(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】新生物疾患の処置方法
(51)【国際特許分類】
C07D 471/14 20060101AFI20241219BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20241219BHJP
A61K 31/519 20060101ALI20241219BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20241219BHJP
A61P 15/00 20060101ALI20241219BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
C07D471/14 102
C07D471/14 CSP
A61P35/00
A61K31/519
A61K45/00
A61P15/00
A61P43/00 121
A61P43/00 111
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024536060
(86)(22)【出願日】2022-12-14
(85)【翻訳文提出日】2024-08-14
(86)【国際出願番号】 KR2022020392
(87)【国際公開番号】W WO2023113478
(87)【国際公開日】2023-06-22
(32)【優先日】2021-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2022-08-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523325554
【氏名又は名称】シルラジェン,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】SILLAJEN,INC.
【住所又は居所原語表記】9th FL.,109,Sogong-ro,Jung-gu,Seoul 04525,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100112656
【氏名又は名称】宮田 英毅
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】レーン,ハイジ
(72)【発明者】
【氏名】バッハマン,フェリックス
(72)【発明者】
【氏名】リザーランド,カリーヌ
(72)【発明者】
【氏名】ザマン,ギード
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C084AA19
4C084MA02
4C084NA05
4C084ZA811
4C084ZA812
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZC412
4C084ZC75
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086CB09
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA66
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZA81
4C086ZB26
4C086ZC75
(57)【要約】
本発明は、対象における新生物疾患の処置に使用するための、請求項に定義される式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩を提供することであって、前述の処置が、間欠投与スケジュールに従って式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩を対象に投与することを含む、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象、特にヒトにおける新生物疾患の処置において使用するための式(I)の化合物
【化1】
またはその薬学的に許容され得る塩であって、前記処置が、間欠投与スケジュールに従って前記式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩を前記対象に投与することを含む、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項2】
前記式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が、前記対象に静脈内投与される、請求項1に記載の使用するための化合物。
【請求項3】
前記投与スケジュールが、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩を前記対象に投与しない少なくとも2日間の間隔を含む、請求項1または2に記載の使用するための化合物。
【請求項4】
各連続するスケジュールされた用量の間に少なくとも7日間の間隔がある、請求項1または2に記載の使用するための化合物。
【請求項5】
前記式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が3週間の処置サイクルに従って投与され、前記式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が前記処置サイクルの1週目に投与され、その後2週間の休薬週間が続く、請求項1~4のいずれか一項に記載の使用するための化合物。
【請求項6】
前記式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が3週間の処置サイクルに従って投与され、前記式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が前記処置サイクルの1週目および2週目に投与され、その後1週間の休薬週間が続く、請求項1~4のいずれか一項に記載の使用するための化合物。
【請求項7】
前記式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が4週間の処置サイクルに従って投与され、前記式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が前記処置サイクルの1週目に投与され、その後3週間の休薬週間が続く、請求項1~4のいずれか一項に記載の使用するための化合物。
【請求項8】
前記式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が4週間の処置サイクルに従って投与され、前記式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が前記処置サイクルの1週目および3週目に投与され、2週目および4週目が休薬週間である、請求項1~4のいずれか一項に記載の使用するための化合物。
【請求項9】
前記式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が4週間の処置サイクルに従って投与され、前記式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が前記処置サイクルの最初の3週間の間の各週に投与され、その後1週間の休薬週間が続く、請求項1~4のいずれか一項に記載の使用するための化合物。
【請求項10】
前記式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が、投与される場合、数週間の間、週に約40mg~約200mgの式(I)の化合物の遊離塩基のモル当量に相当する用量で患者に投与される、請求項1~9のいずれか一項に記載の使用するための化合物。
【請求項11】
前記式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が、投与される場合、数週間の間、週に約80mg~約160mgの式(I)の化合物の遊離塩基のモル当量に相当する用量で患者に投与される、請求項1~9のいずれか一項に記載の使用するための化合物。
【請求項12】
前記新生物疾患が、上皮性新生物、扁平上皮性新生物、基底細胞新生物、移行細胞乳頭腫および癌腫、腺腫および腺癌、付属器および皮膚付属器新生物、粘表皮性新生物、嚢胞性新生物、粘液性および漿液性新生物、乳管、小葉および髄質生新生物、腺房細胞新生物、複合上皮性新生物、特殊性腺新生物、傍神経節およびグロムス腫瘍、母斑および黒色腫、軟組織腫瘍および肉腫、線維腫性新生物、粘液腫性新生物、脂肪腫性新生物、筋腫性新生物、複合混合型および間質性新生物、線維上皮性新生物、滑膜様新生物、中皮性腫新生物、胚細胞性新生物、絨毛性新生物、中膜腫、血管腫瘍、リンパ管腫瘍、骨および軟骨形成性新生物、巨細胞腫、種々の骨腫瘍、歯原性腫瘍、神経膠腫、神経上皮腫性新生物、髄膜腫、神経鞘腫瘍、顆粒細胞腫瘍および肺胞軟部肉腫、ホジキンリンパ腫および非ホジキンリンパ腫、他のリンパ細網性新生物、形質細胞腫瘍、肥満細胞腫瘍、免疫増殖性疾患、白血病、骨髄増殖性障害、リンパ増殖性障害および骨髄異形成症候群からなる群から選択される、請求項1~11のいずれか一項に記載の使用するための化合物。
【請求項13】
前記新生物疾患が、TTK阻害剤(例えば、前記式(I)の化合物)による処置に加えてPLK1の阻害によって処置可能なものである、請求項1~12のいずれか一項に記載の使用するための化合物。
【請求項14】
前記新生物疾患が、癌、特に、乳癌(トリプルネガティブ乳癌およびluminal B乳癌を含む)、胃癌、大腸癌、肝臓癌(肝細胞癌を含む)、子宮内膜癌、卵巣癌、食道癌、肺癌(非小細胞肺癌を含む)、カポジ肉腫、子宮頸癌、膵臓癌、黒色腫、前立腺癌、膀胱癌および白血病、例えば急性骨髄性白血病(AML)(複合核型AMLを含む)から選択される癌である、請求項1~13のいずれか一項に記載の使用するための化合物。
【請求項15】
前記新生物疾患がトリプルネガティブ乳癌である、請求項1~13のいずれか一項に記載の使用するための化合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新生物疾患、特に癌の処置において本明細書に記載される式(I)のl化合物およびその薬学的に許容され得る塩を使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
国際公開第2015/155042号は、癌の処置に使用するためのトレオニンチロシンキナーゼ(TTK)の最近発見されたクラスの阻害剤を記載している。
【0003】
癌患者のための新規かつ効果的な処置選択肢が継続的に必要とされている。以下の実施例で実証されるように、ここで驚くべきことに、癌モデルにおける本明細書に記載される式(I)の化合物の間欠投与が、治癒を含む連続投与と比較して優れた有効性を提供することが見出された。さらに、毎日の経口投与から間欠的な毎週の静脈内投与への変更は、前臨床種において、忍容性および胃腸毒性プロファイルの改善を伴う一貫した薬物曝露を経時的にもたらすことも見出されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の態様では、本発明は、対象における新生物疾患の処置に使用するための式(I)の化合物
【化1】
またはその薬学的に許容され得る塩を提供することであって、処置が、間欠投与スケジュールに従って式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩を対象に投与することを含む。
【0006】
式(I)の化合物は、実施例17として国際公開第2015/155042号に開示されている。
【0007】
驚くべきことに、TTK阻害活性に加えて、式(I)の化合物もポロ様キナーゼ1(PLK1)阻害を示すことが見出された(以下の実施例を参照されたい)。両方のキナーゼは協働して、動原体における有糸分裂紡錘体形成チェックポイント(SAC)を活性化し、細胞が有糸分裂を終了し得る前に染色体の整列および分離を調節する。Von Schubert他、Cell Reports,2015,12;66-78は、PLK1およびTTK(MPS1としても知られる)がヒト細胞において紡錘体形成チェックポイント(SAC)を協働により調節することを開示している。TTKおよびPLK1の両方の阻害からの増強された効果のこの可能性は、Dou他、Plos ONE 2011,6:4;e18793においても示唆されており、これは、両方のキナーゼのいくつかの基質が類似のコンセンサスモチーフを共有することを示している。
【0008】
TTK特異的阻害剤とは対照的に、式(I)の化合物は、TTKに対する持続効果とPLK1に対する一過性の効果(以下の実施例を参照されたい)とを併せ持ち、異常な有糸分裂進行を強化するSACのより迅速な破壊をもたらす。したがって、二重TTK/PLK1阻害活性は、式(I)の化合物に固有のプロファイルを与え、それを、評価できるレベルのいかなるPLK1阻害活性も伴わずにTTK阻害活性を示す他の分子と区別する。
【0009】
更なる態様では、本発明は、新生物疾患の処置を必要とする対象における新生物疾患を処置する方法であって、前述の処置は、治療有効量の式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩を間欠投与スケジュールに従って対象に投与することを含む方法を提供する。
【0010】
更なる態様では、本発明は、対象における新生物疾患を処置するための薬剤の調製における式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩の使用であって、前述の処置が、間欠投与スケジュールに従って式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩を対象に投与することを含む使用を提供する。
【0011】
式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩による処置のための新生物疾患が以下に記載され、特に癌の処置、特にヒト対象のために企図される。
【0012】
本発明の更なる態様および実施形態を以下により詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】トリプルネガティブ乳癌(TNBC)MDA-MB-231モデルにおける式(I)の化合物の週1回および週2回の間欠的静脈内(i.v.)投与の抗腫瘍活性を示す図である。式(I)の化合物を、凡例に示されるようにMTDまたはその分画でi.v.、QWまたは2QW投与した。(A)は平均腫瘍体積を示し、(B)は65日目までの平均体重変化率を示す。破線の縦線は、QWおよび2QWのMTD投与群の休薬期間を示す。N=8匹の動物を処置群およびビヒクル対照群に使用した。ドキソルビシンを、3mg/kgの標準的な投与レジメンを使用して最初の5日間投与した。ビヒクル群および以下の各投与群(3mg/kg 2QW、9.4mg/kg 2QW、12.5mg/kg 2QW)で1例ずつ非薬物関連動物の死亡が発生した。25mg/kg QW投与群では、3例の非薬物関連動物の死亡が発生した。
【
図2】TNBC MDA-MB-231モデルにおける週1回のMTD i.v.投与による治癒の評価を示す図である。腫瘍移植部位から得られた皮膚および周囲組織のH&E切片を、式(I)の化合物のMTD i.v.投与で週1回処置した見かけ上腫瘍のない動物(n=3匹)から調製した(動物2、3および8)。マウス2またはマウス3からの試料では、新生物上皮細胞(残留腫瘍細胞)は観察されなかったが、マウス8は依然としていくらかの新生物組織を呈示した。
【
図3】TNBC MDA-MB-231モデルにおける式(I)の化合物の毎日の経口MTD対i.v.週1回の間欠投与の抗腫瘍活性を示す。図である。式(I)の化合物を、凡例に示されるように、MTD(7.5mg/kg)で毎日、またはMTDもしくはその分画でi.v.QWで経口投与した。(A)は平均腫瘍体積を示し、(B)は平均体重変化を%で示す。N=8匹の動物を処置群およびビヒクル対照群に使用した。動物の死亡は記録されなかった。
【
図4】TNBC MDA-MB-231モデルにおける式(I)の化合物の毎日の経口MTD対i.v.週2回の間欠投与の抗腫瘍活性を示す図である。式(I)の化合物を、凡例に示されるように、MTD(7.5mg/kg)で毎日、またはMTDもしくはその分画でi.v.2QWで経口投与した。(A)は平均腫瘍体積を示し、(B)は平均体重変化を%で示す。N=8匹の動物を処置群およびビヒクル対照群に使用した。動物の死亡は記録されなかった。
【
図5】雌マウス(各タイムポイントにつきn=3匹)に経口投与した式(I)の化合物の平均(±SD)血漿中濃度-時間プロファイルを示す図である。(A)は製剤2を使用した単回経口投与後1日目の血漿中濃度を示す。(B)は製剤1を使用した単回経口投与後1日目の血漿中濃度を示す。
【
図6】雌マウス(各タイムポイントにつきn=3匹)に経口投与した式(I)の化合物の平均(±SD)血漿中濃度-時間プロファイルを示す図である。(A)は製剤1を使用した毎日の経口投与後5日目の血漿中濃度を示す。(B)製剤2を使用した毎日の経口投与後5日目の血漿中濃度を示す。
【
図7】雌マウス(各タイムポイントにつきn=3匹)に静脈内投与した式(I)の化合物の平均(±SD)血漿中濃度-時間プロファイルを示す図である。(A)は単回静脈内投与後1日目の血漿中濃度を示す。(B)5日間の経口投与とそれに続く6日目の単回静脈内投与後の6日目の血漿中濃度を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
定義
本明細書で使用される特定の用語を以下に説明する。他に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。
【0015】
本明細書で使用される「薬学的に許容され得る」という用語は、健全な医学的判断の範囲内で、合理的な利益/リスク比に見合った過度の毒性または他の合併症がなく、ヒトの組織との接触に適した化合物、材料、組成物および/または剤形などの品目を指す。
【0016】
「患者」という用語は、治療的処置のために自身を提示するヒトを指す。
【0017】
「対象」という用語は、哺乳動物を指し、好ましくは患者を指す。
【0018】
対象において疾患を処置するという文脈において本明細書で使用される「処理、」という用語は、一般に、いくつかの所望の治療効果、例えば、疾患の進行の阻害、進行速度の低下、進行速度の停止、疾患の進行の予防、疾患の症状の緩和、疾患の改善、および疾患の治癒の1つまたは複数が達成される治療および療法に関する。例えば、処置は、障害の1つまたはいくつかの症状の減弱または障害の完全な根絶であり得る。本開示の意味の範囲内で、「処置」という用語はまた、疾患の発症を阻止する、遅延させる(すなわち、疾患の臨床症状発現前の期間)、および/または発症もしくは悪化のリスクを低減することを意味する。
【0019】
本明細書で使用される「防止する」、「防止」または「防止」という用語は、予防される疾患に関連するまたはそれによって引き起こされる少なくとも1つの症状の予防を含む。
【0020】
「薬学的有効量、」、「治療有効量、」または「臨床的有効量」という用語は、所望の治療レジメンに従って投与された場合に、例えば合理的な利益/リスク比に見合った、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩で治療された疾患のベースラインの臨床的に観察可能な徴候および症状に対する観察可能なまたは臨床的に有意な改善を提供するのに十分な量である。
【0021】
「約」という用語は、関連する数字の10%以下の変動を意味する。いくつかの実施形態において、「約」という用語は、関連する数字の5%以下の変動を意味する。
【0022】
誤解を避けるために、範囲が提供される場合(例えば、5mg~480mg)、その範囲は、その範囲の記載された上限(480mg)および下限(5mg)を含む。
【0023】
式(I)の化合物
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物は、遊離塩基として使用される。他の実施形態において、式(I)の化合物は、薬学的に許容され得る塩として使用される。
【0024】
式(I)の化合物の薬学的に許容され得る塩は、酸付加塩であり得る。塩は、例えば有機酸または無機酸を用いて、式(I)の化合物から形成される。薬学的に許容され得る塩は、当業者の一般常識の範囲内である。薬学的に許容され得る塩は、対応する酸の2つ以上の分子またはイオンを含み得る。
【0025】
式(I)の化合物およびその薬学的に許容され得る塩は、溶媒和されていてもよく、特に水和されていてもよい。調製プロセス中に、溶媒和および/または水和が起こり得る。
【0026】
式(I)の化合物およびその薬学的に許容され得る塩は、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2015/155042号、特に17頁~19頁に記載されているように、同じく参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2015/155042号の49頁の実施例17(実施例17~実施例9、中間体Hおよび実施例1の参照を含む)に記載されているように合成され得る。
【0027】
疾患
式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩の投与によって新生物疾患を処置するために、例えばプロテインキナーゼを阻害するために使用され得る。さらに、式(I)の化合物がPLK1阻害活性をさらに有するという観察を考慮すると、新生物疾患は、TTK阻害剤(例えば、式(I)の化合物)による処置に加えて、PLK1の阻害によって処置可能なものであり得る。
【0028】
さらに、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、任意の臨床段階もしくは病理学的グレード(例えば、腫瘍ステージI、腫瘍ステージII、腫瘍ステージIII、腫瘍ステージIV)または処置設定(例えば、予防的、アジュバント、ネオアジュバント、緩和的処置を含む治療的)で癌を処置するために使用され得る。式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、癌の進行もしくは癌の成長を遅らせるか、遅延させるかもしくは停止させること、または全生存時間もしくは癌の無増悪生存時間もしくは癌の進行までの時間を増加させること、または対象(例えば、患者)の生活の質もしくは機能状態を改善もしくは維持することにおいて使用するためのものであり得る。式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩はまた、癌からの治療後回復において使用され得る。式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、転移性癌の処置に使用され得る。
【0029】
例えば、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、(i)癌細胞の数を減少させるために;(ii)腫瘍体積を減少させるために;(iii)腫瘍退縮率を増加させるために;(iv)末梢器官への癌細胞浸潤を低減するかもしくは遅らせるために;(v)腫瘍転移を低減するかまたは遅らせるために;(vi)腫瘍成長を低減するかまたは阻害するために;(vii)癌の発生および/もしくは再発を予防もしくは遅延させるために、および/もしくは無病生存期間もしくは無腫瘍生存期間を延長させるために;(viii)全生存期間の増加させるために;(ix)処置頻度を低減するために;ならびに/または(x)癌に関連する症候の1つ以上を軽減するために使用され得る。
【0030】
上記のように、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、新生物疾患の処置に使用され得る。新生物疾患の例としては、上皮性新生物、扁平上皮性新生物、基底細胞新生物、移行細胞乳頭腫および癌腫、腺腫および腺癌、付属器および皮膚付属器新生物、粘表皮性新生物、嚢胞性新生物、粘液性および漿液性新生物、乳管、小葉および髄質生新生物、腺房細胞新生物、複合上皮性新生物、特殊性腺新生物、傍神経節およびグロムス腫瘍、母斑および黒色腫、軟組織腫瘍および肉腫、線維腫性新生物、粘液腫性新生物、脂肪腫性新生物、筋腫性新生物、複合混合型および間質性新生物、線維上皮性新生物、滑膜様新生物、中皮性腫新生物、胚細胞性新生物、絨毛性新生物、中膜腫、血管腫瘍、リンパ管腫瘍、骨および軟骨形成性新生物、巨細胞腫、種々の骨腫瘍、歯原性腫瘍、神経膠腫、神経上皮腫性新生物、髄膜腫、神経鞘腫瘍、顆粒細胞腫瘍および肺胞軟部肉腫、ホジキンリンパ腫および非ホジキンリンパ腫、他のリンパ細網性新生物、形質細胞腫瘍、肥満細胞腫瘍、免疫増殖性疾患、白血病、種々の骨髄増殖性障害、リンパ増殖性障害および骨髄異形成症候群が挙げられるが、これらに限定されない。
【0031】
いくつかの実施形態において、新生物疾患は癌である。罹患した器官および身体の部分に関する癌の例としては、脳、乳房(トリプルネガティブ乳癌およびluminal B乳癌を含む)、子宮頸部、卵巣、結腸、直腸(結腸および直腸、すなわち大腸癌を含む)、肺(小細胞肺癌、非小細胞肺癌、大細胞肺癌および中皮腫を含む)、内分泌系、骨、副腎、胸腺、肝臓、胃、腸(胃癌を含む)、膵臓、骨髄、血液悪性腫瘍(例えばリンパ腫、白血病、骨髄腫またはリンパ性悪性腫瘍)、胆管、膀胱、尿路、皮膚、甲状腺、頭部、頸部、前立腺および精巣が挙げられるが、これらに限定されない。
【0032】
いくつかの実施形態において、新生物疾患は、乳癌(トリプルネガティブ乳癌およびluminal B乳癌を含む)、胃癌、大腸癌、肝臓癌(肝細胞癌を含む)、子宮内膜癌、卵巣癌、食道癌、肺癌(小細胞肺癌、非小細胞肺癌を含む)、カポジ肉腫、子宮頸癌、膵臓癌、黒色腫、前立腺癌、精巣癌、子宮頸癌、膀胱癌、頭頸部癌、脳腫瘍(例えば、神経膠腫、髄芽腫)、神経芽腫、網膜芽細胞腫、ウィルムス腫瘍、白血病、例えば急性骨髄性白血病(AML)(複合核型AMLを含む)および悪性中皮腫から選択される癌である。
【0033】
いくつかの実施形態において、新生物疾患は乳癌である。
【0034】
いくつかの実施形態において、新生物疾患はトリプルネガティブ乳癌である。
【0035】
いくつかの実施形態において、新生物疾患はluminal B乳癌である。
【0036】
いくつかの実施形態において、新生物疾患は胃癌である。
【0037】
いくつかの実施形態において、新生物疾患は大腸癌である。
【0038】
いくつかの実施形態において、新生物疾患は肝細胞癌である。
【0039】
いくつかの実施形態において、新生物疾患は子宮内膜癌である。
【0040】
いくつかの態様では、新生物疾患は急性骨髄性白血病(AML)(複合核型AMLを含む)である。
【0041】
いくつかの実施形態において、新生物疾患は肺癌(例えば、小細胞肺癌、非小細胞肺癌)である。
【0042】
いくつかの実施形態において、新生物疾患は子宮頸癌(例えば転移性または再発性子宮頸癌)である。
【0043】
いくつかの実施形態において、新生物疾患は頭頸部癌(例えば、頭頸部の再発性または転移性扁平上皮癌)である。
【0044】
いくつかの実施形態において、新生物疾患はウィルムス腫瘍である。
【0045】
いくつかの実施形態において、新生物疾患は脳腫瘍(例えば、神経膠腫、例えば進行性または再発性神経膠腫、髄芽腫、例えば再発性髄芽腫)である。
【0046】
いくつかの実施形態において、新生物疾患は神経芽腫である。
【0047】
いくつかの実施形態において、新生物疾患は精巣癌(例えば、転移性非セミノーマ生殖細胞腫瘍)である。
【0048】
いくつかの実施形態において、新生物疾患は膀胱癌(例えば、異常な腎機能を有するものを含む進行膀胱癌)である。
【0049】
いくつかの実施形態において、新生物疾患は網膜芽細胞腫(例えば、再発性または進行性網膜芽細胞腫)である。
【0050】
癌は、原発性腫瘍および/または転移であり得る。癌は、固形または液状(例えば、血液学的または腹腔内)腫瘍に由来し得る。いくつかの実施形態において、処置される新生物疾患(例えば、癌)は、腫瘍、例えば固形腫瘍である。
【0051】
投与
式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、間欠投与スケジュールに従って投与される。間欠投与スケジュールは、スケジュールされた投与の間に1日を超える間隔を含むものである。間欠投与スケジュールは、対象が毎日投与される連続投与スケジュールとは異なる。好ましくは、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、対象(好ましくはヒト)に静脈内投与される。
【0052】
いくつかの実施形態において、間欠投与スケジュールは、少なくとも2日間、例えば少なくとも3日間、例えば少なくとも4日間、例えば少なくとも5日間、例えば少なくとも6日間、例えば少なくとも7日間の間隔を含み、その間、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は対象に投与されない。
【0053】
対象は、スケジュールされた用量を、1回の投与または1回を超える投与で、例えば同日に投与され得る。例えば、スケジュールされた用量の半分を午前中に投与し、残りの半分を午後に投与してもよい。完全なスケジュールされた用量が投与された後、次のスケジュールされた用量の投与前に1日を超える間隔がある。したがって、いくつかの実施形態において、連続するスケジュールされた投薬間に少なくとも2日、例えば少なくとも3日、例えば少なくとも4日、例えば少なくとも5日、例えば少なくとも6日、例えば少なくとも7日間の間隔がある。いくつかの実施形態において、各連続するスケジュールされた投薬間に少なくとも2日、例えば少なくとも3日、例えば少なくとも4日、例えば少なくとも5日、例えば少なくとも6日、例えば少なくとも7日間の間隔がある。
【0054】
スケジュールされた投薬間の間隔は、例えば、薬物に対する対象の応答に応じて、規則的(例えば、同じ日数の間隔)または不規則的(例えば、異なる日数の間隔)であり得る。
【0055】
対象は、スケジュールされた用量を、1回の投与、すなわちいかなる休止もなく単回投与で投与され得ることも企図される。したがって、いくつかの実施形態において、連続する投与間に少なくとも2日、例えば少なくとも3日、例えば少なくとも4日、例えば少なくとも5日、例えば少なくとも6日、例えば少なくとも7日間の間隔がある。いくつかの実施形態において、各連続する投与間に少なくとも2日、例えば少なくとも3日、例えば少なくとも4日、例えば少なくとも5日、例えば少なくとも6日、例えば少なくとも7日間の間隔がある。
【0056】
間欠投与スケジュールは、通常、周期的な処置スケジュールである。周期的な処置スケジュールは、反復要素(サイクル)が特定の期間を有し、用量がサイクル内の特定の日に投与される反復投与スケジュールによって定義される。サイクルは、例えば回復のための期間を可能にするために、通常はサイクルの終わりに投与がない期間(「休止期間」)を組み込むことができる。処置サイクルは、例えば、7日間、14日間、21日間、28日間またはそれより長い日数であり得る。処置スケジュールは、例えば、対象(例えば患者)が処置を監督する医師によって判断される利益を受けている限り、必要な限り継続することができる(「オープンエンド処置」)。
【0057】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、3週間の処置サイクルに従って投与され、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、処置サイクルの1週目、例えば1日目に投与され、その後2週間の休薬週間が続く。
【0058】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、3週間の処置サイクルに従って投与され、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、処置サイクルの1週目および2週目、例えば1日目および8日目に投与され、その後1週間の休薬週間が続く。
【0059】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、4週間の処置サイクルに従って投与され、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、処置サイクルの1週目、例えば1日目に投与され、その後3週間の休薬週間が続く。
【0060】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、4週間の処置サイクルに従って投与され、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、処置サイクルの1週目および3週目に、例えば、1日目および15日目に投与され、2週目および4週目は休薬週間である。
【0061】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、4週間の処置サイクルに従って投与され、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、処置サイクルの最初の3週間の間の各週に、例えば、1日目、8日目および15日目に投与され、その後1週間の休薬週間が続く。
【0062】
以下の投与量の例はヒト用である。式(I)の化合物の用量は、体重または体表面積(BSA)に関係なく、1人あたりのmgとして与えられる。表AおよびBを含む以下に示される式(I)の化合物の投与量は、遊離塩基の投与量を指す。投与量は、式(I)の化合物の薬学的に許容され得る塩にも適用されるが、ただし、式(I)の化合物の薬学的に許容され得る塩が使用される場合、記載されたmg投与量は、投与される式(I)の化合物の薬学的に許容され得る塩のモル量が以下に示される遊離塩基のモル量と同じになるように調整(すなわち、増加)されるべきである。例えば、式(I)の化合物の(ヒト)週投与量が、投与される場合、週に約5mg~約480mgであるという記載は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が、投与される場合、数週間にわたって週に約5mg~約480mgの式(I)の化合物の遊離塩基のモル当量に相当する用量で患者に投与されることを意味する。
【0063】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物の(ヒト)週投与量は、投与される場合、週に約5mg~約480mgである。いくつかの実施形態において、式(I)の化合物の(ヒト)週投与量は、投与される場合、週に約40mg~約200mgである。いくつかの実施形態において、式(I)の化合物の(ヒト)週投与量は、投与される場合、週に約80mg~約160mgである。いくつかの実施形態において、式(I)の化合物の(ヒト)週投与量は、投与される場合、週に約90mg~約130mgである。
【0064】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物の(ヒト)週投与量は、投与される場合、週に約140mg~約240mgである。いくつかの実施形態において、式(I)の化合物の(ヒト)週投与量は、投与される場合、週に約160mg~約220mgである。いくつかの実施形態において、式(I)の化合物の(ヒト)週投与量は、投与される場合、週に約180mg~約200mgである。
【0065】
投与される場合の式(I)の化合物の(ヒト)週投与量の例としては、10mg~約20mg、約20mg~約30mg、約30mg~約40mg、約40mg~約50mg、約50mg~約60mg、約60mg~約70mg、約70mg~約80mg、約80mg~約90mg、約90mg~約100mg、約100mg~約110mg、約110mg~約120mg、約120mg~約130mg、約130mg~約140mg、約140mg~約150mg、約150mg~約160mg、約160mg~約170mg、約170mg~約180mg、約180mg~約190mg、約190mg~約200mg、約200mg~約210mg、約210mg~約220mg、約220mg~約230mg、約230mg~約240mg、約240mg~約250mg、約250mg~約260mg、約260mg~約270mg、約270mg~約280mg、約280mg~約290mg、約290mg~約300mg、約300mg~約310mg、約310mg~約320mg、約320mg~約330mg、約330mg~約340mg、約340mg~約350mg、約350mg~約360mg、約360mg~約370mg、約370mg~約380mg、約380mg~約390mg、約390mg~約400mg、約400mg~約410mg、約410mg~約420mg、約420mg~約430mg、約430mg~約440mg、約440mg~約450mg、約450mg~約460mg、約460mg~約470mg、および約470mg~約480mgが挙げられる。
【0066】
投与される場合の式(I)の化合物の具体的な(ヒト)週投与量の例としては、約5mg、約10mg、約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約55mg、約60mg、約65mg、約70mg、約75mg、約80mg、約85mg、約90mg、約95mg、約100mg、約105mg、約110mg、約115mg、約120mg、約125mg、約130mg、約135mg、約140mg、約145mg、約150mg、約155mg、約160mg、約165mg、約170mg、約175mg、約180mg、約185mg、約190mg、約195mg、約200mg、約205mg、約210mg、約215mg、約220mg、約225mg、約230mg、約235mg、約240mg、約245mg、約250mg、約255mg、約260mg、約265mg、約270mg、約275mg、約280mg、約285mg、約290mg、約295mg、約300mg、約305mg、約310mg、約315mg、約320mg、約325mg、約330mg、約335mg、約340mg、約345mg、約350mg、約355mg、約360mg、約365mg、約370mg、約375mg、約380mg、約385mg、約390mg、約395mg、約400mg、約405mg、約410mg、約415mg、約420mg、約425mg、約430mg、約435mg、約440mg、約445mg、約450mg、約455mg、約460mg、約465mg、約470mg、約475mg、および約480mgが挙げられる。
【0067】
式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩の週投与量は、例えば静脈内投与の場合、いかなる休止もなく単回投与で投与され得る。代替的に、週用量は、複数回の投与で、例えば、静脈内投与の場合、投与の間に休止を伴う2回または3回の投与で、例えば、投与間隔を少なくとも30分間、例えば少なくとも1時間、例えば少なくとも2時間、例えば少なくとも4時間空けて、例えば、投与間隔を30分~12時間、例えば30分~6時間空けて投与され得る。そのような複数回の投与は、投与スケジュールが上記のような間欠的な投与スケジュールであることを条件として、同じ日または別々の日、例えば連続する日または例えば最初の投与の日の3日後に行ってもよい。
【0068】
式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、当業者に公知の通常の投与経路に従って対象に投与され得るが、好ましくは対象に静脈内投与される。注入の持続時間は、通常、少なくとも30分であり、最大24時間であり得る。いくつかの実施形態において、注入の持続時間は、30分~12時間、例えば30分~6時間、例えば30分~3時間、例えば1~2時間、例えば約1時間である。
【0069】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物の処置サイクル期間、投与の週および(ヒト)週投与量は、表Aの実施形態1A~35Aのいずれか1つに示されるとおりであり、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、好ましくは患者に静脈内投与される。
【表1】
【0070】
上記の記載のとおり、実施形態1Aは、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が3週間の処置サイクルに従って患者に投与され、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が処置サイクルの第1週に投与され、その後2週間の休薬週間が続き、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が、投与される場合、数週間にわたって週に約5mg~約480mgの式(I)の化合物の遊離塩基のモル当量に相当する用量で患者に投与される状況を指す。実施形態2A~32Aについても同様のことが当てはまる。
【0071】
いくつかの実施形態において、処置サイクル期間、サイクル内の投与日数および式(I)の化合物の(ヒト)週投与量は、表Bの実施形態1B~35Bのいずれか1つに示されるとおりであり、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、好ましくは患者に静脈内投与される。
【表2】
【0072】
上記の記載のとおり、実施形態1Bは、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が21日間の処置サイクルに従って患者に投与され、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が処置サイクルの1日目に投与され、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が、投与される場合、数週間にわたって週に約5mg~約480mgの式(I)の化合物の遊離塩基のモル当量に相当する用量で患者に投与される状況を指す。実施形態2B~32Bについても同様のことが当てはまる。
【0073】
いくつかの実施形態において、処置サイクル期間、投与週間、(ヒト)毎週の投与量および新生物疾患は、表Cの実施形態1C~210Cのいずれか1つに示されるとおりであり、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、好ましくは患者に静脈内投与される。
【表3-1】
【表3-2】
【表3-3】
【表3-4】
【表3-5】
【表3-6】
【0074】
上記の記載のとおり、実施形態1Cは、処置される新生物疾患が乳癌であり、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が3週間の処置サイクルに従って患者に投与され、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が処置サイクルの第1週に投与され、その後2週間の休薬週間が続き、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が、投与される場合、数週間にわたって週に約5mg~約480mgの式(I)の化合物の遊離塩基のモル当量に相当する用量で患者に投与される状況を指す。実施形態2C~210Cについても同様のことが当てはまる。
【0075】
いくつかの実施形態において、処置サイクル期間、サイクル内の投与日数、(ヒト)週投与量および新生物疾患は、表Dの実施形態1D~210Dのいずれか1つに示されるとおりであり、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、好ましくは患者に静脈内投与される。
【表4-1】
【表4-2】
【表4-3】
【表4-4】
【表4-5】
【表4-6】
【0076】
上記の記載のとおり、実施形態1Dは、処置される新生物疾患が式(I)の乳癌化合物またはその薬学的に許容され得る塩であり、21日間の処置サイクルに従って患者に投与され、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が処置サイクルの1日目に投与され、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が、投与される場合、数週間にわたって週に約5mg~約480mgの式(I)の化合物の遊離塩基のモル当量に相当する用量で患者に投与される状況を指す。実施形態2D~210Dについても同様のことが当てはまる。
【0077】
一般に、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、臨床用量漸増試験で決定されるように、特定の投与様式および適応症に対して最大耐量(MTD)を超えない用量で投与される。
【0078】
製剤
式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、非経口投与用の医薬組成物、例えば経鼻、頬側、直腸、肺、膣、舌下、局所、経皮、眼、耳として、または特に経口投与用の医薬組成物、例えば、経口固体剤形、例えば、顆粒剤、ペレット剤、散剤、錠剤、フィルム剤もしくは糖衣錠、発泡性錠剤、硬質および軟質ゼラチンもしくはHPMCカプセルの形態で、適用可能な場合にコーティングされたもの、口腔内崩壊錠、経口溶液、脂質エマルジョンもしくは懸濁液の形態で、または非経口投与用の医薬組成物、例えば、哺乳動物、特にヒトへの、例えば、マイクロ粒子もしくはナノ粒子を含有する溶液、脂質エマルジョンもしくは懸濁液の形態で製剤化され得る。組成物は、有効成分を単独で、または好ましくは薬学的に許容され得る担体と一緒に含んでもよい。
【0079】
医薬組成物は、経口固体剤形、例えば、顆粒剤、ペレット剤、散剤、錠剤、フィルム剤もしくは糖衣錠、発泡性錠剤、硬質ゼラチンもしくはHPMCカプセル剤または口腔内崩壊錠の製造のための薬学的に不活性な無機または有機賦形剤で処理することができる。充填剤、例えば、ラクトース、セルロース、マンニトール、ソルビトール、リン酸カルシウム、デンプンまたはその誘導体、結合剤、例えば、セルロース、デンプン、ポリビニルピロリドン、またはその誘導体、流動化剤、例えば、タルカム、ステアリン酸またはその塩、流動剤、例えば、ヒュームドシリカを、経口固体剤形、例えば顆粒剤、ペレット剤、散剤、錠剤、フィルム剤もしくは糖衣錠、発泡性錠剤、硬質ゼラチンもしくはHPMCカプセル剤、または口腔内崩壊錠の製剤化および製造のためのそのような賦形剤として使用することができる。軟質ゼラチンカプセルに適した賦形剤は、例えば、植物油、ワックス、脂肪、半固体および液体ポリオールなどである。
【0080】
経口溶液、脂質エマルジョンまたは懸濁液の製造に適した賦形剤は、例えば、水、アルコール、ポリオール、サッカロース、転化糖、グルコースなどである。非経口製剤に適した賦形剤は、例えば、水、アルコール、ポリオール、グリセロール、植物油、レシチン、界面活性剤などである。さらに、医薬製剤は、保存剤、可溶化剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、甘味剤、着色剤、香味料、浸透圧を変化させるための塩、緩衝剤、マスキング剤または酸化防止剤を含有することができる。それらはまた、他の治療的に価値のある物質を含有し得る。
【0081】
注射用途に適した医薬組成物には、滅菌水溶液(水溶性の場合)または分散液、および滅菌注射溶液または分散液の即時調製のための滅菌粉末が含まれる。静脈内投与の場合、適切な担体には、生理食塩水、静菌水、Cremophor(登録商標)ELまたはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)が含まれる。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコールなど)、ならびにそれらの適切な混合物を含有する溶媒または分散媒であり得る。強親油性分子の静脈内注射のために、製剤中に可溶化剤、例えば、界面活性剤、ポリマー界面活性剤、ポリマー、錯化剤および/または共溶媒を含めることが有利であり得、これは水中での化合物の溶解度を有意に増加させ得る。可溶化剤の例としては、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、エタノール、グリセロールおよびシクロデキストリン(例えば、スルホブチルエーテル-β-シクロデキストリン)が挙げられる。
【0082】
いくつかの実施形態において、遊離塩基としての式(I)の化合物は、例えば静脈内投与のためのβ-シクロデキストリンを含む医薬組成物として提供される。β-シクロデキストリンは、スルホブチルエーテル-β-シクロデキストリン、例えば、CAS 182410-00-0、例えばCaptisol(商標)(Ligand)またはDexolve(商標)(Cyclolab)であり得る。
【0083】
滅菌注射液は、必要量の活性化合物を、必要に応じて式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩と共に適切な溶媒に組み込み、その後濾過滅菌することによって調製することができる。一般に、分散液は、活性化合物を、分散媒体および上に列挙したものからの必要な他の成分を含有する滅菌ビヒクルに組み込むことによって調製される。滅菌注射液の調製のための滅菌粉末の場合、調製方法は、真空乾燥および凍結乾燥であり、これにより、有効成分と任意の追加の所望の成分の粉末とが、予め滅菌濾過されたその溶液から得られる。
【0084】
さらに、本発明で使用される医薬組成物は、リン酸塩、クエン酸塩、または他の有機酸などの緩衝剤;ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、アスコルビン酸を含む酸化防止剤;低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチンまたは免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー、グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニンまたはリジンなどのアミノ酸;単糖類、二糖類、またはグルコース、マンノースもしくはデキストリンを含む他の炭水化物;EDTAなどのキレート剤;マンニトールまたはソルビトールなどの糖アルコール;ナトリウムなどの塩形成対イオン;および/または非イオン性界面活性剤、例えばTWEEN(登録商標)、PLURONICS(登録商標)、またはPEGを任意選択的に含む。
【0085】
任意選択的に、医薬組成物は、薬学的に許容され得る保存剤を含有する。いくつかの実施形態において、保存剤濃度は、0.1~2.0%、典型的にはv/vの範囲である。適切な保存剤には、ベンジルアルコール、フェノール、m-クレゾール、メチルパラベン、およびプロピルパラベンなどの薬学分野で公知のものが含まれる。
【0086】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、適切な許容され得る担体との静脈内投与のために製剤化される。
【0087】
以下の番号が付けられた項は、本発明の特定の実施形態を説明する。
【0088】
項1.新生物疾患の処置を必要とする対象、特にヒトにおける新生物疾患を処置する方法であって、間欠投与スケジュールに従って治療有効量の式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩を対象に投与するステップを含む、方法。
【0089】
項2.式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が対象に静脈内投与される、項1に記載の方法。
【0090】
項3.投与スケジュールが、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が対象に投与されない少なくとも2日間の間隔を含む、項1または2に記載の方法。
【0091】
項4.各連続するスケジュールされた用量の間に少なくとも7日間の間隔がある、項1または2に記載の方法。
【0092】
項5.式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が3週間の処置サイクルに従って投与され、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が処置サイクルの1週目、例えば1日目に投与され、その後2週間の休薬週間が続く、項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【0093】
項6.式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が3週間の処置サイクルに従って投与され、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が処置サイクルの1週目および2週目、例えば1日目および8日目に投与され、その後1週間の休薬週間が続く、項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【0094】
項7.式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が4週間の処置サイクルに従って投与され、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が処置サイクルの1週目、例えば1日目に投与され、その後3週間の休薬週間が続く、項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【0095】
項8.式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が4週間の処置サイクルに従って投与され、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が処置サイクルの1週目および3週目に、例えば1日目および15日目に投与され、2週目および4週目が休薬週間である、項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【0096】
項9.式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が4週間の処置サイクルに従って投与され、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が処置サイクルの最初の3週間の間の各週間、例えば、1日目、8日目および15日目に投与され、その後1週間の休薬週間が続く、項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【0097】
項10.式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が、投与される場合、数週間の間、週に約5mg~約480mgの式(I)の化合物の遊離塩基のモル当量に相当する用量で患者に投与される、項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【0098】
項11.式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が、投与される場合、数週間の間、週に約40mg~約200mgの式(I)の化合物の遊離塩基のモル当量に相当する用量で患者に投与される、項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【0099】
項12.式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が、投与される場合、数週間の間、週に約80mg~約160mgの式(I)の化合物の遊離塩基のモル当量に相当する用量で患者に投与される、項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【0100】
項13.式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が、投与される場合、数週間の間、週に約90mg~約130mgの式(I)の化合物の遊離塩基のモル当量に相当する用量で患者に投与される、項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【0101】
項14.式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が、投与される場合、数週間の間、週に約140mg~約240mgの式(I)の化合物の遊離塩基のモル当量に相当する用量で患者に投与される、項1~9のいずれか1つに記載の方法。
【0102】
項15.式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が、投与される場合、数週間の間、週に約160mg~約220mgの式(I)の化合物の遊離塩基のモル当量に相当する用量で患者に投与される、項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【0103】
項16.式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が、投与される場合、数週間の間、週に約180mg~約200mgの式(I)の化合物の遊離塩基のモル当量に相当する用量で患者に投与される、項1~9のいずれか1つに記載の方法。
【0104】
項17.新生物疾患が、上皮性新生物、扁平上皮性新生物、基底細胞新生物、移行細胞乳頭腫および癌腫、腺腫および腺癌、付属器および皮膚付属器新生物、粘表皮性新生物、嚢胞性新生物、粘液性および漿液性新生物、乳管、小葉および髄質生新生物、腺房細胞新生物、複合上皮性新生物、特殊性腺新生物、傍神経節およびグロムス腫瘍、母斑および黒色腫、軟組織腫瘍および肉腫、線維腫性新生物、粘液腫性新生物、脂肪腫性新生物、筋腫性新生物、複合混合型および間質性新生物、線維上皮性新生物、滑膜様新生物、中皮性腫新生物、胚細胞性新生物、絨毛性新生物、中膜腫、血管腫瘍、リンパ管腫瘍、骨および軟骨形成性新生物、巨細胞腫、種々の骨腫瘍、歯原性腫瘍、神経膠腫、神経上皮腫性新生物、髄膜腫、神経鞘腫瘍、顆粒細胞腫瘍および肺胞軟部肉腫、ホジキンリンパ腫および非ホジキンリンパ腫、他のリンパ細網性新生物、形質細胞腫瘍、肥満細胞腫瘍、免疫増殖性疾患、白血病、骨髄増殖性障害、リンパ増殖性障害および骨髄異形成症候群からなる群から選択される、項1~16のいずれか1つに記載の方法。
【0105】
項18.新生物疾患が、TTK阻害剤(例えば、式(I)の化合物)による処置に加えてPLK1の阻害によって処置可能なものである、項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【0106】
項19.新生物疾患が、癌、特に、乳癌(トリプルネガティブ乳癌およびluminal B乳癌を含む)、胃癌、大腸癌、肝臓癌(肝細胞癌を含む)、子宮内膜癌、卵巣癌、食道癌、肺癌(非小細胞肺癌を含む)、カポジ肉腫、子宮頸癌、膵臓癌、黒色腫、前立腺癌、膀胱癌および白血病、例えば急性骨髄性白血病(AML)(複合核型AMLを含む)から選択される癌である、項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【0107】
項20.新生物疾患が乳癌である、項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【0108】
項21.新生物疾患がトリプルネガティブ乳癌である、項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【0109】
項22.新生物疾患がluminal B型乳癌である、項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【0110】
項23.新生物疾患が胃癌である、項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【0111】
項24.新生物疾患が大腸癌である、項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【0112】
項25.新生物疾患が肝細胞癌である、項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【0113】
項26.新生物疾患が子宮内膜癌である、項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【0114】
項27.新生物疾患が急性骨髄性白血病(AML)である、項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【0115】
項28.新生物疾患が複合核型AMLである、項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【0116】
項1A.対象、特にヒトにおける新生物疾患の処置において使用するための式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩であって、処置が、間欠投与スケジュールに従って式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩を対象に投与することを含む、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩。
【0117】
項2A.式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が対象に静脈内投与される、項1Aに記載の使用するための化合物。
【0118】
項3A.投与スケジュールが、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が対象に投与されない少なくとも2日間の間隔を含む、項1Aまたは項2Aに記載の使用するための化合物。
【0119】
項4A.各連続するスケジュールされた用量の間に少なくとも7日間の間隔がある、項1Aまたは2Aに記載の使用するための化合物。
【0120】
項5A.式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が3週間の処置サイクルに従って投与され、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が処置サイクルの1週目、例えば1日目に投与され、その後2週間の休薬週間が続く、項1A~4Aのいずれか一項に記載の使用するための化合物。
【0121】
項6A.式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が3週間の処置サイクルに従って投与され、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が処置サイクルの1週目および2週目、例えば1日目および8日目に投与され、その後1週間の休薬週間が続く、項1A~4Aのいずれか一項に記載の使用するための化合物。
【0122】
項7A.式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が4週間の処置サイクルに従って投与され、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が処置サイクルの1週目、例えば1日目に投与され、その後3週間の休薬週間が続く、項1A~4Aのいずれか一項に記載の使用するための化合物。
【0123】
項8A.式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が4週間の処置サイクルに従って投与され、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が処置サイクルの1週目および3週目に、例えば1日目および15日目に投与され、2週目および4週目が休薬週間である、項1A~4Aのいずれか一項に記載の使用するための化合物。
【0124】
項9A.式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が4週間の処置サイクルに従って投与され、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が処置サイクルの最初の3週間の間の各週間、例えば、1日目、8日目および15日目に投与され、その後1週間の休薬週間が続く、項1A~4Aのいずれか一項に記載の使用するための化合物。
【0125】
項10A.式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が、投与される場合、数週間の間、週に約5mg~約480mgの式(I)の化合物の遊離塩基のモル当量に相当する用量で患者に投与される、項1A~9Aのいずれか一項に記載の使用するための化合物。
【0126】
項11A.式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が、投与される場合、数週間の間、週に40mg~約200mgの式(I)の化合物の遊離塩基のモル当量に相当する用量で患者に投与される、項1A~9Aのいずれか一項に記載の使用するための化合物。
【0127】
項12A.式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が、投与される場合、数週間の間、週に約80mg~約160mgの式(I)の化合物の遊離塩基のモル当量に相当する用量で患者に投与される、項1A~9Aのいずれか一項に記載の使用するための化合物。
【0128】
項13A.式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が、投与される場合、数週間の間、週に90mg~約130mgの式(I)の化合物の遊離塩基のモル当量に相当する用量で患者に投与される、項1A~9Aのいずれか一項に記載の使用するための化合物。
【0129】
項14A.式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が、投与される場合、数週間の間、週に約140mg~約240mgの式(I)の化合物の遊離塩基のモル当量に相当する用量で患者に投与される、項1A~9Aのいずれか一項に記載の使用するための化合物。
【0130】
項15A.式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が、投与される場合、数週間の間、週に約160mg~約220mgの式(I)の化合物の遊離塩基のモル当量に相当する用量で患者に投与される、項1A~9Aのいずれか一項に記載の使用するための化合物。
【0131】
項16A.式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が、投与される場合、数週間の間、週に約180mg~約200mgの式(I)の化合物の遊離塩基のモル当量に相当する用量で患者に投与される、項1A~9Aのいずれか一項に記載の使用するための化合物。
【0132】
項17A.新生物疾患が固形腫瘍である、項1A~16Aのいずれか一項に記載の使用するための化合物。
【0133】
項18A.新生物疾患が、上皮性新生物、扁平上皮性新生物、基底細胞新生物、移行細胞乳頭腫および癌腫、腺腫および腺癌、付属器および皮膚付属器新生物、粘表皮性新生物、嚢胞性新生物、粘液性および漿液性新生物、乳管、小葉および髄質生新生物、腺房細胞新生物、複合上皮性新生物、特殊性腺新生物、傍神経節およびグロムス腫瘍、母斑および黒色腫、軟組織腫瘍および肉腫、線維腫性新生物、粘液腫性新生物、脂肪腫性新生物、筋腫性新生物、複合混合型および間質性新生物、線維上皮性新生物、滑膜様新生物、中皮性腫新生物、胚細胞性新生物、絨毛性新生物、中膜腫、血管腫瘍、リンパ管腫瘍、骨および軟骨形成性新生物、巨細胞腫、種々の骨腫瘍、歯原性腫瘍、神経膠腫、神経上皮腫性新生物、髄膜腫、神経鞘腫瘍、顆粒細胞腫瘍および肺胞軟部肉腫、ホジキンリンパ腫および非ホジキンリンパ腫、他のリンパ細網性新生物、形質細胞腫瘍、肥満細胞腫瘍、免疫増殖性疾患、白血病、骨髄増殖性障害、リンパ増殖性障害および骨髄異形成症候群からなる群から選択される、項1A~17Aのいずれか一項に記載の使用するための化合物。
【0134】
項19A.新生物疾患が、TTK阻害剤(例えば、式(I)の化合物)による処置に加えてPLK1の阻害によって処置可能なものである、項1A~18Aのいずれか一項に記載の使用するための化合物。
【0135】
項20A.新生物疾患が、癌、特に、乳癌(トリプルネガティブ乳癌およびluminal B乳癌を含む)、胃癌、大腸癌、肝臓癌(肝細胞癌を含む)、子宮内膜癌、卵巣癌、食道癌、肺癌(非小細胞肺癌を含む)、カポジ肉腫、子宮頸癌、膵臓癌、黒色腫、前立腺癌、膀胱癌および白血病、例えば急性骨髄性白血病(AML)(複合核型AMLを含む)から選択される癌である、項1A~19Aのいずれか一項に記載の使用するための化合物。
【0136】
項21A.新生物疾患が乳癌である、項1A~19Aのいずれか一項に記載の使用するための化合物。
【0137】
項22A.新生物疾患がトリプルネガティブ乳癌である、項1A~19Aのいずれか一項に記載の使用するための化合物。
【0138】
項23A.新生物疾患がluminal B乳癌である、項1A~19Aのいずれか一項に記載の使用するための化合物。
【0139】
項24A.新生物疾患が胃癌である、項1A~19Aのいずれか一項に記載の使用するための化合物。
【0140】
項25A.新生物疾患が結腸直腸癌である、項1A~19Aのいずれか一項に記載の使用するための化合物。
【0141】
項26A.新生物疾患が肝細胞癌である、項1A~19Aのいずれか一項に記載の使用するための化合物。
【0142】
項27A.新生物疾患が子宮内膜癌である、項1A~19Aのいずれか一項に記載の使用するための化合物。
【0143】
項28A.新生物疾患が急性骨髄性白血病(AML)である、項1A~19Aのいずれか一項に記載の使用するための化合物
【0144】
項29A.新生物疾患が複合核型AMLである、項1A~19Aのいずれか一項に記載の使用するための化合物。
【0145】
項1B.対象における新生物疾患を処置するための薬剤の調製における式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩の使用であって、前述の処置が、間欠投与スケジュールに従って式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩を対象に投与することを含む使用。
【0146】
項2B.式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が、項2A~16Aのいずれか1つに定義されるように対象に投与される、項1Bに記載の使用。
【0147】
項3B.新生物疾患が、項17A~29Aのいずれか1つで定義されるとおりである、項1Bまたは項2Bに記載の使用。
【0148】
本発明および本発明が関係する最新の技術をより十分に説明および開示するために、いくつかの刊行物が本明細書に引用される。これらの参考文献の各々は、あたかも各個々の参考文献が具体的かつ個別に参照により組み込まれることが示されているのと同程度に、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0149】
本発明の特定の実施形態は以下の実施例に記載されているが、これは本発明をより詳細に説明するためのものであり、本発明をいかなる意味においても限定するものと解釈されるべきではない。
【0150】
実施例
方法
キナーゼアッセイ
TTKおよびPLK1のキナーゼ活性を測定するために、放射測定タンパク質キナーゼアッセイ(33PanQinase(登録商標)Activity Assay)を使用した。TTKおよびPLK1プロテインキナーゼを、組換え完全長GST融合タンパク質として発現させた。反応カクテルは、25μLのアッセイ緩衝液(標準緩衝液/[γ-33P]-ATP)および10μLのATP溶液(水中)、5μLの試験化合物および10μLの酵素/基質混合物を含んでいた。プロテインキナーゼのアッセイは、70mM HEPES-NaOH pH7.5、3mM MgCl2、3mM MnCl2、3μMオルトバナジン酸Na、1.2mM DTT、50μg/ml PEG20000、ATP(TTKについては0.3μMおよびPLK1については1μM)、[γ-33P]-ATP(ウェルあたり約8×105cpm)、プロテインキナーゼ(TTKについては15.8nMおよびPLK1については5nM)、および基質(TTKについては1μg/50μLおよびPLK1については2μg/50μL)を含んでいた。すべてのアッセイは、BeckmanCoulter/SAGIAN(商標)コアシステムを用いて行った。IC50決定のフィッティングモデルは「シグモイド応答(可変勾配)」であり、パラメーター「top」は100%に固定し、「bottom」は0%に固定した。使用したフィッティング法は最小二乗フィッティングであった。
【0151】
標的滞留時間アッセイ
TTKおよびPLK1に対する式(I)の化合物の親和性、すなわち平衡解離定数(KD)(滞留時間と呼ばれる)を、組換え発現TTKキナーゼドメイン(アミノ酸519~808)またはビオチン化PLK1を使用したBiacore T200(商標)表面プラズモン共鳴装置を使用して決定した。TTKの固定化は、Maia他、Annals of Oncology,2015;26:2180-2192に記載されているように行った。ビオチン化PLK1の固定化は、Willemsen-Seegers他、Journal of Molecular Biology,2017;429:574-586に記載されているように行った。その後の単一サイクル速度論アッセイを、TTKについては1、3.6、10、31.6および100nMならびにPLK1については10、31.6、100、316および1000nMの化合物濃度勾配、100秒の接触時間および30μL/分の流速を使用して22℃で行った。解離期間は1200~1800秒であり、緩衝液によるブランクランを使用して不安定な表面の補正を行った。結合動態を結合曲線に基づいて計算し、試験したすべての化合物について良好なシグナル対ノイズ比を実証した(データは示さず)。
【0152】
異種移植片研究
8~12週齢の雌NCr nu/nuヌードマウス(CharlesRiver laboratories社)を皮下(s.c.)側腹部に5×106個のMDA-MB-231腫瘍細胞を接種した。平均腫瘍サイズが100~150mm3である場合、処置群(1群あたり8匹のマウス)に無作為化した。図に示すように、マウスを異なる化合物およびスケジュールで処置した。
【0153】
体重および腫瘍体積は、ノギスで2次元を測定し、式「V=(L×W2)/2」(式中、Vは腫瘍体積であり、LおよびWはそれぞれ腫瘍の長さおよび幅である)を適用することによって、少なくとも週に2回決定した。腫瘍が1500mm3以上に達したとき、または体重減少(BWL)が20%を超えたことが分かったときに、個々のマウスを選別した。BWLが3日間連続して>15%であると判定された場合もマウスを選別した。>10%のBWLを有するいずれのマウスも、BWLが<10%に戻るまで休薬日を受けた。すべての動物プロトコルは、研究を行った米国(IACUC)の関連する地域委員会によって検討および承認された。
【0154】
薬物動態(PK)研究
第1の研究群では、1、2、および3(各々9匹のマウス)に、それぞれ製剤1における5、7.5、または10mg/kgの単回経口投与を行った。第4群、第5群および第6群(各々9匹のマウス)には、それぞれ製剤2における5、7.5または10mg/kgの単回経口投与を行った。第1~6群について1日目に血漿試料を収集した。製剤1は、DMSO、クレモフォールEL、および水中5%マンニトール(10/10/80;v/v/v)からなっていた。製剤2は、エタノール、PEG400およびクエン酸20mM(10/10/80;v/v/v)からなっていた。投与後1、2、4、8、12、および24時間(3匹のマウス/タイムポイント)に血液試料を収集した。
【0155】
第2の研究では、雌のSwiss Albinoマウスに、5、7.5、または10mg/kgの式(I)の化合物を5日間にわたって毎日経口投与した。第1群、第2群および第3群(各々9匹のマウス)には、それぞれ製剤1における5、7.5または10mg/kgの1日経口用量を5日間にわたって投与した。第4群、第5群および第6群(それぞれ9匹のマウス)には、それぞれ製剤2における5、7.5または10mg/kgの1日経口用量を5日間にわたって投与した。PK試料を第1群~第6群について5日目に収集した。製剤1は、DMSO、クレモフォールEL、および水中5%マンニトール(10/10/80;v/v/v)からなっていた。製剤2は、エタノール、PEG400およびクエン酸20mM(10/10/80;v/v/v)からなっていた。投与後1、2、4、8、12、および24時間(3匹のマウス/タイムポイント)に血液試料を収集した。
【0156】
第3の研究では、雌のSwiss Albinoマウスに、5mg/kgの式(I)の化合物の静脈内(ボーラス、5mL/kg)用量を投与した。第1群(9匹のマウス)は、1日目に単回i.v.用量投与を受けた。第2群(9匹のマウス)には、1日目から5日目まで10mg/kgの式(I)の化合物を毎日経口投与し、その後、6日目に5mg/kgの式(I)の化合物を単回i.v.用量投与した。PK試料を、第1群については1日目に、第2群については6日目に収集した。製剤ビヒクルは、注射用水(WFI)中のエタノール、PEG400およびクエン酸20mM(10/10/80;v/v/v)からなっていた。血液試料を、投与前ならびに投与後0.083、0.25、0.5、1、2、6、12および24時間に収集した(マウス3匹/タイムポイント)。
【0157】
3つの研究の各々において、4℃で遠心分離するまで氷上に保ったK2-EDTAチューブに、伏在静脈(sephanous vein)を介して血液を収集した。血漿を約-80℃で保存した。分析のための試料の後処理は、内部標準として式(I)-d3の化合物を含有する45μLのアセトニトリルと混合した15μLの血漿、その後遠心分離および2μLの上清のLC-MS/MSシステムへの注入からなっていた。Phoenix(登録商標)WinNonLin 6.4を使用してPKパラメーターを計算した。PK分析は、スパースサンプリングに基づいていた。
【0158】
結果
TTKおよびPLK1は、適切な染色体整列を介して最適な細胞分裂を確実にする細胞周期監視機構である紡錘体形成チェックポイント(SAC)の制御に不可欠な役割を果たすキナーゼである。TTKおよびPLK1は、染色体の動原体でSACタンパク質複合体にSAC成分を動員するように協働し、したがって両方の酵素の阻害は、SACのより迅速な切断を介して有糸分裂の進行を最大化するはずである(Von Schubert他、Cell Reports 2015,12;66-78)。これは、式(I)の化合物を、任意の有意義なPLK1阻害活性を有しないTKK阻害剤と比較した場合、腫瘍細胞系に当てはまることが証明されている(データは示さず)。
【0159】
一般に、式(I)の化合物はTTKに対して強い特異性を示し、他のキナーゼIC50はTTKのものよりも少なくとも10倍高い。上記のTTKキナーゼアッセイにより、式(I)の化合物がTTKに対して非常に強力であり、7nM(国際公開第2015/155042号に記載されているように測定した場合は0.4nM)のIC50を与えることが確認された。
【0160】
上記のPLK1キナーゼアッセイはまた、式(I)の化合物がPLK1を標的とすることを示した。式(I)の化合物は、72nMのIC50でPLK1を阻害することが分かった。国際公開第2015/155042号に記載されているように測定した場合、式(I)の化合物は、46nMのIC50でPLK1を阻害した。文献に報告されている他のTTK阻害剤は、TTKに対して同様のまたはわずかに良好な全体的特異性を有するが、反対に、TTKに対するそれらの活性と比較してPLK1に対する活性がほとんどまたは全くない(データは示さず)。重要なことに、式(I)の化合物は、TTKに対して12時間を超える非常に長い標的滞留時間を有するが、PLK1の標的滞留時間はわずか数分である。このTTKの長期阻害は、PLK1に対する一過性の効果と相まって、SACの急速な破壊をもたらし、染色体分離が正しく分離するのに十分な時間がない。
【0161】
式(I)の化合物の間欠的なi.v.投与レジメンで処置したMDA-MB-231異種移植片を有するマウスに由来する腫瘍において、長期TTK標的占有も測定した。式(I)の化合物の腫瘍TTK標的占有時間を決定するために、TNBC異種移植モデルMDA-MB-231を有するマウスを、式(I)の化合物のMTD用量およびサブMTD用量で週2回、IV処置した。TTK標的占有率についてのビヒクル処置腫瘍および式(I)の化合物処置腫瘍の分析は、式(I)の化合物が濃度依存的様式で腫瘍由来TTKを占有することを示した。TTKは、最後のMTD用量の投与後少なくとも72時間にわたり式(I)の化合物によって完全に占有された。IV、MTD週投与を使用した反復実験は、腫瘍由来TTKが最後の投与後6日間まで完全に薬物占有されたことを示した。
【0162】
細胞系において、式(I)の化合物は、感受性細胞に対して高い効力を有する。18の異なるトリプルネガティブ乳癌細胞株(TNBC)の5日間の抗増殖スクリーニングで、式(I)の化合物は35nMのGI50中央値を有していた。マウスでは、式(I)の化合物は、TNBCおよび肝細胞癌(HCC)モデルを含む腫瘍患者由来異種移植片(PDX)に対して有意な活性を示し、実質的な退縮を含む最小~非常に強い範囲の効果を示した(データは示さず)。
【0163】
式(I)の化合物の有効性を、週1回(QW)および週2回(2QW)の間欠的なi.v.投与スケジュールを評価したTNBC異種移植モデルMDA-MB-231において広範囲に試験した(
図1)。両方のスケジュールについて、式(I)の化合物をMTDおよびその分画(MTDでのQW投与:25mg/kgおよび0.75×MTD:18.75mg/kg;MTDでの2QW投与:12.5mg/kg、0.75×MTD:9.4mg/kg、0.5×MTD:6.25mg/kg、および0.25×MTD:3mg/kg)で投与した。
【0164】
薬物関連動物の死亡は記録されず、体重の変化によって判断したところ、すべての処置は一般に忍容性が高かった。MTDでの式(I)の化合物の投与は、体重減少にいくらかの影響を及ぼしたが、体重減少は許容可能な10%閾値内にとどまった。MTD投与により、腫瘍静止および腫瘍退縮が観察された。毎週のIV投与は、最も強力な抗腫瘍活性と関連していた。QWおよび2QWの両方に対するMTD投与の異なる分画は、用量依存的な抗腫瘍活性を示したが、一般に、QW投与は、投与された全週用量が両スケジュール間で同一であるにもかかわらず、より高い活性を示した。
【0165】
週MTD投与群のマウスを、D100での処置停止後さらに20日間、腫瘍の再成長について観察した。驚くべきことに、8つの腫瘍のうち3つが≦6mm3の体積まで縮小し続けたため、腫瘍移植部位および周囲の組織/皮膚の組織病理学的分析によって残存腫瘍細胞の存在について調査した。2匹のマウスは検出可能な残留腫瘍細胞を示さなかったが、1匹のマウスは接種部位に新生物細胞の2つの小さな凝集体を有していた(
図2)。したがって、MTD用量で式(I)の化合物により毎週処置したマウスの25%は、病理学的分析に基づいて治癒したとみなすことができた(表1)。
【表5】
【0166】
式(I)の化合物は経口投与することもできるので、同じ腫瘍モデルにおいて、毎日の経口投与後の有効性を間欠的なi.v.投与で得られた有効性と比較することは興味深い。間欠的なi.v.投与は、MTD、0.5×MTDおよび0.25×MTDの用量で、QWおよび2QWレジメンの両方で行い(正確な用量についてはグラフの凡例を参照されたい)、一方、毎日の経口投与はMTDのみで行った。用量依存的な有効性が両方のi.v.投与スケジュールについて観察され、MTD i.v.投与は、スケジュールとは無関係に、MTD経口毎日処置よりもはるかに優れていた。0.5×MTDのi.v.投与は、MTDの毎日の経口投与と等力の有効性を誘発した(
図3および
図4を参照されたい)。
【0167】
すべての処置は比較的忍容性が高く、動物の死亡はなかった。2QWのMTD投与のために、反復IV注射によって誘発された尾静脈刺激(結痂)のために処置を30日目に停止した。対照的に、QW MTD投与は、抗腫瘍活性の強力な維持と共に、98日目まで継続された。その後、動物を125日目まで腫瘍の再成長について観察した。上記のデータと一致して、8匹の動物のうち2匹(25%)は、80日目から125日目まで測定可能/触知可能な腫瘍塊を示さなかった。したがって、周囲の組織および皮膚を含むこれらの2匹の動物の腫瘍移植部位を切除し、FFPEのために処理し、その後H&E染色および残留腫瘍細胞の調査を行った。その結果、両動物を無腫瘍と定義した。
【0168】
まとめると、MDA-MB-231 TNBC腫瘍モデルから得られたデータは、間欠的なi.v.投与が毎日の経口投与よりも高い抗癌効力を達成することができ、腫瘍退縮および病理学的に確認された治癒が観察されることを示唆している。
【0169】
第1のPK研究は、3つの異なる用量レベルでの単回経口投与後および2つの異なる製剤を使用した雌Swiss Albinoマウスにおける式(I)の化合物の曝露を比較した。導出されたPKパラメーターを表2に示し、平均濃度-時間プロファイルを
図5に示す。経口投与後、式(I)の化合物は、4時間のTmax中央値でゆっくりと吸収された。式(I)の化合物の最大血漿中濃度(Cmax)および全身曝露(AUClast)は、使用した製剤とは無関係に、5~10mg/kgでほぼ用量比例的に増加した。製剤2(クエン酸)を使用して観察された曝露は、製剤1よりもわずかに高い曝露を示した。単回投与後の経口バイオアベイラビリティは高く、i.v.投与後に観察された曝露に基づいて76%~96%の範囲であった。
【表6】
【0170】
第2のPK研究は、2つの異なる製剤を使用した毎日の経口投与後5日目の雌Swiss Albinoマウスにおける式(I)の化合物の曝露を比較した。導出されたPKパラメーターを表3に示し、平均濃度-時間プロファイルを
図6に示す。経口投与後、式(I)の化合物は、2時間~4時間の中央値Tmaxでゆっくりと吸収された。複数回の毎日の経口投与後の式(I)の化合物の最大濃度(Cmax)および全身曝露(AUClast)は、使用した製剤とは無関係に5~10mg/kgで用量比例未満の様式で増加した。曝露量は製剤2(クエン酸)の方が高かった。複数回の1日用量投与後の経口バイオアベイラビリティは低~中程度であり、i.v.投与後に観察された曝露に基づいて18%~41%の範囲であった(表3)。
【表7】
【0171】
第3のPK研究は、1日目および6日目(10mg/kgの式(I)の化合物の毎日の経口投与後6日目)の5mg/kg静脈内投与後の雌Swiss Albinoマウスにおける式(I)の化合物の曝露を比較した。導出されたPKパラメーターを表4に示し、平均濃度-時間プロファイルを
図7に示す。静脈内投与後、PKパラメーターは第1群と第2群との間に明らかな差を示さなかった(表4)が、式(I)の化合物の毎日の経口投与後に曝露の減少が観察された。大量の分布(体全体の水よりも多い;15.4~19.0L/kg)および中程度の血漿クリアランス(55.4~57.9mL/分/kg)が観察され、両方の群について4.00~4.70時間の半減期をもたらした。24時間での濃度はC0よりも100倍超低く、AUC0~24時間が総曝露を適切に反映していることを示唆した。AUCinfは、最大2.54%の外挿の信頼度で計算した。1日目および6日目(毎日の経口投与後6日目)の静脈内投与後のAUC0-24hの曝露量は、1日目と6日目との間で同様であった。データは、10mg/kgの式(I)の化合物の経口用量の毎日の投与が全身誘導を誘導しないことを示唆している。
【表8】
【国際調査報告】