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特表2024-546858軌道設備において作業を実施する方法および鉄道車両
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】軌道設備において作業を実施する方法および鉄道車両
(51)【国際特許分類】
   B61D 15/00 20060101AFI20241219BHJP
   B61C 3/02 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
B61D15/00 B
B61C3/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024535445
(86)(22)【出願日】2022-12-09
(85)【翻訳文提出日】2024-06-13
(86)【国際出願番号】 EP2022085089
(87)【国際公開番号】W WO2023110651
(87)【国際公開日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】A50998/2021
(32)【優先日】2021-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514318345
【氏名又は名称】プラッサー ウント トイラー エクスポート フォン バーンバウマシーネン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Plasser & Theurer, Export von Bahnbaumaschinen, Gesellschaft m.b.H.
【住所又は居所原語表記】Johannesgasse 3, A-1010 Wien, Austria
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】マーク デムル
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン クレン
(57)【要約】
少なくとも1つの電気的に操作可能な処理装置(4,5)および電気エネルギを供給するエネルギ供給装置(15)を備えた軌道動力車(2)と、軌道動力車(2)に連結され、電気エネルギを供給するエネルギ蓄え装置(16)を備えた付随車(3)と、を含む鉄道車両(1)により、軌道設備(9)において作業を実施する方法では、鉄道車両(1)を、処理しようとする軌道箇所に移動させ、付随車(3)を軌道動力車(2)から切り離し、処理しようとする軌道箇所が軌道動力車(2)を用いて処理される。この場合、軌道動力車(2)による処理の前かつ/または後に、付随車(3)の電気的な牽引駆動装置(14)と付随車(3)の処理装置(6~8)とに、エネルギ蓄え装置(16)から電気エネルギが供給されることにより、軌道箇所が付随車(3)を用いて処理される。このようにして、軌道処理のために付随車(3)が自律的に利用される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの電気的に操作可能な処理装置(4,5)および電気エネルギを供給するエネルギ供給装置(15)を備えた軌道動力車(2)と、該軌道動力車(2)に連結され、電気エネルギを供給するエネルギ蓄え装置(16)を備えた付随車(3)と、を含む鉄道車両(1)により、軌道設備(9)において作業を実施する方法であって、前記鉄道車両(1)を、処理しようとする軌道箇所に移動させ、前記付随車(3)を前記軌道動力車(2)から切り離し、前記処理しようとする軌道箇所が前記軌道動力車(2)を用いて処理される、方法において、
前記軌道動力車(2)による処理の前かつ/または後に、前記付随車(3)の電気的な牽引駆動装置(14)と前記付随車(3)の処理装置(6~8)とに、前記エネルギ蓄え装置(16)から電気エネルギが供給されることにより、前記軌道箇所が前記付随車(3)を用いて処理されることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記軌道動力車(2)に、架線(13)からパンタグラフ(21)を介して電気エネルギが供給される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記付随車(3)の前記エネルギ蓄え装置(16)は、連結状態で前記軌道動力車(2)の前記エネルギ供給装置(15)を介して充電される、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
バラストレギュレータとして構成された前記付随車(3)を用いて、軌道処理中に所望の道床プロファイルが形成される、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
突固め機として構成された前記軌道動力車(2)を用いて、軌道処理中にまくらぎ(10)の下が突き固められ、このとき特に前記突固め機全体を周期的に前進させる、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記付随車(3)を、処理運転中、自動化されかつ/または遠隔制御可能な連結装置(17)を用いて前記軌道動力車(2)から切り離し、軌道処理の後に再び前記軌道動力車(2)に連結する、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記軌道動力車(2)と前記付随車(3)との間で、無線データ接続手段(28)を介して制御データを交換する、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
連結運転中、前記付随車(3)の前記エネルギ蓄え装置(16)から前記鉄道車両(1)全体に電気エネルギが供給される、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
請求項1から8までのいずれか1項記載の方法を実施する鉄道車両(1)であって、少なくとも1つの電気的に操作可能な処理装置(4,5)および電気エネルギを供給するエネルギ供給装置(15)を備えた軌道動力車(2)と、電気エネルギを供給するエネルギ蓄え装置(16)を備えた付随車(3)と、を含む鉄道車両(1)において、
前記付随車(3)は、専用の牽引駆動装置(14)と、電気的に操作可能な専用の処理装置(6~8)とを含むことを特徴とする、鉄道車両(1)。
【請求項10】
前記付随車(3)は、特に中心プラウ(6)、サイドプラウ(7)、清掃ブラシ(8)およびバラスト蓄え器(24)を含むバラストレギュレータとして形成されている、請求項9記載の鉄道車両(1)。
【請求項11】
前記軌道動力車(2)は、特にまくらぎ(10)からまくらぎ(10)へ周期的に前進することを想定した突固め機として形成されている、請求項9または10記載の鉄道車両(1)。
【請求項12】
前記付随車(3)を前記軌道動力車(2)に連結するために、機械的な結合部材(18)と電気的な接続部材(19)とを備えた、自動的かつ/または遠隔制御式に操作可能な連結装置(17)が配置されており、特に前記軌道動力車(2)にも前記付随車(3)にも、両端面にそのような連結装置(17)が配置されている、請求項9から11までのいずれか1項記載の鉄道車両(1)。
【請求項13】
前記連結装置(17)として、電気的なインタフェースを備えた中間緩衝連結手段が配置されている、請求項12記載の鉄道車両(1)。
【請求項14】
前記軌道動力車(2)は、架線(13)からの電気エネルギを供給するパンタグラフ(21)を含む、請求項9から13までのいずれか1項記載の鉄道車両(1)。
【請求項15】
前記軌道動力車(2)は、内燃機関(25)と、該内燃機関に連結された電気エネルギ供給用の発電機(26)とを含む、請求項9から14までのいずれか1項記載の鉄道車両(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの電気的に操作可能な処理装置および電気エネルギを供給するエネルギ供給装置を備えた軌道動力車と、軌道動力車に連結され、電気エネルギを供給するエネルギ蓄え装置を備えた付随車と、を含む鉄道車両により、軌道設備において作業を実施する方法であって、鉄道車両を、処理しようとする軌道箇所に移動させ、付随車を軌道動力車から切り離し、処理しようとする軌道箇所が軌道動力車を用いて処理される、方法に関する。さらに本発明は、対応する鉄道車両にも関する。
【背景技術】
【0002】
独国特許出願公開第102019213662号明細書から、上位概念に記載の方法および対応する鉄道車両が公知である。この鉄道車両は軌道動力車と付随車とを含み、軌道動力車は軌道処理装置を有している。両車両には、電気エネルギを供給するための専用のエネルギ供給装置が装備されており、軌道動力車のエネルギ蓄え装置は、付随車のエネルギ蓄え装置から充電可能である。処理過程中、軌道動力車は付随車から切り離されている。このとき、付随車は軌道で停止したままである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の根底を成す課題は、冒頭に述べた形式の方法を改良して、鉄道車両による軌道のよりフレキシブルでより効率的な処理を可能にすることにある。さらに、本発明の課題は、対応する鉄道車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題は本発明に基づき、独立請求項1および9記載の特徴によって解決される。従属請求項には、本発明の有利な構成が記載されている。
【0005】
この場合、軌道動力車による処理の前かつ/または後に、付随車の電気的な牽引駆動装置と付随車の処理装置とに、エネルギ蓄え装置から電気エネルギが供給されることにより、切り離された付随車を用いて軌道箇所が処理される。このようにして、付随車は軌道処理のために自律的に利用される。この場合、軌道動力車による軌道処理の前かつ/または後に必要とされる作業が実施される。両車両は、切り離された運転モードではそれぞれ専用のエネルギ供給手段を利用し、この場合、少なくとも付随車は完全に排気なしで運転される。作業の実施後に、付随車は再び軌道動力車に連結される。つまり、軌道処理用に2つの自律的な軌道処理機械が使用可能である。これに対して、公共の鉄道網内での走行に対する認可関連要件は、鉄道車両全体に適用される。なぜならば、このような移動走行は連結運転で実施されるからである。したがって、軌道動力車のみに列車制御システム(例えばETCS)用の相応の装置および列車無線装置が装備されてさえすればよい。
【0006】
本方法の1つの改良では、軌道動力車に、架線からパンタグラフを介して電気エネルギが供給され、軌道動力車は、電気的な牽引駆動装置を有している。このようにして、軌道動力車も排気なしで運転される。この場合、有意には軌道動力車内に電気エネルギ蓄え器が配置されており、これにより、架線の中断時または交直切換え箇所におけるパンタグラフの降下時にも電気エネルギ供給を維持することができる。
【0007】
有利には、付随車のエネルギ蓄え装置は、連結状態で軌道動力車のエネルギ供給装置を介して充電される。これは、コンパクトな構成形式を可能にする。なぜならば、付随車にはエネルギ蓄え装置を充電するための専用の供給装置が必要ないからである。付随車の特に省スペースの構成形式では、エネルギ蓄え装置用の充電回路全体が、軌道動力車内に配置されている。エネルギ蓄え装置への接続は、連結状態において適当な充電ケーブルと充電コネクタとを介して生じる。
【0008】
1つの好適な変化形では、バラストレギュレータとして構成された付随車を用いて、軌道処理中に所望の道床プロファイルが形成される。切離し運転中、バラストレギュレータは、バラスト粒の動的な転位に必要とされる前進速度で運転される。これとは関係なく、軌道動力車は独自の前進速度で作業する。
【0009】
本方法の別の利点は、突固め機として構成された軌道動力車を用いて、軌道処理中にまくらぎの下を突き固め、このとき特に突固め機全体を周期的に前進させる場合に得られる。突固め機の周期的な作業形式が、切り離された付随車の作業形式を制限することはない。付随車は、例えばバラスト道床を成形または安定化させるために、連続的に前進させられる。さらに、付随車による軌道のレールの連続処理が、突固め機の前進に関係なく可能である。サテライトを備えた突固め機の連続的な作業形式においても、付随車の独立運転が有意である。なぜならば、これにより、それぞれ異なる前進速度が可能になるからである。
【0010】
鉄道車両の有利な運転では、付随車は処理運転中、自動化されかつ/または遠隔制御可能な連結装置を用いて軌道動力車から切り離され、軌道処理の実施後に再び軌道動力車に連結される。このようにして、両車両の使用に際して高いフレキシビリティが生じる。共に連続して作業する形式では、連結は保たれたままであり、このとき特に、付随車のエネルギ蓄え装置は、軌道動力車を介して充電される。その合間に処理運転を中断することなしに、常に切り離された作業形式が可能である。このことは、自動化されたまたは遠隔制御された連結過程によってもたらされる。
【0011】
別の改良では、特に切離し運転中に軌道動力車と付随車との間で、制御データが無線データ接続手段を介して交換される。この手段により、両車両によって別個に実施される作業同士の自動的な協調が実施可能である。
【0012】
1つの別の好適な変化形では、連結運転中、付随車のエネルギ蓄え装置から鉄道車両全体に電気エネルギが供給される。これにより、架線が存在しない場合や、軌道動力車内に専用のエネルギ蓄え器が配置されていない場合に、鉄道車両全体のエミッションフリーの運転が可能になる。さらに、この運転形式は、軌道動力車におけるエネルギ供給装置の最適な利用を可能にする。電気消費器のピーク負荷は、付随車の電気的なエネルギ蓄え装置によってカバーされる。ベース負荷は、軌道動力車において内燃機関によって最適な回転数範囲で提供されるか、または最適な効率を有する燃料電池によって提供される。これにより、全体として、鉄道車両において実現されるエネルギ供給システムの全てのコンポーネントの最適化が得られる。
【0013】
説明した方法のうちの1つを実施する、本発明による鉄道車両は、少なくとも1つの電気的に操作可能な処理装置および電気エネルギを供給するエネルギ供給装置を備えた軌道動力車と、電気エネルギを供給するエネルギ蓄え装置を備えた付随車とを含み、付随車は、専用の牽引駆動装置と、電気的に操作可能な専用の処理装置とを含む。このようにして、軌道動力車と付随車とを、連結状態で一緒に使用することも、軌道を処理するために互いに別個に使用することも可能である。
【0014】
1つの有利な改良では、付随車は、特に中心プラウ、サイドプラウ、清掃ブラシおよびバラスト蓄え器を含むバラストレギュレータとして形成されている。このようなバラストレギュレータは通常、1回の作業シフト中に一貫して別個に軌道を走行する車両として必要とされるわけではない。よって、バラストレギュレータのエネルギ蓄え装置は、作業シフト全体に関して設計されている必要がない。なぜならば、合間に軌道動力車を介して充電が行われるからである。
【0015】
軌道動力車は、有利には、特にまくらぎからまくらぎへ周期的に前進することを想定した突固め機として形成されている。相応する鉄道車両により、所定の軌道区間の効率的な処理を実施することができる。例えば、バラストレギュレータとして形成された付随車により、突固め過程の前に、バラストが軌道中心に向かって移動させられる。突固め機による処理の後に、軌道はバラストレギュレータを用いて清掃されかつ耕起され、これにより、堅固な路盤を形成することができる。1つの別の変化形では、付随車は、いわゆるダイナミックトラックスタビライザとして形成されている。これにより、軌道は突固め過程の後に安定化され、これにより、列車運行による沈下を先取りすることができる。
【0016】
1つの別の改良は、付随車を軌道動力車に連結するために、機械的な結合部材と電気的な接続部材とを備えた、自動的かつ/または遠隔制御式に操作可能な連結装置が配置されており、特に軌道動力車にも付随車にも、両端面にこのような連結装置が配置されているという点で特徴づけられる。相応する連結装置を用いて、両鉄道車両構成要素の切離しおよび連結を実施するために、軌道に作業員は不要である。これは、複数の作業ステップで軌道作業を実施する際の効率および人身の安全性を高める。
【0017】
1つの好適な変化形では、連結装置として、電気的なインタフェースを備えた中間緩衝連結手段が配置されている。このような中間緩衝連結手段に関しては、自動化された機械的な連結過程のための確実な構成が知られている。連結過程中に、分離可能な機械的な結合部材同士が互いに係合する。これらの機械的な結合部材は、鉄道車両構成要素の間で電気エネルギを伝達するための電気的なインタフェースを形成する、取外し可能な電気的な接続部材により補足される。
【0018】
有利には、軌道動力車は、架線からの電気エネルギを供給するパンタグラフを含む。処理しようとする軌道において架線が作動している場合には、鉄道車両全体を、連結運転時にも、互いに別個の運転時にも、排気なしで運転することができる。
【0019】
作動している架線なしで、または架線なしで軌道を処理するために、軌道動力車は、内燃機関と、この内燃機関に連結された、電気エネルギ供給用の発電機とを含むと有意である。このようにして、様々な軌道上での鉄道車両のフレキシブルな使用が保証されている。
【0020】
以下に本発明を、添付の図面を参照しながら例示的に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】軌道動力車前方に付随車を備えた鉄道車両を示す概略図である。
図2】軌道動力車後方に付随車を備えた鉄道車両を示す概略図である。
図3】自律運転中の軌道動力車と付随車とを示す概略図である。
図4】エネルギ蓄え装置からの供給部を備えた鉄道車両を示す概略図である。
図5】エネルギ供給部の概略的なブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1図4に示す鉄道車両1は、運転中に互いに切離し可能な2つの構成要素、つまり軌道動力車2と付随車3とから成っている。各構成要素は、軌道設備9において作業を実施するように形成された専用の処理装置4~8を含む。図示の例では、軌道動力車2は、こう上/整正ユニット4と突固めユニット5とを備えた突固め機である。付随車3は、中心プラウ6とサイドプラウ7と清掃装置8とを備えたバラストレギュレータである。
【0023】
本発明のこの構成は、まくらぎ10と、まくらぎ10に取り付けられたレール11とから成る軌きょうがバラスト道床12に支持されているバラスト軌道の処理に適している。本発明には別の変化形、例えば処理装置としてクレーンおよびリフトゲートを備えた軌道動力車2および付随車3も含まれる。これにより、架線13の保守を様々な作業ステップで実施することができる。他の例(図示せず)は、軌道動力車2としての突固め機、および付随車3としてのダイナミックトラックスタビライザ、レール削正機またはレールフライス切削機である。
【0024】
本発明に基づき、軌道動力車2は特に、電気的な牽引駆動装置14と、電気エネルギを供給するエネルギ供給装置15とを含む。付随車3はエネルギ蓄え装置16を含み、このエネルギ蓄え装置16から、電気的な牽引駆動装置14と、付随車3の処理装置6,7,8とに電気エネルギが供給される。これにより、鉄道車両1の各構成要素2,3は、一時的に自立して軌道作業用に使用可能である。
【0025】
様々な軌道作業および移動走行のために、付随車3は、連結装置17を介して軌道動力車2に連結されている。この運転モードでは、軌道動力車2と付随車3とが、軌道工事機械の一体的な構成要素を形成している。連結装置17は、牽引力を伝達する機械的な結合部材18と、電気エネルギを伝達するための電気的な接続部材19とを含む。場合により、空圧式の結合部材および液圧式の結合部材も含まれている。
【0026】
有利には、連結装置17は自動的にかつ/または遠隔制御式に操作可能である。このようにして、切離し過程ならびに連結過程を、常に作業を中断することなく実施することができる。例えば、連結装置17は、中間緩衝連結手段と電気的なインタフェースとを含み、この場合、切離し可能な結合部材18同士および接続部材19同士は、ガイド装置を介して自動的に互いに係合し合う。連結装置17の解除は、例えば結合部材18同士および接続部材19同士の係止部を遠隔制御式に解放することによって行われる。好適には、軌道動力車2および付随車3の各端面に、このような連結装置17が配置されている。
【0027】
様々な運転態様を、図1図4に示す例に基づいて説明する。ここでは、鉄道車両1は、突固め機とバラストレギュレータとから成る。図1では、付随車3は軌道動力車2に連結されており、この場合、作業方向20において付随車3が先導している。鉄道車両1全体には、電圧を案内する架線13からパンタグラフ21を介して電気エネルギが供給される。この場合、牽引駆動装置14および処理装置4~8への供給に対して追加的に、エネルギ蓄え装置16も充電される。
【0028】
図1に示す運転モードは、後続の突固め過程用のバラストの重ね直しに適している。両側に配置されたサイドプラウ7が、前方に位置するかまたは余分なバラストを軌道中心方向に送り、そこで中心プラウ6を用いて引き続きバラスト転位が行われる。このようにして、まくらぎ10にバラストが導入され、これにより、後続の軌道こう上用にまくらぎ10の下を突き固めるために十分なバラストが存在することになる。
【0029】
図2にも、鉄道車両1が同様に連結状態で示されており、ここでは作業方向20において軌道動力車2が先導している。架線13から、駆動装置に電気エネルギが供給されると共に、付随車3のエネルギ蓄え装置16が充電される。この運転形式では、例えば清掃装置8による、既に下方を突き固められたまくらぎ10の清掃過程が行われる。清掃ブラシ22が余分なバラストを、バラスト蓄え器24内へ搬送するコンベヤベルト23に向かって掃く。この中間貯蔵されたバラストは、後でシュートを介して、バラスト不足の軌道箇所にもたらされてよい。
【0030】
本発明の1つの重要な観点は、軌道動力車2と付随車3とを、一時的に自立した軌道工事機械として運転する可能性にある。この切り離された運転形式は、図3に示されている。バラストレギュレータとして形成された付随車3は、突固め機として形成された軌道動力車2の前方を走行する。両者は運転中、それぞれ異なる速度で前進し、このとき突固め機は、まくらぎ10からまくらぎ10へと周期的に前進する。このこととは関係なく、バラストレギュレータは一定の速度で前進する。このとき、プラウ6,7が動的なバラスト運搬を行なえるようにするために、最低速度を下回ってはならない。
【0031】
付随車3には、この切り離された運転形式では専らエネルギ蓄え装置16からのみ電気エネルギが供給されるのに対して、軌道動力車2には引き続き架線13を介して供給可能である。架線13が遮断された場合または設けられていない場合、軌道動力車2は例えば内燃機関25を用いて運転される。内燃機関25に連結された発電機26が、牽引駆動装置14用および処理装置4,5の様々な電気駆動装置27用の電気エネルギを供給する。追加的または代替的に、架線13の中断部を架橋するために、軌道動力車2にも電気エネルギ蓄え器が設けられている。
【0032】
有利には、自立運転する付随車3と軌道動力車2との間には、無線データ接続手段28が設けられている。例えば、このデータ接続手段28を介して上位の制御装置29の制御命令が伝達され、これにより、両車両2,3の自動運転を協調させることができる。
【0033】
連結運転において、上位の制御装置29は、電気エネルギの交換を制御または調整すべく、エネルギ供給装置15とエネルギ蓄え装置16とを一緒に制御するために用いられる。図4に示すように、有利には、連結が生じている場合には付随車3のエネルギ蓄え装置16から鉄道車両1全体に電気エネルギを供給することができる。このようにして、軌道動力車2に専用のエネルギ蓄え器がなくても、架線13が設けられていない場合または遮断された場合に、排気なしの運転が保証されている。エネルギ蓄え装置16を相応してより大きく寸法設定することにより、鉄道車両1を、この運転形式を定期的に利用する業務用に設計することができる。
【0034】
図5のブロック図には、エネルギ供給装置15およびエネルギ蓄え装置16の例示的な回路が示されている。この図では、付随車3は軌道動力車2に連結されており、この場合、電気エネルギを伝達する電気的な接続部30が配置されている。1つの変化形では、これに対して代替的にまたは補足的に、別の電気的な接続部31が設けられている。
【0035】
軌道動力車2には、好適には架線13からパンタグラフ21を介して供給される。これに対して代替的に、供給は、発電機26を介して行われてもよい。第1のケースでは、変圧器回路32が、パンタグラフ21を介して架線13に接続される。変圧器回路32の出力部は、軌道動力車2の変換器回路33の入力部に接続されている。さらに、変圧器回路32と接地モジュール34との間にも接続が生じている。第2のケースでは、変換器回路33は発電機26に接続されている。
【0036】
変換器回路33は、交流もしくは三相交流を直流に変換するコンバータと、反対に直流を交流もしくは三相交流に変換するインバータとを含む。さらに、変換器回路33は、実線で示す変化形では、付随車3のエネルギ蓄え装置16用の充電回路35を含む。点線で示す代替案では、充電回路35は付随車3の変換器回路33内に配置されている。
【0037】
軌道動力車2および付随車3の変換器回路33にはそれぞれ、電気的な牽引駆動装置14と、処理装置4~8の作業駆動装置27とが接続されている。電気的な接続部30を介して、エネルギ蓄え装置16は軌道動力車2の充電回路35に接続されている。点線で書き込まれた変化形では、付随車3内に配置された充電回路35との接続が生じている。
【0038】
エネルギ蓄え装置16は、専用の充電電子機器37を備えた複数のバッテリセル36を含む。バッテリセル36を監視し、調整し、かつ保護するために、充電電子機器37と充電回路35とを含むバッテリ管理システムが構成されている。協働する回路素子33,35,37の協調制御は、有利には上位の制御装置29を用いて行われる。この場合、連結装置17は、連結状態が存在するか否かを制御装置29に知らせるセンサ装置38を含む。このようにして、自動連結過程もしくは自動切離しの際に、制御装置29により、相応する運転形式が作動させられる。
【0039】
標準運転では、エネルギ蓄え装置16は連結状態において、軌道動力車2のエネルギ供給装置15を介して充電される。付随車3が軌道動力車2から切り離された後で、エネルギ蓄え装置16から、牽引駆動装置14と、付随車3の作業駆動装置27とへの供給が行われる。エネルギ蓄え装置16の容量は、切り離された状態で最長の運転継続時間を必要とする用途のために設計されている。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】