(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】修飾オリゴヌクレオチド-薬物接合体及びその用途
(51)【国際特許分類】
A61K 47/61 20170101AFI20241219BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20241219BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20241219BHJP
A61K 31/337 20060101ALI20241219BHJP
A61K 38/05 20060101ALI20241219BHJP
A61K 31/537 20060101ALI20241219BHJP
A61K 31/7088 20060101ALI20241219BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20241219BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20241219BHJP
C12N 15/115 20100101ALI20241219BHJP
C12N 5/10 20060101ALN20241219BHJP
C12N 5/09 20100101ALN20241219BHJP
【FI】
A61K47/61
A61K45/00
A61P35/00
A61K31/337
A61K38/05
A61K31/537
A61K31/7088
A61K48/00
A61P43/00 105
C12N15/115 Z ZNA
C12N5/10
C12N5/09
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024536044
(86)(22)【出願日】2022-11-08
(85)【翻訳文提出日】2024-06-14
(86)【国際出願番号】 KR2022017440
(87)【国際公開番号】W WO2023113243
(87)【国際公開日】2023-06-22
(32)【優先日】2021-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】10-2022-0147564
(32)【優先日】2022-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519232334
【氏名又は名称】インターオリゴ・コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】INTEROLIGO CORPORATION
【住所又は居所原語表記】#902, F, A-DONG, 66, BEOLMAL-RO, DONGAN-GU, ANAYANG-SI, GYEONGGI‐DO, 14058, REPUBLIC OF KOREA
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】イ,ジュン・ファン
(72)【発明者】
【氏名】イ,ジョン・ウク
【テーマコード(参考)】
4B065
4C076
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4B065AB01
4B065AC12
4B065AC20
4B065BA01
4B065CA44
4C076AA95
4C076AA99
4C076CC27
4C076EE30
4C076EE59
4C076FF34
4C084AA02
4C084AA03
4C084AA13
4C084AA17
4C084BA01
4C084BA08
4C084BA14
4C084BA23
4C084BA42
4C084CA59
4C084NA05
4C084NA06
4C084NA07
4C084NA11
4C084NA13
4C084NA15
4C084ZB211
4C084ZB212
4C084ZB261
4C084ZB262
4C086AA01
4C086AA02
4C086BA02
4C086CB22
4C086EA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA05
4C086NA06
4C086NA07
4C086NA11
4C086NA13
4C086NA15
4C086ZB21
4C086ZB26
(57)【要約】
本発明は、少なくとも1つの修飾核酸を含む修飾オリゴヌクレオチドと、前記修飾オリゴヌクレオチドにコンジュゲートされた薬物とを含む、修飾オリゴヌクレオチド-薬物接合体に関する。本発明の修飾オリゴヌクレオチド-薬物接合体は、体内で高い安定性を示し、優れた抗癌効果を示すことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表される修飾オリゴヌクレオチドと、前記修飾オリゴヌクレオチドに含まれるデオキシウリジン(dU)にコンジュゲートされた薬物とを含む、修飾オリゴヌクレオチド-薬物接合体:
【化1】
(前記化学式1において、
X
1~X
3及びX
7~X
9は、それぞれ独立してチミジン(T)、あるいは下記の化学式3または化学式4で表される修飾核酸であり、
Y
1は、デオキシグアノシン(dG)、あるいは下記の化学式3または化学式4で表される修飾核酸であり、
X
4~X
6は、それぞれ独立してチミジン(T)、デオキシウリジン(dU)、あるいは下記の化学式3または化学式4で表される修飾核酸であり、前記X
4~X
6の少なくとも1つはデオキシウリジン(dU)であり、
M
1及びM
2は、それぞれ独立して、下記の化学式3または化学式4で表される修飾核酸であり、
N
1及びN
2は、それぞれ独立してチミジン(T)、デオキシウリジン(dU)、デオキシシチジン(dC)、またはデオキシグアノシン(dG)であり、
a及びdは、それぞれ独立して0~10の整数であるが、前記X
1~X
9がいずれもチミジン(T)であり、前記Y
1がデオキシグアノシン(dG)である場合、前記a及びdは同時に0ではなく、
b及びcは、それぞれ独立して0~10の整数である。)、
【化2】
【化3】
(前記の化学式3または化学式4において、
R
1は、水素、ハロゲンまたはヒドロキシ基であり、
R
2は、水素、ハロゲンまたはヒドロキシ基であり、
R
3は、水素、ハロゲン、C1-C6のアルキル基、C1-C6のハロアルキル基、C2-C6のアルケニル基、またはC2-C6のハロアルケニル基である(このとき、前記R
1が水素またはヒドロキシ基であり、前記R
2が水素であり、前記R
3が水素またはメチルである場合を除く。))。
【請求項2】
前記の化学式3または化学式4で表される修飾核酸は、5-フルオロデオキシウリジン、5-フルオロウリジン、5-フルオロデオキシシチジン、5-フルオロシチジン、5-ヨードデオキシウリジン、5-ヨードウリジン、5-ヨードデオキシシチジン、5-ヨードシチジン、シトシンアラビノシド、2’,2’-ジフルオロ-2’-デオキシシチジン、およびブロモビニルデオキシウリジンからなる群より選択される、請求項1に記載の修飾オリゴヌクレオチド-薬物接合体。
【請求項3】
前記薬物は、パクリタキセル、モノメチルアウリスタチンE(monomethyl auristatin E)、モノメチルアウリスタチンF(monomethyl auristatin F)、モノメチルアウリスタチンD(MMAD)、シタラビン、ゲムシタビン、メイタンシン、DM1(mertansine、メルタンシン)、DM4、カリケアミシン及びその誘導体、ドキソルビシン、デュオカルマイシン及びその誘導体、ピロロベンゾジアゼピン(PBD)、SN-38、α-アマニチン、ツブリシン類似体(Tubulysin analog)、シクロホスファミド(cyclophosphamide)、メクロレタミン(mecholrethamine)、ウラムスチン(uramustine)、メルファラン(melphalan)、クロラムブシル(chlorambucil)、イホスファミド(ifosfamide)、ベンダムスチン(bendamustine)、カルムスチン(carmustine)、ロムスチン(lomustine)、ストレプトゾシン(streptozocin)、ブスルファン(busulfan)、ダカルバジン(dacarbazine)、テモゾロミド(temozolomide)、チオテパ(thiotepa)、アルトレタミン(altretamine)、デュオカルマイシン(duocarmycin)、シスプラチン(cisplatin)、カルボプラチン(carboplatin)、ネダプラチン(nedaplatin)、オキサリプラチン(oxaliplatin)、サトラプラチン(satraplatin)、四硝酸トリプラチン(triplatin tetranitrate)、5-フルオロウラシル(5-fluorouracil)、6-メルカプトプリン(6-mercaptopurine)、カペシタビン(capecitabine)、クラドリビン(cladribine)、クロファラビン(clofarabine)、シスタルビン(cystarbine)、フロクスウリジン(floxuridine)、フルダラビン(fludarabine)、ゲムシタビン(gemcitabine)、ヒドロキシウレア(hydroxyurea)、メトトレキサート(methotrexate)、ペメトレキセド(pemetrexed)、ペントスタチン(pentostatin)、チオグアニン(thioguanine)、カンプトテシン(camptothecin)、トポテカン(topotecan)、イリノテカン(irinotecan)、エトポシド(etoposide)、テニポシド(teniposide)、ミトキサントロン(mitoxantrone)、パクリタキセル(paclitaxel)、ドセタキセル(docetaxel)、イキサベピロン(izabepilone)、ビンブラスチン(vinblastine)、ビンクリスチン(vincristine)、ビンデシン(vindesine)、ビノレルビン(vinorelbine)、エストラムスチン(estramustine)、メイタンシン(maytansine)、アウリスタチンE(auristatin E)、アウリスタチンF(auristatin F)、およびネモルビシン(nemorubicin)からなる群より選択される、請求項1に記載の修飾オリゴヌクレオチド-薬物接合体。
【請求項4】
前記薬物と前記修飾オリゴヌクレオチドに含まれるデオキシウリジン(dU)は、L
1とL
2が結合したリンカー(L)でコンジュゲートされ、
前記L
1は、5’-チオール-改質剤C6、チオール-改質剤C6S-S、ジチオールセリノール、PCアミノ-改質剤、5’-アミノ-改質剤C3、5’-アミノ-改質剤C6、5’-アミノ-改質剤C12、5’-アミノ-改質剤TEG、アミノ-改質剤C2 dT、アミノ-改質剤C6 dT、S-Bz-チオール-改質剤C6-dT、ホスホジエステル結合、およびヌクレオチドからなる群より選択され、脱保護過程により得られる、アクリルアミド(acrylamide)-C2-NH
2、C12-NH
2、C3-NH
2、アクリルアミド(acrylamide)-C6-プロパンアミド(propanamide)-SH、アクリルアミド(acrylamide)-C6-NH
2、C6-NH
2、C6-SHから選択され、
前記L
2は、マレイミドカプロイル-バリン-シトルリン-p-アミノベンゾイルオキシカルボニル(MC-Val-Cit-PAB)、スクシンイミジル4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシラート(SMCC)、コハク酸(succinic acid)、ヒドラゾン、ペプチド、ジスルフィド、チオエーテル、バリン-シトルリン、N-マレイミドメチルシクロヘキサン-1-カルボキシラート(MCC)、マレイミドカプロイル、メルカプトアセトアミドカプロイル、N-スクシンイミジル4-(2-ピリジルジチオ)ペンタノエート(SPP)、N-スクシンイミジル4-(2-ピリジルチオ)ペンタノエート(SPDB)、ホスホジエステル結合、およびヌクレオチドからなる群より選択される、請求項1に記載の修飾オリゴヌクレオチド-薬物接合体。
【請求項5】
前記修飾オリゴヌクレオチドは、配列番号4~配列番号10から選択される配列からなる、請求項1に記載の修飾オリゴヌクレオチド-薬物接合体。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の修飾オリゴヌクレオチド-薬物接合体を含む、癌の予防または治療用薬学組成物。
【請求項7】
前記癌は、白血病、リンパ腫、乳癌、肝癌、胃癌、卵巣癌、子宮頸部癌腫、神経膠腫癌、大腸癌、肺癌、膵臓癌、前立腺癌、肝癌、胃腺癌、子宮癌、膀胱癌、甲状腺癌、卵巣癌、黒色腫、および子宮頸部癌からなる群より選択される、請求項6に記載の癌の予防または治療用薬学組成物。
【請求項8】
下記化学式2で表される修飾オリゴヌクレオチドと、前記修飾オリゴヌクレオチドの5’末端または3’末端のうちの少なくとも1つにコンジュゲートされた薬物とを含む、修飾オリゴヌクレオチド-薬物接合体:
【化4】
(前記化学式2において、
X
1~X
9は、それぞれ独立してチミジン(T)、あるいは下記の化学式3または化学式4で表される修飾核酸であり、
M
1及びM
2は、それぞれ独立して、下記の化学式3または化学式4で表される修飾核酸であり、
N
1及びN
2は、それぞれ独立してチミジン(T)、デオキシウリジン(dU)、デオキシシチジン(dC)、またはデオキシグアノシン(dG)であり、
a及びdは、それぞれ独立して0~10の整数であり、前記X
1~X
9がいずれもチミジン(T)である場合、前記a及びdは同時に0ではなく、
b及びcは、それぞれ独立して0~10の整数である。)、
【化5】
【化6】
(前記の化学式3または化学式4において、
R
1は、水素、ハロゲンまたはヒドロキシ基であり、
R
2は、水素、ハロゲンまたはヒドロキシ基であり、
R
3は、水素、ハロゲン、C1-C6のアルキル基、C1-C6のハロアルキル基、C2-C6のアルケニル基、またはC2-C6のハロアルケニル基である(このとき、前記R
1が水素またはヒドロキシ基であり、前記R
2が水素であり、前記R
3が水素またはメチルである場合を除く。))。
【請求項9】
前記の化学式3または化学式4で表される修飾核酸は、5-フルオロデオキシウリジン、5-フルオロウリジン、5-フルオロデオキシシチジン、5-フルオロシチジン、5-ヨードデオキシウリジン、5-ヨードウリジン、5-ヨードデオキシシチジン、5-ヨードシチジン、シトシンアラビノシド、2’,2’-ジフルオロ-2’-デオキシシチジン、およびブロモビニルデオキシウリジンからなる群より選択される、請求項8に記載の修飾オリゴヌクレオチド-薬物接合体。
【請求項10】
前記薬物は、パクリタキセル、モノメチルアウリスタチンE(monomethyl auristatin E)、モノメチルアウリスタチンF(monomethyl auristatin F)、モノメチルアウリスタチンD(MMAD)、シタラビン、ゲムシタビン、メイタンシン、DM1(mertansine、メルタンシン)、DM4、カリケアミシン及びその誘導体、ドキソルビシン、デュオカルマイシン及びその誘導体、ピロロベンゾジアゼピン(PBD)、SN-38、α-アマニチン、ツブリシン類似体(Tubulysin analog)、シクロホスファミド(cyclophosphamide)、メクロレタミン(mecholrethamine)、ウラムスチン(uramustine)、メルファラン(melphalan)、クロラムブシル(chlorambucil)、イホスファミド(ifosfamide)、ベンダムスチン(bendamustine)、カルムスチン(carmustine)、ロムスチン(lomustine)、ストレプトゾシン(streptozocin)、ブスルファン(busulfan)、ダカルバジン(dacarbazine)、テモゾロミド(temozolomide)、チオテパ(thiotepa)、アルトレタミン(altretamine)、デュオカルマイシン(duocarmycin)、シスプラチン(cisplatin)、カルボプラチン(carboplatin)、ネダプラチン(nedaplatin)、オキサリプラチン(oxaliplatin)、サトラプラチン(satraplatin)、四硝酸トリプラチン(triplatin tetranitrate)、5-フルオロウラシル(5-fluorouracil)、6-メルカプトプリン(6-mercaptopurine)、カペシタビン(capecitabine)、クラドリビン(cladribine)、クロファラビン(clofarabine)、シスタルビン(cystarbine)、フロクスウリジン(floxuridine)、フルダラビン(fludarabine)、ゲムシタビン(gemcitabine)、ヒドロキシウレア(hydroxyurea)、メトトレキサート(methotrexate)、ペメトレキセド(pemetrexed)、ペントスタチン(pentostatin)、チオグアニン(thioguanine)、カンプトテシン(camptothecin)、トポテカン(topotecan)、イリノテカン(irinotecan)、エトポシド(etoposide)、テニポシド(teniposide)、ミトキサントロン(mitoxantrone)、パクリタキセル(paclitaxel)、ドセタキセル(docetaxel)、イキサベピロン(izabepilone)、ビンブラスチン(vinblastine)、ビンクリスチン(vincristine)、ビンデシン(vindesine)、ビノレルビン(vinorelbine)、エストラムスチン(estramustine)、メイタンシン(maytansine)、アウリスタチンE(auristatin E)、アウリスタチンF(auristatin F)、およびネモルビシン(nemorubicin)からなる群より選択される、請求項8に記載の修飾オリゴヌクレオチド-薬物接合体。
【請求項11】
前記薬物と前記化学式2で表される修飾オリゴヌクレオチドの5’末端または3’末端のうちの少なくとも1つは、L
1とL
2が結合したリンカー(L)でコンジュゲートされ、
前記L
1は、5’-チオール-改質剤C6、チオール-改質剤C6S-S、ジチオールセリノール、PCアミノ-改質剤、5’-アミノ-改質剤C3、5’-アミノ-改質剤C6、5’-アミノ-改質剤C12、5’-アミノ-改質剤TEG、アミノ-改質剤C2 dT、アミノ-改質剤C6 dT、S-Bz-チオール-改質剤C6-dT、ホスホジエステル結合、およびヌクレオチドからなる群より選択され、脱保護過程により得られる、アクリルアミド(acrylamide)-C2-NH
2、C12-NH
2、C3-NH
2、アクリルアミド(acrylamide)-C6-プロパンアミド(propanamide)-SH、アクリルアミド(acrylamide)-C6-NH
2、C6-NH
2、C6-SHから選択され、
前記L
2は、マレイミドカプロイル-バリン-シトルリン-p-アミノベンゾイルオキシカルボニル(MC-Val-Cit-PAB)、スクシンイミジル4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシラート(SMCC)、コハク酸(succinic acid)、ヒドラゾン、ペプチド、ジスルフィド、チオエーテル、バリン-シトルリン、N-マレイミドメチルシクロヘキサン-1-カルボキシラート(MCC)、マレイミドカプロイル、メルカプトアセトアミドカプロイル、N-スクシンイミジル4-(2-ピリジルジチオ)ペンタノエート(SPP)、N-スクシンイミジル4-(2-ピリジルチオ)ペンタノエート(SPDB)、ホスホジエステル結合、およびヌクレオチドからなる群より選択される、請求項8に記載の修飾オリゴヌクレオチド-薬物接合体。
【請求項12】
前記修飾オリゴヌクレオチドは、配列番号11または配列番号12から選択される配列からなる、請求項8に記載の修飾オリゴヌクレオチド-薬物接合体。
【請求項13】
請求項8~12のいずれか一項に記載の修飾オリゴヌクレオチド-薬物接合体を含む、癌の予防または治療用薬学組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、修飾オリゴヌクレオチド-薬物接合体及びその用途に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、抗癌剤を含む多くの治療剤が開発され、臨床を経て薬として開発されてきたが、標的抗癌剤のように、治療効果のある物質を所望の発症部位までより選択的かつ効果的に送達するためには継続的な研究が必要である。具体的には、抗癌剤は非腫瘍特異的な全身毒性(systemic toxicity)と細胞毒性(cytotoxicity)のため、治療有効量(therapeutic index)と治療範囲(therapeutic window)が低く、長期間の治療時に抗癌剤に対する耐性が生じる可能性があるという欠点がある。そこで、薬物を癌細胞のみに正確に送達して死滅させる、向上した新規治療法が切実に求められている。
【0003】
一方、グアノシンに富むオリゴヌクレオチドは、グアニンとシトシンの三重水素結合に加えて、分子内結合または分子間結合によって特別な構造を有することができる。一般的なアデニンとチミン、グアニンとシトシンの水素結合による二重らせん構造を形成する代わりに、4つのグアニンが1つの平面に位置してフーグスティーン(Hoogsteen)水素結合をなし、四角平面構造のグアニンテトラッド(G-tetrad)を形成し、2つ以上のグアニンテトラッド(G-tetrad)が積み重なって四重らせん構造のグアニン四重鎖(G-quadruplex)を形成する。このグアニン四重鎖をなすオリゴヌクレオチドは、その構造的な特徴により安定した構造をなしており、優れた細胞透過性を有することが知られている。
【0004】
しかし、グアニン四重鎖を形成するオリゴヌクレオチドは、主に細胞成長阻害効果によるアポトーシスを誘導しなければならないが、アポトーシス率が比較的高くないため、4日から7日程度の一定時間以上、輸液注射によって持続的に処理する必要がある。そのため、必要以上の薬物を長時間投与しなければならない問題がある。そこで、体内で安定して高い細胞透過性を示し、優れた薬効を示す新しい修飾核酸を含む物質を開発するために多数の研究が行われている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、修飾オリゴヌクレオチド-薬物接合体を提供することを目的とする。
【0006】
本発明は、修飾オリゴヌクレオチド-薬物接合体を含む、癌の治療または予防用薬学組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
1.下記化学式1で表される修飾オリゴヌクレオチドと、前記修飾オリゴヌクレオチドに含まれるデオキシウリジン(dU)にコンジュゲートされた薬物とを含む、修飾オリゴヌクレオチド-薬物接合体:
【化1】
(前記化学式1において、
X
1~X
3及びX
7~X
9は、それぞれ独立してチミジン(T)、あるいは下記の化学式3または化学式4で表される修飾核酸であり、
Y
1は、デオキシグアノシン(dG)、あるいは下記の化学式3または化学式4で表される修飾核酸であり、
X
4~X
6は、それぞれ独立してチミジン(T)、デオキシウリジン(dU)、あるいは下記の化学式3または化学式4で表される修飾核酸であり、前記X
4~X
6の少なくとも1つはデオキシウリジン(dU)であり、
M
1及びM
2は、それぞれ独立して、下記の化学式3または化学式4で表される修飾核酸であり、
N
1及びN
2は、それぞれ独立してチミジン(T)、デオキシウリジン(dU)、デオキシシチジン(dC)、またはデオキシグアノシン(dG)であり、
a及びdは、それぞれ独立して0~10の整数であるが、前記X
1~X
9がいずれもチミジン(T)であり、前記Y
1がデオキシグアノシン(dG)である場合、前記a及びdは同時に0ではなく、
b及びcは、それぞれ独立して0~10の整数である。)、
【化2】
【化3】
(前記の化学式3または化学式4において、
R
1は、水素、ハロゲンまたはヒドロキシ基であり、
R
2は、水素、ハロゲンまたはヒドロキシ基であり、
R
3は、水素、ハロゲン、C1-C6のアルキル基、C1-C6のハロアルキル基、C2-C6のアルケニル基、またはC2-C6のハロアルケニル基である(このとき、前記R
1が水素またはヒドロキシ基であり、前記R
2が水素であり、前記R
3が水素またはメチルである場合を除く。))。
【0008】
2.前記項目1において、前記の化学式3または化学式4で表される修飾核酸は、5-フルオロデオキシウリジン、5-フルオロウリジン、5-フルオロデオキシシチジン、5-フルオロシチジン、5-ヨードデオキシウリジン、5-ヨードウリジン、5-ヨードデオキシシチジン、5-ヨードシチジン、シトシンアラビノシド、2’,2’-ジフルオロ-2’-デオキシシチジン、およびブロモビニルデオキシウリジンからなる群より選択される、修飾オリゴヌクレオチド-薬物接合体。
【0009】
3.前記項目1において、前記薬物は、パクリタキセル(paclitaxel)、モノメチルアウリスタチンE(monomethyl auristatin E、MMAE)、モノメチルアウリスタチンF(monomethyl auristatin F)、モノメチルアウリスタチンD(monomethyl auristatin D)、シタラビン、ゲムシタビン、メイタンシン、DM1(mertansine、メルタンシン)、DM4、カリケアミシン及びその誘導体、ドキソルビシン、デュオカルマイシン及びその誘導体、ピロロベンゾジアゼピン(PBD)、SN-38、α-アマニチン、ツブリシン類似体(Tubulysin analog)、シクロホスファミド(cyclophosphamide)、メクロレタミン(mecholrethamine)、ウラムスチン(uramustine)、メルファラン(melphalan)、クロラムブシル(chlorambucil)、イホスファミド(ifosfamide)、ベンダムスチン(bendamustine)、カルムスチン(carmustine)、ロムスチン(lomustine)、ストレプトゾシン(streptozocin)、ブスルファン(busulfan)、ダカルバジン(dacarbazine)、テモゾロミド(temozolomide)、チオテパ(thiotepa)、アルトレタミン(altretamine)、デュオカルマイシン(duocarmycin)、シスプラチン(cisplatin)、カルボプラチン(carboplatin)、ネダプラチン(nedaplatin)、オキサリプラチン(oxaliplatin)、サトラプラチン(satraplatin)、四硝酸トリプラチン(triplatin tetranitrate)、5-フルオロウラシル(5-fluorouracil)、6-メルカプトプリン(6-mercaptopurine)、カペシタビン(capecitabine)、クラドリビン(cladribine)、クロファラビン(clofarabine)、シスタルビン(cystarbine)、フロクスウリジン(floxuridine)、フルダラビン(fludarabine)、ゲムシタビン(gemcitabine)、ヒドロキシウレア(hydroxyurea)、メトトレキサート(methotrexate)、ペメトレキセド(pemetrexed)、ペントスタチン(pentostatin)、チオグアニン(thioguanine)、カンプトテシン(camptothecin)、トポテカン(topotecan)、イリノテカン(irinotecan)、エトポシド(etoposide)、テニポシド(teniposide)、ミトキサントロン(mitoxantrone)、パクリタキセル(paclitaxel)、ドセタキセル(docetaxel)、イキサベピロン(izabepilone)、ビンブラスチン(vinblastine)、ビンクリスチン(vincristine)、ビンデシン(vindesine)、ビノレルビン(vinorelbine)、エストラムスチン(estramustine)、メイタンシン(maytansine)、アウリスタチンE(auristatin E)、アウリスタチンF(auristatin F)、およびネモルビシン(nemorubicin)からなる群より選択される、修飾オリゴヌクレオチド-薬物接合体。
【0010】
4.前記項目1において、前記薬物と前記修飾オリゴヌクレオチドに含まれるデオキシウリジン(dU)は、L1とL2が結合したリンカー(L)でコンジュゲートされ、
前記L1は、5’-チオール-改質剤C6、チオール-改質剤C6S-S、ジチオールセリノール、PCアミノ-改質剤、5’-アミノ-改質剤C3、5’-アミノ-改質剤C6、5’-アミノ-改質剤C12、5’-アミノ-改質剤TEG、アミノ-改質剤C2 dT、アミノ-改質剤C6 dT、S-Bz-チオール-改質剤C6-dT、ホスホジエステル結合、およびヌクレオチドからなる群より選択され、脱保護過程により得られる、アクリルアミド(acrylamide)-C2-NH2、C12-NH2、C3-NH2、アクリルアミド(acrylamide)-C6-プロパンアミド(propanamide)-SH、アクリルアミド(acrylamide)-C6-NH2、C6-NH2、C6-SHから選択され、
前記L2は、マレイミドカプロイル-バリン-シトルリン-p-アミノベンゾイルオキシカルボニル(MC-Val-Cit-PAB)、スクシンイミジル4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシラート(SMCC)、コハク酸(succinic acid)、ヒドラゾン、ペプチド、ジスルフィド、チオエーテル、バリン-シトルリン、N-マレイミドメチルシクロヘキサン-1-カルボキシラート(MCC)、マレイミドカプロイル、メルカプトアセトアミドカプロイル、N-スクシンイミジル4-(2-ピリジルジチオ)ペンタノエート(SPP)、N-スクシンイミジル4-(2-ピリジルチオ)ペンタノエート(SPDB)、ホスホジエステル結合、およびヌクレオチドからなる群より選択される、修飾オリゴヌクレオチド-薬物接合体。
【0011】
5.前記項目1において、前記修飾オリゴヌクレオチドは、配列番号4~配列番号10から選択される配列からなる、修飾オリゴヌクレオチド-薬物接合体。
【0012】
6.前記項目1~5のいずれか一つに記載の修飾オリゴヌクレオチド-薬物接合体を含む、癌の予防または治療用薬学組成物。
【0013】
7.前記項目6において、前記癌は、白血病、リンパ腫、乳癌、肝癌、胃癌、卵巣癌、子宮頸部癌腫、神経膠腫癌、大腸癌、肺癌、膵臓癌、前立腺癌、肝癌、胃腺癌、子宮癌、膀胱癌、甲状腺癌、卵巣癌、黒色腫、および子宮頸部癌からなる群より選択される、癌の予防または治療用薬学組成物。
【0014】
8.下記化学式2で表される修飾オリゴヌクレオチドと、前記修飾オリゴヌクレオチドの5’末端または3’末端のうちの少なくとも1つにコンジュゲートされた薬物とを含む、修飾オリゴヌクレオチド-薬物接合体:
【化4】
(前記化学式2において、
X
1~X
9は、それぞれ独立してチミジン(T)、あるいは下記の化学式3または化学式4で表される修飾核酸であり、
M
1及びM
2は、それぞれ独立して、下記の化学式3または化学式4で表される修飾核酸であり、
N
1及びN
2は、それぞれ独立してチミジン(T)、デオキシウリジン(dU)、デオキシシチジン(dC)、またはデオキシグアノシン(dG)であり、
a及びdは、それぞれ独立して0~10の整数であり、前記X
1~X
9がいずれもチミジン(T)である場合、前記a及びdは同時に0ではなく、
b及びcは、それぞれ独立して0~10の整数である。)、
【化5】
【化6】
(前記の化学式3または化学式4において、
R
1は、水素、ハロゲンまたはヒドロキシ基であり、
R
2は、水素、ハロゲンまたはヒドロキシ基であり、
R
3は、水素、ハロゲン、C1-C6のアルキル基、C1-C6のハロアルキル基、C2-C6のアルケニル基、またはC2-C6のハロアルケニル基である(このとき、前記R
1が水素またはヒドロキシ基であり、前記R
2が水素であり、前記R
3が水素またはメチルである場合を除く。))。
【0015】
9.前記項目8において、前記の化学式3または化学式4で表される修飾核酸は、5-フルオロデオキシウリジン、5-フルオロウリジン、5-フルオロデオキシシチジン、5-フルオロシチジン、5-ヨードデオキシウリジン、5-ヨードウリジン、5-ヨードデオキシシチジン、5-ヨードシチジン、シトシンアラビノシド、2’,2’-ジフルオロ-2’-デオキシシチジン、およびブロモビニルデオキシウリジンからなる群より選択される、修飾オリゴヌクレオチド-薬物接合体。
【0016】
10.前記項目8において、前記薬物は、パクリタキセル(paclitaxel)、モノメチルアウリスタチンE(monomethyl auristatin E)、モノメチルアウリスタチンF(monomethyl auristatin F)、モノメチルアウリスタチンD(MMAD)、シタラビン、ゲムシタビン、メイタンシン、DM1(mertansine、メルタンシン)、DM4、カリケアミシン及びその誘導体、ドキソルビシン、デュオカルマイシン及びその誘導体、ピロロベンゾジアゼピン(PBD)、SN-38、α-アマニチン、ツブリシン類似体(Tubulysin analog)、シクロホスファミド(cyclophosphamide)、メクロレタミン(mecholrethamine)、ウラムスチン(uramustine)、メルファラン(melphalan)、クロラムブシル(chlorambucil)、イホスファミド(ifosfamide)、ベンダムスチン(bendamustine)、カルムスチン(carmustine)、ロムスチン(lomustine)、ストレプトゾシン(streptozocin)、ブスルファン(busulfan)、ダカルバジン(dacarbazine)、テモゾロミド(temozolomide)、チオテパ(thiotepa)、アルトレタミン(altretamine)、デュオカルマイシン(duocarmycin)、シスプラチン(cisplatin)、カルボプラチン(carboplatin)、ネダプラチン(nedaplatin)、オキサリプラチン(oxaliplatin)、サトラプラチン(satraplatin)、四硝酸トリプラチン(triplatin tetranitrate)、5-フルオロウラシル(5-fluorouracil)、6-メルカプトプリン(6-mercaptopurine)、カペシタビン(capecitabine)、クラドリビン(cladribine)、クロファラビン(clofarabine)、シスタルビン(cystarbine)、フロクスウリジン(floxuridine)、フルダラビン(fludarabine)、ゲムシタビン(gemcitabine)、ヒドロキシウレア(hydroxyurea)、メトトレキサート(methotrexate)、ペメトレキセド(pemetrexed)、ペントスタチン(pentostatin)、チオグアニン(thioguanine)、カンプトテシン(camptothecin)、トポテカン(topotecan)、イリノテカン(irinotecan)、エトポシド(etoposide)、テニポシド(teniposide)、ミトキサントロン(mitoxantrone)、パクリタキセル(paclitaxel)、ドセタキセル(docetaxel)、イキサベピロン(izabepilone)、ビンブラスチン(vinblastine)、ビンクリスチン(vincristine)、ビンデシン(vindesine)、ビノレルビン(vinorelbine)、エストラムスチン(estramustine)、メイタンシン(maytansine)、アウリスタチンE(auristatin E)、アウリスタチンF(auristatin F)、およびネモルビシン(nemorubicin)からなる群より選択される、修飾オリゴヌクレオチド-薬物接合体。
【0017】
11.前記項目8において、前記薬物と前記化学式2で表される修飾オリゴヌクレオチドの5’末端または3’末端のうちの少なくとも1つは、L1とL2が結合したリンカー(L)でコンジュゲートされ、
前記L1は、5’-チオール-改質剤C6、チオール-改質剤C6S-S、ジチオールセリノール、PCアミノ-改質剤、5’-アミノ-改質剤C3、5’-アミノ-改質剤C6、5’-アミノ-改質剤C12、5’-アミノ-改質剤TEG、アミノ-改質剤C2 dT、アミノ-改質剤C6 dT、S-Bz-チオール-改質剤C6-dT、ホスホジエステル結合、およびヌクレオチドからなる群より選択され、脱保護過程により得られる、アクリルアミド(acrylamide)-C2-NH2、C12-NH2、C3-NH2、アクリルアミド(acrylamide)-C6-プロパンアミド(propanamide)-SH、アクリルアミド(acrylamide)-C6-NH2、C6-NH2、C6-SHから選択され、
前記L2は、マレイミドカプロイル-バリン-シトルリン-p-アミノベンゾイルオキシカルボニル(MC-Val-Cit-PAB)、スクシンイミジル4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシラート(SMCC)、コハク酸(succinic acid)、ヒドラゾン、ペプチド、ジスルフィド、チオエーテル、バリン-シトルリン、N-マレイミドメチルシクロヘキサン-1-カルボキシラート(MCC)、マレイミドカプロイル、メルカプトアセトアミドカプロイル、N-スクシンイミジル4-(2-ピリジルジチオ)ペンタノエート(SPP)、N-スクシンイミジル4-(2-ピリジルチオ)ペンタノエート(SPDB)、ホスホジエステル結合、およびヌクレオチドからなる群より選択される、修飾オリゴヌクレオチド-薬物接合体。
【0018】
12.前記項目8において、前記修飾オリゴヌクレオチドは、配列番号11または配列番号12から選択される配列からなる、修飾オリゴヌクレオチド-薬物接合体。
【0019】
13.前記項目8~12のいずれか一つに記載の修飾オリゴヌクレオチド-薬物接合体を含む、癌の予防または治療用薬学組成物。
【発明の効果】
【0020】
本発明の「修飾オリゴヌクレオチド-薬物接合体」は、修飾核酸を含むオリゴヌクレオチド(以下、「修飾オリゴヌクレオチド」)と、それにコンジュゲートされた薬物とを含むことにより、体内で高い安定性を示し、優れた抗癌効果を示すことができる。
【0021】
本発明の「修飾オリゴヌクレオチド-薬物接合体」は、「修飾オリゴヌクレオチド」を単独で使用した場合や、「薬物」を単独で投与した場合よりも優れた抗癌効果を示すことができる。
【0022】
本発明の「修飾オリゴヌクレオチド-薬物接合体」は、接合体に含まれる修飾オリゴヌクレオチドと同量の「修飾オリゴヌクレオチド」に比べて体内での半減期が高い。本発明の「修飾オリゴヌクレオチド-薬物接合体」は、接合体に含まれる薬物と同量の「薬物」に比べて毒性が低い。
【0023】
本発明の「オリゴヌクレオチド修飾体-薬物接合体」は、修飾核酸を含まないオリゴヌクレオチドに薬物のみがコンジュゲートされた「オリゴヌクレオチド-薬物接合体」に比べて、優れた抗癌効果を示すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1~
図5は、IVISイメージングにより、膵臓癌同所性移植動物モデルにおける修飾オリゴヌクレオチド-薬物接合体の有効性を評価した結果を示す(
図1:未処理、
図2:ゲムシタビンロードコラーゲンパッチ処理群、
図3:IO101Lロードコラーゲンパッチ処理群、
図4:IO176ロードコラーゲンパッチ処理群、
図5:IO142ロードコラーゲンパッチ処理群)。
【
図2】
図1~
図5は、IVISイメージングにより、膵臓癌同所性移植動物モデルにおける修飾オリゴヌクレオチド-薬物接合体の有効性を評価した結果を示す(
図1:未処理、
図2:ゲムシタビンロードコラーゲンパッチ処理群、
図3:IO101Lロードコラーゲンパッチ処理群、
図4:IO176ロードコラーゲンパッチ処理群、
図5:IO142ロードコラーゲンパッチ処理群)。
【
図3】
図1~
図5は、IVISイメージングにより、膵臓癌同所性移植動物モデルにおける修飾オリゴヌクレオチド-薬物接合体の有効性を評価した結果を示す(
図1:未処理、
図2:ゲムシタビンロードコラーゲンパッチ処理群、
図3:IO101Lロードコラーゲンパッチ処理群、
図4:IO176ロードコラーゲンパッチ処理群、
図5:IO142ロードコラーゲンパッチ処理群)。
【
図4】
図1~
図5は、IVISイメージングにより、膵臓癌同所性移植動物モデルにおける修飾オリゴヌクレオチド-薬物接合体の有効性を評価した結果を示す(
図1:未処理、
図2:ゲムシタビンロードコラーゲンパッチ処理群、
図3:IO101Lロードコラーゲンパッチ処理群、
図4:IO176ロードコラーゲンパッチ処理群、
図5:IO142ロードコラーゲンパッチ処理群)。
【
図5】
図1~
図5は、IVISイメージングにより、膵臓癌同所性移植動物モデルにおける修飾オリゴヌクレオチド-薬物接合体の有効性を評価した結果を示す(
図1:未処理、
図2:ゲムシタビンロードコラーゲンパッチ処理群、
図3:IO101Lロードコラーゲンパッチ処理群、
図4:IO176ロードコラーゲンパッチ処理群、
図5:IO142ロードコラーゲンパッチ処理群)。
【
図6】
図6は、修飾オリゴヌクレオチド-薬物接合体が担持されたコラーゲンパッチを処理した膵臓癌同所性移植動物モデルの体重変化を確認した結果を示す。
【
図7a】
図7a~7eは、修飾オリゴヌクレオチド-薬物接合体が担持されたコラーゲンパッチを処理した膵臓癌同所性移植動物モデルにおける臓器および腫瘍のサイズを確認した結果を示す(
図7a:未処理、
図7b:ゲムシタビンロードコラーゲンパッチ処理群、
図7c:IO101Lロードコラーゲンパッチ処理群、
図7d:IO176ロードコラーゲンパッチ処理群、
図7e:IO142ロードコラーゲンパッチ処理群)。
【
図7b】
図7a~7eは、修飾オリゴヌクレオチド-薬物接合体が担持されたコラーゲンパッチを処理した膵臓癌同所性移植動物モデルにおける臓器および腫瘍のサイズを確認した結果を示す(
図7a:未処理、
図7b:ゲムシタビンロードコラーゲンパッチ処理群、
図7c:IO101Lロードコラーゲンパッチ処理群、
図7d:IO176ロードコラーゲンパッチ処理群、
図7e:IO142ロードコラーゲンパッチ処理群)。
【
図7c】
図7a~7eは、修飾オリゴヌクレオチド-薬物接合体が担持されたコラーゲンパッチを処理した膵臓癌同所性移植動物モデルにおける臓器および腫瘍のサイズを確認した結果を示す(
図7a:未処理、
図7b:ゲムシタビンロードコラーゲンパッチ処理群、
図7c:IO101Lロードコラーゲンパッチ処理群、
図7d:IO176ロードコラーゲンパッチ処理群、
図7e:IO142ロードコラーゲンパッチ処理群)。
【
図7d】
図7a~7eは、修飾オリゴヌクレオチド-薬物接合体が担持されたコラーゲンパッチを処理した膵臓癌同所性移植動物モデルにおける臓器および腫瘍のサイズを確認した結果を示す(
図7a:未処理、
図7b:ゲムシタビンロードコラーゲンパッチ処理群、
図7c:IO101Lロードコラーゲンパッチ処理群、
図7d:IO176ロードコラーゲンパッチ処理群、
図7e:IO142ロードコラーゲンパッチ処理群)。
【
図7e】
図7a~7eは、修飾オリゴヌクレオチド-薬物接合体が担持されたコラーゲンパッチを処理した膵臓癌同所性移植動物モデルにおける臓器および腫瘍のサイズを確認した結果を示す(
図7a:未処理、
図7b:ゲムシタビンロードコラーゲンパッチ処理群、
図7c:IO101Lロードコラーゲンパッチ処理群、
図7d:IO176ロードコラーゲンパッチ処理群、
図7e:IO142ロードコラーゲンパッチ処理群)。
【
図8a】
図8a及び
図8bは、修飾オリゴヌクレオチド-薬物接合体が担持されたコラーゲンパッチを処理した膵臓癌同所性移植動物モデルにおける臓器および腫瘍の重量を確認した結果を示す。
【
図8b】
図8a及び
図8bは、修飾オリゴヌクレオチド-薬物接合体が担持されたコラーゲンパッチを処理した膵臓癌同所性移植動物モデルにおける臓器および腫瘍の重量を確認した結果を示す。
【
図9】
図9は、一実施形態に係る修飾オリゴヌクレオチド-薬物接合体(IO176)と、MMAE投与後の血漿中のMMAE濃度を示すグラフである。
図9のグラフ内に含まれる小さなグラフは、薬物投与直前(0分)から120分までの血漿中のMMAE濃度を示す。
【
図10】
図10は、一実施形態に係る修飾オリゴヌクレオチド-薬物接合体(IO176)と、ゲムシタビン及びその代謝体(dFdU)の血漿中濃度を示すグラフである。
【
図11】
図11は、末端ではなく内部のヌクレオチドが修飾核酸で置換された修飾オリゴヌクレオチドと、MMAEとをコンジュゲートする過程を示す反応式である。
【
図12】
図12は、末端ではなく内部のヌクレオチドが修飾核酸で置換された修飾オリゴヌクレオチドと、パクリタキセルとをコンジュゲートする過程を示す反応式である。
【
図13】
図13は、末端ではなく内部のヌクレオチドが修飾核酸で置換された修飾オリゴヌクレオチドと、DM1とをコンジュゲートする過程を示す反応式である。
【
図14】
図14は、5’末端または3’末端のいずれかに修飾核酸が付加された修飾オリゴヌクレオチドと、MMAEとをコンジュゲートする過程を示す反応式である。
【
図15】
図15は、5’末端または3’末端のいずれかに修飾核酸が付加された修飾オリゴヌクレオチドと、パクリタキセルとをコンジュゲートする過程を示す反応式である。
【
図16】
図16は、5’末端または3’末端のいずれかに修飾核酸が付加された修飾オリゴヌクレオチドと、DM1とをコンジュゲートする過程を示す反応式である。
【
図19】
図19~
図27は、いくつかの実施例と比較例のIC
50の評価結果およびグラフを示す。
【
図20】
図19~
図27は、いくつかの実施例と比較例のIC
50の評価結果およびグラフを示す。
【
図21】
図19~
図27は、いくつかの実施例と比較例のIC
50の評価結果およびグラフを示す。
【
図22】
図19~
図27は、いくつかの実施例と比較例のIC
50の評価結果およびグラフを示す。
【
図23】
図19~
図27は、いくつかの実施例と比較例のIC
50の評価結果およびグラフを示す。
【
図24】
図19~
図27は、いくつかの実施例と比較例のIC
50の評価結果およびグラフを示す。
【
図25】
図19~
図27は、いくつかの実施例と比較例のIC
50の評価結果およびグラフを示す。
【
図26】
図19~
図27は、いくつかの実施例と比較例のIC
50の評価結果およびグラフを示す。
【
図27】
図19~
図27は、いくつかの実施例と比較例のIC
50の評価結果およびグラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
【0026】
本発明は、少なくとも1つの修飾核酸を含む修飾オリゴヌクレオチドと、前記修飾オリゴヌクレオチドにコンジュゲートされた薬物とを含む、修飾オリゴヌクレオチド-薬物接合体を提供する。
【0027】
修飾オリゴヌクレオチド
修飾オリゴヌクレオチドは、少なくとも1つの修飾核酸を含むことができる。
【0028】
修飾オリゴヌクレオチドは、修飾核酸を含み、グアニン四重鎖(G-quadruplex)構造を形成するものであってもよい。
【0029】
オリゴヌクレオチドのグアニン四重鎖構造に寄与するグアノシン(G)は、2’-デオキシグアノシン(2-deoxy-guanosine)、グアノシン(guanosine)、2’-オー-メチル-グアノシン(2’-O-methyl-guanosine)、2’-フルオロ-グアノシン(2’-F-guanosine)、LNA(Locked Nucleic Acid)-グアノシン、D-デオキシグアノシン、およびD-グアノシンから選択される1種または2種以上であってもよく、ここに治療的効果を有する修飾核酸が含まれるように合成することができる。
【0030】
修飾オリゴヌクレオチドは、DNAシンセサイザーを用いた固定相合成法により、グアノシンに富むオリゴヌクレオチドに、前述の修飾核酸が含まれるように製造することができる。
【0031】
修飾オリゴヌクレオチドは、公知のオリゴヌクレオチド配列中の所定のヌクレオチドを修飾核酸で置換するか、または公知のオリゴヌクレオチド配列の3’または5’末端の少なくとも1つに修飾核酸を付加して導入することによって製造することができる。
【0032】
修飾オリゴヌクレオチドは、標的タンパク質に結合力または特異性を有するアプタマーであってもよい。
【0033】
修飾オリゴヌクレオチドの配列および修飾核酸の位置は、標的タンパク質に対する結合力または特異性などに影響を及ぼす可能性がある。したがって、配列および修飾核酸の位置は、標的タンパク質に対する結合力または特異性などを考慮して適宜選択する必要がある。
【0034】
本発明の修飾オリゴヌクレオチド-薬物接合体の有用性は、標的タンパク質に対する結合力または特異性などの要因に応じて示される生理活性効果によって決定することができる。
【0035】
修飾核酸は治療効果を有するものであってもよく、例えば糖(sugar)または塩基(base)が修飾されたグアノシン、チミジン、シチジンまたはウリジンであってもよいが、これらに限定されない。修飾核酸は、ピリミジン系であってもよい。具体的には、修飾核酸はウリジンまたはシチジン由来のものであってもよい。
【0036】
修飾核酸は、下記の化学式3または化学式4で表される化合物から選択することができる。
【0037】
【化7】
【化8】
(前記の化学式3または化学式4において、
R
1は、水素、ハロゲンまたはヒドロキシ基であり、
R
2は、水素、ハロゲンまたはヒドロキシ基であり、
R
3は、水素、ハロゲン、C1-C6のアルキル基、C1-C6のハロアルキル基、C2-C6のアルケニル基、またはC2-C6のハロアルケニル基である(このとき、前記R
1が水素またはヒドロキシ基であり、前記R
2が水素であり、前記R
3が水素またはメチルである場合を除く。))。
【0038】
化学式3におけるR1は、水素、ハロゲンまたはヒドロキシ基であってもよく、具体的には水素であってもよい。
【0039】
化学式3におけるR2は、水素、ハロゲンまたはヒドロキシ基であってもよく、具体的には水素であってもよい。
【0040】
化学式3におけるR3は、水素、ハロゲン、C1-C6のアルキル基、C1-C6のハロアルキル基、C2-C6のアルケニル基、またはC2-C6のハロアルケニル基であってもよく、具体的には、ハロゲン、C1-C6のハロアルキル基、またはC2-C6のハロアルケニル基であってもよい。一実施形態によれば、化学式3は5-フルオロデオキシウリジンであってもよい。
【0041】
化学式4におけるR1は、水素、ハロゲンまたはヒドロキシ基であってもよく、具体的には、水素またはハロゲン(例えば、フルオロ、クロロ、ブロモ、またはヨード)であってもよい。
【0042】
化学式4におけるR2は、水素、ハロゲンまたはヒドロキシ基であってもよく、具体的には、水素またはハロゲン(例えば、フルオロ、クロロ、ブロモ、またはヨード)であってもよい。
【0043】
化学式4におけるR3は、水素、ハロゲン、C1-C6のアルキル基、C1-C6のハロアルキル基、C2-C6のアルケニル基、またはC2-C6のハロアルケニル基であってもよく、具体的には、水素またはC1-C6のアルキル基であってもよい。
【0044】
化学式4におけるR1及びR2はハロゲンであり、R3は、水素またはC1-C3のアルキル基であってもよい。一実施形態によれば、化学式4はゲムシタビンであってもよい。
【0045】
修飾核酸は、前記の化学式3または化学式4で表される化合物にリン酸基が結合した形態で修飾オリゴヌクレオチドに含まれ得る。具体的には、ホスホロアミダイトの形態で修飾オリゴヌクレオチドに含まれ得る。ヌクレオチドホスホロアミダイトは、グレンリサーチ(Glen Research)社、ベリー(Berry and Associates)社、オキアノス(Okeanos Tech)社、ケムジーン(Chemgene)社、プロリゴ(Proligo)社等から購入するか、または公知の方法(Oligonucleotides and Analogues:A Practical Approach,Fritz Eckstein et al.1991,IRLPress:Oxford)により製造することができる。
【0046】
修飾核酸は、5-フルオロデオキシウリジン、5-フルオロウリジン、5-フルオロデオキシシチジン、5-フルオロシチジン、5-ヨードデオキシウリジン、5-ヨードウリジン、5-ヨードデオキシシチジン、5-ヨードシチジン、シトシンアラビノシド、2’,2’-ジフルオロ-2’-デオキシシチジン、及びブロモビニルデオキシウリジンからなる群より選択することができる。化学式3または化学式4で表される修飾核酸は、5-フルオロデオキシウリジン、5-フルオロウリジン、5-フルオロデオキシシチジン、5-フルオロシチジン、5-ヨードデオキシウリジン、5-ヨードウリジン、5-ヨードデオキシシチジン、5-ヨードシチジン、シトシンアラビノシド、2’,2’-ジフルオロ-2’-デオキシシチジン、及びブロモビニルデオキシウリジンからなる群より選択することができる。2’,2’-ジフルオロ-2’-デオキシシチジンは、ゲムシタビンであってもよい。
【0047】
例えば、修飾オリゴヌクレオチドは、下記化学式1で表される配列からなっていてもよい。
【0048】
【0049】
前記化学式1は、左から5’から3’の方向に示されている。
【0050】
本明細書において、化学式1に示されるGは、デオキシグアノシン(dG)であってもよい。
【0051】
前記化学式1中のX1~X3及びX7~X9は、それぞれ独立してチミジン(T)、あるいは前記の化学式3または化学式4で表される修飾核酸であってもよい。
【0052】
前記化学式1中のY1は、デオキシグアノシン(dG)、あるいは前記の化学式3または化学式4で表される修飾核酸であってもよい。
【0053】
前記化学式1中のX4~X6は、それぞれ独立してチミジン(T)、デオキシウリジン(dU)、あるいは前記の化学式3または化学式4で表される修飾核酸であってもよい。
【0054】
前記化学式1中のX4~X6の少なくとも1つは、デオキシウリジン(dU)であってもよい。
【0055】
前記化学式1中のM1及びM2は、それぞれ独立して、前記の化学式3または化学式4で表される修飾核酸であってもよい。
【0056】
前記化学式1中のN1及びN2は、それぞれ独立してチミジン(T)、デオキシウリジン(dU)、デオキシシチジン(dC)、またはデオキシグアノシン(dG)であってもよい。
【0057】
前記化学式1中のa及びdは、それぞれ独立して0~10の整数であってもよい。
【0058】
前記化学式1において、前記X1~X9がいずれもチミジン(T)であり、前記Y1がデオキシグアノシン(dG)である場合、前記a及びdは同時に0でなくてもよい。すなわち、化学式1で表される修飾オリゴヌクレオチドは、前記の化学式3または化学式4で表される修飾核酸を少なくとも1つ含む。
【0059】
前記化学式1中のb及びcは、それぞれ独立して0~10の整数であってもよい。
【0060】
前記化学式1からなる修飾オリゴヌクレオチドのデオキシウリジン(dU)に、薬物をコンジュゲートすることができる。
【0061】
具体的には、本発明の修飾オリゴヌクレオチドは、下記化学式1で表すことができる。
【0062】
【化10】
(前記化学式1において、
X
1~X
3及びX
7~X
9は、それぞれ独立してチミジン(T)、あるいは下記の化学式3または化学式4で表される修飾核酸であり、
Y
1は、デオキシグアノシン(dG)、あるいは下記の化学式3または化学式4で表される修飾核酸であり、
X
4~X
6は、それぞれ独立してチミジン(T)、デオキシウリジン(dU)、あるいは下記の化学式3または化学式4で表される修飾核酸であり、前記X
4~X
6の少なくとも1つはデオキシウリジン(dU)であり、
M
1及びM
2は、それぞれ独立して、下記の化学式3または化学式4で表される修飾核酸であり、
N
1及びN
2は、それぞれ独立してチミジン(T)、デオキシウリジン(dU)、デオキシシチジン(dC)、またはデオキシグアノシン(dG)であり、
a及びdは、それぞれ独立して0~10の整数であるが、前記X
1~X
9がいずれもチミジン(T)であり、前記Y
1がデオキシグアノシン(dG)である場合、前記a及びdは同時に0ではなく、
b及びcは、それぞれ独立して0~10の整数である。)、
【化11】
【化12】
(前記の化学式3または化学式4において、
R
1は、水素、ハロゲンまたはヒドロキシ基であり、
R
2は、水素、ハロゲンまたはヒドロキシ基であり、
R
3は、水素、ハロゲン、C1-C6のアルキル基、C1-C6のハロアルキル基、C2-C6のアルケニル基、またはC2-C6のハロアルケニル基である(このとき、前記R
1が水素またはヒドロキシ基であり、前記R
2が水素であり、前記R
3が水素またはメチルである場合を除く。))。
【0063】
いくつかの実施形態によれば、修飾オリゴヌクレオチドは、配列番号4~配列番号10から選択される配列からなっていてもよい。
【0064】
他の例では、修飾オリゴヌクレオチドは、下記化学式2で表される配列からなっていてもよい。
【0065】
【0066】
前記化学式2は、左から5’から3’の方向に示されている。
【0067】
本明細書において、化学式2に示されるGは、デオキシグアノシン(dG)であってもよい。
【0068】
前記化学式2中のX1~X9は、それぞれ独立してチミジン(T)、あるいは前記の化学式3または化学式4で表される修飾核酸であってもよい。
【0069】
前記化学式2中のM1及びM2は、それぞれ独立して、下記の化学式3または化学式4で表される修飾核酸であってもよい。
【0070】
前記化学式2中のN1及びN2は、それぞれ独立してチミジン(T)、デオキシウリジン(dU)、デオキシシチジン(dC)、またはデオキシグアノシン(dG)であってもよい。
【0071】
前記化学式2中のa及びdは、それぞれ独立して0~10の整数であってもよい。
【0072】
前記化学式2中の前記X1~X9がいずれもチミジン(T)である場合、前記a及びdは同時に0でなくてもよい。
【0073】
前記化学式2中のb及びcは、それぞれ独立して0~10の整数であってもよい。
【0074】
前記化学式1で表される修飾オリゴヌクレオチドの5’末端または3’末端のうちの少なくとも1つに薬物をコンジュゲートすることができる。
【0075】
具体的には、本発明の修飾オリゴヌクレオチドは、下記化学式2で表すことができる。
【0076】
【化14】
(前記化学式2において、
X
1~X
9は、それぞれ独立してチミジン(T)、あるいは下記の化学式3または化学式4で表される修飾核酸であり、
M
1及びM
2は、それぞれ独立して、下記の化学式3または化学式4で表される修飾核酸であり、
N
1及びN
2は、それぞれ独立してチミジン(T)、デオキシウリジン(dU)、デオキシシチジン(dC)、またはデオキシグアノシン(dG)であり、
a及びdは、それぞれ独立して0~10の整数であり、前記X
1~X
9がいずれもチミジン(T)である場合、前記a及びdは同時に0ではなく、
b及びcは、それぞれ独立して0~10の整数である。)、
【化15】
【化16】
(前記の化学式3または化学式4において、
R
1は、水素、ハロゲンまたはヒドロキシ基であり、
R
2は、水素、ハロゲンまたはヒドロキシ基であり、
R
3は、水素、ハロゲン、C1-C6のアルキル基、C1-C6のハロアルキル基、C2-C6のアルケニル基、またはC2-C6のハロアルケニル基である(このとき、前記R
1が水素またはヒドロキシ基であり、前記R
2が水素であり、前記R
3が水素またはメチルである場合を除く。))。
【0077】
いくつかの実施形態によれば、修飾オリゴヌクレオチドは、配列番号11または配列番号12から選択される配列からなっていてもよい。
【0078】
薬物
薬物は修飾オリゴヌクレオチドにコンジュゲートできる構造を有するものであれば十分であり、具体的な種類を限定しない。
【0079】
薬物は、修飾オリゴヌクレオチドに直接コンジュゲートすることができる官能基、またはリンカーにコンジュゲートすることができる官能基(例えば、ヒドロキシ基、カルボキシ基、またはアミノ基)を有するものであってもよいが、これらに限定されない。
【0080】
例えば、薬物は、パクリタキセル(paclitaxel)、モノメチルアウリスタチンE(monomethyl auristatin E)、モノメチルアウリスタチンF(monomethyl auristatin F)、モノメチルアウリスタチンD(MMAD)、シタラビン、ゲムシタビン、メイタンシン、DM1(mertansine、メルタンシン)、DM4、カリケアミシン及びその誘導体、ドキソルビシン、デュオカルマイシン及びその誘導体、ピロロベンゾジアゼピン(PBD)、SN-38、α-アマニチン、ツブリシン類似体(tubulysin analog)、シクロホスファミド(cyclophosphamide)、メクロレタミン(mecholrethamine)、ウラムスチン(uramustine)、メルファラン(melphalan)、クロラムブシル(chlorambucil)、イホスファミド(ifosfamide)、ベンダムスチン(bendamustine)、カルムスチン(carmustine)、ロムスチン(lomustine)、ストレプトゾシン(streptozocin)、ブスルファン(busulfan)、ダカルバジン(dacarbazine)、テモゾロミド(temozolomide)、チオテパ(thiotepa)、アルトレタミン(altretamine)、デュオカルマイシン(duocarmycin)、シスプラチン(cisplatin)、カルボプラチン(carboplatin)、ネダプラチン(nedaplatin)、オキサリプラチン(oxaliplatin)、サトラプラチン(satraplatin)、四硝酸トリプラチン(triplatin tetranitrate)、5-フルオロウラシル(5-fluorouracil)、6-メルカプトプリン(6-mercaptopurine)、カペシタビン(capecitabine)、クラドリビン(cladribine)、クロファラビン(clofarabine)、シスタルビン(cystarbine)、フロクスウリジン(floxuridine)、フルダラビン(fludarabine)、ゲムシタビン(gemcitabine)、ヒドロキシウレア(hydroxyurea)、メトトレキサート(methotrexate)、ペメトレキセド(pemetrexed)、ペントスタチン(pentostatin)、チオグアニン(thioguanine)、カンプトテシン(camptothecin)、トポテカン(topotecan)、イリノテカン(irinotecan)、エトポシド(etoposide)、テニポシド(teniposide)、ミトキサントロン(mitoxantrone)、パクリタキセル(paclitaxel)、ドセタキセル(docetaxel)、イキサベピロン(izabepilone)、ビンブラスチン(vinblastine)、ビンクリスチン(vincristine)、ビンデシン(vindesine)、ビノレルビン(vinorelbine)、エストラムスチン(estramustine)、メイタンシン(maytansine)、アウリスタチンE(auristatin E)、アウリスタチンF(auristatin F)、およびネモルビシン(nemorubicin)からなる群より選択することができる。
【0081】
薬物は修飾オリゴヌクレオチドに直接的または間接的にコンジュゲートすることができる。例えば、薬物は修飾オリゴヌクレオチドに直接コンジュゲートしてもよく、リンカーを介してコンジュゲートしてもよい。
【0082】
薬物は、修飾オリゴヌクレオチドの内部に含まれる少なくとも1つの塩基にコンジュゲートすることができる。具体的には、薬物は修飾オリゴヌクレオチドの内部に含まれるウリジンまたはデオキシウリジン(dU)にコンジュゲートすることができるが、これらに限定されない。
【0083】
薬物は修飾オリゴヌクレオチドの末端に位置する塩基にコンジュゲートすることができる。具体的には、薬物は、修飾オリゴヌクレオチドの5’または3’末端のうちの少なくとも1つにコンジュゲートすることができる。
【0084】
修飾オリゴヌクレオチドについては前述の通りであるので、具体的な説明を省略する。
【0085】
リンカー
修飾オリゴヌクレオチドと薬物は、リンカー(L)で連結することができる。リンカー(L)は、修飾オリゴヌクレオチドと薬物とを連結できるものであれば十分であり、具体的な種類を限定しない。
【0086】
リンカー(L)は、L1とL2が結合したものであってもよい。
【0087】
L1及びL2は、それぞれ独立して修飾オリゴヌクレオチドと薬物にコンジュゲートすることができる。L1及びL2は、それぞれ独立して修飾オリゴヌクレオチドと薬物にコンジュゲートすることができ、L1とL2の反応により、修飾オリゴヌクレオチドと薬物をコンジュゲートすることができる。
【0088】
一実施形態によれば、L1は修飾オリゴヌクレオチドと連結することができ、L2は薬物と連結することができる。例えば、L1は修飾オリゴヌクレオチドの内部に含まれるヌクレオチド(例えば、dU)と連結することができ、L2は薬物と連結することができる。他の例では、L1は修飾オリゴヌクレオチドの5’または3’末端のうちの少なくとも1つと連結することができ、L2は薬物と連結することができる。
【0089】
L1は化学反応によってL2と結合できる官能基を含むものであれば十分であり、その種類を限定しない。L2は化学反応によってL1と結合できる官能基を含むものであれば十分であり、その種類を限定しない。
【0090】
例えば、L1は-SH官能基を含み、L2はマレイミド(maleimide)官能基を含むものであってもよい。他の例では、L1は-NH2官能基を含み、L2は-COOH官能基を含むものであってもよい。
【0091】
前記L1は、5’-チオール-改質剤C6、チオール-改質剤C6S-S、ジチオールセリノール、PCアミノ-改質剤、5’-アミノ-改質剤C3、5’-アミノ-改質剤C6、5’-アミノ-改質剤C12、5’-アミノ-改質剤TEG、アミノ-改質剤C2 dT、アミノ-改質剤C6 dT、S-Bz-チオール-改質剤C6-dT、ホスホジエステル結合、およびヌクレオチドからなる群より選択することができるが、これらに限定されない。L1は、前述の例の脱保護(deprotection)された形態であってもよく、例えば、アクリルアミド(acrylamide)-C2-NH2、C12-NH2、C3-NH2、アクリルアミド(acrylamide)-C6-プロパンアミド(propanamide)-SH、アクリルアミド(acrylamide)-C6-NH2、C6-NH2、またはC6-SHであってもよいが、これらに限定されない。
【0092】
L2は、マレイミドカプロイル-バリン-シトルリン-p-アミノベンゾイルオキシカルボニル(MC-Val-Cit-PAB)、スクシンイミジル4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシラート(SMCC)、コハク酸(succinic acid)、ヒドラゾン、ペプチド、ジスルフィド、チオエーテル、バリン-シトルリン、N-マレイミドメチルシクロヘキサン-1-カルボキシラート(MCC)、マレイミドカプロイル、メルカプトアセトアミドカプロイル、N-スクシンイミジル4-(2-ピリジルジチオ)ペンタノエート(SPP)、N-スクシンイミジル4-(2-ピリジルチオ)ペンタノエート(SPDB)、ホスホジエステル結合、およびヌクレオチドからなる群より選択することができるが、これらに限定されない。
【0093】
リンカー(L)を用いて修飾オリゴヌクレオチドと薬物をコンジュゲートする方法のいくつかの例は、以下の通りである。
【0094】
例えば、公知のオリゴヌクレオチド(例えば、比較例1の配列を有するアプタマー)を基準として、所定のヌクレオチドが修飾核酸で置換された修飾オリゴヌクレオチドを製造するステップと、前記修飾オリゴヌクレオチドの一つの末端にL
1を結合するステップと、
薬物にL
2を結合するステップと、
L
1が結合した修飾オリゴヌクレオチドと、L
2が結合した薬物とを反応させるステップとを含む方法により、修飾オリゴヌクレオチド-薬物接合体を製造することができる(
図11~13を参照)。
【0095】
他の例では、公知のオリゴヌクレオチド(例えば、比較例1の配列を有するアプタマー)の両末端(5’末端または3’末端)のうちの少なくとも1つの末端に少なくとも1つの修飾核酸を付加して修飾オリゴヌクレオチドを製造するステップと、前記修飾オリゴヌクレオチドの一つの末端にL
1を結合するステップと、
薬物にL
2を結合するステップと、
L
1が結合した修飾オリゴヌクレオチドと、L
2が結合した薬物とを反応させるステップとを含む方法により、修飾オリゴヌクレオチド-薬物接合体を製造することができる(
図14~16を参照)。
【0096】
いくつかの実施形態によれば、リンカー(L)は、-[acrylamide-C6-NH-(CO)-(CH
2)
2-(CO)O]-、-[C6-NH-(CO)-(CH
2)
2-(CO)O]-、-[C6-S-MC-Val-Cit-PAB]-、-[C6-NH-CO-A]-、-[acrylamide-C6-NH-CO-A]-、または(前記Aは、
【化17】
である。)であってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0097】
修飾オリゴヌクレオチド-薬物接合体
いくつかの実施形態によれば、本発明の修飾オリゴヌクレオチド-薬物接合体は、下記化学式1で表される修飾オリゴヌクレオチドと、前記修飾オリゴヌクレオチドに含まれるデオキシウリジン(dU)にコンジュゲートされた薬物とを含むことができる。
【0098】
【化18】
(前記化学式1において、
X
1~X
3及びX
7~X
9は、それぞれ独立してチミジン(T)、あるいは下記の化学式3または化学式4で表される修飾核酸であり、
Y
1は、デオキシグアノシン(dG)、あるいは下記の化学式3または化学式4で表される修飾核酸であり、
X
4~X
6は、それぞれ独立してチミジン(T)、デオキシウリジン(dU)、あるいは下記の化学式3または化学式4で表される修飾核酸であり、前記X
4~X
6の少なくとも1つはデオキシウリジン(dU)であり、
M
1及びM
2は、それぞれ独立して、下記の化学式3または化学式4で表される修飾核酸であり、
N
1及びN
2は、それぞれ独立してチミジン(T)、デオキシウリジン(dU)、デオキシシチジン(dC)、またはデオキシグアノシン(dG)であり、
a及びdは、それぞれ独立して0~10の整数であるが、前記X
1~X
9がいずれもチミジン(T)であり、前記Y
1がデオキシグアノシン(dG)である場合、前記a及びdは同時に0ではなく、
b及びcは、それぞれ独立して0~10の整数である。)、
【化19】
【化20】
(前記の化学式3または化学式4において、
R
1は、水素、ハロゲンまたはヒドロキシ基であり、
R
2は、水素、ハロゲンまたはヒドロキシ基であり、
R
3は、水素、ハロゲン、C1-C6のアルキル基、C1-C6のハロアルキル基、C2-C6のアルケニル基、またはC2-C6のハロアルケニル基である(このとき、前記R
1が水素またはヒドロキシ基であり、前記R
2が水素であり、前記R
3が水素またはメチルである場合を除く。))。
【0099】
前記薬物と前記デオキシウリジン(dU)は、リンカー(L)で連結することができる。リンカーは、前記のL1及びL2が結合したものであってもよい。
【0100】
前記L1及びL2は、それぞれ独立して、前記修飾オリゴヌクレオチド内のデオキシウリジン(dU)および前記薬物に結合することができる。
【0101】
具体的には、修飾オリゴヌクレオチドは、配列番号4~配列番号10から選択される配列からなっていてもよい。
【0102】
修飾核酸、薬物、L1及びL2等については前述の通りであるので、具体的な説明を省略する。
【0103】
いくつかの実施形態によれば、本発明の修飾オリゴヌクレオチド-薬物接合体は、化学式2で表される修飾オリゴヌクレオチドと、前記修飾オリゴヌクレオチドの5’末端または3’末端のうちの少なくとも1つにコンジュゲートされた薬物とを含むことができる。
【0104】
【化21】
(前記化学式2において、
X
1~X
9は、それぞれ独立してチミジン(T)、あるいは下記の化学式3または化学式4で表される修飾核酸であり、
M
1及びM
2は、それぞれ独立して、下記の化学式3または化学式4で表される修飾核酸であり、
N
1及びN
2は、それぞれ独立してチミジン(T)、デオキシウリジン(dU)、デオキシシチジン(dC)、またはデオキシグアノシン(dG)であり、
a及びdは、それぞれ独立して0~10の整数であり、前記X
1~X
9がいずれもチミジン(T)である場合、前記a及びdは同時に0ではなく、
b及びcは、それぞれ独立して0~10の整数である。)、
【化22】
【化23】
(前記の化学式3または化学式4において、
R
1は、水素、ハロゲンまたはヒドロキシ基であり、
R
2は、水素、ハロゲンまたはヒドロキシ基であり、
R
3は、水素、ハロゲン、C1-C6のアルキル基、C1-C6のハロアルキル基、C2-C6のアルケニル基、またはC2-C6のハロアルケニル基である(このとき、前記R
1が水素またはヒドロキシ基であり、前記R
2が水素であり、前記R
3が水素またはメチルである場合を除く。))。
【0105】
前記薬物と前記修飾オリゴヌクレオチドの5’末端または3’末端のうちの少なくとも1つは、リンカー(L)で連結することができる。リンカーは、前記のL1及びL2が結合したものであってもよい。
【0106】
前記のL1及びL2は、それぞれ独立して、前記修飾オリゴヌクレオチドの5’末端または3’末端のうちの少なくとも1つ、および前記薬物に結合することができる。
【0107】
具体的には、修飾オリゴヌクレオチドは、配列番号11または配列番号12から選択される配列からなっていてもよい。
【0108】
修飾核酸、薬物、L1及びL2等については前述の通りであるので、具体的な説明を省略する。
【0109】
修飾オリゴヌクレオチド-薬物接合体の用途
また、本発明は、前述の修飾オリゴヌクレオチド-薬物接合体を含む、癌の予防または治療用薬学組成物を提供する。
【0110】
癌は、白血病、リンパ腫、乳癌、肝癌、胃癌、卵巣癌、子宮頸部癌腫、神経膠腫癌、大腸癌、肺癌、膵臓癌、前立腺癌、肝癌、胃腺癌、子宮癌、膀胱癌、甲状腺癌、卵巣癌、黒色腫、および子宮頸部癌からなる群より選択することができるが、これらに限定されない。
【0111】
また、本発明は、前述の修飾オリゴヌクレオチド-薬物接合体を個体に投与するステップを含む、癌の予防または治療方法を提供することができる。
【0112】
個体はヒトを含む哺乳類であってもよく、例えば、ヒト、ウシ、ウマ、イヌ、ウサギ、ネコ、ヤギおよびラットであってもよいが、これらに限定されない。
【0113】
修飾オリゴヌクレオチド-薬物接合体、および癌については前述の通りであるので、具体的な説明を省略する。
【0114】
以下、実施例を挙げて本発明の構成及び効果をより具体的に説明する。しかし、以下の実施例は、本発明の理解を容易にするために例示の目的として提供されるものであり、本発明の範疇および範囲を限定するものではない。
【0115】
本発明の発明者らは、修飾核酸を含むグアノシンに富むオリゴヌクレオチド修飾体に薬物を首尾よくコンジュゲートして修飾オリゴヌクレオチド-薬物接合体を合成し、合成された修飾オリゴヌクレオチド-薬物接合体が、毒性がなく安定で優れた癌治療効果を示すことを確認した。
【0116】
1.修飾オリゴヌクレオチド-薬物接合体の製造(ApDDC;Aptamer-Double Drug-Conjugate)
下記の方法で表1の実施例(修飾オリゴヌクレオチド-薬物接合体)および比較例を設計および製造した。下記表1において、Mはゲムシタビン、Nは5-FdU(5-フルオロデオキシウリジン)、Gはデオキシグアノシン(dG)、Tはチミジン(T)、Uはデオキシウリジン(dU)である。すなわち、本発明の説明において、配列番号1~12と、それらを用いて製造された接合体である配列番号13~33に示されるGはデオキシグアノシン(dG)、Tはチミジン(T)、Uはデオキシウリジン(dU)である。
【0117】
【0118】
(1)比較例1の製造
比較例1[:GGTGGTGGTGGTTGTGGTGGTGGTGG(配列番号1)]は、一般的なDNA合成方法により製造した。
【0119】
具体的には、Mermade 12またはMermade 48(バイオオートメーション、米国)を用いて、オリゴヌクレオチドを合成した。脱保護(Deblocking)→結合(Coupling)→不活性化(Capping)→酸化(Oxidation)の4段階の工程を1つのサイクルとし、1つのヌクレオチド(1mer)ずつ3’末端から5’末端に順次合成した。具体的には、脱保護(Deblocking)→結合(Coupling)→不活性化(Capping)→酸化(Oxidation)の4段階の工程は、以下の通りである。
【0120】
A.脱保護:TCA Deblockを投入して、CPG(Controlled Pore Glass)に支持されているヌクレオチドの4,4-ジメトキシトリイル基(DMT)を除去することにより、次のヌクレオチドが結合できるように5’-ヒドロキシル基を生成した。
【0121】
B.結合(Coupling):ヌクレオチドホスホアミダイトとETT Activatorを投入してヌクレオチドを活性化し、CPGに支持されているヌクレオチドの5’-ヒドロキシル基と結合させた。
【0122】
C.不活性化(Capping):Cap AとCap Bを投入して、反応に参加していない(n-1)次ヌクレオチドの5’-ヒドロキシル基を不活性化した。
【0123】
D.酸化(Oxidation):酸化剤(Oxidizer)を投入して、ヌクレオチド間のリン酸結合を酸化させた。
【0124】
合成されたオリゴヌクレオチドを溶液(アンモニア水、55℃)に移してCPG支持体を分離し、保護基を分離した。
【0125】
脱保護されたオリゴヌクレオチドの精製および分析は、Waters Prep150(Waters、米国)およびWaters ACQUITY UPLC H-Class PLUS Bio System(Waters、米国)に逆相C18カラムで行った。また、精製された核酸リガンドの質量分析をWaters Xevo G2-XS Q-TOF System(Waters、米国)で行った。
【0126】
(2)比較例2の製造
比較例2[:GGTGGTGGTGGTTGUGGTGGTGGTGG(配列番号2)のUにパクリタキセルが接合されたオリゴヌクレオチド-薬物接合体]は、一般的なDNA合成方法と薬物コンジュゲーションの2段階で製造した(
図17を参照)。
【0127】
1)オリゴヌクレオチドの合成
比較例1と同様の方法により、
【化24】
を合成した。
【0128】
2)薬物コンジュゲーション
【化25】
と、パクリタキセル-コハク酸(paclitaxel-succinic acid、PTX-SA 98%, MedKoo Biosciences、Cat#620101)とをコンジュゲートして、比較例2のオリゴヌクレオチド-薬物接合体を合成した。比較例2のオリゴヌクレオチド-薬物接合体における配列番号2の配列のUとパクリタキセルとを連結するリンカー(L)は、「-アクリルアミド-C6-NH-コハク酸-」である(アクリルアミドは、配列番号2のUと連結される部分であり、コハク酸は、パクリタキセルと連結される部分である。)。
【0129】
具体的には、パクリタキセル-コハク酸をDMSOに溶かし、EDC(-(3-Dimethylaminopropyl)-N′-ethylcarbodiimide hydrochloride)と超純水(ultra-pure water)に溶かしたSulfo-NHS(N-hydroxysulfosuccinimide)を加えて、室温(RT;Room temperature)で1時間反応させた。前記配列番号13の配列をpH8.4のバッファーに溶解し、活性化したパクリタキセル混合物を入れた。RTで1時間反応させ、Waters ACQUITY UPLC H-Class PLUS Bio System(Waters、米国)を用いて反応の進行を観察した。
【0130】
製造された比較例2(オリゴヌクレオチド-薬物接合体)の配列の精製および分析は、Waters Prep150(Waters、米国)およびWaters ACQUITY UPLC H-Class PLUS Bio System(Waters、米国)に逆相C18カラムで行った。また、精製された核酸リガンドの質量分析をWaters Xevo G2-XS Q-TOF System(Waters、米国)で行った。
【0131】
(3)比較例3の製造
比較例3[:GGTGGTGGTGGTUGTGGTGGTGGTGG(配列番号3)のUにパクリタキセルが接合されたオリゴヌクレオチド-薬物接合体]を製造した。
【0132】
1)オリゴヌクレオチドの合成
比較例1と同様の方法により、
【化26】
を合成した。
【0133】
2)薬物コンジュゲーション
配列番号13の配列の代わりに配列番号14の配列を使用した以外は、比較例2の薬物コンジュゲーション方法と同様にして、比較例3のオリゴヌクレオチド-薬物接合体を合成した。比較例3のオリゴヌクレオチド-薬物接合体における配列番号3の配列のUとパクリタキセルとを連結するリンカー(L)は、「-アクリルアミド-C6-NH-コハク酸-」である(アクリルアミドは、配列番号3のUと連結される部分であり、コハク酸は、パクリタキセルと連結される部分である。)。
【0134】
(4)実施例1の製造
実施例1[:GGTGGTGGTGGUMGTGGTGGTGGTGG(配列番号4)のUにパクリタキセルが接合された修飾オリゴヌクレオチド-薬物接合体、ここで、M=ゲムシタビン]を製造した。
【0135】
1)オリゴヌクレオチドの合成
比較例1と同様の方法により、
【化27】
を合成した。
【0136】
2)薬物コンジュゲーション
配列番号13の配列の代わりに配列番号15の配列を使用した以外は、比較例2の薬物コンジュゲーション方法と同様にして、実施例1の修飾オリゴヌクレオチド-薬物接合体を製造した。実施例1の修飾オリゴヌクレオチド-薬物接合体における配列番号4の配列のUとパクリタキセルとを連結するリンカー(L)は、「-アクリルアミド-C6-NH-コハク酸-」である(アクリルアミドは、配列番号4のUと連結される部分であり、コハク酸は、パクリタキセルと連結される部分である。)。
【0137】
(5)実施例2の製造
実施例2[:GGTGGTGGTGGUTMTGGTGGTGGTGG(配列番号5)のUにパクリタキセルが接合された修飾オリゴヌクレオチド-薬物接合体、ここで、M=ゲムシタビン]を製造した。
【0138】
1)オリゴヌクレオチドの合成
比較例1と同様の方法により、
【化28】
を合成した。
【0139】
2)薬物コンジュゲーション
配列番号13の配列の代わりに配列番号17の配列を使用した以外は、比較例2の薬物コンジュゲーション方法と同様にして、実施例2の修飾オリゴヌクレオチド-薬物接合体を製造した。
【0140】
実施例2の修飾オリゴヌクレオチド-薬物接合体における配列番号5のUとパクリタキセルとを連結するリンカー(L)は、「-アクリルアミド-C6-NH-コハク酸-」である(アクリルアミドは、配列番号5のUと連結される部分であり、コハク酸は、パクリタキセルと連結される部分である。)。
【0141】
(6)実施例3の製造
実施例3[:GGTGGTGGTGGTUMTGGTGGTGGTGG(配列番号6)のUにパクリタキセルが接合された修飾オリゴヌクレオチド-薬物接合体、ここで、M=ゲムシタビン]を製造した。
【0142】
1)オリゴヌクレオチドの合成
比較例1と同様の方法により、
【化29】
を合成した。
【0143】
2)薬物コンジュゲーション
配列番号13の配列の代わりに配列番号18の配列を使用した以外は、比較例2の薬物コンジュゲーション方法と同様にして、実施例3の修飾オリゴヌクレオチド-薬物接合体を製造した。
【0144】
実施例3の修飾オリゴヌクレオチド-薬物接合体における配列番号6の配列のUとパクリタキセルとを連結するリンカー(L)は、「-アクリルアミド-C6-NH-コハク酸-」である(アクリルアミドは、配列番号6のUと連結される部分であり、コハク酸は、パクリタキセルと連結される部分である。)。
【0145】
(7)実施例4の製造
実施例4[:GGTGGTGGTGGTUGMGGTGGTGGTGG(配列番号7)のUにパクリタキセルが接合された修飾オリゴヌクレオチド-薬物接合体、ここで、M=ゲムシタビン]を製造した。
【0146】
1)オリゴヌクレオチドの合成
比較例1と同様の方法により、
【化30】
を合成した。
【0147】
2)薬物コンジュゲーション
配列番号13の配列の代わりに配列番号19の配列を使用した以外は、比較例2の薬物コンジュゲーション方法と同様にして、実施例4の修飾オリゴヌクレオチド-薬物接合体を製造した。
【0148】
実施例4の修飾オリゴヌクレオチド-薬物接合体における配列番号7の配列のUとパクリタキセルとを連結するリンカー(L)は、「-アクリルアミド-C6-NH-コハク酸-」である(アクリルアミドは、配列番号7のUと連結される部分であり、コハク酸は、パクリタキセルと連結される部分である。)。
【0149】
(8)実施例5の製造
実施例5[:GGTGGTGGTGGMUGMGGTGGTGGTGG(配列番号8)のUにパクリタキセルが接合された修飾オリゴヌクレオチド-薬物接合体、ここで、M=ゲムシタビン]を製造した。
【0150】
1)オリゴヌクレオチドの合成
比較例1と同様の方法により、
【化31】
を合成した。
【0151】
2)薬物コンジュゲーション
配列番号13の配列の代わりに配列番号20の配列を使用した以外は、比較例2の薬物コンジュゲーション方法と同様にして、実施例5の修飾オリゴヌクレオチド-薬物接合体を製造した。
【0152】
実施例5の修飾オリゴヌクレオチド-薬物接合体における配列番号8の配列のUとパクリタキセルとを連結するリンカー(L)は、「-アクリルアミド-C6-NH-コハク酸-」である(アクリルアミドは、配列番号8のUと連結される部分であり、コハク酸は、パクリタキセルと連結される部分である。)。
【0153】
(9)実施例6の製造
実施例6[:GGTGGTGGTGGTUGTGGTGGTGGMGG(配列番号9)のUにパクリタキセルが接合された修飾オリゴヌクレオチド-薬物接合体、ここで、M=ゲムシタビン]を製造した。
【0154】
1)オリゴヌクレオチドの合成
比較例1と同様の方法により、
【化32】
を合成した。
【0155】
2)薬物コンジュゲーション
配列番号13の配列の代わりに配列番号21の配列を使用した以外は、比較例2の薬物コンジュゲーション方法と同様にして、実施例6の修飾オリゴヌクレオチド-薬物接合体を製造した。
【0156】
実施例6の修飾オリゴヌクレオチド-薬物接合体における配列番号9の配列のUとパクリタキセルとを連結するリンカー(L)は、「-アクリルアミド-C6-NH-コハク酸-」である(アクリルアミドは、配列番号9のUと連結される部分であり、コハク酸は、パクリタキセルと連結される部分である。)。
【0157】
(10)実施例7の製造
実施例7[:GGTGGTGGTGGTTGUGGTGGTGGMGG(配列番号10)のUにパクリタキセルが接合された修飾オリゴヌクレオチド-薬物接合体、ここで、M=ゲムシタビン]を製造した。
【0158】
1)オリゴヌクレオチドの合成
比較例1と同様の方法により、
【化33】
を合成した。
【0159】
2)薬物コンジュゲーション
配列番号13の配列の代わりに配列番号22の配列を使用した以外は、比較例2の薬物コンジュゲーション方法と同様にして、実施例7の修飾オリゴヌクレオチド-薬物接合体を製造した。
【0160】
実施例7の修飾オリゴヌクレオチド-薬物接合体における配列番号10の配列のUとパクリタキセルとを連結するリンカー(L)は、「-アクリルアミド-C6-NH-コハク酸-」である(アクリルアミドは、配列番号10のUと連結される部分であり、コハク酸は、パクリタキセルと連結される部分である。)。
【0161】
(11)実施例8の製造
以下の方法により、実施例8[:GGTGGTGGTGGTTGTGGTGGTGGTGGMM(配列番号11)の5’末端(すなわち、1番ヌクレオチド)にパクリタキセルが接合された修飾オリゴヌクレオチド-薬物接合体、ここで、M=ゲムシタビン]を製造した(
図18を参照)。
【0162】
1)オリゴヌクレオチドの合成
比較例1と同様の方法により、
【化34】
を合成した。
【0163】
2)薬物コンジュゲーション
配列番号13の代わりに配列番号23の配列を使用した以外は、比較例2の薬物コンジュゲーション方法と同様にして、実施例8の修飾オリゴヌクレオチド-薬物接合体を製造した。
【0164】
実施例8の修飾オリゴヌクレオチド-薬物接合体における配列番号11の配列の5’末端の最初のヌクレオチド(G)とパクリタキセルとを連結するリンカー(L)は、「-C6-NH-コハク酸-」である(C6は、配列番号11の5’末端と連結される部分であり、コハク酸は、パクリタキセルと連結される部分である。)。
【0165】
(12)比較例4の製造
比較例4[:GGTGGTGGTGGTTGTGGTGGTGGTGG(配列番号1)の5’末端(すなわち、1番ヌクレオチド)にMMAEが接合されたオリゴヌクレオチド-薬物接合体]は、一般的なDNA合成方法と薬物コンジュゲーションの2段階で製造した。
【0166】
1)オリゴヌクレオチドの合成
比較例1と同様の方法により、
【化35】
を合成した。
【0167】
2)薬物コンジュゲーション
配列番号24のZをジチオトレイトール(Dithiothreitol、DTT)で還元して、
【化36】
を得た。配列番号25のL
1とMC(maleimide-caproic acid)-Val-Cit-PAB(para-aminobenzyl carbamate)-MMAE(Monomethyl auristatin E)(:VcMMAE 96%、MedKoo Biosciences、Cat#407406)をコンジュゲートして、比較例4のオリゴヌクレオチド-薬物接合体を製造した。比較例4のオリゴヌクレオチド-薬物接合体における配列番号1の5’末端の最初のヌクレオチド(G)とMMAEとを連結するリンカー(L)は、「-C6-S-MC-Val-Cit-PAB-」である(C6は、配列番号1の5’末端と連結される部分であり、PABは、MMAEと連結される部分である。)。
【0168】
具体的には、pH8.5のバッファーに溶解したDTTを
【化37】
に入れ、RTで反応させた後、残りのDTTを除去するために4℃で遠心分離を行った。活性化された
【化38】
をpH6.0のバッファーに溶解した後、DMSOに溶解したVcMMAEを加えて室温(RT)で1時間反応させ、Waters ACQUITY UPLC H-Class PLUS Bio System(Waters、米国)を用いて反応の進行を観察した。
【0169】
製造された比較例4の精製および分析は、Waters Prep150(Waters、米国)およびWaters ACQUITY UPLC H-Class PLUS Bio System(Waters、米国)に逆相C18カラムで行った。また、精製された核酸リガンドの質量分析をWaters Xevo G2-XS Q-TOF System(Waters、米国)で行った。
【0170】
(13)実施例9の製造
実施例9[:GGTGGTGGTGGTTGTGGTGGTGGTGGMM(配列番号11)の5’末端(すなわち、最初のヌクレオチド)にMMAEが接合された修飾オリゴヌクレオチド-薬物接合体、ここで、M=ゲムシタビン]を製造した。
【0171】
1)オリゴヌクレオチドの合成
比較例1と同様の方法により、
【化39】
を合成した。
【0172】
2)薬物コンジュゲーション
配列番号24の配列の代わりに配列番号26の配列をDTTで還元した以外は、比較例4の薬物コンジュゲーション方法と同様にして、
【化40】
を取得し、前記配列番号27のL
1とVcMMAEをコンジュゲートして実施例9を製造した。
【0173】
実施例9の修飾オリゴヌクレオチド-薬物接合体における配列番号11の5’末端の最初のヌクレオチド(G)とMMAEとを連結するリンカー(L)は、「-C6-S-MC-Val-Cit-PAB-」である(C6は、配列番号11の5’末端と連結される部分であり、PABは、MMAEと連結される部分である。)。
【0174】
(14)比較例5の製造
比較例5[:GGTGGTGGTGGTTGTGGTGGTGGTGG(配列番号1)の5’末端(すなわち、1番ヌクレオチド)にDM1が接合されたオリゴヌクレオチド-薬物接合体]は、一般的なDNA合成方法と薬物コンジュゲーションの2段階で製造した。
【0175】
1)オリゴヌクレオチドの合成
比較例1の実験方法により、
【化41】
を合成した。
【0176】
2)薬物コンジュゲーション
配列番号28の配列とMertansin(DM1)-succinimidyl-4-(N-maleimidomethyl)-cyclohexane-1-carboxylate(SMCC)(:DM1-SMCC 99%、MedKoo Biosciences、Cat♯407202)をコンジュゲートして比較例5を製造した。比較例5のオリゴヌクレオチド-薬物接合体における配列番号1の5’末端の最初のヌクレオチド(G)とDM1とを連結するリンカー(L)は、「-C6-NH-SMCC-」である(C6は、配列番号1の5’末端と連結される部分であり、SMCCは、MMAEと連結される部分である。)。
【0177】
具体的には、
【化42】
をpH8.5のバッファーに溶解し、DMSOに溶解したDM1-SMCCを入れた。常温で1時間反応させ、Waters ACQUITY UPLC H-Class PLUS Bio System(Waters、米国)を用いて反応の進行を観察した。製造した比較例5の精製および分析は、Waters Prep150(Waters、米国)およびWaters ACQUITY UPLC H-Class PLUS Bio System(Waters、米国)に逆相C18カラムで行った。また、精製された核酸リガンドの質量分析は、Waters Xevo G2-XS Q-TOF System(Waters、米国)で行った。
【0178】
(15)実施例10の製造
実施例10[GGTGGTGGTGGTTGTGGTGGTGGTGGMM(配列番号11)の5’末端(すなわち、最初のヌクレオチド)にDM1が接合された修飾オリゴヌクレオチド-薬物接合体、ここで、M=ゲムシタビン]を製造した。
【0179】
1)オリゴヌクレオチドの合成
比較例1の実験方法により、
【化43】
を合成した。
【0180】
2)薬物コンジュゲーション
配列番号28の配列の代わりに配列番号29の配列とDM1-SMCCとをコンジュゲートした以外は、比較例5の薬物コンジュゲーション方法と同様にして、実施例10を製造した。
【0181】
実施例10の修飾オリゴヌクレオチド-薬物接合体における配列番号11の5’末端の最初のヌクレオチド(G)とDM1とを連結するリンカー(L)は、「-C6-NH-SMCC-」である(C6は、配列番号11の5’末端と連結される部分であり、SMCCは、DM1と連結される部分である。)。
【0182】
(16)比較例6の製造
比較例6[:GGTGGTGGTGGTUGTGGTGGTGGTGG(配列番号3)のUにDM1が接合されたオリゴヌクレオチド-薬物接合体]を製造した。
【0183】
1)オリゴヌクレオチドの合成
比較例1の実験方法により、
【化44】
を合成した。
【0184】
2)薬物コンジュゲーション
配列番号28の配列の代わりに配列番号30の配列とDM1-SMCCとをコンジュゲートした以外は、比較例5の薬物コンジュゲーション方法と同様にして、比較例6を製造した。比較例6のオリゴヌクレオチド-薬物接合体における配列番号3のUとDM1とを連結するリンカー(L)は、「-アクリルアミド-C6-NH-SMCC-」である(アクリルアミドは、配列番号3のUと連結される部分であり、SMCCは、DM1と連結される部分である。)。
【0185】
(17)実施例11の製造
実施例11[:GGTGGTGGTGGMUGMGGTGGTGGTGG(配列番号8)のUにDM1が接合された修飾オリゴヌクレオチド-薬物接合体、ここで、M=ゲムシタビン]を製造した。
【0186】
1)オリゴヌクレオチドの合成
比較例1の実験方法により、
【化45】
を合成した。
【0187】
2)薬物コンジュゲーション
配列番号28の配列の代わりに配列番号31の配列とDM1-SMCCとをコンジュゲートした以外は、比較例5の薬物コンジュゲーション方法と同様にして、実施例11を製造した。実施例11の修飾オリゴヌクレオチド-薬物接合体における9のUとDM1とを連結するリンカー(L)は、「-アクリルアミド-C6-NH-SMCC-」である(アクリルアミドは、配列番号8のUと連結される部分であり、SMCCは、DM1と連結される部分である。)。
【0188】
(18)比較例7の製造
比較例7[:GGTGGTGGTGGTTGTGGTGGTGGTGG(配列番号1)の5’末端にパクリタキセルが接合されたオリゴヌクレオチド-薬物接合体]を製造した。
【0189】
1)オリゴヌクレオチドの合成
比較例1と同様の方法により、
【化46】
を合成した。
【0190】
2)薬物コンジュゲーション
配列番号13の代わりに配列番号32の配列を使用した以外は、比較例2の薬物コンジュゲーション方法と同様にして、比較例7を製造した。
【0191】
比較例7のオリゴヌクレオチド-薬物接合体における配列番号1の配列の5’末端の最初のヌクレオチド(G)とパクリタキセルとを連結するリンカー(L)は、「-C6-NH-コハク酸-」である(C6は、配列番号1の5’末端と連結される部分であり、コハク酸は、パクリタキセルと連結される部分である。)。
【0192】
(19)実施例12の製造
実施例12[GGTGGTGGTGGTTGTGGTGGTGGTGGNN(配列番号12)の5’末端にパクリタキセルが接合された修飾オリゴヌクレオチド-薬物接合体、ここで、N=5-FdU]を製造した。
【0193】
1)オリゴヌクレオチドの合成
比較例1と同様の方法により、
【化47】
を合成した。
【0194】
2)薬物コンジュゲーション
配列番号13の代わりに配列番号33の配列を使用した以外は、比較例2の薬物コンジュゲーション方法と同様にして、実施例12を製造した。
【0195】
実施例12の修飾オリゴヌクレオチド-薬物接合体における配列番号12の配列の5’末端の最初のヌクレオチド(G)とパクリタキセルとを連結するリンカー(L)は、「-C6-NH-コハク酸-」である(C6は、配列番号12の5’末端と連結される部分であり、コハク酸は、パクリタキセルと連結される部分である。)。
【0196】
2.修飾オリゴヌクレオチド-薬物接合体の抗癌効果の確認-試験管内試験(in vitro)
膵臓癌細胞株を用いて修飾オリゴヌクレオチド-薬物接合体のin vitro抗癌効果を検証した。0、0.01、0.1、1、10、100、500、1000μMの濃度で、前述の実施例及び比較例を膵臓癌細胞株(BxPC-3)に処理した。具体的なIC50の測定方法及び測定結果は以下の通りである。
【0197】
(1)細胞の培養
全ての細胞株は、37℃、5%CO2培養器で培養した。BxPC-3膵臓癌細胞株は、ATCC修飾(modified)RPMI-1640(サーモサイエンティフィック、米国)に10%FBS、1%の抗生剤を入れた培地で培養した。培地は2~3日に一度交換し、細胞が培養皿の70~90%程度を満たす時点で継代培養した。まず、PBSで細胞を洗浄した後、0.05%Trypsin-EDTAを添加して37℃で2分間培養した後、新しい培地を添加してトリプシンを不活性化した。細胞は、遠心分離機を用いてトリプシンおよび培地から分離した後、新しい培地を添加して1:4の割合で継代した後、培養した。全ての細胞は周期的にマイコプラズマの汚染有無をキット(イントロン、韓国)により確認し、汚染が検出されなかった細胞のみを用いてin vitro効能評価実験を行った。
【0198】
(2)膵臓癌細胞の増殖阻害効果の確認
WST試薬(DonginLS、韓国)を用いて、薬物処理による膵臓癌細胞の増殖阻害効果の確認およびIC50の測定を行った。細胞内のミトコンドリア脱水素酵素により、WSTでホルマザン(formazan)と呼ばれるオレンジ色の発色物質が生成するが、これは生きている細胞のみに有効である。具体的な試験方法は以下の通りである。
【0199】
前述の方法で培養した細胞を96ウェル培養容器の各ウェルに2×10
4個ずつ分注し、24時間培養した。培養容器に付着した細胞の培地を、5%FBSが含まれたATCC修飾RPMI-1640培地に交換し、前述の修飾オリゴヌクレオチド-薬物接合体のサンプル(実施例1-7、9-12及び比較例1-7のそれぞれ)を0、0.01、0.1、1、10、100、500、1000μMの濃度で処理した。72時間後、各ウェルにWST試薬を10ulずつ加え、2時間反応させた。Glomaxプレート測定器(プロメガ、米国)を用いて、450nmの吸光度で生成されたホルマザンを測定し、機器内のプロトコルに従ってIC50を評価した。IC
50の評価結果およびグラフを下記表2及び
図19~27に示す(表2において、M=ゲムシタビン、N=5-FdU)。
【0200】
【0201】
対照アプタマー(Control aptamer)である比較例1のIC50は89.9νMである。一方、修飾オリゴヌクレオチド-薬物接合体の実施例は、対照アプタマーである比較例1と比較して数~数十倍低いIC50の値を示した。
【0202】
また、比較例1の配列の一部のアミノ酸に薬物がコンジュゲートされ、同時に他のアミノ酸が修飾核酸で置換されるか、または修飾核酸をさらに含む実施例(e.g.実施例1~12)は、修飾核酸への置換なしに一部のアミノ酸に薬物のみがコンジュゲートされた比較例(比較例2~7)に比べて、少なくは2倍、多くは40倍程度に低いIC50値を有することを確認した。
【0203】
これは、本発明の修飾オリゴヌクレオチド-薬物接合体が、対照アプタマーに比べて優れた抗癌効果を示すことができることを意味する。
【0204】
3.修飾オリゴヌクレオチド-薬物接合体の抗癌効果の確認-動物実験(in vivo)
IC50の測定結果が優れた実施例5(IO142)及び実施例9(IO176)を選択して動物実験を行った。
【0205】
(1)修飾オリゴヌクレオチド-薬物接合体が担持された「パッチ型コラーゲン薬物送達体」の製造
動物モデルに修飾オリゴヌクレオチド-薬物接合体を送達するために、高純度のコラーゲン(COLTRIX(登録商標)Tendoregen、Ubiosis社)分散液(1.0%)と試験対象のサンプル(e.g.修飾オリゴヌクレオチド-薬物接合体、ゲムシタビンなど)を混合し、直径1cmの円形シリコンモールドに注ぎ、凍結乾燥して、サンプルがコラーゲンに担持された「パッチ型コラーゲン薬物送達体」を製造した。パッチ型コラーゲン薬物送達体1個当たりに担持されたサンプルの量は、下記表3の通りである(表3において、配列番号16は、5’-(Gem)(Gem)[TGG]4[TTG][TGG]5-3’、ここで、Gem=ゲムシタビン)。
【0206】
【0207】
具体的には、高純度のコラーゲンに試験対象のサンプル(ゲムシタビン、IO101L(配列番号16)、修飾オリゴヌクレオチド-薬物接合体(実施例5及び実施例9)のそれぞれを添加した後、マルチミキサー(SLRM-3、MYLAB)を用いて4℃で1時間均一に混合した。その後、コラーゲン-薬物混合物を直径1cmの円筒状のシリコンモールドに一定量分注した。コラーゲン-薬物混合物が分注された円筒状のシリコンモールドを-20℃で4時間以上一次凍結した。一次凍結が完了した混合物を円筒状のシリコンモールドから分離し、滅菌皿または滅菌プレートに移した後、-80℃で2時間以上二次凍結した。凍結乾燥機のコールドトラップの温度が-80℃になるように予備凍結した後、凍結乾燥機に混合物を入れて16時間以上凍結乾燥した。凍結乾燥した混合物を、アクリルプレートを用いてパッチ型に圧着した後、アルミニウムポーチに入れて密封した。包装されたパッチ型コラーゲン薬物送達体は4℃で冷蔵保存した。
【0208】
以下では、前述の方法で製造されたパッチ型コラーゲン薬物送達体をパッチ(patch)または薬物ロードコラーゲンパッチで表した。
【0209】
(2)修飾オリゴヌクレオチド-薬物接合体が担持された「パッチ型コラーゲン薬物送達体」の動物モデルにおける安定性および有効性の評価
1)膵臓癌同所性移植動物モデル(Pancreatic cancer orthotopic model)の構築、及びパッチ型コラーゲン薬物送達体の移植
凍結した癌細胞株(BxPC-3-Luc)(Asan Medical Center)を解凍し、その後、37℃、5% CO2の条件で10%ウシ胎児血清(fetal bovine serum、Biowest、Cat♯.S1480)と1%抗生剤(gibco、Cat#.15240062)が供給されたRPMI1640培地(Biowest、Cat#.L0498-100)で培養した。解凍した細胞を1週間培養し、形態、生存率、倍加時間(Doubling time)に問題がないことを確認した。
【0210】
マウスに移植するために、細胞生存率が95%以上の癌細胞を準備した。トリプシンを用いて細胞を回収し、RPMI1640培地に混濁して、5×105細胞/25μl/マウスで移植できるように準備した。1週間安定化した6週齢のBALB/c-nudeオスマウス(Jabio社、韓国)を腹腔麻酔し、腹部位を切開した後、膵臓を取り出して5×105cells/25μlの細胞を移植した。2週間後、ルシフェラーゼ・イメージング(luciferase imaging)により腫瘍形成を確認した。その後、下記表4のように、マウスを5匹ずつグループ化した。前記「(1)」で製造したパッチ型コラーゲン薬物送達体を各グループのマウスの腫瘍部位に挿入(Intra-Abdominal cavity insertion using surgery)した。本試験に含まれる全ての動物実験は、韓国のアサン生命科学研究院の動物実験倫理委員会(IACUC)の承認を受けた動物実験計画書[2022-14-058]に従って行った。
【0211】
【0212】
2)IVISイメージングを用いた有効性の評価
パッチ型コラーゲン薬物送達体を挿入(insertion)した後、週3回間隔で4週間IVISイメージング装置(Xenogen IVIS spectrum system;Caliper Life Science,Inc.,Hopkinton,MA)を用いて腫瘍サイズの変化を観察し、体重を確認した。マウス1匹あたり150mg/kgの濃度でルシフェリンを腹腔内注射し、7分間反応させた後、IVIS(in vivo imaging system)撮影を行った。パッチ型コラーゲン薬物送達体を挿入した後、28日目にIVISイメージングを行い、体重測定終了後にマウスを犠牲にして重要臓器(心臓、肺、脾臓、腎臓、肝臓)、膵臓および腫瘍を摘出して臓器の重量を測定し、写真撮影を行った。パッチ型コラーゲン薬物送達体の挿入当日は、マウスが回復する期間が必要であるため、挿入翌日にIVIS(in vivo imaging system)撮影を行った。
【0213】
2-1)IVIS全身画像(IVIS whole body image)
薬物未処理マウス群(グループ1)とIO101L2.0mg-ロードコラーゲンパッチが挿入されたマウス群(グループ3)の場合、死亡したマウスが存在し、時間が経つにつれて、ますます発光(Luminescence)が増加した。実施例9(IO176) 0.2mg-ロードコラーゲンパッチが挿入されたマウス群(グループ4)、実施例5(IO142) 2.0mg-ロードコラーゲンパッチが挿入されたマウス群(グループ5)の場合は、蛍光の変化が減少した。発光の増加は癌の増殖を意味し、発光の減少は腫瘍抑制効果が示されることを意味する(
図1~
図5を参照)。
【0214】
2-2)体重の変化
パッチ型コラーゲン薬物送達体を挿入した後、マウスの体重を週3回間隔で4週間測定した。日別の測定結果において、0日目の体重を分けて、0日目に対するマウス体重の割合変化を観察した。パッチ型コラーゲン薬物送達体を挿入した全てのマウス群(グループ2~グループ5)において、試験物質の挿入後2~6日間は体重が減少したが、徐々に体重が回復することを確認した(
図6参照)。
【0215】
2-3)摘出臓器の撮影および重量の測定
パッチ型コラーゲン薬物送達体の挿入後28日目にマウスを犠牲にし、主要臓器(心臓、肺、脾臓、腎臓、肝臓)、膵臓及び腫瘍を摘出して写真を撮影し、臓器の重量を測定した。
【0216】
前記「2-2)」の実験結果と同様に、実施例9(IO176) 0.2mg-ロードコラーゲンパッチが挿入されたマウス群(グループ4)の腫瘍サイズが最も小さく、転移した腫瘍は観察されなかった。また、実施例9(IO176) 0.2mg-ロードコラーゲンパッチが挿入されたマウス群(グループ4)の腫瘍重量が最も低く、実施例5(IO142) 2.0mg-ロードコラーゲンパッチが挿入されたマウス群(グループ5)、IO101L 2.0mg-ロードコラーゲンパッチが挿入されたマウス群(グループ3)の順に低い重量が観察された(
図7A~
図7E及び
図8を参照)。
【0217】
IVIS全身画像、腫瘍サイズおよび重量の測定結果から、実施例9(IO176) 0.2mg-ロードコラーゲンパッチが挿入されたマウス群(グループ4)、および実施例5(IO142) 2.0mg-ロードコラーゲンパッチが挿入されたマウス群(グループ5)では、マウスが死亡することなく、優れた腫瘍抑制効果が確認された。また、試験群のマウスを解剖した結果、投与した薬物ロードコラーゲンパッチが観察されなかったので、全て溶けて吸収されたと判断する。
【0218】
4.修飾オリゴヌクレオチド-薬物接合体の薬動学的評価-ラットの使用
ラットに実施例9(IO176) 40mg/kg、実施例9に含まれるモノメチルアウリスタチンE(Monomethyl auristatin E、以下「MMAE」という。)と同量のMMAE(MedChemExpress、CaT♯.HY-15162)の4mg/kg、及び実施例9に含まれるゲムシタビン(Gemcitabine)と同量のゲムシタビン(BetaPharma(shanghai)Co.,Ltd,Cat#.86-39157)の2mg/kgをそれぞれ頸静脈投与した後、i)MMAEの薬動学係数と、ii)ゲムシタビン及びゲムシタビンの不活性代謝体であるdFdUの薬動学係数を算出して比較した。
【0219】
具体的には、Sprague-Dawley雄性ラット(8週齢、YOUNG BIO社)を韓国のカトリック大学のソンシン校庭の動物室で1週間馴化した後、薬動学実験を行った。ラットを吸入麻酔薬であるイソフルラン(isoflurane)で誘導麻酔し、PE50(polyethylene tubing、Clay Adams、Becton Dickinson、NJ、USA)を頸動脈(血液採取用)と頸静脈(薬物投与用)に挿入して縫合糸で縫合し、その端部を首の後ろに固定した。手術中はエーテル(ether)を用いて麻酔を維持し、ヘパリン(20units/mL)が含有された生理食塩水を約0.5mL注入して、カニューレ(cannula)に血液が凝固することを防止した。手術が終わった後、ラットをそれぞれ代謝ケージ(metabolic cage)に入れて麻酔剤から完全に回復させた後(4~5時間)、実施例9(IO176)単独投与(n=6)、MMAE単独投与(n=7)、およびゲムシタビン単独投与(n=6)の3つの群に分けて各試料(実施例9、MMAE単独、ゲムシタビン単独)を投与した。実施例9、MMAE及びゲムシタビンを全て生理食塩水に溶かし、体重1kg当たり2mLで溶かし、それぞれ40mg/kg、4mg/kg、2mg/kgの用量で頸静脈に投与した。採血において、0.2mLの血液中のゲムシタビンがシチジンデアミナーゼ(cytidine deaminase)によって代謝体に変化することを防ぐために、シチジンデアミナーゼ阻害剤であるテトラヒドロウリジン(tetrahydrouridine、以下「THU」という。)を10mg/mLの濃度で蒸留水に溶かした溶液2μLを予め入れた遮光エッペンドルフチューブを用意した。3つの群において、各薬物の投与直前(0分)、1、5、10、15、30分、1時間、2時間、4時間、6時間、8時間、10時間、20時間、24時間及び30時間後、頸動脈を介して、予め冷凍保存した遮光エッペンドルフチューブにそれぞれ血液0.2mLを採取した。採血が終わった直後、氷浴(ice-bath)に保存した血漿を4℃で直ちに遠心分離し、血漿を遮光エッペンドルフチューブに100μL分注した。分注した血漿を直ちにice-bathに保存し、LC-MS/MS分析まで-80℃で保存した。頸動脈の採血後、CO2ガスチャンバーでラットを安楽死させた。
【0220】
(1)血漿中の濃度分析方法
1)MMAEの濃度分析方法
試料をタンパク質沈殿法で前処理した後、韓国のカトリック大学薬学大学薬物学/薬物動態学実験室で確立した液体クロマトグラフィータンデム質量分析法(Liquid chromatography-tandem mass spectrometry、以下「LC-MS/MS」という。)を用いて、MMAEの血漿中濃度を分析した。全ての分析手順は遮光条件で行った。
【0221】
イ.LC-MS/MSの条件
-分析機器:Agilent 1290 series HPLC、Qtrap 5500 LC-MS/MS
-検出器:Tandem mass spectrometer(triple quadrouple type)
イオン源(Ion source):Electrospray ionization(positive ion mode)
脱溶媒温度(Desolvation temperature):500℃
Nebulizing gas:Nitrogen、Collision gas:Nitrogen
定量(Quantitation):MRM(multiple reaction monitoring)mode
-固定相:Luna C18(2.0×100mm、3μm、Phenomenex、 California、USA)
-固定相の温度:40℃
-移動相:0.1%ギ酸(formic acid)含有蒸留水(A)/0.1%ギ酸 含有アセトニトリル(B)(50:50、v/v)(下記[表5]を参照)
-流速:0.3mL/min
-質量パラメータ(Mass parameters):下記[表6]を参照(CE:Collision energy)
【0222】
【0223】
【0224】
ロ.検量線の作成
MMME標準品をアセトニトリルに溶かして1mg/mLの貯蔵溶液を製造して冷凍保存し、貯蔵溶液をアセトニトリルで希釈して各濃度が0.250、0.500、2.50、5.00、12.5、50.0μg/mLとなるように作業溶液を作って冷蔵庫に保管した。内部標準物質(Internal Standard、IS)であるベラパミル(verapamil)をアセトニトリルに溶かし、200ng/mLの作業溶液を製造した。MMAEの作業溶液をTHUが含まれたラット共血漿に添加して、MMAEの血漿中濃度が10、20、100、200、500、2000ng/mLとなるように標準血漿試料をそれぞれ製造した。
【0225】
ハ.血漿試料の処理方法
25μLのラット血漿に、アセトニトリルに溶かした内部標準物質であるベラパミル(200ng/mL)の200μLを入れ、10分間ボルテックス(vortex)した後、14,000rpmで4℃において5分間遠心分離した。その後、上澄液190μLを採取し、0.2μmのシリンジフィルター(Syringe filter)を経てLC-MS/MSバイアルに移した後、2μLを注入してLC-MS/MSで分析した。
【0226】
ニ.分析の適合性の判定
分析過程の適合性を判断するために、試料処理中に分析試料のバッチ毎に検量線作成用試料を分析した後、分析適合性試料(MMAE最低定量限界:LLoQ、10ng/mL、低濃度:LoQC、25ng/mL、中濃度:MiQC、250ng/mL、高濃度:HiQC、1500ng/mL)を2回ずつ分析した。適合性試料の6個中で少なくとも67%(例えば、6個中4個)が理論値の±15%以内であり、同濃度で50%以上が理論値の±15%以内であるかを確認した。
【0227】
ホ.血漿薬物濃度の計算
得られたクロマトグラムから内部標準物質のピーク面積に対するMMAEのピーク面積比を求め、予め作成した検量線から血漿中MMAEの濃度を計算した。
【0228】
2)ゲムシタビン及びdFdUの濃度分析方法
イ.LC-MS/MSの条件
-分析機器:Agilent 1290 series HPLC、Qtrap 5500 LC-MS/MS
-検出器:Tandem mass spectrometer(triple quadrouple type)
イオン源(Ion source):Electrospray ionization(positive ion mode)
脱溶媒温度(Desolvation temperature):500℃
霧化ガス(Nebulizing gas):Nitrogen、Collision gas:Nitrogen
定量(Quantitation)
:MRM(multiple reaction monitoring)mode
-固定相:Hypersil gold C18 column (2.1×100mm、1.9μm、Thermo Fisher Scientific Inc.,Boston、USA)
-固定相の温度:40℃
-移動相:それぞれ0.1%ギ酸(formic acid)含有蒸留水(A)とアセトニトリル(B)(95:5、v/v)(下記[表7]を参照)
-流速:0.22mL/min
-質量パラメータ(Mass parameters):下記[表8]を参照(CE:Collision energy)
【0229】
【0230】
【0231】
ロ.検量線の作成
ゲムシタビン及びdFdUの各標準品を蒸留水に溶かし、400μg/mL、700μg/mLの貯蔵溶液を製造して冷凍保存した。貯蔵溶液を3次蒸留水で希釈して各濃度が0.200、0.400、0.800、2.00、10.0、40.0μg/mLとなるように作業溶液を作って冷蔵庫に保管した。内部標準物質(IS)である5’-デオキシ-5-フルオロシチジンは、アセトニトリルに溶かし、50ng/mLの作業溶液を製造した。ゲムシタビンとdFdUの作業溶液をTHUが含まれたラットの共血漿に添加して、ゲムシタビンとdFdUの血漿中濃度がそれぞれ10、20、40、100、500、2000ng/mLとなるように標準血漿試料を製造した。
【0232】
ハ.血漿試料の処理方法
20μLのラット血漿に、アセトニトリルに溶かした内部標準物質5’-デオキシ-5-フルオロシチジン(50ng/mL)の150μLを加え、10分間ボルテックス(vortex)した後、14,000rpmで4℃において5分間遠心分離した。その後、上澄液150μLを取って、他のエッペンドルフチューブに移した後、窒素気流下で有機溶媒を乾燥した。乾燥したエッペンドルフチューブに3次蒸留水100μLを入れて再溶解した。その後、10分間ボルテックスし、14,000rpmで-4℃において5分間遠心分離した後、上澄液を90μL取る。その後、上澄液を90μL取って、別のエッペンドルフチューブに移した後、14,000rpmで-4℃において5分間遠心分離した。上澄液を80μL取ってLC-MS/MSバイアルに移した後、5μLを注入してLC-MS/MSで分析した。
【0233】
二.分析の適合性の判定
分析過程の適合性を判断するために、試料処理中に分析試料のバッチ毎に検量線作成用試料を分析した後、分析適合性試料(ゲムシタビン及びdFdUそれぞれの最低定量限界:LLoQ、10ng/mL、低濃度:LoQC、30ng/mL、中濃度:MiQC、300ng/mL、高濃度:HiQC、900ng/mL)を2回ずつ分析した。適合性試料の6個中で少なくとも67%(例えば、6個中4個)が理論値の±15%以内であり、同濃度で50%以上が理論値の±15%以内であるかを確認した。
【0234】
ホ.血漿薬物濃度の計算
得られたクロマトグラムから内部標準物質のピーク面積に対するゲムシタビン及びdFdUのピーク面積比を求め、予め作成した検量線から血漿中ゲムシタビン及びdFdUの濃度を計算した。
【0235】
3)薬動学パラメータの計算法及び統計処理
MMAE、ゲムシタビン及びdFdUの薬動学パラメータは、Phoenix WinnonlinTM(6.4バージョン、Certara)プログラムを用いて、ノンコンパートメント解析(non-compartment analysis)によって分析した。血漿濃度-時間曲線下面積(AUCt)の値は、薬物投与後、最終定量時点までの血漿濃度-時間曲線から対数線形(log-linear)台形法によって求めた。無限時間までの血漿濃度-時間曲線下面積(AUCinf)の値は、下記の[数学式1]を用いて求めた。末端消失速度定数(γZ)と半減期(t1/2)は、血漿濃度の推移の消失相の勾配から求めた。
【0236】
[数学式1]
AUCinf=AUCt+Ct/γZ(Ct:最終定量濃度、γZ:末端消失速度定数)
【0237】
各2つの群の薬動学パラメータを比較するための統計処理は、T検定(t-test)を用いて行った。
【0238】
(2)血漿中の濃度分析の結果
1)MMAEの濃度分析の結果
ラットに実施例9(IO176)40mg/kg静脈投与及び同量のMMAE単独4mg/kg静脈投与時、i)MMAEの血漿中濃度を
図9に示し、ii)MMAEの薬動学係数を下記[表9]にまとめた。
【0239】
MMAEの4mg/kgを静脈投与した場合、実験した7匹のラットは、投与後480分~600分で全て死亡した。これに対し、実施例9(IO176)40mg/kg静脈投与群では、投与後1分目にMMAEの血漿中濃度が605±165ng/mLであり、MMAE4mg/kg単独静脈投与群(29640±7190ng/mL)よりも約50倍低く検出され、投与後のMMAEの血漿中濃度が60分~120分目から徐々に増加して最後の採血時間である1800分目まで増加し、実験した全てのラットが死ぬことなく生きていた(
図9参照)。投与後の初期時間である120分目までのMMAEのAUC値は、MMAE4mg/kg単独静脈投与群の場合は、71.7±9.61μg min/mLであり、実施例9(IO176)40mg/kg静脈投与群(7.39±1.05μg min/mL)よりも約9.70倍高く計算された。しかし、最後の採血時間である1800分目までのAUC値は、むしろ実施例9(IO176)40mg/kg静脈投与群が約1.55倍高かった(下記表9を参照)。
【0240】
実施例9(IO176)にコンジュゲートされたMMAEが血漿に放出される速度が非常に遅いため、実施例9は統計的に有意に低い血漿MMAE濃度を示すことができる。これにより、MMAEの細胞毒性が減少し、実験したラットの中で死亡個体がなかったと推定される。
【0241】
【0242】
2)ゲムシタビン及びdFdUの濃度分析の結果
実施例9(IO176)40mg/kg静脈投与および同量のゲムシタビン単独2mg/kg静脈投与時、i)ゲムシタビン及びその代謝体であるdFdUの血漿中濃度を
図10に示し、ii)ゲムシタビン及びその代謝体であるdFdUの薬動学係数を下記[表10]にまとめた。
【0243】
ゲムシタビンに関する分析結果は以下の通りである(下記表10を参照)。実施例9(IO176)投与群は、同量のゲムシタビン単独静脈投与群よりも統計的に有意に高いゲムシタビン血漿濃度を示した(
図10の左図)。その結果、ゲムシタビンのAUCt値は、それぞれ610±52.2μgmin/mLおよび438±124μg min/mLと約1.39倍高く計算された。また、実施例9(IO176)投与群において、ゲムシタビンの血漿半減期(t1/2)が統計的に有意に増加したことを確認した。このことから、IO176(実施例9)投与群において、ゲムシタビンの初期放出速度が高くてゲムシタビンの血漿濃度が高く持続するが、持続的に放出されて血漿半減期が増加したと推定した。
【0244】
ゲムシタビンの不活性代謝体であるdFdUに関する分析結果は以下の通りである(下記表10を参照)。実施例9(IO176)投与群では血漿濃度がやや高い傾向を示したが、AUCtの値は、それぞれ111±22.3μgmin/mLおよび79.8±44.2μg min/mLであり、統計的有意性が見られなかった。dFdUのCmax(最高血漿濃度)は、実施例9(IO176)投与群において統計的に有意に高い値を示した。しかし、両群において、不活性代謝体の代謝変換率(AUCt、dFdU/AUCt、ゲムシタビン)は、それぞれ0.182±0.0263および0.170±0.0621であり、統計的な有意性が見られなかった。したがって、実施例9(IO176)から、血漿中に遊離したゲムシタビンは、不活性代謝体変換率に影響しないことが分かる。
【0245】
下記表10において、AUCtは0分から最後の採血時間までの曲線下面積、t1/2は血漿消失半減期(terminal half-life)、CLはトータルボディクリアランス(total body clearance)、Vdssは体内分布容積、MRTは薬物の平均滞留時間(mean residence time)、Tmaxはmedian(ranges)であり、代謝変換率(Metabolic conversion ratio)の値は、dFdUのAUCt値をゲムシタビンのAUCt値で除して計算した値である。
【0246】
【0247】
[本発明を支援した国家研究開発事業]
[課題固有番号]1425162626
[課題番号]S3004867
[部署名]中小ベンチャー企業部
[課題管理(専門)機関名]中小企業技術情報振興院
[研究事業名]中小企業技術革新開発
[研究課題名]多薬剤結合アプタマーを用いた新規抗癌剤の開発技術
[貢献率]1/1
[課題実施機関名]インターオリゴ・コーポレイション
[研究期間]20200921~20220920
【配列表】
【国際調査報告】