(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】クラゾセンタン二ナトリウム塩、その製造及びそれを含有する医薬組成物
(51)【国際特許分類】
C07D 401/14 20060101AFI20241219BHJP
A61K 47/18 20170101ALI20241219BHJP
A61K 47/16 20060101ALI20241219BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20241219BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20241219BHJP
A61P 9/10 20060101ALI20241219BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20241219BHJP
A61K 31/506 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
C07D401/14 CSP
A61K47/18
A61K47/16
A61K47/02
A61P9/00
A61P9/10
A61K9/08
A61K31/506
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024535903
(86)(22)【出願日】2022-12-16
(85)【翻訳文提出日】2024-06-14
(86)【国際出願番号】 EP2022086423
(87)【国際公開番号】W WO2023111299
(87)【国際公開日】2023-06-22
(32)【優先日】2021-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512112725
【氏名又は名称】ネクセラファーマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【氏名又は名称】布施 行夫
(72)【発明者】
【氏名】イーリス アイグルストーファー-ハーグ
(72)【発明者】
【氏名】トーマス イサルノ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA12
4C076BB13
4C076CC11
4C076DD23
4C076DD48
4C076DD50
4C076FF11
4C076FF61
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086AA04
4C086BC62
4C086GA07
4C086GA08
4C086GA15
4C086MA01
4C086MA03
4C086MA04
4C086MA05
4C086MA17
4C086MA66
4C086NA14
4C086ZA36
(57)【要約】
本発明は、クラゾセンタン二ナトリウム塩及びその製造方法に関する。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式6の化合物
【化1】
であって、
- 当該化合物が、7.2%w/w~7.7%w/wのナトリウム含量を有すること;及
び/又は、
- ヨーロッパ薬局方6.0のChapter 2.2.2.に従って測定した場合、当
該化合物の水中の2.5%w/v試験溶液が、標準溶液Y
5、BY
5、GY
5又はB
5の
いずれか1つと比べて同等の着色を有するか又は着色が少ないこと;及び/又は、
- 当該化合物が結晶性であること;及び/又は、
- 当該化合物が非水和形態であること;及び/又は、
- 当該化合物が非溶媒和形態であること;及び/又は、
- 当該化合物が、高速液体クロマトグラフィーにより測定される、少なくとも98%w
/wのアッセイを有すること;及び/又は、
- 当該化合物が、高速液体クロマトグラフィーにより測定される、2%w/w以下の総
量の不純物を有すること;及び/又は、
- 当該化合物が、ガスクロマトグラフィーにより測定される、1%w/w未満の総量の
残存溶媒を有し、上記溶媒が、エタノール、メタノール、テトラヒドロフラン、ジメチル
ホルムアミド及びエチレングリコールからなる群より選択されること;
により特徴づけられる、式6の化合物。
【請求項2】
当該化合物が結晶性であり、当該結晶性化合物が、9.4°、12.0°、13.2°、
17.7°、18.4°、19.8°、21.2°、21.9°及び24.9°から選択
される屈折角2θを有する少なくとも4つのピークを有する粉末X線ディフラクトグラム
により特徴づけられる;請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
当該化合物が結晶性であり、当該結晶性化合物が、粉末X線ディフラクトグラムにおける
以下の屈折角2θ:9.4°、12.0°及び21.9°におけるピークの存在により特
徴づけられる;請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
当該化合物が結晶性であり、当該結晶性化合物が、粉末X線ディフラクトグラムにおける
以下の屈折角2θ:9.4°、12.0°、18.4°、21.2°及び21.9°にお
けるピークの存在により特徴づけられる;請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
当該化合物が結晶性であり、当該結晶性化合物が、粉末X線ディフラクトグラムにおける
以下の屈折角2θ:9.4°、12.0°、13.2°、17.7°、18.4°、19
.8°、21.2°、21.9°及び24.9°におけるピークの存在により特徴づけら
れる;請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
当該化合物が結晶性であり、粉末X線ディフラクトグラムが
図1に示すパターンを本質的
に示すことにより当該結晶性化合物が特徴づけられる;請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の式6の化合物の製造方法であって、下記の工程を有
する方法:
(e) 式5の化合物又はその溶媒和物
【化2】
を、ナトリウム含有塩基と反応させて、式6の化合物
【化3】
を得る工程;
(f)
(f1) 式6の化合物を7以上のpHにて水中で再結晶化させること;及び
(f2) 式6の化合物を、メタノール、エタノール又はこれらの混合物から選択される
溶媒中で粉砕すること;
により式6の化合物を精製する工程;
(g) 式6の化合物を乾燥する工程。
【請求項8】
請求項1~6のいずれか1項に記載の式6の化合物の製造のための、請求項7に記載の方
法であって、下記の工程を有する方法:
(a) 式1の化合物
【化4】
を、塩基性条件下で、5-メチル-ピリジン-2-スルホンアミド又はその塩と反応させ
て、式2の化合物又はその塩
【化5】
を得る工程;
(b) 式2の化合物又はその塩を、アルカリ金属水酸化物の存在下で、エチレングリコ
ールと反応させて、式3の化合物又はその塩
【化6】
を得る工程;
(c) 式3の化合物又はその塩を、モノ-、ジ-又はトリ-C
1-4-アルキルアミン
の存在下で、シアン化トリメチルシリルと反応させて、式4の化合物
【化7】
を得る工程;
(d) 式4の化合物を、塩化アンモニウムの存在下で、アルカリ金属アジドと反応させ
て、式5の化合物又はその溶媒和物
【化8】
を得る工程;
及び、請求項7にそれぞれ記載の工程(e)、(f)及び(g)。
【請求項9】
請求項1~6のいずれか1項に記載の化合物を有する医薬組成物であって、少なくとも1
種の薬学的に許容される担体をさらに有する医薬組成物。
【請求項10】
- 23.5mg/mL~26.5mg/mLの請求項1~6のいずれか1項に記載の化
合物(当該濃度は、遊離酸形態の請求項1~6のいずれか1項に記載の化合物に関するも
のである。);
- 8.0mg/mL~12.0mg/mLのトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン
;
- 0.08mg/mL~0.12mg/mLのエデト酸二ナトリウム;及び
- 2.0mg/mL~3.0mg/mLの塩化ナトリウム;
を有し;
当該組成物のpH値が7.0~9.0である;
請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
ヨーロッパ薬局方6.0のChapter 2.2.2.に従って測定した場合、当該組
成物が、標準溶液GY
3と比べて同等の着色を有するか又は着色が少ない、請求項10に
記載の医薬組成物。
【請求項12】
医薬として使用するための、請求項1~6のいずれか1項に記載の化合物又は請求項9~
11のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項13】
動脈瘤性くも膜下出血手術/処置後の脳血管れん縮並びに血管れん縮関連脳梗塞及び脳虚
血症状の予防において使用するための、請求項1~6のいずれか1項に記載の化合物又は
請求項9~11のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項14】
動脈瘤性くも膜下出血手術後の脳血管れん縮並びに血管れん縮関連脳梗塞及び脳虚血症状
の予防において使用するための、請求項1~6のいずれか1項に記載の化合物又は請求項
9~11のいずれか1項に記載の組成物であって、上記化合物を有する医薬組成物を10
mg/hの用量で持続静脈内注入として患者に投与し、当該用量が遊離酸形態の上記化合
物の量であり、当該投与が動脈瘤性くも膜下出血の手術後に始まり、動脈瘤破裂後、最大
限15日間継続する、化合物又は組成物。
【請求項15】
動脈瘤性くも膜下出血後の患者における脳血管れん縮の発生率及び/又は重症度の低減に
おいて使用するための、請求項1~6のいずれか1項に記載の化合物又は請求項9~11
のいずれか1項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クラゾセンタン二ナトリウム塩(clazosentan disodiu
m salt)の新規な製造方法、製造中間体及び最終生成物に関する。さらに、本発明
は、クラゾセンタンを有する医薬組成物、及び、エンドセリンレセプターが関与する疾患
又は障害の予防及び/又は治療における、特に動脈瘤性くも膜下出血(aneurysm
al subarachnoid hemorrhage)(aSAH)後の脳血管れん
縮(cerebral vasospasm)(VSP)及び/又はそれに続く虚血効果
/症状の予防及び/又は治療における使用のためのエンドセリンレセプターアンタゴニス
トとしてのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
aSAHは、脳と頭蓋骨の間のクモ膜下腔において突然生じる生命を脅かす出血であり
、動脈瘤の破裂により引き起こされる。出血を止めるためには、血管内コイル塞栓術(e
ndovascular coiling)又は動脈瘤の微小外科クリッピング術(mi
crosurgical clipping)による救急手術治療が必要とされることが
多い。aSAHによる死亡率は高く(約25%)、生存者のかなりの割合が神経障害を経
験する。VSPは、近傍脳領域への血流及び酸素を減少させる出血部位周囲の動脈の強い
収縮であり、動脈瘤処置(aneurysm securing)後4~14日後に起こ
ることがある。不十分な血液供給により脳組織が死ぬ遅延性脳虚血(delayed c
erebral ischemia)及び/又は脳梗塞等の合併症は、VSP後に進行す
る。
【0003】
クラゾセンタンは強力なエンドセリン(ETA選択的)レセプターアンタゴニストであ
り、幾つかの臨床試験(例えば、NCT00111085、NCT00558311、N
CT00940095、NCT02560532、NCT03585270、Japic
CTI-163369及びJapicCTI-163368)において、aSAH後のV
SP及び/又はそれに続く虚血効果/症状に関して評価されている。日本においてクラゾ
センタン(商品名Pivlaz)は2022年に承認された(Lee A.クラゾセンタ
ン:First Approval.Drugs.2022 Apr;82(6):69
7-702.Doi:10.1007/s40265-022-01708-0.PMI
D:35362854)。
【0004】
クラゾセンタン二ナトリウム塩(以下、式6の化合物とも記載する。)は、5-メチル
-ピリジン-2-スルホン酸 N-{6-(2-ヒドロキシ-エトキシ)-5-(2-メ
トキシ-フェノキシ)-2-[2-(1H-テトラゾール-5-イル)-ピリジン-4-
イル]-ピリミジン-4-イル}-アミド 二ナトリウム塩又は5-メチル-ピリジン-
2-スルホン酸 N-{6-(2-ヒドロキシ-エトキシ)-5-(2-メトキシ-フェ
ノキシ)-2-[2-(1H-テトラゾール-5-イル)-ピリジン-4-イル]-ピリ
ミジン-4-イル}-アミド ナトリウム塩(1:2)等の数種の系統名で知られている
。クラゾセンタンは、当該技術分野において、その実験室コード(laboratory
codes)、例えば、ACT-108475(遊離酸)、AXV-034343(遊
離酸)、AXV-034343A(二ナトリウム塩)、ACT-108475A(二ナト
リウム塩)、VML588及びRo61-1790でも知られており;下記の構造により
表してもよい。
【0005】
【化1】
EP0979822はクラゾセンタン二ナトリウム塩及びその製造(実施例9)を開示
する。WO9619459は、クラゾセンタン遊離酸の実験室スケールの製造を開示する
(実施例29)。クラゾセンタン二ナトリウム塩がWO9619459の実施例Cb)中
に言及されているようだが、製造方法についての記載はない。EP0897914は、ク
ラゾセンタン遊離酸の製造において使用してよい2,5-二置換ピリジンの製造方法に関
する(例えば、[0018]、[0024]及び[0032])。EP0897914は
、主として、クラゾセンタンの製造法の最初の工程を対象とする。W020000420
35及びW02000052007は、エンドセリンレセプターの阻害剤としての複素環
式スルホンアミドに関する。Vorbrueggenら:Synthesis 1983
(4):316-319、DOI:10.1055/s-1983-30321;T.S
akamotoら:Chem.Pharm.Bull.33、565-571(1985
);及びA.Kuboら:Chem.Pharm.Bull.36、4355-4363
(1988)は、複素環式-N-オキシドのシアノ化を論じている。
【発明の概要】
【0006】
本発明により、クラゾセンタン及びその二ナトリウム塩の大規模製造に適した新規な方
法が見出された。この方法は、特に、適切な試薬/溶媒;高収率;高い変換率;短い反応時間
;低温及び低圧;高い安全性及び信頼性;及び/又は中間体/最終生成物の良好なろ過性等の
有利な製法特性/条件をもたらすであろう。さらに、この方法は、有利な純度、不純物プ
ロファイル及び/又は適正なナトリウム含量を有するクラゾセンタン二ナトリウム塩を提
供するであろう。また、この方法は、製造中間体及び/又はクラゾセンタン二ナトリウム
塩の有益な結晶形を提供するであろう。当該有益な結晶形の使用は、製造中の原料処理/
輸送/貯蔵/試験を簡略化して、そのコストを低減し;質量変動を低減することにより、
製剤製造における調薬(dosing)を簡略化し;貯蔵条件下における凝集形成を低減
し;及び/又はバルク原料の均一性を改善するであろう。本発明の方法は、脱色された(d
iscolored)クラゾセンタン二ナトリウム塩を提供することが見出された。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、結晶形Aの5-メチル-ピリジン-2-スルホン酸 {6-(2-ヒドロキシ-エトキシ)-5-(2-メトキシ-フェノキシ)-2-[2-(1H-テトラゾール-5-イル)-ピリジン-4-イル]-ピリミジン-4-イル}-アミド 二ナトリウム塩の粉末X線ディフラクトグラムを示し、この粉末X線ディフラクトグラムは、CuKα照射の屈折角2θの関数として表される。
図1のX線ディフラクトグラムは、示した屈折角2シータにおける、ディフラクトグラムにおける最も強いピークと比較して、下記のパーセンテージの相対強度を有するピークを示す(相対的ピーク強度を括弧内に記載する。)(5-35°の範囲の2シータからの、10%又はそれより大きな相対強度を有する選択したピークを報告する。):9.4°(100%)、12.0°(19%)、13.2°(15%)、17.7°(16%)、18.4°(20%)、19.8°(18%)、21.2°(23%)、21.9°(35%)及び24.9°(15%)。
【
図2】
図2は、5-メチル-ピリジン-2-スルホン酸 6-クロロ-5-(2-メトキシ-フェノキシ)-2-(1-オキシ-ピリジン-4-イル)-ピリミジン-4-イルアミド(遊離酸)の粉末X線ディフラクトグラムを示し、この粉末X線ディフラクトグラムは、CuKα照射の屈折角2θの関数として表される。
図2のX線ディフラクトグラムは、示した屈折角2シータにおける、ディフラクトグラムにおける最も強いピークと比較して、下記のパーセンテージの相対強度を有するピークを示す(相対的ピーク強度を括弧内に記載する。)(5-35°の範囲の2シータからの、7%又はそれより大きな相対強度を有する選択したピークを報告する。):8.3°(100%)、9.1°(34%)、12.3°(10%)、16.7°(11%)、18.1°(10%)、20.2°(26%)、20.5°(11%)、25.0°(27%)、25.6°(7%)及び27.1°(18%)。
【
図3】
図3は、5-メチル-ピリジン-2-スルホン酸 6-(2-ヒドロキシ-エトキシ)-5-(2-メトキシ-フェノキシ)-2-(1-オキシ-ピリジン-4-イル)-ピリミジン-4-イルアミド ナトリウム塩の粉末X線ディフラクトグラムを示し、この粉末X線ディフラクトグラムは、CuKα照射の屈折角2θの関数として表される。
図3のX線ディフラクトグラムは、示した屈折角2シータにおける、ディフラクトグラムにおける最も強いピークと比較して、下記のパーセンテージの相対強度を有するピークを示す(相対的ピーク強度を括弧内に記載する。)(5-35°の範囲の2シータからの、4%又はそれより大きな相対強度を有する選択したピークを報告する。):9.8°(100%)、10.4°(11%)、18.2°(21%)、18.8°(7%)、19.2°(4%)、20.9°(10%)、23.1°(17%)、26.2°(11%)、27.1°(10%)及び29.0°(12%)。
【
図4】
図4は、5-メチル-ピリジン-2-スルホン酸 2-(2-シアノ-ピリジン-4-イル)-6-(2-ヒドロキシ-エトキシ)-5-(2-メトキシ-フェノキシ)-ピリミジン-4-イルアミドの粉末X線ディフラクトグラムを示し、この粉末X線ディフラクトグラムは、CuKα照射の屈折角2θの関数として表される。
図4のX線ディフラクトグラムは、示した屈折角2シータにおける、ディフラクトグラムにおける最も強いピークと比較して、下記のパーセンテージの相対強度を有するピークを示す(相対的ピーク強度を括弧内に記載する。)(5-35°の範囲の2シータからの、10%又はそれより大きな相対強度を有する選択したピークを報告する。):7.0°(100%)、8.6°(38%)、11.6°(17%)、12.6°(25%)、13.8°(54%)、18.2°(34%)、21.4°(63%)、23.1°(30%)、25.3°(26%)及び26.7°(42%)。
【
図5】
図5は、5-メチル-ピリジン-2-スルホン酸 {6-(2-ヒドロキシ-エトキシ)-5-(2-メトキシ-フェノキシ)-2-[2-(1H-テトラゾール-5-イル)-ピリジン-4-イル]-ピリミジン-4-イル}-アミドの粉末X線ディフラクトグラムを示し、この粉末X線ディフラクトグラムは、CuKα照射の屈折角2θの関数として表される。
図5のX線ディフラクトグラムは、示した屈折角2シータにおける、ディフラクトグラムにおける最も強いピークと比較して、下記のパーセンテージの相対強度を有するピークを示す(相対的ピーク強度を括弧内に記載する。)(5-35°の範囲の2シータからの、20%又はそれより大きな相対強度を有する選択したピークを報告する。):6.0°(100%)、9.0°(34%)、12.7°(29%)、17.7°(35%)、18.0°(48%)、20.7°(36%)、23.0°(31%)、24.6°(66%)、25.8°(54%)及び27.2(31%)。
【
図6】
図6は、5-メチル-ピリジン-2-スルホン酸 {6-(2-ヒドロキシ-エトキシ)-5-(2-メトキシ-フェノキシ)-2-[2-(1H-テトラゾール-5-イル)-ピリジン-4-イル]-ピリミジン-4-イル}-アミド テトラヒドロフラン溶媒和物の粉末X線ディフラクトグラムを示し、この粉末X線ディフラクトグラムは、CuKα照射の屈折角2θの関数として表される。
図6のX線ディフラクトグラムは、示した屈折角2シータにおける、ディフラクトグラムにおける最も強いピークと比較して、下記のパーセンテージの相対強度を有するピークを示す(相対的ピーク強度を括弧内に記載する。)(5-35°の範囲の2シータからの、5%又はそれより大きな相対強度を有する選択したピークを報告する。):9.0°(100%)、15.4°(11%)、17.2°(6%)、19.0°(14%)、21.7°(10%)、23.6°(9%)、24.2°(19%)、24.4°(12%)、25.8°(10%)及び27.9°(15%)。
【0008】
いかなる疑義をも避けるために、上記のピークは、
図1~6に示す粉末X線ディフラク
トグラムの実験結果を記述する。上記のピークのリストとは対照的に、本発明の結晶形の
対応する化合物を完全に及び明確に特徴づけるためには、選択された特徴的なピークのみ
が必要であることが理解されるべきである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の詳細な記述
1) 本発明の一側面は、
(a) 式1の化合物
【0010】
【化2】
を、塩基性条件下で、5-メチル-ピリジン-2-スルホンアミド又はその塩(特にア
ルカリ金属塩;とりわけカリウム塩)と反応させて、式2の化合物又はその塩(特にアル
カリ金属塩;とりわけカリウム塩)
【0011】
【0012】
本明細書で使用される「塩基性条件」という用語は、5-メチル-ピリジン-2-スル
ホンアミド中のスルホンアミド基を脱プロトン化することができる化合物の存在を意味し
、そのような化合物は、例えば、塩基性アルカリ金属塩、アルカリ金属水酸化物、トリ-
C1-4-アルキルアミン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABC
O)、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)又は1,5
-ジアザビシクロ(4.3.0)ノン-5-エン(DBN)等のアミジン塩基、未置換で
あるか、1、2又は3個のC1-4-アルキル(特にメチル)により置換されたピリジン
である。好ましくは、塩基性アルカリ金属塩、アルカリ金属水酸化物及びトリ-C1-4
-アルキルアミンである。特に好ましくは、塩基性アルカリ金属塩又はアルカリ金属水酸
化物である。
【0013】
本明細書で使用される「トリ-C1-4-アルキルアミン」という用語は、式NR1R
2R3(R1、R2及びR3は、独立に、C1-4-アルキルを表す。)の化合物を意味
する。C1-4-アルキルという用語は、1~4個の炭素原子を有する分岐した又は直鎖
の1価の飽和炭化水素基を意味する。C1-4-アルキル基の例は、メチル、エチル、n
-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、tert-ブチル、sec-ブチル及びイソブ
チル;とりわけエチルである。
【0014】
塩基性アルカリ金属塩は、水中で加水分化して、7を超えるpH値を有する溶液を形成
するアルカリ金属の塩である。かかる塩の例は、アルカリ金属の炭酸塩、重炭酸塩、硫化
物、シアン化物又は酢酸塩である。特に、リチウム、ナトリウム又はカリウムの炭酸塩又
は重炭酸塩である。適切なアルカリ金属水酸化物は、ナトリウム、カリウム、リチウム又
はセシウムの水酸化物;とりわけ、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び水酸化リチウ
ムである。
【0015】
2) 別の態様は、工程(a)が塩基性アルカリ金属塩(特に炭酸カリウム)の存在下
で行われる、態様1)に従う方法に関する。
【0016】
3) 別の態様は、前記塩基性アルカリ金属塩(特に炭酸カリウム)が、[式1の化合
物の量に対して]約1当量~約3当量(特に約2当量)である、態様2)に従う方法に関
する。
【0017】
4) 別の態様は、工程(a)が、極性非プロトン性有機溶媒又はかかる溶媒の混合物
(特にアセトニトリル、1,4-ジオキサン又はこれらの混合物;とりわけアセトニトリ
ル)中で行われる、態様1)~3)のいずれか1つに従う方法に関する。
【0018】
「極性非プロトン性有機溶媒」という用語は、本発明の文脈において、(25℃にて測
定される)15より大きい、特に20より大きい誘電率(dielectric con
stant)「ε」を有し、酸性水素原子を欠く有機溶媒であるものとする。例えば、か
かる溶媒は、アセトン、酢酸エチル、ジメチルスルホキシド、1,4-ジオキサン、アセ
トニトリル、N-メチル-ピロリドン又はジメチル-ホルムアミドであってよい。
【0019】
5) 別の態様は、5-メチル-ピリジン-2-スルホンアミドの量が、[式1の化合
物の量に対して]約1当量~約1.5当量(特に約1当量)である、態様1)~4)のい
ずれか1つに従う方法に関する。
【0020】
6) 別の態様は、式2の化合物が、
- カリウム塩、すなわち式2aの化合物(特にその水和物)の形態で、
【0021】
【化4】
- 又は、特に遊離酸の形態で、
単離される、態様1)~5)のいずれか1つに従う方法に関する。
【0022】
態様1)~6)のいずれか1つに従う方法は、式6の化合物の製造に使用してよい。
【0023】
7) 本発明の別の側面は、
(b) 式2の化合物又はその塩(特にアルカリ金属塩;とりわけカリウム塩)
【0024】
【化5】
を、アルカリ金属水酸化物(特に水酸化ナトリウム)の存在下で、エチレングリコール
と反応させて、式3の化合物又はその塩(特にナトリウム塩;とりわけナトリウム塩水和
物)
【0025】
【0026】
8) 別の態様は、式2の化合物(すなわち遊離酸形態の式2の化合物)を反応させる
、態様7)に従う方法に関する。
【0027】
9) 別の態様は、前記アルカリ金属水酸化物(特に水酸化ナトリウム)の量が、[式
2の化合物の量に対して]少なくとも約4当量(特に少なくとも約5当量;とりわけ約5
.7当量)である、態様7)又は8)のいずれか1つに従う方法に関する。
【0028】
10) 別の態様は、工程(b)が、少なくとも1種のフリーラジカルスカベンジャー
(free radical scavenger)(特に2,6-ジ-tert-ブチ
ル-4-メチルフェノール)の存在下で行われる、態様7)~9)のいずれか1つに従う
方法に関する。特に、上記フリーラジカルスカベンジャーは、[遊離酸形態の式2の化合
物に対して]約0.1~約1当量(特に約0.5当量)の量で存在する。
【0029】
「フリーラジカルスカベンジャー」という用語は、本発明の文脈において、前記方法の
間に形成されるフリーラジカル種と反応することにより、副生成物の形成を防ぐ化合物を
意味する。かかる化合物の例は、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール
(BHT)、2-(1,1-ジメチルエチル)-1,4-ベンゼンジオール、1,2-ジ
ヒドロ-6-エトキシ-2,2,4-トリメチルキノリン、第3ブチルヒドロキノン(t
ertiary butylhydroquinone)(TBHQ)、没食子酸プロピ
ル、没食子酸ドデシル、没食子酸、又は、2-tert-ブチル-4-ヒドロキシアニソ
ールと3-tert-ブチル-4-ヒドロキシアニソールの異性体混合物等のブチルヒド
ロキシアニソール(BHA);とりわけ2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェ
ノール(BHT)である。6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール等のフリー
ラジカルスカベンジャーを使用する場合、トルエンを反応混合物に加えてよい。
【0030】
11) 別の態様は、式3の化合物が、ナトリウム塩(特にその水和物)、すなわち式
3aの化合物(特にその水和物)
【0031】
【化7】
の形態で単離される、態様7)~10)のいずれか1つに従う方法に関する。
【0032】
態様7)~11)のいずれか1つに従う方法は、式6の化合物の製造に使用してよい。
【0033】
12) 本発明の別の側面は、
(c) 式3の化合物又はその塩(特にナトリウム塩;とりわけナトリウム塩水和物)
【0034】
【化8】
を、モノ-、ジ-又はトリ-C
1-4-アルキルアミン(特にトリエチルアミン)の存
在下で、シアン化トリメチルシリル(trimethylsilyl cyanide)
と反応させて、式4の化合物
【0035】
【0036】
13) 別の態様は、式3の化合物を、塩の形態で、特にそのナトリウム塩(式3a)
の形態で反応させる、態様12)に従う方法に関する。
【0037】
14) 別の態様は、工程(c)がクロロトリメチルシラン(trimethylsi
lyl chloride)の存在下で行われる、態様12)又は13)のいずれか1つ
に従う方法に関する。特に、クロロトリメチルシランの量は、[式3/3aの化合物に対
して]約1~約2当量(とりわけ約1.3当量)である。
【0038】
残存エチレングリコール等のさらなるアルコール基が出発物質中に存在する場合には、
クロロトリメチルシランの量をさらに増やしてよいものとする。
【0039】
15) 別の態様は、シアン化トリメチルシリルの量が、[式3/3aの化合物に対し
て]約3~約6(特に約4.5)当量である、態様12)~14)のいずれか1つに従う
方法に関する。
【0040】
16) 別の態様は、モノ-、ジ-又はトリ-C1-4-アルキルアミンの量が、[式
3/3aの化合物に対して]約2~約4(特に3.1)当量である、態様12)~15)
のいずれか1つに従う方法に関する。
【0041】
17) 別の態様は、工程(c)が、大気圧(atmospheric pressu
re)よりも高い(すなわち約1barよりも高い;とりわけ約2~約10barの;殊
に約6barの)圧力下で行われる、態様12)~16)のいずれか1つに従う方法に関
する。
【0042】
18) 別の態様は、工程(c)が、約70℃~約110℃(特に約80℃~約100
℃、とりわけ約93℃)の温度にて行われる、態様12)~17)のいずれか1つに従う
方法に関する。
【0043】
態様12)~18)のいずれか1つに従う方法は、式6の化合物の製造に使用してよい
。
【0044】
19) 本発明の別の側面は、
(d) 式4の化合物
【0045】
【化10】
を、塩化アンモニウムの存在下で、アルカリ金属アジド(特にアジ化ナトリウム)と反
応させて、式5の化合物又はその溶媒和物(特にテトラヒドロフラン溶媒和物)
【0046】
【0047】
20) 別の態様は、式5の化合物を、ろ過助剤(filter aid)に吸着させ
て(固液分離により)単離し、当該ろ過助剤が、けいそう土(kieselguhr)、
活性炭又はパーライト(perlite);特にけいそう土を有する、態様19)に従う
方法に関する。
【0048】
式5の化合物の固体残渣の単離とは、懸濁液の固相をその液相から分離することを意味
するものとする。当該単離は、ろ過(例えば重力ろ過、特に減圧ろ過(vacuum f
iltration))等の固液分離のための任意の方法により行ってよいものとする。
【0049】
本明細書で使用される「ろ過助剤」という用語は、例えば、ケークの圧縮性を減少させ
及び/又はケークの透過性/多孔性を改善することにより、流速及び/又はろ液清澄度(
filtrate clarity)を改善する固体粒子からなる担体を意味する。ろ過
助剤は多孔性粒子を有し、ろ過される懸濁液に加えられるか、又は、ろ過される懸濁液が
通過するフィルター上に層として置かれる。ろ過助剤の例は、Hyflo(登録商標)S
uper Cel(登録商標)NF等のけいそう土(kieselgur、diatom
aceous earth又はdiatomiteとしても知られる)、活性炭、パーラ
イト、(木材)セルローズ、農業繊維(agricultural fibers)、お
がくず(saw dust)、(焼成した)籾殻灰(rice hull ash)又は
紙繊維(paper fibers)(例えば古新聞からの繊維)であり;特に、適切な
ろ過助剤は、けいそう土、活性炭又はパーライト;とりわけけいそう土である。
【0050】
21) 別の態様は、使用されるろ過助剤の量が、式4の化合物の量の少なくとも約1
0%w/w(特に、少なくとも約50%w/w;とりわけ、少なくとも75%w/w;殊
に、少なくとも100%)である、態様20)に従う方法に関する。
【0051】
22) 別の態様は、工程(d)が、約110℃未満の(特に約80℃~約110℃の
;とりわけ約95℃の)温度にて行われる、態様19)~21)のいずれか1つに従う方
法に関する。
【0052】
23) 別の態様は、工程(d)がジメチルホルムアミド中で行われる、態様19)~
22)のいずれか1つに従う方法に関する。
【0053】
24) 別の態様は、吸着された式5の化合物を、適切な溶媒中に[例えば、(特に、
約50℃を超える温度にて、とりわけ約66℃にて)テトラヒドロフラン中に]溶解させ
ることにより脱着し、式5の化合物を溶媒和物、例えばテトラヒドロフラン溶媒和物とし
て単離する(特に、適切な溶媒、例えばテトラヒドロフランからの沈殿及び/又は結晶化
により;例えば約20℃未満の温度にて、特に約10℃にて;当該化合物は、特に固液分
離により単離され、任意で、適切な溶媒(例えばテトラヒドロフラン)中で(特に還流し
ながら)さらにスラリー化される。)、態様19)~23)のいずれか1つに従う方法に
関する。
【0054】
態様19)~24)のいずれか1つに従う方法は、式6の化合物の製造に使用してよい
。
【0055】
25) 別の側面は下記の工程を有する方法に関する:
(e) 式5の化合物又はその溶媒和物(特にテトラヒドロフラン溶媒和物;とりわけテ
トラヒドロフラン一溶媒和物)
【0056】
【化12】
を、ナトリウム含有塩基(特に、ナトリウムアルコキシド、水素化ナトリウム又は水酸
化ナトリウム;とりわけ、1~4個の炭素原子を有するナトリウムアルコキシド;殊にナ
トリウムメトキシド)と反応させて、式6の化合物
【0057】
【化13】
を得る工程;
(f) 任意で、
(f1) [工程(e)の]式6の化合物を7以上のpH(特に10以上のpH;とりわ
け約14のpH)にて水中で再結晶化させること;及び/又は、
(f2) [工程(e)又は工程(f1)の]式6の化合物を、低級アルコール又は低級
アルコールの混合物から選択される溶媒中で粉砕すること;
により式6の化合物を精製する工程;及び
(g) 任意で、式6の化合物を乾燥する工程。
【0058】
態様25)の好ましい副態様において、工程(f)及び工程(g)は態様25)に従う
方法に含まれる(すなわち、工程(f)及び工程(g)は任意ではない。)。態様25)
のさらなる好ましい副態様において、工程(f)及び工程(g)は態様25)に従う方法
に含まれ(すなわち、工程(f)及び工程(g)は任意ではなく)、工程(f)は工程(
f1)を有し、工程(f2)は存在しない。なおさらなる好ましい副態様において、工程
(f)及び工程(g)は態様25)に従う方法に含まれ(すなわち、工程(f)及び工程
(g)は任意ではなく)、工程(f)は工程(f1)及び工程(f2)を有する。態様2
5)のなお別の好ましい副態様において、工程(f)及び工程(g)は態様25)に従う
方法に含まれ(すなわち、工程(f)及び工程(g)は任意ではなく)、工程(f)は工
程(f2)を有し、工程(f1)は存在しない。
【0059】
本明細書で使用される「ナトリウム含有塩基」という用語は、ナトリウムを有する有機
及び/又は無機のブレンステッド塩基を意味し;特に、当該塩基は式5の化合物からプロ
トン(H+イオン)を受け取って、式6の化合物を生成させることに適している。適切な
ブレンステッド塩基は、ナトリウムアルコキシド(例えば、ナトリウムメトキシド、ナト
リウムエトキシド、ナトリウムn-プロポキシド、ナトリウムイソプロポキシド及び/又
はナトリウムブトキシド)、水素化ナトリウム、酸化ナトリウム及び/又は水酸化ナトリ
ウム;特に、ナトリウムアルコキシド、水素化ナトリウム又は水酸化ナトリウム;とりわ
け1~4個の炭素原子を有するナトリウムアルコキシド;殊にナトリウムメトキシドであ
ってよい。
【0060】
本明細書で使用される「再結晶化させること」という用語は、工程(e)で得られる式
6の化合物(の固体残渣)を、高温で(例えば約60~80℃で)、7以上のpHにて、
(特に、約1~3の式6の化合物/水の重量比にて)水中に溶解させ、この溶液を冷却し
、式6の化合物(の固体残渣)を(特に固液分離により)単離することを意味する。態様
25)の再結晶化工程において言及した7以上のpH値(特に10以上のpH値;とりわ
け約14のpH値)は、アルカリ金属塩基等の塩基の添加により;特に水酸化ナトリウム
の添加により行ってよい。
【0061】
本明細書で使用される「粉砕すること(triturating)」という用語は、可
溶性不純物を有する粗製有機化合物を精製するために使用する方法を意味する。所望の生
成物について不溶であり、望ましくない副生成物について可溶である又はそれとは逆の溶
媒が選択される。例えば、不純物が可溶であり、所望の生成物が可溶でない場合には、粗
製物質をその溶媒で洗浄し、ろ過することにより、精製された生成物を固体形態で、不純
物を溶液中に残す。特に、本明細書で使用される「粉砕すること」(スラリー化すること
(slurring)とも記載する)という用語は、
- [工程(f1)又は工程(e)で得られた]式6の化合物(の固体残渣)を、低級ア
ルコール又は低級アルコールの混合物から選択される溶媒中に懸濁し;
- 任意で、この懸濁液を、特に加熱下で、所定の時間の間撹拌し(agitating
)(例えばかき混ぜ(stirring));そして
- 式6の化合物(の固体残渣)を単離すること;
を意味する。
【0062】
上記懸濁工程は、特に室温より高い温度で、とりわけ約70℃で行われるものとする。
上記撹拌工程は、特に室温より高い温度で、とりわけ還流しながら行われる。特に冷却工
程が上記単離工程の前に置かれ、室温未満の温度に、特に0℃未満の温度に冷却する。さ
らに、式6の化合物(の固体残渣)を単離することとは、懸濁液の固相をその液相から分
離することを意味するものとする。これは、ろ過(例えば、遠心ろ過、重力ろ過又は減圧
ろ過)、沈降、デカンテーション及び/又は遠心等の固液分離のための任意の方法により
行ってよく;とりわけ重力又は減圧ろ過により行ってよい。
【0063】
工程(g)の乾燥は、室温より高い温度(特に約25℃~約75℃)で行ってよいもの
とし、任意で真空下で行われる。
【0064】
上記部分及び下記部分で使用される「低級アルコール」という用語は、1~5個(特に
1~3個;とりわけ1又は2個)の炭素原子を有する直鎖の又は分岐した1価の飽和アル
カノールを意味する。低級アルコールの例は、メタノール、エタノール、1-プロパノー
ル、2-プロパノール、1-ブタノール、イソブタノール、2-メチル-プロパン-2-
オール、2-メチル-プロパン-1-オール、1-ペンタノール、2-ペンタノール又は
3-ペンタノールである。
【0065】
26) 別の態様は、前記ナトリウム含有塩基(特にナトリウムアルコキシド;とりわ
けナトリウムメトキシド)が、式5の化合物に対して、2~3(特に約2.5)当量であ
る、態様25)に従う方法に関する。
【0066】
27) 別の態様は、工程(e)が、低級アルコール又は低級アルコールの混合物(特
に、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール又はこれらの混合物
;とりわけ、メタノール、エタノール又はこれらの混合物;殊に、1wt.のメタノール
と3wt.のエタノールの混合物)中で行われる、態様25)又は26)のいずれか1つ
に従う方法に関する。
【0067】
28) 別の態様は、工程(f2)の粉砕に使用される溶媒が、メタノール、エタノー
ル、1-プロパノール、2-プロパノール又はこれらの混合物から選択される[特に、メ
タノール、エタノール又はこれらの混合物;とりわけメタノールとエタノールの混合物(
特に、1wt.のメタノールと3wt.のエタノールの比率の混合物)、態様25)~2
7)のいずれか1つに従う方法に関する。
【0068】
態様25)~28)のいずれか1つに従う方法は、式6の化合物の製造に使用してよい
。
【0069】
29) 本発明の別の側面は式6の化合物の製造方法に関し、当該方法は、態様25)
~28)のいずれか1つに従って、工程(e)を有し、任意で工程(f)及び(g)を有
し;
当該方法は下記の工程をさらに有する;
- 態様19)~24)のいずれか1つに従う工程(d);
又は、
- 態様19)~24)のいずれか1つに従う工程(d);及び
態様12)~18)のいずれか1つに従う工程(c)[特に態様14)~18)のいずれ
か1つに従う工程(c)];
又は、
- 態様19)~24)のいずれか1つに従う工程(d);
態様12)~18)のいずれか1つに従う工程(c)[特に態様14)~18)のいずれ
か1つに従う工程(c)];及び
態様7)~11)のいずれか1つに従う工程(b)[特に態様9)~11)のいずれか1
つに従う工程(b)];
又は、
- 態様19)~24)のいずれか1つに従う工程(d);
態様12)~18)のいずれか1つに従う工程(c)[特に態様14)~18)のいずれ
か1つに従う工程(c)];
態様7)~11)のいずれか1つに従う工程(b)[特に態様9)~11)のいずれか1
つに従う工程(b)];
及び態様1)~6)のいずれか1つに従う工程(a)。
【0070】
30) 本発明の別の側面は、態様25)~28)のいずれか1つに従って、工程(e
)、(f)及び(g)を有する式6の化合物の製造方法に関し;当該方法は下記の工程を
さらに有する;
- 態様19)~24)のいずれか1つに従う工程(d);
又は、
- 態様19)~24)のいずれか1つに従う工程(d);及び
態様12)~18)のいずれか1つに従う工程(c)[特に態様14)~18)のいずれ
か1つに従う工程(c)];
又は、
- 態様19)~24)のいずれか1つに従う工程(d);
態様12)~18)のいずれか1つに従う工程(c)[特に態様14)~18)のいずれ
か1つに従う工程(c)];及び
態様7)~11)のいずれか1つに従う工程(b)[特に態様9)~11)のいずれか1
つに従う工程(b)];
又は、
- 態様19)~24)のいずれか1つに従う工程(d);
態様12)~18)のいずれか1つに従う工程(c)[特に態様14)~18)のいずれ
か1つに従う工程(c)];
態様7)~11)のいずれか1つに従う工程(b)[特に態様9)~11)のいずれか1
つに従う工程(b)];及び
態様1)~6)のいずれか1つに従う工程(a)。
【0071】
31) 本発明の別の側面は、
- 態様1)~6)のいずれか1つに従う工程(a);
態様7)~11)のいずれか1つに従う工程(b);
態様12)~18)のいずれか1つに従う工程(c)[特に、態様14)~18)のいず
れか1つに従う工程(c)];
態様19)~24)のいずれか1つに従う工程(d);
態様25)~28)のいずれか1つに従う工程(e);
態様25)~28)のいずれか1つに従う工程(f);及び
態様25)~28)のいずれか1つに従う工程(g);
を有する、式6の化合物の製造方法に関する。
【0072】
態様31)の副態様は、態様1)~6)のいずれか1つに従う工程(a);態様7)に
従う工程(b);態様12)に従う工程(c);態様19)に従う工程(d);態様25
)に従う工程(e);を有する、式6の化合物の製造方法に関する。
【0073】
態様31)の副態様は、態様1)に従う工程(a);態様7)~11)のいずれか1つ
に従う工程(b);態様12)に従う工程(c);態様19)に従う工程(d);態様2
5)に従う工程(e);を有する、式6の化合物の製造方法に関する。
【0074】
態様31)の副態様は、態様1)に従う工程(a);態様7)に従う工程(b);態様
12)~18)のいずれか1つに従う工程(c);態様19)に従う工程(d);態様2
5)に従う工程(e);を有する、式6の化合物の製造方法に関する。
【0075】
態様31)の副態様は、態様1)に従う工程(a);態様7)に従う工程(b);態様
12)に従う工程(c);態様19)~24)のいずれか1つに従う工程(d);態様2
5)に従う工程(e);を有する、式6の化合物の製造方法に関する。
【0076】
32) 本発明の別の側面は、工程(f)が任意である、態様31)に従う式6の化合
物の製造方法に関する。
【0077】
33) 本発明の別の側面は、工程(g)が任意である、態様31)に従う式6の化合
物の製造方法に関する。
【0078】
34) 本発明の別の側面は、工程(f)及び工程(g)が任意である、態様31)に
従う式6の化合物の製造方法に関する。
【0079】
本明細書に開示する個別の製造工程(a)、(b)、(c)等はアルファベット順に行
ってよいものとし、すなわち、製造工程(a)が製造工程(b)より前に行われ;製造工
程(b)が製造工程(c)より前に行われる等である。しかしながら、単に明確さを期す
という理由により、本出願の請求項/態様において、個別の製造工程はアルファベット順
とは異なる順序で記載されるかもしれない。例えば、当該工程の下記の順序での記載が可
能であり、意図される:製造工程(b)、製造工程(a)、製造工程(c)等;又は、製
造工程(c)、製造工程(a)、製造工程(b)等。工程(f)は、任意で、工程(f1
)及び工程(f2)を有する。工程(f1)が存在しない場合には、工程(f)は工程(
f2)のみを有する。工程(f1)が存在する場合には、工程(f2)より前に行われる
。
【0080】
本出願に開示される方法、特に態様1)~34)のいずれか1つに従う方法は、大規模
製造に、特に1kgより多くの生成物(中間体又は最終生成物)、とりわけ5kgより多
くの生成物、殊に10kgより多くの生成物の製造に適していることが理解されるべきで
ある。特に製造工程(e)及び(f)は、1kgより多くの(特に3kgより多くの;と
りわけ5kgより多くの;殊に10kgより多くの)式6の化合物の製造に適しているで
あろう。
【0081】
35) 別の側面は、式2aの化合物又はその水和物に関する。副態様は、態様1)~
6)のいずれか1つに従う方法の工程(a)により得ることができる、式2aの化合物又
はその水和物に関する。
【0082】
35a) さらなる態様は、粉末X線ディフラクトグラムにおける以下の屈折角2θ:
8.3°、9.1°及び25.0°におけるピークの存在により特徴づけられる;式2の
化合物の結晶形;又は、態様1)~6)のいずれか1つに従う方法の工程(a)により得
ることができる式2の化合物の結晶形;に関する。
【0083】
35b) さらなる態様は、粉末X線ディフラクトグラムにおける以下の屈折角2θ:
8.3°、9.1°、20.2°、25.0°及び27.1°におけるピークの存在によ
り特徴づけられる;式2の化合物の結晶形;又は、態様1)~6)のいずれか1つに従う
方法の工程(a)により得ることができる式2の化合物の結晶形;に関する。
【0084】
35c) さらなる態様は、粉末X線ディフラクトグラムにおける以下の屈折角2θ:
8.3°、9.1°、12.3°、16.7°、18.1°、20.2°、20.5°、
25.0°、25.6°及び27.1°におけるピークの存在により特徴づけられる;式
2の化合物の結晶形;又は、態様1)~6)のいずれか1つに従う方法の工程(a)によ
り得ることができる式2の化合物の結晶形;に関する。
【0085】
35d) さらなる態様は、
- 8.3°、9.1°、12.3°、16.7°、18.1°、20.2°、20.5
°、25.0°、25.6°及び27.1°から選択される屈折角2θを有する少なくと
も4つのピーク、又は、特に少なくとも6つのピーク、又は、とりわけ少なくとも8つの
ピークを有する粉末X線ディフラクトグラムにより;又は、
- 粉末X線ディフラクトグラムが
図2に示すパターンを本質的に示すことにより;
特徴づけられる;式2の化合物の結晶形;又は、態様1)~6)のいずれか1つに従う方
法の工程(a)により得ることができる式2の化合物の結晶形に関する。
【0086】
36) 別の側面は、式3aの化合物又はその水和物に関する。副態様は、態様7)~
11)のいずれかに従う方法の工程(b)により得ることができる式3aの化合物又はそ
の水和物に関する。
【0087】
36a) さらなる態様は、粉末X線ディフラクトグラムにおける以下の屈折角2θ:
9.8°、18.2°及び23.1°におけるピークの存在により特徴づけられる;態様
36)に従う式3aの化合物(又はその水和物)の結晶形;又は、態様7)~11)のい
ずれかに従う方法の工程(b)により得ることができる、態様36)に従う式3aの化合
物(又はその水和物)の結晶形に関する。
【0088】
36b) さらなる態様は、粉末X線ディフラクトグラムにおける以下の屈折角2θ:
9.8°、18.2°、23.1°、26.2°及び29.0°におけるピークの存在に
より特徴づけられる;態様36)に従う式3aの化合物(又はその水和物)の結晶形;又
は、態様7)~11)のいずれかに従う方法の工程(b)により得ることができる態様3
6)に従う式3aの化合物(又はその水和物)の結晶形に関する。
【0089】
36c) さらなる態様は、粉末X線ディフラクトグラムにおける以下の屈折角2θ:
9.8°、10.4°、18.2°、18.8°、19.2°、20.9°、23.1°
、26.2°、27.1°及び29.0°におけるピークの存在により特徴づけられる;
態様36)に従う式3aの化合物(又はその水和物)の結晶形;又は、態様7)~11)
のいずれかに従う方法の工程(b)により得ることができる態様36)に従う式3aの化
合物(又はその水和物)の結晶形に関する。
【0090】
36d) さらなる態様は、
- 9.8°、10.4°、18.2°、18.8°、19.2°、20.9°、23.
1°、26.2°、27.1°及び29.0°から選択される屈折角2θを有する少なく
とも4つのピーク、又は、特に少なくとも6つのピーク、又は、とりわけ少なくとも8つ
のピークを有する粉末X線ディフラクトグラムにより;又は、
- 粉末X線ディフラクトグラムが
図3に示すパターンを本質的に示すことにより;
特徴づけられる;態様36)に従う式3aの化合物又はその水和物の結晶形;又は、態様
7)~11)のいずれかに従う方法の工程(b)により得ることができる態様36)に従
う式3aの化合物(又はその水和物)の結晶形に関する。
【0091】
36e) さらなる態様は、粉末X線ディフラクトグラムにおける以下の屈折角2θ:
7.0°、13.8°及び21.4°におけるピークの存在により特徴づけられる;式4
の化合物の結晶形;又は、態様12)~18)のいずれかに従う方法の工程(c)により
得ることができる式4の化合物の結晶形に関する。
【0092】
36f) さらなる態様は、粉末X線ディフラクトグラムにおける以下の屈折角2θ:
7.0°、8.6°、13.8°、21.4°及び26.7°におけるピークの存在によ
り特徴づけられる;式4の化合物の結晶形;又は、態様12)~18)のいずれかに従う
方法の工程(c)により得ることができる式4の化合物の結晶形に関する。
【0093】
36g) さらなる態様は、粉末X線ディフラクトグラムにおける以下の屈折角2θ:
7.0°、8.6°、11.6°、12.6°、13.8°、18.2°、21.4°、
23.1°、25.3°及び26.7°におけるピークの存在により特徴づけられる;式
4の化合物の結晶形;又は、態様12)~18)のいずれかに従う方法の工程(c)によ
り得ることができる式4の化合物の結晶形に関する。
【0094】
36h) さらなる態様は、
- 7.0°、8.6°、11.6°、12.6°、13.8°、18.2°、21.4
°、23.1°、25.3°及び26.7°から選択される屈折角2θを有する少なくと
も4つのピーク、又は、特に少なくとも6つのピーク、又は、とりわけ少なくとも8つの
ピークを有する粉末X線ディフラクトグラムにより;又は、
- 粉末X線ディフラクトグラムが
図4に示すパターンを本質的に示すことにより;
特徴づけられる;式4の化合物の結晶形;又は、態様12)~18)のいずれかに従う方
法の工程(c)により得ることができる式4の化合物の結晶形に関する。
【0095】
36i) さらなる態様は、示差走査熱量測定サーモグラム(DSC2)における約2
10℃(特に210±5℃;とりわけ210±2℃)における吸熱ピークにより特徴づけ
られる[すなわち、約210℃;特に210±5℃;とりわけ210±2℃における融点
により特徴づけられる];式4の化合物の結晶形、特に態様36e)~36h)のいずれ
か1つに従う式4の化合物の結晶形;又は、態様12)~18)のいずれかに従う方法の
工程(c)により得ることができる式4の化合物の結晶形、特に態様36e)~36h)
のいずれか1つに従う式4の化合物の結晶形に関する。
【0096】
疑義を避けるために、態様36i)の結晶形は、示差走査熱量測定サーモグラムにおけ
るそのピークのみにより(すなわち、その融点のみにより)、又は、当該ピーク及び態様
36e)~36h)のいずれか1つにおいて特定した粉末X線ディフラクトグラムの屈折
角の組み合わせにより特徴づけてよいものとする。
【0097】
37) 別の側面は、式5の化合物のテトラヒドロフラン溶媒和物(特にテトラヒドロ
フラン一溶媒和物)に関する。副態様は、態様19)又は24)に従う方法の工程(d)
により得ることができる式5の化合物のテトラヒドロフラン溶媒和物(特にテトラヒドロ
フラン一溶媒和物)に関する。
【0098】
37a) さらなる態様は、粉末X線ディフラクトグラムにおける以下の屈折角2θ:
9.0°、24.2°及び27.9°におけるピークの存在により特徴づけられる;態様
37)に従う式5の化合物のテトラヒドロフラン溶媒和物(特にテトラヒドロフラン一溶
媒和物)の結晶形;又は、態様19)~24)のいずれかに従う方法の工程(d)により
得ることができる、態様37)に従う式5の化合物のテトラヒドロフラン溶媒和物(特に
テトラヒドロフラン一溶媒和物)の結晶形に関する。
【0099】
37b) さらなる態様は、粉末X線ディフラクトグラムにおける以下の屈折角2θ:
9.0°、15.4°、19.0°、24.2°及び27.9°におけるピークの存在に
より特徴づけられる;態様37)に従う式5の化合物のテトラヒドロフラン溶媒和物(特
にテトラヒドロフラン一溶媒和物)の結晶形;又は、態様19)~24)のいずれかに従
う方法の工程(d)により得ることができる、態様37)に従う式5の化合物のテトラヒ
ドロフラン溶媒和物(特にテトラヒドロフラン一溶媒和物)の結晶形に関する。
【0100】
37c) さらなる態様は、粉末X線ディフラクトグラムにおける以下の屈折角2θ:
9.0°、15.4°、17.2°、19.0°、21.7°、23.6°、24.2°
、24.4°、25.8°及び27.9°におけるピークの存在により特徴づけられる;
態様37)に従う式5の化合物のテトラヒドロフラン溶媒和物(特にテトラヒドロフラン
一溶媒和物)の結晶形;又は、態様19)~24)のいずれかに従う方法の工程(d)に
より得ることができる、態様37)に従う式5の化合物のテトラヒドロフラン溶媒和物(
特にテトラヒドロフラン一溶媒和物)の結晶形に関する。
【0101】
37d) さらなる態様は、
- 9.0°、15.4°、17.2°、19.0°、21.7°、23.6°、24.
2°、24.4°、25.8°及び27.9°から選択される屈折角2θを有する少なく
とも4つのピーク、又は、特に少なくとも6つのピーク、又は、とりわけ少なくとも8つ
のピークを有する粉末X線ディフラクトグラムにより;又は、
- 粉末X線ディフラクトグラムが
図6に示すパターンを本質的に示すことにより;
特徴づけられる;態様37)に従う式5の化合物のテトラヒドロフラン溶媒和物(特にテ
トラヒドロフラン一溶媒和物)の結晶形;又は、態様19)~24)のいずれかに従う方
法の工程(d)により得ることができる、態様37)に従う式5の化合物のテトラヒドロ
フラン溶媒和物(特にテトラヒドロフラン一溶媒和物)の結晶形に関する。
【0102】
37e) さらなる態様は、粉末X線ディフラクトグラムにおける以下の屈折角2θ:
6.0°、24.6°及び25.8°におけるピークの存在により特徴づけられる;式5
の化合物の結晶形;又は、態様19)~24)のいずれかに従う方法の工程(d)により
得ることができる式5の化合物の結晶形に関する。
【0103】
37f) さらなる態様は、粉末X線ディフラクトグラムにおける以下の屈折角2θ:
6.0°、9.0°、18.0°、24.6°及び25.8°におけるピークの存在によ
り特徴づけられる;式5の化合物の結晶形;又は、態様19)~24)のいずれかに従う
方法の工程(d)により得ることができる式5の化合物の結晶形に関する。
【0104】
37g) さらなる態様は、粉末X線ディフラクトグラムにおける以下の屈折角2θ:
6.0°、9.0°、12.7°、17.7°、18.0°、20.7°、23.0°、
24.6°、25.8°及び27.2°におけるピークの存在により特徴づけられる;式
5の化合物の結晶形;又は、態様19)~24)のいずれかに従う方法の工程(d)によ
り得ることができる式5の化合物の結晶形に関する。
【0105】
37h) さらなる態様は、
- 6.0°、9.0°、12.7°、17.7°、18.0°、20.7°、23.0
°、24.6°、25.8°及び27.2°から選択される屈折角2θを有する少なくと
も4つのピーク、又は、特に少なくとも6つのピーク、又は、とりわけ少なくとも8つの
ピークを有する粉末X線ディフラクトグラムにより;又は、
- 粉末X線ディフラクトグラムが
図5に示すパターンを本質的に示すことにより;
特徴づけられる;式5の化合物の結晶形;又は、態様19)~24)のいずれかに従う方
法の工程(d)により得ることができる式5の化合物の結晶形に関する。
【0106】
38) 別の側面は、ろ過助剤に吸着させた式5の化合物に関し、当該ろ過助剤は、け
いそう土、活性炭又はパーライト;とりわけけいそう土を有する。副態様は、態様19)
~23)のいずれか1つに従う方法の工程(d)により得ることができ、ろ過助剤に吸着
させた式5の化合物に関し、当該ろ過助剤は、けいそう土、活性炭又はパーライト;とり
わけけいそう土を有する。
【0107】
39) 本発明の別の側面は、態様25)~34)のいずれか1つに従う方法により得
ることができる式6の化合物(クラゾセンタン二ナトリウム塩)に関する。
【0108】
40) 別の態様は、式6の化合物(クラゾセンタン二ナトリウム塩);又は、態様3
9)に従う化合物であって、ヨーロッパ薬局方(European Pharmacop
oeia)6.0のChapter 2.2.2.に従って測定した場合、当該化合物の
水中の2.5%w/v試験溶液が、標準溶液(reference solutions
)Y3、BY3、GY3又は(任意で)B3のいずれか1つと比べて同等の着色を有する
か又は着色が少ない(less colored)ことにより特徴づけられる;式6の化
合物(クラゾセンタン二ナトリウム塩);又は、態様39)に従う化合物に関する。態様
40)の副態様において、ヨーロッパ薬局方6.0のChapter 2.2.2.に従
って測定した場合、上記試験溶液は、標準溶液GY3と比べて同等の着色を有するか又は
着色が少ない。
【0109】
薬学的有効成分の溶液の色度(The degree of coloration
of solutions of pharmaceutical active in
gredients)は、広く使用されている一般的手法であり、ヨーロッパ薬局方6.
0(Ph.Eur.)、Chapter 2.2.2(01/2008:20202)、
Method I又はII(特にMethod II)に記載されているように、目視に
よる色合わせ(visual color matching)により行ってよい。一般
に、塩化コバルト(II)(赤)、塩化鉄(III)(黄色)及び硫酸銅(II)(青)
の3種の親溶液並びに1%塩酸から、黄色(Y1~Y7)、緑黄色(GY1~GY7)、
茶色がかった黄色(BY1~BY7)、茶色(B1~B9)及び赤(R1~R7)に対し
て合計37の色度標準溶液(color reference solutions)を
調製する。溶液の色度の測定の下記の工程がPh.Eurに記載されている:i) 研究
対象である物質(本出願ではクラゾセンタン)の試験溶液を、無色のガラスバイアル中で
その所定量を水等の適切な溶媒に溶解させることにより調製する、ii) 黄色(Y1~
Y7)、緑黄色(GY1~GY7)、茶色がかった黄色(BY1~BY7)、茶色(B1
~B9)及び赤(R1~R7)に対する色度標準溶液を、Ph.Eur.6.0、Cha
pter 2.2.2に従って調製するか、又は、既製の標準溶液として(例えばSig
ma-Aldrich又はMerckから)購入する。iii) 試験溶液と標準溶液の
色を、Method I又はMethod IIに従って目視により比較し、試験物質の
溶液の色度を確定する。各標準溶液は、国際照明委員会(International
Commission on Illumination)により、例えば、明度(li
ghtness)、彩度(hue)及び色相(chroma)により規定される色空間(
color space)(CIELAB色空間)内で定義される。本発明において使用
される正確な方法は、ヨーロッパ薬局方6.0.のChapter 2.2.2(01/
2008:20202)、Method I又はII(好ましくはMethod II)
に適切に記述されている。当該方法は本明細書に参照により取り込まれる。少なくともヨ
ーロッパ薬局方6.0及び7.0等の数種の異なる版のヨーロッパ薬局方が、色調の測定
について本質的に同じ方法を記述しているものと理解される。本明細書において使用され
る「Yp、BYQ、GYR又はBs」の表現(例えば、Y3、BY3、GY3又はB3)
において、下付き文字、P、Q及びRは、独立に1~7の整数を表す。下付き文字Sは整
数の1~9を表す。疑義を避けるために、試験溶液の色調が、標準溶液Yp、BYQ、G
YR又はBsのいずれか1つと比べて同等の着色を有するか又は着色が少ないと記載され
る場合、これは、試験溶液が、標準溶液Yp、又は標準溶液BYQ、又は標準溶液GYR
、又は標準溶液Bsと比べて同等の着色を有するか又は着色が少ないことを意味する。こ
れは、試験溶液を、標準溶液Y1~Y7と、又は標準溶液GY1~GY7と、又は標準溶
液BY1~BY7と、又は標準溶液B1~B9と適宜比較することにより確定される。さ
らに、試験溶液は、上記の一連の標準溶液の1つのみと(特に標準溶液GY1~GY7と
)比較してよいものとされ、当該一連の標準溶液は、試験溶液の色調と最も適合する色調
を有するものであり、例えば、緑黄色の試験溶液は標準溶液GY1~GY7と比較され;
茶色がかった黄色の試験溶液は標準溶液BY1~BY7と比較される等である。上記一連
の標準溶液の2又は3種以上と色合わせが可能な場合には、一連の標準溶液の2又は3種
以上と比較を行ってよい。
【0110】
41) 別の態様は、式6の化合物(クラゾセンタン二ナトリウム塩);又は態様39
)に従う化合物であって、ヨーロッパ薬局方6.0のChapter 2.2.2.に従
って測定した場合、当該化合物の水中の2.5%w/v試験溶液が、標準溶液Y4、BY
4、GY4又は(任意で)B4のいずれか1つと比べて同等の着色を有するか又は着色が
少ないことにより特徴づけられる;式6の化合物(クラゾセンタン二ナトリウム塩);又
は態様39)に従う化合物に関する。態様41)の副態様において、ヨーロッパ薬局方6
.0のChapter 2.2.2.に従って測定した場合、上記試験溶液は、標準溶液
GY4と比べて同等の着色を有するか又は着色が少ない。
【0111】
42) 別の態様は、式6の化合物(クラゾセンタン二ナトリウム塩);又は態様39
)に従う化合物であって、ヨーロッパ薬局方6.0のChapter 2.2.2.に従
って測定した場合、当該化合物の水中の2.5%w/v試験溶液が、標準溶液Y5、BY
5、GY5又は(任意で)B5のいずれか1つと比べて同等の着色を有するか又は着色が
少ないことにより特徴づけられる;式6の化合物(クラゾセンタン二ナトリウム塩);又
は態様39)に従う化合物に関する。態様42)の副態様において、ヨーロッパ薬局方6
.0のChapter 2.2.2.に従って測定した場合、上記試験溶液は、標準溶液
GY5と比べて同等の着色を有するか又は着色が少ない。
【0112】
43) 別の態様は、式6の化合物(クラゾセンタン二ナトリウム塩);又は態様39
)に従う化合物であって、ヨーロッパ薬局方6.0のChapter 2.2.2.に従
って測定した場合、当該化合物の水中の2.5%w/v試験溶液が、標準溶液Y6、BY
6、GY6又は(任意で)B6のいずれか1つと比べて同等の着色を有するか又は着色が
少ないことにより特徴づけられる;式6の化合物(クラゾセンタン二ナトリウム塩);又
は態様39)に従う化合物に関する。態様43)の副態様において、ヨーロッパ薬局方6
.0のChapter 2.2.2.に従って測定した場合、上記試験溶液は、標準溶液
GY6と比べて同等の着色を有するか又は着色が少ない。
【0113】
44) 別の態様は、式6の化合物(クラゾセンタン二ナトリウム塩);又は態様39
)に従う化合物であって、ヨーロッパ薬局方6.0のChapter 2.2.2.に従
って測定した場合、当該化合物の水中の2.5%w/v試験溶液が、標準溶液Y7、BY
7、GY7又は(任意で)B7のいずれか1つと比べて同等の着色を有するか又は着色が
少ないことにより特徴づけられる;式6の化合物(クラゾセンタン二ナトリウム塩);又
は態様39)に従う化合物に関する。態様44)の副態様において、ヨーロッパ薬局方6
.0のChapter 2.2.2.に従って測定した場合、上記試験溶液は、標準溶液
GY7と比べて同等の着色を有するか又は着色が少ない。
【0114】
45) 別の態様は、粉末X線ディフラクトグラムにおける以下の屈折角2θ:9.4
°、12.0°及び21.9°におけるピークの存在により特徴づけられる;式6の化合
物(クラゾセンタン二ナトリウム塩)の結晶形;又は、態様39)~44)のいずれか1
つに従う化合物の結晶形に関する。
【0115】
46) 別の態様は、粉末X線ディフラクトグラムにおける以下の屈折角2θ:9.4
°、12.0°、18.4°、21.2°及び21.9°におけるピークの存在により特
徴づけられる;式6の化合物(クラゾセンタン二ナトリウム塩)の結晶形;又は、態様3
9)~44)のいずれか1つに従う化合物の結晶形に関する。
【0116】
47) 別の態様は、粉末X線ディフラクトグラムにおける以下の屈折角2θ:9.4
°、12.0°、13.2°、17.7°、18.4°、19.8°、21.2°、21
.9°及び24.9°におけるピークの存在により特徴づけられる;式6の化合物(クラ
ゾセンタン二ナトリウム塩)の結晶形;又は、態様39)~44)のいずれか1つに従う
化合物の結晶形に関する。
【0117】
48) 別の態様は、
- 9.4°、12.0°、13.2°、17.7°、18.4°、19.8°、21.
2°、21.9°及び24.9°から選択される屈折角2θを有する少なくとも4つのピ
ーク、又は、特に少なくとも6つのピーク、又は、とりわけ少なくとも8つのピークを有
する粉末X線ディフラクトグラムにより;又は、
- 粉末X線ディフラクトグラムが
図1に示すパターンを本質的に示すことにより;
特徴づけられる、式6の化合物(クラゾセンタン二ナトリウム塩)の結晶形;又は、態様
39)~44)のいずれか1つに従う化合物の結晶形に関する。
【0118】
いかなる疑義をも避けるために、上記態様の1つが、「粉末X線ディフラクトグラムに
おける、以下の屈折角2θにおけるピーク」又は「屈折角2θを有する少なくとも...
のピークを有する粉末X線ディフラクトグラム 」に言及する場合は常に、当該粉末X線
ディフラクトグラムは、Kα2を除去することなく、結合Cu Kα1及びKα2照射(
combined Cu Kα1 and Kα2 radiation)を用いて得ら
れ;そして本明細書で提供される2θ値の精度は+/-0.1~0.2°の範囲内である
ことが理解されるべきである。特に、本発明の態様及び請求項中でピークに対する屈折角
2シータ(2θ)を特定する場合、記載された当該2θ値は、当該値-0.2°から当該
値+0.2°(2θ+/-0.2°)の間;そして特に当該値-0.1°から当該値+0
.1°(2θ+/-0.1°)の間と理解されるべきである。
【0119】
例えば、粉末X線ディフラクトグラムにおけるピークの存在を定義する場合、通常の方
法は、S/N比(S=シグナル、N=ノイズ)についてこれを行うことである。この定義
に従えば、粉末X線ディフラクトグラムにピークが存在しなければならないと述べる場合
、粉末X線ディフラクトグラムのピークは、x(xは1より大きい数値である。)より大
きい、通常は2より大きい、特に3より大きいS/N比(S=シグナル、N=ノイズ)を
持つことにより定義されるものと理解される。
【0120】
結晶性化合物が、例えば
図1に示す粉末X線回折パターンを本質的に示すという文脈に
おいて、「本質的に」という用語は、当該図に表されるディフラクトグラムの少なくとも
主要なピーク、すなわち、ディフラクトグラムにおいて最も強いピークと比べ、20%を
超える、特に10%を超える相対強度を有するピークが存在しなければならないことを意
味する。しかしながら、粉末X線回折技術の当業者は、粉末X線ディフラクトグラムの相
対強度が、ピークの消失又は単一ピークの強度変動を引き起こすことがある好ましい配向
効果に起因する強い強度変動に付され得ることを認識しているはずである。
【0121】
49) 別の側面は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により[本明細書に記
載のHPLC法Bにより又は同様のHPLC法により]測定される、少なくとも90%w
/w、少なくとも91%w/w、少なくとも92%w/w;少なくとも93%w/w、少
なくとも94%w/w、少なくとも95%w/w、少なくとも96%w/w、少なくとも
97%w/w、少なくとも98%w/w又は少なくとも99%w/wのアッセイ(ass
ay)(特に99.1%のアッセイ)により特徴づけられる;態様40)~48)のいず
れか1つに従う式6の化合物(クラゾセンタン二ナトリウム塩);又は、態様39)に従
う化合物に関する。
【0122】
「アッセイ」という用語は、試料中の分析物の量の製薬業界において一般的な定量的測
定を意味する。特に、本明細書において、この用語は、試料の総重量の百分率(%w/w
)として表される、試料中の式6の化合物の量を指す。アッセイ(「as is(そのま
ま)基準の」アッセイ(assay “as is”))は、特に、HPLCにより、特
に本明細書に開示されるHPLC法Bにより測定される。
【0123】
50) 別の側面は、式6の化合物が、5%w/w以下、4%w/w以下、特に3%w
/w以下、とりわけ2%w/w以下の総量の不純物を有し、上記不純物が高速液体クロマ
トグラフィー(HPLC)により[本明細書に記載のHPLC法Bにより又は同様のHP
LC法により]測定される、態様40)~49)のいずれか1つに従う式6の化合物(ク
ラゾセンタン二ナトリウム塩);又は、態様39)に従う化合物に関する。
【0124】
本明細書で使用される「不純物」という用語は、HPLCにより、特に本明細書で開示
されるHPLC法Bにより検出可能な、特定された及び未特定の不純物(特定された及び
未特定の関連物質とも記載される)の量を意味する。本明細書において言及する不純物の
総量は、HPLCにより、特に本明細書で開示されるHPLC法Bにより検出可能な、特
定された及び未特定の本質的にすべての不純物の合計を意味する。
【0125】
51) 別の側面は、式6の化合物が、5%w/w以下、4%w/w以下、特に3%w
/w以下、とりわけ2%w/w以下、殊に1%w/w以下の総量の残存溶媒を有し、上記
溶媒が、エチレングリコール、エタノール、メタノール、テトラヒドロフラン及びジメチ
ルホルムアミドからなる群より選択される(残存溶媒の総量は、ガスクロマトグラフィー
により;特に、本明細書に記載のヘッドスペースガスクロマトグラフィー(GC-HS)
により測定される)、態様40)~50)のいずれか1つに従う式6の化合物(クラゾセ
ンタン二ナトリウム塩);又は、態様39)に従う化合物に関する。
【0126】
疑義を避けるために、残存溶媒の総量は、試料中で測定されたエチレングリコール、エ
タノール、メタノール、テトラヒドロフラン及びジメチルホルムアミドの個々の量の合計
を意味する。
【0127】
52) 別の側面は、式6の化合物が、(ガスクロマトグラフィーにより;特に、本明
細書に記載のヘッドスペースガスクロマトグラフィー(GC-HS)により測定される)
エタノールから選択される0.5%w/w以下の残存溶媒を有する、態様40)~51)
のいずれか1つに従う式6の化合物(クラゾセンタン二ナトリウム塩);又は、態様39
)に従う化合物に関する。
【0128】
53) 別の側面は、式6の化合物が、(ガスクロマトグラフィーにより;特に、本明
細書に記載のヘッドスペースガスクロマトグラフィー(GC-HS)により測定される)
メタノールから選択される0.3%w/w以下の残存溶媒を有する、態様40)~52)
のいずれか1つに従う式6の化合物(クラゾセンタン二ナトリウム塩);又は、態様39
)に従う化合物に関する。
【0129】
54) 別の側面は、式6の化合物が、(ガスクロマトグラフィーにより;特に、本明
細書に記載のヘッドスペースガスクロマトグラフィー(GC-HS)により測定される)
テトラヒドロフランから選択される0.05%w/w以下の残存溶媒を有する、態様40
)~53)のいずれか1つに従う式6の化合物(クラゾセンタン二ナトリウム塩);又は
、態様39)に従う化合物に関する。
【0130】
55) 別の側面は、式6の化合物が、(ガスクロマトグラフィーにより;特に、本明
細書に記載のヘッドスペースガスクロマトグラフィー(GC-HS)により測定される)
ジメチルホルムアミドから選択される0.05%w/w以下の残存溶媒を有する、態様4
0)~54)のいずれか1つに従う式6の化合物(クラゾセンタン二ナトリウム塩);又
は、態様39)に従う化合物に関する。
【0131】
56) 別の側面は、式6の化合物が、(ガスクロマトグラフィーにより;特に、本明
細書に記載のヘッドスペースガスクロマトグラフィー(GC-HS)により測定される)
エチレングリコールから選択される0.062%w/w以下の残存溶媒を有する、態様4
0)~55)のいずれか1つに従う式6の化合物(クラゾセンタン二ナトリウム塩);又
は、態様39)に従う化合物に関する。
【0132】
態様40)~56)のいずれの1つも、2つの選択肢、すなわち、式6の化合物(クラ
ゾセンタン二ナトリウム塩)自体、及び、態様39)に従う[又は、態様39)~44)
及び49)~56)に従う]化合物、すなわち対応する方法により得ることができる式6
の化合物に関し;当該選択肢のそれぞれが、独立に、屈折角、色調、アッセイ、不純物の
総量、残存溶媒の量等の各技術的特徴によりさらに特徴づけられるものとする。
【0133】
57) 別の側面は、態様39)~56)のいずれか1つに従う化合物を有する医薬組
成物(特に静脈内注入用の;とりわけ静脈内注入用の溶液)に関し、当該組成物は、少な
くとも1種の薬学的に許容される担体(特に水)及び任意で少なくとも1種の薬学的に許
容される賦形剤をさらに有する。特に、かかる医薬組成物は、態様39)~56)のいず
れか1つに従う化合物、任意でバッファー(例えばトリス(ヒドロキシメチル)アミノメ
タン)(TRIS)、任意でキレート剤(例えばエデト酸二ナトリウム)、任意で等張化
剤(例えば塩化ナトリウム)及び水を有する。
【0134】
58) 別の態様は、態様57)に従う医薬組成物(特に静脈内注入用の;とりわけか
かる組成物は静脈内注入用の溶液である)であって、
- 約20mg/mL~約40mg/mLの態様39)~56)のいずれか1つに従う化
合物;
- 水;
- 任意で、約5mg/mL~約15mg/mLのトリス(ヒドロキシメチル)アミノメ
タン;
- 任意で、約0.05~約0.15mg/mLのエデト酸二ナトリウム;及び
- 任意で、約2.0~約3.0mg/mLの塩化ナトリウム;
を有する医薬組成物;に関する。
【0135】
59) 別の態様は、態様57)に従う医薬組成物(特に静脈内注入用の;とりわけか
かる組成物は静脈内注入用の溶液である)であって、
- 約25.0mg/mL~約29.0mg/mL(特に約27.0mg/mL)の態様
39)~56)のいずれか1つに従う化合物;
- 水;
- 任意で、約8.0mg/mL~約12.0mg/mL(特に約10.0mg/mL)
のトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン;
- 任意で、約0.08mg/mL~約0.12mg/mL(特に約0.1mg/mL)
のエデト酸二ナトリウム;及び
- 任意で、約2.0mg/mL~約3.0mg/mL(特に約2.5mg/mL)の塩
化ナトリウム;
を有する医薬組成物;に関する。
【0136】
本発明に従う医薬組成物中の式6の化合物二ナトリウム塩の量は、当該組成物中に存在
する式6の化合物の遊離酸の量に基づいて算出することができるものとし、式6の化合物
の遊離酸の量は、HPLC等の当該技術分野において一般的な分析方法により直接測定す
ることができる。例えば、約25.0mg/mL~約29.0mg/mL(又は約27.
0mg/mL)の式6の化合物二ナトリウム塩は、約23.2~約26.9(又は約25
.0mg/mL)の式6の化合物の遊離酸に対応するものと理解され、式6の化合物の遊
離酸の量は、HPLCにより直接測定してよい。本明細書で使用される「式6の化合物の
遊離酸」という用語は、式5の化合物を意味する。
【0137】
60) 別の態様は、態様57)に従う医薬組成物(特に静脈内注入用の;とりわけか
かる組成物は静脈内注入用の溶液である)であって、
- 約23.5mg/mL~約26.5mg/mL(特に約25mg/mL)の態様39
)~56)のいずれか1つに従う化合物(当該化合物の(mg/mLで記載された)当該
濃度は、遊離酸形態の態様39)~56)のいずれか1つに従う化合物に関する。);
- 約8.0mg/mL~約12.0mg/mL(特に約10.0mg/mL)のトリス
(ヒドロキシメチル)アミノメタン;
- 約0.08mg/mL~約0.12mg/mL(特に約0.1mg/mL)のエデト
酸二ナトリウム;及び
- 約2.0mg/mL~約3.0mg/mL(特に約2.5mg/mL)の塩化ナトリ
ウム;
を有する医薬組成物;に関する。
【0138】
61) 別の態様は、態様59)又は60)のいずれか1つに従う医薬組成物であって
、ヨーロッパ薬局方6.0のChapter 2.2.2.に従って測定した場合、当該
組成物が、標準溶液Y3、BY3、GY3又は(任意で)B3のいずれか1つと比べて同
等の着色を有するか又は着色が少ない;医薬組成物に関する。
【0139】
62) 別の態様は、態様59)又は60)のいずれか1つに従う医薬組成物であって
、ヨーロッパ薬局方6.0のChapter 2.2.2.に従って測定した場合、当該
組成物が、標準溶液GY3と比べて同等の着色を有するか又は着色が少ない;医薬組成物
に関する。
【0140】
本発明に従う医薬組成物は、当該組成物のpH値が、約7.0~約9.0;特に約7.
5~約8.5;とりわけ8.0±0.1となるように、塩酸をさらに有してよいものとす
る。
【0141】
医薬組成物の製造は、いずれの当業者にもよく知られた方法で(例えば、Reming
ton、The Science and Practice of Pharmacy
、21st Edition(2005)、Part 5、「Pharmaceutic
al Manufacturing」[Lippincott Williams &
Wilkinsにより出版]を参照されたい。)、本発明の結晶形を、任意でその他の治
療的に有益な物質と組み合わせて、適切な無毒の不活性な薬学的に許容される固体又は液
体の担体材料及び必要に応じて、通常の薬学的アジュバントと共に、製剤投与形態とする
ことにより遂行することができる。薬学的に許容される賦形剤の例は、特に、補助溶媒(
co-solvents)、バッファー、金属イオンキレート剤、界面活性剤、浸透圧調
節剤(osmolarity regulators)、保存剤、粘度調節剤及び可溶化
剤である。
【0142】
本発明に従う結晶形は非配位及び/又は配位溶媒を有してよいものとする。配位溶媒は
、本明細書において、結晶性溶媒和物(例えば水和物)についての用語として使用される
。同様に、非配位溶媒は、本明細書において、物理吸着又は物理補足溶媒についての用語
として使用される(Polymorphism in the Pharmaceuti
cal Industry(Ed.R.Hilfiker、VCH、2006)、Cha
pter 8:U.J.Griesser:The Importance of So
lvatesによる定義)。態様45)~49)のいずれか1つに従う結晶形は、非溶媒
和、非水和結晶形に対応するが、非配位水又は別の非配位溶媒を有してよい。
【0143】
本発明に従う結晶形は、DSCによる測定によれば、約250℃にて分解する。
【0144】
本明細書に開示される式6の化合物中のナトリウム含量は、約2当量であると理解され
る。当該化合物のナトリウム含量は、製薬業界において許容される通常の技術的限界内で
変動してよい。特に、本明細書に開示される式6の化合物のナトリウム含量は、USP<
541>/Ph.Eur.2.2.20に準拠する電位差滴定法(potentiome
tric titration)等の当該技術分野で一般的な方法により測定した場合、
総重量の約6.4%w/w~約8.4%w/w;特に約7.2%w/w~約7.7%w/
w;とりわけ約7.4%w/w;であってよい。Ph.Eur.2.2.20はヨーロッ
パ薬局方6.0のChapter 2.2.20を意味する。電位差滴定法は本明細書に
記載の方法により行ってよい。
【0145】
63) 別の側面は、医薬組成物;特に態様57)~62)のいずれか1つに従う医薬
組成物の製造のための、態様39)~56)のいずれか1つに従う式6の化合物の使用に
関する。
【0146】
64) 別の側面は、医薬として使用するための、態様39)~56)のいずれか1つ
に従う式6の化合物又は態様57)~62)のいずれか1つに従う組成物に関する。
【0147】
65) 別の態様は、エンドセリンレセプター(特にETAレセプター)が関与する疾
患又は障害の予防又は治療において使用するための、態様39)~56)のいずれか1つ
に従う式6の化合物又は態様57)~62)のいずれか1つに従う組成物に関する。
【0148】
66) 別の態様は、動脈瘤性くも膜下出血手術(aneurysmal subar
achnoid hemorrhage surgery)後の脳血管れん縮及び/又は
血管れん縮関連脳梗塞(vasospasm-related cerebral in
farction)及び脳虚血症状(cerebral ischemic sympt
oms)の予防又は治療(特に予防)において使用するための、態様39)~56)のい
ずれか1つに従う式6の化合物又は態様57)~62)のいずれか1つに従う組成物に関
する。
【0149】
67) 別の態様は、動脈瘤性くも膜下出血手術後の患者における(血管れん縮関連及
びあらゆる原因による(all-cause))罹患及び(あらゆる原因による)死亡(
特に、血管れん縮関連罹患及びあらゆる原因による死亡)の予防又は治療(特に予防)に
おいて使用するための、態様39)~56)のいずれか1つに従う式6の化合物又は態様
57)~62)のいずれか1つに従う組成物に関する。
【0150】
本明細書に記載の動脈瘤性くも膜下出血手術(又は動脈瘤修復(aneurysm r
epair))は、特に、外科クリッピング術(surgical clipping)
又は血管内コイル塞栓術により行ってよい。本明細書において使用される「動脈瘤性くも
膜下出血手術」という用語は、動脈瘤性くも膜下出血処置(aneurysmal su
barachnoid hemorrhage securing)をも意味する。
【0151】
68) 別の態様は、動脈瘤性くも膜下出血手術後の脳血管れん縮及び/又は血管れん
縮関連脳梗塞及び脳虚血症状の予防又は治療(特に予防)において使用するための、態様
39)~56)のいずれか1つに従う式6の化合物又は態様57)~62)のいずれか1
つに従う組成物であって、上記化合物を有する医薬組成物を、約5mg/h、約10mg
/h又は約15mg/h(特に、約10mg/h又は約15mg/h;とりわけ約10m
g/h)の用量で持続静脈内注入として患者に投与し、当該用量が遊離酸形態の上記化合
物の量である[当該投与は動脈瘤性くも膜下出血の手術後に始まり、動脈瘤破裂(ane
urysmal rupture)後最大限15日間継続する]、組成物に関する。
【0152】
69) 別の態様は、動脈瘤性くも膜下出血後の患者における(特に、thick a
nd diffuse clothを有する患者における)、脳血管れん縮に関連する合
併症及び/又は永久的脳障害(permanent brain damage)の予防
又は治療(特に予防)において使用するための、態様39)~56)のいずれか1つに従
う式6の化合物又は態様57)~62)のいずれか1つに従う組成物に関する。
【0153】
70) 別の態様は、動脈瘤性くも膜下出血後の患者における(特にthick an
d diffuse clothを有する患者における)、脳血管れん縮の発生率及び/
又は重症度の低減において使用するための、態様39)~56)のいずれか1つに従う式
6の化合物又は態様57)~62)のいずれか1つに従う組成物に関する。
【0154】
71) 別の態様は、動脈瘤性くも膜下出血後の患者における(特にthick an
d diffuse clothを有する患者における)、脳梗塞の発生率及び/又は重
症度の低減において使用するための、態様39)~56)のいずれか1つに従う式6の化
合物又は態様57)~62)のいずれか1つに従う組成物に関する。
【0155】
72) 別の態様は、動脈瘤性くも膜下出血後の患者における(特にthick an
d diffuse clothを有する患者における)、血管れん縮関連遅延性脳虚血
に起因する脳梗塞の予防又は治療(特に予防)において使用するための、態様39)~5
6)のいずれか1つに従う式6の化合物又は態様57)~62)のいずれか1つに従う組
成物に関する。
【0156】
73) 別の態様は、動脈瘤性くも膜下出血後の患者における(特にthick an
d diffuse clothを有する患者における)、血管れん縮関連遅延性脳虚血
に起因する臨床的増悪(clinical deterioration)の予防又は治
療(特に予防)において使用するための、態様39)~56)のいずれか1つに従う式6
の化合物又は態様57)~62)のいずれか1つに従う組成物に関する。
【0157】
74) 別の態様は、動脈瘤性くも膜下出血後の患者における(特にthick an
d diffuse clothを有する患者における)、脳血管れん縮の予防又は治療
(特に予防)において使用するための、態様39)~56)のいずれか1つに従う式6の
化合物又は態様57)~62)のいずれか1つに従う組成物に関する。
【0158】
75) 別の態様は、動脈瘤性くも膜下出血後の患者における(特にthick an
d diffuse clothを有する患者における)、(特に血管れん縮関連又はあ
らゆる原因による;とりわけ血管れん縮関連)罹患及び/又は(特に血管れん縮関連又は
あらゆる原因による;とりわけ血管れん縮関連)死亡の予防又は治療(特に予防)におい
て使用するための、態様39)~56)のいずれか1つに従う式6の化合物又は態様57
)~62)のいずれか1つに従う組成物に関する。
【0159】
76) 別の態様は、下記のいずれかにおける使用のための、態様39)~56)のい
ずれか1つに従う式6の化合物又は態様57)~62)のいずれか1つに従う組成物に関
する:患者(特にthick and diffuse clothを有する患者)の入
院期間/集中治療室内の期間の減縮;動脈瘤性くも膜下出血後の患者(特にthick
and diffuse clothを有する患者)が仕事に復帰する時間の減縮;動脈
瘤性くも膜下出血後の患者(特にthick and diffuse clothを有
する患者)のリハビリテーションの必要性/量の低減;動脈瘤性くも膜下出血後の患者(
特にthick and diffuse clothを有する患者)の(長期)臨床成
績の改善;及び/又は動脈瘤性くも膜下出血後の患者(特にthick and dif
fuse clothを有する患者)の認知/認知機能/クオリティ・オブ・ライフの改
善。
【0160】
77) 別の態様は、上記化合物を有する医薬組成物を、約5mg/h、約10mg/
h又は約15mg/h(特に、約10mg/h又は約15mg/h;とりわけ約15mg
/h)の用量で持続静脈内注入として患者(特にthick and diffuse
clothを有する患者)に投与し、当該用量が遊離酸形態の上記化合物の量である[当
該投与は動脈瘤破裂時に続いて始まり、その後最大限14日間継続する]、態様65)~
76)のいずれか1つに従う使用のための、態様39)~56)のいずれか1つに従う式
6の化合物又は態様57)~62)のいずれか1つに従う組成物に関する。
【0161】
疑義を避けるために、態様65)~76)に従ういずれかの疾患又は障害の予防又は治
療において使用するための、態様39)~56)のいずれか1つに従う式6の化合物又は
態様57)~62)のいずれか1つに従う組成物に言及する場合は、当該疾患又は障害の
予防又は治療(特に予防)の方法であって、態様39)~56)のいずれか1つに従う式
6の化合物(の有効量)をそれを必要とする対象に投与することを有する当該方法をも開
示しているものとする。
【0162】
疑義を避けるために、態様65)~76)に従ういずれかの疾患又は障害の予防又は治
療において使用するための、態様39)~56)のいずれか1つに従う式6の化合物又は
態様57)~62)のいずれか1つに従う組成物に言及する場合は、当該疾患又は障害の
予防又は治療のための医薬の製造における、態様39)~49)のいずれか1つに従う式
6の化合物の使用をも開示しているものとする。
【0163】
疑義を避けるために、態様65)~76)に従ういずれかの疾患又は障害の予防又は治
療において使用するための、態様39)~49)のいずれか1つに従う式6の化合物又は
態様49)~55)のいずれか1つに従う組成物に言及する場合は、当該疾患又は障害の
予防又は治療の方法において使用するための、態様39)~56)のいずれか1つに従う
式6の化合物をも開示しているものとする。
【0164】
疑義を避けるために、態様65)~76)に従う任意の疾患又は障害の予防又は治療に
おいて使用するための、態様39)~56)のいずれか1つに従う式6の化合物又は態様
57)~62)のいずれか1つに従う組成物に言及する場合は、当該疾患又は障害の予防
又は治療(特に予防)のための医薬であって、態様39)~56)のいずれか1つに従う
式6の化合物を有する医薬をも開示しているものとする。
【0165】
本明細書において使用される「有効量」という用語は、対象に最大限15日間(特に最
大限14日間)投与される約5mg/日~約20mg/日(特に約5mg/日、約10m
g/日又は約15mg/日)の用量を意味する。有効量は、好ましくは静脈内に投与され
、好ましくは持続注入として静脈内に投与される。
【0166】
本明細書で使用される「thick and diffuse cloth」という用
語は、コンピュータ断層撮影法(CT)により測定した場合、3又は4以上の大脳基底槽
(basal cisterns)に関与し、厚さが4mmより大きい、肥厚で集密的な
クロット(thick confluent clot)を意味する。thick an
d diffuse clothと診断された患者は、本発明の化合物の使用が特に必要
とされるハイリスク患者に分類してよい。
【0167】
本明細書で使用される「脳梗塞」という用語は、あらゆる原因による新規の又は悪化し
た脳梗塞(特に約5cm3を超える総体積を有する当該梗塞)を意味する。新規の又は悪
化した脳梗塞は、薬剤による治療開始から16日後に行ったCTスキャンを当該治療開始
前に行ったCTスキャンと比較する中枢放射線医療診断(central radiol
ogy review)により確定してよい。
【0168】
本明細書で使用される「臨床的増悪」という用語は、mGCS又はaNIHSSスケー
ルにおいて、基準スコア(reference score)よりも少なくとも2ポイン
ト悪化し、それが少なくとも2時間持続し、脳血管れん縮以外の原因に完全に帰属するこ
とができないことを意味する。遅延性脳虚血に起因する臨床的増悪は、臨床データのチェ
ック、事例の詳細(case narratives)、血管造影図及び/又はCTスキ
ャンに基づいて判断してよい。「mGCS」という用語は、Glasgow Coma
Scaleを意味し、これはヒトの意識状態を記録する信頼性のある客観的な手段を提供
することを目的とした神経学的スケールである。「aNIHSS」という用語は、簡易(
abbreviated)National Institutes of Healt
h Stroke Scaleを意味し:これは、脳卒中により引き起こされる障害を客
観的に定量化するために医療提供者により使用される手段である。
【0169】
「対象」、同様に「患者」という用語は、哺乳動物、特にヒトを意味する。好ましくは
、「対象」という用語は「患者」という用語を意味する。
【0170】
従って、先に開示した異なる態様1)~6)の従属関係に基づき、下記の態様が可能で
あり、意図されており、そして個々の形態としてここに具体的に開示される:2+1、3
+2+1、4+1、4+2+1、4+3+2+1、5+1、5+2+1、5+3+2+1
、5+4+1、5+4+2+1、5+4+3+2+1、6+1、6+2+1、6+3+2
+1、6+4+1、6+4+2+1、6+4+3+2+1、6+5+1、6+5+2+1
、6+5+3+2+1、6+5+4+1、6+5+4+2+1又は6+5+4+3+2+
1。
【0171】
従って、先に開示した異なる態様7)~11)の従属関係に基づき、下記の態様が可能
であり、意図されており、そして個々の形態としてここに具体的に開示される:8+7、
9+7、9+8+7、10+7、10+8+7、10+9+7、10+9+8+7、11
+7、11+8+7、11+9+7、11+9+8+7、11+10+7、11+10+
8+7、11+10+9+7又は11+10+9+8+7。
【0172】
従って、先に開示した異なる態様12)~18)の従属関係に基づき、下記の態様が可
能であり、意図されており、そして個々の形態としてここに具体的に開示される:13+
12、14+12、14+13+12、15+12、15+13+12、15+14+1
2、15+14+13+12、16+12、16+13+12、16+14+12、16
+14+13+12、16+15+12、16+15+13+12、16+15+14+
12、16+15+14+13+12、17+12、17+13+12、17+14+1
2、17+14+13+12、17+15+12、17+15+13+12、17+15
+14+12、17+15+14+13+12、17+16+12、17+16+13+
12、17+16+14+12、17+16+14+13+12、17+16+15+1
2、17+16+15+13+12、17+16+15+14+12、17+16+15
+14+13+12、18+12、18+13+12、18+14+12、18+14+
13+12、18+15+12、18+15+13+12、18+15+14+12、1
8+15+14+13+12、18+16+12、18+16+13+12、18+16
+14+12、18+16+14+13+12、18+16+15+12、18+16+
15+13+12、18+16+15+14+12、18+16+15+14+13+1
2、18+17+12、18+17+13+12、18+17+14+12、18+17
+14+13+12、18+17+15+12、18+17+15+13+12、18+
17+15+14+12、18+17+15+14+13+12、18+17+16+1
2、18+17+16+13+12、18+17+16+14+12、18+17+16
+14+13+12、18+17+16+15+12、18+17+16+15+13+
12又は18+17+16+15+14+12、18+17+16+15+14+13+
12。
【0173】
従って、先に開示した異なる態様19)~24)の従属関係に基づき、下記の態様が可
能であり、意図されており、そして個々の形態としてここに具体的に開示される:20+
19、21+20+19、22+19、22+20+19、22+21+20+19、2
3+19、23+20+19、23+21+20+19、23+22+19、23+22
+20+19、23+22+21+20+19、24+19、24+20+19、24+
21+20+19、24+22+19、24+22+20+19、24+22+21+2
0+19、24+23+19、24+23+20+19、24+23+21+20+19
、24+23+22+19、24+23+22+20+19又は24+23+22+21
+20+19。
【0174】
従って、先に開示した異なる態様25)~28)の従属関係に基づき、下記の態様が可
能であり、意図されており、そして個々の形態としてここに具体的に開示される:26+
25、27+25、27+26+25、28+25、28+26+25、28+27+2
5又は28+27+26+25。
【0175】
従って、先に開示した異なる態様39)~60)の従属関係に基づき、下記の態様が可
能であり、意図されており、そして個々の形態としてここに具体的に開示される:45+
39、45+40、45+41、45+42、45+43、45+44、46+39、4
6+40、46+41、46+42、46+43、46+44、47+39、47+40
、47+41、47+42、47+43、47+44、48+39、48+40、48+
41、48+42、48+43、48+44、49+39、49+40、49+41、4
9+42、49+43、49+44、49+45+39、49+45+40、49+45
+41、49+45+42、49+45+43、49+45+44、49+46+39、
49+46+40、49+46+41、49+46+42、49+46+43、49+4
6+44、49+47+39、49+47+40、49+47+41、49+47+42
、49+47+43、49+47+44、49+48+39、49+48+40、49+
48+41、49+48+42、49+48+43、49+48+44、50+39、5
0+40、50+41、50+42、50+43、50+44、50+45+39、50
+45+40、50+45+41、50+45+42、50+45+43、50+45+
44、50+46+39、50+46+40、50+46+41、50+46+42、5
0+46+43、50+46+44、50+47+39、50+47+40、50+47
+41、50+47+42、50+47+43、50+47+44、50+48+39、
50+48+40、50+48+41、50+48+42、50+48+43、50+4
8+44、51+39、51+40、51+41、51+42、51+43、51+44
、51+45+39、51+45+40、51+45+41、51+45+42、51+
45+43、51+45+44、51+46+39、51+46+40、51+46+4
1、51+46+42、51+46+43、51+46+44、51+47+39、51
+47+40、51+47+41、51+47+42、51+47+43、51+47+
44、51+48+39、51+48+40、51+48+41、51+48+42、5
1+48+43、51+48+44、52+39、52+40、52+41、52+42
、52+43、52+44、52+45+39、52+45+40、52+45+41、
52+45+42、52+45+43、52+45+44、52+46+39、52+4
6+40、52+46+41、52+46+42、52+46+43、52+46+44
、52+47+39、52+47+40、52+47+41、52+47+42、52+
47+43、52+47+44、52+48+39、52+48+40、52+48+4
1、52+48+42、52+48+43、52+48+44、53+39、53+40
、53+41、53+42、53+43、53+44、53+45+39、53+45+
40、53+45+41、53+45+42、53+45+43、53+45+44、5
3+46+39、53+46+40、53+46+41、53+46+42、53+46
+43、53+46+44、53+47+39、53+47+40、53+47+41、
53+47+42、53+47+43、53+47+44、53+48+39、53+4
8+40、53+48+41、53+48+42、53+48+43、53+48+44
、54+39、54+40、54+41、54+42、54+43、54+44、54+
45+39、54+45+40、54+45+41、54+45+42、54+45+4
3、54+45+44、54+46+39、54+46+40、54+46+41、54
+46+42、54+46+43、54+46+44、54+47+39、54+47+
40、54+47+41、54+47+42、54+47+43、54+47+44、5
4+48+39、54+48+40、54+48+41、54+48+42、54+48
+43、54+48+44、
55+39、55+40、55+41、55+42、55+43、55+44、55+4
5+39、55+45+40、55+45+41、55+45+42、55+45+43
、55+45+44、55+46+39、55+46+40、55+46+41、55+
46+42、55+46+43、55+46+44、55+47+39、55+47+4
0、55+47+41、55+47+42、55+47+43、55+47+44、55
+48+39、55+48+40、55+48+41、55+48+42、55+48+
43、55+48+44、56+39、56+40、56+41、56+42、56+4
3、56+44、56+45+39、56+45+40、56+45+41、56+45
+42、56+45+43、56+45+44、56+46+39、56+46+40、
56+46+41、56+46+42、56+46+43、56+46+44、56+4
7+39、56+47+40、56+47+41、56+47+42、56+47+43
、56+47+44、56+48+39、56+48+40、56+48+41、56+
48+42、56+48+43、56+48+44、59+39、59+40、59+4
1、59+42、59+43、59+44、59+45+39、59+45+40、59
+45+41、59+45+42、59+45+43、59+45+44、59+46+
39、59+46+40、59+46+41、59+46+42、59+46+43、5
9+46+44、59+47+39、59+47+40、59+47+41、59+47
+42、59+47+43、59+47+44、59+48+39、59+48+40、
59+48+41、59+48+42、59+48+43、59+48+44、60+3
9、60+40、60+41、60+42、60+43、60+44、60+45+39
、60+45+40、60+45+41、60+45+42、60+45+43、60+
45+44、60+46+39、60+46+40、60+46+41、60+46+4
2、60+46+43、60+46+44、60+47+39、60+47+40、60
+47+41、60+47+42、60+47+43、60+47+44、60+48+
39、60+48+40、60+48+41、60+48+42、60+48+43又は
60+48+44。
【0176】
上記のリスト中、数字は上記の番号に応じた態様を意味し、「+」は他の態様からの従
属関係を表す。種々の態様は読点により個々に分けられている。換言すると、例えば「5
+2+1」は、態様1)に従属する態様2)に従属する態様5)を意味し、すなわち、態
様「5+2+1」は、態様2)及び1)の特徴によりさらに特徴づけられる態様5)に相
当する。
【0177】
ここに記載される定義は、本明細書に開示する態様のいずれか1つに定義される主題に
対して一律に適用されるものであり、特段の定義によってより広い又はより狭い定義が与
えられない限り本明細書及び請求項を通じて必要な変更を加えて適用される。当然ながら
、ある用語又は表現の定義又は好ましい定義が、ここに定義されるいずれか又は他のすべ
ての用語又は表現のいずれか又は好ましい定義を、独立して(及びそれらと共に)定義し
置き換えるものであってよい。
【0178】
化合物、固体、医薬組成物、疾患等について複数形が使用される場合は、単数の化合物
、固体、医薬組成物、疾患等をも意味することが意図されている。
【0179】
温度に関して使用されていない場合には、数値「X」の前に置かれる「約」という用語
は、本出願において、X-Xの10%からX+Xの10%にわたる間、好ましくはX-X
の5%からX+Xの5%にわたる間、最も好ましくはXを意味する。温度の特定の場合に
は、温度「Y」の前に置かれる「約」という用語は、この出願において、温度Y-10℃
からY+10℃にわたる間を;好ましくはY-5℃からY+5℃にわたる間を意味する。
室温は約25℃の温度を意味する。
【0180】
「間」又は「から(~)」の語が数値範囲を記述するために用いられる場合は常に、示
される範囲の末端の点が、明示的にその範囲に含まれるものとする。例えば:温度の範囲
が40oCと80oCの間(又は40oCから(~)80oC)であると記載されている場合
には、末端の点である40oC及び80oCがその範囲に含まれることを意味し;又は、可
変値が例えば1と7の間(又は1から(~)7)の整数と定義されている場合には、その
可変値が整数の1、2、3、4、5、6又は7であることを意味する。
【0181】
「溶媒和物」という用語は、単独で使用される場合も、組み合わせて使用される場合も
、本発明においては、本明細書に定義した化合物又はその塩及び1又は2種以上の溶媒の
分子を有する集合体(aggregate)を意味するものとする。水和物は特別な形態
の溶媒和物であり、当該集合体に含まれる1又は2種以上の溶媒分子が水分子である。
【0182】
本明細書に開示する式6の化合物は、その形態において、以下に表すように、テトラゾ
ール環及び/又はスルホンアミド基中のナトリウム原子の位置に関し、異なる異性体/互
変異性型で存在することがある:
【0183】
【化14】
従って、たとえ式6の化合物の異性体/互変異性体の1種のみが本明細書に表されてい
たとしても、固体形態の式6の化合物のすべての可能な異性体/互変異性体が本発明の範
囲に包含されるものとする。溶液中では、かかる化合物は、通常、異なる異性体/互変異
性型の混合物として存在し;固体状態では、典型的には1種の形態が優勢である。先の式
中におけるアステリスク、「
*」及び「
**」は、式6の化合物の分子の残りの部分への
対応する基の結合点を示す。同様に、スルホンアミド基に関する式2a及び3aの化合物
のすべての可能な異性体/互変異性型が、本発明の範囲に包含される。
【0184】
「w/w」(重量当たりの重量)、「w/v」(体積当たりの重量)、「v/v」(体
積当たりの体積)という用語は、重量/体積当たりの重量/体積で測定した濃度、すなわ
ち混合物中の特定の物質の割合を意味する。「%w/w」、「%w/v」又は「%v/v
」等の百分率で表す場合、この用語は対応する百分率による濃度を意味する。
【0185】
「vol.」という用語は、(例えば反応物のkgで表した)単位重量当たりの(例え
ば溶媒のLで表した)体積を意味する。例えば、1vol.は、(例えば反応物の)kg
当たりの(例えば溶媒の)1リットルを意味する。
【0186】
「wt.」という用語は、化合物B(例えば反応物)の(例えばgで表した)重量当た
りの化合物(例えば反応物)Aの(例えばgで表した)重量を意味する。例えば、5gの
化合物B当たりの1wt.の化合物Aは、5gの化合物Aを意味し;また、1wt.のメ
タノールと3wt.のエタノールの混合物は、この混合物中のメタノール:エタノールの
重量比が1:3であることを意味する。
【0187】
「当量」、又はその略の「eq.」という用語は、記載された化学反応において、別の
化合物の任意のモル数と反応する(又は、と等価の)化合物のモル数を意味する。
【0188】
(上記又は下記部分において使用される)略語:
a/a 面積/面積
ACN アセトニトリル
aq. 水性
d 日
DABCO 1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン
DBU 1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン
DMF ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
BHT 2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール
eq. 当量
EDTA エチレンジアミン四酢酸
EtOH エタノール
eq. 当量
h 時間
1H-NMR 核磁気共鳴
HPLC 高速液体クロマトグラフィー
IPC インプロセス制御
iPr2NEt N,N-ジイソプロピルエチルアミン
KOtBu tert-ブチル酸カリウム
MeOH メタノール
min 分
ml又はmL ミリリットル
NaOMe ナトリウムメトキシド
NEt3 トリエチルアミン
2-PrOH イソプロピルアルコール
r.t. 室温
THF テトラヒドロフラン
TMS-Cl クロロトリメチルシラン
TMS-CN シアン化トリメチルシリル
UV 紫外線
【0189】
実験の項
温度はすべて℃で記載する。
【0190】
HPLC
方法A
装置:オンラインデガッサ(例えばG1322A)、低圧クォータナリポンプ(quat
ernary pump)(例えばG1311A)、オートサンプラー(例えばG132
9A)、温度制御カラムコンパートメント(例えばG1316A)及びUV検出器(例え
ばDADG1315B)又は同等物を備えたAgilent 1100シリーズシステム
。溶媒:ACN/H2O=3/1又はACN/H2O=1/1(試料によっては、DMS
Oの添加が必要な場合がある。)。カラム:Halo C18 4.6mmx100mm
、2.7μm。移動相:A:0.05%(v/v)HCOOH水溶液、B:ACN中の0
.05%(v/v)HCOOH。カラム温度:40.0±1.0℃。データ収集時間:1
2min。流速:1.5mL/min。勾配:
【0191】
【表1】
方法B
装置:オンラインデガッサ(例えばG1322A)、低圧クォータナリポンプ(例えばG
1311A)、オートサンプラー(例えばG1329A)、温度制御カラムコンパートメ
ント(例えばG1316A)及びUV検出器(例えばDADG1315B)又は同等物を
備えたAgilent 1100/1200/1260シリーズシステム。溶媒:移動相
A。カラム:Waters X-Bridge C18、150mmx3.0mm、3.
5μm。移動相:A:バッファー(3.7mM 四ホウ酸ナトリウム十水和物 pH9.
0)/ACN/テトラブチルアンモニウムヒドロキシド 70/30/0.35(v/v
/v)及び、B:バッファー/ACN/テトラブチルアンモニウムヒドロキシド 40/
60/0.35(v/v/v)。カラム温度:50℃。データ収集時間:15min。流
速:1.0mL/min。勾配:
【0192】
【表2】
アッセイ値(「as is基準の」アッセイ)は下式に従って算出してよい:
【0193】
【数1】
式中、PA
SPLは、HPLCにおける試料溶液中の式6の化合物の[mAU
*min
]で表したピーク面積であり;PA
STDは、シークエンス中のすべての作業標準(wo
rking standards)における式6の化合物のピーク面積[mAU
*min
]であり;W
STDは作業標準の重量[mg]であり;W
SPLは試料の重量[mg]で
あり;P
STDは標準品(reference standard)のポテンシー(po
tency)[%]である。P
STDは下式に従って算出してよい:
【0194】
【数2】
式中、「溶媒」は、標準物質(reference material)のすべての残
存溶媒の合計[%w/w]であり;「水」は標準物質について測定した(例えばカールフ
ィッシャー滴定(Karl Fischer titration)(本明細書に記載の
方法)による)水含量[%w/w]であり;純度は標準物質の純度[%a/a]である。
【0195】
本出願中に記載するアッセイ値は、分析用試料中に存在することがある残存溶媒及び水
に対して補正した値を表す。残存溶媒は、エチレングリコール、テトラヒドロフラン、メ
タノール、エタノール及びN,N-ジメチルホルムアミドである。補正は、試料中の残存
溶媒の量(ガスクロマトグラフィー(本明細書に記載の方法)により)及び水の量(カー
ルフィッシャー滴定(本明細書に記載の方法)により)をまず測定し、次いでアッセイ値
(すなわち、無水及び無溶媒アッセイ)を下式に従って算出することにより行われる:
【0196】
【数3】
式中、PA
SPLは、HPLCにおける式6の化合物の[mAU
*min]で表したピ
ーク面積であり;PA
STDは、シークエンス中のすべての作業標準における式6の化合
物のピーク面積[mAU
*min]であり;W
STDは作業標準の重量[mg]であり;
W
SPLは試料の重量[mg]であり;P
STDは標準品のポテンシー[%]であり、先
に記載した式に従って算出され;「溶媒」は、試料の残存溶媒の合計[%w/w]である
。残存溶媒は、エチレングリコール、テトラヒドロフラン、メタノール、エタノール及び
N,N-ジメチルホルムアミドである。「水」は、試料の水含量[%w/w]である。
【0197】
個々の不純物(以下、関連物質とも記載する。)のそれぞれの量は、下式に従って算出
してよい:
【0198】
【数4】
式中、PA
SPL以外の用語の意味は、上記又は下記に記載されており、PA
SPLは
、HPLCにおける個々の関連物質のピーク面積である。CFは、作業標準中の特定され
た及び未特定の関連物質に対する、下記の表に従う個別の補正係数(correctio
n factor)である。
【0199】
【表3】
光度滴定(Photometric titration)
装置:Titrino(例えばMetrohmのmodel716)。電極:複合pH電
極(Combined pH-electrode)(例えばMetrohm6.023
2.100)。滴定速度(Titration rate):測定ドリフト(measu
rement drift):10mV/min、最大待機時間(max.waitin
g period)60s、測定点密度(measuring point densi
ty):4、min。増加量(increment):10.0μL、投入速度(dos
ing rate):最大mL/min。溶媒:水。試薬:塩酸0.1mol/L。標準
(Standard):トリズマ塩基(Trizma base)。試料濃度:約1.9
mg/mL。温度:周囲温度(Ambient)。
【0200】
粉末X線回折(XRPD)
X線ディフラクトグラムは、FlipStick(登録商標)試料ステージ、Cu Kα
照射(40kV、40mA)及び1D-linear LynxEye(登録商標)検出
器を備えたBruker D8 Advance回折計で測定した。試料は、直径25m
mのキャビティ及び0.5mmの深さを有するシリコン単結晶サンプルホルダー上で調製
した。粉末をスライドグラスで広げて平面とし、
図1に示すX線ディフラクトグラムの場
合には、カプトンホイル(Kapton foil)で覆って、周囲湿度から保護した。
ディフラクトグラムは、3~50°2θの範囲にわたって、結合シータ/2シータ角の反
射モード、0.02°の増分及びステップ当たり0.4sの蓄積時間(accumula
tion time)で収集した。発散スリットは可変スリットサイズ(variabl
e slit size)に設定し、散乱防止スリットは最大開度(maximum o
pening)に設定した。
図1に示すX線ディフラクトグラムの場合、発散及び散乱防
止スリットは0.3°に設定してよい。測定の間、試料を連続的に30rpmで回転させ
た。ピーク位置の2θ値は+/-0.2°の精度で提供される。
【0201】
示差走査熱量測定1(DSC1)
DSCデータは、Mettler Toledo DSCユニット(例えば、DSC82
3E又はDSC3+)で収集した。典型的には、数mgの各試料をDSCるつぼ(cru
cible)中に秤量し、3~4K/minの加熱傾斜(heating ramp)で
20℃から400℃へ加熱した。融点についてピーク温度を報告する。
【0202】
示差走査熱量測定2(DSC2)
DSC測定は、Mettler Toledo DSC 3+STAReシステムを用い
て行った。1~5mgの化合物を、周囲条件下でアルミニウムパン(Mettler T
oledo、品番、ME-51119870及びME-51119873)内に秤量した
。パンをアルミニウムカバーで閉じ、装置内に挿入する前に、装置のオートサンプラーで
自動的に削孔した。DSCオーブンを一定流量の窒素でパージしながら、10℃/min
の速度で-20℃から250℃まで走査した。
【0203】
1
H-NMR
試料:10mgの物質を0.8mLのDMSO-d6に溶解させた。装置:400MHz
機器;スキャン数16;サンプリング間隔(Dwell time) 60.200μs
; FIDRES 約0.25Hz;温度 293K;回転(Rotation) 20
Hz;取得時間(Acquisition time) 約3.95s。
【0204】
カールフィッシャー滴定
試料:100mg;装置:ダイアフラム(diaphragm)の無いKF-クーロメー
ター(Coulometer)セル(例えばMetrohmのmodel756);電極
:二重Pt電極(例えばMetrohm 6.0341.100);ダイアフラムの無い
発生電極(例えばMetrohm 6.0345.100)。パラメータ:l(pol)
:10μA;温度:周囲温度;発電機電流(Generator current):(
ダイアフラムなしで)400mA;滴定スピード:Optimal(Control r
ange:70.0mV、最大速度:最大μg/min、分速:15.0μg/min)
。KF試薬:Hydranal Coulomat AD。KF-Standard:H
ydranal-Water Standard KF-Oven 140~160℃。
【0205】
ヘッドスペースガスクロマトグラフィー(GS-HS)
試料:1.0mLのDMSO中100mg(メタノール、エタノール、DMF及びTHF
に対して)又は1.0mLのDMF中500mg(エチレングリコールに対して)。装置
:カラムDB-624、30mx0.32mm、1.8μm(メタノール、エタノール及
びTHFに対して)、DB-624、30mx0.53mm、3μm(DMFに対して)
及びDB-WAX、30mx0.32mm、0.5μm(エチレングリコールに対して)
を装着した、ヘッドスペースサンプラー及びFID検出器を有するAgilent GC
システム 流速:2~2.5mL/minヘリウム。
【0206】
【0207】
【0208】
【表6】
実施例1 5-メチル-ピリジン-2-スルホン酸 6-クロロ-5-(2-メトキシ
-フェノキシ)-2-(1-オキシ-ピリジン-4-イル)-ピリミジン-4-イル ア
ミドの合成
4-(4,6-ジクロロ-5-(2-メトキシ-フェノキシ)-ピリミジン-2-イル)
-ピリジン-1-オキシド(CAS RN 180385-16-4)及び5-メチル-
ピリジン-2-スルホンアミド(CAS RN 65938-77-4)は市販の物質で
ある。
【0209】
4-(4,6-ジクロロ-5-(2-メトキシ-フェノキシ)-ピリミジン-2-イル
)-ピリジン-1-オキシド(1eq.)及びK
2CO
3(2eq.)をACN(2.7
7kg/kgピリジン-1-オキシド)中に懸濁し、加熱還流した。ACN(6.36k
g/kgスルホンアミド)中の5-メチル-ピリジン-2-スルホンアミド(1.05e
q.)を15~60minにわたって加え、反応混合物を、変換が98.0%を超えるま
で、少なくとも6hさらに撹拌した。得られた懸濁液を70℃に冷却した。Aq.HCl
(1M)をpH2~4になるまで加えた。水(8kg/kgピリジン-1-オキシド)を
、約20minにわたって滴下により加えた。この懸濁液を、少なくとも90minにわ
たって0℃に冷却し、少なくとも60min撹拌し、ろ過した。ろ過後、残った固体を水
(8kg/kgピリジン-1-オキシド)で5℃にて、次いでACN(2.37kg/k
gピリジン-1-オキシド)で同じ温度にて洗浄した。乾燥後、5-メチル-ピリジン-
2-スルホン酸 6-クロロ-5-(2-メトキシ-フェノキシ)-2-(1-オキシ-
ピリジン-4-イル)-ピリミジン-4-イル アミド遊離酸(収率90%)を、166
℃の融点(DSC1)及び99%の純度(w/w、HPLC法A(方法A))を有するベ
ージュ色の固体物質として得た。本明細書に開示の方法によるXRPD分析により、生成
物が結晶性であることが確認された(
図2を参照されたい。)。DSC測定(DSC2)
は、おぞらく分解に起因する約260℃における発熱イベントを示した。幾つかの大規模
バッチ(55~75kg)が、上記の方法を用いて成功裏に製造された。最終生成物はカ
リウム塩として単離してもよいが、この場合、反応混合物を、上記したpH2~4ではな
く、(例えば酢酸を用いて)約pH7に酸性化する。
【0210】
参照実施例1 5-メチル-ピリジン-2-スルホン酸 6-クロロ-5-(2-メト
キシ-フェノキシ)-2-(1-オキシ-ピリジン-4-イル)-ピリミジン-4-イル
アミドの合成
2.4eq.の塩基B(表1)及び4-(4,6-ジクロロ-5-(2-メトキシ-フェ
ノキシ)-ピリミジン-2-イル)-ピリジン-1-オキシド(1eq.)を、4vol
.の溶媒S(表1)中に懸濁し、95℃に加熱した(又は、ACNの場合には還流した)
。溶媒(4vol.)中の5-メチル-ピリジン-2-スルホンアミド(1eq.)を、
撹拌下にて滴下により加え、4-(4,6-ジクロロ-5-(2-メトキシ-フェノキシ
)-ピリミジン-2-イル)-ピリジン-1-オキシドの変換をHPLC(方法A)で測
定した。変換が満足のいくレベルに達した後速やかに、反応混合物を85℃に冷却し、(
7vol.)水、その後酢酸(0.6vol.)を加えて、pH6~6.5とした。さら
に水(7vol.)を滴下により加えた。この懸濁液を4℃に冷却し、90min撹拌し
た。ろ過後、固体をジオキサン/水(比率=1/10、24vol.)で洗浄した。乾燥
後、5-メチル-ピリジン-2-スルホン酸 6-クロロ-5-(2-メトキシ-フェノ
キシ)-2-(1-オキシ-ピリジン-4-イル)-ピリミジン-4-イル アミドの茶
色の固体を得た。
【0211】
【表7】
実施例2 5-メチル-ピリジン-2-スルホン酸 6-(2-ヒドロキシ-エトキシ
)-5-(2-メトキシ-フェノキシ)-2-(1-オキシ-ピリジン-4-イル)-ピ
リミジン-4-イル アミドの合成
5-メチル-ピリジン-2-スルホン酸 6-クロロ-5-(2-メトキシ-フェノキシ
)-2-(1-オキシ-ピリジン-4-イル)-ピリミジン-4-イル アミド(1eq
.)及びBHT(0.5eq.)を、エチレングリコール(6.66kg/kgピリジン
-N-オキシド)及びトルエン(3.48kg/kgピリジン-N-オキシド)中に懸濁
し、103~107℃に加熱した。約3.0vol.の溶媒を常圧で初期蒸留した後(残
存水の除去)、NaOH(5.7eq.)のエチレングリコール(5.55kg/kgピ
リジン-N-オキシド)中の熱(80~85℃)溶液を少なくとも20minにわたって
滴下により加え、反応混合物を、変換が98.0%以上になるまで90~120min撹
拌した。この懸濁液を70~75℃に冷却し、減圧下でトルエンを蒸留により除いた。反
応混合物の温度を50~60℃に設定し、メタノール(3.16kg/kgピリジン-N
-オキシド)を少なくとも10minにわたって加え、次いで、混合物を少なくとも60
minにわたって0~5℃に冷却し、さらに少なくとも60min撹拌した。得られた懸
濁液をろ過し、固体残渣を、THF(2回、1.78kg/kgピリジン-N-オキシド
)及びMeOH(2.37kg/kgピリジン-N-オキシド)で、0~5℃にて洗浄し
た。母液を排出した。固体を、MeOH(3.56kg/kgピリジン-N-オキシド)
と水(0.5kg/kgピリジン-N-オキシド)の混合物中に懸濁し、80~90℃に
少なくとも60min加熱した。少なくとも60minにわたって20℃に冷却した後、
懸濁液を少なくとも30minさらに撹拌した。さらなるろ過及びMeOH(2.37k
g/kgピリジン-N-オキシド)による洗浄により、乾燥後に、99%を超える純度(
w/w、HPLC法A)を有する5-メチル-ピリジン-2-スルホン酸 6-(2-ヒ
ドロキシ-エトキシ)-5-(2-メトキシ-フェノキシ)-2-(1-オキシ-ピリジ
ン-4-イル)-ピリミジン-4-イル アミド ナトリウム塩水和物(80~85%)
が灰白色の固体物質として得られた。本明細書に開示の方法によるXRPD分析により、
生成物が結晶性であることが確認された(
図3を参照されたい。)。DSC測定(DSC
2)は220℃付近で吸熱を示したが、これは、おそらく溶融、次いで230℃を超える
領域での発熱性分解に帰属することができる。幾つかの大規模バッチ(44~90kg)
が、上記の方法を用いて成功裏に製造された。
【0212】
参照実施例2 5-メチル-ピリジン-2-スルホン酸 6-(2-ヒドロキシ-エト
キシ)-5-(2-メトキシ-フェノキシ)-2-(1-オキシ-ピリジン-4-イル)
-ピリミジン-4-イル アミドの合成
3gの5-メチル-ピリジン-2-スルホン酸 6-クロロ-5-(2-メトキシ-フェ
ノキシ)-2-(1-オキシ-ピリジン-4-イル)-ピリミジン-4-イル)を、エチ
レングリコール(5~10vol.)中に懸濁し、約105℃に加熱した。塩基(下表を
参照されたい。)を、温溶液の形態で(5vol.のエチレングリコール中に4~6eq
.の塩基)又固体形態で加えた。所定の時間(表2aを参照されたい。)撹拌した後、変
換した出発物質の量を本明細書に記載のHPLC法Aにより測定した。反応液を廃棄しな
かった場合には、この溶液を90℃に冷却し、aq.HClを加えてpH=3とした。さ
らに、水を滴下により加え、懸濁液を20℃に冷却し、ろ過した。水及びMeOHで洗浄
して、5-メチル-ピリジン-2-スルホン酸 6-(2-ヒドロキシ-エトキシ)-5
-(2-メトキシ-フェノキシ)-2-(1-オキシ-ピリジン-4-イル)-ピリミジ
ン-4-イル アミドを灰白色の固体として得た。酢酸を用いて反応混合物を中和して、
約5.5のpHとした場合には、6-(2-ヒドロキシ-エトキシ)-5-(2-メトキ
シ-フェノキシ)-2-(1-オキシ-ピリジン-4-イル)-ピリミジン-4-イル
アミドのナトリウム塩水和物が単離された。
【0213】
上記の方法における「塩基」の語の意味を表2a/b/cに記載する。
【0214】
【0215】
【0216】
【表10】
表2c中の負の値は対応する不純物の減少を意味し、正の値はその富化を意味する。
【0217】
表2a/b/cに記載の不純物は下記の構造を有する:
【0218】
【化15】
EP0897914に開示される、5-メチル-ピリジン-2-スルホン酸 6-クロ
ロ-5-(2-メトキシ-フェノキシ)-2-(1-オキシ-ピリジン-4-イル)-ピ
リミジン-4-イル)、エチレングリコール及び金属ナトリウムの反応は、大規模製造に
おける潜在的な安全上の問題(例えば爆発)のため望ましくない。加えて、金属ナトリウ
ムの使用は副生成物の増大を招くことがある(例えば、Niphadeら:Org.Pr
ocess Res.Dev.2011、15、1382~1387参照。)。塩基及び
アルコールの存在下におけるピリジン-N-オキシドの還元が、Bjorsvikら:J
.Org.Chem.2005 70(8)、3218~3224、DOI:10.10
21/jo047919bにより論じられている。
【0219】
実施例3 5-メチル-ピリジン-2-スルホン酸 2-(2-シアノ-ピリジン-4
-イル)-6-(2-ヒドロキシ-エトキシ)-5-(2-メトキシ-フェノキシ)-ピ
リミジン-4-イル アミドの合成
5-メチル-ピリジン-2-スルホン酸 6-(2-ヒドロキシ-エトキシ)-5-(2
-メトキシ-フェノキシ)-2-(1-オキシ-ピリジン-4-イル)-ピリミジン-4
-イル アミド ナトリウム塩(1eq.)を、ACN(4.71kg/kgピリジン-
N-オキシド)中に懸濁させた。次いで、2.4vol.のACNを常圧で溜去し(水の
除去のための共沸蒸留)、ACN(1.90kg/kgピリジン-N-オキシド)をさら
に加えた。次いで、反応混合物を20~25℃に冷却した。NEt
3(「酸性」H当たり
1.4eq.)を加え、混合物を0~5℃に冷却した。TMS-Cl(アルコール部分当
たり1.15eq.)を少なくとも20minにわたって加えた。直後にTMS-CN(
ピリジン-N-オキシド当たり4.85eq.)を、少なくとも20minにわたって0
~10℃にて加えた。反応器を閉じ、混合物を90~95℃に加熱し、窒素で加圧し(6
~7bar)、この温度で少なくとも16時間撹拌した。次いで、反応混合物を55~6
0℃にし、酢酸(1.96kg/kgピリジン-N-オキシド)を少なくとも30min
にわたって加えた。水(2kg/kgピリジン-N-オキシド)を少なくとも15min
にわたって加えた。60℃にて30min撹拌した後、5.4vol.の溶媒を溜去した
。水(8kg/kgピリジン-N-オキシド)を少なくとも30minにわたって加えた
。得られた懸濁液を、少なくとも60minの間に20℃に冷却し、この温度でさらに少
なくとも60min撹拌し、ろ過した。固体を下記の通りに洗浄した:最初にACN(1
.1kg/kgピリジン-N-オキシド)/水(0.86kg/kgピリジン-N-オキ
シド)で、次いで水(2kg/kgピリジン-N-オキシド)で、そして最後にACN(
2kg/kgピリジン-N-オキシド)で2回。乾燥により、98.5%w/wを超える
純度を有する5-メチル-ピリジン-2-スルホン酸 2-(2-シアノ-ピリジン-4
-イル)-6-(2-ヒドロキシ-エトキシ)-5-(2-メトキシ-フェノキシ)-ピ
リミジン-4-イル アミド(86~96%)をベージュ色の固体物質として得た。本明
細書に開示の方法によるXRPD分析により、生成物が結晶性であることが確認された(
図4を参照されたい。)。DSC測定(DSC2)は、210±2℃における吸熱イベン
トを示した。幾つかの大規模バッチ(例えば27kg)が上記の方法を用いて成功裏に製
造された。
【0220】
参照実施例3 5-メチル-ピリジン-2-スルホン酸 2-(2-シアノ-ピリジン
-4-イル)-6-(2-ヒドロキシ-エトキシ)-5-(2-メトキシ-フェノキシ)
-ピリミジン-4-イル アミドの合成
a) TMS-Clの非存在下
実施例3と同様に、5gの5-メチル-ピリジン-2-スルホン酸 6-(2-ヒドロキ
シ-エトキシ)-5-(2-メトキシ-フェノキシ)-2-(1-オキシ-ピリジン-4
-イル)-ピリミジン-4-イル アミド ナトリウム塩を、ACN中で、トリエチルア
ミン(2.0eq.)の存在下、還流しながら、TMS-CN(3.0eq.)と反応さ
せた。16時間後に生成物は形成されなかった。トリエチルアミン(1.0eq.)及び
TMS-CN(1.0eq.)をさらに加え、反応を39時間続けた。反応混合物のHP
LC分析は、約14%の5-メチル-ピリジン-2-スルホン酸 2-(2-シアノ-ピ
リジン-4-イル)-6-(2-ヒドロキシ-エトキシ)-5-(2-メトキシ-フェノ
キシ)-ピリミジン-4-イル アミドが形成され、85%の出発物質が反応混合物中に
なお存在することを示した。
【0221】
b) TMS-Cl非存在下及びジメチルカルバモイルクロリドの存在下
実施例3と同様に、5gの5-メチル-ピリジン-2-スルホン酸 6-(2-ヒドロキ
シ-エトキシ)-5-(2-メトキシ-フェノキシ)-2-(1-オキシ-ピリジン-4
-イル)-ピリミジン-4-イル アミド ナトリウム塩を、r.t.にて、ACN(6
vol.)中で、TMS-CN(2.0eq.)及びジメチルカルバモイルクロリド(1
.5eq.)と反応させた。48時間後、出発物質の変換は観察されなかった。
【0222】
c) 反応圧力の上昇
実施例3の方法において、圧力を上昇させると(例えば6~7bar)、反応時間が顕著
に短縮され、不純物2(構造を参照実施例2に示す。)等の不純物の形成が防止されるこ
とが観察された。
【0223】
実施例4 けいそう土に吸着された5-メチル-ピリジン-2-スルホン酸 {6-(
2-ヒドロキシ-エトキシ)-5-(2-メトキシ-フェノキシ)-2-[2-(1H-
テトラゾール-5-イル)-ピリジン-4-イル]-ピリミジン-4-イル}-アミドの
合成
5-メチル-ピリジン-2-スルホン酸 2-(2-シアノ-ピリジン-4-イル)-6
-(2-ヒドロキシ-エトキシ)-5-(2-メトキシ-フェノキシ)-ピリミジン-4
-イル アミド(1eq.)及びNH4Cl(2.48eq.)を、DMF(4.06k
g/kgシアノ-ピリジン)中に懸濁した。NaN3(2.48eq.)の水(0.9k
g/kgシアノ-ピリジン)中の溶液を、20~25℃にて15min以内に加えた。混
合物を、少なくとも60minにわたって95℃に加熱し、この温度にて12~15h撹
拌し、冷却した。20~25℃にて、NaNO2(5.04eq.)のH2O(1.8k
g/kgシアノ-ピリジン)中の溶液を、少なくとも40minにわたって加えた。得ら
れた反応混合物を、少なくとも20minにわたって40~45℃まで加熱し、aq.H
Cl(2M、約3.9kg/kgシアノピリジン)を少なくとも60minにわたって投
入して、約3.3のpHとした。この懸濁液を30℃に加熱し、ろ過助剤Hyflo S
uper-Cel NF(登録商標)(1.00kg/kgシアノ-ピリジン;水性HC
l及び水で予め洗浄した)を用いてろ過した。45℃にてろ過した後、固体を、同じ温度
にて、H2O(3.30kg/kgシアノ-ピリジン)でスラリー-洗浄し、次いでろ過
した。固体残渣を、MeOH(3.86kg/kgシアノ-ピリジン)でさらにスラリー
-洗浄し、ろ過し、次いでEtOH(3.86kg/kgシアノ-ピリジン)でさらにス
ラリー-洗浄し、最終ろ過を行った。固体を乾燥して、Hyflo(登録商標)Supe
r Cel(登録商標)NFに吸着した5-メチル-ピリジン-2-スルホン酸 {6-
(2-ヒドロキシ-エトキシ)-5-(2-メトキシ-フェノキシ)-2-[2-(1H
-テトラゾール-5-イル)-ピリジン-4-イル]-ピリミジン-4-イル}-アミド
(91~100%)を灰白色の固体として得た。幾つかの大規模バッチ(吸着材に結合し
た最終生成物に関し38~48kg)が、上記の方法を用いて成功裏に製造された。
【0224】
5-メチル-ピリジン-2-スルホン酸 {6-(2-ヒドロキシ-エトキシ)-5-
(2-メトキシ-フェノキシ)-2-[2-(1H-テトラゾール-5-イル)-ピリジ
ン-4-イル]-ピリミジン-4-イル}-アミドを、実施例4において得たが、非常に
細かい粒子として得られたため、大規模製造におけるその直接的なろ過はほぼ不可能であ
った。Hyflo(登録商標)Super Cel(登録商標)NF等のろ過助剤の添加
が、ろ過速度の著しい改善を可能にした。20℃にて、100%w/w Hyflo(登
録商標)Super Cel(登録商標)NFのパッドで反応混合物をろ過した場合、5
gスケールにおいて、ろ過に約13minかかることが観察された。ろ過助剤の量を50
%減らすと、ろ過時間は2倍になった。従って、ろ過助剤なしでのろ過又はろ過助剤の量
を減らしたろ過は、大規模製造にとって実際的であるとは考えられなかった。
【0225】
実施例5 5-メチル-ピリジン-2-スルホン酸 {6-(2-ヒドロキシ-エトキ
シ)-5-(2-メトキシ-フェノキシ)-2-[2-(1H-テトラゾール-5-イル
)-ピリジン-4-イル]-ピリミジン-4-イル}-アミド又はそのテトラヒドロフラ
ン溶媒和物の合成
実施例4で得られた、Hyflo Super-Cel NF(登録商標)に吸着させた
5-メチル-ピリジン-2-スルホン酸 {6-(2-ヒドロキシ-エトキシ)-5-(
2-メトキシ-フェノキシ)-2-[2-(1H-テトラゾール-5-イル)-ピリジン
-4-イル]-ピリミジン-4-イル}-アミドを、THF(47.6kg/kgシアノ
-ピリジン)中に、還流しながら懸濁させ、この温度にて少なくとも90minにわたっ
て撹拌し、ろ過した。固体残渣を、再びTHF(約6kg/kgシアノ-ピリジン)中に
、還流しながら懸濁させ、この温度にて少なくとも20min撹拌し、ろ過した。ろ液を
合わせて、常圧にて、THF(53.5vol.)の蒸留により濃縮した。生成物の溶液
を、少なくとも60minにわたって10~15℃に冷却し、少なくとも60min撹拌
し、ろ過した。固体残渣を、EtOH(3kg/kgシアノ-ピリジン)、次いでMeO
H(3kg/kgシアノ-ピリジン)でスラリー洗浄し;真空下で80℃以下にて少なく
とも2時間乾燥して、5-メチル-ピリジン-2-スルホン酸 {6-(2-ヒドロキシ
-エトキシ)-5-(2-メトキシ-フェノキシ)-2-[2-(1H-テトラゾール-
5-イル)-ピリジン-4-イル]-ピリミジン-4-イル}-アミドを固体物質として
得た。本明細書に開示の方法によるXRPD分析により、生成物が結晶性であることが確
認された(
図5を参照されたい。)。DSC測定(DSC2)は、約245~250℃に
おける吸熱、次いで発熱性分解を示した。任意で、温(61~63℃)THF(約5kg
/kgシアノ-ピリジン)を固体物質に加え、得られた懸濁液を、還流しながら少なくと
も60min撹拌した。生成物の懸濁液を、少なくとも60minにわたって20℃に冷
却し、さらに少なくとも30min撹拌し、ろ過し、フィルターケークを、20~25℃
にてTHFでスラリー洗浄した。母液及び洗浄溶液を処分した後、フィルターケークを8
0℃以下にて予備乾燥し、真空下で同じ温度にてさらに乾燥して、5-メチル-ピリジン
-2-スルホン酸 {6-(2-ヒドロキシ-エトキシ)-5-(2-メトキシ-フェノ
キシ)-2-[2-(1H-テトラゾール-5-イル)-ピリジン-4-イル]-ピリミ
ジン-4-イル}-アミド テトラヒドロフラン溶媒和物(75~90%)を白色の固体
物質として得た。本明細書に開示の方法によるXRPD分析により、生成物が結晶性であ
ることが確認された(
図6を参照されたい。)。DSC測定(DSC2)は、THFの喪
失に帰属できる約160℃における広域の吸熱、及び、約245℃における吸熱、次いで
発熱性分解を示した。幾つかの大規模バッチ(THF溶媒和物に関し14~19kg)が
、上記の方法を用いて成功裏に製造された。
【0226】
先に開示した実施例4及び5は、有利に組み合わせて、単一の工程(圧縮工程(tel
escoped procedure))とすることができる。すなわち、Hyflo(
登録商標)Super Cel(登録商標)NFに吸着した生成物は、単離されずに、実
施例5に開示した条件下でTHFにより直接処理され、5-メチル-ピリジン-2-スル
ホン酸 {6-(2-ヒドロキシ-エトキシ)-5-(2-メトキシ-フェノキシ)-2
-[2-(1H-テトラゾール-5-イル)-ピリジン-4-イル]-ピリミジン-4-
イル}-アミド又はそのテトラヒドロフラン溶媒和物を与える。
【0227】
実施例6 5-メチル-ピリジン-2-スルホン酸 {6-(2-ヒドロキシ-エトキ
シ)-5-(2-メトキシ-フェノキシ)-2-[2-(1H-テトラゾール-5-イル
)-ピリジン-4-イル]-ピリミジン-4-イル}-アミド 二ナトリウム塩(クラゾ
センタン二ナトリウム塩)の合成
A) 塩の形成:5-メチル-ピリジン-2-スルホン酸 {6-(2-ヒドロキシ-エ
トキシ)-5-(2-メトキシ-フェノキシ)-2-[2-(1H-テトラゾール-5-
イル)-ピリジン-4-イル]-ピリミジン-4-イル]-アミド又はそのテトラヒドロ
フラン溶媒和物(粗製物質;1eq.、HPLC-アッセイにより補正)を、MeOH(
4.34kg/kg粗製物)中に懸濁させ、25~30℃にて少なくとも1h撹拌した。
MeOH中の30%NaOMe溶液(2.55eq.)を25~42℃にてこの懸濁液に
加えた。反応混合物を35~42℃に加熱し、この温度にて60~120min撹拌した
。この懸濁液を、60~180min以内に20~25℃に冷却し、この温度にて240
~360min撹拌した。この懸濁液を、120~240min以内に約-13℃にさら
に冷却し、さらに少なくとも180min撹拌した。生成物をろ過し、フィルターケーク
を、冷(-15℃)MeOH(1kg/kg粗製物)、次いで冷(-15℃)EtOH(
1kg/kg粗製物)で洗浄した。未処理の生成物を、真空下、T≦70℃で乾燥して、
固体5-メチル-ピリジン-2-スルホン酸 {6-(2-ヒドロキシ-エトキシ)-5
-(2-メトキシ-フェノキシ)-2-[2-(1H-テトラゾール-5-イル)-ピリ
ジン-4-イル]-ピリミジン-4-イル}-アミド 二ナトリウム塩を得た。
【0228】
B) 再結晶化:工程A)から得られた5-メチル-ピリジン-2-スルホン酸 {6
-(2-ヒドロキシ-エトキシ)-5-(2-メトキシ-フェノキシ)-2-[2-(1
H-テトラゾール-5-イル)-ピリジン-4-イル]-ピリミジン-4-イル}-アミ
ド 二ナトリウム塩を、水(2.8kg/kg粗製物)中に懸濁し、得られた懸濁液を、
少なくとも30minにわたって75~80℃に加熱し、少なくとも10minこの温度
に維持し、次いで、NaOHの熱水溶液(20%、0.3eq.)を、明澄な溶液が得ら
れるまで(8~12min)、撹拌下で同じ温度にて加えた。予備加熱したフィルターを
通してろ過した後速やかに、溶液を、60~120minにわたって約40℃に冷却し、
結晶化が始まるまで90~180minさらに撹拌した。次いで、生成した懸濁液を、2
~24hにわたって0~5℃に冷却し、1~24h撹拌した。母液を排出した。残った固
体を、MeOH(1kg/kg粗製物)中で、2℃にて、少なくとも10min撹拌し、
次いで溶媒を排出し、EtOH(1kg/kg粗製物)中で、2℃にて、少なくとも10
minさらに洗浄した。最後に、母液を排出し、固体生成物を得た。
【0229】
C) 粉砕(リスラリー):工程B)からの固体物質を、熱(70℃)MeOH/Et
OH混合物(2kg/kg粗製物/6kg/kg粗製物)中に懸濁させ、少なくとも20
minにわたって加熱還流し(90~95℃)、少なくとも60min撹拌した。溶媒を
大気圧にて部分的に蒸留した(1.5vol.)。残った懸濁液を、少なくとも180m
inにわたって-15℃に冷却し、少なくとも120min撹拌し、固体物質を母液から
分離した。固体生成物を、-15℃にて、少なくとも20min、MeOH/EtOH混
合物(0.3kg/kg粗製物/0.8kg/kg粗製物)中でさらに洗浄し、次いで、
-15℃にて、少なくとも20min、EtOH(1kg/kg粗製物)中で再び洗浄し
た。最後に、母液を排出し、固体物質を得た。
【0230】
D) 乾燥:工程C)からの固体物質を、凝縮物(condensate)が観察され
なくなるまで、減圧下、70℃以下で予備乾燥し、真空下、75℃以下でさらに乾燥して
、5-メチル-ピリジン-2-スルホン酸 {6-(2-ヒドロキシ-エトキシ)-5-
(2-メトキシ-フェノキシ)-2-[2-(1H-テトラゾール-5-イル)-ピリジ
ン-4-イル]-ピリミジン-4-イル}-アミド 二ナトリウム塩(クラゾセンタン二
ナトリウム塩)を、白色~薄黄色の結晶性粉末として得た。幾つかの大規模バッチ(13
~20kgの生産量)が、上記の方法を用いて成功裏に製造された。分析データを表3に
要約する。
【0231】
【表11】
参照実施例4 脱色実験(Discoloration experiments)
精製工程(f)を有さない製造プロセスでは、水に溶解させた場合に顕著な着色を有する
クラゾセンタン二ナトリウム塩が得られた。生成物を脱色する幾つかの試みが行われた:
例えば、1) 工程(c)の反応温度を大規模製造に適する範囲で低下させた;2) 合
成の工程(a)における5-メチル-2-ピリジン-スルホンアミドの純度を95%w/
wから99%w/wに増大させた;3) 塩形成工程(e)において使用するナトリウム
メトキシドを、水酸化ナトリウム又は水素化ナトリウムで置き換え、並びに、異なる量の
ナトリウムメトキシド、水酸化ナトリウム及び水素化ナトリウムを試験した;4) 木炭
、シリカゲル及び酸化アルミニウム等の吸着物質を、工程(d)の完了後に反応混合物に
加えた。しかしながら、いずれの手段も薬剤物質の望ましくない着色を十分に改善しなか
った。この問題は、精製工程(f)を導入することによってのみ解決することができた。
脱色実験の結果を下記の表4に示す。
【0232】
【国際調査報告】