(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】磁気浮上列車の位置決めシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
B61L 25/02 20060101AFI20241219BHJP
【FI】
B61L25/02 G
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024535524
(86)(22)【出願日】2022-09-28
(85)【翻訳文提出日】2024-06-13
(86)【国際出願番号】 CN2022121995
(87)【国際公開番号】W WO2023165124
(87)【国際公開日】2023-09-07
(31)【優先権主張番号】202210212795.7
(32)【優先日】2022-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516183897
【氏名又は名称】中▲車▼青▲島▼四方▲機車車▼輌股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】CRRC QINGDAO SIFANG CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.88 Jinhongdong Road, Chengyang District, Qingdao, Shandong, 266111, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100162824
【氏名又は名称】石崎 亮
(72)【発明者】
【氏名】リウ シャンカイ
(72)【発明者】
【氏名】ウー ドンフア
(72)【発明者】
【氏名】フー シャンチアン
(72)【発明者】
【氏名】シャオ シー
(72)【発明者】
【氏名】タン カイイー
(72)【発明者】
【氏名】ジャン ジーチアン
【テーマコード(参考)】
5H161
【Fターム(参考)】
5H161AA05
5H161BB02
5H161BB06
5H161BB09
5H161DD22
(57)【要約】
磁気浮上列車の位置決めシステム及び方法を開示し、列車底部に取り付けられる車載磁石(1)と、列車の走行方向に沿って列車鉄道に並列に敷設される2つの回折格子アレイ、光パルス生成モジュール(4)及びデータ処理モジュール(5)を含み、2つの回折格子アレイは何れもいくつかの組の磁誘導回折格子を含み、1番目の回折格子アレイ(2)内で同一組の磁誘導回折格子の中心波長が同様であり、異なる組の磁誘導回折格子の中心波長が異なり、2番目の回折格子アレイ(3)内で同一組の磁誘導回折格子の中心波長が異なり、異なる組の磁誘導回折格子の、同一配列位置にある回折格子の中心波長が同様であり、各組の磁誘導回折格子の1番目の回折格子は標識回折格子として機能する。データ処理モジュール(5)は標識回折格子の中心波長シフト状況に基づいて列車の1段位置決めを行って、1番目の回折格子アレイ(2)の中心波長シフト状況に基づいて列車の2段位置決めを行って、2番目の回折格子アレイ(3)の中心波長シフト状況に基づいて列車の3段位置決めを行って、段階的に列車が走行している鉄道位置を位置決めする。3段位置決めによって、結果として、列車が走行している鉄道位置を正確に位置決めすることができ、位置決め精度が高い。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気浮上列車の位置決めシステムであって、
列車底部に取り付けられる車載磁石と、
列車の走行方向に沿って列車鉄道に並列に敷設される2つの回折格子アレイであって、2つの前記回折格子アレイは何れもいくつかの組の磁誘導回折格子を含み、1番目の前記回折格子アレイ内で同一組の磁誘導回折格子の中心波長が同様であり、異なる組の磁誘導回折格子の中心波長が異なり、2番目の前記回折格子アレイ内で同一組の磁誘導回折格子の中心波長が異なり、異なる組の磁誘導回折格子の、同一配列位置にある回折格子の中心波長が同様であり、各組の磁誘導回折格子の1番目の回折格子は標識回折格子として機能し、同一時間で同一の回折格子アレイ内には、1つの回折格子のみが前記車載磁石に影響される2つの回折格子アレイと、
2つの前記回折格子アレイに光パルス信号をそれぞれ提供する光パルス生成モジュールと、
前記標識回折格子の中心波長シフト状況に基づいて、列車の1段位置決めを行って、1番目の前記回折格子アレイの中心波長シフト状況に基づいて、列車の2段位置決めを行って、2番目の前記回折格子アレイの中心波長シフト状況に基づいて、列車の3段位置決めを行って、段階的に前記列車が走行している鉄道位置を位置決めするデータ処理モジュールと、を含むことを特徴とする磁気浮上列車の位置決めシステム。
【請求項2】
前記光パルス生成モジュールは、
トリガ信号を受信した後、第1光パルス信号を送信する第1掃引パルス光源と、
前記トリガ信号を受信した後、第2光パルス信号を送信する第2掃引パルス光源と、
前記第1光パルス信号に対して増幅処理を行って、第1光パルス増幅信号を取得する第1光パルス増幅器と、
前記第2光パルス信号に対して増幅処理を行って、第2光パルス増幅信号を取得する第2光パルス増幅器と、
前記第1光パルス増幅信号を1番目の前記回折格子アレイに提供する第1サーキュレータと、
前記第2光パルス増幅信号を2番目の前記回折格子アレイに提供する第2サーキュレータと、を含むことを特徴とする請求項1に記載の磁気浮上列車の位置決めシステム。
【請求項3】
前記データ処理モジュールは、
前記第1サーキュレータから、1番目の前記回折格子アレイによって戻された第1検出対象光信号を受信して、前記第1検出対象光信号を第1検出対象電気信号に変換する第1光電変換器と、
前記第2サーキュレータから、2番目の前記回折格子アレイによって戻された第2検出対象光信号を受信して、前記第2検出対象光信号を第2検出対象電気信号に変換する第2光電変換器と、
前記第1検出対象電気信号と前記第2検出対象電気信号とを組み合わせて符号化して、電気コード信号を取得するデータコレクタと、
前記電気コード信号を復号化して、前記第1検出対象電気信号及び前記第2検出対象電気信号を取得して、前記第1検出対象電気信号及び前記第2検出対象電気信号で表徴される回折格子中心波長シフト状況に基づいて列車の3段位置決めを行うデータプロセッサと、を含むことを特徴とする請求項2に記載の磁気浮上列車の位置決めシステム。
【請求項4】
前記車載磁石は複数のサブ磁石を組み合わせることで形成され、複数の前記サブ磁石は列車の走行方向に沿ってハルバッハアレイの配列方式に従って配列されることを特徴とする請求項1に記載の磁気浮上列車の位置決めシステム。
【請求項5】
各前記回折格子アレイにおいて隣り合う回折格子の間のピッチは所定の第1ピッチ閾値に等しく、列車の走行方向で、前記車載磁石の隣り合う行のサブ磁石の間のピッチは所定の第2ピッチ閾値に等しく、前記車載磁石の総体長さは前記所定の第1ピッチ閾値に等しく、
前記データ処理モジュールはさらに、列車の3段位置決めに基づいて2番目の前記回折格子アレイ内の、中心波長がシフトしているターゲット回折格子及び現在の列車位置を決定した後、前記ターゲット回折格子の中心波長シフト状況に基づいて、前記列車が前記現在の列車位置で引き続いて運転する距離を決定することを特徴とする請求項4に記載の磁気浮上列車の位置決めシステム。
【請求項6】
1番目の前記回折格子アレイはOバンド回折格子アレイであり、2番目の前記回折格子アレイはCバンド回折格子アレイであることを特徴とする請求項1に記載の磁気浮上列車の位置決めシステム。
【請求項7】
前記データ処理モジュールは具体的に、
1番目の前記回折格子アレイによって戻された第1検出対象信号、及び2番目の前記回折格子アレイによって戻された第2検出対象信号を取得し、
前記第2検出対象信号から、標識回折格子の中心波長シフトを表徴する信号を検出した場合、前記列車は新たな1組の磁誘導回折格子が所在する鉄道セクション上を走行すると決定し、
前記第1検出対象信号から、第1磁誘導回折格子組の何れかの回折格子の中心波長シフトを表徴する信号を検出した場合、前記列車は前記第1磁誘導回折格子組が所在する鉄道セクション上を走行すると決定し、前記第1磁誘導回折格子組は1番目の前記回折格子アレイにおける何れか組の磁誘導回折格子であり、
前記第2検出対象信号から、前記第1磁誘導回折格子組と並列する第2磁誘導回折格子組におけるターゲット回折格子の中心波長シフトを表徴する信号を検出した場合、前記列車の車載磁石箇所は、前記ターゲット回折格子が所在する鉄道位置を走行すると決定し、前記ターゲット回折格子は前記第2磁誘導回折格子組における何れかの回折格子であることを特徴とする請求項1~6の何れかの項に記載の磁気浮上列車の位置決めシステム。
【請求項8】
前記データ処理モジュールはさらに、
2番目の前記回折格子アレイの中心波長シフト状況に基づいて、所定鉄道距離内での前記列車の前進・後進状況を決定することを特徴とする請求項7に記載の磁気浮上列車の位置決めシステム。
【請求項9】
前記データ処理モジュールはさらに、
前記列車のリアルタイム位置変化及びその運転時間に基づいて、前記列車のリアルタイム運転速度を決定することを特徴とする請求項7に記載の磁気浮上列車の位置決めシステム。
【請求項10】
磁気浮上列車の位置決め方法であって、請求項1~9何れかの1項に記載の磁気浮上列車の位置決めシステムに適用され、
前記標識回折格子の中心波長シフト状況に基づいて、列車の1段位置決めを行うステップと、
1番目の前記回折格子アレイの中心波長シフト状況に基づいて、列車の2段位置決めを行うステップと、
2番目の前記回折格子アレイの中心波長シフト状況に基づいて、列車の3段位置決めを行って、段階的に前記列車が走行している鉄道位置を位置決めするステップと、を含むことを特徴とする磁気浮上列車の位置決め方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2022年03月04日にて中国特許庁に提出され、出願番号が202210212795.7であり、発明の名称が「磁気浮上列車の位置決めシステム及び方法」である中国特許出願の優先権を主張して、その全ての内容は本出願に援用されている。
【0002】
本発明は磁気浮上の分野に関し、特に磁気浮上列車の位置決めシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
磁気浮上列車は磁気浮上力によって駆動される列車であり、電磁力によって列車と鉄道との間の非接触浮上及びガイドを実現して、リニアモータから生じた電磁力によって列車を運転させるように牽引する。磁気浮上列車は空中に浮上して、空気の抵抗のみを受けるため、その速度が速く、高速磁気浮上列車の時速は400キロメートル以上に達し、中低速磁気浮上列車の時速もほとんど100~200キロメートルに達する。ところが、磁気浮上列車の速度がますます速くなっていることに連れて、従来の列車位置決めの解決策は、列車の位置を大まかに位置決めすることしかできず、位置決め精度が低い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、上記技術問題を解決するための解決策を提供することは当業者にとって解決しようとする問題となっている。
【0005】
本発明は、磁気浮上列車の位置決めシステム及び方法を提供することを目的とし、3段位置決めによって、結果として、列車が走行している鉄道位置を正確に位置決めすることができ、位置決め精度が高い。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記技術問題を解決するために、本発明は磁気浮上列車の位置決めシステムを提供し、
列車底部に取り付けられる車載磁石と、
列車の走行方向に沿って列車鉄道に並列に敷設される2つの回折格子アレイであって、2つの前記回折格子アレイは何れもいくつかの組の磁誘導回折格子を含み、1番目の前記回折格子アレイ内で同一組の磁誘導回折格子の中心波長が同様であり、異なる組の磁誘導回折格子の中心波長が異なり、2番目の前記回折格子アレイ内で同一組の磁誘導回折格子の中心波長が異なり、異なる組の磁誘導回折格子の、同一配列位置にある回折格子の中心波長が同様であり、各組の磁誘導回折格子の1番目の回折格子は標識回折格子として機能し、同一時間で同一の回折格子アレイ内には、1つの回折格子のみが前記車載磁石に影響される2つの回折格子アレイと、
2つの前記回折格子アレイに光パルス信号をそれぞれ提供する光パルス生成モジュールと、
前記標識回折格子の中心波長シフト状況に基づいて、列車の1段位置決めを行って、1番目の前記回折格子アレイの中心波長シフト状況に基づいて、列車の2段位置決めを行って、2番目の前記回折格子アレイの中心波長シフト状況に基づいて、列車の3段位置決めを行って、段階的に前記列車が走行している鉄道位置を位置決めするデータ処理モジュールと、を含む。
【0007】
好ましくは、前記光パルス生成モジュールは、
トリガ信号を受信した後、第1光パルス信号を送信する第1掃引パルス光源と、
前記トリガ信号を受信した後、第2光パルス信号を送信する第2掃引パルス光源と、
前記第1光パルス信号に対して増幅処理を行って、第1光パルス増幅信号を取得する第1光パルス増幅器と、
前記第2光パルス信号に対して増幅処理を行って、第2光パルス増幅信号を取得する第2光パルス増幅器と、
前記第1光パルス増幅信号を1番目の前記回折格子アレイに提供する第1サーキュレータと、
前記第2光パルス増幅信号を2番目の前記回折格子アレイに提供する第2サーキュレータと、を含む。
【0008】
好ましくは、前記データ処理モジュールは、
前記第1サーキュレータから、1番目の前記回折格子アレイによって戻された第1検出対象光信号を受信して、前記第1検出対象光信号を第1検出対象電気信号に変換する第1光電変換器と、
前記第2サーキュレータから、2番目の前記回折格子アレイによって戻された第2検出対象光信号を受信して、前記第2検出対象光信号を第2検出対象電気信号に変換する第2光電変換器と、
前記第1検出対象電気信号と前記第2検出対象電気信号とを組み合わせて符号化して、電気コード信号を取得するデータコレクタと、
前記電気コード信号を復号化して、前記第1検出対象電気信号及び前記第2検出対象電気信号を取得して、前記第1検出対象電気信号及び前記第2検出対象電気信号で表徴される回折格子中心波長シフト状況に基づいて列車の3段位置決めを行うデータプロセッサと、を含む。
【0009】
好ましくは、前記車載磁石は複数のサブ磁石を組み合わせることで形成され、複数の前記サブ磁石は列車の走行方向に沿ってハルバッハアレイの配列方式に従って配列される。
【0010】
好ましくは、各前記回折格子アレイにおいて隣り合う回折格子の間のピッチは所定の第1ピッチ閾値に等しく、列車の走行方向で、前記車載磁石の隣り合う行のサブ磁石の間のピッチは所定の第2ピッチ閾値に等しく、前記車載磁石の総体長さは前記所定の第1ピッチ閾値に等しく、
前記データ処理モジュールはさらに、列車の3段位置決めに基づいて2番目の前記回折格子アレイ内の、中心波長がシフトしているターゲット回折格子及び現在の列車位置を決定した後、前記ターゲット回折格子の中心波長シフト状況に基づいて、前記列車が前記現在の列車位置で引き続いて運転する距離を決定する。
【0011】
好ましくは、1番目の前記回折格子アレイはOバンド回折格子アレイであり、2番目の前記回折格子アレイはCバンド回折格子アレイである。
【0012】
好ましくは、前記データ処理モジュールは具体的に、
1番目の前記回折格子アレイによって戻された第1検出対象信号、及び2番目の前記回折格子アレイによって戻された第2検出対象信号を取得し、
前記第2検出対象信号から、標識回折格子の中心波長シフトを表徴する信号を検出した場合、前記列車は新たな1組の磁誘導回折格子が所在する鉄道セクション上を走行すると決定し、
前記第1検出対象信号から、第1磁誘導回折格子組の何れかの回折格子の中心波長シフトを表徴する信号を検出した場合、前記列車は前記第1磁誘導回折格子組が所在する鉄道セクション上を走行すると決定し、前記第1磁誘導回折格子組は1番目の前記回折格子アレイにおける何れか組の磁誘導回折格子であり、
前記第2検出対象信号から、前記第1磁誘導回折格子組と並列する第2磁誘導回折格子組におけるターゲット回折格子の中心波長シフトを表徴する信号を検出した場合、前記列車の車載磁石箇所は前記ターゲット回折格子が所在する鉄道位置を走行すると決定し、前記ターゲット回折格子は前記第2磁誘導回折格子組における何れかの回折格子である。
【0013】
好ましくは、前記データ処理モジュールはさらに、
2番目の前記回折格子アレイの中心波長シフト状況に基づいて、所定鉄道距離内での前記列車の前進・後進状況を決定する。
【0014】
好ましくは、前記データ処理モジュールはさらに、
前記列車のリアルタイム位置変化及びその運転時間に基づいて、前記列車のリアルタイム運転速度を決定する。
【0015】
上記技術問題を解決するために、本発明は上記何れかの磁気浮上列車の位置決めシステムに適用される磁気浮上列車の位置決め方法をさらに提供し、
前記標識回折格子の中心波長シフト状況に基づいて、列車の1段位置決めを行うステップと、
1番目の前記回折格子アレイの中心波長シフト状況に基づいて、列車の2段位置決めを行うステップと、
2番目の前記回折格子アレイの中心波長シフト状況に基づいて、列車の3段位置決めを行って、段階的に前記列車が走行している鉄道位置を位置決めするステップと、を含む。
【発明の効果】
【0016】
本発明は磁気浮上列車の位置決めシステムを提供し、列車底部に取り付けられる車載磁石、列車の走行方向に沿って列車鉄道に並列に敷設される2つの回折格子アレイ、光パルス生成モジュール及びデータ処理モジュールを含む。1番目の回折格子アレイ内で同一組の磁誘導回折格子の中心波長が同様であり、異なる組の磁誘導回折格子の中心波長が異なり、2番目の回折格子アレイ内で同一組の磁誘導回折格子の中心波長が異なり、異なる組の磁誘導回折格子の、同一配列位置にある回折格子の中心波長が同様であり、各組の磁誘導回折格子の1番目の回折格子は標識回折格子として機能する。データ処理モジュールは標識回折格子の中心波長シフト状況に基づいて列車の1段位置決めを行って、1番目の回折格子アレイの中心波長シフト状況に基づいて列車の2段位置決めを行って、2番目の回折格子アレイの中心波長シフト状況に基づいて列車の3段位置決めを行って、段階的に列車が走行している鉄道位置を位置決めする。これから分かるように、本出願において、3段位置決めによって、結果として、列車が走行している鉄道位置を正確に位置決めすることができ、位置決め精度が高い。
【0017】
本発明は磁気浮上列車の位置決め方法をさらに提供し、上記位置決めシステムと同じ有益な効果を具備する。
本発明の実施例の技術的解決策をより明らかに説明するために、以下、従来技術及び実施例の必要な図面を簡単に紹介し、以下に記載の図面は本発明のいくつかの実施例に過ぎず、当業者にとって、進歩性に値する労働をしないことを前提として、これらの図面に基づいて他の図面を取得できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施例が提供する磁気浮上列車の位置決めシステムの構造模式図である。
【
図2】本発明の実施例が提供する磁気浮上列車の位置決めシステムの具体的な構造模式図である。
【
図3】本発明の実施例が提供するハルバッハアレイの配列方式の模式図である。
【
図4】本発明の実施例が提供するハルバッハアレイの拡張配列方式の模式図である。
【
図5】本発明の実施例が提供する2つの回折格子アレイの磁気誘導の原理図である。
【
図6】本発明の実施例が提供する磁気浮上列車の位置決め方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の核心は、磁気浮上列車の位置決めシステム及び方法を提供することであり、3段位置決めによって、結果として、列車が走行している鉄道位置を正確に位置決めすることができ、位置決め精度が高い。
【0020】
本発明の実施例の目的、技術解決策及び利点をより明らかにするために、以下、本発明の実施例の図面を結合して、本発明の実施例の技術的解決策を明らか且つ完全に記載し、記載される実施例は全ての実施例ではなく、本発明の一部の実施例に過ぎない。本発明の実施例に基づいて、当業者が進歩性に値する労働をしないことを前提として取得した他の全ての実施例は何れも本発明の保護範囲に属する。
【0021】
図1を参照し、
図1は本発明の実施例が提供する磁気浮上列車の位置決めシステムの構造模式図である。
【0022】
当該磁気浮上列車の位置決めシステムは、
列車底部に取り付けられる車載磁石1と、
列車の走行方向に沿って列車鉄道に並列に敷設される2つの回折格子アレイであって、2つの回折格子アレイは何れもいくつかの組の磁誘導回折格子を含み、1番目の回折格子アレイ2内で同一組の磁誘導回折格子の中心波長が同様であり、異なる組の磁誘導回折格子の中心波長が異なり、2番目の回折格子アレイ3内で同一組の磁誘導回折格子の中心波長が異なり、異なる組の磁誘導回折格子の、同一配列位置にある回折格子の中心波長が同様であり、且つ各組の磁誘導回折格子の1番目の回折格子は標識回折格子として機能し、同一時間で、同一の回折格子アレイ内に1つの回折格子のみが車載磁石1に影響される2つの回折格子アレイと、
2つの回折格子アレイに光パルス信号をそれぞれ提供する光パルス生成モジュール4と、
標識回折格子の中心波長シフト状況に基づいて列車の1段位置決めを行って、1番目の回折格子アレイ2の中心波長シフト状況に基づいて列車の2段位置決めを行って、2番目の回折格子アレイ3の中心波長シフト状況に基づいて列車の3段位置決めを行って、段階的に列車が走行している鉄道位置を位置決めするデータ処理モジュール5と、を含む。
【0023】
具体的に、本出願の磁気浮上列車の位置決めシステムは、車載磁石1、2つの回折格子アレイ、光パルス生成モジュール4及びデータ処理モジュール5を含み、その動作原理は以下の通りであり:
車載磁石1は列車底部に取り付けられる。2つの回折格子アレイは列車の走行方向に沿って列車鉄道に並列に敷設され、2つの回折格子アレイは何れもいくつかの組(例えば16組)の磁誘導回折格子を含み、各組の磁誘導回折格子に含まれる回折格子の数が同様であり、例えば、各組の磁誘導回折格子には16個の回折格子が含まれる。磁気浮上列車が走行して回折格子アレイを通過する場合、回折格子アレイにおける磁誘導回折格子は車載磁石1に影響され、磁誘導回折格子によって戻された光信号の中心波長はシフトする(各回折格子箇所は何れも1つの小さな磁気ビーズが付けられて、増感構造によってパッケージングされ、列車の運転過程で、磁気浮上列車の車体下方に取り付けられる車載磁石1は小磁気ビーズを吸引して回折格子のひずみを招致し、回折格子の中心波長をシフトさせる)。ここで、同一時間で同一の回折格子アレイ内には、1つの回折格子のみが車載磁石1に影響され、2つの回折格子アレイは並列に敷設されるため、同一時間で異なる回折格子アレイにおいて同一の配列位置にある回折格子は同時に車載磁石1に影響され、例えば、1番目の回折格子アレイ2内のN番目の回折格子、及び2番目の回折格子アレイ3内のN番目の回折格子は同時に車載磁石1に影響される。
【0024】
2つの回折格子アレイにおいて、1番目の回折格子アレイ2内で同一組の磁誘導回折格子の中心波長が同様であり、異なる組の磁誘導回折格子の中心波長が異なり、具体的に、中心波長が徐々に大きくなる順序に従って、1番目の回折格子アレイ2内の複数組の磁誘導回折格子を配列する。2番目の回折格子アレイ3内で同一組の磁誘導回折格子における各回折格子の中心波長がそれぞれ異なり(具体的に、中心波長が徐々に大きくなる順序に従って、2番目の回折格子アレイ3内の同一組の磁誘導回折格子のうちの各回折格子を配列する)、異なる組の磁誘導回折格子において同一の配列位置にある回折格子の中心波長が同様であり(例えば、2番目の回折格子アレイ3内の第N組の磁誘導回折格子のM番目の回折格子の中心波長と、2番目の回折格子アレイ3内の第N+1組の磁誘導回折格子のM番目の回折格子の中心波長とは同様である)、2番目の回折格子アレイ3内の各組の磁誘導回折格子の1番目の回折格子は標識回折格子として機能する(標識回折格子を除いて、回折格子アレイの他の回折格子は何れも2%以下の反射率を有する回折格子を使用し、標識回折格子は5%~10%の反射率を有する低反射率回折格子を使用し、これによって、2%以下の反射率を有する回折格子アレイとの区分を実現するが、光信号を大幅に減衰させることがない)。
【0025】
光パルス生成モジュール4は2つの回折格子アレイに光パルス信号をそれぞれ提供し、2つの回折格子アレイにおける各磁誘導回折格子は何れも、自体の中心波長シフト状況を表徴する光信号をデータ処理モジュール5に戻す。データ処理モジュール5はまず、標識回折格子の中心波長シフト状況に基づいて列車の1段位置決めを行って、1番目の回折格子アレイ2の中心波長シフト状況に基づいて列車の2段位置決めを行って、最後、2番目の回折格子アレイ3の中心波長シフト状況に基づいて列車の3段位置決めを行って、段階的に列車が走行している鉄道位置を位置決めする。
【0026】
これから分かるように、本出願において、3段位置決めによって、結果として、列車が走行している鉄道位置を正確に位置決めすることができ、位置決め精度が高い。
【0027】
上記実施例に基づいて、
図2を参照し、
図2は本発明の実施例が提供する磁気浮上列車の位置決めシステムの具体的な構造模式図である。
【0028】
好適な実施例として、光パルス生成モジュール4は、
トリガ信号を受信した後、第1光パルス信号を送信する第1掃引パルス光源41と、
トリガ信号を受信した後、第2光パルス信号を送信する第2掃引パルス光源42と、
第1光パルス信号に対して増幅処理を行って、第1光パルス増幅信号を取得する第1光パルス増幅器43と、
第2光パルス信号に対して増幅処理を行って、第2光パルス増幅信号を取得する第2光パルス増幅器44と、
第1光パルス増幅信号を1番目の回折格子アレイ2に提供する第1サーキュレータ45と、
第2光パルス増幅信号を2番目の回折格子アレイ3に提供する第2サーキュレータ46と、を含む。
【0029】
具体的に、本出願の光パルス生成モジュール4は第1掃引パルス光源41、第2掃引パルス光源42、第1光パルス増幅器43、第2光パルス増幅器44、第1サーキュレータ45及び第2サーキュレータ46を含み、その動作原理は以下の通りであり:
第1掃引パルス光源41はトリガ信号を受信した後、第1光パルス信号を第1光パルス増幅器43に送信する。第1光パルス増幅器43は第1光パルス信号に対して増幅処理を行って、第1光パルス増幅信号を取得して、第1光パルス増幅信号を第1サーキュレータ45に送信する。第1サーキュレータ45は第1光パルス増幅信号を1番目の回折格子アレイ2に提供する。
第2掃引パルス光源42及び第1掃引パルス光源41は同一のトリガ信号を使用する。第2掃引パルス光源42はトリガ信号を受信した後、第2光パルス信号を第2光パルス増幅器44に送信する。第2光パルス増幅器44は第2光パルス信号に対して増幅処理を行って、第2光パルス増幅信号を取得して、第2光パルス増幅信号を第2サーキュレータ46に送信する。第2サーキュレータ46は第2光パルス増幅信号を2番目の回折格子アレイ3に提供する。
【0030】
より具体的に、2つの掃引パルス光源のスベクトル帯域幅は40nm以上に達することができ、波長走査ステップは10pm~1nmで調整可能であり、掃引する時周期と周期との間隔は1us~1msで調整可能であり、制御可能なパルス幅の最小値は1usに達し、パルス間隔の最小値は1usに達する。
【0031】
好適な実施例として、データ処理モジュール5は、
第1サーキュレータ45から、1番目の回折格子アレイ2によって戻された第1検出対象光信号を受信して、第1検出対象光信号を第1検出対象電気信号に変換する第1光電変換器51と、
第2サーキュレータ46から、2番目の回折格子アレイ3によって戻された第2検出対象光信号を受信して、第2検出対象光信号を第2検出対象電気信号に変換する第2光電変換器52と、
第1検出対象電気信号と第2検出対象電気信号とを組み合わせて符号化して、電気コード信号を取得するデータコレクタ53と、
電気コード信号を復号化して、第1検出対象電気信号及び第2検出対象電気信号を取得し、第1検出対象電気信号及び第2検出対象電気信号で表徴される回折格子の中心波長シフト状況に基づいて列車の3段位置決めを行うデータプロセッサ54と、を含む。
【0032】
具体的に、本出願のデータ処理モジュール5は第1光電変換器51、第2光電変換器52、データコレクタ53及びデータプロセッサ54を含み、その動作原理は以下の通りであり:
第1サーキュレータ45はさらに、1番目の回折格子アレイ2によって戻された第1検出対象光信号を受信して、第1検出対象光信号を第1光電変換器51に送信する。第1光電変換器51は第1検出対象光信号を第1検出対象電気信号に変換して、第1検出対象電気信号をデータコレクタ53に送信する。
第2サーキュレータ46はさらに、2番目の回折格子アレイ3から戻された第2検出対象光信号を受信して、第2検出対象光信号を第2光電変換器52に送信する。第2光電変換器52は第2検出対象光信号を第2検出対象電気信号に変換して、第2検出対象電気信号をデータコレクタ53に送信する。
データコレクタ53は第1検出対象電気信号と第2検出対象電気信号とを組み合わせて符号化して(具体的に、上付き文字+下付き文字という組み合わせたコードの形態で組み合わせて符号化し、例えば、1番目の回折格子アレイ2内のN番目の回折格子に対応する第1検出対象電気信号をデータの上付き文字とし、2番目の回折格子アレイ3内のN番目の回折格子に対応する第2検出対象電気信号を当該データの下付き文字とする)、電気コード信号を取得し、電気コード信号をデータプロセッサ54に送信する。データプロセッサ54は電気コード信号を復号化して、第1検出対象電気信号及び第2検出対象電気信号を取得し、復号化後の第1検出対象電気信号及び第2検出対象電気信号で表徴される回折格子の中心波長シフト状況に基づいて列車の3段位置決めを行う。
【0033】
より具体的に、2つの光電変換器の-3db帯域幅はDC-500MHzであり、上昇時間は0.55nsであり、ゲインは18*103V/Wであり、飽和光パワーは100uWであり、応答度は0.9A/Wであり、高精度の光電変換を実現できる。データコレクタは4チャンネル収集に達することができ、各チャンネルは500Ms/sであり、サンプリング精度は16bitであり、高精度のデータ収集を実現できる。
【0034】
好適な実施例として、車載磁石1は複数のサブ磁石を組み合わせることで形成され、複数のサブ磁石は列車の走行方向に沿ってハルバッハアレイの配列方式に従って配列される。
【0035】
具体的に、本出願の車載磁石1は複数のサブ磁石を含み、複数のサブ磁石は列車の走行方向に沿ってハルバッハアレイの配列方式に従って配列されることで、磁力の強化を実現して、システムの感度を向上する。
【0036】
図3に示すように、ハルバッハアレイの配列方式(図面の矢印は磁場方向を示す)であり、磁場強度を向上するとともに、精度を低減することがなく、
図4に示すように、ハルバッハアレイの拡張配列方式であり、一定の精度を犠牲した場合、磁場強度を向上し、これによって、当該システムはより多くの実際環境に適する。
【0037】
好適な実施例として、各回折格子アレイにおいて隣り合う回折格子の間のピッチは所定の第1ピッチ閾値に等しく、列車の走行方向で、車載磁石1の隣り合う行のサブ磁石の間のピッチは所定の第2ピッチ閾値に等しく、車載磁石1の総体長さは所定の第1ピッチ閾値に等しく、
データ処理モジュール5はさらに、列車の3段位置決めに基づいて2番目の回折格子アレイ3内の、中心波長がシフトしているターゲット回折格子及び現在の列車位置を決定した後、ターゲット回折格子の中心波長シフト状況に基づいて列車が現在の列車位置で引き続いて運転する距離を決定する。
【0038】
具体的に、本出願の各回折格子アレイにおいて隣り合う回折格子の間のピッチは所定の第1ピッチ閾値に等しく、即ち、各回折格子アレイにおける回折格子は均一に配列される。列車の走行方向で、本出願の車載磁石1の隣り合う行のサブ磁石の間のピッチは所定の第2ピッチ閾値に等しく、車載磁石1の総体長さは所定の第1ピッチ閾値に等しく、これによって、同一時間で同一の回折格子アレイ内には、1つの回折格子のみが車載磁石1に影響されることを保証できる。
【0039】
これに基づいて、データ処理モジュール5はさらに、列車の3段位置決めに基づいて2番目の回折格子アレイ3内の、中心波長がシフトしている回折格子(ターゲット回折格子と呼ばれる)及び現在の列車位置を決定した後、ターゲット回折格子の中心波長シフト状況に基づいて、列車が現在の列車位置で引き続いて運転する距離を決定する。
【0040】
好適な実施例として、1番目の回折格子アレイ2はOバンド回折格子アレイであり、2番目の回折格子アレイ3はCバンド回折格子アレイである。
【0041】
具体的に、本出願の1番目の回折格子アレイ2はOバンド回折格子アレイであり、Oバンド回折格子アレイの回折格子の中心波長は1280~1310nmであり、16個の回折格子を1組とし、2番目の回折格子アレイ3はCバンド回折格子アレイであり、Cバンド回折格子アレイの回折格子の中心波長は1532~1560nmであり、16個の回折格子を1組とする。回折格子アレイは弱い回折格子アレイであり、長距離敷設を実現できる。
【0042】
図5に示すように、1番目の回折格子アレイ2及び2番目の回折格子アレイ3における1組の磁誘導回折格子を示す(他の組の磁誘導回折格子の原理は同様であるため、ここで、贅言しない)。1番目の回折格子アレイ2内で同一組の磁誘導回折格子の中心波長が同様であるため、
図5の1番目の回折格子アレイ2における1組の磁誘導回折格子は何れもO
1で示され、2番目の回折格子アレイ3内で同一組の磁誘導回折格子の中心波長が異なっているため、
図5の2番目の回折格子アレイ3における1組の磁誘導回折格子はそれぞれC
1-C
16で示めされる(組み合わせたコード方式の例示:O
1_C
1)。
【0043】
図5に示すように、簡単な車載磁石1のサブ磁石配列方式(2つの磁場方向のみ)をさらに示す。磁誘導回折格子に車載磁石1が通過していない場合、磁誘導回折格子の中心波長は変化せず、車載磁石1における何れか1行のサブ磁石が磁誘導回折格子を通過する場合、磁誘導回折格子の中心波長は何れも相応的に影響される(
図5の正弦変化)。これに基づいて、データ処理モジュール5はさらに、列車の3段位置決めに基づいて、2番目の回折格子アレイ3内の、中心波長がシフトしているターゲット回折格子及び現在の列車位置(列車の車載磁石箇所が、ターゲット回折格子が所在する鉄道位置上を走行する)を決定した後、ターゲット回折格子の中心波長のピーク・トラフの数に基づいて、列車が現在の列車位置で引き続いて運転する距離を決定する(隣り合うピーク・トラフの間の距離=車載磁石の隣り合う行のサブ磁石の間のピッチ=所定の第2ピッチ閾値であるため、ターゲット回折格子の中心波長にN個のピーク・トラフが再び生じた場合、列車が引き続いて運転する距離=N*所定の第2ピッチ閾値)。
【0044】
好適な実施例として、データ処理モジュール5は具体的に、
1番目の回折格子アレイによって戻された第1検出対象信号、及び2番目の回折格子アレイによって戻された第2検出対象信号を取得し、
第2検出対象信号から、標識回折格子の中心波長シフトを表徴する信号を検出した場合、列車は、新たな1組の磁誘導回折格子が所在する鉄道セクション上を走行すると決定し、
第1検出対象信号から、第1磁誘導回折格子組の何れかの回折格子の中心波長シフトを表徴する信号を検出した場合、列車は、第1磁誘導回折格子組が所在する鉄道セクション上を走行すると決定し、第1磁誘導回折格子組は1番目の回折格子アレイにおける何れか組の磁誘導回折格子であり、
第2検出対象信号から、第1磁誘導回折格子組と並列する第2磁誘導回折格子組におけるターゲット回折格子の中心波長シフトを表徴する信号を検出した場合、列車の車載磁石箇所は、ターゲット回折格子が所在する鉄道位置上を走行すると決定し、ターゲット回折格子は第2磁誘導回折格子組における何れかの回折格子である。
【0045】
具体的に、本出願のデータ処理モジュール5が列車の3段位置決めを行う過程は以下を含む:1)1番目の回折格子アレイによって戻された第1検出対象信号、及び2番目の回折格子アレイによって戻された第2検出対象信号を取得する;2)第2検出対象信号から、標識回折格子の中心波長シフトを表徴する信号を検出した場合、列車は新たな1組の磁誘導回折格子が所在する鉄道セクションを走行すると決定する(2番目の回折格子アレイ内で異なる組の磁誘導回折格子の標識回折格子の中心波長が同様であるため、車載磁石に当てた際異なる組の磁誘導回折格子の標識回折格子の中心波長シフト状況が同様であり、そのため、第2検出対象信号から、標識回折格子の中心波長シフトを表徴する信号を検出した場合、具体的にどの組の磁誘導回折格子の標識回折格子が車載磁石に当てたかについて知ることができず、標識回折格子が各組の磁誘導回折格子の1番目の回折格子であることによって、列車は、新たな1組の磁誘導回折格子が所在する鉄道セクションを走行すると決定することしかできない);3)第1検出対象信号から、1番目の回折格子アレイにおける何れか組の磁誘導回折格子(第1磁誘導回折格子組と呼ばれる)の何れかの回折格子の中心波長シフトを表徴する信号を検出した場合、列車は第1磁誘導回折格子組が所在する鉄道セクションを走行すると決定する(1番目の回折格子アレイ内で同一組の磁誘導回折格子の中心波長が同様であるため、車載磁石に当てた際第1磁誘導回折格子組の各回折格子の中心波長シフト状況が同様であり、そのため、第1検出対象信号から、第1磁誘導回折格子組の何れかの回折格子の中心波長シフトを表徴する信号を検出した場合、具体的にどの第1磁誘導回折格子組のどの回折格子が車載磁石に当てたかについて知ることができず、列車は第1磁誘導回折格子組が所在する鉄道セクション上を走行すると決定することしかできない);4)第2検出対象信号から、第1磁誘導回折格子組と並列する第2磁誘導回折格子組における何れかの回折格子(ターゲット回折格子と呼ばれる)の中心波長シフトを表徴する信号を検出した場合、列車の車載磁石箇所は、ターゲット回折格子が所在する鉄道位置を走行すると決定する(2番目の回折格子アレイ内で同一組の磁誘導回折格子の中心波長が異なっているため、車載磁石に当てた際、同一組の磁誘導回折格子の各回折格子の中心波長シフト状況が異なり、そのため、第2検出対象信号から、第2磁誘導回折格子組におけるターゲット回折格子の中心波長シフトを表徴する信号を検出した場合、第2磁誘導回折格子組におけるターゲット回折格子が車載磁石に当てたと決定し、即ち、列車の車載磁石箇所は、ターゲット回折格子が所在する鉄道位置を走行すると決定する)。
【0046】
また、本出願のデータ処理モジュール5はさらに、速度とデータ伝送処理との通常遅延を算出することで、磁気浮上列車の3段位置決めによる現在の列車位置を修正して、より正確な列車の位置決めを取得する。
【0047】
好適な実施例として、データ処理モジュール5はさらに、
2番目の回折格子アレイの中心波長シフト状況に基づいて、所定鉄道距離内での列車の前進・後進状況を決定する。
【0048】
さらに、2番目の回折格子アレイ内で同一組の磁誘導回折格子の中心波長が異なっているため、列車が前進し又は後進する時、2番目の回折格子アレイ内で同一組の磁誘導回折格子の中心波長は異なる変化を表現し、そのため、本出願のデータ処理モジュール5はさらに、2番目の回折格子アレイの中心波長シフト状況に基づいて、短距離内での列車の前進・後進状況を決定する(前進:順方向走行方向;後進:逆方向走行方向)。
【0049】
好適な実施例として、データ処理モジュール5はさらに、
列車のリアルタイム位置変化及びその運転時間に基づいて列車のリアルタイム運転速度を決定する。
【0050】
さらに、本出願のデータ処理モジュール5はリアルタイムに位置決めされた、列車が走行している鉄道位置に基づいて、列車のリアルタイム位置変化を取得して、列車のリアルタイム位置変化及びその運転時間に基づいて列車のリアルタイム運転速度を決定する。
【0051】
以上のように、磁気浮上列車の走行過程で、標識回折格子による1段確認、O波の同一組、同一波長区間による2段確認、及びC波の同一組、異なる波長による3段確認を介して、磁気浮上列車の位置決め、速度、走行方向などの情報を取得する。当該システムは環境適応力が強く、感度が高く、測定精度が高く、耐干渉、使用寿命が長いという利点を具備する。
【0052】
図6を参照し、
図6は本発明の実施例が提供する磁気浮上列車の位置決め方法のフローチャートである。
【0053】
当該磁気浮上列車の位置決め方法は上記何れかの磁気浮上列車の位置決めシステムに適用され、
標識回折格子の中心波長シフト状況に基づいて列車の1段位置決めを行うステップS1と、
1番目の回折格子アレイの中心波長シフト状況に基づいて列車の2段位置決めを行うステップS2と、
2番目の回折格子アレイの中心波長シフト状況に基づいて列車の3段位置決めを行って、段階的に列車が走行している鉄道位置を位置決めするステップS3と、を含む。
【0054】
本出願が提供する位置決め方法の紹介について、上記位置決めシステムの実施例を参照すればよく、ここで、贅言しない。
【0055】
また、ここで、本明細書において、第1及び第2のような関係用語は1つのエンティティ又は操作を他のエンティティ又は操作に区別するためのものであり、これらのエンティティ又は操作同士の間にはこのような実際の関係又は順序があるように要求又は暗示するとは限らない。且つ、用語「含む」「包含」又はその他の任意の変形は非排他的包含を含むように意図され、それにより、一連の要素を含む過程、方法、品物又は機器はそれらの要素を含むだけでなく、更に明確に列挙されていない他の要素を含み、或いは、さらにこのような過程、方法、品物又は機器の固有の要素を含む。これ以上限定しない限り、語句「○○を含む」で限定された要素は、該要素を含む過程、方法、品物又は機器には更に他の同じ要素があることを排除しない。
【0056】
開示した実施例への上記説明によって、当業者は本発明を実現又は使用できる。これらの実施例に対する多種の補正は当業者にとって自明であり、本明細書に定義された一般的な原理は本発明の精神又は範囲から逸脱しない場合、他の実施例において実現されることができる。従って、本発明は本明細書に記載のこれらの実施例に限定されず、本明細書が開示した原理及び新規特点と一致する、最も幅広い範囲に合う。
【手続補正書】
【提出日】2024-07-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気浮上列車の位置決めシステムであって、
列車底部に取り付けられる車載磁石と、
列車の走行方向に沿って列車鉄道に並列に敷設される2つの回折格子アレイであって、2つの前記回折格子アレイは何れもいくつかの組の磁誘導回折格子を含み、1番目の前記回折格子アレイ内で同一組の磁誘導回折格子の中心波長が同様であり、異なる組の磁誘導回折格子の中心波長が異なり、2番目の前記回折格子アレイ内で同一組の磁誘導回折格子の中心波長が異なり、異なる組の磁誘導回折格子の、同一配列位置にある回折格子の中心波長が同様であり、各組の磁誘導回折格子の1番目の回折格子は標識回折格子として機能し、同一時間で同一の回折格子アレイ内には、1つの回折格子のみが前記車載磁石に影響される2つの回折格子アレイと、
2つの前記回折格子アレイに光パルス信号をそれぞれ提供する光パルス生成モジュールと、
前記標識回折格子の中心波長シフト状況に基づいて、列車の1段位置決めを行って、1番目の前記回折格子アレイの中心波長シフト状況に基づいて、列車の2段位置決めを行って、2番目の前記回折格子アレイの中心波長シフト状況に基づいて、列車の3段位置決めを行って、段階的に前記列車が走行している鉄道位置を位置決めするデータ処理モジュールと、を含み、
前記データ処理モジュールは具体的に、
1番目の前記回折格子アレイによって戻された第1検出対象信号、及び2番目の前記回折格子アレイによって戻された第2検出対象信号を取得し、
前記第2検出対象信号から、標識回折格子の中心波長シフトを表徴する信号を検出した場合、前記列車は新たな1組の磁誘導回折格子が所在する鉄道セクション上を走行すると決定し、
前記第1検出対象信号から、第1磁誘導回折格子組の何れかの回折格子の中心波長シフトを表徴する信号を検出した場合、前記列車は前記第1磁誘導回折格子組が所在する鉄道セクション上を走行すると決定し、前記第1磁誘導回折格子組は1番目の前記回折格子アレイにおける何れか組の磁誘導回折格子であり、
前記第2検出対象信号から、前記第1磁誘導回折格子組と並列する第2磁誘導回折格子組におけるターゲット回折格子の中心波長シフトを表徴する信号を検出した場合、前記列車の車載磁石箇所は、前記ターゲット回折格子が所在する鉄道位置を走行すると決定し、前記ターゲット回折格子は前記第2磁誘導回折格子組における何れかの回折格子であることを特徴とする磁気浮上列車の位置決めシステム。
【請求項2】
前記光パルス生成モジュールは、
トリガ信号を受信した後、第1光パルス信号を送信する第1掃引パルス光源と、
前記トリガ信号を受信した後、第2光パルス信号を送信する第2掃引パルス光源と、
前記第1光パルス信号に対して増幅処理を行って、第1光パルス増幅信号を取得する第1光パルス増幅器と、
前記第2光パルス信号に対して増幅処理を行って、第2光パルス増幅信号を取得する第2光パルス増幅器と、
前記第1光パルス増幅信号を1番目の前記回折格子アレイに提供する第1サーキュレータと、
前記第2光パルス増幅信号を2番目の前記回折格子アレイに提供する第2サーキュレータと、を含むことを特徴とする請求項1に記載の磁気浮上列車の位置決めシステム。
【請求項3】
前記データ処理モジュールは、
前記第1サーキュレータから、1番目の前記回折格子アレイによって戻された第1検出対象光信号を受信して、前記第1検出対象光信号を第1検出対象電気信号に変換する第1光電変換器と、
前記第2サーキュレータから、2番目の前記回折格子アレイによって戻された第2検出対象光信号を受信して、前記第2検出対象光信号を第2検出対象電気信号に変換する第2光電変換器と、
前記第1検出対象電気信号と前記第2検出対象電気信号とを組み合わせて符号化して、電気コード信号を取得するデータコレクタと、
前記電気コード信号を復号化して、前記第1検出対象電気信号及び前記第2検出対象電気信号を取得して、前記第1検出対象電気信号及び前記第2検出対象電気信号で表徴される回折格子中心波長シフト状況に基づいて列車の3段位置決めを行うデータプロセッサと、を含むことを特徴とする請求項2に記載の磁気浮上列車の位置決めシステム。
【請求項4】
前記車載磁石は複数のサブ磁石を組み合わせることで形成され、複数の前記サブ磁石は列車の走行方向に沿ってハルバッハアレイの配列方式に従って配列されることを特徴とする請求項1に記載の磁気浮上列車の位置決めシステム。
【請求項5】
各前記回折格子アレイにおいて隣り合う回折格子の間のピッチは所定の第1ピッチ閾値に等しく、列車の走行方向で、前記車載磁石の隣り合う行のサブ磁石の間のピッチは所定の第2ピッチ閾値に等しく、前記車載磁石の総体長さは前記所定の第1ピッチ閾値に等しく、
前記データ処理モジュールはさらに、列車の3段位置決めに基づいて2番目の前記回折格子アレイ内の、中心波長がシフトしているターゲット回折格子及び現在の列車位置を決定した後、前記ターゲット回折格子の中心波長シフト状況に基づいて、前記列車が前記現在の列車位置で引き続いて運転する距離を決定することを特徴とする請求項4に記載の磁気浮上列車の位置決めシステム。
【請求項6】
1番目の前記回折格子アレイはOバンド回折格子アレイであり、2番目の前記回折格子アレイはCバンド回折格子アレイであることを特徴とする請求項1に記載の磁気浮上列車の位置決めシステム。
【請求項7】
前記データ処理モジュールはさらに、
2番目の前記回折格子アレイの中心波長シフト状況に基づいて、所定鉄道距離内での前記列車の前進・後進状況を決定することを特徴とする請求項1に記載の磁気浮上列車の位置決めシステム。
【請求項8】
前記データ処理モジュールはさらに、
前記列車のリアルタイム位置変化及びその運転時間に基づいて、前記列車のリアルタイム運転速度を決定することを特徴とする請求項1に記載の磁気浮上列車の位置決めシステム。
【請求項9】
磁気浮上列車の位置決め方法であって、請求項1~8何れかの1項に記載の磁気浮上列車の位置決めシステムに適用され、前記方法は、
前記標識回折格子の中心波長シフト状況に基づいて、列車の1段位置決めを行うステップと、
1番目の前記回折格子アレイの中心波長シフト状況に基づいて、列車の2段位置決めを行うステップと、
2番目の前記回折格子アレイの中心波長シフト状況に基づいて、列車の3段位置決めを行って、段階的に前記列車が走行している鉄道位置を位置決めするステップと、を含み、
位置決め過程は具体的に、
1番目の前記回折格子アレイによって戻された第1検出対象信号、及び2番目の前記回折格子アレイによって戻された第2検出対象信号を取得し、
前記第2検出対象信号から、標識回折格子の中心波長シフトを表徴する信号を検出した場合、前記列車は新たな1組の磁誘導回折格子が所在する鉄道セクション上を走行すると決定し、
前記第1検出対象信号から、第1磁誘導回折格子組の何れかの回折格子の中心波長シフトを表徴する信号を検出した場合、前記列車は前記第1磁誘導回折格子組が所在する鉄道セクション上を走行すると決定し、前記第1磁誘導回折格子組は1番目の前記回折格子アレイにおける何れか組の磁誘導回折格子であり、
前記第2検出対象信号から、前記第1磁誘導回折格子組と並列する第2磁誘導回折格子組におけるターゲット回折格子の中心波長シフトを表徴する信号を検出した場合、前記列車の車載磁石箇所は、前記ターゲット回折格子が所在する鉄道位置を走行すると決定し、前記ターゲット回折格子は前記第2磁誘導回折格子組における何れかの回折格子であることを特徴とする磁気浮上列車の位置決め方法。
【国際調査報告】