(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】光電子素子用有機分子
(51)【国際特許分類】
C07F 5/02 20060101AFI20241219BHJP
C09K 11/06 20060101ALI20241219BHJP
H10K 85/30 20230101ALI20241219BHJP
H10K 50/12 20230101ALI20241219BHJP
H10K 101/10 20230101ALN20241219BHJP
H10K 101/20 20230101ALN20241219BHJP
【FI】
C07F5/02 F CSP
C09K11/06 660
H10K85/30
H10K50/12
H10K101:10
H10K101:20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024535720
(86)(22)【出願日】2022-12-16
(85)【翻訳文提出日】2024-06-14
(86)【国際出願番号】 KR2022020552
(87)【国際公開番号】W WO2023113524
(87)【国際公開日】2023-06-22
(32)【優先日】2021-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512187343
【氏名又は名称】三星ディスプレイ株式會社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Display Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】1, Samsung-ro, Giheung-gu, Yongin-si, Gyeonggi-do, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】ツィンク,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ティリオン,ダミエン
【テーマコード(参考)】
3K107
4H048
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107BB02
3K107CC04
3K107CC07
3K107DD53
3K107DD59
3K107DD64
3K107DD66
3K107DD67
3K107DD68
3K107DD69
3K107DD70
3K107FF13
3K107FF14
4H048AA01
4H048AA03
4H048AB92
4H048VA22
4H048VA32
4H048VA77
4H048VB10
(57)【要約】
本発明は、特に光電子素子に使用するための有機分子に関する。本発明によれば、前記有機分子は、化学式Iの構造を有する。式中、R
a、R
d及びR
eは、独立して、水素、重水素、N(R
a)
2、OR
a、Si(R
a)
3、B(OR
a)
2、B(R
a)
2、OSO
2R
a、CF
3、CN、F、Cl、Br、I、C
1-C
40アルキル、C
1-C
40アルコキシ、C
1-C
40チオアルコキシ、C
2-C
40アルケニル、C
2-C
40アルキニル、C
6-C
60アリール及びC
2-C
57ヘテロアリールからなる群から選択される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学式Iで表された構造を含む、有機分子:
ここで、
Zは、それぞれの場合に、独立して、直接結合、CR
3R
4、C=CR
3R
4、C=O、C=NR
3、NR
3、O、SiR
3R
4、S、S(O)及びS(O)
2からなる群から選択され、
Aは、O、S及びNR
5からなる群から選択され、
R
d及びR
eは、それぞれの場合に、独立して、下記からなる群から選択され、
水素、重水素、N(R
a)
2、OR
a、Si(R
a)
3、B(OR
a)
2、B(R
a)
2、OSO
2R
a、CF
3、CN、F、Cl、Br、I、
C
1-C
40アルキル、
これは、選択的に1以上の置換基R
aで置換され、
ここで、1以上の隣接しないCH
2基は、選択的にR
aC=CR
a、C≡C、Si(R
a)
2、Ge(R
a)
2、Sn(R
a)
2、C=O、C=S、C=Se、C=NR
a、P(=O)(R
a)、SO、SO
2、NR
a、O、SまたはCONR
aで置換され、
C
1-C
40アルコキシ、
これは、選択的に1以上の置換基R
aで置換され、
ここで、1以上の隣接しないCH
2基は、選択的にR
aC=CR
a、C≡C、Si(R
a)
2、Ge(R
a)
2、Sn(R
a)
2、C=O、C=S、C=Se、C=NR
a、P(=O)(R
a)、SO、SO
2、NR
a、O、SまたはCONR
aで置換され、
C
1-C
40チオアルコキシ、
これは、選択的に1以上の置換基R
aで置換され、
ここで、1以上の隣接しないCH
2基は、選択的にR
aC=CR
a、C≡C、Si(R
a)
2、Ge(R
a)
2、Sn(R
a)
2、C=O、C=S、C=Se、C=NR
a、P(=O)(R
a)、SO、SO
2、NR
a、O、SまたはCONR
aで置換され、
C
2-C
40アルケニル、
これは、選択的に1以上の置換基R
aで置換され、
ここで、1以上の隣接しないCH
2基は、選択的にR
aC=CR
a、C≡C、Si(R
a)
2、Ge(R
a)
2、Sn(R
a)
2、C=O、C=S、C=Se、C=NR
a、P(=O)(R
a)、SO、SO
2、NR
a、O、SまたはCONR
aで置換され、
C
2-C
40アルキニル、
これは、選択的に1以上の置換基R
aで置換され、
ここで、1以上の隣接しないCH
2基は、選択的にR
aC=CR
a、C≡C、Si(R
a)
2、Ge(R
a)
2、Sn(R
a)
2、C=O、C=S、C=Se、C=NR
a、P(=O)(R
a)、SO、SO
2、NR
a、O、SまたはCONR
aで置換され、
選択的に1以上の置換基R
aで置換されたC
6-C
60アリール、及び
選択的に1以上の置換基R
aで置換されたC
2-C
57ヘテロアリール、
R
a、R
3及びR
4は、それぞれの場合に、独立して、下記からなる群から選択され、
水素、重水素、N(R
5)
2、OR
5、Si(R
5)
3、B(OR
5)
2、B(R
5)
2、OSO
2R
5、CF
3、CN、F、Cl、Br、I、
C
1-C
40アルキル、
これは、選択的に1以上の置換基R
5で置換され、
ここで、1以上の隣接しないCH
2基は、選択的にR
5C=CR
5、C≡C、Si(R
5)
2、Ge(R
5)
2、Sn(R
5)
2、C=O、C=S、C=Se、C=NR
5、P(=O)(R
5)、SO、SO
2、NR
5、O、SまたはCONR
5で置換され、
C
1-C
40アルコキシ、
これは、選択的に1以上の置換基R
5で置換され、
ここで、1以上の隣接しないCH
2基は、選択的にR
5C=CR
5、C≡C、Si(R
5)
2、Ge(R
5)
2、Sn(R
5)
2、C=O、C=S、C=Se、C=NR
5、P(=O)(R
5)、SO、SO
2、NR
5、O、SまたはCONR
5で置換され、
C
1-C
40チオアルコキシ、
これは、選択的に1以上の置換基R
5で置換され、
ここで、1以上の隣接しないCH
2基は、選択的にR
5C=CR
5、C≡C、Si(R
5)
2、Ge(R
5)
2、Sn(R
5)
2、C=O、C=S、C=Se、C=NR
5、P(=O)(R
5)、SO、SO
2、NR
5、O、SまたはCONR
5で置換され、
C
2-C
40アルケニル、
これは、選択的に1以上の置換基R
5で置換され、
ここで、1以上の隣接しないCH
2基は、選択的にR
5C=CR
5、C≡C、Si(R
5)
2、Ge(R
5)
2、Sn(R
5)
2、C=O、C=S、C=Se、C=NR
5、P(=O)(R
5)、SO、SO
2、NR
5、O、SまたはCONR
5で置換され、
C
2-C
40アルキニル、
これは、選択的に1以上の置換基R
5で置換され、
ここで、1以上の隣接しないCH
2基は、選択的にR
5C=CR
5、C≡C、Si(R
5)
2、Ge(R
5)
2、Sn(R
5)
2、C=O、C=S、C=Se、C=NR
5、P(=O)(R
5)、SO、SO
2、NR
5、O、SまたはCONR
5で置換され、
選択的に1以上の置換基R
5で置換されたC
6-C
60アリール、及び
選択的に1以上の置換基R
5で置換されたC
2-C
57ヘテロアリール、
R
5は、それぞれの場合に、独立して、下記からなる群から選択され、
水素、重水素、N(R
6)
2、OR
6、Si(R
6)
3、B(OR
6)
2、B(R
6)
2、OSO
2R
6、CF
3、CN、F、Br、I、
C
1-C
40アルキル、
これは、選択的に1以上の置換基R
6で置換され、
ここで、1以上の隣接しないCH
2基は、選択的にR
6C=CR
6、C≡C、Si(R
6)
2、Ge(R
6)
2、Sn(R
6)
2、C=O、C=S、C=Se、C=NR
6、P(=O)(R
6)、SO、SO
2、NR
6、O、SまたはCONR
6で置換され、
C
1-C
40アルコキシ、
これは、選択的に1以上の置換基R
6で置換され、
ここで、1以上の隣接しないCH
2基は、選択的にR
6C=CR
6、C≡C、Si(R
6)
2、Ge(R
6)
2、Sn(R
6)
2、C=O、C=S、C=Se、C=NR
6、P(=O)(R
6)、SO、SO
2、NR
6、O、SまたはCONR
6で置換され、
C
1-C
40チオアルコキシ、
これは、選択的に1以上の置換基R
6で置換され、
ここで、1以上の隣接しないCH
2基は、選択的にR
6C=CR
6、C≡C、Si(R
6)
2、Ge(R
6)
2、Sn(R
6)
2、C=O、C=S、C=Se、C=NR
6、P(=O)(R
6)、SO、SO
2、NR
6、O、SまたはCONR
6で置換され、
C
2-C
40アルケニル、
これは、選択的に1以上の置換基R
6で置換され、
ここで、1以上の隣接しないCH
2基は、選択的にR
6C=CR
6、C≡C、Si(R
6)
2、Ge(R
6)
2、Sn(R
6)
2、C=O、C=S、C=Se、C=NR
6、P(=O)(R
6)、SO、SO
2、NR
6、O、SまたはCONR
6で置換され、
C
2-C
40アルキニル、
これは、選択的に1以上の置換基R
6で置換され、
ここで、1以上の隣接しないCH
2基は、選択的にR
6C=CR
6、C≡C、Si(R
6)
2、Ge(R
6)
2、Sn(R
6)
2、C=O、C=S、C=Se、C=NR
6、P(=O)(R
6)、SO、SO
2、NR
6、O、SまたはCONR
6で置換され、
選択的に1以上の置換基R
6で置換されたC
6-C
60アリール、及び
選択的に1以上の置換基R
6で置換されたC
2-C
57ヘテロアリール、
R
6は、それぞれの場合に、独立して、下記からなる群から選択され、
水素、重水素、OPh、CF
3、CN、F、
C
1-C
5アルキル、
ここで、選択的に1以上の水素原子は、独立して、重水素、CN、CF
3またはFで置換され、
C
1-C
5アルコキシ、
ここで、選択的に1以上の水素原子は、独立して、重水素、CN、CF
3またはFで置換され、
C
1-C
5チオアルコキシ、
ここで、選択的に1以上の水素原子は、独立して、重水素、CN、CF
3またはFで置換され、
C
2-C
5アルケニル、
ここで、選択的に1以上の水素原子は、独立して、重水素、CN、CF
3またはFで置換され、
C
2-C
5アルキニル、
ここで、選択的に1以上の水素原子は、独立して、重水素、CN、CF
3またはFで置換され、
選択的に1以上のC
1-C
5アルキル置換基で置換されたC
6-C
18アリール、
選択的に1以上のC
1-C
5アルキル置換基で置換されたC
2-C
17ヘテロアリール、
N(C
6-C
18アリール)
2、
N(C
2-C
17ヘテロアリール)
2、及び
N(C
2-C
17ヘテロアリール)(C
6-C
18アリール)、
ここで、任意の置換基R
a、R
3、R
4、R
d、R
e、R
5及びR
6は、独立して、1以上の置換基R
a、R
3、R
4、R
d、R
e、R
5及び/またはR
6と共に、単環または多環、脂肪族、芳香族、ヘテロ芳香族及び/またはベンゾ縮合環系を選択的に形成する。
【請求項2】
前記有機分子は、化学式Iaの構造を含む、請求項1に記載の有機分子:
【請求項3】
前記有機分子は、化学式Ia-2の構造を含む、請求項1に記載の有機分子:
ここで、R
a2は、それぞれの場合に、互いに独立して、下記からなる群から選択され、
水素、
重水素、
Me、
iPr、
tBu、
CN、
CF
3、
Me、
iPr、
tBu、CN、CF
3及びPhからなる群から互いに独立して選択される1以上の置換基で選択的に置換されたPh、
Me、
iPr、
tBu、CN、CF
3及びPhからなる群から互いに独立して選択される1以上の置換基で選択的に置換されたピリジニル、
Me、
iPr、
tBu、CN、CF
3及びPhからなる群から互いに独立して選択される1以上の置換基で選択的に置換されたピリミジニル、
Me、
iPr、
tBu、CN、CF
3及びPhからなる群から互いに独立して選択される1以上の置換基で選択的に置換されたカルバゾリル、
Me、
iPr、
tBu、CN、CF
3及びPhからなる群から互いに独立して選択される1以上の置換基で選択的に置換されたトリアジニル、及び
Me、
iPr、
tBu、CN、CF
3及びPhからなる群から互いに独立して選択される1以上の置換基で選択的に置換されたN(Ph)
2、
ここで、2以上の隣接した置換基R
aは、下記からなる群から選択された環系に対する付着点を形成することができ、
ここで、それぞれの破線は、前記表した環系のうち1つを2つの隣接した置換基R
a2の位置に連結し、前記表した環系が化学式Ia-2に表した構造に縮合されるようにする直接結合を示す。
【請求項4】
前記有機分子は、化学式IIaまたは化学式IIbの構造を含む、請求項1ないし3のうちいずれか1項に記載の有機分子:
【請求項5】
前記有機分子は、化学式IIIaまたは化学式IIIbの構造を含む、請求項1ないし3のうちいずれか1項に記載の有機分子:
【請求項6】
前記有機分子は、化学式Ibの構造を含む、請求項1ないし3のうちいずれか1項に記載の有機分子:
ここで、R
bは、それぞれの場合に、互いに独立して、下記からなる群から選択される:
水素、重水素、N(R
5)
2、OR
5、Si(R
5)
3、B(OR
5)
2、OSO
2R
5、CF
3、CN、F、Br、I、
C
1-C
40アルキル、
これは、選択的に1以上の置換基R
5で置換され、
ここで、1以上の隣接しないCH
2基は、選択的にR
5C=CR
5、C≡C、Si(R
5)
2、Ge(R
5)
2、Sn(R
5)
2、C=O、C=S、C=Se、C=NR
5、P(=O)(R
5)、SO、SO
2、NR
5、O、SまたはCONR
5で置換され、
C
1-C
40アルコキシ、
これは、選択的に1以上の置換基R
5で置換され、
ここで、1以上の隣接しないCH
2基は、選択的にR
5C=CR
5、C≡C、Si(R
5)
2、Ge(R
5)
2、Sn(R
5)
2、C=O、C=S、C=Se、C=NR
5、P(=O)(R
5)、SO、SO
2、NR
5、O、SまたはCONR
5で置換され、
C
1-C
40チオアルコキシ、
これは、選択的に1以上の置換基R
5で置換され、
ここで、1以上の隣接しないCH
2基は、選択的にR
5C=CR
5、C≡C、Si(R
5)
2、Ge(R
5)
2、Sn(R
5)
2、C=O、C=S、C=Se、C=NR
5、P(=O)(R
5)、SO、SO
2、NR
5、O、SまたはCONR
5で置換され、
C
2-C
40アルケニル、
これは、選択的に1以上の置換基R
5で置換され、
ここで、1以上の隣接しないCH
2基は、選択的にR
5C=CR
5、C≡C、Si(R
5)
2、Ge(R
5)
2、Sn(R
5)
2、C=O、C=S、C=Se、C=NR
5、P(=O)(R
5)、SO、SO
2、NR
5、O、SまたはCONR
5で置換され、
C
2-C
40アルキニル、
これは、選択的に1以上の置換基R
5で置換され、
ここで、1以上の隣接しないCH
2基は、選択的にR
5C=CR
5、C≡C、Si(R
5)
2、Ge(R
5)
2、Sn(R
5)
2、C=O、C=S、C=Se、C=NR
5、P(=O)(R
5)、SO、SO
2、NR
5、O、SまたはCONR
5で置換され、
選択的に1以上の置換基R
5で置換されたC
6-C
60アリール、及び
選択的に1以上の置換基R
5で置換されたC
2-C
57ヘテロアリール。
【請求項7】
前記有機分子は、化学式IVの構造を含む、請求項1ないし3のうちいずれか1項に記載の有機分子:
ここで、R
a2は、それぞれの場合に、互いに独立して、下記からなる群から選択される:
水素、
F、
Me、
iPr、
tBu、
Me、
iPr、
tBu、CN、CF
3及びPhからなる群から互いに独立して選択される1以上の置換基で選択的に置換されたPh。
【請求項8】
以下を含む、組成物:
(a)エミッタ形態の、請求項1ないし7のうちいずれか1項に記載の有機分子、
(b)前記有機分子と異なるホスト材料、及び
(c)選択的に、染料及び/または溶媒。
【請求項9】
前記組成物は、前記有機分子を0.1~30重量%含む、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記組成物は、TADF材料及び/または燐光材料を含む、請求項8または9に記載の組成物。
【請求項11】
請求項1ないし7のうちいずれか1項に記載の有機分子、または請求項8ないし10のうちいずれか1項に記載の組成物を含む、光電子素子。
【請求項12】
前記光電子素子は、下記からなる群から選択される、請求項11に記載の光電子素子:
・有機ダイオード
・有機発光ダイオード(OLED)
・発光電気化学電池
・OLEDセンサ
・有機太陽電池
・有機トランジスタ
・有機電界効果トランジスタ
・有機レーザ、及び
・ダウンコンバージョン素子。
【請求項13】
前記光電子素子は、イリジウムを含む燐光材料を含む、請求項11または12に記載の光電子素子。
【請求項14】
-基板、
-アノード、
-カソード、及び
-発光層を含み、
前記アノードまたは前記カソードは、前記基板上に配置され、
前記発光層は、前記アノードと前記カソードとの間に配置され、前記有機分子または前記組成物を含む、請求項11ないし13のうちいずれか1項に記載の光電子素子。
【請求項15】
(i)請求項11ないし14のうちいずれか1項に記載の光電子素子を提供する段階と、
(ii)前記光電子素子に電流を印加する段階と、を含む、510nmないし550nmの波長を有する光を発生させる方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光有機分子、並びに有機発光ダイオード(OLED)及びその他光電子素子におけるその用途に関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
本発明が解決しようとする課題は、光電子素子における使用に適した分子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0003】
そのような目的は、新規の有機分子を提供する本発明によって達成される。
【0004】
本発明によれば、前記有機分子は、純粋な有機分子であり、すなわち、光電子素子に使用されることが知られている金属錯体とは異なり、いかなる金属イオンも含まない。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、前記有機分子は、青色または空色のスペクトル範囲において最大発光を示す。前記有機分子は、特に560nm未満、より好ましくは、550nm未満、より一層好ましくは、545nm未満、またははなはだしくは、540nm未満の最大発光を示す。これは、一般的に500nm超過、より好ましくは、510nm超過、より一層好ましくは、515nm超過、またははなはだしくは、520nm超過でもある。本発明による有機分子のフォトルミネッセンス量子収率は、特に50%以上である。光電子素子、例えば、有機発光ダイオード(OLED)における本発明による分子の使用は、素子のより高い効率、または発光の半値幅(FWHM)で表されるより高い色純度をもたらす。相応するOLEDは、公知のエミッタ物質及び類似の色相を有するOLEDよりさらに高い安定性を有する。特に、前記分子は、いわゆる超蛍光(hyperfluorescence)及び/または超燐光(hyperphosphorescence)をそれぞれ可能にするために、熱活性化遅延蛍光(TADF)材料及び/または燐光材料と組み合わせて使用されうる。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本発明による有機分子
本発明の有機発光分子は、化学式Iの構造を含むか、あるいはそれからなる:
【0007】
【0008】
ここで、
Zは、それぞれの場合に、独立して、直接結合、CR3R4、C=CR3R4、C=O、C=NR3、NR3、O、SiR3R4、S、S(O)及びS(O)2からなる群から選択され、
Aは、O、S及びNR5からなる群から選択され、
Rd及びReは、それぞれの場合に、独立して、下記からなる群から選択され、
水素、重水素、N(Ra)2、ORa、Si(Ra)3、B(ORa)2、B(Ra)2、OSO2Ra、CF3、CN、F、Cl、Br、I、
C1-C40アルキル、
これは、選択的に1以上の置換基Raで置換され、
ここで、1以上の隣接しないCH2基は、選択的にRaC=CRa、C≡C、Si(Ra)2、Ge(Ra)2、Sn(Ra)2、C=O、C=S、C=Se、C=NRa、P(=O)(Ra)、SO、SO2、NRa、O、SまたはCONRaで置換され、
C1-C40アルコキシ、
これは、選択的に1以上の置換基Raで置換され、
ここで、1以上の隣接しないCH2基は、選択的にRaC=CRa、C≡C、Si(Ra)2、Ge(Ra)2、Sn(Ra)2、C=O、C=S、C=Se、C=NRa、P(=O)(Ra)、SO、SO2、NRa、O、SまたはCONRaで置換され、
C1-C40チオアルコキシ、
これは、選択的に1以上の置換基Raで置換され、
ここで、1以上の隣接しないCH2基は、選択的にRaC=CRa、C≡C、Si(Ra)2、Ge(Ra)2、Sn(Ra)2、C=O、C=S、C=Se、C=NRa、P(=O)(Ra)、SO、SO2、NRa、O、SまたはCONRaで置換され、
C2-C40アルケニル、
これは、選択的に1以上の置換基Raで置換され、
ここで、1以上の隣接しないCH2基は、選択的にRaC=CRa、C≡C、Si(Ra)2、Ge(Ra)2、Sn(Ra)2、C=O、C=S、C=Se、C=NRa、P(=O)(Ra)、SO、SO2、NRa、O、SまたはCONRaで置換され、
C2-C40アルキニル、
これは、選択的に1以上の置換基Raで置換され、
ここで、1以上の隣接しないCH2基は、選択的にRaC=CRa、C≡C、Si(Ra)2、Ge(Ra)2、Sn(Ra)2、C=O、C=S、C=Se、C=NRa、P(=O)(Ra)、SO、SO2、NRa、O、SまたはCONRaで置換され、
選択的に1以上の置換基Raで置換されたC6-C60アリール、及び
選択的に1以上の置換基Raで置換されたC2-C57ヘテロアリール、
Ra、R3及びR4は、それぞれの場合に、独立して、下記からなる群から選択され、
水素、重水素、N(R5)2、OR5、Si(R5)3、B(OR5)2、B(R5)2、OSO2R5、CF3、CN、F、Cl、Br、I、
C1-C40アルキル、
これは、選択的に1以上の置換基R5で置換され、
ここで、1以上の隣接しないCH2基は、選択的にR5C=CR5、C≡C、Si(R5)2、Ge(R5)2、Sn(R5)2、C=O、C=S、C=Se、C=NR5、P(=O)(R5)、SO、SO2、NR5、O、SまたはCONR5で置換され、
C1-C40アルコキシ、
これは、選択的に1以上の置換基R5で置換され、
ここで、1以上の隣接しないCH2基は、選択的にR5C=CR5、C≡C、Si(R5)2、Ge(R5)2、Sn(R5)2、C=O、C=S、C=Se、C=NR5、P(=O)(R5)、SO、SO2、NR5、O、SまたはCONR5で置換され、
C1-C40チオアルコキシ、
これは、選択的に1以上の置換基R5で置換され、
ここで、1以上の隣接しないCH2基は、選択的にR5C=CR5、C≡C、Si(R5)2、Ge(R5)2、Sn(R5)2、C=O、C=S、C=Se、C=NR5、P(=O)(R5)、SO、SO2、NR5、O、SまたはCONR5で置換され、
C2-C40アルケニル、
これは、選択的に1以上の置換基R5で置換され、
ここで、1以上の隣接しないCH2基は、選択的にR5C=CR5、C≡C、Si(R5)2、Ge(R5)2、Sn(R5)2、C=O、C=S、C=Se、C=NR5、P(=O)(R5)、SO、SO2、NR5、O、SまたはCONR5で置換され、
C2-C40アルキニル、
これは、選択的に1以上の置換基R5で置換され、
ここで、1以上の隣接しないCH2基は、選択的にR5C=CR5、C≡C、Si(R5)2、Ge(R5)2、Sn(R5)2、C=O、C=S、C=Se、C=NR5、P(=O)(R5)、SO、SO2、NR5、O、SまたはCONR5で置換され、
選択的に1以上の置換基R5で置換されたC6-C60アリール、及び
選択的に1以上の置換基R5で置換されたC2-C57ヘテロアリール、
R5は、それぞれの場合に、独立して、下記からなる群から選択され、
水素、重水素、N(R6)2、OR6、Si(R6)3、B(OR6)2、B(R6)2、OSO2R6、CF3、CN、F、Br、I、
C1-C40アルキル、
これは、選択的に1以上の置換基R6で置換され、
ここで、1以上の隣接しないCH2基は、選択的にR6C=CR6、C≡C、Si(R6)2、Ge(R6)2、Sn(R6)2、C=O、C=S、C=Se、C=NR6、P(=O)(R6)、SO、SO2、NR6、O、SまたはCONR6で置換され、
C1-C40アルコキシ、
これは、選択的に1以上の置換基R6で置換され、
ここで、1以上の隣接しないCH2基は、選択的にR6C=CR6、C≡C、Si(R6)2、Ge(R6)2、Sn(R6)2、C=O、C=S、C=Se、C=NR6、P(=O)(R6)、SO、SO2、NR6、O、SまたはCONR6で置換され、
C1-C40チオアルコキシ、
これは、選択的に1以上の置換基R6で置換され、
ここで、1以上の隣接しないCH2基は、選択的にR6C=CR6、C≡C、Si(R6)2、Ge(R6)2、Sn(R6)2、C=O、C=S、C=Se、C=NR6、P(=O)(R6)、SO、SO2、NR6、O、SまたはCONR6で置換され、
C2-C40アルケニル、
これは、選択的に1以上の置換基R6で置換され、
ここで、1以上の隣接しないCH2基は、選択的にR6C=CR6、C≡C、Si(R6)2、Ge(R6)2、Sn(R6)2、C=O、C=S、C=Se、C=NR6、P(=O)(R6)、SO、SO2、NR6、O、SまたはCONR6で置換され、
C2-C40アルキニル、
これは、選択的に1以上の置換基R6で置換され、
ここで、1以上の隣接しないCH2基は、選択的にR6C=CR6、C≡C、Si(R6)2、Ge(R6)2、Sn(R6)2、C=O、C=S、C=Se、C=NR6、P(=O)(R6)、SO、SO2、NR6、O、SまたはCONR6で置換され、
選択的に1以上の置換基R6で置換されたC6-C60アリール、及び
選択的に1以上の置換基R6で置換されたC2-C57ヘテロアリール、
R6は、それぞれの場合に、独立して、下記からなる群から選択され、
水素、重水素、OPh、CF3、CN、F、
C1-C5アルキル、
ここで、選択的に1以上の水素原子は、独立して、重水素、CN、CF3またはFで置換され、
C1-C5アルコキシ、
ここで、選択的に1以上の水素原子は、独立して、重水素、CN、CF3またはFで置換され、
C1-C5チオアルコキシ、
ここで、選択的に1以上の水素原子は、独立して、重水素、CN、CF3またはFで置換され、
C2-C5アルケニル、
ここで、選択的に1以上の水素原子は、独立して、重水素、CN、CF3またはFで置換され、
C2-C5アルキニル、
ここで、選択的に1以上の水素原子は、独立して、重水素、CN、CF3またはFで置換され、
選択的に1以上のC1-C5アルキル置換基で置換されたC6-C18アリール、
選択的に1以上のC1-C5アルキル置換基で置換されたC2-C17ヘテロアリール、
N(C6-C18アリール)2、
N(C2-C17ヘテロアリール)2、及び
N(C2-C17ヘテロアリール)(C6-C18アリール)、
ここで、任意の置換基Ra、R3、R4、Rd、Re、R5及びR6は、独立して、1以上の置換基Ra、R3、R4、Rd、Re、R5及び/またはR6と共に、単環または多環、脂肪族、芳香族、ヘテロ芳香族及び/またはベンゾ縮合環系を選択的に形成する。
【0009】
化学式Iによる有機分子の例示的な実施形態は、下記に提供される:
【0010】
【0011】
【0012】
【0013】
【0014】
【0015】
【0016】
【0017】
【0018】
【0019】
【0020】
一実施形態において、Zは、直接結合、C=O及びNR3からなる群から選択される。
【0021】
好ましい実施形態において、Zは直接結合である。
【0022】
好ましい実施形態において、AはOである。
【0023】
好ましい実施形態において、Rd及びReは水素である。
【0024】
一実施形態において、前記有機分子は、化学式Iaの構造を含むか、あるいはそれからなる:
【0025】
【0026】
一実施形態において、前記有機分子は、化学式Ia-2の構造を含むか、あるいはそれからなる:
【0027】
【0028】
ここで、Ra2は、それぞれの場合に、互いに独立して、下記からなる群から選択され、
水素、
重水素、
Me、
iPr、
tBu、
CN、
CF3、
Me、iPr、tBu、CN、CF3及びPhからなる群から互いに独立して選択される1以上の置換基で選択的に置換されたPh、
Me、iPr、tBu、CN、CF3及びPhからなる群から互いに独立して選択される1以上の置換基で選択的に置換されたピリジニル、
Me、iPr、tBu、CN、CF3及びPhからなる群から互いに独立して選択される1以上の置換基で選択的に置換されたピリミジニル、
Me、iPr、tBu、CN、CF3及びPhからなる群から互いに独立して選択される1以上の置換基で選択的に置換されたカルバゾリル、
Me、iPr、tBu、CN、CF3及びPhからなる群から互いに独立して選択される1以上の置換基で選択的に置換されたトリアジニル、及び
Me、iPr、tBu、CN、CF3及びPhからなる群から互いに独立して選択される1以上の置換基で選択的に置換されたN(Ph)2、
ここで、2以上の隣接した置換基Raは、下記からなる群から選択された環系に対する付着点を形成することができ、
【0029】
【0030】
ここで、それぞれの破線は、前記表した環系のうち1つを2つの隣接した置換基Ra2の位置に連結し、前記表した環系が化学式Ia-2に表した構造に縮合されるようにする直接結合を示す。
【0031】
本発明の更なる実施形態において、Ra2は、それぞれの場合に、互いに独立して、下記からなる群から選択され、
水素、
Me、
iPr、
tBu、
CN、
CF3、
1以上の置換基R5で選択的に置換されたPh、
1以上の置換基R5で選択的に置換されたピリジニル、
1以上の置換基R5で選択的に置換されたピリミジニル、
1以上の置換基R5で選択的に置換されたカルバゾリル、
1以上の置換基R5で選択的に置換されたトリアジニル、及び
1以上の置換基R5で選択的に置換されたN(Ph)2、
ここで、任意の2つの互いに隣接して位置する基Raは、選択的に互いに結合され、下記からなる群から選択される環系を形成し、
【0032】
【0033】
ここで、X1は、S、OまたはNR5である。
【0034】
本発明の更なる実施形態において、Ra2は、それぞれの場合に、互いに独立して、下記からなる群から選択される:
水素、
Me、
iPr、
tBu、
CN、
CF3、
Me、iPr、tBu、CN、CF3及びPhからなる群から互いに独立して選択される1以上の置換基で選択的に置換されたPh、
Me、iPr、tBu、CN、CF3及びPhからなる群から互いに独立して選択される1以上の置換基で選択的に置換されたピリジニル、
Me、iPr、tBu、CN、CF3及びPhからなる群から互いに独立して選択される1以上の置換基で選択的に置換されたピリミジニル、及び
Me、iPr、tBu、CN、CF3及びPhからなる群から互いに独立して選択される1以上の置換基で選択的に置換されたトリアジニル。
【0035】
本発明の更なる実施形態において、Ra2は、それぞれの場合に、互いに独立して、下記からなる群から選択される:
水素、
Me、
iPr、
tBu、
Me、iPr、tBu、CN、CF3及びPhからなる群から互いに独立して選択される1以上の置換基で選択的に置換されたPh。
【0036】
一実施形態において、前記有機分子は、化学式Ibの構造を含むか、あるいはそれからなる:
【0037】
【0038】
ここで、Rbは、それぞれの場合に、互いに独立して、下記からなる群から選択される:
水素、重水素、N(R5)2、OR5、Si(R5)3、B(OR5)2、OSO2R5、CF3、CN、F、Br、I、
C1-C40アルキル、
これは、選択的に1以上の置換基R5で置換され、
ここで、1以上の隣接しないCH2基は、選択的にR5C=CR5、C≡C、Si(R5)2、Ge(R5)2、Sn(R5)2、C=O、C=S、C=Se、C=NR5、P(=O)(R5)、SO、SO2、NR5、O、SまたはCONR5で置換され、
C1-C40アルコキシ、
これは、選択的に1以上の置換基R5で置換され、
ここで、1以上の隣接しないCH2基は、選択的にR5C=CR5、C≡C、Si(R5)2、Ge(R5)2、Sn(R5)2、C=O、C=S、C=Se、C=NR5、P(=O)(R5)、SO、SO2、NR5、O、SまたはCONR5で置換され、
C1-C40チオアルコキシ、
これは、選択的に1以上の置換基R5で置換され、
ここで、1以上の隣接しないCH2基は、選択的にR5C=CR5、C≡C、Si(R5)2、Ge(R5)2、Sn(R5)2、C=O、C=S、C=Se、C=NR5、P(=O)(R5)、SO、SO2、NR5、O、SまたはCONR5で置換され、
C2-C40アルケニル、
これは、選択的に1以上の置換基R5で置換され、
ここで、1以上の隣接しないCH2基は、選択的にR5C=CR5、C≡C、Si(R5)2、Ge(R5)2、Sn(R5)2、C=O、C=S、C=Se、C=NR5、P(=O)(R5)、SO、SO2、NR5、O、SまたはCONR5で置換され、
C2-C40アルキニル、
これは、選択的に1以上の置換基R5で置換され、
ここで、1以上の隣接しないCH2基は、選択的にR5C=CR5、C≡C、Si(R5)2、Ge(R5)2、Sn(R5)2、C=O、C=S、C=Se、C=NR5、P(=O)(R5)、SO、SO2、NR5、O、SまたはCONR5で置換され、
選択的に1以上の置換基R5で置換されたC6-C60アリール、及び
選択的に1以上の置換基R5で置換されたC2-C57ヘテロアリール。
【0039】
本発明の更なる実施形態において、Rbは、それぞれの場合に、互いに独立して、下記からなる群から選択される:
水素、重水素、
Me、iPr、tBu、CN、CF3、
Me、iPr、tBu、CN、CF3及びPhからなる群から互いに独立して選択される1以上の置換基で選択的に置換されたPh、
Me、iPr、tBu、CN、CF3及びPhからなる群から互いに独立して選択される1以上の置換基で選択的に置換されたピリジニル、
Me、iPr、tBu、CN、CF3及びPhからなる群から互いに独立して選択される1以上の置換基で選択的に置換されたカルバゾリル、
Me、iPr、tBu、CN、CF3及びPhからなる群から互いに独立して選択される1以上の置換基で選択的に置換されたトリアジニル、及び
N(Ph)2。
【0040】
本発明の更なる実施形態において、Rbは、それぞれの場合に、互いに独立して、下記からなる群から選択される:
Me、iPr、tBu、CN、CF3、
Me、iPr、tBu、CN、CF3及びPhからなる群から互いに独立して選択される1以上の置換基で選択的に置換されたPh、
Me、iPr、tBu、CN、CF3及びPhからなる群から互いに独立して選択される1以上の置換基で選択的に置換されたピリジニル、
Me、iPr、tBu、CN、CF3及びPhからなる群から互いに独立して選択される1以上の置換基で選択的に置換されたカルバゾリル、
Me、iPr、tBu、CN、CF3及びPhからなる群から互いに独立して選択される1以上の置換基で選択的に置換されたトリアジニル、及び
N(Ph)2。
【0041】
一実施形態において、前記有機分子は、化学式IIの構造を含むか、あるいはそれからなる:
【0042】
【0043】
一実施形態において、前記有機分子は、化学式IIaまたは化学式IIbの構造を含むか、あるいはそれからなる:
【0044】
【0045】
【0046】
好ましい実施形態において、前記有機分子は、化学式IIaの構造を含むか、あるいはそれからなる。
【0047】
一実施形態において、前記有機分子は、化学式IIa-2または化学式IIb-2の構造を含むか、あるいはそれからなる:
【0048】
【0049】
【0050】
ここで、R51は、それぞれの場合に、独立して、下記からなる群から選択される:
水素、重水素、N(R6)2、OR6、Si(R6)3、B(OR6)2、B(R6)2、OSO2R6、CF3、CN、F、Br、I、
C1-C40アルキル、
これは、選択的に1以上の置換基R6で置換され、
ここで、1以上の隣接しないCH2基は、選択的にR6C=CR6、C≡C、Si(R6)2、Ge(R6)2、Sn(R6)2、C=O、C=S、C=Se、C=NR6、P(=O)(R6)、SO、SO2、NR6、O、SまたはCONR6で置換され、
C1-C40アルコキシ、
これは、選択的に1以上の置換基R6で置換され、
ここで、1以上の隣接しないCH2基は、選択的にR6C=CR6、C≡C、Si(R6)2、Ge(R6)2、Sn(R6)2、C=O、C=S、C=Se、C=NR6、P(=O)(R6)、SO、SO2、NR6、O、SまたはCONR6で置換され、
C1-C40チオアルコキシ、
これは、選択的に1以上の置換基R6で置換され、
ここで、1以上の隣接しないCH2基は、選択的にR6C=CR6、C≡C、Si(R6)2、Ge(R6)2、Sn(R6)2、C=O、C=S、C=Se、C=NR6、P(=O)(R6)、SO、SO2、NR6、O、SまたはCONR6で置換され、
C2-C40アルケニル、
これは、選択的に1以上の置換基R6で置換され、
ここで、1以上の隣接しないCH2基は、選択的にR6C=CR6、C≡C、Si(R6)2、Ge(R6)2、Sn(R6)2、C=O、C=S、C=Se、C=NR6、P(=O)(R6)、SO、SO2、NR6、O、SまたはCONR6で置換され、
C2-C40アルキニル、
これは、選択的に1以上の置換基R6で置換され、
ここで、1以上の隣接しないCH2基は、選択的にR6C=CR6、C≡C、Si(R6)2、Ge(R6)2、Sn(R6)2、C=O、C=S、C=Se、C=NR6、P(=O)(R6)、SO、SO2、NR6、O、SまたはCONR6で置換され、
選択的に1以上の置換基R6で置換されたC6-C60アリール、及び
選択的に1以上の置換基R6で置換されたC2-C57ヘテロアリール。
【0051】
一実施形態において、R51は、それぞれの場合に、互いに独立して、下記からなる群から選択される:
水素、
Me、
iPr、
tBu、
Me、iPr、tBu、CN、CF3及びPhからなる群から互いに独立して選択される1以上の置換基で選択的に置換されたPh。
【0052】
一実施形態において、前記有機分子は、化学式IIa-3または化学式IIb-3の構造を含むか、あるいはそれからなる:
【0053】
【0054】
【0055】
一実施形態において、R51は、それぞれの場合に水素である。
【0056】
一実施形態において、前記有機分子は、化学式IIIaまたは化学式IIIbの構造を含むか、あるいはそれからなる:
【0057】
【0058】
【0059】
一実施形態において、前記有機分子は、化学式IIIa-2または化学式IIIb-2の構造を含むか、あるいはそれからなる:
【0060】
【0061】
【0062】
ここで、R52は、それぞれの場合に、独立して、下記からなる群から選択される:
水素、重水素、N(R6)2、OR6、Si(R6)3、B(OR6)2、B(R6)2、OSO2R6、CF3、CN、F、Br、I、
C1-C40アルキル、
これは、選択的に1以上の置換基R6で置換され、
ここで、1以上の隣接しないCH2基は、選択的にR6C=CR6、C≡C、Si(R6)2、Ge(R6)2、Sn(R6)2、C=O、C=S、C=Se、C=NR6、P(=O)(R6)、SO、SO2、NR6、O、SまたはCONR6で置換され、
C1-C40アルコキシ、
これは、選択的に1以上の置換基R6で置換され、
ここで、1以上の隣接しないCH2基は、選択的にR6C=CR6、C≡C、Si(R6)2、Ge(R6)2、Sn(R6)2、C=O、C=S、C=Se、C=NR6、P(=O)(R6)、SO、SO2、NR6、O、SまたはCONR6で置換され、
C1-C40チオアルコキシ、
これは、選択的に1以上の置換基R6で置換され、
ここで、1以上の隣接しないCH2基は、選択的にR6C=CR6、C≡C、Si(R6)2、Ge(R6)2、Sn(R6)2、C=O、C=S、C=Se、C=NR6、P(=O)(R6)、SO、SO2、NR6、O、SまたはCONR6で置換され、
C2-C40アルケニル、
これは、選択的に1以上の置換基R6で置換され、
ここで、1以上の隣接しないCH2基は、選択的にR6C=CR6、C≡C、Si(R6)2、Ge(R6)2、Sn(R6)2、C=O、C=S、C=Se、C=NR6、P(=O)(R6)、SO、SO2、NR6、O、SまたはCONR6で置換され、
C2-C40アルキニル、
これは、選択的に1以上の置換基R6で置換され、
ここで、1以上の隣接しないCH2基は、選択的にR6C=CR6、C≡C、Si(R6)2、Ge(R6)2、Sn(R6)2、C=O、C=S、C=Se、C=NR6、P(=O)(R6)、SO、SO2、NR6、O、SまたはCONR6で置換され、
選択的に1以上の置換基R6で置換されたC6-C60アリール、及び
選択的に1以上の置換基R6で置換されたC2-C57ヘテロアリール。
【0063】
一実施形態において、R52は、それぞれの場合に、互いに独立して、下記からなる群から選択される:
水素、
Me、
iPr、
tBu、
Me、iPr、tBu、CN、CF3及びPhからなる群から互いに独立して選択される1以上の置換基で選択的に置換されたPh。
【0064】
一実施形態において、前記有機分子は、化学式IIIa-3または化学式IIIb-3の構造を含むか、あるいはそれからなる:
【0065】
【0066】
【0067】
一実施形態において、R52は、それぞれの場合に水素である。
【0068】
一実施形態において、前記有機分子は、化学式IVの構造を含むか、あるいはそれからなる:
【0069】
【0070】
ここで、Ra2は、それぞれの場合に、互いに独立して、Raから選択され、任意の置換基Ra、R5及びR6は、独立して、1以上の置換基Ra、R5及び/またはR6と共に、単環または多環、脂肪族、芳香族、ヘテロ芳香族及び/またはベンゾ縮合環系を選択的に形成する。
【0071】
一実施形態において、Ra2は、それぞれの場合に、互いに独立して、下記からなる群から選択される:
水素、
F、
Me、
iPr、
tBu、
Me、iPr、tBu、CN、CF3及びPhからなる群から互いに独立して選択される1以上の置換基で選択的に置換されたPh。
【0072】
一実施形態において、前記有機分子は、化学式IVa、化学式IVbまたは化学式IVcの構造を含むか、あるいはそれからなる:
【0073】
【0074】
【0075】
【0076】
一実施形態において、前記有機分子は、化学式IVの構造を含むか、あるいはそれからなり、ここで、置換基Ra2のうち少なくとも2つ、好ましくは、2つの隣接した置換基Ra2は、単環または多環、脂肪族、芳香族、ヘテロ芳香族及び/またはベンゾ縮合環系を形成する。
【0077】
一実施形態において、前記有機分子は、化学式IV-1、化学式IV-2、化学式IV-3、化学式IV-4及び化学式IV-5の構造を含むか、あるいはそれからなる:
【0078】
【0079】
【0080】
【0081】
【0082】
【0083】
定義
ここで、用語「層」は、広範囲な平面の幾何学的構造を有するボディを意味する。光電子素子が複数の層で構成されるということは、当業者の常識の一部を構成する。
【0084】
本発明の文脈において、発光層(EML)は、光電子素子の層であり、ここで、前記層からの発光は、素子に電圧及び電流を印加するときに観察される。当業者は、光電子素子からの発光が少なくとも1つのEMLからの発光に起因することを理解することができる。熟練された技術者は、EMLからの発光が典型的に(主に)前記EMLに含まれた全ての材料に起因せず、特定エミッタ材料に起因するということを理解することができる。
【0085】
本発明の文脈において、「エミッタ材料」(「エミッタ」ともいう)は、光電子素子の発光層(EML)に含まれるとき、電圧及び電流が前記素子に加えられる場合に光を放出する材料である(下記参照)。エミッタ材料が一般的に「発光性ドーパント」材料であるということを、当業者であれば、知っており、ドーパント材料(発光性如何にかかわらず)が、通常(本明細書において)ホスト材料というマトリックス材料に組み込まれた材料であるということは、当業者であれば、理解することができる。ここで、ホスト材料は、少なくとも1つの本発明による有機分子を含む光電子素子、好ましくは、OLEDに含まれるとき、一般的にHBと称される。
【0086】
本発明の文脈において、用語「環状基」は、最も広い意味において、任意の単環式モイエティ、二環式モイエティまたは多環式モイエティとしても理解される。
【0087】
本発明の文脈において、化学構造を言及するとき、用語「環」は、最も広い意味において、任意の単環式モイエティとしても理解される。同じ見地から、化学構造を言及するとき、用語「環」は、最も広い意味において、任意の二環式モイエティまたは多環式モイエティとしても理解される。
【0088】
本発明の文脈において、用語「環系」は、最も広い意味において、任意の単環式モイエティ、二環式モイエティまたは多環式モイエティとしても理解される。
【0089】
本発明の文脈において、用語「環原子」は、環または環系の環状コアの一部であり、環状コアに選択的に結合された非環状置換基の一部ではない、任意の原子を称する。
【0090】
本発明の文脈において、用語「炭素環」は、最も広い意味において、環状コア構造が水素はいうまでもなく、本発明の特定実施形態において定義された任意の他の置換基で置換可能な炭素原子のみを含む任意の環状基としても理解される。用語「炭素環の」は、形容詞であり、環状コア構造が水素はいうまでもなく、本発明の特定実施形態において定義された任意の他の置換基で置換可能な炭素原子のみを含む環状基を称するものとも理解される。
【0091】
本発明の文脈において、用語「ヘテロ環」は、最も広い意味において、環状コア構造が炭素原子だけでなく、少なくとも1つのヘテロ原子を含む任意の環状基としても理解される。用語「ヘテロ環の」は、形容詞であり、環状コア構造が炭素原子だけでなく、少なくとも1つのヘテロ原子を含む環状基を称するものとも理解される。該ヘテロ原子は、特定実施形態において特に言及されない限り、それぞれの場合に、同一でもあり、あるいは異なってもおり、好ましくは、B、Si、N、O、S及びSe、より好ましくは、B、N、O及びS、最も好ましくは、N、O及びSからなる群から個別的に選択されうる。本発明の文脈においてヘテロ環に含まれた全ての炭素原子またはヘテロ原子はいうまでもなく、水素または本発明の特定実施形態において定義された任意の他の置換基で置換可能である。
【0092】
当業者は、任意の環状基(すなわち、任意の炭素環及びヘテロ環)が脂肪族、芳香族またはヘテロ芳香族であることを理解することができる。
【0093】
本発明の文脈において、環状基(すなわち、1つの環、複数の環、環系、炭素環、ヘテロ環)を言及するとき、用語「脂肪族」は、環状コア構造(選択的に結合された置換基は含まず)の芳香族またはヘテロ芳香族環または環系の一部ではない少なくとも1つの環原子を含む。好ましくは、脂肪族環状基内のほとんどの環原子、より好ましくは、全ての環原子は、芳香族またはヘテロ芳香族環または環系(例えば、シクロヘキサンまたはピペリジンにおいて)の一部ではない。ここで、一般的に脂肪族環または環系を言及するとき、炭素環基とヘテロ環基との間に区別が行われず、用語「脂肪族」は、脂肪族環状基内でヘテロ原子が含まれるか否かを示すために、炭素環またはヘテロ環を説明する形容詞としても使用される。
【0094】
熟練された技術者によって理解されるように、用語「アリール」及び「芳香族」は、最も広い意味において、任意の単環式芳香族モイエティ、二環式芳香族モイエティまたは多環式芳香族モイエティ、すなわち、全ての環原子が芳香族環系の一部である環基、好ましくは、同一芳香族環系の一部としても理解される。しかし、本出願の全体にわたって、用語「アリール」及び「芳香族」は、全ての芳香族環原子が炭素原子である単環式芳香族モイエティ、二環式芳香族モイエティまたは多環式芳香族モイエティに制限される。対照的に、本願において、用語「ヘテロアリール」及び「ヘテロ芳香族」は、1以上の芳香族炭素環原子が、ヘテロ原子(すなわち、炭素ではない)によって置換された任意の単環式芳香族モイエティ、二環式芳香族モイエティまたは多環式芳香族モイエティを称する。本発明の特定実施形態において特に言及されない限り、「ヘテロアリール」または「ヘテロ芳香族」内の少なくとも1つのヘテロ原子は、それぞれの場合に、同一でもあり、あるいは異なってもおり、N、O、S及びSe、より好ましくは、N、O及びSからなる群から個別的に選択されうる。当業者は、形容詞「芳香族」及び「ヘテロ芳香族」が任意の環状基(すなわち、任意の環系)を記述するのにも使用されることを理解する。すなわち、芳香族環状基(すなわち、芳香族環系)はアリール基であり、ヘテロ芳香族環状基(すなわち、ヘテロ芳香族環系)はヘテロアリール基である。
【0095】
本発明の特定実施形態において特に言及されない限り、本願において、アリール基は、好ましくは、6ないし60個の芳香族環原子、より好ましくは、6ないし40個の芳香族環原子、より一層好ましくは、6ないし18個の芳香族環原子を含む。本発明の特定実施形態において特に言及されない限り、本願において、ヘテロアリール基は、好ましくは、5ないし60個の芳香族環原子、より好ましくは、5ないし40個の芳香族環原子、より一層好ましくは、5ないし20個の芳香族環原子を含み、そのうち少なくとも1つはヘテロ原子であり、好ましくは、N、O、S及びSe、より好ましくは、N、O及びSから選択される。1以上のヘテロ原子がヘテロ芳香族基に含まれる場合、全てのヘテロ原子は、好ましくは、互いに独立して、N、O、S及びSe、より好ましくは、N、O及びSから選択される。
【0096】
本発明の文脈において、芳香族基及びヘテロ芳香族基(例えば、アリール置換基またはヘテロアリール置換基)の両方に対し、芳香族環炭素原子の数は、特定置換基の定義において下付き数字、例えば、「C6-C60アリール」の形態に与えられる。これは、それぞれのアリール置換基が6ないし60個の芳香族炭素環原子を含むことを意味する。脂肪族、芳香族またはヘテロ芳香族の置換基であるか否かにかかわらず、全ての他の種類の置換基で許容される炭素原子の数を示すために、同一の下付き数字が使用される。例えば、「C1-C40アルキル」という表現は、1ないし40個の炭素原子を含むアルキル置換基を意味する。
【0097】
アリール基の好ましい例は、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ピレン、ジヒドロピレン、クリセン、ペリレン、フルオランテン、ベンズアントラセン、ベンゾフェナントレン、テトラセン、ペンタセン、ベンゾピレンから誘導された基、またはそれら基の組み合わせを含む。
【0098】
ヘテロアリール基の好ましい例は、フラン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ジベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、イソベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン;ピロール、インドール、イソインドール、カルバゾール、インドロカルバゾール、ピリジン、キノリン、イソキノリン、アクリジン、フェナントリジン、ベンゾ-5,6-キノリン、ベンゾ-6,7-キノリン、ベンゾ-7,8-キノリン、フェノチアジン、フェノキサジン、ピラゾール、インダゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、ナフトイミダゾール、フェナントロイミダゾール、ピリドイミダゾール、ピラジノイミダゾール、キノキサリノイミダゾール、オキサゾール、ベンゾオキサゾール、ナフトオキサゾール、アントロオキサゾール、フェナントロオキサゾール、イソオキサゾール、1,2-チアゾール、1,3-チアゾール、ベンゾチアゾール、ピリダジン、ベンゾピリダジン、ピリミジン、ベンゾピリミジン、1,3,5-トリアジン、1,2,4-トリアジン、1,2,3-トリアジン、キノキサリン、ピラジン、フェナジン、ナフチリジン、カルボリン、ベンゾカルボリン、フェナントロリン、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、ベンゾトリアゾール、1,2,3-オキサジアゾール、1,2,4-オキサジアゾール、1,2,5-オキサジアゾール、1,2,3,4-テトラジン、1,2,4,5-テトラジン、プリン、プテリジン、インドリジン及びベンゾチアジアゾールから誘導された基、またはそれら基の組み合わせを含む。
【0099】
本願の全般にわたって使用される用語「アリーレン」は、他の分子構造に対し、2つの結合部位を保有し、リンカー構造の役割を行う二価アリール置換基を意味する。同じ見地から、用語「ヘテロアリーレン」は、他の分子構造に対し、2つの結合部位を保有し、リンカー構造の役割を行う二価アリール置換基を意味する。
【0100】
本発明の文脈において、芳香族環系またはヘテロ芳香族環系を言及するとき、用語「縮合された」は、「縮合された」芳香族環またはヘテロ芳香族環が両方の環系の一部である少なくとも1つの結合を共有することを意味する。例えば、ナフタレン(または、置換基として言及されるとき、ナフチル)またはベンゾチオフェン(または、置換基として言及されるとき、ベンゾチオフェニル)は、本発明の文脈において縮合芳香族環系と見なされ、ここで、2つのベンゼン環(ナフタレンの場合)またはチオフェン及びベンゼン(ベンゾチオフェンの場合)は、1つの結合を共有する。また、そのような文脈において結合を共有することは、それぞれの結合を構成する2つの原子を共有することを含むものとも理解され、縮合芳香族環系またはヘテロ芳香族環系は、1つの芳香族系またはヘテロ芳香族系とも理解される。また、縮合芳香族環系またはヘテロ芳香族環系(例えば、ピレンで)を構成する芳香族環またはヘテロ芳香族環によって1以上の結合が共有されるものとも理解される。また、脂肪族環系も縮合され、これは、縮合脂肪族環系が芳香族ではないという点を除いては、芳香族環系またはヘテロ芳香族環系と同一の意味を有するものとも理解されるであろう。また、芳香族環系またはヘテロ芳香族環系は、脂肪族環系と縮合(すなわち、少なくとも1つの結合を共有)されうる。
【0101】
本発明の文脈において、用語「縮合(condensed)」環系は、「融合(fused)」環系と同一の意味を有する。
【0102】
本発明の特定実施形態において、環または環系に結合された隣接した置換基は、前記置換基が結合された芳香族またはヘテロ芳香族環または環系に縮合された、更なる単環または多環、脂肪族、芳香族またはヘテロ芳香族環系を形成することができる。選択的にそのように形成された縮合環系は、隣接した置換基が結合された芳香族またはヘテロ芳香族環または環系よりさらに大きい(さらに多くの環原子を含むことを意味する)ものとも理解される。その場合(及びそのような数字が提供される場合)、縮合環系に含まれた環原子の「総」数は、芳香族またはヘテロ芳香族環または環系に含まれた環原子の和と理解されなければならない。隣接した置換基は結合され、追加環系の環原子は、隣接した置換基によって形成されるが、縮合環によって共有される環原子は、二回ではなく一回として計算される。例えば、ベンゼン環は、ナフタレンコアが形成されるように、さらに他のベンゼン環を形成する2つの隣接した置換基を有することができる。当該ナフタレンコアは、2つの炭素原子が2つのベンゼン環によって共有され、二回ではなく、一回のみ計算されるので、10個の環原子を含むことになる。
【0103】
一般的に、本発明の文脈において、用語「隣接した置換基」または「隣接した基」は、同一のまたは隣接する原子に結合された置換基または基を意味する。
【0104】
本発明の文脈において、用語「アルキル基」は、最も広い意味において、任意の直鎖状、分枝状または環状のアルキル置換基としても理解される。置換基としてアルキル基の好ましい例は、メチル(Me)、エチル(Et)、n-プロピル(nPr)、i-プロピル(iPr)、シクロプロピル、n-ブチル(nBu)、i-ブチル(iBu)、s-ブチル(sBu)、t-ブチル(tBu)、シクロブチル、2-メチルブチル、n-ペンチル、s-ペンチル、t-ペンチル、2-ペンチル、ネオ-ペンチル、シクロペンチル、n-ヘキシル、s-ヘキシル、t-ヘキシル、2-ヘキシル、3-ヘキシル、ネオ-ヘキシル、シクロヘキシル、1-メチルシクロペンチル、2-メチルペンチル、n-へプチル、2-へプチル、3-へプチル、4-へプチル、シクロへプチル、1-メチルシクロヘキシル、n-オクチル、2-エチルヘキシル、シクロオクチル、1-ビシクロ[2,2,2]オクチル、2-ビシクロ[2,2,2]オクチル、2-(2,6-ジメチル)オクチル、3-(3,7-ジメチル)オクチル、アダマンチル、1,1-ジメチル-n-ヘキス-1-イル、1,1-ジメチル-n-ヘプト-1-イル、1,1-ジメチル-n-オクト-1-イル、1,1-ジメチル-n-デス-1-イル、1,1-ジメチル-n-ドデス-1-イル、1,1-ジメチル-n-テトラデス-1-イル、1,1-ジメチル-n-ヘキサデス-1-イル、1,1-ジメチル-n-オクタデス-1-イル、1,1-ジエチル-n-ヘキス-1-イル、1,1-ジエチル-n-ヘプト-1-イル、1,1-ジエチル-n-オクト-1-イル、1,1-ジエチル-n-デス-1-イル、1,1-ジエチル-n-ドデス-1-イル、1,1-ジエチル-n-テトラデス-1-イル、1,1-ジエチル-n-ヘキサデス-1-イル、1,1-ジエチル-n-オクタデス-1-イル、1-(n-プロピル)-シクロヘキス-1-イル、1-(n-ブチル)-シクロヘキス-1-イル、1-(n-ヘキシル)-シクロヘキス-1-イル、1-(n-オクチル)-シクロヘキス-1-イル及び1-(n-デシル)-シクロヘキス-1-イルを含む。
【0105】
例えば、s-ブチル、s-ペンチル及びs-へキシルにおいて、「s」は「二次」を意味し、すなわち、s-ブチル、s-ペンチル及びs-へキシルは、それぞれsec-ブチル、sec-ペンチル及びsec-へキシルと同一である。例えば、t-ブチル、t-ペンチル及びt-へキシルにおいて、「t」は「三次」を意味し、すなわち、t-ブチル、t-ペンチル及びt-へキシルは、それぞれtert-ブチル、tert-ペンチル及びtert-へキシルと同一である。
【0106】
本明細書において使用されているように、用語「アルケニル」は、直鎖状、分枝状及び環状のアルケニル置換基を含む。用語「アルケニル基」は、例えば、置換基である、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、シクロペンテニル、ヘキセニル、シクロヘキセニル、ヘプテニル、シクロヘプテニル、オクテニル、シクロオクテニルまたはシクロオクタジエニルを含む。
【0107】
本明細書において使用されているように、用語「アルキニル」は、直鎖状、分枝状及び環状のアルキニル置換基を含む。用語「アルキニル基」は、例えば、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニルまたはオクチニルを含む。
【0108】
本明細書において使用されているように、用語「アルコキシ」は、直鎖状、分枝状及び環状のアルコキシ置換基を含む。用語「アルコキシ基」は、例えば、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、i-プロポキシ、n-ブトキシ、i-ブトキシ、s-ブトキシ、t-ブトキシ及び2-メチルブトキシを含む。
【0109】
本明細書において使用されているように、用語「チオアルコキシ」は、直鎖状、分枝状及び環状のチオアルコキシ置換基を含み、ここで、例示的なアルコキシ基のOは、Sに代替される。
【0110】
本明細書において使用されているように、用語「ハロゲン」(または、化学命名法で置換基を示すとき、「ハロ」)は、最も広い意味において、元素周期律表の7番目の主要基(すなわち、17族)の元素の任意の原子、好ましくは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素であるとも理解される。
【0111】
分子フラグメントが、置換基であるか、あるいは他のモイエティに付着していると記述されるとき、その名称は、まさしくそれがフラグメント(例えば、ナフチル、ジベンゾフリル)であるように、あるいは全体分子(例えば、ナフタレン、ジベンゾフラン)であるようにも記述される。本明細書において使用されているように、置換基、または付着されたフラグメントを記述する前記方式は、同等であると見なされる。
【0112】
また、本願において「C6-C60アリール」または「C1-C40アルキル」のような置換基がその置換基内の結合部位を示す名称なしに言及される度に、これは、それぞれの置換基が任意の原子を介して結合されることを意味する。例えば、「C6-C60アリール」置換基は、任意の6ないし60個の芳香族炭素原子を介して結合され、「C1-C40アルキル」置換基は、任意の1ないし40個の脂肪族炭素原子を介して結合される。一方、「2-シアノフェニル」置換基は、正確な化学命名法を許容するように、そのCN基が結合部位に隣接する方式のみによって結合される。
【0113】
本発明の文脈において、「ブチル」、「ビフェニル」または「ターフェニル」のような置換基が追加詳細なしに言及される度に、これは、それぞれの置換基の任意の異性質体が特定置換基として許容されることを意味する。これと係わり、例えば、置換基としての用語「ブチル」は、置換基として、n-ブチル、s-ブチル、t-ブチル及びイソ-ブチルを含む。同様に、置換基として、用語「ビフェニル」は、オルト-ビフェニル、メタ-ビフェニルまたはパラ-ビフェニルを含み、ここで、オルト、メタ及びパラは、ビフェニル置換基を有するそれぞれの化学的モイエティに対するビフェニル置換基の結合部位に係わって定義される。同様に、置換基として、用語「ターフェニル」は、3-オルト-ターフェニル、4-オルト-ターフェニル、4-メタ-ターフェニル、5-メタ-ターフェニル、2-パラ-ターフェニルまたは3-パラ-ターフェニルを含み、ここで、熟練された技術者に知られたように、オルト、メタ及びパラは、互いに対するターフェニル基内の2つのPh部分の位置を示し、「2-」、「3-」、「4-」及び「5-」は、ターフェニル置換基を有するそれぞれの化学的モイエティに対するターフェニル置換基の結合部位を示す。
【0114】
前記定義された全ての基及び実際に全ての化学的モイエティは、それらが環状または非環状、脂肪族、芳香族またはヘテロ芳香族であるか否かにかかわらず、本願に記載された特定実施形態によってさらに置換可能であるものと理解される。
【0115】
本願に言及された任意の構造に含まれた全ての水素原子(H)は、それぞれの場合に互いに独立して、具体的に述べられない限り、重水素(D)にも置換される。水素を重水素に置換することは、一般慣行であり、当業者には明白である。したがって、これを達成することができる多くの周知の方法と一部レビュー論文がある。
【0116】
実験または計算データを比較する場合、同一の方法論によって値を決定しなければならない。例えば、特定方法により、実験的なΔESTが0.4eV未満と決定されれば、同一条件を含む同一特定方法を使用する場合にのみ比較が有効である。具体的な例を挙げれば、異なる化合物のフォトルミネッセンス量子収率(PLQY)の比較は、PLQYの決定が同一反応条件(例えば、室温、10% PMMAフィルムにおける測定)で行われた場合にのみ有効である。同様に、計算されたエネルギー値は、同一計算方法(同一関数及び同一基本セットを使用)によって決定される必要がある。
【0117】
少なくとも1つの本発明による有機分子を含む光電子素子
本発明の更なる側面は、少なくとも1つの本発明による有機分子を含む光電子素子に係わるものである。
【0118】
一実施形態において、少なくとも1つの本発明による有機分子を含む光電子素子は、下記からなる群から選択される:
・有機発光ダイオード(OLED)
・発光電気化学電池
・OLEDセンサ、特に、外部と完全に遮断されていないガスセンサ及び蒸気センサ
・有機ダイオード
・有機太陽電池
・有機トランジスタ
・有機電界効果トランジスタ
・有機レーザ、及び
・ダウンコンバージョン素子。
【0119】
発光電気化学電池は、カソード、アノード及び本発明による有機分子を含む活性層の3層からなる。
【0120】
好ましい実施形態において、少なくとも1つの本発明による有機分子を含む光電子素子は、有機発光ダイオード(OLED)、発光電気化学電池(LEC)、有機レーザ及び発光トランジスタからなる群から選択される。
【0121】
より好ましい実施形態において、少なくとも1つの本発明による有機分子を含む光電子素子は、有機発光ダイオード(OLED)である。
【0122】
本発明の光電子素子は、特定実施形態において、イリジウムを含む燐光材料を含んでもよい。
【0123】
一実施形態において、少なくとも1つの本発明による有機分子を含む光電子素子は、下記層構造を有するOLEDである:
1.基板
2.アノード層A
3.正孔注入層(HIL)
4.正孔輸送層(HTL)
5.電子阻止層(EBL)
6.発光層(放出層とも称される)(EML)
7.正孔阻止層(HBL)
8.電子輸送層(ETL)
9.電子注入層(EIL)
10.カソード層C
ここで、該OLEDは、アノード層A、カソード層C及びEMLを除いたそれぞれの層を選択的に含み、異なる層が併合され、該OLEDは、前述のところで定義された各層類型のうち1層以上の層を含むものでもある。
【0124】
また、少なくとも1つの本発明による有機分子を含む光電子素子は、例えば、水分、蒸気及び/またはガスを含む環境内の有害物質に対する損傷露出から素子を保護する1層以上の保護層を選択的に含んでもよい。
【0125】
一実施形態において、少なくとも1つの本発明による有機分子を含む光電子素子は、下記の逆積み層(inverted layer)構造を有するOLEDである:
1.基板
2.カソード層C
3.電子注入層(EIL)
4.電子輸送層(ETL)
5.正孔阻止層(HBL)
6.発光層(放出層とも称される)(EML)
7.電子阻止層(EBL)
8.正孔輸送層(HTL)
9.正孔注入層(HIL)
10.アノード層A
ここで、該OLED(逆積み層構造を有する)は、アノード層A、カソード層C及びEMLを除いたそれぞれの層を選択的に含み、異なる層が併合され、該OLEDは、前述のところで定義された各層類型のうち1層以上の層を含むものでもある。
【0126】
本発明による有機分子(前述の実施形態による)は、特定の構造及び置換によって多様な層に使用可能である。使用される場合、光電子素子、特にOLEDのそれぞれの層において、本発明による有機分子の分率は、0.1重量%ないし99重量%、より特に、1重量%ないし80重量%である。代案的な実施形態において、それぞれの層において、有機分子の割合は100重量%である。
【0127】
一実施形態において、少なくとも1つの本発明による有機分子を含む光電子素子は、積層構造を有することができるOLEDである。前記構造においては、OLEDが並んで配される一般配置とは異なり、個別ユニットが互いの上に積層される。混合光は、積層構造を示すOLEDによって生成され、特に、白色光は、青色OLED、緑色OLED及び赤色OLEDを積層して生成される。また、積層構造を示すOLEDは、選択的に電荷生成層(CGL)を含んでもよく、それは、一般的に、2つのOLEDサブユニット間に位置し、一般的に、n-ドーピングされた層及びp-ドーピングされた層として構成される。一般的に、1つのCGLのn-ドーピングされた層がアノード層にさらに近く位置する。
【0128】
一実施形態において、少なくとも1つの本発明による有機分子を含む光電子素子は、アノードとカソードとの間に、2層以上の発光層を含むOLEDである。特に、いわゆるタンデムOLEDは、3層の発光層を含み、ここで、1層の発光層は、赤色光を放出し、1層の発光層は、緑色光を放出し、1層の発光層は、青色光を放出し、選択的に、個々の発光層間に、電荷生成層、電荷阻止層または電荷輸送層のような追加層を含んでもよい。更なる実施形態において、該発光層は、隣接するように積層される。更なる実施形態において、該タンデムOLEDは、それぞれの2層の発光層間に電荷生成層を含む。また、隣接した発光層、または電荷生成層によって分離した発光層が併合されうる。
【0129】
一実施形態において、少なくとも1つの本発明による有機分子を含む光電子素子は、本質的に白色光電子素子でもあり、これは、素子が白色光を放出するということを意味する。例えば、そのような白色光電子素子は、少なくとも1つの(深)青色エミッタ分子、及び緑色光及び/または赤色光を放出する1以上のエミッタ分子を含むものでもある。また、後述するように、2以上の分子間に選択的にエネルギー伝達が存在しうる(下記参照)。
【0130】
少なくとも1つの本発明による有機分子を含む光電子素子の場合、少なくとも1つの本発明による有機分子は、光電子素子の発光層(EML)、最も好ましくは、OLEDのEMLに含まれる。しかし、本発明による有機分子は、例えば、電子輸送層(ETL)及び/または電子阻止層(EBL)または励起子阻止層及び/または正孔輸送層(HTL)及び/または正孔阻止層(HBL)でも使用される。使用される場合、光電子素子、特にOLEDのそれぞれの層において、本発明による有機分子の分率は、0.1重量%ないし99重量%、より特に、0.5重量%ないし80重量%、特に0.5重量%ないし10重量%である。代案的な実施形態において、それぞれの層において、前記有機分子の割合は100重量%である。
【0131】
光電子素子、特にOLEDの個々の層に適している材料の選択基準は、当業者の常識である。最新技術は、個々の層に使用される多くの材料を示しており、どの材料が互いに共に使用するのに適しているかを知らせる。最新技術で使用される任意の材料が、本発明による有機分子を含む光電子素子にも使用可能であることが理解される。以下、個々の層に対する材料の好ましい例が与えられるであろう。これは、下記に列挙された全ての類型の層が、少なくとも1つの本発明による有機分子を含む光電子素子に存在すべきであることを意味しないものと理解される。さらに、少なくとも1つの本発明による有機分子を含む光電子素子は、例えば、2以上の発光層(EML)のように、下記に羅列されたそれぞれの層のうち1以上を含むものと理解される。同一類型の2以上の層(例えば、2以上のEML、または2以上のHTL)が、必ずしも同一材料、またははなはだしくは、同一割合の同一材料を含むものではないとも理解される。また、少なくとも1つの本発明による有機分子を含む光電子素子は、下記に列挙された全ての類型の層を含む必要はなく、ここで、アノード層、カソード層及び発光層は、一般的に全ての場合に存在する。
【0132】
前記基板は、任意の材料、または該材料の組成物によっても形成される。ほとんど、ガラススライドが基板として使用される。代案としては、薄い金属層(例えば、銅、金、銀またはアルミニウムフィルム)、またはプラスチックフィルムやプラスチックスライドが使用されうる。それは、さらに高レベルの柔軟性を許容することができる。アノード層Aは、ほとんど(本質的に)透明なフィルムを得ることができる材料によって構成される。OLEDからの発光を許容するために、二電極のうち少なくとも一つは(本質的に)透明ではなければならないので、アノード層Aまたはカソード層Cのうち一層は透明である。好ましくは、アノード層Aは、透明伝導性酸化物(TCOs)を多量含むか、あるいはそれからなる。そのようなアノード層Aは、例えば、インジウムスズ酸化物、アルミニウム亜鉛酸化物、フッ素ドーピングされたスズ酸化物、インジウム亜鉛酸化物、PbO、SnO、ジルコニウム酸化物、モリブデン酸化物、バナジウム酸化物、タングステン酸化物、黒鉛、ドーピングされたSi、ドーピングされたGe、ドーピングされたGaAs、ドーピングされたポリアニリン、ドーピングされたポリピロール及び/またはドーピングされたポリチオフェンを含むものでもある。
【0133】
好ましくは、アノード層Aは、(本質的に)インジウムスズ酸化物(ITO)(例えば、(InO3)0.9(SnO2)0.1)で構成される。透明伝導性酸化物(TCO)によるアノード層Aの粗さは、正孔注入層(HIL)を使用することによっても緩和される。また、該HILは、TCOから正孔輸送層(HTL)への類似電荷キャリア(すなわち、正孔)の輸送が促進されるという点において、類似電荷キャリアの注入を容易にする。正孔注入層(HIL)は、ポリ-3,4-エチレンジオキシチオフェン(PEDOT)、ポリスチレンスルホン酸(PSS)、MoO2、V2O5、CuPCまたはCuI、特に、PEDOT及びPSSの混合物を含むものでもある。正孔注入層(HIL)は、また、アノード層Aから正孔輸送層(HTL)に金属が拡散することを防止することができる。例えば、該HILは、ポリ-3,4-エチレンジオキシチオフェン:ポリスチレンスルホン酸(PEDOT:PSS)、ポリ-3,4-エチレンジオキシチオフェン(PEDOT)、4,4’,4”-トリス[フェニル(m-トリル)アミノ]トリフェニルアミン(mMTDATA)、2,2’,7,7’-テトラキス(n,n-ジフェニルアミノ)-9,9’-スピロビフルオレン(Spiro-TAD)、N1,N1’-(ビフェニル-4,4’-ジイル)ビス(N1-フェニル-N4,N4-ジ-m-トリルベンゼン-1,4-ジアミン(DNTPD)、N,N’-ニス-(1-ナフタレニル)-N,N’-ビス-フェニル-(1,1’-ビフェニル)-4,4’-ジアミン(NPB)、N,N’-ジフェニル-N,N’-ジ-[4-(N,N-ジフェニルアミノ)フェニル]ベンジジン(NPNPB)、N,N,N’,N’-テトラキス(4-メトキシフェニル)ベンジジン(MeO-TPD)、1,4,5,8,9,11-ヘキサアザトリフェニレン-ヘキサカルボニトリル(HAT-CN)及び/またはN,N’-ジフェニル-N,N’-ビス-(1-ナフチル)-9,9’-スピロビフルオレン-2,7-ジアミン(Spiro-NPD)によっても構成される。
【0134】
アノード層Aまたは正孔注入層(HIL)に隣接し、一般的に正孔輸送層(HTL)が位置する。ここで、任意の正孔輸送化合物が使用されうる。例えば、トリアリールアミン及び/またはカルバゾールのような、電子が豊富なヘテロ芳香族化合物が、正孔輸送化合物としても使用される。該HTLは、アノード層Aと発光層(EML)との間のエネルギー障壁を低減させることができる。該正孔輸送層(HTL)は、また、電子阻止層(EBL)でもある。好ましくは、該正孔輸送化合物は、比較的高いエネルギー準位の最低励起三重項状態T1を有する。例えば、正孔輸送層(HTL)は、トリス(4-カルバゾリル-9-イルフェニル)アミン(TCTA)、ポリ(4-ブチルフェニル-ジフェニルアミン)(poly-TPD)、ポリ(4-ブチルフェニル-ジフェニルアミン)(α-NPD)、4,4’-シクロヘキシリデン-ビス[N,N-ビス(4-メチルフェニル)ベンゼンアミン](TAPC)、4,4’,4”-トリス[2-ナフチル(フェニル)-アミノ]トリフェニルアミン(2-TNATA)、2,2’,7,7’-テトラキス(n,n-ジフェニルアミノ)-9,9’-スピロビフルオレン(Spiro-TAD)、N1,N1’-(ビフェニル-4,4’-ジイル)ビス(N1-フェニル-N4,N4-ジ-m-トリルベンゼン-1,4-ジアミン(DNTPD)、N,N’-ビス-(1-ナフタレニル)-N,N’-ビス-フェニル-(1,1’-ビフェニル)-4,4’-ジアミン(NPB)、N,N’-ジフェニル-N,N’-ジ-[4-(N,N-ジフェニルアミノ)フェニル]ベンジジン(NPNPB)、N,N,N’,N’-テトラキス(4-メトキシフェニル)ベンジジン(MeO-TPD)、1,4,5,8,9,11-ヘキサアザトリフェニレン-ヘキサカルボニトリル(HAT-CN)及び/または9,9’-ジフェニル-6-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)-9H,9’H-3,3’-ビカルバゾール(TrisPcz)のような星状のヘテロ環を含むものでもある。また、該HTLは、有機正孔輸送マトリックス内の無機または有機ドーパントによっても構成されるp-ドーピングされた層を含むものでもある。該無機ドーパントとしては、例えば、バナジウム酸化物、モリブデン酸化物またはタングステン酸化物のような遷移金属酸化物が使用されうる。該有機ドーパントとしては、例えば、テトラフルオロテトラシアノキノジメタン(F4-TCNQ)、銅-ペンタフルオロ安息香酸(Cu(I)pFBz)または遷移金属錯体が使用されうる。
【0135】
EBLは、例えば、1,3-ビス(カルバゾール-9-イル)ベンゼン(mCP)、トリス(4-カルバゾイル-9-イルフェニル)アミン(TCTA)、4,4’,4”-トリス[2-ナフチル(フェニル)アミノ]トリフェニルアミン(2-TNATA)、3,3-ジ(9H-カルバゾール-9-イル)ビフェニル(mCBP)、9-フェニル-3,6-ビス(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)-9H-カルバゾール(tris-Pcz)、9-(4-tert-ブチルフェニル)-3,6-ビス(トリフェニルシリル)-9H-カルバゾール(CzSi)及び/またはN,N’-ジカルバゾリル-1,4-ジメチルベンゼン(DCB)を含むものでもある。
【0136】
正孔輸送層(HTL)または(存在する場合)電子阻止層(EBL)に隣接し、一般的に発光層(EML)が位置する。発光層(EML)は、少なくとも1つの発光分子(すなわち、エミッタ材料)を含む。一般的に、EMLは、1以上のホスト材料(マトリックス材料ともいう)をさらに含む。例えば、ホスト材料は、4,4’-ビス-(N-カルバゾリル)-ビフェニル(CBP)、1,3-ビス(カルバゾール-9-イル)ベンゼン(mCP)、3,3-ジ(9H-カルバゾール-9-イル)ビフェニル(mCBP)、ジベンゾ[b,d]チオフェン-2-イルトリフェニルシラン(Sif87)、9-(4-tert-ブチルフェニル)-3,6-ビス(トリフェニルシリル)-9H-カルバゾール(CzSi)、ジベンゾ[b,d]チオフェン-2-イル)ジフェニルシラン(Sif88)、ビス[2-(ジフェニルホスフィノ)フェニル]エーテルオキサイド(DPEPO)、9-[3-(ジベンゾフラン-2-イル)フェニル]-9H-カルバゾール、9-[3-(ジベンゾフラン-2-イル)フェニル]-9H-カルバゾール、9-[3-(ジベンゾチオフェン-2-イル)フェニル]-9H-カルバゾール、9-[3,5-ビス(2-ジベンゾフラニル)フェニル]-9H-カルバゾール、9-[3,5-ビス(2-ジベンゾチオフェニル)フェニル]-9H-カルバゾール、2,4,6-トリス(ビフェニル-3-イル)-1,3,5-トリアジン(T2T)、2,4,6-トリス(トリフェニル-3-イル)-1,3,5-トリアジン(T3T)及び/または2,4,6-トリス(9,9’-スピロビフルオレン-2-イル)-1,3,5-トリアジン(TST)から選択される。当業者に知られているように、ホスト材料は、一般的に、第1(すなわち、最低)励起三重項状態(T1)及び第1(すなわち、最低)励起一重項状態(S1)エネルギー準位を示すように選択されなければならず、これは、それぞれのホスト材料に組み込まれた少なくとも1つの発光分子の第1(すなわち、最低)励起三重項状態(T1)及び第1(すなわち、最低)励起一重項状態(S1)エネルギー準位よりもエネルギーが高い。
【0137】
前述のように、本発明の文脈において、光電子素子の少なくとも1つのEMLは、少なくとも1つの本発明による分子を含むことが好ましい。少なくとも1つの本発明による有機分子を含む光電子素子のEMLの好ましい組成は、本文の後項でさらに詳細に説明する(以下参照)。
【0138】
発光層(EML)に隣接し、電子輸送層(ETL)が位置しうる。ここで、任意の電子輸送体が使用されうる。例示的には、ベンズイミダゾール、ピリジン、トリアゾール、トリアジン、オキサジアゾール(例えば、1,3,4-オキサジアゾール)、ホスフィンオキシド及びスルホンのような電子不足化合物が使用されうる。該電子輸送体は、また、1,3,5-トリ(1-フェニル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)フェニル(TPBi)のような星状のヘテロ環化合物でもある。該ETLは、例えば、2,9-ビス(ナフタレン-2-イル)-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン(NBphen)、アルミニウム-トリス(8-ヒドロキシキノリン)(Alq3)、ジフェニル-4-トリフェニルシリルフェニル-ホスフィンオキシド(TSPO1)、2,7-ジ(2,2’-ビピリジン-5-イル)トリフェニル(BPyTP2)、ジベンゾ[b,d]チオフェン-2-イルトリフェニルシラン(Sif87)、ジベンゾ[b,d]チオフェン-2-イル)ジフェニルシラン(Sif88)、1,3-ビス[3,5-ジ(ピリジン-3-イル)フェニル]ベンゼン(BmPyPhB)及び/または4,4’-ビス-[2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジニル)]-1,1’-ビフェニル(BTB)を含むものでもある。選択的に、該ETLは、8-ヒドロキシキノリノラトリチウム(Liq)のような物質によってもドーピングされる。該電子輸送層(ETL)は、また、正孔を阻止することができる。または、一般的にEMLとETLとの間に正孔阻止層(HBL)が導入される。
【0139】
正孔阻止層(HBL)は、例えば、2,9-ジメチル-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン=バソクプロイン(BCP)、4,6-ジフェニル-2-(3-(トリフェニルシリル)フェニル)-1,3,5-トリアジン、9,9’-(5-(6-([1,1’-ビフェニル]-3-イル)-2-フェニルピリミジン-4-イル)-1,3-フェニレン)ビス(9H-カルバゾール)、ビス(8-ヒドロキシ-2-メチルキノリン)-(4-フェニルフェノキシ)アルミニウム(BAlq)、2,9-ビス(ナフタレン-2-イル)-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン(NBphen)、アルミニウム-トリス(8-ヒドロキシキノリン)(Alq3)、ジフェニル-4-トリフェニルシリルフェニル-ホスフィンオキシド(TSPO1)、2,4,6-トリス(ビフェニル-3-イル)-1,3,5-トリアジン(T2T)、2,4,6-トリス(トリフェニル-3-イル)-1,3,5-トリアジン(T3T)、2,4,6-トリス(9,9’-スピロビフルオレン-2-イル)-1,3,5-トリアジン(TST)及び/または1,3,5-トリス(N-カルバゾリル)ベンゾール/1,3,5-トリス(カルバゾール)-9-イル)ベンゼン(TCB/TCP)を含むものでもある。
【0140】
電子輸送層(ETL)に隣接し、カソード層Cが位置しうる。該カソード層Cは、例えば、金属(例えば、Al、Au、Ag、Pt、Cu、Zn、Ni、Fe、Pb、LiF、Ca、Ba、Mg、In、WまたはPd)または金属合金を含むか、あるいはそれからなる。実用的な理由により、該カソード層Cは、Mg、CaまたはAlのような(本質的に)不透明な金属によっても構成される。代案としてまたは追加的に、該カソード層Cは、また、黒鉛及び/または炭素ナノチューブ(CNT)を含むものでもある。代案としては、カソード層Cは、また、ナノスケール銀ワイヤを含むか、あるいはそれから構成される。
【0141】
少なくとも1つの本発明による有機分子を含むOLEDは、選択的に、電子輸送層(ETL)とカソード層Cとの間に、保護層(電子注入層(EIL)とも称される)をさらに含んでもよい。該層は、フッ化リチウム、フッ化セシウム、銀、8-ヒドロキシキノリノラトリチウム(Liq)、Li2O、BaF2、MgO及び/またはNaFを含むものでもある。
【0142】
選択的に、電子輸送層(ETL)及び/または正孔阻止層(HBL)は、また、1以上のホスト材料を含むものでもある。
【0143】
本明細書に使用されているように、特定文脈において、さらに具体的に定義されない場合、放出及び/または吸収された光の色相指定は、下記の通りである:
紫色:>380~420nmの波長範囲
深青色:>420~480nmの波長範囲
空色:>480~500nmの波長範囲
緑色:>500~560nmの波長範囲
黄色:>560~580nmの波長範囲
オレンジ色:>580~620nmの波長範囲
赤色:>620~800nmの波長範囲。
【0144】
エミッタ分子(すなわち、エミッタ材料)と係わり、そのような色相は、主発光ピークの最大発光を示す。したがって、例えば、深青色エミッタは、>420~480nm範囲で最大発光を有し、空色エミッタは、>480~500nm範囲で最大発光を有し、緑色エミッタは、>500~560nm範囲で最大発光を有し、赤色エミッタは、>620~800nm範囲で最大発光を有する。
【0145】
深青色エミッタは、好ましくは、475nm未満、より好ましくは、470nm未満、より一層好ましくは、465nm未満、またははなはだしくは、460nm未満の最大発光を有することができる。これは、一般的に420nm超過、好ましくは、430nm超過、より好ましくは、440nm超過、またははなはだしくは、450nm超過である。好ましい実施形態において、本発明による有機分子は、420ないし500nm、好ましくは、430ないし490nm、より好ましくは、440ないし480nm、最も好ましくは、450ないし470nmにおいて最大発光を示し、一般的に、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、mCBP内の1~5重量%、好ましくは、2重量%の本発明による有機分子でスピンコーティングされた膜、あるいは代案としては、有機溶媒、好ましくは、DCMまたはトルエン内の0.001mg/mLの本発明による有機分子から、室温(すなわち、(約)20℃)で測定される。
【0146】
さらに他の実施形態は、少なくとも1つの本発明による有機分子を含み、ITU-R Recommendation BT.2020(Rec.2020)によって定義されているような原色青色(CIEx=0.131及びCIEy=0.046)のCIEx(=0.131)及びCIEy(=0.046)の色座標に近いCIEx及びCIEyの色座標を有する光を放出するOLEDに係わるものであり、これは、UHD(Ultra High Definition)ディスプレイ、例えば、UHD-TVに使用するのに適している。したがって、本発明の更なる側面は、発光が、0.02ないし0.30、好ましくは、0.03ないし0.25、より好ましくは、0.05ないし0.20、より一層好ましくは、0.08ないし0.18、またははなはだしくは、0.10ないし0.15のCIEx色座標、及び/または、0.00ないし0.45、好ましくは、0.01ないし0.30、より好ましくは、0.02ないし0.20、より一層好ましくは、0.03ないし0.15、またははなはだしくは、0.04ないし0.10のCIEy色座標を示す、少なくとも1つの本発明による有機分子を含むOLEDに係わるものである。
【0147】
さらに他の実施形態は、少なくとも1つの本発明による有機分子を含み、1000cd/m2において、8%超過、好ましくは、10%超過、より好ましくは、13%超過、より一層好ましくは、15%超過、またははなはだしくは、20%超過の外部量子効率を示し、及び/または、420nmないし500nm、好ましくは、430nmないし490nm、より好ましくは、440nmないし480nm、最も好ましくは、450nmないし470nmの最大発光を示し、及び/または、500cd/m2において、100h超過、好ましくは、200h超過、より好ましくは、400h超過、より一層好ましくは、750h超過、またははなはだしくは、1000h超過のLT80値を示すOLEDに係わるものである。
【0148】
緑色エミッタ材料は、560nm未満、より好ましくは、550nm未満、より一層好ましくは、545nm未満、またははなはだしくは、540nm未満の最大発光を有する。これは、一般的に500nm超過、より好ましくは、510nm超過、より一層好ましくは、515nm超過、またははなはだしくは、520nm超過である。
【0149】
緑色エミッタ材料は、好ましくは、500ないし560nm、より好ましくは、510ないし550nm、より一層好ましくは、520ないし540nmの最大発光を有することができる。
【0150】
本発明の更なる実施形態において、組成物は、室温で、20%超過、好ましくは、30%超過、より好ましくは、35%超過、より好ましくは、40%超過、より好ましくは、45%超過、より好ましくは、50%超過、より好ましくは、55%超過、より一層好ましくは、60%超過、またははなはだしくは、70%超過のフォトルミネッセンス量子収率(PLQY)を有する。
【0151】
さらに他の好ましい実施形態は、少なくとも1つの本発明による有機分子を含み、明確な色点で発光するOLEDに係わるものである。好ましくは、OLEDは、狭い発光帯域(小さい半値幅(full width at half maximum: FWHM))を有する光を放出する。好ましい実施形態において、少なくとも1つの本発明による有機分子を含むOLEDは、0.30eV未満、好ましくは、0.25eV未満、より好ましくは、0.20eV未満、より一層好ましくは、0.1eV未満、または0.17eV未満の、主発光ピークのFWHMを有する光を放出する。
【0152】
本発明によれば、少なくとも1つの本発明による有機分子を含む光電子素子は、例えば、ディスプレイ、照明応用分野の光源、並びに医療及び/または美容応用分野(例えば、光療法)の光源として使用可能である。
【0153】
本発明による有機分子と追加材料の組み合わせ
光電子素子(ここで、好ましくは、OLED)内の任意の層、特に発光層(EML)が単一材料または異なる材料の組み合わせからなるということは、当業者の一般知識の一部を形成する。
【0154】
例えば、当業者は、EMLが、電圧(及び電流)が前記素子に印加されるときに発光する単一材料で構成されることを理解する。しかし、当業者は、光電子素子(ここで、好ましくは、OLED)のEMLにおいて、異なる材料、特に1以上のホスト材料(すなわち、マトリックス材料;ここで、少なくとも1つの本発明による有機分子を含む光電子素子に含まれるとき、ホスト材料HBと称される)と、素子に電圧及び電流を印加するとき、そのうち少なくとも1つが発光する1以上のドーパント材料(すなわち、エミッタ材料)との結合が有利であることを理解する。
【0155】
光電子素子における本発明による有機分子の使用の好ましい実施形態において、前記光電子素子は、EML、またはEMLに直接隣接した層、またはそれら層の1以上の層に、少なくとも1つの本発明による有機分子を含む。
【0156】
光電子素子における本発明による有機分子の使用の好ましい実施形態において、前記光電子素子はOLEDであり、EML、またはEMLに直接隣接した層、またはそれら層の1以上の層に、少なくとも1つの本発明による有機分子を含む。
【0157】
光電子素子における本発明による有機分子の使用のより好ましい実施形態において、前記光電子素子はOLEDであり、EMLに少なくとも1つの本発明による有機分子を含む。
【0158】
少なくとも1つの本発明による有機分子を含む光電子素子、好ましくは、OLEDに係わる一実施形態において、少なくとも1つ、好ましくは、それぞれの本発明による有機分子は、発光層EMLにおいてエミッタ材料として使用され、これは、電圧(及び電流)が前記素子に印加されるときに発光する。
【0159】
当業者に知られているように、例えば、有機発光ダイオード(OLED)において、エミッタ材料(すなわち、発光性ドーパント)からの発光は、励起一重項状態(一般的に、最低励起一重項状態S1)からの蛍光、及び励起三重項状態(一般的に、最低励起三重項状態T1)からの燐光を含む。
【0160】
蛍光エミッタFは、電子励起(例えば、光電子素子において)時に室温(すなわち、(約)20℃)で発光することができ、発光励起状態は一重項状態である。蛍光エミッタは、一般的に、初期電子励起(例えば、電子正孔再結合による)がエミッタの励起一重項状態を提供するとき、ナノ秒の時間尺度で即時(すなわち、直接的な)蛍光を示す。
【0161】
本発明の文脈において、遅延蛍光材料は、逆項間交差(RISC;すなわち、アップ項間交差または逆項間交差)により、励起三重項状態(一般的に、最低励起三重項状態T1)から励起一重項状態(一般的に、最低励起一重項状態S1)に達することができ、また、そのように達した励起一重項状態(一般的に、S1)から電子基底状態に戻る時に発光することができる材料である。励起三重項状態(一般的に、T1)から励起一重項状態(一般的に、S1)へのRISC後に観察された蛍光発光が発生する時間尺度(一般的に、マイクロ秒範囲)は、直接的な(すなわち、即時)蛍光が発生する時間尺度(一般的に、ナノ秒範囲)より遅く、したがって、遅延蛍光(DF)という。励起三重項状態(一般的に、T1から)から励起一重項状態(一般的に、S1まで)へのRISCが熱活性化を介して発生し、そのように充填された励起一重項状態が発光する場合(遅延蛍光発光)、その過程を熱活性化遅延蛍光(TADF)という。したがって、TADF材料は、前述のように熱活性化遅延蛍光(TADF)を発光することができる材料である。蛍光エミッタFの最低励起一重項状態エネルギー準位E(S1E)と最低励起三重項状態エネルギー準位E(T1E)とのエネルギー差ΔESTが減少すれば、RISCによる最低励起一重項状態から最低励起三重項状態への切り替えが高効率で起こることは当業者に知られている。したがって、TADF材料が一般的に小さいΔEST値を有するということは、当業者の一般知識の一部を形成する(以下参照)。当業者に知られているように、TADF材料は、単純に前述のようにTADFの後続放出と共に、励起三重項状態から励起一重項状態へのそれ自体のRISCが可能な材料ではない。TADF材料は、事実上2種類の材料、好ましくは、2つのホスト材料HB、より好ましくは、p-ホスト材料HP及びn-ホスト材料HNから形成されるエキシプレックスであることが当業者に知られている(以下参照)。
【0162】
(熱的に活性化された)遅延蛍光の発生は、例えば、時間分解(すなわち、過渡)フォトルミネッセンス(PL)測定から得た減衰曲線に基づいて分析される。このために、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)内で、1~10重量%、特に10重量%の各エミッタ(すなわち、仮定されたTADF材料)のスピンコーティング膜がサンプルとして使用される。分析は、例えば、Edinburgh InstrumentsのFS5蛍光分光計を使用して行われる。サンプルPMMAフィルムをキュベットに入れて測定する間に、窒素雰囲気が維持される。データ収集は、よく確立された時間相関単一光子計数(TCSPC、以下参照)技術を使用して行われる。時間及び信号強度で複数の次数(order)の大きさにわたって全体減衰力学を収集するために、4個の時間領域(200ns、1μs、20μs及び>80μsのさらに長い測定期間)で測定を行って結合することができる(以下参照)。
【0163】
TADF材料は、好ましくは、前述の全体減衰力学と係わり、以下の2つの条件を満たす:
【0164】
(i)減衰力学は、2つの時間領域を示し、1つはナノ秒(ns)範囲にあり、他の1つはマイクロ秒(μs)範囲にある、及び
【0165】
(ii)2つの時間領域で発光スペクトルの形態が一致する。
【0166】
ここで、最初の減衰領域で放出された光の一部は即時蛍光と見なされ、二番目の減衰領域で放出された光の一部は遅延蛍光と見なされる。
【0167】
遅延蛍光と即時蛍光との割合は、いわゆるn値の形態に表され、これは、次の方程式により、それぞれのフォトルミネッセンス減衰を経時的に積分して計算される:
【0168】
【0169】
本発明の文脈において、TADF材料は、好ましくは、0.05より大きいか(n>0.05)、より好ましくは、0.1より大きいか(n>0.1)、より一層好ましくは、0.15より大きいか(n>0.15)、特に好ましくは、0.2より大きいか(n>0.20)、またははなはだしくは、0.25より大きい(n>0.25)n値(即時蛍光に対する遅延蛍光の割合)を示す。
【0170】
好ましい実施形態において、本発明による有機分子は、0.05より大きい(n>0.05)n値(即時蛍光に対する遅延蛍光の割合)を示す。
【0171】
本発明の文脈において、TADF材料EBは、最低励起一重項状態エネルギー準位E(S1E)と最低励起三重項状態エネルギー準位E(T1E)とのエネルギー差に該当するΔEST値を示すことを特徴とし、0.4eV未満、好ましくは、0.3eV未満、より好ましくは、0.2eV未満、より一層好ましくは、0.1eV未満、またははなはだしくは、0.05eV未満の値を示す。TADF材料EBのΔEST値を決定する方法は、本文の後項で説明されている。
【0172】
TADF材料設計のための1つの一般的なアプローチは、HOMOが分布された1以上の(電子)ドナーモイエティと、LUMOが分布された1以上の(電子)アクセプターモイエティとを、本願においてリンカー基と呼ばれる、同一のブリッジに共有結合することである。また、TADF材料EBは、例えば、同一のアクセプターモイエティに結合された2つまたは3つのリンカー基を含み、更なるドナーモイエティ及びアクセプターモイエティがそれら2つまたは3つのリンカー基それぞれに結合されうる。
【0173】
また、1以上のドナーモイエティ及び1以上のアクセプターモイエティは、(リンカー基の存在なしに)互いに直接結合されうる。
【0174】
典型的なドナーモイエティは、ジフェニルアミン、インドール、カルバゾール、アクリジン、フェノキサジン及び関連構造の誘導体である。特に、脂肪族、芳香族またはヘテロ芳香族環系は、例えば、インドロカルバゾールに達するために、前述のドナー前駆体に縮合される。
【0175】
ベンゼン、ビフェニル及びある程度までターフェニルの誘導体が一般的なリンカー基である。
【0176】
ニトリル基は、TADF材料において非常に一般的なアクセプターモイエティであり、その周知の例は、下記を含む:
【0177】
(i)カルバゾリルジシアノベンゼン化合物
2CzPN(4,5-ジ(9H-カルバゾール-9-イル)フタロニトリル)、DCzIPN(4,6-ジ(9H-カルバゾール-9-イル)イソフタロニトリル)、4CzPN(3,4,5,6-テトラ(9H-カルバゾール-9-イル)フタロニトリル)、4CzIPN(2,4,5,6-テトラ(9H-カルバゾール-9-イル)イソフタロニトリル)、4CzTPN(2,4,5,6-テトラ(9H-カルバゾール-9-イル)テレフタロニトリル)及びその誘導体、
【0178】
(ii)カルバゾリルシアノピリジン化合物
4CzCNPy(2,3,5,6-テトラ(9H-カルバゾール-9-イル)-4-シアノピリジン)及びその誘導体、
【0179】
(iii)カルバゾリルシアノビフェニル化合物
CNBPCz(4,4’,5,5’-テトラ(9H-カルバゾール-9-イル)-[1,1’-ビフェニル]-2,2’-ジカルボニトリル)、CzBPCN(4,4’,6,6’-テトラ(9H-カルバゾール-9-イル)-[1,1’-ビフェニル]-3,3’-ジカルボニトリル)、DDCzIPN(3,3’,5,5’-テトラ(9H-カルバゾール-9-イル)-[1,1’-ビフェニル]-2,2’,6,6’-テトラカルボニトリル)及びその誘導体、
ここで、それら材料において、1以上のニトリル基は、アクセプターモイエティとして、フッ素(F)またはトリフルオロメチル(CF3)にも代替される。
【0180】
また、トリアジン、ピリミジン、トリアゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール、ヘプタジン、1,4-ジアザトリフェニレン、ベンゾチアゾール、ベンゾオキサゾール、キノキサリン及びジアザフルオレン誘導体のような窒素ヘテロ環は、TADF分子構成に使用される周知のアクセプターモイエティである。例えば、トリアジンアクセプターを含むTADF分子の公知の例は、PIC-TRZ(7,7’-(6-([1,1’-ビフェニル]-4-イル)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル)ビス(5-フェニル-5,7-ジヒドロインドロ[2,3-b]カルバゾール))、mBFCzTrz(5-(3-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル))フェニル)-5H-ベンゾフロ[3,2-c]カルバゾール)、及びDCzTrz(9,9’-(5-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-1,3-フェニレン)ビス(9H-カルバゾール))を含む。
【0181】
TADF材料の他の一群は、ドナーモイエティ(主に、カルバゾリル置換基)が結合されたアクセプターモイエティとして、ベンゾフェノンのようなジアリールケトン、または4-ベンゾイルピリジン、9,10-アントラキノン、9H-キサンテン-9-オンのような(ヘテロアリール)アリールケトン及びその誘導体を含む。そのようなTADF分子の例は、BPBCz(ビス(4-(9’-フェニル-9H,9’H-[3,3’-ビカルバゾール]-9-イル)フェニル)メタノン)、mDCBP((3,5-ジ(9H-カルバゾール-9-イル)フェニル)(ピリジン-4-イル)メタノン)、AQ-DTBu-Cz(2,6-ビス(4-(3,6-ジ-tert-ブチル-9H-カルバゾール-9-イル)フェニル)アントラセン-9,10-ジオン)、及びMCz-XT(3-(1,3,6,8-テトラメチル-9H-カルバゾール-9-イル)-9H-キサンテン-9-オン)をそれぞれ含む。
【0182】
また、スルホキシド、特にジフェニルスルホキシドは、TADF材料の構成のためのアクセプターモイエティとして一般的に使用され、周知の例は、4-PC-DPS(9-フェニル-3-(4-(フェニルスルホニル)フェニル)-9H-カルバゾール)、DitBu-DPS(9,9’-(スルホニルビス(4,1-フェニレン))ビス(9H-カルバゾール))、及びTXO-PhCz(2-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)-9H-チオキサンテン-9-オン10,10-ジオキシド)を含む。
【0183】
蛍光エミッタFは、また、本明細書に定義されたようなTADFを示すことができ、はなはだしくは、本明細書に定義されたようなTADF材料EBであるものと理解される。結果として、本明細書に定義されたような小さいFWHMエミッタSBは、本明細書に定義されたようなTADF材料EBであってもよく、そうでなくてもよい。
【0184】
燐光、すなわち、励起三重項状態(一般的に、最低励起三重項状態T1)からの発光は、スピン禁止過程である。当業者に知られているように、燐光は、(分子内)スピン軌道相互作用(いわゆる(内部)重原子効果)を利用して促進(向上)される。本発明の文脈において、燐光材料PBは、室温(すなわち、(約)20℃)で燐光を放出することができる燐光エミッタである。
【0185】
ここで、燐光材料PBは、カルシウム(Ca)の標準原子量より大きい標準原子量を有する元素のうち少なくとも1つの原子を含むことが好ましい。より好ましくは、本発明の文脈において、燐光材料PBは、遷移金属原子、特に亜鉛(Zn)の標準原子量より大きい標準原子量を有する元素の遷移金属原子を含む。燐光材料PBに好ましく含まれる遷移金属原子は、任意の酸化状態で存在する(及び各元素のイオンとして存在することもできる)。
【0186】
光電子素子に使用される燐光材料PBは、Ir、Pd、Pt、Au、Os、Eu、Ru、Re、Ag及びCu、本発明の文脈において、好ましくは、Ir、Pt及びPd、より好ましくは、Ir及びPtの錯体ということが当業者に常識である。当業者は、光電子素子においていかなる材料が燐光材料PBとして適しているか、及びそれらの合成方法を知っている。また、当業者は、光電子素子において燐光材料として使用するための燐光錯体の設計原理に精通しており、構造的変化を介して錯体の放出を調整する方法を知っている。
【0187】
当業者は、光電子素子に使用される燐光材料PBとしていかなる材料が適しているか、及びそれらの合成方法を知っている。これと関連し、当業者は、特に、光電子素子において燐光材料PBとして使用するための燐光錯体の設計原理に精通しており、構造的変化を介して錯体の放出を調整する方法を知っている。
【0188】
本発明による有機分子と共に使用可能な燐光材料PBの例(例えば、組成物の形態または光電子素子のEMLにおいて、以下参照)は、最新技術に開示されている。例えば、以下の金属錯体は、本発明による有機分子と共に使用可能な燐光材料PBである:
【0189】
【0190】
本発明の文脈において、小さい半値幅(FWHM)エミッタSBは、0.35eV以下(≦0.35eV)、好ましくは、0.30eV以下(≦0.30eV)、特に0.25eV以下(≦0.25eV)のFWHMを示す発光スペクトルを有する任意のエミッタ(すなわち、エミッタ材料)である。他に明示されない限り、これは、室温(すなわち、(約)20℃)で、各エミッタの発光スペクトルを基準に判断され、一般的に、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)またはmCBP内の1~5重量%、特に2重量%のエミッタで測定される。あるいは、小さいFWHMエミッタSBの発光スペクトルは、一般的に、室温(すなわち、(約)20℃)で、ジクロロメタンまたはトルエンに0.001~0.2mg/mLのエミッタSBがある溶液で測定されうる。
【0191】
小さいFWHMエミッタSBは、蛍光エミッタF、燐光エミッタ(例えば、燐光材料PB)及び/またはTADFエミッタ(例えば、TADF材料EB)である。前述のTADF材料EB及び燐光材料PBの場合、発光スペクトルは、室温(すなわち、(約)20℃)で、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)内の10重量%のそれぞれの材料EBまたはPBのそれぞれのスピンコーティング膜から測定される。
【0192】
当業者に知られているように、エミッタ(例えば、小さいFWHMエミッタSB)の半値幅(FWHM)は、それぞれの発光スペクトル(蛍光エミッタ用蛍光スペクトル及び燐光エミッタ用燐光スペクトル)から容易に決定される。記録された全てのFWHM値は、一般的に、主発光ピーク(すなわち、強度が最も高いピーク)を示す。FWHM(ここで、好ましくは、電子ボルトeVで記録される)を決定する手段は、当業者の常識の一部である。例えば、発光スペクトルの主発光ピークが、発光スペクトルからナノメートル(nm)で得られた2つの波長λ1及びλ2において最大発光の半分(すなわち、最大発光強度の50%)に達する場合、電子ボルト(eV)のFWHMは、一般的に(及び、ここで)、以下の方程式を使用して決定される:
【0193】
【0194】
本発明の文脈において、小さいFWHMエミッタSBは、有機エミッタであり、これは、本発明の文脈において、いかなる遷移金属も含まないということを意味する。好ましくは、本発明の文脈において、小さいFWHMエミッタSBは、主に水素(H)、炭素(C)、窒素(N)及びボロン(B)元素で構成されるが、例えば、酸素(O)、ケイ素(Si)、フッ素(F)及び臭素(Br)を含むこともできる。
【0195】
また、本発明の文脈において、小さいFWHMエミッタSBは、さらにTADFを示してもよく、示さなくてもよい蛍光エミッタFであることが好ましい。
【0196】
好ましくは、本発明の文脈において、小さいFWHMエミッタSBは、以下の要件のうち少なくとも1つを満たす:
(i)ボロン(B)含有エミッタであり、これは、それぞれの小さいFWHMエミッタSB内の少なくとも1つの原子がボロン(B)であることを意味し、
(ii)多環の芳香族またはヘテロ芳香族コア構造を含み、ここで、少なくとも2つの芳香族環が共に縮合される(例えば、アントラセン、ピレンまたはそれらのアザ誘導体)。
【0197】
当業者に知られているように、EMLのホスト材料HBは、前記EMLを通過し、電子または正電荷を輸送することができ、ホスト材料HBにドーピングされた少なくとも1つのエミッタ材料に励起エネルギーを伝達することができる。当業者は、光電子素子(例えば、OLED)のEMLに含まれたホスト材料HBが、一般的に電圧及び電流を印加するとき、前記素子からの発光に大きく関与しないということを理解する。当業者は、また、任意のホスト材料HBが、高い正孔移動度を示すp-ホストHP、高い電子移動度を示すn-ホストHN、または高い正孔移動度及び高い電子移動度の両方を示す両極性ホスト材料HBPであるという事実を知っている。
【0198】
当業者に知られているように、EMLは、また、少なくとも1つのp-ホストHP及び1つのn-ホストHNを有するいわゆる混合ホストシステムを含む。特に、EMLは、本発明による正確に1つのエミッタ材料、及びn-ホストHNとしての2,4,6-トリス(ビフェニル-3-イル)-1,3,5-トリアジン(T2T)、p-ホストHPとしてのCBP、mCP、mCBP、4,6-ジフェニル-2-(3-(トリフェニルシリル)フェニル)-1,3,5-トリアジン、9-[3-(ジベンゾフラン-2-イル)フェニル]-9H-カルバゾール、9-[3-(ジベンゾフラン-2-イル)フェニル]-9H-カルバゾール、9-[3-(ジベンゾチオフェン-2-イル)フェニル]-9H-カルバゾール、9-[3,5-ビス(2-ジベンゾフラニル)フェニル]-9H-カルバゾール、及び9-[3,5-ビス(2-ジベンゾチオフェニル)フェニル]-9H-カルバゾールから選択されたホストを含む混合ホストシステムを含む。
【0199】
EMLは、少なくとも1つのp-ホストHPと1つのn-ホストHNを有するいわゆる混合ホストシステムを含む。ここで、n-ホストHNは、ピリジン、ピリミジン、ベンゾピリミジン、1,3,5-トリアジン、1,2,4-トリアジン及び1,2,3-トリアジンから誘導された基を含み、p-ホストHPは、インドール、イソインドール、好ましくは、カルバゾールから誘導された基を含む。
【0200】
当業者は、どのような材料が光電子素子に使用するのに適しているホスト材料であるかを知っている。最新技術で使用される任意のホスト材料が、本発明の文脈における好適なホスト材料HBであるものと理解される。
【0201】
本発明の文脈におけるp-ホスト材料HPである材料HBの例は、下記に列挙されている:
【0202】
【0203】
本発明の文脈におけるn-ホスト材料HNである材料HBの例は、下記に列挙されている:
【0204】
【0205】
当業者は、同一層、特に同一EMLに含まれた任意の材料だけでなく、隣接層にあり、それら隣接層間の界面で非常に近接した材料が共にエキシプレックスを形成することができるものと理解する。当業者は、エキシプレックスを形成する材料対、特にp-ホストHP及びn-ホストHNの対を選択する方法、並びにHOMO及び/またはLUMOエネルギー要求量を含む前記材料対の2つの成分に対する選択基準を知っている。すなわち、エキシプレックス形成が要求される場合、一成分、例えば、p-ホスト材料HPのHOMOは、他の成分、例えば、n-ホスト材料HNのHOMOよりエネルギーが少なくとも0.20eVさらに高く、一成分、例えば、p-ホスト材料HPのLUMOは、他の成分、例えば、n-ホスト材料HNのLUMOよりエネルギーが少なくとも0.20eVさらに高い。エキシプレックスが光電子素子、特にOLEDのEMLに存在すれば、エキシプレックスがエミッタ材料の機能を有し、電圧と電流が当該素子に印加されるときに発光することができるということは、当業者の常識に属する。最新技術から、かつ一般的に知られているように、エキシプレックスは非発光性でもあり、例えば、光電子素子のEMLに含まれる場合、エミッタ材料に励起エネルギーを伝達することができる。
【0206】
当業者に知られているように、TTA(三重項・三重項消滅)材料は、ホスト材料HBとしても使用される。TTA材料は、三重項・三重項消滅を可能にする。三重項・三重項消滅は、好ましくは、光子アップコンバージョンを起こすことができる。したがって、2つ、3つまたはそれ以上の光子が、TTA材料HTTAの最低励起三重項状態(T1TTA)から第1励起一重項状態S1TTAへの光子アップコンバージョンを容易にする。好ましい実施形態において、2つの光子は、T1TTAからS1TTAへの光子アップコンバージョンを容易にする。したがって、三重項・三重項消滅は、多数のエネルギー伝達段階によって、2つ(または、選択的に2以上)の低周波数光子を1つの高周波数光子に結合することができる段階でもある。
【0207】
選択的に、TTA材料は、吸収モイエティ、センシタイザーモイエティ及びエミッタモイエティ(または、消滅モイエティ)を含むものでもある。これと係わり、エミッタモイエティは、例えば、ベンゼン、ビフェニル、トリフェニル、トリフェニレン、ナフタレン、アントラセン、フェナレン、フェナントレン、フルオレン、ピレン、クリセン、ペリレン、アズレンのような多環芳香族モイエティでもある。好ましい実施形態において、多環芳香族モイエティは、アントラセンモイエティまたはその誘導体を含む。センシタイザーモイエティ及びエミッタモイエティは、2つの異なる化学的化合物(すなわち、分離した化学的実体)に位置するか、あるいは1つの化学的化合物に含まれた2つのモイエティでもある。
【0208】
本発明によれば、三重項・三重項消滅(TTA)材料は、三重項・三重項消滅により、第1励起三重項状態T1Nから第1励起一重項状態S1Nにエネルギーを変換する。
【0209】
本発明によれば、TTA材料は、最低励起三重項状態(T1N)から三重項・三重項消滅を示して、三重項・三重項消滅した第1励起一重項状態S1Nを生成し、T1Nのエネルギーの最大2倍のエネルギーを有することを特徴とする。
【0210】
本発明の一実施形態において、TTA材料は、T1Nから三重項・三重項消滅を示してS1Nを生成し、T1Nエネルギーの1.01ないし2倍、1.1ないし1.9倍、1.2ないし1.5倍、1.4ないし1.6倍、または1.5ないし2倍のエネルギーを有することを特徴とする。
【0211】
本明細書において、用語「TTA材料」及び「TTA化合物」は、互いに混用されうる。
【0212】
典型的な「TTA材料」は、Kondakov(Philosophical Transactions of the Royal Society A: Mathematical, Physical and Engineering Sciences, 2015, 373: 20140321)で説明したように、青色蛍光OLEDと関連した最新技術で見つけることができる。そのような青色蛍光OLEDは、EMLの主成分(ホスト)として、アントラセン誘導体のような芳香族炭化水素を使用する。
【0213】
好ましい実施形態において、TTA材料は、センシタイズされた三重項・三重項消滅を可能にする。選択的に、TTA材料は、1以上の多環芳香族構造を含んでもよい。好ましい実施形態において、TTA材料は、少なくとも1つの多環芳香族構造及び少なくとも1つの更なる芳香族残基を含む。
【0214】
好ましい実施形態において、TTA材料は、より大きい一重項・三重項エネルギー分割、すなわち、少なくとも1.1倍、少なくとも1.2倍、少なくとも1.3倍、少なくとも1.5倍、好ましくは、2倍以下の、第1励起一重項状態S1Nと最低励起三重項状態T1Nとのエネルギー差を有する。
【0215】
本発明の好ましい実施形態において、TTA材料HTTAは、アントラセン誘導体である。
【0216】
一実施形態において、前記TTA材料HTTAは、下記化学式4のアントラセン誘導体であり、
【0217】
【0218】
ここで、
それぞれのArは、互いに独立して、下記からなる群から選択され、
C6-C60アリール、C3-C57ヘテロアリール、ハロゲン及びC1-C40(ヘテロ)アルキルからなる群から選択された1以上の残基で選択的に置換されたC6-C60アリール、及び
C6-C60アリール、C3-C57ヘテロアリール、ハロゲン及びC1-C40(ヘテロ)アルキルからなる群から選択された1以上の残基で選択的に置換されたC3-C57ヘテロアリール、
それぞれのA1は、互いに独立して、下記からなる群から選択される:
水素、
重水素、
C6-C60アリール、C3-C57ヘテロアリール、ハロゲン及びC1-C40(ヘテロ)アルキルからなる群から選択された1以上の残基で選択的に置換されたC6-C60アリール、
C6-C60アリール、C3-C57ヘテロアリール、ハロゲン及びC1-C40(ヘテロ)アルキルからなる群から選択された1以上の残基で選択的に置換されたC3-C57ヘテロアリール、及び
C6-C60アリール、C3-C57ヘテロアリール、ハロゲン及びC1-C40(ヘテロ)アルキルからなる群から選択された1以上の残基で選択的に置換されたC1-C40(ヘテロ)アルキル。
【0219】
一実施形態において、前記TTA材料HTTAは、前記化学式4のアントラセン誘導体であり、
ここで、
それぞれのArは、互いに独立して、下記からなる群から選択され、
C6-C20アリール、C3-C20ヘテロアリール、ハロゲン及びC1-C210(ヘテロ)アルキルからなる群から選択された1以上の残基で選択的に置換されたC6-C20アリール、及び
C6-C20アリール、C3-C20ヘテロアリール、ハロゲン及びC1-C10(ヘテロ)アルキルからなる群から選択された1以上の残基で選択的に置換されたC3-C20ヘテロアリール、
それぞれのA1は、互いに独立して、下記からなる群から選択される:
水素、
重水素、
C6-C20アリール、C3-C20ヘテロアリール、ハロゲン及びC1-C10(ヘテロ)アルキルからなる群から選択された1以上の残基で選択的に置換されたC6-C20アリール、
C6-C20アリール、C3-C20ヘテロアリール、ハロゲン及びC1-C10(ヘテロ)アルキルからなる群から選択された1以上の残基で選択的に置換されたC3-C20ヘテロアリール、及び
C6-C60アリール、C3-C57ヘテロアリール、ハロゲン及びC1-C40(ヘテロ)アルキルからなる群から選択された1以上の残基で選択的に置換されたC1-C10(ヘテロ)アルキル。
【0220】
一実施形態において、HTTAは、前記化学式4のアントラセン誘導体であり、ここで、少なくとも1つのA1は水素である。一実施形態において、HTTAは、前記化学式4のアントラセン誘導体であり、ここで、少なくとも2つのA1は水素である。一実施形態において、HTTAは、前記化学式4のアントラセン誘導体であり、ここで、少なくとも3つのA1は水素である。一実施形態において、HTTAは、前記化学式4のアントラセン誘導体であり、ここで、全てのA1はそれぞれ水素である。
【0221】
一実施形態において、HTTAは、前記化学式4のアントラセン誘導体であり、ここで、少なくとも1つのArは、フェニル、ナフチル、フェナントリル、ピレニル、トリフェニレニル、ジベンゾアントラセニル、フルオレニル、ベンゾフルオレニル、アントラセニル、フェナントレニル、ベンゾナフトフラニル、ベンゾナフトチオフェニル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチオフェニルからなる群から選択された残基であり、これは、C6-C60アリール、C3-C57ヘテロアリール、ハロゲン及びC1-C40(ヘテロ)アルキルからなる群から選択された1以上の残基で選択的に置換されうる。
【0222】
一実施形態において、HTTAは、前記化学式4のアントラセン誘導体であり、ここで、2つのArは、それぞれ、互いに独立して、フェニル、ナフチル、フェナントリル、ピレニル、トリフェニレニル、ジベンゾアントラセニル、フルオレニル、ベンゾフルオレニル、アントラセニル、フェナントレニル、ベンゾナフトフラニル、ベンゾナフトチオフェニル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチオフェニルからなる群から選択された残基であり、これは、C6-C60アリール、C3-C57ヘテロアリール、ハロゲン及びC1-C40(ヘテロ)アルキルからなる群から選択された1以上の残基で選択的に置換されうる。
【0223】
本発明による有機分子を含む組成物
本発明の一側面は、少なくとも1つの本発明による有機分子を含む組成物に係わるものである。本発明の一側面は、光電子素子、好ましくは、OLED、特に前記素子のEMLにおける前記組成物の用途に係わるものである。
【0224】
以下、前述の組成物を説明するとき、場合によって、それぞれの組成物のうち、特定材料の含量を百分率の形態に言及する。特定実施形態において特に言及されない限り、全ての百分率は、重量百分率を示し、これは、重量百分率または重量%((重量/重量)、(w/w)、wt%)と同一意味を有するという点に留意しなければならない。例えば、特定組成物において、本発明による1以上の有機分子の含量が例示的に30%と言及する場合、これは、本発明による1以上の有機分子の(すなわち、結合されたそれら全ての分子の)総重量が30重量%、すなわち、それぞれの組成物の総重量の30%を占めることを意味するものと理解される。成分の好ましい含量を重量%で提供することにより、組成物が特定される度に、全ての成分の総含量は、100重量%(すなわち、組成物の総重量)まで合算されるものと理解される。
【0225】
少なくとも1つの本発明による有機分子を含む組成物に係わる本発明の実施形態を説明する下記において、光電子素子、好ましくは、光電子素子のEMLにおいて、最も好ましくは、OLEDのEMLにおいて、前記組成物を使用するとき、それら組成物内の成分間で発生するエネルギー伝達工程を言及するであろう。当業者は、そのような励起エネルギー伝達工程が、光電子素子のEMLにおいて組成物を使用するときに発光効率を向上させることができるものと理解する。
【0226】
少なくとも1つの本発明による有機分子を含む組成物を記述するとき、特定材料が他の材料と「異なる」という点も指摘されるであろう。これは、互いに「異なる」材料が同一化学構造を有しないということを意味する。
【0227】
一実施形態において、前記組成物は、下記を含むか、あるいはそれからなる:
(a)本発明による1以上の有機分子、
(b)(a)の有機分子と異なる1以上のホスト材料HB、及び
(c)選択的に1以上の溶媒。
【0228】
一実施形態において、前記組成物は、下記を含むか、あるいはそれからなる:
(a)本発明による1以上の有機分子、及び
(b)(a)の有機分子と異なる1以上のホスト材料HB、
ここで、前記組成物中のホスト材料HBの分率(重量%)は、本発明による有機分子の分率(重量%)より高く、好ましくは、前記組成物中のホスト材料HBの分率(重量%)は、本発明による有機分子の分率(重量%)より2倍以上高い。
【0229】
一実施形態において、前記組成物は、下記を含むか、あるいはそれからなる:
【0230】
(a)0.1~30重量%、好ましくは、0.8~15重量%、特に1.5~5重量%の本発明による有機分子、及び
(b)下記化学式4によるホスト材料HBとしてのTTA材料:
【0231】
【0232】
一実施形態において、前記組成物は、下記を含むか、あるいはそれからなる:
(a)本発明による有機分子、
(b)(a)の有機分子と異なるホスト材料HB、及び
(c)TADF材料EB及び/または燐光材料PB。
【0233】
一実施形態において、前記組成物は、下記を含むか、あるいはそれからなる:
(a)0.1~20重量%、好ましくは、0.5~12重量%、特に1~5重量%の本発明による有機分子、
(b)0~98.8重量%、好ましくは、35~94重量%、特に60~88重量%の、本発明による有機分子と異なる1以上のホスト材料HB、
(c)0.1~20重量%、好ましくは、0.5~10重量%、特に1~3重量%の、(a)の有機分子と異なる1以上の燐光材料PB、
(d)1~99.8重量%、好ましくは、5~50重量%、特に10~30重量%の、(a)の有機分子と異なる1以上のTADF材料EB、及び
(e)0~98.8重量%、好ましくは、0~59重量%、特に0~28重量%の1以上の溶媒。
【0234】
更なる側面において、本発明は、本明細書に記載された類型の有機分子または組成物を含む光電子素子、特に、有機発光ダイオード(OLED)、発光電気化学電池、OLEDセンサ、特に、外部と完全に遮断されていないガスセンサ及び蒸気センサ、有機ダイオード、有機太陽電池、有機トランジスタ、有機電界効果トランジスタ、有機レーザ及びダウンコンバージョン素子からなる群から選択された素子に係わるものである。
【0235】
好ましい実施形態において、前記光電子素子は、有機発光ダイオード(OLED)、発光電気化学電池(LEC)及び発光トランジスタからなる群から選択された素子である。
【0236】
本発明の光電子素子の一実施形態において、本発明による有機分子Eは、発光層EMLにおいてエミッタ材料として使用される。
【0237】
本発明の光電子素子の一実施形態において、発光層EMLは、本明細書に記載された本発明による組成物からなる。
【0238】
前記光電子素子がOLEDである場合、例えば、次のような層構造を有することができる:
1.基板
2.アノード層A
3.正孔注入層(HIL)
4.正孔輸送層(HTL)
5.電子阻止層(EBL)
6.発光層(EML)
7.正孔阻止層(HBL)
8.電子輸送層(ETL)
9.電子注入層(EIL)
10.カソード層
ここで、該OLEDは、HIL、HTL、EBL、HBL、ETL及びEILの群から選択された各層を選択的に含み、異なる層が併合され、該OLEDは、前述のところで定義された各層類型のうち1層以上の層を含むものでもある。
【0239】
また、一実施形態において、前記光電子素子は、例えば、水分、蒸気及び/またはガスを含む環境内の有害物質に対する損傷露出から素子を保護する1以上の保護層を選択的に含んでもよい。
【0240】
本発明の一実施形態において、前記光電子素子は、下記の逆積み層(inverted layer)構造を有するOLEDである:
1.基板
2.カソード層
3.電子注入層(EIL)
4.電子輸送層(ETL)
5.正孔阻止層(HBL)
6.発光層B
7.電子阻止層(EBL)
8.正孔輸送層(HTL)
9.正孔注入層(HIL)
10.アノード層A
ここで、該OLEDは、HIL、HTL、EBL、HBL、ETL及びEILの群から選択された各層を選択的に含み、異なる層が併合され、該OLEDは、前述のところで定義された各層類型のうち1層以上の層を含むものでもある。
【0241】
本発明の一実施形態において、前記光電子素子は、積層構造を有することができるOLEDである。前記構造においては、OLEDが並んで配される一般配置とは異なり、個別ユニットが互いの上に積層される。混合光は、積層構造を示すOLEDによって生成され、特に、白色光は、青色OLED、緑色OLED及び赤色OLEDを積層して生成される。また、積層構造を示すOLEDは、電荷生成層(CGL)を含んでもよく、それは、一般的に、2つのOLEDサブユニット間に位置し、一般的に、n-ドーピングされた層及びp-ドーピングされた層として構成される。一般的に、1つのCGLのn-ドーピングされた層がアノード層にさらに近く位置する。
【0242】
本発明の一実施形態において、前記光電子素子は、アノードとカソードとの間に、2層以上の発光層を含むOLEDである。特に、いわゆるタンデムOLEDは、3層の発光層を含み、ここで、1層の発光層は、赤色光を放出し、1層の発光層は、緑色光を放出し、1層の発光層は、青色光を放出し、選択的に、個々の発光層間に、電荷生成層、電荷阻止層または電荷輸送層のような追加層を含んでもよい。更なる実施形態において、該発光層は、隣接するように積層される。更なる実施形態において、該タンデムOLEDは、それぞれの2層の発光層間に電荷生成層を含む。また、隣接した発光層、または電荷生成層によって分離した発光層が併合されうる。
【0243】
前記基板は、任意の材料、または該材料の組成物によっても形成される。ほとんど、ガラススライドが基板として使用される。代案としては、薄い金属層(例えば、銅、金、銀またはアルミニウムフィルム)、またはプラスチックフィルムやプラスチックスライドが使用されうる。それは、さらに高レベルの柔軟性を許容することができる。アノード層Aは、ほとんど(本質的に)透明なフィルムを得ることができる材料によって構成される。OLEDからの発光を許容するために、二電極のうち少なくとも一つは(本質的に)透明ではなければならないので、アノード層Aまたはカソード層Cのうち一層は透明である。好ましくは、アノード層Aは、透明伝導性酸化物(TCOs)を多量含むか、あるいはそれからなる。そのようなアノード層Aは、例えば、インジウムスズ酸化物、アルミニウム亜鉛酸化物、フッ素ドーピングされたスズ酸化物、インジウム亜鉛酸化物、PbO、SnO、ジルコニウム酸化物、モリブデン酸化物、バナジウム酸化物、タングステン酸化物、黒鉛、ドーピングされたSi、ドーピングされたGe、ドーピングされたGaAs、ドーピングされたポリアニリン、ドーピングされたポリピロール及び/またはドーピングされたポリチオフェンを含むものでもある。
【0244】
アノード層Aは、(本質的に)インジウムスズ酸化物(ITO)(例えば、(InO3)0.9(SnO2)0.1)で構成される。透明伝導性酸化物(TCO)によるアノード層Aの粗さは、正孔注入層(HIL)を使用することによっても緩和される。また、該HILは、TCOから正孔輸送層(HTL)への類似電荷キャリア(すなわち、正孔)の輸送が促進されるという点において、類似電荷キャリアの注入を容易にする。正孔注入層(HIL)は、ポリ-3,4-エチレンジオキシチオフェン(PEDOT)、ポリスチレンスルホン酸(PSS)、MoO2、V2O5、CuPCまたはCuI、特に、PEDOT及びPSSの混合物を含むものでもある。正孔注入層(HIL)は、また、アノード層Aから正孔輸送層(HTL)に金属が拡散することを防止することができる。例えば、該HILは、ポリ-3,4-エチレンジオキシチオフェン:ポリスチレンスルホン酸(PEDOT:PSS)、ポリ-3,4-エチレンジオキシチオフェン(PEDOT)、4,4’,4”-トリス[フェニル(m-トリル)アミノ]トリフェニルアミン(mMTDATA)、2,2’,7,7’-テトラキス(n,n-ジフェニルアミノ)-9,9’-スピロビフルオレン(Spiro-TAD)、N1,N1’-(ビフェニル-4,4’-ジイル)ビス(N1-フェニル-N4,N4-ジ-m-トリルベンゼン-1,4-ジアミン(DNTPD)、N,N’-ニス-(1-ナフタレニル)-N,N’-ビス-フェニル-(1,1’-ビフェニル)-4,4’-ジアミン(NPB)、N,N’-ジフェニル-N,N’-ジ-[4-(N,N-ジフェニルアミノ)フェニル]ベンジジン(NPNPB)、N,N,N’,N’-テトラキス(4-メトキシフェニル)ベンジジン(MeO-TPD)、1,4,5,8,9,11-ヘキサアザトリフェニレン-ヘキサカルボニトリル(HAT-CN)及び/またはN,N’-ジフェニル-N,N’-ビス-(1-ナフチル)-9,9’-スピロビフルオレン-2,7-ジアミン(Spiro-NPD)によっても構成される。
【0245】
アノード層Aまたは正孔注入層(HIL)に隣接し、一般的に正孔輸送層(HTL)が位置する。ここで、任意の正孔輸送化合物が使用されうる。例えば、トリアリールアミン及び/またはカルバゾールのような、電子が豊富なヘテロ芳香族化合物が、正孔輸送化合物としても使用される。該HTLは、アノード層Aと発光層(EML)との間のエネルギー障壁を低減させることができる。該正孔輸送層(HTL)は、また、電子阻止層(EBL)でもある。好ましくは、該正孔輸送化合物は、比較的高いエネルギー準位の三重項状態T1を有する。例えば、正孔輸送層(HTL)は、トリス(4-カルバゾリル-9-イルフェニル)アミン(TCTA)、ポリ(4-ブチルフェニル-ジフェニルアミン)(poly-TPD)、ポリ(4-ブチルフェニル-ジフェニルアミン)(α-NPD)、4,4’-シクロヘキシリデン-ビス[N,N-ビス(4-メチルフェニル)ベンゼンアミン](TAPC)、4,4’,4”-トリス[2-ナフチル(フェニル)-アミノ]トリフェニルアミン(2-TNATA)、Spiro-TAD、DNTPD、NPB、NPNPB、MeO-TPD、HAT-CN及び/または9,9’-ジフェニル-6-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)-9H,9’H-3,3’-ビカルバゾール(TrisPcz)のような星状のヘテロ環を含むものでもある。また、該HTLは、有機正孔輸送マトリックス内の無機または有機ドーパントによっても構成されるp-ドーピングされた層を含むものでもある。該無機ドーパントとしては、例えば、バナジウム酸化物、モリブデン酸化物またはタングステン酸化物のような遷移金属酸化物が使用されうる。該有機ドーパントとしては、例えば、テトラフルオロテトラシアノキノジメタン(F4-TCNQ)、銅-ペンタフルオロ安息香酸(Cu(I)pFBz)または遷移金属錯体が使用されうる。
【0246】
EBLは、例えば、1,3-ビス(カルバゾール-9-イル)ベンゼン(mCP)、TCTA、2-TNATA、3,3-ジ(9H-カルバゾール-9-イル)ビフェニル(mCBP)、tris-Pcz、9-(4-tert-ブチルフェニル)-3,6-ビス(トリフェニルシリル)-9H-カルバゾール(CzSi)及び/または N,N’-ジカルバゾリル-1,4-ジメチルベンゼン(DCB)を含むものでもある。
【0247】
正孔輸送層(HTL)に隣接し、発光層(EML)が一般的に位置する。発光層(EML)は、少なくとも1つの発光分子を含む。特に、該EMLは、本発明による少なくとも1つの発光分子Eを含む。一実施形態において、発光層は、本発明による有機分子のみを含む。一般的に、EMLは、1以上のホスト材料Hをさらに含む。例えば、ホスト材料Hは、4,4’-ビス-(N-カルバゾリル)-ビフェニル(CBP)、mCP、mCBP、ジベンゾ[b,d]チオフェン-2-イルトリフェニルシラン(Sif87)、CzSi、ジベンゾ[b,d]チオフェン-2-イル)ジフェニルシラン(Sif88)、ビス[2-(ジフェニルホスフィノ)フェニル]エーテルオキサイド(DPEPO)、9-[3-(ジベンゾフラン-2-イル)フェニル]-9H-カルバゾール、9-[3-(ジベンゾフラン-2-イル)フェニル]-9H-カルバゾール、9-[3-(ジベンゾチオフェン-2-イル)フェニル]-9H-カルバゾール、9-[3,5-ビス(2-ジベンゾフラニル)フェニル]-9H-カルバゾール、9-[3,5-ビス(2-ジベンゾチオフェニル)フェニル]-9H-カルバゾール、2,4,6-トリス(ビフェニル-3-イル)-1,3,5-トリアジン(T2T)、2,4,6-トリス(トリフェニル-3-イル)-1,3,5-トリアジン(T3T)及び/または2,4,6-トリス(9,9’-スピロビフルオレン-2-イル)-1,3,5-トリアジン(TST)から選択される。ホスト材料Hは、一般的に、前記有機分子の第1三重項(T1)及び第1一重項(S1)エネルギー準位よりエネルギー的にさらに高い、第1三重項(T1)及び第1一重項(S1)エネルギー準位を示すように選択されなければならない。
【0248】
本発明の一実施形態において、EMLは、少なくとも1つの正孔支配ホスト及び1つの電子支配ホストを有する、いわゆる、混合ホストシステムを含む。特定実施形態において、該EMLは、正確に1つの本発明による発光有機分子、電子支配ホストとしてT2T、及び正孔支配ホストとして、CBP、mCP、mCBP、9-[3-(ジベンゾフラン-2-イル)フェニル]-9H-カルバゾール、9-[3-(ジベンゾフラン-2-イル)フェニル]-9H-カルバゾール、9-[3-(ジベンゾチオフェン-2-イル)フェニル]-9H-カルバゾール、9-[3,5-ビス(2-ジベンゾフラニル)フェニル]-9H-カルバゾール及び9-[3,5-ビス(2-ジベンゾチオフェニル)フェニル]-9H-カルバゾールから選択されたホストを含む混合ホストシステムを含む。更なる実施形態において、該EMLは、50~80重量%、好ましくは、60~75重量%のCBP、mCP、mCBP、9-[3-(ジベンゾフラン-2-イル)フェニル]-9H-カルバゾール、9-[3-(ジベンゾフラン-2-イル)フェニル]-9H-カルバゾール、9-[3-(ジベンゾチオフェン-2-イル)フェニル]-9H-カルバゾール、9-[3,5-ビス(2-ジベンゾフラニル)フェニル]-9H-カルバゾール及び9-[3,5-ビス(2-ジベンゾチオフェニル)フェニル]-9H-カルバゾールから選択されたホスト、10~45重量%、好ましくは、15~30重量%のT2T、及び5~40重量%、好ましくは、10~30重量%の本発明による発光分子を含む。
【0249】
発光層(EML)に隣接し、電子輸送層(ETL)が位置しうる。ここで、任意の電子輸送体が使用されうる。例示的には、ベンズイミダゾール、ピリジン、トリアゾール、オキサジアゾール(例えば、1,3,4-オキサジアゾール)、ホスフィンオキシド及びスルホンのような電子不足化合物が使用されうる。該電子輸送体は、また、1,3,5-トリ(1-フェニル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)フェニル(TPBi)のような星状のヘテロ環でもある。該ETLは、2,9-ビス(ナフタレン-2-イル)-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン(NBphen)、アルミニウム-トリス(8-ヒドロキシキノリン)(Alq3)、ジフェニル-4-トリフェニルシリルフェニル-ホスフィンオキシド(TSPO1)、2,7-ジ(2,2’-ビピリジン-5-イル)トリフェニル(BPyTP2)、ジベンゾ[b,d]チオフェン-2-イルトリフェニルシラン(Sif87)、ジベンゾ[b,d]チオフェン-2-イル)ジフェニルシラン(Sif88)、1,3-ビス[3,5-ジ(ピリジン-3-イル)フェニル]ベンゼン(BmPyPhB)及び/または4,4’-ビス-[2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジニル)]-1,1’-ビフェニル(BTB)を含むものでもある。選択的に、該ETLは、Liqのような物質によってもドーピングされる。該電子輸送層(ETL)は、また、正孔を阻止することができる。または、正孔阻止層(HBL)が導入される。
【0250】
HBLは、例えば、2,9-ジメチル-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン=バソクプロイン(BCP)、ビス(8-ヒドロキシ-2-メチルキノリン)-(4-フェニルフェノキシ)アルミニウム(BAlq)、2,9-ビス(ナフタレン-2-イル)-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン(NBphen)、アルミニウム-トリス(8-ヒドロキシキノリン)(Alq3)、ジフェニル-4-トリフェニルシリルフェニル-ホスフィンオキシド(TSPO1)、2,4,6-トリス(ビフェニル-3-イル)-1,3,5-トリアジン(T2T)、2,4,6-トリス(トリフェニル-3-イル)-1,3,5-トリアジン(T3T)、2,4,6-トリス(9,9’-スピロビフルオレン-2-イル)-1,3,5-トリアジン(TST)及び/または1,3,5-トリス(N-カルバゾリル)ベンゾール/1,3,5-トリス(カルバゾール)-9-イル)ベンゼン(TCB/TCP)を含むものでもある。
【0251】
電子輸送層(ETL)に隣接し、カソード層Cが位置しうる。該カソード層Cは、例えば、金属(例えば、Al、Au、Ag、Pt、Cu、Zn、Ni、Fe、Pb、LiF、Ca、Ba、Mg、In、WまたはPd)または金属合金を含むか、あるいはそれからなる。実用的な理由により、該カソード層Cは、Mg、CaまたはAlのような(本質的に)不透明な金属によっても構成される。代案としてまたは追加的に、該カソード層Cは、また、黒鉛及び/または炭素ナノチューブ(CNT)を含むものでもある。代案としては、カソード層Cは、また、ナノスケール銀ワイヤを含むか、あるいはそれから構成される。
【0252】
OLEDは、選択的に、電子輸送層(ETL)とカソード層Cとの間に、保護層(電子注入層(EIL)とも称される)をさらに含んでもよい。該層は、フッ化リチウム、フッ化セシウム、銀、8-ヒドロキシキノリンラトリチウム(Liq)、Li2O、BaF2、MgO及び/またはNaFを含むものでもある。
【0253】
選択的に、電子輸送層(ETL)及び/または正孔阻止層(HBL)は、また、1以上のホスト化合物Hを含むものでもある。
【0254】
発光層EMLの発光スペクトル及び/または吸収スペクトルを追加して修正するために、発光層EMLは、1以上の追加エミッタ分子Fをさらに含んでもよい。そのようなエミッタ分子Fは、当業界に公知された任意のエミッタ分子であってもよい。好ましくは、そのようなエミッタ分子Fは、本発明による分子Eの構造と異なる構造を有する分子である。エミッタ分子Fは、選択的に、TADFエミッタでもある。代案としては、エミッタ分子Fは、選択的に、発光層EMLの発光スペクトル及び/または吸収スペクトルをシフトさせることができる蛍光性及び/またはリン光性のエミッタ分子でもある。例えば、三重項及び/または一重項励起子が、基底状態S0に緩和される前に、本発明による有機エミッタ分子からエミッタ分子Fに伝達され、有機分子によって放出される光と比較し、典型的に、赤色偏移された光を放出することができる。選択的に、エミッタ分子Fは、また二光子効果(すなわち、最大吸収エネルギーの半分である2つの光子の吸収)を誘発することができる。
【0255】
選択的に、光電子素子(例えば、OLED)は、例えば、本質的に、白色光電子素子でもある。例えば、そのような白色光電子素子は、少なくとも1つの(深)青色エミッタ分子、及び緑色光及び/または赤色光を放出する1以上のエミッタ分子を含むものでもある。そして、選択的に、前述のように、2以上の分子間にエネルギー伝達がありうる。
【0256】
本明細書に使用されているように、特定文脈において、さらに具体的に定義されない場合、放出及び/または吸収された光の色相指定は、下記の通りである:
紫色:>380~420nmの波長範囲
深青色:>420~480nmの波長範囲
空色:>480~500nmの波長範囲
緑色:>500~560nmの波長範囲
黄色:>560~580nmの波長範囲
オレンジ色:>580~620nmの波長範囲
赤色:>620~800nmの波長範囲。
【0257】
エミッタ分子と係わり、そのような色相は最大発光を示す。したがって、例えば、深青色エミッタは、>420~480nm範囲で最大発光を有し、空色エミッタは、>480~500nm範囲で最大発光を有し、緑色エミッタは、>500~560nm範囲で最大発光を有し、赤色エミッタは、>620~800nm範囲で最大発光を有する。
【0258】
深青色エミッタは、好ましくは、480nm未満、より好ましくは、470nm未満、より一層好ましくは、465nm未満、またははなはだしくは、460nm未満の最大発光を有することができる。これは、一般的に420nm超過、好ましくは、430nm超過、より好ましくは、440nm超過、またははなはだしくは、450nm超過である。
【0259】
緑色エミッタは、560nm未満、より好ましくは、550nm未満、より一層好ましくは、545nm未満、またははなはだしくは、540nm未満の最大発光を有する。これは、一般的に500nm超過、より好ましくは、510nm超過、より一層好ましくは、515nm超過、またははなはだしくは、520nm超過である。
【0260】
したがって、本発明の更なる側面は、1000cd/m2において、8%超過、好ましくは、10%超過、より好ましくは、13%超過、より一層好ましくは、15%超過、またははなはだしくは、20%超過の外部量子効率を示し、及び/または、420nmないし500nm、好ましくは、430nmないし490nm、より好ましくは、440nmないし480nm、より一層好ましくは、450nmないし470nmの最大発光を示し、及び/または、500cd/m2において、100h超過、好ましくは、200h超過、より好ましくは、400h超過、より一層好ましくは、750h超過、またははなはだしくは、1000h超過のLT80値を示すOLEDに係わるものである。したがって、本発明の更なる側面は、発光が、0.45未満、好ましくは、0.30未満、より好ましくは、0.20未満、より一層好ましくは、0.15未満、またははなはだしくは、0.10未満のCIEy色座標を示すOLEDに係わるものである。
【0261】
本発明の更なる側面は、ITU-R Recommendation BT.2020(Rec.2020)によって定義されているような原色緑色(CIEx=0.170及びCIEy=0.797)のCIEx(=0.170)及びCIEy(=0.797)の色座標に近いCIEx及びCIEyの色座標を有する光を放出するOLEDに係わるものであり、これは、UHDディスプレイ、例えば、UHD-TVに使用するのに適している。当該文脈において、「近い」という用語は、当該段落の末尾に提供されたCIEx及びCIEyの座標の範囲を示す。商業的応用において、典型的に上部発光素子(上部電極が透明である)が使用される一方、本発明の全般にわたって使用されるテスト素子は、下部発光素子(下部電極及び基板が透明である)を示す。したがって、本発明の更なる側面は、発光が、0.15ないし0.45、好ましくは、0.15ないし0.35、より好ましくは、0.15ないし0.30、より一層好ましくは、0.15ないし0.25、またははなはだしくは、0.15ないし0.20のCIEx色座標、及び/または、0.60ないし0.92、好ましくは、0.65ないし0.90、より好ましくは、0.70ないし0.88、より一層好ましくは、0.75ないし0.86、またははなはだしくは、0.79ないし0.84のCIEy色座標を示すOLEDに係わるものである。
【0262】
したがって、本発明の更なる側面は、14500cd/m2において、8%超過、より好ましくは、10%超過、より好ましくは、13%超過、より一層好ましくは、15%超過、またははなはだしくは、17%超過、またははなはだしくは、20%超過の外部量子効率を示し、及び/または、485nmないし560nm、好ましくは、500nmないし560nm、より好ましくは、510nmないし550nm、より一層好ましくは、515nmないし540nmの最大発光を示し、及び/または、14500cd/m2において、100h超過、好ましくは、250h超過、より好ましくは、500h超過、より一層好ましくは、750h超過、またははなはだしくは、1000h超過のLT97値を示すOLEDに係わるものである。
【0263】
本発明の更なる側面は、明確な色点で光を放出するOLEDに係わるものである。本発明によれば、OLEDは、狭い発光帯域(小さいFWHM)を有する光を放出する。一側面において、本発明によるOLEDは、0.25eV未満、好ましくは、0.20eV未満、より好ましくは、0.17eV未満、より一層好ましくは、0.15eV未満、またははなはだしくは、0.13eV未満の主発光ピークのFWHMを有する光を放出する。
【0264】
本発明の更なる実施形態において、前記組成物は、室温で、20%超過、好ましくは、30%超過、より好ましくは、35%超過、より好ましくは、40%超過、より好ましくは、45%超過、より好ましくは、50%超過、より好ましくは、55%超過、より一層好ましくは、60%超過、またははなはだしくは、70%超過のフォトルミネッセンス量子収率(PLQY)を有する。
【0265】
更なる側面において、本発明は、光電子部品の製造方法に係わるものである。この場合、本発明の有機分子が使用される。
【0266】
更なる側面において、本発明は、下記段階を含む、510nmないし550nm、好ましくは、520nmないし540nmの波長範囲の光を発生させる方法に係わるものである:
(i)本発明の有機分子を含む光電子素子を提供する段階、及び
(ii)前記光電子素子に電流を印加する段階。
【0267】
光電子素子、特に、本発明によるOLEDは、任意の手段の気相蒸着及び/または液状工程によっても製造される。したがって、少なくとも1層は、
-昇華工程によって製造されるか、
-有機気相蒸着工程によって製造されるか、
-キャリアガス昇華工程によって製造されるか、
-溶液処理またはプリントされる。
【0268】
本発明による光電子素子、特にOLEDを製造するのに使用される方法は、当業界に公知されている。異なる層は、後続蒸着工程により、適切な基板上に、個々に連続して蒸着される。個々の層は、同一であるか、あるいは異なる蒸着方法を使用して蒸着されうる。
【0269】
例えば、該気相蒸着工程は、熱(共)蒸着、化学的気相蒸着及び物理的気相蒸着を含む。アクティブマトリックスOLEDディスプレイの場合、AMOLEDバックプレーンが基板として使用される。個々の層は、適切な溶媒を使用する溶液または分散液からも処理される。例えば、溶液蒸着工程には、スピンコーティング、ディップコーティング及びジェットプリンティングが含まれる。溶液処理は、選択的に、不活性雰囲気(例えば、窒素雰囲気)において遂行され、該溶媒は、当業界に公知の手段により、完全にまたは部分的に除去される。
【0270】
実施例
一般合成方式I
【0271】
(Z=直接結合に対する例であり、Zが直接結合と異なる場合に対しても下記の合成方式が適用される。)
【0272】
【0273】
合成のための一般手順:
AAV1:
E1(1.00当量)を脱水クロロホルムに溶解させ、N-ブロモスクシンイミド(CAS:128-08-5、1.05当量)を窒素雰囲気下、0℃で少しずつ添加した。混合物を室温で2時間撹拌した後、クロロホルムと水との間で抽出し、合わせた有機層を減圧下で濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィまたは再結晶化によって精製し、E2を固体として得た。
【0274】
AAV2:
E2(1.00当量)、ビス(ピナコラート)ジボロン(CAS:73183-34-3、1.5当量)、[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド(CAS:72287-26-4、0.02当量)及び酢酸カリウム(KOAc;CAS:127-08-2、3.00当量)を脱水ジオキサンにおいて、窒素雰囲気下、95℃で24時間撹拌した。室温(rt)に冷却した後、反応混合物をジクロロメタンと水との間で抽出し、合わせた有機層を減圧下で濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィまたは再結晶化によって精製し、E3を固体として得た。
【0275】
AAV3:
E3(1.00当量)、I-1(1.05当量)、テトラビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(CAS:14221-01-3、0.05当量)及び炭酸カリウム(K2CO3;CAS:584-08-7、2.00当量)をジオキサン/水(10:1体積比)において、窒素雰囲気下、80℃で反応が完了するまで撹拌した(TLC制御)。室温(rt)に冷却した後、反応混合物をエチルアセテートと水との間で抽出し、合わせた有機層を減圧下で濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィまたは再結晶化によって精製し、I-2を固体として得た。
【0276】
AAV4:
I-2(1.00当量)、E5(1.60当量)、トリス(ジベンジリデンアセトン)-ジパラジウム(0)(CAS:51364-51-3、0.02当量)、ナトリウムtert-ブトキシド(NaOtBu、CAS:865-48-5、2.40当量)及びトリ-tert-ブチルホスフィン(Pt-Bu3;CAS:13716-12-6、0.08当量)を脱水ジオキサンにおいて、窒素雰囲気下、95℃で反応が完了するまで撹拌した(TLC制御)。室温(rt)に冷却した後、反応混合物をエチルアセテートと塩水との間で抽出し、合わせた有機層を減圧下で濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィまたは再結晶化によって精製し、E6-2を固体として得た。
【0277】
AAV5:
E6-2(1.00当量)、E4(1.12当量)、トリス(ジベンジリデンアセトン)-ジパラジウム(0)(CAS:51364-51-3、0.015当量)、ナトリウムtert-ブトキシド(NaOtBu、CAS:865-48-5、2.20当量)及びトリ-tert-ブチルホスホニウムテトラフルオロボラート(HP(t-Bu)3BF4;CAS:131274-22-1、0.06当量)を脱水ジオキサンにおいて、窒素雰囲気下、80℃で反応が完了するまで撹拌した(TLC制御)。室温(rt)に冷却した後、反応混合物をエチルアセテートと塩水との間で抽出し、合わせた有機層を減圧下で濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィまたは再結晶化によって精製し、I-3を固体として得た。
【0278】
AAV6:
窒素下、脱水クロロベンゼンにおいて、I-3(1.00当量)をBBr3(4.00当量、CAS:10294-33-4)と-10℃で1時間、室温(rt)で1時間、60℃で5時間反応させた。その後、混合物を室温(rt)に冷却した後、DIPEA(10.0当量、CAS:7087-68-5)を添加した。水を添加し、相を分離し、水性層をエチルアセテートで抽出した。合わせた有機層を水で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィまたは再結晶化によって精製し、化合物P-1を固体として得た。
【0279】
一般合成方式II
【0280】
【0281】
合成のための一般手順:
AAV7:
E4(1.00当量)、E5(1.60当量)、トリス(ジベンジリデンアセトン)-ジパラジウム(0)(CAS:51364-51-3、0.005当量)、ナトリウムtert-ブトキシド(NaOtBu、CAS:865-48-5、2.10当量)及びトリ-tert-ブチルホスホニウムテトラフルオロボラート(HP(t-Bu)3BF4;CAS:131274-22-1、0.02当量)を脱水トルエンにおいて、窒素雰囲気下、60℃で反応が完了するまで撹拌した(TLC制御)。室温(rt)に冷却した後、反応混合物をエチルアセテートと塩水との間で抽出し、合わせた有機層を減圧下で濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィまたは再結晶化によって精製し、E6を固体として得た。
【0282】
AAV8:
I-4(1.15当量)、E6(1.00当量)、トリス(ジベンジリデンアセトン)-ジパラジウム(0)(CAS:51364-51-3、0.02当量)、ナトリウムtert-ブトキシド(NaOtBu、CAS:865-48-5、2.00当量)及びトリ-tert-ブチルホスホニウムテトラフルオロボラート(HP(t-Bu)3BF4;CAS:131274-22-1、0.08当量)を脱水トルエンにおいて、窒素雰囲気下、80℃で反応が完了するまで撹拌した(TLC制御)。室温(rt)に冷却した後、反応混合物をエチルアセテートと塩水との間で抽出し、合わせた有機層を減圧下で濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィまたは再結晶化によって精製し、I-5を固体として得た。
【0283】
AAV9:
E3(1.25当量)、I-5(1.00当量)、トリス(ジベンジリデンアセトン)-ジパラジウム(0)(CAS-No.51364-51-3、0.04当量)、X-Phos(CAS-No.564483-18-7、0.16当量)及びK2CO3(CAS-No.584-08-7、2.50当量)をジオキサン/水(10:1体積比)において、窒素雰囲気下、80℃で反応が完了するまで撹拌した(TLC制御)。室温(rt)に冷却した後、反応混合物をエチルアセテートと水との間で抽出し、合わせた有機層を減圧下で濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィまたは再結晶化によって精製し、I-3を固体として得た。
【0284】
サイクリックボルタンメトリー
サイクリックボルタモグラムは、ジクロロメタン、または適する溶媒、及び適する支持電解質(例:0.1mol/Lのテトラブチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート)において、有機分子の濃度が10-3mol/Lである溶液で測定される。該測定は、3電極アセンブリ(作用電極及び相対電極:Ptワイヤ、基準電極:Ptワイヤ)を使用し、窒素雰囲気において、室温で行い、内部標準として、FeCp2/FeCp2
+を使用して補正する。HOMOデータは、飽和カロメル電極(SCE)に係わる内部標準として、フェロセンを使用して修正された。
【0285】
密度関数理論計算
分子構造は、BP86関数及びRI(Resolution of Identity)アプローチを使用して最適化された。励起エネルギーは、(BP86)最適化された構造を使用して、TD-DFT(Time-Dependent DFT)方法でもって計算される。軌道エネルギー及び励起状態エネルギーは、B3LYP関数により計算される。数値積分のために、Def2-SVP基本セット及びm4-gridが使用される。Turbomoleプログラムパッケージは、全ての計算に使用される。
【0286】
光物理的測定
試料前処理:スピンコーティング
装置:Spin150、SPS euro
試料濃度は、適切な溶媒に溶解された10mg/mlである。
【0287】
プログラム:1)400U/分で3秒、1000U/分で20秒(1000Upm/s)。3)4000U/分で10秒(1000Upm/s)。コーティング後、フィルムを70℃で1分間乾燥させた。
【0288】
吸収測定
Thermo Scientific Evolution 201紫外可視光分光光度計は、270nm超過の波長領域において試料の最大吸収波長を決定するのに使用される。当該波長は、フォトルミネッセンススペクトル及び量子収率の測定のための励起波長として使用される。
【0289】
フォトルミネッセンススペクトル
定常状態発光スペクトルは、150Wのキセノン-Arcランプ、励起及び発光単色計が装着されたModel FluoroMax-4(Horiba Scientific)を使用して記録される。試料はキュベットに入れ、測定する間に窒素で洗い流す。
【0290】
フォトルミネッセンス分光法及び時間相関単一光子計数(TCSPC)
定常状態発光分光法は、150Wのキセノン-Arcランプ、励起及び発光単色計、Hamamatsu R928光電子増倍管及び時間相関単一光子計数オプションが装着されたModel FluoroMax-4(Horiba Scientific)を使用して記録される。標準補正フィット(standard correction fits)を使用し、発光スペクトル及び励起スペクトルを補正する。
【0291】
励起状態寿命は、FM-2013装備及びHoriba Yvon TCSPCハブと共に、TCSPC方法を使用する同一システムを使用して決定される。
【0292】
励起光源:
NanoLED 370(波長:371nm、パルス持続時間:1.1ns)
NanoLED 290(波長:294nm、パルス持続時間:<1ns)
SpectraLED 310(波長:314nm)
SpectraLED 355(波長:355nm)
データ分析(指数フィット)は、ソフトウェア製品群DataStation及びDAS6分析ソフトウェアを使用して行われる。フィット(fit)は、カイ二乗検定(chi-squared-test)を使用して特定される。
【0293】
フォトルミネッセンス量子収率測定
フォトルミネッセンス量子収率(PLQY)測定のために、Absolute PL量子収率測定C9920-03Gシステム(浜松ホトニクス)が使用されている。量子収率及びCIE座標は、ソフトウェアU6039-05バージョン3.6.0を使用して決定された。
【0294】
最大発光は、nmで示され、量子収率Φは、%で示され、CIE座標は、x,y値で示される。
【0295】
PLQYは、次のプロトコルを使用して決定される:
1)品質保証:エタノール中におけるアントラセン(知られた濃度)を基準に使用する。
【0296】
2)励起波長:有機分子の最大吸収が決定され、該波長を使用し、分子が励起される。
【0297】
3)測定
量子収率は、窒素雰囲気において、溶液またはフィルム試料について測定される。収率は、次の方程式を使用して計算される:
【0298】
【0299】
ここで、n光子は、光子数を示し、Intは、強度を示す。
【0300】
光電子素子の製造及び特性化
本発明による有機分子を含む光電子素子、特にOLED素子は、真空蒸着方法によっても製造される。層が1以上の化合物を含む場合、1以上の化合物の重量百分率は%で示される。総重量百分率値は100%であるので、値が指定されていない場合、該化合物の分率は、指定された値と、100%との差と同じである。
【0301】
完全に最適化されていないOLEDは、標準方法を使用してエレクトロルミネセンススペクトルを測定し、光ダイオードによって検出された光及び電流を使用して計算された、強度及び電流に依存する外部量子効率(%)を測定して特性化される。OLED素子の寿命は、一定電流密度で動作する間、輝度の変化から抽出される。LT50値は、測定輝度が、初期輝度の50%に低減した時間に該当し、同様に、LT80は、測定輝度が、初期輝度の80%に低減した時点に該当し、LT95は、測定輝度が、初期輝度の95%に低減した時点に該当する。
【0302】
加速寿命測定が行われる(例:増大した電流密度適用)。例えば、500cd/m2において、LT80値は、次の式を使用して決定される:
【0303】
【0304】
ここで、L0は、印加された電流密度における初期輝度を示す。
【0305】
値は、複数のピクセル(一般的に、2~8個)の平均に該当し、当該ピクセル間の標準偏差が提供される。
【0306】
HPLC-MS
HPLC-MS分析は、MS-検出器(Thermo LTQ XL)があるAgilentのHPLC(1100シリーズ)で行われる。
【0307】
例えば、典型的なHPLC方法は、次の通りである:Agilent(ZORBAX Eclipse Plus 95Å C18、4.6×150mm、3.5μm HPLCカラム)から、逆相カラム4.6mm×150mm、粒子サイズ3.5μmがHPLCに使用される。HPLC-MS測定は、下記の勾配により、室温(rt)で行われる。
【0308】
【0309】
下記の溶媒混合物を使用した:
【0310】
【0311】
0.5mg/mL濃度の分析物溶液から、注入体積5μLを測定のために取る。
【0312】
プローブのイオン化は、陽(APCI+)イオン化モードまたは陰(APCI-)イオン化モードにおいて、APCI(大気圧化学イオン化)ソースを使用して行われる。
【0313】
実施例1
【0314】
【0315】
実施例1を下記によって合成した:
AAV1(収率99%)、ここで、出発物質E1として3,6-ジ-tert-ブチルカルバゾール(CAS-no.37500-95-1)を使用し、
AAV2(収率63%)、
AAV3(収率87%)、ここで、化合物I-1として4-ブロモ-2-クロロジベンゾ[b,d]フラン(CAS-no.2087889-86-7)を使用し、
AAV4(収率47%)、ここで、出発物質E5として3,5-ジ-tert-ブチルアニリン(CAS-no.2380-36-1)を使用し、
AAV5(収率83%)、ここで、出発物質E4として2-ブロモインドロ[3,2,1-jk]カルバゾール(CAS-no.1174032-81-5)を使用し、及び
AAV6(収率49%)。
【0316】
MS(LC-MS、APPIイオンソース):rt:9.20分で897m/z。
【0317】
実施例1(トルエン内の0.001mg/mL)の最大発光は、19nmの半値幅(FWHM)を有する520nmであり、CIEx座標は0.24であり、CIEy座標は0.70である。フォトルミネッセンス量子収率(PLQY)は69%である。
【0318】
実施例1(トルエン内の0.01mg/mL)の最大吸収は513nmであり、最大吸収において吸収係数は39000M-1cm-1である。
【0319】
実施例2
【0320】
【0321】
実施例2を下記によって合成した:
AAV1(収率85%)、ここで、出発物質E1として3,6-ジフェニルカルバゾール(CAS-no.56525-79-2)を使用し、
AAV2(収率54%)、
AAV7(収率38%)、ここで、出発物質E4及びE5として2-ブロモインドロ[3,2,1-jk]カルバゾール(CAS-no.1174032-81-5)及び3,5-ジフェニルアニリン(CAS-no.63006-66-6)を使用し、
AAV8(収率91%)、ここで、化合物I-4として2-ブロモ-4-クロロ-ジベンゾフラン(CAS-no.1960445-63-9)を使用し、
AAV9(収率66%)、及び
AAV6(収率19%)。
【0322】
MS(LC-MS、APPIイオンソース):rt:10.41分で977m/z。
【0323】
実施例2(トルエン内の0.001mg/mL)の最大発光は、19nmの半値幅(FWHM)を有する521nmであり、CIEx座標は0.24であり、CIEy座標は0.69である。フォトルミネッセンス量子収率(PLQY)は80%である。
【0324】
実施例2(トルエン内の0.01mg/mL)の最大吸収は514nmであり、最大吸収において吸収係数は51000M-1cm-1である。
【0325】
実施例3
【0326】
【0327】
実施例3を下記によって合成した:
AAV1(収率85%)、ここで、出発物質E1として3,6-ジフェニルカルバゾール(CAS-no.56525-79-2)を使用し、
AAV2(収率54%)、
AAV3(収率56%)、ここで、化合物I-1として4-ブロモ-2-クロロジベンゾ[b,d]フラン(CAS-no.2087889-86-7)を使用し、
AAV4(収率83%)、ここで、出発物質E5として3,5-ジ-tert-ブチルアニリン(CAS-no.2380-36-1)を使用し、
AAV5(収率68%)、ここで、化合物E4として2-ブロモインドロ[3,2,1-jk]カルバゾール(CAS-no.1174032-81-5)を使用し、及び
AAV6(収率32%)。
【0328】
MS(LC-MS、APCIイオンソース):rt:8.72分で937m/z。
【0329】
実施例3(トルエン内の0.001mg/mL)の最大発光は、19nmの半値幅(FWHM)を有する524nmであり、CIEx座標は0.26であり、CIEy座標は0.70である。フォトルミネッセンス量子収率(PLQY)は80%である。
【0330】
実施例3(トルエン内の0.01mg/mL)の最大吸収は517nmであり、最大吸収において吸収係数は49000M-1cm-1である。
【0331】
実施例4
【0332】
【0333】
実施例4を下記によって合成した:
AAV1(収率99%)、ここで、出発物質E1として3,6-ジ-tert-ブチルカルバゾール(CAS-no.37500-95-1)を使用し、
AAV2(収率63%)、
AAV3(収率16%)、ここで、化合物I-1として1-ブロモ-3-クロロジベンゾ[b,d]フラン(CAS-no.2043962-13-4)を使用し、
AAV7(収率73%)、ここで、出発物質E4及びE5として2-ブロモインドロ[3,2,1-jk]カルバゾール(CAS-no.1174032-81-5)及び3,5-ジ-tert-ブチルアニリン(CAS-no.2380-36-1)を使用し、
AAV8(収率28%)、及び
AAV6(収率52%)。
【0334】
MS(LC-MS、APCIイオンソース):rt:9.31分で897m/z。
【0335】
実施例4(トルエン内の0.001mg/mL)の最大発光は、24nmの半値幅(FWHM)を有する509nmであり、CIEx座標は0.19であり、CIEy座標は0.65である。フォトルミネッセンス量子収率(PLQY)は55%である。
【0336】
実施例4(トルエン内の0.01mg/mL)の最大吸収は499nmであり、最大吸収において吸収係数は30000M-1cm-1である。
【0337】
実施例 OLED素子D1
スタック物質
【0338】
【0339】
実施例2は、下記のような層構造で作製されたOLED D1でテストされた:
【0340】
【0341】
OLED D1は、1000cd/m2において外部量子効率(EQE)が20.4%を示した。最大発光は、5.2Vで28nmのFWHMを有する532nmである。対応するCIEx値は0.32であり、CIEy値は0.65である。
【0342】
【国際調査報告】