-MEL-28)は、ATCC(https://www.atcc.org)、ECACC(https://www.sigmaaldrich.com)またはDSMZ(https://www.dsmz.de)から調達し、推奨される培養培地中、37℃、5% CO2で培養した。各細胞株の同一性は、48変異体SNPパネルによって確認され、マイコプラズマを含まないことが確認された。
【0345】
インビトロ細胞生存度およびアポトーシス:
【0346】
最適化された増殖条件で、24時間~96時間の化合物処置にわたって実施されたCell Titer Glo(Promega)アッセイを使用して、全ての細胞株におけるインビトロ細胞生存度を評価した。化合物処置は、11点用量応答、1uMの最大濃度で開始する3倍連続希釈を用いて行った。IC50、IC90値を、GraphPad Prismにおける適切な非線形回帰フィットを使用する曲線フィッティングによって計算した。単剤または併用処置に応答した細胞周期停止および/またはアポトーシスを、24時間処置した細胞についてフローサイトメトリー分析を用いて評価した。
【0347】
ウォッシュアウトアッセイのために、細胞を上記の連続希釈で4~24時間処置した。処置時間(4時間、8時間、16時間および24時間)の最後に、細胞を完全培地で2回洗浄し、384ウェルプレートに播種し、24~72時間インキュベートした。細胞を、Cell Titer Glo(Promega)アッセイを使用して生存度について、また、カスパーゼGlo 3/7(Promega)アッセイを使用してアポトーシスについて、処置開始の24時間後、48時間後および72時間後に評価した。
【0348】
皮下異種移植片を用いたインビボ研究:
【0349】
SPF(Beijing)experimental Animal Science Technology Co.,ltdからの雌マウス、5~8週齢マウスNOD/SCIDマウス。動物を受け入れ、収容し、研究開始前の7日間観察した。腫瘍発生のために、各マウスに、10% FBSを含む0.1mlのRPMI1640中RS4;11腫瘍細胞(1×107)を皮下接種した。研究のために平均腫瘍体積が約100mm3に達したときに群および処置を開始した。腫瘍体積に基づいて、コンピュータ生成ランダム化手順を用いてマウスをそれぞれの群にランダムに割り当てた。化合物Aを最大0.1mg/mLの濃度で20% HP-β-CDに製剤化し、腫瘍を有する動物に静脈内投与した。キャリパーを用いて週2~3回、3つの寸法で腫瘍サイズを測定した。腫瘍サイズの測定は、キャリパーを用いて週2回実施し、記録した。腫瘍体積(mm3)は、式:TV=a×b2/2(式中、「a」および「b」はそれぞれ腫瘍の長径および短径である)を使用して推定した。
【0350】
様々な時点で、腫瘍を有する動物を屠殺し、血漿および腫瘍を薬物動態学的および薬力学的決定のために収集した。
【0351】
播種異種移植片を用いたインビボ研究:
【0352】
SPF(Beijing)experimental Animal Science Technology Co.,ltdからの雌マウス、5~8週齢マウスNOD/SCIDマウス。動物を受け入れ、収容し、研究開始前の7日間観察した。各マウスは、尾静脈注射による0.1mlのPBS中の腫瘍細胞を有することになる。接種の4日後に群および処置を開始した。体重に基づいて、コンピュータ生成ランダム化手順を用いてマウスをそれぞれの群にランダムに割り当てた。化合物Aを最大0.1mg/mLの濃度で20% HP-β-CDに製剤化し、腫瘍を有する動物に静脈内投与した。
【0353】
インビトロおよびインビボのサンプルでのPD評価:
【0354】
TaqMan(商標)Array、Human p53-Mediated Apoptosis(Thermo Fisher Scientific、4418812)およびTaqMan(商標)Array、Human p53 Signaling(Thermo Fisher Scientific、4418813)を使用して、p53活性の変化の下流マーカーを同定した。8つのマーカー(MDM2、GDF15、CDKN1A、GADD45A、TNFRSF10B、FAS、BBC3、BAX)の短いリストを検証し、PD評価に使用した。全てのマーカーについてのカタログ化されたTaqmanアッセイは、Thermo Fisher Scientificから入手した。
【0355】
インビボAML実験
【0356】
白血球アフェレーシスからのAML患者細胞を静脈内(IV)注射し、免疫無防備状態の宿主系統マウスにおいて確立した。BM中の約20%のhuCD45+細胞の閾値を標的とする生着のレベルを決定するために、代理動物を使用した。マウスを研究時にランダム化し、処置を開始した。ビヒクルおよび化合物A、1mg/kgを、6週間にわたって3週間ごとにIV投与した(合計2用量の化合物A)。研究終了時に、全血、骨髄および脾臓をフローサイトメトリーによって評価した。
【0357】
結果:
【0358】
図1は、化合物AがMDM2の迅速かつ強力な分解を示すことを示す。C末端HiBiTタグ付きMDM2を安定に発現する293T細胞を、化合物Aまたは小分子阻害剤DS-3032で、最大濃度1mMで3倍段階希釈用量応答で4時間処置した。分解効力をHiBiTシグナルの減少として測定し、Nano-Glo(登録商標)HiBiT溶解検出システム(Promega)を用いて定量化した。
【0359】
図2は、がん細胞の化合物Aがp53の強力な安定化を示すことを示す。急性リンパ芽球性白血病細胞(RS4;11)を、化合物Aまたは小分子阻害剤DS-3032で、最大濃度1mMで3倍段階希釈用量応答で2時間(4時間、8時間および24時間-データ示さず)処置した。p53 MSDアッセイ(全p53全細胞溶解物キット、MSD、K150DBD-2)を使用して、p53レベルを定量化した。
【0360】
図3は、化合物Aが、SMIと比較して、がん細胞増殖を強力に阻害することを示す。急性リンパ芽球性白血病細胞(RS4;11)を、化合物Aまたは小分子阻害剤DS-3032で、最大濃度1mMで3倍段階希釈用量応答で24時間処置した。増殖阻害を、24時間の連続処置でCell titer glo(Promega)アッセイを用いて定量化した。
【0361】
図4は、化合物Aへの短期間の曝露がアポトーシスを誘導するのに十分であることを示す。急性リンパ芽球性白血病細胞(RS4;11)を、示された濃度の化合物Aまたは小分子阻害剤DS-3032で4時間(8時間、16時間、24時間-データ図示せず)処置した。アポトーシス活性を、Caspase Glo(登録商標)3/7アッセイシステム(Promega)を使用して測定したカスパーゼ活性の増加として定量化した。DS-3032と比較して、化合物Aへの短い4時間の曝露とそれに続くウォッシュアウトは、処置の24または48時間後に測定されたがん細胞におけるアポトーシスを強力に誘導するのに十分であった。
図5は、RS4;11細胞で行われたウォッシュアウト実験の概略図を示す。
【0362】
化合物Aを、RS411腫瘍を有するマウスにおいて1、3および10mg/kgの用量で単回静脈内ボーラスとして投与した。パネルAにおいて、
図6は、化合物Aが、1mg/kgという低い用量で持続的な腫瘍退縮をもたらした用量応答性抗腫瘍活性を実証したことを示す。パネルBにおいて、
図6は、1mg/kgの化合物AによるMDM2分解が、腫瘍異種移植片におけるタンパク質マーカー(例えば、p53、p21およびPUMAなどであるが、これらに限定されない)の著しい上方調節を引き起こし、投与後6時間でピークに達したことを示す。分解剤処置異種移植片におけるタンパク質マーカーのレベルの変化を、ウエスタンブロットアッセイを使用して、ビヒクル処置異種移植片と比べて定量化した。臨床的に等価な用量のSMIは、これらの異種移植モデルにおいて有意なインビボ影響を有していなかった。
【0363】
マウス異種移植モデルを使用して、抗腫瘍有効性を駆動する間欠投与スケジュールが実証される。重要なことに、1mg/kgの化合物Aの単回用量は、RS4;11マウス異種移植モデルにおける持続的な腫瘍退縮をもたらした。このモデルでは、化合物Aの曝露は、アポトーシスp53標的遺伝子の誘導および腫瘍増殖阻害と相関していた。さらに、化合物Aの毎週の投与は、ビヒクル処置動物と比較した場合、播種AMLモデルにおいて生存を有意に延長した。
【0364】
図1~
図6を要約すると、化合物Aは、可逆的SMIと比較して有意に改善された効力を示し、全ての臨床的に活性な薬剤よりも優れた強力なインビトロ有効性およびインビボ有効性をもたらす。例えば、RS4;11における全細胞死滅CTG IC
50は、化合物Aについては0.3nm;DS-3032(Sankyo/Rain)については67nm;RG7388(Roche)については220nm;SAR405838(Sanofi)については620nm;HDM201(Novartis)については163nm;およびAMG-232(Amgen/Kartos)については280nmである。さらに、化合物Aの間欠投与スケジュールは、MDM2依存性がん細胞において急速なアポトーシスを誘導することができ、有効性および安全性プロファイルの改善につながる可能性がある。
【0365】
図7Aおよび7Bは、化合物A(1mg/kg、Q3W)が、CTG-2227 AML患者由来異種移植(PDX)モデルにおいて腫瘍退縮を達成し、CTG-2240およびCTG-2700 AML PDXモデルにおいて部分応答を達成することを示す。化合物Aは、骨髄およびAML芽球におけるhCD45+細胞を有意に減少させる。
【0366】
図8Aおよび8Bは、MOLM-13細胞株におけるベネトクラックスおよびミドスタウリンとの化合物Aの組み合わせの利益を示す。データは、化合物Aとベネトクラックスおよびミドスタウリンとの組み合わせが、MOLM-12 AML細胞株におけるアポトーシスおよび細胞死滅の誘導を増強することを示す。
【0367】
図9は、AMLインビボモデルにおける標準ケアとの化合物Aの有意な組み合わせの利益を示す。ベネトクラックスの毎日投与と組み合わせた化合物Aの単回用量は、MOLM-13異種移植モデルにおいて持続的な腫瘍退縮を達成するが、シタラビン、またはシタラビンとベネトクラックスとの組み合わせは、有意な抗腫瘍活性を示さない。
【0368】
図10は、化合物Aがインビトロで複数のヘム適応症にわたって活性であり、AML、T細胞リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、およびDLBCLが最も感受性が高いことを示す。
【0369】
図11は、化合物Aがp53
WT ABCサブタイプDLBCLにおいて高度に活性であることを示す。化合物Aは、OCI-LY10 p53
WT ABCサブタイプDLBCL異種移植モデル(A)において高度に活性であったが、TMD8 p53
MUT ABCサブタイプDLBCL異種移植モデル(B)では活性でなかった。
【0370】
図7~11を要約すると、間欠的に投与された化合物Aは非常に活性であり、AML PDX異種移植モデルにおいて応答および完全な退縮をもたらす。化合物Aは、AMLインビトロおよびインビボモデルにおいてSoC剤との組み合わせの利益を示し、化合物Aの組み合わせをより大きな患者集団に使用できることを示唆している。前臨床データは、化合物AがDLBCLなどのさらなる血液悪性疾患において活性である可能性を示唆している。
【0371】
本発明者らは本発明のいくつかの実施形態を記載してきたが、本発明の化合物および方法を利用する他の実施形態を提供するために本発明者らの基本的な例を変更し得ることは明らかである。したがって、本発明の範囲は、例として表された特定の実施形態によってではなく、添付の特許請求の範囲によって定義されるべきであることが理解されよう。
【手続補正書】
【提出日】2024-08-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固形がんまたは血液悪性疾患の処置を必要とする患者の固形がんまたは血液悪性疾患を処置する
ための組成物であって、
前記組成物が、MDM2分解剤または薬学的に受容可能なその塩
を含み、前記MDM2分解剤が、
(3’R,4’S,5’R)-6’’-クロロ-4’-(3-クロロ-2-フルオロフェニル)-N-((1R,4R)-4-(4-(1-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-5-イル)ピペリジン-1-カルボニル)シクロヘキシル)-2’’-オキソジスピロ[シクロヘキサン-1,2’-ピロリジン-3’,3’’-インドリン]-5’-カルボキサミド(化合物A)、
(3’R,4’S,5’R)-6’’-クロロ-4’-(2-クロロ-3-フルオロピリジン-4-イル)-N-((6S)-6-((5-(1-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-5-イル)ペンチル)カルバモイル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)-4,4-ジメチル-2’’-オキソジスピロ[シクロヘキサン-1,2’-ピロリジン-3’,3’’-インドリン]-5’-カルボキサミド(化合物B)、
(3’R,4’S,5’R)-6’’-クロロ-4’-(3-クロロ-2-フルオロフェニル)-N-((1r,4R)-4-((2-(2-(1-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-5-イル)エチル)-2,7-ジアザスピロ[3.5]ノナン-7-イル)メチル)シクロヘキシル)-1’-メチル-2’’-オキソジスピロ[シクロヘキサン-1,2’-ピロリジン-3’,3’’-インドリン]-5’-カルボキサミド(化合物C)、
または
(3’R,4’S,5’R)-6’’-クロロ-4’-(3-クロロ-2-フルオロフェニル)-N-(4-(4-(1-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-5-イル)ピペリジン-1-カルボニル)フェニル)-2’’-オキソジスピロ[シクロヘキサン-1,2’-ピロリジン-3’,3’’-インドリン]-5’-カルボキサミド(化合物D
)である、
組成物。
【請求項2】
最大0.8mg/kgの用量
の前記MDM2分解剤または薬学的に受容可能なその塩で前記患者に投与される
ものである、請求項1に記載の
組成物。
【請求項3】
最大0.65mg/kgの用量
の前記MDM2分解剤または薬学的に受容可能なその塩で前記患者に投与される
ものである、請求項1または請求項2に記載の
組成物。
【請求項4】
最大0.5mg/kgの用量
の前記MDM2分解剤または薬学的に受容可能なその塩で前記患者に投与される
ものである、請求項1~3のいずれか一項に記載の
組成物。
【請求項5】
約0.3mg/kg~約0.6mg/kgの用量
の前記MDM2分解剤または薬学的に受容可能なその塩で前記患者に投与される
ものである、請求項1に記載の
組成物。
【請求項6】
約0.5mg/kg~約0.8mg/kgの用量
の前記MDM2分解剤または薬学的に受容可能なその塩で前記患者に投与される
ものである、請求項1に記載の
組成物。
【請求項7】
最大50mgの用量
の前記MDM2分解剤または薬学的に受容可能なその塩で前記患者に投与される
ものである、請求項1に記載の
組成物。
【請求項8】
最大40mgの用量
の前記MDM2分解剤または薬学的に受容可能なその塩で前記患者に投与される
ものである、請求項1に記載の
組成物。
【請求項9】
最大30mgの用量
の前記MDM2分解剤または薬学的に受容可能なその塩で前記患者に投与される
ものである、請求項1に記載の
組成物。
【請求項10】
約10mg~約40mgの用量
の前記MDM2分解剤または薬学的に受容可能なその塩で前記患者に投与される
ものである、請求項1に記載の
組成物。
【請求項11】
約20mg~約50mgの用量
の前記MDM2分解剤または薬学的に受容可能なその塩で前記患者に投与される
ものである、請求項1に記載の
組成物。
【請求項12】
最大30mg/m
2の用量
の前記MDM2分解剤または薬学的に受容可能なその塩で前記患者に投与される
ものである、請求項1に記載の
組成物。
【請求項13】
最大20mg/m
2の用量
の前記MDM2分解剤または薬学的に受容可能なその塩で前記患者に投与される
ものである、請求項1に記載の
組成物。
【請求項14】
最大10mg/m
2の用量
の前記MDM2分解剤または薬学的に受容可能なその塩で前記患者に投与される
ものである、請求項1に記載の
組成物。
【請求項15】
約1mg/m
2~約10mg/m
2の用量
の前記MDM2分解剤または薬学的に受容可能なその塩で前記患者に投与される
ものである、請求項1に記載の
組成物。
【請求項16】
約5mg/m
2~約15mg/m
2の用量
の前記MDM2分解剤または薬学的に受容可能なその塩で前記患者に投与される
ものである、請求項1に記載の
組成物。
【請求項17】
前記患者に経口投与される
ものである、請求項1~16のいずれか一項に記載の
組成物。
【請求項18】
前記患者への前記
組成物の前記経口投与が、溶液、懸濁物、エマルション、錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、または徐放性製剤を含む、請求項17に記載の
組成物。
【請求項19】
前記患者に静脈内投与される
ものである、請求項1~16のいずれか一項に記載の
組成物。
【請求項20】
前記患者への前記
組成物の前記静脈内投与が滅菌注射用溶液を含む、請求項19に記載の
組成物。
【請求項21】
週に1回(QW)、前記患者に投与される
ものである、請求項1~20のいずれか一項に記載の
組成物。
【請求項22】
2週間に1回(Q2W)、前記患者に投与される
ものである、請求項1~20のいずれか一項に記載の
組成物。
【請求項23】
3週間に1回(Q3W)、前記患者に投与される
ものである、請求項1~20のいずれか一項に記載の
組成物。
【請求項24】
1またはそれを超える薬学的に受容可能な添加物または担体を含む薬学的組成物として投与される
ものである、請求項1~23のいずれか一項に記載の
組成物。
【請求項25】
前記1またはそれを超える薬学的に受容可能な添加物または担体が、1またはそれを超える希釈剤、保存剤、結合剤、滑沢剤、崩壊剤、膨潤剤、充填剤または安定剤を含む、請求項24に記載の薬学的組成物。
【請求項26】
前記1またはそれを超える薬学的に受容可能な添加物または担体が、1またはそれを超える緩衝液、界面活性剤、分散剤、乳化剤または粘度調整剤を含む、請求項24に記載の薬学的組成物。
【請求項27】
前記固形がんまたは血液悪性疾患が、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、大顆粒リンパ球性白血病(LGL-L)、B細胞前リンパ球性白血病、急性骨髄性白血病(AML)、バーキットリンパ腫/白血病、原発性滲出性リンパ腫、末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、進行性B細胞びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(ABC DLBCL)、血管内大細胞型B細胞リンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症(WM)、脾臓辺縁層リンパ腫、多発性骨髄腫、形質細胞腫、ブドウ膜黒色腫、または骨髄異形成症候群(MDS)から選択される、請求項1~2
4のいずれか一項に記載の
組成物、または請求項25もしくは26に記載の薬学的組成物。
【請求項28】
前記患者が少なくとも1つの以前の治療を受けたことがある、請求項1~2
4および27のいずれか一項に記載の
組成物、または請求項25~27に記載の薬学的組成物。
【請求項29】
前記患者がヒトである、請求項1~2
4、27および28のいずれか一項に記載の
組成物、または請求項25~28に記載の薬学的組成物。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0371
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0371】
本発明者らは本発明のいくつかの実施形態を記載してきたが、本発明の化合物および方法を利用する他の実施形態を提供するために本発明者らの基本的な例を変更し得ることは明らかである。したがって、本発明の範囲は、例として表された特定の実施形態によってではなく、添付の特許請求の範囲によって定義されるべきであることが理解されよう。
特定の実施形態では、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
固形がんまたは血液悪性疾患の処置を必要とする患者の固形がんまたは血液悪性疾患を処置する方法であって、治療有効量のMDM2分解剤または薬学的に受容可能なその塩を前記患者に投与することを含み、前記MDM2分解剤が、
(3’R,4’S,5’R)-6’’-クロロ-4’-(3-クロロ-2-フルオロフェニル)-N-((1R,4R)-4-(4-(1-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-5-イル)ピペリジン-1-カルボニル)シクロヘキシル)-2’’-オキソジスピロ[シクロヘキサン-1,2’-ピロリジン-3’,3’’-インドリン]-5’-カルボキサミド(化合物A)、
(3’R,4’S,5’R)-6’’-クロロ-4’-(2-クロロ-3-フルオロピリジン-4-イル)-N-((6S)-6-((5-(1-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-5-イル)ペンチル)カルバモイル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)-4,4-ジメチル-2’’-オキソジスピロ[シクロヘキサン-1,2’-ピロリジン-3’,3’’-インドリン]-5’-カルボキサミド(化合物B)、
(3’R,4’S,5’R)-6’’-クロロ-4’-(3-クロロ-2-フルオロフェニル)-N-((1r,4R)-4-((2-(2-(1-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-5-イル)エチル)-2,7-ジアザスピロ[3.5]ノナン-7-イル)メチル)シクロヘキシル)-1’-メチル-2’’-オキソジスピロ[シクロヘキサン-1,2’-ピロリジン-3’,3’’-インドリン]-5’-カルボキサミド(化合物C)、
(3’R,4’S,5’R)-6’’-クロロ-4’-(3-クロロ-2-フルオロフェニル)-N-(4-(4-(1-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-5-イル)ピペリジン-1-カルボニル)フェニル)-2’’-オキソジスピロ[シクロヘキサン-1,2’-ピロリジン-3’,3’’-インドリン]-5’-カルボキサミド(化合物D)、または
(3’R,4’S,5’R)-6’’-クロロ-4’-(3-クロロ-2-フルオロフェニル)-N-((1r,4R)-4-(4-((2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-1-オキソイソインドリン-4-イル)エチニル)ピペリジン-1-カルボニル)シクロヘキシル)-2’’-オキソジスピロ[シクロヘキサン-1,2’-ピロリジン-3’,3’’-インドリン]-5’-カルボキサミド(化合物E)である、方法。
(項目2)
前記MDM2分解剤または薬学的に受容可能なその塩が、最大0.8mg/kgの用量で前記患者に投与される、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記MDM2分解剤または薬学的に受容可能なその塩が、最大0.65mg/kgの用量で前記患者に投与される、項目1または項目2に記載の方法。
(項目4)
前記MDM2分解剤または薬学的に受容可能なその塩が、最大0.5mg/kgの用量で前記患者に投与される、項目1~3のいずれか一項に記載の方法。
(項目5)
前記MDM2分解剤または薬学的に受容可能なその塩が、約0.3mg/kg~約0.6mg/kgの用量で前記患者に投与される、項目1に記載の方法。
(項目6)
前記MDM2分解剤または薬学的に受容可能なその塩が、約0.5mg/kg~約0.8mg/kgの用量で前記患者に投与される、項目1に記載の方法。
(項目7)
前記MDM2分解剤または薬学的に受容可能なその塩が、最大50mgの用量で前記患者に投与される、項目1に記載の方法。
(項目8)
前記MDM2分解剤または薬学的に受容可能なその塩が、最大40mgの用量で前記患者に投与される、項目1に記載の方法。
(項目9)
前記MDM2分解剤または薬学的に受容可能なその塩が、最大30mgの用量で前記患者に投与される、項目1に記載の方法。
(項目10)
前記MDM2分解剤または薬学的に受容可能なその塩が、約10mg~約40mgの用量で前記患者に投与される、項目1に記載の方法。
(項目11)
前記MDM2分解剤または薬学的に受容可能なその塩が、約20mg~約50mgの用量で前記患者に投与される、項目1に記載の方法。
(項目12)
前記MDM2分解剤または薬学的に受容可能なその塩が、最大30mg/m
2
の用量で前記患者に投与される、項目1に記載の方法。
(項目13)
前記MDM2分解剤または薬学的に受容可能なその塩が、最大20mg/m
2
の用量で前記患者に投与される、項目1に記載の方法。
(項目14)
前記MDM2分解剤または薬学的に受容可能なその塩が、最大10mg/m
2
の用量で前記患者に投与される、項目1に記載の方法。
(項目15)
前記MDM2分解剤または薬学的に受容可能なその塩が、約1mg/m
2
~約10mg/m
2
の用量で前記患者に投与される、項目1に記載の方法。
(項目16)
前記MDM2分解剤または薬学的に受容可能なその塩が、約5mg/m
2
~約15mg/m
2
の用量で前記患者に投与される、項目1に記載の方法。
(項目17)
前記MDM2分解剤または薬学的に受容可能なその塩が、前記患者に経口投与される、項目1~16のいずれか一項に記載の方法。
(項目18)
前記患者への前記MDM2分解剤の前記経口投与が、溶液、懸濁物、エマルション、錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、または徐放性製剤を含む、項目17に記載の方法。
(項目19)
前記MDM2分解剤または薬学的に受容可能なその塩が、前記患者に静脈内投与される、項目1~16のいずれか一項に記載の方法。
(項目20)
前記患者への前記MDM2分解剤の前記静脈内投与が滅菌注射用溶液を含む、項目19に記載の方法。
(項目21)
前記MDM2分解剤または薬学的に受容可能なその塩が、週に1回(QW)、前記患者に投与される、項目1~20のいずれか一項に記載の方法。
(項目22)
前記MDM2分解剤または薬学的に受容可能なその塩が、2週間に1回(Q2W)、前記患者に投与される、項目1~20のいずれか一項に記載の方法。
(項目23)
前記MDM2分解剤または薬学的に受容可能なその塩が、3週間に1回(Q3W)、前記患者に投与される、項目1~20のいずれか一項に記載の方法。
(項目24)
前記MDM2分解剤または薬学的に受容可能なその塩が、1またはそれを超える薬学的に受容可能な添加物または担体を含む薬学的組成物として投与される、項目1~23のいずれか一項に記載の方法。
(項目25)
前記1またはそれを超える薬学的に受容可能な添加物または担体が、1またはそれを超える希釈剤、保存剤、結合剤、滑沢剤、崩壊剤、膨潤剤、充填剤または安定剤を含む、項目24に記載の薬学的組成物。
(項目26)
前記1またはそれを超える薬学的に受容可能な添加物または担体が、1またはそれを超える緩衝液、界面活性剤、分散剤、乳化剤または粘度調整剤を含む、項目24に記載の薬学的組成物。
(項目27)
前記固形がんまたは血液悪性疾患が、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、大顆粒リンパ球性白血病(LGL-L)、B細胞前リンパ球性白血病、急性骨髄性白血病(AML)、バーキットリンパ腫/白血病、原発性滲出性リンパ腫、末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、進行性B細胞びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(ABC DLBCL)、血管内大細胞型B細胞リンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症(WM)、脾臓辺縁層リンパ腫、多発性骨髄腫、形質細胞腫、ブドウ膜黒色腫、または骨髄異形成症候群(MDS)から選択される、項目1~26のいずれか一項に記載の方法。
(項目28)
前記患者が少なくとも1つの以前の治療を受けたことがある、項目1~27のいずれか一項に記載の方法。
(項目29)
前記患者がヒトである、項目1~28のいずれか一項に記載の方法。
【国際調査報告】