(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】油圧アクティブサスペンション及びそれを有する車両
(51)【国際特許分類】
B60G 17/015 20060101AFI20241219BHJP
【FI】
B60G17/015 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024535650
(86)(22)【出願日】2022-12-30
(85)【翻訳文提出日】2024-06-14
(86)【国際出願番号】 CN2022144046
(87)【国際公開番号】W WO2023125961
(87)【国際公開日】2023-07-06
(31)【優先権主張番号】202123435005.1
(32)【優先日】2021-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510177809
【氏名又は名称】ビーワイディー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】BYD Company Limited
【住所又は居所原語表記】No. 3009, BYD Road, Pingshan, Shenzhen, Guangdong 518118, P. R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100198650
【氏名又は名称】小出 宗一郎
(72)【発明者】
【氏名】▲許▼豪▲倫▼
(72)【発明者】
【氏名】廖▲銀▼生
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼宏洲
(72)【発明者】
【氏名】黄泰▲碩▼
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼蕾
【テーマコード(参考)】
3D301
【Fターム(参考)】
3D301AA01
3D301AA48
3D301DA08
3D301DA28
3D301DA33
3D301DB35
3D301DB39
3D301DB40
3D301EC05
(57)【要約】
車両に用いられる油圧アクティブサスペンション(1000)は、ダンパー(200)、共通通路、アキュムレータモジュール及びリザーバを含み、ダンパー(200)は、ハウジング(201)、ピストン(202)及びピストンロッド(203)を有し、ハウジング(201)は、車輪又は車軸に接続されるように構成され、ピストン(202)は、ハウジング(201)内に位置しダンパー(200)の上チャンバ(2011)及び下チャンバ(2012)を画定し、ピストンロッド(203)の一端は、ピストン(202)に接続され、ピストンロッド(203)の他端は、ハウジング(201)から延出し車体に接続されるように構成され、リザーバ及びアキュムレータモジュールは、いずれも共通通路を介して下チャンバ(2012)に連通し、リザーバは、車両の高さを調整し、アキュムレータモジュールは、ダンパー(200)の剛性及び減衰の少なくとも1つを調整する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に用いられる油圧アクティブサスペンションであって、ダンパー、共通通路、アキュムレータモジュール及びリザーバを含み、前記ダンパーは、ハウジング、ピストン及びピストンロッドを有し、前記ハウジングは、車輪又は車軸に接続されるように構成され、前記ピストンは、前記ハウジング内に位置し前記ダンパーの上チャンバ及び下チャンバを画定し、前記ピストンロッドの一端は、前記ピストンに接続され、前記ピストンロッドの他端は、前記ハウジングから延出し車体に接続されるように構成され、前記リザーバ及び前記アキュムレータモジュールは、いずれも前記共通通路を介して前記下チャンバに連通し、前記リザーバは、前記車両の高さを調整し、前記アキュムレータモジュールは、前記ダンパーの剛性及び減衰の少なくとも1つを調整する、ことを特徴とする油圧アクティブサスペンション。
【請求項2】
前記共通通路の第1端は、前記下チャンバに連通し、前記共通通路の第2端は、前記リザーバに連通し、前記共通通路にモジュール接続箇所が設けられ、前記モジュール接続箇所は、前記第1端と前記第2端との間に位置し前記アキュムレータモジュールを連通させる、ことを特徴とする請求項1に記載の油圧アクティブサスペンション。
【請求項3】
前記共通通路には、前記第2端と前記モジュール接続箇所との間に設けられた第1制御弁が設けられる、ことを特徴とする請求項2に記載の油圧アクティブサスペンション。
【請求項4】
前記モジュール接続箇所は、第1接続点を含み、前記アキュムレータモジュールは、第1アキュムレータ及び第2制御弁を含み、前記第1アキュムレータは、前記第1接続点に連通し、前記第2制御弁は、前記第1接続点と前記下チャンバとの間に設けられ、前記第2制御弁は、調整弁、遮断弁及び遮断調整弁のうちの1つであり、前記第2制御弁が調整弁である場合、前記第2制御弁は、開度を調整して前記ダンパーの減衰を調整し、前記第2制御弁は、遮断弁である場合、剛性を調整し、前記第2制御弁は、前記遮断調整弁である場合、前記ダンパーの剛性及び減衰を調整する、ことを特徴とする請求項2又は3に記載の油圧アクティブサスペンション。
【請求項5】
前記モジュール接続箇所は、第2接続点を更に含み、前記アキュムレータモジュールは、第2アキュムレータ及び第3制御弁を含み、前記第2アキュムレータは、前記第2接続点に連通し、前記第3制御弁は、前記第2アキュムレータと前記第2接続点との間に設けられ、前記第2アキュムレータと前記第2接続点を選択的に連通することができる、ことを特徴とする請求項2~4のいずれか一項に記載の油圧アクティブサスペンション。
【請求項6】
前記モジュール接続箇所は、第1接続点及び第2接続点を含み、前記アキュムレータモジュールは、第1アキュムレータ、第2アキュムレータ、第2制御弁及び第3制御弁を含み、前記第1アキュムレータは、前記第1接続点に接続され、前記第2アキュムレータは、前記第2接続点に接続され、前記第2制御弁は、前記第1接続点と前記下チャンバとの間に接続され、前記第3制御弁は、前記第2アキュムレータと前記第2接続点との間に設けられ、前記第2制御弁は、前記ダンパーの減衰を調整する調整弁であり、前記第3制御弁は、前記ダンパーの剛性を調整する遮断弁である、ことを特徴とする請求項2~5のいずれか一項に記載の油圧アクティブサスペンション。
【請求項7】
前記第1接続点は、前記第2接続点の前記第2端から離れた側に設けられる、ことを特徴とする請求項6に記載の油圧アクティブサスペンション。
【請求項8】
前記第1接続点と前記第2接続点との間に第4制御弁が設けられる、ことを特徴とする請求項6又は7に記載の油圧アクティブサスペンション。
【請求項9】
前記ダンパーは、前軸ダンパーであり、前記モジュール接続箇所と前記第1端との間に第3接続点が設けられ、前記油圧アクティブサスペンションは、前記第3接続点に連通する第3アキュムレータを更に含む、ことを特徴とする請求項2~8のいずれか一項に記載の油圧アクティブサスペンション。
【請求項10】
前記ダンパーは、後軸ダンパーであり、前記モジュール接続箇所は、前記第1接続点と前記第2接続点との間に位置する第3接続点を更に含み、前記アキュムレータモジュールは、前記第3接続点に連通する第3アキュムレータを含む、請求項6~8のいずれか一項に記載の油圧アクティブサスペンション。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の油圧アクティブサスペンションを含む、ことを特徴とする車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2021年12月30日に提出された、出願番号が202123435005.1である中国特許出願に基づくものであり、かつその優先権を主張するものであり、その全ての内容は、参照により本願に組み込まれるものとする。
【0002】
本願は、車両の分野に関し、特に、油圧アクティブサスペンション及びそれを有する車両に関する。
【背景技術】
【0003】
サスペンションは、車体と車軸との間の相互作用力を伝達する装置であり、自動車の4つの主な構成要素の1つであり、自動車の走行性能に影響を与える重要な構成である。サスペンションは、路面からフィードバックされた作用力及びモーメントを伝達し、車輪の振動を減衰し、衝撃を緩和し、運転者の運転体験を向上させることにより、車両が理想的な運動特性及び安定した走行能力を得ることができる。関連技術のサスペンションは、スプリング、ガイド機構及びダンパーなどで構成されることが多く、ダンパーは、減衰係数及びスプリングの剛性がいずれも一定であり、快適性と操作安定性を両立することが困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願は、関連技術における技術的課題の1つを少なくともある程度解決することを目的とする。
【0005】
このために、本願は、車両の快適性と操縦安定性との間の矛盾を効果的に解決し、全体の構造がコンパクトであり、車両全体の空間設置を容易にする油圧アクティブサスペンションを提供することを目的とする。
【0006】
本願は、上記油圧アクティブサスペンションを有する車両を更に提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の実施例に係る、車両に用いられる油圧アクティブサスペンションは、ダンパー、共通通路、アキュムレータモジュール及びリザーバを含み、前記ダンパーは、ハウジング、ピストン及びピストンロッドを有し、前記ハウジングは、車輪又は車軸に接続されるように構成され、前記ピストンは、前記ハウジング内に位置し前記ダンパーの上チャンバ及び下チャンバを画定し、前記ピストンロッドの一端は、前記ピストンに接続され、前記ピストンロッドの他端は、前記ハウジングから延出し車体に接続されるように構成され、前記リザーバ及び前記アキュムレータモジュールは、いずれも前記共通通路を介して前記下チャンバに連通し、前記リザーバは、前記車両の高さを調整し、前記アキュムレータモジュールは、前記ダンパーの剛性及び減衰の少なくとも1つを調整する。
【0008】
本願の実施例に係る油圧アクティブサスペンションは、車体の高さを調整することができ、車両の快適性を損なうことなく、車両の操縦安定性を向上させることができ、車両の快適性と操縦安定性との間の矛盾を効果的に解決し、更に剛性及び減衰を調整することができ、該油圧アクティブサスペンションが設けられた車両の走行をよりスムーズにする。また、リザーバと下チャンバとの間の流路と、アキュムレータモジュールと下チャンバとの間の流路とが重なり、即ち、車体の高さを調整する管路と、剛性及び減衰を調整する管路とが重なるため、接続管路の数を減少させ、油圧アクティブサスペンション全体の構造をコンパクトにし、車両全体の空間設置を容易にすることができる。
【0009】
本願のいくつかの実施例において、前記共通通路の第1端は、前記下チャンバに連通し、前記共通通路の第2端は、前記リザーバに連通し、前記共通通路にモジュール接続箇所が設けられ、前記モジュール接続箇所は、第1端と前記第2端との間に位置し前記アキュムレータモジュールを連通させる。
【0010】
本願のいくつかの実施例において、前記共通通路には、前記第2端と前記モジュール接続箇所との間に設けられた第1制御弁が設けられる。
【0011】
本願のいくつかの実施例において、前記モジュール接続箇所は、第1接続点を含み、前記アキュムレータモジュールは、第1アキュムレータ及び第2制御弁を含み、前記第1アキュムレータは、前記第1接続点に連通し、前記第2制御弁は、前記第1接続点と前記下チャンバとの間に設けられ、前記第2制御弁は、調整弁、遮断弁及び遮断調整弁のうちの1つであり、前記第2制御弁は、調整弁である場合、開度を調整して前記ダンパーの減衰を調整し、前記第2制御弁は、遮断弁である場合、剛性を調整し、前記第2制御弁は、遮断調整弁である場合、前記ダンパーの剛性及び減衰を調整する。
【0012】
本願のいくつかの実施例において、前記モジュール接続箇所は、第2接続点を更に含み、前記アキュムレータモジュールは、第2アキュムレータ及び第3制御弁を含み、前記第2アキュムレータは、第2接続点に連通し、前記第3制御弁は、第2アキュムレータと第2接続点との間に設けられ、前記第2アキュムレータと前記第2接続点を選択的に連通することができる。
【0013】
本願のいくつかの実施例において、前記モジュール接続箇所は、第1接続点及び第2接続点を含み、前記アキュムレータモジュールは、第1アキュムレータ、第2アキュムレータ、第2制御弁及び第3制御弁を含み、前記第1アキュムレータは、前記第1接続点に接続され、前記第2アキュムレータは、前記第2接続点に接続され、前記第2制御弁は、前記第1接続点と前記下チャンバとの間に接続され、前記第3制御弁は、前記第2アキュムレータと第2接続点との間に設けられ、前記第2制御弁は、前記ダンパーの減衰を調整する調整弁であり、前記第3制御弁は、前記ダンパーの剛性を調整する遮断弁である。
【0014】
本願のいくつかの実施例において、前記第1接続点は、前記第2接続点の前記第2端から離れた側に設けられる。
【0015】
本願のいくつかの実施例において、前記第1接続点と前記第2接続点との間に第4制御弁が設けられる。
【0016】
本願のいくつかの実施例において、前記ダンパーは、前軸ダンパーであり、前記モジュール接続箇所と前記第1端との間に第3接続点が設けられ、前記油圧アクティブサスペンションは、前記第3接続点に連通する第3アキュムレータを更に含む。
【0017】
本願のいくつかの実施例において、前記ダンパーは、後軸ダンパーであり、前記モジュール接続箇所は、前記第1接続点と前記第2接続点との間に位置する第3接続点を更に含み、前記アキュムレータモジュールは、前記第3接続点に連通する第3アキュムレータを含む。
【0018】
本願の実施例に係る車両は、本願の上記いずれかの実施例に記載の油圧アクティブサスペンションを含むことを特徴とする。
【0019】
本願の実施例に係る車両は、上記いずれかの実施例の油圧アクティブサスペンションを設けることにより、車体の高さを調整することができ、車両の快適性を損なうことなく、車両の操縦安定性を向上させることができ、車両の快適性と操縦安定性との間の矛盾を効果的に解決し、更に剛性及び減衰を調整することができ、該油圧アクティブサスペンションが設けられた車両の走行をよりスムーズにする。また、リザーバと下チャンバとの間の流路と、アキュムレータモジュールと下チャンバとの間の流路とが重なり、即ち、車体の高さを調整する管路と、剛性及び減衰を調整する管路とが重なるため、接続管路の数を減少させ、油圧アクティブサスペンション全体の構造をコンパクトにし、車両全体の空間設置を容易にすることができる。
【0020】
本願の追加的な態様及び利点は、一部が以下の説明において示され、一部が以下の説明において明らかになるか又は本願の実施により理解される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本願の実施例に係る油圧アクティブサスペンションの概略図である。
【
図2】本願の実施例に係るダンパーの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本願の実施例を詳細に説明し、上記実施例の例は、図面に示され、全体を通して同一又は類似の符号は、同一又は類似の部品、或いは同一又は類似の機能を有する部品を示す。以下、図面を参照して説明される実施例は、例示的なものに過ぎず、本願を解釈するためのものであり、本願を限定するためのものとして理解すべきではない。
【0023】
図1及び
図2を参照して、本願の実施例に係る油圧アクティブサスペンション1000を説明し、油圧アクティブサスペンション1000は、車両に用いられ、車体に設けられ、更に車輪又は車軸に接続される。
【0024】
図1及び
図2に示すように、本願の実施例に係る油圧アクティブサスペンション1000は、ダンパー200、共通通路、アキュムレータモジュール及びリザーバを含み、ダンパー200は、ハウジング201、ピストン202及びピストンロッド203を有し、ハウジング201は、車輪又は車軸に接続されるように構成され、ピストン202は、ハウジング201内に位置しダンパー200の上チャンバ2011及び下チャンバ2012を画定し、ピストンロッド203の一端は、ピストン202に接続され、ピストンロッド203の他端は、ハウジング201から延出し車体に接続されるように構成され、リザーバ及びアキュムレータモジュールは、いずれも共通通路を介して下チャンバ2012に連通し、リザーバは、車両の車体高さを調整し、アキュムレータモジュールは、ダンパー200の剛性及び減衰の少なくとも1つを調整する。
【0025】
具体的には、リザーバは、共通通路を介して下チャンバ2012に連通し、アキュムレータモジュールも該共通通路を介して下チャンバ2012に連通し、即ち、リザーバと下チャンバ2012との間の流路と、アキュムレータモジュールと下チャンバ2012との間の流路とが重なり、即ち、車体の高さを調整する管路と、剛性及び減衰を調整する管路とが重なり、該共通通路によって車体の高さの調整を実現するだけでなく、剛性及び減衰の少なくとも1つの調整を実現することができるため、接続管路の数を減少させ、油圧アクティブサスペンション1000全体の構造をコンパクトにし、車両全体の空間設置を容易にすることができる。
【0026】
また、理解できるように、リザーバ内のオイルは、共通通路を通って下チャンバ2012内に入ることができ、ピストンロッド203が下へ移動することにより下チャンバ2012内の容積が小さくなる場合、下チャンバ2012内のオイルも共通通路を通ってリザーバに吐出することができる。
【0027】
具体的には、油圧アクティブサスペンション1000は、リフトモードと高さ低減モードとを有し、リフトモードでは、リザーバのオイルが共通通路内に入ることができ、共通通路に入った油圧オイルが下チャンバ2012内に流入することにより、下チャンバ2012内の油圧が上昇してピストン202を上へ移動させ、ピストン202が上へ移動することによりピストンロッド203を上へ移動させ、車体をリフトするという目的を達成する。
【0028】
高さ低減モードでは、オイルは、下チャンバ2012内から流出して共通通路を通ってリザーバに流れることができ、ダンパー200の下チャンバ2012の油圧が降下してピストン202を下へ移動させ、ピストン202が下へ移動することによりピストンロッド203を下へ移動させ、車体を下へ移動させ、車体の高さを低減するという目的を達成する。
【0029】
車両は、走行中に様々な道路状況に遭遇し、関連技術における車両のサスペンションシステムが選定された後、自動車の走行中に調整することができないため、従来のサスペンションは、自動車が特定の道路及び速度条件で性能の最適なマッチングを達成することしか保証できず、地面の車体に対する作用力を受動的に受けることしかできず、道路及び車速に応じてサスペンションパラメータを変更することができず、更に、地面の車体に対する作用力を能動的に制御することができない。
【0030】
本願の実施例に係る油圧アクティブサスペンション1000は、道路状況などに応じて車体の高さを調整することができ、例えば、険しい山道を通過する場合、リフトモードに入り、車両の重心を高め、車両走行の安定性を向上させることができる。車体の走行速度に対する影響を低減する必要がある場合、高さ低減モードに入り、車両の重心を下げることができる。勿論、理解できるように、上記は、例示的な説明に過ぎず、走行中の実際の必要に応じて車体の高さを調整してもよい。
【0031】
なお、アキュムレータモジュールは、エネルギーを蓄える役割を果たし、即ち、オイルがアキュムレータモジュール内に流入してエネルギーを蓄えることができ、油圧アクティブサスペンション1000に需要がある場合、アキュムレータモジュール内のオイルを吐出して補給する。
【0032】
具体的には、アキュムレータモジュールがダンパー200の減衰を調整する場合、このときの共通通路内のオイルの流量(即ち、ダンパー200内に入るオイルの量)を調整して減衰を調整することができる。アキュムレータモジュールがダンパー200の剛性を調整する場合、共通通路とアキュムレータモジュールとを連通することを選択するか、又はアキュムレータモジュールと共通通路との連通を遮断することを選択する。これにより、油圧アクティブサスペンション1000の調整機能を増加させ、該油圧アクティブサスペンション1000が設けられた車両の走行をよりスムーズにすることができる。
【0033】
本願の実施例に係る油圧アクティブサスペンション1000は、車体の高さを調整することができ、車両の快適性を損なうことなく、車両の操縦安定性を向上させ、車両の快適性と操縦安定性との間の矛盾を効果的に解決し、更に剛性及び減衰を調整することができ、該油圧アクティブサスペンション1000が設けられた車両の走行をよりスムーズにする。また、リザーバと下チャンバ2012との間の流路と、アキュムレータモジュールと下チャンバ2012との間の流路とが重なるため、接続管路の数を減少させ、油圧アクティブサスペンション1000全体の構造をコンパクトにし、車両全体の空間設置を容易にすることができる。
【0034】
本願のいくつかの実施例において、共通通路の第1端は、下チャンバ2012に連通し、共通通路の第2端は、リザーバに連通し、共通通路にモジュール接続箇所が設けられ、モジュール接続箇所は、第1端と第2端との間に位置しアキュムレータモジュールを連通させる。つまり、アキュムレータモジュールがリザーバとダンパーとの接続経路に接続されるため、接続管路の数を更に減少させ、油圧アクティブサスペンション1000全体の構造をよりコンパクトにすることができる。
【0035】
好ましくは、
図1に示すように、共通通路には、第2端とモジュール接続箇所との間に設けられた第1制御弁3が設けられる。したがって、第1制御弁3を設けることにより、第1制御弁3が閉じられる場合、リザーバとアキュムレータモジュールとの間の連通が遮断され、リザーバ内のオイルがアキュムレータモジュール及びダンパー200に流れることができず、この場合、アキュムレータモジュールによりダンパー200の剛性及び/又は減衰を調整することができる。第1制御弁3が開かれる場合、リザーバ内のオイルがアキュムレータモジュールに流れてエネルギーを蓄えるか、又はリザーバによって車両の車体の高さを調整することができる。これにより、必要に応じて油圧アクティブサスペンション1000のモードを調整することができる。
【0036】
図1に示すように、本願のいくつかの実施例において、モジュール接続箇所は、第1接続点を含み、アキュムレータモジュールは、第1アキュムレータ9及び第2制御弁8を含み、第1アキュムレータ9は、第1接続点に連通し、第2制御弁8は、第1接続点と下チャンバ2012との間に設けられ、第2制御弁8は、調整弁、遮断弁及び遮断調整弁のうちの1つである。第2制御弁8は、調整弁である場合、開度を調整してダンパー200の減衰を調整する。第2制御弁8は、遮断弁である場合、剛性を調整する。第2制御弁8は、遮断調整弁である場合、ダンパー200の剛性及び減衰を調整する。
【0037】
具体的には、第1アキュムレータ9は、エネルギーを蓄えることができ、第2制御弁8が遮断調整弁であり開状態にある場合、又は第2制御弁8が調整弁である場合、第2制御弁8の開度が小さくなって共通通路を流通可能なオイルの量が減少すると、ダンパーから共通通路までの流路が小さくなり、減衰が大きくなる。第2制御弁8の開度が大きくなる場合、ダンパーから共通通路までの流路が大きくなり、減衰が小さくなる。したがって、第1アキュムレータ9と第2制御弁8との協働により、油圧アクティブサスペンション1000の減衰調整の信頼性を保証し、共通通路内を流通するオイルの量が必要な減衰にマッチングすることを保証することを実現する。言い換えれば、第2制御弁8によって、対応する共通通路内のオイルの流量を調整することができるため、対応する共通通路の減衰を調整し、油圧アクティブサスペンション1000の減衰を調整するという目的を達成することができることにより、実際の状況に応じて油圧アクティブサスペンション1000の減衰を調整することができ、例えば、道路状況などに応じて調整することができ、油圧アクティブサスペンション1000の減衰が制振要求を満たすことができることを保証し、車両の快適性と操縦安定性との間の矛盾を効果的に解決する。
【0038】
第2制御弁8が遮断弁であるか又は第2制御弁8が遮断調整弁であり、第2制御弁8が閉状態にある場合、ダンパー200と第1アキュムレータ9との間の接続が遮断され、ダンパー200内のオイルが第1アキュムレータ9に吐出できず、また、第1アキュムレータ9内のオイルがダンパー200内に吐出できないため、ダンパー200の剛性を向上させることができる。
【0039】
本願のいくつかの実施例において、
図1に示すように、モジュール接続箇所は、第2接続点を更に含み、アキュムレータモジュールは、第2アキュムレータ10及び第3制御弁11を含み、第2アキュムレータ10は、第2接続点に連通し、第3制御弁11は、第2アキュムレータ10と第2接続点との間に設けられ、上記第2接続点と第2アキュムレータ10を選択的に連通することができる。具体的には、第3制御弁11が開かれる場合、第2アキュムレータ10内のオイルは、ダンパー200の下チャンバ2012内に吐出することができる。第3制御弁11が閉じられる場合、第2アキュムレータ10とダンパー200との接続が遮断されることにより、ダンパー200内のオイルが第2アキュムレータ10内に吐出できず、また、第2アキュムレータ10内のオイルがダンパー200内に吐出できないため、ダンパー200の剛性を向上させることができる。
【0040】
図1に示すように、本願のいくつかの実施例において、モジュール接続箇所は、第1接続点及び第2接続点を含み、アキュムレータモジュールは、第1アキュムレータ9、第2アキュムレータ10、第2制御弁8及び第3制御弁11を含み、第1アキュムレータ9は、第1接続点に接続され、第2アキュムレータ10は、第2接続点に接続され、第2制御弁8は、第1接続点と下チャンバ2012との間に接続され、第3制御弁11は、第2アキュムレータ10と第2接続点との間に設けられ、第2制御弁8は、ダンパー200の減衰を調整するための調整弁であり、第3制御弁11は、ダンパー200の剛性を調整するための遮断弁である。
【0041】
具体的には、第2制御弁8の開度が小さくなって共通通路を流通可能なオイルの量が減少する場合、ダンパーから共通通路までの流路が小さくなり、減衰が大きくなる。第2制御弁8の開度が大きくなる場合、ダンパーから共通通路までの流路が大きくなり、減衰が小さくなるため、第1アキュムレータ9と第2制御弁8との協働により、油圧アクティブサスペンション1000の減衰調整の信頼性を保証し、共通通路内を流通するオイルの量が必要な減衰にマッチングすることを保証する。言い換えれば、第2制御弁8によって、対応する共通通路内のオイルの流量を調整することができるため、対応する共通通路の減衰を調整し、油圧アクティブサスペンション1000の減衰を調整するという目的を達成することができることにより、実際の状況に応じて油圧アクティブサスペンション1000の減衰を調整することができ、例えば、道路状況などに応じて調整することができ、油圧アクティブサスペンション1000の減衰が制振要求を満たすことができることを保証し、車両の快適性と操縦安定性との間の矛盾を効果的に解決する。
【0042】
第3制御弁11が開かれる場合、第2アキュムレータ10内のオイルは、ダンパー200の下チャンバ2012内に吐出することができる。第3制御弁11が閉じられる場合、第2アキュムレータ10とダンパー200との接続が遮断されることにより、ダンパー200内のオイルが第2アキュムレータ10内に吐出できず、また、第2アキュムレータ10内のオイルがダンパー200内に吐出できないため、ダンパー200の剛性を向上させることができる。
【0043】
好ましくは、第1接続点は、第2接続点の第2端から離れた側に設けられる。
【0044】
本願のいくつかの実施例において、第1接続点と第2接続点との間に第4制御弁12が設けられる。これにより、第4制御弁12の開閉により、ダンパー200に連通するアキュムレータの個数を制御して、ダンパー200の剛性又は減衰を調整することができる。
【0045】
本願のいくつかの実施例において、
図1に示すように、ダンパー200は、前軸ダンパー200であり、モジュール接続箇所と第1端との間に第3接続点が設けられ、油圧アクティブサスペンション1000は、第3接続点に連通する第3アキュムレータ30を更に含む。理解できるように、車両の走行中に、車両が揺れ、衝撃などを受ける場合、各ダンパー200の下チャンバ2012内のオイルは、共通通路を通って第3アキュムレータ30に入ってエネルギーを蓄え、迅速に降圧するという目的を達成することができる。また、理解できるように、比較的大きな障害物に遭遇する場合、原則として前軸の車輪が先に比較的大きな障害物に遭遇するため、前軸ダンパー200に接続された第3アキュムレータ30をモジュール接続箇所と第1端との間に設けることにより、高速応答の目的を達成することができる。
【0046】
本願のいくつかの実施例において、
図1に示すように、ダンパー200は、後軸ダンパー200であり、モジュール接続箇所は、上記第1接続点と第2接続点との間に位置する第3接続点を更に含み、アキュムレータモジュールは、第3接続点に連通する第3アキュムレータ30を含む。具体的には、後軸の第3アキュムレータ30は、第1アキュムレータ9及び第2アキュムレータ10の後に設けられ、オイルが下チャンバ2012から流出すると、減衰してから圧力を解放するため、快適性の向上に役立つ。
【0047】
本願のいくつかの実施例において、リザーバは、タンク1、制御ポンプ26、逆止弁28及びオイル戻し弁27を含み、タンク1のオイル出口は、オイル吐出通路を介して共通通路に接続され、制御ポンプ26と逆止弁28は、オイル吐出通路に直列接続され、オイル吐出通路を開放又は遮断する。タンク1のオイル入口は、オイル戻し通路を介して共通通路に接続され、オイル戻し弁27は、オイル戻し通路に直列接続され、オイル戻し通路を開放又は遮断する。具体的には、タンク1は、独立したオイル戻し通路とオイル吐出通路を有し、オイルを吐出する必要がある場合、制御ポンプ26が開かれ、オイル戻し弁27が閉状態にあり、制御ポンプ26は、オイルを共通通路にガイドする。オイルを戻す必要がある場合、制御ポンプ26が閉じられ、オイル戻し弁27が開かれ、共通通路からのオイルがオイル戻し弁27を通ってタンク1に流れることができる。オイルを戻す場合、逆止弁28の存在により、オイルが制御ポンプ26に流れることを効果的に回避し、制御ポンプ26の不具合の場合にオイルが制御ポンプ26を通ってオイル出口に流れることを回避することができる。それにより、オイル吐出とオイル戻しの確実な進行を保証する。
【0048】
本願のいくつかの例において、
図1に示すように、制御ポンプ26は、制御弁体260及び駆動モータ261を含み、駆動モータ261は、制御弁体260内の弁に電気的に接続され、回転して弁の回転を制御して制御ポンプ26の開閉を実現する。それにより、駆動モータ261と弁との協働により制御ポンプ26の開閉を実現し、制御ポンプ26の確実な動作を保証し、オイルによる制御ポンプ26の開閉への影響を低減することができる。
【0049】
本願のいくつかの実施例において、
図1に示すように、油圧アクティブサスペンション1000は、リリーフ弁31を更に含み、リリーフ弁31は、制御ポンプ26の出口端に位置し、制御ポンプ26のオイル出口の圧力が一定の閾値に達すると、リリーフ弁31が開かれて圧力を解放することにより、油圧アクティブサスペンション1000が正常な圧力範囲内にあるように保護する。なお、リリーフ弁31の動作原理は、従来技術であり、ここでは、詳細に説明しない。
【0050】
本願のいくつかの実施例において、
図1に示すように、油圧アクティブサスペンション1000は、圧力保持アキュムレータ29を更に含み、圧力保持アキュムレータ29は、制御ポンプ26の出口端に設けられることにより、圧力を保持して制御ポンプ26の出口端での流量変動を解消することができる。
【0051】
本願のいくつかの実施例において、
図1及び
図2に示すように、ピストンロッド203は、中空ピストンロッドであり、ピストンロッド203内にオイル通路204が設けられ、オイル通路204は、下チャンバ2012に連通し、共通通路は、オイル通路204に接続される。
【0052】
理解できるように、車両の走行中に、車軸は、車体に対して揺れなどの振動が発生し、本願の実施例による油圧アクティブサスペンション1000を車両に取り付ける場合、ハウジング201を車軸に取り付け、ピストンロッド203を車体に接続する。これにより、ピストンロッド203の先端と車体とは相対的に静止し、ハウジング201は、車軸と共にピストンロッド203に対して移動することができる。ピストンロッド203のオイル通路204を共通通路に接続することにより、車軸の振動による共通通路の接続箇所への影響を低減し、共通通路の接続を安定させ、共通通路とリザーバとの接続箇所での摩耗を低減し、共通通路とピストンロッド203との接続箇所での摩耗を低減することができる。
【0053】
以下、
図1を参照して、本願の1つの具体例に係る油圧アクティブサスペンションを説明する。なお、上記の具体例は、限定的な説明ではなく、例示的な説明に過ぎず、実際の状況に応じて具体例を例示的に修正することができる。
【0054】
図1に示すように、本願の実施例に係る油圧アクティブサスペンション1000は、左前ダンパーアセンブリ2、右前ダンパーアセンブリ2、左後ダンパーアセンブリ2、右後ダンパーアセンブリ2、アキュムレータモジュール、タンク1、制御ポンプ26、オイル戻し弁27、逆止弁28、圧力保持アキュムレータ29、リリーフ弁31及び第2制御弁8を含む。アキュムレータモジュールは、第1アキュムレータ9、第2アキュムレータ10及び第3アキュムレータ30を含む。
【0055】
左前ダンパーアセンブリ2及び右前ダンパーアセンブリ2は、いずれもダンパー200及び制振スプリング205を含み、制振スプリング205は、ダンパー200に外嵌固定される。左後ダンパーアセンブリ2及び右後ダンパーアセンブリ2は、いずれもダンパー200及び制振スプリング205を含み、制振スプリング205は、ダンパー200と並列に設けられ、左後ダンパーアセンブリ2の制振スプリング205の両端は、それぞれ車体及び車軸に接続される。右後ダンパーアセンブリ2の制振スプリング205の両端は、それぞれ車体及び車軸に接続される。各ダンパー200は、ハウジング201、ピストンロッド203及びピストン202を含み、ピストンロッド203は、ピストン202に接続され、ピストン202は、ハウジング201内に移動可能に設けられて上チャンバ2011及び下チャンバ2012を画定し、ピストンロッド203内にオイル通路204が設けられ、オイル通路204は、下チャンバ2012に連通し、各ダンパーアセンブリ2のオイル通路204は、共通通路を介してリザーバに接続され、各共通通路に第1制御弁3が設けられる。
【0056】
タンク1は、オイル出口及びオイル入口を有し、制御ポンプ26は、それぞれオイル出口及び共通通路に接続されてタンク1内のオイルを共通通路にガイドする。オイル戻し弁27は、それぞれオイル入口及び共通通路に接続され、オイル戻し弁27が開かれると、オイルは、共通通路からオイル入口に流れる。逆止弁28は、制御ポンプ26の出口端に設けられ、かつ一方向に開放する。圧力保持アキュムレータ29は、制御ポンプ26の出口端に設けられ、逆止弁28と制御ポンプ26との間に位置し、圧力を保持し制御ポンプ26の出口端での流量変動を除去することができる。
【0057】
各ダンパーアセンブリ2に対応する第1制御弁3は、対応する共通通路に直列接続され、共通通路の開放又は遮断を制御する。
【0058】
各ダンパーアセンブリ2に対応する第2アキュムレータ10は、共通通路に接続され、第2アキュムレータ10のオイル入出口に第3制御弁11が設けられ、第3制御弁11は、常閉状態にある。
【0059】
各共通通路に第2制御弁8、第1アキュムレータ9及び第2制御弁12が更に設けられ、第2制御弁8は、対応する共通通路を流れる流量を調整して油圧アクティブサスペンション1000の減衰を調整する。第1アキュムレータ9は、エネルギーを蓄えることができる。第2制御弁12は、第1アキュムレータ9と第2アキュムレータ10との間に設けられる。
【0060】
各ダンパーアセンブリ2に対して1つの第3アキュムレータ30が設けられ、左前ダンパーアセンブリ2に対応する第3アキュムレータ30は、第1アキュムレータ9と対応するオイル通路204との間に位置し、右前ダンパーアセンブリ2に対応する第3アキュムレータ30は、第1アキュムレータ9と対応するオイル通路204との間に位置する。左後ダンパーアセンブリ2に対応する第3アキュムレータ30は、第1アキュムレータ9と第2アキュムレータ10との間に位置し、右後ダンパーアセンブリ2に対応する第3アキュムレータ30は、第1アキュムレータ9と第2アキュムレータ10との間に位置する。
【0061】
具体的には、油圧アクティブサスペンション1000は、増圧モード、リフトモード及び高さ低減モードを有し、増圧モードでは、第1制御弁3が開かれ、第2制御弁12が閉じられ、第3制御弁11が開かれ、制御ポンプ26が作動することにより、タンク1内のオイルは、4つの共通通路を通ってそれぞれ対応する第2アキュムレータ10内に流れてエネルギーを蓄える。各第2アキュムレータ10に対してエネルギーを蓄えた後に第3制御弁11が閉じられる。
【0062】
リフトモードでは、タンク1内のオイル又はアキュムレータモジュール内のオイルは、左前ダンパーアセンブリ2のオイル通路204、右前ダンパーアセンブリ2のオイル通路204、左後ダンパーアセンブリ2のオイル通路204及び右後ダンパーアセンブリ2のオイル通路204内に入ることができ、各オイル通路204内に入った油圧オイルは、下チャンバ2012内に流入し、それにより、下チャンバ2012内の油圧が上昇してピストン202を上へ移動させ、ピストン202が上へ移動することによりピストンロッド203を上へ移動させる。左前ダンパーアセンブリ2のピストンロッド203が上へ移動し、右前ダンパーアセンブリ2のピストンロッド203が上へ移動し、左後ダンパーアセンブリ2のピストンロッド203が上へ移動し、右後ダンパーアセンブリ2のピストンロッド203が上へ移動することにより、車体を上へ移動させ、車体をリフトするという目的を達成する。
【0063】
高さ低減モードでは、制御ポンプ26は作動を停止し、車両の重力作用で、オイルは、それぞれ左前ダンパーアセンブリ2のオイル通路204、右前ダンパーアセンブリ2のオイル通路204、左後ダンパーアセンブリ2のオイル通路204及び右後ダンパーアセンブリ2のオイル通路204から流出することができ、各ダンパー200の下チャンバ2012の油圧が低下してピストン202を下へ移動させ、ピストン202が下へ移動することによりピストンロッド203を下へ移動させる。左前ダンパーアセンブリ2のピストンロッド203が下へ移動し、右前ダンパーアセンブリ2のピストンロッド203が下へ移動し、左後ダンパーアセンブリ2のピストンロッド203が下へ移動し、右後ダンパーアセンブリ2のピストンロッド203が下へ移動することにより、車体を下へ移動させ、車体の高さを低減するという目的を達成する。理解できるように、高さ低減モードでは、各組のダンパーアセンブリ2から吐出したオイルは、タンク1に直接吐出してもよく、アキュムレータアセンブリ内に流入してエネルギーを蓄えてもよく、タンク1及びアキュムレータアセンブリの両方に吐出してもよい。
【0064】
油圧アクティブサスペンション1000内の圧力が大きい場合、例えば、制御ポンプ26の出口での圧力が一定の閾値(30MPa)に達することを検出した場合、オイル戻し弁27が開かれて圧力を解放して油圧アクティブサスペンション1000が正常な圧力範囲内にあるように保護し、このとき、各ダンパー200内のオイルは、共通通路及びオイル戻し弁27を通ってタンク1内に流れることができる。
【0065】
圧力を解放した後、油圧アクティブサスペンション1000内の圧力が依然として大きいか又は動作中に圧力が大きい場合、リリーフ弁31を開いて圧力を解放して、油圧アクティブサスペンション1000全体の確実な動作を保証することができる。
【0066】
車両の走行中に、油圧アクティブサスペンション1000の減衰が大きい場合、車体が揺れて快適性に影響を与えるため、第2制御弁8により各共通通路内のオイルの量を調整して油圧アクティブサスペンション1000の減衰を調整することができ、第2制御弁8の開度が小さくなって共通通路を流通可能なオイルの量を減少させる場合、ダンパーから共通通路に入るオイルの量が減少し、減衰を増大させる。第2制御弁8の開度が大きくなる場合、ダンパーから共通通路に入るオイル量が増加して減衰を減少させることにより、油圧アクティブサスペンション1000の減衰を確実に調整することができる。
【0067】
油圧アクティブサスペンション1000の剛性が高くて車両の快適性を低減する場合、第3制御弁11を開くように制御し、第2アキュムレータ10内のオイルを各共通通路内に補充することができ、それにより、油圧アクティブサスペンション1000の剛性を低減し、油圧アクティブサスペンション1000の揺れに対する緩衝効果を向上させることができる。
【0068】
車両の走行中に、車両が揺れ、衝撃などを受ける場合、各ダンパーアセンブリ2の下チャンバ2012内のオイルは、オイル通路204を通って第3アキュムレータ30に入ってエネルギーを蓄え、迅速に降圧するという目的を達成することができる。車両の前軸が走行安定性を保証する必要があり、車両の後軸が主に快適性を保証する必要があるため、左前ダンパーアセンブリ2に対応する第3アキュムレータ30は、第1アキュムレータ9と対応するオイル通路204との間に位置し、右前ダンパーアセンブリ2に対応する第3アキュムレータ30は、第1アキュムレータ9と対応するオイル通路204との間に位置し、圧力を迅速に解放することを実現することができる。
【0069】
本願の実施例に係る車両は、本願の上記いずれかの実施例に記載の油圧アクティブサスペンション1000を含む。
【0070】
本願の実施例に係る車両は、上記いずれかの実施例の油圧アクティブサスペンション1000を設けることにより、車体の高さを調整することができ、車両の快適性を損なうことなく、車両の操縦安定性を向上させることができ、車両の快適性と操縦安定性との間の矛盾を効果的に解決し、更に剛性及び減衰を調整することができ、該油圧アクティブサスペンション1000が設けられた車両の走行をよりスムーズにする。また、リザーバと下チャンバ2012との間の流路と、アキュムレータモジュールと下チャンバ2012との間の流路とが重なるため、接続管路の数を減少させ、油圧アクティブサスペンション1000全体の構造をコンパクトにし、車両全体の空間設置を容易にすることができる。
【0071】
なお、本願の説明では、用語「中心」、「縦方向」、「横方向」、「長さ」、「幅」、「厚さ」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」、「時計回り」、「反時計回り」、「軸方向」、「径方向」、「周方向」などで示す方位又は位置関係は、図面に示す方位又は位置関係に基づくものであり、本願を容易に説明し説明を簡略化するためのものに過ぎず、示された装置又は部品が特定の方位を有するとともに、特定の方位で構成されて動作しなければならないことを示すか又は示唆するものではないため、本願を限定するものであると理解すべきではない。
【0072】
また、用語「第1」、「第2」は、説明のためのものに過ぎず、相対的な重要性を示すか又は示唆し、或いは示された技術的特徴の数を暗示的に示すものであると理解すべきではない。これにより、「第1」、「第2」で限定された特徴は、1つ以上の該特徴を明示的又は暗示的に含んでもよい。本願の説明では、「複数」とは、明確かつ具体的な限定がない限り、2つ以上を意味する。
【0073】
本願において、別に明確な規定及び限定がない限り、用語「取付」、「連結」、「接続」、「固定」などは、広義に理解されるべきであり、例えば、固定接続、着脱可能な接続、一体的な接続であってもよく、機械的な接続であってもよく、電気的な接続であってもよく、直接的な連結であってもよく、中間媒体を介した間接的な連結であってもよく、2つの部品の内部の連通又は2つの部品の相互作用の関係であってもよい。当業者であれば、具体的な状況に応じて本願における上記用語の具体的な意味を理解することができる。
【0074】
本願において、明確な規定及び限定がない限り、第1特徴が第2特徴の「上」又は「下」にあることは、第1特徴と第2特徴とが直接的に接触することを含んでもよく、第1特徴と第2特徴とが中間媒体を介して間接的に接触することを含んでもよい。また、第1特徴が第2特徴の「上」、「上方」又は「上面」にあることは、第1特徴が第2特徴の真上及び斜め上にあることを含んでもよく、第1特徴の水平高さが第2特徴よりも高いことだけを表してもよい。第1特徴が第2特徴の「下」、「下方」又は「下面」にあることは、第1特徴が第2特徴の真下及び斜め下にあることを含んでもよく、第1特徴の水平高さが第2特徴よりも低いことだけを表してもよい。
【0075】
本明細書の説明では、用語「一実施例」、「いくつかの実施例」、「例」、「具体例」又は「いくつかの例」などを参照する説明は、該実施例又は例を組み合わせて説明された具体的な特徴、構造、材料又は特性が本願の少なくとも1つの実施例又は例に含まれることを意味する。本明細書において、上記用語の例示的な表現は、必ずしも同一の実施例又は例に限定されるものではない。また、説明された具体的な特徴、構造、材料又は特性は、任意の1つ以上の実施例又は例において適切に組み合わせることができる。また、互いに矛盾しない場合、当業者であれば、本明細書で説明された異なる実施例又は例、及び異なる実施例又は例の特徴を結合し、組み合わせることができる。
【0076】
以上、本願の実施例が示され、説明されるが、理解できるように、上記実施例は、例示的なものであり、本願を限定するものとして理解すべきではなく、当業者であれば、本願の範囲で上記実施例に対して変更、修正、交換及び変形を行うことができる。
【符号の説明】
【0077】
1000 油圧アクティブサスペンション
1 タンク
200 ダンパー
201 ハウジング
2011 上チャンバ
2012 下チャンバ
202 ピストン
203 ピストンロッド
204 オイル通路
3 第1制御弁
8 第2制御弁
9 第1アキュムレータ
10 第2アキュムレータ
11 第3制御弁
12 第4制御弁
26 制御ポンプ
260 制御弁体
261 駆動モータ
27 オイル戻し弁
28 逆止弁
29 圧力保持アキュムレータ
30 第3アキュムレータ
31 リリーフ弁
【手続補正書】
【提出日】2024-06-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に用いられる油圧アクティブサスペンションであって、ダンパー、共通通路、アキュムレータモジュール及びリザーバを含み、前記ダンパーは、ハウジング、ピストン及びピストンロッドを有し、前記ハウジングは、車輪又は車軸に接続されるように構成され、前記ピストンは、前記ハウジング内に位置し前記ダンパーの上チャンバ及び下チャンバを画定し、前記ピストンロッドの一端は、前記ピストンに接続され、前記ピストンロッドの他端は、前記ハウジングから延出し車体に接続されるように構成され、前記リザーバ及び前記アキュムレータモジュールは、いずれも前記共通通路を介して前記下チャンバに連通し、前記リザーバは、前記車両の高さを調整し、前記アキュムレータモジュールは、前記ダンパーの剛性及び減衰の少なくとも1つを調整する、ことを特徴とする油圧アクティブサスペンション。
【請求項2】
前記共通通路の第1端は、前記下チャンバに連通し、前記共通通路の第2端は、前記リザーバに連通し、前記共通通路にモジュール接続箇所が設けられ、前記モジュール接続箇所は、前記第1端と前記第2端との間に位置し前記アキュムレータモジュールを連通させる、ことを特徴とする請求項1に記載の油圧アクティブサスペンション。
【請求項3】
前記共通通路には、前記第2端と前記モジュール接続箇所との間に設けられた第1制御弁が設けられる、ことを特徴とする請求項2に記載の油圧アクティブサスペンション。
【請求項4】
前記モジュール接続箇所は、第1接続点を含み、前記アキュムレータモジュールは、第1アキュムレータ及び第2制御弁を含み、前記第1アキュムレータは、前記第1接続点に連通し、前記第2制御弁は、前記第1接続点と前記下チャンバとの間に設けられ、前記第2制御弁は、調整弁、遮断弁及び遮断調整弁のうちの1つであり、前記第2制御弁が調整弁である場合、前記第2制御弁は、開度を調整して前記ダンパーの減衰を調整し、前記第2制御弁は、遮断弁である場合、剛性を調整し、前記第2制御弁は、前記遮断調整弁である場合、前記ダンパーの剛性及び減衰を調整する、ことを特徴とする請求項
2に記載の油圧アクティブサスペンション。
【請求項5】
前記モジュール接続箇所は、第2接続点を更に含み、前記アキュムレータモジュールは、第2アキュムレータ及び第3制御弁を含み、前記第2アキュムレータは、前記第2接続点に連通し、前記第3制御弁は、前記第2アキュムレータと前記第2接続点との間に設けられ、前記第2アキュムレータと前記第2接続点を選択的に連通することができる、ことを特徴とする請求項
2に記載の油圧アクティブサスペンション。
【請求項6】
前記モジュール接続箇所は、第1接続点及び第2接続点を含み、前記アキュムレータモジュールは、第1アキュムレータ、第2アキュムレータ、第2制御弁及び第3制御弁を含み、前記第1アキュムレータは、前記第1接続点に接続され、前記第2アキュムレータは、前記第2接続点に接続され、前記第2制御弁は、前記第1接続点と前記下チャンバとの間に接続され、前記第3制御弁は、前記第2アキュムレータと前記第2接続点との間に設けられ、前記第2制御弁は、前記ダンパーの減衰を調整する調整弁であり、前記第3制御弁は、前記ダンパーの剛性を調整する遮断弁である、ことを特徴とする請求項
2に記載の油圧アクティブサスペンション。
【請求項7】
前記第1接続点は、前記第2接続点の前記第2端から離れた側に設けられる、ことを特徴とする請求項6に記載の油圧アクティブサスペンション。
【請求項8】
前記第1接続点と前記第2接続点との間に第4制御弁が設けられる、ことを特徴とする請求項
6に記載の油圧アクティブサスペンション。
【請求項9】
前記ダンパーは、前軸ダンパーであり、前記モジュール接続箇所と前記第1端との間に第3接続点が設けられ、前記油圧アクティブサスペンションは、前記第3接続点に連通する第3アキュムレータを更に含む、ことを特徴とする請求項
2に記載の油圧アクティブサスペンション。
【請求項10】
前記ダンパーは、後軸ダンパーであり、前記モジュール接続箇所は、前記第1接続点と前記第2接続点との間に位置する第3接続点を更に含み、前記アキュムレータモジュールは、前記第3接続点に連通する第3アキュムレータを含む、請求項
6に記載の油圧アクティブサスペンション。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の油圧アクティブサスペンションを含む、ことを特徴とする車両。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0046
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0046】
本願のいくつかの実施例において、
図1に示すように、ダンパー200は、後軸ダンパー200であり、モジュール接続箇所は、上記第1接続点と第2接続点との間に位置する第3接続点を更に含み、アキュムレータモジュールは、第3接続点に連通する第3アキュムレータ30を含む。具体的には、後軸の第3アキュムレータ30は、第1アキュムレータ9及び第2アキュムレータ10の
間に設けられ、オイルが下チャンバ2012から流出すると、減衰してから圧力を解放するため、快適性の向上に役立つ。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0059
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0059】
各共通通路に第2制御弁8、第1アキュムレータ9及び第4制御弁12が更に設けられ、第2制御弁8は、対応する共通通路を流れる流量を調整して油圧アクティブサスペンション1000の減衰を調整する。第1アキュムレータ9は、エネルギーを蓄えることができる。第4制御弁12は、第1アキュムレータ9と第2アキュムレータ10との間に設けられる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0061
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0061】
具体的には、油圧アクティブサスペンション1000は、増圧モード、リフトモード及び高さ低減モードを有し、増圧モードでは、第1制御弁3が開かれ、第4制御弁12が閉じられ、第3制御弁11が開かれ、制御ポンプ26が作動することにより、タンク1内のオイルは、4つの共通通路を通ってそれぞれ対応する第2アキュムレータ10内に流れてエネルギーを蓄える。各第2アキュムレータ10に対してエネルギーを蓄えた後に第3制御弁11が閉じられる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0066
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0066】
車両の走行中に、油圧アクティブサスペンション1000の減衰が小さい場合、車体が揺れて快適性に影響を与えるため、第2制御弁8により各共通通路内のオイルの量を調整して油圧アクティブサスペンション1000の減衰を調整することができ、第2制御弁8の開度が小さくなって共通通路を流通可能なオイルの量を減少させる場合、ダンパーから共通通路に入るオイルの量が減少し、減衰を増大させる。第2制御弁8の開度が大きくなる場合、ダンパーから共通通路に入るオイル量が増加して減衰を減少させることにより、油圧アクティブサスペンション1000の減衰を確実に調整することができる。
【国際調査報告】