(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】ヒンジ
(51)【国際特許分類】
E05F 5/02 20060101AFI20241219BHJP
E05D 3/14 20060101ALI20241219BHJP
E05F 3/20 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
E05F5/02 E
E05D3/14 A
E05F3/20
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024535596
(86)(22)【出願日】2022-12-06
(85)【翻訳文提出日】2024-07-12
(86)【国際出願番号】 EP2022084579
(87)【国際公開番号】W WO2023110536
(87)【国際公開日】2023-06-22
(32)【優先日】2021-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】597140501
【氏名又は名称】ユリウス ブルーム ゲー・エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】Julius Blum GmbH
【住所又は居所原語表記】Industriestrasse 1, 6973 Hoechst, Austria
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス ホルツアプフェル
(57)【要約】
ヒンジ(1)、特に家具ヒンジであって、-ストッパ部分(2)であって、該ストッパ部分(2)によりヒンジ(1)が定置の家具部分(40)に取付け可能である、ストッパ部分(2)と、-少なくとも1つのジョイントレバー(3)と、-ヒンジポット(4)であって、該ヒンジポット(4)が、少なくとも1つのジョイントレバー(3)を介して旋回可能にストッパ部分(2)に配置されているか、または配置可能であり、少なくとも1つのジョイントレバー(3)が、ヒンジポット(4)に、少なくとも1つのジョイント軸(5)を介して支承されており、ヒンジポット(4)が、可動の家具部分(41)に取付け可能である、ヒンジポット(4)と、-ヒンジ(1)の開放位置(7)と閉鎖位置(8)との間でストッパ部分(2)とヒンジポット(4)との間の相対運動を緩衝するための少なくとも1つの緩衝装置(6)であって、少なくとも1つの緩衝装置(6)が、プランジャ(10)および並進的に可動なプランジャロッド(11)を備えたリニアダンパ(9)を有していて、少なくとも1つの緩衝装置(6)が、好適には完全に、ヒンジポット(4)外に配置されている、緩衝装置(6)と、-少なくとも1つの緩衝装置(6)を操作するための、好適には一体的な、かつ/または少なくとも1つのジョイントレバー(3)から、特に有利には少なくとも開放位置(7)において空間的に別個の少なくとも1つの操作要素(12)とを含んでいるヒンジ(1)において、少なくとも1つの操作要素(12)が、回転可能に、好適には外側で、ヒンジポット(4)に支承されており、プランジャロッド(11)が、好適には直接に、少なくとも1つの操作要素(12)の回転により、リニアダンパ(9)に対して実質的に並進的に可動である、ヒンジ(1)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒンジ(1)、特に家具ヒンジであって、
-ストッパ部分(2)であって、該ストッパ部分(2)により前記ヒンジ(1)が定置の家具部分(40)に取付け可能である、ストッパ部分(2)と、
-少なくとも1つのジョイントレバー(3)と、
-ヒンジポット(4)であって、該ヒンジポット(4)が、前記少なくとも1つのジョイントレバー(3)を介して旋回可能に前記ストッパ部分(2)に配置されているか、または配置可能であり、前記少なくとも1つのジョイントレバー(3)が、前記ヒンジポット(4)に、少なくとも1つのジョイント軸(5)を介して支承されており、前記ヒンジポット(4)が、可動の家具部分(41)に取付け可能である、ヒンジポット(4)と、
-前記ヒンジ(1)の開放位置(7)と閉鎖位置(8)との間で前記ストッパ部分(2)と前記ヒンジポット(4)との間の相対運動を緩衝するための少なくとも1つの緩衝装置(6)であって、前記少なくとも1つの緩衝装置(6)が、プランジャ(10)および並進的に可動なプランジャロッド(11)を備えたリニアダンパ(9)を有していて、前記少なくとも1つの緩衝装置(6)が、好適には完全に、前記ヒンジポット(4)外に配置されている、緩衝装置(6)と、
-前記少なくとも1つの緩衝装置(6)を操作するための、好適には一体的な、かつ/または前記少なくとも1つのジョイントレバー(3)から、特に有利には少なくとも前記開放位置(7)において空間的に別個の少なくとも1つの操作要素(12)と
を含んでいるヒンジ(1)において、
前記少なくとも1つの操作要素(12)が、回転可能に、好適には外側で、前記ヒンジポット(4)に支承されており、前記プランジャロッド(11)が、好適には直接に、前記少なくとも1つの操作要素(12)の回転により、前記リニアダンパ(9)に対して実質的に並進的に可動であることを特徴とする、ヒンジ(1)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの操作要素(12)が、所定の領域において前記ヒンジポット(4)内で、かつ所定の領域において前記ヒンジポット(4)外で前記ヒンジポット(4)に配置されている、かつ/または前記少なくとも1つのジョイントレバー(3)が、所定の領域において前記ヒンジポット(4)内に、かつ所定の領域において前記ヒンジポット(4)外に配置されている、請求項1記載のヒンジ(1)。
【請求項3】
ヒンジポットカバー(13)が設けられており、該ヒンジポットカバー(13)により、前記少なくとも1つの緩衝装置(6)および/または前記少なくとも1つの操作要素(12)が、少なくとも所定の領域において、好適には完全に覆われていてよく、好適には、前記ヒンジポットカバー(13)が、前記ヒンジポット(4)上にクリップ結合可能またはクリップ結合されており、かつ/または有利には前記少なくとも1つの緩衝装置(6)および/または前記少なくとも1つの操作要素(12)の幾何学形状に対応する少なくとも1つの収容領域(14)を含むことが規定されている、請求項1または2記載のヒンジ(1)。
【請求項4】
前記少なくとも1つのジョイントレバー(3)が、前記ヒンジ(1)の前記閉鎖位置(8)および/または前記開放位置(7)で、少なくとも所定の領域において前記ヒンジポット(4)内で前記ヒンジポット(4)の内部空間(15)内に配置されており、かつ/または前記ヒンジポット(4)の外側空間(16)が、好適には場合によっては存在するヒンジポットカバー(13)とは別個の、かつ/または少なくとも所定の領域において場合によっては存在するヒンジポットカバー(13)から離間したヒンジポット壁(17)によって、前記ヒンジポット(4)の前記内部空間(15)から分離されている、請求項1から3までのいずれか1項記載のヒンジ(1)。
【請求項5】
前記ヒンジポット(4)が、切欠き(18)、ヒンジポット底部(19)および/または載置面(20)を含んでおり、前記少なくとも1つの緩衝装置(6)が、少なくとも所定の領域において前記ヒンジポット(4)の前記切欠き(18)内に、かつ/または前記ヒンジポット(4)の前記載置面(20)に配置されており、好適には、前記載置面(20)が、前記ヒンジポット底部(19)に対して特に有利には鋭角である角度(21)を形成することが規定されている、請求項1から4までのいずれか1項記載のヒンジ(1)。
【請求項6】
前記少なくとも1つの操作要素(12)が、ヒンジポット開口(45)を通って前記ヒンジポット(4)内に突入し、かつ/または前記少なくとも1つのジョイントレバー(3)が、前記ヒンジポット開口(45)を通って前記ヒンジポット(4)から突出する、請求項1から5までのいずれか1項記載のヒンジ(1)。
【請求項7】
前記少なくとも1つの操作要素(12)が、軸(22)、好適には前記少なくとも1つのジョイント軸(5)を中心として回転可能に前記ヒンジポット(4)に支承されており、前記少なくとも1つの操作要素(12)の回転運動が、前記リニアダンパ(9)の前記プランジャロッド(11)の線形運動に変換可能であり、好適には、前記少なくとも1つの操作要素(12)が、制御カム(23)および/または前記リニアダンパ(9)の前記プランジャ(10)の方向で特に有利には凸状の異形成形部(24)を含むことが規定されている、請求項1から6までのいずれか1項記載のヒンジ(1)。
【請求項8】
前記少なくとも1つの操作要素(12)が、好適には実質的にU字形の、湾曲された金属薄板部分(25)またはプラスチック部分として形成されている、請求項1から7までのいずれか1項記載のヒンジ(1)。
【請求項9】
少なくとも1つの伝達装置(26)が設けられており、該伝達装置(26)により、前記少なくとも1つのジョイントレバー(3)の回転運動が、前記少なくとも1つの操作要素(12)に移行可能であり、好適には、前記少なくとも1つの伝達装置(26)が、前記ヒンジポット(4)内に配置されていることが規定されている、請求項1から8までのいずれか1項記載のヒンジ(1)。
【請求項10】
前記少なくとも1つの伝達装置(26)が、前記ヒンジ(1)の前記開放位置(7)を起点として、前記ヒンジ(1)の前記閉鎖位置(8)に向かう方向で、第1の運動区分(27)では前記少なくとも1つの操作要素(12)に対して非接触に形成されており、かつ/または好適には前記第1の運動区分(12)に続く第2の運動区分(28)では前記少なくとも1つの操作要素(12)に接触し、好適には、前記少なくとも1つの緩衝装置(6)が、前記少なくとも1つの伝達装置(26)により、有利には専ら前記第2の運動区分(28)において作動可能であることが規定されている、請求項9記載のヒンジ(1)。
【請求項11】
前記少なくとも1つの伝達装置(26)が、軸(22)、好適には前記少なくとも1つのジョイント軸(5)上で回転可能に配置されており、かつ/または前記少なくとも1つのジョイントレバー(3)の好適には統合された部分として形成されている、請求項9または10記載のヒンジ(1)。
【請求項12】
前記少なくとも1つの伝達装置(26)が、制御カム(23)および/または前記少なくとも1つの操作要素(12)を収容するための、好適にはアンダカット(43)として形成された異形成形部(24)を含む、請求項9から11までのいずれか1項記載のヒンジ(1)。
【請求項13】
前記少なくとも1つのジョイントレバー(3)が、前記少なくとも1つの伝達装置(26)を含み、かつ/または前記少なくとも1つの伝達装置(26)を介して間接的に、好適には前記少なくとも1つのジョイントレバー(3)の回転運動により前記少なくとも1つの操作要素(12)に配置可能または配置されている、請求項9から12までのいずれか1項記載のヒンジ(1)。
【請求項14】
前記少なくとも1つの操作要素(12)が、大部分で前記ヒンジポット(4)外に配置されている、かつ/または連結装置(29)を含み、該連結装置(29)に、前記少なくとも1つの伝達装置(26)が前記ヒンジ(1)を緩衝するために接触可能である、請求項1から13までのいずれか1項記載のヒンジ(1)。
【請求項15】
前記連結装置(29)が、前記少なくとも1つのジョイント軸(5)に対して好適には実質的に平行に配向されたウェブ(30)の形態で形成されており、前記ウェブ(30)が、前記少なくとも1つの操作要素(12)から横方向に突出している、請求項14記載のヒンジ(1)。
【請求項16】
前記連結装置(29)が、好適には円環セグメント(31)の形態で存在する長孔(32)を通って前記ヒンジポット(4)内に突入し、好適には、前記連結装置(29)が、自由端(33)を有していることが規定されている、請求項14または15記載のヒンジ(1)。
【請求項17】
前記少なくとも1つの操作要素(12)が、好適には前記プランジャロッド(11)に対して横方向かつ/または直交して配置された延長ロッド(34)を介して、前記プランジャロッド(11)に結合されており、好適には、前記プランジャロッド(11)が、少なくとも所定の領域において、前記プランジャロッド(11)を前記少なくとも1つの操作要素(12)に運動連結するために前記少なくとも1つの操作要素(12)の開口(35)または凹設部内に配置されていることが規定されている、請求項1から16までのいずれか1項記載のヒンジ(1)。
【請求項18】
前記少なくとも1つのジョイント軸(5)が、前記ヒンジポット(4)に結合されたリベット(36)の形態で、かつ/または前記ヒンジポット(4)に結合されたクリップ(37)の形態で形成されており、好適には、前記クリップ(37)が、別のジョイントレバー(39)のための別のジョイント軸(38)を形成していることが規定されている、請求項1から17までのいずれか1項記載のヒンジ(1)。
【請求項19】
少なくとも1つの定置の家具部分(40)と、可動に支承された家具部分(41)とを含む家具(42)であって、請求項1から18までのいずれか1項記載の少なくとも1つのヒンジ(1)を備え、前記ヒンジ(1)のストッパ部分(2)が、前記定置の家具部分(40)に配置されており、ヒンジポット(4)が、前記可動の家具部分(41)に配置されており、特に少なくとも所定の領域において前記可動の家具部分(41)に組み込まれている、家具(42)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒンジ、特に家具ヒンジであって、ストッパ部分であって、ストッパ部分によりヒンジが定置の家具部分に取付け可能である、ストッパ部分と、少なくとも1つのジョイントレバーと、ヒンジポットであって、ヒンジポットが、少なくとも1つのジョイントレバーを介して旋回可能にストッパ部分に配置されているか、または配置可能であり、少なくとも1つのジョイントレバーが、ヒンジポットに、少なくとも1つのジョイント軸を介して支承されており、ヒンジポットが、可動の家具部分に取付け可能である、ヒンジポットと、ヒンジの開放位置と閉鎖位置との間でストッパ部分とヒンジポットとの間の相対運動を緩衝するための少なくとも1つの緩衝装置であって、少なくとも1つの緩衝装置が、プランジャおよび並進的に可動なプランジャロッドを備えたリニアダンパを有しており、少なくとも1つの緩衝装置が、好適には完全に、ヒンジポット外に配置されている、緩衝装置と、少なくとも1つの緩衝装置を操作するための、好適には一体的な、かつ/または少なくとも1つのジョイントレバーから、特に有利には少なくとも開放位置において空間的に別個の少なくとも1つの操作要素とを含んでいるヒンジに関する。さらに本発明は、少なくとも1つのこのようなヒンジを備えた家具に関する。
【0002】
このようなヒンジは、国際公開第2016/102215号から既に公知であり、上掲の明細書では、線形に可動なスライダを備えたリニアダンパが、外側でヒンジポットに取付け可能であり、ジョイントレバーは、リニアダンパを操作するために、線形に可動なスライダにヒンジポット開口を通して接触する。
【0003】
従来技術における欠点は、ジョイントレバーの回転運動の、線形に可動なスライダの並進運動への変換によって、不調和な緩衝行程が生じてしまうことにある。さらに、線形に可動なスライダへの力分配は不都合である。なぜならば、ジョイントレバーの回転によって生じる力ベクトルは、プランジャロッドに直交するように向いており、これによって特に、線形に可動なスライダの高い摩耗および/またはリニアダンパへの減じられた力伝達が生じるからである。さらに、線形に可動なスライダの複雑な幾何学形状は手間がかかり、ヒンジの機能性を保証することができるようにするために、ジョイントレバーの運動経過に僅かな誤差で適合されていなければならない。
【0004】
したがって本発明の客観的な技術的な課題は、従来技術に対して改良されたヒンジであって、従来技術の欠点が少なくとも部分的に解消されていて、特にコンパクトな構造形態および/または少なくとも1つのジョイントレバーの回転運動の、プランジャロッドへの特に有利な伝達により優れており、これにより特に調和のとれた緩衝運動を保証することができるヒンジを提供することである。
【0005】
この課題は、請求項1の特徴的構成によって解決される。
【0006】
したがって本発明によれば、少なくとも1つの操作要素が、回転可能に、好適には外側で、ヒンジポットに支承されており、プランジャロッドが、好適には直接に、少なくとも1つの操作要素の回転により、リニアダンパに対して実質的に並進的に可動であることが提案されている。
【0007】
これにより初めて、ヒンジポット内の限られた構造空間が、緩衝装置の構造上の構成には実質的に左右されず、かつ/または緩衝装置によってさらに制限されないことが可能にされ、この場合、特にコンパクトなヒンジが与えられている。
【0008】
さらに、ヒンジを、変更された緩衝装置、例えば変化する幾何学形状および/または寸法にフレキシブルに適合させることができる。
【0009】
さらに、ヒンジポットの内部空間で引き起こされた、少なくとも1つのジョイントレバーの回転運動を、少なくとも1つの操作要素の回転運動に移行することができるというポジティブな特性が生じる。このことは、一方では、少なくとも1つの操作要素の回転運動へのジョイントレバーの回転運動の変換を、ヒンジに対する要求に依存して(例えば、少なくとも1つの操作要素における少なくとも1つのジョイントレバーの作用点の位置決めを介して、かつ/または少なくとも1つの操作要素におけるプランジャロッドの作用点を介して)適合させることができ、他方では、ヒンジポット内の回転運動をヒンジポットの外側領域に伝達することができる簡単な機構が与えられていて、特にヒンジ自体および/または可動の家具部分へのヒンジの、組付けを特にユーザフレンドリーに行うことができる、という利点をもたらす。
【0010】
概して、少なくとも1つのジョイントレバーが、例えばヒンジポット開口の貫通係合部を介して、プランジャロッドに、好適には直接に接触することが可能である。
【0011】
有利には、少なくとも1つの緩衝装置の操作が、専ら並進的に行われ、概して、リニアダンパに対するプランジャロッドの線形運動が、少なくとも1つの緩衝装置の旋回運動に重畳されていてよい。旋回運動は、例えばヒンジポットおよび/またはヒンジポットカバーに設けられた斜面を介してロックされるかまたは阻止され得る。
【0012】
有利には、少なくとも1つの操作要素と少なくとも1つのジョイントレバーとの、特に少なくとも所定の区分、または専ら所定の区分における運動連結により、ジョイントレバーの回転運動は、プランジャロッドの線形運動に、プランジャロッドと少なくとも1つの操作要素との好適には直接的な接触によって伝達される。
【0013】
有利には、少なくとも1つの操作要素が、少なくとも1つの運動区分において、少なくとも1つのジョイントレバーから空間的に離間している、かつ/またはリニアダンパのプランジャロッドに直接に接触している。
【0014】
冒頭で述べたように、保護範囲は、少なくとも1つの定置の家具部分と、可動に支承された家具部分とを含む家具であって、先行する請求項のうちのいずれか1項記載の少なくとも1つのヒンジを備えており、ヒンジのストッパ部分が、定置の家具部分に配置されており、ヒンジポットが、可動の家具部分に配置されており、特に少なくとも所定の領域において可動の家具部分に組み込まれている、家具にも関する。
【0015】
有利には、ヒンジは、フラップを備えた家具キャビネットに使用される。しかしヒンジは、概して、窓/窓フレーム、ドア/ドアフレームまたはこれに類したものにおいても使用することができる。
【0016】
本発明の有利な実施形態は、従属請求項において定義されている。
【0017】
特に有利には、少なくとも1つの操作要素が、所定の領域においてヒンジポット内で、かつ所定の領域においてヒンジポット外でヒンジポットに配置されており、かつ/または少なくとも1つのジョイントレバーが、所定の領域においてヒンジポット内に、かつ所定の領域においてヒンジポット外に配置されていることが規定されている。
【0018】
これにより、ヒンジポットの内部空間からの力伝達を、ヒンジポットの外側空間に特に好都合にさらに伝達することができる。
【0019】
本発明の有利な構成によれば、ヒンジポットカバーが設けられており、ヒンジポットカバーにより、少なくとも1つの緩衝装置および/または少なくとも1つの操作要素が、少なくとも所定の領域において、好適には完全に覆われていてよく、好適には、ヒンジポットカバーが、ヒンジポット上にクリップ結合可能もしくはクリップ結合されており、かつ/または有利には少なくとも1つの緩衝装置および/または少なくとも1つの操作要素の幾何学形状に対応する少なくとも1つの収容領域を含むことが規定されている。
【0020】
ヒンジポットカバーは、ヒンジの適切な機能形式をより高い耐用寿命にわたって維持することができるように、少なくとも1つの緩衝装置および/または少なくとも1つの操作要素の汚染を減じることができる。例えば、ヒンジの使用位置において、屑が外側でヒンジポットに配置された構成要素、例えば操作要素または緩衝装置に達する、かつ/またはヒンジポットの内部空間に進入することを阻止することができる。
【0021】
少なくとも1つの緩衝装置および/または少なくとも1つの操作要素が既に外側でヒンジポットに予め組み付けられている場合、最終組付けにおける作業ステップを減じることができる。
【0022】
ヒンジポットおよび/またはストッパ要素は、有利には少なくとも1つの取付け区分を含んでおり、この取付け区分によって、ヒンジポットおよび/またはストッパ要素が、取付け手段を介して家具部分に位置固定可能である。
【0023】
特に好適には、ヒンジポットは、ヒンジポット底部に対して相対的に配向された斜面もしくは傾斜面を含んでおり、この斜面もしくは傾斜面に、少なくとも1つの緩衝装置が支持可能である。
【0024】
リニアダンパが、戻しばねを含んでいてよく、かつ/または緩衝が行われた後に緩衝前の出発位置への戻しが自動的に発生するように、(例えば形状結合部を介して)少なくとも1つの操作要素に運動連結されていてよい。
【0025】
有利には、少なくとも1つのジョイントレバーが、ヒンジの閉鎖位置および/または開放位置で、少なくとも所定の領域においてヒンジポット内でヒンジポットの内部空間内に配置されており、かつ/またはヒンジポットの外側空間が、好適には場合によっては存在するヒンジポットカバーとは別個の、かつ/または少なくとも所定の領域において場合によっては存在するヒンジポットカバーから離間したヒンジポット壁によって、ヒンジポットの内部空間から分離されていることが規定されている。
【0026】
ヒンジポットが、切欠き、ヒンジポット底部および/または載置面を含んでおり、少なくとも1つの緩衝装置が、少なくとも所定の領域においてヒンジポットの切欠き内に、かつ/またはヒンジポットの載置面に配置されていると好都合であることが分かった。好適には、載置面が、ヒンジポット底部に対して、特に好適には鋭角である角度を形成することが規定されている。
【0027】
切欠きは、少なくとも1つの緩衝装置および/または少なくとも1つの操作要素のより好都合な支承を引き起こすことができ、載置面は、少なくとも1つの緩衝装置を、望ましくない旋回運動に抗して支承部のように支持することができる。
【0028】
本発明の有利な或る実施形態によれば、少なくとも1つの操作要素が、ヒンジポット開口を通ってヒンジポット内に突入し、かつ/または少なくとも1つのジョイントレバーが、ヒンジポット開口を通ってヒンジポットから突出することが規定されている。
【0029】
これにより、ヒンジポットの内部空間からヒンジポットの外側空間への力伝達が可能になり、少なくとも1つの操作要素が、特に有利には外側でヒンジポットの側方に配置されている。
【0030】
少なくとも1つの操作要素が、軸、好適には少なくとも1つのジョイント軸を中心として回転可能にヒンジポットに支承されており、少なくとも1つの操作要素の回転運動が、リニアダンパのプランジャロッドの線形運動に移行可能であり、好適には、少なくとも1つの操作要素が、制御カムおよび/またはリニアダンパのプランジャの方向で特に好適には凸状の異形成形部を含むと有利であることが判った。
【0031】
制御カムおよび/または異形成形部は、有利には、特に調和のとれた緩衝運動を保証することができるように、プランジャロッドの方向で凸状に形成されている。
【0032】
本発明の有利な変化形は、少なくとも1つの操作要素が、好適には実質的にU字形の、湾曲された金属薄板部分またはプラスチック部分として形成されていることにある。
【0033】
少なくとも1つの操作要素がU字形に形成されている場合、ヒンジポットにおける支持および/またはプランジャロッドとの接触を特に好都合に実現することができる。
【0034】
本発明の1つの実施例では、少なくとも1つの伝達装置が設けられており、該伝達装置により、少なくとも1つのジョイントレバーの回転運動が少なくとも1つの操作要素に変換可能(uebersetzbar)であることが規定されており、好適には、少なくとも1つの伝達装置がヒンジポット内に配置されていることが規定されている。
【0035】
少なくとも1つの伝達装置によって、少なくとも1つの操作要素を介した、専ら所定の区分におけるリニアダンパの操作を引き起こすことができ、少なくとも1つの伝達装置は、有利には、少なくとも1つの操作要素の少なくとも所定の領域における幾何学形状に対応して、少なくとも1つの操作要素に接触するように形成されている。例えば、少なくとも1つの伝達装置は、制御ディスクおよび/または少なくとも1つの操作要素のための少なくとも1つのジョイントレバーの収容部を含んでいてよい。
【0036】
本発明の有利な或る実施例によれば、少なくとも1つの伝達装置が、ヒンジの開放位置を起点として、ヒンジの閉鎖位置に向かう方向で、第1の運動区分では少なくとも1つの操作要素に対して非接触に形成されており、かつ/または好適には第1の運動区分に続く第2の運動区分では、少なくとも1つの操作要素に接触することが規定されており、好適には、少なくとも1つの緩衝装置が、少なくとも1つの伝達装置により、有利には専ら第2の運動区分において作動可能であることが規定されている。
【0037】
これによって、ヒンジの緩衝が、少なくとも1つのジョイントレバーの特定の角度から、もしくは専ら所定の運動区分において行われることが保証される。第2の運動区分において、少なくとも1つのジョイントレバーは、有利には少なくとも1つの伝達装置が、緩衝を作動させるために少なくとも1つの操作要素に接触する角度に到達しており、この場合概して、伝達装置を省くことができ、かつ少なくとも1つの操作要素は、プランジャロッドを直接に操作するために、少なくとも1つのジョイントレバーによって含まれていてよい。
【0038】
有利には、ヒンジの緩衝は、開放位置を起点として閉鎖位置に向かう方向で行われ、この場合に概して代替的または補足的に、ヒンジの緩衝は、閉鎖位置を起点として開放位置に向かう方向で、特に2つの運動区分により行うことができる。
【0039】
さらに有利には、少なくとも1つの伝達装置は、軸、好適には少なくとも1つのジョイント軸上に回転可能に配置されており、かつ/または少なくとも1つのジョイントレバーの、好適には統合された部分として形成されていることが規定されている。
【0040】
例えば、少なくとも1つの伝達装置は、少なくとも1つのジョイントレバーの自由端に配置されていてよく、かつ/または(二重機能の意味で)軸の周囲に支承されていてよい。
【0041】
別の或る実施形態では、少なくとも1つの伝達装置が、制御カムおよび/または少なくとも1つの操作要素を収容するための、好適にはアンダカットとして形成された異形成形部を含んでいてよい。
【0042】
これにより、少なくとも1つの操作要素との、好適には所定の区分における運動連結が特に好都合に可能であり、制御カムおよび/または異形成形部は、所望の緩衝行程に適合されていてよい。
【0043】
本発明の好適な構成によれば、少なくとも1つのジョイントレバーが、少なくとも1つの伝達装置を含み、かつ/または少なくとも1つの伝達装置を介して間接的に、好適には少なくとも1つのジョイントレバーの回転運動により少なくとも1つの操作要素に配置可能であるかまたは配置されていることが規定されている。
【0044】
本発明の有利な或る構成によれば、少なくとも1つの操作要素が、大部分でヒンジポット外に配置されており、かつ/または連結装置を含み、この連結装置に、少なくとも1つの伝達装置がヒンジを緩衝するために接触可能であることが規定されている。
【0045】
この連結装置を介して、少なくとも1つのジョイントレバーの回転運動は、少なくとも1つの操作要素に伝達されてよく、少なくとも1つの操作要素の、これにより開始される回転運動によって、リニアダンパの操作が行われる。
【0046】
有利には、連結装置が、少なくとも1つのジョイント軸に対して好適には実質的に平行に配向されたウェブの形態で形成されており、ウェブが、少なくとも1つの操作要素から横方向に突出していることが規定されている。
【0047】
ウェブにより、ヒンジポットは特に好都合に貫通され得る。ヒンジポットは、高い程度で閉鎖されて構成されていてよい。
【0048】
本発明の有利な或る実施形態によれば、連結装置が、好適には円環セグメントの形態で存在する長孔を通ってヒンジポット内に突入していることが規定されており、好適には、連結装置が、自由端を有していることが規定されている。
【0049】
長孔により、回転運動の伝達を可能に(uebertragbar)することができ、長孔は、その延在長さにより、例えばリニアダンパの緩衝行程のための制限部としてのストッパを定義することができる。
【0050】
本発明の1つの有利な変化形は、少なくとも1つの操作要素が、好適にはプランジャロッドに対して横方向かつ/または直交して配置された延長ロッドを介して、プランジャロッドに結合されていることにあり、好適には、プランジャロッドが少なくとも所定の領域において、プランジャロッドを少なくとも1つの操作要素に運動連結するために少なくとも1つの操作要素の開口または凹設部内に配置されていることが規定されている。
【0051】
開口または凹設部は、有利には軸から離間しており、軸からの変化する間隔を介して、少なくとも1つのジョイントレバーの回転運動の、プランジャロッドの線形運動への伝達比を調節することができる。なぜならば、種々異なるトルクがリニアダンパに伝達されるからである。
【0052】
少なくとも1つの操作要素と、延長ロッドとが開口または凹設部を介して結合されていることにより、特に確実な結合を保証することができ、この場合に少なくとも1つの操作要素に対して相対的なプランジャロッドの望ましくない滑落は効果的に阻止される。
【0053】
特に有利には、少なくとも1つのジョイント軸が、ヒンジポットに結合されたリベットの形態で、かつ/またはヒンジポットに結合されたクリップの形態で形成されていることが規定されており、好適には、クリップが、別のジョイントレバーのための別のジョイント軸を形成していることが規定されている。
【0054】
本発明のさらなる詳細および利点を、図面に示した実施例を参照した図面の説明につき以下に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【
図1a】特に有利な実施例によるヒンジを示した斜視図である。
【
図1b】特に有利な実施例によるヒンジを示した分解図である。
【
図2a】
図1aに示した実施形態によるヒンジの構成部材を示す斜視図である。
【
図2b】
図1aに示した実施形態によるヒンジの構成部材を示す断面図である。
【
図2c】
図1aに示した実施形態によるヒンジの構成部材を示す側面図である。
【
図3a】
図1aの実施形態によるヒンジをヒンジポットカバーのない状態において、ヒンジの開放位置と閉鎖位置との間の1つの位置で示す側面図および斜視図である。
【
図3b】
図1aの実施形態によるヒンジをヒンジポットカバーのない状態において、ヒンジの開放位置と閉鎖位置との間の別の位置で示す側面図および斜視図である。
【
図4a】
図1aの実施形態によるヒンジをヒンジポットカバーのない状態において、ヒンジの開放位置と閉鎖位置との間のさらに別の位置で示す側面図および斜視図である。
【
図4b】
図1aの実施形態によるヒンジをヒンジポットカバーのない状態において、ヒンジの開放位置と閉鎖位置との間のさらに別の位置で示す側面図および斜視図である。
【
図5a】特に有利な別の実施例によるヒンジを示す分解図である。
【
図5b】特に有利な別の実施例によるヒンジを示す側面図であり、拡大された詳細部分を側面図および斜視図で示している。
【
図6a】
図5aに示した実施形態によるヒンジを、ヒンジの開放位置と閉鎖位置との間の互いに異なる2つの位置のうちの一方の位置で示す側面図および斜視図である。
【
図6b】
図5aに示した実施形態によるヒンジを、ヒンジの開放位置と閉鎖位置との間の互いに異なる2つの位置のうちの他方の位置で示す側面図および斜視図である。
【
図7】家具の旋回要素を可動に支承するための2つのヒンジを備えた家具を示す図である。
【0056】
図1aは、家具ヒンジの形態のヒンジ1を示しており、このヒンジ1は、ヒンジ1を定置の家具部分40に取り付けることができるストッパ部分2(
図7を参照)と、2つのジョイントレバー3とを含んでおり、第1のジョイントレバー3は、
図1aにおいて別のジョイントレバー39を覆っている。ヒンジ1は、さらにヒンジポット4を有しており、ヒンジポット4は、2つのジョイントレバー3を介して旋回可能にストッパ部分2に配置されている。概して1つのジョイントレバー3しか設けられていなくてもよい。ジョイントレバー3(および別のジョイントレバー39)は、ヒンジポット4と一緒にジョイント軸5を介して支承されており、ヒンジポット4は、可動の家具部分41に取付け可能である。
【0057】
図1bは、ヒンジ1に関与する構成部材の分解図を示しており、操作要素12はU字形に曲げられた金属薄板部分25として形成されている。しかし操作要素12は、概して(例えば
図5aによる実施例では)プラスチック部分として形成されていてよい。
【0058】
ヒンジ1は、ヒンジ1の開放位置7と閉鎖位置8との間で、ストッパ部分2とヒンジポット4との間の相対運動を緩衝するための緩衝装置6を含んでおり、緩衝装置6は、外側でヒンジポット4の側方に配置されている。緩衝装置6は、リニアダンパ9を有しており、リニアダンパ9は、プランジャ10と、リニアダンパ9に対して並進的に可動なプランジャロッド11とを備えている。プランジャロッド11は、ヒンジ1の緩衝のためにプランジャ10に結合されている。緩衝運動の伝達にとって重要なジョイント軸5は、軸22として図面に示されている。概して、別の緩衝装置6が設けられていてもよく、この緩衝装置6は、例えばヒンジ1の長手方向延在方向を中心として対称的もしくは鏡像対称的にヒンジポット4に配置されている。
【0059】
ヒンジ1は、少なくとも1つの緩衝装置6を操作するための、一体的に形成された別個の操作要素12を含んでおり、この操作要素12は、開放位置7においてジョイントレバー3から空間的に離間しており、閉鎖位置8においてジョイントレバー3に接触する。緩衝装置6は、完全にヒンジポット4の外側に配置されている。
【0060】
図2aは、ヒンジポットカバー13に対する緩衝装置6および操作要素12の配置を示している。ヒンジポットカバー13によって、緩衝装置6および操作要素12が覆われていてよい。ヒンジポットカバー13は、ジョイントレバー3に面した周面に取付け手段を有しており、この取付け手段によってヒンジポットカバー13が、ヒンジポット4にクリップ結合可能であり、この場合に、緩衝装置6および操作要素12の幾何学形状に対応するように形成されている収容領域14が設けられている。
【0061】
図2bは、
図2aに示した配置を、ヒンジポットカバー13の中央を通る断面図で示している。ヒンジポットカバー13は、別の載置面44を有しており、ヒンジ1の使用位置において緩衝装置6がこの載置面44に支持可能である。
【0062】
図2cは、ヒンジ1をヒンジポットカバー13のない状態で示している。ヒンジポット4は、切欠き18、ヒンジポット底部19および載置面20を含んでいる。緩衝装置6は、ヒンジポット4の切欠き18内に、かつヒンジポット4の載置面20に配置されている。載置面20は、ヒンジポット底部19に対して鋭角21を形成している。
【0063】
載置面20は、ヒンジポットカバー13の別の載置面44に対して平行に配向されていてよく、これにより緩衝装置6は、ヒンジポット4において固定的な座部を有している、またはプランジャロッド11の並進運動に重畳する、緩衝装置6の容易な回転運動が可能にされるように、別の載置面44に対して相対的に配置されていてよい。しかし概して、載置面20または別の載置面44は、必ずしも必要ではない。
【0064】
操作要素12は、ヒンジポット開口45を通ってヒンジポット4内に突入しており、概して、操作要素12は専らヒンジポット4の外側に配置されていて、ジョイントレバー3がヒンジポット開口45を通ってヒンジポット4から突出し、ジョイントレバー3は、所定の領域においてヒンジポット4内に、かつ所定の領域においてヒンジポット4外に配置されていることが規定されていてよい。概して、操作要素12がジョイントレバー3によって形成され、回転運動が緩衝装置6のプランジャロッド11に直接に伝達されることも考えられる。
【0065】
操作要素12の回転運動は、プランジャロッド11により異形成形部24において作用させられ、この場合に、軸22からの異形成形部24の間隔の変更により、伝達比を変更することができる。
【0066】
ジョイントレバー3の回転運動は、操作要素12によって連結装置29において作用させられ、軸22からの連結装置29の間隔の変更により(またはジョイントレバー3における伝達装置26の位置決めによって)、伝達比を変更することができる。
【0067】
有利には、回転運動の走査は、ジョイントレバー3および/または操作要素12の自由端において行われる。
【0068】
図3aは、操作要素12が所定の領域においてヒンジポット4内で、かつ所定の領域においてヒンジポット4外でヒンジポット4に配置されていることを示している。
【0069】
操作要素12は、(クリップ37によって形成される)軸22の形態のジョイント軸5を介して回転可能に外側でヒンジポット4に支承されている。プランジャロッド11は、操作要素12の回転によって直接に(場合によってはプランジャロッド11およびリニアダンパ9の容易な旋回運動を伴って)リニアダンパ9に対して並進的に可動である。
【0070】
ヒンジ1は、伝達装置26を含んでいる。伝達装置26により、ジョイントレバー3の回転運動を操作要素12に移行可能である。本実施例では、伝達装置は、ヒンジポット4内に配置されている。
【0071】
伝達装置26は、ヒンジ1の開放位置7を起点として、ヒンジ1の閉鎖位置8に向かう方向で、第1の運動区分27では操作要素12に対して非接触に形成されており、ヒンジ1は図示された状態では、第1の運動区分27にある。伝達装置26は、ヒンジ1の閉鎖位置8の方向で第1の運動区分27に続く第2の運動区分28では、操作要素12に接触している(
図3bを参照)。
【0072】
伝達装置26は、制御カム23と、操作要素12を収容するための、アンダカット43の形態で存在する異形成形部24とを含んでいる。
【0073】
図3bは、第2の運動区分28の開始時のヒンジ1を示しており、緩衝装置6は、伝達装置26によって専ら第2の運動区分28において作動する。
【0074】
ジョイントレバー3は、ヒンジ1の閉鎖位置8と開放位置7とにおいて、所定の領域においてヒンジポット4内でヒンジポット4の内部空間15内に配置されている。ヒンジポット4の外側空間16は、ヒンジポットカバー13とは別個の、所定の領域においてヒンジポットカバー13から離間したヒンジポット壁17によって、ヒンジポット4の内部空間15から分離されている。
【0075】
図4aは、操作要素12が、複数のジョイント軸5のうちの1つのジョイント軸5の形態の軸22を中心として回転可能にヒンジポット4に支承されていることを示している。操作要素12の回転運動は、リニアダンパ9のプランジャロッド11の線形運動に変換可能である。操作要素12は、プランジャロッド11の方向で凸状に形成された制御カム23と、リニアダンパ9のプランジャ10の方向で凸状に形成された異形成形部24とを含んでいる。
【0076】
軸22上に回転可能に位置決めされた伝達装置26は、ジョイントレバー3の、材料結合式に結合された部分として形成されていて、したがってジョイントレバー3の一体的な構成部分である。しかし概して伝達装置26は、ヒンジ1の別個の構成部分として形成されていてもよく、または間接的にジョイントレバー3と相互作用していてよい。
【0077】
ヒンジ1の閉鎖運動中に、ジョイントレバー3は第1の運動区分27において、ジョイント軸5を中心として、伝達装置26が操作要素12に接触するまで回転し、第2の運動区分28中に、操作要素12が運動連結されて一緒に回転し、これによって、プランジャロッド11を介した緩衝が開始される。概して、ヒンジ1を緩衝するためのこの運動連結は、代替的または補足的に、ヒンジ1の開放運動中でも可能である。
【0078】
操作要素12は、大部分がヒンジポット4外に(外側空間16内に)配置されていて、ヒンジポット4の内部空間15内に突入している。操作要素12は、連結装置29を含んでいて、この連結装置29に、伝達装置26がヒンジ1を緩衝するために接触可能である。
【0079】
連結装置29は、ジョイント軸5に対して平行に配向されたウェブ30の形態で形成されており、ウェブ30は、操作要素12から横方向に突出している。
【0080】
連結装置29は、円環セグメント31の形態で存在する、ヒンジポット開口45としての長孔32を通ってヒンジポット4内に突入する。連結装置29は、自由端33を有している。
【0081】
図4bは、
図4aとは単に、ヒンジ1が閉鎖位置8にある点で異なっている。緩衝装置6の緩衝行程は終了し、この場合に概して、緩衝装置6の出発位置への緩衝装置6の戻しを、戻しばねにより、または操作要素12との運動連結を介して引き起こすことができる。
【0082】
図5aは、ヒンジ1の別の有利な実施例を分解図で示している。操作要素12は、プランジャロッド11に対して直交して配置された延長ロッド34を介して、プランジャロッド11に結合されている。プランジャロッド11の延長ロッド34は、操作要素12にプランジャロッド11を運動連結するために、所定の領域において操作要素12の開口35内に配置されている。開口35は、概して、操作要素12に延長ロッド34を配置するための凹設部として形成されていてもよい。
【0083】
複数のジョイント軸5のうちの2つのジョイント軸5は、ヒンジポット4に結合されたリベット36の形態で存在しており、ジョイント軸5のうちの2つのジョイント軸5は、ヒンジポット4に結合されたクリップ37として形成されている。クリップ37は、軸22と、別のジョイントレバー39のための別のジョイント軸38とを形成している。しかし軸22は概して、リベット36を介して形成されていてもよい。
【0084】
図5bは、ジョイントレバー3が伝達装置26を含んでいることを示している。概して、ジョイントレバー3が、伝達装置26を介して間接的に、ジョイントレバー3の回転運動により操作要素12に配置可能であることが可能である。
【0085】
図6aは、ヒンジを第2の運動区分28において示している。ジョイントレバー3の回転は、連結装置29を介して操作要素12に伝達され、開口35内における延長ロッド34の配置によって、プランジャロッド11が緩衝のために並進的に運動させられる。概して、緩衝中に、緩衝装置6の線形運動と回転との重畳が引き起こされていてよい。
【0086】
図6bは
図6aとは単に、ヒンジが閉鎖位置8にある点で相違している。緩衝装置6の緩衝行程の終了は、例えば、ジョイントレバー3とヒンジポット4との接触により、かつ/または長孔32のストッパを介して引き起こすことができる。
【0087】
図7は、家具42を示している。家具42は、定置の家具部分40と、この定置の家具部分40に可動に支承された、2つのヒンジ1を備えた家具部分41とを含んでいる。ヒンジ1のストッパ部分2は、定置の家具部分40に配置されている。ヒンジ1のヒンジポット4は、可動の家具部分41に配置されており、ヒンジポット4は、可動の家具部分41内に組み込まれている。
【0088】
しかし、ヒンジ1は、家具42における使用に限定されているわけではない。ヒンジ1は、例えば窓またはドアにおいても同様に使用することができる。
【手続補正書】
【提出日】2024-07-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒンジ(1)、特に家具ヒンジであって、
-ストッパ部分(2)であって、該ストッパ部分(2)により前記ヒンジ(1)が定置の家具部分(40)に取付け可能である、ストッパ部分(2)と、
-少なくとも1つのジョイントレバー(3)と、
-ヒンジポット(4)であって、該ヒンジポット(4)が、前記少なくとも1つのジョイントレバー(3)を介して旋回可能に前記ストッパ部分(2)に配置されているか、または配置可能であり、前記少なくとも1つのジョイントレバー(3)が、前記ヒンジポット(4)に、少なくとも1つのジョイント軸(5)を介して支承されており、前記ヒンジポット(4)が、可動の家具部分(41)に取付け可能である、ヒンジポット(4)と、
-前記ヒンジ(1)の開放位置(7)と閉鎖位置(8)との間で前記ストッパ部分(2)と前記ヒンジポット(4)との間の相対運動を緩衝するための少なくとも1つの緩衝装置(6)であって、前記少なくとも1つの緩衝装置(6)が、プランジャ(10)および並進的に可動なプランジャロッド(11)を備えたリニアダンパ(9)を有していて、前記少なくとも1つの緩衝装置(6)が、好適には完全に、前記ヒンジポット(4)外に配置されている、緩衝装置(6)と、
-前記少なくとも1つの緩衝装置(6)を操作するための、
一体的な、かつ/または前記少なくとも1つのジョイントレバー(3)から、
少なくとも前記開放位置(7)において空間的に別個の少なくとも1つの操作要素(12)と
を含んでいるヒンジ(1)において、
前記少なくとも1つの操作要素(12)が、回転可能に、好適には外側で、前記ヒンジポット(4)に支承されており、前記プランジャロッド(11)が、
直接に、前記少なくとも1つの操作要素(12)の回転により、前記リニアダンパ(9)に対して実質的に並進的に可動であ
り、前記少なくとも1つの操作要素(12)が、前記開放位置(7)および前記閉鎖位置(8)で、所定の領域において前記ヒンジポット(4)内で、かつ所定の領域において前記ヒンジポット(4)外で前記ヒンジポット(4)に配置されていることを特徴とする、ヒンジ(1)。
【請求項2】
前記少なくとも1つのジョイントレバー(3)が、所定の領域において前記ヒンジポット(4)内に、かつ所定の領域において前記ヒンジポット(4)外に配置されている、請求項1記載のヒンジ(1)。
【請求項3】
ヒンジポットカバー(13)が設けられており、該ヒンジポットカバー(13)により、前記少なくとも1つの緩衝装置(6)および/または前記少なくとも1つの操作要素(12)が、少なくとも所定の領域において、好適には完全に覆われていてよく、好適には、前記ヒンジポットカバー(13)が、前記ヒンジポット(4)上にクリップ結合可能またはクリップ結合されており、かつ/または有利には前記少なくとも1つの緩衝装置(6)および/または前記少なくとも1つの操作要素(12)の幾何学形状に対応する少なくとも1つの収容領域(14)を含むことが規定されている、請求項
1記載のヒンジ(1)。
【請求項4】
前記少なくとも1つのジョイントレバー(3)が、前記ヒンジ(1)の前記閉鎖位置(8)および/または前記開放位置(7)で、少なくとも所定の領域において前記ヒンジポット(4)内で前記ヒンジポット(4)の内部空間(15)内に配置されており、かつ/または前記ヒンジポット(4)の外側空間(16)が、好適には場合によっては存在するヒンジポットカバー(13)とは別個の、かつ/または少なくとも所定の領域において場合によっては存在するヒンジポットカバー(13)から離間したヒンジポット壁(17)によって、前記ヒンジポット(4)の前記内部空間(15)から分離されている、請求項
1記載のヒンジ(1)。
【請求項5】
前記ヒンジポット(4)が、切欠き(18)、ヒンジポット底部(19)および/または載置面(20)を含んでおり、前記少なくとも1つの緩衝装置(6)が、少なくとも所定の領域において前記ヒンジポット(4)の前記切欠き(18)内に、かつ/または前記ヒンジポット(4)の前記載置面(20)に配置されており、好適には、前記載置面(20)が、前記ヒンジポット底部(19)に対して特に有利には鋭角である角度(21)を形成することが規定されている、請求項
1記載のヒンジ(1)。
【請求項6】
前記少なくとも1つの操作要素(12)が、ヒンジポット開口(45)を通って前記ヒンジポット(4)内に突入し、かつ/または前記少なくとも1つのジョイントレバー(3)が、前記ヒンジポット開口(45)を通って前記ヒンジポット(4)から突出する、請求項
1記載のヒンジ(1)。
【請求項7】
前記少なくとも1つの操作要素(12)が、軸(22)、好適には前記少なくとも1つのジョイント軸(5)を中心として回転可能に前記ヒンジポット(4)に支承されており、前記少なくとも1つの操作要素(12)の回転運動が、前記リニアダンパ(9)の前記プランジャロッド(11)の線形運動に変換可能であり、好適には、前記少なくとも1つの操作要素(12)が、制御カム(23)および/または前記リニアダンパ(9)の前記プランジャ(10)の方向で特に有利には凸状の異形成形部(24)を含むことが規定されている、請求項
1記載のヒンジ(1)。
【請求項8】
前記少なくとも1つの操作要素(12)が、好適には実質的にU字形の、湾曲された金属薄板部分(25)またはプラスチック部分として形成されている、請求項
1記載のヒンジ(1)。
【請求項9】
少なくとも1つの伝達装置(26)が設けられており、該伝達装置(26)により、前記少なくとも1つのジョイントレバー(3)の回転運動が、前記少なくとも1つの操作要素(12)に移行可能であり、好適には、前記少なくとも1つの伝達装置(26)が、前記ヒンジポット(4)内に配置されていることが規定されている、請求項
1記載のヒンジ(1)。
【請求項10】
前記少なくとも1つの伝達装置(26)が、前記ヒンジ(1)の前記開放位置(7)を起点として、前記ヒンジ(1)の前記閉鎖位置(8)に向かう方向で、第1の運動区分(27)では前記少なくとも1つの操作要素(12)に対して非接触に形成されており、かつ/または好適には前記第1の運動区分(
27)に続く第2の運動区分(28)では前記少なくとも1つの操作要素(12)に接触し、好適には、前記少なくとも1つの緩衝装置(6)が、前記少なくとも1つの伝達装置(26)により、有利には専ら前記第2の運動区分(28)において作動可能であることが規定されている、請求項9記載のヒンジ(1)。
【請求項11】
前記少なくとも1つの伝達装置(26)が、軸(22)、好適には前記少なくとも1つのジョイント軸(5)上で回転可能に配置されており、かつ/または前記少なくとも1つのジョイントレバー(3)の好適には統合された部分として形成されている、請求項
9記載のヒンジ(1)。
【請求項12】
前記少なくとも1つの伝達装置(26)が、制御カム(23)および/または前記少なくとも1つの操作要素(12)を収容するための、好適にはアンダカット(43)として形成された異形成形部(24)を含む、請求項
9記載のヒンジ(1)。
【請求項13】
前記少なくとも1つのジョイントレバー(3)が、前記少なくとも1つの伝達装置(26)を含み、かつ/または前記少なくとも1つの伝達装置(26)を介して間接的に、好適には前記少なくとも1つのジョイントレバー(3)の回転運動により前記少なくとも1つの操作要素(12)に配置可能または配置されている、請求項
9記載のヒンジ(1)。
【請求項14】
前記少なくとも1つの操作要素(12)が、大部分で前記ヒンジポット(4)外に配置されている、かつ/または連結装置(29)を含み、該連結装置(29)に、前記少なくとも1つの伝達装置(26)が前記ヒンジ(1)を緩衝するために接触可能である、請求項
1記載のヒンジ(1)。
【請求項15】
前記連結装置(29)が、前記少なくとも1つのジョイント軸(5)に対して好適には実質的に平行に配向されたウェブ(30)の形態で形成されており、前記ウェブ(30)が、前記少なくとも1つの操作要素(12)から横方向に突出している、請求項14記載のヒンジ(1)。
【請求項16】
前記連結装置(29)が、好適には円環セグメント(31)の形態で存在する長孔(32)を通って前記ヒンジポット(4)内に突入し、好適には、前記連結装置(29)が、自由端(33)を有していることが規定されている、請求項1
4記載のヒンジ(1)。
【請求項17】
前記少なくとも1つの操作要素(12)が、好適には前記プランジャロッド(11)に対して横方向かつ/または直交して配置された延長ロッド(34)を介して、前記プランジャロッド(11)に結合されており、好適には、前記プランジャロッド(11)が、少なくとも所定の領域において、前記プランジャロッド(11)を前記少なくとも1つの操作要素(12)に運動連結するために前記少なくとも1つの操作要素(12)の開口(35)または凹設部内に配置されていることが規定されている、請求項
1記載のヒンジ(1)。
【請求項18】
前記少なくとも1つのジョイント軸(5)が、前記ヒンジポット(4)に結合されたリベット(36)の形態で、かつ/または前記ヒンジポット(4)に結合されたクリップ(37)の形態で形成されており、好適には、前記クリップ(37)が、別のジョイントレバー(39)のための別のジョイント軸(38)を形成していることが規定されている、請求項
1記載のヒンジ(1)。
【請求項19】
少なくとも1つの定置の家具部分(40)と、可動に支承された家具部分(41)とを含む家具(42)であって、請求項1から18までのいずれか1項記載の少なくとも1つのヒンジ(1)を備え、前記ヒンジ(1)のストッパ部分(2)が、前記定置の家具部分(40)に配置されており、ヒンジポット(4)が、前記可動の家具部分(41)に配置されており、特に少なくとも所定の領域において前記可動の家具部分(41)に組み込まれている、家具(42)。
【国際調査報告】