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特表2024-546855変性条件下での環状RNAの濃縮方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】変性条件下での環状RNAの濃縮方法
(51)【国際特許分類】
   C07H 21/02 20060101AFI20241219BHJP
   C12P 1/00 20060101ALI20241219BHJP
   C12P 19/34 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
C07H21/02
C12P1/00 A
C12P19/34 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024535432
(86)(22)【出願日】2022-12-16
(85)【翻訳文提出日】2024-08-05
(86)【国際出願番号】 US2022081826
(87)【国際公開番号】W WO2023115013
(87)【国際公開日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】63/291,185
(32)【優先日】2021-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520445473
【氏名又は名称】フラッグシップ パイオニアリング イノベーションズ シックス,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】デ ブール, アレクサンドラ ソフィー
(72)【発明者】
【氏名】プラギス, ニコラス マッカートニー
(72)【発明者】
【氏名】クーラ, アンソニー ジョゼフ
(72)【発明者】
【氏名】ファーブ, ジョシュア ネイサン
(72)【発明者】
【氏名】マンヴァール, ディネシュクマール
(72)【発明者】
【氏名】ミスラ, トゥーシャー カンティ
(72)【発明者】
【氏名】ネルソン, ジェニファー エー.
【テーマコード(参考)】
4B064
4C057
【Fターム(参考)】
4B064AF27
4B064CA21
4B064CB01
4B064CC30
4B064CE10
4B064CE11
4B064CE12
4B064CE14
4B064CE20
4B064DA01
4C057AA04
4C057BB02
4C057CC01
4C057DD01
4C057MM01
4C057MM02
(57)【要約】
本開示は、例えば、circRNA及び線状ポリリボヌクレオチド(linRNA)を含むポリリボヌクレオチドの集団からの、環状ポリリボヌクレオチド(circRNA)の濃縮のための方法であって、濃縮が変性条件下で行われる方法に関する。また、変性条件下の溶液中にcircRNA及びlinRNAを含むポリリボヌクレオチドの集団を含む組成物も開示される。さらに本開示の範囲には、組成物を1つ又は複数の変性条件に曝露することによって製造された組成物などの、circRNAの濃縮集団を含む組成物も包含される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状ポリリボヌクレオチド(circRNA)の濃縮集団を生産するための方法であって、前記方法が、以下:
(a)circRNA及び線状ポリリボヌクレオチド(linRNA)を含むポリリボヌクレオチドの集団を含むサンプルを用意するステップと;
(b)ゲル電気泳動の使用を含まない変性条件下で、前記linRNAから前記circRNAを分離し、それによって、1,000以下のヌクレオチドの長さを含むcircRNAの濃縮集団を生産するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
circRNAの濃縮集団を生産するための方法であって、前記方法が、以下:
(a)circRNA及びlinRNAを含むポリリボヌクレオチドの集団を含むサンプルを用意するステップであって、前記circRNAが、1,000以下のヌクレオチドの長さを含むステップと;
(b)ポリリボヌクレオチドの前記集団を変性条件に曝露し、それによって、circRNAの前記集団を濃縮するステップと、
を含む方法。
【請求項3】
(i)ポリリボヌクレオチドの前記集団中の前記ポリリボヌクレオチドの総重量が、少なくとも1μgであり;
(ii)ポリリボヌクレオチドの前記集団を含む前記サンプルの総量が、少なくとも500μLであるか;又は
(iii)前記サンプル中のポリリボヌクレオチドの前記集団の濃度が、少なくとも200ng/μLである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記分離ステップ(b)が、ゲル電気泳動の使用を含まない変性条件下で実施され;及び/或いは前記circRNAの濃縮集団が、1種若しくは複数種の不純物又は副産物を実質的に含まず、前記1種若しくは複数種の不純物又は副産物が、ポリアクリルアミド、ホウ酸、マグネシウム、又はエチレンジアミン四酢酸(EDTA)を含む、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記変性条件が、少なくとも50℃を含むか;又は前記変性条件が、少なくとも50℃の温度、続いて30秒以下の時間内に8℃以下の温度を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記変性条件が、5未満のpH又は9を超えるpHを含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記変性条件が、酸、塩基、有機溶媒、カオトロピック剤、クラウディング剤、キレート剤、デタージェント、又は塩溶液による処理を含む化学処理を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記酸が、1mM~500mMの酢酸、塩酸、サリチル酸、リン酸、ホウ酸、ギ酸、シュウ酸、クエン酸、安息香酸、モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、アスコルビン酸、又は硝酸を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記塩基が、1mM~500mMの水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、イミダゾール、ヒスチジン、炭酸水素ナトリウム、グアニジン、又はトリエチルアミンを含む、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
前記有機溶媒が、少なくとも0.1%(v/v)のジメチルスルホキシド、酢酸トリエチルアンモニウム、メタノール、エタノール、2-プロパノール、イソプロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、t-ブタノール、イソブタノール、フェノール、クロロホルム、ヘキサン、アセトニトリル、ホルムアミド、アセトン、デナトニウム、又はプロピレングリコールを含む、請求項7~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記カオトロピック剤が、100mM~8Mの尿素、塩化グアニジニウム、過塩素酸リチウム、若しくはポリエチレングリコール(PEG)を含み;及び/又は前記カオトロピック剤が、100mM~8Mのn-ドデシルβ-d-マルトシド、n-オクチルグルコシド、CHAPS、若しくはデオキシコール酸塩を含む、請求項7~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記クラウディング剤が、100mM~8MのPEG、又は尿素を含む、請求項7~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記キレート剤が、1mM~10mMのエチレングリコール-ビス(β-アミノエチルエーテル)-N,N,N’,N’-テトラ酢酸(EGTA)若しくはその誘導体、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)若しくはその誘導体、ニトリロ三酢酸(NTA)、イミノジコハク酸(IDS)、ポリアスパラギン酸、S,S-エチレンジアミン-N,N’-ジコハク酸(EDDS)、又はメチルグリシン二酢酸(MGDA)を含む、請求項7~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記デタージェントが、0.005%~0.05%(v/v)のノニデット(登録商標)(Nonidet)P-40(NP40)、CHAPS、オクチルβ-D-グルコピラノシド、n-ドデシルβ-d-マルトシド、Tween(登録商標)-20、又はTween(登録商標)-80を含む、請求項7~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
ステップ(b)が、ポリリボヌクレオチドの前記集団に対してカラムクロマトグラフィーを実施することを含み、カラムクロマトグラフィーを実施することは、平衡化ステップ、サンプルロードステップ、カラム洗浄ステップ、及び溶離ステップを含み、前記分離することが平衡化ステップ、サンプルロードステップ、カラム洗浄ステップの間、及び/又は溶離ステップの間に行われる、請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記カラムクロマトグラフィーが、高速タンパク質液体クロマトグラフィー(FPLC)、高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)、陰イオン交換クロマトグラフィー(AEC)、混合モードクロマトグラフィー、又はアフィニティークロマトグラフィーを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記AECが、以下:
(i)陰イオン交換樹脂の使用であって、前記陰イオン交換樹脂は、スチレン-ジビニルベンゼン、シリカ、セファロース、セルロース、デキストラン、エポキシポリアミン、メタクリレート、アガロース、及びアクリルからなる群から選択され;及び/又は前記陰イオン交換樹脂は、第4級アンモニウム、アミノエチル、ジエチルアミノエチル、又はジエチルアミノプロピルからなる群から選択されるイオン交換体を含み;及び/又は前記陰イオン交換樹脂はビーズを含み、前記ビーズは、45~165μmのビーズ径及び直径100~1000nmの孔径を有する、使用;並びに/或いは
(ii)線形グラジエント溶離又はステップイソクラティック溶離の使用;並びに/或いは
(ii)1mL/分~150mL/分の流量の使用
を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
ステップ(b)が、精製circRNAの複数の画分をプールすることによって実施される、請求項1~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記circRNA及びlinRNAが、同じリボヌクレオチド配列を有し;及び/又は前記circRNA及びlinRNAが、同じ質量を有し;及び/又は前記circRNA及びlinRNAが、ポリ(A)テールを欠いている、請求項1~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記方法が、前記linRNAのエキソヌクレアーゼ消化を含むか、又は前記方法が、前記linRNAのエキソヌクレアーゼ消化を含まず;及び/又は前記方法が、前記circRNAの濃縮を改善する、前記circRNA又は前記linRNAに対する選択的修飾を含まない、請求項1~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記circRNAの濃縮集団中の前記circRNAのパーセント(w/w)が、前記ポリリボヌクレオチド集団中の前記circRNAのパーセント(w/w)の2倍であり;及び/又は前記circRNAの濃縮集団中の前記circRNAのパーセント(w/w)が、少なくとも65%であり;及び/又は前記circRNAの濃縮集団中の前記linRNAのパーセント(w/w)が、35%未満である、請求項1~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
circRNA及びlinRNAを含むポリリボヌクレオチドの集団を含む組成物であって、前記circRNAは、約1,000ヌクレオチド以下の長さを含み、ポリリボヌクレオチドの前記集団が、変性条件下の溶液中にあり;
(i)前記ポリリボヌクレオチドの前記集団中のポリリボヌクレオチドの総重量が、少なくとも1μgであり;
(ii)ポリリボヌクレオチドの前記集団を含む前記サンプルの総量が、少なくとも500μLであるか;又は
(iii)前記サンプル中のポリリボヌクレオチドの前記集団の濃度が、少なくとも500ng/μLである、組成物。
【請求項23】
circRNAの濃縮集団を含む組成物であって、
(a)前記組成物が、circRNA及びlinRNAを含むポリリボヌクレオチドの集団を含むサンプルから取得され、前記circRNAは、約1,000ヌクレオチド以下の長さを含み;
(b)前記組成物が、1つ若しくは複数の変性条件に曝露されており;
(c)前記組成物が、1種若しくは複数種の不純物又は副産物を実質的に含まない、組成物。
【請求項24】
前記1種若しくは複数種の不純物又は副産物が、ポリアクリルアミド、ホウ酸、マグネシウム、又はEDTAを含む、請求項22又は23に記載の組成物。
【請求項25】
前記変性条件が、少なくとも50℃の温度を含むか;又は前記変性条件が、少なくとも50℃の温度、続いて8℃以下の温度を含む、請求項22~24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記変性条件が、5未満のpH又は9を超えるpHを含む、請求項22~25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記変性条件が、酸、塩基、有機溶媒、カオトロピック剤、クラウディング剤、キレート剤、デタージェント、又は塩溶液による処理を含む化学処理を含む、請求項22~26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記酸が、1mM~500mMの酢酸、塩酸、サリチル酸、リン酸、ホウ酸、ギ酸、シュウ酸、クエン酸、安息香酸、モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、アスコルビン酸、又は硝酸を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記塩基が、1mM~500mMの水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、イミダゾール、ヒスチジン、炭酸水素ナトリウム、グアニジン、又はトリエチルアミンを含む、請求項27又は28に記載の方法。
【請求項30】
前記有機溶媒が、少なくとも0.1%(v/v)のジメチルスルホキシド、酢酸トリエチルアンモニウム、メタノール、エタノール、2-プロパノール、イソプロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、t-ブタノール、イソブタノール、フェノール、クロロホルム、ヘキサン、アセトニトリル、ホルムアミド、アセトン、デナトニウム、又はプロピレングリコールを含む、請求項27~29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記カオトロピック剤が、100mM~8Mの尿素、塩化グアニジニウム、過塩素酸リチウム、若しくはポリエチレングリコール(PEG)を含み;及び/又は前記カオトロピック剤が、100mM~8Mのn-ドデシルβ-d-マルトシド、n-オクチルグルコシド、CHAPS、若しくはデオキシコール酸塩を含む、請求項27~30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記クラウディング剤が、100mM~8Mのポリエチレングリコール(PEG)、又は尿素を含む、請求項27~31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
前記キレート剤が、1mM~10mMのEGTA若しくはその誘導体、EDTA若しくはその誘導体、NTA、IDS、EDDS、又はMGDAを含む、請求項27~32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
前記デタージェントが、0.005%~0.05%(v/v)のNP40、CHAPS、オクチルβ-D-グルコピラノシド、n-ドデシルβ-d-マルトシド、Tween(登録商標)-20、又はTween(登録商標)-80を含む、請求項27~33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
前記circRNAの濃縮集団中の前記circRNAのパーセント(w/w)が、前記ポリリボヌクレオチド集団中の前記circRNAのパーセント(w/w)の2倍であり;及び/又は前記circRNAの濃縮集団中の前記circRNAのパーセント(w/w)が、少なくとも65%であり;及び/又は前記circRNAの濃縮集団中の前記linRNAのパーセント(w/w)が、35%未満である、請求項22~34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
前記circRNA及び前記linRNAが、同じリボヌクレオチド配列を有し;及び/又は前記circRNA及び前記linRNAが、同じ質量を有し;及び/又は前記circRNA及び前記linRNAが、ポリ(A)テールを欠いている、請求項22~35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
circRNAの純度を決定する方法であって、前記方法が、以下:
(a)circRNA及びlinRNAを含むポリリボヌクレオチドの集団を含むサンプルを用意するステップであって、前記circRNAは1,000ヌクレオチド以下の長さを含む、ステップと;
(b)クロマトグラフィーにより、変性条件下で前記circRNAを前記linRNAから分離するステップと;
(c)前記circRNAのピーク及び前記linRNAのピークを含む前記サンプルのクロマトグラムを収集するステップと;
(d)各ピーク下の面積を計算して、前記サンプル中の前記circRNAの純度を決定するステップと、
を含む方法。
【請求項38】
前記変性条件が、ゲル電気泳動の使用を含まない、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記変性条件が、少なくとも50℃の温度を含むか;又は、前記変性条件が、少なくとも50℃の温度、続いて30秒以下の時間内に8℃以下の温度を含む、請求項37又は38に記載の方法。
【請求項40】
前記変性条件が、5未満のpH又は9を超えるpHを含む、請求項37~39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
前記変性条件が、酸、塩基、有機溶媒、カオトロピック剤、クラウディング剤、キレート剤、デタージェント、又は塩溶液による処理を含む化学処理を含む、請求項37~40のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
前記酸が、1mM~500mMの酢酸、塩酸、サリチル酸、リン酸、ホウ酸、ギ酸、シュウ酸、クエン酸、安息香酸、モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、アスコルビン酸、又は硝酸を含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記塩基が、1mM~500mMの水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、イミダゾール、ヒスチジン、炭酸水素ナトリウム、グアニジン、又はトリエチルアミンを含む、請求項41又は42に記載の方法。
【請求項44】
前記有機溶媒が、少なくとも0.1%(v/v)のジメチルスルホキシド、酢酸トリエチルアンモニウム、メタノール、エタノール、2-プロパノール、イソプロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、t-ブタノール、イソブタノール、フェノール、クロロホルム、ヘキサン、アセトニトリル、ホルムアミド、アセトン、デナトニウム、又はプロピレングリコールを含む、請求項41~43のいずれか1項に記載の方法。
【請求項45】
前記カオトロピック剤が、100mM~8Mの尿素、塩化グアニジニウム、過塩素酸リチウム、若しくはポリエチレングリコール(PEG)を含み;及び/又は前記カオトロピック剤が、100mM~8Mのn-ドデシルβ-d-マルトシド、n-オクチルグルコシド、CHAPS、若しくはデオキシコール酸塩を含む、請求項41~44のいずれか1項に記載の方法。
【請求項46】
前記クラウディング剤が、100mM~8Mのポリエチレングリコール(PEG)、又は尿素を含む、請求項41~45のいずれか1項に記載の方法。
【請求項47】
前記キレート剤が、1mM~10mMのEGTA若しくはその誘導体、EDTA若しくはその誘導体、NTA、IDS、ポリアスパラギン酸、EDDS、又はMGDAを含む、請求項41~46のいずれか1項に記載の方法。
【請求項48】
前記デタージェントが、0.005%~0.05%(v/v)のノニデット(登録商標)(Nonidet)P-40(NP40)、CHAPS、オクチルβ-D-グルコピラノシド、n-ドデシルβ-d-マルトシド、Tween(登録商標)-20、又はTween(登録商標)-80を含む、請求項41~47のいずれか1項に記載の方法。
【請求項49】
前記クロマトグラフィーが、液体クロマトグラフィーを含み、前記液体クロマトグラフィーは、FPLC、HPLC、HIC、AEC、MMC、又はアフィニティークロマトグラフィーからなる群から選択される、請求項37~48のいずれか1項に記載の方法。
【請求項50】
前記純度の相対標準偏差(RSD)が、5%未満である、実施形37~49のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
ポリリボヌクレオチドは、種々の治療及び改変適用に有用である。したがって、ポリリボヌクレオチドを分離及び精製するための新しい組成物及び方法が有用である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
本開示は、概して、例えば、circRNA及び線状ポリリボヌクレオチド(linRNA)を含むポリリボヌクレオチドの集団からの、環状ポリリボヌクレオチド(circRNA)の濃縮のための方法であって、濃縮が変性条件下で行われる方法に関する。また、変性条件下の溶液中にcircRNA及びlinRNAを含むポリリボヌクレオチドの集団を含む組成物も開示される。さらに本開示の範囲には、circRNAの濃縮集団を含む組成物、例えば、組成物を1つ又は複数の変性条件に曝露することによって製造された組成物なども包含される。本開示は、部分的には、変性条件下(例えば、熱変性、pH、又は化学処理)でのcircRNAの分離が、circRNA、linRNA、又は他の不純物若しくは副産物を含む混合ポリリボヌクレオチドの集団からcircRNAを精製及び濃縮するための頑健な方法であるという本発明者らの発見に基づく。さらに、開示された方法は、circRNA精製プロセスのスケールアップを容易にし、それによって、大量のcircRNAの生産及び精製が可能になる。
【0003】
一態様において、本開示は、circRNAの濃縮集団を生産するための方法を提供し、この方法は、以下:(a)circRNA及びlinRNAを含むポリリボヌクレオチドの集団を含むサンプルを用意するステップと;(b)ゲル電気泳動の使用を含まない変性条件下で、linRNAからcircRNAを分離し、それによってcircRNAの濃縮集団を生産するステップと、を含む。また、上述の条件下でlinRNAの集団からcircRNAの集団を分離する方法も企図され、これは、任意選択で、circRNAの集団を定量するステップ及び/又はlinRNAの集団を定量するステップをさらに含む。
【0004】
一態様において、本開示は、circRNAの濃縮集団を生産するための方法を提供し、この方法は、以下:(a)circRNA及びlinRNAを含むポリリボヌクレオチドの集団を含むサンプルを用意するステップと;(b)ポリリボヌクレオチドの集団を変性条件に曝露し、それによって、circRNAの集団を濃縮するステップと、を含む。また、上記の条件下で、circRNAの集団をlinRNAの集団から分離する方法も企図され、これは、任意選択で、circRNAの集団を定量するステップ及び/又はlinRNAの集団を定量するステップをさらに含む。
【0005】
いくつかの実施形態では、(i)ポリリボヌクレオチドの集団中のポリリボヌクレオチドの総重量は、少なくとも1μg(例えば、少なくとも5μg、少なくとも10、少なくとも25μg、少なくとも50μg、少なくとも100μg、少なくとも250μg、少なくとも500μg、少なくとも750μg、少なくとも1mg、5mg、10mg、100mg、若しくは1g;又は5μg~100μg、5μg~500μg、5μg~1mg、5μg~10mg、500μg~100mg、500μg~1g、500μg~10g、100mg~1g、若しくは1g~10g)であり;(ii)ポリリボヌクレオチドの集団を含むサンプルの総量は、少なくとも500μL(例えば、少なくとも1mL、5mL、10mL、100mL、若しくは1L;又は500μL~100mL、500μL~1L、500μL~10L、若しくは1L~10L)であり;又は(iii)サンプル中のポリリボヌクレオチドの集団の濃度は、少なくとも200ng/μL(例えば、少なくとも500ng/μL、1mg/mL、5mg/mL、10mg/mL、若しくは50mg/mL;又は200ng/μL~100mg/mL、200ng/μL~50mg/mL、若しくは1mg/mL~50mg/mL)である。いくつかの実施形態では、circRNAは、約100ヌクレオチド~約20,000ヌクレオチド(例えば、約100ヌクレオチド~約500ヌクレオチド、約100ヌクレオチド~約750ヌクレオチド、約100ヌクレオチド~約1,000ヌクレオチド、約100ヌクレオチド~約2,500ヌクレオチド、約100ヌクレオチド~約5,000ヌクレオチド、約100ヌクレオチド~約10,000ヌクレオチド、約500ヌクレオチド~約750ヌクレオチド、約750ヌクレオチド~約1,000ヌクレオチド、約750ヌクレオチド~約1,250ヌクレオチド、約1,000ヌクレオチド~約1,250ヌクレオチド、約1,000ヌクレオチド~約2,000ヌクレオチド、約1,000ヌクレオチド~約5,000ヌクレオチド、約2,500ヌクレオチド~約5,000ヌクレオチド、約5,000ヌクレオチド~約10,000ヌクレオチド、約5,000ヌクレオチド~約15,000ヌクレオチド、約10,000ヌクレオチド~約15,000ヌクレオチド、約15,000ヌクレオチド~約20,000ヌクレオチド、約100ヌクレオチド、約200ヌクレオチド、約300ヌクレオチド、約400ヌクレオチド、約500ヌクレオチド、約600ヌクレオチド、約700ヌクレオチド、約800ヌクレオチド、約900ヌクレオチド、約1,000ヌクレオチド、約1,250ヌクレオチド、約1,500ヌクレオチド、約1,750ヌクレオチド、約2,000ヌクレオチド、約3,000ヌクレオチド、約4,000ヌクレオチド、約5,000ヌクレオチド、約6,000ヌクレオチド、約7,000ヌクレオチド、約8,000ヌクレオチド、約9,000ヌクレオチド、約10,000ヌクレオチド、約11,000ヌクレオチド、約12,000ヌクレオチド、約13,000ヌクレオチド、約14,000ヌクレオチド、約15,000ヌクレオチド、約16,000ヌクレオチド、約17,000ヌクレオチド、約18,000ヌクレオチド、約19,000ヌクレオチド、又は約20,000ヌクレオチド)の長さを有する。いくつかの実施形態では、circRNAは、1,000ヌクレオチド未満の長さを有する。
【0006】
一態様において、本開示は、circRNAの濃縮集団を生産するための方法を提供し、この方法は、以下を含む:(a)circRNA及びlinRNAを含むポリリボヌクレオチドの集団を含むサンプルを用意するステップであって、(i)ポリリボヌクレオチドの集団中のポリリボヌクレオチドの総重量が、少なくとも1μg(例えば、少なくとも5μg、少なくとも10μg、少なくとも25μg、少なくとも50μg、少なくとも100μg、少なくとも250μg、少なくとも500μg、少なくとも750μg、少なくとも1mg、5mg、10mg、100mg、若しくは1g;又は5μg~100μg、5μg~500μg、5μg~1mg、5μg~10mg、500μg~100mg、500μg~1g、500μg~10g、100mg~1g、若しくは1g~10g)であり;(ii)ポリリボヌクレオチドの集団を含むサンプルの総量が、少なくとも500μL(例えば、少なくとも1mL、5mL、10mL、100mL、若しくは1L;又は500μL~100mL、500μL~1L、500μL~10L、若しくは1L~10L)であり;又は(iii)サンプル中のポリリボヌクレオチドの集団の濃度が、少なくとも200ng/μL(例えば、少なくとも500ng/μL、1mg/mL、5mg/mL、10mg/mL、若しくは50mg/mL;又は200ng/μL~100mg/mL、200ng/μL~50mg/mL、若しくは1mg/mL~50mg/mL)であるステップと;(b)変性条件下でlinRNAからcircRNAを分離し、それによって、circRNAの濃縮集団を生産するステップ。また、上述の条件下でlinRNAの集団からcircRNAの集団を分離する方法も企図され、これは、任意選択で、circRNAの集団を定量するステップ及び/又はlinRNAの集団を定量するステップをさらに含む。
【0007】
いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドの集団中のポリリボヌクレオチドの総重量は、1μg~1000mg(例えば、5μg~10mg)である。いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドの集団を含むサンプルの総量は、500μL~1000mLである。いくつかの実施形態では、サンプル中のポリリボヌクレオチドの集団の濃度は、200ng/μL~50mg/mLである。
【0008】
いくつかの実施形態では、circRNAは、約100ヌクレオチド~約20,000ヌクレオチド(例えば、約100ヌクレオチド~約500ヌクレオチド、約100ヌクレオチド~約750ヌクレオチド、約100ヌクレオチド~約1,000ヌクレオチド、約100ヌクレオチド~約2,500ヌクレオチド、約100ヌクレオチド~約5,000ヌクレオチド、約100ヌクレオチド~約10,000ヌクレオチド、約500ヌクレオチド~約750ヌクレオチド、約750ヌクレオチド~約1,000ヌクレオチド、約750ヌクレオチド~約1,250ヌクレオチド、約1,000ヌクレオチド~約1,250ヌクレオチド、約1,000ヌクレオチド~約2,000ヌクレオチド、約1,000ヌクレオチド~約5,000ヌクレオチド、約2,500ヌクレオチド~約5,000ヌクレオチド、約5,000ヌクレオチド~約10,000ヌクレオチド、約5,000ヌクレオチド~約15,000ヌクレオチド、約10,000ヌクレオチド~約15,000ヌクレオチド、約15,000ヌクレオチド~約20,000ヌクレオチド、約100ヌクレオチド、約200ヌクレオチド、約300ヌクレオチド、約400ヌクレオチド、約500ヌクレオチド、約600ヌクレオチド、約700ヌクレオチド、約800ヌクレオチド、約900ヌクレオチド、約1,000ヌクレオチド、約1,250ヌクレオチド、約1,500ヌクレオチド、約1,750ヌクレオチド、約2,000ヌクレオチド、約3,000ヌクレオチド、約4,000ヌクレオチド、約5,000ヌクレオチド、約6,000ヌクレオチド、約7,000ヌクレオチド、約8,000ヌクレオチド、約9,000ヌクレオチド、約10,000ヌクレオチド、約11,000ヌクレオチド、約12,000ヌクレオチド、約13,000ヌクレオチド、約14,000ヌクレオチド、約15,000ヌクレオチド、約16,000ヌクレオチド、約17,000ヌクレオチド、約18,000ヌクレオチド、約19,000ヌクレオチド、又は約20,000ヌクレオチド)の長さを有する。いくつかの実施形態では、circRNAは、1,000ヌクレオチド未満の長さを有する。
【0009】
いくつかの実施形態では、分離ステップ(b)は、ゲル電気泳動の使用を含まない変性条件下で実施される。
【0010】
いくつかの実施形態では、circRNAの濃縮集団は、1種若しくは複数種の不純物又は副産物を実質的に含まない。いくつかの実施形態では、1種若しくは複数種の不純物又は副産物は、ポリアクリルアミド、ホウ酸、マグネシウム、又はエチレンジアミン四酢酸(EDTA)を含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、変性条件は、少なくとも50℃(例えば、少なくとも55℃、60℃、65℃、70℃、75℃、又は80℃)の温度を含む。いくつかの実施形態では、変性条件は、50℃~85℃の温度を含む。いくつかの実施形態では、変性条件は、少なくとも50℃(例えば、少なくとも55℃、60℃、65℃、70℃、75℃、又は80℃)の温度、続いて30秒以下の時間内に8℃以下(例えば、7℃、6℃、5℃、4℃、3℃、2℃、1℃、0℃、-1℃、-2℃、-3℃、-4℃、-5℃、-6℃、-7℃、-9℃、-10℃、-15℃、-20℃、-25℃、-30℃、-35℃、-40℃、-45℃、-50℃、-55℃、-60℃、-65℃、-70℃、-75℃、-80℃以下、若しくはそれ未満)の温度である。
【0012】
いくつかの実施形態では、変性条件は、5未満(例えば、4、3、2、若しくは1未満)のpH又は9を超える(例えば、10、11、12、若しくは13超の)pHを含む。いくつかの実施形態では、変性条件は、5未満(例えば、4、3、2、又は1未満)のpHを含む。いくつかの実施形態では、変性条件は、9を超える(例えば、10、11、12、又は13超の)pHを含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、変性条件は、化学処理を含む。いくつかの実施形態では、化学処理は、酸、塩基、有機溶媒、カオトロピック剤、クラウディング剤、キレート剤、デタージェント、又は塩溶液による処理を含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、酸は、1mM~500mM(例えば、2~475mM、3~450mM、4~425mM、5~400mM、10~375mM、15~350mM、20~325mM、30~300mM、40~275mM、50~250mM、60~225mM、70~200mM、80~175mM、90~150mM、100~125mM、又は110~115mM)の酢酸、塩酸、サリチル酸、リン酸、ホウ酸、ギ酸、シュウ酸、クエン酸、安息香酸、モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、アスコルビン酸、又は硝酸を含む。
【0015】
いくつかの実施形態では、塩基は、1mM~500mM(例えば、2~475mM、3~450mM、4~425mM、5~400mM、10~375mM、15~350mM、20~325mM、30~300mM、40~275mM、50~250mM、60~225mM、70~200mM、80~175mM、90~150mM、100~125mM、若しくは110~115mM)水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、イミダゾール、ヒスチジン、炭酸水素ナトリウム、グアニジン、又はトリエチルアミンを含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、有機溶媒は、少なくとも0.1%(v/v)(例えば、少なくとも0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、90%、若しくはそれ以上;又は0.01%~10%)のジメチルスルホキシド、酢酸トリエチルアンモニウム、メタノール、エタノール、2-プロパノール、イソプロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、t-ブタノール、イソブタノール、フェノール、クロロホルム、ヘキサン、アセトニトリル、ホルムアミド、アセトン、デナトニウム、又はプロピレングリコールを含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、カオトロピック剤は、100mM~8M尿素(例えば、150mM~7.5M、200mM~7M、250mM~6.5M、300mM~6M、350mM~5.5M、400mM~5M、450mM~4.5M、500mM~4M、600mM~3.5M、700mM~3M、800mM~2.5M、900mM~2M、1M~1.5M、1.1M~1.4M、若しくは1.2~1.3M)、塩化グアニジニウム、過塩素酸リチウム、又はポリエチレングリコール(PEG)を含む。いくつかの実施形態では、カオトロピック剤は、100mM~8M(例えば、150mM~7.5M、200mM~7M、250mM~6.5M、300mM~6M、350mM~5.5M、400mM~5M、450mM~4.5M、500mM~4M、600mM~3.5M、700mM~3M、800mM~2.5M、900mM~2M、1M~1.5M、1.1M~1.4M、若しくは1.2~1.3M)のn-ドデシルβ-d-マルトシド、n-オクチルグルコシド、CHAPS、又はデオキシコール酸塩を含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、クラウディング剤は、100mM~8M(例えば、150mM~7.5M、200mM~7M、250mM~6.5M、300mM~6M、350mM~5.5M、400mM~5M、450mM~4.5M、500mM~4M、600mM~3.5M、700mM~3M、800mM~2.5M、900mM~2M、1M~1.5Mの間、1.1M~1.4M、若しくは1.2~1.3M)のPEG、又は尿素を含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、キレート剤は、1mM~10mM(例えば、1~2mM、2~3mM、3~4mM、4~5mM、5~6mM、6~7mM、7~8mM、8~9mM、若しくは9~10mM)のエチレングリコール-ビス(β-アミノエチルエーテル)-N,N,N’,N’-テトラ酢酸(EGTA)若しくはその誘導体、EDTA若しくはその誘導体、ニトリロ三酢酸(NTA)、イミノジコハク酸(IDS)、ポリアスパラギン酸、S,S-エチレンジアミン-N,N’-ジコハク酸(EDDS)、又はメチルグリシン二酢酸(MGDA)を含む。
【0020】
いくつかの実施形態では、デタージェントは、0.005%~0.05%(v/v)(例えば、0.006~0.045%、0.007~0.04%、0.008~0.035%、0.009~0.03%、0.01~0.025%、0.011~0.02%、0.012~0.019%、0.013~0.018%、0.014~0.017%、又は0.015~0.016%)のNonidet P-40(NP40)、CHAPS、オクチルβ-D-グルコピラノシド、n-ドデシルβ-d-マルトシド、Tween(登録商標)-20、又はTween(登録商標)-80を含む。
【0021】
一態様において、本開示は、circRNAの濃縮集団を生産するための方法を提供し、この方法は以下:(a)circRNA及びlinRNAを含むポリリボヌクレオチドの集団を含むサンプルを用意するステップと;(b)少なくとも50℃(例えば、少なくとも55℃、60℃、65℃、70℃、75℃、80℃、85℃、90℃、95℃、又は100℃)の温度でlinRNAからcircRNAを分離し、それによって、circRNAの濃縮集団を生産するステップと、を含む。また、上記の条件下で、circRNAの集団をlinRNAの集団から分離する方法も企図されており、これは、任意選択で、circRNAの集団を定量するステップ及び/又はlinRNAの集団を定量するステップをさらに含む。
【0022】
一態様において、本開示は、circRNAの濃縮集団を生産するための方法を提供し、この方法は、以下を含む:(a)circRNA及びlinRNAを含むポリリボヌクレオチドの集団を含むサンプルを用意するステップであって、(i)ポリリボヌクレオチドの集団中のポリリボヌクレオチドの総重量が、少なくとも1μg(例えば、少なくとも5μg、少なくとも10、少なくとも25μg、少なくとも50μg、少なくとも100μg、少なくとも250μg、少なくとも500μg、少なくとも750μg、少なくとも1mg、5mg、10mg、100mg、若しくは1g;又は5μg~100μg、5μg~500μg、5μg~1mg、5μg~10mg、500μg~100mg、500μg~1g、500μg~10g、100mg~1g、若しくは1g~10g);(ii)ポリリボヌクレオチドの集団を含むサンプルの総量が、少なくとも500μL(例えば、少なくとも1mL、5mL、10mL、100mL、若しくは1L;又は500μL~100mL、500μL~1L、500μL~10L、若しくは1L~10L)であり;又は(iii)サンプル中のポリリボヌクレオチドの集団の濃度が、少なくとも200ng/μL(例えば、少なくとも500ng/μL、1mg/mL、5mg/mL、10mg/mL、若しくは50mg/mL;又は200ng/μL~100mg/mL、200ng/μL~50mg/mL、若しくは1mg/mL~50mg/mL)であるステップと;(b)少なくとも50℃(例えば、少なくとも55℃、60℃、65℃、70℃、75℃、80℃、85℃、90℃、95℃、若しくは100℃)の温度で、linRNAからcircRNAを分離し、それによって、circRNAの濃縮集団を生産するステップ。また、上述の条件下でlinRNAの集団からcircRNAの集団を分離する方法も企図され、これは、任意選択で、circRNAの集団を定量するステップ及び/又はlinRNAの集団を定量するステップをさらに含む。
【0023】
一態様において、本開示は、circRNAの濃縮集団を生産するための方法を提供し、この方法は、以下:(a)circRNA及びlinRNAを含むポリリボヌクレオチドの集団を含むサンプルを用意するステップと;(b)ポリリボヌクレオチドの集団を少なくとも50℃(例えば、少なくとも55℃、60℃、65℃、70℃、75℃、80℃、85℃、90℃、95℃、若しくは100℃)の温度に曝露し、それによって、circRNAの集団を濃縮するステップと、を含む。いくつかの実施形態では、上記温度は、50℃~85℃である。また、上記の条件下で、circRNAの集団をlinRNAの集団から分離する方法も企図され、これは、任意選択で、circRNAの集団を定量するステップ及び/又はlinRNAの集団を定量するステップをさらに含む。
【0024】
一態様において、本開示は、circRNAの濃縮集団を生産するための方法を提供し、この方法は、以下:(a)circRNA及びlinRNAを含むポリリボヌクレオチドの集団を含むサンプルを用意するステップと;(b)5未満(例えば、4、3、2、若しくは1未満)又は9超(例えば、10、11、12、若しくは13超の)pHで、linRNAからcircRNAを分離し、それによって、circRNAの濃縮集団を生産するステップと、を含み、上記分離は、ゲル電気泳動の使用を含まない。また、上記の条件下で、circRNAの集団をlinRNAの集団から分離する方法も企図され、これは、任意選択で、circRNAの集団を定量するステップ及び/又はlinRNAの集団を定量するステップをさらに含む。
【0025】
一態様において、本開示は、circRNAの濃縮集団を生産するための方法を提供し、この方法は、以下を含む:(a)circRNA及びlinRNAを含むポリリボヌクレオチドの集団を含むサンプルを用意するステップであって、(i)ポリリボヌクレオチドの集団中のポリリボヌクレオチドの総重量が、少なくとも1μg(例えば、少なくとも5μg、少なくとも10、少なくとも25μg、少なくとも50μg、少なくとも100μg、少なくとも250μg、少なくとも500μg、少なくとも750μg、少なくとも1mg、5mg、10mg、100mg、若しくは1g;又は5μg~100μg、5μg~500μg、5μg~1mg、5μg~10mg、500μg~100mg、500μg~1g、500μg~10g、100mg~1g、若しくは1g~10g);(ii)ポリリボヌクレオチドの集団を含むサンプルの総量が、少なくとも500μL(例えば、少なくとも1mL、5mL、10mL、100mL、若しくは1L;又は500μL~100mL、500μL~1L、500μL~10L、若しくは1L~10L)であり;又は(iii)サンプル中のポリリボヌクレオチドの集団の濃度が、少なくとも200ng/μL(例えば、少なくとも500ng/μL、1mg/mL、5mg/mL、10mg/mL、若しくは50mg/mL;又は200ng/μL~100mg/mL、200ng/μL~50mg/mL、若しくは1mg/mL~50mg/mL)であるステップと;(b)5未満(例えば、4、3、2、若しくは1未満)又は9超(例えば、10、11、12、若しくは13超)のpHで、linRNAからcircRNAを分離し、それによって、circRNAの濃縮集団を生産するステップ。また、上述の条件下でlinRNAの集団からcircRNAの集団を分離する方法も企図され、これは、任意選択で、circRNAの集団を定量するステップ及び/又はlinRNAの集団を定量するステップをさらに含む。
【0026】
一態様において、本開示は、circRNAの濃縮集団を生産するための方法を提供し、この方法は、以下:(a)circRNA及びlinRNAを含むポリリボヌクレオチドの集団を含むサンプルを用意するステップと;(b)5未満(例えば、4、3、2、若しくは1未満)又は9超(例えば、10、11、12、若しくは13超の)のpHに上記ポリリボヌクレオチドの集団を曝露し、それによってcircRNAの集団を濃縮するステップと、を含む。また、上述の条件下でlinRNAの集団からcircRNAの集団を分離する方法も企図され、これは、任意選択で、circRNAの集団を定量するステップ及び/又はlinRNAの集団を定量するステップをさらに含む。
【0027】
いくつかの実施形態では、pHは、5未満(例えば、4、3、2、又は1未満)である。いくつかの実施形態では、pHは、9を超える(例えば、10、11、12、又は13を超える)。
【0028】
一態様において、本開示は、circRNAの濃縮集団を生産するための方法を提供し、この方法は:(a)circRNA及びlinRNAを含むポリリボヌクレオチドの集団を含むサンプルを用意するステップと;(b)酸、塩基、有機溶媒、カオトロピック剤、クラウディング剤、キレート剤、デタージェント、又は塩溶液を含む条件下で、circRNAをlinRNAから分離し、それによって、circRNAの濃縮集団を生産するステップと、を含み、上記分離は、ゲル電気泳動の使用を含まない。また、上述の条件下でlinRNAの集団からcircRNAの集団を分離する方法も企図され、これは、任意選択で、circRNAの集団を定量するステップ及び/又はlinRNAの集団を定量するステップをさらに含む。
【0029】
一態様において、本開示は、circRNAの濃縮集団を生産するための方法を提供し、この方法は、以下を含む:(a)circRNA及びlinRNAを含むポリリボヌクレオチドの集団を含むサンプルを用意するステップであって、(i)ポリリボヌクレオチドの集団中のポリリボヌクレオチドの総重量が、少なくとも1μg(例えば、少なくとも5μg、少なくとも10、少なくとも25μg、少なくとも50μg、少なくとも100μg、少なくとも250μg、少なくとも500μg、少なくとも750μg、少なくとも1mg、5mg、10mg、100mg、若しくは1g;又は5μg~100μg、5μg~500μg、5μg~1mg、5μg~10mg、500μg~100mg、500μg~1g、500μg~10g、100mg~1g、若しくは1g~10g);(ii)ポリリボヌクレオチドの集団を含むサンプルの総量が、少なくとも500μL(例えば、少なくとも1mL、5mL、10mL、100mL、若しくは1L;又は500μL~100mL、500μL~1L、500μL~10L、若しくは1L~10L)であり;又は(iii)サンプル中のポリリボヌクレオチドの集団の濃度が、少なくとも200ng/μL(例えば、少なくとも500ng/μL、1mg/mL、5mg/mL、10mg/mL、若しくは50mg/mL;又は200ng/μL~100mg/mL、200ng/μL~50mg/mL、若しくは1mg/mL~50mg/mL)であるステップと;(b)酸、塩基、有機溶媒、カオトロピック剤、クラウディング剤、キレート剤、デタージェント、又は塩溶液を含む条件下で、linRNAからcircRNAを分離し、それによって、circRNAの濃縮集団を生産するステップ。また、上述の条件下でlinRNAの集団からcircRNAの集団を分離する方法も企図され、これは、任意選択で、circRNAの集団を定量するステップ及び/又はlinRNAの集団を定量するステップをさらに含む。
【0030】
一態様において、本開示は、circRNAの濃縮集団を生産するための方法を提供し、この方法は:(a)circRNA及びlinRNAを含むポリリボヌクレオチドの集団を含むサンプルを用意するステップと;(b)酸、塩基、有機溶媒、カオトロピック剤、クラウディング剤、キレート剤、デタージェント、又は塩溶液にポリリボヌクレオチドの集団を曝露し、それによって、circRNAの集団を濃縮するステップと、を含む。また、上述の条件下でlinRNAの集団からcircRNAの集団を分離する方法も企図され、これは、任意選択で、circRNAの集団を定量するステップ及び/又はlinRNAの集団を定量するステップをさらに含む。
【0031】
いくつかの実施形態では、酸は、少なくとも0.5%(v/v)(例えば、少なくとも1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%、若しくはそれ以上)の酢酸、塩酸、サリチル酸、リン酸、ホウ酸、ギ酸、シュウ酸、クエン酸、安息香酸、モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、アスコルビン酸、又は硝酸を含む。
【0032】
いくつかの実施形態では、塩基は、1mM~500mM(例えば、2~475mM、3~450mM、4~425mM、5~400mM、10~375mM、15~350mM、20~325mM、30~300mM、40~275mM、50~250mM、60~225mM、70~200mM、80~175mM、90~150mM、100~125mM、若しくは110~115mM)の水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、イミダゾール、ヒスチジン、炭酸水素ナトリウム、グアニジン、又はトリエチルアミンを含む。
【0033】
いくつかの実施形態では、有機溶媒は、少なくとも0.1%(v/v)(例えば、少なくとも0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、90%以上;又は0.01%~10%)のジメチルスルホキシド、酢酸トリエチルアンモニウム、メタノール、エタノール、2-プロパノール、イソプロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、t-ブタノール、イソブタノール、フェノール、クロロホルム、ヘキサン、アセトニトリル、ホルムアミド、アセトン、デナトニウム、又はプロピレングリコールを含む。
【0034】
いくつかの実施形態では、カオトロピック剤は、100mM~8M尿素(例えば、150mM~7.5M、200mM~7M、250mM~6.5M、300mM~6M、350mM~5.5M、400mM~5M、450mM~4.5M、500mM~4M、600mM~3.5M、700mM~3M、800mM~2.5M、900mM~2M、1M~1.5M、1.1M~1.4M、若しくは1.2~1.3M)の尿素、塩化グアニジニウム、過塩素酸リチウム、又はPEGを含む。いくつかの実施形態では、カオトロピック剤は、100mM~8M(例えば、150mM~7.5M、200mM~7M、250mM~6.5M、300mM~6M、350mM~5.5M、400mM~5M、450mM~4.5M、500mM~4M、600mM~3.5M、700mM~3M、800mM~2.5M、900mM~2M、1M~1.5M、1.1M~1.4M、若しくは1.2~1.3M)のn-ドデシルβ-d-マルトシド、n-オクチルグルコシド、CHAPS、又はデオキシコール酸塩を含む。
【0035】
いくつかの実施形態では、クラウディング剤は、100mM~8M(例えば、150mM~7.5M、200mM~7M、250mM~6.5M、300mM~6M、350mM~5.5M、400mM~5M、450mM~4.5M、500mM~4M、600mM~3.5M、700mM~3M、800mM~2.5M、900mM~2M、1M~1.5M、1.1M~1.4M、若しくは1.2~1.3M)のPEG、又は尿素を含む。
【0036】
いくつかの実施形態では、キレート剤は、1mM~10mM(例えば、1~2mM、2~3mM、3~4mM、4~5mM、5~6mM、6~7mM、7~8mM、8~9mM、若しくは9~10mM)のEGTA又はその誘導体、EDTA又はその誘導体、NTA、IDS、EDDS、又はMGDAを含む。
【0037】
いくつかの実施形態では、デタージェントは、0.005%~0.05%(v/v)(例えば、0.006~0.045%、0.007~0.04%、0.008~0.035%、0.009~0.03%、0.01~0.025%、0.011~0.02%、0.012~0.019%、0.013~0.018%、0.014~0.017%、又は0.015~0.016%)のNP40、CHAPS、オクチルβ-D-グルコピラノシド、n-ドデシルβ-d-マルトシド、Tween(登録商標)-20、又はTween(登録商標)-80を含む。
【0038】
いくつかの実施形態では、ステップ(b)は、ポリリボヌクレオチドの集団に対してカラムクロマトグラフィーを実施する工程を含み、カラムクロマトグラフィーを実施する工程は、平衡化ステップ、サンプルロードステップ、カラム洗浄ステップ、及び溶離ステップを含む。
【0039】
いくつかの実施形態では、分離は、サンプルロードステップ中に実施される。いくつかの実施形態では、分離は、カラム洗浄ステップ中に行われる。いくつかの実施形態では、分離は、溶離ステップ中に行われる。
【0040】
いくつかの実施形態では、カラムクロマトグラフィーは、高速タンパク質液体クロマトグラフィー(FPLC)、高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)、陰イオン交換クロマトグラフィー(AEC)、混合モードクロマトグラフィー、又はアフィニティークロマトグラフィーを含む。
【0041】
いくつかの実施形態では、AECは、スチレン-ジビニルベンゼン、シリカ、セファロース、セルロース、デキストラン、エポキシポリアミン、メタクリレート、アガロース、又はアクリルをはじめとする陰イオン交換樹脂の使用を含む。いくつかの実施形態では、陰イオン交換樹脂は、第4級アンモニウム、アミノエチル、ジエチルアミノエチル、又はジエチルアミノプロピルなどのイオン交換体を含む。いくつかの実施形態では、陰イオン交換樹脂はビーズを含み、ビーズは、45~165μmのビーズ径及び直径100~1000nmの孔径を有する。いくつかの実施形態では、AECは、線形グラジエント溶離又はステップイソクラティック溶離の使用を含む。いくつかの実施形態では、AECは、流量1mL/分~150mL/分の使用を含む。
【0042】
いくつかの実施形態では、FPLCは、逆相-FPLC(RP-FPLC)である。
【0043】
いくつかの実施形態では、ステップ(b)は、精製circRNAの複数の画分をプールすることによって実施される。
【0044】
いくつかの実施形態では、circRNA及びlinRNAは、同じリボヌクレオチド配列を有する。いくつかの実施形態では、circRNA及びlinRNAは、同じ質量を有する。いくつかの実施形態では、circRNA及びlinRNAは、ポリ(A)テールを欠く。
【0045】
いくつかの実施形態では、本方法は、linRNAのエキソヌクレアーゼ消化を含む。いくつかの実施形態では、本方法は、linRNAのエキソヌクレアーゼ消化を含まない。いくつかの実施形態では、本方法は、circRNAの濃縮を改善する、circRNA又はlinRNAに対する選択的修飾を含まない。
【0046】
いくつかの実施形態では、circRNAの濃縮集団中のcircRNAのパーセント(w/w)は、ポリリボヌクレオチド集団中のcircRNAのパーセント(w/w)の2倍である。いくつかの実施形態では、circRNAの濃縮集団中のcircRNAのパーセント(w/w)は、少なくとも65%(例えば、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%)である。いくつかの実施形態では、circRNAの濃縮集団中のlinRNAのパーセント(w/w)は、35%未満(例えば、30%、25%、20%、15%、10%、5%、4%、3%、2%、又は1%未満)である。
【0047】
いくつかの実施形態では、circRNAは、約100ヌクレオチド~約20,000ヌクレオチド(例えば、約100ヌクレオチド~約500ヌクレオチド、約100ヌクレオチド~約750ヌクレオチド、約100ヌクレオチド~約1,000ヌクレオチド、約100ヌクレオチド~約2,500ヌクレオチド、約100ヌクレオチド~約5,000ヌクレオチド、約100ヌクレオチド~約10,000ヌクレオチド、約500ヌクレオチド~約750ヌクレオチド、約750ヌクレオチド~約1,000ヌクレオチド、約750ヌクレオチド~約1,250ヌクレオチド、約1,000ヌクレオチド~約1,250ヌクレオチド、約1,000ヌクレオチド~約2,000ヌクレオチド、約1,000ヌクレオチド~約5,000ヌクレオチド、約2,500ヌクレオチド~約5,000ヌクレオチド、約5,000ヌクレオチド~約10,000ヌクレオチド、約5,000ヌクレオチド~約15,000ヌクレオチド、約10,000ヌクレオチド~約15,000ヌクレオチド、約15,000ヌクレオチド~約20,000ヌクレオチド、約100ヌクレオチド、約200ヌクレオチド、約300ヌクレオチド、約400ヌクレオチド、約500ヌクレオチド、約600ヌクレオチド、約700ヌクレオチド、約800ヌクレオチド、約900ヌクレオチド、約1,000ヌクレオチド、約1,250ヌクレオチド、約1,500ヌクレオチド、約1,750ヌクレオチド、約2,000ヌクレオチド、約3,000ヌクレオチド、約4,000ヌクレオチド、約5,000ヌクレオチド、約6,000ヌクレオチド、約7,000ヌクレオチド、約8,000ヌクレオチド、約9,000ヌクレオチド、約10,000ヌクレオチド、約11,000ヌクレオチド、約12,000ヌクレオチド、約13,000ヌクレオチド、約14,000ヌクレオチド、約15,000ヌクレオチド、約16,000ヌクレオチド、約17,000ヌクレオチド、約18,000ヌクレオチド、約19,000ヌクレオチド、又は約20,000ヌクレオチド)の長さを有する。いくつかの実施形態では、circRNAは、1,000ヌクレオチド未満の長さを有する。
【0048】
一態様において、本開示は、circRNA及びlinRNAを含むポリリボヌクレオチドの集団を含む組成物を提供し、上記ポリリボヌクレオチドの集団は、変性条件下で溶液中にあり;(i)ポリリボヌクレオチドの集団中のポリリボヌクレオチドの総重量は、少なくとも1μg(例えば、少なくとも5μg、少なくとも10、少なくとも25μg、少なくとも50μg、少なくとも100μg、少なくとも250μg、少なくとも500μg、少なくとも750μg、少なくとも1mg、5mg、10mg、100mg、若しくは1g;又は5μg~100μg、5μg~500μg、5μg~1mg、5μg~10mg、500μg~100mg、500μg~1g、500μg~10g、100mg~1g、若しくは1g~10g)であり;(ii)ポリリボヌクレオチドの集団を含むサンプルの総量は、少なくとも500μL(例えば、少なくとも1mL、5mL、10mL、100mL、若しくは1L;又は500μL~100mL、500μL~1L、500μL~10L、若しくは1L~10L)であり;又は(iii)サンプル中のポリリボヌクレオチドの集団の濃度は、少なくとも500ng/μL(例えば、少なくとも500ng/μL、1mg/mL、5mg/mL、10mg/mL、若しくは50mg/mL;又は200ng/μL~100mg/mL、200ng/μL~50mg/mL、若しくは1mg/mL~50mg/mL)である。
【0049】
一態様において、本開示は、circRNA及びlinRNAを含むポリリボヌクレオチドの集団を含む組成物を提供し、上記ポリリボヌクレオチドの集団は、変性条件下で溶液中にあり、上記溶液は、1種若しくは複数種の不純物又は副産物を実質的に含まない。
【0050】
一態様では、本開示は、circRNA及びlinRNAを含むポリリボヌクレオチドの集団を含む組成物を提供し、(a)組成物は、核酸の集団を含むサンプルから取得され;(b)組成物は、1つ若しくは複数の変性条件に曝露されており;(c)組成物は、1種若しくは複数種の不純物又は副産物を実質的に含まない。
【0051】
一態様では、本開示は、circRNAの濃縮集団を含む組成物を提供し、(a)組成物は、circRNA及びlinRNAを含むポリリボヌクレオチドの集団を含むサンプルから取得され;(b)組成物は、1つ若しくは複数の変性条件に曝露されており;(c)組成物は、1種若しくは複数種の不純物又は副産物を実質的に含まない。
【0052】
一態様では、いくつかの実施形態では、circRNAは、約100ヌクレオチド~約20,000ヌクレオチド(例えば、約100ヌクレオチド~約500ヌクレオチド、約100ヌクレオチド~約750ヌクレオチド、約100ヌクレオチド~約1,000ヌクレオチド、約100ヌクレオチド~約2,500ヌクレオチド、約100ヌクレオチド~約5,000ヌクレオチド、約100ヌクレオチド~約10,000ヌクレオチド、約500ヌクレオチド~約750ヌクレオチド、約750ヌクレオチド~約1,000ヌクレオチド、約750ヌクレオチド~約1,250ヌクレオチド、約1,000ヌクレオチド~約1,250ヌクレオチド、約1,000ヌクレオチド~約2,000ヌクレオチド、約1,000ヌクレオチド~約5,000ヌクレオチド、約2,500ヌクレオチド~約5,000ヌクレオチド、約5,000ヌクレオチド~約10,000ヌクレオチド、約5,000ヌクレオチド~約15,000ヌクレオチド、約10,000ヌクレオチド~約15,000ヌクレオチド、約15,000ヌクレオチド~約20,000ヌクレオチド、約100ヌクレオチド、約200ヌクレオチド、約300ヌクレオチド、約400ヌクレオチド、約500ヌクレオチド、約600ヌクレオチド、約700ヌクレオチド、約800ヌクレオチド、約900ヌクレオチド、約1,000ヌクレオチド、約1,250ヌクレオチド、約1,500ヌクレオチド、約1,750ヌクレオチド、約2,000ヌクレオチド、約3,000ヌクレオチド、約4,000ヌクレオチド、約5,000ヌクレオチド、約6,000ヌクレオチド、約7,000ヌクレオチド、約8,000ヌクレオチド、約9,000ヌクレオチド、約10,000ヌクレオチド、約11,000ヌクレオチド、約12,000ヌクレオチド、約13,000ヌクレオチド、約14,000ヌクレオチド、約15,000ヌクレオチド、約16,000ヌクレオチド、約17,000ヌクレオチド、約18,000ヌクレオチド、約19,000ヌクレオチド、又は約20,000ヌクレオチド)の長さを有する。いくつかの実施形態では、circRNAは、1,000ヌクレオチ以下の長さを有する。
【0053】
いくつかの実施形態では、1種若しくは複数種の不純物又は副産物としては、ポリアクリルアミド、ホウ酸、マグネシウム、又はEDTAが挙げられる。
【0054】
いくつかの実施形態では、変性条件は、少なくとも50℃(例えば、少なくとも55℃、60℃、65℃、70℃、75℃、80℃、85℃、90℃、95℃、又は100℃)の温度を含む。いくつかの実施形態では、変性条件は、50℃~85℃の温度を含む。いくつかの実施形態では、変性条件は、少なくとも50℃(例えば、少なくとも55℃、60℃、65℃、70℃、75℃、80℃、85℃、90℃、95℃、又は100℃)の温度、続いて8℃以下(例えば、7℃、6℃、5℃、4℃、3℃、2℃、1℃、0℃、-1℃、-2℃、-3℃、-4℃、-5℃、-6℃、-7℃、-9℃、-10℃、-15℃、-20℃、-25℃、-30℃、-35℃、-40℃、-45℃、-50℃、-55℃、-60℃、-65℃、-70℃、-75℃、-80℃以下、若しくはそれ以下)の温度である。
【0055】
いくつかの実施形態では、変性条件は、5未満(例えば、4、3、2、若しくは1未満)のpH又は9を超える(例えば、10、11、12、若しくは13超の)pHを含む。
【0056】
いくつかの実施形態では、変性条件は、化学処理を含む。いくつかの実施形態では、化学処理は、酸、塩基、有機溶媒、カオトロピック剤、クラウディング剤、キレート剤、デタージェント、又は塩溶液による処理を含む。
【0057】
いくつかの実施形態では、酸は、1mM~500mM(例えば、2~475mM、3~450mM、4~425mM、5~400mM、10~375mM、15~350mM、20~325mM、30~300mM、40~275mM、50~250mM、60~225mM、70~200mM、80~175mM、90~150mM、100~125mM、又は110~115mM)の酢酸、塩酸、サリチル酸、リン酸、ホウ酸、ギ酸、シュウ酸、クエン酸、安息香酸、モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、アスコルビン酸、又は硝酸を含む。
【0058】
いくつかの実施形態では、塩基は、1mM~500mM(例えば、2~475mM、3~450mM、4~425mM、5~400mM、10~375mM、15~350mM、20~325mM、30~300mM、40~275mM、50~250mM、60~225mM、70~200mM、80~175mM、90~150mM、100~125mM、若しくは110~115mM)の水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、イミダゾール、ヒスチジン、炭酸水素ナトリウム、グアニジン、又はトリエチルアミンを含む。
【0059】
いくつかの実施形態では、有機溶媒は、少なくとも0.1%(v/v)(例えば、少なくとも0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、90%以上;又は0.01%~10%)のジメチルスルホキシド、酢酸トリエチルアンモニウム、メタノール、エタノール、2-プロパノール、イソプロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、t-ブタノール、イソブタノール、フェノール、クロロホルム、ヘキサン、アセトニトリル、ホルムアミド、アセトン、デナトニウム、若しくはプロピレングリコールを含む。
【0060】
いくつかの実施形態では、カオトロピック剤は、100mM~8M(例えば、150mM~7.5M、200mM~7M、250mM~6.5M、300mM~6M、350mM~5.5M、400mM~5M、450mM~4.5M、500mM~4M、600mM~3.5M、700mM~3M、800mM~2.5M、900mM~2M、1M~1.5M、1.1M~1.4M、若しくは1.2~1.3M)の尿素、塩化グアニジニウム、過塩素酸リチウム、又はポリエチレングリコール(PEG)を含む。いくつかの実施形態では、カオトロピック剤は、100mM~8M(例えば、150mM~7.5M、200mM~7M、250mM~6.5M、300mM~6M、350mM~5.5M、400mM~5M、450mM~4.5M、500mM~4M、600mM~3.5M、700mM~3M、800mM~2.5M、900mM~2M、1M~1.5M、1.1M~1.4M、若しくは1.2~1.3M)のn-ドデシルβ-d-マルトシド、n-オクチルグルコシド、CHAPS、又はデオキシコール酸塩を含む。
【0061】
いくつかの実施形態では、クラウディング剤は、100mM~8M(例えば、150mM~7.5M、200mM~7M、250mM~6.5M、300mM~6M、350mM~5.5M、400mM~5M、450mM~4.5M、500mM~4M、600mM~3.5M、700mM~3M、800mM~2.5M、900mM~2M、1M~1.5M、1.1M~1.4M、若しくは1.2~1.3M)のPEG、又は尿素を含む。
【0062】
いくつかの実施形態では、キレート剤は、1mM~10mM(例えば、1~2mM、2~3mM、3~4mM、4~5mM、5~6mM、6~7mM、7~8mM、8~9mM、若しくは9~10mM)のEGTA又はその誘導体、EDTA又はその誘導体、NTA、IDS、EDDS、又はMGDAを含む。
【0063】
いくつかの実施形態では、デタージェントは、0.005%~0.05%(v/v)(例えば、0.006~0.045%、0.007~0.04%、0.008~0.035%、0.009~0.03%、0.01~0.025%、0.011~0.02%、0.012~0.019%、0.013~0.018%、0.014~0.017%、又は0.015~0.016%)のNP40、CHAPS、オクチルβ-D-グルコピラノシド、n-ドデシルβ-d-マルトシド、Tween(登録商標)-20、又はTween(登録商標)-80を含む。
【0064】
いくつかの実施形態では、circRNAの濃縮集団中のcircRNAのパーセント(w/w)は、ポリリボヌクレオチド集団中のcircRNAのパーセント(w/w)の2倍である。いくつかの実施形態では、circRNAの濃縮集団中のcircRNAのパーセント(w/w)は、少なくとも65%(例えば、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%)である。いくつかの実施形態では、circRNAの濃縮集団中のlinRNAのパーセント(w/w)は、35%未満(例えば、30%、25%、20%、15%、10%、5%、4%、3%、2%、又は1%未満)である。
【0065】
いくつかの実施形態では、circRNA及びlinRNAは、同じリボヌクレオチド配列を有する。いくつかの実施形態では、circRNA及びlinRNAは、同じ質量を有する。いくつかの実施形態では、circRNA及びlinRNAは、ポリ(A)テールを欠く。
【0066】
一態様では、本開示は、circRNAの純度を決定する方法を提供し、この方法は、以下:(a)circRNA及びlinRNAを含むポリリボヌクレオチドの集団を含むサンプルを用意するステップと;(b)クロマトグラフィーにより、変性条件下でlinRNAからcircRNAを分離するステップと;(c)circRNAのピーク及びlinRNAのピークを含むサンプルのクロマトグラムを収集するステップと;(d)各ピーク下の面積を計算して、サンプル中のcircRNAの純度を決定するステップを含む。
【0067】
いくつかの実施形態では、上記変性条件は、ゲル電気泳動の使用を含まない。
【0068】
いくつかの実施形態では、変性条件は、少なくとも50℃(例えば、少なくとも55℃、60℃、65℃、70℃、75℃、80℃、85℃、90℃、95℃、又は100℃)の温度を含む。いくつかの実施形態では、変性条件は、50℃~85℃の温度を含む。いくつかの実施形態では、変性条件は、少なくとも50℃の温度、続いて30秒以下の時間内に8℃以下(例えば、7℃、6℃、5℃、4℃、3℃、2℃、1℃、0℃、-1℃、-2℃、-3℃、-4℃、-5℃、-6℃、-7℃、-9℃、-10℃、-15℃、-20℃、-25℃、-30℃、-35℃、-40℃、-45℃、-50℃、-55℃、-60℃、-65℃、-70℃、-75℃、-80℃以下、若しくはそれ未満)の温度を含む。
【0069】
いくつかの実施形態では、変性条件は、5未満(例えば、4、3、2、若しくは1未満)のpH又は9を超える(例えば、10、11、12、若しくは13超の)pHを含む。いくつかの実施形態では、変性条件は、5未満(例えば、4、3、2、又は1未満)のpHを含む。いくつかの実施形態では、変性条件は、9を超える(例えば、10、11、12、又は13超の)pHを含む。
【0070】
いくつかの実施形態では、変性条件は、化学処理を含む。いくつかの実施形態では、化学処理は、酸、塩基、有機溶媒、カオトロピック剤、クラウディング剤、キレート剤、デタージェント、又は塩溶液による処理を含む。
【0071】
いくつかの実施形態では、酸は、1mM~500mM(例えば、2~475mM、3~450mM、4~425mM、5~400mM、10~375mM、15~350mM、20~325mM、30~300mM、40~275mM、50~250mM、60~225mM、70~200mM、80~175mM、90~150mM、100~125mM、又は110~115mM)の酢酸、塩酸、サリチル酸、リン酸、ホウ酸、ギ酸、シュウ酸、クエン酸、安息香酸、モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、アスコルビン酸、又は硝酸を含む。
【0072】
いくつかの実施形態では、塩基は、1mM~500mM(例えば、2~475mM、3~450mM、4~425mM、5~400mM、10~375mM、15~350mM、20~325mM、30~300mM、40~275mM、50~250mM、60~225mM、70~200mM、80~175mM、90~150mM、100~125mM、若しくは110~115mM)の水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、イミダゾール、ヒスチジン、炭酸水素ナトリウム、グアニジン、又はトリエチルアミンを含む。
【0073】
いくつかの実施形態では、有機溶媒は、少なくとも0.1%(v/v)(例えば、少なくとも0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、90%、若しくはそれ以上;又は0.01%~10%)のジメチルスルホキシド、酢酸トリエチルアンモニウム、メタノール、エタノール、2-プロパノール、イソプロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、t-ブタノール、イソブタノール、フェノール、クロロホルム、ヘキサン、アセトニトリル、ホルムアミド、アセトン、デナトニウム、又はプロピレングリコールを含む。
【0074】
いくつかの実施形態では、カオトロピック剤は、100mM~8M(例えば、150mM~7.5M、200mM~7M、250mM~6.5M、300mM~6M、350mM~5.5M、400mM~5M、450mM~4.5M、500mM~4M、600mM~3.5M、700mM~3M、800mM~2.5M、900mM~2M、1M~1.5M、1.1M~1.4M、若しくは1.2~1.3M)の尿素、塩化グアニジニウム、過塩素酸リチウム、又はPEGを含む。いくつかの実施形態では、カオトロピック剤は、100mM~8M(例えば、150mM~7.5M、200mM~7M、250mM~6.5M、300mM~6M、350mM~5.5M、400mM~5M、450mM~4.5M、500mM~4M、600mM~3.5M、700mM~3M、800mM~2.5M、900mM~2M、1M~1.5M、1.1M~1.4M、若しくは1.2~1.3M)のn-ドデシルβ-d-マルトシド、n-オクチルグルコシド、CHAPS、又はデオキシコール酸塩を含む。
【0075】
いくつかの実施形態では、クラウディング剤は、100mM~8M(例えば、150mM~7.5M、200mM~7M、250mM~6.5M、300mM~6M、350mM~5.5M、400mM~5M、450mM~4.5M、500mM~4M、600mM~3.5M、700mM~3M、800mM~2.5M、900mM~2M、1M~1.5M、1.1M~1.4M、若しくは1.2~1.3M)のPEG、又は尿素を含む。
【0076】
いくつかの実施形態では、キレート剤は、1mM~10mM(例えば、1~2mM、2~3mM、3~4mM、4~5mM、5~6mM、6~7mM、7~8mM、8~9mM、若しくは9~10mM)のEGTA若しくはその誘導体、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)若しくはその誘導体、ニトリロ三酢酸(NTA)、イミノ-ジコハク酸(IDS)、ポリアスパラギン酸、S,S-エチレンジアミン-N,N’-ジコハク酸(EDDS)、又はメチルグリシン二酢酸(MGDA)を含む。
【0077】
いくつかの実施形態では、デタージェントは、0.005%~0.05%(v/v)(例えば、0.006~0.045%、0.007~0.04%、0.008~0.035%、0.009~0.03%、0.01~0.025%、0.011~0.02%、0.012~0.019%、0.013~0.018%、0.014~0.017%、又は0.015~0.016%)のNonidet P-40(NP40)、CHAPS、オクチルβ-D-グルコピラノシド、n-ドデシルβ-d-マルトシド、Tween(登録商標)-20、又はTween(登録商標)-80を含む。
【0078】
いくつかの実施形態では、クロマトグラフィーは、液体クロマトグラフィーを含む。いくつかの実施形態では、液体クロマトグラフィーは、FPLC、HPLC、HIC、AEC、MMC、又はアフィニティークロマトグラフィーからなる群から選択される。
【0079】
いくつかの実施形態では、純度の相対標準偏差(RSD)は、5%未満(例えば、4.5%、4%、3.5%、3%、2.5%、2%、1.5%、1%、0.5%未満)である。
【0080】
定義
本開示の理解を促すため、いくつかの用語が以下に定義される。本明細書で定義される用語は、本開示に関連する領域における当業者によって一般に理解されているような意味を有する。
【0081】
本明細書において、「1つの(a)」及び「1つの(an)」は、特に断りのない限り、「少なくとも1つの」又は「1つ若しくは複数の」を意味する。また、単数形の「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」は、文脈から明らかに他の解釈が求められる場合を除き、複数形の指示語を含む。
【0082】
本明細書で使用されるとき、「約」は、列挙値の±10%の量を指す。
【0083】
本明細書で使用されるとき、「担体」という用語は、細胞への組成物(例えば、環状ポリリボヌクレオチド)の輸送又は送達を、部分又は完全カプセル化をした薬剤、又はその組み合わせを介して、環状ポリリボヌクレオチドの共有結合修飾によって容易にする化合物、組成物、試薬、又は分子である。担体の非限定的な例には、炭水化物担体(例えば、無水物修飾フィトグリコーゲン又はグリコーゲン型物質)、ナノ粒子(例えば、環状ポリリボヌクレオチドにカプセル化又は共有結合されるナノ粒子)、リポソーム、フソソーム、生体外で分化した網状赤血球、エキソソーム、タンパク質担体(例えば、ポリリボヌクレオチドに共有結合したタンパク質)、又はカチオン性担体(例えば、カチオン性リポポリマー又はトランスフェクション試薬)が含まれる。
【0084】
本明細書で使用されるとき、「クロマトグラフィー」という用語は、circRNA及び線状ポリリボヌクレオチド(linRNA)を含むポリリボヌクレオチドの混合集団から、環状ポリリボヌクレオチド(circRNA)の集団を精製及び濃縮するために使用することができる様々なクロマトグラフィー法を指す。クロマトグラフィーは、カラム及び非カラムクロマトグラフィー、例えば、キャピラリーゲル電気泳動などの電気泳動法を含む。クロマトグラフィーは、低圧又は常圧の液体クロマトグラフィー分離法を含む。これは、FPLC(逆相(RP)-FPLC及び順相(NP)-FPLC)、アフィニティークロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、陰イオン交換クロマトグラフィー、又は混合モードクロマトグラフィーを含み得る。
【0085】
本明細書で使用されるとき、「circRNA」、「環状ポリリボヌクレオチド」、及び「環状RNA」という用語は、互換的に使用され、遊離末端(即ち、遊離3’及び/又は5’末端)を有していない構造を有するポリリボヌクレオチド分子、例えば、共有結合又は非共有結合を介して環状又は末端のない構造を形成するポリリボヌクレオチド分子を意味する。環状ポリリボヌクレオチドは、例えば、共有的に閉じているポリリボヌクレオチドであってもよい。
【0086】
本明細書で使用するとき、「変性条件」という用語は、溶液中のポリヌクレオチドの分子構造を破壊する物理的若しくは化学的条件などの任意の条件、又は一連の条件を指す。変性条件下のポリヌクレオチドとしては、circRNA、linRNA、線状ポリデオキシリボヌクレオチド(linDNA)、又は環状ポリデオキシリボヌクレオチド(circDNA)を挙げることができる。変性条件とは、相補的な塩基対間の水素結合及び他の非共有結合力(例えば、ファンデルワールス力又は疎水性相互作用)が破壊され、それによって、例えば、二次若しくは三次ポリマー構造(中でも、例えば、二重らせん、ステムループ、スタッキング)などのポリヌクレオチド内の秩序構造を、生理学的条件下で観察される構造と比較して低減又は排除する条件を指す。変性条件は、1つ若しくは複数のポリヌクレオチドの核酸残基間の分子内相互作用又は分子間相互作用を低減、排除、又は再編成し得る。変性条件はまた、ポリマー内の連続する核酸モノマー間の共有結合(例えば、連続ヌクレオシド間のホスホジエステル結合など)が破壊される条件を指すこともある。理論に束縛されることは望まないが、circRNAは、その環構造により可能な立体配座の範囲が制限され、変性に対する感受性が低くなるため、linRNAと比較してサンプル中に選択的に濃縮され得るのに対して、linRNAはより柔軟であるため、変性条件による二次及び三次構造の破壊を被りやすくなり得る。変性条件は、circRNA、linRNA、linDNA、circDNA、又はポリペプチドが曝露されるいくつかの条件のうちの1つを操作することにより、実験現場で作り出すことができる。変性条件の非限定的な例としては、例えば、熱変性、ショッククーリング、酸性若しくはアルカリ性pH(例えば、pH5未満若しくはpH9以上)、又は化学処理(例えば、酸、塩基、有機溶媒、カオトロピック剤、キレート剤、クラウディング剤、デタージェント、又は塩溶液)が挙げられる。
【0087】
本明細書で使用されるとき、「溶出液」という用語は、精製ステップ(例えば、RP-FPLCステップなどのクロマトグラフィーステップ)中に培地(例えば、疎水性固定相)から溶出される分析対象物質(例えば、circRNAの濃縮集団)を含む画分を指す。溶出液は、溶出液を培地に適用することによって培地から放出させることができ、それによって分析物が放出される。より具体的には、溶出液は、溶出剤(例えば、有機溶媒を含む緩衝液などの溶出バッファー)の培地への適用後に培地から放出されたcircRNAを含む画分を指すことができる。
【0088】
本明細書で使用されるとき、「linRNA」及び「線状ポリリボヌクレオチド」という用語は互換的に使用され、5’及び3’末端を有するポリリボヌクレオチドを指す。いくつかの実施形態では、linRNAは、遊離5’末端又は3’末端を有する。いくつかの実施形態では、linRNAは、非共有結合で連結された5’又は3’末端を有する。
【0089】
本明細書で使用されるとき、「修飾オリゴヌクレオチド」という用語は、糖、核酸塩基、又はヌクレオチド間結合に対する少なくとも1つの修飾を有するヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドを意味する。
【0090】
本明細書で使用されるとき、「修飾リボヌクレオチド」という用語は、糖、核酸塩基、又はヌクレオシド間結合に対する少なくとも1つの修飾を有するヌクレオシドを含むリボヌクレオチドを意味する。
【0091】
本明細書で使用されるとき、「裸の送達」という用語は、担体の助けを借りず、細胞への送達を助ける部分への共有結合修飾も使用しない、細胞への送達のための製剤である。裸の送達製剤には、トランスフェクション試薬、カチオン担体、炭水化物担体、ナノ粒子担体、又はタンパク質担体のいずれも含まれない。例えば、環状ポリリボヌクレオチドの裸の送達製剤は、共有結合修飾なしで環状ポリリボヌクレオチドを含み、担体を含まない製剤である。
【0092】
本明細書で使用されるとき、「ポリヌクレオチド」という用語は、1つ又は複数の核酸サブユニット又はヌクレオチドを含む分子を意味し、「核酸」又は「オリゴヌクレオチド」と互換的に使用することができる。ポリヌクレオチドは、アデノシン(A)、シトシン(C)、グアニン(G)、チミン(T)、及びウラシル(U)、又はそれらの変異体から選択される1つ又は複数のヌクレオチドを含み得る。ヌクレオチドは、ヌクレオシド及び少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、又はそれ以上のリン酸(PO)基を含み得る。ヌクレオチドは、核酸塩基、五炭糖(リボース又はデオキシリボースのいずれか)、及び1つ又は複数のリン酸基を含み得る。リボヌクレオチドは、糖がリボースであるヌクレオチドである。ポリリボヌクレオチド、リボ核酸、又はRNAは、ホスホジエステル結合を介して重合された複数のリボヌクレオチドを含む高分子を指し得る。デオキシリボヌクレオチドは、糖がデオキシリボースであるヌクレオチドである。
【0093】
本明細書で使用されるとき、「ポリリボヌクレオチドの混合集団」という語句は、ポリリボヌクレオチドの不均一な集団を指す。このようなポリリボヌクレオチドの不均一な集団は、circRNA、linRNA、及び任意選択で1つ若しくは複数の不純物又は副産物(例えば、本明細書に記載の1つ若しくは複数の不純物又は副産物)を含む。
【0094】
本明細書で使用されるとき、「ポリペプチド」は、ほとんどの場合ペプチド結合によって一緒に連結されたアミノ酸残基(天然又は非天然)のポリマーを意味する。この用語は、本明細書で使用されるとき、任意のサイズ、構造、又は機能のタンパク質、ポリペプチド、及びペプチドを指す。ポリペプチドには、遺伝子産物、天然に存在するポリペプチド、合成ポリペプチド、相同体、オルソログ、パラログ、それらの断片及び他の同等物、変異体、及び類似体が含まれ得る。ポリペプチドは、単一分子であっても、又は二量体、三量体、若しくは四量体などの多分子複合体であってもよい。ポリペプチドはまた、単鎖、又は抗体若しくはインスリンなどの多重鎖ポリペプチドを含み得、会合又は連結され得る。最も一般的なジスルフィド結合は、多重鎖ポリペプチドに見られる。ポリペプチドという用語は、1つ又は複数のアミノ酸残基が対応する天然に存在するアミノ酸の人工化学類似体であるアミノ酸ポリマーにも適用することができる。
【0095】
本明細書で互換的に使用されるとき、「ポリA」及び「ポリA配列」という用語は、少なくとも5ヌクレオチド長で、アデノシン残基からなる核酸分子の非翻訳、隣接領域を指す。いくつかの実施形態では、ポリA配列は、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、又は少なくとも50ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態では、ポリA配列は、オープンリーディングフレーム(例えば、ポリペプチドをコードするオープンリーディングフレーム)の3’側(例えば、その下流)に位置し、ポリA配列は、ポリAが翻訳されないように、終結エレメント(例えば、停止コドン)の3’側に存在する。いくつかの実施形態では、ポリA配列は、終結配列及び3’非翻訳領域の3’側に位置する。
【0096】
本明細書で使用されるとき、「精製する」、「精製すること」、及び「精製」という用語は、他の物質の中でもとりわけ、circRNA及びlinRNAの不均一な混合物を含むサンプルから、不純物若しくは副産物(例えば、linRNA)を除去して、不純物若しくは副産物(例えば、linRNA)のレベルが元の混合物と比較して低下した、circRNAの濃縮集団を含む組成物、又はlinRNA若しくは物質が、出発混合物と比較して質量ベースで40%若しくはそれ以上(例えば、50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%、97%、若しくは99%又はそれ以上)低下している組成物を生成する、1つ若しくは複数のステップ又はプロセスを指す。
【0097】
本明細書で使用されるとき、「純粋な」及び「純度」という用語は、分析物(例えば、circRNA)が単離されている、他の成分を含まない程度を指す。核酸(例えば、ポリリボヌクレオチド)との関連で、単離された核酸(例えば、circRNA)の純度は、任意の汚染物質(例えば、linRNA及び他の物質)を含まない核酸の集団に関して表すことができる。例えば、circRNAの集団の純度は、単離された材料の全質量当たりのcircRNAが集団にどのくらい存在するかを示し、例えば、参照としての純粋なcircRNAを用いて決定され得る。本開示で見出される純度のレベルは、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、95%超、又は99%超(w/w)であり得る。本開示のcircRNAの「純粋な」集団は、質量ベースで20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%超、又は最大70%純粋であり得る。circRNAの「実質的に純粋な」集団は、混入物質又は不純物若しくは副産物(例えば、linRNA)を実質的に含まず、例えば、質量ベースで70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は>99%純粋であり得る。いくつかの実施形態では、汚染物質又は不純物又は副産物のレベルは、約20%、15%、12%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、又は1%(w/w)以下である。純度は、特定の分析物(例えば、circRNA)のレベルを、ゲル電気泳動、分光光度法(例えば、ThermoFisher ScientificによるNanoDrop)、又は核酸の集団の純度の測定に適した他の技術を用いて検出し、(例えば、当該技術分野で公知のアッセイによって決定する場合)全核酸含量に対する分析物のパーセンテージ(w/w)を計算することによって決定することができる。
【0098】
本明細書で使用されるとき、「1つ以上の不純物又は副産物を実質的に含まない」という語句は、1つ以上の不純物若しくは副産物(例えば、本明細書で開示される1つ以上の不純物又は副産物)を含まない、又は最小量の1つ以上の不純物若しくは副産物を含むサンプル、例えば、濃縮されたcircRNAの集団を含むサンプルの特性を指す。最小量の1つ以上の不純物又は副産物は、20%(w/w)以下(例えば、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%(w/w)以下、又はそれ以下)であってもよい。別の例では、サンプル又は濃縮されたcircRNAの集団は、1つ以上の不純物又は副産物が、15%(w/w)未満(例えば、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%(w/w)以下、又はそれ以下)の量で存在する場合、1つ以上の不純物又は副産物を実質的に含まない。別の例では、サンプル又は濃縮されたcircRNAの集団は、1つ以上の不純物又は副産物が、10%(w/w)未満(例えば、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%(w/w)以下、又はそれ以下)の量で存在する場合、1つ以上の不純物又は副産物を実質的に含まない。別の例では、サンプル又は濃縮されたcircRNAの集団は、1つ以上の不純物又は副産物が、5%(w/w)未満(例えば、4%、3%、2%、1%(w/w)以下又はそれ以下)の量で存在する場合、1つ以上の不純物又は副産物を実質的に含まない。さらに別の例では、サンプル又は濃縮されたcircRNAの集団は、1つ以上の不純物又は副産物が、1%未満(0.9%、0.8%、0.7%、0.6%、0.5%、0.4%、0.3%、0.2%、0.1%(w/w)以下、又はそれ以下)の量で存在する場合、1つ以上の不純物又は副産物を実質的に含まない。
【0099】
本明細書で使用されるとき、「終結要素」は、環状又は線状ポリリボヌクレオチドにおける発現配列の翻訳を終結させる核酸配列などの部分である。
【0100】
本明細書で使用されるとき、「翻訳開始配列」は、環状又は線状ポリリボヌクレオチドにおける発現配列の翻訳を開始させる核酸配列である。
【0101】
本明細書で使用されるとき、「収率」という用語は、出発物質(例えば、ポリリボヌクレオチド、例えば、circRNA及びlinRNAなどの混合集団)中の分析物の量と比較した、精製ステップ又はプロセス後に得られた分析物(例えば、circRNAの集団)の相対量(w/w)を指す。収率は、パーセンテージとして表すことができる。本開示との関連で、出発物質中の分析物(例えば、circRNA)及び精製ステップ後に得られた分析物の量は、アッセイ(例えば、ゲル電気泳動又は分光光度法)を用いて測定することができる。本開示の方法を用いて、例えば、ポリリボヌクレオチドの混合集団又はcircRNAの濃縮集団中に存在する量と比較して、約20%(w/w)又はそれ以上のcircRNAの濃縮集団の収率をもたらすことができる。例えば、本方法を用いて、約25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、65%、70%、75%、80%、85%、若しくは90%(w/w)又はそれ以上の精製circRNAの収率をもたらすことができる。
【0102】
本発明の他の特徴及び利点は、以下の詳細な説明、図面、及び特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0103】
図1】5mL DEAEセファロース(Sepharose)弱AEXカラムを用いた、尿素を含まないcircRNAの精製のクロマトグラム結果を示す。
図2】5mL DEAEセファロース弱AEXカラムで、変性条件として、カオトロピック塩である尿素を用いたcircRNAの精製のクロマトグラム結果を示す。
図3】8mL DEAE弱AEXモノリスカラムで、変性条件として、カオトロピック塩である尿素を用いたcircRNAの精製のクロマトグラム結果を示す。
図4】8mL QA強AEXモノリスカラムで、変性条件として、カオトロピック塩である尿素を用いた15mgのcircRNAの精製のクロマトグラム結果を示す。
図5】8mL PrimaSモノリスカラムで、変性条件として、カオトロピック塩である尿素及びpHを用いた7mgのcircRNAを精製のクロマトグラム結果を示す。
図6】1mL HICモノリスカラムを用いた、高塩及び尿素変性条件によるcircRNAの精製後のクロマトグラム結果を示す。
図7】1mL HICモノリスカラムを用いた、高塩及び尿素変性条件によるcircRNAの精製後のゲル電気泳動結果を示す。
図8】温度、カオトロピック剤、及び有機溶媒変性条件を用いた分離後のcircRNA及びlinRNAの分離の例示的なクロマトグラム結果を示す。
図9】温度、カオトロピック剤、及び有機溶媒変性条件を用いたcircRNA及びlinRNAの分離後のHPLC分析結果を示す。
図10】温度、カオトロピック剤、及び有機溶媒変性条件を用いたcircRNA及びlinRNaの分離後のHPLC分析結果を示す。
図11】温度及びカオトロピック剤条件を用いたcircRNAの精製後の例示的なクロマトグラム結果を示す。
図12】温度及びカオトロピック剤条件を用いたcircRNAの精製後の例示的なゲル電気泳動結果を示す。
図13】高温及び有機溶媒変性条件を用いたcircRNAの精製後の例示的なクロマトグラム結果を示す。
図14】2回の水注入後のcircRNAの例示的なクロマトグラムを示す。
図15】ブランク注入の例示的なクロマトグラムを示す。
図16】個別のピークを有するcircRNA及びlinRNA標準物質の例示的なクロマトグラムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0104】
本明細書には、circRNA及び線状ポリリボヌクレオチド(linRNA)を含むポリリボヌクレオチドの不均一な集団から、環状ポリリボヌクレオチド(circRNA)を精製及び濃縮する方法が開示され、上記精製及び濃縮は変性条件下で行われる。また、circRNA及びlinRNAを含むポリリボヌクレオチドの集団を、例えば、1種若しくは複数種の不純物又は副産物を実質的に含まない溶液などの変性条件下の溶液中に含む組成物も開示される。さらに本開示の範囲には、circRNAの濃縮集団を含む組成物、例えば、1つ若しくは複数の変性条件に曝露することによって製造された組成物も含まれる。本開示は、部分的には、変性条件(例えば、熱変性、pH、又は化学処理)下でのcircRNAの分離が、circRNA、linRNA、又は他の不純物若しくは副産物を含む混合ポリリボヌクレオチドの集団からcircRNAを精製及び濃縮する頑健な方法であり、それによって、他の方法と比較して、回収されたcircRNAの精製及び収率が改善されるという本発明者らの発見に基づく。さらに、開示された方法は、circRNA精製プロセスのスケールアップを容易にし、それによって大量のcircRNAの生産及び精製が可能になる。
【0105】
環状ポリリボヌクレオチドの精製
本開示は、circRNA及びlinRNAを含むポリリボヌクレオチドの不均一な集団を含むサンプルからcircRNAを精製及び濃縮する方法を特徴とし、精製は、本明細書に開示される変性条件下で行われる。本開示に関連して、精製は、ポリリボヌクレオチドの混合集団(例えば、linRNA及びcircRNA)並びに望ましくない不純物又は副産物(例えば、本明細書に記載される不純物又は副産物)を含むサンプルからの標的ポリリボヌクレオチド集団(例えば、circRNA)の単離及び濃縮を指す。したがって、精製後、circRNAは、circRNAの精製集団が得られたサンプル中と比較して、総ポリリボヌクレオチドの増加したパーセント(w/w)又は高い濃度で存在する。サンプル中の不要な不純物又は副産物は、linRNA、ポリアクリルアミド、ホウ酸、マグネシウム、若しくはエチレンジアミン四酢酸(EDTA)、又はそれらの任意の組み合わせであり得る。開示された方法は、circRNAの純度が、circRNAの濃縮集団中好ましくは可能な限り100%に近づくように、ポリリボヌクレオチドの混合集団からcircRNAを精製及び濃縮する。本方法を用いて、約5%~約99%以上(例えば、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、95%超、例えば97%若しくは99%、又は99%超)の純度を有するcircRNAの濃縮集団を調製することができる。いくつかの実施形態では、circRNAの濃縮集団の純度は、濃縮集団中のlinRNA又は1種若しくは複数種の不純物若しくは副産物のパーセンテージ量に対する濃縮集団のcircRNAの量のパーセンテージ(例えば、パーセンテージ量)として測定される。例えば、95%の純度を有するcircRNAの濃縮集団は、95%のcircRNA及び5%のlinRNA又は1種若しくは複数種の不純物若しくは副産物を含む。
【0106】
加えて、本方法を用いて、ポリリボヌクレオチドの混合集団中又はcircRNAの濃縮集団中に存在する量に対して、約20%(w/w)以上のcircRNAの濃縮集団の収率をもたらすことができる。例えば、本方法を用いて、濃縮集団中のポリリボヌクレオチドの総量に対して約20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、65%、70%、75%、80%、85%、若しくは90%(w/w)又はそれ以上の量のcircRNAを含むcircRNAの濃縮集団の収率をもたらすことができる。或いは、circRNAの濃縮集団は、circRNA及びlinRNAを含むポリリボヌクレオチドの混合集団に対して、約20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、65%、70%、75%、80%、85%、若しくは90%(w/w)又はそれ以上の量のcircRNAを含有し得る。さらにまた、circRNAの濃縮集団は、濃縮集団中のポリヌクレオチド(例えば、RNA若しくはDNA)の総量又はポリリボヌクレオチドの混合集団中のポリヌクレオチドの総量に対して、約20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、65%、70%、75%、80%、85%、若しくは90%(w/w)又はそれ以上の量のcircRNAを含有し得る。
【0107】
ここに開示される精製方法は、circRNAの分取精製方法に使用することができるが、開示されている方法は、circRNAの分析精製にも有利である。分取精製は、比較的大量のRNAの精製に関する。例えば、分取精製を用いて、少なくとも0.5mg(例えば、少なくとも0.6、0.8、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000mg、又はそれ以上)のRNA量を精製することができる。この方法の利点は、小規模精製に適した他の方法(例えば、アガロースゲル電気泳動)を用いて可能な量よりも大量のcircRNAを精製できることである。
【0108】
変性条件
理論に拘束されることは望まないが、本開示は、部分的には、変性条件下でcircRNAの精製を実施することができるという本発明者らの驚くべき発見に基づく。本開示に関連して、変性条件は、相補的な塩基対間の水素結合及び他の非共有結合力(例えば、ファンデルワールス力又は疎水性相互作用)が破壊され、それによって、例えば、二次若しくは三次ポリマー構造(例えば、とりわけ、二重らせん、ステムループ、スタッキングなど)のようなポリヌクレオチド内の秩序構造が、生理学的条件下で観察される構造と比較して低減又は排除される条件を指す。変性条件はまた、例えば、連続ヌクレオシド間のホスホジエステル結合のように、ポリマー内の連続核酸モノマー間の共有結合が破壊される条件も指す。さらに、他の不純物又は副産物の中でも、linRNAからのcircRNAの濃縮又は分離は、変性条件によって改善され得る。このような方法は、当技術分野において既知のRNA精製方法のハイスループットでのスケールアップ又はスケールアウトに特に適している。したがって、本開示は、様々な精製方法、例えば、本明細書に開示されるものを用いて、ポリリボヌクレオチドの混合集団を含むサンプルを処理するために使用され得る様々な変性条件を提供する。
【0109】
熱変性
本明細書に開示される方法は、例えば、circRNA、linRNA、及び多様な他の不純物又は副産物(例えば、塩、マグネシウム、尿素、ホウ酸など)を含むポリリボヌクレオチドの混合集団からcircRNAを濃縮するための、高温、低温、又は可変温度条件の使用を包含する。例えば、熱変性は、例えば、少なくとも50℃、少なくとも55℃、少なくとも60℃、少なくとも65℃、少なくとも70℃、少なくとも75℃、少なくとも80℃、少なくとも85℃、少なくとも90℃、少なくとも95℃、少なくとも100℃、又はそれ以上の温度のような高温条件下で行うことができる。一例では、熱変性は、少なくとも50℃の温度下で実施する。別の例では、熱変性は、少なくとも50℃、且つ85℃以下の温度下で実施する。これらの温度条件下での熱変性は、例えば、ポリヌクレオチド内の分子内水素結合を破壊することにより、ポリヌクレオチド(中でも、例えばcircRNA及びlinRNA)を変性させるのに十分な時間をかけて実施することができる。例えば、熱変性は、前述の温度で、少なくとも1分、2分、3分、4分、5分、6分、7分、8分、9分、10分、11分、12分、13分、14分、15分、16分、17分、18分、19分、20分、21分、22分、23分、24分、25分、26分、27分、28分、29分、30分、31分、32分、33分、34分、35分、36分、37分、38分、39分、40分、41分、42分、43分、44分、45分、46分、47分、48分、49分、50分、又はそれ以上の時間をかけて実施することができる。熱変性条件への曝露は、連続的又は不連続的のいずれでもよい(例えば、30秒、1分、2分、3分、4分、5分、6分、7分、8分、9分、10分、又はそれ以上の時間間隔をあけた2つの5分ブロックで、高温条件に10分曝露)。
【0110】
また、熱変性は、可変温度条件下で行うこともできる。例えば、ショッククーリングは、circRNA及びlinRNAを含むポリリボヌクレオチドの異種混合物を含むサンプルに対して、初めにサンプルを高温条件(例えば、前述の高温条件)に少なくとも1分、2分、3分、4分、5分、6分、7分、8分、9分、10分、11分、12分、13分、14分、15分、16分、17分、18分、19分、20分、又はそれ以上の時間にわたって曝露し、その後直ちに低温条件に曝露する。低温条件は、8℃以下(例えば、7℃、6℃、5℃、4℃、3℃、2℃、1℃、0℃、-1℃、-2℃、-3℃、-4℃、-5℃、-6℃、-7℃、-9℃、-10℃、-15℃、-20℃、-25℃、-30℃、-35℃、-40℃、-45℃、-50℃、-55℃、-60℃、-65℃、-70℃、-75℃、-80℃、若しくは以下)の温度を含み得る。一般に、ショッククーリングは、高温条件と低温条件との間の時間差が短くなるように実施される。したがって、サンプルの高温条件への暴露から低温条件への暴露までの時間は、一般に、1分以下、55秒以下、50秒以下、45秒以下、40秒以下、35秒以下、30秒以下、25秒以下、20秒以下、15秒以下、10秒以下、9秒以下、8秒以下、7秒以下、6秒以下、5秒以下、4秒以下、3秒以下、2秒以下、1秒以下である。低温条件へのサンプルの暴露は、少なくとも10秒、20秒、30秒、40秒、50秒、1分、2分、3分、4分、5分、6分、7分、8分、9分、10分、11分、12分、13分、14分、15分、16分、17分、18分、19分、20分、又はそれ以上の時間であってもよい。
【0111】
前述の熱変性プロトコルは、本明細書に開示するクロマトグラフィー分離方法の前にサンプルに対して実施することができる。或いは、熱変性は、開示される方法を用いたクロマトグラフィー分離後のサンプルに対して実施することもできる。さらには、サンプルのクロマトグラフィー精製と並行して(即ち、精製工程中に)熱変性を実施することもできる。例えば、サンプルをクロマトグラフィーカラムにロードする前に、サンプルのポリリボヌクレオチド中の分子内水素結合を変性させるのに十分な高温で、サンプル又は移動相をプレインキュベートすることができる。別の例では、クロマトグラフィー分離工程中の熱変性は、linRNAの変性には十分であるがcircRNAの変性には十分でない所望の温度条件を達成するために、精製に使用するカラムの周囲にジャケット又はスリーブを配置することによって実施してもよい。したがって、サンプル内のlinRNAの熱変性は、平衡化ステップ、サンプルロードステップ、カラム洗浄ステップ、及び溶離ステップなど、クロマトグラフィー分離プロセスのどの段階でも実施することができる。さらにまた、サンプルのクロマトグラフィー精製がない場合でも、サンプルに対して熱変性を実施することができる。
【0112】
pH変性
開示された方法によれば、circRNA及びlinRNAを含むポリリボヌクレオチドの混合集団を含むサンプルから、サンプルを変性pH条件に曝露することによって、circRNAを選択的に精製及び濃縮することができる。例示的なpH条件は、酸性条件(例えば、7未満のpH)又はアルカリ性条件(7超のpH)を含み、これらは、ポリリボヌクレオチドのヌクレオチド内のイオン化可能な基のイオン化を引き起こし、二次構造の消失と、circRNAではなくlinRNAの選択的な変性をもたらす。例えば、好適なpH変性条件としては、5未満のpH(例えば、4.5、4.0、3.5、3.0、若しくはそれ以下のpH)又は9を超えるpH(例えば、9.5、10、10.5、11、若しくはそれ以上のpH)が挙げられる。
【0113】
一例では、pH変性は、pH4.9で実施される。別の例では、pH変性は、pH4.8で実施される。別の例では、pH変性は、pH4.7で実施される。別の例では、pH変性は、pH4.6で実施される。別の例では、pH変性は、pH4.5で実施される。別の例では、pH変性は、pH4.4で実施される。別の例では、pH変性は、pH4.3で実施される。別の例では、pH変性は、pH4.2で実施される。別の例では、pH変性は、pH4.1で実施される。別の例では、pH変性は、pH4.0で実施される。別の例では、pH変性は、pH3.9で実施される。別の例では、pH変性は、pH3.8で実施される。別の例では、pH変性は、pH3.8で実施される。別の例では、pH変性は、pH3.7で実施される。別の例では、pH変性は、pH3.6で実施される。別の例では、pH変性は、pH3.5で実施される。別の例では、pH変性は、pH3.4で実施される。別の例では、pH変性は、pH3.3で実施される。別の例では、pH変性は、pH3.2で実施される。別の例では、pH変性は、pH3.1で実施される。さらに別の例では、pH変性は、pH3.0で実施される。
【0114】
さらに別の例では、pH変性は、pH9.1で実施される。別の例では、pH変性は、pH9.2で実施される。別の例では、pH変性は、pH9.3で実施される。別の例では、pH変性は、pH9.4で実施される。別の例では、pH変性は、pH9.5で実施される。別の例では、pH変性は、pH9.6で実施される。別の例では、pH変性は、pH9.7で実施される。別の例では、pH変性は、pH9.8で実施される。別の例では、pH変性は、pH9.9で実施される。別の例では、pH変性は、pH10で実施される。別の例では、pH変性は、pH10.1で実施される。別の例では、pH変性は、pH10.2で実施される。別の例では、pH変性は、pH10.3で実施される。別の例では、pH変性は、pH10.4で実施される。別の例では、pH変性は、pH10.5で実施される。別の例では、pH変性は、pH10.6で実施される。別の例では、pH変性は、pH10.7で実施される。別の例では、pH変性は、pH10.8で実施される。さらに別の例では、pH変性は、pH10.9で実施される。別の例では、pH変性は、pH11で実施される。
【0115】
前述のpH変性プロトコルは、本明細書に開示されるクロマトグラフィー分離方法の前にサンプルに対して実施することができる。或いは、pH変性は、開示した方法を用いたクロマトグラフィー分離後のサンプルに対して実施することもできる。さらに、pH変性は、サンプルのクロマトグラフィー精製と並行して(即ち、精製工程中に)実施することができる。例えば、クロマトグラフィーカラム中に使用されるサンプルバッファー(例えば、ローディングバッファー)は、サンプルのポリリボヌクレオチドの分子内水素結合を変性させるのに十分なpHを有するように選択又は調節することができる。したがって、サンプル内のlinRNAのpH変性は、平衡化ステップ、サンプルロードステップ、カラム洗浄ステップ、及び溶離ステップなど、クロマトグラフィー分離プロセスの任意の段階で実施することができる。さらに、サンプルのクロマトグラフィー精製を行わない場合も、サンプルに対してpH変性を実施することができる。
【0116】
化学的変性
linRNA、circRNA、及び任意選択で1種若しくは複数種の不純物又は副産物を含むポリリボヌクレオチドの混合集団を含むサンプルからcircRNAを選択的に濃縮及び精製するための本開示に包含される別の方法は、化学処理による変性である。本開示に関連して、化学処理による変性は、1種若しくは複数種の変性酸、塩基、有機溶媒、カオトロピック剤、キレート剤、クラウディング剤、デタージェント、又は塩溶液による処理を包含する。
【0117】
酸変性剤
酸変性は、酸性溶液がRNA分子内のイオン化可能な基をプロトン化し得るという根拠に基づき、本明細書に開示される精製方法を変性させるのに適した方法である。linRNA、circRNA、及び任意選択で1種若しくは複数種の不純物又は副産物を含むポリリボヌクレオチドの混合集団を含むサンプルからのcircRNAの選択的濃縮及び精製に使用するのに好適な酸は、少なくとも0.5%(v/v)(例えば、少なくとも1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%、若しくはそれ以上)の酢酸、塩酸、サリチル酸、リン酸、ホウ酸、ギ酸、シュウ酸、クエン酸、安息香酸、モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、アスコルビン酸、又は硝酸を含む。いくつかの実施形態では、linRNA、circRNA、及び任意選択で1種若しくは複数種の不純物又は副産物を含むポリリボヌクレオチドの混合集団を含むサンプルからのcircRNAの選択的濃縮及び精製に使用するのに好適な酸は、1mM~500mM(例えば、2~475mM、3~450mM、4~425mM、5~400mM、10~375mM、15~350mM、20~325mM、30~300mM、40~275mM、50~250mM、60~225mM、70~200mM、80~175mM、90~150mM、100~125mM、若しくは110~115mM)の酢酸、塩酸、サリチル酸、リン酸、ホウ酸、ギ酸、シュウ酸、クエン酸、安息香酸、モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、アスコルビン酸、又は硝酸を含む。
【0118】
一例では、circRNAではなく、linRNAの選択的変性は、linRNA、circRNA、及び任意で1種若しくは複数種の不純物又は副産物を含むポリリボヌクレオチドの混合集団を含むサンプルを、少なくとも0.5%(v/v)(例えば、少なくとも1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%、若しくはそれ以上)の酢酸を含む溶液に曝露するステップによって実施される。いくつかの実施形態では、circRNAではなく、linRNAの選択的変性は、linRNA、circRNA、及び任意選択で1種若しくは複数種の不純物又は副産物を含むポリリボヌクレオチドの混合集団を含むサンプルを、1mM~500mM(例えば、2~475mM、3~450mM、4~425mM、5~400mM、10~375mM、15~350mM、20~325mM、30~300mM、40~275mM、50~250mM、60~225mM、70~200mM、80~175mM、90~150mM、100~125mM、若しくは110~115mM)の酢酸を含む溶液に曝露するステップによって実施される。
【0119】
別の例では、酸変性は、少なくとも0.5%(v/v)(例えば、少なくとも1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%、若しくはそれ以上)の塩酸を含む溶液にサンプルを曝露するステップによって実施される。いくつかの実施形態では、circRNAではなく、linRNAの選択的変性は、linRNA、circRNA、及び任意選択で1種若しくは複数種の不純物又は副産物を含むポリリボヌクレオチドの混合集団を含むサンプルを、1mM~500mM(例えば、2~475mM、3~450mM、4~425mM、5~400mM、10~375mM、15~350mM、20~325mM、30~300mM、40~275mM、50~250mM、60~225mM、70~200mM、80~175mM、90~150mM、100~125mM、若しくは110~115mM)の塩酸を含む溶液に曝露するステップによって実施される。
【0120】
別の例では、酸変性は、少なくとも0.5%(v/v)(例えば、少なくとも1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%、若しくはそれ以上)のサリチル酸を含む溶液にサンプルを曝露するステップによって実施される。いくつかの実施形態では、circRNAではなく、linRNAの選択的変性は、linRNA、circRNA、及び任意選択で1種若しくは複数種の不純物又は副産物を含むポリリボヌクレオチドの混合集団を含むサンプルを、1mM~500mM(例えば、2~475mM、3~450mM、4~425mM、5~400mM、10~375mM、15~350mM、20~325mM、30~300mM、40~275mM、50~250mM、60~225mM、70~200mM、80~175mM、90~150mM、100~125mM、若しくは110~115mM)のサリチル酸を含む溶液に曝露するステップによって実施される。
【0121】
別の例では、酸変性は、少なくとも0.5%(v/v)(例えば、少なくとも1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%、若しくはそれ以上)のリン酸を含む溶液にサンプルを曝露するステップによって実施される。いくつかの実施形態では、circRNAではなく、linRNAの選択的変性は、linRNA、circRNA、及び任意選択で1種若しくは複数種の不純物又は副産物を含むポリリボヌクレオチドの混合集団を含むサンプルを、1mM~500mM(例えば、2~475mM、3~450mM、4~425mM、5~400mM、10~375mM、15~350mM、20~325mM、30~300mM、40~275mM、50~250mM、60~225mM、70~200mM、80~175mM、90~150mM、100~125mM、若しくは110~115mM)のリン酸を含む溶液に曝露するステップによって実施される。
【0122】
別の例では、酸変性は、少なくとも0.5%(v/v)(例えば、少なくとも1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%、若しくはそれ以上)のホウ酸を含む溶液にサンプルを曝露するステップによって実施される。いくつかの実施形態では、circRNAではなく、linRNAの選択的変性は、linRNA、circRNA、及び任意選択で1種若しくは複数種の不純物又は副産物を含むポリリボヌクレオチドの混合集団を含むサンプルを、1mM~500mM(例えば、2~475mM、3~450mM、4~425mM、5~400mM、10~375mM、15~350mM、20~325mM、30~300mM、40~275mM、50~250mM、60~225mM、70~200mM、80~175mM、90~150mM、100~125mM、若しくは110~115mM)のホウ酸を含む溶液に曝露するステップによって実施される。
【0123】
さらに別の例では、酸変性は、少なくとも0.5%(v/v)(例えば、少なくとも1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%、若しくはそれ以上)のギ酸を含む溶液にサンプルを曝露するステップによって実施される。いくつかの実施形態では、circRNAではなく、linRNAの選択的変性は、linRNA、circRNA、及び任意選択で1種若しくは複数種の不純物又は副産物を含むポリリボヌクレオチドの混合集団を含むサンプルを、1mM~500mM(例えば、2~475mM、3~450mM、4~425mM、5~400mM、10~375mM、15~350mM、20~325mM、30~300mM、40~275mM、50~250mM、60~225mM、70~200mM、80~175mM、90~150mM、100~125mM、若しくは110~115mM)のギ酸を含む溶液に曝露するステップによって実施される。
【0124】
さらに別の例では、酸変性は、少なくとも0.5%(v/v)(例えば、少なくとも1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%、若しくはそれ以上)のシュウ酸を含む溶液にサンプルを曝露するステップによって実施される。いくつかの実施形態では、circRNAではなく、linRNAの選択的変性は、linRNA、circRNA、及び任意選択で1種若しくは複数種の不純物又は副産物を含むポリリボヌクレオチドの混合集団を含むサンプルを、1mM~500mM(例えば、2~475mM、3~450mM、4~425mM、5~400mM、10~375mM、15~350mM、20~325mM、30~300mM、40~275mM、50~250mM、60~225mM、70~200mM、80~175mM、90~150mM、100~125mM、若しくは110~115mM)のシュウ酸を含む溶液に曝露するステップによって実施される。
【0125】
さらに別の例では、酸変性は、少なくとも0.5%(v/v)(例えば、少なくとも1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%、若しくはそれ以上)のクエン酸を含む溶液にサンプルを曝露するステップによって実施される。いくつかの実施形態では、circRNAではなく、linRNAの選択的変性は、linRNA、circRNA、及び任意選択で1種若しくは複数種の不純物又は副産物を含むポリリボヌクレオチドの混合集団を含むサンプルを、1mM~500mM(例えば、2~475mM、3~450mM、4~425mM、5~400mM、10~375mM、15~350mM、20~325mM、30~300mM、40~275mM、50~250mM、60~225mM、70~200mM、80~175mM、90~150mM、100~125mM、若しくは110~115mM)のクエン酸を含む溶液に曝露するステップによって実施される。
【0126】
さらに別の例では、酸変性は、少なくとも0.5%(v/v)(例えば、少なくとも1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%、若しくはそれ以上)の安息香酸を含む溶液にサンプルを曝露するステップによって実施される。いくつかの実施形態では、circRNAではなく、linRNAの選択的変性は、linRNA、circRNA、及び任意選択で1種若しくは複数種の不純物又は副産物を含むポリリボヌクレオチドの混合集団を含むサンプルを、1mM~500mM(例えば、2~475mM、3~450mM、4~425mM、5~400mM、10~375mM、15~350mM、20~325mM、30~300mM、40~275mM、50~250mM、60~225mM、70~200mM、80~175mM、90~150mM、100~125mM、若しくは110~115mM)の安息香酸を含む溶液に曝露するステップによって実施される。
【0127】
さらに別の例では、酸変性は、少なくとも0.5%(v/v)(例えば、少なくとも1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%、若しくはそれ以上)のモノクロロ酢酸を含む溶液にサンプルを曝露するステップによって実施される。いくつかの実施形態では、circRNAではなく、linRNAの選択的変性は、linRNA、circRNA、及び任意選択で1種若しくは複数種の不純物又は副産物を含むポリリボヌクレオチドの混合集団を含むサンプルを、1mM~500mM(例えば、2~475mM、3~450mM、4~425mM、5~400mM、10~375mM、15~350mM、20~325mM、30~300mM、40~275mM、50~250mM、60~225mM、70~200mM、80~175mM、90~150mM、100~125mM、若しくは110~115mM)のモノクロロ酢酸を含む溶液に曝露するステップによって実施される。
【0128】
さらに別の例では、酸変性は、少なくとも0.5%(v/v)(例えば、少なくとも1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%、若しくはそれ以上)のジクロロ酢酸を含む溶液にサンプルを曝露するステップによって実施される。いくつかの実施形態では、circRNAではなく、linRNAの選択的変性は、linRNA、circRNA、及び任意選択で1種若しくは複数種の不純物又は副産物を含むポリリボヌクレオチドの混合集団を含むサンプルを、1mM~500mM(例えば、2~475mM、3~450mM、4~425mM、5~400mM、10~375mM、15~350mM、20~325mM、30~300mM、40~275mM、50~250mM、60~225mM、70~200mM、80~175mM、90~150mM、100~125mM、若しくは110~115mM)のジクロロ酢酸を含む溶液に曝露するステップによって実施される。
【0129】
さらに別の例では、酸変性は、少なくとも0.5%(v/v)(例えば、少なくとも1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%、若しくはそれ以上)のトリクロロ酢酸を含む溶液にサンプルを曝露するステップによって実施される。いくつかの実施形態では、circRNAではなく、linRNAの選択的変性は、linRNA、circRNA、及び任意選択で1種若しくは複数種の不純物又は副産物を含むポリリボヌクレオチドの混合集団を含むサンプルを、1mM~500mM(例えば、2~475mM、3~450mM、4~425mM、5~400mM、10~375mM、15~350mM、20~325mM、30~300mM、40~275mM、50~250mM、60~225mM、70~200mM、80~175mM、90~150mM、100~125mM、若しくは110~115mM)のトリクロロ酢酸を含む溶液に曝露するステップによって実施される。
【0130】
さらに別の例では、酸変性は、少なくとも0.5%(v/v)(例えば、少なくとも1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%、若しくはそれ以上)のアスコルビン酸を含む溶液にサンプルを曝露するステップによって実施される。いくつかの実施形態では、circRNAではなく、linRNAの選択的変性は、linRNA、circRNA、及び任意選択で1種若しくは複数種の不純物又は副産物を含むポリリボヌクレオチドの混合集団を含むサンプルを、1mM~500mM(例えば、2~475mM、3~450mM、4~425mM、5~400mM、10~375mM、15~350mM、20~325mM、30~300mM、40~275mM、50~250mM、60~225mM、70~200mM、80~175mM、90~150mM、100~125mM、若しくは110~115mM)のアスコルビン酸を含む溶液に曝露するステップによって実施される。
【0131】
さらに別の例では、酸変性は、少なくとも0.5%(v/v)(例えば、少なくとも1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%、若しくはそれ以上)の硝酸を含む溶液にサンプルを曝露するステップによって実施される。いくつかの実施形態では、circRNAではなく、linRNAの選択的変性は、linRNA、circRNA、及び任意選択で1種若しくは複数種の不純物又は副産物を含むポリリボヌクレオチドの混合集団を含むサンプルを、1mM~500mM(例えば、2~475mM、3~450mM、4~425mM、5~400mM、10~375mM、15~350mM、20~325mM、30~300mM、40~275mM、50~250mM、60~225mM、70~200mM、80~175mM、90~150mM、100~125mM、若しくは110~115mM)の硝酸を含む溶液に曝露するステップによって実施される。
【0132】
酸性変性条件へのサンプルの暴露は、ポリリボヌクレオチド(中でも、例えば、linRNA又はcircRNA)を変性させるのに十分な時間をかけて行うことができる。例えば、酸性変性条件へのサンプルの暴露は、30秒、45秒、1分、2分、3分、4分、5分、6分、7分、8分、9分、10分、又はそれ以上の時間をかけて行われ得る。
【0133】
前述した酸性変性プロトコルは、本明細書に開示されるクロマトグラフィー分離法の前にサンプルに対して実施することができる。或いは、酸性変性は、開示した方法を用いたクロマトグラフィー分離後のサンプルに対して実施してもよい。さらに、酸性変性は、サンプルのクロマトグラフィー精製と並行して(即ち、精製工程中に)実施してもよい。例えば、クロマトグラフィーカラム中に使用されるサンプルバッファー(例えば、ローディングバッファー)は、サンプルのポリリボヌクレオチドの分子内水素結合を変性させるのに十分な濃度で上に挙げた酸を含むことができる。したがって、サンプル内のlinRNAの酸性変性は、平衡化ステップ、サンプルロードステップ、カラム洗浄ステップ、及び溶離ステップなど、クロマトグラフィー分離プロセスの任意の段階で実施することができる。さらにまた、サンプルのクロマトグラフィー精製を行わない場合も、サンプルに対して酸性変性を実施することができる。
【0134】
アルカリ変性剤
アルカリ変性は、アルカリ溶液が、RNA分子内のイオン化可能な基を脱プロトン化し得るという根拠に基づき、本明細書に開示する精製方法を変性させるのに適した方法である。linRNA、circRNA、及び任意選択で1種若しくは複数種の不純物又は副産物を含むポリリボヌクレオチドの混合集団を含むサンプルからのcircRNAの選択的濃縮及び精製に使用するのに適したアルカリ条件は、少なくとも0.5%(v/v)(例えば、少なくとも1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%、若しくはそれ以上)の水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、イミダゾール、ヒスチジン、炭酸水素ナトリウム、又はグアニジンを含む溶液を含む。いくつかの実施形態では、circRNAではなく、linRNAの選択的変性は、linRNA、circRNA、及び任意選択で1種若しくは複数種の不純物又は副産物を含むポリリボヌクレオチドの混合集団を含むサンプルを、1mM~500mM(例えば、2~475mM、3~450mM、4~425mM、5~400mM、10~375mM、15~350mM、20~325mM、30~300mM、40~275mM、50~250mM、60~225mM、70~200mM、80~175mM、90~150mM、100~125mM、若しくは110~115mM)の水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、イミダゾール、ヒスチジン、炭酸水素ナトリウム、グアニジン、又はトリエチルアミンを含む溶液に曝露するステップによって実施される。
【0135】
一例では、circRNAではなく、linRNAの選択的変性は、linRNA、circRNA、及び任意選択で1種若しくは複数種の不純物又は副産物を含むポリリボヌクレオチドの混合集団を含むサンプルを、少なくとも0.5%(v/v)(例えば、少なくとも1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%、若しくはそれ以上)の水酸化ナトリウムを含む溶液に曝露するステップによって実施される。いくつかの実施形態では、circRNAではなく、linRNAの選択的変性は、linRNA、circRNA、及び任意選択で1種若しくは複数種の不純物又は副産物を含むポリリボヌクレオチドの混合集団を含むサンプルを、1mM~500mM(例えば、2~475mM、3~450mM、4~425mM、5~400mM、10~375mM、15~350mM、20~325mM、30~300mM、40~275mM、50~250mM、60~225mM、70~200mM、80~175mM、90~150mM、100~125mM、若しくは110~115mM)の水酸化ナトリウムを含む溶液に曝露するステップによって実施される。
【0136】
別の例では、アルカリ変性は、少なくとも0.5%(v/v)(例えば、少なくとも1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%、若しくはそれ以上)の水酸化カリウムを含む溶液にサンプルを曝露するステップによって実施される。いくつかの実施形態では、circRNAではなく、linRNAの選択的変性は、linRNA、circRNA、及び任意選択で1種若しくは複数種の不純物又は副産物を含むポリリボヌクレオチドの混合集団を含むサンプルを、1mM~500mM(例えば、2~475mM、3~450mM、4~425mM、5~400mM、10~375mM、15~350mM、20~325mM、30~300mM、40~275mM、50~250mM、60~225mM、70~200mM、80~175mM、90~150mM、100~125mM、若しくは110~115mM)の水酸化カリウムを含む溶液に曝露するステップによって実施される。
【0137】
別の例では、アルカリ変性は、少なくとも0.5%(v/v)(例えば、少なくとも1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%、若しくはそれ以上)のイミダゾールを含む溶液にサンプルを曝露するステップによって実施される。いくつかの実施形態では、circRNAではなく、linRNAの選択的変性は、linRNA、circRNA、及び任意選択で1種若しくは複数種の不純物又は副産物を含むポリリボヌクレオチドの混合集団を含むサンプルを、1mM~500mM(例えば、2~475mM、3~450mM、4~425mM、5~400mM、10~375mM、15~350mM、20~325mM、30~300mM、40~275mM、50~250mM、60~225mM、70~200mM、80~175mM、90~150mM、100~125mM、若しくは110~115mM)のイミダゾールを含む溶液に曝露するステップによって実施される。
【0138】
別の例では、アルカリ変性は、少なくとも0.5%(v/v)(例えば、少なくとも1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%、若しくはそれ以上)のヒスチジンを含む溶液にサンプルを曝露するステップによって実施される。いくつかの実施形態では、circRNAではなく、linRNAの選択的変性は、linRNA、circRNA、及び任意選択で1種若しくは複数種の不純物又は副産物を含むポリリボヌクレオチドの混合集団を含むサンプルを、1mM~500mM(例えば、2~475mM、3~450mM、4~425mM、5~400mM、10~375mM、15~350mM、20~325mM、30~300mM、40~275mM、50~250mM、60~225mM、70~200mM、80~175mM、90~150mM、100~125mM、若しくは110~115mM)のヒスチジンを含む溶液に曝露するステップによって実施される。
【0139】
別の例では、アルカリ変性は、少なくとも0.5%(v/v)(例えば、少なくとも1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%、若しくはそれ以上)の炭酸水素ナトリウムを含む溶液にサンプルを曝露するステップによって実施される。いくつかの実施形態では、circRNAではなく、linRNAの選択的変性は、linRNA、circRNA、及び任意選択で1種若しくは複数種の不純物又は副産物を含むポリリボヌクレオチドの混合集団を含むサンプルを、1mM~500mM(例えば、2~475mM、3~450mM、4~425mM、5~400mM、10~375mM、15~350mM、20~325mM、30~300mM、40~275mM、50~250mM、60~225mM、70~200mM、80~175mM、90~150mM、100~125mM、若しくは110~115mM)の炭酸水素ナトリウムを含む溶液に曝露するステップによって実施される。
【0140】
さらに別の例では、アルカリ変性は、少なくとも0.5%(v/v)(例えば、少なくとも1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%、若しくはそれ以上)のグアニジンを含む溶液にサンプルを曝露するステップによって実施される。いくつかの実施形態では、circRNAではなく、linRNAの選択的変性は、linRNA、circRNA、及び任意選択で1種若しくは複数種の不純物又は副産物を含むポリリボヌクレオチドの混合集団を含むサンプルを、1mM~500mM(例えば、2~475mM、3~450mM、4~425mM、5~400mM、10~375mM、15~350mM、20~325mM、30~300mM、40~275mM、50~250mM、60~225mM、70~200mM、80~175mM、90~150mM、100~125mM、若しくは110~115mM)のグアニジンを含む溶液に曝露するステップによって実施される。
【0141】
さらに別の例では、アルカリ変性は、少なくとも0.5%(v/v)(例えば、少なくとも1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%、若しくはそれ以上)のトリチルアミンを含む溶液にサンプルを曝露するステップによって実施される。いくつかの実施形態では、circRNAではなくlinRNAの選択的変性は、linRNA、circRNA、及び任意選択で1種若しくは複数種の不純物又は副産物を含むポリリボヌクレオチドの混合集団を含むサンプルを、1mM~500mM(例えば、2~475mM、3~450mM、4~425mM、5~400mM、10~375mM、15~350mM、20~325mM、30~300mM、40~275mM、50~250mM、60~225mM、70~200mM、80~175mM、90~150mM、100~125mM、若しくは110~115mM)のトリチルアミンを含む溶液に曝露するステップによって実施される。
【0142】
アルカリ変性条件へのサンプルの暴露は、ポリリボヌクレオチド(中でも、例えば、circRNA又はlinRNA)を変性させるのに十分な時間をかけて行うことができる。例えば、アルカリ変性条件へのサンプルの暴露は、30秒、45秒、1分、2分、3分、4分、5分、6分、7分、8分、9分、10分、又はそれ以上の時間をかけて行われ得る。
【0143】
前述したアルカリ変性プロトコルは、本明細書に開示されるクロマトグラフィー分離法の前にサンプルに対して実施することができる。或いは、アルカリ変性は、開示した方法を用いたクロマトグラフィー分離後のサンプルに対して実施してもよい。さらに、アルカリ変性は、サンプルのクロマトグラフィー精製と並行して(即ち、精製工程中に)実施してもよい。例えば、クロマトグラフィーカラム中に使用されるサンプルバッファー(例えば、ローディングバッファー)は、サンプルのポリリボヌクレオチドの分子内水素結合を変性させるのに十分な濃度で前述の塩基を含み得る。したがって、サンプル内のlinRNAのアルカリ変性は、平衡化ステップ、サンプルロードステップ、カラム洗浄ステップ、及び溶離ステップなど、クロマトグラフィー分離プロセスの任意の段階で実施することができる。さらにまた、サンプルのクロマトグラフィー精製を行わない場合も、アルカリ性変性をサンプルに対して行うことができる。
【0144】
有機溶媒
開示された方法と一緒に使用するのに適した変性剤として、有機溶媒を使用することができる。linRNA、circRNA、及び任意選択で1種若しくは複数種の不純物又は副産物を含むポリリボヌクレオチドの混合集団を含むサンプルからのcircRNAの選択的濃縮及び精製に使用するのに適した有機溶媒は、少なくとも0.1%(v/v)(例えば、少なくとも0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、90%、若しくはそれ以上)のジメチルスルホキシド、酢酸トリエチルアンモニウム、メタノール、エタノール、2-プロパノール、イソプロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、t-ブタノール、イソブタノール、フェノール、クロロホルム、ヘキサン、アセトニトリル、ホルムアミド、アセトン、デナトニウム、又はプロピレングリコールを含む。
【0145】
一例では、circRNAではなくlinRNAの選択的変性は、linRNA、circRNA、及び任意選択で1種若しくは複数種の不純物又は副産物を含むポリリボヌクレオチドの混合集団を含むサンプルを、少なくとも0.1%(v/v)(例えば、少なくとも0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、90%、若しくはそれ以上)のジメチルスルホキシドを含む溶液に曝露するステップによって実施される。
【0146】
別の例では、変性は、少なくとも0.1%(v/v)(例えば、少なくとも0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、90%、若しくはそれ以上)の酢酸トリエチルアンモニウムを含む溶液にサンプルを曝露するステップによって実施される。
【0147】
別の例では、変性は、少なくとも0.1%(v/v)(例えば、少なくとも0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、90%、若しくはそれ以上)のメタノールを含む溶液にサンプルを曝露するステップによって実施される。
【0148】
別の例では、変性は、少なくとも0.1%(v/v)(例えば、少なくとも0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、90%、若しくはそれ以上)のエタノールを含む溶液にサンプルを曝露するステップによって実施される。
【0149】
別の例では、変性は、少なくとも0.1%(v/v)(例えば、少なくとも0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、90%、若しくはそれ以上)の2-プロパノールを含む溶液にサンプルを曝露するステップによって実施される。
【0150】
別の例では、変性は、少なくとも0.1%(v/v)(例えば、少なくとも0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、90%、若しくはそれ以上)のイソプロパノールを含む溶液にサンプルを曝露するステップによって実施される。
【0151】
別の例では、変性は、少なくとも0.1%(v/v)(例えば、少なくとも0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、90%、若しくはそれ以上)のブタノール(例えば、1-ブタノール、2-ブタノール、t-ブタノール、又はイソブタノール)を含む溶液にサンプルを曝露するステップによって実施される。
【0152】
別の例では、変性は、少なくとも0.1%(v/v)(例えば、少なくとも0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、90%、若しくはそれ以上)の1-ブタノールを含む溶液にサンプルを曝露するステップによって実施される。
【0153】
別の例では、変性は、少なくとも0.1%(v/v)(例えば、少なくとも0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、90%、若しくはそれ以上)の2-ブタノールを含む溶液にサンプルを曝露するステップによって実施される。
【0154】
別の例では、変性は、少なくとも0.1%(v/v)(例えば、少なくとも0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、90%、若しくはそれ以上)のt-ブタノールを含む溶液にサンプルを曝露するステップによって実施される。
【0155】
別の例では、変性は、少なくとも0.1%(v/v)(例えば、少なくとも0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、90%、若しくはそれ以上)のイソブタノールを含む溶液にサンプルを曝露するステップによって実施される。
【0156】
別の例では、変性は、少なくとも0.1%(v/v)(例えば、少なくとも0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、90%、若しくはそれ以上)のフェノールを含む溶液にサンプルを曝露するステップによって実施される。
【0157】
別の例では、変性は、少なくとも0.1%(v/v)(例えば、少なくとも0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、90%、若しくはそれ以上)のクロロホルムを含む溶液にサンプルを曝露するステップによって実施される。
【0158】
別の例では、変性は、少なくとも0.1%(v/v)(例えば、少なくとも0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、90%、若しくはそれ以上)のヘキサンを含む溶液にサンプルを曝露するステップによって実施される。
【0159】
別の例では、変性は、少なくとも0.1%(v/v)(例えば、少なくとも0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、90%、若しくはそれ以上)のアセトニトリルを含む溶液にサンプルを曝露するステップによって実施される。
【0160】
別の例では、変性は、少なくとも0.1%(v/v)(例えば、少なくとも0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、90%、若しくはそれ以上)のホルムアミドを含む溶液にサンプルを曝露するステップによって実施される。
【0161】
さらに別の例では、変性は、少なくとも0.1%(v/v)(例えば、少なくとも0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、90%、若しくはそれ以上)のプロピレングリコールを含む溶液にサンプルを曝露するステップによって実施される。
【0162】
変性溶媒へのサンプルの暴露は、ポリリボヌクレオチド(中でも、例えば、circRNA又はlinRNA)を変性させるのに十分な時間をかけて行うことができる。例えば、アルカリ変性条件へのサンプルの暴露は、30秒、45秒、1分、2分、3分、4分、5分、6分、7分、8分、9分、10分、又はそれ以上の時間をかけて行われ得る。
【0163】
前述した変性プロトコルは、本明細書に開示されるクロマトグラフィー分離方法の前にサンプルに対して実施することができる。或いは、変性は、開示した方法を用いたクロマトグラフィー分離後のサンプルに対して実施してもよい。さらに、アルカリ性変性は、サンプルのクロマトグラフィー精製と並行して(即ち、精製工程中に)実施してもよい。例えば、クロマトグラフィーカラム中に使用されるサンプルバッファー(例えば、ローディングバッファー)は、サンプルのポリリボヌクレオチドの分子内水素結合を変性させるのに十分な濃度で前述の有機溶媒を含み得る。したがって、サンプル内のlinRNAの変性は、平衡化ステップ、サンプルロードステップ、カラム洗浄ステップ、及び溶離ステップなど、クロマトグラフィー分離プロセスの任意の段階で実施することができる。さらにまた、サンプルのクロマトグラフィー精製を行わない場合も、変性をサンプルに対して行うことができる。
【0164】
カオトロピック剤
開示される方法と一緒に使用するのに適した変性剤として、カオトロピック剤(例えば、カオトロピック塩)を使用することができる。linRNA、circRNA、及び任意選択で1種若しくは複数種の不純物又は副産物を含むポリリボヌクレオチドの混合集団を含むサンプルからのcircRNAの選択的濃縮及び精製に使用するのに適したカオトロピック剤(例えば、カオトロピック塩)は、少なくとも1%(v/v)(例えば、少なくとも1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%、若しくはそれ以上)の尿素、塩化グアニジニウム、過塩素酸リチウム、又はPEGを含む。いくつかの実施形態では、linRNA、circRNA、及び任意選択で1種若しくは複数種の不純物又は副産物を含むポリリボヌクレオチドの混合集団を含むサンプルからのcircRNAの選択的濃縮及び精製に使用するのに適したカオトロピック剤は、100mM~8M(例えば、150mM~7.5M、200mM~7M、250mM~6.5M、300mM~6M、350mM~5.5M、400mM~5M、450mM~4.5M、500mM~4M、600mM~3.5M、700mM~3M、800mM~2.5M、900mM~2M、1M~1.5M、1.1M~1.4M、若しくは1.2~1.3M)の尿素、塩化グアニジニウム、過塩素酸リチウム、又はPEGを含む。
【0165】
一例では、circRNAではなく、linRNAの選択的変性は、linRNA、circRNA、及び任意選択で1種若しくは複数種の不純物又は副産物を含むポリリボヌクレオチドの混合集団を含むサンプルを、少なくとも1%(v/v)(例えば、少なくとも1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%、若しくはそれ以上)の塩化グアニジニウムを含む溶液に曝露するステップによって実施される。いくつかの実施形態では、circRNAではなくlinRNAの選択的変性は、linRNA、circRNA、及び任意選択で1種若しくは複数種の不純物又は副産物を含むポリリボヌクレオチドの混合集団を含むサンプルを、100mM~8M(例えば、150mM~7.5M、200mM~7M、250mM~6.5M、300mM~6M、350mM~5.5M、400mM~5M、450mM~4.5M、500mM~4M、600mM~3.5M、700mM~3M、800mM~2.5M、900mM~2M、1M~1.5M、1.1M~1.4M、若しくは1.2~1.3M)の尿素を含む溶液に曝露するステップによって実施される。
【0166】
別の実施形態では、変性は、少なくとも1%(v/v)(例えば、少なくとも1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%、若しくはそれ以上)の過塩素酸リチウムを含む溶液にサンプルを曝露するステップによって実施される。いくつかの実施形態では、circRNAではなく、linRNAの選択的変性は、linRNA、circRNA、及び任意選択で1種若しくは複数種の不純物又は副産物を含むポリリボヌクレオチドの混合集団を含むサンプルを、100mM~8M(例えば、150mM~7.5M、200mM~7M、250mM~6.5M、300mM~6M、350mM~5.5M、400mM~5M、450mM~4.5M、500mM~4M、600mM~3.5M、700mM~3M、800mM~2.5M、900mM~2M、1M~1.5M、1.1M~1.4M、若しくは1.2~1.3M)の過塩素酸リチウムを含む溶液に曝露するステップによって実施される。
【0167】
別の実施形態では、circRNAではなく、linRNAの選択的変性は、linRNA、circRNA、及び任意選択で1種若しくは複数種の不純物又は副産物を含むポリリボヌクレオチドの混合集団を含むサンプルを、1%未満(例えば、1%、0.9%、0.8%、0.7%、0.6%、0.5%、0.4%、0.3%、0.2%、0.1%未満、若しくはそれ以下)のn-ドデシルβ-d-マルトシド、n-オクチルグルコシド、CHAPS、又はデオキシコレートを含む溶液に曝露するステップによって実施される。いくつかの実施形態では、circRNAではなく、linRNAの選択的変性は、linRNA、circRNA、及び任意選択で1種若しくは複数種の不純物又は副産物を含むポリリボヌクレオチドの混合集団を含むサンプルを、100mM~8M(例えば、150mM~7.5M、200mM~7M、250mM~6.5M、300mM~6M、350mM~5.5M、400mM~5M、450mM~4.5M、500mM~4M、600mM~3.5M、700mM~3M、800mM~2.5M、900mM~2M、1M~1.5M、1.1M~1.4M、若しくは1.2~1.3M)のデオキシコレートを含む溶液に曝露するステップによって実施される。
【0168】
一例では、変性は、少なくとも0.1%(v/v)(例えば、少なくとも0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、90%、若しくはそれ以上)のn-ドデシルβ-d-マルトシドを含む溶液にサンプルを曝露するステップによって実施される。いくつかの実施形態では、circRNAではなく、linRNAの選択的変性は、linRNA、circRNA、及び任意選択で1種若しくは複数種の不純物又は副産物を含むポリリボヌクレオチドの混合集団を含むサンプルを、100mM~8M(例えば、150mM~7.5M、200mM~7M、250mM~6.5M、300mM~6M、350mM~5.5M、400mM~5M、450mM~4.5M、500mM~4M、600mM~3.5M、700mM~3M、800mM~2.5M、900mM~2M、1M~1.5M、1.1M~1.4M、若しくは1.2~1.3M)のβ-d-マルトシドを含む溶液に曝露するステップによって実施される。
【0169】
別の実施形態では、変性は、少なくとも0.1%(v/v)(例えば、少なくとも0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、90%、若しくはそれ以上)のn-オクチルグルコシドを含む溶液にサンプルを曝露するステップによって実施される。いくつかの実施形態では、circRNAではなく、linRNAの選択的変性は、linRNA、circRNA、及び任意選択で1種若しくは複数種の不純物又は副産物を含むポリリボヌクレオチドの混合集団を含むサンプルを、100mM~8M(例えば、150mM~7.5M、200mM~7M、250mM~6.5M、300mM~6M、350mM~5.5M、400mM~5M、450mM~4.5M、500mM~4M、600mM~3.5M、700mM~3M、800mM~2.5M、900mM~2M、1M~1.5M、1.1M~1.4M、若しくは1.2~1.3M)のn-オクチルグルコシドを含む溶液に曝露するステップによって実施される。
【0170】
別の実施形態では、変性は、少なくとも0.1%(v/v)(例えば、少なくとも0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、90%、若しくはそれ以上)のCHAPSを含む溶液にサンプルを曝露するステップによって実施される。いくつかの実施形態では、circRNAではなくlinRNAの選択的変性は、linRNA、circRNA、及び任意選択で1種若しくは複数種の不純物又は副産物を含むポリリボヌクレオチドの混合集団を含むサンプルを、100mM~8M(例えば、150mM~7.5M、200mM~7M、250mM~6.5M、300mM~6M、350mM~5.5M、400mM~5M、450mM~4.5M、500mM~4M、600mM~3.5M、700mM~3M、800mM~2.5M、900mM~2M、1M~1.5M、1.1M~1.4M、若しくは1.2~1.3M)のCHAPSを含む溶液に曝露するステップによって実施される。
【0171】
別の実施形態では、変性は、少なくとも0.1%(v/v)(例えば、少なくとも0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、90%、若しくはそれ以上)のデオキシコレートを含む溶液にサンプルを曝露するステップによって実施される。いくつかの実施形態では、circRNAではなく、linRNAの選択的変性は、linRNA、circRNA、及び任意選択で1種若しくは複数種の不純物又は副産物を含むポリリボヌクレオチドの混合集団を含むサンプルを、100mM~8M(例えば、150mM~7.5M、200mM~7M、250mM~6.5M、300mM~6M、350mM~5.5M、400mM~5M、450mM~4.5M、500mM~4M、600mM~3.5M、700mM~3M、800mM~2.5M、900mM~2M、1M~1.5M、1.1M~1.4M、若しくは1.2~1.3M)のデオキシコレートを含む溶液に曝露するステップによって実施される。
【0172】
変性用カオトロピック剤へのサンプルの暴露は、ポリリボヌクレオチド(中でも、例えば、circRNA又はlinRNA)を変性させるのに十分な時間をかけて行うことができる。例えば、アルカリ性変性条件へのサンプルの暴露は、30秒、45秒、1分、2分、3分、4分、5分、6分、7分、8分、9分、10分、11分、12分、13分、14分、15分、16分、17分、18分、19分、20分を超える、又はそれ以上の時間にわたって行われ得る。
【0173】
前述した変性プロトコルは、本明細書に開示されるクロマトグラフィー分離法の前にサンプルに対して実施することができる。或いは、カオトロピック剤を用いた変性は、開示した方法を用いたクロマトグラフィー分離後のサンプルに対して実施してもよい。さらに、オトロピック剤を用いた変性は、サンプルのクロマトグラフィー精製と並行して(即ち、精製工程中に)実施してもよい。例えば、クロマトグラフィーカラム中に使用されるサンプルバッファー(例えば、ローディングバッファー)は、サンプルのポリリボヌクレオチドの分子内水素結合を変性するのに十分な濃度で前述のカオトロピック剤を含み得る。したがって、サンプル内のlinRNAの変性は、平衡化ステップ、サンプルロードステップ、カラム洗浄ステップ、及び溶離ステップを含む、クロマトグラフィー分離プロセスの任意の段階で実施することができる。さらにまた、サンプルのクロマトグラフィー精製を行わない場合も、変性をサンプルに対して行うことができる。
【0174】
クラウディング剤
クラウディング剤は、他の分子間の水素結合が起こらないように溶液をクラウディングさせることができるという根拠に基づいて、開示される方法と一緒に使用するのに適した変性剤として使用することができる。linRNA、circRNA、及び任意選択で1種若しくは複数種の不純物又は副産物を含むポリリボヌクレオチドの混合集団を含むサンプルからのcircRNAの選択的濃縮及び精製に使用するのに適したクラウディング剤は、PEG及び尿素を含む。
【0175】
一例では、変性は、少なくとも0.1%(v/v)(例えば、少なくとも0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、90%、若しくはそれ以上)のPEGを含む溶液にサンプルを曝露するステップによって実施される。いくつかの実施形態では、circRNAではなく、linRNAの選択的変性は、linRNA、circRNA、及び任意選択で1種若しくは複数種の不純物又は副産物を含むポリリボヌクレオチドの混合集団を含むサンプルを、100mM~8M(例えば、150mM~7.5M、200mM~7M、250mM~6.5M、300mM~6M、350mM~5.5M、400mM~5M、450mM~4.5M、500mM~4M、600mM~3.5M、700mM~3M、800mM~2.5M、900mM~2M、1M~1.5M、1.1M~1.4M、若しくは1.2~1.3M)のPEGを含む溶液に曝露するステップによって実施される。
【0176】
PEGは、一般式(CHCHOH)nの基を指し、式中、nは整数であり、例えば、PEG~PEG100である。いくつかの実施形態では、PEGは、200Da~6000Da(例えば、400Da~2500Da、800Da~2200Da、1000Da~2000Da、200Da、400Da、600Da、800Da、1000Da、1200Da、1500Da、2000Da、2200Da、2500Da、3000Da、3500Da、4000Da、4500Da、5000Da、5500Da、又は6000Da)の分子量を有する。
【0177】
前述した変性プロトコルは、本明細書に開示されるクロマトグラフィー分離方法の前にサンプルに対して実施することができる。或いは、変性は、開示した方法を用いたクロマトグラフィー分離後のサンプルに対して実施してもよい。さらに、アルカリ性変性は、サンプルのクロマトグラフィー精製と並行して(即ち、精製工程中に)実施してもよい。例えば、クロマトグラフィーカラム中に使用されるサンプルバッファー(例えば、ローディングバッファー)は、サンプルのポリリボヌクレオチドの分子内水素結合を変性するのに十分な濃度で前述のクラウディング剤を含み得る。したがって、サンプル内のlinRNAの変性は、平衡化ステップ、サンプルロードステップ、カラム洗浄ステップ、及び溶離ステップなど、クロマトグラフィー分離プロセスの任意の段階で実施することができる。さらにまた、サンプルのクロマトグラフィー精製を行わない場合も、変性をサンプルに対して行うことができる。
【0178】
キレート剤
キレート剤は、RNA分子(例えば、linRNA)内のRNA二次構造及び三次構造に結合して安定化させる金属イオン(中でも、例えば、Ca2+、Mg2+、Na、及びK)とキレート化する(即ち、結合する)可能性があるという根拠に基づいて、開示された方法と組み合わせて使用するのに適した変性剤として使用することができる。linRNA、circRNA、及び任意選択で1種若しくは複数種の不純物又は副産物を含むポリリボヌクレオチドの混合集団を含むサンプルからのcircRNAの選択的濃縮及び精製に使用するのに適したキレート剤としては、エチレングリコール-ビス(β-アミノエチルエーテル)-N、N,N’,N’-テトラ酢酸(EGTA)又はその誘導体、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)又はその誘導体、ニトリロ三酢酸(NTA)、イミノ-ジコハク酸(IDS)、ポリアスパラギン酸、S,S-エチレンジアミン-N,N’-ジコハク酸(EDDS)、又はメチルグリシン二酢酸(MGDA)が挙げられる。いくつかの実施形態では、circRNAではなく、linRNAの選択的変性は、linRNA、circRNA、及び任意選択で1種若しくは複数種の不純物又は副産物を含むポリリボヌクレオチドの混合集団を含むサンプルを、1~10mM(例えば、1~2mM、2~3mM、3~4mM、4~5mM、5~6mM、6~7mM、7~8mM、8~9mM、若しくは9~10mM)のEGTA若しくはその誘導体、EDTA若しくはその誘導体、NTA、IDS、EDDS、又はMGDAを含む溶液に曝露するステップによって実施される。
【0179】
一例では、circRNAではなく、linRNAの選択的変性は、linRNA、circRNA、及び任意選択で1種若しくは複数種の不純物又は副産物を含むポリリボヌクレオチドの混合集団を含むサンプルを、EGTA又はその誘導体を含む溶液に曝露するステップによって実施される。いくつかの実施形態では、溶液は、1~10mM(例えば、1~2mM、2~3mM、3~4mM、4~5mM、5~6mM、6~7mM、7~8mM、8~9mM、若しくは9~10mM)のEGTA又はその誘導体を含む。
【0180】
別の例では、EDTA又はその誘導体を含む溶液にサンプルを曝露するステップによって、変性を実施する。いくつかの実施形態では、溶液は、1~10mM(例えば、1~2mM、2~3mM、3~4mM、4~5mM、5~6mM、6~7mM、7~8mM、8~9mM、若しくは9~10mM)のEDTA又はその誘導体を含む。
【0181】
別の例では、NTAを含む溶液にサンプルを曝露するステップによって、変性を実施する。いくつかの実施形態では、溶液は、1~10mM(例えば、1~2mM、2~3mM、3~4mM、4~5mM、5~6mM、6~7mM、7~8mM、8~9mM、若しくは9~10mM)のNTAを含む。
【0182】
別の例では、IDSを含む溶液にサンプルを曝露するステップによって、変性を実施する。いくつかの実施形態では、溶液は、1~10mM(例えば、1~2mM、2~3mM、3~4mM、4~5mM、5~6mM、6~7mM、7~8mM、8~9mM、若しくは9~10mM)のIDSを含む。
【0183】
別の例では、ポリアスパラギン酸を含む溶液にサンプルを曝露するステップによって、変性を実施する。いくつかの実施形態では、溶液は、1~10mM(例えば、1~2mM、2~3mM、3~4mM、4~5mM、5~6mM、6~7mM、7~8mM、8~9mM、若しくは9~10mM)のポリアスパラギン酸を含む。
【0184】
別の例では、EDDSを含む溶液にサンプルを曝露するステップによって、変性を実施する。いくつかの実施形態では、溶液は、1~10mM(例えば、1~2mM、2~3mM、3~4mM、4~5mM、5~6mM、6~7mM、7~8mM、8~9mM、若しくは9~10mM)のEDDSを含む。
【0185】
さらに別の例では、MGDAを含む溶液にサンプルを曝露するステップによって、変性を実施する。いくつかの実施形態では、溶液は、1~10mM(例えば、1~2mM、2~3mM、3~4mM、4~5mM、5~6mM、6~7mM、7~8mM、8~9mM、若しくは9~10mM)のMGDAを含む。
【0186】
変性キレート剤へのサンプルの暴露は、ポリリボヌクレオチド(中でも、例えば、circRNA又はlinRNA)を変性させるのに十分な時間をかけて行うことができる。例えば、変性キレート剤へのサンプルの暴露は、30秒、45秒、1分、2分、3分、4分、5分、6分、7分、8分、9分、10分、11分、12分、13分、14分、15分、16分、17分、18分、19分、20分、又はそれ以上の時間をかけて行われ得る。
【0187】
前述した変性プロトコルは、本明細書に開示されるクロマトグラフィー分離方法の前にサンプルに対して実施することができる。或いは、変性は、開示した方法を用いたクロマトグラフィー分離後のサンプルに対して実施してもよい。さらに、キレート剤を用いた変性は、サンプルのクロマトグラフィー精製と並行して(即ち、精製工程中に)実施してもよい。例えば、クロマトグラフィーカラム中に使用されるサンプルバッファー(例えば、ローディングバッファー)は、サンプルのポリリボヌクレオチドの分子内水素結合を変性するのに十分な濃度で前述のキレート剤を含み得る。したがって、サンプル内のlinRNAの変性は、平衡化ステップ、サンプルロードステップ、カラム洗浄ステップ、及び溶離ステップなど、クロマトグラフィー分離プロセスの任意の段階で実施することができる。さらにまた、サンプルのクロマトグラフィー精製を行わない場合も、変性をサンプルに対して行うことができる。
【0188】
デタージェント
開示された方法と一緒に使用するのに適した変性剤としてデタージェントを使用することができる。linRNA、circRNA、及び任意選択で1種若しくは複数種の不純物又は副産物を含むポリリボヌクレオチドの混合集団を含むサンプルからのcircRNAの選択的濃縮及び精製に使用するのに適したデタージェントとしては、ノニデット(登録商標)(Nonidet)P-40(NP40)、ポリソルベート(例えば、Tween(登録商標)-20、Tween(登録商標)-40、Tween(登録商標)-60、若しくはTween(登録商標)-80)、CHAPS、オクチルβ-D-グルコピラノシド、又はn-ドデシルβ-マルトシドが挙げられる。いくつかの実施形態では、circRNAではなく、linRNAの選択的変性は、0.005~0.05%(例えば、0.006~0.045%、0.007~0.04%、0.008~0.035%、0.009~0.03%、0.01~0.025%、0.011~0.02%、0.012~0.019%、0.013~0.018%、0.014~0.017%、若しくは0.015~0.016%)のNP40、ポリソルベート(例えば、Tween(登録商標)-20、Tween(登録商標)-40、Tween(登録商標)-60、若しくはTween(登録商標)-80)、CHAPS、オクチルβ-D-グルコピラノシド、又はn-ドデシルβ-マルトシドを含むポリリボヌクレオチドの混合集団を含むサンプルを曝露するステップによって実施される。
【0189】
別の例では、変性は、NP40を含む溶液にサンプルを曝露するステップによって実施される。いくつかの実施形態では、変性は、0.005~0.05%(例えば、0.006~0.045%、0.007~0.04%、0.008~0.035%、0.009~0.03%、0.01~0.025%、0.011~0.02%、0.012~0.019%、0.013~0.018%、0.014~0.017%、若しくは0.015~0.016%)のNP40を含む溶液にサンプルを曝露するステップによって実施される。
【0190】
別の例では、変性は、Tween(登録商標)-20を含む溶液にサンプルを曝露するステップによって実施される。いくつかの実施形態では、変性は、0.005~0.05%(例えば、0.006~0.045%、0.007~0.04%、0.008~0.035%、0.009~0.03%、0.01~0.025%、0.011~0.02%、0.012~0.019%、0.013~0.018%、0.014~0.017%、又は0.015~0.016%)のTween(登録商標)-20を含む溶液にサンプルを曝露するステップによって実施される。
【0191】
別の例では、変性は、Tween(登録商標)-80を含む溶液にサンプルを曝露するステップによって実施される。いくつかの実施形態では、変性は、0.005~0.05%(例えば、0.006~0.045%、0.007~0.04%、0.008~0.035%、0.009~0.03%、0.01~0.025%、0.011~0.02%、0.012~0.019%、0.013~0.018%、0.014~0.017%、若しくは0.015~0.016%)のTween(登録商標)-80を含む溶液にサンプルを曝露するステップによって実施される。
【0192】
別の例では、変性は、CHAPSを含む溶液にサンプルを曝露するステップによって実施される。いくつかの実施形態では、変性は、0.005~0.05%(例えば、0.006~0.045%、0.007~0.04%、0.008~0.035%、0.009~0.03%、0.01~0.025%、0.011~0.02%、0.012~0.019%、0.013~0.018%、0.014~0.017%、若しくは0.015~0.016%)のCHAPSを含む溶液にサンプルを曝露するステップによって実施される。
【0193】
別の例では、変性は、オクチルβ-D-グルコピラノシドを含む溶液にサンプルを曝露するステップによって実施される。いくつかの実施形態では、変性は、0.005~0.05%(例えば、0.006~0.045%、0.007~0.04%、0.008~0.035%、0.009~0.03%、0.01~0.025%、0.011~0.02%、0.012~0.019%、0.013~0.018%、0.014~0.017%、若しくは0.015~0.016%)のオクチルβ-D-グルコピラノシドを含む溶液にサンプルを曝露するステップによって実施される。
【0194】
別の例では、変性は、n-ドデシルβ-マルトシドを含む溶液にサンプルを曝露するステップによって実施される。いくつかの実施形態では、変性は、0.005~0.05%(例えば、0.006~0.045%、0.007~0.04%、0.008~0.035%、0.009~0.03%、0.01~0.025%、0.011~0.02%、0.012~0.019%、0.013~0.018%、0.014~0.017%、若しくは0.015~0.016%)のドデシルβ-マルトシドを含む溶液にサンプルを曝露するステップによって実施される。
【0195】
変性デタージェントへのサンプルの暴露は、ポリリボヌクレオチド(中でも、例えば、circRNA又はlinRNA)を変性させるのに十分な時間をかけて行うことができる。例えば、変性デタージェント条件へのサンプルの暴露は、30秒、45秒、1分、2分、3分、4分、5分、6分、7分、8分、9分、10分、11分、12分、13分、14分、15分、16分、17分、18分、19分、20分、又はそれ以上の時間をかけて行われ得る。
【0196】
前述した変性プロトコルは、本明細書に開示されるクロマトグラフィー分離法の前にサンプルに対して実施することができる。或いは、変性は、開示した方法を用いたクロマトグラフィー分離後のサンプルに対して実施してもよい。さらに、デタージェントを用いた変性は、サンプルのクロマトグラフィー精製と並行して(即ち、精製工程中に)実施してもよい。例えば、クロマトグラフィーカラム中に使用されるサンプルバッファー(例えば、ローディングバッファー)は、サンプルのポリリボヌクレオチドの分子内水素結合を変性するのに十分な濃度で前述のデタージェントを含み得る。したがって、サンプル内のlinRNAの変性は、平衡化ステップ、サンプルロードステップ、カラム洗浄ステップ、及び溶離ステップを含む、クロマトグラフィー分離プロセスの任意の段階で実施することができる。さらにまた、サンプルのクロマトグラフィー精製を行わない場合も、変性をサンプルに対して行うことができる。
【0197】
塩溶液
核酸ポリマーの二次構造形成は塩濃度に大きく依存し、この塩濃度は、ポリヌクレオチド内での塩基対形成と水素結合形成の自由エネルギーを決定する。したがって、塩溶液の使用は、本明細書に記載されているように、ポリリボヌクレオチドの変性精製に適した方法である。linRNA、circRNA、及び任意選択で1種若しくは複数種の不純物又は副産物を含むポリリボヌクレオチドの混合集団を含むサンプルからのcircRNAの選択的濃縮及び精製に使用するのに適した塩溶液としては、当技術分野で公知の中でも、例えば、以下:塩化ナトリウム(NaCl)、塩化カリウム(KCl)、塩化マグネシウム(MgCl)、塩化カルシウム(CaCl)、CsSO、NaSO、塩化リチウム(LiCl)、臭化リチウム(LiBr)を含む溶液が挙げられる。いくつかの実施形態では、塩溶液は、100mM~1M(例えば、150~950mM、200~900mM、250~850mM、300~800mM、350~750mM、400~700mM、450~650mM、500~600mM、若しくは525~575mM)のNaCl、KCl、MgCl、CaCl、CsSO、NaSO、LiCl、又はLiBrを含む。
【0198】
一例では、circRNAではなく、linRNAの選択的変性は、linRNA、circRNA、及び任意選択で1種若しくは複数種の不純物又は副産物を含むポリリボヌクレオチドの混合集団を含むサンプルを、NaClを含む溶液に曝露することによって実施される。いくつかの実施形態では、circRNAではなく、linRNAの選択的変性は、linRNA、circRNA、及び任意選択で1種若しくは複数種の不純物又は副産物を含むポリリボヌクレオチドの混合集団を含むサンプルを、100mM~1M(例えば、150~950mM、200~900mM、250~850mM、300~800mM、350~750mM、400~700mM、450~650mM、500~600mM、若しくは525~575mM)のNaClを含む溶液に曝露するステップによって実施される。
【0199】
別の例では、KClを含む溶液にサンプルを曝露するステップによって変性を実施する。いくつかの実施形態では、circRNAではなく、linRNAの選択的変性は、linRNA、circRNA、及び任意選択で1種若しくは複数種の不純物又は副産物を含むポリリボヌクレオチドの混合集団を含むサンプルを、100mM~1M(例えば、150~950mM、200~900mM、250~850mM、300~800mM、350~750mM、400~700mM、450~650mM、500~600mM、若しくは525~575mM)のKClを含む溶液に曝露するステップによって実施される。
【0200】
別の例では、MgClを含む溶液にサンプルを曝露するステップによって変性を実施する。いくつかの実施形態では、circRNAではなく、linRNAの選択的変性は、linRNA、circRNA、及び任意選択で1種若しくは複数種の不純物又は副産物を含むポリリボヌクレオチドの混合集団を含むサンプルを、100mM~1M(例えば、150~950mM、200~900mM、250~850mM、300~800mM、350~750mM、400~700mM、450~650mM、500~600mM、若しくは525~575mM)のMgClを含む溶液に曝露するステップによって実施される。
【0201】
別の例では、CaClを含む溶液にサンプルを曝露するステップによって変性を実施する。いくつかの実施形態では、circRNAではなく、linRNAの選択的変性は、linRNA、circRNA、及び任意選択で1種若しくは複数種の不純物又は副産物を含むポリリボヌクレオチドの混合集団を含むサンプルを、100mM~1M(例えば、150~950mM、200~900mM、250~850mM、300~800mM、350~750mM、400~700mM、450~650mM、500~600mM、若しくは525~575mM)のCaClを含む溶液に曝露するステップによって実施される。
【0202】
別の例では、CsSOを含む溶液にサンプルを曝露するステップによって変性を実施する。いくつかの実施形態では、circRNAではなく、linRNAの選択的変性は、linRNA、circRNA、及び任意選択で1種若しくは複数種の不純物又は副産物を含むポリリボヌクレオチドの混合集団を含むサンプルを、100mM~1M(例えば、150~950mM、200~900mM、250~850mM、300~800mM、350~750mM、400~700mM、450~650mM、500~600mM、若しくは525~575mM)のCsSOを含む溶液に曝露するステップによって実施される。
【0203】
別の例では、NaSOを含む溶液にサンプルを曝露するステップによって変性を実施する。いくつかの実施形態では、circRNAではなく、linRNAの選択的変性は、linRNA、circRNA、及び任意選択で1種若しくは複数種の不純物又は副産物を含むポリリボヌクレオチドの混合集団を含むサンプルを、100mM~1M(例えば、150~950mM、200~900mM、250~850mM、300~800mM、350~750mM、400~700mM、450~650mM、500~600mM、若しくは525~575mM)のNaSOを含む溶液に曝露するステップによって実施される。
【0204】
別の例では、LiClを含む溶液にサンプルを曝露するステップによって変性を実施する。いくつかの実施形態では、circRNAではなく、linRNAの選択的変性は、linRNA、circRNA、及び任意選択で1種若しくは複数種の不純物又は副産物を含むポリリボヌクレオチドの混合集団を含むサンプルを、100mM~1M(例えば、150~950mM、200~900mM、250~850mM、300~800mM、350~750mM、400~700mM、450~650mM、500~600mM、若しくは525~575mM)のLiClを含む溶液に曝露するステップによって実施される。
【0205】
別の例では、LiBrを含む溶液にサンプルを曝露するステップによって変性を実施する。いくつかの実施形態では、circRNAではなく、linRNAの選択的変性は、linRNA、circRNA、及び任意選択で1種若しくは複数種の不純物又は副産物を含むポリリボヌクレオチドの混合集団を含むサンプルを、100mM~1M(例えば、150~950mM、200~900mM、250~850mM、300~800mM、350~750mM、400~700mM、450~650mM、500~600mM、若しくは525~575mM)のLiBrを含む溶液に曝露するステップによって実施される。
【0206】
変性塩溶液へのサンプルの暴露は、ポリリボヌクレオチド(中でも、例えば、circRNA又はlinRNA)を変性させるのに十分な時間をかけて行うことができる。例えば、変性塩溶液条件へのサンプルの暴露は、30秒、45秒、1分、2分、3分、4分、5分、6分、7分、8分、9分、10分、11分、12分、13分、14分、15分、16分、17分、18分、19分、20分、又はそれ以上の時間をかけて行われ得る。
【0207】
前述した変性プロトコルは、本明細書に開示されるクロマトグラフィー分離方法の前にサンプルに対して実施することができる。或いは、変性は、開示した方法を用いたクロマトグラフィー分離後のサンプルに対して実施してもよい。さらに、塩溶液を用いた変性は、サンプルのクロマトグラフィー精製と並行して(即ち、精製工程中に)実施してもよい。例えば、クロマトグラフィーカラム中に使用されるサンプルバッファー(例えば、ローディングバッファー)は、サンプルのポリリボヌクレオチドの分子内水素結合を変性するのに十分な濃度で前述の塩を含み得る。したがって、サンプル内のlinRNAの変性は、平衡化ステップ、サンプルロードステップ、カラム洗浄ステップ、及び溶離ステップを含む、クロマトグラフィー分離プロセスの任意の段階で実施することができる。さらにまた、サンプルのクロマトグラフィー精製を行わない場合も、塩溶液変性をサンプルに対して行うことができる。
【0208】
組み合わせ又は複数の変性剤
本開示はさらに、circRNA、linRNA、及び他の物質を含むポリリボヌクレオチドの混合集団からcircRNAの濃縮集団を生産するために、前述の変性条件の2つ、3つ、4つ又はそれ以上を組み合わせた使用を提供する。circRNA及びlinRNAの混合集団を含むサンプルは、開示された変性条件の2つ、3つ、4つ若しくはそれ以上に同時に又は順次(時間的間隔を置いて、若しくは置かずに)供することができる。2つ以上の変性条件は、例えば、同じカテゴリーの変性剤からのもの、例えば、本明細書に記載のカオトロピック剤から選択される2種以上のカオトロピック剤、本明細書に記載の酸変性剤から選択される2種以上の酸変性剤、本明細書に記載のアルカリ変性剤から選択される2種以上のアルカリ変性剤、本明細書に記載の有機溶媒から選択の2種以上の有機溶媒、本明細書に記載のキレート剤から選択される2種以上のキレート剤、本明細書に記載のデタージェントから選択される2種以上のデタージェント、又は本明細書に記載の塩溶液から選択される2種以上の塩溶液であってよい。2つ以上の変性条件は、異なるカテゴリーの変性剤からのものであってもよい。例えば、2つ以上の変性条件の組み合わせは、表1に記載される通りであってもよく、熱変性は、本明細書に記載される任意の熱変性条件から選択され、pH変性は、本明細書に記載される任意のpH変性条件から選択され、酸変性剤は、本明細書に記載される任意の酸変性条件から選択され、アルカリ変性剤は、本明細書に記載される任意のアルカリ変性条件から選択され、有機溶媒は、本明細書に記載される任意の有機溶媒条件から選択され、カオトロピック剤は、本明細書に記載される任意のカオトロピック剤条件から選択され、キレート剤は、本明細書に記載される任意のキレート剤条件から選択され、デタージェントは、本明細書に記載される任意のデタージェント条件から選択され、塩溶液は、本明細書に記載される任意の塩溶液条件から選択される。
【0209】
【表1】
【0210】
表1に示す組み合わせを、第3、第4、第5、又はそれ以上のさらなる変性条件と組み合わせてもよい。
【0211】
例えば、上記の変性熱条件を上記の変性pH条件と組み合わせて、circRNAとlinRNAを含むポリリボヌクレオチドの混合集団からcircRNAの濃縮集団を生産することができる。或いは、変性熱条件を本明細書に記載の1種又は複数の化学変性剤と組み合わせて、circRNAの濃縮集団を生産することもできる。さらに、circRNAの濃縮集団は、ポリリボヌクレオチドの混合集団をpH変性剤及び化学変性剤と接触させることによって、ポリリボヌクレオチドの混合集団から生産することができる。
【0212】
本開示はまた、本明細書に記載の1つ又は複数の変性条件を、当技術分野で公知の1つ又は複数の非変性条件(例えば、温度、pH、バッファー)と組み合わせて使用することも提供する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の熱変性は、変性pH条件と組み合わせて、circRNA及びlinRNAを含むポリリボヌクレオチドの混合集団を含むサンプルに対して実施され得る。例えば、本明細書に記載のポリリボヌクレオチド(例えば、circRNA及びlinRNAを含むポリリボヌクレオチドの混合集団又はcircRNAの濃縮集団)を、変性温度、例えば、少なくとも50℃の温度、例えば、50℃~85℃(例えば、50℃、51℃、52℃、53℃、54℃、55℃、56℃、57℃、58℃、59℃、60℃、61℃、62℃、63℃、64℃、65℃、66℃、67℃、68℃、69℃、70℃、71℃、72℃、73℃、74℃、75℃、76℃、77℃、78℃、79℃、80℃、81℃、82℃、83℃、84℃、又は85℃)に、変性pH条件(例えば、5超且つ9未満のpH、例えば、以下:5.01、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8.0、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8、8.9、又は8.99のpH)と組み合わせて曝露することができる。
【0213】
いくつか他の実施形態では、本明細書に記載の熱変性は、非変性pH条件と組み合わせて、circRNA及びlinRNAを含むポリリボヌクレオチドの混合集団を含むサンプルに対して実施してもよい。例えば、本明細書に記載のポリリボヌクレオチド(例えば、circRNA及びlinRNAを含むポリリボヌクレオチドの混合集団又はcircRNAの濃縮集団)を、少なくとも50℃の温度などの変性温度、例えば、50℃~85℃(例えば、50℃、51℃、52℃、53℃、54℃、55℃、56℃、57℃、58℃、59℃、60℃、61℃、62℃、63℃、64℃、65℃、66℃、67℃、68℃、69℃、70℃、71℃、72℃、73℃、74℃、75℃、76℃、77℃、78℃、79℃、80℃、81℃、82℃、83℃、84℃、又は85℃)の温度に、非変性pH条件(例えば、5超且つ9未満のpH、例えば、以下:5.01、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8.0、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8又は8.9のpH)と組み合わせて曝露することができる。
【0214】
別の例では、本明細書に記載のポリリボヌクレオチド(例えば、circRNA及びlinRNAを含むポリリボヌクレオチドの混合集団又はcircRNAの濃縮集団)を、変性pH条件(例えば、5超且つ9未満のpH、例えば、以下:5.01、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8.0、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8、8.9、又は8.99のpH)に、非変性温度、例えば、50℃未満(例.49℃、48℃、47℃、46℃、45℃、44℃、43℃、42℃、41℃、40℃、39℃、38℃、37℃、36℃、35℃、34℃、33℃、32℃、31℃、30℃、29℃、28℃、27℃、26℃、25℃、24℃、23℃、22℃、21℃、20℃、19℃、18℃、17℃、16℃、15℃、14℃、13℃、12℃、11℃、10℃、又はそれ以下)の温度と組み合わせて曝露することができる。
【0215】
別の例では、本明細書に記載のポリリボヌクレオチド(例えば、circRNA及びlinRNAを含むポリリボヌクレオチドの混合集団又はcircRNAの濃縮集団)を、変性カオトロピック剤条件、例えば、少なくとも1%(v/v)(例えば、少なくとも1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%、若しくはそれ以上)の濃度の尿素、加えて、1種若しくは複数種の変性有機溶媒条件、例えば、少なくとも0.1%(v/v)(例えば、少なくとも0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、90%、若しくはそれ以上)の濃度のアセトニトリル及びジメチルスルホキシドに曝露することができる。
【0216】
別の例では、本明細書に記載のポリリボヌクレオチド(例えば、circRNA及びlinRNAを含むポリリボヌクレオチドの混合集団又はcircRNAの濃縮集団)を、変性カオトロピック剤条件、例えば、少なくとも1%(v/v)(例えば、少なくとも1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%、若しくはそれ以上)の濃度の尿素、加えて、1種若しくは複数種の変性有機溶媒条件、例えば、少なくとも0.1%(v/v)(例えば、少なくとも0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、90%、若しくはそれ以上)の濃度のアセトニトリル及びジメチルスルホキシド、さらに加えて、少なくとも50℃の温度などの変性温度、例えば、50℃~85℃(例えば、50℃、51℃、52℃、53℃、54℃、55℃、56℃、57℃、58℃、59℃、60℃、61℃、62℃、63℃、64℃、65℃、66℃、67℃、68℃、69℃、70℃、71℃、72℃、73℃、74℃、75℃、76℃、77℃、78℃、79℃、80℃、81℃、82℃、83℃、84℃、又は85℃)の温度に曝露してもよい。
【0217】
別の例では、本明細書に記載のポリリボヌクレオチド(例えば、circRNA及びlinRNAを含むポリリボヌクレオチドの混合集団又はcircRNAの濃縮集団)を、変性カオトロピック剤条件、例えば、少なくとも1%(v/v)(例えば、少なくとも1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%、若しくはそれ以上)の濃度の尿素、加えて、少なくとも50℃の温度などの変性温度、例えば、50℃~85℃(例えば、50℃、51℃、52℃、53℃、54℃、55℃、56℃、57℃、58℃、59℃、60℃、61℃、62℃、63℃、64℃、65℃、66℃、67℃、68℃、69℃、70℃、71℃、72℃、73℃、74℃、75℃、76℃、77℃、78℃、79℃、80℃、81℃、82℃、83℃、84℃、又は85℃)の温度に曝露することができる。別の例では、本明細書に記載のポリリボヌクレオチド(例えば、circRNA及びlinRNAを含むポリリボヌクレオチドの混合集団又はcircRNAの濃縮集団)を、変性カオトロピック剤条件、例えば、少なくとも1%(v/v)(例えば、少なくとも1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%、若しくはそれ以上)の濃度の尿素、加えて、変性pH条件(例えば、5超且つ9未満のpH、例えば、以下:5.01、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8.0、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8、8.9、又は8.99のpH)に曝露することができる。
【0218】
別の例では、本明細書に記載のポリリボヌクレオチド(例えば、circRNA及びlinRNAを含むポリリボヌクレオチドの混合集団又はcircRNAの濃縮集団)を、変性有機溶媒条件、例えば、少なくとも0.1%(v/v)(例えば、少なくとも0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、90%、若しくはそれ以上)の濃度のアセトニトリル及びジメチルスルホキシド、加えて、少なくとも50℃の温度などの変性温度、例えば、50℃~85℃(例えば、50℃、51℃、52℃、53℃、54℃、55℃、56℃、57℃、58℃、59℃、60℃、61℃、62℃、63℃、64℃、65℃、66℃、67℃、68℃、69℃、70℃、71℃、72℃、73℃、74℃、75℃、76℃、77℃、78℃、79℃、80℃、81℃、82℃、83℃、84℃、又は85℃)の温度に曝露することができる。
【0219】
別の例では、本明細書に記載のポリリボヌクレオチド(例えば、circRNA及びlinRNAを含むポリリボヌクレオチドの混合集団又はcircRNAの濃縮集団)を、1種若しくは複数種の変性有機溶媒条件、例えば、少なくとも0.1%(v/v)(例えば、少なくとも0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、90%、若しくはそれ以上)の濃度のアセトニトリル及びジメチルスルホキシド、加えて、変性pH条件(例えば、5超且つ9未満のpH、例えば、以下:5.01、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8.0、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8、8.9、又は8.99のpH)に曝露することができる。
【0220】
別の例では、本明細書に記載のポリリボヌクレオチド(例えば、circRNA及びlinRNAを含むポリリボヌクレオチドの混合集団又はcircRNAの濃縮集団)を、変性塩条件、例えば、100mM~1M(例えば、150~950mM、200~900mM、250~850mM、300~800mM、350~750mM、400~700mM、450~650mM、500~600mM、若しくは525~575mM)のNaCl、KCl、MgCl、CaCl、CsSO、NaSO、LiCl、又はLiBr、加えて、変性pH条件(例えば、5超且つ9未満のpH、例えば、以下:5.01、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8.0、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8、8.9、又は8.99のpH)に曝露してもよい。
【0221】
精製方法
本明細書には、変性条件下で、circRNA及びlinRNAの混合集団を含むサンプルからcircRNAを精製するために使用され得る様々な方法が開示される。いくつかの実施形態では、精製方法は、カラムクロマトグラフィー精製方法である。カラムクロマトグラフィー法は概して、溶解した目的の物質を含む溶液(一般に移動相と呼ばれる)を、多孔性顆粒から構成される固定相をロードしたクロマトグラフィーカラムを介して流すプロセスを使用する。ロードされる溶液はカラムを通過し、分析物の物理化学的特性によって決定される固定相との相互作用に基づいて物質が分離される。精製方法には、例えば、高速タンパク質液体クロマトグラフィー(FPLC;例えば逆相(RP)-FPLC)、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)、陰イオン交換クロマトグラフィー(AEC)、ミックスモードクロマトグラフィー(MMC)、又はアフィニティークロマトグラフィーなどのカラムクロマトグラフィーを含む。これらの方法については、以下にさらに詳しく説明する。
【0222】
高速液体クロマトグラフィー
本明細書に記載の方法は、circRNA及びlinRNAの1つ若しくは複数の異なる集団、又は他の物質を含む混合ポリリボヌクレオチドを含むサンプルからcircRNAを精製及び濃縮するためのFPLC法の使用を含む。
【0223】
FPLCは、物質の複雑な混合物を分離するための確立された方法であり、生化学、分析化学、及び臨床化学に関する用途に一般に使用されている。FPLC法は、概して、2種類のFPLC法、即ち、逆相(RP)-FPLCと順相(NP)-FPLCがある。RP-FPLCが非極性(即ち、疎水性)固定相と極性又は中極性移動相を用いるのに対し、NP-FPLCは極性(親水性)固定相及び非極性移動相を用いる点で、RP-FPLCは、NP-FPLCと異なる。FPLCが、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)と異なるのは、主に、HPLCと比べて低い操作圧力(例えば、<5バール)及び高い流量(ベンチトップ型システムでは1~5mL/分;工業規模の精製ではリットル/分)を使用するところである。一般に、FPLCカラムは、最大圧力3~4MPa(435~580psi)までしか使用できない。RP-FPLCは一般に、少なくとも、移動相を含む溶離液リザーバを備えるポンプ、サンプルインプットシステムと、疎水性固定相(中でも、例えば、樹脂、ビーズ、フィルム)を含む分離カラムと、検出器と、を含む装置で実施される。RP-FPLC装置の追加要素には、分離プロセス中に収集された個々の画分を収集するための画分コレクターが含まれ得る。RP-FPLCの根底にある中核原理は、非極性分析物、非極性固定分析物、並びにより極性の分析物についての保持時間及び溶離時間の短縮の間の相互作用である。これは、極性溶媒に対する分析物の疎水性セグメントの曝露が減少すると、規則正しい分析物-極性溶媒界面の最小化に伴って自由エネルギーが減少するためである。したがって、分析物の疎水性指標は、クロマトグラフィーカラムからの溶離時間に大まかに比例する。移動相の極性を低下させることにより、非極性分析物の結合が低減し、これによってクロマトグラフィーカラムからの分析物の溶離が起こる。分析物の保持時間に影響を与えるその他の要因には、移動相中の無機塩の存在があり、それらが及ぼす移動相への影響(即ち、表面張力の増加)によって分析物の保持時間が長くなる。また、分析物の疎水性を改変することによって、移動相のpHにより保持時間は影響され得る。一般に、移動相バッファーは、分析物に残留する全ての電荷を中和して、分析物と固定相との疎水性相互作用を促進する目的でpHを調節するために使用される。同様に、イオン相互作用によって分析物の電荷を中和するイオンペアリング剤を使用することにより、荷電した分析物の極性を低下させることができる。
【0224】
本明細書に開示される方法は、circRNAとlinRNAの間の機能的疎水性の違いを利用することにより、circRNAとlinRNAを含む混合ポリリボヌクレオチドの集団からcircRNAの集団を分離することを可能にする;即ち、circRNAは、linRNAと比較してより高い疎水性を示すことから、circRNAの固定相への吸着が強くなり、その結果、溶出時間がより長くなる。RP-FPLCで逆相として使用するのに適した材料としては、限定されないが、多孔性ポリスチレンポリマー、(非アルキル化)(多孔性)ポリスチレンジビニルベンゼンポリマー、多孔性シリカゲル、非極性残基で修飾された多孔性シリカゲル、特にアルキル含有残基、より好ましくは、ブチル、オクチル又はオクタデシル含有残基で修飾された多孔性シリカゲル、フェニル残基で修飾された多孔性シリカゲル、多孔性ポリメタクリレートが挙げられ、この場合、特に、多孔性ポリスチレンポリマー又は非アルキル化(多孔性)ポリスチレンジビニルベンゼンを使用することができる。ポリスチレンジビニルベンゼンを用いた固定相は、それ自体公知である。商業的に入手可能なFPLC法に既に使用されているそれ自体公知のポリスチレンジビニルベンゼンを、本発明による方法に使用することができる。本発明による方法に、とりわけ極めて好ましい非アルキル化多孔性ポリスチレンジビニルベンゼンは、限定されないが、8.0±1.5μm、特に8.0±0.5μmの粒子サイズ、及び1000~1500A、特に1000~1200A又は3500~4500Aの孔径を有し得るものである。
【0225】
疎水性相互作用クロマトグラフィー
HICは、HIC移動相と目的の標的分子(例えば、circRNA)の疎水性部位との相互作用を利用する精製法である。HICは、標的分子が溶出段階で溶出されるまで固定相に結合する結合・溶離モード、又は不純物若しくは副産物が固定相に結合する間に目的の分子が移動相を介して流れるフロースルーモードで実施することができる。いくつかの実施形態では、HICは、結合・溶離モードとフロースルーモードの組み合わせを使用することができる。
【0226】
HICは、1つ又は複数の疎水性リガンドを用いることができる。HIC疎水性リガンドの非限定的な例としては、アルキルリガンド、アリールリガンド、及びそれらの組み合わせが挙げられる。例えば、HIC固定相は、ブチル、ヘキシル、フェニル、オクチル、又はポリプロピレングリコールリガンドからなる群から選択され得る。いくつかの実施形態では、HICカラムは、以下:CaptoPhenyl、低置換度又は高置換度のPhenyl Sepharose(商標)6 Fast Flow、Phenyl Sepharose(商標)High Performance、Octyl Sepharose(商標)High Performance、Fractogel(商標)EMD Propyl、Fractogel(商標)EMD Phenyl、Macro-Prep(商標)Methyl、Macro-Prep(商標)t-Butyl、WP HII-Propyl(C3)(商標)、CIMmultus C4 HLD、CIMmultus(登録商標)OH、Toyopearl(商標)エーテル、Toyopearl(商標)フェニル、Toyopearl(商標)ブチル、ToyoScreen PPG、ToyoScreen Phenyl、ToyoScreen Butyl、ToyoScreen Hexyl、HiScreen Butyl FF、HiScreen Octyl FF、及びTosoh Hexylからなる群から選択される。
【0227】
本明細書に開示された方法によれば、HICには、塩を含むロードバッファー又は洗浄バッファーを使用することができる。HICに適した塩の非限定的な例としては、硫酸アンモニウム、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化アンモニウム、臭化ナトリウム、又はそれらの組み合わせが挙げられる。いくつかの実施形態では、ロードバッファー及び洗浄バッファーとしては、硫酸塩、クエン酸塩、又はそれらの組み合わせが挙げられる。様々な実施形態では、ロードバッファー又は洗浄バッファーは、Ba2+、Ca2+、Mg2+、Li、Cs、Na、K、Rb、若しくはNH などの陽イオン、又はPO 3-、SO 2-、CHCO 、Cl、Br、NO 、ClO 、I、若しくはSCNなどの陰イオン、又はそれらの組み合わせを含む。疎水性相互作用は、塩濃度が高いほど強くなる。HICカラムに対する目的のcircRNAの集団の吸着は、高い塩濃度によって促進されるが、実際の濃度は、目的のcircRNAの性質、塩の種類、及び選択された特定のHICリガンドによって広範に変化し得る。いくつかの実施形態では、塩濃度は、一部には塩の種類及びHIC吸着剤に応じて、例えば、約50mM~約5000mM、約100mM~約4000mM、約1000mM~約4000mM、約50mM~約2000mMの範囲である。一実施形態では、塩濃度は、約50mM、約55mM、約60mM、約65mM、約70mM、約75mM、約80mM、約85mM、約90mM、約100mM、約200mM、約300mM、約400mM、約500mM、約600mM、約700mM、約800mM、約900mM、約1000mM、約1200mM、約1400mM、約1600mM、約1800mM又は約2000mMである。いくつかの実施形態では、ロードバッファー及び洗浄バッファーは、約4.0~8.5、又は約5.0~7.0のpHを有する。特定の実施形態では、ロードバッファー及び洗浄バッファーは、約4.0、約4.5、約5.0、約5.5、約6、約6.5、約7.0、約7.5、約8.0、又は約8.5のpHを有する。いくつかの実施形態では、ロードバッファー及び洗浄バッファーは、同じであるか、又は実質的に同じである。
【0228】
HIC分離を行う例示的な方法では、サンプル(例えば、circRNA及びlinRNAなどのポリリボヌクレオチドの混合集団を含むサンプル)を、例えば、バッチ精製技術を用いて、或いはカラム若しくはメンブレンクロマトグラフィー又はモノリス材料(HIC媒体又は樹脂と呼ばれる)を用いて、HIC媒体と接触させる。例えば、クロマトグラフィー分離に関して、一般に円筒形をしたクロマトグラフィー装置を使用して、適切な緩衝液で調製されたクロマトグラフィー支持媒体(例えば、HIC媒体)を収容する。クロマトグラフィー材料をクロマトグラフィー装置に添加したら、目的のcircRNA又は不純物若しくは副産物の実質的部分をHIC媒体に結合させることができるように、ローディングバッファーの存在下で、目的のcircRNAの集団を含むサンプルをクロマトグラフィー材料に接触させる。サンプル中の目的のcircRNAの集団は、HIC媒体に結合するのに対して、例えば、linRNAのような不純物又は副産物は通過して流れ、不純物又は副産物を含むフロースルー画分を形成する。結合したcircRNAは、溶離段階で溶離され、それにより、circRNAの濃縮集団を形成する。いくつかの実施形態では、HIC媒体に結合するcircRNAの集団は、サンプル中のポリリボヌクレオチド総量の少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%又は少なくとも約98%である。
【0229】
陰イオン交換クロマトグラフィー
AECは、目的の核酸(例えば、circRNA)の局所電荷とクロマトグラフィー材料の局所電荷との間の差異に基づいて分子を分離する。充填されたAECカラム又はメンブレンデバイスは、結合・溶離モード、フロースルー、又はハイブリッドモードで操作することができる。カラム又はメンブレンデバイスを平衡化バッファー、又はpH若しくは導電率が異なる別のバッファーで洗浄した後、溶出バッファーのイオン強度(即ち導電率)を高めて、AECマトリックスの荷電部位について溶質と競合させることにより、生成物の回収を達成する。pHを変化させ、それによって溶質の電荷を変化させることは、溶質の溶離を達成するもう一つの方法である。導電率又はpHの変化は、漸進的(グラジエント溶離)又は段階的(ステップ溶離)である。
【0230】
クロマトグラフィー用のアニオン又はカチオン支持体を形成するために、アニオン又はカチオン置換基をマトリックスに結合させることができる。アニオン交換置換基の非限定的な例としては、ジエチルアミノエチル(DEAE)、第4級アミノエチル(QAE)及び第4級アミン(Q)基が挙げられる。カチオン性置換基としては、カルボキシメチル(CM)、スルホエチル(SE)、スルホプロピル(SP)、リン酸塩(P)及びスルホン酸塩(S)が挙げられる。DE23(商標)、DE32(商標)、DE52(商標)、CM-23(商標)、CM-32(商標)及びCM-52(商標)のようなセルロースイオン交換媒体は、Whatman Ltd.,Maidstone,Kent,U.K.から入手可能である。SEPHADEX(登録商標)ベース及び架橋イオン交換体も知られている。例えば、DEAE-、QAE-、CM-、及びSP-SEPHADEX(登録商標)、並びにDEAE-、Q-、CM-、及びS-SEPHAROSE(登録商標)、並びにSEPHAROSE(登録商標)Fast Flow、並びにCapto(商標)Sは全て、GE Healthcareから入手可能である。さらに、TOYOPEARL(商標)DEAE-650S又はM及びTOYOPEARL(商標)CM-650S又はMなどのDEAE及びCM誘導体化エチレングリコール-メタクリレートコポリマはいずれも、Toso Haas Co.,Philadelphia,Pa.,から入手可能であり、CIMmultus(登録商標)QA、CIMmultus(登録商標)DEAE、CIMmultus(登録商標)EV、CIMmultus(登録商標)EDA、及びCIMmultus(登録商標)SO3は、Sartoriusから、或いはNuvia S及びUNOSphere(商標)Sは、BioRad,Hercules,Calif.から、またEshmuno(登録商標)Sは、EMD Millipore,Billerica,Calif.から入手可能である。
【0231】
混合モードクロマトグラフィー
MMCは、混合モード媒体、例えば、限定されないが、GE Healthcareから入手可能なCaptoAdhere、Sartoriusから入手可能なCIMmultus(登録商標)PrimaS、及びCIMmultus(登録商標)H-Bondなどを使用するクロマトグラフィーである。このような媒体は、MMCリガンドを含む。いくつかの実施形態では、このようなリガンドは、結合しようとする物質と相互作用する少なくとも2つの、異なるが、協同的な部位を提供することができるリガンドを指す。これらの部位の1つは、リガンドと目的の核酸との間に魅力的なタイプの電荷-電荷相互作用を付与する。もう一方の部位は、通常、電子受容体-供与体相互作用、又は疎水性若しくは親水性相互作用を付与する。電子供与体-受容体相互作用としては、とりわけ、水素結合、π-π、カチオン-π、電荷移動、双極子-双極子、誘導双極子などの相互作用が挙げられる。混合モードの機能性は、従来のアニオン交換体と比較して異なる選択性を付与することができる。MMCリガンドは、「マルチモーダル」クロマトグラフィーリガンドとしても知られている。
【0232】
本開示によれば、MMC媒体は、ベースマトリックスと呼ばれることもある有機又は無機支持体に、直接又はスペーサーを介して結合した混合モードリガンドを含んでもよい。支持体は、特に、本質的に球状の粒子、モノリス、フィルター、膜、表面、毛細管などの粒子の形態であってもよい。特定の実施形態では、支持体は、中でも、例えば、アガロース、寒天、セルロース、デキストラン、キトサン、コンニャク、カラギーナン、ゲラン、アルギン酸塩などの架橋炭水化物材料などのネイティブポリマーから調製される。高い吸着能を得るためには、支持体を多孔質にすることができ、次にリガンドを外部表面だけでなく細孔表面にも結合させる。このようなネイティブポリマー支持体は、逆懸濁ゲル化法(S Hjerten:BIOCHIM BIOPHYS ACTA 79(2),393-98(1964)などの標準的な方法に従って調製することができる。或いは、支持体は、合成ポリマー、中でも、例えば、架橋合成ポリマー、例えば、スチレン又はスチレン誘導体、ジビニルベンゼン、アクリルアミド、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ビニルエステル、ビニルアミドなどから調製することができる。このような合成ポリマーは、標準的な方法に従って製造することができ、例えば、“Styrene based polymer supports developed by suspension polymerization”(R Arshady:Chimica e L’Industria 70(9),70-75(1988))を参照されたい。多孔性のネイティブ又は合成ポリマー支持体は、Amersham Bioscience,Uppsala,Swedenなどの市販品供給者からも入手可能である。
【0233】
純度の評価
circRNAの濃縮集団の純度の評価は、当技術分野で周知の方法によって実施することができる。一実施形態では、circRNAは、質量ベースで少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の純度を有する。純度は、例えば、質量分析、HPLC、チップベースの電気泳動、顕微鏡、円偏光二色性(CD)分光法、分光光度法、フルオロメトリー(例えば、Qubit)、ポリアクリルアミドゲル電気泳動イメージング、UV-Vis分光光度法、RNA電気泳動、RNAse H分析、又はそれらの任意の組み合わせによって測定することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の調製物中のポリリボヌクレオチドの総質量の少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%が、circRNA分子に含まれる。
【0234】
いくつかの実施形態では、circRNA調製物は、質量分析法、HPLC、チップベースの電気泳動、顕微鏡法、CD分光法、分光光度法、フルオロメトリー(例えば、Qubit)、ポリアクリルアミドゲル電気泳動イメージング、UV-Vis分光光度法、RNA電気泳動、又はRNAse H分析によって測定された場合、閾値量(例えば、閾値量は、circRNA調製物の参照基準、例えば、医薬品放出規格である)未満のlinRNA分子を含む。いくつかの実施形態では、circRNA調製物は、検出不可能なレベルのlinRNA分子を含む。
【0235】
一実施形態では、circRNA(例えば、circRNA医薬調製物若しくは組成物又はcircRNA生産工程の中間体)は、1ng/mL、5ng/mL、10ng/mL、15ng/mL、20ng/mL、25ng/mL、30ng/mL、35ng/mL、40ng/mL、50ng/mL、60ng/mL、70ng/mL、80ng/mL、90ng/mL、100ng/mL、200ng/mL、300ng/mL、400ng/mL、500ng/mL、1000μg/mL、5000μg/mL、10,000μg/mL、又は100,000μg/mL未満のモノヌクレオチド含量を有する。
【0236】
一実施形態では、circRNAは、質量ベースで、総ヌクレオチドの0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%未満、又はそれらの間の任意のパーセンテージのモノヌクレオチド含量を有し、総ヌクレオチド含量は、デオキシリボヌクレオチド分子及びリボヌクレオチド分子の総質量である。
【0237】
一実施形態では、circRNA(例えば、circRNA医薬調製物若しくは組成物又はcircRNA生産工程の中間体)は、1ng/mL、5ng/mL、10ng/mL、15ng/mL、20ng/mL、25ng/mL、30ng/mL、35ng/mL、40ng/mL、50ng/mL、6 0ng/mL、70ng/mL、80ng/mL、90ng/mL、100ng/mL、200ng/mL、300ng/mL、400ng/mL、500ng/mL、600ng/mL、1mg/mL、1.5mg/mL、又は2mg/mL未満のlinRNA含有量、例えば、linRNA対応物又はRNA断片を有する。
【0238】
一実施形態では、circRNA(例えば、circRNA医薬調製物若しくは組成物又はcircRNA生産工程の中間体)は、0.1%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、又は50%未満のlinRNAを有する。
【0239】
一実施形態では、circRNA(例えば、circRNA医薬調製物若しくは組成物又はcircRNA生産工程の中間体)は、1ng/mL、5ng/mL、10ng/mL、15ng/mL、20ng/mL、25ng/mL、30ng/mL、35ng/mL、40ng/mL、50ng/mL、60ng/mL、70ng/mL、80ng/mL、90ng/mL、100ng/mL、200ng/mL、300ng/mL、400ng/mL、500ng/mL、1000μg/mL、5000μg/mL、10,000μg/mL、又は100,000μg/mL未満のDNA含量、例えば、鋳型DNA、例えば、細胞DNA(例えば、宿主細胞DNA)を有する。
【0240】
一実施形態では、circRNA(例えば、circRNA医薬調製物若しくは組成物又はcircRNA生産工程の中間体)は、質量ベースで、総ヌクレオチドの0.1%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%未満のDNA含有量を有し、総ヌクレオチド分子は、デオキシリボヌクレオチド含量及びリボヌクレオチド分子の総質量である。
【0241】
一実施形態では、circRNA(例えば、circRNA医薬調製物若しくは組成物又はcircRNA生産工程の中間体)は、0.1ng/mL、1ng/mL、5ng/mL、10ng/mL、15ng/mL、20ng/mL、25ng/mL、30ng/mL、35ng/mL、40ng/mL、50ng/mL、60ng/mL、70ng/mL、80ng/mL、90ng/mL、100ng/mL、200ng/mL、300ng/mL、400ng/mL、又は500ng/mL未満のタンパク質(例えば、細胞タンパク質(CP)、例えば、酵素)混入を有する。
【0242】
一実施形態では、circRNA(例えば、circRNA医薬調製物若しくは組成物又はcircRNA生産工程の中間体)は、circRNAのミリグラム(mg)当たり0.1ng、1ng、5ng、10ng、15ng、20ng、25ng、30ng、35ng、40ng、50ng、60ng、70ng、80ng、90ng、100ng、200ng、300ng、400ng、又は500ng未満のタンパク質(例えば、CP、例えば、酵素)混入を有する。
【0243】
一実施形態では、circRNA(例えば、circRNA医薬調製物若しくは組成物又はcircRNA生産工程の中間体)は、少なくとも0.1ng/mL、0.5ng/mL、1ng/mL、5ng/mL、10ng/mL、50ng/mL、0.1μg/mL、0.5μg/mL、1μg/mL、2μg/mL、5μg/mL、10μg/mL、20μg/mL、30μg/mL、40μg/mL、50μg/mL、60μg/mL、70μg/mL、80μg/mL、100μg/mL、200μg/mL、300μg/mL、500μg/mL、1000μg/mL、5000μg/mL、10,000μg/mL、又は100,000μg/mLのcircRNA濃度を有する。
【0244】
いくつかの実施形態では、circRNAは、クロマトグラフィー、例えば、液体クロマトグラフィー、例えば、FPLC(例えば、順相若しくは逆相FPLC)、HPLC、HIC、AEC、MMC、又はアフィニティークロマトグラフィーにより精製する。
【0245】
分取方法
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の任意の条件を、circRNA及びlinRNAを含むポリリボヌクレオチドの混合集団又はcircRNAの濃縮集団からのcircRNAの分取方法として使用することができる。
【0246】
いくつかの実施形態では、少なくとも0.5mg(例えば、少なくとも0.6、0.8、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000mg、又はそれ以上)の量のcircRNAを生産する分取方法。本発明の方法は、高度にスケーラブルであるという点で有利である。
【0247】
分析方法
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の任意の条件は、circRNA及びlinRNAを含むポリリボヌクレオチドの混合集団又はcircRNAの濃縮集団からcircRNAの純度を決定するための分析方法として使用することができる。本発明は、本明細書に記載の1つ又は複数の変性条件を使用して、濃縮されたcircRNAのバッチの純度を反復して決定するための方法を含む。
【0248】
いくつかの実施形態では、本分析方法は、クロマトグラフィー、例えば、液体クロマトグラフィー、例えば、FPLC(例えば、順相若しくは逆相FPLC)、HPLC、HIC、AEC、MMC、又はアフィニティークロマトグラフィーを使用して、circRNAの純度を決定する。
【0249】
いくつかの実施形態では、本分析方法は、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、又は0.1%未満の相対標準偏差(RSD)を有する。いくつかの実施形態では、RSDは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20のcircRNAサンプルに基づいて計算される。
【0250】
いくつかの実施形態では、分析方法は、移動相の使用を含む。いくつかの実施形態では、移動相は、尿素、ビス-トリスプロパン(BTP)、アセトニトリル、NaCl、水、塩酸(HCl)、又はDMSOを含む。
【0251】
いくつかの実施形態では、変性条件は、移動相に見出される。
【0252】
いくつかの実施形態では、クロマトグラフィーカラムは、変性を提供するために加熱される。いくつかの実施形態では、circRNAサンプルは、カラムへの導入の前に、変性のために加熱する。
【0253】
いくつかの実施形態では、上述したような変性剤の組み合わせ、例えば、尿素とアセトニトリルの組み合わせを用いて、circRNAサンプルを変性させる。
【0254】
いくつかの実施形態では、分析方法は、不純物又は副産物レベルを決定するステップを含む。
【0255】
いくつかの実施形態では、分析方法は、少なくとも0.5mg(例えば、少なくとも0.6、0.8、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000mg、又はそれ以上)の量のcircRNAの純度を定量することを含む。
【0256】
不純物及び副産物
本開示の方法は、circRNAの集団を含み、且つ例えば、本開示の方法による精製前のサンプル中の不純物若しくは副産物のレベルと比較して、又は100%(w/w)のcircRNAを含む別のサンプル中の不純物若しくは副産物のレベルと比較して低下したレベルの不純物若しくは副産物を有する調製物を生成するのに適している。いくつかの実施形態では、本発明の方法は、目的のcircRNAの集団を有し、且つ総不純物又は副産物のレベルが低下した組成物を生成する。いくつかの実施形態では、総不純物又は副産物のレベルが低下した調製物は、不純物若しくは副産物を含まないか、又は実質的に含まない。例えば、低不純物又は副産物組成物は、約10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1.5%、1.4%、1.3%、1.2%、1.1%、1%、0.5%、若しくはそれ以下の総不純物又は副産物を含有し得る。いくつかの実施形態では、低不純物又は副産物組成物は、約5%、4%、3%、2.5%、2.4%、2.3%、2.2%、2.1%、2%、1.5%、1.4%、1.3%、1.2%、1.1%、1%、0.5%、0.1%、若しくはそれ以下の総不純物又は副産物を含む。
【0257】
いくつかの実施形態では、不純物又は副産物は、プロセス関連の不純物又は副産物である。本明細書で使用される場合、「プロセス関連不純物又は副産物」という用語は、目的のcircRNAの集団を含む組成物中に存在するが、circRNA自体に由来するものではない不純物又は副産物を指す。プロセス関連の不純物又は副産物としては、限定されないが、宿主細胞タンパク質(HCP)、宿主細胞核酸、クロマトグラフィー材料、及び媒体成分が挙げられる。例えば、プロセス関連不純物又は副産物は、ポリアクリルアミド、ホウ酸、マグネシウム、EDTAを含み得る。本明細書で使用される「低不純物組成物」は、不純物又は副産物が低減されていない組成物と比較して、低レベルのプロセス関連不純物又は副産物を含む組成物を指す。例えば、低プロセス関連不純物組成物は、約10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、又はそれ以下のプロセス関連不純物若しくは副産物を含み得る。一実施形態では、低プロセス関連不純物組成物は、プロセス関連不純物若しくは副産物を含まないか、又はプロセス関連不純物若しくは副産物を実質的に含まない。
【0258】
いくつかの実施形態では、circRNA(例えば、circRNA医薬調製物若しくは組成物又はcircRNA生産工程の中間体)は、不純物又は副産物を実質的に含まない。様々な実施形態では、circRNAを含む組成物中の少なくとも1つの不純物又は副産物のレベルは、不純物若しくは副産物を除去する精製又は処理前の組成物の少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、若しくは少なくとも95%低減される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのプロセス関連不純物又は副産物のレベルは、不純物若しくは副産物を除去する精製又は処理前の組成物の少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、若しくは少なくとも95%低減される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの産物関連物質のレベルは、不純物若しくは副産物を除去する精製又は処理の前の組成物の少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%低減される。
【0259】
サンプル中に存在する不純物又は副産物の定量には、当技術分野で公知の方法を用いることができる。例えば、紫外線(UV)、近赤外分光法(NIR)、フーリエ変換赤外分光法(FTIR)、蛍光分光法、又はラマン分光法などの分光法を使用して、オンライン、アットライン、若しくはインラインモードで不純物又は副産物のレベルを監視することができる。いくつかの実施形態では、オンライン、アットライン、又はインラインモニタリング法は、所望のcircRNA品質/回収率の達成を可能にするために、クロマトグラフィーステップの洗浄ライン又は回収容器内のいずれかで使用することができる。いくつかの実施形態では、適切な産物品質/回収を達成するための代替物として、UVシグナルを使用することができ、UVシグナルは、通常のプロセス変動性が処理され、且つ、目標産物品質が達成され得るように、適切に処理することができ、そうしたものとして限定されないが、積分、微分、移動平均などのプロセス技術が挙げられる。いくつかの実施形態では、このような測定は、ロード/洗浄物のイオン濃度/導電率をフィードバックによって制御できるように、インライン希釈法と組み合わせることができ、それによって産物の品質管理を促進する。
【0260】
環状ポリリボヌクレオチドの生産
本開示は、例えば、組換え技術又は化学合成など、環状RNAを生産する方法を提供する。例えば、RNA環を生産するために使用されるDNA分子は、天然に存在する本来の核酸配列のDNA配列、その修飾形態、又は通常自然界に存在しない合成ポリペプチド(例えば、キメラ分子又は融合タンパク質)をコードするDNA配列を含み得る。DNA及びRNA分子は、限定されないが、以下を含む様々な技術を用いて修飾することができる:古典的な突然変異誘発技術及び組換え技術、例えば、部位特異的突然変異誘発、突然変異を誘発するための核酸分子の化学処理、核酸断片の制限酵素切断、核酸断片のライゲーション、核酸配列の選択領域のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅又は突然変異誘発、オリゴヌクレオチド混合物の合成、並びに核酸分子の混合物を「構築」するための混合物群のライゲーション並びにそれらの組み合わせ。
【0261】
circRNAは、限定されないが、化学合成及び酵素合成をはじめとする利用可能な技術に従って調製することができる。一部の実施形態では、線状一次構築物又は線状RNAを環化又は連結して、本明細書に記載のcircRNAを作出することができる。環化又は連結の機構は、例えば、化学的、酵素的、スプリントライゲーション、又はリボザイム触媒法などの方法によって起こり得る。新たに形成される5’-3’結合は、分子内結合又は分子間結合のいずれであってもよい。例えば、スプリントライゲーションの場合、SplintR(登録商標)リガーゼなどのスプリントリガーゼを用いることができる。この方法によれば、一本鎖DNA又はRNAなどの一本鎖ポリヌクレオチド(スプリント)を、linRNAの両末端とハイブリダイズするように設計し、それにより、一本鎖スプリントとのハイブリダイゼーションの際に2つの末端を並置させることができる。したがって、スプリントリガーゼは、並置されたlinRNAの2つの末端のライゲーションを触媒し、circRNAを生成することができる。いくつかの実施形態では、DNA又はRNAリガーゼを環状ポリヌクレオチドの合成に使用してもよい。非限定的な例として、リガーゼは、circリガーゼ又は環状リガーゼあり得る。
【0262】
別の例では、linRNAの5’末端又は3’末端のいずれかが、リガーゼリボザイム配列をコードすることができ、それにより、インビトロ転写の間に、得られる線状circRNAは、linRNAの5’末端をlinRNAの3’末端に連結することができる活性リボザイム配列を含む。リガーゼリボザイムは、グループIイントロン、肝炎デルタウイルス、ヘアピンリボザイムに由来するものであってもよいし、又はSELEX(指数関数的濃縮によるリガンドの系統的進化)によって選択されたものであってもよい。
【0263】
別の例では、linRNAは、少なくとも1つの非核酸部分を用いることにより、環化又は連結することができる。例えば、少なくとも1つの非核酸部分は、linRNAを環化又は連結するために、linRNAの5’末端付近又は3’末端付近の領域若しくは特徴と反応することができる。別の例では、少なくとも1つの非核酸部分は、linRNAの5’末若しくは3’末端に位置してもよいし、或いはそれに連結されるか、又はその近傍で連結されてもよい。非核酸部分は、相同又は異種のいずれであってもよい。非限定的な例として、非核酸部分は、疎水性連結、イオン性連結、生分解性連結又は切断性連結などの連結であってもよい。別の非限定的な例として、非核酸部分は、連結部分である。さらに別の非限定的な例として、非核酸部分は、オリゴヌクレオチド又はペプチド部分、例えば、本明細書に記載のアプタマー又は非核酸リンカーであってもよい。
【0264】
別の例では、linRNAは、セルフスプライシングによって環化又は連結してもよい。いくつかの実施形態では、linRNAは、セルフライゲーションするためのループE配列を含み得る。別の実施形態では、linRNAは、自己環状化イントロン、例えば、5’及び3’スライスジャンクション、又はグループI、グループII若しくはグループIIIイントロンのような自己環状化触媒イントロンを含んでもよい。グループIイントロン自己スプライシング配列の非限定的な例としては、T4バクテリオファージ遺伝子td、及びテトラヒメナ属(Tetrahymena)の介在配列(IVS)rRNA、シアノバクテリアアナベナ属(Anabaena)プレ-tRNA-Leu遺伝子、又はテトラヒメナ属(Tetrahymena)プレ-rRNA由来の自己スプライシング置換イントロン-エキソン配列が挙げられる。
【0265】
いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、触媒イントロン断片、例えば、グループI触媒イントロン断片の3’半分及びグループI触媒イントロン断片の5’半分などを含み得る。第1及び第2アニーリング領域は、触媒イントロン断片内に配置され得る。グループI触媒イントロンは、mRNA、tRNA、rRNA前駆体から、2-金属イオンリン酸基転移機構を介してそれらの自己切断を触媒する自己スプライシングリボザイムである。重要なことは、リガーゼのような外来性酵素を必要とせずに、RNA自体が、イントロン除去を自己触媒することである。
【0266】
いくつかの実施形態では、グループI触媒イントロン断片の3’半分及びグループI触媒イントロン断片の5’半分は、シアノバクテリアアナベナ属(Anabaena)プレ-tRNA-Leu遺伝子、又はテトラヒメナ属(Tetrahymena)プレ-rRNA由来である。
【0267】
いくつかの実施形態では、グループI触媒イントロン断片の3’半分及びグループI触媒イントロン断片の5’半分は、シアノバクテリアアナベナ属(Anabaena)プレ-tRNA-Leu遺伝子由来であり、3’エキソン断片は、第1のアニーリング領域を含み、5’エキソン断片は、第2のアニーリング領域を含む。第1のアニーリング領域は、例えば、5~50、例えば、10~15(例えば、10、11、12、13、14、又は15)のリボヌクレオチドを含み、第2のアニーリング領域は、例えば、5~50、例えば、10~15(例えば、10、11、12、13、14、又は15)のリボヌクレオチドを含み得る。
【0268】
いくつかの実施形態では、グループI触媒イントロン断片の3’半分及びグループI触媒イントロン断片の5’半分は、テトラヒメナ属(Tetrahymena)プレ-RNA由来であり、グループI触媒イントロン断片の3’半分は、第1のアニーリング領域を含み、5’エキソン断片は、第2のアニーリング領域を含む。いくつかの実施形態では、3’エキソンは、第1のアニーリング領域を含み、グループI触媒イントロン断片の5’半分は第2のアニーリング領域を含む。第1のアニーリング領域は、例えば、6~50、例えば、10~16(例えば、10、11、12、13、14、15、又は16)のリボヌクレオチドを含み、また、第2のアニーリング領域は、例えば、6~50、例えば、10~16(例えば、10、11、12、13、14、15、又は16)のリボヌクレオチドを含み得る。
【0269】
いくつかの実施形態では、グループI触媒イントロン断片の3’半分及びグループI触媒イントロン断片の5’半分は、シアノバクテリアアナベナ属(Anabaena)プレ-tRNA-Leu遺伝子、テトラヒメナ属(Tetrahymena)プレ-rRNA、又はT4ファージtd遺伝子由来である。
【0270】
いくつかの実施形態では、グループI触媒イントロン断片の3’半分及び5’グループI触媒イントロン断片は、T4ファージtd遺伝子由来である。3’エキソン断片は、第1のアニーリング領域を含んでもよく、また、グループI触媒イントロン断片の5’半分は、第2のアニーリング領域を含み得る。第1のアニーリング領域は、例えば、2~16、例えば、10~16(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、又は16)のリボヌクレオチドを含んでもよく、また、第2のアニーリング領域は、例えば、2~16、例えば、10~16(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、又は16)のリボヌクレオチドを含み得る。
【0271】
いくつかの実施形態では、グループI触媒イントロン断片の3’半分は、線状ポリヌクレオチドの5’末端である。
【0272】
いくつかの実施形態では、グループI触媒イントロン断片の5’半分は、線状ポリリボヌクレオチドの3’末端である。
【0273】
別の例では、linRNAは、linRNAの5’及び3’末端、若しくはその付近にあるか、又はlinRNAの5’及び3’末端に連結している原子、分子表面間の引力を引き起こす非核酸部分によって環化又は連結され得る。分子間力又は分子内力によって、1つ若しくは複数のlinRNAを環化又は連結することができる。分子間力の非限定的な例としては、双極子-双極子力、双極子-誘導双極子力、誘導双極子-誘導双極子力、ファンデルワールス力、及びロンドン分散力が挙げられる。分子内力の非限定的な例としては、共有結合、金属結合、イオン結合、共鳴結合、アグノスティック結合、双極子性結合、共役結合、超共役結合及び反結合が挙げられる。
【0274】
別の例では、linRNAは、5’末端付近及び3’末端付近にリボザイムRNA配列を含み得る。リボザイムRNA配列は、当該配列が、残りのリボザイムに曝露されると、ペプチドと共有結合し得る。リボザイムRNA配列と5’末端付近及び3’末端付近で共有結合したペプチドは互いに会合し、それにより、linRNAを環化又は連結させる。別の例では、5’末端及び3’末端付近のリボザイムRNAに共有結合したペプチドは、限定されないが、タンパク質ライゲーションなどの当技術分野で公知の様々な方法を用いて連結された後、線状一次構築物又は線状mRNAを環状化又は連結させる。本発明の線状一次構築物又はlinRNAに使用されるリボザイムの非限定的な例、又はペプチドを組み込む、若しくはペプチドと共有結合させる方法の非網羅的なリストは、米国特許出願第20030082768号明細書に記載されており、その内容は参照によりその全体がここに組み込まれる。
【0275】
さらに別の例では、circRNAを生成するために、化学的な環化方法を使用することができる。このような方法としては、限定されないが、クリックケミストリー(例えば、アルキン及びアジドベースの方法若しくはクリック可能な塩基)、オレフィンメタセシス、ホスホルアミデートライゲーション、ヘミアミナール-イミン架橋、塩基修飾、又はそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0276】
別の例では、環状ポリリボヌクレオチドは、無細胞系で転写されたデオキシリボヌクレオチド鋳型を用いて(例えば、インビトロ転写によって)線状RNAを産生する。線状ポリリボヌクレオチドは、スプライシング適合性ポリリボヌクレオチドを産生し、このポリリボヌクレオチドは、自己スプライシングされて、環状ポリリボヌクレオチドを産生し得る。
【0277】
いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、線状ポリリボヌクレオチドを用意するステップと;線状ポリリボヌクレオチドの3’及び5’スプライス部位のスプライシングに適した条件下で線状ポリリボヌクレオチドを自己スプライシングさせ、それにより環状ポリリボヌクレオチドを産生させるステップによって(例えば、無細胞系中に)生産される。
【0278】
いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、線状ポリリボヌクレオチドをコードするデオキシリボヌクレオチドを用意するステップ;無細胞系でデオキシリボヌクレオチドを転写して、線状ポリリボヌクレオチドを産生させるステップ;任意選択で、スプライシング適合性線状ポリリボヌクレオチドを精製するステップ;並びに線状ポリリボヌクレオチドの3’及び5’スプライス部位のスプライシングに適した条件下で、線状ポリリボヌクレオチドを自己スプライシングさせ、それにより環状ポリリボヌクレオチドを産生させるステップによって生産される。
【0279】
いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、線状ポリリボヌクレオチドをコードするデオキシリボヌクレオチドを用意するステップ;無細胞系でデオキシリボヌクレオチドを転写して、線状ポリリボヌクレオチドを産生させるステップであって、上記転写は、線状ポリリボヌクレオチドの3’及び5’スプライス部位のスプライシングに適した条件下で、溶液中で起こり、それによって環状ポリリボヌクレオチドを産生させるステップによって生産される。いくつかの実施形態では、線状ポリリボヌクレオチドは、5’スプリットイントロン及び3’スプリットイントロン(例えば、circRNAを産生するための自己スプライシング構築物)を含む。いくつかの実施形態では、線状ポリリボヌクレオチドは、5’アニーリング領域及び3’アニーリング領域を含む。
【0280】
いくつかの実施形態では、線状ポリリボヌクレオチドは、デオキシリボ核酸、例えば、DNAベクター、線状化DNAベクター、又はcDNAなどの本明細書に記載されるデオキシリボ核酸から産生される。いくつかの実施形態では、線状ポリリボヌクレオチドは、無細胞系における転写(例えば、インビトロ転写)によってデオキシリボ核酸から転写される。
【0281】
別の例において、環状ポリリボヌクレオチドは、細胞、例えば、原核細胞又は真核細胞において産生され得る。いくつかの実施形態では、外来性ポリリボヌクレオチドが細胞に供給される(例えば、本明細書に記載の線状ポリリボヌクレオチド又は本明細書に記載の線状ポリリボヌクレオチドの転写をコードするDNA分子)。線状ポリリボヌクレオチドは、細胞に供給された外来性DNA分子から細胞内で転写され得る。線状ポリリボヌクレオチドは、細胞に一過性に供給された外来性組換えDNA分子から細胞内で転写され得る。いくつかの実施形態では、外来性DNA分子は、細胞のゲノムに組み込まれない。いくつかの実施形態では、線状ポリリボヌクレオチドは、細胞のゲノムに組み込まれる組換えDNA分子から細胞内で転写される。
【0282】
いくつかの実施形態では、細胞は原核細胞である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリリボヌクレオチドを含む原核細胞は、細菌細胞又は古細菌細胞であってもよい。例えば、本明細書に記載のポリリボヌクレオチドを含む原核細胞は、大腸菌(E coli)、好塩性古細菌(例えば、ハアロフェラックス・ボルカニ(Haloferax volcaniii))、スフィンゴモナス(Sphingomonas)、シアノバクテリア(例えば、シネココッカス・エロンガツス(Synechococcus elongatus)、スピルリナ(アルトロスピラ属(Arthrospira)種、及びシネコシスティス属(Synechocystis)種)、ストレプトミセス(Streptomyces)、放線菌(例えば、ノノムラエア(Nonomuraea)、キタサトスポラ(Kitasatospora)、又はテルモビフィラ(Thermobifida))、バチルス属(Bacillus)種(例えば、枯草菌(Bacillus subtilis)、炭疽菌(Bacillus anthracis)、バチルス・セレウス(Bacillus cereus))、ベータプロテオバクテリア綱(betaproteobacteria)種(例えば、ブルクホルデリア(Burkholderia))、アルファプロテオバクテリア綱(alphaproteobacterial)種(例えば、アグロバクテリウム(Agrobacterium))、シュードモナス属(Pseudomonas)種(例えば、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida))、及び腸内細菌(enterobacteria)であってよい。原核細胞は、培地中で増殖させることができる。原核細胞は、バイオリアクターに導入してもよい。
【0283】
細胞は真核細胞であってもよい。いくつかの実施形態では、真核細胞は、単細胞真核細胞である。いくつかの実施形態では、単細胞真核生物は、酵母細胞(例えば、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)及び他のサッカロミセス属(Saccharomyces)種、ブレタノマイセス属(Brettanomyces)種、シゾサッカロミセス属(Schizosaccharomyces)種、トルラスポラ属(Torulaspora)種、及びピキア属(Pichia)種)などの単細胞真菌細胞である。いくつかの実施形態では、単細胞真核細胞は、単細胞動物細胞である。単細胞動物細胞は、多細胞動物から単離した後、培養して増殖させた細胞、又はその娘細胞であってもよい。いくつかの実施形態では、単細胞動物細胞は、脱分化していてもよい。いくつかの実施形態では、単細胞真核細胞は、単細胞植物細胞である。単細胞植物細胞は、多細胞植物から単離した後、培養して増殖させた細胞、又はその娘細胞であってもよい。いくつかの実施形態では、単細胞植物細胞は、脱分化していてもよい。いくつかの実施形態では、単細胞植物細胞は、植物カルス由来である。いくつかの実施形態では、単細胞生物細胞は、植物細胞プロトプラストである。いくつかの実施形態では、単細胞真核細胞は、単細胞緑藻、珪藻、ユーグレナイド、又は渦鞭毛藻などの単細胞真核藻細胞である。目的とする単細胞真核藻類の非限定的な例としては、デュナリエラ・サリナ(Dunaliella salina)、クロレラ・ブルガリス(Chlorella vulgaris)、クロレラ・ゾフィジエンシス(Chlorella zofingiensis)、ヘマトコッカス・プルビアリス(Haematococcus pluvialis)、ネオクロリス・オレオアブンダンス(Neochloris oleoabundans)及び他のネオクロリス属(Neochloris)種、プロトシフォン・ボトリオイズ(Protosiphon botryoides)、ボツリオコッカス・ブラウニー(Botryococcus braunii)、クリプトコッカス属(Cryptococcus)種、コナミドリムシ(Chlamydomonas reinhardtii)及び他のクラミドモナス種(Chlamydomonas spp)が挙げられる。いくつかの実施形態では、単細胞真核細胞は、原生生物細胞である。いくつかの実施形態では、単細胞真核細胞は、原生動物細胞である。
【0284】
いくつかの実施形態では、真核細胞は、多細胞真核生物の細胞である。例えば、多細胞真核生物は、脊椎動物、無脊椎動物、多細胞菌類、多細胞藻類、及び多細胞植物からなる群より選択され得る。いくつかの実施形態では、真核生物は、ヒトである。いくつかの実施形態では、真核生物は、ヒト以外の脊椎動物である。いくつかの実施形態では、真核生物は、無脊椎動物である。いくつかの実施形態では、真核生物は、多細胞真菌である。いくつかの実施形態では、真核生物は、多細胞植物である。複数の実施形態では、真核細胞は、ヒトの細胞、又は非ヒト霊長類(例えば、サル、類人猿)、偶蹄類(例えば、ウシ、バッファロー、バイソン、ヒツジ、ヤギ、及びジャコウウシを含むウシ科動物;ブタ;ラクダ、ラマ、及びアルパカを含むラクダ科動物;シカ、カモシカ;並びにウマ及びロバを含むウマ科動物)、肉食動物(例えば、イヌ、ネコ)、げっ歯類(例えば、ラット、マウス、モルモット、ハムスター、リス)、又はウサギ目動物(例えば、ウサギ、ノウサギ)などの非ヒト哺乳動物の細胞である。複数の実施形態では、真核細胞は、鳥類、例えば、鳥類分類キジ目(Galliformes)(例えば、ニワトリ、七面鳥、キジ、ウズラ)、カモ目(Anseriformes)(例えば、アヒル、ガン)、古顎類(Paleaognathae)(例えば、ダチョウ、エミュー)、ハト目(Columbiformes)(例えば、ハト(pigeon)、ハト(dove))、又はオウム目(Psittaciformes)(例えば、オウム)のメンバーの細胞である。いくつかの実施形態では、真核細胞は、節足動物(例えば、昆虫、クモ類、甲殻類)、線虫、環形動物、蠕虫、又は軟体動物の細胞である。いくつかの実施形態では、真核細胞は、多細胞植物、例えば、被子植物(双子葉植物又は単子葉植物であり得る)、裸子植物(例えば、針葉樹、ソテツ、イチョウ)、シダ、スギナ、ヒカゲノカズラ類、又は蘚苔類などの細胞である。複数の実施形態では、真核細胞は、真核多細胞藻類の細胞である。
【0285】
真核細胞は、培養培地中で増殖させることができる。真核細胞は、バイオリアクターに収容してもよい。
【0286】
バイオリアクターの例として、限定はされないが、撹拌タンク(例えば、十分に混合された)バイオリアクター及び平板(例えば、プラグフロー)バイオリアクター、エアリフト型バイオリアクター、膜撹拌式タンク(membrane stirred tank)、スピンフィルター撹拌式タンク、振動ミキサー、流動層リアクター、及び膜バイオリアクターが挙げられる。バイオリアクターを運転するモードは、バッチ又は連続プロセスであってもよい。バイオリアクターは、試薬及び産物の流れが継続的に供与され、システムから取り出される場合、連続的である。バッチバイオリアクターは、連続再循環フローを有し得るが、試薬又は産物ハーベストの連続供給がない。
【0287】
本開示のいくつかの方法は、環状ポリリボヌクレオチドの大規模生産に関する。大規模生産方法の場合、本方法は、1リットル(L)~50L、又はそれ以上(例えば、5L、10L、15L、20L、25L、30L、35L、40L、45L、50L、又はそれ以上)の容量で実施することができる。いくつかの実施形態では、本方法は、5L~10L、5L~15L、5L~20L、5L~25L、5L~30L、5L~35L、5L~40L、5L~45L、10L~15L、10L~20L、10L~25L、20L~30L、10L~35L、10L~40L、10L~45L、10L~50L、15L~20L、15L~25L、15L~30L、15L~35L、15L~40L、15L~45L、又は15~50Lの容量で実施することができる。いくつかの実施形態において、バイオリアクターは、少なくとも1gの環状RNAを生産し得る。いくつかの実施形態において、バイオリアクターは、1~200gの環状RNA(例えば、1~10g、1~20g、1~50g、10~50g、10~100g、50~100g、又は50~200gのcircRNA)を生産し得る。いくつかの実施形態では、生産される量は、1リットル当たり(例えば、1リットル当たり1~200g)、バッチ若しくは反応当たり(例えば、バッチ若しくは反応当たり1~200g)、又は単位時間当たり(例えば、1時間若しくは1日当たり1~200g)で測定される。いくつかの実施形態では、生産能力を増加するために、2つ以上のバイオリアクターを連続的に利用することができる(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、又は9つのバイオリアクターを連続的に使用することができる)。
【0288】
本明細書に記載のcircRNAの作製方法は、例えば、Khudyakov & Fields,Artificial DNA:Methods and Applications,CRC Press(2002);Zhao,Synthetic Biology:Tools and Applications,(First Edition),Academic Press(2013);Muller and Appel,from RNA Biol,2017,14(8):1018-1027;及びEgli & Herdewijn,Chemistry and Biology of Artificial Nucleic Acids,(First Edition),Wiley-VCH(2012)に記載されている。環状ポリリボヌクレオチドを製造する他の方法は、例えば、国際公開第2022/247943号パンフレット、米国特許第11000547号明細書、国際公開第2018/191722号パンフレット、同第2019/236673号パンフレット、同第2020/023595号パンフレット、同第2022/204460号パンフレット、同第2022/204464号パンフレット、及び同第2022/204466号パンフレットに記載されている。
【0289】
circRNAを合成する様々な方法は、他にも記載されている(例えば、米国特許第6210931号明細書、同第5773244号明細書、同第5766903号明細書、同第5712128号明細書、同第5426180号明細書、米国特許出願公開第20100137407号明細書、国際公開第1992001813号パンフレット、同第2010084371号パンフレット、及びPetkovic et al.,Nucleic Acids Res.43:2454-65(2015);これら各々の内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。
【0290】
環状ポリリボヌクレオチド
本開示は、circRNA組成物、並びにcircRNAを作製及び精製する方法を特徴とする。いくつかの実施形態では、circRNAは、linRNAから産生される(例えば、酵素ライゲーション又は自己触媒RNAによるものを含め、当技術分野で公知の方法によって)。いくつかの実施形態では、linRNAは、デオキシリボヌクレオチド鋳型(例えば、ベクター、線状化ベクター、又はcDNA)から転写される。
【0291】
circRNAは、1つ若しくは複数のコード配列、1つ若しくは複数の非コード配列、又はそれらの組み合わせなどの特徴を含み得る。circRNAは、例えば、ポリペプチドの発現をコードするコード配列など、1つ若しくは複数のコード配列を含み得る。各コード配列は、内部リボソーム進入部位(IRES)若しくは1つ若しくは複数の調節配列、又はそれらの組み合わせに作動可能に連結されていてもよい。circRNAは、1つ若しくは複数の非コード配列、例えば、タンパク質や核酸などの標的に特異的に結合する非コード配列を含んでいてもよい。circRNAの特徴は、例えば、国際特許公開第2019/118919号パンフレット、同第2020/023655号パンフレット、同第2020/180751号パンフレット、同第2020/180752号パンフレット、同第2020/181013号パンフレット、同第2020/198403号パンフレット、同第2020/257730号パンフレット、同第2020/257727号パンフレット、同第2020/252436号パンフレットに記載されており、その各々は、そこに記載されたcircRNAに関して参照により組み込まれる。
【0292】
精製されるcircRNAのサイズは、本明細書に開示される精製方法に適した任意のサイズであってよい。
【0293】
例えば、精製しようとするcircRNAは、少なくとも20,000ヌクレオチド、少なくとも19,000ヌクレオチド、少なくとも18,000ヌクレオチド、少なくとも17,000ヌクレオチド、少なくとも16,000ヌクレオチド、少なくとも15,000ヌクレオチド、少なくとも14,000ヌクレオチド、少なくとも13,000ヌクレオチド、少なくとも12,000ヌクレオチド、少なくとも11,000ヌクレオチド、少なくとも10,000ヌクレオチド、少なくとも9,000ヌクレオチド、少なくとも8,000ヌクレオチド、少なくとも7,000ヌクレオチド、少なくとも6,000ヌクレオチド、少なくとも5,000ヌクレオチド、少なくとも4,000ヌクレオチド、少なくとも3,000ヌクレオチド、少なくとも2,000ヌクレオチド、少なくとも1,000ヌクレオチド、少なくとも900ヌクレオチド、少なくとも800ヌクレオチド、少なくとも700ヌクレオチド、少なくとも600ヌクレオチド、少なくとも500ヌクレオチド、少なくとも400ヌクレオチド、少なくとも300ヌクレオチド、少なくとも200ヌクレオチド、又は少なくとも100ヌクレオチドの長さを有し得る。
【0294】
例えば、精製しようとするcircRNAは、約20,000ヌクレオチド未満、約19,000ヌクレオチド未満、約18,000ヌクレオチド未満、約17,000ヌクレオチド未満、約16,000ヌクレオチド未満、約15,000ヌクレオチド未満、約14,000ヌクレオチド未満、約15,000ヌクレオチド未満、約14,0000ヌクレオチド未満、約13,000ヌクレオチド未満、約12,000ヌクレオチド未満、約11,000ヌクレオチド未満、約10,000ヌクレオチド未満、約9,000ヌクレオチド未満、約8,000ヌクレオチド未満、約7,000ヌクレオチド未満、約6,000ヌクレオチド未満、約5,000ヌクレオチド未満、約4,000ヌクレオチド未満、約3,000ヌクレオチド未満、約2,000ヌクレオチド未満、約1,000ヌクレオチド未満、約900ヌクレオチド未満、約800ヌクレオチド未満、約700ヌクレオチド未満、約600ヌクレオチド未満、約500ヌクレオチド未満、約400ヌクレオチド未満、約300ヌクレオチド未満、約200ヌクレオチド未満、又は約100ヌクレオチド未満の長さを有し得る。
【0295】
例えば、精製しようとするcircRNAは、約100ヌクレオチド~約20,000ヌクレオチド(例えば、約100ヌクレオチド~約500ヌクレオチド、約100ヌクレオチド~約750ヌクレオチド、約100ヌクレオチド~約1,000ヌクレオチド、約100ヌクレオチド~約2,500ヌクレオチド、約100ヌクレオチド~約5,000ヌクレオチド、約100ヌクレオチド~約10,000ヌクレオチド、約500ヌクレオチド~約750ヌクレオチド、約750ヌクレオチド~約1,000ヌクレオチド、約750ヌクレオチド~約1,250ヌクレオチド、約1,000ヌクレオチド~約1,250ヌクレオチド、約1,000ヌクレオチド~約2,000ヌクレオチド、約1,000ヌクレオチド~約5,000ヌクレオチド、約2,500ヌクレオチド~約5,000ヌクレオチド、約5,000ヌクレオチド~約10,000ヌクレオチド、約5,000ヌクレオチド~約15,000ヌクレオチド、約10,000ヌクレオチド~約15,000ヌクレオチド、約15,000ヌクレオチド~約20,000ヌクレオチド、約100ヌクレオチド、約200ヌクレオチド、約300ヌクレオチド、約400ヌクレオチド、約500ヌクレオチド、約600ヌクレオチド、約700ヌクレオチド、約800ヌクレオチド、約900ヌクレオチド、約1,000ヌクレオチド、約1,250ヌクレオチド、約1,500ヌクレオチド、約1,750ヌクレオチド、約2,000ヌクレオチド、約3,000ヌクレオチド、約4,000ヌクレオチド、約5,000ヌクレオチド、約6,000ヌクレオチド、約7,000ヌクレオチド、約8,000ヌクレオチド、約9,000ヌクレオチド、約10,000ヌクレオチド、約11,000ヌクレオチド、約12,000ヌクレオチド、約13,000ヌクレオチド、約14,000ヌクレオチド、約15,000ヌクレオチド、約16,000ヌクレオチド、約17,000ヌクレオチド、約18,000ヌクレオチド、約19,000ヌクレオチド、又は約20,000ヌクレオチド)の長さを有し得る。
【0296】
本明細書に開示された方法に従って、ポリリボヌクレオチドの混合集団からのcircRNAの精製は、一本鎖又は二本鎖circRNA、二次構造を備えるcircRNA及び二次構造がないcircRNA、標識又は非標識circRNA(中でも、例えば、蛍光標識、放射性標識、抗体標識など)を含め、あらゆる種類のcircRNAに対しても実施することができる。
【0297】
精製のために選択されるcircRNAは、天然に存在するDNA若しくはRNAヌクレオシド(例えば、アデニン、チミジン、グアノシン、シチジン、ウリジン、若しくはイノシン)を含んでもよいし、又はcircRNAは、天然に存在しない(即ち、修飾された)核酸塩基、ヌクレオシド間結合、若しくは糖を含んでもよい。いくつかの実施形態では、精製のために選択されるcircRNAは、天然に存在するヌクレオシドを含む。circRNAが修飾されている場合、それは、修飾リボヌクレオシド(例えば、修飾核酸塩基又は修飾リボース部分を含む)又は修飾ヌクレオシド間連結(中でも、例えば、ホスホロチオエート及びホスホロアミデートなど)を含み得る。一般に、このような修飾は、RNA分子を安定化し、ヌクレアーゼによる加水分解を低減するために組み込まれる。本開示が特に企図するcircRNAの修飾には、国際公開第2020/198403号パンフレットに記載されている核酸塩基修飾が含まれる。
【0298】
一部の実施形態では、本開示のcircRNAのヌクレオシド又はヌクレオシド間連結の実質的に全てが、修飾ヌクレオシドである。一部の実施形態では、開示されるcircRNAのヌクレオシド又はヌクレオシド間結合は全て、修飾ヌクレオシドである。「実質的に全てのヌクレオシドが、修飾ヌクレオシドである」circRNAは、大部分が修飾されているが、全体が修飾されているわけではなく、5、4、3、2、又は1以下の天然に存在するヌクレオシドを含み得る。いくつかの実施形態では、circRNAは、5、4、3、2、又は1以下の代替ヌクレオシドを含み得る。いくつかの実施形態では、修飾circRNAは、少なくとも1(例えば、少なくとも2、5、10、15、20、30、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、300、350、400、450、500、600、700、800、900、1000、1500、2000、2500、3000、3500、4000、4500、5000、5500、6000、6500、7000又はそれ以上)の修飾ヌクレオシドを含む。核酸塩基、糖部分に対する修飾、又はヌクレオシド間結合をはじめとする前述の修飾は、未修飾RNA配列にコードされる情報(例えば、各コドンによってコードされるアミノ酸)を保持し、且つ、タンパク質翻訳を妨害しない範囲で、本明細書に記載のcircRNAに組み込むことができる。
【0299】
ポリペプチド発現配列
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリリボヌクレオチドは、1つ以上の発現配列を含み、ここで各発現配列は、ポリペプチドをコードする。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10又はそれ以上の発現配列を含む。
【0300】
各コードポリペプチドは、直鎖状又は分岐状であってもよい。ポリペプチドは、約5~約40,000アミノ酸、約15~約35,000アミノ酸、約20~約30,000アミノ酸、約25~約25,000アミノ酸、約50~約20,000アミノ酸、約100~約15,000アミノ酸、約200~約10,000アミノ酸、約500~約5,000アミノ酸、約1,000~約2,500アミノ酸、又はそれらの間の任意の範囲の長さを有し得る。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、有用であり得る、約40,000アミノ酸未満、約35,000アミノ酸未満、約30,000アミノ酸未満、約25,000アミノ酸未満、約20,000アミノ酸未満、約15,000アミノ酸未満、約10,000アミノ酸未満、約9,000アミノ酸未満、約8,000アミノ酸未満、約7,000アミノ酸未満、約6,000アミノ酸未満、約5,000アミノ酸未満、約4,000アミノ酸未満、約3,000アミノ酸未満、約2,500アミノ酸未満、約2,000アミノ酸未満、約1,500アミノ酸未満、約1,000アミノ酸未満、約900アミノ酸未満、約800アミノ酸未満、約700アミノ酸未満、約600アミノ酸未満、約500アミノ酸未満、約400アミノ酸未満、約300アミノ酸未満、又はそれ以下の長さを有する。
【0301】
本明細書に含まれるポリペプチドは、天然に存在するポリペプチド又は天然に存在しないポリペプチドを含み得る。いくつかの例では、ポリペプチドは、参照ポリペプチドの機能断片又は変異体(例えば、酵素の酵素活性断片又は変異体)であるか又はそれを含む。例えば、ポリペプチドは、例えば、特定領域にわたり、又は全配列にわたり、本明細書に記載のポリペプチド又は天然に存在するポリペプチドの配列と少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性を有する、本明細書に記載のポリペプチドのいずれかの機能的に活性のある変異体であってもよい。いくつかの場合、ポリペプチドは、目的のタンパク質と少なくとも50%(例えば、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、97%、99%、又はそれ以上)の同一性を有し得る。
【0302】
ポリペプチドのいくつかの例として、限定はされないが、蛍光タグ若しくはマーカー、抗原、治療用ポリペプチド、又は農業用途のポリペプチドが挙げられる。
【0303】
治療用ポリペプチドは、ホルモン、神経伝達物質、成長因子、酵素(例えば、オキシドレダクターゼ、代謝酵素、ミトコンドリア酵素、オキシゲナーゼ、デヒドロゲナーゼ、ATP非依存性酵素、リソソーム酵素、デサチュラーゼ)、サイトカイン、抗原結合ポリペプチド(例えば、抗原結合抗体又は抗体様断片、例えば、一本鎖抗体、ナノボディ又は他のIg重鎖若しくは軽鎖を含むポリペプチド)、Fc融合タンパク質、抗凝固剤、血液因子、骨形成タンパク質、インターフェロン、インターロイキン、又は血栓溶解剤であってもよい。
【0304】
農業用途のポリペプチドは、バクテリオシン、溶解素、抗菌ポリペプチド、抗真菌ポリペプチド、根粒Cリッチペプチド、菌細胞調節ペプチド(bacteriocyte regulatory peptide)、ペプチド毒素、殺虫性(pesticidal)ポリペプチド(例えば、殺虫性(insecticidal)ポリペプチド又は殺線虫性ポリペプチド)、抗原結合ポリペプチド(例えば、抗原結合抗体又は抗体様断片、例えば、一本鎖抗体、ナノボディ又は他のIg重鎖若しくは軽鎖を含むポリペプチド)、酵素(例えば、ヌクレアーゼ、アミラーゼ、セルラーゼ、ペプチダーゼ、リパーゼ、キチナーゼ)、ペプチドフェロモン、又は転写因子であってもよい。
【0305】
場合によっては、ポリリボヌクレオチドは、ヒトタンパク質を発現する。場合によっては、ポリリボヌクレオチドは、非ヒトタンパク質を発現する。
【0306】
いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、抗体、例えば、抗体断片、又はその一部分を発現する。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドによって発現される抗体は、IgA、IgD、IgE、IgG、IgMなどの任意のアイソタイプであり得る。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、抗体の一部分、例えば、軽鎖、重鎖、Fc断片、CDR(相補性決定領域)、Fv断片、又はFab断片、そのさらなる一部分を発現する。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、抗体の1つ以上の部分を発現する。例えば、環状ポリリボヌクレオチドは、2つ以上の発現配列を含むことができ、それらの各々は、抗体の一部分を発現し、それらの和は、抗体を構成し得る。いくつかの場合、環状ポリリボヌクレオチドは、抗体の重鎖をコードする1つの発現配列、及び抗体の軽鎖をコードする別の発現配列を含む。いくつかの場合、環状ポリリボヌクレオチドが細胞又は無細胞環境下で発現される場合、軽鎖及び重鎖は、適切な修飾、フォールディング、又は他の翻訳後修飾を受け、機能的抗体を形成し得る。
【0307】
実施形態では、ポリペプチドは、複数のポリペプチド、例えば、1つのポリペプチド配列の複数のコピー、又は複数の異なるポリペプチド配列を含む。実施形態では、複数のポリペプチドは、リンカーアミノ酸又はスペーサーアミノ酸によって接続される。
【0308】
いくつかの実施形態では、発現配列は、(例えば、発現配列の3’末端に)ポリA配列を含む。いくつかの実施形態では、ポリA配列の長さは、10を超えるヌクレオチドの長さである。一実施形態では、ポリA配列は、15を超えるヌクレオチドの長さである(例えば、少なくとも約10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、70、80、90、100、120、140、160、180、200、250、300、350、400、450、500、600、700、800、900、1,000、1,100、1,200、1,300、1,400、1,500、1,600、1,700、1,800、1,900、2,000、2,500、又は3,000ヌクレオチドであるか又はそれを超える)。いくつかの実施形態では、ポリA配列は、全体が参照により本明細書に援用される国際公開第2019/118919A1号パンフレットの[0202]~[0204]におけるポリA配列の記載に従って設計される。いくつかの実施形態では、発現配列は、(例えば、発現配列の3’末端で)ポリA配列を欠いている。
【0309】
いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、環状ポリリボヌクレオチドの1つ以上の特徴を調節するため、ポリAを含むか、ポリAを欠いているか、又は修飾ポリAを有する。いくつかの実施形態では、ポリAを欠いているか又は修飾ポリAを有する環状ポリリボヌクレオチドは、1つ以上の機能特性、例えば、免疫原性(例えば、免疫又は炎症性応答の1つ以上のマーカーのレベル)、半減期、及び/又は発現効率を改良する。
【0310】
内部リボソーム進入部位
いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドは1つ以上の内部リボソーム進入部位(IRES)要素を含む。いくつかの実施形態では、IRESは、1つ以上の発現配列に作動可能に連結される(例えば、各IRESは、1つ以上の発現配列に作動可能に連結される)。実施形態では、IRESは、異種プロモーターとコード配列の5’末端との間に位置する。
【0311】
ポリリボヌクレオチド内に含めるのに適したIRES要素は、真核生物リボソームと会合することが可能なRNA配列を含む。いくつかの実施形態では、IRES要素は、少なくとも約5nt、少なくとも約8nt、少なくとも約9nt、少なくとも約10nt、少なくとも約15nt、少なくとも約20nt、少なくとも約25nt、少なくとも約30nt、少なくとも約40nt、少なくとも約50nt、少なくとも約100nt、少なくとも約200nt、少なくとも約250nt、少なくとも約350nt、又は少なくとも約500ntである。
【0312】
いくつかの実施形態では、IRES要素は、限定はされないが、ウイルス、哺乳動物、又はショウジョウバエを含む生物のDNAに由来する。このようなウイルスDNAは、限定はされないが、ピコルナウイルス相補DNA(cDNA)とともに、EMCV cDNA及びポリオウイルス(poliovirus)cDNAに由来し得る。一実施形態では、IRES要素の由来元であるショウジョウバエ(Drosophila)DNAは、限定はされないが、キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)由来のアンテナペディア遺伝子を含む。
【0313】
いくつかの実施形態では、存在する場合、IRES配列は、タウラ症候群ウイルス、トリアトマウイルス、タイラー脳脊髄炎ウイルス、シミアンウイルス40、ソレノプシスインビクタウイルス1、ムギクビレアブラムシウイルス、細網内皮症ウイルス、ヒトポリオウイルス1、チャバネアオカメムシ腸管ウイルス、カシミール蜂ウイルス、ヒトライノウイルス2(HRV-2)、ヒメヨコバイ(Homalodisca coagulata)ウイルス-1、ヒト免疫不全ウイルス1型、ヒメヨコバイ(Homalodisca coagulata)ウイルス-1、ヒメトビPウイルス(Himetobi P virus)、C型肝炎ウイルス、A型肝炎ウイルス、GB型肝炎ウイルス、口蹄疫ウイルス、ヒトエンテロウイルス71、ウマ鼻炎ウイルス(Equine rhinitis virus)、チャシャクガピコルナ様ウイルス、脳心筋炎ウイルス(EMCV)、ショウジョウバエCウイルス、アブラナ科トバモ(Crucifer tobamo)ウイルス、クリケット麻痺(Cricket paralysis)ウイルス、ウシウイルス性下痢ウイルス1、黒色女王蜂児ウイルス、アブラムシ致死性麻痺ウイルス(Aphid lethal paralysis virus)、トリ脳脊髄炎ウイルス(AEV)、急性蜂麻痺ウイルス、ハイビスカス退緑輪点ウイルス(Hibiscus chlorotic ringspot virus)、古典的ブタ熱ウイルス、ヒトFGF2、ヒトSFTPAl、ヒトAMLl/RUNXl、ショウジョウバエアンテナペディア(antennapedia)、ヒトAQP4、ヒトAT1R、ヒトBAG-1、ヒトBCL2、ヒトBiP、ヒトc-IAPl、ヒトc-myc、ヒトeIF4G、マウスNDST4L、ヒトLEF1、マウスHIF1α、ヒトn.myc、マウスGtx、ヒトp27kipl、ヒトPDGF2/c-sis、ヒトp53、ヒトPim-1、マウスRbm3、ショウジョウバエリーパー(reaper)、イヌスカンパー(Scamper)、ショウジョウバエUbx、ヒトUNR、マウスUtrA、ヒトVEGF-A、ヒトXIAP、サリウイルス(Salivirus)、コサウイルス、パレコウイルス、ショウジョウバエヘアレス(hairless)、酵母(S.cerevisiae)TFIID、酵母(S.cerevisiae)YAP1、ヒトc-src、ヒトFGF-1、サルピコマウイルス(picomavirus)、カブクリンクルウイルス(Turnipcrinklevirus)、アイチウイルス、クローヒウイルス、エコウイルス11、eIF4Gに対するアプタマー、コクサッキーウイルスB3(CVB3)又はコクサッキーウイルスA(CVB1/2)のIRES配列である。さらに別の実施形態では、IRESは、コクサッキーウイルスB3(CVB3)のIRES配列である。さらなる実施形態では、IRESは脳心筋炎ウイルス(EMCV)のIRES配列である。さらに別の実施形態では、IRESは、タイラー脳脊髄炎ウイルスのIRES配列である。
【0314】
いくつかの実施形態では、IRES配列は、野生型IRES配列と比較して、修飾された配列を有する。いくつかの実施形態では、野生型IRESの最後のヌクレオチドがシトシン核酸残基でない場合、野生型IRES配列の最後のヌクレオチドは、それがシトシン残基であるように修飾され得る。例えば、いくつかの実施形態では、IRES配列は、末端アデノシン残基がシトシン残基に修飾されたCVB3 IRES配列である。いくつかの実施形態では、IRES配列は、末端グアノシン残基がシトシン残基に修飾されたエンテロウイルス71(EV17)IRESである。いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、少なくとも1つ(例えば、2、3、4、5又はそれ以上)の発現配列にフランキングする少なくとも1つのIRESを含む。いくつかの実施形態では、IRESは、少なくとも1つ(例えば、2、3、4、5又はそれ以上)の発現配列の両側にフランキングする。いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、各発現配列の片側又は両側に1つ若しくは複数のIRES配列を含み、得られるペプチド及び又はポリペプチドの分離をもたらす。
【0315】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるポリリボヌクレオチドは、IRES(例えば、コード領域に作動可能に連結されたIRES)を含む。例えば、ポリリボヌクレオチドは、以下:Chen et al.Mol.Cell 81(20):4300-4318,2021;Jopling et al.Oncogene 20:2664-2670,2001;Baranick et al.PNAS 105(12):4733-4738,2008;Lang et al.Molecular Biology of the Cell 13(5):1792-1801,2002;Dorokhov et al.PNAS 99(8):5301-5306,2002;Wang et al.Nucleic Acids Research 33(7):2248-2258,2005;Petz et a.Nucleic Acids Research 35(8):2473-2482,2007;Chen et al.Science 268:415-417,1995;Fan et al.Nature Communication 13(1):3751-3765,2022、及び国際公開第2021/263124号パンフレットに記載されており、これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0316】
調節要素
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリリボヌクレオチドは、1つ以上の調節要素を含む。いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、調節要素、例えば、ポリリボヌクレオチド内の発現配列の発現を調節する配列を含む。
【0317】
調節要素は、発現産物をコードする発現配列に隣接して位置する配列を含んでもよい。調節要素は、隣接配列に作動可能に連結されてもよい。調節要素は、調節要素が存在しない場合に発現される産物の量又は数と比較して、発現される産物の量を増加させ得る。さらに、1つの調節要素が、並んで結合された複数の発現配列について発現される産物の量を増加させ得る。したがって、1つの調節要素が、1つ以上の発現配列の発現を促進することができる。複数の調節エレメントを、例えば、異なる発現配列の発現を差次的に調節するために使用することもできる。
【0318】
いくつかの実施形態では、調節要素は、翻訳モジュレーターである。翻訳モジュレーターは、ポリリボヌクレオチド中の発現配列の翻訳を調節し得る。翻訳モジュレーターは、翻訳エンハンサー又はサプレッサーであり得る。いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、少なくとも1つの発現配列に隣接した少なくとも1つの翻訳モジュレーターを含む。いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、各発現配列に隣接した翻訳モジュレーターを含む。いくつかの実施形態では、翻訳モジュレーターは、各発現配列の片側又は両側にあり、発現産物、例えばペプチド及び/又はポリペプチドの分離をもたらす。
【0319】
いくつかの実施形態では、調節要素は、マイクロRNA(miRNA)又はmiRNA結合部位である。
【0320】
調節要素のさらなる例が、例えば、全体が参照により本明細書に援用される国際公開第2019/118919号パンフレットの段落[0154]~[0161]に記載されている。
【0321】
翻訳開始配列
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリリボヌクレオチドは、少なくとも1つの翻訳開始配列を含む。いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、発現配列に作動可能に連結されている翻訳開始配列を含む。
【0322】
いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、ポリペプチドをコードし、翻訳開始配列、例えば開始コドンを含み得る。いくつかの実施形態では、翻訳開始配列は、コザック又はシャイン・ダルガノ配列を含む。いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、発現配列に隣接する翻訳開始配列、例えば、コザック配列を含む。ある実施形態では、翻訳開始配列は、非コード開始コドンである。ある実施形態では、翻訳開始配列、例えば、コザック配列は、各発現配列の1つの側又は両側に存在して、発現産物の分離をもたらす。ある実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、発現配列に隣接する少なくとも1つの翻訳開始配列を含む。ある実施形態では、翻訳開始配列は、ポリリボヌクレオチドに立体配座柔軟性を与える。ある実施形態では、翻訳開始配列は、環状ポリリボヌクレオチドの実質的に一本鎖領域内にある。翻訳開始配列のさらなる例が、全体が参照により本明細書に援用される国際公開第2019/118919号パンフレットの段落[0163]~[0165]に記載されている。
【0323】
ポリリボヌクレオチドは、限定はされないが、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60又は60を超える開始コドンなどの2つ以上の開始コドンを含んでもよい。翻訳は、第1の開始コドンで開始し得るか、又は第1の開始コドンの下流で開始し得る。
【0324】
いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、第1の開始コドン、例えばAUGでないコドンで開始し得る。ポリリボヌクレオチドの翻訳は、代替的な翻訳開始配列、例えば限定はされないが、ACG、AGG、AAG、CTG/CUG、GTG/GUG、ATA/AUA、ATT/AUU、TTG/UUGで開始し得る。いくつかの実施形態では、翻訳は、選択的条件、例えばストレス誘導条件下で、代替的な翻訳開始配列で開始する。非限定的な例として、ポリリボヌクレオチドの翻訳は、代替的な翻訳開始配列、例えばACGで開始し得る。別の非限定的な例として、ポリリボヌクレオチドの翻訳は、代替的な翻訳開始配列のCTG/CUGで開始し得る。別の非限定的な例として、ポリリボヌクレオチドの翻訳は、代替的な翻訳開始配列のGTG/GUGで開始し得る。別の非限定的な例として、ポリリボヌクレオチドは、リピート関連非AUG(RAN)配列、例えば、反復RNAの短いストレッチ、例えば、CGG、GGGGCC、CAG、CTGを含む代替的な翻訳開始配列で翻訳を開始し得る。
【0325】
終結配列
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリリボヌクレオチドは、少なくとも(least)1つの終結配列を含む。いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、発現配列に作動可能に連結されている終結配列を含む。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、終結配列を欠いている。
【0326】
いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、1つ以上の発現配列を含み、各発現配列は、終結配列を有する場合も有しない場合もある。いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、1つ以上の発現配列を含み、発現配列は、終結配列を欠いていることで、ポリリボヌクレオチドは、継続的に翻訳される。終結配列の除外は、ローリングサークル翻訳又は発現産物の連続的発現をもたらし得る。
【0327】
いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、1つ以上の発現配列を含み、各発現配列は、終結配列を有する場合も有しない場合もある。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、1つ以上の発現配列を含み、発現配列は、終結配列を欠いていることで、環状ポリリボヌクレオチドは、継続的に翻訳される。終結配列の除外は、リボソーム停止又は脱落の欠如に起因して、ローリングサークル翻訳又は発現産物、例えばペプチド又はポリペプチドの連続的発現をもたらし得る。このような実施形態では、ローリングサークル翻訳は、各発現配列を通じて、連続的発現産物を発現する。いくつかの他の実施形態では、発現配列の終結配列は、スタガー要素の一部であり得る。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチド中の1つ以上の発現配列は、終結配列を含む。しかし、環状ポリリボヌクレオチド中の後続の(例えば、第2、第3、第4、第5などの)発現配列のローリングサークル翻訳又は発現が実施される。このような場合、発現産物は、リボソームが終結配列、例えば停止コドンに遭遇し、翻訳を終結させる場合、リボソームから脱落し得る。いくつかの実施形態では、翻訳は、リボソーム、例えば、リボソームの少なくとも1つのサブユニットが環状ポリリボヌクレオチドとの接触状態を維持しながら終結される。
【0328】
いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、1つ以上の発現配列の末端に終結配列を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の発現配列は、後続の2つ以上の終結配列を含む。このような実施形態では、翻訳が終結され、ローリングサークル翻訳が終結される。いくつかの実施形態では、リボソームは、環状ポリリボヌクレオチドと完全に隔てられる。いくつかのこのような実施形態では、環状ポリリボヌクレオチド中の後続の(例えば、第2、第3、第4、第5などの)発現配列の生成において、翻訳の開始前に環状ポリリボヌクレオチドと再会合するため、リボソームを必要とし得る。一般に、終結配列は、翻訳の終結を伝えるインフレームのヌクレオチドトリプレット、例えば、UAA、UGA、UAGを含む。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチド中の1つ以上の終結配列は、フレームシフトされた終結配列、例えば限定はされないが、翻訳を終結し得る、オフフレーム又は-1及び+1シフトされたリーディングフレーム(例えば、隠れた停止)である。フレームシフトされた終結配列は、発現配列の第2及び第3のリーディングフレーム内に出現する三重ヌクレオチド、TAA、TAG、及びTGAを含む。フレームシフトされた終結配列は、細胞に対して有害であることが多い、mRNAの誤読を防止するのに重要であり得る。いくつかの実施形態では、終結配列は、停止コドンである。
【0329】
終結配列のさらなる例が、全体が参照により本明細書に援用される国際公開第2019/118919号パンフレットの段落[0169]~[0170]に記載されている。
【0330】
非翻訳領域
ある実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、非翻訳領域(UTR)を含む。遺伝子を含むゲノム領域のUTRは、転写され得るが、翻訳されていない。ある実施形態では、UTRは、本明細書に記載される発現配列の翻訳開始配列の上流に含まれ得る。ある実施形態では、UTRは、本明細書に記載される発現配列の下流に含まれ得る。ある場合において、第1の発現配列のための1つのUTRは、第2の発現配列のための別のUTRと同じであるか又はそれと連続しているか又はそれと重複している。ある実施形態では、イントロンは、ヒトイントロンである。
【0331】
例示的な非翻訳領域が、全体が参照により本明細書に援用される国際公開第2019/118919号パンフレットの段落[0197]~[201]に記載されている。
【0332】
ある実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、ポリA配列を含む。例示的なポリA配列が、全体が参照により本明細書に援用される国際公開第2019/118919号パンフレットの段落[0202]~[0205]に記載されている。ある実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、ポリA配列を欠いている。
【0333】
いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、アデノシン及びウリジンの1つ又は複数のストレッチが内包されたUTRを含む。これらのAUリッチのシグネチャーは、発現産物のターンオーバー速度を増加させ得る。
【0334】
UTRのAUリッチエレメント(ARE)の導入、除去、又は修飾は、環状ポリリボヌクレオチドの安定性、又は免疫原性(例えば、免疫又は炎症性応答の1つ又は複数のマーカーのレベル)を調節するのに有用であり得る。特定の環状ポリリボヌクレオチドを改変するとき、AREの1つ又は複数コピーを環状ポリリボヌクレオチドに導入してもよく、AREのコピーは、発現産物の翻訳及び/又は産生を調節し得る。同様に、AREを、同定及び除去し、又は環状ポリリボヌクレオチドに改変することで、細胞内安定性を調節し、ひいては得られるタンパク質の翻訳及び産生に作用することができる。
【0335】
任意の遺伝子からの任意のUTRが環状ポリリボヌクレオチドの各隣接領域に組み込まれてもよいことは理解されるべきである。
【0336】
いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、5’UTRを欠いており、その1つ又は複数の発現配列からのタンパク質発現の能力がある。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、3’UTRを欠いており、その1つ又は複数の発現配列からのタンパク質発現の能力がある。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、ポリA配列を欠いており、その1つ又は複数の発現配列からのタンパク質発現の能力がある。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、終結配列を欠いており、その1つ又は複数の発現配列からのタンパク質発現の能力がある。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、内部リボソーム進入部位を欠いており、その1つ又は複数の発現配列からのタンパク質発現の能力がある。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、キャップを欠いており、その1つ又は複数の発現配列からのタンパク質発現の能力がある。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、5’UTR、3’UTR、及びIRESを欠いており、その1つ又は複数の発現配列からのタンパク質発現の能力がある。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、以下の配列:1つ又は複数のmiRNAをコードする配列、1つ又は複数の複製タンパク質をコードする配列、外因性遺伝子をコードする配列、治療(therapeutic)をコードする配列、調節要素(例えば、翻訳モジュレーター、例えば、翻訳エンハンサー又はサプレッサー)、翻訳開始配列、内因性遺伝子を標的にする1つ又は複数の調節核酸(例えば、siRNA、lncRNA、shRNA)、及び治療的mRNA又はタンパク質をコードする配列、の1つ又は複数を含む。
【0337】
いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、5’UTRを欠いている。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、3’UTRを欠いている。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、ポリA配列を欠いている。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、終結配列を欠いている。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、内部リボソーム進入部位を欠いている。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、エキソヌクレアーゼによる分解感受性を欠いている。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドが分解感受性を欠いているという事実は、環状ポリリボヌクレオチドがエキソヌクレアーゼによって分解されない、又はエキソヌクレアーゼの存在下で限られた範囲に限って分解される、例えば、エキソヌクレアーゼの不在下で同等又は類似的であることを意味し得る。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、エキソヌクレアーゼによって分解されない。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、エキソヌクレアーゼに曝露されるとき、分解が低下している。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、キャップ結合タンパク質への結合を欠いている。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、5’キャップを欠いている。
【0338】
スタガー要素
いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、発現配列に隣接した少なくとも1つのスタガー要素を含む。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、各発現配列に隣接したスタガー要素を含む。いくつかの実施形態では、スタガー要素は、各発現配列の片側又は両側にあり、発現産物、例えばペプチド及び/又はポリペプチドの分離をもたらす。いくつかの実施形態では、スタガー要素は、1つ以上の発現配列の一部分である。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、1つ以上の発現配列を含み、1つ以上の発現配列のそれぞれが、環状ポリリボヌクレオチドにおけるスタガー要素によって後続の発現配列から隔てられる。いくつかの実施形態では、スタガー要素は、(a)単一の発現配列の2回の翻訳から、又は(b)2つ以上の発現配列の1回以上の翻訳からの単一のポリペプチドの生成を防止する。いくつかの実施形態では、スタガー要素は、1つ以上の発現配列から切り離された配列である。いくつかの実施形態では、スタガー要素は、1つ以上の発現配列のうちの発現配列の一部を含む。
【0339】
非コード配列
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリリボヌクレオチドは、1つ以上の非コード配列、例えば、ポリペプチドの発現をコードしない配列を含む。いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10若しくはそれ以上の非コード配列を含む。いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、ポリペプチド発現配列をコードしない。
【0340】
非コード配列は、天然又は合成配列であり得る。いくつかの実施形態では、非コード配列は、細胞挙動、例えば、リンパ球挙動などを改変し得る。いくつかの実施形態では、非コード配列は、細胞RNA配列に対してアンチセンスである。
【0341】
いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、典型的に、(特定のRNA構造(例えば、5~30bpのmiRNA、200~500bpのlncRNA)に応じて約5~500塩基対(bp)のRNA又はRNA様構造である調節核酸を含み、細胞内の発現された標的遺伝子におけるコード配列と同一(相補的)又はほぼ同一(実質的に相補的)である核酸塩基配列を有し得る。実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、より小さいmiRNA中間体又は成熟miRNAにプロセシング可能である、約50~約1000bpであり得る、より小さいRNAにプロセシング可能であるRNA前駆体、例えばmiRNA前駆体をコードする調節核酸を含む。
【0342】
長い非コードRNA(IncRNA)は、100ヌクレオチドより長い非タンパク質コード転写物と定義される。多くのIncRNAは、組織特異性として特徴づけられる。近傍のタンパク質コード遺伝子に対して逆方向に転写される多様なIncRNAは、有意な割合(例えば、哺乳動物ゲノムにおける全IncRNAの約20%)を含み、おそらくは近傍遺伝子の転写を調節する。一実施形態では、本明細書に提供されるポリリボヌクレオチドは、IncRNAのセンス鎖を含む。一実施形態では、本明細書に提供されるポリリボヌクレオチドは、IncRNAのアンチセンス鎖を含む。
【0343】
タンパク質結合配列
いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、タンパク質、例えば、リボソームがRNA配列内の内部部位に結合することを可能にする、1つ又は複数のタンパク質結合部位を含む。タンパク質結合部位、例えば、リボソーム結合部位を環状ポリリボヌクレオチド中に設計することにより、環状ポリリボヌクレオチドは、環状ポリリボヌクレオチドを宿主の免疫系の成分からマスクすることによって、宿主の免疫系による検知を逃避し得るか又は低下させているか、分解を調節しているか、又は翻訳を調節している。
【0344】
いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、少なくとも1つの免疫タンパク質結合部位を含むことで、例えば、免疫応答、例えば、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)応答を逃避する。いくつかの実施形態では、免疫タンパク質結合部位は、免疫タンパク質に結合し、外因性としての環状ポリリボヌクレオチドのマスキングを補助するヌクレオチド配列である。いくつかの実施形態では、免疫タンパク質結合部位は、免疫タンパク質に結合し、外因性又は外来性としての環状ポリリボヌクレオチドの隠蔽を補助するヌクレオチド配列である。
【0345】
線状RNAへのリボソーム会合の伝統的機構は、RNAのキャップされた5’末端へのリボソーム結合を含む。リボソームは、5’末端から開始コドンに移動するとすぐに、第1のペプチド結合が形成される。本開示によると、環状ポリリボヌクレオチドの翻訳の内部開始(即ち、キャップ非依存性)は、遊離末端又はキャップ末端を必要としない。むしろ、リボソームは、非キャップ内部部位に結合し、それにより、リボソームは、ポリペプチド伸長を開始コドンで開始させる。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、リボソーム結合部位、例えば、開始コドンを含む、1つ又は複数のRNA配列を含む。
【0346】
天然5’UTRは、翻訳開始における役割を果たす特徴を有する。それは、リボソームが多数の遺伝子の翻訳を開始させるプロセスに関与することが一般に知られるコザック配列のようなシグネチャーを内包する。コザック配列は、コンセンサスCCR(A/G)CCAUGG(ここでRは、開始コドン(AUG)の3塩基上流のプリン(アデニン又はグアニン)である)を有し、それにもう一つの「G」が後続する。5’UTRは、伸長因子結合に関与する二次構造を形成することも知られている。
【0347】
いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、タンパク質に結合するタンパク質結合配列をコードする。いくつかの実施形態では、タンパク質結合配列は、環状ポリリボヌクレオチドを特異的標的に標的化し、又は局在化する。いくつかの実施形態では、タンパク質結合配列は、タンパク質のアルギニンリッチ領域に特異的に結合する。
【0348】
いくつかの実施形態では、タンパク質結合部位として、限定はされないが、ACIN1、AGO、APOBEC3F、APOBEC3G、ATXN2、AUH、BCCIP、CAPRIN1、CELF2、CPSF1、CPSF2、CPSF6、CPSF7、CSTF2、CSTF2T、CTCF、DDX21、DDX3、DDX3X、DDX42、DGCR8、EIF3A、EIF4A3、EIF4G2、ELAVL1、ELAVL3、FAM120A、FBL、FIP1L1、FKBP4、FMR1、FUS、FXR1、FXR2、GNL3、GTF2F1、HNRNPA1、HNRNPA2B1、HNRNPC、HNRNPK、HNRNPL、HNRNPM、HNRNPU、HNRNPUL1、IGF2BP1、IGF2BP2、IGF2BP3、ILF3、KHDRBS1、LARP7、LIN28A、LIN28B、m6A、MBNL2、METTL3、MOV10、MSI1、MSI2、NONO、NONO-、NOP58、NPM1、NUDT21、PCBP2、POLR2A、PRPF8、PTBP1、RBFOX2、RBM10、RBM22、RBM27、RBM47、RNPS1、SAFB2、SBDS、SF3A3、SF3B4、SIRT7、SLBP、SLTM、SMNDC1、SND1、SRRM4、SRSF1、SRSF3、SRSF7、SRSF9、TAF15、TARDBP、TIA1、TNRC6A、TOP3B、TRA2A、TRA2B、U2AF1、U2AF2、UNK、UPF1、WDR33、XRN2、YBX1、YTHDC1、YTHDF1、YTHDF2、YWHAG、ZC3H7B、PDK1、AKT1、又は、RNAに結合する任意の他のタンパク質などのタンパク質への結合部位が挙げられる。
【0349】
使用方法
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のとおりに作製されたポリリボヌクレオチド(例えば、環状ポリリボヌクレオチド)は、治療又は農業におけるエフェクターとして使用される。
【0350】
例えば、本明細書に記載の方法によって精製されたポリリボヌクレオチドは、(例えば、医薬、動物、又は農業組成物で)対象に投与してもよい。いくつかの実施形態では、対象は、脊椎動物(例えば、哺乳動物、鳥類、魚類、爬虫類、又は両生類)である。いくつかの実施形態では、対象はヒトである。いくつかの実施形態では、対象は非ヒト哺乳動物である。実施形態では、対象は、非ヒト霊長類(例えば、サル、類人猿)、有蹄動物(例えば、ウシ、水牛、ヒツジ、ヤギ、ブタ、ラクダ、ラマ、アルパカ、シカ、ウマ、ロバ)、肉食動物(例えば、イヌ、ネコ)、齧歯類(例えば、ラット、マウス)、又はウサギ類(例えば、ウサギ)などの非ヒト哺乳動物である。実施形態では、対象は、キジ目(Galliformes)(例えば、ニワトリ、シチメンチョウ、キジ、ウズラ)、ガンカモ目(Anseriformes)(例えば、アヒル、ガチョウ)、古顎類(Paleaognathae)(例えば、ダチョウ、エミュー)、ハト目(Columbiformes)(例えば、ハト(pigeons)、ハト(doves))、又はオウム目(Psittaciformes)(例えば、オウム)といった鳥類分類群のメンバーなどの鳥類である。実施形態では、対象は、節足動物(例えば、昆虫、クモ類、甲殻類)、線虫、環形動物、蠕虫、又は軟体類などの無脊椎動物である。実施形態では、対象は、無脊椎動物の農業害虫又は無脊椎動物若しくは脊椎動物宿主に対する寄生虫である無脊椎動物である。実施形態では、対象は、被子植物(双子葉又は単子葉であり得る)又は裸子植物(例えば、針葉樹、ソテツ、マオウ門(Gnetophyte)、イチョウ)、シダ、ツクシ、ヒカゲノカズラ、又はコケ植物などの植物である。実施形態では、対象は、真核藻類(単細胞又は多細胞)である。実施形態では、対象は、作条作物、果実生成植物及び樹木、野菜、樹木、及び観賞植物、例えば、観賞花、低木、樹木、グランドカバー、及び芝生などの農業又は園芸上重要な植物である。
【0351】
いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載の組成物又は調製物を対象に提供することによる、対象を変更する方法を提供する。いくつかの実施形態では、組成物又は調製物は、核酸分子(例えば、本明細書に記載のDNA分子又はRNA分子)であるか又はそれを含み、ポリヌクレオチドは、真核生物対象に提供される。いくつかの実施形態では、組成物又は調製物は、本明細書に記載の核酸を含む真核又は原核細胞であるか又はそれを含む。
【0352】
いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載の組成物又は調製物を対象に提供することによる、それを必要とする対象における症状を処置する方法を提供する。いくつかの実施形態では、組成物又は調製物は、核酸分子(例えば、本明細書に記載のDNA分子又はポリリボヌクレオチド)であるか又はそれを含み、ポリヌクレオチドは、真核生物対象に提供される。いくつかの実施形態では、組成物又は調製物は、本明細書に記載の核酸を含む真核又は原核細胞であるか又はそれを含む。
【0353】
いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載のポリヌクレオチドを含む真核生物又は原核細胞を対象に提供することによる、ポリリボヌクレオチド(例えば、環状ポリリボヌクレオチド)を対象に提供する方法を提供する。
【0354】
調製物
本開示のいくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリリボヌクレオチド(例えば、環状ポリリボヌクレオチド)又は本方法により調製されるその調整物は、組成物、例えば、細胞、植物、無脊椎動物、非ヒト脊椎動物、又はヒト対象への送達のための組成物、例えば、農業、動物、又は医薬組成物で製剤化することができる。いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、医薬組成物で製剤化される。いくつかの実施形態では、組成物は、ポリリボヌクレオチド及び希釈剤、担体、アジュバント、又はそれらの組み合わせを含む。特定の実施形態では、組成物は、本明細書に記載のポリリボヌクレオチド及び担体又は担体を全く含まない希釈剤を含む。いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドと担体を全く含まない希釈剤とを含む組成物は、ポリリボヌクレオチド(例えば、環状ポリリボヌクレオチド)の対象へのネイキッド送達に使用される。
【0355】
医薬組成物は、任意選択的に、1つ以上の追加的な活性物質、例えば、治療及び/又は予防活性物質を含んでもよい。医薬組成物は、任意選択的に、本明細書に記載の組成物(例えば、環状ポリリボヌクレオチド、例えば、米国食品医薬品局(United States Food and Drug Administration)(FDA)によって承認され、不活性成分データベース内に列記されている不活性成分のいずれか1つを含む組成物)の媒体又は培地として役立つ不活性物質を含んでもよい。本発明の医薬組成物は、無菌及び/又はパイロジェンフリーであってもよい。医薬品の製剤化及び/又は製造における一般的考察は、例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy 21st ed.,Lippincott Williams & Wilkins,2005(参照により本明細書中に援用される)において見出すことができる。不活性物質の非限定例として、溶媒、水性溶媒、非水性溶媒、分散媒、希釈剤、分散体、懸濁補助剤、表面活性剤、等張剤、増粘剤、乳化剤、保存剤、ポリマー、ペプチド、タンパク質、細胞、ヒアルロニダーゼ、分散剤、造粒剤、崩壊剤、結合剤、緩衝剤(例えば、リン酸緩衝生理食塩水(PBS))、平滑剤、油、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0356】
本明細書に提供される医薬組成物の説明は、主にヒトへの投与に適する医薬組成物を対象とするが、このような組成物が任意の他の動物、例えば非ヒト動物、例えば非ヒト哺乳類への投与に一般的に適することは当業者によって理解されるであろう。ヒトへの投与に適する医薬組成物の、組成物を様々な動物への投与にとって好適なものにする修飾は、十分に理解されており、通常の技能を有する獣医薬理学者は、単に通常の(可能であれば)実験を行うことで、そのような修飾を設計及び/又は実施することができる。医薬組成物の投与が企図される対象として、限定はされないが、ヒト及び/若しくは他の霊長類;ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ネコ、イヌ、マウス、及び/若しくはラットなどの商業的に重要な哺乳類を含む哺乳類;並びに/又は家禽、ニワトリ、アヒル、ガチョウ、及び/若しくはシチメンチョウなどの商業的に重要な鳥類を含む鳥類が挙げられる。
【0357】
本明細書に記載の医薬組成物の調製物は、薬理学の分野における公知の又は以降に開発されている任意の方法によって調製することができる。一般に、そのような予備的方法は、活性成分を賦形剤及び/又は1つ以上の他の付属成分と会合状態にし、そして次に、必要である場合及び/又は望ましい場合、製品を分割、形成及び/又はパッケージングするステップを含む。
【0358】
いくつかの実施形態では、調製物中に存在する線状ポリリボヌクレオチド分子の量についての参照基準は、線状ポリリボヌクレオチド分子の1ng/mL、5ng/mL、10ng/mL、15ng/mL、20ng/mL、25ng/mL、30ng/mL、35ng/mL、40ng/mL、50ng/mL、60ng/mL、70ng/mL、80ng/mL、90ng/mL、100ng/mL、200ng/mL、300ng/mL、400ng/mL、500ng/mL、600ng/mL、1μg/ml、10μg/mL、50μg/mL、100μg/mL、200g/mL、300μg/mL、400μg/mL、500μg/mL、600μg/mL、700μg/mL、800μg/mL、900μg/mL、1mg/mL、1.5mg/ml、又は2mg/ml以下の存在である。
【0359】
いくつかの実施形態では、調製物中に存在する環状ポリリボヌクレオチド分子の量についての参照基準は、医薬調製物中の全リボヌクレオチド分子の少なくとも30%(w/w)、40%(w/w)、50%(w/w)、60%(w/w)、70%(w/w)、80%(w/w)、85%(w/w)、90%(w/w)、91%(w/w)、92%(w/w)、93%(w/w)、94%(w/w)、95%(w/w)、96%(w/w)、97%(w/w)、98%(w/w)、99%(w/w)、99.1%(w/w)、99.2%(w/w)、99.3%(w/w)、99.4%(w/w)、99.5%(w/w)、99.6%(w/w)、99.7%(w/w)、99.8%(w/w)、99.9%(w/w)、又は100%(w/w)の分子である。
【0360】
いくつかの実施形態では、調製物中に存在する線状ポリリボヌクレオチド分子の量についての参照基準は、医薬調製物中の全リボヌクレオチド分子の0.5%(w/w)、1%(w/w)、2%(w/w)、5%(w/w)、10%(w/w)、15%(w/w)、20%(w/w)、25%(w/w)、30%(w/w)、40%(w/w)、50%(w/w)以下の線状ポリリボヌクレオチド分子である。
【0361】
いくつかの実施形態では、調製物中に存在するニックポリリボヌクレオチド分子の量についての参照基準は、医薬調製物中の全リボヌクレオチド分子の0.5%(w/w)、1%(w/w)、2%(w/w)、5%(w/w)、10%(w/w)、又は15%(w/w)以下のニックポリリボヌクレオチド分子である。
【0362】
いくつかの実施形態では、調製物中に存在するニック及び線状ポリリボヌクレオチド分子の組み合わせの量についての参照基準は、医薬調製物中の全リボヌクレオチド分子の0.5%(w/w)、1%(w/w)、2%(w/w)、5%(w/w)、10%(w/w)、15%(w/w)、20%(w/w)、25%(w/w)、30%(w/w)、40%(w/w)、50%(w/w)以下のニック及び線状ポリリボヌクレオチド分子の組み合わせである。いくつかの実施形態では、医薬調製物は、最終の環状ポリリボヌクレオチド製剤の中間医薬調製物である。いくつかの実施形態では、医薬調製物は、原体又は活性医薬成分(API)である。いくつかの実施形態では、医薬調製物は、対象への投与のための製剤である。
【0363】
いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドの調製物は、(線状RNAの減少の前、間又は後に)さらに処理され、DNA、タンパク質汚染物質(例えば、宿主細胞タンパク質などの細胞タンパク質又はプロセス不純物タンパク質)、内毒素、モノヌクレオチド分子、及び/又はプロセス関連不純物が実質的に除去される。
【0364】

いくつかの場合、本明細書に提供される組成物又は医薬組成物は、1つ又は複数の塩を含む。浸透圧を制御するため、ナトリウム塩などの生理学的塩が、本明細書に提供される組成物に含まれ得る。他の塩は、塩化カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二ナトリウム、及び/又は塩化マグネシウムなどを含み得る。いくつかの場合、組成物は、1つ又は複数の薬学的に許容できる塩と共に製剤化される。1つ又は複数の薬学的に許容できる塩は、例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムイオンなどの無機イオンのものを含み得る。そのような塩は、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硝酸、硫酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、酢酸、フマル酸、コハク酸、乳酸、マンデル酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、又はマレイン酸などの無機酸又は有機酸の塩を含み得る。ポリリボヌクレオチドは、線状又は環状のいずれかの形態で存在し得る。
【0365】
緩衝剤/pH
本明細書に提供される組成物又は医薬組成物は、トリス緩衝剤;ホウ酸緩衝剤;コハク酸緩衝剤;ヒスチジン緩衝剤(例えば、水酸化アルミニウムアジュバントを有する);又はクエン酸緩衝剤などの1つ又は複数の緩衝剤を含み得る。緩衝剤は、いくつかの場合、5~20mMの範囲内に含まれる。
【0366】
本明細書に提供される組成物又は医薬組成物は、約5.0~約8.5の間、約6.0~約8.0の間、約6.5~約7.5の間、又は約7.0~約7.8の間のpHを有し得る。組成物又は医薬組成物は、約7のpHを有し得る。ポリリボヌクレオチドは、線状又は環状のいずれかの形態で存在し得る。
【0367】
希釈剤
いくつかの実施形態では、本開示の組成物は、ポリリボヌクレオチド、又は本明細書に記載の方法によって調製されたその調製物、及び希釈剤を含む。
【0368】
希釈剤は、非担体賦形剤であり得る。非担体賦形剤は、本明細書に記載される環状ポリリボヌクレオチドなどの、組成物のためのビヒクル又は媒体として働く。非担体賦形剤は、本明細書に記載される線状ポリリボヌクレオチドなどの、組成物のためのビヒクル又は媒体として働く。非担体賦形剤の非限定的な例としては、溶媒、水性溶媒、非水性溶媒、分散媒、希釈剤、分散体、懸濁助剤、表面活性剤、等張剤、増粘剤、乳化剤、保存料、ポリマー、ペプチド、タンパク質、細胞、ヒアルロニダーゼ、分散剤、造粒剤、崩壊剤、結合剤、緩衝剤(例えば、リン酸緩衝生理食塩水(PBS))、滑沢剤、油、又はそれらの混合物が挙げられる。非担体賦形剤は、米国食品医薬品局(United States Food and Drug Administration)(FDA)によって承認され、細胞透過効果を示さないInactive Ingredient Databaseに列挙された非有効成分のいずれかであり得る。非担体賦形剤は、例えば、獣医学的使用に好適な非ヒト動物への投与に好適な任意の不活性成分であり得る。組成物を様々な動物への投与に好適にするための、ヒトへの投与に好適な組成物の変更は、十分に理解されており、通常の技能を有する獣医薬理学者は、あったとしても通常の実験のみでこのような変更を設計及び/又は行うことができる。
【0369】
ある実施形態では、ポリリボヌクレオチド(例えば、環状ポリリボヌクレオチド)は、希釈剤を含むものなどのネイキッド送達製剤として送達され得る。ネイキッド送達製剤は、担体を用いずに、修飾又はポリリボヌクレオチドの部分的若しくは完全な封入、キャップされたポリリボヌクレオチド、又はその複合体なしで、ポリリボヌクレオチドを細胞に送達する。
【0370】
ネイキッド送達製剤は、担体を含まない製剤であり、ポリリボヌクレオチド(例えば、環状ポリリボヌクレオチド)は、細胞への送達を助ける部分に結合する共有結合修飾を有さず、又はポリリボヌクレオチドの部分的若しくは完全な封入なしである。ある実施形態では、細胞への送達を助ける部分に結合する共有結合修飾を有さないポリリボヌクレオチドは、タンパク質、小分子、粒子、ポリマー、又はバイオポリマーに共有結合されないポリリボヌクレオチドである。細胞への送達を助ける部分に結合する共有結合修飾を有さないポリリボヌクレオチドは、修飾リン酸基を含まない。例えば、細胞への送達を助ける部分に結合する共共有結合修飾を有さないポリリボヌクレオチドは、ホスホロチオエート、ホスホロセレネート、ボラノホスフェート、ボラノリン酸エステル、水素ホスホネート、ホスホロアミダート、ホスホロジアミダート、アルキル又はアリールホスホネート、又はホスホトリエステルを含まない。
【0371】
ある実施形態では、ネイキッド送達製剤は、トランスフェクション試薬、カチオン性担体、炭水化物担体、ナノ粒子担体、又はタンパク質担体のうちのいずれか又は全てを含まない。ある実施形態では、ネイキッド送達製剤は、フィトグリコーゲンオクテニルスクシネート、フィトグリコーゲンβ-デキストリン、無水物修飾フィトグリコーゲンβ-デキストリン、リポフェクタミン、ポリエチレンイミン、ポリ(トリメチレンイミン)、ポリ(テトラメチレンイミン)、ポリプロピレンイミン、アミノグリコシド-ポリアミン、ジデオキシ-ジアミノ-β-シクロデキストリン、スペルミン、スペルミジン、ポリ(2-ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、ポリ(リジン)、ポリ(ヒスチジン)、ポリ(アルギニン)、カチオン化ゼラチン、デンドリマー、キトサン、1,2-ジオレオイル-3-トリメチルアンモニウム-プロパン(DOTAP)、N-[1-(2,3-ジオレオイルオキシ)プロピル]-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロリド(DOTMA)、1-[2-(オレオイルオキシ)エチル]-2-オレイル-3-(2-ヒドロキシエチル)イミダゾリニウムクロリド(DOTIM)、2,3-ジオレイルオキシ-N-[2(スペルミンカルボキサミド)エチル]-N,N-ジメチル-1-プロパンアミニウムトリフルオロアセテート(DOSPA)、3B-[N-(N,N’-ジメチルアミノエタン)-カルバモイル]コレステロール塩酸塩(DC-コレステロールHCl)、ジヘプタデシルアミドグリシルスペルミジン(DOGS)、N,N-ジステアリル-N,N-ジメチルアンモニウムブロミド(DDAB)、N-(1,2-ジミリスチルオキシプロパ-3-イル)-N,N-ジメチル-N-ヒドロキシエチルアンモニウムブロミド(DMRIE)、N,N-ジオレイル-N,N-ジメチルアンモニウムクロリド(DODAC)、ヒト血清アルブミン(HSA)、低比重リポタンパク質(LDL)、高比重リポタンパク質(HDL)、又はグロブリンを含まない。
【0372】
ある実施形態では、ネイキッド送達製剤は、非担体賦形剤を含む。ある実施形態では、非担体賦形剤は、細胞透過効果を示さない不活性成分を含む。ある実施形態では、非担体賦形剤は、緩衝液、例えばPBSを含む。ある実施形態では、非担体賦形剤は、溶媒、非水性溶媒、希釈剤、懸濁助剤、表面活性剤、等張剤、増粘剤、乳化剤、保存料、ポリマー、ペプチド、タンパク質、細胞、ヒアルロニダーゼ、分散剤、造粒剤、崩壊剤、結合剤、緩衝剤、滑沢剤、又は油である。
【0373】
ある実施形態では、ネイキッド送達製剤は、希釈剤を含む。希釈剤は、液体希釈剤又は固体希釈剤であり得る。ある実施形態では、希釈剤は、RNA可溶化剤、緩衝液、又は等張剤である。RNA可溶化剤の例としては、水、エタノール、メタノール、アセトン、ホルムアミド、又は2-プロパノールが挙げられる。緩衝液の例としては、2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)、ビス-トリス、2-[(2-アミノ-2-オキソエチル)-(カルボキシメチル)アミノ]酢酸(ADA)、N-(2-アセトアミド)-2-アミノエタンスルホン酸(ACES)、ピペラジン-N,N’-ビス(2-エタンスルホン酸)(PIPES)、2-[[1,3-ジヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)プロパン-2-イル]アミノ]エタンスルホン酸(TES)、3-(N-モルホリノ)プロパンスルホン酸(MOPS)、4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸(HEPES)、トリス、トリシン、Gly-Gly、ビシン、又はホスフェートが挙げられる。等張剤の例としては、グリセリン、マンニトール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、トレハロース、又はスクロースが挙げられる。
【0374】
脂質ナノ粒子
本開示によって提供される組成物、方法、及び送達システムは、特定の実施形態において、本明細書に記載の脂質ナノ粒子(LNP)を含む任意の好適な担体又は送達モダリティを用い得る。脂質ナノ粒子は、ある実施形態では、1つ以上のイオン性脂質、例えば、非カチオン性脂質(例えば、中性又はアニオン性、又は両性脂質);1つ以上のコンジュゲート脂質(PEGコンジュゲート脂質又は全体が参照により本明細書に援用される国際公開第2019217941号パンフレットの表5に記載されるポリマーにコンジュゲートされた脂質など);1つ以上のステロール(例えば、コレステロール)を含む。
【0375】
ナノ粒子形成において使用され得る脂質(例えば、脂質ナノ粒子)は、例えば、参照により援用される国際公開第2019217941号パンフレットの表4に記載されるものを含み-例えば、脂質含有ナノ粒子は、国際公開第2019217941号パンフレットの表4中の脂質の1つ以上を含み得る。脂質ナノ粒子は、さらなる要素、例えば、ポリマー、例えば、参照により援用される国際公開第2019217941号パンフレットの表5に記載されるポリマーを含み得る。
【0376】
ある実施形態では、コンジュゲート脂質は、存在する場合、PEG-ジアシルグリセロール(DAG)(l-(モノメトキシ-ポリエチレングリコール)-2,3-ジミリストイルグリセロール(PEG-DMG)など)、PEG-ジアルキルオキシプロピル(DAA)、PEG-リン脂質、PEG-セラミド(Cer)、ペグ化ホスファチジルエタノールアミン(PEG-PE)、PEGスクシネートジアシルグリセロール(PEGS-DAG)(4-0-(2’,3’-ジ(テトラデカノイルオキシ)プロピル-l-0-(w-メトキシ(ポリエトキシ)エチル)ブタンジオエート(PEG-S-DMG)など)、PEGジアルコキシプロピルカルバム、N-(カルボニル-メトキシポリエチレングリコール2000)-1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミンナトリウム塩、及び国際公開第2019051289号パンフレット(参照により援用される)の表2に記載されるもの、又は上記のものの組合せのうちの1つ以上を含み得る。追加の例示的なPEG-脂質コンジュゲートは、例えば、米国特許第5,885,613号明細書、同第6,287,591号明細書、米国特許出願公開第2003/0077829号明細書、同第2005/0175682号明細書、同第2008/0020058号明細書、同第2011/0117125号明細書、同第2010/0130588号明細書、同第2016/0376224号明細書、同第2017/0119904号明細書、同第2018/0028664号明細書、及び国際公開第2017/099823号パンフレットに記載されており、これらの全ての内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0377】
ある実施形態では、脂質ナノ粒子に組み込まれ得るステロールとしては、参照により援用される国際公開第2009/127060号パンフレット又は米国特許出願公開第2010/0130588号明細書に記載されるものなどの、コレステロール又はコレステロール誘導体の1つ以上が挙げられる。さらなる例示的なステロールとしては、参照により本明細書に援用される、Eygeris et al.(2020)、dx.doi.org/10.1021/acs.nanolett.0c01386に記載されるものを含む植物ステロールが挙げられる。
【0378】
ある実施形態では、脂質粒子は、イオン化可能な脂質、非カチオン性脂質、粒子の凝集を阻害するコンジュゲート脂質、及びステロールを含む。
【0379】
脂質ナノ粒子製剤に使用され得る例示的なイオン化可能な脂質としては、限定はされないが、参照により本明細書に援用される国際公開第2019051289号パンフレットの表1に列挙されるものが挙げられる。さらなる例示的な脂質としては、限定はされないが、以下の式の1つ以上:米国特許出願公開第2016/0311759号明細書のX;米国特許出願公開第20150376115号明細書又は米国特許出願公開第2016/0376224号明細書のI;米国特許出願公開第20160151284号明細書のI、II又はIII;米国特許出願公開第20170210967号明細書のI、IA、II、又はIIA;米国特許出願公開第20150140070号明細書のI-c;米国特許出願公開第2013/0178541号明細書のA;米国特許出願公開第2013/0303587号明細書又は米国特許出願公開第2013/0123338号明細書のI;米国特許出願公開第2015/0141678号明細書のI;米国特許出願公開第2015/0239926号明細書のII、III、IV、又はV;米国特許出願公開第2017/0119904号明細書のI;国際公開第2017/117528号パンフレットのI又はII;米国特許出願公開第2012/0149894号明細書のA;米国特許出願公開第2015/0057373号明細書のA;国際公開第2013/116126号パンフレットのA;米国特許出願公開第2013/0090372号明細書のA;米国特許出願公開第2013/0274523号明細書のA;米国特許出願公開第2013/0274504号明細書のA;米国特許出願公開第2013/0053572号明細書のA;国際公開第2013/016058号パンフレットのA;国際公開第2012/162210号パンフレットのA;米国特許出願公開第2008/042973号明細書のI;米国特許出願公開第2012/01287670号明細書のI、II、III、又はIV;米国特許出願公開第2014/0200257号明細書のI又はII;米国特許出願公開第2015/0203446号明細書のI、II、又はIII;米国特許出願公開第2015/0005363号明細書のI又はIII;米国特許出願公開第2014/0308304号明細書のI、IA、IB、IC、ID、II、IIA、IIB、IIC、IID、又はIII~XXIV;米国特許出願公開第2013/0338210号明細書の;国際公開第2009/132131号パンフレットのI、II、III、又はIV;米国特許出願公開第2012/01011478号明細書のA;米国特許出願公開第2012/0027796号明細書のI又はXXXV;米国特許出願公開第2012/0058144号明細書のXIV又はXVII;米国特許出願公開第2013/0323269号明細書の;米国特許出願公開第2011/0117125号明細書のI;米国特許出願公開第2011/0256175号明細書のI、II、又はIII;米国特許出願公開第2012/0202871号明細書のI、II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX、X、XI、XII;米国特許出願公開第2011/0076335号明細書のI、II、III、IV、V、VI、VII、VIII、X、XII、XIII、XIV、XV、又はXVI;米国特許出願公開第2006/008378号明細書のI又はII;米国特許出願公開第2013/0123338号明細書のI;米国特許出願公開第2015/0064242号明細書のI又はX-A-Y-Z;米国特許出願公開第2013/0022649号明細書のXVI、XVII、又はXVIII;米国特許出願公開第2013/0116307号明細書のI、II、又はIII;米国特許出願公開第2013/0116307号明細書のI、II、又はIII;米国特許出願公開第2010/0062967号明細書のI又はII;米国特許出願公開第2013/0189351号明細書のI~X;米国特許出願公開第2014/0039032号明細書のI;米国特許出願公開第2018/0028664号明細書のV;米国特許出願公開第2016/0317458号明細書のI;米国特許出願公開第2013/0195920号明細書のI;米国特許出願公開第10,221,127号明細書の5、6、又は10;国際公開第2018/081480号パンフレットのIII-3;国際公開第2020/081938号パンフレットのI-5又はI-8;米国特許出願公開第9,867,888号明細書の18又は25;米国特許出願公開第2019/0136231号明細書のA;国際公開第2020/219876号パンフレットのII;米国特許出願公開第2012/0027803号明細書の1;米国特許出願公開第2019/0240349号明細書のOF-02;米国特許出願公開第10,086,013号明細書の23;Miao et al(2020)のcKK-E12/A6;国際公開第2010/053572号パンフレットのC12-200;Dahlman et al(2017)の7C1;Whitehead et alの304-O13又は503-O13;米国特許第9,708,628号明細書のTS-P4C2;国際公開第2020/106946号パンフレットのI;国際公開第2020/106946号パンフレットのI;及び国際公開第2021/113777号パンフレットの(1)、(2)、(3)又は(4)が挙げられる。例示的脂質としては、国際公開第2021/113777号パンフレットの表1~表16のいずれか1つの脂質がさらに挙げられる。
【0380】
例示的な非カチオン性脂質としては、限定はされないが、ジステアロイル-sn-グリセロ-ホスホエタノールアミン、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジオレイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジオレオイルホスファチジルグリセロール(DOPG)、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール(DPPG)、ジオレオイル-ホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、パルミトイルオレオイルホスファチジルコリン(POPC)、パルミトイルオレオイルホスファチジルエタノールアミン(POPE)、ジオレオイル-ホスファチジルエタノールアミン4-(N-マレイミドメチル)-シクロヘキサン-1-カルボキシレート(DOPE-mal)、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(DPPE)、ジミリストイルホスホエタノールアミン(DMPE)、ジステアロイル-ホスファチジル-エタノールアミン(DSPE)、モノメチル-ホスファチジルエタノールアミン(16-O-モノメチルPEなど)、ジメチル-ホスファチジルエタノールアミン(16-O-ジメチルPEなど)、l8-l-trans PE、l-ステアロイル-2-オレオイル-ホスファチジルエタノールアミン(SOPE)、水素化大豆ホスファチジルコリン(HSPC)、卵ホスファチジルコリン(EPC)、ジオレオイルホスファチジルセリン(DOPS)、スフィンゴミエリン(SM)、ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)、ジミリストイルホスファチジルグリセロール(DMPG)、ジステアロイルホスファチジルグリセロール(DSPG)、ジエルコイルホスファチジルコリン(DEPC)、パルミトイルオレオイルホスファチジルグリセロール(POPG)、ジエライドイル-ホスファチジルエタノールアミン(DEPE)、レシチン、ホスファチジルエタノールアミン、リゾレシチン、リゾホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、スフィンゴミエリン、卵スフィンゴミエリン(ESM)、セファリン、カルジオリピン、ホスファチジン酸、セレブロシド、ジセチルホスフェート、リゾホスファチジルコリン、ジリノレオイルホスファチジルコリン、又はそれらの混合物が挙げられる。他のジアシルホスファチジルコリン及びジアシルホスファチジルエタノールアミンリン脂質も使用され得ることが理解される。これらの脂質中のアシル基は、好ましくは、C10~C24炭素鎖を有する脂肪酸に由来するアシル基、例えば、ラウロイル、ミリストイル、パルミトイル、ステアロイル、又はオレオイルである。さらなる例示的な脂質としては、特定の実施形態において、限定はされないが、参照により本明細書に援用される、Kim et al.(2020)dx.doi.org/10.1021/acs.nanolett.0c01386に記載されるものが挙げられる。このような脂質としては、ある実施形態では、mRNA(例えば、DGTS)との肝臓トランスフェクションを改善することが分かっている植物脂質が挙げられる。
【0381】
脂質ナノ粒子に使用するのに好適な非カチオン性脂質の他の例としては、限定はされないが、非リン脂質、例えば、ステアリルアミン、ドデシルアミン、ヘキサデシルアミン、パルミチン酸アセチル、リシノール酸グリセロール、ステアリン酸ヘキサデシル、ミリスチン酸イソプロピル、両性アクリルポリマー、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、アルキル-アリールサルフェートポリエチルオキシ化脂肪酸アミド、ジオクタデシルジメチルアンモニウムブロミド、セラミド、スフィンゴミエリンなどが挙げられる。他の非カチオン性脂質が、国際公開第2017/099823号パンフレット又は米国特許出願公開第2018/0028664号明細書(全内容が参照により本明細書に援用される)に記載される。
【0382】
番号付けした実施形態
[1] 環状ポリリボヌクレオチド(circRNA)の濃縮集団を生産するための方法であって、上記方法が、以下:(a)circRNA及び線状ポリリボヌクレオチド(linRNA)を含むポリリボヌクレオチドの集団を含むサンプルを用意するステップと;(b)ゲル電気泳動の使用を含まない変性条件下で、linRNAからcircRNAを分離し、それによってcircRNAの濃縮集団を生産するステップと、を含む方法。
[2] circRNAの濃縮集団を生産するための方法であって、上記方法が、以下:(a)circRNA及びlinRNAを含むポリリボヌクレオチドの集団を含むサンプルを用意するステップと;(b)ポリリボヌクレオチドの集団を変性条件に曝露し、それによって、circRNAの集団を濃縮するステップと、を含む方法。
[3] (i)ポリリボヌクレオチドの集団中のポリリボヌクレオチドの総重量が、少なくとも1μgであり;(ii)ポリリボヌクレオチドの集団を含むサンプルの総量が、少なくとも500μLであるか;又は(iii)サンプル中のポリリボヌクレオチドの集団の濃度が、少なくとも200ng/μLである、実施形態[1]又は[2]に記載の方法。
[4] circRNAの濃縮集団を生産するための方法であって、上記方法が、以下:(a)circRNA及びlinRNAを含むポリリボヌクレオチドの集団を含むサンプルを用意するステップであって、(i)ポリリボヌクレオチドの集団中のポリリボヌクレオチドの総重量が、少なくとも1μgであり;(ii)ポリリボヌクレオチドの集団を含むサンプルの総量が、少なくとも500μLであり;又は(iii)サンプル中のポリリボヌクレオチドの集団の濃度が、少なくとも200ng/μLである、ステップと;(b)変性条件下でlinRNAからcircRNAを分離し、それによって、circRNAの濃縮集団を生産するステップを含む方法。
[5] ポリリボヌクレオチドの集団中のポリリボヌクレオチドの総重量が、1μg~1000mgである、実施形態[1]~[4]のいずれか1つに記載の方法。
[6] リリボヌクレオチドの集団中のポリリボヌクレオチドの総量が、500μL~1000mLである、実施形態[1]~[5]のいずれか1つに記載の方法。
[7] ポリリボヌクレオチドの集団中のポリリボヌクレオチドの濃度が、200ng/μL~50mg/mLである、実施形態[1]~[6]のいずれか1つに記載の方法。
[8] 分離ステップ(b)が、ゲル電気泳動の使用を含まない変性条件下で実施される、実施形態[4]~[7]のいずれか1つに記載の方法。
[9] circRNAの濃縮集団が、1種若しくは複数種の不純物又は副産物を実質的に含まない、実施形態[1]~[8]のいずれか1つに記載の方法。
[10] 1種若しくは複数種の不純物又は副産物が、ポリアクリルアミド、ホウ酸、マグネシウム、又はエチレンジアミン四酢酸(EDTA)を含む、実施形態[9]に記載の方法。
[11] 変性条件が、少なくとも50℃の温度を含む、実施形態[1]~[10]のいずれか1つに記載の方法。
[12] 変性条件が、50℃~85℃の温度を含む、実施形態[11]に記載の方法。
[13] 変性条件が、少なくとも50℃の温度、続いて30秒以下の時間内に8℃以下の温度を含む、実施形態[1]~[12]のいずれか1つに記載の方法。
[14] 変性条件が、5未満のpH又は9を超えるpHを含む、実施形態[1]~[13]のいずれか1つに記載の方法。
[15] 変性条件が、5未満のpHを含む、実施形態[14]に記載の方法。
[16] 変性条件が、9を超える、実施形態[14]に記載の方法。
[17] 変性条件が、化学処理を含む、実施形態[1]~[16]のいずれか1つに記載の方法。
[18] 化学処理が、酸、塩基、有機溶媒、カオトロピック剤、クラウディング剤、キレート剤、デタージェント、又は塩溶液による処理を含む、実施形態[17]に記載の方法。
[19] 上記酸が、1mM~500mMの酢酸、塩酸、サリチル酸、リン酸、ホウ酸、ギ酸、シュウ酸、クエン酸、安息香酸、モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、アスコルビン酸、又は硝酸を含む、実施形態[18]に記載の方法。
[20] 上記塩基が、1mM~500mMの水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、イミダゾール、ヒスチジン、炭酸水素ナトリウム、グアニジン、又はトリエチルアミンを含む、実施形態[18]又は[19]に記載の方法。
[21] 上記有機溶媒が、少なくとも0.1%(v/v)のジメチルスルホキシド、酢酸トリエチルアンモニウム、メタノール、エタノール、2-プロパノール、イソプロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、t-ブタノール、イソブタノール、フェノール、クロロホルム、ヘキサン、アセトニトリル、ホルムアミド、アセトン、デナトニウム、又はプロピレングリコールを含む、実施形態[18]~[20]のいずれか1つに記載の方法。
[22] 上記カオトロピック剤が、100mM~8Mの尿素、塩化グアニジニウム、過塩素酸リチウム、又はポリエチレングリコール(PEG)を含む、実施形態[18]~[21]のいずれか1つに記載の方法。
[23] 上記カオトロピック剤が、100mM~8Mのn-ドデシルβ-d-マルトシド、n-オクチルグルコシド、CHAPS、又はデオキシコール酸塩を含む、実施形態[18]~[22]のいずれか1つに記載の方法。
[24] 上記クラウディング剤が、100mM~8MのPEG、又は尿素を含む、実施形態[18]~[23]のいずれか1つに記載の方法。
[25] 上記キレート剤が、1mM~10mMのエチレングリコール-ビス(β-アミノエチルエーテル)-N,N,N’,N’-テトラ酢酸(EGTA)若しくはその誘導体、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)若しくはその誘導体、ニトリロ三酢酸(NTA)、イミノジコハク酸(IDS)、ポリアスパラギン酸、S,S-エチレンジアミン-N,N’-ジコハク酸(EDDS)、又はメチルグリシン二酢酸(MGDA)を含む、実施形態[18]~[24]のいずれか1つに記載の方法。
[26] 上記デタージェントが、0.005%~0.05%(v/v)のノニデット(登録商標)(Nonidet)P-40(NP40)、CHAPS、オクチルβ-D-グルコピラノシド、n-ドデシルβ-d-マルトシド、Tween(登録商標)-20、又はTween(登録商標)-80を含む、実施形態[18]~[25]のいずれか1つに記載の方法。
[27] circRNAの濃縮集団を生産するための方法であって、上記方法が、以下:(a)circRNA及びlinRNAを含むポリリボヌクレオチドの集団を含むサンプルを用意するステップと;(b)少なくとも50℃の温度でlinRNAからcircRNAを分離し、それによって、circRNAの濃縮集団を生産するステップと、を含み、分離ステップは、ゲル電気泳動の使用を含まない方法。
[28] circRNAの濃縮集団を生産するための方法であって、上記方法が、以下:(a)circRNA及びlinRNAを含むポリリボヌクレオチドの集団を含むサンプルを用意するステップであって、(i)ポリリボヌクレオチドの集団中のポリリボヌクレオチドの総重量が、少なくとも1μgであり;(ii)ポリリボヌクレオチドの集団を含むサンプルの総量が、少なくとも500μLであるか;又は(iii)サンプル中のポリリボヌクレオチドの集団の濃度が、少なくとも200ng/μLであるステップと;(b)少なくとも50℃の温度で、linRNAからcircRNAを分離し、それによって、circRNAの濃縮集団を生産するステップと、を含む方法。
[29] circRNAの濃縮集団を生産するための方法であって、上記方法が、以下:(a)circRNA及びlinRNAを含むポリリボヌクレオチドの集団を含むサンプルを用意するステップと;(b)ポリリボヌクレオチドの集団を少なくとも50℃の温度に曝露し、それによって、circRNAの集団を濃縮するステップと、を含む方法。
[30] 温度が、50℃~85℃である、[27]~[29]のいずれか1つに記載の方法。
[31] circRNAの濃縮集団を生産するための方法であって、上記方法が、以下:(a)circRNA及びlinRNAを含むポリリボヌクレオチドの集団を含むサンプルを用意するステップと;(b)5未満又は9超のpHで、linRNAからcircRNAを分離し、それによって、circRNAの濃縮集団を生産するステップと、を含み、上記分離は、ゲル電気泳動の使用を含まない、方法。
[32] circRNAの濃縮集団を生産するための方法であって、上記方法が、以下:(a)circRNA及びlinRNAを含むポリリボヌクレオチドの集団を含むサンプルを用意するステップであって、(i)ポリリボヌクレオチドの集団中のポリリボヌクレオチドの総重量が、少なくとも1μgであり;(ii)ポリリボヌクレオチドの集団を含むサンプルの総量が、少なくとも500μLであるか;又は(iii)サンプル中のポリリボヌクレオチドの集団の濃度が、少なくとも200ng/μLである、ステップと;(b)5未満又は9超のpHで、linRNAからcircRNAを分離し、それによって、circRNAの濃縮集団を生産するステップを含む方法。
[33] circRNAの濃縮集団を生産するための方法であって、上記方法が、以下:(a)circRNA及びlinRNAを含むポリリボヌクレオチドの集団を含むサンプルを用意するステップと;(b)ポリリボヌクレオチドの集団を5未満又は9超のpHに曝露し、それによって、circRNAの集団を濃縮するステップと、を含む方法。
[34] pHが、5未満である、実施形態[31]~[33]のいずれか1つに記載の方法。
[35] pHが、9を超える、実施形態[31]~[33]のいずれか1つに記載の方法。
[36] circRNAの濃縮集団を生産するための方法であって、上記方法が、以下:(a)circRNA及びlinRNAを含むポリリボヌクレオチドの集団を含むサンプルを用意するステップと;(b)酸、塩基、有機溶媒、カオトロピック剤、クラウディング剤、キレート剤、デタージェント、又は塩溶液を含む条件下で、circRNAをlinRNAから分離し、それによって、circRNAの濃縮集団を生産するステップと、を含み、上記分離は、ゲル電気泳動の使用を含まない、方法。
[37] circRNAの濃縮集団を生産するための方法であって、上記方法が、以下:(a)circRNA及びlinRNAを含むポリリボヌクレオチドの集団を含むサンプルを用意するステップであって、(i)ポリリボヌクレオチドの集団中のポリリボヌクレオチドの総重量が、少なくとも1μgであり;(ii)ポリリボヌクレオチドの集団を含むサンプルの総量が、少なくとも500μLであるか;又は(iii)サンプル中のポリリボヌクレオチドの集団の濃度が、少なくとも200ng/μLである、ステップと;(b)酸、塩基、有機溶媒、カオトロピック剤、クラウディング剤、キレート剤、デタージェント、又は塩溶液を含む条件下で、linRNAからcircRNAを分離し、それによって、circRNAの濃縮集団を生産するステップと、を含む方法。
[38] circRNAの濃縮集団を生産するための方法であって、上記方法が、以下:(a)circRNA及びlinRNAを含むポリリボヌクレオチドの集団を含むサンプルを用意するステップと;(b)ポリリボヌクレオチドの集団を、酸、塩基、有機溶媒、カオトロピック剤、クラウディング剤、キレート剤、デタージェント、又は塩溶液に曝露し、それによって、circRNAの集団を濃縮するステップと、を含む方法。
[39] 上記酸が、少なくとも0.5%(v/v)の酢酸、塩酸、サリチル酸、リン酸、ホウ酸、ギ酸、シュウ酸、クエン酸、安息香酸、モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、アスコルビン酸、又は硝酸を含む、実施形態[36]~[38]のいずれか1つに記載の方法。
[40] 上記塩基が、1mM~500mMの水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、イミダゾール、ヒスチジン、炭酸水素ナトリウム、グアニジン、又はトリエチルアミンを含む、実施形態[36]~[38]のいずれか1つに記載の方法。
[41] 上記有機溶媒が、少なくとも0.1%(v/v)のジメチルスルホキシド、酢酸トリエチルアンモニウム、メタノール、エタノール、2-プロパノール、イソプロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、t-ブタノール、イソブタノール、フェノール、クロロホルム、ヘキサン、アセトニトリル、ホルムアミド、アセトン、デナトニウム、又はプロピレングリコールを含む、実施形態[36]~[38]のいずれか1つに記載の方法。
[42] 上記カオトロピック剤が、100mM~8Mの尿素、塩化グアニジニウム、過塩素酸リチウム、又はポリエチレングリコール(PEG)を含む、実施形態[36]~[38]のいずれか1つに記載の方法。
[43] 上記カオトロピック剤が、100mM~8Mのn-ドデシルβ-d-マルトシド、n-オクチルグルコシド、CHAPS、又はデオキシコール酸塩を含む、[36]~[38]のいずれか1つに記載の方法。
[44] 上記クラウディング剤が、100mM~8Mのポリエチレングリコール(PEG)、又は尿素を含む、[36]~[38]のいずれか1つに記載の方法。
[45] 上記キレート剤が、1mM~10mMのEGTA若しくはその誘導体、EDTA若しくはその誘導体、NTA、IDS、EDDS、又はMGDAを含む、実施形態[36]~[38]のいずれか1つに記載の方法。
[46] 上記デタージェントが、0.005%~0.05%(v/v)のNP40、CHAPS、オクチルβ-D-グルコピラノシド、n-ドデシルβ-d-マルトシド、Tween(登録商標)-20、又はTween(登録商標)-80を含む、実施形態[36]~[38]のいずれか1つに記載の方法。
[47] ステップ(b)が、ポリリボヌクレオチドの集団に対してカラムクロマトグラフィーを実施する工程を含み、カラムクロマトグラフィーを実施する工程は、平衡化ステップ、サンプルロードステップ、カラム洗浄ステップ、及び溶離ステップを含む、実施形態[1]~[46]のいずれか1つに記載の方法。
[48] 上記分離ステップが、サンプルロードステップ中に実施される、実施形態[47]に記載の方法。
[49] 上記分離ステップが、カラム洗浄ステップ中に実施される、実施形態[46]又は[47]に記載の方法。
[50] 上記分離ステップが、溶離ステップ中に実施される、実施形態[47]~[49]のいずれか1つに記載の方法。
[51] カラムクロマトグラフィーが、高速タンパク質液体クロマトグラフィー(FPLC)、高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)、陰イオン交換クロマトグラフィー(AEC)、混合モードクロマトグラフィー、又はアフィニティークロマトグラフィーを含む、実施形態[47]~[50]のいずれか1つに記載の方法。
[52] 上記AECが、以下:スチレン-ジビニルベンゼン、シリカ、セファロース、セルロース、デキストラン、エポキシポリアミン、メタクリレート、アガロース、及びアクリルからなる群から選択される陰イオン交換樹脂の使用を含む、実施形態[51]に記載の方法。
[53] 上記陰イオン交換樹脂が、第4級アンモニウム、アミノエチル、ジエチルアミノエチル、又はジエチルアミノプロピルからなる群から選択されるイオン交換体を含む、実施形態[52]に記載の方法。
[54] 上記陰イオン交換樹脂が、ビーズを含み、上記ビーズは、45~165μmのビーズ径及び直径100~1000nmの孔径を有する、実施形態[52]又は[53に記載の方法。
[55] 上記AECが、線形グラジエント溶離又はステップイソクラティック溶離の使用を含む、実施形態[51]~[54]のいずれか1つに記載の方法。
[56] 上記AECが、流量1mL/分~150mL/分の使用を含む、実施形態[51]~[55]のいずれか1つに記載の方法。
[57] 上記FPLCが、逆相-FPLC(RP-FPLC)である、実施形態[51]に記載の方法。
[58] ステップ(b)が、精製circRNAの複数の画分をプールすることによって実施される、実施形態[1]~[57]のいずれか1つに記載の方法。
[59] circRNA及びlinRNAが、同じリボヌクレオチド配列を有する、実施形態[1]~[58]のいずれか1つに記載の方法。
[60] circRNA及びlinRNAが、同じ質量を有する、実施形態[1]~[59]のいずれか1つに記載の方法。
[61] circRNA及びlinRNAが、ポリ(A)テールを欠いている、実施形態[1]~[60]のいずれか1つに記載の方法。
[62] 上記方法が、linRNAのエキソヌクレアーゼ消化を含む、実施形態[1]~[61]のいずれか1つに記載の方法。
[63] 上記方法が、linRNAのエキソヌクレアーゼ消化を含まない、実施形態[1]~[61]のいずれか1つに記載の方法。
[64] 上記方法が、circRNAの濃縮を改善する、circRNA又はlinRNAに対する選択的修飾を含まない、実施形態[1]~[63]のいずれか1つに記載の方法。
[65] circRNAの濃縮集団中のcircRNAのパーセント(w/w)が、ポリリボヌクレオチド集団中のcircRNAのパーセント(w/w)の2倍である、実施形態[1]-[64]のいずれか1つに記載の方法。
[66] circRNAの濃縮集団中のcircRNAのパーセント(w/w)が、少なくとも65%である、実施形態[1]~[65]のいずれか1つに記載の方法。
[67] circRNAの濃縮集団中のlinRNAのパーセント(w/w)が、35%未満である、実施形態[1]~[66]のいずれか1つに記載の方法。
[68] circRNAが、約1,000ヌクレオチド以下の長さを含む、実施形態[1]~[67]のいずれか1つに記載の方法。
[69] circRNA及びlinRNAを含むポリリボヌクレオチドの集団を含む組成物であって、上記ポリリボヌクレオチドの集団が、変性条件下の溶液中であり;(i)ポリリボヌクレオチドの集団中のポリリボヌクレオチドの総重量は、少なくとも1μgであり;(ii)ポリリボヌクレオチドの集団を含むサンプルの総量は、少なくとも500μLであるか;又は(iii)サンプル中のポリリボヌクレオチドの集団の濃度は、少なくとも500ng/μLである、組成物。
[70] circRNA及びlinRNAを含むポリリボヌクレオチドの集団を含む組成物であって、上記ポリリボヌクレオチドの集団が、変性条件下の溶液中であり、上記溶液は、1種若しくは複数種の不純物又は副産物を実質的に含まない、組成物。
[71] circRNA及びlinRNAを含むポリリボヌクレオチドの集団を含む組成物であって、
(a)組成物が、核酸の集団を含むサンプルから取得され;
(b)組成物が、1つ若しくは複数の変性条件に曝露されており;
(c)組成物が、1種若しくは複数種の不純物又は副産物を実質的に含まない、組成物。
[72] circRNA及びlinRNAを含むポリリボヌクレオチドの集団を含む組成物であって、
(a)組成物が、circRNA及びlinRNAを含むポリリボヌクレオチドの集団を含むサンプルから取得され;
(b)組成物が、1つ若しくは複数の変性条件に曝露されており;
(c)組成物が、1種若しくは複数種の不純物又は副産物を実質的に含まない、組成物。
[73] 1種若しくは複数種の不純物又は副産物が、ポリアクリルアミド、ホウ酸、マグネシウム、又はEDTAを含む、実施形態[69]~[72]のいずれか1つに記載の組成物。
[74] 変性条件が、少なくとも50℃の温度を含む、実施形態[69]~[73]のいずれか1つに記載の組成物。
[75] 変性条件が、50℃~85℃の温度を含む、実施形態[69]~[74]のいずれか1つに記載の組成物。
[76] 変性条件が、少なくとも50℃の温度、続いて8℃以下の温度を含む、実施形態[69]~[75]のいずれか1つに記載の組成物。
[77] 変性条件が、5未満のpH又は9を超えるpHを含む、実施形態[69]~[73]のいずれか1つに記載の組成物。
[78] 変性条件が化学処理を含む、実施形態[69]~[73]のいずれか1つに記載の組成物。
[79] 上記化学処理が、酸、塩基、有機溶媒、カオトロピック剤、クラウディング剤、キレート剤、デタージェント、又は塩溶液による処理を含む、実施形態[78]に記載の組成物。
[80] 上記酸が、1mM~500mMの酢酸、塩酸、サリチル酸、リン酸、ホウ酸、ギ酸、シュウ酸、クエン酸、安息香酸、モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、アスコルビン酸、又は硝酸を含む、実施形態[79]に記載の組成物。
[81] 上記塩基が、1mM~500mMの水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、イミダゾール、ヒスチジン、炭酸水素ナトリウム、グアニジン、又はトリエチルアミンを含む、実施形態[79]又は[80]に記載の組成物。
[82] 上記有機溶媒が、少なくとも0.1%(v/v)のジメチルスルホキシド、酢酸トリエチルアンモニウム、メタノール、エタノール、2-プロパノール、イソプロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、t-ブタノール、イソブタノール、フェノール、クロロホルム、ヘキサン、アセトニトリル、ホルムアミド、アセトン、デナトニウム、又はプロピレングリコールを含む、実施形態[79]~[81]のいずれか1つに記載の組成物。
[83] 上記カオトロピック剤が、100mM~8Mの尿素、塩化グアニジニウム、過塩素酸リチウム、又はポリエチレングリコール(PEG)を含む、実施形態[79]~[82]のいずれか1つに記載の組成物。
[84] 上記カオトロピック剤が、100mM~8Mのn-ドデシルβ-d-マルトシド、n-オクチルグルコシド、CHAPS、又はデオキシコール酸塩を含む、実施形態[79]~[82]のいずれか1つに記載の組成物。
[85] 上記クラウディング剤が、100mM~8Mのポリエチレングリコール(PEG)、又は尿素を含む、実施形態[79]~[84]のいずれか1つに記載の組成物。
[86] 上記キレート剤が、1mM~10mMのEGTA若しくはその誘導体、EDTA若しくはその誘導体、NTA、IDS、EDDS、又はMGDAを含む、実施形態[79]~[85]のいずれか1つに記載の組成物。
[87] 上記デタージェントが、0.005%~0.05%(v/v)のNP40、CHAPS、オクチルβ-D-グルコピラノシド、n-ドデシルβ-d-マルトシド、Tween(登録商標)-20、又はTween(登録商標)-80を含む、実施形態[79]~[86]のいずれか1つに記載の組成物。
[88] circRNAの濃縮集団中のcircRNAのパーセント(w/w)が、ポリリボヌクレオチド集団中のcircRNAのパーセント(w/w)の2倍である、実施形態[69]~[87]のいずれか1つに記載の組成物。
[89] circRNAの濃縮集団中のcircRNAのパーセント(w/w)が、少なくとも65%である、実施形態[69]~[88]のいずれか1つに記載の組成物。
[90] circRNAの濃縮集団中のlinRNAのパーセント(w/w)が、35%未満である、実施形態[69]~[89]のいずれか1つに記載の組成物。
[91] circRNA及びlinRNAが、同じリボヌクレオチド配列を有する、実施形態[69]~[90]のいずれか1つに記載の組成物。
[92] circRNA及びlinRNAが、同じ質量を有する、実施形態[69]~[91]のいずれか1つに記載の組成物。
[93] circRNA及びlinRNAが、ポリ(A)テールを欠いている、実施形態[69]~[92]のいずれか1つに記載の組成物。
[94] circRNAが、約1,000ヌクレオチド以下の長さを含む、実施形態[69]~[93]のいずれか1つに記載の組成物。
[95] circRNAの純度を決定する方法であって、上記方法が、以下:(a)circRNA及びlinRNAを含むポリリボヌクレオチドの集団を含むサンプルを用意するステップと;(b)クロマトグラフィーにより、変性条件下でcircRNAをlinRNAから分離するステップと;(c)circRNAのピーク及びlinRNAのピークを含むサンプルのクロマトグラムを収集するステップと;(d)各ピーク下の面積を計算して、サンプル中のcircRNAの純度を決定するステップと、を含む方法。
[96] 上記変性条件が、ゲル電気泳動の使用を含まない、実施形態[95]に記載の方法。
[97] 上記変性条件が、少なくとも50℃の温度を含む、実施形態[95]又は[96]に記載の方法。
[98] 上記変性条件が、50℃~85℃の温度を含む、実施形態[97]に記載の方法。
[99] 上記変性条件が、少なくとも50℃の温度、続いて30秒以下の時間内に8℃以下の温度を含む、実施形態[95]~[98]のいずれか1つに記載の方法。
[100] 上記変性条件が、5未満のpH又は9を超えるpHを含む、実施形態[95]~[99]のいずれか1つに記載の方法。
[101] 上記変性条件が、5未満のpHを含む、実施形態[100]に記載の方法。
[102] 上記変性条件が、9を超えるpHを含む、実施形態[100]に記載の方法。
[103] 上記変性条件が、化学処理を含む、実施形態[95]~[102]のいずれか1つに記載の方法。
[104] 上記化学処理が、酸、塩基、有機溶媒、カオトロピック剤、クラウディング剤、キレート剤、デタージェント、又は塩溶液による処理を含む、実施形態[103]に記載の方法。
[105] 上記酸が、1mM~500mMの酢酸、塩酸、サリチル酸、リン酸、ホウ酸、ギ酸、シュウ酸、クエン酸、安息香酸、モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、アスコルビン酸、又は硝酸を含む、実施形態[104]に記載の方法。
[106] 上記塩基が、1mM~500mMの水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、イミダゾール、ヒスチジン、炭酸水素ナトリウム、グアニジン、又はトリエチルアミンを含む、実施形態[104]又は[105]に記載の方法。
[107] 上記有機溶媒が、少なくとも0.1%(v/v)のジメチルスルホキシド、酢酸トリエチルアンモニウム、メタノール、エタノール、2-プロパノール、イソプロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、t-ブタノール、イソブタノール、フェノール、クロロホルム、ヘキサン、アセトニトリル、ホルムアミド、アセトン、デナトニウム、又はプロピレングリコールを含む、実施形態[104]~[106]のいずれか1つに記載の方法。
[108] 上記カオトロピック剤が、100mM~8Mの尿素、塩化グアニジニウム、過塩素酸リチウム、又はポリエチレングリコール(PEG)を含む、実施形態[104]~[107]のいずれか1つに記載の方法。
[109] 上記カオトロピック剤が、100mM~8Mのn-ドデシルβ-d-マルトシド、n-オクチルグルコシド、CHAPS、又はデオキシコール酸塩を含む、実施形態[104]~[108]のいずれか1つに記載の方法。
[110] 上記クラウディング剤が、100mM~8Mのポリエチレングリコール(PEG)、又は尿素を含む、実施形態[104]~[109]のいずれか1つに記載の方法。
[111] 上記キレート剤が、1mM~10mMのEGTA若しくはその誘導体、EDTA若しくはその誘導体、NTA、IDS、EDDS、又はMGDAを含む、実施形態[104]~[110]のいずれか1つに記載の方法。
[112] 上記デタージェントが、0.005%~0.05%(v/v)のノニデット(登録商標)(Nonidet)P-40(NP40)、CHAPS、オクチルβ-D-グルコピラノシド、n-ドデシルβ-d-マルトシド、Tween(登録商標)-20、又はTween(登録商標)-80を含む、実施形態[104]~[111]のいずれか1つに記載の方法。
[113] 上記クロマトグラフィーが、液体クロマトグラフィーを含む、実施形態[95]~[112]のいずれか1つに記載の方法。
[114] 上記液体クロマトグラフィーが、FPLC、HPLC、HIC、AEC、MMC、又はアフィニティークロマトグラフィーからなる群から選択される、実施形態[113]に記載の方法。
[115] 純度の相対標準偏差(RSD)が、5%未満である、実施形態[95]~[114]のいずれか1つに記載の方法。
[116] circRNAが、約1,000ヌクレオチド以下の長さを含む、実施形態[95]~[115]のいずれか1つに記載の組成物。
[117] circRNAの濃縮集団を生産するための方法であって、上記方法が、以下:(a)circRNA及びlinRNAを含むポリリボヌクレオチドの集団を含むサンプルを用意するステップと;(b)ゲル電気泳動の使用を含まない変性条件下で、circRNAをlinRNAから分離し、それによって、circRNAの濃縮集団を生産するステップと、を含む方法。
[118] circRNAの濃縮集団を生産するための方法であって、上記方法が、以下:(a)circRNA及びlinRNAを含むポリリボヌクレオチドの集団を含むサンプルを用意するステップと;(b)ポリリボヌクレオチドの集団を変性条件に曝露し、それによって、circRNAの集団を濃縮するステップと、を含む方法。
[119] (i)ポリリボヌクレオチドの集団中のポリリボヌクレオチドの総重量が、少なくとも1μgであり;(ii)ポリリボヌクレオチドの集団を含むサンプルの総量が、少なくとも500μLであるか;又は(iii)サンプル中のポリリボヌクレオチドの集団の濃度が、少なくとも200ng/μLである、実施形態[117]又は[118]に記載の方法。
[120] 上記分離ステップ(b)が、ゲル電気泳動の使用を含まない変性条件下で実施され:及び/又はcircRNAの濃縮集団が、1種若しくは複数種の不純物又は副産物を実質的に含まず、1種若しくは複数種の不純物又は副産物が、ポリアクリルアミド、ホウ酸、マグネシウム、又はエチレンジアミン四酢酸(EDTA)を含む、実施形態[118]又は[119]に記載の方法。
[121] 上記変性条件が、少なくとも50℃の温度を含むか;又は上記変性条件が、少なくとも50℃の温度、続いて30秒以下の時間内に8℃以下の温度を含む、実施形態[117]~[120]のいずれか1つに記載の方法。
[122]上記変性条件が、5未満のpH又は9を超えるpHを含む、実施形態[117]~[121]のいずれか1つに記載の方法。
[123] 上記変性条件が、酸、塩基、有機溶媒、カオトロピック剤、クラウディング剤、キレート剤、デタージェント、又は塩溶液による化学処理を含む、実施形態[117]~[122]のいずれか1つに記載の方法。
[124] 上記酸が、1mM~500mMの酢酸、塩酸、サリチル酸、リン酸、ホウ酸、ギ酸、シュウ酸、クエン酸、安息香酸、モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、アスコルビン酸、又は硝酸を含む、実施形態[123]に記載の方法。
[125] 上記塩基が、1mM~500mMの水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、イミダゾール、ヒスチジン、炭酸水素ナトリウム、グアニジン、又はトリエチルアミンを含む、実施形態[123]又は[124]に記載の方法。
[126] 上記有機溶媒が、少なくとも0.1%(v/v)のジメチルスルホキシド、酢酸トリエチルアンモニウム、メタノール、エタノール、2-プロパノール、イソプロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、t-ブタノール、イソブタノール、フェノール、クロロホルム、ヘキサン、アセトニトリル、ホルムアミド、アセトン、デナトニウム、又はプロピレングリコールを含む、実施形態[123]~[125]のいずれか1つに記載の方法。
[127] 上記カオトロピック剤が、100mM~8Mの尿素、塩化グアニジニウム、過塩素酸リチウム、又はポリエチレングリコール(PEG)を含み;及び/又は、上記カオトロピック剤が、100mM~8Mのn-ドデシルβ-d-マルトシド、n-オクチルグルコシド、CHAPS、又はデオキシコール酸塩を含む、実施形態[123]~[126]のいずれか1つに記載の方法。
[128] 上記クラウディング剤が、100mM~8MのPEG、又は尿素を含む、実施形態[123]~[127]のいずれか1つに記載の方法。
[129] 上記キレート剤が、1mM~10mMのエチレングリコール-ビス(β-アミノエチルエーテル)-N,N,N’,N’-テトラ酢酸(EGTA)若しくはその誘導体、EDTA若しくはその誘導体、ニトリロ三酢酸(NTA)、イミノジコハク酸(IDS)、ポリアスパラギン酸、S,S-エチレンジアミン-N,N’-ジコハク酸(EDDS)、又はメチルグリシン二酢酸(MGDA)を含む、実施形態[123]~[128]のいずれか1つに記載の方法。
[130] 上記デタージェントが、0.005%~0.05%(v/v)のノニデット(登録商標)(Nonidet)P-40(NP40)、CHAPS、オクチルβ-D-グルコピラノシド、n-ドデシルβ-d-マルトシド、Tween(登録商標)-20、又はTween(登録商標)-80を含む、実施形態[123]~[129]のいずれか1つに記載の方法。
[131] ステップ(b)が、ポリリボヌクレオチドの集団に対してカラムクロマトグラフィーを実施する工程を含み、カラムクロマトグラフィーを実施する工程は、平衡化ステップ、サンプルロードステップ、カラム洗浄ステップ、及び溶離ステップを含み;上記分離ステップが、サンプルロードステップ、カラム洗浄ステップ、及び/又は溶離ステップ中に実施される、実施形態[117]~[130]のいずれか1つに記載の方法。
[132] カラムクロマトグラフィーが、高速タンパク質液体クロマトグラフィー(FPLC)、高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)、陰イオン交換クロマトグラフィー(AEC)、混合モードクロマトグラフィー、又はアフィニティークロマトグラフィーを含む、実施形態[131]に記載の方法。
[133] 上記AECが、以下:(i)陰イオン交換樹脂の使用(陰イオン交換樹脂は、スチレン-ジビニルベンゼン、シリカ、セファロース、セルロース、デキストラン、エポキシポリアミン、メタクリレート、アガロース、及びアクリルからなる群から選択され;及び/又は上記陰イオン交換樹脂は、第4級アンモニウム、アミノエチル、ジエチルアミノエチル、及びジエチルアミノプロピルからなる群から選択されるイオン交換体を含み;及び/又は上記陰イオン交換樹脂は、ビーズを含み、上記ビーズは、45~165μmのビーズ径及び直径100~1000nmの孔径を有する);並びに/或いは線形グラジエント溶離又はステップイソクラティック溶離の使用;並びに/或いは1mL/分~150mL/分の流量の使用を含む、実施形態[132]に記載の方法。
[134] ステップ(b)が、精製circRNAの複数の画分をプールすることによって実施される、実施形態[117]~[133]のいずれか1つに記載の方法。
[135] circRNA及びlinRNAが、同じリボヌクレオチド配列を有し;及び/又はcircRNA及びlinRNAが、同じ質量を有し;及び/又はcircRNA及びlinRNAが、ポリ(A)テールを欠いている、実施形態[117]~[134]のいずれか1つに記載の方法。
[136]上記方法が、linRNAのエキソヌクレアーゼ消化を含むか、又は上記方法が、linRNAのエキソヌクレアーゼ消化を含まず;及び/又は上記方法は、circRNAの濃縮を改善する、circRNA又はlinRNAに対する選択的修飾を含まない、実施形態[117]~[135]のいずれか1つに記載の方法。
[137]circRNAの濃縮集団中のcircRNAのパーセント(w/w)が、ポリリボヌクレオチド集団中のcircRNAのパーセント(w/w)の2倍であり;及び/又はcircRNAの濃縮集団中のcircRNAのパーセント(w/w)が、少なくとも65%であり;及び/又はcircRNAの濃縮集団中のlinRNAのパーセント(w/w)が、35%未満である、実施形態[117]~[136]のいずれか1つに記載の方法。
[138] circRNAが、1,000ヌクレオチド以下の長さを有する、実施形態[117]~[137]のいずれか1つに記載の方法。
[139] circRNA及びlinRNAを含むポリリボヌクレオチドの集団を含む組成物であって、上記ポリリボヌクレオチドの集団は、変性条件下の溶液中であり;(i)ポリリボヌクレオチドの集団中のポリリボヌクレオチドの総重量は、少なくとも1μgあり;(ii)ポリリボヌクレオチドの集団を含むサンプルの総量は、少なくとも500μLであり;又は(iii)サンプル中のポリリボヌクレオチドの集団の濃度は、少なくとも500ng/μLである、組成物。
[140] circRNAの濃縮集団を含む組成物であって、(a)組成物が、circRNA及びlinRNAを含むポリリボヌクレオチドの集団を含むサンプルから取得され;(b)組成物が、1つ若しくは複数の変性条件に曝露されており;(c)組成物が、1種若しくは複数種の不純物又は副産物を実質的に含まない、組成物。
[141] 1種若しくは複数種の不純物又は副産物が、ポリアクリルアミド、ホウ酸、マグネシウム、又はEDTAを含む、[139]又は[140]に記載の組成物。
[142] 変性条件が、少なくとも50℃の温度を含むか;又は変性条件が、少なくとも50℃の温度、続いて8℃以下の温度を含む、実施形態[139]~[141]のいずれか1つに記載の組成物。
[143] 上記変性条件が、5未満のpH又は9を超えるpHを含む、実施形態[139]~[142]のいずれか1つに記載の組成物。
[144] 上記変性条件が、酸、塩基、有機溶媒、カオトロピック剤、クラウディング剤、キレート剤、デタージェント、又は塩溶液による化学処理を含む、実施形態[139]~[143]のいずれか1つに記載の組成物。
[145] 上記酸が、1mM~500mMの酢酸、塩酸、サリチル酸、リン酸、ホウ酸、ギ酸、シュウ酸、クエン酸、安息香酸、モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、アスコルビン酸、又は硝酸を含む、実施形態[144]に記載の組成物。
[146] 上記塩基が、1mM~500mMの水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、イミダゾール、ヒスチジン、炭酸水素ナトリウム、グアニジン、又はトリエチルアミンを含む、実施形態[144]又は[145]に記載の組成物。
[147] 上記有機溶媒が、少なくとも0.1%(v/v)のジメチルスルホキシド、酢酸トリエチルアンモニウム、メタノール、エタノール、2-プロパノール、イソプロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、t-ブタノール、イソブタノール、フェノール、クロロホルム、ヘキサン、アセトニトリル、ホルムアミド、アセトン、デナトニウム、又はプロピレングリコールを含む、実施形態[144]~[146]のいずれか1つに記載の組成物。
[148] 上記カオトロピック剤が、100mM~8Mの尿素、塩化グアニジニウム、過塩素酸リチウム、又はポリエチレングリコール(PEG)を含み;及び/又は、上記カオトロピック剤が、100mM~8Mのn-ドデシルβ-d-マルトシド、n-オクチルグルコシド、CHAPS、又はデオキシコール酸塩を含む、実施形態[144]~[147]のいずれか1つに記載の組成物。
[149] 上記クラウディング剤が、100mM~8Mのポリエチレングリコール(PEG)、又は尿素を含む、実施形態[144]~[148]のいずれか1つに記載の組成物。
[150] 上記キレート剤が、1mM~10mMのEGTA若しくはその誘導体、EDTA若しくはその誘導体、NTA、IDS、EDDS、又はMGDAを含む、実施形態[144]~[149]のいずれか1つに記載の組成物。
[151] 上記デタージェントが、0.005%~0.05%(v/v)のNP40、CHAPS、オクチルβ-D-グルコピラノシド、n-ドデシルβ-d-マルトシド、Tween(登録商標)-20、又はTween(登録商標)-80を含む、実施形態[144]~[150]のいずれか1つに記載の組成物。
[152] circRNAの濃縮集団中のcircRNAのパーセント(w/w)は、ポリリボヌクレオチド集団中のcircRNAのパーセント(w/w)の2倍であり;及び/又はcircRNAの濃縮集団中のcircRNAのパーセント(w/w)が、少なくとも65%であり;及び/又はcircRNAの濃縮集団中のlinRNAのパーセント(w/w)が、35%未満である、実施形態[139]~[151]のいずれか1つに記載の組成物。
[153] circRNA及びlinRNAが、同じリボヌクレオチド配列を有する;及び/又はcircRNA及びlinRNAが、同じ質量を有する;及び/又はcircRNA及びlinRNAが、ポリ(A)テールを欠いている、実施形態[139]~[152]のいずれか1つに記載の組成物。
[154] circRNAが、1,000ヌクレオチド以下の長さを有する、実施形態[139]~[153]のいずれか1つに記載の組成物。
[155] circRNAの純度を決定する方法であって、上記方法が、以下:(a)circRNA及びlinRNAを含むポリリボヌクレオチドの集団を含むサンプルを用意するステップと;(b)クロマトグラフィーにより、変性条件下でcircRNAをlinRNAから分離するステップと;(c)circRNAのピーク及びlinRNAのピークを含むサンプルのクロマトグラムを収集するステップと;(d)各ピーク下の面積を計算して、サンプル中のcircRNAの純度を決定するステップと、を含む方法。
[156] 上記変性条件が、ゲル電気泳動の使用を含まない、実施形態[155]に記載の方法。
[157] 上記変性条件が、少なくとも50℃の温度を含むか;又は、上記変性条件は、少なくとも50℃の温度、続いて30秒以下の時間内に8℃以下の温度を含む、実施形態[155]又は[156]に記載の方法。
[158] 上記変性条件が、5未満のpH又は9を超えるpHを含む、実施形態[155]~[157]のいずれか1つに記載の方法。
[159] 上記変性条件が、酸、塩基、有機溶媒、カオトロピック剤、クラウディング剤、キレート剤、デタージェント、又は塩溶液による処理などの化学処理を含む、実施形態[155]~[158]のいずれか1つに記載の方法。
[160] 上記酸が、1mM~500mMの酢酸、塩酸、サリチル酸、リン酸、ホウ酸、ギ酸、シュウ酸、クエン酸、安息香酸、モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、アスコルビン酸、又は硝酸を含む、実施形態[159]に記載の方法。
[161] 上記塩基が、1mM~500mMの水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、イミダゾール、ヒスチジン、炭酸水素ナトリウム、グアニジン、又はトリエチルアミンを含む、実施形態[159]又は[160]に記載の方法。
[162] 上記有機溶媒が、少なくとも0.1%(v/v)のジメチルスルホキシド、酢酸トリエチルアンモニウム、メタノール、エタノール、2-プロパノール、イソプロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、t-ブタノール、イソブタノール、フェノール、クロロホルム、ヘキサン、アセトニトリル、ホルムアミド、アセトン、デナトニウム、又はプロピレングリコールを含む、実施形態[159]~[161]のいずれか1つに記載の方法。
[163] 上記カオトロピック剤が、100mM~8Mの尿素、塩化グアニジニウム、過塩素酸リチウム、若しくはポリエチレングリコール(PEG)を含み;及び/又は上記カオトロピック剤が、100mM~8Mのn-ドデシルβ-d-マルトシド、n-オクチルグルコシド、CHAPS、若しくはデオキシコール酸塩を含む、実施形態[159]~[162]のいずれか1つに記載の方法。
[164] 上記クラウディング剤が、100mM~8Mのポリエチレングリコール(PEG)、又は尿素を含む、実施形態[159]~[162]のいずれか1つに記載の方法。
[165] 上記キレート剤が、1mM~10mMのEGTA若しくはその誘導体、EDTA若しくはその誘導体、NTA、IDS、ポリアスパラギン酸、EDDS、又はMGDAを含む、実施形態[159]~[164]のいずれか1つに記載の方法。
[166] 上記デタージェントが、0.005%~0.05%(v/v)のノニデット(登録商標)(Nonidet)P-40(NP40)、CHAPS、オクチルβ-D-グルコピラノシド、n-ドデシルβ-d-マルトシド、Tween(登録商標)-20、又はTween(登録商標)-80を含む、実施形態[159]~[165]のいずれか1つに記載の方法。
[167] 上記クロマトグラフィーが、液体クロマトグラフィーを含み、上記液体クロマトグラフィーは、FPLC、HPLC、HIC、AEC、MMC、又はアフィニティークロマトグラフィーからなる群から選択される、実施形態[155]~[166]のいずれか1つに記載の方法。
[168] 純度の相対標準偏差(RSD)が、5%未満である、実施形態[155]~[167]のいずれか1つに記載の方法。
[169] circRNAが、約1,000ヌクレオチド以下の長さを含む、実施形態[155]~[168]のいずれか1つに記載の方法。
【実施例
【0383】
以下の実施例は、本明細書に記載される組成物及び方法がどのように使用され、作製され、評価され得るかの説明を当業者に提供するために提示され、本開示を純粋に例示するものであることが意図されており、本発明者らが本発明とみなすものの範囲を限定することは意図されていない。
【0384】
実施例1:circRNA及びlinRNAを含むRNAの混合集団を含むサンプルからの変性条件下でのcircRNAの濃縮
本明細書に開示される方法に従って、当業者は、本明細書に記載の1つ又は複数の変性条件にサンプルを付すことにより、circRNA、線状RNA(linRNA)、又は他の不純物若しくは副産物(例えば、本明細書に記載の不純物若しくは副産物)を含むポリリボヌクレオチドの混合集団から、環状RNA(circRNA)の濃縮集団を生産することができる。
【0385】
最初に、circRNA及びlinRNAを含むポリリボヌクレオチドの混合集団を含むサンプルを取得する。このサンプルは、少なくとも200μgの総質量のポリリボヌクレオチドを含むか、少なくとも500μLの総量を有するか、又はサンプル中少なくとも200ng/μLの濃度のポリリボヌクレオチドを有する。次に、インビトロ転写(IVT)RNAサンプルを調製し、当技術分野で公知の初期精製ステップに付す。精製前にIVTサンプルを前処理することにより、大きな混入物、残屑、その他の高分子を除去してもよい。また、IVTサンプルを遠心分離して、沈殿物及び上清を分離してもよい。必要に応じて、バッファー洗浄と遠心分離を数ラウンド実施することができる。本明細書に記載される1つ若しくは複数の変性条件(例えば、熱変性、pH変性、酸、塩基、有機溶媒、カオトロピック剤、クラウディング剤、キレート剤、デタージェント、又は塩溶を用いた化学変性)にIVTサンプルを付すことによって、精製を実施するが、その際、上記の変性条件は、linRNA及びcircRNA内の構造的関係を実質的に変性させる。変性条件による精製は、単独で、又は当技術分野で公知のカラムクロマトグラフィー分離技術(例えば、陰イオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、ミックスモードクロマトグラフィー、又はアフィニティークロマトグラフィー)と組み合わせて実施される。カラムクロマトグラフィー精製を実施する場合、ポリリボヌクレオチドを含むサンプルの変性条件への曝露は、平衡化ステップ、サンプルロードステップ、カラム洗浄ステップ、又は溶離ステップ中に実施する。この方法は、サンプル中のlinRNA分子のエキソヌクレアーゼ媒介消化を含んでも、含まなくてもよい。
【0386】
したがって、精製は、サンプルからcircRNAの望ましい純度が達成される程度まで実施される。複数の実施形態では、circRNAの濃縮集団中のcircRNAのパーセント(w/w)は、サンプル中の混合ポリリボヌクレオチドの集団中のcircRNAの2%(w/w)である。複数の実施形態では、circRNAの濃縮集団中のcircRNAのパーセント(w/w)は、サンプル中の混合ポリリボヌクレオチドの集団中のcircRNAの3%(w/w)である。複数の実施形態では、circRNAの濃縮集団中のcircRNAのパーセント(w/w)は、サンプル中の混合ポリリボヌクレオチドの集団中のcircRNAの4%(w/w)である。複数の実施形態では、circRNAの濃縮集団中のcircRNAのパーセント(w/w)は、サンプル中の混合ポリリボヌクレオチドの集団中のcircRNAの5%(w/w)である。複数の実施形態では、circRNAの濃縮集団中のcircRNAのパーセント(w/w)は、サンプル中の混合ポリリボヌクレオチドの集団中のcircRNAの6%(w/w)である。複数の実施形態では、circRNAの濃縮集団中のcircRNAのパーセント(w/w)は、サンプル中の混合ポリリボヌクレオチドの集団中のcircRNAの7%(w/w)である。複数の実施形態では、circRNAの濃縮集団中のcircRNAのパーセント(w/w)は、サンプル中の混合ポリリボヌクレオチドの集団中のcircRNAの8%(w/w)である。複数の実施形態では、circRNAの濃縮集団中のcircRNAのパーセント(w/w)は、サンプル中の混合ポリリボヌクレオチドの集団中のcircRNAの9%(w/w)である。複数の実施形態では、circRNAの濃縮集団中のcircRNAのパーセント(w/w)は、サンプル中の混合ポリリボヌクレオチドの集団中のcircRNAの10%(w/w)である。複数の実施形態では、circRNAの濃縮集団中のcircRNAのパーセント(w/w)は、サンプル中の混合ポリリボヌクレオチドの集団中のcircRNAの11%(w/w)である。複数の実施形態では、circRNAの濃縮集団中のcircRNAのパーセント(w/w)は、サンプル中の混合ポリリボヌクレオチドの集団中のcircRNAの12%(w/w)である。複数の実施形態では、circRNAの濃縮集団中のcircRNAのパーセント(w/w)は、サンプル中の混合ポリリボヌクレオチドの集団中のcircRNAの13%(w/w)である。複数の実施形態では、circRNAの濃縮集団中のcircRNAのパーセント(w/w)は、サンプル中の混合ポリリボヌクレオチドの集団中のcircRNAの14%(w/w)である。複数の実施形態では、circRNAの濃縮集団中のcircRNAのパーセント(w/w)は、サンプル中の混合ポリリボヌクレオチドの集団中のcircRNAの15%(w/w)である。複数の実施形態では、circRNAの濃縮集団中のcircRNAのパーセント(w/w)は、サンプル中の混合ポリリボヌクレオチドの集団中のcircRNAの16%(w/w)である。複数の実施形態では、circRNAの濃縮集団中のcircRNAのパーセント(w/w)は、サンプル中の混合ポリリボヌクレオチドの集団中のcircRNAの17%(w/w)である。複数の実施形態では、circRNAの濃縮集団中のcircRNAのパーセント(w/w)は、サンプル中の混合ポリリボヌクレオチドの集団中のcircRNAの18%(w/w)である。複数の実施形態では、circRNAの濃縮集団中のcircRNAのパーセント(w/w)は、サンプル中の混合ポリリボヌクレオチドの集団中のcircRNAの19%(w/w)である。複数の実施形態では、circRNAの濃縮集団中のcircRNAのパーセント(w/w)は、サンプル中の混合ポリリボヌクレオチドの集団中のcircRNAの20%(w/w)である。複数の実施形態では、circRNAの濃縮集団中のcircRNAのパーセント(w/w)は、サンプル中の混合ポリリボヌクレオチドの集団中のcircRNAの21%(w/w)である。複数の実施形態では、circRNAの濃縮集団中のcircRNAのパーセント(w/w)は、サンプル中の混合ポリリボヌクレオチドの集団中のcircRNAの22%(w/w)である。複数の実施形態では、circRNAの濃縮集団中のcircRNAのパーセント(w/w)は、サンプル中の混合ポリリボヌクレオチドの集団中のcircRNAの23%(w/w)である。複数の実施形態では、circRNAの濃縮集団中のcircRNAのパーセント(w/w)は、サンプル中の混合ポリリボヌクレオチドの集団中のcircRNAの24%(w/w)である。複数の実施形態では、circRNAの濃縮集団中のcircRNAのパーセント(w/w)は、サンプル中の混合ポリリボヌクレオチドの集団中のcircRNAの25%(w/w)である。複数の実施形態では、circRNAの濃縮集団中のcircRNAのパーセント(w/w)は、サンプル中の混合ポリリボヌクレオチドの集団中のcircRNAの26%(w/w)である。複数の実施形態では、circRNAの濃縮集団中のcircRNAのパーセント(w/w)は、サンプル中の混合ポリリボヌクレオチドの集団中のcircRNAの27%(w/w)である。複数の実施形態では、circRNAの濃縮集団中のcircRNAのパーセント(w/w)は、サンプル中の混合ポリリボヌクレオチドの集団中のcircRNAの28%(w/w)である。複数の実施形態では、circRNAの濃縮集団中のcircRNAのパーセント(w/w)は、サンプル中の混合ポリリボヌクレオチドの集団中のcircRNAの29%(w/w)である。複数の実施形態では、circRNAの濃縮集団中のcircRNAのパーセント(w/w)は、サンプル中の混合ポリリボヌクレオチドの集団中のcircRNAの30%(w/w)である。複数の実施形態では、circRNAの濃縮集団中のcircRNAのパーセント(w/w)は、サンプル中の混合ポリリボヌクレオチドの集団中のcircRNAの31%(w/w)である。複数の実施形態では、circRNAの濃縮集団中のcircRNAのパーセント(w/w)は、サンプル中の混合ポリリボヌクレオチドの集団中のcircRNAの32%(w/w)である。複数の実施形態では、circRNAの濃縮集団中のcircRNAのパーセント(w/w)は、サンプル中の混合ポリリボヌクレオチドの集団中のcircRNAの33%(w/w)である。複数の実施形態では、circRNAの濃縮集団中のcircRNAのパーセント(w/w)は、サンプル中の混合ポリリボヌクレオチドの集団中のcircRNAの34%(w/w)である。複数の実施形態では、circRNAの濃縮集団中のcircRNAのパーセント(w/w)は、サンプル中の混合ポリリボヌクレオチドの集団中のcircRNAの35%(w/w)である。複数の実施形態では、circRNAの濃縮集団は、少なくとも35%(w/w)(例えば、少なくとも36%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%若しくはそれ以上)の量のcircRNと、65%(w/w)未満(例えば、64%、60%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、5%、4%、3%、2%、1%未満、若しくはそれ以下)のlinRNA量を有する。例えば、circRNAの濃縮集団中のcircRNAのパーセント(w/w)は、サンプル中の混合ポリリボヌクレオチドの集団におけるcircRNAの2倍(w/w)であり得る。
【0387】
実施例2:変性条件として、様々な濃度のカオトロピック剤及び塩を用いたcircRNAの精製
様々な濃度のカオトロピック剤(この場合は、6M尿素)及び塩(この場合は、塩化ナトリウム(NaCl))が、circRNAを変性させ、分離又はさらに精製する能力を評価するために、以下の実験を実施した。
【0388】
スプリントライゲーションによって生成した環状RNAを精製するために、5mLのDEAEセファロースカラムを使用した。カラムを50mM Tris、pH7で平衡化及び洗浄し、環状RNAをロードした。カラムは、300mM NaCl、700mM NaCl、1M NaCl、3M NaClの段階溶離、又は300mM NaCl+0.6M尿素、700mM NaCl+1.5M尿素、1M NaCl+1.8M尿素、及び3M NaCl+6M尿素での尿素による段階溶離で溶離した。関連画分をプールし、得られた濃縮物をPAGEにより分析した。データを表2に示す。尿素を含まないクロマトグラムを図1に示す。58.00mLに示されるピークは、circRNAであり、他のピークは全て不純物である。尿素が存在するクロマトグラムを図2に示すが、これは、尿素が存在する段階溶離を表している。56.89mLに示されるピークは、circRNAであり、他のピークは全て不純物である。
【0389】
【表2】
【0390】
両精製前に、出発物質の純度は、PAGE法によりそれぞれ測定したcircRNA及びlinRNAのパーセンテージについて、44.6%及び55.4%であった。尿素が存在しない場合、circRNAの純度は、56.4%であり、linRNAの純度は、43.6%であった。6M尿素を添加すると、circRNA及びlinRNAの純度は、それぞれ65.9及び34.1%となった。1mL~8L若しくはそれ以上のカラム容量でのスケーラブルなプロセスを開発する目的で、定濃度の尿素の純度向上を理解するために以下の精製を実施した。
【0391】
実施例3:カオトロピック剤と高塩変性条件によるCircRNAの精製
様々な濃度のカオトロピック剤(この場合は、6M尿素)及び塩(この場合は、塩化ナトリウム(NaCl))が、circRNAを変性させ、分離又はさらに精製する能力を評価するために、以下の実験を実施した。
【0392】
環状RNAを精製するために、8mLのDEAEモノリスカラムを6M尿素の存在下で使用した。
【0393】
ライゲーション後に洗浄していない環状RNA約200mg/mL、pH7に対して、実験を実施した。サンプルは、最終濃度を3M尿素までサンプルバッファー(100mM Tris-HCl pH7.0、6M尿素、10mM EDTA)で1:1に希釈し、7.5mgを8mLカラムにロードした。サンプルロード後、カラムを50mM Tris-HCl、pH7.0、6M尿素、5mM EDTAで平衡化及び洗浄し、100%の50mM Tris-HCL pH7.0、6M尿素、1M NaCl、5mM EDTAまでの20CV線形グラジエント、続いて100%の50mM Tris-HCL pH7.0、6M尿素、3M NaCl、5mM EDTAまでの10CV線形グラジエントで溶離した。再平衡化の前に1M NaOHでカラムを洗浄した。図3に示すように、クロマトグラムを評価し、ピークをプールした。PAGEにより、ロード物質と比較した純度のために200ngを定量し、以下の表3に表示する。
【0394】
【表3】
【0395】
PAGEによる出発物質circRNA純度パーセントは、47%であり、すぐ上に記載した条件を用いて精製した後、circRNA純度は、58.%であった。
【0396】
バッファーのpHが、pH8.0であることを除き、BIA分離からのQA8mLモノリスカラムについて、すぐ上に記載したのと同じ実験条件を実施した。PAGEにより測定した純度を記録し、表4に示す。図4は、7mgのcircRNA IVT出発物質の精製を示す。図5において、136.89mLでのピークは不純物であり、circRNAピークは、それぞれ242.43mLでクロマトグラムに示されている。
【0397】
【表4】
【0398】
インプットされた出発物質又はロードは、6PAGEにより定量された49%のcircRNAである。画分B4内に溶出したcircRNAは、circRNAについては純度62%であり、画分B5については純度64%である。
【0399】
実施例4:高塩、高pH、キレート剤、及びカオトロピック剤変性条件によるcircRNAの精製
2つ以上の変性条件がcircRNAを変性させ、分離又はさらに精製する能力を評価するために、以下の実験を行った。
【0400】
インビトロ転写後の28mg/mL(Quibitにより約56mg)のcircRNA、2mLを水で9mLまで希釈した後、1:1サンプルバッファー(pH7.0、100mM Tris-HCl、6M尿素、10mM EDTA)で18mLまで希釈した。サンプルを水素結合及び陰イオン交換を用いた8mLカラムにロードした。カラムを50mM重炭酸pH7.0、6M尿素、5mM EDTAで平衡化及び洗浄し、100%の50mM重炭酸pH10.0、6M尿素、5mM EDTA、1M NaClまで20CV線形グラジエントを、続いて、100%の50mM Tris-HCl pH10.0、6M尿素、5mM EDTA、3M NaCまで10CV線形グラジエントを適用した。再平衡化の前に、カラムを0.1M NaOH 3M NaCl及び0.1M酢酸 3M NaClで洗浄した。クロマトグラムの結果を図5に示す。
【0401】
【表5】
【0402】
PAGE定量により、ロードcircRNA%は60%、線状については37%であった。PAGEにより、263.22mLでのピークは、62.91%のcircRNA純度及び35.19%のlinRNA純度を含んでいた。他のピークは全て不純物である。
【0403】
実施例5:高塩、キレート剤、温度及びカオトロピック剤変性条件によるcircRNAの精製
2つ以上の変性条件が、circRNAを変性させ、分離又はさらに精製する能力を評価するために、変性条件として、高塩、キレート剤、温度、及びカオトロピック剤(この場合は尿素)を用いて以下の実験を行った。
【0404】
circRNA、linRNA、又は他の不純物若しくは副産物(例えば、本明細書に記載の不純物又は副産物)を含むポリリボヌクレオチドの混合集団を含むサンプルに対して、HIC精製を用いて実験を行った。3M NaClの存在下、サンプル中で精製を実施した後、3M NaCl、6M尿による溶離、その直後に0M NaCl、6M尿素、次いで直ちに0M NaCl、0M尿素による追加のステップ溶離が続き、これらは、全て50mMリン酸ナトリウム、pH7.0、5mM EDTAのベースバッファーを含む同じカラム及びサンプルロードに対して同じラン工程中に順次実施した。3M NaCl、50mMリン酸ナトリウム、pH7.0、5mM EDTAの存在下、2.17mg/mL(カラム容量)の環状RNAについて、以下の条件を試験した:室温、50℃、60℃及び75℃でそれぞれ10分間経過した後、1mLブチル高リガンド密度(HLD)HICカラムに室温でサンプルをロードする。
【0405】
図6図7、及び表6は、1mLのC4 HLDカラムを用いた環状RNAの精製後の結果を示しており、このカラムでは、サンプルを前述したように20℃で10分間インキュベートした後、2.17mgをカラムにロードした。
【0406】
【表6】
【0407】
最初のゲルのインプット出発物質は、61.5%circRNAであった。フロースルー(FT)には、RNAはほとんど含まれておらず、RNAの大部分はカラムに結合した。画分3.C.6~3.C.12を含む58.52mLの最初の溶出ピークは、どの画分を試験したかに応じて、PAGEによる58.0~71.2%circRNA純度のcircRNA純度範囲を有した。画分3.E.1及び3.E.2を含む88.40mLの2番目の溶出ピークは、PAGEによる63.7%及び60.4%のcircRNA純度をそれぞれ含んだ。
【0408】
実施例6:高温、カオトロピック剤、有機溶媒、高塩変性条件によるcircRNAの精製
2つ以上の変性条件が、circRNAを変性させ、分離又はさらに精製する能力を評価するために、以下の実験を行った。
【0409】
circRNAとlinRNAの混合物を含むIVT RNAのサンプル10mgを陰イオン交換オリゴヌクレオチドカラムにロードし、インラインフローヒーターを用いて、80℃で精製全体を実施した。平衡化及び洗浄のためのカラム条件は、20mMビス-トリスプロパン、6M尿素、20%ACN、pH7.0であり、20mMビス-トリスプロパン、6M尿素、1M NaCl、20%ACN、pH7.0までの30%~60%及び6CV線形グラジエントにより、サンプルを溶離した。図8に示すクロマトグラムを収集し、circRNAをPN:7、また線状RNAをPN:8及びPN:9と表記した。結果を表7に示す。
【0410】
【表7】
【0411】
circRNAを含む画分7、8及び9は、HPLC分析法により、それぞれ57%、96%、及び94%のcircRNA純度で、0.5mg、1.5mg及び0.9mgの物質が得られた。画分10、11、及び12を含むlinRNAピークは、HPLC分析法によりそれぞれ8%、2%及び2%のcircRNA純度で0.4、0.7、及び0.6mgの物質を含んだ。
【0412】
画分8及び9のHPLC分析結果を図9に示す。
【0413】
画分10、11、及び12のHPLC分析結果を図10に示す。
【0414】
実施例7:様々な温度、キレート剤、カオトロピック剤変性条件を用いたcircRNAの精製
本実施例では、linRNA、及びその他の不純物又は副産物からcircRNAを分離する際の変性条件として、温度、キレート剤、カオトロピック剤の使用を実証するが、この場合、0.5Mグアニジン-HClが実験を通して存在する。
【0415】
0.1ml QAモノリスカラムを使用し、5℃のオートサンプラー内でIVTにより生成したcircRNAサンプルを、50mM Tris、6M尿素、5mM EDTA、pH8で平衡化したカラムに注入した。100%の50mM Tris、6M尿素、5mM EDTA、1M NaCl、pH8までの線形グラジエントでカラムを溶離し、それぞれ図11及び図12に示すように、45℃、55℃、65℃、75℃及び85℃(85℃のクロマトグラフィー曲線は図示していない)、1ml/分で実施した。クロマトグラム内に表示された各番号は、分析のためにPAGEにロードされたサンプルに対応する。
【0416】
実施例8:高温及び有機溶媒変性条件を用いたcircRNAの精製
2つ以上の変性条件が、circRNAを変性させ、分離又はさらに精製する能力を評価するために、以下の実験を行った。
【0417】
この方法では、温度及び有機溶媒変性条件を用いてcircRNAとlinRNAを分離するために、イオンペア逆相HPLCを使した。circRNA/linRNAのサンプルを陰イオン交換オリゴヌクレオチドカラム(例えば、DNAPac PA200オリゴヌクレオチドカラム)に注入した。初期クロマトグラフィー条件は、53%移動相A(水中100mM TEAA)及び47%移動相B(25%アセトニトリル水溶液中100mM TEAA)であった。ラン工程中、カラムを75℃に加熱した。circRNA及びlinRNAの溶離は、表8に従って行った。図13は、例示的なクロマトグラム結果を示す。
【0418】
【表8】
【0419】
実施例9:様々なpH変性条件を用いたCircRNAの精製
本実施例では、linRNA、及び他の不純物又は副産物からcircRNAを分離する際の変性条件としてのpHの使用について説明する。5未満(例えば、4.5、4、3.5、3、2.5、2、1.5、1、若しくは1未満)又は9超(例えば、9.5、10、10.5、11、11.5、12、12.5、13、若しくは13超)の変性pH条件を試験する。
【0420】
実施例10:塩及び様々pH変性条件を用いたcircRNAの精製
本実施例では、linRNA、及び他の不純物又は副産物からcircRNAを分離する際の、様々なpH及び塩溶液変性条件の使用について説明する。
【0421】
試験しようとする塩は、NaCl、KCl、MgCl、CaCl、CsSO、NaSO、LiCl、及び/又はLiBrである。100mM~1Mの変性塩溶液濃度を、5未満(例えば、4.5、4、3.5、3、2.5、2、1.5、1、若しくは1未満)又は9超(例えば、9.5、10、10.5、11、11.5、12、12.5、13、若しくは13超)の変性pH条件と共に試験する。試験しようとする塩溶液及び/又はpH条件は、洗浄ステップで添加するか、精製前のサンプルに直接添加するか、又は平衡化バッファー又は溶出バッファーに添加する。
【0422】
実施例11:有機溶媒変性条件を用いたcircRNAの精製
本実施例では、linRNA、及び他の不純物又は副産物からcircRNAを分離する際の変性条件としての有機溶媒の使用について説明する。少なくとも10%(v/v)の変性有機溶媒濃度を試験する。試験対象の有機溶媒としては、ジメチルスルホキシド、酢酸トリエチルアンモニウム、メタノール、エタノール、2-プロパノール、イソプロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、t-ブタノール、イソブタノール、フェノール、クロロホルム、ヘキサン、アセトニトリル、ホルムアミド、アセトン、デナトニウム、及び/又はプロピレングリコールが挙げられる。試験しようとする有機溶媒は、洗浄ステップで添加するか、精製前のサンプルに直接添加するか、又は平衡化バッファー又は溶出バッファーに添加する。
【0423】
実施例12:デタージェント変性条件を用いたCircRNAの精製
本実施例では、linRNA、及び他の不純物又は副産物からcircRNAを分離する際の変性条件としてのデタージェントの使用について説明する。試験しようとするデタージェントとしては、ノニデット(登録商標)(Nonidet)P-40(NP40)、ポリソルベート(例えば、Tween(登録商標)-20、Tween(登録商標)-40、Tween(登録商標)-60、又はTween(登録商標)-80)、Triton(登録商標) X 100、CHAPS、オクチルβ-D-グルコピラノシド、及び/又はn-ドデシルβ-マルトシドが挙げられ、濃度は、0.00001%~20%の範囲である。試験しようとするデタージェントは、洗浄ステップで添加するか、精製前のサンプルに直接添加するか、又は平衡化バッファー又は溶出バッファーに添加する。
【0424】
実施例13:変性条件下での分析方法
本実施例は、分析方法における変性条件の使用を実証するものである。
【0425】
分析陰イオン交換(AEX)HPLC-UV法は、linRNAからcircRNAを分離することが可能であり、したがって、linRNAの存在下でcircRNAサンプルの純度を決定するのに適していることが実証された。
【0426】
この方法では、circRNAサンプルを陰イオン交換オリゴヌクレオチドカラム(例えば、DNAPac PA200オリゴヌクレオチドカラム)に注入した。初期クロマトグラフィー条件は、85%移動相A(20mM Bis-Tris、6M尿素、pH7.0)と15%移動相B(20mM Bis-Tris、6M尿素、1M NaCl、pH7.0)であった。ラン工程中、カラムを80℃に加熱した。circRNA及びlinRNAの溶離は、10%移動相A/90%移動相Bまでのグラジエントを用いて行った。
【0427】
図14は、続いて2回の水注入を伴う水中濃度0.2223mg/mLのcircRNAの例示的なクロマトグラムである。
【0428】
実施例14:変性条件下での分析方法
本実施例は、分析方法における変性条件の使用を示す。
【0429】
実施例9で前述した分析方法を、移動相に濃度20%の有機変性剤アセトニトリルを添加することによりさらに変更した。その他の変更には、移動相の緩衝能を向上させるための緩衝塩の変更が含まれる。
【0430】
具体的には、circRNAサンプルを陰イオン交換オリゴヌクレオチドカラムに注入した。サンプルは、変性剤(例えば、DMSO)を用いた希釈により調製するか、又は移動相A(20mMビス-トリスプロパン、6M尿素、pH7.0)に直接希釈した後、注入した。初期クロマトグラフィー条件は、85%移動相A及び15%移動相B(20mMビス-トリスプロパン、6M尿素、1M NaCl、pH7.0)であった。ラン工程中、カラムを80℃に加熱した。circRNA及びlinRNAの溶離は、10%移動相A(20mM Bis-Tris、6M尿素、pH7.0)及び90%移動相B(20mM Bis-Tris、6M尿素、1M NaCl、pH7.0)までのグラジエントを用いて実施した。図15は、ブランク注入のクロマトグラムを示す。circRNA及びlinRNA標準物質は、図16に示すように別々のピークを示した。
【0431】
その他の実施形態
上記の明細書に挙げた全ての刊行物、特許、及び特許出願は、個々の刊行物、特許、又は特許出願が、参照によりその全体が組み込まれることが具体的且つ個別に示されている場合と同じ程度に、参照により本明細書に組み込まれる。記載される本発明の方法、医薬組成物、及びキットの様々な変更及び変形は、本発明の範囲及び種子から逸脱することなく、当業者には明らかであろう。本発明を特定の実施形態に関連して説明してきたが、本発明はさらなる変更が可能であり、特許請求される本発明がそのような特定の実施形態に不当に限定されるべきではないことが理解されるであろう。実際、当業者には自明である、本発明を実施するための記載された態様の様々な変更は、本発明の範囲に含まれることが意図される。本出願は、一般に、本発明の原理に従い、本発明のあらゆる変形、使用、又は適応を対象とすることを意図しており、これらは、本開示からのそうした逸脱を含め、本発明が関係する技術分野において周知の慣例の範囲内にあり、本明細書に記載の本質的特徴に適用され得る。
図1
図2
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図4
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図7
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図10
図11
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【国際調査報告】