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特表2024-546938マルチサブユニットサイトカインを含む二重サイトカイン融合タンパク質
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】マルチサブユニットサイトカインを含む二重サイトカイン融合タンパク質
(51)【国際特許分類】
   C07K 19/00 20060101AFI20241219BHJP
   C07K 16/00 20060101ALI20241219BHJP
   C07K 14/52 20060101ALI20241219BHJP
   A61K 38/19 20060101ALI20241219BHJP
   A61K 47/64 20170101ALI20241219BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20241219BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20241219BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20241219BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20241219BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20241219BHJP
   A61P 17/06 20060101ALI20241219BHJP
   A61K 38/20 20060101ALI20241219BHJP
   A61K 38/21 20060101ALI20241219BHJP
   C12N 15/13 20060101ALN20241219BHJP
   C12N 15/62 20060101ALN20241219BHJP
   C12N 15/19 20060101ALN20241219BHJP
【FI】
C07K19/00 ZNA
C07K16/00
C07K14/52
A61K38/19
A61K47/64
A61K39/395 Y
A61P35/00
A61P29/00
A61P31/04
A61P1/04
A61P17/06
A61K38/20
A61K38/21
C12N15/13
C12N15/62 Z
C12N15/19
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024535875
(86)(22)【出願日】2022-12-13
(85)【翻訳文提出日】2024-08-09
(86)【国際出願番号】 US2022081460
(87)【国際公開番号】W WO2023114775
(87)【国際公開日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】63/265,339
(32)【優先日】2021-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/320,750
(32)【優先日】2022-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/328,990
(32)【優先日】2022-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524225730
【氏名又は名称】デカ バイオサイエンシーズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】マム, ジョン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA95
4C076CC04
4C076CC07
4C076CC10
4C076CC16
4C076CC27
4C076CC32
4C076CC41
4C076EE41
4C076EE59
4C084AA02
4C084BA41
4C084CA53
4C084DA01
4C084DA12
4C084DA14
4C084DA15
4C084DA16
4C084DA18
4C084DA22
4C084DA24
4C084DA25
4C084NA13
4C084NA14
4C084ZA66
4C084ZB11
4C084ZB26
4C084ZB35
4C085AA14
4C085AA25
4C085BB11
4C085DD62
4C085EE01
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA41
4H045CA40
4H045DA02
4H045DA15
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
本出願は、単鎖可変断片足場系に融合したアルファおよびベータマルチサブユニットサイトカイン(IL-12またはIL-27など)および第2のサイトカインを含み、ここで、前述の第2のサイトカインがscFvのヒンジ領域中に連結されている二重サイトカイン融合タンパク質の組成物、医薬組成物、および/またはその製剤に関する。また、本出願は、癌、炎症性疾患または障害、ならびに免疫および免疫媒介性の疾患または障害を処置するために二重サイトカイン融合タンパク質の組成物を使用する方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モノクローナル抗体の一本鎖可変領域(scFv)または抗原結合断片に融合された第1のサイトカインの少なくとも第1および第2の単量体サブユニットであって、ここで、各々の単量体サブユニットが、融合タンパク質の末端に融合されている、少なくとも第1および第2の単量体サブユニット;ならびに第2のサイトカインであって、前記第2のサイトカインが、前記scFvまたは抗原結合断片のVH領域とVL領域との間に融合されている、第2のサイトカインを含む、二重サイトカイン融合タンパク質。
【請求項2】
前記第1のサイトカインが、IL-12またはIL-27である、請求項1に記載の二重サイトカイン融合タンパク質。
【請求項3】
前記第1の単量体サブユニットがp35サブユニットであり、前記第2の単量体サブユニットがp40サブユニットである、請求項1に記載の二重サイトカインタンパク質。
【請求項4】
前記第1の単量体サブユニットが配列番号1、17、19であり、前記第2の単量体サブユニットが配列番号3、18、20である、請求項1に記載の二重サイトカインタンパク質。
【請求項5】
前記第1の単量体サブユニットがp28サブユニットであり、前記第2の単量体サブユニットがEBI3サブユニットである、請求項1に記載の二重サイトカインタンパク質。
【請求項6】
前記第1の単量体サブユニットが配列番号5であり、前記第2の単量体サブユニットが配列番号7である、請求項1に記載の二重サイトカインタンパク質。
【請求項7】
式(Ia)または(Ib):
NH-(R)-(X)-(Z)-(X)-(R)-COOH(式Ia);
NH-(R)-(X)-(Z)-(X)-(R)-COOH(式Ib)
(式中、
「R」が、配列番号1、17、19、または5から選択される第1のサイトカイン配列のアルファサブユニットであり;
「R」が、配列番号3、18、20、または7から選択される第1のサイトカイン配列のベータサブユニットであり;
ここで、Rが配列番号1 17、または19であるとき、Rは配列番号3、18、20であり、あるいは、Rが配列番号5であるとき、Rは配列番号7であり;
「X」が、第1のモノクローナル抗体から得たVL領域またはVH領域であり;
「X」が、前記第1のモノクローナル抗体から得たVH領域またはVL領域であり;
ここで、XがVLであるとき、XはVHであり、あるいは、XがVHであるとき、XはVLであり、
「Z」がサイトカインであり;
「n」が0~2から選択される整数である)の二重サイトカイン融合タンパク質。
【請求項8】
およびXが、上皮増殖因子受容体(EGFR);CD14;CD52;多様な免疫チェックポイント標的(PD-L1、PD-1、TIM3、BTLA、LAG3、またはCTLA4などであるが、これらに限定されない);CD20;CD47;GD-2;VEGFR1、VEGFR2;HER2;PDGFR;EpCAM;ICAM(ICAM-1、-2、-3、-4、-5)、VCAM、FAPα;5T4;Trop2;EDB-FN;TGFβ Trap;MAdCAM、β7インテグリンサブユニット;α4β7インテグリン;α4インテグリンSR-A1;SR-A3;SR-A4;SR-A5;SR-A6;SR-B;dSR-C1;SR-D1;SR-E1;SR-F1;SR-F2;SR-G;SR-H1;SR-H2;SR-I1;SR-J1;HIV、またはエボラに特異的な前記第1のモノクローナル抗体から得られる、請求項7に記載の二重サイトカイン融合タンパク質。
【請求項9】
前記VLおよびVHが、抗HIV抗体または抗エボラ抗体である前記第1のモノクローナル抗体から得られる、請求項7に記載の二重サイトカイン融合タンパク質。
【請求項10】
前記抗HIVモノクローナル抗体または抗エボラモノクローナル抗体由来の前記VLおよびVHが、第2の抗体由来の6つのCDRを用いてグラフティングされた(置換された)6つのCDRを含む、請求項9に記載の二重サイトカイン融合タンパク質。
【請求項11】
前記第2の抗体が、上皮増殖因子受容体(EGFR);CD14;CD52;多様な免疫チェックポイント標的(PD-L1、PD-1、TIM3、BTLA、LAG3、またはCTLA4などであるが、これらに限定されない);CD20;CD47;GD-2;VEGFR1;VEGFR2;HER2;PDGFR;EpCAM;ICAM(ICAM-1、-2、-3、-4、-5)、VCAM、FAPα;5T4;Trop2;EDB-FN;TGFβ Trap;MAdCAM、β7インテグリンサブユニット;α4β7インテグリン;α4インテグリンSR-A1;SR-A3;SR-A4;SR-A5;SR-A6;SR-B;dSR-C1;SR-D1;SR-E1;SR-F1;SR-F2;SR-G;SR-H1;SR-H2;SR-I1;またはSR-J1から選択されるモノクローナル抗体である、請求項10に記載の二重サイトカイン融合タンパク質。
【請求項12】
前記第2のモノクローナル抗体由来の前記6つのグラフティングされたCDRが、抗EGFR抗体、抗HER2抗体、抗VEGFR1抗体、または抗VEGFR2抗体由来の6つのCDRを含み、ここで、前記6つのCDRが、前記VL由来のCDR1~3およびVH由来のCDR1~3を含む、請求項10に記載の二重サイトカイン融合タンパク質。
【請求項13】
Zが、IL-6、IL-4、IL-1、IL-2、IL-3、IL-5、IL-7、IL-8、IL-9、IL-15、IL-21、IL-26、IL-28、IL-29、GM-CSF、G-CSF、インターフェロン-α、-β、-γ、TGF-β、または腫瘍壊死因子-α、-β、塩基性FGF、EGF、PDGF、IL-4、IL-11、またはIL-13から選択されるサイトカインである、請求項7に記載の二重サイトカイン融合タンパク質。
【請求項14】
Zがインターフェロン-α、IL-28、またはIL-29である、請求項7に記載の二重サイトカイン融合タンパク質。
【請求項15】
Zが整数1である、請求項7に記載の二重サイトカイン融合タンパク質。
【請求項16】
、X、Z、X、およびRの各々の間にリンカーをさらに含む、請求項7に記載の二重サイトカイン融合タンパク質。
【請求項17】
IL-12を含む二重サイトカイン融合タンパク質であって、前記融合タンパク質が、式(IIa)または(IIb)
NH-(p35)-(L)-(X)-(L)-(Z)-(L)-(X)-(L)-(p40)-COOH(式IIa);
NH-(p40)-(L)-(X)-(L)-(Z)-(L)-(X)-(L)-(p35)-COOH(式IIb);
(式中、
「p35」が、配列番号1、17、または19の配列であり;
「p40」が、配列番号3、18、または20の配列であり;
「L」がリンカーであり;
「X」が、第1のモノクローナル抗体から得たVL領域またはVH領域であり;
「X」が、前記第1のモノクローナル抗体から得たVH領域またはVL領域であり;
ここで、XがVLであるとき、XはVHであり、あるいは、XがVHであるとき、XはVLであり;
「Z」が、IL-6、IL-4、IL-1、IL-2、IL-3、IL-5、IL-7、IL-8、IL-9、IL-15、IL-21、IL-26、IL-27、IL-28、IL-29、GM-CSF、G-CSF、インターフェロン-α、-β、-γ、TGF-β、または腫瘍壊死因子-α、-β、塩基性FGF、EGF、PDGF、IL-4、IL-11、またはIL-13から選択されるサイトカインであり;
「n」が0~2から選択される整数である)である、IL-12を含む二重サイトカイン融合タンパク質。
【請求項18】
前記VLおよびVHが、上皮増殖因子受容体(EGFR);CD14;CD52;多様な免疫チェックポイント標的(PD-L1、PD-1、TIM3、BTLA、LAG3、またはCTLA4などであるが、これらに限定されない);CD20;CD47;GD-2;VEGFR1;VEGFR2;HER2;PDGFR;EpCAM;ICAM(ICAM-1、-2、-3、-4、-5)、VCAM、FAPα;5T4;Trop2;EDB-FN;TGFβ Trap;MAdCAM、β7インテグリンサブユニット;α4β7インテグリン;α4インテグリンSR-A1;SR-A3;SR-A4;SR-A5;SR-A6;SR-B;dSR-C1;SR-D1;SR-E1;SR-F1;SR-F2;SR-G;SR-H1;SR-H2;SR-I1;SR-J1;HIV、またはエボラに特異的な第1の抗体から得られる、請求項17に記載のIL-12融合タンパク質。
【請求項19】
前記VLおよびVHが、HIVまたはエボラに特異的な前記第1の抗体から得られる、請求項18に記載のIL-12融合タンパク質。
【請求項20】
前記抗HIVまたは抗エボラ由来の前記VLおよびVHが、第2の抗体由来の6つのCDRを用いてグラフティングされた(置換された)6つのCDRを含む、請求項19に記載のIL-12融合タンパク質。
【請求項21】
前記第2の抗体が、上皮増殖因子受容体(EGFR);CD14;CD52;多様な免疫チェックポイント標的(PD-L1、PD-1、TIM3、BTLA、LAG3、またはCTLA4などであるが、これらに限定されない);CD20;CD47;GD-2;VEGFR1;VEGFR2;HER2;PDGFR;EpCAM;ICAM(ICAM-1、-2、-3、-4、-5)、VCAM、FAPα;5T4;Trop2;EDB-FN;TGFβ Trap;MAdCAM、β7インテグリンサブユニット;α4β7インテグリン;α4インテグリンSR-A1;SR-A3;SR-A4;SR-A5;SR-A6;SR-B;dSR-C1;SR-D1;SR-E1;SR-F1;SR-F2;SR-G;SR-H1;SR-H2;SR-I1;またはSR-J1から選択される抗体である、請求項20に記載のIL-12融合タンパク質。
【請求項22】
前記第2の抗体由来の前記6つのグラフティングされたCDRが、抗EGFR抗体、抗VEGFR1抗体もしくはVEGFR2抗体、抗HER2抗体、または抗(ant-)CD14抗体から選択される抗体由来の6つのCDRを含み、ここで、前記6つのCDRが、前記VL由来のCDR1~3およびVH由来のCDR1~3を含む、請求項20に記載のIL-12融合タンパク質。
【請求項23】
IL-27を含む二重サイトカイン融合タンパク質であって、前記融合タンパク質が、式(IIIa)または(IIIb)
NH-(p28)-(L)-(X)-(L)-(Z)-(L)-(X)-(L)-(EBI3)-COOH(式IIIa);
NH-(EBI3)-(L)-(X)-(L)-(Z)-(L)-(X)-(L)-(p28)-COOH(式IIIb);
(式中、
「p28」が、配列番号5の配列であり;
「EBI3」が、配列番号7の配列であり;
「L」がリンカーであり;
「X」が、第1のモノクローナル抗体から得たVL領域またはVH領域であり;
「X」が、前記第1のモノクローナル抗体から得たVH領域またはVL領域であり;
ここで、XがVLであるとき、XはVHであり、あるいは、XがVHであるとき、XはVLであり;
「Z」が、IL-6、IL-4、IL-1、IL-2、IL-3、IL-5、IL-7、IL-8、IL-9、IL-15、IL-21、IL-26、IL-28、IL-29、GM-CSF、G-CSF、インターフェロン-α、-β、-γ、TGF-β、または腫瘍壊死因子-α、-β、塩基性FGF、EGF、PDGF、IL-4、IL-11、またはIL-13から選択されるサイトカインであり;
「n」が0~2から選択される整数である)である、IL-27を含む二重サイトカイン融合タンパク質。
【請求項24】
前記VLおよびVHが、上皮増殖因子受容体(EGFR);CD14;CD52;多様な免疫チェックポイント標的(PD-L1、PD-1、TIM3、BTLA、LAG3、またはCTLA4などであるが、これらに限定されない);CD20;CD47;GD-2;VEGFR1;VEGFR2;HER2;PDGFR;EpCAM;ICAM(ICAM-1、-2、-3、-4、-5)、VCAM、FAPα;5T4;Trop2;EDB-FN;TGFβ Trap;MAdCAM、β7インテグリンサブユニット;α4β7インテグリン;α4インテグリンSR-A1;SR-A3;SR-A4;SR-A5;SR-A6;SR-B;dSR-C1;SR-D1;SR-E1;SR-F1;SR-F2;SR-G;SR-H1;SR-H2;SR-I1;SR-J1;HIV、またはエボラに特異的な第1の抗体から得られる、請求項23に記載のIL-27融合タンパク質。
【請求項25】
前記VLおよびVHが、HIVまたはエボラに特異的な前記第1の抗体から得られる、請求項24に記載のIL-27融合タンパク質。
【請求項26】
前記抗HIVまたは抗エボラ由来の前記VLおよびVHが、第2の抗体由来の6つのCDRを用いてグラフティングされた(置換された)6つのCDRを含む、請求項25に記載のIL-27融合タンパク質。
【請求項27】
前記第2の抗体が、上皮増殖因子受容体(EGFR);CD14;CD52;多様な免疫チェックポイント標的(PD-L1、PD-1、TIM3、BTLA、LAG3、またはCTLA4などであるが、これらに限定されない);CD20;CD47;GD-2;VEGFR1;VEGFR2;HER2;PDGFR;EpCAM;ICAM(ICAM-1、-2、-3、-4、-5)、VCAM、FAPα;5T4;Trop2;EDB-FN;TGFβ Trap;MAdCAM、β7インテグリンサブユニット;α4β7インテグリン;α4インテグリンSR-A1;SR-A3;SR-A4;SR-A5;SR-A6;SR-B;dSR-C1;SR-D1;SR-E1;SR-F1;SR-F2;SR-G;SR-H1;SR-H2;SR-I1;またはSR-J1から選択される抗体である、請求項26に記載のIL-27融合タンパク質。
【請求項28】
前記第2の抗体由来の前記6つのグラフティングされたCDRが、抗EGFR抗体、抗VEGFR1抗体もしくはVEGFR2抗体、抗HER2抗体、または抗(ant-)CD14抗体由来の6つのCDRを含み、ここで、前記6つのCDRが、前記VL由来のCDR1~3およびVH由来のCDR1~3を含む、請求項27に記載のIL-27融合タンパク質。
【請求項29】
癌を処置する方法であって、有効量の請求項1、2、または7に記載の融合タンパク質を、前記処置を必要とする被験体に投与することを含む、方法。
【請求項30】
前記融合タンパク質が、抗HIVまたは抗エボラから選択される第1の抗体由来のVL領域およびVH領域を含み、前記第1の抗体の6つのCDR領域が、抗EGFR抗体、抗HER2抗体、抗VEGFR1抗体、または抗VEGFR2抗体、または抗CD14から選択される第2の抗体由来の6つのCDR領域を用いてグラフティングされている、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記第1の抗体が抗エボラ抗体であり、前記第2の抗体が抗EGFR抗体、抗HER2抗体、抗VEGFR1抗体、抗VEGFR2抗体、または抗CD14抗体から選択される、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記第1のサイトカインが、IL-12またはIL-27である、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
前記サイトカインまたは「Z」がIL-12である、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
「Z」についての値「n」が1である、請求項24に記載の方法。
【請求項35】
前記融合タンパク質を0.01ng/ml~100ng/mlで投与する、請求項21に記載の方法。
【請求項36】
前記融合タンパク質を0.01ng/ml~10ng/mlで投与する、請求項21に記載の方法。
【請求項37】
炎症性疾患を処置する方法であって、有効量の請求項1、2、または7に記載の融合タンパク質を、前記処置を必要とする被験体に投与することを含む、方法。
【請求項38】
前記融合タンパク質が、抗HIVまたは抗エボラから選択される第1の抗体由来のVL領域およびVH領域を含み、前記第1の抗体の6つのCDR領域が、抗HER2抗体、抗VEGFR1、抗VEGFR2、抗EGFR抗体、または抗CD14抗体由来の6つのCDR領域を用いてグラフティングされている、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
「Z」についての値「n」が1である、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
前記融合タンパク質を0.01ng/ml~100ng/mlで投与する、請求項37に記載の方法。
【請求項41】
前記炎症性疾患が、敗血症、クローン病、関節リウマチ、乾癬、および/または炎症性腸疾患(IBD)である、請求項37に記載の方法。
【請求項42】
敗血症、敗血症性ショック、および/またはこれらに関連する徴候を処置する方法であって、有効量の請求項1、2、または7に記載の融合タンパク質を、前記処置を必要とする被験体に投与することを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2021年12月13日出願の米国仮出願第63/265,339号(その内容全体が本明細書中で参考として援用される)に基づく優先権の利益を主張する。
【0002】
電子配列表の参照
電子配列表(039451-00083_Sequence-Listing.xml;サイズ:76,662バイト;および作成日:2022年12月13日)の内容は、その全体が本明細書中で参考として援用される。
【0003】
発明の分野
本開示は、生物工学分野、より具体的には、インターロイキン-12(「IL-12」)もしくはインターロイキン-IL-27を他の炎症性サイトカインおよび免疫調節サイトカインと組み合わせて含む新規の二重サイトカイン融合タンパク質、炎症性および免疫の疾患もしくは症状を処置する方法、ならびに/または癌を処置する方法に関する。
【0004】
序論
IL-12は、70kDaヘテロ二量体サイトカインであり、典型的なTヘルパー1(Th1)偏向サイトカインである(Mossman,1989;Athie-Morales,2004)。IL-12は、CD8+T細胞(Henry,2008;Vacaflores,2017;Chowdhury,2011)、NK細胞(Martinovic,2015;Parihar,2002;Zhang,2008)、CD4+T細胞(Yoo,2002;Vacaflores1,2016)、および単球(ある程度)(Coma,2006)を活性させることによって強力な抗腫瘍免疫を発揮する。したがって、IL-12は、主に抗原特異的T細胞活性化を増強する一方で、部分的にはNK細胞および単球の両方を中程度に刺激することによって先天性免疫系への橋渡しをする。
【0005】
インターフェロン-アルファ(IFNα-2a)は、樹状細胞の成熟を直接誘導し(Simmons,2012;Gessani,2014;Padovan,2002)、CD8+T細胞の細胞傷害機能を増強する(Hiroishi,2000;Kolumam,2005;Lu,2019)単量体のI型インターフェロンである。したがって、IFNα-2aは、適応免疫応答に対するより限定的な効果と比較して、先天性免疫系に対してより高い機能を示す。
【0006】
IL-12の抗腫瘍効果は、前臨床試験および臨床試験で評価されており(Brunda,1993;Atkins,1997)、有毒であるために、腫瘍内に直接注射して評価されており、臨床投与より優れていることが見出された(Herpen,2004;Li S.,2005;Sabel,2004)。
【0007】
同様に、IFNα-2aは、前臨床試験で評価されており、PEG化されたものが臨床試験で評価されており(Lyrdal,2009;Sunela,2009;Medrano,2017)、いくつかの癌における使用が承認されている(How,2020)。
【0008】
したがって、頑強な抗腫瘍機能を駆動するために抗腫瘍免疫応答のプライミング(Nemunaitis,2005)とCD8+細胞、CD4+細胞、およびNK細胞の刺激との両方が必要であることを考慮すると、本発明者らは、IFNα-2aおよびIL-12の両方を、腫瘍微小環境中にこれら2つのサイトカインをターゲティングするためにターゲティング二重サイトカイン足場系(同時係属中の米国特許出願第17/110,104号に一般的に記載された「Diakine(商標)」(「DK」)として公知)上に組み合わせることにより、機能的な抗原提示細胞へのM2単球の分化の誘導によるin situプライミングが増強され(Vidyarthi,2018)、T細胞およびNK細胞の機能が増強されることを見出した。これら2つのサイトカインの組み合わせは、適応免疫系と先天性免疫系との間の刺激の橋渡しをする。
【0009】
インターロイキン10(IL-10)は、インターフェロンg(IFNg)と構造が類似する非共有結合性のホモ二量体サイトカインである。IL-10受容体は、2分子のIL10受容体1(IL10R1)および2分子のIL-10受容体2(IL10R2)からなる(Moore,2001)。IL-10受容体は、ほとんどの造血細胞の表面上に発現され、マクロファージおよびT細胞上で高発現する。
【0010】
IL-10は、免疫抑制性サイトカイン(Schreiber,2000)および免疫賦活性サイトカイン(Mumm,2011)の両方であることが報告されており、クローン病患者を処置するためのIL-10の臨床評価では逆の用量応答が示されており(Fedorak,2000;Schreiber,2000)、それに対して、PEG化IL-10を用いた癌患者の処置では用量滴定可能な強力な抗腫瘍応答を示した(Naing,2018)。
【0011】
IL-10は、NK細胞およびCD4+T細胞の両方によって分泌されたIL-2によって駆動されるIFNg産生を抑制することが報告されているが(Scott,2006)、IL-2誘導性のCD8+T細胞増殖の補因子として作用することも報告されている(Groux,1998)。
【0012】
また、本発明者らは、IL-10およびIL-12の両方を、腫瘍微小環境中にこれら2つのサイトカインをターゲティングするためにターゲティングDKサイトカイン足場系上に組み合わせることにより、NK細胞およびT細胞の機能が増強されることを見出した。
【0013】
IL-27は、IL-12ファミリーのメンバーであり、2つのサブユニット(p28およびエプスタイン・バーウイルス誘導性遺伝子3(「EIB3」))から構成されるヘテロ二量体サイトカインである。Il-27は、IL-10を誘導することが公知である。IL-28は、CD8+T細胞を刺激するIFNα-2a放出を誘発する3型インターフェロンである。IL-28は、2つのイソ型(IL-28AおよびIL-28B)を含む。IL-29は、IL-28と配列が相同であり、先天性免疫応答および適応免疫応答の両方に関与する3型インターフェロンでもある。
【0014】
また、本発明者らは、他のサイトカインの組み合わせ(IL-12のインターロイキン-28(IL-28)またはインターロイキン(interleuking)-29(IL-29)との組み合わせ、インターロイキン-27(IL-27)のIFNα-2a、IL-28、またはIL-29との組み合わせを含むが、これらに限定されない)を、本明細書中に記載の二重サイトカイン足場系中に組み込み得ることを見出した(例えば、図1を参照のこと)。簡潔に述べれば、二重サイトカイン足場系は、マルチサブユニットサイトカイン(例えば、IL-12、IL-27を含むが、これらに限定されない)を、第2のサイトカイン(例えば、IL-2、IL-4、IFNa-2a、IL-10)と組み合わせたヒト抗HIVまたはヒト抗エボラモノクローナル抗体の抗原結合ドメインまたは一本鎖可変領域(scFv)を含む足場系の末端に融合させることが可能であり、ここで、第2のサイトカインは、抗原結合ドメインまたはscFvのヒンジ領域中に融合されている。
【0015】
また、本発明者らは、二重サイトカイン足場系が、マルチサブユニットサイトカイン(例えば、IL-12、IL-27)を、単量体サイトカイン(例えば、IFN-α、IL-28、IL-29)または別のマルチサブユニットサイトカイン(例えば、IL-10、IL-12、IL-27)と組み合わせたヒト抗HIVまたはヒト抗エボラモノクローナル抗体の抗原結合ドメインまたはscFvを含む足場系の末端に融合させることが可能であることを見出した。
米国特許第10,858,412号に以前に記載のように、非免疫原性重鎖可変(「VH」)領域および軽鎖可変(「VL」)領域を含む足場系は、適切に折りたたまれ、機能活性を保持している半減期が延長されたIL-10を産生した。足場系中へのIL-10の組み込みは、炎症細胞(例えば、単球/マクロファージ/樹状細胞)および免疫細胞(例えば、CD8T細胞)の両方においてIL-10機能を増強した。米国特許出願第16/811,718号(その全体が参考として援用される)として2020年3月6日出願の米国特許第10,858,412号を参照のこと。本出願は、以前に発見されたIL-10ベースの二重サイトカイン足場系を、IL-10の代わりとして他のマルチサブユニットベースのサイトカイン(例えば、ほんの数例を挙げれば、IL-12、IL-27)で置換し、新規の融合タンパク質中に第2のサイトカインをさらに組み込むによって、炎症性疾患、免疫疾患、および/または癌を処置するためにマルチサブユニットサイトカイン(例えば、IL-12またはIL-27)の生物学をさらにまたは相乗的に増強するという改良を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】米国特許第10,858,412号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0017】
発明の種々の態様の要旨
本開示は、一般に、二重サイトカイン融合タンパク質に関する。
【0018】
したがって、第1の態様では、本開示は、マルチサブユニットサイトカイン(IL-10、IL-12、またはIL-27およびこれらのバリアントなどであるが、これらに限定されない)である第1のサイトカインであって、前述のサブユニットの各々が、モノクローナル抗体から得たscFvまたは抗原結合断片の重鎖可変領域(「VH」)または軽鎖可変(「VL」)領域のいずれかに融合されている、第1のサイトカイン、および第2のサイトカインであって、ここで、前述の第2のサイトカインが、前述のscFvまたは抗原結合断片のVH領域とVL領域との間に連結されている、第2のサイトカインを含む二重サイトカイン融合タンパク質に関する。ある特定の実施形態では、第1のサイトカインは、IL-10、IL-12、またはIL-27の機能を増強する1またはそれを超えるアミノ酸置換(複数可)を含む任意のマルチサブユニットサイトカイン(IL-10、IL-12、もしくはIL-27、またはこれらの機能的なバリアントなどであるが、これらに限定されない)である。第1および第2のサイトカインがscFvまたは抗原結合断片のVH領域およびVL領域によって特異的抗原を標的にするときに相加効果または相乗効果があるように、融合タンパク質はマルチサブユニットサイトカイン(例えば、IL-10、IL-12、またはIL-27)と連携するサイトカインである第2のサイトカインをさらに含む。これらの第2のサイトカインは、任意のサイトカインであってよく、特に、IL-6、IL-4、IL-1、IL-2、IL-3、IL-5、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-15、IL-21 IL-26、IL-27、IL-28、IL-29、GM-CSF、G-CSF、インターフェロン-α、-β、-γ、TGF-β、または腫瘍壊死因子-α、-β、塩基性FGF、EGF、PDGF、IL-4、IL-11、またはIL-13を含む。また、二重サイトカイン融合タンパク質は、scFvの相補決定領域(「CDR」)の、二重サイトカイン融合タンパク質を標的抗原に指向する任意のターゲティング抗体由来のCDRを用いたグラフティングまたは置換を含み得る。
【0019】
さらに別の態様では、本開示は、式(Ia)または(Ib):
NH-(R)-(X)-(Z)-(X)-(R)-COOH(式Ia);
NH-(R)-(X)-(Z)-(X)-(R)-COOH(式Ib);
(式中、
「R」が、任意のマルチサブユニットの第1のサイトカイン由来のアルファサブユニット、好ましくは、IL-12-アルファサブユニット(p35)またはIL-27アルファサブユニット(p28)のいずれか、より好ましくは配列番号1または5または17または19のサブユニットであり;
「R」が、任意のマルチサブユニットの第1のサイトカイン由来のベータサブユニット、好ましくは、IL-12-ベータサブユニット(p40)またはIL-27ベータサブユニット(EBI3)のいずれか、より好ましくは配列番号3または7または18または20のサブユニットであり;
ここで、Rが第1のサイトカインのアルファサブユニットであるとき、Rは前述の第1のサイトカインのベータサブユニットであり;あるいはRがp35であるとき、Rはp40であり;あるいはRがp28であるとき、RはEBI3であり;あるいはRが配列番号1、17、または19であるとき、Rは配列番号3、18、または20であり;あるいはRが配列番号5であるとき、Rは配列番号7であり;
「X」が、第1のモノクローナル抗体から得たVL領域またはVH領域であり;「X」が、前述の第1のモノクローナル抗体から得たVH領域またはVL領域であり;ここで、XがVLであるとき、XはVHであり、あるいは、XがVHであるとき、XはVLであり;
「Z」が、前述のマルチサブユニットサイトカインの生物学的機能を増強する任意のサイトカイン、好ましくはIFNα-2a、IL-28、IL-29であり;そして
「n」が0~2から選択される整数である)の二重サイトカイン融合タンパク質に関する。
1つの実施形態では、VHおよびVLは、ヒト抗エボラ抗体から得たscFvの形態である。別の実施形態では、ヒト抗エボラ抗体から得たscFvの6つのCDR(VH由来のCDR1~3およびVL由来のCDR1~3)は、二重サイトカイン融合タンパク質が特異的標的(酵素、受容体、細胞外タンパク質、または細胞内タンパク質、例えば、腫瘍(例えば、腫瘍関連抗原(TAA))、炎症応答、または自己免疫疾患に関連するものなどであるが、これらに限定されない)に指向するのを可能にする第2のモノクローナル抗体由来の6つのCDRを用いて置換またはグラフティングされている。第2の抗体は、上皮増殖因子受容体(EGFR);CD14;CD52;多様な免疫チェックポイント標的(PD-L1、PD-1、TIM3、BTLA、LAG3、またはCTLA4などであるが、これらに限定されない);CD19;CD20;CD22;CD47;CD123;GD-2;VEGFR1;VEGFR2;HER2;PDGFR;EpCAM;ICAM(ICAM-1、-2、-3、-4、-5)、VCAM、FAPα;5T4;Trop2;EDB-FN;TGFβ Trap;MAdCAM、β7インテグリンサブユニット;α4β7インテグリン;α4インテグリン;BCMA;PSA;PSMA;CEA;GPC3;SR-A1;SR-A3;SR-A4;SR-A5;SR-A6;SR-B;dSR-C1;SR-D1;SR-E1;SR-F1;SR-F2;SR-G;SR-H1;SR-H2;SR-I1;またはSR-J1を含み得るが、これらに限定されない。
【0020】
さらに別の態様では、本開示は、IL-12を含む二重サイトカイン融合タンパク質に関し、前述の融合タンパク質は、式(IIa)または(IIb):
NH-(p35)-(L)-(X)-(L)-(Z)-(L)-(X)-(L)-(p40)-COOH(式IIa);
NH-(p40)-(L)-(X)-(L)-(Z)-(L)-(X)-(L)-(p35)-COOH(式IIb);
(式中、
「p35」が、配列番号1、17、または19の配列を有するIL-12のアルファサブユニットであり、;
「p40」が、配列番号3、18、または20の配列を有するIL-12のベータアルファサブユニットであり;
「L」が任意のリンカーであり;
」が、第1のモノクローナル抗体から得たVL領域またはVH領域であり;「X」が、前述の第1のモノクローナル抗体から得たVH領域またはVL領域であり;ここで、XがVLであるとき、XはVHであり、あるいは、XがVHであるとき、XはVLであり;
「Z」が、IL-6、IL-4、IL-1、IL-2、IL-3、IL-5、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10単量体、IL-15、IL-21 IL-26、IL-27、IL-28、IL-29、GM-CSF、G-CSF、インターフェロン-α、-β、-γ、TGF-β、または腫瘍壊死因子-α、-β、塩基性FGF、EGF、PDGF、IL-4、IL-11、またはIL-13から選択されるサイトカインであり;そして
「n」が0~2から選択される整数である)である。
1つの実施形態では、VHおよびVLは、ヒト抗エボラ抗体から得たscFvの形態である。別の実施形態では、ヒト抗エボラ抗体から得たscFvの6つのCDR(VH由来のCDR1~3およびVL由来のCDR1~3)は、二重サイトカイン融合タンパク質が特異的標的(酵素、受容体、細胞外タンパク質、または細胞内タンパク質、例えば、腫瘍(例えば、腫瘍関連抗原(TAA))、炎症応答、または自己免疫疾患に関連するものなどであるが、これらに限定されない)に指向するのを可能にする第2のモノクローナル抗体由来の6つのCDRを用いて置換またはグラフティングされている。第2の抗体は、上皮増殖因子受容体(EGFR);CD14;CD52;多様な免疫チェックポイント標的(PD-L1、PD-1、TIM3、BTLA、LAG3、またはCTLA4などであるが、これらに限定されない);CD19;CD20;CD22;CD47;CD123;GD-2;VEGFR1;VEGFR2;HER2;PDGFR;EpCAM;ICAM(ICAM-1、-2、-3、-4、-5)、VCAM、FAPα;5T4;Trop2;EDB-FN;TGFβ Trap;MAdCAM、β7インテグリンサブユニット;α4β7インテグリン;α4インテグリン;BCMA;PSA;PSMA;CEA;GPC3;SR-A1;SR-A3;SR-A4;SR-A5;SR-A6;SR-B;dSR-C1;SR-D1;SR-E1;SR-F1;SR-F2;SR-G;SR-H1;SR-H2;SR-I1;またはSR-J1を含み得るが、これらに限定されない。
【0021】
さらに別の態様では、本開示は、IL-27を含む二重サイトカイン融合タンパク質に関し、前述の融合タンパク質は、式(IIIa)または(IIIb):
NH-(p28)-(L)-(X)-(L)-(Z)-(L)-(X)-(L)-(EBI3)-COOH(式IIIa);
NH-(EBI3)-(L)-(X)-(L)-(Z)-(L)-(X)-(L)-(p28)-COOH(式IIIb);
(式中、
「p28」が、配列番号5の配列を有するIL-27のアルファサブユニットであり;
「EBI3」が、配列番号7の配列を有するIL-27のベータアルファサブユニットであり;
「L」が任意のリンカーであり;
」が、第1のモノクローナル抗体から得たVL領域またはVH領域であり;「X」が、前述の第1のモノクローナル抗体から得たVH領域またはVL領域であり;ここで、XがVLであるとき、XはVHであり、あるいは、XがVHであるとき、XはVLであり;
「Z」が、IL-6、IL-4、IL-1、IL-2、IL-3、IL-5、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10単量体、IL-15、IL-21 IL-26、IL-27、IL-28、IL-29、GM-CSF、G-CSF、インターフェロン-α、-β、-γ、TGF-β、または腫瘍壊死因子-α、-β、塩基性FGF、EGF、PDGF、IL-4、IL-11、またはIL-13から選択されるサイトカインであり;そして
「n」が0~2から選択される整数である)である。
1つの実施形態では、VHおよびVLは、ヒト抗エボラ抗体から得たscFvの形態である。別の実施形態では、ヒト抗エボラ抗体から得たscFvの6つのCDR(VH由来のCDR1~3およびVL由来のCDR1~3)は、二重サイトカイン融合タンパク質が特異的標的(酵素、受容体、細胞外タンパク質、または細胞内タンパク質、例えば、腫瘍(例えば、腫瘍関連抗原(TAA))、炎症応答、または自己免疫疾患に関連するものなどであるが、これらに限定されない)に指向するのを可能にする第2のモノクローナル抗体由来の6つのCDRを用いて置換またはグラフティングされている。第2の抗体は、上皮増殖因子受容体(EGFR);CD14;CD52;多様な免疫チェックポイント標的(PD-L1、PD-1、TIM3、BTLA、LAG3、またはCTLA4などであるが、これらに限定されない);CD19;CD20;CD22;CD47;CD123;GD-2;VEGFR1;VEGFR2;HER2;PDGFR;EpCAM;ICAM(ICAM-1、-2、-3、-4、-5)、VCAM、FAPα;5T4;Trop2;EDB-FN;TGFβ Trap;MAdCAM、β7インテグリンサブユニット;α4β7インテグリン;α4インテグリン;BCMA;PSA;PSMA;CEA;GPC3;SR-A1;SR-A3;SR-A4;SR-A5;SR-A6;SR-B;dSR-C1;SR-D1;SR-E1;SR-F1;SR-F2;SR-G;SR-H1;SR-H2;SR-I1;またはSR-J1を含み得るが、これらに限定されない。
【0022】
さらに別の態様では、本開示は、2つのマルチサブユニットタンパク質を含む二重サイトカイン融合タンパク質に関し、前述の融合タンパク質が、式(IV):
NH-(R)-(L)-(X)-(L)-(W)-(L)-(W)-(L)-(X)-(L)-(R)-COOH(式IV);
(式中、
「R」が、第1のサイトカイン(IL-12またはIL-27など)のアルファサブユニットまたはホモ二量体サイトカイン(IL-10など)の第1の単量体であり、ここで、Rは、好ましくは、p40であり;
「R」が、第1のサイトカイン(IL-12またはIL-27など)のベータアルファサブユニットまたはホモ二量体サイトカイン(IL-10など)の第2の単量体であり、ここで、Rは、好ましくは、p35であり;
「L」が任意のリンカー;好ましくは、配列番号45の(GGGGS)、または配列番号44の(GGGGS)であり;
「L」が任意のリンカー;好ましくは、配列番号43のGGGSGGGまたは配列番号46の(GGGGS)であり;
」が、第1のモノクローナル抗体から得たVL領域またはVH領域であり;「X」が、前述の第1のモノクローナル抗体から得たVH領域またはVL領域であり;ここで、XがVLであるとき、XはVHであり、あるいは、XがVHであるとき、XはVLであり;
「W」が、第1のサイトカイン(IL-12またはIL-27など)のアルファサブユニットまたはホモ二量体サイトカイン(IL-10など)の第1の単量体、好ましくは、IL-10の第1の単量体であり;
「W」が、第1のサイトカイン(IL-12またはIL-27など)のベータアルファサブユニットまたはホモ二量体サイトカイン(IL-10など)の第2の単量体、好ましくは、IL-10の第2の単量体である)である。
1つの実施形態では、VHおよびVLは、ヒト抗エボラ抗体から得たscFvの形態である。別の実施形態では、ヒト抗エボラ抗体から得たscFvの6つのCDR(VH由来のCDR1~3およびVL由来のCDR1~3)は、二重サイトカイン融合タンパク質が特異的標的(酵素、受容体、細胞外タンパク質、または細胞内タンパク質、例えば、腫瘍(例えば、腫瘍関連抗原(TAA))、炎症応答、または自己免疫疾患に関連するものなどであるが、これらに限定されない)に指向するのを可能にする第2のモノクローナル抗体由来の6つのCDRを用いて置換またはグラフティングされている。第2の抗体は、上皮増殖因子受容体(EGFR);CD14;CD52;多様な免疫チェックポイント標的(PD-L1、PD-1、TIM3、BTLA、LAG3、またはCTLA4などであるが、これらに限定されない);CD19;CD20;CD22;CD47;CD123;GD-2;VEGFR1;VEGFR2;HER2;PDGFR;EpCAM;ICAM(ICAM-1、-2、-3、-4、-5)、VCAM、FAPα;5T4;Trop2;EDB-FN;TGFβ Trap;MAdCAM、β7インテグリンサブユニット;α4β7インテグリン;α4インテグリン;BCMA;PSA;PSMA;CEA;GPC3;SR-A1;SR-A3;SR-A4;SR-A5;SR-A6;SR-B;dSR-C1;SR-D1;SR-E1;SR-F1;SR-F2;SR-G;SR-H1;SR-H2;SR-I1;またはSR-J1を含み得るが、これらに限定されない。
【0023】
さらに別の態様では、本開示は、2つのマルチサブユニットタンパク質を含む二重サイトカイン融合タンパク質に関し、前述の融合タンパク質は、式(V):
NH-(P35)-(L)-(X)-(L)-(IL10単量体)-(L)-(IL10単量体)-(L)-(X)-(L)-(P40)-COOH(式Va);
NH-(P40)-(L)-(X)-(L)-(IL10単量体)-(L)-(IL10単量体)-(L)-(X)-(L)-(P35)-COOH(式Vb);
(式中、
「p35」が、配列番号1、17、または19の配列を有するIL-12のアルファサブユニットであり;
「p40」が、配列番号3、18、または20の配列を有するIL-12のベータアルファサブユニットであり;
「L」が任意のリンカー;好ましくは、配列番号45の(GGGGS)、または配列番号44の(GGGGS)であり;
「L」が任意のリンカー;好ましくは、配列番号43のGGGSGGGまたは配列番号46の(GGGGS)であり、;
」が、第1のモノクローナル抗体から得たVL領域またはVH領域であり;「X」が、前述の第1のモノクローナル抗体から得たVH領域またはVL領域であり;ここで、XがVLであるとき、XはVHであり、あるいは、XがVHであるとき、XはVLであり;
「IL10単量体」が、配列番号1、3、5、7、14、または16、好ましくは、配列番号16の配列を有するIL-10の単量体である)である;
1つの実施形態では、VHおよびVLは、ヒト抗エボラ抗体から得たscFvの形態である。別の実施形態では、ヒト抗エボラ抗体から得たscFvの6つのCDR(VH由来のCDR1~3およびVL由来のCDR1~3)は、二重サイトカイン融合タンパク質が特異的標的(酵素、受容体、細胞外タンパク質、または細胞内タンパク質、例えば、腫瘍(例えば、腫瘍関連抗原(TAA))、炎症応答、または自己免疫疾患に関連するものなどであるが、これらに限定されない)に指向するのを可能にする第2のモノクローナル抗体由来の6つのCDRを用いて置換またはグラフティングされている。第2の抗体は、EGFR;CD14;CD52;多様な免疫チェックポイント標的(PD-L1、PD-1、TIM3、BTLA、LAG3、またはCTLA4などであるが、これらに限定されない);CD19;CD20;CD22;CD47;CD123;GD-2;VEGFR1;VEGFR2;HER2;PDGFR;EpCAM;ICAM(ICAM-1、-2、-3、-4、-5)、VCAM、FAPα;5T4;Trop2;EDB-FN;TGFβ Trap;MAdCAM、β7インテグリンサブユニット;α4β7インテグリン;α4インテグリン;BCMA;PSA;PSMA;CEA;GPC3;SR-A1;SR-A3;SR-A4;SR-A5;SR-A6;SR-B;dSR-C1;SR-D1;SR-E1;SR-F1;SR-F2;SR-G;SR-H1;SR-H2;SR-I1;またはSR-J1を含み得るが、これらに限定されない。
【0024】
他の態様では、本開示は、マルチサブユニット二重サイトカイン融合タンパク質をコードする核酸分子に関する。これらは、式(Ia)、(Ib)、(IIa)、(IIb)、(IIIa)、(IIIb)、(IV)、(Va)、および(Vb)によって表される二重サイトカイン融合タンパク質をコードする核酸分子を含むであろう
【0025】
他の態様では、本開示は、二重サイトカイン融合タンパク質を作製および精製する方法に関する。1つの実施形態では、二重サイトカイン融合タンパク質を作製する方法は、二重サイトカイン融合タンパク質をコードする核酸を組み換えによって発現させることを含む。
【0026】
他の態様では、本開示は、癌を処置する方法であって、有効量の二重サイトカイン融合タンパク質を、前述の処置を必要とする被験体に投与することを含む、方法に関する。
【0027】
他の態様では、本開示は、炎症性疾患または症状を処置する方法であって、有効量の二重サイトカイン融合タンパク質を、前述の処置を必要とする被験体に投与することを含む、方法に関する。好ましくは、炎症性疾患は、クローン病、乾癬、および/または関節リウマチである。
【0028】
他の態様では、本開示は、免疫疾患または症状を処置する方法であって、有効量の二重サイトカイン融合タンパク質を、前述の処置を必要とする被験体に投与することを含む、方法に関する。
【0029】
他の態様では、本開示は、敗血症および/または敗血症性ショックならびにこれらに関連する徴候を処置、阻害、および/または緩和する方法に関する。
【0030】
上記の代表的な態様の簡潔な概要は、本開示の基本知識を提供するのに役立つ。この概要は、全ての意図する態様を広く概説しておらず、全ての態様の肝要または重要な要素を特定することや、本開示の任意のまたは全ての態様の範囲を詳述することを意図しない。その唯一の目的は、以下に続く開示のより詳細な説明の導入部として1またはそれを超える態様を簡潔な形態で提供することである。前述の目的を達成するために、本開示の1またはそれを超える態様は、記載の特徴を含み、特許請求の範囲の例として挙げている。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1図1は、折りたたまれた形態および線状形態の二重サイトカイン融合タンパク質の概要図である。
【0032】
図2図2は、本開示で具体化された二重サイトカイン融合タンパク質の代表である概要図であり、ここで、二重サイトカイン融合タンパク質は、末端で連結されたIL-12α(p35)およびIL-12β(p40)サブユニットを含み、第2のサイトカインは、抗X抗体由来の(例えば、ヒト抗エボラ抗体由来の)VHとVLとの間のscFvのリンカーに組み込まれている。6つのCDR(VH由来の3つおよびVL由来の3つ)を、必要に応じて、第2の抗体(例えば、TAAを標的にする抗体、例えば、抗HER2抗体、抗EGFR抗体、抗VEGFR1抗体、または抗VEGFR2抗体など)由来の6つのCDRを用いて置換またはグラフティングし得る。
【0033】
図3図3は、本開示で具体化された二重サイトカイン融合タンパク質の代表である概要図であり、ここで、二重サイトカイン融合タンパク質は、末端で連結されたIL-27α(p28)およびIL-27β(EBI3)サブユニットを含み、第2のサイトカインは、抗X抗体由来の(例えば、ヒト抗エボラ抗体由来の)VHとVLとの間のscFvのリンカーに組み込まれている。6つのCDR(VH由来の3つおよびVL由来の3つ)を、必要に応じて、第2の抗体(例えば、TAAを標的にする抗体(抗HER2抗体、抗HER3抗体、抗EGFR抗体、抗VEGFR1抗体、または抗VEGFR2抗体などであるが、これらに限定されない)など)由来の6つのCDRを用いて置換またはグラフティングし得る。
【0034】
図4図4は、「DK2728」と命名されたIL-27およびIL-28を含む二重サイトカイン融合タンパク質の代表である概要図である。
【0035】
図5図5は、「DK2729」と命名されたIL-27およびIL-29を含む二重サイトカイン融合タンパク質の代表である概要図である。
【0036】
図6図6は、以前に開示されたIL-10融合タンパク質構築物のうちの1つを表した概要図であり、米国特許第10,858,412号に記載のscFvを含む足場の末端にIL-10単量体が連結されている。
【0037】
図7図7は、2つのマルチサブユニット(または二量体)サイトカインを含む二重サイトカイン融合タンパク質の代表例、特に、DK1210と命名されたIL-12およびIL-10を含む二重サイトカイン融合タンパク質である概要図である。
【0038】
図8図8は、2つのマルチサブユニット(または二量体)サイトカインを含む二重サイトカイン融合タンパク質の代表例、特に、DK2710と命名されたIL-27およびIL-10を含む二重サイトカイン融合タンパク質である概要図である。
【0039】
図9図9は、IL-10とscFvとの間およびIL-12とscFvとの間に(GGGGS)などの標準的なリンカーを使用したDK1210(EGFR)が、BiTEとの組み合わせにおいて標的癌細胞に部分的な細胞溶解効果を示すことを示すグラフである。
【0040】
図10図10は、IL-10とscFvとの間およびIL12とscFvとの間に伸長リンカーを使用したDK1210(EGFR)がBiTEとの組み合わせにおいて標的癌細胞に対する細胞溶解効果を改善したことを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0041】
詳細な説明
例示的な態様を、マルチサブユニットの第1のサイトカイン(IL-12またはIL-27など)を含む二重サイトカイン融合タンパク質、マルチサブユニットの第1のサイトカイン(IL-12またはIL-27など)を含む二重サイトカイン融合タンパク質を作製する方法、ならびに炎症性疾患または症状、免疫疾患または症状の処置、癌の処置および/または予防のためにマルチサブユニットの第1のサイトカイン(IL-12またはIL-27など)を含む二重サイトカイン融合タンパク質を使用する方法に関して本明細書中に記載する。当業者は、以下の説明が例示のみを目的とし、いかなる制限も意図しないことを理解するであろう。他の態様は、それ自体が当業者に本開示の利点を有することを容易に示唆させるであろう。添付の図面に例示のように、例示的な態様の実装形態についてここに詳細に言及するであろう。同一または類似の項目について言及するために、図面および以下の説明にわたって可能な範囲で同一の符号を使用するであろう。
【0042】
本明細書中に記載の方法および材料に類似するか等価な方法および材料のいくつかを記載の様々な実施形態の実施において使用することができるが、好ましい方法および材料を本明細書中に記載する。
【0043】
別段の指示がない限り、本明細書中に記載の実施形態は、当業者に周知の分子生物学、生化学、薬理学、化学、および免疫学の従来の方法および技術を使用する。マルチサブユニットの第1のサイトカイン(IL-12またはIL-27など)を含む二重サイトカイン融合タンパク質をデザインおよび作製するための一般的技術、ならびにマルチサブユニットの第1のサイトカイン(IL-12またはIL-27など)を含む二重サイトカイン融合タンパク質の発現および機能を試験するためのアッセイの多くは、当該分野で容易に利用可能であり、かつ詳述されている周知の方法である。例えば、Sambrook,et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual(2nd Edition,1989);Methods In Enzymology(S.Colowick and N.Kaplan eds.,Academic Press,Inc.);Handbook of Experimental Immunology,Vols.I-IV(D.M.Weir and C.C.Blackwell eds.,Blackwell Scientific Publications);A.L.Lehninger,Biochemistry(Worth Publishers,Inc.,current addition)を参照のこと。また、N末端アルデヒドベースのペグ化化学は、当該分野で周知である。
【0044】
定義
以下の用語を、本明細書中で考察された多様な実施形態を説明するために使用し、以下に示すように定義されることを意図する。
【0045】
種々の実施形態の説明において本明細書中で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」には、内容上そうでないと明確に示されない限り、複数の指示対象が含まれる。
【0046】
用語「約」は、示した数値または数値の範囲からの0.0001~5%の逸脱を指す。1つの実施形態では、用語「約」は、示した数値または数値の範囲からの1~10%の逸脱を指す。1つの実施形態では、用語「約」は、示した数値または数値の範囲からの25%までの逸脱を指す。より具体的な実施形態では、用語「約」は、野生型配列と比較した時のヌクレオチド配列相同性またはアミノ酸配列相同性の1~25%の相違を指す。
【0047】
用語「マルチサブユニットサイトカイン」は、ヘテロ二量体を作製するための少なくともアルファサブユニットおよびベータサブユニットまたはホモ二量体を作製するための2つの単量体を含むサイトカインタンパク質を指す。参考として、マルチサブユニットサイトカインは、とりわけ、IL-10、IL-12、またはIL-27を含み得る。他のマルチサブユニットサイトカインは、当業者に公知であり、本明細書中に記載の二重サイトカイン融合タンパク質の末端に置換され得る。
【0048】
用語「インターロイキン-12」または「IL-12」は、非共有結合により連結してヘテロ二量体を形成するアルファ(p35)およびベータ(p40)サブユニットを含むタンパク質を指す。本明細書中で使用される場合、別段の指示がない限り、「インターロイキン-12」および「IL-12」は、任意の形態のIL-12(ヒト;マウス、またはバリアントの形態を含むが、これらに限定されない)を指す。したがって、例えば、用語「野生型」または「未変性」は、アルファおよびベータサブユニットについて自然界でもっとも一般的に見出されるアミノ酸配列に対応するであろう。1つの実施形態では、p35は、配列番号1、17、または19の配列であり、p40は、配列番号3、18、または20の配列である。
【0049】
用語「インターロイキン-27」または「IL-27」は、非共有結合により連結してヘテロ二量体を形成するアルファ(p28)およびベータ(EBI3)サブユニットを含むタンパク質を指す。本明細書中で使用される場合、別段の指示がない限り、「インターロイキン-12」および「IL-12」は、任意の形態のIL-12(ヒト;マウス、またはバリアントの形態を含むが、これらに限定されない)を指す。したがって、例えば、用語「野生型」または「未変性」は、アルファおよびベータサブユニットについて自然界でもっとも一般的に見出されるアミノ酸配列に対応するであろう。1つの実施形態では、p28は、配列番号5の配列であり、EBI3は、配列番号7の配列である。
【0050】
用語「インターロイキン-10」または「IL-10」は、連結してホモ二量体を形成する2つの単量体を含むタンパク質である。本明細書中で使用される場合、別段の指示がない限り、「インターロイキン-10」および「IL-10」は、任意の形態のIL-10(ヒト;マウス、またはバリアントの形態を含むが、これらに限定されない)を指す。したがって、例えば、用語「野生型」または「未変性」は、アルファおよびベータサブユニットについて自然界でもっとも一般的に見出されるアミノ酸配列に対応するであろう。1つの実施形態では、ヒトIL-10は配列番号31の配列であり、マウスIL-10は配列番号37の配列であり、ウイルス形態のIL-10は、配列番号33を有するEBV IL-10および配列番号35を有するCMV IL-10を含む。
【0051】
用語「バリアント」、「アナログ」、および「ムテイン」は、所望の活性(例えば、抗炎症活性など)を保持する参照分子の生物学的に活性な誘導体を指す。一般に、用語「バリアント」、「バリアント」、「アナログ」、および「ムテイン」は、ポリペプチドに関する場合、未変性分子と比較して1またはそれを超えるアミノ酸の付加、置換(事実上保存的であり得る)、および/または欠失を有する未変性のポリペプチド配列および構造を有する化合物を指す。そのようなものとして、用語「IL-12バリアント」、「バリアントIL-12」、IL-12バリアント分子」、「IL-27バリアント」、「バリアントIL-27」、「IL-27バリアント分子」、ならびにこれらの文法上のバリエーションおよび複数形の全ては、野生型IL-12またはIL-27と異なるIL-12またはIL-27のアミノ酸(または核酸)配列を指す等価な用語であることが意図される。IL-12またはIL-27のアミノ酸配列の相違は、任意の場所に1~25%の配列の同一性または相同性が存在するような、アルファ、ベータ、または両方のサブユニット内の付加、欠失、または置換であり得る。これらのバリアント形態は、タンパク質に対するそのグリコシル化(脱グリコシル化またはアグリコシル化)形態への修飾を含む。IL-10バリアント形態は、野生型IL-10と比較したときに結合親和性が増加または減少している形態を含み得る。したがって、1つの実施形態では、結合親和性が増加したかより高いIL-10のバリアント形態は、配列番号41のIL-10バリアント(本明細書中でDV07と示す)または結合親和性が減少しているかより低い配列番号39のIL-10バリアント(本明細書中でDV06と示す)を含む。
【0052】
用語「融合タンパク質」は、天然には存在しない新規のタンパク質の配置を生じる2またはそれを超えるタンパク質またはポリペプチドの組み合わせまたは抱合を指す。融合タンパク質は、2またはそれを超えるタンパク質またはポリペプチドの共有結合の結果である。融合タンパク質から構成される2またはそれを超えるタンパク質は、アミノ末端(「NH」)からカルボキシ末端(「COOH」)まで任意の配座で配置され得る。したがって、例えば、あるタンパク質のカルボキシ末端を、別のタンパク質のカルボキシ末端またはアミノ末端のいずれかに共有結合し得る。例示的な融合タンパク質は、(N末端からC末端への方向に)IL-12のアルファサブユニット-抗体VHドメイン-第2のサイトカイン(IFN-アルファ、IL-28、またはIL-29など)-VLドメイン(結果としてVHおよびVLドメインがVH/VL対を形成する)-IL-12のベータサブユニットの組み合わせを含み得る。別の例示的な融合タンパク質は、(N末端からC末端への方向に)IL-27のアルファサブユニット-抗体VHドメイン-第2のサイトカイン(IFN-アルファ、IL-28、またはIL-29など)-VLドメイン(結果としてVHおよびVLドメインがVH/VL対を形成する)-IL-27のベータサブユニットの組み合わせを含み得る。さらに別の例示的な融合タンパク質は、(N末端からC末端への方向に)IL-12のアルファサブユニット-抗体VHドメイン-ホモ二量体サイトカイン(IL-10など)の第1の単量体-ホモ二量体サイトカイン(IL-10など)の第2の単量体-VLドメイン(結果としてVHおよびVLドメインがVH/VL対を形成する)-IL-12のベータサブユニットの組み合わせを含み得る。1つの好ましい実施形態では、マルチサブユニット二重サイトカイン融合タンパク質の代表的な形態は、単量体サイトカイン(IL-6、IL-4、IL-1、IL-2、IL-3、IL-5、IL-7、IL-8、IL-9、IL-15、IL-21 IL-26、IL-27、IL-28、IL-29、GM-CSF、G-CSF、インターフェロン-α、-β、-γ、TGF-β、または腫瘍壊死因子-α、-β、塩基性FGF、EGF、PDGF、IL-4、IL-11、またはIL-13など)と組み合わせたヘテロ二量体サイトカイン(IL-12またはIL-27など)を含み得る。別の実施形態では、マルチサブユニット二重サイトカイン融合タンパク質は、ホモ二量体サイトカイン(IL-10、IL-10バリアント、マウスIL-10、DV07(配列番号41)、またはDV06(配列番号39)など)と組み合わせたヘテロ二量体サイトカイン(IL-12またはIL-27など)を含み得る。
【0053】
用語「ホモログ」、「相同性」、「相同な」、または「実質的に相同な」は、少なくとも2つのポリヌクレオチド配列または少なくとも2つのポリペプチド配列の間の同一率を指す。分子の規定の長さにわたって配列が少なくとも約50%、好ましくは少なくとも約75%、より好ましくは少なくとも約80%~85%,好ましくは少なくとも約90%、最も好ましくは少なくとも約95%~98%の配列同一性を示す場合、配列は相互に相同である。
【0054】
用語「配列同一性」は、正確なヌクレオチド対ヌクレオチド対応またはアミノ酸対アミノ酸対応を指す。配列同一性は、100%配列同一性から50%配列同一性までの範囲であり得る。配列同一率を、種々の方法(配列をアラインメントし、2つのアラインメントした配列の間の正確なマッチ数をカウントし、参照配列の長さで除し、結果に100を掛けることによる、2分子(参照配列および参照配列との同一率が未知の配列)の間の配列情報の直接比較を含むが、これに限定されない)を使用して決定することができる。容易に利用可能なコンピュータプログラムを使用して、同一率の同定を補助することができる。
【0055】
用語「被験体」、「個体」、または「患者」は、本明細書中で互換的に使用され、脊椎動物、好ましくは哺乳動物を指す。哺乳動物としては、マウス、げっ歯類、サル、ヒト、家畜、競技用動物、およびある特定のペットを含むが、これらに限定されない。
【0056】
用語「投与」は、本出願の有効成分がその意図する機能を発揮することが可能な投与経路を含む。
【0057】
「治療有効量」は、例えば、本明細書中に記載の二重サイトカイン融合タンパク質の投与に関する場合、ある特定の生物学的活性を促進するのに十分な二重サイトカイン融合タンパク質の量を指す。これらには、例えば、骨髄性細胞機能の抑制、クッパー細胞活性の増強、および/またはCD8T細胞に及ぼす任意の影響の欠如またはCD8T細胞活性の増強、ならびにFc受容体の肥満細胞上方制御の遮断または脱顆粒の防止を含み得る。したがって、「有効量」は、病状の徴候または兆候を改善するか防止するであろう。また、有効量は、診断を可能にするか容易にするのに十分な量を意味する。
【0058】
用語「処置する」または「処置」は、疾患または症状の影響を低下させる方法を指す。また、処置は、単なる徴候よりもむしろ疾患または症状自体の根本原因を軽減する方法を指すことができる。処置は、元のレベルからの任意の低下であり得、疾患、症状、または疾患もしくは症状の徴候の完全な消失であり得るが、これに限定されない。
【0059】
二重サイトカイン融合タンパク質の構造
本開示は、以前に米国特許第10,858,412号(米国特許出願第16/811,718号として出願)(その全体が参考として援用される)に記載のIL-10融合タンパク質の実施形態を改善する。図6は、米国特許第10,858,412号に記載の以前に開示のIL-10融合タンパク質構築物のうちの1つを表す概要図である。図1は、本開示が元のIL-10融合タンパク質をどのように改善したかを示す一般的な略図を提供している。IL-10融合タンパク質の改善点は、(1)IL-10単量体の、マルチサブユニットサイトカインのアルファおよびベータサブユニットとの置換、および(2)第2のサイトカイン分子の、scFvのVHとVLドメインとの間(すなわち、scFvのヒンジ領域中)への組み込みを含む。本出願の二重サイトカイン融合タンパク質を、VHおよびVL(scFv)を含む足場系上に構築することができ、このタンパク質は、アルファサブユニットがN末端上に融合され、ベータサブユニットがC末端に融合された(または逆も同様)マルチサブユニットサイトカインのアルファおよびベータサブユニットを特徴とする。したがって、「末端」に融合されたという用語は、アルファ(またはベータ)サブユニットが融合タンパク質のN末端上に配置されているか、ベータ(またはアルファ)サブユニットが融合タンパク質のC末端上に配置されているかのいずれかを意味するであろう。足場系は、好ましくはHIVまたはエボラに特異的な抗体から得たscFvを含むであろう(好ましくは、scFvはヒト抗エボラ抗体から得られる)。二重サイトカイン融合タンパク質は、6つの相補性決定領域(「CDR」)を有するscFv(好ましくは、ヒト抗エボラ抗体から得た)を含み、ここで、VH中に3つのCDR(CDR1~3)が存在し、VL中に3つのCDR(CDR1~3)が存在する。必要に応じて、VH領域およびVL領域は、二重サイトカイン融合タンパク質に特異的抗原を標的にさせることができる。VHおよびVL対の6つのCDR領域(VH中の3つのCDRおよびVL中の3つのCDR)を受容体もしくは抗原を標的にする抗体またはその抗原結合断片のVHおよびVL由来の6つのCDR領域と置換することによってこれを達成し得る。また、このプロセスは、CDRグラフティングまたはCDRエングラフトメントとして一般に公知である。当業者は、scFvフレームワーク領域中または本明細書中に記載のscFv足場中への6つのCDRの置換およびエングラフトメントまたはグラフティングの置換および最適化が可能である。これらは周知であり、当業者によって使用される技術によって実施される。例えば、ヒト抗エボラ抗体から得たscFv由来の6つのCDR領域を、任意のモノクローナル抗体由来の6つのCDR(当業者は、目的の特異的標的に基づいて決定することができるであろう)と置換する。例えば、特異的標的は、酵素、受容体、細胞外タンパク質、または細胞内タンパク質(腫瘍(例えば、腫瘍関連抗原(TAA))、炎症応答、または自己免疫疾患に関連するものなど)を含み得るが、これらに限定されない。したがって、特異的標的を標的にする6つのCDRは、任意の抗体(EGFR;CD14;CD52;多様な免疫チェックポイント標的(PD-L1、PD-1、TIM3、BTLA、LAG3、またはCTLA4などであるが、これらに限定されない);CD19;CD20;CD22;CD47;CD123;GD-2;VEGFR1;VEGFR2;HER2;PDGFR;EpCAM;ICAM(ICAM-1、-2、-3、-4、-5)、VCAM、FAPα;5T4;Trop2;EDB-FN;TGFβ Trap;MAdCAM、β7インテグリンサブユニット;α4β7インテグリン;α4インテグリン;BCMA;PSA;PSMA;CEA;GPC3;SR-A1;SR-A3;SR-A4;SR-A5;SR-A6;SR-B;dSR-C1;SR-D1;SR-E1;SR-F1;SR-F2;SR-G;SR-H1;SR-H2;SR-I1;またはSR-J1に特異的な抗体を含むが、これらに限定されない)であり得る。上記のリストは、本開示の二重サイトカイン融合タンパク質中に組み込み得る可能なターゲティング抗体の代表であり、当業者は、他のターゲティング抗体、特に、癌または炎症組織上の表面マーカーを標的にする抗体由来のCDRが足場中にグラフティングされ得ることを認識することができるであろう。好ましい実施形態では、抗体は、抗HER2抗体、抗HER3抗体、抗EGFR抗体、抗VEGFR1抗体、抗VEGFR2抗体、抗BCMA抗体、抗PSA抗体、抗PSMA抗体、抗CD19抗体、抗CD20抗体、抗CD22抗体、抗CEA抗体、抗GPC3、または抗CD14抗体である。
【0060】
第1の態様では、本出願は、IL-12またはIL-27および少なくとも1つの他のサイトカインを含む二重サイトカイン融合タンパク質に関し、前述の二重サイトカイン融合タンパク質は、個別のIL-12またはIL-27および他のサイトカイン融合物と比較したときに、組み合わせた機能性または相乗的な機能性を有する。図1は、融合タンパク質の末端に融合されたマルチサブユニットサイトカインのアルファおよびベータサブユニットを含む改善された二重サイトカイン融合タンパク質の代表的な線図である。特に、改善された二重サイトカイン融合タンパク質は、同一のまたは実質的に同一のVHおよびVL scFvから構成される足場系に適応し、それにより、IL-12またはIL-27のアルファおよびベータサブユニットは、例えば、二重融合タンパク質のアミノ末端およびカルボキシ末端にある(例えば、図2~5を参照のこと)。ある特定の実施形態では、IL-12サブユニットは、アルファサブユニットもしくは配列番号1、17、もしくは19のp35またはベータサブユニットもしくは配列番号3、18、もしくは20のp40であり、ここで、scFvに融合したアミノ酸サブユニットは、シグナルペプチドやリーダー配列を欠く。他の実施形態では、IL-27サブユニットは、アルファサブユニットもしくは配列番号5のp28またはベータサブユニットもしくは配列番号7のEBI3であり、ここで、scFvに融合したアミノ酸は、シグナルペプチドやリーダー配列を欠く。ある特定の実施形態では、IL-12またはIL-27の一方または両方のサブユニットに対する修飾は、おそらく、付加、欠失、または置換を含む。これらの修飾は、結合親和性を変化(増加または減少)させるか、グリコシル化部位を変化させるか、免疫原性を減少させる修飾を含み得る。ある特定の実施形態では、IL-27中、好ましくは、EIB3中のグリコシル化部位、より好ましくは、配列番号7のアミノ酸55~57位および/または105~107位、さらにより好ましくは、配列番号7の57位および/または107位が修飾されている(トレオニンが置換されている)。第2のサイトカインは、scFvのヒンジ領域であるscFvのVH領域とVL領域との間で融合されることによって二重サイトカイン融合タンパク質に抱合されている(例えば、図1~5を参照のこと)。二重サイトカイン融合タンパク質は、機能性タンパク質複合体を形成することができ、それにより、アルファおよびベータサブユニットはヘテロ二量体化され、これに伴ってVH領域およびVL領域が共に会合して対を形成し、それによりscFv複合体を形成する。
【0061】
ある特定の実施形態では、マルチサブユニットサイトカインを含む二重サイトカイン融合タンパク質は、式IaまたはIb:
NH-(R)-(X)-(Z)-(X)-(R)-COOH(式Ia);
NH-(R)-(X)-(Z)-(X)-(R)-COOH(式Ib)
(式中、
「R」が、配列番号1、17、19、または5から選択される第1のサイトカイン配列のアルファサブユニットであり;
「R」が、配列番号3、18、20、または7から選択される第1のサイトカイン配列のベータサブユニットであり;
ここで、Rが配列番号1、17、または19であるとき、Rが配列番号3、18、または20であり、あるいは、Rが配列番号5であるとき、Rが配列番号7であり;
「X」が、第1のモノクローナル抗体から得たVL領域またはVH領域であり;
「X」が、前述の第1のモノクローナル抗体から得たVH領域またはVL領域であり;
ここで、XがVLであるとき、XはVHであり、あるいは、XがVHであるとき、XはVLであり
「Z」がサイトカインであり;
「n」が0~2から選択される整数である)を有する構造である。
【0062】
別の実施形態では、二重サイトカイン融合タンパク質は、式IIaまたはIIb:
NH-(p35)-(L)-(X)-(L)-(Z)-(L)-(X)-(L)-(p40)-COOH(式IIa);
NH-(p40)-(L)-(X)-(L)-(Z)-(L)-(X)-(L)-(p35)-COOH(式IIb);
(式中、
「p35」が、配列番号1、17、または19の配列であり;
「p40」が、配列番号3、18、または20の配列であり;
「L」がリンカーであり;
「X」が、第1のモノクローナル抗体から得たVL領域またはVH領域であり;
「X」が、前述の第1のモノクローナル抗体から得たVH領域またはVL領域であり;
ここで、XがVLであるとき、XはVHであり、あるいは、XがVHであるとき、XはVLであり;
「Z」が、IL-6、IL-4、IL-1、IL-2、IL-3、IL-5、IL-7、IL-8、IL-9、IL-15、IL-21、IL-26、IL-27、IL-28、IL-29、GM-CSF、G-CSF、インターフェロン-α、-β、-γ、TGF-β、または腫瘍壊死因子-α、-β、塩基性FGF、EGF、PDGF、IL-4、IL-11、またはIL-13から選択されるサイトカインであり;
「n」が0~2から選択される整数である)を有する構造である。
【0063】
別の実施形態では、二重サイトカイン融合タンパク質は、式IIIaまたはIIIb:
NH-(p28)-(L)-(X)-(L)-(Z)-(L)-(X)-(L)-(EBI3)-COOH(式IIIa);
NH-(EBI3)-(L)-(X)-(L)-(Z)-(L)-(X)-(L)-(p28)-COOH(式IIIb);
(式中、
「p28」が、配列番号5の配列であり;
「EBI3」が、配列番号7の配列であり;
「L」がリンカーであり;
「X」が、第1のモノクローナル抗体から得たVL領域またはVH領域であり;
「X」が、前述の第1のモノクローナル抗体から得たVH領域またはVL領域であり;
ここで、XがVLであるとき、XはVHであり、あるいは、XがVHであるとき、XはVLであり;
「Z」が、IL-6、IL-4、IL-1、IL-2、IL-3、IL-5、IL-7、IL-8、IL-9、IL-15、IL-21、IL-26、IL-28、IL-29、GM-CSF、G-CSF、インターフェロン-α、-β、-γ、TGF-β、または腫瘍壊死因子-α、-β、塩基性FGF、EGF、PDGF、IL-4、IL-11、またはIL-13から選択されるサイトカインであり;
「n」が0~2から選択される整数である)を有する構造である。
【0064】
別の実施形態では、VH領域およびVL領域は、抗体、その抗体断片、または抗原結合断片に由来する。抗原結合断片は、scFv、Fab、F(ab’)、V-NAR、ダイアボディ、またはナノボディを含むが、これらに限定されない。好ましくは、VHおよびVLは、単鎖可変断片(「scFv」)に由来する。
【0065】
別の実施形態では、第1のマルチサブユニットサイトカイン(例えば、IL-12またはIL-27)を含む二重サイトカイン融合タンパク質は、単一の抗体由来のVHとVLの対を含む。VHとVLの対は、マルチサブユニットサイトカインのアルファおよびベータサブユニットが機能的なサイトカインにヘテロ二量体化することが可能であり得るように第1のマルチサブユニットサイトカインが付着され得る足場として作用する。したがって、当業者は、融合タンパク質中で使用されるVHおよびVLの足場を、第1のマルチサブユニットサイトカイン(例えば、IL-12またはIL-27)の適切なヘテロ二量体化に必要な望ましい物理的性質および/またはVHおよびVLのターゲティング能力の維持の要望に基づいて選択され得ることを認識するであろう。同様に、当業者はまた、VHとVLの対内の6つのCDR(VH由来の3つのCDRおよびVL由来の3つのCDR)を他の抗体由来の6つのCDRと置換して、特異的に標的化された融合タンパク質を得ることもできると理解するであろう。1つの実施形態では、任意のモノクローナル抗体のVH由来の3つのCDRおよびVL由来の3つのCDR(すなわち、VHとVLの対)を、足場系にグラフティングし得る。融合タンパク質がいかなる特異的抗原も標的にすることを意図しない場合、VHとVLの対を、いかなる特定の抗原(またはin vivoでの存在量が少ない抗原である)も標的にしない足場として選択し得ることも想起される(ヒト抗HIVおよび/またはヒト抗エボラ抗体由来のVHとVLの対など)。融合タンパク質は、1~4個の範囲の可変領域を含み得る。別の実施形態では、可変領域は、同一の抗体または少なくとも2つの異なる抗体に由来し得る。マルチサブユニットサイトカインをコードするアミノ酸配列は、シグナルペプチド(またはリーダー配列)を持たないscFv足場に融合されているであろう。
【0066】
さらに別の態様では、二重サイトカイン融合タンパク質は、2つのマルチサブユニットタンパク質を含み得る。例えば、二重サイトカイン融合タンパク質は、ヘテロ二量体(IL12またはIL27などであるが、これらに限定されない)である第1のサイトカイン、および次に第2のホモ二量体サイトカイン(IL10などであるが、これらに限定されない)を含み得る。第2のホモ二量体サイトカインを、VH領域とVL領域との間に融合することができるであろう。2つのマルチサブユニット二重サイトカイン融合タンパク質の代表的な画像を、図7および8に提供する。したがって、本発明の1つの実施形態では、前述の融合タンパク質は、式(IV)の一般式:
NH-(R)-(L)-(X)-(L)-(W)-(L)-(W)-(L)-(X)-(L)-(R)-COOH(式IV)
(式中、
「R」が、第1のサイトカイン(IL-12またはIL-27など)のアルファサブユニットまたはホモ二量体サイトカイン(IL-10など)の第1の単量体、好ましくは(p40)であり;
「R」が、第1のサイトカイン(IL-12またはIL-27など)のベータアルファサブユニットまたはホモ二量体サイトカイン(IL-10など)の第2の単量体、好ましくはp35であり;
「L」が任意のリンカー;好ましくは、配列番号46の(GGGGS)、配列番号45の(GGGGS)、または配列番号44の(GGGGS)であり;
「L」が任意のリンカー;好ましくは、配列番号46の(GGGGS)、配列番号45の(GGGGS)、または配列番号44の(GGGGS)であり;
「Lc」が任意のリンカー;好ましくは、配列番号43のGGGSGGGまたは配列番号46の(GGGGS)であり、;
」が、第1のモノクローナル抗体から得たVL領域またはVH領域であり;「X」が、前述の第1のモノクローナル抗体から得たVH領域またはVL領域であり;ここで、XがVLであるとき、XはVHであり、あるいは、XがVHであるとき、XはVLであり;
「W」が、第1のサイトカイン(IL-12またはIL-27など)のアルファサブユニットまたはホモ二量体サイトカイン(IL-10など)の第1の単量体、好ましくは、配列番号31、33、35、37、39、または41のIL-10の第1の単量体であり;
「W」が、第1のサイトカイン(IL-12またはIL-27など)のベータアルファサブユニットまたはホモ二量体サイトカイン(IL-10など)の第2の単量体、好ましくは、配列番号31、33、35、37、39、または41のIL-10の第2の単量体である)を有するであろう。
1つの実施形態では、VHおよびVLは、ヒト抗エボラ抗体から得たscFvの形態である。別の実施形態では、ヒト抗エボラ抗体から得たscFvの6つのCDR(VH由来のCDR1~3およびVL由来のCDR1~3)は、二重サイトカイン融合タンパク質が特異的標的(酵素、受容体、細胞外タンパク質、または細胞内タンパク質、例えば、腫瘍(例えば、腫瘍関連抗原(TAA))、炎症応答、または自己免疫疾患に関連するものなどであるが、これらに限定されない)に指向するのを可能にする第2のモノクローナル抗体由来の6つのCDRを用いて置換またはグラフティングされている。第2の抗体は、EGFR;CD14;CD52;多様な免疫チェックポイント標的(PD-L1、PD-1、TIM3、BTLA、LAG3、またはCTLA4などであるが、これらに限定されない);CD19;CD20;CD22;CD47;CD123;GD-2;VEGFR1;VEGFR2;HER2;PDGFR;EpCAM;ICAM(ICAM-1、-2、-3、-4、-5)、VCAM、FAPα;5T4;Trop2;EDB-FN;TGFβ Trap;MAdCAM、β7インテグリンサブユニット;α4β7インテグリン;α4インテグリン;BCMA;PSA;PSMA;CEA;GPC3;SR-A1;SR-A3;SR-A4;SR-A5;SR-A6;SR-B;dSR-C1;SR-D1;SR-E1;SR-F1;SR-F2;SR-G;SR-H1;SR-H2;SR-I1;またはSR-J1を含み得るが、これらに限定されない。より好ましい実施形態では、2つのマルチサブユニットタンパク質を含む二重サイトカイン融合タンパク質は、式VaまたはVb:
NH-(P35)-(L)-(X)-(L)-(IL10単量体)-(L)-(IL10単量体)-(L)-(X)-(L)-(P40)-COOH(式Va);
NH-(P40)-(L)-(X)-(L)-(IL10単量体)-(L)-(IL10単量体)-(L)-(X)-(L)-(P35)-COOH(式Vb);
(式中、
「p35」が、配列番号1、17、19の配列を有するIL-12のアルファサブユニットであり;
「p40」が、配列番号3、18、20の配列を有するIL-12のベータアルファサブユニットであり;
「L」が任意のリンカー;好ましくは、配列番号46の(GGGGS)、配列番号45の(GGGGS)、または配列番号44の(GGGGS)であり;
「L」が任意のリンカー;好ましくは、配列番号46の(GGGGS)、配列番号45の(GGGGS)、または配列番号44の(GGGGS)であり;
「L」が任意のリンカー;好ましくは、配列番号43のGGGSGGGまたは配列番号46の(GGGGS)であり、
」が、第1のモノクローナル抗体から得たVL領域またはVH領域であり;「X」が、前述の第1のモノクローナル抗体から得たVH領域またはVL領域であり;ここで、XがVLであるとき、XはVHであり、あるいは、XがVHであるとき、XはVLであり;
「IL10単量体」が、配列番号31、33、35、37、39、または41、好ましくは、配列番号41の配列を有するIL-10の単量体である)によって表される。
第1のモノクローナル抗体は、抗エボラ抗体(米国特許出願公開第2018/0180614号(その全体が参考として援用される)、特に、表2、3、および4に記載のmAb)であり、前述の抗体は、EGFR;CD14;CD52;多様な免疫チェックポイント標的(PD-L1、PD-1、TIM3、BTLA、LAG3、またはCTLA4などであるが、これらに限定されない);CD19;CD20;CD22;CD47;CD123;GD-2;VEGFR1;VEGFR2;HER2;PDGFR;EpCAM;ICAM(ICAM-1、-2、-3、-4、-5)、VCAM、FAPα;5T4;Trop2;EDB-FN;TGFβ Trap;MAdCAM、β7インテグリンサブユニット;α4β7インテグリン;α4インテグリン;BCMA;PSA;PSMA;CEA;GPC3;SR-A1;SR-A3;SR-A4;SR-A5;SR-A6;SR-B;dSR-C1;SR-D1;SR-E1;SR-F1;SR-F2;SR-G;SR-H1;SR-H2;SR-I1;またはSR-J1のうちのいずれか1つに特異性を有する第2の抗体由来の6つのCDRを用いてグラフティングされ得る。
表2a~2dは、式IVによって表されたIL-12およびIL-10を含む二重サイトカイン融合タンパク質の異なる組み合わせである。
【表2a-1】
【表2a-2】
【表2a-3】
【表2b】
【表2c-1】
【表2c-2】
【表2d-1】
【表2d-2】
IL-12サブユニット(P40およびP35)を、上の表2a~2dに記述のように、野生型、脱グリコシル化形態、またはアグリコシル化形態のIL-12から選択し得る。さらに、IL-12は、ヒトIL-12もしくはマウスIL-12、または野生型IL-12と比較したときにIL-12の機能を保持するか、増強するか、減少させるIL-12の任意のバリアントに由来し得る。上の表2a~2dに列挙したIL-10単量体は、ヒトIL-10、EBV IL-10、CMV IL-10、高親和性バリアント形態のIL-10(DV07、配列番号41など)、または低親和性バリアント形態のIL-10(DV06、配列番号39など)から選択され得る。さらに、IL-10単量体は、野生型IL-10と比較したときにIL-10の機能を保持するか、増強するか、減少させるIL-10の任意のバリアントであり得る。
【0067】
別の1つの実施形態では、表3a~3dは、式IVによって表されたIL-27およびIL-10を含む二重サイトカイン融合タンパク質の異なる組み合わせである。
【表3a-1】
【表3a-2】
【表3b】
【表3c-d】
【0068】
IL-27サブユニット(P28およびEBI3)を、上の表3a~3dに記述のように、野生型、脱グリコシル化形態、またはアグリコシル化形態のIL-27から選択し得る。さらに、IL-27は、ヒトIL-27もしくはマウスIL-27、または野生型IL-27と比較したときにIL-27の機能を保持するか、増強するか、減少させるIL-27の任意のバリアントに由来し得る。上の表2a~2dに列挙したIL-10単量体は、ヒトIL-10、EBV IL-10、CMV IL-10、高親和性バリアント形態のIL-10(DV07、配列番号41など)、または低親和性バリアント形態のIL-10(DV06、配列番号39など)から選択され得る。さらに、IL-10単量体は、野生型IL-10と比較したときにIL-10の機能を保持するか、増強するか、減少させるIL-10の任意のバリアントであり得る。
【0069】
別の実施形態では、抗体可変鎖またはVHとVLの対またはVHとVLの対の6つのCDRの標的特異性は、タンパク質、細胞受容体、および/または腫瘍関連抗原を標的にするものを含み得るが、これらに限定されない。別の実施形態では、任意のVHとVLの対由来のCDR領域を、上記の二重サイトカイン足場系にグラフティングし得る(図1~5によって図示)。さらに別の実施形態では、可変領域またはVHとVLの対またはVHとVLの対の6つのCDRは、多様な疾患(例えば、癌)に関連する抗原または健常被験体の血清中に典型的に見出されないか、見出されるのが稀である抗原を標的にする抗体から得られる(例えば、EGFR、PDGFR、VEGFR1、VEGFR2、Her2Neu、FGFR、GPC3、もしくは他の腫瘍関連抗原、MAdCAM、ICAM、VCAM、CD14、もしくは他の炎症関連細胞表面タンパク質、HIV、および/またはエボラに指向する抗体由来の可変領域)。したがって、1つの実施形態では、可変領域は、例えば、抗EGFR抗体、抗MAdCAM抗体、抗HIV抗体(Chan et al,J.Virol.,2018,92(18):e006411-19)、抗ICAM抗体、抗VCAM抗体、抗CD14抗体、または抗エボラ抗体(米国特許出願公開第2018/0180614号(その全体が参考として援用される)、特に、表2、3、および4に記載のmAb)から得られるか、由来する。別の実施形態では、可変領域は、IL-12およびIL-27がその生物学的効果をより有効に誘発することができるように、特異的標的領域にサイトカイン(IFN-アルファ、IL-28、またはIL-29と組み合わせたIL-12またはIL-27など)の濃度を増加させることができる抗体から得られるか、由来する。かかる抗体は、ある特定の罹患領域中の過剰発現された、または上方制御された受容体もしくは抗原を標的にする抗体またはある特定の影響を受けた領域中に特異的に発現された抗体を含み得る。例えば、可変領域またはCDRは、EGFR;CD14;CD52;多様な免疫チェックポイント標的(PD-L1、PD-1、TIM3、BTLA、LAG3、またはCTLA4などであるが、これらに限定されない);CD19;CD20;CD22;CD47;CD123;GD-2;VEGFR1;VEGFR2;HER2;PDGFR;EpCAM;ICAM(ICAM-1、-2、-3、-4、-5)、VCAM、FAPα;5T4;Trop2;EDB-FN;TGFβ Trap;MAdCAM、β7インテグリンサブユニット;α4β7インテグリン;α4インテグリン;BCMA;PSA;PSMA;CEA;GPC3;SR-A1;SR-A3;SR-A4;SR-A5;SR-A6;SR-B;dSR-C1;SR-D1;SR-E1;SR-F1;SR-F2;SR-G;SR-H1;SR-H2;SR-I1;またはSR-J1などに特異的な抗体から得てよい。
【0070】
また、二重サイトカイン融合タンパク質または二重サイトカイン融合タンパク質複合体は、抗原標的機能性を有し得る。二重サイトカイン融合タンパク質または二重サイトカイン融合タンパク質複合体は、共に会合して抗原結合部位またはABSを形成することができるVHとVLの対を含むであろう。可変領域は、(例えば、付加、引き抜き、または置換による)被験体における抗原性を低下させる1またはそれを超えるアミノ酸の変更によってさらに修飾され得る。可変領域に対する他の修飾は、VH領域およびVL領域の6つのCDR領域の外側に見出され、scFvのVH領域およびVL領域の安定性および発現を増大させるのに役立つアミノ酸の置換、欠失、または付加を含み得る。当業者は、scFvを安定化させ、そして/あるいは発現を目的とする配列を最適にする他の修飾を決定することができるであろう。
【0071】
VHおよびVL対は、足場を形成し、足場上に複数の抗体について得たCDR領域を置換またはグラフティングし得る。かかる抗体CDR領域は、公知かつ上記の抗体CDR領域を含む。上記のVHおよびVL足場中のCDR領域は、CDRエングラフトメント/挿入に利用可能な以下の数のアミノ酸位置を含むであろう:
【表A】
好ましい実施形態では、第1のマルチサブユニットサイトカイン(例えば、IL-12またはIL-27)を含む二重サイトカイン融合タンパク質は、ヒト抗エボラ抗体(米国特許出願公開第2018/0180614号(その全体が参考として援用される)、特に、表2、3、および4に記載のmAb)由来のVHとVLの対を含むであろう。そのため、前述のヒト抗エボラ抗体由来の6つのCDR領域が除去され、特異的ターゲティング抗体(EGFR;CD14;CD52;多様な免疫チェックポイント標的(PD-L1、PD-1、TIM3、BTLA、LAG3、またはCTLA4などであるが、これらに限定されない);CD19;CD20;CD22;CD47;CD123;GD-2;VEGFR1;VEGFR2;HER2;PDGFR;EpCAM;ICAM(ICAM-1、-2、-3、-4、-5)、VCAM、FAPα;5T4;Trop2;EDB-FN;TGFβ Trap;MAdCAM、β7インテグリンサブユニット;α4β7インテグリン;α4インテグリン;BCMA;PSA;PSMA;CEA;GPC3;SR-A1;SR-A3;SR-A4;SR-A5;SR-A6;SR-B;dSR-C1;SR-D1;SR-E1;SR-F1;SR-F2;SR-G;SR-H1;SR-H2;SR-I1;またはSR-J1を標的にする抗体などであるが、これらに限定されない)のVHとVLの対を用いてグラフティングされている。一実施形態では、6つのヒト抗エボラCDR領域は、抗EGFR、抗MAdCAM、抗VEGFR1、抗VEGFR2、抗PDGFR、または抗CD14由来の6つのCDR領域で置換されている。好ましい実施形態では、第2のサイトカイン(IL-28、IL-29、IFNαなどであるが、これらに限定されない)は、ヒト抗エボラ抗体から得たscFvのVHとVLとの間のヒンジ領域中で連結されている。また、前述のエングラフトメントストラテジーを、上記に列挙した式IVおよびVaおよびVbによって表した2つのマルチサブユニットサイトカインを含む二重サイトカイン融合タンパク質に適用し得る。
【0072】
さらに別の実施形態では、図1~5に示すように、第2のサイトカインは、scFvのVHとVLとの間に融合されている。第2のサイトカインは、第2のサイトカインがその機能性を保持するように、VH領域またはVL領域の間に抱合されている。1つの実施形態では、第2のサイトカインは、第1のマルチサブユニットサイトカイン(例えば、IL-12またはIL-27)と異なる。1つの実施形態では、第2のサイトカインは、IL-6、IL-4、IL-1、IL-2、IL-3、IL-5、IL-7、IL-8、IL-9、IL-15、IL-21、IL-26、IL-27、IL-28、IL-29、GM-CSF、G-CSF、インターフェロン-α、-β、-γ、TGF-β、または腫瘍壊死因子-α、-β、塩基性FGF、EGF、PDGF、IL-4、IL-11、またはIL-13である。好ましい実施形態では、二重サイトカイン融合タンパク質中の第2のサイトカインは、IL-28、IL-29、またはIFN-アルファを含む。
【0073】
いくつかの実施形態では、第2のサイトカインは、別のマルチサブユニットサイトカイン(IL-10など)であり得る。この場合、第2のサイトカインはまた、足場系のVHとVLとの間に融合されるであろう(代表的な構造については、図7および8を参照のこと)。上記の式IV、Va、およびVbは、これらのタイプの融合タンパク質を説明するのに役立つ。
さらなる他の実施形態では、第1のマルチサブユニットサイトカイン(例えば、IL-12またはIL-27)を含む二重サイトカイン融合タンパク質は、リンカーを組み込んでいる。当業者は、様々な融合タンパク質部分の配座を空間的に適切にするためにリンカーまたはスペーサーを使用することを承知しており、それ故、第1のマルチサブユニットサイトカイン(例えば、IL-12またはIL-27)を含む二重サイトカイン融合タンパク質の形成での使用に適切なリンカーを選択し得る。より好ましい実施形態では、リンカーまたはスペーサーは、配列番号43、44、45、46、47、および48の無作為なアミノ酸配列であり得る。表2a~2dまたは3a~3d中の上記組み合わせのうちのいずれかを、配列番号46、45、および47をそれぞれ有する(GGGGS)、(GGGGS)、または(GGGGS)から選択されるリンカー(「L」)および「(L」)、ならびに配列番号43および46にそれぞれ対応するGGGSGGGまたは(GGGGS)のリンカー(「L」)と組み合わせ得る。1つの好ましい実施形態では、式IVは、以下の表4の通りのリンカーの組み合わせを含み得る。
【表4-1】
【表4-2】
【表4-3】
【表4-4】
さらに別の好ましい実施形態では、式IVは、以下の表4の通りの好ましいリンカーの組み合わせを含み得る
【表5-1】
【0074】
2つのマルチサブユニットサイトカインを含む好ましい二重サイトカイン融合タンパク質は、配列番号21~30に列挙したものを含む。
【0075】
他の態様では、本開示は、第1のマルチサブユニットサイトカイン(例えば、IL-12またはIL-27)および第2のサイトカインを含む二重サイトカイン融合タンパク質をコードする核酸分子に関する。これらは、式Ia、Ib、IIa、IIb、IIIa、IIIb、VI、Va、またはVbによって表した二重サイトカイン融合タンパク質をコードする核酸配列を含むであろう。したがって、1つの実施形態は、70%~99%の配列相同性を共有するタンパク質をコードする核酸配列を含む。また、第1のマルチサブユニットサイトカイン(例えば、IL-12またはIL-27)および第2のサイトカイン(例えば、IL-10、IFN-アルファ、IL-28、IL-29)を含む二重サイトカイン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチド配列は、記載の二重サイトカイン融合タンパク質の機能特性を変化させない修飾を含み得る。かかる修飾は、従来の組換えDNA技術および方法を使用するであろう。例えば、特異的アミノ酸配列の付加または置換を、合成オリゴヌクレオチドを使用した部位特異的変異誘発法(この方法も当該分野で周知である)を使用して、核酸(DNA)レベルで第1のマルチサブユニットサイトカイン(例えば、IL-12またはIL-27)配列に導入し得る。好ましい実施形態では、二重サイトカイン融合タンパク質をコードする核酸分子は、第1のマルチサブユニットサイトカイン(例えば、IL-12またはIL-27)、第2のサイトカイン、またはscFvのVH領域またはVL領域の機能性を変化させない挿入、欠失、または置換(例えば、縮重コード)を含み得る。本明細書中に記載の二重サイトカイン融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列は、遺伝暗号の縮重に起因してアミノ酸配列が相違する場合があり、前述の配列に対して70~99%、好ましくは、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%相同であり得る。
【0076】
本明細書中に記載の二重サイトカイン融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列は、例えば、タンパク質の発現、産生、または分泌を補助する周知の配列をさらに含み得る。かかる配列は、例えば、リーダー配列、シグナルペプチド、および/または翻訳開始部位/配列(例えば、Kozakコンセンサス配列)を含み得る。また、本明細書中に記載のヌクレオチド配列は、様々な発現系/ベクターへの挿入を可能にする1またはそれを超える制限酵素部位を含み得る。
【0077】
別の実施形態では、二重サイトカイン融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列を、遺伝子治療において直接使用し得る。1つの実施形態では、本出願の二重サイトカイン融合タンパク質を、当該分野で公知の任意の方法(二重サイトカイン融合タンパク質をコードするベクター中の遺伝子の直接投与を含む)によって送達させることができる。遺伝子治療を、プラスミドDNAまたはウイルスベクター(アデノ随伴ウイルスベクター、アデノウイルスベクター、レトロウイルスベクターなど)を使用して行い得る。いくつかの実施形態では、本出願のウイルスベクターを、ウイルス粒子として投与し、他の方法としては、プラスミド(例えば、「裸の」DNA)として投与する。
【0078】
ヌクレオチド配列の他の送達方法は、当該分野で既知の方法を含む。これらの方法は、細胞透過性ペプチド、疎水性部分、静電複合体、リポソーム、リガンド、リポソームナノ粒子、リポタンパク質(好ましくは、HDLまたはLDL)、葉酸標的化リポソーム、抗体(葉酸受容体、トランスフェリン受容体など)、ターゲティングペプチド、またはアプタマーによる二重サイトカイン融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列(DNA、RNA、siRNA、mRNA、オリゴヌクレオチド、またはこれらのバリアントなどであるが、これらに限定されない)の送達を含むであろう。二重サイトカイン融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列を、直接的な注射、注入、パッチ、包帯、ミストもしくはエアロゾル、または薄膜送達によって被験体に送達し得る。ヌクレオチド(またはタンパク質)を、サイトカイン刺激の標的化送達を所望する任意の領域に指向させ得る。これらは、例えば、肺、胃腸管、皮膚、肝臓、頭蓋内注射を介した脳、超音波ガイド下の注射による深在性転移性腫瘍病変を含むであろう。
【0079】
別の態様では、本開示は、二重サイトカイン融合タンパク質を調製および精製する方法に関する。例えば、本明細書中に記載の二重サイトカイン融合タンパク質をコードする核酸配列を使用して、融合タンパク質を組換えによって産生し得る。例えば、従来の分子生物学およびタンパク質発現技術を使用して、本明細書中に記載の二重サイトカイン融合タンパク質を発現させ、哺乳動物細胞系から精製し得る。これらの系は、周知の真核細胞発現ベクター系および宿主細胞を含む。二重サイトカイン融合タンパク質の発現および導入のために使用することができる種々の好適な発現ベクターを使用してよく、これらは当業者に周知である。これらのベクターは、例えば、pUC型ベクター、pBR型ベクター、pBI型ベクター、pGA型、pBinl9、pBI121、pGreenシリーズ、pCAMBRIAシリーズ、pPZPシリーズ、pPCV001、pGA482、pCLD04541、pBIBACシリーズ、pYLTACシリーズ、pSB11、pSB1、pGPTVシリーズ、およびウイルスベクターなどを含み、これらを使用することができる。周知の宿主細胞系は、CHO細胞での発現を含むが、これに限定されない。
【0080】
また、二重サイトカイン融合タンパク質を保有する発現ベクターは、ベクターが機能するのに必要な他のベクター構成要素を含む。例えば、ベクターは、シグナル配列、tag配列、プロテアーゼ同定配列、選択マーカー、および二重サイトカイン融合タンパク質の適切な複製および発現に必要な他の配列制御配列(プロモーターなど)を含み得る。ベクター中で利用される特定のプロモーターは、種々の宿主細胞型での二重サイトカイン融合タンパク質の発現を駆動することができる限り、特に制限はない。同様に、Tagプロモーターのタイプは、Tag配列によって発現された二重サイトカイン融合タンパク質がより簡潔にまたは容易に精製される限り、制限はない。これらは、例えば、6-ヒスチジン、GST、MBP、HAT、HN、S、TF、Trx、Nus、ビオチン、FLAG、myc、RCFP、およびGFPなどを含んでよく、これらを使用することができる。プロテアーゼ認識配列は特に制限されず、例えば、第Xa因子、トロンビン、HRV、3Cプロテアーゼなどの認識配列を使用することができる。マーカーの選択は、これらが形質転換されたイネ科植物細胞を検出することができる限り特に制限されず、例えば、ネオマイシン耐性遺伝子、カナマイシン耐性遺伝子、およびハイグロマイシン耐性遺伝子などを使用することができる。
【0081】
また、上記の二重サイトカイン融合タンパク質は、製造プロセス中に融合タンパク質の回収または精製を補助するさらなるアミノ酸配列を含み得る。これらは、多様な配列修飾または親和性タグ(プロテインA、アルブミン結合タンパク質、アルカリホスファターゼ、FLAGエピトープ、ガラクトース結合タンパク質、ヒスチジンタグ、および当該分野で周知の任意の他のタグなどであるが、これらに限定されない)を含み得る。例えば、Kimple et al(Curr.Protoc.Protein Sci.,2013,73:Unit 9.9,Table 9.91(その全体が本明細書中で参考として援用される))を参照のこと。1つの態様では、親和性タグは、HHHHHHのアミノ酸配列(配列番号42)を有するヒスチジンタグである。ヒスチジンタグは、最終生成物から除去されるか、インタクトなままであり得る。別の実施形態では、親和性タグは、融合タンパク質(例えば、本明細書中に記載の融合タンパク質のVH領域)に組み込まれたプロテインA修飾である。当業者は、本明細書中に記載の任意の二重サイトカイン融合タンパク質配列を、当該分野で記載のように抗体フレームワーク領域内にアミノ酸点置換を挿入することによってプロテインA修飾を組み込むように修飾することができることを理解するであろう。
【0082】
別の態様では、二重サイトカイン融合タンパク質をコードするタンパク質および核酸分子を、治療有効量の二重サイトカイン融合タンパク質ならびに薬学的担体および/または薬学的に許容され得る賦形剤を含む医薬組成物として製剤化し得る。医薬組成物を、一般的に使用される緩衝液、賦形剤、防腐剤、安定剤を用いて製剤化し得る。二重サイトカイン融合タンパク質を含む医薬組成物を、薬学的に許容され得る担体または賦形剤と混合する。多様な薬学的担体が当該分野で公知であり、医薬組成物において使用し得る。例えば、担体は、本特許出願の二重サイトカイン融合タンパク質組成物の患者への送達に好適な任意の適合可能な無毒の物質であり得る。好適な担体の例は、通常の生理食塩水、リンゲル液、デキストロース溶液、およびハンクス液を含む。また、担体は、当業者に一般的に知られている任意のポロクサマー(2900(L64)、3400(P65)、4200(P84)、4600(P85)、11,400(F88)、4950(P103)、5900(P104)、6500(P105)、14,600(F108)、5750(P123)、および12,600(F127)の分子量を有するものを含むが、これらに限定されない)を含み得る。また、担体は、乳化剤(例えば、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、およびポリソルベート80を含むが、これらに限定されない)を含み得る。固定油およびオレイン酸エチルなどの非水性担体も使用され得る。また、担体は、等張性および化学安定性を増強する物質などの添加物(例えば、緩衝液および防腐剤)を含み得る(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences and U.S.Pharmacopeia:National Formulary,Mack Publishing Company,Easton,Pa.(1984)を参照のこと)。治療剤および診断剤の製剤を、例えば、凍結乾燥された粉末、スラリー、水溶液、または懸濁液の形態で生理学的に許容され得る担体、賦形剤、または安定剤と混合することによって調製し得る。
【0083】
医薬組成物を、所望の治療結果を提供するのに十分な治療有効量での患者への投与のために製剤化するであろう。好ましくは、かかる量は、負の副作用が最少である。1つの実施形態では、二重サイトカイン融合タンパク質の投与量は、炎症性疾患または症状を処置または予防するのに十分であろう。別の実施形態では、二重サイトカイン融合タンパク質の投与量は、免疫疾患または免疫障害を処置または予防するのに十分であろう。さらに別の実施形態では、二重サイトカイン融合タンパク質の投与量は、癌を処置または予防するのに十分であろう。投与量は、患者によって変動してよく、被験体または患者の疾患または症状、患者の健康全般、投与方法、および副作用の重症度などを考慮することによって決定される必要があるであろう。
【0084】
特定の患者の有効量は、処置される症状、患者の健康全般、投与方法、投与経路、および投与量、ならびに副作用の重症度などの要因に応じて変動し得る。患者への適切な投与用量を、典型的には、処置に影響を及ぼすか、処置に影響を及ぼすと予測されることが当該分野で公知であるか、疑われるパラメーターまたは要因を使用して臨床医が決定する。一般に、用量は、最適な用量よりいくらか少ない量から開始し、その後、任意の負の副作用と比較して所望のまたは最適な効果が達成されるまで、少しずつ増加させる。重要な診断基準は、例えば、炎症の徴候または炎症性サイトカインの産生レベルの診断基準を含む。
【0085】
本明細書中に記載の二重サイトカイン融合タンパク質の用量の決定方法は、米国特許第10,858,412号に記載の方法と実質的に類似するであろう。一般に、本明細書中に記載の二重サイトカイン融合タンパク質は、0.5マイクログラム/キログラム~100マイクログラム/キログラムの範囲の用量を有するであろう。二重サイトカイン融合タンパク質を、毎日、1週間に3回、1週間に2回、毎週、2ヶ月に1回、または毎月投与し得る。有効量の治療薬は、徴候を軽減することによって炎症または疾患または症状のレベルに影響を及ぼすであろう。例えば、影響は、疾患または症状が軽減されるか、完全に処置されるように、少なくとも10%;少なくとも20%;少なくとも約30%;少なくとも40%;少なくとも50%;またはそれを超える影響レベルを含み得る。
【0086】
本出願の組成物を、経口または注射によって体内に投与することができる。また、経口用の製剤は、胃腸管中のプロテアーゼから二重サイトカイン融合タンパク質をさらに保護するための化合物を含むことができる。注射は、通常、筋肉内、皮下、皮内、または静脈内である。あるいは、関節内注射または他の経路を、適切な環境で使用することができる。非経口投与される二重サイトカイン融合タンパク質を、好ましくは、薬学的担体および/または薬学的に許容され得る賦形剤と共に単位投薬量を注射可能な形態(液剤、懸濁剤、乳剤)に製剤化する。他の実施形態では、本出願の組成物を、移植可能なまたは注射可能な薬物送達システムによって患者の体内に導入し得る。
【0087】
二重サイトカイン融合タンパク質の試験
所望の生物学的機能を試験するための複数のスクリーニングアッセイが、当業者に公知であり、利用可能である。1つの実施形態では、所望の生物学的機能は、抗炎症応答の低下、T細胞刺激の低下、T細胞機能の増強、クッパー細胞機能性の増強、および肥満細胞脱顆粒の低下を含むが、これらに限定されない。
【0088】
例えば、IL-10曝露によってT細胞がプライミングされ、T細胞受容体の刺激の際により多くのIFNγが生成および分泌されることが公知である。同時に、IL-10曝露は、LPSに応答して単球/マクロファージから分泌されるTNFα、IL-6、および他の炎症促進性サイトカインの分泌を防止する。また、IL-10は、FoxP3CD4regの増殖を抑制する。1つの実施形態では、単球/マクロファージ抑制を最大にするがT細胞効果(刺激応答および抑制応答の両方を含む)を欠く二重サイトカイン融合タンパク質を正に選択するであろう。1つの実施形態では、自己免疫、抗炎症性疾患、またはその両方の処置のための抗炎症作用を増加させる二重サイトカイン融合タンパク質を、スクリーニングにより正に選択するであろう。別の実施形態では、また、クッパー細胞の除去を増強し、かつTreg抑制を欠く二重サイトカイン融合タンパク質を、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)および/または非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)の処置を開発するために選択するであろう。さらに別の実施形態では、T細胞生物学(刺激応答および抑制応答の両方を含む)を最大にし、かつクッパー細胞の除去の増強もされた二重サイトカイン融合タンパク質を、癌の処置を開発するために選択するであろう。二重サイトカイン融合タンパク質をスクリーニングするための多様なアッセイおよび方法は、以前に同時係属中の米国特許第10,858,412号(その全体が参考として援用される)に記載されている。米国特許出願第16/811,718号明細書の39~42頁を参照のこと。
【0089】
二重サイトカインを使用した処置および/または予防方法
他の態様では、本開示は、悪性疾患もしくは症状または癌を処置および/または予防する方法であって、治療有効量の、第1のマルチサブユニットサイトカイン(例えば、IL-12またはIL-27)および第2のサイトカイン(IFNアルファ、IL28、IL29、およびIL10など)を含む二重サイトカイン融合タンパク質を、前述の処置および/または予防を必要とする被験体に投与することを含む、方法に関する。好ましい実施形態では、二重サイトカイン融合タンパク質は、IL-12もしくはIL-27およびIL-10またはこれらのバリアント、IFN-アルファ、IL28、もしくはIL-29およびこれらのバリアンを第2のサイトカインとして含む。他の実施形態では、ヒト抗エボラscFvの6つのCDR領域は、抗Her2/Neu;抗PDGFR;抗VEGFR1および抗VEGFR2、抗FGFR;抗CD19、抗CD20、抗CD22、抗BCMA、抗PSA、抗PSMA、抗HER3;抗EGFR、抗CEA、または抗GPC3由来の6つのCDRと置換されている。好ましくは、6つのCDRは、抗EGFR、または抗HER2から得る。別の好ましい実施形態では、第2のサイトカインは、IL-28、IL-29、IL-10、またはIFN-アルファであり、ここで、IL-10は、DV07またはDV06のいずれかである。
【0090】
さらに他の態様では、本開示は、炎症性疾患または症状を処置および/または予防する方法であって、治療有効量の二重サイトカイン融合タンパク質を、前述の処置および/または予防を必要とする被験体に投与することを含む、方法に関する。好ましい実施形態では、炎症性疾患または障害は、クローン病、乾癬、および関節リウマチ(「RA」)を含むが、これらに限定されない。
【0091】
さらに別の態様では、本開示は、免疫疾患または症状を処置および/または予防する方法であって、治療有効量の二重サイトカイン融合タンパク質を、前述の処置および/または予防を必要とする被験体に投与することを含む、方法に関する。
【0092】
他の実施形態では、本開示はまた、当該分野で周知の第2の治療剤(例えば、サイトカイン、ステロイド、化学療法剤、抗生物質、抗炎症剤、または照射)を用いた同時投与または処置の方法を企図する。これらの方法は、以下のうちの1つまたは複数などであるが、これらに限定されない他の治療剤との併用処置を含み得る:化学療法薬、インターフェロン-β、例えば、IFNβ-1αおよびIFN-β-1β;ミエリン塩基性タンパク質を模倣するタンパク質;コルチコステロイド;IL-1阻害剤;TNF阻害剤;抗TNFα抗体、抗IL-6抗体、IL-1br-Ig融合物、抗IL-23抗体、CD40リガンドおよびCD80に対する抗体;IL-12およびIL-23のアンタゴニスト、例えば、IL-12およびIL-23のp40サブユニットのアンタゴニスト(例えば、p40サブユニットに対する阻害抗体);IL-22アンタゴニスト;小分子阻害剤、例えば、メトトレキサート、レフルノミド、シロリムス(ラパマイシン)、およびこれらのアナログ、例えば、CCI-779;Cox-2およびcPLA2阻害剤;NSAID;p38阻害剤;TPL-2;Mk-2;NFkβ阻害剤;RAGEまたは可溶性RAGE;P-セレクチンまたはPSGL-1阻害剤(例えば、小分子阻害剤、その抗体、例えば、P-セレクチンに対する抗体);エストロゲン受容体ベータ(ERB)アゴニストまたはERB-NFkβアンタゴニスト。
【0093】
さらに、二重サイトカイン融合タンパク質を用いた投与に有用な併用処置は、TNF阻害剤を含んでよく、前述の阻害剤は、例えば、TNFに結合するキメラ抗体、ヒト化抗体、有効ヒト抗体、ヒト抗体、もしくはin vitroで生成された抗体、またはこれらの抗原結合断片;TNF受容体の可溶性断片、例えば、p55もしくはp75ヒトTNF受容体またはこれらの誘導体、例えば、75kdTNFR-IgG(75kD TNF受容体-IgG融合タンパク質、エンブレル(商標))、p55kD TNF受容体-IgG融合タンパク質;ならびにTNF酵素アンタゴニスト、例えば、TNFα変換酵素(TACE)阻害剤を含む。標準的な非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)およびシクロオキシゲナーゼ-2阻害剤を含むが、これらに限定されない抗炎症剤/薬を用いた他の併用処置。NSAIDは、アスピリン、セレコキシブ、ジクロフェナック、ジフルニサル、エトドラク、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ケトロラック、ナブメトン、ナプロキセン、オキサプロジン、ピロキシカム、サルサラート、スリンダク、および/またはトルメチンを含み得る。本出願の組成物中で使用されるシクロオキシゲナーゼ-2阻害剤は、例えば、セレコキシブまたはロフェコキシブであり得る。
【0094】
二重サイトカイン融合タンパク質と同時投与および/または同時製剤化することができるさらなる治療剤は、以下のうちの1つまたは複数を含む:インターフェロン-β、例えば、IFNβ-1αおよびIFNβ-1β;COPAXONE(登録商標);コルチコステロイド;IL-1阻害剤;TNFアンタゴニスト(例えば、TNF受容体の可溶性断片、例えば、p55またはp75ヒトTNF受容体またはその誘導体、例えば、75kdTNFR-IgG;CD40リガンドおよびCD80に対する抗体;ならびにIL-12および/またはIL-23のアンタゴニスト、例えば、IL-12およびIL-23のp40サブユニットのアンタゴニスト(例えば、IL-12およびIL-23のp40サブユニットに結合する阻害抗体);メトトレキサート、レフルノミド、およびシロリムス(ラパマイシン)、またはこれらのアナログ、例えば、CCI-779。他の治療剤は、イムフィムジまたはアテゾリズマブ(Atezolizumb)を含み得る。
【0095】
NASHを処置する目的のために、例えば、二重サイトカイン融合タンパク質を、コレステロール低下剤(スタチンおよび非スタチン薬など)と組み合わせ得る。これらの薬剤は、シンバスタチン、アトルバスタチン、ロスバスタチン、ロバスタチン、プラバスタチン、ゲムフィブロジル、フルバスタチン、コレスチラミン、フェノフィブラート、コレステロール吸収阻害剤、胆汁酸結合樹脂もしくは捕捉剤、および/またはミクロソームトリグリセリド輸送タンパク質(MTP)阻害剤を含むが、これらに限定されない。
【0096】
本明細書中に記載の二重サイトカイン融合タンパク質と同時投与され得る代表的な化学療法剤は、以下の包括的でないリストの化学療法剤を含み得る:アルキル化剤、例えば、チオテパおよびシクロホスファミド(cyclosphosphamide)(CYTOXAN(商標));スルホン酸アルキル、例えば、ブスルファン、インプロスルファン、およびピポスルファン;アジリジン、例えば、ベンゾドパ、カルボコン、メツレドパ、およびウレドパ;エチレンイミンおよびメチルメラミン(methylamelamine)であって、以下を含む:アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホルアミド(trietylenephosphoramide)、トリエチレンチオホスホルアミド(triethylenethiophosphaoramide)およびトリメチロールメラミン(trimethylolomelamime)ナイトロジェンマスタード、例えば、クロラムブシル(chiorambucil)、クロルナファジン、クロホスファミド、エストラムスチン、イフォスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルファラン、ノブエンビキン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタード;ニトロソ尿素(nitrosurea)、例えば、カルムスチン、クロロゾトシン、ホテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、ラニムスチン;抗生物質、例えば、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、アウトラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カリチアマイシン、カラビシン、カルミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシン、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ぺプロマイシン、ポトフィロマイシン、ピューロマイシン、クエラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシン;代謝拮抗物質、例えば、メトトレキサートおよび5-フルオロウラシル(5-FU);葉酸アナログ、例えば、デノプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン、トリメトレキサート;プリンアナログ、例えば、フルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン;ピリミジンアナログ、例えば、アンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジン、5-FU;アンドロゲン、例えば、カルステロン、ドロモスタノロンプロピオナート、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン;アンチアドレナル、例えば、アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタン;葉酸補充薬、例えば、フォリン酸(frolinic acid);アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトラキサート;デフォファミン;デメコルシン;ジアジクオン;エフロルニチン(elfornithine);エリプチニウムアセタート;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダニン;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダモール;ニトラクリン;ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ポドフィリン酸;2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK(登録商標);ラゾキサン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジコン;2,2’,2”-トリクロロトリエチルアミン;ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビニノシド(Ara-C);シクロホスファミド;チオテパ;タキソイド、例えば、パクリタキセル(TAXOL(登録商標)Bristol-Myers Squibb Oncology,Princeton,N.J.)およびドキセタキセル(Taxotere(商標)、Rhone-Poulenc Rorer,Antony,France);クロラムブシル;ゲムシタビン;6-チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;白金アナログ、例えば、シスプラチンおよびカルボプラチン;ビンブラスチン;白金;エトポシド(VP-16);イフォスファミド;マイトマイシンC;ミトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン;ナベルビン;ノバントロン;テニポシド;ダウノマイシン;アミノプテリン;Xeloda(登録商標)Roche,Switzerland;イバンドロネート;CPT11;トポイソメラーゼ阻害剤RFS2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイン酸;エスペラミシン;カペシタビン;ならびに上記のいずれかの薬学的に許容され得る塩、酸、または誘導体。腫瘍に対するホルモン作用を制御または阻害するように作用する抗ホルモン剤、例えば、抗エストロゲン(例えば、タモキシフェン、ラロキシフェン、アロマターゼ阻害4(5)-イミダゾール、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY117018、オナプリストン、およびトレミフェン(フェアストン)を含む);ならびに抗アンドロゲン、例えば、フルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、ロイプロリド、およびゴセレリン;ならびに上記のいずれかの薬学的に許容され得る塩、酸、または誘導体もこの定義に含まれる。
【実施例
【0097】
実施例1:IL-12およびIL-IFN-アルファ二重サイトカイン融合タンパク質のin vitro研究
2つのサイトカインが腫瘍を標的にするin vitro効果を評価するために、IL-12およびIFN-アルファを含む二重サイトカイン融合タンパク質(「DKα12」と称した構造の代表的な線図として図2を参照のこと)を、以下の構成要素から構築する:
(a)抗EGFR抗体、抗HER2抗体、抗VEGFR1抗体、抗VEGFR1抗体、または抗CD14抗体のうちのいずれか1つ由来の6つのCDRを用いてグラフティングされたヒト抗エボラscFvの末端に融合されたp35およびp40サブユニット;および
(b)IFN-アルファ(配列番号9);
ここで、IFN-アルファは、抗EGFR抗体、抗HER2抗体、抗VEGFR1抗体、抗VEGFR1抗体、または抗CD14抗体由来の6つのCDRを用いてグラフティングされたヒト抗エボラscFvのVHとVLとの間のヒンジ(またはリンカー)領域中に抱合または連結されている。
【0098】
DKα12を、これら2つのサイトカイン(IL-12およびIFN-アルファ)の、NK、CD4、およびCD8T細胞由来のIFNγの誘導に対する組み合わせ効果を評価するために生成する。
【0099】
末梢血単球、NK、CD4、およびCD8T細胞を、DKα12の機能を評価するために磁性ビーズポジティブ選択によって単離し、次いで、in vitro試験で評価した。一連の細胞in vitroアッセイを使用して、ヒトの体内に皮下注射した分子の曝露サイクルにおける異なる時点での免疫学的機能を模倣またはモデル化した。これらのアッセイは、米国特許第10,858,412号および米国特許出願第17/110,104号に記載されている。
【0100】
第1に、IL-12のみの効果、IFN-アルファのみの効果、IL-12とIFN-アルファの組み合わせ効果、および単一サイトカインscFv足場系に組み込まれたIL-12の効果(例えば、p35およびp40サブユニットを足場系の末端上のIL-10単量体の代わりに用いる場合、図6を参照のこと)を、単球/マクロファージに対するDKα12の効果と比較する。IFN-アルファのみおよびDKα12に組み込まれたときは、LPS媒介性のIL-10の誘導を阻害するが、TRAILの放出を誘導する。IFN-アルファでの処置は、MHC IおよびCD80の細胞表面発現を増加させる。IL-12は、単球に影響を及ぼさない。
【0101】
第2に、IL-12のみの効果、IFN-アルファのみの効果、IL-12とIFN-アルファの組み合わせ効果、および単一サイトカインscFv足場系に組み込まれたIL-12の効果(例えば、p35およびp40サブユニットを足場系の末端上のIL-10単量体の代わりに用いる場合、図6を参照のこと)を、T細胞に対するDKα12の効果と比較する。T細胞アッセイは、CD8T細胞に対するIL-10の主な機能(主に、T細胞受容体連結の際にのみ放出されるIFNγの増強作用)を解明するために直接使用されている(Chan,2015;Mumm J.,2011;Emmerich,2012)。また、この同一のアッセイは、他のサイトカイン(IL-12など)に適用可能であり、T細胞刺激を同定するために使用され得る。このアッセイにおいて、IL-12のみまたはDKα12に組み込まれたときに、IFN-アルファ分泌を誘導する。IFN-アルファでT細胞を処置してもIFN-アルファは誘導されない。IFN-アルファでCD8+T細胞を処置すると、前述の細胞が相当に増殖する。DKα12と組み合わせるかカップリングしたときのIFN-アルファおよびIL-12で処置すると、T細胞増殖が増加し、かつIFN-アルファ分泌を有意に増強する。
【0102】
実施例2:IL-12およびIFN-アルファ二重サイトカイン融合タンパク質のin vivo研究
安定に発現されたヒトEGFR CT26マウス結腸直腸腫瘍細胞株の生成に基づいた腫瘍微小環境中への抗EGFR scFvを介した高親和性IL-10バリアント(DV07と称される)のターゲティング(ここで、DV07は、6つのグラフティングした抗EGFR CDRを含むヒト抗エボラScFv足場から得たVHおよびVLを含むscFvに融合されている;「Degfr:DV07」)は、PEG-rHuIL-10と比較した場合に優れた抗腫瘍機能を示すことが以前に示された。米国特許第10,858,412号を参照のこと。同一のin vivo腫瘍研究を使用して、DKα12を評価し、ヒトEGFR発現CT26細胞マウス腫瘍細胞株においてDegfr:DV07と比較する。
【0103】
平均100mmの腫瘍を有するCT26(hEGFR)腫瘍保有B細胞k.o.Balb/Cマウスを、表5に規定の被験物質、用量、および頻度で処置した。全ての被験物質を、頸部に皮下投与した。全ての被験物質を、15日間にわたって毎日投薬した。
【表5-2】
腫瘍の長さおよび幅を、電子カリパスによって3日毎に測定し、腫瘍容積を計算した((L×W)/2))。この実施例では、用語「Degfr:DV07」は、ヒトEGFR標的化DV07である;DKα12egfrは、「DKα12」と略され、セツキシマブCDRをグラフティングした抗エボラscFv足場を介してIL-12とカップリングしたヒトIFN-アルファである。
【0104】
方法
in vitro細胞培養:CT26(hEGFR+)腫瘍細胞(ATCC)を、完全RPMI、10%FCS、および10ug/mLピューロマイシン中で70%コンフルエンシーまで成長させる。細胞を、移植前にin vitroで3回以上継代する。細胞を、Accutase(Biolegend)を使用して細胞培養プレートから取り出し、完全RPMI中で400gにて4℃で10分間スピンして洗浄する。
【0105】
腫瘍の移植:腫瘍細胞を、100μLの50%成長因子低減Matrigelを含むか含まない50~100%RPMI中、1~2×10細胞/マウスで、B細胞ノックアウトマウスまたは野生型マウスの右脇腹の皮下に移植する。
【0106】
結果
腫瘍成長におけるDegfr:IL-12とDKα12との比較:安定にトランスフェクトした腫瘍細胞上に存在するEGFRへの結合を介した腫瘍微小環境へのIL-12のターゲティングは、有効であることが以前に示されていた。米国特許第10,858,412号を参照のこと。同一の腫瘍系を使用して、Degfr:IL-12とDKα12とを比較する。
【0107】
腫瘍を、1週間に3回測定する(表2)。75mmのCT26(hEGFR+)腫瘍を有する雌Balb/C B細胞ノックアウトマウスを、被験物質を多様な投薬頻度で皮下処置する。この実験のために、CT26(hEGFR+)細胞を、腫瘍抗原に対するマウスの免疫化を制限するために、0~50%成長因子低減Matrigel中1~2×10細胞で移植する。
【0108】
1mg/kgでのDegfr:IL-12の抗腫瘍効果を、同一用量のDKα12ならびに2および4mg/kgの用量と比較する。
【0109】
DKα12の安全性査定:DKα12投薬の安全性を試験するために、DKα12で処置した腫瘍担持マウスの体重を評価する。
【0110】
生存に対するDKα12投薬の効果:DKα12に対するCT26(hegfr+)腫瘍担持マウスの生存可能性を査定する。
【0111】
実施例3:IL-27およびIL-28またはIL-29二重サイトカイン融合タンパク質
腫瘍への2つのサイトカインのin vitroでのターゲティング効果を評価するために、(1)IL-27およびIL-28(「DK2827」と称した構造の代表的な線図として図4を参照のこと)ならびに(2)IL-27およびIL-29(「DK2927」と称した構造の代表的な線図として図5を参照のこと)を含む二重サイトカイン融合タンパク質を、以下の構成要素から構築する:
DK2827
(a)抗EGFR抗体、抗HER2抗体、抗VEGFR1抗体、抗VEGFR1抗体、または抗CD14抗体のうちのいずれか1つ由来の6つのCDRを用いてグラフティングされたヒト抗エボラscFvの末端に融合されたp28およびEBI3サブユニット;および
(b)IL-28(配列番号11);
ここで、IL-28は、抗EGFR抗体、抗HER2抗体、抗VEGFR1抗体、抗VEGFR1抗体、または抗CD14抗体由来の6つのCDRを用いてグラフティングされたヒト抗エボラscFvのVHとVLとの間のヒンジ(またはリンカー)領域中に抱合または連結されている。
DK2927
(a)抗EGFR抗体、抗HER2抗体、抗VEGFR1抗体、抗VEGFR1抗体、または抗CD14抗体のうちのいずれか1つ由来の6つのCDRを用いてグラフティングされたヒト抗エボラscFvの末端に融合されたp28およびEBI3サブユニット;および
(b)IL-29(配列番号16);
ここで、IL-29は、抗EGFR抗体、抗HER2抗体、抗VEGFR1抗体、抗VEGFR1抗体、または抗CD14抗体由来の6つのCDRを用いてグラフティングされたヒト抗エボラscFvのVHとVLとの間のヒンジ(またはリンカー)領域中に抱合または連結されている。
【0112】
DK2827およびDK2927の両方を、二重サイトカイン(IL-27とIL-28およびIL-28とIL-29)の、NK、CD4、およびCD8T細胞由来のIFNγの誘導に対する組み合わせ効果を評価するために生成する。上記の手順およびアッセイ(実施例1)を、これらの二重サイトカインを用いて両方の単球/マクロファージ、T細胞(CD4+およびCD8+)、およびNK細胞に対して繰り返す。
【0113】
実施例4:IL-27とIL-28およびIL-27とIL-29の二重サイトカイン融合タンパク質のin vivo研究
同一のin vivo腫瘍研究を用いて、DK2827およびDK2927の両方を評価し、ヒトEGFR発現CT26細胞マウス腫瘍細胞株において単一標的化サイトカインと比較する。上記の手順およびアッセイ(実施例2)を、これらの二重サイトカインを用いて繰り返す。
【0114】
実施例5:CD19 BiTEと組み合わせたin vitro細胞死滅アッセイにおけるIL-12とIL-10の二重サイトカイン融合タンパク質
この研究を、CD19二重特異性T細胞エンゲージャー(CD19 BiTE)と組み合わせたときに、EGFRを標的にするCDRを用いてグラフティングされた抗エボラ足場上でIL-12およびIL-10(DV07)を組み合わせている分子(本明細書中でDK1210EGFRと示す)において、CD8+T細胞の細胞傷害機能に対してリンカーの長さが影響を及ぼすかどうかを評価するためにデザインした。
【0115】
CD8+T細胞を、製造者が推奨するプロトコール(Miltenyi)にしたがって、抗CD8+磁性ビーズ単離によって新鮮なドナーLeukopakから単離した。
【0116】
単離されたCD8+T細胞を、2×10細胞/ウェルでプレートし、多様な濃度(0または200ng/mL)のDK1210EGFRを含むAIMV中に2日間曝露した。多様な濃度の、IL10側およびIL-12側の両方に標準的なリンカーを有するDK1210EGFRまたは伸長リンカーを有するDK1210EGFRへの曝露の2日後に、CD8+T細胞を採取し、カウントし、洗浄し、最後に、対応する濃度のDK1210EGFRに再懸濁した。同時に、緑色蛍光タンパク質(GFP)を構成性に発現するRaji細胞をカウントし、洗浄し、種々の濃度(0および0.1(データ示さず)、または1ng/mL)のCD19 BiTE中に再懸濁した。次いで、CD8+細胞(エフェクター)およびRaji-GFP細胞(標的)を、10:1のエフェクター対標的比で組み合わせる。(1)処置なし、(2)CD19 BiTEのみ、(3)DK210EGFRのみ、または(4)CD19 BiTEとDK210EGFRの組み合わせに曝露したエフェクターおよび標的細胞の混合物を、IncuCyteを使用して2日間にわたってモニタリングした。2日間の曝露後、GFPの消失率を、細胞傷害性の指標として測定する。
【0117】
ブリナツモマブとしても公知のCD19 BiTEは、現在、唯一のFDAで承認されているBiTE治療である。本発明者らは、CD19 BiTEの、IL10およびIL2を含む他の二重サイトカイン融合タンパク質(本明細書中でDK210と称する)との組み合わせが、CD19 BiTE細胞傷害性を増強することを示していた(データは提供せず)。ここで、本発明者らは、同一のアッセイシステムを使用して、CD19 BiTEの、(1)標準的なリンカー(例えば、配列番号46)を有するDK1210EGFRとの組み合わせが、(2)伸長リンカー(例えば、配列番号44)を有するDK1210EGFRとの組み合わせによる、正常で健常なヒトドナー由来のCD8+T細胞の駆動による標的癌細胞の細胞溶解を改善するのかどうかを判定する。図9および10を参照のこと。
【0118】
標準的なリンカーを有するDK1210EGFRと伸長リンカーを有するDK1210EGFRとの両方を用いたCD19 BiTEに対する健常なヒトドナー由来のCD8+T細胞の応答を比較した査定は、伸長リンカーが、2つの様式の組み合わせがCD8+T細胞による標的Raji細胞の細胞溶解能力を増強する能力を総じて改善することを示唆している。
【0119】
この文書による説明は、好ましい実施形態を含む本開示の態様を開示するための例を使用し、当業者は、任意のデバイスまたはシステムの作製および使用ならびに任意の組み入れられた方法の実施を含むその態様を実施することもできる。これらの態様の特許性のある範囲は、特許請求の範囲によって定義され、当業者が思いつく他の例を含み得る。かかる他の例は、これらが特許請求の範囲の文言と異ならない構成要素を有する場合、あるいは、これらが特許請求の範囲の文言と実質的に異ならない等価な構成要素を含む場合に、特許請求の範囲の範囲内にあることが意図される。当業者は、本出願の原理にしたがって、記載の多様な実施形態由来の態様、ならびに各々のかかる態様についての他の公知の均等物を組み合わせるか適合させて、さらなる実施形態および技術を構築することができる。
【化1-1】
【化1-2】
【化1-3】
【化1-4】
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【配列表】
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【国際調査報告】