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特表2024-546952脂質ナノ粒子製剤に用いるための脂質
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】脂質ナノ粒子製剤に用いるための脂質
(51)【国際特許分類】
   C07C 237/06 20060101AFI20241219BHJP
   C07C 233/38 20060101ALI20241219BHJP
   C07C 233/36 20060101ALI20241219BHJP
   C07C 271/20 20060101ALI20241219BHJP
   A61K 47/28 20060101ALI20241219BHJP
   A61K 47/24 20060101ALI20241219BHJP
   A61K 9/51 20060101ALI20241219BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20241219BHJP
   A61K 47/44 20170101ALI20241219BHJP
   A61K 31/7105 20060101ALI20241219BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALI20241219BHJP
   A61K 47/18 20170101ALI20241219BHJP
   A61K 47/22 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
C07C237/06 CSP
C07C233/38
C07C233/36
C07C271/20
A61K47/28
A61K47/24
A61K9/51
A61K47/34
A61K47/44
A61K31/7105
A61K31/7088
A61K47/18
A61K47/22
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024535953
(86)(22)【出願日】2022-12-15
(85)【翻訳文提出日】2024-08-02
(86)【国際出願番号】 US2022081712
(87)【国際公開番号】W WO2023114943
(87)【国際公開日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】63/290,398
(32)【優先日】2021-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516386834
【氏名又は名称】アクイタス セラピューティクス インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Acuitas Therapeutics Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 康
(72)【発明者】
【氏名】タン,ジェイソン サミュエル
(72)【発明者】
【氏名】アーンズ,スティーブ
(72)【発明者】
【氏名】ガテニョ,ジュリア
(72)【発明者】
【氏名】ブラゴイェヴィッチ,ポリーナ
(72)【発明者】
【氏名】ドゥ,シンヤオ
(72)【発明者】
【氏名】アンセル,スティーブン エム
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
4H006
【Fターム(参考)】
4C076AA65
4C076BB01
4C076BB11
4C076DD52
4C076DD58
4C076DD63
4C076DD70
4C076EE23
4C076EE51
4C076FF02
4C076FF04
4C076FF31
4C086AA10
4C086EA16
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA41
4C086NA10
4C086NA13
4H006AA01
4H006AA03
4H006AB20
4H006BN10
4H006BP10
4H006BU32
4H006BV22
4H006BV34
4H006RA14
(57)【要約】
下記構造:
(I)
を有する化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、互変異性体若しくは立体異性体が提供される[式中、R、L、L、G、G及びGは本明細書で定義される通りである]。治療剤送達のための脂質ナノ粒子製剤の成分として前記化合物を使用すること、前記化合物を含む組成物、並びにそれらの使用方法及び調製方法もまた提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記構造(I):
【化1】
(I)
を有する化合物またはその薬学的に許容可能な塩、プロドラッグ若しくは立体異性体
[式中、
は-NRC(=O)Rまたは-C(=O)NRであり;
は-NRC(=O)Rまたは-C(=O)NRであり;
及びGはそれぞれ独立して、C~C12アルキレン、またはC~C12アルケニレンであり;
はC~C24アルキレン、またはC~C24アルケニレンであり;
、R、R及びRはそれぞれ独立して、H、C~C16アルキルまたはC~C16アルケニルであり;
及びRはそれぞれ独立して、C~C16アルキルまたはC~C16アルケニルであり;
及びRはそれぞれ独立して、C~C24アルキルまたはC~C24アルケニルであり;
はH、-OH、CN、-N(R)R;-C(=O)N(R)R;-N(R)C(=O)R;-N(R)C(=O)OR;-C(=O)OR、-OC(=O)R、-OR、ヘテロアリールまたはアリールであり;
及びRはそれぞれ独立して、H、C~C12アルキル、C~CシクロアルキルまたはC~Cシクロアルケニルであるか、あるいはR及びRは、それらが結合している窒素原子または炭素原子と一緒になって、5~7員複素環を形成し;
はH、C~C12アルキル、C~C12アルケニルまたはアラルキルであり;
は、ヒドロキシまたはアルコキシによって任意選択で置換されているC~C12アルキルであり;及び
ここで、特に明記しない限り、アルキル、アルケニル、アルキレン、アルケニレン、アリール及びアラルキルはそれぞれ独立して、置換されているか、または無置換である]。
【請求項2】
が-NRC(=O)Rまたは-C(=O)NRであり;
が-NRC(=O)Rまたは-C(=O)NRであり;
及びGがそれぞれ独立して、C~C12アルキレン、またはC~C12アルケニレンであり;
がC~C24アルキレン、またはC~C24アルケニレンであり;
、R、R及びRがそれぞれ独立して、H、C~C16アルキルまたはC~C16アルケニルであり;
及びRがそれぞれ独立して、C~C16アルキルまたはC~C16アルケニルであり;
及びRはそれぞれ独立して、C~C24アルキルまたはC~C24アルケニルであり;
はH、-OH、CN、-N(R)R;-C(=O)N(R)R;-N(R)C(=O)R;-C(=O)OR、-OC(=O)R、またはアリールであり;
及びRはそれぞれ独立して、HまたはC~C12アルキルであるか、あるいはR及びRは、それらが結合している窒素原子または炭素原子と一緒になって、5~7員複素環を形成し;
はH、C~C12アルキル、C~C12アルケニルまたはアラルキルであり;及び
ここで、特に明記しない限り、アルキル、アルケニル、アルキレン、アルケニレン、アリール及びアラルキルはそれぞれ独立して、置換されている、または無置換である
請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
アルキル、アルケニル、アルキレン、アルケニレン、C~CシクロアルキルまたはC~Cシクロアルケニル、アリールまたはアラルキルの少なくとも1つが、1つ以上のフッ素及び/または1つ以上の酸素及び/または1つ以上のNH及び/または1つ以上のアルキルアミニルで置換されている、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
が無置換である、請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
がC~C12アルキレンである、請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
がC、C、C、C、C、C、C、またはCアルキレンである、請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
、G及び/またはGが1つ以上のフッ素原子で置換されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
下記構造(IA):
【化2】
(IA)
を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物
[式中、y及びzはそれぞれ独立して、2~12の整数である]。
【請求項9】
が-C(=O)NRであり、Lが-C(=O)NRである、または
が-NRC(=O)Rであり、Lが-NRC(=O)Rである、請求項1~8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
下記構造(IB)または(IC):
【化3】
の1つを有する、請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
y及びzがそれぞれ独立して、4~10の整数である、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
及びRがそれぞれ独立して、直鎖または分岐鎖C~C24アルキルである、請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項13】
及びRがそれぞれ独立して、下記構造:
【化4】
を有する、請求項12に記載の化合物
[式中、
7a及びR7bは、出現ごとに、独立して(a)HまたはC~C12アルキルであるか、または(b)R7aがHまたはC~C12アルキルであり、R7bが、それが結合する炭素原子と共に、R7bに隣接する原子及びそれが結合する炭素原子と一緒になって、炭素-炭素二重結合を形成し;
及びaは2~12の整数であり、
ここで、R7a、R7b及びaはそれぞれ、R及びRがそれぞれ独立して直鎖または分岐鎖であって、独立して6~20個の炭素原子を含むように選択される]。
【請求項14】
aが8~12の整数である、請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
7bが、少なくとも1回の出現においてHである、請求項13または14に記載の化合物。
【請求項16】
7aが、出現ごとにHである、請求項13または14に記載の化合物。
【請求項17】
7bが、少なくとも1回の出現においてC~Cアルキルである、請求項13~16に記載の化合物。
【請求項18】
~Cアルキルがメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ヘキシルまたはn-オクチルである、請求項17に記載の化合物。
【請求項19】
若しくはR、またはその両方が独立して下記構造:
【化5】
の1つを有する、請求項18に記載の化合物。
【請求項20】
、R、R及びRがそれぞれ独立して、C~C12アルキルである、請求項1~11のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項21】
、R、R及びRがn-ヘキシルである、請求項1~11のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項22】
、R、R及びRがn-オクチルである、請求項1~11のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項23】
、R、R及びRがn-デカニルである、請求項1~11のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項24】
及びRがそれぞれ独立して、C~C12アルキルまたはC~C12アルケニルであり、R及びRがそれぞれ独立して、C~C18アルキルまたはC~C18アルケニルである、請求項1~11のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項25】
及びRがn-ヘキシルであり、R及びRがドデカペンチルである、請求項1~11のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項26】
及びRがn-ヘキシルであり、R及びRが(6Z,9Z)-ヘプタデカ-6,9-ジエンである、請求項1~11のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項27】
及びRがn-ヘキシルであり、R及びRが7-ペンタデカンである、請求項1~11のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項28】
がHである、請求項1~27のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項29】
が-OHである、請求項1~27のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項30】
が-C(=O)ORである、請求項1~27のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項31】
がC~C18分岐鎖アルキル、C~C12分岐鎖アルキル、C~Cアルキル、またはC~Cアルキルである、請求項30に記載の化合物。
【請求項32】
が-N(R)Rである、請求項1~27のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項33】
及びRがそれぞれ独立して、C~C12アルキル、C~Cアルキル、またはC~Cアルキルであって、それぞれ任意選択によってヒドロキシで置換されている、請求項32に記載の化合物。
【請求項34】
が-C(=O)N(R)Rである、請求項1~27のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項35】
が-N(R)C(=O)Rである、請求項1~27のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項36】
またはRの一方がHであり、RまたはRの他方がC~C12アルキルである;または
及びRがどちらも、C~C12アルキルまたはC~Cアルキルである、請求項34または35に記載の化合物。
【請求項37】
がアリールである、請求項1~27のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項38】
が-N(R)Rであり、RがHであり、RがC~Cシクロアルケニルである、請求項1~27のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項39】
が-ORであり、Rが、OHまたはOCHで置換されたC~Cアルキルである、請求項1~27のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項40】
が-N(R)C(=O)ORであり、RがHであり、RがC~Cアルキルである、請求項1~27のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項41】
がヘテロアリールである、請求項1~27のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項42】
が下記構造:
【化6】
の1つを有する、請求項1~41のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項43】
表1に記載の化合物から選択される化合物。
【請求項44】
請求項1~43のいずれか一項に記載の化合物と治療剤とを含む脂質ナノ粒子。
【請求項45】
請求項1~43のいずれか一項に記載の化合物と治療剤とを含む組成物。
【請求項46】
中性脂質、ステロイド及びポリマーコンジュゲート脂質から選択される、1つ以上の賦形剤を更に含む、請求項44または45のいずれか一項に記載の脂質ナノ粒子または組成物。
【請求項47】
組成物がDSPC、DPPC、DMPC、DOPC、POPC、DOPE及びSMから選択される1つ以上の中性脂質を含む、請求項46に記載の脂質ナノ粒子または組成物。
【請求項48】
中性脂質がDSPCである、請求項47に記載の脂質ナノ粒子または組成物。
【請求項49】
前化合物の中性脂質に対するモル比が、約2:1~約8:1である、請求項46~48のいずれか一項に記載の脂質ナノ粒子または組成物。
【請求項50】
ステロイドがコレステロールである、請求項46~49のいずれか一項に記載の脂質ナノ粒子または組成物。
【請求項51】
前記化合物のコレステロールに対するモル比が、5:1~1:1または2:1~1:1である、請求項50に記載の脂質ナノ粒子または組成物。
【請求項52】
ポリマーコンジュゲート脂質がペグ化脂質である、請求項46~51のいずれか一項に記載の脂質ナノ粒子または組成物。
【請求項53】
前記化合物のペグ化脂質に対するモル比が、約100:1~約20:1または約100:1~約10:1である、請求項52に記載の脂質ナノ粒子または組成物。
【請求項54】
ペグ化脂質がPEG-DAG、PEG-PE、PEG-S-DAG、PEG-cerまたはPEGジアルキオキシプロピルカルバメート(dialkyoxypropylcarbamate)である、請求項52または53に記載の脂質ナノ粒子または組成物。
【請求項55】
ペグ化脂質が下記構造(II):
【化7】
(II)
を有するか、その薬学的に許容可能な塩、互変異性体または立体異性体である、請求項52または53に記載の脂質ナノ粒子または組成物
[式中、
10及びR11はそれぞれ独立して、炭素原子数が10~30である、直鎖または分岐鎖のアルキル、アルケニルまたはアルキニルであり、ここでアルキル、アルケニルまたはアルキニルは1つ以上のエステル結合によって任意選択で分断されており;及び
wは30~60の平均値を有する]。
【請求項56】
10及びR11がそれぞれ独立して、12~16個の炭素原子を含むアルキル直鎖である、請求項55に記載の脂質ナノ粒子または組成物。
【請求項57】
wの平均が約49である、請求項55または56に記載の脂質ナノ粒子または組成物。
【請求項58】
治療剤が核酸を含む、請求項45~57のいずれか一項に記載の脂質ナノ粒子または組成物。
【請求項59】
核酸が、アンチセンスRNA及びメッセンジャーRNAから選択される、請求項58に記載の脂質ナノ粒子または組成物。
【請求項60】
投薬を必要とする患者に治療剤を投与する方法であって、請求項45~59のいずれか一項に記載の脂質ナノ粒子または組成物を調製または提供することと、前記患者に前記組成物を投与することと、を含む方法。
【請求項61】
請求項45に記載の脂質ナノ粒子と、薬学的に許容可能な希釈剤または賦形剤とを含む医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施態様は概して、in vitroとin vivoの両方において、核酸(例えばオリゴヌクレオチド、メッセンジャーRNA)のような治療剤送達のための脂質ナノ粒子を形成するために、中性脂質、コレステロール、及びポリマーコンジュゲート脂質などの他の脂質成分と組み合わせて使用され得る新規脂質に関する。
【背景技術】
【0002】
生体系において所望の応答を生じさせる核酸送達に関連した多くの課題が存在する。核酸を基とする治療薬は大きな可能性を有するが、この可能性を実現するためには、細胞または生物内の適切な場所に、より効率よく核酸を送達する必要性が依然としてある。治療用核酸として例えば、メッセンジャーRNA(mRNA)、アンチセンスオリゴヌクレオチド、リボザイム、デオキシリボザイム、プラスミド、免疫刺激性核酸、アンタゴミル(antagomir)、アンチミル(antimir)、模倣体、スーパーミル(supermir)、及びアプタマーが挙げられる。mRNAまたはプラスミドのような幾つかの核酸は、例えば、タンパク質または酵素の欠乏に関連する疾患の治療に有用となるような、特定の細胞産物の発現を生じさせるのに使用され得る。その系に常在であるかどうかに関わらず、任意の選択されたタンパク質配列を生成するためにコンストラクトは合成され得るので、翻訳可能なヌクレオチド送達の治療上の用途は極めて幅広い。核酸の発現産物は、細胞または生物内において、タンパク質の既存レベルを増大させ得、欠損した若しくは非機能的バージョンのタンパク質を置き換え得、あるいは新たなタンパク質及び関連する機能性を導入し得る。
【0003】
miRNA阻害剤などの幾つかの核酸は、例えば、タンパク質または酵素の欠乏に関連する疾患の治療に有用となるような、miRNAによって制御される特定の細胞産物の発現を生じさせるために使用され得る。1つ以上のmiRNAを阻害するためにコンストラクトが合成され得、これがひいてはmRNA産物の発現を制御することになるので、miRNA阻害の治療上の用途は極めて幅広い。内因性miRNAの阻害は、特定のmiRNAまたはmiRNAの一群に関連する疾患を治療するための手段として、細胞または生物内において、その下流の標的内因性タンパク質の発現を増大させ得、適切な機能を回復させ得る。
【0004】
他の核酸は、特定のmRNAの細胞内レベルをダウンレギュレーションし得、その結果、RNA干渉(RNAi)またはアンチセンスRNAの相補結合などのプロセスを介して、対応するタンパク質の合成をダウンレギュレーションし得る。オリゴヌクレオチドコンストラクトが標的mRNAに向けられた任意のヌクレオチド配列を用いて合成され得るので、アンチセンスオリゴヌクレオチド及びRNAiの治療上の用途もまた極めて幅広い。標的には、正常細胞由来のmRNA、がんなどの疾患状態に関連するmRNA、及びウイルスなどの感染物質のmRNAを含み得る。今日までに、アンチセンスオリゴヌクレオチドコンストラクトは、in vitro及びin vivoの両モデルにおいて、同族mRNAの分解を介して標的タンパク質を特異的にダウンレギュレーションする能力を示している。加えて、アンチセンスオリゴヌクレオチドコンストラクトは、臨床研究において現在評価されている。
【0005】
しかし、治療状況におけるオリゴヌクレオチドの使用は、現在2つの課題に直面している。第一に、遊離RNAは血漿中のヌクレアーゼ消化の影響を受けやすい。第二に、遊離RNAは関連する翻訳機構が存在する細胞内区画にアクセスする能力が限られている。中性脂質、コレステロール、PEG、ペグ化脂質などの他の脂質成分と共に製剤化された脂質及びオリゴヌクレオチドから形成された脂質ナノ粒子は、血漿中におけるRNAの分解を遮断し、オリゴヌクレオチドの細胞取り込みを促進するために使用されてきた。
【0006】
オリゴヌクレオチド送達のための改善された脂質及び脂質ナノ粒子の必要性が依然として存在する。好ましくは、これらの脂質ナノ粒子は、薬物:脂質の最適比を提供し、血清中の分解及び排除から核酸を保護し、全身または局所送達に適切であり、核酸の細胞内送達を提供する。加えて、これらの脂質-核酸粒子は、有効量の核酸における患者の治療が、前記患者にとって許容不可能な毒性及び/または危険性を伴わないように、忍容性が良好であり、十分な治療指数を提供するべきである。本発明はこれらの、及び関連する利点を提供する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
要するに、本発明の実施態様は、単独で、あるいは他の脂質成分、例えば、中性脂肪、荷電脂質、ステロイド(例えば、全てのステロールを含む)及び/若しくはこれらのアナログ、並びに/またはポリマーコンジュゲート脂質と組み合わせて使用することによって、治療剤の送達のための脂質ナノ粒子を形成することができる、脂質化合物(その立体異性体、薬学的に許容可能な塩、プロドラッグまたは互変異性体を含む)を提供する。ある場合には、脂質ナノ粒子を使用して、アンチセンス及び/またはメッセンジャーRNAなどの核酸を送達する。様々な疾患または状態、例えば感染実体及び/またはタンパク質の不全により引き起こされるものなどの治療のために、このような脂質ナノ粒子を使用する方法もまた提供される。
【0008】
一実施態様では、次の構造(I):
【化1】
(I)
を有する化合物またはその薬学的に許容可能な塩、互変異性体、プロドラッグ若しくは立体異性体が提供される
[式中、R、L、L、G、G、及びGは本明細書で定義される通りである]。
【0009】
前述の構造(I)の化合物の1つ以上と、治療剤とを含む医薬組成物もまた提供される。構造(I)の化合物の1つ以上を含む脂質ナノ粒子(LNP)もまた提供される。幾つかの実施態様では、前記医薬組成物及び/またはLNPは、中性脂質、荷電脂質、ステロイド及びポリマーコンジュゲート脂質から選択される1つ以上の成分を更に含む。開示される組成物は、治療剤送達のための脂質ナノ粒子の形成に有用である。
【0010】
他の実施態様では、本発明は、投薬が必要な患者に治療剤を投与する方法であって、構造(I)の化合物及び治療剤を含む脂質ナノ粒子の組成物を調製することと、前記組成物を患者に送達することと、を含む方法を提供する。幾つかの実施態様では、投薬が必要な患者に治療剤を投与する方法は、構造(I)の化合物の1つ以上と、治療剤とを含むLNPを患者に投与することを含む。
【0011】
本発明のこれら及び他の側面は、以下の詳細な説明を参照することで明らかとなる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の説明では、本発明の様々な実施態様の十分な理解が得られるよう、ある特定の詳細が記載されている。しかし、当業者であれば、これらの詳細なしに本発明を実施できることを理解するであろう。
【0013】
本発明の実施態様は、核酸などの活性薬剤または治療剤を、哺乳動物の細胞へin vivo送達するための脂質ナノ粒子に使用される場合に利点をもたらす新規脂質の発見に部分的に基づく。特に、本発明の実施態様は、in vivoにおいて、核酸の活性の増加及び前記組成物の忍容性の改善を提供し、その結果、以前記載された核酸-脂質ナノ粒子組成物と比較して治療指数を顕著に増加させる、本明細書に記載の新規脂質の1つ以上を含む核酸-脂質ナノ粒子組成物を提供する。例えば、実施態様では、構造(I)の化合物の1つ以上を含む脂質ナノ粒子を提供する。
【0014】
特定の実施態様では、本発明は、mRNA及び/または他のオリゴヌクレオチドのin vitro及びin vivo送達のための改善された組成物の製剤化を可能にする新規脂質を提供する。幾つかの実施態様では、これらの改善された脂質ナノ粒子組成物は、mRNAによってコードされるタンパク質の発現に有用である。他の実施態様では、これらの改善された脂質ナノ粒子組成物は、1つの標的mRNAまたは幾つかのmRNAを制御する、1つの特定のmiRNAまたはmiRNAの一群を標的にするmiRNA阻害剤を送達することで、内因性タンパク質の発現をアップレギュレーションするのに有用である。他の実施態様では、これらの改善された脂質ナノ粒子組成物は、標的遺伝子のタンパク質レベル及び/またはmRNAレベルをダウンレギュレーション(例えばサイレンシング)するのに有用である。幾つかの他の実施態様では、前記脂質ナノ粒子は、導入遺伝子発現のためのmRNA及びプラスミドの送達にも有用である。更なる他の実施態様では、前記脂質ナノ粒子組成物は、タンパク質発現に起因する薬理効果、例えば、適切なエリスロポエチンmRNAの送達を介した赤血球産生の増加、または適切な抗原または抗体をコードするmRNAの送達を介した感染からの保護を誘導するのに有用である。
【0015】
本発明の実施態様の脂質ナノ粒子及び組成物は、in vitroとin vivoの両方で、例えば核酸のような、封入された、あるいは結合した(例えば複合体形成された)治療剤を細胞に送達することを含めた様々な目的のために使用され得る。従って、本発明の実施態様は、適切な治療剤を封入または結合する脂質ナノ粒子と対象とを接触させることで、治療が必要な対象における疾患または障害を、治療または予防する方法であって、前記脂質ナノ粒子が、本明細書に記載の新規脂質の1つ以上を含む方法を提供する。
【0016】
本明細書に記載されるように、本発明の脂質ナノ粒子の実施態様は、例えば、mRNA、アンチセンスオリゴヌクレオチド、プラスミドDNA、マイクロRNA(miRNA)、miRNA阻害剤(アンタゴミル/アンチミル)、メッセンジャーRNA干渉性相補性RNA(micRNA)、DNA、多価RNA、ダイサー基質RNA、相補DNA(cDNA)などを含めた核酸の送達に特に有用である。従って、本発明の実施態様の脂質ナノ粒子及び組成物は、細胞と、本明細書に記載の1つ以上の新規脂質を含む脂質ナノ粒子とを接触させることで、in vitro及びin vivoの両方において所望のタンパク質の発現を誘導するために使用でき、ここで脂質ナノ粒子は、所望のタンパク質を生成するために発現される核酸(例えば所望のタンパク質をコードするメッセンジャーRNAまたはプラスミド)を封入若しくは結合し、またはmRNA発現を終了させるプロセスを阻害する(例えばmiRNA阻害剤)。あるいは、本発明の実施態様の脂質ナノ粒子及び組成物は、細胞と、本明細書に記載の1つ以上の新規脂質(例えば、構造(I)の化合物)を含む脂質ナノ粒子とを接触させることによって、in vitroとin vivoの両方で標的遺伝子及びタンパク質の発現を低減するために使用されてよく、脂質ナノ粒子は、標的遺伝子の発現を減少させる核酸(例えばアンチセンスオリゴヌクレオチドまたは小分子干渉RNA(siRNA))を封入または結合している。本発明の実施態様の脂質ナノ粒子及び組成物はまた、異なる複数の核酸(例えば適切な遺伝子修飾酵素をコードするmRNA及び宿主ゲノムへの組み込みのためのDNAセグメント(複数可))の共局在化を必要とする作用を提供するために有用であり得るなど、異なる複数の核酸(例えばmRNA及びプラスミドDNA)を別々にまたは組み合わせて共同送達するために使用できる。
【0017】
本発明の具体例と共に使用するための核酸は、任意の利用可能な技術に従って調製され得る。mRNAについて、主要な調製方法は、限定はされないが、長い配列に特異的なmRNAを生成する最も効率的な方法を現在代表する酵素合成(in vitro転写とも称される)である。In vitro転写は、目的の遺伝子をコードしている下流の配列に連結している上流バクテリオファージプロモーター配列(例えばT7、T3及びSP6コリファ-ジからのものを含むが、これらに限定されない)で構成される操作されたDNA鋳型からの鋳型指向型のRNA分子合成プロセスを表す。鋳型DNAは、限定はされないが、プラスミドDNA及びポリメラーゼ連鎖反応増幅を含めた当技術分野で公知である適当な技術を用いて、幾つかの供給源からin vitro転写のために調製することができる(Linpinsel, J.L 及び Conn, G.L., General protocols for preparation of plasmid DNA template 並びに Bowman, J.C., Azizi, B., Lenz, T.K., Ray, P., 及び Williams, L.D. in RNA in vitro transcription and RNA purification by denaturing PAGE in Recombinant and in vitro RNA syntheses Methods 941巻 Conn G.L. (編), New York, N.Y. Humana Press,2012年を参照されたい)。
【0018】
RNAの転写は、精製したmRNA転写物の起こり得る分解を最小限に抑えながら、ポリメラーゼ活性を支持する条件下で、対応するRNAポリメラーゼ並びにアデノシン、グアノシン、ウリジン及びシチジンのリボヌクレオシド三リン酸(rNTP)の存在下において線状化DNA鋳型を使用して、in vitroで起こる。in vitro転写は、限定はされないが、RiboMax Large Scale RNA Production System(Promega)、MegaScript Transcriptionキット(Life Technologies)を含めた様々な市販のキットを使用して、並びにRNAポリメラーゼ及びrNTPを含めた市販の試薬を用いて実施することができる。mRNAのin vitro転写のための方法は当技術分野において公知である(例えば、Losick, R., 1972年, In vitro transcription, Ann Rev Biochem v.41巻 409~46頁;Kamakaka, R. T. and Kraus, W. L. 2001年. In Vitro Transcription. Current Protocols in Cell Biology. 2:11.6:11.6.1~11.6.17;Beckert, B. And Masquida, B.,(2010年) Synthesis of RNA by In Vitro Transcription in RNA in Methods in Molecular Biology 703巻(Neilson, H. Ed), New York, N.Y. Humana Press, 2010年;Brunelle, J.L. and Green, R., 2013, Chapter Five - In vitro transcription from plasmid or PCR-amplified DNA, Methods in Enzymology v. 530巻, 101~114頁を参照されたい;これらの全てが本明細書にて参照により援用される)。
【0019】
次いで、所望の、in vitro転写されたmRNAは、転写または関連する反応の所望しない構成成分(取り込まれなかったrNTP、タンパク質酵素、塩、短いRNAオリゴ等を含む)から精製される。mRNA転写物の単離のための技術は当技術分野において公知である。公知の手順として、フェノール/クロロホルム抽出、または一価カチオン若しくは塩化リチウム存在下でのいずれかのアルコール(エタノール、イソプロパノール)による沈殿が挙げられる。使用可能な精製手順の追加の、非限定的な例として、サイズ除去クロマトグラフィー(Lukavsky,P.J.及びPuglisi,J.D.,2004年,Large-scale preparation and purification of polyacrylamide-free RNA oligonucleotides,RNA 10巻,889~893頁)、シリカベースのアフィニティクロマトグラフィー及びポリアクリルアミドゲル電気泳動(Bowman,J.C.,Azizi,B.,Lenz,T.K.,Ray,P.及びWilliams,L.D. in RNA in vitro transcription and RNA purification by denaturing PAGE in Recombinant and in vitro RNA syntheses Methods 941巻 Conn G.L. (編), New York, N.Y. Humana Press, 2012年)が挙げられる。精製は、限定はされないが、SV Total Isolation System (Promega)及びIn Vitro Transcription Cleanup and Concentration Kit (Norgen Biotek)を含めた、様々な市販のキットを使用して実施することができる。
【0020】
更に、逆転写は多量のmRNAを産生することができるが、その産物は、全長mRNAの調製物から除去する必要があり得る、所望しないポリメラーゼ活性に伴う幾つかの異常なRNA不純物を含有する可能性がある。これらは、不完全な転写開始並びに、RNA依存性RNAポリメラーゼ活性、RNA鋳型からの、RNAをプライマーとした転写、及び自己相補性3’伸長により生成される二本鎖RNA(dsRNA)から生じる短いRNAを含む。dsRNA構造を有するこれらの混入物は、特定の核酸構造を認識し、強力な免疫応答を誘導するために機能する、真核細胞内の様々な先天的免疫センサーとの相互作用を介して所望しない免疫刺激活性をもたらし得ることが実証されている。ひいてはこれによって、細胞の先天的免疫応答の間、タンパク質合成が減少するため、mRNA翻訳が劇的に減少し得る。したがって、限定はされないが、拡張可能なHPLC精製を含めた、これらのdsRNA混入物を除去するための追加の技術が開発され、当技術分野において公知である(例えば、Kariko, K., Muramatsu, H., Ludwig, J. 及び Weissman, D., 2011, Generating the optimal mRNA for therapy: HPLC purification eliminates immune activation and improves translation of nucleoside-modified, protein-encoding mRNA, Nucl Acid Res, 39巻 e142; Weissman, D., Pardi, N., Muramatsu, H., 及び Kariko, K., HPLC Purification of in vitro transcribed long RNA in Synthetic Messenger RNA and Cell Metabolism Modulation in Methods in Molecular Biology 969巻 (Rabinovich, P.H. 編), 2013年を参照されたい)。HPLC精製されたmRNAは、特に初代細胞及びin vivoにおいて遥かに大きなレベルで翻訳されることが報告されている。
【0021】
in vitroで転写されたmRNAの特定の性質を変化させ、その有用性を改善するために使用される相当に多様な修飾が当技術分野において記載されている。これらには、限定はされないが、mRNAの5’及び3’末端の修飾が含まれる。真核生物の内因性mRNAは、通常、mRNAキャップ結合タンパク質(CBP)の結合の媒介において重要な役割を果たす成熟分子の5’末端上にキャップ構造(これが、ひいては、細胞内のRNA安定性及びmRNA翻訳の効率の増強に関与する)を含有する。したがって、最高レベルのタンパク質発現は、キャッピングされたmRNA転写物を用いて達成される。前記5’キャップは、最も5’側のヌクレオチドとグアニンヌクレオチドとの間の5’-5’トリホスフェート結合を含有する。前記コンジュゲートグアニンヌクレオチドはN7位でメチル化されている。追加の修飾は、2’ヒドロキシ基上の最も5’側のヌクレオチド及び最も5’側から2番目のヌクレオチドのメチル化を含む。
【0022】
in vitro で転写された合成mRNAの5’キャップを生成するために、複数の異なるキャップ構造を使用し得る。合成mRNAの5’キャッピングは、ケミカルキャップアナログとの共転写により実施することができる(すなわち、in vitro転写中のキャッピング)。例えば、アンチリバースキャップアナログ(ARCA)キャップは、1つのグアニンが3’-O-メチル基だけでなくN7メチル基を含有する5’-5’トリホスフェートグアニン-グアニン結合を含有する。しかし、転写物の20%までが、この共転写プロセス中にキャッピングされないまま残り、合成キャップアナログは本物の細胞mRNAの5’キャップ構造と同一ではなくなり、翻訳可能性及び細胞安定性を潜在的に減少させる。あるいは、合成mRNA分子はまた、転写後に酵素によってキャッピングされてもよい。これらは、キャップ結合タンパク質の結合が増強し、半減期が延長し、5’エンドヌクレアーゼに対する感受性が減少し、及び/または5’デキャッピングが減少した内因性5’キャップを構造的または機能的に更に厳密に模倣する、より真正の5’キャップ構造を生成してよい。mRNA安定性及び翻訳可能性を増強するために、多くの合成5’キャップアナログが開発され、当技術分野において公知である(例えば、Grudzien-Nogalska, E., Kowalska, J., Su, W., Kuhn, A.N., Slepenkov, S.V., Darynkiewicz, E., Sahin, U., Jemielity, J., 及び Rhoads, R.E., Synthetic mRNAs with superior translation and stability properties in Synthetic Messenger RNA and Cell Metabolism Modulation in Methods in Molecular Biology 969巻 (Rabinovich, P.H. 編), 2013年を参照されたい)。
【0023】
3’末端において、アデニンヌクレオチドの長鎖(ポリAテール)は通常、RNAプロセシング中にmRNA分子に付加される。転写直後に、転写物の3’末端は切断され、3’ヒドロキシ基が遊離されて、それに、ポリアデニル化と呼ばれるプロセスにおいて、ポリAポリメラーゼがアデニンヌクレオチド鎖をRNAに付加する。ポリAテールは、mRNAの翻訳効率と安定性の両方を増強することが広く示されている(Bernstein, P. 及び Ross, J., 1989年, Poly (A), poly (A) binding protein and the regulation of mRNA stability, Trends Bio Sci 14巻 373~377頁; Guhaniyogi, J. And Brewer, G., 2001年, Regulation of mRNA stability in mammalian cells, Gene, 265巻, 11~23頁; Dreyfus, M. 及び Regnier, P., 2002年, The poly (A) tail of mRNAs: Bodyguard in eukaryotes, scavenger in bacteria, Cell, 111巻, 611~613頁を参照されたい)。
【0024】
in vitroで転写されたmRNAのポリ(A)テーリングは、限定はされないが、ポリ(T)領域のDNA鋳型へのクローニングまたはポリ(A)ポリメラーゼを使用した転写後の付加を含めた様々な手法を使用して達成され得る。最初のケースは、ポリ(T)領域の大きさに応じて、定義された長さのポリ(A)テールを有するmRNAのin vitro転写を可能にするが、鋳型の追加操作を必要とする。後者のケースは、アデニン残基の、RNAの3’末端への組み込みを触媒するポリ(A)ポリメラーゼを使用して、ポリ(A)テールをin vitro転写されたmRNAに酵素的に付加することを含み、DNA鋳型の追加操作は必要ないが、不均一な長さのポリ(A)テールを有するmRNAが結果として生じる。5’キャッピング及び3’ポリ(A)テーリングは、限定はされないが、ポリ(A)ポリメラーゼテーリングキット(EpiCenter)、mMESSAGE、mMACHINE T7 Ultraキット及びポリ(A)テリングキット(Life Technologies)を含めた様々な市販のキットを使用して、並びに市販の試薬、様々なARCAキャップ、ポリ(A)ポリメラーゼなどを用いて実施することができる。
【0025】
5’キャップ及び3’ポリアデニル化に加えて、in vitro転写物の他の修飾が、翻訳の効率及び安定性に関係するような利益を提供することが報告されている。病原性DNA及びRNAは、真核細胞内の様々なセンサーにより認識され、強力な先天的免疫応答を惹起し得ることが当技術分野で知られている。天然の供給源由来の大部分の核酸は修飾ヌクレオシドを含有するため、病原性DNA及びRNAと、自己DNA及びRNAとを判断する能力は、少なくとも部分的には、構造及びヌクレオシド修飾に基づくことが示されている。対照的に、in vitroで合成されたRNAはこれらの修飾を欠き、従って免疫刺激性になり、これがひいては上に概説したように、効率的なmRNA翻訳を阻害する可能性がある。in vitroで転写されたmRNAへの修飾ヌクレオシドの導入を使用して、RNAセンサーの認識及び活性化を防止し、従ってこの所望しない免疫刺激活性を軽減し、翻訳能力を増強することができる(例えば、Kariko, K. And Weissman, D. 2007年, Naturally occurring nucleoside modifications suppress the immunostimulatory activity of RNA: implication for therapeutic RNA development, Curr Opin Drug Discov Devel, 10巻 523~532頁; Pardi, N., Muramatsu, H., Weissman, D., Kariko, K., In vitro transcription of long RNA containing modified nucleosides in Synthetic Messenger RNA and Cell Metabolism Modulation in Methods in Molecular Biology 969巻 (Rabinovich, P.H. Ed), 2013年); Kariko, K., Muramatsu, H., Welsh, F.A., Ludwig, J., Kato, H., Akira, S., Weissman, D., 2008年, Incorporation of Pseudouridine Into mRNA Yields Superior Nonimmunogenic Vector With Increased Translational Capacity and Biological Stability, Mol Ther 16巻, 1833~1840頁を参照されたい。修飾RNAの合成に使用される修飾ヌクレオシド及びヌクレオチドは、当技術分野において公知の一般的方法及び手順を使用して、調製、モニター及び利用することができる。単独または他の修飾ヌクレオシドと組み合わせて、in vitroで転写されたmRNAにある程度取り込まれてよい多種多様なヌクレオチド修飾が利用可能である(例えば、US2012/0251618を参照されたい)。ヌクレオシド修飾されたmRNAのin vitro合成は、同時に翻訳能力を増強しながら、免疫センサーを活性化する能力を減少させることが報告されている。
【0026】
翻訳可能性及び安定性に関する利益を提供するために修飾され得るmRNAの他の構成成分として5’及び3’非翻訳領域(UTR)が挙げられる。両方ともまたは独立して、UTR(好ましい5’及び3’UTRは細胞またはウイルスRNAから得ることができる)を最適化することは、in vitroで翻訳されたmRNAのmRNA安定性及び翻訳効率を増加させることが示されている(例えば、Pardi, N., Muramatsu, H., Weissman, D., Kariko, K., In vitro transcription of long RNA containing modified nucleosides in Synthetic Messenger RNA and Cell Metabolism Modulation in Methods in Molecular Biology 969巻 (Rabinovich, P.H. 編), 2013年を参照されたい)。
【0027】
mRNAに加えて、他の核酸ペイロードを本発明の実施態様のために使用してよい。オリゴヌクレオチドについて、調製の方法として、限定はされないが、長い前駆体の化学合成及び酵素的、化学的切断、上記のようなin vitro転写等が挙げられる。DNA及びRNAヌクレオチドを合成する方法は、当技術分野において広く使用され、公知である(例えば、Gait, M. J. (編) Oligonucleotide synthesis: a practical approach, Oxford [Oxfordshire], Washington, D.C.: IRL Press, 1984年; 及び Herdewijn, P. (編) Oligonucleotide synthesis: methods and applications, Methods in Molecular Biology, 288巻 (Clifton, N.J.) Totowa, N.J.: Humana Press, 2005年を参照されたい;この両方が本明細書で参照により援用される)。
【0028】
プラスミドDNAについて、本発明の具体例と共に使用するための調製は、限定はされないが、目的のプラスミドを含有する液体培養物中のin vitroでのプラスミドDNAの増大及び単離を一般的に利用する。特定の抗生物質(ペニシリン、カナマイシン等)に対する耐性をコードする遺伝子が目的のプラスミド中に存在することで、目的のプラスミドを含有する細菌を、抗生物質を含有する培養物中で選択的に増殖させることが可能になる。プラスミドDNAを単離する方法は、当技術分野において広く使用され、公知である(例えば、Heilig, J., Elbing, K. L. 及び Brent, R., (2001年) Large-Scale Preparation of Plasmid DNA, Current Protocols in Molecular Biology. 41巻:II号:1.7:1.7.1~1.7.16頁; Rozkov, A., Larsson, B., Gillstrom, S., Bjornestedt, R. 及び Schmidt, S. R.(2008年), Large-scale production of endotoxin-free plasmids for transient expression in mammalian cell culture, Biotechnol. Bioeng., 99巻: 557~566頁;及び US 6197553B1を参照されたい)。プラスミドの単離は、限定されないが、Plasmid Plus(Qiagen)、GenJET plasmid MaxiPrep(Thermo)、及びPureYield MaxiPrep (Promega)キットを含めた様々な市販のキットを使用して、並びに市販の試薬を用いて実施することができる。
【0029】
本発明の脂質、それを含む脂質ナノ粒子及び組成物、並びに遺伝子及びタンパク質発現を調節する核酸などの活性物(例えば、治療剤)を送達するためのこれらの使用の様々な例示的な実施態様が、以下に更に詳細に記載されている。
【0030】
本明細書で使用される場合、特に指定がない場合、以下の用語はこれらに属する意味を有する。
【0031】
特に文脈上異なって理解されることを要しない限り、本明細書及び特許請求の範囲を通して、単語「含む」及びその変形例、例えば「含む(comprises)」及び「含むこと」などは、開かれた、包括的な意味、すなわち「~を含むが、これらに限定されない」と解釈されるものとする。
【0032】
本明細書を通して、「一実施態様」または「ある実施態様」への言及は、この実施態様に関連して記載される特定の特色、構造、または特徴が、本発明の少なくとも一実施態様に含まれていることを意味する。したがって、本明細書全体にわたり様々な箇所における「一実施態様では」または「ある実施態様では」という句の出現は、必ずしも全てが同じ実施態様について言及しているわけではない。更に、特定の特色、構造、または特徴は、1つ以上の実施態様において適切な方式で組み合わせてよい。
【0033】
特に定義しない場合、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者により共通して理解されるものと同じ意味を有する。本明細書及び特許請求の範囲において使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」は、特に文脈上そうでは無いことが明確に指示されていない限り、複数の言及を含む。
【0034】
「所望のタンパク質の発現を誘導する」という句は、核酸が所望のタンパク質の発現を増加させる能力を指す。タンパク質発現の程度を試験するため、試験試料(例えば、所望のタンパク質を発現する培養中の細胞試料)または試験哺乳動物(例えば、ヒトまたは動物等の哺乳類)モデル、例えば、げっ歯類(例えば、マウス)またはヒト以外の霊長類(例えば、サル)モデル)を核酸(例えば、本発明の脂質と組み合わせた核酸)と接触させる。試験試料または試験動物における所望のタンパク質の発現を、前記核酸に接触させていない、あるいは前記核酸を投与していない対照試料(例えば、所望のタンパク質を発現する培養中の細胞試料)または対照哺乳動物(例えば、ヒトまたは動物等の哺乳類)モデル、例えば、げっ歯類(例えば、マウス)またはヒト以外の霊長類(例えば、サル)モデル中の所望のタンパク質の発現と比較する。所望のタンパク質が対照試料または対照哺乳動物中に存在する場合、対照試料または対照哺乳動物中の所望のタンパク質の発現に1.0の値を割り当ててよい。ある実施態様では、所望のタンパク質の発現誘導は、試験試料または試験哺乳動物中の所望のタンパク質の発現の、対照試料または対照哺乳動物中の所望のタンパク質の発現に対する比が1を超えた場合、例えば約1.1、1.5、2.0、5.0、または10.0である場合に達成される。所望のタンパク質が対照試料または対照哺乳動物中に存在しない場合、所望のタンパク質の発現誘導は、試験試料または試験哺乳動物中において任意の測定可能なレベルの所望のタンパク質が検出された場合に達成される。当業者であれば、試料中のタンパク質の発現レベルを判定するのに適当なアッセイ、例えば、ドットブロット、ノーザンブロット、インサイチュハイブリダイゼーション、ELISA、免疫沈降、酵素機能、及び表現型アッセイ、または適当な条件下で蛍光または発光を生成できるリポータータンパク質に基づくアッセイを理解している。
【0035】
「標的遺伝子の発現を阻害する」という句は、標的遺伝子の発現をサイレンシングする、減少させる、または阻害する核酸の能力を指す。遺伝子サイレンシングの程度を試験するために、試験試料(例えば、標的遺伝子を発現する培養中の細胞試料)または試験哺乳動物(例えば、ヒトまたは動物等の哺乳類)モデル、例えば、げっ歯類(例えば、マウス)またはヒト以外の霊長類(例えば、サル)モデル)を、標的遺伝子の発現をサイレンシングする、減少させる、あるいは阻害する核酸と接触させる。試験試料または試験哺乳動物中の標的遺伝子の発現を、前記核酸と接触していない、あるいは前記核酸を投与されていない対照試料(例えば、標的遺伝子を発現する培養中の細胞試料)または対照哺乳動物(例えば、ヒトまたは動物等の哺乳類)モデル、例えば、げっ歯類(例えば、マウス)またはヒト以外の霊長類(例えば、サル)モデル)中の標的遺伝子の発現と比較する。対照試料または対照哺乳動物中の標的遺伝子の発現は、100%の値を割り当ててよい。ある実施態様では、標的遺伝子のサイレンシング、阻害、または減少は、対照試料または対照哺乳動物中の標的遺伝子の発現レベルに対する、試験試料または試験哺乳動物中の標的遺伝子の発現レベルが、約95%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、5%、または0%である場合に達成される。言い換えれば、前記核酸は、前記核酸に接触させていない、あるいは前記核酸を投与されていない対照試料または対照哺乳動物中の標的遺伝子の発現レベルに対して、試験試料または試験哺乳動物中の標的遺伝子の発現を、約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%サイレンシング、減少させる、あるいは阻害することが可能である。標的遺伝子の発現レベルを判定するための適切なアッセイは、限定されないが、当業者に公知の技術、例えば、ドットブロット、ノーザンブロット、インサイチュハイブリダイゼーション、ELISA、免疫沈降、酵素機能、並びに当業者に公知の表現型アッセイ等を用いたタンパク質またはmRNAレベルの試験が挙げられる。
【0036】
活性薬剤または治療剤、例えば、治療用核酸の「有効量」または「治療有効量」とは、所望の効果、例えば、核酸の不在下で検出される通常の発現レベルと比較して、標的配列の発現の増加または阻害を生じるのに十分な量である。標的配列の発現の増加は、核酸の不在下では存在しない発現産物のケースでは、任意の測定可能なレベルが検出された場合に達成される。前記発現産物が、核酸との接触以前に、あるレベルで存在する場合、発現の増加は、mRNAなどの核酸を用いて得た値の増加倍率が、対照に対して、約1.05、1.1、1.2、1,3、1.4、1.5、1.75、2、2.5、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、40、50、75、100、250、500、750、1000、5000、10000倍またはそれ以上である場合に達成される。標的遺伝子または標的配列の発現の阻害は、アンチセンスオリゴヌクレオチドなどの核酸を用いて得た値が、対照に対して、約95%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、5%、または0%である場合に達成される。標的遺伝子または標的配列の発現を測定するのに適切なアッセイは、例えば、当業者に公知の技術、例えば、ドットブロット、ノーザンブロット、インサイチュハイブリダイゼーション、ELISA、免疫沈降、酵素機能、適切なレポータータンパク質の蛍光または発光、並びに当業者に公知の表現型アッセイなどを使用したタンパク質またはRNAレベルの試験が挙げられる。
【0037】
本明細書で使用される場合、用語「核酸」は、一本鎖または二本鎖のいずれかの形態で、少なくとも2つのデオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドを含むポリマーを指し、DNA、RNA、及びそれらのハイブリットを含む。DNAは、アンチセンス分子、プラスミドDNA、cDNA、PCR産物、またはベクタ-の形態であってよい。RNAは、小ヘアピンRNA(shRNA)、メッセンジャーRNA(mRNA)、アンチセンスRNA、miRNA、micRNA、多価RNA、ダイサー基質RNAまたはウイルスRNA(vRNA)、及びこれらの組み合わせの形態であってよい。核酸は、合成、天然、及び非天然のものであり、基準核酸と同様の結合特性を有する、公知のヌクレオチドアナログまたは修飾された骨格残渣または結合を含有する核酸を含む。このようなアナログの例として、限定はされないが、ホスホロチオエート、ホスホルアミデート、メチルホスホネート、キラルメチルホスホネート、2’-O-メチルリボヌクレオチド、及びペプチド核酸(PNA)が挙げられる。特に限定されない限り、「核酸」という用語は、基準核酸と同様の結合特性を有する天然のヌクレオチドの公知のアナログを含有する核酸を包含する。特に指定されない限り、特定の核酸配列はまた、明示的に指定された配列だけでなく、伝統的方式で修飾されたその変形例(例えば、縮重コドン置換)、対立遺伝子、オルソログ、単一ヌクレオチド多型、及び相補的配列も非明示的に包含する。具体的には、縮重コドン置換は、1つのまたは複数の選択された(または全ての)コドンの3位が混合塩基及び/またはデオキシイノシン残基で置換されている配列を生成することで達成され得る(Batzer et al., Nucleic Acid Res., 19巻:5081頁(1991年); Ohtsuka et al., J. Biol. Chem., 260巻:2605~2608頁(1985年); Rossolini et al., Mol. Cell. Probes, 8巻:91~98頁(1994年))。「ヌクレオチド」は、糖デオキシリボース(DNA)またはリボース(RNA)、塩基、及びリン酸基を含有する。ヌクレオチドはリン酸基を通して一緒に連結している。「塩基」は、プリン及びピリミジンを含み、このプリン及びピリミジンは、天然化合物のアデニン、チミン、グアニン、シトシン、ウラシル、イノシン、及び天然のアナログ、並びにプリン及びピリミジンの合成誘導体をさらに含み、このプリン及びピリミジンの合成誘導体は、限定はされないが、アミン、アルコール、チオール、カルボキシレート、及びアルキルハロゲン化物などの新規反応性基を配置する修飾を含むが、これらに限定されない。
【0038】
用語「遺伝子」は、ポリペプチドまたはポリペプチド前駆体の産生に必要なコード配列の部分長または全長を含む核酸(例えば、DNAまたはRNA)配列を指す。
【0039】
「遺伝子産物」とは、本明細書で使用される場合、RNA転写物またはポリペプチドなどの遺伝子の産物を指す。
【0040】
用語「脂質」は、限定されないが、脂肪酸のエステルを含み、水に難溶性であるが、多くの有機溶媒に溶解性であることを一般的に特徴とする有機化合物群を指す。脂質は通常、少なくとも3つの種類に分割される:(1)「単純脂質」、蝋だけでなく脂肪及び油を含む;(2)「複合脂質」、リン脂質及び糖脂質を含む;及び(3)「誘導脂質」、例えばステロイド。
【0041】
ステロイドは、以下の炭素骨格:
【化2】
を含む化合物である。
ステロイドの非限定的な例として、コレステロールなどが挙げられる。
【0042】
「カチオン性脂質」は、正に帯電できる脂質を指す。例示的なカチオン性脂質は、1つ以上の正の電荷を帯びたアミノ基を含む。好ましいカチオン性脂質は、pHに応じて、正に帯電して、あるいは中性の形態で存在できるようにイオン化可能である。カチオン性脂質のイオン化は、異なるpH条件下での脂質ナノ粒子の表面電荷に影響を及ぼす。この電荷状態は、血漿タンパク質吸収、血液クリアランス、及び組織分布(Semple, S.C., et al., Adv. Drug Deliv Rev 32巻:3~17(1998年))並びに核酸の細胞内送達に重要な意味を持つエンドソーム溶解性の非二重層構造を形成する能力(Hafez, I.M., et al., Gene Ther 8巻:1188~1196(2001年))に影響を及ぼし得る。
【0043】
用語「ポリマーコンジュゲート脂質」は、脂質部分とポリマー部分の両方を含む分子を指す。ポリマーコンジュゲート脂質の一例は、ペグ化脂質である。用語「ペグ化脂質」は、脂質部分とポリエチレングリコール部分の両方を含む分子を指す。ペグ化脂質は当技術分野において公知であり、1-(モノメトキシポリエチレングリコール)-2,3-ジミリストイルグリセロール(PEG-DMG)などを含む。
【0044】
用語「中性脂質」は、選択されたpHにおいて、帯電していないか、あるいは中性の双性イオン形態で存在する幾つかの脂質種のいずれかを指す。生理学的pHでは、このような脂質として、限定はされないが、ホスホチジルコリン、例えば、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DSPC)、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DPPC)、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DMPC)、1-パルミトイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(POPC)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DOPC)など、ホスファチジルエタノールアミン、例えば、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DOPE)、スフィンゴミエリン(SM)、セラミドなど、ステロイド、例えば、ステロール及びその誘導体などが挙げられる。中性脂質は合成であっても、天然由来であってもよい。
【0045】
用語「荷電脂質」は、有用な生理学的範囲、例えばpH約3からpH約9で、pHとは関係なく、正に帯電した、あるいは負に帯電した形態で存在する幾つかの脂質種のいずれかを指す。荷電脂質は、合成であっても、天然由来であってもよい。荷電脂質の例として、ホスファチジルセリン、ホスファチジン酸、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトール、ステロールヘミスクシネート、ジアルキルトリメチルアンモニウムプロパン(例えば、DOTAP、DOTMA)、ジアルキルジメチルアミノプロパン、エチルホスホコリン、ジメチルアミノエタンカルバモイルステロール(例えば、DC-Chol)が挙げられる。
【0046】
用語「脂質ナノ粒子」は、構造(I)の化合物または他の特定のカチオン性脂質の1つ以上を含み、ナノメートルオーダー(例えば、1~1,000nm)の寸法を少なくとも1つ有する粒子を指す。幾つかの実施態様では、脂質ナノ粒子は、活性薬剤または治療剤、例えば核酸(例えば、mRNA)などを目的の標的部位(例えば、細胞、組織、器官、腫瘍など)に送達するために使用され得る製剤に含まれている。幾つかの実施態様では、本発明の脂質ナノ粒子は核酸を含む。このような脂質ナノ粒子は通常、構造(I)の化合物と、中性脂質、荷電脂質、ステロイド、及びポリマーコンジュゲート脂質から選択される1つ以上の賦形剤とを含む。幾つかの実施態様では、核酸等の活性薬剤または治療剤は、脂質ナノ粒子の脂質部分または脂質ナノ粒子の脂質部分の一部若しくは全体によって包まれた水性空間に封入されてよく、これにより、宿主生物または細胞の機構、例えば有害な免疫応答により誘導される酵素的分解または他の有害作用からこれを保護する。
【0047】
様々な実施態様では、脂質ナノ粒子は、約30nm~約150nm、約40nm~約150nm、約50nm~約150nm、約60nm~約130nm、約70nm~約110nm、約70nm~約100nm、約80nm~約100nm、約90nm~約100nm、約70nm~約90nm、約80nm~約90nm、約70nm~約80nm、または約30nm、35nm、40nm、45nm、50nm、55nm、60nm、65nm、70nm、75nm、80nm、85nm、90nm、95nm、100nm、105nm、110nm、115nm、120nm、125nm、130nm、135nm、140nm、145nm、または150nmの平均径を有し、実質的に無毒性である。ある特定の実施態様では、核酸は、脂質ナノ粒子内に存在する場合、水溶液中でヌクレアーゼによる分解に対して耐性がある。核酸を含む脂質ナノ粒子及びこれらの調製方法は、例えば、米国特許公開第2004/0142025号、第2007/0042031号及びPCT公開WO2017/004143、WO2015/199952、WO2013/016058及びWO2013/086373において開示されており、あらゆる目的のためにこれらの全体において、その完全な開示が本明細書にて参照により援用される。
【0048】
本明細書で使用される場合、「~が封入された脂質」とは、核酸(例えば、mRNA)などの活性薬剤または治療剤を完全に封入して、部分的に封入して、あるいはその両方によって提供する脂質ナノ粒子を指す。ある実施態様では、核酸(例えば、mRNA)は、脂質ナノ粒子内に完全に封入されている。
【0049】
本明細書で使用される場合、用語「水溶液」は水を含む組成物を指す。
【0050】
核酸脂質ナノ粒子に関連して、「血清安定性である」とは、遊離DNAまたはRNAを有意に分解する、血清またはヌクレアーゼアッセイへの曝露後に、ヌクレオチドが有意に分解されないことを意味する。適切なアッセイとして、例えば、標準血清アッセイ、DNAseアッセイ、またはRNAseアッセイが挙げられる。
【0051】
「全身送達」は、本明細書で使用される場合、生物内で活性薬剤の広範囲な曝露をもたらすことができる治療用製品の送達を指す。幾つかの投与技術は、ある特定の薬剤の全身送達をもたらすことができるが、他の薬剤はできない。全身送達とは、薬剤の有用な、好ましくは治療用の量が体の大部分に曝露されることを意味する。脂質ナノ粒子の全身送達は、例えば、静脈内、動脈内、皮下、及び腹腔内送達を含めた、当技術分野において公知の任意の手段によることができる。幾つかの実施態様では、脂質ナノ粒子の全身送達は、静脈内送達による。
【0052】
「局所送達」とは、本明細書で使用される場合、生物内の標的部位に直接活性薬剤を送達することを指す。例えば、薬剤は、疾患部位、例えば、腫瘍など、他の標的部位、例えば炎症部位など、または標的器官、例えば、肝臓、心臓、膵臓、腎臓などに直接注射することにより、局所的に送達できる。局所送達はまた、局所的適用または局所的注射の技術、例えば、筋肉内、皮下または皮内注射などを含み得る。局所送達は、全身性薬理作用を排除しない。
【0053】
「アルキル」とは、飽和であって、例えば、1~24個の炭素原子(C~C24アルキル)、4~20個の炭素原子(C~C20アルキル)、6~16個の炭素原子(C~C16アルキル)、6~9個の炭素原子(C~Cアルキル)、1~15個の炭素原子(C~C15アルキル)、1~12個の炭素原子(C~C12アルキル)、1~8個の炭素原子(C~Cアルキル)、または1~6個の炭素原子(C~Cアルキル)、を有し、その分子の残りに単結合で結合している、炭素及び水素原子のみから成る直鎖または分岐鎖の炭化水素鎖基、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、1-メチルエチル(イソプロピル)、n-ブチル、n-ペンチル、1,1-ジメチルエチル(t-ブチル)、3-メチルヘキシル、2-メチルヘキシルなどを指す。本明細書で特に明記しない限り、アルキル基は任意選択で置換されている。
【0054】
「アルコキシ」とは、式-ORで表される基を指し、ここで、Rは上記で定義した1~12個の炭素原子を含むアルキル基である。本明細書で特に明記しない限り、アルコキシ機は任意選択で置換されている。
【0055】
「アルキルアミニル」とは、-NHRまたは-NRで表される基を指し、ここで、Rはそれぞれ独立して上記で定義した1~12個の炭素原子を含むアルキル基である。本明細書で特に明記しない限り、アルキルアミニル基は任意選択で置換されている。
【0056】
「アルケニル」とは、不飽和(すなわち、炭素-炭素二重結合を少なくとも1つ含む)であって、例えば、2~24個の炭素原子(C~C24アルケニル)、4~20個の炭素原子(C~C20アルケニル)、6~16個の炭素原子(C~C16アルケニル)、6~9個の炭素原子(C~Cアルケニル)、2~15個の炭素原子(C~C15アルケニル)、2~12個の炭素原子(C~C12アルケニル)、2~8個の炭素原子(C~Cアルケニル)、または2~6個の炭素原子(C~Cアルケニル)を有し、その分子の残りに単結合で結合している、炭素及び水素原子のみから成る直鎖または分岐鎖の炭化水素鎖基、例えば、エテニル、プロパ-1-エニル、ブタ-1-エニル、ペンタ-1-エニル、ペンタ-1,4-ジエニルなどを指す。本明細書で特に明記しない限り、アルケニル基は任意選択で置換されている。
【0057】
「アルキレン」または「アルキレン鎖」とは、飽和であって、例えば、1~24個の炭素原子(C~C24アルキレン)、2~24個の炭素原子(C~C24アルキレン)、1~15個の炭素原子(C~C15アルキレン)、1~12個の炭素原子(C~C12アルキレン)、1~8個の炭素原子(C~Cアルキレン)、1~6個の炭素原子(C~Cアルキレン)、2~4個の炭素原子(C~Cアルキレン)、1~2個の炭素原子(C~Cアルキレン)を有する、炭素及び水素原子のみから成る、その分子の残りをラジカル基に連結している、直鎖または分岐鎖の二価の炭化水素鎖、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、n-ブチレンなどを指す。前記アルキレン鎖は、その分子の残りに単結合を介して結合し、ラジカル基に単結合を介して結合する。アルキレン鎖とその分子の残りとの結合点及びアルキレン鎖とラジカル基との結合点は、鎖内の1つまたはいずれか2つの炭素を介することができる。本明細書で特に明記しない限り、アルキレン鎖は任意選択で置換されていてよい。
【0058】
「アルケニレン」または「アルケニレン鎖」とは、1つ以上の炭素-炭素二重結合を有し、例えば、2~24個の炭素原子(C~C24アルケニレン)、2~15個の炭素原子(C~C15アルケニレン)、2~12個の炭素原子(C~C12アルケニレン)、2~8個の炭素原子(C~Cアルケニレン)、2~6個の炭素原子(C~Cアルケニレン)または2~4個の炭素原子(C~Cアルケニレン)を有する、炭素及び水素のみから成る、その分子の残りをラジカル基に結合する、直鎖または分岐鎖の二価の炭化水素鎖を指し、例えば、エテニレン、プロペニレン、n-ブテニレンなどである。前記アルケニレン鎖は、その分子の残りに単結合または二重結合を介して結合し、ラジカル基に単結合または二重結合を介して結合する。アルケニレン鎖とその分子の残りとの結合点、及びアルケニレン鎖とラジカル基との結合点は鎖内の1つまたはいずれか2つの炭素を介することができる。本明細書で特に明記しない限り、アルケニレン鎖は任意選択で置換されてよい。
【0059】
「アリール」とは、水素、6~18個の炭素原子、及び少なくとも1つの芳香族環を含む、炭素環系基を指す。本発明の目的のために、アリール基は単環、二環、三環または四環系であり、縮合または架橋の環系を含んでよい。アリール基として、限定はされないが、アセアントリレン、アセナフチレン、アセフェナントリレン、アントラセン、アズレン、ベンゼン、クリセン、フルオランテン、フルオレン、as-インダセン、s-インダセン、インダン、インデン、ナフタレン、フェナレン、フェナントレン、プレイアデン、ピレン、及びトリフェニレン、に由来するアリール基が挙げられる。特に本明細書で明記しない限り、用語「アリール」または接頭辞「アル(ar)」(例えば「アラルキル(aralkyl)において」)は、任意選択で置換されているアリール基を含むことを意図する。
【0060】
「アラルキル」とは、式-R-Rで表される基であり、ここで、Rは上記で定義したアルキレンまたはアルケニレンであり、Rは上記で定義した1つ以上のアリール基であり、例えば、ベンジル、ジフェニルメチルなどである。本明細書で特に明記しない限り、アラルキル基は任意選択で置換されている。
【0061】
「複素環」とは、2~12個の炭素原子、並びに窒素、酸素、及び硫黄から成る群から選択される1~6個のヘテロ原子で構成される安定した3~18員の非芳香族環の基を指す。本明細書で特に明記しない限り、ヘテロシクリル基は、縮合または架橋した環系を含んでもよい単環式、二環式、三環式、または四環式の環系であってもよく;かつ、ヘテロシクリル基の窒素、炭素、または硫黄原子は適宜酸化されていてもよく;窒素原子は適宜四級化されていてもよく;ヘテロシクリル基は適宜、部分的にまたは完全に飽和していてもよい。このようなヘテロシクリル基の例として、限定はされないが、ジオキソラニル、チエニル[1,3]ジチアニル、デカヒドロイソキノリル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、イソチアゾリジニル、イソオキサゾリジニル、モルホリニル、オクタヒドロインドリル、オクタヒドロイソインドリル、2-オキソピペラジニル、2-オキソピペリジニル、2-オキソピロリジニル、オキサゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、4-ピペリドニル、ピロリジニル、ピラゾリジニル、キヌクリジニル、チアゾリジニル、テトラヒドロフリル、トリチアニル、テトラヒドロピラニル、チオモルホリニル、チアモルホリニル、1-オキソ-チオモルホリニル、及び1,1-ジオキソ-チオモルホリニルが挙げられる。本明細書で特に明記しない限り、ヘテロシクリル基は適宜置換されていてよい。
【0062】
「ヘテロアリール」とは、水素原子と、1~13個の環炭素原子と、窒素、酸素、及び硫黄から成る群から選択される1~6個の環ヘテロ原子と、少なくとも1つの、ヘテロ原子を含む芳香環と、を含む5~14員環系基を指す。本発明の実施態様の目的のために、ヘテロアリール基は単環、二環、三環または四環系であり、縮合または架橋の環系を含んでよく;ヘテロアリール基内の窒素、炭素または硫黄は任意選択で酸化されてよく;窒素原子は任意選択で四級化されてよい。例として、限定されないが、アゼピニル、アクリジニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾインドリル、ベンゾジオキソリル、ベンゾフラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾ[b][1,4]ジオキセピニル、1,4-ベンゾジオキサニル、ベンゾナフトフラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾジオキソリル、ベンゾジオキシニル、ベンゾピラニル、ベンゾピラノニル、ベンゾフラニル、ベンゾフラノニル、ベンゾチエニル、(ベンゾチオフェニル)、ベンゾトリアゾリル、ベンゾ[4,6]イミダゾ[1,2-a]ピリジニル、カルバゾリル、シンノリニル、ジベンゾフラニル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチオフェニル、フラニル、フラノニル、イソチアゾリル、イミダゾリル、インダゾリル、インドリル、インダゾリル、イソインドリル、インドリニル、イソインドリニル、イソキノリル、インドリジニル、イソオキサゾリル、ナフチリジニル、オキサジアゾリル、2-オキソアゼピニル、オキサゾリル、オキシラニル、1-オキシドピリジニル、1-オキシドピリミジニル、1-オキシドピラジニル、1-オキシドピリダジニル、1-フェニル-1H-ピロリル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、フタラジニル、プテリジニル、プリニル、ピロリル、ピラゾリル、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、キノリニル、キヌクリジニル、イソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、チアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、トリアジニル、及びチオフェニル(すなわちチエニル)が挙げられる。本明細書で特に明記しない限り、ヘテロアリール基は任意選択で置換されている。
【0063】
本明細書で使用される用語「置換されている」は、上記の基(例えば、アルキル、アルケニル、アルキレン、アルケニレン、アリール及びアラルキル)のいずれかであって、少なくとも1つの水素原子が非水素原子、例えば、限定はされないが:ハロゲン原子、例えば、F、Cl、Br、またはIなど;オキソ基(=O);ヒドロキシ基(-OH);カルボキシ基(-COH);C~C12アルキル基;シクロアルキル基;-(C=O)OR’;-O(C=O)R’;-C(=O)R’;-OR’;-S(O)R’;-S-SR’;-C(=O)SR’;-SC(=O)R’;-NR’R’;-NR’C(=O)R’;-C(=O)NR’R’;-NR’C(=O)NR’R’;-OC(=O)NR’R’;-NR’C(=O)OR’;-NR’S(O)NR’R’;-NR’S(O)R’;及び-S(O)NR’R’(式中、R’は出現ごとに、独立して、HまたはC~C15アルキルまたはシクロアルキルであり、xは0、1、または2である)との結合により置き換えられているものを意味する。幾つかの実施態様では、置換基はC~C12アルキル基である。他の実施態様では、置換基はシクロアルキルである。他の実施態様では、置換基はフルオロなどのハロ基である。他の実施態様では、置換基はオキソ基である。他の実施態様では、置換基はヒドロキシ基である。他の実施態様では、置換基はアルコキシ基(-OR’)である。他の実施態様では、置換基はカルボキシ基である。他の実施態様では、置換基はアミン基(-NR’R’)である。
【0064】
「任意選択の」または「任意選択で」(例えば、任意選択で置換されている)は、その後に記載されている事象または起こっても、起こらなくてもよいことを意味し、その記載が、前記事象または状況が起こった場合とそれが起こらない場合とを含むことを意味する。例えば、「任意選択で置換されているアルキル」とは、アルキル基が置換されていてもよく、あるいは置換されていなくてもよいことを意味し、その記載が置換アルキルと置換を有さないアルキル基の両方を含むことを意味する。
【0065】
「プロドラッグ」とは、生理的条件下で、または加溶媒分解により、生理活性のある構造(I)の化合物への変換され得る化合物を示すことを意図する。したがって、「プロドラッグ」という用語は、薬学的に許容可能な、構造(I)の化合物の代謝前駆体を指す。プロドラッグは、それを必要とする対象に投与された時点で不活性であってよいが、in vivoで構造(I)の活性化合物に変換される。プロドラッグは通常、例えば、血中の加水分解により、in vivoで急速に変換されて、構造(I)の親化合物を産生する。プロドラッグ化合物は、哺乳類生物体において、溶解性、組織適合性または徐放性という利点をしばしばもたらす(Bundgard,H.、Design of Prodrugs(1985年)、7~9頁、21~24頁(Elsevier, Amsterdam)を参照されたい)。プロドラッグの議論は、Higuchi, T.,et al.、A.C.S. Symposium Series、14巻及びBioreversible Carriers in Drug Design、Ed. Edward B. Roche、 American Pharmaceutical Association and Pergamon Press、1987年において提供されている。
【0066】
「プロドラッグ」という用語はまた、このようなプロドラッグが哺乳動物の対象に投与された場合に、構造(I)の活性化合物をin vivoで放出する、任意の共有結合した担体を含むことを意図する。構造(I)の化合物のプロドラッグは、修飾が、日常的な操作またはin vivoのいずれかで切断されて構造(I)の親化合物になるように、構造(I)の化合物中に存在する官能基を修飾することによって調製できる。プロドラッグは、ヒドロキシ、アミノまたはメルカプト基が、構造(I)の化合物のプロドラッグが哺乳動物の対象に投与されたとき、切断されて、遊離ヒドロキシ、遊離アミノまたは遊離メルカプト基をそれぞれ形成する任意の基に結合している、構造(I)の化合物を含む。プロドラッグの例として、限定はされないが、構造(I)の化合物中のアルコールのアセテート、ホルメート及びベンゾエート誘導体またはアミン官能基のアミド誘導体などが挙げられる。
【0067】
本明細書で開示される発明の実施態様はまた、1つまたは複数の原子が、異なる原子量または質量数を有する原子で置き換えられることにより同位体標識されている、構造(I)の化合物の全ての薬学的に許容可能な化合物を包含することを意図している。開示される化合物に取り込むことができる同位体の例として、水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素、塩素、及びヨウ素の同位体、例えば、それぞれH、H、11C、13C、14C、13N、15N、15O、17O、18O、31P、32P、35S、18F、36Cl、123I、及び125Iなどが挙げられる。これらの放射標識した化合物は、例えば、作用部位若しくは作用機序、または薬理学的に重要な作用部位への結合親和性を特徴づけることにより、化合物の有効性を判定または測定するのに有用であり得る。ある特定の同位体で標識された、構造(I)または(II)の化合物、例えば放射性同位体を取り込んでいるものは、薬物及び/または基質組織分布研究において有用である。放射性同位元素トリチウム、すなわちH、及び炭素14、すなわち14Cは、これらの組み込みの容易さ及び利用可能な検出手段を考慮すると、この目的に特に有用である。
【0068】
より重い同位体、例えば、重水素、すなわち、Hなどによる置換は、より大きな代謝安定性、例えば、in vivo半減期の延長または必要用量の減少に起因する、ある特定の治療上の利点をもたらす可能性があるため、一部の状況では好ましいこともある。
【0069】
ポジトロン放出同位体、例えば、11C、18F、15O、及び13Nなどによる置換は、基質受容体占有率を試験するためのポジトロン放出トポグラフィー(PET)研究において有用であり得る。同位体標識された構造(I)の化合物は、当業者に公知の従来の技術によって、または以前に利用した非標識試薬の代わりに、適当な同位体標識した試薬を使用して、以下に提示されているように、調製及び実施例に記載されているものと類似のプロセスにより一般的に調製し得る。
【0070】
本明細書で開示されている発明の実施態様はまた、開示される化合物のin vivo代謝産物を包含することを意図する。このような産物は、主に酵素的プロセスによる、例えば、投与された化合物の酸化、還元、加水分解、アミド化、エステル化などから生じ得る。したがって、本発明の実施態様は、その代謝産物を産生するのに十分な期間にわたって、本発明の化合物を哺乳動物に投与することを含むプロセスにより生成される化合物を含む。このような産物は、放射標識した構造(I)の化合物を検出可能な用量で、動物、例えばラット、マウス、モルモット、サルまたはヒトに投与し、代謝が起きるだけの十分な時間放置し、尿、血液または他の生物試料からその変換産物を単離することによって通常同定される。
【0071】
「安定した化合物」及び「安定した構造」とは、反応混合物から有用な程度の純度への単離及び効果的治療剤への製剤化に耐え抜くのに十分に強固な化合物を指すことを意図する。
【0072】
「哺乳動物」は、ヒト並びに飼育動物、例えば、実験動物及びペット(例えば、ネコ、イヌ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、ウサギ)と、非飼育動物、例えば野生生物などの両方を含む。
【0073】
「薬学的に許容可能な担体、希釈剤、または賦形剤」として、限定はされないが、任意のアジュバント、担体、賦形剤、流動促進剤、甘味剤、希釈剤、防腐剤、色素/着色剤、香味向上剤、界面活性剤、湿潤剤、分散剤、懸濁化剤、安定剤、等張剤、溶媒、または乳化剤が挙げられ、これらは、ヒトまたは家畜における使用が許容可能であるとして米国食品医薬品局により認可されたものである。
【0074】
「薬学的に許容可能な塩」は、酸付加塩及び塩基付加塩の両方を含む。
【0075】
「薬学的に許容可能な酸付加塩」とは、遊離塩基の生物学的有効性及び特性を保持し、生物学的に他の点において有害ではなく、無機酸、例えば、限定されないが、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸など、及び有機酸、例えば、限定されないが、酢酸、2,2-ジクロロ酢酸、アジピン酸、アルギン酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、4-アセトアミド安息香酸、カンファー酸、カンファー-10-スルホン酸、カプリン酸、カプロン酸、カプリル酸、炭酸、ケイ皮酸、クエン酸、シクラミン酸、ドデシル硫酸、エタン-1,2-ジスルホン酸、エタンスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、ガラクタル酸、ゲンチシン酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルクロン酸、グルタミン酸、グルタル酸、2-オキソ-グルタル酸、グリセロリン酸、グリコール酸、馬尿酸、イソ酪酸、乳酸、ラクトビオン酸、ラウリン酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、ナフタレン-1,5-ジスルホン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、ニコチン酸、オレイン酸、オロチン酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸、プロピオン酸、ピログルタミン酸、ピルビン酸、サリチル酸、4-アミノサリチル酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸、酒石酸、チオシアン酸、p-トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、ウンデシレン酸などと形成される塩を指す。
【0076】
「薬学的に許容可能な塩基添加塩」とは、遊離酸の生物学的有効性及び特性を保持し、生物学的にまたは他の点において有害ではない塩を指す。これらの塩は、無機塩基または有機塩基の遊離酸への付加から調製される。無機塩基に由来する塩として、限定はされないが、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、アルミニウム塩などが挙げられる。好ましい無機塩は、アンモニウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、及びマグネシウム塩である。有機塩基に由来する塩として、限定はされないが、第一級、第二級、及び第三級アミン、天然置換アミンを含めた置換アミン、環状アミン及び塩基性イオン交換樹脂の塩、例えば、アンモニア、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、ジエタノールアミン、エタノールアミン、デアノール、2-ジメチルアミノエタノール、2-ジエチルアミノエタノール、ジシクロヘキシルアミン、リシン、アルギニン、ヒスチジン、カフェイン、プロカイン、ヒドラバミン、コリン、ベタイン、ベネタミン、ベンザチン、エチレンジアミン、グルコサミン、メチルグルカミン、テオブロミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、プリン、ピペラジン、ピペリジン、N-エチルピペリジン、ポリアミン樹脂などが挙げられる。特に好ましい有機塩基は、イソプロピルアミン、ジエチルアミン、エタノールアミン、トリメチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、コリン、及びカフェインである。
【0077】
結晶化は多くの場合、構造(I)の化合物の溶媒和物を生成する。本明細書で使用される場合、用語「溶媒和物」は、構造(I)の化合物の1つ以上の分子と、溶媒の1つ以上の分子とを含む凝集体を指す。溶媒は水であってよく、その場合、溶媒和物は水和物であってよい。あるいは、溶媒は有機溶媒であってもよい。したがって、本発明の化合物は、一水和物、二水和物、半水和物、セスキ水和物、三水和物、四水和物などを含めた水和物、並びに対応する溶媒和の形態として存在し得る。幾つかの実施態様では、構造(I)の化合物は真の溶媒和物として存在してもよいが、一方で、他の場合では、構造(I)の化合物は、単に外来性の水を保持してもよく、あるいは水と外来性溶媒の混合物であってもよい。
【0078】
「医薬組成物」とは、構造(I)の化合物と、哺乳動物、例えば、ヒトに生物活性化合物を送達するために、当技術分野において一般的に認められた媒体との製剤を指す。このような媒体として、そのための全ての薬学的に許容可能な担体、希釈剤、または賦形剤が挙げられる。
【0079】
「有効量」または「治療有効量」とは、哺乳動物、好ましくはヒトに投与された場合、哺乳動物、好ましくはヒトにおける治療を実行するのに十分である、構造(I)の化合物の量を指す。「治療有効量」を構成する、本発明の実施態様における脂質ナノ粒子の量は、化合物、状態、及びその重症度、投与方式、並びに治療すべき哺乳動物の年齢に応じて変動するものであるが、当業者であれば、自身の知識及び本開示を考慮して規定通りに決定することができる。
【0080】
「治療する」または「治療」は、本明細書で使用される場合、目的の疾患または状態を有する哺乳動物、好ましくはヒトにおける目的の疾患または状態の治療を網羅し、
(i)哺乳動物において、特に、このような哺乳動物がその状態に罹りやすくなっているが、それを有するとまだ診断されていない場合、その疾患若しくは状態が生じるのを防止すること、
(ii)疾患若しくは状態を阻害する、すなわち、その発症を抑止すること
(iii)疾患若しくは状態を緩和する、すなわち、その疾患若しくは状態の退行を引き起こすこと、または
(iv)疾患若しくは状態に起因する症状を緩和する、すなわち、根底にある疾患若しくは状態に対処することなく疼痛を緩和すること
を含む。本明細書で使用される場合、用語「疾患」及び「状態」は、互換的に使用してもよく、あるいは特定の疾病若しくは状態が公知の原因因子を有さないこともあり(そのため原因がまだ解明されておらず)、したがって疾病としてまだ認識されていないが、程度の差はあるが特定の一連の症状が臨床医により確認されている望ましくない状態若しくは症候群としてのみ認識されているという点で異なっていてもよい。
【0081】
構造(I)の化合物またはそれらの薬学的に許容可能な塩は、1つ以上の不斉中心を含有してもよく、したがって、アミノ酸について、絶対立体化学の観点から、(R)-若しくは(S)-、または(D)-若しくは(L)-と定義することができるエナンチオマー、ジアステレオマー、及び他の立体異性形態が生じてもよい。本発明の実施態様は、全てのこのような可能な異性体、並びにこれらのラセミ体及び光学的に純粋な形態を含むことを意図する。光学活性(+)及び(-)、(R)-及び(S)-、または(D)-及び(L)異性体は、キラルシントン若しくはキラル試薬を使用して調製してもよく、または従来技術、例えば、クロマトグラフィー及び分別晶析法を使用して分画してもよい。個々のエナンチオマーの調製/単離の従来技術は、適切な光学的に純粋な前駆体からのキラル合成、または、例えば、キラル高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を使用したラセミ体(または塩若しくは誘導体のラセミ体)の分割を含む。本明細書に記載の化合物がオレフィン二重結合または他の幾何的不斉中心を含有する場合、特に指定がない限り、化合物は、E及びZの両方の幾何異性体を含むことが意図される。同様に、全ての互変異性形態もまた含まれることが意図される。
【0082】
「立体異性体」とは、同じ結合により結合した同じ原子で構成されるが、互換可能ではない、異なる三次元構造を有する化合物を指す。本発明は、様々な立体異性体及びその混合物を想定し、「エナンチオマー」を含み、「エナンチオマー」とは、その分子が互いに重ね合わせ不可能な鏡像である2つの立体異性体を指す。
【0083】
「互変異性体」とは、ある分子の1つの原子から、同じ分子の別の原子へのプロトン移動を指す。本発明は任意の前記化合物の互変異性体を含む。
【0084】
化合物
ある側面では、本発明は、オリゴヌクレオチドを伴う脂質ナノ粒子を形成するために、他の脂質成分、例えば、中性脂質、荷電脂質、ステロイド、及び/またはポリマーコンジュゲート脂質などと組み合わせることが可能である新規脂質化合物を提供する。理論に制約されることを望むものではないが、これらの脂質ナノ粒子は、血清中において治療剤を分解から遮蔽し、in vitro及びin vivoにおいて、治療剤の細胞への有効な送達を提供すると考えられている。
【0085】
一実施態様では、化合物は下記構造(I):
【化3】
(I)
を有するか、またはその薬学的に許容可能な塩、プロドラッグ若しくは立体異性体である
[式中、
は-NRC(=O)Rまたは-C(=O)NRであり;
は-NRC(=O)Rまたは-C(=O)NRであり;
及びGはそれぞれ独立して、C~C12アルキレン、またはC~C12アルケニレンであり;
はC~C24アルキレン、またはC~C24アルケニレンであり;
、R、R及びRはそれぞれ独立して、H、C~C16アルキルまたはC~C16アルケニルであり;
及びRはそれぞれ独立して、C~C16アルキルまたはC~C16アルケニルであり;
及びRはそれぞれ独立して、C~C24アルキルまたはC~C24アルケニルであり;
はH、-OH、CN、-N(R)R;-C(=O)N(R)R;-N(R)C(=O)R;-N(R)C(=O)OR;-C(=O)OR、-OC(=O)R、-OR、ヘテロアリールまたはアリールであり;
及びRはそれぞれ独立して、H、C~C12アルキル、C~CシクロアルキルまたはC~Cシクロアルケニルであるか、あるいはR及びRは、それらが結合している窒素原子または炭素原子と一緒になって、5~7員複素環を形成し;
はH、C~C12アルキル、C~C12アルケニルまたはアラルキルであり;
は、ヒドロキシまたはアルコキシによって任意選択で置換されているC~C12アルキルであり;及び
ここで、特に明記しない限り、アルキル、アルケニル、アルキレン、アルケニレン、アリール及びアラルキルはそれぞれ独立して、置換されているか、または無置換である]。ある特定の実施態様では、少なくとも1つのアルキル、アルケニル、アルキレン、アルケニレン、C~Cシクロアルキル若しくはC~Cシクロアルケニル、アリールまたはアラルキルは、1つ以上のフッ素及び/または1つ以上のオキソ及び/または1つ以上のNH及び/または1つ以上のアルキルアミニルで置換されている。
【0086】
一実施態様では、化合物は下記構造(I):
【化4】
(I)
を有するか、またはその薬学的に許容可能な塩、プロドラッグまたは立体異性体である
[式中、
は-NRC(=O)Rまたは-C(=O)NRであり;
は-NRC(=O)Rまたは-C(=O)NRであり;
及びGはそれぞれ独立して、C~C12アルキレン、またはC~C12アルケニレンであり;
はC~C24アルキレン、またはC~C24アルケニレンであり;
、R、R及びRはそれぞれ独立して、H、C~C16アルキルまたはC~C16アルケニルであり;
及びRはそれぞれ独立して、C~C16アルキルまたはC~C16アルケニルであり;
及びRはそれぞれ独立して、C~C24アルキルまたはC~C24アルケニルであり;
はH、-OH、CN、-N(R)R;-C(=O)N(R)R;-N(R)C(=O)R;-C(=O)OR、-OC(=O)R、またはアリールであり;
及びRはそれぞれ独立して、H、C~C12アルキルであるか、またはR及びRは、それらが結合している窒素原子または炭素原子と一緒になって、5~7員複素環を形成し;
はH、C~C12アルキル、C~C12アルケニルまたはアラルキルであり;及び
ここで、特に明記しない限り、アルキル、アルケニル、アルキレン、アルケニレン、C~CシクロアルキルまたはC~Cシクロアルケニル、アリール及びアラルキルはそれぞれ独立して、置換されているか、または無置換である]。ある特定の実施態様では、少なくとも1つのアルキル、アルケニル、アルキレン、アルケニレン、C~CシクロアルキルまたはC~Cシクロアルケニル、アリールまたはアラルキルは、1つ以上のフッ素及び/または1つ以上のオキソ及び/または1つ以上のNH及び/または1つ以上のアルキルアミニルで置換されている。
【0087】
ある特定の実施態様では、Gは無置換である。幾つかの実施態様では、Gは1つ以上のフッ素原子で置換されている。より具体的な実施態様では、例えば、GはC~C12アルキレンである。幾つかの実施態様では、GはC、C、C、C、C、C、C、またはCアルキレンである。例えば、幾つかの実施態様では、Gはメチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-へプチル、またはn-オクチルである。
【0088】
ある特定の実施態様では、G及び/またはGは無置換である。幾つかの実施態様では、G及び/またはGは1つ以上のフッ素原子で置換されている。より具体的な実施態様では、例えば、G及び/またはGはC~C12アルキレンである。幾つかの実施態様では、G及び/またはGは、C、C、C、C、C、C、C、またはCアルキレンである。
【0089】
前述の幾つかの実施態様では、下記構造(IA):
【化5】
(IA)
を有する
[式中、y及びzはそれぞれ独立して、2~12の整数であり、例えば2~6の整数であり、例えば4または5である]。ある特定の実施態様では、y及びzはそれぞれ整数5である。ある特定の実施態様では、y及びzはそれぞれ整数6である。ある特定の実施態様では、y及びzはそれぞれ整数7である。ある特定の実施態様では、y及びzはそれぞれ整数9である。
【0090】
前述の幾つかの実施態様では、Lは-C(=O)NRであり、Lは-C(=O)NRである。前述の幾つかの実施態様では、Lは-NRC(=O)Rであり、Lは-NRC(=O)Rである。
【0091】
前述の他の実施態様では、化合物は下記構造(IB)または(IC):
【化6】
を有する。
【0092】
前述の幾つかの実施態様では、y及びzはそれぞれ独立して、2~10、2~8、4~10、または4~7の整数である。例えば、幾つかの実施態様では、yは4、5、6、7、8、9、10、11、または12である。幾つかの実施態様では、zは4、5、6、7、8、9、10、11または12である。ある特定の実施態様では、y及びzはそれぞれ整数5である。ある特定の実施態様では、y及びzはそれぞれ整数6である。ある特定の実施態様では、y及びzはそれぞれ整数7である。幾つかの実施態様では、y及びzはそれぞれ整数9である。幾つかの実施態様では、yとzは同じであり、他の実施態様では、yとzは異なる。
【0093】
前述の幾つかの実施態様では、R若しくはR、またはその両方は分岐鎖C~C24アルキルである。例えば、幾つかの実施態様では、R及びRはそれぞれ独立して、下記構造:
【化7】
を有する
[式中、
7a及びR7bは出現ごとに独立して:(a)H若しくはC~C12アルキル、または(b)R7aがH若しくはC~C12アルキルであり、R7bが、それが結合する炭素原子と共に、R7bに隣接する原子及びそれが結合する炭素原子と一緒になって、炭素-炭素二重結合を形成し;及びaは2~12の整数であり、ここで、R7a、R7b及びaはそれぞれ、R及びRがそれぞれ独立して直鎖または分岐鎖であって、独立して6~20個の炭素原子を含むように選択される]。例えば、幾つかの実施態様では、aは5~9または8~12の整数である。
【0094】
前述の幾つかの実施態様では、R7aは少なくとも1回の出現においてHである。例えば、幾つかの実施態様では、R7aは出現ごとにHである。前述の他の実施態様では、R7bは少なくとも1回の出現においてC~Cアルキルである。例えば、幾つかの実施態様では、C~Cアルキルは、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ヘキシルまたはn-オクチルである。
【0095】
他の実施態様では、R若しくはR、またはその両方は下記構造:
【化8】
の1つを有する。
【0096】
他の実施態様では、R若しくはR、またはその両方は下記構造:
【化9】
の1つを有する。
【0097】
前述の幾つかの実施態様では、R、R、R及びRはそれぞれ独立して、C~C12アルキルまたはC~C16アルキルである。例えば、幾つかの実施態様では、R、R、R及びRは、n-ヘキシル(-(CHCH)、n-オクチル(-(CHCH)、n-デカニル(-(CHCH)、n-ドデシル(-(CH11CH)、(-(CH14CH)、(-(CH15CH)から選択される。例えば、幾つかの実施態様では、R、R、R及びRはn-ヘキシル(-(CHCH)であり、他の実施態様では、R、R、R及びRはn-オクチル(-(CHCH)である。幾つかの実施態様における他の例では、R、R、R及びRはn-デカニル(-(CHCH)である。他の実施態様では、R、R、R及びRはn-ドデシル(-(CH11CH)である。
【0098】
幾つかの実施態様では、R及びRはそれぞれ独立して、C~C12アルキルまたはC~C12アルケニルであり、R及びRはそれぞれ独立して、C~C18アルキルまたはC~C18アルケニルである。例えば、幾つかの実施態様では、R及びRはn-ヘキシル(-(CHCH)であり、R及びRはドデカペンチル(-(CH14CH)である。幾つかの実施態様における他の例では、R及びRはn-ヘキシル(-(CHCH)であり、R及びRは(6Z,9Z)-ヘプタデカ-6,9-ジエン(-(CHCHCHCHCHCH(CHCH)である。幾つかの実施態様における更に他の例では、R及びRはn-ヘキシル(-(CHCH)であり、R及びRは7-ペンタデカン(-CH((CHCH)((CHCH))である。
【0099】
幾つかの実施態様では、RはHである。
【0100】
他の実施態様では、Rは-OHである。
【0101】
幾つかの他の実施態様では、Rは-C(=O)ORであり、例えばこれらの実施態様の一部では、RはC~C18アルキルである。幾つかの実施態様の他の例では、RはC~C12分岐鎖アルキルである。幾つかの実施態様の更に他の例では、RはC~Cアルキルである。幾つかの実施態様の他の例では、RはC~Cアルキルである。ある特定の実施態様では、Rはエチルである。ある特定の実施態様では、Rは5-メチル ドデシルである。
【0102】
他の実施態様では、Rは-N(R)Rであり、例えば、これらの実施態様の一部では、R及びRはそれぞれ独立して、任意選択でヒドロキシによって置換されているC~C12アルキルである。幾つかの実施態様の他の例では、R及びRはそれぞれ独立して、任意選択でヒドロキシによって置換されているC~Cアルキルである。幾つかの実施態様の更に他の例では、R及びRはそれぞれ独立して、任意選択でヒドロキシによって置換されているC~Cアルキルである。ある特定の実施態様では、R及びRはそれぞれメチルである。ある特定の実施態様では、R及びRはそれぞれn-ヘキシルである。
【0103】
他の実施態様では、Rは-C(=O)N(R)Rまたは-N(R)C(=O)Rである。これらの実施態様の一部では、RまたはRの一方はHであり、RまたはRのもう一方はC~C12アルキルである。幾つかの実施態様では、RまたはRの一方はHであり、RまたはRのもう一方は、ヒドロキシで置換されたC~C12アルキルである。他の実施態様では、R及びRはどちらもC~C12アルキルまたはC~Cアルキルである。幾つかの実施態様では、R及びRはどちらも、ヒドロキシで置換されたC~C12アルキルまたはC~Cアルキルである。ある幾つかの特定の実施態様では、RまたはRの一方はHであり、RまたはRのもう一方はn-デシルである。ある特定の実施態様では、RまたはRの一方はHであり、RまたはRのもう一方はn-トリデシルである。
【0104】
幾つかの実施態様では、Rはアリールである。幾つかの実施態様では、Rはアリール置換体である。ある特定の実施態様では、Rはフェノールである。
【0105】
他の実施態様では、Rは-N(R)Rであり、R及びRの1つはC~CシクロアルキルまたはC~Cシクロアルケニルである。例えば、幾つかの実施態様では、Rは-N(R)Rであり、RはHであり、RはC~Cシクロアルケニルである。
【0106】
他の実施態様では、Rは-ORであり、Rは、OHまたはOCHで置換されたC~Cアルキルである。
【0107】
他の実施態様では、Rは-N(R)C(=O)ORであり、ここでRはHであり、RはC~Cアルキルである。
【0108】
更なる実施態様では、Rはヘテロアリールであり、例えばイミダゾリルである。
【0109】
幾つかのより具体的な実施態様では、Rは下記構造:
【化10】
の1つを有する。
【0110】
幾つかのより具体的な実施態様では、RはHであるか、下記構造:
【化11】
の1つを有する。
【0111】
他の様々な実施態様では、前記化合物は下記の表1に示す構造の1つを有する。
表1.代表的な化合物
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
【表8】
【表9】
【表10】
【表11】
【表12】
【表13】
【表14】
【表15】
【表16】
【表17】
【0112】
表1に記載の化合物は、当技術分野で公知の方法、例えば、本明細書で後述する一般的な方法に従って調製及び試験した。
【0113】
上に記載されているような構造(I)の化合物の任意の実施態様、及び上に記載されているような構造(I)の化合物における任意の具体的な置換基及び/または変数は、構造(I)の化合物の他の実施態様並びに/または置換基及び/若しくは変数と独立して組み合わせることによって、上に具体的に記載されていない本発明の実施態様を形成できることが理解される。加えて、特定の実施態様及び/または請求項において、置換基及び/または変数の一覧が、任意の特定のR基、L基、G基、または変数a、x、y、若しくはzに対して列挙されている場合、それぞれ個々の置換基及び/または変数は、特定の実施態様及び/または請求項から削除されてよく、置換基及び/または変数の残りの一覧は、本発明の実施態様の範囲内にあると考えられることが理解される。
【0114】
本記載では、示されている式の置換基及び/または変数の組み合わせは、そのような寄与が安定した化合物をもたらす場合のみ許容できることが理解されている。
【0115】
幾つかの実施態様では、構造(I)の化合物を含む組成物が提供される。幾つかの実施態様では、構造(I)の化合物を含む脂質ナノ粒子を含む組成物が提供される。脂質ナノ粒子は、中性脂質、ステロイド、及びポリマーコンジュゲート脂質から選択される賦形剤を任意選択で含む。
【0116】
幾つかの実施態様では、構造(I)の化合物のいずれか1つ以上と、治療剤とを含む脂質ナノ粒子が提供される。例えば、幾つかの実施態様では、脂質ナノ粒子は、構造(I)の化合物のいずれかと、治療剤と、中性脂質、ステロイド及びポリマーコンジュゲート脂質から選択される1つ以上の賦形剤とを含む。他の薬学的に許容可能な賦形剤及び/または担体もまた、脂質ナノ粒子の様々な実施態様に含まれている。
【0117】
幾つかの実施態様では、中性脂質は、DSPC、DPPC、DMPC、DOPC、POPC、DOPE、及びSMから選択される。幾つかの実施態様では、中性脂質はDSPCである。様々な実施態様では、化合物と中性脂質とのモル比は、約2:1~約8:1である。
【0118】
様々な実施態様では、脂質ナノ粒子は、ステロイドまたはステロイドアナログを更に含む。ある特定の実施態様では、ステロイドまたはステロイドアナログはコレステロールである。これらの実施態様の幾つかでは、化合物とコレステロールとのモル比は、約5:1~1:1または約2:1~1:1である。
【0119】
様々な実施態様では、ポリマーコンジュゲート脂質はペグ化脂質である。例えば、幾つかの実施態様は、ペグ化ジアシルグリセロール(PEG-DAG)、例えば、1-(モノメトキシ-ポリエチレングリコール)-2,3-ジミリストイルグリセロール(PEG-DMG)、ペグ化ホスファチジルエタノールアミン(phosphatidylethanoloamine)(PEG-PE)、PEGスクシネートジアシルグリセロール(PEG-S-DAG)、例えば、4-O-(2’,3’-ジ(テトラデカノイルオキシ)プロピル-1-O-(ω-メトキシ(ポリエトキシ)エチル)ブタンジオエート(PEG-S-DMG)、ペグ化セラミド(PEG-cer)、またはPEGジアルコキシプロピルカルバメート、例えば、ω-メトキシ(ポリエトキシ)エチル-N-(2,3-ジ(テトラデカンオキシ)プロピル)カルバメート、または2,3-ジ(テトラデカンオキシ)プロピル-N-(ω-メトキシ(ポリエトキシ)エチル)カルバメートを含む。様々な実施態様では、化合物とペグ化脂質とのモル比は、約100:1~約20:1である。幾つかの実施態様では、化合物とペグ化脂質とのモル比は、約100:1~約20:1または約100:1~約10:1である。
【0120】
幾つかの実施態様では、組成物は、下記構造(II):
【化12】
(II)
を有するペグ化脂質、またはその薬学的に許容可能な塩、互変異性体または立体異性体を含む
[式中、
10及びR11はそれぞれ独立して、10~30個の炭素原子を有する、直鎖または分岐鎖のアルキル、アルケニルまたはアルキニルであり、ここで、前記アルキル、アルケニルまたはアルキニルは、任意選択で1つ以上のエステル結合によって分断され;及び
wは30~60の平均値を有する]。
【0121】
幾つかの実施態様では、R10及びR11はそれぞれ独立して、10~30個の炭素原子を含む直鎖アルキルである。幾つかの実施態様では、R10及びR11はそれぞれ独立して、12~16個の炭素原子を含む直鎖アルキルである。幾つかの実施態様では、wは30~60の平均値を有する。幾つかの実施態様では、wは43~53の平均値を有する。他の実施態様では、wは約45である。他の実施態様では、wの平均値は約49である。
【0122】
上記の脂質、脂質ナノ粒子及び組成物の調製方法は本明細書で以下に記載され、及び/または当技術分野において公知であり、例えば、PCT公開番号WO2015/199952、WO2017/004143及びWO2017/075531(それぞれの全体が、本明細書で参照により援用される)が挙げられる。
【0123】
前述の組成物の幾つかの実施態様では、治療剤は核酸を含む。例えば、幾つかの実施態様では、核酸は、アンチセンスRNA及びメッセンジャーRNAから選択される。
【0124】
他の異なる実施態様では、本発明は、投薬が必要な患者に治療剤を投与するための方法であって、前述の組成物のいずれかを調製または提供すること、及び組成物を患者に投与することを含む方法を対象とする。
【0125】
投与の目的のために、構造(I)の化合物(通常、治療剤と組み合わせた脂質ナノ粒子の形態で)は、原末(raw chemical)として投与してもよく、あるいは医薬組成物として製剤化してもよい。本発明の実施態様における医薬組成物は、構造(I)の化合物(例えばLNPの成分として)と、1つ以上の薬学的に許容可能な担体、希釈剤または賦形剤とを含む。構造(I)の化合物は、例えば、目的の特定の疾患または状態を治療するために、脂質ナノ粒子を形成し、治療剤を送達するのに有効である量で、組成物中に存在する。適当な濃度及び投薬量は、当業者によって容易に決定され得る。
【0126】
本発明の実施態様における組成物及び/またはLNPの投与は、同様の有用性を果たすための薬剤の容認された投与モードのいずれかを介して行い得る。本発明の実施態様における医薬組成物は、固体、半固体、液体または気体の形態の調製物、例えば、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、軟膏剤、液剤、懸濁剤、坐剤、注射剤、吸入剤、ゲル剤、マイクロスフェア、及びエアゾール剤に製剤化してよい。このような医薬組成物を投与する典型的な経路として、限定はされないが、経口、局所、経皮、吸入、腹腔、舌下、口腔内頬側、直腸、経腟、及び鼻腔内が挙げられる。本明細書で使用される腹腔という用語は、皮下注射、静脈内、筋肉内、皮内、胸骨内注射または注入技術を含む。本発明の医薬組成物は、組成物を患者に投与すると、その中に含まれている活性成分が生物学的に利用可能となるように製剤化される。対象または患者に投与される組成物は、1つ以上の用量単位の形態をとり、この場合、例えば、錠剤は単一用量単位であってよく、エアゾール剤形態の構造(I)の化合物の容器は、複数の用量単位を有してもよい。このような剤形を調製する実際の方法は公知であるか、または当業者にとって明らかであろう;例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 20版(Philadelphia College of Pharmacy and Science, 2000年)を参照されたい。投与される組成物は、いずれにしても、本発明の実施態様の教示に従って、目的の疾患または状態の治療のために、構造(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩の治療有効量を含有する。
【0127】
本発明の実施態様における医薬組成物は、固体または液体の形態であってよい。一側面では、担体(複数可)は微粒子であり、これによって、組成物は、例えば、錠剤または散剤の形態である。担体(複数可)は液体であってよく、組成物は、例えば、経口シロップ剤、注射液、または、例えば、吸入投与に有用であるエアゾール剤である。
【0128】
経口投与が意図される場合、医薬組成物は、好ましくは、固体または液体のいずれかの形態であり、半固体、半液体、懸濁剤、及びゲル剤の形態は、本明細書で固体または液体のいずれかと考えられる形態に含まれる。
【0129】
経口投与のための固体組成物として、医薬組成物は、散剤、顆粒剤、圧縮錠剤、丸剤、カプセル剤、チューイングガム、ウエハーなどの形態に製剤化されてよい。このような固体組成物は、通常1つ以上の不活性希釈剤または食用担体を含有するものである。加えて、以下の1つ以上が存在してよい:結合剤、例えば、カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、微結晶性セルロース、トラガカントガムまたはゼラチンなど;賦形剤、例えば、デンプン、ラクトースまたはデキストリンなど;崩壊剤、例えば、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、Primogel、コーンスターチなど;滑沢剤、例えば、ステアリン酸マグネシウムまたはSterotexなど;流動促進剤、例えば、コロイド状二酸化ケイ素など;甘味剤、例えば、スクロースまたはサッカリンなど;香味剤、例えば、ペパーミント、サリチル酸メチルまたはオレンジ香味料など;及び着色剤。
【0130】
医薬組成物が、カプセル剤、例えば、ゼラチンカプセル剤の形態である場合、医薬組成物は、上記の材料に加えて、液体担体、例えば、ポリエチレングリコールまたは油を含有してよい。
【0131】
医薬組成物は液体の形態、例えば、エリキシル剤、シロップ剤、液剤、乳剤、または懸濁剤などであってよい。液体は、2つの例として、経口投与用または注射による送達のためのものであってよい。経口投与が意図される場合、好ましい組成物は、本発明の化合物またはLNP加えて、甘味剤、防腐剤、染料/着色剤及び香味向上剤の1つ以上を含有する。注射による投与が意図される組成物では、界面活性薬剤、防腐剤、湿潤剤、分散剤、懸濁化剤、緩衝剤、安定剤、及び等張剤の1つ以上が含まれていてよい。
【0132】
本発明の実施態様における液体医薬組成物は、これらが、液剤、懸濁剤または他の同様の形態であろうと、以下のアジュバントの1つ以上を含んでよい:無菌希釈剤、例えば、注射用の水、食塩水、好ましくは生理的食塩水、リンゲル溶液、等張性塩化ナトリウム、不揮発性油、例えば、溶媒または懸濁媒としての役割を果たすことができる合成モノまたはジグリセリド、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の溶媒;抗菌剤、例えば、ベンジルアルコールまたはメチルパラベン;抗酸化剤、例えば、アスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウム;キレート剤、例えば、エチレンジアミン四酢酸;緩衝剤、例えば、酢酸塩、クエン酸塩またはリン酸塩、及び張性調整剤、例えば、塩化ナトリウムまたはデキストロース;凍結保護剤として作用する薬剤、例えば、スクロースまたはトレハロース。腹腔調製物は、ガラスまたはプラスチック製の、アンプル、使い捨てのシリンジまたは複数回投与バイアルに封入することができる。生理的食塩水は好ましいアジュバントである。注射用医薬組成物は好ましくは無菌である。
【0133】
腹腔投与または経口投与を目的とした、本発明の実施態様の液体医薬組成物は、適切なLNPが得られる量の構造(I)の化合物を含むべきである。
【0134】
本発明の実施態様における医薬組成物は、局所投与を意図してよく、この場合、担体は、液剤、乳剤、軟膏剤またはゲル基剤を適切に含んでよい。基剤は、例えば、以下の1つ以上を含んでよい:ワセリン、ラノリン、ポリエチレングリコール、蜜蝋、鉱油、希釈剤、例えば水及びアルコールなど、並びに乳化剤及び安定剤。増粘剤は、局所投与用医薬組成物中に存在してよい。経皮投与が意図される場合、組成物は、経皮パッチまたはイオントフォレシスデバイスを含んでよい。
【0135】
本発明の実施態様の医薬組成物は、直腸投与を目的としたものであってよく、例えば、直腸で溶解して薬剤を放出する坐剤の形態である。直腸投与のための組成物は、適切な非刺激性賦形剤として、油性基剤を含んでよい。このような基剤として、限定はされないが、ラノリン、ココアバター及びポリエチレングリコールが挙げられる。
【0136】
本発明の実施態様における医薬組成物は、固体または液体用量単位の物理的形態を改変する様々な材料を含んでよい。例えば、組成物は、活性成分の周囲にコーティングシェルを形成する材料を含んでよい。コーティングシェルを形成する材料は通常不活性であり、例えば、糖、セラック、及び他の腸溶コーティング剤から選択され得る。あるいは、活性成分をゼラチンカプセル剤に収容してよい。
【0137】
固体または液体形態の、本発明の実施態様における医薬組成物は、構造(I)の化合物に結合し、そうすることによって化合物の送達を補助する薬剤を含んでよい。この能力で作用することができる適切な薬剤として、モノクローナル若しくはポリクローナル抗体、またはタンパク質が挙げられる。
【0138】
本発明の実施態様における医薬組成物は、エアゾール剤として投与することができる用量単位から成り得る。エアゾール剤という用語は、コロイド状の性質のものから加圧パッケージから成る系までにわたって様々な系を表すのに使用される。送達は、液化性または圧縮された気体によるものであっても、活性成分を分配する適切なポンプシステムによるものであってもよい。構造(I)の化合物のエアゾール剤は、活性成分(複数可)を送達するために単相、二相、または三相系で送達されてよい。エアゾール剤の送達は、一緒になってキットを形成してよい、必要な容器、活性因子、弁、副容器などを含む。当業者は、過度の実験を行わずに、好ましいエアゾール剤を決定することができる。
【0139】
本発明の実施態様における医薬組成物は、薬学分野において公知の方法により調製することができる。例えば、注射による投与を意図された医薬組成物は、溶液を形成するために、本発明の脂質ナノ粒子と、無菌の、蒸留水または他の担体とを組み合わせることによって調製することができる。界面活性剤は、均一溶液または懸濁液の形成を促進するために加えることができる。界面活性剤は、水系送達系において、化合物の溶解または均一な懸濁を促進するために、構造(I)の化合物と非共有結合的に相互作用する化合物である。
【0140】
本発明の実施態様における組成物、またはその薬学的に許容可能な塩は、治療有効量で投与されるが、この治療有効量は、利用する特定の治療剤の活性、治療剤の代謝安定性及び作用期間、患者の年齢、体重、全般的な健康状態、性別、及び食習慣、投与モード及び時間、排出速度、薬物の組み合わせ、特定の障害または状態の重症度、並びに治療を受ける対象を含めた、様々な因子に応じて変動することになる。
【0141】
本発明の実施態様における組成物はまた、1つ以上の他の治療剤の投与と同時に、投与前に、または投与後に投与してよい。このような併用療法は、本発明の実施態様における組成物及び1つ以上の追加の活性薬剤の、単一の医薬投与製剤での投与、並びに、別個の医薬投与製剤の本発明の組成物及び活性薬剤の投与を含む。例えば、本発明の実施態様における組成物及び他の活性薬剤は、錠剤若しくはカプセル剤などの単一の経口投与製剤として一緒に患者に投与することができ、または各薬剤を別個の経口投与製剤として投与することができる。別個の投与製剤を使用する場合、構造(I)の化合物及び、1つ以上の追加の活性薬剤は、本質的に同じ時間、すなわち、同時に、または時間をずらして別々に、すなわち、逐次的に投与することができ、併用治療は、これらの全てのレジメンを含むと理解されている。
【0142】
上記化合物及び組成物のための調製方法は、本明細書で以下に記載されており、及び/または当技術分野において公知である。
【0143】
本明細書に記載のプロセスにおいて、中間体化合物の官能基を適切な保護基で保護することが必要であり得ることは、当業者であれば理解している。このような官能基として、ヒドロキシ、アミノ、メルカプト、及びカルボン酸が挙げられる。ヒドロキシの適切な保護基として、トリアルキルシリル、またはジアリールアルキルシリル(例えば、t-ブチルジメチルシリル、t-ブチルジフェニルシリルまたはトリメチルシリル)、テトラヒドロピラニル、ベンジルなどが挙げられる。アミノ、アミジノ、及びグアニジノの適切な保護基として、t-ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニルなどが挙げられる。メルカプトの適切な保護基として、-C(O)-R’’(式中、R’’は、アルキル、アリール、またはアリールアルキルである)、p-メトキシベンジル、トリチルなどが挙げられる。カルボン酸の適切な保護基として、アルキル、アリール、またはアリールアルキルエステルが挙げられる。保護基は、当業者に公知であり、本明細書に記載されているような標準技術に従って付加または除去することができる。保護基の使用は、Green, T.W. 及び P.G.M. Wutz, Protective Groups in Organic Synthesis (1999), 3版., Wileyにおいて詳細に記載されている。当業者であれば理解しているように、保護基はまた、ポリマー樹脂、例えば、Wang樹脂、Rink樹脂、または2-クロロトリチル-クロリド樹脂などであってよい。
【0144】
本発明の化合物のこれらの保護された誘導体は、そのままでは薬理学的活性を保有していなくてよいが、これらが哺乳動物に投与され、その後体内で代謝されて、薬理学的活性のある構造(I)の化合物を形成することができることもまた当業者により理解されている。したがって、このような誘導体は、「プロドラッグ」として記載してよい。構造(I)の化合物の全てのプロドラッグは、本発明の実施態様の範囲内に含まれる。
【0145】
更に、遊離塩基または酸の形態で存在する、全ての構造(I)の化合物は、当業者に公知の方法によって、適当な無機塩基若しくは有機塩基または無機酸若しくは有機酸で処理することによって、これらの薬学的に許容可能な塩に変換することができる。構造(I)の化合物の塩は、標準技術によりこれらの遊離塩基または遊離酸の形態に変換することができる。
【0146】
構造(I)の化合物、及びそれを含む脂質ナノ粒子は、当業者に公知である方法、または当業者が導きだせる方法に従って調製し得て、例えば、それらの方法はPCT公開番号WO2015/199952、WO2017/004143及びWO2017/075531で開示されており、それぞれの全体が本明細書で参照により援用される。
【0147】
下記の一般反応スキームは、構造(I):
【化13】
(I)
の化合物またはその薬学的に許容可能な塩、互変異性体若しくは立体異性体を合成する例示的な方法を図示している[式中、R、L、L、G、G、及びGは本明細書で定義される通りである]。当業者であれば、同様の方法で、または当業者に公知の他の方法を組み合わせることにより、これらの化合物を合成でき得ることが理解されている。当業者であれば、適当な出発成分を使用し、必要に応じて合成パラメーターを修正することによって、以下に具体的に図示されていない他の構造(I)の化合物を、以下に記載されているものと同様の方式で合成できるであろうこともまた理解されている。一般的に、出発成分は、Sigma Aldrich、Lancaster Synthesis,Inc.、Maybridge、Matrix Scientific、TCI、及びFluorochem USAなどの供給元から得てもよく、当業者に公知の情報源に従い合成してもよく(例えば、Advanced Organic Chemistry: Reactions, Mechanisms, and Structure, 5版(Wiley、2000年12月)を参照されたい)、あるいは本発明に記載の通り調製してもよい。
【0148】
【化14】
構造(I)の化合物の具体例(例えばA-5)は、一般反応スキーム1(「方法A」)に従って調製し得て、ここで、Rは出現ごとに独立してR、R、RまたはRを表し、nはそれぞれ独立して、2~12の整数である。一般反応スキーム1について、構造A-1の化合物は商業源から購入し得て、または当業者に公知の方法で調製し得る。A-1、A-2及びDMAPの混合物をDCCで処理し、臭化物A-3を得る。臭化物A-3、塩基(例えばN,N-ジイソプロピルエチルアミン)及びN,N-ジメチルジアミンA-4の混合物を、任意の必要なワークアップ及び/または精製工程後に、A-5を合成するのに十分な温度で、十分な時間加熱する。
【0149】
【化15】
構造(I)の化合物の具体例(例えば化合物B-8)は、一般反応スキーム2(「方法B」)に従って調製し得て、ここでRは出現ごとに独立して、RまたはRを表し、Lは出現ごとに独立して、RまたはRを表し、nはそれぞれ独立して2~12の整数である。一般反応スキーム2について、構造B-1の化合物は商業源から購入し得て、または当業者に公知の方法に従って調製し得る。B-2の窒素がB-1によってアルキル化され、ジオール生成物B-3を得て、その後、ゆっくりとHBr溶液を加えて、B-3を臭化物B-4に変換し、続けて還流する。得られた臭化物B-4を、任意の必要なワークアップ及び/または精製工程後に、溶媒中、アルキルアミンB-5、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、及びヨウ化ナトリウムの存在下で、B-6を合成するのに十分な温度で、十分な時間加熱する。カルボン酸B-7の溶液に、塩化オキサリルを滴加する。その後、B-6の溶液を混合液に加えて攪拌し、任意の必要なワークアップ及び/または精製工程後にB-8を得る。
【0150】
当業者にとって、構造(I)の化合物を調製するための様々な別の戦略が利用可能であることは留意されたい。例えば、部分構造Rは、ヒドロキシのような置換基を含んでよく、前記置換基をマスクするために適切な保護基が必要であってよく、または前記置換基は、Rがその分子の残りに結合した後に結合してもよい。上記一般反応スキーム1に対して、必要に応じて保護基を用いること及びその他の修正は、当業者にとって容易に明らかであろう。下記の実施例は例示の目的のために提供されるのであって、限定はされない。
【実施例1】
【0151】
脂質ナノ粒子を用いたルシフェラーゼmRNAのin vivo評価
構造(I)の脂質、DSPC、コレステロール、及びPEG脂質を、50:10:38.5:1.5のモル比で、または47.5:10:40.7:1.8のモル比で、エタノール中に可溶化する。脂質ナノ粒子(LNP)を、全脂質のmRNAに対する重量比約10:1~40:1で調製する。簡潔に言えば、mRNAを、10~50mMのクエン酸緩衝液(pH4)または10~25mMの酢酸緩衝液(pH4)で、0.2mg/mLに希釈する。シリンジポンプを使用して、エタノール性脂質溶液と前記mRNA水溶液を、15mL/分より速い全流速で、約1:5~1:3(vol/vol)の比で混合する。その後エタノールを除去し、外部の緩衝液を透析によりPBSに置き換える。最後に、脂質ナノ粒子を、0.2μm細孔の無菌フィルターを介して濾過する。
【0152】
動物実験委員会(institutional animal care committee)(ACC)及びカナダ動物管理協会(Canadian Council on Animal Care)(CCAC)により確立されたガイドラインに従い、6~8週齢の雌のC57BL/6マウス(Charles River)または8~10週齢のCD-1(Harlan)マウス(Charles River)において研究を実施する。種々の用量のmRNA-脂質ナノ粒子を尾静脈注射により全身投与し、投与後特定の時点で(例えば4時間)動物を安楽死させる。肝臓及び脾臓をあらかじめ計量した管内に採取し、重量を測定し、液体窒素中で直ちに瞬間凍結し、分析用の処理が行われるまで-80℃で保存する。
【0153】
肝臓について、約50mgを分析用に切開し、2mLのFastPrep管(MP Biomedicals、Solon OH)に封入する。1/4インチのセラミック球(MP Biomedicals)を各管に加え、室温に平衡化した500μLのGlo Lysis Buffer-GLB(Promega、Madison WI)を肝臓組織に加える。FastPrep24装置(MP Biomedicals)を、2×6.0m/秒で15秒間用いて、肝組織をホモジェナイズする。ホモジェネートを室温で5分間インキュベートした後、GLB中で1:4希釈し、SteadyGlo Luciferase assay system(Promega)を用いて評価する。具体的には、50μLの希釈済み組織ホモジェネートを50μLのSteadyGlo基質と反応させ、10秒間振盪し、続いて5分間インキュベートし、その後、CentroXS LB 960 luminometer(Berthold Technologies、ドイツ)を用いて定量する。アッセイしたタンパク質の量をBCAタンパク質アッセイキット(Pierce、Rockford、IL)を用いて決定する。その後、相対発光単位(RLU)をアッセイした全タンパク質(μg)に正規化する。RLUをルシフェラーゼ(ng)に変換するために、QuantiLum Recombinant Luciferase(Promega)を用いて検量線を作成する。
【0154】
Trilink Biotechnologies製FLuc mRNA(L-6107)は、もともと蛍、photinus pyralisから単離されたルシフェラーゼタンパク質を発現する。FLucは、遺伝子発現と細胞生存度の両方を測定するために、哺乳動物細胞培養において一般的に使用されている。これは、基質であるルシフェリンの存在下で生物発光を発する。このキャッピング及びポリアデニル化されたmRNAを、5-メチルシチジン及びプソイドウリジンに、完全に置換する。
【実施例2】
【0155】
脂質ナノ粒子組成物を用いた、免疫グロブリンG(IgG)mRNAのin vivo 評価
構造(I)の脂質、DSPC、コレステロール及びペグ脂質を、50:10:38.5:1.5または47.5:10:40.7:1.8のモル比でエタノール中に可溶化する。脂質ナノ粒子(LNP)を、全脂質のmRNAに対する重量比約10:1~40:1で調製する。簡潔に言えば、mRNAを、10~50mMのクエン酸緩衝液(pH4)または10~25mMの酢酸緩衝液(pH4)で、0.2mg/mLに希釈する。シリンジポンプを用いて、前記エタノール性脂質溶液と前記mRNA水溶液を、15mL/分より速い全流速で、約1:5~1:3(vol/vol)の比で混合する。その後エタノールを除去し、外部の緩衝液を透析によりPBSに置き換える。最後に、脂質ナノ粒子を、0.2μm細孔の無菌フィルターを介して濾過する。
【0156】
動物実験委員会(institutional animal care committee)(ACC)及びカナダ動物管理協会(Canadian Council on Animal Care(CCAC))により確立されたガイドラインに従い、6~8週齢のCD-1/ICRマウス(Envigo)において研究を実施する。種々の用量のmRNA-脂質ナノ粒子を尾静脈注射により全身投与し、投与後特定の時点で(例えば24時間)動物を安楽死させる。全血液を採取し、続けて、全血液入りの管を、4℃下で10分間、2000×gで遠心分離することで血清を分離し、分析用の処理が行われるまで-80℃で保存する。
【0157】
免疫グロブリンG(IgG)ELISA(Life Diagnostics Human IgG ELISAキット)について、前記血清サンプルを、1×希釈溶液で100~15000倍に希釈する。希釈した血清100μLを、抗ヒトIgGコーティングされた96穴プレート中に分注し、並行して、ヒトIgGスタンダードにおいても同様にして、25℃下で45分間、150rpmでプレートシェイカーにインキュベートする。プレート洗浄器を用いて、1×洗浄液でウェルを5回洗浄する(400μL/ウェル)。100μLのHRPコンジュゲートを各ウェルに加え、上記と同じ条件で、プレートシェイカーにインキュベートする。プレート洗浄器を用いて、1×洗浄液で再度ウェルを5回洗浄する(400μL/ウェル)。100μLのTMB試薬を各ウェルに加え、上記と同じ条件で、プレートシェイカーにインキュベートする。100μLの停止液を各ウェルに加えることで、反応を終了させる。マイクロプレートリーダーを用いて、450nmの吸光(A450)を読み取る。標準アッセイのA450値を、ヒトIgG濃度に対してプロットすることで、マウス血清内のヒトIgG量を決定する。
【実施例3】
【0158】
製剤化された脂質のpKaの決定
他の箇所で記載されているように、製剤化した脂質のpKaは、核酸送達のためのLNPの有効性と相関する(Jayaramanら、Angewandte Chemie、International Edition(2012年)、51巻(34号)、8529~8533頁;Sempleら、Nature Biotechnology 28巻、172~176頁(2010年)を参照されたい)。幾つかの実施態様では、pKaの好ましい範囲は約5~約7である。2-(p-トルイジノ)-6-ナフタレンスルホン酸(TNS)の蛍光に基づくアッセイを用いて、各脂質のpKaを脂質ナノ粒子において決定する。PBS中に、構造(I)の化合物/DSPC/コレステロール/PEG脂質(50/10/38.5/1.5または47.5:10:40.7:1.8mol%)を総脂質濃度0.4mMで含む脂質ナノ粒子を、実施例1に記載のインラインプロセスを用いて調製する。TNSは、蒸留水中100μMのストック溶液として調製する。ベシクルを24μM脂質/2mL緩衝溶液(10mM HEPES、10mM MES、10mM 酢酸アンモニウム、及び130mM NaClを含有する(pHは2.5~11である))で希釈する。小分けしたTNS溶液を加えて、最終濃度を1μMにして、ボルテックス混合した後、SLM Aminco Series 2 Luminescence Spectrophotometerで、321nm及び445nmの励起波長及び発光波長を使用して、室温にて蛍光強度を測定する。シグモイドのベストフィット分析を蛍光データに適用し、最大蛍光強度の半分の強度を示すpHとしてpKaを測定する。
【実施例4】
【0159】
in vivoにおいてルシフェラーゼ/IgG mRNAを発現したげっ歯類モデルを用いた、様々なカチオン性脂質を含有する脂質ナノ粒子製剤の効力の決定
表2に示す本開示の代表的な化合物を、次のモル比を用いて製剤化した:50%カチオン性脂質/10%ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)/38.5%コレステロール/1.5%PEG脂質2-[2-(ω-メトキシ(ポリエチレングリコール2000)エトキシ]-N,N-ジテトラデシルアセトアミド)または47.5%カチオン性脂質/10%DSPC/40.7%コレステロール/1.8%PEG脂質。実施例1に記載したように、尾静脈注射による投与の4時間後に肝臓内のルシフェラーゼ発現を測定することによって、あるいは実施例2に記載したように、マウス血清内のヒトIgG量を測定することによって相対活性を決定した。mRNAが1.0mg/kg、0.5mg/kgまたは0.3mg/kgの用量である場合において活性を比較し、実施例1に記載したように、投与後4時間後に測定したルシフェラーゼ(ng)/肝臓(g)として、あるいは実施例2に記載したように、投与後24時間後に測定したIgG(μg)/血清(mL)として活性を表した。表2に記載の化合物番号は表1に記載の化合物番号を参照している。
表2.新規カチオン性脂質及びそれに関連する活性
【表18】
【表19】
【実施例5】
【0160】
6,6’-(メチルアザンジイル)ビス(N,N-ジオクチルヘキサンアミド)(化合物I-1)
【化16】
6-ブロモ-N,N-ジオクチルヘキサンアミド(中間体A)の合成
6-ブロモヘキサン酸(2.93g、15mmol)のDCM(25mL)及びDMF(0.1mL)の溶液に、塩化オキサリル(45mmol、5.7g、3.93mL)をAr条件下において室温で加えた。得られた混合液を室温で一晩攪拌した。翌日、混合液を濃縮した。残渣を20mLのDCMに溶解し、ジオクチルアミン(1.1当量、16.5mmol、3.98g、4.98mL)、トリエチルアミン(90mmol、9.09g、12.5mL)及びDMAP(10mg)のDCM(20mL)溶液に、室温でゆっくりと加えた。添加完了後、混合液を2.5時間攪拌し、その後濃縮した。残渣を希塩酸に溶解し濾過した。濾液をDCMで3回抽出した。飽和食塩水で洗浄した後、抽出液を蒸発気化させ、NaSOで乾燥させて、黄色油状物質を得た。油状物質をクロマトグラフィー(ヘキサン及び酢酸エチル(1:0から4:1))で精製した。所望の生成物を淡黄色油状物質(5.09g、12.2mmol、81%)として得た。
【0161】
I-1の合成
6-ブロモ-N,N-ジオクチルヘキサンアミド(1.19mmol、500mg)、無水アセトニトリル(15mL)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(1.89mmol、244mg、0.33mL)の混合液に、メチルアミン(0.32mL、0.63mmol、2M/THF)を加えた。密閉した圧力フラスコ中で、混合液を80℃で16時間加熱した。反応混合液を濃縮した。粗生成物をシリカゲルフラッシュドライカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc/EtN、95:5:0から80:20:1)で精製した。所望の生成物を無色油状物質(183mg、0.26mmol、44%)として得た。1HNMR (400 MHz, CDCl3 (7.27 ppm)) δ: 3.32-3.25 (m, 4H), 3.23-3.16 (m, 4H), 2.34-2.26 (m, 8H), 2.20 (s, 3H), 1.66 (quin, 7.6 Hz, 4H), 1.57-1.44 (m, 12H), 1.38-1.19 (m, 44H), 0.92-0.86 (m, 12H). ESI-MS: MW for C45H91N3O2 [M+H]+ 計算値 706.7; 実測値 706.8.
【実施例6】
【0162】
6,6’-(オクチルアザンジイル)ビス(N,N-ジオクチルヘキサンアミド)(化合物I-4)
【化17】
I-4の合成
6-ブロモ-N,N-ジオクチルヘキサンアミド(1.6当量、1.19mmol、500mg)、無水アセトニトリル(15mL)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(1.89mmol、244mg、0.33mL)の混合液に、オクチルアミン(0.123mL、0.74mmol)を加えた。密封した圧力フラスコ中で、混合物を80℃で16時間加熱した。反応混合液を濃縮した。粗生成物をシリカゲルフラッシュドライカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc/EtN、95:5:0から80:20:1)で精製し、0から5%のMeOH/クロロホルムを混合溶出溶媒として用いて、更に精製した。所望の生成物を無色油状物質(173mg、0.22mmol、36%)として得た。1HNMR (400 MHz, CDCl3) δ: 3.33-3.25 (m, 4H), 3.23-3.16 (m, 4H), 3.08-2.86 (br. 3H), 2.5-2.32 (br, 3H), 2.29 (t, 7.6 Hz, 4H), 1.85-1.70 (br, 2H), 1.67 (quin, 7 Hz, 4H), 1.57-1.38 (m, 12H), 1.38-1.17 (m, 54H), 0.92-0.86 (m, 15H). ESI-MS: C52H105N3O2 [M+H]+ の MW 計算値 804.8; 実測値 805.0.
【実施例7】
【0163】
6,6’-(ヘキシルアザンジイル)ビス(N,N-ジオクチルヘキサンアミド)(化合物I-5)
化合物I-5を、実施例6に記載の一般的な手順に従って調製し、所望の生成物を無色油状物質(155mg、0.20mmol、34%)として得た。1HNMR (400 MHz, CDCl3 (7.27 ppm)) δ: 3.33-3.25 (m, 4H), 3.24-3.15 (m, 4H), 3.10-2.80 (br. 2H), 2.58-2.32 (br, 4H), 2.29 (t, 7.4 Hz, 4H), 1.88-1.69 (br, 2H), 1.66 (quin, 7.4 Hz, 4H), 1.57-1.39 (m, 12H), 1.39-1.17 (m, 50H), 0.92-0.86 (m, 15H).
【実施例8】
【0164】
8,8’-(メチルアザンジイル)ビス(N,N-ジオクチルオクタンアミド)(化合物I-7)
化合物I-7を、実施例5に記載の一般的な手順に従って調製し、所望の生成物を淡黄色油状物質(230mg、0.30mmol、59%)として得た。1HNMR (400 MHz, CDCl3 (7.27 ppm)) δ: 3.32-3.25 (m, 4H), 3.23-3.15 (m, 4H), 2.31-2.25 (m, 8H), 2.20 (s, 3H), 1.64 (quin, 7.3 Hz, 4H), 1.57-1.41 (m, 12H), 1.38-1.19 (m, 52H), 0.92-0.86 (m, 12H). ESI-MS: C49H99N3O2 [M+H]+ の MW 計算値 762.8; 実測値 762.9.
【実施例9】
【0165】
10,10’-(メチルアザンジイル)ビス(N,N-ジオクチルデカンアミド)(化合物I-8)
化合物I-8を、実施例5に記載の一般的な手順に従って調製し、所望の生成物を無色油状物質(205mg、0.25mmol、64%)として得た。1HNMR (400 MHz, CDCl3 (7.27 ppm)) δ: 3.33-3.25 (m, 4H), 3.23-3.16 (m, 4H), 2.31-2.25 (q-like, 8H), 2.20 (s, 3H), 1.63 (quin, 7.3 Hz, 4H), 1.57-1.41 (m, 12H), 1.38-1.19 (m, 60H), 0.92-0.86 (m, 12H). ESI-MS: C53H107N3O2 [M+H]+ の MW 計算値 818.8; 実測値 819.0.
【実施例10】
【0166】
8,8’-(メチルアザンジイル)ビス(N,N-ジデシルオクタンアミド)(化合物I-6)
【化18】
8-ブロモ-N,N-ジデシルオクタンアミド(中間体D)の合成
8-ブロモオクタン酸(1当量、10.78mmol、2.41g)のDCM(20mL)及びDMF(d 0.944;0.1mL)の溶液に、塩化オキサリル(2.5当量、27mmol、3.42g、2.35mL)をAr条件下において室温で加えた。得られた混合液を室温で一晩攪拌した。次に、減圧下で混合液を濃縮した。残渣を15mLのDCMに溶解し、ジデシルアミン(1.1当量、3.53g、11.86mmol)、トリエチルアミン(53.9mmol、7.5mL)及びDMAP(10mg)のDCM(20mL)溶液に、室温でゆっくりと加えた。添加完了後、混合液を室温で一晩攪拌し、その後濃縮した。残渣をヘキサン(100mL)に溶解し、減圧下でシリカゲルカラムにロードした。その後、ヘキサン及び酢酸エチル(100:0から90:10)の混合液で、減圧下においてカラムを洗浄した。所望の生成物を黄色油状物質(4.81g、9.6mmol、89%)として得た。
【0167】
I-6の合成
8-ブロモ-N,N-ジデシルオクタンアミド(0.8mmol、400mg)、CHCN(15mL)、DIPEA(0.26mL)及びメチルアミン(33wt %/EtOH、0.062mL、約0.5mmol)の混合液を圧力フラスコ内に封入し、74℃で一晩加熱した。反応混合液を濃縮した。粗生成物をシリカゲルフラッシュドライカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc/EtN、95:5:0から80:20:1)で精製し、0から5%のMeOH/クロロホルム(少量のEtNを含む)を混合溶出溶媒として用いて、更に精製した。所望の生成物を無色油状物質(167mg、0.19mmol、48%)として得た。1HNMR (400 MHz, CDCl3 (7.26 ppm)) δ: 3.32-3.24 (m, 4H), 3.23-3.15 (m, 4H), 2.30-2.24 (m, 8H), 2.18 (s, 3H), 1.63 (quin, 7.1 Hz, 4H), 1.57-1.38 (m, 12H), 1.38-1.19 (m, 68H), 0.92-0.86 (m, 12H). ESI-MS: C57H115N3O2 [M+H]+ の MW 計算値 874.9; 実測値 875.1.
【実施例11】
【0168】
6,6’-(メチルアザンジイル)ビス(N,N-ジデシルヘキサンアミド)(化合物I-10)
化合物I-10を、実施例5に記載の一般的な手順に従って調製し、所望の生成物を無色油状物質(249mg、0.30mmol、58%)として得た。1HNMR (400 MHz, CDCl3 (7.26 ppm)) δ: 3.32-3.24 (m, 4H), 3.22-3.15 (m, 4H), 2.33-2.25 (m, 8H), 2.19 (s, 3H), 1.65 (quin, 7.6 Hz, 4H), 1.57-1.41 (m, 12H), 1.38-1.08 (m, 60H), 0.91-0.85 (m, 12H). ESI-MS: C53H107N3O2 [M+H]+ の MW 計算値 818.8; 実測値 819.0.
【実施例12】
【0169】
6,6’-(メチルアザンジイル)ビス(N,N-ジドデシルヘキサンアミド)(化合物I-11)
化合物I-11を、実施例5に記載の一般的な手順に従って調製し、所望の生成物を無色油状物質(313mg、0.34mmol、68%)として得た。1HNMR (400 MHz, CDCl3) δ: 3.32-3.24 (m, 4H), 3.22-3.15 (m, 4H), 2.33-2.25 (m, 8H), 2.19 (s, 3H), 1.65 (quin, 7.6 Hz, 4H), 1.57-1.43 (m, 12H), 1.37-1.10 (m, 76H), 0.91-0.85 (m, 12H). ESI-MS: C61H123N3O2 [M+H]+ の MW 計算値 931.0; 実測値 931.2.
【実施例13】
【0170】
6,6’-((2-ヒドロキシエチル)アザンジイル)ビス(N,N-ジオクチルヘキサンアミド)(化合物I-3)
【化19】
I-3の合成
圧力フラスコ中の、2-アミノエタノール(1.25mmol、77mg)/無水THF(15mL)、6-ブロモ-N,N-ジオクチルヘキサンアミド(中間体A、1.9当量、1g、2.39mmol)、カルボン酸カリウム(1.9当量、330mg、2.39mmol)、カルボン酸セシウム(0.3当量、234mg、0.72mmol)及びヨウ化ナトリウム(3mg)の混合液を、77℃(オイルバス)で6日間加熱した。反応混合液を濃縮した。粗生成物をシリカゲルフラッシュドライカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc/EtN、95:5:0から80:20:1)で精製した。所望の生成物を無色油状物質(233mg、0.31mmol、26%)として得た。1HNMR (400 MHz, CDCl3) δ: 3.52 (t, 5.3 Hz, 2H), 3.23-3.25 (m, 4H), 3.24-3.15 (m, 4H), 3.10-2.96 (br. 1H), 2.57 (t, 5.3 Hz, 2H), 2.50-2.41 (m, 4H), 2.28 (t, 7.5 Hz, 4H), 1.65 (quin, 7.6 Hz, 4H), 1.60-1.42 (m, 12H, 水のピークにオーバーラップ), 1.38-1.19 (m, 44H), 0.92-0.86 (m, 12H). ESI-MS: C46H93N3O3 [M+H]+ の MW 計算値 736.7; 実測値 736.8.
【実施例14】
【0171】
6,6’-((6-ヒドロキシヘキシル)アザンジイル)ビス(N,N-ジオクチルヘキサンアミド)(化合物I-16)
化合物I-16を、実施例13に記載の一般的な手順に従って調製し、所望の生成物を無色油状物質(63mg)として得た。1HNMR (400 MHz, CDCl3) δ: 3.68-3.62 (m, 2H), 3.32-3.24 (m, 4H), 3.23-3.15 (m, 4H), 3.07 -2.91 (br, 6H), 2.31 (t, 7.5 Hz, 4H), 1.93-1.73 (br., 6H), 1.68 (quin, 7.6 Hz, 4H), 1.63-1.46 (m, 10H, 水のピークにオーバーラップ), 1.46-1.35 (m, 8H), 1.35-1.10 (m, 40H), 0.92-0.86 (m, 12H). 生成物の一部は塩酸塩の形態で存在する. ESI-MS: C50H101N3O3 [M+H]+ のMW 計算値 792.8; 実測値 792.9.
【実施例15】
【0172】
6,6’-((2-ヒドロキシエチル)アザンジイル)ビス(N,N-ジデシルヘキサンアミド)(化合物I-19)
化合物I-19を、実施例13に記載の一般的な手順に従って調製し、所望の生成物を淡黄色油状物質(154mg、0.18mmol、35%)として得た。1HNMR (400 MHz, CDCl3) δ: 3.51 (t, 5.2, 2H), 3.32-3.24 (m, 4H), 3.23-3.15 (m, 4H), 3.08-2.92 (br, 1H), 2.56 (t, 5.3 Hz, 2H), 2.45 (t, 7.4 Hz, 4H), 2.27 (t, 7.5 Hz, 4H), 1.64 (quin, 7.5 Hz, 4H), 1.59-1.40 (m, 12H, 水のピークにオーバーラップ), 1.36-1.10 (m, 60H), 0.91-0.86 (m, 12H). ESI-MS: C54H109N3O3 [M+H]+ の MW 計算値 848.9; 実測値 849.0.
【実施例16】
【0173】
8,8’-((6-ヒドロキシヘキシル)アザンジイル)ビス(N,N-ジオクチルオクタンアミド)(化合物I-17)
化合物I-17を、実施例13に記載の一般的な手順に従って調製し、所望の生成物を淡黄色油状物質(546mg、0.64mmol、54%)として得た。1HNMR (400 MHz, CDCl3) δ: 3.65 (t, 6.4 Hz, 2H), 3.33-3.25 m, 4H), 3.23-3.15 (m, 4H), 2.40-2.34 (m, 6H), 2.28 (t, 7.5 Hz, 4H), 1.75-1.59 (m, 6H), 1.58-1.46 (m, 8H), 1.46-1.36 (m, 8H), 1.36-1.10 (m, 54H), 0.92-0.86 (m, 12H). ESI-MS: C54H109N3O3 [M+H]+ の MW 計算値 848.9; 実測値 849.0.
【実施例17】
【0174】
10,10’-((6-ヒドロキシヘキシル)アザンジイル)ビス(N,N-ジオクチルデカンアミド)(化合物I-18)
化合物I-18を、実施例59に記載の一般的な手順に従って調製し、所望の生成物を淡黄色油状物質(251mg、0.28mmol、52%)として得た。1HNMR (400 MHz, CDCl3) δ: 3.67-3.63 (m, 2H), 3.33-3.25 m, 4H), 3.24-3.16 (m, 4H), 2.41-2.35 (m, 6H), 2.28 (t, 7.5 Hz, 4H), 1.68-1.59 (m, 6H), 1.59-1.47 (m, 8H, 水のピークにオーバーラップ), 1.47-1.37 (m, 8H), 1.37-1.10 (m, 62H), 0.92-0.86 (m, 12H).
【実施例18】
【0175】
10,10’-((2-ヒドロキシエチル)アザンジイル)ビス(N,N-ジデシルデカンアミド)(化合物I-20)
化合物I-20を、実施例59に記載の一般的な手順に従って調製し、所望の生成物を無色油状物質(248mg、0.26mmol、49%)として得た。1HNMR (400 MHz, CDCl3) δ: 3.51 (t, 5.4, 2H), 3.32-3.24 (m, 4H), 3.22-3.15 (m, 4H), 3.08-2.92 (br, 1H), 2.56 (t, 5.4 Hz, 2H), 2.43 (t, 7.4 Hz, 4H), 2.27 (t, 7.5 Hz, 4H), 1.64 (quin, 7.5 Hz, 4H), 1.59-1.36 (m, 12H, 水のピークにオーバーラップ), 1.36-1.10 (m, 76H), 0.91-0.86 (m, 12H). ESI-MS: C62H125N3O3 [M+H]+ の MW 計算値 961.0; 実測値 961.1.
【実施例19】
【0176】
8,8’-((5-ヒドロキシペンチル)アザンジイル)ビス(N,N-ジデシルオクタンアミド)(化合物I-21)
化合物I-21を、実施例13に記載の一般的な手順に従って調製し、所望の生成物を無色油状物質(166mg、0.18mmol、35%)として得た。1HNMR (400 MHz, CDCl3 (7.26 ppm)) δ: 3.64 (t, 6.5 Hz, 2H), 3.32-3.24 (m, 4H), 3.22-3.15 (m, 4H), 2.41-2.34 (m, 6H), 2.27 (t, 7.5 Hz, 4H), 2.05 (br. s, 1H), 1.67-1.57 (m, 6H), 1.54-1.36 (m, 16H), 1.36-1.10 (m, 68H), 0.90-0.85 (m, 12H). ESI-MS: C61H123N3O3 [M+H]+ の MW 計算値 947.0; 実測値 947.2.
【実施例20】
【0177】
8,8’-((4-ヒドロキシブチル)アザンジイル)ビス(N,N-ジデシルオクタンアミド)(化合物I-23)
化合物I-23を、実施例13に記載の一般的な手順に従って調製し、所望の生成物を無色油状物質(209mg、0.22mmol、45%)として得た。1HNMR (400 MHz, CDCl3 (7.26 ppm)) δ: 6.64 (br. s, 1H), 3.57-3.50 (m, 2H), 3.32-3.24 (m, 4H), 3.23-3.15 (m, 4H), 2.44-2.39 (m, 6H), 2.26 (t, 7.5 Hz, 4H), 1.67-1.57 (m, 8H), 1.54-1.37 (m, 12H), 1.36-1.10 (m, 68H), 0.90-0.85 (m, 12H). ESI-MS: C60H121N3O3 [M+H]+ の MW 計算値 932.9; 実測値 933.1.
【実施例21】
【0178】
8,8’-((6-ヒドロキシヘキシル)アザンジイル)ビス(N,N-ジデシルオクタンアミド)(化合物I-24)
化合物I-24を、実施例13に記載の一般的な手順に従って調製し、所望の生成物を無色油状物質(229mg、0.24mmol、48%)として得た。1HNMR (400 MHz, CDCl3, (7.26 ppm)) δ: 3.67-3.59 (m, 2H), 3.32-3.24 (m, 4H), 3.23-3.15 (m, 4H), 2.39-2.33 (m, 6H), 2.26 (t, 7.5 Hz, 4H), 1.73-1.68 (br. 1H), 1.68-1.38 (m, 推定 20H), 1.38-1.10 (m, 72H), 0.90-0.85 (m, 12H). ESI-MS: C62H125N3O3 [M+H]+ の MW 計算値 961.0; 実測値 961.1.
【実施例22】
【0179】
8,8’-((2-ヒドロキシエチル)アザンジイル)ビス(N,N-ジデシルオクタンアミド)(化合物I-22)
化合物I-22を、実施例13に記載の一般的な手順に従って調製し、所望の生成物を無色油状物質(165mg、0.18mmol、35%)として得た。1HNMR (400 MHz, CDCl3) δ: 3.51 (t, 5.4, 2H), 3.32-3.24 (m, 4H), 3.23-3.15 (m, 4H), 3.07-2.98 (br, 1H), 2.56 (t, 5.4 Hz, 2H), 2.42 (t, 7.4 Hz, 4H), 2.27 (t, 7.5 Hz, 4H), 1.68-1.59 (m, 4H), 1.59-1.36 (m, 12H, 水のピークにオーバーラップ), 1.36-1.10 (m, 68H), 0.91-0.86 (m, 12H). ESI-MS: C58H117N3O3 [M+H]+ の MW 計算値 904.9; 実測値 905.1.
【実施例23】
【0180】
10,10’-((4-ヒドロキシブチル)アザンジイル)ビス(N,N-ジデシルデカンアミド)(化合物I-25)
化合物I-25を、実施例13に記載の一般的な手順に従って調製し、所望の生成物を無色油状物質(202mg、0.21mmol、42%)として得た。1HNMR (400 MHz, CDCl3, (7.26 ppm)) δ: 6.66 (br. s, 1H), 3.58-3.50 (m, 2H), 3.32-3.24 (m, 4H), 3.23-3.15 (m, 4H), 2.44-2.39 (m, 6H), 2.26 (t, 7.5 Hz, 4H), 1.70-1.58 (m, 8H), 1.55-1.38 (m, 12H), 1.37-1.14 (m, 76H), 0.90-0.85 (m, 12H). ESI-MS: C64H129N3O3 [M+H]+ の MW 計算値 989.0; 実測値 989.1.
【実施例24】
【0181】
N,N’-((メチルアザンジイル)ビス(ヘキサン-6,1-ジイル))ビス(N,2-ジヘキシルデカンアミド)(化合物I-15)
【化20】
6,6’-(メチルアザンジイル)ビス(ヘキサン-1-オール)(中間体E)の合成
6-クロロ-1-ヘキサノール(22.8mmol、3.11g、3.04mL)、無水エタノール(60mL)、カルボン酸カリウム(2当量、24mmol、3.32g)、カルボン酸セシウム(当量、500mg)及びヨウ化カリウム(40mg)の混合液に、メチルアミン(2mmol、1.49ml、33wt.%/無水エタノール)を加えた。混合液を密封した圧力フラスコ(オイルバス:68℃)中で16時間加熱した。反応をTLCでモニターした。更に、メチルアミン(0.1mL)、NaI(300mg)及びカルボン酸カリウム(1g)を、反応混合液に加えた。加熱を再開し、追加で4日間経過後、更に6-クロロ-1-ヘキサノール(1.5mL)及びNaI(220mg)を加えた。追加で3日間、76℃で加熱を継続した。最終的に、混合液を冷却及び濾過した。濾液を濃縮し、残渣をDCMに溶解し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮乾固した。以上から、4.86gの褐色粘性油状物質を得た。油状物質をDCM(100mL)に溶解し、減圧下で、シリカゲルショートカラムにロードした。DCM、メタノール及び濃アンモニア水(100:0:0から85:15:1)の混合液でカラムを溶出した。所望の生成物を含む画分を合一し、濃縮した。残渣をDCMに溶解し、濾過した。濾液を濃縮乾固し、所望の生成物を褐色粘性油状物質(1.40g、6.05mmol、50%)として得た。生成物を更に精製することなく次の工程で用いた。
【0182】
-ヘキシル-N -(6-(ヘキシルアミノ)ヘキシル)-N -メチルヘキサン-1,6-ジアミン(中間体G)の合成
臭化水素酸(6mL、48wt.% 水溶液)を、攪拌しながらゆっくりと5分間かけて、中間体E(1.40g、6.05mmol)に加えた。その後、反応混合液を105°C(オイルバス)で2時間加熱した。反応混合液を少し冷却し、その後、トルエン(50mL)をゆっくりと加えた。反応液を加熱還流し、水を共沸除去した。反応混合液を室温まで冷却し、その後圧力フラスコに移し替え、減圧下で濃縮した(褐色油状物質 2.62g、5.97mmol、98%)。TLC(CHCl/MeOH=9:1)によって、主要スポットとして6-ブロモ-N-(6-ブロモヘキシル)-N-メチルヘキサン-1-アミン(中間体F)を確認した。生成物を更に精製することなく次の工程で用いた。
【0183】
6-ブロモ-N-(6-ブロモヘキシル)-N-メチルヘキサン-1-アミン(中間体F、2.62g、5.97mmol)、ヘキシルアミン(10当量 120mmol、12.14g)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(6.0mmol、1.04mL)、及びヨウ化ナトリウム(20mg)のアセトニトリル(30mL)混合液を、密封し、76℃(オイルバス)で24時間加熱した。その後、混合液を約75℃(約9mmHg)で濃縮し、溶媒及び余剰のヘキシルアミンを除去した。残渣(黄色油状/固形物質)をDCMに溶解し、濾過した。TLCでヘキシルアミンが完全には除去されていないことを確認した。濾液を減圧下で濃縮し、黄色泡状物質を4.33g得た。残渣をNaOH溶液(水酸化ナトリウム(1.44g)/水(10mL))に溶解し、その後、減圧下において75℃で1.5時間濃縮した。残渣をDCMに溶解し、濾過した。濾液を濃縮乾固し、薄い色のペースト(2.671g、>100%)を得た。生成物を更に精製することなく次の工程で用いた。
【0184】
I-15の合成
2-ヘキシルデカン酸(4mmol、1.03g)のDCM(15mL)及びDMF(中径ニードルで3滴)の溶液に、塩化オキサリル(1.5当量、6mmol、762mg、0.524mL)を室温で滴加した。その後、得られた混合液を室温で一晩攪拌した。次に、混合物を減圧下において室温で濃縮した。残渣(淡黄色ペースト)を8mLのDCMに溶解し、中間体Gの粗生成物(0.67g)、トリエチルアミン(3当量、3.1mmol、308mg、0.42mL)及びDMAP(5mg)のDCM(5mL)溶液に、室温で約5分かけて加えた。添加後、得られた混合液を、室温で2時間攪拌し、その後濃縮した。残渣を、ヘキサン、酢酸エチル及びEtN(80:20:1)の混合液に溶解し、シリカゲルパッドで濾過した。パッドを同様の混合溶媒で洗浄した。濾液と洗浄液を濃縮し、薄褐色油状物質(約543mg)を得た。粗生成物を、シリカゲルフラッシュドライカラムクロマトグラフィー(0から6% MeOH/クロロホルム(少量のEtNを含む))で精製した。所望の生成物を無色油状物質(426mg、0.49mmol、33%)として得た。1HNMR (400 MHz, CDCl3) δ: 3.34-3.27 (m, 4H), 3.26-3.18 (m, 4H), 2.53-2.45 (m, 2H), 2.34-2.25 (m, 4H), 2.18 (t, 4.7 Hz, 3H), 1.65-1.36 (m, 20H), 1.36-1.10 (m, 60H), 0.92-0.84 (m, 18H). ESI-MS: C57H115N3O2 [M+H]+ の MW 計算値 874.9; 実測値 875.3.
【実施例25】
【0185】
N,N’-((メチルアザンジイル)ビス(ヘキサン-6,1-ジイル))ビス(N-ヘキシルパルミタミド)(化合物I-9)
【化21】
I-9の合成
パルミチン酸(2.5mmol、0.64g)のDCM(15mL)及びDMF(小径ニードルで2滴)溶液に、塩化オキサリル(1.5当量、3.75mmol、484mg、0.33mL)を室温で滴加した。その後、得られた混合液を室温で一晩攪拌した。次に、混合液を減圧下において室温で濃縮した。残渣(淡黄色ペースト)を、8mLのDCMに溶解し、中間体G(300mg)の粗生成物、トリエチルアミン(0.4mL)及びDMAP(5mg)のDCM(5mL)溶液に、室温で約5分間かけて加えた。添加後、得られた混合液を室温で2時間攪拌し、その後濃縮した。残渣を、ヘキサン、酢酸エチル及びEtN(80:20:1)の混合液に溶解し、シリカゲルパッドで濾過し、パッドを同様の混合溶媒で洗浄した。濾液と洗浄液を濃縮し、黄色油状/固形物質を得て、ヘキサン、酢酸エチル及びEtN(80:20:1)の混合液に溶解し、再度シリカゲルパッドで濾過し、パッドを同様の混合溶媒で洗浄した。濾液と洗浄液を濃縮し、黄色油状物質(約244mg)を得た。粗生成物を、シリカゲルフラッシュドライカラムクロマトグラフィー(0から5% MeOH/クロロホルム(少量のEtNを含む))で精製した。所望の生成物を無色油状物質(200mg、0.22mmol、34%)として得た。1HNMR (400 MHz, CDCl3 (7.26 ppm)) δ: 3.32-3.25 (m, 4H), 3.23-3.15 (m, 4H), 2.33-2.24 (m, 8H), 2.18 (t, 4.2 Hz, 3H), 1.67-1.56 (m, 4H), 1.56-1.36 (m, 12H), 1.36-1.10 (m, 68H), 0.92-0.85 (m, 12H). ESI-MS: C57H115N3O2 [M+H]+ の MW 計算値 874.9; 実測値 875.1.
【実施例26】
【0186】
(9Z,9’Z,12Z,12’Z)-N,N’-((メチルアザンジイル)ビス(ヘキサン-6,1-ジイル))ビス(N-ヘキシルオクタデカ-9,12-ジエナミド)(化合物I-14)
【化22】
I-14の合成
リノール酸(2.5mmol、0.70g)のDCM(12mL)及びDMF(小径ニードルで2滴)の溶液に、塩化オキサリル(1.5当量、3.75mmol、484mg、0.33mL)を室温で滴加した。その後、得られた混合液を室温で一晩攪拌した。次に、混合液を減圧下において室温で濃縮した。残渣(淡黄色ペースト)を、8mLのDCMに溶解し、中間体G(300mg)の粗生成物、トリエチルアミン(0.4mL)及びDMAP(5mg)のDCM(5mL)溶液に、室温で約5分間かけて加えた。添加後、得られた混合液を室温で2時間攪拌し、その後濃縮した。残渣を、ヘキサン、酢酸エチル、及びEtN(80:20:1)の混合液に溶解し、シリカゲルパッドで濾過し、パッドを同様の混合溶媒で洗浄した。濾液と洗浄液を濃縮し、黄色油状/固形物質を得て、ヘキサンに溶解し、再度濾過して固体を除去した。粗生成物をシリカゲルフラッシュドライカラムクロマトグラフィー(0から5% MeOH/クロロホルム(少量のEtNを含む))で精製した。所望の生成物を無色油状物質(160mg、0.17mmol、25%)として得た。1HNMR (400 MHz, CDCl3) δ: 5.42-5.29 (m, 8H), 3.32-3.24 (m, 4H), 3.22-3.15 (m, 4H), 2.77 (t, 6.4 Hz, 4H), 2.33-2.24 (m, 8H), 2.19 (t, 4.0 Hz, 3H), 2.05 (q, 6.8 Hz, 8H), 1.67-1.56 (m, 4H), 1.56-1.40 (m, 12H), 1.40-1.10 (m, 46H), 0.92-0.85 (m, 12H). ESI-MS: C61H115N3O2 [M+H]+ の MW 計算値 922.9; 実測値 923.1.
【実施例27】
【0187】
N,N-ジデシル-8-((8-(ヘキサデシルアミノ)-8-オキソオクチル)(メチル)アミノ)オクタンアミド(化合物I-12)
【化23】
8-ブロモ-N-ヘキサデシルオクタンアミドの合成
8-ブロモヘキサン酸(1.0当量、2.53g、11.36mmol)、及び4-ジメチルアミノピリジン(0.3当量、3.41mmol、416mg)及びN-ヒドロキシコハク酸イミド(1.0当量、11.36mmol、1.31g)のDCM(20mL)混合液に、DCC(1.05当量、11.93mmol、2.46g)を加え、混合液を室温で2.5時間攪拌した。反応混合液を濾過し、ヘキサデシルアミン(1当量、11.36mmol、2.743g)を含むフラスコに供し、DCM(約20mL)で洗浄した。得られた混合液を室温で一晩攪拌した。反応混合液の濃縮後、白色固体を得た。固体をDCM(100mL)に溶解し、超音波処理して、わずかに混濁した溶液を得た。混濁溶液を、ショートシリカゲルカラムに減圧下でロードした。減圧下において、DCMとMeOH(100:0から98.75:1.25)の混合液で溶出した。所望の生成物を白色固体(4.50g、10.1mmol、89%)として得た。
【0188】
N-ヘキサデシル-8-(メチルアミノ)オクタンアミドの合成
メチルアミン(1mL、8mmol、33wt.%/無水エタノール)、8-ブロモ-N-ヘキサデシルオクタンアミド(1当量 288mg、0.61mml)及びKCO(1mmol、138mg)のEtOH(10mL)混合液を、圧力ボトル内に密封し、85℃(オイルバス)で一晩加熱した。混合液の濃縮後、残渣を、DCM、MeOH、及びEtN(90:10:0.5)の混合液に溶解し、濾過した。濾液と洗浄液を濃縮し、白色固体(228mg、0.57mmol、89%)を得て、更に精製することなく次の工程で用いた。
【0189】
I-12の合成
N-ヘキサデシル-8-(メチルアミノ)オクタンアミド(228mg)の粗生成物、無水アセトニトリル(15mL)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.33mL)及び中間体D(327mg、0.65mmol)の混合物を、圧力フラスコ中で、74℃(オイルバス)で16時間加熱した。その後、反応混合液を濃縮した。残渣を、ヘキサン、酢酸エチル及びEtN(80:20:1)の混合液に溶解し、シリカゲルパッドで濾過した。パッドを同様の混合溶媒で洗浄した。濾液と洗浄液を濃縮し、無色油状物質を得た。粗生成物を、0から5%のMeOH/クロロホルム(少量のEtNを含む)を溶離混合液として用いた、シリカゲルフラッシュドライカラムクロマトグラフィーで更に精製した。所望の生成物を無色油状物質(192mg、0.23mmol、40%)として得た。1HNMR (400 MHz, CDCl3, (7.26 ppm)) δ: 5.45 (s, 1H), 3.30-3.16 (m, 6H), 2.30-2.24 (m, 6H), 2.18 (s, 3H), 2.14 (t, 7.6 Hz, 2H), 1.67-1.57 (m, 4H), 1.54-1.37 (m, 10H), 1.37-1.16 (m, 66H), 0.91-0.86 (m, 9H). ESI-MS: C53H107N3O2 [M+H]+ の MW 計算値 818.8; 実測値 819.0.
【実施例28】
【0190】
8,8’-((8-(デシルアミノ)-8-オキソオクチル)アザンジイル)ビス(N,N-ジデシルオクタンアミド)(化合物I-33)
【化24】
I-13の合成
圧力フラスコ中の、中間体D(1.9当量、2.0g、3.98mmol)、無水アセトニトリル(25mL)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(2.08mL)の混合液に、ベンジルアミン(2.09mmol、224mg、0.23mL)を加えた。得られた混合液を、75℃(オイルバス)で一晩加熱した。その後、反応混合液を濃縮した。粗生成物をシリカゲルフラッシュドライカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc/EtN、90:10:0から80:20:1)で精製した。所望の生成物を含む画分を濃縮して、褐色油状物質(1.43g)を得て、十分な純度であったため、更に精製することなく次の工程で用いた。少量の生成物を、0から5%のMeOH/クロロホルム(少量のEtNを含む)を混合溶出溶媒として用いた、シリカゲルフラッシュドライカラムクロマトグラフィーで、分析及び試験用に更に精製した。1HNMR (400 MHz, CDCl3, (7.26 ppm)) δ: 7.33-7.18 (m, 5H), 3.52 (s, 2H), 3.31-3.24 (m, 4H), 3.22-3.14 (m, 4H), 2.41-2.33 (m, 4H), 2.29-2.21 (m, s4H), 1.61 (quin, 7.3 Hz, 4H), 1.56-1.38 (m, 12H), 1.38-1.10 (m, 68H), 0.90-0.85 (m, 12H).
【0191】
8,8’-アザンジイルビス(N,N-ジデシルオクタンアミド)(中間体H)の合成
I-13(1.18g、1.24mmol)、10% Pd/C(39mg)のメタノール(15mL)混合液を、水素条件下において室温で3日間攪拌した。反応混合液をセライトパッドで濾過し、MeOHで洗浄した。濾液を濃縮(1.092g 無色油状/固形物質)し、更に精製することなく次の工程で用いた。
【0192】
8-ブロモ-N-デシルオクタンアミド(中間体J)の合成
8-ブロモヘキサン酸(1.0当量、2.53g、11.36mmol)、及び4-ジメチルアミノピリジン(0.3当量、3.41mmol、416mg)のDCM(20mL)混合液に、N-ヒドロキシコハク酸イミド(1.0当量、11.36mmol、1.31g)を加え、続けてDCC(1.05当量、11.93mmol、2.46g)を加えた。得られた混合液を室温で2.5時間攪拌した後、混合液を濾過し、デシルアミン(1当量、11.36mmol、1.79g、2.27mL)を含むフラスコに供し、固体を更にDCM(3mL×2)で洗浄した。得られた濾液とデシルアミンの混合液を室温で一晩攪拌した。翌日、混合液を濃縮した。残渣をDCMに溶解し、シリカゲルカラムにロードした。DCM及びMeOH(100:0から97.5:2.5)の混合液をカラムに溶出した。所望の生成物を白色固体(3.447g、9.51mmol、84%)として得た。
【0193】
I-33の合成
圧力フラスコ中の、8,8’-アザンジイルビス(N,N-ジデシルオクタンアミド)(中間体H、300mg、0.35mmol)、8-ブロモ-N-デシルオクタンアミド(中間体J、1当量、0.35mmol、127mg)、無水アセトニトリル(15mL)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.12mL)、及びNaI(44mg)の混合液を、73℃(オイルバス)で一晩加熱した。その後、反応混合液を濃縮した。残渣を、ヘキサン、酢酸エチル及びEtN(80:20:1)の混合液に溶解し、シリカゲルパッドで濾過した。パッドを同様の混合溶媒で洗浄した。濾液と洗浄液を濃縮し、黄色油状物質を得た。粗生成物を、0から5%のMeOH/クロロホルム(少量のEtNを含む)を混合溶離溶媒として用いた、シリカゲルフラッシュドライカラムクロマトグラフィーで更に精製した。所望の生成物を無色油状物質(212mg、0.19mmol、53%)として得た。1HNMR (400 MHz, CDCl3, (7.26 ppm)) δ: 5.62 (br. t, 5 Hz, 1H), 3.31-3.24 (m, 4H), 3.24-3.16 (m, 6H), 2.40-2.31 (m, 6H), 2.30-2.23 (m, 4H), 2.15 (t, 7.6 Hz, 2H), 1.67-1.57 (m, 6H), 1.55-1.36 (m, 16H), 1.36-1.10 (m, 88H), 0.90-0.85 (m, 15H). ESI-MS: C74H148N4O3 [M+H]+ の MW 計算値 1142.2; 実測値 1142.2.
【実施例29】
【0194】
8,8’-((6-(ジヘキシルアミノ)-6-オキソヘキシル)アザンジイル)ビス(N,N-ジデシルオクタンアミド)(化合物I-32)
【化25】
I-32の合成
圧力フラスコ中の、6-ブロモ-N,N-ジヘキシルヘキサンアミド(1当量、0.35mmol、127mg;中間体Dと類似の方法で、6-ブロモヘキサン酸及びジヘキシルアミンから合成した)、無水アセトニトリル(15mL)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.12mL)、8,8’-アザンジイルビス(N,N-ジデシルオクタンアミド)(中間体H、300mg、0.35mmol)及びNaI(44mg)の混合液を80℃(オイルバス)で一晩加熱した。その後、反応混合液を濃縮した。残渣を、ヘキサン、酢酸エチル及びEtN(80:20:1)の混合液に溶解し、シリカゲルパッドで濾過した。パッドを同様の混合溶媒で洗浄した。濾液と洗浄液を濃縮し、黄色油状物質を得た。粗生成物を、0から5%のMeOH/クロロホルム(少量のEtNを含む)を混合溶離溶媒として用いた、シリカゲルフラッシュドライカラムクロマトグラフィーで更に精製した。所望の生成物を淡黄色油状物質(228mg、0.20mmol、57%)として得た。1HNMR (400 MHz, CDCl3 (7.26 ppm)) δ: 3.31-3.24 (m, 6H), 3.22-3.15 (m, 6H), 2.40-2.33 (m, 6H), 2.30-2.24 (m, 6H), 1.69-1.58 (m, 6H), 1.54-1.36 (m, 18H), 1.36-1.10 (m, 82H), 0.92-0.85 (m, 18H). ESI-MS: C74H148N4O3 [M+H]+ の MW 計算値 1142.2; 実測値 1142.2.
【実施例30】
【0195】
8,8’-((5-(デシルアミノ)-5-オキソペンチル)アザンジイル)ビス(N,N-ジデシルオクタンアミド)(化合物I-30)
【化26】
5-ブロモ-N-デシルペンタンアミドの合成
5-ブロモ吉草酸(1.0当量、2.06g、11.36mmol)、及び4-ジメチルアミノピリジン(0.3当量、3.41mmol、416mg)のDCM(20mL)混合液に、N-ヒドロキシコハク酸イミド(1.0当量、11.36mmol、1.31g)を加え、続けてDCC(1.05当量、11.93mmol、2.46g)を加えた。得られた混合液を室温で2.5時間攪拌した後、混合液を濾過し、デシルアミン(1当量、11.36mmol、1.79g、2.27mL)を含むフラスコに供し、固体を更にDCM(3mL×2)で洗浄した。得られた濾液及びデシルアミンの混合液を、室温で一晩攪拌した。翌日、混合液を濃縮した。残渣をDCMに溶解し、シリカゲルカラムにロードした。DCM及びMeOH(100:0から98:2)の混合液をカラムに溶出した。所望の生成物を白色固体(2.758g、8.62mmol、76%)として得た。
【0196】
I-30の合成
圧力フラスコ中の、8,8’-アザンジイルビス(N,N-ジデシルオクタンアミド)(中間体H、246mg、0.27mmol)、5-ブロモ-N-デシルペンタンアミド(130mg)、無水アセトニトリル(12mL)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.10mL)及びNaI(40mg)の混合液を、73℃(オイルバス)で一晩加熱した。反応混合液を濃縮後、残渣を、ヘキサン、酢酸エチル、MeOH及びEtN(80:20:2:1)の混合液に溶解し、シリカゲルパッドで濾過した。パッドを同様の混合溶媒で洗浄した。濾液と洗浄液を濃縮し、黄色油状物質を得た。粗生成物を、0から5%のMeOH/クロロホルム(少量のEtNを含む)を混合溶離溶媒として用いた、シリカゲルフラッシュドライカラムクロマトグラフィーで更に精製した。所望の生成物を無色油状物質(60mg)として得た。1HNMR (400 MHz, CDCl3 (7.26 ppm)) δ: 5.75 (br. t, 5 Hz, 1H), 3.33-3.13 (m, 10H), 2.41-2.32 (m, 6H), 2.27 (t, 7.6 Hz, 4H), 2.17 (t, 7.6 Hz, 2H), 1.67-1.57 (m, 6H), 1.55-1.35 (m, 16H), 1.35-1.16 (m, 82H), 0.90-0.85 (m, 15H).
【実施例31】
【0197】
6,6’-((8-(デシルアミノ)-8-オキソオクチル)アザンジイル)ビス(N,N-ジデシルヘキサンアミド)(化合物I-29)
【化27】
I-29の合成
圧力フラスコ中の、6,6’-アザンジイルビス(N,N-ジデシルヘキサンアミド)(300mg、0.37mmol;中間体Hと類似の方法で合成した)、8-ブロモ-N-デシルオクタンアミド(1当量、0.37mmol、135mg)、無水アセトニトリル(15mL)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.12mL)、及びNaI(70mg)の混合物を、73℃(オイルバス)で一晩加熱した。反応混合液を濃縮後、残渣を、ヘキサン、酢酸エチル、MeOH及びEtN(80:20:2:1)の混合液に溶解し、シリカゲルパッドで濾過した。パッドを同様の混合溶媒で洗浄した。濾液を濃縮し、洗浄して、黄色油状物質を得た。粗生成物を、シリカゲルフラッシュドライカラムクロマトグラフィー(0から5% MeOH/クロロホルム(少量のEtNを含む)を混合溶出溶媒として用いた)で更に精製した。所望の生成物を無色油状物質(254mg、薄褐色油状物質、0.23mmol、63%)として得た。1HNMR (400 MHz, CDCl3 (7.26 ppm)) δ: 5.62 (br. t, 5 Hz, 1H), 3.34-3.16 (m, 10H), 2.40-2.33 (m, 6H), 2.27 (t, 7.6 Hz, 4H), 2.15 (t, 7.6 Hz, 2H), 1.68-1.57 (m, 6H), 1.56-1.36 (m, 16H), 1.36-1.10 (m, 80H), 0.90-0.85 (m, 15H). ESI-MS: C70H140N4O3 [M+H]+ の MW 計算値 1086.1; 実測値 1086.3.
【実施例32】
【0198】
6,6’-((2-(ジヘキシルアミノ)エチル)アザンジイル)ビス(N,N-ジデシルヘキサンアミド)(化合物I-31)
【化28】
6,6’-((2-クロロエチル)アザンジイル)ビス(N,N-ジデシルヘキサンアミド)の合成
I-19(333mg、0.39mmol)を含む2mLのCHCl氷冷溶液に、塩化チオニル(200mg)を含む10mLのクロロホルム溶液をAr条件下で滴加した。SOClの添加(10分間)が完了した後、アイスバスを取り除き、反応混合液を室温で16時間攪拌した。翌日、CHC1及びSOClを減圧下で除去し、褐色油状物質を得た。残った油状物質を、ヘキサン、酢酸エチル及びEtN(約80:20:1)の混合液に溶解し、シリカゲルパッドで濾過した。パッドを同様の混合溶媒で洗浄した。濾液と洗浄液を濃縮し、黄色油状物質(282mg、0.325mmol、83%)を得た。生成物を、更に精製することなく次の工程で用いた。
【0199】
I-31の合成
6,6’-((2-クロロエチル)アザンジイル)ビス(N,N-ジデシルヘキサンアミド)(282mg、0.33mmol)、ジヘキシルアミン(5当量 1.6mmol、1.066g)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(2当量、0.66mmol、85mg、0.11mL;MW 129.25、d 0.742)、及びヨウ化ナトリウム(60mg)のアセトニトリル(10mL)混合液を密封し、76℃で24時間加熱した。反応混合液を濃縮後、残渣を、ヘキサン、酢酸エチル、MeOH及びEtN(80:20:1:1)の混合液に溶解し、シリカゲルパッドで濾過した。パッドを同様の混合溶媒で洗浄した。濾液と洗浄液を濃縮し、黄色油状物質を得た。黄色油状物質を、室温にて塩化アセチル及びEtNのDCM溶液で処理し、未反応のジヘキシルアミンをアミドに変換した。DCMを除去した後、粗生成物をシリカゲルフラッシュドライカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル/EtN、9:1から80:20:1;0から5% MeOH/クロロホルム(少量のEtNを含む))で精製した。粗生成物を無色油状物質(256mg、無色油状物質、0.25mmol、76%)として得た。1HNMR (400 MHz, CDCl3 (7.26 ppm)) δ: 3.31-3.24 (m, 4H), 3.23-3.15 (m, 4H), 2.50 (s, 4H), 2.45-2.36 (m, 8H), 2.27 (t, 7.6 Hz, 4H), 1.64 (quin, 7.6 Hz, 4H), 1.59-1.36 (m, 16H), 1.36-1.10 (m, 72H), 0.92-0.84 (m, 18H). ESI-MS: C66H134N4O2 [M+H]+ の MW 計算値 1016.1; 実測値 1016.2.
【実施例33】
【0200】
10,10’-((2-(ジメチルアミノ)エチル)アザンジイル)ビス(N,N-ジデシルデカンアミド)(化合物I-28)
【化29】
10,10’-((2-クロロエチル)アザンジイル)ビス(N,N-ジデシルデカンアミド)の合成
I-20(293mg、0.30mmol)を含む2mLのCHCl氷冷溶液に、塩化チオニル(1.17mmol、139mg、0.085mL)を含む10mLのクロロホルム溶液を滴加した。SOClの添加(10分間)が完了した後、アイスバスを取り除き、反応混合液を室温で16時間攪拌した。翌日、CHCl及びSOClを減圧下で除去し、褐色油状物質を得た。残った油状物質を、ヘキサン、酢酸エチル、及びEtN(約80:20:1)の混合液に溶解し、シリカゲルパッドで濾過した。パッドを同様の混合溶媒で洗浄した。濾液と洗浄液を濃縮し、黄色油状物質(278mg、0.28mmol、95%)を得た。生成物を、更に精製することなく次の工程で用いた。
【0201】
I-28の合成
10,10’-((2-クロロエチル)アザンジイル)ビス(N,N-ジデシルデカンアミド)(278mg、0.28mmol)、ジメチルアミン(2M/THF、10mL)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.66mmol)の混合物を、密封した圧力フラスコ中で、75℃で24時間加熱した。反応混合液を濃縮した後、残渣を、ヘキサン、酢酸エチル、MeOH及びEtN(80:20:1:1)の混合液に溶解し、シリカゲルパッドで濾過した。パッドを同様の混合溶媒で洗浄した。濾液と洗浄液を濃縮し、黄色油状物質を得た。粗生成物をシリカゲルフラッシュドライカラムクロマトグラフィー(0から5% MeOH/クロロホルム(少量のEtNを含む))で精製した。所望の生成物を無色油状物質(244mg、淡黄色油状物質、0.25mmol、76%)として得た。1HNMR (400 MHz, CDCl3 (7.26 ppm)) δ: 3.31-3.25 (m, 4H), 3.22-3.15 m, 4H), 2.56-2.551 (m, 2H), 2.43-2.33 (m, 6H), 2.26 (t, 7.6 Hz, 4H), 2.23 (s, 6H), 1.67-1.59 (m, 4H), 1.56-1.45 (m, 8H), 1.45-1.36 (m, 4H), 1.36-1.15 (m, 76H), 0.90-0.85 (m, 12H). ESI-MS: C64H130N4O2 [M+H]+ の MW 計算値 988.0; 実測値 988.1.
【実施例34】
【0202】
2-ブチルオクチル 6-(ビス(6-(ジオクチルアミノ)-6-オキソヘキシル)アミノ)ヘキサノエート(化合物I-34)
【化30】
I-34の合成
2-ブチルオクチル-6-アミノヘキサノエート(0.76mmol、228mg;2-ブチル-1-オクタノール及び6-アミノカプロン酸から合成した;純度80%未満)、6-ブロモ-N,N-ジオクチルヘキサンアミド(中間体A、1.44mmol、603mg)、無水アセトニトリル(15mL)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.4mL)の混合液を、密封した圧力フラスコ中で、80℃で16時間加熱した。反応混合液を濃縮した後、残渣を、ヘキサン、酢酸エチル、及びEtN(80:20:1)の混合液に溶解し、シリカゲルパッドで濾過した。パッドを同様の混合溶媒で洗浄した。濾液と洗浄液を濃縮し、黄色油状物質を得た。粗生成物をシリカゲルフラッシュドライカラムクロマトグラフィー(0から5% MeOH/クロロホルム(少量のEtNを含む))で精製した。所望の生成物を無色油状物質(172mg、無色油状物質、0.18mmol、25%)として得た。1HNMR (400 MHz, CDCl3 (7.26 ppm)) δ: 3.97 (d, 5.8 Hz, 2H), 3.33-3.24 (m, 4H), 3.24-3.15 (m, 4H), 3.02-2.91 (br., 1H), 2.42 (m, 5H), 2.33-2.25 (m, 6H), 1.86-1.74 (br. 1H), 1.70-1.36 (m, 20H), 1.36-1.16 (m, 62H), 0.91-0.85 (m, 18H).
【実施例35】
【0203】
6,6’-((4-ヒドロキシブチル)アザンジイル)ビス(N,N-ビス(2-エチルヘキシル)ヘキサンアミド)(化合物I-27)
【化31】
I-27の合成
ビス-(2-エチルヘキシル)アミン(7.5g)及び6-ブロモ塩化ヘキサノイル(6.1g)のジクロロメタン(60mL)溶液をトリエチルアミン(6mL)で処理し、2時間攪拌した。溶液を希塩酸で洗浄した。有機画分を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、溶媒を除去した。極性不純物を除去するために、粗生成物を、ジクロロメタンを用いてシリカゲルカラムに通した。得られた生成物(3g)のTHF溶液を、4-アミノブタン-1-オール(0.22g)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(1mL)で処理した。反応液を3日間還流し、その後、希塩酸とジクロロメタンで分液した。有機画分から溶媒を除去し、残渣を、メタノール/ジクロロメタンのグラジエント溶離液を用いて、シリカゲル(55g)カラムに通過させ、I-27(1.6g)を得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3 (7.26 ppm)): 3.57-4.49 (m, 2H), 3.33-3.18 (m, 4H) 3.12 (d, 7.4 Hz, 4H), 2.47-2.26 (m, 10H), 1.74-1.12 (m, 52H), 0.93-0.81 (m, 24H). ESI-MS: C48H97N3O3 [M+H]+ の MW 計算値 764.8; 実測値 764.8.
【実施例36】
【0204】
8,8’-((2-ヒドロキシエチル)アザンジイル)ビス(N,N-ジドデシルオクタンアミド)(化合物I-37)
化合物I-37を、実施例13に記載の一般的な手順に従って調製し、所望の生成物を無色油状物質(148mg、0.15mmol、32%)として得た。1HNMR (400 MHz, CDCl3 (7.26 ppm)) δ: 3.51 (t, 5.0 Hz, 2H), 3.30-3.25 (m, 4H), 3.22-3.16 (m, 4H), 2.56 (t, 5.3 Hz, 2H), 2.42 (t, 7.4 Hz, 4H), 2.27 (t, 7.6 Hz, 4H), 1.68-1.38 (m, 16H), 1.36-1.15 (84H), 0.90-0.86 (m, 12H). ESI-MS: C66H133N3O3 [M+H]+ の MW 計算値 1017.0; 実測値 1017.1.
【実施例37】
【0205】
6,6’-((6-ヒドロキシヘキシル)アザンジイル)ビス(N,N-ジドデシルヘキサンアミド)(化合物I-38)
化合物I-38を、実施例13に記載の一般的な手順に従って調製し、所望の生成物を無色油状物質(259mg、0.25mmol、51%)として得た。1HNMR (400 MHz, CDCl3 (7.26 ppm)) δ: 3.67-3.61 (m, 2H), 3.28 (t, 7.6 Hz, 4H), 3.19 (t, 7.7 Hz, 4H), 2.41-2.35 (m, 6H), 2.27 (t, 7.5 Hz, 4H), 1.64 (quin, 7.6 Hz, 4H), 1.60-1.40 (m, 16H), 1.40-1.10 (m, 80H), 0.90-0.85 (m, 12H). ESI-MS: C66H133N3O3 [M+H]+ の MW 計算値 1017.0; 実測値 1017.4.
【実施例38】
【0206】
N,N-ジデシル-8-((8-(ヘキサデシル(メチル)アミノ)-8-オキソオクチル)(メチル)アミノ)オクタンアミド(化合物I-39)
化合物I-39を、実施例27に記載の一般的な手順に従って調製し、所望の生成物を無色油状物質(152mg、0.18mmol、46%)として得た。1HNMR (400 MHz, CDCl3 (7.26 ppm)) δ: 3.36-3.16 (m, 6H), 2.96, 2.90 (2組のシングレット, 3H), 2.31-2.24 (m, 8H), 2.18 (s, 3H), 1.68-1.58 (m, 4H), 1.56-1.38 (m, 10H), 1.38-1.18 (m, 66H), 0.91-0.86 (m, 9H). ESI-MS: C54H109N3O3 [M+H]+ の MW 計算値 832.8; 実測値 832.8.
【実施例39】
【0207】
8,8’-(メチルアザンジイル)ビス(N,N-ジドデシルオクタンアミド)(化合物I-40)
化合物I-40を、実施例10に記載の一般的な手順に従って調製し、所望の生成物を無色油状物質(235mg、0.24mmol、53%)として得た。1HNMR (400 MHz, CDCl3 (7.26 ppm)) δ: 3.28 (t, 7.6 Hz, 4H), 3.19 (t, 7.7 Hz, 4H), 2.30-2.24 (m, 8H), 2.18 (s, 3H), 1.63 (quin, 7.6 Hz, 4H), 1.57-1.43 (m, 12H), 1.37-1.10 (m, 84H), 0.90-0.86 (m, 12H). ESI-MS: MW for C65H131N3O2 [M+H]+ 計算値 987.0; 実測値 987.4.
【実施例40】
【0208】
8,8’-((3-ヒドロキシプロピル)アザンジイル)ビス(N,N-ジデシルオクタンアミド)(化合物I-41)
化合物I-41を、実施例13に記載の一般的な手順に従って調製し、所望の生成物(100mg、22%)を得た。1HNMR (400 MHz, CDCl3 (7.26 ppm)) δ: 3.78 (t, J = 5.1 Hz, 2H), 3.32 - 3.23 (m, 4H), 3.23 - 3.15 (m, 4H), 2.64 (t, J = 5.6 Hz, 2H), 2.44 - 2.36 (m, 4H), 2.31 - 2.22 (m, 4H), 1.65 (dp, J = 22.1, 6.3 Hz, 6H), 1.58 - 1.40 (m, 12H), 1.38 - 1.18 (m, 70H), 0.88 (td, J = 6.8, 3.0 Hz, 12H). ESI-MS: C59H119N3O3 [M+H]+ の MW 計算値 918.9; 実測値 919.3.
【実施例41】
【0209】
8,8’-((2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチル)アザンジイル)ビス(N,N-ジデシルオクタンアミド)(化合物I-42)
【化32】
I-42の合成
中間体D(1.2mmol、600mg)、2-(2-アミノエトキシ)エタン-1-オール(0.74mmol、78mg)、及びDIEA(3.0mmol、0.52mL)のACN(7mL)混合液を、72℃で48時間加熱した。反応混合液を濃縮し、粗生成物を自動フラッシュクロマトグラフィー(5%から60% EtOAc/ヘキサン(1% EtNを含む))で精製し、化合物I-42(200mg、35%)を得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 3.68 (m, 3.0 Hz, 2H), 3.63 - 3.57 (m, 4H), 3.32 - 3.23 (m, 4H), 3.23 - 3.14 (m, 4H), 2.62 (t, J = 5.4 Hz, 2H), 2.49 - 2.41 (m, 4H), 2.30 - 2.22 (m, 4H), 1.61 (m, 4H), 1.48 (m, 12H), 1.38 - 1.23 (m, 68H), 0.88 (m, 12H). ESI-MS: C60H121N3O4 [M+H]+ の MW 計算値 948.9; 実測値 949.4.
【実施例42】
【0210】
8,8’-((5-ヒドロキシ-4,4-ジメチルペンチル)アザンジイル)ビス(N,N-ジデシルオクタンアミド)(化合物I-43)
【化33】
I-43の合成
中間体D(1.2mmol、600mg)、5-アミノ-4,4-ジメチルペンタン-1-オール(0.74mmol、97mg)、及びDIEA(3.0mmol、0.52mL)のACN(7mL)混合液を、72℃で48時間加熱した。反応混合液を濃縮し、粗生成物を自動フラッシュクロマトグラフィー(5%から60% EtOAc/ヘキサン(1% EtNを含む))で精製し、化合物I-43(280mg、48%)を得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 3.31 - 3.23 (m, 6H), 3.22 - 3.12 (m, 4H), 2.41 - 2.30 (m, 6H), 2.30 - 2.22 (m, 4H), 1.71 - 1.58 (m, 4H), 1.56 - 1.46 (m, 5H), 1.44 - 1.36 (m, 3H), 1.36 - 1.17 (t, 74H), 0.98 - 0.81 (m, 18H). ESI-MS: C63H127N3O3 [M+H]+ の MW 計算値 975.0; 実測値 975.4.
【実施例43】
【0211】
8,8’-((3-(2-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)アザンジイル)ビス(N,N-ジデシルオクタンアミド)(化合物I-44)
【化34】
I-44の合成
中間体D(1.2mmol、600mg)、3-(2-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)プロパン-1-アミン(0.74mmol、103mg)、及びDIEA(3.0mmol、0.52mL)のACN(7mL)混合液を、72℃で48時間加熱した。反応混合液を濃縮し、粗生成物を自動フラッシュクロマトグラフィー(5%から100% EtOAc/ヘキサン(1% EtNを含む))で精製した。自動フラッシュクロマトグラフィー(c18カラム、50%から100% MeOH/水(1% TFAを含む))を用いた2回目の精製によって、純粋な化合物I-44(60mg、10%)を得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 6.90 (s, 1H), 6.82 (s, 1H), 3.87 (t, J = 7.2 Hz, 2H), 3.34 - 3.24 (m, 4H), 3.23 - 3.11 (m, 4H), 2.43 - 2.34 (m, 8H), 2.31 - 2.23 (m, 4H), 1.89 - 1.77 (m, 3H), 1.67 - 1.59 (m, 4H), 1.58 - 1.45 (m, 8H), 1.45 - 1.18 (m, 72H), 0.94 - 0.83 (m, 12H). ESI-MS: C63H123N5O2 [M+H]+ の MW 計算値 983.0; 実測値 983.4.
【実施例44】
【0212】
8,8’-((7-ヒドロキシへプチル)アザンジイル)ビス(N,N-ジデシルオクタンアミド)(化合物I-45)
化合物I-45を、実施例13に記載の一般的な手順に従って調製し、所望の生成物(320mg、55%)を得た。1HNMR (400 MHz, CDCl3 (7.26 ppm)) δ: 6.90 (s, 1H), 6.82 (s, 1H), 3.87 (t, J = 7.2 Hz, 2H), 3.33 - 3.22 (m, 4H), 3.23 - 3.13 (m, 4H), 2.42 - 2.34 (m, 8H), 2.33 - 2.20 (m, 4H), 1.90 - 1.76 (m, 2H), 1.66 - 1.59 (m, 4H), 1.57 - 1.45 (m, 8H), 1.45 - 1.13 (m, 71H), 0.88 (m, 12H). ESI-MS: C63H127N3O3 [M+H]+ の MW 計算値 975.0; 実測値 975.4.
【実施例45】
【0213】
8,8’-((2-(2-メトキシエトキシ)エチル)アザンジイル)ビス(N,N-ジデシルオクタンアミド)(化合物I-46)
【化35】
I-46の合成
中間体D(1.2mmol、600mg)、2-(2-メトキシエトキシ)エタン-1-アミン(0.74mmol、89mg)、及びDIEA(3.0mmol、0.52mL)のACN(7mL)混合液を、72℃で48時間加熱した。反応混合液を濃縮し、粗生成物を自動フラッシュクロマトグラフィー(5%から60% EtOAc/ヘキサン(1% EtNを含む))で精製し、化合物I-46(333mg、58%)を得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 3.65 - 3.60 (m, 2H), 3.59 - 3.51 (m, 4H), 3.40 (s, 3H), 3.33 - 3.26 (m, 4H), 3.25 - 3.18 (m, 4H), 2.67 (t, J = 6.7 Hz, 2H), 2.48 - 2.39 (m, 4H), 2.33 - 2.25 (m, 4H), 1.68 - 1.61 (m, 4H), 1.59 - 1.48 (m, 8H), 1.48 - 1.40 (m, 3H), 1.37 - 1.24 (m, 69H), 0.95 - 0.85 (m, 12H). ESI-MS: C61H123N3O4 [M+H]+ の MW 計算値 963.0; 実測値 963.4.
【実施例46】
【0214】
8,8’-((8-ヒドロキシオクチル)アザンジイル)ビス(N,N-ジデシルオクタンアミド)(化合物I-47)
化合物I-47を、実施例13に記載の一般的な手順に従って調製し、所望の生成物(320mg、54%)を得た。1HNMR (600 MHz, CDCl3 (7.26 ppm)) δ: 3.65 (t, J = 6.7 Hz, 2H), 3.32 - 3.27 (m, 4H), 3.23 - 3.18 (m, 4H), 2.41 - 2.34 (m, 6H), 2.32 - 2.25 (m, 4H), 1.68 - 1.62 (m, 4H), 1.60 - 1.48 (m, 10H), 1.47 - 1.39 (m, 6H), 1.38 - 1.23 (m, 76H), 0.96 - 0.84 (m, 12H). ESI-MS: C64H129N3O3 [M+H]+ の MW 計算値 989.0; 実測値 989.5.
【実施例47】
【0215】
8,8’-((3-(1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)アザンジイル)ビス(N,N-ジデシルオクタンアミド)(化合物I-48)
【化36】
I-48の合成
中間体D(1.2mmol、600mg)、3-(1H-イミダゾール-1-イル)プロパン-1-アミン(0.74mmol、93mg)、及びDIEA(3.0mmol、0.52mL)のACN(7mL)混合液を、72℃で48時間加熱した。反応混合液を濃縮し、粗生成物を自動フラッシュクロマトグラフィー(5%から100% EtOAc/ヘキサン(1% EtNを含む))で精製し、化合物I-48(82mg、14%)を得た。1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ 7.48 (s, 1H), 7.07 (s, 1H), 6.93 (s, 1H), 4.00 (t, J = 7.0 Hz, 2H), 3.30 (t, J = 7.7 Hz, 4H), 3.21 (t, J = 7.8 Hz, 4H), 2.41 - 2.34 (m, 6H), 2.29 (t, J = 7.6 Hz, 4H), 1.92 - 1.87 (m, 2H), 1.69 - 1.61 (m, 4H), 1.59 - 1.47 (m, 8H), 1.41 - 1.22 (m, 74H), 0.93 - 0.87 (m, 12H). ESI-MS: C62H121N5O2 [M+H]+ の MW 計算値 969.0; 実測値 969.1.
【実施例48】
【0216】
8,8’-((2,2-ジフルオロ-3-ヒドロキシプロピル)アザンジイル)ビス(N,N-ジデシルオクタンアミド)(化合物I-49)
【化37】
I-49の合成
中間体D(1.0mmol、500mg)、3-アミノ-2,2-ジフルオロプロパン-1-オール(0.62mmol、69mg)、及びDIEA(3.0mmol、0.43mL)のACN(6mL)混合液を、72℃で48時間加熱した。反応混合液を濃縮し、粗生成物を自動フラッシュクロマトグラフィー(5%から60% EtOAc/ヘキサン(1% EtNを含む))で精製し、化合物I-49(55mg、12%)を得た。1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ 4.87 (s, 1H), 3.88 (t, J = 12.1 Hz, 2H), 3.33 - 3.27 (m, 4H), 3.24 - 3.18 (m, 4H), 2.96 (t, J = 12.7 Hz, 2H), 2.56 - 2.51 (m, 4H), 2.32 - 2.26 (m, 4H), 1.68 - 1.61 (m, 6H), 1.59 - 1.42 (m, 12H), 1.39 - 1.23 (m, 70H), 0.93 - 0.87 (m, 12H). ESI-MS: C59H117F2N3O3 [M+H]+ の MW 計算値 954.9; 実測値 955.1.
【実施例49】
【0217】
8,8’-((3-((2-(メチルアミノ)-3,4-ジオキソシクロブタ-1-エン-1-イル)アミノ)プロピル)アザンジイル)ビス(N,N-ジデシルオクタンアミド)(化合物I-50)
【化38】
tert-ブチル(3-(ビス(8-(ジデシルアミノ)-8-オキソオクチル)アミノ)プロピル)カルバメートの合成
中間体D(1.60mmol、800mg)、tert-ブチル(3-アミノプロピル)カルバメート(0.99mmol、173mg)、及びDIEA(4.0mmol、0.7mL)のACN(10mL)混合液を、72℃で48時間加熱した。反応混合液を濃縮し、粗生成物を自動フラッシュクロマトグラフィー(5%から60% EtOAc/ヘキサン(1% EtN))で精製し、化合物tert-ブチル(3-(ビス(8-(ジデシルアミノ)-8-オキソオクチル)アミノ)プロピル)カルバメート(388mg、48%)を得た。
【0218】
8,8’-((3-アミノプロピル)アザンジイル)ビス(N,N-ジデシルオクタンアミド)の合成
tert-ブチル(3-(ビス(8-(ジデシルアミノ)-8-オキソオクチル)アミノ)プロピル)カルバメート(0.38mmol、385mg)及びTFA(1.0mL)のDCM(2.0mL)混合液を、室温で90分間攪拌した。反応混合液を濃縮し、粗生成物をEtOAcと飽和NaHCOで分液し、化合物8,8’-((3-アミノプロピル)アザンジイル)ビス(N,N-ジデシルオクタンアミド)(385mg、定量的)を得て、更に精製することなく次の工程で用いた。
【0219】
3-メトキシ-4-(メチルアミノ)シクロブタ-3-エン-1,2-ジオンの合成
3,4-ジメトキシシクロブタ-3-エン-1,2-ジオン(7.0mmol、1g)及び2M メチルアミン/THF(7.7mmol、3.9mL)のジエチルエーテル(100mL)混合液を、室温で19時間攪拌した。固体を濾過し、ジエチルエーテルで洗浄した。固体粗生成物を熱EtOAc中でトリチュレーションし、5℃まで冷却し、その後濾過し、冷却EtOAcで洗浄し、3-メトキシ-4-(メチルアミノ)シクロブタ-3-エン-1,2-ジオン(700mg、71%)を得た。
【0220】
I-50の合成
8,8’-((3-アミノプロピル)アザンジイル)ビス(N,N-ジデシルオクタンアミド)(0.11mmol、100mg)及び3-メトキシ-4-(メチルアミノ)シクロブタ-3-エン-1,2-ジオン(0.11mmol、15mg)のエタノール(5mL)混合液を、室温で19時間攪拌し、その後50℃で19時間加熱した。反応混合液を濃縮し、粗生成物を自動フラッシュクロマトグラフィー(5%から100% EtOAc/ヘキサン(1% EtNを含む)、その後、2% MeOH/DCM)で精製した。自動フラッシュクロマトグラフィー(1%から10% MeOH/DCM)を用いた2回目の精製によってI-50(32mg、28%)を得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.22 (bs, 0.5H), 7.60 (bs, 0.5H), 3.70 (bs, 2H), 3.33 - 3.23 (m, 7H), 3.23 - 3.14 (m, 4H), 2.96 (bs, 2H), 2.80 (bs, 4H), 2.28 (t, J = 7.4 Hz, 4H), 1.98 (bs, 2H), 1.66 - 1.45 (m, 16H), 1.40 - 1.20 (m, 67H). 0.92 - 0.83 (m, 12H). ESI-MS: C64H123N5O4 [M+H]+ の MW 計算値 1027.0; 実測値 1027.1.
【実施例50】
【0221】
8,8’-((2-フルオロ-3-ヒドロキシプロピル)アザンジイル)ビス(N,N-ジデシルオクタンアミド)(化合物I-51)
【化39】
I-51の合成
中間体D(1.0mmol、500mg)、3-アミノ-2-フルオロプロパン-1-オール塩酸塩(0.62mmol、80mg)、及びDIEA(3.1mmol、0.54mL)のACN(6mL)混合液を72℃で24時間加熱し、その後55℃で72時間加熱した。反応混合液を濃縮し、粗生成物を自動フラッシュクロマトグラフィー(5%から60% EtOAc/ヘキサン(1% EtNを含む))で精製し、化合物I-51(45mg、10%)を得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 4.60 (dt, J = 46.8, 4.8 Hz, 1H), 3.92 - 3.80 (m, 2H), 3.35 - 3.24 (m, 4H), 3.24 - 3.12 (m, 4H), 2.85 - 2.72 (m, 2H), 2.53 - 2.37 (m, 4H), 2.31 - 2.23 (m, 4H), 1.67 - 1.40 (m, 20H), 1.38 - 1.19 (m, 66H), 0.94 - 0.82 (m, 12H). ESI-MS: C59H118FN3O3 [M+H]+ の MW 計算値 936.9; 実測値 937.0.
【実施例51】
【0222】
8,8’-((3,3,3-トリフルオロ-2-(ヒドロキシメチル)プロピル)アザンジイル)ビス(N,N-ジデシルオクタンアミド)(化合物I-52)
【化40】
I-52の合成
中間体D(1.0mmol、500mg)、2-(アミノメチル)-3,3,3-トリフルオロプロパン-1-オール(0.62mmol、111mg)及びDIEA(2.4mmol、0.43mL)のACN(6mL)混合液を72℃で24時間加熱し、その後、55℃で72時間加熱した。反応混合液を濃縮し、粗生成物を自動フラッシュクロマトグラフィー(5%から60% EtOAc/ヘキサン(1% EtNを含む))で精製し、化合物I-52(100mg、20%)を得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 5.88 (s, 1H), 4.01 - 3.92 (m, 1H), 3.89 - 3.78 (m, 1H), 3.33 - 3.24 (m, 4H), 3.23 - 3.15 (m, 4H), 2.91 - 2.73 (m, 2H), 2.69 - 2.50 (m, 3H), 2.34 - 2.21 (m, 6H), 1.69 - 1.39 (m, 20H), 1.38 - 1.21 (m, 68H), 0.95 - 0.84 (m, 12H). ESI-MS: C60H118F3N3O3 [M+H]+ の MW 計算値 986.9; 実測値 987.0.
【実施例52】
【0223】
8,8’-((5-メトキシペンチル)アザンジイル)ビス(N,N-ジデシルオクタンアミド)(化合物I-53)
【化41】
I-53の合成
中間体D(0.80mmol、400mg)、5-メトキシペンタン-1-アミン(0.50mmol、58mg)、及びDIEA(2.0mmol、0.35mL)のACN(6mL)混合液を72℃で24時間加熱し、その後、55℃で72時間加熱した。反応混合液を濃縮し、粗生成物を自動フラッシュクロマトグラフィー(5%から60% EtOAc/ヘキサン(1% EtNを含む))で精製し、化合物I-53(210mg、55%)を得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 3.36 (t, J = 6.6 Hz, 2H), 3.32 (s, 3H), 3.30 - 3.25 (m, 4H), 3.22 - 3.16 (m, 4H), 2.41 - 2.32 (m, 6H), 2.31 - 2.22 (m, 4H), 1.67 - 1.37 (m, 23H), 1.36 - 1.19 (m, 69H), 0.91 - 0.85 (m, 12H). ESI-MS: C62H125N3O3 [M+H]+ の MW 計算値 961.0; 実測値 961.1.
【実施例53】
【0224】
N,N-ジデシル-8-((8-(ジオクチルアミノ)-8-オキソオクチル)(メチル)アミノ)オクタンアミド(化合物I-55)
【化42】
8-(メチルアミノ)-N,N-ジオクチルオクタンアミドの合成
8-ブロモ-N,N-ジオクチルオクタンアミド(5.8mmol、2.6g)及び8M メチルアミン/EtOH(30mL)のACN(12mL)混合液を70℃で19時間攪拌した。反応混合液を濃縮し、粗生成物を自動フラッシュクロマトグラフィー(5%から100% EtOAc/ヘキサン、その後、1%から10% MeOH/DCM)で精製し、化合物8-(メチルアミノ)-N,N-ジオクチルオクタンアミド(1.91g、83%)を得た。
【0225】
I-55の合成
8-(メチルアミノ)-N,N-ジオクチルオクタンアミド(3.4mmol、1.3g)、中間体D(3.4mmol、1.7g)、及びDIEA(13.8mmol、2.4mL)のACN(120mL)混合液を70℃で19時間加熱した。反応混合液を濃縮し、粗生成物を自動フラッシュクロマトグラフィー(5%から60% EtOAc/ヘキサン(1% EtNを含む))で精製し、化合物I-55(1.38g、50%)を得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 3.34 - 3.26 (m, 4H), 3.25 - 3.17 (m, 4H), 2.34 - 2.25 (m, 8H), 2.21 (s, 3H), 1.70 - 1.61 (m, 6H), 1.60 - 1.41 (m, 12H), 1.39 - 1.23 (m, 59H), 0.95 - 0.85 (m, 12H). ESI-MS: C53H107N3O2 [M+H]+ の MW 計算値 818.8; 実測値 819.0.
【実施例54】
【0226】
tert-ブチル (3-(ビス(10-(ジデシルアミノ)-10-オキソデシル)アミノ)プロピル)カルバメート(化合物I-56)
【化43】
I-56の合成
10-ブロモ-N,N-ジデシルデカンアミド(実施例5に記載の一般的な手順に従って調製、1.5mmol、800mg)、tert-ブチル (3-アミノプロピル)カルバメート(0.93mmol、162mg)、及びDIEA(4.5mmol、0.78mL)のACN(10mL)混合液を、70℃で48時間攪拌した。反応混合液を濃縮し、粗生成物を自動フラッシュクロマトグラフィー(5%から65% EtOAc/ヘキサン(1% EtNを含む))で精製し、I-56(555mg、69%)を得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 5.72 (bs, 1H), 3.32 - 3.24 (m, 4H), 3.23 - 3.14 (m, 6H), 2.44 (t, J = 6.4 Hz, 2H), 2.31 - 2.23 (m, 4H), 2.31 - 2.23 (m, 4H), 1.67 - 1.58 (m, 9H), 1.57 - 1.47 (m, 3H), 1.47 - 1.37 (m, 12H), 1.35 - 1.19 (m, 77H), 0.92 - 0.83 (m, 12H). ESI-MS: C68H136N4O4 [M+H]+ の MW 計算値 1074.1; 実測値 1074.2.
【実施例55】
【0227】
10,10’-((3-(1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)アザンジイル)ビス(N,N-ジデシルデカンアミド)(化合物I-57)
【化44】
I-57の合成
10-ブロモ-N,N-ジデシルデカンアミド(実施例5に記載の一般的な手順に従って調製、1.1mmol、600mg)、3-(1H-イミダゾール-1-イル)プロパン-1-アミン(0.68mmol、88mg)、及びDIEA(3.3mmol、0.57mL)のACN(7mL)混合液を、70℃で48時間加熱した。反応混合液を濃縮し、粗生成物を自動フラッシュクロマトグラフィー(5%から100% EtOAc/ヘキサン(1% EtNを含む))で精製した。逆相(C18)自動フラッシュクロマトグラフィー(50%から100% MeOH/水)による2回目の精製によって化合物I-57(45mg、8%)を得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.52 (bs, 1H), 7.06 (s, 1H), 6.92 (s, 1H), 4.00 (t, J = 7.0 Hz, 2H), 3.32 - 3.24 (m, 4H), 3.22 - 3.15 (m, 4H), 2.38 (bs, 6H), 2.31 - 2.21 (m, 4H), 1.90 (bs, 2H), 1.73 - 1.57 (m, 8H), 1.57 - 1.45 (m, 8H), 1.43 - 1.16 (m, 81H), 0.95 - 0.81 (m, 12H). ESI-MS: C66H129N5O2 [M+H]+ の MW 計算値 1025.0; 実測値 1025.1.
【実施例56】
【0228】
8,8’-(メチルアザンジイル)ビス(N,N-ジノニルオクタンアミド)(化合物I-58)
化合物I-58を、実施例5に記載の一般的な手順に従って調製し、所望の生成物(1.78g、59%)を得た。1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ 3.33 - 3.27 (m, 4H), 3.24 - 3.18 (m, 4H), 2.33 - 2.26 (m, 8H), 2.21 (s, 3H), 1.69 - 1.61 (m, 7H), 1.59 - 1.42 (m, 12H), 1.39 - 1.21 (m, 61H), 0.94 - 0.86 (m, 12H). ESI-MS: C53H107N3O2 [M+H]+ の MW 計算値 818.8; 実測値 819.0.
【実施例57】
【0229】
tert-ブチル (3-(ビス(10-(ジデシルアミノ)-10-オキソデシル)アミノ)プロピル)カルバメート(化合物I-59)
【化45】
N,N-ジデシル-8-(メチルアミノ)オクタンアミドの合成
中間体D(6.3mmol、2.8g)及び8M メチルアミン/EtOH(30mL)のACN(12mL)混合液を、70℃で19時間加熱した。反応混合液を濃縮し、粗生成物を自動フラッシュクロマトグラフィー(5%から100% EtOAc/ヘキサン、その後、1%から10% MeOH/DCM)で精製し、N,N-ジデシル-8-(メチルアミノ)オクタンアミド(2.24g、79%)を得た。
【0230】
I-59の合成
N,N-ジデシル-8-(メチルアミノ)オクタンアミド(3.3mmol、1.5g)、8-ブロモ-N,N-ジノニルオクタンアミド(実施例5に記載の一般的な手順に従って調製、3.3mmol、1.6g)、及びDIEA(13.2mmol、2.3mL)のACN(10mL)混合液を、70℃で19時間加熱した。反応混合液を濃縮し、粗生成物を自動フラッシュクロマトグラフィー(5%から60% EtOAc/ヘキサン(1% EtNを含む))で精製し、化合物I-59(1.5g、53%)を得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 3.34 - 3.26 (m, 4H), 3.25 - 3.17 (m, 4H), 2.34 - 2.24 (m, 8H), 2.21 (s, 3H), 1.75 - 1.59 (m, 4H), 1.61 - 1.41 (m, 12H), 1.38 - 1.23 (m, 66H), 0.95 - 0.86 (m, 12H). ESI-MS: C55H111N3O2 [M+H]+ の MW 計算値 846.9; 実測値 847.1.
【実施例58】
【0231】
10,10’-((3-((2-(メチルアミノ)-3,4-ジオキソシクロブタ-1-エン-1-イル)アミノ)プロピル)アザンジイル)ビス(N,N-ジデシルデカンアミド)(化合物I-60)
【化46】
中間体Kの合成
I-56(0.42mmol、455mg)及びTFA(2.0mL)のDCM(1.0mL)混合液を室温で2時間攪拌した。反応混合液を濃縮し、粗生成物をEtOAcと飽和NaHCOで分液し、10,10’-((3-アミノプロピル)アザンジイル)ビス(N,N-ジデシルデカンアミド)(中間体K、369mg、90%)を得て、更に精製することなく次の工程で用いた。
【0232】
I-60の合成
中間体K(0.1mmol、100mg)及び3-メトキシ-4-(メチルアミノ)シクロブタ-3-エン-1,2-ジオン(実施例49の一般的な手順に従って調製した、0.5mmol、75mg)のEtOH(1.0mL)混合液を、80℃で5時間加熱した。反応混合液を濃縮し、粗生成物を自動フラッシュクロマトグラフィー(50%から100% EtOAc/ヘキサン(1% EtNを含む)、その後、2%から10% MeOH/DCM)で精製し、I-60(27mg、25%)を得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.15 - 6.86 (bs, 1H), 3.68 (bs, 2H), 3.33 - 3.18 (m, 11H), 2.58 (t, J = 6.7 Hz, 2H), 2.46 (t, J = 7.6 Hz, 4H), 2.30 (t, J = 7.6 Hz, 4H), 2.05 - 1.73 (m, 6H), 1.71 - 1.41 (m, 18H), 1.38 - 1.20 (m, 79H), 0.96 - 0.83 (m, 12H). ESI-MS: C68H131N5O4 [M+H]+ の MW 計算値 1083.0; 実測値 1083.1.
【実施例59】
【0233】
【化47】
中間体1-1及び中間体1-2の一般的な調製手順
CO(1.0当量)のACN(7mL/mmol)溶液に、8-アミノオクタノール(1.0当量)を、窒素条件下において室温で加え、得られた懸濁液を室温で30分間攪拌した。その後、適切な臭化物(1.0当量)を滴加し、反応混合液を窒素条件下において室温で一晩攪拌した。その後、前記懸濁液を濾過し、残りの溶液を濃縮した。固体の粗生成物をカラムクロマトグラフィー(DCM/3% NHのMeOH、100:0から80:20)で精製した。
【0234】
中間体1-3及び中間体1-4の一般的な調製手順
8-アミノオクタノール(1.0当量)のACN(7mL/mmol)溶液に、適切な臭化物(1.0当量)を加え、反応混合液を窒素条件下において一晩還流した。その後、反応混合液を濃縮し、粗生成物を得た。固体の粗生成物をカラムクロマトグラフィー(DCM/3% NHのMeOH、100:0から80:20)で精製した。
【0235】
中間体2-1から中間体2-4までの一般的な調製手順
酸(0.9当量)のDCM(2.5mL/mmol)溶液に、N-ヒドロキシコハク酸イミド(0.9当量)、4-ジメチルアミノピリジン(0.9当量)及びジシクロヘキシルカルボジイミド(0.9当量)を、窒素条件下において室温で加えた。得られた混合液を、変換が完了するまで室温で攪拌した。沈殿物を濾別し、濾液を、中間体1-1または中間体1-2、中間体1-3、または中間体1-4(1.0当量)のDCM(2.3mL/mmol)溶液に室温で滴加した。反応混合液を窒素条件下において室温で一晩攪拌した。その後、有機層をHCl(水溶液 1mol/L)、NaCO(水溶液)で洗浄し、NaSOで乾燥させた。有機層を濃縮した。淡黄色固体をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc、100:0から0:100)で精製した。
【0236】
中間体3-1及び中間体3-2の一般的な調製手順
中間体2-1または中間体2-2(1.0当量)のDCM(10~15mL/mmol)溶液に、PCC(5.0当量)を少量ずつに分けて加えた。得られた懸濁液を、窒素条件下において室温で2時間攪拌した。その後、混合液を減圧下で濃縮し、得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc、100:0から80:20)で精製した。
【0237】
中間体4-1及び中間体4-2の一般的な調製手順
中間体2-3または中間体2-4(1.0当量)のジエチルエーテル(8.0mL/mmol)溶液に、PBr(2~3当量)を窒素条件下において0℃で滴加した。反応混合液ゆっくりと室温まで昇温し、反応が完了するまで、窒素条件下において室温で攪拌した。その後、透明な溶液が得られるまで、氷冷水を徐々に加えた。水層を酢酸エチルで3回抽出し、NaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc、100:0から90:10)で精製した。
【0238】
化合物I-61、I-62、I-63及びI-64の一般的な調製手順
中間体3-1または中間体3-2(1.0当量)のMeOH(10mL/mmol)溶液に、適切な第1級アミン(0.35当量)を加えた。得られた溶液を窒素条件下において室温で30分間攪拌した。その後、Na(CNBH)(4.0当量)及び少量のAcOHを加え、反応混合液を窒素条件において室温で2~3日攪拌した。反応完了後、DCM(100mL/mmol)及び、NaCO(水溶液)(200mL/mmol)で希釈し、室温で30分間攪拌し、分離して、有機層をNaSOで乾燥させた。粗生成物をクロマトグラフィー(DCM/3% NHのMeOH、100:0から80:20)で精製した。
【0239】
化合物I-65、I-66、I-67及びI-68の一般的な調製手順
中間体4-1または中間体4-2(1.5当量)のACN(5.5mL/mmol)溶液に、DIPEA(3.8当量)及び所望のアルキル化試薬(1.0当量)を加えた。反応を、密閉管内において80℃で24時間実施した。その後、更に中間体4-1または中間体4-2(0.5当量)のACN(2.0mL/mmol)溶液を反応混合液に加え、80℃で更に24時間攪拌を続けた。その後、反応混合液を室温まで冷却し、減圧下で濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc(1% NEt)、95:5から0:100)で精製した。
【0240】
N,N’-((メチルアザンジイル)ビス(オクタン-8,1-ジイル))ビス(N-ヘキシルヘキサンアミド)(I-61)の合成
N,N’-((メチルアザンジイル)ビス(オクタン-8,1-ジイル))ビス(N-ヘキシルヘキサンアミド)(I-61)を、前記の一般的な手順に従って、中間体3-1(500mg、1.5mmol)及びメチルアミン(2M/MeOH、0.26mL、0.52mmol)から調製した。生成物を淡黄色油状物質(250mg、0.38mmol、73%)として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 3.28 (dd, J = 7.8, 7.4 Hz, 4H), 3.19 (dd, J = 7.5 Hz, 4H), 2.34 (s, 3H), 2.30 - 2.17 (m, 7H), 1.63 (dt, J = 14.8, 7.6 Hz, 6H), 1.52 (td, J = 14.4, 7.4 Hz, 12H), 1.39 - 1.19 (m, 40H), 0.92 - 0.87 (m, 12H)., ESI-MS: C41H83N3O2 [M+H]+ の MW 計算値 650.66, 実測値 650.85.
【0241】
N,N’-(((5-ヒドロキシペンチル)アザンジイル)ビス(オクタン-8,1-ジイル))ビス(N-ヘキシルヘキサンアミド)(I-62)の合成
N,N’-(((5-ヒドロキシペンチル)アザンジイル)ビス(オクタン-8,1-ジイル))ビス(N-ヘキシルヘキサンアミド)(I-62)を、前記の一般的な手順に従って、中間体3-1(500mg、1.5mmol)及び5-アミノペンタン-1-オール(54mg、0.52mmol)から調製した。生成物を淡黄色油状物質(242mg、0.34mmol、66%)として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 3.64 (t, J = 6.5 Hz, 2H), 3.27 (dd, J = 10.8, 4.4 Hz, 4H), 3.22 - 3.16 (m, 4H), 2.45 (s, 1H), 2.29 - 2.24 (m, 4H), 1.81 (s, 1H), 1.62 (dt, J = 16.1, 7.7 Hz, 7H), 1.50 (dd, J = 14.4, 7.2 Hz, 15H), 1.40 - 1.19 (m, 42H), 0.93 - 0.85 (m, 12H), ESI-MS: C45H91N3O3 [M+H]+ の MW 計算値 722.72, 実測値 722.80.
【0242】
N,N’-((メチルアザンジイル)ビス(オクタン-8,1-ジイル))ビス(N-オクチルオクタンアミド)(I-63)の合成
N,N’-((メチルアザンジイル)ビス(オクタン-8,1-ジイル))ビス(N-オクチルオクタンアミド)(I-63)を、前記の一般的な手順に従って、中間体3-2(450mg、1.2mmol)及びメチルアミン(2M/MeOH、0.21mL、0.42mmol)から調製した。生成物を淡黄色油状物質(180mg、0.24mmol、65%)として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 3.30 - 3.24 (m, 4H), 3.22 - 3.14 (m, 4H), 2.63 - 2.59 (m, 3H), 2.47 (t, J = 17.2 Hz, 3H), 2.30 - 2.23 (m, 4H), 1.75 - 1.57 (m, 8H), 1.57 - 1.42 (m, 9H), 1.29 (m, 52H), 0.91 - 0.84 (m, 12H), ESI-MS: C49H99N3O2 [M+H]+ の MW 計算値 762.78, 実測値 762.81.
【0243】
N,N’-(((5-ヒドロキシペンチル)アザンジイル)ビス(オクタン-8,1-ジイル))ビス(N-オクチルオクタンアミド)(I-64)の合成
N,N’-(((5-ヒドロキシペンチル)アザンジイル)ビス(オクタン-8,1-ジイル))ビス(N-オクチルオクタンアミド)(I-64)を、前記の一般的な手順に従って、中間体3-2(450mg、1.2mmol)及び5-アミノペンタン-1-オール(43.3mg、0.42mmol)から調製した。生成物を淡黄色油状物質(220mg、0.26mmol、66%)として得た。1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ 3.64 (t, J = 6.5 Hz, 2H), 3.27 (dd, J = 10.9, 4.4 Hz, 4H), 3.21 - 3.17 (m, 4H), 2.41 (s, 1H), 2.28 - 2.25 (m, 4H), 1.67 - 1.57 (m, 10H), 1.57 - 1.46 (m, 11H), 1.46 - 1.35 (m, 6H), 1.35 - 1.21 (m, 55H), 0.91 - 0.85 (m, 12H), ESI-MS: C53H107N3O3 [M+H]+ の MW 計算値 834.84, 実測値 834.70.
【0244】
N,N’-((メチルアザンジイル)ビス(オクタン-8,1-ジイル))ビス(N-オクチルオクタンアミド)(I-65)の合成
N,N’-((メチルアザンジイル)ビス(オクタン-8,1-ジイル))ビス(N-オクチルオクタンアミド)(I-65)を、前記の一般的な手順に従って、中間体4-1(493mg、1.1mmol)及びメチルアミン(2M/MeOH、0.19mL、0.385mmol)から調製した。生成物を淡黄色油状物質(232mg、0.27mmol、66%)として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 3.30 - 3.24 (m, 4H), 3.22 - 3.15 (m, 4H), 2.33 - 2.23 (m, 7H), 2.20 (s, 3H), 1.73 - 1.58 (m, 10H), 1.58 - 1.40 (m, 12H), 1.37 - 1.20 (m, 71H), 0.92 - 0.84 (m, 12H), ESI-MS: C57H115N3O2 [M+H]+ の MW 計算値 874.91, 実測値 875.60.
【0245】
N,N’-(((5-ヒドロキシペンチル)アザンジイル)ビス(オクタン-8,1-ジイル))ビス(N-デシルデカンアミド)(I-66)の合成
N,N’-(((5-ヒドロキシペンチル)アザンジイル)ビス(オクタン-8,1-ジイル))ビス(N-デシルデカンアミド)(I-66)を、前記の一般的な手順に従って、中間体4-1(493mg、1.1mmol)及び5-アミノペンタン-1-オール(40mg、0.385mmol)から調製した。生成物を淡黄色油状物質(247mg、0.26mmol、65%)として得た。生成物を油状物質(76.8mg、0.08mmol、28%)として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 3.65 (t, J = 6.4 Hz, 2H), 3.32 - 3.23 (m, 4H), 3.22 - 3.12 (m, 4H), 2.52 (s, 1H), 2.30 - 2.22 (m, 4H), 1.62 (dt, J = 15.0, 7.5 Hz, 12H), 1.57 - 1.43 (m, 14H), 1.34 - 1.21 (m, 70H), 0.91 - 0.84 (m, 12H), ESI-MS: C61H123N3O3 [M+H]+ の MW 計算値 946.97, 実測値 946.73.
【0246】
N,N’-((メチルアザンジイル)ビス(オクタン-8,1-ジイル))ビス(N-ドデシルドデカンアミド)(I-67)の合成
N,N’-((メチルアザンジイル)ビス(オクタン-8,1-ジイル))ビス(N-ドデシルドデカンアミド)(I-67)を、前記の一般的な手順に従って、中間体4-2(700mg、1.25mmol)及びメチルアミン(2M/MeOH、0.21mL、0.425mmol)から調製した。生成物を淡黄色油状物質(510mg、0.52mmol、84%)として得た。1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ 3.29 - 3.25 (m, 4H), 3.21 - 3.16 (m, 4H), 2.28 (dt, J = 15.4, 8.4 Hz, 8H), 2.19 (t, J = 2.8 Hz, 3H), 1.67 - 1.58 (m, 15H), 1.57 - 1.40 (m, 12H), 1.35 - 1.20 (m, 87H), 0.88 (t, J = 7.0 Hz, 12H), ESI-MS: C65H131N3O2 [M+H]+ の MW 計算値 987.03, 実測値 986.87.
【0247】
N,N’-(((5-ヒドロキシペンチル)アザンジイル)ビス(オクタン-8,1-ジイル))ビス(N-ドデシルドデカンアミド)(I-68)の合成
N,N’-(((5-ヒドロキシペンチル)アザンジイル)ビス(オクタン-8,1-ジイル))ビス(N-ドデシルドデカンアミド)(I-68)を、前記の一般的な手順に従って、中間体4-2(700mg、1.25mmol)及び5-アミノペンタン-1-オール(44mg、0.425mmol)から調製した。生成物を淡黄色油状物質(471mg、0.45mmol、72%)として得た。1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ 3.63 (t, J = 6.5 Hz, 2H), 3.27 (dd, J = 10.7, 4.5 Hz, 4H), 3.22 - 3.15 (m, 4H), 2.43 - 2.33 (m, 6H), 2.29 - 2.23 (m, 4H), 1.69 (s, 4H), 1.65 - 1.34 (m, 24H), 1.34 - 1.19 (m, 88H), 0.91 - 0.84 (m, 12H), ESI-MS: C69H139N3O3 [M+H]+ の MW 計算値 1059.09, 実測値 1058.89.
【実施例60】
【0248】
【化48】
N,N’-((メチルアザンジイル)ビス(オクタン-8,1-ジイル))ビス(2-ヘキシルデカンアミド)(I-69)の合成
N,N’-((メチルアザンジイル)ビス(オクタン-8,1-ジイル))ビス(2-ヘキシルデカンアミド)(I-69)を、実施例59に記載の一般的な手順に従って、中間体6(0.408g、1.06mmol)及びメチルアミン(2M/THF、0.181mL、0.36mmol)から調製した。生成物を淡黄色油状物質(210mg、0.27mmol、26%)として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 3.32 - 3.23 (m, 4H), 3.23 - 3.14 (m, 4H), 2.75 - 2.37 (m, 7H), 2.26 (t, J = 8.3 Hz, 4H), 1.71 - 1.58 (m, 8H), 1.50 (dq, J = 14.4, 7.2, 6.8 Hz, 8H), 1.37 - 1.18 (m, 52H), 0.92 - 0.82 (m, 12H). ESI-MS: C49H99N3O2 [M+H]+ の MW 計算値 762.78, 実測値 762.88.
【0249】
N,N’-(((5-ヒドロキシペンチル)アザンジイル)ビス(オクタン-8,1-ジイル))ビス(2-ヘキシルデカンアミド)(I-71)の合成
N,N’-(((5-ヒドロキシペンチル)アザンジイル)ビス(オクタン-8,1-ジイル))ビス(2-ヘキシルデカンアミド)(I-71)を、実施例59に記載の一般的な手順に従って、中間体6(458mg、1.20mmol)及び5-アミノ-1-ペンタノール(22mg、0.40mmol)から調製した。生成物を淡黄色油状物質(250mg、0.30mmol、25%)として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3-d) δ 5.52 (t, J = 5.6 Hz, 2H), 3.66 (t, J = 6.2 Hz, 2H), 3.24 (q, J = 6.6 Hz, 4H), 3.02 - 2.94 (m, 2H), 2.77 (m, 5H), 2.04 - 1.89 (m, 4H), 1.67 - 1.13 (m, 86H), 0.94 - 0.78 (m, 13H). ESI-MS: C53H107N3O3 [M+H]+ の MW 計算値 834.84, 実測値 834.98.
【実施例61】
【0250】
【化49】
tert-ブチル (8-ヒドロキシオクチル)カルバメート(中間体7)の合成
8-アミノ-1-オクタノール(10g、68.9mmol)のDCM(100mL)溶液に、トリエチルアミン(13.9g、137.74mmol)を窒素条件下において室温で加えた。その後、Boc無水物(16.5g、75.75mmol)を0℃で10分間かけて滴加した。得られた混合液を室温で16時間攪拌した。その後、水(200mL)を反応混合液に加え、20分間攪拌した。有機層を分離し、水層をDCM(100mL×2)で抽出した。合一した有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、粗生成物を得た。得られた粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc 100:0から55:45)で精製し、中間体7を固体(15.2g、61.94mmol、90%)として得た。ESI-MS: C13H27NO3Na [M+Na]+ の MW 計算値 268.35, 実測値 268.31.
【0251】
8-(メチルアミノ)オクタン-1-オール(中間体8)の合成
LAH(10.12g、266.80mmol)の無水THF(100mL)攪拌懸濁液に、窒素条件下において0℃で、中間体7(15g、61.13mmol)の無水THF(50mL)溶液を30分かけて滴加し、得られた懸濁液を16時間還流した。その後、反応混合液を0℃まで冷却し、水(10mL)を滴加した。続けて、NaOH(15%、10mL)溶液を滴加し、更に続けて水(10mL)を滴加した。得られたケーク溶液に、MgSOを加え、混合液を室温で30分間攪拌した。沈殿物を濾過によって除去し、濾液を飽和食塩水で洗浄し、NaSOで乾燥させた。有機層を減圧下で蒸発気化させ、粗生成物8-(メチルアミノ)オクタン-1-オール(中間体8)(7.2g、45.20mmol、74%)を得た。ESI-MS: C9H21NO [M+H]+ の MW 計算値 160.28; 実測値 160.21.
【0252】
2-ヘキシル-N-(8-ヒドロキシオクチル)-N-メチルデカンアミド(中間体9)の合成
中間体9を、実施例59に記載の一般的な手順に従って、中間体8(2.6g、16.38mmol)及び2-ヘキシルデカン酸(3.78g、14.7mmol)から調製した。生成物を無色油状物質(2.2g、5.53mmol、34%)として得た。ESI-MS: C25H51NO2 [M+H]+ の MW 計算値 398.70; 実測値 398.41.
【0253】
2-ヘキシル-N-メチル-N-(8-オキソオクチル)デカンアミド(中間体10)の合成
実施例59に記載の一般的な手順に従って、中間体9(2.05g、5.16mmol)を中間体10に変換した。生成物を無色油状物質(1.38g、3.49mmol、67.5%)として得た。ESI-MS: C25H49NO2 [M+H]+ の MW 計算値 396.68; 実測値 396.45.
【0254】
N,N’-((メチルアザンジイル)ビス(オクタン-8,1-ジイル))ビス(2-ヘキシル-N-メチルデカンアミド)(I-70)の合成
N,N’-((メチルアザンジイル)ビス(オクタン-8,1-ジイル))ビス(2-ヘキシル-N-メチルデカンアミド)(I-70)を、実施例59に記載の一般的な手順に従って、中間体10(500mg、1.26mmol)及びメチルアミン(2M/MeOH、13.4mg、0.225mL、0.43mmol)から調製した。生成物を淡黄色油状物質(200mg、0.25mmol、20%)として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 3.40 - 3.34 (m, 2H), 3.31 - 3.24 (m, 2H), 3.01 (s, 3H), 2.92 (s, 2H), 2.68 - 2.22 (m, 8H), 1.78 - 1.46 (m, 16H), 1.45 - 1.36 (m, 4H), 1.27 (m, 53H), 0.87 (t, J = 6.8 Hz, 12H). ESI-MS: C51H103N3O2 [M+H]+ の MW 計算値 790.81; 実測値 790.73.
【0255】
N,N’-(((5-ヒドロキシペンチル)アザンジイル)ビス(オクタン-8,1-ジイル))ビス(2-ヘキシル-N-メチルデカンアミド)(I-72)の合成
N,N’-(((5-ヒドロキシペンチル)アザンジイル)ビス(オクタン-8,1-ジイル))ビス(2-ヘキシル-N-メチルデカンアミド)(I-72)を、実施例59に記載の一般的な手順に従って、中間体10(500mg、1.26mmol)及び5-アミノ-1-ペンタノール(44.4mg、0.43mmol)から調製した。生成物を淡黄色油状物質(235mg、0.27mmol、22%)として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 3.64 (t, J = 6.5 Hz, 2H), 3.41 - 3.34 (m, 2H), 3.32 - 3.25 (m, 2H), 3.01 (s, 3H), 2.92 (s, 3H), 2.64 - 2.51 (m, 2H), 2.49 - 2.34 (m, 6H), 1.74 (bs, 6H), 1.65 - 1.53 (m, 8H), 1.43 (m, 14H), 1.26 (m, 56H), 0.87 (t, J = 6.8 Hz, 12H). ESI-MS: C55H111N3O3 [M+H]+ の MW 計算値 862.87; 実測値 862.69.
【実施例62】
【0256】
【化50】
中間体11-1、中間体11-2、及び中間体11-3の一般的な調製手順
適切なカルボン酸(1.0当量)のDCM(2mL/mmol)溶液に、触媒量のDMF及び塩化オキサリル(3.0当量)を加えた。反応混合液を、変換が完了するまで、窒素条件下において室温で攪拌した。余剰の塩化オキサリル及びDCMを真空下で蒸発気化させた。この得られた塩化アシルの無水DCM(1mL/mmol)溶液を、ジデシルアミン(1.1当量)、NEt(6.0当量)、及びDMAP(触媒量)の無水DCM(3mL/mmol)溶液にゆっくりと加えた。その後、混合液を窒素条件下において室温で16時間攪拌した。減圧下で濃縮後、残渣をHO(10mL/mmol)と酢酸エチル(10mL/mmol)で分液した。水層を酢酸エチルで抽出し、合一した有機層をNaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル、100:0から80:20)で精製した。
【0257】
化合物I-77、I-78、I-75及びI-76の一般的な調製手順
中間体11-1、中間体11-2または中間体11-3(1.5当量)のACN(5.5mL/mmol)溶液に、DIPEA(3.8当量)及び所望のアルキル化剤(1.0当量)を加えた。反応は、密閉管内において80℃で24時間実施した。更に、臭化物(中間体11-1、中間体11-2または中間体11-3)(0.5当量/ACN)(2.0mL/mmol)を反応混合液に加え、80℃で更に24時間攪拌した。その後、反応混合液を室温まで冷却し、減圧下で濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/1% NEt/EtOAc、95:5から0:100)で精製した。
【0258】
6,6’-((5-ヒドロキシペンチル)アザンジイル)ビス(N,N-ジデシルヘキサンアミド)(I-77)の合成
6,6’-((5-ヒドロキシペンチル)アザンジイル)ビス(N,N-ジデシルヘキサンアミド)(I-77)を、前記の一般的な手順に従って、中間体11-1(700mg、1.47mmol)及び5-アミノペンタン-1-オール(0.053g、0.51mmol)から調製した。生成物を淡黄色油状物質(471mg、0.45mmol、72%)として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 3.63 (t, J = 6.5 Hz, 2H), 3.32 - 3.23 (m, 4H), 3.23 - 3.14 (m, 4H), 2.44 - 2.34 (m, 6H), 2.27 (t, J = 7.5 Hz, 4H), 1.79 - 1.39 (m, 26H), 1.26 (m, 59H), 0.88 (td, J = 6.8, 3.1 Hz, 12H). ESI-MS: C57H115N3O3 [M+H]+ の MW 計算値 890.90, 実測値 890.81.
【0259】
7,7’-(メチルアザンジイル)ビス(N,N-ジデシルヘプタンアミド)(I-75)の合成
7,7’-(メチルアザンジイル)ビス(N,N-ジデシルヘプタンアミド)(I-75)を、前記の一般的な手順に従って、中間体11-2(800mg、1.63mmol)及びメチルアミン(0.37mL、0.74mmol、2M/MeOH)から調製した。生成物を淡黄色油状物質(368mg、0.43mmol、43%)として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 3.30 - 3.24 (m, 4H), 3.21 - 3.15 (m, 4H), 2.27 (dd, J = 15.1, 7.5 Hz, 8H), 2.18 (s, 3H), 1.72 - 1.58 (m, 10H), 1.57 - 1.41 (m, 13H), 1.38 - 1.18 (m, 67H), 0.88 (td, J = 6.8, 3.1 Hz, 12H), ESI-MS: C55H111N3O2 [M+H]+ の MW 計算値 846.88, 実測値 846.51.
【0260】
8,8’-((2-(ジメチルアミノ)エチル)アザンジイル)ビス(N,N-ジデシルオクタンアミド)(I-77)の合成
8,8’-((2-(ジメチルアミノ)エチル)アザンジイル)ビス(N,N-ジデシルオクタンアミド)(I-77)を、前記の一般的な手順に従って、中間体11-3(800mg、1.59mmol)及びN,N-ジメチルエチルジアミン(0.07mL、0.7mmol)から調製した。生成物を淡黄色油状物質(197mg、0.21mmol、30%)として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 3.31 - 3.23 (m, 4H), 3.23 - 3.13 (m, 4H), 2.63 - 2.51 (m, 2H), 2.49 - 2.35 (m, 6H), 2.31 - 2.20 (m, 10H), 1.84 (s, 3H), 1.67 - 1.58 (m, 4H), 1.57 - 1.39 (m, 12H), 1.28 (mi, 71H), 0.88 (td, J = 6.8, 3.1 Hz, 12H), ESI-MS: C60H122N4O2 [M+H]+ の MW 計算値 931.97, 実測値 931.98.
【0261】
8,8’-((2-(ピロリジン-1-イル)エチル)アザンジイル)ビス(N,N-ジデシルオクタンアミド)(I-78)の合成
8,8’-((2-(ピロリジン-1-イル)エチル)アザンジイル)ビス(N,N-ジデシルオクタンアミド)(I-78)を、前記の一般的な手順に従って、中間体11-3(700mg、1.39mmol)及び1-(2-アミノエチル)ピロリジン(0.08mL、0.7mmol)から調製した。生成物を淡黄色油状物質(260mg、0.27mmol、39%)として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 3.32 - 3.23 (m, 4H), 3.22 - 3.12 (m, 4H), 2.64 - 2.47 (m, 7H), 2.45 - 2.36 (m, 4H), 2.30 - 2.23 (m, 4H), 1.84 - 1.68 (m, 9H), 1.67 - 1.58 (m, 4H), 1.57 - 1.37 (m, 12H), 1.26 (mi, 71H), 0.88 (td, J = 6.7, 3.0 Hz, 12H), ESI-MS: C62H124N4O2 [M+H]+ の MW 計算値 957.98, 実測値 957.92.
【実施例63】
【0262】
【化51】
中間体12-1、中間体12-2、及び中間体12-3の一般的な調製手順
中間体11-3(1当量)及び適切なアミン(5当量)のアセトニトリル(10mL/mmol)溶液を一晩加熱還流した。反応混合液を濃縮し、粗生成物をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc 95:5から0:100、その後、DCM/3% NHのMeOH 100:0から90:10)で精製した。
【0263】
I-73及びI-74の一般的な調製手順
中間体12-1または中間体12-2(1当量)、中間体4-1(1.2当量)、及びDIPEA(4当量)のACN(10mL/mmol)混合液を、一晩加熱還流した。その後、反応混合液を濃縮し、粗生成物をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc中1% NEt 100:0から35:65)で精製した。
【0264】
N-デシル-N-(8-((8-(ジデシルアミノ)-8 オキソオクチル)(メチル)アミノ)オクチル)デカンアミド(I-73)の合成
N-デシル-N-(8-((8-(ジデシルアミノ)-8 オキソオクチル)(メチル)アミノ)オクチル)デカンアミド(I-73)を、前記の一般的な手順に従って、中間体12-1(0.4g、0.88mmol)及び中間体4-1(0.53g、1.06mmol)から調製した。生成物を淡黄色油状物質(0.38g、0.43mmol 49.3%)として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 3.34 - 3.23 (m, 4H), 3.22 - 3.11 (m, 4H), 2.34 - 2.22 (m, 8H), 2.18 (s, 3H), 1.67 - 1.58 (m, 4H), 1.50 (m, 12H), 1.37 - 1.18 (m, 68H), 0.87 (t, J = 6.8 Hz, 12H). ESI-MS: C57H115N3O2 [M+H]+ の MW 計算値 874.91, 実測値 874.56.
【0265】
N-デシル-N-(8-((8-(ジデシルアミノ)-8-オキソオクチル)(5-ヒドロキシペンチル)アミノ)オクチル)デカンアミド(I-74)の合成
N-デシル-N-(8-((8-(ジデシルアミノ)-8-オキソオクチル)(5-ヒドロキシペンチル)アミノ)オクチル)デカンアミド(I-74)を、前記の一般的な手順に従って、中間体12-2(0.4g、0.76mmol)及び中間体4-1(0.46g、0.91mmol)から調製した。生成物を淡黄色油状物質(0.4g、0.42mmol 55.5%)として得た。H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 3.63 (t, J = 6.5 Hz, 2H), 3.32 - 3.24 (m, 4H), 3.22 - 3.13 (m, 4H), 2.45 - 2.32 (m, 6H), 2.32 - 2.22 (m, 4H), 1.78 - 1.56 (m, 11H), 1.56 - 1.36 (m, 16H), 1.36 - 1.18 (m, 68H), 0.87 (t, J = 6.8 Hz, 13H). ESI-MS: C61H123N3O3 [M+H]+ の MW 計算値 946.97, 実測値 946.73.
【実施例64】
【0266】
【化52】
tert-ブチル デシルカルバメート(中間体13)の合成
デカン-1-アミン(10g、63.57mmol)のDCM(100mL)溶液に、トリエチルアミン(12.9g、127.14mmol)を、窒素条件下において室温で加えた。その後、Boc無水物(15.3g、69.93mmol)を0℃で10分間かけて滴加した。得られた混合液を室温で16時間攪拌した。水(200mL)を反応混合液に加え、20分間攪拌した。有機層を分離し、水層をDCM(100mL×2)で抽出した。合一した有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、粗生成物を得た。得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc 100:0から75:25)で精製した。生成物tert-ブチル デシルカルバメート中間体13を、固体(16g、62.15mmol、97%)として得た。ESI-MS: C15H31NO2 [M+Na]+ の MW 計算値 280.22; 実測値 280.26.
【0267】
N-メチルデシルアミン(中間体14)の合成
LAH(5.9g、155.40mmol)の無水THF(100mL)攪拌懸濁液に、窒素条件下において0℃で、中間体13(10g、38.85mmol)の無水THF(50mL)溶液を30分間かけて滴加した。得られた懸濁液を16時間還流し、その後、0℃まで冷却し、水(10mL)を滴加した。続けて、NaOH(15%、10mL)溶液を滴加し、更に続けて水(10mL)を滴加した。得られたケーク溶液にMgSOを加え、得られた混合液を室温で30分間攪拌した。沈殿物を濾過によって除去し、濾液を飽和食塩水で洗浄し、NaSOで乾燥させた。有機層を減圧下で蒸発気化させ、中間体14の粗生成物(5.5g 32.10mmol、82.6%)を得た。ESI-MS: C11H25N [M+H]+ の MW 計算値 172.21; 実測値 172.25.
【0268】
8-ブロモ-N-デシル-N-メチルオクタンアミド(中間体15)の合成
工程1:1-ブロモオクタン酸(3.5g、15.69mmol)のDCM(50mL)溶液に、DMF(3滴)を加え、続いて塩化オキサリル(4mL、47.06mmol)を加えた。反応混合液を室温で1時間攪拌した。その後、反応混合液を濃縮し、8-ブロモオクタノイルクロリドを得て、更に精製することなく次の工程で用いた。
工程2:N-メチルデシルアミン(3g、17.25mmol)、トリエチルアミン(13.2mL、94.12mmol)及びDMAP(触媒量)のDCM(50mL)溶液に、8-ブロモオクタノイルクロリド(約15.69mmol)のDCM(20mL)溶液を加えた。室温で一晩攪拌した後、反応混合液を濃縮し、残った残渣をEtOAcと飽和食塩水で分液した。有機層を分離し、水層を再度EtOAcで抽出した。合一した有機層をNaSOで乾燥させ、濾過及び濃縮した。自動フラッシュクロマトグラフィー(5%から35% EtOAc/ヘキサン)で精製し、中間体15を淡黄色油状物質(4.8g、12.75mmol、81%(2つの工程を通して))として得た。ESI-MS: C19H38BrNO [M+H]+ の MW 計算値 376.22; 実測値 376.23.
【0269】
I-79及びI-80の一般的な調製手順
中間体12-1または中間体12-3(1当量)、中間体15(1.2当量)、及びDIPEA(4当量)のACN(10mL/mmol)混合液を、一晩加熱還流した。その後、反応混合液を減圧下で濃縮し、粗生成物を自動フラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/1% NEtのEtOAc 95:5から35:65)で精製した。
【0270】
N,N-ジデシル-8-((8-(デシル(メチル)アミノ)-8-オキソオクチル)(メチル)アミノ)オクタンアミド(I-79)の合成
N,N-ジデシル-8-((8-(デシル(メチル)アミノ)-8-オキソオクチル)(メチル)アミノ)オクタンアミド(I-79)を、前記の一般的な手順に従って、中間体12-1(0.5g、1.10mmol)及び中間体15(0.5g、1.33mmol)から調製した。生成物を淡黄色油状物質(0.25g、0.33mmol 30.3%)として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 3.38 - 3.14 (m, 6H), 2.92 (d, J = 23.1 Hz, 3H), 2.33 - 2.22 (m, 8H), 2.18 (s, 3H), 1.67 - 1.59 (m, 4H), 1.57 - 1.40 (m, 10H), 1.37 - 1.21 (m, 55H), 0.87 (q, J = 3.8 Hz, 9H). ESI-MS: C48H97N3O2 [M+H]+ の MW 計算値 748.77; 実測値 748.68.
【0271】
N,N-ジデシル-8-((8-(デシル(メチル)アミノ)-8-オキソオクチル)(2-ヒドロキシエチル)アミノ)オクタンアミド(I-80)の合成
N,N-ジデシル-8-((8-(デシル(メチル)アミノ)-8-オキソオクチル)(2-ヒドロキシエチル)アミノ)オクタンアミド(I-80)を、前記の一般的な手順に従って、中間体12-3(0.5g、1.03mmol)及び中間体15(0.47g、1.24mmol)から調製した。生成物を淡黄色油状物質(0.260g、0.33mmol 32.4%)として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 3.51 (t, J = 5.4 Hz, 2H), 3.37 - 3.15 (m, 7H), 2.93 (d, J = 23.4 Hz, 3H), 2.56 (t, J = 5.3 Hz, 2H), 2.47 - 2.37 (m, 4H), 2.33 - 2.22 (m, 4H), 1.62 (s, 5H), 1.57 - 1.38 (m, 11H), 1.36 - 1.17 (m, 58H), 0.92 - 0.83 (m, 9H). ESI-MS: C49H99N3O3 [M+H]+ の MW 計算値 778.78; 実測値 778.85.
【実施例65】
【0272】
8,8’-((5-ヒドロキシペンチル)アザンジイル)ビス(N,N-ジノニルオクタンアミド)(化合物I-81)
【化53】
8,8’-((5-ヒドロキシペンチル)アザンジイル)ビス(N,N-ジノニルオクタンアミド)(I-81)の合成
8-ブロモ-N,N-ジノニルオクタンアミド(実施例5に記載の一般的な手順に従って調製、0.7mmol、330mg)、5-アミノペンタン-1-オール(0.42mmol、43mg)、DIEA(1.3mmol、0.23mL)、及びヨウ化カリウム(0.7mmol、116mg)のACN(4mL)混合液を、75℃で48時間加熱した。反応混合液を濃縮し、粗生成物を自動フラッシュクロマトグラフィー(5%から65% EtOAc/ヘキサン)で精製し、化合物I-81(88mg、28%)を得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 3.63 (t, J = 6.5 Hz, 2H), 3.32 - 3.24 (m, 4H), 3.23 - 3.15 (m, 4H), 2.41 - 2.32 (m, 6H), 2.31 - 2.22 (m, 4H), 1.69 - 1.34 (m, 24H), 1.35 - 1.19 (m, 61H), 0.92 - 0.83 (m, 12H). ESI-MS: C57H115N3O3 [M+H]+ の MW 計算値 890.9; 実測値 891.0.
【実施例66】
【0273】
8,8’-((5-ヒドロキシペンチル)アザンジイル)ビス(N,N-ジデシル-2-フルオロオクタンアミド)(化合物I-82)
【化54】
2-(6-ブロモヘキシル)-2-フルオロマロン酸ジエチルの合成
2-フルオロマロン酸ジエチル(56.1mmol、10.0g)、1,6-ジブロモヘキサン(168mmol、26mL)及びナトリウムメトキシド(61.7mmol、3.3g)のEtOH(110mL)混合液を、室温で24時間攪拌した。反応混合液を濃縮し、粗生成物をDCMと水で分液した。有機層を分離し、NaSOで乾燥させ、濾過及び濃縮した。自動フラッシュクロマトグラフィー(0%から25% EtOAc/ヘキサン)で精製し、2-(6-ブロモヘキシル)-2-フルオロマロン酸ジエチル(11.7g、61%)を得た。
【0274】
2-(6-ブロモヘキシル)-2-フルオロマロン酸の合成
2-(6-ブロモヘキシル)-2-フルオロマロン酸ジエチル(5.9mmol、2.0g)及びKOH(11.8mmol、660mg)のMeOH(20mL)、THF(2mL)、及び水(4mL)混合液を、室温で3時間攪拌した。反応混合液を濃縮し、粗生成物を、0.1MのNaOH(20mL)で希釈した。水層をDCM(3×10mL)で希釈し、1MのHClで酸性化し、その後、EtOAc(2×20mL)で抽出した。合一したEtOAc層をNaSOで乾燥させ、濾過及び濃縮し、2-(6-ブロモヘキシル)-2-フルオロマロン酸(1.57g、94%)を得て、更に精製することなく次の工程で用いた。
【0275】
8-ブロモ-2-フルオロオクタン酸の合成
2-(6-ブロモヘキシル)-2-フルオロマロン酸(4.1mmol、1.2g)及びDMAP(触媒量)のDMF(3mL)混合液を、180℃で12分間加熱した。反応混合液を、EtOAcと1MのHClで分液した。有機層を分離し、NaSOで乾燥させ、濾過及び濃縮して、8-ブロモ-2-フルオロオクタン酸(960mg、98%)を得て、更に精製することなく次の工程で用いた。
【0276】
8-ブロモ-2-フルオロオクタノイルクロリドの合成
8-ブロモ-2-フルオロオクタン酸(4.0mmol、960mg)、塩化オキサリル(12mmol、1.0mL)、及びDMF(触媒量)のDCM(10mL)混合液を、室温で20分間攪拌した。反応混合液を濃縮し、8-ブロモ-2-フルオロオクタノイルクロリドを得て、更に精製することなく次の工程で用いた。
【0277】
8-ブロモ-N,N-ジデシル-2-フルオロオクタンアミドの合成
ジデシルアミン(4.0mmol、1.2g)、トリエチルアミン(24mmol、3.4mL)、及びDMAP(触媒量)のDCM(10mL)混合液に、8-ブロモ-2-フルオロオクタノイルクロリド粗生成物(4.0mmol)のDCM(5mL)溶液を加えた。反応混合液を室温で1時間攪拌した。反応液を濃縮し、自動フラッシュクロマトグラフィー(5%から25% EtOAc/ヘキサン)で精製し、8-ブロモ-N,N-ジデシル-2-フルオロオクタンアミド(1.2g、58%(2つの工程を通して))を得た。
【0278】
8,8’-((5-ヒドロキシペンチル)アザンジイル)ビス(N,N-ジデシル-2-フルオロオクタンアミド)(I-82)の合成
8-ブロモ-N,N-ジデシル-2-フルオロオクタンアミド(0.56mmol、290mg)、5-アミノペンタノール(0.34mmol、35mg)、及びDIEA(1.0mmol、0.18mL)、ヨウ化カリウム(0.56mmol、93mg)のACN(4mL)混合液を、75℃で19時間加熱した。反応混合液を濃縮し、粗生成物を自動フラッシュクロマトグラフィー(5%から100% EtOAc/ヘキサン)で精製し、化合物I-82(158mg、57%)を得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 5.03 (ddd, J = 49.4, 8.5, 4.3 Hz, 2H), 3.64 (t, J = 6.5 Hz, 2H), 3.37 - 3.25 (m, 6H), 3.25 - 3.12 (m, 2H), 2.43 - 2.33 (m, 6H), 1.97 - 1.68 (m, 6H), 1.64 - 1.34 (m, 26H), 1.33 - 1.22 (m, 62H), 0.93 - 0.83 (m, 12H). ESI-MS: C61H121F2N3O3 [M+H]+ の MW 計算値 982.9; 実測値 983.0.
【実施例67】
【0279】
8,8’-(メチルアザンジイル)ビス(N,N-ジデシル-2-フルオロオクタンアミド)(化合物I-83)
【化55】
8,8’-(メチルアザンジイル)ビス(N,N-ジデシル-2-フルオロオクタンアミド)(I-83)の合成
8-ブロモ-N,N-ジデシル-2-フルオロオクタンアミド(実施例66に記載の一般的な手順に従って調製、0.58mmol、300mg)、8M メチルアミン/EtOH(0.36mmol、0.045mL)、及びDIEA(1.1mmol、0.19mL)のACN(4mL)混合液を、75℃で48時間加熱した。反応混合液を濃縮し、粗生成物を自動フラッシュクロマトグラフィー(5%から65% EtOAc/ヘキサン)で精製し、化合物I-83(160mg、61%)を得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 5.14 - 4.93 (m, 2H), 3.40 - 3.24 (m, 6H), 3.24 - 3.10 (m, 2H), 2.33 - 2.25 (m, 4H), 2.19 (s, 3H), 1.99 - 1.71 (m, 4H), 1.62 - 1.17 (m, 80H), 0.92 - 0.84 (m, 12H). ESI-MS: C57H113F2N3O2 [M+H]+ の MW 計算値 910.9; 実測値 911.0.
【実施例68】
【0280】
2,2’-((5-ヒドロキシペンチル)アザンジイル)ビス(N,N-ジデシルアセトアミド)(化合物I-84)
【化56】
ジエチル 2,2’-((5-ヒドロキシペンチル)アザンジイル)ジアセテートの合成
2-ブロモ酢酸エチル(14.2mmol、2.38g、1.57ml)、5-アミノペンタン-1-オール(7.3mmol、0.75g)、DIEA(26.0mmol、2.5mL)のACN(10mL)混合液を、圧力フラスコ中で、90℃で1.5時間攪拌した。反応混合液を濃縮し、残渣を水とEtOAcで分液した。真空下でEtOAcを除去した後、粗生成物をSiOカラム(グラジエント;ヘキサン:EtN=99:1からEtOAc:EtN=99:1まで)で精製し、1.6gの純粋なジエチル 2,2’-((5-ヒドロキシペンチル)アザンジイル)ジアセテート(収率:82%)を得た。
【0281】
2,2’-((5-ヒドロキシペンチル)アザンジイル)二酢酸の合成
ジエチル 2,2’-((5-ヒドロキシペンチル)アザンジイル)ジアセテート(1.6g、5.8mmol)のEtOH(10ml)溶液に、1MのKOH水溶液(15ml)を加えた。反応混合液を室温で1時間攪拌した。その後、真空下でEtOHを除去し、残渣のpHを4に調整した。真空下で水を除去し、粗生成物を得て、更なる精製はせずに次の工程で用いた。
【0282】
2,2’-((5-ヒドロキシペンチル)アザンジイル)ビス(N,N-ジデシルアセトアミド)(I-84)の合成
2,2’-((5-ヒドロキシペンチル)アザンジイル)二酢酸の粗生成物に、中間体PB2(0.26mmol)、THF(20ml)、DMF(2ml)、ジデシルアミン(0.42g、1.4mmol)、DIEA(0.25ml、2.6mmol)及びHATU(0.34g、0.68mmol)を上記の順番で加えた。反応混合液を室温で30分間攪拌した。反応混合液を濃縮し、粗生成物を、自動フラッシュクロマトグラフィー(5%から75% EtOAc/ヘキサン(1% EtNを含む))で精製し、I-84(85mg、42%)を得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 3.62 (t, J = 6.3 Hz, 2H), 3.50 (bs, 4H), 3.31 - 3.18 (m, 8H), 2.83 - 2.64 (m, 2H), 1.74 - 1.37 (m, 18H), 1.36 - 1.14 (m, 62H), 0.95 - 0.80 (m, 12H). ESI-MS: C49H99N3O3 [M+H]+ の MW 計算値 778.8; 実測値 778.8.
【実施例69】
【0283】
4,4’-((5-ヒドロキシペンチル)アザンジイル)ビス(N,N-ジデシルブタンアミド)(化合物I-85)
化合物I-85を、実施例68に記載の一般的な手順に従って調製し、所望の生成物(445mg、76%)を得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 3.67 - 3.60 (m, 2H), 3.33 - 3.24 (m, 4H), 3.24 - 3.14 (m, 4H), 2.52- 2.25 (m, 10H), 1.86 - 1.69 (m, 4H), 1.69 - 1.35 (m, 10H), 1.35 - 1.18 (m, 60H), 0.93 - 0.83 (m, 12H). ESI-MS: C53H107N3O3 [M+H]+ の MW 計算値 834.8; 実測値 834.9.
【0284】
本出願は、2021年12月16日に出願された米国仮特許出願第63/290,398号の優先権を主張し、この全体が本明細書にて参照により援用される。
【国際調査報告】