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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】超音波照射による老化の反転
(51)【国際特許分類】
   A61N 7/00 20060101AFI20241219BHJP
【FI】
A61N7/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024536059
(86)(22)【出願日】2022-12-01
(85)【翻訳文提出日】2024-08-14
(86)【国際出願番号】 US2022051482
(87)【国際公開番号】W WO2023114011
(87)【国際公開日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】63/290,969
(32)【優先日】2021-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500039463
【氏名又は名称】ボード オブ リージェンツ,ザ ユニバーシティ オブ テキサス システム
【氏名又は名称原語表記】BOARD OF REGENTS,THE UNIVERSITY OF TEXAS SYSTEM
【住所又は居所原語表記】210 West 7th Street Austin,Texas 78701 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】シーツ,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】クリール,サンジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ラムッセン,ブレイク
(72)【発明者】
【氏名】マロート,ロザリオ
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160JJ11
4C160JJ33
4C160MM32
(57)【要約】
本発明は、低周波数により構造化および変調された超音波を使用して加齢を処置する非侵襲的方法を含む。超音波照射は、生物の身体の中であっても細胞の機械的な伸展を引き起こすことにより、老化細胞の特徴を反転させて老化細胞が存在する組織の機能に及ぼす老化細胞の作用に対抗ことができる。超音波による老化の反転は、細胞増殖の活性化、細胞サイズの低減、増殖因子の分泌の増加、ミトコンドリア分裂の増加、および/または創傷治癒の促進のうちの少なくとも1つを含む。超音波処置は、高齢者、特定の臓器の機能、創傷治癒を改善し、in vitroでの正常細胞のより著しい増大を可能にする。超音波は、生物全体に送達でき、またはより小さな標的化された超音波装置を、特定の臓器または細胞適用のために作製することができる。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加齢を処置する非侵襲的な方法であって、
少なくとも1つの加齢の特徴を遅らせるために十分な量で少なくとも1つの生存細胞を機械的に伸展させるステップ
を含む、方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つの加齢の特徴が、細胞老化の低減、細胞分裂の増加、細胞サイズの低減、増殖因子の分泌の増加、老化因子の分泌の減少、ミトコンドリアの融合の防止、ミトコンドリア分裂の増加、または創傷治癒の増強から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つの生存細胞を機械的に伸展させるステップが、加齢のための処置を必要とする領域を標的とするように構成されている反復性低周波数超音波を適用することによるものであり、前記領域が、1つ以上の方向から前記標的に向けられた1つ以上の超音波源により標的化される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記処置のための浸漬設計が、創傷および潰瘍を処置するために最適化されており、全般的に浅く処置域の周りにアブソーバー遮蔽体を備えた完全な浸漬に適した1つ以上のチャンバーを含み得、前記1つ以上の超音波源およびアブソーバーが、患者と接触し得るか、または浸漬媒体により絶縁されている、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つの生存細胞を機械的に伸展させるステップが、定常波パターン、ショック波、急速な音の変化、矩形波、のこぎり波、ランダム波、または起伏のある低-高強度のうなりのうちの少なくとも1つから選択される反復性低周波数超音波を適用することによる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つの生存細胞を機械的に伸展させるステップが、約5分~約60分の間の持続で反復性低周波数超音波を適用することにより、1日1回、およそ2日に1回、およそ3日に1回、およそ1週間に1回、およびおよそ1週間に2回からなる群から選択される期間、反復される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つの生存細胞を機械的に伸展させるステップが、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、40、50、60、70、75、80、90分間、または2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、もしくは24時間、反復性低周波数超音波を適用することによる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つの生存細胞を機械的に伸展させるステップが、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、75、100、150、200、250、300、400、500、600、700、750、800、900kHz、1MHz、またはそれ以上で反復性低周波数超音波を適用することによる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つの生存細胞を機械的に伸展させるステップが、10、20、50、100、150、200、250、300、350、400、450、500、1,000、5,000、10,000、または<500mW/cmで、反復性低周波数超音波を適用することによる、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つの生存細胞が、細胞株であるか、または組織、臓器、肢、もしくは全身に存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つの生存細胞を機械的に伸展させるステップの少なくとも一部が、細胞の老化を低減する1つ以上の活性剤と同時に適用される反復性低周波数超音波処置である、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前期活性剤が、反復性低周波数超音波処置で処置した細胞の上清である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つの生存細胞を機械的に伸展させるステップが、
プログラムされたサイクルの波のシーケンスを作成するように構成された1つ以上の超音波トランスデューサー;
ロボティックアームに取り付けられた1つ以上の超音波トランスデューサーであって、
前記ロボティックアームが望ましい位置または方向に前記1つ以上の超音波トランスデューサーを配置するように制御されている、1つ以上の超音波トランスデューサー
フェーズドアレイ超音波トランスデューサーであるか、もしくは密閉されており耐水性である1つ以上の超音波トランスデューサー、
のうちの少なくとも1つから送達される反復性低周波数超音波処置であり、
周波数、周期力の大きさ、および期間が、標的細胞のタイプに少なくとも部分的に基づくか、もしくは処置域付近のフィードバックセンサーの出力に基づき決定され、または
波の波長が、臓器の大きさのオーダーであり、振幅が単一細胞のオーダーである、
請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つの生存細胞を機械的に伸展させるステップが、処置計画またはタイプ治療手順のタイプにより作製されたプログラムされたサイクルの波のシーケンスであり、処置計画が、1つ以上の機械学習技術、音波の低周波数変調、設定されたデューティサイクルでの周期的なオンオフパターン、振幅、周波数、および位相の変動;位相および中心周波数および相対強度がそれぞれ可変であるいくつかの搬送周波数の重ね合わせ;外部の入力シグナルによる変調、可聴音シグナルによる変調を使用して作成される、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
コントローラを準備するステップをさらに含み、前記コントローラが、センサーデータに基づき1つ以上の超音波トランスデューサーを制御するように構成されており、1つ以上の超音波発生装置と統合されており、患者の安全性を提供するために前記1つ以上の超音波発生装置からのエネルギーを制限するリモートドライバー;2つ以上の超音波トランスデューサー素子の間の電圧を常にゼロにするニュートラルドライバーを含み、または1つ以上の超音波発生装置により使用されるピーク電圧を低減する1つ以上のトランスデューサースタックに接続されている、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記少なくとも1つの生存細胞が、複数の生存細胞であり、前記方法が、複数のin vivo生存細胞に反復性低周波数超音波処置を適用するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記少なくとも1つの生存細胞を機械的に伸展させるステップが、対象の身体の少なくとも局部領域に送達される反復性低周波数超音波処置である、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
反復性低周波数超音波処置が、圧電トランスデューサー、ボイスコイル、静電容量型メンブレン、流体不安定度、シャッターを備えた油圧、空気圧装置、火花放電、化学的に作製された圧力波、エンジン駆動音、誘発された筋緊張、トランスデューサーアレイ、合成アパーチャーを備えたフェーズドアレイ、または周波数の調波により提供される、請求項5に記載の方法。
【請求項19】
前記少なくとも1つの生存細胞が、複数の生存細胞であり、反復性低周波数超音波処置を適用するステップが、前記少なくとも1つの生存細胞の複製寿命を延長させる、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記少なくとも1つの生存細胞が、複数の生存細胞であり、反復性低周波数超音波処置を適用するステップが、複数の生存細胞をより若い表現型に反転させる、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
患者の処置後の音波を低減または偏向するために反復性低周波数超音波処置を吸収もしくは切り離すことの少なくとも1つを行うか、音波を減衰させるかもしくは音波を処置部位から遠ざけることの少なく1つに適した材料であるか、または残存する音エネルギーを熱に変換する1つ以上の素子を含む機構を提供するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
細胞老化を低減する方法であって、
少なくとも1つの生存細胞に反復性低周波数超音波処置を適用するステップであって、前記反復性低周波数超音波処置が少なくとも1つの加齢特徴を遅らせるステップを含む、方法。
【請求項23】
前記低周波数超音波処置の波長が、平均細胞直径以上である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記少なくとも1つの加齢の特徴が、細胞の老化の低減、細胞分裂の増加、細胞サイズの低減、増殖因子の分泌の増加、老化因子の分泌の減少、ミトコンドリアの融合の防止、ミトコンドリア分裂の増加、または創傷治癒の増強から選択される、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記反復性低周波数超音波処置を適用するステップが、加齢のための処置を必要とする領域を標的とするように構成されており、前記領域が、1つ以上の方向から前記標的に向けられた1つ以上の超音波源により標的化される、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
前記反復性低周波数超音波処置を適用するステップが、定常波パターン、ショック波、急速な移行、矩形波、のこぎり波、ランダム波、または起伏のある低-高強度のうなりのうちの少なくとも1つから選択される、請求項22に記載の方法。
【請求項27】
前記反復性低周波数超音波処置を適用するステップが、約5分から約30分の間の持続であり、1日1回、およそ2日に1回、およそ3日に1回、およそ1週間に1回、およびおよそ1週間に2回からなる群から選択される期間、反復される、請求項22に記載の方法。
【請求項28】
前記反復性低周波数超音波処置を適用するステップが、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、40、50、60、70、75、80、90分間、または2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、もしくは24時間である、請求項22に記載の方法。
【請求項29】
前記反復性低周波数超音波処置を適用するステップが、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、75、100、150、200、250、300、400、500、600、700、750、800、900kHz、1MHz、またはそれ以上である、請求項22に記載の方法。
【請求項30】
前記反復性低周波数超音波処置を適用するステップが、10、20、50、100、150、200、250、300、350、400、450、500、1,000、5,000、10,000、または<500mW/cmである、請求項22に記載の方法。
【請求項31】
前記少なくとも1つの生存細胞が、細胞株であるか、または組織、臓器、肢、もしくは全身に存在する、請求項22に記載の方法。
【請求項32】
前記反復性低周波数超音波処置の適用の少なくとも一部が、細胞老化を低減する活性剤と同時に適用される、請求項22に記載の方法。
【請求項33】
前記活性剤が、前記反復性低周波数超音波処置で処置した少なくとも1つの生存細胞の上清である、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記反復性低周波数超音波処置が、前記少なくとも1つの生存細胞が細胞老化に達して少なくとも1つの加齢特徴を遅らせるまで、前記少なくとも1つの生存細胞に適用される、請求項22に記載の方法。
【請求項35】
前記反復性低周波数超音波処置が、
プログラムされたサイクルの波のシーケンスを作製するように構成された1つ以上の超音波トランスデューサー;
ロボティックアームに取り付けられた1つ以上の超音波トランスデューサーであって、
前記ロボティックアームが望ましい位置または方向に前記1つ以上の超音波トランスデューサーを配置するように制御されている、1つ以上の超音波トランスデューサー、
フェーズドアレイ超音波トランスデューサーであるか、もしくは密閉されており耐水性である1つ以上の超音波トランスデューサー、
の内の少なくとも1つから送達され、
周波数、周期力の大きさ、および期間が、標的細胞のタイプに少なくとも部分的に基づくか、もしくは処置域付近のフィードバックセンサーの出力に基づき決定され、または
波の波長が、臓器の大きさのオーダーであり、振幅が単一細胞のオーダーである、
請求項22に記載の方法。
【請求項36】
前記反復性低周波数超音波処置が、処置計画または治療手順のタイプにより作製されたプログラムされたサイクルの波のシーケンスのうちの少なくとも1つであり、処置計画が、1つ以上の機械学習技術、音波の低周波数変調、設定されたデューティサイクルでの周期的なオンオフパターン、振幅、周波数、および位相の変動;位相および中心周波数および相対強度がそれぞれ可変であるいくつかの搬送周波数の重ね合わせ;外部の入力シグナルによる変調、可聴音シグナルによる変調を使用して作成される、請求項22に記載の方法。
【請求項37】
1つまたは複数のコントローラを準備するステップをさらに含み、前記コントローラが、センサーデータに基づき1つ以上の超音波トランスデューサーを制御するように構成されており、1つ以上の超音波発生装置と統合されており、患者の安全性を提供するために前記1つ以上の超音波発生装置からのエネルギーを制限するリモートドライバー;2つ以上の超音波トランスデューサー素子の間の電圧を常にゼロにするニュートラルドライバーを含み、または1つ以上の超音波発生装置により使用されるピーク電圧を低減する1つ以上のトランスデューサースタックに接続されている、請求項22に記載の方法。
【請求項38】
前記少なくとも1つの生存細胞が、複数の生存細胞であり、前記方法が、複数のin vivo生存細胞に反復性低周波数超音波処置を適用するステップをさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項39】
前記反復性低周波数超音波処置が、患者の身体の少なくとも局部領域に送達される、請求項22に記載の方法。
【請求項40】
前記反復性低周波数超音波処置が、圧電トランスデューサー、ボイスコイル、静電容量型メンブレン、流体不安定度、シャッターを備えた油圧、空気圧装置、火花放電、化学的に作製された圧力波、エンジン駆動音、誘発された筋緊張、フェーズドアレイ、1つ以上の合成アパーチャーを備えたフェーズドアレイ、または周波数の調波により提供される、請求項22に記載の方法。
【請求項41】
前記少なくとも1つの生存細胞が、複数の生存細胞であり、前記反復性低周波数超音波処置を適用するステップが、前記少なくとも1つの生存細胞の複製寿命を延長させる、請求項22に記載の方法。
【請求項42】
前記少なくとも1つの生存細胞が、複数の生存細胞であり、前記反復性低周波数超音波処置を適用するステップが、複数の生存細胞をより若い表現型に反転させる、請求項22に記載の方法。
【請求項43】
患者の処置の後の音波を低減または偏向するために反復性低周波数超音波処置を吸収もしくは切り離すことの少なくとも1つを行うか、音波を減衰させるかもしくは音波を処置部位から遠ざけることの少なく1つに適した材料であるか、または残存する音エネルギーを熱に変換する1つ以上の素子を含む機構を提供するステップをさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項44】
処置域の周りにアブソーバー遮蔽体を備えた部分的または完全な浸漬である1つ以上のチャンバーを含む、創傷および潰瘍を処置するための浸漬容器を提供するステップをさらに含み、前記1つ以上のトランスデューサーおよび1つ以上のアブソーバーが患者と接触し得るか、または浸漬媒体により絶縁されている、請求項41に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全般的に加齢の分野、特には超音波照射による老化の反転に関する。
【0002】
連邦政府資金による研究開発の記載
なし
【0003】
コンパクトディスクによる提出材料の参照による援用
なし
【背景技術】
【0004】
本発明の範囲を限定するものではないが、その背景は、加齢に関連して記載される。
【0005】
人々の平均寿命は増加しており、集団は高齢化しているため、自身の機能およびクオリティオブライフを全般的に損なう加齢関連障害に罹患する人々がますます多く存在している。加齢に関連する問題の多くは、細胞老化の結果として説明することができる。老化細胞は適切に成長または機能せず、隣接細胞の老化を増加させる因子を分泌する。
【0006】
必要であるのは、老齢の成体にとって、身体における老化細胞の分画を減少させ、よって加齢の有害作用を減少させ、クオリティオブライフを改善させる処置である。寿命を増加させ得る多くの要因が存在するが、これらは全般的に、クオリティオブライフに及ぼす効果について解析されていはいない。
【0007】
現在、クオリティオブライフを増加させるように思われる、加齢に対抗する2つの主なアプローチ、すなわち運動および老化細胞除去が存在する。高齢者における継続的な運動は、多くの利点を有し、身体的および精神的なパフォーマンスに及ぼす加齢の作用を弱めるために役立つ。老化細胞除去は、老化細胞のアポトーシスを引き起こす薬物または小分子であり、身体における老化細胞の分画を減少させることにより高齢マウスのパフォーマンスを改善することが示されている。一部の人々は運動を老化細胞除去とみなすため、2つのアプローチは、共通の標的、すなわち老化細胞の分画の減少を介して作用し得る。これらのアプローチの弱さの観点から、運動は、傷害、ライフスタイルの問題、および個人の意思のため持続することが困難である。残念なことに、老化細胞除去は、老化細胞のみを標的とすることは困難であり、多くの場合副作用を有する。
【0008】
これらの進歩にもかかわらず、加齢の速度の低減、細胞老化の反転に役立ち、および/または加齢の速度を増加させる老化細胞により放出される作用物質の低減もしくは排除に役立つ新規の処置方法論が必要とされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、超音波照射を使用して老化作用に及ぼす運動の機械的効果を模倣する。超音波の機械的効果は、細胞を殺滅することなく細胞老化を反転させることを本明細書において実証する。低周波数超音波(US)のさらなる利点は、これが全身を貫通して、内部の老化細胞に作用し、in situで老化を反転させて細胞を機能的な状態に戻すことが可能である点である。
【0010】
本明細書中具現化され広く記載されるように、本開示の一態様は、加齢を処置する非侵襲的な方法であって、少なくとも1つの加齢の特徴を遅らせるために十分な量で少なくとも1つの生存細胞を機械的に伸展させるステップを含む方法に関する。一態様では、少なくとも1つの加齢の特徴は、細胞老化の低減、細胞分裂の増加、細胞サイズの低減、成長因子の分泌の増加、老化因子の分泌の減少、ミトコンドリアの融合の低減、ミトコンドリア分裂の増加、または創傷治癒の増強から選択される。別の態様では、少なくとも1つの生存細胞を機械的に伸展させるステップは、加齢のための処置を必要とする領域を標的とするように構成された反復性低周波数超音波を適用することによるものであり、この領域は、1つ以上の方向から標的に向けられる1つ以上の超音波源により標的化される。別の態様では、処置のための浸漬設計は、創傷および潰瘍を処置するために最適化されており、全般的に浅く、処置域の向こう側にアブソーバー遮蔽体を備えた完全な浸漬に適した1つ以上のチャンバーを含み得、トランスデューサーおよびアブソーバーは、患者と接触し得るか、または浸漬媒体により絶縁されている。別の態様では、少なくとも1つの生存細胞を機械的に伸展させるステップは、定常波パターン、ショック波、急速な音の変化、矩形波、のこぎり波、ランダム波、または起伏のある低-高強度のうなりのうちの少なくとも1つから選択される反復性低周波数超音波を適用することによる。別の態様では、少なくとも1つの生存細胞を機械的に伸展させるステップは、反復性低周波数超音波を約5分~約60分の間の持続で適用することにより、1日1回、およそ2日に1回、およそ3日に1回、およそ1週間に1回、およびおよそ1週間に2回からなる群から選択される期間の間反復される。別の態様では、少なくとも1つの生存細胞を機械的に伸展させるステップは、反復性低周波数超音波を1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、40、50、60、70、75、80、90分間、または2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、もしくは24時間適用することによる。別の態様では、少なくとも1つの生存細胞を機械的に伸展させるステップは、反復性低周波数超音波を5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、75、100、150、200、250、300、400、500、600、700、750、800、900kHz、1MHz、またはそれ以上で適用することによる。別の態様では、少なくとも1つの生存細胞を機械的に伸展させるステップは、反復性低周波数超音波を10、20、50、100、150、200、250、300、350、400、450、500、1,000、5,000、10,000、または<500mW/cmで適用することによる。別の態様では、少なくとも1つの生存細胞は、細胞株もしくは細胞クローン(もしくは他の初代細胞)であるか、または組織、臓器、肢、もしくは全身に存在する。別の態様では、少なくとも1つの生存細胞を機械的に伸展させるステップの少なくとも一部は、細胞の老化を低減する1つ以上の活性剤と同時に適用される反復性低周波数超音波処置による。別の態様では、活性剤は、反復性低周波数超音波処置で処置した細胞の上清である。別の態様では、少なくとも1つの生存細胞を機械的に伸展させるステップは、プログラムされたサイクルの波のシーケンスを作成するように構成された1つ以上の超音波トランスデューサー;
ロボティックアームに取り付けられた1つ以上の超音波トランスデューサーであって、
前記ロボティックアームが望ましい位置または方向に前記超音波トランスデューサーを配置するように制御されている1つ以上の超音波トランスデューサー、
フェーズドアレイ超音波トランスデューサーであるか、もしくは密閉されており耐水性である1つ以上の超音波トランスデューサー、
のうちの少なくとも1つから送達される反復性低周波数超音波処置であり、
周波数、周期力の大きさ、および期間は、標的細胞のタイプに少なくとも部分的に基づくか、もしくは処置域付近のフィードバックセンサーの出力に基づき決定されるか、または
波の波長は、臓器のサイズのオーダーであり、振幅は単一細胞のオーダーである。別の態様では、少なくとも1つの生存細胞を機械的に伸展させるステップは、処置計画または治療手順のタイプに従って作成されたプログラムされたサイクルの波のシーケンスであり、処置計画は、1つ以上の機械学習技術、音波の低周波数変調、設定されたデューティサイクルでの周期的なオンオフパターン、振幅、周波数、および位相の変動;位相および中心周波数および相対強度がそれぞれ可変であるいくつかの搬送周波数の重ね合わせ;外部の入力シグナルによる変調、可聴音シグナルによる変調を使用して作成される。別の態様では、本方法は、コントローラを準備するステップをさらに含み、コントローラは、センサーデータに基づき1つ以上の超音波トランスデューサーを制御するように構成されており、1つ以上の超音波発生装置と統合されており、患者の安全性を提供するために1つ以上の超音波発生装置からのエネルギーを制限するリモートドライバー;2つ以上の超音波トランスデューサー素子の間の電圧を常にゼロにするニュートラルドライバーを含むか、または1つ以上の超音波発生装置により使用されるピーク電圧を低減する1つ以上のトランスデューサースタックに接続されている。別の態様では、少なくとも1つの生存細胞は、複数の生存細胞であり、本方法は、複数のin vivo生存細胞に反復性低周波数超音波処置を適用するステップをさらに含む。別の態様では、少なくとも1つの生存細胞を機械的に伸展させるステップは、対象の身体の少なくとも局部領域に送達される反復性低周波数超音波処置である。別の態様では、反復性低周波数超音波処置は、圧電トランスデューサー、ボイスコイル、静電容量型メンブレン、流体不安定度、シャッターを備えた油圧、空気圧装置、火花放電、化学的に作製された圧力波、エンジン駆動音、誘発された筋緊張、トランスデューサーアレイ、合成アパーチャーを備えたフェーズドアレイ、または周波数の調波により提供される。別の態様では、少なくとも1つの生存細胞は、複数の生存細胞であり、反復性低周波数超音波処置を適用するステップは、少なくとも1つの生存細胞の複製寿命を延長させる。別の態様では、少なくとも1つの生存細胞は、複数の生存細胞であり、反復性低周波数超音波処置を適用するステップは、複数の生存細胞をより若い表現型に反転させる。別の態様では、本方法は、患者の処置の後の音波を低減もしくは偏向するために反復性低周波数超音波処置を吸収もしくは切り離すことの少なくとも1つを行うか、音波を減衰させるかもしくは音波を処置部位から遠ざけることの少なくとも1つに適した材料であるか、または残存する音エネルギーを熱に変換する1つ以上の素子を含む機構を提供するステップをさらに含む。
【0011】
本明細書中具現化および広く記載されるように、本開示の一態様は、細胞の老化を低減する方法であって、少なくとも1つの生存細胞に反復性低周波数超音波処置を適用するステップであって、前記反復性低周波数超音波処置が少なくとも1つの加齢特徴を遅らせるステップを含む、方法に関する。一態様では、波長は、平均細胞直径に等しいか、またはそれより大きい。別の態様では、少なくとも1つの加齢特徴は、細胞老化の低減、細胞分裂の増加、細胞サイズの低減、増殖因子の分泌の増加、老化因子の分泌の減少、ミトコンドリアの融合の防止、ミトコンドリア分裂の増加、または創傷治癒の増強から選択される。別の態様では、反復性低周波数超音波処置を適用するステップは、加齢のための処置を必要とする領域を標的とするように構成されており、この領域は、1つ以上の方向から前記標的に向けられる1つ以上の超音波源により標的化される。別の態様では、反復性低周波数超音波処置を適用するステップは、定常波パターン、ショック波、急速な移行、矩形波、のこぎり波、ランダム波、または起伏のある低-高強度のうなりのうちの少なくとも1つから選択される。別の態様では、反復性低周波数超音波処置を適用するステップは、約5分~約30分の間の持続であり、1日1回、およそ2日に1回、およそ3日に1回、およそ1週間に1回、およびおよそ1週間に2回からなる群から選択される期間の間反復される。別の態様では、反復性低周波数超音波処置を適用するステップは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、40、50、60、70、75、80、90分間、または2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、もしくは24時間である。別の態様では、反復性低周波数超音波処置を適用するステップは、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、75、100、150、200、250、300、400、500、600、700、750、800、900kHz、1MHz、またはそれ以上である。別の態様では、反復性低周波数超音波処置を適用するステップは、10、20、50、100、150、200、250、300、350、400、450、500、1,000、5,000、10,000、または<500mW/cmである。別の態様では、少なくとも1つの生存細胞は、細胞株もしくは細胞クローン(初代細胞など)であるか、または組織、臓器、肢、もしくは全身に存在する。別の態様では、反復性低周波数超音波処置の適用の少なくとも一部は、細胞老化を低減する活性剤と同時に適用される。別の態様では、活性剤は、反復性低周波数超音波処置で処置した細胞の上清である。別の態様では、反復性低周波数超音波処置は、少なくとも1つの生存細胞が細胞老化に達して少なくとも1つの加齢特徴を遅らせるまで適用される。別の態様では、反復性低周波数超音波処置は、プログラムされたサイクルの波のシーケンスを作成するように構成された1つ以上の超音波トランスデューサー;
ロボティックアームに取り付けられた1つ以上の超音波トランスデューサーであって、
ロボティックアームが望ましい位置または方向に1つ以上の超音波トランスデューサーを配置するように制御されている1つ以上の超音波トランスデューサー、
フェーズドアレイ超音波トランスデューサーであるか、もしくは密閉されており耐水性である1つ以上の超音波トランスデューサー
のうちの少なくとも1つから送達され、
周波数、周期力の大きさ、および期間は、標的細胞のタイプに少なくとも部分的に基づくか、処置域もしくは処置域付近のフィードバックセンサーの出力に基づき決定され、または
波の波長は、臓器のサイズのオーダーであり、振幅は単一細胞のオーダーである
。別の態様では、反復性低周波数超音波処置は、処置計画または治療手順のタイプに従って作成されたプログラムされたサイクルの波のシーケンスのうちの少なくとも1つであり;処置計画は、1つ以上の機械学習技術、音波の低周波数変調、設定されたデューティサイクルでの周期的なオンオフパターン、振幅、周波数、および位相の変動;位相、中心周波数および相対強度がそれぞれ可変であるいくつかの搬送周波数の重ね合わせ;外部の入力シグナルにより変調されたシグナル、または可聴音により変調されたシグナルを使用して作成される。別の態様では、本方法は、コントローラを準備するステップをさらに含み、コントローラは、センサーデータに基づき1つ以上の超音波トランスデューサーを制御するように構成されており、1つ以上の超音波発生装置と統合されており、患者の安全性を提供するために1つ以上の超音波発生装置からのエネルギーを制限するリモートドライバー;1つ以上の超音波トランスデューサー素子の間の電圧を常にゼロにするニュートラルドライバーを含むか、または1つ以上の超音波発生装置により使用されるピーク電圧を低減する1つ以上のトランスデューサースタックに接続されている。別の態様では、少なくとも1つの生存細胞は、複数の生存細胞であり、本方法は、複数のin vivo生存細胞に反復性低周波数超音波処置を適用するステップをさらに含む。別の態様では、反復性低周波数超音波処置は、患者の身体の少なくとも局部領域に送達される。別の態様では、反復性低周波数超音波処置は、圧電トランスデューサー、ボイスコイル、静電容量型メンブレン、流体不安定度、シャッターを備えた油圧、空気圧装置、火花放電、化学的に作製された圧力波、エンジン駆動音、誘発された筋緊張、フェーズドアレイ、1つ以上の合成アパーチャーを備えたフェーズドアレイ、または調波により提供される。別の態様では、少なくとも1つの生存細胞は、複数の生存細胞であり、反復性低周波数超音波処置を適用するステップは、少なくとも1つの生存細胞の複製寿命を延長させる。別の態様では、少なくとも1つの生存細胞は、複数の生存細胞であり、反復性低周波数超音波処置を適用するステップは、複数の生存細胞をより若い表現型に反転させる。別の態様では、本方法は、患者の処置の後の音波を低減または偏向するための反復性低周波数超音波処置を吸収もしくは切り離すことの少なくとも1つを行うか、音波を減衰させるかもしくは音波を処置部位から遠ざけることの少なく1つに適した材料であるか、または残存する音エネルギーを熱に変換する1つ以上の素子を含む機構を提供するステップをさらに含む。別の態様では、本方法は、処置域の周りにアブソーバー遮蔽体を備える部分的または完全な浸漬である1つ以上のチャンバーを含む創傷および潰瘍を処置するための浸漬容器を提供するステップをさらに含み、1つ以上のトランスデューサーおよび1つ以上のアブソーバーは、患者に接触し得るか、または浸漬媒体により絶縁されている。
【0012】
本発明の特性および利点のより完全な理解のため、添付の図面と共に本発明の詳細な説明を以下に参照する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1A~1Hは老化細胞の特徴付けを示す。(図1A)H、酪酸ナトリウム(SB)、ドキソルビシン(Dox)、およびブレオマイシン硫酸塩(BS)により誘導される老化細胞の明視野画像。スケールバー=300μm。(図1B)増殖の定量化は、48時間のインキュベーションの後に老化の成長を示さない。(図1C)老化細胞は、正常な対照細胞と比較して大きくなる。(図1D)対照細胞と比較したブレオマイシン硫酸塩で処置した細胞の平均細胞体積の定量化。(図1E)老化細胞由来の条件培地は、正常な増殖細胞の成長を阻害する。(図1F)対照(増殖)細胞およびBSで処置した老化細胞のSA-b-ガラクトシダーゼ染色。スケールバー=300μm。(図1G)HおよびSBで誘導したSCにおけるb-ガラクトシダーゼ老化マーカーのレベル。スケールバー=300μm。(図1B)-(1G)のデータ n=2の実験から最小150個の細胞を、伸展面積および細胞体積に関して解析した。
図2図2A~2Gは、超音波が細胞老化を反転させることを示す。(図2A)老化反転実験の概略図。SBで処置したVero細胞を、低周波数超音波(LFU)で処置し、48時間ごとに8~10日間継代した。(図2B)48時間にわたる倍数変化としての細胞の増殖を示すグラフ。48時間ごとのP0からP3までの処置した細胞の継代。(図2C)LFUで処置した老化細胞の細胞面積(LFU)は、P3までに大部分が正常まで回復する。(図2D)P3対照およびLFUで処置した細胞の代表的な抗p21免疫蛍光法画像。スケールバー=300μm。(図2E)p21で染色した対照およびLFUで処置したP3細胞の蛍光強度の定量化。各条件において200超の細胞の平均値±SDを示す。(図2F)EDU染色により決定されるように、超音波は増殖を増加させた。(図2G)EDU陽性P3細胞の定量化。全てのグラフを、平均値±SDによりプロットした。最小200個の細胞を各条件で解析した。
図3図3A~3Hは、老化関連分泌表現型(senescence-associated secretory phenotype:SASP)が対照を阻害するが、USSが老化細胞の成長を増加させることを示す。(図3A)実験の概略図。SCを、24時間増殖培地で培養し、次にこれらを30分間LFUで処置した。LFUの処置の後上清を収集し(S0)、再度上清を24時間後に収集した(S24)。LFU処置の効果を確認するために、上清S0およびS24を使用して非老化対照細胞の成長を確認した。(図3B)正常な増殖培地、S0、およびS24における48時間のインキュベーション後の対照細胞の代表的な明視野画像。(図3Cおよび3D)対照細胞数の定量化は、対照およびS24培地において成長および正常サイズを示すが、S0においては成長が低減し、サイズが増加した。(図3E)。正常な増殖細胞のLFU処置の概略図のタイムラインおよび戦略。対照細胞を同じ培地においてUSで4回処置し、上清を48時間の老化細胞のインキュベーションの間に収集した(USS)。(図3F)明視野画像は、LFUで処置した対照細胞から収集したUSSにおけるSCの形態の変化を示す。正常な増殖培地における老化細胞は、対照であった。(図3G)グラフは、USSにおけるSCの増殖の増加および(図3H)、老化細胞のUSSにおける拡張面積の減少を示した。グラフを、平均値±SDによりプロットした。最小200個の細胞を、グラフ(図3C)および(図3H)で解析した。スケールバー=300μm。
図4図4A~4Dは、低周波数超音波が、老化細胞においてミトコンドリア長およびリソソームの強度を減少させることを示す。(図4A)Mitotrackerおよびリソソームトラッカーで染色した正常細胞、老化細胞、およびLFUで処置した老化細胞におけるミトコンドリアの形態およびリソソームの蛍光の代表的な免疫蛍光画像。スケールバー=10μm。(図4B)リソソームのミトコンドリア染色強度に対する比率は、老化細胞の超音波処置により減少する。(図4C)ミトコンドリア長の定量化は、LFU後に長さの減少を示す。結果を、平均値±SDとして示し、n>3の実験で最小8個の細胞を解析し、有意性は、両側の対応のないt検定を使用して決定した。***p値<0.001。(図4D)mTORC1活性のLFU阻害を介したオートファジーの活性化による老化細胞の若返りに関するワーキングモデルの図。
図5図5A~5Eは、超音波による複製老化の反転がより多数の細胞の成長を可能にすることを示す。(図5A)P13からP24の継代まで48時間ごとに継代し、1回おきの継代時に処置した対照HFFおよびLFUで処置した細胞の累積細胞集団倍加(CPD)の数として計算した成長速度。(図5B)LFUで処置した細胞は、p24対照細胞およびさらにはp13細胞よりも小さかった。(図5C)SA-βガラクトシダーゼ陽性細胞の分画は、LFU処置後に減少した。(図5D)同様に、MSCのLFU処置は、1回おきの継代時に処置したP10-19で細胞数を増大させた。(図5E)LFUで処置したMSCは、(ORO)脂肪細胞および(ARS)骨細胞への正常な分化を示した。アリザリンレッドS色素は骨形成(ARS)を標識し、オイルレッドO色素は脂肪滴(ORO)を標識した。結果を平均値±SDとして示し、伸展面積では最小200個の細胞およびβ-ガラクトシダーゼ解析のパーセンテージでは150個の細胞を使用し、n>3回の実験であり、有意性は、両側の対応のないt検定を使用して決定した。***p値<0.001、**p値<0.01、およびp値<0.05。
図6図6は、本発明を使用した足の処置を示すLFU装置の側面図である。
図7図7A~7Eは、高齢マウスのパフォーマンスに及ぼす超音波処置の効果を示す。(図7A)処置計画の概略図。マウス(22~24カ月齢のC57BL/6J系)を、1か月にわたり3日ごとに30分間LFUで処置し、および/または12回20分間トレッドミルで走らせた。次にマウスを1か月間休ませ、第2の月の間、処置または運動を行った。各試験グループは、4匹の雄性および4匹の雌性のマウスを含んでいた。(図7B)第1の月の後および(図7C)第2の月の処置の後の逆さでのしがみつき試験(inverted cling test)の結果のグラフ。(図7D)第1の月の後のトレッドミル試験の結果および(図7E)第2の月の処置の後のトレッドミル試験の結果。グループは、無処置(偽処置)であったか、LFUで処置(US)、運動で処置(EX)、ラパマイシンで処置(RAP)、LFU+運動で処置(EXUS)、およびラパマイシン+LFUで処置(RUS)された。結果を、平均値±S.Dとしてプロットした。スチューデントt検定を使用して統計上有意性を決定した。0.05超のP値は、nsにより表される。統計上有意性はp値で提供される。p値<0.05、**p値<0.001、および***p値<0.0001。
図8図8A~8Eは、LFUが腎臓および膵臓における老化細胞の分画を顕著に減少させることを示す。22~25カ月齢のマウスを、1×パワーで毎日(LFU_D1)、1日おき(LFU_D2)、3日おき(LFU_D3)、および1.3×パワーで毎日(LFU_1,3_D1)、LFUで処置した。2ラウンドの2週間の処置および評価の後、マウスを安楽死させ、腎臓および膵臓を、SA-β-ガラクトシダーゼ染色のため収集した。(図8A)事象の順序を示す実験の図。(図8B)偽処置およびLFU_D3マウスのSA-β-ガラクトシダーゼで染色した腎臓の切片。カラーカメラにおいて、β-ガラクトシダーゼ染色は青色に見え、偽処置マウスの腎臓における細胞の大部分は染色されたが、LFU_D3の腎臓では染色されなかった。(図8C)色で示される膵臓切片のSA-β-ガラクトシダーゼ染色画像。スケールバー=150μmおよび20μm。(図8D)腎臓の切片のβガラクトシダーゼで染色した領域の定量化。(図8D)膵臓切片のβ染色の定量化。β-ガラクトシダーゼ染色は、全てのLFUで処置したマウスにおいて有意に低減された。結果を、平均値±S.Dでプロットする。スチューデントt検定を使用して統計上有意性を決定した。0.05超のP値は、nsにより表される。統計上有意性はp値で提供される。p値<0.05、**p値<0.001、および***p値<0.0001(n=10匹のマウス)
【発明を実施するための形態】
【0014】
発明の詳細な説明
本発明の様々な実施形態を作製および使用することが以下に詳細に論述されるが、本発明は、幅広い様々な特定の状況で具現化され得る多くの適用可能な発明の概念を提供することが理解される。本明細書中論述される特定の実施形態は、本発明を作製および使用するための特定の方法の単なる例であり、本発明の範囲を定めるものではない。
【0015】
本発明の理解を容易にするために、多くの用語を以下に定義する。本明細書中定義される用語は、本発明に関連する領域の当業者が一般に理解する意味を有する。「a」、「an」、および「the」などの用語は、単数形の実体のみを表すことが意図されるだけでなく、例示のため特定の例が使用され得る全般的な分類をも含むことが意図されている。本明細書中の専門用語は、本発明の特定の実施形態を説明するように使用されるが、それらの使用は、特許請求の範囲に記載されるものを除き、本発明を限定するものではない。
【0016】
超音波による若返りは、非侵襲的であり、公知の有害な副作用を有さず、生物全体およびさらには内部の臓器を処置できるという点で、運動、老化細胞除去、および他の薬物療法などの加齢に対処する既存の療法とは異なる。運動および超音波の両方が、機械的に作用して、類似の生化学的経路を介して老化を反転させるというエビデンスがある。LFUの利点は、これが、個体が組織および臓器を運動させることができない場合に組織および臓器に達することによってより多くの組織の若返りを可能にすることである。老化細胞の選択的アポトーシスを引き起こす老化細胞除去剤の場合、これらは、高齢マウスにおいて加齢のいくつかの態様を反転させることができる5、6。これらは、現在、高齢者を支援するための臨床試験について検討中である。老化細胞除去剤は生化学的な作用物質を含むため、これらは、局所的に送達することが困難であり、異なる組織から老化細胞に作用することは明らかではない。さらに、老化細胞除去の処置期間についての懸念があり8,9、エフェクター分子は、同時に他の細胞種に有害な作用を有し得る。また、老化細胞死により、修復するために組織成長を必要とする組織において間隙が残る。正常な機能を迅速に回復させるためには、老化細胞をin situで若返らせるほうが非常に良好である。関与する生化学的な経路を増強することにより老化細胞の若返りを増強する他の薬物または処置が潜在的に存在する。LFUは、必要とされる変化を強化するために柔軟に行うことができるため、これら処置を増強し得る。重要なことに、薬物または他の療法とは異なる機械的な処置は、正常な生化学的経路を介して作用し、超音波は、非侵襲的にこれら経路を活性化させるための柔軟な方法を提供する。超音波処置は、細胞死を伴うことなく老化表現型を反転し、繰り返し行うことができるため、LFU処置は、高齢の個体に経時的に利点を提供する。損傷閾値未満のLFU照射-ここでは「低パワー」の定義として使用される―はまた、運動により容易に達成可能なものよりも高いピークストレインのピーク圧、および健康な運動法で達成可能なものよりも数桁大きい大きさの加速力を可能にする。LFU照射は、骨により遮蔽される組織および骨自体を含むほぼ全ての組織タイプに達することができる。よってLFUの処置レジームは、従来の運動よりも普遍的である。
【0017】
本発明は、低周波数超音波を使用した加齢を処置する非侵襲的な方法を含む。LFU照射は、生物の体内であっても細胞の機械的な伸展をもたらし、老化細胞が存在する組織の機能に及ぼす老化細胞の作用を妨げるために老化細胞の特徴を反転し得る。LFUによる老化の反転は、細胞増殖の活性化、細胞サイズの低減、増殖因子の分泌の増加、ミトコンドリア分裂の増加、および/または創傷治癒の促進のうちの少なくとも1つである。LFU処置は、高齢マウス、特定の臓器、創傷治癒の機能を改善し、およびin vitroで正常細胞のより大きい増大を可能にする。超音波は、生物全体に送達でき、またはより小さな標的化超音波装置を、特定の臓器または細胞適用のために作製することができる。
【0018】
本明細書中使用される場合、「低周波数超音波(LFU)」との文言は、センチメートルのオーダーの波長、および数ミクロンより小さな振幅-動きを表す。一例では、波長は、臓器の大きさのオーダーであり、振幅は、単一細胞のオーダーである。たとえば、反復性低周波数超音波処置は、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、75、100、150、200、250、300、400、500、600、700、750、800、900kHz、1MHz、またはそれ以上であり得るが、多くの場合、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、75、100、150、200、250、300、400、500、600、700、750、800、900kHz、または1MHzである。反復性低周波数超音波処置は、10、20、50、100、150、200、250、300、350、400、450、500、1,000、5,000、10,000であり得るが、多くの場合<500mW/cmであり得る。
【0019】
本明細書中使用される場合、用語「~を処置すること(treating)」は、疾患の有害作用を阻害、防止、治癒、反転、減弱、軽減、最小化、抑制、もしくは停止すること、および/または疾患の低減、遅延、もしくは後退を引き起こすことを指す。当業者は、様々な方法およびアッセイを、疾患の発症を評価するために使用できること、および同様に様々な方法およびアッセイが、加齢の低減、遅延、または後退を評価するために使用され得ることを理解するものである。
【0020】
メカノセラピー。本開示の特定の態様では、メカノセラピーまたは超音波療法が、それを必要とする対象の老化細胞に周期力を作製および供与するために提供される。浸漬メカノセラピーは、所定の期間の間、均一な浸漬液体中で対象に1つ以上のプログラムされたサイクルの波を適用することを含み得る。プログラムされたサイクルの波は、機械的に誘導される若返りのプロセスが誘導されるように標的細胞(たとえば老化細胞または老化細胞を伴う組織)を変形させるために十分な制御された期間、大きさ、および周波数を有する周期力を付与する。作製された周期力は、強度が低く、十分に小さいため、周期力が影響を与える正常細胞および健常な組織は、機械的損傷または熱損傷を受けない。物理的な観点から、超音波および運動の周期力は、特に超音波処置中の力のベクトルは1秒あたり数万回変化するため、顕著に異なるように見える。しかしながら、組織に及ぼす応力および圧力の平均は、顕著に類似している。細胞プロセスが音波の方向の変化を追跡できない場合、残りの力のエンベロープ(force envelope)は、処置の強度に対応する。
【0021】
一部の例では、周波数および周期力の大きさは、標的組織に基づきあらかじめ決定され得る。プログラムされたサイクルの波のシーケンスは、処置される対象の正常細胞の増殖を促進または保存しつつ、標的細胞(たとえば老化細胞)の加齢の反転を誘導するために長期間(たとえば数時間)低強度で約20~250kHzの範囲の周波数で対象(たとえば患者の全身、身体の一部、患者の身体の一部)に適用され得る。波のプログラムされたデューティサイクルは、数秒のオーダーで変更でき、本発明者らは、0.1ヘルツ~10Hzの変調を試験した。上記で説明される音声搬送波の周波数は、大きな組織切片では10kHz~場合により250kHzの範囲にあるが、局部領域では数MHzであり得る。対象(たとえば内部の小器官)に供与される周期力は、機械的に誘導される加齢の反転プロセスが標的細胞で誘発されるように、標的/正常細胞を機械的に変形する。一部の例では、周波数および周期力の大きさ、または処置セッションの期間は、標的疾患、および/または処置される身体の一部/部分(たとえば全身、腕、足、乳房など)に基づき決定され得る。
【0022】
本明細書中使用される場合、用語「自発性細胞死」または「アポトーシス」は、限定するものではないが、アポトーシス、オートファジー、および特定の形態のネクローシスを含む。本開示では、自発性細胞死は、従来のアブレーション処置などのように、振幅または強度の増加により引き起こされる細胞死とは異なる周期的な反復性の力のシーケンスにより引き起こされ得る。具体的には、本明細書中使用される場合、用語「アポトーシス」は、結果的に細胞の自殺をもたらす制御された一連の生化学的なイベントを指し、容易に観察可能な形態学的および生化学的な現象、たとえばデオキシリボ核酸(DNA)の断片化、クロマチンの凝縮、細胞の核における染色体の遊走、アポトーシス小体の形成、ミトコンドリアの膨張などを特徴とする。
【0023】
用語「対象」、「個体」、「ユーザー」、および「患者」は、本明細書において互換可能に使用され、脊椎動物、好ましくはヒトなどの哺乳動物を指す。哺乳動物は、限定するものではないが、マウス、サル、ヒト、家畜、スポーツ用動物、およびペットを含む。組織、細胞、およびin vivoで得られるかまたはin vitroで培養されるそれらの生物学的実体の後代もまた包有される。一部の例では、対象は、老化または加齢を有し得る。
【0024】
本開示の方法のための標的細胞は、加齢、老化、または創傷治癒のための処置を必要とするいずれかの細胞であり得る。一部の実施形態では、標的細胞は、老化細胞である。標的細胞は、患者の身体の異なる領域の老化細胞を含み得る。本開示の方法で使用され得る老化細胞は、限定するものではないが、前立腺細胞、乳房細胞、結腸細胞、肺細胞、頭頸部細胞、脳細胞、膀胱細胞、白血球、卵巣細胞、腎&精巣細胞、メラニン形成細胞、肝細胞、子宮頸部細胞、膵細胞、または消化管細胞を含む。一部の例では、標的細胞は、再生、増殖、修復などが望まれる疾患状態にある組織の細胞であり得る。
【0025】
一部の実施形態では、メカノセラピーは、既定の特徴を有する周期的な伸展/圧力による力に標的細胞を曝露することにより標的細胞のアポトーシスを誘導または制御し得る。一部の実施形態では、本開示の方法は、腫瘍細胞のアポトーシスシグナル伝達経路を少なくとも部分的に刺激、増加、解放、活性化、促進、活性化を増強、感作、またはアップレギュレートする。メカノセラピーは、腫瘍細胞のアポトーシスシグナル伝達経路に関与する細胞表面受容体を有効に活性化し得る。細胞表面受容体は、機械的な合図、照射、または波を検知することが可能であり得る。浸漬メカノセラピーは、超音波などの周期性および/または構造化された遠隔の力を、標的組織に適用することにより、腫瘍細胞を有効に変更し、同時に老化細胞に影響を与え得る。
【0026】
本発明の浸漬メカノセラピーは、正常細胞の自発性細胞死を誘導しない。本明細書中使用される場合、用語「正常細胞」は、組織、臓器、および臓器系の正確な機能を維持するための正常な機能を有する基本的に健康な細胞を表す。正常細胞は、組織の恒常性を維持するため正常な発達の一部として、および修復不可能な損傷に応答して、自発性細胞死を受け得る。1つ以上のサイクルの波が、対象の組織において正常細胞の自発性細胞死を誘導することなく、正常細胞に適用され得る。
【0027】
強度、周波数、振幅などの様々な周期的な力の特徴は、有効な組織部位での強度、周波数、もしくは振幅のレベル、または標的細胞に供与される力を表し得る。一例として、力は、数時間にわたり組織部位に適用される低い強度サイクルを含み得る。一部の例では、組織部位または標的細胞に直接適用される周期的な力は、長い照射時間(たとえば数時間)、低周波数(たとえば5~30kHz、30~250kHz、150kHz~1MHzなど)および低い強度レベル(たとえば5、10、15、20、25、40、50、60、70、75、100、125、150、175、200、250、300、350、400、450、<500mW/cm、およびそれらの間の範囲)で送達され得る。周期的な力は、非常に全般的に、波により媒介され、文脈が他の意味を示唆しない限り互換可能に使用されるそれらの波形または構造化された波形などに基づき変化する。周期的な力は、対象が、たとえば、加熱されている水をも含み得るタブに含有される液体に浸漬されている間に、対象に伝達され得る。本明細書中使用される場合、「周期的な力」は、再び起こるかまたは反復性である力のエンベロープを指し、基本的な圧力による力のエンベロープの変調として現れる
【0028】
波形は、標的細胞/正常細胞に均一なまたは合理的に均一な膜の応力または応力エンベロープを達成する限り、任意の形状であり得る。多くの場合、波形は、正弦波に近似し得る。このような超音波が標的細胞/正常細胞に適用される場合、細胞の形状は、横楕円体の形状から縦の形状に変化し、その後、周波数および振幅が一致する場合膜に及ぶ応力が比較的一定のままでありつつ周期的に跳ね返る。一部の例では、波形は、標的細胞のタイプに基づき決定され得る。たとえば、標的組織に送達される波形は、処置される細胞または組織の異なるタイプにより異なり得る。一部の例では、標的組織に送達される波形は、標的細胞の機械的な特性(たとえば細胞の動態および運動力学の特性、直径、剛性、または慣性)に依存し得る。
【0029】
対象に適用される波は、方向感受性であってもよく、またはなくてもよい。既定の振幅での最適な周波数範囲の超音波は、同適度の力の加速および音圧により周期的な変形に標的細胞/正常細胞を曝し得る。たとえば、超音波が比較的低周波数(たとえば20~250kHz)にて細胞に適用される場合、細胞の形状は横楕円体の形状から縦の形状に変化し得、その後膜に及ぶ応力が比較的一定のままでありつつ周期的に跳ね返り得る。このようなタイプの迅速な変形はまた、細胞の周囲以外の特定の方向を有さないため、拡張力とも呼ばれ得る。これは、有益なことに、対象に対し超音波装置の正確な配置または方向を必要としない、浸漬される均一な治療を可能にする。たとえば、タブの液体に浸漬した対象の任意の部分に関して、与えられた超音波は、処置の有効性は実質的に同じであり得ながら、正常細胞に副作用を誘導しない。
【0030】
一部の例では、標的組織または標的細胞の部位に伝達され、そこで経験される波は、対象により吸収されるエネルギーがトランデューサーにより発せられるエネルギーのごく一部であるため、低い強度範囲であり得る。たとえば、低い強度は、450mW/cm、400mW/cm、350mW/cm、300mW/cm、250mW/cm、200mW/cm、150mW/cm、100mW/cm、90mW/cm、80mW/cm、75mW/cm、70mW/cm、60mW/cm、50mW/cm、40mW/cm、30mW/cm、25mW/cm、20mW/cm、15mW/cm、10mW/cm以下、または450mW/cm未満のいずれかの数、または10mW/cm超であり得る。低い強度とは、本発明者らは、胎児および角膜を除くほぼ全ての組織で無害であると考えられる100mW/cmの一般的な診断の平均吸収力限界を指す。
【0031】
一部の例では、標的組織または標的細胞の部位の音波は、標的細胞の機械的特性に基づく最適な範囲の周波数を有し得る。たとえば、周波数は、約5kHz~30kHz、30kHz~約100kHz、30kHz~約150kHz、30kHz~約200kHz、30kHz~約250kHz、40kHz~約100kHz、40kHz~約150kHz、40kHz~約200kHz、40kHz~約250kHz、50kHz~約100kHz、50kHz~約150kHz、50kHz~約200kHz、50kHz~約250kHz、60kHz~約100kHz、60kHz~約150kHz、60kHz~約200kHz、60kHz~約250kHz、70kHz~約100kHz、70kHz~約150kHz、70kHz~約200kHz、70kHz~約250kHz、30kHz~約210kHz、30kHz~約220kHz、30kHz~約230kHz、30kHz~約240kHz、40kHz~約210kHz、40kHz~約220kHz、40kHz~約230kHz、40kHz~約240kHz、50kHz~約210kHz、50kHz~約220kHz、50kHz~約230kHz、または50kHz~約240kHz、150kHz~1MHzの範囲、およびこれら記載される周波数内の超音波周波数のレベルにあり得る。
【0032】
本開示の一部の実施形態では、エネルギーは、それを変調することにより送達され得る。一部の例では、音の振幅は、標的細胞または正常細胞に機械的損傷を導入することなく細胞の形状の特定の量の変形を誘導するために十分である。たとえば、標的細胞の形状は、照射されると、約1%~約5%、約3%~約8%、約5%~約10%、変形し得る。たとえば、所定の時間間隔の照射のオンオフ比-デューティサイクルと呼ばれる―は、約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%などであり得る。デューティサイクルは、シグナルが時間単位あたり「オン」である(たとえば伝達される)時間の分画として定義される。波の強度または振幅は、熱損傷が標的組織または対象に導入されないように決定される。
【0033】
周期的な力は、ある期間にわたり標的組織または細胞に適用され得る。この期間は、時間の範囲であり得る。たとえば、浸漬療法では、波形は、約10分間、20分間、30分間、40分間、50分間、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、15時間、20時間、24時間、48時間、またはそれ以上の間、処置セッションとして対象に送達され得る。処置セッションは、継続的または断続的である照射への曝露であり得る。処置セッションは、同じ周期的な力または波形を利用してもよくまたは利用しなくてもよい1つ以上のサブセッションを含み得る。一部の例では、処置は、数日間、数週間、数か月、数年、または対象の生涯にわたり1回以上、同じまたは異なる長さの時間の間、反復され得る。処置は、対象が熱いタブの中で座っている間に継続的に行われ得る。あるいはまたはさらに、処置は、それらの間の既定の時間間隔で反復され得る。
【0034】
本明細書中使用される場合、強度、振幅、および周波数などの波の複数の特徴は、有効な組織部位での強度、振幅、および周波数のレベルであり、超音波トランスデューサーの実際の出力値ではない。一部の例では、超音波トランスデューサーからの直接的な出力としての波の1つ以上の特徴は、標的組織または標的領域で有効な周期的な力の特徴とは異なり得る。
【0035】
このような波形を作製するための超音波トランスデューサーの出力は、伝達中のエネルギー損失または分散を考慮するために標的組織部位で結果得られる有効な量よりも高い強度レベルを有し得る。たとえば、超音波が標的組織/領域に達する前に組織および液体を横断する間、特定の量のエネルギーが、生体組織(たとえば皮膚、骨、筋肉、および根底にある筋膜)およびタブ中の液体により吸収または散乱される。低周波数の特徴により、強度の損失は少なくなり得、侵入深さは長くなり得る。一例として、エネルギーの5%以下、10%以下、15%以下、20%以下、25%以下、30%以下、35%以下、40%以下、45%以下、50%以下、55%以下、60%以下、65%以下が、波を伝達する際に吸収され得る。これは、有利なことに、液体のプール/容器および周辺の臓器を介して個体の内部組織に有効に伝達され得る波としての浸漬メカノセラピーを可能にする。さらに、波の低周波数および低強度の特徴により、組織を貫通する波の結果として生成される熱は、これら波長での熱対出力の実験値に基づき有意ではないと計算された。
【0036】
波は、浸漬メカノセラピーの形態で対象に作用し得る。一部の実施形態では、対象の身体の少なくとも一部は、タブ/容器に含有される液体に浸漬される。対象の身体のそのような一部は、たとえば対象の身体の0.5%~100%であり得る。特に、対象は、液体に浸漬された0.5%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%の身体の一部を有し得る。開示される超音波は、正常細胞/組織に副作用または損傷を誘導することなく液体に浸漬された身体の一部または全てを貫通し得る。
【0037】
メカノセラピーのシステムおよび装置。一態様では、本開示は、それを必要とする対象で上述のメカノセラピーを実施するために構成された装置およびシステムを提供する。一部の例では、装置またはシステムは、ハンドヘルドであり得るか、ロボティックアームにより操作、保持、および/または制御されてもよく、個体/対象の少なくとも一部が浸漬される液体を含有するための容器(vesselまたはcontainer)と、老化細胞を処置するために決定された期間に1つ以上のプログラムされたサイクルの波を生成することが可能な1つ以上の超音波トランスデューサーとを含む。容器は、1人以上の個体を保持するような大きさおよび形状であり得る。一部の例では、容器は、個体への波の伝達を容易にするための内部の形状または配置を含み得る。
【0038】
本発明は、個体を処置するために所定の期間に1つ以上のプログラムされた出力を生成することが可能な1つ以上の超音波トランスデューサーを使用することができる。疾患は、個体の創傷であり得る。1つ以上のトランスデューサーは、本明細書中他で記載される構造化された波を作製するように構成され得る。構造化された波は、集束していてもよくまたは集束していなくてもよい。超音波トランスデューサーは、超音波トランスデューサーの単一の素子もしくはアレイ、またはエミッターの複合アセンブリであり得る。
【0039】
一例では、1つ以上のトランスデューサーは、超音波トランスデューサーのアレイであり得る。超音波トランスデューサーのアレイは、身体における1つ以上の組織に方向づけられ得る。一部の例では、複数の超音波トランスデューサーが、容器の側壁および/または底の空隙の位置に搭載され得る。一部の実施形態では、1つ以上のトランスデューサーは、導波管を使用して容器の内部空間に移動し得る。一部の実施形態では、1つ以上のトランスデューサーは、容器の外側に移動し得る。一部の実施形態では、1つ以上のトランスデューサーは、容器の底壁近くに配置され得る。一部の実施形態では、1つ以上のトランスデューサーは、容器の側壁近くに配置され得る。一部の実施形態では、1つ以上のトランスデューサーは、容器の液体に浸漬され得る。1つ以上のトランスデューサーは、トランスデューサーが同時に作動する場合に超音波が望ましい効果(たとえば方向、焦点面、強度など)を達成するために集合的に作製され得るように、望ましい位置に(たとえば互いに最適な空間、方向で)配置され得る。
【0040】
一部の実施形態では、1つ以上のトランスデューサーは、滅菌目的のためパネルにパッケージングおよび密閉され得る。パネルは、実質的に滑らかな表面を有し得、蒸気、熱および圧力、化学物質、UV光などのタブと適合可能な通常の方法により滅菌することができる物質から構成され得る。一部の実施形態では、パネルの表面は、使い捨てであり得る。パネルは、1つ以上のトランスデューサーと取り外し可能に連結され得る。一部の例では、パネルは、波の抵抗を低減するための物質から構成されてもよく、波の抵抗を低減するための幾何学的形体(たとえば薄壁またはシート)を含み得る。一部の例では、パネルは、1つ以上のトランスデューサーの形状と嵌合するドッキング形体または構造を含むことにより、滑合を提供し得る。
【0041】
1つ以上の超音波トランスデューサーは、液体と直接接触してもよく、または接触しなくてもよい。1つ以上の超音波トランスデューサーは、バスタブと直接接触してもよくまたは接触しなくてもよい。個体が配置される際に、個体は、1つ以上の超音波トランスデューサーと直接接触してもよくまたは接触しなくてもよい。
【0042】
1つ以上の超音波トランスデューサーは、椅子、ベッド、もしくはタブなどの、対象を保持するために使用される装置と取り外し可能に連結されてもよく、および/または装置に永続的に固定されてもよい。一部の例では、1つ以上の超音波トランスデューサーは、壁に取り付けられ得る。たとえば、トランデューサーアレイ(フェーズドアレイなど)を、バスタブの壁に連結してもよく、音波の方向を、ビーム形成技術を使用して制御してもよい。
【0043】
1つ以上の超音波トランスデューサーは、密閉されており耐水性であり得る。1つ以上の超音波トランスデューサーまたは超音波装置は、1つ以上のトランスデューサーの作動温度を安定化させるための内部冷却システムと共に提供され得る。超音波装置を冷却するための任意の適切な冷却方法を利用することができる。冷却方法は、たとえばヒートシンクまたは他の冷却形体(たとえばヒートパイプ、ヒートスプレッダなど)に熱により連結される超音波プローブを配置することによる受動冷却であり得る。受動冷却は、ヒートシンクまたはクーリングフィンと熱的に接触することによる超音波トランスデューサー(たとえば超音波プローブ)からの熱の消散を指す。一部の例では、流体冷却剤または気体冷却剤などの冷却剤を、受動冷却を支援するために、超音波トランスデューサー、クーリングフィン、および/またはヒートシンクの表面の上方で循環させてもよい。冷却方法は、たとえば超音波トランスデューサー作動温度を調節または安定化させるための温度制御器により駆動される熱電気クーラーを利用する、能動的冷却であり得る。
【0044】
一部の実施形態では、1つ以上のトランスデューサーは、ロボティックアームにより運ばれ得る。ロボティックアームは、1つ以上のトランスデューサーに1つ以上の運動の自由度を提供するように構成され得る。1つ以上のトランスデューサーは、たとえば身体の異なる部分が処置され得るように望ましい位置または方向で配置され得るように制御され得る。1つ以上のトランスデューサーの位置または方向は、処置セッションの間固定され得る。あるいはまたはさらに、1つ以上のトランスデューサーは、処置セッションの間動くように制御され得る(たとえばカーブの動き、異なるサブセッションで異なる位置に配置)。
【0045】
一部の例では、ロボティックアームは、ガントリーであり得る。ロボットアームは、6軸のロボットアームであり得る。ロボティックアームは、約1つ以上、2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、または6つ以上の軸の動きを行うことが可能であり得る。ロボットアームは、1つ以上、2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上、7つ以上、8つ以上、9つ以上、または10つ以上のジョイントを含み得る。ジョイントは、互いに対して移動するための様々な支持部材を可能にし得るモーターを含み得る。ロボットアームは、1つ以上、2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上、7つ以上、8つ以上、9つ以上、または10つ以上の支持部材を含み得る。一例では、第1の支持部材は、エンドエフェクターの重量に耐え得る。第2の支持部材は、第1の支持部材および/またはエンドエフェクターなどの重量に耐え得る。モーターは、互いに対して1つ以上の支持部材の回転を可能にし得る。横方向の変位を可能にし得る1つ以上のスライド機構を提供してもよい。ロボットアームは、ヒトの腕の動きの範囲と一致し得るかまたはそれを上回り得る自由な移動範囲を有し得る。ボールジョイントおよびソケットジョイントは、ロボットアームにより使用されてよくまたは使用されなくてもよい。
【0046】
一部の実施形態では、1つ以上のトランスデューサーは、ロボティックアームのエンドエフェクターに固定され得る。1つ以上のトランスデューサーの位置および方向は、ロボティックアームを制御することにより制御され得る。一部の例では、ロボティックアームは、ロボティックコントローラにより制御され得る。ロボティックコントローラは、1つ以上のトランスデューサーを位置づけるコントローラの制御下にあり得る。制御システムに関して、カスケード比例積分微分制御(PID)を使用して、ロボティックアームの姿勢および速度を制御してもよい。限定するものではないが、ON-OFF、PIDモード、フィードフォワード、アダプティブ、インテリジェント(Fuzzy logic, Neural network, Expert Systems and Genetic)制御アルゴリズムを含む、ジンバルまたはキャリアシステムを制御するために使用され得る様々な制御アルゴリズムが存在することに留意すべきである。PID制御などの特定の制御モデルでは、制御システムは、異なる制御目的/出力変数(たとえば角速度、角度位置、角加速度、またはトルク)および異なる入力変数(たとえば入力電圧)により異なり得る。よって、制御パラメータは、様々な方法で表され得る。
【0047】
一部の例では、ロボティックアームコントローラは、フィードバック情報としてセンサーデータを使用してロボティックアームを制御するように構成され得る。センサーデータは、対象に関するエンドエフェクター(すなわち1つ以上のトランスデューサー)の位置に関連し得る。一部の例では、近接センサーまたはイメージングセンサーなどのセンサーを使用して、このような位置/近接の情報を提供してもよい。一部の例では、レシーバーと共に1つ以上の超音波トランスデューサーが、近接を決定するための超音波センサーとして提供され得る。一部の例では、このような情報を提供するために追加のセンサーを含めてもよい。
【0048】
一部の例では、ロボティックアームは、1つ以上のトランスデューサーを最初の位置に自動的に配置し得る。一部の実施形態では、ロボットアームは、使用者が受動的に動かすことができる。このような例では、使用者は、アームのいずれかの位置に押し、アームはそれに応じて移動する。ロボティックアームはまた、ヒトロボットの相互作用を改善するためのコンプライアントモードで制御され得る。たとえば、ロボットアームのコンプライアント運動制御は、衝突防止戦略を使用してもよく、位置-力の制御は、可能性のある衝突の影響を低減しつつ、不必要なエネルギー消費を抑えるように設計され得る。複数の超音波トランスデューサーは、一連の力のパルスを作製するように集合的に作動し得る。トランスデューサーの数は、1~1000までの数などの任意の数であり得、異なる振幅および/または位相の関係で発し得る。たとえば、隣接するトランスデューサーは、一定の進行性の位相シフトまたは可変の位相シフトを有することにより、ビーム/波の方向を調節し得る。一部の例では、トランスデューサーの周波数は、全て同じであってもよく、または異なる周波数範囲を発することにより、複数の周波数成分を含む複合的な波形を提供し得る。
【0049】
超音波は、集束してもよく、集束しなくてもよく、または両方の組み合わせであってもよい。一部の例では、音響レンズまたは反射鏡などのさらなる部品を利用して、集束した超音波を産生してもよい。トランスデューサー(アレイ)の焦点面または焦点距離は、対象の標的領域の位置にビームを方向付けるために調節され得る。一部の例では、超音波装置は、ビームのステアリングおよび集束を可能にする個々に制御されたトランスデューサーのアレイを含み得る。ビーム形成技術、たとえばフェーズドアレイビーム形成またはビーム制御方法、たとえば装置の焦点距離を調節するために音響レンズを移動する鏡の使用が利用され得る。トランスデューサーのアレイは、波形を作製し標的の位置/領域に波形を伝達するために集合的に作動し得る。超音波装置の焦点距離に加えて、周波数、デューティファクタ、振幅、強度などの波の1つ以上の特徴は、超音波トランスデューサーのアレイを制御することにより変調され得る。
【0050】
あるいはまたはさらに、超音波は集束しなくてもよい。集束しない超音波は、液体および/またはその中に浸漬した生体組織を通過し得る。集束していない超音波は、対象の広範性の大きな領域/部分に適用され得る。一部の実施形態では、1つ以上のトランスデューサーは、提供される超音波システムが、集束した超音波モードおよび集束していないモードの間を切り替えることができるかまたはデュアルモードで作動することが可能であり得るように構成可能であり得る。
【0051】
一部の例では、1つ以上のトランスデューサーは、さらなる使用者の安全性を提供するためにニュートラルな発生装置にカスタマイズされ得る。たとえば、供給される正味の電圧の合計がゼロまたはゼロに近いトランスデューサーまたはアンテナアレイを使用する場合、液体の侵入がトランスデューサーの内部の一部に達する前にゼロボルトの接点を通る必要があるため、絶縁が失敗した場合であっても安全なヒトの接触が提供され得る。アンテナ素子のアレイは、交流コイル方向でまたは反転した圧電性結晶を備えたトランスデューサーを用いて構築されることにより、正味のゼロ電圧を可能にし得る。このような交流方向または反転した圧電性結晶の設計は、1対以上のアンテナ素子またはアンテナアレイ全体に適用され得る。
【0052】
一部の実施形態では、タブの液体は、4~45℃、16~20℃、20~40℃、36~40℃、または使用者の好みに基づく他の温度範囲の温度に制御され得る。本開示の一部の実施形態では、浸漬メカノセラピーは、タブまたはスパの形態で送達され、通常約95°Fの範囲のレベルに水温を上げるために、ヒーターを伴い得る。トランスデューサーシステムは、加熱装置の一部であり得る。一部の実施形態では、システムは、温度制御システムを含み得る。温度制御システムは、必要な場合媒体(たとえば液体)の温度を制御するための1つ以上の温度センサーおよび/または温度制御器を含み得る。1つ以上の温度センサーは、バスタブに関するいずれかの適切な位置で配置され得る。温度は、個体、使用者、オペレーターにより手動で調節でき、またはあらかじめプログラムされた治療計画により自動的に制御され得る。
【0053】
本開示の一部の実施形態では、システムはまた、過剰に加熱された媒体またはバスタブの液体を冷却するための形体を含み得る。たとえば、水の排水または再利用を使用して、水温を安定に維持してもよい。このような形体は、通常のスパまたはマッサージの装置で知られているものと同じであり得る。たとえば、水をろ過および加熱してよく、側壁上のスペースの空いた位置に搭載された1つ以上の水治療法のマッサージジェットノズルを介してスパに通常に再利用してもよい。気泡が入らないように注意する必要があり、これは気泡が超音波を吸収しシステムを無効にするためである。
【0054】
本開示のメカノセラピーで使用され得る媒体は、本開示の超音波を伝達できるいずれかの媒体であり得る。一部の実施形態では、媒体は、液体である。一部の実施形態では、媒体は、ゲルである。一部の実施形態では、媒体は、水である。一部の実施形態では、媒体は、アルコールまたは生理食塩水である。
【0055】
一部の実施形態では、液体は水であり得る。液体は、ヒトとの接触に対し安全であり、ヒト組織に類似する音響インピーダンスを有するいずれかの適切な液体であり得る。たとえば、音響インピーダンスは、処置される対象の組織/皮膚のものと類似してもよく、またはこれよりも高くてもよい。一部の例では、化学物質を水に添加してもよい。媒体で使用され得る化学物質は、本開示の波の伝達を妨げない任意の化学物質であり得る。一部の例では、化学物質は塩である。一部の例では、塩素などの化学物質を、水を衛生状態に維持するために細菌性生物の増殖を防止するために適した規定の量でスパの水に周期的に添加してもよい。他の化学物質、たとえば殺菌剤、たとえば塩素などの酸化剤もまた、水に周期的に添加され得る。
【0056】
一部の実施形態では、対象の身体の一部は、タブの液体に浸漬されている。対象の身体の一部は、たとえば対象の身体の0.5%~100%であり得る。特に、対象は、液体に浸漬された身体の一部の0.5%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%を有し得る。
【0057】
一部の実施形態では、容器またはタブは、底壁および1つ以上の側壁を含むオープントップエンドの囲いを含み得る。一部の実施形態では、容器は、底壁、対向した側壁および対向した端壁を含み得る。一部の実施形態では、容器は、操作可能な上部の蓋をさらに含み得る。容器の底壁および/または側壁は、任意の適切な形状であり得る。たとえば、容器の底壁または側壁の形状は、限定するものではないが、円形、楕円形、長方形、四角形、台形、三角形、または不規則な形状を含み得る。一部の実施形態では、容器の内壁は、対象の浸漬された一部または標的の位置に超音波を反射するように形成され得るかまたは反射するような所定の幾何学的な構成を有し得る。一部の例では、容器の内壁は、望ましくない波(たとえば内壁に反射した波)が低減され得るように波動場を調節するように形成され得るか、または波動場を調節するUS吸収物質から構成され得る。これは、好適には、浸漬された身体で受容され有効である望ましい周波数および強度の制御された波を可能にする。一部の実施形態では、容器は、タブ、バケット、タンク、容器(container)、およびプールから選択され得る。一部の実施形態では、容器は、タブであり得る。一部の実施形態では、容器は、スパのタブである。一部の実施形態では、容器は、スイミングプールである。タンクの材料は、限定するものではないが、ガラス、金属、またはセラミック、アルミニウムおよび鋼鉄、ファイバーグラス、ベニヤ板、磁器などを含む任意の適切なタイプの材料であり得る。一部の実施形態では、浸漬部の材料は、高温のセラミックであり得る。
【0058】
一部の実施形態では、システムは、ユーザーポジショニングシステムをさらに含み得る。一部の例では、ユーザーポジショニングシステムは、ユーザーの身体の位置を検出するための近接センサーを利用し得る。近接センサーは、超音波トランスデューサーが飛行時間に基づき距離を測定するための1つ以上の受信機と対をなし得る超音波装置であり得る。あるいはまたはさらに、追加のセンサーを使用して、対象の身体を位置を特定してもよい。たとえば、追加の近接センサー(たとえば超音波センサー、カメラ)を使用して、容器/トランスデューサーに対する対象の位置またはトランスデューサーに対する対象の近接を検出してもよい。
【0059】
コントローラは、容器に連結した1つ以上の超音波トランスデューサーを制御し得る。システムは、ネットワークにわたりコントローラに操作可能に連結したコンピュータシステムおよび1つ以上のデータベースをさらに含み得る。コンピュータシステムは、治療計画を作成するための本明細書中提供される方法を実施する治療計画ニングモジュールを含み得る。
【0060】
コンピュータシステムは、個人/ユーザー情報、装置のセットアップ、診断情報などに基づく個別化治療計画を作成するために使用され得る。例示された表は、別々の構成要素としてコントローラおよびコンピュータシステムを示すが、コントローラおよびコンピュータシステムを、単一の構成要素に統合することができる。
【0061】
たとえば、治療計画は、メカノセラピーのレベルについての情報(たとえば超音波の周波数、強度、振幅、デューティサイクル)、治療のタイプ(たとえば老化細胞の低減、細胞の老化の低減、または創傷治癒)、処置域についての情報(たとえば位置、体積、組織のタイプなど)、作動状況(たとえば温度制御、集束ビーム/非集束ビーム)、処置期間、ユーザー情報(たとえばユーザーの好みのスパ温度)、またはその他を含み得る。
【0062】
治療計画は、完全に自動化された形式、半自動化された形式、または手動の形式で作成され得る。一部の例では、治療計画は、診断の入力またはユーザー情報を受信した後自動的に作製され得る。たとえば、送達される超音波の周波数、振幅、強度は、診断情報(たとえば組織の位置、体積、疾患のタイプ、適用の目的)、および/またはユーザー情報に基づき自動的に決定され得る。一部の例では、処置計画は、AI技術および/または機械学習方法を使用して作成され得る。たとえば、機械学習モデルを、治療計画を作製するために訓練してもよい。一部の例では、機械学習モデルに供給される入力データは、診断情報、装置の情報、個人の情報、または本明細書中他で記載される他の情報を含み得る。一部の例では、機械学習モデルの出力は、治療計画または1つ以上の処置のパラメータ(たとえば力の特徴、装置のセットアップ、スパ期間など)であり得る。治療計画を、フィードバック情報に基づきリアルタイムの状態に動的に適合させてもよい。あるいはまたはさらに、治療計画は、リアルタイムのフィードバック情報を用いずに全過程にわたり実行され得る。
【0063】
一部の例では、処置計画を作成するために使用される機械学習方法は、1つ以上の機械学習アルゴリズムを含み得る。機械学習アルゴリズムの例は、サポートベクターマシーン(SVM)、単純ベイズ分類、ランダムフォレスト、ディープラーニングモデルフィードフォワード・ニューラルネットワーク、RBFネットワーク、回帰型ニューラルネットワーク、畳み込みニューラルネットワーク、深い残差学習ネットワーク、または他の教師付きまたは非教師付き学習アルゴリズムを含み得る。
【0064】
コントローラは、インストールされたソフトウェアプログラムにより、パルスシーケンスについての情報を超音波装置のコントローラに提供し、および/またはシステム全体のオペレーションを管理するように作動し得る。一部の例では、コントローラはまた、自動化音声合成技術を使用して生成されるボイスメッセージにより容器の所定の位置に身体の一部を配置するなどのタスクを行うように対象/ユーザーに指示する要素としても機能し得る。コントローラは、メカノセラピーが実施されるように指示するオペレーターからのコマンドを受信し得る。あるいはシステムは、自宅で使用するためのものであり得、ユーザーは、ネットワークを介してコンピュータシステムに作動可能に連結したユーザインターフェース(たとえばモバイルアプリケーション)を介して指示を受信し得る。コントローラは、望ましい波または周期的な力のシーケンスを行うためのシステムの構成要素を作動させるように構成され、産生される波または超音波パルスのタイミング、強さ、および形状、ならびにビームの方向を表すデータを生成するパルス発生装置モジュールなどの様々な構成要素を含み得る。一部の例では、コントローラは、治療の間に産生されるパルスまたは波の周波数、振幅、および形状を制御するためパルス発生装置モジュールおよび/またはトランスデューサーの傾斜増幅器のセットを制御し得る。一部の例では、コントローラは、超音波のビームの方向、集束、および他の特性を調節するためにフェーズドアレイトランスデューサーの位相シフトを制御し得る。一部の例では、コントローラは、1つ以上のトランスデューサーを運ぶロボティックアームを制御することにより、対象に対する1つ以上のトランスデューサーの方向および位置を制御し得る。
【0065】
一部の状況では、コントローラはまた、電極からのECG(心電図シグナル)または肺からの呼吸シグナルなどの、患者に取り付けられたセンサーからのシグナルを受信する生理学的な収集コントローラからリアルタイムの患者のデータを受信し得る。コントローラは、患者(たとえば創傷治癒の進行)、超音波トランスデューサー、および容器(たとえば液体の充填、液体の温度など)の状態をモニタリングするための様々なセンサーに連結され得る。たとえば、温度センサーを、作動中の温度制御のためのコントローラに連結してもよい。一部の例では、システムは、ユーザーを処置にとって望ましい位置に移動させるためまたはバスタブの水に特定の身体の一部を浸漬させるように指示するためのコマンドを受信し得るユーザーポジショニングシステムを含み得る。
【0066】
一部の例では、コントローラは、入力装置(たとえばキーボード)および制御パネルおよびディスプレイを含み得るオペレーターコンソール(不図示)を含み得るかまたはこれに連結され得る。自宅で使用する状況では、オペレーターコンソールは、ユーザインターフェースであり得る。たとえば、コントローラは、ディスプレイ、キーボード、およびプリンターなどのI/O装置に接続した入力/出力(I/O)ポートを有し得る。一部の例では、オペレーターコンソールは、オペレーターが治療手順を制御するか、またはディスプレイのスクリーン上で治療計画を修正することを可能にするコンピュータシステムとネットワークを介して通信し得る。一部の例では、ユーザーは、ディスプレイ上で創傷治癒の進行などの疾患の進行を見ることが可能であり得る。
【0067】
システムは、ユーザインターフェースを含み得る。ユーザインターフェースは、ユーザーにユーザーの入力および出力の情報を受信するように構成され得る。ユーザーの入力は、治療手順(たとえば創傷治癒、組織就職、組織再生など)の制御、治療計画の作成/修正(たとえば処置される身体部の選択)、スパの状況(たとえば温度、マッサージモードなど)の制御などに関連し得る。ユーザーの入力は、容器の作動(たとえばマッサージモード、たとえば治療レベル、水温など)、超音波の作動(たとえば周波数、振幅、期間などの標的領域に送達される波を制御するためのパラメータ)に関連し得る。ユーザーの入力は、治療計画を作成するための様々な動作または状況に関連し得る。ユーザインターフェースは、タッチスクリーンなどのスクリーン、または他のいずれかのユーザーにインタラクティブな外部装置、たとえばハンドヘルドコントローラ、マウス、ジョイスティック、キーボード、トラックボール、タッチパッド、ボタン、言語によるコマンド、ジェスチャーの認識、姿勢センサー、熱的センサー、タッチ-静電容量センサー、フットスイッチ、もしくは他のいずれかの装置に与えられてもよく、またはアプリもしくはソフトウェアのパッケージを介して実施されてもよい。
【0068】
システムは、コンピュータシステムおよびデータベースシステムを含み得、これらは、コントローラと相互作用し得るかまたはコントローラを形成し得る。コンピュータシステムは、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、セントラルサーバ、分散コンピューティングシステムなどを含み得る、プロセッサは、ハードウェアプロセッサ、たとえば中央処理装置(CPU)、グラフィックスプロセッシングユニット(GPU)、シングルコアプロセッサまたはマルチコアプロセッサであり得るGPPU(general-purpose processing unit)、細粒度空間アーキテクチャの形態の並列処理のための複数のプロセッサ、たとえばフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、および/または1つ以上の埋め込み型プロセッサであり得る。プロセッサは、任意の適切な集積回路、たとえばコンピューティングプラットフォームまたはマイクロプロセッサ、ロジックデバイスなどであり得る。本開示はプロセッサに関して記載されるが、他のタイプの集積回路およびロジックデバイスもまた適用可能であり、特に異なる機能のための専用のプロセッサも適用可能である。プロセッサまたは機械は、データ作動容量に限定されない。プロセッサまたは機械は、512ビット、256ビット、128ビット、64ビット、32ビット、または16ビットのデータオペレーションを行い得る。
【0069】
システムは、1つ以上のデータベースを含み得る。1つ以上のデータベースは、いずれかの適切なデータベース技術を利用し得る。たとえば、構造化照会言語(SQL)(Structured Query Language)または「NoSQL」データベースは、診断データ、たとえば適切なイメージング様式により得られる画像データ、治療計画を作成するために訓練データセットまたは訓練されたモデル、治療計画のパラメータ、以前の治療計画、ユーザーが好むスパ状況などなどを保存するために利用され得る。データベースの一部は、様々な標準的なデータ構造、たとえばアレイ、ハッシュ、(連結された)リスト、構造体、構造化テキストファイル(たとえばXML)、表、JSON、NOSQLなどを使用して実施され得る。このようなデータ構造は、メモリおよび/または(構造化された)ファイルに保存され得る。別の代替案では、オブジェクト指向データベースが使用され得る。オブジェクトデータベースは、共通する属性によりグループ化および/または接続されている多くのオブジェクト集合を含み得る;これらは、一部の共通する属性により他のオブジェクト集合に関連し得る。オブジェクト指向データベースは、オブジェクトが単なるデータの一部ではなく所定のオブジェクトの中にカプセル化された他のタイプの機能性を有し得ることを除き、関連するデータベースと同様に実行する。本開示のデータベースが専用のシステムとして実施される場合、本開示のデータベースの使用を、本発明の構成要素などの別の構成要素に統合してもよい。同様に、データベースは、データ構造ミックス、たとえばオブジェクトおよび関連する構造をマッピングし得る。データベースは、実施の際に集約化および/または分布され得る。データベースにおけるデータの一部、たとえば表を、エクスポートおよび/またはインポートしてもよく、よって分散化および/または統合/移行してもよい。
【0070】
ネットワークは、システムにおける構成要素間の接続および/システムの外部システムへの接続を確立し得る。ネットワークは、無線および/または有線の通信システムの両方を使用してローカルエリアおよび/またはワイドエリアネットワークのいずれかの組み合わせを含み得る。たとえば、ネットワークは、インターネットおよび携帯電話のネットワークを含み得る。一実施形態では、ネットワークは、標準的な通信技術および/またはプロトコルを使用する。よって、ネットワークは、イーサネット、802.11、WiMAX(worldwide interoperability for microwave access)、2G/3G/4Gモバイル通信プロトコル、ATM(asynchronous transfer mode)、InfiniBand、PCI Express Advanced Switchingなどの技術を使用するリンクを含み得る。ネットワーク上で使用される他のネットワーキングプロトコルは、マルチプロトコルラベルスイッチング(MPLS)、トランスミッションコントロールプロトコル/インターネットプロトコル(TCP/IP)、ユーザーデータグラムプロトコル(UDP)、ハイパーテキスト・トランスファー・プロトコル(HTTP)、シンプルメールトランスファープロトコル(SMTP)、ファイル・トランスファー・プロトコル(FTP)などを含み得る。ネットワーク上で交換されるデータは、バイナリ形式の画像データ(たとえばポータブル・ネットワーク・グラフィックス(PNG))、ハイパーテキストマークアップランゲージ(HTML)、エクステンシブルマークアップランゲージ(XML)などを含む技術および/またはフォーマットを使用して表され得る。さらに、全てまたは一部のリンクは、従来の暗号化技術、たとえばSSL(secure sockets layers)、トランスポート・レイヤー・セキュリティ(TLS)、インターネットプロトコルセキュリティ(IPsec)などを使用して暗号化され得る。別の実施形態では、ネットワーク上の実体は、上述のものの代わりまたはこれに加えて、カスタムデータ通信および/または専用データ通信を使用し得る。
【0071】
実施例1.老化の誘導および特徴付け
【0072】
いずれかの老化の処置の一般性を試験するために、本発明者らは、Vero細胞の老化を引き起こすための4つの異なる方法、複製、過酸化水素、酪酸ナトリウム、およびブレオマイシン硫酸塩を使用した。老化は、成長速度の減少、β-gal活性の増加、細胞サイズの増加、およびSASPと呼ばれる炎症促進性因子の分泌として測定した。4つ全ての基準は、老化細胞の各タイプと一致した(図1A~1G)。これらの場合のそれぞれにおいて、細胞成長は有効に遮断され、残りの成長は最小限であった(図1B)。老化細胞のサイズには有意差が存在し、ここで、ブレオマイシン硫酸塩で処置した細胞が最も大きく、複製老化細胞が最も小さかった(図1Cおよび1D)。SASP活性に関してアッセイするために、本発明者らは老化細胞を一晩培養し、各培養皿から上清を収集した。上清を新鮮な培地を用いて1:1に希釈し、正常な対照細胞に添加した。正常細胞数の変化を、48時間のインキュベーションの後に測定した。老化細胞からの上清は、SASPで予測されるように、正常細胞の成長を阻害した(図1E)。β-ガラクトシダーゼのレベルを抗体染色により測定すると、レベルの比較的均一な増加が見られた(図1Fおよび1G)。よって、4つ全ての基準により、4つの異なるタイプの老化細胞は実際に老化していた。
【0073】
図1A~1Gは、老化細胞の特徴付けを示す(図1A)H2、酪酸ナトリウム(SB)、ドキソルビシン(Dox)、およびブレオマイシン硫酸塩(BS)により誘導した老化細胞の明視野画像。スケールバー=300μm。(図1B)増殖の定量化は、48時間のインキュベーションの後に老化の成長を示さない。(図1C)老化細胞は、対照細胞と比較して大きくなっている。(図1D)対照細胞と比較したブレオマイシン硫酸塩で処置した細胞の平均細胞体積の定量化。(図1E)老化細胞由来の条件付け培地は、正常な増殖細胞の成長を阻害する。(図1F)対照(増殖)およびBSで処置した老化細胞のSA-β-ガラクトシダーゼ染色。スケールバー=300μm。(図1G)HおよびSBにより誘導したSCおけるβ-ガラクトシダーゼ老化マーカーのレベル。スケールバー=300μm。最小150個の細胞のデータ(図1B-1H)を、n=2の実験から伸展面積および細胞体積に関して解析した。
【0074】
実施例2.低周波数超音波(LFU)照射は、成長および老化表現型の反転を活性化する。
【0075】
機械的活性が老化細胞の表現型の一部を反転し得るかどうかを決定するために、本発明者らは、低~中間の出力レベルおよび約1Hzの変調周波数、および50%のデューティサイクルの低周波数超音波で老化細胞を照射した。30kHzで20分間照射した後、細胞を48時間培養した。
【0076】
図2A~2Gは、LFUが細胞の老化を反転させることを示す。(図2A)老化反転実験の概略図。SB処置Vero細胞を、LFUで処置し、48時間ごとに8~10日間継代した。(図2B)48時間にわたる倍数変化としての細胞の成長を示すグラフ。処置した細胞を、48時間ごとにP0からP3まで継代した。(図2C)LFUで処置した老化細胞の細胞面積は、P3までに大部分が正常まで回復する。(図2D)P3対照およびLFU処置細胞の代表的な抗p21免疫蛍光法画像。スケールバー=300μm。(図2E)p21で染色した対照およびLFUで処置したP3細胞の蛍光強度の定量化。各条件において200個超の細胞に関する平均値±SDとして示す。(図2F)EDU染色により決定されるように、LFUは増殖を増加させた。(図2G)EDU陽性P3細胞の定量化。全てのグラフを、平均値±SDによりプロットした。最小200個の細胞を各条件で解析した。
【0077】
細胞成長に関して、細胞は、何日も成長し続けた。成長速度は減少せず、よって、細胞は、正常な状態に回復していると思われた。細胞サイズが増加する場合、超音波処置は、正常細胞のサイズと有意に重複する小細胞の分画の増加を引き起こした。12日間の成長の後、小細胞の分画は増加し、より大きな細胞の成長速度が遅かったことを表している。SASPの分泌に関して、細胞は最初に、対照細胞の成長を顕著に阻害し、細胞サイズの有意な増加を引き起こす上清を産生し;これにより本発明者らは、SASPの分泌がLFU後に停止したかどうかを試験した(図3Aで図示)。LFU処置後に収集された上清は、LFU処置前に同じ細胞から収集された上清と比較して成長または伸展面積に対して効果を有しなかった(図3B~3D)。さらに、本発明者らはまた、老化細胞および処置した老化細胞からの上清の存在下で細胞の擦り取りによる創傷治癒に関して確認した。老化細胞の上清は創傷治癒を阻害したが、超音波で処置した細胞からの上清は創傷治癒を阻害しなかった。よって、超音波による老化細胞の状態の反転は部分的であり得る;しかしながら、若返った細胞は経時的に優位になり回復した正常細胞の集団を本質的に提供するであろう。
【0078】
実施例3.LFU照射は、成長促進因子を分泌する正常細胞を活性化する。
【0079】
多くの試験から、身体運動が組織および脳の加齢を遅らせることが示されている。LFUが正常細胞およびそれらの老化した近隣の細胞に利点を提供する可能性を試験するために、本発明者らは、3日間にわたり(1日あたり1時間)LFUで正常細胞を処置した後、上清を収集した(図3E)。この期間の後の上清を、老化したVero細胞に添加した。驚くべきことに、老化細胞は、USS(超音波正常細胞の分泌物)培地および正常培地の1:1の混合物により若返った。USSは成長を活性化し(図3F)、老化細胞の伸展面積の減少を引き起こした(図3Fおよび3G)。これは、超音波処置が、正常細胞由来の成長分子の分泌を刺激し得、成長分子が、正常細胞および老化細胞の混合物が存在する組織にさらに利点を与えるであろうことを示した。よって、超音波処置が、老化細胞および正常細胞の混合物が存在すると予測される高齢の生物の組織に利点を提供することを示すあらゆる兆候がある。
【0080】
図3A~3Hは、老化関連分泌表現型(SASP)が、対照を阻害するが、USSが老化細胞の成長を増加させることを示す。(図3A)LFUがSASP分泌を遮断することを示す実験の概略図。SCを、増殖培地で24時間培養し、次にこれらをLFUで30分間処置した。LFUの処置の後上清を収集し(S0)、再度上清をさらに24時間のインキュベーション後に収集した(S24)。LFU処置の効果を確認するために、上清S0およびS24を使用して非老化対照細胞の成長を確認した。(図3B)正常な増殖培地、S0、およびS24における48時間のインキュベーション後の対照細胞の代表的な明視野画像。対照、S0、またはS24の上清における48後の細胞数(図3C)および細胞面積(図3D)の定量化。(図3E)正常な増殖細胞のLFU処置の概略のタイムラインおよび戦略。対照細胞を同じ培地においてUSで4回処置し、上清を老化細胞の48時間のインキュベーションの間に収集した(USS)ことを示す概略図。(図3F)明視野画像は、LFUで処置した対照細胞から収集され、USSに応答してから48時間後の上清における老化細胞(SC)の形態の変化を示す。正常な増殖培地における老化細胞は、対照であった。(図3G)グラフは、USS中のSCが成長を増加させ、(図3H)伸展面積を減少させたことを示す。グラフを、平均値±SDによりプロットした。最小200個の細胞を、グラフ(図3C)および(図3H)に関して解析した。スケールバー=300μm。
【0081】
実施例4.LFUは、ミトコンドリアの動態およびリソソームレベルに影響する。
【0082】
老化はミトコンドリア融合の増加に関連するため、本発明者らは、老化に伴うミトコンドリア長の変化および超音波での老化の反転を追跡調査した。比較のため、リソソームおよび微小管も老化状態では変化することが知られているため、本発明者らはまた、リソソームおよび微小管の形態もチェックした。老化細胞において、ミトコンドリア長およびリソソームの数の有意な増加が存在した。よって、本発明者らは、図4Dに概説されるモデルを支持し、超音波がmTORC1の阻害を介してオートファジーを増加させることにより作用することを提案している。
【0083】
図4A~4Dは、LFUが、老化細胞におけるミトコンドリア長およびリソソームの強度を減少させることを示す。(図4A)Mitotrackerおよびリソソームトラッカーで染色した正常細胞、老化細胞、およびLFUで処置した老化細胞におけるミトコンドリアの形態およびリソソームの蛍光の代表的な免疫蛍光画像。スケールバー=10μm。(図4B)リソソームのミトコンドリア染色強度に対する比率は、老化細胞のLFU処置により減少する。(図4C)ミトコンドリア長の定量化は、LFU後の長さの減少を示す。結果を、平均値±SDとして示し、n>3回の実験で最小8個の細胞を解析し、両側の対応のないt検定を使用して有意性を決定した。***p値<0.001。(図4D)mTORC1活性のLFU阻害を介したオートファジーの活性化による老化細胞の若返りに関するワーキングモデルの図。
【0084】
実施例5.複製老化の反転
【0085】
複製老化は、成長を制限する正常細胞の固有の特性をおそらく反映しているため、本発明者らは超音波が不死細胞集団を有効に作製し得るかどうかを試験した。P13継代後のヒト包皮線維芽細胞は、細胞サイズの平均値の有意な増加、成長速度の減少、およびβ-ガラクトシダーゼ活性の増加を示した(図5A~C)。しかしながら、LFU処置後、老化細胞は正常細胞のように成長した(図5A)。細胞を、各継代後にLFUで処置すると、これら細胞は、成長速度を変化させることなくP24継代を超えて成長し続けた(図5A)。細胞分裂あたりの平均時間は24~36時間であるため、これは、HFFがLFUでの若返りにより、より多くの細胞を成長させることができたことを意味している。24継代の後、LFUで処置した細胞を、軟らかいマトリックス上で培養すると、これらは成長を停止し、細胞が依然として剛性に依存した成長を呈することが示された。よって、超音波による老化の反転は、細胞表現型の形質転換または他の明らかな変化をもたらすことなく、細胞の複製寿命を有効に増加させ得る。
【0086】
間葉系幹細胞もまたそれらの表現型挙動を変更することなく増大し得るかどうかを試験するために、P10の間葉系幹細胞の培養物を、P19まで各継代の前にLFUで処置した。これらは、対照細胞と比較して64倍有意な成長増大を示した(図5D)。しかしながら、これらは、脂肪細胞分化培地においてインキュベートした場合、オイルレッドO染色により表されるように脂肪細胞の表現型をとった。あるいは、これらは、骨細胞培地においてインキュベートした場合、カルシウム沈着に関するアリザリンレッドS染色により表されるように骨細胞となった。両方の事例において、LFUで処置した細胞は、無処置の対照よりもよりはるかに多くの分化を示した(図5E)。
【0087】
図5A~5Eは、LFUによる複製老化の反転が細胞数を増加させることを示す。(図5A)P13からP24の継代まで48時間ごとに継代し、1回おきの継代時に処置した対照HFFおよびLFUで処置したHFF細胞の累積細胞集団倍加(CPD)として計算した成長速度。(図5B)LFUで処置した細胞は、p24対照細胞およびさらにはp13細胞よりも小さかった。(図5C)SA-βガラクトシダーゼ陽性細胞の数は、LFU処置後に減少した。(図5D)同様に、MSCのLFU処置は、P10-19で細胞数を増大させ、ここで処置は1回おきの継代時であった。(図5E)LFUで処置したMSCは、(ORO)脂肪細胞および(ARS)骨細胞への正常な分化を示した。アリザリンレッドS染色色素は骨形成(ARS)を標識し、およびオイルレッドO染色色素は脂肪滴(ORO)を標識した。結果を平均値±SDとして示し、伸展面積では最小200個の細胞およびβ-ガラクトシダーゼ解析のパーセンテージでは150個の細胞を使用し、n>3回の実験であり、有意性は、両側の対応のないt検定を使用して決定した。***p値<0.001、**p値<0.01、およびp値<0.05。
【0088】
図6は、本発明の1つのタイプを使用する足の処置を示すUS装置の側面図である。足に音波を送るトランスデューサーを示す。次に、音波は、消音機に接触し得る。当業者は、いずれの肢、胴体、頭部、または全身を含む身体の任意の部分が、本明細書中本発明者らが記載したものと類似する方法で音波に曝露され得ることを理解するものである。
【0089】
実施例6.高齢マウスのLFU処置はパフォーマンスを改善する。
【0090】
LFU療法が高齢の生物に有益であるかどうかを決定するために、本発明者らはそれらを3日ごとに30分間処置することにより高齢のマウスに及ぼすLFU療法の効果を試験した。これら実験において、LFUで処置したマウスおよび特にはLFU+運動で処置したマウスの身体的なパフォーマンスが対象グループと比較して改善したことが見いだされた。処置計画を図7Aに例証し、マウスを、3日目ごとに30分間、1か月間処置し(全てのLFUグループ)および運動トレーニングセッションを1週間あたり3回行った(全てのEXグループ)ことを示している。ラパマイシンを、IACUCが承認したレベルでフードを介してマウスに送達した。動物に、1か月の休息後に2回目の処置を行った。各処置期間の間、処置の前および処置の後のパフォーマンスアッセイを、8匹のマウス(C57BL/6J系の20~24カ月齢の4匹の雄性および4匹の雌性)の各グループ(対照(偽処置)、超音波(US)、超音波+運動(EXUS)、運動(EX)ラパマイシン(Rap)、およびラパマイシン+超音波(RUS))において行った。
【0091】
図7A~7Eは、高齢のマウスのパフォーマンスに及ぼす超音波処置の効果を示す。(図7A)処置計画の概略図。マウス(22~24カ月齢のC57BL/6J系)を、1か月にわたり、3日目ごとに30分間LFUで処置するか、または12回20分間トレッドミルで走らせた。次にマウスを1か月間休ませ、第2の月の間、処置または運動させた。各試験グループは、4匹の雄性および4匹の雌性のマウスを含んだ。処置の(図7B)第1の月の後および(図7C)第2の月の後の逆さでのしがみつき試験(inverted cling test)の結果のグラフ。(図7D)第1の月の後のトレッドミル試験の結果および(図7E)第2の月の処置の後のトレッドミル試験の結果。グループは、無処置(偽処置)であったか、LFUで処置(US)、運動で処置(EX)、ラパマイシンで処置(RAP)、LFU+運動で処置(EXUS)、およびラパマイシン+LFUで処置(RUS)された。結果を、平均値±S.Dとしてプロットした。スチューデントt検定を使用して統計学的有意性を決定した。0.05超のP値は、nsにより表される。統計上有意性をp値で提供した。p値<0.05、**p値<0.001、および***p値<0.0001。
【0092】
実施例7.LFUによるマウス組織の細胞の若返り
【0093】
図8A~8Eは、LFUが腎臓および膵臓における老化細胞の分画を減少させることを示す。10匹(5匹の雄性および5匹の雌性)の22~25カ月齢のマウスのグループを、1×パワーで毎日(LFU_D1)、1日おき(LFU_D2)、3日おき(LFU_D3)、および1.3×パワーで毎日(LFU_1,3_D1)、LFUで処置した。2~4週間の処置および評価の後、マウスを安楽死させ、腎臓および膵臓を、SA-β-ガラクトシダーゼ染色のため収集した。(図8A)偽処置およびLFU_D3のマウスのSA-β-ガラクトシダーゼ染色した腎臓の切片。β-ガラクトシダーゼ染色は青色に見え、偽処置の腎臓からの切片ではより強い。(図8B)カラーで示されるSA-β-ガラクトシダーゼで染色した脾臓切片の画像。スケールバー=150μmおよび20μm。(図8C)腎臓切片のβ-ガラクトシダーゼ染色領域の定量化。β-ガラクトシダーゼ染色は、全てのLFUで処置したマウスにおいて有意に低減した。(図8D)脾臓切片のβ-ガラクトシダーゼ染色の定量化。β-ガラクトシダーゼ染色は、全てのLFUで処置したマウスにおいて有意に低減した。結果を、平均値±S.Dでプロットする。スチューデントt検定を使用して統計上有意性を決定した。0.05超のP値は、nsにより表される。統計上有意性をp値で提供する。p値<0.05、**p値<0.001、および***p値<0.0001(n=10匹のマウス)。
【0094】
実施例8.創傷治癒の超音波による増強
【0095】
マウスの皮膚創傷での試験において、超音波が若年マウスの治癒を増強し得ることが見いだされた。さらに大きな相対的な治癒の増強が、老化細胞の若返りを介して高齢の動物で良好に起こり得る。1つの適応は、全般的に高齢の個体が糖尿病による循環不良を有し治癒しない足部潰瘍を有し続ける糖尿病性足部潰瘍の処置である(図6参照)。
【0096】
超音波のカップリング。音の伝達の主な目的は、細胞間接着で許容される摩擦のみを引き起こすことにより有害な熱生成を限定しつつ、1秒のオーダーの期間の間、膜において比較的定常である引張応力を作製することであった。これは、細胞直径より大きな波長で達成される。定常性の基準は、組織に対する圧力抵抗に相当する加速力を必要とし、励起が200kHz未満に限定される。組織における200kHzの波長は約7.5mmであり、よって摩擦発熱は、一般的に限定要因ではない。過度な反射を伴わない組織内への低周波数音波のカップリングは、インピーダンス整合の形態を必要とする。これは処置される組織に対する類似の音響インピーダンスである、トランスデューサーの一部または浸漬自体であり得る接触物質を使用して達成される。大部分の超音波処置方法とは異なり、本明細書中の方法は、全般的にまたは少なくとも意図的にではなく(他の意味がこのテキストに明記されない限り)検体にエネルギーを蓄積することを目的としていない。低周波数範囲の減弱は、非常に低く、これは、ヒトの身体全体の横断では20%であり得、よって、いずれかの提供される体積の組織へ送達されるエネルギーは、伝達されるエネルギーのごく一部であり、このことはまた、本文が、US波が患者を通過した後にUS波を最終的にどのように吸収するかに関しての複雑な詳細を含む理由でもある。これは、事実上全てのエネルギーを検体内へ数センチメートルにわたり蓄積するMHzの範囲の超音波とは根本的に異なる。大部分の設定では、特に上記に列挙される潰瘍および糖尿病の装置では、伝達される音波は、標的の組織を通過した後に能動的にカップリングされず/破壊される。これは、それらの内部に散乱する泡を有するインピーダンス整合アブソーバーにより達成され得る。これらの特別なカップリングおよびアンカップリングの要件は、本発明で使用され得る装置の一部の実施形態の固有の特性である。
【0097】
超音波トランスデューサー。本発明者らは、1ミリメートル厚あたり最大100ボルトまで有効に駆動され得るPZT4およびPZT8の材料から作製される直径16mmおよび25mmのリングトランスデューサーを使用した(Beijing Ultrasonics 25x10x4および16x8x4 ピエゾセラミックリング)33。これらの圧電素子(または圧電素子スタック)の表面は、厚くあらかじめ張力がかかっており、よって収縮および拡大できるため、低周波数で最大約1.5μmの大きい振幅をもたらし得る。アルミニウムコーンをリングに取り付けて、場を直径約5cmまで広げ、共鳴構造により振幅を維持し、平面波を形成した。アルミニウムは、PZT材料と良好にカップリングするが、その非常に異なる音響インピーダンスにより、ウォーターバスとは調和しない。本発明者らは、放出を改善し内部の反射を抑制するためにエポキシおよびシリコンのゴム入りコーティングを追加した。
【0098】
トランスデューサーの近接場を避けるために、2λ(2つの波長)の深い37℃のウォーターバスを、検体を分離するためにトランスデューサーの上部の間で使用した。検体自体を、標準的なマルチウェルプレート(Thermo Scientific Nunclon Delta Surface 96 well plates)の中の水面上に浮かべた。これらサンプルは、超音波照射下での水の侵入を防止するためシールにより密閉されている。ウェルプレートを、プレートの底部に長方形の開口部を備えたPETホイル上に吊り下げた。ポリマーおよびガラスカバースリップは両方とも、最小限のビーム強度の減弱を示した。
【0099】
空間的な強度の変動をもたらす定常波パターンを排除するために、トランスデューサーのベースを、吊り下げて、アブソーバーの泡の上に載置した。表面の反射の影響を、周波数を5%~15%スイープすることにより最小限にし、サウンドコーンの中心において約80%の均一性をもたらした。これは、最終的に、トランスデューサーの駆動電圧を介して放出される力の制御を可能にした。抵抗器のネットワークおよびA級増幅器の両方を使用し、互換可能な結果を得た。
【0100】
遮蔽された配線にもかかわらず、トランスデューサーから放射された電波雑音はかなり残っており、インキュベーターキャビネットを、遮蔽カプセルとして使用した。屋外での使用では、トランスデューサーに給電するために、遮蔽ケーブルを使用した。
【0101】
超音波発生装置。全ての一次信号および配列は、ArduinoDueマイクロコントローラーにより作製された。これは、デューティサイクル、シーケンス、および期間を迅速に変えることを可能にした。システム全体を較正するために使用されるアナログのセットアップは、Arduinoのデジタル-アナログコンバータを介して波形を出力し、対称±24V電源を備えた中出力増幅器(Texas Instruments製のLM 675)を介して増幅した。これは、トランスデューサーに最大200Vの振幅を供給する、高周波数フェライトリングコア(Richco Ferrite Ring Toroid Core, 31.5×19.3×8mm)絶縁1:5変圧器を駆動する。DACを備える現代の埋め込み型のコントローラは、必要とされる出力シグナルを提供し得るため、任意のコントローラおよび増幅器を使用することができる。
【0102】
より高い出力レベルでは、発生装置は、単一の24V供給源由来のスイッチング電源として作動した。コントローラの3.3V論理回路は、同じ変圧器の各入力を駆動する2つのトランジスタスイッチ(Infineon IRFP260MPBF 50A, 200V N-Channel MOSFET)を遮断した。プルアップを、50Wの損失比率で6、8、または10オームの電力抵抗器により提供した。変圧器の入力を、切り替え設計ではバリスタ(EPCOS Varistor 8nF 20A 56V)によりクランプし、増幅器の設計ではダイオード(1N5408)により電源にクランプした。調整可能な範囲を、トランスデューサーの設計周波数の50%の帯域幅内に維持し、すなわち30kHzの発生装置を、22.5kHzから約37.5kHzまで使用した。コントローラは、1Mのサンプル/秒で波形サンプルを出力する。3つの全波を100サンプルに保存することにより正確に30kHzを出力することができ、よって1秒あたり10000回出力される。ソフトの開始および停止は、30の波にわたり振幅を増加または減少させることにより提供され、すなわち同じ時間ベースが、正確なオン-オフのサイクルを提供する。
【0103】
カルシウム指標色素ベースのアッセイ。細胞のサンプルを、カルシウム指標色素(4mMのCal-520 AM, AAT Bioquest)と1時間インキュベートした。次に、サンプルに、新鮮な培養培地を補充し、30分間安定化させた後に超音波処置を行った。
【0104】
免疫組織染色および蛍光顕微鏡。サンプルを、4%のパラホルムアルデヒド(Thermofisher Scientific)溶液で10分間固定し、0.2%トリトンX100で5分間透過処理した。正常ヤギ血清(2%)を、ブロッキングバッファーとして使用し、サンプルを血清で1時間処置した。次に、サンプルを、ウサギポリクローナル抗Piezo1の一次抗体(1:200, Novus Biologicals, catalogue no. NBP1-78446)と4℃で一晩インキュベートし、次にAlexa Fluor-594二次抗体(Thermofisher Scientific)で処置した。ヘキスト色素(1:1000, Thermofisher Scientific)を使用して、核を染色した。
【0105】
in vitroでの試験のため、蛍光および明視野の画像を、Photometrics CoolSNAP K4カメラを搭載した広視野Olympus live-EZ顕微鏡およびPhotometrics Prime 95B sCMOSカメラを搭載したW1 live-SRスピニングディスク顕微鏡を使用して獲得した。in vivoでの腫瘍のイメージングでは、広視野Zeiss実体顕微鏡を使用した。
【0106】
アポトーシスおよび壊死アッセイ。細胞のアポトーシスを同定するために、Annexin V-Alexa Fluor 488またはAnnexin V-Alexa Fluor 594コンジュゲート(Thermofisher Scientific)を、製造社のプロトコルに従って使用した。細胞の壊死を確認するために、生存細胞/死細胞の二重染色キット(Sigma Aldrich)のヨウ化プロピジウムを、製造社のプロトコルに従って使用した。アッセイは、超音波処置から少なくとも12時間後に行った。
【0107】
生存細胞のアッセイ。カルセインAM(Sigma Aldrich)色素を製造社のプロトコルに従って使用して細胞生存率を確認した。細胞を、イメージング前に毎日25分間色素とインキュベートした。
【0108】
細胞株および細胞培養。ヒト包皮線維芽細胞(HFF)を、ATCCから購入した。アフリカサルの腎臓に由来するVero細胞は、M. Garcia-Blanco labから寄贈された。これら全ての細胞株は、製造社のプロトコルの通りに培養した。Vero細胞およびHFF細胞は、DMEMおよび10%のFBSを含有する増殖培地中にあった。20~40%のコンフルエンスで播種した細胞を、37℃および5%のCOのインキュベーターに維持した。
【0109】
老化の誘導および定量化。Vero細胞を、200μMのH、4μMの酪酸ナトリウム(SB)、および25μMのブレオマイシン硫酸塩(BS)を含む様々なストレッサーで処置し、36~48時間インキュベートした。PBSで洗浄し、次に増殖培地を新鮮な培地と交換した後、細胞を、老化細胞の成長の停止を確認するため4日間インキュベートした。ヒト包皮線維芽細胞(HFF)を、これら細胞の複製がp15-17で顕著に低減するため、最大p15まで段階的に継代した。本発明者らは、細胞が老化しているかどうかを決定するために4つの基準:(1)成長速度を決定することによる細胞周期の停止、(2)細胞の伸展面積の増加、(3)培養培地での老化関連分泌表現型(SASP)の発達、および(4)β-gal染色を使用した。本発明者らは、処置後および処置から48時間後に10倍の倍率でEvos顕微鏡を用いて細胞の画像を得た。細胞数の増加による成長を測定するために、15枚のランダムな画像を得て、次に細胞の平均数を決定した(これを、1つのフレームの面積により除算して細胞密度(細胞/cm)を得た)。次に、この播種密度に、培養皿またはウェルの総面積を乗算し、US処置後およびインキュベーションする場合は48時間後の細胞総数を得た。48時間での細胞総数を、成長速度を決定するため処置の直後の細胞総数で除算した。比率が1である場合、成長はしていなかった。
【0110】
老化を、製造社のプロトコルの通りのβ-gal老化染色キットにより検出した。簡潔に述べると、サブコンフルエントな老化細胞を、SA-β-gal染色溶液により染色し、37℃で一晩インキュベートした。β-galで染色した細胞は青色に見え、老化細胞であった。β-gal陽性細胞のパーセンテージを、青色の細胞数を計測し、細胞の総数で除算することにより決定した。細胞の伸展面積は、Evos顕微鏡を使用して10×対物レンズで細胞の画像(mage)を得ることにより決定した。次に、本発明者らは、ImageJソフトウェアを使用して、各細胞の細胞周辺を手動で囲むことにより伸展面積を計算した。本発明者らは、解析のため最小150個の細胞を使用した。SASPの活性を決定するために、本発明者らは、3~4日間老化細胞を培養し、次に上清を各培養皿から収集した。この上清を使用して正常細胞を培養した。上清培地中の正常細胞による老化表現型の発達により、老化細胞がSASPを分泌していることが確認された。
【0111】
細胞の超音波処置。超音波処置の前に、混入および水のプレートへの流入を避けるため、老化したVero細胞または後期継代のHFF細胞を含有するプレートを、パラフィルムで包んだ。サンプルを、超音波トランスデューサーを備えたウォータータンク上に取り付けられたプラスチック製のメッシュに載せた。タンクの中の水を脱気し、35℃の温度まで加熱した。サンプルとトランスデューサーとの間の距離は、約9~10cmであった。また本発明者らは、水とサンプルとの間に空気の泡または空気-水の界面がないことを確保した。トランスデューサーの出力を、プレートの位置で水中聴音器により測定した。細胞を、32.249 kHzの周波数の超音波を30分間使用して、3.5~4.0paの圧力パルスで処置した。細胞を、1.5秒間のオンおよび1.5秒間のオフのサイクルで処置した。超音波処置の後、細胞プレートをインキュベーターに48時間戻し、老化細胞の成長を決定した。
【0112】
老化の反転。最初に、本発明者らは、酪酸ナトリウムを使用してVero細胞に老化を誘導し、次に本発明者らは、成長の停止およびBetagal染色方法を使用して老化を確認した。本発明者らは、最適化したパラメータ(33kHzの周波数および3.5~4pa)の超音波を使用して老化細胞を処置した。本発明者らは、これら細胞を48時間インキュベートし、細胞の成長および形態を測定した後、トリプシン処理を行った。本発明者らは、この継代をP0と命名した。次に、これら細胞をトリプシン処理し、再播種し、P1継代にて48時間インキュベートした。このプロセスを、P3継代まで反復した。本発明者らは、老化細胞集団を確認するため、増殖に関する数の倍数変化、形態、β-gal、およびEDU染色の観点から、細胞を評価した。超音波処置を行わなかった老化細胞を、対照細胞として使用した。通常、継代P3まで、老化細胞は、正常な増殖細胞の表現型を呈した。
【0113】
継代15~24のHFF細胞を、最適化した周波数および出力の超音波で処置した。細胞増殖を、播種時およびUS処置から48時間後の細胞数を計測することにより決定した。超音波で処置したHFF細胞は、無処置のHFF細胞よりも高い成長の倍数変化を示した。P24HFF細胞の場合、これらを、超音波で処置し、96時間インキュベートした後トリプシン処理し、再播種し、48時間インキュベートした。48時間のインキュベーションの後、増殖および形態を測定した。P24のUSで処置したHFF細胞は、無処置のP24のHFF細胞と比較して、サイズが小さくなり、これらはまた、顕著に多くの増殖を示した。
【0114】
高齢マウスの超音波処置。高齢のマウス(21~24カ月齢)を、13cmの高さおよび直径152cmの1つのプラスチックシリンダーを備えた大きな4Lのガラスのビーカー中で処置した。マウスを支え、水中でマウスの4本の肢および身体を休ませることができる金属のメッシュを、シリンダーの上部に配置した。脱気した32~35℃の温水をビーカーに注いだ。マウスの身体の半分が水中にあり続けるように、水位を金属メッシュより1インチ上に保った。マウスを水中に配置した後、32.249kHzおよび3.5-4Paの断続的な超音波を、30分間1.5秒間のオンおよび1.5秒間のオフでマウスに適用した。超音波グループの動物を、72~96時間の間隔で1カ月間処置した(10回の処置)。超音波処置の間、マウスの活性およびそれらのシステムへの適応を観察した。処置の後、動物を、動物を乾燥させるためティッシュペーパーを備えた別個のケージに入れ、次にそれらを自身のホームケージに戻した。対照マウスは、超音波を用いずに30分間同じウォーターバスに載置した。超音波処置手法では、動物を水と直接接触させた。動物を水に入れる理由は、空気-水の界面で超音波が顕著に減衰するためである。
【0115】
マウスの身体的な評価。マウスの身体的なパフォーマンスに及ぼす超音波(US)処置の効果の評価のため、本発明者らは、6つの高齢のマウスのグループ、1.偽処置 2.超音波処置、3.運動 4.ラパマイシン 5.運動+超音波 6.超音波処置+ラパマイシンを使用した。各グループは、4匹の雄性および4匹の雌性からなった。ラパマイシンで処置した動物の場合、C57BL/6Jマウスにカプセル化したラパマイシンを与え、1か月間毎日モニタリングした。超音波グループの動物を、1か月間72~96時間ごとに処置した。運動グループの動物は、各運動トレーニングセッションにおいてトレッドミル上で1週間あたり3回25分間トレーニングをさせた。実験を開始する前に、マウスの身体機能および健康状態を評価し、これを前評価と呼んだ。1か月の超音波処置および運動セッションの後、動物の身体的なパフォーマンスおよび健康状態を再度評価し、これを後評価と呼んだ。身体的なパフォーマンスは、グリップテスト、ローターロッド、トレッドミル、および逆さでのしがみつき(Inverted Cling)の試験を含む機能的な評価試験により決定された。
【0116】
トレッドミル。マウスを、トレッドミル上を走らせることにより最大の力の出力/最大の歩行速度および耐久力(疲労するまで)に関して試験した。出力の測定は、走行期間であった。トレーニングセッションの間、マウスを装置に慣れさせ、最初に一定のスピードで走らせ、後に20秒ごとに1単位ずつ徐々に速度を上げた。マウスを、トライアルの間に10分間休息させた。最後に0.4mAの電気ショックを3回行ってトライアルを終了させ、動物に3回のトライアルを行った。試験のセッションの間、速度を増加させ、マウスは、3回のショックを受ける前までにできる限り走らせた。
【0117】
逆さでのしがみつき:このグリップ試験は、どの程度長くマウスが逆さでありながらグリッド上に保持されるかを測定することにより筋力および耐久力を定量化するために有用であった。各動物を、2回試験し、ここでトライアルの間に10分間の休息をとらせた。最小10秒間の保持が、スリップを排除するため試験のバリデーションに必要であった。第1の試験において3回のトライアルを行い、10分間空けた後に2回のトライアルを行った。
【0118】
運動トレーニングセッション。運動および運動+超音波のグループの動物を、1か月の間、48時間ごとに25分間、1週間に3回トレッドミルで運動させた。全ての運動セッションの前に、6cm/sの10分間のウォームアップを行い、次に8cm/sでの10分間のトレーニングおよび6cm/sのクールダウンを行った。トレーニングは、第1週で8cm/sで漸進的に開始し、第4週で11cm/sまで増加した。マウスは、走行を止めた際には光電気ショックにてトレッドミル上で走行するように促された。
【0119】
1か月間の実験期間において12回の運動セッションおよび10回の超音波処置が存在した。
【0120】
ミトコンドリアの形態。超音波で処置した細胞を、100UmにおいてMitotracker(Invitrogen)と37℃で30分間インキュベートした。次に、画像を、定量化のためサンプルあたり15個のランダムな視野で、共焦点顕微鏡で得た。ARおよび波形率を、式 主軸/短軸および外周2/(4π×表面積)1を使用して決定した。
【0121】
免疫蛍光法染色。細胞を、超音波照射後の27mmのガラス底ディッシュ(Ibidi)に播種し、細胞をPBSで2回洗浄した。次に、4%のパラホルムアルデヒドで10分間固定し、0.2%のトリトンX-100で5分間透過処理した。細胞を、PBSで3回洗浄し、3%のブロッキングバッファーと1時間インキュベートした。抗LAMP一次抗体(1:400)を、サンプルと4℃で一晩インキュベートした後、Alexa flour 488二次抗体(1:1000)と室温で4時間インキュベートした。画像を、共焦点顕微鏡により得た。
【0122】
ミトコンドリアROS。MitoSOX(Invitrogen)redを使用して、ミトコンドリアの活性酸素種の産生を測定した。簡潔に述べると、5μlのMitoSOXを増殖培地に37℃で10分間添加した。蛍光画像を、共焦点顕微鏡(Olympus)で得た。ROSレベルを、強度測定により決定した。
【0123】
生存細胞および死細胞のアッセイ。生存細胞を、製造社の指示に従ってCalcine AM(Sigma Aldrich)を使用して検出した。簡潔に述べると、接着細胞を、Opti-MEM培地において2000:1のCalcein AMで処置し、30分間インキュベートした。アポトーシス性/死細胞を、アネキシンV-FITC/ヨウ化プロピジウム(PI)(Sigma Aldrich))を製造社の指示に従って使用して同定した。生/死アッセイを、超音波照射の直後および24時間の処置の後に行った。
【0124】
カルシウム放出アッセイ。カルシウムの放出は、カルシウム色素(4mMのCal-520 AM, AAT Bioquest)を製造社のプロトコルに従って使用して測定した。超音波照射前に、セミコンフルエントの細胞を、カルシウム色素中で30分間インキュベートした。
【0125】
統計解析。全ての結果を、平均値±s.d.として示し、対応のある両側のt検定を、2つのグループに使用した。グラフの作成および統計解析では、GraphPad Prism 8.4.3.を使用した。図面に示されるように、P値<0.05、**P値<0.002、***P値<0.001、および非有意性(ns)p値>0.05を使用した。
【0126】
本明細書で論述される全ての実施形態は、本発明のいずれかの方法、キット、試薬、または組成物に関して実施され得ること、逆も同様であることが企図されている。さらに、本発明の組成物は、本発明の方法を達成するために使用され得る。
【0127】
本明細書中記載される特定の実施形態は、例示により示されており、本発明を限定しないことが理解されるであろう。本発明の主な特性は、本発明の範囲を逸脱することなく様々な実施形態で使用され得る。当業者は、本明細書中記載される特定の手法の多くの均等物を、単なる規定の実験を使用して認識し、確認することができる。このような均等物は、本発明の範囲内にあるとみなされ、特許請求の範囲により包有されている。
【0128】
本明細書中言及される全ての刊行物および特許出願は、本発明が属する分野の当業者の技能レベルを表す。全ての刊行物および特許出願は、本明細書において、各個々の刊行物または特許出願が参照により組み込まれているように具体的かつ個別に記載されている場合と同じ度合いで参照により組み込まれている。
【0129】
特許請求の範囲および/または明細書における用語「~を含む(comprising)」と併用して使用される場合の単語「a」または「an」の使用は、「1つの(one)」を意味し得るだけでなく、「1つ以上の(one or more)」、「少なくとも1つの」、および「1以上の(one or more than one)」の意味とも一致する。特許請求の範囲における用語「または(or)」の使用は、本開示は選択肢および「および/または」のみを表す定義を支持するが、選択肢のみを表すように明記されていない限りまたは選択肢が相互排他的でない限り、「および/または」を意味するように使用される。本出願を通して、用語「約」は、値が装置の誤差の固有の変動を含むことを表すように使用され、この方法は、試験対象間に存在する値または変動を決定するために使用される。
【0130】
本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、用語「~を含む(comprising)」(および「comprise」および「comprises」などのcomprisingのいずれかの形態)、「~を有する(having)」(および「have」および「has」などのhavingのいずれかの形態)、「~を含む(including)」(および「includes」および「include」などのincludingのいずれかの形態)、または「~を含む(containing)」(および「contains」および「contain」などのいずれかの形態)は、包括的またはオープンエンドであり、追加的な、記載されていない要素または方法ステップを排除しない。本明細書中提供される組成物および方法のいずれかの実施形態では、「~を含む(comprising)」は、「~から本質的になる(consisting essentially of)」または「~からなる(consisting of)」と置き換えられ得る。本明細書中使用される場合、「~から本質的になる(consisting essentially of)」は、記載される整数またはステップ、および請求される発明の特徴または機能に実質的に影響しない整数またはステップを必要とする。本明細書中使用される場合、用語「~からなる(consisting of)」は、記載される整数(たとえば特性、要素、特徴、性質、方法/プロセスステップ、または限定)または整数のグループ(たとえば複数の特性、要素、特徴、性質、方法/プロセスステップ、または限定)の存在のみを表すために使用される。
【0131】
用語「またはその組み合わせ」は、本明細書中使用される場合、この用語に先行する列挙された項目の全ての配列および組み合わせを表す。たとえば、「A、B、C、またはそれらの組み合わせ」は、A、B、C、AB、AC、BC、またはABC、および順序が特定の文脈で重要である場合には同様にBA、CA、CB、CBA、BCA、ACB、BAC、またはCABのうちの少なくとも1つを含むように意図されている。この例を続けると、たとえばBB、AAA、AB、BBC、AAABCCCC、CBBAAA、CABABBなどの1つ以上の項目または用語の反復を含む組み合わせが、明示的に含まれる。当業者は、通常、他の意味が文脈から明らかではない限り、任意の組み合わせの項目または用語の数に関して限定はなされないことを理解している。
【0132】
本明細書中使用される場合、限定するものではないが、「約」、「実質的な」、または「実質的に」などの近似の用語は、そのように修飾される場合に、必ずしも絶対的または完全であると理解されるものではなく、存在する状態を確実に指定するために当業者にとって十分に近いとみなされる状態を表す。記載が変化し得る度合いは、どれほど大きな変化が設けられるかに依存するが、それでもなお修飾された特性が、修飾されていない特性の必要な特徴および特質を有することを当業者に認識させる。一般的に、先行する論述の対象ではあるが、「約」などの近似の用語により修飾される本明細書中の数値は、少なくとも±1、2、3、4、5、6、7、10、12、または15%、記載される値から変動し得る。
【0133】
さらに、本明細書中の節の見出しは、37 CFR 1.77の下の示唆との一貫性のため、または組織的なキューを提供するために提供される。これら見出しは、本開示から生じ得るいずれかの特許請求の範囲で設定される発明を限定または特徴づけない。具体的にかつ例として、見出しは「本発明の分野」を指すが、このような主張は、いわゆる技術分野を説明するためこの見出しの下の言語により限定されるべきではない。さらに、「発明の背景技術」の節における技術の記載は、技術が本開示におけるいずれかの発明に対する先行技術であるとの承認として解釈されるべきではない。「要約」は、発行される特許請求の範囲に記載される発明の特徴づけとはみなされない。さらに、本開示における単数形での「発明」に対する全ての言及は、本開示において新規性が単一のポイントのみであることを議論するために使用されるべきではない。複数の発明が、本開示から発行される複数の特許請求の範囲の限定により記載され得、よってこのような特許請求の範囲が、(複数の)発明、およびそれらにより保護されるそれらの均等物を定義する。全ての例において、このような特許請求の範囲は、本開示の観点から独自の利点とみなされるものであるが、本明細書中記載される見出しにより限定されるべきではない。
【0134】
本明細書中開示および請求される組成物および/または方法の全ては、本開示の観点から過度の実験を行うことなくなされ実行され得る。本発明の組成物および方法は好ましい実施形態の観点から記載されているが、本発明の概念、趣旨、および範囲から逸脱することなく、変形形態が、本組成物および/または方法に適用され得、ならびに本明細書中記載される方法のステップまたは順序において、適用され得ることは、当業者に明らかである。このような当業者に明らかな類似の差し替えおよび修正は、添付の特許請求の範囲により定義されるように、発明の趣旨、範囲、および概念の範囲内にあるとみなされる。
【0135】
本明細書に添付される特許請求の範囲を解釈する際に、特許庁、および本出願で発行されるいずれかの特許のいずれかの読み手を支援するために、本出願人は、添付の特許請求の範囲または均等物のいずれも、用語「~のための手段(mean for)」または「~のためのステップ(step for)」が特定の特許請求の範囲で明らかに使用されない限り、それは出願日に存在するため、米国特許法第112条の段落6、米国特許法第112条段落(f)を行使するようには意図してはいないことに留意したいと考えている。
【0136】
各特許請求の範囲において、各従属項は、優先権が特許請求の範囲の用語または要素に関する適切な先行詞を提供する限り、あらゆる特許請求の範囲に関して独立項および先行する従属項のそれぞれの両方に依存し得る。
【0137】
参照文献
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図1
図2
図3A-3F】
図3G-3H】
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】