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特表2024-546901手術ロボットシステムおよび制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】手術ロボットシステムおよび制御方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/35 20160101AFI20241219BHJP
   A61B 34/20 20160101ALI20241219BHJP
   A61B 34/10 20160101ALI20241219BHJP
【FI】
A61B34/35
A61B34/20
A61B34/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024535690
(86)(22)【出願日】2022-12-12
(85)【翻訳文提出日】2024-08-09
(86)【国際出願番号】 EP2022085447
(87)【国際公開番号】W WO2023110778
(87)【国際公開日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】102021133060.2
(32)【優先日】2021-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524224364
【氏名又は名称】ビー・ブラウン・ニュー・ベンチャーズ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】B. Braun New Ventures GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100184343
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】サルベスタニ,アミル
【テーマコード(参考)】
4C130
【Fターム(参考)】
4C130AA02
4C130AA04
4C130AA05
4C130AA07
4C130AA37
4C130AA51
4C130AD25
4C130BA05
(57)【要約】
本開示は、患者(P)に対する手術手順用の手術ロボットシステム(1)に関し、処置領域を有する患者(P)の少なくとも1つの身体部位を患者固定ユニット(2)に対して強固に固定するために、患者(P)、特に患者(P)の頭部に固定的に直接に取り付けられるように適合された、少なくとも1つの患者固定ユニット(2)と、患者固定ユニット(2)に直接に接続されたロボットベース(6)、並びにロボットベース(6)に接続された可動ロボットアーム(8)と、ロボットアーム(8)、特にロボットアーム(8)の終端側に接続され、特に取り付けられた、エンドエフェクタ(10)、特に手術器具(12)とを有する、少なくとも1つの制御可能な手術ロボット(4)とを備える。さらに、本開示は、追加の独立請求項に係る制御方法およびコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者(P)に対する手術処置ための手術ロボットシステム(1)であって、
処置領域を有する前記患者(P)の少なくとも身体部分を患者固定ユニット(2)に対して強固に固定するために、前記患者(P)、特に患者(P)の頭部に強固且つ直接に取り付けられるように適合された、少なくとも1つの患者固定ユニット(2)と、
前記患者固定ユニット(2)に直接に接続されたロボットベース(6)、並びに前記ロボットベース(6)に接続された可動ロボットアーム(8)およびエンドエフェクタ(10)、特に前記ロボットアーム(8)に、特に前記ロボットアーム(8)の終端側に接続されて、特に取り付けられた、手術器具(12)を有する、少なくとも1つの手術用制御可能なロボット(4)と
を備えた、手術ロボットシステム(1)。
【請求項2】
前記手術ロボットシステム(1)は、
前記処置領域と、エンドエフェクタの先端(18)、特に器具の先端(20)の画像(A)を作成して、それをコンピュータ読み取り可能な形式で提供するように適合された、少なくとも1つの光学的画像ユニット(14)と、
前記患者(P)のデジタル3D画像データ(3DA)、特に術前3D画像データ(3DA)を提供するように適合された、データ提供ユニット(22)、特にメモリユニット(24)と、
少なくとも前記光学的画像ユニット(14)と、前記患者固定ユニット(2)に対して固定された前記患者(P)の少なくとも身体部分とを、空間内で検出し追跡するように設けられ適合された、追跡システム(26)、特に手術ナビゲーションシステム(28)と、
前記エンドエフェクタの先端(18)の位置、特に位置及び向きを決定して、一方の3D画像データ(3DA)と、他方の前記エンドエフェクタの先端(18)の、位置が正しい重なり位置、特に姿勢が正しい重なり合った位置および向きで、重なり(U)を生成して、前記重なり(U)を重なり表示としてディスプレイユニット(32)を介して視覚的に出力し、および/または前記重なり(U)に基づいて前記エンドエフェクタ(10)を制御する、ように設けられ適合された、制御ユニット(30)と
をさらに備えた、請求項1に記載の手術ロボットシステム(1)。
【請求項3】
前記制御ユニット(30)は、前記エンドエフェクタの先端(18)の前記光学的画像(A)を介して、機械視覚によって前記画像ユニット(14)に対する前記エンドエフェクタの先端(18)、特に前記器具の先端(20)の位置、特に姿勢を決定し、前記追跡システム(26)によって追跡された前記光学的画像ユニット(14)の姿勢を介して、3D画像データ(3DA)に対する前記エンドエフェクタの先端(18)の位置、特に姿勢を決定するように、適合されている、
請求項2に記載の手術ロボットシステム(1)。
【請求項4】
前記エンドエフェクタ(10)、特に前記器具(12)は、特にエンドエフェクタ軸に沿った相互に間隔を置いたリング(62)の形態、および/またはドットパターンの形態、および/または少なくとも2つの正方形の形態、および/またはQRコード(登録商標)の形態で、所定の光学的マーキングパターン(60)を有しており、前記制御ユニット(30)は、前記画像ユニット(14)によって検出された前記光学的マーキングパターン(60)に基づいて、前記エンドエフェクタの先端(18)、特に前記エンドエフェクタ(10)の全体の、位置、特に姿勢を決定するように適合されている、
請求項2又は3に記載の手術ロボットシステム(1)。
【請求項5】
光学的マーカー(42)が少なくとも1つの前記エンドエフェクタ(10)上または前記ロボットアーム(8)の終端部材上に配置されており、前記エンドエフェクタの先端(18)、特に前記エンドエフェクタ(10)の、位置および向きを決定するために、前記光学的マーカー(42)が前記追跡システム(26)によって検出され追跡される、
請求項2~4のいずれか1つに記載の手術ロボットシステム(1)。
【請求項6】
少なくとも1つの前記患者固定ユニット(2)は、脳神経外科手術で使用される頭部ホルダである、
請求項1~5のいずれか1つに記載の手術ロボットシステム(1)。
【請求項7】
前記患者固定システム(2)は、レール(50)、特に周方向レール(50)、特に好ましくは環状レール(50)を有しており、このレールに少なくとも1つの前記ロボット(4)が前記ロボットベース(6)を介して固定され、または少なくとも部分的に前記ロボットベース(6)を介して前記レール(50)に沿って並進移動可能である、
請求項1~6のいずれか1つに記載の手術ロボットシステム(1)。
【請求項8】
前記ロボットベース(6)は、クランプおよび/またはラッチ要素(54)を備えたスライド(52)を有しており、前記スライドは、前記レール(50)に沿って並進的にガイドされ、前記クランプおよび/またはラッチ要素(54)が作動されるとき、前記レール(50)に対する前記ロボットベース(6)の位置を固定し、前記クランプおよび/またはラッチ要素(54)が非作動であるとき、前記患者固定ユニット(2)、ひいては前記患者(P)に対する前記ロボット(4)の様々な位置を調整するために再び自由に移動可能となるように、適合されている、
請求項7に記載の手術ロボットシステム(1)。
【請求項9】
前記ロボットアーム(8)は、前記エンドエフェクタ(10)を外科手術の進入経路に位置合わせするために少なくとも5つの自由度を有するように構成されており、および/または前記エンドエフェクタ(10)自体は、前記患者(P)の体内でさらなる関節運動を可能にし、特に、前記エンドエフェクタ(10)の直線の縦軸から角度の付いた縦軸に変更するために、少なくとも1つのさらなる自由度を有し、特に2つの自由度を有するさらなるヒンジを有している、
請求項1~8のいずれか1つに記載の手術ロボットシステム(1)。
【請求項10】
少なくとも1つの前記光学的画像装置(14)は、前記制御ユニット(30)の前記光学的画像(A)をコンピュータ読み取り可能な形式で提供するデジタル手術用顕微鏡であり、さらに好ましくは、顕微鏡ヘッド(36)を能動的に制御し、その位置および/または向きを調整するためにロボット制御手術用顕微鏡である、
請求項2~9のいずれか1つに記載の手術ロボットシステム(1)。
【請求項11】
少なくとも1つの前記光学的画像装置(14)は、前記患者(P)の体内光学的画像(A)を作成するように適合された、遠位画像ヘッドを備えた内視鏡である、
請求項1~10のいずれか1つに記載の手術ロボットシステム(1)。
【請求項12】
前記手術ロボットシステム(1)は、少なくとも1つの前記ロボット(4)を備えた前記患者固定ユニット(2)とは別個である外部制御コンソールをさらに備えており、前記外部制御コンソールは、ユーザによる手動入力を少なくとも1つの前記ロボットにより誘導されるエンドエフェクタ(10)に伝達し、それに応じて前記エンドエフェクタ(10)を遠隔から制御するための手動把持制御手段を備えている、
請求項1~11のいずれか1つに記載の手術ロボットシステム(1)。
【請求項13】
術前処置計画が前記手術ロボットシステム(1)の前記データ提供ユニット(22)にさらに格納されており、前記制御ユニット(30)は、前記処置を実行するために、前記術前処置計画に基づいて少なくとも1つの前記エンドエフェクタ(10)を半自律的または完全に自律的に制御するように適合されている、
請求項2~12のいずれか1つに記載の手術ロボットシステム(1)。
【請求項14】
手術ロボットシステムの制御方法、特に請求項1から13のいずれか1つに記載の手術ロボットシステム(1)の制御方法であって、
光学的画像装置(14)を介して、ロボットにより誘導されるエンドエフェクタ(10)のエンドエフェクタの先端(18)とともに患者(P)の処置領域の光学的画像(A)を作成すること(S1)、ここで、前記ロボット(4)は、前記患者(P)に固定的に接続された患者固定ユニット(2)に直接に接続され、前記光学的画像(A)を提供すること、
データ提供ユニット(22)を介して、前記患者のデジタル3D画像データ(3DA)を提供すること(S2)、
追跡システム(26)を介して、少なくとも前記光学的画像ユニット(14)と前記患者固定ユニット(2)に対して固定された前記患者(P)の身体部分とを追跡すること(S3)、
制御ユニット(30)を介して、前記光学的画像(A)に基づいて機械視覚によって前記画像ユニット(14)に対する前記エンドエフェクタの先端(18)、特に前記器具の先端(20)の位置、特に位置および向きを決定すること(S4)、
前記制御ユニット(30)を介して、一方の提供された前記3D画像データ(3DA)と、他方の前記エンドエフェクタの先端(18)の決定された位置、特に位置および向きとの重なり(U)を作成すること(S5)、
前記重なり(U)を重なり表示としてディスプレイユニット(32)によって出力(S6)すること、および/または前記重なり(U)に基づいて前記エンドエフェクタ(10)を制御すること、
を備えている方法。
【請求項15】
コンピュータによって実行されると、請求項14に記載の制御方法の方法ステップをコンピュータに実行させる命令を含む、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者に対する手術処置のための手術ロボットシステムに関し、制御されたエンドエフェクタが処置に関与する。さらに、本発明は、独立請求項の前文に係る、制御方法/支援方法およびコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
手術処置を支援するロボット支援手術システムは、特に腹腔鏡手術の分野で広く使用されている。手術ロボットまたは手術ロボットシステムは、脳神経外科手術、脊椎外科手術、耳鼻咽喉科手術でもますます使用されるようになっている。しかしながら、現在のロボットシステムの欠点の1つは、ほとんどが地面設置型のロボットシステムであり、例外的に天井設置型のロボットシステムもあるが、これらのロボットシステムの構成は、使用されるエンドエフェクタの作動に悪影響を及ぼす。この文脈では、地面設置型または天井設置型とは、ロボットと、部屋内に固定されたシステム、ひいては対応する処置領域を有する患者との局所的接続が、手術室の床または天井を介してなされることを意味する。例えば、地面設置型ロボットシステムの場合、手術台に対するさまざまな相対配置を実現するために、患者が横たわっている手術台に対してさまざまな位置で手術室内に配置され得る移動ユニットが知られている。
【0003】
しかしながら、これらのロボットシステムの決定的な欠点は、ロボットのロボットベースと患者との間の避けられない動きにより正確性が著しく制限され、精度の最低要件をしばしば満たさないことである。一方の患者と他方のロボットのエンドエフェクタとの間の幾何学的な直接接続(対応する力の流れを伴う)が遠く/長くなるほど、たとえば弾性たわみ、計算された位置に対する精度の欠如、およびその他の不利に影響する変数により、この不正確さは大きくなる。手術台に固定できるロボットシステムまたはロボットの解決策は開発されてきているが、患者の動きおよび手術台への不十分な固定による不正確さが少なくとも残るため、これらの解決策は限られた範囲での処置にのみ適している。
【0004】
したがって、正確性をさらに高めるために、従来技術では、まず位置決めを行い、その後、ロボットベースと患者のヘッドホルダとの間に追加の剛性基準接続を確立する、地面設置型ロボットシステムも存在する。しかしながら、このような地面設置型ロボットシステムは、複雑で、製造コストが高く、手術室内の広いスペースを占有する。さらに、力の流れの長い経路が残る。特に、これらのロボットは、外科医が手動で器具を動かし続ける間に、例えば生検を配置するための軌道を誘導するだけである。従来技術では、脳神経外科手術において器具を遠隔的に移動させるために使用できるロボットシステムも知られているが、これらのシステムは不利にもフロアに設置されるため精度の関連する低下を伴い、処置に使用される器具の位置を追跡することもできない。さらに、例えば剛体を介した光学追跡または電磁追跡(EM追跡)を使用する(標準的な)ナビゲーションシステムの助けを借りて、器具の位置を追跡するロボットシステムが知られている。しかしながら、器具自体に剛体を取り付けると、人間工学が低下し、作業量が増大する。さらに、EMシステムには、同様の波長の電磁放射を放射するデバイスによって歪みが生じるという欠点がある。このEM放射は、例えばロボット自体によって生成される可能性があり、最終的には悪影響を及ぼし、追跡精度を低下させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の目的は、従来技術の問題を回避するか、または少なくとも軽減することであり、特に、処置中に制御されたエンドエフェクタの高い精度を提供し、安全で操作が容易な、手術ロボットシステムを提供することである。手術時間の改善または短縮も達成され、ユーザ、特に外科医は、高レベルの手術快適性を提供されることになる。さらに、構成をシンプルかつモジュール化し、コスト効率の高い生産を可能にするという点でも部分的な目的が見られる。その他の部分的な目的は、処置をさらにより良好かつより容易に実行できるように、処置領域に対してロボットをさらにより良好かつより柔軟に配置して調整できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の目的は、請求項1の特徴によって本発明に係る汎用手術ロボットシステムに対して解決され、請求項14の特徴によって本発明に係る汎用(ロボット)制御方法に対して解決され、請求項15の特徴によって本発明に係るコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に対して解決される。
【0007】
本開示の基本的な考え方は、幾何学的フレーム構造/固定構造(患者固定ユニット)が、手術処置が行われる患者の身体部分にじかに直接に接続され、特に人体骨格の一部に対して静的に特に強固に固定されるという点に見られる。このように、患者が移動させられたとき、一方の患者または患者の処置領域のローカル座標系(KOS)と、他方の患者固定構造のローカルKOSとの間の相対的変換は、患者の固定された身体部分が移動させられたときでさえ、変化しないか、または最小限しか変化せず、静的なままである。手術ロボットは、そのロボットベースを介してこの幾何学的固定構造に直接に、固定または結合されるため、処置領域を有する患者とロボットベースとの間の相対的変換も一定に保たれ、たとえば患者が手術台上で移動させられても変化しない。この特別な構成により、処置の精度が大幅に向上する。したがって、フロア支持型ロボット、天井支持型ロボット、手術台支持型ロボットは使用されず、むしろ、手術台自体にわたって到達させることなく、患者との直接接続を確立するために、いわゆる患者支持型ロボットが使用される。したがって、ロボットまたはロボットベースのローカル座標系の基準は、フロアまたは手術台ではないが、(患者固定システムを介して)患者または固定される患者の身体の部分である。
【0008】
換言すれば、患者に対する手術処置のための手術ロボットシステムが開示されており、該ロボットシステムは、処置領域を有する患者の少なくとも身体部分を患者固定ユニットに対して強固に固定するために、患者、特に患者の頭部に強固且つ直接に接続/取り付けられるように適合されている、少なくとも1つの患者固定ユニットと、ロボットベースを有しており、ロボットベースが特に患者固定ユニットに直接且つじかに取り付けられており、特に取り付けられ又は連結されており、並びにロボットベースに接続された可動ロボットアームを有しており、ロボットアームに、特にロボットアームの終端側に接続された、特に取り付けられた、エンドエフェクタ、特に手術器具を有している、少なくとも1つの手術ロボットとを備えている。このロボットシステムによって、エンドエフェクタを特に正確かつ直感的な制御を可能とする。例えば、手術ロボットシステムでは、器具又はカメラなどの画像装置をエンドエフェクタとして使用できる。
【0009】
この文脈において、直接接続とは、少なくとも1つの手術ロボットの直接的な(連続的な)幾何学的接続が患者固定ユニットに直接に行われており、この接続が手術台またはフロアなどの手術室内の物体への接続とは無関係であることを意味する。さらなる安定性を実現するために患者固定ユニットが手術台に接続されてもよいが、患者とエンドエフェクタとの間の(連続した最短の)接続は手術台またはフロア支持型システムを介するのではなく、患者固定ユニットを介して直接且つ単一である。このようにして、エンドエフェクタと患者との間の直接経路を特に短く維持することができ、結果として精度と制御を向上させることができる。
【0010】
さらに換言すれば、本開示は、少なくとも1つのロボットが患者固定ユニットを備えた患者固定システムに直接に結合/接続/取り付けられ、ロボットアームを備えた1つのロボットまたはそれぞれのロボットアームを備えた複数のロボットが患者固定ユニット自体に直接に接続される、低侵襲手術用の小型手術ロボットシステムに関する。ロボットアームはそれぞれ、エンドエフェクタ、特に手術器具及び/又は視覚化装置をガイドする。さらに換言すれば、ロボットアームを備えた少なくとも1つのロボット、特に2つのロボットが患者固定ユニットに直接に取り付けられており、少なくとも1つのエンドエフェクタ、特に手術器具および/または視覚化装置を、ロボットアームを介してガイドする、低侵襲手術用の手術ロボットシステムが提案される。
【0011】
特別な構成により、ロボットアームを有するロボットは、特に省スペースで小型になるように設計でき、使用時に優れた精度を依然として発揮する。ロボットベースの取り付けポイントが処置領域に特に近いため、特に良好な関節接合も確保できる。
【0012】
したがって、本開示の利点は、精度の向上、より単純で迅速な処置による手術時間の短縮、および特に脳神経外科手術、脊椎外科手術、耳鼻咽喉科手術の分野における最小限の手術における外科医の手術快適性の向上にある。器具は、動きがロボットによって実行されるため、手動でガイドされる必要がなく、遠隔操作アプローチを利用可能にする。したがって、本明細書で提示される開示は、非常に小さなポートを介して動作する小型ロボットアームによって、脳神経外科手術、脊椎外科手術、耳鼻咽喉科手術におけるロボット遠隔操作を可能にする、第1の手術ロボットシステムである。
【0013】
有利な実施形態は従属請求項に請求されており、特に以下で説明される。
【0014】
一実施形態によれば、手術ロボットシステムは、さらに、特に患者の体内組織を有する処置領域およびエンドエフェクタの先端、特に器具の先端の光学的画像を画像ユニットの視野内に作成し、それをコンピュータ読み取り可能な方法/デジタル形式で提供するように適合されている、少なくとも1つの光学的画像ユニットと、患者のコンピュータ断層画像または磁気共鳴画像などのデジタル3D画像データ、特に術前3D画像データを提供するように適合されている、データ提供ユニット、特にメモリユニットと、空間において、少なくとも光学的画像ユニット、および患者固定ユニットに対して固定されている患者の身体部分を直接的または間接的に、検出および追跡するように適合されるように設けられている、追跡システム、特に手術ナビゲーションシステムと、エンドエフェクタの先端、特に器具の先端の、位置、特に位置及び向き(つまり姿勢)を決定し、一方の3D画像データと、他方のエンドエフェクタの先端の、位置が正しい重なった位置、特に姿勢が正しい重なった位置及び向きと、により重なりを生成し、ディスプレイユニットを介してそれを視覚的に出力し、および/または重なりに基づいてエンドエフェクタを制御するように、設けられて適合された、制御ユニットとを備えている。したがって、追跡システムは、画像ユニットを追跡し、一方では追跡システムのKOSと画像ユニットとの間の変換を特定し、他方では、追跡システムは患者のKOS(処置領域)と追跡システムのKOSとの間の変換も特定し、これにより、画像ユニットと患者との間の変換を決定できる。さらに、手術ロボットシステムは、少なくともエンドエフェクタの先端、特に器具の先端の、位置、特に姿勢を決定し、それによってエンドエフェクタの先端の位置または姿勢と患者との間の正確な変換を決定するように適合されている。患者を介して、仮想世界の3D画像データを患者の現実世界と相関させることができるため、一方の3D画像データと、他方の少なくともエンドエフェクタの先端の位置が正しい、特に姿勢が正しい、統合との重なりが生じる。この重なりに基づいて、少なくともエンドエフェクタの先端の位置が3D画像データ内に示される、表示された重なり表示の形で視覚的な支援を提供でき、または(部分的に透明な)重なり表示または実画像と3D画像データの対応するビューの並んだ表示が出力され、または、エンドエフェクタを、重なりに基づいて(たとえば運動モデルを使用して)、たとえば予め決められた軌道に沿って制御できる。「位置」という用語は、特に直交座標系の座標を使用して特定される3次元空間における幾何学的位置を指す。特に、位置は3つの座標X、Y、Zによって特定することができる。「向き」という用語は、空間内の向き(位置におけるなど)を示す。向きは、三次元空間における方向表示または回転表示との整合を示すともいえる。特に、方向は3つの角度を介して示すことができる。「姿勢」という用語は、位置と向きの両方を含む。特に、姿勢は、3つの位置座標X、Y、Zと、向きの3つの角度座標の6つの座標を使用して特定できる。本明細書における3Dという用語は、画像データが空間的、つまり3次元であることを画定する。患者の身体、または空間拡張を伴う身体の少なくとも一部は、例えば直交座標系(X、Y、Z)による3次元空間内の画像データとしてデジタル的に利用可能になり得る。換言すれば、手術ロボットシステムは、処置領域内の患者の組織に作用するエンドエフェクタ、特に器具を視覚化して検出するために、光学的画像システム(画像ユニット)と好ましくは結合される。これにより、外科医を視覚的に支援し、または術前の処置計画を実行するため、エンドエフェクタ、特に器具の位置、特に姿勢を追跡し、その位置、特に姿勢を、特に術前の3Dデータセット(3D画像データ)、例えばコンピュータ断層画像(CT)や磁気共鳴画像(MRI)などに重ね合わせることができる。換言すれば、制御ユニットは、エンドエフェクタの定位、特に器具の定位を使用して、エンドエフェクタ、特に器具の位置、特に姿勢を、MRまたはCTなどの術前3Dデータセットに重ね合わせて、外科医に支援を提供してもよい。
【0015】
さらに好ましい実施形態によれば、制御ユニットは、エンドエフェクタの先端の光学的画像を介して、機械視覚による画像ユニットに対するエンドエフェクタの先端、特に器具の先端の、位置、特に位置および向き(すなわち姿勢)を決定し、光学的画像ユニットの追跡された位置および向きを介して、3D画像データに対するエンドエフェクタの先端の位置、特に姿勢を決定するように適合されてもよい。換言すれば、エンドエフェクタ、特に器具は、光学的画像ユニットを使用して機械視覚によって位置、特に姿勢を決定することによって、空間内で位置を特定されるのが好ましく、画像装置は患者に向かって方向付けられ、さらにエンドエフェクタ、特に器具が視野内にある。したがって、この手術ロボットシステムは、器具および視覚化装置を小さな開口部から挿入する必要がある、アクセスが狭い脳神経外科手術、脊椎外科手術、耳鼻咽喉科手術などの領域でのポート手術を可能にするように設計されている。換言すれば、本開示の任意に独立して請求可能な側面は、ロボットアームを有する1台以上のロボットを含む(小型化された)手術ロボットシステムであり、少なくとも1つロボットは、患者に強固に接続された患者固定ユニット(幾何学的フレーム構造)に固定される。ロボットシステムは、さらに、追跡システム、特にナビゲーションシステムによって追跡され、視野内においてエンドエフェクタの先端、特に器具の先端で患者の組織の画像を生成する、光学的画像システム(画像ユニットを有する)と組み合わされ、制御ユニットは、エンドエフェクタの先端、特に器具の先端、特に好ましくは器具全体の、特定の位置、特に姿勢を機械視覚によって決定(位置特定)するように適合され、それに応じて制御ユニットによってナビゲーションのために使用される。
【0016】
好ましくは、エンドエフェクタ、特に器具は、特にエンドエフェクタ軸に沿った相互に間隔を置いたリングの形態、および/またはドットパターンの形態、および/または少なくとも2つの正方形の形態、および/またはQRコード(登録商標)の形態の、所定の光学マーキングパターン/マーキング要素/マーカーを有してもよく、制御ユニットは、画像ユニットによって検出された光学マーキングパターンに基づいて画像処理アルゴリズムを使用して、エンドエフェクタの先端、特にエンドエフェクタ全体の、位置、特に姿勢を決定するように適合され得る。関連すれば、エンドエフェクタ、特に器具には、リング、ドット、正方形、またはQRパターンなどの光学的マーキング/マーキング要素が設けられてもよく、制御ユニットは、画像処理アルゴリズムを使用して、エンドエフェクタ、特に器具の位置、特に姿勢を決定するように適合されてもよい。このようにして、器具の先端は、組織で覆われている場合でも、位置が特定され得る。さらに、たとえばQRコード(登録商標)を介して器具の種類が自動的に判別されてもよく、その場合、寸法または幾何学的形状がメモリユニットに保存され、器具の先端を決定するために使用される。画像処理アルゴリズムは、たとえば三角測量によって、エンドエフェクタの先端の位置、特に姿勢をさらによく決定してもよい。
【0017】
さらに、少なくとも1つのエンドエフェクタ上に、光学マーカーとして剛体が好ましくは配置されてもよく、エンドエフェクタの先端、特にエンドエフェクタの位置および向きを決定するために追跡システムはこれを検出する。換言すれば、患者および光学的画像ユニット、特に手術用顕微鏡の顕微鏡ヘッドの追跡は、顕微鏡ヘッドなどの追跡対象物に剛体が設けられたカメラを備えた光学的ナビゲーションシステムによって実行され得る。特に、光学的マーカーは、追跡システムが検出できる間隔を置いた4つのIR球を有してもよい。特に、追跡システムは、光学的マーカーを備えた光学的ナビゲーションシステムであってもよく、光学的マーカーは、追跡対象物、特に画像ユニットおよび/またはエンドエフェクタ上に配置される。
【0018】
一実施形態によれば、制御ユニットは、機械視覚によって決定されたエンドエフェクタの先端の位置、特に姿勢に基づいて、追跡システムによって検出された位置、特に姿勢に基づいて、平均値を決定し、精度をさらに高めるように適合されてもよい。
【0019】
さらなる実施形態によれば、少なくとも1つの患者固定ユニットは、脳神経外科手術で使用されるヘッドホルダであってもよい。換言すれば、患者固定ユニット(患者固定システム)は、好ましくは、脳神経外科手術で使用されるヘッドホルダの形態である。ヘッドホルダは患者の頭部を強固に固定するので、正確な処置を可能にする。
【0020】
好ましくは、処置領域に関する少なくとも患者の身体部位を患者固定ユニットに対して強固と固定するために、患者固定ユニットは、患者の頭部、または患者の腰、または患者の膝、または患者の足首に強固に且つじかに接続または固定されるように適合されてもよい。
【0021】
特に、患者固定ユニットは、レール、特に周方向レール、特に好ましくは環状レールを有してもよく、このレールに対して、少なくとも1つのロボットが、そのロボットベースを介して固定されており、または特に連結され且つ紛失防止の態様で少なくともレールに沿った部分でロボットベースを介して並進移動可能である。換言すれば、患者固定ユニットは、患者固定ユニットのベースフレームに固定されるリング状ベースシステムまたはリングベースを有しており、リング状ベースシステムは、手術処置領域を取り囲み、ロボットベースを介してそこに固定される少なくとも1つのロボットのベースとして機能する。リングベースによって、ロボットアームでロボットの最適な位置を選択および調整することができ、ロボットをリングベースに沿って移動させることができる。特に、患者固定ユニットは、患者固定ユニットの高さに実質的に対応する幅、特にリングベースの直径を有する。特に、ベースフレームは、2つの対向する脚を備えたU字型であり、その自由端に周方向レールがリングとしてしっかりと固定されており、または1つの材料で接続されている。特に、患者固定ユニットの材料は滅菌可能な材料、特に医療技術で使用されるステンレス鋼である。特に、レールは処置領域を囲んでおり、患者の上方および手術台の上方に配置される。特に、患者固定ユニットの水平方向の幅は最大で1メートル、好ましくは最大で50センチメートルであり、垂直方向の高さは最大で1メートル、好ましくは50センチメートルである。
【0022】
さらなる実施形態によれば、ロボットベースは、クランプおよび/またはラッチ要素を備えたスライドを有してもよく、このスライドは、レールに沿って並進的にガイドされるように適合されており、患者固定ユニットに対するロボットのさまざまな位置を調整するために、クランプおよび/またはラッチ要素が作動するときレールに対するロボットベースの位置を固定する。特に、スライドはレール上でガイドされるため紛失することはなく、レールの周りを掴むような形になる。クランプおよび/またはラッチ要素は、特に、クランプおよび/またはラッチ状態に予め圧力(ストレス)がかけられており、予めの応力に抗して手動で作動させられたときにスライドを自由に移動可能な状態に移行のみさせる、手動で作動されるボタンであってもよい。特に、ロボットの最適な位置を設定するために、レール上、特に周方向レール上のロボットベースの位置が調整されてもよい。
【0023】
好ましくは、ロボットアームは、エンドエフェクタを手術の進入経路に合わせるために少なくとも5つの自由度を有してもよく、および/またはエンドエフェクタ自体(ロボットアームの遠位端)は、患者の身体内でさらなる動作/関節運動を可能にするために、少なくとも1つのさらなる自由度、特に2つの自由度(2DOF)を有するさらなるヒンジを有してもよい。換言すれば、ロボットアームは、エンドエフェクタを手術の進入経路に合わせるために、少なくとも5つ以上の自由度を(それぞれ)有してもよい。特に、ロボットアームには5~7の自由度を有する。特に、ロボットアームの遠位端のエンドエフェクタには、患者の身体内での関節動作を可能にするために、さらなる自由度が設けられてもよく、特に、ロボットアームの手首に2つの自由度を有するヒンジ(2-DOFヒンジ)を有する。
【0024】
さらに、一実施形態では、少なくとも1つの光学的画像装置は、制御ユニットの光学的画像をコンピュータ読み取り可能な方法で提供するデジタル手術用顕微鏡であってもよく、さらに好ましくはロボット制御の手術用顕微鏡であってもよい。換言すれば、光学的画像ユニットは、特に手術用顕微鏡であり、特に好ましくは、ロボットによって誘導される顕微鏡アームによって移動させられるデジタル顕微鏡である。
【0025】
さらなる実施形態によれば、少なくとも1つの光学的画像装置は、患者の体内の光学的画像を作成するために、遠位画像ヘッドを備えた内視鏡であってもよい。代替的にまたは追加的に、内視鏡は、画像ヘッドが身体内に配置され、器具と同じ作業チャネル(ポート)を通じて導入され得る、少なくとも1つの光学的画像ユニットとして使用されてもよい。例えば、内視鏡に光学的マーキングパターンが設けられている場合、エンドエフェクタの先端としての内視鏡の遠位画像ヘッドの位置、特に姿勢も、上述したように、手術用顕微鏡を介した画像を使用して機械視覚によって特定されてもよい。
【0026】
特に、手術ロボットシステムは、エンドエフェクタのナビゲーションのための手術用ナビゲーションシステムを備えていてもよい。好ましくは、ナビゲーションシステムは、機械視覚ベースのナビゲーションシステムを備えてもよい。特に、ナビゲーションシステムは、画像解析によってエンドエフェクタ、特に器具を認識し、少なくともエンドエフェクタの先端、特に器具の先端の位置または姿勢を決定するために、手術用顕微鏡をカメラとして使用してもよい。画像解析にトラッカーはもはや必要ではない。
【0027】
好ましくは、手術ロボットシステムは、脳神経外科手術、脊椎外科手術、または耳鼻咽喉科処置に使用するために、患者の身体内に挿入されたポートを介して手術に使用されるように適合されてもよい。
【0028】
一実施形態によれば、制御ユニットは、エンドエフェクタの先端、特に器具の先端の、特定の位置、特に姿勢を、重なり合った表示の3D画像データに統合し、それを、ディスプレイユニットを介して出力するように適合されてもよい。
【0029】
さらに好ましくは、手術ロボットシステムは、ユーザ/外科医による手動入力を少なくとも1つのロボットによって誘導されるエンドエフェクタに送信し、それに応じてエンドエフェクタを遠隔から制御するように適合された、制御コンソール(ロボットに取り付けられる)をさらに備えてもよい。したがって、少なくとも1つのガイド付きエンドエフェクタ、特に器具は、外科医の手の動きを変換するコンソールを介して遠隔制御されてもよく、または術前計画に基づいて自律的に操作されてもよい。好ましくは、外科用ロボットシステムは、それゆえ、コンソールユニット/入力装置/入力装置を備えた制御パネルを備えており、これは、手による手動動作をロボットにより誘導される器具に伝達するために、外科医によって使用される。例えば、それぞれのエンドエフェクタを適宜操作するために、各手用にジョイスティックが設けられてもよい。
【0030】
さらに好ましくは、手術ロボットシステムのデータ提供ユニットには術前処置計画が格納されてもよく、制御ユニットは、重なりに基づいて且つ術前処置計画に基づいて、処置を実行するために、少なくとも1つのエンドエフェクタを半自律的または完全に自律的に制御/移動させるように適合されてもよい。特に、手術ロボットシステムは、術前計画、特に実行されるべき処置の個々のステップについて格納された予め決定された運動モデルを有しており、ロボットによる半自律的または完全自律的に、術前計画の実行と器具の動作とを可能とする。
【0031】
特に、手術ロボットシステムは、CTまたはMRに重ね合わされる、光学的画像ユニットの画像と器具の位置とを表示するためのディスプレイを備えたコンピュータシステムを備えてもよい。
【0032】
本開示の目的は、制御方法に対して解決され、該方法は、
光学的画像装置を介して、ロボットが患者固定ユニットに直接に接続されたロボットにより誘導されるエンドエフェクタのエンドエフェクタの先端とともに患者の処置領域の光学的画像を作成し、光学画的像を提供すること、
データ提供ユニットを介して、患者のデジタル3D画像データを提供すること、
追跡システムを介して、少なくとも光学的画像ユニットと、患者固定ユニットに対して固定された患者の身体部分とを追跡すること、および
制御ユニットを介して、特に機械視覚によって、画像ユニットに対するエンドエフェクタの先端、特に器具の先端の、位置、特に位置および向きを決定すること、
一方の3D画像データと、他方のエンドエフェクタの先端の、姿勢が正しい位置、特に位置および向きと、により重なりを作成すること、
重なりを重なり表示としてディスプレイユニットに出力すること、および/または重なりに基づいてエンドエフェクタを制御すること
を含む。
本開示に係る制御方法によって、それに応じて位置が出力されてもよい。
【0033】
コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に関して、本目的は、コンピュータによって実行されると、コンピュータに本開示に係る制御方法の方法ステップを実行させる命令を含むことによって解決される。
【0034】
本開示に係る手術ロボットシステムに関連する開示はいずれも、本開示の制御方法にも適用され、逆もまた同様である。特に、ロボットシステムの制御ユニットは、制御方法のステップを実行するように適合されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0035】
以下、図面を参照しながら好ましい実施形態を参照して本発明をさらに詳細に説明する。
図1図1は、第1の好ましい実施形態に係る手術ロボットシステムの斜視図を示す。
図2図2は、さらに第2の好ましい実施形態に係る手術ロボットシステムの斜視図を示す。
図3図3は、図2のロボットにより誘導される器具の詳細な概略斜視図を示しており、この器具は、器具の先端の位置を決定するために、顕微鏡ヘッドを介して検出されるマーキングパターンとしてリングを有している。
図4図4は、好ましい実施形態に係る制御方法のフロー図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1は、本発明の第1の好ましい実施形態に係る手術ロボットシステム1の概略的な斜視図を示す。手術ロボットシステム1は、本ケースでは、患者Pの脳組織を特に正確に操作するために、患者Pの頭部に対する脳神経外科手術処置のための開頭手術に使用される。
【0037】
処置のために、手術処置が行われる固定されるべき身体部分または身体部位としての患者の頭部Pは、患者固定ユニット2にしっかりと接続されている。この文脈において、しっかりとは、患者の頭蓋骨が患者固定ユニット2に対して姿勢/固定位置に固定され、変化しないことを意味する。このようにして、患者上の処置領域は患者固定ユニット2に対して静的に固定され、患者Pが手術台上で移動させられたとしても幾何学的な相対関係が維持される。
【0038】
この実施形態では、手術ロボットシステム1は、能動的に制御され得る2つの小型手術ロボット4を有している。これらのロボット4は、同じように構成/設計されており、それぞれロボットベース6を有しており、ロボットベース6は、患者Pの頭部の反対側から見て、2つの両側部で患者固定ユニット2に直接且つじかに固定/締結され、ロボット4の患者固定ユニット2に対する局所的な取付ポイントを表している。
【0039】
可動式の多セグメントロボットアーム8、本ケースでは4つのロボットアーム部材を有しているが、手術器具12の形態の端末/フロントエンドエフェクタ10によってロボットベース6に関節接続されている。ロボットアーム8は能動的に制御され得、それに応じて器具12をガイドできる。2つのロボット4が患者固定システム2に直接に固定されているため、患者Pの頭部(処置領域を有する)と手術器具12との間の距離が最小化され、特に作動精度が向上し、2つのロボット4が処置領域のじかに近接していることにより、ロボットアーム8が短い到達範囲を要求するのみであり、関連するレバーアームがより小さく(したがってレバー効果がより低く)なるように設計することもできるので、よりコンパクトで小型に構築できる。限られた体積に、複数の、このケースでは2つの、小型ロボット4を統合することも可能であり、外科医が観察し又は手動で操作するのでさえ十分なスペースも提供する必要がある。これにより、ロボット4の作動アームが外科医のそれぞれの手に今や利用可能となり、外科医が同時に2つの操作を実行できるようになるため、処置を向上させる。
【0040】
手術ロボットシステム1は、ロボットにより誘導される手術顕微鏡の形態の光学式画像ユニット14も有しており、この光学式画像ユニット14は、光学系および画像センサを介して体内組織と共に患者Pの処置領域の光学的画像Aを作成し、デジタルで提供するように構成されている。さらに、組織の操作を実行する手術器具12、または少なくともエンドエフェクタの先端18としての器具の先端20は、画像ユニット14の視野16内に配置される。光学式画像ユニット14は、外科医の視野16内で外科医によってガイドされるこの器具の先端20を、作成された画像A内に適切に取り込む(キャプチャする)。
【0041】
手術ロボットシステム1は、処置中にポートを介しておよび目に見える小さな開口部のみでナビゲートし、検出された器具の先端20を術前3D画像3DAと相関させるために、メモリユニット24を備えたデータ提供ユニット22をさらに有しており、このメモリユニット24には、処置が行われる身体部分を少なくとも有する患者Pのデジタル術前3D画像データ3DAが磁気共鳴画像(MRI)またはコンピュータ断層画像(CT)の形式で格納される。このデータ提供ユニットは、この3D画像データ3DAをデジタル形式またはコンピュータで読み取り可能な形式で利用可能にする。患者Pの現実世界と患者Pの3D画像データの仮想世界との間の相関関係を確立するためには、追跡システム26も必要であり、この追跡システム26は、この実施形態では、光学式3次元認識を備えた手術用ナビゲーションシステムとして設計されている。追跡システム26は、光学式画像ユニット14、特に光学的画像ユニットのヘッドを空間的に検出し、空間内で追跡するように適合されている。追跡システム26は、患者Pの頭部に対する所定の接触点と対応する前方決定とを備えた患者固定システム2の検出を介して間接的に、患者Pの固定された頭部を空間的に検出するようにさらに適合されている。患者Pの頭部と患者固定ユニット2との関係も予め決められてもよい。
【0042】
追跡システム26は、器具12と処置領域を有する患者Pの頭部の両方を空間的に検出するため、特別に調整された制御ユニット30は、術前3D画像データ3DAを患者Pの頭部、ひいては患者Pと相関させることができ、その結果、現実世界と仮想世界、特に現実画像と仮想術前画像との重ね合わせを実行することができ、手術ロボットシステム1を介して処置中に外科医にナビゲーション用に提供される。
【0043】
この実施形態では、手術ロボットシステム1は、エンドエフェクタの先端18、本明細書では器具の先端20の位置および向き、すなわち姿勢を決定し、一方の処置領域の3D画像データ3DAと、他方の重ね合わされた姿勢が正しい重なりとにより重なりまたは重なり表示で、これらの特定された器具の先端を生成し、それらを手術室モニタの形態のディスプレイユニット32によって視覚的に一緒に出力するように特別に構成されている。これは、外科医に、適切な制御能力を備えた特に有利なナビゲーションを提供する。重なり表示は必要に応じて複製できるため、外科医は、例えば、重なり表示が三次元で表示される3Dメガネをかけ、処置領域から遠く離れた入力デバイスを備えた外部コンソールに座り、視覚表示に基づいてロボット4を制御できる。重なりはまた、処置計画にしたがって半自律的または自律的に器具を制御するようい制御ユニット30によって使用され得る。したがって、本手術ロボットシステムは、特に遠隔医療の可能性を生み出す。
【0044】
この実施形態では、必要な安定性を確保するために、患者固定ユニット2は手術台34にしっかりと接続されている。
【0045】
手術用顕微鏡の形態の光学的画像ユニット14は、光学系と画像センサとを備えた端末顕微鏡ヘッド36を有しており、端末顕微鏡ヘッド36は、手術中に所定の姿勢に操作して最良の視界を得るために、複数の顕微鏡アームセグメント39を備えた多部材のロボットにより誘導される顕微鏡アーム38を介して能動的に調整され得る。特に、手術用顕微鏡は、さまざまなビューを提供するために、このように焦点の周りを移動できる。顕微鏡アーム38は移動式ローリングカート40に間接接続されており、ローリングカート40は処置の要件に応じて手術室内のさまざまな場所に配置され得る。
【0046】
顕微鏡ヘッド36を空間的に検出し追跡するために、互いに間隔を空けて配置された複数(具体的には4つ)のIRマーキング球を備えた剛体の形態の受動的光学マーカー42が、そのハウジング上に配置されている。追跡システム26のステレオカメラ44は、このマーカー42を検出し、それを使用して、ステレオカメラ44に対する空間内の姿勢を検出できる。さらに、IRマーキング球を備えた光学マーカー42がロボットアーム2の最後のセグメント、つまり器具12のすぐ隣に固定されているため、ステレオカメラはロボットアーム2の最後のセグメントの姿勢も決定でき、器具12との予め決められた関係により、器具12と器具の先端20の姿勢も決定できる。最後に、対応するマーカー42も患者固定ユニット2上に設けられている。次に、制御ユニット30によって、器具の先端20の位置および向きが3D画像データ3DAと相関付けられます。
【0047】
この実施形態では、データ提供ユニット22、メモリユニット24、および制御ユニット30はローリングカートに統合されているが、もちろん、手術ロボットシステム1を、例えば、分散的および集中的の両方に提供され得る、ローカルネットワーク接続を介して特別に適合したコンピューティングユニットに接続することもできる。
【0048】
患者固定システム2は、患者Pの頭部を2つの両側の脚でしっかりと固定するためのU字型フレーム48を有しており、それぞれの脚には調整可能な固定ピン46が互いに向き合って設けられており、固定ピン46間の距離を短縮して、したがって患者Pの頭部を固定ピン46の間にクランプするために、固定ピン46が互いに向かってねじ込まれ得る。図1の左側には、先端が前側にある単一の突出ボルト状固定ピン46が設けられており、反対側には、半径方向内側に一列に並んだ少なくとも2つの固定ピン46を有する円形断面の弧が設けられ、この弧は、ねじ山を介して、ヘッドに向かって内側に、再びヘッドから離れる外側へ並進方向に移動および調整できる。このようにして、3つの固定ピン46を備えた患者固定ユニット2は、異なる頭のサイズに適合させることができる。3つの固定ピン46によって、固定ユニット2に対する患者の頭部Pの姿勢が、劣決定または過剰決定なしに決定され得る。
【0049】
図2は、さらなる第2の実施形態に係る手術ロボットシステム1の斜視図を示しており、図3は、対応する処置領域の詳細な部分図を示す。この実施形態は、器具の先端20の位置および向きを決定するための構成、並びにロボット4の患者固定ユニット2に対する接続において第1の実施形態と異なっている。
【0050】
この実施形態では、患者固定ユニット2は、図2に示されるように、上側のU字型フレーム48上に周状の円形レール50を有しており、円形レール50はフレーム48にしっかりと接続され、患者Pの頭部に対してしっかりと固定されている。レール50に合わせて、この実施形態では、ロボットベース6は、レール50を幾何学的に包み込み、レール50の縦軸に沿ってガイドされ得るスライド52として設計されている。このようにして、患者固定ユニット2に関連してロボットベース6の位置を変更することができ、処置に容易に適応させることができる。さらに、ロボットベース6は、一方ではスライド54をレール50に対して弾性的にクランプし、他方ではラッチ機構を介してさらに固定するように適合された、クランプおよびラッチ要素54も有している。特に、クランプおよびラッチ要素54は、操作ボタンの形態で設計されてもよく、この操作ボタンが押されると、スライド54はレール50に沿ってスライドし、操作ボタンが放されると、スライド54は弾性的に初期位置に押し戻され、スライド54はレール50にクランプされ、レール50にラッチされる。特に、ロボットベース6は、結合可能かつ分離可能に設計されてもよく、それによって、レール50に結合されてもよく、必要に応じて再度分離され得る。このようにして、患者固定ユニット2に接続されるロボット4の数は、必要に応じて処置に適合され得る。この実施形態では、手術ロボットシステム1は、第1実施形態と同様に、2つのロボット4を有している。図示されていない実施形態では、スライド52を円形レール上で能動的に移動させるために、ロボットベースにモータも設置される。
【0051】
しかしながら、第1の実施形態とは対照的に、ロボットアーム8の終端セグメントには光学マーカー42が設けられておらず、代わりに、以下に説明するように、機械視覚によって器具の先端20の位置が特定される。一方では、制御ユニット30の患者PのKOSが既知であり、他方では、手術用顕微鏡のローリングカート40のKOSが既知である。運動学的関係を使用して、制御ユニット30は、ローリングカート40のKOSに基づいて、画像センサを備えた顕微鏡ヘッド36のKOSを決定できる。
【0052】
顕微鏡ヘッド36自体は、光学的画像Aを介して器具12の器具の先端20を光学的に検出し、制御ユニット30は、2D画像のみが提供される場合でも、機械視覚を介してこの器具の先端20の位置および向きを決定するように適合されている。これには、器具の先端を特に正確に決定し、3D画像データ3DAに関連して位置を特定できるという利点がある。さらに、この構成は、すでに狭い処置領域に光学マーカーを設ける必要がないという利点がある。
【0053】
図3は、図2の概略詳細部分図であり、一方に顕微鏡ヘッド36、他方に器具12を示している。位置と向きをさらに正確に決定するために、円筒形の手術器具12は、その長手方向軸に沿って間隔をあけて配置された同心円状の光学リング62を有しており、これらのリングは互いに特別なパターンで配置されており、決定のための光学マーキングパターン/マーキング要素60を示す。制御ユニット30は、予め決定された光学パターンに基づいて、画像A内の位置および向きをさらに正確に判定できる。器具の先端20が患者の組織に入れられ、組織に覆われているため、光学的に見えない場合、制御ユニット30は光学マーキング要素60に基づいて器具12の先端を依然として推測できる。さらに、ロボットにより誘導される顕微鏡ヘッド36は、機械視覚によって位置と向きをさらに正確に判断するために、機器12のさまざまなビューを作成するために、小さな動きでえ実行できるように適合させられてもよい。
【0054】
上記の図1から3に示されるように、ロボットアーム8を備えた小型ロボット4は、ヘッドホルダシステムまたは患者固定ユニット2に直接に固定されており、ロボットベース6と患者Pとの間の強固な接続を確かにする。ロボットアーム8は、特に脳神経外科のポートを介して、手術アクセス内で手術器具12を位置合わせするために、5から7の自由度を有している。さらに、手術器具12自体は、例えば、患者の体内P内で移動できる湾曲した先端を実現するように、さらなる自由度を有してもよい。手術ロボットシステム1は、手術顕微鏡などの光学的画像システムと組み合わされるか、または光学的画像システムを有している。次に、追跡システム26、特にナビゲーションシステム28を使用して、患者Pと手術用顕微鏡を、例えば光学的マーカーとしての剛体を介して追跡し、剛体は、一方では患者固定ユニット2(ヘッドホルダ上)に固定されており、他方では顕微鏡ヘッド36のハウジングに固定されている。手術器具12もまた、ロボットのエンドエフェクタに光学マーカーとしてさらなる剛体を取り付けることによって直接に追跡されるか、または機械視視覚の手順を実行することによって追跡される。画像処理に基づく機械視覚の場合、ロボットまたは機器12に剛体は要求されない。代わりに、光学的画像システム14の視野内に視認可能である器具の先端20には、特にリング、ドット、正方形、またはQRパターンなどの光学的パターンが設けられており、これらのそれぞれによって、光学的画像システム14に対する器具12の種類と位置を特定することが可能である。光学的画像システム14と患者Pはナビゲーションシステム28によって位置が特定されるため、CT画像またはMR画像などの患者の術前3Dデータセットまたは術前3D画像データ3DA上に、器具12の位置、特に位置と向きを表示できる。
【0055】
図4は、好ましい実施形態に係る制御方法のフローチャートを示す。この制御方法は、命令の形でコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に格納することもでき、第1実施形態または第2実施形態の手術ロボットシステム1で使用できる。
【0056】
最初のステップS1では、制御方法は、光学的画像装置14を介して、ロボットにより誘導されるエンドエフェクタ10のエンドエフェクタの先端18とともに患者Pの処置領域の光学的画像Aを作成する。ここでは、ロボット4は患者固定ユニット2に直接に接続されている。光学的画像Aは、制御ユニット30に従ってコンピュータ読み取り可能な形式で提供される。
【0057】
ステップS2では、患者Pのデジタル3D画像データ3DAも制御ユニット30に提供される。つまり、患者のp/Pの現実のデジタル画像と仮想のデジタル画像の両方が利用可能である。
【0058】
次のステップS3では、光学的画像ユニット14が追跡システム26によって直接に追跡され、患者固定ユニット2に対して固定された患者Pの身体部分が、身体部分、特に患者の頭部に対して所定の関係で、患者固定ユニットを介して空間内で追跡システムに対して1度または連続的に決定され、その結果、仮想世界(3D画像データ)と現実世界(光学的画像、患者および他の追跡対象物)との相関関係が実行され得る。
【0059】
次に、ステップS4では、制御ユニット30は、機械視覚によって、画像ユニット(14)に対する器具の先端(20)の位置および向きを決定する。
【0060】
ステップS5では、一方の3D画像データと、他方の器具の先端20の姿勢が正しい位置および向きとの相関または重なりが特定されまたは作成される。
【0061】
最後に、ステップS5では、重なりUが、ユーザを視覚的にサポートするために手術モニタによって重なり表示として出力され、さらに、重なりUに基づいて器具10の半自律制御が実行される。この実施形態では、手術前に処置計画が決定されており、この処置計画の個々の連続ステップが事前に画定されている。外科医は、ロボットから離れている制御コンソールを介して制御の最初のステップを確認できるため、器具12はこの最初のステップを独立して実行する。最初のステップが完了した後、外科医は正しい実行をチェックすることができ、必要に応じて、例えば手動の器具を使用して手動で局所的な修正を行い、確認入力を介して器具12を制御する次のステップに進むことができる。このようにして、個別かつ段階的な手順と同様に、処置を最終的に実行できる。器具の先端の位置および向きは連続的に決定され、適切な制御に使用される。
【符号の説明】
【0062】
1 手術ロボットシステム
2 患者固定ユニット
4 手術ロボット
6 ロボットベース
8 ロボットアーム
10 エンドエフェクタ
12 手術器具
14 画像ユニット
16 画像ユニットの視野
18 エンドエフェクタの先端
20 器具の先端
22 データ提供ユニット
24 メモリユニット
26 追跡システム
28 ナビゲーションシステム
30 制御ユニット
32 ディスプレイユニット
34 手術台
36 顕微鏡ヘッド
38 顕微鏡アーム
39 アーム部分
40 ローリングカート
42 光学的マーカー
44 ステレオカメラ
46 固定ピン
48 固定フレーム
50 レール
52 スライド
54 クランプおよび固定要素
56 KOS患者
58 KOS顕微鏡
60 マーキングパターン
62 リング
64 組織
3DA 3D画像データ
A 光学的画像
P 患者
S1 光学的画像を作成するステップ
S2 3D画像データを提供するステップ
S3 画像ユニットと患者とを追跡するステップ
S4 機械視覚による器具の先端の姿勢を決定するステップ
S5 3D画像データと器具の先端の姿勢との重ね合わせを作成するステップ
S6 重なり表示と重なりに基づく機器の制御とを主力するステップ
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2024-08-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
者に対する手術処置ための手術ロボットシステムであって、
処置領域を有する前記患者の少なくとも身体部分を患者固定ユニットに対して強固に固定するために、患者の頭部に強固且つ直接に取り付けられるように適合された、少なくとも1つの患者固定ユニットと
前記患者固定ユニットに直接に接続されたロボットベース、並びに前記ロボットベースに接続された可動ロボットアームおよびエンドエフェクタを有する、少なくとも1つの手術用制御可能なロボットと、
前記エンドエフェクタをナビゲーションするための手術ナビゲーションシステムと
を備えた、手術ロボットシステム。
【請求項2】
前記手術ロボットシステムは
前記処置領域と、エンドエフェクタの先端の像を作成して、それをコンピュータ読み取り可能な形式で提供するように適合された、少なくとも1つの光学的画像ユニットと
前記患者のデジタル3D画像データを提供するように適合された、データ提供ユニットと
少なくとも前記光学的画像ユニットと、前記患者固定ユニットに対して固定された前記患者の少なくとも身体部分とを、空間内で検出し追跡するように設けられ適合された、追跡システムと
前記エンドエフェクタの先端の置を決定して、一方の3D画像データと、他方の前記エンドエフェクタの先端の、位置が正しい重なり位置で、重なりを生成して、前記重なりを重なり表示としてディスプレイユニットを介して視覚的に出力し、および/または前記重なりに基づいて前記エンドエフェクタを制御する、ように設けられ適合された、制御ユニットと
をさらに備えた、請求項1に記載の手術ロボットシステム。
【請求項3】
前記制御ユニットは、前記エンドエフェクタの先端の前記光学的画像を介して、機械視覚によって前記画像ユニットに対する前記エンドエフェクタの先端の置を決定し、前記追跡システムによって追跡された前記光学的画像ユニットの姿勢を介して、3D画像データに対する前記エンドエフェクタの先端の置を決定するように、適合されている、
請求項2に記載の手術ロボットシステム。
【請求項4】
前記エンドエフェクタは、所定の光学的マーキングパターンを有しており、前記制御ユニットは、前記画像ユニットによって検出された前記光学的マーキングパターンに基づいて、前記エンドエフェクタの先端の、位置を決定するように適合されている、
請求項2又は3に記載の手術ロボットシステム。
【請求項5】
光学的マーカーが少なくとも1つの前記エンドエフェクタ上または前記ロボットアームの終端部材上に配置されており、前記エンドエフェクタの先端の、位置および向きを決定するために、前記光学的マーカーが前記追跡システムによって検出され追跡される、
請求項2又は3に記載の手術ロボットシステム。
【請求項6】
少なくとも1つの前記患者固定ユニットは、脳神経外科手術で使用される頭部ホルダである、
請求項1に記載の手術ロボットシステム。
【請求項7】
前記患者固定システムは、周方向レールを有しており、このレールに少なくとも1つの前記ロボットが前記ロボットベースを介して固定され、または少なくとも部分的に前記ロボットベースを介して前記レールに沿って並進移動可能である、
請求項1に記載の手術ロボットシステム。
【請求項8】
前記ロボットベースは、クランプおよび/またはラッチ要素を備えたスライドを有しており、前記スライドは、前記レールに沿って並進的にガイドされ、前記クランプおよび/またはラッチ要素が作動されるとき、前記レールに対する前記ロボットベースの位置を固定し、前記クランプおよび/またはラッチ要素が非作動であるとき、前記患者固定ユニット、ひいては前記患者に対する前記ロボットの様々な位置を調整するために再び自由に移動可能となるように、適合されている、
請求項7に記載の手術ロボットシステム。
【請求項9】
前記ロボットアームは、前記エンドエフェクタを外科手術の進入経路に位置合わせするために少なくとも5つの自由度を有するように構成されており、および/または前記エンドエフェクタ自体は、前記患者の体内でさらなる関節運動を可能にするために、少なくとも1つのさらなる自由度を有している、
請求項1に記載の手術ロボットシステム。
【請求項10】
少なくとも1つの前記光学的画像装置は、前記制御ユニットの前記光学的画像をコンピュータ読み取り可能な形式で提供するデジタル手術用顕微鏡である
請求項2又は3に記載の手術ロボットシステム。
【請求項11】
少なくとも1つの前記光学的画像装置は、前記患者の体内光学的画像を作成するように適合された、遠位画像ヘッドを備えた内視鏡である、
請求項2又は3に記載の手術ロボットシステム。
【請求項12】
前記手術ロボットシステムは、少なくとも1つの前記ロボットを備えた前記患者固定ユニットとは別個である外部制御コンソールをさらに備えており、前記外部制御コンソールは、ユーザによる手動入力を少なくとも1つの前記ロボットにより誘導されるエンドエフェクタに伝達し、それに応じて前記エンドエフェクタを遠隔から制御するための手動把持制御手段を備えている、
請求項1に記載の手術ロボットシステム。
【請求項13】
術前処置計画が前記手術ロボットシステムの前記データ提供ユニットにさらに格納されており、前記制御ユニットは、前記処置を実行するために、前記術前処置計画に基づいて少なくとも1つの前記エンドエフェクタを半自律的または完全に自律的に制御するように適合されている、
請求項2又は3に記載の手術ロボットシステム。
【請求項14】
コンピュータによって実行されると、手術ロボットシステムの制御方法の方法ステップを実行させる命令を含む、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体であって、
光学的画像装置を介して、ロボットにより誘導されるエンドエフェクタのエンドエフェクタの先端とともに患者の処置領域の光学的画像を作成すること、ここで、前記ロボットは、前記患者に固定的に接続された患者固定ユニットに直接に接続され、前記光学的画像を提供すること、
データ提供ユニットを介して、前記患者のデジタル3D画像データを提供すること、
追跡システムを介して、少なくとも前記光学的画像ユニットと前記患者固定ユニットに対して固定された前記患者の身体部分とを追跡すること、
制御ユニットを介して、前記光学的画像に基づいて機械視覚によって前記画像ユニットに対する前記エンドエフェクタの先端の置を決定すること、
前記制御ユニットを介して、一方の提供された前記3D画像データと、他方の前記エンドエフェクタの先端の決定された位置との重なりを作成すること、
前記重なりを重なり表示としてディスプレイユニットによって出力すること、および/または前記重なりに基づいて前記エンドエフェクタを制御すること、
を備えているコンピュータ読み取り可能な媒体。
【国際調査報告】